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1966-04-21 第51回国会 参議院 社会労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十一日(木曜日)   午前十時二十八分開会     —————————————   委員異動 四月二十一日    辞任          補欠選任     杉山善太郎君      野々山一三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         阿部 竹松君     理 事                 鹿島 俊雄君                 丸茂 重貞君                 佐野 芳雄君     委 員                 亀井  光君                 川野 三暁君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 土屋 義彦君                 山下 春江君                 山本  杉君                 大橋 和孝君                 野々山一三君                 森  勝治君                 山崎  昇君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君    国務大臣        労 働 大 臣  小平 久雄君    政府委員        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局次        長        武藤謙二郎君        林野庁長官    田中 重五君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労政局長  三治 重信君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        大蔵省造幣局東        京支局長     村井 国彦君        大蔵省印刷局長  遠藤  畔君        林野庁職員部長  森   博君        通商産業省軽工        業局アルコール        事業部長     宮城 恭一君        郵政省人事局審        議官       土生 滋久君        労働省労政局労        働法規課長    青木勇之助君        日本専売公社総        務理事      新井 喜一君        日本国有鉄道理        事        豊原廉次郎君        日本電信電話公        社総務理事    行広 清美君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働組合法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○労働問題に関する調査  (春闘に関する件)     —————————————
  2. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。本日、杉山善太郎君が委員を辞任され、その補欠として野々山一三君が選任されました。     —————————————
  3. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 労働組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより本案に対し、質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 今度労働組合法の一部改正が行なわれるのですが、これについては、不当労働行為事件などがふえ、また、労働組合組織がふえ、その審査などのほうの件数がふえてきておる。さらに労使の間の争議行為紛争あっせん調停、仲裁などの事案が多くなって、特に東京大阪等ではその件数が多いので委員増員を行ないたい、そういうふうに承知をしておるのですが、そうですが。
  5. 三治重信

    政府委員三治重信君) 東京大阪につきましては、ことに非常に労働者数並びに労働組合の数も増加いたしまして、また、それに伴って労働委員会活用件数も非常にふえてきており、両三年来、非常にこの労働委員会委員増員について労使ともども増員方の要請がまいっておるのでございます。それでわれわれのほうとしてはこういう増員の問題とか行政委員会組織定員の問題というものは、やはり軽々しく扱うべきではないという態度で、陳情は受けておりましたけれども、慎重にしてきておったのですが、やはり現実として、非常に処理件数が多くなり、事件処理が遅延の傾向が出てきたということで、切なる御要望によりまして、われわれのほうも暫定的に今回の改定をお願いせざるを得ない状況と考えてお願いしているわけでございます。  なお、こういう労働委員会の構成、組織、また、処理の問題ということになれば種々問題がございいます。したがって、こういう労働委員会制度運用の問題について、いまや全般的な再検討の時期にきたのではないかというふうにも考えますが、今回はとりあえず、特に事件のふくそうしております東京大阪についてお願いする、こういうことでございます。
  6. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 御趣旨は大体わかるのですが、そこで、いろいろの件数がふえて、当然東京大阪等委員をふやしたいというのですが、そういうふうに件数がふえたり事務量がふえたということになりますと、これは委員の活動の範囲が広がり、ふえてきたというふうに考えるのか、あるいは、いわゆる事務量がふえてきたのか、これはどちらになるのですか。その点をまずお聞きしたいと思います。
  7. 三治重信

    政府委員三治重信君) 事務量でございます。
  8. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 事務量がふえたということになりますと、これは委員増員だけでなしに、事務職員増員ということを当然考えなければならぬと思うのですが、その点どうですか。
  9. 三治重信

    政府委員三治重信君) この労働委員会運営は、やはり労使公益委員方々中心になって行なわれておりまして、事務当局そのもの事務処理も、確かに件数がふえているのですから、ふえてはおりますけれども、やはり主要な機能を果たしますのが委員中心主義になっておりますので、事務員増加については、もちろん各地方行政当局において処理されておりまして、事件の多いところは定員も多くなっており、事件の少ないところは定員も少ないというふうになって、この事務職員の問題は、大体地方当局にまかしておいていいのではないかというふうに考えております。現に身分上も全面的に地方公務員でございますし、予算措置も全部地方当局予算措置で行なわれるように現行制度はなっております。
  10. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 いまのお話でちょっと不十分だと思うのですけれども、委員仕事がふえてきたから委員をふやさなければならぬ、まあ東京大阪の場合は特にそういうことはわかるのですが、その点、事件不当労働行為がふえてきている。そういうことで委員のほうも非常に忙しい思いをしている。そういうことになりますと、当然それを補佐するといいますか、事務的にそれを処理するところの職員増員もどうしても考えなければいかぬではないかと思うのです。特に新しい労働組合ができて資格審査をする、これは委員がやる仕事ですけれども、ほんとうの仕事はほとんど事務的には職員がやる。そういうことになりますから、当然委員増員もけっこうですが、職員増員についても行政指導をするというのが、これは府県でするのでしょうけれども、労働省のほうとしては行政指導をするというふうに考えることはできませんか。
  11. 三治重信

    政府委員三治重信君) 先ほどちょっとことばが足らなかったかと思いますが、この地方労働委員会事務局職員定員につきましては地方当局にまかされておるわけでございまして、特別に地方当局、あるいは労働委員会関係の場において事務局職員が非常に不足しているという声は、私たちはまだあまり聞いておりません。当然地方によっては、ふえたところは事務定員もふえているように考えております。
  12. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 各府県のほうでは、府県事務職員労働委員会事務局に使っているのですから、労働省に対してそういう要求が大きく出てくることはないと思います。したがって、これは労働省のほうで行政指導をするという立場調査をされるなり、あるいはよく事情を聞いてやるというふうにしないと、なかなかこれは局長が言うように、地方から上がってくるのは困難じゃないかと思いますが、その点どうですか。
  13. 三治重信

    政府委員三治重信君) その点につきまして、今後地方労政当局とも十分連絡して、援助をする必要があると認めるならば、適当な行政指導援助をしたいというふうに考えます。
  14. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこで、最近不当労働行為件数がだんだんふえてきているのですが、労使間の争議、あるいは紛争調停あっせんなどは、の仕事として、その件数がふえてきて忙しくなっているということはよくわかるのです。そういう調停ないしあっせんなどは時間的にきめられた範囲でする仕事ですから、特に重ねて言いますが、委員をふやすということだけじゃなしに、この際、事務職員の問題について十分お考え願いたい、こう思います。  そこで、不当労働行為件数がふえてきた。そういうことで、不当労働行為事件などに関連する審査審問あり方について、この際、検討するというお考えはありませんか。
  15. 三治重信

    政府委員三治重信君) このやり方につきましては、中労委がいろいろ規則制定権を持っておりまして、そういう委員会運営の問題につきましては、それぞれ検討されて、改善されて今日まで至っておりますが、先生の御指摘のように、今日においても、なお不当労働行為事件処理について非常に長時間かかり過ぎるという声は非常に多いわけでございます。今回の東京大阪のこの委員増加要求の原因も、この不当労働行為事件処理ということが、調停あっせんの作業より以上に、こちらのほうの関係業務量の増ということで要望されてきている次第でございます。  なお、この不当労働行為事件審査やり方については、今日まで中労委でいろいろ規則制定の部面を改正し、相当改善されてきておりますが、なおまだこの事件処理やり方があまりにも、何と申しますか、当事者審問主義になっておって、もう少し職権調査的にいっても、現在事件処理について迅速ということを考えるとそういうことも必要ではないかと思いますが、なかなか労使それぞれ関係者からいろいろ審問の手続について注文が出る、その上、さらに弁護士までつけて争う、こういうことになりますと、どうしても裁判所みたいに長くならざるを得ない。これは労使双方相当こういう問題について簡潔に、また、合理的に迅速にやることについて、いま少し労働委員会自身中労委の場や全国労働委員会連絡協議会なんかでも検討をして、改善方検討していただくことが必要ではないかと思います。さらに労働省といたしましては、十三人の労働関係専門家にお願いして、こういう技術上の処理の問題やこの委員会あり方の問題について多年研究していただいておりまして、改善方についての意見が近く発表されるようなことにもなろうかと思います。そういうものを利用いたしまして、こういう改善について労働省といたしましても努力をしていく必要があるというふうに考えております。
  16. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 最近特に不当労働行為事件がふえてきているようですが、不当労働行為事件がふえるということは、ある意味においては労働者自覚が高まってきたというふうに、あるいは高まってきているというふうに考えられるのですが、労働者自覚が高まってきて不当労働行為事件がふえたということは、裏返して見ますと、使用者側の反動化的な傾向ないしは労使問題に対する逆コースの考え方が作用してふえてきておるというふうにも思えるわけです。そういうことが結果的には公益委員、あるいは労働委員会運営上に問題点がいろいろ出てきている。いま局長のいわれるように、相当時間が長くかかる、日数がかかるというふうな事態が生まれてきておる。この際、不当労働行為事件公益委員が主として担当するわけですから、公益委員の各県における実情、あるいはその職業等状態をちょっと知らしてもらいたい。
  17. 三治重信

    政府委員三治重信君) 公益委員職業別のものは、四十年の調査におきましては、弁護士の方が九十三名で三七%、大学教授、講師の方が七六名で三〇・三%、非営利団体の役員の方が二十人で八・六%、こういう方々がおもなところでございます。その他計現出とか医者とか無職の方というのが少しあるという現状であります。
  18. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そうすると、弁護士あるいは大学教授等が現在六七%を占めておるというふうに言われるのですが、そうすると、公益委員の大半は弁護士あるいは大学教授ということになると思うのですが、これはきょう採決しようというので、資料あとになると思いますが、早急にひとつ資料をいただきたいと思うのです。それは現在の公益委員の中で、特に弁護士仕事を持っておられるところの委員の方、それから、その弁喪主仕事を持っておる委員民間会社との関係がどうであるのかということをあわせてお願いしたいと思いますが、同時に、現在の委員だけでなしに、せめて前の委員ぐらいの関係も、この際、資料等で出してもらいたいと思う。ということは、本来純正な立場であるはずの公益委員が、現に会社顧問弁護士をしておるというふうな事情を私たちは知っておるわけです。また、委員であるときにはそういう職でなかったけれども、解任後には会社顧問弁護士についたりというふうな実情をたくさん私たち承知しておるわけです。本来の公益委員としての立場がそういうことではゆがめられる場合が出てまいりますので、もしそういうこになりますと、それから公益委員として不適格な要素が生まれるわけですから、この際、不当労働行為事件処理について不公正な事態が生じはしないんだということをはっきりするためにも、この際、公益委員のうち、特に弁護士方々の現在の民間会社との関係、あるいは前の委員がやめてから会社顧問弁護士をつとめておるというものについて、ひとつ早急に調査した資料を出してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  19. 三治重信

    政府委員三治重信君) その弁護士の方が会社顧問弁護士とか、どの程度の数をやっておられるかにつきましての調査ということでございますが、これは地方に問い合わせなければできませんですし、若干時間の余裕をいただきたいと思いますが、できる限り努力いたしまして資料をおつくりいたします。
  20. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 これは運営上非常に大事な問題でして、現在は会社顧問弁護士はしていないんだというふうな公正な立場での公益委員の方がおそらく相当多いと思うのですけれども、それにしましても、やはり会社側についておる弁護士は、やはり知り合いが多いわけですから、そういうことで、公益委員としての立場としては非常に公正な行動なり参与をされておっても、自分の最もじっこんな仲間が相手側会社顧問でおるということになりますと、多少そこに、人間ですから、情においてそう公正な態度をとれないことも起こってくるわけであります。そういうことが当事者側からいうと、いわゆる審問の不信の問題が起こってまいりますから、私は決して弁護士がいかぬというわけではないのですが、いまおっしゃった弁護士が非常に多いということについては、この際、再検討してもらいたいと思います。  そこで、資料は、おっしゃるとおり、多少調査に時間はかかると思いますが、早急にひとつ出してもらいたいと思います。
  21. 三治重信

    政府委員三治重信君) 私たちも、ままそういうことを聞いたこともございますが、数はそう多くはないと思います。まあ私は、いずれにしても、この労働委員会公益委員は、任命のときにあたりましては、当局労使双方に名簿を提示して、同意を得て任命されている公益委員でございますので、たまたまそういうこともあったように私たちも知ってはおりますけれども、先生のおっしゃるように、弁護士の方でも、その事件処理については公平無私事件処理に当たっていただいているものと信じております。そういう問題の点につきまして、できるだけの調査をしてみたいと思います。
  22. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこで、公益委員選任の問題なんですが、今日は知事公益委員としてふさわしい人を選考して、それを労使委員同意を得るという形式をとっておるのですが、それはそれとしていいと思うのですけれども、先ほどいいましたように、ともすれば現在か、あるいは将来にか、資本家と因縁のつくような状態を内包いたしております弁護士の問題を考えると、やはりいろいろな問題点があると思います。そこで、この際、労働大臣にお聞きをいたしたいのですが、   〔委員長退席理事鹿島俊雄君着席〕 この際、労働委員給与が、一体他の府県における教育委員とか、あるいは人事委員というものと比べてどういうふうになっておるか、これもあとでひとつ局長のほうから資料として出してもらいたいと思うのですが、もしどんなにいい人を選ぼうと考えましても、やはり犠牲的にやるという気持ちになっておっても、実際に手当が低い、給与が低いということになりますと、なかなかいい人を得ることも困難だと思います。したがって、そういう点についての将来の待遇の問題について、各府県に対して行政的な指導というか、協力を求めるというような考えをこの際お持ちであるのか。あわせて、職員の問題についてもお聞きしたいのですけれども、現在各府県における知事部局の者が労働委員会事務局におるわけですけれども、単なるこれは事務的な処理ではなしに、労働問題は、本来人間関係ですから、やはり相当の練熟した経験を持つことが必要なんですけれども、同時に、公正な立場で問題を処理しなければならぬのですけれども、あまり両者に協力するような姿を仕事の上で見せると、次の転任のときに冷遇されるということがあったり、また、職員立場からいうと、やはり出世したいのですけれども、労働委員会に長くおるとそういうふうな道が閉ざされるというふうなことになりますから、当然労働委員会事務職員も短期間の身分保障しかないというふうなことにもならざるを得ないことになるのですが、このことについて、大臣は、将来労働委員会事務職員待遇の問題、あるいはその処置についてどうお考えになっておるのか、お聞きしておきたいと思います。
  23. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 労働委員会委員手当の問題でございますが、まあ今回の法案とは直接の関係はございませんが、中央労働委員会委員のことをまず申し上げますと、その手当は、一般職職員給与に関する法律の第二十二条の一項によりまして、「勤務、一日につき四千九百円をこえない範囲内」で「人事院の承認を得て手当を支給することができる。」と、こういうたてまえに相なっておりまして、実際上は、会長勤務一日につき四千五百円、それから、その他の委員につきましては一日について四千円の手当が支給されております。しかし、この手当額中央労働委員会委員の方の勤務の質なり量なりから見まして妥当かどうか、あるいは他の行政委員会の機関と比べまして、はたして妥当かどうかというような問題がございます。まあ私どもの見るところでは、どうも労働委員会仕事というものは、質の面からも量の面からも、相当重要な仕事でございますので、むしろ検討をひとつお願いしたいと、こういうことで、実は私から人事院の総裁に向かいまして、ぜひこの件をひとつ再検討してほしいと、こういう趣旨の申し入れを昨年来いたしておるわけでございます。  なお、地方労働委員会委員手当につきましては、都道府県が独自の立場できめておるところでございまして、都道府県によりまして、これはおそらく仕事繁閑等を考慮し、あるいはその地方自治体財政力にもよることと思いますが、相当まあ開きがあるようであります。たとえば東京都におきましては、会長は月額が九万円、会長代理が七万五千円、一般公益委員がやはり七万五千円、それから労使委員が七万円。それから大阪府におきましては、会長が七万円、会長代理が六万五千円、公益委員が五万七千円、労使委員が四万五千円。まあ低いところでは、山梨県が、会長が二万六千円、会長代理が二万一千円、公益委員が二万一千円、労使委員が一万八千円、まあこういうようで、大体まあ必ずしも統一されていない。先ほど申しますとおり、仕事の繁閑なり、あるいは府県財政力なりによって差があるようでございます。まあこれらにつきましても、もちろん各地方自治体における同じような委員会等委員手当と勘案してこう大体きまっておるものと私ども了解しておるわけですが、もちろんこれらについても、仕事重要性にかんがみまして、逐次改善されることが望ましいと思っております。  なお、事務局職員の問題でございますが、これにつきましても、お示しのとおり、いろいろ問題があろうと思います。しかし、その職務が非常に専門的な知識を要し、あるいは、また、きわめて複雑な人間関係についての仕事、まあこういうことでございますから、そういう点も十分考慮をして、給与もできるだけ改善していただきたいし、あるいは、また、昇進等につきましても十分配慮をいたしてもらいたいと思いますが、こういう仕事は、必ずしも異動による昇進と申しますか、そういうことよりも、同じ仕事になるべく長く従事したい、その間、給与等は十分改善してもらうと、こういった方向で善処していただくのが望ましいのではないかと、かように私は考えております。
  24. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 いま大臣から東京大阪等の例を言われたのですが、それはそれでわかるのですが、一体東京九万円ですか、そういうふうな場合に、その東京教育委員人事委員給与は一体それと比較してどうなんですか、それはわかりますか。
  25. 三治重信

    政府委員三治重信君) 他の地方の県におけるそういう教育委員会委員とか、そういう問題については、いま調べた資料は持っておりません。
  26. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そうすると、それは早急に調査して、資料として出してもらいたいと思います。  それから、この際申し上げたいのですが、すでに御承知のように、特に労政局長は御承知ですが、教育委員人事委員は昼に仕事をちょっとやる。労働委員の場合はその争議調停をやったりあっせんをいたしましたり、紛争に介入いたしますと徹夜にまでなるので、そういう点で教育委員人事委員よりも仕事の面で非常に多忙な激務を背負わされているわけですから、そういう点も配慮していただきたいと思うのですが、とりあえず、ひとつ早急に各県における教育委員人事委員の比較の資料を出してもらいたい。
  27. 森勝治

    森勝治君 いま佐野委員が質問しました後段の、他の委員会との報酬格差の問題ですが、まあ大臣は何か他の委員会と勘案されてきめられるものと思うがという答弁を言われて、いまのお答えで局長の話だと、教育委員とか人事委員等関係資料は持ち合わせないと言われているが、これはしばしばの会議でこのことは労働省が十分御承知のはずです。いずれといえども、いずこの県も、特に各種委員会がたくさんありますが、一つだけ申し上げますと、教育委員会との報酬の差は各県とも著しいわけです。いま佐野委員も、深夜にわたる取り扱いの問題も言及されましたが、そういうこともさることながら、こういう重要なポストに携わっておられる方々が、ややもすればどうも仕事の片手間的な傾き、特に公益委員の場合においては他に職業をお持ちですから、職業の余暇というと語弊がありますけれども、事実自分のところの本業が忙しいので、きょうの審理はあしたにしてくれ、あさってにしてくれということがしばしば見受けられるわけです。そこは、私はそういうのはやはり義侠的な立場でおやりでしょうから、報酬をもって目的としないであろうということは私は信じたいと思うのでありますが、やはり他の同種の、いま申し上げたように、教育委員などとの報酬との格差ということがあると、あたかも労働委員教育委員などと区別されたような、まあ金でその人間の真価を問うのはおかしいのですけれども、責任の度合いとか何とか云々ということで、教育委員よりもどうしても労働委員が低い報酬に格づけされていることは事実であります。したがって、いま局長の話だと、資料が持ち合わせありませんからというお話でありますから、早晩これは資料調製の上提出されるものと思われますが、もし資料を出されて、明らかに他の委員会、いま申し上げた教育委員等との報酬の開きが明らかにされた場合には、当然少なくとも教育委員と同額程度の引き上げの御努力をされるかどうか、ひとつこの点大臣からお伺いしておきたい。
  28. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) いま森先生の御指摘のことは、大体地方労働委員会委員のお話かと思いますが、それにつきましては、調査の結果、他の委員、特に御指摘の教育委員との比較、まあそういうようなことであまりアンバランスであるというようなところがございますならば、地方知事さんともよく相談をして、できるだけ御期待に沿うように私どもとしても努力していきたいと思います。
  29. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 それから、この公益委員、あるいは労働委員給与の問題は、将来労働省のほうでも各府県に対して十分のひとつ行政指導をしてもらいたいと思うのですが、不当労働行為等が取り扱われます場合に、会社のほうは、これはまあ経済的に余裕のある立場ですから、参考人、あるいは証人等を審問の場合に次々と繰り出して、そして時間をかせぐと申しますか、長引かせるというような傾向がだんだんよく出てきておるわけなんです。その場合、労働者側の立場からいきますと、施行令の第二十八条には費用弁償の項があるだけなんですが、実際には各府県における私たちの知っておりまする不当労働行為に証人もしくは参考人として出ます場合に、会社側のほうの参考人、あるいは証人はもちろん会社が費用を持つ、あるいは公休扱いをしているわけですけれども、労働者側の証人、参考人としては、いろいろな意味における在力と申しますか、圧迫がかかっておる。特にひどいところでは欠勤扱いにならざるを得ないわけなんです。労働委員会のほうでも費用弁償をしているところもあるようですけれども、していないところもあるように実は聞いておるわけです。しておりましても日当二百円か三百円ということになりますると、当然本人の負担になるか組合の負担になるか、欠勤扱いされる上にそうなる。そうなると、せっかく証人として出たいと思っても出られないということになって、公正な審問がなかなかできないというふうな事情を私たちはよく聞いておるのでありますが、そういう点について労政局長はどう思っておりますか、ひとつお考えを聞いておきたいと思います。
  30. 三治重信

    政府委員三治重信君) 一般的に私たち承知しておりますのは、そういう不当労働行為審問の場合には、証人として特別委員会のほうへ呼ぶ場合には手当を出すのが一般のようでございますが、労使それぞれのほうの申し出によっての参考人の出席ということについては労使それぞれの負担になっているように思われます。そういう問題についてどう思うかと、こういうことでございますが、なるほど経営者側のほうが出す場合には、経営者側のほうの責任においていろいろの手当てをするでしょうし、また、一般に組合側のほうも、全部が全部本人の負担ということにはなっていなくて、それぞれ関係組合のほうで担当の援助もしているということと思いますが、こういう問題について役所がどうのこうのといっても解決できる問題ではないのではないかというふうに思っておりまして、また、それを全部国なり県のほうで補償すべき費用でもないように考えられます。
  31. 小平芳平

    小平芳平君 私は、労働委員会制度の問題についてあとで御質問したいと思っておりますが、いまの労働委員給与の問題についてまた同じことが繰り返されるのは委員会運営上ちょっとどうかと思いますので、特にお許しを得てお聞きしたいわけですが、自民党の亀井委員もいらっしゃるところでちょっと質問しにくいですけれども、いまの給与の問題は労政局長はあまりはっきり言わないし、大臣もあまりはっきりおっしゃらないのですが、結局地方の地労委の場合は、月額で会長東京は九万円、大阪が七万円、あるいはさっきおっしゃった山梨が二万六千円ですね。ところが、中労委の場合は、さっき局長がおっしゃった四千五百円というのは日額であって、しかも、出た日の額ですか、ですから、したがって中労委の場合には問題にならないほど安いわけですね。で、一体お尋ねしたい点は、地労委では月額でやっているけれども、中労委ではこういう実際の出勤といいますか何といいますか、とにかく出た日数に応じてやっておりますが、これは労働省としてはどちらが望ましいかということが一つ。それから、また、実際上、中労委の場合は会長四千五百円、公益委員その他労使委員四千円、実際月に何日出て幾らの給与を受けているか。これは労働大臣はあまり今回の法律改正とは関係ないように最初おっしゃったですが、そうじゃないと思いますね。やはりこれは根本問題とも、制度自体とも関係しますが、やはり中労委委員が大学でも、法律家としても、経済学者としても、相当の権威者の人たちが、一体中労委委員として何日中労委に出て幾ら給与を受けられるか。まるっきりただ奉仕みたいなことはできないわけです、実際上は。そういう点についてお尋ねします。
  32. 三治重信

    政府委員三治重信君) 先生中労委のことを非常によく御存じですが、御出席になった日数についてただ働きをさしているということは現在なくて、必ずお支払いをしております。ただ、先生がおっしゃるように、地方は条例で月額できめておるところがほとんどであります。中労委については日額になっている。これは中労委委員会委員制度が非常勤という法律上のたてまえになっておるところに原因がある。で、非常勤と常勤との関係で、非常に最近給与の改定で政府のやり方としては格差が出てきておりまして、われわれもここ一、二年来問題にしておりますが、いずれにしても、非常勤の委員につきましての日額の増加が押えられておる、こういう現実でございます。したがって、労働委員会のように三者構成的な行政委員会という性格のようなものが他に類例がないわけです。したがって、どうしてもほかの行政の審議会とか委員会というもののベースに合わされている、そこに原因があるのじゃないかというふうに思っております。そうすると、それを常勤にすれば、確かに現在の国の給与制度からいくと、行政委員会なり審議会でも、常勤制になると非常に上がっております。大体月額十八、九万円が普通というふうなことになっているわけです。したがって、そうすると労働委員会では、少なくとも公益委員を常勤制にするかしないと、こういう制度問題に引っかかってくるわけです。片方、日額の現在の制度のままで給与を上げようとすると、一般的な非常勤職員の日額制で押えられる。常勤ということになると、今度は委員会の制度そのものを変えないとどうにもならない、法律を変えないとどうにもならない、こういうふうになります。ところが、一般的にいままでの中労委の御意向を聞いておると、常勤制には反対という線が今日まで──最近若干公益委員だけについては検討したらどうかというような意見も出ておりますが、いずれにしても、現在そういう給与の問題について常勤、非常勤という、そういう制度の問題で非常にわれわれは苦慮している、こういうことでございます。
  33. 小平芳平

    小平芳平君 結局地労委でやっているような定額には中労委は制度上無理だと、常勤、非常勤の問題はまたあとでお尋ねするとしまして、もう一つ、実際上中労委委員がどのくらいの給与を受けられるかということが一つと、もう一つは、一般職二十二条の適用だとおっしゃいましたが、一般職二十二条は四千九百円以内となっておりますが、どうして四千五百円にしているのか、その二点についてお尋ねしたい。
  34. 三治重信

    政府委員三治重信君) 現行法では最高額は日額四千九百円です。ところが、実際大蔵省が予算上、これはもちろん人事院の承認を経て四千九百円までできるわけなんですが、実際上は予算をそれだけ取らぬと、人事院も予算のないところを四千九百円でいいというわけにもいかない。ところが、大蔵省のほうはこういう各審議会の非常勤制度についてランクをつけて、大体この非常勤のことしまでのところでは最高は四千九百円に押えておる、こういう実情で、法律限度までいけば、予算措置さえとれば四千九百円まではいける、こういうことです。
  35. 小平芳平

    小平芳平君 これで給与の問題は終りにしますが、そういうように、大臣現行制度が、結局、局長は、中労委委員がいま幾ら給与を受けておると言わないですけれども、どうですか、それは。とにかく大臣、お話にならぬほど低いということだけは間違いない。一日四千五百円ですから、しかも、そういう中労委委員になる人たちは、やはり弁護士会でも、大学教授としても、あるいは相当の人柄でなくちゃならないわけですが、その人たち委員が実際に出て行って四千五百円ですから、かりに十日出ても四万五千円というわけです。実際上十日出るかどうかですね。毎週一回の会議に出るだけだと四回ですから、そうすると二万円そこそこということになるわけです。そういうことが一つですから、もう少し労働委員会委員方々手当をふやして能率が上がるかと、しかし、やはりふやしたからには相当仕事もやっていただかなければならぬわけですから、この場合に二万円や五万円で相当大きなことをやっていただこうということ自体が無理じゃないかということが一つです。   〔理事鹿島俊雄君退席、委員長着席〕  それから、また、大臣として、いま言うように、四千九百円というものがありながら、この法律によっているから低いのだよと言いながら、大蔵省が金を出さないから四千五百円しか払っていないのだというようなこともおかしいと思うのです。そういうように思いますが、大臣のお考えはいかがですか。
  36. 三治重信

    政府委員三治重信君) ちょっと事務的な報告を申し上げますが、現在、現実にどれだけ毎月中労委が払っておりますか、これは月によって出席日数によって違うわけでございますが、予算上は、会長公益委員につきましては四千円掛ける二十四日の十二カ月、こういう予算に組んでございます。それから、使用者、労働者委員は四千円の十七日の掛ける十二カ月ということでございますから、先ほど申し上げましたように、出席日数が二十四日、十七日というふうに予算上組んでございますから、御出席のときにも払えないということはない。ただ、これは御承知のように、年間出席日数が同じということじゃなくて、月によって非常に違う。そこは予算上こういう予算で入っておりますので、相当勘案して、それぞれの経理をしていくことと思います。  それから、なお、先ほどのお尋ねで、いま東京だけについて調べましたところ、やはり教育委員会人事委員会も労働委員会委員手当と同じように、委員長が九万円、その他の委員が七万円、こういうふうな予算制度になっております。したがって、労働委員会委員と、教育委員人事委員というものとの待遇は、同じように東京都においては取り扱われておる、こういうことでございます。
  37. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 労働委員会委員手当の問題でございますが、まあ現行制度のもとでは、いわゆる非常勤のたてまえでございますので、そういう点から法律的にも制限を受けているということ、それから、これを常勤にするならば、他のまた同種の委員手当と同様に、相当の多額にしなければならぬのではなかろうか。しかし、なお常勤制にすること自体がどうかという問題がある、こういうことを局長から御説明申し上げたわけでございます。まあ常勤にすれば確かに私も手当は上げいいところがあると思いますが、しからば、常勤制にした場合に、任期などの関係も当然これはからんでくるのではなかろうか。いままでは、御承知のとおり、一年ということでございます。今度二年にしよう、こういうのですが、国のいろいろな行政委員会がございますが、そういうところでも任期が一年なり二年なんというところはあまりないのじゃないかと思うのです。大体短くて三年、普遍四年でございましょう。ですから、任期が一年だ、あるいは二年だ、しかも、公益委員については労使同意を経なければならぬといったようなこういう仕組みのときに、任期がそう短いところに、はたして常勤で、少なくとも任期的に不安定と申しますか、日数が短いところに適任者が得られるかどうか、まあそういう問題がいろいろ私は伏在するのではないかと思います。いずれにいたしましても、重要な仕事に当たっていただくわけでございますから、私どもなお一そう検討をしていきたい、かように考えております。
  38. 小平芳平

    小平芳平君 四千九百円は。
  39. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 御承知のとおり、四千九百円まではできるわけで、その点については、これはもちろん予算の問題もありますし、一方においては人事院の承認という問題もかかっておるわけでございますので、それぞれの方面に対して私どももさらに努力をいたすつもりでございます。人事院については、先ほど申しましたとおり、私から総裁あてに申し入れをいたしておるわけでございます。
  40. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 いま公益委員の常勤制の問題が出ておりました。これについてはいろいろ意見があるかもしれませんが、私も常勤制必ずしもよいとは考えてはいないのですが、ただ、労組法の四章の労働委員会のところで、九項に「公益委員の任命については、その中の三人以上の」──それは七人の場合と思いますが、「員数の委員が同一の政党に属する者となってはならない。」ということで、このことは半数以内の場合には同一政党の者があってもいいということになっておると思うのですが、そこで、現在の公益委員は、地方の場合、知事が物色をして、そしてそれは労使同意を経るということになっておりますが、この九項のことばを少し解釈を変えてみると、労使全くこだわらない立場のものということのみに執着する必要はないのではないか。現在の公益委員は、知事の場合、非常に公平な立場で人選をしておると思うのですけれども、結果的にはそうでない場合もあるわけなんで、それはおおむね使用者側立場に立たざるを得ない、あるいは立つべき筋合いの人がなっておる。労働組合のほうでは、それは同意を求められた場合、わりあい簡単に同意するものですから、これは東京都の場合、先ほどのような問題が起こってくると思うのですが、私は、現在の公益委員の選考の方法は、同意を得て選考するということをとやかく言うわけじゃないのですが、実際将来改正をする場合に、この九項に示しておるような、少なくとも公益委員の半数以内の場合は、たとえば七人のところで四人なら四人、三人なら三人、二人なら二人でもけっこうなんですが、その半数以下のものの半分ずつを使用者側、あるいは労働者側のほうに推薦をさせて、そうしてその推薦をしてきたものを知事がさらに選考をして、そしてあらためて知事のほうで推薦の形をとって両方の同意を得るというふうなことが考えられないかどうか。これは運用上、非常に微妙な問題ですが、そういうことはどうしてもこの際考える必要があるのじゃないかと思うのですが、ひとつ大臣の見解を聞いておきたい。
  41. 三治重信

  42. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 佐野委員のお尋ねは小平労働大臣にお尋ねしておるわけですから、局長あとで補足していただきます。
  43. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生のお話は、現在、知事が候補者を選考して、労使双方同意を得て公益委員を選んでおるが、過半数に達しないものですか、半数以下のものについては、むしろ労使のほうから何か推薦をさせた上で、知事がその中から選考して、さらに同意を得て選んだらどうか、こういったように私解釈したのですが、そうなりますと、いかがですか、手続的にもあまり繁雑になるんじゃないですか。いまの制度でも、結局は実質的には先生のおっしゃるような趣旨に私は沿い得るんじゃないかと思うのですが、公益委員については労使同意を得てきめる、こういうことでございますから、労使のほうで同意を得られないような人は結局公益委員にならぬ、こういうことですから、何か手続が一回よけいになるというと語弊があるかもしれませんが、丁寧なといえば丁寧になるわけでございましょうが、いまの制度で大体先生の、何といいますか、企図されるところが達せられるんじゃないか。したがって、さらに手続を複雑にするというのはいかがなものであろうかと、実は私、いま先生の御質問を伺っていてそういう気がしたのでございますが。
  44. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 その点、だいぶ大臣と私は見解が違うのですが、これは実際に自分で経験をしておるからそういう立場で言っておるのですが、これはひとつ労政局長のほうで前向きで一ぺん検討してもらいたいと思う。  それから、公益委員だから労使いずれにも偏せずという立場はわかるのですけれども、実際には多少偏せざるを得ない事情があるわけです。そういうことなら、むしろその半数以下のものを、使用者側立場において、これならいいという者を推薦する、労働者側のほうでもそうさせる。そういう者が、今度何も選ばれた立場、推薦された方向だけに向く必要はないのであって、あくまでもそういう立場におりながら、公平に公益委員として仕事をしていくというふうなことが今後の方向としてどうしても考えなければいかぬのじゃないかと思うのですが、これはぜひひとつ検討してもらいたいと思います。  それから、先ほど証人もしくは参考人として出頭する場合の費用弁償の問題が出たのですが、実際には二百円とか、地方労働委員会の場合は三百円しか費用弁償されていない。そうしますと、当然それは当人の負担になるわけです。本来、不当労働行為が起こるのは経営者側に責任があるわけですから、当然費用弁償についても公給扱いをして、そうして経費は会社が持つ、こういうふうにすることが、不当労働行為本来の生まれた原因からいいますと当然でございますが、そういうことを将来考える用意があるかどうか。
  45. 三治重信

    政府委員三治重信君) まあ不当労働行為事件として行なわれる場合に、これは全部労働者側のほうからの申請になるわけです。それを、その申請されて被告的な立場に立つほうに全部費用を弁償さすというのもなかなか検討しにくい問題だと思います。これは必ず事件が全部が全部委員会処理されたのが不当労働行為だというふうに認定されるとは限らなくて、やはり会社側がやったのももっともだ、必ずしも不当労働行為じゃないという裁定もあるわけですから、その点につきましては、先生の御要望でございますので、いろいろ検討はいたしますが、まあ費用の弁償という問題、あるいはそういう経費がかかるためにこの制度がうまく運用できないという問題から検討さしていただきたい。そういうふうにしませんと、やはり一方的に、会社不当労働行為をしたのだから、労働委員会の申し出について全部費用を経営者側が持つべきだというふうな方向からの検討はいかがかと思っております。いずれにしても、不当労働行為事件等においてのそういう手続や公平な審査、裁定が行なわれるようにするために、それが経費の問題でどちらかに負担がかかって、その負担のためにこれが十分機能しないということであれば、機能するように政府としても努力しなければならぬと思いますが、そういうふうな見地からの検討というものはいたしたいと思います。
  46. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 これは労政局長のお話でいいわけなんですけれども、本来、不当労働行為が起こってくるのは、結果は別としまして、やはり原因は経営者側がつくっておるわけです。そこで、もし先ほど言われたように、審査の結果、審問の結果、労働者側のほうがいけなかったということになれば、これは当然処分されるのですから、どうしても不当労働行為が起こります原因は経営者側が起こしたのですから、その不当労働行為の審理が行なわれておる間の必要な証人もしくは参考人として出る場合の費用は会社側が持つというふうにしないと問題はスムーズに運営されないと思います。したがって、これはほんとうに前向きで御検討願いたいと思うのです。  それから、重ねて将来の問題として聞いておきたいと思うのですけれども、労働委員会規則で、いろいろ現場について調査することもできるようになっておるけれども、実際には現場検証が行なわれていないと私は思います。単に参考人を呼んで想見を聞くということになるのですが、この際、必要ある場合には、現場の作業状況や、あるいは争点を明らかにするために調査をし、あるいは検証することができるというふうにすべきではないかと思うのです。そうして、同時に、最近の傾向は、不当労働行為要求をして労働委員会がこれを審理しておる中で、その期間にさらに不当労働行為が次々と経営者側によって行なわれるというふうな事情があります。したがって、一応調査をして不当労働行為性が明らかになった場合は、審門の事前措置として現職につくことがきでるように、仮処分もしくはそういう命令ができるようにこの際考える必要があるのではないか。そうでないと、不当労働行為の申請をして、労働委員会がそれを審理しているときにまた次の不当労働行為が起こる、あるいは、また、いろいろ差別的な行為が行なわれるというようなことが非常に多いわけなんですが、そういうことで、この際、前向きにこの問題を処理するように、労働委員会、あるいは労働委員会あり方について検討される場合に、この際、ぜひ考えてもらいたいと思いますが、この点どうですか。
  47. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) いま先生の御質問の点でございますが、法律的には労組法二十二条で強制権限の規定がございまして、調査、立ち入り臨検もできるようになっております。実際問題として、いま先生御指摘のとおり、不当労働行為審査につきまして、現場まで行ってやっておる事例は少ないようでありますが、これは労働委員会運営の問題でもございますし、そういう御要望のありましたことは労働委員会のほうにも十分伝えまして、労働委員会におきましても、昨年から全労委連絡会議というものを持ちまして、事務処理の合理化、迅速化等について検討をいたすようになっておりますので、その旨よく連絡いたしておきます。  なお、不当労働行為の命令が出ます前におきましても、労働委員会規則の第三十七条の二で、「委員会は、公益委員会議の決定により、当事者に対し、審査中であっても、審査の実効を確保するため必要な措置をとることを勧告することができる。」という、命令を出します前の勧告措置が規則上、これも労働委員会検討の結果設けられまして、こういう勧告なども若干行なわれておるようでありまして、こういう仕組みによって、さらにいま先生おっしゃいましたような点を十分補足していく必要があるんじゃないか、こういうように考えております。
  48. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 それでは、あと山崎君と交代いたしますが、現実には、二十二条の関係はここに持ってきているのですが、行なわれていない実情になっているわけです。この際、その点、中労委のほうに言うのか、労働省のほうから地方労働委員会に言うのか、これはひとつ十分に行政指導をしてもらいたい。そうしませんと、結局地方労働委員会に申請しても時間がかかるし、あるいは費用の点でも困るから、むしろ裁判所に出したほうが早いというので、地労委に対する不信と申しますか、経費の問題が相当取り上げられてきておりますから、裁判所に行ったほうが早いですから、その点について十分お考え願いたいと思います。私の質問を終わります。
  49. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  50. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記を始めて。
  51. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま佐野委員から総括的質問がござ  いましたから、ダブらぬように二、三お聞きをしたいと思います。  第一点は、これは大臣の格間機関なのかどうかわかりませんが、労使関係研究会というのが昭和三十四年につくられておるように聞いているわけです。ここで労組法なり、あるいは労調法なりの間拠点を議論されて、そうしてその結果を法改正その他に反映するような仕組みだと私ども聞いているのですが、すでに七年経過しておりますが、この労使関係研究会の運営がどういうふうになっているのか、また、いまそれらの委員にどういう方々がなっておられて、どういう点についていま議論をされているのか、まずお知らせいただきたいと思います。
  52. 三治重信

    政府委員三治重信君) 御指摘の点につきましては、現在大体研究のまとめの段階に入っております、これは諮問機関ではございませんし、まあ何と申しますか、答申という形ではなくして、やはり現行の法律のもとにおける運用状態をどう判断するかということを中心にして研究をしていただいておって、法改正とは直接結びつかないわけであります。それで、もしもこの研究会の報告書が一出まして、これが労使一般検討されて、なるほどこの意見はいい意見だが、法律も改正してほしいというふうな議論が出るかどうか、また、運営部門の改正で、中労委のほうで、先ほどお答えしましたように、全労委会議等で労働委員会として検討されて意見が出るか、その点はわれわれのほうは、これが直ちに法律改正の問題点を指摘されるものだとは考えておりません。委員は、一橋大学教授の吾妻さん、東京大学教授の石井さん、同じく石川さん、それから弁護士の色川さん、東大総長の大河内さん、それから弁護士の兼子さん、それから弁護士の岸さん、それから和歌山大学教授の後藤さん、それから弁護士中労委会長の所澤さん、それから弁護士の松崎さん、慶応大学教授の峯村さん、一橋大学教授の山中さん、それから東京大学教授の團藤さんという十三人でございます。先ほど申し上げましたように、労組法、労調法を中心にして、それの現行法のもとにおける現状がどうなっているか、また、改正すべき点はどういう点があるかというようなことの調査研究ということになっておるわけであります。大体私たち承知している限りにおいては、いま総括的なまとめに入っている、こういう状況でございます。
  53. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま御説明ございましたけれども、私ども聞いているのでは、何かことしの夏か秋ごろには結論が出るようにも聞いているのですが、今度の法律案には直接関係ないとしても、労働委員会等のあり方について、何か現時点で問題等が指摘されておれば、かいつまんでひとつ御説明をいただきたいのです。
  54. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) ただいま局長からお答え申し上げましたように、研究会におきましては、労働委員会不当労働行為制度、その他労働協約とか、各般の労組法、労調法の運用の実情及び問題点についての検討が行なわれております。したがいまして、まだ結論集約が全部できておりませんので、どういう点が具体的に問題になっておるか、ちょっとお話し申しにくいのでございますが、われわれの了知している範囲内におきましては、労働委員会制度につきましては、先ほどから御指摘のございました事務局の強化の問題、特に事務局職員身分保障の問題、給与保障の問題、あるいは労働委員会はいま調整機能と審査機能をあわせ行なっておりますけれども、こういう機能をあわせ行なうことがいいかどうか、そういう問題。それから、不当労働行為がいま二審制をとっておりますが、そういう二審制がいいのか一審制がいいのか。さらに、不当労働行為につきましては、公取なんかと違いまして、地労委から再審査中労委にいきまして、中労委からまた地裁にいって、地裁、高裁、最高裁、こういう、言うならば五審級になっておりますが、それを地裁段階を省略して、公取などのようにすぐ高裁に持っていける、そういうふうにするかどうか。さらには、公益委員の常勤制を設けるかどうか、あるいは事務局職員の中に審査官制度を設けるか、調整官制度を設けるか、こういう各般の問題について実情検討がなされております。
  55. 山崎昇

    ○山崎昇君 この問題は直接いまの法改正に関係ございませんので、この程度でやめたいと思うのですが、第二点目に、私、昨日東京地方労働委員会に行っていろいろ現状を見てきますというと、ここ四、五年の間に約五倍から六倍くらい取り扱い件数がふえている、こういうお話でございました。そこで、先ほど佐野さんのほうから、委員の数だけふえてもなかなか問題の処理の円滑さというのは遂行できないのじゃないか、こういうふうに指摘をいたしまして、関連をして、事務局の整備がどうしても必要なのではないか、こういう指摘をしたのですが、労働省のほうから、局については、先ほど地方からも要求がないようなお話でございました。しかし、私ども、各府県の予算要求の際なんかをみますというと、かなり定数増については要求をされているわけです。しかし、政府のとっております欠員不補充原則というのがありまして、どこの府県でも、泣き泣き定数の増は認めておらない、こういう状態にあると思うのですね。したがって、私は、政府の言うように、事務局の整備がいまの段階であまり必要ないような答弁は少しはずれているのじゃないだろうか、こう考えるわけです。これは重複いたしますけれども、再度ひとつ事務局の整備について私はお伺いをしたいと思うのです。あわせて、私ども、自治体から見ますというと、各自治体における労働行政というのは、きわめて片手間のような印象を受けるわけです。特に労働部なんかありますのは大きい府県が一、二でありまして、そのほかは民生部その他の中で一課ぐらいで担当してやっておる、こういう状態です、すぐここで私は部をつくれなんということは申し上げませんけれども、いずれにしても、地方へ行くというと、労働行政というものがどうも本筋からはずされているような印象を受けておるのですが、そういう点について今後どうされるのか、二つ目としてお聞きをしたい。  それから、三つ目には、私は、各自治体の職員の構成を見ていきますというと、どうも労働委員会に転勤を発令するというと、何か島流しにあったとか、あるいは左遷をされたとか、そういう感覚に職員がなっておりまして、ある意味ではコンプレックスを持っているわけです。これは労働木曾の場合でも、労政局長からたとえば労働委員会に転勤を命ぜられると、どうも主流からはずれたのではないか、あるいは飛ばされたのではないか、こういうことが新聞でもいわれるわけです。これは事実でなければけっこうですけれども、一体に労働部局に人事配置が行なわれる際には、かなり職員間に問題が生じておる。そういう意味で私は、職員の、何といいますか、給与上の格づけにしろ、こういう問題について、ひとつ政府としてももっと力を入れてもらいたい、こう考えるのですが、これについての見解を伺いたい、こう思うわけです。  そのほか、先ほど佐野委員からも指摘いたしましたように、労働問題の担当というのは、単に事務的に処理能力が優秀だということだけではおさまらない問題があるわけです。そういう意味で考えますというと、これは北海道の例だけでいうと、地労委の事務局長なんというのは、あちこちの課長をやって、定年間近にどこも行きどころがないから地労委の事務局長でもやろうか、こういう人事配置がなされる、これが現実なわけです。ですから、先ほど申し上げましたように、地労委の人事というのは、きわめて地方ではコンプレックスを感じておる、こういう状態ですから、これらをどう今後処置をされるのか、お聞きしておきたいと思う。
  56. 三治重信

    政府委員三治重信君) 決して私は、地方労働委員会事務局の現状が満足すべきものだというふうに申し上げたつもりはございません。ただ、申し上げておりますのは、これは地方公務員であり、地方の純然たる組織でございますので、基本的にはその中で処理すべき問題である。もしもその中でどうしても十分処理できなくて、やはり行政担当の労働省援助を求められてくれば、それはできる限りの援助をしたいというふうに申し上げたのでございまして、やはり政府の中にも自治省がございまして、各省から、前はここで定員をふやしてくれ、課をつくってくれというようなことをよくやったものですが、これはあまり地方自治体に各省がひもをつけて、課をつくれの人をふやせのということは相ならぬというようになって十数年たってきたわけなんですが、そういうことで、組織を各省がそれぞれの行政の立場でこうしろああしろということについては、やはり府県知事会、あるいはこれは直接市町村長会には関係ございませんが、そういう地方自治体の長なんかからも相当抗議のあったことも経験しております。また、あまりコンプレックスを持つということは、これは行政上の立場からよくございません。ただ、申し上げますのは、やはりこの委員会制度というものにおける中の事務局ということになりますと、戦後の新しい行政機関でございますので、やはり役人がなれていないというところがあるのではないか。それから、やはり先ほどからいろいろこの委員会運営やり方について御指摘がありますように、事務局が非常に力を持つようにある程度すべきだという意見と、やはり実際労使公益委員が出られてやると、どうしてもそういう委員の方に事務局職員はおんぶしないと、自分たちが十分な意見を出しても、なかなかいれられぬ場合にメンツをつぶすというようなこともあるのじゃないか。そうすると、どうしてもその委員会委員におんぶをする、そうすると消極的な処理になる、この点の問題だろうと思います。したがって、先ほど課長から、労使関係法の研究会で検討されているという、そういうぐあいに、ある程度事務局職員に優秀な者を入れ、また、責任を持たす、こういうことになると、やはり専門的な身分保障なり資格制度なりという刺激策も必要ではないかということになるのではないかと思います。  それから、地方労働関係の部局の貧弱さという御指摘でございますが、これはどうも大臣の御答弁の問題だろうと思うのですが、われわれ事務職員から見ますと、労働省が戦後占領下に発足いたしまして、そのときにアメリカの行政組織のように、中央の省の局から地方の出先の末端まで縦の系列で組織するようなことになった。したがって、基準局は基準局、職業安定局は職業安定局、婦人少年局は婦人少年局で、地方の末端までそれぞれその組織を持つようなかっこうになった。そうすると、府県の中に労働行政が入っている部面と、そうでなくて直接やっている基準局とか婦人少年局、また、職安は中間的に、府県には入っているけれども、国家公務員としてやっているというふうに、出先機関が四分五裂しているために、県の中だけにおいてはそういう関係が言えるかと思います。この問題は行政機関全般の問題になりますので、われわれもなかなかそう急に、こういうふうにしたいああいうふうにしたいというふうには立てられません。ただ、臨時行政調査会なんかでは、相当な具体的な意見が出ておりますが、これは政府全体として考えていただくときに、十分何とか地方の力が強くなるような方向で処理願えるように主張したいと思っております。
  57. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまのような事務局の問題と関連して、最近、府県では労政事務所をかなり整理をされている、実は減ってきているわけです。そこで、私は、最近の不当労働行為、その他労働争議等の発生状況と労政事務所の縮小の問題とやはり関連があるのじゃないか、こう考えられるわけです。問題が起きてからもちろん労働委員会でいろいろお骨折りいただくのもけっこうですけれども、事前に労使間に労働争議が起こらぬような防止策というものもかなり必要であろうし、また、一般労働行政の上からいっても、特に労働教育等の面も私は大切ではないのか、こう考えるわけです。そういう意味でいいますというと、この事務局の整備もさることながら、さらにその出先であります労政事務所が整理されるという──私は北海道の者ですから、北海道の例ばかり申し上げて恐縮ですが、あの広いところに労政事務所と名前のつくものは二つしかない、こういう状況です。ただ、一部は、市庁に労政課というのができたりしまして、多少の取り扱いはいたしますけれども、従来のように専門に労働問題を扱うような労政事務所というものは整理をされてしまった。こういう実情からいうと、どうしても私は、この労働行政というのが府県では片手間に行なわれる、こういう印象を受けてどうもならないわけです。それに関連して、いま労働争議があって、こういうものがもうきわめて多くなってきておるのじゃないか、こう思うので、あわせて、この労政事務所の拡充やら、あるいはその強化といいますか、そういう点について労働省としてどう考えられておるのか、これは大臣からひとつ決意をお願いをしたいと思います。
  58. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 具体的な御指摘として、労政事務所が非常に少ない、あるいはむしろ減少の傾向にあるというお話でございますが、その点は事務当局から、後ほど、どういう事情なのかを御説明をさせたいと思います。  先ほど来の先生の御指摘の、地方においてはどうも労働行政というものが片手間のようなふうに行なわれておるという点でございますが、これには、確かに、先ほど局長からお話しを申し上げましたとおり、基準行政なり、あるいは安定行政なりというものが、中央の労働省から直接人が行っておるとか、あるいはもちろん安定行政については知事がやっておるのですが、人はこっちから行っている、こういったような組織上の問題も私は多分にあると思います。が、同時に、また、より基本的には、労働行政に対するまあ認識とでも申しますか、その重要性についての非常に考え方というものがやはり必ずしも十分ではないと、まあこういうところに結局は端を発しておるのじゃないかというふうに私は見ておるのであります。このことは、しかしながら、単に地方にだけついて言えることでなくして、従来、ややともすれば中央においても、率直に申して、労働政策なり労働行政なりというものが、むしろ経済政策、産業政策に付随して考えられがちであった、こういう傾向が否定できないのではないか。やはりそれに対して、大きな労働問題、労働行政に対する広く一般的な考えというものが、これがやはりずっと流れていっておることがむしろ基本じゃないか、根本の原因じゃないかというふうに私は考えられるのです。しかしながら、すでにそういう時代はだんだん変わりつつありまして、労働行政という、人の問題を取り扱うこの労働行政というものが、やはり国政の上においても、また、地方の行政の上においても、少なくとも一般の産業政策なり経済政策なりとやはり相伴って、同格の立場で重視されなければなりませんし、さらに申せば、これがむしろ人の問題というものが中心になって今後あらゆる施策というものが考えられなければならない、こういう時代に逐次私は変わりつつある、また、そういう傾向は今後ますます強くなるであろうと、こう私は少なくとも認識をいたしておりますので、こういう事情等も地方にも十分浸透するようにつとめまして、そういう認識に立って、私は、やはり地方における労働行政というものが重んぜられるように、私ども自身がやっぱり努力をいたしていく必要があるのであろうと、かように考えているわけであります。
  59. 山崎昇

    ○山崎昇君 それでは、次に質問したいと思うのですが、労調法の八条の二を見ますと、特別調整委員というのが置かれております。この特別調整委員は、労調法の十九条によって、労働争議等が起こって申請をされると調停委員に任命されるようになっているわけですね。そこで、私は、委員だけ今度の改正で任期が二年制になっている。そこで、この特別調整委員については、なぜ同一歩調で二年制ということを考えなかったのかどうか。これだけ任期が一年で、しかし、調停事件がいまかなり長びいたりする場合に、任期にやはり関連してくるのではないかと、こう思うのですが、特別調整委員の任期についてお伺いをしたいと思います。
  60. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) お答え申し上げます。  特別調整委員制度は昭和二十七年の労調法改正の際に設けられました制度でありまして、その趣旨とするところは、特殊な性質の事件について、労働委員会委員になっておられる先生方の中で、そういう事案について専門的知識がないというような場合に、そういう事件処理を円滑にするために設けられた制度でございます。しかし、実際の運用の実態を見てまいりますと、特別調整委員制度をとっておる地方は現在皆無でございまして、一昨年でございましたか、神奈川県が一年だけ一回そういう制度をとったことがございます。しかも、その任期につきましては、労調法の施行令におきまして、原則一年とありますけれども、そういう制度を設けました趣旨からいいまして、一年以内で自由に決定できると、こういう仕組みになっております。そういう関係から、むしろ特殊事案ごとにそういうものを設けるというのが法の趣旨でございまして、特に一般委員を二年とするに合わせてこれを二年にする必要性はないのではないか、こういう考え方から今回同一歩調をとらなかったわけでございます。
  61. 山崎昇

    ○山崎昇君 それでは、第四点の質問に入りたいと思うのです。  最近起きております不当労働行為を見ると、いずれも労働者の首切りから端を発し、そして、あわせて裏では第二組合をつくらせるとか、いわば組織の分別を使用者がはかる、こういうところからこの不当労働行為というものはきわめて多くなってきておるし、どの不当労働行為を見ても、おおむね筋としてはそういう点が共通していると、こう思うわけです。ところが、使用者が幾ら不当労働行為をやって、あるいは労働委員会のそれに対する結論が出たとしても、罰則がありませんために何回でも起こすわけです。さっき佐野さんの指摘ではありませんけれども、労働委員会等であっせん、あるいはその他審査をやっている最中に、また新たな不当労働行為を起こす、こういうふうな点を考えてみますというと、この不当労働行為というのは、労組法の七条でもいっておりますように、これは労働者の基本権に関する問題でありますから、私は使用者の不当労働行為というものをなくさなければならぬのではないか、そのために一つの方法としては、罰則というものをもっとやはり強化する必要があるのではないか、こう思うのですが、それについての一つの見解を聞きたいと思います。
  62. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) この不当労働行為制度につきましては、先生御存じのように、二十四年の労組法の全面改正前は直罰主義でございました。しかしながら、昭和二十一年労組法施行以来改正までの間の運用の実態を見ますと、直罰主義では罰金さえ払えばいいのだろうということで、解雇したほうが勝ちだというような運用の実態もありまして、二十四年の改正で現行のような労働委員会による救済制度という制度に改まったわけでございます。もちろん先ほど来お話申し上げております研究会におきましても、そういう直罰主義に戻るかどうか、あるいは罰則と救済主義を併用するかというようなこともありますけれども、やはり罰則でもってやった場合は事案が非常に陰惨な形になる傾向がどうしてもあるわけでございます。そういうことから、現在そういう点を検討はいたしておりますが、制度の趣旨からいいまして、むしろ不当労働行為の迅速救済というものに重点を指向すべきであって、罰則による脅威によって不当労働行為を防止するのはどうかというような点も一部意見がございます。いずれにいたしましても、この問題は相当古くから問題になっておる問題でございまして、研究会等の先生方の結論を見ました上で、さらに十分検討をいたしていきたいと考えております。
  63. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま御説明のありましたように、なるほど労働委員会で救済をしていくということは必要だと思うのです。ただ、東京地方労働委員会等で調べて見ましても、一件の結論を出すのに二年九カ月もかかったような事件があり、あるいは、また、一年以上もかかるようなものが約半分を占めておる。こういうことからいくと、せっかくの御説明でありますけれども、労働委員会の迅速性ということが、かなりいまは確保されておらないのではないか、こういう点を考えると、どうしても不当労働行為を起こす原因をなくしなければならぬのではないか、そのためには、使用者についてそれ相当の罰則なり、あるいはきびしい制限というものをもっと設ける必要があるのではないか、こう私ども考えるわけです。ですから、政府の考えておりますように、労働委員会の機能がもっと発揮をされて、これが一カ月か二カ月ぐらいで調停なりあっせんなり、そういうものが出るならいいのですけれども、実際はそうなっていない。こういうふうに考えますと、なかなか理想論だけではいかないのではないか、こう私ども考えるわけです。そういう意味で、罰則についてはここでいますぐ法改正どうということにはなりませんけれども、十分ひとつ労働省でお考えをいただきたい、こう思うわけです。  次いで、私は、旧労組法に特別委員会制度というのが実はあったのですが、これも労組法の改正でなくなっているわけです。そこで、これもいまこの法律案でどうこうというわけではありませんけれども、もう一ぺん特別委員会制度というものを考えてみる必要があるのではないか、こう思うわけです。なぜかと言えば、たとえばいま春闘をやっておりますけれども、春闘等が始まりますというと、かなり一ぺんに事件が起きてくる。こういうものをさばくには、いまの労働委員会の機能だけではなかなかむずかしいのではないだろうか、こういうように考えたり、あるいは中小企業等の労働争議がきわめて多くなっておりますが、こういうものを早急に解決するためには、やはり特別労働委員会制度というようなものが必要なのではないだろうか、こう考えるわけです。せっかく労働委員会で結論を出したときには申請した組合がなくなっておったというような事例もあったわけですから、そういう意味でこの特別委員会制度というもののお考えがあるかどうか、あるいは御検討いただけるかどうか、あわせてひとつお伺いをしたいと思います。
  64. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 青木説明員、たいへん恐縮ですが、罰則の問題だけは大臣からお聞きしておきたいと思いますので……。
  65. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 罰則の関係でございますが、まあいずれにしても、不当労働行為等について結論が出た場合には、もうせっかくの委員会の決定でありますから、そういうものには従うのだという、そういうふだんからの慣習なりをつけさせる、こういうことに使用者側に対する教育と申しますか、啓蒙と申しますか、そういうものを何かやはりふだんから徹底しておくということがまずもって必要じゃないかと思うわけでありますが、それにしても、多くの数の中にはそういう決定に従わぬ、重んじないというようなものもこれはなきにしもあらずでございましょうから、そういうものに対していかなる罰則を適用するかということも、またあわせて十分考慮しなければならぬと、かように思います。したがって、先生の御指摘のような点については、今後十分検討させていただきたいと思います。
  66. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) ただいまの特別労働委員会制度でございますが、これは二十一年、法で確かに先生御指摘のとおりに設けられておりまして、これはむしろ般員関係につきまして一般労働委員会でやるのはどうかという関係で設けられました規定でございまして、実際の運用面にあたりましても、二十四年、法の改正までは特別委員会として設けられておりましたのは般員関係だけでございます。しかし、二十四年、法の改正で、般員労働委員会につきましては、労組法の十九条で、労働委員会の一種として設けられております。そういうことで、いま先生御指摘のように、中小企業についてこれを設けたらどうかという御議論でございますが、一方におきましては、先ほど申し上げましたように、臨時行政調査会で般員労働委員会を別個にしておく必要性はないのじゃないか、むしろ強力な行政運営上、統一をしてはどうかという議論もありまして、確かに一本にすべき問題とは思いますが、ひるがえって地労委等の調停事件の実態を見ますと、大企業は大部分二以上の都道府県にまたがりまして中労委に参っておりまして、もちろん大阪とかそういうところは別でございますが、一般地方労働委員会におきましては、中小企業の紛争事件を三として・取り扱っておりまして、いまこういうときにおきまして直ちに中小企業についての特別労働委員会制度を設けるかどうか、これは慎重に検討すべき問題と考えております。
  67. 山崎昇

    ○山崎昇君 不当労働行為その他については、午後から労働委員会の方が御出席になりますので、あらためてお尋ねをすることとして、総体的に申し上げて、何といっても、この労働行政というのは人間人間の問題でありますから、また、労働者からいえば生活権の問題でありますし、使用者からいえば企業の存立にかかわる問題でもありますので、私は重要だと思います。そういう意味で、中央ではかなり労働行政というものが強力に行われんとしても、地方では、何といっても、先ほど申し上げたように、どうも片手間的な感がぬぐい去れないわけです。そういう意味で、今後、大臣以下、地方労働行政についてもっとひとつ充実させるようにお願いをしておきたいと思いますと同時に、いま大臣からお返事ありました不当労働行為についての罰則については、これはもうぜひ検討されて、そして実現できるように強く要請をしておきたいと思います。したがって、重ねてひとつ労働大臣の決意をお願いしたいと思います。
  68. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 地方労働行政を充実するように努力せよということ、さらに、不当労働行為に対する罰則について検討せよ、いずれも先ほど来申しましたとおりに私は考えておりますので、十分今後検討もし、また、努力もいたしてまいりたいと考えております。
  69. 小平芳平

    小平芳平君 今回の改正は任期の一年を二年に改めるという点、また、東京都は各側十一人、大阪府は各側九人、こういう構成でありますし、また、この点については全労委協議会、あるいは東京都、あるいは大阪府からの要望のあったことも伺っておりますので、今回の改正自体はこれでけっこうとまではいかないまでも、やむを得ない改正だと思います。  そこで、私がお尋ねしたい点は、ただ任期を二年にし、東京都の場合十一人に、あるいは大阪府の場合九人に委員をふやすだけで事足れりとできるかどうか。さらに、かりに東京都の地方労働委員会が十一人で、三者構成で三十三人でございますから、そうなりますと、いまここでおすわりになっていらっしゃる方を見ても、三十三人の委員会ということは相当運営がスムーズにいくかどうか、やりにくい委員会になるのじゃないかということが考えられるわけです。したがって、今後また件数が二倍、三倍になった場合に、それじゃその三十三人を六十六人にふやすかどうかということになるわけです。そういう点についても、ただ件数がふえたから委員をふやすということで終わらない問題があるのです。ですから、抜本的な改正について二、三点あとからお伺いいたしますので、まず第一に、今後件数がふえた場合にまた二倍、三倍ふやすかどうか、そういう点についてはいかがでしょう。
  70. 三治重信

    政府委員三治重信君) 先生の御指摘のとおりでございまして、問題は、先ほど来御質問のありましたように、不当労働行為処理の迅速化、これが現在のやり方でやっていくと、結局今度の改正のように、件数が多くなると人をふやさざるを得ないということになるわけでございますので、これはぜひわれわれのほうからも全労委会議、あるいは中労委なんかにその不当労働行為処理やり方についての迅速化をどうしたらいいかという問題を十分検討していただく。これは先生御存じのように、こういう問題の処理やり方の基準は中労委規則できめているわけでございまして、これをどういうふうに迅速化できるような体制に変えていくか、また、労働委員になられる方々がそういう姿勢で、また、簡易化、迅速化という問題、それから事務局の強化の問題でございますが、これもいまのように、ただ一般的な職員だけでいくと、なかなか業務量がふえるだけで人をふやすというだけでは十分こなせないんじゃないか、やはりもう少し何らかの処理の権限を事務当局にも与えて、事前の処理の進め方もして委員の手数も省く、それにはやはりいまの制度のままではちょっとむずかしいんじゃないかということも考えております。
  71. 小平芳平

    小平芳平君 委員をふやすかどうかの点は。
  72. 三治重信

    政府委員三治重信君) この点については、われわれのほうも東京都なんかは倍増してほしいというような御要望もございましたが、先生のおっしゃったように、まあ行政委員会として、それが業務量がふえると無限大に委員がふえるというのはやはり問題であるので、暫定的ということで今度もお願いしたわけでございます。この点の結論も、委員増加につきましては、やはり行政委員会でございますので、おのずから一定の範囲があるというふうに考えておりまして、委員業務量増加に伴って、それに比例するような人員の増加ということについては消極的に解していきたいというふうに考えております。
  73. 小平芳平

    小平芳平君 いまの点、労働大臣、それでよろしいでしょうか。要は、事務がふえたから委員をふやすとなりますと、この改正で三十三人になる、委員会が。三十三人というと、いまおすわりになっている方より何人か多いわけです。それ以上にまた事務量がふえたからといってふやすことは実際上無理じゃないか。したがって、そこで新しい今度はやり方についていろいろ新しい検討を始めなくちゃならないんじゃないかということを申し上げたわけですが、よろしゅうございますか。
  74. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 私もその点は先生と全く同じ考えを持っております。行政委員会ですから、あまりに多くなるということは、むしろ逆効果すら起こる心配もありますから、いたずらに人ばかりふえてかえって能率があがらぬ、こういう面も確かに出てくるおそれなしとしないとさえ考えます。ですから、大体この程度が限界なのではなかろうか。事務やり方自体も、いま局長から申すとおり、いろいろ研究して改善しなければならんでしょうし、たとえば東京のように非常に広域にわたり、しかも、組合員が非常に多い、案件が非常に多い、こういうようなところは、むしろ委員会を地区別か何かにして二つくらいにしたらいいじゃないかといったような考え方も一部にはあるやに私は聞きました。まあそういうことも今回は行なわなかったわけですが、将来の問題としては、やはり一応こういうものをあわせて検討してみる必要があるのじゃないか。これによって一つの委員会でもってこれだけの膨大なあれを処理して人数をふやしていくということは、これ以上はむしろやるべきじゃないというふうに私は考えております。
  75. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、時間の関係もありますので、まとめてお尋ねいたします。  まず第一に、事務局の強化については、先ほど来再三御答弁がありましたので、その御答弁のあった点は繰り返していただかないで、具体的に事務局不当労働行為審査についての手続の問題、その時間がかかる問題についてもいろいろ先ほど来お話がありますので、そこで、事務局が正式に審問の手続に参加できるような法律改正、これが必要じゃないか。で、といいますのは、委員会ですか、決定は委員会が当然いたしますが、ただ、お忙しい委員の方たちがその審問のいろいろなことを全部一人でおやりにならなくちゃならないかどうかという点、やはり審問の手続は、これは事務局がそれなりのまあ身分保障なり何なりを経て手続に参加するような、そういうことを検討する必要はなかろうか、これが一つです。  それから、次に、労働裁判所とか、あるいは労使関係委員会というような制度も外国では見られますが、要するに、先ほど来説明員の方が二回ほど言われたのですが、臨時行政調査会から答申が出ているんだ。で、臨時行政調査会の答申というものは、労働委員会、それから船員労働委員会、あるいは公企体の労働委員会、これはむしろ一木にしたほうがいいじゃないか、したがって、そういう争議調整関係を一木にするというのが臨時行政調査会の答申のようでありますが、これに対する御見解。  それから、そうなる場合には、やはり現在の労働委員会が調整機能と判定的な業務を一緒にやることにまたいろいろな不合理があるので、したがって、先ほど申し上げたような労使関係委員会とか、そういう別個にこういう判定的なものを扱うということは、実際問題が労働委員会公益委員には経済学の大家がいらっしゃる、その経済学の大家が審問手続をやる上においては、まあ地裁の若い判事さんのやるようなことを一々自分がやっていかなくちゃならないというような点もあるわけです。そういうような点から言って、そういうことを将来のために検討していく必要があるのじゃないかというふうに考えます。  それから、もう一つは、先ほどの労使関係研究会ですか、労働大臣の格間機関としてできているんだというお話もありましたが、これも説明員の方が説明されただけで、実際問題としてその労使関係研究会を労働大臣として期待をして、それでいま申し上げたような問題の検討をしていかれるおつもりであるかどうか、以上の点について伺います。
  76. 三治重信

    政府委員三治重信君) 総括的な御意見につきましては大臣に御答弁をお願いいたしまして、事務的な問題について御説明申し上げておきます。確かに先生御指摘のように、不当労働行為のものについて事務局が関与する場合に、それに身分保障を与えて専門家審問手続をとらしていくというのが、一番事務の能率の向上からいっていいのではないかという部面については十分検討に値し、また、そういう方向でなければやはり事務の能率化ができないのじゃないかというふうに考えております。それから、臨時行政調査会の労働委員会の統合の問題につきまして、労働省事務当局としてはそんなに反対すべき理由はないと思います。ただ、公労委につきまして、これが一緒になって全体の調和がどういうふうにうまくいくかということについては、これも研究会のほうで相当研究をしていただいておりますので、その結論もあわして今後大臣処理する問題じゃないかと思います。それから、調整機能と審査の機能を分けるという問題は、先ほどの審問手続の、何と申しますか、事務段階での夢前の処理ということとあわせてこれをやることによって非常に能率化、公平が期せられるのじゃないかというふうに思っております。以上三点いずれにつきましても、われわれが承知しておる限りにおいて、研究会で労働委員会の機能として相当詳細に検討されております。これが報告書として発表された上は、当局としては、各労使方々にその報告書を検討していただいて意見を出していただく、そういう結果を待って、労働省として、何らかこの委員会制度の根本的なものがあれば、あらためて法の改正ということになれば、臨時的にでも審議会をお願いして、至急に改正の案をつくっていただこうということが事務的な手続手段ではないかというふうに考えております。
  77. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 御指摘のうち、専門に職員が参加できるようにしたらどうかということについては、ただいま局長から御説明申し上げたとおりで、今後その他の問題も含めて、いかにして労働委員会の機能が迅速に、しかも、また、公正に行なえるか、こういう立場から十分に検討すべきだと思いますので、さようにいたしたいと思います。  それから、船員労働委員会等の統合の問題でございますが、これは御承知のとおり、行政調査会からもこの点については勧告をいただいておるわけでございますが、私どもの立場からすれば、統一、統合することも私はむしろ望ましいと思いますが、何ぶんにも行政機構の問題でありまして、現在船員労働委員会等を所管しております運輸省なり、あるいは船労委そのものの見解というものも十分聞かなければなりませんが、いずれにしても、今後関係当局間で十分話し合いをして検討を進めたい、かように思います。  それから、労働裁判所等の問題でございますが、これもまた行政機構、あるいは、さらに裁判機構と申しますか、そういう関係でございますので、私がいまここでこれをどうと結論的なことを申し上げるわけにはまいりませんが、いずれにしても、今後一つの大きな検討すべき事項であろうと、かように考えます。  それから、労使関係についての専門家調査会の関係でございますが、これはいろいろ御研究をいただいておるわけでございますから、しかも、近く何らかの結論的なものが出る、こう予定されておるようでございますから、そういうものが出ましたならば、十分これまたそれらの意見も尊重するという立場においてひとつ検討をいたし、現行の法制等に改むべきものがこれはあるわけですが、しかし、それをどう改むべきかという点で意見を十分ひとつ尊重して、前向きでさらに具体的に法の改正その他についてもわれわれは研究をいたしていくべきだろう、かように考えます。
  78. 小平芳平

    小平芳平君 大体私の申し上げた点について、労政局長、また、大臣から、いろいろ今後検討していくという御答弁でありますので、とにかく将来の問題でありますので、これ以上私は申し上げませんが、要は、定員をふやすという、これはほんとうに中労委としてもやむを得ざる御要望だと思うわけです。ですから、定員をふやしてほしいと言わざるを得ないような現行制度のそのあり方を研究し、検討する。それで、先ほど申し上げたように、行政委員会だからといって無制限に定員をふやすわけにもいかないし、かといって、件数がふえるのをどう処理するかという、そういうジレンマがあるわけでありますので、先ほど来御答弁のように、今後積極的に検討していっていただきたいと思います。  そこで、あと労使関係法研究会ですか、これはどんな性格の研究会か、それで、ほんとうにこれでいいのかどうか、まあ近く答申が出るとおっしゃっておられますが、あるいはもっとしっかりした審議会なり調査会なりをつくる必要があるのかどうか、現在の研究会でいいのかどうか、その点はいかがでしょうか。
  79. 三治重信

    政府委員三治重信君) 先ほども御答弁いたしましたように、この研究会は、専門の方に、現行制度のもとにおける運用の状況、また、その運営のいいところ悪いところを浮き彫りにした研究結果の報告書を出していただくということに運んでいるわけでございまして、諮問機関でも何でもないわけでございます。したがって、この研究会でどこをどう直すとか、どこをどうすべきだというふうなことにはならない。全般的な労使関係法に対する現行の運用制度のまあいいところ悪いところと申しますか、また、将来完全にすべき点はこういうところを考慮したらどうかというふうな一種の研究報告書というふうに判断しておるわけでございます。それで、そのものを労使関係の方たちに御検討していただき、また、われわれも当局として検討し、そうしてそこで法改正なり何なりを必要と認めれば、これはもう当然審議会をまたお願いする、こういう段階になるのじゃないかというふうに思っております。
  80. 小平芳平

    小平芳平君 いま御答弁されたように、研究会の結論は、労使の代表の御意見も十分入れて、さらにまた検討していかなくちゃならない問題だと思います。  最後に申し上げたいことは、やはり常勤にするかどうかということも、先ほども再三御答弁がありましたが、これもちょっとむずかしい問題で、やはり常勤にすることは、さっき大臣もおっしゃったように、任期が一年か二年で、まあ今回二年で労使委員同意を得なければならないしということで、実際上常勤ということは非常にむずかしい問題だと私も思います。ただ、実際上は、委員の方が一カ月に何回か、非常勤の委員の出てこられるのを待っているだけでは労働問題の処理というのは実際はむずかしいんだ、動いているわけですから。そこで、やはり事務局の強化ということとともに、やはり常勤という保障がなくても、やはり実際上相当働いていただけるように、委員の人に実際上働いてもらえるような先の待遇の問題も考慮に入れて、要するにこれはすぐ常勤にするか、いや、しないかということも検討の問題ではありますが、さしあたって動いている労働問題をスムーズに処理できるような、そういう体制についての労働省行政指導なり、あるいは運営なり、これが必要だと思うわけです。したがって、総括的な組織検討とともに、いまの待遇問題、常勤問題も含めて、いま直接その仕事に当たっている委員の方なり事務局の方なりがなるべく困らないように、そういうやむを得ずせっぱ詰まってというような状態に陥らないような、そういう運営指導が非常に大事じゃないかと思います。その点についてのお考えを伺って終わります。
  81. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生の御指摘いただきました諸点につきましては、労働省といたしましても十分ひとつ心得まして、少なくとも、当面は今回の改正を含めての機構でやっていかなきゃならぬのでございますので、その範囲内においても、できる限り本来の機能が発揮できるように、また、いろいろの問題等については、これまた十分研究あるいは検討をさしてもらいまして、各方面のその他の意見も聞きまして善処いたしてまいりたいと思います。
  82. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私、時間がありませんから、一つだけ私の意見も含めて質問したいと思います。  先ほどから聞いておりますと、東京大阪のほうですね、二名ふやすということは地方の要望によってふやしたということが濃厚だと私は思うのですが、そうですね。そういうことであれば、私たち委員としてちょっと考えてみて、産業都市の名古屋はどうなのか、愛知県はどうなのか、すぐ浮かんでくるのですね、私はそういう姿勢がおかしいと思うのですよ。少なくとも、労働省としてはこういう人員の増員をするというその立場に立った場合には、統計的に一体大阪はどれだけふえているのか、二年か三年の間にですね。あるいは東京はどれだけふえているのか、あるいは愛知県はどうなのか、これは産業都市として愛知県は今後ますますふえる傾向にあると私は思っているのですが、そういうその地方の要望があったからこれをふやすということでなくて、統計的に見てどのぐらい件数がふえておる、二人ふやしたから三人ふやしたからといってこれが直ちに解決のつく問題じゃないということは、各委員の質問で私はおわかりだと思う。しからばどこに欠陥があるのか、たとえて言うならば、あっせん調停の問題になっても、これは調停は長引きます。あっせんならなかなか経営者は言うことを聞かぬ、そんなら一体労働委員に対してもっと権限を付与していく、強化していく、こういう方法もあると思うんですね。そういう私は前向きの姿勢の増員であるのか、それとも、要望があるからこれをやるのだということでは大きな差があると思うのです。先ほどの大臣の御答弁を聞きますと、もう十一人以上ふやしたというのですね。三十三人なんて、もうそれ以上のものは考えていないと、こうおっしゃるわけですね。したがって、私はもっと基本的なことに基づいて出しておられたと思ったのですが、それが出ていないのです。結果的には地方の要望によってこれをふやしていくということでありますが、それでは私は労働行政としてはいかにも軽率なやり方じゃないか。むしろもっと調査をして、そして大阪府も、あるいは京都も、あるいは愛知県も、六大都市をもっと検討してみろ、こういう基礎の上に立って、運営上にはこういう欠陥がある、そのためにこれは増員してやっていかなくちゃ整理がつかないのだ、これなら納得ができますけれども、単にその地方の要望でこれをやるということについては、非常に不見識なやり方ではないか、労働省としては不見識ではないか、こういうふうにぼくは考えるわけですが、大臣、この点私は意見と質問と申し上げたわけですが、もっと懇切丁寧に、委員にも納得させるようなそういう資料を私は提出してもらいたい、そういう親切が労働省はあっていいのじゃないか、こういうふうに考えます。この点は意見になりますけれども、大臣に回答してもらいたい。
  83. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 今回の東京及び大阪労働委員の数を増そうということは、役所のほうで調査をしております組合の数なり、あるいは委員会に持ち込まれる不当労働行為の問題その他の問題の件数なり、あるいはそれが未処理になっておる件数なり、そういうものの状況から見まして、それの最も多い東京及び大阪、これだけは今回はふやしたならばどうであろうか。その間、たまたま東京あるいは大阪等からは何回か、ぜひふやしてほしいと、こういう要請もかたがたあったものですから、地元の希望というものも全然これは無視するわけにもいきません。そういうことから労働省のほうの考えと地元の考えとがちょうど一致したと申しますか、そういうところから今回のこの増員の法改正をしようということになったのでありまして、単に一方的にこの地元から要請があったから増すのだ、片方からは要請がないから増さないのだ、そういったような関係ではこれはないのでありまして、そういう点に対する資料等があるいはお配りしてなかったとすれば、これはたいへん申しわけございませんが、いずれにしても、そこらの数の関係につきましては事務当局から詳しく御説明申し上げます。
  84. 三治重信

    政府委員三治重信君) 従来、この労働委員会委員の数につきましての労働省の基準は、大体四十万名以上の組織労働者の数のあるところは七人、それ以下のところについては大体五人というふうな基準で法律ができておりました。それで、東京大阪が七人で、そのほかのところが流人になっておりましたが、三十八年に至りまして、神奈川県、愛知県、それから兵庫県につきましてはそういうふうな基準に達して、しかも件数もふえたということで、これは法律改正でなくて、政令でできる組織になっておりましたので、一昨年この東京大阪以外のところにつきましては政令改正して七人づつにふえました。ところが、その一番初めに七人づつでありました東京大阪、その他二つ、福岡と北海道というものがあるわけですが、福岡、北海道はそれほど増加がないので、現行どおり七人づつにしておりますが、東京大阪だけは、非常な労働者労働組合の数の増加、また、それに伴っての件数増加ということで特にお願いしたということでございまして、われわれのほうのこの委員の基準は、労働組合員の数、それと件数の比例ということでありますが、この件数の比例は年によって異なりますので、この労働委員会委員の数の基準は従来組織労働者の数でやっている、こういうことでございます。
  85. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 よくわかりましたが、名古屋と神奈川がそういうふうになったことは私も知っておりますが、問題は、やはり同じ労働人員にしても件数であっても、あっせん調停では期間が違うわけです。これはどうしてもそういう精密な調査の結果必要とする人員なのかどうかということは私は労働省としてはやるべきだ、法律にないから、ばく然と、希望もあり、ある程度法律以上の構成人員も要る、そのためにふやしたということでは私は件数処理にならないと、こういう見方をするから申し上げておるのです。この点は増員することに私は反対しておるのではないのですけれども、あまりに労働省としては、委員の審議に対してはもっと懇切丁寧な資料を出して、こういうところに必要があるのだという私は提案をしてもらいたい、このことを付け加えて私の質問を終わります。
  86. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  87. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。──別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  労働組合法の一部を改正する法律案(閣法第一○四号)を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  90. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 総員挙手、全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      —————・—————    午後二時十六分開会
  92. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  労働問題に関する調査を議題とし、春闘に関する件について調査を行ないます。本件に関する御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  93. 野々山一三

    野々山一三君 大臣、春闘の山場にきておりまして、しかも、御承知のように、四月二十六日、三十日という日は、基幹産業であります私鉄を中心にするストライキが計画をされ、いわば大詰めの段階、徹底的な対立状態にあるわけですけれども、そのよって立つ原因というものについては後ほどまたゆっくり議論をいたすことにいたしますが、私は、社会党という立場から、しかも、基幹産業であります鉄道、電信、電話というようなものを中心にするストライキであるだけに、この事態をどうしてもやはり大局的に見てうまく解決ができないものだろうか、こういう立場から実はあなたに根本的な問題を聞きたいわけです。きょう質問をいたしたいと思っております大筋を先に申し上げておきますので、それを前提にしてお答えをいただきたいのでありますが、その一つは、私鉄並びに公労協のストライキを回避するために、実際あなた方としてどういうふうに考えておるのかという点が一つ。  第二番目は、基本的に公企体などの労使関係が、もうそれこそ労働法ができて以来十六、七年に及んで、だんだんいわば年中行事みたいに繰り返され、その根本原因がちっとも解決しない。だから、このストライキは、さらに年をこすに従ってややこしくなっていく。そういう観点から、その原因と目される当事者能力の問題というものをどういうふうに実際的に今日の事情に合わせて処理をしていくのかというところを第二の点で伺いたい。  第三が、しかし、そういう基本的なことは別といたしまして、当面、この事態をどういうふうに切り抜けていくことが一番実情に合っているのかという点について聞きたいと思います。お断わりをしておきたいが、私は、理屈よりも、実際的にあなたとここで相談をし合いながら問題解決に役立つということが一番大切じゃないかという気持ちで伺いたいと思いますから、ひとつそういう点を留意して伺いたいと思います。  第一の私鉄問題、要求が出されまして今日までというのは、もうそれこそ二、三カ月、そしてまあ交渉もやられておるようでございますけれども、きょう今日現在では、全く交渉が進展しているというふうには私は見られない。しかも、一般のことしの状況というものは、日経連は、最初のうちは、景気が悪いし企業がうまくないので、いわば企業防衛だというような意味で、月給は上げない、こういう姿勢をとってまいりましたようですけれども、実際的に見れば相当程度のものが上がっている、一般傾向として。そうして労使関係の本質である自主交渉というものが、比較的例年とは違って、まあいやらしい陰惨なストライキということではなくて解決している。解決しているというより、あるいは解決しつつある。しかも、その傾向は、いろんなことを言いながらも、やはり去年よりは相当上に出ている。上に出ているということは、ことばをかえて言えば、物の値段が上がったり、あるいは生活が苦しくなったりしておって、いままでみたいに、ただ上げないということだけでは事の事情が進まない。こういう、それこそそのものずばりな認識が、月給を上げちゃいけないという言い方だけではなしに事を済ませつつある、こう言ったらいいんじゃないかという事情のように思います。で、あなたは一体こういう事態に対して、私鉄のああいうような、何というか、あそこもたいへんよくないのでありますけれども、団体交渉の最後の最後のところへいって、ストライキの三日か二日前にいかなければ経営者は口をきかない、だから当然ストライキを考える、だから国民は非常に不安におちいる、そこでだれかが出てきてものをきめなきゃいけない。こういうような関係というものは、一体今日の労使関係としてどういうふうにあなたはお考えになるのか、この事態を解決するために、一体あなたは労働行政に携わる立場としてどうお考えになっているのかという根本的な認識の問題。それから、この事態でどうあったならば一体事をあまり国民に心配をかけずに済むのかというふうに考えていらっしゃるのかということを、ごく一般的な意味で最初に伺いたい。
  94. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) まず、第一点としてお尋ねがございましたのは私鉄の関係と、こういうふうに伺ったわけでございますが、私鉄についても、今日まで団体交渉の過程において経営者側が有額の回答を出しておらなかったというふうに私どもも聞いておりましたが、ただいまちょっと前に得ました情報によりますと、私鉄の経営者団体が二千百円、こういう回答を出したということをいま実は聞いてきたばかりなのであります。そこで、この二千百円という回答を中心にして、今後組合側がこれをどう受け取られるのか、まあそこが当面の問題であろうと思います。しかし、私は、この労使問題、特に賃金の問題を中心としまする労使問題というものは、とにかくできるだけ、これは一般的のことでございますが、団体交渉を通じて自主的にまずもって解決をはかるように、労使ともにまずその努力を払う、全力を注いでやってもらいたい。それがどうしても妥結に至らぬということでありますならば、やはり法律上きめておりまするように、労働委員会等に持ち込んで、その場でさらに平和的に解決をしてもらいたい、まあこういうことに民間関係から申しますと私は考えておるわけであります。でありますから、この私鉄の関係においても、この原則のとおりにやはり私は進んでもらいたいと、かように考えております。ただ、時期等の問題がどうなるか、あるいは労働委員会に持ち込むにいたしましても、一体労使いずれの側が持ち込むか、あるいは職権でやるというような場合もございましょうが、いずれにしてもいろいろ場合があるわけでございます。昨年は、御承知のとおり、組合側が労働委員会に申請をしたというふうに伺っておりますが、今年は組合側は申請はしないという態度であるやにいま新聞その他で私も承知をいたしております。そこで、経営者団体側が今後どうなさるのか、私はその辺も実は聞いておりませんが、いずれにしてもさっき申しましたとおり、労働委員会という三者構成からなる機関があることでございますから、どうしてもこの労使両者の話し合いが、話し合いでは煮詰まらぬということでありますならば、むしろその際においては労働委員会に持ち込んで、やはり中正な方法であっせんなり調停なりしてもらうと、こういうことにやはり私はいくのが道筋であろうと、かようにただいま考えておるのであります。
  95. 野々山一三

    野々山一三君 一般論で恐縮ですけれども、日本じゅうさがしてみれば民間労使関係というのは山ほどあると言ったらいいだろう。けさほども労働委員会の人数をふやすという議論もやっておりましたけれども、労働委員会の実際問題を見てみますと、労使紛争ということは、ほとんどが不当労働行為的なものが多いのですね、争えない。私も二十年近くこういうことをやってきているから、数字のことであなたと議論しようとは思いません、もうわかりきっているから。つまり裏を返して言うならば、賃金や労働条件などの問題については、そのほとんどの場合が労使関係の基本原則である団体交渉で事をきめる、こういうことが実際的に生きていくんじゃないかというふうに見るのです。ところが、国の基幹産業である交通事業というような、私鉄などを一ぺん実際的に見てください。この何年かの事例を、労政局長もいらっしゃるのですから、ずっとごらんになればわかるので、何年からどういうふうになっているかということを一ぺん見てお答えをいただきたい。そうして、それによって裏打ちされるのは、この種の基幹産業の労使関係が、だれかにものを言ってもらわなければきまらないという関係は一体本来あるべき労使関係なのかということを、労働行政を扱うあなたとしてはどういうふうに考えられるかということを聞きたい。
  96. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) ただいまお尋ねをちょうだいいたしました点については、先ほども申しましたが、まずもって労使間で解決をはかるように、労使がもう最善の努力をお互いに払うということが私はもちろん原則でなければならぬ、かように私も考えております。ですから、万やむを得ないときには法のきめておる委員会に持ち込む。それは法制上もそうなっておりますから、しかし、それはいわば次善の策と申しますか、でありまして、原則は、あくまでも労使間の団交によってきまるべきもの、かように考えております。
  97. 野々山一三

    野々山一三君 いまあなたがお認めになったように、団体交渉できまるということが一番いいことなんだ、どうにもならないときに他人の意見を聞くということなんだ、こういうことなんですね。
  98. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) そうです。
  99. 野々山一三

    野々山一三君 そこで、あなたも時間がないようですから、二つの点で一緒に伺います。私鉄の場合に、去年は一体どういうことになっておって、ことしいまあなたが、経営者が回答をしたという二千百円というものは、一体去年よりも上ですか下ですか。私はよく数字はわかりませんからあなたに聞いているのですよ。
  100. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 去年は私鉄の回答は千二百円であったと、かように私は聞いております。
  101. 野々山一三

    野々山一三君 そういうことをおっしゃるからここでは相談にならなくなって、理屈になるのです。私は理屈を抜きにして、ここで一ぺん解決のために相談しようということを言うつもりであなたに伺うのだよ。去年私鉄がきまったのは何も千二百円じゃないでしょう。
  102. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 回答……。
  103. 野々山一三

    野々山一三君 いやいや、去年よりも上なのか下なのかと聞いておる。去年きまったよりも上なのか下なのか、理屈でなしに、すなおにいきましよう。
  104. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 私があるいは聞き違えたかもしれませんが、昨年の回答がどうであったかというふうに私は伺ったものですから千二百円というふうに申し上げたのです。昨年結局きまったのは三千円だと、かように承知します。
  105. 野々山一三

    野々山一三君 そうすると去年より少ないわけでしょう。世間の今日の事情というものは、ここに数字を経営者側が出したものを全部持っておりますから、言うならば幾らでもやりますけれども、去年よりも下回っているところが経営者側の回答であったところがありますか。あなたのほうでお調べになったものが一ぱいあるだろうから、すぐわかりますよ。二、三の例外は別として、全部やはり経営者側の回答として、去年の妥結したものよりも上のものを総体的に出しているわけです。それがことしになったら、また去年の妥結よりもだいぶ低い、三分の一低いというようなことが起こっておることが好ましいことなんですかということが第二の問題。そういうようなことで総体的な争議が解決するとあなたは御認識になるのか。もし解決しないという場合にはあっせんなり調停なりに持ち込まないといけないだろう、こういうことなんですけれどもね。  そこで、三つ目のことも一緒に聞きますけれども、そういう去年の妥結よりも非常に低い、はもう間もなくストライキだ、正当な権利であるストライキを行使する、こういうような事態のもとで、一体良識的に世の中を納得させて国民を心配させないで事が済むというようにお考えになっておるのですか。もしそうでないならば、どうあったらいいかという実際的な話をしましよう。法律調停あっせんの道があるから、そっちのほうでなんという話は、私もくろうとだし、あなたもくろうとだからわかっているので、そんな話は一般論としてやめにして、どうなったならばまあまあ私鉄も労働者も納得してくれるだろうか、お考えになるその点を正直におっしゃっていただきたい。たとえば私のものさしも世間の並みのも、去年よりは少しは上がっておる。それがことしは低いものであるので、それじゃなかなか労働者は納得しませんよ。そこでどうしたってストライキに入る、そのストライキ回避のためにどうあったらいいかという、その三つを、一ぺんに質問いたしましたけれども、答えてください。
  106. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生のお尋ねの要点は、去年が三千円できまった。しかるところ、今回の経営者団体の回答は二千百円である、こういうことでは組合のほうがもちろん承知をしないからストに入るであろうと、こういうことについてどう考えるかということだと思いますが、御指摘のように、昨年の妥結の額と比べますと、私鉄が今回回答をいたしましたのはまあ九百円から下回っておる、こういう確かに事実でございます。しかし、昨年の経営者団体の回答に比べれば九百円ですか、九百円やはり上回っておる、こういう結果になります。ただ、私はせっかくのお尋ねでございますが、こういうこの回答がはたして妥当なのかどうかというようなことを、一般民間企業に対して、確かにその事業は公共性が相当あるわけでございますからこそ、運賃等も認可制になっておるというわけでございましょうが、これを労働大臣立場から、この回答がはたして妥当なのかどうか、まあこういう回答をするには、やはりおそらくそれだけの理由もあることでございましょうし、これでいいんだとか悪いんだとかというようなことを労働大臣立場から申し上げるということは、これはまあこれまた労使間の問題についての原則から申して、私はいかがなものであろうかというふうに、遺憾ながら、私はそうやはり申さざるを得ないのであります。
  107. 野々山一三

    野々山一三君 私も、民間企業のことでありますから、国が直接くちばしを入れてああしろこうしろということは避けてもらいたい、そういうことを前提にしておる。あなたもお認めになっておるように、団体交渉で事がきまるようにしたいものだ、こういう前提がどうもあるようです。私もそうありたい、そういうことについては変わりがないのです。ですから、組合が、あっせん調停はしないで、自主交渉で解決しようじゃないかと一言っている。ところが、経営者の側は、もう初めからあっせんに出すんだと、こう新聞に書いてあるし、ものを言っていますね。そういうふうにだれかにたよらなければ事はきめないのだという基本的な姿勢がある。そうだとすれば、そういうことはよくないことでしょう。
  108. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) そのとおり。
  109. 野々山一三

    野々山一三君 そういうことはよくないことでしょう。ですから、この事態で、やはり団体交渉で自主解決をしてもらいたいということをあなたが強く言うということが非常に大事なことだ、あるべき労使関係の基本原則としてね。そういうふうに私は思うのです。ことのほか、いまあなたがもうお聞きのあったように、二千五百円というものが出たという事態のもと、しかも、だれしもが、多少こういう問題を知っている人ならば、これはきょうかあす徹夜するだろう、あっせんに持ち込まれるだろうというふうに見ている。そういうことを頭に置いて、なおかつ自主交渉で解決するようにしてもらいたい、足をとめないようにしてもらいたいということをあなたがおっしゃることということは非常な意味がある。ぜひあなたは、自分に、前から自主交渉によってやってもらいたいというふうにおっしゃったのですから、そのことをもう一ぺん念を押してもらいたい。いかがですか。
  110. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 重ねてお答え申し上げるわけですが、私としては、先ほど来申しておりますように、極力団体交渉によってきめてもらいたい、このことはもう変わりないわけであります。まあそれだけお答えすればいいのかもしれませんが、その先の何かお話によると、経営者団体が中労委にもう持ち込むつもりでいるというようなお話がありましたが、私は、実際のところ、まだそんなことは何にも聞いていないのです。これは実際聞いていません。ですから、はたしてこれは持ち込むのか、持ち込まないで、ほんとうに私の気持ちのようにやってくれるのか、これはいまのところ私どもは判断できません。
  111. 野々山一三

    野々山一三君 はたしてあなたが考えてくれるようにやってくれるかどうかわかりませんというふうに言い切ってしまっておいてあなたの仕事が成り立つのですか。私は、労働問題を扱うあなたは、同時に、単に労働問題を扱うという、単に事務的に扱うだけの仕事を背負っているわけじゃない。あなたは国民の生活に必要な足をちゃんと確保するという、そういう責任がある。私も同じようにそういう責任がある。社会党の労働局長として、私もそういう責任があります。主張するばかりではありません。だからこういうことを聞くのです。そういう観点から見れば、団体交渉で自主的に解決してもらいたいなあというような夢みたいな話でなしに、実際的にそういうことを勧告なさったり、あるいはそうあるべきだということをこういうところできっぱりおっしゃるということが国民の期待にこたえる道じゃないですか。そうして私は、この問題の結論として、あなたが精一ぱいストライキを回避したいんだという気持ちで、しかも、世間の常識的な、あるいは労働者も納得をする、こういうものさしに依拠して事をお考えになるということが必要じゃないですか。これはむしろ何だか私どもの党のほうがあなたの仕事をお手伝いすることになるような質問で、私も質問しにくいのですが、これはあなたにずばりおっしゃっていただけば少しの間で退席してもらってもいいのです。
  112. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 私鉄の事業が非常な公共性を持っておる、そういう点から申して、これが万一ストに入れば国民大衆に非常に大きな影響を与えるということは、これはもう言わずしてだれもが承知をいたしておるところだと思います。したがって、われわれ政府にある者が、でき得れば極力これを回避するようにしてもらいたい、こういうことは当然の私は考え方であると思います。この点は、しかし、また労使双方に私どもは望まざるを得ないのでありまして、どうしたならばこのストを回避できるような点で妥結ができるか、まずもってこの事業の性格というものを労使双方がよく認識をされて、でき得る限り賃金の問題については団体交渉によって妥結して、国民の不安を一掃する、こういうことは私も先生ももちろんでございますが、御同様に私ども思っているわけでございます。
  113. 野々山一三

    野々山一三君 そこで、先ほど来言っておることをもう一ぺん一まとめにいたしますが、どうもいまのままでは自主解決の可能性が少ないような気がする。なぜならば、去年よりも三分の一も安い、世間の傾向よりもうんと安い、こういうことでは自主交渉の解決の条件というものにはどうもならぬように思う。おそらくあなたもそうお思いでしょう、率直な御感想を述べてください。それが一つ。  それから、あなたは聞かないというふうに言われていらっしゃるので、聞かないという人に聞いただろうと言っても仕方がないから、一般的に言いましょう。どうもこのままでいけば第三者に依存しなければ解決しない。これはことばをかえて言うならば、第三者ですから、どうしてもあとで問題にしょうと思うけれども、ほんとうにとめるかとめないかというようなことについてはわりあい気楽ですよ。ところが、これは労使の直接の者から見ればなかなか深刻な話であるはずだと思う。それで、あなたは国民の立場考えて見れば、こういう事態労働者に納得さして解決させなければならない、こういう責任がある。そのことを三つ束にして、いまあなたは、ほんとうに自主交渉で解決してもらいたい、また、そのストライキというものが、かりに権利であろうとも、回避できるようなことに対して最善を尽くしたいという気持ちをお持ちだろうと思うが、その気持ちを述べていただきたい。おそらくそういう気持ちがあると思う。解決に乗り出さなければいけない、回避のために努力しなければならない、おれにはその責任がある、こういう気持ちがおありだと私は信じている。そのことの二つについて、抽象的な人の話みたいにしないでお答えをいただきたい。
  114. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 経営者団体が回答を今回した、その程度のものでは自主交渉の条件が整っていないと思うが、こういうお尋ねと思いますが、自主交渉の……。
  115. 野々山一三

    野々山一三君 自主交渉じゃなく、解決する要件が整っていない。
  116. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 要件が整ったかどうかということも、先ほど来私が申しておりますように、これではたして整ったといっていいのか、整わないといっていいのか、これはそういう点まで私がはっきり民間の企業のこの種の問題について言うということは、いまの私に与えられておる権限からいって、はたしてどういうものであるか。むしろそういうことを私が表明することは、労使間の自主的な解決、こういうことにやはり多少なりと口ばしを入れる、こういうことになりかねませんから、私はむしろ遠慮すべきじゃないかというふうに思っております。  それから、このままではストに入らざるを得ない、回避はできないからこれの解決に乗り出すべきではないかという御示唆だと思いますが、この点も、私が労働大臣立場において解決のために乗り出すというようなことはいま考えておりません。
  117. 野々山一三

    野々山一三君 そういうふうにおっしゃると、どっちみちストライキはどうなってもかまわないという、大臣のことばじりみたいであれですが、善意であなたがここでものを言われる言い方が与える影響というものがやっぱりあるという見方なんです。だから、あなたも非常に舌を短くしてしまっている、そういうものだと思いますね。ただ、大臣ね、この点をあとで公社の人にも聞きますけれども、何といったって、この事態で私鉄が労働者を納得させて、早く解決するということが、議論はあろうとも、公企体などに決定的な影響をもたらす。ここではあなたは黙っちゃいられなくなる。そういう因果関係を知らないはずのあなたではない。山ほど知っているはずのあなたが舌を短かくしている。しかし、そのときには私の責任じゃありませんとか、権限じゃありませんなんというふうには、これはおっしゃっていられない性質のものだと思いますね。そこで、あなたが前に軽い意味で、あっせんなり調停なりに持ち込まれて解決することが、この事態では手段として最善じゃないけれども、必要だと思う、こう言われたわけですけれども、このことだってやはり影響があるんでしょう、ありますよ。だから私はしつこく聞いている。もとに戻して、自主交渉をやるという責任を私鉄の経営者に与える国の大臣としてそういうことを考えているということが意味がある。だいぶ抽象的ですけれども、やはり干渉がましいことはということよりも、私は、一口にあなたは最善を尽くしてこのストライキは回避したいものだと思っている、こう言われることを国民が一番期待している。そうして労働者が期待していることは、自主交渉で解決するということを一番期待している。これを期待していないということをあなたが言われるならばもう一ぺん言いますが、あなたは無責任なことになります。こんなことはしまっておきますが、いまの二点について、もう一ぺん繰り返してあなたの率直な気持ちで解決できるということにならないかという角度からお答え願いたい。
  118. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 私は、先ほど来、労使双方が交通業をになっている公共性というものを十分わきまえられて、一般に迷惑をかけないように極力ストを回避してもらいたいし、また、その手段としては、極力自主的な交渉で解決をしてほしい、こういうことを申しておるわけであります。そこで中労委に持ち込む、自主的な交渉で解決しない場合には中労委に持ち込んででもと、こういうことを申しましたのは、一般的な考え方として、あるいは一般的な処理の方法としてそういう道が開けておることであるからそうしてほしい、こういうことを申し上げたわけでございまして、この私鉄の問題についてそうすべきであるとか何とか、そういうことは私は申したつもりじゃないのです。私鉄のことについても、これは原則論に立って、まずこの自主交渉で解決をしてほしい、結局持ち込むか持ち込まぬか、これはもう労使双方考えによらざるを得ないと思う。私がどうすべきだというようなことを申し上げる立場には私はないと心得ておるわけであります。  もう一点は何でしたかね。
  119. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  120. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記を始めて。
  121. 野々山一三

    野々山一三君 これからちょっといろいろな事情を確めるために、各公社、現業機関の皆さまにもそのまますぱすぱいくかもしれませんが、あしからず。  私、いま労政局長にとりあえず聞きたいのですが、公企体などの団体交渉や、その後進行している調停事情あとでそれぞれから伺いたいのですけれども、その前提として、ぼくの認識が間違っていたら訂正していただきたいのですけれども、各公社、現業機関でやられている団体交渉、ことしの賃金紛争でもいいですが、一体どういう事情なんですか。どうもそれこそ七、八回紙でやりとりして説明し合いっこし、言い合いっこしているということで、他のいろいろな問題の場合などとは全然違って、どうも団体交渉というふうに言っているのは、私は昔山ほどやってきた人間として、このごろ労使の諸君があれを一体団体交渉と言っていばっていられる状態なのかと見られる節がある。あなた法律を扱っている労政局長として、一体ああいう状態はどうなっているのかということを含めて、団体交渉なのか。それから、調停という次の段階、調停というのは大体二カ月になりかかっているのですよ。事情聴取で六十日のうちの五十何日かけておって、あと日切れの三日か四日という日に調停打ち切った。そんなことで調停ができると思っているのですか。そういうことではどうしたって、残念なことに、組合だって好ましいことじゃないのです。だけれども、実力行使というようなことにならざるを得なくなってしまうのじゃないかということです。そのことば上の団体交渉とか、そんな話はどうだっていいです。ほんとうに企業体の責任者なり何なりが、この月給の要求というものを何とか団体交渉で解決したいという気がまえでやっているのかどうかということについて、今日までの事情を含めて、あなたの考え方、認識を聞きたい。こんなことはあなたに聞いたって価値がない、ほんとうは。労働大臣か、もっと偉い人に聞かなければ意味がないと思うけれども、とりあえずあなたが一番偉いここにいらっしゃる責任者ですから、そのことについて根本的な──そんなものは理屈じゃないんですよ、根本問題としての認識を聞きたい。
  122. 三治重信

    政府委員三治重信君) 団体交渉が三公五現の労使関係において具体的にどう判断されるような交渉をやっておるか、こういうお尋ねであろうと思いますが、三公五現の団体交渉につきまして、毎年私たちの見るところは、公労協関係要求が、一般民間関係労使関係からいくというと、要求があまりにも早過ぎる。十月ないし十一月にもう──もちろんまあ十一月ないし十二月から賃上げをしてくれ、こういう形式にはなっておりますけれども、やはり実際の労使関係からいけば、だれも年内に二回賃上げが今日の状態で出るとはなかなか常識上考えにくい立場じゃないかと思うのです。そうすると、やはりこの要求民間では大体において二月末、ことしなんかだいぶんおくれまして、三月中旬ごろになってやっと民間の賃上げの要求が経営者側に出されるというのが実態であるわけです。三公五現の公労協関係や全官公関係については、やはり私たち見まして、あまりにも要求が早過ぎる。そこで、団交、こういうふうになると、一、二の公社、現業当局では来年の三月までは賃上げには応じにくいと、来年の四月になって民間の賃金が動いたらば、またその状況で回答することもあるべしというようなことで説明してきている。そうして今年に入っている。少ないところで七、八回、多いところでは二十回も行なわれているということでございますが、やはり民間の団体交渉の関係からいくというと、賃金交渉でそんな何回も行なわれるということは私たちの常識上あまりない。やはり要求を出して数回やれば大体経営者のほうの腹もきめてくる。労働組合側のほうも回答が出るまで待ってと、こういうことで、やはり団体交渉というものは、現実の問題として、回数さえ多ければそれが団体交渉だ、こういうふうにはならぬのじゃないかというふうに思います。  それから、調停でございますが、したがって、そういうことで団体交渉の場においてお互いの資料検討的なことになっておって調停の場に持ち込まれる。しかし、調停の場になりますというと、やはりそこでまた資料要求資料の説明、こういうふうなことになりまして、実際上、大体最近では調停委員会の場において三回程度各調停委員会事情聴取を行なう。それから合議に入って調停不能かどうかということでやる。それで当局側の回答と申しますか、意思表明があまり委員会の用をなさないということから、結局調停を打ち切って仲裁に移行せざるを得ない。あるいは、まあ数年前だと、組合側のほうからの仲裁申請、あるいは労働大臣からの申請ということで仲裁に切りかえられる、まあこういうことでございます。労働省としては、公労法を所管しているたてまえからいって、団体交渉、あるいは調停の場で当局側もやはり民間並みとまでは予算上資金上、また、政府の関係機関という立場もあって、なかなか民間のようなふうにはいかぬにしても、やはり法の許す限りにおいて、自主的な実質上の労使関係と申しますか、当事者能力と申しますか、そういう関係の部面で前進してほしいというのが、われわれ労使関係を担当している職責を持っている者としては、常々望んで今日まで至っておるわけでございます。
  123. 野々山一三

    野々山一三君 結局二つのことがその中から言えると思うのですがね。一つは、数だけではない、団体交渉というのは数だけじゃないが、民間なら二回か三回で回答が出てしまう。ところが、三公五現にそれらしい回答が出たところがありますか、ない。それが一体団体交渉なのかということですね。それから、あなたにずばり聞くけれど、何年以降調停案が賃金について出たことがあるかということを述べてください。つまりここから先の質問は決定的だから、調停委員会事務局長に聞かなければわからぬから、ちょっと待ってもらいたいが、二回か三回その事情聴取やって六十日という日を待っているんじゃないの、そういうのを調停というのですか。その法律上、概念上のあなたの認識を聞きたいのです。つまり調停らしくないこういうことでずるずるいくものだから、あなたが問題にするように、要求がうんと早く出る。時間かせがれたってどうしようもない。だまって普通のことというか、成り行きを見ておったならば、いつ問題がどうなるのかわからない、こういうことになるんですね、そうじゃないんですか。そこのところの認識をもう少し聞きたい。
  124. 三治重信

    政府委員三治重信君) 調停あり方がどうあるべきかということについては、いまさら議論しても問題解決にはなりませんが、従来の調停委員会の事実の経過というものは先ほど申し上げたとおりでございますが、この調停委員会運営は、各労使公益で構成され、各公社当局ごとの調停委員会が構成されて、その調停委員会運営されるということでございまして、公労委の事務局長が調停をどうこうするとか、やれ二回でいいとか三回でいいとかということで事務局がきめる、事務局長がそういうものを支配と申しますか、干渉するということは、われわれが承知しておる限りではないのです。各調停委員会ができた場合に、その調停委員会の予定が出され、それについての一調整といいますか、委員会の開催される日時とか時間の関係から各委員の都合を調整するということは事務局でやっておりますけれども、事務局長がとやかく調停の進行について実質上のさいはいを振るうということはない。そういういろいろの調停委員会をどう運営していくか、どう持っていこうかということについては、各調停委員会でそれぞれ行なわれる。それが毎年こういうふうに、その法律上の二ヵ月が切れた場合には労使双方が別の行動がとれるというふうな規定がまあ慣習化して、二カ月間は調停の場が持たれているというのが、悪いかいいか別といたしまして、現実でございます。これにはやはり労使双方がお互いに従来の調停前までの主張というものを何かこう歩み寄りを示す体制がなければ、やはり調停委員会としても実質上の機能ができないのじゃないかということは事実でございますが、それがなかなか思うように今日まで調停委員会としてできなかったということは、また率直に認めざるを得ないと思います。
  125. 野々山一三

    野々山一三君 そうすると、結局その歩み寄りなということがあまりない、そういうことですね。──そう答えてください。
  126. 三治重信

    政府委員三治重信君) 御質問のように、調停委員会の場で労使事情聴取、あるいはその調停委員会の機能として、調停委員である労使公益調停案なんというものの実質上の作成の機能ができるまでに、なかなか今日まで十分機能はしていなかったということは認められると思います。
  127. 野々山一三

    野々山一三君 要するに、歩み寄りがないというのは、団体交渉という一般的概念、それから、団体交渉で事を解決するという基本的な理屈、この二つからいってそういうようなものを団体交渉というふうに──ほんとうの意味で団体交渉に身が入っているというふうに言えるだろうかということについてあなたの考えを聞きたいと先ほど言ったのです。それから、第二番目には、まあ調停のことは事務局長がどうこうということは言わぬでもいいんだよ。そういうことを言うくらいなら、なぜもっとぼくの言うことをまじめに答えないのか。聞きもしない余分なことを、そんなことをだらだらとしゃべっているということだ。だから、調停も本来の機能を果たしてないようだという私は認識をするわけですよ、あなたの言われる説明どおりからいけば。そのことを調停機能という理屈から言ってあなたはあれでいいんだというふうに言われるのかどうかということを、公労法を扱っていらっしゃるあなたとしてどういうふうにお考えなんですかということを聞いてるわけです。それから、もう一つ。というように、どうも中身がないということであるならば──それは前提ですよ、あるならば、何でそういう中身のないような、交渉らしくない、観念のやり取り、つら合わせということがやられているのか、その原因は一体何だということをあなたの理解しているものから答えてもらいたい。本来、私どもが昔やっておったじぶんには、いやしくも調停段階では、それこそ一発回答になるかどうかは別として、調停案をつくり上げた。もう三百円出せば妥結する、もう五百円出せば妥結するということで、それこそほんとうに労働委員会使用者側、われわれが、全く身を削る思いで事態を回避するために真剣に取り組んだ。これは労働組合の諸君もここにおるけれども、経営者の諸君だってそうだ。一体それが労働問題を扱う者の態度なのかということでは私は意見がある。そういう気持ちを含めて私はあなたに聞いてるわけですけれども、それはまあ気持ちのことは別にして、実体的に、客観的に見てそれがいいことなのかということを三つの観点から答えてもらいたい。
  128. 三治重信

    政府委員三治重信君) この春闘に関連しての調停委員会は、先ほど私が御説明しましたように、調停委員会の機能として従来そうなかなかいきにくい、まあ俗なことばで言えば、調停委員会らしい調停活動というものがなかなか行なわれなかったような感じがしますというふうに認めているわけです。ただ、この春闘以外のいろいろな、これは余分なことかもしれませんが、ただまあ調停委員会のために申し上げますが、この春闘の一般的な賃上げ以外の事案については、ずいぶん調停委員会としては活動されて、問題が解決されていることが公労委でたくさんあるということは御存じだろうと思いますが、つけ加えておきます。その原因は那辺にあるかという問題について、私は、一つは、やはり公社、現業当局の賃金についての基本原則が法律上に書いてある、これはまあ電電公社法、あるいは国有鉄道法によって若干ずつ表現は違いますけれども、国家公務員、あるいは民間、さらに生計費その他の事情一般的に経営者能力、経営者の支払い能力というようなものできめられなければならぬ、こういうふうに書いてあるわけでございます。したがって、春の春闘で賃金をきめるというふうになりますと、私たちはやはり民間の賃金の動きを見て、そうして当局者が何らかのアクションをとるのがやはり一番スムーズな行き方じゃないかというふうに思っているわけでございますが、それに対して、先ほどから申し上げましたように、組合側のほうの実際の要求、行動というものが、やはり必ずしも民間の賃金の動き、あるいは民間の団体交渉、回答というペースと合っていないというところにもやはり形式的に流れてきた原因があるのじゃないか。そうしますと、やはり経営者側のほうでは予算が三月限度で通ってしまう。一応財政経理の問題がワクがはまってしまう。それから、一方、組合側のほうでは、民間の動きよりか早いぺースで賃金要求なり何なりが出てくるというふうになる。なかなかそこに両者の歩み寄ろうという、また、歩み寄るような交渉が行なわれ、また、調停が行なわれるような場が非常にできにくいような状態に客観的にあるのじゃないか、これを何とか事実問題として詰めていくことによってもっと実質的な前進があるのではないかというふうに考えております。
  129. 森勝治

    森勝治君 議事進行で御提案申し上げたいと思うのですが、ただいまの質疑応答を聞いてみましてもわかりますように、公労委のあり方についても、かなり突っ込んだやりとりがあるわけであります。ところが、御出席方をわずらわしておりました公労委の事務局長は、どういう理由か知りませんが、こちらへお見えになっておりません。したがいまして、このままですと、どうも議事を進めるのもわれわれ合点がいかないことが多々ありますし、大臣も他出中でありますので、そういうものをからみ合わせてわれわれも善後措置を考えたいと思いますので、しばらくひとつ休憩をいただきたい。
  130. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  131. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記を起こして。  ただいま森委員の発言もございましたので、暫時休憩いたします。    午後三時十九分休憩      —————・—————    午後三時四十三分開会
  132. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 休憩前に引き続き、ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  労働問題に関する調査を議題として調査を行ないます。本件に関し御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  133. 野々山一三

    野々山一三君 質問をしたいと思う方がまだ出席していらっしゃらないが、三公社五現業の皆さんお待ちでありますから、順序を振りかえて質問をいたしまして帰っていただくようにいたしますので、簡潔にお答えいただければいいと思います。  先ほど労政局長と質問いたしておりましたやり取りの中でお気づきじゃないかと思いますが、私が聞きたいのは、いつもの団体交渉があまりりっぱじゃないということを先ほど労政局長も答えられ、調停も、また調停段階で経営者側のほうからも組合側のほうからも歩み寄りがないということは、調停が事実上機能を十分果たしていない結果になっているという趣旨のことを述べられたわけですけれども、たいへん数の多い皆さんで恐縮でありますが、各公社の団体交渉の実情は、ぼくに言わせれば、俗称団体交渉と言われている。それは一体今日までどんなぐあいだったか、そうしてどういうふうになったから調停にいったのか、何で数字のやりとり、資料のやりとりぐらいで団体交渉ごっこをやっておったのか、それが一体労働問題を処理する上でいいことなのか悪いことなのか、それでこの事態が解決できるのかどうかということを含めて、実際問題は別として、皆さんの実情、それから、スト回避のためにかくかくのことをするとか、話を詰めるために私どもはこう思っている、それなのに組合が言うことを聞いてくれないということがあるならば、そういうことも全部実際を一ぺんそのまま述べてもらいたい。そうして、結果として団体交渉が賃金に関しては進まないという理由があるならば、それも述べてもらいたい。私が聞くことも、先に結論を申し上げておきますが、先ほど第二のポイントとして申し上げた、賃金に関しては当事者能力というものがあるのかないのかということを実は皆さんの口から聞きたいというのが第一の質問なんです。でありますから、たいへん恐縮ですけれども、しかるべき順番で各公社の実情を並べて、これでいいというならば、胸をそらして、これでいいというようなその自信のほどを、これで十分ストライキも回避できますし、何でもやるという、それを胸を張って答えていただきたい。そのことを国鉄から順番に、たいへん恐縮ですけれども、ずっと全部答えていただきたい。
  134. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 四十一年度の新賃金についての団交の経過、いまの御質問の点についてお答えをいたしたいと思いますが、四十一年度の新賃金につきましては、御承知のように、昨年の十一月にそれぞれの組合から要求が出てまいりまして、その要求の額その他は御承知のとおりでございますが、その組合の要求のおもな理由といたしましては、物価の上昇がはなはだしくて生活が苦しい、それから、民間賃金、公務員賃金に比して国鉄の給与は低い、こういう二点がおもな点でございますが、それをめぐりまして私どもは団体交渉に入った。そこで、私どもが申した点は、現時点においては──当時団体交渉をやっておる時点においては、民間とのバランスはとれているというふうに考えておる。ただ、しかし、四十一年度ということになると、先ほど局長のほうからもおっしゃいましたように、その時点ではまだ民間のベースというものは不確定要素である、また、公務員との比較につきましては、これはなかなかむずかしい問題でございますが、いろいろ職務内容をそれぞれ照合して高いか安いかということは、これは資料等もそう完全なものがございませんので、むずかしいわけでございますが、平均賃金では国鉄のほうが上回っておるということは、これは言えるわけでございます。その他伸び率等については、これもたとえば三十七年を基準として考えると、伸び率においては国鉄のほうが低いということもある。また、生計費につきましては、まあ短期的と申しますが、昨年の四月の新賃金が決定されたときから考えますと、いわゆる消費者物価の指数から見て多少は伸びているけれども、そう大きく上昇はしていないというようなこと、また、長期的に見れば、賃金の上昇率と物価の上昇率とを比べてみますと、賃金の上昇率のほうが上回っておるというような点、また、こちらの資金の状態、財政の状態からしても、組合の要求するような大きなベースアップというものには応じられないということで、団交の回を重ねたわけでございますが、組合側は、そういうことでは満足できないということで、二月の下旬に至りまして、まず新国労が二十二日、国労が二十六日、動労が三月の十日と、それぞれ調停の申請をいたしたわけでございます。で、調停の段階におきましては、先ほど先生のお話のございましたごとく、それぞれ事情聴取がございまして、その段階におきましても、私どもは法律に定められておる国鉄職員の賃金の考え方、生計費、公務員、民間のベース、また、支払い能力その他の問題ということのうち、民間のものが出そろっていないということを申し上げておる段階でございますが、今日の段階におきましては民間相当出てまいりましたし、私どもが注目しておりました鉄鋼についての回答もございました。ただ、私どもと同種の産業である私鉄につきましては、本日回答がなされたそうでございますが、それらの成り行きというものを考えながら、私どもは、いまそういう条件がだんだん出そろってきた段階において慎重に検討をしておるという段階でございます。で、御質問の、当事者能力があるかないかという問題につきましては、これはいままでもしばしば議論されてきたところでございますが、予算なり法律なりを非常に形式的に解しますと、基準内賃金の増額ということについては、国鉄が国鉄限りでこれを変更するということは形式的にできないという状況にあることは御承知のとおりでございますが、予算なり法律なりというもので制約があるということは、民間の企業等と比較いたしました場合に、完全な当事者能力と言えるかどうかには問題があろうかと存じます。ただし、そういう形式はございますが、国鉄の経営ということを考えまして、実質的な財源があるかないかというほうがむしろやはり問題は大きいのではないかと私は考えております。そういう意味において、この問題は、全く当事者能力がないというのも誤りであるかと思いますが、さればといって、非常に大きなベースアップというようなものをやるというのが当事者能力だということに解されれば、そういうものには相当な制限があると言わざるを得ないかと考えております。
  135. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) それでは、郵政省における従来の団体交渉の経緯及び当事者能力の問題についての考え方について御説明をいたします。  団体交渉でありますが、十一月の下旬に組合から、十一月以降の賃金引き上げの要求が出たわけであります。その後三月九日まで団体交渉は六回やったわけですが、その内容は、組合の要求の理由といたしましては、組合によって若干の違いはありますけれども、大体共通していることは、昨年の仲裁裁定の六・二五%のアップ程度では非常に不満であるということ、それから、その後の物価上昇等を考えても、相当ベースアップする必要があるというのが、まあその辺が中心であります。で、私のほうといたしましては、やはり先ほど労政局長さんからもお話がありましたわけですが、賃金に対するものの考え方といたしましては、給与特例法で原則的なことが規定されているわけでありまして、結局公務員の給与でありますとか民間賃金でありますとか、そういうものを主として、その他の事情も勘案してきめると、こういうことになっているわけです。したがって、その要求に対しましては、十二月の下旬に文書で回答してもらいたいということでありましたので、とりあえず結論的なことについて、昭和四十年度の仲裁裁定を実施したばかりであって、その後年度内に再度の賃金改定を必要とするほどの事情変更が生ずるとは考えられないので、それは応じられないというのが一点。次に、四十一年四月以降につきましては、民間賃金の推移を見きわめてから回答するという回答をいたしました。その後、一月以降、その回答をめぐって五回団体交渉をやったわけですが、結局組合の主張されるのは、民間賃金のあとを追っかけるようなそういう賃金のきめ方は困る、日本の労働者──民間賃金そのものも日本の場合は低いのであるから、われわれもやはり民間労働組合と一緒になって日本の賃金水準をよくしようという考えに立っているわけであるから、そういう立場で受け取ってもらいたいということが非常に強く主張されるわけであります。そういうふうになりますと、私どもは、やはりこういった国営事業という性格から考えましても、そういう形での検討ということは非常に問題がありますし、また、いまの給与特例法の精神からいいましても、どうもそれは少しはずれやしないかという解釈を持っておりますので、四月以降については、やはり民間賃金の動きを見てからでないと回答ができない、だからその回答は待ってもらいたいということが結局論議の一番大きな対立点であったわけです。結局待ってくれ、待てないということで、組合のほうから三月中旬に公労委に調停申請をされたわけであります。その後、三月の下旬から昨日まででありますが、調停委員会は三回開催されました。その調停委員会において双方の事情説明をしたわけでありますが、やはりどうしても根本問題が対立しておりまして、たとえば民間賃金のどこと比較するか、そういったような具体的なデーターの話になかなか入らないわけです。組合は組合としてのある程度の資料もお出しになりましたけれども、やはりどうしても根本問題がひっかかっているということで、今日まで双方の態度にあまり変化がありません。ただ、先ほど豊原さんもおっしゃいましたように、ごく最近、民間、公務員におきましても若干の動きがされております。これは経営者側の回答という段階でありまして、妥結したときまったというところはまだ比較的少ないようでありますけれども、いずれにしても動きがあらわれている。また待ってくれ、待てないということだけで、言うなれば玄関口でいつまでも対立を続けているということは、やはり労使紛争の解決ということにとってはどうかということで、ある程度の民間の動きが出たのを手がかりといたしまして、結局それによって今年の民間の賃金の動きというようなものが見通せるかどうか。私どもは特定の産業、特定の企業にならうということでなくて、やはりこういう事業でありますから、民間の全産業、百人未満の企業規模、百人未満のような小企業ははずしますけれども、少なくとも千人以上をも含めて、百人以上の全産業の動きというものを  一つのわれわれの場合の基準にしたほうが適当であろうと思っているわけですが、それがどうなるかという推定の手がかりとして最近における動きを見ているわけであります。そういう意味合いにおきまして、まだわれわれといたしましては、ほんとうに自信のある見通しというものはなかなか困難だと思いますけれども、しかし、おっしゃるように、紛争をいつまでも続けていくということは好ましくないことでありますし、いろいろ他の公社、現業さん方と連絡協議いたしまして、ある程度自信の持てる見通しがつくならば、いわゆる有額回答というようなものもできないかということで、目下検討しているわけであります。  次に、当事者能力の問題でありますが、当事者能力があるのかないのかということになりますと、これは当事者能力というのは何であるかということにもなるわけでありますが、われわれの意識といたしましては、当事者能力というものはあると思っております。ただ、つまり賃金がいかにあるべきかというようなこと、そういうことで組合と意見を交換して、自主的な判断そのものが言えるという意味においては、私どもは当事者能力はあると思っております。ただ、これを実施しようという段階になりますと、郵政省だけでは給与総額の変更はできないという問題があるわけでありますし、また、資金上の問題もからんでくる場合もあるわけです。その場合は、やはりわれわれとして必要を認めれば、やはり政府内部で大いに努力して、自分のところだけではできませんけれども、関係の向きとも協議したりして、それが実現できるようにする義務がある、かように考えているわけです。しかしながら、やはり現行法によりますれば、団体交渉あるいは調停だけでは給与総額の変更という手続は予算総則からいってもできない、最終的には国会の問題にまでいくということになっているわけでございます。これはやはりそういう制度にあるわけでして、そういう状態にあるということは制度のとおりでありますから、実施の問題については条件つき当事者能力と言えるのではなかろうか、かように考えている次第であります。
  136. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 委員長より説明員各位にお願い申し上げます。皆さんの御説明を承ったあと、各委員から質問もあろうかと思いますので、できますれば、最初の説明は要点のみ御説明いただければ幸いだと思うわけです。  次に、通産省のアルコール事業部長の宮城君にお願いいたします。
  137. 宮城恭一

    説明員(宮城恭一君) アルコール事業部につきましては、三公社五現業の一番小さいところであります。同じく去年の十一月の三十日に、組合のほうから八千七百円の要求がありました。その後十一回にわたって団体交渉を重ねてまいりました。その内耳につきましては、さっき申されましたところと似たようなところで、別に変わったところはございません。三月の五日に調停申請が組合のほうから出されました。やはりわれわれのほうといたしましても、四月以降の賃金については、民間の動向その他を見なければ返答ができないということで、それまで待てぬというところから組合のほうで調停申請が出されております。その後三回事情聴取が行なわれました。そろそろ有額回答をすべき段階であろうと、いま鋭意検討中でございます。  当事者能力の問題につきましては、いままで申されたところと変わらないように私は考えております。  以上でございます。
  138. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 次に、林野庁の森職員部長にお願いいたします。
  139. 森博

    説明員(森博君) 林野庁の全林野労働組合からは、十一月二十九日付けで、十月一日以降八千五百円の引き上げ要求書が出ております。日林労からは、十一月十一日付けで、六千八百円の引き上げを要求する要求書が出てまいりました。以後、全林野に対しましては九回、日林労に対しては八回の団交を続けてまいったわけでありますけれども、それで、当方の回答といたしましては、公務一員との関係検討し、また、民間の賃金の動向も見た上で回答いたしたいということでまいってきているわけであります。三月十四日に調停に上がりまして、それ以後三回の事情聴取があったわけであります。だんだん民間の動向もはっきりしてまいりましたので、有額回答を出そうと考えたところで、目下検討いたしておるわけであります。
  140. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 次に、電電公社総務理事の行広君にお願いいたします。
  141. 行広清美

    説明員(行広清美君) 電電公社についてお答え申し上げます。  題一に、団体交渉の経過でございますが、全電通労働組合から十一月三十日に要求が出てまいりまして、その要求の内容は、四十年の十月一日以降、一定額六千円プラス九・三%の賃金を引き上げることということでございます。これに対しまして、私どもといたしましては十二月七日に回答をいたしました。で、その後三月十三日に至ります間、約二十回に及びます団体交渉を行なったのでございます。その場合に問題になりました点は、主として三つございますが、第一点は、消費者物価とか公社の賃金の関係民間の賃金水準と公社の賃金水準の関係、また、公務員の賃金と電電公社の職員の賃金の関係でございます。いろいろと実のある団体交渉をやりましたのでございますが、最終的には対立いたしました点は次の点でございます。  まず、第一点は、私どもといたしまして昭和四十年度の賃金は、同一年度に二度の引き上げをするという主張は全く認められない。また、昭和四十一年度の賃金につきましては、民間の賃金相場が出そろってから回答する。また、昭和四十一年度の賃金につきましては、民間賃金とともに、次のような諸点についても十分留意して回答しようということを申したのでございます。それは昭和三十六年と昭和四十年の賃金センサスを基礎として比較いたしますと、実質賃金は約二・七%を下回っておる。第二は、三十六年四月と四十年の四月の基準内の平均賃金の実質賃金比較では、約四・三%の伸びだ。三点は、最近における物価は、三十九年度平均に比べまして七ないし八%上昇しております。昨年の六・二五%の賃上げは、物価上昇に比べまして、実質賃金は一ないし二%低下しておる。四点は、以上いずれにいたしましても実質賃金が低下しているのは事実である。第五点としまして、民間賃金との比較においては公社職員の賃金が約千四百円低い。以上の点でございまして、しかし、民間相場が出そろってから回答するという点につきまして議論が集中いたしまして、民間相場が出そろっておらない現在において実のある回答をするということはできないということでございますので、これ以上団体交渉を継続しても効果がない、こういうことから、全電通労働組合のほうから三月十四日に調停が申請されたのでございます。今日まで二回にわたりまして事情聴取がございました。私どもは、先ほども申し上げましたように、民間相場が出そろってから回答する。その場合において、電電公社総裁が回答し得るというふうに判断をいたしました時期が、たまたま調停の審議の期間中に出てくるような場合におきましては有額回答をすることもあり得る、こういうことも申し上げてきておるような次第でございます。今日鉄鋼の賃金の妥結も見ておりまするし、その他主要企業につきましても、だんだんと具体的な妥結を見ておるような次第でございまするし、また、先ほど調停委員会の機能の問題に関連いたしまして、歩み寄るという問題も出たのでございますが、私ども調停段階におきましても歩み寄りの必要があるということはやはり認めておりますような点もございまして、できるだけ早い機会に有額回答をするということも必要ではなかろうかというふうな観点から、現在鋭意検討をしているような実情でございます。  第二点の当事者能力の問題でございますが、先ほど来いろいろとお話がございますように、私ども公社法におきましては給与の原則が定められておりまして、公務員の給与、また、民間の賃金その他の事情を考慮して定めるということになっております。その点につきましては一応当事者能力は与えられているのでございますが、実際の運用におきましては予算の制約等がございまして、十分その能力を発揮するということがむずかしいような実情にあるというふうに考えております。
  142. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 印刷局長の遠藤君にお願いいたします。
  143. 遠藤畔

    説明員(遠藤畔君) 印刷局の状況を申し上げます。  昨年の十一月三十日に、全印刷労働組合から八千五百円のベースアップの要求がございまして、自来、本年の三月二日まで十回にわたりまして団体交渉を行なったのでございます。その間、私どものほうでは、四十年度内に再度の賃上げには応じないという点と、四十一年度以降は民間との給与状況を見てから回答したいという態度を表明をしておったわけでございます。なお、団交中におきまして主として議論が多かった点は、四十年度内に再度の賃上げをすべきかどうかという点が議論の多かった点でございます。また、その間、労使双方から、民間、公務員等との賃金比較のデータを双方で示し合いまして議論をいたしたのでございまするが、残念ながら、今日まで一応歩み寄りを見ておらない状況でございます。なお、そういうようなこともございまして、三月二日に団体交渉は打ち切りとなりまして、三月四日に組合から調停申請が出されまして、三月二十五日以降三回にわたって事情聴取が行なわれてきた状況でございます。なお、団交中からの問題であります四十一年度以降の賃上げにつきましては、民間給与状況等もだんだん明らかになってきておる実情でございますので、近く何らかの回答をいたしたいということで、他の方面とも連絡をとりまして検討をいたしておるのでございます。  なお、当事者能力の点につきましては、他の公社等と同様の実情にあるのでございます。
  144. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 次に、専売公社総務理事の新井君にお願いいたします。
  145. 新井喜一

    説明員(新井喜一君) 専売公社の交渉経過につきましてお答えをいたします。  全専売労働組合から要求が出ましたのは昨年の十一月二十四日でございます。基本給一律八千円のほか、若年層の賃金引き上げを含みます要求がございまして、四十年十月一日から実施をしてもらいたいという内容でございます。要求の内容の理由といたしましては、御承知かと思いますけれども、組合員の生活が非常に低い水準に置かれておるということ、物価上昇によってさらにそれが圧迫をされておるということ、民間の一流企業と比較をいたしました場合に専売の賃金が明らかに低いのではないか、あるいは子弟の教育費等が多くかかって、これまた非常に苦しい状況である等の理由が述べられたわけであります。それを受けまして、十一月二十四日から十三回にわたりまして交渉を持ったのでございます。この間、組合といたしましては、先ほど申し上げましたような理由につきまして種々資料を提出をし、私どもといたしましては、先ほど来お話がありますような、公社職員の賃金の系統のルールと申しますか、原則が公社法にございますので、国家公務員との比較なり、あるいは物価、生計費なり、さらに民間賃金との比較等に対する資料を提出いたしまして公社側の見解を述べたのでございます。当社といたしましては、私どもの資料によりますれば、これらの事項を総合いたしまして、専売公社職員の賃金を引き上げなければならないという事情にはないと思われるということを申したのでございまして、しかし、たまたま春を迎えようとしておることでもございますし、春の段階で民間企業の賃金が動くということも通常でございますので、今後の民間賃金の動向を十分に勘案して回答いたしたいということを述べたのでございますけれども、組合側はこれを不満といたしまして、四十一年三月十四日に調停申請を行なったのでございます。自来、三回の事情聴取が行なわれまして、労使とも従来の主張を述べ、資料を提出いたしました。なお、三回目におきましては、調停委員から、この段階においてと申しますのは、民間の一部企業において経営者側から回答が行なわれ、あるいは妥結をしたものもあるが、今日の段階で公社の見解はどうかという質問がございました。これに対しまして、お話のように、民間賃金の一部につきまして回答が寄せられ、あるいは妥結をしたものがあることはそのとおり新聞で承知をしておりますけれども、現在の段階では民間賃金の水準をはかるというには十分ではないように思われますので、今後の動向を十分注意をいたしまして、先ほど来申し上げます他の公務員との比較なり、あるいは生計費等と総合いたしまして公社側の態度を固めて、回答なり、あるいは公労委に対する見解を表明いたしたいということを述べたのでございます。  経過は以上のとおりでございますが、当事者能力につきましては、先ほど来、他公社、現業から述べられたのと大体同様の考えでございます。
  146. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 次に、造幣局東京支局長の村井君にお願いいたします。
  147. 村井国彦

    説明員(村井国彦君) 造幣局の村井でございます。  私どものほうも、昨年十二月の末に全造幣労働組合から五千六百円プラス八・五%という要求中心にいたしました賃上げ要求が出てまいりました。本年に入りまして、一月、二月と九回の団体交渉を持ちまして、その間にいろいろお話し合いを進めたわけでございますが、いままで各現業がお話しになったのと大体同じで、当局側といたしましては、やはり給与特例法にございますように、民間賃金というものがある程度出そろって、その上でそれらと比較して判断すべきものだということで考えておりますので、どうしても四月以降でないと回答できないということでおりましたが、組合のほうとしては、それが待てないからということで、三月四日調停に移行した次第でございます。その後三回事情聴取が行なわれております。まあその間に刻々と民間のほうもだんだんと相場が出かけております。私どもといたしましては、それらを勘案しつつ、しかるべき時期におきまして公労委のほうにも申し入れをしたいと考えております。  なお、当事者能力につきましては、私はこれはあると思うのでございます。ただ、まあ国営企業でありますだけに、その事業にいたしましても、また、予算にいたしましても、国会の議決を要する問題でもございますし、その面からくる制約というものは当然あってしかるべきものだ。その制約を受けた上での当事者能力を持っておるものと、かように解釈いたします。
  148. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 以上で説明員の説明が終了したわけでございます。  これより各委員の御質疑を順次お願いいたしますが、なお、大蔵省主計局次長の武藤君が出席なさっておりますので、御報告申し上げます。
  149. 野々山一三

    野々山一三君 いま全体として伺いましたけれども、結局のところ、民間待ちということが一つと、予算的な制約があるので回答ができないということで今日まできてしまったので、しかし、近い機会に回答しなきゃいけない、こう思っているというのが一般的な共通したお答えのように思うのです。  そこで、国鉄に聞きたいのですけれども、豊原さんのおっしゃるこの中で二つの点がポイントになるようですが、一つは、当時者能力は完全なものじゃないけれども、しかし、そんなことよりも、経営という観点から見るならば財源があるかどうかということであって、その意味では、ないというふうには言えない、こう言っていられるのになぜ回答しなかったか。なぜ団体交渉を二カ月もやっておって一銭も上げないというようなことを結果的にもたらすようなことをしたのか。  それから、今日的な時限で、第二の問題点として、同種の私鉄が出たので、もうあなたがおっしゃった公務員のこと、民間のこと、類似産業のことというものを勘案してという条件もおおむねそろったように思うのでと言われたけれども、それじゃ国鉄の調停は、もう事情聴取は終わって、あした合議に入るわけですけれども、回答をあしたする気があるのかどうか、この点を伺いたいのです。で、前段の点で特に言っておきたいのですけれども、銭は多少ともある。上げなきゃなるまい、こういうことを認めながらものを言わない。そんなことは一体団体交渉だと言えるのですか。その点もつけ加えて伺いたい。  それから、三番目に、去年の仲裁裁定の理由書、これはどこの企業でも同じだけれども、物価抑制を前提として六・二五というものを仲裁裁定として出すのだというような仲裁をしたわけです。ところが、電電の行広総務理事からお答えがあったように、これは内閣統計局でも明白に言っているのでございまして、物価のほうは三十六年以降、ずっと統計を見ていると、これはもうだれでも争いのないものとして七・三という数字が出ている。行広さんのお話によれば七%ないし八%という数字なんで、この点から言っても実質賃金が低下しているということを認めていらっしゃる。せめてそういうことなども認めた数字を、それなら金額にすればこうだというようなことが交渉の中でなければ話し合いというものはないのだ。この点についてあなたの見解を聞きたい。  それから、もうあまり何べんもやると時間がかかるからついでに聞きますが、行広さんに伺いたい。あなたの結論的な理由説明の中に、一つは、明白に実質賃金が低下している、民間との比較において千四百円ぐらいは電電が安過ぎる、こう思っているけれども、民間の相場がきまらないから回答しなかったのだという点、民間の相場がきまるということは、なるほどあなたの言われる気持ちもよくわかるのですが、しかし、明白に賃金をきめる基準というのは、あなたの理屈をもってすれば、法律に書いてある公務員、民間、費その他の事情というものによってきめる、こう書いてある。その基準に基づいて賃金を議論する場合に、当然そのものさしに照らしてみて安いということをお認めになるのに、団体交渉の段階で一銭も銭を出すという結論を出さない、結論的に書って金を出すという気持ちを見せない、こういうことが労使関係の上で決定的に信頼を失い、こんなことで公社の言うことを聞いていられるかという気持ちが労働者の間にみなぎってしまう。そういうことを考えるならば、一つは、なぜ回答を出さなかったのか。賃金も低い、上げなきゃならぬ事情は、ものさしから言っても当然だと認めておきながら出さなかった決定的な理由は何か。ぼくを納得させる理由を説明してもらいたい。  第二番目に、そういうような態度で一体労働問題を処理できるというふうに根本的に認識しているのかどうか。そして、しかも、あなたの答弁は、当事者能力がある、こう言っているんです。多少ないらしく見えるのは、制約が多少法律的、予算的にあるし、他人に相談しなければならない、こういうのだけれども、公労法第十六条を初めからしまいまで一ぺんここで大きい声で朗読してごらんなさい。協定というものは成立していいことになっている。ただし、資金上、予算上支出不可能なものについては国会の議決を求める手続が要る。二つの賃金を引き上げなければならぬ要件があるので、法律が資金上、予算上支出不可能な事情を持っている協定が存在することを認めている。にもかかわらず、全然回答をしない理由というのは一体何か。そこのところを公労法第十六条の資金上、予算上支出不可能なというものは、そんなものは法律に書いてあるだけだというなら、そういうふうにずばり言ってください。  三番目に、皆さんの全体の答弁の中に私が最後に言ったことがある。十何回も団体交渉をやり、三回の調停の中で全然上げない、結果が上がっていない。それでも経営責任者として労使関係を扱う上で、大上段に、けっこうなことですというならそう言いなさい、残念なことですと思うならそう言いなさい、こういうように言っておったけれども、だれ一人答えない。心中察するところ、たいへん心苦しいからだというふうに私は読み取りますけれども、そういう大事なところについてあなた方は答弁しようとしない。そういう態度が、実はこういうように十何年の間、首を切ったり懲戒処分をしたりすれば事がおさまるんだという警告行政に出発する。そういう観念によって事を始末するという態度です。だから労働問題は少しもうまく労使関係が確立できない、春になるとストライキが起こる、あたりまえですよ。そういう点についてあなた方が少しも反省していない。そういうところが実は私が最後につけ加えたことに対して答弁していないんじゃないかというふうに私は感ずる。で、おまえはそれは邪推だと言うなら、そのことについてひとつ私とわたり合う人があったら全部答えてください。答えられないなら、おっしゃるとおりですと、こういうふうに言いなさい。  以上、豊原さんと行広さんにとりあえず、なぜしなかったのか、認めていてもやらなかったのか、そのことについても答弁をしてください。
  150. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 私どものほうは、先ほども申し上げましたように、国鉄法の二十八条のうち、民間給与ベースというものは当時不確定である。それで、ほかの物価の問題、公務員の問題については先ほどのような見解を持っておったわけでございまして、ゼロ回答といえば結果的にゼロであったわけでございますが、しかし、民間給与が出そろえば考えるという態度は初めから持っておったわけでございます。したがいまして、いまの状況下におきましては、先ほども申し上げましたように、それらを勘案していま検討をやっておるという段階でございます。  で、しからばいつ回答するのか、あしたやるかという御質問でございますが、ただいまあしたやるということを断定的にお答えはできない状態でございまして、もう少しあるいは検討に時間を要するということもあり得るかと思います。  それから、昨年の仲裁裁定からあとの物価の問題でございますが、私どもは全都市総合の消費者物価指数というものを四十年の四月と四十年の暮れ、ないし四十一年の一月、二月当時と比べまして、そう非常に大きな差はないという数字をもちましてそういう考えを述べておったわけでございます。  あと、公労法十六条その他の問題がございますが、私どもといたしましては、従来からそういう協定ができると法律にあることは、もちろん私どもも承知をいたしておるわけでございます。今回の新賃金の問題につきましては、いま申し上げましたような事情でございましたので、こういう経過をたどり、いま民間の相場が相当に出てきたという段階でいかなる回答をするか、何らかの回答をしたいという姿勢をもっていま検討をいたしておる、こういう状況でございます。
  151. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 次に、電電公社総務理事の行広君にお願いいたします。
  152. 行広清美

    説明員(行広清美君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、四十一年度のベースアップの問題でございますので、その場合に、四十一年度における民間の賃金相場が出てから回答する。ただ、その場合に、先ほども申し上げましたような実質賃金の低下等の問題をあわせて留意いたしまして、その段階で回答いたしますと、こういうことに申し上げておるわけでございます。この点については、先生御指摘のように、いろいろと考え方、受け取り方があるわけでございまして、団体交渉におきましてもいろいろと深刻な議論もいたしたのでございますが、公社法三十条にありますように、民間の賃金も参酌するということになっておりますので、それが出たところで回答いたすということで申し上げてきた次第でございます。  また、公労法十六条の関係につきましては、私も御質問の趣旨は理解しておるつもりでございますが、今回具体的な回答をしなかったということにつきましては、十六条との関係を顧慮してその段階で申し上げたわけではないのでございます。また、当事者能力があるということを申し上げたのでございますが、それは予算等の制約もありまして、実際の問題といたしまして、運用上の問題といたしましては、十分それを発揮するということが非常に困難である、こういうふうな趣旨で申し上げたつもりでございますので、そのように御理解いただきたいと存じます。
  153. 野々山一三

    野々山一三君 そのお二人にもう一回念のために聞きますが、豊原さん、三回目だかの調停で、基幹産業や鉄や、類似産業である私鉄の賃金の動向は今月下旬だと思うけれども、出るはずであり、それを見きわめて今月下旬に調停の場で回答するという趣旨のことを答弁されたのですね、国鉄のやつは、あれは二十五日でしょう。二十五日で調停は切れるわけです。調停の二カ月が過ぎるわけです、私の承知しておる限りでは。事務局、長が出てこないから困るのだけれども、あした調停の合議があるだけですよ。あしたを除いて、一体あなたは回答すると約束しておるのだが、回答する機会がなくなってしまうじゃありませんか。実際問題でそういう機会がないようなことを、しかも、あしたできるかどうかわからないというようとなことをおっしゃるということは、問題解決に対して多少疑い深くなるのです。あなたの人柄というものはわかっておるから、私もあまりうるさいことは言わないけれども、しかし、話のつじつまだけは合わせて、きちっと誠意ある処置をしていくということが大事であるので、そのことについてあなたは関係方面の了解を得てと言っているけれども、関係閣僚会議はあした回答すると言っているのだけれども、それでもやはりあしたやるかやらないかわからないというふうにおっしゃるつもりなんですか。そこのところを、調停委員会で言ったことは間違いないですねということ、そのことについて伺いたい。  それから、行広さん、その十六条というものがあるということは知っているけれどもということですが、十六条というのは、予算的な制約とか何とかということがあることを前提にして調停の成立をすることを要求している、そうでしょう。その法律論はお認めでしょう。なのに、それを全然使わないという、あなたのずっとおっしゃってきた理屈からいって使わないという気持ちはどういうことですか。使わなかった気持ちはどういうことですか。いまでも使えるはずですよ。そのことについて、やはり何となく積極的に使わないという気持ちはわかる気もしますが、どういう理由ですかということをお聞きしているわけです。で、あなたのほうは、たしか二十五日でしょう。それで二十六日ということのストライキがいい悪いは別として、たいへんな事態にあるということを考えるならば、あなたは早く有額回答をしたい、こういうふうにおっしゃったわけですよ。たいへんけっこうだと思うけれども、そういう時期には必ずおやりになる、そうして事態収拾を考える、こういうお気持ちのように受け取りたいのですけれども、間違いがあったら御指摘をいただきたい、その二つについて。
  154. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 調停事情聴取の段階におけるやりとりにつきましては、その場に出ておりました職員局長から答弁をいたさせますが、いま野々山先生のおっしゃいました二十五日で期限がくるということはそのとおりでございます。また、二十二日が最後の調停であるかどうかということは、私は確実に承知いたしておりませんが、私どもの立場といたしましては、有額回答をいたしたいというのは、あくまで事態を解決したいということでございますから、その事態におくれるようなことはいたしたくないという考えは持っておるつもりでございます。
  155. 行広清美

    説明員(行広清美君) 第一の十六条の問題でございますが、先生のおっしゃるように、調停の場合におきまして十六条の援用があるということは、理論的にはそのとおりだと思います。しかし、先ほど私が申し上げましたように、四十一年度の賃金について回答いたしましたときには、その問題を特に顧慮して具体的な回答をしなかったというわけではないという意味で申し上げているわけでございます。  それから、第二点の調停の最終期限の問題でございますが、私のほうは三月十四日に申請しておりますので、五月十四日でございまして……。
  156. 野々山一三

    野々山一三君 行広さん、あなたはそんなことを言って、わざわざ私は、二十五日が合議でしょう、そして二十六日というのがあるが、一体そこでものを言うつもりはないのか、こういうことを聞いているのです。日限のことではないのです。合議の段階で、しかも、あなたも大体材料というのは出そろいつつある、そこは国鉄と少しニュアンスが違うけれども、まだ全部出そろったとは思わない、一部出そろったということですから、ニュアンスが違いますが、いまのところは同じだと思うのです。そういう事態を前にして関係方面とその話をするならするにしても、回答する気持ちはないか、こう聞いたわけですからね。第二の点では、もう一度前向きにお答えになってください。
  157. 行広清美

    説明員(行広清美君) 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、歩み寄りをいたしますというたてまえから考えまして、できるだけ早い機会に具体的な回答ができればやりたいというようなことで、現在検討しておる最中でございます。
  158. 森勝治

    森勝治君 国鉄の豊原さんにお聞きしたいのですが、いまあなたが最後で有額云々ということばを使われましたが、その前は何らかの回答云々ということばを使われたのです。そこで、私は、はっきりお伺いしておきたいのですが、有額回答をするということをはっきり言われておるのか、その辺のところをもう少し明快にお答えいただきたい。
  159. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 有額の回答をいたしたい。
  160. 森勝治

    森勝治君 そうなりますと、有額回答の御意思を表明なされたところは国鉄、電電、郵政、アルコールの四者でございますけれども、その他は有額回答の御意思表明なきものと理解してよいのか、有額回答の意思ありやいなや、未回答の方々にひとつお伺いしたいと思います。専売さん、林野、印刷、造幣。
  161. 新井喜一

    説明員(新井喜一君) 専売でございます。先ほど調停段階におきまして、調停委員からの質問に対するお答えを申し上げたわけでございます。その際は、一部企業におきまして民間賃金引き上げの回答なり妥結を見たものもありますけれども、賃金水準としてこれを見きわめるにはまだ時期が早い、その状況をさらに関心をもって見守った上で回答いたしたいということを申し上げたわけでございます。調停における私どもの見解は以上でございますけれども、現在の諸情勢を考えまして、私どもといたしましても、なるべく早く回答するという立場も認めておりますので、さような先ほど申し上げました事情を十分検討いたしました上で、早い時期に回答いたしたい、かように考えております。
  162. 森勝治

    森勝治君 あと三者あるわけですが、専売の新井さんにお伺いしたいのですが、いま早い時期に回答ということ、私は有額かいなかという質問でありますから、早い時期に回答というのは有額回答をする、こういうふうに理解してよろしいですか。これは大事なところですから、ひとつはっきり明快にお答え願いたい。
  163. 新井喜一

    説明員(新井喜一君) ただいまの回答で申し上げましたのは有額回答のつもりでございます。
  164. 森勝治

    森勝治君 それでは林野。
  165. 森博

    説明員(森博君) ただいま専売のほうからお話がありましたように、林野庁といたしましても、最近の情勢から早急に有額回答をいたしたいということで、せっかく検討中でございます。
  166. 森勝治

    森勝治君 印刷は。
  167. 遠藤畔

    説明員(遠藤畔君) 先ほど、現在の状況から見て何らかの回答をしたいということで検討中でございますと申し上げましたのは、有額の回答という意味で申し上げたのであります。
  168. 森勝治

    森勝治君 ただいまのお答えで、いずれのお役所も有額回答の意思あるものとこの席上ではっきり御答弁がなされ、意思表明がなされたわけであります。調停にかかりましてから、電電を除いて、他はいずれも三回、電電は二回調停ということであります。そこで、私は、さらに進んでお伺いをしてみたいのでありますが、いずれの方々も、当事者能力の点については力を込めて、当事者能力がある、あるということを明快に答えられております。ただ、郵政の方は若干違うのです。実質的な当事者能力があると、こういう答弁でありますが、郵政の土生さんにお伺いしたいのですが、その他の方々はいずれも当事者能力があるとはっきり言っておられますが、郵政のみは実質的な当事者能力があると、こういうことでありますが、一体実質的な当事者能力というのと形式的な当事者能力というものがあるものなのかどうなのか、その辺、他の官庁の方々の御説明と違うものでありますから、この点、あなたのおっしゃられた実質的当事者能力というのは、他の官庁の方々が説明された内容と全く同一なものか、郵政のみひとり別の考え方がおありなのか、この点ひとつお聞かせ願いたい。
  169. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 先ほどの私の説明があるいは不備であったかもしれません。私が申しましたのは、組合との間の団体交渉において、自主的な判断によって意思を表明するという意味では、これは別に他からの制約も何にもありませんから、その意味の当事者能力は完全にあると考えております。ただ、賃上げのように、それが給与総額の変更を必要とするようなものであるといたしますれば、これは郵政省だけでは実施できない、いろいろな予算総則、あるいは法律上の手続が必要となるわけでありまして、そういう意味においては、自分はいいと思って判断したことでも、それが郵政省の予算総額の変更を必要とするものであっては郵政省だけではやっていけない。その面については、条件といいますか、制限付きといいますか、そういう当事者能力であろうということを申し上げたわけでありまして、おおむね他の公社、現業と同じだと思っております。
  170. 森勝治

    森勝治君 電電公社にお伺いしたいのでありますが、先ほど野々山委員からも質問がありましたように、六・二五%の値上げがなされたが、実質的には、あなたの説明を待つまでもなく、七%から八%物価が上昇いたしておりますから、あなたもこのことを言明されたように、一%ないし二%実質賃金の低下ということであります。したがって、御説明にありましたように、民間よりも電電公社の職員はおしなべて千四百円低い賃金だと、こういうことであります。もしそうだとするならば、いたずらに電電公社の職員を低賃金に縛りつけておいたと申し上げても私は過言でなかろうかと思うのであります。しかるにかかわらず、昨年は十六万人もこのことによって処分をしているわけであります。当事者能力があるならば、当然こうした民間よりも低賃金にあえぐ従業員に対して、やはり民間と同様に、他の官庁と同様に社会一般の生活水準を向上させることが経営者としての当然の責務であろうと思うのであります。そういうところはたな上げしておく、それで、電通の職員がおのれの生活をささえるために、やむにやまれず職場大会を開催すると、一方的になたを振ってくるということであるならば、これはもう何をかいわんやであります。したがって、自分たちのそうした能力をたなに上げておきながら、組合側を十六万人も不当処分したということになると、われわれは先ほどのあなたの説明を聞いて、どうしても合点がいかない。したがって、この点についてのひとつ見解を承りたい。
  171. 行広清美

    説明員(行広清美君) お答え申し上げます。  私ども、職員給与改善につきましては、できるだけの努力をしてまいったつもりでございまするし、今後も努力をしてまいりたいと思っております。ただ、その際に、私どものほうといたしましては、公共企業体でございますので、企業の発展とサービスの改善、あわせて給与改善ということで、社会的な御理解をいただけるような形におきまして給与改善を進めていくというふうに考えておるのでございます。昨年度におきましても、給与の問題につきましては、できる限りの努力をいたしまして、経営責任の遂行にはつとめたつもりでございます。   〔委員長退席、理事佐野芳雄君着席〕  ただ、先生御指摘の処分の問題は、私どもといたしましては、公労法上の違法なストライキを実施したことについての責任を追及したのでございまして、私どもは、あくまでも違法な行為はやはり断固として処分をいたしまして、公共企業を扱う立場からいいまして、これが責務を遂行せざるを得ないというふうに考えておるのでございます。
  172. 山崎昇

    ○山崎昇君 関連。二つばかり聞きたいのですが、一つは、国鉄の方にお聞きしたいと思うのです。あなたのさっきの説明ですと、全国の都市の消費者物価を調べてみると、そう上がっておらない、こういうあなたの答弁。一方、電電のほうはかなりの物価上昇があって、実質的に給与が低下をしておる、こういう答弁だった。私は、今度の国会は、国民の皆さんが言うには、物価問題中心の国会だといわれるくらい国会では物価問題が論議をされております。そうして政府を代表して、いずれも異常なことしは物価の値上がりでありますと、こういう答弁が経済企画庁長官等からされている。こうやって見ると、また労働者も国民も、実際いまの物価値上がりについては生活が困難だという感じをしておる。こういうのに国鉄だけがそう物価が上がっておらないと、こういうことになります。この点ははっきりひとつ聞いておきたいと思います。また、どんな資料を使ってそういう結果が出ているのかもこの際お聞きしたいと思うのです。   二つ目は、これは各公社に全部聞けばいいのですけれども、そういうわけにもまいらないので、もし代表されるならば、国鉄さんがひとつ代表して回答願いたいと思うのですが、二十六日は統一ストライキがある。私ども社会党としても、こういうストライキはなるべく回避したいという意味から先ほど野々山委員も質問しておるのですが、そういう意味で言うと、有額回答をするについても、二十五日までに経営者側の回答がなければ、これは何にも回答がないというのにひとしいと思うのです。そういう意味で言えば、労働者のストライキは、だれがどう言おうとも、正しいこれは権利行使となると私ども思うのであります。そういう意味で、先ほどあす回答するのかという質問に対して明言を避けたわけですけれども、有額回答しなければならぬというのが全部の方々の答弁であります。そこで、一体いつごろそういう回答をするというのか。これはもう日限が二十六日のストライキですから、二十五日まで、二十四日は日曜、あさっては土曜日です。一般勤務時間からいえば、当然土曜日の午前中くらいまでにというのが私ども考えるのですけれども、そこらのことを、もう少し回答する時期について明確にしてもらいたい。これは国鉄さんに代表してほしいといってもなかなか代表できないかもしれませんが、できれば全部の方々からそういう時期を明確にしてもらいたいと、こう思うのです。
  173. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 先ほどの私の第一の消費者物価指数の問題でございますが、私が申し上げましたのは、四十年の四月と最近と申しますか、ことしのを比べますと、そう大きな物価の値上がりはなかったということを申し上げたわけであります。  それから、もう一つの、有額回答をいつするかという問題につきましては、先ほど野々山先生の御質問にお答えしたと同様でございまして、二十六日の事態を現実の問題として見まして、これを何とか収拾するという考え方は私どもが強く持っておる点でございますから、ただいま先生のおっしゃいましたように、その時期を失して有額回答をするということは意味がほとんどないということにもなろうかと存じますので、その時期については、私どももおくれないようにやりたいという考えは持っておるわけであります。ただ、明日中にどうかという御質問に対しましては、いまここでその断言はできません、こういうことでございます。
  174. 佐野芳雄

    ○理事(佐野芳雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  175. 佐野芳雄

    ○理事(佐野芳雄君) 速記を起こして。
  176. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私しろうとでわからぬのですけれども、この五現業問題については。もし誤っておったら指摘していただけばけっこうだと思います。  一番最初に、野々山委員が御質問されたように、賃金問題に対する毎年の行事として、政府も一般も全く指摘しておられることだろうと思うのです。ところが、直そうというその精神はどこからも出ていない、私はこう思うわけです。各責任者の方からの回答を聞いておると、当事者の能力は完全にあるとは言っておられないけれども、責任を持ってやるんだ、こういうふうに私は回答しておられると思うのですよ。ところが、いままでの発表から見ると、私はその能力はないと断定せざるを得ない点がある。もしこれが当事者能力があるとおっしゃるならば、これは郵政の土生さんのほうから発表があったのですが、郵政だけでは問題の解決がつかぬとおっしゃる。郵政だけでは出せないとおっしゃる。もし郵政だけで出せないというならば、一体全体の話し合いをされたことがあるかどうか。これは責任を持って話し合いをすべきだと思うのです。たとえば電電等においては千四百円も安いと、実質賃金は追っかけ賃金になっておると、そうして従業員の苦しいのもわかっておると、こう同情を寄せておられる。同情を寄せておるだけで、実際に百五十日、半年もかかって回答が出ないというような行き方が正しいか正しくないかということですね、私はここに問題があると思うのですよ。それで、当事者能力があるとおっしゃるならば、一企業だけでできないというならば、全部の企業が集まって、今日の物価値上がりから考えてみてこれだけを現在出すべきじゃないか、こういう姿勢が私はほしいと思うのですね。そういう姿勢がとれないところに私は当事者の責任がないと断定せざるを得ないのです。皆さんがあるとおっしゃるなれば、財政法並びに会計法の改正をせぬでも実際やれるのかやれぬのか。やれるとおっしゃるならば、私は、先ほど言われたように、これは郵政省だけがおっしゃっておるのですが、郵政省だけではいかぬと、こうおっしゃる。そんならみんなが話し合いして、その企業企業の財政の内容もありましょう、あるいは、また、賃金の格差もありましょうから、それは別として、物価の値上がりからくる賃上げというものはどの程度と、まじめにこれは示すべきだ、そうして労使慣行を確立すべきだという私は熱意があってしかるべきだと、こう思うのですよ。それでも皆さんどうですか、みんなに聞くわけにはいかぬでしょうが、労働大臣に私はお聞きするのですが、これでもつまり当事者能力を持っておるのだと、持っておってこういうあいまいなことが日本の労使慣行をつくるのに正しいのか正しくないのか、私はその点のひとつ大臣の意見を聞きたいのです。私はこれじゃいかぬと、こういうふうに考えます。半年もかかって、ただ団体交渉して聞き置く程度、こういう団体交渉のふまじめな行き方が今日の私は労使関係をつくって、そうして、しかも、最後的にはストライキをかけて国民に迷惑かける、また年中行事が始まったのかと、こういう批判を受ける。それは労働者が悪いんじゃないんですよ、行政上の私は指導もやはり誤っておるのじゃないか。当事者のこの能力の問題もあるとは言うけれども、実際にはないのじゃないか。あるならば、私が言うような方法で話し合いをして、かりに物価値上がり分だけでも、この際、組合にまじめに示すべきである。この事実を答えてこそ、労使慣行は私はできると思うのですが、大臣どうお考えですか。
  177. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 公共企業体のいわゆる当事者能力の問題につきましては、原則としてはもちろん当事者能力を有すると、まあこういう見解をとっておるのであります。ただし、御承知のとおり、予算の関係から、あるいは公労法の関係、さらには各公社の給与のきめ方に関する法律上の規定、こういう面で各理事者が、いかなる時期においても、また、その額等につきましても、全然フリーにできると、こういうことになっていないことは先生承知のとおりでございます。そういう意味においては完全なる当事者能力というわけにはまいらぬと思います。しかし、これはまあ国の法制上、あるいは予算上そういう規定になっておるのですから、一面においてそれらを守らなければならないことも、これまた当然のことだと思います。そこで、そういった若干の制限規制はありまするが、その間にあっても、政府としては、極力当事者能力を発揮して労使間の交渉に当たり、その関係の正常化に努力をしていただきたい。とりあえずはそういうことでやってもらうはかなかろうということで、御承知のとおり、昨年の一月の次官会議においても、大体以下申すような趣旨の決定をいたした。すなわち、一口に申せば、現行の法制のもとにおいて、あるいは予算制度のもとにおいて、できる限りひとつ各理事者に当事者能力を発揮していただくようにひとつ努力を願おうと、まあこういうたてまえをとっておるわけです。また、しかしながら、根本的に申しますならば、この問題は、いわゆる公共企業体等がいかなる姿にあるべきかという、その企業体の性格そのものにもこれは根ざすわけでありまして、また、一面からいえば、少なくともこういう規制、制限があるということは、労働権との関係等から考えてもどうか、まあこういうことも問題になっておることは、これは御承知のとおりでございますので、基本的には例の公務員制度審議会においてその御検討をいただこうというので、現に御検討をわずらわしておると、将来の問題についてですね、まあそういう事情に相なっておるわけでございます。
  178. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ、これは大臣は見えなかったのですけれども、こういう八つの企業体のいろいろ異なっておりますけれども、一致しておることはこういうことが一致しておるのです。民間企業の動きを見てきめたいと、こうおっしゃる。しからば、民間が非常に景気がよくなってものすごくもうけた場合、一体民間企業だけ出すんですか、どうです、それ。こういう理に合わない考え方自体に私は問題があると思うのです。民間企業がどんどんもうける、まあ住友が出ましたが、住友まで出すかといったら、出しゃせぬでしょう。やっぱり平均の民間を見るんでしょう。これでは、一体民間をねらうなら、ものすごく民間が上がったときにそれだけ出すかといったら、それは出さぬでしょう。そうじゃなくて、やっぱり賃金そのものについては、それは全体のにらみ合わせというものはあるでしょうけれども、現在のような労働者の追っかける賃金になっておる場合、これはもう電電公社の方がはっきり言っておられるが、そのとおりだと思うのです。よく私は団体交渉でこのことをやっておられると思うのです。そこまでやっておられるにもかかわらず、とどのつまりは何かというと、民間の動きを見ておられる。そして八つの企業が、一体ことしの労働者の賃金はどのくらいかという相談もされない。そうして私たちは能力あるんだと、こうおっしゃっているわけです。能力のないことを自分たちがしておって能力があるといわれたって、これはそういう労使関係というものは私はないと思うのです。私は、なるほど郵政省の言われるように、一つの郵政省だけでは解決をつけることは困難だとおっしゃる、これはそのとおりだと思うのです。それならば八つの公共企業体を中心とする話し合いができて、物価の値上がりからくる賃金の安いところはもっと多く上げてやる、こういう姿勢が私は労使慣行をつくる正しいあり方だと思うのです。どうですか、大臣一般企業がどんどんもうけて上げた場合、政府も上げるつもりですか。それはよろしいと、予算措置もよろしいと、こういう考えですか。
  179. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) まず、民間の賃金との関係でございますが、これは先ほど私が当事者能力について、時期のいかんを問わず、自由にとにかく当事者能力を発揮して賃金をきめるというようなことが法的にも困難な事情にあるということをちょっと申したのですが、その時期的なことを特に私が申し上げましたのは、現在の各公社を規制しております給与のきめ方等は、大体公務員の給与、それから民間給与、物価その他の状況、大体これらのものを勘案して当該企業体の給与をきめなければならぬと、多少表現が違うかもしれませんが、大体そういう規定があるわけでございます。したがって、そういう点から申して、すべてが民間給与に従うということではございませんでしょうが、少なくとも民間給与の動向というものは、当該企業の賃金の決定にあたっては考慮しなければならぬ、こういうふうに規定されておるわけでありまして、そういう点から各企業体の人もおそらく申したのだろうと思います。民間の賃金だけできめるということでは決してなかろうと思います。ですから、民間が上がったからそのとおりそっくり上げるかとおっしゃられましても、必ずしもそうではございません。それは考慮はいたしましょうが、民間と同じに必ず上げるんだ、ましてや成績のいい一企業がたくさん上げたからそれに従う、そういう関係では、もちろん先生承知のとおり、ない、かように考えております。
  180. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それはだから一つなんでしょう、動きを見るというだけでしょう。動きを見るということは、先に見ることも一つの見通しですよ。あとから見ることもそうでしょうが、私は、やっぱりそこが問題だと思うのです。したがって、もうこの段階になって私は多くは質問いたしませんけれども、少なくとも、きょうも大臣おっしゃったように、二千百円ですか、私鉄も出たとおっしゃるのだが、そのほか、もっと昨年より五、六百円ふえるものも出ておりますね。したがって、動きはわかるのですが、そういう事態ならば、大臣がまとめて早くあすにでも出してやるということを私はやられるべきだと、こういうふうに考えておりますが、これは希望意見として申しておきます。
  181. 野々山一三

    野々山一三君 当事者能力のいろいろ議論を出しましたけれども、結論的にいえばあると言う人もあるけれども、しかし、ただしというのが必ずついておる。結局はないということになるわけで、そこで、私は、あなたに念のためにまとめた意味で聞きたいわけですが、おととしの春に池田総理と総評の太田君との間に、この問題について一つは取りきめがなされておる。それは三治さんと私との間でやりとりした結果として、調停機能というものが十分にその役割りを果たしていないということをまとめておっしゃったわけです。でありますから、残念ながら六十日を過ぎて、あともう四、五日というときに、なおかつ全然この話が進まない、こういう状態になっておる事実から見ても、機能を果たしていないということになることは、もう争いのないことです。まああなたは、私もそうですけれども、よその人に委員を頼んでおいて、おまえたちうまくいってないじゃないかということはなかなか言いにくいものですから、だから、気持ちはわかるけれども、とにかくそういうことを言っておったのでは根本問題の解決にはならない。  そこで、お伺いするのですけれども、三十九年の四月十六日に総理と太田君との間に約束した幾つかの中に、調停、仲裁の二つの機関があるが、事実上これが無意味になっておる面があるので、この紛争を機会に再検討したい、つまりその紛争を再検討したい、そういうふうに言っておられるのですけれども、この点はお認めになるかどうか。この考え方を今日の佐藤内閣も御確認なさるかどうかということについて聞きたいわけです。  それから、第二番目に、そのことにさらに付随いたしまして、昨年の春闘の最後の段階におきまして、私と橋本長官との間に、当事者能力問題についてはすみやかに解決のために措置する、こういう約束をしておる。これは佐藤内閣の官房長官、このことは当然あなたも御確認なさるはずです。このことについて確認をなさるかどうか。  それから、あなたは衆議院の社労委員会でも、いま高山委員の御質問に答えられたと同じように、公務員制度審議会に相談しているので、そっちの成り行きを見てというふうに一生懸命おっしゃるのですけれども、これはやはり前に池田さんが御確認なさったこと、橋本さんと私との間に約束をしたことから見れば、そっちにだけたよっているわけにはいかないというのが私の気持ちなんです。そのことをつけ加えてもう一回申し上げますけれども、太田・池田会談の際に約束をした、調停、仲裁の二つの機関があるが、事実上これが無意味になっておる面があるので、この紛争を契機に再検討したいということを御確認なさっていただきたい。このことを答弁していただきたい。
  182. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) いまの野々山先生の御指摘は、三十九年の四月における池田・太田会談の際は、ただいまの調停、仲裁の制度は、まあことばは違うかもしれませんが、十全でないので、これが改善をはかる、まあこういったことを申し合わせたのを再確認するかということでございますが、ここにございます資料から申しますと、申し合わせ事項として、公共企業体と民間企業との賃金格差は云々ということ、それが第一。第二は、公労委の決定についてはこれを尊重する、この二つが文書でのあれというふうにいまここで見たのでありますが、その点は、なお私のほうもよく調べてみます、実は私も十分そこまで調べてございませんでしたから。しかし、いずれにしても、先ほど来お話にございますように、従来まあ調停の段階で問題が解決をしにくかったということは、まあ結局はやはり当事者能力という問題ともからんでまいっておると私は思います。ですから、この当事者能力をどうするかということは先ほど御答弁申し上げたとおりなんでございまして、この点は池田・太田両氏の会談を受けて、やはり昨年の一月に次官会議で、御承知のような次官会議の決定ということで、現行制度のもとでも極力当事者能力を発揮していただこう、また、根本的なことは公務員制度審議会で御検討いただこうと、こういう決定をしたのでありますから、政府としても、この問題には、審議会の審議の結果ももちろんこれは尊重されなければならぬでありましょうし、できるだけ当事者能力というものを発揮できやすいような方向において考えていかなきゃならぬ問題であると、私もさように考えております。
  183. 野々山一三

    野々山一三君 あまり時間がないときに繰り返したくないんですけれども、太田・池田会談の内容というものは六項目にわたっておるのです。あなたのおっしゃるのは第一項目だけで、第五項目目というものがいま読み上げたものなんで、これはいろいろくどくどおっしゃらずに確認なさってけっこうです。  それから、いまあなたは、去年の次官会議で、現行制度のもとにおいてもできるだけ運用によって当事者能力が発揮できるようにするということをきめておるということを言われたことも、また、私も、事実あなたもおっしゃったとおり。そこで去年の有額回答というものが生まれたわけですが、その実を生かす趣旨は、今月五日に公労協の代表諸君と官房長官との間に話し合いが行なわれた際に、仲裁裁定で出るような金額が交渉段階、調停段階で出るような意味の当事者能力を与えるべきであると思う、こういうふうに答えた。これは当然太田・池田会談に出発し、去年の段階、そして私と長官との間の話、そして今度の公労協の代表諸君に答弁されたものというものは一連のものだ、そういうふうに私は理解しているのです。これは議会ではないので、代表と長官の間の交渉ですけれども、公の機関です。おそらく長宮の言われた気持ち、趣旨をそうじゃないというふうにはおっしゃられないものだというふうに私は確信をいたしますが、念のために、気持ちとしては同じだというふうに言われるだろうと思いますが、御確認をいただきたい。そうすると、そのことが、つまり現行制度の運用によって事実上解決するということに中身が伴なうということになるのです。そして、それはまた一連の作業として、あなたが御指摘になるような公務員制度審議会で法律的な根本的、制度的なものを改善する、こういうふうに検討をなさるということで、一体的なものになって生きていくのだ。これは大事なことになるような気がどうもするので、あなたの御見解を伺いたい。
  184. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生お示しの、四月五日における官房長官と公労協との会談において、官房長官から、仲裁裁定で出るであろうような額をいわゆる有額回答の際にするのがほんとうだという意味を申し……。
  185. 野々山一三

    野々山一三君 回答できるような当事者能力を与えるべきだと思う。
  186. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) いずれにしても、実はその席には私は立ち会っておらなかったと思うのです。ですから、どの程度の当事者能力を与えるべきだと官房長官がおっしゃられたのか、実は私も官房長官から聞いていませんし、いま初めて伺うので、これをとやかく私が実は申すのもいかがかと思うのですが、しかし、私は、まあかねがね申しておりますように、また、先ほど来申しますように、当事者能力というものにはある程度の制限のあることも事実ではあるが、しかし、その間においてもできるだけ当事者能力を発揮して、ほんとうに労使が相互信頼ができるような姿において団交を十分やってもらいたいし、また、団交でこれは遺憾ながらどうしてもまとまらぬという場合には、調停の段階において、次善の策として、できることならばそこでまた最善の努力をしてほしい、こういう気持ちには私は変わりはないのであります。そこで、しからば仲裁裁定で出る程度の額の回答ができるような当事者能力ということになりますと、そういう具体的な額に関係することになってまいりますと、これは考え方かと思いますが、私それにしても、一方において仲裁裁定で出るようなところまで、結論が出るところまで回答が出るようにというところまでは、私は労働大臣立場からいうと、そこまで私が申すのはどうか。私はいつも申しておりますことは、まあ大体この世間の常識的な額というものがあるだろうし、また、組合側から見て、やはり当局相当誠意を示したんだと、こう認めていただけるような額、そういうそれぞれの企業において事情も違いましょうから、その事情に応じ、最大限の努力をしたんだ、そう見ていただけるような額の程度のことはぜひやってほしいと、私はもっぱらそういうふうに申しておるのであります。
  187. 野々山一三

    野々山一三君 たいへんこう回わりくどいことをおっしゃったけれども、結局常識的な結論が出るような、その回答ができるような能力を与えたい、こういうことにおっしゃったんだと了解をしておきたいと思います。それはことばをかえていえば、仲裁に出るようなということなんでありますから、そういうふうにあなたはきょう御了解をしていただいたとして、ひとつ公務員制度審議会へも十分にあなたの意思を伝えていただいて、善処をしていただきたい、これが一つ。  それから、さて、第二番目は具体的な問題なんであります。いま議論をしたような意味合いを前提といたしまして、たいへんきょう三公社五現業の皆さんも来てもらって、十分な質問ができないで申しわけないのですが、詰まるところは、関係方面と相談をして、そして結論として有額回答をしたい、こういうのであります。そこで、これはもうこの段階ですから、ひとつぜひずばりおっしゃっていただきたいのですが、あした国鉄が労使の第一回、そしてあと二、三日で調停期間が切れるわけですが、こういうことが一つ。それから、伝え聞くところによると、十九日の関係閣僚会議でも、今週末には有額回答したい、こういうふうに言っておられるようでありますから、それは額の問題はあとで議論をいたしますが、まず、当事者能力問題の発展として、あなたが繰り返えされたように、あすあたりは当然有額回答をされるべき時期だ、こう思いますが、伝え聞くような数字でお進めがいただけるかどうか。これは一つの今日的な問題の進展するしないは別として、問題のかぎになるというふうに思いますから、ずばりお答えをいただきたい。
  188. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 結論的にそのものずばりで申しますならば、一昨日の関係閣僚の打ち合わせ会で、三公社五現業においては二十二日までに有額の回答をすべきである、こういう関係閣僚の見解の統一をはかったわけであります。それが一つで、第三は、どういうふうにするか、どういう程度やるかは、これは各企業体でひとつ検討しなさい、すべきである、こういう二つの見解の統一をはかったわけであります。先ほど来話題になっておりまする企業体の当事者能力ということは、政府としては極力これを尊重していくと、こういうことでございますから、各企業体でこれは何らかの事情でどうしても二十二日にできないというのであればどうかと思いますが、それはせっかくこういう閣僚の見解の統一をしたのですから、有額回答を二十二日にしてくださることを期待いたしております。
  189. 野々山一三

    野々山一三君 じゃ、あしたやる、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。──そこで、有額回答をめぐる問題で、私が前提として、金額の問題以前の問題として次の問題をお伺いしたいのですが、あなたは、しばしばあなたのもとで調停でまとまるように最善を尽くしたいというような気持ちを述べていらっしゃる。この点も念押しみたいですけれども、あなたの気持ちに変わりはないですね。
  190. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 私の気持ちは変わりございません。
  191. 野々山一三

    野々山一三君 二十五日には国鉄の調停が切れるわけですからね。そこで、どうしてもひっかかる場合ができる感じがするのは私鉄の問題です。あなたは途中で退席されましたから詰めを申し上げることができなかったのですが、二千百円という回答が出た御報告を承りましたけれども、私はもう一ぺんあなたのこの議論の最終的な気持ちとして、最善の努力を労使がして、自主解決によって労働者が納得をして事態が回避できるというようにあなたとしては十分考えていただく、こういうことが勢い公労協のいろいろな調停なり何なりを進める上でのかぎだ、こういうふうに思われる節がある。それは国鉄をはじめとして、各公社の皆さんが、特に国鉄などは、公務員、物価、そして運輸産業の私鉄、そうして注目しておった鉄の回答も出たので、もう回答する時期だと思うけれども、関係筋と相談をして回答する、こういうふうに言っておられる節から見ても、ある意味ではこういうことがいい悪いは別として、この紛争を解決するかぎに思われる。でありますから、いま申し上げたポイントは、ひとつ自主交渉によって労使労働者を納得させるような努力をして、そして良識的な解決ができるように考えたい、こういう気持ちがおありかどうかということを念のために申し上げておきます。
  192. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 私鉄の関係につきましても、先ほども申しましたが、私としましては、労使間で極力話を煮詰めまして、円満に解決ができることを強く希望し、期待いたします。
  193. 野々山一三

    野々山一三君 そこで、有額回答はあした出されるということを確認していただいて、あなたがかつていろいろな機会に述べておられることについて若干復習しながら聞きたいのですけれども、去年三百円か五百円ぐらい出した、それがぎりぎりの回答だなどとは当然考えられない、もっと世間も納得するようなというようなことを述べられたと思います。そこで、あなたお見えにならなかったので非常に残念ですけれども、たとえば電電公社の場合には、去年想定したつまり物価事情というものは、去年よりも相当上回って、七%ないし八%上昇している。去年の仲裁裁定は、物価抑制を前提とした仲裁裁定の理由書がある。その理由書に基づいて考慮するならば、実質賃金が二、三%は低下していると思われる。それから、二番目に、民間給与との比較から見ても、千四百円ぐらいは電電公社の職員が低い。しかし、これはまだ春闘相場がきまる以前の条件において低いのだ、こういうわけです。そこで、春闘相場も出つつあるので、それを前提にして有額回答をすみやかにしたいと思っている、こういう答弁があった。で、民間は大ざっぱに見てみまして一一%前後の給与の改定ということが、おおむね経営者側の自主回答の中で出ているわけです。そういうことを見てみますと、当然理事者側から三百円、五百円なんということはありっこないし、電電の場合だったら、いままでも千四百円ということなんでありますから、あなたのお出しになるいままでの物価及び民間賃金の動向を考慮しながら三百円や五百円ではぎりぎりだと考えない、そういう立場で有額回答をしたいというようにおっしゃっておられたことから見れば、私がいま申し上げたような数字は、せめてこの回答段階で出されるものと私どもは期待していいのか、こういうことを伺いたいと思います。で、これだけじゃ誤解を与えると困りますから、私はちょっとつけ加えておきますが、組合の要求はもちろん八千円以上であることは当然で、さらに、また、公務員との比較でも二千円ぐらいは当然安い、国鉄は何か四千三百円ぐらい公務員とだけ見ても安い。それから、去年は公労協は六・二五%のアップだけれども、公務員は六・四とか九とかいうことでありますから、そこから見てもうなずける。そこで、歩み寄りが調停段階で行なえないから、どうも調停機能を果たし得ないのだという三治さんのお話があった。調停段階でまとめるということがあなたのお気持ちである、こういうふうにおっしゃっている以上は、当然この今日的に予想されるいま申し上げたような数字というものは、あなたがしばしば述べられているように、比べて見れば歩み寄りの第一段階だと、こう考えられるのは、私はやや常識的な話じゃないかという意味で聞くのです。それから、そういうような誠意が、この春闘でも、いままでの過程においては、私は文句はさんざんありますよ、しかし、組合の段階で、政府がそういう姿勢をとられるということによってのみ労使関係で新しい機軸をつくり出すだろうという期待を私は持っている。それがひいてはいわゆる事態収拾に役立つような気がする。こういう三つの理由から常識的ではないかということばを持っているのでありますが、所見を聞きたい。
  194. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 私は、まず第一に、前提として先生に御了解を願っておかなければならないと思うのでありますが、公共企業体の労使の問題、それについて私が発言をいろいろな機会でいたしておりますことは、かくあってほしいと申しますか、いわば第三者的な立場で私はいつも申しているのでありまして、私がそうするこうするという立場ではないことは、これはいまさら申し上げるまでもないことですが、念のために申しているのですが、そういう前提に立って、私は、各公社がもちろんこれは自主的に判断をなさって、できるだけこの賃金交渉においてもベストを尽くしたのだと、こう世間からも理解をいただけるような回答を出してもらうことが、それが労使関係の正常化をたとい一歩でも二歩でも──実際問題としてなかなか一回でそう満点にはいかぬでありましょうが、しかし、一歩でも二歩でも、この際、そういう方向にいわゆる姿勢を向ける、こういうところに私は意義があるんじゃないかと思います。ですから、そういう意味でできるだけのくふうをしていただいて、お互いの信頼感というものをできるだけ回復の方向に持っていく、こういう意味からひとつぜひ努力していただきたい、また、そういう立場で回答もしていただきたい、こういうことを私はあらゆる機会に申しておるわけでございます。
  195. 野々山一三

    野々山一三君 大体聞いてるとよくわかるような気がするのですけれども、一ところだけ穴があく。それはできるだけ世間を納得させるような状態にいけるようなことになりたいが、しかし、なかなかそうもいかないので、そういう姿勢を見せると、こういうことで逃げてる。これはやっぱりもう一ぺんこじれますよ、そんなことじゃ。姿勢ということは、とりもなおさず、ぼく流に翻訳すれば、去年まあ最初に五百円出した、あとで百五十円足したり、電電のごときは、最初に出したより五十円減ってしまった、そこで、これはまずいからあとで百円から二百円出す、これも姿勢の一歩でも二歩でもということになるが、そういう考え方は根本的にまずいでしょう。私流に翻訳し直すといかにもまずいことだというふうにあなたもお気づきになる。この点はそういう意味じゃなくて、もう先ほどあなたも何べんも繰り返されたように、世間相場も出つつある、それで、そういう観点から世間を納得させるような有額回答を出してくれるように各公社に期待している、こういうストレートなことばに置きかえてもらいたい。
  196. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) そういうことでけっこうであります。私はそう考えております。
  197. 野々山一三

    野々山一三君 それじゃ念のためにもう一回繰り返しておきますが、あした出すとおっしゃる回答は、民間給与も出ておることであるので、それらを十分考慮して有額回答をしてくれる、こういうふうに期待している、私どもも期待する、こういう程度にこのくだりはしぼっておきたいと思います。   〔理事佐野芳雄君退席、委員長着席〕  それから、これはなかなか理屈上は問題があると思いますけれども、あなたの気持ちだけを聞いておきたいのです。調停はおそらくもう二日か三日しかないわけで、あなたがあした有額回答をする、こういうふうにおっしゃっていただいたものだから、おそらく公社の諸君は言うでしょう。公社の諸君は、あなたがお見えになってそういうことを言うまでは、関係方面と相談してすみやかにあしたやるかと言ったら、そんなことはわかりませんと、こう言ってるので、結局はそこから見て、政府がやはり事をきめるということが非常にこの問題の進展のかぎになっているということが正直に言われたと、こういうふうに私は思います。また、そういう関係だと思います。そこがまあ当事者能力のネックになっておるということばに置きかえることもできると思います。それで、私は、年々あることですけれども、この事態は、やはり調停委員会のほうがどうも機能を果たしていない。池田さんからちゃんとお墨つきをいただいてしまったほど機能を果たしてないわけですから、あなたのほうでやはりこの数日中に公労協の諸君を納得させるような話し合いをされるということが、私は、新しい意味においていい姿をもたらす事情じゃないかと思います。それで、まあ四角四面な言い方をすれば、いや、定期会談もあるじゃないかなんという話もなさるかもしれませんけれども、そんなことではこれはなかなかうまくいかないですね。公労協の代表と政府側を代表するあなたとよく話し合うという機会をすみやかにお持ちになる気持ちはないかということ、私はそういう話し合う機会を持たれることが事を前向きに進めるかぎになるという意味で考えておりますけれども、おすすめをいたしたいのですが、いかがでしょうか。
  198. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) これも念のために、あとで誤解があるといけませんから。私は、まず第一に、あす有額回答をするという政府の見解の問題ですが、先ほど申しましたが、政府のほうから先にきめて、何でもかんでも二十二日にやれと、こういうことになると、これは当事者能力を尊重しないという問題になってくる。私は二十二日に回答をすべきであるという政府の見解を一応表明してあるのですから、これを受けて、あとは自主的に各当事者において御判断をいただくと、こういうことをわれわれは御判断の上に、やはり二十二日にしてもらうことをわれわれは期待いたしておる、こういうことを先ほど来申しておるのであります。  それから、第二点は、公労協の代表と私ども会ってこの問題の解決をはかったらどうかという趣旨かと思いますが、実はこの点は、私は、やはりいま御承知のとおり、各組合から中労委に問題が持ち込まれて、中労委がせっかくいわば俗にいえば、まあ仲立ち役のようなことで調停に当たっておる際でございますから、そのほうでいくのがやはり本筋じゃないかと思います。ですから、いまこの席で、私が公労協の諸君と会ってこの問題の解決のことで話し合うというのは、どうもちょっといかがかと、私はまあそういう感じを受けます。ですから、いまのところは、別段この春闘の問題、賃金の問題でいま会って話し合うと、こういう気持ちは、私は遺憾ながらございません。
  199. 野々山一三

    野々山一三君 真正面からいけばそういうことをおっしゃるのはわかる。しかし、やはり何回も繰り返しているから、私の言おうとしている気持ちはあなたもおわかりだろうから、真正面から断わるという言い方でなくて、そういうことも事態解決の役に立つならば考えたいと、こういう締めくくりにしておいてもらいたい。真正面の話は真正面の話として私も認めます。
  200. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生のお気持ちはよく私もわかるのです。わかるのですが、こういう正式の場で私がそういうことを申し上げるわけにはいきませんあれですから、私はこの問題で会うという考えはいまないと、こう申し上げる以外にないのです。
  201. 野々山一三

    野々山一三君 まあこの問題は、あなたも突っぱねたばかりじゃいかぬので、私は希望しておく。これも解決の端緒になるならば、ひとつ知恵を働かしてもらいたいと希望を申し上げておしまいにしておきます。大臣、あなたに対する質問はこれで終わりますけれども、ちょっとあなたに聞いてもらいたいことがあるので、もうしばらく。  これはおそらく与党の方もびっくりするのじゃないかと思いますが、林野の労務者が、政府が直接雇用している常用労務者が生活保護を受けなければならぬ人がいるというような事情にあることをおそらくあなたも御存じないのじゃないか、こういうふうに思います。たとえばここに出ている数字を見てみますと、勤続年数で十五年くらいつとめていて、自動車の運転手、それでいて給料が二万円そこそこ。そうして実際には生活扶助を受けているのです。で、これは一般の新聞でもひどく出ていまして、地方議会で問題になっている。新しく今度十九人保護申請──この新聞をごらんいただきたい。このようなことが一体国が雇っている労務者にあるなんて、おそらく皆さんこれは御承知ないと思う。この問題はそれこそ大きな政治問題だと思うのです。一体、林野庁の責任者の一方はどういうふうにこういうものを考えていらっしゃるのか、あるのかないのか。あなたはないとでもおっしゃるかもしれませんが、こういう事情について承知しているかどうか。承知しているとすれば、一体どうしようと思っているのか、この点についてそれこそ責任のある回答をしてもらいたい。そして、もし大臣御存じなかったらこれはたいへんあれですけれども、こんなことは許されないことですよ。これはひとつ大臣も責任を持ってこういうことを解決するようにしてもらいたいと思います。しかも、これはもう時間がないからざっと申し上げますけれども、今度例の生活保護の基準が上がったでしょう、一三%ぐらい。ボーダーラインの諸君がずっとたくさんいる。そして今度上がったためによけいまた適用対象者がふえる、こういうことになっている。だから、悪いことばで言えば、山へ行って木を切ったりなんかするよりも、家で家族とじっとしておったほうがもらう銭が多い、こういう仕組みというものが一体許されるだろうかということなんですね。そのことを含めてひとつお伺いしたい。
  202. 森博

    説明員(森博君) 林野庁の先ほど来のお話は日給制職員のことでございまして、現在、林野庁では作業員関係、これは従来とも民間の企業の形態等を勘案しまして、また、給与特例法の関係からも、民間の従業員の給与を考慮して定めるということで、民間賃金のベースを主として勘案して、しかも、これは国有林は深山で、深いところがあるわけでありますから、そういう民間の深い奥山のほうの賃金を詳細に調べまして、それとの均衡を考えながら決定をいたしているわけなのです。現在のところ、民間に決して劣っている賃金を払っているとは考えておりません。ただ、そういうふうなきめ方をいたしておりまして、職種によってはいろいろの比較的高いものもございますし、また、伐木の関係では、定員内に比べても、年齢関係で見ますと高い方もおられるわけでございます。いま御指摘の生活保護基準よりも低いというお話、そういう問題が一つの営林局でいろいろ問題になっているということを聞いておりますが、私が聞いておりますのは、一つ苗畑等の、そういう女子の方々で非常に家族が多いというような場合に生活保護を受けている方があるということを事例として聞いておりますけれども、生活保護のほうは、これは家族人員によって計算されるわけでございまして、非常に家族の多い方が、その家族数に応じて受けられる場合には、例外としてそういうようなケースがあるというふうに思っておりますけれども、そのほかの場合につきましては、われわれのほうは年末手当その他いろいろな手当を出しておりますので、そういう計算もいろいろやっていただいた上での資料かどうか、その辺は私のほうはその資料を入手いたしておりませんのでわかりませんけれども、例外的な場合以外はそういうことはないと私どもは考えております。なお検討してみたいと思います。
  203. 野々山一三

    野々山一三君 あなたはそういうふうに言っていると、これはよけい問題になりますよ。私は全部名前から家族構成から持ってる。例外というのは、五人の家族の人が一番多い。二人、三人もいる。これはひとつほんとうに本気になって調べて処置を講じなさいよ。この新聞をごらんなさい。これは木曽谷ですよ、山奥じゃないですよ。木曽谷なんていえば日本じゅうのまん中ですよ。「谷」と書いてあるが、山じゃない。申し上げましょうか。二十四日勤務で、二十四日と言えば、普通の人間だって二十四日ですよ。それで、しかも、この人の例は五人家族だ、それで生活保護基準よりも下回っている。それから、家族二人、三人という人はどうかというと、この基準が上がる以前の基準に照らしてみて幾らぐらい違うかというと、全部二百円ぐらい生活保護よりも高いというだけですよ。今度基準が一二%になりましたから、当然この人たちはどぼんといく。つまり生活保護のほうが得だと、こういう仕組みになる。しかも、次の例は木曽谷の常用、しかも、十年から十五年つとめている。女の人じゃないですよ。それが一割が該当者だ。山で木を切ってる諸君の一割が生活保護を受けたほうが得だという、こういう実情はひとつ正確に調べて、すみやかに処置すべきですよ。君から聞きたいのは、今度の改定の際に、こんな恥ずかしいことは、ちょうどぼくみたいに、人相のよくないのがみけんにけがをしたようなもので、国の恥ですよ。今度の改定こそいい時期だから、そこでそんなことのないようにするということをここで言明なさい。それでなかったら、いまから何時間でも、具体的な事例があるから、一人、一人引っぱり出してやるよ。大臣からそういうことに対しての改善策に対する気持ちを聞きたい。
  204. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 私もいま初めて伺ったわけでありまして、従来そういうことであったかどうか、その事実を知らなかったわけであります。労働省としてよく実情をひとつ調べさしてみたいと思います。
  205. 野々山一三

    野々山一三君 もう少しこれはつけ加えておきますが、いまの新聞記事は単なるいなか新聞ではない。朝日新聞、それから中部日本新聞、これが公務員が生活保護基準より低い賃金、そのひどさに驚くと、そういうのでありますから、林野庁の人のおっしゃったような、森さんのおっしゃったような、その近所の賃金を調べてみてそれと見合うというような仕組みのものでは絶対ないということをこれから幾らでも明白にしますよ。あなたはどういうようにお考えになるのか、さっきぼくが聞いたことに対して、直すということを言うのか言わないのかということを聞いておきたい。責任ある答弁をしていただきたい。
  206. 森博

    説明員(森博君) 私は現在そういうことを詳細に承知いたしておりませんので、十分ひとつ調査させていただきまして、善処いたしたいと、こう考えております。
  207. 野々山一三

    野々山一三君 調べて善処するというのですね。  改定の際にちゃんと直しますね。
  208. 森博

    説明員(森博君) いろいろこれは配分その他の問題もあると思うわけでございます。例外、これは……。
  209. 野々山一三

    野々山一三君 全体の一割になるんだ、それを例外なんということは……。
  210. 森博

    説明員(森博君) その点は私もよく存じませんので、そういう実態にあるということは、新聞にそういうふうに出ておりますけれども、よく存じておりませんので、詳細にこれはひとつ検討さしていただいて、実情を究明させていただいた上で、その上で善処いたしたいと思います。
  211. 野々山一三

    野々山一三君 直すのか、善処すると言ったのですが……。
  212. 森勝治

    森勝治君 関連で質問をしますけれども、先ほど、例外ならば、暗にその実在を認めたかのごとき答弁をしましたが、かりそめにも、官業労働者の中にあって生活の扶助を受けなければ、法の保護を受けなければ働くことができない、生活をささえることができないということは、かりそめにも、例外であっても認めることは断じて許すことはできません。したがって、この点は野々山さんが言われたように、もう大至急実態を調査し、給与を改定し、少なくとも官業労働者が生活の扶助を受けなければやっていけない、そういうばかなことは許されるはずはありませんから、したがって、あなたもおそらく善処されるかと思いますが、私のほうからも重ねて善処方をひとつあなたに要求をいたします。
  213. 紅露みつ

    紅露みつ君 私のほうも関連で、林野庁、あなた知らなかったということはたいへんにもう怠慢だと思うのですよ。私は、ついにこの問題が出たなという気がしたのです。とかく野党の方は大きな労働組合の問題だけを取り上げているので、よもや出ないであろうと思ったことがついに出た。たいへん頼もしいと思うのです。こういう問題を知らないということは、これはたいへんうかつでございます。いろいろお忙しいでしょうけれども、それでは済まない。ここではやはりこうした確かな大新聞の記事があってみんな知っているんですよ。ですから、ここではさっそくこれは善処しますとお答えになるべきだと思う。与党の立場においても、私も強く要望する。そこでお答えになってくださいませ。
  214. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 委員長から申し上げますが、森職員部長は説明員ですから、責任を持ってその林野庁の立場をここで明確に答弁できなかろうと思います。しかし、委員各位の御発言も十分了承されたと思いますので、直ちに長官と相談なさって、きょうは長官をお呼びしたのですが、内閣委員会に出席のため欠席されたのです。次回の委員会に長官の出席を求めますから、そのときまで長官と御相談なすって、いかなる処置をとったかということを御報告いただきたい、このことを委員長からお願いしておきます。  なお、労政局長にお願いしますが、これは全然労政局としても関係ないことだとは思われませんので、やはり十分調べていただいて、助言をしていただきたいということを委員長からお願い申し上げます。
  215. 山崎昇

    ○山崎昇君 最後に要望しておきたいと思いますが、実はきょう午後に中労委事務局長がおいでになれば不当労働行為その他のことについていろいろお伺いしたいと思ったのですが、おいでにならないわけです。  そこで、いまの問題とは違いますけれども、小野田セメントに指名解雇がありまして、三人ばかり自殺者が出ておるわけです。それから、もう一つ、これはサンデー毎日でありますけれども、このサンデー毎日で、あまりに指名解雇がきびしい条件のために、これまた、かなり詳細に説明が行なわれておる、こういう状態でありますので、この小野田セメントの問題について十分私は知りたいのです。そこで、直接工場長、社長、あるいは労使関係の方から、なぜこういうことになったかということを聞きたいと思いますので、次回の委員会関係者を参考人として呼んでいただきますようにこの委員会できめていただきたい。また、どういう範囲で呼ぶかは委員長に御一任したいと思いますが、お願いしたいと思います。
  216. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  217. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記をつけて。  ただいまの山崎委員委員会運営についての発言は、次回委員会までに委員長・理事間において十分打ち合わせ、報告いたすことに決定いたします。  ほかに発言もなければ、本件はこの程度にとどめておきます。  次回の委員会は、四月二十七日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十一分散会