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1966-05-26 第51回国会 参議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十六日(木曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      久保  等君     竹田 現照君  五月二十五日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 石井  桂君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 青木 一男君                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 小山邦太郎君                 米田 正文君                 鈴木  強君                 達田 龍彦君                 前川  旦君    衆議院議員        建設委員長    田村  元君    国務大臣        建 設 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        首都圏整備委員        会事務局長    鮎川 幸雄君        経済企画庁総合        開発局長     加納 治郎君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法  の一部を改正する法律案衆議院提出) ○国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十三日付久保等君が委員辞任され、その補欠として竹田現照君が委員に選任され、二十五日付竹田現照君が委員辞任され、その補欠として鈴木強君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案については、すでに説明を聴取しておりますので、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。  なお、衆議院から提案者田村建設委員長政府側から瀬戸山建設大臣及び経済企画庁から加納総合開発局長出席しております。
  4. 小酒井義男

    小酒井義男君 特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案という表題になっておりますが、実はこの法律が今回出されてきた内容は、期限を延ばすという内容だけでありますので、少しこの実態についてお尋ねをしたいと思うのです。  まず最初に、この「特殊土じよう地帯」といって、九州四国中国及び中部地方にまたがるということになっておりますが、具体的に県名範囲をひとつ示していただきたい。
  5. 加納治郎

    政府委員加納治郎君) いま御質問のございました県名を申し上げます。十四県ございまして、鹿児島県、宮崎県、高知県、愛媛県、熊本県、大分県、福岡県、それから山口県、広島県、岡山県、鳥取県、島根県、兵庫県、静岡県にまたがっております。面積といたしまして五万四千平方キロメートルにまたがっております。
  6. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでもう地域によって侵食を受けるとか、いろいろな状態が違うと思うのですが、それはどういうふうになっておりますか。
  7. 加納治郎

    政府委員加納治郎君) 全体といたしまして、非常に特殊な土壌でございまして、特に台風などの災害のときに、崩壊その他被害を受けやすい性質を持っております。たとえて申しますと、非常に面積が広くまたがっておりますシラスについて申しますと、その関連で起こってきますので、たとえばシラスの場合には、治山事業が非常に必要になる、あるいはほかに砂防河川道路防災事業農地保全事業、茶園、桑園の防災事業、そういった事業が主になりますが、いずれも崩壊をしやすいというようなことがおもな現象かと考えております。
  8. 小酒井義男

    小酒井義男君 それで、今日まで十四年間やってきたわけなんですが、この十四年間に全体の地域の何%くらいが対象になって、どのくらいの予算を使って事業をやってきたのか、御説明願いたい。
  9. 加納治郎

    政府委員加納治郎君) 面積にしますと、累積全体で一四%に達しておりますが、事業費をちょっと申し上げますと、この十五年間に第一次の計画で二百十九億円、第二次の五カ年に三百十八億円、第三次の実績の見込み、これは見込みを含んでおりますが、九百三十億円、こういうふうになっております。
  10. 小酒井義男

    小酒井義男君 それだけの予算を使って十四年間やってきたことによって、災害防除あるいは農業振興について著しい進歩がなされたと言っているのですが、具体的にどういうふうな成果があがっておりますか。
  11. 加納治郎

    政府委員加納治郎君) 先ほども申し上げましたように、非常な台風その他の災害の際に被害を受けやすい、そういうことを事前に改良なり、いろいろな方策を講じまして整備をいたしておりますので、そういう際に、災害に対する抵抗力がふえておる。それから農地などで生産性の低い部分についても、土壌客土といいますか、土を除きまして、かわりの客土をするというようなことで農地の改良を進めてまいるというようなことで生産性を上げているという点にも相当成果をあげていると考えております。
  12. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから昭和四十二年三月を最終期としておるのですが、この最終期までに、全体の事業のどれだけが終わって、これを五カ年延ばすことによって全部の事業が終わるのかどうか、その点はどうなんですか。
  13. 加納治郎

    政府委員加納治郎君) 第三次の五カ年間までの実績のうちには、先ほど申し上げたとおりでございますが、今後五カ年この法律をお認めを願いまして、それが実施される場合に、どの程度事業になるかということは、なお検討の余地が残されておりますけれども、相当の努力を必要とする面がございますが、いま一応推計いたしておりますが、事業費について年々相当予算の増額などがあれば、おおむね現在考えられております所要事業は五カ年で完遂できるというふうに一応見積もっております。
  14. 小酒井義男

    小酒井義男君 それは、従来の年間予算を取っていけば五カ年でやれるということか、従来の予算の額でいけば何年かかるか——五カ年でやろうといえば、その予算をどのくらい増額しなければ五カ年でやれぬかというような点はどうでしょうか。
  15. 加納治郎

    政府委員加納治郎君) 先ほども三次の五カ年計画の御説明を申し上げました際にありましたように、最初は二百十九億、次は三百十八億、最近の第三次の現在の四十二年までの五カ年では、九百三十億ということで、飛躍的に事業費が伸びております。そこで、このような、これに匹敵するような程度に今後とも事業費を伸ばしていただくということが一つのやり方でございます。従来の年間予算ではちょっと無理かと思います。
  16. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは、提案者にこの点だけをお尋ねしたらいいと思うのですが、予算関係ですね、これは。裏づけが要るわけですね。この予算の点については、政府はこれを了承といいますか、承知をしておるわけですか。
  17. 田村元

    衆議院議員田村元君) 実は、先般衆議院建設委員会で、この問題委員長発議の姿で審議されたわけでありますが、審議の経過は、質疑は一切行なわないでそのまま通りまして、そのときに、政府側との事前の話し合いはすべてこれを了承するということでございます。でありますから、予算裏づけ等におきましても、われわれは衆議院側としては、この法案に対して、政府は全責任を持って措置をするであろうと、かように心得ております。
  18. 小酒井義男

    小酒井義男君 建設大臣おられるのですが、若干これは農業関係にも関係すると思うのですけれども、災害問題だと建設省問題になるわけですが、そういう点はどうでございますか。いま委員長から答弁がありましたように大臣も大体了解をされておるんですか。
  19. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) それについて、ちょっともう少し他の面からお答えいたしておきたいと思いますが、いま経済企画庁から、現行の第三次計画までの予算等の御説明がありました。これは内容がいろいろ多岐にわたっておるわけでありまして、先ほど説明がありましたように、これらの問題の特殊な、火山灰地帯の処理をしようという特殊な法律でございます。そこで先ほどの九百三十億、第二次三百十八億というようなお答えの中には、一般河川あるいは道路砂防その他特殊土壌地帯でなくともやるべき仕事が大部分でございます。ただ同じ火山灰地帯——九州地方あるいは四国あるいは中国、それからやはり地域が違っております静岡県下の富士山ろく、おのおの違っているわけでありますが、その特殊な土壌に応ずる特殊な工法をすべき問題がある、こういうことで特殊立法がされておるわけでありまして、したがって、この法律趣旨とする予算というものは、九百億というようなものに一部は加わっているというのが実情でございます。したがって、この計画が今度延ばしていただきます五カ年間で終わろうというのは、非常に特殊なケース部分工事部分が終わる。一般治水であるとか、あるいは治山道路、こういうものが五カ年で終わるということは、これは期待できない。たとえて申し上げると、南九州地区には、先ほどお話しシラス、これは全く簡単に申し上げると、はしにも棒にもかからないというような土壌でございます。それには特殊の工法をいたしまして、特に農業関係でありますが、表土——これはボラという表土でありますが、全然生産性のない、肥料分もない土壌でありますから、これを一メートルあるいは二メートル全部とりまして、それに普通の粘土質土壌を入れる、こういう作業をしておりますが、そういうものはおおむね今後五カ年で終わるであろうという計画であります。  もう一つシラスという特殊なこれは全く粒状の土壌でございますが、これは多い所は、数十メートル深さがあって非常に侵食をされやすい、崩壊されやすい、これはまた全然生産性のあがらない土壌であります。しかも、崩壊しているその地域並びに下流に大災害を起こす特殊な土壌でありますから、これに対するシラス対策事業ということで農林省で計上しておりますが、そういう地域をずっと調査してありますから、そういう侵食状況地元に全然負担をかけないで防災工事をするという工事が約十五年進められております。そういうところがおおむね終わるであろう、こういう特殊なものが一番効果があがったと思うのでありまして、この大部分予算というものは、そういうものを加味した考え方道路の測溝あるいは砂防、こういうことをしなければならない。かりにこの特殊土壌地帯でなくてもまだまだ続けなければならないいわゆる治山治水、そういうものが含まれているわけであります。そういう意味でありますから、この法律に基づく予算というものは、この法律があるからこれだけの予算がついているということではなしに、この予算はそういう特殊な考え方に基づいて執行する地帯のすべての予算がこれに含まれている、こういうことに御理解願うとわかりやすいのではないかと思います。  そういう意味政府は、この法律の面では、まだまだそういう特殊な地帯計画どおり進められておらないのだ。もう一つは、そういう土壌でありますから、早く手当てをしませんとだんだん拡大していく、また、最初計画いたしました、調査いたしました以外に新しいケースが出てきておる、こういう状態で延ばす必要がある、こういう考え方でございます。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 これは議員立法でもともと出発しているわけですから、どうも政府の取っ組み方が不十分のように私は思うのです、率直に言って。しかし、いま大臣の御説明のように、確かにこれらの火山灰内容とした特殊な土壌開発ということが他の問題と密接な関係がありますから、どこまでがこうだという厳密に分離することは非常にむずかしいと思います。ですから、なかなか困難だと思いますけれども、しかしあえてここに議員立法として制定された法律趣旨にかんがみまして、その点をくふうして、一体これらの九州四国中国中部にかける特殊土壌について、具体的にどういう計画を立てているかということを、一般農業振興とかあるいは災害対策とか、そういうものとかみ合わせてはっきりした計画を立てておらないんじゃないですか。もうすでに三十一年、三十六年、今度で三回目でしょう、期間延長が。一体第一次、第二次、第三次と、五カ年なら五カ年の長期計画を立てて、そしてそれをそういう重要な他の問題とからみ合わせてこの特殊土壌開発をどうやっていくかという取っ組み方が私は少しなまぬるいと思うのですよ。そこいらには建設省農林省、いろいろ管轄の違う点もあるでしょうからね、やりにくいでしょうけれども、せっかくこれが議員立法として出された以上は、もう少し関係当局が熱を入れてやってもらわなくちゃ私は法律制定の意義がないと思うのですよ。これはおそらく四十七年までまた延ばすようですけれどもね、それではたして本法のねらうところの目的が達成されるかというと、そうでないような気がしますからね、そこいらの取っ組み方はどうなんですかね、大臣。どうも私は、議員立法だからというので軽く見ているわけではないと思いますけれどもね、非常に事柄の性質上むずかしいと思うけれども、もうちょっとわれわれが納得できるような長期計画をつくってもらえないですか。これを示すべきですよ。それでなかったら進めることはできないんじゃないですか。
  21. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 議員立法であるから熱意が欠けておるというふうには私どもは考えておりません。これは今日までの第一次、第二次、第三次の計画がもし御必要であれば、経済企画庁から出されると思いますが、これは各省それぞれ所管事業計画いたしまして、それで御承知のとおり、今度審議会にはかりまして毎五カ年計画をきめております。その進捗度は、いま私ここへ資料を持っておりませんから、多少誤差があるかもしれませんが、おおむね計画の線に沿っていっておるように思います。ただ、おくれておりますのは、農林省関係事業がややおくれておる。といいますのは、予算的にも農林省関係計画どおりに進んでおらない。これにはやや事情があるのでありまして、農林省関係というのは、農耕地等保全工事に直接関係があるわけでありますが、その付近の道路なり河川なりというものがやはり整備が進みませんと、この特殊土壌関係で、一局部だけの補強をいたしましても効果があがらない。また、農地整備のほうあたりも相当進んでおりますが、それだけでは効果があがらない。周囲の道路なりあるいは河川なりの改修が進まないと効果があがらない。その順序の問題等がありまして、比較的農林省事業がおくれておる、こういう事情がございますが、おおむね全体の計画から申しますと、それほど非常に計画実行に差がある、こういう状況ではないのでございます。その点については、数字的に御説明しますとよくわかると思います。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっとその前に。大臣そうおっしゃるけれども、たとえば議員立法で提案された法案で、この改正案もまた議員立法ですね、議員提案でしょう。それであるから、それを法律として制定し、それを実施するのは政府責任ですからね。政府がこの臨時措置法に基づいて具体的計画を立てていって、そうしてなおかっこの期限において、時限立法期間内に問題の解決ができないということになれば、むしろ政府が率先して法律改正を出したっていいじゃないですか。これは立法の技術問題ですがね、そういう点があると思うのです。  それから、大臣ちょっと言われた予算裏づけについても、この立法した趣旨からいうと、後進地域開発に関する公共事業にかかる国の負担割合、そういうものに対する特例法律とか、あるいは地方交付税における特別の財政措置というのは、この法律があるからうまくいったんだと、こう言っておるわけです。あなたはそうでないかのごときことをさっき言われましたね、財政措置についても。そういうふうにものの考え方がどうも私は後手後手のように思うから、少しうしろ向きじゃないか。もっとやるべきことであるならば前向きに解決して、具体的にこういう効果があって、なおこういう点が足りないというくらいのことは、やっぱり政府が進んで出すべきじゃないですか。
  23. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) これは、まあ政府がもちろん出してもいいわけであります。ただ御承知のとおり、議員立法——やっぱり伝統的に国会で出されたのは、国会で修正をし、国会でやろうというあれがありますから、そういう空気がありますから、国会にお願いしております。こういう事情でありまして、逃げておるというわけではございません。それはどうか御了解願いたい。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 それでは私少し伺いますがね、具体的に十四年間において、厳密には第一次二百十九億、第二次三百十八億という一応予算を計上しておりますが、これはさっきの大臣の御説明でよくわかりましたけれども、このうちの何百分の一か何十分の一か知りませんが、本法における特殊土壌措置として組んだ、こう考えられるわけですね。そういう点、これはシラスとか、ボラとか、コラとか、アカホヤとか、花こう岩風化土とか、いろいろ書いてあるのだが、どうも大臣がいま言われたシラス対策なんかについては、十四年間二方六百ヘクータルしか実施されないというのですが、全体として幾らあって二万六百ヘクータルしかできなかったのか、やはりそれを聞きたいと思います。  それから大臣趣旨に沿って政府もなるほどと、こう思っておるとすれば、議員立法であっても、これからも地域開発に対する構想、計画というものは、ただばく然と九百三十億予算を組みました——その中には一体実際にこれを推進するための予算というのはストレートに考えて幾らあるか、そういう点もはっきり相当自信を持ってやれるように説明してもらいたいと思います。
  25. 加納治郎

    政府委員加納治郎君) 現在まだ予備的な準備中でございまして、すべてのことがはっきり申し上げる段階になっておりませんが、法律のたてまえからいたしまして、いずれこの法律がお認め願えますれば、審議会で十分御審議を願いまして、審議会のほうで計画も固めていただく。そうしてその実行についても方策を立てるということになろうと思います。先ほど進捗状況につきましても、これは全体的な姿でございますけれども、第三次計画は、当初六百三十五億を予定いたしておりましたのを、先ほど申し上げました九百五十四億に改定いたしたことがございます。これは先ほどシラスボラコラをはじめ、かなり学術的にむずかしい問題もございまするし、その範囲等いろいろな点について、当初法律が成立いたしました時分には、まだ十分明らかでなかった点も若干ございまして、いろいろ学術的な研究等も行なわれております。その後、その被害状況その他についていろいろ研究が進むにつれて、当初の計画ではなお不十分ということで事業範囲も広がってまいったというような経緯もございます。いまのところ、大体、第四次の新しい計画では、おそらく二千億ほどの事業計画になるのではないかと予想はいたしておりますけれども、その辺のことにつきましては、なお審議会等の御意見も伺いました上で計画を確立し、そしてその実施についても、関係各省と十分の御相談をしながら進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 ぼくは、いまここで、時間も足りないようですから詳細の質問はできませんけれども、十四年間に具体的に特殊土壌地帯災害防除振興のためにどういうふうな措置をとられたか、その現状と、将来の見通しはさっきあなたが言われたように、審議会等において御審議いただくとしても、過去十四年間の具体的なこれらの特殊土壌に対する対策をぜひ資料として出していただきたいと思います。  それからもう一つ強くお願いしておきたいのは、この法律が可決されました暁に、建設大臣出席でございますから、農林大臣その他政府として、ほんとうに長期にわたる計画をはっきり立てていただいて、そして何年かかったら実際に完全にやれるかという、そういう見通しを立てていただいて、そうして、それを一ぺんにやれといったってこれは無理でしょうから、年次計画を立ててやっていく、それには地方自治体なり関係皆さんの御協力が絶対必要なんですから、そういう点で、予算的にもあるいは人的にもいろいろな面において政府がめんどうを見て、特に、学術的にむずかしい特殊土壌地帯開発ですから相当専門的な知識も要ると思いますから、そういう日本の英知を集めて、そしてこれに取り組んでいただくような体制だけはぜひつくっていただきませんと、またこれは、四十七年になって中途はんぱでもう一回ということになっても困りますし、また、一生懸命やっておっても、どうしても現状やむ得ないときになれば、それはまたそのときの判断でよろしゅうございますけれども、一応、われわれが議員立法で出した法律でも、きまればその趣旨を厳に尊重してもらって、われわれが納得できるような説明が次の機会にできますように、大臣に特にお願いしておきます。それはよろしゅうございますか。
  27. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 重ねて申し上げて恐縮でありますが、経済企画庁資料に基づいて、各事業別のいろいろのケースがありますから、それの計画と、その進め方を御説明申し上げるともっと御理解がいくんじゃないかと思いますけれども、私の手元にいま資料がございませんから、私から申し上げられませんが、この法律は、特に非常に効果が実際に地元であがっておる。特殊立法にもいろいろありますけれども、非常に効果があがっておるという一つケースになっております。ただ、先ほど申し上げましたように、その土壌の変化というものが次々に起こってまいりますので、最初計画をさらに改定しなければならない、非常に雨に弱いといいますか、水に弱い土壌のところ、これは日々変化しておる、極端に言いますと。そういう状況でありますから、最初から時限立法五年ということでございましたが、もちろん、五年でできるとは思いませんけれども、しかし特殊なケースでありますから、早くしなければならない、こういうことで時限立法になっておりますけれども、そういう意味で、固定した計画ですべて捕捉できるという状態にないところにやはり困難性があるわけであります。しかし、御趣旨の点は十分意を体して進めたいと、かように考えております。
  28. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御質問ありませんか。——それじゃ、ちょっと私も聞きたいのですが、この新しい治山治水計画などに当然入っていかなければいけないような地帯相当あるように思うので、こういうものを治山治水計画の中に入れてやっていくということについては、所管農林省建設省にまたがるものもあるのか、そういうような点で非常に治山治水計画まで入れることは困難だというようなことにもその原因があるのか、特にこの地帯治山治水計画にすでに組み入れられておるものもあるのか、この点のことをひとつ大臣からちょっとお聞きをしたい。
  29. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) これは全体から言いますと、治山並びに治水計画に入っておるわけであります。そこで、先ほど申し上げましたように、たとえば第三次九百五十四億などは、おおむね大部分一般治水あるいは一般治山、そういう予算が大部分を占めておる。ただ、そういう地帯でありますから、一般治山治水計画の中でそれが個々の事業について特殊な工法、特殊な助成、こういうことをすべき問題点がありますから、それが特にこの法律で付加されておる、こういうことに御理解願うといいんじゃないかと、かように考えております。
  30. 松永忠二

    委員長松永忠二君) もう一つ鈴木君からお話が出ておるのですが、実は建設六法の中にこの法律が出ていないのですね。これは、こまかい、小さいことのようですけれども、本委員会で審議するような事項で、すでに法律として出ているものがこの建設六法に出ていないというようなことは、私は少しおかしいのじゃないかと思う。これについては、やはり鈴木君からお話のあったような点なんかについても、あるいはそういうことも考えられないのじゃないかという気持ちもするので、これはまあ今後——港湾法なんかについてさえ出ているわけですからね。これはやはり建設六法の中に加えていくべき性質のものだと私思うが、まあこれ、ひとつそういうふうにしていただきたいと思う。別に御答弁を要求しているわけではありません。  それでは、他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  32. 小酒井義男

    小酒井義男君 必要があって期限を延ばすということですから、その趣旨には賛成でありますが、内容について、鈴木委員からもいろいろ質疑がなされ、資料の要求もされておるので、この法案を通すことはいいですが、内容は、日を改めて、資料が出ましたら、本委員会でひとつ審議を続けていただきたい、このことをつけ加えておきたいと思うのです。
  33. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  34. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記つけて。
  35. 小酒井義男

    小酒井義男君 いま私申し上げたように、この法案はよろしいが、内容についてはあらためてひとつ本委員会において審議をされたいと、こういう意見を加えてこれに賛成をしたいと思います。
  36. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないものと認めます。  これより採決を行ないます。  特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  38. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記とめて。   〔速記中止〕
  40. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記つけて。     —————————————
  41. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案については、すでに説明は聴取しておりますので、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。  なお、政府側から瀬戸山建設大臣及び尾之内道路局長が出席いたしております。
  42. 達田龍彦

    達田龍彦君 この縦貫道路問題ですが、本日は資料等をある意味で求めて、次の機会に重点的に質疑を進めていきたいと、こう思っております。  それでまず第一に、現在までの高速道路の概況でありますけれども、すでに名神高速道路ができておりまして、さらにまた四十三年度までには、東名あるいは中央の二つの高速道路が完工する予定になっておるようでありまして、この東名、中央の今日の計画進捗状況、それからさらに予算規模、まずこれをお伺いをいたしておきたいと思います。
  43. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 簡単に御説明申し上げます。東名高速道路は、全体の計画を申し上げますと、延長が三百四十五キロ、建設費が三千四百二十五億でございまして、インターチェンジ二十二カ所、バスストップおおむね二十四カ所、これは三十七年五月から着工いたしておりまして、昭和四十三年度に一応供用開始するということで施工命令が出されております。  それから中央高速道路につきましては、計画規模は、延長が九十二・七キロ、建設費が八百二十億、インターチェンジが七カ所、バスストップおおむね七カ所、これは同じく三十七年の五月から着工、供用開始は四十三年度ということで、いずれもただいま実施中でございます。  四十年度並びに四十一年度の予算規模は、東名高速道路が、四十年度四百四十四億、四十一年度六百六十億。中央高速道路が、四十年度百七十二億、四十一年度百七十八億、ただし、四十一年度は、ほかに債務負担として両道を通じまして二百億見込まれております。詳しくはまた別の資料で御説明するのが正しいかと思いますが、おおむねこういうような状況でございます。
  44. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで次に名神高速道路の今日の利用状況ですね、予定と実績は一体どうなっておるのですか。特に料金収納の関係あるいは自動車等の使用種類の関係、それから距離を短距離利用あるいは長距離利用と、利用状況があると思うのでありますけれども、できるだけ詳細に御説明を賜わりたいと思います。
  45. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 詳しい資料は別に持っておりますので資料で差し上げたほうが適切かと思いますが、大まかなことを申し上げますと、現在西宮−小牧間、約百九十キロを供用しておりますが、まだ全線開通いたしましてから間がございませんので、大まかに申しますと、一日の平均全線交通量は約七千八百台、当初計画いたしておりましたものに対して約七三%、一日の平均料金収入は約千三百五十万円で、これも計画に対しまして六二%という状況でございます。  そこで、これらのいろいろ理由がございますが、もう少し全般的に申しますと、トラックあるいはバスの利用の度合いが予定より少なくなっております。一般的に乗用車は伸びておりますが、そういったバスあるいはトラック類が少のうございますので、料金につきまして先般いろいろ検討いたしました結果、とりあえず五月の初めから一部料金を低減いたしまして実施いたしておりますが、まだ本日までのところ、その結果はっきりした統計でふえた状況がつかめておりませんが、やはりトラック、バス等におきまして、若干従来と違ったふえ方をしておるというようなことが報告されております。  大体以上のような概況でございますが、別途資料でごらんいただきたいと思います。
  46. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで名神の場合、利用の台数あるいは料金においても、予定よりも大幅に少ないわけでありますけれども、この理由は、いま御説明では料金が高いということが大きな原因のようでありますが、それ以外に大きな理由はないのかあるのか。私は、料金の問題だけではなくて、今日のやはり日本の全体的な総合的な体制の中に、まだ名神高速道路の利用に対しての体制がないんではないかというような問題もあると思うのでありまして、そういうものについて、一体予定よりも非常に少なくなっておるこの原因について、分析がされておれば御説明を賜わりたいと思います。
  47. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) いろいろ考えられるところはございます。一つは、まだ小牧——西宮間百九十キロでございますが、高速道路としてはまだ必ずしもフルに利用される延長ではないということ、すなわち、長距離の貨物輸送あるいは長距離の旅客輸送ということにつきましては、現在着工いたしております東名高速道路につながるということが一つの前提になるだろうと思います。そういうことで、まだ長距離の輸送に対して一部分しかできておらぬという点が一点あろうかと思います。  それから他の一つといたしましては、やはりこの上を利用いたしますトラック業界あるいはバス業界あるいは他の利用される業界におきまして、そういう高速道路を利用する体制そのものができておらない。たとえばバスについては、バスストップはできておりますけれども、トラックにつきましてはターミナルの施設、それから車両の高速道路に適応するような大型化、大量集貨方法というようなことについてのまだ業界体制が必ずしもできておらないというようなこともあろうかと思います。  それからもう一つは、これは別の問題でございますが、これはほかの国におきましても、あるいはわが国におきますこれまでの有料道路でも、一般にトラックの乗り方が非常にわれわれの考えているよりもおそい、三、四年おそいというのが実績でございます。その三、四年たってからトラックというものが乗ってくるということがどこでも見られる状況でございます。それはなぜかといいますと、トラックの荷主というものがみずから料金を払うのではなくて、料金を払うのは運転者といいますか、運転者が払うというような仕組みになっておりますので、どうもその辺の、自分の車を大事にするとかいうような感覚が必ずしも十分でないというようなことで、トラックが高速道路でどうも最初なじみがないという傾向が一般的に見られます。まだ名神につきましてもそういう段階であろうと思いますので、私どもの予想では、二、三年たちますと、おそらくかなりトラックが乗ってくるんじゃないかというふうに考えられます。  それから申し落としましたが、御承知のように、名神に並行いたしまして国道二十号線あるいは八号線等がございます。あるいは一号線がございまして、一号線はかなり現在の国道がもう込んでおりますけれども、八号線と並びに二十号線といいますのは、幸いにまだできてからあまり間がございませんので、必ずしもそのキャパシティーが十分でない。つまり余裕があるということで、かなり並行しておりますので、いま申しましたトラック類につきましては、そちらのほうを若干時間はかかっても通ったほうがいいというものがあるというようなことで、他のものに比べて乗りが悪い。詳細な表をごらんいただければわかりますが、特に栗東から西宮——小牧、この間の利用台数が少ないことが顕著でございます。栗東町から西宮までは非常に利用されておりますので、その辺がやはり道路条件の差もあるであろうと、こういうふうに考えていろいろなお分析を続けていきたいと、こういうふうに考えております。
  48. 達田龍彦

    達田龍彦君 それでそういう特に名神の場合の利用状況だとか、問題点だとか、そういう資料がほしいのでありまして、早急にまとめて資料をお出しいただきたい。特に今後の全体の高速道路の建設と大きな関係があるわけでありますから、次の審議にも差しつかえがないように、ひとつ早急に出していただきたいと思います。  さらに、いまの内容の中で、いろいろ理由があるようですけれども、料金が高いために利用率が低下をしているんではないか、そのために五月一日から安くしたのだと、こういう話でありますが、それ以外のいわゆる問題点に対する具体的な対策ですね、どうお立てになっておるか。これは御説明がいただけなければ、資料等にどういう対策を立てた、その結果どうだと、こういうのができておれば御説明なり資料をいただきたいと思っておりますが、どうですか。
  49. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 名神関係のいろいろ資料はできるだけ整備いたしまして御提出申し上げます。  対策でございますが、料金対策は、先ほど言いましたように、とりあえずいまの有料制度でやれる限度のことだけをやっておりまして、しかし、今後のことを考えますと、鉄道と違いまして、有料道路の料金の考え方は、どちらかといいますと、かかりました建設費その他を償還するということで考えられております。それから各自動車の車種に対する料金の考え方も、どちらかといいますと、道路を利用する、あるいは占用する度合いという考え方で立てられております。たとえば小型車は道路を利用する面積あるいは程度というものが小さい。あるいは道路構造に対する破損の度合いも少ない。大型車はそれだけ占有面積も大きいというようなことで、大型車——一体にトラックのほうが乗用車よりも高くなっておる。したがいまして、貨物に対するいわゆる運賃政策的な面はないわけでございます。それらは、いまの有料道路のもとになっております道路整備特別措置法がそういう趣旨でつくられておりますので、いまのところいたし方がないのでありますけれども、今後はそういうことを根本的に検討しなければならない。有料道路制度も、もう始まりまして十年以上も経過をするわけであります。いろいろそういうような問題が出ておりますので、私どもは、できるだけそういう点を検討いたしまして、もし根本的に改正する必要があるならば変えなければならない、かように考えております。したがいまして、対策としては、現行法のワク内でやれることだけをとりあえずやってみるということでございまして、それ以上のことにつきましては、今後ひとつ制度的に検討いたしたい、こういうことで、特にそれ以上変わったと申しますか、手を打っておりません。ただ、しいて申せば、業界に対する高速道路のPRと申しますか、利用すればこれだけ有利だというようなことを従来よりも積極的にやらしておる、こういうようなことでございます。
  50. 達田龍彦

    達田龍彦君 それからさらに、道路公団のほうからおいででございますか。
  51. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 来ておりません。
  52. 達田龍彦

    達田龍彦君 これも私は今後の審議の中で重要だと思うので、資料の提出をお願いしたいのです。それは、この高速道路は大体道路公団が事業主体になり、施工されると思うのですね。そうしますと、名神あるいは東名、中央通というのを現在も手がけておるわけでありますけれども、工事をしていく建設力ですね、一体、全体の建設力というのは道路公団だけでこれだけの工事がやれるのかどうかという目安をひとつ立てたいと思うのです。したがって、現在のいろいろなデータがあると思います、機械の問題、人の問題、技術の問題、そういう問題から見た建設力、そういう資料がほしいのでありまして、これをひとつお出しをいただきたいのでありますけれども、よろしゅうございますか。
  53. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 私どもから公団のほうに、そういう資料を提出するように伝えておきます。
  54. 達田龍彦

    達田龍彦君 それからさらに、いまの名神道路の、これは一キロ当たりになるのですか、工事単価ですね、何億かかっているわけですが、これの工事単価と、東名、中央のおのおのの工事単価ですね、これの比較をひとつ、これまたいま資料があれば資料を出してもらいたいと思っておるわけですけれども、よろしゅうございますか。
  55. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 簡単な数字は申し上げられますが、名神高速道路がキロ当たり六億三千万、東名高速道路がキロ当たり九億八千万、中央高速道路がキロ当たり約九億、ただし、東名と中央道路では建設の規模が若干違いますので、たとえば中央道路では、一部用地は四車線でございますが、築造は二車線、こういうようなところがございますから、まともな比較にはなりませんが、大体の傾向はそういうことになっております。
  56. 達田龍彦

    達田龍彦君 それでもう一つ説明をいただきたいのですが、これもあとの審議に非常に差しつかえが出てまいりますから、従来の縦貫自動車道五車線がすでに決定をして、おそらく基本計画というのですかお立てになって、今年度の予算の中でも幾らですか、七百億近くですかの予算が組まれておるということを聞いておるのでありますが、特にこの五車線の計画、これは十カ年計画だと思いますが、構想が昨年建設省から発表されておると思うのですけれども、この構想の概要について御説明いただきたいと思います。
  57. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) いまお話しのは中央道、東北道、中国道、九州道、北陸道の五道についてでございますが、先般これについての基本計画をきめました。その基本計画の延長は、全体で千五百四十キロであります。この五道の全体の延長は、約二千三百五十キロでございます。そのうち、千五百四十キロ基本計画をきめた、こういう段階が現状でございます。  予算上の措置では、本年度、四十一年度この五道の関係の建設費といたしまして九十億、調査費として七億、ほかに債務負担額として約百億考えられております。なお、前年度は建設費が二十億、調査費が二億ということでございました。そこで、大体四十一年度は二百億くらいの仕事ができる、こういう予算規模になっております。  そこで次にやりますことは、これらの基本計画がきまりました千五百四十キロの中で本年度これを実際に施工するためには、次の段階として整備計画をきめるということになっております。整備計画をきめまして、その整備計画をきめた上でこれを道路公団に施工させるように建設大臣から命令する、こういうことになりまして、次に私どもが準備いたしておりますのは整備計画の決定でございます。これは縦貫自動車道審議会にはかりまして決定するわけでございまして、ただいま各通についてどの程度整備計画が出せるか事務的に検討中でございまして、できるだけ早く出すように——本年度の予算もついておるわけでございますから、できるだけ早く出すようにいたしたい、かように考えております。  なお、今後の全体の構想につきましては、建設大臣からすでに申されましたが、大体今後十カ年でこの五道につきまして貫通をはかりたい、こういうようなことで、またそれをどういうふうにどういう順序でやっていくかということにつきましては決定いたしておりませんが、大まかな目標をそういうところに置いておるわけでございます。
  58. 達田龍彦

    達田龍彦君 それからもう一点ですが、現在の高速道路は全部有料を前提といたしておりますが、先ほど名神道路実績の中でも、料金が高い、利用率が低い原因も一つはここにあるということでありますが、将来、今回の大きな大構想の中でいまみたいに料金によって建設費をまかなうという採算制をとることは、私はこの構想からいって非常に無理ではないかという気がするのでありますが、聞くところによると、建設省でも、料金のあり方について現在検討中であるという話でありますが、この基本的な、高速道路をつくるにあたっての料金と工事費、採算等の問題について基本的にどうお考えになっておるのか。特に五道の問題だけではなくて、今回七千六百キロにわたる高速道路をつくられるわけでありますから、これについて基本的にどう料金をお考えになっておるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  59. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) ただいまお話し申し上げましたとおり、現在の有料道路制度では、かかりましたものを償還するという考え方で料金もきめていかなければならない。まあそういたしますと、キロ当たりの建設費が、たとえば十億以上になりますと、かなりの交通量がありましても採算がとれないということになります。それから、いなかといいますか、東北道あるいは地方における交通量の少ないところにまいりますと五億、六億でもあるいは採算のとれないというところが出てまいります。しかし一方、全国的にこの千五百四十キロあるいは五道の全線二千三百キロある目標までにやっていかなければならぬということになりますと、従来の有料道路制度の考え方では建設できないことは計算しなくてもわかるわけであります。そこで私どもは、今後これらをその予定どおりやってまいりますために、公共事業でやるか、あるいは有料道路制度であるが従来と違った考え方の有料道路制度でいくか、あるいはその両者を調和したような、どちらでもいいような方法でいくか、いろいろただいまそれについて勉強いたしておりますが、大体やはりいろいろ検討いたしましたところ、公共事業でやるといたしましても、高速道路だけできましても、まあ高速道路だけでは繁栄するわけではございません。当然それに並行する、あるいはそれから分岐いたします他の国道、県道、市道等のそういう培養するような道路整備されませんと幾ら幹線だけできても繁栄いたしませんので、やはり公共道路というものはそういうものを今後もかなりやらなければいかぬ。つまり公共道路としてやらなければならぬ国道、県道というものは今後もかなりあるという考え方に立ちますと、これだけの七千六百キロのものをつくるにはかなりの資金が要ります。それを調達するには、やはり税金とかあるいは他の一般財源を予定いたしましてもなかなか困難であるというので、基本的にはやはり有料道路によらざるを得ないのではないか。しかし、これまでのような高い利子の有料道路ではなかなか採算計算がのりませんので、かなりこれに対して考え方を緩和いたしまして、国が補助するかあるいは出資をふやすか、いろいろその方法を考えまして、各通につきましてこういった道路ができるような仕組みにすべきではなかろうか、また、料金も東名ではキロ当たり十円である、他のところでは七円であるというようなこともやはり料金政策上適当ではないのではなかろうか、むしろ料金の考え方も、たとえば鉄道のような均一料金あるいは長距離逓減料金あるいは貨物に対する料金の考え方、そういうようなことをいろいろ研究いたしまして、どちらかといえば政策料金的な考え方をとるべきではなかろうかというようなことで、いまいろいろ専門家の意見等も徴しながら研究いたしております。要すれば、従来の方法ではとてもできませんので、この際抜本的に変わった仕組みを考えまして料金並びにその施工の方法、資金等について総合的に検討すべき段階にきている、こういうようなつもりでただいまいろいろ研究しているわけでございます。
  60. 達田龍彦

    達田龍彦君 いまの問題は、まだ構想としてもまとまっていないのですか、検討するという段階であってですね。七千六百キロの高速道路をつくるについては何兆円の金が要り、そうしてそれの料金収入は幾らでまかない、それができなければ公債を発行するとか、いろいろ構想がなければならぬと思うのでありますが、現在の段階における大まかな構想があればお示しをいただきたいと思うわけであります。
  61. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) いろいろ計算は事務的にはしております。ただどれがいい方法であるかということについては、まだ外に発表といいますかお示しするだけの私ども自信もございませんし、大臣にも話してございませんが、かなりの国の負担といいますか——負担をしませんとなかなかできないということだけは明らかでございます。従来は平均利子が六分くらい、国の出資の割合も一〇%前後でございます。これに対して、今後七千六百キロをやってまいりますには、全体資金の四割以上を国が投入しなければなかなか採算がのらぬだろうという計算をしております。それらのためにどういう財政措置をするか、これについてもいろいろな方法がございます。公債その他の方法も考えられますが、そういうことにつきましてはまだ、いま言いましたように御説明するようなちょっと段階ではないと思います。いましばらくそういうものを研究しました上で、また当然これは重要な問題でございますから、いずれいろいろな形でごらんいただき御意見を伺う機会があろうかと思います。
  62. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは大臣にお伺いをいたしますが、いま道路局長は、なかなか重要な問題だし、いまの段階で発表できない、こう言っていますが、大臣がよくテレビだとか、それからその他の会合でこの問題に対して構想として発表されているのがあるのであります。で、私はむしろこういう国会の場で——他のテレビだとかその他で放談されることよりも、むしろお考えになっておることを国会の場で出されることが適当ではないかと思うのであります。そういう点について、単なる放談的なものではなくて、構想があればお聞かせをいただきたいと思います。
  63. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) もちろん国会で申し上げる考えであります。ただ私は、いま道路局長に命じて、先ほど来御説明いたしておりますような問題点を専門的に検討しておる段階でありますから、むしろそのほうが正確だと思ってこちらからお答えをいたさしておるわけでございます。基本的な考え方は、先ほども局長からお答えいたしましたように、いま行なわれております区間主義のいわゆる有料道路ということと根本的に違った形にしなければならない。現在のは短区間の有料道路、バイパス的なものでありますから、それを簡単に利用しようということで有料制が行なわれておりますが、これも先ほどお話しになりましたように、やや長距離の名神高速道路というようなものになりますと、もうすでに問題が出ておると、こういう状況でございます。今回この法律を提案いたしておりますような、いわゆる国の道路政策の基本になるもの、一般道路がおおむね今後十年後には相当程度整備されますので、それと軌を一にする時期に、少なくとも縦貫自動車道——あるいはそれに付随する他の道路も入ると思いますが、網の目を張るべきであると、こういうタイミングをはかってこの構想を立てておるわけでございます。したがって、従来行なわれておりますような有料道路の観念では、道路政策としては不適当である、これが完全に国家財政でまかなえまして、無料でできるという状態でありますれば、これが最善の方法でありますけれども、それは言うべくしてなかなか行なわれない。そこで、基本的には現在の有料道路制度を根本的にこの路線については改める。もう少し考え方として申し上げますと、これは産業経済の基本になるものでありますから、その開発という問題もこれに含まれております。したがって、産業経済の伸展に寄与する程度の有料制をとりますれば、その程度の料金でなければならない。簡単に申し上げると、先ほども局長から言いましたけれども、いわゆる鉄道のような考え方、基本的には、これをせっかくつくりまして料金を高く取りましても、無用の長物になったんでは、産業経済あるいは地方開発の基本になるわけにはいきませんので、それを基本にするについては、どの程度の料金であればいいか、また、遠距離逓減をどうすべきであるか、あるいは物価の問題がありますから、そういうものの輸送についてはどういう特殊な取り扱いをするか、こういうことを基本にしまして専門的に検討しようと、いまその作業を進めておるわけでございます。一応、担当の建設省である程度の試案を得ましたならば、財政当局、経済企画庁、これは大問題でありますから、そういうところと総合的に方針をきめて、今後のこういう有料道路の建設と運営をはかっていかなきゃならぬと、かように考えておるのが現在でありまして、こまかい点までまだ申し上げる段階になっておらない、これが実情でございます。
  64. 達田龍彦

    達田龍彦君 この高速道路の構想が打ち出されて、いろいろ国内的に大きな反響を呼んでいることは事実でありますし、また、国家百年のための大計画であるということも事実であろうと思いますが、特にいわれておるのは、今回つくられたこの縦貫あるいは横断の高速道路が非常に政治路線のきらいが強いということがいわれておるのであります。まあ政治路線か経済路線かということは、いろいろ論議のあるところだろうと思うのでありますが、私どもが考えてみたときに、日本全体の国内体制から見たときに、今回の縦貫あるいは横断の高速道路を網の目のごとくつくっていくということは、一見しただけでも、できもしないことを制度的につくっていこうという形で引かれたのじゃないかという意味でも、私は政治路線的なにおいが非常に強いのではないかと、こう思うのであります。そういう意味での政治路線でありまして、そこで、目的は地域開発あるいは普遍的な国土の開発地域格差をなくするというところに置かれておるのでありますけれども、すでに名神高速道路の中においてもいろいろ問題はあるにしても、料金の高いということと、日本の国内体制全般の問題としてまだ高速道路を利用するという体制にない一面も相当私は強いのじゃないかと思うのであります。特に近畿あるいは首都圏という日本の中心部に属するところですらそういう状況であるのに、これを縦貫道路あるいは横断道路と称して日本全国に張りめぐらしたときに、一体これはどうなるのかという問題が、私は非常に懸念されるところであります。  そこで、この路線を引かれるにあたって、引くための基本になる目安があったと思うのです。たとえば交通量がどうだとか、その他いろいろ目安になる、中心になる基本があると思う。その中でも中心になるのは、私は路線決定の交通量の目安であると思うのでありますが、これは特に今後の審議に大きな問題が出てまいりますので、全体の構想の中で、この路線に対してどの程度の交通量を目安として持っておるのか、その具体的な資料があれば、御説明ないしは資料の提出をまずお願いしたいと思っておりますが、どうですか。
  65. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 今回提案申し上げております七千六百キロ、このうち五千五十キロはすでに他の法律によりまして法定された路線であります。したがって、今回追加されましたものは二千六百キロ、こういうことになっております。そこで私どもは、すでに法定されましたものは、これはある程度調査も進めておりますし、これをまた大きく変えるという理由もあまりございません。四国を除いてはないと申し上げてよかったわけでございます。したがいまして、それらを中心にして最小限どれだけ追加したらいいかという考え方で今回の七千六百キロを提案しておるわけであります。そういう考え方でございまして、この二千六百キロを追加する際に、どういうふうに路線を選定するかということにつきましては、一つの基準をつくりまして、その基準に従いましていろいろな路線を描いてみたわけでございます。その場合に、七千六百キロを初めからきめたのではなくて、全国に約一万キロの路線を引きまして、それらの中でどれが一番国土開発上役に立つかという観点から、いま言いました基準を設けて選んでいったわけでございます。  それで、路線をきめるにあたりましては、交通量というものももちろん重要な要素であるというふうに考えております。その交通量につきましては、いずれにしても将来の交通量を推定するわけでございます。いろいろ方法もございますが、私どもは、全国総合開発計画あるいは建設省で先般出しておりました国土建設の将来の基本構想、こういったものに示されておりますところの全国及び各ブロック別の経済諸指標に基づきまして、昭和五十五年の全国各市町村別の自動車の保有量というものを推計いたしております。全国を約百十の地域に分けまして、地域ごとの将来の保有台数と、路線のいろいろの網の時間、距離を要素にいたしまして、一つの将来の交通需要指数というものの式をつくりまして、その需要指数によって各路線の交通量を推定する、そういう方法で、交通量につきましては、各路線ごとにその交通需要の高いほうを選んでいくという考え方でとったわけでございます。これは交通量という観点から選んだ要素でございまして、他に数項目の路線設定の基準を持っております。それらにつきましては一々ここで申し上げるより、資料を差し上げたほうが適切かと思いますので、あわせましてこれを資料として御提出申し上げたいと考えております。
  66. 達田龍彦

    達田龍彦君 それではもう一つ、これも資料をもらいたいのですが、道路公団はいらっしゃらないか——道路公団のほうだろうと思うのですが、たぶん過去出ているんじゃないかと思うのですが、その資料が見当たりませんので検討ができないのですが、高速道路以外の有料道路がございますね、いろいろございます。これの今日までの利用状況だとか、問題点、できればこまかな種類別にほしいのです。これがいただけるかどうか、よろしゅうございますか。
  67. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) そういう資料がございますので、提出するようにしたいと思います。
  68. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、私はいま申し上げたように、相当資料をなお検討いたしまして、その上に立って次回以降もう少し内容に入って、具体的に審議をしていきたいと思いますので、本日はこれで終わりたいと思います。
  69. 松永忠二

    委員長松永忠二君) なお資料の要求がありますか。いまのお話のようによくまとめてできるだけ早く出してもらうほうが審議の上にもいい審議ができますので。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 いまの達田委員資料に加えて、既設の五千キロですね、これの進捗状況といいますか、完成したものはいつ完成した、現在工事進行中のものはどういう状況にあるか、これをひとつ出してもらいたい。  それからもう一つは、工事能力との関係ですが、道路公団が主にやっておられると思うのですが、実際にはこれを各区間ごとに区切って建設会社がやっておりますけれども、そのいままでやった建設会社が今日までやってまいった工事量ですね、どこの区間はどこの会社がやったという、そういう業者別の工事金額、業者名、それを出してもらいたいと思うのですよ。  それから現在建設省で本省直轄工事としてやっておられて、それに指定業者として認定されている業者名、これを全部出してもらいたいと思うのですよ、いいですか。
  71. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 最後の資料というのは、公団関係工事個所別の建設業者でございますか。これにつきましては、相当膨大なものになるのです。大きな工事、十億以上の工事もございますし、あるいは三千万、五千万というのもございますし、たいへんな量になると思います。それから過去の有料道路、これも何十本とございますし、これは整理するのはたいへんだと思いますので、それらを何かもう少し限定していただかないとむずかしいと思います。  それから二番目の、直轄工事の認定業者のリストでございますが、これは建設省に登録されたものではなくて、各地方建設局に毎年度指名願いを出す業者のリストと、こういうふうに解されるのでございますが、これもABCDEまでございまして、たいへんな数でございます。一つの大きな資料でたいへんなものになりますので、そういうものを御要求になっているのでございましょうか、その辺をちょっと……。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 前のやつは一度——工事量、区間、業者、こういったものがありますから、ひとつ相談しますが、それからあとのやつはめんどうでも私は出してもらいたいと思うのですよ。これは私予算委員会なんかでも言っておりますが、これから非常に膨大な設備投資、建設投資をやるわけでして、四兆五千億、そういった各般にわたる工事を考えたときに、はたしてこれを完全に消化できるだけの体制があるかどうかということは、これは達田委員と同じようにわれわれも心配しているところですから、そういう意味で参考にしたいと思いますから、時間はすぐというわけにいかないと思いますので、時間をかけてもいいですから、公団のやつは出してもらいたいと思います。
  73. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) これ一度鈴木委員とよく御相談しまして、出せる内容、出せる時期、それを相談しまして、打ち合わせの上出さしていただきたいと思います。
  74. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 達田委員は、いま要求された資料のあと何かありますか。
  75. 達田龍彦

    達田龍彦君 もう少しあるんだと思うけれども、よく……。
  76. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 早く整理してもらって、やはり要求資料は早く出してもらうように、だいぶ資料要求が達田委員のほうからも出ておりますので、よくまとめていただいて、早期にひとついい資料を出していただくように、委員長からもお願いします。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 私は、この法律案事前審議会のほうに出されましたときに委員でございましたから参加しておりますので、他のことは聞きませんが、ただ一つ伺いたいのは、最後に、建設大臣が議長をおつとめになって、米田委員から提案がありまして、審議会で一応決定したあとに、多少修正の余地を残してもらいたいというような御発言がありまして、私はそれはいかぬということで、大体そういうふうに確認をされたと思いますが、その後これは、私新聞で見ただけですからよくわかりませんが、与党のほうの内部で、さらに既定五千キロ、二千六百キロでは足りないというような考え方で、さらに建設キロ数をかなりふやすような動きがございまして、私は、ははあ、こういうことを考えられて御発言があったのかなと、これはかってに解釈したんですが、それはたいへんそうでなければけっこうですが、それでもちろんそういう考え方があるでしょう。それぞれの、われわれが審議した当時、三陸沿岸とか、それから日本海の秋田、山形、あの辺の海岸地帯における多少の路線が設定されない地域がありましたから——その他まだあるでしょう。当然そういう意見が出てきてもいいと思うのですが、そういう意見が出てきた場合に、すでに審議会で決定したものとぶつかるわけです。そこで、一応私はどうなるかということを非常に関心を持っておったのですが、審議会の答申どおり出ておりますね。そこで、大臣としては、与党から出てきたそういう意見に対して、どういうふうな見解を求められたことがあるのか。そして求められたとすれば、この法律は、一応法律として出しておいて、いずれまたある時期において修正追加するというような、そういう御意見でも政府側のほうから自民党のほうに話があったのかどうか、こういう点が一つ聞きたいのです。これは無理ない点もあると思います。たとえばいま中期経済計画というものが御破算になって、新しい長期経済計画というものが策定された、大体経済成長率というものは、中期経済政策でとっておられたパーセンテージとそう変わらないと思いますから、そう変化はないと思いますが、しかし、今後の見通しですから、経済政策がどういうふうに変わっていくということはおおよそこれはわかっておりましても、必ずしもそれがコンスタントにならぬと思います。そこには流動性と弾力性があると思いますから、そういう意味で私は御無理のない点もあると自分では考えております。そういう意味で、もしそうであるとすれば、わがほうにも意見があるのです、野党にも。この法案の路線以外にいろんな意見があります。そういうものはやはりできるだけ与野党が話をしていくということは、私も党のことですからやらなければならぬと思っておりますが、そして国土総合開発という立場に立っての大目的でありますから、私は、これはもう国をあげていろんな問題を整理統合し、さっき言った建設資金の問題とか、あるいは使用料の問題とか、根本的に道路というものはただで通るというのがあたりまえであって、金を出して通るというのは、これは私はおかしなことだと思います。そういった点を現代の日本経済の中でやむを得ずやっていく、これは理解と納得がないとできませんよ。そういう意味で、大臣がそういう与党の動きがあったことを知っておりますから、そういう動きをあんたが聞いてどういうふうに見解か何か表明されたかどうかという——なければないでいいのですが、そういう点をちょっと伺います。
  78. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 鈴木委員審議会に御参加になって御協力願っておりますから、いきさつは御承知でありますが、この路線を既定法律の六本のほかに一千六百キロぐらい追加いたしました。考え方については、おおむね先ほど局長から申し上げたとおり、これは審議会でも御説明いたしております。その詳細な資料がありますから委員の皆さんに差し上げて御了解願いたいと思います。まあ現在の交通あるいは将来の交通拠点——将来拠点となるべき地域等を想定して、前から申し上げておりますように、おおむねそういう重要な地点から二時間以内にはこの高速道路へ入りたいと、こういう考え方でこの路線を選んでおるわけであります。そのほかにも、全国を見ますると、これはもっとできればけっこうなところがたくさんあるといえばあるわけであります。けれども、いまの財政状況、それから諸般の条件において判定いたしました要素からいたしますと、まあこの程度がいまの判断では適当ではなかろうか。これはこの法案内容になっておるわけでありまして、それは先ほども申し上げておりましたように、ほかの一般国道あるいは地方道との整備と相まって、これが総合的に産業経済あるいは開発上活動できるような状態にいたしたいと、こういう考えでありますので、他の路線等についてもお話があったわけでありますけれども、それに政府としてどういうことを発言したと申しますか、申し上げたということはございませんけれども、そういう御希望は御希望として拝聴しておきますが、現在においてはまあせいぜいこのぐらいが適当であろう。将来いろんな変化があって必要が出る場合がないとは断言できない。そういう際にはそういう際にまた御検討を願うと、こういうことでひとつ御了解を願いたい。これが現在のこの案で満場一致でおきめ願ったいきさつでございます。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと大臣、ここ三年ないし五年ぐらいの間にさらに七千六百キロにプラスするというようなことはまずない。五年ぐらいの間はその程度に理解しておいてよろしいですか。
  80. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私ども、これは少なくともできれば十五年——今後の国の財政政策の問題にかかわるのでございますが、十五年ないし二十年かかるだろうといま想定しております。非常に特殊なケースがあって、そこの地点にこれも一連の高速道路を追加すべき事態が起こるということは、人間でありますから断言はできませんけれども、そういうことは三年、五年ではちょっと無理ではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 それから、やっぱり達田委員も指摘しておりましたように、高速自動車道をやるにしましても、それを結ぶ国道なり、これがやはりわれわれが納得するようなものが出てまいりませんと困ると思うのです。私はいつもくどいくらいに言うのだが、たとえば中央自動車道が途中で北を回る、北を回ることはけっこうだが、既定路線をかってに変えられるということは——かってに変えると言えば語弊があるかもしれませんが、法律ですから審議をしたんですけれども、ああいう変更があるということは非常に残念だ。そういうかくかくの理由によって北回りになった、したがって、その既定路線については、当初国土開発という立場に立って必要だということで、これは議員立法であったけれども、予定路線に入っておったわけですが、それが何か技術的にどうとかということで北に回るようになったわけですから、その代償として、当然私は、既定路線の沿線に対する施策というものを当然やるべきだと思うのです。そうしなければ、あの中央自動車道も、田中さんが言うように、盲腸的存在であって、なぜそれじゃ大月から吉田まで行かなければならぬかということになる。私は賛成ですから、だからその先をやらなければ盲腸的存在で、つくっても害があっていつ痛みが出るかわからない。痛みを出ないようにするのが大事ですから、そういう意味で何か考えてほしいと思うのですよ。そういうものを具体的に示してもらいたいと思う。これは年々計画しておそらくおやりになると思います。ですから、ただ中央道だけでなくて、幹線自動車道をつくられる場合の国土建設はどうなっていくのか、いろいろ問題もあるでしょう、変更の問題もあるでしょう、あるいは新設の問題もあるでしょう、そういう具体的な国土建設計画というものをやっぱり示してもらわなければいかぬと思います。これは私は審議会のときに申し上げましたけれども、これはひとつ資料でこの法案審議に間に合うように、これだけは長期計画をお持ちだと思いますから、ぜひ出していただきたい、こう思います。
  82. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いまのお話は、しごくごもっともなことでありますから、さっき申し上げましたように、いまの一般国道あるいは地方道、昭和五十年ころにはほとんど現行国道は整備される、そういう意味でこれをつなぐ幹線的な高速自動車道が必要である、こういうことを申し上げておるわけでありますが、そこで、中央道の路線変更については、御承知のような事態になっております。この問題については、当時そういう話し合いといいますか、地元の御了解を得てやっておるのでありますから、そういうことも具体的にお示ししたい、かように考えております。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 大臣ね、それはその当時了解を得ておるという風のたよりに私は聞いておるのですが、しかし、具体性が何もないわけですよ。雲をつかむようなものであってさっぱりわからぬから、この幹線自動車道が二千六百キロ延長されて、法案の名前も変わっておるという段階ですから、これは国民の新たな観点に立ってひとつの構想を描いているわけですが、その場合にこの幹線道ができても、それを結ぶ国道はどうなるのか、それがなければ意味がないのではないか。幹線が突っ走っていったって、その横に入れなければ意味がありませんから、そういう点でその構想を明らかにしたほうが、国民がより喜びますよ。具体的にどうやるのか、吉田の先はどうなるかということを含めてやってもらいたいというのが私どもの強い希望です。私はくどいように言いますが、歴史があるのですよ。私は、時間がないし、こういう場所では言いたくないのでありますけれども、歴史がありますから、そういう歴史の上に立って建設省が真剣にこの国道の建設を考えていく、そういう点は法案審議の過程において出せるでしょう、どうですか。
  84. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 実はいま鈴木委員がおっしゃった点については、いろいろ経過がございますので、私ども具体的によく承知いたしております。ただ、これをどういう形で将来計画として決定するか、これはやはり私どもでございますと、五カ年計画でそういう路線にどのくらい見込むかとかいうことです。ただ、五カ年計画は全国的に各路線がどうなっているかということを書いたものとして大臣が公表するということは、事実上とっておりません。とることは事実よしあしございます。そこで、近く五カ年計画につきましても可否もお願いしようと思っております。いまから関連する点につきまして、私どもの関係の国道あるいは県の担当の県道、それらにつきまして具体的に打ち合わせまして大体次の五カ年間にどういう段取りでやっていくかという計画を持ちたいと思っております。これをこういうところで決定するという形には私はならないと思います。また、そういうふうにしますと、全国的にこの道路がどうなるのだということをきめるにしましても、さっき言いましたようにかえって害もございますので、別途の形でひとつ計画についての構想を、私ども建設省としてこうしたいという考え方をあわせ御説明申し上げまして、そういう形で御了承いただくということになろうと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
  85. 鈴木強

    鈴木強君 それはけっこうです。またひとつ、具体的な案をこちらはほしいわけです。  それからこの機会にちょっと笹子隧道のことで聞きたいのですけれども、あれは通った人は御経験になっていると思いますけれども、換気、通風といいますか、これが非常に悪くて、排気ガスが沈滞しておるのですね。何回かに一ぺんぐらい少しいいなというぐあいで、あとはほとんど中がくさくて、どうもあれは技術的に建設技術を誇っておる日本の工事としてはちょっと私は受け取れないのですよ。あれは一体どういうところにミスがあったのか。そして、部分的な工事をやっているようですけれども、まあもうすぐよくなるかなと思っておってもなかなかうまくいってないようですけれども、あれは一体どういうふうになっておるのですかね。
  86. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 専門的なことは道路局長から申し上げるとしまして、そこが道路の実に考えていただかなければならぬ点でして、あれをつくります場合に、一体あれほど自動車が通るものであろうかということの想定が非常に間違っておった。非常に自動車の台数が多くなってきて、同時に、あすこの地形が曲っておりますから、坂を上って曲っておりますので、ゲートの置き場所が非常に困難である、ゲートが非常に近く——どのくらいありますか、百メートルに、二百メートルぐらいしかありません、隧道の近いところにあります。しかも、隧道は相当長い隧道である。そこで、私もこの間通りましてそういう感じを深くしたのでありますが、甲府側からこちらに出るときに、ゲートのところが非常につかえる。したがって、自動車が隧道の中に、トンネルの中にしばらくたくさん待機する、これが排気ガスが停滞する大きな原因であるということであります。そこで、ゲートをもう一つ入り口のほうにも、両側につけたらどうかということも検討されておるようであります。もう一つは、自動車の台数が、最初計画時よりも相当大幅にふえておる。排気の施設がややちゃちであった、こういう状態にあるようでありますから、これは専門的に早く検討して、ゲートの置き場所を考えるか、あるいは排気の施設をやり直すか、こういうことをしなければ、あの問題は解決しないと思います。
  87. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 笹子トンネルにつきましては、一応換気設備はやってあるわけでございますが、いま大臣からお話がございましたように、当初償還の予定が五十三年という予定でございましたけれども、いま御承知のように交通量がふえまして、実は四十三年ごろにはもう償還が終わってしまうというほど交通量が非常に予想よりもふえまして、したがって、換気についてももう少し先にそういう事態がくると思っておりましたところが、案外早くきた。一酸化炭素の危険ということはございませんけれども、ガスによりまして非常にこもるといいますか、そういう感じが出ておる場所でございます。そこで私どもといたしましては、近くもう一本掘らなければいかぬという考え方を持っております。それを笹子トンネルの改築としてやるか、まあ御承知のように、今後中央道の路線も変わってまいります。中央道をどうしてもやらなければならぬ。むしろ中央道の路線として新しいトンネルを掘るということについて検討しなければならぬ段階にきております。ですから、トンネルといたしましても、いずれ新しいトンネルを、近くに接近して別のものを開設しなければならぬ、こういう事態になっておるわけでございます。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 それは事実認識において多少違うように思うんです。大臣がせんだって甲府に行かれたということを私は新聞で拝見しました。ところが、ゲートまでつかえて、ぶうぶう中で排気ガスを吐いているというのはそうないですよ、それは実態としては。日曜とか土曜あたりの週末はそういう現象もありますけれども、普通の日ですと、そういうことはないですよ。風の関係もあると思いますが、私は最初のうちは、しょっちゅう通るものですからね、どういうわけだろうと思っておったのだが、どうもそれが何度通っても、運転手なんか窓を締めちゃうですよ、気持ち悪くて。そんな状態だから、これはどんな工事をしたのかいろいろ調べてみた。どうも排気が悪そうだという話を聞いたのです。ですから、ゲートの位置の問題も多少、大臣おっしゃるように影響ないということは言えませんけれども、むしろ排気、通風ですね、この点に欠けている点があったのじゃないだろうか。およそあそこをあける場合、どの程度の自動車が通るかというその予想、想定について、五十三年ですか、それが四十三年と、十年間も狂うなんて、それは資金の償還のことも、台数によってやったかもしれませんが、そこいらがちょっとおかしいです。もう少し科学的に、電子計算機が使える時代ですから、あそこにどのくらいの車が通るか、したがって、その排気をどうしなければならないかというぐらいのことは、学問上私はできると思う。それは言いわけですよ。だから、これから新しくできる長い隧道、これはシンプロン・トンネルなんか、もっと長いものがあるけれども、ちゃんとやっていますよ。だから日本だって技術的にできないということはない。多少そういう見通しの甘さといいますか、計画の甘さがあったのではないかと思います。こういうことを繰り返すと、国民はせっかくできた道路に対して不信感を持ちますよ。ですから、七千六百なんて言うけれども、五千は前にあったのですから、二千六百を追加してやろうということですから、特にトンネルの工事については十分御配慮をいただきたい。この問題もそうですが、将来の問題もからんで、伺っておいたのです。
  89. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) いまのお話についての別に言いわけということではございませんが、若干経過的に申し上げますと、笹子トンネルができました当時のトンネルの換気についての考え方は、一酸化炭素中心で、一酸化炭素が人体に害がない程度に空気を入れる、こういう考え方で換気を考えたのでございます。それと、あそこは山でございますから、自然通気といいますか、高低差、あるいは谷の差による自然通気がある、こういう考え方で換気を考えておった。ところが、その後だんだんトンネルの換気の問題研究が進みまして、一酸化炭素ではない、むしろ全体の排気ガス量である。つまり排気ガス量による視程といいますか、見通しのよさのほうが問題であるということで、最近では、もちろん一酸化炭素は検討いたしますが、排気ガス量に対してどのくらいの空気を入れなければならぬかということから換気装置を設備いたしておるわけでございます。そういたしませんと、人体には害はないが、何となく曇って、窓をあけたくないような感じを受けるわけでございます。ですから換気の考え方が、昭和三十三年当時とその後ではかなり変わってきている。笹子トンネルは、そういう意味におきまして、ちょっと古い時代の換気の考え方であったことは事実でございます。ですから、これからのトンネルにつきましては、そういうことのないように、換気のいいトンネルを掘る、こういう考え方でだいぶ進歩いたしておりますので、ひとつそういうことに御期待いただきたいと思います。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 最後に、笹子なんかも、あの中には非常警報機とか、あるいは連絡用の緊急電話、こういうものが最近つきまして、非常にけっこうです。これらもやはりあれだけの長い隧道になると、当初これは当然考えておくべきことではなかったかと思います。これは最近つきましたからけっこうですが、第三京浜国道とか、あるいはこれからの高速自動車道に対して、緊急の場合、公団相互の連絡もあるでしょうし、また公団でなくて通る一般の使用者が緊急に電話をかけなければならぬこともあるかと思います。そういう場合に、高速道路に対して公衆電話というものをもっとどんどんつけるように電電公社に要求したらいいじゃないですか。そうして非常の場合電話が使えるようにしてもらいたいと思うのです。第三京浜はたしかうまくいっていると思いますが、ほかのところはまだそういう点が抜けています。これは公社のほうもいま百七十万か申し込んでもつかない電話があって、建設資金その他の調達に苦労しているようですが、しかしこれは、私は、当然電電公社が公衆電話を設置して通行者の便益をはかることは、これは義務ですよ。だから遠慮しないで要求して、できるだけひとつ支障のないような通信連絡を確保してもらいたい。これは大臣、政治的にも、政府として電電公社にそういうような方向でやってもらいたいと思いますが、どうですか。少し手おくれだったのだけれども、多少動き出しているようですが、もっとちゃんとやってもらわなければいけない。
  91. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 率直な御注意がありましたが、道路整備は日進月歩でありまして、数年たちますと、ああいうのをなぜつくったのかというようなことになりますから、御趣旨のようなこともよく考えてやりたいと思います。
  92. 米田正文

    ○米田正文君 鈴木委員のいまの質問の劈頭、私の名前が引き合いに出されていましたので、私も一言その釈明になりますが、釈明をいたしておきます。あまり引例をされたくないからしておきますが、その縦貫自動車道審議会のときの私の意見は、まあ出された御成案についてそのときもよく私は言ったつもりですが、軽微な変更ということを言ったわけで、たとえば経過地については何々という場所があれば、その何々というかわりに何々付近というくらいな軽微な変更というような趣旨で私は言ったのです。そこで、その後党内からいろいろ意見が出ておるというようなことは、そうそれを想定しての話ではなくて、そういうことはもう審議会にもう一度かけてやることは当然のことですから、そういうことは毛頭考えていない。ただ、そういうようなごく軽微なものがあったときにはという趣旨で言ったので、あなたのいま言った話を聞くと、非常に大きな変更までというようにとれるものだから、私は釈明をしておきます。決してそういう意図ではないことを申し上げておきます。
  93. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。どうも失礼しました。
  94. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本案についての審査は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  95. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  首都圏近郊緑地保全法案審査のため、来たる三十一日、埼玉県知事栗原浩君及び横浜市長飛鳥田一雄君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしましす。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会      —————・—————