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横川正市君 そこでひとつ具体的な問題に触れながら、
取り締まりの当局の
考え方というのを聞いていきたいと思うのですが、もうすでにこれは四十年の七月に行なわれた
選挙の結果として、買収利害誘導
件数が二千八百二十九、人員で六千九百二十二、自由妨害二百二十、人員で二百三十七、戸別訪問千三百六十六、人員で千四百八十三、
文書図画制限違反二千七百四十四件で三千六百五十六、その他、その他というのは何に該当するかわかりませんが、八百二十一とそれから人員で八百八人、新聞の報道するところによって総括的な印象、印象からいきますと、たとえば新聞では今度の
選挙はきわめて悪質であると、非常に
件数が多くなったと、それから今度はまあ
選挙が非常に公正に行なわれた、
件数が平年よりかは幾らか低下したというような報道が総括的に
取り締まり当局の
検挙件数その他から出てくるわけですが、一体、こういうような数字から、その
選挙が悪質とかあるいは良質とかという、それに該当するかどうかという、これは私は
件数からは判断のできない内容というものがあるのじゃないかと思うのです。これはまあすでに判例となっておりますから、現行
法律のたてまえからいけばこれは新しい判例として当然
取り締まりの対象になりますが、たとえば戸別訪問の庭先会見というのがありますね。たとえば屋敷というのが何百坪かありまして、そしてその何百坪かある家の中に入らずに庭先で依頼をした。これは屋敷に該当するからというので、これは判例としては違反になったんです。その
案件と、今度はたんぼのあぜ道でそれじゃ話したらどうなるのか、街頭と庭先の間で話したらどうなるのかと、いろいろ事例というのがたくさん出てくるわけですが、
取り締まり当局の
取り締まりのいわば何というのですか、重点の置き方というのですか、によって
件数がふえたり減ったりしないかという点が私は出てくると思うのですよ。たまたま見つかったということで、いわゆる
取り締まりの
一つの対象として重点的な項目としてあがってくるのではなしに、たまたま偶然にそういうところが見つかって、そしてそれがいわゆる
違反案件として出てくる。こういうことが一体良質か悪質かという問題にはちょっと私は判断しかねるものがあるのじゃないかと思うのです。これは
一つの例なんです。
それからもう
一つは、時間制限外の連呼行為というものがあるわけです。時間制限外の連呼行為は、もちろんこれは
法律に定められて違反の行為だけれ
ども、おそらく、私は自分で候補者になって
選挙やった例は二度持っておりますから、その例からいきますと、連呼行為を行なっておらないという候補者というのはまれにはあるかもしれないけれ
ども、大体まあそういう、いわゆる形式的な違反をする。いわゆる形式上の問題。
それからもう
一つ問題になりますのは、戸別訪問の具体的な
取り締まり。私
どもが
法律論議をいたしまして、
速記録を見てみますと、戸別訪問というものについては、これは形式的な違反行為ではないのだ、戸別訪問プラス実質利害
関係の伴った違反行為が判明した場合には、これはまあ事実犯として法に定めるところのいわゆる悪質な
選挙違反、その見定めの前段として戸別訪問を取り締まるのだというような意思は、
国会の
速記録等も残っておるわけなんですが、ところが、戸別訪問をしておるかいないかという点で、この
件数は千三百六十六件となっておりますけれ
ども、おそらくこれは九牛の一毛じゃないかと思われるのですね。たとえば、私の友人のところに行って話をしていて、たまたま
選挙の話をしたと言っても、いわば
一つの戸別訪問ということになりましょう。それから
運動員が全く知らない家へ飛び込んで行って
関係を聞いて、それから、どうでしょう、こういう人をひとつお願いできませんでしょうかというのも、私、戸別訪問だと思うのであります。ですから、
案件としてあがってくる
件数から見ると、戸別訪問として断定できるというようなものは、これは
選挙の期間あるいは
事前活動等を通じて
取り締まりの対象外だというようなものは全然ないような状態です。ところが、実際にはあがってくる
件数からすると、人数にして千四百八十三人、
件数で千三百六十六件、それから
文書制限違反二千七百四十四件、人数で三千六百五十六人、これなんかもおそらく私は
実態から見ると、その
件数というものは非常に過小な
検挙率だとこういうふうに見られていいんじゃないか。そういう点を勘案してみますと、実際上の
取り締まりのときに、あなたのほうでは大体三つぐらいの各都道
府県の警察当局に
指示を与えられるのですが、その
指示によってこういう点が出てきておると思うのです。交通違反と同じで、見つかったらこれは運が悪い、見つからなければやってもいいという、そういう
状況で
選挙活動期間の
取り締まりというものがあなたのほうもそういうことでいく、相手側もそういうふうに受け取って巧妙に、じょうずにということで
選挙をやる、こういう
状況が出てこないか、私はそれを非常におそれるのですね。もっと自由でしかも明朗に行なわれなければならない
選挙が実は
取り締まりの対象外であっても、それほど支障のないものまでも細部に
法律化されておるために、
選挙それ自体がきわめて陰惨に、しかも潜行的に行なわれる、こういう結果にならないかという点が重点なんです。だからそれは
取り締まりの
方法といいますか、あるいは具体性といいますか、そういったところから勘案してみて、一体
選挙そのものをもっと明朗に、しかも明るく行なうためには一体これでいいのかどうか。そういった点を実際これは
取り締まりをやられる立場からどういうふうに
考えておられるか、これは
法律に基づいてやっておるのですと言えばそれまでですが、事実上私はあがってくる
件数その他から見ますと、その内容についてきわめて微微たるものだとそういうふうに思われるので、一般論から言ってみても、この問題については考究すべき、
取り締まり当局から見ても考究すべき問題じゃないかというように思うのですが、その点、実際の担当をしておる立場からお
考えをお聞きいたしたいと思うのです。