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政府委員(
舘林宣夫君) 病人という場合の分類が
一つございまして、実際に、せきや、たんというような自覚症状の多い者、それからいま少し詳細に、肺、気管支等に器質的変化の起こった者、こういう分け方をいたしますと、せきや、たんの多いような者というものは、体質的な変化があるのではなくて、空気中の刺激によって反応するという状態でございまして、したがって、空気のきれいなところへ行けば直ちに、なおってしまう、ところが、肺や気管支、はなはだしきは心臓に至るまで器質的変化を起こした者は、これは慢性症状をとりまして、ほんとうに
公害の
影響を受けて病気になった状態の者であります。前者は、むしろ空気の
汚染の刺激を受けている状態、病人であると言い切れるかどうかは必ずしも言えない部類でございます。
ただいま御
説明申し上げましたのは、その症状のある者でございまして、器質的変化がそれではどこまで及んでいるかというような詳細な
調査が、
公害によって病人が出るか出ないか、こういう判定には、かなり重要な
要素になるわけでございまして、実は本
年度においてもある程度その部分は
調査をいたしてございますが、まだそれをもって断定するほどの詳細な
調査には及んでおりませんけれども、それによりますと、ことしあらわれた結果では、器質的変化はそれほど顕著でない、特に
四日市においてはこういうような部門がございまして、なお明年も継続してそのような部分の
調査が必要である、かように考えて
調査を継続するわけでございますが、しかし、お尋ねのように、
四日市にいたしましても
大阪にいたしましても、その
大気汚染のひどいところと、ひどくないところで、少なくとも住民の反応に相当な差があるということは、私どもとしては十分対策を考えていかなければならないと考えております。
それでは、
四日市の
公害防止対策をどうしたらよろしいか。一番私どもが考えられるのは、できるだけ早く、何もこれらの
地域に限らず、環境の
基準をつくりたい。これ以上空気がよ、これれば、その住民には症状が起こってくる、相当ひどく起こってくる、という限界はどこであるか、それをできるだけ早く明らかにすれば、それ以上起こらないようにどういう手段をとるか、工場をそれ以上つくらせないとか、あるいは増産の
施設をそれ以上ふやさせないというような次の手があるわけでございます。その環境の
基準をどこに求めるかということの目安にこれもなるわけでございまして、そのような見地から、いまこの
調査を進めておるわけでございまして、
調査の判明を急いで、私どもとしてもそういう
基準の
設定に努力いたしたい、かように考えておるわけでございます。