運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-07-06 第51回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月六日(水曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  六月二十三日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     園田 清充君  七月六日     辞任         補欠選任      羽生 三七君     戸田 菊雄君      白木義一郎君     小平 芳平君      宮崎 正義君     鈴木 一弘君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 幡治君     理 事         永岡 光治君     委 員                 大森 久司君                 近藤英一郎君                 山内 一郎君                 瀬谷 英行君                 戸田 菊雄君                 森  勝治君                 小平 芳平君                 鈴木 一弘君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     金子 任利君        警察庁警備局警        備課長      後藤 信義君        大蔵省主計局主        計官       長岡  実君        文部省管理局助        成課長      宮地 貫一君        厚生省公衆衛生        局防疫課長    春日  斉君        厚生省社会局施        設課長      飯原 久弥君        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房参        事官       来正 秀雄君        運輸大臣官房審        議官       中野  大君        気象庁予報部長  今里  能君        郵政省電気通信        参事官      鳥山 好三君        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省計画局宅        地部長      井上 義光君        建設省河川局長  古賀雷四郎君        自治省財政局財        政課長     佐々木喜久治君        日本国有鉄道施        設局長      伊地知堅一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する件  (台風四号による災害対策に関する件)  (六月、七月の集中豪雨による災害対策に関す  る件)     —————————————
  2. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  六月二十三日、土屋義彦君が委員辞任され、その補欠として園田清充君が選任されました。また、本日、羽生三七君、宮崎正義君、白木義一郎君が委員辞任され、その補欠として戸田菊雄君、鈴木一弘君、小平芳平君が選任されました。     —————————————
  3. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は、台風四号による災害対策に関する件、六月、七月の集中豪雨による災害対策に関する件等について調査を行ないます。  最初に、台風号並びに六月、七月の集中豪雨による被害状況等について、関係政府当局より説明を求めます。  なお、政府側出席者につきましては、お手元に配付いたしました出席者一覧表をごらん願いたいと存じます。  まず、気象概況について気象庁からお願いをいたします。
  4. 今里能

    説明員今里能君) 台風四号の気象概況を御説明をいたします。  お手元台風四号の速報という、こういうのがございます。それに基づきまして御説明を進めてまいりたいと思います。  昭和四十一年の台風四号は、六月の二十日の九時、トラック島の北の海上に弱い熱帯低気圧として発生いたしました。これはカロリン群島沿いに西のほうに進行いたしまして、次第に発達をいたしましたが、二十三日の十五時、ヤップ島の北西方三百五十キロの海上に達しまして、その強さが台風程度となりました。それからゆっくり北上を続けたのでございますが、二十六日の十五時には、南大東島の真南およそ七百キロの海上に達しまして、中心気圧は八百八十ミリバールと非常に強い台風となりました。この中心付近最大風速は毎秒八十メートルというすごいものでございました。それから二十五メートルの暴風半径は四百キロにも達したのでございます。猛烈な、あるいは超大型という形容がふさわしいような台風発達いたしました。  しかしながら、その後進路を北東方に転じまして、北にのぼってまいりますにつれて次第に衰えまして、大体速度は毎時三十ないし四十五キロでございましたが、二十八日の九時に潮岬の南南東二百五十キロの海上に達しまして、中心気圧も九百六十ミリと埋積したのでございます。それから中心付近における最大風速は四十五メートルと落ちまして、二十八日の十八時には、東京に近い富崎の南南東百キロの海上を毎時五十五キロのスピード北東に進みまして、翌二十九日の三時、房総沖をかすめて三陸方面に向かったのであります。  大体以上が台風概況でございますが、ただいま御説明申し上げました経路は折り込みの付図に示してございます。  次に、この台風によりまして、各地で相当の雨量があったのでございますが、これについて申し上げたいと存じます。  台風の影響で雨が降り始めましたのは、二十七日の九時前後でございましたが、二十時ごろには、近畿地方以北は全般に雨となりました。二十八日の六時、東京の前六時間の雨量は六十一ミリに達したのでございます。その後台風北上とともに、伊豆半島中心に非常に強い雨の区域が広がってまいりました。二十八日の十五時には、この非常に強い雨の区域はやや北東に移りまして、東京の西部を中心にいたしまして、かなり広い範囲に豪雨が降りました。十五時までの三時間の総雨量は、船津で七十ミリ、熊谷で六十ミリでございました。二十八日の夜半から二十九日の早朝にかけまして、台風四号は鹿島灘から三陸沖に、スピードを増しながら進んだのでございますが、強い雨の区域も、これにつれまして急速に北東に移動いたしました。このために、関東地方では夜半過ぎには晴れ上がったのでございます。  この総雨量では、静岡県から関東平野の中部を経て、福島県の東部に達する帯状の区域で非常に多うございまして、大体平地で二百ミリ以上でございました。特に、伊豆半島、それから箱根及び神奈川県の北部の山岳では、四百ミリをこしたところもございます。また平地でも、埼玉東京神奈川の各都県の一部では三百ミリをこしたところもございました。千葉群馬宮城の各県及び岩手県の東部では百五十ミリ前後、その他では大体百ミリ前後でございました。これは、この速報付図3、付表等にこまかいことは示してございます。  次に、この台風はどういう特徴を持っておったかということを簡単に申し上げますと、非常に大型のものであったということでございます。最盛時は二十六日の十五時でございましたが、先ほど申し上げましたように、中心気圧は八百八十ミリバールにも下がりまして、最大風速中心付近で八十メートルというものすごい、猛烈な超大型台風でございました。この台風は、六月における台風といたしましては第一位でございます。累年といたしましては、狩野川台風、これは一九五八年の九月でございましたが、八百七十七ミリバールに次いで、第二位と申すことができます。  二番目に、この台風は、以上申し上げましたように、非常に強い、超大型のものでございましたが、この状態に達しまするまでの発達状況が、非常に急速であったということでございます。二十四時間に八十ミリバールも、中心気圧が下降する、非常に珍しいケースでございます。しかしながら、日本に最も接近いたしましたころは、だいぶ衰えまして、気圧につきましても九百七十ミリバール、それから風も三十五メートル前後と衰えたのでございます。それで、強さは並み、大きさは、この台風の規模でございますが、大型と言える程度のものに衰えてしまったのでございます。  それから三番目に、この台風は、幸いなことに上陸いたしませんで、本土の南岸をすれすれに通りましたために、風は各地において、瞬間風速にいたしまして二十メートルをこえたところは、あまりございません。風は非常に弱かったということが言えるのでございます。  しかしながら、その反面、ちょうど梅雨前線日本海の、日本列島裏日本側に沿って走っておりましたために、これと合体いたしまして、各地に、先ほど御説明いたしましたように、六月の台風としては非常に珍しいような多量の雨をもたらしたのでございます。  この台風に関しまして、全国気象官署は、各種の警報注意報を発表いたしましたほか、連絡会議等を開きまして、十分警戒う促したのでございます。注意報を出しましたのは、全国三十九の都道府県でございました。それから警報を出しましたのが、十一の都県でございます。  以上が台風四号につきましてのあらましでございます。  それからそのあと、台風ではございませんが、低気圧台湾附近から東進いたしまして、ちょうど梅雨前線の上に乗っかりまして、九州方面に百数十ミリ、あるところでは二百ミリ前後の降雨をもたらしました。  以上、御説明を終わります。
  5. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に、被害状況について説明を、警察、文部、厚生、農林運輸郵政建設のような順序で説明を聴取いたします。まず警察庁から。
  6. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 日を追って順に申し上げます。  まず、六月二十四日の夕方から夜半にかけまして降りました、長野西筑摩南木曾町内集中豪雨につきまして、被害状況を申し上げます。  これは県の南西部にございます通称木曾谷一帯にわたりまして、六月二十四日の午後四時ごろから、雷雨を伴います集中豪雨がございました。降雨量は、南木曾町の観測所観測によりますと、百七十五ミリということでございました。約四時間で百七十五ミリの雨が降ったわけでございます。この雨によりまして、南木曾町内を流れております大沢田川がはんらんをして、南木曾一帯に鉄砲水となって流れ込みましたために、三留野、渡島、寺下、こういう地区に被害が発生したのでございます。被害概況は、負傷が五名、全壊しましたものが二十一棟、半壊しました家屋が二十九棟、流失しましたものが十五棟、床上浸水が四十三棟、床下浸水が五十五棟、その他道路橋梁あるいは堤防等被害を出しているのでございます。罹災しました世帯数は百八世帯罹災者数が三百九十七名でございました。負傷しました五名は、いずれも家屋の倒壊によるものでございます。  次は、気象庁から御説明のございました台風四号による被害でございますが、これは、神奈川県、東京都、埼玉県など、関東の南部あるいは東北地方の東海岸のほうに比較的被害が大きかったのでございますが、そのうち神奈川県におきましては、六月二十八日午後五時ごろ、横浜市の磯子区にございます横浜交通局女子寮裏山がくずれまして、このために四名が死亡しております。  それから埼玉県におきまして、やはり六月二十八日の午後八時ごろでございますが、飯能市におきまして、炭鉱の社宅が裏山の土砂くずれのために押しつぶされまして、一名が重傷、五名が死亡という被害を出しております。  それから山形県におきまして、同日、やはり午後九時半ごろに、最上郡の大蔵村におきまして農家の裏山が地すべりのためにくずれ、家屋が倒壊いたしまして八名が全員死亡したという被害が出ておるのでございます。  これらをおもな被害といたしまして総計いたしますと、死者が五十四名、行方不明十二名、負傷者九十六名、全壊いたしました建物が百十三棟、半壊いたしましたもの百三十八棟、流失いたしましたものは三棟、床上浸水二万六千六百七十棟、床下浸水十万七千四百四十九棟、その他田畑冠水道路橋梁堤防等決壊が数多くございます。これによります被害世帯数は二万六千三百十世帯罹災者総数は十万九千七百三十四名でございます。  それから七月の二日から三日にかけます梅雨前線によります降雨被害がございました。これは奈良県、岩手県、宮城県、山形県等においてそれぞれ死者を出しておるのでございますが、全部を総計いたしますと、死者の数は十名、行くえ不明が四名、負傷者三十六名、全壊しました建物が二十三棟、半壊いたしましたもの四十一棟、流失しましたもの一棟、床上浸水九千七百五十一棟、床下浸水六万三千七百二十四棟その他田畑冠水あるいは道路堤防決壊等をたくさん出しておるのでございます。死者の十名は、それぞれ山のがけくずれ等によります被害、あるいは増水しました川に転落したというような原因で、これらの被害が出ておるのでございます。これらによります罹災者世帯数は一万九百八十一、罹災者総数は四万二千六百十一名でございます。以上でございます。
  7. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 文部省、お願いいたします。
  8. 宮地貫一

    説明員宮地貫一君) 台風四号の文教関係被害状況について御説明申し上げます。  お手元資料をお配りしてございますが、昨日十二時現在の学校施設関係被害状況は、国立関係につきましては、横浜国立大学、茨城大学、東京医科歯科大学宮城高専、合わせまして六百万余でございます。  なお、公立学校施設被害でございますが、お手元資料にございますように、東京都を含めまして全体で十五県に及んでおります。学校数は全体で二百二十四校、被害額は一億八百万円余でございます。  なお、被害の内容といたしましては、主として土地の流失が大部分でございまして、たとえば、校庭の流失とか、がけくずれとか、そういう被害が大多数でございます。  なお、県で申しますれば、被害額の比較的目立って大きいところは茨城県の三千二百万円余、埼玉県の二千二百万円余というようなところが目立って大きいところでございます。たとえば埼玉県の川口市などでは、浸水によりまして、しばらく水が引かなかったことによります設備の被害、たとえばオルガンであるとか、机、いすが水につかりまして被害が出ておりますが、これらも復旧補助の対象になるわけでございまして、これら全体の被害につきましては、一カ月以内に復旧事業計画書が各県から提出されまして、それによって査定を行なって、なるべく早く補助金を交付いたしたいというぐあいに考えております。  なお、最初お話のございました長野県の木曾谷の件につきましては、学校施設としては該当するものがございませんが、ただ、児童生徒の家庭においてそれぞれ被害を受けましたものについては、要保護、準要保護児童生徒としての取り扱い、その他教科書無償給与の問題、そういう点で遺憾のないように十分調査をいたしまして措置をいたす予定でございます。  以上、簡単でございますが、文教関係被害状況について御報告いたしました。
  9. 成瀬幡治

  10. 飯原久弥

    説明員飯原久弥君) それではお手元に配付を申し上げております災害救助の発動の状況について、順次御説明を申し上げます。  今回の台風四号の特色は、雨を伴ったわけでございまして、災害救助適用になりましたのは、東京埼玉神奈川福島群馬青森宮城の七都県でございまして、市区町村別に申し上げますと、三十一市区町村でございます。それぞれ災害応急救助ということでございまして、緊急の状況に応じまして、東京都におきましては、狛江町、足立区、板橋区、葛飾区、保谷町、北区、練馬区、新宿区は六月二十八日に災害救助適用が行なわれたわけでございます。それから二十九日には、杉並区、文京区、中野区、大田区、調布市、田無町、町田市という市区町でございます。なお、埼玉県におきましては、二十八日に入間郡富士見町、二十九日に浦和市、川口市、蕨市、戸田町。神奈川県におきましては、横浜市、鎌倉市がそれぞれ二十八日。福島県は、二十九日に、常磐市、磐城市、勿来市。群馬県が二十九日に大田市。青森県が二十九日にむつ市。それから先ほどお話のございました宮城県は登米郡の南方町、これが三十日でございます。それぞれ災害救助適用にいたしまして、なお罹災された方々に対しては、まず応急避難所収容ということと、それからたき出しの実施生活必需品給与、それから被害状況によりまして応急医療実施、これらをそれぞれ行なったわけでございます。  その後の被害状況につきましては、なお一部浸水状態にあるものもございまして、これは現地のほうと連絡をとっておりまして、必要な限度で応急救助を行なってまいるわけでございます。  それから長野南木曾町の集中豪雨状況でございますが、人家の被害といたしましては、全壊が二十三、流失が十八、半壊が二十三、床上浸水が二十七、床下浸水が六十三という状況でございまして、この南木曾町につきましても災害救助法適用いたしますとともに、飲料水の供給、被服、寝具等生活必需品給与医療等救助実施に当たりますとともに、なおこの地帯では、応急仮設住宅十二戸を建設をいたしまして、これは六月二十八日に着工いたしまして昨日完成をしているわけでございます。  たいへん簡単でございますが、台風四号とそれから南木曾町の災害救助状況について御報告申し上げました。
  11. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に、農林省来正参事官
  12. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 農林関係被害について御報告申し上げます。  お手元に差し上げてあります資料を見ていただきますと、施設関係といたしまして、公共土木関係が、漁港、治山施設海岸等を合わせまして一億九千八百万円。それから農地、農業用施設等が、合計いたしまして三十一億七千五百万円となっております。それから、それ以外の共同利用施設とかあるいは漁船、漁具あるいは崩壊林地というのが、少し多くなっておりますが、十二億九千万円。それらを合計いたしまして五十億というふうに施設関係がなっております。  それから農林水産物関係につきましては、農産物が六十五億、それから次のページを見ていただきますと、畜産、林産、水産等合わせましてこれらの合計が六十七億となっております。その結果、総合計といたしまして百十七億六千万円の被害になっております。これは、七月五日現在の県報告によったものでございます。  おもな被害県は、最後のページを見ていただきますと、主たる被害関東東北に起こっておりまして、上のほうから見ますと、岩手県が十四億、それから宮城が十九億、それから埼玉千葉東京神奈川というふうなところ、あるいは静岡、それから茨城も入っておりますが、茨城山形、こういうふうなところが比較的大きな被害を受けております。  それから次に、漁船について被害を申し上げますと、台風四号が二十九日の早朝から北海道東方海上北上いたしまして、このため、花咲半島海域に出漁しておりました漁船避難がおくれまして、小型サケマス漁船十六隻が荒天に遭遇して難航いたしましたが、そのうちの四隻が遭難をいたしました。一名はゴムボートで漂流して助かりましたが、あと五名が死亡いたして、十七名は行くえ不明となっております。  以上が農林関係被害状況でございます。
  13. 成瀬幡治

  14. 中野大

    説明員中野大君) 運輸省台風四号によります被害の概要につきまして、お手元資料に基づいて御説明申し上げます。  鉄道関係船舶関係港湾関係自動車航空関係ございますが、この中で自動車航空関係については被害はございません。一番大きな被害がございましたのは鉄道関係でございまして、お手元資料にございますように、中小河川はんらんによりまして、線路冠水道床流失築堤崩壊、こういった理由によりまして、国鉄私鉄それぞれの区間につきまして被害を受けたわけでございます。国鉄は三十七線区、百三十一区間不通になりまして、地域的には、関東東北こういった各支社管内に最も多く発生してございまして、被害額は約三十五億円ということになっております。私鉄は二十五社、五十一線区、六十七区間不通になりまして、これはほとんど関東一円の各社に及びまして、その被害額は約六千二百万円ということになってございます。いずれも現在もう開通して不通区間はございません。  次に、船舶関係でございますが、先ほど農林省のほうからも御報告ございましたように、二十九日早朝に根室半島の南方沖合海域に出漁いたしてございました小型サケマス漁船がございますが、四隻が遭難いたしてございます。これいずれも一隻五、六トンの小型船でございまして、一隻に大体五名ないし六名の乗り組み員でございます。海上保安庁といたしましては、さっそく二十九日には巡視船艇六隻を出動させますし、三十日にも巡視船艇八隻と航空機を四機、また引き続いて巡視船艇六隻哨戒いたしておりまして、先ほど農林省のほうからお話ございましたように、一名救助になりまして五名の遺体収容を行なってございますが、なお十七名が行くえ不明の状況になってございますので、なお哨戒を兼ねて引き続き捜索を行なっておる状況でございます。  次に、港湾関係でございますが、東京都外五県の各港で、これもいずれも土砂流入によります泊地の埋没の被害でございまして、現在までに判明しておる被害額は約一億八千万円でございます。  以上、運輸省関係所管事項でございます。
  15. 成瀬幡治

  16. 鳥山好三

    説明員鳥山好三君) 郵政省関係につきまして、台風四号の被害状況及びその措置について御説明申し上げます。  最初郵便業務関係につきまして、お手元資料にございますように、郵便局舎被害状況につきましては、東京及び関東の各府県、静岡及び東北地方、これらの地域につきまして床上浸水が十一局、床下浸水が二十八局、一部破損が五局、合計四十四局の被害がございました。しかし埼玉県の川口を除きましては、特に業務上支障はございません。その川口寿町局につきましては、付近の排水がおくれまして、一時業務不能になりましたけれども、七月一日には業務を再開しております。  それから郵便集配業務関係につきましては、やはり埼玉県の各地におきまして、一部集配不能地域がございましたけれども、これも七月の一日に川口市内全区集配が再開し、引き続きその他も平常に復帰いたしました。  被害額といたしましては、東京管内は六百五十五万円、仙台管内が百九十三万円、合計八百四十八万円でございます。  被災者援護措置といたしましては、この東京郵政局及び仙台郵政局管内被災地につきまして、郵便はがき等無償交付災害関係電報料金の免除、為替貯金の非常即時払い、保険年金の非常取り扱い、簡保年金福祉事業団医療救護活動、このような措置をとっております。  次に、電信電話関係について御報告いたします。  電信電話関係につきましては、東京関東、信越、東海、東北北海道、この地域にわたりまして電信電話回線障害が発生いたしまして、市内電話回線といたしましては六万六千五百九十三、市外電話回線といたしましては三千三百九十、それから電信回現といたしましては五十七回線、こういう回線障害が発生をいたしました。  また、関東東北地方の九局、神奈川県の市ヶ尾、川和、長津田、栃木県の佐久山、茨城県の北浦、山形県の肘折福島県の高久、豊間、茂庭、これだけの局が市外線障害のために一時不通となりましたけれども、翌日六月二十五日の午後には、全部各所の措置によりまして復旧いたしております。  また、特に市外電話回線におきましては、東京川口間の市外ケーブル二条新荒川大橋付近で罹障いたしまして、このため東京川口、及び東京−浦和の電話の通話が一時ふくそういたしました。このために二十八日の夕刻から、いわゆるダイヤル呼び出しあるいは番号案内呼び出し、これらが約五〇%ほど増加しましたけれども、二十九日には平常に復しております。  また、電報関係につきまして、二十八日の夕刻ごろから配達電報が若干停滞いたしております。このために臨時雇用等によりまして配達を促進するとともに、一部の地域につきまして電報の利用制限を実施いたしましたけれども、これも二十九日には平常に復しております。  以上が台風四号の被害状況でございます。  なお、長野県の南木曾町の集中豪雨災害につきまして簡単に御報告いたしますと、この集中豪雨のために南木曾町の三留野局という郵便局が局舎の窓ぎわまで土砂が集積しまして、若干の被害が出ております。局舎自体は被害はそれほどございませんでしたけれども、中央線の不通等によりまして、若干その郵便運送というものがおくれまして、このため東海道または北陸本線経由による迂回措置を行ないました。  また電信電話につきましては、三留野局の電話加入者二百二十五名、このうち九十二名が罹障いたしましたけれども、六月二十五日には家屋流失いたしました七戸を除きまして、八十五名の加入者が復旧いたしております。  以上で報告を終わります。
  17. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に建設省関係。
  18. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 今度の災害におきまして建設省関係の報告を申し上げます。  非常に雨量が多かったために、関東東北及び中部の一部に被害が出ております。お手元にお配りいたしております資料によって御報告いたしますが、被害の総合計百七十三億八百万円、河川が四十九億三千二百万円、これは直轄でございます。それから補助災害が百二十二億円、都市施設が二千九十万円、大体こういうような状況になっております。  直轄河川のうちで被害の大きい川は、北上川の五億二千万円、それから青森県の鳴瀬川が四億七千四百万円、小貝川、中川等三億ないし四億等の被害がそれぞれ出ております。それから鶴見川が三億九千三百万円、こういうような被害状況でございます。  この補助災害の場合で、災害の大きかった府県は福島県でございまして、藤原川、宮田川が十四億八千七百四十一万の被害になっております。そのほかに神奈川の十億五千八百四十七万、山梨の十二億四千五百四十二万。  道路のほうは、現在はすべて復旧をいたしておりますが、直轄の合計で五十億四千九百万の被害がございます。  都市施設静岡、ことに神奈川宮城等で被害が出ております。  住宅は、警察庁のほうで御報告がございましたように、床上の浸水が二万六千六百七十、床下の浸水が十万七千四百四十九戸に達しております。ことに東京及び神奈川におきます中小河川はんらんをいたしまして、そのための浸水がございまして、その被害が多かった、こういう状況になっております。  詳しい状況は、河川局長のほうから御報告さしていただきます。
  19. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 補足して御説明申し上げます。  ただいま政務次官からお話がありましたように、総トータルで百七十三億の被害を生じておりますが、この中で四ページに、直轄災害の直轄河川の被害状況の中の鶴見川という川がございますが、これにつきましては、ただいま計画高水位として定めている四メーター四十九に対しまして、今回の水位は四メーター九十七に達しまして、約五十センチ程度計画高水位をオーバーしまして、天端から大体二十センチぐらいのところまで水位がきた、こういう状況でございます。なお、鶴見川の上流につきましては、堤防未成地区から相当あふれまして、はんらんをいたしたというような状況でございます。  それから道路につきまして、先ほど御説明がありましたが、道路は三十一個所の八千九百七十五万でございます。そうして、河川並びにその他の直轄事業をトータルしまして、五十億四千九百九十五万でございます。  それから補助災害につきましては、先ほど政務次官からお話があったとおりでございますが、特に横浜市内の中小河川あるいは鶴見川の上流の支派川並びに川口周辺の中小河川はんらん、そういったもので、横浜市内鶴見川流域あるいは川口市の周辺に浸水被害を生じております。なお、東京都の河川につきましては、山の手線の旧都内におきましてはほとんど浸水はございませんが、特に上流の未改修地帯におきまして浸水が生じております。  以上補足しまして、簡単に御説明申し上げました。
  20. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 農林省関係につきまして、集中豪雨被害について、補足的に説明さしていただきたいと思います。  農地、農業用施設につきましては、これが六千七百万円、それから林野関係では治山施設と荒廃地がかなりございまして、国有林野関係と合わせまして二億八千九百万円、それから農作物は、これは被害はきわめて僅少のようでございます。  それから、先ほどの台風四号の被害のうちで、総計が百十七億になっておりますが、県別の表の中には百十四億になっております。この違いは、国有林関係のものを県別に分けてありませんので、三億三千万くらいは別になっていることを御了承願います。以上でございます。
  21. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 南木曾町の集中豪雨に対する被害状況を追加して御報告申し上げます。  気象の概況は大体三時間に百八十二ミリという集中豪雨でございまして、このために土砂くずれ並びに浸水による被害を生じております。被害状況は、被害河川としまして南木曾町の三留野というところの部落に流れております大沢田川、神戸沢、戦沢、梨子沢川、そういった川が土砂はんらんをいたしておりまして、合計四億二千三十五万の被害を生じております。  都市施設被害状況につきましては、三留野地区で千六百万の被害を生じております。被害額合計は四億三千六百三十五万であります。  なお、これが対策といたしましては、公共土木施設災害につきましては、現地を私が視察をいたしました。  なお、係官を現地に派遣しまして、農林省、林野庁と共同作業によりまして、災害の復旧あるいは恒久対策につきまして協議いたしました。都市施設災害につきましては、地元の準備完了を待って早急に査定を実施したいと思っております。住宅災害につきましては、住宅金融公庫から個人住宅特別貸し付けを行なう予定であります。  なお、台風四号につきまして、対策の点につきまして先ほどちょっと申し忘れましたので、簡単に申し上げます。対策及び措置で、一二ページに書いてありますが、建設大臣が二十九日午後被害激甚な鶴見川の浸水地域を視察いたしました。直轄災害につきましては、河川につきましては緊急応急復旧の必要のある個所につきましては、既定経費で立てかえて復旧を実施中でございます。その他のものにつきましては、早急に調査を行ないまして、予備費を要求する予定にしております。  砂防につきましても、早急に調査を行ないまして、予備費を要求したいと思っております。  道路につきましては、ただいま交通不能の個所はございませんが、交通不能になった個所につきましては、既定経費によりまして一車線以上の交通を確保することにしまして、その他の地域につきましては、早急に調査実施いたしまして予備費を要求したいというふうに考えております。  第二番目に補助災害でございますが、被害の激甚な栃木、茨城神奈川埼玉福島、そういった県につきまして、被害状況調査並びに応急復旧工法の指導に当たらせるため、防災課長外災害査定官を現地に派遣いたしました。その他の県につきましては、緊急復旧を要する個所については工法協議を行ないまして、応急工事をやることにしております。なお、現地の準備体制が整い次第、早急に査定を実施いたしたいと思っております。  都市施設に対しましても準備完了次第、早急に査定を実施したいというふうに考えております。  住宅施設災害につきましては、被災住宅については住宅金融公庫から個人住宅災害特別貸し付けを行なう予定にいたしております。  以上、簡単に被害状況を御報告いたします。
  22. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) それでは、ただいまの報告等につきまして、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  23. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いろいろ各省関係から説明を受けたのでありますが、政府並びに各省の御努力については敬意を表するのでありますが、私は、いまいろいろ説明を聞いて非常に奇異に感ずることは、こんなことじゃ、私は救済措置ないしは災害対策というものは全然とれないのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。いろいろと災害基本法等については、その姿勢等についていろいろあるわけでありますが、確かに関係事項は、全部各省にまたがっておるのでありまするけれども、こういういわば非常災害でありますから、そういう場合には、政府としても、防災計画なり救済措置等について、適切に総合的に手の打てるような、そういう方法があってもいいのではないか、こういうふうに考えるわけです。  これからいろいろ質問するにいたしましても、各省がそれぞれ項目をやって、きわめて私は非能率的だと思うのですね。ですから、今回の台風四号の災害については総理府では、どういう災害だと一体考えているのかどうか、また、それらについて、国家一本としての災害対策がとられておるのかどうか、いまの説明を聞いても、私は名賀ばらばらである。同じようなことはいろいろやられる、こういうふうに考えます。したがって、いまだに被害状況は、いろいろ報告をされますけれども、むしろわれわれの聞きたいのは、どういう災害措置を具体的にやったのか、こういうことがむしろ中心でなくてはいけないと思う。そういう点について、残念ながら何らの説明がない。こういうことでありますから、まず最初災害に対する対策と根本的な問題について私はあらためて聞きたい。
  24. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  25. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記を起こして。
  26. 金子任利

    説明員(金子任利君) 今回の台風四台につきましては、二十八日、二十九日にわたって本土の東方を通りました際、二十九日に各省の連絡会議というのを設けまして、それについて詳しく討議したわけでございます。今回の台風については、特に基本法に従います防災非常対策本部とか、あるいは連絡会議というふうなものを設けませんで、各省の連絡会議ということで処理していきたい、こういうことになりました。したがいまして、その後、今月の五日に、昨日でございますが、第二回の連絡会議も開いたわけでございますが、特に問題になっております中小河川東京山の手地区の浸水の問題とか、それから神奈川県におけるがけくずれ、あるいは代がえ輸送というような、この三点について検討いたしまして、その他の一般的な災害対策は各省におまかせして対策を講じていくというような体制をとっているわけでございます。
  27. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 少しそういった姿勢について私は伺いたいのですが、いまの総理府の答弁によりますと、全然私はわからない。災害被害の大きさ、小ささ、こういったことがあると思うのですね。あるいはまた、いろいろな程度が違うとかがある。そういうことはわからるのですけれども、やはり災害にあって非常に苦しんでおる人は、全く不安で、真剣なものを持っているわけですね。それに適切にこたえてやるのが、私は政府のあり方だと思う。そういうことから考えると、あらかじめこの災害基本法に基づいて中央防災会議をつくったり、地方防災会議をつくったり、あるいは市町村防災会議をつくったり、明確にこまかく規定をされておるわけですね。そうして、なおかつ非常災害対策本部というものを、内閣総理大臣が必要と認めた場合はやるのです。こういうことまであるのです。ことに今回の台風四号については、私は全国の趨勢は報告されたとおりであります。相当なやっぱり被害総額にのぼっておる。またそのことによって一部国民に泣いておる者がいっぱいあるわけです。ですから、そういうものについてあなたが言うとおり、いわば各省連絡会議でやったというならば、それでもけっこうなんですが、一ヵ所ですべてそういうものを掌握して、こういう委員会で審議しやすいような報告書をまとめるなり、報告をするなり、こういうことでくるのが、私は最も円滑に問題の対処に合致することではないか、こういうように考えるわけです。いまのお話だと、各省ばらばらでもってこれが対策をとっていく。また、実際やっているのがそうですね。被害状況調査にしても、これから救済するところだってそうです。これじゃ私はやはり災害を受けた人は浮かぶ瀬がないと思う。やっぱり緊急を要するのですから、そういう面について、やっぱり災害に臨む態度というものについてもう少し私は具体的にあなたの説明を聞きたいです。
  28. 金子任利

    説明員(金子任利君) 従来とも災害が起こった場合には、われわれのほう、災害対策本部、あるいは防災会議事務局といたしましても、関心を持って対処いたしておるわけでございますが、たとえば防災基本法に申します非常災害対策本部というようなもの、これは法律できめられておるものでございますが、これは過去の例で申しますと、昨年の二十三、四、五の台風、あるいは新潟地震とか北陸の豪雪とか、このような国家的に見て非常に大規模な災害のときに設けられておりまして、その他の場合は、特に閣議の了解等で連絡協議会というものを設けることもございますが、それ以外の場合には、各省連絡会議というようなもので一応各省間の連絡をとる。この対策については、各省がそのような態勢をとっておるような次第でございます。  で、どの程度から非常災害対策本部を設けるかというようなことになりますと、これは判断の問題になるかと思いますが、まあいま申し上げました台風二十四号とか、新潟地震とかいうような場合を考えておりまして、すべての災害台風等について、必ずしもそういう対策本部を設けて処理するというようなことはいたしておらないわけでございます。もちろん、本来の総理府の主掌から申しますと、各省の連絡というようなことになるわけでございますが、そういう点では、われわれも十分措置を講じていくつもりでございます。また、非常災害対策本部というようなものが設けられないような場合におきましても、各省のベースにおきまして、この災害の対策には遺憾のないようにいたしていきたいと考えております。
  29. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 あまりそのことは論じていてもしようがないと思うのです。確かに一定の常識的な基準はあると思うのです。だけれども、私は要望として、総理府に今後十分検討してもらいたいと思うのです。災害ということで、今回のようにそれぞれ異常時の事態の中で、いずれにしても災害をこうむるということであれば、そういうものはやっぱり国家の集約的な場所に吸い上げて、そして円滑にそれらの救済措置をやったり、防災措置をしたり、こういうことでいくのが私は国家のあり方じゃないかと考える。ですから、それは苦しんでいる、あるいは不安を持っている国民全体に対する当然の措置じゃないかと考えるわけです。ですから、今後は、中央防災会議というものは常設機関であるわけでしょう。あるわけです。そういうものにどんな被害でもこういったものは吸い上げていって、そこでやはりスムーズにすべての措置が総合的にとられる、こういう措置をとってはどうかということを考える。それは一県、あるいは宮城なら、東北宮城一県ならそれは別ですけれども、あるいはまた被害の度合いによってはいろいろありますが、それが全国にまたがっておる。あらかじめ気象庁報告によりましても、前もって台風が来ることはわかっていたので、どの程度ということは想像できる。こういう今回のような台風四号の状況であります。そういうものについて、今後の善処方として大体この機会に私は要望申し上げておきたいと思います。それで、何かそのことで今後の問題回答できますか。
  30. 金子任利

    説明員(金子任利君) 今後十分検討していきたいと思っております。
  31. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それで総体的なことを聞きたいのですが、いま各省からそれぞれ報告がありましたけれども、一応この被害状況については、各省それぞれ大体掌握をされておるのでありますが、全体の被害総額としてどのくらいあるか、この点をひとつお聞かせを願いたい。いま各省それぞれ資料はいただきました。これ全部私はいまここで集約する時間も何もないのです。ですから、はっきりした被害総額がどのくらいあって、さらに災害地に対する今後国家としてのいろいろな対処策があると思うのですが、こういう問題について具体的に、たとえば災害地の減免の措置だとか、あるいは地方交付税の交付の問題とか、いろいろ出てくると思いますが、民生関係もしかり、それぞれの立場から、いろいろな立場から要求が出てくると思いますが、こういうことに対する過去の措置した慣行と申しますかそういう実績、あるいはまた、今回の台風四号の被害のおおむね見積もりですね。それから、これから措置していかなければならない予算上の見積もり、これは一体どのくらいであるか。こういう点について、これは一括御答弁ができなければ、各省でやむを得ないと思いますから、ちょっとお聞かせ願います。
  32. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) どこか答弁できませんですか。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  33. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記を起こして。
  34. 長岡実

    説明員(長岡実君) 台風被害をとります場合に、直接災害復旧等で国費を支出しなければならない対象のもの、すなわち公共土木施設災害復旧、これは河川、堤防がこわれたり道路がこわれたりしたような場合の公共土木施設被害の復旧は、被害額が約百七十億程度でございます。これに農地、農業用施設、それから治山、漁港といったようなまあ農林省関係の施設災害が約三十億、合わせまして約二百億程度被害と承っております。これにつきましては、被害額が確定するのも、当然各省が現地の査定を行なうわけでございまして、各省におかれましては、直ちに緊急を要するものから査定に入るはずでございます。そういたしますと、その査定の結果が大蔵省のほうにも御連絡がございまして、大蔵省といたしましては、急を要するものから、順次予備費の支出を措置いたしていきたいと考えております。それからなお、租税の減免等につきまして、私、所管ではございませんので、はっきりお答えできないのは、申しわけないのでございますが、これはたしか私の理解するところでは、一つの基準がございますので、その基準に合致しておれば、直ちに発動できるような態勢になっておると考えております。以上不十分でございますけれども、まとめてお答え申し上げます。
  35. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまの回答じゃ、とても質問はできないですね。正直に申し上げて全く不満足なんです。たとえは、私はちょっといまもらった資料を計算してみたんですが、台風第四号による被害状況建設省の。これをちょっと、あるいは正確でないかもしれませんが、金額をトータルしてみますと、これで二百七十億八千三百九十四万四千ちょっと。私が不足のところもあるかもしれませんが、そういうことになっております。これは少なくともきょうの資料で、各省が呈示をなされておるやつは、これは各省負担、いわば国庫負担に該当する資料じゃないですか。被害総額、これはどうなんですか、各省の。
  36. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 建設省のやつですか——。これは二百七十億とおっしゃいましたが、百七十三億。二ページに書いてありますように、百七十三億です。
  37. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それは建設省の所管の公共土木施設、これは百七十三億八百万ですね。
  38. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) そうです。
  39. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そのほか土木施設被害、そのほか各項目あるわけです。ですから、そこを私いま各省に聞いておる。ここに載せられた資料のそれぞれ被害額はイコール国庫負担という角度でまとめたんじゃないのか。それとも全体被害額としてやったのか、そこを聞いておる。
  40. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは全体被害でして、いま戸田さんの持っておられるのは、おそらく建設省だと思いますが、これは国庫負担分というわけじゃございません。被害額の総額です。
  41. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それは各省そうですが。呈示されている資料は。
  42. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 農林関係被害全体ということで、県からの報告でございます。
  43. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それじゃいま国庫負担と各省からの申請は大域関係には約二百億ということですね。これは具体的に各省から大蔵省に向けて請求、もしくは査定結果として申請を出されておるのですか。
  44. 長岡実

    説明員(長岡実君) いま私が申し上げました数字は、まだ正式に各省が査定を終えておられません。これから現地に査定官を派遣して、査定が終わりますと、どれだけの予備費が必要であるという御要求が出るわけでございますけれども、先ほど申し上げました数字は、各省がいまおっしゃいました、その被害県被害額合計と申しましょうか、そういう数字を申し上げたわけでございまして、まだ大蔵省に対する国費支出の要求ではございません。
  45. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 資料のことなんですが、厚生省関係あるいは警察庁関係、それぞれの被害の数字がありますけれども、たとえば県から取り寄せた資料、数字がたとえば床下浸水床上浸水といったような例をあげれば、こういったような数字が皆それぞれ違うわけなんですね。各省のやつを全部並べてみた場合に、ちょっとまごつくわけですが、こういうのは、たとえば埼玉県なら埼玉県、東京都なら東京都における被害状況というものは、どの省の場合であっても、これは同じでなければならないような気がするわけです。もちろん、日にちによって若干の違いはあるかもしれませんが、何月何日現在というものは、どの省で調べた場合であっても、同じでないというと、これは都合が悪いような気がしますが、これはまちまちなのは一体どういうわけか。各県からの報告に基づいて各省がそれぞれまとめているとすれば、県がそんなに省別に違った数字を報告するわけはないと思いますが、この点どうもわかりにくい点がありますが、どういう理由によるものか、御説明を願いたいと思います。
  46. 金子任利

    説明員(金子任利君) 一般被害につきましては出所、あるいは調査した時期等によりまして資料の違いが出てくるかと思いますが、われわれといたしましては、一応警察庁の数字を一般被害については基礎に考えることにいたしております。それからなお被害金額につきましては、これは当然各省それぞれの担当省のものとなるわけでございます。
  47. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それでひとつ要望しておきたいのですけれども、資料ですね、一本にまとめた総括資料、もっと見やすい、審議しやすいような資料をひとつこれから具体的にいろいろとやっていかなくちゃいけないと思うのですが、そういう意味からいっても、まとめていただくことはできませんか。
  48. 金子任利

    説明員(金子任利君) 早急にそのようなまとめた資料をつくりたいと思っております。
  49. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま、総理府の回答によりますと、これから各省がいろいろと関係官の派遣をして、それぞれ被害の査定というものを行なって、それから具体的に救済措置をやっていく、こういう段階だというのですね。そのことについてですけれども、いま冒頭に宮城県の関係副知事からそれぞれ申請があって、他に地方自治体の中ではすべてこの被害総額、項目別に全部上がってきておるわけですね。ですから、これはもう御存じのようにうそをいってないと思う。各県そうですね。岩手県からも福島県からも上がっている。各県からそういう状況で出てきているわけなんです。査定をする場合に、そういう調書を一応査定をして、さらに現地派遣をしてだいぶ念入りのようでありまするけれども、それで間に合わないという事態等が多く出てくるのじゃないかというふうに考えます。ですから、そういう面の若干この非常災害ないし災害のときでありますから、弾力的な措置があってもいいのじゃないかと思いますけれども、いままでそういう弾力的な措置を加えた、あるいは各省でやったというようなものがあれば、ひとつお聞かせを願いたい。
  50. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) ほかの省もそれぞれやっておられると思いますが、建設省のほうは、ことに鶴見川の状況があれだったものですから、建設大臣が二十九日鶴見川のほうの現地を視察いたしまして、それぞれ指示をいたしております。それから各県それぞれこういう災害の場合には、打つべき手が事前に打ち合わせをいたしておりますので、それぞれやっておると思います。それから本省のほうとしましては、ことに被害の激甚な栃木、茨城神奈川埼玉及び福島等に、それぞれの担当課長あるいは担当官を現地に派遣いたしまして、応急の復旧方法の指導に当たらせております。そのほかの県につきましても、協議をいたしまして応急工事を施行することにいたしておりまして、現地では実際問題としてやっておると思います。そのほか本格的な問題は、先ほどのように査定をいたしましてやるわけですけれども、それ以前に応急工事というものは当然やらなければなりませんので、それぞれ手配をいたしてやっておる、こういう状況でございます。
  51. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 農林省関係で申し上げますと、いま建設政務次官のほうからお話がありましたように、災害につきましては、ある程度軌道に乗っております。したがいまして、各県のほうでも直ちに復旧前面を作成いたしまして、本省のほうに提出していただきます。そうなりますと、私どもでも早期に、できるだけ早く復旧の助成措置を講ずるように予備費の要求をする。場合によっては、それに間に合わないようなものがあります場合には、査定前に着工するということも、場合によっては認めておるわけでございます。そういうふうに緊急な措置をとっておる次第でございます。
  52. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 自治省はどうですか。
  53. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 地方財政関係についてお答え申し上げます。  地方財政関係につきましては、一つは普通交付税の繰り上げ交付の措置でございます。これは、地方団体におきます災害対策関係経費につきましての資金繰りをつけますために、資金不足いたします団体に対しまして普通交付税の繰り上げ交付をいたすものでございますが、これは現在関係各県を通じまして各市町村ごとの所要資金の報告を求めております。まとまり次第、その額に応じまして、九月交付分の普通交付税について必要な措置を講じたい、かように考えております。  それから、災害復旧関係の事業につきましては、各省の復旧費の査定を待ちまして、その査定額が出てまいりましたところで、地方負担額に応じまして所要の起債措置を講ずるつもりでございます。  さらに、一般的な災害対策の関係の経費といたしましては、特別交付税の措置があるわけでございますが、これは、公共災害程度、あるいは農林関係災害程度等に応じまして若干違いますけれども、おおむね公共災害復旧事業費の二%程度のものを普通交付税として府県及び市町村にそれぞれ交付をするのをたてまえにいたしております。
  54. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 一カ所にまとまってないわけですから、問題は全部関係があるわけですから、正直申し上げて質問のやりようがないんですね。たとえば地方交付税の問題にしても、あるいは激甚災の財政援助法の適用の問題にしても、各省全般の問題についてそれぞれ一カ所で、連絡会議なら連絡会議の中でまとめて、どっかまとめ手があって、その関係個所で詳細な説明をする、こういうことならいいんですけれども、各省それぞれ持ってきた事情調査に基づいて一つ一つやっておったら、災害の意味をなさないんじゃないかと思うんです。ですから、私はこれできょうは質問を打ち切りたいと思うんですが、とてもこれじゃ質問になりませんから。ですから、先ほど総理府のほうに要望したように、連絡会議というものがあるんですから、そのほうにひとつ資料をまとめていただいて、系統的に説明ができて円滑に解決のできるものはしていくという、こういうことを考えてひとつ審議しやすい方向にまとめていただきたい。それはどうですか。
  55. 金子任利

    説明員(金子任利君) 御要望に沿うようにしたいと思います。
  56. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 その問題に関連して。  御要望に沿うようにということは、具体的にどういうことになるのか。災害対策委員会は、各省がずっと出てこられるので、非常にやりにくいわけですよ。それから、被害状況については、それぞれの専門のことだけを把握をしておるけれども、全体的な掌握というものはどこがやっておるのか、まとめて資料を提示をするとすれば、どこが責任者となるのかはっきりしないわけですね。だから、委員会の審議をする場合の審議のやり方も、非常にやりにくくなってくるわけです。数字なんかも、先ほど私が指摘をしたように、警察庁をもとにしているというお話がありましたけれども、警察庁の統計と、厚生省の場合と、県から出てきた場合と、みんな違うわけですよ、数字が。これだとどれをもとにしてやっていいのかわからぬということになる。だから、せめて各県における、たとえば冠水状態浸水状態、そういったような数字くらいは、ばらばらのものでなくて、正確なところを、まとまったものでもって資料が見られると、こういうようにしてもらったほうが私はやりやすいんじゃないかと思うんです。一々各省別に見る、またその数字が違っておるというんじゃ、ぐあいが悪いと思うんです。だから、自治省が、こういうものを中心になってつかむのか、あるいは総理府がやるものか、厚生省がやるものか、建設省がやるものか、この点がどうも中心がはっきりしないということは、何かにつけて対策を立てる場合にやりにくいという気がするんですがね。その中心になるのが総理府であると、こういうふうにおっしゃる意味なのか、あるいは自治省なら自治省がやるようになっておるものなのか、そういう点区分けがはっきりしていないで、何となくやっておるというのが現状なのか。もし今後、台風四号だけじゃなくて、これからまたいろんな災害が生じてくるおそれがあるのですけれども、より以上大きな災害が起こってくるといったような場合に、どこから手をつけていいかわからぬということじゃまずいと思うんですね。そういう場合の中心になるところ、災害対策についてのキャプテンというとおかしいけれども、キャプテンみたいなものがなければ、委員会としても、われわれ審議するのに非常にやりにくいような気がするんです。その点ははっきりさせておいたほうがよろしいのじゃないかと思いますが、腹案等がおありになりましたならば、その点をあわせてお伺いしたいと思うのです。
  57. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 総理府の副長宮参っておりませんので、私から言うのもおかしいのですけれども、大体総理府がまとめることになっておりますので、いまお話の問題は、総理府で資料等もまとめる役割りになっておるわけです。ただ、御存じのように、災害の問題は速急に手当てをせなきゃならぬという問題がございます。したがって、実際の行動は、各省でそれぞれ事前に一応の打ち合わせをしておりましたルートに沿いまして、各省で動いておるということになると思うのです。それで、この災害の問題、どういう形の災害が出ますか、いろんな問題がございますので、どこか一つにまとめるという要望と同時に、敏活な行動を起こさにゃならぬという要望と、二つございますので、その点をいろいろ考えまして、現在の体制は、まとめ役は総理府のところでやっていく、各省は大体、災害の予想されますような態勢における行動の基準というものをそれぞれ持っておりますので、それで動いていく。たとえば、今度のような場合でも、おそらく一番先に行動を起こしますのは、警察庁等が行動を起こしていくと思いますし、あるいは浸水家屋等がございました場合に、誘導して小学校等へ行きました場合に、毛布を配給する、あるいはたき出しのあれをすると、こういうようなことは厚生省なり何なりが事前にそれぞれの手を打ってやっておる、こういうようなことになりますので、当委員会の審議の関係から一つにまとめなきゃならぬという御要望は、これは先ほど総理府のほうから申しましたように、数字等まとめて整理をすると思いますが、行動を起こします場合は、やはり各省それぞれのあれがございますので、行動の敏活さと同時に、まとめるということとの調整がやはりいつも問題になる点だと思いますが、これは総理府のほうからお答えする筋合いでございますが、建設省のほうとしましても、そういうつもりで、そういうものとタイアップしていく、こういうことでございます。
  58. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 委員会の審議の便法だけを私は論ずるつもりはないんですよ。実際の災害にあたっては、やはり災害対策本部のようなものがあって、その災害対策本部を中心にして、各省が連係をとって行動に移るということが、これまた必要になってくるのじゃないかという気がいたします。そういう場合にやはり中心がないとまずいということでさっき質問したのですが、お答えによると、それは総理府がやるのだということなんです。そうなれば、災害対策委員会にはやはり総理府の長官が出席をして、その全体の把握をした上で、細目については各省がそれぞれの分野で答弁するというのが、災害対策委員会の審議の方法としてはノーマルな方法になるのじゃないかと思います。こういうふうに私は感じたのですが、きょうはそういうノーマルな方法でなかったわけですな。親方と言っては悪いですが、中心がなくて、指揮者なしにばらばらに集まっているということで、そのために戸田委員の質問もまごつくような形にならざるを得なかったのじゃないかと、こういう気がするのですが、今後の体制というのは総理府中心であるというふうに考えていいわけですか。総理府関係の長官きょうおいでにならなかったのは、どういうわけですか。
  59. 金子任利

    説明員(金子任利君) 副長官、急に所用ができまして、きょう失礼いたしたいということで御了解を得たわけでございますが、総理府でまとめるということにつきましては、対策本部を設けるような大災害の場合には、従来とも正規に総理府が取りまとめを行なってきたわけでございますが、先ほど申しましたように、今回の台風は特に対策本部のようなものを設けておりませんので、もちろん処理上、われわれのところで取りまとめた資料の提出等もいたしたいと思いますが、従来の非常災害対策本部を設けたような意味の正規のものではないことになると思います。この点お答えいたします。
  60. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 総理府とも言われるのですが、各省からの各資料をもって、これを検討すれば質問できますが、しかし、被害の全体、全貌というものはさっぱり出てこない、自分でつくらなければ。そうですね。関係問題というものは各省それぞれありますけれども、総体的なものもあるのですね、つながって。そういうものを円滑に進行させる意味においては、そういう一つの資料、方法というものによって審議に臨んでもらえば非常にいいということなんで、それがないから、いずれ機会を見て、確かに先ほどおっしゃられたように災害であります、期時を逃がしたのじゃたいへんなことになると思いますので、それらは各省でやっておりますから、急遽それらはやってくださってけっこうだと思うのです。しかし、より被害者の安定をもたらすという意味からいって、国がどういう施策をとってやるかということになれば、もっと意義深い審議ができるような体制というものがあっていいのじゃないかと、こういうふうに考えます。
  61. 金子任利

    説明員(金子任利君) 早急に、被害額資料等各省から報告を求めまして、まとめたいと思います。
  62. 小平芳平

    小平芳平君 私も、総理府に対して要求しておりませんでしたので、いろいろ申し上げませんけれども、あまりにも、要は政府が災害に対する一貫した対策というものがないので、いつもいつも災害委員会のたびにいまのようなことが繰り返されている、これが現状ではないかと思うのですが、したがって、当委員会としても、また必ず基本問題についてやっていただきたいと私は念願しておるものです。  一つだけ総理府にお尋ねしますが、現に起きた災害に対してすら、いまのように資料の統一性もないという、こういう現状ですから、したがって——すでに中央防災会議がある。中央防災会議では防災基本計画を立てた。防災基本計画は、防災体制について、あるいは防災事業について、あるいは防災に関する科学技術について、いろんな点を防災基本計画できめているわけでしょう。もうきめて何年にもなるけれども、一体それじゃこの基本計画どおり何が行なわれているか、実現してきたか、防災基本法ができた、また基本計画ができ上がった、そのことによって一体どれだけ防災体制というものができ上がったか、この点いかがでしょうか。まあ基本的には、長官にもお尋ねしなければならないことですが、あまりにも政府自体が、総理大臣はじめ、各大臣はじめ、災害というものは、台風でも来たら急いで対策本部をつくるのだというようなことでは、防災という意味をなさないと思うのですね。やはり、私たちがいまここで取り上げたい問題も、もちろん緊急対策も大事ですが、さらにより一そう大事な問題は、基本的な防災ということが国民の一番注目の的であるわけですが、そういう点いかがでしょうか。
  63. 金子任利

    説明員(金子任利君) 防災対策につきましては、すでに御案内のように、災害対策基本法ができましてから、中央防災計画をはじめ、地域防災計画等を整備いたしまして、種々の対策を講じてきておるところでございます。また、大きな災害が参りましたときには、災害対策本部等をつくりまして、ここにおきますいろいろな例のように早急に、応急対策を中心といたしたものでございますが、万全の措置を講じてきたところでございます。しかし、なお十分とは言えない点も多々あるかと思いますが、これらにつきましては、さらに検討して対策を推進していきたいと思っております。
  64. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、そういう説明は私がやったわけですから、私の言っていることは、基本法ができた、基本計画もできた、しかし、だれがその基本計画を、基本計画どおりいっているかどうかということを、だれが見ているかということなんです。  それは長官にまた次の機会にお尋ねすることといたしますが、もとより先ほど政務次官がおっしゃった緊急という問題もありますが、しかし、基本計画がいくらできても、統一的に政府がそれを運用するという面が皆無だというのが現状だということを私は言いたいわけです。  それから、それじゃ次に、相手がいないのじゃしようがないから、今度はやはり防災の観点から治水事業五ヵ年計画について、これはかって昭和三十四年伊勢湾台風の大きな被害、あるいはその前後の台風による被害を契機として、たとえば伊勢湾台風の場合など、死者、行くえ不明、一瞬にして五千三百余人の人が死んだというような大きな災害を受けたわけでありますが、そこで昭和三十五年以来、治水事業五カ年計画を立て、また十カ年計画を立てて、前期五カ年、後期五カ年というふうにして進んでまいったわけですが、建設省としては、この計画どおり最初非常に膨大な十カ年計画になると、このような膨大な十カ年計画を立てることが国民経済上可能かどうか。また、どんな苦心をしても、五千三百人も一瞬にして死ぬような災害が起きるくらいならば、その防災のためには、基本的に災害を克服していくためには、この十カ年計画を完遂して、そこで災害のない国土を築いていこう、こういう観点からでき上がったのがこの十カ年計画だと思います。ところで、建設省としてごらんになって、いままでの経験からして、順調にその事業が進んで、やがて十カ年計画もあと二、三年で終わるわけですが、終わった場合には、最初期待したとおりの、災害のない、災害を未然に防げる、そういう計画が完了するというようなお考えかどうか、その点についてお尋ねしたい。
  65. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 治水事業につきましては、三十五年に治水事業十カ年計画、そのうちに前期五カ年計画、後期五カ年計画と分かれておりまして、前期五カ年計画は三十五年から三十九年まででございます。それから後期は四十年から四十四年まででございます。そこで、前期五カ年計画は三千六百五十億としまして、河川、ダム、砂防機械等を入れまして三千六百五十億。それから十カ年計画としまして、前期五カ年計画も含めまして八千五百億で発足いたしたわけでございます。その前期五カ年計画を実施してまいりました結果につきましては、当初三千六百五十億でございましたが、三十九年度までに約四千三百五億だけ事業費を消費いたしました。したがいまして計画よりも約六百五十五億だけふやしていただきまして事業を実施いたしたわけでございます。この事業実施が非常にふくらまったのは、主として三十六年の災害、その後の打ち続く各所の災害等によりまして緊急に事業を要する個所が生じたこととか、あるいは若干物価の値上がりの問題もございましたけれども、そういった緊急個所の問題、あるいは社会情勢の変化に基づくいろいろな改修要因の増大したことというようなことによりまして、そのつど予算要求の段階にあたりまして予算を要求してまいったわけでございます。その結果、前期五カ年の三千六百五十億に対しまして、四千三百五億という上回った数字で事業を実施さしてもらったわけでございます。その後、三十九年度にあたりまして、われわれ、今後治水投資としてどのくらい必要であるかということをいろいろ検討いたしました。その結果、現在約九兆六千億程度の治水投資が要るであろうということで、それを試算いたしまして、全国の水系を一貫しまして統計をとってみたわけでございます。ただ、この水系を一貫してとりましたけれども、その中で若干制限つき、あるいは、たとえば三十町歩以下とか、そういったものは一応その対象外になっておりますし、それからなお安全度の増大とか、いろいろな問題も対象外になっております。そういったところでいろいろ試算してみますと、先ほど申し上げました約九兆六千億という金が要るだろうということになりまして、どうしてもこれは治水事業を促進して社会資本の充実につとめ、産業基盤の整備と国土の保全につとめなくちゃいかぬということで、われわれ治水事業の改定をお願いしたわけでございます。その結果、四十年度から総額一兆一千億の予算で、そのうち国が直接実施しまたは補助する事業としまして八千五百億、予備費一千億、災害関連県単事業合わせまして合計一兆一千億で四十年度からスタートしたわけでございます。それの、平均伸び率としましては、大体一二%程度の伸び率になります。ただいまその四十年度から四十四年度までの八千五百億につきまして事業を実施いたしておるわけでございます。おおむね順調の伸びを示しております。
  66. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、九兆六千億が必要だというふうな考えのもとに、現在の計画が一兆一千億とすれば、相当これで追いかけていかなければ、なかなか、ちょっとした雨が降ってももう災害が起きるということが続くわけでありますね。そこで、緊急に災害対策を立てて、それで治水事業を実施しなければならないという観点からして、以下具体的に今度の災害の二、三の点についてお尋ねをいたします。  まず第一に、東京都の中小河川の緊急三カ年計画というものがあって、これで東京都内の浸水を防ぐのだということでやっていらっしゃるようでありますが、これについて、東京都の計画、それから国が負担する額、それからそれが計画どおり進んでいるかどうか。結局は今回の災害中小河川の、先ほどの報告にもありましたが、下流のほうは、要するに堤防のできた部分ははんらんを防いで、まだ堤防のできてない上流部分がはんらんをしたというように報告もございましたが、一体どういう計画でいつ完成するか、そういう点についていかがでしょう。
  67. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 東京都の中小河川の緊急三カ年と申しますのは、これは実は内々東京都ではこの計画を立てましたけれど、具体的にこれをオーソライズしたということではございませんが、われわれもこの東京都の緊急三カ年計画に従って実施していこうというぐあいに打ち合わしたわけでございます。この緊急三カ年計画の発足は、実は三十八年に、一年間に約三回ほど個所が浸水騒ぎをしたわけです。特に今回浸水した個所がほとんどその全部を占めております。そこで、緊急に改修を進めなくちゃいかぬということで、われわれ東京都と打ち合わせまして緊急な個所を選んで、これだけはどうしても最小限やらなければいかぬという個所を選んでやろうじゃないかということでやりましたのが緊急三カ年でございます。  その河川といたしましては、大体野川、仙川、それから香川、善福寺川、それから妙正寺川、石神井川、そういった河川でございまして、そのほかに小河川もございました。そこで、国がただいままで中小河川として認定いたしまして事業を実施している河川につきましては、区域を指定いたしまして、たとえば石神井川でございますと、河口から赤羽線の鉄柵の上流までというぐあいに、そういった個所を指定しまして事業を実施していたわけでございます。その他の地区につきましては、公共事業の財政の問題もざごいまして、あとは都単で実施していただくことにいたしまして、総額百四十億という計画を立てたわけでございます。ただいままでの進捗率は大体七〇%でございまして、これは約四十億近い残額がまだ残っております。このうち、われわれとして公共事業として緊急三カ年で負担する考えでいきましたものは約五十六億でございます。そのほかは全部都単で実施していただくという計画でございます。なお、従来の緊急三カ年でも浸水した区域が、現在まで、また今回の四号台風でまた浸水いたしておりますので、あらためて緊急計画を練り直す必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  68. 小平芳平

    小平芳平君 そうしますと、いまの局長の説明だと、百四十億がほぼ七割ですか、できたといいますが、新聞には残念ながら進行度は四割となっておりますが、それは新聞の間違いですか。  次のもう一つの点は、国が百四十億に対してどれだけの補助をしたかという点についてはいかがですか。
  69. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 七〇%と申しますのは、四十一年度末で七〇%になるということでございまして、ただいま事業実施は、実態的には先生のただいまおっしゃられたようなことじゃないかと思います。事業進行途中でございますので、そういう結果になったと思います。  それから、ただいままで国が負担した額は、三十九年度七億、四十年度十億四千五百万、四十一年度国庫債務負担も加えまして二十億、合計三十七億四千五百万を予算として支出いたしております。
  70. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、現在は四十%程度と。したがって、緊急にこれはやらなきゃならない工事だと思いますね。で、三カ年計画といえば、三十九、四十、四十一で終わるという計画でしょうが、それが七割しかできないということは、あと三割残るわけです。また、国が三十七億何がしというのは、少ないんじゃないですか。もっと国が力を入れて、それで緊急に計画を完了するというようなことはできませんか。それはまた、そうしなければならないのじゃないですか、実際に。
  71. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 当初打ち合わせいたしましたときは、河川法の改正に伴う一級、二級の河川の推定がありませんでして、東京都の補助面につきましては、国費二分の一というところで五十六億という積算をしたわけでございます。その国庫負担分は二十八億ということでございますが、その後一級河川の指定等がありまして、国庫負担率が二分の一から四分の三になりました。その結果三十八億というのは、相当国費としては負担しているということになります。これは事業費でございますが。なお、われわれとしましても、そのときの都の財政状態としてはこれでけっこうだということで一応打ち合わせましたので、それで進むものと思っておりましたけれども、最近の都の財政の問題もございます、いろいろ問題があろうかと思いますので、よく東京都と今後打ち合わしてまいりたいというふうに考えております。
  72. 小平芳平

    小平芳平君 局長はそうかもしれませんが、次官はいかがでしょうか。要は二分の一負担ですね、国が。それを四分の三負担するようになったと、河川法改正で。それで百四十億のうち三十七億国が負担したということでは、これでは国で十分負担しているという計算が出そうにないように思うのですが、いろいろな複雑な計算があるようで私はよくわかりませんけれども、実際上三十七億で国はもう十分なんだ、あとは都がぼやぼやしているから浸水するのだ、一体そういうことになるのか。それとも、都は都としてやっているのだ、そこで国が三十七億じゃまだ少ない、もう一段と国が援助をして、できることなら、四十一年度で完成すれば三カ年計画で完成するわけですが、四十一年度少々残る場合もあるかもしれませんが、できる限り三カ年計画は三カ年計画でやっていこうと、そのためには国もできる限り援助していこうと、こういうのが当然じゃありませんか。まあ今回の台風はまともに上陸しませんでしたけれども、まともに上陸してきた場合を考えるにつけても、これは緊急にやるべきだと思いますが、いかがですか。
  73. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 先ほどお話しいたしておりますように、二分の一負担が、一級河川のものは四分の三の負担になりましたので、これは相当な国の負担としては増額になったと思います。御指摘のように、当初三カ年計画で進んでおる計画でございますので、国としましては三カ年にやっていくべきものだと考えて、当初からそういう態勢で進んでおるわけでございます。まあ部の夢精もいろいろございましょう。しかし、こういうような災害を繰り返すことはたいへん残念なことでございますので、国としては特に力を入れてやっていきたいと考えております。ただ、東京都であるからよけいの負担をやれということになりますと、これは全体の河川の問題にもなりますので、四分の三以上の負担ということにはまいりかねると思いますが、事業分量の延びその他は、御指摘のとおり、三カ年でやる計画で進んでいるわけでございます。それが、財政状況その他の問題があったかと思いますが、若干延び延びになっているということについては、むしろ私たちのほうから言うと、遺憾に思っております。こういうことで、今後都とよく相談いたしまして、国のほうの立場といたしましても、これの完成に全力を尽くしたい、こういうふうに考えて、よく相談いたしたい、かように考えております。
  74. 小平芳平

    小平芳平君 中小河川につきましてはこの程度にいたしますが、私は東京都だからよけい金を出せと言っているのではない。ただ国の補助はこれで十分なのかどうかということをさっきからちょっと聞いているだけであって、それでとにかく申し上げていることは、緊急に——人口の密集地帯ですから、特に緊急にやる必要がある。これは当然のことと思う、常識であろうと思う。  次に、荒川放水路あるいは中川の提防は、改修ができている部分とまだ完成していない部分とあるように見られてますが、葛飾、足立方面などは、これで大きな高潮でも来た場合には、一ぺんにやられはしないかという感じがいたしますが、この点はいかがですか。
  75. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 荒川放水路の足立、葛飾区の周辺は地盤沈下地帯でございまして、したがいまして、われわれとしましては、早急に堤防を増強しなければいかないということで、特に伊勢湾級の高潮に対処する堤防を早くつくらなければいけないということで、いま急速に施工を始めております。大体これも東京都の高潮対策事業と同一歩調でまいりまして、ほぼ高潮対策事業は終わりにかかっているというような状況でございます。特に御指摘の足立、葛飾区の堤防につきましては、地盤沈下もございますので、堤防の増強が必要でございます。したがいまして、これは常時われわれ調査をいたしまして、そのつどかさ盛りを行なってきております。しかしながら、御指摘のような状態がもしあるとすれば、われわれとしましても、緊急なことでございますので、十分措置するようにしたいと思います。ただ、この前の災害、この前の出水程度では、まず堤防はだいじょうぶと思いますが、荒川におきましては、さらに大きな洪水を予期しながら、そうしてわれわれ堤防をつくっておりますので、今回の出水程度ならまずまずだいじょうぶではないかと思っております。
  76. 小平芳平

    小平芳平君 私がお尋ねしている点は、今回の出水で、これでよかったかどうかということをお聞きしているのではなくて、だいぶかさ上げ工事が進んでいるのを拝見しましたし、一部まだ改修工事が進まないために、非常な軟弱な、また堤防の低い部分があるように見られますが、それは専門家が見てこれで十分だというのかどうか。特にたとえば名古屋の場合は、伊勢湾台風の高潮の経験からして非常に工事が進んでいるように見受けますが、東京の場合そういう点がおくれているんじゃなかろうか。むしろ、まともに台風を受けた場合、高潮を受けた場合は、人口の密集地帯の東京がどれほど惨たんたる被害を受けなければならないかということを想像するにつけても、ふだんから十分な工事というものを目標にしてやっていかなくちゃならないと思うのです。したがって、未改修の面があれば、いつごろまでには大体伊勢湾並みにできるとか、またいつを目標にしてそういう伊勢湾クラスにたえ得る堤防を完成するとか、そういう点についてのお考え、見通しをお聞きしておるんです。
  77. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 荒川につきましては、特に右岸側——江東三角地帯につきまして、川の合流に向かって右岸、左岸と言っておりますので、誤解のないようにひとつお願いしておきます。江東三角地帯は一応守られるようになりました。左岸側につきましても、特に旧中川が綾瀬川と合流してくるところの下につきましては、東京都におきまして高潮対策事業を実施いたしておりまして、これもおおむね完成の域に近いのではないかと思っております。特にそれから上流の中川放水路との合流点、それから上の綾瀬川の堤防の問題につきましては、ただいま綾瀬川との合流点の付近の上平井付近におきまして、高潮対策を兼ねまして防潮水門を設置するようにいたしております。これは四十一年度から着工いたしておりますので、これは早急に、四十三年度くらいの出水期までには十分できあがることになると思います。それからなお、中川放水路を通じての高潮につきましては、今井水門というのがございまして、今井水門はこれは完成いたしております。したがいまして、この上平井の防潮水門ができれば、旧中川と中川放水路から来る高潮に対しては一応だいじょうぶでございますが、なお、高潮の場合に豪雨等がございまして、内水の問題をどう処理するかという問題はいま検討中でございまして、早急に結論を得て具体的な措置をやりたいと思っております。
  78. 小平芳平

    小平芳平君 局長よく現場をごらんになっていらっしゃるかどうか、ちょっと私と話が合わないように思いますが、とにかく内水が原因で——今回も相当内水が原因かもしれませんが、今回も相当水がついている部分があるわけですから、ですから緊急に堤防の軟弱な部分は改修するとか、あるいは現に増水したら堤防決壊するんじゃないかというふうに、しろうとが見てもひやひやする部分があるわけです。そういう点についての事業をすみやかに行なうように私は要望したいんです。  それから次に、先ほど局長からわざわざ御説明がありましたが、鶴見川についても、すでにもう昭和三十三年ですか、大きなはんらんがあって、あそこは鉄道では東海道本線が通っておるし、また道路は一級国道が通っておるし、そういう国の交通輸送の動脈を、鶴見川のはんらんのためにそれがストップしてしまうというようなことでは、それこそこういうところは緊急に改修しなくちゃならないということで始まったと思うんですが、今回の雨でまた相当はんらんしておるんですね。ですから、工事も相当進んではいるようですけれども、やはり一体住民としてはいつになったら安心しておられるのか、ただいま工事があっちこっちで進んでいるようではあっても、雨が降るとすぐ水が出る、いつになったら安心できるか、そういう点はいかがですか。
  79. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 鶴見川は、当初昭和十四年より計画流量六百五十トンでやったんでございますが、その後三十三年の水害がありまして、計画流量九百トンにして、ただいま実施中でございます。現在予算としましては四億をつけて、主として掘さくを重点にやっております。今回の水害につきましては、まことに残念でございまして、われわれとしましても早急に措置するようにいたしたいと思いますが、今回の水害のいろいろな要素を調べてみますと、大体上流区域におきまして、中小河川部分の未成区域——できていない区域から水が入ったのと、合流におきましては掘さくが残っておる、いま計画の九百トンに対して約半分の断面しかない。したがいまして、先ほど申し上げましたように、水位が堤防天端から二十センチぐらいのところまで来まして、そのために内水が非常にはけずに浸水したということになるわけでございます。この掘さく土量が約三百万立米ございます。この三百万立米を早急にはかなくちゃならぬ、どっかに処分しなくちゃならぬという問題があります。ただいま処分問題につきまして、神奈川県当局、特に副知事も今明日おいでになるということですが、その土砂の処分の方法をきめて、具体的に計画を練りたい。それから上流地区につきましては、改修を従来から強力に進めておりますが、今回の水害に間に合わなかったような状態でございまして、これも具体的に水系を一貫して計画を練りたいというふうに考えております。いま検討中でございますので、具体的にいつという見通しはなかなかいまの段階では出せませんので、よろしくお願いしたいと思います。
  80. 小平芳平

    小平芳平君 何だか全然意味が通じないですよ、局長、それでは。初めは現在のところ掘さくを重点にして工事をやっているというように言われて、それで実際問題として掘さくをどこをやっておりますか。それで最後には、掘さくについては現在目下検討中、副知事が来るようになっているというようにおっしゃる。ですから、実情としては堤防がだいぶできましたが、上流とはいいますが、まだ鶴見区内にも堤防のないところがあって、ここがはんらんするわけです。それからまた、上流はもちろん全然まだ改修工事が進んでないから、はんらんして、それこそ何日間も浸水した、現にそうなったわけです。それからまた、掘さくもどこをやっているかという程度じゃないですか。まだまだこれから大至急計画を立て、それこそもう緊急計画でやらなくちゃならないのがこの川じゃありませんか。
  81. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 掘さくにつきましては、矢上川合流点の下でございますね、その辺の掘さくと、それから綱輪橋のところの掘さくをやっております。なお、御指摘の無堤地帯がございますが、汐鶴橋から芦穂橋、それから矢上川合流点の無堤地帯、鶴見区と港北区の境、それから矢上川合流点の右岸の無堤地、これは駒岡でございますが、そういった個所につきましては、堤防をつくっていきたい、掘さくを利用して堤防をつくっていきたいというふうに考えております。ただ、先ほど申し上げました土砂処分につきましては、いわゆる掘さくをしたが、土砂処分がなかなかできないということになりますと、勢い川の中にまたためなくちゃならぬというようになりますので、これを掘さくするためには、どうしても土捨て場を探さなくちゃならぬ、その土捨て場の問題で、三百万立米を急速に掘るとしますと、土捨て場を急速に探さなければならない、そういうことで神奈川県と打ち合わせているわけでございます。ただいま、四万立米近くにつきましては、新横浜駅の近くに捨てることに一応話が内々きまりつつありますが、何しろ三百万立米の大きな土でございますので、具体的な計画のめどが立たないと、これの掘さくの処分がつかないと、なかなか掘り切れないという問題もございます。この点をただいま検討中でございます。
  82. 小平芳平

    小平芳平君 検討中検討中でなくて、緊急にお願いしたいと思うのですがね。緊急やるのが当然の——とにかく主要な東海道あるいは一級国道がストップするということは大きな問題ですから、また人口の密集地帯でもありますから、やるべき事業であろうと、こう思うわけです。  それから次に、同じく鶴見川の堤防がだいぶできましても、国鉄あるいは私鉄の鉄橋が低いためにそこから浸水するんですね、いつも。そこから住宅地に水があふれてくるわけです。こういう点はどうですか。
  83. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 特に低い橋梁としまして、国鉄の下の京浜急行の鉄道橋がございます。これは普通の満潮時にもわずかでございまして、これは船も通れないような状況でございます。これはこの前の出水で若干ガードがつかったような状態になりました。したがいまして、きのう、災害対策連絡協議会で、運輸省のほうに京浜急行のかさ上げの問題につきましていろいろお話したわけでございます。これも具体的に進めていきたいというふうに考えております。先ほど先生からお話がありましたように、鶴見川については非常に重要な地区でございますので、われわれとしましても、先生の御趣旨に対して十分計画を練って、早急に緊急措置をするように検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  84. 中野大

    説明員中野大君) 京浜急行の件につきましては、昨日の打ち合わせ会で河川局長からお話がございましたので、私のほうも運輸事業者と打ち合わせいたしまして、河川改修に対応しまして、できるだけそういう被害の起こらないように、そういうふうに指導してまいりたいというふうに思っております。  なお、国鉄につきましては、国鉄当局のほうで参っておりますので、国鉄のほうから答弁させていただきたいと思います。
  85. 伊地知堅一

    説明員伊地知堅一君) 国鉄線のけたについてお答えいたします。  今回の水害においては、国鉄線のけたそのものは水にはつからなかった。けた下十五センチくらいが一番高い水位であったかと思います。そういう事情もございまして、当面国鉄としてはけたをかさ上げする計画はいまのところ持っておりません。で、鶴見付近で三時間ばかり汽車がとまったわけでございますが、浸水個所はそれより川崎寄りの低い地点でございまして、この点につきましては、線路上十五センチばかり浸水したわけでございますが、付近の排水——結局鶴見川の関係になると思いますが、排水が不十分であったという点が原因でございまして、鶴見川改修によって解決するのではないかというような見通しでございます。まあできればその付近の線路を上げればいいわけでございますが、その付近はちょうど操車場に行く貨物線が立体交差しておりまして、線路を上げる計画はいまのところ立ちにくいというような事情でございまして、結局排水の改善を待つということにしております。
  86. 小平芳平

    小平芳平君 けたの下十五センチですか、今度の水でも国鉄の線路の下そこまで水がついているわけですよ。ですから、これを解決するには、先ほど局長が説明されたように、掘さくして川底を下げるのが一つあります。しかし、これには限度がありますから、したがって、掘さくして川底を下げてもなおかつ現在の堤防からあふれるというならば、これは当然線路を上げることを考えなくちゃならないじゃありませんか。線路上げないで、現在で十分その川が流れているなら、洪水を防げるなら、それでけっこうですよ、もちろん。しいて線路上げることはないのですが、しかし現在でもちょっと水が出るともう国鉄職員が行って土のうを積んでいつも警戒をしている。それはそれだけの危険区域だから、一生懸命現場の職員はやっているわけですよ。
  87. 伊地知堅一

    説明員伊地知堅一君) いまの最高水位がけたの下十五センチでございまして、まだ十五センチの空間があいているわけでございます。で、レールはそれからまだずっと上にあるわけでございまして、したがいまして、そのために堤防から水が漏れたということは考えられないのでございますので、水の上に空間があって、その上にけたの高さがあって、その上にレールがあるわけでございますので、レールの面から勘定しますと、まだかなりその橋梁に関する限りは余裕があって、その橋梁のために水流が阻害されているとは思われないのでございます。
  88. 小平芳平

    小平芳平君 ぼくもしろうとですから、あれですが、こうレールがありますよ。そうすると、そこでレールは少し高いでしょうが、けたがあって、それに今度小石があるじゃないですか、砂利が。そこから今度堤防があるわけですよ。ですから、その川の水が線路を越すようになればそれは当然ばっとあふれますけれども、たとえ越さないまでも、線路が低いために、その土手をかっちり上げることができないために、水がしみ出してくるのだというようなことをまあ地元の人が言っているわけですよ。だから、その点は私もこうだからこうだということはよくわかりませんが、要はその川の堤防だけは上げようがないのですよ、川の堤防は。ですから、現に水がついているわけですよ。まあアヒル部落と言っているそうですけれども、そういう町があるのです、その辺に。ですから、全体的に堤防をずっと上げてしまえば、アヒル部落も水越すこともなかろう。けれども、そっちに堤防を上げてしまえば、線路のほうが低くなってしまう。ですから、そこで掘さくをする。掘さくをしても間に合わなければ、あとはあふれっぱなしということになっちゃう。ですから、まあ現在の京浜急行は確かに低いとおっしゃるけれども、国鉄線もそれで高さが十分かどうか、私は疑問に思うのですが、それはひとつ研究してもらいたいと思いますね。
  89. 伊地知堅一

    説明員伊地知堅一君) 御質問の趣旨大体わかったように思いますが、結局堤防が上がるときに線路だけそのままでは困るじゃないか、こういう御質問かと思いますが、そのときは当然県ないし建設省側と打ち合わせいたしまして、御迷惑のかからないように協議いたします。それで、あらゆる河川改修は、そういう協議でわりに支障なくほかの河川もいっているつもりでございますが、したがいまして、鶴見川につきましても十分協議いたしまして検討したいと思います。
  90. 小平芳平

    小平芳平君 それで、あと時間もたいへんおそくなりますので、住宅のことについて今度若干お尋ねしたいのですが、住宅の特に私のお尋ねしたい点は宅地造成ですね、宅地造成についてお尋ねしたいのですが、まず第一に、新しく宅地造成をした場合は別として、今回の災害地を見ても、ずっともう何十年来家が建っていた、そこにがけくずれが起きて死亡者が出たというような場面が見受けられますが、ところで、こういう面の、雨が降るとくずれるかもしれないぞと、それは何年来ここに家が確かにある。何年来がけがくずれたわけじゃないけれども、ここは危険だからといって指導するなり、また、それを指導した場合に資金の融資をするなり、そういうような道が開かれているかどうか。
  91. 井上義光

    説明員(井上義光君) ただいまの小平委員お話の、宅地造成に伴います場合は諸般の規制もございますが、現在、自然のがけの下に特に造成工事等をやらずに建築をするという場合につきましては、建築基準法で一般に建築を行ないます事前に確認をいたしますが、その場合に、地盤改良とか排水について指導し規制をするというふうになっておりますし、それから、これが、その地方の気候とかあるいは風土によりまして特別の規制を要します場合には、当該公共団体の条例によりまして、規制について基準を強化するよう付加できるということになっておりまして、たとえば今次の横浜市について申し上げますと、昭和三十五年でしたかに条例を制定しまして、たとえば高さ三メートルをこえるがけにつきましては、その水平距離でがけの高さの二倍の距離を保って建築をする、あるいは必要な擁壁の設置、あるいはその他の防護措置を講ずるというふうにいたしております。  そこで現在、造成地につましても、自然のがけ地につきましても、一応の法的な規制の体制はできておりますが、なお技術的な細部の検討に問題がございますし、それから宅地造成のように、それが第三者にも重大な被害を及ぼすという場合と、個々の単体の被害にとどまるという場合につきましては、諸般の制限も同一にまいらないという見地から、今後技術的な基準の検討と、それからあわせまして、いまお話のございました助成措置と申しますか、現在、宅地造成の規制区域になりますと、知事あるいは自治体の長が改善命令あるいは勧告をいたしますと、住宅金融公庫から融資が行なわれるということになりまして、五万円から四十万円以内で融資をしておりますが、それを自然のがけについても及ぼし得るかどうかということにつきましては、今次の災害状況なり、法律あるいは条例の施行状況を調べまして、その上で善処いたしたいというふうに考えております。
  92. 小平芳平

    小平芳平君 時間の関係でまとめてお尋ねしますが、部長と、それから次官からお答え願いたいと思います。  それで、いま私のお尋ねしておる点は、今度の横浜市内の例を見ても、古くから家がある、古くからある家の中に住んでいるその家族が、何も自分の家が原因じゃなくて、裏の山がくずれて、そのためにそこで二人死んで、一人、重傷というような事故が現に起きているわけです。そういう残酷な姿が現にあるわけです。そこで私が申し上げたいことは、建築基準法による災害危険区域の指定というものがありますでしょう。これはそういうようながけくずれのような災害をこうした危険区域の指定に適用することができるかどうか。それから、そういうことも現在できないとすれば、今後研究していかれるかどうか、それが一つです。  それから、とにかく、わが家とは関係のない裏の山がくずれて家族が死ぬというような事故を未然に防ぐためには、やはりがけくずれを防ぐための工事をしなければならない。その工事をするための資金の補助なり、融資なり、そういうことを行なっていくことはどうか。
  93. 井上義光

    説明員(井上義光君) ただいまの第一点の災害危険区域につきましては、過去に溢水あるいは高潮等の被害がございました大阪、名古屋あるいは飯田市といったところに指定されておりますだけで、現在、そういった自然のがけ地の下の住宅地域というものには適用されておりませんが、この点につきましては、近日中に今次の被害の実状調査がまとまりますので、必要とあれば、その地域指定に関する条例の制定を推進するように措置いたしたいというふうに考えております。  それから、こういった自然のがけにつきましての防護措置でございますが、何ぶん広範囲にわたりますので、こういったものにつきましては、一方、推進しておりますそういった危険のない宅地開発といったものの進捗状況というもの及び財政上の負担を伴います関係から、そういった面も考えまして現在検討はいたしたいと思っておりますが、特に危険な区域につきまして、そのがけくずれ等を防止するために、広範囲な工事を推進するというのは困難かと存じます。  融資につきましては、現在、がけ地について防護措置を講ずるということにつきましては、直接融資の措置がなく、宅地造成工事規制法によります危険区域になりまして、盛り土、切り土等を行ない、そのあとにつきまして擁壁あるいは排水施設の整備改善について行政庁から勧告があった場合には、融資が行なわれると思っておりますので、自然のがけ地については現在ございませんが、検討いたしたいと思います。
  94. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) このがけくずれの問題は、これはなかなかむずかしい問題で、先ほど御答弁を部長のほうからいたしましたように、建築の制限区域の指定を、今度のような状態が起きますれば、もう少し危険区域の指定を広げる必要があるではないかという議論が当然出てくるかと思います。ただ、従来からそこに住んでいる方々、これは新しく宅地造成したわけじゃございませんので、自然の災害が起きやすい場所、これはずいぶん方々にもあると思うので、それ全体をはたしてカバーできるかどうか、これはよほど検討を要する問題だと思っております。ただ、現在の法律のもとでも、危険区域の範囲を広げるやり方は、地方の状況に応じた条例でできるわけでございますので、今般の災害状況を検討いたしまして、自治団体等ともよく相談をいたしたいと思っておる次第でございます。
  95. 小平芳平

    小平芳平君 これで私は終わりにいたしますが、先ほど来申し上げたことは、がけくずれが起きた、何もわが家とは関係のない裏のがけがくずれて死んでいくというのは実に気の毒だと思うんですよ。ですから、確かに、いま部長、次官もおっしゃるように、広範囲に自然のがけをいかにしてがけくずれから全体として防ぐかというようなことは、これはたいへんな問題であって、それは簡単に一片の法律や、きょうやあしたの事業で解決する問題じゃありませんが、しかし、その努力というものが必要だと思います。やはりもうここは危険だから早くここを直したいという人もあるでしょうし、できたらどっか移転したいという人もあるでしょうし、絶えず、そうした民衆の努力とともに政治家の努力、政府の努力というものも必要だというふうに私は申し上げたいのです。  最後に、新しく宅地造成をする場合の規制、これは先ほど来御答弁にもありましたが、最高四十万の融資の道が開かれている。それで、宅地造成規制法、宅地造成事業法でありますか、こうした二法がありますが、現状としては、この法律の運用が悪いか、あるいは基準が悪いか、この宅地造成工事規制区域でもくずれているんですね、若干。何件かくずれたということが現に起きている。ですから、それに対する基準の再検討、こういう点をお考えになるかどうか、また、現に融資を受けて宅地の安全を期しているという件数がどのくらいあるか。その面からしても、もっと宅地造成の安全というものを主体にした行政が必要じゃないかというふうに感じますが、いかがですか。
  96. 井上義光

    説明員(井上義光君) 宅地造成規制法及び造成事業法によります技術基準につきましては、非常にむずかしい問題がございまして、現在、擁壁とかあるいは水抜き等につきまして基準がございます。やはりこういったものは、認可なり許可をいたします行政庁の裁量の範囲があるわけでございますので、なお詳細な規定をいたしますためには、十分な被害の分析と技術的検討を要しますので、現在、先ほど政務次官からお話ございましたが、実情調査をいたしますとともに、特に擁壁等につきましては、技術委員会を設置しまして、その検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから宅地造成規制法によります融資の実績につきましては、現在、資料を持ち合わせておりませんので、実績は相当ございますけれども、いま具体的に申し上げることができないので御了承願いたいと思います。
  97. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は特に埼玉県の問題で伺いたいと思うんですけれども、今度の川口被害状況をつぶさに見てみましたし、自分でも入ってみたんですけれども、確かに、前回の滞水したとき、昭和三十三年の被害に比べれば降雨量も少なかったせいもあると思いますが、また、新しい川もできたということで、水はけは確かに早かったかもしれない。しかし、被害区域というものはほとんど変わらない程度にまでなっております。その原因がいろいろ言われているわけでありますけれども、特に現地で感じられたことは、荒川の水位が非常に高くなる、そうすると、あそこに流れ込んでいく緑川あるいは旧芝川の水をとめなければならない、その水門を閉鎖する、そのことから溢水をしたということが、これはまあはっきりしているわけであります。これについて、この低地帯に対していろんな問題がありますが、まず、前回の三十三年のときに新しい芝川ができる。旧芝川のところには排水。ポンプを置いたわけであります。それだけでは足りないで、計画としては、さらに新しくできた芝川のほうに排水機を設けるというような話もあったけれども、それもだめになってしまったということが言われております。  いま一つは、今度一番よくあふれた緑川のほうは、これは河川改修の要求が県のほう、あるいは市のほうからかなりなされておる。ところが、実質上は全然なされていない。ようやく土地買収あたりがぼつぼつ進んできたということのようであります。あれだけの水位差が出てくるとなれば、どうしてもポンプアップしなければならないと思うのでありますが、その辺の計画ははっきりいっていたのかどうか。三十三年のときから騒がれていままで来ているのに、十二分に住民が納得できるものがなかった。この計画は一体どうなっておりますか。また、それについての今後の見通しはどういうふうになっているか。
  98. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 御指摘のとおり、芝川の流域におきまして非常に浸水害が生じまして、道路交通は麻痺したり、浸水家屋が相当生じたわけでございまして、まことに残念でございますが、私らとしましては、いま旧芝川と称しておりますが、従来芝川が流れているところが川口市のちょうど中心部に当たりますので、したがいまして、新芝川をつくりまして市街地を流れないような一応方法をとりたいということで、これも相当急速施工いたしまして、ようやく竣工の段階になったわけでございます。その上の芝川の排水路から上流部につきましては、全然堤防未着地でございまして、若干小さい堤防がございますが、その前に、川の中にたくさん家があります。それから、なお、その上流にある竪川、これにつきましても、これが改修が終わっておりません。それから、なお、竪川から流れ込んでおります緑川から三領水門に通ずるわけですが、この改修もまだ完全に終わっておりません。  なお、今回の水害をいろいろ聴取いたしてみますと、藤右衛門川、芝川の右端にあります藤右衛門川からの水あるいは竪川からの水が緑川を通じて、三領水門に集まってきた、それから中央排水路といって戸田町にある排水路でございますが、その水もまた三領水門の周辺に集まってきたと言われております。これにつきまして、私らとしましては、三十九年ごろからこれの内水の調査に着手いたしておったわけでございますが、ようやく計画も最終段階に来まして、とりあえず今年から緑川の三領水門のところにポンプをつけようということになりまして、予算二千万をつけまして用地買収等にかかっております。  なお、その上の緑川も非常に水路が狭隘でございまして、この改修もあわせて実施しているわけでございます。  そのほか、私らとしましては、新芝川の下流にポンプをつけたらどうかという案もありますし、それから、なお、中央排水路のところを、これは河川ではございませんけれども、今後どういうぐあいに処理するかという問題で、当然内水の分離をやらなければいかぬのじゃないかということで、そういうポンプ計画等を立てまして、具体的にいま検討しているところでございます。  それから、なお、新芝川の上流の、合流点から上流につきましては、今年用地買収費をつけております。そうして具体的に施工にかかりたいと思っておりますが、何ぶんにも、家屋密集地帯で用地費が相当かさみますので、この辺にも相当予算が要ると思います。これは、なお、竪川につきましても、この全体流域一帯としまして、具体的な水系を一貫した計画のもとに、この改修の施工につきまして、いま埼玉県と目下協議中でございまして、早く計画をまとめてみたいと思っております。
  99. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまので、大体の計画案というものは見当ついたんですけれども、たとえば現地のはっきりした声を言えば、どうして——同時に、いまも答弁の中に、新芝川のほうにも排水機をつけるという話があった。この間のを見ましても、幸い、荒川の水位が低かったために、新芝川のほうは閉じないで済んだのですが、その危機一発のところまで来ているわけです。そのために、いま答弁にありましたように、上流のほうの天神橋のほうからあふれるという結果を招いている。現地のほうでは、なぜそういうのができなかったのかということですね。それはおかしいじゃないかということです。当然緑川の出口のところはポンプアップすべきだ。これが一番先にかかるべきだのに、改修改修とそのほうばかりやっている。まず、すぐくみ上げるだけのものはやるべきじゃないか。それから後に改修していってもいいのを、ただ改修改修といって上のほうからやってきて、排水機は一番最後になる、こういう心配がある。その辺のところはどうなっていますか。
  100. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 堤防と排水機と、どちらを先にすべきかという御質問だと思いますけれども、これは判断が非常にしにくいわけでございまして、かような内水河川につきましては、堤防もやらなければいけませんし、それからポンプも同時にかかるのが最も至当だと思います。ただ、急流河川につきましても、実際堤防から洪水が流れてきますと、死傷者を生じたり、いろいろな問題が生じますので、その辺は河川の激甚さ、そういったものを考えながら、堤防とポンプの関係を考慮していかなければいかぬというふうに考えております。特に、この川口市周辺は地盤沈下地帯でございまして、約一メートル以上最近下がっているようでございます。この辺も今度の浸水を大きくした大きな原因じゃないかと思います。したがいまして、ポンプを、特に緑川周辺のポンプにつきましては、早急に完成するように努力したいと思っております。
  101. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 同じく河川局長に伺っておきたいのですが、これは行田の洪水の状況ですね、あそこの状況を見てみたのですが、ここに陳情も来ているのですが、とにかく溢水することは早くて、減水することが少ない。どう考えてみても、現在、下流のところに武蔵水路が今回できて、その管理道路ができている。いままではそれはなかったわけですから、そこの地域を乗り越えて水が下流に流れていったのは、武蔵水路の管理道路ができたために滞水したからだ。行田あたりが水が引かないというのも珍しいので、私どもも調べたのですが、そういうところに大きな原因があった。きょうは水資源公団が来ておりませんけれども、その辺のところの事情というのは前もってわかっていたのじゃないかということなんです。予見ができなかったか。予見しておれば、当然サイフォンでも何でもつけてやることができたろうと思いますが、その辺の責任というものは、地元の住民としては強く追及してほしいという声が高まっているわけです。その点についてのお考えはどうなんですか。また、公団に対しては、どういうように持っていかれるおつもりか。
  102. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 星川周辺の浸水につきましては、具体的にただいま私直接聞いておりませんけれども、星川の行田の浸水につきましては、水資源公団と話し合いしまして、武蔵水路を星川排水に使うことで、下流の荒川はけ口におきまして、水資源公団として排水ポンプをつけております。  それから、なお、河川改修としましても、当然それに乗って相当のポンプの問題をただいま施工中でございます。水資源公団の武蔵水路によりまして、そういう生ずる災害について除却できるような措置を水資源公団と打ち合わせてやっております。  なお、星川その他につきましては、下流の中川との全体水系の改修も完全にできておりませんで、これもただいま進めておりますが、用地不足その他の問題がありまして、なかなか進まないような状況でございます。今後、水系を全体として具体的に検討してまいりたいと考えております。
  103. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 時間がありませんから、非常に簡単にやっていきたいと思いますが、これは自治省のほうに、どういう指導をしているか聞きたいのですけれども、今回水門を閉じた、水門を閉じれば、当然上流からかなり水が来ておりますので、何時間か後には溢水をすることはわかっているわけです。ところが、市の広報車のほうも、浦和の場合にようやく動き出したという状態でありました。広報車が動いてこなければ、サイレンで危険を知らせるということもできない。水がつかっている中を歩いてみますと、消防署あたりでアナウンスされておりますが、ちょっと路地に入ると聞こえない。これから減ります、ふえますと言っておりますけれども、全然わからない。やはり早くわかればわかるだけ、住民にとっては衣類や財産をぬらさないで済ませるわけです。その辺の広報というか、警報を発するということについては、どういうふうに指導をなさっておりますか、おりませんか。
  104. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  105. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記をつけて。
  106. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 では、いま一つ。これは非常に変な事件だったのでありますけれども、二十八日から二十九日にかけての例の洪水のときに、大宮市のし尿処理の水を、約二十石というか、二十トンか忘れましたけれども、この機を幸いにということで濁流の中に流したという事件がございます。この点は非常に私どもとしては意外でならないわけでありますけれども、やはり洪水で滞水しておりますから、結局、またその水が戻ってきたことになるわけです。ほんとうに衛生というようなことを考えたときに、やはりそういうようなことまで気を使ってもらわなければこれはどうにもならぬということになるわけですが、その点についての考えを伺っておきたいのです。
  107. 春日斉

    説明員(春日斉君) 私、防疫課長でございまして、環境衛生の担当外でございますが、担当の者が参っておりませんので、かわってお答えしたいと思います。  清掃法に基づきまして、もちろん、さような不法な措置につきましては、これは厳重に今後処理をしてまいりたいと考えております。  なお、今後そういうようなことが起こらないように指導していくつもりでございます。  環境衛生の方にかわりましてお答えします。
  108. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 よく伝えておいてください。
  109. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 資料を要求したいと思うのですが、まず、各種資料を出していただいたのですが、災害状況資料は出てきましたけれども、根本的な原因についてもっと掘り下げてみたいと思うのです。原因というのは、水害の原因は雨がよけい降ったからと言えばそれまでの話ですけれども、それ以外にいろいろ問題があると思います。それは、さっき鈴木委員からも質問がありましたけれども、川口とか、あるいは行田あたりの水の出た問題は、単に雨がよけい降ったからというだけじゃなくて、河川の改修の問題があると思いますし、地盤沈下の問題があると思います。それから、宅地造成、住宅の建設といったようなことと、それに伴う排水工事の不備とか、いろんなことがあると思うんです。そういういわゆる極端な水害の原因になった事柄について、もうおそらく、それらの事柄はわかっているんじゃないかと思いますし、まだ原因がわからないこともあるかもしれませんけれども、ある程度まとめられた水害の原因等について、資料提示をしてもらいたい、こう思うわけです。で、私も写真を写してあるんですが、台風のあと、五十時間たったあとの状況は、まだ水の都みたいになっているんです。ベニスみたいな状態になっているわけです。こういうふうなことは、やはりそれ相応の原因があるんじゃないかと思いますから、これらの問題を、根本的に災害に対処するために資料をひとつまとめていただきたい、こういうふうに思います。これは主として建設省関係の問題でありますが、それから、砂防とか、あるいは農林省関係になるかと思いますが、植林とか、そういう面における不備といったようなこともよけいな水害をもたらしたということになれば、それも原因として考えていいことじゃないか。そういうことの資料と、それから、国鉄関係、私鉄関係ですね、運輸省筋の報告は非常にばく然としておって、要するに、河川のはんらんによる線路の冠水が原因であると、こういうふうにありますけれども、私鉄国鉄等も相当にストップしておるわけです。極端な例でよろしいんですが、大きな交通途絶の原因となった冠水状況、それから、その冠水の原因、あるいは土砂崩壊の状況、ここの地区でもってこういうわけでこれだけ——たとえば東北本線なら東北本線が途絶したといったような事柄ですね。あるいは、私鉄の場合は、鶴見川でどうだとか、小田急でどうだとか、いろいろあると思いますが、そういう極度に交通が麻痺してしまったといったような事例についての報告とその原因といったようなことを、もう少しまとめて資料として提示をしていただきたい。その資料に基づいて、あらためて質問をしたいというふうに考えます。その点をお願いしたいと思います。
  110. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 建設省に対しての資料の御要望でございますが、非常に浸水が多かったということ、それに対する原因、きょうもだいぶ御議論が出ておるわけですが、数字的なものになりますと、ちょっとその原因のそんたくその他出しにくいと思うんですが——出しにくいというよりも、測定がちょっとできにくいんじゃないかと思いますが、要するに、雨が降ってきて、それに排水の状況がよくなかったということになると思うんですけれども、原因——まあそれだけのものであれば、よろしければ資料として提出いたしますけれども、ちょっと数字的な問題等は入り得ないと思いますが、御了承願いたいと思います。
  111. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 必ずしも数字にこだわるわけじゃないんですがね。たとえば、先ほど河川局長から御答弁がありましたけれども、武蔵水路の問題なんかがあるわけでしょう。あたかも武蔵水路ができたために行田の水がなかなかはけなかったかのように伝えられているんですよ、私は聞いているんですけれども。そうすると、変な話になるんで、水路をつくったために水はけが悪くなったということになる。こんなことは常識的には通用しない話なんです。だから、はたして武蔵水路なら武蔵水路の工事が、行田なり熊谷地区の水はけを悪くしたのかどうか、こういう問題をはっきりしておかなきゃならぬと思うんです。それから、かりに、武蔵水路の排水によって今後再び行田における水害区域といったようなものをなくしたいというふうに考えたとしても、じゃその武蔵水路がどこへ流れていくかというと、今度荒川へ行くんでしょう。荒川の下流のほう——芝川との合流点、あの荒川の下流のほうでせきとめられるということになると、上流の武蔵水路のほうから流し込むということが今度できなくなってくるわけです。だから、武蔵水路によって上流のほうの水ははけをよくするということも、これはむずかしい話になると思うんです。だから、いまあげたのは一例ですけれども、じゃ芝川と緑川、荒川の下流の、この青空浸水の原因となったのは一体何かといったようなことを端的に知りたいと思うのです。いまここに載っております被害というのは、どこそこでどれだけ水が出て、そうして、どういう被害があった、人的被害はどうで、物的被害はどうで、こういうことが現象的にずっと出ているだけなんですね。だから、これは何がゆえにこの排水が悪かったかというようなことが、どうもよくこの資料だけではわからぬわけです。だから、そこには、地盤沈下——工業用水のくみ上げによる地盤沈下がとれくらいだとか、あるいは河川の改修——新聞等に伝えられるところによると、数十年かかるなんて書いてある。数十年かかるんじゃ、これから先の、ことしの災害には間に合わない。だから、そういう河川の改修の不備の問題であるとか、いろいろ列挙すれば問題があると思いますから、それらの点をわかるようにひとつあげてもらいたいと思うのです。必ずしもこれは数字という意味じゃなくて、たとえば荒川の水系の問題について言えば、これとこれとこれと、こういうことがあげられるというようなことは、もうすでに調査もある程度終わっているんじゃないかと思いますから、そういったような問題についての資料をひとつお示しをいただきたいということです。
  112. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 御要望に極力沿いたいと思いますけれども、かなり種類が多くて、件数も多いものですから、実は御注文のあれに戸惑うておるわけですが、できればこういうあれだということをもう少し何か具体的にできますと、整理もしやすいのですが、いまのような問題は、むしろ、いろいろ御質疑していただいたりなんかした場合に浮かび出てくることだと思いますが、資料と申しましても、こういう原因があるかもしれぬというようなことになってしまって、まあ、それでも一応は整理はしてみますが、御了承願いたいと思いますが、ちょっとあまり問題がぼうとしておるものですから、まあいまの、たとえば、どこどこの地区というようなことになれば、そこに問題が出てくると思いますが、今度の水害はかなり広範になっておりますから、ですから、いまの具体的な地区の指定なり何なりしていただくか、あるいは全体的な、たとえば鶴見川周辺の問題もあれば、あるいは、そのほかの東北のほうの川のはんらんもこれはあるわけです。どういうふうに整理をしますか、ちょっとあまり問題が広いものですから、どんなふうに御要望の点があるか、もう少しはっきりしていただけば、そういう意味の整理ができると思うのです。
  113. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は大体きょう論議が出たことを中心に考えているわけです。たとえば、川口でもって五十時間も水が引かなかったというようなことが具体的な現実なんですね、こういう問題、それから、武蔵水路というものができたがゆえに行田でもって水が引かなかったという話が伝えられているんだけれども、はたしてそれが、そういう判断が正しいかどうかという問題、それから、極端な被害を出した地域、人的、物的な被害を出した地域の原因ということに私は詰めて考えたいと思うんですけれども、まさか、自分の知っているところだけのことを資料として出せというわけにもいかないから、そのほかにも極端な例があるのじゃないかと思うのです。今度の四号台風に関係しては、そういう極端な場合は、ひとつ、自分の住んでいる地域でなくとも、災害対策委員会としては、全国的にその把握をする必要があると思うので、そういう問題もあわせてひとつ御返事をいただきたい、こういう意味なんです。
  114. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 大体わかりましたから整理します。
  115. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 国鉄のほう……。
  116. 伊地知堅一

    説明員伊地知堅一君) 大体御趣旨に沿うように資料をまとめたいと思います。大ざっぱに国鉄では原因なりというものは見当もつけておりますけれども、いずれも河川関係がからんでおりますので、建設省とも打ち合わせて、もう少し慎重な資料をつくりたいと思います。
  117. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ちょっと二点ほど、厚生省のほうから実施した内容について、宮城県の問題でちょっと聞いておきたいのですが、厚生省資料によりますと、宮城県から、いわゆる世帯更生資金の増額について千五百万円の要求がある、この資料によりますと、係員を派遣した、そして一千万円を出すことにした、これは最終的なものですか、そういう判断ですか、それが一つ。  もう一つは、農林省資料をずっと見ましたけれども、宮城県のほうから、農作物等の措置について、水稲病虫防除用農薬、それから農業共済金の早期支払い、この二つの要求が大きな問題として出ているのです。  その他いろいろあるのですけれども、これらの問題についてどういうぐあいに対処されたか、それだけ聞かしていただきたい、それだけ。
  118. 飯原久弥

    説明員飯原久弥君) お答え申し上げますが、宮城県の南方町の災害につきましては、これは世帯更生資金は、県から一千五百万の要望でございます。ただ、世帯更生資金の仕組みといたしましては、三分の二が国庫補助という仕組みになっております。したがって、一千万の追加を内定をしておるのであります。事務的に、これは内示その他の関係がございまして、若干時間がかかっております。その点を御了承願いたいと思います。
  119. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 農林関係お話で、農業共済のお話がございましたが、農業共済につきましては、もちろん、災害が広くて仮払い等の措置を要する場合につきましては、当然私どものほうで考慮いたすように努力いたします。  それから農薬につきましては、これは農機具等の問題と、農薬そのものの問題と、二つあるかと思うのですが、農薬につきましては、従来からいろいろ御要求がございましたけれども、これは防除の何といいますか、なかなか実態をつかみがたいというような問題がありまして、なかなかむずかしい問題がございますが、農機具につきましては、すでに特に東北に重点を置きまして、大型の防除機具を配付しておりますので、これは合理的に有効に使っていただきたいというふうな考えを持っております。  なお、農薬の非常に大きな散布を必要とするというような場合は、ヘリコプターで散布するようなことがございますが、こういうような必要がありますときは、これは県とも相談いたしまして、もちろん措置をするようにいたしたいと思います。
  120. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういう要請があれば期待に応じられる体制にあるわけですか。
  121. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 農薬をヘリコプターで散布をするような要請がありますれば、そういう必要があるような大きな病害の発生のおそれがあるというような場合につきましては、もちろん用意がございます。
  122. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 他に御質疑がなければ、本日はこの程度で散会をいたします。    午後一時四十四分散会