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田中一君 原則はそれでけっこうです。実態として行なわれる場合にどうなるかということを心配するわけですよ。ということは、大阪、
東京、ほかの地区はまだいいとしても、大阪、
東京で行なわれている
ところの市街地改造
事業、これは御承知のように現在やっておりますけれども、これには補償という意味の相当大きな負担が建物そのものにかかってきているわけです。たとえば新橋西口の市街地改造
事業を見ても、大体二十八万円か三十万円
程度、それが今度建築物は、それを何とか組がダンピングしたために多少安くなっておりますけれども、請負人がね。
ところが実際の販売価格になりますと、いろいろな形のそこに何というか要素というか、内容が含まれてきて、とんでもない二百七、八十万で売らなければだめですなんていう面が出てくる、ある面はですね。私はこの仕事にはそういうことがあっちゃならぬと思うのです。それは何かと申しますと、冷房もつくらなくちゃならぬ、暖房もつくらなくちゃならぬ、どうだこうだといって、金のかかるような問題等が建築家の遊びとして出てくると、これはとんでもない問題になってくる。ますます
卸センター等の弱小なる人たちが入り切れなくなってくる。負担が大きくなってくるのですよ。むろんこれには基準法上ばかりでなくて、十分にその壁面とかなんとか、いろいろなものに対する監督はこれは
建設省だということだと思いますが、それはするけれども、それはそれきりのことなんだ。そんなに
建設省がきめこまかい指導ができるならば、いままで日本のこの社会に建築的な不安はないわけなんです。これはみんなの意思じゃない。一人の意思でそういうことになると、これはまた入り切れない。入ることが今度はできなくなってくる、負担が重くて。これは非常に困るのです。だから私はどういう形のものをつくろうとするのか。これはけっこうですよ、もう一切の設備の完備した建物ならば一番いいでしょうけれども、それならば坪当たりの単価はうんと上がってくる、建築家は遊びをするわけです。そういう形のものができると困る。同時にまた、むろん
地域における都市の美観というものを考えなければならぬ。美観というものとそれから建築費というものは、決して美観がよくなれば高くなるというものじゃないのです。そういう点でどの
程度まで指導しようとするのか聞いておきたいのです。観念的な問題じゃなくて実際上の問題なんです。かつて私は瀬戸山さんにこういうことを言ったことがあります。鉄骨を主体とする構造物で、それに現在の耐火構造というものが安全率が高過ぎると。だからこれに多少の被覆をしただけでもって認めるというような主として鉄骨を使った建築にしたらどうか。そうしてなるべく建築単価が安くなるような、そうして堅牢にして美しいものをつくったらどうかということをすすめたことがございます。十分にそれは
建設省で検討しようということを言っておりましたけれども、私はこんなものこそ
——建築基準法なんというものは人間がつくったものです。当然これはもう改正しなければならぬような
段階に立ち至っているものが多々ございます。そういうものこそモデルとして利用したらいい。結局一坪十八万だ二十万だ二十五万だなんていったって零細な人たち入れきれない。たとえば賃貸にしてもこの家賃が高くなるのですよ。しいて申しますならば、
住宅公団で行なっている宅地造成の費用、取得の費用というもの、この
処分価格というものを原価主義で持っていって、それに建築費を相当くふうして安くてよいものをつくるということこそ必要なんです。なぜならば、この
法律によって、ある面の人たちはここでうんともうかると思って行く人たちもいましょう、たとえば
トラックターミナルとか、
共同倉庫の人たちはそういう目的で行くでしょう、この
地域における独占企業ですから。しかし中小企業は決して一業一店で行くのではございません。たくさんの同業者も集まるわけです。その場合には資本構成の強いものと弱いものとの差異が出てくるし、いろんな問題がそこにできてくる。それらが全部納得するような、自分で負担できるような、究極賃貸価格でやれるようなものをつくることが第一です。遊びが多過ぎるということです。その意味でどういうものがどういう形でどういう
程度のものをつくるということを、いまからきめなければならぬと思うのですよ、この
法律の通るときにはですね。非常に危険を感ずるのです。大阪の市街地改造
事業の
ところなどは一番安くて五階でも六階
でも一坪八十万円からです。これにはむろん諸権利が入っているから高くなると思います。けれども地価が、ここでもって何も
住宅公団がもうける必要ないでしょう。これは必ず売れるのです。いま
住宅公団が行なっている
ところの工場
団地と違ってこれは必ず売れるのです。売れる
ところから高く取るなんという考え持たないで、これは
建設大臣、原価主義でいらっしゃい。そして多くの人たちが、行きたがっている人たちが軽い負担でここに入れるという行き方をするように措置していただきたいのですよ。だから宅地造成の
処分計画の宅地の価格というものは原価主義、そしてでき上がる建物というものは十分に
地域環境にマッチしたよいものをつくりながら、くふうをして安いもの、安いもので悪いという意味ではございませんよ、よくて安いものをつくる。その場合には建築基準法のいろいろな制約があろうとも、これは改正してもいいから、安全というものが守れるならば、勇気をもってそれを行なうというような態度が私は望ましいのです。
建設大臣ひとつ答弁してください。