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1966-03-11 第51回国会 参議院 産業公害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十一日(金曜日)    午後二時二十四分開会     —————————————    出席者は左のとおり。      委員長        横山 フク君      理 事                 瀬谷 英行君      委 員                 木島 義夫君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 柳田桃太郎君                 相澤 重明君                 近藤 信一君                 森中 守義君                 柳岡 秋夫君                 原田  立君     政府委員         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         科学技術庁資源         局長      橘  恭一君         厚生政務次官  佐々木義武君         厚生省環境衛生         局長      舘林 宣夫君     事務局側         常任委員会専門         員       中原 武夫君         常任委員会専門         員       小田橋貞寿君     説明員         科学技術庁科学         審議官     黒沢 俊一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業公害対策樹立に関する調査  (産業公害対策に関する件)     —————————————
  2. 横山フク

    委員長横山フク君) ただいまから産業公害対策特別委員会を開会いたします。  産業公害対策に関する件を議題といたします。  まず、科学技術庁から説明を聴取いたします。黒沢科学審議官
  3. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) 黒沢でございます。  お手元に科学技術庁資源局でつくってもらいました「公害関係資料」、一と二とございますが、そのうちの一のほうから申し上げます。  公害と申しますと、まあ、いろいろな種類があるわけでございますが、特に最近問題になっておりますのは、大気汚染、それから水質汚濁、そのほかに、騒音でございますとか、あるいは振動でございますとか、あるいは悪臭というような、いろいろな公害がございます。そのうちで、大気汚染から申し上げます。  大気汚染は、原因となるものは、ほこりと亜硫酸ガスというようなものでございますが、その発生源石炭重油、それから自動車排ガスというようなものでございます。そのうち石炭は、これはすすが出て、黒いすすが飛ぶわけでございますが、最近では、まあ、よほどの中小の、技術の低いところ以外は、かなり設備が進化いたしましたので、ばい煙の問題というのは、それほどでもなくなっておりますし、それからまた、一般中小ボイラー等でも、石炭から石油にかわったというために、すすは次第に少なくなっております。しかし、それにかわりまして、重油が最近非常にふえてまいりましたために、重油による大気汚染、これは主として亜硫酸ガスでございますが、重油による大気汚染が問題になってきております。  そこで、二ページでございますが、石炭燃焼によるばいじんの防止は、ここに書いてございますように、大口消費者火力発電所あるいは大工場というようなところでは大体設備が整いまして、ばい煙がほとんど解消しておる。それから小口の消費者では、一部では集じん機をつけておりますが、まあ、あまりそのほうは進んでおらぬ。しかし、重油燃焼に切りかえたということでございます。ところが、この重油が問題なのでございまして、四ページの第二節でございますが、昭和三十九年度には、約七千万キロリッターの原油を入れまして、それをいろいろ処理いたしまして、ガソリン、ナフサ、軽油、あるいは灯油というようなものをとっておりますが、最後重油が残ってくるわけです。その重油を、工場あるいはビル等燃料として、たいているわけでございますが、この重油の中に、原油の中の硫黄がほとんど残ってきているわけでございます。そこで、この重油の中に残っていた硫黄が燃えたときには、亜硫酸ガスになりまして煙突から飛散する。その害が大気汚染になってあらわれているわけでございます。  特に、この場合、日本として注意しなければならないことは、六ページに書いてございますように、日本に輸入している油の八五%が中東原油であるということでございます。この中東原油、つまり、アラビア、クウェートその他でございますが、ペルシャ湾沿岸の油は、世界の油の中でも硫黄分の非常に多いほうに属しております。で、それが日本になぜ八五%も入っているかというと、これはもう非常に安い。運賃も安いし、油自体も安い。それからまた量も非常に多いということから、日本に大部分中東の油が入ってきているというわけでございます。そこで、中東の油は、平均二・五%くらいの硫黄を含んでおりますが、それを、まあインドネシアの油でありますとか、あるいはアメリカの油、ソ連の油というような硫黄分の少ない原油で幾らか薄まりますけれども、何しろ八五%が中東の油ですから、日本に入る油の平均硫黄含有量は二・三%ぐらい。相当多い量でございます。ちなみに、石炭の中の硫黄分は一%ぐらいでございますから、重油になりますと、だいぶん硫黄がふえるということでございます。それで、日本に入ってきました輸入原油の中に入っておる硫黄は、全量で申しまして昭和三十九年に約百五十万トンという量になっております。これが、結局どっかで燃えて亜硫酸ガスになって出ているわけでございます。  そこで、七ページでございますが、この硫黄による大気汚染をどうやって防ぐかと申しますと、まず、その発生源である重油段階硫黄を抜いてしまうというやり方、それから一度燃えた排ガスの中から亜硫酸ガスとして取るという方法、それから最後に、煙突をうんと高くいたしまして、空中に拡散させて遠くへ飛ばす、地上に落ちてくるときは非常に薄くなって、害がないくらいにまで薄まっておるという、そういう方法と、三通り考えられるわけでございます。  で、現在どういうことをやっているかと申しますと、火力発電所のように大量を処理するところでは、高い煙突を立てて空中に拡散させるという方法をとっております。七ページに書いてございますが、在来の発電所では九十メートルくらいの煙突が、最近では百二十メートルから百五十メートル、現在計画中のものは百八十メートルというように、だんだん煙突を高くしまして対処しております。なお、外国の例でございますが、オランダでは二百十三メートル、アメリカには二百四十五メートルというような高い煙突が出現しております。  なお、煙突の高さを高くするばかりでなく、その排気温度を高くしまして、自分の浮力でずっと上がるとか、あるいは煙突の出口をジェットにしまして吹き上げるとかいうことで、逆転層の突破をするというような設計をやっているわけでございます。しかし、これは火力発電でございまして、火力発電というのは、一ヵ所で一斉にまとめて使いますから、そういう高い煙突も立てられるのでありますが、一般工場でありますとか、あるいはビル暖房というようなところでは、使用する量も少ないし、経済的な問題もありまして、そう高い煙突は立てられない。そのために、普通の中小工場あるいはビルというようなところの煙は、なかなか逆転層の上には上がっていかない。  それで、風が強いときはいいのですが、逆転層のできるようなときには、これがスモッグ原因になるわけであります。そうしますと、この煙突を高くするという方法には適用の限度がありますので、次は、燃焼ガスの中から硫黄分を抜くということになるわけでありますが、これも実は、大型でないと、なかなか技術的にむずかしいのであります。大型というと、やはり火力発電所ということになりまして、燃焼ガスの中から硫黄を抜こうということは、現在研究相当進んでおりますけれども、やはり火力発電所くらいの規模でないと、なかなかできないように思われます。  そこで、最後は、重油そのものから硫黄を抜いて、低硫黄重油で燃そうということになるわけですが、これは、これまでの技術では非常に高くつくと思われておりまして、なかなか実施に踏み切る段階までいっていなかったのでございますが、最近になりまして、水素化脱硫という方法ならば、もちろん値段相当高くかかるのでございますが、いままでよりは安くできるのじゃないかという見通しが、これはアメリカ企業規模での実施が可能になりましたために、そういうことが考えられるようになったわけであります。この水素化脱硫工場は、現在、クウェートアメリカが建設しております。アメリカ自身でなぜ建設しないかと申しますと、アメリカの油はわりあいに硫黄が少ないというようなことから、アメリカ自身ではあまり必要がない。クウェートに持っていって建設したわけでございます。これの成績が、伝えられるところによりますと、かなり良好のようでございます。  そこで、この九ページのところに、昨年度重油をどれくらい、特に硫黄分の高いC重油をどれくらい販売したかという実績が書いてございますが、ごらんのように、日本全体で三千百万キロリットルほどC重油を使っております。その中の約四割に当たる千百五十九万キロリットルというのが火力発電に向けられております。それから鉱工業、それからビル暖房というようなところまで含めまして、残り千九百八十八万キロリットル近いものが向けられているわけでございます。  そこで、電力火力発電に使っておりますものは、煙突を高くしたりということで何とかやっておりますが、そのほかに向けられておりますものは、いま言いましたように、そういうことができませんために、大気汚染相当大きな原因をつくっているわけでございます。もっとも、大気の中に吐き出されましても、それが地上まで落ちてこなければ直接の影響はないというようなわけでもありますけれども、一方では、スモッグがあれば、地表になくても、曇って困るとかというようなことはあるわけでございます。  そこで、この水素化脱硫方法でどれくらいかかるかと申しますと、大体重油一キロリットル当たり処理費が千三百円ぐらい。それで三・八%の硫黄が一%になる。つまり、二・八%下がるわけであります。それで、千三百円を二・八%で割りますと、硫黄一%下げるためには、重油一キロリットル当たり五、六百円ぐらいかかるというわけであります。この重油一キロリットル五、六百円というのは、どれくらいの率だろうかと申しますと、現在、C重油一キロリットルが約六千円でございますから、一割くらい値段が上がるということでございます。  この一%下げるということによって、重油値段が一割上がるというのが、電力コストにはどれくらい影響するかと申しますと、十一ページのまん中辺に書いてございますが、火力用にたいているのが千二百万キロリットル、一キロリットル六千円として七百二十億円でございますが、一割高くなるとすると、七、八十億円高くなるというわけでございます。そうしますと、電力料金全体としては七千八百億円ぐらいでございますから、まあ、その中の七、八十億円というくらいは、一%前後ということになるわけであります。  一方、重油自身は、精油所が非常に規模が大きくなってくる。あるいはタンカーが非常に大きくなってくる。すでに二十万トンというような声が出ておりますが、タンカーが非常に大きくなりますと、運賃が安くなるというようなことから、先行き値段としては次第に安くなるだろうと思われますので、この一キロリットル当たり千三百円、硫黄一%換算で五、六百円というようなものは、そのまま将来もいくというわけでもないと思いますが、大体そういうような程度の価格の上昇はある。もっとも、これは高い煙突にするということも、やはりお金がかかる。燃焼ガスから脱硫するという方法お金がかかるのでありまして、どれが一番高いかという計算は、よくしてみなければわかりませんが、ほかの方法でもただではないわけであります。しかし、いまのところ、この重油からの脱硫というものは、煙突を高くするよりは値段が張るだろうと思われます。しかし、煙突を高くできない中小工場、あるいはビル暖房というようなところでは、これはやはりどうしても低硫黄重油をたくという方向へ踏み切らざるを得ないだろうと思うわけでございます。  次に、資料の第二に参りまして、自動車排ガスによる大気汚染の問題をちょっと御説明申し上げます。  自動車排ガスというのは、どういうものがあるかと申しますと、炭化水素、つまりガソリン分が燃えなくてそのまま吐き出されるというようなものもありますし、それから一酸化炭素、鉛、それから窒素酸化物、これは空気の中にある窒素がニンジンの中で酸化されてできたものでございますが、そのほか、まあいろんな有害なものが吐き出されるわけであります。  御承知のように、東京の町は非常に自動車がふえまして、そのために、交差点は特に大気汚染がひどいというわけであります。その状況は、一ページ、二ページに書いてございますが、大体空気中に一酸化炭素が吐き出されて、ある程度になった場合に、どんな影響が起こるかと申しますと、三ページに書いてございますが、まあとにかく、頭が重いとか、頭が痛くなるとか、口がかあく、眠くなるとか、目がしぶいとか、そういうようなことでございます。  もちろん、一酸化炭素というのは、これは炭鉱の中でよく出まして一酸化炭素中毒がございますが、濃ければ死ぬんでありますが、まあ、薄いから死にはしないようなものの、いろんな症状が出てくる。これが長く続きますと、ぜんそくになったりするようなことでございますけれども、そういう影響がすでに出ているわけでございます。  それから、自動車が今後どうなるか。現在、東京に約百万台くらい、日本全国では、四ページの推定の数字によりますと、四十年三月末で約七百万台でございますが、これが昭和四十五年には千四、五百万台になるんじゃないか。それからなお最近の数字では、昭和五十五年ごろになると二千万台になるんじゃないかというような数字も発表されておりますが、とにかく将来自動車は非常にふえそうでございます。それで、自動車がふえれば、それだけ排気ガスも多くなって、大気汚染がひどくなる。ロサンゼルスのスモッグというような現象が、東京でもすでに起こり始めているわけでございますが、将来は、ますますひどくなるんじゃないかというぐあいに憂慮されるわけでございます。  そこで、この自動車排気に対する対策はないのかと申しますと、いろいろなことが考えられております。それが五ページ以降に書いてございます。  第一は、自動車燃料を、ガソリンをやめてLPガスにするということでございます。自動車燃料ガソリンからLPにかえますと、LPガスでは、大体ガソリン車に比べまして一酸化炭素の量が三分の一になります。特に、このLPGはオクタン価が高いですから、ガソリンのように鉛を加える必要がない。で、一酸化炭素だけでなく、鉛も相当減るというわけでございます。  それから次に、交差点を立体化するという対策もございます。この交差点を立体化するということは、信号待ちをなくするということでございますが、信号でとまらなきゃならないとしますと、まあ減速してとまって、その間エンジンをから回しをして、それからまたスタートする。その際に非常に一酸化炭素が出やすいんでございます。その状況は五ページのところに書いてございますが、スタートストップというのが非常に一酸化炭素に悪い影響を与えますので、このスタートストップをなるべく減らすように、交差点を立体化するということが第二の対策。  それから第三の対策は、排気ガスの中の一酸化炭素を燃してしまう。燃してしまえば無害の炭酸ガスになりますから、燃してしまう。そしてアフターバーナーをつけるというわけでございます。このアフターバーナー費用が、まあ五、六万円。自動車代が六十万円とか八十万円とかいっておりますから、まあ一割近い金がかかるわけでございますが、それだけ排気ガスはきれいになる。  それから第四の対策は、エンジンを改造いたしまして、完全燃焼エンジンにする。従来は、一部燃えないままで出るというようなことがあったんでありますが、完全燃焼させる。エンジン自体完全燃焼させる。これは、アメリカのクライスラーがすでにやっておりますが、まあ、それだけエンジン値段も高くなる。それからもう一つ、現在までのところでは、大型のほうがやりやすい。小型では比較的むずかしいというわけでございます。しかし、きょうの新聞にも出ておりましたが、アメリカで、スモッグ対策の上から、一酸化炭素を二%以上出す車はもう使用禁止というような規制案が出ておりますので、日本からもかなり輸出しておりますし、それからドイツのホルクスワーゲンなんかもアメリカにたくさん入っておりますので、そういうところがやはり何かの対策を講じなければ輸出ができないということになりまして、だんだんこういう件についてアメリカ以外の自動車業者も本気になりつつあるようでございます。  まあ、こういうようないろいろな対策を講じまして、できるだけ一酸化炭素及び鉛を減らし、それが都市大気汚染を減らすという役に立つわけでございます。  それから最後に、水質汚濁でございますが、これは、七ページ以降に書いてございます。  大体、水質がどれくらいであったらいいのかと申しますと、それは、きれいならきれいにこしたことはないのですが、大体魚がすめる程度というのが、七ページのまん中辺に書いてございます汚濁限界点というところでございますが、汚濁限界点の水というのは、BOD程度、それから溶存酸素が五程度、これくらいが限界で、それよりもBODがふえますと、もう水がきたなくなって魚もすめない。魚がすめないような水は、飲料水としても、あるいは工業用水としても、あまり適当でないということになるわけでございます。  そこで、汚濁発生源はどんなものかと申しますと、八ページに書いてございますが、まず産業廃水、これは工場廃水、それから鉱山の廃水、あるいは牛や豚の屠殺場の水というようなものがございます。それから船舶、これは日本の場合は川が小さいから、あまり船舶のことを考えないでもいいようでございますが、船舶から油が流れるとか、それからもう一つ農地から農薬が出てくる、こういうような汚染源があるわけであります。産業だけでない、農地農薬というような問題もありますので、まあ、汚染源としては、どれが何%というようなことは場所によって違いますが、東京の場合には、工場廃水というのが非常に大きくきいているわけであります。  それから第二の汚染源は、都市下水でございますが、都市下水、すなわち家庭の台所あるいは風呂場、洗たくというような水、特に最近は電気洗たく機が非常に普及しまして、それで合成洗剤を使っておりますので、その合成洗剤による汚濁相当ひどい。それから、し尿あるいは汚物を捨てる、ごみを捨てる、というようなことで、一般家庭から、あるいは市民生活からの汚濁相当なものでございます。  それからそのほか、人為的なものではない温泉というようなものもありますが、しかし、これはまあ東京のような場合には、それほどではございません。東京の場合に、産業廃水都市下水と、どれくらいの割合かと申しますと、大体三分の二が産業廃水で、三分の一が都市下水による汚濁というぐあいに考えていいかと思います。  それで、このきたない水というのは、従来は川に流して捨ててしまえば、水に流して済んだんでありますが、だんだん汚濁がひどくなりますと、そういうわけにはいかなくなって、悪臭を放つ、あるいは硫化水素が出まして、その硫化水素で金属がさびるというようないろいろな悪影響が出てきたわけであります。  そこで、こういうものについて、どう対処したらいいかと申しますと、これは、言うまでもなく、下水道の完備ということでありますが、同時に、この下水道をうまく運営していくために、あまりきたない水が入っては困る。そこで工業廃水にしましても、ある程度浄化をした上で下水道に流すというようなことが必要になってくるわけでございます。現在、日本が非常に困っておりますのは、東京に一千万住む、あるいは大阪に数百万住むというようなことから、非常に人口密度が高くなって、そのために水道の水が要る。その水道の水が上流都市排水によって汚染されるというようなことが非常に目立ってきたわけでございます。たとえば、東京の場合を申しますと、十五ページにございますが、水道水源の水が、たとえば多摩川の羽村はBODが〇・五ぐらい。しかし、ここに書いてございませんが、二子まで参りますと、BODが四ぐらいという数字になってしまう。それから、大阪の淀川では、柴島でBODが四である。BODが四くらいになったということは、もう汚濁限界点の五にそろそろ近くなってきたということでございまして、水道水源としてだいぶ心配の程度がふえてくる。これ以上よごれたら非常に困るということに近づいてくるようなわけでございます。  で、東京のような場合には、東京の水は多摩川から引いておりますが、一番おしまいのページでございますが、多摩川の羽村の水はまだいいのですが、砧とか、あるいは二子とかいうようなところからの取水はだんだんよごれておるわけでございます。そのよごれの原因というのは、上流に、たとえば八王子、立川、調布というような町の人口がふえまして、そういうところからの水が落ちてくる。それからさらに多摩川の右岸、この図ではぼつぼつが書いてございますが、このかいわいに最近どんどん住宅ができておりまして、高幡でありますとか、桜が丘でありますとか、ああいう辺でありますが、ああいうところから、あまり処理のよくない家庭排水が出てくるというようなことから、砧とか二子取水が非常に困っているわけでございます。二子水道では、すでに昨年の夏の渇水期には合成洗剤のあわが非常に立ちまして、それを消すために活性炭を入れなければならない。活性炭値段が、水一立米当たり二十円もかかるというようなことでありまして、まあ、水代が非常に苦しいというようなわけになってきているわけでございます。  以上のように、公害がいろいろありますが、大気汚染のうちの、重油、それから自動車、こういうようなものについて対策がいろいろ考えられておりますが、いずれもお金がかかる。それから都市下水あるいは工場廃水というようなものも浄化する方法はございますが、それについては、かなり費用がかかる。従来は、そういう費用をかけないでも、まあ金がもうかったほうがいいということで、何とか済んでおったのでありますが、また、事実、自然浄化能力にたよっても、がまんができないわけではなかったというわけでございますが、だんだん人口が集中し、産業が発展してまいりますと、両方のほうから、これがそろそろ黙過し得ない。お金がかかっても、きれいにしなければならないという段階が、そろそろやってきたように考えられるわけでございます。  以上、簡単でございますが、御説明申し上げました。
  4. 横山フク

    委員長横山フク君) 本件について御質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側から、科学技術庁高橋研究調整局長橘資源局長佐々木厚生政務次官舘林環境衛生局長が出席しております。
  5. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 日本が輸入しております原油硫黄含有量というものは、「公害関係資料(その1)」にも出ておりますが、六ページですが、原油硫黄含有量というものは、これを見ると、中東が一番多いようになっておりますが、南方油というのは、南方といっても、ずいぶん広いような気がするのだけれども、どの辺のことを言うのか。
  6. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) 南方は、主としてインドネシアでございます。スマトラ、ボルネオ。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 価格の比較ですが、価格の比較は、中東の油、あるいは南方アメリカ、ソ連と、それぞれありますが、どういうふうになるものか。
  8. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) 大体申しますと、中東の油、クウェートあたりをとりますと、向こうの井戸元渡し、向こうの値段が三千六百円ぐらいでございます。それからカフジが三千二百円ぐらい、それに運賃が、最近ですと千数百円と思います。それぐらいついて、こちらに入ってくるわけでございます。ところが、インドネシアあたりの油は、はっきりわかりませんが、非常に値段が高いというやつは、硫黄が少なくて優秀でありますから、その分だけ値段が高い。それから産油量が少ないから、やはり高いというようなことで、詳しい数字は存じませんが、向こうの井戸元で倍ぐらいじゃないかと思います。それからもう一つの問題は、南方、インドネシアとか、あるいはアメリカの油、ソ連の油というのが、高いばかりでなくて、量が十分日本に入るほどないということなんでございます。やはり、世界の埋蔵量の三分の二を占めております中東が一番量も多く、値段も安いということから、日本には主としてこれが入ってくるということでございます。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 量が不十分というのは、輸入をするだけの量がないというのか、あるいは政治的な理由によって輸入しがたい事情があるものかどうか、そのコスト計算でつり合わないということになるのか、中東の油が主として輸入されているようでありますけれども、そのほかの油についてはどんなような事情が介在をしているのか、その点わかりましたらお答えいただきたい。
  10. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) インドネシアの油は、油田そのものがあまり大規模でございませんで、生産量が数百万キロリッターでございます。ですから、これは政情不安とか何とかいうばかりではなく、油田の性質そのものからして、そうたいした量はない。アメリカは十分あるわけですが、アメリカの油は高いわけでございます。これは、主として大西洋のほうのメキシコ湾とかいうところでございますから、パナマ運河を通ってくるので、どうしても高い。それからソ連の油も、いまの状況では日本にたくさん入れるほどはない。政治的のことばかりでは、ございません。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 運賃なんかも高くつくわけですか。
  12. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) 運賃なども、現在ソ連の油は黒海に出します。黒海からボスポラス海峡を通って、スエズを抜けてこっちへ来ますので、あまり大きな船は使えない。それだけ運賃も高いというわけでございます。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いままで御説明になりましたような事柄は、科学技術庁が主として担当をしているというふうに受け取れるわけなんですけれども、ほかの官庁は、産業公害、たとえば通産省とか、いろいろあると思うのですけれども、ほかの官庁では、どこかやはりこういったような公害を担当している官庁はあるのか、あるとすれば、どういうところがやっているのか。わかりましたら御説明願いたい。
  14. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) 通産省には産業公害課というのがございます。それから厚生省にも公害課というのがございます。それから水質汚濁につきましては、経済企画庁に水資源局水質保全課というのがございます。科学技術庁では資源局研究調整局でございます。
  15. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 関連。この産業公害防止のために、技術的な研究なり、あるいは施設の開発、こういうものについて、やはり政府が統一した研究機関なり、そうしたものを持たなくちゃならぬということが叫ばれていると思うんですけれども、科学技術庁として、この公害防止のためにどんな機構があって、どのような機能と申しますか、責任を果たしておるのか、その辺から、まずお伺いしたいと思います。
  16. 橘恭一

    政府委員(橘恭一君) 先ほど申し上げました研究調整局におきましては、通産、厚生両省に関連するような総合研究について、特別研究促進調整費という調整費を持っております。それから資源局におきましては、たとえばお手元に提出してございます資源調査会の報告、「重油の低いおう化に関する調査」、ここにございますように、資源調査会においていろいろ資源利用という立場から方策を審議して報告をいたしております。科学技術庁においては、そういうところで、研究所につきましては、それぞれ所管の研究につきまして、まあ所管の庁の立場からの研究に対して調整費をもって応援する、そういう形をとっております。
  17. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いま、瀬谷委員のほうからの御質問の中で、通産省なりあるいは厚生省、それぞれ研究もされ、あるいは防止をするためにどのような技術的な施設が必要であるかというようなこともやられておると思うのですけれども、科学技術庁としては、そういう、簡単に言えば、たとえば一酸化炭素なり亜硫酸ガスがどの程度排出をされ、そうしてそれぞれどの程度排出された場合に人体に危害を及ぼすのかというようなことの研究と申しますか、調査、そういうところだけにとどめてあるわけですか。
  18. 橘恭一

    政府委員(橘恭一君) 科学技術庁では、いま申されました点については、それぞれ所管の省でやられるという前提で、そこまで科学技術庁では立ち入っておりません。
  19. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 ちょっと、わからないんですがね。私たちがいままで主張してきたのは、とにかく、こうした公害というような大きな問題に政府が取り組んでいくためには、もっと研究機関なり、あるいは技術の開発について政府自体が力を入れていかなくちゃならない。そのためには、統一した研究機関なり、そうした技術の開発のための研究所と申しますか、そういうものをつくったほうがいいんじゃないか、こういうことを私どもは主張してきたわけです。それにもかかわらず、各省それぞれ一つの機構を持ってやられているようなふうに見受けられるわけですけれども、そういう中で、科学技術庁としては、そういう公害防止のためにどのような責任の分担をしているのかということなんですがね。したがって、たとえば、私が先ほど申し上げましたように、亜硫酸ガスがこういう場合にはこれくらい出る、これくらいの量が排出された場合には人体に危害があるというような、そういう科学的な調査を出して、その調査を、今度は通産省なら通産省の何とかという研究所に回して、もちろん、その通産省の研究所でもそういうものをやっていますけれども、それに基づいて、これを防止するにはどのような技術が必要かというようなことを、具体的に技術面の開発の研究をしていく、こういう有機的なものがなければ、ただ単に、科学技術庁がそういうようなことだけやっている、通産省は通産省で、また別個に同じようなことをやっている、厚生省は厚生省で同じようなことをやっているということでは、私は、これは予算のむだ使いであって、やはり国家全体としての公害防止の対策としては不十分ではないかと思うのです。その辺の科学技術庁としての任務分担というのか、機能というのはどの辺にあるか、お聞きしている。
  20. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 科学技術庁におきます各省庁の公害対策に処します態度は四つございます。  一つは、各省庁の研究を総合的かつ効率的に進めますために、各省庁におきます研究をできるだけ連携を保たしめる。これは、衆議院の科学技術特別委員会等の御決議にございましたのでございますが、現在、大気汚染防止研究合同推進連絡会議という機構を庁内に持ちまして、各省庁の研究につきまして連絡調整を行なっております。  次に、設置法によりまして、関係各省庁の科学技術に関します予算の見積もり調整を行なうことになっておりますので、各省庁が概算要求を作成いたします段階並びに大蔵省に概算要求書が提出されました後の時期にあたりまして、これは各種審議会等の答申等も勘案いたしまして、関係省庁と連絡をとりながら見積もりの方針に関しますところの調整の意見書を大蔵省に提出をいたしております。  それから第三番目は、先ほど資源局長から説明いたしました特別研究促進調整費というか、これは、各省庁の研究を総合的に、かつ密接に行なうために当庁につけられたものでございますけれども、この特別研究促進調整費を関係各省に移しかえいたしまして、そしてそれぞれの省庁におきまして研究をしていただく、この場合の調整費の移しかえにつきましては、先ほど申し上げました研究連絡会議におきまして、各省庁の分担並びに連携を十分に調整いたしました上に移しかえを行なうわけでございます。  そのほかに、試験研究の助成を行なうことも設置法上可能でございます。これは多数部門と称しておりますけれども、その研究分野が合同して行ないますようなものでございますが、民間の法人等に対しまして試験研究の助成をいたしております。  なお、参考までに、先ほど申し上げました特別研究促進調整費の活用状況を申し上げますと、昭和四十年度に約六千二百万円、内容は、スモッグの現象の解析に関しますところの総合研究といたしまして当庁の防災科学技術センター並びに運輸省に対し約一千万円、さらに大気汚染防止に関する総合研究一千八百万円、これは、科学技術庁の防災センター、厚生省、労働省、農林省の各機関に配分いたしております。さらに、騒音、振動防止、それから新潟の阿賀野川におきますところの水銀中毒に関する特別研究、あるいは最近問題になっておりますところの沿岸の埋め立て等に伴います廃水拡散等の問題に関しましても同様に調整費を配付しております。  四十一年度につきましては、これは予定でございますけれども、ただいま申し上げましたような各研究に対しまして四千七百万円程度を支出するように考えまして、関係省庁と連絡をとっております。  なお、試験研究の助成といたしましては、四十年度は、水質汚濁防止に関しますところの、これは拡散と自浄作用に関するものと思っておりましたが、五百万円程度のものを資源科学研究所——財団法人でございますが、これに助成をいたしております。四十一年度も同様な助成を行なうことにいたしております。  以上でございます。
  21. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 関連ですから簡単にいたしますが、まだ予算面についての質問もしたいと思いますけれども、それは後日に譲るといたしまして、いまのお話を聞いておりますと、研究機関としての各省庁のいわば頭になっておって、そして各省庁の連絡調整をやっておる、そういう仕事をやっておるというふうに、私理解したわけですが、それでいいわけですね。
  22. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) そのとおりでございます。
  23. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうしますと、総理府所管の中にある公害対策推進連絡会議、この中にももちろんメンバーとして入っているわけですか。
  24. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 当庁は、先ほど申し上げました国立防災科学技術センターという名前で、これは一般の自然災害のほかに、いわゆる人災の面におきましてはスモッグ関係の研究をいたしておりますので、当庁も入っております。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 正直言ってですね、公害対策についていろいろこう質問したり調べたりするという場合に、一体どこが中心になっているのか、役所で。その点が、どうもはっきりしないというと、われわれ審議をする際に、だれに出てもらったらいいかということで、まごつくわけですよ。だから、中心になるところがどこで、大臣は一体だれが責任者なのかということですね。いままで聞いたところによると、それぞれ経済企画庁なり、通産省なり、厚生省なり、科学技術庁産業公害関係の部門がある。しかし、科学技術庁では科学技術研究の面からいろいろと調べている。それから通産省のほうは業界の関係からこういう課がある、厚生省は衛生の面から課がある、経済企画庁は経済企画庁で水資源の関係だけを担当しておる、というふうになっておって、一体キャプテンはどこなのかという点がよくわからぬわけですよ。だから、キャプテンが一体どこで、それから責任者はどの大臣か。科学技術庁長官が責任者であると、これが中心になると、いうのならいうんでいいんですよ。あるいは通産大臣なら通産大臣、厚生大臣なら厚生大臣、だれかやはり中心になる者がいないと、こう窓口だけ広げちまって、頭があっちにもこっちにもある、窓口ばかり多いというと、問題を究明していく場合に非常にやりにくいわけですよ。だから、まずその点から明らかにしていかないと、委員会でもってお互いに勉強するのでも、やりにくいような気がするんですね。その点を、できたら明らかにしてもらいたいと、こう思うんですが、どうでしょう。
  26. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 公害対策の全般につきましては、総理府に公害対策推進連絡会議という次官クラスの機構があるやに承っております。私どものほうは、それぞれの各省庁が所掌に基づきます業務を行ないます上に当然必要な研究は、各省庁の研究でおやりになります。ただ、公害対策というものが、いろいろな研究分野の境界領域、あるいは関連を持って進めなければならないような性格を持っておりますので、各省がおやりになりますことをできるだけ関連づけて、効率的に総合的に行なうという、お世話役と申しますか、それと、まあ予算の関係で、かけましたり、あるいは総合いたしますために、さらに必要な経費等もございますので、そういう意味の潤滑油と申しますか、あるいは補てんするという意味で、先ほど申しました研究促進調整費を支出するということでございますので、どこまでもまあ調整役という立場で処していると思います。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 もう一点。各省の次官クラスを網羅した、非常に長い名前の会議ですが、えてして、こういうものは、何かこう名前だけでもって、機能を発揮しているのかどうかわからないような面があるわけです。で、いままで聞いた中でも、たとえば、こことここは非常に排気ガスの面でぐあいが悪い、だから立体交差にしなきゃならない、あるいは水質の面で、河川のどの付近は非常によごれておるというようなことになると、道路の立体交差あるいは工場の配置等、その産業都市の計画的な問題から出発しなきゃならぬわけで、研究の結果が出てきたとしても、その実行の面に移る場合になかなかむずかしいことになるのじゃないかと思う。この会議でもって結論は出ました、しかし、いざ実行ということになると、道路から、橋梁から、港湾の設備から、都市計画から、すべてこれは総合的なものでなければ、部分的にだけ手を打ったところで、たいしたきき目はないのですね。総合的に計画を立ててやらなきゃならぬということになるわけなんです。  まあ、きょうのところは、まずそういう外郭、輪郭だけを一応話してもらって、逐次これからやっていきたいと思うのでありますけれども、そういう意味で、責任大臣といいますと、総理府の関係というわけになるのか、やはり科学技術庁長官ということになるのか、もし大臣に出てきてもらって答弁をしてもらうという場合には一体だれが適切なのか、ちょっとその辺は、ここで答えられるかどうかわかりませんが、わかったら教えてもらいたい。
  28. 森中守義

    ○森中守義君 関連。これは、先ほどから技術庁のほうで設置法をしきりに言われますけれども、おそらく七条の二のところを説明されたのだと思う。これじゃ調整権は、なるほどあるけれども、全然拘束力を持つような内容じゃないですね。これはもう、形の上でも実質でも、私はそうだと思う。それでどうなんですか、いま瀬谷君、柳岡君の質問というのは、ちょっと科学技術庁相手じゃ無理ですよ。一度、官房長官あるいは総務長官あたり呼んでみて、その辺の機構上の問題、政府責任の問題を一ぺんやってみたらどうなんですか。これは、われわれとしても非常に問題ですよ。いまの質問は重要なことですからね。個々ばらばらに、農林省は農林省、厚生省は厚生省、それぞれ聞かれたんじゃ、これはたまったものじゃないから、やはり一体となる責任の所在はだれであるか、その辺のことを、官房長官なり、あるいは総務長官あたり呼んで、ひとつ、かちんとしておかないと、私は意味がないような気がする。まあ、そういう意味で、いまの質問に答えてもらいたいのです。まあ、私は関連という質問になりましたが、要望ということがいいかわかりませんけれども、そういうようにしてもらいたい。
  29. 相澤重明

    ○相澤重明君 政務次官ね。あなたは、やはり総理府の中で、そういう事務次官会議なり政務次官会議がやっぱりあると思うのですよ、だからあなた、その政務次官会議に出席しているのだから、私どもが考えたらこうなるとか、あるいはこういうふうなんですという説明がなければ、政務次官せっかく出席しておって何ら答弁がないというのはおかしい。
  30. 森中守義

    ○森中守義君 政務次官って、何の政務次官か……。
  31. 横山フク

    委員長横山フク君) 先ほど皆さまに御報告申し上げましたが、厚生政務次官佐々木義武君がおいでになるということは申し上げたわけでございます。あるいは、そのときに森中君はおいでになってなかったので、おわかりにならなかったかと思いますが……。
  32. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 私、厚生の政務次官でございますので、全般の責任の所在はどこにあるかという問題になりますと、法規上設置法等をよく調べませんと、確定的な返事はできないのでありますが、ただ全体的に申し上げますと、加害者と被害者、こういうふうに大きく範疇が分かれると思います。そこで加害する部分に対してそれをどういうふうに是正し、対策を講ずるかという問題と、逆に被害を受けるほうはこれをどうするかという、二つに大きく分かれると思いますが、私のほうの役所は、いずれかと申しますと、害を受けるほうでございまして、したがって、こういう公害の実態は一体どうなっておるのか、それが人体にどういう影響を及ぼしているのか、どこまで許容できるかといったような問題が中心課題でございます。また、農林省にいたしますれば、おそらく農薬その他は一体、作物等にどういうふうな影響があるかといったような問題になりましょうし、通産省あるいは運輸省等になりますと、逆に工場それ自体、あるいは自動車それ自体から発生する部分に対して、責任官庁として、どういうような規制方法をとるかというような問題になってくると思います。したがいまして非常に広範な問題でございますから、先ほどお話がございましたように、総理府の中に公害対策推進連絡会議という、長い名前でありますが、そういうものをつくりまして、総理府が一応その連絡会議を通じて問題の推進に当たっていこう、こういう体制になったのが、ただいまの実情でございます。
  33. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで政務次官、さっきから各委員が言っているのは、行政のいわゆる統一ある見解を下して、そうしてまた、実際の行政の責任者なるものはだれか、こう聞いているわけです。だから、たとえば大臣がおるとすれば、それは科学技術庁の国務大臣なのか、厚生大臣なのか、あるいは通産大臣なのか、あるいはそうでなくて、総理府の総務長官なのか、こういうようなことがよくわからぬじゃないかというのが、いままで質問していた人の意見なんです。そこでこの中にあるのを見れば、いま君が言った総理府の中にあるものは、これは単なる連絡会議で、お茶菓子を食うだけのことしかない。だから実際の権力もなければ、行政の最高責任者としてのものもないということで、これは法律上は別に何にもないでしょう、これは内閣できめただけのものなんでしょう、どうなんですか。
  34. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) どうも厚生政務次官から、こういう答弁をするのは、おこがましいのでありますが、それぞれの省に与えられました権限によりまして、先ほど申し上げましたように、非常に広範な分野にわたっている問題ですから、それぞれの大臣はそれぞれ各省で所管しております事項に関しては責任があります。でございますから、先ほど申しましたように推進連絡会議といったようなもので、ある程度結論が出てまいりますれば、それに従いましてそれぞれの実施官庁が、実施官庁の責任者として、その責任に当たるというのが現状でございます。
  35. 森中守義

    ○森中守義君 関連。しきりに連絡会議と言われるけれども、これは総理府の中に作っちゃいるけれども、別に総理府設置法による法的機構じゃないのですよ。だから国会のたびごとに、ここ二、三年公害の問題が出る。ところが設置法にもきまっていないのだから、どこがこういう公害を扱えという、そういう設置法はどこにもないですよ、そういうのは。それで委員会としては個々ばらばらに答弁をされて、その省その省が責任は持つだろうけれども、政府一体としての責任はだれがとるのか、こういうことなんだ、問題は。連絡会議をつくったから、それで事足れりというもんじゃないのです。だから、もう少し正確に——政務次官、ちゃんと閣議なり、あるいは次官会議あたりに出て、もうちょっときちんとしたものを、ここに持ってこなければぐあいが悪い。
  36. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 答弁は同じ答弁になりますので、繰り返して申しませんが、ただいま申しましたように、非常に広範な問題でありますので、それぞれの責任官庁が、きまったことに対してそれぞれ責任を持って実施するというのが現状でございますけれども、それをもってしては、最終的なと申しますか、総合的な責任個所が不明確じゃないかという御質問のようでございますが、これに関しましては厚生政務次官として、かくあるべしとかいうことは申しかねますので、ごかんべんいただきたいと思います。
  37. 横山フク

    委員長横山フク君) 委員長において皆さまにおはかり申し上げたいと思います。  本件については、本日出席を要求した政府委員においては答弁は無理だと存じますので、委員長理事打ち合わせ会において御相談の後、適当な政府委員を呼びまして、その席上においてこの問題を解明していきたいと思っておりますが、皆さまにおいてそういう取り計らいに御了承をいただけるでございましょうね。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 横山フク

    委員長横山フク君) では、さようお願いいたします。
  39. 木島義夫

    ○木島義夫君 私のいま言わんとしていることは農林省関係のことでありますが、いま言うとおり、どこが責任者だかわけがわからないような状態ですが、農薬に水銀剤があるということですね。これは最近、新聞等でも二、三日前の新聞で非常に論議しておるが、われわれ、農民の一人として米を生産すると、米の中にも水銀が入っておる。そうすると、われわれは公害製造人の一人になるわけです。こういうことでは心細いわけです。これは当然、農林省が深く立ち入ってやるべきことと思いますが、しかしまた、場合によれば農薬の販売業者とか、いろいろな関係もありますから、ただぱっとやってしまうというわけにいかない。そこで科学技術庁あたりのこの辺に対する見解を伺いたいと思います。
  40. 橘恭一

    政府委員(橘恭一君) いまおっしゃられました水銀農薬の問題につきましても、いわゆる残留毒と申しますか、慢性毒の問題と、水銀剤を散布する農民のいわゆる急性害と、二つあるわけであります。慢性毒あるいは残留毒ということにつきましては、現在水銀の残留毒性につきまして、その毒性が保健衛生上相当問題になる、あるいは問題にならない、そういうことについていずれの証明も科学的にはなされておらない段階でございます。科学技術庁では慢性毒性——残異毒性の問題につきましては厚生、農林と連絡会を数度にわたり持ちまして、その対策を検討したわけでございます。いまの段階研究をしてやるべきことは、農薬が散布されてから稲に入り、さらに米に入って、これが人体に入っていく。そういうプロセスにつきまして、散布されてから稲に入るまでの農薬の挙動、それから稲及び人体の中における水銀化合物の代謝の研究、さらに、その代謝産物が人体にどういうような毒性を持つか、そういう研究をやる必要がある。  第二には、この現在の有機水銀農薬にかわるべき新農薬の開発、さらには現在の農薬の使用方法——散布量とか、散布日時とか、あるいは濃度、そういうことについての研究指導、こういうことが研究調査の面からやらなければならないという、こういう結論に到達しているわけでございます。
  41. 木島義夫

    ○木島義夫君 私は、これは人体における毒性の有無、その他害毒を試験しているような状態のものについては、一日も早くやめるべきだと思うのです。かわるべき農薬を政府として指導してやるということを早くしなければ、私はならぬと思うのです。そういう意味で科学技術庁は、その名前の上から言ったって、どうしてもこれは進んでそういうものをやって、この決定打を出すべきである、こういうことを考えているのです。そういう意味で質問しているのですから、ただ人間の体で、毒がどのくらいであるなんて、モルモットやウサギじゃないのですから、人体をもって試験しているような状態——このことは、われわれ国会議員として放置することはできない。国民の体育の上から言っても、ひとつ十分検討していただきたいと思います。
  42. 横山フク

    委員長横山フク君) 舘林環境衛生局長、これについて御答弁いただきたいと思います。
  43. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 米の中に入っております水銀の形が、相当問題でございまして、現在米に使われております水銀の根源としましては、大部分はいもち病の防除に対しまする酢酸フェニル水銀、その他フェニル水銀類と推定されるわけであります。もちろん、そのほか種子の消毒にメチル水銀類が一部使われておりますけれども、その量は比較になりませんので、大部分フェニル水銀系の形をなしておるものが使われておるわけでございます。そのものが米の中へそのままの形で入ってきておるとか、あるいは分解されまして無機の水銀の形になっておるとかによりまして、害毒が違うわけであります。それらの個々の化学成分に基づきます水銀の毒性については、私ども動物実験によりまして、ある程度確認しておるわけであります。したがいまして、米の粒子の中に含まれております水銀の形がどのような形であるかによって、人体に対する毒性の推定が変わってくるわけであります。一番、目下重要なことは、米の中にあらわれております水銀の形がどのような形のものであるかということであります。ところが、微量のフェニル水銀の分析方法が従来不可能でございました。その分析方法の探求ということに、厚生省としては非常な努力を払っておったわけでありまして、現在含有せられております量が、もしも無機の水銀の形のものであれば動物実験等から推定した安全量以下のものである。ただ毒性の強い形のものになって残っておりますと、やや心配であるということで、その分析方法の探求を急いでおるわけでございます。最近、漸次その方法が明確になってまいりましたので、危険なものであれば、一日も早く使用をしないような方向で、早急に結論を出してまいりたい。かように思っております。
  44. 原田立

    ○原田立君 いま水銀性の農薬のことについて、木島委員から発言がありましたけれども、三月十日の新聞に、衆議院の科学技術振興対策特別委員会で上田喜一という東京歯科大学の教授とか、浮田忠之進という東大教授、これらの方々から、外国人より日本人のほうがはるかに有機水銀の蓄積量が多い、この農薬を長期にわたって使用していくと、毒性は人体をおかして、次の水俣病にもなりかねない、禁止すべきだと、こういう強硬な意見が出ておるわけでありますけれども、いまの局長のお話では、最初のほうは、まだ結論がついていないから、何とも考えていないというお話、あとのほうになったら、何らかの成果が出たら禁止しようという、何か首尾一貫しないような御発言ですけれども、どういうふうになさるのかということを、はっきりお伺いしたい。
  45. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 今日、米の中から検出せられております水銀の量は、無機水銀系のもので、ございますれば、安全量の範囲内でございます。安全量の最高限度よりかなり下回った数字でございます。しかしながら、これが有機水銀のものでございますと、かなり危険でございまして、この内容の判定がかなり問題であります。農林省の試験場におきまする稲の場合は、あらわれたいもち病に農薬を使ったものの結果の分析によれば、これは無機の形に変わっておるという御発表がございますが、なお、私どもとしては念には念を入れて、米の中にあらわれておるものが無機の形のものか、有機の形のものかということを十分考える必要がある。したがって、現段階におきましては、今後の微量検出の結果によらなければわかりませんけれども、しかしながら、今日の段階においても将来を予測して、多量の水銀が毎年日本の国土の上に蓄積され、またかりに一部は——一部というか、大部分は無機に変わるにいたしましても、有機のものも依然として残る可能性もございますし、私どもとしては、一日も早く安全な農薬を使う方向でやっていただきたいと、かように思います。
  46. 原田立

    ○原田立君 去年七月に、熊本県の有明海の海津のほうで農薬が飛行機によって散布された、前後三回ぐらい散布されたと聞いておりますが、とうとうあそこら辺の魚介類は全部死滅した。こういう事実があるのですが、御承知ですか。
  47. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) いまのところ聞いておりません。
  48. 原田立

    ○原田立君 聞いていないというお話なんですが、これは非常に重大な問題だ。もちろん農林省でやる問題であろうと思いますけれども、これはいやしくも、こういう魚介類を食べて、食べた人間が水俣病等の水銀性の病気になるという経緯は当局だってちゃんと知っているはずだ。ただ農林省だけの関係ということでなしに、十分これは知悉してもらいたいと思う。それで、そのときに約三億円ばかりの被害があった——魚介類が全部あがっちゃった。私も現場へいって見てまいりました。これは明らかに水銀性の農薬によるものだということが言われております。それで、これはひとつ農林省ばかりでなしに、厚生省としても、人体への影響がはなはだ大きいですから、真剣に取り組んでもらいたいと思う。それから、なお有機水銀は、これは新聞の発表でありますけれども、年間四百トンぐらい使われておると言われております。御承知だろうと思うのですが、そうすると、長期にわたれば第二次、第三次の水俣病が発生することにも通じますから、これは厚生省としても重大な決意でこの問題の処理に当たってもらいたいと思う、いかがでしょうか。
  49. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 御指摘のとおり、毎年非常に多量な水銀が全国土にばらまかれておりまして、先ほど御指摘のように、日本人の髪の毛の中には、そのような農薬を使わない地域の住民に比べまして、三倍ないし四倍程度の水銀量が含まておるという事実があります。たとい今日、被害があらわれていなくても、将来のことを考えますると一日も早く、このような水銀のような危険な重金属を使う農薬でないものを使用するような努力をお願いいたしたいと、かようなかたい決意で私どもも強く推進してまいりたいと、かように思っております。
  50. 原田立

    ○原田立君 このフェニル酢酸水銀の農薬は、一体どういうような工場日本全国つくられているかという、これは所轄違いだろうと思いますけれども、おわかりになっていますか。——わからなければけっこうです。調べてもらえば……。  それで、またひとつ厚生省のほうにお伺いするのですが、新潟の水銀中毒は工場廃水説が有力になったので、厚生省は近く結論を出すということでありますが、この状況をお知らせ願いたいと思います。
  51. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 新潟県の阿賀野川の下流に、昭和三十九年の秋ころから水銀中毒様患者が発生いたしまして、初めのうちは何病であるかわからなかったのでございますが、昨年の五月ころに至りまして、新潟大学でこれは水銀中毒であろうという意見が出ました。厚生省としましても直ちに調査班を派遣して、特別な研究班をつくって、目下内容の詳細な検討を行なっておるわけで、ございまして、このために科学技術庁の中に、先ほど調整局長のほうから御報告がありましたように、厚生省を打って一丸とした連絡研究組織をつくってやっておるわけでございます。で、この阿賀野川の下流の水銀の根源として従来からあげられておりましたものは、ただいまお話のございました、工場で水銀を使ったものが阿賀野川の下流に集るという説と、いま一つは、先ほど来いろいろお話がございましたような農薬からきたかもしれない、こういう説と両方あるわけであります。で、患者の症状からいたしますと、先ほど来ここで問題となっておりました、いもち病の防除に使いますフェニル水銀の中毒ではなくて、同じ有機水銀の中でも特に悪質なメチル水銀の中毒の病状である、こういうことであります。しからば、メチル水銀がどこからきたかということでございますが、通常最も考えられますのは、種子の消毒にメチル水銀というものの農薬が使われておるわけであります。したがいまして、農薬からくるということもなるほど一つの説でございます。で、工場からきたとする場合に、この阿賀野川の中へ工場の廃液の水銀化合物が流れ込む、これに原因があろうかということで探索いたしますと、二つの工場——あまり関係のないものがもう一ヵ所ございますが、主として二つの工場がある。ところが、これらの工場は、使っておりますものは無機水銀でございまして、しかもその使い方は触媒に使っておるわけであります。したがって、普通でございますると、この無機水銀が有機水銀に変化するという過程はないはずでございます。したがいまして、先ほど申しましたメチル水銀の原因とは表面上はなり得ないわけであります。しかしながら、何らかの過程で、これがどっかで有機水銀に変化しておるのかもしれないという疑いが持たれるわけであります。その場合に、多数の廃液の中にごく微量に有機水銀、しかもメチル水銀に変化した部分がありはしないかということが問題になったわけでございます。ところが先ほど来申しておりますように、世界的に見まして、この微量の有機水銀の分析方法というものはほとんど不可能でございまして、従来は水銀の定量は蒸溜法という方法をとっておるわけでございますが、微量なものはガスになって飛散してしまうわけでございます。微量の測定ができないわけです。したがって最大の主眼点を微量の水銀の分析ということに力を置いて、昨年来努力を続けてきておったわけでございます。おおむね、その検査方法に成功いたした段階でございます。ただいまその検査方法を用いまして、詳細に各材料——阿賀野川の川のどろ、魚あるいは患者の髪の毛、あるいは工場廃水、畑の土壌というようなものを取って、分析をいたしておる段階でございまして、私どもとしては研究班の先生方に一日も早く結論を出していただくように、いまお願いしておる段階でございます。
  52. 原田立

    ○原田立君 どうかひとつ、くさいものにはふたをしろ式ではなく、この問題は非常に重要でありますから、明らかにしてもらいたいと思います。  委員長、もしできれば、これは結論が出たらば特別研究班の学者の方々を参考人に呼んで、当委員会でひとつ質問させていただきたいと思うのですが、提案としてお願いしておきます。  それで新聞によると、昭和電工鹿瀬工場日本瓦斯化学浜松工場と、こういうふうにあるのですが、この会社のほうは調査したのですか、どうですか。
  53. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 会社の内部、廃液等は調査中でございます。
  54. 原田立

    ○原田立君 調査中というと、まだ結論は出ていないということですか。
  55. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 先ほど来申しておりますように、水銀量としては——すなわち全水銀量といたしましては、すでに各所の水銀調査は完了いたしておるわけであります。その中の有毒なメチル水銀の含有量というものは目下検査中である、こういうことであります。
  56. 原田立

    ○原田立君 これはやはり大きい問題ですから、ひとつ慎重にやってもらいたい。この昭和電工という会社は全国的にある会社なんですが、川崎にも肥料会社の昭和電工がありますが、こっちのほうはまだ何とも話が出ておりませんが、また、ある一説によると非常にメチル性のものがあり、危険だというようなことも、実は私の耳に入っておる。川崎昭電のほうでもそういうような被害があったのかなかったのか、あるいはその工場のほうの排水、これはどういうようなぐあいにして流しているのか、あるいは検査したことがあるのかどうか、作業員の健康状態は一体どうなのか、こんな点はいかがでしょう。
  57. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 全国に、先ほど申しました水銀を触媒といたしましてアセチレンの合成に使っておる工場が数ヵ所、今日ございます。いまから数年前は、いま少し多かったのでございますが、最近製造方法が変わりまして、最近では非常に少なくなりました。ごく僅か残っておるだけでございます。私どもとしては、まだ工場原因であったという結論を出すに至っておりませんけれども、万が一の心配をいたしまして、全国のそのような工場を調査いたしまして、その工場の廃液による被害が出ておるかどうかということを、昨年中から監視をいたし、注意をいたしておるわけでございます。なお、ただいままでに得られましたところによりますれば、工場内に水銀中毒患者が出たという事例を聞いておりません。
  58. 原田立

    ○原田立君 それは、実は私は聞いているのですよ。それで問題にしているわけなんですよ。また特に阿賀野川にしても、あるいは川崎の昭電あたりにしても、そこら近辺は子供の遊び場の海水浴場——夏なんかになれば、そういうところになるわけですから、だからこういうような工場等についても、変な圧力なんかないだろうと思いますけれども、もっと勇気を持って、実際調査してもらいたい。それでは水銀の話は……。
  59. 横山フク

    委員長横山フク君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  60. 横山フク

    委員長横山フク君) 速記を始めて。
  61. 原田立

    ○原田立君 それでは次に、隅田川の浄化の問題について、ひとつ担当の係官等に来ていただいて、そのとき質問したいと思いますから……。
  62. 横山フク

    委員長横山フク君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  63. 横山フク

    委員長横山フク君) 速記を始めて。
  64. 森中守義

    ○森中守義君 先ほどの熊本の問題ですが、こういう状況だったんですよ。ハマグリが口をぱくっとあけて花が咲いたように死んじゃった。しかし、それは特定の養殖場だったので被害が出なかった。ところが、そうやっているうちに漁協と農協が対立しちゃって、漁協のほうは、これは農薬の責任だと言う。それから農協のほうは、いや、それは気象条件だろう、こういうことで、結局妥協の産物として、それでは補償をどうするかと、こうなった。補償は農林省にきたのです。それで結局、原因の究明をしないで補償ということに肩がわりしてしまった。これは相当時間がたっているから、はなはだ究明はむずかしいと思うのです。しかし、本年の農林省の予算の中には——現在の劇薬に入るでしょうな、あの農薬というものは。これはやはり公害にかなり問題があるから、これにかわるべき農薬の開発をしようということで、多少予算がついているんですよ。それをさっき局長が言っていたいわゆる予算の調整ということでは、農林省も農薬に関しては科学技術庁に意見を求めるという、そういうことのようでしたが、そういうことはやっているのかどうなのか。また技術的に、あるいは学問的に、かわるべき農薬の開発というものが可能であるかどうか。その辺、いままで研究をやっておいでになると思いますので、ちょっと聞かせておいてください。なお、この次に農林省に来てもらって、そういうことをはっきりさせましょう。少なくとも妥協の産物として補償に肩がわりしてしまった。これははなはだ公害という立場からいくと、適当な措置ではありませんよ、これは熊本県、市にも大いに問題がありますがね。
  65. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 大体の農薬につきましては資源局の担当でございますので、いまの農林省のことは、ちょっと調べて……。
  66. 横山フク

    委員長横山フク君) ちょっと待ってください。研究調整費をそちらに向けるのかどうかと森中さんは聞いているのだから、あなたのほうではないのですか。
  67. 森中守義

    ○森中守義君 だから研究開発ができるかどうか、その可能性を聞いているのです。
  68. 横山フク

    委員長横山フク君) その研究調整費の中から出して、開発のほうに向けるかどうかというのだから——これは学問的に開発できるかどうかという問題ではないのだから、あなたのほうで……。
  69. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 失礼いたしました。実は申しわけございませんけれども、農林省のその点につきましては資料は持ってまいりませんでしたが、私の記憶でございますると、四十一年度に各省庁から要求いたしました農薬関係の予算、これは研究費がいろいろございますけれども、いわゆる特別研究費と申しまして、一定の期間に特別な問題についてやるというものにつきましては、きょう資料を持ってまいりませんでしたけれども、四十一年度は全部認められなかったということを聞いております。ただし、各省庁はいわゆる経常研究費というものが各研究当たり四十万ないし六十万程度ついておりますので、この中から、経常研究費をもちまして御研究に相なることは可能だと思いますけれども、ちょっといま資料を持ち合わせませんので、農林省のほうにも問い合わせまして、後日資料を提出いたしたいと思います。
  70. 森中守義

    ○森中守義君 質問の要点をちょっと正確につかんでおいでにならぬようだ。一つは、私も予算書を持ってきていないけれども——予算書をずっと検討してきましたが、百六十何万ぐらいですよ、農林省のほうに代替農薬開発の費用としてつけてある予算は。一つは、そういう予算については、さっきの話からいけば公害に関係することだから、当然設置法の七条二項によって一応意見は聞いたろう、調整をしたろうと思うから、その程度の金でできるかどうかということが一つ。それからいま一つは、学問的に開発ができるかどうか、この二点ですよ、私の聞いているのはね。予算が百六十何万だからたいしたものじゃない。
  71. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) まことに申しわけございませんが、私の手元の各省庁の——私のほうで十四ほど重要研究の柱を立てておりますが、その中の公害関係のところを、現在持ち合わせの資料で見まして、ちょっといまの農薬関係の特別研究費の項目が見当たりませんので、正確にお答え申し上げることができないことは申しわけございませんが、先ほど申し上げましたとおり、私のほうの特別研究促進調整費等もございますので、さらに農林当局と御連絡申し上げまして、予算的措置等必要がございますれば、私のほうで御連絡の上検討いたしたいと思います。
  72. 森中守義

    ○森中守義君 学問的に開発の可能性は……。
  73. 橘恭一

    政府委員(橘恭一君) 農林省が農薬の所管をしておりますが、その話によれば非常に新農薬の開発については見込みが持てるということを言っております。なお代替農薬でございますが、現在少し使い出しておるのはブラストサイジンSとカスガマイシン、これは抗生物質でございます。これはいもち用の有機水銀剤にまぜて一部使い出しております。問題は値段が高いということです。値段の点を抜きにすれば、現在あるものですでに代替し得るわけでございますが、結局コストが高い。なお、したがってコストの点でも匹敵し得る、代替し得るというような農薬についても、こちらが質問したときに、非常に近い将来見込みがある、そういうことを農林省から連絡会議で聞いております。  それから学問的というお話でございましたので、大学の研究をずっといま見ましたが、新農薬の開発については比較的少なくて、日本学術会議の勧告によりまして、五年くらい前から理化学研究所のほうにおいてもっぱら新農薬の開発等を担当しておることを聞いております。
  74. 森中守義

    ○森中守義君 一ぺん、そういうことの資料を出してもらってください。
  75. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 議事進行について。きょうの委員会は、きょうのところはこの辺にしまして、次回は原田委員から質疑通告もありますが、隅田川の浄化の問題とか、あるいは排気ガスの問題、それからいまお話の出ました農薬の問題、あるいはスモッグの問題等について質疑をしたい、こういうふうに思うのです。それで、きょうは一時からという予定が、与党のほうの都合でもって二時というふうに変更になったわけなんです。そうしましたら、こちらのほうはそのつもりで、野党側はみな勢ぞろいしたのですけれども、提案をした与党の理事さんもきょうはお見えにならない、二人とも。で委員長だけ孤軍奮闘、こういうことになったのでは、運営としてもまずいと思う。産業公害対策の基本に関する問題も、ここではっきりきめていかなければならない、こう思いますから、どうか与党のほうでも、まあ野党の三分の一以下しか出席者がないというのではまずいと思う、数から言えばそっちのほうが多いのだから。与党のほうにも産業公害に熱を入れてもらって、そして出席をしてじっくりと審議をしていただく、このように要請をいたしまして、本日のところは終了したらどうか、こういうふうに考えます。
  76. 横山フク

    委員長横山フク君) 他に御発言もなければ、本件の質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三分散会