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国務大臣(
小平久雄君)
労働災害の
発生状況が、
一般的に申しまして
中小企業と申しますか、さらに
零細企業に
発生率が高いということは
先生が御
指摘のとおりでございます。そこで、
労働省としましては、これらの
労働災害の
防止のために特に意を用いておるところでございますが、まず、第一に、
先生の
お話もございましたが、最近特に人手が足らぬ、こういうところから、せっかく、かり採用いたすような場合がありましても、それをよく
指導あるいは
訓練せずに
現場に使う、こういうことも相当あるようでございます。したがって、そういう点については、まず、いわゆる
事業場の
事業内における
訓練というようなことについて十分力をいたすように
指導をいたしてまいっておるところでございます。さらに、また、
一般の
安全管理、あるいは
衛生管理の点につきましては、実は
労働省としましても、従来よりもむしろ小
規模なものにだんだん力を入れていく必要がある、こういうことで、本年の一月には
労働安全衛生規則を改正しまして、たとえば
安全管理者、あるいは
衛生管理者というものを選任しなければならない
事業場の
規模というものを小さいところまで及ぼすようにいたしたわけです。具体的に申しますと、従来は五十人以上の
労働者を
使用する
工業的事業、あるいは林業の場合に
安全管理者、
衛生管理者というものを選任する
義務を課しておったのですが、今度は三十人以上の場合にこれを
義務づけたというようなこともやりまして、これはこの四月一日から施行いたしますが、そういうことで、より小さな
規模の
事業場についても
安全管理の完ぺきを期させよう、こういう趣旨でございます。なお、三十人以下の小さなところにつきましては、
行政指導によりまして
安全推進員というものを置かせまして、やはり安全のために
指導をさせる、こういう仕組みの点から申しましても、これは法的にそういう策をとったわけであります。
それから、施設の面でございますが、これにつきましても、従来から、たとえば
監督署で
監督をいたしまして、不備な点がある、どうもこれは
基準法違反だというような場合には、
監督署がこれを証明することによって優先的に
融資をする。国の例の
中小企業金融公庫、
国民金融公庫等から
融資を仰ぐそれらのお世話をするという道は開けておりましたが、どうも
制度としてあまりはっきりした
制度でもございませんでしたので、この四十一年度からは、特に
融資の
ワクを、初年度でございますので、全体として十五億円でありますが、特に
融資の
ワクを設けてもらうことにいたしまして、それで
監督をして、どうも不備である、
違反とまではいかぬけれども、もっと改善したほうがいいとか、そういうような場合に、この低利に、三年間は六分五厘、その後は七分であったと思いますが、そういうことで積極的にこの施設の改善をはからせる、単に
監督して、どうも裏づけのない
監督では私はあまり意味がないと、こう思いましたので、特にこの予算の獲得についても、私はこの点は力を入れまして、それで御承知のとおり、最初は実は別個に公庫をつくって、従来ありまするいろんな労働福祉関係の金融などとも合わして、独立の公庫を一つつくりたいと実は思ったのでありましたが、この際は公庫等は一切新設しないと、こういう
政府全体としての方針がきまった関係上、公庫の新設は遺憾ながらできませんでしたが、とにもかくにも、いまも申しますとおり、十五億という
ワクをもって今度新たに施設改善のための
融資を行なうことにいたしたのであります。その他、まあ
一般にこれは必ずしも直接——
事故からいえば間接かもしれませんが、職場の健康管理というようなことにつきましても、これは十分やはり注意をしなければならぬ問題でございますので、まあ有害
業務を行なうような
事業に従事する者については巡回診断を強化するとか、あるいは職業病対策につきましては職業病のモニター制を一そう拡充して、あらかじめそれが予防をはかると、こういったようなことについても十分配意をいたしてまいりたいと
考えておるわけでございます。その他、
一般の問題としては、
中小企業の労務管理についての集団
指導等を奨励するというようなことで補助金等を出して、ずいぶん広く、あるいは特に小
規模の
事業等については安全衛生思想というようなものをひとつ十分普及をはかっていくと、こういったことで、いろいろの
施策によりまして各方面から要するに安全思想を普及する、あるいは安全施設を改善していく、こういったことについて最大の
努力を傾けていきたいと、かように
考えておるわけでございます。