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政府委員(加藤威二君) 最初に、七百二十億の
赤字がどういうふうにして計算されたかということについて簡単に御
説明申し上げます。
申すまでもなく、厚生保険の特別会計におきましては、保険の
保険料の
収入というのが一方にございます。他方に保険の
給付というのがございまして、その収支の結果が
昭和四十一年度においては七百二十億の
赤字になる、こういう計算をいたしたわけでございますが、しからば、その
収入のほうの
保険料収入はどういう計算をしたかということになるわけでございますが、
保険料収入は、予算におきましては保険
収入といたしまして三千百六十四億でございますが、その計算の基礎は、大体これは毎年同じことをやっておりますけれ
ども、結局
保険料収入は、被
保険者がどのくらいおるかということと、それから
平均の
標準報酬月額がどうなるかということと、それから料率をどうかけるかということと、それから最後に収納率をどう見るか、そういう要素がからみ合って
保険料の
収入が計算されるわけでございます。被
保険者の数は、これは過去二年間の被
保険者の伸びを計算いたしまして、大体四十一年度には前年に比べまして四%の増という、この四%というものは過去二年間の伸び率の
平均をとりまして大体四%という数字を出したわけでございます。四十年度に比べて約四%伸びるであろう、こういうことで被
保険者の数を計算いたしたわけでございます。一千二百二十二万。
それから、
平均標準報酬月額でございますが、これも大体過去二年、三十九年、四十年の
平均標準報酬の伸び率を見まして、これが九・三%でございます。四十一年度は前年に比べまして九・三%伸びるであろう、こういうこと、それにさらにまあ行政
努力をやろうということで一%加えまして、大体一〇・四%という、四十年度の見通しよりもそのくらいの
平均標準報酬の伸びが出るであろう。さらにその
平均標準報酬の天井がアップされますので、そういうものを計算いたしまして、四十一年度におきましては二万九千四百十二円という
平均標準報酬を出したわけでございます。
それから、料率は、これは予算のときには千分の七十でございましたので、政管といたしましては千分の七十で計算をいたしたわけでございます。
それから、収納率につきましては、これは四十年度の見通しは、現年度と過年度に分けますと、現年度分については九七%収納率があるというのを、四十一年度は一%増しまして九八%にする。相当苦労が要ると思いますけれ
ども、第一線の
社会保険事務所を督励いたしまして一%
引き上げてもらうということ、それから、過年度分については四六・二%、これは前年度同様でございまするけれ
ども、過年度分というのは、とかく焦げついて取りにくいものでございます。現年度分に重点を置いて、現年度分を一%アップして九八%でやる、そういうことで、いま申し上げた要素をそれぞれかけ合わせまして
保険料収入が出たわけでございます。さっき三千百六十四億と申し上げましたけれ
ども、これは過年度の
赤字分も全部ひっくるめておりますので、一応とりあえず、現年度分に限りますと、現年度分の保険
収入が二千五百十億でございます。二千五百十億でいま申し上げましたような計算をいたしまして、四十一年度単年度の保険
収入は二千五百十億という計算をいたしたわけでございます。
保険
給付費のほうにつきましては、これは
医療給付費と現金
給付費があるわけでございます。で、現金
給付費のほうは全体の一割ぐらいでございまして、問題は
医療給付費でございます。
医療給付費につきましては、まあこれもどういう計算をいたしますかといいますと、
医療給付費の根本になるのは、結局被
保険者一人
当たりどれくらい
医療費がかかるであろうか、こういう見通しの問題になるわけであります。その
医療費の積算といたしましては、一日
当たりの金額がどうなるか、それから一件
当たりの日数、一度病院に参りますと、大体何日ぐらい病院に通うか、あるいは入院するかという、一件
当たりの日数をどう見るか、それから
受診率、一人の被
保険者が年間
平均して何回ぐらいお医者さんにかかるか、その
受診率と、この三つの要素をかけ合わせまして
医療給付費が出るわけであります。それぞれ一日
当たり金額、あるいは一件
当たり日数、
受診率をどう見るかという見方でございますが、これも毎年の予算で大体の方向はきまっております。四十一年度におきましては、一日
当たり金額につきましては三十九分の四十ということで、要するに四十年度の一日
当たり金額が三十九年度よりどのくらい伸びているかという、その伸び率を出しまして、それで一日
当たり金額を計算いたしたわけでございます。それから、
受診率と一件
当たり日数につきましては、過去三年間どういう
ぐあいにそれぞれ
受診率が伸びているか、前年度に比べてどういう伸びを示しているか、それから一件
当たり日数がどういう伸びであるか、三年間の
平均をとりまして、そうして
受診率と一件
当たり日数を計算いたしたわけであります。その結果といたしまして、四十一年度の一人
当たりの
医療給付費は、四十年度に比べまして一〇・一%の伸びという
ぐあいに計算をいたしたわけでございます。ちなみに、四十年度は三十九年度に比べてどういう
ぐあいに伸びるであろうか、どういう
ぐあいに見ておるかと申しますと、これは一九・四%でございます。で、だいぶその差があるようでございますが、これは御承知のように、四十年度には、四十年の一月から九・五%の
医療費のアップがあったわけでございます。そういう
関係で三十九年度に比べまして一九・四%のアップという
ぐあいに見たわけでございます。したがって、四十一年度はその九・五%が現在のところはない、将来どうなるかわかりませんけれ
ども、一応ないという前提で計算をいたしております。したがって、大体九・五%ぐらい減ります。結局自然増的な見方をすれば、四十一年度と大体同じぐらいの伸びを見た。四十年度は九・五%という特別のことがございましたので一九・五%になっておりますが、根っこにある伸び率といたしましては大体四十年度と同じぐらいの伸びを示すだろう、こういう計算をいたしたわけでございます。そういうことで支出のほうを計算いたしました。そのほかに、保険施設への繰り入れとか、いろいろこまかいものがございますけれ
ども、根本は、支出におきましては
医療給付費でございます。これをただいまのような計算をいたしまして、支出のほうが三千二百三十二億ということでございまして、差し引き七百二十億の
赤字が出る、こういうことになったわけでございます。
その対策といたしましては、簡単に申し上げますと、
標準報酬の天井を上げることによりまして百三十八億出す、それから
保険料率を千分の六十三から七十に上げることによりまして二百九十億、
国庫補助が百五十億、
薬価基準の
改正によりまして四十四億、それから行政
努力で九十八億、合計いたしまして七百二十億で一応四十一年度は収支のつじつまを合わせる、こういう対策を
考えたわけでございます。