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1966-05-27 第51回国会 参議院 産業公害対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十七日(金曜日)    午後一時二十三分開会     —————————————    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任      浅井  亨君     小平 芳平君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         横山 フク君     理 事                 植木 光教君                 黒木 利克君                 瀬谷 英行君                 松澤 兼人君     委 員                 奥村 悦造君                 木島 義夫君                 紅露 みつ君                 柳田桃太郎君                 相澤 重明君                 近藤 信一君                 原田  立君                 瓜生  清君    政府委員        経済企画庁水資        源局長      鈴木 喜治君        厚生省医務局長  若松 栄一君        通商産業政務次        官        堀本 宜実君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        水産庁漁政部長  山中 義一君        通商産業省企業        局次長      中川理一郎君        運輸省大臣官房        開発課長     原田昇左右君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○産業公害対策樹立に関する調査  (産業公害対策に関する件)     —————————————
  2. 横山フク

    委員長横山フク君) ただいまから産業公害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る五月十一日、浅井亨君が委員辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。     —————————————
  3. 横山フク

    委員長横山フク君) 次に、理事辞任についておはかりいたします。  柳田桃太郎君から、都合により理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 横山フク

    委員長横山フク君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じますが、互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございまんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 横山フク

    委員長横山フク君) 御異議ないと認めます。  それでは理事に、植木光教君を指名いたします。     —————————————
  6. 横山フク

    委員長横山フク君) 産業公害対策に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 私は、水質汚濁による公害防止とその対策について、関係当局質問いたしたいと思います。  まず、水質保全に関する法律につきまして、経済企画庁鈴木局長にお尋ねいたしたいと思いますが、水質保全法の第二条には、非常に広範に、「何人も、公共用水域及び地下水水質保全に心掛けなければならない。」というように、その範囲を広範に訓示規定として設けておりますので、これを見ますと、水質汚濁原因になるすべてのものを網羅し、これが水質基準のもとになるように思われますが、すぐその三条にまいりますと、この法律規定限界をきめておるわけでございます。すなわち、公共用水域というものをある程度しぼっておるし、水質汚濁源もある程度しぼるという状態になっておりまして、実質上、現在起こりつつある水質汚濁原因になっておるものが、この法律から大きく除外をされておるような面があると思いますが、この点について何らか改正をする意図はないものでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
  8. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) 柳田先生指摘のとおり、水質保全法は、昭和三十三年に法律が制定されましたが、ちょうどその前に、江戸川におきましてパルプ会社と漁民との間に紛争がございまして、その紛争を解決することをまず第一の目標として、このような法律の制定に踏み切ったわけでございます。したがいまして、ただいま先生の御指摘のように、第二条等に全般的な訓示規定はございますが、ねらいとしましては、工場事業場排水によりまして水質汚濁し、それによって関係産業に相当な損害が生ずる、あるいは公衆衛生上看過しがたい影響が生ずるというような場合を中心として、規定されておる法律でございまして、御指摘のように、この法律以外にも、いろいろ水質関係法律、たとえば海でいえば港則法、あるいは一般的にごみを捨てることに対して清掃法、あるいは水産資源を保護するために水産資源保護法、あるいは基本的には河川法、その他多数の法律があるわけでございます。その結果、いろいろな法律で、一応は水質汚濁についても、それぞれの規定があるわけでございますが、必ずしも十分な、網羅的な規制ができない、こういうことでいろいろ現に問題が起きておるわけでございまして、私どもとしましても、どの範囲まで水質問題をこの法律規制するのがいいかどうかということも含めまして、ただいま企画庁にございます水質審議会総合部会というのを設けまして、そこで基本的な問題の検討を始めておるわけでございます。
  9. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 その際また、いろいろ参考にしていただきたいと思いますので質問いたしますが、公共用水域というものの中で、河川とか湖沼とかいうような内水面についてははっきりした面がありますが、港湾とか沿岸海域範囲というものについては、水質保全法ではきわめてあいまいでありますが、どの範囲までを考えておられるのでありますか、お伺いいたしたいと思います。
  10. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) 水質保全法の第三条に、公共用水域範囲法律的に規定されておるわけでございます。御指摘のように、河川湖沼等については、非常にはっきりしておるわけでございますが、第三条には、「この法律において、「公共用水域」とは、河川湖沼港湾沿岸海域その他の公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝渠かんがい用水路その他の公共の用に供される水路」ということになっておりまして、たとえば海岸について、どこまでが入るということが明らかになっていないわけでございますが、水質保全法並びに工排法適用になります具体的な発動の場合は、第五条に「指定水域」というのがございまして、公共用水域のうち、当該水域水質汚濁原因となって関係産業に相当の損害が生じ、若しくは公衆衛生上看過し難い影響が生ずるということで、工場事業場等排水基因となって相当な影響がある場合に、その範囲指定水域として指定する。これまた非常に抽象的な答弁になりますが、そういうことでしぼってまいっておるわけでございます。
  11. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 それでは現在——あとでお尋ねをいたしたいと思いますが、和解仲介申し立てば、漁業関係で非常に多い。しかもその原因というものは、陸上から排出されるものだけでなしに、海上投棄される油、あるいは油の混合物、あるいは製油工場廃棄物等が非常に大きな問題となっておりますが、それはどこまでを、この法律が守ろうとしておられるのか。それは領海の範囲内なのか、あるいは漁業の漁区の設定されている区域なのか、あるいはもっと——港湾法に定めるように、港湾の境界の外一万メートルとかいうようなことがないと、これに対していろいろな和解仲介申し立て等があった場合において、地方団体等処理が非常に困るのではないかと思いますが、そういうことで支障はないというふうにお考えになっておられますか。
  12. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) ただいまの御質問の中で二つ問題がございますが、一つは、汚濁範囲といいますか、この水質保全法適用になる水域範囲になるわけでございます。そのほかに汚濁原因がこの法律で限定されているわけでございます。したがいまして、たとえば船から油を投棄するというような場合には、この水質保全法の、工場もしくは事業場からの排水というふうなものには入りません。また工場事業場等排水による汚濁の場合には、先ほど申しましたように、何キロまでとか、あるいはどの範囲というような具体的な規定がございませんので、それによって相当な損害が生じ、もしくは生ずるおそれのある場合に指定をして、具体的にやっているわけでございます。
  13. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 船舶廃棄物あるいはふん尿の海上投棄等は、将来とも水質保全の中には入れないという考えで、現在研究されているのですか。将来は、この水質保全法の第二条の精神を受けて、広範にこれらの原因となるものも取り入れて、水質保全をしていこうというお考えでありますかどうか、お伺いをいたします。
  14. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) 目下、水質審議会で検討しているわけでございまして、いまのところ、決定的な意見が出ているわけではございませんが、やはり水質保全法並びに工排法という二法の法律体系からいいますと、どうしても工場事業場というような対象中心になりますので、また船舶油投棄等は、態様並びにその対策が非常に特殊になってまいりますので、目下のところ、われわれとしては別な法律規制のほうがいいのではないかという考えでおります。
  15. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 それでは次に進みますが、現在まで指定水域指定されているところは十三カ所と考えておりますが、すでに基本調査を終了されている個所は何カ所ありましょうか。しかも、この十三カ所は、見るところ、ほとんど汚濁限界点に近いものを大部分含んでいるようでありますが、指定水域指定されて以来、その状況は逐次改善をされつつありますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  16. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) 水質保全法が公布になりましたのが三十四年でございまして、その後三十六年に水質調査基本計画を立てまして、その際に全国百二十一の水域調査する計画告示になっております。三十四年以後、四十年度までに、われわれのほうで調査いたしましたのは五十一水域でございます。このような状況でございますが、最近の公害進展状況等にかんがみまして、本年度の予算で、このままでは百二十一水域調査の着手の予定されております四十五年度には間に合わないのではないか、またさらに、各地方におきましてこれ以外に非常に水質汚濁が問題になっておりますので、ことし、これを改めまして百二十一水域のほかに必要な水域も逐次入れていく、こういうことで、実は本年から五カ年で、これらの新たに必要な分も含めまして、従来残っております調査水域とあわせまして調査をやる五カ年計画を立てて、本年度は約三十一の水域調査をすることになっております。  それから現在までに、これらの調査したもののうち、いろいろ解析が進みまして水質基準設定にまで至っておりますのは、先生指摘のとおり、隅田川、多摩川、淀川等十三の水域でございます。いままでの、水質基準のできました分は、御指摘のとおり、あるいは汚濁が進行しておりまして、もうこれ以上汚濁が進行しては死の川になってしまうというようなところから手をつけてまいりましたので、予防的な意味の分は非常に少ないということは御指摘のとおりでございます。告示の出ました十三水域につきましては、水質基準設定後毎年アフターケアをやっておりますが、それぞれの水域について若干ずつ事情が違いますが、全体としましては逐次水質改善を見ていると言っていいのではないかと思います。たとえば隅田川のごとき、これは何も水質基準設定だけではございませんが、浄化用水の導入あるいは下水道進捗等もありまして、水質基準をつくりましたときにはBODで三〇ないし四〇程度であったものが、現在すでに目標でございます一〇PPM程度までになっておる、そのほかに若干でも、DO、これは溶存酸素でございますが、それも認められるようになっておるというような例もあるわけでございますが、逆に水質基準をつくった以後、水質基準をつくりました当時に予定しましたいろいろな流量、あるいは流域の壊廃が、予想外進展を見まして、たとえば淀川のごとく、再調査をして水質基準設定をし直さなければならぬというような状態になっているものも一、二ございます。
  17. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 隅田川のごとく、漸次水質が浄化しておるというようなところもあるように聞きまして、まことにけっこうだと考えますが、この水質基準を定めますときには、都道府県知事事前にはかることになっておるように記憶いたしております。いろいろ問題点はあろうと思いますが、この地域格差を縮めるために農村の工業化もかなり進みつつあるようでありますが、新産業都市関係であるとか、あるいは工業整備特別地域関係であるとか、あるいは低開発地域開発促進であるとか、新しいところに工場事業場ができる傾向が顕著であることは御承知のとおりであります。この水質基準というものは、事前にこれを防止するたてまえから、そういった新しい工場地帯がつくられるときに、いち早く、あらかじめこれを示しておいてやるほうが、うんと効果があることは、私が申し上げるまでもございません。最近は幾らか、そういった予防的考慮のもとに水質基準を定め、指定水域をつくろうという方針のように承っておりますが、そういうような事例がありましたら、御説明願いたいと思います。
  18. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) ただいま御指摘の、たとえば工業整備特別地域法律では、法律そのものに、整備基本計画をつくるときには公害防除について十分な配慮をしなければならぬというふうになっております。また、新産都市の建設法律には、法律にはございませんが、政令建設計画を定める際には公害防除についての対策を十分織り込むようにということで、具体的には、そういう建設計画なり整備計画を立てる際に、公害予防防除についても配慮するように、関係県、関係省と連絡をとりながらやっておる次第でございます。
  19. 木島義夫

    木島義夫君 関連。いま、ちょっと私、面会人都合でおくれまして、すまなかったのですが、ここに入ると、すぐ、隅田川がある程度よくなっているが、淀川のごとく、また再調査をしなければならぬと、こういうようなことのようですが、千葉県では、実は千葉県の水道というものは、大体市川から千葉市に至るまでの水源というのが、過半数は江戸川でまかなっております。それで、その水質が悪くなると県民の健康問題に重大問題を及ぼすと思いますが、どういう程度になっておるか。また、これを改めるとするならば、どのくらいの時間がかかるのか、方法を要するのか、そういうことを私は聞かなければならぬと思うのですが、その点御説明願いたいと思います。
  20. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) ただいまの江戸川の問題でございますが、江戸川は実はこの水質保全法による第一号の水質基準河川でございますが、当時一番問題になりましたのは、漁業工場との関係でございまして、当然に、漁業の満足すると申しますか、要望する水質からいきますと、たとえばBODで言いますと、三ないし四PPMというようなものが要望されるのでございまして、これはまた、水道のほうの要望水質と大体似たようなものである、そういうことでございますので、現在手元に資料がございませんが、水道の面においてもそれほど問題が出ておるというのは、実はわれわれ知らなかったんでございますが、漁業のほうは、実はその漁業権がほとんど消滅いたしまして、問題そのものが解消してしまったというようなことで、今後水道問題等で非常に問題がございますれば、われわれのほうで再調査をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
  21. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 続いてお伺いいたしますが、特定施設監督官庁と申しますか、主務大臣は、その業種によって、たとえば酒は大蔵、製薬は厚生、食品は農林というふうに非常に多岐に分かれておりますが、この届け出の処理なり、あるいは不適当の場合の変更命令なり、あるいは改善命令なり、この水質保全に関して、水資保全法の主たる主管官庁と見られる経済企画庁から見られて、こういう特定施設管理運営監督がうまく行なわれているというふうに見られておりますかどうですか、お伺いしたいと思います。非常にむずかしいことですが……。
  22. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) 現在、政令できまっております特定施設は五十二ほどございますが、それが一番多いのは通産関係でございます。その他、ただいま御指摘のように、農林厚生、運輸、大蔵等、それぞれその工場事業場主管官庁地方出先機関がこれらを監督し、また一部は都道府県に委譲になっておるわけでございますが、いままでのところ、それぞれの主管官庁が責任を持っておやりになっておりまして、おおむね所期の目的を達しておるんではないかと思いますが、たとえば、淀川等で問題がございまして再調査をやっておるわけでございますが、その際にいろいろ出てまいりますデータ等を見ますと、必ずしも各省間同じような歩調のデータとは限らぬ場合がございますので、いろいろそういう点について、まだ問題があるんじゃないか、今後検討しなければならぬ点があるんではないか、というふうに考えております。
  23. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 この点については、どこかに特定施設を主管して十分守らせるような機関があることが望ましいという意見を申し上げておきます。  次に、例の工排法の中に、中小企業とみなされるものを含んで、たとえば資本金一千万円以上の法人とか、従業員三百人以上の法人または個人は、水質測定をして、これを記録しておかなければならぬ、それをやっておかなければ三万円以下の罰金に処せられるという規定があることは御承知のとおりでありますが、これを実際に励行さしておるのですか。また、そういう事例がございますか、お聞きしたいと思います。
  24. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) 水質測定義務履行状況についての御質問でございますが、工排法の十三条の規定によりまして、資本金一千万円以上の法人従業員三百人をこえる法人または個人、これに対して、定期的に水質測定し、その結果を記録することを義務づけております。これは、私ども調査によりますと、この義務履行につきましては、おおむね満足すべき状態にある。この履行状況の確認につきましては、私のほうでは、出先の通産局が、大体平均いたしまして年に二回ないし三回ということで、工場検査の際に記録をチェックしております。各工場とも水質測定義務を順守していると考えております。
  25. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 それでは次に進みますが、水質保全法に基づく和解仲介申し立て件数は、これはもちろん都道府県知事がおやりになることですが、経済企画庁なり通産省なりで、いままでどのくらいあったか、それを原因別に、あるいはその被害対象別におわかりになっておれば御説明願いたいと思います。
  26. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) 事実上の和解仲介というのは無数にあるわけでございますが、水質保全法に基づいて和解仲介をやっておるという件数は、本年——四十年度の末までに三十四件ございます。その中で圧倒的に多いのが漁業関係でございます。これが二十数件、それに次いで多いのが農地関係でございます。農業関係でございます。
  27. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 参考のために承っておきたいと思いますが、この指定水域を定める場合の農業用水あるいは水産用の水あるいは上水道あるいは工業用水の水の汚濁限界は、BODで見ますと、どのくらいを基準として進められておりますか、ちょっと承っておきたいと思います。
  28. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) たとえば水産関係におきましては、一応非公式に水産基準というのがございます。それで、その中で、やはりこれは、たとえばサケ、マスであるとか、魚の種類によって違いますが、先ほどちょっと御説明の中で申し上げましたように、一般的に多いのは三ないし五PPM程度、これは水道等についても大体その程度というふうにお考え願えればいいのではないかと思っております。
  29. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 これは、いわゆる水質基準の、事業場排出口における基準を言うのですか、それとも指定水域の平均をおっしゃっておるのでございますか。
  30. 鈴木喜治

    政府委員鈴木喜治君) これは、具体的には、要望水質と申しますか、そこの水域の流水の目標がその程度であってほしいという基準でございます。
  31. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 それらの水の水質基準が守られていても、民事上のいろいろな損害賠償等の問題は起こると思いますので、水質基準について、もう少し詳しいデータを、後ほどまた資料でいただきたいと思います。  次に進みますが、漁業関係和解仲介申し立てがかなり多いということでございますが、これはもちろん内水面だけではなしに、海の面が多かろうと思います。  それから海水汚濁の点についてお伺いしたいと思います。したがいまして、現在の水質保全法の面から離れますので、事柄は運輸省なり、水産庁なりに関係することがあろうかと思いますが、関係当局からお答え願いたいと思います。  最近におきます漁業関係公害の問題を、新聞やあるいは統計等から調べてみますと、年々海水汚濁による被害がふえておると申しますか、公害が発生しておると申しますか、増加しておるようでございますが、水産庁の調べでは、この海水汚濁によって生じたと思われるような公害が、最近どういうような事件が起きておるか、数件について、最近起きておるような問題についてお話を願って、その処理状況の概略を承りたいと思います。
  32. 山中義一

    説明員山中義一君) 水産関係で、海水汚濁によります漁業関係被害について申し上げます。  ただいま先生も御指摘のとおり、近年、海水汚濁によります漁業被害は年々ふえております。その一つの例として申し上げます。  被害を受けまして問題を起こした漁業協同組合の数が、まず一つ参考になるかと思いますが、この数が三十五年は四百二十一でございました。それから次の三十六年に四百五十四、三十八年に至りましては、それが八百八十四というふうに、年々累増しております。また、この被害件数などにつきまして申し上げますと——ただいま申し上げたのは漁業協同組合の数でございますけれども件数といたしましては、比較的最近の三十八年だけを取り上げましても、六百五十三件という件数に達しております。  で、これに対しましての措置でございますが、大体水産関係は、もっぱら、被害を受けてしまって初めてわかるというような、はなはだ残念な立場になっております関係上、たいがいその被害の問題で補償要求を現地における工場へ直接かけ合う、あるいは関係工場だけではございませんですが、それぞれの被害を与えた側の関係方面へかけ合う。ところが、中には、被害がはたしてどこからよってきたのかというのがなかなかはっきりしないようなのもございまして、大体、八〇%が見舞い金または補償金というような形で、いわば示談でもって解決している。残りの二〇%が、その汚濁によりまして受けた損害を補う意味増殖施設をしてもらう。これは内水面関係がおもでございますが、そのような増殖施設をしてもらうというのが通例でございます。そのほかは、先ほど経済企画庁局長のほうからも御説明がございましたように、なお和解がととのわずに争っているというようなものもございます。  大体以上でございます。
  33. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 この海水汚濁原因はいろいろあると思いますが、陸のほうか流れてくるもの、それから海上で船から投棄するもの、いろいろありましょうが、水産資源保護法の第四条で、これらの有害な物の投棄または漏せつその他水産資源に有害であれば、これを制限することができるということを省令または規則で定めることができるようになっておりますが、そういったようなものが定められておりますかどうか。
  34. 山中義一

    説明員山中義一君) 水産資源保護法では、御案内のように、そのような規定はございますが、これは、これらのうちの一部、たとえて申し上げますと、河川の砂利等の採取によります河川、魚の産卵場の破壊あるいは魚の生息場の破壊というようなものにつきましては、水産資源保護法に基づきまして各府県の漁業調整規則の中にこの規定をいたす、ただし、この場合も建設省に協議をしなければならぬわけでございますが、そのような協議によりまして初めてその規則を制定することができるという形になっておりまして、広く資源保護法で工場等の規制をすることはできないたてまえになっております。
  35. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 陸のほうでは水質保全法というものがあり、その指定水域になって水質基準を設けたものは改善の方向に向かっておる。海のほうはと見ますと、たとえば石油コンビナートの建設であるとか、その他の工場群の建設によりまして、水産資源に非常な影響が出ておるということは、いまお話しのとおりでございますが、これに対して水産資源を保護するという方策が非常に不徹底のように考えられますが、海上におきまして、船舶の油または油の混合物投棄であるとか、その他水産資源あるいは人畜に被害のあるようなものを海に捨ててはならないというようなことを規制する法律を、国内法として考えたことはございませんかどうか、お伺いします。
  36. 山中義一

    説明員山中義一君) これは、水産の立場と申しますか、水産業の立場からは、そのようなことが望ましいわけでございますけれども水質保全に関しましては、さきの公共用水域水質保全に関する法律あるいは工場排水等の規制に関する法律その他がございまして、工場等のものは、そちらによってこれを達成するということに、この制定の際なっております関係上、かなりむずかしい問題があろうかと存じます。ただし、海洋の、沿岸からかなり離れております区域におきまする汚濁につきましては、これは例の船からの廃油の投棄による海水汚濁の防止条約、あれの批准がなされ、それに関係する法令が整いますれば、かなりの程度改善される、相当よくなる、というふうに考えられております。
  37. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 水産資源保護という面から見ますと、もう少し水産庁は積極的にこの問題と取っ組む必要があるということを特に希望として申し上げておきます。  次に、油による海水汚濁の防止のための国際条約について、これは運輸省でございますか、運輸省にお伺いいたしたいと思いますが、いわゆる廃油を海上投棄するということによりまして魚類に悪臭をつける、あるいは海水汚濁するとかいうことは、いま世界的な現象になってまいっておりますことは御承知のとおりでありまして、一九五四年にロンドンで、この油による海水汚濁を防止するというための国際条約が結ばれて、さらに一九六二年にその改正がなされ、国連におきましてもこの条約を受諾しようじゃないかという促進の決議が一九六三年の十月に行なわれておりますが、わが国は、これに対してどういう態度で臨まれたか、これに出席してこの条約に署名をしたかどうかということ、署名したならば、どうして今日まで批准をしないかということについてお伺いしたいと思います。
  38. 原田昇左右

    説明員原田昇左右君) わが国の条約に対します態度と申しますか、経緯ということについて御説明さしていただきます。  一九五四年の四月にロンドンにおいて海水汚濁防止に関する国際会議が開催されまして、油による海水汚濁防止のための国際条約が採択されたわけでございます。わが国は八月に署名いたしております。そして、この条約は五八年七月に発効いたしておるわけでございますが、その後、国内で具体的にこの条約を批准するためには、関連の国内法を整備しなければならないということで、運輸省といたしましては、六一年に、海上保安庁が海水汚濁、油濁の事件の調査について各管区本部に通達を出しまして調査を進めてまいりました。それから六二年には、先ほどのお話のように、改正条約が採択されたわけでございますが、それに対しまして、運輸省といたしましては、条約批准を促進するための施策要項を七月に作成いたしております。それから八月にその要項に基づきまして、国内法といたしましての法律案の作成に着手いたしたわけであります。そして同時に、船主協会に対しまして、十分油濁防止についての指導をするようにという通牒を出しております。その後、この法律案について関係各省とも協議いたしましたんでございますが、実施に移すにはもう少し問題があるということでそのままになっておりまして、一方、船舶につけます油水分離器というものの開発助成とか、そういった研究は別途省内でやっております。そして今日に至ったわけでございますが、その間、先般の衆議院の公害対策委員会で、次期国会を目途に条約の批准と国内体制の整備をやれという決議がございまして、その決議に基づきまして、われわれとしては鋭意関連国内法の作成、検討に努力しておる現状でございます。
  39. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 この問題は、趣旨は非常にけっこうであろうと思いますけれども問題点は、造船関係と、さらにこの受け入れ施設関係と思いますが、この廃油の受け入れ施設は国が持つのか、あるいはコンビナートが持つのか、あるいは港湾管理者が持つのか、そういうようなことは、わが国はこれからのことでありますが、外国ではどういうようにやっているか。すでに加盟国もかなり多いことでありますが、この先進国の例がわかっておりましたら、参考のために承っておきたいと思います。
  40. 原田昇左右

    説明員原田昇左右君) 外国の事情は目下調査中でございますが、国によって、港湾のポート・オーソリティが運営しているところもございますし、あるいは造船の修理工場に対してできているケースもあるようでございます。それから日本の場合につきましても、目下こういった外国の制度あるいは国内の現行法令、あるいは原因者あるいは公共団体等の実情を勘案いたしまして、目下鋭意検討中でございます。
  41. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 もう少し具体的に承りますが、船のクイックディスパッチの関係から、この処理施設をあまり方々に置くことは困難でありましょうが、日本にこの大型タンカーの廃油の受け入れ施設をつくるとすれば何カ所ぐらいが必要であって、一カ所どのくらいかかるものでありますか、お伺いしたいと思います。
  42. 原田昇左右

    説明員原田昇左右君) これも目下検討中でございまして、現段階において、はっきりしたことを申し上げられないわけでございますけれども、大型タンカーといたしましては、おそらく、東京あるいは伊勢湾、それから大阪付近、それから瀬戸内海と、こういったところに製油所がございますので、また造船所もその付近に分布いたしておりますので、そういった地区は少なくとも要る、それからさらに、これは大型タンカーだけを対象にいたしませんで、沿岸のタンカー、それから一般の船舶のビルジを対象にすることもあわせて考えなければなりませんので、目下、どれだけの油の処理施設が必要であるかというのを、各港湾別にずっと調べておりまして、そういったデータが出次第、われわれとしては、その体制をどういう形で整備するかという具体的な案を作成したい、こう考えております。
  43. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 これらにつきましては、造船関係につきましても、すでにこの条約発効の日から建造される総トン二万トン以上の造船については、油または油の混合物海上投棄してはならないというような規定もあるようで、造船そのものにも非常に大きな影響のあることでありますし、運輸省としても関係各省と共同作戦をもって、巨額の予算も要ることでしょうし、すみやかにこれをやらなければ、瀬戸内などは油によって汚染されて、魚族が非常に減少するのみならず、水産物に影響し、あるいは日本の自然も非常に破壊されるということになってまいりますので、急いでこれをひとつ立案するよう、特に希望を申し上げたいと思います。  次に、小さいことでありますが、油水分離器は運輸省において試作をさしておるということを聞いておりますが、どの程度のものができておるか、今後小型船につけられるように、すでに調査研究なり施策なりは進んでおるかどうかを伺いたいと思います。
  44. 原田昇左右

    説明員原田昇左右君) 運輸省でやりましたのは、六十四年の四月に、日本造船研究協会に研究補助金を交付しまして、油水分離器の開発試作試験を実施いたしたわけであります。それからその後六十五年の四月に、日本造船関連工業会にモーターボート競走法に基づく研究補助金を交付いたしまして、ビルジポンプと油水分離器の一体化の研究試作をいたしております。なお、本年におきまして、目下検討中でありますが、科学技術庁の特別研究調整費を要求して、さらに完ぺきを期するということを検討いたしております。
  45. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 かように国内の体制準備が整ってまいりますと、この油による海水汚濁の防止のための国際条約を批准してもらいたいというような積極的希望を、   〔委員長退席、理事植木光教君着席〕 われわれが申し上げても差しつかえないと思いますが、参議院におきましても、衆議院同様、なるたけすみやかに、こういう国際条約に加盟するようにしていただきたいという希望を特に私は申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 植木光教

    理事植木光教君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 植木光教

    理事植木光教君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、本件の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十二分散会      —————・—————