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1966-06-09 第51回国会 参議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月九日(木曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————    委員異動  六月八日     辞任         補欠選任      田代富士男君     白木義一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 石井  桂君                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 青木 一男君                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 平泉  渉君                 米田 正文君                 田中  一君                 達田 龍彦君                 前川  旦君    国務大臣        建 設 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    参考人        日本道路公団総        裁        富樫 凱一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○流通業務市街地整備に関する法律案内閣提  出) ○国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  昨八日、田代富士男君が委員を辞任され、その補欠として白木義一郎君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 流通業務市街地整備に関する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに説明を聴取いたしておりますが、その補足説明を聴取いたします。竹内都市局長
  4. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) ただいま議題となりました流通業務市街地整備に関する法律案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  まず、第一章総則でございますが、第一条でございます。  第一条は、この法律目的を定めたものであります。この法律は、都心区域流通業務施設が過度に集中しているため流通機能低下及び自動車交通渋滞を来たしている東京都、大阪市等の大都市におきまして、流通業務市街地整備するため、所要の事項規定することによりまして、流通機能向上及び道路交通円滑化をはかり、もって都市機能の維持及び増進に寄与することを目的といたしております。  第二条は、この法律において使用されております特別の用語定義を定めたものであります。  第一項は、流通業務施設について定めておりまして、その内容は、この法律の第五条第一項第一号から第五号までに掲げる施設、すなわちトラックターミナル等貨物の積みおろし施設卸売り市場倉庫等保管施設上屋等荷さばき施設及び運送業倉庫業卸売り業等の用に供する事務所もしくは店舗をいうものといたしております。  第二項は、流通業務団地造成事業について定めておりまして、その内容は、都市計画として決定された流通業務団地について、この法律の定めるところに従って行なわれるトラックターミナル鉄道貨物駅または中央卸売り市場及びこれらに密接な関連を有する流通業務施設の全部または一部の敷地造成及び処分、並びに、あわせて整備されるべき公共施設及び公益的施設敷地造成またはそれらの施設整備に関する事業等をいうものといたしております。  第三項から第九項までは、施行者公共施設公益的施設等、この法律で用いるこの他の特別な用語定義を定めております。  次は第三条でございますが、第三条は、流通業務施設整備に関する基本方針について定めたものでありまして、第一項は、その基本方針は、経済企画庁長官農林大臣通商産業大臣運輸大臣及び建設大臣協議によりまして、都心区域流通業務施設が過度に集中しているため、流通機能低下及び自動車交通渋滞を来たしている東京都、大阪市その他政令で定める大都市及びその周辺の地域について策定することを定めております。  第二項は、基本方針においては、当該大都市における流通業務施設機能及び立地に関する基本的事項流通業務地区の数、位置規模及び機能に関する基本的事項並びに流通業務地区内の流通業務施設の種類、規模及び機能に関する基本的事項を定めることを規定いたしております。  第三項は、基本方針策定にあたっては、物資の流通量流通機構の改善、自動車交通量道路鉄道等交通施設整備に関するそれぞれの見通しを勘案すべきことを定めております。  第四項は、首都圏または近畿圏に含まれる大都市に関する基本方針策定にあたっては、首都圏整備計画または近畿圏基本整備計画に適合しなければならないことを定めております。  第五項は、基本方針策定にあたっては、あらかじめ、自治大臣の意見を聞くべきことを、それぞれ規定いたしております。  次は第三章でございます。  第四条でございますが、第四条は、流通業務地区指定について定めたものでありまして、第一項は、建設大臣は、前条第一項の大都市における流通機能向上及び道路交通円滑化をはかるため、幹線道路鉄道等交通施設整備の状況に照らして、流通業務市街地として整備することが適当と認められる区域につきまして、都道府県知事の申し出に基づき、都市計画施設として流通業務地区指定することができるものといたしております。  第二項は、流通業務地区指定は、前条規定により定められた基本方針に基づいて行なうべきことを規定いたしております。  第三項は、流通業務地区指定する場合には、当該地区流通業務市街地として整備されるために必要な公共施設に関する都市計画をあわせて決定しなければならないことを規定いたしております。  第五条でございますが、第五条は、流通業務地区を良好な流通業務市街地とするために必要な規制について定めたものでありまして、当該地区内におきましては、都道府県知事許可を受けた場合のほかは、第一号から第九号までに掲げる施設以外の施設建設等をしてはならないものといたしております。  流通業務地区内において許されている施設としては、第一号から第八号において流通業務施設、これに関連する金属板紙等の切断、木材の引き割り、製永、冷凍等事業の用に供する関連工場、及びこれらの施設の利便の用に供される自動車駐車場自動車修理工場等施設規定しておりますが、以上の諸施設のほか、さらに第九号では、流通業務地区機能を害するおそれがないと認められる施設政令で定めることといたしております。  第二項及び第三項は、第一項の規定の適用の除外及び建築基準法用途制限規定の一部が適用されないことを定めております。  第六条でございますが、第六条は、前条第一項の規定に違反した施設所有者又は占有者に対して都道府県知事は、必要な是正措置を命ずること等を定めたものであります。  次は、第七条でございますが、第七条は、流通業務団地に関する都市計画を決定する場合における土地区域要件及びその都市計画において定めるべき内容を定めたものであります。  第一項は、このうち流通業務団地に関する都市計画を決定する場合における土地区域要件について規定したものでありまして、第一号では、幹線道路鉄道等交通施設の利用が容易である位置であることを規定いたしております。第二号では、トラックターミナル鉄道貨物駅または中央卸売り市場及びこれらと密接な関連を有する流通業務施設敷地がこれらの施設において取り扱う貨物集散量及びこれらの施設の配置に応じた適正な規模となるものであることを規定いたしております。第三号では、良好な流通業務団地として一体的に整備される自然的条件を備えていることを規定しております。第四号では、その区域内の土地の大部分が建築物敷地として利用されていないことを、それぞれ要件として規定しております。  第二項及び第三項は、流通業務団地に関する都市計画において定めるべき内容について規定したものでありまして、第三項ではその内容として、前項第二号の施設敷地位置及び規模並びに公共施設及び公益的施設位置及び規模を決定することを規定いたしております。第三項では、建築物の建蔽率及び容積率並び建築物の高さまたは壁面の位置制限を定めることを規定いたしております。  次は第八条でございますが、第八条は、流通業務団地に関する都市計画を決定する場合における基準を定めたものでありまして、第一号は、道路自動車駐車場その他の施設に関して、すでに都市計画が決定されている場合には、その都市計画に適合するようにすべきことを規定いたしております。第二号は、流通業務施設が適正に配置され、かつ、各流通業務施設を連絡する適正な配置及び規模道路その他の主要な公共施設を備えることにより、その区域流通業務地区の中核として一体的に構成されることとなるように定めるべきことを規定いたしております。  次は第四章でございます。  第四章の第一節の第九条でございますが、第九条は、流通業務団地造成事業は、都市計画として決定された流通業務団地造成する事業でありますので、都市計画事業として施行することを定めたものであります。  第十条でございますが、第十条は、流通業務団地造成事業施行者について定めたものであります。  第一項は、流通業務団地造成事業は、ただいま申し上げましたとおり、都市計画事業として施行することといたしておりますが、その施行者につきましては、都市計画法第五条の規定によらず、本条第二項の定めるところによることといたしておりまして、第二項におきまして、地方公共団体または日本住宅公団建設大臣流通業務団地造成事業施行することを申し出て施行者としての指定を受けたものが施行することといたしております。  次は第二節でございます。  第二節のうちの第十一条から第十六条までは、流通業務団地造成事業施行するために必要となる測量及び調査のための土地の立ち入り、障害物及び土地試掘等並びにこれらの行為に伴う損失の補償、測量のための標識の設置関係簿書無償閲覧等について定めたものであります。  第十七条でございますが、第十七条は、流通業務団地造成事業施行すべき土地区域内における建築行為等制限について定めたものでありまして、流通業務団地造成事業の円滑な施行をはかるため、土地の形質の変更、建築物新築等、一定の行為について都道府県知事許可を受けることを要することとし、第四項以下におきまして、建築行為等制限に違反した行為に対する是正措置及びその手続等について定めております。  第十八条でございますが、第十八条は、施行者に対し、事業施行公告区域内の土地建物等先買いについて周知措置事業概要地元住民に対する説明等事業施行を周知させるために、必要な措置を講ずべきことを定めております。  第十九条でございますが、第十九条は、土地建物等先買い制度について定めております。流通業務団地造成事業は、相当規模の一団の土地をその対象とすることにかんがみ、その用地収得円滑化をはかるため、第一項におきまして、区域内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、その旨を施行者届け出なければならないことといたし、第二項におきまして、届け出があった後三十日以内に施行者が買い取るかいなかを判断し、買い取るべき旨の通知をしたときは、届け出書記載の金額で、施行者届け出をした者との間に売買契約が成立したものとみなすこととし、さらに第三項におきまして、届け出があった後三十日以内または施行者が買い取らない旨の通知をした時までの期間は他に譲り渡してはならないということといたしております。  次は第二十条でございますが、第二十条は、土地買い取り請求について定めたものでありまして、第一項におきまして、区域内のさら地の所有者は、施行者に対し当該土地を時価で買い取るべきことを請求することができることとし、第二項におきまして、価額については協議により定めることとし、第三項におきまして、協議不成立の場合収用委員会裁決を申請すべきこととし、第四項におきまして、収用委員会裁決及び裁決に不服がある場合の訴えについては土地収用法規定の例によることといたしております。  次は第二十一条でございますが、第二十一条は、流通業務団地造成事業のため必要な土地等収用について定めております。  第一項は、流通業務団地造成事業公共性にかんがみ、施行者は、その施行する事業のため必要な土地及び権利収用することができることといたしております。  第二項は、流通業務団地造成事業が相当の規模にわたって施行されるものでありますので、関係権利者を保護するため、前項の規定により土地又は権利収用される場合には、その土地に正当な権利に基づいて建築物その他の土地に定着する工作物を所有する者は、一般にその建築物等収用を請求できることといたしております。  次は第二十二条でございますが、第二十二条は、流通業務団地造成事業施行のため欠くことのできない材料置き場等施設設置のため必要な土地に関する使用権を定めたものであります。  第二十三条でございますが、第二十三条は、流通業務団地造成事業のための土地等収用及び材料置き場等設置のための土地等の使用については、この法律に特別の規定がある場合のほか、土地収用法規定を適用すること及び都市計画事業にかかる収用に関し特例を定めた都市計画法規定が準用されること等を定めております。  第二十四条は、流通業務団地造成事業施行に必要な土地等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者の生活の再建の措置について定めております。  次は第三節でございます。  第二十五条及び第二十六条は、事業計画及び処分計画について定めたものでありまして、施行者は、事業計画を定めたときは建設大臣に報告し、処分計画を定めようとするときは、建設大臣の認可を受けなければならないものといたしております。  次は第二十七条及び第二十八条でございますが、第二十七条及び第二十八条は、処分計画策定基準を定めております。  すなわち、第二十七条におきましては、造成敷地等処分価額について、類地等の時価を基準とし、かつ、用地の取得及び造成に要する費用等を勘案して決定するように定めるべきことを規定いたしております。  第二十八条は、処分後の造成施設等のうち、都市計画が決定されているものについてはその都市計画に適合するように、その他のものについては流通業務団地にふさわしい規模及び用途の流通業務施設等建設されるように定めるべきことを規定いたしております。  次は第二十九条でございますが、第二十九条は、施行者事業計画及び処分計画策定にあたっては、あらかじめ、関係ある公共施設管理者又は管理者となるべき者等協議すべきことを定めております。  次は第四節でございます。  第三十条は、工事完了届け出及びその公告について定めております。  第三十一条及び第三十二条は、流通業務団地造成事業により設置された公共施設管理及び公共施設敷地の帰属について定めたものであります。  第三十一条では、設置された公共施設管理は、原則として地元市町村が引き継いでいくことを規定し、第三十二条では、その公共施設敷地は原則として公共施設管理者に帰属する旨を規定いたしております。  第三十三条におきましては、造成施設等処分は、この法律及び処分計画に従って処分すべきこと並びにその場合の処分については、地方公共団体の財産の処分に関する法令の適用がない旨を定めたものであります。  次は第三十四条でございますが、第三十四条は、造成敷地等は、政令で特別の定めをするものを除き、その譲受入を公募しなければならないことを定めております。  次は第三十五条でございますが、第三十五条は、公募による造成敷地等の譲り受け人の資格について定めたものでありまして、その要件としては、敷地においてみずから流通業務施設を経営しようとする者であること、流通業務施設建設及び経営に必要な資力及び信用を有するものであること、並びに譲り渡しの対価の支払能力がある者であることを定めております。  次は第三十六条でございますが、第三十六条は、公募による造成敷地等の譲り受け人を選考する場合の順位について定めたものでありまして、第一順位としては、流通業務施設敷地流通業務団地造成事業に必要な土地として提供した者を、第二順位としては、大都市都心区域内から流通業務施設を移転しようとする者を、第三順位としては、大都市都心区域内に流通業務施設を有する者でそれと同一業種の流通業務施設を増設しようとする者を、第四順位としては、以上に規定する以外の者を、それぞれ定めております。  第三十七条は、流通業務施設建設義務について定めたものでありまして、第一項は、国、地方公共団体等を除き、敷地を譲り受けた者は、施行者が定める期間内に、建設計画を定めて施行者の承認を受け、それに従って流通業務施設建設すべきことを規定し、第二項は、第一項の規定に違反した場合には、敷地譲渡契約を解除することができることを規定しております。  第三十八条は、造成敷地等転売等による不当な利益の収受を抑制し、あわせて造成敷地等の合理的な利用を確保するため、工事完了公告の日の翌日から起算して十年間は、造成敷地等又は造成敷地等である敷地の上に建設された流通業務施設等について、これを他人に譲り渡し、あるいは使用収益目的とする権利を設定し、又は移転しようとする場合には、一定の場合を除き、当事者は都道府県知事の承認を受けなければならないことを定めております。  第三十九条は、前条規定による権利処分制限があること等にかんがみまして、これを周知させるため、造成施設等を表示した図書の備え置き標識の設置等について定めております。  第五章でございます。  第四十条は、流通業務団地造成事業に要する費用は、施行者が負担する旨を定めております。  第四十一条は、書類の送付にかわる公告について定めております。  第四十二条は、事業資金の調達、農地の転用に関する配慮等を定めたものでありまして、第一項及び第二項においては、国は、施行者に対し、事業資金の調達について配慮すべきこと、及びこの事業により造成された敷地流通業務施設建設しようとする者または流通業務団地に関する都市計画に従い流通業務施設建設しようとする者に対し、必要な資金のあっせんに努めるべきことを規定しており、第三項においては、農林大臣または都道府県知事は、流通業務団地内の農地等流通業務団地造成事業または流通業務団地に関する都市計画に適合した流通業務施設の用に供するため農地法規定による許可を求められたときは、その事業施行又は流通業務施設建設が促進されるよう配慮すべきことを規定しております。  第四十三条及び第四十四条は、施行者建設大臣等に対する技術的援助の請求及び流通業務団地造成事業の適正な施行等を確保するための建設大臣監督処分について定めております。  第四十五条は、国及び地方公共団体が、この事業関連して必要となる公共施設整備につとめるべきことを定めております。  第四十六条は、この法律に基づき、建設大臣が行なう流通業務地区指定流通業務団地に関する都市計画の決定及び処分計画の認可にあたっては、関係大臣と事前に調整すべきことを定めております。  第四十七条は、地方自治法規定する指定都市の長について都道府県知事同様の取り扱いをする旨定めております。  第四十八条は、この法律の実施に必要な事項政令に委任する旨を定めております。  第六章 罰則でございます。  第四十九条から第五十三条までは、必要な罰則について定めております。  附則でございます。  附則第一項は、この法律は公布の日から施行する旨を定めたものであります。附則第二項は、都市計画法の一部を改正して、都市計画として決定された流通業務団地区域内における建築物に関する都市計画上必要な制限政令規定し得る等の措置を講じようとするものであります。附則第三項は、公有水面埋立法の一部を改正して、この事業による溝渠またはため池の変更のため必要な埋め立てについては公有水面埋立法を適用しないこと等の措置を講じようとするものであります。附則第四項は、建設省設置法の一部を改正して、この法律施行に関する業務建設本省所掌事務に加えようとするものであります。附則第五項は、日本住宅公団法の一部を改正して、流通業務団地造成事業施行することを日本住宅公団業務の範囲に加えようとするものであります。附則第六項は、租税特別措置法の一部を改正して、土地収用法等による収用等の場合の譲渡所得に対する所得税又は法人税の賦課の特例をこの法律による収用等の場合についても認めようとするものであります。附則第七項は、住宅地造成事業に関する法律の一部を改正して住宅地造成事業施行地区内に流通業務地区にかかる土地が含まれる場合には、住宅地造成事業施行を認可しないものとするための措置を講じようとするものであります。  以上をもちまして、この法律案逐条ごと補足説明を終わります。
  5. 松永忠二

    委員長松永忠二君) それでは、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。  なお、政府側から瀬戸山建設大臣及び竹内都市局長が出席いたしております。
  6. 達田龍彦

    達田龍彦君 この流通業務市街地整備に関する法律でありますけれども、この法律は、都市問題、とりわけ大都市あるいは過密都市対策の一つとして私は提案されたかと思うのでありますが、今日大都市問題あるいは過密都市問題としていろいろな弊害が、問題点が論議をされ、社会問題になっておるのでありますが、まず、お尋ねをしておきたいのは、大都市問題あるいは過密都市問題の今日的な問題点、顕著な弊害、こういうものをどう考えておられるか、まずそれをお伺いしておきたいと思います。
  7. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 東京大阪等大都市におきます過密都市対策というものにつきましては、建設省におきましても、いろいろ検討をいたしておるところでございますが、さきに昭和三十八年、三十九年に、建設省で、大都市開発懇談会というのを持ちまして、東京大阪について、再開発基本構想というものが打ち出されておるわけでございます。その考え方に従いまして、現在大都市の再開発の仕事をわれわれとしては進めようという考えでいるわけでございますが、その内容を簡単に申し上げますと、第一は、大都市への人口集中を押えるという意味におきまして、都市機能分散をはかっていくということが第一点でございます。地方都市の振興あるいは衛星都市開発によりまして、東京への無秩序な人口産業等集中を防ぐということは当然でございますが、同時に、工場大学等既成市街地の中で制限いたしまして、それを周辺衛星都市に受け入れていく、あるいは研究所等分散をはかるというようなことにいたしまして、東京は、真に首都として必要な中枢的機能を中心にして再編成するというような考え方が一点でございます。  さらに、東京の中、あるいは大阪の中におきましては、現在の都市構造が都心にいろいろな機能集中しているために、通勤交通あるいは道路交通等が行き詰まってくるということがございますので、一点集中型の都市構成を多心型の都市に構成を改めていくということを考えていくべきじゃないかということで、現在都心にございます業務、消費、流通というようないろいろな施設の中で、特に自動車交通等に影響がございます流通関係の施設につきましては、これを郊外地区で交通の非常に便利なところに配置することによりまして、都心へ二重交通が入ってくることを防ぐとともに、交通量の制約を考えていくというような、ただいま御提案しております流通施設の再配置というようなことが一点でございます。  さらに、東京大阪等につきましては、東京でいいますと新宿あるいは池袋というようなところに副都心を設定いたしまして、必ずしも都心になくてもいいような業務施設につきましては、その副都心に立地することを誘導していくというようなこと、そういうようなことによりまして多心型の都市構成に変えていく、そのためには、もちろんそれに応じたような交通体系を整備する必要があるということで、各種の街路あるいは高速鉄道あるいは高速道路あるいは駐車場、その他の施設というようなものを、そういうような構想に合わせて整備するということを考えているわけでございます。その他、たとえば都心地区につきましては、容積地区制というようなもので、建物の容積をある程度制限いたしまして、建築構成が合理的な形にいくように考えていくというような考え方で、現在大都市の再開発を行なっておるわけでございます。
  8. 達田龍彦

    達田龍彦君 三十八年のこの大都市の再開発に対する答申の内容を具体的にいまからしていこう、こういう御説明でありまして、私も一回読んでみましたけれども、いろいろ大都市開発の問題について触れられている点があるのでありますが、そこで、いま御説明の中にもありましたように、流通センター構想というのも、この大都市開発の答申に基づいて具体的に実施をしていく、こういう御説明でありますけれども、この答申は、大都市開発に関して建設省としてはどういうふうに今後生かそうとしておるか。いま御説明の中では、答申の内容は御説明としていただきました。しかし、これをどういうように生かそうと、具体的に計画をされ、進めておるか。いまの流通センターの問題は、その一環としての一方策であるわけです。これはまた具体化だと私は思う。しかし、大都市開発の答申の内容というのは、それだけではないわけです。いろいろな大都市開発の、いわゆる機能回復のための機構改革というものを答申は出しておるわけです。しかも、それは三十八年に出しておるわけでありまして、その答申の具体的な計画、また建設省として、この答申をどういうふうに位置づけて、今日まで取り扱ってきたのか、こういうところについてお答えをいただきたい。
  9. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 建設省といたしましては、この再開発基本構想に沿って、大都市の再開発を進めていくという考え方で、いままで仕事をしてきたわけでございます。じゃ、具体的にどういう施策をやっているかという御質問でございますが、工場、学校等の制限は御承知のとおりでございますし、それにつきまして、首都圏のうちで工業団地等を造成いたしまして、衛星都市建設をやっておるということは、御承知のとおりだと思います。建設省でやっておりますのは、さらにそういうような工場の移転あと地を合理的に利用いたしまして、市街地の再開発を促進する、そういうような意味におきまして、この前御審議いただきました都市開発資金というようなものによりまして、大都市に立地することを要しない工場等の移転の促進、あるいはあと地の計画整備をはかっていくということを考えておるわけでございます。  それから事務所等の中枢管理機能の移転でございますが、これは東京におきましては、東京都が都市計画決定をいたしまして、淀橋の浄水場のあとに、まあ新宿副都心という構想を現に進めております。また池袋につきましては、これも池袋副都心計画として決定いたしまして、巣鴨の拘置所あとの副都心計画というものを現在進めているわけでございます。  それから容積地区、先ほど申し上げました容積地区につきましては、すでに東京都におきましては、環状六号線の内側につきましてはそれぞれ適正な容積率を定めて、容積地区の指定をいたしております。環状六号線の外側につきましては、近くそういうような容積計画の指定をいたそうということで、現在準備を行なっておる段階でございます。  それからさらに、先ほど申しました交通施設整備につきましては、現在環状六号線の内側につきましては、大体二十年くらい先の交通需要にたえるような街路計画を設定しておりますし、環状六号線の外側につきましては、現在街路計画並びに高速道路計画網を変更して、二十年後の交通需要に対処し得るような決定をしようとしておるわけであります。  その他大量輸送機関の鉄道等整備につきましては、これは建設省の所管ではございませんが、それぞれ国鉄、私鉄、あるいは地下鉄につきまして、それぞれの整備計画に基づいて整備中でございます。
  10. 達田龍彦

    達田龍彦君 それは総合計画書かなんかありますか、大都市開発のためのあらゆる分野にわたった総合計画の計画書。
  11. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 総合計画という形では定めておりませんけれども、こういうよう答申に基づきまして、現在どういうことをやっているかというのを取りまとめたものは、ただいま手元にはございませんが、持っております。
  12. 達田龍彦

    達田龍彦君 あればそれをいただきたい。いいですか。
  13. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) はい、提出いたします。
  14. 達田龍彦

    達田龍彦君 それでは、今回の法律によって東京をはじめ大都市に流通センターを配置していきたい、こういうわけですが、その流通センター施設配置するための区域でございますね、それからその区域の中にある団地をどう造成していくか、この東京はじめ大都市の想定されておる具体的な区域と、それから団地造成の場所、そういう計画があればお示しを願いたい。
  15. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この法律が成立いたしましてから整備計画や流通業務施設整備に関する基本方針というもので、第二号、三号等にございますように流通業務地区の数その他、あるいは流通業務地区内の流通業務施設をどうするかというようなことは基本方針できめるわけでございますけれども、われわれが建設省としていま考えておりますことは、大体この考え方は、都心にあります施設を外側の郊外地区の、交通の便利のいいところに配置しようということでありますので、東京においては、東海道、中央道、あるいは大宮バイパス、東北道及び京葉道という大体五方面に分けまして、それぞれ場所をきめようというふうに考えております。大阪につきましては、山陽あるいは奈良・和歌山という二方面において、それぞれ一カ所を選定して計画を進めておりますけれども、この法律成立後さらにふえてくるかと思います。大体そういうふうに東京では、われわれといたしましては、大きなやつを五カ所くらい、大阪については二カ所ないし三カ所というようなものを考えておるわけであります。
  16. 達田龍彦

    達田龍彦君 その計画書がいただければもらいたいと思います。
  17. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) いま局長からお答えいたしましたことは、建設省がそういう一応の構想を持っているということであります。これは外郭から入る道路との関係、輸送量の関係等を一応頭に置いて、いまお答えいたしましたようなことを考えておる。  それから法律は、先ほど御説明しましたように、農林、経済企画庁、通産、運輸、そういう流通関係、あるいは物資関係の関係官庁と物の動き等をよく相談いたしまして、効果のある団地をつくりたい、こういうことになっておりますので、それは全部計画ができておるというわけではございません。構想という程度ならば差し上げられますけれども、こういう予定であるという明確なものでないということなんですが、いかがでしょうか。
  18. 達田龍彦

    達田龍彦君 建設省の構想程度のものでけっこうです。
  19. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 建設省の構想を資料として御提出いたします。
  20. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで私は、まだ法律をつくることそれ自体にいささか疑問を持っておるのです。流通センターといいますか、陸の港をつくるようになるわけですが、この団地を確保するのに、これは従来でもこういう流通センター的なものを大都市の過密対策の一環として検討していくということは、構想としてあったし、都市計画の一環としても進められているはずだと私は思うのです。で、今日の制度や法律体系の中で、私はこの程度のことがやれないだろうかという気がひとつするわけです。この法律全体を見てまいりますと、土地収用法によって一気に団地をつくり、副都心的な都市をつくっていくという構想になる。それで、規模においては確かに大きいのでありますけれども、入る内容というのは、いうなれば一つの流通業務を中心にする企業であります。で、この企業を誘致するために、都市計画をそのためにやっていくという既存の制度や法律で、私は、建設が若干それは手間どったり、やりにくい問題があるにしても、既存の法律の中でこれはまかない得る内容ではないかという気がいたすのであります。それをあえて法律にたよらなければならないというのは、一気にやってしまうということもあるだろうし、また、その他のいろいろの現実にやってみて、問題点が出てきたからだろうと思いますが、そういう点、私は、このために法律をあえてつくらなければならぬという根拠をまだ理解ができないわけでありまして、そういう点もひとつ、どういう理由に基づいてこの法律をつくらなければならないかということを、もう少し明確に、現実にどういう支障があるか、こういうことを基本的に説明いただきたい。
  21. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先ほど御説明いたしました再開発の構想がまとまりましてから、実は東京において一カ所、それから大阪において一カ所、現行法のもとで流通センターをつくりたいということで、根拠法を持たないまま変則的な形で事業を進めようとしたわけであります。ところが、こういうような幾つかの流通業務施設をまとめて立地させる手段としてまとめるという目的でございますけれども、それぞれの主体が個々ばらばらに土地を取得するということでは、なかなか土地収得がうまくいかない、そこで、この法律にございますように、団地造成事業というものを考えまして、一つの事業主体がまとめて土地を取得する、そうして必要なものに分けてやる、分譲していくというような内容事業がどうしても必要だというようなことで、事業をしようといたしまして壁にぶつかってこういうことを考えた、それが一つの理由であります。  それからさらに、これは法律にございますように、トラックターミナルとか、あるいは貨物駅とか中央卸売り市場というようなものを中核にして、もう少し倉庫とか、あるいは問屋というものを張りつけていこうという考え方でございますが、トラックターミナル卸売り市場というものにつきましては、それぞれ公共施設ということで収用できる根拠がございます。しかし、倉庫とか問屋というものは、それだけでは民間の営利企業だということで、いま収用権が与えられていないわけでございます。そこで、土地取得にあたりまして、御承知のように、収用権が認められているものにつきましては、税法の特典でございますとか、あるいは農地転用というようなもの、あるいは実際上の地主の協力というような面で、倉庫あるいは問屋に充てられるような土地につきましては、同時に同じところでやるということもございまして、なかなか土地の取得がむずかしいということで、やはり一体的に一つの事業主体が土地を取得すると同時に、そういうものを一つのまとまりある団地という公共施設というふうに都市計画として取り上げることによって、それに公共性を認め、さらに土地収用権も与えるというようなことを考えたわけであります。つまり倉庫や問屋につきましては、収用を認めると同時にあとでこの法律に出ておりますように税法上の優遇あるいは農地転用上の有利な取り扱いというものが得られるようにしたいということにしたわけでございます。  それからさらに、団地だけはそういうことでできましても、その周辺にやはり、たとえて申しますと、大きな通運業者の専用のトラックターミナルというようなものが当然立地してくるだろう、そういうような場合に、住宅地に密着をいたしておりますと、トラックが入ってくるところでございますので、いろいろ騒音その他で公害の問題も起こるということで、団地を中心にいたしましてその回りの土地につきましては、ある程度流通施設あるいはそれに関連あるもの以外は建物を建てさせないというような建築制限をする心要があるということを、これは仕事をやろうとしていく間に考えてきたわけでございます。そういうようなことで、団地の決定あるいは団地造成事業、あるいは地区の決定というようなことが流通業務団地、流通センターの仕事を進めていく上におきましても、どうしても必要だというようなことで、この法案を考えたようなわけでございます。
  22. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで私はこの大都市開発問題懇談会の答申の内容から見て、非常に流通業務団地をつくってそこの中で都市形成をしていくというような、何か新しいアイデアで、構想としては非常に飛びつきやすいのですが、なお内容的に非常に問題をかかえておると思うのです。いま説明のあった収用権の問題についても、私はあとで十分触れてみたいと思うのですが、トラックターミナルですね、あるいは中央卸売市場、こういうのは収用法上の収用事業になっているのですね。ところが、それ以外のものを収用法上の収用事業にするということについては、これは私は、基本的な収用法のあり方として、目的あるいは事業内容からいって非常に問題があるところだと思うのです。したがって、あとで問題を提起をし、論議をしていきたいと思っておりますが、さらに続けて質問をいたしておきますが、この流通団地の建設省が考えておる団地それ自体の機能ですね、団地それ自体の機能と役割りを一体どう考えておるのか、その中心になるものを御説明願いたいと思う。
  23. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この流通団地は、先ほど申し上げましたように、トラックターミナル鉄道貨物駅または卸売市場というようなものを中心にいたしまして、倉庫あるいは貨物運送業あるいは問屋というようなものをそこにまとめようということでございます。端的に申し上げますと、大都市における物資の集散あるいは保管の基地になるところ、いわば、陸の港湾ともいうべき役割りを果たす、こういうふうに考えております。
  24. 達田龍彦

    達田龍彦君 そこでなお私は、この法律のあり方として一体効果があるのだろうかどうだろうかという面で、まだ疑問を持つのです。先ほど言ったように、確かに大都市分散させて、過密都市を、都市機能の発揮というか、機能回復をはかっていくという構想は、分散をさせるということ、あるいは周辺に副都心ですか、あるいは衛星都市をつくっていくという構想は、確かにそうしなければならぬということはわかるのですが、一体そういう状態である中にあって、流通業務分散させるそのことによって、交通の円滑化あるいは緩和をはかり、あるいは流通業務機能円滑化あるいは向上をはかることはよくわかる。ところが、分散によって一体どの程度交通の円滑化に寄与していくのか、どの程度流通業務それ自体の機能の回復あるいは機能向上に通じていくのか、抽象的にはわかるような気がするのだけれども、一体この大きな大都市の中で、どの程度交通の便に——集中しているために支障があるのか、逆に言えば。そういう点が、具体的に私はケースとして当たってみないと、ほんとうにそのことの実感が出てこないのです。考え方としてはわかるのだけれども、どの程度このために支障があるのか、機能としてどの程度円滑になっていくのか、現実の状態の中で。具体的な数字があれば、たとえばどこに団地を——流通業務施設がここにあるために、大阪でも東京でもよろしい、あるために、これほど交通量に大きな影響をしているのだ、これをここに移すことによって、これだけの交通緩和になるのだというようなものが実態の中にあるなら、その具体的な数字を私は示して説明していただきたい。なければひとつ、これは私はこの問題の一つのポイントになると思いますので、具体的な数字が資料としてあれば、これは綿密なものを出してもらいたい。
  25. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 流通団地をつくって、それが流通機能向上なり、都市の交通混雑の緩和なりに、量的にどの程度効果があるのかという御質問の趣旨だと思います。まず考え方を最初に申し上げさしていただきたいと思います。  まず、交通混雑の緩和の問題でございますが、考えられる緩和になるという点は三つあると思います、まず第一点は、大体現在ございます流通施設が、都心部あるいは都心周辺に立地いたしておりますので、外からまいります貨物が、そこまで自動車で入ってまいりまして、さらに都心から外の方向に分散されて配送されるというようなことによって起こります二重交通、場合によりましては、トラックターミナルから問屋に入る、問屋から倉庫に行くというようなこともございますので、二重、三重の交通を、外側の周辺地に流通センターをつくることによりまして削減できるという点が、交通混雑緩和上の第一の点でございます。  それからもう一つは、この考え方は、トラックターミナル等を中心にいたしまして、できる限りそういうような流通業務施設を大きくまとめていきたいという考え方でございますので、それらの流通業務施設間におきます交通というものが一カ所にまとまることによって節約される、たとえて申し上げますと、トラックターミナルから問屋、問屋から倉庫、あるいは倉庫・倉庫間、問屋・倉庫間というような交通が削減されるということになると思います。  もう一つは、大きくまとめますことによって、トラックの積載効率と申しますか、が出てくる、あるいは入ってくるトラックの積み荷の効率がよくなるという面がございます。これは貨物の量には変わりないわけでございますが、自動車に換算いたします場合に効果が出てくるわけでございます。  そういうような大体大きく分けまして三つの効果によりまして、相当交通の緩和には役立つということになるのじゃないかと思います。  それから流通機能向上の点でございますが、これはただいま申し上げましたように、都心が非常に交通混雑で困っておって、非常に運搬に時間もかかるし、費用もかかるというほかに、積み荷の積みおろしというようなものが、なかなか敷地が狭いためにうまくいかない、あるいはいろいろの近代的な施設をしたいけれども、施設の拡張ができないというようなことがございますので、都心にございますこういうような流通施設が郊外に出まして相当規模敷地を持つということになりますと、ただいま申し上げました交通難緩和のほかに、流通機能向上の面がある、こういうふうに考えているわけでございます。で、具体的なケースにつきまして数字を詰めたものは、ただいまわれわれのほうでつくったものはございませんけれども、東京にトラックによって入ってまいります貨物の量を想定いたしまして、一応机上計算でどのくらい交通量が節約になるかというのかやったものはございますので、資料としてあとで提出してもいいと思います。
  26. 達田龍彦

    達田龍彦君 私、いまの答えは、前段はいいのですけれども、最後の後段で非常に不満があるのは、机上想定でとった程度のものでこれだけ緩和されるんだというのは、根拠として非常に薄弱なような気がするのです。実際問題としてどこの団地に、どこに流通センターやら流通施設があって、あるいは問屋その他があって、それが今日どういうふうに積みおろしをし、どれだけの積載量と、どれだけの交通に支障を来たしておるのか。それは実際を調べてみるということが私は一番必要だと思う。だから、その実際調べた実績の内容があればそれをひとつ、一、二点でけっこうだから、その範囲のものがあればその資料を——机上想定ではなくて、実際の中でこういうふうに効果があるというものが具体的にあればその資料をひとつお示しを願いたい。
  27. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) まず、流通業務施設が過度に集中しておりまして自動車の交通が渋滞しているという面でございますが、東京都におきましては、都心三区——これは千代田、中央、台東でございますが、都心三区におきまして東京都区部内の貨物車の大体五割を問屋、倉庫、卸売り市場等の発生交通量が占めているわけでございます。これによりまして都心の交通が非常に混雑を来たしているわけでございますが、都心三区の中で自動車の交通発生状況を見ますと、都心三区の中の自動車交通発生総数の約三四%が貨物自動車によって占めております。特に卸売り業の集中しております横山町、本町、馬喰町などの地区におきましては、全交通発生台数の約五〇%が卸売り業から発生しているわけでございます。  それで、ただいま御質問ございました自動車の交通が、どういうふうになっているかというのは、東海道方面から来る荷物で、中央区にどういうふうに物資が入っているかというようなことについては、まとめた資料はございますけれども、東京都全域につきまして、大阪全域についてそういうことをまとめた資料はいまのところございません。東海道方面で中央区に来るのはまとめたものがございます。で、現在東京に入ってまいります貨物輸送、路線トラックによるものは、大体年間三百万トンぐらいのものが入ってまいります。で、その物資流入を考えますと、そのうちの約半分の百五十万トンぐらいが直接工場でございますとか、小売り業でございますとか、建設現場というようなところに入るものというふうに考えられます。で、その残りの百五十万トンのうちの百二十万トンぐらいが問屋に入ります。それから三十万トンぐらいが倉庫に入ってまいります。これらがいずれも都心部にあるわけでございます。そういたしまして、問屋内部の交通量の動きというのが大体六十万トンぐらいございますし、倉庫から問屋に行く交通量が三十万トンぐらい、それから問屋から倉庫にまいります交通量が二十四万トンぐらいというのでございますので、都市部におきましては三百万トン入ってまいりますが、交通量にいたしますと、約六百六十四万トンぐらいが都市部での荷おろしということになるのではないか。これを周辺部の流通団地に立地いたしました場合には、このうちのトラックターミナルから問屋、倉庫にまいります交通量、あるいは問屋と倉庫の間の相互の交通量というものは削減されますので、百万トンくらいまでこの交通量が理論的には削減される、こういうことになろうかというふうに考えられるわけでございます。
  28. 達田龍彦

    達田龍彦君 いま調査室から資料をいまのこの会場でもらったので見てみると、いまの建設省説明よりも非常に詳しいのが載っておる。私は、これは親切にもう少し、建設省でも法律を出すのだったら、このくらいの資料は先につくって、それでひとつ検討させてもらわないと、ここで時間をとるばかりで、実際には非常に私は審議として深くは審議できないのじゃないかという気がいたすのです。で、いま建設省で御説明があった実際の資料、実際の調査してみた結果の資料ですね、これはいまの説明でも、少なくとも東京大阪くらいは、特に大阪は問屋街だといわれるのですから、特に重要なこの問題について影響があると思うので、大阪くらいは全大阪に対して資料をとるぐらいの熱心さと努力がなければ、いま私が考えているように、構想としてはなるほど分散することにしていいかもしれぬけれども、どれだけ具体的に影響があるのか、それがやはり基礎になって法律がつくっていかれ、団地が造成されていかないと、あとで出てくる——一体そういう程度のもので公共性があるのかという話だって出てくるわけです。その根本になるものが私は抜けて机上プランにたよっているというところに実際の大きな問題があると思うのです。で、ぜひ私は、本来は大阪くらいの全体の流通業務に関する交通量の調査ぐらいはしてしかるべきものに対してしていないということについて、大きな不満があります。同時に、ここに出てきている内容、あとで見ていくと相当私は資料になると思いますので、こういうものの程度は将来も審議の中ではどうせ資料を求められるわけですから、事前につくって出すという親切さと配慮を今後してもらいたいという要望をいたしておきたいと思います。
  29. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 流通業務の市街地関係の資料は、われわれのほうで用意したものがございますので、さっそく提出さしていただきたいと思います。
  30. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで私はさらに突っ込んでお尋ねをしたいのでありますが、この答申の内容にも出ておりますけれども、まあ学問的なことはまだよくわからないのでございますが、答申の内容から見てみますると、確かに、いまの大阪東京は一点集中型というのですか、そういう都市形態になっているところに都市問題の大きな原因をつくっていると思うのです。そこで、この答申の中にも触れられておるように、多心型の分散した都市構成開発というものをすべきだということがその基礎になっておる。そこで私は、流通業務施設をひとつつくることによって副都心をつくるという構想を持つべきか、それとも副都心の中に流通業務というものを分散させることによって効果を求めていくのか、これはものの考え方として変わってくると思うのです。たとえば新しく流通業務団地というものをつくって、そこに消費施設もつくっていく、あるいはこの業務施設もそこの中につくって一つの都市機能というものを形成していくという方法がある。ところが、副都心に一つの都市があって、集中している中心の消費施設という、流通施設というものをいまある既存の都市の中につくっていくことによって副都心としての機能をつくっていくという役割りがある。一体、この答申の内容は、どちらをさしておるのか。それから今度建設省が考えているのは、団地構成の中で、どちらのほうに中心を置いて団地構成を考えておるのか、この考え方を聞きたい。
  31. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 答申で触れておりますのは、流通関係の副々都心と申しますか、流通関係の市街地につきましては、普通のオフィスなどにいたしまして、副都心よりはさらに遠くの地点に新しくつくろうという考え方で書いてあると思うのです。建設省で考えておりますのも、いまここで御審議願っております流通業務団地というのは、都市の郊外部に新しくそういうような業務施設を集めまして一つの団地をつくっていこうという考え方でございまして、既存の副都心にそういう流通業務施設を集めるものにつきましては、この法案で申します流通業務団地というものは考えてないわけでございます。といいますのは、主として卸売り業につきましては、ものによりまして、まあ都心立地型と申しますか、現物を見ながらそこへ小売りの人が来て買うというようなそういう都心、あるいは都市の中心部になければならぬという卸売り業もあると思います。それから非常にかさばる、あるいは重い材料というものについて、むしろ郊外に出たほうがいいのではないかと思われるような卸売り業もございますので、そういう卸売り業の実態によって、それぞれ卸売り団地みたいなものを考えていかなければだめだと思いますが、そのうち副都心部に立地いたしますものにつきましては、この流通業務団地というのは、新しく土地収用権をもちまして買い取っていって、そこでつくっていこうということでございますので、副都心部にできます卸売りセンターみたいなものは、この中では考えていないのであります。
  32. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  33. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。
  34. 達田龍彦

    達田龍彦君 まだ相当質問があるのですが、時間の関係でそれはこの次に譲りますけれども、いまこの問題に入ったので、この問題だけは明確にしておきたいと思いますが、それで、これも一つ建設省の具体的な計画があれば、その計画を呈示願いたいのですが、それはいま私の考えと若干——この副都心のあり方、それから流通センターをつくることにおける都市形成のあり方、これについて若干私と違う面があるように思います。これはあとで論議をしていきたいと思います。  そこで、いま建設省が考えておる流通業務施設を中心にする副都心、そういうものの開発造成、こういうことであるならば、東京大阪、名古屋程度の私は副都心をどう形成していくのか、この構想あってしかるべきだと思うのです。したがって、その構想を、東京大阪、名古屋程度のもので、建設省としてすでに構想としてお持ちになっておる副都心の構想を資料としてお出しをいただきたい。
  35. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 名古屋については、副都心の構想はまだ建設省で持っておりませんので、東京大阪につきましての副都心の構想を資料としてお出しいたしたいと思います。
  36. 達田龍彦

    達田龍彦君 じゃ、いまの資料は、東京大阪は出していただけるわけですね。それで、いま説明の中にありました、いまある副都心的な都市の中には流通業務施設をそこで整備開発するという考えは建設省としては現在のところ全然ないわけですね。
  37. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 副都心の地区に流通業務施設をある程度集団的につくっていこうという考え方は、建設省と申しますか、政府のほうでは持っておるわけでございます。ただ、それにトラックターミナルとか、あるいは鉄道貨物駅とかいうものを中心にこの流通業務団地というものは考えておりますので、この法律上の流通業務団地としては扱えないものが非常に多い、ほとんど扱えないのじゃないかと思っております。副都心の中にそういう卸売りセンター的なものをつくるということは、もちろん構想の中で考えておるわけでございます。この問題については、基本方針をつくる段階で各省が集まって、そういうものをどういうふうに考えていったらいいかということを検討することにしておるわけであります。
  38. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうすると、現在ある既存の副都心的な性格を持っておる都市に対して流通業務施設分散する、あるいはその他の事務施設、卸売りセンターといいますか、そういうものの分散、そういうものは現在の都市計画法だとか、既存の法体系制度でやっていく、こういう構想ですか。
  39. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) そういうような考えでございます。
  40. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうすると、これは私はきょうはここで終わりたいのですが、まだいろいろたくさんこの問題について疑問点があるのですが、法律から見てみると、これは市街地の整備に関する法律ですね。私はいま構想で建設省が言われている内容というのは、整備行政じゃなくて開発行政になるのですよ。新しく開発をしていくのだから、法律の形態も、これは整備法律じゃなくて、開発法律にならなければならぬのです、いまおっしゃるような趣旨であるなら。法律それ自体は整備に関する法律でしょう。実際には整備行政じゃなくて開発行政ですよ。してみれば、開発に関する法律となるのが至当じゃないかと思うのですが、私は、法律のたてまえからいっても、これはそういうものではないという理解がまずあったのです。ところが、現実には開発行政をやろうということなんです。法律内容については整備行政になっておるのじゃないか。この点はどうですか。
  41. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 既成の広い意味の大都市問題でございますので、この法律の名前といたしましては、流通業務市街地整備に関する法律というふうに名前をいたしておりますが、大体ここで流通団地として整備するところは、あまり建物の建っていないところを考えておりますので、開発という意味がそういう建物があまり建っていないところに市街地区をつくっていくのを開発というふうに考えるならば、開発という部類に入るかもしれません。しかし、全体としまして大都市整備というような考え方で、その一環として流通業務市街地整備というふうに考えましたので、整備という名前をつけております。
  42. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあ一たん出された法律の文面を変えるというのは、たいへんお役所として問題があると思うのですが、性格を考えてごらんなさい、これは明らかに開発行政ですよ。開発するための法律なんです。それを整備するというのは、いまの説明だって非常に苦しい説明ですね。私はどうしてもこれは、その意味では非常に問題があるところですが、時間がありませんから、きょうはこれで終わりますけれども、さらに検討を皆さんのほうでもしてもらいたい、こう思います。
  43. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本案の審査は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  44. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。  なお、政府から瀬戸山建設大臣及び尾之内道路局長が、また参考人として日本道路公団から富樫総裁が出席しております。
  45. 田中一

    ○田中一君 建設大臣は、きょう、きのう、おとといと、続けてNHKの第一チャンネルで中央道を歩くというカメラリポートがあったけれども、見ましたか。
  46. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 見ておりません。
  47. 田中一

    ○田中一君 あの中で、私ども建設の計画の最初から歩き回っている道路のことですけれども、こういう報告があるのです。これは富樫君が答弁をしておるのじゃなくて、あそこの事務所長が答弁をしておりますが、インターチェンジの中に取り残された敷地ですね、インターチェンジでもって大きく迂回するものだから、円の中に閉じ込められたような敷地がずいぶんあるわけです。この敷地に対しては、現行法ではどうにもこれを救う道はございませんということを言っておる。考えてみれば家族の人たちが、主婦たちがいろいろルポで答弁をしております。これじゃ火事があっても消防車も入れません、どこへ買いものに行くのにも細いトンネルみたいなところから出ていかなければならぬ、排気ガスは周囲からかぶさってくる、むろんこれは雨しぶきもほこりもずいぶんかぶさる、こういう訴えをしておるのですが、   〔委員長退席、理事小酒井義男君着席〕 これは現行法で救えないのですか。むろんこれは土地収用法でこれをかりに取ったという場合には、いろいろ問題があると思うのです。  まず第一に、この国土開発縦貫自動車道建設法ですね、これはもとの、現行法です、この中にははっきりと再建整備の、再建または何とかという条文があるわけですよ。そういうものが救われないことはないと思うのですよ。
  48. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 中央道を部分的に見ておりますが、全線を見ておりませんから、詳細私承知いたしておりませんが、いまお話しのようなケースが一カ所三多摩地区内にあるようでございます。そのお話は地元からも一応私ども聞いております。また検討さしておるわけでございます。詳細は道路局長なりあるいは公団総裁からがいいと思いますが、その地域に相当人家があるそうでありますが、学校に通う、あるいはその他の問題がある。ただ、その中におられる人がそのほうがいいという方もある、あるいはそれじゃ困るという方もある、いろいろ問題があるようであります。私は高速自動車道の法律を正面からどういうふうにしたほうがいいかという規定の問題とは別にして、居住地として高速道路の中に囲まれるような建設をした後にぐあいが悪いというようなところは、やはり道路施設の一環として救うことはできるという、こういうような大まかな考えであります。そういうことで地元の皆さんとよく協議をして、どういうふうにしたらよろしいか、あるいは皆さんどこかへ移転される気持ちがあるのかどうか、あるいはあとの施設をどういうふうに利用するか、こういうことを検討してみなさい、こういうことを言っておるわけであります。法律規定そのものを云々ということは、そう重要じゃないのじゃないかと考えておるわけであります。
  49. 田中一

    ○田中一君 富樫君、それはあなたのところの部下がそういう答弁をしておるのです、けさ。私もずいぶんこの高速道路を歩いてインターチェンジを見て歩いておるけれども、まあまれですよ、そんなことは。ことに東京周辺の地域にはそういうところがたくさんあるわけなんですよ。だから、今後方針をはっきりきめなければいかぬと思うのですよ。いま建設大臣が言っておるように、おれはこれでいいんだという人もいるかもしれない、孤独な一軒屋が好きな人もいるかもわからないですからね。これは一応いたい者はいいでしょう。しかし、おおむねそういう排気ガスや何か四方からひっかけられてはいい生活環境といえないですよ。それがもし現在の法律では救えないのだというならば、これは法改正をしなければならぬ。ことに縦貫道には再建の問題が明らかにうたってあるのです。きょう四、五人の主婦が言っておりましたけれども、これは明らかにどこかへ行きたいのだと言っておるのです。それであなたのほうの工事事務所長は、現行法では何にもできません、こういう答弁をしておるのですよ。建設大臣は将来の問題を言っておるのですが、現行法ではできませんか。できなければできないという根拠をひとつ知らしてほしい。これは憲法違反ですよ、大きく言うならば。そうすると、これは法律の不備です。憲法によるところの諸法の不備です。その点ひとつ富樫君から……。
  50. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私が現行法でできないとかできるとかいうことじゃなしに、現行法でもそういう措置はすべきだという、こういう考えを持っておるということでございます。
  51. 田中一

    ○田中一君 そうすると、きょうのカメラリポートでは、所長が現行法ではできませんと、こう言っておるのです。私はできると見ておるのです。あなた方は、末端の一番大衆と触れ合うところの人たちがそういう認識じゃ困るのです。建設大臣はできるだろうと言っておる。私もそう思っておるのです。ことに縦貫道にははっきりとその問題がうたってあるのです。ほかの建設法と違いまして、このもと法であるところの国土開発縦貫自動車道建設法には、明らかにうたってあるのです。その見解をひとつ承りたいと思うのですがね。
  52. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 問題になっておるところは、調布のインターチェンジじゃないかと思います。調布のインターチェンジは、当初盛り土で計画いたしましたけれども、地元からなるべく土地を少なく使ってもらいたいという御要望がありましたので、高架に変えたわけであります。中に残る住宅もございますので、周辺には側道をめぐらしましたし、また、甲州街道のほうには歩道も設置することにいたしました。  なお通学、通勤等で不便になるところは、今後通路もつくる予定でございます。でありますから、地元の方の言われる交通の問題は、これで御納得のいくように解消できるようになったのではないかと思いますけれども、残る問題は、高い高架道路で囲まれた中におります人たちが、自動車の排気ガスでありますとか、騒音によって公害を受けやせぬかということでございます。また、高い高架道路のわきの家では日光が不足する、こういう問題も起こってこようかと思いますし、この公害の問題につきましては、インターチェンジができた場合にはどの程度になるか。これを首都高速道路等につきまして実際に調査をいたしております。その結果によって対策を立てたいと思っておるわけであります。そこで地元の事務所長でありますか、担当の者がこれだけのことをやっておって、その上に公害等を処理するための何らかの処置、あるいは中の家屋を他に移転をする、こういう問題について、現行法ではできない、こう申したのであろうと私は思うのでありますが、しかし、これも言われればしゃくし定木的な解釈じゃないかと言われるかもしれません。なるほど縦貫道法には再建整備のことをうたってございます。これには道路側としても十分協力いたさなければならぬと思うのでありますが、どの程度まで道路費を出すかということは、これが問題なところじゃないかと思います。で、この中に残りました住宅について、いろいろ御陳情等もいただいておりますので、何かほかの公共施設あるいは公益施設、そういうものが利用してくれる、あるいはまた道路公団の中であの土地にぜひ必要な施設が考えられるということになりますと、この処置はできるわけであります。ただ、あの辺は地価が相当高い。七万円から十五万ぐらいの地価であります。この地価も考えて適当な施設ができるかどうか。これは今後検討いたさなければなりませんが、その方面にもう少し考え方を向けてみたい、こう考えております。
  53. 田中一

    ○田中一君 そうすると、それは住民の希望するような方向で解決できる、こう言うのですか。
  54. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 地元の方の御希望になる方向で検討いたしたいと思います。
  55. 田中一

    ○田中一君 検討すると言うて、建設大臣措置できると、こう言うておるのですよ。
  56. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 建設大臣の御趣旨はそのとおりだと思いますが、その御趣旨に沿わなければなりませんけれども、具体的に金を出してどういう施設をやるかということにつきましては、なお検討しなければならないと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  57. 田中一

    ○田中一君 大臣のできるというのは、金を出すということ、必要な金は当然認めますということなんで……。
  58. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) さっき申しましたように、これは建設すると、いろいろ地元で協議してああいうことができた、つくったあとで、どうもまたいろいろ意見の——意見といいますか、考え方が違った人が出てきておるというのが実情であります。個別にこまかいことを一々地元のかたの御意見を聞いておりませんが、おおむねそういうことになっている。したがって、皆さんがどこかへ移りたいというようなことで、全部が全部そうであるというようなことも明確でない。ですから、具体的にどういう処理をしたほうがいいかということを地元とよく打ち合わして、公団のほうでどういうふうなら利用できるか、あるいは住宅公団の場合にどういう処理をするということができるかどうか、こういうことをいろいろ検討してみたい、こういうことをしておりますので、よく地元と研究しませんと、あの中でもいろいろな考え方の人もあるようであります。そういうことで検討を進めていって、これをよい方向に向かわしていく、かようなことを考えております。   〔理事小酒井義男君退席、委員長着席〕
  59. 田中一

    ○田中一君 その場合に余分に費用を、関連事業として金が出せるのではないかということをあなたさっき言っておりましたが、したがって、もちろん心配しているように資金の面はこれは当然認めなければならぬという気持ちですね。
  60. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私は、高速道路のみならず、一般に公共専業をいたします場合に、住民が非常に困るようなことは残してはいけないという根本的な考えを持っております。それからもちろん、何かすると金がかかる、住民の生活を長く苦しめるような事態が起こるということは、これは国の政治として解消すべきだ、こういう思想でありますから、そういう趣旨で検討を進めたい。
  61. 田中一

    ○田中一君 それから中央道が御承知のように、大月から甲府に向かってまっすぐ直線で行けるようになりました。ところが、計画の当初は、御承知のように赤石山脈を縦貫して小牧に行こうという案であったけれども、そういう原案であったから、富士吉田までの線がその一つの一環として取り残されている。したがって、当初大月から甲府に行くという線にきめれば、変更されたときに変更されればこれは文句ない。私は、縦貫道審議会のときにも、それはるる申し上げたはずです。盲腸みたいなものを残すな。しかし仕事を始めてしまっています。ことに自民党の党員である知事から強い要請があるから、どうもこれはなかなかならなかった、政治的ないろいろな含みがあったというところから、盲腸のような存在を中央道の路線としてこれが決定されて、この図面を見ても出ているわけです。将来これからやはり身延のほうからずっと縦貫道をつくるつもりなのかどうか、この盲腸を起点として。これは御承知のように、大月と富士吉田の間は大体九百メーターの落差があるんです。そうして困難な道路を掘って、そしてそれがまた下がっていくということなんですね。こういう妙な手直しはおやめなさい。この図面にもはっきりとその盲腸が出ている。盲腸的存在があるわけです。人間の盲腸はいつかやっぱり有効な機能であった時期があるように聞いておりますけれども、この盲腸は何にもならぬですよ。富士を観光地として、観光的道路という見方をするならば、これはけっこうです。それはこのとおりおやりなさい、もっとやってもいいと思う。それはしかし少なくとも縦貫道ではないと言うんです。幹線ではないということです。この法律に提案されているところの今度新しくいたしますところの国土開発幹線自動車道ではないということですね。道路というものは起点、着点ですよ。むろんこれは場合によったら、山の中に行ってぱっと切れる場合もあるでしょう。これは全くあれだけ大きな政治的問題になって変更された路線のうちのだれか知らぬけれども、だれかに対する何というかメンツ上の問題か、あるいは選挙の問題か何かわかりませんけれども、なぜこんな盲腸的存在というものを残すかということです。これはどういう意図で残されたのか。仕事をすることは一向差しつかえないのです。富士という世界でもまれにみる観光地といわれて、日本では富士と言って外国の観光団も来るんですからかまいません、道路整備すること、これはいいのです。それから周囲をずっと富士五湖でも、四車線でも六車線でも道路網ができることはちっとも差しつかえないのです。ことに将来富士裾野の周辺開発される可能性も多分にありますからかまわないのです。これが幹線道路の一環ということは、これはおかしな存在だ。これはどういう意味で残されたのか。あるいはこれを今度起点として別な幹線道路計画が持たれようとするのか、あるいはここから横断道路がずいぶんありますから、この図面見ましても。これを起点とする横断道路が静岡なら静岡まで出るのか、富士周辺を回わって静岡にでも出るという構想なのか、何かなくちゃならぬと思うのです。私はね、こういう道路網がいままでも政治的な意図でいろいろ左右されてきたところの弊害をたくさん知っております。まだこれが修正されておらない。これは道路局長が答弁できるのか、あるいは建設大臣が答弁できるのか。
  62. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 御指摘の大月−富士吉田間につきましては、確かに図面で見ると、まあ唯一の例外的な盲腸になっております。これにつきましては田中委員も十分御承知と思いますか、一つは、中央道の歴史的経緯があると思いまり。それからもう一つの問題は、先ほど御指摘のように、これは中央道としてすでに実施しておるという事実、これも一つの理由になっております。それから第三点といたしましては、中央道と東海道をつなぐという構想も、一応あることはあるわけでございます。それにつきましては、富士吉田を終点、この終点を延長いたしまして、吉原あるいは清水のほうに持っていくか、あるいは他の方向へ持っていくかにつきましては、実はまだ議論ございますし、いまのところ結論出ておりません。そういうような未確定の要素もございます。そのようなことで、これが例外的に一つだけ残っておるというのが実情でございます。まあいわば中央道としての一つの盲腸的なものという意味が、一番その中でも強いと、こう考えております。
  63. 田中一

    ○田中一君 そうすると、新しく大月から、たとえば富士なら富士、あるいは吉原なら吉原、あるいは御殿場を経由して三島なら三島、何かそういう路線の計画があるならば、これはいいでしょう、幹線として。幹線じゃないのです、これは。そして中央道の一環として計画されたから残すんだというのならそんな理由がないわけなんですよ。大月から甲府回りになったとき、これはもうなくなるべきなんです。仕事するのは一向差しつかえないです。幹線からこの計画を分離して新しく予算を別に持ってやるべきなんです。一体盲腸的なこれだけのものを、何キロありますか、十キロぐらいかな、五、六キロかな。
  64. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 二十キロです。
  65. 田中一

    ○田中一君 二十キロ……。こういうものをつくるためには人間も要るわけです。管理費もかかるわけです。こんなものまで金とる必要ございません。一般国道のほうにやったらいい。この幹線道路の思想というものはそういうものじゃないんです。将来必要によっては四車線も六車線もかまいません。しかし、ここに投資するならまだまだほかに投資をしなきゃならぬ、建設をしなきゃならぬものがあるわけなんです。この計画たかだかいままで六百キロ程度のものができたにすぎない。まだまだ実施しなければならないものが、要求がある。行きがかりや何か捨てて、ほんとうにやっぱり地についた仕事をしなきゃなりません。今後この計画は、せんだっても伺ったように、この計画というものは一応決定する、しかしこれが政治的にまた左右されてどう振り動くかということを考えるとぞっとするわけですよ。そういうことはすべきもんじゃないです。で、いまお話しのあったように、これからこれを、吉田を起点としてどっかへ延びていくんだという計画があるなら、これは大臣が、やるつもりでございます、やりますということの言明をしてほしい。それなら私も認めます。横断道路として認める。何かわけのわからぬ盲腸的な存在。これからまた大きな金がかかるわけです。一キロ当たり幾らだったか、だいぶかかると思うんですよ。そんなに金がかかるならおやめなさい。聞くところによると、県のほうでは吉田から甲府に山を下ってくるような隘道を抜いているというのです。何が幹線道路ですかね。地方道の場合は、地方の状態によっては、地方道というのもおかしいけれども、幹線でない道路、これはいろいろありますよ。これはあっていいと思う。これは二重投資ですよ、こんなものは。少しも時間的にたいした変わりありゃしませんよ。二重投資おやめなさいというのです。かりにそれが将来吉田から甲府のほうに山をずっと下っていく道路をつくるというならおやめなさい。そんなむだな、山梨県だけがそういうむだな投資をする必要はないのです。はっきりとこの際、こうした盲腸的存在がある、これをあなた方が修正してこれを削除する、この計画から。さもなければ、これによって今度横断道路を東海道に結ぶんだという答弁してください。それはその計画としてもう何十年たったらできるかと思われるような横断道路がたくさんあるのですよ。それよりも吉田から東海道に抜けるほうが交通量も多いし、緊急なもんです、ほかのものと比較する場合には。私の郷里なんかいつになってできるかわかりゃしません、全く人間だって交通量だって少ないですから。やるならおやりなさい。こうしたあいまいなものを残すことは幹線道路の計画としてはいけません。どっちかに答弁してください。
  66. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 田中委員も中央道の富士吉田から静岡県の井川地区を経て小牧に至る路線を変更した場合のいきさつあるいは御承知かもしれませんが、その際に、地形等の関係等から大月から甲府に出て諏訪に出る、こういう変更があったわけであります。これはまあ既定のいわゆる中央道の路線を変更する際に、富士吉田までは既定の計画で五カ年計画進めておるから、大月から甲府に出て諏訪回りに行く。そこで、富士吉田から先の問題がいろいろ論議されまして、その際に、先ほど道路局長からもお話しいたしましたように、静岡県の清水あるいはその他の地点とを結ぶ道路が必要である、こういうことがいろいろと検討されました。これを高速自動車道路として——そういう要望もありますけれども、そうするかどうかという結論にまだ達しておりませんが、少なくともあの地帯の横断的国道の整備が必要でありますから、それとつないで、この中央道と静岡県とを結ぶ、こういう考え方で富士吉田ということを残してきた歴史があります。先ほど道路局長から、いわゆる最初問題になった中央道の歴史的意義ということを申し上げておりますが、富士吉田から静岡県に出る、つなぐ道路、これを高速道路にするかどうかということは、いま申し上げましたようにまだ結論づけておりませんけれども、あの地帯につなぐ、国道とつなぐ必要がある、国道の整備をしよう、これが現在の考え方でございます。まあ盲腸とおっしゃればそれは盲腸かもしれませんが、どうかひとつ、いろいろないきさつがあったわけでありますから、ぜひこの際御理解を願いたい、こういうことでございます。
  67. 田中一

    ○田中一君 この路線の変更の問題については、御承知のように大騒ぎしましたよ。たいへんに大騒ぎしたのです。その結果私なんか反対の立場に立っておりましたが、とうとうもうそうきまってしまった。大月からまっすぐに行く道路なら残るのはあたりまえです。だから仕事をするのはかまいません。これから抜いてください。これはこの計画は抜きなさい。仕事をするならかまいません。それが国道に結ぶなら、これはもう国道にしてしまいなさい、一般の高速道路にしないで。たとえばそうした意味のあの辺の人口の秘密度、それから観光客等を考えても、現在ある道路というもので十分です。これが富士の周辺、富士観光なら一向差しつかえないのです。そうした二重投資をするならば、ほかのほうでやるべきものがあるだろうというのです。こういうわけです。何も瀬戸山さんがそこでこだわらないで、私が言っているとおり、盲腸的存在なんだから、この計画は除きますという答弁をすれば、それでいい。仕事をするのはいいです。そういうあいまいなことは実際許されないのですよ。だから道路計画というものは、主として政治路線になり得るのです。しかし、たとえば宮崎県の小林——宮崎に抜ける、これは賛成です。私もこれ賛成なんです。前の大臣の小山君なんかもこれに賛成してくれなんて言っていたが、ぼくは賛成です。大体においてこの計画は、少なくとも文化、経済、教育等の地方における中枢機関であるところの県庁所在地というか、これには全部つながっております。もしこれがそのまま熊本−鹿児島に行くなら、宮崎県がなくなるわけですから、これはいけません。これは宮崎へ行っていいのです。これはあなたの選挙区ですが大賛成です。しかしながら、この富士吉田に対する認識というものはこれは必要ございません。幹線ではないのです。仕事をしてもいいから、これだけは削除しましょう、その修正をしたいと思うのです。しかし、これが横断高速道としてやるのだという意思表示があれば、これは認めます。こういうものはいまこの法律の、こうしてたくさん出てくる、議員立法で出てくるところの何とか道路何とか道路というものが一つの姿になって、幹線という——もとの道路行政の網目の道路行政でなくて、幹線道路として非常に大きな近代国家に変貌する、そうすれば瀬戸山さん、これはあなたの功績になります。しかし、こんなものを残したのでは、これはもう話になりません。だからいいです。それがはっきりと横断道路をつくるのだ、富士周辺を回って横断道路をつくるのだということを言明して、次の国会あたりまでに調査をしておやりなさい。いままでの行きがかりなんかは……。これから吉田から身延へ出て、身延から富士川へ下がって清水に出る横断道路をつくりなさい。これならばかつて争った、紛糾したところの中央道の路線の変更の場合に、双方に軍配が上がるということになりますから、それはあなたの選良としてりっぱなものになります。これはひとつはっきりしてください。
  68. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) いまお話しのように、富士川の両岸に国道があるわけであります。何号線かいま覚えておりませんけれども、大体両側にある。横断的な道路はないのです。いま甲府に至る道路が一本ありますけれども、二十号ですか、あれは。そういう意味で、私はいま田中さんのお話のように、率直に言って、あの地帯にやはり高速道路を静岡県に入れる必要がある、あの区域は非常に広い地域でありますから。そういう考えを持っておりますから、そういう趣旨で次の国会に出すかどうかということは、いますぐお答えできませんけれども、必要性を感じております。地元からも強い前からそういう御要望がありますから、その線で考えるということで御了解願いたいと思います。
  69. 田中一

    ○田中一君 横断幹線をつくるのだ、つくる方針でございます——御了解ではなく、方針でございますということを言ってくれればいいのです。
  70. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 今後つくる必要があるから、そういうことで進めたい、こういうことでございます。
  71. 田中一

    ○田中一君 私はこの計画は非常にいいと思う。よくあなたのほうの御努力でまとまったと思う。ただ足りないところは、たとえば一番心配しているのは、これに準ずるものとして東北の三陸線まで横断道路を延ばしてほしいということです。たとえばここに北上から釜石へ来る道まで延ばす、それから盛岡から宮古に行くまで加えるということは当然です。もう日本のチベット地帯として東北の三陸線というものは全く忘れられたところです。なぜこれをしなかったか、盛岡から宮古まで、北上から釜石くらいまでは当然国道が出ている。特に道路公団なり県がやった、あすこの仙人峠でも全部整備ができている。これはほんとうに三陸の開発になる。おそらく瀬戸山建設大臣は、三陸地方はあなたの所管の海岸線などを見たことはないと思いますけれども、これはすばらしいところです。そうしてこの後進地域であるだけに道路の問題で全然行き詰まっている。仙台からでも三陸海岸は行かれない。ことに北上総合開発計画というものは、あれは昭和二十何年かに完成したのです。ところが、ほかのあとから続々来るところの総合開発事業というものはこれは政治力が強いものであるから、どんどん開発されて延びていく。私は、ここでもってなぜ宮古−釜石というものに路線を延ばせないかということです。これは非常に容易です。金もたいしてかかりません。これをひとつ道路局長、あなた答弁してください。
  72. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 今回の路線を選びますにつきましては、大体全国で約一万キロの候補路線を引きまして、そのときに、いまのお話のような点も候補路線に入っております。それであるから、どういう観点でおおむね七千キロ台に押えたかということでございますが、その際に、先ほどからお話がございましたように、地方開発の拠点になります中心都市、あるいは新産工都等の拠点都市というものとの連絡、低開発地域を含みます全国の都市、農村地区からおおむね二時間内でこういう路線に到達できるような網を選ぶというようなこと、それから主要拠点と連絡いたします路線網について各路線の調査を将来する、交通量を推定いたしまして将来その交通量の多いような線を優先的に考えた、それからいろいろ想定されます路線の中の、それによってめぐらされますところの人口、そういうようなものを標準的にとりまして、結局幹線道路一キロ当たり、どれだけ住民に稗益するかということについての重要性ということをそれぞれ計算いたしまして、そうして各路線にめぐらされますところの網の比率といいますか、そういうものが大体バランスがとれるということで選んだわけでございます。したがって、七千六百キロに押えたからそういうことになったということであります。これを八千キロ、九千キロにすれば、そういうものが逐次当然入ってくるわけであります。私どもがさしあたり七千六百というのを今後二十年ぐらいの間にやろうということで数字を押えましたために、いまお話しの線も重要な候補になったわけであります。ただいま申しましたような手続によりまして、七千六百のときには入らなかったというのが、選定の際の経緯でございます。
  73. 田中一

    ○田中一君 いま富士吉田から東海道に抜ける道路も縦貫幹線道路としてやっていくという言明があったので非常に嬉しい。これは二十二年目でいいです。二十年で完成するのですから、計画路線ですから、二十二年目でいいから、これは入れてください。二十二年でやるということは法律で明文化されていないから、予算その他の政府の与えられた権限というか、計画なさるのでしょうから、二十二年でも二十三年でもいいです。ですからその間までにやるのだという計画路線というものは入れていただきたいと思う。これは審議会もありますから、当然審議会に付議、答申をもらわなければならぬだろうと思いますが、建設大臣がその方針というものは明らかにしなければならない。何も根拠がないですから、後進地域の計画路線が示されると、これはそれだけ非常に大きな開発に役立つのです。おそらく建設大臣は行ったことがないと思う、三陸に。行ったことがありますか。
  74. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 全線を歩いたことはございませんが、行ったことはございます。そこでいまのお話しのように、道路局長から選定のこの案をつくるまでのおおむねのお話をいたしましたが、まだそのほかにもあるわけです。いまお話しのような予定路線的なものを設定しておく必要があるのじゃないかというところは、いろいろ検討されております。今回はまあこの案でひとつ御承認を願い、また何年か後にはそういう問題を検討しなければならない、こういうところがたくさんありますから、そういうことでひとつ御理解を願いたい。
  75. 田中一

    ○田中一君 それはだめですよ。あなたはもう一年建設大臣やってくれると思いますから申し上げるのですが、とにかくこういうところを残しちゃいけません。吉田のような盲腸を残す。そうして低開発のそれこそ日本のチベットといわれているような三陸地方の計画路線もないということはないですよ。これも必ずその計画を、いまの富士線と同じように次の審議会には、それまで調査をして、計画路線に加えますという答弁をしたっていいじゃありませんか。
  76. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) この案を前に国会以外のところで御審議願いましたときには、ほかにもたくさんあるわけです。当然にいつということはここで言明できないのは残念でありますが、遠からず何かやはりそういう路線を審議願わなければならぬ機会があると思うのです。そういうことで調査を進めたい、かように考えますから、御了解願いたいと思います。
  77. 田中一

    ○田中一君 そうすると、次回の変更あるいは追加等の計画路線の場合には、必ずそこの問題は政府として提案するというふうに理解してよろしゅうございますか。
  78. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 次回に追加、変更というときは、当然いまのお話のところは入る、こう理解しております。ただ現在の状態で選ぶのは、この地域に押えるということにしておるだけでありまして、非常に不必要だという考えでやっておるわけではございませんから、次に改定計画がなされるときには、当然お話しのような横断は、日本海−太平洋をつなぐのは当然だと思っております。
  79. 田中一

    ○田中一君 いま大臣から話があったのですが、ほかにもそういう問題の路線があるんだというお話がありましたが、それをちょっと道路局長なり説明をしてもらいたいと思います。私、いまのこの図面を見て、なかなかうまくいっていると思うのです。政治家の強いところはちゃんとできております。ほんとうに、何というか中部日本海といいますか、新潟、富山、石川、福井、この辺なんか非常にいいです。将来の日ソ貿易の拡大を考えて、そういうことでお立てになったと思うのです。ことに稚内に対して、こういう稚内なんか人口は幾らもないです、三万くらいです。これも日ソ貿易を考えながら窓口を持っていったことは非常にいいです。これこそりっぱな計画、だからといって、太平洋貿易というものがあるのです。これは全部たいていの港、海湾整備は太平洋からきているのですが、三陸地方だけなぜうっちゃっておくかというのです。ほかに何かあるというのはどういうところがあるのですか、希望があったというのは。ちょっと説明してください。
  80. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) いろいろそれぞれ重要性もございますが、かりに二、三話題になっているものを申し上げますと、裏日本をつなぎます沿岸路線。
  81. 田中一

    ○田中一君 地点。
  82. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) たとえば新潟から秋田のほうを結びます路線、それから東九州、北九州から大分、宮崎に行きますような路線、それからなお中国地方の裏日本に対する路線、これを沿岸線で行くか、あるいは横断線で行くか、そういうようなものがたとえば問題になっております。
  83. 田中一

    ○田中一君 愛媛の大州から……。
  84. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 須崎……。
  85. 田中一

    ○田中一君 これはどうなんですか、この線はどうなっております。
  86. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) たいへん要望はございますけれども、いま申しました例、これは二、三の例でございますが、それに比べると弱いというようなことであろうと思います。
  87. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと……。   〔速記中止〕
  88. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。  田中委員から、富士吉田線の幹線道路についての非常に適切ないろいろな御意見がありましたが、これについてはいろいろ考え方もそれぞれあると思うのでありますけれども、この幹線道路を生かすという意味もあり、また、静岡県における路線変更のためにも、中央道は静岡県に入っていないという、そういう事情等も考えてみて、中央道、東名高速道路あるいは一号の国道を結びつけるというようなそういう意味からも、甲府−清水の高速道路について今後やはり実現をはかっていく必要があるという大臣の先ほどの御答弁があったわけで、私たち関係する者としても当然だと、また、単に関係しているという意味じゃなくて、道路行政の上でも非常に緊要性を持っているというように私たち考えているので、この点について大臣が答弁されたことが今後実現できるように、特に格段のひとつ大臣に御要望したいと思うのですが、御答弁を願いたいと思います。
  89. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど来申し上げておりますように、検討しましたときに、ここは静岡以東の中心的なところでありますから、そういう道路が必要があるという考え方を従来持っておるのです。でありますから、その線に沿って調査を進め、実現をはかりたい、こういうことでございます。
  90. 松永忠二

    委員長松永忠二君) なお一つ関連して御答弁いただきたいのですが、東名高速道路の関係では、これから高速道路がこうして今後設置をされていくということになると非常にたくさんのインターチェンジができる、そのインターチェンジを取り入れる道路を十分整備していくことが高速道路の効能を発揮するという上でも非常に必要だと思うのです。ところが、そのインターチェンジへの取り入れの道路、いわゆる関連道路は街路事業であったり、あるいは一般道路事業であって、この予算が非常に制限をされているために、その当該の府県等では、この関連道路の予算がつくことによって一般の街路事業とか、あるいは一般道路事業が非常に縮小されるのではないか、制限を受けるのではないかという、そういう危惧を持っておることは事実だと思うのです。したがってやはり私たちは、こういう高速道路に伴うインターチェンジの効能を発揮するための取り入れ道路というものについては、こうしたワクをこえて、やはり国として配意をしていく必要があると思うのです。この点についてどういう考え方を持っているのか。また、名神高速道路のインターチェンジの取り入れ道路については、大体道路公団が責任を持って仕事をやっていくというような経過をもって道路整備をしていったように私たち聞いておるわけですけれども、今後の東名高速道路のインターチェンジの取り入れ道路についても、道路公団はやはり責任を持って委託事業として国の助成を得ながらやっていくような考え方を持っているのかどうなのか、この点をひとつ道路局長と総裁のほうから御答弁をいただきたいと思うのです。
  91. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 前段の点でございますが、従来都市計画街路あるいは地方道、国道等の関連道路でございますが、規模の小さいものは大体県の通常のワクでいけるというふうに考えて、格別考えておりませんでしたが、東名道路のような場合、かなり現道と離れておりまして相当額の関連道路をやらなければならぬというような場合には、毎年度予算配賦にあたりましてあらかじめそれは特別なワクとして横に取っておきまして、県の通常のワクに対してそれを上乗せするという方法を考えております。そういう方法で配分いたしておりますから、通常のワクをそれによって食われるということはないわけでございます。ただ県としてもう少したくさんもらえるという期待はございますので、いかにもワクを食われているという感じをお持ちになるかもわかりませんが、私どもはそれは優先配賦するという形で処理いたしておりますので、御心配の点はないと思いますが、なお今後もそういう問題が引き続き起こってくるかと思います。当然関連道路がなければ高速道路は使われませんので、優先してやるべきものと私ども心得ておりますので、今後もそういう方針で進めさせていただきたいと、かように考えております。
  92. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) インターチェンジの取りつけ道路といいますか、付設道路につきましては、当初の計画におきましては、公団でやる分と地方公共団体でやる分と、建設省において区分されました。公団のやる分は公団の計画において実施いたしておりますし、東名におきましては相当道路が長くなってきております。また地方公共団体等で公団に委託したいという場合には、委託を引き受けてやっております。
  93. 田中一

    ○田中一君 最後に、高速道路の問題で伺っておきますが、宇野、岡山−高松間、明石、神戸−徳島間のこの架橋の問題は、当然これは幹線道路でなくちゃならぬと思うのです。で、建設大臣、どっちを先に幹線道路として指定しようと思っているのですか。
  94. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) まだ結論を申し上げる段階ではございません。いま御承知のように専門家に技術的に各種の基本的な問題を検討してもらっている、先般三地点架橋といいますか、についての技術的な可能性の報告がありました。それをもとにして、さらにこまかく検討をまた専門家にやってもらっている段階であります。それが出まして、いわゆる技術上の問題、それから建設コストと申しますか、資金の問題、それからまた、いわゆる将来に及ぼす経済効果と申しますか、開発効果と申しますか、日本全体の経済効果、こういう点をつまびらかにしてもらいまして、それから決定すべき問題である、こういうふうに考えておりますが、いまはまだその段階に至っていないわけであります。
  95. 田中一

    ○田中一君 この三本やったらいいのですよ、計画はやっていいです、これは。ただ検討して一本でございますという結論じゃ私は納得できないと思うのですがね。検討して、計画の一本だけをきめますという答弁——それは順位として先にこれをやりますということならいいですが、私はどれも必要だと思うくらいなんです。しいて言うならば九州と四国を結ぶような技術的な解決が見られればもっといいと思うくらいです。だから計画路線ですから、どっちみち実現するまではあなたも私もいないですよ、この世の中に。しかし、いわゆる将来の世代の者にあかりをともしてやるということは必要なんです。これが政治なんですよ。建設大臣は、二十年後に完成するというのですが、これはできっこないですよ。一方においてずいぶん無駄な金づかいやっていますから、なかなかできません。ですからこれも計画、したがって、計画路線としてきめようとするならば、三路線を検討して、一つにするのですというような、いまのところはそこまで言わないからいいけれども、みんな計画してやるのだということのほうが私はいいと思うのですよ。だから計画路線としてはどんどん取り上げなさいというのですよ。それは変更になる場合もあります。そういったものが次の世代に対するともしびなんですよ。どっちみち今後日本が戦争して、大陸でまた新領土を取ろうというような意図はないはずでありますから、それならばやはり国内におけるところのこうした交通問題というのは、もう文化の最先端に先行しなければならぬ問題でありますから、これはもうみんな計画線に入れるのだというぐらいの腹がなくちゃならぬと思うのです。この路線につきましては、そのうちの一つをやるということじゃないでしょうね。時間の問題はこれは別ですよ。
  96. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私が先ほど申し上げたのは、近い機会にそれぞれをやるかという決定もまだする時期でないと、こういうことでございまして、もちろん三カ所できたほうが一番いいと思います。また、つくるべきものであるという考え方はあるのです。けれども、これは将来の夢としてだけでなくて現実にやるべきことでありますから、一挙にはできない。したがって、現在先にやるものはどれにするとか、それをきめるのには、先ほど申し上げたように詳細に綿密に検討した上でないときまらない、こういうことを申し上げたのであります。
  97. 前川旦

    ○前川旦君 関連して一つだけお伺いしておきます。いまの橋の問題ですが、三つの地点でいま候補地があがっておる。それは三つつけるのが好ましいし、それはつけるべきである。しかし、それにはおのずから順序があるのだと、順序の問題だけをきめるのだ、こういうふうに私は大臣の答弁から理解いたしましたが、順序をきめるのに、先ほど大臣は、まず第一が技術的な問題、二番がコストの問題、三番が経済効果の問題、この三つをあげました。念のために伺っておきますが、三つのうちでどれを優先してお考えになっておりますか。
  98. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私は、そのどれを優先するということよりも、まだほかにいろいろ専門的に考えると要素があると思いますが、大きな要素という意味で申し上げたわけであります。そういうものを総合してやって判断すべきである。技術的にはいまの技術はどれでもできるようであります。しかし、その同じできるにしても、私は専門家じゃありませんが、非常な難易がある。また、工期の問題もそれによって非常に違う、こういういろいろなものがありますから、やはりそういう大きな要素を全部総合して判断を、どれを先にそれではやるべきであるかを下す、こういうことであります。
  99. 前川旦

    ○前川旦君 もう一つお伺いしておきます。いまの三つの問題を総合的に判断をしておきめになるとおっしゃいましたが、そういう道路とかこういう大きな橋の場合には、往々にして政治家のいろいろな政治的な圧力、そういった非常に合理的にきめられるよりもそういうものが優先してきめられる場合がいままで多々あると思います。橋の問題を解決する場合には、そういう政治的な配慮あるいは政治家からの圧力、そういうものでなくて純粋にいまの技術的な問題、コストの問題、経済効果の問題、科学的技術的な判断、合理的に判断した上でおきめになる御姿勢であるかどうか。
  100. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 私はそれは非常に大事なことであると思っておるわけであります。非常にそのことが大事なことであって、そういう意味で大きな要素を申し上げて、そしてこれはどこから見てもなるほどという決定をすべきである、かように考えております。
  101. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本件についての審査は、本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後一時四分散