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1966-05-12 第51回国会 参議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十二日(木曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————    委員異動  五月十日     辞任         補欠選任      前川  旦君     松永 忠二君  五月十一日     辞任         補欠選任      村田 秀三君     前川  旦君      中村 順造君     田中  一君  五月十二日     辞任         補欠選任      浅井  亨君     白木義一郎君      竹田 現照君     久保  等君     —————————————    委員長異動 五月十一日中村順造委員長辞任につきその補欠 として松永忠二君を議院において委員長選任し た。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 石井  桂君                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 平泉  渉君                 米田 正文君                 田中  一君                 達田 龍彦君                 白木義一郎君                 片山 武夫君    衆議院議員        発  議  者  増田甲子七君        発  議  者  江崎 真澄君        発  議  者  佐藤觀次郎君        発  議  者  竹本 孫一君    国務大臣        国 務 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        首都圏整備委員        会事務局長    鮎川 幸雄君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○中部圏開発整備法案衆議院送付予備審査) ○首都圏近郊緑地保全法案内閣提出)     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  この際、ごあいさつを申し上げたいと思います。昨日、本会議建設常任委員長選任をされました。私、建設方面は全くのしろうとでありまして、皆さん方の御支援や御協力をいただきまして、ぜひともこの任務を果たしてまいりたいと思うわけであります。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) まず、委員異動について御報告いたします。  昨十一日、村田秀三君及び中村順造君が委員辞任され、その補欠として前川旦君及び田中一君が委員選任され、本日、浅井亨君及び竹田現照君が委員辞任され、その補欠として白木義一郎君及び久保等君が委員選任されました。     —————————————
  4. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 中部圏開発整備法案議題といたします。  提案者から提案理由説明を聴取いたします。衆議院議員増田甲子七君。
  5. 増田甲子七

    衆議院議員増田甲子七君) ただいま議題となりました中部圏開発整備法案につきまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  国土総合開発法制定以来十有余年をけみし、この間、北は北海道より南は九州に至る各ブロックに、それぞれの地域開発ないしは整備法が相次いで制定実施せられ、現に着々その成果をあげているところでありますが、ひとり東海三県、長野県のみは、いまだこの種の立法が行なわれず、国土中枢部を扼しながら、いまなお法的に空白地帯として取り残されていることは、きわめて遺憾であり、均衡ある地域開発行政上まことに片手落ちであると言わざるを得ない実情であります。特に東海地方は、首都圏近畿圏中間に位し、わが国産業経済の三大拠点の一つとして、地位的重要性を備え、将来の発展的役割りをになうものでありますが、近時、経済圏広域化必然的趨勢にかんがみまして、この東海地区を中核とする太平洋ベルト地帯北陸地方一円の日本海沿岸地域とを表裏南北に相結び、これに通る内陸地域を含めて、これらを打って一丸とする広域的かつ有機的経済圏を形成し、長期的展望に立つ開発整備計画を確立することがきわめて緊要であり、国家的要請であると思うのであります。  さらに他面、京浜阪神大都市圏過大都市化に伴い、いわゆる過密都市対策緊要性が、近時、ますます重大な政治的問題となりつつありますが、中京地区においても、漸次、人口産業集中傾向が年とともに顕著となり、これを現状の推移に放置いたしますと、京浜阪神が現に深刻に苦悩しつつある過大都市の疾患に見舞わるることは必至の情勢であり、この際、これらの前轍を踏まざるよう事前に適切な予防的施策を講ずる必要があります。  このような見地から、中京先進地区計画的整備とあわせて、その背後に擁する日本海に連なる広域後進地域を一個の有機的経済圏として一体的に開発し、それぞれの特性を生かして、人口配置産業立地適正化をはかり、健全にして均衡ある地域開発の実をあげ、もってわが国産業経済発展に寄与し、あわせて社会福祉の向上を意図して本法案提出するものであります。  次に、本法案要旨について御説明申し上げます。  第一は、本法案目的でありますが、中部圏開発及び整備に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、東海地方北陸地方等相互間の産業経済等関係緊密化を促進するとともに、首都圏近畿圏中間に位する地域としての機能を高め、わが国産業経済等において重要な地位を占めるにふさわしい中部圏建設とその均衡ある発展をはかることを目的といたしてあります。  第二は、「中部圏」とは富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県及び滋賀県の区域一体とした広域をいうものといたしまして、先進中京地区過密化傾向先行的予防措置を講ずるとともに、その一環として、裏日本北陸一円に連なる外延的開発を総合一体的に推進し、健全なる中部経済圏広域的発展を遂げしむることをねらいといたしまして、北陸地方開発促進法近畿圏整備法適用地域たる富山県、石川県、福井県、滋賀県、三重県も本法に含めたのであります。  第三は、中部圏開発整備本部総理府機関として新設することであります。前にも縷述したように、本法目的は、従来の低開発地域立法とは異なった、より高度の次元に立つものであり、自余の地域開発立法と混淆せらるべきではないのであります。したがって、この際、近畿圏の方式に準じて独立の機構を創設し、実施体制を強化確立する必要があります。  現行のこの種開発行政機構は、総理府、経済企画庁とも事務量飽和状態におちいり、両者いずれも現有機能をもってしては、現実の問題として本法実施運営は、とうてい不可能であると思量せられ、本法立法の趣旨にかんがみて、あくまで首都圏近畿圏の先例に準ずる新機構を創設することであります。  第四は、総理府中部圏開発整備審議会を置き、内閣総理大臣の諮問に応じ、中部圏開発整備計画の策定及び実施に関する重要事項その他審議会の権限に属させられた事項について、調査審議すること及び内閣総理大臣意見を述べることができることにいたしてあります。  第五は、中部圏開発整備地方協議会という地元協議会を法制化し、中部圏開発整備に関する重要事項調査審議することとしたことであります。この種の立法として、全く初めてのことでありますが、いわゆる中央の天下りでなく、あくまで地元のなまの声を十分に反映させ、中央地方の気脈を有機的に相通ずる体制であります。  そもそも、法規制度は、既成概念に固定せらるべきでなく、時代の進展に応じて改善せられてしかるべきであり、この際、新たなる見地に立って、新例を開いたのであります。  第六は、中部圏開発整備計画内容であります。  基本開発整備計画及び事業計画といたしまして、基本開発整備計画は、中部圏における人口規模及び配分、産業配置土地、水その他の資源の保全及び開発都市開発及び整備交通体系の確立、教育の振興その他中部圏開発及び整備に関する総合的かつ基本的な方針を定め、この方針に基づいて基本開発整備計画を定めるようにし、各事項について所要の規定を設けております。事業計画は、基本計画実施のため必要な毎年度の事業政令で定めるものについての計画といたしてあります。  第七は、中部圏開発整備計画作成及び決定であります。  基本開発整備計画は、まず中部圏開発整備地方協議会調査審議を経て基本計画の案を作成し、これを中部圏開発整備長官提出、この案に基づいて、開発整備長官は、基本開発整備計画作成開発整備計画決定は、内閣総理大臣が、審議会事業計画については、審議会及び関係県)の意見を聞くとともに、関係行政機関の長に協議して決定することにいたしてあります。  開発整備計画作成に際して、本地方協議会機能は、本部地元間の意志の疏通にきわめて貢献すると考えられるのであります。  第八は、中部圏開発整備計画に基づく事業実施にあたりまして、内閣総理大臣は必要があると認めるときは、都市整備区域都市開発区域保全区域指定することができるものとし、各区域に関して必要な事項、特別の措置おのおの別法律で定めることにいたしてあります。  第九は、中部圏開発整備計画北陸地方開発促進計画近畿圏整備計画との調整に関してでありますが、内閣総理大臣中部圏開発整備審議会北陸地方開発審議会近畿圏整備審議会意見を聞いて行なうものとして、重複ないしそごすることなきよう期しております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  6. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本案についての質疑は、後日に譲ることといたします。  速記をとめて。  〔速記中止
  7. 松永忠二

  8. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 首都圏近郊緑地保全法案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。  なお、政府側から、瀬戸山首都圏整備委員会委員長及び鮎川首都圏整備委員会事務局長が出席しております。
  9. 達田龍彦

    達田龍彦君 この首都圏近郊緑地保全法案でございますが、前の委員会でわが党の村田委員質問いたしておりますけれども、なお多くの問題点のある法案でありますので、重ねて質問を行ないたいと考えております。  まず、この首都圏の今日までの整備計画あるいは実行計画、この内容について、若干まず御質問をしておきたいんでありますけれども、それは首都圏整備法において整備計画が着々と進められておるわけでありますけれども、一体この整備計画の根本になるのは、都市過密化を防ぐための分散ということが、その基本になっているわけでありますが、今日一体首都圏整備法によって、首都圏の適正な収容人員といいますか、特に首都収容人員一体どの程度考え、その程度に応じてたとえば近郊地帯整備の問題、あるいは市街地開発地域整備の問題、あるいは計画工業団地のこれまた整備の問題と、いろいろ六つか七つの整備地帯あるいは開発地帯というものをつくって進めておるわけでありますけれども、そういう総体的な総合的な計画というものが、一体法律制定以降順調に進められておるのかどうか、そういう点について、まずお尋ねをいたしておきます。
  10. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいまお尋ねがございました首都圏計画が、今日までどういう経過をたどり、どういう状況にあるかという点につきまして御説明を申し上げます。  首都圏整備委員会昭和三十一年に発足いたしたわけでございますが、この発足後首都圏委員会におきましては、整備計画を定めて、この計画に基づいて事業実施してまいっておるわけでございますが、この計画は三段階からなっておるわけでございます。基本計画それから整備計画及び事業計画からなっておるわけでございまして、この基本計画におきまして、首都圏におきます人口想定及び首都圏土地利用基本的な考え等規定いたしまして、この基本計画に基づいてそれぞれ各地域整備計画を立て、整備を行なってきておるわけでございます。  まず、その基本計画考え方はどういうふうになっておるかという点でございますが、この基本計画は、昭和五十年を目途として策定されておるわけでございまして、昭和五十年におきます首都圏人口を大体二千八百二十万というふうに考えておるわけでございまして、このうち、既成市街地人口は千二百二十五万、既成市街地以外の人口を千五百九十五万人、こういうふうに考えておるわけでございます。このような人口想定に基づきまして、首都圏地域形態整備する基本上なる地域形態を定めておるわけでございますが、首都圏——まず第一に東京、横浜などの既成市街地、この既成市街地を定め、さらにその周辺近郊地帯、これはグリーンベルトといわれるところでございますが、近郊地帯またその周辺地域と、この三つに分けておるわけでございます。それぞれの地域につきましてのそれぞれの整備計画を定め、整備を行なってきておるわけでございますが、既成市街地につきましては、特に人口増加の原因となります大規模工場学校新設等の増設を制限いたしまして、首都過大化を防止するというために人口産業等集中抑制を行なっておるわけでございます。近郊地帯につきましては、既成市街地の無秩序な発展抑制して、その健全な発展をはかるために、その既成市街地の外周に緑地地帯を設けるということにして近郊地帯を定めておるわけでございますが、この地帯政令をもって指定をするということになっておるわけでございますが、実は法律においては規定がありますが、実際上その地帯政令をもって定められてはおりません。これはいろいろな事由等がございまして定められてないわけでございます。この点が今度の法案について、この地帯の問題と関連してこの法案が出されておるわけでございます。  次に、その他の地域につきましては、既成市街地におきます人口産業集中抑制と関連いたしまして、その他の首都圏の均衡ある発展をはかりますために、人口産業の適正な配置をはかり、集中抑制とあわせて適正なところに人口産業を立地させるというのでありますけれども、通称衛星都市と申しております衛星都市整備をはかっておるわけでございますが、この衛星都市につきましては、今日まで十八地区指定をいたしまして、宅地、道路、公共住宅その他の事業整備をはかってきているわけでございます。  このようにして首都圏整備事業を行なってまいってきているわけでございますが、しかし首都圏におきます人口産業集中状況は、昭和三十一年当時に考えておりましたよりも、はるかに多い人口産業集中がございましたために、このような計画実施していくためには、いろいろな点でむずかしい問題が発生したわけでございまして、そこで昨年、首都圏整備法改正が行なわれまして、まず近郊地帯、いわゆるグリーンベルト制度が改められまして、近郊整備地帯という地帯を設けることになったわけでございます。この近郊整備地帯は、首都周辺約五十キロの地域について指定をすることになっておるわけでございますが、この近郊整備地帯指定することになったことが大きな改正点でございます。さらに従来の市街地開発区域、いわゆる衛星都市といっておりました地域は、工場中心として整備することにいたしておったわけでございますが、工場以外に学校その他都市の総合的な機能を持つ都市として整備するように都市の性格を多面的に考えるようなことになりまして、市街地開発区域というのを都市開発区域というふうに改められた点であります。その他若干の規定改正等もありまして、昨年この整備法改正が行なわれたわけでございますが、さらにこのほかに、最初に申し上げました昭和五十年の人口想定が必ずしも最近の国勢調査等状況を見ますと、なかなか想定しました人口よりもっとはるかに多い人口が予想されるという事態に立ち至ってまいりましたので、現在今後の人口想定をどういうふうにすべきであるか、また、これに伴って首都圏整備のいろいろな基本的な問題をどうすべきであるかという点につきまして検討をする必要が出てまいりまして、ただいま各審議会等におきまして、各方面学識経験者等にお願いしまして、いろいろな事項について検討をいただいておるという状況でございます。
  11. 達田龍彦

    達田龍彦君 大まかには大体理解ができましたけれども、そこで東京都の何といいますか、収容人口ですね、首都圏計画の中でこれを幾ら考えておるか。それから、だとすれば、いま御説明にもあったように、この人口産業分散をはかって計画的な総合的な都市計画をつくっていくというのが、大体その大きな目的でありますけれども、今日の状況では、分散よりも集中増加状態が非常に強くて、都市計画計画的に、首都圏整備計画的にやろうとしても、増加傾向が強いために、分散ということがなかかな思うように進まないという現状にあるのじゃないかと思うのです。言いかえるならば、集中度合いが高いために、分散をして首都圏整備をしていくという、その分散度合い増加する度合いよりも下回っているんじゃないかと、したがって、首都圏整備計画によるところの総合的な計画をつくって都市づくりをやるということよりも、増加傾向に追われて、それの何というのですか、処理、あと始末的な状態というものが、首都圏中心にして出てきているのではないかと思うのでありますが、そういう点いかがですか。
  12. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) まず最初東京都の適正な収容人口幾らかというお話でございますが、首都圏計画におきましては、東京都だけの適正収容人口ということではなくして、先ほど申し上げました地域区分既成市街地、その他の地域区分に基づいて適正収容人口考えておるわけでございます。いわゆる、先ほど申しました既成市街地適正収容人口は千二百二十五万というふうに考えておるわけでございます。この地域適正収容人口につきましては、その地域におきます諸般の土地利用の適正な点はどういう点にあるべきかというようないろいろなデータからこのような人口が出されておるわけでございまして、この適正収容人口につきましては、現在においても、このような方向考えるべきだというふうに考えておるわけでございます。  それから次に、分散計画があるけれども、より集中度合いが強くて分散のほうが必ずしもその実態に即してないのではないかというお話かと存じますが、最近の首都圏における人口集中度合いを見ますと、大体年間六十万ないし六十五万人が首都圏に、自然増及び社会増を含めて、増加をいたしておるわけでございます。その増加する地域は大体、東京都はもちろんでございますが、神奈川埼玉千葉県でございまして、特に東京都におきます増加よりも、周辺神奈川埼玉における集中度合いが非常に多くなっておる、千葉等もそうでございますが、特に社会増人口増神奈川埼玉等に多いわけでございまして、東京都はむしろ従来のいわゆる社会増という面から見ました人口増加は必ずしも多くなっておりません。東京都の人口増加自然増中心として、むしろ東京周辺の県に人口が増大しておるというのが実情でございます。そこで、現在の当面の問題は、東京中心とする周辺の県に相当の人口が集まるような状況でございまして、いわゆるスプロール現象という状況を起こしておるわけでございまして、そこで私どもといたしましては、既成市街地整備ももちろんでございますが、この周辺地域、先ほど申し上げましたような近郊整備地帯という地域指定しまして、この地域整備を今後はかっていきたいというふうに考えているわけでございます。  なお、この以外の都市開発区域に対する整備の問題につきましては、現在までは、先ほど申し上げましたように十八地域指定して、整備いたしておるわけでございますが、この十八地域は、大体既成市街地収容人口を千二百二十五万と見ましたのは、それ以外の増加人口をその十八の地域において収容するという考えに立っているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、人口増加傾向が当初の予定よりもはるかに変わってきておりますので、全体の人口想定等をただいまいろいろな面から検討いたしておるわけでございまして、そこで、この人口想定基本が改定されましたならば、さらにそれに引き続きまして、都市開発区域整備もあわせて今後さらに検討しなければならない事態に当面いたしておるわけでございます。
  13. 達田龍彦

    達田龍彦君 では、いままでの計画の中で人口分散、あるいは産業分散、この分散のペースは、一体計画どおり行なわれているのかどうか、この点について。
  14. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 先ほど申し上げましたように、十八の地域指定してこの都市整備するという基本的な考え方は、放置しておけば人が中心部増加するであろうという人口を、その他の地域において定着吸収するという考え、並びに分散ということもあわせて考えておるわけでございまして、必ずしも東京人口を、一度集まったものを分散するというだけではなくて、東京に集まらないようにそれらの周辺地域においてできるだけ吸収定着させる、別なことばで申しますと、集中抑制、緩和するという考え方もあるわけでございまして、したがいまして、必ずしも分散ということだけではなかなか、数字的には申し上げにくい点があるわけでございます。首都圏全体としての人口適正配置がいかにあるべきかというような考え方に立っているわけでございまして、これは必ずしも首都圏だけではなくて、全国の人口関係も出てまいるわけでございます。そういう考え方に立っておるわけでございまして、先ほど申し上げました十八の地域につきましては、大体三百二十万の人口を吸収定着し、そのための実体となる、その必要な事業面といたしましては、工場団地造成等を行なってきておるわけでございます。このような事業につきましては、ほぼ計画どおりいっているわけでございまして、現在その計画人口のうちの二百六、七十万人程度を、先ほど申し上げましたような地区において計画的に定着吸収させるという方向で進んでおるわけでございます。
  15. 達田龍彦

    達田龍彦君 いまの御説明の中に、集中分散だけではなくて、抑制ということがあるのだということ、それはよくわかるのですが、では一体、具体的にどのくらい抑制されるのか、それからどの程度分散されたのか、具体的にひとつ御説明をいただきたいと思う。——いますぐ資料が出なければ、あとで資料をいただけばいいのです。いいですか。
  16. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 十八地域関係資料提出いたします。
  17. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、この首都圏整備法に基づく整備計画が、いろいろ説明をされておりますが、相当大きな問題をかかえながら、将来昭和五十年度に基本計画で策定されているとおりの計画が総合的に計画都市としてできるのかどうか、私は大きな疑問を持っておるわけであります。いろいろ説明をされておりますけれども、実際そのように動いてないんではないかという面も、いろいろ私ども実際に見たり聞いたりいたしておるわけでありまして、この点については、ここに議題になっておるところの緑地保全法案にいたしましても、当初三十一年に整備計画ができ、そうして今日の状態では、前の委員会で大臣が答弁された、もうこれ以上放置しておったら緑地がなくなってどうにもならぬという状態だからこういう法律をつくらなけりゃならぬと、こういう説明でありますけれども、まさにこのことは私は、首都圏整備法に基づく首都圏整備というものが、端的にこの緑地の保全の中で出てきているような状態というものが全体としてあるんではないかという気がいたすのであります。したがって、この問題についてはまた別の機会に十分私どもは意見も申し上げ、解明もしていきたいと考えておるわけです。  そこで、この法律内容についてはたくさん問題点があります。その第一は、この法律全体をながめてまいりますと、認定をする機関あるいは内容というものがいろいろ出てまいるのであります。たとえば緑地保全区域決定の問題、これにつきましても、この法律の中で出ていますような、一体こういう認定をどこでだれがどういう基準に基づいてやっていくのか、この点が非常に抽象的であり、具体性がないのであります。たとえば良好な自然の環境を有する樹林地あるいは水辺地を大体きめていきたいと、こう言っておるけれども、そういう内容というのは、だれがどういう基準できめていくのか、あるいはそういうものに対する、特にはなはだしい、特に著しいという、いわゆる特別区域指定については、一体その「特に」というのはどういう尺度、どういう基準できめていくのか、非常に具体性がなくて抽象的であります。私は、こういう法律のまあこういう形態、これにも非常に疑問があるのでありますけれども、一体そういう点についてどうまずお考えになっておるのか、お尋ねをしたい。
  18. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 最初に、後ほど資料提出いたしますが、最初の御質問についてまずお答え申し上げますが、十八地域におきます工業団地の計画面積は約二千七百万坪でございますが、このうち千百万坪についてすでに工場の立地が確定いたしておるわけでございます。工業団地内の導入工場数は大体四百六十七工場でございます。  それから次に、御指摘がございましたこの地域指定の認定の機関の問題でございますが、地域指定は、この第三条におきます近郊緑地保全区域指定と、それから特別保全地区指定とあるわけでございますが、まず近郊緑地保全区域指定の点から申し上げますと、この認定機関は、首都圏整備委員会指定をいたすわけでございまして、この指定に際しましては、関係地方公共団体、首都圏整備審議会意見を聞き、さらに関係行政機関の長に協議して指定をするということになっているわけでございます。いわゆる特別の保全地区指定につきましては、建設大臣が都市計画法の定める手続によって都市計画の施設として指定をすることになっておるわけでございます。都市計画の定める手続と申しますのは、都市計画地方審議会がございますので、都市計画地方審議会意見を聞いて、定められるわけでございますが、さらに、その指定に際しましては、あらかじめ委員会意見並びに通商産業大臣の意見を聞いて、指定をするということになっているわけでございます。  次に、水辺地あるいは樹林地という状況についての認定は、どういう点を勘案して行なわれるかということでございますが、その点は、第二条の定義の解釈と申しますか、定義によって、まず近郊緑地の定義がございますので、この法律に定めたる事項をどのように運用していくかということになるわけでございますが、特に大事な近郊緑地保全区域指定の際について、どのようなことを考え指定をするかという点について御説明申し上げますが、特別保全地区というのは権利の制限も行なわれます大事な地域でございますので、この法律に掲げてあります事項を適正に運用いたしますためには、いろいろむずかしいことが出てくるわけでございます。そこで、第四条の2の三にありますように、「近郊緑地特別保全地区指定の基準に関する事項」という条項がございますが、特にこの近郊緑地特別保全地区指定につきましては、この指定の基準をまずつくりまして、この基準に基づいて具体的に指定をするというふうに考えているわけでございます。なお、この基準が定められます場合には、この基準は、この近郊緑地保全計画がつくられて、基準もできるわけでございますが、この基準は、首都圏整備法の定める首都圏整備計画決定手続と同様の手続を経るわけでございまして、この手続は、関係行政機関あるいは関係公共団体の意見を聞いて、定める、こういうことになっているわけでございますので、特に特別保全地区指定については、指定の基準を設けて慎重に定めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  19. 達田龍彦

    達田龍彦君 非常に私は問題があると思うのでありますが、いま御説明のありましたように、特に特別保全地区指定でありますが、これは確かに私権を規制する面も非常に強いわけであります。そういう意味で私は法律内容の中に具体的にどういうものを特別保全地区として指定する、これは規則、規程ではなくて、法律の中に具体的に国民の主権を制限をするし、また、そのことが法律に書くことによって国民の理解をいただくことにもなるし、さらに将来この問題はいろいろ紛争が起こる原因も多々あるわけでありますから、そういう意味では、私は、法律内容に具体的に立てるのが適当ではないかと考えるのであります。たとえば、この法律の八条を見ていただけばわかるように、「保全区域における行為の届出」については、一応一から四までの具体的な事象を列挙してあげてあるのであります。こういうふうにしておきながら一番重要な私権の規制に対しては、これを規則、基準にまかせて、法律上では明確にしていない。これは、私は非常に立て方として問題ではないかと思うのでありますが、この点についての考えを聞きたいと思います。
  20. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) お話がありましたように、重要な事柄でございますので、これを法律に明確に規定することは確かに望ましいことであるかと思いますけれども、御承知のように、近郊緑地の対象となる地域は、それぞれの地域によってだいぶ内容等も変わってくるわけでございます。その地形あるいはいろいろな周辺状況、それぞれの土地柄、私どもが事務的にいろいろ調べましても、それぞれの地域状況はだいぶ異なっておるわけでございまして、それぞれの地域について、それぞれ特色を持っておる内容がございますので、それを全部包括して規定をするということは、なかなか困難な状況でございますので、法律におきましては、でき得る限り客観的な基準と申しますか、点を掲げまして、この法律の趣旨に従って、具体的には先ほど申し上げました基準に基づいてやっていくのが、私どもといたしまして検討した、でき得る最大のことであったわけでございまして、そういうことでできるだけこの法律の趣旨が指定の基準に生かされて、指定が適正に行なわれるようにはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  21. 達田龍彦

    達田龍彦君 幾らこれは説明されても、私は、法律の立て方として、私権を規制するような内容については、国民の権利でもあるし、また紛争を起こさない、あるいは、そういう問題のあり方としては、法律の中で、具体的に書けるものは書いて、そうしてやっていくというたてまえをとることが正しいあり方だと思います。したがって、この点については、説明があっても、私は、どうしても納得するわけにはいきません。  さらに、もう一点この点からお尋ねをいたしておきたいのでありますが、三条の保全区域指定、これは特別保全区域指定の場合もそうでありますが、「公害若しくは災害の防止の効果が著しい近郊緑地の土地区域を、」といっておるのでありますが、「公害若しくは災害の防止」というのは、一体具体的にはどうなのか。この点御説明を賜わりたいと思います。
  22. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 公害と災害の問題については、具体的にはいろいろむずかしい問題があるわけでございますが、まず災害の点から申し上げますと、御承知のように、樹林地等がございまして、良好な森林、山林等が維持されますと、それによって急激な土砂の崩壊等が防止されるわけでございます。また、一時に水が流れ出るということが防止されるということは御承知のとおりでございまして、これについては、治山治水の面からは、御承知のように保安林の制度、あるいは砂防の制度等がございまして、基本的な制度はできておるわけでございますが、必ずしもその程度がそれほどでないものでございましても、やはり首都周辺で適正な樹林地等を保全いたしましたならば、急激な土砂の流出を防止するに適した、また、それのために必要な土地もたくさんあるわけでございます。そういう点から災害防止の点も、この近郊緑地の保全によって、その効果が期待できるというふうに考えておるわけでございます。  公害の問題についてはいろいろとむずかしい問題があるわけでございますが、この公害は、大気の汚染の問題あるいは騒音防止あるいは水質汚濁等の問題があるわけでございまして、これらの問題について、必ずしも直接的にこれが、この近郊緑地が効果があるという点については、むずかしい学問的な問題も残されておると思いますが、私どもは過去のいろいろな資料等によって検討いたしますと、大気の汚染等において、やはりこの近郊緑地の保全によって大気の汚染等についても相当の効果を持つ、さらに健全な心身の保持のために樹木の果たす化学的な作用等も、いろんな点で立証されておるわけでございます。そういう点を勘案いたしまして、近郊緑地の保全が、さらにこの騒音につきましても、いろいろな専門的な検討も行なわれているわけでございます。がしかし、もちろんこの騒音自体の直接な防止ということについては、必ずしもございませんが、樹林地が大きな騒音に対して、たとえばいけがきのへい等がやはりあるために騒音の度合いが少なくなるという卑近な例もあるくらいでございまして、そういう点が、集団的にありますといろいろな点に騒音等の問題についても効果があるという、いろいろなデータ等もあるわけでございますが、そういう点を勘案いたしまして、この近郊緑地を保全することによって、公害もしくは災害の防止に効果があるというふうに考えておるわけでございます。
  23. 達田龍彦

    達田龍彦君 その説明で、私は非常に根拠が薄弱だし、納得がこれまたいかないのでありまして、たとえば、いまありました災害の場合でも、私は、災害の場合は、風水害あるいは地震あるいは火災等があるわけでありますけれども、この風水害やあるいは地震等の自然災害の場合については、あるいは治山治水、砂防等は、私は、建設行政として一般的にやっていくべきであって、これを緑地保全法で、緑地保存地域の中における、この法律でもってやっていくというのは、私は筋違いではないかという考えを持っております。特に今回の法律は、いままでですと、自然の条件を緑地にするという考えであるならば、これもまた一応肯定できますけれども、法律でもってある意味では私権を規制をして、そうして、ある意味では、そういう状態をとりながら、元来治山治水、砂防的にその措置を求めるべきものを、緑地の保存という形で規制をしていくということは、本質的に私は間違いであると思うのであります。でありまして、この点は根本的に、いま事務当局が考えている考え方と私は考え方を異にいたしますので、幾ら説明をされても、この点については納得できないし、さらに検討を重ねてみたいという気持ちであります。  さらに、公害の問題にいたしましても、緑地を保存するために、これまた私権の規制をしながら、特にスモッグ等の問題があると思いますけれども、そのために私権を規制してまでも緑地を保存をして、スモッグ等の対策をしなければならぬということについても、これまた非常に私は問題があるやり方であると考えるのであります。工場による汚濁、汚水等の問題については、これは工場それ自体がやるべきものであって、政府がやらなければならぬ問題では私は基本的にないと思うのであります。したがって、そういう意味でも、法律でもって緑地をつくって、そうして、それは私権を規制しながら、これまた公害のためにやっていくというものの考え方は、どうしてもこれまた納得がいかないのであります。私はそういう考え方でございまして、この点に対して大臣の考え方をひとつ明確にお聞きをしたいと思います。
  24. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 政治をやります場合に、一つの手段でものが解決するということでありますれば、いま達田さんのお話のようなことも私はよくわかるのでありますが、御承知のとおりに、社会現象はなかなか複雑でありますので、なるほど、ばい煙その他の問題はそのほうでぴしっとやれば、それは緑地も何も要らぬじゃないかという論理が成り立つかもしれませんけれども、なかなかそうばかりでもおさまらない。やはり人間は自然の条件というものを味わいながら社会生活をするということが非常に必要じゃないか。非常にばく然とした話をして恐縮でありますが、そういう程度にお考えくだされば御理解がいくんじゃないかと思います。たとえば災害の問題にいたしましても、最近の状況を見ますと、それは砂防であるとか、あるいは治水であるとか、それももちろん当然にやらなければなりませんけれども、自然の状況が破壊されていく。人間社会、地域社会の中で自然の条件があまりに破壊されていくということ自体が、砂防であるとか、あるいは治水であるとかだけでは防げない現象がまさにあるわけであります。一方のほうでは、御承知のとおり、宅地造成その他が行なわれる、それも必要である。それはちゃんとした防災工事をしておればよろしいじゃないかということでありますけれども、一方、その間にこういう自然の状況と申しますか、この法律でどうしても保持したいという緑地等の自然の姿というものを別の手段で保持する、これも私は必要であろうと思うのです。単に砂防であるとか、治水であるとかだけではまかなえない部面があるということを感じておるわけでございます。
  25. 達田龍彦

    達田龍彦君 大臣から御説明ありましたけれども、これはどうしてもやっぱり納得いきません。したがって、実際に私は現地を見たこともないわけでありまして、頭の上で想定する程度でありますが、できれば、いま事務当局並びに大臣が説明されるようなことであるならば、実際に私たちは委員として現地を見て、そうして計画が実際にそのとおり行なわれるのか、実際はどういうものなのか、そういうものを見た上で、ある一面では判断をし、そうして法律内容についてももう少し検討をしていく必要があるのではないかという気がいたします。したがって、この点については、ひとつ委員会の中で、どうするかについて、委員長、理事の間で御検討をいただいて、私は結論をひとつ出していただきたいと考えております。  それから次に、財政上の問題でありますが、この法律を行なうにあたって一体どの程度の予算の裏づけを考えておるのか、それからいまの計画の中でどの程度の補償と、それから買い上げを考え、それをどの程度予算化されておるのか、具体的に御説明をいただきたい。
  26. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) まず予算の問題でございますが、十二条におきまして「土地の買入れ」の規定がございます。また、十一条に「損失の補償」の規定があるわけでございますが、これらを含めまして十四条で、「費用の負担及び補助」の規定があるわけでございます。法制上はこうなっておりますが、実際上の予算の額は、四十一年度におきましては、国のほうで二億円を計上されておるわけでございまして、補助額は八割、したがいまして、事業費としては二億五千万円が考えられておるわけであります。  なお、さらに十七条におきまして、「特別保全地区内の近郊緑地の保全のために必要な資金についての配慮」という規定がございます。「国は、都県が特別保全地区内の近郊緑地の保全のために行なう事業に必要な資金については、資金事情及び当該都県の財政状況が許す限り、配慮するものとする。」という規定がございまして、まだその具体的な資金の額までは定められておりませんが、こういう方向で国のほうでも財政上の配慮をするというふうにいたしておるわけであります。  次に、買い上げ等補償の具体的な内容いかんというお話でありますが、この法律は、まず地域指定いたしまして、この法律制定されましたならば、地域指定されまして、その指定をされてから、これは申し出があった場合に、買い入れが行なわれることになっておるわけでありまして、買い入れというものは申し出がないとできないわけでございます。まだその具体的な内容までは定まっていないわけでありますが、私どもといたしましては、地域指定をいたしまして、申し出に応じてこれを買い入れをするようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ予算等の見地もございますので、地域指定その他運用については、十分適正な配慮をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  27. 小酒井義男

    小酒井義男君 いまの質問に関連してお尋ねしたいのですが、第二条の二項で「近郊緑地」とはどういうものだという定義があるわけなんですが、この法律の範囲内で、この定義に当てはまるような個所は、いまどことどこということを明確には言えぬでしょうが、大体予定されるのは何カ所ぐらいあるのか。これが都県別にはどういうふうな分布状態にあるのか、そういう点をちょっと説明してくれませんか。
  28. 田中一

    田中一君 図面を出してくれぬか、全部。ほしいのは政令と、それからいま小酒井委員質問している地区だね。この法律制定されるにあたって当然地方にもそういう問題が起きている。大体想定される地域を、色を入れて全員に配ってください。
  29. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) まず、最初お話がございました何カ所ぐらい考えておるかという点でございますが、これにつきましては、首都圏整備委員会が事務的に考えております個所数と、それからこの首都圏整備委員会だけではなく、地元の都県等において検討しております個所数と、必ずしもこれが一致した状況ではございません。いろいろな方面の御検討をお願いして総合してきめられるべきであるわけでありまして、また、まだそういう段階であるわけでありますので、何カ所ぐらいということまではいま固まっておりませんが、大体いま私どもの事務当局で検討したところ、また、都県の状況等から勘案いたしますと、個所数で申しますと、十五ないし二十カ所程度というふうに考えておるわけでございます。  なお、図面のお話がございましたが、これにつきましては、個所数もそういうようにまだ浮動的な状況でございますし、まだ具体的な個所についての指定の基準等の問題もございまして、いまここで直ちに提出いたしかねる状況でございますが、しかし、どういう考え方かというような考え方を表示するような図面は提示いたしたいと考えておるわけでございます。
  30. 田中一

    田中一君 その図面をいつころまでにどういうものを出してもらえるか、委員長からひとつ大臣に。
  31. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど事務局長から申し上げましたような事情でございまして、同時に、御承知のとおり、特定の地域をここだここだということを必ずしもいま明らかにするのは適切じゃないと思います。したがって、いろいろ検討はいたしておりますから、おおむねこの地域であるという色分けくらいのことをした図面がありますから、こちらで見当をつけております。こまかく詳細に地図に入れるというような図面じゃございません。首都圏内に大体こういう緑地というものを保存すべきであるという配置図を、また、現にそういうところがあるわけでありますから、おおむねわかるような図面がありますから、それをすみやかに資料として御提出いたしたいと思います。
  32. 松永忠二

    委員長松永忠二君) なお、達田委員から、現地について調査をして、こういうふうな相当権益を制限をするということから考えてみて、そういうことが調査が必要じゃないかというお話がありましたが、この点は、お話しのように、また委員長、理事打ち合わせ会で御相談をしたいと思うわけであります。
  33. 田中一

    田中一君 質問するのに、政令の案がないと時間がかかっちゃってしようがないのだ。政令の案全部出してください。それから政令による省令でもつくるならば、それらの案を全部こっちに出してください。
  34. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 政令の案はさっそく提出いたしたいと思います。
  35. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで私は、財政の裏づけを聞いたときに、説明法律内容では、たいへんな緑地地帯をつくるような説明でありますけれども、一体それを買い上げる財政になると非常に少ないものであり、期待ができないという感じを深くするわけです。そこで、もう一点お尋ねをいたしておきますけれども、この特別地区指定した場合については、地方公共団体が買い上げる場合においては、国が、全体じゃなくて、一部財政負担をするわけでしょう。
  36. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) はい。
  37. 達田龍彦

    達田龍彦君 その場合は、大部分が地方公共団体の負担になると思うのです。その場合、買い上げを希望した場合、地方公共団体の財政がこれに応じ得なかった場合に一体どうなるのか、法律的に明確じゃないのですが、これはどうなるのか、御説明いただきたい。
  38. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 本年度の予算について先ほど申し上げましたように、二億くらい予定しております。これは全くおっしゃるとおりでありまして、そんなもので、この法律までつくって、相当の計画実施されようとは私思っておりません。何としてもこの法律をひとつ成立させていただいて、昨日でありましたか、一昨日でありましたか、前にも申し上げましたように、いまにして相当思い切った措置をしておきませんと、もうすでに手おくれである、後悔先に立たずという事態が再び、しかも五十キロ圏以内に起こる、都内の状況は御承知のとおりである。そういうことでありますので、いまのこの予算措置は笑いものであると、私率直に私のほうから申し上げたい。けれども、これはこういう新しい制度と申しますか、手法を講ずることについては、なかなか予算上苦労がございまして、ざっくばらんに言って、とうてい大蔵省あたりにはこういう認識はございません。ようやくここまで認識したというのは、私は一大進歩であると思っております。同時に、これは先ほどから御説明いたしておりますように、この法律制定され、地区等も、いろいろ今日まで検討しておりますけれども、正規にきめて、これも相当手続が要ります、地元等のいろいろな話し合い、協議等もございますから。それで指定されて、それから特例な地域をどこにするかということがおのずからきまっていく。しかも、それを買い上げてもらいたいということになるのか、ならないのか、私はそういう事態になる可能性が多いと思いますが、また、そうあってほしいと思います。そういうことでありますから、ことしはまあ二億程度にしておりますけれども、これはそういう計画が進みますに応じてもっと大規模に予算を立てていかなければならない、そういう考え方であるということを御了承願いたい。と同時に、こういう問題をもう地方の大きな負担にまかせておいては、とうてい目的を達することはできません。率直に申して、私は、国でこういうことをやるべきだという思想は持っております、根本的には。けれども、この前、委員会でも申し上げましたように、これはやや趣旨が違いますけれども、古都保存法においても、こういう制度をやりますが、やはり地元の意欲ということもある程度なければうまくいかない、何事もそうであります。したがって、地元と県ということにしておりますが、その費用の分担は、地元負担と法律には書いてありますけれども、国費は八割を出す、こういうことにしておるということを御了解願いたいと思います。
  39. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは先ほど関連質問田中先生のほうから出たんだと思うのですが、これが相当広域に各県にまたがって行なわれる、そうなってまいりますと、ある一県に集中的に買い上げなければならぬという地域も、条件によっては出てくると思われる、私は。そうなってきますと、国が八割負担するといってみても、地方公共団体が財政に耐えかねて、その財政支出ができないという状態が私は想定されるのです。その場合、一体国はどうするのか。これを買い上げることだけが前提になっておるわけでございまして、申し出た場合には、買い上げなければならない、あるいは損害賠償をしなければならぬということになっておるわけでありまして、その点を国は一体どういうふうに考えておるのか。
  40. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 御指摘のように、この土地の買い入れの規定がございます。予算との関連がございますので、この法律の運用は非常にむずかしい点があるわけでございますが、私どもとしましては、実はこういう制度は初めての制度でございますので、なかなか的確な見通しをつけることが非常にむずかしいとは思っておりますが、まず指定に際しまして、できるだけある個所に片寄らないように、各県の状況あるいは特に市街地の形成の状況、その他いろいろな点を勘案いたしまして、まず地域指定について、できるだけ広域的に、また計画的な配慮からまず考えなければならないというふうに考えておるわけでございます。さらに、この買い入れの予算等の点もございますので、むやみに指定いたしまして、予算等の関連が非常にむずかしくなっても困りますので、やはり今後のこの制度の運用をまず最初から理想的な姿で行なうということは、非常にむずかしいかと思いますので、できるだけ地域指定につきましても、小範囲に始めまして、その実情等を勘案しながら、この制度の運用をはかっていくべきではないか、このように考えておるわけでございます。
  41. 田中一

    田中一君 どっちが先なんだ、仕事をしようというのが先なんでしょう。仕事をしようとする、保存をしようとするところにこの法律目的があるんでしょう。したがって、資金的な問題はおのずから解決されるという答弁が望ましい。保存をしようと、守ろうということの意思が明らかになれば、その仕事をしなければならない。事業をしなければならない。その場合に、おのずから資金の裏づけがありますという前提の答弁をしなければならないのです。それを予算の関係があるから、地域地域でぼつぼつ少しずつやるでありましょうなんという答弁は、答弁にならないのだ。指定した以上、おのずから資金の裏づけはされますという答弁をすべきなんです。そうでなければ結局仕事をしないということなんだよ。仕事をしない前提でもってこういう法律をつくるということは、たくさん保全問題あるのです、はっきり言うと。資金の裏づけはつくし、並びにその他、国の何というか、融資でもあっせんでも何でもいいや、行なわれますという答弁をしなければいけない。そこで、その場合に今度くるのが何かというと、地方公共団体だから地方債の問題なんだね。これは建設大臣の権限じゃないから、自治大臣のほうでもっておそらく相談は多少はできているのじゃないかと思う。いわば地方債も考慮されるはずでございますという答弁をしなければいけない。鮎川君の説明を聞くと、仕事をしないという答弁なんだよ。二億円でもって八割の補助ということになれば、どんな土地だっていま高いよね。仕事をしないということならこんな法律をつくるのやめなさいと。それはおのずから解決されるはずでございますという答弁をしなければだめだよ。プランメーカーはそう言わなければだめなんだよ、実行するのはだれかが実行するのだから。そういう答弁はまずいですよ。つまらぬところにひっかかって、買収の問題は、当然この法律ができる以上は閣議決定事項でございますから、買収の問題済むはずでございますという答弁をしなければいけない。しかし、自治大臣とも関係があるから多少話ができておると思うから、その点建設大臣もう一ぺん。
  42. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 事務局長の答弁があるいは適当でなかったか、ことばが足りなかったかということはございますが、先ほど申し上げましたように、日本の政治ではこういう問題が非常に手おくれでございます。そういうつもりでこの案を、この構想を立て、この案をお願いしておるのでありますから、先ほど来申し上げましたように、ことしが初年度でこれから計画やりますから、二億という予算を、これはちゃちな予算で、こういうことで解決すると思っておりません。したがって、金があったら計画するというのじゃこれはだめなんです。率直に言って、計画をして必要なものは予算をつける、地方財政についても、もちろんこれを法律に書いてありますように、それを補うことをやる、これは御信用願ってけっこうであります。
  43. 達田龍彦

    達田龍彦君 これはいま御説明では、非常にまあ財政が乏しいので期待できない法律であるということだけはわかりました。これはそのまましていくのかどうか、また、買い上げるかどうかについて、いろいろまだ検討しなければならぬ問題があると思いますけれども、時間の関係もありますので、先に進んでみたいと思いますが、この緑地を保存するわけでありますから、その緑地に対して、ある意味では植林をしていかなければならぬと思うのであります。法律ではそのことは全然触れられていないのでありますが、営林あるいは植林ということになると、管轄が農林省だということもあると思いますが、私はものの考え方として、緑地に関する限り、植林等の事業については建設省が所管としてやっていく、こういうたてまえをとるべきが正しいのではないか。そういう形で強力に緑地を保存していく、そしてより自然の環境をよくしていく、あるいは健康の保持に益させるようにしていく、こういう施策というものがとられなければならぬと思うのです。したがって、この点について、私はできればもう少し強力なものにするために、より保存するために、より効果的にするためには、この法律の中に緑地に対しての植林事業のあり方、そういうものをぼくは入れるべきではないかと思うのでありますが、この点についての考え方お尋ねしたい。
  44. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 確かに緑地の保全とあわせまして植林事業が大事なことは申し上げるまでもないわけでございますが、この法律のまず基本的な考え方といたしましては、この第一条にもございますように、「良好な自然の環境を有する緑地を保全する」という、現状保全がまず第一に必要であるというふうに考えておるわけでございまして、実情はこの良好な自然環境を有する現在の緑地がいろいろな事情によって相当荒廃されつつある、こういう力がいろいろの面から働いておるわけでございますが、これについて、できるだけ緑地を保全するということがまず最初に必要であるというふうに考えてその点についてのことをやりませんと、なかなかそれ以上の積極的な仕事までには及びがたいほどいま荒廃の状況が著しいということで、まず第一には、保全ということを考えておるわけでございます。しかし、もちろんこの植林ということも、この法律考えていないから必要でないというふうに考えておるわけではございませんので、保全とあわせて植林あるいは緑地の整備等は、この法律外の諸制度、各省の関係制度はもちろん、各公共団体などが保全のほかのいろいろな緑地の整備開発に関する仕事をやってもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  45. 田中一

    田中一君 ちょっと関連して。それにはそういう答弁じゃだめなんだ。実際に国が直接にこれを維持管理、保全の役目を果たすのじゃないのですから、地方公共団体がこれを行なうのでしょう。地方公共団体では、一つの団体として農林課もあればいろんな何々課もあるのだ。したがって、保全目的に対しては、地方公共団体はどこまでも、いま達田委員の御質問のようなことは必ずなされますということなんです。それでなければ保全といったって、木は枯れるのだよ、ある年代がくれば。これはそういうことでしょう、結局そうなんでしょう。そういう方針首都圏整備委員会としては考えております、地方公共団体が行なうはずでございます、これは行なわしめますという答弁をすればいいんですよ。そうなんでしょう。そういう答弁をしなければだめですよ。
  46. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) 答弁を教えてもらってありがとうございました。そのことは御承知のように、十三条に、この都県というものは、この法律指定されましたときには、その土地については、この法律目的を達するように管理をしなければならないと書いてあることで、ひとつそういう趣旨だということで御了解願いたいと思います。
  47. 達田龍彦

    達田龍彦君 最後にもう一点だけ質問をしておきますが、全体としてそうでありますけれども、管理機構の問題が一つあるのです。それは、この首都圏整備委員会というのは、総理府の外局としてあるわけなんですね、今日機構の中では。これはあの計画、調査ということが大きな仕事の内容になっておるのであります。私は、この首都圏整備の今日の実態が必ずしも思うようにいかないのは、一つは、整備委員会計画をし、あるいは調査をして計画をしながらも、それの決定あるいは実施開発のための予算、こういうものは一体として建設省が握っておる、こういう状態にあると思うのです。したがって、整備計画上は、たとえばこの緑地の問題にいたしましても、どうしても緑地はこれは保存しなければ法律上ならぬという必要がありながらも、財政の問題あるいは機構上の問題から、整備委員会が思うように決定がなされない、事業がなされないというのが、一つは整備法に基づくところの首都圏整備全体の事業が終わりまでいかない大きな欠陥と弱点を私は持っておるのじゃないかと思うのであります。今回の緑地のほうの問題にいたしましても、計画と調査は整備委員会がやるけれども、一切の決定権は建設省が持っておる。これでは、私は、一体化された総合的な計画が着実に進まないんではないかと思うんであります。この点について私は、総合的な一体化された機関で調査もし、計画もし、実施もし、お金も出すという形にしていかないと、今後近畿圏の問題、あるいは本日提案になりました中部圏の問題等についても、計画倒れに終わり、法律はつくっても仕事の実体が伴わない、こういうことになるんではないかと思うんであります。これは根本的な、私は、将来の各地域開発首都圏開発を含めました地域開発等の問題についても言えるのではないかと思うのでありまして、その点についての大臣の私はお考えを聞いておきたいと思うのです。
  48. 瀬戸山三男

    ○国務大臣(瀬戸山三男君) その点は、従来からいろいろと議論になっておるところでございます。御説のとおり、首都圏整備委員会、これは行政機関でありますけれども、調査、計画、立案、こういうことであります。それからまあ御承知の近畿圏整備本部というものも、同じようなケースになっておる、これは行政機構に関する臨時調査会等においても問題になっております。従来から、いわゆる首都圏庁と申しますか、一つの計画、立案あるいは実施まで、北海道開発庁みたいなものを、特別な行政機関をつくるべきであるという意見が相当強く出ておりますが、もちろんこれはあわせて検討しなければなりませんし、政府の内部では検討されておりますけれども、御承知のように、いろんな行政機構あるいは府県との関係がありまして、これが簡単にいまお話しのような構想が実現しておらないというのが実情でありまして、これはいわゆる地方自治と中央集権と申しますか、いろいろな問題がからんでおりますので、今後の検討にゆだねたいと、かように考えておるわけであります。
  49. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本案についての審査は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十三分散