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1966-06-27 第51回国会 参議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十七日(月曜日)    午前十一時三十八分開会     —————————————    委員異動  六月二十五日     辞任         補欠選任      矢追 秀彦君     白木義一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 石井  桂君                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 青木 一男君                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 平泉  渉君                 米田 正文君                 田中  一君                 竹田 現照君                 達田 龍彦君                 前川  旦君                 白木義一郎君                 片山 武夫君                 春日 正一君    衆議院議員        発  議  者  下平 正一君        修正案提出者   井原 岸高君    国務大臣        建 設 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省道路局長  蓑輪建二郎君        建設省住宅局長  尚   明君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○土地収用法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○土地収用法の一部を改正する法律施行法案(内  閣提出、衆議院送付) ○既成市街地開発立法化促進に関する請願  (第三四号) ○有楽町駅前整備事業に対し「公共施設整備に  関連する市街地改造に関する法律」を適用す  るの請願(第五七号)(第一九八号)(第一六  二四号)(第一九七八号)(第二二三一号)  (第二二四七号)(第二二九八号)(第二三二  九号)(第二三四四号)(第二六三四号)(第  二七二一号) ○国道一六八号線の改修完全舗装早期実現に関  する請願(第七七号) ○昭和四十一年度道路予算措置に関する請願(第  七八号) ○下水道事業整備促進に関する請願(第七九  号) ○昭和四十一年度道路予算に関する請願(第一三  四号) ○研究学園都市建設推進に関する請願(第一四  九号) ○熊本県球磨川の一級河川指定に関する請願(第  一九九号) ○石渕ダム等北上特定地域総合開発事業に伴うダ  ム構築による被害補償に関する請願(第二三五  号) ○建築線東京都内戦災焼失地内の残存建築線)  廃止に関する請願(第二四一号) ○地すべり対策事業促進に関する請願(第二七  一号)(第三一四号) ○治水関係事業促進に関する請願(第二七二号)  (第三一五号) ○昭和四十年度琵琶湖冬季放流に関する請願(第  三六一号) ○滋賀瀬田川洗せき操作規定制定に関する請  願(第三六二号) ○国道維持補修費地方負担廃止に関する請願  (第三六三号) ○国道四十五号線整備に関する請願(第八九〇  号) ○青森県八戸市、野辺地町間道路国道指定に関  する請願(第八九一号) ○群馬県大間々町東通り線等改良舗装工事施  行に関する請願(第一〇八八号) ○只見川水系尾瀬分水中止等に関する請願(第  二三三〇号)(第一四六〇号) ○土地収用法の一部改正に関する請願(第一四二  五号) ○戦傷病者公営住宅割当等に関する請願(第一  四八八号)(第一五一二号)(第一五九〇号)  (第一五九一号)(第一六二二号)(第一六二  三号)(第一七〇九号)(第一七一〇号)(第  一七九三号)(第一七九四号)(第一八七四  号)(第一八七五号)(第一八八五号)(第一  九一七号)(第二〇二五号)(第二〇三九号)  (第二〇八四号)(第二〇八五号)(第二三〇  八号)(第二四〇三号)(第二四七〇号) ○福岡市都市計画街路の一部変更に関する請願  (第一五九四号) ○国道三号線佐敷太郎トンネル換気装置早急設  置に関する請願(第一八七六号) ○国道一三四号線の日の出橋改修に関する請願  (第一九〇六号) ○公営住宅法改悪反対等に関する請願(第一九七  七号)(第二〇二六号)(第二〇九八号) ○滋賀大津インターチェンジ観光客送迎専用  駐車場設置に関する請願(第二一六二号) ○近畿自動車道舞鶴線決定並びに早期実現に関  する請願(第二二〇三号) ○筑後川全川の一級河川指定に関する請願(第二  二〇四号) ○不法建築規制に関する請願(第二二四四号) ○幹線高速道主要地域自転車専用道路建設に  関する請願(第二三三〇号) ○国土縦貫道路北海道地区路線)の計画に関す  る請願(第二三四九号) ○札樽間高速道路建設促進に関する請願(第二  三五〇号) ○公団住宅内集会所使用料値上げ反対等に関する  請願(第二三八六号)(第二六八九号)(第二  七〇一号)(第二七〇二号)(第二七〇三号)  (第二七〇四号)(第二七〇五号)(第二七五  三号)(第二七六七号)(第二七六八号) ○公団住宅家賃及び集会所料金値上げ反対に関す  る請願(第二三九〇号)(第二七五七号) ○東京外郭環状線道路計画路線石神井公園通過  反対に関する請願(第二七〇六号) ○東京都市計画街路外郭環状線反対に関する請願  (第二七二〇号) ○建設業法改悪反対に関する請願(第二九七二  号)(第三〇八六号)(第三〇八七号)(第三  〇八八号)(第三〇八九号)(第三〇九〇号)  (第三〇九一号)(第三一六一号) ○東京都町田市忠生土地区画整理実施計画に関す  る請願(第二九七三号)(第二九八五号)(第  三〇  三〇号) ○自転車専用道路法制定に関する請願(第三〇三  一号)(第三〇三二号) ○建設業法改正反対に関する請願(第三〇六九  号)(第三一五五号)(第三一五六号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○住宅建設計画法案内閣提出衆議院送付) ○日本勤労者住宅協会法案衆議院提出) ○継続審査要求に関する件     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、矢追秀彦君が委員を辞任され、その補欠として白木義一郎君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案を一括して議題といたします。  両案については、すでに説明を聴取いたしておりますが、なお補足説明を聴取いたします。志村計画局長
  4. 志村清一

    政府委員志村清一君) ただいま議題となりました土地収用法の一部を改正する法律案につきまして、逐条的にその内容を御説明申し上げます。  まず第八条の改正でありますが、これは今回新たに、土地等の仮登記権者、買い戻し特約登記権者、差し押え債権者及び仮差し押え債権者関係人とし、これらの者を収用手続に取り込むこととしたものであります。  次に、第十五条の二及び第十五条の四の改正は、従来土地細目公告前の制度としてあったあっせん制度を、事業認定告示前の制度として規定したものであります。  次の第十八条の改正は、今回土地所有者等補償請求権を与えることとしましたので、起業地範囲がよく分かるように事業認定申請書等整備することといたしたものであります。  第二十六条の改正及び第二十六条の二、第二十八条の二の新設も、起業地範囲等を明確に周知させる趣旨のものであります。  次に、第二十八条の三の新設は、従来土地細目公告効果であった起業地形質変更禁止事業認定告示効果として規定したものであります。  次の事業認定有効期間を定めた第二十九条の改正は、今回土地細目公告廃止したこと及び収用または使用裁決権利取得裁決明け渡し裁決とに分離したことに伴い、それぞれの裁決申請または申し立て期限を定め、それを経過したときは、事業認定が失効することとしたものであります。  第三十条の改正及び第三十条の二の新設は、聖業の廃止変更により土地収用等の必要がなくなったとき及び土地取得を完了したときに、告示市町村長への通知を行なうこととしたものであります。  次に、第三十一条から第三十四条の六までの改正または新設は、従来の土地細目公告に関する規定廃止し、事業認定後の収用等手続保留する制度について定めたものであります。  すなわち、土地細目公告制度は、収用しようとする土地を具体的に公告する手続でありますが、今回の改正原則として事業認定のときの価格補償額を算定することとするとともに、土地所有者等にはその時から補償請求権を与えることとし、事業認定時にすでに起業地範囲が明らかとなっておりますので、土地細目公告制度廃止して、手続を簡素化いたしました。  しかし、事業認定は、一つの事業の全体について行なうため、その事業の規模あるいは性格用地取得のための資金措置等、種々の関係で一挙に用地取得に取りかかれない場合も多いと考えられますので、すぐに用地取得に入る用意がない区域につきましては、起業者は、事業認定申請にあたり、一時収用手続保留することを申し立てることができることとし、用地取得用意が整ったときは収用手続開始告示をして、収用手続に入ることといたしました。また、この手続保留地につきましては、一部の規定を除き、手続開始告示があったときを事業認定告示があったときとみなしてこの法律規定を適用することといたしております。  次に、第三十九条の改正は、土地細目公告廃止に伴い、起業者事業認定告示の日から一年以内に収用または使用裁決申請をしなければならないことに改めるとともに、土地所有者等が、自己権利にかかる土地について起業者に対し裁決申請請求ができることとしたものであります。  次に、第四十条及び第四十一条の改正は、今回の改正案土地に対する補償金の額を事業認定告示の時の価格に押え、土地所有者等裁決申請請求権及び補償請求権を与えたのに伴い、従来ややもすれば形式に流れ、実効の薄かった法定協議制度廃止したものであります。  次に、現行法第四十二条の改正は、これを第四十条に位置を移すとともに、裁決申請手続を簡略化して手続迅速化をはかることとしたものであります。  次に、第四十四条及び第四十五条は、土地所有者等から裁決申請請求した場合の裁決申請特例を定めた新設条文で、請求を受けた起業者は二週間以内に裁決申請すべきこととし、これに応じて申請書記載事項を簡略化する等を規定したものであります。  次に、第四十五条の二と第四十五条の三は、裁決手続開始決定制度新設したもので、収用委員会がこれを公告し、嘱託登記した後は、その登記にかかわる権利を承継した者は、相続人等を除き、その承継を起業者に対抗できないこととしております。なお、この登記前は、補償請求権は差し押えや譲渡等ができないこととし、登記後にもすでに土地について差し押え等がされている場合は同様としております。  次の第四十六条の二から第四十六条の四までの規定は、補償金支払い請求制度新設したもので、土地所有者等利益の保護と周辺地土地所有者等との均衡保持のために、土地所有者または土地に関して権利を有する関係人が、事業認定告示後は、いつでもこれらの権利に対する補償金支払い請求することができることを規定したものであります。  第四十六条の四は、補償金支払い請求を受けた起業者は、請求を受けた日から二月以内、その時にまた裁決手続開始登記がされていないときはその登記から一週問以内に、自己見積もりによる補償金を支払わなければならないことを規定したものであります。  次に、第四十七条の二から第四十九条までは、収用または使用裁決を、権利取得裁決明け渡し裁決とに分離したものであります。すなわち、第四十七条の二においては、裁決を分離すること及び明け渡し裁決は、起業者または土地所有者等申し立てを待って、権利取得裁決のあった後か、またはこれとあわせて行なうことを定めたものであり、第四十八条及び第四十九条は、それぞれの裁決における裁決事項を定めたものであります。  次に、第五十条は、裁決を分離したことと関連しまして、和解についても、権利取得に関する事項明け渡しに関する事項とについてそれぞれ成り立つものとしております。  次に、第六十七条の削除は、二以上の収用委員会合同審理及び裁決制度が従来全く活用されていないばかりでなく、手続が煩瑣で裁決遅滞を招くことにかんがみ、これを廃止するものであります。  次の第七十一条から第七十三条までの改正は、今回の改正案の最大の主眼点でありまして、現行法では、補償額裁決時の近傍類地取引価格等を考慮して算定しておりますのに対し、土地対価に当たる補償額を、事業認定時の近傍類地取引価格等を考慮して算定した額に、権利取得裁決時までの物価変動に応じて政令で定める修正率を乗じて得た額とし、それ以外の地上物件移転料収用によって通常生ずる損失の補償は、現行法どおり明け渡し裁決の時の価格によって算定するものとしております。第七十一条が収用の場合、第七十二条が使用の場合の土地についての対価補償原則であり、第七十三条がその他の補償原則であります。  次に、第九十条の二から第九十条の四までの新設は、補償請求者に対する裁決基準特例を定めたものであります。すなわち、第九十条の二で、補償請求者については、物価変動に応ずる修正裁決時ではなく補償金支払い期限までの期間について行なうものとし、第九十条の三で補償請求に応じて支払った額が少なかった場合、それが遅滞した場合は全体の額に対する遅滞額の割合に応じて日歩五銭、三銭、一銭七厘の三段階の加算金を支払うべきものとしております。第九十条の四では、土地所有者等から裁決申請請求を受けてから二週間以内にその申請をしない場合は、起業者日歩五銭の過怠金を支払わしめることを定めております。  また、第九十六条は、裁決手続開始登記前に差し押え、仮差し押えがされている場合に、差し押え権者等の地位を保全するため、これについての補償金は直接裁判所等に支払うべきこととした新設規定であります。  次の第百条及び第百一条の改正は、裁決の分離に伴い、裁決の失効及び権利取得消滅等規定整理したもので、所有権取得その他の権利消滅権利取得裁決効果とするとともに、従来明確でなかった差し押え、仮差し押え、仮処分効力収用によって消滅することを明文化する等を行なったものであります。  次に、第百一条の二は、権利取得裁決後も従来の土地所有者等明け渡し期限まで明け渡しを猶予することを規定し、その利益をはかろうとするものであります。  次に、第百四条の二は、補償請求に応じて支払った見積もり補償金過払い額があった場合の調整規定であります。  次に、第百六条の改正は、収用された土地の旧所有者の買い受け権の生ずる時期を個々の収用の時期から起算するのは不公平であることにかんがみ、一律に事業認定の時から起算することとしたものであります。  次に、第百八条から第百十五条までの収用委員会調停規定削除は、この調停が同じく収用委員会による和解制度重複する面が多く、従来もほとんど活用されず実効があがっていないことにかんがみ、今回これを廃止したものであります。  次に、第百十六条から第百二十一条までの改正は、従来土地細目公告後一年内に限り認められていた協議の確認の制度を、専業認定裁決申請までの間に広く認めて、その活用をはかるよう措置するものであります。  次に、第百二十五条の改正は、事業認定申請裁決申請手数料について、これらの事務に要する費用や今回の改正に伴う手数の増加に対応することができるようにするため、これらの手数料限度額を引き上げることとしたものであります。  次に、第百三十六条の改正は、今回の改正に伴い収用委員会審理促進が特に重要となることにかんがみ、不必要に多数の代理人が出席して審理が遅延することのないように措置したものであります。  次に、第百四十条の二は、今回の改正に伴い、事業認定手続開始裁決申し立て等の際に、都道府県知事市町村長収用委員会起業者等の相互間の通知、その他の手続などについて必要な規定を置くために設けたものであります。  以上のほか、これらの改正に伴う手続整備及び条文整理を行なっております。  最後に、附則は、本改正法施行期日経過措置関連法律改正等につきまして、別に施行法をもって定めることといたしたものであります。  以上が、土地収用法の一部を改正する法律案内容であります。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。  続きまして土地収用法の一部を改正する法律施行法案につきまして、逐条的にその内容を御説明申し上げます。  まず、第一条は、土地収用法の一部を改正する法律施行期日について公布の日から起算して八月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する旨を定めております。  次に、第二条から第十条までは、土地収用法の一部改正に伴いまして必要となる経過措置を定めております。すなわち、改正法施行前に事業認定を受けている事業については、土地細目公告を終わったものは現行法手続によることとし、その他のものは改正法による手続保留事業認定を受けたものとみなして改正後の新法を適用していくこととする等、必要な経過措置を定めたものであります。  第十一条以下の各条は、今回の土地収用法の一部改正に伴い改正することが必要となった関連法律改正及びその経過措置について定めております。  第十一条及び第十二条は、不動産登記法の一部改正及びこれに伴う経過措置でありますが、今回収用効果として差し押え、仮差し押え、仮処分効力を失うことを明文化したのに伴い、これらの登記を抹消する規定整備いたしました。  第十三条及び第十四条は、都市計画法の一部改正及びこれに伴う経過措置であります。都市計画事業については、都市計画事業決定をもって事業認定とみなして土地収用法を適用することとされておりますが、事業の性質上、その執行年度が別に定められている関係から、都市計画事業を執行すべき最終年度を経過するまでの間は事業認定も失効しないものとしております。  また、改正後の土地収用法を適用するため必要になる都市計画事業告示関係書類縦覧等にする規定整備することといたしました。なお、経過措置としては、土地収用法の場合と同様といたしました。  第十五条及び第十六条は、測量法についてでありまして、測量法により土地等収用または使用する場合は土地収用法によって事業認定以下の手続を受けたければならないものとしました。  第十七条から第二十条までは、鉱業法採石法についてでありまして、図面の縦覧手続手続保留制度等について、土地収用法改正に伴い、関係規定新設あるいは整備したものであります。  第二十一条は、森林法の一部改正でありますが、これは土地収用法改正にかかわらず、買い受け権について、現行森林法と同じ扱いをするため必要な改正であります。  第二十二条及び第二十三条は、駐留車の用に供する土地等使用等に関する特別措置法につきまして土地収用法改正に対応する所要改正を行なったものであります。  第二十四条及び第二十五条は、土地区画整理法についてでありまして、土地区画整理事業のため土地使用する場合には、土地収用法による事業認定を受けなければならないことといたしました。  形質変更禁止については、この法律規定がありますので、土地収用法保全義務を二量に課さないこと等を規定しております。  第二十六条は、核原料物質開発促進臨時措置法につきまして、森林法の場合と同様、買い受け権について所要改正をいたしました。  第二十七条及び第二十八条は、首都圏近郊整備地帯及び都市開発区域整備に関する法律についてでありまして、この法律で認めている買い取り請求は、手続保留地についてのみ認めることとして、補償請求制度調整をはかることとし、また、工業団地造成事業施行すべき土地区域内における建築行為等制限規定との重複を避けるため、土地収用法土地保全義務規定は、この区域内には適用しないことといたしました。  第二十九条は、住宅地区改良法の一部改正ですが、改良地区内の土地についての建築行為等制限規定との重複を避け、土地収用法による土地保全義務規定を排除したものであります。  第三十条及び第三十一条は、公共施設整備関連する市街地改造に関する法律についてでありまして、市街地改造事業によって造成され、建築される建築敷地及び建築物についての譲り受け希望の申し出と補償請求との関係調整して、いずれか一方によるものとし、譲り受け希望者に対して譲り渡す建築施設価額については、その建設コストと時価を基準として定めることとなっておりましたものを、収用価格事業認定価格とされることに対応して、建設コスト都市計画事業決定の時の価額基準として定めることといたしました。  次の第三十二条及び第三十三条は、公共用地取得に関する特別措置法の一部改正及び経過措置で、土地収用法改正に対応する改正をしたほか、特別措置法性格特定公共事業緊急性を要件といたしておりますので、収用または使用手続保留は認めないとしたこと、又明け渡し裁決申し立て期限は、土地細目公告廃止したことに伴い事業認定告示の日から一年六月としたこと、緊急裁決申し立てがあったときは、権利取得裁決明け渡し裁決とにかかる事項について同時に緊急裁決すること等を決めたものであります。  最後に第三十四条から第三十七条までは、それぞれ新住宅市街地開発法近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律につきまして、これらの法律で認めている買い取り請求土地収用法補償請求との関係調整し、また、専業施行する区域内の土地については、それぞれ建築行為等制限規定がありますので、土地収用法による土地保全義務規定を排除する等の規定を置いております。  以上が、土地収用法の一部を改正する法律施行法案内容であります。何とぞよろしく御審議のほど御願い申し上げます。
  5. 松永忠二

    委員長松永忠二君) それではこれより質疑を行ないます。両案について質疑のある方は、順次御発言願います。  なお、衆議院から衆議院における修正案提案者井原岸高君が、また、政府側から瀬戸山建設大臣及び志村計画局長が出席しております。  速記をとめて。   〔速記中止
  6. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。
  7. 竹田現照

    竹田現照君 まず最初に、この土地収用法質疑に入る前に、この法律案関連をして出されています租税特別措置法改正案ですね、これはアベック的性格を持っているわけでありますけれども、これは衆議院本案通過の際に、特にわが党の岡本委員から総理にこの問題について質問があったわけでありますが、一方だけいわゆる食い逃げするということがないように、そういうことはいたしません、という総理のお答えがあるわけですけれども、これは最終日になって、しかも、三党修正で措置法が参議院に回ってきているそうでありますけれども、その関連はどういうことになりますか。
  8. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 土地収用法改正に伴いまして、これは常々申し上げておりますように、地価の不当と思われる高騰をチェックしたい、これが大きな主眼点でございますが、公共用地等、収用法適用以外の土地価格についても税制等で措置する必要があるということで、税制改正を国会にお願いしておるわけであります。そういう意味において収用施行が前提となりまして、それとのバランスをとって、土地価格の問題でバランスをとるという趣旨で改正をお願いしておりますので関連がある、こういうことでございます。
  9. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、これは同時に国会を通過をしなければ、かりにこの収用法だけ先に通ってしまって、国会が閉会になってしまうということになると、強権法だけが通って、それに付随する法律がついてこないということになると、ちょっと不都合を生ずると思われますけれども、そういう事態に万一なった場合に——まあなるというようなことが想定される場合というのは、本案改正の提案の趣旨とだいぶん違ってくるような気がいたしますが、それはどういうことになりますか。
  10. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 税法のほうが御承知のとおり大蔵省所管で提案をいたしておりまして、衆議院で一部原案を三党共同で御修正になり、現に参議院で審議中であります。いま大蔵委員会で審議が始まっておるということであります。私どもとしては、もとより関連いたしておりますので、できるだけ本国会で成立をお願いしたいということで、いま努力をいたしておるところであります。ただ、厳密な意味で法律的に見ますと、こちらが先に成立をし、そうしてその裏づけをするという意味で税法も成立をお願いしたい、こういうことでございます。
  11. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、やはり同時に通過をしなくちゃならぬというふうに理解をしてよろしいですね。
  12. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私どもはそれを願っておるわけでありますが、理論的には、国会の御都合でどうしても税法はいかぬということになれば、追っかけてお願いをする、こういうことでございます。
  13. 竹田現照

    竹田現照君 税法に関係することは、それじゃ後ほどまた触れたいと思いますが、まず、基本的な問題といたしまして、現行土地行政の背景となっている土地法制に対する政府の考え方については、本会議質問でも触れましたけれども、憲法二十九条の財産権不可侵の権利としてこれを保障する原則をとりながらも、公共の福祉のためにそれを制限し得るという点は、一つの規定があります。土地問題解決にあたってこの問題がどのように解釈され、どのように運用されるかが基本だと思うのでありますけれども、現行土地法制では、これが具体的には混乱をしているのが実態ではないかというふうに思うのでありますけれども、この点についてどうお考えになっていらっしゃいますか。
  14. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私どもが、土地の私有権と申しますか、所有権がわが国の憲法及び民法その他で認められておりますから、その前提に立って公共の用地としてそういう私有権を使用することができる、公共のためにこれを使用あるいは収用することができる、こういうふうな立場に立って、御承知のとおり、収用法はそういう私権と申しますか、私有財産権の前提に立って、それといわゆる公共利用との調整をはかる、これが収用法のたてまえであろうと、かように考えておりますので、今回特にこの収用法の改正をお願いいたしましたのは、その際の評価の問題、一体憲法二十九条の第三項でありますが、「正当な補償」というものについてもう一歩突き進んで考える必要がある、こういう意味で、従来の法律が非常に収用裁決時点における時価で評価する、こうなっておりますものを、公共事業等の認定時における時価と申しますか、それによって評価することが憲法二十九条の「正当な補償」に当たる、こういう考え方で改正をお願いしておる、こういうことでございます。
  15. 竹田現照

    竹田現照君 公共専業促進をはかるために各種の土地関係法規の成立を見てお石わけでありますけれども、そのいずれもが土地問題の本質を回避して局部的な施策にとどまっているが、いわば、つくろい法規のような感じがいたします。そのことが法体系の不統一をもたらしていると思われるのでありますが、さらに土地利用は混乱して土地行政の貧困をもたらしている。ですから、こういうものを全般的に改善をするということが今日一番強く要請されていると、そういうふうに思うんですけれども、そういう全般的な問題ではなくして、この収用法の一部改正という今回提案をされている趣旨ですね、ごね得防止その他を含めて二、三の改正要旨でありますけれども、改正案によって、その要請にはたしてどれだけ近づくものなのかどうかということについては、これはあまり大きなものを期待できない、そういうふうに考えているわけですけれども、提案をされる側として、この改正案がそれら今日の土地問題に関するきわめて大きな要請に対してどの程度おこたえができるものか、どうお考えになっておるかという点についてお伺いをいたしたい。
  16. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) もとより、この土地問題と申しますか、あるいは土地の地価の問題、こういうものを収用法の改正だけで根本的な解決ができるとは考えておりません。この評価の、憲法にいう——土地だけに限って申し上げますが、私有財産権を公共の利益のために使用することができる、その際には正当な補償をなすべきである、これは当然なことでありますが、その際に、私ども基本的に考えておりますことは、土地の公共性と申しますか、そういう考え方から、土地によって不当な利益を得させるということは、正当な補償をするという趣旨からいって、憲法はそういうことを期待しておらない。言いかえますと、土地は、前にも申し上げたことがあると思いますから、そういうことは申し上げませんが、きわめて人間生活に密接な関係がある、いわゆる公共性の高いものであります。言いかえますと、社会性の高いものである、こういう観点に立って私有財産権を認めるけれども、そういう公共性の高い土地によって不当な利益を得るということは、社会正義と申しますか、土地の本質からいって適当でない、これの基本的な考え方として地価政策を講ずべきである。多くの場合法律で地価問題に触れておりますのは土地収用法でありますから、まず、その基本的な土地収用法をそういう考え方に立って改正する必要がある、こういうことで、これだけで全般的な効果があると思いませんけれども、そういう基本的な態度を収用法の評価という面でこれを貫いて、それに沿って必要な措置を総合的に講ずべきである、そうしていわゆる地価対策と申しますか、土地の問題の基本的な、広範な効果と申しますか、それを実現すべきである、かような態度でございます。
  17. 竹田現照

    竹田現照君 建設大臣は、これは国会でも幾度かお答えになっておりますが、土地は商品でないという発言をされて、いわゆる瀬戸山構想なるものが、昨年の建設大臣御就任以来ずいぶんこれが社会の問題としていろいろと論議されているわけですけれども、これについて、土地商品主義あるいは土地財産主義、この三つの基本理念というものを否定あるいは大幅に制限をする前提に立たない限り、地価問題は解決をしないのだという一つの説もありますけれども、この点について大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  18. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) ちょっとお尋ねの趣旨が私明確にくみ取れないわけでありますが、あるいは土地を国有にするとか、あるいは公有にするとか、こういうことでないと基本的に解決しない、こういう趣旨でありますと、それも一つの手段であろうと思います。手段であろうと思いますけれども、私どもはやはり、この間も申し上げたと思いますが、土地と人間との関係というものはそう簡単に割り切れるものではない。やはり土地というものについての私有権というものは、これは認めざるを得ない。これはやはり人間生活に切っても切れない間柄である、こういう前提に立っております。ただ問題は、土地というものはそういう密接な関係にあるけれども、これは利得のためにそういう関係にあるのではなくて、人間生活の基盤としてあるのだ、こういう考え方で土地というものを考えるべきである。世間でいわれておりますように、土地は利用するためにあるものであって、これによって利得をするためにあるものではない、こういう基本的な土地に対する観念が正しいのじゃないか、こういうことでございます。
  19. 竹田現照

    竹田現照君 この瀬戸山構想というのは、土地の基本理念に触れ始めたものとして非常に大きな意味があり、大きな前進である、そういう意味では。自民党内閣として、はたして瀬戸山構想なるものについて、政府全体が全面的にその方針に立って進んでいるのかどうか。昨年の瀬戸山発言以来ずっと推移を見てまいりますと、法律改正案が提案されるまでの経緯あるいは付随をする、冒頭お聞きをいたしました税法に対する改正案の提案をされ、さらにその後衆議院における三党修正等の経緯あるいは与党の内部におけるいろいろな動き、こういうものを見てまいりますと、はたしてこの瀬戸山構想というか、理念というか、こういうものについて全面的に政府がこれをとらまえて、その考え方を前進をさせるといいますか、実現をさせるといいますか、そういうことについてどの程度熱意を持っておられるのか、私はちょっと疑問があるわけですけれども、政府内部のこれに対する考え方を——発言をされた御本人が言うというようなことはちょっと筋が違うのかもしれませんけれども、国務大臣としてひとつお答えをいただきたいと思います。
  20. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 率直に申し上げて最近の、最近の申しますか、近年のここ十年以来の土地の利用に関する各種のトラブル、特に地価の異常な高騰、それが物価あるいは社会生活その他に非常な悪い影響を及ぼしている、こういうことはどなたも認識をされておると思います。ただその問題の所在、あるいはその問題の解決の手段と申しますか、方法と申しますか、そういう点については、必ずしも私は一致しておったとは思いません。けれども、この問題を根本的に解決しなければならないという考え方については、おおむねその方向にある、かように考えております。  そこで、これは何も私の先見の明でもなければ、専売特許であるとも思っておりません。私は諸外国の事情をあまり詳細に知りませんけれども、これは土地の問題についての考え方は、現在においては日本が一番おくれておるのじゃないか、かように考えるほど諸外国では問題に取り組んで、考え方が進んでおる。進んでおるということばが適当であるかどうかわかりませんけれども、率直に言って、土地の本質に触れた施策を進めつつある、こういう状態であろうと思います。わが国内においても土地問題は近年いろいろな機関で検討され、また、政府機関であります、建設省の機関であります宅地審議会その他においても、公式にこの問題を真剣に討議されております。また、その他の土地問題に関する各種の民間の研究団体等においても、この問題が論議されておるわけであります。最近政府の他の物価懇談会あるいは交通問題懇談会、いろいろなところでも問題の基本的な所在はどこにあるということが論じられておることは御承知のとおりであります。そういう傾向をにらみまして、やはりこの問題を根本的に解決するといいますか、対策を立てるということが、わが国国民全体の今日以後の利益になる、かような判断をして取り組んでおるわけであります。政府部内云々と言われましたけれども、すべての方々がこれに取り組んで研究しているというわけでありませんから、必ずしも理解が簡単であったことは申し上げません。けれども、基本的な考え方については、いまや御理解を得まして、この問題の所在はまさにそこにある、そういうことで、いわゆる閣僚協議会等においても、この基本線に沿った施策を進めていこう、こういうことになっているわけであります。ただ問題はきわめて社会生活上複雑であります。長い間の考え方が必ずしもこのとおりいっておりませんから、その基本的な態度を実現する手段、方法あるいは時点、こういう問題についていろいろな議論があることは、これはもうやむを得ないことであると思いますが、基本的な姿勢については、何らの扞格はない、異存はない、こういうことに御了解願いたいと思います。
  21. 竹田現照

    竹田現照君 これは行政府全般がこの土地収用法に今後どういうふうに取り組んでいかれるかということについて、建設省の一人ずもうにならぬようにしなければならぬと考えているものですから、ちょっと伺ったのですが、後ほどほかの行政府の方にもお聞きをしたいと思っております。  それで、いまこういうことをお聞きしたのは、政府与党にとって、この土地対策に触れるということは、これはたいへん痛いのだ、それにはいろいろな原因があるようでありますが、そういうことをいわれている。昨年の八月の朝日新聞の対談で、大臣がこの問題についていろいろとお答えになっておったのですけれども、この点はどうも——土地問題についてかなりずばりずばりお答えになっておられた瀬戸山建設大臣も、この質問にはあまり歯切れのいいお答えをしていないようでありますから、私からあらためてただしてみたいと思うのですけれども、それにこういう質問がありますね。「ある大臣は「土地の私有権にワクをはめるような政策をとったら、地主のムシロ旗がたつ」ともらしたことがある。またある省の幹部は「政治資金の大きな部分は土地から出ている」ともいったそうだ。汚職に土地の問題がからんだ例も多い。世間では、政治と地主、不動産業者との結びつきが、これまで、政府の思い切った土地政策をはばんできたとさえいわれている。「土地の私有権は絶対的なものではない」という考え方を具体的な政策に反映していくとなると、地主や不動産業者の強い抵抗を覚悟しなければならないが、それを押切ってもやる決意が、ほんとうにあるかどうか」という質問に対して、まあ大臣がお答えになったのですから、お答えは十分御存じのはずですけれども、どうもこの点は歯切れのいい御返事をしておられないわけですが、これはどうですか、この点についてあらためてお聞きをしておきたい。
  22. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) だいぶ前のことでありますし、新聞記事でありますから、どういうふうに答えておるか、いま明確に覚えておりません。そういう事態があり得るであろうということは最初から予想しております。しかし、それはやっぱり排除していかなければこの根本問題は解決できないのだというのが、私のその当時から今日まで続いておる立場でございます。
  23. 竹田現照

    竹田現照君 それで、大臣の決意はかなり強いものがある。先ほど言ったように、なかなか与党の大臣の言えないことを言ったというふうに評価をされていますが、そこで、政府は、土地に関する確固たる法概念というものを確立をして、最初に触れました憲法二十九条との関連を明らかにすることともに、土地基本法の制定によって、いままでたくさんある土地関係法規を整理統合して一つの土地体系の確立をはかることが、この土地問題を解決する根本の問題であると思いますけれども、これに対する見解をひとつお聞きしたいと思います。
  24. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私もさように考えております。新聞の話が出ましたから申し上げますが、朝日新聞であったかと思いますが、公開質問が私のところにまいりました、その一点であろうと思います。けれども、それは非常に複雑なものである、非常に時間のかかるものだと思います。そういう意味で、これは土地の考え方、あるいは土地利用のしかた、土地所有権というものに対する国民全体の認識、こういうものを前提にしなければ、なかなか一挙に解決する問題でありませんから、これはやはり今後続けて検討すべき問題である、かように考えております。それよりも、現在の事態というものは、そういう基本問題もさることながら、地価の上昇は御承知のとおり、しかも、そういう問題の中で多くの国民大衆のための仕事をしていかなければならない、こういう問題でありますから、それは別途に研究を続けていくこととし、まず当面の問題を個々に解決していく手段を講じなければならない、まあこういう基本的な考え方に基づいて、各種の具体的な方策、具体的な措置を講じていくのが当面の緊急課題である、かような考え方に立っておりますことを御理解願います。
  25. 竹田現照

    竹田現照君 これは、いままで収用法の改正のたびごとにこの問題が出ていますけれども、そのつど研究を続けていかれるというようなことを歴代の大臣はお答えになっているわけです。これは、しかし、税法の改正のときに見られた、不動産業者や各種の団体の与党に対する圧力というのか、反対運動というのか、それによるこの与党内部の税法の問題に対する動揺、こんなことを見てみますと、研究を続けられていくことはわかるんだけれども、一体この研究はいつになったら実が結ぶのか。これはやっぱり、根本的な問題というものは早くやる必要があるんじゃないか。そのつどそのつど、収用法だってこれは三十回から改正されて、そのつど同じようなことを言われているわけですけれども、やはり研究は早くまとめる必要があるんじゃないか。だから、それは大体どういう目安、一つのプランがなくちゃいけないと思いますね。これはどうなんですか。国務大臣(瀬戸山三男君) 税法の改正について、衆議院における審議過程においていろいろな動きがあった、こういうことをお話しになりましたからあえて申し上げるのでありますが、そういう動きがあったことは事実であります。しかし、その動き自体についてあまり左右されておらない、私はかように判断しておる。これはあるいは聞かれておるかもしれませんけれども、何といっても、今日までの考え方は、相当な、明治二十二年以来続いておるこの収用法の評価の時点についての考え方は、これは従来議論になっておったわけでありますけれども、今日変えようとするわけでありますから、その意味においては相当な変革であります、考え方の。そういうことで、なかなかこの変革については、やはり実際社会に適用する場合にいろいろな支障があるだろう。こういうことは実は社会党の内部にもあるわけでありまして、大蔵委員会においても、その点を非常に心配された御意見がありました。そういうことが実際社会には、たとえば住宅政策と矛盾しはしないか、基礎的な考え方はよろしいが、現時点においてこういうふうな措置をすることが、他の政策との触れ合いと申しますか、調和の点で適当であるかどうかという議論が、社会党の委員の方からも強くお話があったわけであります。そういう観点から今度の改正が行なわれた、基本的な土地に対する考え方についての変革でない、修正でない、これをぜひ御理解願いたい。そういう意味におきまして、与党の中の考え方もいろいろあると思いますけれども、修正はそういう観点からなされておる。これはぜひ御理解願いたい。  それから、土地に対する基本的な考え方、政策の根本に触れる法制をいつの時点でやるのか、急がなきゃならぬのじゃないかと。おっしゃいますことは、率直に言って、いまいつの時点ということはちょっと明確にお約束申し上げることはできない。しかし、おっしゃるとおりに、これはもうすべての根本問題だと私は思っております、社会生活上の。でありますから、これは私だけの問題じゃなくて、やはり衆知を集めてできるだけ早くやるべき問題であると、かように考えて、今後も努力を続けたい、私が建設大臣であろうがなかろうが努力を続けたい、かような決意をしております。
  26. 竹田現照

    竹田現照君 次に、公益の概念についてお伺いいたしたいと思いますが、公益のために私権の制限をする、こういうことは理念としては理解できるのでありますが、具体的に何が公益であるかということは、非常に大きな問題であると思うわけであります。たとえば、労働者の労働基本権の制限も、これはやっぱり公益の名のもとに行なわれている。それが、その制限によっていろいろとしょっちゅう問題を起こしている。しかも、これも、政府の一貫した公益の基準というものは私はないような気がするんです。これは土地問題の例として当たるかどうかわかりませんけれども、これはやっぱり、政府が同じ公益というものについての考え方を示す一つの例だと思いますが、同じ鉄道の従業員でも、私鉄と国鉄労働者の労働誌本権というものは、公益の基準がどこにあるかは知りませんけれども、片方は制限して片方は制限がない。こういうような例。ですから、いわゆる公益の名のもとに進められる一つの、いまの自民党政府の性格性格ですから、これはしようがありませんけれども、その概念があいまいで、常に乱用の危険性を持っていると思うのですけれども、政府の公益性の基準というものは一体何なのか、この点をひとつ明らかに説明をしていただきたいと思います、公益の基準の。
  27. 志村清一

    政府委員志村清一君) 公共の利益というふうな点につきましては、先生お話しのように問題がございます。さような意味におきまして、土地収用法におきましては、第三条におきまして、公共の利益となる事業につきまして、各号に明記いたしておるわけでございます。これらにつきましても、国会の御審議を経まして、公共の利益となる事業であることを確認していただいておるわけでございます。
  28. 竹田現照

    竹田現照君 そういう何かきまり文句のような答弁をされたのでは、これはちょっとあれなんですよ。公益の基準の政府の見解ですよ、私が先ほど言ったように。そのつどそのつど適当に解釈をされておったのではこれは困るわけです。収用法だって、公益のいろんな問題について、いま計画局長が言ったように、これは制定のときからそういうことを言っている。そのたびにこれを変えてきておるわけだ。極端に言えば、毎年公益のためだ、公益のためだというようなことで収用法の改正だって行なわれているわけですね。だから、どこまでいったら、公益のために、法律の運用といいますか、解釈といいますか、このことが政府が考えているようになるのか、そういう点です。
  29. 志村清一

    政府委員志村清一君) 最近における土地収用関係改正と申しますか、収用対象事業範囲の問題につきまして、先生御指摘のように、多少の変化があるわけでございます。と申しますのは、従来の土地収用対象事業と申しますのは、道路とか、あるいは河川、鉄道というように、いわば線的な面、線的な土地につきましての収用を認めるというのが従来の一般的な例でございます。しかしながら、住宅問題、宅地問題というようなことがたいへん重要な問題となってくる、あるいは都市の開発というようなことが重要な問題となってくるというようなことに伴いまして、たとえば、新住宅市街地開発法というような法律によりまして、面的な土地収用ということも、国会の御審議を経ましてお認めいただいたようなわけでございまして、さような意味におきまして、線的であったものが面的な面まで少しずつ広がってきたということは事実でございます。
  30. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 公益であるとかあるいは公共であるとかということについて、いろいろ変化があるんじゃないかと。これはまあ法律家がどういうことを言っておられるか知りませんけれども、非常に、何と申しますか、別にきまった法律上の定義的な、法律で定義を規定しておるのではございません。これはやはり社会の変化に応じて——社会の変化と申しますか、人間生活の変化に応じて、何が一体公益であるか、あるいは公共であるかということを考えていかなきゃならない問題かと思います。御存じのとおりに、憲法にもそういうことばが使ってあります。あるいは公共の福祉のために、あるいは公共のために、こういうことばが使ってある。まあ普通にこういうことを考えます場合に、公共あるいは公共の福祉ということが憲法第十二条にも、あるいは十三条にも、この憲法で認める権利は、公共の福祉に適合するように法律で定めなければならぬ、あるいは権利者は公共の福祉に適合するように権利を使わなければならぬと、いろいろ書いてあります。こういう点から私ども考えまして、まあ公と申しますか、あるいは共にと申しましょうか、また社会全般といいますか、あるいは広い多くの大衆のために権利を使い、あるいは行使しなければならないということで、社会の変遷に応じてその内容というものはやや変転を来たすものである、かように考えておるわけでございます。
  31. 竹田現照

    竹田現照君 この現行土地収用法が私権保護法として生まれ変わって十数年の間に、一体何回これは改正になりましたか。しかも、改正のおもなる理由というものは、ほとんど一貫しているような気がしますけれども、これはどういうふうに建設省は考えていますか、いままでの改正のおもなる理由……。
  32. 志村清一

    政府委員志村清一君) 昭和二十六年に、旧土地収用法廃止されまして、現行土地収用法が制定されたわけでございますが、その後何回かの改正がございますが、その相当部分は、もとになる道路法——たとえば道路という問題につきまして道路法が改正されまして、道路についての名称の変更その他があったというふうな事務的な問題が多かったわけでございますが、二十八年に土地収用にかかる前に調査をせにゃならぬ、その調査の中で地質調査のための土地の試掘というような問題があります。さようなこともできるような改正が行なわれたわけでございます。第二回目の改正は、事業認定に関する処分を行なう機関につきましての改正が行なわれました。また、昭和三十九年には、第三次改定といたしまして、収用法にいろいろ規定してございます手続規定を使いやすいような合理的なものに変えていこうという改正が行なわれたわけでございます。そのほか、個々のいろいろな法律の制定に伴いまして、先ほど道路法について申し上げたような技術的な修正がございましたが、大きな幅の修正は、その三つでございます。土地収用法自体の改正ではございませんが、土地収用法関連をいたしましてもう一つ公共用地取得に関する特別措置法というのが、昭和三十六年に制定されております。収用法に対する特別措置法でございまして、特別緊急を要する事業につきましての手当てを規定したわけでございます。
  33. 達田龍彦

    達田龍彦君 さっきの公共性の問題について、大臣に関連の立場から質問しておきます。  御説明のように、確かに私は、公共性というのは、社会の変化によってその本質が変わるという性質をもっているということはわかるのです。そこで問題なのは、先回私は流通団地の問題の際に触れました。同時にまた緑地の整理法でございましたか、あの場合も触れたのでありますけれども、この公共性とそうして収用の拡大ということが便宜はかられているわけであります。ところが私は、確かに概念上見ていくと、社会の変化に伴って公共性が変わっていく、それに必要性を認めて公共性を拡大し、仕事をしていくという立場はわかるけれども、そのうらはらの関係として、公共性あるいは社会性というものを、国民全体、社会全体が認める立場というものが醸成されなければ私はならぬと思うのです。そういう意味で、政府や行政官庁では公共性を主張していても、国民全体がその公共性と社会性を真に認識し得ないところに、いろいろ土地問題にしても、あるいは建設行政を行なう中においても問題が出てくる。そういう意味で私は公共性というのは、一面では国民が認める公共性でなければならぬというのです。そういう範囲のものが公共性であってしかるべきであると思う。土地収用法の場合にしたって、国民が協力するという立場では、要するにこれは社会性があるのだ、公共性があるのだから協力しなければならぬ、それからもう一つは、金銭上の損得から協力する場合だってあるのです。私はそういう意味でも、公共性というものに対して国民が理解する公共性、社会性というものを、建設当局としても、国においても十分理解させる方策、そういう育成というものが非常に欠けている、こういう問題について、一体具体的にどういう政策をお考えになっているのか、お聞きをしておきたい。
  34. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) もとよりいま遠田さんのお話のように、一体公共性があるのかどうかということは、あるいは国民の考え方というものに私は基づくものであろうと思います。さればといって個々の国民の、こう言っちゃ失礼でありますけれども、独断的な考え方にこれまた支配されるべきものでもないと思います。やはりそのものの性質上、非常に広範な国民大衆の必要性から出てくるのだ、あるいは利益になるのだ、こういうことでなければならないと思います。公共性を認める理解をしてもらう方策というのは、いかなることをしているのかということになりますと、きわめて問題でありますが、たとえば私が今度土地問題について、よく言われておりますように、土地は商品ではないなど、あるいは妙なことを言っているという感じを受けたと思いますけれども、そうして土地政策が非常になまぬるいという批判を受けている。私は個人的に、最初に申し上げたいろいろな土地問題に対する考え方が、あるいは後退しているのじゃないかという御意見もしばしば聞くわけであります。しかし、やはり私はいまお話しのように、なるほど私がこう考えているけれども、多くの国民の皆さんに土地というものはこういうものであるのだという御理解をできるだけ得たい、土地というものについてもう一ぺん、いままで何となく土地というものについて深く考えなかったけれども、これはやはり考えてみる必要があるのだという、世論と申しますか、空気といいますか、そういう一つの話題と申しますか、そういうことを投げかけて理解を深めつつ、やはりこの公共性に基づいた諸制度をつくっていくということが適当であろう、こういう判断を私自身は実はしておるのであります。だから、こういう公共性があるのだから、ドラスティックな方法をどんどんやっていくというだけでは必ずしも根本解決にならないであろう、こういう姿勢を私自身は持っているわけでございます。
  35. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあ大体大臣のお考えわかりましたけれども、もう一点さらに質問いたしておきますけれども、国民の立場から見てみますと、この前私はちょっと触れたのですけれども、公共性と称して、たとえば土地その他のものを収用していく、その結果、先回も触れたのですけれども、一つの企業が大きく収益をもたらす、こうしてみると、公益性だと称して土地を取り上げられながら——ことばは悪いけれども、しかし、結果として取り上げられた土地利益を得る企業が発展をしていったということになれば、これは公益という立場よりも私企業の発展のために提供したという感じを率直に国民は持つのですよ。私は、こういうところに公共性の矛盾があり、問題点があると思うのです。こういうことはやっぱり公共性の限界としてぼくはこの辺のところにきちんとしたものの考え方を持っておかないと、国民の公共性に対する考え方が、協力できない、あるいは非協力という立場に変わってくるのですよ、建設行政をする上において。そういうことがあるから、お役所の言うことはどうしても納得がいかない。強いものには巻かれ、金を持っている者、権力を持っている者には利益を得るようなことをさせながら、自分たち力を持たない、金も持たない者には不幸なのじゃないかという意見は世論として反映していくんですよ。その結果、ものを収用したりあるいは建設行政をやる上においても、国民の協力を得られない大きな原因になっていくのですよ。私はそういう意味で、公共性というものについてきちんとした国民の理解できるような立場をとっておかないと、建設行政に大きな問題を来たすから、ゆえにもう少しはっきりしてもらいたいと思っているのですよ。どうですか、ここらの問題。
  36. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) その件は私はきわめて重要な問題だと思っております。たとえば道路を開設したり、あるいは河川の改修をする、あるいは公園広場をつくる、こういうときには、もう説明を要せずして全くみんなのためだ、こういうことはどなたも御理解があると思います。そこで一面、その事業から収益を得る場合、御存じのとおり、先ほど鉄道とのお話がありましたが、私鉄の企業であるとかあるいは電気、ガス、こういう問題、これは非常に問題があろうと思います。ただその際に、いわゆる公共性があるものとして土地収用にかけて、個人の専横をある程度チェックするのだ、こういう際にどこに力点があるのか、事業をもうけさせるところに力点があるのでなくて、その事業を執行することによって多くの人々、社会と申しましょうか、国民多数が利益を受けるように、この点に重点があるということで、いわゆる公共性を認めていく、こういうようなことであると思う。したがって、その利益についても、やはりたとえば料金の認可をするとかなんとかということで必ずしも私企業の独断にまかせない、こういうまた裏づけが必要になってくる、そういう点が現在そういう私企業にあると思いますが、その点の調節と申しますか、調和がなければ、国民はなかなか理解しない。これはきわめて重要なことだと考えておるわけでございます。
  37. 竹田現照

    竹田現照君 先ほど計画局長がお答えになりましたが、やっぱり改正のおもな理由というのは、収用手続の簡略化、適用事業の拡大、達田君も言ったけれども、そのときそのときのあれによって変わるにしても、公益概念の変更であったことは事実だと思う。ですからそういうことによって、そのつど私権の制限がだんだん大きくなってくる。だから収用法は私権保護法じゃなくて、このごろは昔の収用法に変わってきたんじゃないかというような説すらある。そういうようなことですが、今度のこの改正案も、さらに私権制限が一そう強くなってくる——強くなってくるんじゃなくて強くなる、そういうふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。
  38. 志村清一

    政府委員志村清一君) 今回の改正法案は、確かに事業認定価格を標準にして補償額を定めるという意味におきまして、従来の裁決価格と比較いたしますと、一般的には低い価格になってくる。その意味で私権のチェックというものが従来よりきびしくなるのではないかというようなことかと思います。その点につきましては、同じく改正法案の中で、土地所有者等から補償金支払い請求ができるという制度を新たに挿入いたしておるわけでございまして、すなわち、事業認定告示されますと、直ちに一定の手続を経まして土地所有者等補償額支払い請求ができる、そうしてその支払い義務が起業者にあるわけでございますから、早急に支払わなければならない。しかし、とかく起業者側の評価というものが低くなってしまう、そうすると土地所有者に著しい損害を与えかねないということから、もしその額が収用委員会を考えた額よりも低い場合には、その差額に従いまして加算金を支払わなければならないという制度を導入しているわけでございます。こういったことによりまして、いつまでもゆっくりとしておられる方については若干の問題があろうかと存じますが、補償金の前払い請求をなさる方にとりましては、従来と同じような権利の主張ができるというふうに考えているわけでございます。  そのほか、裁決手続を二つに分けて、権利取得裁決補償裁決に分けておりますので、権利取得裁決につきましては、従来両方込めて裁決があったためにある程度時間がかかったわけでございますが、それらの時間も非常に短縮される。それらは権利者にとってもたいへん有利なかっこうになるわけでございます。しかも、土地等所有権権利取得裁決によりまして起業者に移りましても、補償裁決がなされるまでの同はもとの土地所有者がその土地を使うことができるという制度も同町に改正法案の中に盛り込まれておりますので、さような意味におきましては、ある面では確かに私権制限が若干強くなったということが言えると存じますけれども、それをカバーする制度が同時に導入された、かように考えておる次第でございます。
  39. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) この点はぜひひとつ御理解を願いたいと思うのでありますが、こまかい規定については、いま計画局長から御説明いたしましたが、この改正の根本のところは御承知のとおり、評価の時期をどこにするかというだけであります。それに伴っていろいろな細部の規定が付随して起こっておる。そこで評価の時点を卒業認定時にする、従来は裁決町であった。その間において評価がやや違う、したがって、私権制限になりゃしないか、こういう感じが起こるのは、私は現在の社会情勢では必ずしも無理ではないと思います。私がこれから申し上げることを御理解願えるかどうか問題があろうと思いますが、この改正をするという基本的な態度は、先ほど来土地の本質に触れまして、土地によって不当な利益を得るということは、土地の本筋からいって適当でない、また憲法にさようなことは期待しておらない、こういう前提に立っておるわけでございます。そこで多くの場合、土地が一体何で値段が上がるのか、こういうことを見ますと、社会の開発と申しますか、土地の利用が便利になった、こういうことから土地の値段が順次上がっていくということが原因であろうと思います。こまかく申し上げるまでもなく、全然道路のないところに道路をつくった、そうすると、近傍類地あるいはその付近の土地が利用される、いままでは人間社会においてほとんど無価値、と言うとおかしゅうございますが、経済的には無価値のように扱われておったけれども、利用価値のあるものとして扱われるような状態になってきた、そうしますと、土地の値段が従来から数倍、あるいはものによっては数十倍になる、これは一体だれのためにそういう状態になったか。私はまあことばは適切でないかもしらぬけれども、あるいは国あるいは地方公共団体その他、いわゆる社会の努力と申しますか、国民の努力によってさような状態になったのだ、それに価値が創造された、その価値が、たまたま土地を所有しておった人々の手によって創造されたものでない。だから、その価値というものは、全部といいますとちょっとドラスティックになるかも知れませんが、おおむねやはり社会に還元すべきものであって本来憲法その他は、そういうことでできた価値というものを個人の独占に帰すべきものであるとは、私は憲法は志向しておらない、かような判断に立って、そういう考え方に立って、公共事業をするということ、これは告示した時点でやれば、そういう方には何らの不利益を受けない。その時点の評価で何の不利益も受けないのだ。その後の期待というものは、それはみずからの努力によったのではなく、国民の努力によってさような状態を来たしたのであるから、これは国民に帰属さすべきものである、かような基礎的な考え方に立って改正しようというわけであります。まあ、この議論に賛成されるかされないか、いろいろであると思います。したがって、非常な厳密な意味でいいますと、これは私権を制限しておるものではなくて、従来の、私に言わせると、誤まれる私権と称せられておったそのものを正常に戻すのだ、私権の評価を正常に戻すのだという考え方に立っているのだというふうに御理解を願えると、よく私権の制限をすると、この問題、この点について私権の制限をするという御議論がよくあるのでありますけれども、私は、あえてその方々に特別な損害をかけるのではなくて、特別な利益を独占させない、これが私は憲法が認めておることであろう、こういうふうな基礎的な理念に立っておるということを御理解願えれば非常に幸いだと思います。
  40. 竹田現照

    竹田現照君 誤れる私権といわれているものを正常に戻すのだ、こういうことですけれども、私はまあその法の運用についてあとでも質問しようと思っておったのですけれども、今度の改正は、事業認定ということは後ほど詳しくお聞きいたしますけれども、どうも基本的には、あまり文句は言わせないと、うんと極端に言えば、問答無用だと、そういうような結果をこの改正案は持っているのではないかと思っておるのですよ。ですから、いままでは大半が、法律があっても任意協議でほとんど解決してきておったのです。任意協議と言うと、納得ずくでひとつ解決していくというのが原則であるわけですね。ところが、そういう方向ではなく、今度の認定価格で凍結するというが、こういうことは、いま私が言ったように、あまり土地を持っているやつは文句は言うな、これで凍結をしてやっていくのだと、そういうような結果を招来をするという気がするのですがね、これはどうなんですか。
  41. 志村清一

    政府委員志村清一君) 土地収用法におきましては、起業者土地所有者等権利者の間の話し合いということにつきましても、今般の改正案におきましても種々配慮をいたしておるわけであります。たとえば、あっせん制度でございますが、事業認定申請前に、両者の間においてあっせんをして土地取得、買収といったような関係をお互いの話し合いで進めるという制度もあるわけであります。また、事業認定を受けましたあとにおきましても、裁決申請に至るまでの間におきましては協議制度がございまして、協議が相ととのいますと協議の確認というふうな手続も同時に行なわれ得るという制度もございまして、お互いの話し合いの場が十分あるわけでございます。また、裁決申請されました後におきましても和解制度がございます。和解につきましては、今般権利取得裁決と、それから——先ほど補償裁決と申しましたが、明け渡し裁決の誤りでございますが——明け渡し裁決というふうに二つに分かれておりますが、結局それぞれに相応する和解というふうな規定も置かれておるわけでございまして、当事者間でお話し合いを進めるということにつきましては、従来と変らずに諸制度を整えておるわけでございます。
  42. 竹田現照

    竹田現照君 しかし、そう言いますが、やはりその前提となるものは、やはり起業者事業認定時に凍結をするというその時の価格ですね、これがたたき台になる限りにおいては、いま局長が言われるように、裁決申請までの間の一年間、あるいはその後、いろいろと方法があっていままでと違わないというけれども、大体たたき台がたたき台なんだから、それのあれがない限り、やはりあれじゃないですか、所有者というものは話し合っていく、いままでの任意協議解決、こういうようなことというものは結果的には踏まれなくなるのじゃないですか。
  43. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 事業認定町の価格にするということと、裁決時の価格にするということは、価格の評価には何らの違いはございません。ただ、いまの法律によりますと、事業を執行するということで、いろいろそれを期待して値上がりをした時点において、その当時の近傍類地価格等によって評価をする、こういうことになっております。今度の改正は、事業をいたしますということを告示した時点における近傍類地等の評価による、これだけの違いがあるわけであります。その後の利益を個人に得せしめるのが適当であると、こういう議論に立ちますと全然話が違ってきますけれども、そうでなければ、それは適当でないという前提に立ちますと、現行法の評価の方法とこの規定に基づく評価の方法と何ら差別はないわけでございます。
  44. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連して。建設大臣にお尋ねしたいのですが、いまの竹田委員の質問に対して、土地の値上がり等による所得がある程度社会的にチェックされるといいますか、されることもやむを得ないという考え方の御答弁だと思ったのですが、それは一つには、収用される土地所有者に対してと、収用された土地の周辺の土地の値上がりに対するところの所得に対してもそういう点が考えられなければならぬので、税法改正が並行して出されたと思うのですが、その税法改正が骨抜きされたということと、いまの議論されておった土地の問題との関係が少し均衡が破れたというかっこうに私はなったのじゃないかと思うのです。こういう点について、大臣はどうお考えになりますか。
  45. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私どもは、政府原案で収用される場合、従来いわゆる特別措置法収用特別措置法による事業の場合は、所得から七百万円基礎控除したものを課税対象とする、こういう制度がありました。土地を供する側からいうと、土地所有者側からいうと、そういう事業であろうがほかの事業であろうが、差はないわけでありますから、今度の場合は、すべて千三百万円の限度までは課税対象から控除する、こういう調節の方法をとろう。一面においては、収用地以外の、近傍と申しますか、その他の土地については、今日までの課税の方法、いろいろ段階がありますけれども、いまもやはり多くの課税をすべきである、そのバランスをとろうというのが、政府原案でございます。修正されましたのは、今度の改正法施行された後における土地についてその方法をとろう、結局、バランスがどういうふうにしたほうがとれるか、見解の相違でありますから、そのバランス論自体は違っておりませんけれども、どの程度がそれじゃバランスであるかというところの見解の相違であります。私どもの原案がよいのか、あるいは国会で修正されたほうがよいのか、これは議論のあるところであろうと思いますが、さっき申しましたように、土地制度という、あるいは地価問題というのは、そうドラスティックな一気に快刀乱麻というわけにいきませんから、いろいろな意見を取り入れて、漸進的にやるよりやむを得ないであろう、こういう意味で修正に対しては、やむを得ないものということで私どもは賛成をいたした、こういう立場でございます。
  46. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これにて暫時休憩いたします。午後二時に再開いたします。    午後一時二分休憩      ———————————    午後二時四十一分開会
  47. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これより委員会を再開いたします。  請願第三四号、既成市街地開発立法化促進に関する請願外九十六件を一括して議題といたします。  まず、専門員から説明を聴取いたします。  速記をとめて。   〔午後二時四十二分速記中止〕   〔午後三時八分速記開始〕
  48. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。  それでは、ただいま審議いたしました請願は、請願第七七号外二十四件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、請願第三四号外七十一件は、保留とすることに決定して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  51. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 継続調査要求についておはかりいたします。建設事業並びに建設諸計画に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしも、と存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求得の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  54. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 委員派遣承認要求についておはかりいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い等を委員母長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて暫時休憩いたします。    午後三時十分休憩      ———————————    午後十一時二十三分開会
  56. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これより委員会を再開いたします。  住宅建設計画法案議題といたします。  本案は、前回質疑を終局しておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますので、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  住宅建設計画法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  58. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十三条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  60. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。     —————————————
  61. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、日本勤労者住宅協会法案議題といたします。  本案は、前回質疑を終局しておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますので、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本勤労者住宅協会法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  63. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十三条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  65. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。     —————————————
  66. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、継続審査要求についておはかりいたします。  土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後十一時三十三分散会      ———————————