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1966-06-07 第51回国会 参議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月七日(火曜日)    午前十一時一分開会     —————————————    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任      須藤 五郎君     春日 正一君  六月六日     辞任         補欠選任      鈴木 一弘君     白木義一郎君  六月七日     辞任         補欠選任      白木義一郎君     田代富士男君     —————————————   出者席は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 石井  桂君                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 青木 一男君                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 平泉  渉君                 米田 正文君                 田中  一君                 竹田 現照君                 達田 龍彦君                 前川  旦君                 田代富士男君                 片山 武夫君    国務大臣        建 設 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        首都圏整備委員        会事務局長    鮎川 幸雄君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    参考人        日本道路公団総        裁        富樫 凱一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○首都圏近郊緑地保全法案内閣提出) ○国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三日、須藤五郎君が委員辞任され、その補欠として春日正一君が委員に選任され、昨日、鈴木一弘君が委員辞任され、その補欠として白木義一郎君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 首都圏近郊緑地保全法案を議題といたします。  本案に対し質疑のある方は、順次御発言願います。  なお、首都圏整備委員会から瀬戸山委員長及び鮎川事務局長が出席しております。
  4. 田中一

    田中一君 せんだって要求しておいた政令説明をひとつしていただきたいと思います。
  5. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) この前提出いたしました政令案要綱について御説明申し上げます。  政令案につきましてはまだ検討中の点がたくさんございまして、提出いたしました内容は、政令案の大綱的なもので提出いたした次第でございます。  まず、各項目について御説明申し上げますが、第一は、収用委員会裁決申請手続に関する件でございます。首都圏近郊緑地保全法の第六条第九項の規定によりまして、収用法の九十四条第二項の規定によって裁決を申請する場合には、首都圏整備委員会の規則または建設省で定める様式に従って、記載した裁決申請書を提出しなきゃならない、こういう手続に関する規定でございます。  第二は、法第八条の第一項第五号に関する政令に関する点でございまして、保全区域内において行為届け出をすることになっておりますが、その行為の中で、政令で定めるものという規定が第五号にございますが、その政令要綱を定めたものでございます。この届け出を要する行為といたしましては、著しく悪臭を発散させる行為、また水辺地におきまして水質を著しく汚濁させること、こういう行為については届け出をしなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、その他若干検討いたしまして、この点を明確にいたしたいということを考えておるわけでございます。  第三は、法第九条第一項第二号の政令に定める行為でございます。これは特別保全地区内におきまして行為制限を行なっているわけでございますが、法律では第八条の各号に掲げてあります、第一号から第四号までに掲げる行為のほかに、近郊緑地保全に影響を及ぼすおそれのある行為政令で定めるものにつきましては、府県知事許可を受けなければならない、こういう規定になっているわけでございまして、その中の具体的事項として、先ほど御説明しました悪臭発散行為水質汚濁行為のほかに、著しい騒音を発すること、その他公害の発生の原因となる行為、こういうことにつきましても政令指定いたしまして、知事許可を受けなければならないということにいたしておるわけでございます。  第四は、保全区域内また特別保全地区内における行為で、届け出または許可を要しないものに関する規定でございまして、これは法律案の第八条第四項第二号及び第九条第九項第二号の政令に関する関係でございまして、これを取りまとめておるわけでございます。それで届け出または許可を要しない行為といたしまして、まず第八条の関係で申し上げますと、第八条の第四項の第二号に、「通常管理行為、軽易な行為その他の行為政令で定めるもの」といたしておるわけでございますが、その政令で定める行為の中身といたしましては、簡易なかき、さく等設置、あるいは通常農耕作業に伴う行為、森林を維持するために必要な間伐、あるいは下枝刈り、あるいは農林漁業者がみずからの業務または居住の用に供するための建築物建築、また、神社、仏閣等の境内における鳥居、とうろう、墓石等設置、こういうことにつきましては、届け出または許可を要しない軽易な行為と考えておるわけでございます。  次は、法第八条の第四項第五号の政令で定める行為でございます。これは保全区域内また特別保全地区内における行為で、届け出または許可を要しないものの行為を列挙いたしたわけでございまして、これは一号から六号まで掲げておりますが、国有鉄道または鉄道建設公団鉄道新線にかかる鉄道施設建設のために行なう行為、あるいは地方鉄道会社線路用地建設のために行なう行為高速自動車国道建設のために行なう行為、河川の改良工事にかかる行為海岸保全施設建設のために行なう行為、こういう行為につきましては、届け出または許可を要しないというふうに考えておるわけでございます。  第六は、法律の第十四条第二項の規定にかかる政令でございまして、土地買い入れに要する費用につきましては、政令で定めるところにより、その一部を補助するということになっておるわけでございますが、この国の補助金の額は、同条同項に掲げる費用の額に十分の八を乗じて得た額とすること、こういう趣旨政令を考えておるところでございます。  以上で終わります。
  6. 田中一

    田中一君 で、法文の中の二、三の点についてちょっと伺っておきます。  この特別保全地区は、保全区域内に特別地区指定しようとするのか、保全区域特別地区とは全然別個のものだという想定のもとに考えられているのか、その点はどうですか。大きく保全区域の網をかけて、その一部分を特別保全地域とするか、その点はどうなのです。そういう原則的な考え方はできておるのかどうか。
  7. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 第五条にもございますように、近郊緑地特別保全地区指定につきましては、「建設大臣は、保全区域内の次の各号に規定する条件に該当する土地区域」というふうに規定がございますように、先ほどお話が後段にございましたように、特別保全地区は、一般的に指定された近郊緑地保全区域の中で考えておるわけでございます、原則として。
  8. 田中一

    田中一君 常に地域指定というものの問題は、その隣地に起こるわけなんです。たとえば公害であるとか、あるいは騒音などですね。水等は高きから低きに流れるものでありまして、かりに水路の区域外工場等ができ上がる、そうしたものの廃水等が流れ込むという場合の規制がないわけです。常に地域指定というものは、その地域が独立して何ら他から悪影響を受けないという地域じゃないところがあるわけです。上流で工場等から廃液が流れればその地域が荒されるわけです。こういうものの措置はどう考えるか。
  9. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 確かにお話がございましたように、特別保全地区内におきましては、いろいろな行為制限をいたすことにしておりまして、工場廃水等のものにつきましても、保全に著しい支障等のあるものについてはこれを規制するように考えておるわけでございますが、区域外から流れ込むような場合、そういう隣地との関係についてどういうふうに考えておるかというお話でございますが、まず、先ほど御説明申し上げましたように、特別保全地区においては行為規制することにいたしておるわけでございますが、特別保全地区周辺と申しますか、広くまず近郊緑地保全区域指定いたしまして、この区域におきましては行為届け出だけでございますから、あまり強い強制力はないわけでございます。しかし、必要な場合には勧告助言等のことも規定がございまして、勧告助言等を行なって、できるだけ大事な特別保全地区について、なおそういう面でできるだけ規制をやっていきたいと考えておるわけでございますが、それ以外の問題につきましては、関係各省とも十分実際上話し合って、あるいは別の法規の規定等によってそういうことのないようにやっていただくほかはない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  10. 田中一

    田中一君 常にどの法律を見ましても、地域のこうした社会生活上の必要な制限というものは、そうした盲点を持っているものなんです。だから、結局もっと言うならば、やる気があるなら、本気でやるならばこれはできるんですけれども、そうでなくて、あれこれと他にでき上がっている法律その他になるべくぬらりくらりと逃げている、これならよかろうというもので法律をつくるという傾向がたぶんにあるわけなんです。ことに、いまの汚水等はこれはしようがないのだということです、一言でいえば、しようがないですよ。農地だって水銀が入っている肥料をやっていれば、魚も死にますよ、ということになっちゃう。野放しなんですよ、結局。そこで、その問題はなかなか困難だろうと思うのですが、隣接地建設される構築物建築等建築基準法上のいろんな許可基準がありますが、これらのものとどう調整するのかということですね。建築基準法上の地域指定というものがありますね。それから建築制限野放しのところは野放しなんです。全然及ばないわけです。建築をする権利がないわけです、ほんとうは。だから、どういうものが指定されるかということは、われわれはっきりしないものだから、どういう地区でどういうものがと、的確な質問というのはむずかしいのです。こういうことはあり得るということはいえるのですよ。たとえば読売新聞が何とかランドとかいう、ああいうところにとんでもない大きな建築物や遊ぶ施設をつくっている。これはいい環境ですよ、あすこは。おそらく今度の特別保全地域近所にああいうものをつくれば必ず成功するのです。まああすこの、横浜の、神奈川県のあすこへ行ったことがないからわからぬけれども、そうしたものが、よい環境の森林公園的なものができればそこへ集中するわけなんですよ、資本主義というやつは。そういうものをどうするかということが抜けていると思うのですよ。どの方面でそういうことを規制しようとするのか。私は逆にそういうものを奨励するようなことになるのじゃなかろうかと思う。それから都市計画法との関係等ですね。これは都市計画地域だけじゃないと思うのですが、そういうものができ上がると、都市計画地域指定されてどう変更するかということが一応想定されるわけですよ。ただ、自然の環境ということもずいぶんうたっているけれども、自然の環境がそのままで、隣地ですね、付近にそういうものができ上がりますと、自然の環境が守れないのです。公害とかなんとかいう——公害とか、騒音とか、いろいろなことをいっておりますけれども、そういうことじゃないのですよ。そういうことはもうあらわれている問題なんです、解決すると思うのです。解決つかないいろいろな問題が出る。いまも言っているように、あなたの説明しているように、除外例がある。たとえば高速道路等は非常に公共度の高いものだから、これはもうかまわないのだということの除外例が出ている。現在、外郭高速道路でもってああして新聞等で書かれ、また、建設大臣のところにもずいぶん陳情もいっているわけです。何とか公園というところのそばを通って困ると。そうすると、公益性というものと、そういうものが全部除外されています。政令ではっきり具体的にどうきめるかわからぬけれども、われわれはその地点と状態がわからない。公益性という、鉄道とか、あるいは高速道路とか、その他の問題を除外例にしておりますけれどもね、そういうものは野放しにしておって自然の環境というものはそこなわれないものか、そこなわれるはずなんです。だから、もうよく調べていくと、この法文そのものが同じことじゃないかということになるのですよ。何にもならぬじゃないかということになるのです。で、そういう点がこれからきまった面でその場所場所によっていろいろな問題を解決しようというのだろうけれども、問題は、結局予算をたくさん出すことなんです。あれは首都圏だけで五百億程度のものを出して、それで一応自然の環境を守るのだというならば、これはもう了承できる点がありますけれども、そういう点はどうですか、見通しとしてですよ。せんだっても伺っているけれども、二億円というものを今度どこに補助をしようというつもりで計上したのか。これは一つのモデルでいいですよ、どこでもいいですよ。ここに何々県、何々県と書いてありますからね、どこに補助金を出すことに想定して、どういう法律の発効を、部分的なものでしょうけれども、それを見ようとするのか、説明してくださいよ。それは決していずれ法案が通りましたならばなんということじゃないです。ちゃんと想定されている場所があるはずなんです。そんなことを、いや法律が通りましたらば考えますとか、相談しますということじゃないと思うのです。それをひとつ説明してください。これは委員長から説明を受けてもいいのですが——いや、委員長でいいですよ。
  11. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) この前も申し上げましたように、特別保全地区の、どういう地区指定しようかという点につきましては、首都圏整備委員会事務局におきまして、また各公共団体におきまして、それぞれいま検討を進めておる段階でございます。そこで大体、数につきましては十五、六カ所、二十カ所程度になるんじゃないかというふうに考えるわけでございますが、ただ、いまのところはまだ首都圏整備委員会法律趣旨に沿った考え方、それから地元関係意見調整という点につきまして、まだ十分な意見調整が行なわれておりません。今後この法案趣旨に即して各公共団体との意見調整をはかってまいりたいという段階でございまして、いまのところは具体的な個所は、特に補助金の二億の対象になる地域はきめていないのが現状でございます。ただ、私どもといたしましては、この法案趣旨荒廃の防止と緑地保全することでございますから、特に荒廃の激しい所はぜひ守っていかなければいけない、こういう考え方も持っておるわけでございますし、また、その自然的な内容が将来ともに保全するに足るという条件も持っていなければならないわけでございます。そういう条件等も考え、地元意見等を十分徴してこれはきめなければならないということでございます。  それからもう一つは、買い入れ規定におきましては、普通の一般公園事業と違いまして、国や公共団体が積極的に買い入れるということではなくて、十二条にもございますように、保全上必要があると認めるものにつきまして、この九条第一項による行為制限、こういうことによって土地の利用が非常に著しい支障を来たすという場合に、買い入れるべき旨の申し出があった場合に買い入れるということが原則的な考え方でございます。したがいまして、いまどこを買うということはきまっていない、先ほど申し上げたいろいろな点も考えましてきまっていないというのが現状でございます。     —————————————
  12. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 途中でございますが、委員異動について御報告いたします。  ただいま白木義一郎君が委員辞任され、その補欠として田代富士男君が委員に選任されました。     —————————————
  13. 田中一

    田中一君 まあ、どっちみち、ざる法なんだからやってごらんなさい。ただ問題は、こうした一つの法の制定によって常に土地関係する思惑が起きてくるんです。これはもう必ず起きてくるんですよ。これは私は社会悪だと思うんですよ。しいて言えば政治悪です。政治悪ということばを使ってもいいと思うのです。それよりも首都圏内地域住民ほんとうに緑を愛するという真剣な気持ちを持たせるような政治が一番大事なことなんです。何でも行政官庁が発動して制限したりゆるめたりということ、そうすると、結局、行政官庁行政面行政に対するところの大きな制約を受けなければならぬ。特にこれなどは私権を守られる側よりも、これによって利益を受ける側を私は考えるんです。極端な利益を受ける者が生まれてくるんじゃなかろうかと思うんです。そのほうの土地値上がりを抑制するとかなんとか言いながら、新しい投資部門土地に対して発見しようとすることになるのじゃないかという心配を持つわけです。常々、いままでこういう制限等の問題について立法化されておる。その施行された付近を見ると、みんな土地値上がりをしておる。地域に関する指定鉱物が出た場合には、その周辺は必ず値上がりしておる。それはそのはずですよ。下水もできる、道路もできる、電気もくる、何もくると思えば、当然そこに採算的な利益を生む条件が生まれてくるのですから、それに便乗するのは当然なんです。私はこれもそういうことになるのじゃないかと思うのです。なるほど緑地保全するという、自然環境を守るということは非常に美しい、われわれの望むところでありますが、それに便乗してくる投資家といいますか、資本家というか、投機師というか、最初の目的から逸脱して、それこそ悪い環境に影響される地域ということになるおそれも多分にあるので、この点はいまのような、この法律によってものをきめるのじゃなくて、別の面でそれを守るということがしっかりしなければならないと思うのですよ。そうしてこういう点で、たとえばいまの東京都内における外郭道路などでも、だいぶ騒ぎが起こってきていますが、そうした野方図もなく制限行政官庁だけにまかすということは、これは法律盲点です。私は、そういうことではなくて、やはりそういう場合に何らかの機関があって、その機関でもって国民の意思というものが反映するというような決定を持たなければならぬと思うのですが、その点は何ら考慮されておらぬのですか。鉱物その他地下資源については、土地調整委員会関係するらしいけれども、他のものに対しては何らの——野放し行政権におまかせするという、地元民の意思も何もありはしません。その点は、そういう機関は持とうとしないのですか。
  14. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいまのお尋ねは、こういう制限等をやる重要な行為について、その地元住民意見を反映することを考えておるだろうか、こういう御質問かと思うわけでございますが、一般保全地区及び特別保全地区につきましても、それぞれどういう手続によってやるかということを定めておるわけでございますが、一般保全地区につきましては、まず関係各省はもちろん、関係地方公共団体意見を聞いて定める、こういう定めが首都圏整備法にございますが、こういうことにいたしておるわけでございます。関係公共団体は、その際に地元の代表の方々ももちろん入った意見として、その意見を聞いて進めたいと考えておるわけでございますが、次に、近郊緑地特別保全地区の点でございますが、近郊緑地特別保全地区につきましては、そういう手続で大きなワクがきまって、さらにそれに対する細部がきまっていくわけでございますが、その手続といたしましては、建設大臣都市計画法の定める手続によって指定をする、こういうことになっておるわけでございます。この都市計画法の定める手続と申しますのは、都市計画地方審議会意見を聞いて定めるという、手続面で申しますとそういうことになるわけでございまして、この審議会におきまして、各地区調整の問題、また、地方審議会にはそれぞれ地元からの御意見等も反映されるような、地方方々意見が反映されることになっておりますので、そういう手続を経て指定するというふうに考えておるわけでございます。
  15. 田中一

    田中一君 ちょっとこの問題と関係するから、これは委員長に、建設大臣に伺いますが、きのうきょうの新聞で、いよいよ外郭環状線が、あれが本会議できまったそうです。これはもうそれこそ審議会委員といったところで、結局役人ばかりです。ほんとう役人上がりか下がりか知らぬけれども、そうしてあと都会議員が若干ということなんで強行しているのですね、問答無用であれを強行して決定しております。で、相隣関係というか、近所にそういうものができていいとか悪いとか、何キロメーターくらいが直接関係ないという考え方に立っているのか、ちょっと聞いておきたいのですよ。で、この今度の指定でも石神井公園からどれくらい離れているのですか、瀬戸山さん。
  16. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 明確な数字は、いま図面がありませんが、一キロ幾ら離れている、こういうことになっております。
  17. 田中一

    田中一君 そうすると、一キロくらいならば、これは悪影響がないということになるんですか。
  18. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 悪影響があるかないかということは、いろいろ御意見があると思いますが、石神井公園の、もう少し拡張計画をするという予定地にやや接近している、こういう状況でございまして、現在の、もとからあります公園の敷地から相当離れている、こういう事情でございます。御承知のとおり、東京都内道路をつくりますときに、なかなかその道路周辺は、道路から何キロメートル離れるとか、あるいは何千メートル離れるということは、ほとんど不可能でありますから、できるだけそういうものに支障を来たさない最小限度と申しますか、そういう配慮をして路線をいろいろ検討する、こういう事情でございます。
  19. 田中一

    田中一君 都市計画審議会決定——決定というか、答申は、これは何も建設大臣がうのみをする必要はないのです。これは建設大臣良識——あなた政治家なんだから、良識政治的に判断して結論を求むべきだと思うのですけれども、あなただいぶ急いでおったようだから強行したのだろうと思うけれども、強行しろと言って命令したのだろうと思うけれども、部分的な修正はするという意思はないですか。
  20. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いまお話でありますが、急がせたとか強行しろというような意見を出したことはございません。これは御承知のとおり、都市計画地方審議会審議にゆだねてあったわけであります。東京都の地方審議会で、独自の見解できめられた、これは間違いございません。その審議会で、どういう意図で昨日きめられたかということは、よく承知いたしておりませんが、実際問題として、非常に長い間の懸案でありました。田中委員承知のとおりです。東京都内、あるいは周辺交通事情、それからいわゆる高速自動車道との関連、こういうものがそういつまでも綿々としているという事情ではございませんので、いろいろ検討をした末にああいう地帯を通るということはやむを得ない、こういう関係決定されたのだろうと思います。  部分的な修正ができるかどうかということは、答申が出ましてから検討いたしますが、まあ率直に申し上げて、きわめて小部分の関係地をどうするかということは、あり得ると思いますけれども、路線の修正ということは、東京都内では不可能であろう、かように考えております。
  21. 田中一

    田中一君 あなたずっと今度の決定、答申された路線を全部歩きましたか。
  22. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 残念ながら歩いておりません。
  23. 田中一

    田中一君 この緑地保全関係でなぜ質問するかというと、そういう地点があの外郭環状線には多いのです。どうです。これにも関連があるからひとつきょう午後からでも一緒に歩いてみましょう。これはあなたがわれわれと一緒に歩くことによって相当緩和されるということになるのです。まあいろいろな反対運動等も緩和されることになる。これはこれで、この法案法案として、関連がございますから、ひとつきょう午後どうです。車で二時間も行けばいいわけですから。
  24. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) きょうはいろいろな予定があります。委員会もありますので、きょうというわけにはお約束はできません。
  25. 田中一

    田中一君 どっちみちこの委員会においで願うはずなんですから、この委員会として行けば一向差しつかえないと思うのです。それまでの熱意は持たなければいけないのです。それは御承知のように、東京都の山田整備局長なんというのは強引で強引で、まるっきし何でも信ずることはやるという、いい面もありますけれども、あれは政治家じゃないのです。やはり政治家政治的に判断をするということは最後の問題なんです。だからあなたを建設大臣にしているのです、国民が。抵抗のあるところはますます自分が行くべきですよ。これは委員長にひとつお願いしたいのですが、これはこれでもう理事会のとおりに採決しても一向差しつかえございませんが、これに関連がございますから、きょうはひとつ、一時間くらいのものです。行くと言っても近いのですから。これは建設大臣を中心にしてわれわれ委員会が一ぺん現地を見るということをひとつお願いしたいのですが、即刻理事会でおはかり願いたいと思うのですよ。これは通すことになっているのですから、これはもうよろしゅうございます。しかし、見に行くことがいけないということになると、通る通らないの問題はやっぱり関連がございますから。
  26. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 率直に申し上げて私は現場を見ておりませんが、おおむねのことはいろいろ聞いておりますので、まあ前にあの辺を歩いたことはありますけれども、路線じゃありませんけれども、おおむね想像はつくのです。けれども、昨日審議会で原案を決定された、まだ建設大臣に対する答申はございません。答申が出てきたら一度見たいという気持を持っておりますが、きょうじゃない機会にそういうことを計画したいと、かように考えております。
  27. 田中一

    田中一君 これはちょっと速記とめて相談してくださいな。これはこれに関係があるのですよ、この法案に。これは私は秩父の山とか、神奈川県のほうの山とかというよりも、実際言うと、都民は都心に近いところの緑地というものを求めているのです。これはつくって、人工でかまいませんよ。それがむざむざとそこなわれていくということはちょっと許しがたい。ちょうど先ほどの委員長の話だと午後からまた委員会を開くのだそうですが、その委員会をこれに振りかえて、一時間ばかり、それで当委員会がこれを見に行くということをひとつ提案したいのですが、この法案関係がございますから、ひとつはかっていただきたい。
  28. 松永忠二

    委員長松永忠二君) いまお話しのありました外郭環状線の問題は、やはり東京都の都民の人たちでも非常に問題にしているのは事実でありますから、機会を見て審議に差しつかえない範囲で、あるいは関連をしていろいろ実際の調査をする必要のあるということは、お話しの点はごもっともだと思うのです。ただきょうやるかどうかという点については、やはり理事の皆さんの御意見等も聞かせていただいて、そしておまかせをいただきたいと思います。
  29. 田中一

    田中一君 おまかせと言っても、私の希望する方向におまかせいたします。
  30. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御希望はよくわかりました。
  31. 田中一

    田中一君 建設大臣が当委員会があるからきょうは行かれないとおっしゃるなら、委員会の中で休憩して、一時間行けば——たった一時間ですよ、一時間行けばいいことなんです。われわれも勉強したいのです。
  32. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私は、先ほど申し上げましたように、かねがね、修正できるできないは別問題といたしまして、ああいうふうに直接関係者がいろいろ心配しておられるそういう意味で、これは最終決定するまでには、一度現場の様子を見たい、かように考えておるわけでございます。しかし、田中さんのおことばでありますが、きのう東京都の審議会決定した、きょうという時期は適当な時期でない、かように率直に思います。でありますから、これは一週間や十日で決定される事案ではございませんから、その間においてひとつ見るということでぜひお願いしたい。きのうのきょうということは、私は適当な時期ではないと、率直に思います。
  33. 松永忠二

    委員長松永忠二君) いまお話しの件は、休憩になりましたら、理事の間で相談をいたしますので、強い御希望があったということについては御承知のとおりであります。大臣が申し上げたのは、大臣としての御都合のことであって、別にそれがどうこうというようなことではないのでありますから、また理事の皆さんとも御相談した上で、やはり決定をいたしましたら、その線で御協力もいただくし、あるいはまた、御希望に沿うことができればそういうふうにするということで、ひとつその点は、休憩の際に理事の間で相談いたしますので、その点でひとつ御了承いただいて、法案の御質疑を続けていただきたいと思います。
  34. 田中一

    田中一君 これは首都圏緑地保全に関する法律と関連があるから申し上げているのです。やたらに公共の名においてそれらのものをどんどんくずしていくということになりますと、これはこの法案の制定の趣旨じゃないのです。ことに建設大臣としての瀬戸山さんが、路線を決定しようという審議会に提案したところの案を全然知らないで、事務当局だけにまかして審議会にかけるなんということも、これはどうかと思うのですが、瀬戸山さん、あなたは大臣になってから、もう一年も二年も大臣してもらうのですから、何でもかでも事務当局がつくったものでもってそれをうのみして、あとで第三者の機関にかけて決定したから、決定——あとで見に行っても何にもならないのですよ。前に見に行かなければ、だめなんですよ。審議会に付議する前に、見に行くべきだと思うのですよ。まあ、きのうのきょうだから、行ったのでは反対している連中から取りかこまれて、身辺の危険を感ずるということもお考えになっているのかもわかりますんけれども、そうじゃなかったら、行くべきだと思うのです。きのうのきょうだから、ちょうどいいんじゃないかと思うのです。  その問題は、ひとつ先ほど委員長が言っているように、理事会でおはかりいただきたいと思いますけれども、緑地を守ろうというこの法律が、手近な問題でいまのようなことになると、公共の名においてやたらにぶちこわす危険が多分にあるのです。一つ道路にしても、道路が無目的にできるのじゃないのです。本来ならば都市計画というものが、外国の例を見るばかりでなく、日本でもちょいちょいやっておりますが、計画された地域道路から出発していくのです。これだって同じです。緑地帯ができ上がれば、それに自然に道路がつくようになります、いこいの場にしようとするなら。だからそれが公共の名においてやたらにこわされたのじゃ困るのです。こういう点で、この法律審議のために、私は見たいと思うのです。だから、きょうは適当でないというなら、私は委員会だけでもいいと思うのです。そういうものをひとつ、大臣が来られないなら、私は行って見てきたいと思うのです。これは、この精神ですよ、緑地保全の精神というものと、がっちり合っているのかどうかという趣旨なんです。これは、あと休憩のときに伺いますが……。  せんだって、ちょっと伺っておいたのですが、国有地、公有地、これはもっと明細に色分けしたような図面を出してもらえぬかな。一面よくあるのは、こういう私権の制限をしながら、地域指定するといいながら、一面、公有地や国有地をどんどん払い下げているのです。これはちょっと、どうもおかしいと思うので、そういう点は、もっとわれわれがこの法律審議するにあたっての、鳥瞰図的な、地域に対する認識を持ちたいと思うのです。もう少し詳しく説明してもらえぬかな。
  35. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) この前も御説明いたしました五十キロ圏内で、既成市街地を除きます部分の土地の利用の概況と、それから同じく五十キロ圏内におきまして、特に国有地、公有地で緑地的なもの、その中で一ヘクタール以上のものしかとっておりませんが、そういうものについては、図面はございませんが、資料はさっそく、ただいまでも提出できます。
  36. 田中一

    田中一君 資料を出して下さい、あるそうですから。
  37. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  38. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。  資料の提出について。
  39. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) いま申し上げた資料は、さっそくただいまでも、いま取り寄せますが、提出いたしたいと思います。
  40. 田中一

    田中一君 林野庁が持っているところはどのくらいありますか。その地域の中で林野庁の持っている山林。
  41. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 先ほど申し上げました資料は、固定資産税の課税対象の地域のものと、それからしからざるものとの関係と、それから宅地、田畑などの土地の利用区分についてのものが、その内容になっております。いまお話しになりました林野庁のものにつきましては、大蔵省の所管の関係の普通財産の問題あるいは国有林の問題かと思いますが、これにつきましては、それぞれの地域につきまして——それぞれの地域と申しますのは、首都圏の近郊地帯ではなくて、首都圏の全域につきましての、三十九年、四十年度につきましての調べた資料はございます。
  42. 田中一

    田中一君 この林野庁の持っている国有林ですね、首都圏整備委員長、これは、とりあえずもう全部保全地域指定しますか。
  43. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いま申し上げましたように、首都圏内における国有林の状況はわかっておりますけれども、近郊整備地域がどのくらいあるかということは明細にわかっておりません。これは勘と言うとおかしゅうございますが、この近郊整備地域にはあまり国有林というのはないだろうと思います、御承知のように近いところでありますから。そこで、この特別保全地域あるいは一般保全地域、これにもし国有林がありますれば、この条件にかなうところはそれは当然に国有林として保全指定すべきだと、かように考えておりますが、この法律に書いてありますような目的と申しますか、状態、そういうものが国有林としてあるかどうかということは別でありますが、あればもちろん最優先に指定をする、こういうふうに考えておるわけでございます。
  44. 達田龍彦

    達田龍彦君 二、三点質問をしておきたいのですが、この前首都圏緑地の状態というものを実際に見てまいりまして、非常に認識するところが多かったのです。その中で二、三私が疑問に思い、感じた問題があるので、この機会に質問をしておきたいと思うのでありますが、それは、一つは、飛鳥田参考人も申し上げたように、今日の緑地の状態を考えてみると、きわめて早急に、早い機会に指定をしてそうして保全をしていくという状態をつくっていかないと、これは団地その他の問題から、完全な緑地の保存ということが困難になってくるのじゃないかという意見がありました。私も現実に見てみて、思ったよりもひどかったので、そうであろうと思うのでありますが、現実に法律をつくってみても、その裏づけになる予算は、二億でございましたか、程度であって、その実効は非常に期待できない状態にある。したがって、これの効果的なあり方としては、早急に大幅な予算を組んでこれを確保していくということが一番重要なことではないかと思うのであります。将来の方向としてその方向が確認されるとするならば、予算の措置としてどういうことを今後考えておるか。これは一つ建設大臣の決意にもなると思いますけれども、効果的な運用、効果的なあり方を求めるためには必要なことではないかと思うので、ただ単に法律をつくって漸次これを高めていきますという程度のものでは、私は、今回の緑地法案を通した以後の問題として非常に心配であるわけでありますから、この点について、ひとつ建設大臣から、次年度はどうする——まあ基本的に、私がいま申し上げましたことがそうであるとするならば、それを一応その態度を表明してもらって、その上に立って、次年度以降の予算はどの程度のものを大幅に認めていくという構想なり決意なりをまず明確にいたしてもらいたい。
  45. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私はこの法律案を立案を命じます前に、まあこう言っちゃ失礼でありますけれども、ねかがね、大都市における緑地がだんだん壊滅していくと、こういうことを平素から、何と申しますか、残念に思っておったわけであります。そこで、首都圏の問題を検討いたします際に、まあ住宅ももちろん必要であります。住宅団地そのほか大いに開発をしなければならない。けれども、ここでもしばしば御議論になりますように、従来の首都圏整備計画というものは、ほとんどまあ率直に言って画餅に帰しておる。そういう意味で、先般も申し上げましたように、全域を空から見なければよくわかりませんから、二回にわたって空から見たわけであります。いま達田委員お話のように、率直に、こういうことでは相ならぬという感想を持ちまして、図面——飛行機の上からも図面でいろいろ検討いたしました。これが地上におりるとどういう状況になっておるかということは、これはもっと調べなければわかりませんけれども、いまにして、現在ある緑地を相当部分を保全しておかないと、これは将来にさらに重ねて悔を残す、こういう考え方から、この構想を出したわけであります。率直に言って、最初はなかなか政府内でもあまり認識はございませんでした。皆さんのように空から見ていただくと、なるほどということはよくわかると思うのであります。そういう意味でこの案を出しまして、予算も当初、いま幾らであったか覚えておりませんが、相当の額を要求しているのであります。けれどもなかなか認識が薄い。そういう状況で、前にも申し上げましたように、とにかくこういう制度をこの際確立することが先決である、まあ二億なんというのはちゃちな金でありますけれども、それでもがまんしようということできたのでございます。そこで、しばしば事務局長からも御説明いたしておりますように、これから指定をし、また特別保全地区はどういうふうにするかということを都市計画決定する、こういう段階になりますので、しかも、そういうところは、現状では率直に言って、そう地価が高いところではございません。でありますから、これは積算してみなければわかりませんけれども、そう都市内における土地のような考え方で何百億という金は要らないと思います。指定をいたしまして、その効果あらしめるためには、しかし少なくとも年に十億二十億の金では足らないと私は思っております。でありますから、しばしば御批判がありますように、まあ先ほど田中委員からも、結局ざる法だからやってみろというような御意見もありましたけれども、この問題はそれでは済まないのだと私は思っておるのです。そうしなければ、それこそ取り返しのつかない事態になる、こういうふうな基本的な考え方を持っております。でありますから、四十一年度は二億でこれから準備を進めますが、直ちに買ってくれという問題になるのかどうかということが今後の問題でありますから、大体これで進むのではないかと思います。でありますから、四十二年度からはおおむね、これもいつまでもほうっておくわけにいきませんから、指定をすみやかにしなければならぬ。それによっておおよその見当がつきますから、これを生かすための予算は相当思い切ったものをつけなければならない。これはまあ別の問題でありますけれども、例の古都保存法においても同じであろうと思います。どちらも二億ということで一応初年度で、これから計画を進めるのであるからということで、同じく出発をいたしておりますが、両方ともやはり同じことであろうと思いますから、これは皆さんの御理解を願って、あるいは皆さんの御協力を得ながら、この法律が全くざる法でないという証明をするだけの措置はしなければならない、かように考えておるわけでございます。
  46. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあよくこの法案趣旨、それから現実の状態をよく理解されておるわけでありますから、早急にひとつ予算の拡大、効果的な緑地保全、このことを建設行政の中心に置いて考えておいていただきたい。  それからもう一つは、見てみて、はげ山に近い状態のものが多い。森林地帯というよりも雑木林ですか、叢林的な状態、私はこの前御質問申し上げたときに、この保全法の中でできれば植林事業をやっていくという所管を建設省に置いてやっていくという強力なかまえを見せないと、木も枯れていくことだし、いまの状態では、土地だけ確保してみても、真にいうところの緑地的性格が生きてこないのではないかという意見を申し上げております。見てみまして、確かにはげ山が多いし、森林地帯というよりも叢林あるいは雑木林という状態でありまして、緑地を、これは私は地域を広く持つことも必要だけれども、同時に、そこに森林として密生しておるということもまた非常に効果があることではないか。そういう意味で地方のいわゆる各県の植林にまかせるのではなくて、私は国で、将来のあり方としては、この緑地建設省なら建設省が所管をしてでも強力な植林を行なっていくという基本的な立場をとっていくべきではないかと思います。したがって、そういう考え方について、将来の検討としてそういう立場が是認されるとするならば、将来そういうものについて具体的にどうしていくという考え方をお持ち願わなければならぬと思いますが、その点についての大臣の考え方をただしておきたいと思います。
  47. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御意見は、私はしごくもっともだと思っております。飛行機でごらんなさって、いまお話しのように、大体五十キロ以内ぐらいのところは叢林地帯あるいは雑木林地帯である。関東平野はもともと樹木の繁茂する土質だと思うのです。したがって、たとえば、最近はだいぶ小さくなりましたけれども、上野にしても芝公園にしても、大きな樹木が繁茂しておったところであります。ただ現場は私一々調べておりませんから、これは想像話ということで恐縮でありますが、飛行機あるいは空から見まして、いまお話しのように雑木林あるいは叢林地帯であるということは、樹木の繁茂しないということは、繁茂をする樹木は伐木しているのだと思っております。木が大きくなったのは何かの用材やその他に使っておる。したがって、伐採を禁止するということになると大きくなるところであります。御承知のとおり、ケヤキなんていうのは関東平野の名物であったのです。そういうものを伐木をちょいちょいしますから、したがって森林的な現象を生じない、こういうのが原因になっておるのではないかという気がいたしております。これは一々場所場所によって調べたわけじゃありませんが、従来の経験からいってそういう感じがいたします。でありますから、この措置をとりますと、やはり成育のいい樹木は大きくなるのじゃないかと思います。したがって、それがかなわなければ、やはりこの法律の目的を達するためには、将来においては植林と申しますか、そういうこともやっぱり考えて、ここにうたわれておるような都民と申しますか、一般民衆のいこいの場というものを積極的につくっていく、これが私は必要だと思う。諸外国を回りましても、少ない経験でも、やはりいわゆる大森林らしいものを大都会のやや近郊に諸外国は持っておるわけであります。そういうことは当然考えるべき問題であろうと思っております。
  48. 達田龍彦

    達田龍彦君 最後に、これはどうせ上がるわけでありますけれども、私は、一つどうしても法案考え方について、社会党もこの法案については賛成法案として上げる立場にあるわけでありますけれども、賛成できないような内容一つあるのです。それは、この前の質問の中でも私は申し上げたのですが、公害あるいは災害の関係、健康の保全のための緑地というのはよくわかる。ところが、公害、災害ということになると、これが私は国民の権益を制限しないものであるならば、ある一面では理解ができるのでありますけれども、国民の権益を制限しながら公害、災害のための特別地域あるいは指定地域というものを指定していくという基本的なあり方は、私は間違いではないかという気がいたします。それは公害の場合を例にとってまいりましても、ばい煙ないしは汚水あるいはスモッグ対策、こういう問題については、元来工場等がばい煙対策、汚水対策はやるべきであって、権益を制限して、緑地でもってこれを変えていくというあり方は、私は、権益の制限という大きな犠牲をしいながらこれを行なうということについては、どうしても考え方として変えてもらわなければ、将来の問題としていけないのではないかと思います。それと同時に、風水害の問題にいたしましても、これは治山治水の問題であって、地震等の問題もそうであって、緑地保全することにおいてこれを保全することがこの目的であるような形になることについては、これまた私は私権の制限とあわせて行き過ぎのきらいがあるというふうに考えるのです。したがいまして、将来のあり方として、権益を制限するわけでありますから、これはこの法律に出ていますように、及びということではなくて、またはですから、単独で公害または災害の場合に緑地を指示し特別地域にすることができるのです。具体的にどういう地域がなるか明示はなかったのでありますけれども、私は、考え方としてこういう考え方をされると国民の権益というものが、公共の利益ということよりも、やるべきものをその省においてやらないで制限をしていくという重大な問題との関係が出てまいりますので、こういう考え方については、将来十分検討をし注意を払って、私は、この法律の制定にあたって、建設省は、今後収用法等の中にも、今後、あれでいきますと、強制収用的なにおいが出てくるわけでありますけれども、そういう形のものが徐々に出てくることは、私は、非常に公益性と私権の制限という問題でその限界をどこに求めるのかということは非常にむずかしい問題でありますけれども、具体的な問題として、今回の公害、災害の問題について、私はどうしても理解することができません。こういう問題について、私の考え方がどうなのか、大臣からひとつ明確に御答弁願いたいと思います。
  49. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 第五条にそういう、前にも御質問がありましたが、規定があるわけであります。考え方の基本としては、私は達田さんのおっしゃることはよくわかる。もちろんばい煙、あるいは汚水等のいわゆる公害、これは原因において立ち切るということが当然であります。ただこの場合は、どうもせっかく近郊緑地帯の樹林地が伐採されて、いわゆる災害のもとになるというようなこともありまするので、こういうことをつけ加えて法案に書いておるわけでありますが、災害のもとは別な問題として、これは当然にそのほうの措置を講じなければならぬ、これはまあ基本的な考え方は私同じ立場だと、かように申し上げてよろしいと思います。
  50. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  52. 田中一

    田中一君 非常に長い間、質疑をかわしたこの法律案は、社会党としては、一応賛成を表明するわけです。  ただ、先般の参考人等の意見を聞いても、指定によって私権を奪うという場合における損失補償の問題等も明文化されておりますけれども、具体的に行なわれた場合の資金源というものが相当大きくものを言ってまいります。その場合、関係市町村の長は、その地域住民利益を守るたてまえから、固定資産税等の減免の問題、これもおそらく問題になると思います。その際に受ける市町村の収入減というものに対する措置を当然考えてほしいというような参考人意見もありましたし、ことに、われわれ当委員会におきましても、内々委員長もお聞き及びのように、法律改正によってこれを押し切ろうではないかというような話し合いも出ております。しかし、事は将来の運営にかかるものでありまして、この運営にかかるものに対する裏づけの問題が常々問題になりますので、この際、四十二年度以降における買収等の予算の計上の方向、並びに地域において起こるであろうところの不均一課税等の問題を、ひとつ首都圏委員長としてはどう考えるのか、同時にまた、それが当委員会でも再三質疑をかわしておりますように、その場合の措置としては、当然これは当然地域の必要によって行なわれるものでなくして、首都圏全体の意思、しいていうならば、国家の要請という形から行なわれる事業である限り、当然これは政府においてそれらの地方公共団体における収入減等の考慮は払わなきゃならぬと思う。そこで、法律修正によって通すということは、一応ここでそういう方法はとりません。が、委員長の決意、この法の施行によって起こるところのもろもろの問題、それらは究極、政府において負担をするというような将来への考え方が表明されなければ困ると思う。そこで私は、附帯決議をつけてこれに対する政府の確固たる答弁を求められるものと期待して賛成するものであります。  附帯決議を読み上げます。  以上をもって賛成の意思を表明いたします。
  53. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 私は、自由民主党を代表して、首都圏近郊緑地保全法案に賛成し、ただいま提出されました田中君の附帯決議案に賛成するものであります。
  54. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  首都圏近郊緑地保全法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  56. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました田中一君提出の附帯決議案を議題といたします。  田中一君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  57. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 全会一致と認めます。よって田中一君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、瀬戸山国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。
  58. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) ただいま御決議になりました附帯決議の趣旨は、いずれもしごくもっともであります。御審議中にも申し上げておりますように、この法律趣旨を達成するために、予算等の増額に全力をあげたいと、かように考えております。  なお、この法律の実施にあたって行為制限を受ける場合、土地の利用等に関連して、あるいは地方税の不均一課税等の措置が講ぜられる可能性がありますから、それについては国において必ずこの裏づけをするという措置をとりたいと、かように考えております。
  59. 松永忠二

    委員長松永忠二君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは暫時休憩いたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後一時五十七分開会
  61. 松永忠二

    委員長松永忠二君) それでは委員会を再開いたします。  国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。  なお、政府から瀬戸山建設大臣及び尾之内道路局長が、参考人として日本道路公団から富樫総裁が出席しております。
  62. 達田龍彦

    達田龍彦君 縦貫道路関係について、まだ資料を全体として検討をいたしておりませんので、ここで全体の御質問が終わるという段階に私のほうの事情がないので、とりあえず資料の整った範囲で今日は質問をしていきたいと考えておるわけであります。  そこで、まず道路公団のほうに、総裁お見えでありますから、重ねて質問をいたしておきますが、というのは、道路公団法が三十一年にでき、発足をいたしておりますけれども、私、先回質問で触れましたように、発足の当時の道路事情というものと今日の実情というものは、日本の経済規模あるいは道路事情首都圏の状況、すべて経済的にも財政的にも、国家事情というものが違うのであります。そこで前回の大臣のお話の中に、質問に対する回答の中にあったのでありますけれども、高速道路は将来鉄道的な性格を持つんだという、こういう話がありました。私は、同時に、そういういろいろの問題が今日変わっておる段階の中において、道路公団それ自体の内容もそれに合うように変えていくべきであるということを私の意見として申し上げたのでありますけれども、問題は、いま建設と管理ということを中心に置かれておるわけでありますが、将来七千六百キロにわたる高速道路ができたときに、私は考え方として、道路公団がもちろん道路の管理、それから今後は、有料でありますから、経営、営業ということも考えなければならぬ。これの仕事を私は一般の有料道路と比較したときに、道路公団の仕事としては、高速道路の有料化に伴って、大きな業務のウエートを占めてくると思うのであります。そういう意味で、将来の道路公団の性格というものは、営業、管理というものを中心に置いて、道路建設ということについては、やはり別の角度から建設を中心にする機関がやっていくということが、大規模な高速道路建設あるいは維持管理あるいは営業というものについて、合理性も持つし経済的にも効果があるのではないかと、こういうふうに私は当面考えるのです。この前の委員会の中では、まあいま財政の問題にいたしましても、あるいは管理運営の問題にいたしましても、道路公団の性格の問題にいたしましても、将来検討していきたいという検討事項が非常に多いのでありまして、やるのかやらないのか政府の方針がはっきりいたしませんけれども、私は少なくとも、道路公団が今後高速道路を受け持つという前提に立つ限り、そういう将来に対しての機構、管理の問題に対しての構想が明確にならなければならぬと思うのでありまして、いま私が申し上げたような考え方に立って、一体この公団法というものを変える考えがあるのかどうか。変えるとすれば、どういう観点から変えていこうとするのか。もしその変える法律の時期というものがあるならば、いつごろ出そうとするのか。こういう面について、総裁のほうで適当でない内容があれば大臣のほうからでも、あわせて同時に御回答をいただきたいと思っています。
  63. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) ただいまお話しのございましたように、これからやります高速道路の延長は非常に多いのでございますから、現在の道路公団がこれを建設し、さらにできたものを管理するということはたいへんな仕事であります。一つの見方からいたしますと、高速道路のできたものの管理とそれから建設とを分けたほうがよろしかろうという意見もあろうかと存じますが、現在計画されております七千六百キロの建設と、それからできましたものの管理は、現在の公団を強化してまいりますと、その建設も管理もこの程度のものであれば可能であるというように考えておる次第でございます。しかし、料金を取ったり修繕したりという管理も非常な量になろうと思いますから、それらの点についての管理機構体制というものは、今後検討いたしていかなければならぬと思います。  なお、これについて、公団法の改正の考えについてお尋ねがございましたけれども、これは公団でお答えするのは適当じゃないと思いますけれども、私の考えでは、現在の公団の機構を強化することによって、この高速道路の維持管理、建設は可能であるというように考えておる次第でございます。
  64. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあ検討していく——その検討していくというのが先回の委員会でも非常に多いのでありますが、基本的にどういう考え方に基づいて検討をしていくと、その検討の中で問題点はどういうものだと、こういうものが具体的に出ないと、逃げことばとして検討していくじゃ困るのです。先回の委員会の中でも、ほとんどが、今後検討します——一体、検討しましたけれどもできません、こういうことでは私は困るのであって、検討するとするならば、基本的にどういうことを中心に置いて、問題点はどうであれ、こういうふうに改正をしていきたいという具体的のものがなければならぬと思うのでありまして、そういう点について、もう少し具体的に基本的な考え方を入れて親切に答弁してもらいたい。
  65. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) この七千六百キロの高速道路をどう建設し管理していくかということは、たいへん問題でございますけれども、私のいま考えておりますのは、この七千六百キロ、まあ現在六百キロほどできておりますから、七千キロの高速道路でありますが、これを消化するのにどうすればよろしいか。いままでの名神高速道路を例にとりますと、これは約七年でできております。それから現在実施中の東名、中央道、これは両方合わせますと四百五十キロほどになりますけれども、これも約七年でできることになっております。ここしばらくの間に事業消化は約二倍以上になったということになるわけでございますが、これも今後道路公団の必要な人員を一ぺんにこれは整えることもできません。年々職員の数を増し、さらに新しい職員を研修養成いたしまして、一人前のものに仕上げるというような考え方をもって、七年ぐらいを一つのワングループに考えて消化していくことにいたしますと、この七千キロというのは約二十年で消化する計算になります。もっともこれはそう言うように楽なものではございません。また公団だけの陣容で消化し尽くせるものではございません。これについては建設省の御協力を得まして、仕事の一部は委託していただきますとか、あるいは民間の建設力を最大限に活用いたしまして、二十年で約七千キロを消化しようという考え方ができるわけでございます。したがって、その点につきまして、根本的に公団の組織を変えますとか、あるいは法制を変えますとかということは、私どもはただいまのところ必要を感じておらないわけでございます。また、高速道路ができましてからの料金を取る等の管理につきましても、これも人員次第でございますし、ことに最近は一般有料道路については、料金を委託して徴収するというようなこともやっておりますので、これらの管理につきましても可能である。まあ検討検討ということを申し上げたわけでございますけれども、これはただいま法案にあります七千六百キロ、これをどう具体的に消化していきますかということは、相当これはこまかい点につきましては時間をかけなければならぬわけでございます。ただ大かたの考え方、大綱といたしましては、以上述べましたような考え方に立ちまして、これはこの七千キロの高速道は建設可能であるというように私は考えておるわけであります。
  66. 達田龍彦

    達田龍彦君 どうもはっきりしないのですが、大臣にお尋ねいたしますが、公団法を変える考え方がないのか。それはいま申し上げたように、私は公団法ができた当初から考えますと、一般の有料道路建設することが大体中心に置かれて、今日高速道路を七千六百キロにわたって建設するという状態、国情、経済状態の違い等考えたときに、管理面、特に今後は管理の中に今日営業を含めておりますけれども、全体できたときの高速道路の有料制という前提に立つと、営業という面が相当大きなウエートを占めてくる。したがって建設、管理、営業という問題をどうさばいていくかということは、公団の当初の発足の状態から考えて、今日再検討する時期にあるのではないか。それに合うような組織体制、法体制というものをつくるべきではないかと、私は考えるのであります。したがって、一体大臣としてどうお考えであるか、お伺いをしておきたいと思います。
  67. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) まあよく検討ということばをお互いも使っておるわけでありますが、やはりこの仕事をしていきます上においては、常に変化を考え、検討をしておるわけでございますので、つい、その検討ということばが出るわけでございますが、機構の問題等についても、全国高速道路網等を考えます場合については、数年前から、これを東西二つの公団にしたらどうかというような意見があって、そういうこともあわせていろいろ検討しておるわけであります。しかし、いま公団の総裁からもお話がありましたように、七千六百キロ程度のものは必ずしも、東西に分けるということはかえって弊害があるのではないか、キロ数からいいましても。私が鉄道のような考え方と申し上げておるのは、問題になっております料金のきめ方等について、ああいう考え方というものを参考にして検討したい、こういう意味で申し上げておるのでありますが、鉄道にいたしましても、いま約二万キロの国鉄があるそうでありますが、これにしても、よしあしは別として多少疑問があるかもしれませんが、国鉄という一つの機構の中でやっておるわけであります。  なお、鉄道と違います点は、御承知のとおり、車両その他というものが要らない、これは路面だけの問題で、汽車等のああいうような膨大なものは要らない、インターチェンジとある程度の休息所が要る、こういう程度道路でありますから、維持管理といたしましても、それほど鉄道に比べて手数がかかるものではないと思います。したがって、建設することとあとの管理でありますから、人員、機構等について、特に技術者の整備等については、これは仕事の量に応じて漸次整備していかなければならぬことは、これは当然のことであると思います。そういう面については、総裁からもお答えをいたしたわけでありますが、必ずしも私は機構を変えるとか、あるいは整備する意味においての公団法の改正ということは、ただいまのところ必要がないのではないか、かように考えております。  ただ、いまお話しの中で、ひとつ私どもも検討と言うとおしかりを受けるかも存じませんが、従来の公団のいわゆる有料道路建設の観点と、今後の有料道路といいますか、高速自動車道網の建設の観点からいいますと、そういう意味においてはやや性格が異なってくる、また異なるべきものであります。したがって、短区間のやや観光面に力を置いたというようないわゆる有料道路建設というものは、やはり順次公団の仕事から減らしていくべきものだ、同時に、公団のやっておりますバイパス的な道路というものも、これは今後の一般道路整備の観点からだんだんやっていくべきものに変わっていくであろう。それでないと、この大事業に専心するということは、人員の上からいっても、技術の上からいっても、なかなかそう簡単でなかろう、こういうことは考えておりますが、機構そのものについて格別の改正を必要とするとはいま思っておらないのであります。検討ということばをよう使いますが、いま言う料金の問題あるいは資金構成の問題こういう点についてはもっと検討をしなければならぬ。今日ただいまここで確たることを申し上げる段階にはいま至っておらないと、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  68. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、大臣にお尋ねをしますけれども、高速道路の管理は、有料制であるということから公団が管理をすることになるわけですね。ところが、私は、管理の必要性という問題から考えていくと、将来これが道路の幹線になり、中心の道路網になるわけでありまして、また、日本の産業経済の中心になる道路でありますから、その意味では管理の必要性という観点から見ていけば、むしろ将来の管理というものは、いまの一般道路と同様に国が管理するというのが、管理の必要性からは正しいのではないかと思うのであります。有料道路は、現在の状態では道路公団が建設をし、道路公団が管理をするという立場にあるから、それにさせるから、管理も一体として持っていくという立場に立つと思いますけれども、私は、有料、無料の考え方から管理をするというのではなしに、むしろ国の必要性に基づいて管理をするという立場で管理の問題は考えるべきじゃないか。そういう立場に立つときに、むしろ今後の有料道路であっても、高速道路に関しては、国が維持管理をしていくという立場をとることがより正しいあり方ではないかと考えるのでありますが、その点についての考え方について、建設省の考えを聞きたいと思います。
  69. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 高速自動車国道の管理は、高速自動車国道法によりまして、これはそのすべての管理を建設大臣が行なう、こういうたてまえになっております。ただ、これを有料道路として行なう、こういうことで建設大臣から道路公団に対して施行命令を出す。それから有料の期間、料金をとっておる期間につきましては、これは道路公団がやる、こういうような考え方に立っているわけであります。ですから、道路の性格としては、本来建設大臣管理の道路である、こういうふうに考えておりますので、かりに高速道路が所要の期間有料で、償還が終わったということになりますれば、当然建設大臣がこれを管理する、こういう基本的な考え方になっております。したがって、道路公団がやっておりますのは、建設大臣にかわって道路公団がその間管理をしておる、こういう仕組みになっておるわけであります。
  70. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうすると、一般国道がありますね、これの管理は直轄で建設省がやっておるのでしょう。そうすると、有料道路について、特に高速道路の場合に、道路公団が委任を受けて管理をやっておる、こういうことですね。それがいま申し上げたように、一般道路と同様な直轄の管理ということをすることについて、一体どうなるのか。
  71. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 一般国道におきましても、有料道路としてやっております区間につきましては、道路公団が管理しております。一般国道で国が直轄管理しております区間は、有料道路の区間じゃございません。したがって、高速自動車国道を有料道路としてではなく、国がみずから行なうとすれば、これは当然建設大臣の管理以外にはあり得ない、こういう形になります。
  72. 達田龍彦

    達田龍彦君 わかりました。それでさらに基本的な問題について御質問いたしておきます。  有料、無料の考え方ですが、前回の質問でも私は申し上げたんですが、この経済的な効果が非常に強いところというなら、産業道路、あるいは交通が非常にふくそうしているところの緩和のための高速道路、こういう性格がいままでの高速道路としては性格的に強かった。特に近畿圏あるいは中部圏あるいは首都圏に関する限り、そういう性格が強いのでありますけれども、今回の提案の趣旨にもあるように、普遍的な国土の開発であり、地域の開発であり、都市と地域の格差の是正であるという考え方に立てば、私は、元来料金のあり方として有料であるということは、地域の開発あるいは低開発地域の発展というものは本質的に矛盾するのではないかと思うのです。金を取って地域の開発を行ない、あるいは日本全土の普遍的な発展をはかるという、こういう甘い考え方地域の開発だとか低開発地域を開発するということは私は困難だろうと思う。本質的に見て、金を取って地域を開発していくということは、公共的な立場に立たないとやれない問題でありますから、公共性を持ったところに金を取るということは、本質的に矛盾が私はあると思うのです。この考え方について、一体大臣はどうお考えか聞いておきたいと思います。
  73. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) しばしば申し上げておりますように、道路は無料であることがたてまえであります。それにこすものはないと思っております。ただ資金構成上の問題、まあ財政問題等から一部負担を願って、料金を取って償還をしていこう、こういう制度を取り入れておりますのが、わが国はおそうございましたが、諸外国もやっておることであります。したがって、開発の面からいいますと、必ずしも私は有料ということが開発とは矛盾する、論理的にはさようには考えておりません。問題は料金のきめ方、料金の高低によって左右される——地域の開発に資する程度の料金であり得るかどうか、その点にはきわめて慎重に検討しなければならない。有料道路でありましても非常に産業開発に寄与する、あるいは従来よりも輸送コストを下げる、流通に寄与する、こういうことは考えられることでありますから、開発という問題があるから有料制が矛盾するまでは考えていないのであります。
  74. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは考え方の相違ですが、私は先ほど申し上げたように、一般有料道路が今日までできた経緯というのは、観光面の問題とか、あるいは申し上げたように、特に交通のふくそうするところに対してその収益性を一応当て込んで有料道路をつくっているのです。私は、今後の地域開発のための高速道路というのは、収益性よりもむしろ公共性を中心に置いて社会資本の充実という意味での公共投資でなければならぬ、その意味においては有料であることは、収益性を目的として有料というものは元来行なうわけでありますから、私はそういう意味での本質的な矛盾があるということを考えております。したがって、いま大臣は、有料でなければ今日の高速道路の財源が求めにくいという観点から高速道路は有料であり、そのことは社会資本の充実ないしは公共性があっても矛盾がないと、そういう苦しい答弁に私は聞き取れるのであります。本質的にはそうではなくて、やはり収益性を目的とするものであってはならないわけでありますから、そういう観点で料金の考え方というものをしていかないと、地域において有料道路をつくって、そしてこれを日本の国土の幹線として利用するという考え方で押し通す限り、高速道路ができても、それは一部の産業道路であってみたり、あるいは一部のそれを利用できる収益性の高い企業、あるいはレジャーを楽しむ人等の利便に供されるだけであって、ほんとうの意味の地域の開発のために利用されるということが相当大きく阻害されるのではないかという気がいたします。これは、先ほど私が申し上げたように、近畿圏、中部圏あるいは首都圏等の場合については、今日の経済の背景から考えて、有料道路を有料として利用する体制があると思いますけれども、地域段階にはほとんど私は不可能であり、そういう段階で処置していく有料道路というのは、目的したとおりの効果を生むことは困難であろうというふうに私は考えるのであります。そういう意味で、私の考え方としては、地域の開発のためには、むしろ一般の国道を二車線のやつを四車線にする、あるいは六車線にするという形で開発していくほうが普遍的な国土の開発であり、地域格差をなくし、地域の開発を促進する結果になるのではないか。むしろ高速道路というのは、首都圏、近畿圏あるいは中部圏等の交通の非常にふくそうし、さらに観光地である、さらに産業経済の発展のために特に必要である地域に限定してつくることが、むしろこの趣旨というものは生かされるのではないかという私は感じを強く持つのでありますけれども、こういう考え方について、建設大臣はどうお考えかお伺いしておきたい。
  75. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 誤解のないようにしていただきたいということは、有料が最良だとは思っておらないのです。これはしばしば申し上げておりますように、さらばと言って、この全国高速道路網のどこまでが地域開発で、そこは無料にしなければならないか、こういう点はきわめて困難であります。いまおっしゃったように、一般国道を二車線を四車線等につくるということはきわめて大切なことであります。ただ現状において、しばしばここでも問題になっておりますように、いま一般国道、地方道というものの整備の段階にあるわけです。これには強力な力を今後まだ十数年及ぼしていかなければならない。これはもちろん整備を進めるわけでありますが、その間において、いつも申し上げておりますように、十年ないし十五年の先にそういった無料の道路が全国的につながる体制をつくるためには、今日から別の意味の高速自動車道路をつくっておく必要がある、並行して進める段階にきておる、こういう意味において、その部分だけはさきから申し上げておりまするように、ある程度の有料制の道路をつくる必要がある、まあこういう考え方でありまして、これによって、全部地域開発がこれで満足である、これでまかなうのだ、こういう考え方に立っているんではないかということは御了承願います。これは別に強弁するわけではございませんが、できるだけ料金は安く構成されるようなことを望んでおるわけでありますが、これはまあ国家財政と申しますか、国力の問題にかかってくると思います。その中でも、やはり多少の有料制があっても、こういう道路ができることによって、私は必ずしも地域開発、あるいは地方農業開発等において全然矛盾する問題であるとは考えない。だから、参考までに申し上げておきますが、いま試験的にやっておりますけれども、九州南端から東京に野菜を船で運ぶことをいま研究しております。二回でありますが、九州から東京まで汽車で五十七時間かかる、貨物輸送で。船でありますと三十七時間、今後の場合はややおくれて、時間が。この前、風がありましたからおくれましたけれども、それについて輸送費は四分の一になっている。こういうことをわれわれはねらって、九州の果てから東京までの汽車輸送を海上輸送とに四分の一の差がある、こういうこともやはり船は相当な効果がある。まあこれは一つの例として申し上げたわけでありますが、必ずしも完全に矛盾するとは考えられない。こういうことを申し上げておるわけであります。
  76. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは、どうしても建設省の私は考え方は非常に無理があるし、苦しい答弁のように聞き取れます。重ねて私は私の意見をまじえて御質問申し上げておきますけれども、高速道路のキロ当たりの単価にいたしましても、諸外国の三倍ないしは四倍かかっておる、こういう実情です。これは一つに地価対策の今日の見通しがない状態の中で高速道路をつくっていこうとするところに大きく無理があると私は思います。また技術的には、この前の質問のとき道路局長から自信のある御回答をいただき、なるほど道路技術として工学的には可能であるかもしれませんけれども、これまた金をかけてりっぱにつくるということであるならば、一応容易であります。金をあまりかけないで工学的に道路を敷くというところに、今日検討しなければならぬ問題点が私はあると思います。さらにまた、日本の国全体の国情から考えてみて、国の力から考えてみて、一体高速道路を外国よりも四倍も、あるいは三倍も高い金をかけてつくって、そしてそれの利用になると、一体地域においては経済ペースに合うのかどうかということになると、これまた日本全体の国力からいっても、私は非常に無理が出てくるような気がいたすのであります。地価対策等についても見通しがあるならば、相当低い単価でできるのでありますけれども、そういう面の見通しも非常に困難。で、そういう関係になってまいりますと、むしろ私は高速道路を充実するよりも、地域の場合については、一般道路の整備拡充、二車線を四車線、六車線にするという形で地域経済の開発、地域の開発をしていくことがより日本の国情に沿っておるのじゃないか。一回出した構想だから、これを引っ込めるわけにいかぬ、無理してでもつくるのだということは、結果として地域高速道路に対する、しかも有料であれば経済ペースに合わないということは目に見えているのじゃないかという気がいたすのであります。したがって、そういう面については、どうしても、いま大臣のお話もありますけれども、非常に危険であり、困難であり、内容的にも本質的な矛盾を持っておるような気がいたします。したがって、私といたしましては、そういう点についていまのところ、ただそうである、こうであるという程度意見の交換でありますけれども、むしろもう少し科学的に具体的にこういう面について分析をし、その上に立ってこういう見通しがあり、日本の経済あるいは国土の開発にこういう結果をもたらすという一つのビジョンでも、構想でも私は求めて、その上に立って論議をしていかないと、何か上っつらだけの論議に終わるように思いますけれども、そういう自信のある御回答であるならば、そういう具体的な構想なり、ある、はそれに基づく根拠をお持ちになって言われるのであるかどうかお答えをいただきたい。
  77. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 国土開発縦貫自動車道法、これはすでに御承知のように、国土の普遍的な開発をはかるという趣旨でできた法律でございまして、本来地域開発がこれによってはかられなければならぬ、こういう仕組みになっておると思います。そこで、高速道路が経済的に必要なところだけにつくれ、こういうふうに考えるか、あるいは高速道路一つの手段として国づくり、広い意味の国づくりに資するために考えるか、こういうことであろうと思いますが、私どもは、やはり両者ともできればその効果が期待されることが望ましいということに立ちまして、いろいろルートを入れたわけでございます。今回の七千六百キロを入れるにつきましても、特に地方開発拠点都市というものを中心にして、全国で約一万キロぐらいいろいろなルートを入れまして、その中で最も効果の多いという路線を全国的に選んでみたわけでございます。もちろん、先ほど来お話しのように、首都圏、中部圏あるいは近畿圏等につきましては、そういう路線がたくさんあろうかと思いますが、一方、いま言いましたように、この法律本来の趣旨というのは国土の開発ということに大きな一つの理想がございます。また、地方開発のほうにつきましても、これも各方面からいろいろな計画がされておりますが、どちらかといいますと、これまでの経験によりますと、むしろ開発する手段が先行する必要があり、地方に拠点として開発都市を開発しようといたしましても、都市ができてからその必要に応じて道路をつくる、あるいは他の公共施設をやるということでは、なかなかそういう拠点を開発することはできない。むしろいま言いましたような、道路を手段として一応開発することが必要であるというようなこと、そういうような見方が非常に強くなっております。そういうような二つの観点から、たくさんの候補路線を描きまして、それから一番それらに役に立つと思われますところの路線を七千六百キロほど選んでみたわけであります。もちろんその中には、再三御説明申し上げておりますように、すでに法律できめられた路線として五千キロほどあるわけでございますが、それらを中心といたしまして二千六百キロほど追加してみた、こういうことでございます。また一方、道路ができましてそれに乗ります交通量、これは従来のかかりましたお金を返すというような考え方で料金をきめますと、いま御指摘のように、地方につきましては交通が乗らないというようなことがございますが、今度はせっかくつくりましたものは十分利用できるようなやはり仕組みにしませんと、せっかくつくりましても、そういう開発の効果に役に立ちません。したがいまして、そういうようなふうに料金その他いろいろ検討するわけでございますが、私どもで、いろいろ道路ができました場合の総合的な経済効果ということも、いろいろな人がいろいろな形で研究いたしておりますが、車が通ればその通行によりまして得られる直接的な自動車の便益、これは相当な額になりますが、大体それの約三倍くらいの総合的な経済効果があるということは、いろいろな文献でも指摘されております。要するに、せっかくつくりました道路に自動車が乗るようなことをむしろ考えなければならぬ、そうすることによって初めて国土開発ということが期待されるような考え方に立っておりますので、いま申し上げましたことにつきまして、両面からこの網を選び、その網のまた着工については、そういう効果をはかった考え方で、そういう順番で仕上げていきたい、こういうような考え方に立っておるわけでございます。
  78. 田中一

    田中一君 長年の経験がこうしてまとまったのでこれは非常にけっこうだと思うのであります。それだけに、私、用地の取得の問題——まあだんだん伺いますけれども、用地の取得の問題をどうするか。この計画ができた以上、まあ議員立法で陸続と地域幹線高速道路というやつがどんどん出てきた悪い行き方がなくなった。これはあなたの選挙区の場合でも考えられるように、小林を回る二また線を考えられた過去の大臣もいました。しかし、これも、こうして大体この路線の綱を見ますと、大体その地方の県庁の所在地は網羅しておるという点ではけっこうであって、宮崎に行くこともこれは必要なんです。そこで第一に、変更が決定された、路線の変更があった場合、これはまああなた方政府にまかされている問題だから、そういう場合には、審議会の答申を経て変更されるのでありましょうが、一応これができた以上、これ全部に対して用地取得の網を打つ考えがあるかどうか。まあ一方、いま衆議院で審議しております土地収用法の問題もありますけれども、私はこうしたもの、決定したものをまず年次計画から見て、もちろんこれは予算との見合いもあるでしょうが、調査段階から決定される段階にきた場合には、全部収用法をおかけなさい。いままでは地域の諸君に何にも知らせないで、ぼつぼつ調査をしていってやりますよというのが、いままでの行き方だからいろいろな抵抗があるわけなんです。全部に向かって、むろん年次によりますよ、年次によりますけれども、地価は上げないという目的から見ても、全部収用法によって指定をするという考え方はありませんか。用地取得の問題が非常に大きな問題になってくる、具体的になると。
  79. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) おっしゃるとおりに、この道路のみならず、一般公共事業で、用地の問題を解決すると八〇%仕事は済んだといわれるくらいでありますが、この高速自動車道路については、特にいま田中さんのおっしゃるとおりだと思います。さればと言って、この全国の道路網に直ちに収用法をかけるということも、まあ手続上も法律上も必ずしも簡単でない。私は、これはそう簡単なものでありませんけれども、これはほとんど全国を網羅しておるわけでありますが、各沿線の地方公共団体に、御承知であろうと思いますが、いま御相談しておるのは、この道路網の設定及び建設が、まあ率直に言って、将来わが国の大きな運命に関するような大事業である、したがって、これは一政府であるとか、あるいは一建設省であるとか、そういう単位的な仕事でなくして、まあことばは過ぎるかもしれませんけれども、日本民族としての大きな大事業であります。こういうことをやはり国民の皆さんに認識してもらうことが大前提。特に地方公共団体等、地方自治体等、世話してくださる方はこの認識が前提になるべきであろうと、こういうことで、従来からも各ブロック別の知事会議あるいは県議長会等というものと御相談願って、この用地取得に、しかも、いわゆる不当な価格のつり上げなくして全力を尽くそうという動きがいま活発に行なわれております。もちろん個人個人にいきますと、なかなかそういう理想論だけではうまくいかぬことはわかりますが、やはり皆さんの理解というものが前提に立たないと、単に法律の一片の制度だけではそううまくいかない、こういう考え方にいまきておるわけでございます。この道路網については、御承知のとおり、各地域、非常な熱意を持っておられまして、ただそういう指導的な人ばかりでなくて、ほとんど地域住民も、ほかの道路と違って、この道路問題については、どの点をどういうふうに通るというところまでおおむね認識をしておるという状態でございます。そういうことでありますから、私は、まあ書生論みたいなことを申し上げますが、それが第一。それは金もうけのために土地を高く売ろうなどという甘い考え方ということは、厳に地域地域によってチェックしてもらいたい、これが前提であろうということでいまやっておるわけでございます。  それから、まあ基本計画、調査を進めましてこの計画を進めております。新しい路線を今度調査に入るわけでございます。今度整備計画を、まあ近く七月上旬か中旬には立てまして、公団に施工命令を出す準備を進めておりますが、その段階でどうするかと。できれば整備計画がきまりましたところは全部収用法の適用をすべきであると、こういう考え方をしております。収用法を適用するからと言ったって、何も土地を取り上げよういう措置をしようというのではない。一応あまり変更のない措置をとるべきだと、こういう考え方であります。ただ、いま改正をお願いしております収用法が、時限的にそれが間に合うかどうかということは、国会の御審議もありますから、そう簡単でないと思いますが、基本的な考え方は、さようにいたしております。現在の収用法でも当然にこれは適用してかかるべきだと、かような姿勢を持っておるわけでございます。
  80. 田中一

    田中一君 大体この年次計画はどうなっておりますか。大体立っておりますか、施工の年次計画。
  81. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) まだ詳細な計画は立っておりませんが、大体のことを申し上げますと、今後十カ年に大体四千キロを貫通させたい。それから、今度は十五年間に七千五百キロを、一部二車線——用地は四車線取得いたしますが、そういう形で貫通させたい。完全にできるのはやはり二十年かかるということに大まかな計画をいたしております。
  82. 田中一

    田中一君 それから、施工の順位はどういう方法で決定しましたか。
  83. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) もうすでに現に着工中のものは問題でございませんが、さしあたり急いでおりますのは、青森から九州鹿児島に至ります線を重点的に十年間ぐらいでやりたいということでございます。もちろんそのほかに、このいまの青森から九州までの分が大体二千三百キロ前後になろうかと思います。先ほど申しましたように、全体で四千キロでございますから、残りのものにつきましては、いろいろ優先順位をさらに検討しなきゃなりませんが、これにつきましては縦貫道審議会に御相談いたしまして、今後の着工順番ということについて考え方をはっきりさせたいと、かように考えております。
  84. 田中一

    田中一君 現在やっている名神ができましたら、今度は東名、中央道、これは大体料金の算定、それから償却、それから無料公開の時期なぞはどんな程度に考えておりますか。私はかつてね、ちょっと言っておきたいのですが、ある時期に、もう大体二十カ年償還ぐらいで考えておったけれども、もう五十年に延ばしてもいいじゃないか、全国民にひとつの文化的な、あるいは経済的な利便を与えるためには、場合によったら償還年限を延ばしたらいいじゃないかと、こう言ったこともあるのです。いま大体二十年、下関の関門隧道が大体たしか二十七、八年だったと思いますけれども、それはどのくらいの想定のもとに無料公開の時期を考えておるのか。
  85. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 名神はおおむね二十五年でございます。それから東名、中央道がおおむね三十年。ただ、先ほど来お話が出ておりますように、いまの料金の立て方でございますと、東名あたりは名神に比べてかなり高くなっています。そういうことではやはりいま名神でも、予想より交通量が伸びません。特に貨物についての考え方が、若干まあ償還の関係もございますので、一種の貨物の料金が高くなっております。今後全国的に高速道路をいたします場合には、その辺について考え直す必要があるということで、東名並びに名神につきましても、料金体系につきまして、全国の道路網の考え方をはっきりさせ、場合に合わせて検討しなければならぬ、こういうふうに考えております。
  86. 田中一

    田中一君 路線の変更は考えられますね。審議会の答申を得て一ぺんきまった路線ですね、その変更はあり得るのですね。
  87. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 変更でございますから、もちろんあり得るわけでございますが、よほど地質的にあるいは経済的に、非常に通すことが困難であるということ以外には、一般的には私どもは予想いたしておりません。
  88. 田中一

    田中一君 この審議会委員ですがね、いままでの地域路線路線で、担当一つごとに審議会委員があったのですね。それがなくなって、五名、八名ということに国会の議員の場合はなるわけですね。その際、これは非常にむずかしい問題が起きるのです。というのは、やはり各国会議員がこの審議会委員になっていると、自分の選挙区の路線が議題になった場合には、自分が行きたいということになる。これはもうしょうがないです。いままでも全部そうやってきたんですから、五名、八名じゃ足りないんじゃないですか。そういう政治家の発言をなるべく封じよう、純粋な技術的な面から検討していこうという気持ちからこうして——いままで全部五つの法律を見ると、四、五十名いたはずです——それを縮小したのもそういう意味ですか。
  89. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 審議会委員は従来と変わりございません。縦貫道以外の、たとえば関越自動車道でございますとか、あるいは東海道、この国道とも、全部同じ審議会でございます。縦貫道審議会にはかるということでございまして、審議会は従来一つでございます。特に減らしたということはございません。
  90. 田中一

    田中一君 関越なら関越自動道の場合には、その審議会がありましたね。中央道の場合には審議会委員がありますね。
  91. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 中央道ということじゃなくて、国土開発縦貫自動車道の審議会一つだけございます。たまたまそれが中央道が主体でございましたから、中央道関係のほうが多いことは事実でございます。国土開発縦貫自動車道建設審議会というのが一つあるだけでございます。
  92. 田中一

    田中一君 それから資金の面ですがね、大体最近は一般財政から出すのが減ってきて、借り入れ金等でまかなっているのが多いんですが、ことに世界銀行の資金なども使っておりますが、一体どういう計画——大まかでも、大体の計画はどういう資金計画を立てているのですか。
  93. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 公団の資金計画は、従来は先生御承知のとおり、借り入れ金が主体でございます。国の財政投融資並びに公団債という形でございまして、それに現在では政府が出資するということで一〇%ぐらいの出資をいたしております。それで全体の資金コストを六分に押える。六分の資金で採算がとれるかどうかということで運営いたしております。ところが、今後縦貫道をやってまいります場合には、他の一般有料道路は別にいたしまして、相当建設費もかかりますし、先ほど来お話しのように、交通量との見合いということもございまして、これらを有料線に乗せるためには、かなり国が資金の負担をいたしませんと、従来の資金コスト六分の計算ではできないと思います。そこで私どもも、いまいろいろ計算いたしておりますが、かなりの国の負担、それをどういう形で出しますか、出資で出しますか、あるいは補助という形でいくか、あるいは負担という形でいくか、それらにつきましていろいろな点で制度的に検討いたしておりますが、大ざっぱなことを申して恐縮でございますが、少なくとも従来の出資率よりかなり大幅に、四割以上は国が持ちませんと、計算に乗らないというふうに考えております。そこで、国が出します分につきましては、これを国のどういう資金から出すか。つまりガソリン税ならガソリン税というものから出すか、あるいは他の国の財源をあらためて考えていくか、その辺がこれからの一番大きな問題であろうと思います。借り入れ金につきましては、これは国の財政投融資の限度でもちろんお願いするといたしまして、他方、公団債、あるいはそのほかに世界銀行等からの借款ということもあり得ると思いますが、やはりそういう二本立てになろうかと思います。国の持ち分がかなり大きくなるということが、大きな問題として残されてくるわけでございます。
  94. 田中一

    田中一君 これは大臣、いま道路局長が言っている国の負担というものが四〇%ぐらいになるということは了承していますね。四〇%ぐらいの、一般財政からどういう形ででも金を出さなければだめだということは了承しているわけですね。
  95. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 了承しておるということは、政府が全部そういう方針を確認しておるというふうにはまだなっておりません。先ほど来議論になっておりますように、この道路地域開発に効果あるような料金体制を整えなければならない、そういう意味においては、いま道路局長からお答えいたしましたような資金コストといいますか、資金構成でなければならない、こういうことで計算しておるわけであります。この資料にも出ておりますように、たとえば五十五年までですか、一部に二車線を入れて五兆五千億ぐらいかかるということを考えますと、問題は、これを国が重要視するかしないかの問題であります。それほどたいした国庫の負担ではない、かように考えておるわけでございます。
  96. 田中一

    田中一君 通行料の算定はケース・バイ・ケースで、その現場現場の何というか、建設費に見合う償却年限というものを見ながらきめていくのか、あるいは全国的な——これは完成すれば全国的な視野からプール計算が出てくると思いますけれども、距離でくるのか、大体いままでは原価主義でもってきておった。それで原価主義で相変わらずやっていこうというのか、原価主義でいくとすれば、縦貫自動車道のように、隧道、橋梁のうんとあるところは金がかかる、これはやはり地域住民が一番よく使いやすいものなんですね、結局その県その県で見た場合には。料率算定はどういうことでやっていくのか、原価主義でいくのか。その区間区間を、あるいは東名なら東名の完成した暁の建設費で見るのか、あるいは新しく道路通行料か、というようなものを一つの大きな全体の面から算定しようとするのか、これは自由になると思うのですよ。償却の年限もいま言ったようにまちまちで、あっちは二十五年、こっちは三十年、こっちは何年という見方をすれば、均一料金にもなり得るのです。したがって、その問題はどうするというのですか。たとえば関門隧道なんかにしても、関門隧道は周辺住民が一番使いますよ。だから、ああして国会の抵抗で料金を安くしちゃったのですが、それでいいのですよ。しかし、全体から見た場合には、不均衡があってはいかぬということを考えるわけです。どういうたてまえをもって考えられておるか。
  97. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) これも構想の段階でございますが、基本的にはプール制でいきたいと思っております。これは高速自動車国道法は、高速自動車国道につきましては、道路整備特別措置法でもそういう考え方をとっております。ただ現在の名神、東名、中央道、これは本法はそういう考え方でできておりますが、政令で実は路線ごとに償還主義できめておる実情でございます。これは全国的にプール制の考え方でいきたい、こういうふうに考えております。したがいまして、料金につきましても、やはりキロ当たり料金というものはむしろ均一ということで考えていくべきである、ただ先ほどお話がございましたが、橋梁とかトンネル、いま例に出ました関門とか、これから予想されます海峡の横断、こういうものは一部特別料金ということは当然あり得ると思います。一般的にはやはり均一料金ということでいこうというような考え方で、いろいろ先ほど申し上げましたような数字についても検討いたしております。
  98. 田中一

    田中一君 これから海峡とか隧道とかいう点について、まあ自動車以外の通行は禁止するということになりますが、海峡なんか、やはり歩道なんかを併設するという考え方に立っておるのでしょうね、そういう場合には。たとえば青函の隧道ができる場合、国鉄がやっておるもののその上に並行して一緒に乗っけちゃっていいわけです、道路をですね。これは国鉄と建設省ですか、いつも競合して地価をつり上げていくようなことをしておる。施行費が余分にかかっておる。青函など、鉄道が通るならば、その上に道路をつくるという計画を併設したって差しつかえないと思うのだが、その点はどうなんですか。
  99. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 青函のお話が出ましたが、青函については、まだ単独に道路で横断するという考えは私ども実は持っておりません。これはむしろ鉄道ができますれば、自動車を鉄道の上に乗っけまして運搬したほうが一番早いのじゃないか。単独でもちろん一緒に上下使うというようなことができましても、自動車が走りますとやはり換気問題で非常に問題が起こる。特に海峡におきまして排気の点が非常にむずかしくなる。いまのところ青函についてはそういう考え方を持っておりますが、もし運ぶとすれば、むしろ鉄道を利用して自動車を運ぶという方法ではなかろうか、かように考えておりますが、今後の問題でございますから先のことまで申し上げる自信はございませんが、少なくとも現段階ではまだ調査をいたしておりません。
  100. 田中一

    田中一君 結局質問する最後は用地の取得になってくるのですが、建設省が幾らですって、キロ当たり隧道、橋梁別々にして一般の平面というか、土地というか、地面の場合にはキロ当たり何ですって、九億ぐらいかかるのですか。
  101. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 七億です。
  102. 田中一

    田中一君 七億ぐらいかかる。隧道の場合は四車線ぐらいでしょうけれども。
  103. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 隧道になりますと、長さによってもう全然違いますので、五百メーター隧道と一キロ、二キロ、倍以上違います。ちょっと一がいに幾らということは言えないと思います。メーター当たり数十万を要するというふうに考えております。
  104. 田中一

    田中一君 結局さっき建設大臣も言っているように、用地の取得、用地が取得されればもう八割はでき上がったようなものだということが通念になっております。こういう考え方はもうなくすることが大事なんです。というのは、工事費がよけいにかかるということは、結局用地費も含んでいる建設費になるわけですから、だれが利益するのでもない、不当なものまで支出されるということになると思うのです。名神高速道路でも、これと一緒に仕事をやっている国鉄の新幹線が、あるいは東名高速道路にしても、どのくらい地元の地主たちに大きな何というか動揺というか、あるいは利潤追求、もうけというか、投機というか、そうした面の精神的な動きが具体的に今度はそろばんの上で動いてきて、大きな新幹線の場合でも不祥事が起きたり、またお互いに、お互の路線を一番安定した一番的確な予算をきめるために、道路公団と国鉄が土地の面ではしょっちゅう取りっこしている、競合して買いあさっているというような印象を与えているのです、地元には。これはおそらくここにおられる委員長松永君は静岡県にいるのですから、静岡県のそういうのをたくさん見たと思うのです。ただ収用法が、いま提案された収用法がどう変わったからといって解決するのじゃないのです。あなたは精神的な理解がなければならないと言われているけれども、理解がなくちゃならぬなどと行政担当者のあなたが言うなんて少しなまいきですよ。大体理解がなくちゃならぬということは、理解するような安心できるような行政をしいてくれということなんです、それが先なんですよ。国民が理解できなかったらできないのだということを建設大臣が言うのはいけないですよ。安心して生活できるという社会情勢をつくらなければ安心しないものなんですよ。どこまでも金を持っているやつは楽するような政治のあり方ではそれはだめですよ。買収ということを、まあ個々の買収できております。買収なんということになったら道路公団の職員はかわいそうなものです。国鉄の職員だってずいぶんつらい思いをしているんです。そして間違いもする。ひょっとして間違いをしたときには結局告発されている。これはこういう点はよほど注意されないと、話し合いでもって用地買収すればいいじゃないか、これは簡単ですよ。しかし売るほうは、話し合いというのは、売るほうは自分のものを売るのですから、所有しているものを売るのですから、高くても安くても別に差しつかえないわけです。ですから私が合理的に法律を用いておやりなさいというのはそれなんですよ。きまった場合には、これはどうしても道路の敷地になるのだ、当然これは買収されるのだという観念を植えつけるには、法律の行使以外にないのですよ。理解させるのです。そうして買収という行為を、いまあなたは地方知事なり市町村長が骨折ってあっせんしてやってくれると言うけれども、やってくれるだろうという期待にすぎないのですよ。現実はそういうものではないのです。だからいままでのような問題も起きております。ちょっとこれは松永君に聞いたら、五倍くらいの価格でもって豊田かどこか道路を買い上げている、いよいよせっぱ詰まると五倍でも買い上げているというのです。そうしたことが一つの空気を生むわけです、投機的な。ごねればとれるのだというのです。法律をいかに変えてもだめです、こいつは。でありますから、すべての公共事業を行なう場合には、収用法で全部事業認定して、第三者の判定にまって買収なり収用なりすることです。今度いま出ている収用法にはそれが強く出ておりますから、おそらくあれを使うんでしょうが、かりにああした今度改正になるという収用法を使わないでもできるわけなんです。そういう点で道路公団にもいろいろ土地買収にからむ汚職なんかいままで頻発していますけれども、そういう点をあまり瀬戸山さんのように理想論でいくとかわいそうです、職員が。そうして話がうまくつかなければ、あれは能なしだということになれば、職員は働く気になりませんよ。だから私は、いつも法を用いておやりなさい、収用法というものは決して収奪法ではなくて、国民の利益を守る側に立っている法律だということを徹底しなさいということをぼくは言うのです。それであの法律が、むろんこれは私どものほうも通るのはやむを得ぬという気持ちでいますよ。公共事業に対するいままでの国民が受けているところの間違い、また、公共事業施行のための強い行政面の要求からくる圧力等も、無理のない形で持っていきたいというのが私は願いなんです。今度岡山のほうにも新幹線が延びるといいますし、この場合なども常に連絡をとって、道路局はかってに自分の路線をきめる、国鉄は国鉄でかってにきめるというのではなくて、用地取得面に対しては同じ条件があると思うのです。国鉄は国鉄のような、鉄道鉄道道路道路として、まあ道路の場合には開発ということが主になっておりますから、これはその方向にいって競合しないようにひとつしてほしいと思うのです、そういう点は。ですから、いわゆるその完成の時期というものを押えられると、どうしても無理がいく、無理がいけば国鉄にしても道路公団にしても、買収を担当する職員に間違いが起きがちなんです。国民に国民の精神的な理解を求めるよりも、りっぱな法律があるのですから、法律で国民の利益を守るということにひとつしてほしいと思うのです。先ほど御説明のようにこれはこの法案が通れば、あれでやればまあまあ無事にいくだろうと思いますが、それでもまだ抵抗があるわけです。現に午前中にもお話ししたように、こうした環状外郭線でもがむしゃらな抵抗があるわけなんですから、そういう点はひとつほんとうに仕事をするほうの公団が、いままでの経験からかんがみて十分に間違いのないような方法をとってもらうようにしてほしいと思うわけです。富樫さんがまた帰ってきたから、いままでの経験でうまくやるだろうけれども、ほんとうにうまくやってもらわないと困る。職員がかわいそうです。みなあなた方があまりに頭からかぶせるから無理をする。農民のところに二級酒の一本か二本ぶら下げていかないと会ってもくれないということになると、道路公団にまそういう予算はあるはずはないですからね、二級酒をどこそこに持っていくというような……。そういう苦労をしてやっているわけですから、だから道路公団は、予算が決定したからといって、それが全部コンクリートして、いよいよやるのならば、二年なり三年前に全面的に土地買収に乗り出すということです。土地の取得には先行投資を十分にするということです。それも半年や一年でなくて、二年、三年前からやるというふうにしてほしいと思うのです。私は土地の買い上げの公団をつくる必要はないと思う。道路公団なりがやればいいんです。そうしてやたらに政治家に左右されて、路線の変更なんかを陳情されると、また公団は弱いものだから困るし、同じことでも政治家からああしてくれ、こうしてくれと言われると困る場合がある。それを確固たる決定をして、それを先行投資という形でもって買収していくんですね、買収するならば。あとはさっき言ったように収用法で、収用法の全部適用して、それで黙って待っていればいいわけです。瀬戸山さん、さっきあれを使うと言うけれども、二、三年前からやってくれるのでしょうね。あれを見ると、大体半年ぐらいで土地が手に入る。もっと長くやりなさいよ、二年ぐらい前から。大体半年でもってその土地だけ手に入っちゃう、そこに無理がある。そういう点があの法律じゃちょっと無理なところがあると思うのですがね。二年前からやったらいいじゃないですか。どうです、そういう点。ですから、そういう点があの法律に関連があるから実際困るのだ、用地の取得に対しては。あなた方はこれを仕事するために早く通したいと思いますけれども、どうです、そういう点は……。
  105. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) おしかりやら御注意やらいただきましてありがとうございました。私が理解を求めたいということは、最初にお断わりしてありますように、きわめて書生的論のようなことを言って恐縮ですがということをつけ加えていっているわけです。同じ土地収用法を実行いたしますについても、やはり国民の皆さまのそういう土地に対する御理解というものがなければ私は適当でないという基礎的な観念を持っておるわけであります。その考え方は間違いじゃないといまでも思っております。ただおっしゃるように、従来この土地収用法というものは、収用するといいますか、実行するということを、何か曲がったことをやるような印象を行政官庁一般も持っておったというところに今日の混乱がある。あれは土地に関してはこれが一番正しい道だという意味で私はできていると思うのです。そういう観念であの法律を実行しなかった。それが今日の混乱を来たしている。と同時に、いまおっしゃったように、道路公団にしろ鉄道にしろ、その他各行政官庁土地を取得する際に、思い思いにやっておった。あるいは民間の公営企業でも同じであります。そういうところに今日の混乱を来たしている。かようなことも考えておりますので、今後は政府部内においても、十分にそういう意味においては、いま土地問題がきわめて重要な問題で、すべての生産事業の大きなコストアップの原動力になっておるのであります。そういうことを考えまして対処をいたしたい、かように考えております。  いまの御注意ありがたく承っておきます。
  106. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本案の審査は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会      —————・—————