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1966-06-23 第51回国会 参議院 建設委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十三日(木曜日)    午前十一時四十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事         石井  桂君                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 青木 一男君                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 中津井 真君                 平泉  渉君                 米田 正文君                 田中  一君                 竹田 現照君                 達田 龍彦君                 前川  旦君    衆議院議員        発  議  者  井原 岸高君        発  議  者  岡本 隆一君        修正案提出者   井原 岸高君    国務大臣        建 設 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        経済企画庁調整        局長       宮沢 鉄蔵君        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省住宅局長  尚   明君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        農林省農林経済        局消費経済課長  堀川 春彦君        通商産業省企業        局商務第一課長  林 信太郎君        中小企業庁指導        部長       安岡  孝君        中小企業庁指導        部商業課長    宗像 善俊君        運輸大臣官房開        発課長      原田昇左右君        運輸省港湾局参        事官       河毛 一郎君        建設省都市局参        事官       小林 忠雄君    参考人        日本住宅公団総        裁        林  敬三君        住宅金融公庫総        裁        師岡健四郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○流通業務市街地整備に関する法律案内閣提  出) ○日本勤労者住宅協会法案衆議院提出) ○土地収用法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○住宅建設計画法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、前回質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
  3. 田中一

    田中一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案された国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案賛成の意を表するものでございます。  十数年前、中央自動車道単行法として誕生以来、地方的な縦貫道または横断道等議員提案によって立案され、非常に統一しない計画がふくそうしておりましたけれども、幸い今回これをまとめ、全国的な視野に立って本法案の提案されたことに対しては、賛意を表します。しかしながら、かつてネット——網状道路計画というものが、幹線中心としたところ道路となり、かつまた、これが国土開発という非常に大きな前向きの性格に変わったということは、これまたわれわれの共鳴するところでございます。ただ、今回提案された路線の決定にあたっては、まだまだ遺憾の点が多々ございます。たとえば当面の道路利用の面に限られて、後進地域に対するところの措置が不十分でございます。先般審議の過程においても、建設大臣に希望を申し上げておきましたとおり、三陸方面路線あるいは富士山麓をめぐる——横断するところ道路路線または瀬戸内海にまたがるところ道路計画等が、これが今回提案されたものには決定されておりません。次回これを改正する場合には、必ずそれらのものを政府から審議会答申を求めるという御意見が出たことは、これはまことに建設大臣瀬戸山さんの非常に前向きでよい政治の方向であろうと思いまして、これまた瀬戸山建設大臣に対するところの共感を覚えるものでございます。かつ、その上、この法案が参議院に回付される以前に、衆議院段階におきまして、約五項目の附帯決議が出ております。これは全く同感でございまして、この趣旨を尊重し、十分に民族のための道路幹線道路としての完成が、計画されている年月よりも早期に完成するように努力をしていただくことを希望いたしまして、賛成討論とする次条でございます。
  4. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか、   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  6. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  8. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。     —————————————
  9. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、流通業務市街地整備に関する法律案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。  なお、瀬戸山建設大臣竹内都市局長のほかに、経済企画庁から宮沢調整局長が、また、運輸省農林省及び通商産業省から説明員が出席いたしております。
  10. 田中一

    田中一君 きょうは、ひとつ各省から——これは建設省のほうは建設自体でありますから、まずこれをあと回しにして、とりあえず各省が所管しておりますところ中央卸し売り市場、あるいは物資流通に関する施策について、全国的な範囲で質問したのでは困ると思いますから、東京都における現況について説明を願いたいと思います。  第一には、農林省から、農産物それから魚貝類、海産物、これらが現状、どういう形で置かれておるか。そうして、いま提案されている法律案一つのモデルとして板橋地区を想定されてわれわれは説明を聞いておりますけれども、これとの関連等もあわせて御説明願いたいと思います。
  11. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  12. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を始めて。
  13. 田中一

    田中一君 それでは、運輸省から伺いましょう。というのは、かつて特別法で制定された日本トラックターミナル株式会社、これが性格。それから、前段に申し上げたように、板橋地区を想定して考えておりますから、この性格。それから、これが板橋団地との関連。と同時に、現在のトラックターミナルと申しますか、輸送関係施策、それから今後の方針等について伺いたいと思います。
  14. 原田昇左右

    説明員原田昇左右君) まず、トラックターミナルについて申し上げます。トラックターミナルは、昭和四十年十月現在、全国に千四百二十九カ所ございますが、小規模なものが多くて、小範囲取り扱いが大部分でございまして、機械化がおくれております。そこで、相当規模になりました場合には、車両の大型化荷役機械化が可能になります。それからトラック輸送合理化に大いに役立ちますし、同時に、流通経費の節減、あるいは都市交通円滑化がはかられるわけでございます。また、大規模トラックターミナルというものは、都市交通混雑緩和にも非常に役立ちますので、この積極的な整備をはかる必要がございまして、すでに日本自動車ターミナル法を施行いたしまして、これによりまして日本自動車ターミナル株式会社が設立されております。これは四十年七月に設立いたしまして、大都市及びその周辺において大規模トラックターミナル事業を行なわせることにいたしておるわけでございます。そうしてトラックターミナル会社資本金といたしましては、四十一年度におきまして、政府出資二千五百万円、東京都三千万円、民間三千四百七十万円、合計八千九百七十万円をもちまして資本金といたしまして、現在、開発銀行に約二億円の融資を期待いたしておるわけでございます。  そして、板橋地区には面績約九万七千平方メートル、バースにいたしまして二百三十バース、一日の取り扱い量が三千四百三十トンというものを想定いたしております。着工時期は四十一年で、完成時期を四十三年に考えております。  失礼いたしました、資本金の先ほどのけたが違いまして、政府は三億五千万円、それから東京都が三億円、民間が三億四千七百万円、合計いたしまして八億九十七百万円、それから開発銀行から二億円ということでございます。  それから鉄道につきましては、東京地区に発着いたします鉄道貨物量は、三十九年度において約五千万トンございます。このうち都内の発着が二千五百万トンございます。今後も輸送量が非常に増加することが予想されますので、東京中心として放射線をなします東海道中央、東北、常盤、総武の各線について線増を行なうことを予定しております。また、従来の山手貨物線にかわりまして、これらの放射線を相互に連絡する外郭三十号線、京浜、京葉の主要産業地帯東海道とを直結いたします海岸線を、昭和五十年までに完成することを考えております。  それから、貨物駅につきましては、現在、東京地区に百二十三の貨物駅がございますが、こういったこれらの既存貨物駅につきましては、基地集約による重点的な整備拡充をやることを考えております。  それから物資別にも、大量使用物資につきまして、たとえばセメント、石油等につきまして基地集約をいたしまして、それぞれ荷役、輸送等一貫した基地整備をいたしまして、重点的に整備することを考えております。  それから、さらに武蔵野線及び海岸線の新設に伴いまして、これら線上に貨物駅を設置いたしますが、この中には、この貨物駅を中心にして流通業務を設定することが必要となるものもあると考えております。  以上でございます。  それから、先ほどの数字で、ちょっと訂正をお願いいたしますのは、トラックターミナル財政投資として開発銀行に二十億の融資を仰ぐということでございます。先ほど二億と申し上げましたが、間違いでございます。
  15. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をとめて。   〔速記中止
  16. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を始めて。
  17. 田中一

    田中一君 それでは農林省から同じ趣旨説明を願います。
  18. 松永忠二

    委員長松永忠二君) もう一回説明をちょっとやってくれませんか。
  19. 田中一

    田中一君 とりあえず板橋地区団地整備する農林省の考え方について、それを説明していただきたい。
  20. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) 前回も申し上げたわけですが、東京都におきましては、市場整備の八カ年計画東京自体が策定をいたし、それらを基礎にいたしまして、政府といたしましても整備八カ年計画を策定いたしておるわけでございますが、この計画の中におきまして、東京都の新市場建設ということがもくろまれております。そのうちの一つに、板橋市場建設があるわけでございまして、これは現在、東京都には七つの市場と、それからさらにその外郭部に十三の市場分場がございますが、その分場のうち、王子と板橋地区にございます分場を廃止をいたしまして、そのかわりに相当大規模市場板橋地区建設をいたす、こういうことでございます。その計画は、おおむね用地といたしまして二万坪程度用地を取得し、総事業費といたしましては、土地代も含めまして大体十四億五千万くらいというふうに現在の段階では組んでおるわけでございます。建物の建設等につきましては、おおむね五億五千万程度というふうに計画をしておるわけでございます。これによりまして都心部における市場狭隘化緩和、こういったことをはかりながら、市場整備を進めていく、こういうことでございます。
  21. 田中一

    田中一君 次に運輸省から、貸し倉庫、それをひとつ説明してください。
  22. 河毛一郎

    説明員河毛一郎君) 東京川辺倉庫につきまして、簡単に需要と将来を御説明いたしますと、東京周辺倉庫といたしましては、普通倉庫が大体百二十万平方メートル、冷蔵倉庫が七十一万平方メートルでございますか、このうち、大体半数程度のものが都心部に集中いたしております。したがいまして、これを流通化し、周辺分散さすということが、流通近代化のために必要になるわけでございますが、運輸省がただいま考えておりますところは、ただいま問題になっております板橋地区及び京浜二区の二つ共同倉庫を設けまして、これをそれぞれの倉庫業に貸すということを計画いたしております。さしあたり四十一年分といたしまして、板橋地区が一万三千平方メートル、京浜二区が十万平方メートルという土地を確保し、ここに団地倉庫をつくりたい、そのために必要な資金といたしまして約十億が要るわけでございます。これは開発銀行から融資を願うようただいま折衝中でございます。簡単でございますか……。
  23. 田中一

    田中一君 通産省から、問屋関係説明を願いたい。
  24. 林信太郎

    説明員林信太郎君) 通産省が所管しております問屋の問題につきまして御説明申し上げます。  先般申し上げましたように、二つの形がございまして、中小卸問屋団地の形成という問題、本件は、府県と共同事業になっております。いまだ東京都のほうにはそういう体制ができておりませんので、この形のものは東京にはございません。都庁のほうに、できるだけ早くそういう体制をつくってくれるように何度も慫慂いたしております。  それからもう一つの岡屋の立地の問題でございますが、卸総合センターという構想につきましては、昨年の秋、通産省産構造審議会で、現在日本橋等都心に一点集中的に存在しております問屋が、もう交通が麻痺しておるので、これ以上取引あるいは買い出しに来る地方問屋さん、あるいは都内小売り屋さん、都心周辺小売り屋さんにとって非常に負担になっているという現状を打開すべく、できるだけ多点分散的に配置すべきだという、こういうふうな答申を昨年の秋もらったわけです。それに従いまして、開発銀行大都市開発及び流通機構近代化というワクか設定されまして、それを受けて現在候補地点として私ども検討しておりますのは、一つは、京浜二区内に模範的な卸総合センター倉庫団地及びトラックターミナルと有機的な連係のもとに進めたいということでございます。同じような構想で、板橋地区につきましても検討いたしております。  問屋の多点分散につきましては非常な障害がございまして、と申しますのは、問屋さんは、いまの場所が祖先伝来土地であるというふうなこと、あるいは問屋というものがほんとうに問屋らしくなるためには、大きな問屋さんも小さな問屋さんも、各種のものが規模の大小、種類の相当似得ったものが相集まることによって問屋街として体をなしますので、この分散ということが非常にむずかしいわけでございます。それが一つと、それからもう一点、個々の問屋さんではなかなか融資を受けるというような手続が繁忙でございます、実際に即しません。したがいまして、一元的にそういう問屋分散を行ないますセンター建設、運用、管理してくれるような組織をつくることが非常に重要でございます。この二点を中心にいたしまして、京浜二区なり板橋につきまして、業界の方を指導し、あるいは関係団体とも連絡をとって進めておる最中でございます。
  25. 田中一

    田中一君 では、建設省のほうから、大体、用地買収費それから造成費、それからこれに関連する公共施設などはおそらく住宅公団をしてやらしめるのだと思いますが、これは都でなくて、住宅公団にやらせるようになっているのですか。これはどのくらいになりますか、金額、予算は。
  26. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 板橋地区につきましては、おととい御説明申し上げましたように、区画整理の面積は三百三十万平方メートルでございます。そのうち団地といたしまして、これはまあ各省と協議してきめなければいかぬものですから、まだ確定されておりませんけれども、約七十万平方メートルくらいが考えられるんじゃないかと思っております。  全体の事業費といたしまして区画整理で二十七億、四十一年度は七億四千万、区画整理事業施行者住宅公団と思っております。流通業務施設関係事業費は、上物以外の事業費はただいま申し上げましたとおりでございます。
  27. 田中一

    田中一君 経済企画庁に、この板橋地区中心にしてどのくらいの物資がここで集散するか。それからここの団地から受ける影響範囲というもの、どの方面をどのくらいの人口といいますか、世帯数といいますか、あるいは地域というか、これを利用するかという点について、資料があったら説明してください。
  28. 宮沢鉄蔵

    政府委員宮沢鉄蔵君) 板橋地区におきましては、トラック集配量といたしましては、大体一日三千四、五百トンくらいのものがあるというふうに考えておりまして、一年間におきまする全体の物資集配量という点から見ますと、大体四百万トンぐらいだというふうに一応計算されております。  それからどの方面ということにつきましては、大体東京都の西北部中心とする物資集配に対するセンター、こういうふうに考えております。
  29. 田中一

    田中一君 結局住宅公団が、この団地造成というものは土地をつくるというところに尽きておって、土地だけが住宅公団の役目として持たれている。したがって、その土地がどういう形でその地上に建設されるかということになりますと、どういう方式でいくんですか。特定分譲でいくんですか、それとも任意の払い下げというか、でいくのか、その形式はどういう形式でいくんですか。
  30. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 造成されました土地処分の問題でございますが、この法律では三十三条に、まず施行者処分計画をつくりますが、その処分計画に従って処分しなければいかぬということになっておりまして、特別のもの以外は譲り受け人を公募しなければならぬというふうになっております。特別の場合といいますのは、それ自体収用権を持っておりますような、ただいま申しましたトラックターミナルでございますとか、あるいは中央卸売り市場でありますとか、あるいはそれに準ずるようなものを考えておるわけでございますが、そういうものを除きまして譲り受け人を公募するということにいたしております。公募する場合におきましては、三十五条におきまして、流通業務施設をみずから経営しようとする者、あるいは資力、信用、支払い能力がある者というようなことが条件になっております。で、流通業務施設をみずから経営するという中には、ただいま出ましたような卸センターのような、ある特定の主体が問屋さんに施設を貸すというような場合も含まれるわけでございます。そういうような法人も含まれるわけでございます。そういうような譲り受け人に対しまして選考してこれを選ぶわけでございますが、選考する場合には、三十六条で順番が書いてございまして、まず、その敷地の中におきましてみずから土地を提供し、流通業務施設を経営しようという者、それが第一順位でございます。それから第二順位といたしましては、都心区域から出ていくという施設につきましては第二順位。さらには都心区域流通業務施設を持っている者で、その者がセンターの近くにその施設をつくろうというようなものが第三順位というようなことで、過密対策に奇与するような順番でこれを選考するというふうにしているわけでございます。
  31. 田中一

    田中一君 この過密対策に順応してこれらをここに収容するんだということが前提に立っているならば、少なくともここに分散するというか、この地域分散するこれらの諸君をまずここに移したいというような計画があるはずなんです。これはもう特定分譲とか公募とかという形の以前に、対象が明らかにならなければ、この計画面はもう成立しないわけなんです。だから、何もこうした一つの前進した施設をもって過密地区の解消ということを考えているならば、表向きの条文条文として、もっと積極的な、この地域に対してこういうことをしなければならないんだということが打ち出されなければならないと思うんです。その点は考えておられないんですか、もう考えておるでしょう。
  32. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) ちょっとことばが足りませんでしたが、第四十六条におきまして、流通業務団地都市計画をする場合には、あらかじめ農林、通産、運輸各省に協議することになっておりまして、さらに第二といたしまして、処分計画は、施行者処分計画をつくる場合には建設大臣が認可することになっておりますが、その処分計画建設大臣が認可する場合におきましては、あらかじめその敷地の上に建設されることになる流通業務施設の設置または経営につきまして許可認可等処分権限を有する行政機関の長に協議しなければならない。すなわち中央卸売り市場の開設について権限を有する行政機関あるいは倉庫業についての権を有する行政機関、あるいは自動車ターミナル事業について権限を有する行政機関、そういうようなところに協議して処分計画をきめるということでございますので、あらかじめ処分計画につきましては相当念入りな計画がつくられる、こういうことになると思います。
  33. 田中一

    田中一君 トラックターミナルについては、これはまあ日本トラックターミナル株式会社、それから中央卸売りであれば、これはもう法律によるところの、倉庫の分については、それは共同倉庫とかいっておりますが、倉庫は、これはどうなっておりますか、共同倉庫性格は。
  34. 河毛一郎

    説明員河毛一郎君) ただいまのところ倉庫につきましては、流通センターをつくるわけでございますが、これは東京地区倉庫業界中心となりまして、普通の株式会社を設立いたします。それによって開銀融資を仰いで建てていく、こういう計画でございます。
  35. 田中一

    田中一君 通産省指導部長に伺いますが、総合卸センターは現在どこの会社がやっているのか。中野の方面にもそういうような施設があるように聞いておりますが、何か総合卸センターとして、そこに各卸屋を集めるには、何か行政上の法的根拠というものを求めてこれをやろうとするのか、それともあなたのほうで常に指導し、かつまた過密地域における卸事業者特定卸事業者対象にして考慮をされようとするのか、その点はどうです。
  36. 林信太郎

    説明員林信太郎君) ただいまの先生の御質問でございますが、問屋分散につきましては、法律的な根拠はございません。私どものほうがいろいろ各省あるいは各機関に打ち合わせをして条件を固めまして、その条件前提商工会議所あるいは問屋各種団体組合といったところを通じまして募集すると申しますか、PRをやって、それで積極的に動くような状態に持っていくような形になっております。したがいまして、非常に時間がかかるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、問屋さんというのは、なかなかむずかしい業種でございますので、そういうやり方がいまのところ妥当と考えております。
  37. 田中一

    田中一君 その場合に、協同組合でもつくらして——供給者協同組合というか、企業組合でもつくらして、まとめて法的な人格を持たして集めるということになるのですか。それとも個々の人間が昔の仲店のような形でやっていくのか、どうなんですか、法的根拠というのは。何も単独立法ばかりでなくて、企業組合でも何でもあるわけです、商業協同組合でも。そうしたものを持たして、それを対象にするのか、この点はどうですか。
  38. 林信太郎

    説明員林信太郎君) 先ほど申し上げましたように、卸総合センター建設をやりますのは、用地の取得あるいは大きな堅牢な建物、大きな建物をつくるわけでございますので、その資金調達、設計、あるいは前回先生から御指敵がございましたように、ある程度の美観というか、バランスと申しますか、そういったことも確保しなければならないというふうな要請にもこたえまして、一元的なそういった機関をいま商工会議所中心になってつくってくれているわけでございます。その機関が、いま申し上げましたように条件を示して集めるわけでございますが、その場合に、各商品別の卸売り協同組合等とも十分接触をしております。そういう場合には、場合によりましてはその協同組合というような形をもって入ってくることも可能かと思っております。大きなところは単独で入っておられる、こういう形になると思います。
  39. 田中一

    田中一君 大体板橋地区用地費、造成費は別にして、八十億以上のものがかかる。これは全額むろんそれぞれの各省で予算をとってやるはずでありますから、その点は心配ないのですが、この金、大体金利をどのくらいに想定しているのですか、これに投ぜられる建設費ですね。これは経済企画庁がいいのかな。
  40. 宮沢鉄蔵

    政府委員宮沢鉄蔵君) その建設資金のうちの相当部分は、おそらく開発銀行から出ることになるかと思いますが、開発銀行の場合には、八分七厘でございます。
  41. 田中一

    田中一君 そうして、まあ日本トラックターミナルなんかはもう心配ないと思うが、これらの主として、零細な卸売り屋あるいは中央卸売り市場に入ってくる業者等は大資本じゃないことは明らかです。そこで、この借金を返すための資金、これはむろん受益者が負担しなければならないと思う。これは建物は自分のものになるのと、あるいは倉庫なんかは賃貸なんかでやっておるところもあると開いておりますが。そしてそれらの人がここに集まってくる場合に、かつて持っておった店舗というものは原則としてこれは廃業させる、その地域における商売を廃業させるということが前提になっておるのか、これはよく名川街その他に見られるように、一つの大きな営業の基盤がある、そして自分の出店としてここに店舖をかまえるという形をとろうとするのか、かりにもし憲法論議からいえば、そんなことはありようはずがないのです。二つ店を持とうが三つ店を持とうが一向差しつかえないわけだ、営業のことは。今回の場合はどういう措置をとってその店舗を、過密地域というものを解消するのだということが前提ならば、それをやめさせるんだということが前提のはずです。悪法論議からいえば、これは職業の選択の自由というものがあります。それを何か別の法律でもって、地域における制限等で、建築にもいろいろ制限がございます。地域指定によっていろいろ変わってくると思うのです。その点の指導のしかたと受けて立つ地域的な問題で、建設大臣はそれらの残された地域というものをどういうぐあいに考えていくか。これを自由な形でそれに参加させるということになりますと、残っておるほうの店舗をそのままやっていて自分の支店だといっても差しつかえない。地域的な規制を加えなければまたそこにもとのとおりに残るわけなんです。この点はどうですか、両方から。
  42. 林信太郎

    説明員林信太郎君) いまの田中先生の問題、非常にむずかしい問題でございます。理想的に申し上げれば、何らの強制力なくして、いまおられます問屋の方々は、いまの場所ではもうふん詰まりだ、したがって、新しいところを求めて群をなしてそちらに移っていくというのが理想なんでございますが、なかなかいろいろ取引関係あるいは顧客の習慣、惰性等もございます。新しい土地におきます集落、問屋さんがどの程度質的に量的に集まるかというふうな問題、いろいろからみまして非常にむずかしい問題でございます。私どもも内部でいろいろ検討してみたわけでございますが、とりあえずの処置といたしまして、いまの状態、麻痺状態が極度に悪くなっている。一例を申し上げますと、いまの問屋さんのマージンというのは大体一、二%ぐらい、よくて三%ぐらい。にもかかわらず、問屋が払っております運賃の比率が一、二%あるいはそれ以上というように上がってまいっております。自分の純利益と相当額くらいの運賃、あるいは荷役等の増が見られる、こういう状態ではもう経営がどうにもならない、とりあえずの処置といたしまして、いまの体制では、法制的にあるいは財政的に強制分散ということがとうてい不可能でございますので、何らかの形でその自由意思に訴えまして移っていくようなそういう形をとっております。したがいまして、今度の法案にも、御案内のとおりそういった強制規定は入っておりません。卸の実態から申しましても、そのほうがとりあえずの方法ではなかろうか。では、そういういいかげんななまぬるいことで効果があるのかというようなことでございますが、いまやっております状態を見ますと、かなり一般に目ざめてまいっております。いまの日本橋あるいは日本橋中心問屋街の中にはかなり大ぜいの方が、どっか群をなして移りたい、その場合に全部廃業というような形についてはまだ踏み切れない、これはあと地の処理の問題がからんでおりますが、そういう状況でございます。
  43. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 通産省でお話ししましたこととダブると思いますけれども、都心部問屋があるということが一番問題なのは、倉庫を持ってそこにいるということ、しかも一番困っておりますのが、そういうような倉庫とか荷役所がないということでございます。したがいまして、保管所を求め、あるいは荷役所を求めていくということが一番大きな眼目になろうかと思います。その場合に、商売をいたします店舗が都心に残るというようなことも考えられますので、あと地処理等の問題につきましては、その辺のところを見定めた上で将来必要があればあと地買い上げということも考えていかなければならない、こういうふうに考えております。
  44. 田中一

    田中一君 いま通産省から、問屋のマージンが低いんだということ、それに開銀から八分七厘ですかの金利の金を借りる、おそらく償還は長期償還になると思いますが、とにかくいままで自分が持っておったところ土地がやはり妥当な評価で事業の主体が買い上げるということがなくちゃならぬと思うんです。私は年とっているから知っているんですが、かつては、中央卸売り市場を築地に持っていくときに、あの日本橋川といったかな、あの川の板船権問題が起きた。いままではあすこでもって魚の陸揚げをしておった、そうして川の中に揚げ場があった、これは板船権ですね。その補償のために何十年という訴訟を起こして、これは疑獄事件にも発展したことがある。かつての良好な地域である、たとえば日本橋なりあるいは浅草、浅草橋周辺の玩具問居がいるところとか、あるいは花川戸のはきもの問屋、皮製品の問屋が密集しているところがたくさんある。そういうものはその地が非常に有利で、そうして利益率が高くて繁栄したということの証拠なんです。それを作為的に一つの至上命令的なもので外に移転するということになりますと、これは当然それに対するところの補償とまでいかなくても、妥当な価格で、かつての営業権的なものあるいは土地に対する所有権並びに地上権等は妥当な金額で買い上げるということにならなければ、これはあまりに不幸じゃないか。自分たちが出てしまう、そうすると残されたところ土地というものは変貌して、自分たちが残っていれば坪百五十万円、二百万円あるいは三万百とかいっておったのが、自分たちが向こうに移るために、そのあとの土地は、それこそ十万円の価値もないということにならないとは限らないのです。なることもあり得るのです。たくさんそういう例はあります。また、新しくそこに企業的な、営業的な利益を生む土地を造成するために、いままで近隣のたんぼが、それこそ反当たり二十万か三十万のものが一坪一万円、二万円になることもあり得るのです。逆の見方をもって、いままで生業を営んでおった地域、その地区というものは大きく暴落するということもあり得るのです。こういうような中小企業に対する手当てというものが、そういう点でどう配慮されておるか、これは一番大きな問題だと思うのです、私は。ただ建設省は、おれは知らぬよ、それは物資流通上の、商売上の問題で、自分のほうは関係ございません、というだけでは済まない。たとえばあとの地域に対する利用のものが、かつて問屋として繁栄したときの価格なら価格で買い取る、日本橋の魚市場が向こうに移転するときに、先ほど言ったように、板船権というものに対する大きな何十年間の訴訟が起きて、結局あれは何年目かに解決したものでありますが、そういうものとして疑獄卒件が起きましたよ。こういうことが今日の近代的な、近代的というか、今日の社会にはそこまでのものはないとしても、残された土地に対する権利に対する所有権なり認める、所有の権利あるいは営業権あらゆるものに対するところの買い取り制度というものがなければいかぬと思うのです。それは狭かったから、今度はちょうどいいから道路にしてしまえということにして、東京都あるいは政府がその計画を立てる。そうすると、いま現在繁栄している問屋街の地価というもの、これを中心にして収用委員会なりあるいは評価委員会にこれを評価をして移ってもらうということにならなければ、動くものではありませんよ。同じように残された過密な商業地域が残るわけですから、これは当然憲法上の職業選択の自由という原則があって、道路にすればやめるから買い取られてしまう、そういうことになってしまいますよ。前の計画が、すなおに向こうに移ってもらうという計画がなければいくものではないですよ。自分の持っておる財産というものを相当の評価でもって買い取ってくれるということを希望するわけです。むろん、この日本トラックターミナルのように国からも資金が出、都からも資金が出て、そして二十億の融資を受け、かつまた、自分自身が八億以上の資産を持っておるというのならいざ知らず、卸売り業者というものは、ほんとうに、その日かせぎです。あっちの品物を掛けで買って掛けで売って、さっき話のあったように一%の利ざやをかせぐなんていうことになると、行ったためにどうなったか、不幸な目にあうのじゃないかと思うのです。この点は、いま都市局長の答弁なんかではとても私は納得できない。何かそこに残された地域の新しい価値が生まれるような施設にするか、あるいは東京都が管理権を持つのでしょうが、東京都がそれを買い取る、あるいは開銀融資等による建設資金に対して、かりに一戸当たり二百万円の金を負担しなければならぬとなったならば、それが移ったために二百万円は十分に払ってしまった、あと家賃なり、あるいは無償で買い取れるということにならなければ、動けるものではないのです。その点はどういう配慮をされておるか伺いたい。
  45. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) おっしゃるとおりでございます。たとえば倉庫、これが先ほど来御説明いたしておりまするように、移ります場合には、できるだけ私ども移ってもらいたい、正直なところ。しかし、これはいろいろ事業上の関係がありますから、必ずしも全部移るというわけにはいかないと思いまするが、あと地を買ってもらって移りたいという人のはできるだけ買いたい。これは前に御審議願いましたように、都市開発資金、少ないですけれども、そういうところはできるだけ公の土地として買い取りたい、こういう考えであります。ただ、いまお話しの問屋街というものはなかなか、先ほど来御説明いたしておりまするように、むずかしいところでございます。たとえば大阪の船場地区が非常な過密な状態は御承知のとおり。従来のやり方は、店舗と品物を自分の店舗の支配下に置くという習慣で集まっておるわけであります。そこで、たとえば船場の場合でも、あそこでは事実上にっちもさっちもならない。公の立場でいいますと、交通障害の最大の原因になっておる。自分の営業からいっても、先ほど来御説明いたしておりまするように、成り立たないような状況、そこで、大阪の場合でも、別な広い地域団地をつくって移りたい、こういう計画をいま進められております。ただ問題は、卸のようないわゆる商売の場合は、その地名という、あるいは伝統と申しますか、その点がきわめて執着が強い。船場という名前だけで商売しておるという、これは東京なら横山町とか、そこだけで商売するという一つの独得な味わいがあるわけであります。そこで、いま多く考えられておりまするのは、店だけはそこへ持ちたい、事務所です。店を出していて、品物はそこにあるわけではないが、そういうところに店舗と倉庫というようなごちゃごちゃしたものでなしに、一体となった、たとえばビルディングを建てて、そうして集合した狭い事務所を持って、倉庫団地にある、電話一本でこういう商取引ができたからそこの品物をどこに輸送せよ、取引先に輸送せよ、こういう形式をとろうというのが、いまのおおむねの皆さん直接商売しておられる方々の考えのようであります。しかし、集団的に移ってあと地をもう処分をしたい、こういうところがありますれば、開発資金でできるだけ買い上げて、それを今度は広場なりあるいは適当な施設に利用する、こういう考え方が基礎的な私どもの考え方でありますが、問屋街については、いま申し上げましたように、なかなか複雑な取引上の事情がございます。こういうことでございます。
  46. 田中一

    田中一君 その場合には、買い取ってくれるという了解があった場合には、移ってしまったあとからの地価じゃこれはもう話にならぬと思うのです。現在生業中だという前提で買い取るというような評価がなくちゃ困るわけです。その点はどうですか。
  47. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 評価の問題はきわめてむずかしいと思いますが、営業補償とかなんとかということは、ちょっと困難だと思います。ただその地域がいま利用されておる時価ということで開発資金は買い上げるということにしておりますから、やはりここはあき地で利用できないのだと、そういう考え方の評価はなされないものだと、かように考えております。
  48. 田中一

    田中一君 やはりもうすでに問題を残すのです。問題を残しちゃいけないのです。もっと明確に、何も数字の問題を言っておるのじゃないのです。明確に計画省である建設大臣がそれに対する、これはもう権利金がどうとかこうとかいうようなことじゃなく、はっきりと安心して移れるというような発言がなくちゃいかぬのですよ。
  49. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 現在やっておりますのは、たとえば工場が移転する、あるいは倉庫が移転する、そういう実例があるわけでありますから、やはりその出時の地価で買い上げる、こういうことにしておるわけでございます。ただ営業補償とかなんとかということになりますと、営業はほかでやるためにセンターをつくるわけでありますから、そこまでいけるかどうか、ちょっと私はここで明言ができないということであります。
  50. 田中一

    田中一君 通産省指導部長のほうで、従来そうした、その地域をあげて移転したという例は御存じですか。大阪の丼池というところに繊維街が終戦後できたということを聞いておるが、あれなんかはどういう形でいったのですか。そういうケースはありますか。
  51. 安岡孝

    説明員(安岡孝君) 私、実はこちらに参りますまで大阪におりましたので、若干御説明をいたしますと、ただいま建設大臣からお話がございましたように、船場の繊維業者、相当たくさんの方が、御堂筋でございますけれども、御堂筋をまっすぐ北に上りまして、御堂筋を通じまして船場ときわめて連絡のいいという場所に土地を求めまして団地を形成しております。それらの考え方は、いま大臣からお話がございましたように、将来は取引の中心があるいは御覧に全部移るかもしれないけれども、いま直ちに移すということはなかなか困難である。したがいまして物の関係、輸送の関係あるいは従業員のレクリエーションセンターの関係等はすべて移りまして、取引は船場の事務所でやる、したがいまして、船場の事務所自体倉庫部分が移りますと、あと拡張いたしまして若干近代的な経営ができるような形に整備するということで問題の処理をいたしております。したがいまして、あと地の処分の問題は、船場では実は起こっていないのでございます。しかしながら、将来だんだんと船場が御堂が中心になってまいるということになりました場合には、やはり先ほど大臣もお話がございましたが、御堂が繊維の中心だというふうな評価になります問題とあわせまして、業者としてはひとつ考えていきたいということで、あと地の処理というのは、いま直ちに中小企業の団地の場合には起こっていないのが実情でございます。
  52. 田中一

    田中一君 あなた大阪の場合は、大阪はああして碁盤の目のように、道路が狭いとか広いとかいう問題は別として、一応でき上がっておる町ですが、東京の日本橋の横山町とか、橘町とかいったら、もうこれはひどいものですよ。道路四メートルないでしょう、四メートルくらいのものかな、その中に車一台通ったらおしまいになるような道ですよ。だから、大阪の例は、私ども大阪知っておりますからわかりますけれども、問題は生業中の地価というものを中心にして買収しようとするのか、あるいは向こうに移るのだ、いわゆるこれは商業地でなくなってしまうぞ、オフィス街になってしまうぞということを前提として土地を買い上げようとするのか、その辺のポイントが明らかにならぬと、商工会議所であっせんしても、おそらく問題起きますよ。どちらでやってくれるのか。やはり生業中の地価というものを認めて、その場合にはそういうことになるでしょうというくらいのことを瀬戸山さん言わぬと、これはやっぱり問題になりますよ。そのくらい言ってごらんなさいよ。かまわぬじゃないですか。
  53. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) ただいま大臣から御説明されました土地開発基金の場合には、買いますときの時価でございます。そのまわりに相当大部分が都心の地区でございますので、実態といたしましては、まわりで営業しておるような施設が相当ございますれば、そういうようなものの時価で買い上げるということになるのでございます。
  54. 田中一

    田中一君 私一番心配するのはその点が一つと、もう一つの問題は、でき上がった団地周辺に対する規制の問題なんですよ。せんだっては建築物そのもの、あるいはその周辺に林立しようというような広告塔なんかはどうしてもこれはやめろということを育ったわけです。同時に、これは築地の中央卸売り前場を見ればわかるとおり、私設市場ができ上がるのです。これは日本の資本主義経済の一番悪いところなんです。これは必ず、この団地が何十万、全部で相当な団地になりますがね、この周辺が、聞いてみると住宅地はほとんどない。いわゆる住宅のスラム街ができたら困るということ々配慮しているらしいけれども、たとえばトラックターミナルにしても何万坪の土地を持とうとも、これはおそらく有料駐車場のはずです。そしてまた、それだけ大きなものの中に入り込んで小回りの運送というようなものがちょっと不可能になるわけですよ、出入りが。この周辺に必ず私設の駐車場ができます。と同時に、この周辺に必ず卸売りと小売りの中間の非常に低いマージンを取って、そして非常に便利であるということが第一。あんな中に入らぬでも同じものが向こうより一分安く買えるのだということになれば、そこで買っちゃいますよ。向こうに入り込んで、車持っていってそれで出入りにも時間がかかるということになれば、商売のことはよく知らぬけれども、次の卸売りと小売りの中間的な店舖がたくさんできます。必ずできます。ターミナルができたって、自分の車持ってあの中に入ったら出るのにたいへんだと、この周辺に置いておいて、そこでもって、現在の築地の市場を見れば御存じのとおりですよ。場外市場というものが、非常に大きな、野菜なら野菜、くだものならくだもの、何は何という商品別になって集団的にぼくは発達すると思う。これは、そんなことは絶対ありません、という答弁がほしいのだけれども、だれか、だれでもいい、そんなことは絶対にありません、という答弁をひとつしてくれれば、その問題は納得するのですけれども、どうですか。
  55. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  56. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記つけて。
  57. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 流通業務地区内におきましていろんな場外市場とかあるいは零細の商店、飲食店等が乱立して、種々環境の悪い市街地ができるのじゃないかというような御質問だと思います。この法律におきましては、地区におきまして必要な公共施設——団地の外の地区です。必要な公共施設都市計画で進めることにいたしております。必要な通路、駐車場あるいは広場というような公共施設は同時に都市計画としてきめまして、それの整備をはかっていくということにいたしております。  それからもう一つは、これは基準法の関係でありますが、容積地区等は当然東京都として環六でいまやっておりますが、環六外につきましても容積地区に指定をすると思いますが、そういう場合にも、建物が密集しないように、容積地区は避けることにしております。それからそういう地区におきましては、板橋等でやっておりますように、われわれといたしましては、土地区画整理事業を施行するようにいま進めてまいる、こういうようなことを考えております。  さらに、この地区の別途でございますが、小売り商店とか旅館、飲食店、遊興施設というようなものは設置させないことになっております。そういうようなことによりまして道の細い、あるいはいろんな建物が密集してそこに悪い市街地ができるというのを防止してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  58. 田中一

    田中一君 それは悪い市街とかいい市街というのじゃなくて、こういう流通センターをつくっても、その周辺に必ずそれに準ずる同じような性格を持つところの場外市場的なものができるというのですよ。これをやはりある地域的に、ただ建築基準法だけでは、あるいは地域指定だけではこれはとまるものではないのです。これをどうするかということなんですよ。やはりそれが規制されなければ同じような姿になってしまうわけなんですね。こういう点は、これは経済企画庁も考えるのかどうか知らぬけれども、ただ、民有地というものを持ち、それを規制しろということは、いまの基準法上の地域の制限でもってしようとするかもしれぬけれども、それだけではとまらぬと言うんです。とまらぬ場合はどうなるかということを考えると、これは何かそれに対する措置をとらないといけないと思うんですが、いまの都市局長だけの答弁じゃ十分じゃないと思うんです。
  59. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) ただいま中央卸売り市場関連いたしましての御質問でございますが、中央卸売り市場の立場からいまの御質問にお答え申し上げますと、中央卸売り市場がかりに板橋にできるということに相なりますると、これは青果物を予定いたしておりますが、昨今の青果物商は必ずしも青果物だけ売っているわけでもない。これから市場が十分に商業機能を発揮するためには、多くの買い出し人、この場合小売り屋さんがおもでございますが、この市場に来まして青果物を仕入れると同時に、その他若干の必要な品物をそろえて買えるという必要があるわけでございます。それが市場として繁栄する、魅力のある市場になるということが一つの大きなポイントでございます。かような観点から、どのような市場においても市場内付属営業店舗を、開設者が許可をいたしましてそういった品物を扱わせるということをやるつもりでおるわけでございます。さような形で、中央卸売り市場の青果物仕入れに関連をいたします関連の小売り営業と申しますか、先ほど先生のおっしゃったようなものは、新しくつくる市場でございますから、その場内で販売できるようにいたしたい、かように思うわけでございます。  なお、周辺におきまする一般的な市街地の造成につきましての考えは、局長の御答弁なさったとおりでございます。こういったものが整然と整理をされれば、また周辺のそれぞれそういった市街地において買い出しをして帰る、かようなことに相なっていこうかと思います。  なおまた、中央卸売り市場におきましては、いわゆる類似市場に対する一つの制度というものがございまして、類似市場中央卸売り市場の中において取り扱っております商業品目の流通の関係からいたしまして、中央卸売り市場の機能を阻害するとか非常に不適当である場合においては、これを監督、規制するという規定もございます。かような規定を活用いたしまして、中央卸売市場法の立場からも、局長の御答弁なったような場外における整然たる市街地の造成、こういうことに協力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  60. 田中一

    田中一君 どうもその程度じゃだめですよ。ことに、場外市場的なものを中央卸売り市場では許可しているんですか、一々。
  61. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) 法律の制度からいたしますと、許可ということには相なっておりません。届け出を要するということに相なっておりまして、届け出のあったものにつき、内容を見まして、中央卸売り市場の運営の立場から見て問題があるという場合は指導監督を加える、かようなことに相なっておるわけであります。
  62. 田中一

    田中一君 競馬でも場外競馬を許可しているんだから、どんどんそんなこと何でも、何というか、届け出の許可がないものでも黙認するだろうけれども……。  それから、もう時間がないから……。この団地内には、そこに出入りする人間の生存のために必要な施設は、これは認めるんですか。
  63. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この法律処分ところに書いてございます「政令で定める者」というふうに、政令で委任してございますけれども、従業員の食堂とか、あるいは娯楽施設とか、あるいはその他の福利厚生施設というようなものにつきましては、政令で定めたいというふうに考えております。
  64. 田中一

    田中一君 たとえば環境衛生関係の業務ですよ、床屋を許可するとか、あるいは料理屋とか——料理屋と言っちゃ語弊があるけれども、めし屋を許可するとか、ちょっとコーヒー、喫茶店というものをやるとか、これはやっぱり、玉突きなんかも福利厚生施設ですか、マージャン屋も福利厚生施設ですか、結局人間が生存するわけですよ。この広大な敷地の中に、ケシ粒のような点でもって人間が集まっているわけですから、これは一々自動車に乗って床屋へ行くのじゃこれはとてもかなうものじゃございません。めし食いに行くのに車でもってめし屋へ行くのじゃかなうものじゃありませんよ。だからそういうものが——住宅はこれはもちろんおそらく併置されていると思います。しかし何人かは必ず泊まりますよ。これは原則として、そういうものはいわゆる住宅として認めないのであって、宿舎的なものは認めるということになるのか、そういう点の私は、いわゆる生存に必要な、生きるために必要な諸施設というものを、どういう形で許可をしようとするのか、それをいま政令で云々、いまおっしゃったようなことじゃその範疇に入らぬのです。ふろ屋にしてもそうですよ。どこか一々車に乗ってふろ屋に行ってはたいへんだから、ここでもってひとつ入ろうということになる。それは福利厚生施設としてその機能を持てばいいけれども、卸売りセンターというのは、そんなこと言っちゃ悪いけれども、そんな福利厚生施設にうんと金かけたらかなわぬです、一%の利ざやしかないとさっき言っているのだから。そういうものはどういうぐあいに持っていこうとするのか。
  65. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 流通業務地区の機能を害するおそれのないもので、そこに仕事をするために、職員が必要な広い意味の福利厚生施設と申しますか、そういうものは政令で定めまして、建築できるようにいたしたい、こういうふうに考えます。
  66. 田中一

    田中一君 そういう施設ですね、私がいま例示したようないろんなものは、風俗営業的なものでもそれは認めるのだということでいいんですか。
  67. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 厚生福利施設の中には娯楽施設も含めて考えておるわけでございます。
  68. 田中一

    田中一君 もっと、それでそういう法律的な、法律用語じゃなくて——マージャン屋はいいんですか。——そうしないと困るんですよ。そういう点を具体的にずばりと言ってくれればいいんですよ、私は。これは東京都が今度管理するんだ——現在までの東京都というものは、非常にそういう点において、これは一つの権利になりますからね、乱れておったわけですよ。そういう点からも、どんな大知事が生まれても、おそらくそれが自由にならぬだろうと思う。本来なら東京都がそんな仕事やるべきなんですよ。それを住宅公団等に宅地造成させるとかなんとかということは、やっぱり将来の管理運営は東京都に、一応自治体にまかしても、そういうものがいわゆる広義の解釈で自由になるようになると、また新しい問題がここに生まれるのじゃないかという心配をするわけなんですよ。その点はひとつ——いま、まだまだ私は質問があるんですが、それをひとつ、その点はどういうものを——いままで流通センターの機能だけをやっているんです。これによって、何万人かの人間がそこでもって生活するんですから、昼間なら昼間でも生活するんですから、働くわけですから、それに対するどういうものをわれわれは考えていいか、考えられるものをぴしゃっと休憩中に考えて出してください。午前中これだけにしておきます。
  69. 宮沢鉄蔵

    政府委員宮沢鉄蔵君) 先ほど開銀の貸し出し金利のことで御答弁申し上げましたけれども、ちょっと違っておりましたので、訂正さしていただきます。  実は、先ほど八分七厘と申しましたけれども、ことしの一月一日から八分四厘に下がっております。現在は八分四厘でございます。
  70. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をとめて。   〔速記中止
  71. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。  これにて暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時十四分開会
  72. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これより委員会を再開いたします。  日本勤労者住宅協会法案議題といたします。  提案説明を聴取いたします。衆議院議員井原岸高君。
  73. 井原岸高

    衆議院議員井原岸高君) ただいま議題になりました自由民主党、日本社会党、民主社会党提案にかかる日本勤労者住宅協会法案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年著しく改善された衣や食に比べ、国民生活の最も基盤となる住宅事情がはなはだしく立ちおくれていることは、御承知のとおりであります。  このため、政府においても、社会開発の一環として住宅対策を重視し、国民の居住水準の向上をはかり、少なくとも、昭和四十五年度までに「一世帯一住宅」の実現を期することとし、今国会に住宅建設計画法案を提案し、これに基づき昭和四十一年度以降毎五年ごとに住宅建設五カ年計画を策定することとしておりますが、今後の計画においては、公営住宅、公団住宅などの住宅建設の拡充をはかるとともに、民間資金を活用して、一般の民間住宅の建設についてもその促進をはかる必要があります。  住宅の供給機関としては、昨年六月の地方住宅供給公社法の制定等により、公的な供給機関はほぼその整備を終えたのでありますが、住宅建設の大宗を占める民間住宅の建設についての機関はまだ十分であるとはいえず、今後その整備が必要であるというのが現状であります。  この法律案は、以上の観点から、今後一般民間住宅の建設の促進をはかるため、勤労者の自主的組織によって良好な住宅が勤労者に供給されるよう日本勤労者住宅協会を設立することとしたのであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず、第一に、勤労者に対し住宅供給を行なう民間の自主的組織として設立される本協会の性格にかんがみ、出資者の範囲を労働金庫及びその連合会、消費生活協同組合及びその連合会、その他勤労者のための福利共済活動などを目的とする団体に限定することにいたしました。  第二に、本協会の行なう事業としましては、勤労者の蓄積した資金を他の資金とあわせて活用して、勤労者のための住宅の建設、賃貸その他の管理及び譲渡並びに宅地の造成、賃貸その他の管理及び譲渡等を行なわせることとしており、業務の適正をはかるため、建設大臣が定める基準等に基づいて住宅の建設を行なうことといたしました。  第三に、本協会は、建設大臣が監督することとし、定款の作成及び変更、役員の選任または任命、業務方法書の作成及び変更、事業計画及び資金計画の作成及び変更につきまして、事業の公益性を確保し経営の健全化をはかるため建設大臣の認可を受けさせることといたしました。  なお、事業計画、資金計画の認可にあたっては、建設大臣は厚生大臣及び労働大臣に協議することといたしております。  第四に、本協会の組織として、出資者の意思を反映するとともに、業務執行の適正を確保するため、出資者の代表及び学識経験者からなる評議員会を設置し、定款の変更、業務方法書の作成及び変更、事業計画及び資金計画の作成及び変更等の重要事項の議決機関といたしております。  第五に、本協会による住宅の建設及び宅地の供給が円滑に行なわれるよう国税、地方税を通ずる税制上の優遇措置及び宅地建物取引業法の適用の特例措置を講ずるとともに、住宅金融公庫及び年金福祉事業団が、本協会に対し必要な資金の貸し付けについて、配慮しなければならないことといたしました。  なお、協会の設立に伴い、現存の財団法人日本労働者住宅協会の権利及び義務を、本協会が承継することができることといたしました。  以上が、この法律案を提案する理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  74. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本案についての質疑は、後刻に譲ることにいたします。     —————————————
  75. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 土地収用法の一部を改正する法律案議題といたします。衆議院における修正案について、修正案提出者衆議院議員井原岸高君より説明を聴取いたします。
  76. 井原岸高

    衆議院議員井原岸高君) 土地収用法の一部を改正する法律案に対する修正案の要旨を——ただいま議題になりましたが、土地収用法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院における修正部分の要旨を御説明申し上げます。  修正案につきましてはお手元に配付してございますので、別に朗読はいたしませんが、修正案の趣旨を簡単に申し上げます。  御承知のように、現行法では、取得した土地の管理については規定がなく、これが適正な管理をはかるために、起業者は、取得した土地については、公共の利益に沿うよう適正な管理を行ない、土地事業の用以外の他の用に利用し、利用させるときは、当該土地周辺の環境を阻害しないよう配慮しなければならないものといたしたのでございます。  何とぞ全員の御賛成をお願いいたします。
  77. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本案についての質疑は、後刻に譲ることにいたします。  速記とめて。   〔速記中止
  78. 松永忠二

  79. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、流通業務市街地整備に関する法律案議題といたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  80. 達田龍彦

    達田龍彦君 午前中に引き続いて、若干関連がありますので質問をしておきたいと思いますが、先ほど午前中の質問の中で、移転あと地の買い上げの問題について御回答がありました。そこで問題なのは、大臣の御説明ですと、都市開発資金で処置をしていきたいという御発言でありますけれども、私の認識では、都市開発資金というのは、工場あと地の買い上げ、これを大体目的にして特別会計をこさえたという認識でありますけれども、この都市開発資金でもって、一体今回の流通センター業務の移転あと地の買い上げも対象として考えておるのかどうか、明らかにしてもらいたいと思います。
  81. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 都市開発資金は二つに分かれております。一つは、首都圏、近畿圏の既成市街地内の工業制限を受けておる区域にあります工場等——工場、学校に限られております。二号におきまして、公共用地の先行取得という場合には、どこでも買い上げられる、都市の限定はございません、ということであります。
  82. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうしますと、法の対象には一応なるということですね。でありますと、具体的にそういうあと地の買い上げというものを開発資金の中で充てようという具体的な御計画があれば示してもらいたい。
  83. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 午前中に大臣から、あるいは通産省のほうからお話がございましたように、現在のところ問屋その他が移ります場合に、それが全部あらゆる施設を全部移転するのかどうかということがいまだはっきりいたしませんので、今年度の計画においてはまだそこまで考えていないわけであります。
  84. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで私もこれ非常に疑問に思っておるわけでありますけれども、まあ流通団地をつくって、そこへ一つの副都心を形成をしていく。団地をつくることによって都市を誘導するという、誘導させ方でありますけれども、いまのこの法律で考えられている範囲で、一体思うように流通施設あるいはそれに付帯する業務あるいはそれと関連しての都市の形成というのが、一体この法律程度でできるだろうかという、私は危惧と疑問を持つのであります。そこで私の考えでは、おそらくいまある、集中されているこの流通業務施設というものが、資金の関係あるいは便、不便の関係等から考えて、全体として移るということじゃなくて、むしろそのある施設はそのままにして、団地ができればそこに別の形で施設を求めるという形式のほうが非常に多くなってくるんじゃないかという気がいたすのです。それでも一応集中を抑制するという意味では抑制措置は講ぜられると思いますけれども、それでは私は必ずしも十分でないという気がいたすのです、したがってそういう面について、税制上の問題あるいはあと地の買い上げの資金が潤沢にあるなしの問題あるいは貸し付けの利回りの問題、特に中小企業においては非常に経営が困難な実情にあるわけでありますから、団地を買い上げ、さらに施設をしていくということになると、これは容易にこれに応じ切れないような結果が出てくるのではないかという気がいたすのです。こういう点非常に疑問を持つのでありますが、そういう面での効果性という点をどう建設省としてはお考えになっておるのか、御説明願いたい。
  85. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) ただいま御指摘ございましたように、移り方としては二つ——移り方といいますか、団地のまとめ方としては二つあるんじゃないかと思います。一つは、先生の御指摘のように、今後増加するものがそこにまとまって入っていくという形、それから現在都心あるいは都心周辺にございます施設がまとまって、あるいは個々に移転をする、こういう形で団地が形成される、二つあると思います。われわれといたしましては、トラックターミナルその他、公の手である程度動かすことができるものを全国的に適地に配置いたしまして、それを中心にいたしまして団地を形成していきたい、こういう考えでございます。先刻御提出いたしました資料の一番最後にもございますように、問屋その他におきまして、保管場所を求めるというような意味において外に出ていきたいという気持ちがございます。さらにまた、大都市の人口がだんだん移ってまいります、それに伴って都心の店舖が移っていくというような意味で出店のような形で分離していくというようなものもございます。あるいは施設の種類によりましては、都市外に散らばっているというものもございます。そういうようなものをまとめていくことによって漸次流通基地としての団地を整えていけば、そこに今後ふえるものも集まってくるし、そういううちにそこに商取引が行なわれてくるということになれば、新しくそこが商業の中心地になってくる、こういうような形をとって団地が形成されていくのではないかというふうに考えております。その場合に問題になりますのは、こういうように誘導する可能性、それを誘導させていくのはどういう手段によってやっていくかということでございますが、まず第一に、都心部におきまして現在こういうような施設が集中しているというようなことによる有利性が漸次失われているということが言えると思います。しばしば御説明申し上げましたように、交通の問題あるいはその他、施設の拡張ができないというようなことで現在営業の困難を訴えているものが、問屋につきまして七九%ございます。倉庫につきましては六〇%、トラックターミナルにつきましては七五%ぐらいございます。こういうのは特に都心の地区に多いわけでございますが、こういうものにつきましては、保管施設を求めるなり、その他の形で外へ出ようという傾向があらわれているわけでございます。それから、この前の資料にございますように、移転の希望が相当ございます。卸についてみますと、他の地区へ移転を希望しているものが二九・四%というようなことでございまして、倉庫に困っているものの比重がこの中で最も高いというような資料も出ております。  それからもう一つは、いま施設の拡張ができないということが、やはり問屋さん方の中の商売上の競争の上で問題になっておりまして、漸次規模が拡大し、あるいは施設が相当なければ太刀打ちしていけないというような問題がございまして、あるいは資本合同、あるいは協業というような形をとることになると思いますけれども、外へ出て近代化をしてやっていくだけの相当ゆとりのある土地を持つということを希望しているものは、相当あるわけでございます。こういうふうな、全体的に外へ出ていこうというような希望があるということは、現在都心に集中している有利性が失われているということでございます。  それからもう一つは、この法律によりまして団地をつくりまして、これを公共的な事業主体がつくるわけでございますから、相当広い規模土地を比軽的安い地価で処分することができるわけでございます。こういうふうな流通団地をつくりまして、そしてそこにトラックターミナル等の大きな集散基地というものが接近してつくられるということになりますと、そこへ行く魅力というものもそこに生まれてくるんではないかと、こういうふうに考えるわけでございます。  ついでに申し上げますが、流通センター参加の意思ありやというアンケートをとっておりますが、それによりますと、卸業については三七%が意思あり、倉庫業では四八%、運送業では四六%が参加の意思ありというような希望調査が出ているわけでございます。  以上のほか、もちろん、融資の問題あるいは移転に伴います減税の問題とかというような政策的手段を使いまして、行政指導その他によりまして自主的移転を誘導してまいる、こういうふうに考えております。
  86. 達田龍彦

    達田龍彦君 いま、計画の中で町を形成していく、都市をつくっていくというような、まあ、いうなれば副都市をつくるんだという話ですが、いまある、すでに副都心的な構成になっておる都市の中で流通団地をつくって、そこにまとめてセンターをつくって、その目的を果たしていくと、こういう計画は現在あるのかないのか。いまの御説明では、まあ、いうなれば副々都心的なところに町をつくっていくというのがお考えのようでありまして、東京の場合でも、その集中した都市のわきに副都心的な様相の町がいまあるわけですね。この中で流通センターをつくって、その中の緩和をはかるという計画一つでも二つでもあるのかないのか、この点。
  87. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 副都心地区におきまして、この法律で考えておりますようなトラックターミナル中心として、そのまわりに卸倉庫を張りつけるというような形の流通センターというのは、現在のところ考えておりませんけれども、ただ、先ほど通商産業省の方が申されましたように、総合卸センターというような大きな建物を建てて、そこに収容していくというような形のものは、副都心でも考えております。これは通産省のほうから御説明いたします。
  88. 林信太郎

    説明員林信太郎君) 昨年秋の産業構造審議会答申によりますと、卸総合センターというものの設置を促進すべきだということでございますが、その中に二つございます。  一つは、銘柄取引可能なもの、あるいは重いもの、あるいはかさ高のもの、こういったものはできるだけ周辺部に設置する、この場合、物の扱い、集配、保管といった仕事と取引とが、うまく分かれるわけです。  それからもう一つ、実は都内小売り屋さん相手のいわゆる店売りという岡屋形態がございます。これは現物を見て取引するという形でございます。この場合には、やはり買いに参ります小売り屋さんの便利というものが非常に大きな問題になりますので、東京で申し上げますと山手線の沿線上くらいのところに適当な広さで適当な場所の土地がございますれば、そこに問屋デパートのようなものをつくって、そこで、いま横山町とかあるいは浅草橋とかいうような形で極度に密集しておりますところ問屋街の少しでも多点分散に持っていく、こういうような内容になっております。
  89. 達田龍彦

    達田龍彦君 そこで、副都心をつくるという計画ですから、都市の形成として、この流通業務中心にする都市でありますけれども、やはりそれには業務施設、さらには消費施設、大きく分けてそういうものが都市構成の大きな要素になると思うのであります。それで団地計画の中では、倉庫問屋街や工場街というものが考えられておるけれども、事務施設あるいは消費施設をどう誘導し、町形成をはかっていくかということを団地の中に考えるか、団地の外に考えるか、これは考え方があると思いますけれども、はからないと町としての機能を十分に果たし得ない結果になると私は思う。先ほど田中先生御指摘のあったように、流通業務団地をつくってみても、やはりそのほうに関連する人たちは生活をしていかなければならぬ、あるいは町をつくろうということになれば、それに伴って業務施設なり消費施設というものがそこに集中しないと、町の施設としての機能を果たすことができないという結果になるわけです。そういう意味では、一体、どういう形でそれを町構成の中に含め、誘導していくのか、そういうものは全然考えない団地構成という形になるのか、そこら辺のところを御説明いただきたい。
  90. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) まず最初に、この流通業務団地なり、あるいは流通業務地区というのは、完結した市街地を考えているわけではございませんです。いわば東京の内部にございます商業地区の一部もそこに出てくるというようなことでございますので、したがいまして、流通業務地区というのは、流通業務を付加された地区というような性格が出てくると思います。しかし、おっしゃいますように、そこに相当の地区があり、従業員が働くわけでございますので、いろんな施設が必要だと思います。まず、団地につきましては、トラックターミナル貨物駅、中央卸売り市場あるいは保管、荷さばき、集配施設のほかに、当然、事務所というものがこの中に入ってくる、こういうふうに考えております。しかし、それ以外の施設というものにつきましては、地区の中で、先ほど田中先生への御答弁のときに申し上げましたように、地区のほうでさしてもらいます、こういうふうに考えております。
  91. 達田龍彦

    達田龍彦君 地区の中で考えるというんですか。私は、副都心的な性格を持つとすれば、いま言うように、業務施設も集中してくるだろうし、それから消費施設も集中してくるだろうと思うのですよ。これは町構成の、都市構成の構成要素から考えりゃ当然のことだと私は思うのです。同時に、それを取り巻いて住宅ができる、もちろん道路、公園その他の公共施設もありますけれども、そういう町構成や都市構成が出てこなければならぬと私は思うのであります。先ほど申し上げたように、大体、業務施設が先にできて、流通施設がそれに付随をし、そうして消費施設が付随をし、町というものがつくられていく、こういうのが本来一つの形態だろうと思うのです。ところが、その一部分であるところの町を、中心でない流通施設を先につくって、そこで町をつくろうというのだから、目的は流通施設分散にあるから、それを入れても、都市構成のあり方として非常に私は原則的なあり方ではないんじゃないかという気がするんです。そういう意味での都市構成の要素として都市をそこへ誘導しようとしても無理があるんじゃないかという気がするんですが、一体そういう面に対する誘導措置をどう考えているか。それから町構成の中でもそういうものをどう位置づけようとするのか、そこら辺の説明がほしいんです。
  92. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) もちろん地区の外の問題があるのでございますですが、たとえば板橋地区流通業務地区を設定し、その中に団地を設定するということにいたしますと、当然その地区には住居地区がございます。あるいは業務地区あるいは商業地区というようなものがついてくるわけでございます。そういう問題につきましては、これは東京都の都市計画という中におきまして、現在用途地区が全部塗られておりますけれども、こういう施設が大きく出てまいりますと、これは用途地区の変更ということになり、東京都全体の用途地区の構成のしかたという問題の中で、特に板橋地区に着目して構成をしている、こういうことになろうかと思います。
  93. 達田龍彦

    達田龍彦君 それでさきの都市開発資金の問題にかかりますけれども、私の記憶では、ことしの都市開発の資金は十五億であったと思うのです。工場あと地の買い上げ、あるいは公共用地の買い上げに充てますと、おそらく私はこの流通業務団地に充てる費用というのはそれ自体でもう足らないような現状ですから、資金のワクからいったら、ほとんど法律適用の範囲ではあっても、現実には不可能ではないかと思うのです。それで団地に移転をさせるあるいは誘導するといってみても、中小企業の中ではたいへん金に困っておって、団地を買い上げて施設をつくるという状態でないという場合にどうするかという問題が必ず私は出てくると思います。これは当初は、一体そういう計画どおりいくだろうかという警戒が業者にあります。だからなかなか移転ということについてむずかしいと思いますけれども、だんだん都市形成がされて、なるほど便利だと、このほうが業績もあがるということを業者が考え出しますと、そういう状態は非常に大きくなってくると思うのです。そういう状態のときに移転をしなきゃならぬものを、あと地も買い上げてくれない、こういうことになると移転ができないということになるわけでありますが、そういうことがあったときには一体どうするのか、将来の都市開発資金のワクというものだけでは、工場用地のほうが非常に私は大きなウエートを占めると思いますし、また、そういうことを本旨としてつくられた法律のように私は理解をしておりますから、別にこれについては特別の資金ワクというものを考える必要があるのではないかという気も一面しているわけでありますが、そういう面について、一体どうしていくのか、お答え願います。
  94. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 御指摘のように、今年度の都市開発資金のワクは十五億でございますし、工場あと地を中心として今年度は考える、しかし、達田先生おっしゃいますような事態に立ち至れば、当然これはあと地は都市計画的な利用ということを考えなければなりません。買い上げていかざるを得ない、そういう場合には資金的手当てをわれわれのほうで十分できるように予算を獲得していく、こういうように考えております。
  95. 達田龍彦

    達田龍彦君 見通しがありますか。
  96. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど来申し上げておりますように、現在そういう予定された土地がないわけでありますが、これは漸次いまお話しのように団地整備されますと、あちらがいいということになると思います。また、そういうことを期待しなければならないと思います。そうなりますと、すべて総合したそういうことをやりやすい体制をやはりこれと一貫した施策としてつくる必要がある。見通しはあるのかと言われると、いま幾らというわけにはまいりませんけれども、断然に政府としてはそれに協力をすると、こういう考えでございます。
  97. 達田龍彦

    達田龍彦君 そこで、もう一つ私が心配になるのは、移転をするにあたって特に中小零細企業になりますと、団地の買い上げ費用あるいは建設費用というものについて必要だけれども、なかなかという気持ちが出てくるんです。勢い、大きな企業ですね、金を持っている、信用力があるというところがそれに優先して入るきらいが出てくるということもあるんではないか、そういうきらいも実は私は懸念として持つんです。それで通産省あたりでいろいろこれに対して手だてをすると、こう言っていますけれども、現実にはやっぱりそういう資金と信用力がない企業は、なかなか移転しようとしてもできないということで、そのままになってしまうというきらいが出てくるのではないか。私はむしろそういったところをこの際団地の中に国の法的、資金的裏づけをもって入れて、そうして健全に育てていくという姿勢が背景になければならぬと思うのです。そういう面で非常に危惧するんですが、そういう規制は法的裏づけがないんですか。これについてどうですか。
  98. 宗像善俊

    説明員(宗像善俊君) ただいまの先生の御質問でございますが、われわれといたしましては、卸売り業者の大半は中小企業でございますし、今回の卸総合センター流通センターにそういう人たちが入れるように開銀から融通することを考えておりますので、実態の運用につきましては、われわれと密接に相談さしていただきまして、遺憾のないようにいたしたいと考えております。
  99. 達田龍彦

    達田龍彦君 よくわかりませんが——農林省からおいででございますか。卸売りセンターのやつですね、中央卸売りセンター、これは私も少し私の関係で尋ねてみたんですがね、たとえば中央卸売り市場を移転するというようなことは、概念的にはわかっても、実際に既存の都市形成というものはそれを中心に行なわれている。経済活動もそれを中心に行なわれている。また、そういう形でみなもう長い間生活しているわけです。だから一気にこれを移転するということになると、この社会問題としても、政治問題としても大きな問題だろうということを、そういう関係者からよく聞いているんです。それで、計画の中で、いま既存の中央卸売り市場をこの中に移転しようという計画があるのか。ないとすれば今度新らしく卸売り市場をもう一つ指定してつくるわけですから、その場合に、全体の流通機構の問題で流れが変わってくるんですね。そうすると、現にある流通市場がある意味では変化をするんです。それに伴って他の業務の影響でなかなか営業が成り立ったり、成り立たない業種も出てくる、これは確かにあるんです。そういう面の配慮をどうしているのか、お尋ねをしておきたい。
  100. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) 中央卸売り市場計画整備の一環といたしまして、この流通センター中央卸売り市場建設をするということを考えているわけでございますが、具体的にいま考えておりまして進めておりますたとえば板橋地区につきましては、どこかの市場かそっくりそのまま移転するというような形では必ずしも考えていないわけでございます。御承知のように、東京都には青果物の中央卸売り市場都心部に二カ所、築地と神田にございます。その中間の部分に五つの市場がおおむね山手線沿いに配置をされているわけでございます。さらにその五つの市場の外側の周辺の区部にこれらの市場分場というものが小さなものが十三あるわけでございます。これらの市場配置につきまして、青果物の東京都における流通が円滑に行なわれるかどうかと申しますると、実は都心部市場におきましては、きわめて狭隘な状況でございます。ことに買い出しあるいは搬入にトラックかその特定都心部周辺に集中するというようなことから、交通上も問題を起こしているというようなことでございますし、このまま放置をいたしますると、ますます物資の流入量はふえ、それが都心部においてもかなりふえるという見通しがあるわけでございます。これをできるだけ周辺の区部において受けとめるというような考えがあるわけでございます。たまたまこの流通業務市街地整備に関する法律というものは、私どものそういう考え方にも一致する点がございまして、そうして積極的にこれを活用し、都心部まで物資がこれ以上流入することをできるだけ避けたい、さような意味で新市場周辺につくるわけでございます。そういたしますると、そこに施設だけできましても、そこが市場としてりっぱに機能をするということが必要になってくるわけであります。この商業機能をりっぱに果たすためには、施設と並行いたしまして、そこにりっぱな商業機能を収容するという問題が出てくるわけであります。この問題につきましては、私ども当然、東京都における各市場の青果物流通において果たしている機能の分担関係というものを将来どうするかという、こういう問題があるわけでありまして、特にその商業機能の中心をなすものは卸売り業務でございますから、この卸売り業務につきましては、中央市場法によりまして農林大臣が許可をして行なわしめる、こういうことになっておりますので、私どもとしてはその関係をひとつ十分にきわめる必要がある、かような観点から、現在中央卸売市場審議会においてこの問題に真剣に取り組んでおる次第でございます。新市場周辺にできました場合に、それがりっぱに市場として機能いたしまして、都心部市場の狭隘の緩和、言いかえれば都心部における青果物流通関連する都市交通の麻痺、こういうことがないように、将来、措置をいたしてまいりたい、かような考えでございます。
  101. 達田龍彦

    達田龍彦君 卸市場の、私は他のものはさしたる影響はないと思うのですが、これの移転に伴って、これは分散する場合もそうですけれども、それに関連して、営業をしている人あるいは生活をしているという人がかなりあるのです。これは流通の流れが変わる、いわゆる商業上の販路が変わることによって影響を受ける人、業者、あるいは町がさびれることも一つでしょう、そういうことによって、出てくる影響というのがあるのですよ。こういうものを一体どうしていくかということが、当然私は行政の上でも政治の上でも考えていかなければならぬことだと思うのです。ただつくっただけで、それに基づいて営業をしている人と生活をしている人、そういうあるいは住民の福利厚生の問題等、相当大きく影響をするのです。こういう問題の手だてを、これをつくると同時に、私はこまかな配慮をしながらしていかなければならぬと思うのです。そういう面の配慮をこの流通団地法律では全然考えられてないので、どういうものでどう措置をしていくか、たとえば補償の問題も出てくるのじゃないか、営業が成り立たぬじゃないか、一体どうしてくれるという話がてくると思うのです。そういうものの手だてはどうしようとされるのか、それをお伺いしたい。
  102. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) これは現在の既存市場をそっくりそのままつぶして、そのまま持っていくということに相なりますと、先生の御指摘のような問題というものが起こってくるであろうと思うのです。そういうことであれば、われわれとしても真剣に先生の御指摘の点について検討をし、対処をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。当面考えております板橋市場につきましては、既存の市場をいぶして持っていくということは、大きな市場をつぶして持っていくということは考えておらないわけでございます。ちょうど一年半ばかり前になりますが、大阪におきまして、東部の市場というのが新しく建設され、開場したわけであります。この場合におきましては、大阪の福島にあります本場のいわゆる商業機能を一部移転をすると同時に、市内におきまするその他の商業機能も収容したという形で市場ができたわけでございます。これは業界等とも話し合いを円滑に進めまして、その犠牲がどこかに出るというような形ではなくて、市場建設あるいは開場ができた、こういうこともございます。したがいまして、私どもとしては、先生の御指摘の点は十分念頭に置きまして、今後の市場における商業機能の収容の問題ということを考えていこうと思っておる次第でございます。
  103. 達田龍彦

    達田龍彦君 犠牲が出た場合どうするのですか。
  104. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) 犠牲の出ないように、つまり新しい市場に行ってそこで営業を行なうことがよりその人たちの将来の発展になる、かような形で話し合いで進めてまいるということを考えておるわけでございます。
  105. 達田龍彦

    達田龍彦君 いま言われることは一面わかるのです。ただ新しく団地をつくって、そこへ流通機構を設け、中央卸売り市場を設定しても、やはりそこへ集まる青果あるいは野菜というもの、くだものというものは、一応東京に入るものがある意味では分散してそこへ入っていくわけだから、流れが変わってくる、経済活動も変わってくる。それに伴って、いわゆるいままで集中しておったものが分散してくるはずですから、影響というものが必ず出てくる。それは既存のやつを分散するということでなくて、別に団地をつくっていくことは分散作用を誘発することだから当然起こってくるわけであります。起こってこなければ効果がないわけでありますから、そういう形からくるそのために生活しておった人の犠牲というものが出てきた場合に、将来補償をどうするか、手だてをどうするのか、そこら辺をどう考えておるのか。
  106. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) 現在の計画におきましては、都心部市場において、その市場関連をして営業しておられる方の利益が害されるというようなことを想定をしておらないのでございます。まあ、放置しておきますと、現在以上に取り扱い量が卸売り市場としては都心部においてもふえて、現在非常な混乱状態も一部に見られるわけでございます。こういう傾向がますます激化され、これを何とか是正をしたいということでございます。私ども、将来の市場の抜本的な移転ということが次の段階に登場してくる重大な問題であるということで、検討はしておるわけでございます。当面、この流通業務市街地整備に関する法律におきまして、都心部におきます築地でございますとか、あるいは神田を直ちに根本的に板橋地区なりその他の周辺にそっくり移転をするということを考えておらないのでございます。しかしながら、将来抜本的な移転は、とにもかくにも流通業務市街地整備に関する法律に基づいてやるというようなときには、先生の御指摘の点も十分検討いたしまして、それによって被害が大きい、生活に困るという人のないようにその点は研究をする必要があろう、こういうふうに思っておるわけでございます。
  107. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、神田市場関係の人からよく話を聞くのですけれども、いまの状態ではもう市場機能も相当喪失しておると言うのですね、集中し過ぎて。ですからこれは私は機能回復のためにも、あるいは交通緩和のためにも、あるいは過密都市対策のためにも、分散をしていく必要性が十分にあるところだと思う。そういうところ分散することによって、一つは大きな効果があるはずであります。いまの御説明ですと、そういうところはいま非常に問題があるので、別に団地をつくってそこで新しい卸売り市場あるいは町をつくっていくと、こういうことでありますけれども、これは非常に手ぬるい方法であると思います。むしろそういうものを分散していくという抜本的なものがまずなければならぬと思うのです。しかし、それは将来していくと言うのだけれども、将来の計画として抜本的に既存のものを分散して、交通緩和とか過密都市対策というものを考える構想が現実的にあるのかどうか。あるとすればいつごろからどういう方法でやろうとしておるのか、伺いたい。
  108. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) ただいまお話しのございました非常に狭隘な神田市場の対策につきましては、現在策定をされております整備計画の中におきまして、当面の措置として神田市場分場を適当な個所に緊急対策としてつくる必要があるという観点からの計画構想が一応組まれてはおるわけでございますが、まだその立地等は確定をしておりません。おりませんが、東京都等で考えておりますものは、大体流通センターの予定地として考えられておる京浜第二地区の地点に、わりかし近い地点に東京都が埋め立て事業を施工中でございます。ここならば相当大規模用地取得ができるであろうという、こういう想定のもとに、そこに神田市場分場をつくったらどうか、こういう構想があるわけでございます。まだ、その構想の中身が完全な形で具体化しておりませんので、これも私ども、先ほど申し上げました審議会等の御検討によって、できるだけ早く具体化してまいりたい。  なお、神田市場分場というようなことではなくて、いっそ神田市場の移転というようなことも考えてみたらどうか、こういう御意見もあるわけでございますが、これもまあ非常にばく然とした構想ではどうにも検討のしかたがないわけでございます。具体的な立地等を考えながら、どの程度規模で、しかも、それが全体の東京都の市場における流通機能の分担関係から見ていかように位置づけられるべきか、こういった問題から始められまして、検討をいま詰めつつある段階でございます。いまここで内容を具体的に詳細にはまだ申し上げる段階にまで到達しておらぬので、将来の計画として、あるいは構想としてはそういうことも考えておるということでございます。
  109. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうすると、卸売り市場を、今回の流通業務施設分散することによって、いわゆる流通の影響、流れが変わってくる、そのことによって起こってくる商業者あるいは住民の影響について、影響が出た場合の影響について、それも犠牲という形で影響があったときには、一体、その裏づけとしてどういうことがされるのか、それを聞いておきたいと思います。
  110. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) 卸売り市場の中から一部の商業機能を移転をする、これは、まあ移転ということばが必ずしも適切かどうかは存じませんが、たとえば卸売り業というものがどなたかによって行なわれなければ、市場としては運営ができないわけでございます。その卸業をだれに許可するかという問題がございます。これはどこからどこに移転をするというような形ではなくて、まあ法律的に、形式的に申し上げますれば、資格のあると思われる方から申請がございまして、それに対して卸売り市場内における卸売り業務を許可する、こういう形をとるわけでございますけれども、しかしながら、卸売り業が適切に行なわれるためには、産地との関係あるいは買い受け人との関係、こういったものがちゃんと適切に処理をされませんと、卸売り人が幾ら集まりましても荷が集まらない。また、荷が集まりましても買ってくれる人がなければ、値段がいい値段であっても、適正な値段が形成されませんと市場としては困るわけでございます。そういう意味で、既存の方の力を、新たに卸売りの許可をする際に、何と申しますか、活用をするということが必要になってくるわけでございます。このことは仲買い営業等についても同じだと思われます。そこらの点は市場の関係業界とも十分話し合いをいたしまして、新たな市場にりっぱな商業機能を、収容するということばで申し上げましたか、活動をしてもらうためにどのような措置をとったらいいか、これは話し合いで進めていくという要素が多分にあろうと、こういうふうに思っておるわけでございます。まあそのことを申し上げたつもりでございます。  その過程で損害が起きるというようなことのないように、もちろん新しい市場で活動をしてもらうためには、それ相応の事業のもくろみをそれぞれの方々が立てられて、これならばやっていけるというところで、ひとつ新しい市場に参画をしてもらう、こういう考え方で取り進めたいと思うわけでございます。現在、まだ具体的な補償等の問題を、たとえば板橋市場の開設ということに関連して十分検討が尽くされておるわけでもございませんので、あるいは関連する部面におきまして、いろいろと問題の出てくる向きもあろうと思いますが、そういった問題は今後、真剣に検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
  111. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうすると、いまのところいろいろと説明をされているけれども、そういう場合の補償措置というのは、検討をするということだけであって、ないのですね、具体的には。
  112. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) 新しい市場ができます場合において、そこに商業機能を収容する際、補償というようなことは開設者等のあっせんによりまして行なわれる場合もあり、あるいは全然、補償等の話がなく、スムーズに市場が開場できる場合もございまして、これは一がいに考えるべき問題でもないかと、こう思っておるのでございます。実体損害も出ない、皆の納得ずくで市場が開場できる、かような形になるのであれば、これも一つの行き方であり、あるいはまた補償的な措置を何らか要するという場合も出てこようかと思います。具体的な事案に即して考えてまいりたいと思うわけでございます。
  113. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで重ねて質問しますが、いまの卸売り市場の場合に、中央卸売市場法というのですか、これで農林大臣が認可したものと、それからそうでないものとあるのですね、任意のものと。それでその任意の市場の場合には、この団地の中にどう移動していくかという問題が一つあるが、これは公設の場合は、設置するときに農林大臣がきめていきますから、比較的国の統制でもってやれる。任意の場合はそれの規制がないわけですね。現に一体、東京都内で任意の市場、青果市場がどの程度あるのか。それから、それを団地に誘導するための法的な裏づけ措置がないように思うのですが、いま行政当局としてお考えになっている、これを分散するための方法があればお示しをいただきたいと思うのですがね。
  114. 堀川春彦

    説明員堀川春彦君) 現在、中央卸売市場法のもとにおきまして、午前に申し上げましたように、類似市場の規制の制度というものが一応あるわけでございます。この類似市場として青果関係で現在届け出の出ておりますものが二十くらいございます。これはいずれも規模が非常に小そうございまして、全体の青果物の流通の量からいたしまして推定をいたしますると、ほんの数%程度にしか当たらないというふうに考えておるわけでございます。そこで、新市場をつくります際に、既存のそういった青果関係の類似市場業界にどの程度の影響が及ぶかというようなことを十分考えて話し合いを進めなければならぬというふうに思うわけでございます。できれば私ども、中央卸売り市場の開設の際には、ちゃんと法律の規定によってしかるべき取引機構がきめられており、また産地に対する企業力も強いという意味での中央卸売り市場に参画をしてもらいたい、かように考えるわけでございますが、法的な手だてとして、法律の規定では類似市場に対する収容命令というようなものが出し得ることにはなっておりますけれども、現在まで発動したこともございませんし、大阪の東部市場の開場の際にも、市内にございますそのような類似市場の業者が中央卸売り市場に参画をしていただいた、これは話し合いを詰めましまして参画をしていただいたわけでございます。さような形に持っていくのが、現在のような段階では適当ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  115. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、流通センターをつくるにあたって、そういうような任意の市場、これを今後さらに野放しに許していくということになれば、これはまた、一面では分散させながら、一面ではまた入ってくるということにもなりかねないんじゃないかという気がいたすのです。それでこれらの問題については、いろいろ経済活動の面であるいは営業上の問題で相当影響するところがあるわけでありまして、特にそういう流通団地をつくるならば、そういう問題についても相当配慮をした分散あるいは誘導ということをひとつ当局のほうで十分配慮してやってもらいたいと、こう思っております。  それで次に、これは建設省になるのじょないかと思うのですが、これは収用法の適用にかかってくる問題ですけれども、非常に私は今回の法律で収用法との関係で問題があると思っています。それはたとえば、いまの収用法上の収用事業場というのは、トラックターミナルあるいは中央卸売り市場は、事業の認定になっている。ところが、倉庫だとか問屋だとか、こういうものは入ってないんですね。なぜならば収用法上のいわゆる公共の福祉、公益性というものがそれ自体ないからですね。今回公益性がそれ自体にないのに、収用法上の収用適用の土地団地として収用していくことは、一体どういうものだろうかということが一つの大きな問題だと思うのです。その点に対して、そういう収用法上の取り扱い上の立場から、いま今回のものを充てようとしているが、それは一体どういう考え方なのか、まずお伺いしたい。
  116. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 御指摘のように、流通業務団地に立地する流通業務施設の中には、土地収用を認められておりますトラックターミナルあるいは鉄道貨物駅、中央卸売り市場というようなもののほかに、倉庫、卸売り業の店舗等、土地収用を認められていない施設が含まれておるわけであります。しかし、この法律流通団地の目的は、個々の敷地を確保しようということではありませんで、都心に過密に集まっている流通施設というものに着目いたしまして、都市の機能の向上という立場から都市構成の上で、都市計画の上で最もふさわしい場所に流通業務施設が一体に立地できるような市街地をつくろうというところにこの流通団地の意義を認めているわけであります。この都市機能の向上という点につきましては、この法律に書いてございますように、交通業務で非常にこういうものをつくればいい、あるいは流通機能の向上に役立つということがあるわけであります。そういう点で、結果的には僧業者がその土地に入りまして受益するということがございましても、全体の目的がそういうような都市機能の向上のために流通市街地をつくるというところにあるわけでございますので、収用が認められるということが基本的には言えるのじゃないか、過去の最高裁判所の判例の中におきましても、特定の個人が受益者となっても、収用全体の目的が公共の利益のためであれば是認されるということも出ておりますので、公共のためというところを、そういうような流通市街地の形成というところに置いているわけであります。ただ御指摘のように、造成した敷地は、分譲して自身の敷地になるわけでありますので、これを無制限に認めるということはできないと思います。それでこの法律では幾つかの制約をいたしまして、公共性をさらに担保するという措置をとっております。一つは、場所の限定でございます。どこにでも立地できるものであれば収用できないということは当然でございます。場所を限定しております。これはこの法律の中におきまして、流通業務地区というものを、最も構成上ふさわしいところ都市計画上の立場から、あるいは交通の要請から、あるいは低利用地——土地利用が低いところ、建物があまり建っていないところに限定をするというようなことで場所の限定をいたしております。あとは、事業の施行につきましては、この施行者民間の営利企業ではございませんで、地方公共団体あるいは住宅公団という公の機関施行者が入っています。それから処分方法につきましても、特定のもののための事業が行なわれるというようなことがないような処分方法の制限が書いてあり、さらに処分後、流通業務団地施設を立地しなければこの流通団地の意味がないわけでありますので、流通団地の中に流通業務施設計画どおり立地するということを保証するために、敷地の譲り受けを受けた者が、一定期間内に建設計画を定めて、施行者の承認を受けて建設をする、施設建設をしなければならないというような義務を課し、これを担保するために、違反した場合には譲渡契約を解除するという解除権を施行者に与えております。さらに転売その他によりまして不当な利益を得るというようなことを抑制し、かつまた、適正な管理をはかるというために、工事完了後十年間は、土地及び施設の転売、賃貸等につきまして知事の承認を受けなければならないというようなことにいたしまして、この団地造成計画どおり行なわれるというようなことを担保しているわけでございます。このような制限を付しまして、公共性の担保を一そう強めるというような形でこの収用権を認められるものだというふうに考えておるわけであります。
  117. 達田龍彦

    達田龍彦君 説明はそれなりに筋は通っていると思うのですが、私は、これは収用法の拡大解釈であるし、ある意味では法の運用を悪用しているような分野があるような気がしてならない。それは入る個々の企業を見てみますと、これはやはり収益事業ですよ。利益を得るための私企業ですよ。町をつくる、あるいは交通緩和するという意味でそこに公共性を求めて収用法を適用するということは、そういう意味の、そういう角度での論議としては確かにわかる。しかし、入る内容、個々のものはこれは公共性を持ったものでもなければ国民全体の福祉に資するようなものでもない、明らかに一つ一つを見ていけば私企業であり営利企業です。で、そういうものまで収用法でもって収用して団地をつくるということは、収用法の公共性ということから私は非常に拡大解釈され、悪用されているようなきらいが非常に強いという気がしてならない。過去をいろいろ考えてみますと、たとえば道路をつくる、あるいは公園をつくる、あるいは環境整備のために下水道をつくるとか、こういうことは純然たる公共性を持っているし、そのもの自体が公共性を持っているわけでありまするから、収用法というものは、公共の福祉を守るためにそれが国民全体の利益になるから収用されているはずです。過去の例の中で、工場団地の造成に使われている。これも私は一つの拡大だと思う。さらに、それよりもまた公共性の少ない、純然たる利益事業の中にこれを求めるということは非常に拡大解釈であり、私は悪用ではないかという気がするわけです。こういうことをずっと収用法で続けていきますと、すべて都市をつくるのに、都市をつくることそれ自体が公共性なんだということになったら、何でもかんでも都市をつくったら、国の総合計画に基づいたりするものですから、かからないものはないということになる。したがって、そういう面での大きな問題点がこの法律の中に私は出てきていると思っております。これは大臣にお聞きいたしておきますけれども、この収用法で、こういう純然たる私企業のものに収用して与え、それが利益を得るということは、私は収用法の運用を誤ると、国民に対して大きな影響を来たすだけに、こういう基本的な考え方について、大臣は一体どうお考えになっておるのか、お尋ねをしておきたい。
  118. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) いまの御議論は確かに御意見のあるところだと思っております。御承知のとおり、収用法の基本的な考え方は、いまお話しの道路とかあるいは鉄道、下水道、いわゆる一般人間の活用に供するいわゆる社会、公共、そういう意味でいわゆる公共性というものをきびしく限定しておったのが収用法の発生であると思います。ただ問題は、そのいわゆる公共性というものがどういうものであるかということが、私はこの収用法の改正をずっと追ってみましても、社会、経済あるいは人間の考え方等の変遷に従って、いわゆる公共性、社会性といいますか、そういうものが変遷を来たしておる。それに応じて、第三条にも列記をしておりますが、それもしばしば追加されてきております。先年一番問題になりましたのは、住宅地を収用することができるかどうかという問題が起こったことがありますが、これは個人の家であって、収用というものと、いわゆる公共というものとは非常に違うじゃないか、厳格な意味においてこの収用法の発生の思想からいいますと、そういう議論ができるわけであります。けれども、社会生活というものが非常にこれは共同的な、また、いわゆる全体の人々の環境というものを考えてものごとを処理すべきだというこの社会構成が出てきますと、これはだんだんに変遷をしてきておる。そういう意味で住宅五十戸以上の団地をつくる場合には、かりにこれが個人に譲渡されても、将来私有財産権として処分ができるというものであっても、住宅政策あるいは人々の生活状況という意味から見ると、やはりいわゆる社会のためといいますか、公共のためである、こういう思想的な変遷があるわけであります。でありますから、この点は議論があるのは当然でありまして、いまおっしゃったのは、この中に純然たる私企業がある、しかも営利企業である、その観点だけに立ちますと、御意見のようなことが強くいわれると思います。ただこの法律の目的とするところ、しばしば御議論がありますように、いまやそういうことではなくて、こういう社会生活の必需品をおろしている一つ事業、もちろん個人企業でありますけれども、これは人間社会生活にきわめて必要なものであります。と同時に、この機能のよしあしによって人間生活に重大な影響を及ぼす、一面しばしばいわれておりますように、交通事情あるいは流通問題あるいは物価問題、非常に重要な社会全般に及ぼす影響があるわけであります。これを解決するために、一つ団地として建設する特殊の手法をとろう、こういうことでありますので、その変遷と申しますか、公共性、社会性というものの変遷の思想というものを私どもは取り入れていく、まず私企業のために個人の権利を制限する、こういう厳密な解釈はこの際とるべきじゃなかろう、こういう立場に立ってこの法案を提案した、こういうことでございますから、ぜひ御理解を願いたいと思います。
  119. 達田龍彦

    達田龍彦君 大臣の御説明ですけれどもね、これは具体的にはこういうことだと思うのですよ。団地をつくるために収用をする、収用して、もってその私企業が非常にもうかる、ところが、収用したために、それを収用された人々で困る人あるいは営業ができなくなった人という犠性者が出てくる、公共性の名のもとに。私はそういう人たちの犠牲によって個人がもうけるというのは、これは収用法上の公共性のワクからはずれていると思います。大体の行き方として、むしろあり方としては、その利益が公共全体にはね返ってくるのでなければならぬというのが、私は、収用法上の公共性のあり方だし、それが限界でなければならぬ。私は工場用地の収用の場合についても、工場用地の場合は、公害の問題あるいは生活環境の問題あるいは過密都市の問題等、この今回出てきているようなものよりもなお公共性はあるのです、見方によっては。ここら辺まではまだ私は今日の都市構成の問題から考えまして、限界としてまだ容認するところがあるにしても、この流通団地の中における私企業というのは明らかに営利企業であり私企業であって、その得る利益というものが、公共のいわゆる犠牲の上に利益を個人が受けるというような結果になる要素がある場合に、これを公共性と見ることは明らかに収用法上の私は根本の趣旨を間違えている、拡大解釈であり悪用だと思う。そういう考えですが、重ねてひとつ具体的にそういうものが公共性の、公共の利益にどう還元していくのか、具体的に御説明願いたい。
  120. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) まず第一に、営利事業、営利性があるから収用の対象事業にならないということは、御承知のように当然あるわけでございます。収用法第三条に列記しておりますいろいろな事業の中におきましても、たとえば私鉄でございますとか、あるいは電気事業でございますとか、ターミナルでございますとか、港湾施設の中の倉庫でございますとかというようなものが現在あるわけでございます。  それからもう一つは、この考え方は、一極の面として市街地をとらえてそれを収用の対象にしようという考え方でございます。御指摘のように、工業団地造成事業あるいは新住宅市街地開発事業、こういうものがこれに該当するわけでございます。あるいは市街地改造事業、こういうものを考える場合に——工場の場合もそうでございますけれども、とにかく工場が大都市の内部にあっていろいろ問題を生じている原因になっているというような場合に、まずやはり工場の移ります移り得るような入れものをつくっていくということが一番大事なことだという観点で、工場制限との関係で工業団地造成事業というものに公共性が認められ収用権が認められる。この場合におきましても、流通施設が都市の中にあるということが都市機能の非常に大きな弊害になっている、しかも、その新しくつくろうという場所は、外側の交通の要衝という限られた場所で、そういうような都市構成上最もふさわしい場所にそういうような機能の低下を防ぐという意味で市街地を用意するというようなところに、過密都市対策としての意義が認められるというようなことで公共性を認め収用権を認める、こういうような考え方であるわけでございます。工業団地造成事業と比べますと、この中に入ってくるものは、トラックターミナルとかあるいは中央卸売り市場というようなものが大きなウエートを占めますので、より公共的なものが入ってくることが多うございますし、また、工場と違いましてこれは非常に場所が問題でございますので、場所の限定という点につきましては、流通業務団地のほうが位置的限定性が強いというような特定性、公共性、緊急性というような三つの観点から検討いたしました結果、土地収用権を認めてよろしいというような考え方で出しておるわけでございます。
  121. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは私の考えといまの建設大臣あたりの考え方とは、まあ一面では一致するところがありますけれども、やはり限界、いわゆる公共性と社会性の限界ですね、そういうものの求め方にまだ一致しないところがある。これはひとつ将来の問題としてお互いに検討し、さらにこれは十分生かすべき内容も出てくると思いますから、現実に社会生活の中で出てくる問題点をとらえて妥当性を求めていかなければ私はいかないだろうと思いますから、将来十分検討し、内容を解明していく必要があるのじゃないだろうか、こう思っております。  〔委員長退席、理事小酒井義男君着席〕  それで、次に業務団地と、それから指定地区があるわけですね。そうすると、団地をつくるところについては収用するところもあるし、あるいは任意で話し合いがついて確保するところもある。今度はそれを取り巻いているところに住宅街もできれば、あるいは業務施設もできれば消費施設もできると思うのです。指定地区以外にも、都市を建設するのですから。そうすると、収用されたいわゆる団地をつくった地区とそうでないところ土地の価格が私は大きく影響するのじゃないかと思うのです。周囲に町が出てまいりますと、だんだん集中することによって土地の価格が上がってまいるわけですね。これに対しては何らかの法的手だてがあるのかないのか。都市対策として収用されたところは安く買いたたかれ、それに基づいてできた町のために周囲は高くなるということになれば、これは非常に不平等、不公平だし、それによってまた土地業者が媒介し、利益を不当に得るという社会問題、政治問題が起こってくるであろうし、これらのものに対する対策を一体どうお考えになっているのか。
  122. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 団地は、御承知のようにこれは処分計画に基づいて処分するわけですから、そういうようなこちらがきめた価格でやる、収用する場合はもちろん時価によって収用すると、こういうことになっております。それ以外のまわりの土地が、そういう市街地ができることによって値上がりするのじゃないか。それに対する措置はどうかということでございますが、これにつきましては、特別の対策というものは考えてございません。ただ、従来ございますいろいろな税制措置、譲渡所得税あるいは固定資産税、都市計画税、そういうような形ではございますけれども、特別にこの流通業務市街地について値上がり対策というものは考えておりません。
  123. 達田龍彦

    達田龍彦君 考える必要がないのかどうか。
  124. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) これは、流通業務団地特有の問題ではございませんので、一般的に市街地ではそういうような住宅用地ができると、あるいは業務地区ができるということに基づきまして、そういうような地価の値上がりという問題がございます。その点につきましては検討する必要があると思います。これは宅地対策あるいは地価対策という観点において、あるいは都市計画上の問題として検討する必要があると、こういうふうに考えております。   〔理事小酒井義男君退席、委員長着席〕
  125. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) その問題は、いま局長から御説明いたしましたように、これは現在の諸制度では後承知のとおり道路が新設され、その周辺が便利になる、かりに公共施設としての道路を利用して近接いたします付近が便利になると、利用度が高くなって地価が上がる、こういう現象はいまの社会に種々あることであります。この流通団地にのみ特有なことではないわけでございます。ただ、私ども今度収用法の改正をお願いして、近所の地価の高騰、不当なる高騰と思われる部面がありますから、多くは地価の上昇というものは、いまお話しのように何か社会的と申しますか、あるいは国家的、公の作業が行なわれることによって他の土地の価格が高騰する、これは必ずしも社会正義と申しますか、公平の原則からいって適当でない。こういう考え方から土地収用法の改正をお願いするとともに、税制の面でその平均と申しましょうか、公平の原則を貫こうと、こういうことをお願いしております。しかし、これで完全にそれが公平になるものであるかどうか、こういう点は、これはもっと実情を見て検討しなければなりませんが、社会の努力と申しますか、公の努力によって、特別に個人が不当な利益を得るということは適当でない。そういうような考え方の基礎に立って税制の改正をお願いしょう、こういうことをいたしておるのが現状でございます。
  126. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで確かに地価対策、そういう問題について、いま大臣おっしゃられるように、建設行政をしていくすべてにこれがかかってくると思うのであります。でありますから、全体としてどうしていくかということをやはり抜本的に考えて、早急にそういう不公平がないように、社会の公平の立場からこれは早急に私はしてもらうことが、特に道路の問題としましても、これまでお尋ねしましたような団地の問題にしましても、日本の開発、いわゆる建設開発する立場から根本だろうと思いますから、十分早急なる御検討をお願いしておきたいと思います。  それから新しい収用法が提案をされておりますけれども、この流通業務団地の造成、いわゆる宅地造成、団地造成は新しい収用法の適用によってやられるわけですか、旧法でやられるのですか、この点はどうですか。
  127. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) これは新法のほうに合わせて行なうわけであります。新しく改正しようとしている法律のほうに合わせてやるようになっております。
  128. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうしますと、一体の関係に立っているわけですか。具体的にどういうところが関係するのか。
  129. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) 流通業務市街地法律は、第二十三条が収用法の規定でございますが、その土地収用法の規定は、二十三条一項にございますように、この法律に特別の規定がある場合のほかは、土地収用法の規定を適用いたすことになっております。特別の規定はこの法律にもございますし、それから二項にございますように、都市計画法十九条から二十二条まで、これは都市計画法に基づきます収用、使用の特例でございますが、これが同じくこの法律にいう収用に準用されております。そこで現在提案されております土地収用法の一部を改正する法律案との関係は、同法二十三条第三項におきまして、「収用法第二十八条の三及び第百四十二条の規定は適用せず、同法第八十九条第三項中「第二十八条の三第一項」とあるのは、「流通業務市街地整備に関する法律第十七条第一項」とする。」というふうに読みかえておりますが、この点が収用のきわめて本質的な条文ではございませんけれども、収用法の改正によりまして、条文の配列その他がかわっておりますので、この三項においてその整理をいたしているわけであります。
  130. 田中一

    田中一君 そういう答弁は困るのだ。一体未成立の法律案、予定される法律案というものを適用するのだというような前提でこの法案審議はできません。それは当然収用法の改正というものは行なわれると思うけれども、だからといって収用法の改正ができておらぬ現段階においていまのような答弁は受け取れないです。どこまでも現行土地収用法によって収用するのだという答弁だけでいいわけなんですよ。ところが、どうも小林君がうしろからささやいたかどうか知らぬけれども、そういう考え方はあり得ないのです。われわれのこの立法府というものの立法権というものを侵すものであります。流通センターというものがこれから審議し、またこれから成否をきめるという問題を前提としているなんていう考え方は、あなた方が取り消さなければこの審議には応じません。できておるものじゃないのですよ。
  131. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 一方において土地収用法の改正を提案してお願いしておるわけであります。それと同じ国会にやはり収用法の適用をお願いする法律案を出しておりますから、その条文をそろえたというだけで、もしどちらかが成立しなければ、それは当然に適用されないのでありますから、そういう場合には現行法でやる、こういうことになるわけでございます。
  132. 田中一

    田中一君 大臣の答弁で明確になりましたからその点は了承します。  先ほど質問しておいた法律第五条、第九条によるところ地域内の諸施設の問題についての政令の案、これは正式に提出された案じゃないが、こういうのがいま私の手元にまいっておりますが、地区内の施設の従業員のための休憩所、宿泊所、食堂、売店、運動場、その他これに類する厚生福祉施設(理容所、美容室等)法案第五条第二項に定める建設省令で定める公益的施設、医療施設、公衆浴場等、法案第五条第一項、ただし書きによる知事の例外許可、パチンコ屋、マージャン屋、風俗営業等、こうなっております。私はパチンコ屋やマージャンクラブ、トルコ風呂をつくれといってつくらすために言ったんじゃないのです。こういうものを一切排除しろということを言いたかったから申し上げたわけなんであります。しかしどうも小林君、私の真意を曲解するか、あるいはぼくがマージャンやパチンコが好きだからということだかどうか知らぬけれども、こういうものは許可しないでくれということなんです。私の質問の真意はそれなんです。もしこういうものが例外許可として出てまいりますと、いろんな形の問題が出てまいります。これまた利権に続き汚職を生むもとであります。まあきびしい環境をつくるだけかいいというわけじゃございませんけれども、この例外規定というものをとるべきである。当然これに施設しようとするものは法律で明文化すべきである。こういうものこそ持つちゃならぬと思うから先ほど質問したんですが、どうもよい道に歩かそうと思ったのが横道にそれちゃったんだけれども、これは試案かそんな程度のものだと思って見のがしますが、こういうものはいけません。こういうものは一切あの地域内においてはやらないというようなことをきめていただきたい。そのうちに、だいぶいまの政府は競馬が好きだから、農林省が来ておるけれども、場外競馬場なんていうものをつくるようになるんです。それは一日に何万人と人が集まってくる。そうしてこれは時期的なものであって、一年中わあわあ言うものじゃなくて、業態によってはやはりひまもある。そういうものにおちいりやすい地域になるわけですから、この点せっかく出してもらったけれども、これは困るので、大臣からこのようなものは、別の意味で慰安等は健康なもので持たすようにして、こういうものはつくらないんだという答弁をしていただきたいと思うんです。
  133. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) いろいろな場合が考えられるということで参考に御提出したと思いますが、第五条にも書いてありますように、原則として先ほど収用の問題もありましたが、いろいろなものをつくるためにやる施設じゃございません。またそういう街区をつくるという目的ではないわけです。ただ、しかし社会化活に必要な場合もあろう、こういうことで御承知のように第五条にただし書きを書いておるわけでございます。これには流通業務地区の機能を害するおそれがないこと、これが第一であります。第二は公益上やむを得ないと認められるもの、こういう大原則があるわけでありますから、いわゆるふしだらな町ができるというようなかっこうを厳に戒めたい。こういう点は今後厳重に検討したしまして、また皆さん等から意見も聞いて定めたい。
  134. 田中一

    田中一君 大原則と言いながら幅の広いものなんです。少なくとも賭博行為に類する施設はいけないです。これは決してよい環境にならないんです。そしてその大原則というものは拡大解釈をしたがるものなんです、管理者というものは。ことに東京都のいままでの行政の面においてはその弊が非常に大きなものです。だからもう少し瀬戸山さんは、そういう賭博施設は持ちませんということを言ったっていいじゃありませんか。
  135. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) まあ何か食堂もつくらなければならぬでしょう、そういうところですから、やられることはやむを得ないと思いますけれども、そういう賭博行為に類するような看板を掲げる施設ができるということは厳にこれはいけないと私は思っております。
  136. 田中一

    田中一君 法律をいまつくっているんですから、そういうことはさせません、そういう施設は持ちません、こうひとつ言っていただきたいと思います。
  137. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) ことばの使い方でありますけれども、そういうことはやらないのがこの法律のたてまえでございます。
  138. 田中一

    田中一君 非常にいい答弁だ。  そこで、この事業を行なうのに土地区画整理事業として行なっておる地区があるらしく、また板橋難も作毛公団がそのような方法で施行をして用地整備するらしいんですが、この場合土地区画整理事業はその当該用地に対して買収後に行なうつもりなのか、あるいは現状のままで土地区画整理事業を行ない、そしておのおの用途がきまって、公共用地その他の用地がきまって後に買収しようとするのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  139. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) いま板橋あるいは大阪でやっております場合につきましては、土地をまず先買いをいたしておきまして、そうして地主になりまして、それから区画整理をやりますと御承知のように保留地ができます。その保留地並びにその先買いをいたしましたものを含めたところを  一つのまとまった土地として団地といたしまして、それを流通施設に使っていく、こういう考えでございます。
  140. 田中一

    田中一君 それはけっこうです。そこでその保留地はどっちみち処分するんだからかまいませんけれども、道路広場その他の公用地、これを買い取るのはその公共団体が買うのですか。公共団体というか、団地の何々の機関が買うのか、あるいは管理者である都が買うのか。先ほど都は管理者だというふうに聞いておりますけれども、やはり土地の所有者にはならないのですか。道路その他は国に帰属するのか、広場はどこの所属になるのか、その点の処分後の姿をひとつ説明していただきたい。
  141. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 道路の場合、二つあると思いますが、非常に幹線的な道路、たとえば大阪で申しますと中央環状線というような道路は、これは道路の費用を道路事業のほうで出しまして、そして府がその道路を、大阪の場合は府が区画整理専業をやっておりますが、府が自分の道路の側から費用を出して確保するという形になっておりますそれからその他の区画街路その他につきましては、これは区画整理の手法によって生み出すわけであります。その場合にでき上がりました公共施設はその法律の中に規定がございますか、公共団体に一定の時期に引き継ぐことになっております。従前のその道路その他がつぶれまして一般の宅地になりました場合には、そのつぶれたものはその段階におきましてなくなっていく。新しく生まれたものはその段階において公共団体に引き継がれる、こういうような規定になっております。
  142. 田中一

    田中一君 それではこれは答弁できると思いますが、造成後の価値の、価格の要素、内容というか、たとえば坪千円の土地を買った、この土地々造成した。これは買うのは住宅公団が買うのでしょうから、その自分の所有地を自分で造成して、しかもそれもいろいろな費用の負担その他でもって十地区画整理事業という公共専業として行なうが、そしてこれはもう完成後はこれは処分するわけです。その処分の価値、価格の中にはどういうものが入っているか。われわれ通念として考えているところ買収費プラス造成費、まあ中には買収費には金利もつくでしょう。イコールそれが処分価格というような認定をするのか。さもなければ土地区画整理事業というこの事業性格から言って、保留地も公有地も全部含めたものか、あるいは区道に設定されるものがあるならば、区道はどうなるのか。あるいは国に帰属するという幹線的な道路が一部入ってたらそれはどうなるのか。それらが処分後の土地を取得しようとする側に総合的にかかってくるのではないかという懸念があるから伺ったわけですが、その点はどういうようにこの法律できめておくのですか。
  143. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 法律できめておりますのは、団地造成事業と申しますか、全面買収で行ないます事業の場合の処分価格をきめておるわけであります。ただいま御質問は区画整理の場合だと思います。その場合には、先ほど御説明しましたように幹線道路あるいは幹線的な下水道というようなものにつきましては、けれは公共事業として負担をする。区画街路その他につきましては、減歩その他の形におきまして事業の中に入っておりますので、したがって減歩分というものが坪あたりの価格にしますと、処分後の土地が面積が減りますので高くなってくる、こういう形になっております。
  144. 田中一

    田中一君 むろん、この造成事業を施行する事務質的なものは、これは当然国の補助で全面的に行なうのか、あるいは補助事業、補助金が多少国から出て、あるいは公共団体から出てきて、そしてそれを除いた広場なり道路なりというものは処分計画によって引き受けるというか、買い取る側に負担がかかるのかどうか。
  145. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 事務費はそれぞれ配分いたしまして、幹線的なものについての事務費は公共事業のほうで見ます。それ以外の事務費につきましては、街路のほうを区画整理事業のほうで見ていく、こういう形になります。
  146. 田中一

    田中一君 広場や通路と言っていいか、通路等は全体の処分後の所有者にそれぞれ持ち分に応じてプラスされているのが価格だということですか。
  147. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 通路というのは区画街路だと思いますが、区画街路そのものは公共団体に引き継がれますが、その土地分と申しますか、その土地分は費用になって個々の宅地にかかる、こういう形でございます。
  148. 田中一

    田中一君 そうすると、土地区画整理事業というのはそういう性格のものだ、そこにあなた方がねらいをつけているわけなんだね、そこで土地区画整理事業性格というか、これを性格づけてそうした負担をさせようということなんです。たぶんそうだろうと思うのです。そうなると私は常々思うのですが、区画整理事業、ことに自分の土地を自分で自由に行なうという区画事業の場合には、管理者、国か都か、管理者は何になるかわからぬけれども、少なくとも公共の施設であるならば、その団地側に公共の道路というもの、処分後における所有者に負担させるのではなくて、国が面接そういうものは持つというような新しい制度を考えたらどうかと思うのです。何といっても施行するのは第三者です。直接利害は何にも関係ないのです。住宅公団はもしかりにおのおのの所有しているものを一応区画整理事業地域内として事業を行なってもらう場合には、十分に監視します、むだをしないように。またこれに要するところ審議会等もあります。そうやって少なくとも買い取る側のほうの意思はそこへ通ずるわけなんです。ところが今度の場合はそうではない。かって気ままにやってしまって、かってに値段をきめて、かってに経費をのっけて、これで買えということにならざるを得ないのです。現在各地域にあるところ土地区画整理事業の場合には、これを十分監視監督する審議会の制度もあります。今度はそれがないのです。それはむろん住宅公団なりあるいは事業施行者が規制をするとか何とかいう意味ではございません。しかしながら土地区画整理事業を行なうという場合には、御承知のように組合施行もあれば国の施行もあれば公共団体の施行もあります。施行方法がありますけれども、それにはそれを監査審議するという機関が何にもないのです。てまえがってに行なうのです。でき上がった決算を見た上でその価格を一方的にきめるということは私は非常に危険だと思う。これに対して国が何らかそれらに対して強い処分計画によって、所有する人たちの側に立つところの何かがないかということ、国も信用できなくなると、今度はそうではない第三者の——たとえば予定されているところ板橋の例をとると、トラックターミナル会社とか何とかかんとかいう、他の通産省とか農林省とかいう側から直接にこれの監督的立場に立つという協議とか何とかいうのではだめなんですよ。一党一味でぐるなんです、政府というのは。それはそんなものはどうこうできるものではないのですよ。同じことなんです。そうでない立場でもって監視するという——ことばはちょっときびしいけれども、そうしたものがないと、これは非常に土地区画整理事業そのものの性格からいって、押しつけの価格になるのじゃなかろうかと心配するわけですが、その点はどうですか。
  149. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) おっしゃられるのは、この流通団地造成事業処分計画の問題だと思いますが、処分計画は大臣の認可にかけております。認可をいたします場合には、午前中御説明いたしましたように、関係各省と協議するほか、それぞれの管理者、あるいは中央卸売り市場その他について権限を持っている行政機関に協議するわけでございます。さらに施行者に対する監督といたしましては、事業計画、すなわちこの中には処分計画も入るわけでございますが、事業計画処分計画に従っていないと認める場合には、四十四条にございますが、必要な措置を建設大臣が命ずることができるというようなことで、処分計画につきましては特に入念にいろいろ監督その他の規定を置いているわけでございます。  なお、板橋等すでに住宅公団が行なっております区画整理事業につきましては、住宅公団が行ないます場合にも、公共団体と同じように区画整理審議会というものが設けられておる。重変な事項は全部そこにかけなければならぬ、そういうふうな形になっております。
  150. 田中一

    田中一君 その審議会のメンバーはどんなものなんですか。各行政庁ですか。
  151. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 審議会のメンバーは土地の所有者及び借地権者からそれぞれ選挙によって選ぶということになっております。
  152. 田中一

    田中一君 そうするとね、さっきの答弁とちょっと違うんだがな。土地の買収後に施行いたしますと言った答弁と、いまの答弁と食い違いがございます。じゃ板橋地区では現在の所有者、所有権をそのままにして土地区画整理事業を行ない、その後それを買収するということにならざるを得ないじゃないですか。さっきと答弁が違うじゃないか。
  153. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 板橋地区におきましては、住宅公団が先買いをいたしまして、そしてみずから地主になって、それ以外にも土地の所有者がおるわけでございます。そういう地主の大口の地主になりまして、その地域区画整理をやって団地としてまとめるわけでございます。したがいまして、団地の外に、板橋の場合におきましては各地主が土地を持つ形が区画整理事業後に起こってくるわけでございます。これは通常住宅地等において住宅公団が行なっておるものと同様でございます。そういう意味におきまして、その個々の地主というものが審議会のメンバーに入っておる、こういうことでございます。
  154. 田中一

    田中一君 この法律の二十四条までは、その手続の問題、地主の問題、土地の所有者の問題を言っておるわけです。しかし、そこに現在住んでおる人たちがもう一ぺんそこに自分の優先的な処分計画を受けて土地の所有者になれることができるんですか、板橋の場合は。現在は買収されない地主がおる。その地主も含めた土地区画整理事業を行なっているんだ。しかし、これはどこまでも流通センター団地をつくるんだという前提に立つと、その部分の人たちは、団地外の広範な地区をきめて行ないながら、団地の分だけは住宅公団が買収、先買いしちゃうということなんですか。ちょっとそこのところがはっきり明確になっておらぬですがね、ぼくの頭が悪いのかどうか知らぬけれども。
  155. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 板橋の場合には、一番最初に申し上げましたように、この法律のできる前でございますので、変則な形でいま区画整理事業を行なおうとしておるわけなんです。したがいまして、区画整理対象事業地としましては、あすこはまん中に地下鉄が入ってくることになっております。
  156. 田中一

    田中一君 わからんです、そんなことは。知らないから。
  157. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) その南の側につきましては、これは住宅団地として考えているようなわけでございます。北側につきましては、おっしゃいますように、団地としてまとまるところとそれからそれ以外の地域で、その以外の地域につきましては一般の地主が存在する、こういうような形になっております。
  158. 田中一

    田中一君 そうすると、土地区画整理事業は広範な一工区をきめてそこでやっているのだ。その中の一部に流通センター敷地があるのだ、こういうわけですか。
  159. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) そのとおりでございます。
  160. 田中一

    田中一君 それなら何も文句ないじゃないですか。当然審議会もつくらなきゃならないし、利害関係者があるのだから当然のことなんです。そうでなくですよ、今後できる流通センターの場合ですね。自分で土地を買って、自分の所有する土地を造成し、団地をつくる、そうして究極これはいろいろな形でもって処分する、受けるほうの側が適正にその造成事業が進んだかどうかということを見なきゃならぬ。これは土地区画整理じゃありません。ありませんけれども、それが同じ行政官庁ですね、協議する各省がありますから、それだけでは足りないのじゃないかと言っているのです。よくあるですよ、押っつけられるのがね。自分でかってにやって、これの値段だよと言われたら、はいと聞くほかないのです。これは結局値段の問題になるのですが、それの内容というものはどういうものが入てっくるか、おそらくむだなものも入ってくると思うのです。しないでもいいものを費用として積算されて、価格を高くするのじゃなかろうかという心配があるわけです。ことに一昨昨年、住宅公団が行なった宅地造成のうち工場団地に対して、あなた方だって当時の建設大臣河野一郎君か政令を変えて、かつてあったところの原価主義というものを時価主義に切りかえたことがございます。これは現在この政令は生きております。ちょっと出してごらんなさい。このときの思想としては、住宅団地、これはまあ当然原価主義でよろしい、いわゆる土地買収費、買収によるところの諸掛かり、それから造成費、これらをプラスしたものが処分価格であるということが住宅公団の宅地造成の原則だったのです。ところが、工業団地の場合にはこれは私企業であり営利事業である、自由企業に売るのだから、当然これは時価主義でいこうというので政令を変えました。これも一面考えてみると、社会政策的には一つの面をついておりますけれども、大きな独占資本、独占資本的な形態のものはこれは自由に賃金その他をきめられると思うのです。しかしながら、今度来る卸売りセンターとかその他の業種はなかなかそこまでの力はありません。聞いてみると、一%ぐらいの程度のマージンしかないというぐらいのことを言っている。そういう現在の住宅公団方式というものは、工業団地においてはそのような時価主義に変わっておりますね。これは御承知だと思います。今度の場合も同じです。規模が大小あろうとも、少なくとも卸売り市場等に入っていこうという人たちに対しては、当然負担を軽からしめるように措置しなきゃならぬと思うのです。一律にそれをきめることがあっちゃならぬと思うのです。その点についてどういうお考えかひとつ伺っておきます。
  161. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先ほど御指摘の住宅公団の場合は、日本住宅公団法施行規則の二十六条におきまして、第二項で、宅地の譲渡の対価は、類地の時価を基準とし、造成に要した費用事務費その他を勘案して公団が定める、こういうふうに書いてあります。今度の流通業務団地造成事業におきましても、二十七条におきまして同様の規定を置いております。造成敷地処分価額は類地等の時価を基準とし、かつ、当該造成に要した費用並びに造成敷地の位置、品位、用途を勘案して決定するように定めなければならない、こういうふうに書いてございます。この考え方は倉庫問屋等は営利的な営利性のある事業でございますので、そういうものに対しまして譲渡いたします場合には類地の時価を基準として考えるべきである。しかし造成費あるいは取得費等のいわゆる原価をも考えてきめるということでございますので、特価を基準として原価を勘案してきめるということは、時価まで持っていかなくてもいいわけでございます。原価と時価の間で適当な値段できめるというような考え方で今度の処分計画の基準はできているわけであります。
  162. 田中一

    田中一君 だめだよ、そんな中途はんぱな。私たちのふところ、腹一つでどうにでもきめられますということはあっちゃなりませんよ。いいですか、半分強制的に卸売り業者などを引っぱってこなければならない場合もあると思うのです。その場合に多額の費用がかかる、負担が重いとなったならばこれは来るものはいませんよ。だからそういうあいまいな、事業主体がふところ一つできめないで、また、それを見て建設大臣がこれならよろしいという許可をするなんということはいけないんですよ。これは政令にあるはずなんですがね、いまの住宅公団法じゃなくですよ、施行令か、これ。
  163. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 施行規則です。
  164. 田中一

    田中一君 施行規則か。これは通常われわれは住宅の場合には原価主義、工業団地の場合には時価主義というように変わったというように自分らで言っておるわけです。ところが、いま竹内君の説明を聞くと、時価主義と原価主義の中間くらいのもの云々というようなことを考えられてうまく切り抜けてもだめですよ、これははっきりした態度をきめなければならぬ。しかし私は何億という会社トラックターミナルとか、あるいは倉庫とかいうのと違って、卸売りセンターなどに来る人たちに背伸びして来る人も多分にいると思うのです。自分はとても年間そんな商売はしていないけれども、しかし、この際こういうものができたのだから、ここでもって一旗上げようというので無理をして来る人もいると思うのです。だからこの方はもう中小企業ですよ、決して大企業じゃないんです。それが何億何十億という会社と同じように、ことに倉庫会社にしても、共同倉庫にいたしましても、東京の大手の大きな倉庫業者が全部出資してつくっているという会社と比較する場合には比較にならぬですよ。だから卸売りセンターに集まる人たちに対しては、いまのような規則にある条文緩和するという方法をとっていただきたいと思うのです。これはいまここでもって答弁すると、そのとおりしなければなりませんから、そのとおりはっきりと答弁してほしいと思う、考慮するということを言ってほしいと思う。
  165. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 適当にその相手方によって土地の値段を変えるということはできないと思います。一つ団地において一つ計画のもとに売るという場合には、売り値は全体同じような考え方のもとに売り値をきめるべきであるというふうに考えております。したがいまして、時価を基準として原価を勘案してきめるというのは、相手方によって適当に変えるという意味ではございません。この団地にはやはり個々の価額が一率にきまるということではございませんけれども、要素を勘案して相手方によらないで価額はきめるべきだと、こういうふうに考えます。問題はその買い手がそれじゃ困るんじゃないか、高い値段になるとなかなか入っていけないんじゃないかという問題でございますが、これは買い手が買う場合の資金の面におきまして、あるいは割賦支払いを認めるとか、あるいは安い資金の金融を考えるとかいうような、買い手の実情に応じた買い手側に対する資金手当てというようなことによって考えていきたい、土地の値段はあくまでも一定のものとして考えていくべきじゃないか、こういうふうに考えております。
  166. 田中一

    田中一君 だめだ、都市局長。そこでいまちょっと見ると、公団からも来ているようだが、公団では工業団地はこれは住七の原価というものに対して倍です。原価が五千円だったら倍の一万円にしよう、原価が八千円だったら一万六千円にしようということを現在行なっているのです。これは公団の監理官は来ているかな。それをひとつ公団から答弁してもらおう。どう行なっているかということ。委員長、公団が来ているらしいから、委員長からおきめ願いたい。     —————————————
  167. 松永忠二

    委員長松永忠二君) この際おはかりいたします。本案審査のため必要な場合には日本住宅公団の役職員を参考人として随時出席を求めることとし、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  168. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  169. 松永忠二

    委員長松永忠二君) それでは参考人として日本住宅公団から林総裁が出席いたしております。
  170. 田中一

    田中一君 ちょっと、ぼくはあなたに質問するから。住宅公団が現在宅地造成事業を行なっているうち、住宅宅地とそれから工場用宅地でしたかな、両方やっております。そのうち一昨々年か、三年か四年くらい前と思いますが、工業団地に対しては時価主義でいこう、住宅団地は従来どおりの原価主義、原価主義といえば、御承知のように買収費プラス造成費というもの、これがそのままの実費を処分価額にしよう、ところが、それが四、五年前にこれは死んだ河野さんが、かってに政令だったか規則だったかを変えて、工業団地の場合にはいわゆる時価主義、われわれは時価主義と言っておりますが、大体倍で売ろうということに方針をきめて、現在公団がそれを行なっていると思うのです。その事実はどうか。そうして実費に幾ら掛けて現在売っているのか、それでその実費というものは時価かどうかということです。その点をひとつ御説明いただきたい。
  171. 林敬三

    参考人(林敬三君) 住宅公団で造成いたしました土地につきまして、御質問のとおり住宅用の用地は原価主義をとっております。それから工業用地は数年前から時価主義に変わって、時価主義でもってこれをお譲りするようにいたしております。ただお話のこの時価主義に変わりましたころは、原価よりも相当高い値段でもって売ったのでございます。ところが、だんだん景気が変わってまいりまして、そうして需要が減ってまいりまして、そこで売り手、買い手の市場の関係が、値段の関係がありまして、それでいまはその倍というようなほどではなく、どっちかというと原価にだいぶ近くなっておる。それでもなかなか売れなくて苦労しておるというような現状でございます。それで時価主義ではございますけれども、やはりさっきの答弁にありましたような実費にプラスアルファというようなことで、近隣のいろいろな相場その他を見まして販売をいたしておるという状態でございます。
  172. 田中一

    田中一君 都市局長、これをどう考えられるかということですね。まあバナナのたたき売りみたいに工場団地を売っているわけなんだが、買い手売り手の関係で、だんだん安くなりますよなんということを考えているようですが、事実ある時期には住宅公団は実費の倍で売ったこともある。景気が悪いから、売り手、買い手のものだから、いまは買い手市場だ、だから安くなったと言う。都市局長ね、そのように住宅公団ですら、価格が自由価格になっているわけだ。規則でどうきめようとそうなってきているわけです。それは時価主義、時価ということを言っているけれども、事実はそうなっている。これは問題はそれるけれども、だから、宅地造成は手控えなさいということを、再三再四当委員会でも、何年か前から言っている。今度新しく流通センターができる。その流通センターの中には来たくない者もいる。しかし、来たくない者もどうしても来るように、この大目的のためには説得して、商工会議所からも説得さして、そのほうがおまえさん、利益ですよと言って、ここに集めようとしているはずなんです。その場合に、大企業と中小企業とが同じ価格でなければなりませんというのは、それは都市局長の言い分であって、決して君個人の言い分ではなかろうと思う。だからこの際、別の面でこれを助成するというような方法をとらなければならぬということなんです。そういうところ住宅公団が、あえて官僚的だとはいいませんけれども、いまだいぶ林さんが来てからよくなったらしいけれども、しかし、いまのようにたたき売りもやっていますから、よくなったと思うのですよ。しかしながら、そういうことでは大企業が全部出資している共同倉庫とか、国並びに都が出資しているトラックターミナルと違って、個人商店的な零細な業者を卸売りセンターに集めるなんというのは非常に困難です。私はそういう意味で、宅地造成の価格の問題ですね、これは十分に考慮してほしい。これはいま都市局長が言っているように、価格の差をつけるなんということはどうかと思うのです。もう一つあとで大事な質問があるのですよ。この点はひとつ十分考慮してもらいたいと思うのです。建設大臣どうですか。
  173. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど来局長がお答えいたしておりますのは、やはり現在住宅公団の住宅団地あるいは工場団地敷地についている規定と同じ規定が、ここになされておるわけであります。ただ、住宅公団の分譲あるいは賃貸については、宅地の場合、いわゆる家を建てる宅地の場合と工場用地の場合と、あるいは宅地の賃貸の場合、三つ分けて規則が定められておりますが、価格をやはりきめなければなりませんから、しかし、それで買わなければならないということはないので、やはりそれはいま公団の総裁からお答えしましたように、成り立つような値段で話し合いをしなければ成り立たないわけでありますから、そこはやはり、この流通団地をつくって、そこにこの目的とする団地ができるような組織が——組織といいますか、仕組みができるような価格で折り合う、これが最終の決定であろうと思います。きめなければならないきめ方の基準をこの二十七条にきめておるわけでありますから、それを勘でやってもかまわぬというわけにはまいらない。これは先ほど住宅公団の総裁が御説明したことであろうと思います。
  174. 田中一

    田中一君 まあ公式には、価格に差をつけて売ることはできませんけれども、場合によれば、そういうことにならざるを得ないかもわかりません、いわゆる現在やっている住宅公団方式にならざるを得ないかもわかりません、ということと了解していいですか。
  175. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 売り買いでありますし、やはりそこに事業が成り立たぬようなことをして売っても、だれも来ませんから、まあやはり公団総裁がお答えしたようなことが実情に即することだと思います。
  176. 田中一

    田中一君 なかなか建設大臣、政治家だけあってよろしいです。  そこで、次にくるのは、この処分計画によると、建設義務というものがあるわけです。この建設義務の建設しようという当事者は、この図解で見ると相当大型の建築図になっていますね。そうしてこのトラックターミナルあるいは倉庫群等は、これは一応自前で建築すると思うのですが、卸売りとか——主として卸売りの問題になりますが、こうした問題は、個々でつくるわけじゃございません。これは容積制限地区ですから、個々でつくるわけじゃございません。そうなると、かって市街地改造法、いわゆる改造事業ですね、市街地整備に関する何とか何とかという法律、あの市街地改造専業と同じような形で行なおうとするのか、指導しようとするのか、あるいは全体を含めたプランを書き、そうして施行順位をきめて行なおうとするのか、それらはどういう考えでいるのですかその点を伺っておきます。
  177. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 板橋地区につきましては、この前ごらんに入れました図面が、理想的な形では、ああいう形で示されております。特に板橋地区の場合には相当もう開発された地域のそばにございますので、地価の問題等もございますので、かなり高層化した計画、立体的な計画で仕事をしていかなければならないと思います。そういう意味におきまして、ある程度計画的にこれは誘導していくということが必要じゃないか、こういうふうに考えます。
  178. 田中一

    田中一君 そうすると、ここに、ある総合的な建設計画を行なう部局というか、何というか、そういう一つのかたまりができるというふうに理解していいのですか、できるように指導すると理解していいのですか。
  179. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先ほど通産省で御説明しましたような、卸売り総合センターというようなものを、こういうようなところに来させるということも考えまして、計画的にやっていきたい、こういうふうに考えます。
  180. 田中一

    田中一君 この法律じゃ、大体それは自由になっているのです。この法律では自由になっていますね。それぞれが、自分のある一定の期限内に建てろといっている。そうすると、これは住宅公団事業というのは、宅地造成をするのだということは法律に明記してありますね。そうすると、建設のほうも、住宅公団をして行なわしめようという考え方があるのですか。
  181. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 宅地の処分までを考えておりまして、特別な場合にはそれに施設自体をつくれるようになっておりますけれども、原則といたしましては、施設はそれぞれの施設自体が建物は建てる、こういうふうに考えております。
  182. 田中一

    田中一君 法文ではそうなっております。ことに建造物そのものはいろいろな意味の規制を受けています。それでけっこうだと思う。しかし、卸売り総合センターの場合には、これはあらかじめ、おれは二階の十坪を建てる、おれは五階の五坪を建てるということはできないのだから、これは総合的につくらなければならん。そういう建造物はどういう形でつくろうとするのか、それを聞いているわけです。
  183. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 午前中御説明いたしましたように、三十五条におきまして、「みずから流通業務施設を経営しようとする者」という者の中には、建物をつくって、問屋なら問屋に賃貸するというような法人も考えられますし、また三十四条で公募の原則を、政令で定める場合にははずしております。「政令で特別の定めをするもの」というものの中には、そういうような共同で建物を建てて、そうして流通施設にそれを貸すというような事業の場合におきましては、それをはずすということもできるようにしているわけでございます。
  184. 田中一

    田中一君 そのとおりずいぶん幅があるんですね。そのとおりケース・バイ・ケースでやっていけばいいのだとなっておりますけれども、それだけじゃどうも不十分だと思うのです。そこで何か構想は、どんな構想を持っておるのですか。どこか三井でも三菱でも、金持ちがきて、不動産会社がきて建ててくれる、それを賃貸しするということでもいいのですか。
  185. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 各省から御説明がございましたように、倉庫につきましては共同倉庫というような形で考えられておるようでございます。卸につきましても、協同組合というような形で、板橋では木材あるいはつけものにつきましてはそういうことを考えております。それからそのほかに卸総合センターというようなものを考えております。そういうようなことで、それぞれの種類ごとに指導してやっていく、あるいは一つの主体がっくりましてそれぞれの施設に利用させる、そういうような形で行なわれる、こういうふうに考えております。
  186. 田中一

    田中一君 原則はそれでけっこうです。実態として行なわれる場合にどうなるかということを心配するわけですよ。ということは、大阪、東京、ほかの地区はまだいいとしても、大阪、東京で行なわれているところの市街地改造事業、これは御承知のように現在やっておりますけれども、これには補償という意味の相当大きな負担が建物そのものにかかってきているわけです。たとえば新橋西口の市街地改造事業を見ても、大体二十八万円か三十万円程度、それが今度建築物は、それを何とか組がダンピングしたために多少安くなっておりますけれども、請負人がね。ところが実際の販売価格になりますと、いろいろな形のそこに何というか要素というか、内容が含まれてきて、とんでもない二百七、八十万で売らなければだめですなんていう面が出てくる、ある面はですね。私はこの仕事にはそういうことがあっちゃならぬと思うのです。それは何かと申しますと、冷房もつくらなくちゃならぬ、暖房もつくらなくちゃならぬ、どうだこうだといって、金のかかるような問題等が建築家の遊びとして出てくると、これはとんでもない問題になってくる。ますます卸センター等の弱小なる人たちが入り切れなくなってくる。負担が大きくなってくるのですよ。むろんこれには基準法上ばかりでなくて、十分にその壁面とかなんとか、いろいろなものに対する監督はこれは建設省だということだと思いますが、それはするけれども、それはそれきりのことなんだ。そんなに建設省がきめこまかい指導ができるならば、いままで日本のこの社会に建築的な不安はないわけなんです。これはみんなの意思じゃない。一人の意思でそういうことになると、これはまた入り切れない。入ることが今度はできなくなってくる、負担が重くて。これは非常に困るのです。だから私はどういう形のものをつくろうとするのか。これはけっこうですよ、もう一切の設備の完備した建物ならば一番いいでしょうけれども、それならば坪当たりの単価はうんと上がってくる、建築家は遊びをするわけです。そういう形のものができると困る。同時にまた、むろん地域における都市の美観というものを考えなければならぬ。美観というものとそれから建築費というものは、決して美観がよくなれば高くなるというものじゃないのです。そういう点でどの程度まで指導しようとするのか聞いておきたいのです。観念的な問題じゃなくて実際上の問題なんです。かつて私は瀬戸山さんにこういうことを言ったことがあります。鉄骨を主体とする構造物で、それに現在の耐火構造というものが安全率が高過ぎると。だからこれに多少の被覆をしただけでもって認めるというような主として鉄骨を使った建築にしたらどうか。そうしてなるべく建築単価が安くなるような、そうして堅牢にして美しいものをつくったらどうかということをすすめたことがございます。十分にそれは建設省で検討しようということを言っておりましたけれども、私はこんなものこそ——建築基準法なんというものは人間がつくったものです。当然これはもう改正しなければならぬような段階に立ち至っているものが多々ございます。そういうものこそモデルとして利用したらいい。結局一坪十八万だ二十万だ二十五万だなんていったって零細な人たち入れきれない。たとえば賃貸にしてもこの家賃が高くなるのですよ。しいて申しますならば、住宅公団で行なっている宅地造成の費用、取得の費用というもの、この処分価格というものを原価主義で持っていって、それに建築費を相当くふうして安くてよいものをつくるということこそ必要なんです。なぜならば、この法律によって、ある面の人たちはここでうんともうかると思って行く人たちもいましょう、たとえばトラックターミナルとか、共同倉庫の人たちはそういう目的で行くでしょう、この地域における独占企業ですから。しかし中小企業は決して一業一店で行くのではございません。たくさんの同業者も集まるわけです。その場合には資本構成の強いものと弱いものとの差異が出てくるし、いろんな問題がそこにできてくる。それらが全部納得するような、自分で負担できるような、究極賃貸価格でやれるようなものをつくることが第一です。遊びが多過ぎるということです。その意味でどういうものがどういう形でどういう程度のものをつくるということを、いまからきめなければならぬと思うのですよ、この法律の通るときにはですね。非常に危険を感ずるのです。大阪の市街地改造事業ところなどは一番安くて五階でも六階  でも一坪八十万円からです。これにはむろん諸権利が入っているから高くなると思います。けれども地価が、ここでもって何も住宅公団がもうける必要ないでしょう。これは必ず売れるのです。いま住宅公団が行なっているところの工場団地と違ってこれは必ず売れるのです。売れるところから高く取るなんという考え持たないで、これは建設大臣、原価主義でいらっしゃい。そして多くの人たちが、行きたがっている人たちが軽い負担でここに入れるという行き方をするように措置していただきたいのですよ。だから宅地造成の処分計画の宅地の価格というものは原価主義、そしてでき上がる建物というものは十分に地域環境にマッチしたよいものをつくりながら、くふうをして安いもの、安いもので悪いという意味ではございませんよ、よくて安いものをつくる。その場合には建築基準法のいろいろな制約があろうとも、これは改正してもいいから、安全というものが守れるならば、勇気をもってそれを行なうというような態度が私は望ましいのです。建設大臣ひとつ答弁してください。
  187. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) おっしゃるとおり、これは大きな政策目的でやる事業であります。と同時に、町の中の総合ビルディングなどとこれは種類が違うわけであります。あるいは市場であったり、あるいは倉庫であったり、あるいは卸人の団地であったり、センターであったり、こういうことでありますから、それにふさわしい建築ということが第一であろうと思います。もちろんその他の防火防災等の問題はこれは当然でありますが、先ほど来各省からいろいろ業界等との打ち合わせ、相談の結果やりたい、これは当然であります。その計画がまとまって、一団地のまとまった市街地ができるわけでありますから、そういう指導と申しますか、相談は当然あるべきであります。したがって、そういう団地に移って事業ができる、成り立つという設計建築、これはまあそれが前提にならなければ、ホテルに泊まりに行くわけではないわけですから、そういう点は各事業官庁でよく指導をして、また相談をしてやるということは当然であります。  地価の問題おっしゃいましたが、もとよりこれは公の地方公共団体、あるいはまあ公団が原則としてやるのですから、これは土地によってもうけようということでは全然ありません。その点は御承知のとおり十分注意をしてまいりたい、かように考えております。
  188. 田中一

    田中一君 いまの答弁では不十分ですけれども、不十分というのは、ぼくの結論づけてほしいこと、ことばが足りなかったという意味ですよ。しかしまあそういう意味で、よくて安いものをつくるというなら非常に幸いです。ただそこに各省の思い思いの計画で思い思いに建てるということは、ひとつ各省から一ぺん意見聞きたい。えてしてあなた方は官僚主義、まあことばが過ぎたらあやまりますよ。まあ同じような種類の仕事をするにしても、たとえば住宅問題にしても、労働省が労働者住宅なんていうことを言い出すと、すぐ厚生省は何とか何とかの住宅方式をとる、建設省は今度はいや産業住宅なんて出てくる。自分のなわ張り、セクトが非常に強いのですよ。これが常に総合性を失うのです。ことに私がお願いしたいのは、建築の設計の問題でそれぞれ好み好みがございます。また通産省通産省のカラー、農林省その他のおのおの持っているカラーがあるでしょう。見るとわかる。あなた方がつくっている地方の建築を見ても、みんなそれぞれ電電公社は電電公社らしいやつ、警察は警察らしいやつ、みんなそれぞれの官庁の特色を持っておる。そんな必要ないのにことさらに特徴を持たせようというところに遊びがあるわけです。私は今の計画は、モデルとしてそれ相当の多数の建築家を集めて総合的な建設計画、マスタープランをつくり、共同設計というような形でもって英知を集めてやる。したがって金を出す、あるいは呼び水をするような各省がそれぞれの問題についても自分を捨てることです。そして地域の諸君——地域の諸君を忘れちゃ困りますよ。当該入居者のほかに地域のものにも親しみとそれから美しさを感ずるようなものにつくり上げるようにしていただきたい。各省各省がかって気ままに単独でおれは彼に、おれはだれに——ここに建築屋の石井さんもいるけれども、おれは石井さんだ、おれは稲浦さんだなんていうことなくして、それぞれの英知を集めてやるような総合的なものにしてほしい。宮城にしても、施工者でも共同にやらしているのです。そこにむだがなくなってきてよいものができますから、建設大臣十分にその点指導して、各省の連絡をとって、かって気ままなまねはさせないようにしてほしいと思うのです。これは最後の質問の答弁として願います。
  189. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 御趣旨のことは非常に傾聴する御意見であります。各省それぞれ担当官がおられるはずでありますから、御趣旨に沿って、先ほど公共性の問題も出ましたような問題でありますから、十分にその点を注意してまいりたい、かように考えております。
  190. 田中一

    田中一君 では、これでけっこうですが、そこでもう出しおくれても、政令、省令の案を全部出してください。いつまでに出してくれますか。こういう法律案審議には政令、省令を出さないで審議をしてくれなんていうことはよくないことですよ、瀬戸山さん。
  191. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 政令は準備してございますのですぐ出せると思います。省令は手続規定でございます。それも早急に出します。
  192. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。  なお、討論採決は後日に譲ることといたします。   速記をとめて。   〔速記中止
  194. 松永忠二

  195. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、往宅建設計画法案議題といたします。  この際、おはかりいたします。本案審査のため、必要な場合には、日本住宅公団及び住宅金融公庫の役職員を参考人として随時出席を求めることとし、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それでは、本案につきましては、すでに説明を聴取しておりますので、これより質疑を行ないます。本案についての質疑のある方は、順次御発言願います。  なお、瀬戸山建設大臣、尚住宅局長のほかに、参考人として、日本住宅公団から林総裁が、また住宅金融公庫から師岡総裁が出席いたしております。
  197. 前川旦

    ○前川旦君 ただいまの委員長の御発言にありましたように、本日の質疑は五時で打ち切るそうでございますので、あとわずかしかございません。そこで、本日は質疑にこれは入ることはできないのではないかということを懸念されるわけでございますが、一応私のほうで、この住宅計画法案、これはいまの住宅難に苦しむ国民の立場からいたしますと、まことに重要な内容を含んだ法律案であると思います。もちろん、法律案そのものは、単なる手続法でございますけれども、その基礎になっておりますのが、住宅五カ年計画、したがいまして、慎重な審議を私は参議院においてもすべきであると思います。  そこで、一応、あらかじめ私が質問したいと思う項目について、皆さん方にお知らせをしておきたいと思います。  まず第一点は、住宅問題解決に対する政府の責任はどうなんだということであります。第二点は、国民の住宅政策に対するビジョンというものが欠けているということを一般的に言われているのでありますが、はたしてこれがあるのかどうかということであります。第三点は、そういうビジョンに対して、ビジョンを目標にして、どのような努力をなされておられるかという点であります。第四点では、今回の住宅建設法案で非常に強く打ち出されております持ち家主義の是非についてであります。第五点は、この五カ年計画都市計画との関連についてであります。第六点は、農村住宅の改善の問題であります。第七点は、四百万戸と予想されている民間自力建設の問題であります。第八点は、この計画の成否を決定をする宅地の問題であります。第九点は、住宅政策に対する各官庁なり行政機関の総合統一の問題であります。第十点は、今回の五カ年計画の内容に対する質疑でございます。そのほかにもう一点準備してございます。  以上の十一項目が私がこの住宅計画法案について質問申し上げたい趣旨でございます。  そこで、瀬戸山建設大臣にお伺いいたしますが、まず今日の住宅不足を真剣に解決するこの姿勢に対して、私は尊敬のことばを申し上げたいと思います。決してわれわれ日本社会党は、あげ足とりをやるというのじゃなくて、前向きに実現するという意味で質疑をしたいと思います。そこでまず第一に、建設大臣はいまの住宅難というものがどこから発生をして、何によってこの住宅難が出てきたのだ、大臣としてはどのようにそれを認識されておるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  198. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) いろいろ原因と申しますか要素があると思います。おおむね考えられることは、御承知のとおり戦争によって莫大な住宅が破壊を受けたと同時に、海外からの引き揚げ等によって急激に人口の増加があった。なおその後の自然人口の増加があった。それからもう一つ、特に顕著に言えることは、御承知のとおり産業経済の急激な発展に伴なう構造変化、地域的な変化、こういうもので人口の移動が急激に行なわれた。いわゆる産業地帯に対する集中が急激に行なわれた。当然人間でありますから住まいがなければならない。それからもう一つは、御承知のとおり古い日本の社会では、五人あるいは七人、十人と大家族主義でありましたけれども、戦後の社会風潮、生活形態というものは変わってまいるわけであります。世帯分離と世間で言われておりますが、それぞれ夫婦別々——夫婦別々というとおかしゅうございますが、夫婦は家庭を別につくりたい。いわゆる世帯分離の傾向が強まっておる、こういういろいろの要素があると思います。これが原因であります。と同時に、戦後のそういう事態に対する住宅の非常に重要性、もちろんこれは不問に付したとはいいませんが、その住宅と人間との関係というものに対する切実な認識の度合いが不足であったと、率直に私は認めます。歴代の政府も努力いたしておりましたけれども、その努力に情熱に欠けるところがあった。そういうことが重なって、今日それこそ緊急なきわめて重大な事態になっておる、こういう認識の上に立って、私ども住宅政策に立ち向かわなければならない。これが私の考え方でございます。
  199. 前川旦

    ○前川旦君 たいへん謙虚な御答弁をいただきまして、たいへんごりっぱだと思いますが、なお一つ重ねてお伺いをしておきますが、ただいま大臣おっしゃいました、戦災あるいは疎開、引き揚げ、こういった戦争に起因するもの。第二にはいわゆる高度経済成長に伴うところの人口の急激な移動集中、さらにはまた世帯の分離、この世帯の分離については、これはもう昔の封建的な家族制度は崩れてきたわけですから、これは世の中の進歩とともに必然的に起こってきた問題であります。こういう原因について、私は国民の側から見て責任は何もない。これはやはりすべて政治が責任をとるべきである。政府の政策によって起きてきたのである。こういうふうに私は理解をするのでございますが、このような住宅難についてはやはり政府に責任があり、政治に責任があるということを大臣はお考えになりますか。
  200. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) すべての原因が政府に責任があるとは考えておりません。あえて政府の責任を回避するわけではございませんが、人口増その他全部が政府に責任があるとは思いません。ただし、こういう事態が生ずるという見通しの甘かった点、あるいはこういう事態が生ずるということがわかっていながら、住宅問題に対する情熱が足らなかった。国としての情熱が足らない。そういう意味において私は責任を回避するものではないということであります。
  201. 前川旦

    ○前川旦君 それではお伺いをいたしますが、この法律案の中には、住宅問題は政府の責任で解決をするということが実は明確になっておりません。で、この法案がいろいろと論議をされました過程の中で、政府の方々の発言の中に、たとえば雑誌とか新聞とかに発表されたり、談話されたり、その中にこれをもって政府の責任を明らかにするのだというようなことが書かれてあったように私は思うわけです。しかし、この法案の第一条、あるいは第二条を見ましても、国民に住宅を提供して住生活を完備させるのは政府の責任であると、政府が責任を持ってやるのだということが実は明記をされていないわけです。私はこの点はやはり大事な点だと思いますので、実は建設大臣から住宅問題を解決し、健全な住生活を国民に与えるのは、これは政府の責任である、責任を持ってこういうことをやるという強い意思表示というものを私はしていただきたいと思います。
  202. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) まあいかなる行政と申しますか、施政でも政府の責任が大半であります。さればといって、それに関する法律政府の責任云々ということを書いた例はございません。そういう意味でその点はひとつ御了解を願いたいと思います。しかし、住宅対策を充足して解決するということは、これはまさに政府の最高の責任であると、私どもはそういう認識を持っておるわけでございます。さればといって、これを政府がなぜ六百七十万戸建てるという決意をしないか、決意をしようが、現在しましても実現不可能でありますから、これは民間の力も借りて国民的な努力によってやりたい、かような考え方でございます。
  203. 前川旦

    ○前川旦君 私は政府が住宅については責任があるんだと、こういうことをいわれたからといって、いま現実にそうなっていないから、それはいけないんだと、こういうせっかちなことは実は私は言いたくないと思っている。そうではなくて、やはりこれは姿勢の問題、心がまえの問題として最善の努力をして、一つの時点でとらえた場合に、まだやはり足りない、まだ届いていない、こういうことは私はかまわないと思いますが、姿勢として全力をふるって政府が責任を持って住宅問題を解決するのだ、こういうふうな強い決意と責任感というものを実は私は政府に持ってもらいたいということを強く考えるわけです。
  204. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 住宅問題の解決はきわめて重大であるし、また困難であります。けれども、まあ政府の決意のほどは、この一片の住宅計画法の成立によって免れるとは思いませんけれども、従来一つ構想を立てて住宅建設計画を遂行しておりましたけれども、今回国会に計画法案をお願いして、そして国の最高機関の意思としてきめてもらって、それに基づいて計、画を立ててこれをぜひ充足したい、この姿勢はひとつぜひ御理解を願いたい。非常な決意を持っておるということを御理解願いたい、かように考えます。
  205. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会      —————・—————