運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-03-09 第51回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月九日(水曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————    委員異動  一月三十一日     辞任         補欠選任      石井  桂君     新谷寅三郎君  二月四日     辞任        補欠選任      吉江 勝保君     米田 正文君  二月五日    辞任        補欠選任     米田 正文君      吉江 勝保君   出席者は左のとおり。     委員長         川野 三暁君    理 事                 玉置 和郎君                 松本 賢一君                 多田 省吾君    委 員                 青柳 秀夫君                 金丸 冨夫君                 新谷寅三郎君                 吉江 勝保君                 占部 秀男君                 鈴木  壽君                 横川 正市君    政府委員        警察庁刑事局長  日原 正雄君        自治省選挙局長  長野 士郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選の件 ○公職選挙法改正に関する調査  (公職選挙法に関する当面の諸問題に関する件)     —————————————
  2. 川野三暁

    委員長川野三暁君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月三十一日、石井桂君が委員辞任され、その補欠として新谷寅三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 次に、理事補欠選挙についておはかりいたします。  委員異動に伴いまして、現在当委員会理事一名が欠員となっておりますので、この際、理事補欠互選を行ないます。  互選方法は、成規手続を省略し、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事玉置和郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 次に、公職選挙法改正に関する調査を議題といたします。  本日は、公職選挙法に関する当面の諸問題について調査をいたしたいと存じます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 多田省吾

    多田省吾君 私は、時間の関係上、五、六分だけ質問をやらせていただきたいと思います。  一つは、参議院地方区の定員の問題でございますが、昭和二十一年以来、いままで何回となく参議院地方区定数改正については審議されてきたわけです。特に、衆議院はこの前改正されましたが、参議院は改正せられておりません。それで昭和二十一年の八月に臨時法制調査会答申というものが行なわれて、定数は三百名にすべきである。うち百五十名を地域代表とするという答申があったのですが、結局全国区が百名、地方区が百五十名ということになったわけです。この辺から、定数改正の要領または必要性といったものをお願いしたいのですが、この前の第一次選挙制度審議会でも配当基数というのが出ておりますけれども東京が一五・五四、大阪が八・八三、神奈川が五・五二、それから栃木の二・四三に比べるとずいぶん大きいわけですね。そのアンバランスをどうするかという問題ですね、その点について選挙局長からお願いしたいと思います。
  7. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) お話にございましたが、衆議院定数是正が第二次選挙制度審議会答申がありまして、衆議院のほうで定数是正は一応行なわれたわけでございます。参議院についても、その際地方区についてはアンバランス是正を行なうべきだという御議論があったわけでございますが、選挙制度審議会としてはそのときに結論が出なかったわけでございます。  現在、お話のようなアンバランスと申しますか、あることはそのとおりでございます。ただ参議院地方区につきましては、現在偶数で半数交代という制度をとっておりますので、そこが衆議院とやや趣きを異にしておりまして、たとえば、例で申しますと、鳥取県が、幾ら人口が減りましても鳥取県に二人という地方区定数を認めるという限りは、その限りにおきまして、バランスというものがなかなかとりにくいという、当初からそういう問題を持つわけでございます。したがって、その限りにおきまして、配当基数というものが人口の変化によりまして相当変わってくることはくるわけでございます。その辺のことを考えまして、いかようにこれを取り扱っていくべきかということにつきましては、選挙制度審議会におきましては、衆議院についての改革答申が行なわれました後に、引き続いて参議院制度改革というものを検討するということになっておりますので、その際に、そういう問題を含めまして検討されることと考えております。
  8. 多田省吾

    多田省吾君 まあお話はよくわかりましたが、鳥取県のような場合は二名を認めまして、やはり東京とか神奈川、あるいは大阪というのが一番問題になるわけだと思うのです。ですから、鳥取栃木等はそのまま採用して、それで東京については、人口割りから見ましても一千万、約一割の人口を有しながら、また有権者も一割ありながら、百五十人の中の八名と、約五%強しか定数がないわけです。これも八名ふやして十六名、また神奈川の場合も二名ふやして六名、大阪の場合は二名ふやして八名、そのようにふやすほうだけふやすようにすれば、十二名くらいふやせば、定数改正がそんなに反対もなく行なわれるのではないかと思うのですが、特に神奈川等の場合は、兵庫やあるいは福岡、あるいは愛知県よりも人口がたしか多いはずでありますけれども定数が少ないというような非常にアンバランスが出ております。これはいずれ選挙制度審議会等において審議される問題ではありますけれども、一応局長のお考えをお聞きしたいと思います。
  9. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 参議院地方区につきましてのこのアンバランス是正ということは、当然何らかの形で行なわれるべきものだと考えます。ただその問題は、現在のこの参議院制度のあり方全体のことにも関連をいたしてくることになりはしないかという気もいたしますのでありますが、全国区、地方区という制度がそのままで維持されるということであります限りは、当然にその地方区におけところの人口の移動に伴います配当是正といいますか、不均衡是正を、どういう形かではかるべきものであろうと考えております。ただ、先ほど申し上げましたのは、その場合でも半数改選ということがございますので、相当その均衡につきましては、いまお話のような大都市だけを考える、その他との均衡まではそれほど考えられないというようなことも出てまいるわけでありまして、その点が衆議院における不均衡是正と、多少考え方が変わってこざるを得ないだろうという気がいたすわけでありますが、いずれにいたしましても、なるべく早い機会に、不均衡是正地方区についてはかるべきものだというふうに考えております。
  10. 多田省吾

    多田省吾君 もう一点だけお願いします。  永久選挙人名簿制度答申が早急に出されるというお話を聞いております。で、今度の予算で四億九千万円ばかりのものを永久選挙人名簿について出されるということを聞いておりますが、大体中間報告が出たわけでございますが、答申の時期、それから中間報告要旨といったものを簡単にお話し願えませんでしょうか。
  11. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 第四次選挙制度審議会が現在なお続いておりますが、審議会の中に選挙手続に関する小委員会というのが設けられまして、あらゆる選挙に通ずる問題として、選挙人名簿とか、立候補手続、あるいは投票記号式投票にするかしないか、あるいは不在者投票手続等選挙管理機構の改善などの問題を検討することになっております。  小委員会が昨年の九月から最初に取り上げましたのが選挙人名簿関係でございます。そして昨年の十一月下旬のころに、永久選挙人名簿制度要綱というものを小委員会としてつくったのであります。おきめになりました。それは、選挙人名簿につきましては、名簿の効力を永久化しまして、そして名簿カード式名簿にする。そして最初永久選挙人名簿に移行いたしますために、一定基準日職権調査をする。それに基づいて永久名簿というものに発足する名簿を調製をする。その後の選挙人名簿への登録につきましては、登録申告が随時できるという申告制度をとりまして、それを年に三回程度定時登録をする、名簿登録をする。その際に、あわせて一回ぐらい、登録資格を有する者を職権登録し得る道を開く。それから、名簿からの抹消というものは職権によって行なう。そして、名簿正確性を期しますために、住所移転者につきましては、選挙管理委員会が相互の間に通知の義務を徹底をするということ。同時に、住所移転者名簿から抹消をする。ある市町村選挙人名節に載っておりますところの名簿から抹消をするという申請をしておるものだということの証明を持って新しい市町村選挙管理委員会登録申請をする。まあこういう手続によりまして、名簿正確性を確保するというようなことを中心にいたしまして、永久選挙人名簿制度要綱というものを、一応小委員会として御決定に相なったのであります。  そういたしまして、本年の二月十五日に選挙制度審議会総会が開かれまして、そのときに、答申というのは、全体の答申がまとまりますのが現在のところまあ五月ごろになるという予定になっておるようでありますが、それに先立ちまして、この永久選挙人名簿制度要綱に基づいて制度化していくということを、小委員長中間報告に基づきまして、総会として了解をするというような取り扱いが、二月十五日の総会で行なわれたわけでございます。昨年の末ごろに、いま申し上げました永久選挙人名簿制度要綱というものが、一応小委員会できまりましたころから、制度化するという点につきましての準備もございますので、いろいろ検討をしておったわけでございますが、二月十五日の審議会総会におきまして、小委員長報告に基づきまして、総会としては、こういう永久選挙人名簿制度要綱に基づきまして、制度化されて実現されることをまあ了解をする。答申の前ではあるけれども了解をするということに相なっておりまして、現在制度化基準を進めておるところでございます。
  12. 多田省吾

    多田省吾君 もう一問だけお願いしたいと思いますが、今度の国会永久選挙人名簿制度の問題が提出される見通しがありますかどうか、また今度の衆議院選挙等において、これが実施されるように審議会に早く答申を提出するように要望するようなことがあるかどうか、その点をお願いしたい。
  13. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 制度化準備をいたしておりますのは、今度の国会提案をいたしまして、永久選挙人名簿制度というものが軌道に乗るようにいたしたいということでございます。実施の時期等については、まだ明確にはなっておりませんが、選挙人名簿正確性を期するという点から考えまして、なるべく早い機会に円滑に実施されることが望ましいと考えております。
  14. 多田省吾

    多田省吾君 いまの御説明の範囲では、答申がどう出るかわかりませんけれども中間報告要旨では、職権に基づいて随時に抹消することができるとなりますと、知らないうちに抹消されていたという問題が起きるおそれがありますし、また、選挙人名簿写し選挙人に頒布するのは予算関係でなかなかできない。閲覧その他の便宜供与努力目標としているというふうな状態では、ちょっと不安でございます。また補充選挙人名簿登録以上に、その選挙人名簿が移動した場合の登録について、ここにもそのやり方の予定が出ておりますけれども、ちょっとあまり事務が繁雑になりますと、たとえば、「前登録市町村選挙管理委員会の発行する選挙人名簿登録抹消申請証明書を添付することとしたらどうかという提案」もある。これは異論のないところであった。あまりにも事務を繁雑にしますと、なかなか自分から登録しないというようなおそれがありますけれども、私どもとしては、まあ永久選挙人名簿考え方自体としては、そんなにも反対ではありませんけれども、こういった点において、もしわずらわしい問題が起こって、選挙がわずらわしいために、なかなか選挙に行かないということがあったら、かえってまずいと思いますが、これは答申を見てからでなければわかりませんけれども、そういった点に関して局長はいかようにお考えでございますか。
  15. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 選挙人名簿抹消等の問題につきましては、抹消いたしますことになりますのは、たとえば死亡いたしましたとかあるいはいわゆる公民権停止というような選挙権一定期間奪われますとか、こういう非常にはっきりしたものと、それからいままで間違って登録をしておった、登録すべからざるものを登録しておったというふうな、ある程度確かめる、確認を要するような場合と二通りあるわけでございます。したがいまして、そういう意味では抹消につきましても確かめ、確認をし、争い得るようなものにつきましては、選挙管理委員会が一方的に抹消するというような制度では不十分だと思っておりまして、そういう点につきましては、やはり一定期間公示をいたしまして、そして異議の申し出その他が行ない得るような道はぜひ開くべきものであろうと思っております。  それから、登録につきましての、申告主義職権主義かというのもずいぶんいろんな観点から審議会でも御論議になったわけでありますが、先ほど申し上げましたように、申告主義を原則にする、あわせて一回ぐらい職権的に登録する道を開く、それから特に二重登録とか誤載とかいう問題が起きますのは住所移転者についてでありまして、その点でやはりその人が前住所地におきまして名簿に載っておったんだということがはっきりするような形、そしてこちらの名簿に載る場合には先方の前に載っておった名薄から抹消するということがはっきりするような形をぜひ制度化する上に考えていくべきだという考え方になっておるわけであります。  それから名簿閲覧あるいは名簿写し等につきましては、お話しになりましたように、審議会の中でも経費とかその他事務処理の負担とかということで十分なところまでいかないようなかっこうの御意見もあったわけでありますが、私どもといたしましては、できる限り常時閲覧ができるようにし、選挙人名簿写しと申しますか、そういうものも手に入りやすいような形にいたしまして、関係者一つになって名簿正確性を維持するように、そういう方向にしむけていくことができるようになったほうがいいのじゃないか、こういうふうに思っております。
  16. 多田省吾

    多田省吾君 職権によって全国一斉調査に基づく正確な名簿調整する、とあります。それから「住所移転者選挙人名簿への登録申告をするときは、前登録市町村選挙管理委員会の発行する選挙人名簿登録抹消申請証明書を添付することとしたらどうか」という案がございますが、この両者とも、住民登録がない場合は登録できないのかどうか。まあ前にも住民登録がなくても補充選挙人名簿等登録できるにもかかわらず、住民登録の問題でも、いろいろ強圧が加えられたような姿が前にありましたけれども、その点はいかがなりますか。
  17. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 住民登録関係につきましては、審議会におきましても、いろいろ御検討がありましたが、住民登録がしてあるということは、名簿作成の際の非常な重要な参考資料にはもちろんなるわけでございますけれども現実には、住民登録が、相当住所実態と必ずしも一致していないという実情がうかがわれますので、それだけを基礎にいたしまして名簿作成するということには、そういうことでは名簿作成が完全なものにならない、実態と合わない場合が生ずるということが現実でございます。政府では、住民基本台帳というものに、住民登録から一歩前進をいたしまして、住民台帳の一元化ということを考えているようでございまして、住民基本台帳というものが考えられておりますような、正確な住民実態と一致するようなものになる場合には、選挙人名簿もこれに基づいてつくるということで、そちらに移行できるであろう、それとの間の調整をはからなければならないということで検討されたわけでありますが、現在のところ、現在の住民登録直接には結びつかないというふうに考えられております。
  18. 多田省吾

    多田省吾君 私どもとしましては、それは二重登録の防止とか、それから間違いとかは、それはどうしても改めていかなければならない問題でありますけれども手続簡素化とか、あるいは三カ月以上住居している場合には住民基本台帳とか住民登録のいかんにかかわらず、なるべく広く登録させることにする、そういったことを要望したい考えです。それで、党からも特別委員選挙手続に関する小委員会に行っておりますし、そのときにも要望するつもりでおりますし、また、制度化されましてから詳しく申し上げたいと思いますので、永久選挙人名簿の問題に関しては、この程度質問を終わらせていただきます。
  19. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 速記をとめて。   〔速記中止
  20. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 速記を始めて。
  21. 吉江勝保

    吉江勝保君 事前運動に関する質問なんですけれども最初からむずかしいだろうと思いますが、参議院でもそうですが、ことに地方の選挙で、知事とか市町村長という人たちが、大体これは任期がきまっているので、任期が近づいてきたときに、いろいろと選挙運動に入ってくるわけでありますが、そういう場合にいろいろな疑問が起こってくるので、いままで自治省のほうで問題は限定して地方自治体の長の事前運動として、問題としていままで検討されたのか、取り上げられたのか、どういうものが問題になってきておるか、いまどういうものを検討されておるか、そういう点について概括的にというか、何かお話があったら少し聞かしてもらいたいと思います。
  22. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 事前運動につきましては、現在選挙制度審議会におきましても、事前選挙運動というものと政治活動というものをどのように考えるかという点で、非常に考え方がいろいろ分かれておりまして、まだ結論に至っておりません。たとえば結局政治活動といい、選挙運動というときに、現在のたてまえでは区別をしておるわけであります。お話知事市町村長になりますと、さらに地位利用といいますか、そういうものも加わってくるわけでございますが、しかし、いろいろ議論をいたしますと、結局選挙運動というものは、従来の考え方からすれば、御案内のように、特定の選挙において当選を得るための、したがって、また投票を求めるための行為だということになっておるわけでありますから、そういう点でははっきりしておるようでありますが、現実に、たとえば政治活動といわれますものと、選挙運動というものはほとんど区別がつかない、あらわれている実態としては区別がつかないという議論がありまして、選挙制度審議会で、従来から事前運動というものと事後の運動というものを区別すべきでない、もっと自由にすべきであるという意見が非常に強いので、特に文書とか言論についてはそうすべきであるという意見が非常に強いわけでありますが、一方、実際体験の上から出る御意見といたしましては、そういうことになればなるほど、いわゆる選挙区荒らしというものが非常にふえてくるおそれがあって、選挙秩序というものは一そう混乱し、また、選挙費用が一そうかかるということになるのではないかということで、これはいま非常に議論が分かれておりまして、統一がなかなかつきません。知事市町村長の場合には、その上にさらに申し上げましたように、地位利用というものがございまして、いわゆる公の行政活動の一部という形で非常に自己の名前なり自己の功績をたたえるような結果になる行動が非常に行なわれやすいわけであります。これが知事市町村長という立場にない人がかりに同じようなことを行ないますと、これはたちまち事前運動と思われる。あるいは事前運動になるようなことであっても、公の地位にあって公の形で行なわれる場合には、それが行政活動になるというものが非常に多いということがいろいろ検討されておりますが、どうもこの扱いが非常にむずかしいのでございまして、現在十分な結論を得ておりません。
  23. 吉江勝保

    吉江勝保君 いずれまた機会を見て質問をいたしますが、横川委員が見えたようですから、一応私はこの辺でやめておきます。
  24. 横川正市

    横川正市君 選挙関係を担当しております長野さんのほうで、四十年七月の参議院通常選挙の大体総括的な問題については、もう締めくくりがついた段階でしょうか。それともまだ総体的な報告文書はまだ作成中ですか。その事務上の経過をちょっと説明していただきたいと思います。
  25. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 参議院選挙の結果報告と申しますか、結果調べというものが毎年選挙のあとで出すことになっておりますが、これはいま鋭意整理中でございまして、まだ少し時間がかかると思います。
  26. 横川正市

    横川正市君 ここへ四十年の七月の参議院通常選挙違反検挙状況というのが警察庁刑事局から出されているわけですが、大体この案件で、まだ裁判等で未処理になっている件数というものはどのくらいありますか。それともこれは略式その他で処理がついてしまった件数と、その区分ができましたらその点だけひとつお知らせいただきたいと思う。
  27. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) これは私どものほうで検挙して送致した件数、人員でございますが、その後の処理状況は法務省が統計をとっておりますので、私のほうは正確な統計を持っておりませんのですが……。
  28. 横川正市

    横川正市君 実はこの法律があって、そうして法律に基づいてあなたのほうで違反案件について検挙されるわけですが、その検挙の場合、たとえば例を、これはまあ全く単純な例なんですけれども出先のそれぞれの取締官段階別区分をして取り締まりの軽重について指示をされる場合がありますか。それともそうではなしに、出先の良識で、選挙法のたてまえからそれぞれ判断をされて取り締まりをされておるのですか。まあ概略の指示は与えられるのじゃないかと思うのですけれども、その点、どういう取り締まりにあたっての態度といいますか、どういう方法で行なわれておるかですね。
  29. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) この選挙違反取り締まりについても、主体はやはり都道府県警察本部がやるわけでございますので、警察庁のほうとの関係はどういうことになるかと申しますと、一つは全般的な取り締まり方針と申しますか、というようなものを選挙の始まります前に会を開いて指示をいたします。これは抽象的な方針指示、あるいは手続指示、あるいは解釈指示等でございます。  それからいま一つは、法律問題がありまして、多少解釈上疑義のありますような問題について、絶えず本庁に連絡をとって正確な解釈を打ち出し、また、全国統一的な解釈を打ち出していくと、こういう関係一つございます。  それからいま一つは、参議院議員選挙全国区というような問題になりますと、お互いの捜査が特に競合をするわけでございます。事務所の捜索にいたしましても、あるいは被疑者の取り調べにいたしましても競合をしてまいります。その際に、どちらの県が中心になってやれというような調整の仕事をやることが非常に、参議院議員通常選挙全国区などについては非常に多く出てまいります。  いま三つ申し上げたのですが、そういうようなことが大体府県との関係では出てまいりますが、その他おおむね府県のそれぞれの方針に従ってやってまいるわけでございます。
  30. 横川正市

    横川正市君 まあこれは判例とか、取り締まりに対してのいろいろな解釈上の違いとか、そういった点は法律解釈上の解釈の統一化などというようなところで、下部に十分あなたのほうからは浸透はしているということになるわけですね。その抽象的というのではなくして、もっと具体的な指示というものがあるのじゃないかと思うのですけれども、その点はどの程度まで行なわれておるわけですか。
  31. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 直来、判例に出ましたようなものにつきましては、判例に出ますつど、その次の選挙のときにあらためてまたその内容を説明しておりますが、新しく出てきた問題、新しいこれが違反になるかどうかという問題がときどき出てまいるわけであります。そういたしますと、私どものほうで、もちろん法務省なり選挙区のほうとも連絡をとりながら、新しい事案についてのそれは具体的な問題になります。このポスターがどう、違反かどうかという具体的な問題になるわけでございます。そういうことについて一々指示をいたしておるわけでございます。
  32. 横川正市

    横川正市君 そこでひとつ具体的な問題に触れながら、取り締まりの当局の考え方というのを聞いていきたいと思うのですが、もうすでにこれは四十年の七月に行なわれた選挙の結果として、買収利害誘導件数が二千八百二十九、人員で六千九百二十二、自由妨害二百二十、人員で二百三十七、戸別訪問千三百六十六、人員で千四百八十三、文書図画制限違反二千七百四十四件で三千六百五十六、その他、その他というのは何に該当するかわかりませんが、八百二十一とそれから人員で八百八人、新聞の報道するところによって総括的な印象、印象からいきますと、たとえば新聞では今度の選挙はきわめて悪質であると、非常に件数が多くなったと、それから今度はまあ選挙が非常に公正に行なわれた、件数が平年よりかは幾らか低下したというような報道が総括的に取り締まり当局の検挙件数その他から出てくるわけですが、一体、こういうような数字から、その選挙が悪質とかあるいは良質とかという、それに該当するかどうかという、これは私は件数からは判断のできない内容というものがあるのじゃないかと思うのです。これはまあすでに判例となっておりますから、現行法律のたてまえからいけばこれは新しい判例として当然取り締まりの対象になりますが、たとえば戸別訪問の庭先会見というのがありますね。たとえば屋敷というのが何百坪かありまして、そしてその何百坪かある家の中に入らずに庭先で依頼をした。これは屋敷に該当するからというので、これは判例としては違反になったんです。その案件と、今度はたんぼのあぜ道でそれじゃ話したらどうなるのか、街頭と庭先の間で話したらどうなるのかと、いろいろ事例というのがたくさん出てくるわけですが、取り締まり当局の取り締まりのいわば何というのですか、重点の置き方というのですか、によって件数がふえたり減ったりしないかという点が私は出てくると思うのですよ。たまたま見つかったということで、いわゆる取り締まり一つの対象として重点的な項目としてあがってくるのではなしに、たまたま偶然にそういうところが見つかって、そしてそれがいわゆる違反案件として出てくる。こういうことが一体良質か悪質かという問題にはちょっと私は判断しかねるものがあるのじゃないかと思うのです。これは一つの例なんです。  それからもう一つは、時間制限外の連呼行為というものがあるわけです。時間制限外の連呼行為は、もちろんこれは法律に定められて違反の行為だけれども、おそらく、私は自分で候補者になって選挙やった例は二度持っておりますから、その例からいきますと、連呼行為を行なっておらないという候補者というのはまれにはあるかもしれないけれども、大体まあそういう、いわゆる形式的な違反をする。いわゆる形式上の問題。  それからもう一つ問題になりますのは、戸別訪問の具体的な取り締まり。私ども法律論議をいたしまして、速記録を見てみますと、戸別訪問というものについては、これは形式的な違反行為ではないのだ、戸別訪問プラス実質利害関係の伴った違反行為が判明した場合には、これはまあ事実犯として法に定めるところのいわゆる悪質な選挙違反、その見定めの前段として戸別訪問を取り締まるのだというような意思は、国会速記録等も残っておるわけなんですが、ところが、戸別訪問をしておるかいないかという点で、この件数は千三百六十六件となっておりますけれども、おそらくこれは九牛の一毛じゃないかと思われるのですね。たとえば、私の友人のところに行って話をしていて、たまたま選挙の話をしたと言っても、いわば一つの戸別訪問ということになりましょう。それから運動員が全く知らない家へ飛び込んで行って関係を聞いて、それから、どうでしょう、こういう人をひとつお願いできませんでしょうかというのも、私、戸別訪問だと思うのであります。ですから、案件としてあがってくる件数から見ると、戸別訪問として断定できるというようなものは、これは選挙の期間あるいは事前活動等を通じて取り締まりの対象外だというようなものは全然ないような状態です。ところが、実際にはあがってくる件数からすると、人数にして千四百八十三人、件数で千三百六十六件、それから文書制限違反二千七百四十四件、人数で三千六百五十六人、これなんかもおそらく私は実態から見ると、その件数というものは非常に過小な検挙率だとこういうふうに見られていいんじゃないか。そういう点を勘案してみますと、実際上の取り締まりのときに、あなたのほうでは大体三つぐらいの各都道府県の警察当局に指示を与えられるのですが、その指示によってこういう点が出てきておると思うのです。交通違反と同じで、見つかったらこれは運が悪い、見つからなければやってもいいという、そういう状況選挙活動期間の取り締まりというものがあなたのほうもそういうことでいく、相手側もそういうふうに受け取って巧妙に、じょうずにということで選挙をやる、こういう状況が出てこないか、私はそれを非常におそれるのですね。もっと自由でしかも明朗に行なわれなければならない選挙が実は取り締まりの対象外であっても、それほど支障のないものまでも細部に法律化されておるために、選挙それ自体がきわめて陰惨に、しかも潜行的に行なわれる、こういう結果にならないかという点が重点なんです。だからそれは取り締まり方法といいますか、あるいは具体性といいますか、そういったところから勘案してみて、一体選挙そのものをもっと明朗に、しかも明るく行なうためには一体これでいいのかどうか。そういった点を実際これは取り締まりをやられる立場からどういうふうに考えておられるか、これは法律に基づいてやっておるのですと言えばそれまでですが、事実上私はあがってくる件数その他から見ますと、その内容についてきわめて微微たるものだとそういうふうに思われるので、一般論から言ってみても、この問題については考究すべき、取り締まり当局から見ても考究すべき問題じゃないかというように思うのですが、その点、実際の担当をしておる立場からお考えをお聞きいたしたいと思うのです。
  33. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) お話ごもっともなんでございまして、私どもとしては、選挙になりますと、直接それらの事務所に出入りし、あるいはつきまとうというような形になって、まあ選挙が非常に陰惨な空気を与えるということになってはならないので、したがって、直接外から接触しない形で捜査をしていく形になるわけでございます。そうなりますと、勢い形式犯というのが非常に問題になってくる。そうすると、これは非常に目につくものですから、反対側の立場に立てば、すぐ相手側の形式犯が目に立って警察に言ってくる。結局、選挙前につきましては、警察はそういう形式犯に振り回されてしまう。しかも、その取り締まりの結果、それはもちろん目についてはっきりしたものであるわけでございますが、必ずしもそれが判然とはいかない。はっきりしたものだけが枚挙されるというような状況になるわけでございます。まあ私ども方針としては、悪質な事犯に検挙の重点を置くということが方針でございます。悪質なと申しますと、地位を利用してやる事犯とか、あるいは買収、供応、こういうようなものが中心になります。それから、形式犯でありましても、組織的、計画的な形式犯というようなところへ重点を置いて、やっていけという指示をいたしておるわけでございます。それから、ごく軽微な形式犯については、事前ならば警告措置で撤去させあるいは中止させる、連呼行為ならそれを中止させる、こういう方針をとっておるわけでござます。したがいまして、ここで検挙であがってまいってきております数字は、文書違反にいたしましても、あるいは連呼行為の違反にいたしましても、これは警告のほうで処理をしてしまって数字にはあがっておりません。その警告で処理いたしましたものにつきましては、原状回復されれば警告だけで済む、依然として続けていけば検挙いたしますけれども、そうでなければそれで済むという処置をとっておるわけでございます。ただ、形式犯でありましても、組織的、計画的な悪質なものになりまするとこれは検挙の対象になりますが、軽微なものについては、事前ならば警告でやってしまう、こういう方針をとって、あくまで悪質な事犯に重点を置いてやっていけと、こういう形で進んでおるわけでございます。ただ、ここにあらわれた数字ですぐに悪質かどうかと言われますと、これは同じ買収で金額がいろいろ相違してくるわけでございますし、それから戸別訪問などにつきましても、完ぺきに全部が取り締まられておるわけでもないと思います。警察のほうの考え方としては、先ほど申しましたような悪質な事犯に重点を置きたい。これは徹底的にやっていきたい。したがって、形式犯的なものについては、まあこれは立法政策の問題になりますけれども、できるだけ犯罪としてのワクからはずしてもらってもっと明朗な形にしていただいて、われわれの力はむしろ実費犯を中心とした悪質なものに逐次重点を置いてやっていきたい、こういう考え方は警察は前から持っておるわけでございます。これはまあ立法政策の問題になりますのであれでございますが、実際問題として、非常に悪質な実質犯をやりたい、そこに力を集中したいのに形式犯に振り回される。しかも、それが必ずしも完ぺきとはいかないというところに、取り締まりの悩みがあるわけでございます。
  34. 横川正市

    横川正市君 私は、その点が、何か日本の立法面から見て、選挙はまだ民主的にしかも明朗に行なわれない、選挙というものはおそろしいものだ、それからなるべくならば関係したくない、言ってみれば、公民権の権利をそういう面から放棄するような傾向というものが強い状態に置かれている。これは現行選挙の盲点じゃないだろうかというふうに思っておりますので、その点では、いま、形式的にはできるだけ解放的に、実質的にはもっと厳格にというのは当然だと思っているわけであります。そこでその実質問題で、取り締まり当局に具体的な一つ例をあげてお聞きをいたしたいのですが、ここにも与野党のそれぞれの、全部選挙やる人たちばかりですから、どういう選挙をやるかは、斎藤さんの「選挙実態」という本でも読んでもらうと、これはまあどういう選挙をやるかわかるわけですね。私は、選挙のやり方は、いま組織的、計画的なものが悪質かどうかという、その方針については、実はあまりこれは悪質だとは断定しがたいと思うんですよ。組織的に計画的にやらない選挙なんというのは、散漫に、ばく然とということに逆に言えばなりますから、そういうことでは、これはもう立候補した者が当選をするなんということは不可能なわけなんです。これは私どものように労働組合の組織もありますし、宗教団体の組織もありますし、官僚組織もありますし、あるいは業界組織もありますし、組織といえばこれは何も一方に偏したものじゃないと思う。それから、計画ということになれば、当選票をいかにして確保するかということは、これはもう全く緻密な計画を必要とするわけなんで、それなしに選挙というものは行なえないわけなんです。だから、組織的、計画的なことが一体悪質かどうか、これに私どもは政治的な何か偏見のようなものがこの中に出てくるのではないかという、そういうきらいがするわけです。たとえばいけ花のお師匠さんを中心とした組織、これは小さくても相当な力を持っておる。あるいは書道の組織があって、書道の関係の組織も動かされる。その書道関係からいきますと、これはまあ日本の古来からの一つの組織形態でしょうが、小うたの会にしても、それから、そういうお茶の会にいたしましても、非常に地位とか名誉とかというものと非常に結びつきやすい組織なわけですね。たとえば何何賞がほしいという場合には、東知事賞がほしいとか、大賞がほしいとか、この間大臣賞をもらいましたということは、選挙には全く無形だけれども、有効な一つ方法として現われてきておるわけなんです。だから、組織的に計画的にという点で私はこの取り締まり方法が出されるとすると、たとえばわれわれのほうなら、一体、組織という場合は、労働組合に対する弾圧を加えようとするのじゃないか、あるいは宗教団体に対してこれはやるんじゃないかというような偏見を持たれがちなところがあると思うんです、実際には。もっと具体的な問題として、私どもは、ぜひ取り締まり当局は立法の精神というものをくんで、内容について検討した上でやってもらわなければ、単に個条的な方針だけでは実際実態があがらない、こういう点が言われると思うんですがね。そこで、具体的な問題として、まあこの間新聞に出ておりましたから、これは例として出しますが、衆議院選挙の、建設事務次官をめぐっての問題なんですが、あれは検挙は相当あなたのほうはずいぶん広範に行ないました。ところが、検察段階では、いわゆる官房長とそれから総務局長、総務部長ですかが事実上の違反者となって、これは候補者に関連しないという方針を出しましたね、検察当局は。これはあなたのほうのいわゆる検挙した意志と、それから検察当局のやられた検事のものの考え方との間に違いがあるのでしょうか、それとも取り締まる一線のほうに行き過ぎがあるのでしょうか、どっち側がその問題の焦点なのか、実はあれを私は見ながら非常にふしぎに思ったわけなんですが、あれだけ広範に、しかも新聞の報道によりますと、候補者の山本さんは事実行為を認めたけれども関係がないという新聞報道ですから、これは事実、取り調べの文書、その他どうなっておるか、見ておりませんのでわかりませんが、これは例として、一体、取り締まり当局であれだけの広範な検挙者を出し、しかも直属の上司であった山本さんのために官房長が罪に問われて実刑の求刑をされる、こういう関係を事実行為としてどういうふうに判断されているのか。これは取り締まり取り締まりだ、検察庁は検察庁だ、裁判所は裁判所だ、これはいわゆる権力の分立だと、こういうことだけではちょっと私はこの問題の解決にはならないのじゃないか、こう思うわけですが、それは一般論として全体に言える点があるわけですね。ことに地方選挙では、新潟の知事選挙、熊本の参議院選挙、それから東京都の問題とかあるいは兵庫県の問題とか、具体的に皆さんのほうで手がけている問題があるわけですが、取り締まり段階では相当広範な取り締まりを行なっておる。行き過ぎか行き過ぎでないのか、これは一線の人にとってみると、これは行き過ぎではなくて正当だ、こういうことになりますと、それが検察段階、検事段階で事実上縮小された場合には、一体検事は政治的なのか、時の権力に支配されているのか、公正な判断をしておらないのではないかということになると思う。裁判所の段階はこれは独自ですから、取り締まり段階でこの問題は残っているんじゃないかと思うのですが、その点どういうお考えでありましょうか。
  35. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 私どものほうと検察庁との関係では、まあおも立った事件についてはある程度事前に相互に連絡をとりながらやっておるわけでございます。ただ、明らかに違いますのは、検察段階で落ちるものが出てくる。と申しますのは、これは私どものほうは、一応とにかく犯罪が成立すれば、捜査した以上は全部送るたてまえに刑事訴訟法はなっております。で、検察官の段階では起訴しない処分ができるわけです。微罪という形でその中の軽いものは起訴しない処分をする。その点が、送ったものは全部起訴されるとは限らない、向こうで落ちる面が出てくるので、これは不起訴処分については、検察審査会もあるわけでございますので、必ずしもいま申されたような政治的判断という形ではなくて、やはり罪の軽重ということで落ちるものが相当数ございます。  それから、先ほどのお話の山本さんの事件につきましては、これは警察段階では平井官房長だけを検挙して送ったわけでございます。あの数百万円業者から受け取ったという事案ですね。それについて検察段階において、その共犯として山本前次官が検挙になったわけであります。で、両方が起訴された。それで、警察の段階では、山本前次官の共犯状況は一応明らかでないということで、私ども検挙いたしておりません。検察庁に行きまして、平井官房長の事件が検察庁におきまして、その共犯として山本前次官が検挙されたわけでございます。それで判決では無罪になった、こういうことでございます。
  36. 横川正市

    横川正市君 しろうとですから、私どもは実は法律の実際上の解釈といいますかね、そういった点では非常にふしぎに思う。これがもし国民全体がふしぎに思っていれば、検察当局に対する不信のあらわれということになるわけです。  そこで、たとえばあなたのほうでは、組織的に計画的にという一つの犯罪事実について、これは実質犯として重要だ、取り締まり方針として重点の柱だと、こういうふうに言われます。斎藤さんの文章を読んでいただけばわかりますように、選挙をやるときに、どういうふうにやるかということですね。その地方でどれだけの金がかかるかということがまず一つ問題になりますね。それから、だれをたよっていったらどのくらいな票があるか、その人を動かすのには一体どれくらいの金がかかるかということの累積が実は選挙の資金として幾らかかるかということになるわけですよ。それなしに、組織的に計画的にやらない選挙なんというものはこれは泡沫候補で、みんな落選しているわけです。だから、いまかりに山本さんの事件をとってみまして、山本さんが関係がなかったというのは、いわゆる証拠として関係がなかったが道義的にはまことに大きな関係があったんだと、いわゆる道義的関係に対する制裁として実は新聞紙上で違反か——しかし裁判では無罪だと、これが選挙法の運用かどうかという点なんですよ。これは運用の問題として、いわゆる一町制裁だけ与えておけばあとは実質的なやつはひとつかんべんしてやろう、これが取り締まりかどうかという点が私は選挙法の運用で問題だと思う。そのために小ものみたいな者が実質犯で罰金刑それから公母権停止を受け、そうして実質犯をやっておっても無罪、微罪釈放というこの取り締まり段階での不公平というものが実に多い。そういうばく然とした刑でやられるために、いまおそらくこの案件の中で、まだ裁判等の結末がつかない案件の中にも実に問題がたくさんあると思うのですよ。それはあなたのほうが違反行為だという中には、先ほど私が言いましたように、連呼行為から庭先会見から文書の配布から一ぱいあるわけですね。そうして、それは本来ならば形式犯で微罪と思われるものであっても、これはどうも組織的にやったんじゃないかということで裁判にかけられている。結果的には、法によるたてまえから照らしますと、これは実質犯、罰金、公民権停止というふうにこれは束縛を受ける、法の束縛を受ける。ところが、私どもから見て、いまの新潟県の塚田さん、じゃないけれども、あれは最低が二十万、最高が七十万だといいますけれども、それだけの金を上げたんだけれども、たしか長野さんの説明をしておったのはその点なんじゃないか。普通の人がやれば違反なんだけれども知事や市長かやればどうも違反だか違反じゃないかわからないというようなかっこうで、事実の問題が法に照らして公正な判断を受けられないという、そういうものに対する不信行為というものが私はこれはたいへんなことだと思うのですがね、実際には。その点を一体取り締まり当局としてはどう心がけてやっておるのか。もっともその人員だとか、定員だとか、超勤だとか、いろいろなものが不足ですから、全部が全部、違反しておるやつを全部公平に判断するということはこれは神さまでもできないでしょうが、もう少しその点の取り締まり段階での公平さといいますか公正さというものが、何かあってもいいのじゃないかと思うのですが——まあ公正だとお考えでしょうがね。
  37. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 組織的、計画的形式犯と先ほど申し上げたのでございますが、なるほど選挙は組織的、計画的に行なわれる、まあ選挙する人はそういう立場でおられると思いますが、私の申し上げたのは、形式犯で、そのうちつまり違反であると、それが計画的、組織的に行なわれると、つまり上に立つ者が全国の組織なり広い地域の組織を利用して違法行為をやれと指示していく、形式犯でありましてもとにかく違法行為をやれと指示して、それを計画し、指示してやらしていく、これはやはり悪質なんじゃないか。もちろん、それは立証できないものは抜いてしまうわけですが、立証できた場合の問題、組織的、計画的であることが立証できるような事案であって、しかも、そういうふうに違反反行為をやらした場合には、これは形式犯であってもそう軽々しくは考えられない、こういう意味であったのでございますが、ただ、先ほどの平井事件に関連をして、なるほど山木前次官との関係は証拠不十分ということでございますので、お話しのように立証できないだけの段階なのか、あるいはほんとうになかったのか、その点は結局これはだれもわからない問題でございます。そこでお話しのように、それは立証できないだけなんだから不公平じゃないかと言われればそれまでなんでございますけれども、しかしまた一方、実際になかったんだと、そんな関係はなかったんだと、おれがそういうことを何も指示してないのにおれに責任はないじゃないかと言われれば、それもそうなわけでございますので、この立証できないということを前提にされますと——いまの刑事手続というものはやはり立証を前提としておるものでございますから、立証できなくてもあったんだということを前提にしますと、それは不公平になってきますけれども、実際そうでない場合もあるわけでございますので、これは刑事訴訟のたてまえがやはり立証ということを前提にして考える以上は、割り切って考えなきゃならぬ問題だと思います。ただ、お話しのように、いろいろな、たとえ金が流れた問題にいたしましても、それが選挙運動のためなのかどうかという判断は、絶えず私どもは一あるいは政治活動なのか、その他別な費用なのかという、まあそれにまたかこつけて渡される事例がだんだん多くなってまいっておりますものですから、その判断が非常にむずかしいわけでございます。最後は裁判所で認定してもらうよりいたし方がないわけでございますが、警察の段階におきましても、一応その立証をするだけの資料を整えてかからなきゃならぬ。そうすると、そこでまたそれだけの資料が証拠不十分で落ちてしまう。世間の目から見ると常識的におかしいじゃないかと言われる問題でも、何らかそれは政治活動の部類なんだとかいろいろな理由をつけられますと、はっきりしたこれをくつがえすだけの証拠が得られない場合には、非常に検挙がむずかしくなってくる、こういう難点はあるわけなんでございますが、しかし、そういう制約の中でできるだけ公正にやってまいりたいということで努力はいたしておるわけでございます。
  38. 松本賢一

    ○松本賢一君 関連して。先ほどの刑事局長さんの答弁の中にこういう意味のことがあったと思うんで、確認しておきたいと思うんですが、実質犯と、それからまあ悪質なものを主として取り締まりたいと思うんだけれども、いろいろと取り締まり規則のこまかいのがたくさんあって、それでそのほうへ精力をさかれるので——法律があればわれわれ動かなきゃならぬと、動かなきゃならぬから、そのほうへ精力をさかれるから、むしろそういったようなめんどくさいこまかい法律——あれが違反だ、これが違反だというような、そういうものはなくしてもらったほうがいいと思うんだというような意味の答弁があったと思うんですが、それから、選挙局長もかつてのこの委員会でそういう意味の答弁をなさったことがあるように思うんですけれども、その点ひとつ一応確認してからと思うんですが。
  39. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) まあ警察の立場で立法政策を云々するのはどうかと思いますけれども、私どものほうは選挙取り締まりに力が限られておりますものですから、そうすると、それを動かす上からいきますと、効率的に動かそうと、悪質な、悪いものを特に徹底的にやっていこうという——経済の面から見ますと、まあ非常に手を取られる形式犯は多少手が抜けるような形にしてもらえば、実質犯の取り締まりに強力な取り締まりができると、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  40. 松本賢一

    ○松本賢一君 選挙局長もかつてそういう答弁があったように思うのですが、もう一ぺん。
  41. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 前にそういう趣旨のことを申し上げたと思います。それは、現在の選挙法が非常に選挙運動等につきましては積極的に運動をすることを認めているのか、取り締まりを非常にやかましく言っているのかという点になりますと、どうも後者のような傾向が非常に強い、したがって、まあ選挙運動というものが非常に伸び伸びとできない、少し犯罪、刑罰の種類が多過ぎるのじゃないかという気が実はいたしているわけでございます。
  42. 松本賢一

    ○松本賢一君 そこで選挙局長もそういうふうな感想を持っておられる。刑事局長もそういう御感想を持っておられる。われわれ議員も寄り合って話をいたしますと、つまらない、あれが違反だ、これが違反だというような、ただやたらに選挙を暗くするような法律はもう取ってしまおうじゃないかというような話がしばしば出るわけなのですよ。そこで、これは早晩この法律は改正しなければならぬという機運が出てくると思うのですがね。これは主として選挙局長にお尋ねするのですが、自治省としてそういう法律の改正というものを考えておられるか、あるいは考えるべきだと、そういう機運になってきているとお考えになっているかどうか、その点ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  43. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 自治省としてと申しますか、現在選挙制度審議会では、先ほどもちょっと申し上げましたが、第二委員会というのがございまして、選挙区制の検討以外の選挙制度全般を扱っておりますが、この第二委員会におきまして政治活動選挙運動というものがいかにあるべきかということでいま検討を続けているところでございます。でございますので、まあ結論をまだ得てないわけでございますけれども、まあその中で行なわれております御議論は、あるいは取り締まりの立場の問題として、あるいはまた、選挙がほんとうに国民のものであるという立場からの御意見として、いろいろ御意見がありますが、やはり総体としては、現在の選挙制度はあまりにも規制が多過ぎる、したがって、これを何とかして選挙を明るくしますためにも簡略にできるものは簡略にしたいというような空気が大ぜいの委員の方から見受けられるようであります。
  44. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、選挙制度調査会の結論はいつ出るのか知らぬけれども、その結論を待って自治省としては法律の改正なら法律の改正ということに進んでいかれる、こういうことですか。
  45. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 大体そういう段取りになると思います。
  46. 玉置和郎

    玉置和郎君 関連。私も二回選挙をやってみて、公職選挙法の趣旨というものは原則として自由である、何事も自由であるという原則に立っていると思うのです。ただその中で制限を加えておりますが、とにかく人間のいい、善人が非常に選挙をこわがっている。選挙というものはこわいものだ。よって政治というものに参画すると、きたないものの中へ入るような気持ちでいる。そこで選挙の話をしたら善人どもはみな逃げていく、こういう状態が全国至るところで私はありました。いまその意味におきまして横川先生が言われたこと、私は全面賛成です。ひとつ日原刑事局長さんにお尋ねしたいのですが、刑事訴訟法では立証を前提としていると言われた。戸別訪問で・容疑でもって警察に引っぱられた。そうすると、その警察の捜査の段階でいきなりそのAなる者をつかまえて、おまえはこうこうこういう行動をしているじゃないか、これは吐かなかったらおまえはとめ置かれるぞというふうな調査のしかたをして、そうしてびっくりさして、善人なものですから、みなべらべらと吐いてしまう、そのあと裏づけをしに行くという、こういう私は捜査のしかたはけしからぬという考えを持っておったのです。しかし、ぼくらそれを言ったって始まらぬからね。しかし、一回だけ聞いてみたい。現在の刑事訴訟法からいけば、先に戸別訪問した先をずっと捜査をしてきて、そして裏づけをちゃんとつかんでおいて、そして最初戸別訪問した者を引っぱってきて、お前はこうこうこういう事犯を犯しているじゃないか、どうだと言うてきめてかかるのがほんとうだと思う、それはどうなんですか。
  47. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 容疑の出ます端緒は非常にたくさんあるわけでございますが、多いのはやはり訪問を受けたほうが固まってきて、そして初めて訪問者を検挙する。それからもう一つは、現行犯で何件かを見ておって、そして検挙する、こういう場合が多い。そのほかに責任のある者の投書でもあるというような形になりますと、その面で調べる場合もございまするけれども、一応まあ順序は普通そういう場合が多い。
  48. 玉置和郎

    玉置和郎君 私らね、相なるべくはもう選挙をびくびくしてやっておるようなものに対しては、やはり刑事訴訟法のこのたてまえをあくまで捜査官のほうも守ってもらって、その者を引っぱってきてすぐどろを吐かしてそれから裏づけをしていくというふうなことは、私は許せぬと思うのです。これはひとつ徹底してくださいよ。
  49. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) ちょっと、これは先ほどもそういう多少趣旨で申し上げたのでございますが、実際問題は、結局警察が現行犯等でする場合は非常に少ないので、文書違反その他でもそうでございますが、反対のほうが警察へ言ってくる、あれをなぜ取り締まらぬか、これがたくさんあるわけでございます。それでほんろうされるということで、これは御承知のことだと思います。警察の目より反対の目のほうが血眼になってさがすわけでございます。そうして取り締まらなければ、手ぬるい、へんぱだというあれを受けるわけでございます。そこにほんろうされると申し上げた点があるわけでございまして、そんなような形がありまして、その間公正にやろうということで、私どものほうもあっちをやったらこっちもということで、できるだけ努力はしておるわけでございますが、もうその根底には、お互いの監視の目が非常にきびしくて、警察はその両方からはさみ打ちにあうと、悪いことばで言えば、そういうふうなかっこう、実情なのでございます。特に形式犯については、それが多いわけでございます。
  50. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 関連して、一点私も教えていただいておきたいと思うことは、ただいまこの計画的組織的とかいうようなことを申されたそのお話の中に、組織的自身を悪く言うよりも、いわゆる違反というものがつきまとうからいけないのだと、こういうようなぐあいに受け取れたのですが、私は実際選挙の実情から考えて、横川委員の言われるように、選挙について全然計画も何もなくてやるということは事実ないと思うのです。たとえばいけ花にいたしましても、あるいはかじ屋あるいは石工その他の組合等にいたしましても、あの人は実際りっぱな人だからあれをひとつどうしても選挙しようじゃないかということで、お互い話が進むとしますと、そういうことが運動員が事実戸別訪問というものにひっかからなければ、何もあえてそれを法自身で強く規制して犯罪として取り上げる理由はないと私は思うのですが、どうもこれはだいぶ先からの問題で、何も今回の参議院選挙に限ったことではないと思いますが、これは両方の選挙委員会のほうも同様お考えかと思いまするが、要は私の聞きたいのは、組織的あるいは計画的ということ自身が犯罪かどうか、私はもしそうだとするならば、そういうことをいわゆる一部の方が動く、またそれに従って選挙期間に入ってそうして戸別訪問をしたとしますね。それはごく一部です。ところが、それにひっかかったとするならば、いまの違反を伴った組織的、計画的だから、組織的、計画的の動きをしたような者をすべて犯罪と認める。その点の観点をどういう点にお考えか、その点をひとつ伺っておきたいのです。
  51. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) たいへん誤解を招いたようでございますが、私決してそういう趣旨じゃございませんで、適正な普通の選挙運動については、組織的、計画的、これはもちろんあたりまえのことだと思いますが、組織を利用して違反をやらせていく場合、それが立証できた場合、つまり戸別訪問でございますと、五百人なら五百人の人間に戸別訪問をやらせていくという、組織的な戸別訪問、こういう意味でございます。つまり、計画を立てまして、この五百人なら五百人、千人なら千人の人間に買収行為をやらせる。専売公社の組織全部に、全員に対して買収行為をさせる。これは仮定の問題でございますが、買収行為をやらせるという、そういう組織を利用して形式犯が広く行なわれていく場合、ですから、組織的、計画的のほうに重点があるのじゃなくて、形式犯をやらせるのについて、違反をやらせるのについて組織的に計画を立てて違反をやらせるということの意味で申し上げたわけでございます。
  52. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それならば、今度あたりのいろいろの実例に徴しましても、参議院選挙、しかも全国区というような場合には、これはそんなに地方区とかあるいは衆議院選挙のように、金をよけい使うということはできっこないのです。それで、ただ、そういう団体が動いて、そうして大体どのくらいになりそうだということの連絡は、これは選挙をやる本部との間には大体見通しがつかなければ、これは立候補もできないというようなことになるのでやるわけですが、それを、ただ組織的、計画的であるからということで、相当にあげられておりますね。現に罰金を、簡易な扱いではありますが、やられているというようなことを考えますと、私は、組織的、計画的というようなことを、それは犯罪自体、いわゆる買収その他を計画的にやるのは当然罰すべきものであって、むしろ計画的、組織的ということよりも、それ自身、違反自身が犯罪になるわけですから、そういうところを非常に強調されてやっておりますのが、取り締まりの下々へ行けば、組織的、計画的であるということ自身で盛んに検挙して、そうしてやっているという事実が現にあるわけです。こういうものは、いまの局長お話から考えれば、全く本意ではないというふうに考えられますが、私ども、実質としてそういうことがあり得る。また、そのうちに、いわゆる戸別訪問といいますか、戸別訪問に類似したことでひとつあげられた。あるいは四、五人がある地方であげられたということで、今度は全般的の責任を追及して盛んにやられている。こういう点は、先ほどのお話からいって、戸別訪問が犯罪であるということであれば、やはりこれも犯罪の一連であるから、そのもとをきめたものは犯罪だということの類推拡張にはなってきますけれども、こういう点の処理が非常に全国的にまちまち、あるいはまた、取り締まる上に非常に不徹底、その結果、先ほど言われるように、非常に選挙というものは近寄らぬほうがいいというようなことで、全然そういうことに恐怖を感じて逃げ腰になるというようなことがあるので、これはひとつ選挙法改正というような方面から見まして、少しはっきりさしていただきたいと思うのです。この点はひとつこの改正というもののうちに、組織的、計画的であるということ一事をもって違反であるというようなぐあいに取り上げられることははなはだ不本意だと思いますが、選挙委員会のほうではどうでしょう。いままでそういうもの問題にはなっておりませんか。
  53. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 選挙制度審議会におきましては、高級公務員の地位利用の問題あるいは立候補制限の問題、まあこういうものがいま検討の中では一番大きな問題として——まあ、それが組織的な問題の一つかどうかということは多少ありますが、似たような問題としてはそういうことが議論をされております。あとはむしろこの政党本位の選挙制度に切りかえていくと、したがって政党が組織化され、政党が党費によって選挙運動をやっていく、そして党員は積極的に、いわゆる手弁当で選挙運動——平生は政治活動、党勢拡張の運動を行ない、選挙に際しては選挙運動を行なうというような方向に持っていくべきだという意見が非常に多いのでございます。そういう意味では政党の組織化と、政党を中心にした政治活動なり選挙運動というものが今後の選挙運動の主体になるべきだと、それが政党本位の選挙というものにふさわしいあり方だというようなことで論議されております。
  54. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 速記をちょっとおいて。   〔速記中止
  55. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 速記起こして。
  56. 吉江勝保

    吉江勝保君 私ちょっといま一つあれですが、計画的、組織的な行動そのものが問題に少しなっておったようですが、まあ刑事局長さんのお話で、何も計画的あるいは組織的であるそのことでなしに、やります行為そのものが違反になりますことを計画的、組織的にやるのが問題になると、こういうように聞いたんですが、そこでその問題になるというのは、まあそれは買収行為を組織的、計画的にやっていけば問題になることははっきりしていますが、一番そういうときに問題になるのが事前運動地位利用だと、こう思うんですね。だから、先ほど少し公務員のという名前のかわりに地方の首長ということばで私は変えて言うたんですがね、地方の首長のやる問題で事前運動の限度はどこに置かるべきだろうかとか、あるいは地位利用というのはどの程度までやれば地位利用になるかということが研究されておるかということを聞いたわけなんです。これがはっきりしないと非常に選挙はやりにくいだろうし、あるいは、ことによったら地位利用を幾らでもやれるし、事前運動もやれる。選挙法があって、かえってまじめな善良な人はやらずに、そうでない人が利用していくんじゃないか。選挙の公正というものが保たれないということになる。で、この委員会もそうでしょうが、自治省なり調査会で一体地一位利用というものと事前運動のあり方というものをもっと明確にしていけばいいんじゃないだろうかという感じを持ちまして、最初にちょっときっかけみたいなことをお尋ねしたんですが、いまちょうどそのことが問題になってきましたので、私は組織的、計画的にやることが一番問題になってくるのは、いま言ったような点が問題になってくるんじゃないかと、こう思うんですが、御見解はいかがでしょうか。
  57. 日原正雄

    政府委員日原正雄君) 私ども申し上げましたのは、実質犯は、もちろんまあ悪質が中に入るわけでございますが、形式犯で軽微なものは警告の対象になる。形式犯のうちで、組織的、計画的にやっておるものは、形式犯の中で。ですから、もう犯罪は前提としておるわけです。そうして、それが大規模に組織的に、計画的にやられておるようなものは、これは形式犯の中でも悪質だと、こういう趣旨でございますので、形式犯というのはもう犯罪というのは前提にしておるわけでございます。ただいまお話しのは、今度はその犯罪になるかどうかという問題がもう一つあるわけでございます。私が申し上げたのは、もうすでに犯罪になっておるのです。それが非常に大規模に行なわれ、中央の指令でずっと行なわれておるという場合には、形式犯であっても、軽い、たまたま個人が偶発的にやったものと違って悪質なものの部類に入ると、こう申し上げたのでございますが、いまの知事事前運動というような問題になりますと、はたして選挙運動であるかどうかという問題がまず前提に出てくるわけであります。そこに、これは外形からなかなか判断しにくい問題で、しかも、本人に聞けばもちろん否認するわけでございますので、そこに非常に判断の基準の明らかでない面がある。私ども取り締まりの立場からしますと、個人の内心のいかんによって犯罪になったりならなかったりするような状況じゃなしに、外形ではっきり区別ができるようなものでないと非常に取り締まりはしにくい、特に政治活動等と混淆してまいりますると、非常にむずかしい問題はあると思います。
  58. 横川正市

    横川正市君 これは結局形式犯というのは違反行為でないというようにその点を広げれば、組織的、計画的形式犯もなくなるわけですよね、実際は。これはまあ法律のたてまえということになるわけですね。ただ、いま説明を受けた中で、こういう事例がありますね。私もあちこち動きますとね、まあ二、三百ぐらいな部落で、選挙に入りますと、自警団を立てましてね、そうして他党の運動員を入れない。道路を通させない。それからトラックを入れさせないというような、いわゆる自治組織みたいなものができているというようなところがあるのですよ。これはまあ九州何県なんて言うと該当するから、言いませんけれどもね。それから、ある部落に行きますとね、大体選挙の前ぐらいにしょうちゅう何升によってその部落の票が全部だれだれ候補に動くという事例もあるのですよ。結局、選挙と民度といいますかね、いわゆる政治水準というようなものと非常にまあ密接な関連があるもので、それの啓発をしなけりゃならぬということは、これは私はわかるのです。その公正な、民主的な選挙をやるためには、ただそのあなたのほうが取り締まり一つの大本として、形式犯でも罪は罪だから、これを組織的に計画的にやったものは悪質だと言えるかどうかという問題については、実はこれは方針としてね、もっと検討する私は余地はあるのじゃないかと思うので、これはもう組織的に計画的にやらない選挙というのは、これはもうないのですからね。どういうかっこうであっても、末端がこう動いていることは、自発的に動くなんということはまだまだ期待できない状態です、いわゆるその民度とか水準とかという問題で。それが紙っぺらで動かされる、金で動かされる、酒で動かされる、物で動かされる、その判断によって私は度合いというものが、形式犯の度合いというものがまあ変わってくるのじゃないか、こう思うのです。これはひとつ取り締まりのほうのひとつ研究素材としてぜひお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、締めくくりみたいなことになるわけですが、長野さんのほうで、これは最終的には審議会答申がいつ出されるかですね。最終的にはあの残ってる分の問題がありますね。ことにその中には、公務員の立候補の制限の問題等、今回の参議院選挙の実績から見て非常に急がれるという意見も、世論の中には相当あるわけです。なお、そういうのを受けて、そういうような重要な項目は、どういうふうな審議経過で、いつごろはっきり出されるか、この点をひとつお聞きいたして、きょうはもう終わりにいたしておきたいと思います。
  59. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、選挙制度審議会の第二委員会は、現在、立候補手続、政党の公認手続等につきましては大体意見がまとまっておりますが、いまやっております政治活動選挙運動、特に選挙運動の指揮というような問題につきまして現在検討をしておる最中でございます。それから、その後に選挙公営の問題、選挙取り締まりの問題、いわゆる罰則の問題、こういうものを逐次検討をされていくわけでございまして、現在の審議会の一応の予定では、五月ごろには答申として大体成案が得られるようにしたいということで、そういうちょっと幅の広い目標ではございますが、その辺をめどにして審議が進められております。
  60. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時十三分散会      —————・—————