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1966-05-10 第51回国会 参議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十日(火曜日)    午前十一時四十二分開会     —————————————    委員異動  四月三十日     辞任         補欠選任      矢追 秀彦君     白木義一郎君  五月十日     辞任         補欠選任      白木義一郎君     浅井  亨君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 順造君     理 事                 石井  桂君                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 青木 一男君                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 平泉  渉君                 米田 正文君                 竹田 現照君                 達田 龍彦君                 村田 秀三君                 浅井  亨君                 片山 武夫君                 春日 正一君    国務大臣        国 務 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        首都圏整備委員        会事務局長    鮎川 幸雄君        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  古賀雷四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○首都圏近郊緑地保全法案内閣提出)     —————————————
  2. 中村順造

    委員長中村順造君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  四月三十日、矢追秀彦君が委員辞任され、その補欠として白木義一郎君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 中村順造

    委員長中村順造君) 首都圏近郊緑地保全法案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 村田秀三

    村田秀三君 質問をします前に御了承いただきたいと思いますが、いろいろと関連する法令を調べてみますると、非常に、何といいますか、ややこしいわけでありまして、しろうととして考えてみた場合に、幾多の疑問も出てきたわけであります。したがいまして、私がこれから申し上げますことが間違いであるならば、直ちに訂正をしてむしろお教えを願いたいと、こう思いますけれども、まず首都圏近郊緑地保全法案、少し理屈っぽいことになるわけでありますが、この表題の問題であります。首都圏整備法を見てみますると、この首都圏の範囲は非常に広範囲にわたっておるわけでありまして、このことば意味から解釈するならば、首都圏近郊なのか、あるいは首都圏の中における首都近郊緑地帯なのか、その辺のところがこの表題からするならば不明確ではないか。私が判断をしますのには、首都圏近郊ということになりますると、つまり整備法指定をされましたそれ以外を近郊というように考えられがちでありますけれども、その点はいかがでありましょう。
  5. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) おっしゃるとおりに、字を棒読みいたしますと、首都圏近郊——首都圏の外の近郊のようにちょっと表題が見えるかっこうになっておりますけれども、従来この首都圏の中にいわゆる首都——東京都と、それから東京周辺近郊整備地域、こういういろいろのことばを使っておるわけでありまして、こういう意味首都近郊地帯首都圏内近郊地域と、こういう用語で従来使われておりますから、それをとってこういうふうにしたんだという御理解で願いたいと思います。何か首都圏近郊というと、首都圏の外のように、ちょっとお話のとおりに見えがちでありますけれども、従来の法律首都圏の中に近郊整備地域——近郊整備地域というのは首都近郊だと、こういうふうな使い分けをしておりますから、こういうふうな表題にしておる、こういうことでございます。
  6. 村田秀三

    村田秀三君 こだわるわけじゃありませんが、どちらでもいいような気もいたしますけれども、表題内容を端的にあらわすものでなければならないと思うわけでありまして、この法案趣旨からしますならば、これは首都近郊緑地保全法案というのが正しいのではないか、もっとも、聞くところによりますと、この首都ということばでさえもきわめて概念的なものであって、別にしかとした定義がないということも聞いているわけでありますけれども、しかし、首都東京都ということに考えるならば、これは首都近郊緑地保全法、このように端的に表現したほうがむしろわかりいいのではないか、こう思いますが、その点はいかがですか。
  7. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 趣旨はそのとおりであります。首都の中の近郊、こういうことでありますが、普通首都圏首都圏と言っておりますから、こういう表題を選んだ、こういうことでございます。
  8. 村田秀三

    村田秀三君 私もよくまだわからないわけでありますが、私がいま言いましたような趣旨であるということであるならば、表題の修正ということになるわけでありますが、どうですか、その辺のところはひとつ理事の間で御検討願いたいと思います。  それから、いろいろなことばが使われているという大臣説明もありましたけれども、私も、この整備法、それから昨年大幅に改正されました内容見てまいりますと、ことばの使い方が非常に混乱をしているというように思われるわけであります。ただいまの首都定義、あるいは首都圏近郊云々という問題もそうでありますが、  〔委員長退席理事小酒井義男君着席〕 市街地開発法ですか、首都圏市街地開発区域整備法、それから首都圏近郊整備地帯及び都市開発区域整備に関する法律、このことばを比較いたしてみましても、内容的に言うと、実はさほど違いがないように思われますけれども、近郊地帯あるいは近郊緑地帯、いろいろなことが言われておりまして、この法体系、法の整備に何か混乱があるような印象を受けるわけです。この辺のところはどのようにお考えになっておられるかということであります。
  9. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいま御指摘がありました首都圏法律の中に、用語問題等ございましたので、若干御説明を申し上げたいと思いますが、昨年首都圏整備法改正されまして、その際に、首都圏の従来近郊地帯と申しておった地域がございます。これは現行首都圏整備法定義に出ていることばでございますが、近郊地帯と申しますのは、「既成市街地の秩序ある発展を図るため緑地地帯を設定する必要がある既成市街地近郊政令で定める区域」、こういう区域近郊地帯と申しておったわけでございまして、通称グリーンベルトといわれておった地域でございます。この地域は、既成市街地周辺を大緑地帯で取り囲んでおおうという構想から出たわけでございますが、この近郊地帯という制度につきましては、都市圏の拡大、人口産業集中等が非常にはなはだしくなりましたので、なかなかこの近郊地帯を維持、保全するということは困難になってまいったわけでございますが、そこで、昨年の国会で改正されました首都圏整備法の一部改正で、この近郊地帯という制度は廃止されることになりまして、そして現行首都圏整備法におきましては、首都既成市街地を中心として、おおむね五十キロくらいのところでございますが、その地域近郊整備地帯というふうな地域指定するように改正が行なわれたわけでございます。近郊整備地帯の問題につきましては、改正法の二十四条に規定があるわけでございまして、「既成市街地近郊で、その無秩序な市街地化防止するため、計画的に市川街地整備し、あわせて緑地保全する必要がある区域近郊整備地帯として指定することができる。」、こういうような改正が行なわれたわけでございまして、従来の近郊地帯というのは緑地整備するという地域であったわけでございますが、このたびの近郊整備地帯は、健全な計画的な市街を整備する区域であると同時に、あわせて緑地保全するという性格を持った地域に改められたわけでございます。今度の近郊緑地保全法におきましては、この近郊整備地帯内における緑地保全をするということを主たる眼目といたしておるわけでございます。
  10. 村田秀三

    村田秀三君 私もしろうとですから、あまり突っ込んだ研究もいたしておりませんから、理解のできない面があるものと自分自身思っております、正直に申しますと。ですけれども、これは、大臣法律専門家だそうでありますが、むしろこういう問題は、首都、この定義を明らかにして、そしてむしろどことどこを結ぶ線とか、それからどこの個所とか、そういうふうに端的にずばり言ってしまったほうがわかりやすいような気がするわけでありますが、これはいろいろ意見の相違もあろうかと思いますが、あまりにも、何といいますか、ややこしいような感じがいたします。これは私の印象であり、かつ、勉強不足からくるものであろうと思いますから、この程度にしておきます。  それから、いまの問題とも若干関連がありますが、首都圏整備法の中には、当初首都圏市街地開発区域、これは政令で定めるというようなことになっておりましたが、昨年これが改正になっておりまして、そして表題改正になっております。改正になりました若干の理由は、いま説明でわかりましたが、その前に首都圏市街地開発区域整備法というのが、政令で定めるべきものが一つ法律になっておる、こう私は考えるわけでありますが、その政令で定むべきものがなぜ法律にしなければならなかったかという理由をひとつ承知したいと思うのです。
  11. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいまの御質問趣旨が、ちょっとよくつかみがたいところがございましたので、的をはずれたお答えになるかと思いますけれども、昨年の法律改正におきましては、一つは、先ほど申し上げましたように、近郊地帯という地域政令指定することになっておったわけでございますが、これはこの地域指定については、率直に申しまして、地元反対等ございまして、政令指定することはできずに、今日に及んでおるわけでございます。  なお、お話が出ました市街地開発区域につきましては、今度の改正法につきましては、都市開発区域というふうに名前が改められまして、これが告示によって規定されることになったわけでございますが、御指摘の点は、おそらくこの近郊地帯というのを従来政令指定するようになっておったのを、今度告示でといいますか、法律というお話がございましたが、今度は法律の二十四条で委員会が、既成市街地近郊で、先ほど申し上げました計画的に市街地整備して緑地保全する区域指定するということになっておりまして、これは告示指定することになっておるわけでございますが、この指定そのものは、特にこの権利義務に関するほどの中身を持っておるわけでございませんので、特にその中で重要な事項につきましては、このたびの緑地保全法のように重要な事項につきましては、当然これは法律等によって、制限等規定については十分規定され、法律によって行われるべきと考えておるわけでございますが、この指定そのものは、特にそれによる何らの強権的なものは入ってないわけでございます。
  12. 村田秀三

    村田秀三君 この首都圏市街地開発区域整備法というのは、首都圏整備法の第四章二十四条、これを受けて制定をされたと理解するわけですが、そうではございませんか。
  13. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) そのとおりでございます。
  14. 村田秀三

    村田秀三君 そこでですね、これを受けて二十六条には、市街地開発区域整備に関する法律、これは「別に法律で定める」と、このようになってはおるわけでありますが、この開発区域整備法ですか、その内容というものは整備法の中に盛り込むことはできなかったものでありますか、これは。
  15. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 首都圏整備法は、御承知のように首都圏整備に関する基本法でございまして、首都圏の組織の問題また計画基本に関する問題を規定されている法律でございまして、ただいまお話しの首都圏市街地開発区域につきましては、この首都圏基本法から発しまして首都圏整備計画等をつくりまして、特に、御承知のように既成市街地においては過密化防止のための工場、学校等制限をいたしておるわけでございますが、こういう制限のほかに、積極的に首都圏内区域を開発いたしまして産業人口の適正な配置をはかる、こういうことをいたしますために、市街地開発区域制度が設けられておるわけでございますが、この市街地開発区域につきましては、そういう基本的な考え方に基づきましてそれぞれの事業を執行するためのいろいろな諸規定が要るわけでございます。そこで、この本法に基づきまして、先ほど御指摘がありましたような二十六条に「別に法律で定める。」、こういうふうになっておるわけでございます。
  16. 村田秀三

    村田秀三君 どうも私もまだしろうとですからよく理解ができないわけでありますが、首都圏近郊緑地保全法案ですか、今回出されましたもの、この関係を見ましても、特段に新たな法律をつくらなければこの事業ができないというふうにはちょっと理解ができないわけでありますが、どうしてもこの法律をつくらなければならない理由というのは何でありますか。
  17. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 先般の提案理由にその趣旨大臣からもお話があったとおりでございますが、一つには、首都近郊におきまして無秩序な市街地発展しようとしておるわけでございますが、そのために自然の良好な環境を有する地域がだんだん荒廃に瀕しつつあるわけであります。これを保全いたしますためには、どうしても保全のために、法律上、財政上の制度が必要になってきたわけでございますが、もう一つは、先ほど申し上げましたように、首都圏整備法改正されまして、従来長い間グリーンベルトとして維持されてきました首都周辺を取り巻いております大緑地地帯、これが、実はこの昨年の法律改正が、この六月で大体その内容を固めて近郊整備地帯という地域指定されますと、この従来の近郊地帯という制度がなくなるわけであります。そういう法律改正等もございまして、この際に二十四条の規定がございますように、適正な市街地を形成いたしますとともに、あわせて緑地保全する区域としての近郊整備地帯の中で、特にただいま荒廃がはなはだしい緑地保全する必要がある、こういうためにはどうしても法律上また財政上の措置を設けることが必要になったわけであります。
  18. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、首都圏整備法が制定されまして以降、幾多の紆余曲折というものがあったように思われるわけでありますが、その経緯については、私もまだ調査はいたしておりませんからそこまでは言及はなかなかできません。しかし、いまお話を聞きますると、このまま一応近郊緑地帯指定はしたけれども、それが指定をした趣旨というものが生かされてこないから、もっと何か強い規制が必要なんだ、こういうことになるわけでありますか。
  19. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 従来の近効地帯がどういう状況であったかという点を申し上げますと、この法律では首都圏区域につきまして、既成市街地、それから近郊地帯、それから市街地開発区域という区域を設けまして首都圏整備をはかるという、基本的な土地利用の方針がつくられておったわけであります。既成市街地及び市街地開発区域につきましては、それぞれの整備事業等が行なわれて、その趣旨が十分その後の事業等によって生かされてきておるわけでありますが、近郊地帯につきましては、法律では政令指定するようなことになっておったわけでございますが、実は首都周辺の広大な地域を大緑地をもって囲むという構想でございまして、実際にこの地域指定してこの緑地保全するということはなかなかむずかしいことであったわけでございます。現状を申し上げますと、実際はその地域についてはやむを得ず穴あき地帯と申しまして、市街地化を許容せざるを得ないということで、現状におきましても、近郊地帯そのもの市街地化趨勢が非常に強いものでございますから、そこについての市街地化をある程度やった。また、その地域緑地地域として保全するための実際上の措置もいろいろむずかしい問題でございましたが、率直に申し上げまして、必ずしも十分ではなかった。この地域指定がございませんので、首都圏におきましては、これは図面上には図示いたしておったわけでありますが、必ずしもこれが拘束力のある地域としては働いていなかったわけでございまして、行政上のいろいろな諸制度の運用によってこの地域を維持していこうということで来ておったわけであります。その地域は当初考えておりましたように、首都圏における人口産業集中の度合いが非常に強くなっておりまして、現在首都圏基本計画考えております人口想定等につきましても改定を余儀なくせざるを得ないような状況になってきているわけでございまして、そういう予期しない事態等もありまして、先般、先ほど申し上げましたような、法律がまず改正をされるというのが現況でございます。
  20. 村田秀三

    村田秀三君 この政令指定されなかったということでありますが、図上計画の一切について指定されなかったということでありますか。部分的にはできたが、それを全体的にはできなかったということなのか、または、その政令を公布することができなかった理由というのは何であるかということ。
  21. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) この政令指定については、だいぶ前からの問題でございまして、私も詳細存じない点もあるわけでありますが、政令指定についていろいろ努力は払われてきたようでありますが、やはりこの政令指定されますと、この法律現行と申しますか、改正前の法律にありますように、緑地地帯を設定するということになるわけでありますので、そういう地域を設定するということは、なかなか現在の市街地化趨勢その他の面等にもぶつかってくる問題があるわけでありまして、また、この政令指定については、関係行政機関あるいは地元公共団体意見を聞くということになっているわけでございますが、そういう意見がなかなか合致しない、こういうことで指定ができなかったわけでございます。
  22. 村田秀三

    村田秀三君 これは抽象的な答弁でございますから、私も考えようがないわけでありますが、そうしますと、部分的であるならばできるということでありますか。また、いわゆる政令を公布されてもそれが許容できる地域というものが若干あると、そういうことで、その地域にのみひとつ、今回法律をつくって適用させていこうじゃないかと、こういう趣旨のわけでありますか。それはちょっとしろうと考えをいたしますると、政令が公布できなかったという理由というのは、今日でも変化はないのではないか。とするならば、これは今回また新たに法律をつくってみたところで、その効果というものは期待できないのではないかというようなことも考えられるわけでありますが、その点はどうでしょうか。
  23. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 緑地保全することは、公共的な立場から必要なことは申し上げるまでもないわけでございますが、同時に、私権との調整をはからなければならないということがまず重要なことになるかと思うわけでございます。従来の近郊地帯制度等におきましては、政令地域指定する規定はあったわけでございますが、必ずしも具体化措置については、十分な規定はなされておらなかったわけでございます。そこで、今度の法律におきましては、そういう過去の経験、また現在並びに将来予想されます首都圏における人口産業集中状況等も十分勘案いたしまして、どうすれば緑地保全できるかという点をいろいろな面から検討いたしたわけでございますが、そこで、まずこの法律におきましては、先ほど申し上げましたような公共的な立場からする緑地保全の問題と、私権調整をどういうふうな点ではかるかという点が検討されておるわけでございまして、そのために、第一には、第二条の定義及び第三条の指定、それから第四条の保全計画、また第五条の特別保全地区指定等規定にもございますように、緑地として一般的に保全をするというのではなくて、特にその地域保全する価値があるかどうかという指定条件等をできるだけ定めまして、これを法律規定いたしまして、その内容をできるだけ明確にいたそうと考えておるわけでございます。そういう点が一つ。  また同時に、この法律は、従来と異なりまして届け出義務あるいは建築物等制限等権利制限等の面があるわけでございますので、それに関連しまして、私権を十分保護するという立場から、補償に関する規定、あるいは必要な場合においては、申し出によって買い入れをする規定等規定を設けて、公共的な立場緑地保全私権調整をはかって、そして緑地を維持しようと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  24. 小酒井義男

    理事小酒井義男君) ちょっと速記をやめてください。  〔速記中止
  25. 小酒井義男

    理事小酒井義男君) 速記を起こしてください。
  26. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、この新たに法律をつくらなくてはならないということは、まあ、なかなか政令指定できないようなさまざまな条件があると、したがって、今度の法律では、首都圏整備委員会指定をすればこれはもう強制執行できるというような内容のものであるわけでありますが、とにかく、いまの状態ではどうしようもないから、私権を大幅に制限をして、そうして罰則の強化もはかって、とにかく仕事がしやすいようにしようじゃないか、端的に言ってそういうことだ、こういうことですか。
  27. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) この法律は、先ほどお話がございましたように、ただ私権制限し、罰則を設けるということだけではなくて、公共的立場からそういう私権等をも制限してまでも保全しなければならない地域というものはどういう地域であるか、こういう点を基準として明確にしていただきまして、そうして公共的な立場から必要な地域については、これは将来ともに保全すべきである、こういうふうに考えられるわけでございますので、その地域については、この第三条の「近郊緑地保全区域」といいますのは、一般的な広い地域であるわけでございまして、この地域につきましては、この第三条にもございますように、「無秩序な市街地化のおそれが大であり、かつ、これを保全することによって得られる首都及びその周辺地域の住民の健全な心身の保持及び増進又はこれらの地域における公害若しくは災害の防止効果が著しい近郊緑地」の地域、こういうものを公益的な観点あるいは都市の秩序ある発展をはかるいろいろな観点から、これらの地域をまず指定をすることにいたしました。この地域については、原則として届け出ということを考えているわけでございます。  いろいろな事項につきまして、その地域のうち、特に保全必要性がある重要な区域、この区域につきましては、第五条の各号に掲げておりますように、特に公共的な地域役割りを果たす役割りが大きい地域、こういう地域につきましては、さらにこれを特別の保全区域ということにいたしまして、この区域につきましては、届け出ではなくして、第九条にもございますように、建築物等の新築あるいは宅地の造成等については許可制度にいたしました。その私権との調整をはかり、また保全の目的も達したい、こういうふうに考えているわけでございます。
  28. 村田秀三

    村田秀三君 いろいろ説明を聞くわけでありますが、この首都圏近郊整備地帯及び都市開発区域整備に関する法律、こういうものがあるわけでありますが、その中でも緑地に関する条項というのはあるわけでしょう。ありませんか。
  29. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 近郊整備地帯に関する条項はございますが、緑地に関する問題はございません。
  30. 村田秀三

    村田秀三君 まあ、ないからここに出してきたということになればそれまででありますが、この首都圏整備法では、いわゆる都市計画全般について必要な実行計画を立案することになっておるわけでありますね。そうしますと、この首都圏整備法から子供、孫という法律をつくらなくても、それに基づく総合的な都市計画というものが出てくるならば、このような法律を次々と継ぎはぎするような形で出す必要はないのではないかというような感じをするわけでありますが、この点はどうでしょうか。
  31. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 御指摘のとおり、首都圏整備法の一番主要な目的は、首都圏整備に関する総合的な計画を樹立するということでございます。  なお、ただいまお話がございますように、都市計画の諸制度が総合的な角度から、また広域的な角度から整備されておりますならば、こういう緑地制度も当然に包含されるわけでございますので、こういう単独の制度はあるいは必要ではないのではないかというように考えられるわけでございますが、実際問題として考えますと、なかなかこの首都周辺地域におきますすべての問題を包括し、総合した総合的な都市計画というものをつくることは、特に法律などをつくりますことは、非常にむずかしい問題がたくさんあるわけでございまして、首都圏整備委員会におきましても、もちろんこの緑地制度のほか、既成市街地のほか、この近郊整備地帯の今後の整備の方針をいかにすべきか等につきましても、いろいろな角度から検討をいたしておるわけでございまして、今後そういう点が十分全般的にまとまりまして、総合的な立場からの制度が確立されましたならば、もちろんこの制度は不要になるかと思いますが、最初に申し上げましたように、現在非常にまあ緑地荒廃がはなはだしい、こういう実際の問題がありますことと、先般の法律改正で、従来のグリーンベルトの制度が、ことしの六月でこの制度がなくなりますために、その制度もひとつ、このままにいたしておきますと全く緑地に関する制度がなくなりますので、この際に必要最小限度の制度をこの際につくっていただくことによりまして、まあ緑地保全し、当面のいろいろな問題を解決したいというように考えておるわけでございます。
  32. 小酒井義男

    理事小酒井義男君) ちょっと速記をやめてください。  〔速記中止
  33. 小酒井義男

    理事小酒井義男君) それでは速記を起こしてください。     —————————————
  34. 小酒井義男

    理事小酒井義男君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま、白木義一郎君が委員辞任され、その補欠として浅井亨君が委員に選任されました。     —————————————
  35. 村田秀三

    村田秀三君 大臣にお伺いいたしますが、ただいままで整備委員会の事務局長ですか、いろいろ話を伺いましたが、このグリーンベルトの指定がなされなかった理由というのは明確でないわけですね。それをどのように大臣はお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  36. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほど来村田委員から、いろいろこの法律の制定に関して御意見、御質疑がありましたように、端的に申し上げると、この首都圏整備法あるいはまだ施行されておりませんけれども、先ほどお話しに出ました市街地整備区域等に関する法律、この中にやはりこういう問題が一応含まれているわけであります。でありますから、その中でやれるのじゃないか、あるいは法律をつくる必要があるならば、その中を改正するか追加することでもいいのじゃないか、私は、こういう御意見も当然あり得るのじゃないかという考え方で先ほど来拝聴いたしております。このいきさつ等については、事務局長さんからも御説明申し上げましたが、私どもは、この緑地に関する特別な法律を——表題等で御意見もありましたが、出しましたのは、さっき申し上げたように、考え方によっては要らないかもしれない、あるいは別の法律を一部手直しをすればいいのじゃないかということもありますが、どうしてもわが国においての緑地あるいは公園、こういう問題についても非常に認識が残念ながら薄い。せっかくある緑地等も、あるいは公園等もこれをつぶすというと言い過ぎでありますけれども、だんだん狭められていく、そうして公害であるとか、あるいはスモッグであるとか、非常に人間生活に不適当な環境ができてくる、こういうことではいかぬのだ、やはり人間は青いものと申しますか、自然の状況というものをある程度加味した社会生活が必要なんだ、こういう、法律論と違いますけれども、強い考え方を持ちまして、やはりこういう思想をあらわすために特定法律をつくって、むしろこういう問題を重点的に今後整備していくことが、日本の特に大都市問題に対処する場合には必要だ、こういう政治的な考えと申しますか、配慮から単独法として出したんだ、こういうふうに御理解願いたいんです。法律の条章あるいは既存の法律とか見ますと、これはなくても済むじゃないかといえば、なくても確かに済むことになると思います。あるいは、ある程度手直しをすればいいということにもなると思います。現に制定されております法律の中にも、緑地のことも書いてあります。しかし、従来なかなかそれが架空というとそれは言い過ぎでありますけれども、架空の法律みたいな、計画みたいなものになってしまう状態でありましたので、それはそれとして、こういう問題はきわめて重要である——重ねて申し上げて失礼でありますけれども、大都市等の問題の解決の大きな一つの柱である、こういうことをぜひひとつ御理解願いたいという意味でこの法律を出しておる、法律として出しておる。当初に御説明申し上げたと思いまするが、この予算等についても、まあきわめて今年度はちゃちなものであります。こういうことでこの法律目的が達成されるとは思っておりません。むしろ今後これを土台にしてもっと強化して、いわゆる生活環境を整備することに相当の力をいたすべきである、こういう柱としてこの法律をお願いしたい、こういうことでございます。
  37. 村田秀三

    村田秀三君 まあ大臣もなかなか言いにくいことかどうか、国民の認識が薄いのではないかというようなことだけに原因がしぼられておるような気がいたします。つまり、グリーンベルトができなかった理由指定に至らなかった理由ですね、それが私知りたいところでありますが、どうもなかなかそれが出てこない。  そこでお伺いするわけでありますが、この法律を施行いたしますると——いま事務局の手元にはどの地帯をというようなことの一応の計画はお持ちになっておると思うわけでありますが、この法律を実施いたしますると、相当に補償の問題がこれは当然起きてくるわけであります。ましてや、一部に、これが指定されますると周辺地域で土地の値下がりがある、これをどうするんだというふうな問題も出てくるのではないかと予想されるわけでありますが、それの補償も含めますると、まあ予想できないかもしれませんが、大体資金的にどの程度考えられるのか、また、その手当てができるのかどうですね、この点、ひとつ事務局と大臣にお伺いしたい。
  38. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 首都圏整備計画の中で、いまお話しのように、この法律に基づいて指定する——指定したいと、指定するのが適当であるというようなところをいろいろ検討いたしております。また、略図等もできております。ただこの法律にもありまするように、一応緑地帯として指定するというのと、緑地公園と申しますか、そういうふうに絶対これを保持しなければならない、こういう特別緑地保全地域と申しますか、そういうところと二つに分けておるわけでありますが、一般的にはある程度の行為の制限をするにとどまりますけれども、特別の地域は相当強力な行為制限をしなければならない、そういうところはもちろん補償問題等が出てくると思います。そういうところはできるだけ、所有者の希望がありますれば、その所有地を買い上げなければならない。従来、この裏づけがなかったので緑地保全というのが不可能に近いという状況になったわけでありますが、そういうところは買い上げていかなければならない。そのために、さっき申し上げましたように、今度初めてこれに関する予算措置を講じまして、金額は、四十一年度は二億で小そうございますが、必要に応じて、さっき申し上げましたような趣旨でこれを増大していかなければならない。初年度でありますから、どの程度のものが話題になってくるか、現在明らかでありませんので、初年度は二億を予定しておると、こういうことでございます。
  39. 村田秀三

    村田秀三君 ただ新聞で見たわけでありますが、昨年の十二月ですか、通称古都保存法、これを制定をしたわけでありますが、その後、京都の話だと思いますが、保存地域指定を受けたけれども、指定を受けたところの土地はもちろんのこと、その周辺地域も含めて非常に土地の値下がりがあって非常に困るということが、これは新聞に出ておったわけでありますが、実際にそういうことがおありでしょうか。調査をしておりましたらお答えを願いたいと思います。
  40. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 古都保存法の京都、奈良、鎌倉は、御承知のとおり、制定されまして、まだその実施の段階といいますか、いま申し上げました指定の段階に入っておりませんから、そういう現象が現実に起こっておるということはございません。ただ、いろいろ新聞等には、想像と申しますか、そういうことがあり得るであろうということが書いてあり、なおまた、そういう地方においては、結局その土地が個人の所有でありましても、自由自在に使えないという状況になりますから、したがって、高く売りたいけれども売れない、まあそうなりはせぬかという、そういう杞憂と申しますか、あるいはそういう事態があるかもしれませんが、事はいろいろいわれておりますけれども、現在まだ検討中でありますから、地域指定するという段階にまだ行っておりません。したがって、そういう事態が起こったという実例はまだないわけでございます。
  41. 村田秀三

    村田秀三君 それでは、これは三月十五日の毎日新聞の切り抜きでありますが、「京都市右京区の嵯峨野を中心とする農民約二百人は」と、こうなっておりますが、「同法が適用されると家屋のきびしい建設規制などのため地価は下がる一方で、古い風土を守るためとはいいながら土地所有者だけに犠牲をしわ寄せするのは納得できない」、「地価は下がる一方で」ということでありますから、現実の問題だと思うわけでありますが、これの調査を、できるものかどうかひとつやっていただきたいと思います。ここじゃ農民ということになっておりますが、はたして農民だけの問題であるのかどうか、この点も含めて、たとえばまあ土地投資家あるいは会社、こういうところからも意見が出ておるのかいないのか、こういうことも含めてできれば調査をしていただきたいと思います。どうしてもこの問題は、土地収用法あるいは地価対策に関連する問題でありますから、まことに重要な内容を持っておると思いますので、ただいまの調査ができまするならばそれをお願いして、私ももう少し研究をいたしまして後日質問をいたしたいと思います。したがいまして、私の質問はきょうはこれで終わりますが、保留をしておきたいと思います。
  42. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいま御指摘の点は古都保存法の運営にかかる問題でございますので、建設省の都市局とも十分相談いたしまして、この調査をいたしたいと考えております。
  43. 春日正一

    ○春日正一君 首都圏近郊緑地保全法案について質問したいのですけれども、これは当然首都圏整備法の一部をなすわけですから、私はあの法律のできた昭和三十一年には国会にいなかったので詳しいことは知らないのですけれども、大臣のほうから、大筋でいいから、首都圏整備法というものがどういう考えでつくられたものか、それの構想は大体どういうものだったのか、その点、大筋でいいから聞かしていただきたいのですが。
  44. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 落ちがありましたらあとでまた事務当局から補足させていただきたいと思いますが、最初にできましたのは、これは議員立法であったと思います。御承知のように、その当時は、まだ今日のように一千万をこすような東京都を想定されない時代でありましたが、これがだんだん人口が増加する東京都の都市計画をいろいろ、その当時の都でありましたか市でありましたか、あるいは違っておるかもしれませんが、都市計画を検討する場合に、先ほど事務局長からも話がありましたように、四百万であったか五百万であったかの人口を想定して、いまはっきり覚えておりませんが、少なくとも東京都は人口四、五百万の想定で都市計画をつくらなければならない。ただその場合、一般に機構の上で自治体という考え方だけでは適当でない。やはり首都と名前がつけられたのはそういうところからでありますが、これはいわゆる国の政治と申しますか、政治経済、文化のいわゆる中心地であって、そういう一自治体という考え方からこの都市計画その他を整備するということは必ずしも適当でない。国民の首都である、こういう考え方で東京を中心とする整備をしなければならない。これが事の始まりであったと思います。  そして、その後一部改正されましたが、単に東京都区内だけでなくて、周辺を含めて総合的な調整開発をするという構想首都整備をしなければ、東京都、あるいは市でありましたか、そういう一地方自治体という考え方では適当でない。周辺の各県の地域を入れて、それと組み合わせ、それと調整をとって総合的な整備あるいは開発をすべきである、こういうところから首都圏整備法というものができた、こういう議員立法ができたということに私は了解いたしておるわけでございます。
  45. 春日正一

    ○春日正一君 趣旨はわかったのですが、大体そういう趣旨だから、当然一つ構想があったと思うのですけれども、私ども聞いてる限りでは、たとえば首都人口八百八十万ですか、その程度に押えて、グリーンベルトをつくって、その周辺に十幾つかの衛星都市というのですか、そういうものを建設していくとか、それから工業立地計画をどうするかというような計画があったわけですね。そうすると、それがそう計画どおりいかなんだということは、結局、どこに原因があったのかということですね。
  46. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) どこに原因があったかということは、いろいろにあると思います。端的に言って、私は、政治が情熱がなかったというふうに割り切っているのです、率直のところ。それと、こういう地域社会の整備というものについて、残念ながらまだまだ、責任をそっちに転嫁するわけではございませんけれども、日本の国民の理解を得るに至っておらない。先ほど来グリーンベルトについてのお話が出ておりましたが、その際には、人口を四百万か五百万か、さっき申し上げましたように明確に記憶しておりませんが、そのくらいのものであろう、したがって、相当周辺にはリクリエーション的な場所をつくる必要がある。だいぶスプロール化されてしまいましたが、グリーンベルトという緑地帯指定して、これは指定があったわけでありますが、これには建築等も相当制限をする、こういう事態が数年間続きました。ところが御承知のとおり、近年の人口膨張によって、そういうことはもう守っておれない。所有者もこれほど土地の要求があるのに、これだけ制限されているのは非常に損だ——当然に起こる観念であると思いますが、そういう事態が起こったことは、私は政治が情熱がなかったという極端なことを申し上げましたが、もしその計画が非常に必要なものであるということでありますれば、これはあのグリーンベルト全部というわけにはまいりませんけれども、少なくとも人間生活に、この大都市集団生活に必要であるというか、その地帯を国なり都なりがちゃんと所有権をとって買い上げてそうして保存するだけの政治をすべきだ。個人の土地は使ってはならぬぞということだけで、そういうグリーンベルトを維持するというような政治では、私は、考え方はきれいでありますけれども、実行不可能である、現にそうなってしまったわけであります。そういう意味で私は政治が情熱がなかったということをざっくばらんに申し上げているわけであります。その後、産業が非常に集中して都会、都市に対する人口集中があった、予想以上に多かった。見込みが甘かったといえば甘かった点もありました。いろいろそういう諸要因が重なって、結局机上のプランに終わってしまった、こういうことではないかと思っている次第であります。
  47. 春日正一

    ○春日正一君 その点については、私ども共産党は当時反対したと思います。というのは、結局、この首都圏整備計画というものは、独占資本の政治経済の利益、そういう立場からやられる、必ずこれは東京都民に対して大きな災いをもたらすであろうということで反対したのですが、事実実際にいまお話しになったように、一つ計画を立てるなら単に緑地というだけでなくして、人口にしても住宅にしても、あるいは衛生その他にしても、すべて総合的にやられなければ、ほかをほうっておいて緑地だけということにいくはずがないわけです。政治全体の中で首都圏建設というものが位置づけられていかなければならない。ところが、結局そういう私どもの指摘したとおり、高度成長という形で工場がどんどんできる、地方では生活が非常に苦しくなって都会に集中してくるという形で今日この膨大なものができて、交通あるいは大気汚染というようなあらゆる面で首府として実に顔向けのならないことになっている。そういうものの一つとして緑地帯計画どおりいかなんだというものが出てきているんじゃないかというふうに私どもは考えております。  そこで、緑地帯の問題に入りますけれども、先ほど答弁の中でグリーンベルトをつくるという構想を立てたけれども、実際にそれを政令指定せぬままで済ましてきて、昨年それが法律改定取りやめになったということですけれども、その地域指定が行なわれなかった原因、これはいろいろ反対がありますという抽象的な話だったんですけれども、私ども知っているところでは、関係地域の住民の中で、やはり指定されると、家を建てたり木を切ったり、いろいろのことが規制を受けるし、あるいは地価が下がると、回りが上がるのにそのままにされるというようなことで、土地の所有者あるいはそこを使っている人たちの間から非常に強い反対の運動があった。そういう結果実際上指定すべきものを十年指定できなかったということが実情なんじゃないですか、その点どうですか。
  48. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 政令でこの地域指定することになっておるわけでございますが、この政令指定されます前には、この首都圏地域指定の重要事項でございますので、首都圏整備審議会はじめ関係行政機関関係地方公共団体、こういうところの意見を聞いてきめることになるわけでございますが、実際は、先ほど申し上げましたような、いろいろな理由からその意見をまとめる段階に至らなかったと、こういうのが実情でございます。
  49. 春日正一

    ○春日正一君 まあそういう事情で十年間指定ができなくなって、いまのままになってきているということで、新たに今度はもっと広い範囲で緑地帯をきめるというのですけれども、先ほどの話だと、大体五十キロと言いましたね、範囲が。五十キロ範囲というと相当広いものですけれども、抽象的にそれだけ言われたんでは、私もこの辺で育ったんですけれども、ぴんとこないんですけれども、大体大ざっぱにしてもどの見当になりますか。
  50. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 従来の近郊地帯と、ただいまお話しございました近郊整備地帯の違いをまず簡単に申し上げたいと思いますが、従来の近郊地帯というのは、緑地地帯としてまあ緑地を中心としての地域でございまして、緑地だけであったわけでございますが、先般の法律改正で行なわれました近郊整備地帯と申しますのは、健全な計画的な市街地化をする区域であると同時に、あわせて緑地を保存する、こういう市街地化緑地の保存と両方の内容を含んでいる区域でございまして、その点は従来のグリーンベルトとはだいぶ変わっておるわけでございます。で、お尋ねのいまの近郊整備地帯はおおよそどういう状況かという点でございますが、この点につきましては、首都圏整備におきます重要な事項でもございますので、昨年の秋以来、この地域指定につきまして、首都圏整備審議会等に相談いたしまして、いろいろな学識経験者等の意見も聞き、さらに各公共団体、関係省等の意見を聞きまして、ただいま近郊整備地帯指定の案をまとめようとしている段階でございます。  キロ数で申しますと、東京を中心としまして、大体五十キロ圏で考えておるわけでございますが、その考え方のまず基準といたしましては、審議会等で検討していただきましてきめていただいておるわけでございますが、大体既成市街地を中心といたしまして、現状及び計画的な開発の可能性も考慮した場合におけるおおむね一日の生活圏というふうに考えておるわけでございまして、まあ一日の生活がほぼそこで完了するという生活圏でございまして、別なことばで申しますと、通勤、通学その他諸般の日常生活等を考えまして、おおむねそこで一日の生活を終了する圏、こういうことが一つ、さらにこの地域首都を中心とする重要な地域でございますので、また既成市街地の非常に強い影響を受ける区域でございますので、その中心の地域として都市の機能が適正に配置さるべき地域である、こういう点、それから三番目には、無秩序な市街地化が非常に進んでいる地域でございますので、そういう無秩序な市街地化が行なわれる、また、そのおそれのある区域をできるだけ計画的に整備する区域というふうに考えておるわけでございまして、その点につきましては、三十年、三十五年の国勢調査その他から見まして、人口増加が行なわれている都市状況等を調べまして、そういう地域の現在の実態の状況等も勘案いたしまして、いろいろな諸費用を使いまして先ほど申し上げました首都を中心とするおおむね約五十キロ圏の地域、県で申しますと神奈川県の大半が入ります。また……
  51. 春日正一

    ○春日正一君 どの辺までですか、そこを聞きたい。
  52. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 大体小田原地域までであります。県で申しますと、神奈川県では小田原、南足柄町ぐらいになります。それから埼玉県で申しますと、東松山市、滑川地区、さらに行田市付近まででございます。それから茨城県で申しますと、水海道市、牛久町付近まででございます。それから千葉県で申しますと、下総町、成田市、それから南のほうで参りますと、木更津町から君津町、富津町の付近までを考えておるわけでございます。
  53. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、相当広い地域で、その間には沼もあればまた山林もたくさんあるわけですけれども、大体こういうものを考える上で、どのくらいの広さを緑地保全地域として指定しようというような構想があるのですか。
  54. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいま申し上げました首都圏の全域の地域は、大体六十九万ヘクタール程度でございます。そこで、その中で山林の面積が二〇%弱、一七%程度でございます。その山林が全部指定されるわけではございませんので、この地域の先ほど申し上げましたようなこの法律条件に該当する地域が今後いろいろな面で検討されて、指定の基準等で考慮されまして指定されるわけでございますが、また、これはごく事務的な段階で検討している数字でございまして、今後若干の変更もあるかと思いますが、一般的な保全の対象と考えている地域でございますが、これが大体二万ヘクタールないし三万ヘクタール、坪数で申しますと、六千万坪から九千万坪程度を考えております。それから特に保全を要する地域は、その中に含まれている地域でございますが、大体一千四百ヘクタールから二千ヘクタール、坪数で申しまして四百万坪ないし六百万坪程度を考えて検討をいたしておるという状況でございます。
  55. 春日正一

    ○春日正一君 それで、この保全地域からはもう農地をはずすということになっているわけですね。これはどういう考え方ですか。
  56. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 原則として、この第二条の定義近郊緑地と申しますのは、樹林地、水辺地またはこれに類する土地といたしまして農地をはずしておるわけでございますが、この広い意味で従来農地も緑地一つ考えられておるわけでございますが、特にこの法律におきましてこれを除外いたしましたのは、この第三条また五条等にもありますように、特に良好な自然環境を有する地域というふうにいたしまして、それが公共的な立場からいたしまして特に心身の保持、増進あるいは公害、災害の防止効果が著しい、こういうような公共的な立場からの社会的効能と申しますか、効果がある、こういうふうに考えるのをまずこの地域指定一つの基準として考えるべきじゃないか、こういうふうにいたしましたために、農地ももちろんそういうような良好な環境の地域でございますが、特にその地域をこの法律指定するほど、まだそういう点の内容が現段階において先ほど申し上げました効果を有しているかどうかという点について、まだ十分検討されてない点もございますので除外されているわけでございます。ただ農地も全部除外されているわけではございませんので、この第二条の定義に入るある程度の範囲において隣接するところ等につきましては、農地も含まれる場合もございます。
  57. 春日正一

    ○春日正一君 まあそういう場合もあるということですが、大体まあ原則的には除いてあるということになりますと、そうすると、まあ関東平野は農地が非常に多いわけです。ほんとに山林とかなんとかというのは丘地とかなんとか、そういうところに若干ある。茨城県には平地もありますけれども、そういうような状態で農地が除外されていれば、工場でも住宅でも建て放題ということになってしまえば、近所にそういうものができてくれば結局丘の上にも谷でも家が建つようになってしまうというようなことで、結局この農地を除外したということは、この法律の中にある通産省と相談してきめるという、これですね、通産省と相談してきめると、工業立地その他の関係で。この法律というのはそういう組み合わせになっているんですか。つまり私どもがいつも指摘するように、住んでいる住民の多数、東京でいえば都民の圧倒的多数の健康とか、あるいは都市の美化とかいうような観点から相談するんじゃなくて、工業立地のために通産省と相談するということが法律の上にはっきりと出ているんです。そういう形でやはり計画を進めていけば、結局いままでそういう態度で進めてきて例のグリーンベルトの計画はくずれちゃったんだから、そうすればいまのようなそういう態度で農地を除外して、通産省と相談して工業立地に差しつかえないようにどんどんやっていくということになれば、結局実際上この法律でうたっておるような緑地保全して住民の健康その他保持していくために役立て得るような目的とまるっきり違ったものになってくる。まさにそこを制限しなけりゃ緑地保全されないものだ、これは私、古都保存のときにも言ったのですが、そこを制限しなけりゃ緑地保全されないものを、むしろそれを結びつけて大資本の工業開発、その計画の中に緑地保全を織り込んでいくというような従属的なものにされている、そこにこの法律の一番の弱点があるし、おそらくそういうことではこれも結局前のグリーンベルトと同じようなことになってしまうおそれがあると思うのですけれども、その点はどうなのですか。
  58. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) まず最初に、農地の問題について若干補足させていただきますが、農地は緑地的な要素を持つ農地でありますとともに、農業対策と申しますか、農地を、特に首都周辺の農地を今後どういうふうに考えるべきかという農業対策上の面からもあるわけでございまして、この点につきましては、近郊整備地帯整備の一環として重要な事項でございますので、この緑地制度のほかに、首都圏整備委員会におきましても、ただいま近郊農地をどういうふうに考えるべきか等については、専門委員会等にはかって検討を進めておるわけでございます。  なお、通産省と協議してきめるということの御指摘がございましたが、この通商産業大臣意見を聞くような点につきましては、第五条の第二項におきまして、建設大臣都市計画法の定める手続によって特別の保全地区を指定する際には、通商産業大臣意見を聞くということになっておるわけでございますが、実はこの特別保全地区の前段階と申しますか、基本になります一般的な保全地区の指定につきましては、第三条の三項にもございますように、関係行政機関の長に協議をすることにいたしておるわけでございます。関係行政機関の長と申しますこの関係行政機関は、通産省はもちろんでございますけれども農林省その他、大体いま首都圏整備委員会は約十ぐらいの関係行政機関と相談して仕事を進めておりますが、各省と相談をいたすことにいたしておりますし、さらにこの第四条でもって、近郊緑地保全計画を定めます場合には、三項におきまして、首都圏整備法に定める手続によって、整備計画の一環として定めることにいたしておるわけでございますが、この整備保全計画によって、指定の基準等がきまってくるわけでございますが、この基準等を定めます場合には、先ほど申し上げました関係行政機関全部の意見を聞いて定めることになっておるわけでございます。ただ通産省だけというわけではございません。各関係のところ全部と相談して決定いたしておるわけでございます。ただこの第五条の二項に、特に通商産業大臣意見を聞くというふうに規定されておりますのは、工業立地の問題もございますが、産業の公害、この緑地と公害等の関係もございますので、通商産業大臣意見を聞いて、そういう点の調整をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。
  59. 春日正一

    ○春日正一君 まあいろいろ答弁あったけれども、しかし、やはりこの法律関係機関というふうに一般的にいっておるが、五条では「通産大臣」というふうにはっきり出ているわけですから、やはりそこが一番指定条件をきめていく上での重要なポイント、考慮の的になっているということだけは明らかだと思うのです。  そこで今度は、もう一つの問題ですけれども、今度は保全地域指定されるほうの側から見ると、これは保全地域、特別保全地域を含めてまあ家を建てる、あるいは宅地の造成をする、木材を切る、開墾するというような現状変更、これは届け出義務づけられ、そして助言、勧告というような形で都県知事から条件がつけられる、あるいは特別保全地区になれば 都県知事のつける条件を認めなければ現状変更が許可されないというようなことになるわけですけれども、この法律で見ると、こういう形で地域指定をされることによって、いま言ったような損失を受ける土地の所有者、占有者、こういう人たちの、つまり地元住民の意見を反映させるというような規定ははっきりないわけですね。たとえば整備委員会とかなんとか、そういうものはあるだろうけれども、しかしそういう関係住民の意見をはっきり聞くというような規定は書かれていない、これはどういうことなんですか。
  60. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) 指定に際しましては、先ほども申し上げましたようないろいろな方面の意見を聞くことになっておるわけでございますが、ただいま御指摘の点につきましては、関係地方公共団体の意見を聞くことにいたしておるわけでございまして、もちろん各住民の方全員の意見を聞くことが、あるいは理想かと思いますが、関係公共団体はそれぞれ代表者を選んで議会等を構成されて、また代表者がおられるわけでございますので、関係公共団体の意見を聞くということによって住民の御意見を反映していただこうというふうに考えておるわけであります。
  61. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、さっきの最初の問題に戻るわけでございますけれども、この法律案で地域指定がされて、そこから生ずる土地価格の値下がりその他、いろいろな損害が生じるわけですね。しかし、これに対して法律では、通常生ずべき損害は補償するというふうな形になっておって、この都県知事がつけた条件を履行することによって増加される負担、こういったものを正当に補償するそういう規定になっていないわけですね。だからこの前の緑地帯のときでも、関係者が非常に反対して、十年間も意見が折り合わぬということでできなかったというような苦い経験を積んできておるわけです。そこを解決する新しいものは何も出ていない。これで実際やっていけるのかどうか。そうしてこれをきめてそのままやっていけば、そういう土地所有者その他零細な者がたくさんおるわけですけれども、そういう人たちが全体のためにということで犠牲にされてしまうということになると思うのですけれども、これは一体そういうことで実際犠牲にしてやっていくのか、あるいは犠牲にしないとすれば、実際上前のと同じように指定もできないような事態になるのではないか、この点どうですか。
  62. 鮎川幸雄

    政府委員鮎川幸雄君) ただいまお話がございました点は一番むずかしい点でございまして、いろいろ検討はいたしたわけでございますが、従来の首都圏近郊地帯制度では、なかったわけでございますが、先ほど申し上げましたような今度の法律の制定に際しましては、できるだけこの公共的な面と私権との調整をはかるということをいろいろ考えておるわけでございまして、第一は、先ほど申し上げましたような指定の基準をできるだけ明確にいたしまして、むやみやたらにどこでも指定することはしない、こういうふうに考えている点が第一点でございます。  そのほか、法制上の面のほかに、この十一条におきまして、第九条第一項のほか非常にきつい制限があるというわけでございますが、この制限のために、ほかが受けることができないために損失を受けたものがある場合には、損失を受けたものに対して「通常生ずべき損失を補償する。」というふうに規定している点が第二点でございます。  なおそのほかに、第十二条におきまして、第九条第一項の許可を受けることができないためその土地の利用に著しい支障を来たすということになった場合に、その土地を売った場合に、その土地の所有者から買い入れてもらいたいという申し出がありました場合には、買い入れをすることにいたしておる点でございまして、この点は、先ほど額につきましては、大臣からお話のあったとおりでございます。  それからさらに、第三点といたしまして、十七条におきまして、これは必ずしも私権の保護という意味だけではございませんが、できるだけ保全をするためには買い上げることが必要であるわけでございます。そこで私どもといたしましては、できるだけ買い入れをしていただくということで、公共団体等がこれについて買い入れをする場合には、起債の面その他でできるだけ配慮をしていただく、こういうふうに考えておるわけであります。  なおこのほか、実は私ども私権の保護からいろいろな検討を進めるべき点があるかと思いまして、たとえば土地所有者に対する固定資産税の軽減措置等につきましても、検討いたしたわけでございますが、まだ私どもでは十分検討ができずに、今後さらに検討していきたいという点も残されております。
  63. 春日正一

    ○春日正一君 で、通常生ずべき損害は補償するというようになっておるといいますけれども、私ども、実際いままでにできておる法律の中で、その条項を実際使ってみますと、これは非常に狭い範囲のものに限定されているということですね。だから当然その法律用語からいえば、そういう狭い通用しかできないということは明らかだと思うのです。  それからいま一つの問題は、どうしてもそういう損害があって、持っておってもしょうがないから買ってほしいというものに対しては、買い上げの処置をとる、その場合に地方自治体に買わせるのですね。そうして国は融資をしてやるとか若干の補助を行なうというような形になるわけですけれども、相当大きな、これだけの広い、五十キロ四方といえば二十五万ヘクタールになりますか、そういう広い緑地保全ということになりますと、相当広い地域を対象にしなければ効果が出てこないし、そういう中でとにかく買えということになれば、自治体が買うのだ、そういう形になると、一方では地方自治体の財政の問題、いまでも非常に困難になってきておるわけであります。これ加重するような状態になるわけだし、それから一方では、そういう指定の中で非常に悪い条件で土地を売らなければならぬような損害が所有者のほうからは出てくるというようなものが出てくるわけですね。だからこういう形のものを強行されると、そういう矛盾が非常にひどくなる。だから私どもの考えでは、これは首都圏整備する、国の首都整備するということの一環として、国の施策としてやろうというなら、やはりこれに要する費用というものは国が全額負担して、そうして国としてやはり日本の首都をほんとうに誇るべきりっぱなものにつくり上げていくというようなかまえ、また、それを保証するような法律ということにしていかなければ、実際には法律だけつくってみたけれども、できなかった、あるいはいま言ったような地方自治体の財政が圧迫されると、関係者が損害をこうむるというようなことで、非常に大きな問題を残しながら実際には首都圏整備の目的というようなものは達せられないようなことになってしまうのではないか、その点、大臣のお考え聞きたいのですけれども、こういう国家的事業をやる場合、しかも首都というような重要なものをつくっていこうとする場合、やはりこれを単に一つのどこかの村で何か建てるというような問題と違って国の責任で、国の費用で徹底的にりっぱなものをつくっていく、そういうふうにすべきじゃないか、大臣のその点の考えをお聞きしたいのですが。
  64. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) この構想を立てます場合に、いまおっしゃったように、国で全部やるべきではないか、こういう考え方、意見等ももちろんいろいろ出ております、率直に言って。それに何と申しますか、仕事をする上においては非常にいいんじゃないかという考えも実はいたしたのでございます。けれども、やはり古都保存法を——ややこれは趣旨が違いますけれども、古都保存法の場合でも、地元の協力でやろう、こういう従来しばしば仕事をやります場合には、その所在地の気持ちというものもやはりそれに参画して協力をするというあり方が強いようであります。そのケースをとろう、古都保存法の場合も、御承知のとおりそうなっております。そこで問題は、首都というものを中心にしてその環境の整備をするというときに、その所在地の地方団体に大きな負担をかけるということは全く適当でございません。したがって、古都保存法と同じレベルで扱うということになりましたが、国費は八割を出すと、こういうことに私どもはいたしておるわけでありまして、これを進めまして相当規模が大規模になる、また、増さなければならないと思っております。その段階では、また再検討の余地が出てくるかもしれない、現在そういう考え方で、国費は八割を出すと、こういうことでいま進めようとしておるところでございます。
  65. 春日正一

    ○春日正一君 私、これで質問を終わります。
  66. 小酒井義男

    理事小酒井義男君) 大臣一つだけ私お尋ねしたいのですが、時期的にですね、もうこれ以上ほうっておけぬからいまこの緑地保全法律を出すということなのか、そうでなしに、やはりいま出せば十分周辺緑地というものは保全できるんだということなのかどうなのか。
  67. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) なかなかむずかしいところだと思いますが、私は率直に言って、もうこれ以上ほうっておけないと思うのです。状況を見ておりますと、御承知のとおりに、前の計画、春日さんも御批判がありましたが、グリーンベルトを二十キロあたりずっと帯状につくりまして、それはとうてい現状ではああいうふうな状況であります。いままた三十キロないし四十キロ圏内に同じような状況が現に行なわれつつある、こういうことで、計画計画だばかりやっておったのでは、現実のほうが早く進みますので、とにかく今度はベルトだけじゃなくて、拠点拠点で確保しようという考え方でありますが、今日ではやや手おくれであろうと、しかし、まだ相当残っておる、この際に思い切った措置をとっておかないと、将来回復不可能になると、こういう率直な感じでございます。
  68. 小酒井義男

    理事小酒井義男君) そこで、こういう計画は早いほうがいいと思うのですが、問題は、首都近郊だけでいいのか、近い将来に人口が非常に密集するであろうという予想をされる大都市周辺緑地保全も早くやはり手を打っておく必要があるのじゃないかという気がするのです。そういうことからいうと、なぜ大都市周辺緑地保全するという法律にこれができなかったのか、そういう点はどうなんですか。
  69. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私はおっしゃるとおりだと思います。先ほども申し上げましたように、どうも残念ながら、わが国は自然の状況があまりにもきれいでありますから、公園とか緑地区というものについて、まだ、ざっくばらんに言って、政治家はもとより国民もあまり必要性を感じなかった。ちょっと窓をあければきれいな川が見え、あるいは山が見えるという状況が、大体日本の諸外国に比べてすぐれた姿であった。ところが最近は、都市周辺が非常に集中度が加わりまして、従来のような考え方では済まされなくなった。しかも、建築が高層化されまして、全くあじけない中に住んでいるような状況が、欧米の国と同じような環境が出てくる、こういう状況でありますから、やはりそういうものに対応するだけの都市計画なりあるいは公園計画なりというものを、こういう大都市ばかりでなくて、もう再検討といいますか、新たな事態に向かっての対策を講ずべきである、全くそうでございます。ただ、これをそれじゃなぜ一般的にしないかという御議論になると思いますが、あまりに東京周辺が深刻でありますので、これだけを先に取り上げよう、ほかのところは最近ようやく公園費なども、国費も、相当認識が高まりまして、予算等も相当ふえるようになりました。私どもは、全般的には何もこの法律をつくらなくても、いわゆる公園あるいは自然公園、国立公園、県立公園等いろいろあるわけでありますから、そういう制度で、それに国費を相当、観念だけでなくてつぎ込むという行政の態度がありますれば、あえて法律を追加する必要はないのじゃないかと、かような考えで、東京について、先ほど申し上げましたような古都の場合はこれは別の意味がありますけれども、首都の場合はどうしてもこれは特別に措置を講ずる必要がある、こういう考え方に立っているわけでございます。
  70. 小酒井義男

    理事小酒井義男君) 本案の審査は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十六分散会      —————・—————