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1966-03-22 第51回国会 参議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十二日(火曜日)    午前十時五十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 順造君     理 事                 石井  桂君                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 内田 芳郎君                 平泉  渉君                 米田 正文君                 竹田 現照君                 達田 龍彦君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 二宮 文造君                 片山 武夫君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        建設政務次官   谷垣 專一君        建設大臣官房長  鶴海良一郎君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  古賀雷四郎君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君        建設省住宅局長  尚   明君        建設省営繕局長  小場 晴夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (昭和四十一年度建設省関係施策及び予算に  関する件)  (昭和四十一年度首都圏整備委員会施策及び  予算に関する件)  (昭和四十一年度近畿圏整備本部施策及び予  算に関する件)  (昭和四十一年度北海道開発庁施策及び予算  に関する件) ○海岸法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 中村順造

    委員長中村順造君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  昭和四十一年度建設省関係首都圏整備委員会近畿圏整備本部及び北海道開発庁施策及び予算に関する件を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、まず第一に、建設行政基本施策に対しまして、大臣に、所信表明演説の中から若干質問をしたいと考えておるのであります。私、まだしろうとでございますから、できるだけ懇切丁寧に質問に答えていただきたいと考えておるわけでありますけれども、まず、大臣所信表明演説の中で、今日の建設行政のあるべき姿として、産業経済文化等のすべてにわたる国民生活基礎をつくり上げるところに建設行政の使命がある、さらに、わが国の経済はこの数年来非常に高度の成長を遂げたあまりに、建設行政はその中にあって非常に立ちおくれをしておる、さらには、経済高度成長政策の中にあって大きなひずみが出てきておる、このひずみの大きな中心をなしておるのが今日の日本建設行政である、道路にしても、住宅にしても、あるいは河川にしても、全体としてひずみの中に非常に立ちおくれを来たしておるということを表明の中に述べておられるのであります。このひずみの問題、立ちおくれの問題について、私はまず大臣お尋ねをいたしたいのでありますけれども、今日の日本経済のひずみ、あるいは建設行政の立ちおくれというのは、三十五年以来池田内閣当時とってまいりました所得倍増計画、いうなれば高度経済成長政策の結果、今日の日本経済のひずみが出てまいっておるのであります。しかも、国民の総生産においては、三十五年以来大きく伸びてまいっておるにもかかわらず、その結果、資金面あるいは財政面においては、国家財政において相当増大伸びを来たしておるにもかかわらず、しかも、その金の使う重点産業投資やあるいは大企業の設備投資中心に、財政投資あるいは国家財政が使われたために、結果として、日本公共施設中心にするいわゆる社会資本のおくれが今日の結果を私はつくったと考えておるのでありますけれども、このひずみあるいは立ちおくれにおける建設行政の今日のあり方について、一体どう大臣考えられておるのか、まずこの点について、大臣の所見を伺いたいと思うのであります。
  4. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私が当初に申し上げたように、日本経済発展の度合いと比べて、その基盤をなすまあ建設行政といいますか、その面における諸問題が立ちおくれを来たした。御承知のとおり、建設行政で扱っておりますのは、道路、あるいは河川治水、防災、利水、住宅建設あるいは上下水道等があるわけでありますが、たとえば道路一つをとりましても、これは御説明をするまでもなく、従来から日本道路整備というものは非常におくれております。率直に言って、私は大まかに申し上げるわけでありますが、欧米先進国と比較いたしますと、少なくとも二、三十年おくれておる。河川について治水その他重要な仕事でやっておるわけでありますが、特に戦後の経済発展、あるいは農業その他の基盤整備等が、問題がありますけれども河川流域等でいろいろ進んでおります。住宅事情は、御承知のとおり、非常な人口移動都市集中、あるいは世帯の細分化と申しますか、それらによる住宅事情の急速な悪化、こういうものを見ますると、どうも率直に申し上げてアンバランスが非常に目立ってきておる、こういうことを私は反省しなければならないと思っておるわけであります。そこで、いわゆる所得倍増計画産業面が非常に急速な伸びを来たしておる。それとの関連についてお話でございますけれども、御承知のとおり、今度いわゆる中期計画というようなものが現状に合わないということで、政府はこれを取りやめて、さらに新事態に応ずる経済計画と申しますか、経済財政運営について再検討を加えて、近くその現状を見詰めた計画を策定したい、こういう準備を進めておるわけでありますが、前の所得倍増十年計画、その中における中期計画、その際に、いまお話しになりました道路、その他いわゆる基盤に関する総投資十七兆——あるいは、私は数字はあまり強くないですから、間違っておるかもしれませんが、十七兆円余ということを見込んで、それを各種の道路その他の投資に割り振ってきておるわけであります。ところが御存じのように、これは日本昭和三十五年ごろから急激に伸展した産業経済と申しますか、工場設備等伸び、これはおおむね民間設備投資であります。これは私はけっこうであると思いますけれども、しかし、当初に政府想定した産業伸びといいますか、経済伸びが、中期経済計画あるいは所得倍増計画想定しました九・何%ですか、その伸びを非常に上回った、ここに従来もおくれておりました道路、その他のいわゆる基盤整備のおくれの上に、さらにその差が大きくついた、こういう点が言われると思うのです。率直に申し上げて、道路などは、私は産業経済よりもやや先行するということが理想だと思います。これは戦争その他のために、昭和十年前後からほとんどそういう面についての投資がなされておらない、河川についても同じであります。住宅の問題は、戦後の特殊事情でありますけれども、そういうことで従来も立ちおくれておったところに、経済計画以上の産業経済伸びが出てきた、したがって、その間のズレがもっと大きくなってきた、こういうふうなことを私は申し上げたいと思って、また、そういうことを反省して、見詰めて、今後の建設行政を進めなきゃならない、こういう趣旨のことを申し上げておるわけであります。
  5. 達田龍彦

    達田龍彦君 いま大臣の御答弁によりますと、やはり今日までの政府経済政策産業基盤整備、さらには設備投資重点が置かれ、しかも、従来からこの公共投資中心にするところの社会資本のおくれというものがあったにもかかわらず、さらに予想以上の経済生産伸びのために、予想以上のこれまた社会事情のおくれのひずみが出てきた、こういう御説明でございますけれども、私は、大臣の話にもありましたように、今日確かに国民の総生産においては相当伸びてまいっておるのでありますけれども、この国民生産に見合うところの建設行政財政伸びというものが非常に軽視をされたために非常に少なくなっておる、いうなれば、伸びに比較して大きなアンバランスが出ておるところに、今日の私は建設行政のひずみ、あるいはおくれが出ておると思うのであります。特に昭和四十一年度の予算を見てまいりましても、今日の日本経済のこの不況あるいは行き詰まりというものを打開するためには、有効需要拡大をばからなければならない。そのためにも、今日私は、一般の消費を拡大するためにも、公共投資中心にして日本社会資本の拡充をはかっていく、そのための財政重点的にここに振り向けていくという立て方、進め方が必要であると考えるのでありますけれども、このアンバランスの問題と、そういう重点的な財政のつくり方、特に、日本の今日の中期経済計画が思うようにいかないで変更しなければならぬという状態の中にあって、その中における建設行政、特に建設財政全体についての日本経済立場からのあり方としても、私は必要だと思うのでありますけれども、この点についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  6. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 考え方の方向として、私は達田さんに同感であります。ただ問題は、一七%幾らですか、昨年度に比べての財政全体の伸びと申しますか、その間において、おおむねそれ以上の、まあ部分によっては伸びたのがありますけれども、平均にいたしては、ややそれを下回っておると、こういうことであります、建設投資というものは。ただ、御承知のとおりに、社会保障なりその他既定の、あるいは既定以外の財政支出が非常に膨大にならざるを得ない、まあそういう点で一般財政規模の膨張、あるいはそれ以上に、建設投資だけができないというのはきわめて残念でありますけれども、これはまあ固定化されたといいますか、既定の、いま申し上げましたようないわゆる社会保障あるいは教育費、そういうものをないがしろにするわけにいかないというところに非常に困難があると思いますが、その中でも一般財投を入れまして、住宅なり河川なり道路なりというものは相当の伸びを来たしておる。特に住宅については、まだ一般論としては十分でないと思いますけれども、ことしの四兆三千億、あるいは三兆三千幾らですか、財投の中では非常なウエートを見ておる、こういうことは御理解願えるのじゃないかと思っておるわけであります。今後も、もちろん年々この立ちおくれを取り戻すための努力は続けていかなければならない、また、いくべきものであると、かように考えておるわけでございます。
  7. 達田龍彦

    達田龍彦君 大臣は、今日の建設予算の内容から見て、立ちおくれ、あるいはひずみの是正について、国民生産伸びに比較して、建設行政全体の財政が非常に規模が小さい、これを私は、この機会に大幅に財政全体を増大していくことにおいて、立ちおくれ、あるいはひずみを是正することになると考えておるのでありますけれども、この点、四十一年度の予算の中でそういうものが具体的に盛られ、また、自信を持ってそういうひずみ、あるいは立ちおくれの是正をすることができるとお考えになっておるのかどうか、重ねて質問したいと思います。
  8. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほど申し上げましたように、まあ一般会計の総投資が、昨年に比べまして一七・九%ですか、そういう中において道路は、これは金額にいたしまして一四%、住宅が二十数%、それから河川が一九%、まあそういうふうに私どもは不満足ながら努力をしている。これをもっと今後この伸び率といいますか、これを進めていかなければならない。これはまあ一般会計でありますが、財投のほうにおいては、道路なりあるいは住宅なりはもっと伸ばしていく、こういうことをひとつ御理解を願いたいわけでございます。
  9. 達田龍彦

    達田龍彦君 どうも大臣の御説明ではなお私は納得いかないんでありますけれども、今日建設財政全体が一九%あるいは二〇%と伸びておるという御説明でございますけれども、私は、いま日本経済を見てみるときに、政府経済政策の失敗から、この四十年度あるいは三十九年度においては国民の総生産は非常に鈍化をしておる。伸びがだんだん停滞をしておるという現状にあるのであります。その意味において、国民生産がだんだん鈍化をする、その中にあって、たとえば建設財政全体を従来どおり維持し得たとしても、それで伸びたとする考え方は、私は当を得てない今日の財政に対する考え方だと思うんであります。鈍化をしておる、しかも立ちおくれておる、あるいは行き詰まっておるとするならば、それ以上に、従来以上に大幅に財政予算を組んでいくことにおいて、初めて立ちおくれとひずみの私は是正になると考えるのであります。また、一九%あるいは二〇%と言っておりますけれども、今日物価がどんどん上がっておる。そうなってまいりますと、建設工事それ自体の費用も上がってまいるわけでありますから、必ずしも一九%上がったことが即建設行政全体の仕事の量がそれだけふえたということにはならないのであります。この点についても、私は、この中で一体物価換算における建設予算がどれだけ食われていくのか、この点についてももう少し明確に御答弁をいただきたいと思うのであります。
  10. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) もちろんいまお話のように、私は金額で何%ということを申し上げましたが、工事量でなかなか、物価その他の関係がありまして、そういうふうに伸びません。そのこまかい数字については、事務当局から御説明申し上げたいと思います。
  11. 志村清一

    政府委員志村清一君) 四十一年度の建設単価の問題でございますが、建設事業を行ないます場合は、資材、労賃といったような値上がりがどの程度になるかというふうなことを配慮せねばならないわけでございます。それらを勘案いたしますと、大体四%前後くらいが建設費のアップになるのではないかと考えられるわけでございます。
  12. 達田龍彦

    達田龍彦君 重ねて大臣お尋ねをいたしますけれども国民生産全体が低下をしておるために、相対的に私は建設予算が上がっておるという理解をいたしておるのでありまして、本質的に建設予算全体の立ちおくれを是正する、あるいはそれ以上に意欲的に、飛躍的に建設行政というものを拡大するという意欲で四十一年度予算がつくられておると考えないんでありますけれども、この点について、重ねて大臣のお考えを聞きたいと思います。
  13. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 最初に申し上げましたように、私もこれで十分であるとか満足であるという考えはないのであります。意欲の問題でありますが、御存じのとおりに、道路計画は五カ年計画を立ててやっておる、なお、治水五カ年計画昭和四十年度から始まっておる、こういう中で事業の消化をする、こういう式でやっておりますので、その年率はあとで必要があれば御説明させますが、その五ヵ年計画を、当初想定計画よりも年々伸ばしておると、したがって、道路計画もどうしても、これは今後の問題でありますけれども道路五ヵ年計画の第三年目に入るわけでありますが、三年目で、あと残余二年は一〇%そこそこしか残らないというような程度伸びを年々しておるわけであります。したがって、これは改定をしなければならない。治水計画においても、当初の五ヵ年計画の四十年度が始まっておるのでありますが、その想定よりも伸ばしていかなければならない、こういう運営をしておるわけでありますから、まあ先ほど申し上げましたように、他の経常的な経費あるいは既定経費、また相当力を入れなければならない経費との関係で、これだけを大きく飛躍的にというわけになかなかまいらない。それから住宅はまあこれは御承知のとおり大問題であります。力を入れなければならないのは住宅問題の解決、住宅建設、これはまあ御承知のとおり今度法律もお願いしてありますが、新たに五ヵ年計画を立てる、こういう意味で、これはまあ物価単価の問題もありますけれども、おおむね住宅については、一般財政がああいう状態のところに、昨年度に比べて三四%増の投資をする、財投においては、住宅については来年度は昨年度に比べて四四%の伸びを示している、こういう点は決して国民生産低下と相対的に伸びているという考えではないということはひとつ御理解を願いたいと、これは相当意欲を持っておるということだけは御理解を願いたいと思うわけであります。
  14. 達田龍彦

    達田龍彦君 さらに大臣質問いたしたいのでありますけれども、いま御答弁の大体概要では、四十年度よりも四十一年度は、財政規模において相当意欲的に伸びを来たしておるはずだと、こういう御説明でございますけれども、私はここで一つ心配のあるのは、今日政府の方針が、経済政策行き詰まり、あるいは不況の克服のために、何としても需要喚起をしなければならぬ、有効需要喚起というものが非常に叫ばれておるのでありますけれども、この日本経済政策の一環として有効需要喚起をするために、四十一年度においては、予算のある意味での規模増大をはかるということが考えられておるのではないかという気がしてならないのであります。私は、元来そうではなしに、建設行政それ自体必要性から予算規模拡大するということが、基本的に建設行政長期にわたる構想を実現する上においては私は必要だと思うのであります。治水の問題にしても、住宅の問題にしても、長期にわたる経済政策を、計画を持っておる。しかし、これは日本経済の中で、あるいは環境の変化経済事情変化によって是正、修正をしなければならないこともこれは当然であろうと思うのでありますけれども、その本質はあくまでも日本建設行政がどうあるべきか、それ自体の中で建設行政財政規模というものはこうなければならぬという必要性から出てくるのが、本質的な建設行政財政でなければ私はならぬと思う。ところが、本年度の財政規模、あるいは来年度もそうなのかもしれませんけれども、その必要性というよりも、むしろ日本経済全体の行き詰まりを克服するための有効需要喚起のための財政規模拡大という面が、この中で相当出てきておるのではないかという気がいたすのでありますけれども、この点に対して、大臣考え方をお伺いしたいのであります。
  15. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いま達田さんのおっしゃったような考え方が一部にあると思うのです。私は達田さんと同じで、それは間違いだと思っておる、率直に。それは、現在いわゆる経済停滞しておるから、それにさしあたり直近的に有効であると、こういう意味国民経済国民生活基盤整備に力を入れる、そういう考え方は私はとらない。それは間違いである、これは全く達田さんのお考えと同じであります。率直に私はものを言うほうですが、先ほど申し上げました、前の所得倍増計画のときに、私は相当の論争をいたしました。それば例の十ヵ年計画ですか、倍増計画のときに、あるいは五ヵ年計画のときに、先ほど申し上げましたように、十七兆余というような、建設ばかりじゃありませんけれども、いわゆる基盤整備をやっていくと、こういう計画がなされている。そういうことでは必ず将来ますます、従来も立ちおくれておったものが非常な立ちおくれを来たすであろう。しかも、どうも率直に申し上げて、経済計画のもとになる基礎数字というものが、現状に合わない数字でおおよそ組み立てられておる。私はそのほうの専門家でありませんが、従来の惰性に従って、従来の何年かを基準にとった数字そのものに間違いがある、そういう意味で十七兆などというものはとうてい現状に合う数字でないということを論争した経験があるのですが、率直に言って、結果から言うわけでありませんけれども、そういう事態が今日あらわれておって、経済計画自体現状とは非常な遊離したものになってきておる。それが今日の問題を来たしておるわけだと私は思っている。そういう意味において、現在の経済停滞を克服するために、道路なり、あるいは最も波及力のある住宅に力を入れたらどうかという考え方は基本的に間違いである。住宅は最もすみやかにこれを供給して、住宅問題を解決するために住宅投資が必要である、こういう基本的な立場で現在やっておるということを、今後もやるんだということを御理解願いたい。道路治水も同じであります。これが必要であって、これはなかなか先行するということは、そう短距離ではできませんけれども、先行する程度にやることが、いわゆる経済基盤が確立することが、その後着実に産業経済伸びを来たすものである、そのような考え方に立って、建設行政のみならず、政治全般を進めていかないと大きな間違いを来たす、こういう思想に立っておるのだということを御了解願いたいと思います。
  16. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあいまの御答弁、ほぼ私も考え方において一致する面があるのでありますけれども、いま申し上げたように、建設行政それ自体必要性において建設財政を組んでいくという基本的な姿勢を踏まえておらないと、将来また日本経済が立ち直って、生産性が向上する、日本経済不況を克服して景気回復に向かうという段階の中で、また産業基盤整備を、あるいは産業に対する投資、あるいは大産業に対する設備投資等中心に行なう結果、さらに建設行政における公共投資がおろそかになり、立ちおくれをさらに激化をするという状態が出てくる懸念がありますので、この点について、いま大臣がお考えになっておる基本的な財政に対する、あるいは建設行政に対する姿勢をひとつ踏まえて、今後さらに意欲的に御努力を私は賜わりたいと考えておるわけであります。  そこで、今日の建設行政の中で、いろいろ問題はあるのでありますけれども、この機会に、特に私は河川の問題について若干建設省考え方をお伺いをいたしておきたいのであります。建設省では、特に河川問題等について、あるいは住宅の問題もそうでありますけれども、今後十五年後には、公共施設水準を、現在の西欧水準に達することによって、国民が豊かな生活を享受することができることを目的にして、目標にして、今日建設行政を進められていることを私ども承知をいたしておるのでありますけれども、この中において、まず私は、河川行政の中でお伺いしたいのでありますが、政府は、昨年新河川法の制定によりまして、新しい河川行政として、水系一貫管理主義による治水計画をおつくりになりました。その長期にわたる総予算においては、八兆六千億の予算を計上され、しかも昭和五十五年には、前期、中期、後期の三つの五ヵ年計画を完了する大体計画をお持ちになっておることを私ども承知をいたしておるのであります。この長期河川行政あるいは治水行政といいますか、これによって、第一にねらわれておるのは、今後絶対に日本の国土から洪水の被害をなくしていくということが、第一にその大きな私はねらいだと思うのであります。第二には、今日の水害に対する現在の被害率を、五十五年度には四十分の一程度、いうなれば、アメリカの今日の水準よりもやや上回った状態治水状態河川状態というものをつくり上げることを目標として、この計画が進められておることをこれまた私ども承知をいたしておるのであります。  そこで、まず第一に、私は、この目標に向かってお尋ねをいたしたいのでありますけれども、新河川法により水系一貫管理主義がとられるわけでありますが、この治水五ヵ年計画における昨年の投資額に対して、一体事業量というものは、計画どおり遂行されたのかどうか、まず、この点についてお伺いをいたしたいのであります。
  17. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 四十年度の治水事業投資額は、全体で千三百五十九億でございます。それは事業費で申し上げております。その中で河川、ダム、砂防、機械というぐあいに分かれております。この新五ヵ年計画は、四十年度を基礎としまして組み立てたものでございまして、その後の、一部単価是正等もございましたが、おおむね計画の初年度としての事業量を確保することができたというふうに考えております。
  18. 達田龍彦

    達田龍彦君 金額ではなしに、事業量においておおむねということでありますけれども、具体的に数字をもってお示しをいただきたいと思っております。
  19. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 具体的に、たとえば築堤の計画幾ら、あるいは護岸が幾らというようなことで……。
  20. 達田龍彦

    達田龍彦君 河川、それからダム、砂防、機械、この四つでいい。
  21. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) そういう具体的な事業量に応じた、計画に応じたものでありましょうか。金額だけを河川、ダム、砂防別に申し上げればよろしいか。
  22. 達田龍彦

    達田龍彦君 予算ははっきりしているわけですが、その予算の中で、その仕事の量が一体その計画どおり行なわれたのかどうか。金は使ったけれども治水効果を期待するほどのことが仕事の量の中で出てこなければ、私は効果がないと思うのでありまして、金の問題ではなくて、事業の実績というものは一体どうなのか。
  23. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 事業の効果を発揮するためには、たとえば築堤が千メートルが千百メートルできたのか、あるいは九百メートルできたのか、その辺の内容を分析してみなくちゃわかりません。そういう関係の資料は、現在手元に持ち合わせておりませんので御報告できないのですが、金で申し上げますと、四十年度は、河川につきましては、事業費で八百六億でございますが、若干補正あるいは調整費の引き受けとかありまして、八百十億を使っております。それからダムにつきましては二百五十八億でございますが、これは補正もありませんで、二百五十八億そのまま使っております。それから砂防につきましては二百六十八億でございますが、緊急砂防等の問題もありまして、二百七十二億使っております。機械につきましては五億三千四百万なのが五億四千三百万、そういう状況で、実態的には、当初に比べまして、事業費にしまして当初千三百三十八億が補正後におきまして千三百四十八億程度になっております。  事業の効果等をあらわすための事業量に対する詳しい資料は、ただいま持ち合わせておりませんので、御報告できないのが残念でございます。
  24. 達田龍彦

    達田龍彦君 それは出せないのですか、それとも時間があれば出せるという資料なんですか、その辺どうなんですか。
  25. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 大まかに検討いたしまして、必要な資料を提出するようにいたしたいと思っております。
  26. 中村順造

    委員長中村順造君) 委員長から申し上げますが、河川局長、進捗率はどうなっておるのかという達田君の質問だと思いますがね、それはわかりますか、あとで。金だけでなしに、たとえば、どの程度の割合でこの工事が進捗しておる、この四十年度あるいは四十一年度でこの計画でいけばと、こういうことを質問しているのじゃないですか、その資料があとから出せるかどうか。
  27. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 進捗率は、四十年度では、計画におきましては一五・八%の進捗率でございますが、実績においては一六%の進捗率でございます。なお参考のために申し上げますが、四十一年度までの進捗率を申し上げますと、計画において三三・四%でございますが、予算におきましては三四%の実績になっております。
  28. 達田龍彦

    達田龍彦君 どうもはっきりしないのですけれども計画の進捗率ではなしに、それだけ金を使ったならば、使って、工事量というものが一致する場合と、そうでない場合があると思うのです。たとえば、先ほど私が質問したときに、物価換算率が四%だと、こうおっしゃっているのでありますが、そうなってまいりますと、物価は現在六%ないし七%上がっているわけでありますから、建設資材その他の関係で必ず上がるのであります。そうなってまいりますと、金額では組んでおっても、実際に工事は少なくなるという現象が、今日あらゆる産業、あらゆる工事の中で出てまいっている、そういう問題を考えたときに、五ヵ年計画を立てられて、進められているけれども、必ず私は、長い期間の中では大きなギャップが出てくる、一年間の中でも出ているのではないかと思うのであります。また、風水害等が起こってまいりまするけれども、それと一般行政と、風水害計画等における関連との関係において、あるいは計画を変更しなければならぬという問題があると思うのであります。昨年度で千四百三十八億でございますか、そういう風水害のための治水事業に対する投資をやっておられるわけでありますけれども、そういうものが進められてまいりますと、それとの関連で一般的な、いわゆる行政の予算というものとの関連がどう進捗していったのか、どう関連づけられていくのか、そういう問題も私は出てくると思うのであります。でありますから、問題は、ただ計画上の金額だけの進捗率ではなしに、その予算と実際の事業量との関連というものを、私は時間があれば、出せる資料であれば出してもらいたい。どうしてもつかむことができないならできないということで、明確に御答弁を賜わりたいと思っております。
  29. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 予算事業量関係につきまして、手元に資料がありませんので、後ほど提出いたします。
  30. 村田秀三

    ○村田秀三君 関連をいたしまして、質問というよりも意見、あるいは要望ということになるのかもしれませんが、これは道路の問題についても同じことが言えるのではないかと思います。あらゆる建設省で出しております資料を見ましても、総体の金額だけで出しておられる。これはいまも達田委員が言われましたように、計画を立てるときには、道路であれば、どこの道路をどの程度、キロ数から規模から、それをきめて予算が出てくるはずでありますから、その予算を全部消化したということになれば、当初の計画がそのままでき上がってこなければならない。ところが、どの資料を見ましても、金額事業量を測定するような資料しか出ておらないということは、これはやはりおかしいと私も思っております。したがいまして、もしもそのギャップがあるとするならば、物価の値上がりとか、それは一般的な消費物価ばかりではなくて、建設資材は最初よりも高くなったとか、あるいは人件費が高くなったとか、その他の要因というものが出てくるわけでありますが、それが出てこないと次の年度の予算を立てるときにも、正確なものが出てこないのではないか、私はこう思います。したがいまして、いま河川の問題で達田委員は要望なされておりましたが、これは道路の問題についても、港湾の問題についても、あらゆる関連するものの資料を私は出していただきたい、こう思います。
  31. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 道路について申し上げますと、道路五ヵ年計画では、金額というよりも事業の量で定めております。何キロというふうに定めておりますから、私どもは、河川と若干違いまして常に事業の量というものと対比しながら計画を促進しております。大体各年度で、改良ならば何キロやる、舗装を何キロやる、あるいは橋梁を何キロやるということをきめておりますから、金額と必ずしもバランスいたしておりません。  それから物価の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、大体前年と比べて総合いたしまして工事指数で四%くらい上がっております。したがいまして、金額から見ますとそれだけ、かりに一八%事業費伸びておりましても、平均的には四%くらい下がっております。したがいまして、一四%くらいの工事量伸び、そういうことになります。そういうことを見越しまして、事業量伸びで五ヵ年の全体の進捗がはかれるようにいたしておりますが、確かに事業の量と対比しながら出しておりますが、四十一年度の予算に際しましても、私どもは、大体三ヵ年目になりますので、三ヵ年で事業規模で約五二・一%くらい事業面では進捗いたしますが、事業の量でいきますと、たとえば改良では五九%というような数字になっておりまして、必ずしも一致いたしておりません。それはどういうことかといいますと、採択する場所によりまして、非常に安いところをたくさんやれば事業量はうんと伸びる、都市付近の高いところに金を注げば事業量伸びない、こういう関係になっておりますので、必ずしも事業量事業費というものが対比しておりません。そういうことでやっておりますが、もし御必要ならば資料提出はできると思います。
  32. 達田龍彦

    達田龍彦君 また疑問が出たのでありますけれども物価換算率四%だという、この四%の出し方でありますけれども、私はこれはまだしろうとでありますから、一般的に考えてみて、今日の平均した物価が六%、あるいは場合によっては一〇%上がっているやつもあると思うのです。全然上がらないやつも、平均でございますから、あると思います。それで、いま建築資材、建設資材というものは他の物価に比較して上がっておるというのが常識であります。あるいは労賃にいたしましても、相当今日上がっておるのであります。あるいは、あとでこれは将来の論議の中で出てくると思いますけれども、護岸工事をする、あるいは堤防をするにしても、いま砂利をどうするかという問題等についても、なかなか費用がかかるということで高くなっておるということも聞くのであります。その他セメント、鋼材——セメントは安くなっているという話はありますけれども、いずれにいたしましても、そういう面から考えて、一般的に一般物価上昇の平均値以下の上昇であるということは、私はどうしても納得がいかないのでありますけれども、この点について、具体的にどういう換算でもって、どういう資料でもってこれが出されておるか、もう少し詳しく御説明を賜わりたいと思うのであります。
  33. 志村清一

    政府委員志村清一君) いま御指摘になりましたが、私どもといたしましては、資材面につきましては、主要な建設資材の価格の動向を把握いたしております。たとえて申しますと、普通鋼材ですと、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、その後ずっと下がっておりまして、四十年の十一月には八八・七%くらいになっております。木材につきましては、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、三十八年が一二六くらいに上がりましたが、三十九年は一二三くらいに落ちつきまして、四十年の十一月ごろには、大体それと同じになっております。セメントにいたしましては、昭和三十五年を一〇〇にいたしますと、四十年十月が九一、これらをいろいろ総合いたして考えてまいりたわけでございますが、そういう意味建設関係の主要資材につきましては、大体横ばいから少し上向き程度ではないかと思っております。  次に、労賃部門でございますが、労賃部門は、御存じのように、建設関係は相当、労働省の毎勤統計等によりましても、大きく上がっております。来年の見通しでございますが、大体単純平均いたしまして、労賃部門が十二%程度上がるのじゃないかというふうに考えております。そのほかに、事務費とか補償とかいうふうな費用がいろいろ込み合うわけでございますが、これを全体加重平均いたしましてどれくらいのアップ率になるかということを計算いたしますと、大体四%程度というふうに私どもは推定いたしたわけでございます。
  34. 達田龍彦

    達田龍彦君 時間がないようでありますから先に進みたいと思いますが、いまの物価換算の問題については、まだ私大きな疑問を持っております。さらに今後、長期構想に基づく前期、中期、後期の計画の中でこれをどう変更あるいは是正をしていくか、こういう問題についても、もう少し建設省考え方をただしていきたいと思っておりますけれども、これは将来、時間があるところでただしていきたいと思います。  そこで、さらにもう一点お尋ねをしておきたいのは、今回の新河川法の制定に伴いまして、一級河川十五を昨年指定をして、また四十一年度に新たに四十の河川を一級の河川に指定がえをされるというわけでありますけれども、この治水予算の中で特に河川、砂防、ダムの事業別の予算は、一体どの程度になるのか。これは一級河川に切りかえることによって、その事業のおのおののために出てくる予算規模でありますから、その点わかれば具体的に御説明をいただきたい。
  35. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 五ヵ年計画におきます河川、ダム、砂防、機械別の計画額は、河川におきまして五千二十億、ダムにつきまして千六百七十億、砂防につきまして千七百八十億、機械につきまして三十億でございます。そのうち四十年度におきまして、十五水系が指定されまして、そのために、四十年度十五水系のために、一級水系のための増加額は五十二億程度になっております。それから四十一年度四十水系指定するために要する費用としましては、二十九億という新たな国費増が要るようになっております。
  36. 達田龍彦

    達田龍彦君 さらに私は質問をいたしたいのでありますけれども治水の最大のねらいは、洪水やあるいは水害を日本の国土からなくして国土の安全をはかるということにあると思うのでありますけれども、この政府の五ヵ年計画における予算規模の中で、私は、四十年度において、たとえば治水の場合でありますけれども、千三百四十八億、それから四十一年度予算において千五百二十六億であります。私は、元来治水行政というのはよく言われているように、予防行政といいますか、先行投資をその目的といたして初めて大きな効果があるわけであります。その意味において、何といっても早く大きな予算治水行政につぎ込んでいくことが、一番洪水や水害をなくして国土の安全をはかるためには必要だと考えておる。にもかかわらず、私は、そういうねらい、あるいはそういう本質を持っておるにもかかわらず、治水行政予算規模は、四十年度において千三百四十八億、四十一年度において千五百二十六億というのは、大臣所信表明演説意欲にもかかわらず、また、予算のいわゆる予防行政、先行投資という性格から考えたときにも、非常に私は少な過ぎる、規模が小さ過ぎるという感を持つのでありますけれども、まず第一に、この点に対する大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  37. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そういう意味でおっしゃると、まさにそのとおりであります。私どもは、いま五ヵ年計画ということでやっておりますが、砂防、河川まで入れまして四千数百の川を対象としていま計画いたしております。そのうちの現在やっております直轄河川百——まあ百一ですか、これが国内における災害あるいは経済に寄与する度合い、非常にウエートが高いということで直轄河川にしておるわけであります。それをできるだけすみやかに、いわゆる一級水系として重点的に、非常に経済の面からもあるいは災害の面からも、早急にやらなければならないという河川としてやっておるわけであります。こういうものを一挙に、と申しますか、できるだけ短時間に防災あるいは治水、これはやらなければならないことは、おっしゃるとおりでありますが、なかなか河川だけというわけにはまいりませんので、いま想定して進めております治水事業というのは、そういう百水系に近い重要な河川をおおむね昭和四十年度を起点として十二年間で、完全に、一点の曇りもないというわけにはまいりませんけれども、おおむね安全にできるということをやりたい、その他の、その次に位する中小と申しますか、中河川と申しますか、災害その他でやはり困難をしておる河川がたくさんあります。そういうものを今後十五年間で、昭和五十五年というのはそういうことでありますが、先ほど達田さんのおっしゃったような効果をあらわすようにしたい、こういう目標でいまやっておるわけであります。もっとも、もっと早く国家財政を大きく投入してやるべきだという御意見に対しては、全く私も賛成でありますけれども、なかなかこればかりというわけにはいかない。道路道路住宅住宅と、これは御承知のとおりでありますので、やはりそれぞれ一つの目標を立てて、それを着実に計画を進めるということが、いまの日本の政治ではやむを得ない、こういうふうに考えておるわけであります。もちろん、財政規模と申しますか、国力の増進に従ってそういう目標というものはできるだけ早く繰り上げてやらなければならぬ。その間において、先ほどもお話があったように、少なくとも千数百億に及ぶ災害が年間にあります、場合によっては二千億、日本の災害は平均二千億と私は見ておりますが、その災害に対する対策、これも一種の、まああとになりますけれども、一つの治水であり、また防災であるわけであります。これを全然五ヵ年計画以外として投資をする、こういう状態がいまの日本の力である、かように考えておるわけでございます。
  38. 達田龍彦

    達田龍彦君 大臣意欲は、また考え方は私もわかるんでありますけれども、その意欲考え方を具体的に国家財政の中で、あるいは事業計画の中で盛り込んでいくことがどうしても必要だと思うのでありますから、その点ひとついまの意欲考え方をもって今後さらに前向きの姿勢で対処していただきたいと考えております。  それから、最後にもう一点だけ御質問申し上げておきますけれども、私は、特に治水の問題の面から今回の四十一年度の予算を見たときに、この予算の底に流れておる思想というのは、口では治水ということを表面には出しておりますけれども予算の底を流れておる思想というのは、私は治水よりも利水に重点を置かれたきらいがあるのではないかという気がしてならないのであります。それは新河川法に伴いまして、一級河川に四十今回指定がえをされる、私は、このことを意欲的に進めていくということは、水を治めるということよりも、むしろ産業用水等の利水をより有効的に生かしていく、効果をそのほうに求めていくというきらいが私は強く出ているのではないかという気がするのであります。これは私は、将来これを進めていく中から現実にそれが出てくると思うんでありますけれども、そういう気がしてなりません。  もう一つは、今回組まれている予算の中で、特に河川、ダム、砂防を見てみたときに、私は、治水というのは、河川だけをよくしたり、あるいはダムだけをよくしたり、あるいは砂防だけをよくしたんでは、治水の効果はあがらないと思うんであります。治水効果には、御承知のとおり、河川、ダム、砂防の総合的な計画の中で一貫した調和のとれた河川行政治水行政をやるところに、私は効果的な治水行政が成り立つと思うのであります。その意味において、今回の予算考えてまいりますと、政府予算の中で、特に利水効果が期待できると思われるところの河川予算については九百十九億、ダムについては二百八十六億でありまして、私は、その中でも利水よりも治水に効果が大きく期待されるところの砂砂については、砂防しなくちゃならぬ必要性のところがたくさんあるにもかかわらず、三百十六億という相対的に見て非常に少額な予算になっておるのであります。これは私は、新河川法の四十水系の一級河川への切りかえもそうであると同時に、こういうように利水効果の期待が持てるところの河川あるいはダムの建設重点投資が置かれて、そうして治水の効果をより高めるところの砂防については非常に少額であるという点は、まさに治水よりも利水に重点を置こうという政府の思想がこの中に盛られておると考えるのであります。私は、そういう意味においては、今日ダムや河川が底が埋まってしまって利用ができない、あるいは洪水が出る、あるいは水害が出るというのは、ある一面では砂防に重点が置かれていない、取り残されているというところに問題があると思うんでありますけれども、この点について、最後に、大臣のこの治水と利水に関する予算の思想について、ひとつ明快に御答弁を賜わりたいと思うのであります。
  39. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私ども河川行政をいたします場合には、やはり治水ということが第一義である。これはもう変わらない河川行政でなければならないと思っております。ただ、ダムに相当の力を入れておるじゃないかと、これは近年、ダムというのはここ十数年であります。御承知のとおり、日本河川の状況は非常に急流であります。従来は河川、堤防あるいは護岸をつくることが治水ということになっておりましたけれども日本産業経済といいますか、そういうものの発展に従って河川地域に多くの人が集まるようになった。従来は堤防だけが治水のように考えられておりましたけれども、やはり上流において水をとめる——領土は狭いし、大堤防だけで水を治めるということはなかなか困難であります。そういう意味から、いわゆるダムによって水を一応貯留し、そうしてこの急流河川治水をしよう、こういう思想が十数年来用いられて、まだまだでありますけれども、相当にそれが進んできておる。これは非常な効果をあげておる。私どもはさような考え方で電気あるいはその他の用水オンリーのダムでなくて、調整ダムというものに相当の力を入れておる。これは利水に重点を置いているからとは決して考えておらないのであります。ただ日本産業経済にはエネルギーが要ります。水はエネルギーの関係からいいますと、私の申し上げるまでもないことでありますが、その貯留した水をあるいは発電あるいは上下水道あるいは農業用水等に使うということは、これは日本として、資源の少ない国でありますから、これまた当然なことであろうと思いますが、御承知のとおり、国費を投じてやりますのは、全部河川の上流において水をとめるというのが主目的でありまして、そのとまった水をほかに利用するということは、これは第二義である、かように考えております。  砂防がおくれているじゃないか、全くそのとおりであります。砂防に重点を置くことに相当に力を入れるようになりましたのも、これは全く戦後のことと言っていいくらいであります。非常におくれております。重ねて申し上げて恐縮でありますが、この地形が急流、雨が多い、これが河川災害の大きな原因をなしておる、これはおっしゃるとおりでありまして、非常におくれておる。これも予算構成上相当ウエートを置くようになったのは、ここ四、五年の間であります。ようやくここまできた。砂防というものは、御承知のとおりに山奥でやる仕事であります。目につかない。一般もあまり関心がない。建設行政においてもその辺がややないがしろにされておったというと、極論になりますけれども、比較的ウエートを置かなかった、ここに大きな誤りがあった、率直に私はそういうことを申し上げてはばからない。そういうことでありますから、砂防に今後力を入れなければならない。四十年度あるいは四十一年度の砂防費が少ないじゃないかとおっしゃれば、実態はさようでございますが、しかし、砂防費が増大してきているのは、この数年来でありますから、河川維持、治水、防災の面からいって、砂防に力を入れるということは、今後の大きな課題であろう、かように考えております。
  40. 達田龍彦

    達田龍彦君 時間がないようでありますから、あといろいろまだ具体的な問題についてあるわけでありますけれども、本日はこれで終わりたいと思います。
  41. 村田秀三

    ○村田秀三君 前回の委員会におきまして、私は尾瀬の分水問題について若干の質疑を行なったのでありますが、私自身、答弁を聞いておりましてまだ不可解な点もございますので、さらに質疑を行ないたいと思います。  初めに、これは前回の質問と重複するかもしれませんけれども、二十五日の閣議におきまして、先般河川審議会が答申いたしました、四十水系について指定をするための閣議決定をなさる、こういうことを聞いておるわけであります。そのとおりでありますか。
  42. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) この前もお答えいたしましたように、そのつもりでおります。
  43. 村田秀三

    ○村田秀三君 その際、河川審議会の中でも若干の意見が出され、そうして当該県である群馬、新潟、福島、それぞれの立場からきわめて強い意見が出ておるということも承知をしておると思いますが、そういう背景の中でこの問題になっておる河川を保留しておくという考えはございませんか。
  44. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) この前お話しいたしましたように、一級水系は、治水——利水もそうでありますけれども、大河川を総合的に管理をするという河川法のたてまえ上、一級水系の指定取り上げをしようということでありまして、その中において利水をどう扱うかということは全然別の問題である、かような考え方を持っております。しかも、具体的なお話のありました阿賀野川水系は、日本河川の中でも非常にウエートの高い河川でありますので、これをそういう利水上の問題のために省いておくということは、私は、河川行政に一貫性がない、筋が通らないという考え方を持っておりますから、各県のお話はよく理解をいたしておりますが、水系の指定だけはこの際やるべきである、かような立場でございます。
  45. 村田秀三

    ○村田秀三君 まあ指定と水利の問題でありますが、これは別な問題であるということを先日もしばしば私は伺いました。まあ治水重点河川行政を進めるという立場に立つならば、これは分水問題というのは、この論議からはずさなければならないと思います。と同時に、利水面を考慮しないわけにはいきますまいから、この利水面を考慮するとすれば、また別な角度から私は総合的な考え方なり意見というものもあるわけでありますけれども、それは別途ただすことといたしまして、今回お伺いをいたしたいことは、指定と利水の問題は別である——水利権の許可の問題であるわけでありますが、別であるということでありますけれども、どうしてもこの四条と九条の関係は切り離すことができないというふうになっておると思います。したがって、地元でいろいろと意見が出ておるというのは、おそらく、当然この指定の問題が即管理権、そうして水利の許可権に通ずるということで、いろいろと地元から意見が出されているはずでありますから、この三県の問題を整理して後に一級河川の指定をなさっても、私はおそくはない、こう大局的に立って考えるわけでありますが、もう一度その点をお伺いいたしたいと思います。
  46. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) おことばでございますが、河川行政の上からいきますと、先ほど申し上げましたように、阿賀野川は日本の大河川の中で十六、七位に位する非常に重要な河川でございます。したがって、これを抜いて他の多くの河川を一級水系に指定するということは、河川法の二条でありますか、規定されたたてまえからいいましても、私は河川行政に携わる者としては適当でないと、かような考えを持っております。利水の面は、もとの旧河川法においても、現行河川法においでも、おおむねその趣旨は同じでありますが、旧河川法におきましても、やはりどうしても利水の水利権等について調整がつかなければ建設大臣が最後に調整をとる、こういうたてまえになっております。今度のは最初から建設大臣が水利権等を処理することになりますが、扱いはやはり、先般も申し上げましたように、その地元と申しますか、関係県の利水に対する必要性考え方等をよく調整をして事を断ずる、当然のことでありますから、それとは別にいたしたい、かように申し上げておるわけであります。
  47. 村田秀三

    ○村田秀三君 それでは、まあ大臣がこの指定の問題とこの水利権の許可の問題を切り離そうとしても、私どもとしては切り離されるものではない、こう考えるわけでありますが、まあ一応切り離して別に考えるといたしまして、この点をひとつ私はぜひともお伺いをしておかなければならないわけでありますが、当時の全国知事会の意見であるとかあるいは建設委員会の論議の経過を調べてまいりますると、これは四条の問題あるいは九条の問題と混同された形の中で論議をされておるようでありますけれども、こういうことが言われておると思うのです。三十九年の六月二日、建設委員会におきまして、社会党の瀬谷委員の質問に、当時の鴨田次官が答えて、「建設大臣の行なう大規模の水利使用の処分についても、同様、やはり関係知事さんの意見をお聞きすることにいたし、いろいろそういうふうな地元の知事の意見を尊重いたしましてこれを善処する」、こう言っております。さらに、同じ日でありますが、中尾辰義委員の質問に、当時の畑谷河川局長が答えて、「簡単に大臣が、自分の意見によってそれをどんどん執行するということはなかなかむずかしいのでございまするから、特にそういうような重要な水利権の行使にあたりましては、河川審議会の意見を聞き、知事さんの意見を聞いて、十分に皆さんが納得する線でそれを行使するということでございまして」と、こう答えておるわけなんです。この論議はどこから出てきておるかといいますると、これは前回も申し上げましたが、全国知事会の資料などを見てまいりますると、ずいぶん極端なことを言っております。第九条の問題につきましては、水利使用の許可権を引き上げるのみが本条の目的ではないかというような意見、それからこれに関連をいたしまして、単に水利使用の許可権と管理権行政の分野のみを中央に取り上げるだけの改正であると思われる、そうして管理権を単に中央に集中するための改正である、こうきめつけたような意見が出され、こういったものが背景になって六月二日の建設委員会の論議になっていると思うわけでありますが、このことは今日においても確認してよろしゅうございますか。
  48. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いわゆる新河川法と申しますか、現行河川法の審議に私も携わっております。先ほどお話しになりましたような議論があったことをよく承知しております。私は先ほど二条と言いましたけれども、四条が一級河川指定に関する条文でありますが、いわゆる水利権をどうするかという問題については、前の河川局長等がお答えをしておりますことといまも少しも扱いについて変わりはありません。さような精神でいくべきものである、かように考えております。
  49. 村田秀三

    ○村田秀三君 それでは、私は前回の委員会におきましても、伏線としていわば質問をいたしたのでありますが、尾瀬ケ原の問題は、これは文部省ともきわめて密接な関係が出てまいるわけでございます。世界に比類のないところのあの特別記念物ですか、そういうことでありまして、この問題をあらゆるそういう面からも考慮しながら判断することが大局的な取り扱いだ、私もかように考えておるわけでありまして、どうぞひとつ、きわめて三県の間では大きな政治問題になっているという意味合いにおきましても、この三県の知事の意見、新潟あるいは福島の場合ですと、議会もこれは全会一致で意見をまとめておるようでありまして、少なくとも新潟、福島における多くの県民のこれは輿望であると言っても私は過言でないと思うわけであります。したがって、いま大臣がおっしゃられました思想でもってあやまちのない扱いをなされるように特別に私は希望いたしまして質問を終わりたいと思います。
  50. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 尾瀬沼の問題は、これは単に利水という問題と別に重要な問題として今日まで取り扱われております。あるいは、大正十一年あの水利権が認可されたその当時といまとは、その間非常に事情が違っているのではないかと思います。そのほかに、福島県やあるいは新潟県には、その地域の利水なりいろいろな計画なりというものがまた御意見にあると、かように思います。そういうものを勘案してもちろんこれは処理すべきである。実はこの二十四日に予定しておりますが、三県の知事さん方に御参集願って、いろいろ御意見を伺う、できることであれば今月中でも三県で、現在認可権があるわけでありますから、御処理が願えれば一番適当である。意見が一致することを期待しているわけでありますが、どうしても指定後まで延びるということであれば、やはり三県のいろいろ御意見等を聞いて、その調和をとって処理すべきものである、かように考えておるわけでございます。
  51. 中村順造

    委員長中村順造君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  都合により暫時休憩し、午後一時再開いたします。    午後零時十九分休憩      —————・—————    午後二時二十五分開会
  52. 中村順造

    委員長中村順造君) これより委員会を再開いたします。  海津法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  53. 小酒井義男

    小酒井義男君 このたび海岸法の改正をして、特定区域の補助率を引き上げるということになるわけですが、この海岸の延長のうちで、保全を必要とするというところはどのくらいあって、保全を必要としないというところはどのくらいあるのですか。
  54. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 海岸の総延長は二万七千キロメートルでございます。そのうち海岸保全区域に指定して当該区域の管理を行なう必要のある海岸線の延長は一万二千五百五十二キロメートルでございまして、海岸総延長の四六・三%に当たります。そのうち、すでに海岸保全区域として指定されておる海岸線の延長は九千三百九十八キロメートルで、なお指定を必要とする海岸線延長の七四・九%になっております。その程度であります。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、海岸の経済的な効果といいますか、そういうことはどういうふうにお考えになっておるのですか。
  56. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 海岸の経済効果で、ございますが、最近の例でごらんになりますとおり、伊勢湾台風等におきましては非常な高潮が参りまして、数千名の死者をも出し、家屋も相当の損失を受けた。民生安定上あるいは国民経済上非常に重要な事項を担当しておるわけでございます。したがいまして、海岸保全は、単にそういった経済的な面だけでなくて、民生安定という意味で非常に大事な事業であると私らは考えております。
  57. 小酒井義男

    小酒井義男君 そこで、民生安定で必要だというところを補助の優先的な地域として扱うのか、そうでなしに経済的に産業その他の関係で必要な港湾などを控えておるところですね、そういうところをやはり優先的に扱うかという問題が出てくると思うのです。そういう点についてはどうお考えになっておりますか。
  58. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 海洋保全事業は、農林省の水産庁あるいは農地局あるいは運輸省の港湾局に属する。そのほかの海岸は建設省の海岸保全事業として実施しておるわけでございます。御承知のとおり、運輸省では、運輸の港湾としての安全性とかあるいは高潮に対する対策といった面で海岸保全工事を実施しておりますし、港湾と機能を密にして安全かつ運輸作業の完全にできるような方向で実施しているわけでございます。また、水産庁にしてもしかりでございます。それから農地局につきましても、農地保全上重要なものにつきましてやっております。それから建設省につきましても、それぞれ重要度に応じまして、あるいは規模の大小に応じまして行なっておりますが、特に二府県にまたがるとかあるいは規模の大なるものにつきましては建設省と、農地につきましては農林省が直轄事業として取り上げて実施いたしております。
  59. 小酒井義男

    小酒井義男君 いまの河川局長の答弁の中に、各省の所管が違うのがずい。ふんあるので、これはかねて港湾行政の一元化というようなことが言われておるのですが、大臣どうなんですか、これはなかなか進みませんか。
  60. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 小酒井さんよく御承知のとおり、これは伝統的に、先ほど河川局長から御説明いたしましたように、農地あるいは海岸の防風林というような農耕地、山林に対する保全は農林省が担当する、また漁港も入りますが、これは水産庁が扱っている、農林省として。港湾区域は運輸省。その他は、一般の国土の保全という意味から、防災という意味から建設省。これは伝統的になっておりまして、実は従来は、主として日本の役所の常というとおかしゅうございますが、なかなか足並みがそろはなくて、海岸は一貫して保全する、防災するということでないと効果があらわれない、こういう点があるわけでありますが、それがなかなか足並みが必ずしも一致していなかった。また、工事の施行方法、施行時期、こういう点でもそこがあったという事例が多いのであります。特に、私どもは、最近の事例として、伊勢湾台風のときにおいてその弊害を非常に痛切に感じて、やはり海岸は一貫して保全工事と申しますか、防災対策を講じないと、一角がくずれますと全面的にだめになる、こういう非常な弊害を体験したわけであります。そこで、行政機構の関係もありまして、これを一省でやるということはなかなか困難でありますが、ああいう苦い体験あるいは痛切な体験等もありましたけれども、そこで施行の方法あるいは時期等について、各省それぞれ連絡調整をはかって、いまのような弊害がないことに万全を期する、こういう態勢でいまいってるのが現状でございます。
  61. 小酒井義男

    小酒井義男君 お答えになったように、前々からこれは問題なんですが、若干でもここ数年間に改善されたような点があるのですか。
  62. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) こまかい点については担当局からお答えいたしますが、私は、若干というよりも、いま申し上げましたように、苦い体験がしばしばありました。その点は非常に進んできておると、かように考えておるわけであります。
  63. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) いま大臣がお答えになりましたように、われわれといたしましては、気象等を同一にする海岸につきましては、それぞれ三省協議会を設けまして、高さ、構造、施行時期その他につきまして協議いたしまして施行を行なっておる次第でございます。また、全体計画といたしましては、七ヵ年計画というのを年次を同じくして各省でつくりまして、その七ヵ年計画に従いまして現在はそれを施行しているという状況でございます。したがいまして、そういう打ち合わせ会を行なっておりますので、構造その他高さ、そういった点についてはそこもございませんし、計画の進捗度合いにつきましてもそれぞれ調整をとりながらやってるような次第で、こざいます。
  64. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは長い歴史のあることで、簡単じゃないと思うのですが、一元化されたほうがいいということはお考えになっておりますか。
  65. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) やはり一元化したほうがよいと思いますが、なかなかむずかしい。
  66. 小酒井義男

    小酒井義男君 ほかの委員会でもまた私はこの問題で発言したことがあるのですが、管理運営という問題とそうでなしに保全改良というようなものとを分離して工事やいろいろな関係建設省でやってしまって、あと運営については運輸省なり農林省なりそれぞれでやっていくというようなことがなぜできぬのかという気がするのですが、それでもむずかしいですか。
  67. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御承知のとおり、元内務省では港湾関係も一緒だったわけでありますが、その後運輸省あるいは建設省というものに分割されまして、どうしても港は特殊な構造、特殊な施設と申しますか、私は詳しいことは知りませんが、そういう観点から運輸省の港湾局が扱う、こういうしきたりになっておるわけであります。同じようなことで、漁港については農林省、先ほど申し上げましたように防風林等農林省所管の海岸については農林省、こういうようになっておりますが、なかなかこの機構を一元化するということは、私はそのほうがいいと思いますが、実際問題としては、行政機構の統合といいますか、再編成をしないと、なかなか困難であります。まあ臨時行政調査会などは、あるいは国土省をつくるほうがいいとか、あるいはそういう調整省をつくるほうがいいとか、二つの意見が出されておりますが、今後の検討事項になっておるようなわけでございます。
  68. 小酒井義男

    小酒井義男君 次に補助率の関係お尋ねをしたいのですが、高潮と侵食、局部改良、三つあるわけですが、非常に補助率が幾つもあるようですが、何がありましょうか。
  69. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 海岸につきましては、いろいろ種類を分けて補助率を定めているわけでございます。たとえば侵食につきましては、二分の一という補助率で実施しております。これは青森とか富山の沿岸、そういったところの侵食現象が見られる個所について実施するわけでございます。それから高潮につきましても同様に二分の一でございますが、これは主として東海沿岸とかあるいは鹿児島湾等において実施されております。それからそのほかに、市街地を守る高潮対策として十分の四という補助率が、ございます。これは東京の葛西海岸とか、川崎海岸とか、あるいは兵庫の尼崎海岸、そういったものが十分の四で実施しております。そのほかに局部改良事業として、これは河川その他につきましても同様の局部改良事業というものがありまして、これは局部的な改良を案施するわけでございます。三分の一で実施いたしております。そのほかに、特殊な問題でございますが、地盤沈下による海岸の対策事業、これは三分の二で実施しております。これは四十年度で完了いたします。そのほかに災害関連というのがございますが、これは二分の一で実施いたしております。  以上、海岸の補助率につきましては、さような各種の負担率がございますが、いずれも他の事業とも関連いたしまして定められた負担率だと考えております。
  70. 小酒井義男

    小酒井義男君 東京都の関係では、十分の三というのがありますね。
  71. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 四十年度まで十分の三という海洋補助事業がございましたが、四十一年度から十分の四と改めることになりました。
  72. 小酒井義男

    小酒井義男君 どうなんですか。非常に幾色にも分かれておるようなんですが、こういうものは整理できぬものですか。
  73. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私は、まあこまかい点は別にいたしまして、この海岸を守るという、防災といいますか、あるいは侵食を防ぐ、日本のこの領土を守るということについて一般に非常に関心が薄かった。したがって、政治の上でもこの大事な仕事がおろそかにされたというのが今日までの状況であったと思います。御承知のとおり、海岸法という法律ができてから十年たちましょうか、その程度でありまして、したがって、この海岸の行政についてはまだまだわが国は初歩的な時代だと思っております。そういう意味で、あちらこちら相当最近は海岸の防災というものは非常に大事だと——領土が狭くなりますと、大事だということで力を入れるようになってまいりましたが、まだ歴史が浅い。先ほど来お話がありましたように、河川等については、これは長い歴史で重要な問題として扱ってきておりますが、それに比べますとあまりに貧弱であったと思います。そういう歴史的な事情から、まあ大事なところは、地方の財政力のあるところは地方が相当やりなさいというような考え方でやってきておった点があると思います。私はそれは根本的に間違いだという、これは個人的なことを申し上げて恐縮でありますが、長い間そういう思想を持っております。もちろん河川には、非常に流域に人命、財産、各種の施設、産業が発達しておりますから、これに非常な力を入れることは当然でありますけれども、やはり海岸を守るということも河川を守るということと同じ程度に国が扱うべきだ、まあこういう根本思想を持っておりましたが、なかなかこれは実現しなかった。まあ今度この海岸法の一部改正を願いまして、従来原則として二分の一の国の補助あるいは国庫負担にしておる、これでは地方財政の今日の状態から見ましても、なお根本思想からいっても、こういう扱いは間違いじゃなかろうか、こういうことで、どうしてもやはり三分の二を原則とすべきだ、こういう主張から今度の改正案をお願いしておるわけであります。これにしても、まだまだ全面的に三分の二というところまでいっておりません。そういう点からいきますと、不満足だと思っております。またしかし、相当大規模に、先ほど来御説明いたしておりますように、経済効果その他事業量等から見まして大規模なものはこれで取り上げて三分の二にするというわけで、一応その方針を改めるという私は効果をねらって今度の改正をお願いいたしました。やはり将来は、これをもっと広げて原則として取り扱うべきものである。今後の努力にまちたいと思っておるわけでございます。
  74. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、今後はやはり補助率を全体的に引き上げていく方向に進めていこうと、こういう考えだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  75. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そのとおりに御理解願ってけっこうであります。
  76. 達田龍彦

    達田龍彦君 ちょっと関連質問したいのですが、海岸の関係で、農林省の漁港、それから運輸省の港湾、この競合関係において、建設省の場合との負担率の相違が海岸線によって出てくるのではなかろうか、この関係はどうなんでしょうか。
  77. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 今回負担率を上げますのは、主として農林省の事業並びに運輸省の事業あるいは建設省事業を合わせまして、相当の規模のものを一つの海岸といたしまして、その中のものは補助、直轄に方かかわらず三分の二にするということになりますので、もちろん補助におきましては、この法律が御審議願って通れば、政令でそういうことになるようにしたいと思っております。
  78. 達田龍彦

    達田龍彦君 もう一点質問をいたしますけれども、この提案理由の説明を見てまいりますと、海津の保全事業の強力な推進をはかるために三分の二に引き上げたい、こう言っておられるわけです。そこで、今回指定される区域を、特に海岸の保全上の特定区域として指定しなければならない根拠として、高潮や、あるいは津波、あるいは波浪、こういう自然条件の問題よりも、むしろ私は、内的な産業基盤整備だとか、とりわけ、一昨年でございましたか、新産業都市の指定等のために、特に強力に促進しなければならぬという意味合いが強く含まれているような気がするわけでありますが、その経済効果の面と、そういう自然条件に対する国土の保全という問題について、どうその引き上げの問題との関連でお考えになっておるかお尋ねしたい。
  79. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 今回特定海岸として引き上げますのは、特に国土保全上重要な海津あるいは産業基盤整備上非常に重要な海岸等を選びまして、そのうち事業規模が相当大なるもの——これは海岸事業を推進するためにはどうしても地方財政との関係考えなくちゃいかぬということもございまして、事業規模の大きいもの、各省合わした額の大きいのをとりましてそれを特定海岸としたわけでございます。したがいまして、そういった将来の経済基盤整備ももちろん、現在における国土保全の重要性、そういったものも十分勘案してきめていきたいというように考えております。
  80. 中村順造

    委員長中村順造君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 中村順造

    委員長中村順造君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 中村順造

    委員長中村順造君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますので、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 中村順造

    委員長中村順造君) 御異議なしと認めます。  それではこれより採決に入ります。  海岸法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  84. 中村順造

    委員長中村順造君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 中村順造

    委員長中村順造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十四分散会      —————・—————