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1966-04-20 第51回国会 参議院 決算委員会 第13号 公式Web版

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  1. 昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算、昭和三 (会議録情報)

    昭和四十一年四月二十日(水曜日)    午後一時十八分開会     —————————————    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      多田 省吾君     黒柳  明君  四月二十日     辞任         補欠選任      八木 一郎君     吉江 勝保君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 道子君     理 事                 仲原 善一君                 鶴園 哲夫君     委 員                 川野 三暁君                 木内 四郎君                 久保 勘一君                 高橋文五郎君                 野知 浩之君                 吉江 勝保君                 大森 創造君                 佐野 芳雄君                 柴谷  要君                 竹田 現照君                 達田 龍彦君                 中村 波男君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君                 山高しげり君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        労 働 大 臣  小平 久雄君    政府委員        人事院事務総局        職員局長     大塚 基弘君        公正取引委員会        事務局長     竹中喜満太君        法務省刑事局長  津田  實君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵大臣官房長  村上孝太郎君        大蔵大臣官房会        計課長      瀬戸山孝一君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        厚生政務次官   佐々木義武君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生大臣官房会        計課長      戸澤 政方君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        農林大臣官房長  大口 駿一君        通商産業大臣官        房長       大慈彌嘉久君        通商産業省企業        局長       島田 喜仁君        通商産業省重工        業局長      川出 千速君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        建設大臣官房長  鶴海良一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        内閣総理大臣官        房厚生管理官   瀬尾 類治君        厚生省薬務局製        薬課長      豊田 勤治君        郵政省人事局        厚生課長    唐木沢八十雄君        会計検査院事務        総局次長     宇ノ沢智雄君        会計検査院事務        総局第一局長   斉藤  実君        会計検査院事務        総局第三局長   佐藤 信雄君        日本専売公社理        事        山口 龍夫君        日本国有鉄道常        務理事      豊原廉次郎君        日本電信電話公        社総務理事    行広 清美君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和三十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十八  年度政府関係機関決算書(第四十八回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。昨四月十九日、多田省吾君が委員辞任され、その補欠として黒柳明君が選任されました。     —————————————
  3. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) これより昭和三十八年度決算外三件及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書を議題といたし、前回に引き続き昭和三十八年度決算外三件の総括質疑及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書の質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  4. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 私は、去る三月三十日とそれから四月四日の日に、労働省関係の問題について質疑をいたしました。これは私の考えでは、労働省設置以来の大問題だろうと思う。一法案の審議の問題点などに比して比較にならぬ問題だと私は思っている。この私が指摘した問題などをうやむやに済ますならば、政府は信頼するに足らない。そこで、小平労働大臣は、速記を見るなり、部下から逐一私の決算委員会予算委員会における質疑内容をお聞き及びだと思うけれども、いまさら内容は繰り返したくない。いかなる感想をお持ちですか。
  5. 国務大臣(小平久雄君)(小平久雄)

    国務大臣小平久雄君) 大森先生から、労働省関係のことにつきまして、一つ労働基準協会の問題、またそれと関連して基準局の業務のあり方の問題、さらに労働省職員のかつての選挙違反問題等についてお話のございましたことは、私も万々承知をいたしております。これらの御指摘に対しまして、私はさっそく処置すべきものは処置せよということを担当局長なり官房長なりに命じまして、現に労働基準協会に関する問題につきましては、今月の四日に、基準局長から都道府県労働基準局長にあてまして、いやしくも世間から疑惑を招くようなことのないようにということで依命通牒を出させまして、さらにまた、その際お話のございました刊行物労働省編さんをして民間から発行させておるというような刊行物取り扱いにつきましても、これが取り扱いを厳正にいたしますように、官房長名をもちまして、省内の部局はもちろんのこと、地方の関係出先機関に対しましても、これまた厳命を出したのであります。これにつきましては、一言にして申しますならば、労働省職員労働省所管の問題についていろいろ周知徹底をする、そういう立場からこの執筆なりあるいは編さんなりすることは、これは私はよろしいが、しかし、いわゆる販売あるいは広告関係等営業的な問題には一切タッチしてはならぬという趣旨のもとにこの通達を出したのであります。このことにつきましては、実はこの刊行物関係から申しますと、ひとり労働省関係ばかりでなく、政府部内で大体類似のような形で多くの刊行物が実は私はあると思います。でありますから、実は福田行管長官にも申し入れをいたしまして、これは政府全体としても統一的なあり方というものを検討してほしいということを申し入れました。行管長官も、もっともであるから、ひとつ調査をして善処しよう、こういうことを言ってくれております。しかし、それが出るまで待つわけにもいきませんから、とりあえず当省の関係においてはこうせよということで通達を出したのであります。なお、これらの詳細につきましては、基準局長あるいは官房長などからなお御説明を申し上げることにいたします。
  6. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 大臣、各省庁ともこういう類似の問題があるなどとおっしゃいますけれども、そういう問題と違うのですよ、問題がこれは。こんな類似の問題があったら、佐藤内閣たいへんですよ。よく聞いてくださいよ、中身を。私の速記を読んでくださいよ。類似の問題が、刊行物を出版して、そうして広告取りに歩いたなんというのと、内容が違いますよ、これは。繰り返したくないと思いますけれども、たいへんな問題ばかりじゃありませんか、これは。そこで、基準局長からいただいて、大臣の何か通達を出されて、それでまた四月十五日付で各都道府県労働基準局長殿に労働省基準局長から通達を出しておる。この内容を見るというと、私が過去二回質問した内容を全面的に肯定しておると私は見ておるのです。こんなことが、類似行為がほかの官庁にも行なわれているのとちょっと異質のものですよ、これは。場所をあげますと、大阪では年末手当を出しているのですよ、三百万円。本来国が出すべき年末手当に相当するものを三百万円出させているのですよ。なぜそのことが問題になったかといえば、労働組合の大会で問題になった。同じ年限に大学を出て、勤続年数一緒なのに、大阪につとめているというと年末手当プラスアルファになる。これでは不公平だという話がある。全国の三百四十の労働基準署に行ってみるというと、電話三本のうち一本は必ず外郭団体からの寄付だ。二本のうち一本は寄付だ。監督署職員が五人から十八人いるとすれば、女の子がいるとすれば、ほとんど寄付だ。名古屋松原局長などはマージャンに使っている、何十万円だ。これは、いま小平大臣が、そういう疑惑があるやもしれないが、各省庁類似行為があるなどということとは、ちょっと性質が違う。また、これと同じようなことをやっているならば、佐藤内閣など国民に対して政治の姿勢を正すなんと言えた義理ではない。紀元節の復活なんて無意味だ。  そこで、私は会計検査院に聞く。なぜ会計検査院長はきょう出てこないのだ。あなたはだれだ。会計検査院長はなぜ出てこない。
  7. 国務大臣(小平久雄君)(小平久雄)

    国務大臣小平久雄君) ちょっと済みませんが、どうも先生、私が申し上げたのをちょっと誤解なさっているようなんです。
  8. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 誤解ではない。
  9. 国務大臣(小平久雄君)(小平久雄)

    国務大臣小平久雄君) 私の言ったのは、役所が編さんをして民間で発行しているというような、同じ形式でやっているものが相当あるようであるから、そういうものを一体どう、たとえば編さんといってもどこまで責任を持っているのか、なかなかこれは具体的な問題としてはっきりしない面も私はあると思うのですよ。私の申したのは、そういう刊行物について申し上げた。同じような形でこうした向きが一般にある——一般と申しますか、各官庁にも相当あるようであるから、各官庁がばらばらにやっている、いろいろの考えに従ってやっているというのはどうかと思うから、それを統一してやれるように、同じ基準に従ってやれるように、そういう意味で研究してくださいと私は言ったので、先生の御指摘のような、何か疑惑のあるようなことが各官庁であると、そんなことを私は言っているのではないですから、そういうことは誤解のないようにお願いいたします。
  10. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 そういうことは知っております。各官庁で通例的に、慣例的にやっているということは、私は認めている。そんなやぼなことを言っているのではありません。私が二回にわたって指摘したのは、具体的な事実なんです。いまさら具体的な事実を幾つも申し上げると、大臣の退席に時間がなくなるから、だから私は内容を言わないが、これは一々の問題が大臣のおっしゃられたような意味とは違うのですよ。それはわかるのです。  会計検査院長はきょうはなぜ来ない。
  11. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) 大森君に申し上げます。きょうは会計検査院長は用事があるそうです。それで次長が見えております。
  12. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 では次長に聞く。一体マル特会計というのをどの程度調べた。
  13. 説明員(宇ノ沢智雄君)(宇ノ沢智雄)

    説明員(宇ノ沢智雄君) 過日当委員会で、大森先生から、会計検査院マル特会計を今後計画的に少し検査をしろという御要望がございましたので、私どもといたしましては、さっそく御趣旨に沿いますように検査計画を立てまして、現在四月から着々検査実施に移しておる次第でございます。ただいままでに済ましたのは、群馬労働基準局関係と、それから現在香川労働基準局関係を目下調査中でございますが、これが済みました後は、大体全国四十六労働基準局のうち十七カ所、それから監督署三百三十九カ所のうち二十六カ所について検査実施したいと、こういうふうに実は考えておるわけでございます。それで、いかにも全体の数から見まして個所数が少ないとあるいはおっしゃられるかもしれませんが、御承知のように、労働検査課守備範囲と申しますか、労働基準局関係のほかに府県等を持っておりますので、府県検査等をかみ合わせて予算人員の許す限りこれから検査実施していきたい、かように考えておる次第であります。
  14. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 大体、会計検査院マル特会計というものを知っておるのか、知らないのか。どうもおかしいと思うのだな。私が三月三十日の予算第四分科会で聞いたときには、小出しに出したのだな、あなたでないかもしれないけれども答弁を。四月四日の決算委員会では相当大まかに出してきた、私の知らない部分のマル特会計なるものを。してみると、人が悪いようだが、マル特会計なるものをあなた方は知っていて故意に見のがしていたのだろう、会計検査院は。そうとしか思えない。どうだ。
  15. 説明員(宇ノ沢智雄君)(宇ノ沢智雄)

    説明員(宇ノ沢智雄君) おことばを返すようではなはだ恐縮でありますが、そういうようなものがあるということを知りながら見のがしておったということは、実は私は聞いておりません。
  16. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 それで済むと思っているだろうけれども、私はそうでないと思うのです。わかっているんです。検査しないんですよ、なれ合いで、労働省と。私はどうしてもそういうふうに思う。もう書類焼いていますよ。具体的な例を申し上げましょうか。会計検査院が調べ始めたということで、ばさばさ書類焼いていますよ。なぜ、いままで何年間もずっと続いてきたものを、会計検査院はこれを指摘事項にあげないのか。何億あると思う。何十億あると思う。会計検査院は一千何百人おるだろう。わかっていたはずだ。わかっていたのに、わざわざ指摘しなかったのだろう。取り上げなかったのだろう。どうです。
  17. 説明員(宇ノ沢智雄君)(宇ノ沢智雄)

    説明員(宇ノ沢智雄君) 先ほど申し上げましたように、知っていて検査をしなかったかどうかという点については、私はそういう事実はないと、あり得ないと、こういうふうに確信いたしております。
  18. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 そう答弁するほかないわね、委員会では。知っていて故意労働省となれ合って検査をしませんでしたというふうに会計検査院答弁はできるはずはないだろう、ここでは。しかし、わきに刑事局長おるのだが、周囲状況から判断して、マル特会計の全貌をあなた方は知らないはずはない。絶対知っておる。そこで適当になれ合っていたと私は推察する。それで、決算委員会には通り一ぺんのお答えを願う。これで委員会が終わり、連休になる。それでザッツオールだ、いままでの委員会は。あなたのお答えは、知っていてもやらなかったとは言えないわけですよ。しかし、周囲状況の判断からして、私は絶対に会計検査院知らないはずがない。知らないはずがない、こんなもの。知らないならば、ぼんくらばかりだ、会計検査院は。労働省役人はほとんど知っているんだから。ただ会計検査院が来るというとうるさいから、寄贈を受けた物品などを運んじゃったり、証拠書類を焼いちゃったりしている事実を私は知っておる。しかし、労働省役人の大半が知っておるマル特会計なるものを会計検査院が知らないとはおかしい。知らないとすれば、無能の集まりだ。そこでなれ合いと私は断ずる。一体これは、マル特会計は何億ぐらいあると思うか。それから、この調査できるか。証拠書類をもうじゃんじゃんいま焼いていますよ。その自信はあるか。いつまでにできるか。
  19. 説明員(宇ノ沢智雄君)(宇ノ沢智雄)

    説明員(宇ノ沢智雄君) 先ほど申し上げましたように、目下検査実施中でございますので、結果がわかり次第、また当委員会で御報告いたしたいと、かように考えております。
  20. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 会計検査院だいじょうぶだろうな、あなた方を信頼しているんだから。あぶないと思っているんだけれども証拠書類をじゃんじゃん焼かれている。  そこで、刑事局長に聞きたいが、大体この通達によるというと……、私は具体的な例をあげているんですよ、名古屋の例だとか、マージャン代に幾ら使った、接待費に幾ら使った、それから電話三本のうち一本、二本うち一本、それから年末手当プラスアルファとして一万円ずつ平均やったとか、あるいはもうこれは数え上げれば切りがない。何十億あるのかな。何十億あるかわからないですよ。そこで、具体的な事実を私は二回の委員会で申し上げたが、この問題について私は刑事事犯になると思っているのだ。お調べになった結果どうですか。
  21. 政府委員(津田實君)(津田實)

    政府委員津田實君) この問題に関しまして、すでに参議院の予算第四分科会及び当委員会で御質問があり、その御質問の間にいろいろ御指摘事項があったわけであります。で、法務省といたしましては、この記録等検討いたしまして、これを検察当局に送付していま検討させておる段階であります。しかしながら、これはその検討はどういう意味であるかと申しますと、捜査端緒となるべき証拠があるかどうか、また検察庁が独自にさような証拠を持っておるかどうかという点と当委員会の御調査考えあわせまして本件の捜査に着手すべき端緒があるかどうかということを検討さしておると、こういう意味でございます。
  22. 柴谷要君(柴谷要)

    柴谷要君 ちょっと関連して、会計検査院法務省に尋ねておきたいのです。大森委員が提起した問題について会計検査院が再調査を始めた、こういうことの答弁のようだけれども、これから決算委員会関係者からいろいろ事情を聴取をする、そういう問題について疑点が生まれた場合には、再調査というものをあらためて会計検査院がすべてのものに対してやるのか、これが一つ。  それから、疑点があると、こういうことで質問法務省に向けられたときには、これを法務省としてはただいまのような手続でもってやられるのか。  それから、決算委員会で取り上げた問題は、一切今後そのような取り扱いをやられるのか、この点を明らかにしておいてもらいたい。  一体会計検査院は、大森委員質問をされた問題について、全国くまなく基準監督署を克明に調べた資料が一体何日間ぐらいで出せるのか、それも聞いておきたい。やりもしないことをやるようなことを言わぬほうが賢明じゃないかと思う。現実に、いいですか、あなた方自信を持って今日まで、会計検査院というのは、労働省でもどこでも、各官庁なり関係場所を全部責任を持って調べられているわけです。しかも、それを国会に、不正行為があったとかなかったとか、あるいはよかったとか悪かったとか、きちっと報告しているじゃないか。その報告とは違ったものが生まれた結果になるわけですよ。そうなるというと、国会を冒涜するというわけで、国民を冒涜することになる。そんなことを再調査をいま始めたなんということがあなたの口ではっきり言えるのか、それこそ会計検査院としては重大問題だ。それを今日まで調査を完了してあって報告をした、その報告をここで大森委員質問に対してあなたが答えればいい。これからくまなく基準監督署のことを調べて、大森委員指摘したようなことがあったというような報告ができるのか、一体。あなたはもう少し慎重に答弁しないというと、それこそ国会を冒涜し国民を冒涜するというような問題が発生しないとも限らないと思う。そうじゃないか、決算委員会で一たん取り上げられたからといっても、自信を持ってやってまいりました、その問題については、かくかくの問題ですという答弁でいくのが、当然の会計検査院としての自信のある答弁じゃないか。それを、こういうことを言われるから、全国にまた再調査をしていると。何だその会計検査院態度は。そんなことをしたならば、国民疑惑をよけい持たれるんじゃないか、会計検査院が。ぼくはそんな会計検査院ではないと信用している。それだけに、いまの君の答弁が真実であるかどうか、実際そんなことを下部に命じて調査を始めているのか、始めていないのか——そんなことはやっていないと思う。その点について明らかにしておいてもらいたい。また、法務省のほうでも、これを犯罪というものが発生するかのごとき印象を国民に与える発言があったように聞こえるが、そういうことをやられるのかどうか、これも法務省でも明確に答えておいてもらいたい。
  23. 説明員(宇ノ沢智雄君)(宇ノ沢智雄)

    説明員(宇ノ沢智雄君) 先ほどの私の答弁が少しあいまいであったかもしれませんが、先日大森委員から、この検査の結果そういうものが一つ指摘されていないではないか、なれ合い検査をしておったんじゃないかというようなたしか御発言が、この前私ども担当局長に対して御質問がありまして、その際局長からいろいろ御答弁申し上げました際に、今後こういうものについて十分調査をせよというふうな御趣旨であったと思うのです。それで、私どもとしましては、全部全国基準監督署なりあるいは労働基準局なりについて検査をするということは不可能なことでございまして、先ほど申し上げましたように、そのうちのごく一部ではございますが、それらについて、今後こういうふうなことが起きないように、十分そういうような点について検査をしてまいりたいということで、その際によく大森先生指摘のような点も十分注意して検査をしてまいりたい、こういう趣旨でございます。
  24. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 柴谷さんの言うとおりで、私はあなたの態度がおかしいと思うのです。ここは予算委員会ではありませんから、決算委員会というのは、こういうものを審査しなければ決算委員会の使命はないですよ。何十億という金があるんじゃなかろうか。労働大臣だって、基準局長だって、そんなにありません、三千万しかありませんよとは言い切れない。永久にこれはわからないですよ、書類を焼いているんだから。何でそういう小さいところを調べますか。名古屋を調べなさい、名古屋を、さっそく。私が委員会指摘したではありませんか、名古屋松原局長はこの前も七十万使ったと、その使い道はこれだ、料亭はここだ、さらに追加したマル特費用組合にいった。名古屋を調べたらすぐ刑事事件になりますよ。何で群馬とかそんなところを調べますか。広告代だって、「労働基準」という雑誌は二八ページが文章が書いてあって三四ページが広告なんですから、一ページ一万円取っているのだから、はっきりしているのだ、名古屋は。名古屋大阪、福岡、これを重点的に調べてみなさいよ。そうして刑事局長捜査してごらんなさい。これは行政処分じゃないですよ。マル特会計というのは、結局会計検査院はいま柴谷委員の言われたとおりやみからやみだろう。どうもうそ八百の報告しか出てこない。どうだ、調べられる自信があるか、会計検査院。調べられるはずがない。
  25. 説明員(宇ノ沢智雄君)(宇ノ沢智雄)

    説明員(宇ノ沢智雄君) はなはだ申しわけないのですが、実は私誤解しておりまして、大森先生の御指摘マル特会計というものに対しましては、国の財政援助というものは全然出ておりませんので、これについて会計検査院としては検査の権限がないようなふうになっております。
  26. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 奇怪なことを言うな。私の言うのは、いいか、国の予算で当然まかなうべきものを外郭団体からどんどん寄付として受け入れている、なかば強制的にもらっている。これは国の予算のうちじゃないか。それでは聞こう。なるほどあなたのおっしゃるとおりだ、マル特会計というのは。国で本来交際費として、あるいは通信費として、あるいは人件費として、設備費として支出を要すべきものを、これをマル特会計の名のもとに外郭団体から集めているのだ。これはあなたのほうは調査の権限ないか。
  27. 説明員(宇ノ沢智雄君)(宇ノ沢智雄)

    説明員(宇ノ沢智雄君) マル特会計それ自体については、会計検査院としては調査の権限はありません。ただ、当然労働省なりが国の予算なり何なりでまかなうべき費用をそういう会計から出してもらっているということにつきましては、労働省検査の場合に検査いたしますけれども、かといって、マル特会計そのものについて、国の財政援助も何もない、協会かどこか知らないが、そういうことをやっている協会については、検査する権限はない、そういうふうに申し上げた次第であります。
  28. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) 大森委員にちょっと申し上げますが、労働大臣との約束がだいぶ延びているのですが、大臣質問はよろしゅうございますか。
  29. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 ございます。もう少しいてもらう。どういう会議か知らないが、もう少しいてもらいたい。  会計検査院に一言申し上げる。会計検査院、私はあなた方が信用できなくなった。さっきの再調査するという答弁はどうか。いまのは調査できないと言うが、どっちがどうだかわからない。結局私は、会計検査院の性格の問題になるのでしょうが、本委員会予算委員会ではありませんよ、決算委員会ですから。そこで、私の言うのは、国の予算の中に食い込んでいるマル特会計、それで前回の委員会でも明らかに約束したのだ。会計検査院調査すると言う、速記を調べてみたらわかる。私は会計検査院の性格そのものにある。次回はどうしても、あなたでなくて、会計検査院長に来てもらいたいと思う。  それからもう一つ、あなたが何と言おうと、マル特会計の全貌を知っているに違いない、周囲状況判断からして。名古屋を調べろ、福岡、大阪を調べろ、ぱつぱと出る。私のところにしょっちゅう電話がかかってくる。これは投書じゃない。電話代が高いよ。名古屋大阪から来ている。みんな知っている。小平さんは労働大臣だからともかくとして、上司に対する不信感がびまんしている、全国に。大森さん、こういうことではだめですよ、徹底的にこの問題はやってください、そうでないというと労働災害防止なんということはできない——いくらでも電話かかってきますよ、私のところに。大森さんが火をつけてもらったのはけっこうだが、途中で消してもらっては困る、おそらく大森さんのところに圧力があるであろう、会計検査院刑事局長も圧力があるであろう、しかし、国民のために、労働者のために、あくまでやってくれろという電話がしょっちゅうかかってくる。会計検査院答弁は求めないが、次回は、会計検査院の性格の問題になるし、会計検査院は調べると言ったのだから、調べてこい。そして突き合わせてみるから、労働省のやつと。これはどうしても突き合わせてみる。調査ができるものか、できない、だろう。
  30. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) 大森委員会計検査院はまだ残っております。しかし、労働大臣はお約束がある。
  31. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 労働大臣お待たせしましたけれども、私はこれは軽い問題ではないと思うので、刑事的な問題にもなると思う。これは行政的な責任が大きいですよ。このことが許されるならば——許されないですね。村上基準局長全国あての通達を見ても、全面的に私の指摘に対して肯定をしているからこそ、こういう通達を出しているのだから。数字の違いなどはあるだろう。しかし、いままで私が指摘したようなことを、数時間にわたって指摘したような内容のことを認めているのだから、こういう通達を出したに違いない。これはあなたのほうの釈明は求めない。あなたのほうで、以後こういうふうに慎みますというのを出したのだから、裏を返せば、いままで私が申し上げたことが大体信憑性があるというふうに私は判断する。  そこで、労働大臣に聞くが、これは一体刑事事件とは別に、行政的な責任はだれがどうとると思う。
  32. 国務大臣(小平久雄君)(小平久雄)

    国務大臣小平久雄君) 私は前回も御答弁申し上げたのでありますが、今回の大森先生の御指摘のようなことが事実であって、もし法に触れることであり、政治的な問題にまでも発展することであるならば、それぞれの当局においてその法に従って処置されることもやむを得ないと、私さようにこの前も明確に申し上げたわけであります。  ただ、今回基準局長から出しましたこの通牒が、大森先生の御指摘のものを全面的に事実だとわれわれがさように判断をして出したものではこれは断じてありません。われわれには、そこまで事実を調査する、刑事的にも調査する資格はありませんし、権限がありませんから、私といたしましては、先生の御指摘のような事実が一これは事実かどうか、私はよくわからないのです。しかしながら、そういう疑惑を招くようなことがあってはいけないから、こういうふうに注意しなさい、こういうことで私は通牒を出したのです。そこを先生は何か事実と認めたからだと断定されているようですが、私は断定いたしておりません。これははっきり申し上げておきます。  それから、行政的な責任でありますが、これはもちろん大臣が最高の責任者ですから、労働行政については、これは私が責任をとらなければならない事態ならとります。
  33. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 こういう文書を出したからというて私の発言を全面的に肯定しているわけではないというふうなことをおっしゃられるけれども、数字の違いなどはあるだろうけれども、事実があったに違いないですよ、この文書の裏を返して。それでなければ、出す必要ないだろう。「参議院予算委員会の議事録を添付したので参考とされたい」−そんなことをやる必要ない。  そこで、これはあまり大臣、私は頭へ来ないから、大臣も頭へ来ないようにして答弁していただきたいのだが、この刑事事件は別にして、行政的責任大臣責任とる。内閣改造で一カ月くらいの間にあなたはどっかの大臣になるかもしれないけれども、それで責任とったことになっちゃう、形式的には。私は具体的なことを言っておる。わからなければ教えてあげますよ、こういう処置がいいということを。というのは、私は決してこの決算委員会でいやがらせを言っておるのじゃないのですよ。これは末端の監督官がほんとうにいやがっているのですよ。それから技術屋がいやがっているのですよ。一日百円の日当で汗水たらして、一年間の職場は一千件、往復の電車賃除くというと、昼めしは四十円、上のほうはふざけているという気持ちがびまんしてますよ、労働省の中に。だから私は言うのだ。通り一ぺんのことじゃ済まされない。時間で労働大臣も御退席のようだから、私はちゃんとけじめはつけたいと思う。一時を糊塗してはいけませんぜ、私に限って。おわかりになりましたら答えていただきます。
  34. 国務大臣(小平久雄君)(小平久雄)

    国務大臣小平久雄君) 一時を糊塗する気持ちは毛頭ございません。
  35. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 けじめはつけにゃいけませんからね。私は委員会の場で、委員会はショーではございませんから、私は、ものごとがあれば、いままで、ずっと累積したこういう事実があったのだから、これに対する責任というものは当然あるはずだと。何年間もこういうことをずっとやってきた、それで基準局長なり大臣なりが、こういうことをやってはいけませんぞということを何回も通達をしているし、注意をしているということを、初回の委員会基準局長は私に対して答弁している。それにもかかわらず現在まであるのだから、この通達を出したってあとを断たないと思うし、会計検査院は手が届かないのだから、信憑性のある資料を私の手元に出す自信はないだろう。そこで、残る問題は、いままでにやったことをどうしてくれるのだということですよ。これはあとに移します。労働省の問題は、きょうはここで終わります。  次に、通産省、公取の方は前においでいただきましょう。よろしゅうございますか、時間がないから始めます。  この五、六年、政府は、物価安定政策の重要不可欠のベースとして、競争企業の確保と促進をはかることをきめてきているが、これは独占禁止法の適用を強化して、法律で認められているもの以外のカルテルの取り締まりを厳にすることだと私は考えている。  そこで、昨年度において公取が行なった独禁法三条違反事件は何件くらいございましたか、審査中のものも入れてお答えいただきます。
  36. 政府委員(竹中喜満太君)(竹中喜満太)

    政府委員竹中喜満太君) 昭和四十年度におきますところの独禁法違反被疑事件で審査しましたものは二百十三件ございます。それで、このうち、独占禁止法三条後段違反の疑いをもちまして調べましたものが二十六件。それから、御承知のように、独占禁止法の三条違反というのは事業者の共同行為でございますが、経済的効果がこれと同じで、事業者団体が生産数量、販売数量あるいは価格の決定をする、これは独占禁止法の八条一項一号で禁止されております。これが非常に最近ふえておりまして、八十三件ございます。両方合わせますと百九件と相なります。それから、昨年審決いたしました事件が十四件ございまして、三条後段違反が一件、八条一項一号違反が十三件ということになっております。それから現在審査しておる事件は九十四件ございます。それで、この九十四件のうち、三条後段違反事件が十一件、それから八条一項一号違反の疑いのあるものが三十九件、合わせて五十件ということになっております。
  37. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 それでよろしゅうございますが、粗鋼減産カルテルの審査がその中に入っていないようでございますけれども、なぜやらないのでございますか。
  38. 政府委員(竹中喜満太君)(竹中喜満太)

    政府委員竹中喜満太君) 御承知のように、三条後段違反は、事業者の共同行為でございまして、今回の粗鋼の減産は、通産省が各鉄鋼会社に対しまして、それぞれの生産額を割り当てまして、それを各社が行なっておる、事業者の共同行為がそこにないという立場をとっておりますので、現在調べてはおりません。
  39. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 これは、おっしゃるとおり、昨年の七月の通産省の個別指導という形で行なわれた、いわゆる勧告操短だろうと私は思う。それで、いまおっしゃられた独禁法上、事業者の共同行為でないという言い方は、私は頭が悪いかもしれないけれども、少しおかしいと思うのです。いまの事実関係を別にしてですよ、理論的に。この勧告操短という名のカルテルができた過程、その後の維持監視体制、四半期ごとの減産計画の決定に業界が自主的な動きをしていることは周知のことでございますから、通産省の個別勧告指導というのは形だけで、カルテルがその独禁法をのがれるための隠れみのにすぎないと、そう私は思うのですが、いかがですか。事実関係でなく、理論的にはそういうふうに私は思われる。
  40. 政府委員(竹中喜満太君)(竹中喜満太)

    政府委員竹中喜満太君) 公正取引委員会といたしましては、従来勧告操短は好ましくないということを常に言っておりました。これは一つは、いま大森委員が言われましたように、勧告操短が事業者の共同行為の隠れみのに利用されるおそれがあるということと、勧告操短と言いながら、その出てくる結果は共同行為と同じ結果が出てくるということで、好ましくないということを言ってまいったわけであります。したがいまして、通産のほうからは、勧告操短の話を私のほうで受けますときには、その間の事情を十分調査いたしまして、通産が全責任を持ちまして指導をするということでありますれば、事業者の共同行為はそこに認めることはできないということで、今回の粗鋼の減産につきましても、十分通産省のほうで責任を持って指導するというようなことを言われておりますし、ここにおります重工業局長が市況対策委員長をされております。これを信用いたしまして、私のほうは違反として調べるということをしておらないわけであります。
  41. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 それはあなたのお考えでしょうけれども、私はどうも、行政庁の指導が、通産省の指導があるといっても、それがどうも違法性の阻却事由にならないということが定説ではないか。これは公取の審決例にもある。カルテル禁止違反の事由は、事業者間の認識、共同意思の連絡があれば成立し、それは状況証拠によって立証されればいいと、公取の審決にもあります。それは通産省の指導と責任でやるというのだから、しばらく見ているというのは、どうも私は理論的におかしいと思う。秩序としておかしいと思う。鉄鋼業界並びに通産省というものの圧力が公取に強くあるから、本来の秩序を踏み違えて、本来公取がやるべきものを通産省がやっているというふうに私は考えるが、いかがですか。通産省でもいいですよ。
  42. 政府委員(川出千速君)(川出千速)

    政府委員(川出千速君) 鉄鋼の粗鋼の減産指導につきまして、鉄鋼が基幹産業であること、この生産を野放しにした場合に起きるいろいろな関連業界に対する影響等を考慮いたしまして、やむを得ざる措置として行政指導で生産調整を実施しておるわけでございます。公正取引委員会にも内内その実情については報告をしております。公取のほうはそういう指導は好ましくないという立場を堅持しております。
  43. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 どうも見解が違うからこれはしかたがないけれども、私は、公取が法に基づいて忠実に義務を履行するということになれば、粗鋼減産の問題についても公取がやるべきであろうと思うのです。通産省の領域ではないと思うのです、私の考えでは。それはすれ違いの議論になりますが、その次にお伺いをしたいことは、公取の注意を喚起したいと思う。  昨年の十二月成立した中小企業信用保険臨時措置法による減産企業の指定が二月七日通産省により行なわれました。これは減産によって下請中小企業が倒産のおそれがあるものを金融面で救済しようとするものだが、その指定は八幡製鉄所、住友金属の大村製鉄所であります。指定理由は、昨年七月からの粗鋼減産による北九州の下請約七百社が経営困難になっているためだ、こういうふうに私は理解している。これはまさに勧告操短により関連事業者に重大な影響を与え弊害を生じていると思うが、公取のほうはこの点についてどう考えるか。また、四月の操短勧告の際、通産省はかかる事態の発生を予見できなかったのか、それともこうすればこうなると知って操短勧告を行なったのか、この辺の事情をお聞かせ願いたい。簡単でいいです。
  44. 政府委員(竹中喜満太君)(竹中喜満太)

    政府委員竹中喜満太君) 御承知のように、独占禁止法には不況カルテルの規定がありまして、不況カルテルを行ないました結果、関連事業者の利益を不当に害するという場合には、公正取引委員会はその不況カルテルの認可を取消さなければならないということになっております。しかし、いまお話しの中小企業信用保険臨時措置法の問題でございますが、勧告操短の結果こういう事態が生じ、通産大臣が特定地区の事業所を指定したというごとは、独占禁止法それ自体から申しますと、直接関係のない問題でございます。ただ、下請事業者が受けておるその不利益というものは、私のほうの下請代金支払遅延等防止法に抵触するようなものでありますれば、これは公正取引委員会として法に基づいて処理するということになっております。
  45. 政府委員(川出千速君)(川出千速)

    政府委員(川出千速君) 粗鋼減産を実施いたします際に、三十九年の下期に対して大体大まかでございますが一〇%の減産ということでございましたので、その減産に原因をする下請等の問題も影響があるであろうということは考えました。しかし、この北九州の場合は、会社全体といたしまして、大阪地区の新しい製鉄所に生産を集中しましたために、ならすと一割程度の減産か二割くらいの減産をいたしましたので、私どもが予測したよりも大きな影響が出てきたと思います。したがって、八幡製鉄あるいは住友金属といたしましては、それに対する繰り上げ発注をするというようなことで緩和につとめているということを聞いております。
  46. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 通産省はなぜ独禁法上の不況カルテル申請をするように鉄鋼業界を指導しないのか。もし不況カルテルが要件に満たなかったり、業界がまとまらないなら、そのままにしておくというほかないのではないかと私は思うのです、法律的に。で、独禁法の法域を侵害することは事実ですよ、これは。他の行政庁、つまり公取委員会の仕事の遂行を妨げるような行政指導が許されないことは、これはあたりまえのことなんで、私に言わせれば、勧告操短の妥当性というものはすでに昭和二十八年に失われているのじゃなかろうか。池田内閣では勧告操短の撤廃をきめたです。御承知のとおり。昭和二十八年の独禁法大改正のときに、時の岡野通産大臣ですかね、あのときに、独禁法に、不況カルテルが入った以上、今後行政指導による勧告操短は行なわないと言明したことは、事実です。粗鋼の勧告操短は、これらの方針や公約にまるっきり反していると思う。これは、そこのところ理論的にこじつけて、事実関係に押し流されて、そして苦しまぎれにまた持ち出してきたのが粗鋼勧告操短であると私は解釈している。いかがでしょうか。簡単でけっこうです。そうでしょう。
  47. 政府委員(島田喜仁君)(島田喜仁)

    政府委員(島田喜仁君) 通産省といたしましては、行政庁としまして、一応所管の産業に関しまして、やはり緊急な事態、あるいは景況の変化、あるいは産業界の実情、実態等を考えまして、すべて法律によらなければその混乱を防止できないということでは行政庁としての責任が持てないと思います。やはり原則的には自由主義経済でございますから、企業の自主的活動によりまして、あるいは設備をつくったり、あるいは生産をしたりしていくわけでございますが、そういう経済環境の変化なりあるいは産業、企業の実態によって、どうしてもその混乱を手をこまねいて見ているわけにいかないという場合には、やはり行政庁でありますから、その混乱を防止するために指導をし、あるいは説得をし、その他の行政指導をすることが私は行政庁の責任である、こういうふうに考えております。したがって、ある程度予見されるような問題につきましては、強制力のあるものについては立法措置その他が必要でございますけれども、いまそういうような予見しない事態が緊急に起こった場合には、やはり行政指導が必要になるのではなかろうか。なお、独禁法上認められております不況カルテル等につきまして、できるだけ、そのカルテルを結成する必要がある場合には、これはそれによるべきでございますけれども、そうでない場合には、一切そういう勧告操短の行政指導がいかぬということでは、やはり行政庁としての責任が全うされぬ、こういうふうに考えております。
  48. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 どうもあとのほうがよく聞こえなかったのでございますが、私は、不況カルテルが入った以上、いまやっているようなことは不況カルテルの線に乗せるべきだと思うんですよ。それから公取の領域を侵していると思うんです。そこで、これは食い違いになりますけれども、もう時間がございませんから……。それほど鉄鋼業界が心配なら、永野重雄氏がアドバルーンを上げた鉄鋼事業法などの制定を考えたらどうですか、それのほうがいいのではないか。もとより私はこの法制には反対ですよ。社会党の立場から反対でございますけれども、そのほうがいいですよ。勧告操短というすでに指定された、私はその妥当性のない手段よりも、通産省らしく堂々としてそのほうがいいと思うんですよ。通産省として、永野重雄さんの言っているような鉄鋼事業法の制定をどのように考えているのか、現在までのいきさつとあわせて簡単にお答え願えます、時間がありませんから。
  49. 政府委員(川出千速君)(川出千速)

    政府委員(川出千速君) 鉄鋼業の基本的なあり方と申しますか、設備投資の問題、生産調整の問題、あるいは価格のあり方の問題——基幹産業でございますし、与える影響も大きいので、この基本的なあり方につきまして、今度の国会でも各委員会質問がなされておるわけでございます。その中には、先生の御指摘の鉄鋼業法をつくったらどうだろうという御意見もありました。私どもは、そういう重大な問題につきまして、従来どおりの行政のあり方がいいのか、あるいは自由放任に全く放てきするのがいいのか、あるいは場合によっては法的措置もやむを得ない、そういう問題がありますので、有沢広巳先生委員長とする鉄鋼基本問題委員会を創設いたしまして、現在審議中でございます。通産省といたしましては、その結果を見て判断をする立場にございます。
  50. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 粗鋼減産操短を設けた理由として、いまおっしゃられましたように、鉄鋼事業の回復が緊急を要するものとして、昨年の七月に勧告措置がとられたものであろうと思いますが、現在なおこれを行なっております。一体いつまで緊急状態が続くのか。そういうことをしているうちに、本年度は、日本鋼管、川崎製鉄、住友金属、さらには富士製鉄、東海製鉄などが設備投資計画を持っていると聞く。これは事実です。新聞にも出ております。減産カルテルと設備増大競争とどこで結びつくのか。このことは、私は鉄鋼市況が十分に回復したという証拠ではないかと思う。少なくとも緊急状態からは脱していると思うので、この際直ちに勧告操短の中止をさせる考えはないかどうか。同時に、公取のほうは、どうですか、勧告操短なるものを、これを通産省でなくて公取のほうがむしろ、さっき問答いたしましたけれども、共同認識とかいろいろありますね、そういう内容について審査をいたしましたか。通産省の言うことを一方的に聞いて、これは通産省の行政指導にまかせるという立場をとっているのであって、一体審査の対象にして審査をした結果の結論なんですか、その点を両方にお聞きします。
  51. 政府委員(竹中喜満太君)(竹中喜満太)

    政府委員竹中喜満太君) 先ほどから申し上げておりますように、私どもは勧告操短というものは好ましいものではない。これは昨年七月の粗鋼の一割減産のときに通産省に対して申し上げましたし、また現在も申しておるわけでございます。そこで、先ほどから大森委員が言われますように、共同認識その他で、これが事業者の共同行為と認定できるかどうか、これはなかなかむずかしい問題でございます。それで、私のほうで法律的に取り上げましてこれが審決というような形になりますと、東京高等裁判所、あるいは最高裁判所に上訴する。その場合、公取が公判の維持をしなければならないということで、証拠その他の問題で非常にむずかしい問題がございます。そこで、ことしの初めになくなりました私どものほうの審査部長が、各製鉄会社を回りまして、監視の状況その他を見てまいりました。それで結局、通産の説明もあり、われわれが業界その他から事情を聞いたことでもあり、いろいろ勘案しましたところで、現在これを事業者の共同行為として独占禁止法違反として論議することは適当でない、現在の状態ではそう考えています。
  52. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 次に、独禁法違反事件の処理のしかたについて疑問に思われるところがありますので、これを公取のほうにお聞きします。昭和二十八年の独禁法の緩和以来、公正取引委員会は意欲を失って、違反事実があっても警告などの行政指導にとどめることで満足している。そうして事件そのものは不問処分として、あえてこれを避ける傾向が強くなってきたと思う、外から見て。公取の年次報告によると、勧告及び審判開始決定を行なった年間件数は、これは御承知だろうと思いますけれども昭和二十八年から昭和三十六年に至る九年間は、二件ないし七件の低さでございます。ところが、昭和三十七年、物価対策のため独禁法の適用を強化する旨の閣議了解以降、勧告及び審判開始の件数も二、三十件と、漸増している。このことは、私は独禁法の運用が常に行政府の圧力によって非常に強く左右されるという印象を受けるのです、私が見れば。粗鋼減産の通産省の行政指導による公取の態度も、その例ではなかろうかと思われるのです。公取には、独禁法によって認可や届け出の仕事のような行政的な側面と、違反事件審査という司法的な側面とがあって、特に後者、司法的な問題、これが公取の重大な責任と特殊権限だろうと思うのです。ところが、この準司法機関である公取が、総理府の外局であるという組織上の問題ともからんで、現実に行政府の圧力を受けやすく、その執行にゆがみを生ぜしめているのではなかろうか。これは言いづらいでしょうけれども、そういうことをひとつ局長答えてもらいたい。
  53. 政府委員(竹中喜満太君)(竹中喜満太)

    政府委員竹中喜満太君) 公正取引委員会の職務は、特に、いま大森委員が言われましたように、違反の事件を処理するということが一番大きなこれは仕事でございます。それで、昭和二十八年の改正以来公取として違反事件の処理について意欲を失ったんではないかというようなお話でございますが、そういうことは全然ございません。  それで、公正取引委員会が総理府の外局であるということを言われましたけれども、これは独占禁止法の中にも書いてありますように、公正取引委員会は内閣総理大臣の所轄に属する——所轄に属するということは、御承知のように、人事、予算はともかくといたしまして、職務上は、業務上は指揮監督を受けないということでございます。それと同時に、公正取引委員会は独立して職権を行なうという規定にもなっております。こういうことを申しましても、事実上影響を受ければしかたないとおっしゃるかもしれませんけれども、現状では外からそういう圧力がかかって仕事がしにくいというようなことは全然ございません。
  54. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 まあそうお答えになるのが当然だが、これは仕事をサボっているとは考えられないのですよ、公取の職員の人が。だけれども、さきに述べた昭和二十八年から三十六年の間、一般からの申告件数は一向に減少していないのですよ。それにもかかわらず、勧告や審判開始決定の回数がきわめて少ない事実と関連づけて、私は、どうも行政府の方針が変わるというと、そういうことにならざるを得ないであろう。そうでしょう。このことは白状してください。
  55. 政府委員(竹中喜満太君)(竹中喜満太)

    政府委員竹中喜満太君) そういうことはございません。私のほうで違反事件を調べます際、相手方のほうで自発的にその違反事件を、何といいますか、違反状態をやめるという事例が非常に多うございます。それで、一時その勧告あるいは審決の回数が減った当時は、多少自動的にそういう状態に持っていったような傾向はあるかもしれませんけれども、私のほうは、独占禁止法という法律は、そういう違法な状態がなくなればよろしいというたてまえの法律になっておりますので、それが勧告によって、審決によってそうなるか、あるいは自発的にそうするか、そういうところを別に問いませんので、私のほうで調べますと、自発的にやめる場合が非常に多うございますので、そういう状態が出てきているのだと思います。
  56. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 どうも局長は宮仕えの立場上、いかに豪傑といえども返答しがたいことはよくわかります。この点の追及は一応おくことにいたします。  次に、不問処分の問題についてお尋ねします。特に一般人からの申告する事件について不問処分が多いと思われますので、質問はその点にのみ限定したいと思います、時間がありませんから。  一般人からの申告があったら、四十五条第二項によって、公取の調査義務——違反の事実があると考えられる場合には、いわゆる職権手続を経て審査する。四十五条の条文によれば、審査の結果、不問処分と勧告、審判開始決定と、この三つのうちのいずれか一つの措置がとられる。これは私から言うのは釈迦に説法でございますけれども、それにはもちろん問題はない。ここで局長にお尋ねしますのは、不問処分はどのような判断や基準に基づいて行なわれているのか、またその手続上の最終決定はだれが行なうのか、こういうことについて、ひとつ率直な答弁をいただきたいと思います。
  57. 政府委員(竹中喜満太君)(竹中喜満太)

    政府委員竹中喜満太君) お話のように、違反事件は、私どもが審査いたしまして、違反した状態が続いておりますれば、勧告をして審決をする。あるいは、審判開始決定をして審決をする。不問の問題は、私のほうで調べているうちに違反状態がなくなった場合、これは独占禁止法が審決をするのは当該違反行為を排除するためにあるということになっておりますので、違反状態がなくなった場合に不問にいたします。それから、調べました結果証拠がない場合に不問にいたします。この不問の決定は、委員会で決定をいたします。
  58. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 私の調べた事実を総合すると、不問処分にする場合、二つの型があります。まず第一は、違反の事実があるとして審査活動に入ったがすでに違反事実がなくなっていたという事実が一つ。これは、審査の時点において実は違反した事実が消滅していた場合と、公取が審査活動に入ることを違反者がいち早く察知して違反事実を矯正する場合とは、問題が非常に違ってきますね。そこで、第二の型としては、違反行為が審査時点になお存続しておったが、強制処分の伴う審査の過程で違反行為取り消しの申し出があった場合である。私がいまここで問題にして取り上げたのは、それの第二の類型の不問処分のあり方です。もともと独禁法は、カルテル、不当、不公正取引をなくすためにある法律であり、制裁は従たる問題だということは、私も知っております。しかしながら、法二十五条の損害賠償責任との関連においても、この第二の類型の不問処分の決定には多大の問題があると思う。  この問題に関する質問をなお砕いて申し上げますと、違反者が審査の過程において、いままで法律違反を犯してまことに済みませんでした、あれはもうよします、今後一切かかる行為はいたしませんと、その一片の始末書を提出すると、無罪放免になり、不問処分ということになってしまったという前例は、数多いのです。本来、この法の趣旨からいえば、勧告または審決とすべきではなかろうかと私は思います。かつて公取の有能な方であった、また現在独禁法の権威であられる今村成和氏も、「独占・公正取引」という著書の中で私と同様な疑問を投げかけております。これが質問の第一。  次の質問は、時間がありませんから一緒にやりますから書いておってください。いいかげんな答弁をすると、あとでまた質問しますから。  次の質問は、違反者が今後違反行為をしませんと一片の始末書あるいは誓約書を出すことによって直ちに不問処分の決定が行なわれているのはいま申し上げたとおり。この場合に、公正取引委員会は違反者の一片のことばを信じて不問処分としているのか、あるいはまたその消滅の事実関係を確認した上で決定しておるのか、ここをお聞きしたいと思うのです。  それから、申告者は弱い者の立場にあるのです。また、被害者の立場にあります。この申告者に対して違反事実消滅の確認を行なっているかどうか、あわせてお聞きしたいと思います。
  59. 政府委員(竹中喜満太君)(竹中喜満太)

    政府委員竹中喜満太君) これは行政処分ではありませんけれども、不問とそれから損害賠償の問題につきましていろいろ御議論がございます。それで、独占禁止法は、先ほど申し上げましたように、当該違反行為を排除するためにしかるべき処置をするというたてまえになっておりますので、審判開始決定あるいは勧告のときに、当該違反行為がない場合には勧告もできないし審判開始決定もできないというたてまえをとっております。ですから、その前の段階でやめてしまえば、違反状態がなければ、そういう処置はとれない。そこで問題は、いま大森委員が言われましたように、独禁法に基づいて無過失損害賠償の請求ができないのじゃなかろうか、審決してから不法行為で損害賠償の請求をするよりほかない、確かにそのとおりでございます。ここに一つの問題がありまして、この問題をどう解決するかということは前々からの懸案になっていると思います。それから、もういたしませんというような文書を出したということで、私のほうがそうかということで、これを不問にするというようなことはございません。そういう文書を出したところで、やるかやらぬかということは将来になってみなければわかりませんことでございますから、私のほうとしましては、十分それぞれの動静を確認いたしまして、不問にするまでにはかなり時間をかけております。それから、相手方に対しましてもその後の状況調査するとともに、また必要に応じては、私のほうからこういう措置をとったということを連絡いたしております。
  60. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 それでは、時間が来たそうでございますから、公取とそれから通産省についての問題は、次回に留保いたします。これは藤原委員長に敬意を表してここで残念ながら終わります。それから労働省の問題についても継続をいたしますから、どうもしり切れトンボで恐縮でございますけれども、次回に譲らしていただきます。委員長の命令に従います。
  61. 岩間正男君(岩間正男)

    ○岩間正男君 先ほどからの審議の状況を聞いておりまして、労働基準監督局のマル特の問題は、非常に重要な問題に関連しているように思うわけです。これは行政全般の底に横たわっている問題と深い関連がある、こういう点では徹底的にこれは明らかにする必要がある。それからまた、会計検査院の職能の問題ともこれは私は関係があると思う。当然国費で出すべきところの旅費や、その他の庁舎の費用とか、電話代とか、そういうようなものについて徹底的にこれは調査していない。つまり事務怠慢の形が出てくる。マル特の問題も非常に重大です。それとの関係で、はたして国費がこれは必要なそういう形で使われているか、ことにそれが監督をする業者から出された金によって運営されているという事態になれば、労働基準監督局というものの本来の機能というものは、全然これはだめになる基本的な問題です。労働行政の中でそういうものと深い関係があるので、私は提案したいのでありますが、むろん、これはいままで進めてこられたこの追及を徹底的にしていただきたいのでありますが、この問題一つを取り上げて、同時に全体の問題として当委員会の権威のために私は追及するだけの価値のある問題と思います。ですから、そういう取り上げ方を決算委員会として問題を一本にしぼって、さらにそれの資料を配付するとか、問題点を明らかにするとか、そうしてこれの責任の追及の問題、当然行政官庁あり方の問題、さらに会計検査院の基本的な検査あり方、機能の発揮の問題ですね、そういうような問題をここで明らかにすることは、当委員会の任務としては、この点私は当然なさなければならない仕事だというふうに、さっきから痛感しておる。非常にいい問題を大森委員が提案されたので、ぜひ私は当委員会で決定をしてほしい。委員長はおそらく理事会にはかってというようなことをされると思うのですが、これは本末転倒です。当委員会で決定されて、その扱いについて理事会にはかられることがこれはいいと思います。私は理事会にはからなければこれはきめられないという問題じゃない。当委員会のほうの意思によって決定されたものを、理事会は運営すべきものです。私はそう考えますので、そういう取り上げ方をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  62. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) この問題については、今度次回の委員会は、連休明けということになっております。
  63. 岩間正男君(岩間正男)

    ○岩間正男君 連休明けでけっこうです。
  64. 大森創造君(大森創造)

    大森創造君 これは柴谷さんとか岩間委員の言うとおりだと思います。本委員会決算委員会であります。そこで何十億とか、何億だかわからない、マル特会計というのは。労働省の方の答弁を私はあてにしていない。会計検査院そのものすら違反されている。そこで岩間委員の言われたように、委員長理事の打合会じゃなくて、本委員会の立場として、国民の立場から明らかにしたい。何で小林章の事件ばっかり追っかけているか、わけわからない。こういう考え方こそ行政官庁あり方として、根幹です。こんなことでは本委員会意味がない。いかに名委員長をいただこうとも、私はこの委員会意味がないと思う。存在の意味がないと思う。だから、理事打合会でなくて、これを当委員会できめてもらいたい。
  65. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) 当委員会の意思で決定してほしいという強い御要望でございますが、従来の慣例もございますので、やはり理事会にはかりまして、ぜひ御期待に沿うように処理いたしたい、かように存じます。     —————————————
  66. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) 委員異動について御報告いたします。  本日、八木一郎君が委員辞任され、その補欠として吉江勝保君が選任されました。     —————————————
  67. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 大蔵大臣お急ぎのようですから、実は昨年の十一月一日に、私、この委員会で国並びに関係機関の、特に高級公務員といわれる人々が公務員宿舎を二重に使用している問題と、退職者が相当長期にわたって占拠をしている問題の指摘をいたしまして、各省並びに関係機関に提出の資料を求めたのであります。その後、私の指摘を契機に、各省庁においてその改善に努力をされているというふうに伺っておったのであります。私もその成り行きを注視をしながら今日に至ったのでありますが、先般の毎日新聞にも大きく取り上げられて、非常に私自身がびっくりしたのでありますが、残念ながら私の期待は裏切られておりまして、具体的な解決のあとが見らておらないようであります。そこで、私に昨年の九月一日現在の資料として提出をしていただきました、私が指摘をしてきたこの問題に対して、きょうでちょうど百七十一日たっておりますから、約半年であります。具体的にどのように改善をされたかですね。大臣は三時までのようでありますから、各省庁お答えをされる方も、簡潔に答えていただきたいと思うんですが、具体的な解決策についてお答えをいただきたい。
  68. 政府委員(松永勇君)(松永勇)

    政府委員(松永勇君) 最初に全般的なことについて御説明申し上げます。本件につきましては、後ほど種々な事情等につきましては御説明申し上げますが、このような事態に対処いたしまして、これが非常に長い、いろんな事情から出てまいっております関係上、関係各省とも協議いたしまして、こういうものに対して、今後の是正措置をいかにすべきかという点を、種々打合会を開いて、今後の対策に処してまいったのでございます。最近の事例で申しますと、先週関係各省の担当課長会議を開きまして、今後、こういうものをいかに是正するかという具体策について、それぞれの各省の事情はあるにせよ、前向きで措置してまいりたいということで協議をいたして、今後その線に沿って前向きで措置してまいりたいということをいたしたわけでございます。現実には各省のそれぞれの担当が、現実の入居者等の事情等を調査し、それとの関係で退去等の措置をとっておるところでございます。
  69. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) それでは、各省から御説明を伺います。村上大蔵省官房長
  70. 政府委員(村上孝太郎君)(村上孝太郎)

    政府委員村上孝太郎君) 大蔵省の、ただいまの御指摘の退職者及び転任の結果生ずる二重宿舎の例がございまして、現在だいぶ住宅事情も緩和してまいりましたけれども、退職者の中には、まだ貸し家の手ごろのものが見つからないとか、あるいは自宅の建築中ということで片づいておらないものも残っております。先生の持っておられる資料の九月一日現在で大蔵省は二十三名の退職者が、まだ公務員宿舎に入っておるという数字が出ておると存じまするが、その中ですでに十二名出ておりまするし、さらにあと二名、近く出る予定のようでございます。ただ、これは退職者が次から次へ起こってまいりますので、これが実際に自分の住宅に適当なものが見つかるまでまた滞留するものもございまして、変動することはありまするけれども、昨年の九月から百六十日くらいの間に約半分はやっと片づけたという事情でございます。  それから、二重宿舎のほうでございまするが、これも御存じのように、最近のように非常に教育が、上級学校への入学がむずかしくなるというふうな時代になってまいりますというと、どうしても高等学校あるいは大学というふうなものに入っております子弟、またその教育管理上、そこに母親が残るということで、父親だけが任地におもむくということで二重宿舎の例も発生するわけでございます。また、あるいは家族の中に病気で動かせないというふうな者がございますというと、それをむげに出ろということも言えませんので、公務員宿舎本来の趣旨から申しますというと、二重に占有するということはおもしろくない傾向かとは存じまするけれども、それもその後いろいろ適当な住宅をさがさせるというふうな措置をとりまして、四十年九月一日現在の十一名という数字からは二名改善をいたしておる、こういう事情でございます。
  71. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 じゃ、各省に聞いていると大臣の御都合が悪いそうですから……。いま大蔵省のお答えがあったのですが、さきに二重宿舎の問題について見解をお聞きいたしますが、これは去年から一貫して、年寄りがいるとか、子供の教育とか、そういうことを理由にして二重宿舎を正当化しているわけじゃないのですけれども、そういう言いわけをしているわけです。ところが実際問題として、地方の、まあ下級公務員と言っちゃ悪いのですけれども、いわゆるあまり高級であらざる公務員、この方は実際に転勤になりますと、無理をしてでも下宿をさせるとか、あるいは親戚のうちに預けるとかいうようなことをして、宿舎をあけて後任者のために譲っていく、こういう実態が現状なんですね。ですから、何十万といる中で、私に出された資料では四十五名です、二重宿舎を使用しているのは。ほんのわずかです。ところがそのほかが、私が指摘をするのは、東京から地方に行って、一年か二年間すると本省に帰ってこられるというような約束をされたような人が、実際問題として二重使用なんです。そして、実際に地方の局長や部長というと、考えも及ばないくらいえらいものですから、実際に各省庁の地方の人は、もちろん局長がそういうことをやっていることについて、たいへん腹立たしくは思っているけれども、口に出しては言えないものです、現状は。これは役人の社会なんだからしようがない——しようがないといっても改めてもらわなくちゃ困るけれども、現実はそうなんですね。それをいいことにしてそういうことをやられて、毎日新聞の指摘をするところによりますと、大蔵大臣の所管の財務局長が、しかもこれは地方における公務員宿舎の監督の責任者ですか管理の責任者ですか、そういう人が三人もいるということについては、これはちょっと全く了解できない。ですから、そういう教育だとか子供だとかという、そういう理屈だけで、特定のそういうえらい人にだけ二重宿舎の特権がずっと慣行として認められるということを、大臣どうお考えになるんですか。
  72. 国務大臣(福田赳夫君)(福田赳夫)

    国務大臣福田赳夫君) 現在は制度的に三倍の料金を払っているということになっておりますが、これは私は終戦後のああいう住宅事情の際のほんとうの臨時緊急の措置だったと思います。もう今日だいぶ改善をされてきておりますから、その考え方自体を一変していいと思います。大蔵省で財務局長が三人もそういう二重住宅というようなことにあることにつきましては、私もできる限りすみやかに清算をいたしたい、その他の問題につきまして前向きで措置に当たりたい、かように考えております。
  73. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 それからほんのわずかの数ですけれども、去年もやっぱり前向きで解決されるということで私にお答えがあった。そうして退職者の問題もかなり以前の段階で取り上げられておりますけれども、依然としてこれが解決をされておらない。ですから、善良な科学技術庁の元事務次官なんというような方は、移られるとこれが美談として新聞記事になるというのは、あたりまえのことをして美談として新聞記事になるということで、大体おかしなところがあるわけですけれども、こういうようなこと、いろいろ各省の方が私のところに来られますけれども、一貫してこのことを言われるのです。ですから、これはもう宿舎の問題じゃなくて人事行政の問題でそれは解決すべきことだろうと思うのですけれども、大蔵大臣が言っておる前向きで解決をされるということは、あと一年くらい見てくれとか何とかいう、そういう意味ですか、早急にこの問題は解決する、そういうことですか。
  74. 国務大臣(福田赳夫君)(福田赳夫)

    国務大臣福田赳夫君) 早急に解決するという意味でございます。
  75. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 大臣の見解はわかりました。  それではこれは大臣の所管になるかどうかちょっとあれなんですが、特にこれは各省庁の本省段階に多いと思います。有料宿舎——局長宿舎も有料ですね、大臣公邸を除いては。この局長宿舎、人呼んでこういうことを言っておるのですよ。女房と子供以外はみんな備品だ、こういうのです。これは各省庁によって違うと思いますが、それはちょっとでたらめのようですね。公務員宿舎で大臣公邸なるものには、これこれこれ等のものは備えつけて無料で貸与するということは法律できまっております。しかし有料宿舎にそんなものを備えつけなければならぬというようなことは書いてないのですけれども、これは全般の問題としてぜひ解決をしていただきたいから、大蔵大臣にお願いするわけですけれども、これも先ほど私が言ったように、備品やそういうものを扱っておるところではたいへん困ったものだと思っておるのですね。はなはだしきに至っては、奥さんが出かけていって、あのじゅうたんがどうだの、あのいすがどうだのと不心得なことを言っておるそうです。しかもやめたら持っていくなんということを言っておる。これは笑いごとじゃなくて現実なんです。ぼくは資料を持っておる。具体的に指摘をいたしますけれども、こういうばかげたことが本省の局長段階で行なわれるということは、私は断じて許せることじゃないと、こう思います。このことはぜひこの機会に改めていただきたい。  それからなかなかまだ、きょうやると改めますというふうな返事だけなんですが、正直者がばかを見ない程度に、これは各省庁局長クラス以上の宿舎の現在の段階における備品その他、全部資料として出していただきたい。テレビを備えつけろ、あれを備えつけろ、たいへんなものらしいですけれども、やはり公務員宿舎法の精神からいって、そういうことは私は許されないと、かように思いますので、大臣の御出席をいただいたのは、ぜひ何回もこういうようなことが決算委員会で取り上げられるということは、今回を限りやめたい、そういうふうに考えておりますから、新聞に出てから閣議での話題にもなった、こういうことを聞いておりますけれども、ぜひ大蔵大臣、これは責任者ですから、おやめになるように取り計らっていただきたいと思うのですが、その点いかがですか。
  76. 政府委員(村上孝太郎君)(村上孝太郎)

    政府委員村上孝太郎君) あまり小さくて大臣御存じないようですから、私からお答え申し上げますが、東京に住んでおります局長の公務員宿舎には、決してそういう例はございませんので、地方の局長の公務員宿舎には、公用の間というのがございまして、これは地方の局長が公にそこで接待をするという、公務に使う部屋として指定されておる応接室というふうなものの中には、家具を備えつけておると、備品として備えつけておるというものはございます。しかし、それを持って帰るという人は、私も寡聞にして聞いたことはございませんので、その点はひとつ誤解ないようにしていただきたいと存じます。
  77. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 大蔵省でそうおっしゃいますですが、私は、名誉もあるだろうと思いますから省の名前も出しませんし、そういうやめた人の名前も出すことを遠慮いたしますけれども、省によっては現実にあるのです。私は地方の局長のことを言っているのじゃない、本省段階であるのですよ。これは各省の官房長担当の方が来ておられるから、局長官房長クラスですからわからないと思いますがね、現実にあるのですよ。ですからあえて私は指摘をするのです。大蔵省でなけりゃたいへんけっこうなことですけれども、そういうことが現実にあるとすると、そういうようなことを先ほどから私が言っているようなことも含めまして、この機会に大蔵大臣として閣議ではかられることもよろしいし、あるいは部下に通達されることもよろしい、この宿舎法の問題について厳正な運営をされるように取り計らっていただきたい、かように思うわけですが、いかがですか。
  78. 国務大臣(福田赳夫君)(福田赳夫)

    国務大臣福田赳夫君) 実情をよく取り調べまして、それに応じまして適正な措置をとるというふうに考えております。
  79. 柴谷要君(柴谷要)

    柴谷要君 関連をして、私一言だけ念を押しておきたいと思う。というのは、最近、国会決算委員会の場で宿舎の問題が非常にうるさくなった。特にこれは社会党がこれを取り上げてやり出したんで、まことにお気の毒だけれどもさっそく立ちのいてもらいたい、こういうふうなことを各官庁が言い出した。どうも社会党けしからぬと、退職したんだからさっそくうちでもつくって出ようと思っているのにすぐ出ろと、こういうことだ。特に社会党がうるさくってどうしようもないものだから早く出ろと、こういうことを言う人があるらしい。これは全く、私は少し社会党を悪用している人じゃないかと、こう思うんです。これはやはり社会党もむちゃを言うわけじゃない。退職をされて、それで退職金によってうちを建てるなり、あるいは適当なところを見つけて引っ越そうと努力している人を、家もないのに出ろと、こういうことを言っているのじゃないのですから、だからひとつ担当者の方は、国会の中で特に社会党がうるさいからなんということを言って、これらの人を無理やりに追い出すような形式をとられることは、これは慎んでもらいたい。これだけは特に念を押しておきたいと思う。大臣、これはひとつ部下の者に、あるいは各省の関係者に十分伝えておいてもらいたいと思う。そうでないと、社会党がどうも国会でうるさくていても立ってもいられない、野宿でもしなきゃならぬというような目にあう、こういうようなことがやや耳に入ってまいりますので、社会党で言うのは、不正な入居者、これを立ちどころに解消しろ、こういうことですから、どうかこの点だけは間違いのないように取り計らっていただきたい、これは念のために申し上げておきたいと思います。
  80. 国務大臣(福田赳夫君)(福田赳夫)

    国務大臣福田赳夫君) まことに情味のあふるるような……、(笑声)そういう配意をもちまして、適正にすみやかに処置いたします。
  81. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 大臣、約束の時間ですから、いま柴谷先生からも話のあった点も含めまして、あれですが、ただ、いま関連をして言いますが、実はこの昨年の十一月の一日に宿舎の問題とあわせて電話の問題を取り上げましたのですがね。これは十二月三十一日付で、四十年来の慣行をやめることになりました。たいへんいいことだと思うのですが、これも私は各省のえらい人からこのごろ恨まれましてね、たいへんなんですよ。よけいなことを言ったから、せっかくやめるのに電話をもらえるどころかみんなだめになった——きょうもいろいろな人に言われましたけれども、これはやはり戦後の公務員の立場、あり方というものをもう少し明確にしておいてもらわなければだめだと思うのですよ。何か長年えらかったから、やめたら電話ぐらいもらえるのはあたりまえだと、こういう考え方があるから、そういうことを言うと思うのですよ。これはもう憲法から始まってずっと給与法に至るまで明らかなんですから、その点が指摘をされたから政府もやめられたわけなんですから、そういう点は特にこのえらい人に対する政府のものの考え方をはっきりしていただくように、あわせましてお願いをして、御退席いただいてけっこうです。
  82. 国務大臣(福田赳夫君)(福田赳夫)

    国務大臣福田赳夫君) どうもありがとうございました。
  83. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 それでは先ほどの続きの各省の御説明を願います。
  84. 説明員(瀬尾類治君)(瀬尾類治)

    説明員(瀬尾類治君) お答えいたします。先ほど竹田先生の御質問でございますが、昨年十一月以降どのように改善したかというお尋ねでございますが、昨年四十年の九月一日現在で、総理府におきましては十五戸でございまして、それが現在十戸になりまして、五戸お返しいたしております。以上でございます。
  85. 政府委員(梅本純正君)(梅本純正)

    政府委員(梅本純正君) 厚生省の関係でございますが、四十年の九月一日現在で三件でございます。で、退職が一件の転任が二件でございますが、転任の二件につきましては、この資料の日付以後、十月一日に家を新築をいたしまして退去いたしましたので、現在のところ一件ずつになっております。この件につきましても、いろいろ任地の関係が、塩原の温泉の奥でございましたり、そういう関係で、いろいろ困難な点もございますので、できるだけ早急に解決をはかりたいというふうに考えております。
  86. 政府委員(大口駿一君)(大口駿一)

    政府委員(大口駿一君) お答えいたします。農林省関係省庁別宿舎で、損害賠償金を支払っておりますものの数は、昨年の九月一日現在で十三名、これは全員退職者でございます。農林省といたしましては、本年の四月現在で調査をいたしましたところ、この十三名のうち約半数がすでに退去をいたしております。もっともまだ数戸残っていることでもございますので、農林省といたしましては、できるだけこの事態を改善をいたすように努力をいたすつもりでございます。
  87. 柴谷要君(柴谷要)

    柴谷要君 十三件のうち半数というのは、六・五か。
  88. 政府委員(大口駿一君)(大口駿一)

    政府委員(大口駿一君) 正確に申しますと、六人がすでに退去をいたしております。
  89. 政府委員(大慈彌嘉久君)(大慈彌嘉久)

    政府委員(大慈彌嘉久君) 通産省関係お答えいたします。昨年提出いたしました資料でごらんいただきますとおりに、退職者が十三件、転勤者が四件、合計十七件でございます。その後の状況でございますが、この十七件のうち七件はすでに退去をいたしておりまして、残りのうち七件が家を目下建築中あるいは家を探しておりまして、近く退去の予定でございます。しかしなお若干残っているわけでございますが、改善につきましては、さらに努力をいたしたいと考えております。
  90. 政府委員(深草克巳君)(深草克巳)

    政府委員(深草克巳君) 運輸省関係は退職者のものが五件でございます。それから転勤による二重使用が二件でございます。で、退職者の五件のうち、三件はすでに解決済みでございまして、残り一件が四月末に家が完成をいたしまして明け渡しをいたします。残りの一件につきましては十月に家が完成をいたしますので、移転いたします。それから二重使用でございますが、これはいずれも土地を購入いたしまして、目下建設に取りかかろうとしている段階でございまして、いずれも本年の十二月末には、両方とも解決の見込みでございます。
  91. 説明員(唐木沢八十雄君)(唐木沢八十雄)

    説明員唐木沢八十雄君) 郵政省関係について申し上げます。昨年の九月一日現在におきまして、総数におきましては六十五件ございましたが、その中で、転勤者で宿舎の明け渡しをしない者が十四件ございまして、その中で転勤先で宿舎を使用していない者が二件ございますので、二重使用は十二件でございます。これにつきましては、現在の段階までにまだ改善しておりませんが、退職者のほうは五十一件でございまして、そのうち二十三件が明け渡しを済みまして、あと二十八件が残っているような状況でございます。これらにつきましては、今後より一そう明け渡しを促進するようにしたいと思っております。
  92. 政府委員(鶴海良一郎君)(鶴海良一郎)

    政府委員鶴海良一郎君) 建設省の模様を申し上げます。昨年の九月一日現在の状況につきましては、資料を御提出いたしましたように、退職後も引き続いて宿舎に入っております者十件、それから死亡後も遺族の方が引き続いて家におるのが二件、それから転任後引き続いて前の宿舎におります者が八件となっております。これらの人の中で現在までに退去した状況でございますが、退職者につきましては十件でございますが、今日までに五件解決いたしております。半数でございます。それから死亡後引き続いておられる遺族の方でございますが、二件のうち半数の一件が解決いたしました。それから転任後も引き続いて従前の宿舎を使っているというのが八件ございましたが、ことしの四月五日までに六件解決いたしまして、現在まだ二件が残っているような状況でございます。
  93. 説明員(宇ノ沢智雄君)(宇ノ沢智雄)

    説明員(宇ノ沢智雄君) 本院といたしましては四十年九月一日現在で、退職してなおかつ六カ月以上住まっております者が二名ございましたが、そのうち一名は四十一年の一月三十日に退去いたしました。残る一名につきましても近く退去予定ということになっております。
  94. 説明員(山口龍夫君)(山口龍夫)

    説明員(山口龍夫君) 御提出いたしました資料に転勤者、退職者合わせまして五名でございます。その退職者につきましてはすでに退去をいたしております。転勤者のうち一名は、四月一ぱいで家屋を新築しているものでございますから、退去する予定になっております。あとの三名につきましても、個別的に解決するように努力を続けている次第でございます。
  95. 説明員(豊原廉次郎君)(豊原廉次郎)

    説明員豊原廉次郎君) 国鉄では昨年の十一月に退職者でなお宿舎にいる者が四名ございましたが、現在は二名退去いたしまして、残りが二名になったのでございます。これもいずれも家屋を建築中でございまして、七月末には退去の予定でございます。なお転勤者で二重に使用をしておりました者が昨年十一月には五名ございましたが、このうち一名は退去をいたしまして、いま四名ございますが、このうち一名は四月末に退去の予定でございます。あとの者も七月には退去するという予定をしております。今後ともこういうことのないように十分に注意をいたしていきたいと考えております。
  96. 説明員(行広清美君)(行広清美)

    説明員(行広清美君) 前回提出いたしましたのは、社宅の二重使用が四件と、退職関係者十三件でございましたが、現在社宅の二重使用につきましては、全部解決済みでございます。退職関係につきましては二件解決しておりまして、なお十一件残っておりますが、今後改善に努力したいと思っております。
  97. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 御説明をいただきまして、大体六割くらいいま残っているということになりますが、これは早急に解決をしていただきたいのですが、そこで国有財産局長にお尋ねしますが、どうも各省は、いま大臣お答えがありましたけれども、宿舎法の条文をまことに都合のよいように解釈をしているように思います。特に法十八条は、ほんとうは二十日以内に出なくちゃいかぬことになっている。それが特別の事由があれば無料宿舎の場合は二カ月、有料宿舎の場合は六カ月たてば出る、これが大原則なんですね。ところが、三倍罰金を払っているからいいのだというような認識でいるようですけれども、これは私は明らかに間違いだと思うのです。ですから、この点は私の見解がそのとおりであればそのとおりだ、それで今後そのように各省庁通達なり何なりされるのかどうかですね、明らかにしていただきたい。
  98. 政府委員(松永勇君)(松永勇)

    政府委員(松永勇君) この点につきましては、竹田先生のおっしゃる趣旨に解しております。先般、先週でございましたか、各省の連絡会議におきましても、その点間違いのないようにということで各省ともよく協議いたしております。現に各省はそういう点については疑義は持ってないことになっております。
  99. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 それから先ほどちょっと触れました、有料宿舎の中に備えつけて置かなければならぬものが、私の指摘したのは非常に極端な、悪い例だと思いますけれども、大体どの程度までが公用部分に備えつけて置かなければならないものとお考えになっているのですか。テレビから何から、これはまああってもそれは応接間だという名目をつければ、テレビを備えつけてもいいわけですから。そんなものはしかしいまだれだって持っているのです。ですから、私がさっき言ったように何でもかんでも備えつける、こういうような認識になっているわけですけれども、そういう点、限界というのはどの程度考えられているのですか。応接間の応接セットとか、そういうものはわかりますけれども、大体先ほど大蔵省の官房長ですか、お答えのあった、本省段階の局長クラスはそういうものはない、地方の局長にはこういうものがある、こういうことなんですが、本省段階の局長クラスでは、そういうもの備えつけるべきではないと理解してよろしいのですか、先ほどのお答えでは。
  100. 政府委員(松永勇君)(松永勇)

    政府委員(松永勇君) この点につきましては、これは公務員宿舎法にそういう規定はございません。ございますのは、いわゆる公邸として定められている十条関係のものでございます。したがいまして、宿舎法から法律上云々というのはいかがかと思います。本来物品としてのそういう物の扱い、すなわち物品管理法の問題であろうかと思いますので、これは本来私の所掌外でございます。しかしながら、まあ私たち事情を見ておりまして、御承知のように公務員宿舎の中に公用の間というものを認められているもの、そういうものでは、そこにおいて公の仕事が行なわれることもございますし、接待等のようなこともございます。まあ主としてこれは地方では、検事正の官舎の宿舎にはそういうものが、公用に使われる例が非常に多かろうと思いますが、そういう公用の間に必要なセット等を置くということは、これはまあ物品管理法の法律のほうの主管省の御意見を聞かなきゃならぬかと思いますけれども、私たちが常識的に見て、そういうものは公式に使われている、また必要があるというもので、常識的にも認められ得るんじゃないかというふうに考えております。東京のそういう局長官舎につきましては、公用の間を認められたる局長も、あるいはあろうかと思いますが、通常は少ない、ないのが多いかと思います。そういうところでは、そういう物品等の持ち込みは通常行なわれてないというふうに承知いたしております。
  101. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 私もそういうふうに理解をいたしたいんです。しかしまあ、現実に本省局長クラスの宿舎にはそういうものが備えつけられて、ちょっと目に余るものが現実の問題として出ている。これは私はたいへん遺憾だと思いますが、これは松永さんの所管外のことですからあれですから、お答えを求めてもできないと思いますので……。現在私も具体的な事実知っていますから、これが資料として出れば、突き合わせれば事は明らかであります。各省の局長クラス以上に限定をいたしますが、本省の、そういうものを備えつけるべき状態の宿舎でないところに、各省が、いま私が指摘をしたようなテレビ等の、あるいは応接セットだの、あるいはいろいろなそういう付属するものを備えつけてある現状について、四月一日現在でよろしいですから、資料として出していただきたいと思います。これはまあちょっとかんべんをいたしません。これは出していただかなければ、いつまでたっても直りませんし、これはもう物品を扱ってるような者は泣いてるんだ。各省の段階で、えらい人の耳に入らないだけです。私は具体的な資料として出していただきたいと思います。これはよろしいですか。
  102. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) ただいまの資料要求に対しまして、御提出を願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  103. 政府委員(松永勇君)(松永勇)

    政府委員(松永勇君) 御趣旨はよくわかるわけでございますが、実は先ほど申し上げましたように、所管としては私のところでないんでございますが、各省からそれはそれぞれ提出しろという御趣旨でございましょうか。
  104. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 そうです。
  105. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) さようでございます。各省ともよろしゅうございますか。たいへんお調べ困難だと思いますけれども、竹田委員のたっての御要望でございます。御提出願いたいと思います。よろしゅうございますか。
  106. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 たって出せないという省がありましたら、ちょっと出していただきたい。——まあ御返事がないようですから、出るものと理解をいたします。  それから今度退職者ですが、先ほど柴谷委員からもお話がありましたが、とりわけ私が指摘をいたしたいのは、相当の高級のお役人、まあいま、本省の局長以上ばかりやり玉に上がって恐縮ですが、大体そういう者が一番悪いからやり玉に上がるわけですが、退官後四年も五年も入って、現に入っている人を私は知っている。しかも傍系会社その他の団体の重役になって相当な高給をもらっている。それにもかかわらず出ない。最近出ましたけれども、この十年も入っておる人がおった。ところがこれはどうも先輩後輩の関係で、どうもおやめになったところに出てくれと言いにくいんだそうです、話を聞いてみると。出た人が言ってるんだから。おれにも言ってくれば出るんだったんだけれども、なかなか言ってこないから、別に好きでやめたわけでないんだ。——局長がですよ。好きでやめたわけじゃない、首になったようなもんだから、ちょっと居すわっておったんだ、そうしたら十年になったんだ、こう言っておる人がおりましたけれども、私は先輩後輩だから、それが慣行だからといって催促もしないというのは、大体おかしいと思う。ところが下級の公務員の人には、これはたとえば郵政省の、あれですね、納入告知書なんというものは、ちゃんと納付目的に宿舎不法占拠による損害賠償金として毎月出るわけです。労働問題で首切ったような人も、裁判の係争中の人でもこういうものが出てくる。ところがこういうものは、在官中は当然その管理に当たった局長級がやめて四年も五年も出ておらないなんというのは、これはまことに遺憾だと思う。こういう事実が、私がいま指摘をしたけれども、うそだというふうに一人ずつ答弁をされたら時間がかかりますから、そういう事実は認められないという省があったら、私のところにはないということだけ言っていただけばいいですけれども、答えがないところは認めたことになるわけですから、そのほうが早いと思うんですがいかがですか。
  107. 政府委員(村上孝太郎君)(村上孝太郎)

    政府委員村上孝太郎君) 大蔵省でございまするが、四年、五年、十年にわたるという者はございませんし、われわれは、先輩でもできるだけ現在の住宅事情の中で出ていただくように努力いたしておりまするので、最長でも二年じゃないかと思っておりますので、私のところにはそういう実例はないと申し上げておきます。
  108. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 これは新聞に出たものだから私があえてやり玉に上げるわけじゃない。建設省で某市の局長に転出した人が、公務員としての資格を失いながら、家族は麹町の宿舎に住んだままで出ていく気配さえもないという記事がありますが、建設省お認めになりますか、これは。
  109. 政府委員(鶴海良一郎君)(鶴海良一郎)

    政府委員鶴海良一郎君) 新聞に出ましたケースでございますが、これは建設省の課長をしておりました者が、三十九年の八月に京都市のほうで要請されまして京都市の計画局長に移ったケースだと思います。これは京都市に移ります場合に、本人は建設省にいたかったのでありますけれども、京都市のたっての要請がありまして、やむを得ず二年間ということで期限を切って、まあいわば派遣をしておるようなかっこうになっております。ことしの八月で二年がまいるわけでございますが、その間子弟の教育等の関係もございまして、東京の官舎に引き続きおるという状況になっております。
  110. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 あれですか、医者の派遣じゃありませんけれども、そういうふうに派遣をするところは、宿舎は入れたまま置いてよろしいんですか。松永さん、そういう扱いでいいんですか。これは大学の、いま千葉医大が問題になっているああいう問題がたくさんあるんですけれども、各省、特に建設、自治、こういうところに多いと思います。そういう地方庁に派遣をしておる、そういう場合というのは宿舎を充てておくんですか。地方庁というのは国家公務員の宿舎よりまだりっぱなのに入っておるのです、向こうに移ったら。いかがですか。
  111. 政府委員(松永勇君)(松永勇)

    政府委員(松永勇君) これは従来派遣人事というのがございまして、公団、公庫等に対して派遣するという場合がございます。この場合は通常、公団、公庫の、たとえば東京で申しますと、東京の役所をある期間、形式は一応退職、そして出向しまして公団に行く。しかしこれはまた本省に、出向でございますから帰ってくるという事例がございます。こういう者につきましては、一応形式的にはなるほど退職ということになっておりますけれども、これはいろんな点から見まして、継続的に扱っても差しつかえないんじゃないかというふうに考えております。関係各省の連絡会議でも、そういうものは常識に従ってそうしたほうがいいんじゃないかということになっております。ただ、いま建設省のお話しになりましたのは、そういう公団、公庫と違った点に、いままでのケースより若干違った点があろうかと思います。こういう面につきましては、建設省御自身もいろいろ検討なさってしかるべき措置をおとりになるのではないかというふうに考えております。
  112. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 これも具体的にお尋ねしていくと時間がかかりますから、先ほどの資料と同じように、四月一日現在で各省庁局長以上で退官退職後宿舎に現に入っていて明け渡しをしておらない人の氏名を、具体的に転出先と、それからなぜ出ないのか、このことを含めまして出していただきたいと思います。これ、よろしいですか。
  113. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) 各省とも資料御提出できますか。
  114. 政府委員(村上孝太郎君)(村上孝太郎)

    政府委員村上孝太郎君) 私のところは、いま先生のお尋ねの、本省の局長をいたしておりまして退官をして他の職に転じられたということで現在公務員宿舎に入っている者の例はないと思っております。ない場合には提出いたしません。
  115. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) ない場合には御提出できないのは当然でございまして、いま竹田君の要求いたしましたのは、現在ある省庁でお出しを願いたいということでございますので、さようお取り計らいを願いたいと思います。
  116. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 退職は、これは大蔵省も十二名先ほどあるということになっておりますがね。これは局長級に限定することがいいか悪いか、これは私もちょっと困るんですが、省によっては部長も局長も同格の人もおって、局長に限定されたばかりに名前が出されなくてうまくいったという場合もあると思いますから、大体局長に準ずるところはみんな出してもらいたい。  それから、これは先ほど来言われましたけれども、子供さんの就学ですね、あるいはお年寄りがいるからということを理由にいろいろあげられましたけれども、これは宿舎の問題とは別に考えるべきだと思うんですが、省によっては、これは子弟寮をつくるようにして今度出すようにしているから、ひとつ了解をしていただきたいということを、私に申し出た人もおりますけれども、そういうようなことが公務員の宿舎を管理される大蔵省として考えられるのですか。特定のこういう人たちだけのお子さんを入れるなんということはいかぬと思うんです。そんな宿舎があるならばおれのところも入れてくれ、上下の身分に差別をして、おまえは局長の子供だから入れる、おまえはだめだ、こういうようなわけには私はいかぬと思うんですが、そういうことは実際問題として可能なのですか、あるいはそういうお考えがあるんですか。
  117. 政府委員(松永勇君)(松永勇)

    政府委員(松永勇君) 子弟寮という問題につきましていまいろいろお話があるのは、国の施設としてではなく、共済組合等においてそういうものをつくろうという話が、一部の省庁にあるやに聞いております。もちろん、こういう問題が全体の公務の能率上必要だというような事態になりますれば、国としてそういう子弟寮を設けるかどうかということを検討しなければならないような事態になろうかと思います。しかし、いずれにしろこれは国の予算を伴う問題でございますので、そういう必要がある際には、予算として国会提出し御承認を得るという事態になろうかと思います。
  118. 竹田現照君(竹田現照)

    ○竹田現照君 その点では大蔵省で私に、私がこういうことを質問することが、大体無理なんだということを言われる人もいるんですよ。ですから、二重使用というものを法を解釈しても認めるような措置もしなければならぬだろう、そういうようなことを言われる人までおったのです。ですから、これはもう全然話にならぬ、そういうことにしておりますけれども、私はこれは具体策はありませんけれども、大蔵省としてもないと思いますが、これはいま理由になっている子供さんの就学とかなんとかということは、何も東京から地方、あるいは地方の県庁所在地からへんぴなところへ行くということとは、全然差別をつける理由にならない理由だと思います。ですから、学生寮とかそういうような問題については、全般の公務員の子弟がそういう恩恵にあずかり得るような措置をひとつ考える場合には考慮していただきたい。共済組合でも何でもいいですが、そういうようにやっていただきたい、そういうふうに思っております。  それから特に私はいろいろな解決策も言われているのですが、公務員のあれではその人の職責に応じて宿舎というものは貸与されているはずなんです。ところが、御主人がいなくなって奥さんや子供が部長や課長でも何でもないにもかかわらず、依然として身分に応じた宿舎を貸与し、はなはだしきはその電話までそのままつけておいて、その電話料まで払っている、そういうのがある。こういうようなことでは私は大体二重使用がいけないわけですから、そういうような措置はこの機会にぜひやめていただきたいし、これからも自分が課長だから女房、子供まで課長になったのだというような、そういう間違った考え方をぜひ改めるように措置していただきたい、かように思います。  最後ですが、それと冒頭にお話しましたように、どうも国有財産の問題は新聞に出たり国会質問をされると、非常にあせっていろいろ飛び回ったり、解決策に奔走されるようでありますけれども、そういうようなことのないように、ひとつ各省庁とも、特に大蔵省関係のところでありますから、厳重にこれから運営をはかっていただきたいということを特に要望いたします。  それからこれは三十八年度の総括の委員会でもありますから申し上げておきますが、会計検査院もいらっしゃるはずですね。私が昨年言っておったことについても、この委員会でいろいろな委員の方が質問をされても、そのまま黙っていますと、ひとつも返事をしてこない、各省庁とも。それで質問した委員はあれであきらめたのだろう、もうこれで終わったのだというような錯覚を持っておられるようですが、毎日新聞に出たから一週間前、各省庁とも協議をされる、それじゃいままで何をやっていたのだということを言いたい。それは触れませんけれども、そういう傾向があります。十一月に私が指摘した中で大手町の逓信博物館の郵政、電電、国際電電、それからNHKの四社の共管にかかる建物の登記問題について触れたところが、電電公社その他では登記をしておらないと財産に困る、東京のどまん中で、とにかくああいうようなものが無登記のままさっぱりわけのわからない形において放置されているのはおかしいじゃないか、これに関連して相澤委員から会計検査院は直ちにこの問題について調査をして、具体的にその解決策について返事をするようにちゃんと言ったところが、いまもって全然その問題について返事がない。郵政省の官房長も一ぺん来たけれども、何が何だかわけのわからぬことを言って帰っていったきりです。ですから、そういうようなことで委員会質問だけで、あとは黙っておればそれで終わったというような考えを持っていただいては困りますから、少なくともこの委員会指摘されたことは、解決するまで全力をあげて誠意をもって解決するという姿勢を持ってこれか対処していただきたい、そういうふうに最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  119. 柴谷要君(柴谷要)

    柴谷要君 厚生省の薬務局長さんにお尋ねをいたしたいと思うのですが、読売新聞に出ております「亭主の健康」という見出しの欄をごらんになっておられますか、おられませんか。この点からひとつお尋ねしたいと思うのです。
  120. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 連載全部につきましては、私、恐縮でございますが、全部は見ておりませんが、関係の部門だけは見ております。
  121. 柴谷要君(柴谷要)

    柴谷要君 局長さん、関係の記事というのはどういう記事でございますか。その点をひとつお聞かせをいただきたい。
  122. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 先生御存じのように私自身薬の問題について仕事をやっておりますので、薬務局の所管の関連記事等については、新聞等の記事を十分読んでおります。
  123. 柴谷要君(柴谷要)

    柴谷要君 それでは薬務関係についてお尋ねをするわけですが、これは新聞記事でしかも見出しが「亭主の健康」、こういうことですから、かなり関心を深めて見ていると思うのです。私自身もこれをずっと出るのを楽しみにしているくらいに見ているわけなんです。そこで薬務局長さんにお尋ねをいたしますのは、ほかでもございませんが、「血管のさびは動脈硬化を引き起こす」という見出しのところに、さびの正体は一体何か、こういうことが出ているわけです。これに対して昭和大学の薬学部長の秋谷七郎さんという方が、動脈硬化の予防方法はお茶がわりに酢を一ぱい飲むことだと言っている。しかも秋谷部長さんの知人が一カ月続けたところ、百八十の血圧が百四十に下がった。これはいわゆる珪酸というものが付着をしておるけれども、これは肉や白米等を多く食べる人に付着するのだそうでありますが、これは塩酸や硝酸には非常に強くてこの珪酸というものは溶けて体内から排出されるということはない。ところがアルカリ性には弱くて、アルカリ性のものを食しまするというと、この珪酸というものは体外に排出されてしまう、こういう見出しが出ておる。そうなってくると、酢を一ぱい飲むことによって血圧が下がる、こういう見出しには血圧の高い人はみんな飛びつくのじゃないか、こう思うのです。しかも友人が一カ月使用したならばそういう結果が出たという新聞記事なんです。これはあなた、このことをこのとおりとお考えにおなりになられますか、それともこの記事は間違いだとお考えになりますか、これをひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  124. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 読売新聞の「亭主の健康」欄で昭和大学の秋谷先生がいろいろ書いておられること存じておるわけでございますが、私どもとしましては、現在の日本の医学、薬学の各分野におきまして、大学の研究機関等に先生方がいろいろ専門の立場から研究なり何なりの結果をいろいろ発表されているわけであります。そういうような発表の中身につきまして、私どもとしましては製薬許可等をやる以前の段階のいろいろな発表もあるわけでございますので、その中身についていろいろ、とやかく役所のほうで内容を議論するということは、いろいろまた別の面からいっても問題があろうかと思うのであります。したがいまして、本件のような問題につきまして、私ども役所の立場においてこの内容をいろいろ批判し、意見を申し上げることはいかがかと、こういうふうに思っているわけであります。ただ、 いま、柴谷先生申されましたように、秋谷先生は御存じのように東大から東京医科歯科大学、そして現在は昭和大学というふうに過去ずっと大学等で研究を続けてきておられるわけでございまして、本件の珪酸の問題におきましてもお伺いしたところ、昭和大学での問題でなくして、むしろ東大在職中からいろいろほかのグループの先生方と共同研究してこの問題を取り扱ってきておられるように聞いておるわけでございます。したがいまして、新聞に掲げられました内容の点につきまして、私どもいろいろ意見を申し上げたり、あるいは内容をとやかく批判申し上げるということは、どうも妥当じゃないんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。ただ、御指摘のように、そういう研究発表の結果が、いろいろの方面にかりにも誤解を招くようなことがありますならば、これはわれわれとしましても十分関心を持たざるを得ないわけであります。そういうような観点から、ただいま先生の御質問に対しては、私どもは受け取っているわけでございます。やはりこういうようないろいろな分野の先生方が、それぞれの専攻分野にわたって研究等の結果を発表し、そして学問の世界でそれをいろいろ学者の問で批判し討議していただくということが、私どもは医学、薬学の進歩に寄与する一つの方法じゃなかろうか、こういうふうにも考えているわけでございます。
  125. 柴谷要君(柴谷要)

    柴谷要君 薬務局長さんの御答弁、まさしくそのとおりだと思うのですが、その新聞を見て、一カ月酢を飲んだら百八十が百四十に血圧が下がったというこの事例ですね。しかもその秋谷先生の友人がこれを実行した、こうなってくると、これに飛びつくのですね。ところが、私も血圧が高いからやってみようかと思って、実は東大の、特に学科は申し上げませんが、東大で有名な科の先生にお尋ねをした。そうしたところが、酢を一カ月一ぱいや二はい飲んで血圧が下がるようなら医者は要りません、こういう返事があった。これは東大だけじゃいかぬと思いましたから、今度は慶応の、相沢先生は慶応の病院長になられましたが、相沢教室の相沢先生にじかに私聞いてみた、これは健康診断もいろいろ見てもらいましたから。そうしたらやはりまさしく同じようなことを言っている。そうなりますと、これは重大な問題じゃないかと思う。一新聞記事ではあるけれども、重大な問題じゃないか。酢を一ぱいお茶がわりに飲んだことによって血圧が下がるのだ——むしろそれよりもその以前の問題が、もっと重大な問題があるのだということを、専門医は言われておるわけです。そういうことになると、これは秋谷先生が言われたからこういうふうに新聞はお書きになったんであろうと思うのですが、こういうことが、私続けて全部切り抜いてございますけれども、これを一体真に受けていいのか悪いのか、これはひとつ明らかに、そういうことはどうも確実に守っちゃいけませんよとか、あるいは、それはおやめになったほうがいいでしょうとか、あるいはやったほうがいいでしょうとか、こういうことをきょうは聞きたいと思って−薬務局長さんというのはそういう方面の権威者と思うからお尋ねするわけなんですが、これはいずれのものでございましょうか、ひとつお聞かせ願いたい。
  126. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 一カ月程度のデータで云々という新聞記事の点でございますが、確かに一般論としまして、一ヵ月程度のデータでどのくらいのことが学問的に判断できるかということは、これは非常にむずかしい問題だろうと思います。おそらく、こういうような学問的な効能、効果の判定等につきましては、相当な研究経過をたどって判断をしなければならない問題であろうと思うのでございます。したがいまして、本件のような場合につきまして、私どもいま、この新聞等の記事だけでこの問題についての権威ある結論を出すということは、とうてい現在のところできないわけでございます。秋谷先生のやっておられます研究の成果、そのデータ等を十分いろいろな角度からしさいに検討しまして、この問題についての結論を出すべき筋合いのものではなかろうか、かように思っているわけでございます。
  127. 柴谷要君(柴谷要)

    柴谷要君 そうしますというと、その前にもう一つだけお尋ねしておきますが、昭和大学薬学部というのは臨床実験をやられておる場所でございますか。
  128. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 私もよく詳細に残念ながら存じ上げておりませんが、昭和大学の中には、医学部と、それから薬学部があるのじゃなかろうかと思っております。それで、薬学部のほうではそういうような臨床実験というのはやってないように承知しております。
  129. 柴谷要君(柴谷要)

    柴谷要君 そうしますというと、これは参考程度にして、つまり、まあ血管の中に付着したコレステロールなり、あるいは珪酸は、いわゆるアルカリ性的なものをとったほうがいい、この程度に新聞欄はとって参考にする程度がよろしいと、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  130. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 私も、残念ながらこのほうの専門家ではございませんので、権威ある答弁ができないわけでございますが、もうちょっと、この問題についてはいろいろな角度から検討をしなければ簡単に結論を出す問題ではないと思っておりますが、ただ、私ども寡聞ではございますが、ここに書いてありますように、動脈硬化等に珪酸というものが一つの有力な原因となっているということは、大体医学の世界においては一般的に言われているように承知しております。
  131. 柴谷要君(柴谷要)

    柴谷要君 これは、うがったことを言うようなことですけれども、秋谷先生のような権威のある人が、酢を一ぱい飲めば血圧が下がるということを言っただけでも、酢の売れ方が違うのだそうですね、日本全国では。どうです、ある程度の年齢に達した人が酢を一日に午前と午後に杯で二はいぐらいずつ飲むことによって、たいへんな量なんだそうですよ。そうすると、この酢の製造会社のもうけというのは膨大なものだそうですね、これはうがった考え方。だから、権威ある人は言うことは非常に慎重でなければならぬということを某名医が言われた。某大学の先生が言われた。そのくらいなんですけれども、それがために、実は業務局長さんのような権威ある方にお尋ねしておくことがいいと思いまして、実はお尋ねしたわけなんですが、参考程度に聞いておくということにしまして、まあ、このあと黒柳先生が長い御質問があるようですから、時間も制限されておりますから、私これで打ち切りたいと思いますが、いずれまた、この問題は別の段階でお尋ねをしたいということできょうは終わっておきます。
  132. 木内四郎君(木内四郎)

    ○木内四郎君 関連して。局長さん、結局、こういう記事などに対しては、あなた方多少読まれれば、関心は持たれるけれども、それを取り締まるとか、それに対して意見を厚生省として述べるというようなことはできないということですね。たとえば、これは薬だけれども、たとえば、ここにこうすればきれいになって美人になるというのを、盛んにテレビなんかでやっているのも、それと似たようなことだと思うのですが、そういうことについては、薬務局長さんなんかは、それを見たり聞いたりすれば、関心は持つけれども、それを取り締まる立場におらないということですね。
  133. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 先ほども申し上げましたように、学問の段階でいろいろな研究論文等を発表し、また、いろいろな御意見を学者の方がそれぞれの分野で発表されているわけでございます。そういうような問題につきまして、私ども役所の立場においてその内容をいろいろ批判したり取り上げたりするということは、私どもはいかがなものであろうかと、かように考えているわけでございますので、ただ、先ほど申し上げましたように、非常に誤解を招くような御意見がかりにもあったり、あるいは全然事実に反するようなことがあったりするようなことは、やっぱし学者の良識の問題として、ひとつそういう点は十分お考えを願いたいというのが私ども考え方でございます。
  134. 木内四郎君(木内四郎)

    ○木内四郎君 まあ良識の問題という、識のある人はあるが、識のない人はもうしようがないということですね。それはそれとして、いまの酢の問題だけれども、テレビあたりでよくやっていますね、こうやればここがきれいになったりなどするというようなことを言って盛んに宣伝しています。そうして、ときどきはそれをつけたらふくれあがったというようなことも伝えられておるのだけれども、そういう化粧品とか薬品とか、そういうものを売り出すことの認可、許可というものはあなたの手中にあるわけですね。ただ一たび許可を得れば、どんな宣伝をしてもかまわないという、有識者はしようがないけれども、識のない人はだまされてもしようがないような宣伝をしても、あなたのほうはそれを取り締まる立場にはおらないということですか。
  135. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 一般的に医薬品、化粧品を含めての問題としまして、厚生大臣のほうで承認をいたしました医薬品等の問題につきましては、承認事項に記載があるような広告のしかたをやっていただくということが当然でございます。ただ、本件のような場合は、これはいわゆる厚生大臣との関係において法律上の関係がまだできていない、いわゆる学問の世界の研究成果の発表に基づく新聞記事だろうと思っております。こういう問題については、先ほど来申し上げておりますように、私どもとしては役所の立場でいろいろ申し上げるということはいかがなものだろうかと、こういうふうに考えております。それで結論的に申し上げますと、私どものほうで厚生大臣の製造承認なり許可をもらった医薬品等につきましては、いわばそういう国の立場において正式な法律関係に入ったわけでございますので、そういうような医薬品等について、いわゆる虚偽なり誇大広告をするということは法律上禁止されております。そういう問題につきましては、私ども十分法律の関係に基づきまして適正な規制を加えていく、こういうことでございます。
  136. 木内四郎君(木内四郎)

    ○木内四郎君 そうすると、たとえば酢ならば酢というものは、これは売ってもいい商品ですね、あるAならばAという商品は売ってもいい、BならばBという売薬は売ってもいいという許可をされると、それは、それを売るために学者を使おうが、テレビを使おうが、ラジオを使おうが、どういう方法をとろうと、宣伝をじゃんじゃんじゃんじゃんやることについては、あなた方はもう関心はないし−関心はあるかもしらぬが、取り締まる立場にはおらないですね。
  137. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 先ほどややことばが足りませんでしたのですが、たとえば医薬品の問題につきまして、厚生大臣の製造承認をもらわない以前の段階におきまして、特定の医薬品を医薬品として宣伝したり販売したりすることは、これは法律上許されておりません。したがいまして、そういうようなものにつきましては、当然無許可医薬品というような見地から、法律に基づきまして取り締まりをやっているわけでございます。で、それは医薬品とか、そういう法律の根拠のある特定のもの、こういうものについてだけ私どもはそういう取り締まりをやっておるわけでございます。
  138. 木内四郎君(木内四郎)

    ○木内四郎君 あまり長く質問しませんが、これは許可のないものはもちろんいかぬが、許可が一たびあったものは、かりにも、あなたのほうの薬だけだろうけれども、厚生省では、食料品は酢でもその他でも、みなこれ厚生省で監督している。一たび許可を得たものは、その売るためには、もう学者を使おうが、テレビを使おうが、何を使おうが、もうできるだけ売れるようにやることについては、あなたのほうはもう関心は持っても、取り締まる立場にはおらないのですね。
  139. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 事、医薬品につきまして私ども所管しておりますが、たとえば医薬品につきまして許可をもらったあとの段階において、いろいろな宣伝なり広告をすることは一向差しつかえないわけでございますが、ただ、その宣伝なり広告が、許可をもらった中身と違ったり、あるいは、いわゆる虚偽の広告なり宣伝をしたり、あるいは誇大な広告等をしたりするというようなことは、法律上許されておりませんので、そういうような事実は法律に基づきまして規制をしている、こういうわけでございます。
  140. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 時間がおそくなりましたので、端的に質問し、答えも簡単に手っ取り早くお答え願いたいと思います。  私が二月の初めの本委員会におきまして、第四点として、パブロン、テルミックス、リポビタン、アスパラ等、これらの薬品について、申請、それから認可に至るまでの関係資料の提出を一資料要求を求めたわけですが、 いまに至っても一ここに青写真で医薬品の製造承認に関する経過と、この簡単な資料は来ておりますが、資料は膨大になるから、あるいは公開をはばかりたいと、こういう理由で資料提出ができないと、こういうことなんですが、何か厚生省の態度が誠意がないように思えるわけですが、この点の事情ですね、どういうふうになっておりますか。
  141. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) ただいま黒柳先生の御意見のように、いろいろなデータの御要求をいただいたわけでございます。で、私どもとしましては、できるだけ私どもの判断で公表してもいいような資料については、一応正式に国会のほうにお出しいたしたわけでございます。ただ、御要求のありました資料の中で、一部私どもとして公表を避けたほうがいいというようなデータがございますので、そういうようなデータ以外のものにつきましては、国会のほうに正式に御提出をいたしたわけでございます。で、黒柳先生もただいま申されましたように、まだ一部の資料が提出をしていないわけでございますが、私どもとしましては、できるだけ国会等でこの問題を正式に取り上げていただいて、そうして専門の立場から御審議を願うというような意味合いにおきまして、できるだけの資料を御提出申し上げたいわけであります。で、たとえば臨床データ等について黒柳先生非常に強く御要望があるわけでございますが、この臨床データにつきましては、非常に膨大な臨床データが特定の品目については出されているわけでございます。そういうようなデータを全部差し上げるということもどうかと思いますので、きょう現在、まだ国会のほうに御提出していない分につきましては、いまその抜粋を作成中でございますので、国会のほうに提出できます資料につきましては、あとちょっとの時間をかしていただければ、できる限り提出をいたしたい、かように存じ上げております。
  142. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 ただいま公開できないデータがある、こういうふうにおっしゃいましたわけですが、そのデータはどんなデータが公開できないのがございますのですか。
  143. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) たとえば製薬許可の中身としましては、いろいろ特許とか——国内の特許とか、あるいは外国の特許等に触れる問題も間々あるわけでございます。したがいまして、そういうような問題は、やはりそれぞれの製薬メーカーの営業上の一つの政策の問題につながるわけでございますので、そういう問題につきまして、私ども役所の立場においてこれを公表することはいかがなものであろうか、こういうようなことを考えているわけでございます。ただ、そういうようないろいろ公表できないようなもの以外のデータにつきましては、若干提出がおくれて非常に申しわけなく思っておりますが、できる限り私どもの判断で臨床データ等については提出できるものは、あとしばらくの時間をかしていただければ提出いたしたい、かように存じ上げておるわけでございます。
  144. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 薬の問題ですし、しばしば新薬が人体に害を及ぼして問題になった例も多いわけですが、いまもう世間の焦点の的になっておりまして、企業の利潤の追求が大事か、あるいは人命の尊重が大事か、こういう面になってきますと、非常にそういう秘密主義——公開できないというものがあること自体が問題があるんじゃないか、こう思うわけですから、先日の人事の問題にせよ、あるいは、そういう秘密主議にせよ、ない腹をさぐられるような審議会のメンバーと学閥との関係、あるいは医者と学閥との関係、厚生大臣はそんなばかなことはないとおっしゃっても、そういうことは何かありそうな、そういう疑惑を起こさせる、こういうことがあったら、非常にうまくないと思う。私が要求した資料は、認可申請会社提出資料の内容、それから種類別の実験責任者の氏名、実験の試験官、動物実験及び臨床実験の対照観察の件数、審議した関係者の氏名及び年月日、こういうことについて資料提出を要求したわけです。というのは、こういうことを、たとえば実験者がだれであったか、審議したメンバーはだれであるか、この前、厚生大臣は、特別審議官は五十名ですか、それからあと審議官は二百五十名から三百名で、三十三部門に分かれる、こういういうような一ですから、決して一人や二人の天下り人事があっても、そういう不正な認可というようなことはでき得ない、こういうような発言をされましたけれども、あのときは、私は時間がなかったのですが、ところが、三十三部門に分かれれば、ごく少数の人で審議されるわけです。ですから、聞くところによると、製薬会社が関係の大学の教授に頭を下げて、しかるべきものを持って行けば医薬の認可はすぐできる、こういうように、小説家が書いたり、あるいは世間のうわさも飛ぶようになるわけです。また、それが事実であると、こういうふうにも言われておりますし、また、そういう事実があること自体も——その確実な例も幾つか知っておりますが、ですから少なくともこういう関係者の名前、そういう名前をたどって、今度は審議会のメンバーとどういう関係があるか、あるいは大学の教授とはどういうような関係があるか、医薬品を認可した人と製薬会社との関係、あるいは審議会のメンバーとの関係、こういう点をたどって追及していきませんと、厚生大臣が言ったように、だいじょうぶだからまかしてくれ、こういうふうに言われても、次から次に疑惑の点が出てきてはうまくないと思う。ですから、実験に立ち会った試験官、あるいは実験責任者の氏名、あるいは審議した人の名前、そういう関係性をたどって、ないにこしたことはないのですが、もしそういう関係性から非常に疑惑を持たれるような点が起きたら、それ自体また追及をし、是正するところは是正していかなければならない、このように思うのですが、これだけの範囲の資料だけでも、公開をはばむ面がございますでしょうか、どうでしょうか。
  145. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 御要望のデータにつきましては、先ほども申し上げましたように、公開をはばかるような資料以外は全部私どもできるだけのことをいたしまして提出をいたしたいと、こういうことを考えているわけであります。現在そのデータをいま作成中でございます。あとちょっとの時間をかしていただきたいと思います。  ただ、御要望の中に、たとえば動物実験の責任者、あるいは動物実験をやった試験官等の名前の御要望がございましたが、それは実は動物実験なら動物実験をやるにつきましては、それぞれの大学等の研究室等におきまして、教授以下、助教授、講師、助手、副手等を通じまして、相当たくさんの人が関与しているはずでございます。そういうようなデータは実は私どものほうにはもらっていないわけでございまして、私どものほうには、その実験の最高責任者という、たとえばその大学の主任教授あるいはそれ以外の教授あるいは助教授、そういうような最高の責任者の方だけが、私どものほうに報告がなされているわけでございます。その最高責任者のもとにおいて、どのような人が何人ほど、動物実験なら動物実験に関与したかということは、ちょっと私どものほうにはわかりかねるわけでございますので、そういうようなデータにつきましては、いま直ちに資料の提出はちょっと不可能じゃないか、こういうふうに考えております。   〔委員長退席、理事鶴園哲夫君着席〕 それ以外のデータにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ早く御提出を申し上げたいと、こういうふうに考えております。
  146. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 当然、動物実験一つの実験でも、教授以下相当の人がいます。それを全部出せなんということは常識で考えられません。責任の教授がだれであるか、あるいは資料提出についても、もうまるまる二ヵ月半かかっているわけです。この間、はたしてどの程度誠意を持って資料を集めていただいたのか。いままで集められなかったものをこれからすぐ集めると、こういうようなことではちょっと誠意がないんじゃないか。私は冒頭に申し上げたのですが、また資料が集まったものが一時にばっと出てくる、何も一時に必要だと、こういうのじゃないと思います。出てきたものから一つ一ついただけば、それによってこちらも徐徐に検討もしていきたい、こういうのが簡単ですし、また、一ぺんに集め、また一ぺんにこっちにもらったとしても非常にたいへんなわけです。ですから、徐々に資料集まり次第いただきたいし、また、そういうメンバーが多いときには、臨機応変に適当にしていただきたい、こういうような臨機応変の措置は当然とれるわけです。ただ、あまりにも資料の提出の期間が長いものですから、特にいま言いましたような薬は、世間で話題になった薬、販売が禁止になった薬、また、非常に問題がある薬ですから、ですからそういう点に対しての資料を出し渋っているというのも、これもまた非常に疑問があるわけなんです。こういうことなんです。よろしいでしょうか。
  147. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 弁明いたすわけでございませんが、決して資料を出し渋っているわけでございませんので、いろいろ私どものほうで内部的にも検討いたしまして、先生方におわかりやすいようなデータをつくって差し上げたいというような趣旨で、その資料を現在できたものからぽつりぽつり国会のほうに提出をしているわけでございます。現在まだ作成中の資料もございますので、できるだけ早い機会に出し得るものはすべて出すようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  148. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 私は、いただいたこの断片的な資料の中で、パブロンとテルミックスとリポビタン、これは臨床実験の働きがないままに認可になっているのですが、この理由はどういうわけでしょう。
  149. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 医薬品というものの中には、先生御存じのように、いわゆる新医薬品と世間で言われているものと、そうでないものとがあるわけでございまして、現在私どものほうで毎年毎年そういうような新しい医薬品と、そうでないものとを含めまして、厚生大臣として製造の承認をいたしておりますのは、大体年間五千件から六千件程度ございます。そのうちで新医薬品と言われているものがあるわけでございますが、こういう新しい医薬品、国内でまだ全然承認になっていない、あるいは外国でも全然まだ承認になっていないというような新しい医薬品につきましては、これは御存じのように、製薬許可というものは非常に慎重にあらゆる角度からやらなければならぬわけでございまして、そういうものについては、従来から厳重なる資料の提出を願って審査をいたしておるわけでございます。ただ、それ以外の、新医薬品以外の医薬品というものが相当数があるわけでございますが、これはたとえばそういうような新医薬品、新しい医薬品以外の医薬品につきましては、その有効成分というものがすでに十分もう学問的に究明されている、あるいは薬理作用なり毒性なり効能効果というものがすでに学問的にも究明され、長年にわたってもう使用されているというようなものがあるわけでございます。そういうようなものは当然大部分、先生御存じのように、日本薬局方というようなものに収載されている有効成分のものが大部分でございますが、そういうような日本薬局方等にすでに収載されている有効成分を持っている医薬品につきましては、   〔理事鶴園哲夫君退席、委員長着席〕 従来からこまかな臨床データというようなものは提出をさしていないわけでございます。そういうような新医薬品以外の医薬品については、すでに長年使用されている、すでにそういうようなものの毒性なり、薬理作用なり、そういうものも十分学問の世界においても究明し尽くされているというようなものでございますので、そういうようなたぐいのものにつきましては、従来からいわゆる臨床データというものの提出をさしていないわけでございます。で、いまお尋ねの強力パブロンとかテルミックスとかいうようなものにつきましては、私いま後段で申し上げましたような新しい医薬品というものじゃなくて、従来からすでにあったというような医薬品でございます。その有効成分といわれるものは、すでに日本薬局方に収載されているというようなたぐいの医薬品でございますので、そういうものにつきましては、詳細なデータというものをあらためてメーカーのほうから提出をさしていない、こういうような事情になっているわけでございます。
  150. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 いまのお話ですと、個々の成分はすでにもう認可済みだと、毒性がないと、こういうことで認可されている。その個々の認可されているものを二つ三つ四つ集めてそれを人体に入れたときですね、普通の化学実験にしたったって、非常に違った反応を起こすわけです。まして、一つ一つの成分が毒性がない、認可されているといっても、薬ですから、非常に化学的に微妙な変化を人体に入ったときに及ぼすのじゃないか、こういうふうにこれは考えるのは常識じゃないかと思うのですけれども、その点いかがでしょう。
  151. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 御指摘のとおりでございます。たとえ、その成分が日本薬局方に収載されているものでありましても、それが二つなり三つなりまぜ合わせ配合されまして別の新しい製剤になるということがあるわけでございます。そういうような場合は、そこに一定の薬理作用というようなものが新しく出てくるわけでございます。そういうようなものにつきましては、私先ほど申し上げませんでしたが、私どものほうで判断いたしまして、どうもそこに新しい作用がある、まあわれわれ薬学の世界においては相乗作用とか相加作用とかいうふうに申し上げておるわけでありますが、そういうようなものにつきまして私どもの審査で疑問があったり、あるいは学者の先生方の御意見でいろいろデータが新しく必要だという場合におきましては、いま先生指摘のように、新しくデータを取り直すとか、あるいは、もう一回実験を追加して、追試をやらせるというような、そういうようなことをやって、製薬の許可をやらしているわけでございます。私先ほど申し上げましたのは、一般論的に申し上げたわけでございますが、その点を十分考えながら、そういうような新しい副作用が出てきたとか、あるいは相乗作用、相加作用というものが新しく出てきたというような場合は、十分そういうデータを新しく取り直すとか、あるいは実験を追加させるとかいうようなことを片一方においてやっている。それからもう一つ、どうしてもわれわれのほうで判断がつかないというような場合は、薬事審議会等にもう一回十分御相談を申し上げまして、薬事審議会等の御意見でいろいろ追加の試験をやれとか、あるいはデータを新しく取り直せというような、そういうような厳重な審査をいたしておるわけでございます。
  152. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 そうすると、いまのパブロンやテルミックスやなんかの場合はどういうふうになるわけですか。個々の成分の認可されている、その認可されているものをすぐ新薬として販売すると、これは非常に危険じゃないかと思うのです。どうでしょう。
  153. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 強力パブロンとかテルミックスと言われているものは、先生御存じのように、解熱、鎮痛剤、いわゆる世間で言いますかぜ薬というふうに俗称言われているわけでございます。こういうかぜ薬等につきましては、もうすでにわが国において長年にわたって広く家庭薬等に使用をされているわけでございまして、そういうようないわゆる未知の分野の新しい医薬価ではございませんので、当然そういうようなものがかりにまぜ合わされましても、その薬理作用なり、毒性なり、効能効果というものはもうすでに学問的に十分承知の上で今日まで来ているわけでございます。したがいまして、特にこのようなかぜ薬の中に入る解熱、鎮痛剤について、私どもは特に新たにデータを取り寄せるというような必要性はない、こういう判断で当時許可をいたしたわけでございます。
  154. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 長年その個々の成分については——何回も繰り返すようですが、毒性はないにしても、いまここで問題になっているのは、個々の成分がミックスされた場合に人体に害を及ぼすような新薬になってあらわれる。現にこれはもう承知のように、パブロンでも、テルミックスにしても、販売禁止になっているわけです。その点が非常にいまの認可制度が問題があるんじゃないか、こういう点を私は言いたいわけです。  それから。ハブロンアンプルにしても、三十九年の十一月二十日に製造が禁止になっていると、こういうデータが出ている。ところが、何ですか、また三十九年の十一月二十日には認可になって、また四十年十一月十五日に製造販売禁止になっている。要するに、ここらあたりが非常におかしいと思うのですよ。製造禁止の年月日に、今度はまたちょっと多少成分を変えたからといって、すぐ同じ日にちに販売が許可になっている。その許可になったものが、またさらに一年たった後に販売禁止になっている。そうなりますと、さっきも言いましたように、厚生大臣が、この新薬の認可の審議会というのが、これはもうだいじょうぶだと言われたところで、このパブロン一つとってみても、非常に問題がある。個々の成分はだいじょうぶだと、いままでにおいても経験においてもだいじょうぶだ、ところが、それをミックスした場合には非常な微妙な影響が起こる。これはもう私は、東大、昭和医大、慶応へ行って教授に聞きましたが、そのとおりだと、こう言うのです。この二つ以上の楽がミックスされれば、いままで以上に安全性が少なくなる。化学作用を起こす。それを個々の成分がいいからといって、新薬の場合には、それをミックスして新薬として臨床実験をしないで売り出す場合は危険だ、パブロンさえ、その例があるじゃないか。しかも、このパブロンの場合には、許可を廃止したのが三十九年十一月二十日、またそれを許可したのが十一月二十日、廃止した同じ日にちにまた販売許可している。その許可した理由は何かというと、多少成分を変えたからだと、こういうわけだと思うんですけれども、しかも、それが一年後にはまた御承知のように、非常に害があって認可が廃止になっている。ここらあたりの過程が非常に疑問だ、審議、認可の過程において。どうでしょうか、この点。
  155. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 強力パブロンアンプル等のいわゆる昨年事故を起こしましたと言われているかぜ薬につきましては、これは先生ただいま御指摘のように、個々の成分がまぜ合ってその結果あのようなことになったということよりも、当時、昨年の四十年のあの事故が起きた直後、薬事審議会のほうから答申がございましたように、こういう強力パブロンアンプル等の一連のものは剤型が、アンプルという剤型に問題があるのだという答申になって、学者の先生の一致した意見をいただいているわけでございます。つまり、アンプルという剤型があのようなことの作用を及ぼしたのだということになっております。アンプル剤型というのは、ほかの錠剤なり粉末なり、そのような他の剤型のかぜ薬に比べまして、吸収速度というものが早かったり、あるいは血中濃度というものが非常に多くなるというようなことで、その毒性の発現というもの、発現作用が強いということから、あのような答申をいただいたわけでございます。決してまぜ合わした結果がどうということよりも、そのアンプルという剤型がこの毒性の発現を強めているという結論でございます。でありますので、私どもはこのようなかぜ薬については、従来から富山その他の配置家庭薬としてもかぜ薬が売られて今日まで使用されているわけでございます。そういうような配置家庭用の薬にも、いまのパブロンアンプルの成分として含まれているような成分が入っているわけでございます。そのような成分よりも、むしろアンプルという剤型そのものに問題があったのだということで、あのような結論を出していただいたわけでございます。私どもとしましては、今後ともそのような点からしまして、製薬許可は十分慎重にやっていきたいと思いますが、できるだけ私どもも、先生方の御意見を十分拝聴いたしまして、個々の製薬許可にあたっては、どうしても慎重の上に慎重を重ねて、いままでデータもとっていなかった分につきましても、今後はちょっとでも内容が疑問が出てくるというようなものにつきましては、そこらあたりを十分慎重にやっていくようにやっていきたい、かように考えているわけでございます。
  156. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 富山の薬も確かに信用できるんですが、もうそういう時代でなくて、より科学的により安全性を保った薬というものを販売しなければならぬ、こう思うわけですが、そうすると、認可した年月日と廃止の年月日がそういうふうに同じというのはどういうんでしょう。あるいはまた、アンプル剤型それ自体が悪い、これはかぜ薬に限られるのか。アンプル剤型はまだ相当あります。そのアンプル剤型についての学者の意見はどうなのか、そこら辺いかがでしょう。
  157. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 確かに解熱、鎮痛剤と言われる分野の医薬品につきましては、アンプル剤型というものが、先ほど申しましたような毒性の発現を強める作用を強く持っておりますので、そういうものについては、あの昨年の問題が起きて以来、アンプル剤型というものを今後製造、市販しないように指導をしまして、現在それは確実に実行されている、こういうことでございます。
  158. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 もう一つ、パブロンの廃止と認可の日付の点……。
  159. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 担当の製薬課長がおりますので、製薬課長から答弁させます。
  160. 説明員(豊田勤治君)(豊田勤治)

    説明員(豊田勤治君) 製薬許可にあたりましては、最初とった成分をさらに変更してまいります場合がございますが、成分の変更は新薬として——新薬というのは、ことばがややこしいのでございますが、新しい薬として取り扱うことになっておりますので、この場合、すでにアンプル事件が社会的にいろいろ問題になりまして、そして、すでに廃止するというようなことを中央薬事審議会の答申に基づきましてやった関係上、廃止の月日と同日付で許可したということがあり得るわけでございます。
  161. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 ちょっとはっきりわからなかったのですけれども、もう一度。製造廃止の年月日が三十九年十一月二十日。また同じかどうかわかりませんが、パブロンを販売許可した認証年月日が三十九年十一月二十日。同日で製造禁止して、同日でまた製造を認可している。この理由がわからないのですが。
  162. 説明員(豊田勤治君)(豊田勤治)

    説明員(豊田勤治君) 従来からとっております品目を一度廃止いたしまして、そして新しい品目をつくります場合に、それ以前に新しい処方のものを申請してくるわけでございます。そして、それを許可するということになりますので、同一の日付はあり得るということになります。
  163. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 そうすると、このパブロンというものは、いつのときか廃止しなければならない、こういう方向に進んでいたわけですか、相当前に。
  164. 説明員(豊田勤治君)(豊田勤治)

    説明員(豊田勤治君) はい。
  165. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 それは確かに毒性があると、こういうことを断定し、あるいは断定の方向に向かっていた時点がある、こういうわけですか。
  166. 説明員(豊田勤治君)(豊田勤治)

    説明員(豊田勤治君) それは、昨年の二月に例のアンプル事件の死亡事故等が続発いたしまして、そして中央薬事審議会に厚生大臣が諮問いたしまして、その答申が大体固まってまいりまして、そして廃止するという方向に進んでおったのでございます。
  167. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 昨年の二月というと四十年二月。これは三十九年十一月だよ。四十年二月じゃなくて、三十九年の二月でしょう、廃止になる以前の……。
  168. 説明員(豊田勤治君)(豊田勤治)

    説明員(豊田勤治君) 薬事法の十八条に、医薬品の「製造業者は、当該製造所において製造する品目を変更し、又は追加しようとするときは、厚生大臣の許可を受けなければならない。」ということがございまして、先ほど私が申しました品目の変更によりまして、三十九年の十一月に廃止したわけでございます。十八条に基づきまして廃止したということです。この時点におきましては、先ほど私少し誤解しておりまして、四十年度ではございません。アンプル事件はないときでございます。
  169. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 ですから、アンプル事件が起こる以前に、もうパブロンというのは毒性がある、人体に害がある、そういう時点がいつかあって、それに対して何とか改善の方向に向かっていたんですか、こういう質問ですけれども
  170. 説明員(豊田勤治君)(豊田勤治)

    説明員(豊田勤治君) その事実はございませんで、実は当該会社から調合変更のために書類が出ておって、それで、以前のやつを十八条に基づいて廃止したということでございます。
  171. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 そうすると、こういう例は、このパブロンに限らず、もう相当例はあるわけですか。
  172. 説明員(豊田勤治君)(豊田勤治)

    説明員(豊田勤治君) ございます。
  173. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 その結果として、二月にあの事件が起こってから製造、販売禁止、こうなったわけですけれども、二段階においてその審議がされているわけですよ。先ほど局長が言いましたように、アンプル剤型がいけない、こういうことになったのは、これはたしか初めのときですか、あとのときですか、まあ、どっちにせよ、そのアンプル剤型がだめだ、こういう学者の意見なわけでしょう。にもかかわらず、またアンプルが使われて人体に害を及ぼすので製造を禁止された、こういうような過程があるわけです。  そこで、ここで一つの事件の例をあげて私が言いたいことは、これは政務次官にお尋ねするわけですが、医薬分業のアメリカにせよ、毒性センターというものをつくって、薬に対して非常に注意を払って毒性を研究した上で売る、こういうセンターがあるわけです。また、臨床実験はもちろん、対照実験を経て、それで薬の認可を与えているわけです。これは私この前の本委員会でその点を追及したわけです。そういう意思はないのか。一ぺんにやれと言っても、これはたいへんだと思いますけれども、ともかく非常に新薬が出回る。それに対しての害も多い。また、後進国と言いながら、その認可制度、審議会の内容というものは非常に不備もあるし、また疑惑も多い。そういうようなことを一掃するために、ともふく人体に害を及ぼし、あるいは人体に影響するものですから、何らかの措置を——アメリカにまねるということじゃない。外交問題だけ追随外交でなくて、こういうところこそ、ほんとうにまねて毒性センターをつくるとか、あるいは対照実験をやらなければだめだとか、あるいは、こういう臨床実験はもちろん、こういう個々の成分が認可されている新薬に対しても、必ず臨床実験を行なって、その上で販売許可をしなければならぬ、こういう一貫した医薬に対しての行政がないと、これは非常に危険じゃないか、こういうふうに思うわけですよ。いま、アンプルの剤型自体がうまくない、害が起こったから販売禁止、ただし、これはかぜの解熱剤だけの問題だ、こうおっしゃいましたけれども、それならば、解熱剤じゃなくて、栄養剤に弊害がないか、こうなりますと、これは非常に問題だと思うのです。まだまだアンプルの剤型のものは出回っております。認可制度、あるいは、あれに対して審議会のどの程度の審議を経て、どの程度の実験を経て販売されているか、その内容、これは非常に問題です。これから資料が出てきますので、これをしかるべきところにあれして検討しようと思うのですけれども、これはもう問題が出てくることはさまっています。この次にその点を指摘したいと思いますが、いま私が言いました一連のこういう不備、それを知っている者は、薬というものに対してまず脅威を感ずるのじゃないか。こういうようないまの制度に対して、何か手を打っていかなければ——この次にまた起こったときにまたそれを販売禁止すればいいんだ、こういうようなことじゃうまくない、こう思うのですが、これに対して御意見はどうでしょうか。
  174. 政府委員(佐々木義武君)(佐々木義武)

    政府委員佐々木義武君) 薬品の毒性の問題が出てまいりましたので、これに対しまして国としてどういう一体措置をとるべきかという問題ですが、私は、先ほど来お話がございましたように、いままでの審議の手続問題だけではやはり不十分でありまして、ただいま御指摘がありましたように、その審議の内容の裏づけになるような科学的な分析と申しますか、そういうものがあってしかるべきものだと思います。もちろん、民間の薬品会社等におきまして膨大な研究所がございまして、真剣に毒性研究をしてから製造をするわけでありますが、さればといって、国自体がそれでよかろうというわけにもまいりませんので、現在考えておりますが、付属機関としてあります国立衛生試験所の毒性部を拡張いたしまして、その毒性部でそういう点の審議を十分してから許可その他の手続をするというような行き方のほうが妥当じゃなかろうかというふうに考えております。
  175. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) 政務次官から御答弁申し上げましたとおりでございますが、若干補足さしていただきます。  確かに黒柳先生従来から御指摘のように、医薬品の製造許可について、われわれ担当者といたしまして、細心の留意をして、厳正なる製造承認という事務を取り運ばなければならぬことは当然であるわけであります。そういうような観点から、私どもも従来からいろいろ努力をしてきているわけでございますが、ただいま御指摘のように、毒性センターというような構想につきまして、実は私どもも数年前からそういうような国立の権威のある毒性の研究部門というものをつくってまいりたいということで研究を進めたわけでありまして、昭和一千九年度に、いま政務次官から申し上げましたように、国立衛生試験所に毒性部というものをつくりまして、以来研究をしておるわけでございます。そうしてまた、衛生試験所の中に動物管理舎、動物舎というものを新たに五千万程度の予算を計上して新築をするというようなことをしまして、毒性部門の研究に努力をしているわけでございます。ただ、私ども、現在のような衛生試験所の中の一部門として毒性部を設けておることは、先生指摘のように、なかなか十分にその機能を発揮できないという面も他面にあるわけでございますので、将来の方向としましては、できるだけ御意見のように、毒性センターというような構想のものを強く打ち出してまいりまして、そうして名実ともに国立のそういうような毒性部門の研究をやるというような実体を一刻も早く見出していきたい、こういうことで現在研究を進めているわけでございます。  それからさらにまた、医薬品の副作用の問題につきましても、いろいろ御指摘がありましたとおりでございまして、医薬品の副作用についても、いろいろ従来も問題があったわけでございますが、やはり医薬品というものは、先生の御存じのように、製造許可した当時の学問的水準におきまして最大の留意をしながら許可をいたすわけでありますが、その後の医学、薬学の目ざましい進歩に応じまして、許可した当時の学問的水準では試験できなかったような新たな事実というものがその後において起こり得る。これはひとりわが国だけじゃなくて、欧米の先進国家におきましても、そういうような情勢にあるわけであります。この点は非常に学問——医学、薬学の進歩というものがそのような結果をもたらしているわけでございます。どうしても副作用を絶対的になくするということは、なかなかこれは困難であるわけでありますが、しかしながら、やはり政府といたしましては、そのような副作用の問題を絶対起こらないようにしていくというような改良を加えなければならぬわけであります。幸いにして、四十一年度予算におきましても、先進諸外国において実施しておりますような副作用のモニター制度というものを若干の予算を計上して今年度から実施をしていく、そうして、できるだけ早く副作用というものの情報を組織的に収集していく、そうして、かりにそういうような副作用が出てまいりましたならば、それに対する対策というものを迅速にとっていく、このような体制というものを一刻も早く築き上げていきたいということで、いま申しましたような予算措置を本年度にしているわけでございます。そのようなことを考えながら、この医薬品の製薬許可、それから副作用の問題については、漸進的ではございますが、逐次改善を加えていきたい、かように思っている次第でございます。
  176. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 時間もおそくなりますので、あと二、三問にしたいと思います。  ともかく、先ほどから、違った問題にせよ、本委員会における質疑というものを軽視すると、必ずそれに対してマイナスの結果が出ている、こういうことが指摘されました。この医薬の行政の問題についても、相当各方面で私自体あるいは協力を得ていろいろデータをまとめているのです。すでにこれが二回もこのことをやっているのです。それに対して、善処する前向きのことを言っても、必ずこの次にまたほんとうにとうとい人命を失うような事件が起こることがあるのです、目に見えてわかっているのです。ですから、毒性センターを拡大する、これは非常にいい方向だと思いますが、ほんとうに本腰を入れ、また、もう一つこれはお尋ねですが、臨床実験についてはどうですか、対照実験についてはどのようにお考えになっておりますか。
  177. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) いわゆる対照実験といいますか、対照観察といいますか、そういうような考え方なり傾向が製薬許可に取り入れられていくということは、私どもは基本的に賛成でございます。どうしてもこのような医学、薬学のいわゆる学問のレベルというものが高度に発展してまいりますと、どうしてもそういうような精細な学問的な根拠に基づきまして、われわれは審査をしていかなければならぬわけでございます。御指摘のように、対照観察、対照実験というような考え方を逐次取り入れていかなければならぬのじゃないか、ただ、この対照観察、対照実験と言われるものについては、その方法論等につきまして、十分まだ学問的に究明がなされておらないように考えておるわけであります。なかなか実際問題として、たとえば対照部を設けて臨床実験をやるということについては、実際問題として、個々の大学の研究機関等においては、患者をそのような身分に分けて集めるということの困難性があるやに聞いておりますが、しかしながら、そういうような困難は困難としましても、将来の方向としては、できるだけそういうような対照観察というような観点を入れた臨床実験というものを私どもはやっていくべきであろうと、こういうように考えておるわけでございます。
  178. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 もう一つ具体的な薬の名前を出して申しわけないのですが、アスパラ、こういう薬があるわけですが、これについてこの本では、アメリカの国立保健研究所でそのデータをあげているのです。アスパラギン酸の臨床実験、対照実験をした結果、体力テストの成績から見ると、アスパラギン酸塩は全く効果がない、逆にアスパラギン酸塩を補給した方は、明らかに自覚症状は悪い、これはもうアメリカの権威ある国立保健研究所のデータなんです。これは一某大学の学者が書いたものだとは言っても、そのデータになるものは、アメリカの権威ある国立の保健研究所のデータです。これについてはどうでしょうか。
  179. 政府委員(坂元貞一郎君)(坂元貞一郎)

    政府委員坂元貞一郎君) アスパラと言われる製品は、御存じのように、Lアスパラギン酸カリウムとLアスパラギン酸マグネシウムの混合物であるわけでございますが、このLアスパラギン酸塩につきましては、先生御存じかと思いますが、わが国だけじゃなくして諸外国、たとえばフランス等の学者が長年の研究の結果開発をしたものでございます。わが国においても現在許可をしまして市販されているわけでございますが、ただ、この許可をする際は、私どもとしましては、三十五カ所程度から、先ほども先生からお話がありましたが、約二千例程度の臨床データというものが私どものほうに出されたわけでございます。そういうようなデーターに基づきまして、薬事審議会で慎重に検討いたしまして許可をいたしたわけでございます。ただ、ただいま御指摘のように、アメリカ等において、一部そういうような御意見があるやに聞いておりますが、これは私どもとしましては、いま申しましたように、国内的にも相当な臨床データを集めまして、専門の方がいろいろな角度から審査しまして許可をした、こういうことになっているわけでございますので、国内にも一部の方面にアスパラの有効性についていろいろ御意見があるやに聞いておりますけれども、私どもとしましては、現在のところ、このアスパラについては、そのような膨大なデータに基づきまして薬事審議会の先生方が審査をされた結果の製剤でございますので、そういうものは現在、私どもとしましては、少なくともアスパラの有効性については、当局のわれわれとしまして、とやかく言うことは全然考えていない次第でございます。
  180. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 アスパラについては、データがすぐ出るらしいですから、これについてまたこちらも調べてみたいと思うのですが、とにかく、そういう権威のある先生が認可をして、パブロンにしろ、テルミックスにしろ、不良品であったわけですよ。ですから、アスパラギン酸も権威ある先生方が認可したと言っちゃいられない。いまも何回か言いましたように、アメリカの国立保健研究所のデータがちゃんとまとまっている。そういうことに関して、あくまでも権威ある先生が認可した、その認可の方法です。先ほど言っているその審議会のメンバーの構成です。非常に権威はありますけれども、その権威のある人がほんとうに真剣になって分析し、臨床実験し、そして認可する方法がとられておればいいですけれども、これはぼくが言うまでもなく、あるいは各暴露的な変な本に書いてあるそれを全部信用するということでなくて、実際にそういう製薬会社と認可した審議会の大学の教授あたりとの結びつきなんていうのは、これは明らかに変な点があるのです。その点までもほんとうに追及してまいりませんと、もし、そちらで大学の先生が権威のある人がやっておるのだと言ったら、こちらで徹底的に調べます。そういうデータが出てきて、いま言いましたように、いろいろ審議会のメンバー、実験に立ち会った人のメンバー、それから試験官、責任者、そういうものを見ていけば、それから販売している会社の関係、そういうものを追及していけば、どんどんどんどんこの疑惑の点が出てくる。ですから、あくまでも権威があるからいい、個人的には権威があっても、個人というものを全面的に信用していたのではだめだ。あくまでも、その個人というものを疑ってかかって、そして、すべてに万全を尽くしませんと、次から次に、申しわけないけれども、アスパラにしたって、アメリカのデータがこのままだとすれば、これをいま日本の国の権威者がだいじ上うぶだからと言って、まるっきり無視している。これによると明らかに人体に害があると、こういうデータが出ているわけです。日本以上の精密検査の結果です。これは製薬会社としてはたいへんなことですし、こんなことは、ここで取り上げたくないのですが、この一つの問題を取り上げて、全般的なことにふえんしていきたい、こういう意味からですから、申しわけないですが、取り上げたわけです。これはいま言いましたように、これを含めていろいろなデータが出ていますから、それについて、またこちらで調査もしてみたいと思います。  最後に、先日申しました三人の天下り人事ですか、厚生者のほうも、人事院のほうで検討した結果に従う、人事院のほうも慎重に調査する、このようなことがあったものですから、結末をもうちょっとはっきりしたいと思うのですが、あの点は調査の結果いかがになったでしょう。
  181. 政府委員(大塚基弘君)(大塚基弘)

    政府委員(大塚基弘君) お話のとおり、先月の二十六日に予算委員会で、人事院総裁が、この問題につきましては調査並びに検討をするというお約束を申し上げたわけであります。で、その後、厚生省と折衝いたしまして、一応調査を進めております。で、現在まで大体調査しました問題と申しますのは、厚生省と当該三人の方々が就職されました製薬会社との関係、その内容、それから、それらの製薬会社の事業内容、それから本人が離職前五年間に在職した官職及びその在職中におけるそれぞれの製薬会社との職務上の関係がどうであったか、並びに本人の経歴及び本人が当該製薬会社へ就職するに至りましたどういういきさつがあったかということ、並びに製薬会社に就職しましたその地位でございますが、その地位の職務内容——どういう仕事であったか、それから就職した地位と監督機関である厚生省との関係、及び問題になりました就職承認手続を厚生省がなさらなかったわけでございますが、その間の事情というようなものについて一応の調査を進めておる段階でございます。
  182. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 まだ結論は出ないわけですか。
  183. 政府委員(大塚基弘君)(大塚基弘)

    政府委員(大塚基弘君) 結論は、実はこれらの点で一応厚生省からいろいろ御説明を伺い、並びに若干の資料を御提出願ったわけでございますが、なお、われわれのいわゆる百三条と俗に申します天下りなるものの承認の場合には、いま申し上げたようなことに尽きますけれども、それを調査いたします場合には、多少むずかしいケースになりますと、承認を申請しましたその国の機関だけからの御説明だけでなく、就職する先である会社に参りまして、定款その他いろいろ調べる場合もございますし、それから、就職の事情等についても、当の就職される企業の、その会社自体についていろいろ調査いたしたり、場合によると、就職なさろうとする御本人にも伺うというような場合がございます。本件に関しましては、先生御存じのとおり、ああいう形でたいへんな問題となりましたので、われわれとしては、一応厚生省からの説明を伺い、資料をいただくということは最近済ました段階でございます。なお、それらの点を裏打ちするその他の点について、どういう調査をしなければならぬか、いま検討中でございます。
  184. 黒柳明君(黒柳明)

    黒柳明君 もう一カ月もかかっておりますし、最終的にしかたなかったのだ、こんなことはないと思いますけれども、もしこうなると、トンネル方式になりますと、三十八年からの国会報告これ一件一件調査しなければならないということになりますし、非常にこれは問題になると思うのです。また、そうかといったって、三人に対して云云という罰則を加えろと、こういうことじゃないのです。あくまでも、はっきりした結論をつけませんと、厚生大臣もあれだけ予算委員会の場面で、不備があったと、こういうことですから、それに対してうやむやに処置するということは非常にうまくないと思いますから、ひとつしかるべき結果をなるたけ早く出していただきたい。要望いたします。以上です。
  185. 委員長(藤原道子君)(藤原道子)

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと存じます。本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会