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1966-06-24 第51回国会 参議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十四日(木曜日)    午前十一時十九分開会     —————————————    委員異動  六月二十四日     辞任         補欠選任      白木義一郎君     矢追 秀彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 石井  桂君                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 平泉  渉君                 米田 正文君                 田中  一君                 竹田 現照君                 達田 龍彦君                 前川  旦君                 矢追 秀彦君                 片山 武夫君    衆議院議員        発  議  者  井原 岸高君        発  議  者  岡本 隆一君    国務大臣        建 設 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        厚生省年金局長  伊部 英男君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省住宅局長  尚   明君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        林野庁林産課長  大隅 清示君        通商産業省化学        工業局窯業建材        課長       吉川 佐吉君    参考人        日本住宅公団総        裁        林  敬三君        住宅金融公庫総        裁        師岡健四郎君        年金福祉事業団        理事       栃本 重雄君        日本労働者住宅        協会参与     設楽 和夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○流通業務市街地整備に関する法律案内閣提  出) ○住宅建設計画法案内閣提出衆議院送付) ○日本勤労者住宅協会法案衆議院提出) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、白木義一郎君が委員を辞任され、その補欠として矢追秀彦君が委員に選任されました。
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 流通業務市街地整備に関する法律案議題といたします。  本案は、前回質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  4. 田中一

    田中一君 私は、日本社会党を代表して、次の二、三点の問題点について注意並びに考慮を促しながら、本案賛成するものであります。  第一の問題は、この目的が、都市過密化によるところの応急の施策であるという点につきましては、常に後手後手の手を打つものでなくして、そこにはっきりときまっておりますけれども、将来予想される大都市化都市においても、そこのところが単に大都市ということばかりでなく、その他の法案におきましても、たとえば地域的な新産都市等施設法案もあります。それらの将来伸ぶべき、発展すべき都市というものを含めた指定を行なうことが必要であろうと思います。  第二の問題は、主としてこれらの施設に入る事業主体は、政府並びに大資本の擁護によって営業を営むような形のものが多いのでありますが、その中でも零細な卸売り業者への分譲——特分につきましては、これらの業者負担が軽くなるような措置を十分とっていただきたい。審議にあたっても申し上げているように、土地の分譲につきましては、原価主義をとるように、また、移転された営業者の旧地域における財産等につきましては、流通センターに移転される者たちの利益を十分擁護するような保護を与えること。開発銀行金利等につきましても、できるだけの低利子で行なうように、将来とも考えていただきたい。  第三の問題は、この建築様式が、この法律によってはっきり規制してありますように、主管大臣であるところの、当面担当する大臣である建設大臣が大幅な権限を持っております。それで、各省にまたがるところの業務範囲主管事項がございますから、その点の調整と問題を総合的な見地から独走させないようにまとめるように、そうして単に流通センターに入るもののみならず、その地域を提供したところの周囲の住民の意思をも十分反映した清潔な公害のない美しい街区づくりをしていただきたい。これは私の要求希望でございます。  と同時に、新しい試みであるだけに、最初に手をつける大阪・東大阪、または板橋地区はモデルケースとなるのでありますから、そういう点については、建設省は直接監督の任とは申しながらも、法文上の問題だけにとどまると思います。この際は、そうでなく、もっと現場の実施状態につきましても、常に監視を怠らず、所期の目的を達するような具体的な方途をとっていただきたい。  これだけを申し上げて、本案賛成するものでございます。
  5. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  流通業務市街地整備に関する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  7. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 全会一致と認めます。よって本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 住宅建設計画法案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言願います。  なお、灘戸山建設大臣、尚住宅局長のほかに、参考人として日本住宅公団から林総裁が、また住宅金融公庫から師岡総裁が出席いたしております。
  10. 前川旦

    前川旦君 建設大臣にお伺いいたします。日本住宅問題については、具体的な住宅に対するビジョンかないということが識者の間ではかねてから言われておるわけです。そこで私は、住宅問題にこれほど意欲的に取り組んでおられるいまの瀬戸山さんは、まさかビジョンがなくして計画を立てることはできない、これは常識でありますから、住宅についてのビジョンといいますか、国民住生活についての理想像といいますか、それを私は具体的に承りたいと思うわけです。  それで問題はたいへん多岐にわたるわけですから、これは都市計画的なもの、あるいは環境的なものは一応除外して、純粋の、狭い意味の住宅という立場から、日本人の住宅のあり方としてどういう形か理想として考えられるのか、この点について具体的にお答えをいただきたい、御見解をお伺いしたいと、かように思います。
  11. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 将来の想定と申しますか、ビジョンがなくて政治の考え方としては適当じゃなかろうじゃないか、こういう御趣旨であろうと思います。もとより私のみならず、従来から一つ目標と申しますか、ビジョンを持って住宅政策を進めておると私ども思っております。ただ昨日もお答えいたしましたように、諸般の事情等もからんで、なお国力といいますか、国民生産力あるいは国民所得の力、こういうものとも作用いたしまして、必ずしも希望どおり、あるいはビジョンどおりにいかないというきわめてむずかしい問題があるわけでございます。詳細については事務当同からお答え申し上げると思いますが、私どもがいまここで現在進めておりますのは、住宅事情というのは御承知のとおりでありますが、年々、環境の問題は省きまして、住宅のみに限っても、「一世帯下在宅」の目標は少なくとも普通世帯四人世帯で三寝室以上のものを建てるべきだ。もちろん三寝室といいましても、あるいは六畳、四畳半、三畳あるいは八畳、六畳、四畳半といろいろあるわけでありますけれども、少なくともこの生活のいこいの場として最小限度寝室以上はなければならない。現在まだそれを完全に充足する段階に至っておりませんけれども、年々計画予算規模等は、三寝室を、おって詳細については事務当局から申し上げますが、それをいま一つ目標として、「一世帯住宅」に届こう、こういうことでありますが、それでは私どもはまだまだ、それで人間生活ほんとうのこの根底になる、活動の源泉になる住宅としては、それで満足だとは思っておりません。数年前住宅計画建設省として考えました際には、昭和五十五年ごろを目標にして、少なくとも現在欧米先進国住宅事情にまで追いつかなければならない。それは少なくとも、欧米では、現在の調査で、国によって違いますけれども、一人一・何パーセントで、一室以上の面積を持っておるというのが大体欧米のなべての居住状況のようであります。現在は日本状態はなかなかそういっておりません。それを先ほど申しましたように、少なくとも普通世帯四人——子供合わせて四人で三寝室は要る、もちろんそのほかに、ふろ場あるいはキッチン、食堂は別でありますけれども、そういうことをいまねらっておりますが、目標としては、やはり一人に一室以上、これがいまの欧米状況でごさいますが、そういうことをねらっていかなければならない、これが住宅計画の基礎になって考えておる、こういうことが現状でありますか、今度の五カ年計画を逐次立てていくという、住宅計画をお願いしております根底には、日本経済発展等考えまして、御承知のとおり、いわゆる従来の経済政策は実情に合わないということでやめまして、いま将来少なくとも二十年を想定したその間の五カ年計画というようなものを、いま経済企画庁中心にして新たな経済計画と見通しと想定というものをいま検討中であります。私どもは、将来の日本経済発展を見通して、それに合わして今後の住宅計画を、いまさっき、あらまし申し上げましたような計画を、いま事務当局に再検討さしておりますが、いま申し上げましたように、欧米水準に達する一室——一・何%かの部屋を一人で持つ、こういう居住水準目標にしていきたい。それに応じた「世帯住宅」に持っていきたい。これが私どものねらいであります。  この法案にもありまするように、これはいわゆる五カ年、いま六百七十万戸を想定しておりますが、この間に目標を達成するということは、いまの日本国民経済力ではできないということでございますが、少なくとも普通世帯寝室以上と、こういうことを目標に五カ年計画を立てたい。この五カ年はさらにまた次の五カ年計画というふうに考えておりますが、その順を追うて、質のいいといいますか、先ほど申し上げました目標に漸次近づけていく、五カ年計画を順次改定していかなければならない、これが私どもの基本的な考え方であります。  やや詳細については、住宅局長から申し上げたいと思います。
  12. 尚明

    政府委員(尚明君) ただいま大臣から御説明申し上げましたような次第でございますが、具体的な計画といたしましては、建設省が去る昭和三十八年十一月に、総合的な国土建設基本構想という形で昭和五十五年に対する目標を定めました。この目標におきましては、住宅につきましては、昭和三十五年に一人当たり住宅規模は四・二坪でございましたが、これを六・七坪に持ってまいりたい。そしてこれを試算で申しますと、一人当たり住宅試算が、昭和三十五年には十五万七千円でございましたが、これを四十一万五千円、二・六倍に引き上げたい。で、その結果住宅規模全体といたしましては、一戸の平均は約二十二坪、これによって一人一室ということを実現いたしたいというふうに考えておるわけでございます。その五十五年の世帯規模を一応三・三人と考えておりますので、今日普通世帯といっている四人家族の場合には、約二十七坪ということを構想しているわけでございます。  さらに新しく経済長期計画を立て直すということで、経済企画庁中心に、これから作業に入るわけでございますが、これは目標昭和六十年に置いております。で、これに対応いたしまして、ただいま建設省内で作業している構想といたしましては、昭和六十年においては、一人当たり六畳一個室のほか、各世帯に六畳程度の共同の部屋、いわゆる居間を確保する。そういたしますと、一戸当たり延べ面績は、三人世帯で約二十四坪、四人世帯で約三十坪、平均して二五・五坪、ここあたりの規模目標といたしたいと思っております。かつ、設備につきましては、当然台所、便所、浴室等を具備するほか、暖冷房もできるようにする、こういうような点を住宅構想に盛っているわけでございます。  今回の建設計画法に基づきます第一次の五カ年計画の四十五年度末は、そのまず第一段階として当面一番問題であります、きわめて狭小ないわゆる六畳一間というほんとうの困窮の状態をなくす、それから老朽住宅をなくす、それから同居もしくは非住宅に住んでいるというような状態をなくす、そうしていわゆる「世帯住宅」を実現するということに力点を置いております。そうして規模は、いま申しましたような長期計画に対しては、相当低いわけでございますが、三人世帯で少なくとも九畳以上、四人世帯で少なくとも十二畳以上に住まわせる、そういう第一ステップをもちまして、まず第一次五カ年計画を達成し、第二次におきましては、質の改善のほうにずっと力を入れてまいるという構想を立てておるわけでございます。
  13. 前川旦

    前川旦君 関連してお伺いいたしますが、たとえば一戸建ての場合であれば、敷地とそれから建築面積との割合はどう考えているか、あるいはまた、アパートであれば隣棟間隔をどう考えていらっしゃるか、あるいはまた、階数の限界をどう考えていられるか、この点について続いてお答えいただきたいと思います。
  14. 尚明

    政府委員(尚明君) いま私どもは、これらの住宅構造につきまして、昭和六十年、いわゆる二十年後の住宅についてですが、今後二十年間に建設する住宅が、この長期計画によりますと、二千七百万戸が要るわけでございますが、このうち四二%程度の千百五十万戸程度木造で、五七%——半数以上が、いわゆる不燃構造ということにいたしたい。そうしてその結果、当時残っている全体の住宅——当時現存する全体の住宅の約半数木造、約半数が非木造という状態にいたしたいというふうに考えております。  そうして、いまのお話の一戸建て住宅面積等でございますが、まだその点につきましては、十分の試算はいたしておりませんが、これは都市計留の拡充の制限とも関連いたしているわけでございまして、しかし、全般的に概括的に申しますと、われわれの住宅政策でただいま考えておりますのは、最高の高層住宅等が建ち並ぶ非常に密度の高いところにおきましても、大体五百人ヘクタール、きわめて一部においてはそれを上回るところがありますが、五百人ヘクタールくらいの密度、それから木造等郊外のところにおきましては、二百人ヘクタール、さらに郊外へ行けば百五十人ヘクタールくらいというような環境ということで考えているわけでございます。高さにつきましては、当然建てられる場所によって違うし、また、今後の建築構造で変わってくると思いますが、都市内では、相当のいわゆる超高層の二十階、三十階というものを実現し、その結果、周辺に十分の緑地及び空間をとるという方向でまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  15. 前川旦

    前川旦君 鉄筋アパート建てる場合は、耐用年数はかなり長いわけです。そこでこの間、第二十八回ですか、住宅都市計画会議というものを東京でなされました。そのときに来た外国専門家が一様に口を同じくして言うことは、日本公団団地を見て、部屋が狭過ぎる、それから棟と棟との間隔が狭過ぎる、ということを一様に批判をしているということが、日経の六月二日に実は出ているわけです。で、木造一戸建て建物あるいは木造アパート、この場合は、耐用年数はわりに短い、回転が早いということも考えられますが、恒久的な鉄筋建物の場合、結局あなたのいま言われた昭和何年——えらい先の話ですけれども、結局やはりその場で狭小過密というような一種のスラム街ができてくる、となると、いま努力してやっても、それが無効投資になるというおそれも私は多分にあると思うわけです。その点をどのようにお考えになって、いまの恒久的な建物に対する対策を考えていらっしゃるか。いまあなたの言われた、建設省でこしらえたその将来のビジョンと現在とのギャップをどう考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
  16. 尚明

    政府委員(尚明君) 先般の世界住宅都市計画会議の方が赤羽住宅公団団地を見学されて、新聞にありましたような感想を濡らしたことは事実でございます。で、これにつきまして私ども考えておりますのは、一つは、部屋が狭過ぎるということではございますが、この鉄筋コンクリートアパート部屋につきましては、先ほど大臣がお話しなさいましたとおり、最近、住宅公団でも三部屋のものをふやしておりまして、昨年は、団地にいたしますと、六〇%は三部屋にいたしましたが、これは本年では七〇%を三部屋にするというような予算措置で、漸次その面積を引き上げているわけでございます。さらに、いまお話しにございました耐用命数の問題があって、在来、過去においてつくりましたいわゆる二DK等の二部屋のものが多くなり過ぎてしまわないかという問題でございますが、もちろん二部屋のものでも、いわゆる若夫婦だけとか、小さな赤ちゃんだけが一緒に住んでいるのならば、そう環境は悪くないわけでございますが、これがあまり多くなり過ぎると、それに大きな家族が入るという状態になりまして、確かに過密——いまは過密とは言いませんけれども、将来過密と言わざるを得なくなるというふうに考えております。これにつきましては、これはまだ省内でもいろいろ検討し、いろいろな実験段階をやっている程度でございますが、鉄筋コンクリートアパートに、もう一部屋ないし二部屋というようなものを増築するという技術を考えております。これは現に例が二つございます。一つは、ただいまの東京住宅公社が茗荷谷に持っておりましたアパートで、二部屋のものでございましたが、住民が全部希望いたしまして、そのために家賃が上がってもよろしいということを確約を得まして、一棟三十二戸につきまして、全部一部屋、それからキッチンが単なる台所でありましたのをダイニングキッチン増築するということを実験して、そうしてそれはすでに大きいほうの三部屋にそのままで入っておられます。さらに私は、そのときに使いました工法が、普通の鉄筋コンクリート工法をもって増築するというやり方をやりましたが、これを将来のことを考えて、もっと簡易にできる方法はないかと考えまして、川崎市におきます公営住宅につきまして、増築部分をあらかじめ鉄骨を中心として工場で作成し、そうしてそれに対しまして現地で現在の住宅にいたしまして、できるだけ工事中の期間を短くして増築するという工法を試みました。これはかなり工期を短縮したわけでございます。この際いずれも、どういう不便があったとかいうような資料を、すべて日本住宅協会の中に委員会をつくりまして、各種のデータをとって将来に備えているわけでございまして、このようにいたしまして、国民増築した部分、これによりまして何割かの家賃が上がるわけでございますが、これに負担に耐えられるような時期を見はからって、在来のあまり狭いといわれるであろうアパートにつきまして、その一部もしくは大部分増築するというようなふうにしてまいりたいと考えております。と申しますのは、私のこれは個人的な感じでございますけれども鉄筋コンクリート増築できないと思っているのは、全く間違いでございます。それから個人経済考えましても、やはり収入の少ないときは小さな家に住み、やがて子供も大きくなり、収入もそれにつれてふえていきますときには、やはり皆さま方個人におきましては、子供の勉強の部屋増築するというようなことは、これはもう自然の経済でやっているわけでございまして、公共のみがその方法がないということはないわけでございまして、そういうことをそういうこととして私どもはすでに実験をいたしておるわけでございますが、この工法等につきましては、将来も研究が必要と思います。  次に、隣棟間隔が十分でないということでございますが、これは残念ながら私ども四階建て程度建てていて、先ほど申しましたように、人口密度をいまの程度、たとえば赤羽等におきましては、おおむね四百人か五百人ヘクタールぐらいの——ヘクタール当たり五百人というような密度の設計でございます。そうしますと、四階建てではおおむね二十メートル程度間をあけるということになります。これをもし十階建てにしますと、間を四十メートルあけられるわけでございます。そうすると、自然の風景というものが、ランドスケイプというものが十分取り入れられる。ヨーロッパにおきましては、昔建てましたれんが造アパートをさらに十階、十五階にすることによって、間の空間をうんとあけるということを一部の新しい団地で最近試みつつあるわけでございます。そにに比べまして、わが国はまだ諸外国やり方に若干そのステップはおくれているわけでございますが、これは一方では国民所得も関係してくるわけでございまして、わが国は、諸外国とも違いまして地震等がありますために、十階建て十五階建てをつくりますと、どうしても構造にお金がかかり、また、エレベーター設置費、あるいはそのエレベーター維持費等考えまして、家賃が現在より一そう高くなるために、これを都市計画的には、確かに高層建てて、そうして間をうんとあけるということがいいのでございますが、すべてにわたってそういう方向を強く打ち出すということは、まだ所得関係で十分できませんが、われわれ建設者としては、その方向へできるだけ可能性を見出していく。そういたしますと、面積の問題も隣棟間隔の問題も片づいてくるというふうに考えているわけでございます。  少し長くなりまして恐縮でございますが、わが国国民所得その他からいって、西ドイツあるいはイギリスとは違うわけでございますから、いま私が申しましたように、いかにも、何といいますか、増築というような一見みみっちいような考えのように見られますが、私の信念としては、わが国わが国独特の質の向上方法、そういう方法論を、わが国中進国と申しますか、先進国を鋭意追っかけている状態として独特の方法を編み出さなければいけないのじゃないかというふうに考えている次第でございます。
  17. 前川旦

    前川旦君 東京都が行ないました世論調査では、全体の四四%の人が、狭いという訴えをしているということがいわれております。そこで、この住宅の問題は、戸数主義の問題はあとから触れますが、単なる戸数ではなくて、質の問題も入ってきているのじゃないか。質の問題を把握しなければ、やはり基本的な問題の解決はないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。そういう意味から、あなたが先ほど言われた将来のお考えになっておるビジョン、これは質の問題でとらえたビジョン、この五カ年計画の内容が、具体的にそれに近づけるためにどういうふうな努力をなさっておるのか、質の向上として具体的な建設省の努力の内容について、この際明らかにしていただきたいと思います。
  18. 尚明

    政府委員(尚明君) 質の問題がまさに住宅の問題であるというのは、先生の御指摘のとおりでございます。戦争直後は壕舎、仮小屋等、いわゆる非住宅居住あるいは他人の家の同居が非常に多かったわけでございますが、幸いにして国民の努力によりまして、今日は一番問題として多いのは、やはり面積が狭いという問題でございます。もちろん今日なお老朽住宅あるいは住宅以外の住宅に住んでいる人間、あるいは同居している人間というのはまだ相当にございますが、何と申しましても一番多いのが、質の悪い住宅、すなわち六畳一間あるいは四畳半一間の木造アパートに住んで、その狭さを感じている人が圧倒的に多いわけでございます。そこで私どもの第一次五カ年計画といたしましては、この六畳一間のようなアパートに住む人数との関連におきまして、二人ないし三人の小所帯は、少なくも今後九畳以上の家に住まわせる、昭和四十五年までに。それから四人以上は十二畳の家に住まわせるという規模考え、一応の水準といたしまして、これ以下に住んでいる方が困窮者であるという感覚として考えまして、そうして今後建設する住宅は、すべていまの水準以上の住宅をいわゆる六百七十万戸建設し、これを目標として「一世帯住宅」を実現する、すなわち、そういう意味でいま申し上げました水準自身が長期構想に比べてはまだ低いステップでございますけれども、少なくとも、いずれの方も二部屋以上に住めるという状態に四十五年度に持っていくということが一つ目標でございます。これがやがて第二次、第三次と次々の財政的な能力とあわせ考えながらステップを上げていくという方式をとりたいというふうに考えているわけでございます。
  19. 前川旦

    前川旦君 関連してお伺いしておきますが、公営住宅の中で設備が、流しとか給水設備あるいは便所、これが共用になっているところがまだかなりあります。たとえば、これは全国の統計ですが、炊事用の流しの場合は、これは公営の借家ですが、四万戸が共同である。また給水設備については、十万戸が共用である、便所については、まだ一万戸残っている。これはこういうような非常に居住条件の悪いことが公営の住宅として残っておりますが、これは、今度の五カ年計画でこれをどう改善をなさっていくのか、その具体的なプランをお聞きしたいと思います。
  20. 尚明

    政府委員(尚明君) いま先生の御指摘になりましたいわゆる公営住宅、この中にはおそらく公営住宅法に基づくものでない公共住宅も入っているのではないかと思いますが、いずれにしても、こういうものがまだ幾らか残存しているのは事実でございます。と申しますのは、御承知のように、終戦直後の住宅政策やり方として、いわゆる応急対策をとりました。そのときは兵舎、工場等の要らなくなった建物を国が援助して改造させて、そうしてそこにいわゆるいまで言えば簡易住宅をつくらしたことがございます。これがおそらく昭和二十年、二十一年ぐらいにわたって行なわれまして、これらの住宅につきましては、その後公共団体は逐次これを取りこわして、新しい公営住宅——最近のように二部屋ないし三部屋になっている公営住宅建てかえているわけでございますが、この建てかえはまだ十分に進んでいない場所もあるわけでございます。私どもとしては、今後この建てかえを促進して、これはともかく自分が大家になっているものでございますから、建てかえの決心をして財政措置をとり、そうしてなお入居者との関係がうまく話がつけば、順次建てかえられるわけでございますので、これをぜひ促進いたしたいというふうに考えているわけでございます。  なお、設備のみが不十分であるというようなところにつきましては、追加の設備を行なわせるというふうにしてまいりたいと考えているわけでございます。
  21. 前川旦

    前川旦君 その問題はあとでまたあれしまして、さっきの住宅ビジョンの続きでありますが、建設省としては、普通の勤労者の通勤時間の限界というものは、どれくらいであるというように考えていらっしゃいますか。先ほどのビジョンと関連をしてお伺いしておきたいと思います。
  22. 尚明

    政府委員(尚明君) 私ども住宅建てますときの一応のめどといたしまして、たとえば日本住宅公団住宅団地あるいは公営住宅につきましては、補助金を交付するときの審査の基準というようなことにつきまして、おおむね通勤は一時間という範囲でできるようにいたしたいというふうに考えております。しかし、これはきわめて概括的なものでございますので、勤務場所等につきまして、大都市都市地域自身でも相当大きいものですから、一応のめどでございまして、個々につきましてはその上下になるわけでございます。
  23. 前川旦

    前川旦君 建設大臣にお伺いをいたしますが、この住宅建設計画法法案を見た場合に、ほとんどの人がこれは一体何だと、こう言ったと思うのです。中身はこれは単なる手続をきめたものにすぎないじゃないか、先ほどのビジョンの問題と関連があるわけですが、これは衆議院でもだいぶ論議されているようですけれども、やはり手続をきめる法の前には、基本的なものをきめる法があってしかるべきではないか、やはり住宅基本法というものがあって、それからこういうような手続き法があるのが、これはやはり何といっても筋ではないかと思うのです。ところが、衆議院の論議の大臣の答弁を読んでおりますと、理想的なビジョンを出すということは、これは現実にそうなっていないのじゃないかということで、なかなかむずかしい問題があるのだ、こういうことを答弁されておるのを、実は議事録を読みましたが、私は、いまそうなっていないからどうも出しにくいというような、一種の政治的なテクニックの問題ではなくて、やはりこれはもう思い切ったことを言われておる非常に前向きの建設大臣のことですから、先ほど言ったような、いろいろな日本における住宅政策ビジョンというものをやはり大胆に打ち出して、それに対して最大の努力をしていくのだ、こういう形でやはり基本法というものを先に制定をして、それから手続的なものをあわせてやるということが、私はやはり筋からいって正しいのではないかというふうに考えるわけです。そこで、蒸し返しのようになるわけでございますけれども大臣にその点についての見解をお伺いしておきたいと思います。
  24. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) おっしゃるとおり、重ねて申し上げて恐縮でありますが、住宅というものは、私は、人間のただいこいの場というだけではなしに、すべての活動の源泉をなすものである、こういう基礎的な考えを持っておるわけであります。これでしっかりするというか、いわゆる適当な住宅であるということが、個人生活のみならず社会あるいはひいては国民、そういうものへのよしあしをきめる前提であると、こういうような考え方を私は持っております。これは当然ではないかと思います。でありますから、いまの日本住宅事情から考えまして、住宅というものがかくかくあるべきものである、こうありたいといわれておりますように、いわゆる住宅基本法と申しますか、住宅憲法式な基礎理念というものを法律に定めたらどうかというこういう考えがあるわけであります。私どももその問題についていろいろ検討をいたしました。ただ率直に言って、いまの現状で先ほどある程度申し上げましたようなことを法律で書きましても、理想は高いが、法律というものはやはり実行するということが私は前提であろうと思いますので、なかなかそれに実行が伴わないといういまの日本の現状でありますが、それよりもこの際、あるいは手続的とおっしゃるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたような現場の解決を早くする、こういうことに重点を置いた法律をつくろうじゃないか、こういうことで住宅建設計画法なんというのは要らぬじゃないか、そんなことは法律で書かぬでもできるじゃないか。全くそのとおりでありますが、御議論もあるのでありますが、このスタイルをとった、この考え方をとったというわけでありまして、いまおっしゃるとおりに、基本的なものが間違いである、そういうことは不必要であるという考えを持っているわけではございません。さような事情でございます。
  25. 前川旦

    前川旦君 私はあるこれは本で読んだことがありますが、たとえばイギリスのロンドンの場合、これは戦争中に道路が破壊された、爆撃を受けて。それを直すのに一時的に上を直すのではなくて、やはり一メートル、二メートル下から、昔と同じような形で基本的に直していった、戦争の最中に。そういう話を読みましてたいへん感心したことがあるわけですが、どうもいまの住宅政策のあり方というものが、すべてにおいて一時しのぎである、その場の応急措置である、足りないからとにかく戸数を合わすのだ。戸数主義といいますか、一時しのぎだ、こういうような感じがしてならないわけです。それはなるほど一時しのぎにはなるかもしれませんけれども、長い目で国の百年の大計ということを考えてみた場合に、先ほど申しましたように、やはり無効投資というのも多いし、結局は安もの買いの銭失いというあれがありますが、そういうような結局結果になるのではないかということを憂えるわけであります。そういうことから、やはりビジョンを明確にして、それと真剣に取り組んでいくのだと、こういう姿勢の問題として私はもっとあっていいのではないだろうか。その面から実は一つの問題として、基本法の問題もそういう面からとらえた住宅政策がほしいということを実は申し上げたわけであります。やはり基本法をいま出すのが適当かどうかという政治テクニックの問題ではなくて、本質的な基本的な姿勢としてそういうものを明確にしていく必要があるのではないか、こういうふうに私は思うわけです。そこで再度その点についての見解を申しわけないが承っておきたいと思うのです。
  26. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) まあ戸数主義と言われる非難は従来から各方面にあるわけであります。私どもも単に戸数主義にとらわれておるというわけではございませんけれども、最近はやや違った状況になりましたから、先ほど申し上げましたように、質のほうに重点を置いた住宅政策にいま移行しつつある段階であります。やはり世間では、まああまり広くなくてもいいからとにかく家がほしいという声も非常にまだありますが、従来それが非常に強かった。まあどうしてもその声に応ずる、力に応じた政策をとってきたのが従来であります。しかし、いまや、おっしゃるとおりに、その声が全然消えているわけではございませんけれども、いまや、いわば本来の住宅問題に取り組んでいくべきではないか、こういう時勢に入ってきていると思います。そういう意味において、基本法といいますか、住宅の基礎観念について、国としてあるいは立法措置を講じて確定しておく必要があるのじゃないか、私はその意見について別に異存はないのです。異存はないのですけれども、先ほど申し上げましたような考え方でこの際は処置をしていく。これはよけいなことでありますが、私は、いまの政治の各般について各種の基本法というものができました。これも理想に走ってなかなか実効が伴わないという御批判もありますが、やはり人類といいますか、国民生活あるいは産業その他すべてにわたって基本的なことをよく深く検討して、そうしてその方針をきめて、一挙にはできないけれども国民一つの方針に従って、その目標に向かって努力をしていくというかまえは非常に大切なことであろうと思います。  これも余談で恐縮でありますが、いま家とともに関連がありますから申し上げるのでありますけれども、そういう意味において、私は、土地の問題ももうすでにその段階に入ってきている。これも一挙に解決いたしませんけれども、土地というもののあり方、土地の利用というようなことは、こうあるべきものであるというやはり基本的な国民的な方向というものをきめる段階に来ているのじゃないか。これとは直接関係ありませんけれども、そういう考え方は持っておりますので、これはもう少しやはり衆知を集めて検討すべき問題だと、かように考えておるわけでございます。
  27. 田中一

    田中一君 関連して。もうこの辺で戸数方式をやめて平米方式にしたらどうなんです。平米方式、いま住宅局長のお話を聞くと、質の問題を十分考慮しておりますと、こう言っているならば、平米でもっていらっしゃい。平米ならばどうやら前川委員が満足するような答弁が出てくるわけなんです。これは御承知のように、二十九年ごろでしたか、鳩山内閣が初めて戸数というものを打ち出して、自来ずっと戸数できているわけです。私は瀬戸山さんのこの一年間の業績のうちでこれは一番悪い法律じゃないかと思うのです。過去の歴代の建設大臣また経済企画庁長官等の一番悪い亜流をくんでこれをまとめられたということは、これはとるべき点じゃないと思うのです。かつては、御承知のように、公営住宅三カ年計画というものを建設省が打ち出し、同時に住宅公団住宅金融公庫等が戸数を打ち出す、そうしていって今度これに見合う全体計画としては、経済企画庁が五カ年計画を打ち出してきて、それが経済企画庁のそうした経済的な一つの、全経済的な、あるいは国民生活の面から見たところの総数からきているのが、その集約がこれなんです。これはもう尚局長は、君は技術屋ですから、この際びしっと平米主義、質の方針でやりなさい。このほうが国民にわからない。一平米どのくらいだろう——メートル法で非常にきびしい規制を受けるようになったけれども、正確なところはわからぬ。何十何万何千平米といってもわからぬでしょう。そのほうがまだいい。これは戸数で期待させて、実質的にはやっていないということになるのであって、これは一番悪い法律です。こういう形の立法というものはもうあるべきものじゃないのです。こういう点について前川委員がなかなか満足しないのは、その点にあると思うので、一体考えられている質というものを中心に、戸数でなくて質で——質は平米です。これはいまここに計画して考えられている六百七十万戸というものは何平米に当たるか、ひとつ尚局長にはっきりと伺いたいと思うのです。   〔委員長退席、理事小酒井義男君着席〕 坪なんて言っちゃいけませんよ、罰金とられますから。
  28. 尚明

    政府委員(尚明君) いまの田中先生のお話の、戸数主義をやめて平米方式に変える——ども戸数とそれから質の向上をあわせて表現する方法ということについては、前からも研究しておりますが、確かにそういった両方を表現するような方法がほしいというのがいまの心境でございます。と申しますのは、わが国ではまだ非常に……
  29. 田中一

    田中一君 そういう答弁だけれどもそれは要らないのだ。六百七十万戸は何平米か伺っているのです。
  30. 尚明

    政府委員(尚明君) それはしばらく時間をかしていただいて御答弁いたします。——ども概算でございますが、いまの六百七十万戸、これが官民の平均で大体六十平米で建つという考え方をしておりまして、これによりますと、四億二百万平方メートルを五カ年で建設する、これには六畳一問等の水準以下のアパートの数字は入っておりません。
  31. 田中一

    田中一君 入っておらないというと、その部分は幾らですか。その部分は何戸で何平米ですか。
  32. 尚明

    政府委員(尚明君) 先ほど申しましたように、四十五年の目標で、二人ないし三人以上九号、四人以上十二畳という、これ以下のものは戸数に計算に入れておりませんが、その分がおおむね百二十万戸と申すか、部屋ぐらいは予定してございまして、これは平均二十平米くらいで建てられる予定でございます。合計いたしますと、これが二千四百万平米、先ほどのものと足しまして四億二千六百万平米程度の建設が五カ年計画で行なわれるという予定になっております。
  33. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫総裁の師岡さんに伺いますが、あなたのほうで融資している建物の例で、平均規模はどのくらいになりますか。
  34. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 大体融資対象面積は四十六平米でございます。
  35. 田中一

    田中一君 林さん、住宅公団のほうでは賃貸住宅分譲住宅とを分けて、現在行なっている二戸当たりの量は、質は、広さはどのくらいになっておりますか。
  36. 林敬三

    参考人(林敬三君) 実は手元にその平均のぴたっとした数字を持っておりませんけれども、やはりいま持っております家は二DKが賃貸では一番多い。また分譲にしましても二DKが一番多いのでございます。それで、二DKと三DKというところあたりが一番まん中くらいだと思いますので、これをもって一応平均のものだというふうに推定をさせていただきますならば、二DKであるとまず四十五平米、それから三DKでありますと四九・五平米というところでございますから、四十五から五十というところが平均ではないかと存じます。
  37. 田中一

    田中一君 師岡総裁、今度の地方住宅公社、あれはどんなものをことしから融資対象として融資しようとしているのですか。
  38. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 公社法ができまして、在来の公社、協会が法的な地位を与えられたわけでございますが、この公社の仕事は、御承知のように、在来やっておりました賃貸住宅並びに分譲住宅をやる予定でございます。
  39. 田中一

    田中一君 規模はどんなものです、一戸当たりの。
  40. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 賃貸住宅につきましては、先ほど申し上げましたように、大体同じ四十六平米でございます。分譲住宅につきましては、先ほどのお話にもいろいろ出ましたように、鉄筋でありますから、増築ということもある程度考えられますが、なるべく大きいようにしたいという配慮のもとに、大体六十五平米くらいを最高にしてやってまいりたい、かように考えております。
  41. 田中一

    田中一君 それでは、瀬戸山さん、いまの局長の答弁からみると、今後この法律ができたならば、公的住宅、これは全部平均六十平米にするんだということに理解していいのですね。したがって、これは公営住宅、公庫住宅、それから公団住宅、それから公庫融資住宅等を含めてその程度のものになるんだと。同時にまた、例の大蔵省にあるところの特別会計による公務員住宅もこれにならうのだというように理解してよろしゅうございますね。公的資金による住宅というものは大体そういうことになるんだというように理解してよろしゅうございますね。
  42. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 大体五十前後の平均になるということでございます。
  43. 田中一

    田中一君 これは速記録を調べなければわからぬけれども、六十平米ということをいま言われて、これはもう住宅公団並びに住宅金融公庫の融資というものは、これはなんですか、極小住宅にも融資しているのですか。大体平均が十七、八坪から二十坪、あるいは三十坪にしているはずでしたけれども、その程度のものだと思うけれども、その点どうですか。いまの建設大臣の答弁ですと大体五十くらいと言っていますけれども住宅局長は六十と言っている。
  44. 尚明

    政府委員(尚明君) 御説明申し上げます。  公共住宅がおおむね四十五から六十五くらいになる予定でございまして、平均でおおむね五十五平米くらいじゃないかと思います。それから、先ほど六百七十万戸が平均六十平米と申しましたのは、民間自力建設のいわゆる大邸宅等も入りますので、民間の平均はそれよりやや上回りまして、そうして平均して六十平米になるということでございます。
  45. 田中一

    田中一君 民間の自力建設の根拠、積算された根拠というものは何ですか。民間の住宅建築は何年の実態調査で持ってきたものか。あるいは、いわゆる届け出の実態から、何年ぐらいのを調べられておるのか。それをひとつはっきりしてください。——時間がたつから、それはあとでもって……。
  46. 小酒井義男

    ○理事(小酒井義男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 小酒井義男

    ○理事(小酒井義男君) 速記を起こして。
  48. 尚明

    政府委員(尚明君) 新築住宅の建築統計調査、すなわち確認申請から調査いたしたものでございまして、これによりますと、借家、給与、持ち家すべてを含めまして、三十九年の平均が五十七・四平方メートルでございます。新築住宅規模でございます。こういう点から類推しまして六十平米という考え方を持ったわけでございます。
  49. 田中一

    田中一君 師岡君、住金が貸している増築部分というのはどれくらいの規模で、戸数はどれくらいありますか。
  50. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 十三平米以上のものに貸しております。十三平米から三十三平米くらいまで貸しております。
  51. 田中一

    田中一君 どのくらいありますか、年間戸数で。
  52. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) ちょっと手元に資料がありませんのではっきりしませんが、計画によれば、大体二万四千、改良といいまして改修と増築と一緒にやっておりますので、ちょっと内訳は手元にございません。
  53. 田中一

    田中一君 いまの住宅の認可は、あれは届け出制になっていなかったかな、確認申請の書類が要らないはずだったかな、現在では。現行基準法の実施面では確認申請は要らないはずだったかな。
  54. 尚明

    政府委員(尚明君) 十平方メートル以上の建築物につきましては、確認申請はまだ要ります。
  55. 田中一

    田中一君 それは建築主事を持っているところに対する十平米ですか。
  56. 尚明

    政府委員(尚明君) そうでございます。
  57. 田中一

    田中一君 そうすると、今後この法律が通ると、大体規模としてはうんとふえてくるという見通しなのですね。それは五十五ないし六十平米になるのだと、平均。公的資金による住宅、これはまあ大体において五十——五十五、六まで伸びるのだというふうに理解してよろしいのでございますか。   〔理事小酒井義男君退席、委員長着席〕
  58. 尚明

    政府委員(尚明君) さようでございます。いまの私ども建設省として計画しておりますのは、各種の構造につきまして、年に〇・七平米ぐらいずつの、すなわち五カ年で三ないし四平米までいまよりも伸ばしたいというふうに考えております。
  59. 前川旦

    前川旦君 いま住金のほうで、増改築のあれは出ておりますが、ちょっと伺っておきますが、これは増改築の貸し付け資金やっております。これも二戸でお勘定になる。したがって、六百七十万、政府施策、二百七十万の戸数が入るわけです。そうすると、そこで二百七十万自体もだいぶ力が入る。政府としては力を入れなければいけないところなんてすが、こういうことを言っちゃ悪いのですけれども、ちょっと気になるのでお聞きしておきますけれども、この五カ年計画の終わりになって、増改築の金額のわずかな分だけをたくさん出して、これも全部一戸は一戸だ、二百七十万やりましたというようなことは、私はまさかおやりにならないだろうと思いますけれども、急のためにお伺いしておきます。
  60. 尚明

    政府委員(尚明君) 私どもは、増改築の戸数は今後ふやしていくことをいたさないで、大体現状と横ばいを五カ年間続けたいというふうに考えております。なお増改築は、先ほど申しましたように、家が狭いものを増改築することによって部屋が大きくなりまして、いわゆる水準以上のものになるということを大きくねらっております。それから、いわゆる老朽化を防ぐということに利用するということをねらっております。以上が増改築の大きな目的でございます。
  61. 前川旦

    前川旦君 それでは次に、また大臣にお伺いしたいのですが、今度の五カ年計画の案を見ますと、持ち家——持ちやですかね、どう発音したらいいのか、持ち家を非常に重点的に考えておられますが、なぜ持ち家を重点的にお考えになったのか、その基本的な考え方についてまずお伺いしたいと思います。
  62. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 持ち家にするか、あるいは賃貸住宅にするかというその考え方には二通りあると思います。私どもは基本的にはいろいろ御意見があるところと思いまするが、いわゆる人間の性質上何とか一戸を持ちたい、できれば一生に一度は自分の家をつくりたい、持ちたいという、これは基本的に私どもあるんだと思います。でありますから、それが可能な経済状態あるいは各個人収入状態が上がりますれば、自分で家をつくるというのは、人間の本性であると思います。けれども生活状況収入状況がなかなか社会生活上そういきませんので、意欲はあってもできないという人が相当にある。私どもはそういう方々には、いわゆる賃貸住宅と申しますか、あるいは公営住宅等の賃貸住宅をできるだけ供給しなければならない。けれども、本来の考え方——本来の考え方というとおかしゅうございますが、人間の性質上考えると、自分の家を自分でつくりたいという方々も非常に多いわけでありますから、そういう方々には、それの希望を達成してもらいたい。どちらに重点を置いておるというわけじゃありませんけれども、この二本立てでいくのが正しい。教の問題で重点があるいは持ち家であるということになるかもしれませんけれども、基礎的な考え方は、さような考え方に基づいておる、こういうことでございます。
  63. 前川旦

    前川旦君 大臣はいろいろなところの講演の中で、持ち家はしたいという人間本来の本能的な本質的な欲望であるということを言われている。いまも同じことを言われましたが、私は、はたしてそれは正しいかどうか実は疑問に思うわけであります。いま自分の家を持ちたいという人のほとんどの考え方の中身というのは、家を持ちたい、それもあるでしょうが、むしろ土地を持ちたいというほうが強い。土地は借地で家だけでどうだと言えば、それは御免こうむるというのか多い。結局それは何かというと、結局こういうような物価の変動が大きく——これは政府の責任ですよ。物価の変動が激しい、社会保障制度かきわめて不備である、そういう意味から財産権、土地を主として中心としての家を持ちたいんだと、こういうような私は感覚であろうと思うわけです。これは私は実はキエフで現場を見ましたか、アパートが非常に発達をしている。しかも一家賃がきわめて安い。しかも町中で非常に便利がいい。また若干持ち家もあるわけですけれども、あそこではほとんどの人がアパートへ入りたがって、非常に希望が多いということを聞きました。したがって、そういうような人間の感覚というのは、本質的なものじゃなくて、私はやはり政治の貧しさからくる自衛本能がそういうふうにさしておるんである、こういうふうに考えるわけであります。したがいまして、本来的なものではないんだ、政策によってそういう気持ちというものは薄らいでくるんだと、こういうふうに私は思うわけですが、やはり人間本来の欲望というふうにお考えになるのかどうか、もう一度重ねてお聞かせ願いたいと思います。
  64. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) その問題は、全部の日本の皆さんに問い合わせを出しておるわけじゃありませんから、どちらが正しいか正しくないかということはなかなか問題であろうと思います。それからやはり民族の性質に関係があるんじゃなかろうかと思いますが、私は私の判断といいますか、経験といいますか、何とか自分であまり大きくなくても、自分の象をつくりたい。アパート住まいの方々のいろいろお話を聞きましても、できれば小さな庭であっても、広くなくてもいいから自分の家として持ちたい。これは率直にざっくばらんのところじゃないかと思うのです。これはだんだんと生活上の人間の考え方が変わってきますから、いまの日本人の多くの人々は、若い人でもそうであろう。これがすべての傾向というわけにはいきませぬけれども、私もちょいちょい三十歳前後のサラリーマンの皆さんといろいろお話し合いなんかに引っぱり出されますが、やっぱり自分で小さな家でもいいから持ちたいということをよくおっしゃる。私はこれは端的な気持ちじゃないかということを考えているわけでございます。
  65. 前川旦

    前川旦君 そこで大臣にお伺いしますが、持ち家を持ちたいという希望と、できるということは、私はちょっと違うのではないか。私はあしたから建設大臣になりたいと思いますが、してくれません。やはり持ち家がほしいということと、現実にできる問題とは違うのではないか。そこをやはりかじをとっていくのが、これが政治ではないかと、こういうふうに思うわけです。そこで一体いま普通に持ち家ができる状態にあるのかどうかということが、私は問題になると思います。  そこでいろいろ今後のこれはもう省略してもいいのですが、われわれ普通のサラリーマンが一応持ち家を持つためには、四百ないし五百万円の金が要ります、土地を含めまして。これはこまかい計算を申し上げてもいいのですけれども、普通のサラリーマンで四、五百万円の貯金をためるのに一体何年かかると思いますか、退職金全部をぶち込んでもできない。日常の諸経費を詰めて詰めて、それは食べたいものも食べないようにしてため込んで、それで退職金を全部入れてかろうじて自分の死に小屋をつくるのじゃないですか。自分の墓場、これをこういう状態で持ち家を推進する、あるいは持ち家政策をとるということは、現実とちょっとギャップがあるのではないか、こういうふうに私は思います。そこで一体、持ち家が普通の感覚でしたいということと、できるということは違うのですから、一体できる状態というお考えの上で持ち家政策をおとりになったのか、その辺のお考えを承っておきたいと思います。
  66. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) その点は、先ほどもお答えしたつもりでありますが、気分はそうであるけれども、現在の社会情勢と申しますか、あるいは国民所得——希望は持っておるけれども、自分でやっぱりその希望を達成することができないという実情がある、これを私は先ほど申し上げたわけであります。したがって、その点については、いま土地の問題あるいは建築の問題等でやりたいけれどもできない。そういう意味でこれは二本立てでいく、そういう希望があるから、やめなさいというわけにいきません。こういう状態でも住宅というものも二本立てでいくべきであり、どちらに原則を置くのだということは、実情に合わない、私はそう考えて先ほど申し上げたのでございます。
  67. 前川旦

    前川旦君 それからいま住宅難を訴えている世帯収入の面からとらえてみましても、住宅統計調査に出ているのですが、普通一般の勤労者、これは給料生活者です。給料生活者の中で住宅難を訴えておる者の統計をとりましたところが、月収四万円以下というのが八一・六%にのぼっておる。さらにまた月収五万円以下で押えると、九三・二%という数字にのぼっておるということは、住宅難を訴えておる勤労家庭のほとんどが月収五万円以下である、こういうことになると私は思う。これは持ち家のできない階層です、はっきり言いまして。そこで、瀬戸山さんはしょっちゅう言っておられるのに、家は元来自分でつくるものだとよく言っていらっしゃいます。だか家を持つことのできない人のために政府は手を差し伸べるのだ、こういうことを言っておられます。であれば、自分で家を持つことのできない人こそ、私は政府住宅政策の最も重点を注ぐべき対象ではないか。ということは、やはり公共賃貸住宅というものにうんとやはり重点を注いでいく。ある程度のストックができて、それからやはり持ち家に切りかえていくという計画的な段階というものを踏むのが当然ではないか、こういうふう考えるわけです。その点でこの住宅五カ年計画の中でも、内容を見ますと、やはり持ち家の比率か多過ぎる。公共賃貸のあれが少な過ぎるということを考えざるを得ないわけです。そこで私は、まだまだ持ち家を政府の施策として考える場合に、打ち家に力を注ぐ段階ではない、こういうふうに考えるわけですが、もう一度大臣のお考えをお聞きしたい。
  68. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 数字のとり方にいろいろ問題点があると思います。その点については、局長からもう少し資料に基づいてお答えをいたしますが、先ほど来申し上げましたように、いまもおっしゃいましたが、私ども住宅政策の基本は、自分で家ができない人、それで家に困っておる人にまず充足するというのが、これは大前提でなければならぬ、その基本に立っている。ただ問題は、数字がそれでいいのかどうかという御意見になると思いますが、いま私が計算しておりますのは、そういう方々の数字をいろいろな統計から想定いたしましていまの五カ年計画をきめておる。これで満足であるかどうかという厳密な問題になりますと、やや不安を感じますけれども、そういう計算からこの計画を立てている、こういうことでございます。これも余談になって恐縮でありますが、そういう方々を目標にするいわゆる公営住宅あるいは公団住宅——公団住宅はややこれは再検討しなければならぬ——まだ結論を出しておりませんけれども、部面がありますけれども、能力があってなおかつ、そういう私ども目標にする公営住宅等に入っておられる方に御一考願いたい、という気持ちは私ども十分あるわけでございます。
  69. 尚明

    政府委員(尚明君) 若干この間の関係を数字的にお話し申し上げますと、住宅困窮者につきまして、昭和三十五年に住宅の需要実態調査をいたしました。そのときに、できれば待ち家を持ちたいということを希望した者が五五・二%あったわけでございます。残りは借家もしくは給与住宅希望したわけであります。これは希望の要素がかなり入っておるわけでございますが、それに対しまして、私どもいま五カ年計画の内容として考えておりますのは、六百七十万戸につきまして、持ち家をちょうど半分の五〇%にいたしたいというふうに考えております。  なお政府の援助は、そうはいうもののやはり賃貸のほうに相当のウエートをかけなければならないということを考えまして、いま私ども考えておる公的資金による住宅といたしましては二百七十万戸つくるわけで、これは閣議了解があるわけでございますが、そのうちの借家及び給与住宅は百五十三万、持ち家は百十七万、やはり借家及び給与住宅のほうをかなり多くいたすような予定で内容を組んでいるわけでございます。  なお、先ほど収入の御調査、月収の御調査がありましたが、この持ち家を持ちたいという希望をかなえますのは、要は長期低利資金で長い割賦方式あるいは住宅金融公庫等で長い融資を行なえばいわゆる家賃よりいま少し出すということによって持ち家が手に入るわけでございます。したがいまして、われわれのほうの考えておる持ち家政策と申しますのは、長期低利の分譲住宅もしくは長期低利の住宅建設資金の融資という字句で、この方面に若干在米より力を入れるという方策になっている次第でございます。
  70. 前川旦

    前川旦君 尚さん、家というのは、五百万円と言ったって、住宅公庫は一体幾ら貸してくれるのですか。それで、いま長期低利の金を貸すことによって持ち家をできるようにすると言ったけれども、それじゃ普通のサラリーマンの可能なくらいの金利を上にプラスして全体的に負えるだけのものを貸してもらえるのですか。
  71. 尚明

    政府委員(尚明君) おっしゃるとおりでございまして、今日の段階で一戸が五百万円については、なかなかもって持ち家の取得はできません。したがいまして、私どもの今日のねらいは、一戸を最高三百万円に押える、したがいまして建て方が変わってまいります。すなわち大都市、中都市等におきましては、アパート方式をとる、それからそれ以外の小都市等におきましては、土地も安うございますから、いわゆる在米どおりの庭つき住宅をとる、こういう形で打ち出しているわけでございます。その結果、二年くらい前からこういう試みをやっているわけですが、この分譲アパート方式は、住宅公団が設立されました昭和三十年、三十一年ごろは、そうした生活環境をつくる持ち家方式というのは、ほとんど国民になじまなかったのか、応募者があまり多くございませんでしたか、最近は三百万円以下の形で、これはもちろんそのうち頭金が百万円のものも八十万円のものもございますが、そういう方式で三百万円以下で供給いたしますと、応募者は相当多うございます。なおかつ、日本住宅公団の賃貸住宅の居住者の中からも相当量この応募者が出てくるという状態になっておりまして、私どもは、つまり持ち家と申しましても、大都市におきましては、共通の庭を持った持ち家、いわゆるアパート団地の持ち家という方向に技術的に切りかえているわけでございます。
  72. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いまのお話を言われると、率直に言って非常に頭が痛いのであります。先ほど来、住宅金融公庫総裁からも貸し出しのことを申し上げておりますが、非常に悩みがあります。というのは、順次それを変更といいますか、改定したいという努力はいたしておりますが、五百万、三百万は別といたしまして、五百万にいたしましても三百万にいたしましても、貸し出しの金というのは、一つの基準を設けている。そういたしますと、実際の家を建てる場合に、東京あたりで計算すると、五〇%以下、建築費、土地費まで入れて五〇%に満たない金しか貸せない、これは地方によっては違いますけれども東京の例をとりますと。それでは一体家を建てなさいといって貸す制度があるのはおかしいじゃないか、全くそういう事態になっておる。そこで、私は改善策をいろいろ専門家に検討を願っておりますけれども、非常に困難なところは貸すのは幾らでも貸します。ただ問題は、それを借りて払う人の支払い能力があるかどうかという、それを五百万かかりますから貸しますといっても、その五百万円を木造にいたしますと十八年、鉄筋等にいたしますともっと長いのでございますけれども、これまた月割りにすると、なかなかこれが償還金額が高くなる、そこに非常な悩みがある。これは一番大きな原因は地価が高いということ、建築費の問題はこれは解消することはそれほど困難ではありませんけれども、地価の問題、これにかかっている実情をいま私が申し上げているわけでありますが、そこでこれが土地政策あるいは公の供給の土地というものをできるだけ多くして——これも口で言うように簡単でありませんけれども、できるだけそういう地価に建築費が多くかからないような方策をあわせ講ずると、一面においては、いま住宅局長も申し上げましたように、土地の利用を高層化して土地に多くの経費がかからないようなアパート式の持ち家を取り入れると、そういたしますと、償還金が相当に一戸建てのときよりも減ります。こういうことを考えると、これはまだ検討段階でありますけれども木造の償還期限を延ばす必要があるじゃないか、そしてややよけい貸しても月々の償還金が少なくて済む、したがって、そうたくさんの収入がない人でも借りて、まず家ができる、こういうことをもっと検討しなきゃならぬ、かように考えておりますが、非常にそういうところに悩みがある、むずかしさがある。貸すのはけっこうでありますけれども、償還になかなか困る、こういういろんな状態がありますということをざっくばらんに申し上げておきたいと思います。
  73. 竹田現照

    ○竹田現照君 関連、この計画の中で五〇%、三百三十五万戸の持ち家というのは——いま住宅局長が説明をされた持ち家というのは二百七十万戸のうちの百十七万戸の、いわゆる分譲のことが説明あったと思うんですが、この五〇%というのをどういうふうに期待をされているのか、政府の特に予算折衝段階で五%もふえていますから、この持ち家のほうが四五%が五〇%、三百三十五万戸、これはどういうところを期待されているのか、ちょっと具体的に説明していただきたいと思う。
  74. 尚明

    政府委員(尚明君) 持ち家の政府援助、持ち家全体は三百三十五万戸、つまり五〇%と考えまして、つまり政府援助、公的援助を百十七万と考えまして、したがいまして差し引き二百十八万、これにつきましては民間自力建設に期待しているわけでございます。
  75. 田中一

    田中一君 関連。いま建設大臣の発言は、あなた非常に重大な発言をしているんですよ。それは、御承知のように住宅金融公庫法は御存じですね。——御存じですねって、あなたから聞かなくても、これは「目的」にこう書いてあるんですよ。「住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設(住宅の用に供する土地の取得及び造成を含む。)に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」と、こう書いてある。いいですか、あなたは金の償還がむずかしいからどうだこうだと言っているけれども、金がない者に貸すんだと法律に書いてあるんです、「目的」は。私はなぜ住宅金融公庫が年間三十億でも五十億でも回収不能のものをつくらないかと言うんですよ。つくることが住宅金融公庫の本来の法律の使命を全うしたことなんです。ところが、資本主義経済というものは常に金貸し根性ということでもって、金を返さないやつには貸さない。ないやつには貸さないですよ。あるやつに貸すんです。それだったら住宅金融公庫法改正しなさいよ。「目的」に明らかに書いてあるんです。ところが、九九%、一〇〇%近いところの、回収率がいいんだといって師岡総裁はほくそえんでいるかもしれないけれども、これは現在の政府がそのベテランであり、金貸しであり、大資本家であり、独占企業家であり、軍隊をつくろうとしている諸君だから、これでいいのかしらぬけれども住宅金融公庫法に明らかに書いているんですよ。したがって、住宅金融公庫は年間三十億、四十億の未回収の結果が出たということの報告が来ると、私ども、われわれの当委員会は喜んで師岡総裁に拍手かっさいを送る。そうしてその金は当然これは多くの国民が共同の負担をいたします。これは財政措置によってやるということでなくちゃならないんですよ。だから金のない者には金貸さないなんていうことばは大臣言っちゃいかぬですよ。いまそれは回収が困難だから云々なんということは取り消しなさいよ。
  76. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 田中委員のおことばでありますけれども住宅金融公庫法の目的は、いまおっしゃるとおりでございます。これは何も金がないから貸さぬということは私申し上げておりません。家を建てようとしても金がないから借りてやるのであります。つまり高金利の一般金融機関からは借りられないから低金利のいわゆる住宅金融公庫から貸してあげますと、こういうことでありまして、それには償還ということはこれは当然であります。これは一般には金がないから借りて家を建てようと、収入の中から払っていこうと、こういう方々に貸すわけでありますから、よけい貸してもいいですけれども、やはり収入がいまの日本の現状ではそれに伴わない。収入が伴わないというよりも、あまりに地価等が高くて建築費が非常に高過ぎる、こういうふうに割って考えますと、月々の償還がなかなか収入にマッチしないからよけい貸すということが困難を来たしますということを、借りた方がお困りになると、こういう状態が非常に悩みの種でございますということをいま申し上げたのであります。そんなものは手数をして返さないでもいいことにしなければならぬじゃないかと、これも一つ考え方だと思います。しかし、いまの住宅政策、これは田中さん詳しく御存じの上でああいうことを聞いておられるのでありますが、そういう方々には自力——いまのは自力建設と言うておりますけれども、そういう状態でありますから、すみやかにできるだけ賃貸住宅公営住宅その他のものを建てて貸そうということはこれは別です。そういう三段がまえをしておるわけでありますから、それは不十分であるといえばこれは全く理想的にいっておりますとは申し上げませんけれども、それだから住宅金融公庫なんか返さぬでもいい制度にしたらどうか、場合によっては。これは御承知のとおり国民の貯金を借りてまたそれを転貸ししておるわけでありますから、一々返さぬということになったらこれはたいへんなことになります。おわかりの上でお尋ねでありますけれども、そういう事情でございます。
  77. 竹田現照

    ○竹田現照君 先ほどの私の質問で、ちょっと局長の説明で、三百三十五万戸の中に百十七万戸入っておる。百十七万戸というのは、この二百七十万戸の中に入っているんじゃないですか。それ、ちょっと間違いじゃないでしょうか。
  78. 尚明

    政府委員(尚明君) 持ち家全体として六百七十万戸の半分の三百三十五万戸を目標としております。そのうち公的資金によるものが百十七万戸でございます。したがって、この百十七万戸は二百七十万戸の中に入っております。六百七十万戸の中のうち二百七十万戸が政府施策住宅でございますから、そのうちの百十七万戸が持ち家に充てられるということでございます。
  79. 松永忠二

    委員長松永忠二君) それではこれにて暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時二十六分開会
  80. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これより委員会を再開いたします。  住宅建設計画法案議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  81. 前川旦

    前川旦君 住宅局長にお伺いします。先ほどの続きですが、いま問題になっております大都会にはスプロールの問題がある。これは一体何が原因であるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  82. 尚明

    政府委員(尚明君) 確かに大都市の周辺におきましては無秩序スプロールということが問題になっております。その原因は、御承知のように昭和三十年度以降、経済の成長に伴って人口の都市集中が非常に多くありました。それからあわせて世帯の細分化というものが急激に行なわれたわけでございます。その結果、住宅需要が非常に膨大になった。特にそれが大都市においてはなはだしいわけであります。しかるに、これに対しまして、都市計画事業等におきまして、都市周辺の計画的な先行的な開発ということが、十分に間に合わせるほど事業の進捗ができなかった。したがいまして、十分な都市施設のないところに需要の圧力に従って住宅建てられていった、これがスプロールの原因であるというふうに考えております。
  83. 前川旦

    前川旦君 この東京の都内でも、高いところに上がってみると、まことに奇異な感じがするのでありますけれども、たとえば都心部——これは環状線の内側を一応かりに都心部と考えて、そこで住宅の平均階数、大体これを幾らくらいになっているようにつかんでいらっしゃいますか、都心部だけで……、ちょっとお伺いします。
  84. 尚明

    政府委員(尚明君) 住宅だけとしての平均階数を試算したことはございませんか、全建築物としての平均階数として一・七階程度といわれておりますので、住宅のみとすれおばおむね一・五階くらいになるかと推測されます。
  85. 前川旦

    前川旦君 各人が、個人個人家族がそれぞれ自分の家を持っているいわゆる持ち家ですね、持ち家というものがスプロールの大きな原因になっているということをお考えになりませんか。
  86. 尚明

    政府委員(尚明君) 特にスプロールの原因が持ち家のみにあるというふうには考えられないと思います。すなわち、スプロールの地域において建てられております建物は、持ち家もありますれば、いわゆる貸し家アパート等もございます。いずれも木造でせいぜい二階建て程度建てているということに原因があると思います。
  87. 前川旦

    前川旦君 いまいわゆる民間の建て売り住宅、これは東京、大阪のような大都会を見た場合に、建て売り住宅の平均の敷地面積はどのくらいになっているというふうにつかんでいらっしゃいますか。概数でけっこうです。
  88. 尚明

    政府委員(尚明君) 建て売り住宅のみについて調査したことはございませんが、建て売り住宅として売られているものの数を考えますと、百五十万円程度のものが非常に多いわけで、これから考えまして、それらの百五十万くらいのものを見ますと、おおむね土地の面積は平均してせいぜい二十五坪くらいしかついていないというのが実情でございます。
  89. 前川旦

    前川旦君 先ほど大臣と平行線で水かけ論みたいになりましたが、持ち家を持ちたいのは国民の本来の希望である、そうおっしゃいましたが、そういう希望に沿っていまどんどん建て売り住宅が二十五坪なり三十坪なり百平方メートルに足りないようなのがどんどん建てられているわけです。私は、これがいまのスプロールの非常に大きな原因になっているというふうに考えます。そういう意味から持ち家という考え方をこの辺でチェックしないと、私はスプロールというのはますますふえていくのではないかということを実は懸念をするわけです。そういう立場からもう一度いまのスプロールの問題から持ち家というものを再検討をする必要があるのではないかと思いますが、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
  90. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 土地利用の問題と持ち家と申しますか、住宅建て方、この問題がからんでおると思います。土地利用の問題からいいますと、どうしても高層、堅牢な家を建てる、こういう政策が必要だと思います。でありますから、私どもは、持ち家だからただ平面の家をよけい建てればいいという基本的な考え方を持っておりません、いま住宅公団分譲ども全部高層にして土地の利用度を高めたい、特に都心部においてはそれをやっておるわけでございます。ただ個人側人の一戸一戸の家の問題がありますが、その中でも、さっきも申し上げましたが、狭いながらも何か庭がほしい、これは理屈じゃなくて、そういう考え方というものが、日本人ばかりでないと思いますが、特に日本人には非常に希望といいますか、考え方といいますか、それが強い。それか今日の状態を来たしておる一つの原因である、かように考えておりますが、やはりそれにしても個人個人の力では高層の家を建てるということにはいきませんから、やはり公営住宅公団住宅あるいは民間の高層的な住宅建設、これで建てる、これよりほかにない、かように考えておるわけであります。
  91. 前川旦

    前川旦君 尚さんにお伺いいたしますが、それでは特に都心の住宅地としての再開発という問題について、これを立体化をはかっていきたいというふうに私伺ったわけですが、今度の五カ年計画の中にそういう要素をどれほど取り入れていらっしゃるかお尋ねいたします。
  92. 尚明

    政府委員(尚明君) 五カ年間六百七十万戸の建設地域として想定しておりますのが、二百九十万戸は新しく都市周辺に開発したところでございます。それからすでに市街地として街路その他の整備されているところに二百五十万戸建てる。いまの二百五十万は新規に建てるわけでありますが、そのほか、現在公営住宅等の木造住宅建てかえるのが五十万、それからいわゆる地方のいなかに八十万、こういうふうに考えております。合わせて六百七十万。もう一回申し上げますと、都市周辺の新親開発二百九十万、都心の市街地の中のあき地等ですでに街路等の整備されているところに二百五十万、それからすでに使っているところの建てかえを五十万、それから全然関係ない地方の中小都市におきまして八十万、以上六百七十万戸の建設地域を選定したい。したがいまして、この市街地の整備した中で建てる二百五十万戸と建てかえの五十万戸、この三百万戸につきましては、当然アパート方式等によって建設いたしたいというふうに考えております。
  93. 前川旦

    前川旦君 都市計画との関連で伺っておきたいのですが、この五カ年計画でのいまの政府施策住宅並びに民間住宅地域的にどこに何戸ぐらいを予定しておるか。都市周辺が漠然としておりますが、もう少し突っ込んで地域別にその計画がきまっておると思いますので、この際教えていただきたいと思います。
  94. 尚明

    政府委員(尚明君) 五カ年間で水準以上の家を六百七十万戸建設計画いたしておりますが、これを地域別に分けますことについてただいま作業中でございますが、以下のような計画でいきたいといまのところ作業いたしております。  それは、北海道地区におきまして三十一万戸、東北地区におきまして四十九万戸、それから関東地区におきまして二百五十二五戸、北陸におきまして二十一万戸、東海地区におきまして六十九万一尺近畿地区におきまして百十五万戸、それから中国地区におきまして四十一万戸、四国地区におきまして二十四万戸、九州地区において六十七万戸、以上は人口その他の推移によって住宅需要を計算し、かつ、今日の住宅不足から勘案して、「一世帯住宅」実現のための地域計画の概算でございます。
  95. 前川旦

    前川旦君 重ねてお伺いいたしますが、これは六百七十万戸の計画の内訳であると思いますが、政府施策二百七十万戸については、これはどのような基本方針をお待ちなのか、あわせて承っておきたいと思います。
  96. 尚明

    政府委員(尚明君) 政府施策住宅二百七十万戸につきまして、ただいま地域別の概算をいたしている作業におきましては、北海道におきまして十二万一千戸、東北地区において十八万一千戸、関東地区において百二万九千戸、北陸地区において七万一千戸、東海地区において二十七万五千戸、近畿地区において四十七万四千戸、中国地区におきまして十七万一千戸、四国地区におきまして十万六千戸、九州地区におきまして二十七万一千戸、合計二百七十万戸の計画をいたしているわけでございます。
  97. 竹田現照

    ○竹田現照君 いまの局長のそれを割り出した根拠をちょっと説明してください、地域別の。
  98. 尚明

    政府委員(尚明君) この戸数を割り出しました根拠は、先ほどの全体の人口及び世帯から計算し、かつ、今日の不足から計算いたしまして住宅需要の五カ年間の推計をいたしたものでございます。そうして、政府施策住宅につきましては、収は入階層別の考えによりまして、政府の援助を行なうべきものをどれだけとするかということから計算いたした次第でございます。
  99. 前川旦

    前川旦君 労働省から実は来てもらいましたが、三時に何か用があるそうで、先に質問を飛びますがさしていただきたいと思います。  まず、お伺いいたしますが、六百七十万戸の五カ年計画で家を建てるのに、建築労働者が延べ何人要るというぐあいに大体推定で言えますか。これは建設省のほうでも試算がありましたらあわせて知らしていただきたいと思います。
  100. 尚明

    政府委員(尚明君) 私ども五カ年間六百七十万戸の建設に必要な資材及び労務を一応調べました。これによりますれば、五カ年間に、労務といたしまして三百九十万人年——一人一年として三百九十万人年の数量が建設労務として要るというふうに概算いたしております。
  101. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 私ども、建設業全体に必要な労務の、労働力の量について試算をいたしておりますが、御指摘のような住宅部門だけに限った推定数値がございませんので、建設業全体の数値でございましたらここでお述べしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  102. 前川旦

    前川旦君 けっこうです。建設業全体でけっこうです。
  103. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 三十九年度の労調べースによる建設業全体の就業者が二百九十五万というふうに私ども推定をいたしております。これが四十五年度にどれくらい必要になるかという推定をいたしたのでございますが、三百八十二万必要になるであろう、こういう試算を一応いたしております。
  104. 前川旦

    前川旦君 建設業は、建設業といっても間口が広いわけですが、いま推定したことはないとおっしゃったが、いろいろの学者の書いたものを読んでおりますと、試算はしていないようですけれども、学者の人の勘として、建築業の就労人口は三百万人のうちの大体二割ないし三割ぐらいが住宅に向けられているのじゃないか、こういう推算を学者のほうはしているようですが、大体その程度考えておおむね間違いないだろうか。これは厳密な数字じゃありませんが、御見解を伺っておきたいと思います。
  105. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) ちょっと正確なところは私どもいまつかんでおりませんが、これは御承知のように、工事量全体から推定をいたしておりますので、住宅部門だけの推定がちょっといたしかねる状況でございます。
  106. 前川旦

    前川旦君 結局数字は出せないということであろうと思うのです。そこで、昭和三十五年の国勢調査でいわゆる大工さん、これは出ておると思いますが、どのくらいになりますか。これは建設省のほうでつかんでいらっしゃるのじゃないかと思いますが、お答え願いたいと思います。
  107. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 国調の職種別の内訳を持ってきておりませんので、いま大工さんの昭和三十五年の数字はちょっと申し上げかねます。
  108. 前川旦

    前川旦君 結局、延べ四百万人近い労働力が住宅建設に向けられなければ六百七十万戸は不可能だと、こういうことに一応なるわけです。そこで、これを一年に平均して割りましたら、五年ですから八十万人、これは建築だけですが、八十万人に、管理ですね、修繕的な労務を大体上積みをしていくと、年間百万人くらいの労働力というものがこの住宅建設に必要となるわけです。それが一体可能であるのかどうか、それをまあ労働省のほうから、それは可能です、あるいはむずかしくてもやり切ります、こういうように私はやはり答えていただかないと、せっかくの建設省のこの意欲が計画倒れになる可能性がありますので、その面からひとつお答えをいただきたいと思います。
  109. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 建設省の御計画で三百九十万人年延べになっておりますので、年率に直しますと八十万くらいになるかと思いますが、私ども建設業全体の労働力の需給の展望をいたします場合に、年間十万から二十万見当最近までの実績で伸びておりますので、今後もこの程度の伸びは建設産業に確保できるのではないかというふうに考えて、現在雇用対策の基本計画においてもこういうふうな考え方で対処をいたしておりますので、住宅計画に必要な労務量は確保できる、こういうふうに考えております。
  110. 前川旦

    前川旦君 まあ確保できるであろうというか、確保してみせます、確保いたしますと、こういう返事を私いただきたいわけですが、もう一つ、いま従来の伸び率から見てとおっしゃいましたが、従来の伸び率とはいつごろから押えた伸び率でありますか、ちょっとお伺いしておきます。
  111. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 三十七年からの実績を見てみますと、対前年比の伸びが三十七年は八・七%、三十八年は八・三%、三十九年は八・五%、四十年は八・八%というふうに大体八%台を堅持いたしております。先ほどの四十五年度までの見通しによりますと、年率にして七・九%見当でございますので、大体建設産業全体としては順調な伸びを示すものというふうに考えて、一方で製造業の雇用の伸びが、漸次、産業構造の高度化によりまして伸び率は低くなってまいっておりますので、私どもとしては、ぜひこの程度の労働力は確保してまいりたいというふうに考えております。
  112. 前川旦

    前川旦君 それではもう一つお尋ねいたしますが、今度はこういった建設業のいわゆる雇用者ですね。これはさっきも数字が出ましたが、これは三十八年の総理府労働力調査を見ますと、建設業の雇用者二百十四万人という数字で出ているようです。そこで、この雇用者のうちの一体どれくらいが臨時の日雇いの労務者であるか、あるいはまた失業保険の季節的な受給者が一体どれくらいいるのか、もし数字をつかんでおればこの際お聞きしたいと思います。この建設業の雇用者のうちの日雇い労務者、さらにまた失業保険の季節的受給者、つかんでおれば伺いたいと思います。
  113. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 三十八年の労調ベースによりますと、雇用者が御指摘のように二百十四万人でございますが、そのうち臨時が二十一万で一割でございます。それから日雇いが六十万でちょうど三割くらいになります。  そのうちに季節労働者として失業保険を受給しておる者がどれくらいになるか、三十八年度は、季節的な受給者が五十一万八千人ございまして、大体従来の実績は、出かせぎ労働者の六割が建設産業にいっておりますので、三十万が季節的な労働者として失業保険を受給しておる、こういう推定が成り立つと思います。
  114. 田中一

    田中一君 関連して。建設労働者のうち、土木、建設と分けて日雇いでない労働者、これの実数はどのくらいになりますか。
  115. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 建設と土木その他と分けました資料はございませんが、全体として常用者が六割強でございます。
  116. 達田龍彦

    達田龍彦君 関連。この建設労働者とそれから製造業者の平均賃金の比較があればお示し願いたい。
  117. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) ちょっといま手元に持ってまいりませんでしたので、資料を調べて後ほどお答えいたします。
  118. 達田龍彦

    達田龍彦君 それをすぐ出してもらいたいと思うのですが、それからもう一つは、これは建設省と労働省に同時に聞きたいのですが、建設省のほうで、住宅建設のために従事する建設労働者の——これは総体的に賃金計数を出されておりますから、その場合の労賃を幾らに見ておるのか、建設省のほうからお答え願いたい。
  119. 尚明

    政府委員(尚明君) 私ども計画試算をいたしますとき、建築費では労務、資材込みで坪当たり幾らという指数を使っておりますので、いま特に計画の際にそれをさらに細分化して労賃が幾らになるかという試算はいたしておりません。建築のでき上がったものが坪幾らかというような計算をいたしておるわけでございます。
  120. 達田龍彦

    達田龍彦君 出し方として非常に不適当だと思うので、それは労賃の占める割合というのは、全体の工費の中で相当の大きなウェートを占めるわけですから、それは将来の賃金の水準の引き上げ、こういうことも考慮した基礎的な計数がやっぱりなければならない。また、そういう綿密な計算の上に立たなければほんとうにきちんとした数字にならないのじゃないかという気がします。  それでは、労働省のほうではどの程度……、この平均賃金ですね。
  121. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 四十年の平均で建設業は三万九千四百三十九円でございますが、製造業は三万六千百六円になっております。
  122. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうしますと、この製造業よりも若干高い、こういうわけですけれども、雇用形態として、製造業と建設業の場合、季節労務者あるいは日雇いあるいは月給制、いろいろあるわけですけれども、その形態別の内容がわかればお示しをいただきたい。
  123. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 製造業は、御承知のように常用形態が非常に多いわけでございますが、建設業を含めた雇用者の常用、日雇い、臨時の別でトータルで申し上げますと、全雇用労働者が二千五百五十九万、ことしの三月でございまして、このうち臨時が百六十七万、日雇いが百二十三万、全体としてはこういう数字になっておりますが、建設業だけをとってみますと、先ほど申しましたように、三十八年度で六二%が常用で、臨時が一〇%、日雇いが二八%、これは大体四十年度においても似たような数字になっております。すなわち、常用が六三・三%、臨時が九・四%、日雇いが二七・三%、若干常用が一・三%程度ふえておりますけれども、大体同じような傾向が出ております。したがいまして、製造業においてはこういった臨時、日雇いの形態が非常に少ない。計算してみなければわかりませんが、一割見当じゃないかと思います。
  124. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、これは私どもの過去の経験と実態からですけれども、建設行政の中で建設労働の政策というのか、行政というのか、非常におくれておるし、また軽視をされているという印象を、特に実態が非常に強いというふうに私は感じております。そういう面から、今後建設行政というものが公共事業をはじめ、国土の開発という面で相当大きく行なわれるわけですけれども、それに伴う建設労働者の労働政策、建設労働者の産業労働者としてのあり方というものについても、この際私は抜本的な対策を立てて、そして十分なる労働力を建設行政の中に生かしていく、効果的に使っていくということは、行政のあり方として考えなければならぬ問題だと思うのです。そういう意味でもう一点お尋ねしておきたいのは、一般の労働者と、それから建設労働者と、私は、上の問題、賃金上の問題、あるいは労働条件の問題、それから保安の問題の中で、顕著にそうい面の格差があるのではないかという気がするのです。これは、単に日本の労働行政だけじゃなくて、今日の建設業態のあり方の中にこういう問題をつくる大きな原因があるのではないかと私は思うのです。労働省として、こういう観点からどうこれを分析され、とらえられているのか。そうしてそういうような実態があるとするならば、今後行なわれるであろうこういう大きな日本の国土開発を中心にする建設産業労働者のあり方として、どうこれを引き上げていかなければならぬのか、そういう抜本的な考え方があればこの際お示しをいただきたい。
  125. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 建設労働の特色といたしましては、御承知のように、就労の経路が普通の産業の場合と違いまして、供給地帯から相当大量に手配師その他のあっぜん者を通じて就労している。ここにひとつ大きな問題があるわけでございますが、私どもは、就労の経路を明朗化し、正常化していこうという努力を昨年から一段と積極的にやっているわけでございます。これは要するに、安定所あるいは市町村農業委員会といった公の機関を通して就労をはかっていく、こういう方向でこの問題には対処いたしております。  さらに、他産業に比べて災害率が非常に高い、また、飯場と称する寄宿舎が一般産業の場合の宿舎と比べて非常にお粗末である、こういった点がいろいろと指摘されておりますので、この労働条件の面の改善を思い切ってはからなければならない。また、仕事が、季節労働、あるいは臨時、日雇いというような形態で就労している者が非常に多いわけでございますが、そういう関係もございまして、賃金の不払いというのが、一件当たりの額は非常に小さいのでございますが、件数が多いというふうな事態が出てまいっておりますので、この面の監督指導、あるいは社会党の先生からは盛んに、元請に責任を持たせろというような御意見が強く出ておりますが、これらの御意見もできるだけ尊重しながら、賃金の不払いがないようにというふうな指導を行なってまいりたい、こういういろいろ一般産業と違った特色といいますか、弊害面も持っておりますので、私どもとしましては、建設労働問題をいろいろな角度から検討して、これに対処する労働対策を確立してまいりたいというふうに考えております。
  126. 前川旦

    前川旦君 先ほど就労人口が大体三百万ぐらいある、この住宅建設に年間百万人ぐらいの労働者が必要だ、三分の一をもっぱら住宅建設にさかなければいけないという、これは比率からいいましてかなりな大きな数字になると思うわけです。しかも、その労働者の内訳というものが、いわゆる季節労働者、日雇い労働者、こういうものが実は非常に大きなパーセントを占めている。ところが御承知のように、昭和四十三年ごろには、これはまあ農村の近代化の問題とも関連がありますが、第一次産業の労働者は不足するのではないかということが、いわゆる中期経済計画の中でいわれていると思うのです。そういうことを見ますと、はたしていままでの伸び率でこういう労働力というものを確保することができるのかどうか、なるほど一方では生産性は上がっています。熟練度は落ちているけれども、プレハブ化とか、あるいは大量生産方式というものによって生産性は上がっていると思うのです。しかし、それはそれとして、やはり労働力の確保という面で、先ほどのあまりに多くの部分を季節労働者あるいは農村のいわゆる出稼ぎ労働者に依存しているといういまの状態で、この六百七十万戸に要する労働力が確保できるのかどうかということを実はたいへん不安というか、疑問に思うわけです。そういう点で、あなたのほうの見通しを実はもう少し明快にやはりこの際述べていただかないと、この面から計画はくずれてくるのじゃないかということになるわけですから、お答えいただきたいと思います。
  127. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 御指摘のように、農村における期間労働力も枯渇してまいっておりますので、従来のような安易な方法で建設労働力を確保するということは、非常にむずかしくなってまいると思いますが、一面、都市における日雇い労働者層というものも相当ございますし、これらを常用化に振り向けるという努力も私どもはやってまいりたいと思います。いろいろな面から供給源を考えながら、この年率七%ないし八%で伸びていく建設産業の必要労働者を確保してまいるという方針のもとに、必要な労働者を絶対に確保していこう、こういうかたい決意でやっておりますので、われわれの施策の足りないところはまた御支援いただきまして、目的を達成したいと考えている次第でございます。
  128. 前川旦

    前川旦君 尚さんにちょっとお伺いしますが、六百七十万戸の計画を立てて、いろいろ事業費の費用など出しているようですが、事前にこの計画の過程で、いま労働省が言われた労働力の問題を連絡をとっておやりになったのかどうか。どうもそれを連絡をとっておやりになっておられないと思いますので、その点総合的に計画を立てておやりにならないと、妙なところから水が漏れるということがあると思います。尚さんにちょっとお伺いしておきます。一体いままでそういう打ち合わせをしてきたのかどうか。
  129. 尚明

    政府委員(尚明君) 住宅六百七十万戸の計画でおおむね三百九十万人年というものが要るというような試算を私どものほうでいたしまして、これにつきまして労働省ともお打ち合わせをし、労働省としては、いま育ったように、全体の建設労働者の育成及び環境の改善を相ともにやるとともに、私どものほうとして技術的に生産性を上げるためのいわゆるプレハブ化等につきまして鋭意促進すると、両面からしてこの実現を期するという方針で考えておるわけでございます。
  130. 前川旦

    前川旦君 たいへんそつのない御答弁で、そのとおりになりますように祈りますけれども。  労働省の職業安定局長に対する私の質問は終りました。
  131. 田中一

    田中一君 いま、ここでこれらの膨大な建設計画をやるということになると、建設労働者の問題が起きてくる。これはどんな姿勢でその対策を考えておるのか伺いたいんですよ。どうも労働省は請負を中心にした——労働省は請人の目を、業者の目をもって建設労働者の問題に対処しようとするのか、あるいは建設労働者自身の身になって自分らの問題を解決しようとするのか、どういう態度をとったんです。
  132. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 労働省の基本的な態度は、労働者側の立場に立ってものごとを考えていくという立場でございますので、この建設労働者の問題についてもそういう立場で対処してまいりたい。
  133. 田中一

    田中一君 そうすると一番近道があるんです。一番近道は、野丁場の建設労働者、いま君は直用が六十何%と言っているけれども、これはうそです。野丁場も町場も一緒にしてそういう数字はうそです。どういう根拠でそれを言っているか、これはここじゃなく、いずれ伺いますがね。町場の地域に散在するところの労働者に現在の労働三法を完全に守らす、いわゆる労働組合を強固につくらすということが、前向きの労働者中心の労働行政であるということを言い切れるんです。これは、その他の問題はもう全然労働者は考える必要はありません。どこまでも現在の労働三法というものを中心にした建設労働者の対策を考えるということでなくちゃならぬと思うのですが、いまあなたが労働者の立場に立ってものを考えると言うから、一応いまのところはそれでいいですから、いずれの機会かに具体的に対策を伺いたいと思います。
  134. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  135. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。  質問を継続いたします。質問のある方はひとつ御発言を願います。
  136. 前川旦

    前川旦君 通産省見えてますか。
  137. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 見えています。
  138. 前川旦

    前川旦君 それでは通産省の担当の方にお伺いいたしますが、六百七十万戸のこの住宅計画で、セメントあるいは鋼材、どれくらい御入り用になるというふうに試算してらっしゃいますか。これは建設省と相談の上でひとつお答えいただきたいと思います。
  139. 尚明

    政府委員(尚明君) 私のほうで構造別に基づきまして五カ年間でセメント三千七百万トン、鋼材六百五十万トン必要であるという試算をいたしまして通産省のほうにお話ししております。
  140. 前川旦

    前川旦君 通産省のほうでいまの必要な資材については責任を持って確保するというふうなお考えでおられるのかどうか、お答え願いたいと思います。
  141. 吉川佐吉

    説明員(吉川佐吉君) 私どもの所管しておりますセメントにつきましては、現在、年間三千四百万トン程度生産いたしております。この五カ年計画におきましては、セメントがトータルで三千七百万トン、すなわち年間で七百四十万トン程度になりますが、これは現在の生産高の二割くらいでございます。現在のセメントの生産能力は、これは稼働率を低めておりまして、私どもの推定では五千五百万トン年間生産できる能力を持っておりますので、これは十分可能かと存じます。  なお、鋼材につきましては、三十九年度の普通圧延鋼材の生産高が五千百四十万トンになっております。これに対しまして、五カ年計画における鋼材の必要額が六百五十万トン、すなわち一年間で百三十万トンでございますが、これは現在の生産実績に対しまして約三%程度にすぎない。  なお、御存じのように鉄鋼につきましては減産をしておるという状態でございますので、この程度は十分まかなえるものと思われます。
  142. 前川旦

    前川旦君 あわせて念のために伺っておきますが、今度は木材の問題、これは木材の製材の能力、生産能力からいって、この六百七十万戸に一体どれくらいの立方メートルの木材を要するのか、今度は、供給するほうの側からこれは可能なものかどうか、その辺の見通しをあわせて伺っておきたいと思います。
  143. 尚明

    政府委員(尚明君) 木材につきましては、この五ヵ年計画で要します総量は六千万立方メートルというふうに試算いたしております。で、今日、どの程度の木材が生産されているかと申しますと、三十九年度で四千五百五十万立方メートルでございます。この中には一千百万立方メートルの外国材を含んでいるわけでございますが、したがいまして、これは住宅政策を推進していきますにつれて、どうしても現在のままでは不足になるわけでございます。で、これにつきまして農林省とも打ち合わせておりますが、農林省としては、現在におきましても国内材のみで需要を満たしていない関係で輸入材に仰いでおるわけでございますが、今後も輸入材を拡充するということで供給能力はあるというお話になっております。
  144. 大隅清示

    説明員(大隅清示君) 林野庁の林産課長の大隅でございます。製材用の原木の需要の現況を見てみますと、ただいま建設省のほうからお話がありましたように、三十九年度は四千五百万立方程度昭和四十年度はわずか伸びまして四千六百万立方程度でございます。われわれが先般策定いたしましたところの近代化計画におきまして四十五年を見通しますと、約五千三百万立方程度というふうにわれわれのほうはなっておりますが、先ほどの御質問の六百七十万戸の六千万立方というのは、われわれの推計におきましても妥当な数字と考えております。
  145. 前川旦

    前川旦君 ただいまの尚さんのお話では、いままでの年間の生産量からいって、やはり若干不足するんではないかという推論が出ておりますが、その問題については、いまでもかなり輸入にたよっているので、その面でのあれをふやす必要があるんだ、こういうお話だったと思いますが、そうなるとやはり外貨の問題とも関係があると思います。いま一千百万立方メートルですか、輸入しておりますのは。その点で外貨の問題も含めて、これに必要な木材については完全にこれを供給するんだという、やはりはっきりした通産省なり林野庁なりの援護射撃ということがなければ、これは建設省だけではこれまた途中でおかしくなると思いますので、その辺をなおよく念を押しておきたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  146. 大隅清示

    説明員(大隅清示君) 先ほど御説明いたしました四十五年の五千三百万立方の中には、千六百八十万立方程度の外材を見込んでおります。先般発表いたしましたところの長期見通しにおきましては、現在約千七百万立方程度の輸入を、昭和五十年には約三千万立方程度という見通しを現状の上に立てておりますので、これだけの供給は可能かと思っております。
  147. 田中一

    田中一君 関連して。いま鋼材、セメント、木材の問題が出ておりますが、これは何ですか、尚君、現在行なっているところの程度のものをつくろうという考え方で積算をされたものでしょうね。
  148. 尚明

    政府委員(尚明君) ただいま申しました各資材の需要量をはじきましたのは、必ずしも在来工法だけでございませんで、五カ年間に政府施策住宅中心として鉄筋コンクリートのものをふやしていくというような要素は織り込んでございます。
  149. 田中一

    田中一君 現在より何%くらい織り込んでおりますか、不燃化の工法は。
  150. 尚明

    政府委員(尚明君) 主として公共住宅についての試算でありますが、不燃率につきましては、現在四十一年度におきまして、公営住宅が八九%でございますが、これを来年度以降は一〇〇%の不燃にいたしたいと考えております。それから公庫の住宅につきましては、個人住宅につきまして現在不燃率が一六%でございますが、四十五年度は二六%にいたしたいと思っております。それから公庫の分譲住宅は今日不燃率が六八%でございますが、これを四十五年度におきましては七八%にいたしたいと考えております。また、中高層の率でございますが、公営住宅につきましては、現在三六%でございますが、四十五年度には七〇%にいたしたいと考えております。それから住宅金融公庫融資にかかわるものは、現在中層耐火の率が三九%でございますが、四十五年度には五〇%にいたしたいと考えております。日本住宅公団住宅は現在すべて不燃でございますし、ほとんど全部が中高層になって建設されておりますので、これはあと規模がふえるということだけでございます
  151. 田中一

    田中一君 瀬戸山さんにお願いしておきますがね、いま不燃化ということを中心にして伸び率を言っているにすぎないんであって、まだまだ住宅建設のくふうが足りません。木材は、御承知のように、いま前川委員が聞いているように、不足している。私はもう木を切るなと言いたいんです。一方において緑地法を出したりしながら、今度は木を切ることを促進するということ、木材の需要というものを押えようという意図がないです。不燃化というものは当然のことなんです。そこで、ただ単に構造上の不燃化の問題ばかりでなく、造作材その他についても、いまの日本の総合的な産業の消長の面から見ても、セメントもそうだ、鉄鋼もそうだ。まあ少なくとも鉄鋼等を用いて、造作材にかわる資材を用いるということのくふうをしてほしいと思う。これは可能なんです。ただ金の問題が高い安いという問題になってきますが、金の問題は、高く使えばもちがいいわけです。木造建築なんというものは十五年でおしまいなんです、耐用年限は十八年に見ておりますが。そういうほんとうに前向きの日本の産業全部を見通して、これにはたいへんな数の、何百万という労働者、国民が働いているんです。したがって、操短をするとかなんとかいうものをいかに働かすかということにあると思うんです。木材の輸入をすればいいんだというようなことでは困るわけなんです。ことに最近は曲げものが相当あります。曲げものというのは、御承知のように、ベニヤ製品、これは非常によくなっております。これは太いやつではなくて、小さなこれっぽっちのものでもいい。ビニール製品その他のものがたくさんあるわけです。そういうふうなくふうをしてほしいと思うんです。これも計画生産させれば安くなります。必ず安くなります。そこまでの建築材料全般にわたるところの計画性というもの、これはこの計画というものができた以上、計画性を持たせながらそういうものを採用していく。そうしてそのおのおの業界があるでしょうから、その業界に対して何年度はおまえのほうの製品を、これこれの製品をこれくらいまでは買うんだということを言って、計画生産させる。それが景気を直すもとにもなり失業問題も解消される。そうしたくふうがいままで全然見られません。不燃化の問題にしても、もう公営住宅法、あらゆる住宅立法ができて、再三再四いってもなかなか進まない。金の問題ではない、戸数主義の問題、戸数でもって国民をごまかそうというところがあるのでありますから、これはひとつその点は十分に、そうした材料の選定等も計画生産させれば安くなる。自然の木材を、山から木を切るというのは、しいていうならば、おやめなさい、私はこう言いたい。そうすると林野庁は困るかもしれませんが、しかし、国土を守るにはやむを得ませんよ。そういう意味で倒木なら使っていい、そういう意味で材料の選択の態度というものを建設大臣からお聞きしたい。
  152. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 材料あるいは労務の問題としていろいろ御意見等ございました。いずれもしごくごもっともだと聞いておるわけでありますが、資材の問題はセメント、鉄鋼の話がありましたが、木材にいたしましても、これは何も自然の木材だけにたよっておるわけではありません。田中委員がいままで何もしていないとおっしゃるが、していることを知っておっておっしゃるわけでございますが、いろいろくふうをし、研究を続けて、また大量的にそれほど使用するという段階にいっておりませんけれども、資材の転換をはかるということについては、研究所はもとよりでありますけれども、各会社等においても研究を続けておるわけであります。それがいま相当に実用化されている。こういうものは建築の問題になりますけれども、アルミサッシ等も何でも使われるようになってきた、あるいは木材をそのまま使わないで集成材で柱なんかまかなおう、こういうものが相当研究が進んできております。ただ大量に生産していかなければどうしても単価が高い、いまお話しのように、規格的に、あるいは住宅地帯にはこれだけの規格のものをつくりなさい、それだけ計画生産をする、一応そういう段階住宅公団は入っているのでございます。それほど見えるような状況ではございませんけれども、おっしゃることは当然の御意見でありまして、十分に私ども研究していきたい、こういうふうに考えております。
  153. 前川旦

    前川旦君 さっきの一つだけ追加して詳細にお伺いをしておきますが、労働力の不足ということが、これは将来のことですから、いままでの趨勢からいくと、やはり四十三年ころは危機だということで、第一次産業のほうは人手不足になるということで、やはり労働力の不足という面が出てくる危険性があるのじゃないかという、これは中期経済計画の中でもいわれたことですから、あると思います。その労働力が不足した場合に、プレハブなり大量生産方式なりでやる、大手の建築業関係は、何とか確保されるだろうと思うのです。そうすると、どこに労働力のしわ寄せがされるかというと、普通の町場というか、いわゆる零細業のほうにしわ寄せされてくるのではないか。しかも、いま生産性が上がっているけれども、個々の労働者の熟練度というものは下がっているということはいわれておる。であれば、そういった零細業者を頼んでやらなければいけないところのいわゆる持ち家、普通の住宅建設、それからいわゆる四百万戸の民間住宅、こういったものが労働力の面から見て質的な低下をもたらす危険性があるのではないか、ということは、やはりこれまたスラムを一方でつくっていくということになるのではないか、この点について心配がありますので、どうお考えになっているか、どういう対策をとられるか、お尋ねしておきたいと思います。
  154. 尚明

    政府委員(尚明君) 現在のままの状況でいきまして、労務の不足が起きますと、御指摘のような問題点が生ずると思います。そこでまず私どもとしては、一番政策が直ちにコントロールのききます公共住宅につきまして、鋭意プレハブ化を行なっているわけでございます。一つは、すでにやっておりますように、公営住宅の平家及び二階のアパートにつきまして、毎年一万二、三千戸程度は完全なプレハブで建てております。さらにこれから建てられます四階建ての中高層アパート、これもプレハブにいたさなければならないわけでございまして、数年前から住宅公団中心に研究しておりまして、昨年、約一千戸完全なプレハブ方式で建設できるようになりまして、いよいよ本年からこれを鋭意拡充いたします。その結果公営住宅あるいは公庫関係の中高層のものにもこれを取り入れていく。それからさらに地方都市等で行なっております公庫融資による分譲住宅一戸建て住宅、これもできるだけ個人プレハブハウスを取り入れてやるようにいたしております、以上は、私どもがみずから政策を立てて具体にできるわけでございます。一般の民間の方は私ども直接にコントロールできないわけでございます。そこで、いま御指摘のような問題に対処するためには、個人プレハブハウスというものの普及を一そうはからなければならないというふうに考えております。  それからいま一つは、建築の各部材におきましての合理化でございます。すべての建築の全部がプレハブにならなくても、たとえば御存じのように、ステンレスの流し、昔は大工さんが骨組をつくり、そのあとブリキ屋さんがおおうなり、左官屋さんがタイルを張るというような手間をとった仕事でございますが、これが工場でできてセットされる、こういうようなことを住宅の中により多く取り入れていくこと、これはやはりプレハブの推進の一環の中でできる問題でございますので、いわゆる部材のプレハブ化ということを一方で考えているわけでございます。以上のようにしてプレハブの建築が容易に建てられるようになりますならば、ある一定の質を確保した家か建てられるということになるわけでございます。そこでこれを個人住宅建てます場合は、通常おっしゃられますように、中小の建設業者、あるいは一般の棟梁、工務店に頼むわけでございますので、そのプレハブ工法というものが、そうした一般の国民大衆と接触する工務店等に普及しなければならないわけでございまして、ただいまプレハブ生産会社は、これらの各地域における工務店等と提携して、つまり中小の工務店等は、大部分の材料はプレハブ会社から買ってきて、その組み立てのみをする、いわゆる労働者がだんだん組み立て工的な性格になって能率をあげるという方向にいかせるようにいたして、私どもプレハブを製造している会社等にその普及を鋭意はからせるように指導しているわけでございます。
  155. 前川旦

    前川旦君 私は、いますぐ問題をどうするんだということで、いまのようなこういうつもりでございますと、何か、何年先のようなお話、御答弁をもっと詰めたいのですけれども、時間的スケジュールがあるようですから、また次の機会に尚さんにとっくりお話を伺いたいと思いますので、省略します。  それでは次にお伺いしますが……
  156. 田中一

    田中一君 関連。公営住宅法の制定以来の三年ごとの計画、これの計画した戸数と、実績とを知らしていただきたい。  それから住宅公団にもお願いしたいのは、公団法ができて以来計画した戸数と実績、まあ実績といっても、大体五月ころまでの決算でいいと思うのです。どっちみちいろいろな事情があって繰り延べされるものがあると思うから、三月末と言わないでも、会計検査院が来るころまでのものでいいと思うのです。住宅金融公庫には大体どうなっていますか。これもいいや、金でもいい、融資金額とその年度の実績、でき上がったというか、公庫法ができ上がって以来の四十年度までのものでもいいから、それをひとつそれぞれ説明してください。
  157. 尚明

    政府委員(尚明君) 公営住宅の三カ年計画につきまして過去の実績を申し上げます。
  158. 田中一

    田中一君 ちょっと待って。計画と実績、合計でいいですよ。
  159. 尚明

    政府委員(尚明君) 各、個別になっておりますので、その合計はちょっと時間をいただきます。すぐに合計いたします、五期分ございますので。
  160. 林敬三

    参考人(林敬三君) それではその間に住宅公団のほうの数字を申し上げます。四十年度末までの建設計画戸数は、三十五万六千戸でございます。そうして実績は三十五万四千四百九十九というのでございまして、マイナス千五百二十一戸になっております。
  161. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) ちょっと資料が不十分でして、計画のほうはちょっと確かめますが、実績のほうについて申し上げますと、二十五年度から四十年度までの貸し付け契約における実績でございますが、戸数において百四十八万六千戸、金額にいたしまして七千百三十九億円となっております。
  162. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  163. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。
  164. 尚明

    政府委員(尚明君) 公営住宅の三カ年計画昭和二十七年から始まりまして各三年を一期といたしておりまして、第五期三カ年計画は、この終わりは四十一年でございます。以上十五年間の計画を総合計いたしますと、計画が八十六万三千戸、これに対しまして実績七十六万七千六百五戸、達成率八九%でございます。なお、つけ加えまして申しますと、第一期のみは非常に達成率が悪く六九%になっております。第二期以降の達成率を考えますと九四・三%の達成率になっております。
  165. 前川旦

    前川旦君 それじゃ六百七十万戸の中で政府の施策は二百七十万、四百万戸というのはこれは民間の自力建設になっているわけです。これは私どもの普通の常識から言うと、民同の自力建設四百万戸に依存していて、全部を引っくるめて五カ年計画で一世帯住宅で、これはもう普通の常識から考えて、選挙のときに一世帯住宅というス  ローガンに入れるからというので言っておるのじゃないかと勘ぐりたくなるのですが、ほんとうは二百七十万だけ問題にすればいいと思うのです。まあそれはそれとして、この四百万戸の民間の自力建設について、これが可能であるというその根拠をどういうふうにしてお出しになったのか、従来の伸び率からいっても、従来の伸び率よりもかなり高く置いており、しかも狭小過密というか、質の悪いのを尚さんのお話でも除外して計算しているはずです。そうなると、非常にこれは従来からいうと非常に高い数字になると思うのですが、それについて四百万というふうに想定されましたその根拠といいますか、その自信といいますか、尚さんからお伺いをしておきたいと思うのです。
  166. 尚明

    政府委員(尚明君) 民間自力建設住宅の過去の五年間の実績を見ますと、いわゆる水準以下の住宅を除きまして年率平均一〇%伸びております。それを今回の四百万戸の民間自力建設の目標におきましては一一・二%と、若干伸びを大きく期待しているわけでございます。それから国民所得統計から見まして、民間自力建設の住宅に対する投資の伸びを推定いたしますと、過去十年、昭和三十年から三十九年の平均は約一四%実質の伸びをしております。以上のような過去の建設戸数の実績及び当時の実績から考えまして、五年間に四百万戸の目標は達成可能であると考えておるわけでございますが、なお、戸数等において、若干過去よりも伸ばしているということを裏づけるためには、低廉な宅地の計画的な供給、それから建築費の安定政策、それから住宅建設に対する税制上の優遇措置、あるいは民間金融の、住宅金融の円滑化というような措置を今後あわせて考えていく必要があるというふうに考えております。
  167. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで、いまの前川君の質問に関連をしまして、去年の十二月に住宅対策審議会というの、か建設大臣の諮問機関ですね、あそこでは、民間自力建設に多くを期待するということは問題がある、公的資金による住宅の割合を増大させるべきであるということを指摘しておったはずですけれども、十二月、そのときには、建設省の民間自力建設を期待したものは四五%でしたね。それが予算折衝の過程で五%も引き上げられるに至った理由ですね。しかも、審議会の答申との関連、これをどう受けとめておるのか、これをお伺いしたい。
  168. 尚明

    政府委員(尚明君) まず総戸数、七百八十万戸を当初建設省としては試算したわけでございますが、それは昭和四十五年におきます普通世帯の一世帯平均の世帯構成人員三・七人になるであろう、この想定に基づきますと、一世帯住宅を実現させるために七百八十万戸要るわけでございます。その後、この案につきましては、政府部内でもいろいろの意見が出まして、つまり建設省として、三・七人になるということは、この最近の十年間の経済成長の非常に高度であった時期の世帯細分化傾向を追跡したものであって、今後この安定成長期に入ってくるわけでありますが、多少細分化はスローダウンするのであろう、したがって三・八人程度に落ちつくのではないか。ここは将来の問題で、かなり議論が戦かわされたわけでございますが、結局、この第一期としては、将来の推定、昭和四十五年度の普通世帯規模を三・八人で計算をすることにするということにいたしまして、七百六十万必要であるという計算になったわけでございます。それから政府の援助率につきましては、建設省としましては、政府援助を四五%にしようという案でございましたが、その後やはり政府部内でいろいろ検討いたしました結果、当初案である一人世帯についてもこれを住宅を必要と考えて、一般的な住宅を供給するということは、現状ではなお困難ではないかというような議論がございまして、二人以上の世帯を対象に住宅供給をするという方針になったわけでございます。そういたしまして考慮いたしますると、四〇%の政府援助によって、おうむねこれが達成されるという計算が山山たわけでございます。
  169. 竹田現照

    ○竹田現照君 私は七百六十万を六百七十万に減らしたことについての論議は、いずれ前川さんがやると思いますから、それに触れないのです。大臣の諮問いたしました対策審議会が、民間自力建設に大きく依存をするということは、問題がある。むしろ、政府公的資金による住宅の割合をふやすべきだということを指摘しているにもかかわらず、当初の建設省計画よりは民間の自力建設のパーセンーテージを多くしたという理由がわからないというのです。しかも、去年の十二月の審議会の指摘なんでありますから、ですから七百六十万が六百七十万に減ったが、減ってもなおかつ四五%の当初計画の比率だけは確保しておいてもいいじゃないか。それを逆に五%減らしたということは、審議会の答申を求めている建設省の態度としては、ちょっとおかしいのじゃないかと、こういうことを言っておる。
  170. 尚明

    政府委員(尚明君) 審議会の答申の御意見といたしましては、政府の援助率を四五%で行なうように答申されたわけでございますが、その後、政府部内として財政的な能力その他を勘案いたしました結果、在来、過去におきましては、過去のいわゆる在来、持っておりました七カ年計画の援助率は三八・五%程度でございましたが、これを四五%に一気に引き上げることはいろいろの点で困難があるという問題で四〇%といたすことにしたわけでございます。
  171. 竹田現照

    ○竹田現照君 では、それで一世帯住宅ということを実現をさせるというつじつまを合わせるために、年収百万円以下の半分、くらいは持ち家の対象にしてこの計画のつじつまを合わしておるわけですよ。現実に年収百万円以下の半分は持ち家対象にするというような無理をしてまで、こういうつじつまを合わせなければならないのか。それでなおかつ一世帯住宅というとたいへん聞こえがいいのだけれども、これがさもできるやに錯覚を起こさせるような計画案というものは、実際は内容がないのじゃないか、そういうように私は思うのです。これはもうしゃにむに数字を合わしているような気がしてならないし、現にそうだと思うのです。この点は一体どうなんですか。第一、労働省はその当時は持ち家をあまりふやすということには、労働政策上からもこれは反対だったということを聞いております。むしろ借家をふやすべきだ、そういう見解が披瀝されてあったはずなんですけれども、それらの関連はどうなんですか。年収百万円以下の者の半分も持ち家の対象にするということが無理だとは思わないのですか、この点です。
  172. 尚明

    政府委員(尚明君) 住宅の建設能力と申しますのには、もちろん年収ということも相当重要でございますが、そのほか、すでに持っておる資産、貯金というようなものも一つの大きなファクターでございます。人口流動に伴いまして、郷里の資産等を処分して、都市において住宅建てておる方が相当多いわけでございます。これらのことを、過去の実績を考えますと、全く政府援助なしに、過去におきましても毎年一〇%ずつ住宅建設戸数がふえてきているという過去の実績がございます。で、これをあまり急に上げるというようなことをすれば、いま御指摘のような無理な問題になりますので、過去の実績でございます数字に対し、これからある程度これの促進策を行なうということで、すなわち一〇%ずつ伸びてきた実績を、さらに援助措置を伸ばすことによって一一・二%を期待するというふうにしたわけでございます。
  173. 竹田現照

    ○竹田現照君 どうも答弁がわからんですね。対策審議会は一〇%ずつ伸びがあったとかないとかいうことも十分検討された上で、なおかつ民間に依存するということは、これ以上問題がある、先ほどから言っているように、公的資金で建設をふやしていくべきだ、こういう答申を半年前にしているわけですね。そういう面も含めて建設省は審議会に答申を求めておって、その審議会があらゆる角度からいろいろと検討をされて一つの指摘事項として出しておるということを、いうならば一片のほごにして、なおかつ私がいま言ったように、年収百万以下の半分も削り取って、これも持ち家ができるんだ、対象にできるんだというような、そういう無理なことをやってまで、この五〇%からの数字を出すということについては、いまの説明では私はどう言っても納得しない。これは全くつじつまを合わせるためのへ理屈 以外の何ものもないと思うのですね。現実に沿わないと思うのです。
  174. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私ども、できればできるだけいわゆる政府施策住宅、こういうものを早急に大量に建て——民間が建てられるのは、これはけっこうでありますから、家の過剰を望みたいのです、率直に言って、ある程度の過剰を。そういう考え方で審議会にもおはかりし、私どもも検討しておりました。これは私ども住宅を担当する者の情熱としてはあたりまえだと思っております。けれども、やはり諸般の政治をやるべき場合がありますから、総合的に将来の財政計画を立てるときには、なかなかその一点だけに重点を置くというわけにいかない。財政計画上、必ずしもいわゆる政府施策住宅を四五%やるということは非常に困難だ、これが率直なところであります。そういうことで従来三八%前後のものを、少なくとも最低四〇%をこさなければ、いわゆる政府住宅の情熱をたぎらしているなんていうことは言えないのじゃないか、これが実情でありまして、四〇%台を守ったというのが、私どもの偽らざる内容でございます。
  175. 田中一

    田中一君 関連。瀬戸山さんね、この法案は全部を通じて公共住宅建設計画法なんですよ。たとえばこの条文を読んでも、はたして民間建設というのに対してどういう法律上の、いわゆるあたたかい手を伸べているかという点をさがしてみました。そうすると、四条の3に、「住宅の需要及び入居者の負担能力を考慮し、かつ、適切な規模構造及び設備を有する居住環境の良好な住宅が建設されるように配慮しなければならない。」という精神規定、それから第七条の一項、「国は、住宅建設五箇年計画に係る公的資金による住宅の建設の事業の実施のために必要な措置を講ずるとともに、住宅建設五箇年計画を達成するために必要なその他の措置を講ずるように努めなければならない。」という精神規定、それから第九条の「国は、住宅建設五箇年計画に定められた住宅の建設の目標に即して必要な住宅の建設基準を定め、これに基づいて住宅の建設又は住宅の建設に関する指導を行なうように努めなければならない。」という精神規定、この三条しかないのですよ。一体何をしようとするのです。いま前川委員、あるいは竹田委員がるる質問しておるこの法律は何があるのかといったら、それだけの民間自立建設に対しては、これだけの精神規定の三条を持っておるにすぎないのです。これはもうしょせん公的資金による住宅建設計画法なり、またあるいは公共住宅建設計画法ということにすればすっきりするわけです。何も民間がどうつくろうと何しようと、知ったことじゃありませんよ。それはたとえばイギリスなんかはだいぶ変わっております。労働党内閣になってから、住宅計画的に国が施策としてやっておる。それから社会主義国は大体おおむね——おおむねじゃない、全部が全部国が直接協力する計画住宅です。ところがこの法律は何にもないのです、全部を通じて何もないのです。いま私が読み上げた三条の中の一行程度のものの精神規定があるにすぎないのです。これはあとで総括的に申し上げようと思ったのですが、この機会に申し上げておきますけれども、これは一体何かというのです。おこがましくも国全体の、国民要求する、期待するところの住宅建設計画法なんという銘を打って、実情というものは、これは公的資金住宅建設計画法です。実際に民間自立建設というものに対する愛情があるならば、これにはっきりと資金計画なり——これは精神規定でもよろしいですよ、資金計画、民間資金に対しては、このいま言っておる公的資金供給団体——住宅金融公庫住宅公団その他のものであっても骨を折ろうというようなことを、政府としてもお出しなさい。また技術の問題に関しましても、国が日本トラックターミナル会社に出資したと同じように、国が新しい建築材料の開発につとめ、そういうものにやはり五億でも十億でも出して、そういうものを量産して安いものを供給するというようなものをも含めた、これもまあ初期でありますから、精神規定でもいいです。そういうような方法を見せないで、ただ単に国民のあごをおさすりして待ってろ待ってろという——犬じゃあるまいし。こんな法律はありませんよ。だから先ほど言ったとおり、一番罪悪なるごまかし法案であり、かつまた国民を欺瞞する法案であると、ぼくが言ったのはそれなんですよ。これが何がありますか。一方あなたが常に言っておる税制の問題とかあるいは融資の問題とか、いろいろな面において部分的にそういうものをたくさん持っておるものがあれば、それを全部入れて総合的な対策をここへ織り込んで、そうして一つの体系をつくるところに単行法の、基本法のよさがあるのです。まぎらわしいところは全部取ってしまって、いいところは全然なしで空気でもって生きろといったって耐えられないのですよ。いま竹田君が言っているような質問、疑問は決してわれわれ三人だけが持つのじゃございません。ぼくの向かい側に並んでいるところの自民党の与党の諸君ですら、おそらくこの問題については一体どうなることやらいなやという気持ちをかすかに持っております。そういうことを言っておるとつかえてしまいますからね。この問題はとにかく私はこれ以上追及はしませんが、これは瀬戸山さん、あなたの罪悪なりいままで悪い悪いと言ってわれわれが指摘してきたところの経済企画庁の、経済企画庁はプランメーカーですから、あそこならまだいいんです。経済企画庁計画ならいいのです。建設省は実施官庁ですよ、いいですか、これによって建設大臣は各省各部門に対して、いろんな方面の手当てをして建築している建設大臣ですよ。民間が何しようとそんなことはあんた方に関係ございません。それにはもしもそれらのものに資材なり技術なんか要りませんよ。建設住宅の技術の指導なんて迷惑しごくですよ。あなた方に国民要求する建築技術なんというものはありゃしませんよ。まだ請負のほうがずっとうまくそろばんに合ったようなことをしてくれますよ。これは実際に瀬戸山さん、あんたにしてはお粗末な法案です。これはしかし答弁は求めませんよ、私の批判ですから。この批判というものはおそらくここにいらっしゃる全部の人たちが、胸にこたえて共感を覚えていると思います。
  176. 前川旦

    前川旦君 建設大臣にお伺いいたしますが、この四百万戸、一応これを六百七十万戸のうちに入れるからには、この四百万戸に対する具体的な裏づけというものがやはりなければ、これを六百七十万戸と一世帯住宅と、こういうことが私はできないと思うのです。そこで、この四百万戸の民間自立建設に対して、私は三つの面で問題があると思います。一つは、税制面でどうやっていくか。一つは民間資金をどう導入していくか。これはあとで質問することにして、まず第一に、一体この四百万戸に対して、行政指導として建築指導としてこれをどうやっていくんだ。野放しに建てさせるのか、あるいはいまたいへん不法建築といいますか、建蔽率も何も無視したような不法建築が一ぱいできています。大阪なんかは非常にひどい状態です。できるはじからスラムになっていると、こういうような状況になっておりますが、一体全体これをどう指導していくのか、どう規制していくのか。その具体的な方針について確たるものがあれば、この際伺っておきたいと思います。
  177. 尚明

    政府委員(尚明君) 民間住宅の促進策としては、いま御指摘になりましたような、税制の問題、それから金融の問題、あるいは宅地供給の問題、そして今日建てられている住宅のうちの別ワクのものに対する指導と規制という問題がございます。私どももこれらの問題について考えているわけでございますが、まず税制でございます。今日も民間自立建設の促進として、住宅に関する諸税の軽減措置ということはいろいろな形でやっております。たとえば民間におきまして、賃貸住宅または給与住宅建てました場合は、いわゆる特別償却として鉄筋コンクリートのような場合には、五年間三十割り増し、つまり四倍の速度で特別償却を認めるというようなこともやっているわけでございます。そのほか自己の用に供する住宅建てました場合に、一定規模以下の場合は登録税を軽減しております。また公庫、公団等の分譲住宅及び宅地建物取引業者建てました分譲住宅等を購入いたします場合に、またこれを登録税を減免いたしているわけでございます。そのほか固定資産税につきましても、一定規模以下の住宅につきましては、税額を二分の一にいたしております。それから中高層化をはかるために、中高層アパート等の住宅部分につきましては、税を二分の一に数年間減税するというようなこと、そのほか不動産取得税につきましても、一定の規模以下の住宅につきましては、基礎控除を規模にかかわらず一戸について百五十万円を税額から基礎控除するというようなこと、それから今回改められましたのですが、土地の上に二年以内に建物建てました場合に、同じくその土地の税をまけるというような諸般の減税をやっております。また四十一年度からは従業員が企業者から住宅分譲または金融等を受けました場合に、一般のものよりもかなり有利であっても、これには税を課さないというように本年からやっております。そのほかいろいろなものがございますが、こういう形で通常三十坪程度以下の住宅をなるべく建てやすいように各種の減税を行なうということを在来もやっているわけでございますが、これらにつきましてさらに一そう強化する必要があるというふうに考えております。  それから金融につきましては、在来の公的な金融公庫等の金融以外に、あまり住宅金融が民間同士で行なわれることは、活発ではございませんでした。しかしながら、これを助成するために、住宅金融公庫に融資保険制度を設けて、民間金融に事故があった場合に、その事故金の大部分について補てんするというようなこともやってきたわけですが、最近各種の金融業者住宅のローン、いわゆる住宅ローン等についていろいろ計画を持つようになってまいりましたので、これにつきましていまの融資保険制度等とも合わせながらいい方向にいくように指導いたしたいというふうに考えております。  それから不法建築その他あるいは劣悪な住宅が建つということにつきましては、まず何と申しましても宅地等が十分整備されていない所に建てられるのが、一つの原因でございますので、宅地の供給を低廉にして長期割賦の方式で多く供給するということが一番大きな効果があると思います。がさらにこの不法建築等が建ちましたり、あるいは劣悪な居住家屋が一部できることを防ぐために、一昨年でしたか、まず宅地造成事業に関する法律ということで、一定の地域、大体都市周辺でございますが、宅地造成事業はすべて知事の認可にかかわらしめるというふうになりました。したがいまして、劣悪な民間宅地造成あるいはその上に乗る分譲住宅というものは、今後は大規模に行なうことはできなくいたしたわけでございます。大体おおむね一般の場合三千坪以上の開発をするときは、すべて知事の認可が要るということになっております。しかし地方公共団体によりましては、条例によって三百坪以上を開発下るものも、すべて認可が要るということに引っかけております。しかし、これはちょうど本年あたりからその法律が厳密に執行されることになりますので、今後の問題でございます。なお、そういうこととも別に、在来持っていた土地等を利用して不法建築がたくさん建つということにつきましては、これをやはり建築行政の角度から、取り締まりを強化しなければならないわけでございます。これには直接建築行政担当の機構を強化したりパトロールカー等をふやして、その監視を厳重にするということと、いま一つはこれらの住宅を買ったり、あるいは借りたりする人たちのためにPRといたしまして、こういうそれぞれのところにおいては、いかなる法律のもとに建てられなければならないかということを周知徹底する、あるいは住宅相談所等を設けるなり——いま大都市はみな住宅相談所を持っておりますが、これらの活動を活発にして家を買ったりなんかするときに、心安く相談に来て違法のものを購入したりなんかする習慣を、できるだけ早く警告して断ち切らせるというような方法をいたさなければならないというふうに考えております。
  178. 前川旦

    前川旦君 民間の資金の問題出ましたから、ここでお尋ねしておきますが、民間の資本というものを住宅建設にどう生かして使うかと、これたいへん大事な問題であると思います。その問題について、いま尚さんは一つ住宅融資保険、もう一つは、いわゆる銀行関係で住宅ローン、この二つを実はおっしゃいました。で、この二つをやっておるから民間の資金の流れがよくなるんだと、こういうように私聞きましたんですが、これは一つお伺いいたしますが、住宅融資保険は一体どれほどの実効をあげているとお考えになりますか。たとえば、いま住宅融資保険の契約高は件数にして八百三十六、契約残高四十四億二千八百万円、わずかこのような、この程度の融資保険の効果で、一体民間の資金がはたして生かして使えるものかどうか。  もう一点をお尋ねいたしますが、いわゆる銀行からの金融の問題です。私ちょっと調べてきましたが、都市銀行だけちょっと申し上げますと、都市銀行の昭和四十年十一月現在の貸し出し残高十兆四千五百九十三億円です。それに対して住宅貸付は二十六億五千万円、一体パーセントにして幾らになります。うんとこれは低い数字ですね。こんなわずかなことで住宅ローンを一つのてこであるとか、それからいまの住宅融資保険が一つのてこである、これはとてもじゃないけれども、現実の問題として民間資金が生きて使うことにおいて果たし得ない、こういうふうに私考えるわけです。  そこでまあもう一度お伺いいたしますが、こういう金融の状況、こういう住宅融資保険の利用の度合い、これから見てこれで一体民間資金生かして使う上において足れりというふうにお考えになるのかどうか、もう一度お伺いしておきたいと思います。
  179. 尚明

    政府委員(尚明君) おっしゃられますように、民間の住宅金融の育成ということは、在来は私どものまことに意に満たないものでございました。これは御承知のように民間金融というものが、過去数年間は主として設備投資関係に振り向けられていたことが大きな原因で、われわれが保険制度等を設けていろいろの形で呼びかけても、なかなかこれらの金融が乗ってこないというのが実情でございました。したがいまして、これらの問題は幾らか金融が緩和されてきたこの機に、今後一そう力を入れて推進すべき問題であるというふうに考えまして、たとえば融資保険につきましても、今年から保険料を引き下げるということで一つ措置をいたしますとともに、民間の銀行のローン等につきまして、これはまだ私どものところには、いろいろ相談の形で来ている段階でございますが、これを一そうわれわれも指導しあるいは相談に乗って育成してまいりたいというふうに考えているわけでございまして、おっしゃられますように今後の問題、今後ぜひやりたいと言っている問題でございます。
  180. 前川旦

    前川旦君 いままでの資金の流れが設備投資が重点になっていた、今後はたぶん変わるだろうという若干他力本願的なものの言い方をされているように思いますが、それじゃ一体いわゆる消費金融の中で、いま都市銀行の例をあげましたが、住宅が二十六億五千万円、四十年三月現在のこれは貸し出し状況です。同じ次元でとらえてピアノが三十三億四百万円、自動車が百九十五億五千万円、これは全部消費物資です。消費財。それに比べて住宅は二十六億五千万円、あまりにもこれはひどい差があるんじゃないか。これをまあいままで設備投資のほうばかりいっておったものだから、消費のほうに回らなかったのだと。これで見たってなかなかそうは言い切れないですよ。住宅はあまりにも少ない。それに対して相談の段階ですというのは、これは少しあまりにも相談の段階で寄り寄り集まって相談しておりますというんじゃ、とてもじゃないけれど四百万戸に対して民間資金の導入を本気で考えているのかどうか、私疑問に思います。そこでもう一度より具体的に何を考えているのか、どうしようとしているのか、もう一度これは答えていただきたい。
  181. 尚明

    政府委員(尚明君) いまおっしゃられましたように、都市銀行におきましては、私どもの調べにおきましても四十年三月現在で約二十七億ばかりの残高でございます。一方地方銀行はこれもそう多いとは私申し上げませんけれども、六十一億ばかりの住宅関係融資の残高を持っております。しかし両方足してみたところで、そう多いというわけではございません。そこで今後の問題でございますが、これは実はたとえば生命保険の資金の活用ということといたしましては、これは大蔵省もあわせて生保協会等に指示して考えているわけでございますが、しかし私としてはここでいま具体的にこうするのだということは、まだ研究段階で言えませんが、たとえば生命保険の契約と住宅融資を結びつけた方法、すなわち保険金というものが積み立てられるわけで、その契約と保険会社から住宅のお金をいわば貸すというような形との結びつけの方法はどうかというようなことが、一つ考えられております。それから御承知のように今後調整年金、これが生命保険あるいは信託銀行の中にできるわけでございますが、これをそのうちの一定の金額を住宅のほうへ活用するということ、これはもちろん厚生省等とも打ち合わせなければならないわけでございますが、それをまた考えているわけでございます。
  182. 前川旦

    前川旦君 生命保険の運用資金、これは幾らあるかわかりませんが、一兆二千億という話を聞いたことがありますが、生命保険の運用資金なり、あるいはまた農協の中央でも、ずいぶん資金的にこれは余裕があるという話を聞いたこともあります。さらにまたいまの市中銀行、地方銀行の融資の問題も含めてこれから相談をしていくのだということでいろいろお話しになっておりますが、これはもうこういう計画立てられて、しかも法案を出す段階でこれから相談をしていくのじゃ、私とてもじゃないけれども、これは納得できないわけです。でこれは四百万戸については民間の資金については、ほとんどいままで手を打っていないじゃないかということが非常に不満に思っているわけです。それと住宅融資保険の問題にいたしましても、普通銀行、これは金融機関の場合に融資保険をつけてまでこれは金を貸すというところは、一体そんなにたくさんありますか、普通の常識として。実は私もいろいろ聞いてみましたけれども、この融資保険は、いまはそうじゃないかもしれませんが、初めは大体住宅金融公庫で各支所に対して幾らくらい消化してもらいたいという割り当てが、大体初めの、初期のころの状態。そうすると住金の受託の金融機関が顔を立てるために頭金を少し貸す場合には顔を立ててこれを消化する。こういう状態でたいへん消化に対しては、いわば顔立て的なもので、積極性がなかった。これは初期の段階、いまでもそうであるかどうか、これはちょっとわかりません。わかりませんが、いずれにしても融資保険をかけてまで、それほど無理してまで貸し付けをするという普通の金融機関はないと私は思う。そういう意味から、融資保険の大きなてこになるということは、とてもじゃないけれど私は言えない。もっと別の意味で違う面での対策というものを考えていいのではないか、その辺についてのプランが一体あるのかないのか、もう少し具体的にそのプランがなければ、これは民間の資金をほんとうに生かして使えぬのじゃないか、こういうことを考えるわけです。そこでなお一そう、そういうプランを考えていることがあれば、なお私は聞きたいと思います。
  183. 尚明

    政府委員(尚明君) 住宅融資保険制度の活用につきましては、在来方式のみでは、いままでの実績からいうと、十分の活用がはかられていないのは事実でございます。今後もPRにつとめて、伸ばしていくことを考えております。なお本年、これは主として宅地開発事業及びその上に分譲住宅をのせて分譲するという事業と、これを関連づけるために業界の方々も寄り集まりまして、宅地造成と資金の融資保証制度というのを考えております。すなわち民間業者団体か集まりまして融資保証をする機関をつくりまして、そこがその会員に対しまして一定の金融をする。それをさらに公庫の保険で、いわば再保険するというような制度をいま考えておりまして、ことに先日その融資保証の機関をつくる発会式が行なわれたという状態でございまして、まだ活動には入っておりませんが、つまり融資保険というものを、再保険の形に利用して拡大融資をはかるというふうなことを、いま考えておるわけでございます。
  184. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  185. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。  本案についての審査は、一応この程度とし、残余は後刻に譲ることといたします。     —————————————
  186. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、日本勤労者住宅協会法案議題といたします。  この際おはかりいたします。  本案審査のため、必要な場合には、年金福祉事業団及び住宅金融公庫の役職員を参考人として、随時出町を求めることとし、これを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本案前回提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。  なお発議者として衆議院議員井原岸高君及び岡本隆一君が、政府側から瀬戸山建設大臣、尚住宅局長及び伊部年金局長が、また参考人として年金福祉事業団から栃本理事が、住宅金融公庫から師岡総裁が出席しております。
  188. 田中一

    田中一君 ただいま議題となりましたこの法律案が衆議院におきまして、自自民党、社会党、民社党三党の共同提案としてできたことは、少なくとも本院におきまして、われわれが質疑をする段階において、非常に八百長的な質疑となることをおそれておるのでありますこれはしかしながら、法律案は結局原資の導入がいかにスムーズに行なわれるかという点にかかって、発展するかあるいは衰退するかという問題がかかっております。そこで提案者にまず伺いたいのは、この法律案が衆議院を通過する際も、一応考えられておったところの原資の導入は、どの程度約束できておったのか、まず最初に伺いたいと思います。   〔委員長退席、理事小酒井義男君着席〕
  189. 井原岸高

    衆議院議員(井原岸高君) 原資の問題につきましては、衆議院の委員会の席上、また三党の理事間でいろいろ話し合いをいたして、政府に対しましても、政府考え方等も、その段階において質疑をいたしたわけでございます。現在のまず段階といたしましては、勤労者にどうしても持ち家を、あるいは低家賃住宅をふやしていきたいということになりますというと、現在の状況はどうかということでございますが、現在は労働省あるいは厚生関係もございまするし、建設省はむろんやってお石わけでありますが、これはちりぢりばらばらでございまして、全く統制がとれていない。そこで今回お願いいたしておりますように、勤労者住宅協会によってこれをまず一本化していって、そうしてそういうようなばらばら行政をまとめていきたいということが一つでございます。したがいまして建設大臣が監督下に置こうということは、やはり原資の問題がございまして、それをやるのにはやはり労働厚生二大臣と協議をしてということは、やはり三省の意見をまとめてもらって、現在やっておるような額でなしに、相当量をふやしてもらおうということでございますが、いまの段階ではそれでは幾らだけふやしてもらうかということは、今後のわれわれの予算上の問題についての折衡によってやる以外に、現在これだけを必ずやれということも、予算上の問題でございますので、話し合いがまだついておりませんが、しかしそういう方針で、これは非公式ではありまするが、建設大臣にもまた住宅局長にも話しておる段階であります。
  190. 田中一

    田中一君 この法文の第五条の出資者の中に、「労働金庫及び労働金庫連合会」「消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会」「前二号に掲げる者のほか、勤労者のための福利共済活動その他勤労者の経済的地位の向上を目的とする団体」この第三項の団体の中には、現在ありますところの財団法人日本労働者住宅協会、これは含まれておりますか。
  191. 井原岸高

    衆議院議員(井原岸高君) 労働者住宅協会の権利は、本協会が承継することになっております。それが中心になって、それをこの法律案の主体にしたいというのが、私ども考えでございます。
  192. 田中一

    田中一君 それはこの条文のうちのどこにありますか。
  193. 井原岸高

    衆議院議員(井原岸高君) 附則八条の中に、大体それが含まれております。
  194. 田中一

    田中一君 そうすると、これは、この事業を継承するということは、結局出資ということにならぬわけですか。継承するというと、この人格が新しい人格に変わるのだということであって、債権債務一切は継承するわけでありますけれども、この出資は……。   〔理事小酒井義男君退席、理事稲浦鹿藏君着   席〕
  195. 田中一

    田中一君 いま途中ですが、日本労働者住宅協会のだれかがもしここに来ておりましたらば、ひとつ質疑の途中でありますけれども、その人を参考人として出席していただくよう、はかっていただきたいと思います。
  196. 稲浦鹿藏

    ○理事(稲浦鹿藏君) この際、おはかりいたします。先ほどの参考人に、日本労働者住宅協会参与の設楽和夫君を加えることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 田中一

    田中一君 そこで、いまの日本労働者住宅協会から来ておりますから、まず設楽君のほうにちょっと質問しますが、この法律案に附則であなたの団体を承継して新しく日本勤労者住宅協会が発足するのだということになっておりますが、この点はあなたの協会のほうでは何といいますか、正式に役員会その他でもってきめられて臨んでいるのか、この法律を制定したならば直ちに役員会を開いて、承継事務の手続を行なうのか、その点はどうなっておりますか。
  198. 設楽和夫

    参考人(設楽和夫君) お答えします。すでに原則的に解散させざるを得ないという決定はしておりますが、この法案が通りませんので、通ったら直ちに評議員会並びに、理事会を開きまして決議をする、こういうことになっております。
  199. 田中一

    田中一君 そこでもう一つ井原さんに伺うわけですが、衆議院でのこの法律の審議にあたって、労働者住宅協会のどなたか見えて、この点は確認してあるのでございましょうね。
  200. 井原岸高

    衆議院議員(井原岸高君) まあこういうところで説明を申し上げるのは、速記録に残すのはどうかと思うわけですが、何回となく日本労働者住宅協会のほうから、ぜひひとつこういうふうにやってもらいたいという切実なる陳情もございまして、それも大きな提案の理由の一つとして三党が協議をいたしまして、むろん理事長その他御出席を願って結論を出したことでございます。   〔理事稲浦鹿藏君退席、委員長着席〕
  201. 田中一

    田中一君 建設大臣に聞くのか、あるいは住宅金融公庫が権限を持っているのかちょっとわからぬけれども、師岡さんに聞きますけれども、あなたのほうの原資を資金として財団法人日本労働者住宅協会は今日まで数年間、数年間というか八年間か九年か運営をしてまいりましたが、この法律案ができて、あなたのほうは債権者というか、債権か残っている部分も若干あるわけです、本年度の事業の中には。そこで日本労働者住宅協会が承継されて新しい団体になるということについては、どういう見解を持っておりますか。
  202. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 在来日本労働者住宅協会が、この法律によりましてその設立者の一人になるわけでありますが、在来の公庫の債権債務は、当然この新しい団体に引き継がせるという方針のもとに考えております。
  203. 田中一

    田中一君 それはどういう機関で——、はっきりと了承したというのは、総裁が了承しているのですか。金融公庫として話し合い、あるいは了解して設立を行っているという段階なんですか。
  204. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) この決行の附則の八条の三項によりましてそういうことを申し出ることができることになっておりますので、それを受けまして、ただいま申し上げましたようなことを、私どもでやるわけでございます。
  205. 田中一

    田中一君 瀬戸山建設大臣に伺いますが、いまのあなたの監督下である住宅金融公庫と、新しくできる団体——並びに債権を持っているところの日本労働者住宅協会が、この法律によって、新しく新発足するということに対して、御異議はございませんね——というのかどうか存じませんけれども、どういう御意見か。
  206. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほど来、別な住宅計画、建設計画等にいろいろ御注意や御意見等ありました。私どもはできるだけ多くの資金も、あるいは努力も結集して、日本住宅建てたいという意欲を持っております。そこで、従来相当の実績をあげておられるこの日本労働者住宅協会、この協会にも強い希望を私どもたびたび聞いております。従来これは懸案でありましたが、率直に申して、まだまだ一般の地方における生活協同組合等においては、必ずしも組織あるいは運営等において適当であるかどうかという検討の余地がある、こういうことで数年聞きましたが、日本労働者住宅協会のほうでは、相当組織も拡充されておりますし、そして実績もあげておられる。こういうことで、今後やはりこういう方面でも住宅問題に取り組んでいただく、こういう姿勢を持っておりまして、もとより今後大いに、この法律が通りました以上は、その線に沿って従来より一そう御努力を願えるものと期待しておりますが、金融公庫のほうもそれに協力を申し上げる、こういうことを考えておるわけでございます。
  207. 田中一

    田中一君 この団体に導入される原資の一つとして、厚生年金還元融資の分も導入されるというように聞いておりますけれども、これに対して厚生省よりも事業団から導入されると聞いておりますが、その点について見解を伺いたい。
  208. 栃本重雄

    参考人(栃本重雄君) お答えいたします。日本勤労者住宅協会から融資の申し込みがありましたときには、日本勤労者住宅協会法案の第三十八条の趣旨にのっとりまして、この協会の健全な発展のために協力してまいりたい考えでございます。
  209. 田中一

    田中一君 厚生省の見解を伺いたい。
  210. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) ただいま事業団からお答えございましたように、日本勤労者住宅協会につきましては、この法案の成立しました暁におきましては、この趣旨にのっとりまして、建設省とも十分協議いたしまして、この協会の健全な発展のため協力してまいりたいと存じます。
  211. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫に伺います。従来までに融資された金額は、どれくらいの金が導入されていますか、いままでに。
  212. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) これは田中先生御承知のとおり、最初は公庫としましては計画建て売りという方式でやっておったわけでございます。したがいまして、建設までは公庫は融資いたします。それを購入する人に個人に金を貸すという計画建て売り方式でやっておった。三年ほど前から分譲方式に切りかえまして、したがいまして建設資金も貸すということになりました。それを通じまして初めから現在までに百六十九億ほどの金額を融資しております。
  213. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫の見たところの労働者住宅協会の実績というものは、どのように批判されますか。
  214. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 先ほどの答弁ちょっと訂正さしていただきます。戸数といたしまして一万二千二百四十二戸、金額にしまして八十六億ほどになっております。
  215. 田中一

    田中一君 で、この実績は、公庫側から見た場合には、非常に良好な成績をあげて、またその回収等もスムーズに行なっておるというように考えられておりますか。それとも何か欠陥があると見られておりますか。
  216. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 公庫といたしましては、労作協が設立されましてから、できるだけこれを援助してまいりたいという方針のもとにやってまいったわけでございまして、この労住協の仕事としましても着実に伸びてまいりまして、当初は五百戸程度の仕事でありましたが、だんだんと事業の伸びがついてまいりまして、現在では三千二百戸やっておるというふうに伸びてまいっております。また償還弊につききましても、全然成績優秀でございます。
  217. 田中一

    田中一君 年金福祉事業団のほうでは、この法案が成立した暁には、どのくらい融資される計画ですか、またいままでにどのくらい融資をしておりますか。
  218. 栃本重雄

    参考人(栃本重雄君) 協会ができました暁においてどれくらいということのお尋ねでございますが、その点につきましては、いまの段階でははっきりとお答えすることはできません。  それから従来の融資いたしました額といたしましては約二億七千万円でございまして、その支部とかそういうものを含めて計算をいたしますれば、大体五、六億ということになろうかと存じます。
  219. 田中一

    田中一君 あなたのほうの年間の融資額は、総額どのくらいになっておるでしょうか。全体に対する事業計画……。
  220. 栃本重雄

    参考人(栃本重雄君) お答えいたします。四十一年度におきましては、全体は三百七十億でございます。
  221. 田中一

    田中一君 そのうち住宅を対象とする融資額はどのくらいになっておりますか。
  222. 栃本重雄

    参考人(栃本重雄君) お答えいたします。その三百七十億のうちの住宅に充てますのが二百五十億という額でございます。
  223. 田中一

    田中一君 そうすると、このうちから少なくとも五十億程度のもの、五分の一程度のものは融資をされるものと、私どもは理解してよろしゅうございますか。
  224. 栃本重雄

    参考人(栃本重雄君) その点につきましては、いずれ具体的な計画が出ようかと思いますので、その際に、それぞれ検討さしていただいたらいかがと存じます。
  225. 田中一

    田中一君 これはまあ大体組織法ですから、伺っておきたいのは、役員の問題です。この理事長という役員は評議員会で選任するようになっておりますが、大体だれを想定しておるのか。これは発議者の岡本さんか、井原さんに伺っておきます。だれを想定しておられるか。現在までの日本労働者住宅協会を承継し、その大体の役員もそのまま承継するということになると、たしか今井一男さんが理事長をされておるはずですが、どういう人事を想定しておりますか、伺っておきます。
  226. 岡本隆一

    衆議院議員(岡本隆一君) これが創設しますときには、建設大臣が一応設立準備委員を任命いたします。その設立準備委員会が、理事長となる者あるいは監事となる者を指名することになっておりますので、現在のところだれをするというふうな想定の上には立っておりません。
  227. 田中一

    田中一君 立っておるんでしょう。
  228. 岡本隆一

    衆議院議員(岡本隆一君) いないです。
  229. 田中一

    田中一君 しかし日本労働者住宅協会を承継するというのだから、その事務に練達した者が、とりあえずならなければならぬと思うのですが、それじゃ建設大臣に伺います。これができた場合にはどういう人を設立委員に任命するつもりですか。
  230. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) まだ私は腹案は私自身として何にもございません。
  231. 田中一

    田中一君 まあ大体において、これが特定な勤労者に対して三つの大政党がこうした機関を設けて、勤労者の要求する条件を満たそうということは、まことにしあわせなことでございます。でありますから、どうか建設大臣もこの設立の意思を体しまして、原資を導入する住宅金融公庫並びに福祉事業団等とも十分に話し合いの上で、適当というか、勤労者を愛する、勤労者の住宅問題に中心になって取り組める人選をひとつやっていただきたいと思います。よくこういう団体ができまずと、えてして主務官庁の天下り人事というのが行なわれます。これはその事業を円満に遂行するためには、まことにじゃまになる場合が多いのです。しかしそれを補佐する潤滑油的な人事は、  これはまた必要な場合も多いと思いますので、ひとつ的確なる御指示を願いたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  232. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 各方面とよく協議をいたしまして、そういうこの趣旨に合う人を選任すべきものだと思っております。
  233. 田中一

    田中一君 私の質疑はこれで終わります。
  234. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本案についての審査は一応この程度で、残余は後刻に譲ることといたします。     —————————————
  235. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 再び住宅建設計画法案議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  236. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。
  237. 前川旦

    前川旦君 尚さんにお伺いしますが、新築の建築に対する減税措置、先ほどいろいろおっしゃいましたが、一つお伺いしておきますが、いわゆる木賃アパート、これは個人の木賃アパート、これに対しても地方税の場合、個定資産税の減免が私はあったように思いますが、そのとおりでありましたか。
  238. 尚明

    政府委員(尚明君) 木賃アパートにつきましても減税がございます。
  239. 前川旦

    前川旦君 税金を安く減税をするということを言う前に、減税するのをやめたらどうかという話はおかしいのですけれども、やはり木賃アパートの狭小過密の問題で、一定の基準をきめて、あまりひどい木賃アパート、これは個人の家の場合はその人に罪がありません、そういう状況に追い込んだ者が悪いのですから、それはそれとして、あまりひどい木賃アパートについては、減税上の優遇措置をとることをやめて、そのことを周知徹底するということで、ある程度そういうものをつくらせることに対するチェックの役を果たすんじゃないか、こういうように思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  240. 尚明

    政府委員(尚明君) 先生の御指摘になりました減税措置として、一定の水準以下のきわめて劣悪なものにつきましては、その措置を取りやめるということにつきましては、私はある程度効果があるというふうに考えておりまして、いま私どもとしても、これらの問題につきまして一定水準以上の確保された、そうかといって、あまり豪壮のものは要らないわけでございますが、ちょうどいわゆる中低所得者に向いた程度住宅をつくった者に最も減税の恩典を厚くして、あまりにも劣悪なものについては、減税の恩典を薄くするというようなことができないかということについて、研究はいたしておるところでございます。
  241. 前川旦

    前川旦君 研究の段階だそうですが、これは方向として具体化していくという気持ちで研究なさっているのか、念のために伺っておきます。
  242. 尚明

    政府委員(尚明君) この建設計画法の第九条におきましても、国もしくは地方公共団体が一定の建設基準を定めて、これに基づいて、建築、住宅全般を指導するようにつとめなければならぬ、こういう趣旨もございまして、ただいまのようにある一定水準のものがより多く建てられるように、そうして、これに対しては名和の免除措置がとられる、そうしてそれ以下のものについては免除が薄くなるというふうに具体的に考えたいと思います。ただ、私ども若干の困難な問題にぶつかっておりますのは、徴税技術上これがうまく運用できるかというような問題で、税制当局にこれを提案するのに、まだ若干こちらの検討が足りないというのが、正直なところ実情でございます。
  243. 前川旦

    前川旦君 建設省から税制審議会でありましたか——に出したところの建設関係の減税措置に対する要望というものを拝見いたしましたが、その中に確かに所得税に住宅建設控除を認めてもらいたいということがあったように記憶をいたしますが、その点について、いまもそのお考えでおられるのかどうか、また大蔵大臣はその点について非常に異論があるようでございましたけれども、その折衝は今後も続けていかれるのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  244. 尚明

    政府委員(尚明君) 私どもといたしましては、所得の中から住宅を建設したもののうちの建設費の一部を一定期間所得として見ないで、その分を控除した分に所得の税をかけるというようなことの方策において要望をいたしたのは事実でございます。しかし、これにつきましては、やはり税の体系が、私どもが例にならったのはドイツの方式でございますが、ドイツの税の方式とわが国の不動産にかかる税の方式が若干基礎が違いまして、これまた徴税技術上、それから税の体系上そのままで実施することは困難であるということをいわれて、実現しなかったのでありますが、なおその際、いろいろな形で住宅減税のことが論じられまして、いまのこの案は、いまの税体系上困難であるけれども、何らか住宅減税をもっと顕著な、しかも実行できる形で近いうちにぜひ実現したいということは、その会議におきます大かたの御意見でございまして、私どもは実はそれの具体案というものについて鋭意勉強中というのが、いまやっていることでございます。
  245. 前川旦

    前川旦君 そういう努力、私たちも側面から支援をいたしたいと思いますが、今後も継続していただきたいというふうに思います。  先ほどちょっと残っておりました民間資金の問題で、農協、中央に集まった資金の活用の問題についてまだ触れられておりませんので、いままでの経過なり方針なりをお尋ねしたいと思います。
  246. 尚明

    政府委員(尚明君) この問題につきましては、直接の契機といたしましては、農業関係の各団体と、私ども建設省住宅関係の各団体と昨年の十一月に会合いたしまして、農山漁村住宅改善推進協議会というものを、これはまだ任意の会議でございますが、つくったわけでございます。で、その場におきましては、一つは、一番直接の問題である農山漁村住宅の改善という問題、これは現在地方の、都道府県に在来建設省と農林省で改善促進協議会をつくるよう指導しておりますが、これらを全国的な視野からこれらについてさらに指導的役割りをするということが一つ目的でございますが、いま一つ、その議題の中の話題といたしまして、いま御指摘のありました農業関係系統の資金を住宅に活用するということが問題になりました。私ども、実はそれにいい方法があることを望んでいるわけでございますが、これはやはりいまの制度の中では、農業関係の諸団体が扱う金融というものは、その融資あるいは助成する先がある程度輪郭が定められて、農業生産とそれに関連するものとなっております関係上、いわゆる一般住宅に広くこれを資金を活用するという点については若干まだ疑義が残っておりまして、この点につきまして、これもたびたびの答弁で検討中で恐縮でございますが、実は農林省当局等ともその可能性について検討しているというのが実情でございます。
  247. 竹田現照

    ○竹田現照君 ちょっと、その資金に関係しましてお尋ねしますが、国家公務員共済組合、あるいは各省庁別共済組合の共済資金による住宅貸し付け資金というものは、これはちょっとばかにならぬ金になると思っておりますが、そして最近ずいぶんあちらこちらで問題を起こしておりますが、これはこの計画の中にどういうふうに織り込まれるのですか。
  248. 尚明

    政府委員(尚明君) 共済組合の金が運用される場合に二つのケースがございまして、直接個人等に貸されて、個別に家を建てております場合、これは民間自力建設と見ております。それが公務員住宅の建設に融資されて、公務員住宅として国及び地方において運用されている場合は、これは公的資金による住宅というふうに分類いたしております。
  249. 竹田現照

    ○竹田現照君 その個人貸し付けの分は、これは民同自力建設の分になるといっているのですが、この各共済組合のこれの資金といわれるものは、先ほど言ったようにかなり多額のものになると思いますが、実際どれくらいになりますか。これは日本の財閥的なものなんだ。共済というものは、金を持っているのは。ですから、これは都市銀行が二十何億、地方銀行が六十何億というお話がありました。政府関係機関みたいなものについて話し合いが進められていないとすると、はなはだもって怠慢だと思いますが、ちょっとお聞きしたい。
  250. 尚明

    政府委員(尚明君) 共済組合の資金、その中の住宅資金、そしてそれが公務員住宅もしくは個人貸しとなっている。その資金の詳細については、いま十分に把握いたしておりません。
  251. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、そういうものは全然計画のらち外だと理解していいですか。
  252. 尚明

    政府委員(尚明君) 計画のらち外ではございませんで、その資金によって建てられまして公務員住宅建設に貸し与えられて公務員住宅として経営されているものは、これは二百七十万戸の公的資金の住宅の中に入ります。それから個別に借りて各個人建てているものは、民間自力建設四百万戸の中に入れて分類しております。
  253. 竹田現照

    ○竹田現照君 だから聞いている。民間自力建設の中にこういう膨大な資金を持っている各省庁の共済組合の貸し付け資金に出る額は、どれくらいあるのか。先ほど銀行との話し合いも進められていると言ったのですから、これは都市銀行が二十何億、地方銀行が六十何億と言っておりましたね。こんなものじゃないでしょう、実際は。国有鉄道の共済組合だけでもかなりの金額が出ていると思いますが、そういうものはどういうふうに見ておりますか。計画の中に入っているのは幾らあるのか、これをひとつ出してください。
  254. 尚明

    政府委員(尚明君) 私ども民間自力建設の建設は、先ほど来御説明いたしましたように、在来毎年建てられておりました総戸数及びそれの伸び率というものから試算いたしたわけでございまして、その資金の中には、民間金融のものもございます。共済組合金融のものもございますし、あるいは完全なる純利益企業でやるものもありますし、また財産の何といいますか、財産、地方の土地を売って建てるとかいろいろな資金の動きがあるわけでございますが、私どもはこれにつきましては全体の数として把握して、その個別の詳細のところまでは、十分には分析ができてはおりません。
  255. 竹田現照

    ○竹田現照君 全体として把握しているというと、三百三十五万戸の中に、これは国家公務員、地方公務員含めてどれくらいあるか、自力建設やっているかということは、大体各省庁別のそういうものを見るとわかる。それから、いまここに持ってきておりませんけれども、総裁御存じかもしれませんけれども住宅金融公庫の昨年の年表ですか、厚い本ですね、あれによりましても、公務員の住宅金融公庫に対する貸し付け申し込みの比率は、学校の教員を含めてかなり高いですね。ですから、そういう面からいくと、これは十万や二十万じゃないのだから、公務員の総数というのは。それが現実に建っているものも、年間の伸び率の中にどれぐらいあるかということは、建設省として当然把握していてしかるべきです。そして、それは少しばかりの金じゃないのだから、どれぐらいあるかということはわからないとおかしい。これは金融公庫の年表に出てますからね。
  256. 尚明

    政府委員(尚明君) 国家公務員住宅の建設実績及び建設量は、この五カ年——四十一年から四十五年で十一万二千五百戸というふうに考えております。
  257. 竹田現照

    ○竹田現照君 その十一万というのは、公務員宿舎として建っているものですか。
  258. 尚明

    政府委員(尚明君) 毎年、国家公務員の住宅は約二万戸余り建っております。その五ヵ年の今後の推定をいたしまして十一万二千五百戸になっているわけでございます。この住宅の資金は、国の一般的な会計から出る場合と共済からの借り入れ金で建てられる場合と二つあるわけでございます。
  259. 竹田現照

    ○竹田現照君 給与住宅に類するものは、後ほどちょっとお伺いしたいんですが、前段のほうの個人の、住宅金融公庫、あるいは各省庁別あるいは公社の共済組合からのものは、住宅局長のお答えでは、そういうものは民間自力建設三百三十五が戸の中に加わっていると言っているんだが、加わっているとすれば、どれぐらい金額があり、どれぐらい戸数があるかということは掌握していなければ、加わっているという答弁にならないんじゃないですか。
  260. 尚明

    政府委員(尚明君) 民間自力住宅戸数につきましては、政府と違いまして把握がなかなか困難でございますので、全体として、毎年、たとえば最近におきましては六十万戸程度建つということとして、過去の実績等で把握しているわけでございまして、個別にその内容をこまかく分析できてないわけでございまして、いわゆる総体としてつかんでいるわけでございます。
  261. 竹田現照

    ○竹田現照君 この金は、貸しますとその家を担保にしてるはずですよ、名共済組合は。ですから、建った戸数は少なくとも省庁別に明らかだと思うんです、ですから、これが何より一番掌握がしやすいと思う。民間自力建設の中に占めている建設戸数の中からいけば。いま出てないとすれば、ちょっとあとで資料として出してください、どれぐらい建っているのか、各省庁調べれば、あすにでもわかることですから。いいですか、それ。わからないわけはないでしょう、大体、共済組合審議会できまってるんだから。
  262. 尚明

    政府委員(尚明君) いまのやつは、各省にそれぞれ共済がある場合と、総合した国家公務員の共済になっている場合と、いろいろございます。それらのおもだった共済に連絡いたしまして、できるだけ確実な資料をつくりたいと思います。
  263. 竹田現照

    ○竹田現照君 そこで十二万二千五百戸と先ほどお答えになった点についてお聞きいたしますが、これは一世帯住宅の公的資金による計画の二百七十万戸の中に入っているわけですね。これは、ほとんどがいまのところ、国の資金よりは共済組合資金による借り上げのほうが多いと思うんですが、これは国家公務員宿舎法に基づくものと、少なくとも一帯世一住宅という一つの政策的なものの住宅の中にこれを含めることが、はたして当を得ているか得ていないかは、はなはだ私としては疑問です。これは住宅困窮だからということで建てているものじゃないんだ、いまの宿舎のほうの運営は、この十万戸からのものはですね。とすれば、これは政府機関なんですから、その点のことが明らかになりますと、こういう給与住宅に対するものの考え方をちょっと変えて、宿舎法その他の改正をしていただかなければ、これは大蔵省の問題ですけれども、してもらわなければならぬことになると思うんですが、住宅政策としてこのことをとらまえていいと私がとってもいいですか、本質的には異質のことだと思う。だから、そういうことでいいですか。
  264. 尚明

    政府委員(尚明君) 公務員住宅等給与住宅が異質のものであるということの意味が、私はよくわからないのでございますが、住宅政策として各人に家を与えるという意味からいえば、これが賃貸住宅であろうと給与住宅であろうと、住宅として一定水準以上持てば、居住関係の改善になっているというふうに考えます。なお、それが異質のものというのは、たとえばILOの勧告等におきまして、今後なるべく企業が従業員に賃貸する給与住宅というような方向は望ましくないという意味で異質というお話でございますれば、一般論としてはそういうことは言えると思いますが、それはILOの会議においても論じられましたように、それぞれの国の実情に応じて逐次改善されていくべきもので、直ちにやめるというようなことではない、逐次改善するというような方向でいくものとして考えられているわけでございます。なお、五カ年計画の中では、給与住宅はいまも十万戸ばかり——国家公務員等の住宅も含めまして十万戸でございますが、これは全体の住宅はふやしておりますけれども、五カ年間は横ばいに毎年十万戸で、現状よりふやしていくというような方向はとらないようにしていきたいと考えております。
  265. 竹田現照

    ○竹田現照君 私の前段の質問については、各省庁と全然御相談がなく推定として出されているわけですが、あとで資料が出れば明らかですけれども、この給与住宅のほうは、二百七十万戸の中に占める約十二万戸というのは、決して少ない数のものではありません。これは私は異質のものだというのは、実は昨年、決算委員会で大蔵省以外に聞きました建設省住宅建設計画との関連についてはさっぱり相談していないと、こういうお話でしたね、ですからこれは、局長だとか課長だとか、いってみればこういう役付きのために必要であって、これは本来、住宅政策に類するものとはちょっと違うような気がする、だから私は異質のものだと、こう言っているんです。これを含めて十河万戸も建つからこれも六百七十万戸の中に入れるのだと、こういうことになると、これはみそもくそもみな入れたと、こういうことになってしまって、一世帯住宅の中ではこれは私は明らかに異質だ。もしこれが政府住宅建設計画の中に入るものだとすれば、宿舎法の現行の運用からいってちょっと問題があるので、建設省を含めて各省のこれに対する統一見解というものを後ほど出していただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
  266. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 異質のものというお考えが出ることも、必ずしも私は無理ではないと思います。ただ、先ほど局長からもお答えいたしましたように、私どもは、とにかく、いずれにしても国内における住宅を充足させたい、いろいろな手段でけっこうであると、こういう考え方でおるわけであります。今度の住宅建設計画の中で考えておりますのは、先ほど来申し上げましたように、従来、おおむね厚生省あるいは労働省あるいはいまの国家公務員関係の共済等を含めまして、年々十万戸ぐらいの家を現に建てております。これが日本国民の側からいいますと、とにかく家が充足されていくわけでありますから、これを住宅計画で排除するということはない。ただこれは、特にこれを計画的にふやすとか何とかいう問題でありませんから、さっき御説明いたしましたように、その数字を基礎にして将来の計画を横ばいにしておる。ただこの計画法にも出ておりますように、そういうものがばらばらにやられるということは、計画的な住宅政策としては困るじゃないか、そういう意味で、この法案の中にそういうものを含めて、規模なり数なり、やはり一つの基準に従って国家の計画としてやるべきであると、こういうことをこの法案の中に盛っておるわけであります。異質だとおっしゃると、多少ニュアンスが違う。という気持ちはわかりますけれども国民住宅を充足する、こういう意味においては、私どもこの計画の中に入れていく、こういうふうに御理解いただきたい。
  267. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  268. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記つけて、  暫時休憩いたします。    午後五時三十四分休憩      —————・—————    午後七時十一分開会
  269. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これより委員会を再開いたします。  住宅建設計画法案議題といたします。休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  270. 竹田現照

    ○竹田現照君 この計画の中の公的資金の中で地方公共団体の事業分はどれだけになりますか。
  271. 尚明

    政府委員(尚明君) 公営住宅及び改良住宅が、いま私ども考えておりますのは五十八万戸、それからそのほか地方の単独住宅建設、それから住宅改修融資あるいは災害公営住宅等が三万五千でございまして、全部で六十一万五千が地方の手によって建設するという一応の計画をいたしております。
  272. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは住宅建設五カ年計画(案)の概要のこの五十二万戸というのは、これは違うのですか。一番最後のぺ−ジの2の公的資金による住宅の建設計画
  273. 尚明

    政府委員(尚明君) この五十二万戸と公営及び改良と書いてありますのは、確定的な一応これだけは最小限やろうということで、そのほかにこの資料によりまして一番下に調整戸数として二十七万戸を必要に応じて各種の住宅をつくるという調整戸数を持っております。これはおおむね全体の一割でございますので、この公営、改良につきましても、いまの段階では一応この調整戸数を案分して一割足するという考えを持って、そうすると全体で五十八万になるというような考えを出しております。
  274. 竹田現照

    ○竹田現照君 それに要する地方負担は、金額にしてどれくらいになりますか。
  275. 尚明

    政府委員(尚明君) 公営住宅と改良住宅、ただいまの五十八万戸に対応して地方負担は三百十二億。これは財政負担として起債が九割ついた場合の一般財源として三百十二億です。
  276. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは四十年度の負担額に対してどれくらいの伸び率になりますか。
  277. 尚明

    政府委員(尚明君) 昭和四十年度は起債率が四五%しがなかったわけでございます。それから単価の適正化がきわめて不十分な点もございまして、四十年度はまだ十分の決算をしておりませんが、おおむね一般財源を百億程度地方公共団体は支出することになると思います。
  278. 竹田現照

    ○竹田現照君 これはこれまでの毎年の平均伸び率というのはどれくらいですか、実績として、地方の財政負担の。
  279. 尚明

    政府委員(尚明君) ちょっとその辺のところは、詳細に伸び率としてつかまえにくいのでございますけれども、地価がきわめて高騰いたしましたとき、すなわち三十六年ぐらいから以後、これに単価の適正化が追いつかないきらいがございまして、そのころから毎年二十億ずつくらいふえていったという過去の実績だと思います。
  280. 竹田現照

    ○竹田現照君 この新しい計画と現在までの地方財政との関係から、あれですか、特にとりわけ最近の地方財政の窮迫、こういうものを考え合わせたときに、この地方負担というものは、計画に即応して消化していくことが可能であるとお考えになっているのですか。
  281. 尚明

    政府委員(尚明君) 在来どおりではなかなか困難を伴うということが考えられますので、まず、この昭和四十一年度からは在来地方負担に対する起債率が、四五%でございましたのを、これを九〇%に引き上げまして、一方それのみではまだ不十分でございますので、今後在来宿題になっております単価の適正化というものを、ぜひ行なわねばならないというふうに考えております。
  282. 竹田現照

    ○竹田現照君 その辺はあれですか、自治省等とのあれですか、話し合いというものはうまく進んでいるのですか。
  283. 尚明

    政府委員(尚明君) さようでございます。この四十一年度に住宅新五カ年計画に入るにあたって、自治省とも十分協議した結果、在来起債充当率が地方負担の四五%であったものを九〇%に引き上げるということにおいて、大蔵省及び自治省と話がついたわけでございます。
  284. 竹田現照

    ○竹田現照君 それではその次にこの五カ年計画に必要な宅地は、五億六千平方メートルというのは、これは間違いありませんか。
  285. 尚明

    政府委員(尚明君) この六百七十万戸の建設のうち、先ほど申しましたように、現在すでにまわりに街路その他ができて開発されている市街地内のうちの空地等を利用する分が二百五十万戸分、それから建てかえ分か五十万戸分、それからそのほかに完全ないわゆるいなかといいますか、そういうところに八十万戸分でございまして、新たに都市周辺等において計画的に開発すべき分が二百九十万戸分というふうに考えております。この二百九十万戸分につきましては、ある場合は一戸建てであり、ある場合は鉄筋コンクリートアパートとして建てたりして、土地の所要量を平均五十坪と考えて、全部で一億四千五百万坪ほど要るというふうに推算いたしております。これを平米で申しますと約四億八千万平方メートル程度になります。
  286. 竹田現照

    ○竹田現照君 あれですか、その宅地の確保のめどといいますか、自信といいますか、こういうものはお持ちになっているのですか。四十一年度の住宅建設予定戸数に対する供給というものは、四十一年度予算ではあれですか、全部を見られておらぬのじゃないですか。この点はどうですか。
  287. 尚明

    政府委員(尚明君) たとえば、公団住宅あるいは公序関係の住宅等につきましては、すでに在来から前年あるいは前々年等、前もって土地を取得し、そしてこれを造成するという補助金もしくは融資を行なっておりまして、たとえば住宅公団等では、本年建てます賃貸住宅のうちの大部分は、むしろ前年に買ってあるものを使っております。で、そういうようなことを年々やっておりまして、ことしもまた来年の分についての予算はつけてございます。したがいまして、公共の住宅につきましては、一応これらの予算をふやすことによって土地の取得は一応できるものと思いますが、しかし、こういうのも次第に、個別に小さな団地等を買っているのでは、土地取得が困難になるということを考えられますので、新たに住宅公団あるいは住宅金融公庫の融資による住宅供給公社の仕事等におきましても、三、四年あるいは四、五年の先を考えての大規模開発というほうの仕事の拡大につとめているわけでございます。
  288. 竹田現照

    ○竹田現照君 それですから、いま一億四千五百万坪の自信があるかということですよ、まず第一点は。それと、四十一年の建設予定に対する宅地供給というのは、一〇〇%確保できるのかと、そういうことを予算的にも……。
  289. 尚明

    政府委員(尚明君) 四十一年度の建設の政府施策住宅四十万四千戸、うち建設省三十万三千戸になっているわけでございますが、これの用地取得は確実にできる見込みでございます。なお、一億四千五百万坪の五カ年間にわたる取得造成という問題につきましては、これは先ほど申しましたように、これから宅地関係の予算をふやし、かつ公団、公庫等における宅地関係の機構及び人員の充実等をあわせ行ないまして、これを確保するということで、御承知のように本年宅地関係の予算を相当程度ふやすとともに、公団公庫の宅地関係の機構の拡充をはかって、これから一そうこれらの拡充をはかるという態勢をつくりつつあるわけでございます。
  290. 竹田現照

    ○竹田現照君 その態勢をつくるのはわかったですけれどもね。私の言っているのは、その態勢をつくったって、できなけりゃしょうがない。できる自信があるかということです。それがなければ、これに基づく五カ年計画なんてものは、実現が不可能になってしまうわけですから、その点についてお尋ねをしておるのです。
  291. 尚明

    政府委員(尚明君) 結論的にこれから努力をすれば、この一億四千五百万坪の宅地の取得ということはできると考えます。その根拠は、三十六年から四十年までの過去の五カ年間にどの程度の宅地取得をし、その上に家を建てたかということを申しますと、公共関係の公団公営住宅等みずから行なう、あるいは公共団体が中心になって区画整理等を行なうこれらの仕事が過去五カ年で行ないましたものは、区画整理事業とみずから取得したものを分けますと、まずみずから取得した分が二千二百七十五万坪でございました。これを今後一億四千五百万坪の中では四千四百万坪、すなわち過去五カ年間が二千二百七十五万坪でございましたものを四千四百万坪に、同じ将来の五年で事業をいたしたい。それから区画整理の部面につきましては、二千百二十万坪の実績が過去の五年にございましたが、これを若干ふやして将来の五年で二千八百万坪この手法によりたい。それから民間の宅地開発といたしまして、土地区画整理組合でやる事業、それから民間の宅地造成事業者がやる場合、それから民間の個人が個別的に行なうもの、これが過去五カ年間におきまして五千八百八十万坪行なわれたわけでございますが、これ対して将来の五年間は、これを七千三百万坪計画できるという考えに基づくものでございます。以上の中で一番大きくここでふやすものを公共関係の公団、公営等がみずから取得するものに重きを置いております。これにつきまして先ほど申しましたように、予算の増加及び機構の拡充をはかって、その確保をはかるという計画にいたしておるわけでございます。
  292. 竹田現照

    ○竹田現照君 そういう点を含めてまだ確定されていないようですけれども、この五カ年計画の事業試算で四兆六千億、こういうことをこの間新聞で発表になっておりましたけれども、これはこの法律が通るとあれですね、対策審議会の同意を得て五カ年計画を閣議決定をする際に、この金額四兆六千億といういまの試算というものが、政府として決定をされなければならないことになるわけでありますけれども、これだけの金というものが今後五カ年間にわって政府予算を拘束をするという性格になってきますけれども、そういうところまで明確に政府としてこの住宅建設五カ年計画で一世帯住宅を実現するという不動の方針というものは確定をされているのですか。これは大臣だな。
  293. 尚明

    政府委員(尚明君) いまお話がございましたように、第一期五カ年計画の正式の決定は、このただいま御審議をいただいております建設計画というものが成立いたしまして、これに基づきまして建設大臣中心にこの案を住宅対策審議会の意見を聞いて作成し、そうしてこれを閣議決定するわけでございます。その中で去る二月八日本年度の住宅大綱といたしまして、閣議了解として全体で七百六十万戸を目標として、うち二百七十万戸を政府が責任を持って建てるということは、すでに閣議了解になっております。で、ただいまわれわれはその二百七十万戸の中身としてどういう公営住宅をどれだけやる、公団住宅をどれだけやるということにつきまして作業をしつつあり、そうしてこの法律が成立いたしましたら、直ちに住宅対策審議会等にはかって案を提出するという運びになるわけでございます。したがいまして、金額等につきましては、まだこの間の新聞に出ておりました四兆何がしというのは、私どもの目下の試算でございまして、確定的な形では、閣議決定でどういうような扱い方をするかということは、今後のきまり方によって固まるわけでございます。
  294. 竹田現照

    ○竹田現照君 きまらないにしても大体の試算というものはできているんではないですか。この五カ年計画に必要な金というのは、これはまだおわかりにならないですか。
  295. 尚明

    政府委員(尚明君) いまの段階では、建設省として試算をいたしておる段階でございます。おおむねいまの段階で四兆億四千ないし六千億くらい要るのではないかという試算をいたしておるわけでございます。
  296. 前川旦

    前川旦君 私は瀬戸山さんにお伺いしたいのですが、建設大臣は、土地は商品ではないということをおっしゃいまして、たいへん保守党の中にも、こういう感覚の方がいらっしゃるのかというふうに私、非常に深い感銘を受けたわけです。そこで、土地は商品ではないと瀬戸山建設大臣が言われたその真意といいますか、商品でなくするためには一体それじゃどういうふうにすればいいのか、そういった地価の抑制策とからめて、私は建設大臣の所信といいますか、信念といいますか、それを実は伺いたいと思うわけです。
  297. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 土地は商品ではないということばを私は使っておるわけでありますが、厳密な意味においての、私はそのほうの専門家でないからわかりませんけれども、商品学といいますか、あるいは経済学といいますか、あるいは商業学というのか、そういう方面で商品とは何ぞや、こういうものの定義は知りませんけれども、そういう意味で土地というものは商品ではない、こういうことを申し上げておるのではないのでございまして、土地の実態というものを、まあいま土地問題は非常に問題でありますが、私が建設行政をあずかりまして、私のみならず考えてみまして、人間の生活というものはすべて土地の上だけに限られる、率直に言って。何をいたしますについても土地の上で生活を営み活動をするのだ。これは政治ならず経済、文化、すべてが人間というものは土地の上で活動をする。しかもその土地というものは、これはもう未来永劫というと言い過ぎか知れませんが、限定されている土地であります。私に言わせるといわゆる宇宙の一角である、地球の一角なんだ。そういうことでありますから、これは人間がつくったものではないし、また勝手に増減ができるものではないし、ふやすこともできない、移転することもできません。そういう意味でこういうふうな土地というものと一般のいわゆる財貨と申しますか、財物といいましょうか、人間が必要に応じてつくり出す、好みに応じてそれを移転する、あるいは好みに応じたものをつくっていく、こういうものとは全然性質が異なるものである。言いかえますと人間がつくったものは二千年もすると必ず消滅する。そして必要なものをつくり出す。そういうものの取り扱い、絶対に人間がつくれない、しかもそれがなくては人間の生活というものは、すべての生活の基礎がなくなる。こういう土地と人間との関係というものは、もう少し真剣に考えてみる必要があるのじゃなかろうか。もちろん土地制度というものはこれは歴史的に、また各国によって事情が変転いたしております。変転いたしておりますが、その中でやはり土地というものは人間社会に絶対不可欠なものである。これを今日行なわれておりますように、私有財産を否定するわけではございませんけれども、これをたまたま所有権のもとでこれを利益の財源にする、こういうことは土地本来の使命というとおかしゅうございますが、人間と土地との関係というものを明らかにしないから、そういうふうになっておるのじゃないか、こういう私の基礎的な考え方でございます。したがって、土地というものはすべての経済、文化にかかわらず人間活動の母体ではあるけれども、これを切り売りして、それによって利益を得るというしろものとは違うんだという私は考えを持っております。そのことを申し上げた。したがって、土地というものは人間社会の公共のために、必要なときにはそれは優先して使うというのがたてまえであるのじゃないか、こういうことを御理解を願いたいというんで、土地は商品ではない、そういう理屈を言ったってなかなかわかりませんから、率直のところ土地は商品でないと言うと、そういうことはどういうことかと考えていただけるだろうと思って申し上げたわけでございます。
  298. 前川旦

    前川旦君 私も単なる詩的な表現あるいは文学的な表現ではないと思うのですが、要するに、土地を投機の対象にしたり、個人の所有権に基づくといえば基づくまでですが、公共的な面を離れてかってに売買する、この辺についてやはり制限が加えられるべきだ、こういうような精神を言われたのであるというふうに理解をしたいわけなんですが、そこで土地の地価の値上がり対策、いろいろ言われておりますが、結局一つには、なぜ土地が値上がりしているのかという根本的な原因究明というものが、十分になされてないという面があると思うんです。と同時に、何といいますか土地の値上げを抑制する最も有効な手段というものが、私はいまのままではなかなか出てこないのじゃないか、部分的にいろいろな制度を少しずつここでいじってみても、根本的な対策にはならぬのじゃないか。そこでこれは私個人考えになって申しわけないのですが、やはり土地が商品でないということを言われたことを実現するためには、この土地を順次公有化していく方向が必要なのではないか、私有のままに土地を放任するのじゃなくてそれが国有であろうと、あるいは地方自治体の所有であろうと、要するに公有化していくという努力が私はあってしかるべきではないか。で、もちろんこれは憲法の問題にも関係がありますが、双方の所有者の納得づくで適正な価格で順次公有化していくという、そういう方向が望ましいのではないかということを実は考えているわけです。その方向について大臣も同じようにお考えになるものかどうかお伺いしたいと思います。
  299. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 結論的には同じような考えを持っておりますが、その前に、いま申し上げましたような、私は土地と人間の関係であるということを私自身確信を持って疑いません。けれども、また別な意味において、そういうものでありますから、土地と人間という関係はきわめてこれは利害——利と申しますか、密接な関係がある。したがって土地に対する執着というものは、これは理論以上のものがあるわけであります。したがって、これはよけいなことでありますけれども、古来のいくさであるとか、争いであるとか、戦いであるとかいうものは、全部土地の領域の範囲をめぐって争われておる。これは土地以外に人間が住む場所がないからということであろうと、私は考えておるわけでありますが、そういう間柄であるということを前提にしなければならない。そういう意味で、私はこれはお問いの中にありませんけれども、国有論とかなんとかありますけれども、国有論というものは、考えることはできるけれども、実際問題としては、それはなかなか、人間社会では簡単じゃない。したがって、わが国の憲法、他の国の憲法の多くはそうでありますが、土地の所有権というものを、私有権というものを認めておるということは、その関係というものを認めておるのであろうと思います。言いかえると、その活動の舞台というものを一応守らせるという私は思想に基づいておると思う。これが土地所有権のよってきたるゆえんであろうと思っております。もうちっとこれをつき遊んでいうと、いわゆる利用させる範囲をきめておく、こういうことであろうと思います。  そういう意味におきまして、私は、これは切って売って利益にするというための所有権ではない、本来の使命というものは。まあ、そういうような基礎的な考え方を持っておりますが、実際の問題といたしましては、やはりできるだけ公共の、いわゆる人間社会に必要な施設をする。それを利用するために土地が必要である。公共のために最優先的になるべきだ。それを実現するためには、できるだけ国なり地方公共団体なり、いわゆる人間社会に使い得る立場にある機関と申しますか、主体と申しますか、そういうところに多くの土地を持っておるということが、いまの考えをスムーズに行なえる。こういう意味においてできるだけ私は、機会があれば、土地というものはいわゆる公有と申しますか、そういうことにしておくことが本来の姿であろう、こういうことを考えておるわけでございます。
  300. 前川旦

    前川旦君 私は、土地を順次公有化していくことと、憲法に規定された私有財産、所有権を守るということと、私は決して矛盾する問題ではないと思うわけです。そこで、最近もいろいろ取り上げられて問題になりますが、たとえば国有地の払い下げとか、国有林野の払い下げとか、こういうことがいろいろ行なわれているわけなんですが、私は、そういうことは結局、結果としていまの土地の商品化を一方で進めていくという要素があるのではないか。だから土地を、国有地あるいは公有地を個人に払い下げるというようなことは、この際もうやめて、方向としてですね、むしろ広げていくというような方向へ進むべきではないか、こういうふうに考えているわけでございますが、大臣の見解をお伺いしたい。
  301. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そういう意味において、従来国有地を無原則に払い下げたということは、大きな誤りであったと思う。私、率直に思います。それが今日の住宅問題の解決に非常なネックになっている、あるいはその他の公共事業を行なう場合の代替地等の不足をきたしている。これは大いに反省しなければならない。現内閣はできるだけ、今後もそうだろうと思いますが、国有地の払い下げを無原則にしない、こういう方針を堅持しているわけであります。もちろん、これは原則であります。それほど必要でないもの、あるいは払い下げて、かえってその土地の利用度が高くなるものというものは別でありますけれども、やはり公有地であるとかあるいは国有地であるとかいうものは、いわゆる民間に払い下げるということは、本末転倒している、かように考えております。
  302. 前川旦

    前川旦君 それでは、住宅局長に小さい問題ですが、お尋ねしておきます。ことしから予算がつきまして、宅地の基本統計調査というのが行なわれるようになったようでございますが、この宅地の基本統計調査というのは、何を目ざして、何を期待して、どういう形で行なわれる御予定になっているのか、伺っておきたいと思います。
  303. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 宅地の基本統計調査でございますが、やりたいと思っておりますのは、地価指数の作成調査をいたしたいと思っております。この地価指数と申しますのは、主要都市別に土地価格の変動を把握するために、相続税財産評価基準の路線価あるいは全国農業会議所の転用農地価格等の既存の資料を系統的に整理いたしまして、地価指数を一応作成してまいりたい、こう考えているわけでございます。  それから第二は、宅地取引実態調査でございますが、これにつきましては、モデル都市考えまして、大体東京都の北部周辺というようなところが主でございますが、宅地の取引とか取引価格の実態を把握するためにパイロット調査をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  以上二点が、宅地基本統計調査で本年度実施いたしたいと考えている調査でございます。
  304. 前川旦

    前川旦君 実態調査といえば実態調査だけでございましょうけれども、しかし、そこから何を生み出すのだという基本的な指向、指向していく方向があって初めて意味がある実態調査かできるのであると思います。ただ実態を把握するだけの調査で終わるのか。何を目ざそうとしているのか。その辺についてのこの調査目的をどう考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  305. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 地価指数につきましては、御存じのとおり、不動産研究所の市街地価格指数がございます。それらを含めまして、全体的に主要都市別に、一体土地価格がどう動いたかということを都市別に把握いたしたい。大体人口五十万以上ぐらいの都市で、三十四年から四十年ぐらいの間を既存の資料に基づいてどう動いたかという把握をしてまいりたい、かように考えておりますのが地価指数作成調査。取引実態調査でございますが、宅地の取引の実態、あるいは取引価格というものは、実はいままでほとんど調べられておりません。その意味におきまして、取引の実態がなかなか把握できないという点がございます。これらを把握いたしませんと、今後のいろんな施策を行なう場合におきましても、間違えた推定などがあってはならぬと存じまして、かような取引実態をモデル都市において考えてまいろう、こういうふうに存じておるわけであります。
  306. 前川旦

    前川旦君 いまのような実態調査を通じて、これは土地の利用計画なり、あるいは表示制度なり、そういう方向を指向していくお考えがあるのかどうかお伺いしておきたいと思います。
  307. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 地価の公示に関しましては、ただいま申し上げました地価指数調査とはまた異なった地価調査費というのを計上いたしまして、逐次地価公示ができるような方向に固めつつあるわけでありますが、しかし地価指数そのものにつきましても、従来ただ一つの例外を除きまして、しっかりとした全体的な調査ができておりません。既存の資料に基づきましてそれらをちゃんとした資料に整えて地価の推移等を考える。もちろんこれらは地価公示等の問題にも重大な資料になる、かように存じます。また地価の動き方というものも、土地の利用が変わってくるということ等によって変わってくる部面が多いわけでございます。それらをあわせて考えてまいる。これらを個々の実態においてどういうふうにとらえるかというのが取引実態調査でございます。
  308. 前川旦

    前川旦君 これはいつごろまでにこの作業を終えになる予定ですか。
  309. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 宅地の基本統計調査は実は今年初めてつきました調査でございまして、先ほど申し上げましたように、人口五十万以上の都市について三十四年から四十年までの間を調べるわけでございますが、これらの調査を一応本年度やってみまして、さらに精細な調査を後に継続してやってまいりたい、かように考えております。モデルにつきましては、さしあたり東京の区部及びその周辺。できますれば名古屋、大阪の周辺にも及ぼしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  310. 前川旦

    前川旦君 時間がせきたてられるようなんですが、こまかい問題を尚さんにちょっと伺っておきます。当初の七百六十万戸から六百七十万戸に計画をお組み直しになった際にも、給与住宅、これは従来援助率が七〇%であったのを七七%お上げになりました。これは一体どういう意味でお上げになりましたのですか。  もう一つ、借家の援助率三八%となっておりますが、これは前の計画で五一%。それから持ち家は三五%、これは変わっておりません。借家の援助率だけがすとんと下がって、持ち家の援助率は変わらない。給与住宅は逆に七%上がっておる。これはどういうふうに私たち理解をすればよいのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  311. 尚明

    政府委員(尚明君) まず給与住宅でございますが、給与住宅につきましては、当初の計画から、現在やっている約十万戸を、前五カ年とも十万戸ずつ続けていこうという絶対数を一応前から押えていたわけでございます。これは厚生年金等を中心として主として他省でやっているものが多いのでございます。これは先ほど御説明したように、現状維持というような考え方、したがいまして、全体の戸数、そしてそのうちの政府援助も、当初の計画よりも若干落ちましたために、総体的に比率が上がったわけでございます。それから借家の援助率が前の援助のときよりも下がりましたのは、これは若干援助の方法について改変をいたしております。それは当初の計画では、借家の需要者に対しては、一人世帯も含めて借家の供給をする考えを持っていたわけでございますが、全体として、先ほどあげましたように援助率を下げるという問題もありますので、この際一人世帯にまでは、これを一般公共賃貸住宅に及ぼすことが若干困難になりましたので、この一人世帯につきましては、おおむねその二割程度だけを給与住宅のほうで、いわゆる単身アパート……。二人以上の世帯についてのみ公共賃貸住宅を供給するというふうに組みかえました結果、援助率が下がったわけでございます。
  312. 前川旦

    前川旦君 その組みかえに際して、たとえば持ち家の場合は、この百三十三万戸が百十七万戸、約十六万減りました。それから給与住宅は五十三万から五十万戸、三万減りまして、全体として三百四十万戸が二百七十万戸に減っているわけですが、特に借家の減り方がどんと五十一万戸も……。ここに大きなしわ寄せをしているのではないか、借家に対してしわ寄せを。そこがたいへん不審でございまして、公共の借家に対するしわ寄せというものが、さっきの持ち家政策との関連もありますけれども、矛盾があるのではないか、特に低所得階層の中では、持ち家のできない階層の中では、やはり公共借家というものをかなり大きく持っていかなきゃいけないはずであるのに、当初案に比べて一番借家にしわ寄せされて減っているということ、私ちょっとふに落ちないのでありますが、それを説明をお願いしたいと思います。
  313. 尚明

    政府委員(尚明君) ただいまお話がございました借家の援助率につきまして、これが下がりましたのは、特に収入階層や何かを当初の計画より、さらに引き下げるということではございませんで、いまお話し申し上げましたように、一人世帯で借家を希望しているという世帯がおおむね五十三万ございます。本来はやはり一人世帯はちゃんと世帯を持っておる方も一般的な公共単身アパート等を供給することが望ましいわけでありまして、これは諸外国でもやっているわけで、当初はそういう計画を編んだわけでございますが、全体として政府援助の戸数がある程度改変されましたために、この五カ年においては、一人世帯も含めて公共賃貸住宅を供給するということまでは若干望むことが困難でございましたので、この五十三万の一人世帯の借家需要というものを、むしろ給与住宅のほうに振り向けて、二人以上について公共賃貸住宅を供給するという方式をとったわけでございます。したがいまして減ったわけでございます。
  314. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  315. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  316. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。  なお、討論、採決は、後日に譲ることといたします。     —————————————
  317. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 再び、日本勤労者住宅協会法案議題といたします。——別に御発言もないようでございますので、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  318. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。  なお、討論、採決は、後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時四分散会