○
政府委員(尾之内
由紀夫君) 非常に広範な問題でございますので、私が簡単に申し上げて、お答えに十分なるかどうかわかりませんが、これもごく大ざっぱでございますが、
高速道路の
建設につきましては、いわゆる工学的には私はもう十分な水準に達しておると、かように考えております。もちろん戦後から約二十年いろいろ研究いたしました結果築造したものでございますので、その間にかなりの
努力がなされたわけでございますが、他の国と比べることのむずかしさというのが
一つございます。それは、
日本におきましては、まあ特に
道路につきましては、
日本の地質条件あるいは気象条件あるいは他の何といいますか、むしろ土地の
開発条件、そういうものがほかの国に比べて非常に違いますので、直接比較になりませんが、特に
日本においては、地質工学的にあるいは土質工学的に非常にむずかしい問題がたくさんございます。まあ
日本の大部分が山地におおわれておる。そこにたくさん河川がある。それから火山地帯で各
地域に火山灰の沖積地帯がある、こういうようなことでございますし、また御
承知のように、水田耕作地帯が大部分であるということで、
高速道路をやります
道路築造技術におきまして、特に相当の盛り土をしたり、あるいは構築物のくいを打ったりするということがございますが、非常にそういう地質、土質条件が特有でございまして、
日本の
道路工学上の問題というのは、むしろそういうところにあると考えたほうが適切かと思います。よく外国と比べてキロ
当たりの
建設費が高い、倍もかかっているじゃないかといわれる部分の大部分はそういうところにあると言ってもよろしいかと思います。それから、
地域の非常に平地にたくさん住民が住みついております。それから田畑の所有区分、これも非常に零細、細分化されております。そんなところで
構造物をつくる際の用地問題あるいは
構造条件、こういったものが非常に他の諸外国と違っておりまして、これも経費が高くなる
一つの条件であろうと思っております。そういうことで、私
どもも、まあ
日本におきます
道路の
建設技術につきましては、どうしても
建設費が
構造物が多くて高くなる、あるいは土質条件が悪くて高くなるという傾向があるわけでございまして、これを他の国の
道路技術と比べてどちらが進んでいるかどうかということを比べることは無理であろうと思っております。むしろ
日本で外国の業者、あるいは外国の技術者にやらせましても、これだけのものをつくるのは容易ではない、かようにすら言えると思います。そういう
意味におきまして、
日本の
道路技術というものは非常にむずかしいところで、よく
名神高速道路なりあるいは現在は
東名地方でやっておりますが、こういうものがりっぱにできていくということについては、私
どもむしろ技術的な自負を持っております。それから
構造物、橋梁等につきましても、これも全く遜色はございません。もちろん、いま話題になっております海峡横断の長大橋については、これは今日まで
経験がございませんので、外国に学ぶ点が多うございますが、他の
一般橋梁については、これはもう決してひけをとるというものではございません。材質的にも、あるいは
構造的にも、そういう心配はございません。特に、
日本は地震という条件がございますので、これについても、あるいは他の地震のない国よりも
日本の
構造技術のほうが進んんでおると言っても過言ではないと思っております。
それからトンネルでございますが、トンネルについても、これはむしろ、
日本の宿命的なそういう地形にございますから、非常に進んだ技術を持っておると思っております。
富樫総裁もトンネルのことは
専門家でございますし、私は、
日本のトンネル技術というものは、おそらくほかの国から勉強に来ると言ってもいいぐらいのものであろうと思っております。特に山の状態、これは岩質的にも非常にむずかしいいろんな岩質がございまして、いい岩盤のところで長いトンネルを掘るというような問題ではございません、むしろむずかしい岩質のところでうまくトンネルを掘るという技術のほうにこそ、隧道技術の
中心がございます。
そういうことを申し上げまして、大体技術的には決しておくれておらぬ、むしろ特異な専門技術を持っておると、私
どもはそういう自負を持っているわけでございます。