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1966-02-16 第51回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月十六日(水曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————    委員異動  二月十五日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     小柳  勇君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 道子君     理 事                 仲原 善一君                 八木 一郎君                 相澤 重明君                 鶴園 哲夫君                 二宮 文造君     委 員                 川野 三暁君                 木内 四郎君                 久保 勘一君                 黒木 利克君                 高橋文五郎君                 内藤誉三郎君                 中津井 真君                 大森 創造君                 小柳  勇君                 柴谷  要君                 中村 波男君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君                 石本  茂君    政府委員        行政管理庁行政        監察局長     稲木  進君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁総務        部会計課長    大浜 用正君        防衛施設庁施設        部長       財満  功君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        文部政務次官   中野 文門君        文部省大学学術        局長       杉江  清君        厚生政務次官   佐々木義武君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省医務局次        長        渥美 節夫君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        厚生省年金局長  伊部 英男君        農林省農地局長  大和田啓気君        林野庁長官    田中 重五君        運輸政務次官   福井  勇君        労働省労政局長  三治 重信君     —————————————        会計検査院長   小峰 保栄君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        大蔵省大臣官房        財務調査官    磯江 重泰君        運輸省鉄道監督        局業務課長    馬渡 一真君        会計検査院事務        総局次長     宇ノ沢智雄君        会計検査院事務        総局第一局長   保川  遜君        会計検査院事務        総局第二局長   樺山 糾夫君        会計検査院事務        総局第四局長   小熊 孝次君        日本国有鉄道常        務理事      今村 義夫君    参考人        年金福祉事業団        理事       杉山 二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選の件 ○昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和三十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十八  年度政府関係機関決算書(第四十八回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第四十八回国会内閣提)(継続案件) ○昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る二月十五日、竹田現照君が委員を辞任され、その補欠として小柳勇が選任されました。     —————————————
  3. 藤原道子

    委員長藤原道子君) この際、理事補欠互選の件についておはかりいたします。  谷口慶吉君の委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事八木一郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 藤原道子

    委員長藤原道子君) これより昭和三十八年度決算外三件及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書を議題といたし、前回に引き続き昭和三十八年度決算外三件の総括質疑及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書の質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 小柳勇

    小柳勇君 私は西日本短期大学払い下げ国有財産処理について質問いたします。関係当局並びに委員各位にも今後の処理の問題でお世話になりますので、事件概要を私が簡単に申し上げて、あと質問に入ります。  福岡八女岡山区亀甲に、元岡山研修所あと国有財産土地が一万六千四十坪五一、建物が千四百九十七坪四七を、価格九百十三万二千七百九十八円で、西日本短期大学理事長江口繁君に、昭和三十四年十一月二十四日付で北九州財務局久留米出張所国有財産特別措置法第三条により減額五割の値段で払い下げております。この土地建物は、大東亜戦争の末期、飛行場建設のため、民有地犠牲的価格で提供し、旧八女市一帯地元民勤労奉仕で、全くの戦争遂行の国策として、とうとい数人の犠牲者を出しながら、建設されたものであります。  終戦後、昭和三十四年一月七日、八女市は、岡山、八幡両中学校統合公園などの用地として払い下げ申請いたしたところであります。ところが、昭和三十四年九月二十三日、西日本大学(四年制大学)の誘致の話があり、八女市も大学誘致魅力を感じて、これに同意をいたしたのであります。四年制大学設置文部省の不許可になり、また同時に申請いたしておりました高等学校も県で不許可になりました。そこで、初めに申請いたしました江口理事長は、短期大学高等学校申請がえをいたしたところであります。そうして国有財産払い下げとなったのであります。その間、種々の疑惑が生まれ、世論がわき立ち、市議会には、昭和三十四年十一月二十一日、西日本短期大学処理特別委員会が設置され、また昭和三十八年五月には改選後の市議会議員によって特別委員会が設置されたりなどいたしております。昭和三十五年四月十一日には、国有財産払い下げ処分取り消しの上契約解除訴願書市民代表から関係当局提出されたところであります。  現在、この土地短期大学開校されておりますが、一年生が十五名、二年生十五名、計三十名。また、高等学校、これは付属高等学校でありますが、一年生八十八名、二年生八十九名、三年生八十九名、計二百六十六名の学校を経営いたしておる。  以上がこの事件概要であります。  私が質問いたします目的は三つあります。第一は、払い下げ使用目的に合致していない国有財産処理のあり方をただすことが第一であります。第二は、昭和三十四年以来地元民疑惑に包まれておる国有財産処理について、大蔵当局の今後の方針を明らかにして、この問題に一切のピリオドを打って、明朗な地方自治行政を打ち立ててもらいたい。第三は、このような疑惑の中にありましては、学校教育の成果もあがらないと思いまするから、これを法律によって明確に処理して、正々堂々と学校教育に専念されるように、そうして、西日本短期大学及び付属高等学校が現在開校されておりますが、今後ますます発展するように。この三つの理由で私はこれから質問いたすのであります。  そこで、質問の第一は、大蔵当局からこの事件内容を正確にこの委員会に御報告願いたいのであります。
  7. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 西日本短期大学に売り払いいたしました国有財産の経緯並びにその詳細については、ただいま小柳委員から大体のお話がございましたとおりでございますが、なお具体的な点について御説明申し上げたいと思います。  問題の国有財産は、福岡八女市に所在しておる土地一万六千四十坪と、それから建物千四百九十七坪でございますが、この財産につきましては、もとは、先ほど小柳委員からお話がございましたように、昭和十八年に航空機乗員養成施設といたしまして逓信省で設置されたものでございますが、その後終戦に伴いまして大蔵省に引き継がれたわけでございますが、これはもと航空機乗員養成所財産でございますが、その財産のうち、飛行場の地区内は、開拓財産といたしまして農林省へ所管がえされまして、その残りの部分、すなわち問題になっております西日本短期大学払い下げ財産でございますが、これはその後一時九州郵政研修所といたしまして郵政省に貸し付け中でございましたのですが、昭和三十三年に同研修所福岡市に移転しましたので、大蔵省にこの財産が返還されたわけでございます。  この財産につきまして、その後、八女市から、これを公共施設に利用したいということで、この土地の上に郵政省でもって建設いたしました建物百九十六坪、これは問題の財産以外のものでございますが、これを郵政省から八女市に払い下げをいたしたのでございます。その後、この財産全体につきましては、財務局におきましては八女市の具体的な利用計画が出るのを待って処理をきめるという方針であったわけでございます。  その後になりまして、西日本短期大学、これは福岡県の直方市に所在しておりましたものですが、昭和三十四年の七月になりまして、西日本短期大学理事長から、この施設を利用いたしまして昭和三十五年から四年制の西日本大学開設したいから払い下げてもらいたいという申し出がございました。一方、地元八女市におきましては、この大学誘致するかどうかという問題についていろいろ御協議になっておったようでございますが、昭和三十四年の九月に八女市議会全員協議会におきまして西日本大学誘致を決定されまして、それから引き続きまして、市が郵政省から払い下げを受けましたところの先ほど申し上げました建物につきまして、これを西日本短期大学に譲渡するということをきめたわけでございます。  以上のように、地元八女市におきましても西日本大学誘致するという意向にきまりましたので、大蔵省財務局におきましては、三十四年の十一月二十四日、西日本短期大学理事長との間に本件財産の売り払い契約を締結いたしました。売り払い価格は、先ほど小柳委員よりお話がございましたが、土地建物合わせまして九百十三万二千七百九十八円でございまして、国有財産特別措置法の第三条に基づきまして減額譲渡いたした次第でございます。そのときの売り払いの条件といたしましては、売り払い代金のうち三百十三万二千円余りを即納金として納めていただき、残額につきましては六年間の延納といたしまして、昭和三十五年四月三十日から申請用途に供すると、それから七年間の用途指定をつけたわけでございます。ところが、その後になりまして、三十四年の十二月でございます、西日本短期大学が四年制の大学認可申請を出しておったのでございますが、これにつきましては不認可ということになりまして、大学開設ができないことになったわけでございます。その後、本施設をめぐりまして、西日本短期大学、それから八女市との間に、当初の八女市の意図が実現せられないことからいろいろ問題が起こっておるようでございまして、八女市議会は、その後三十五年の一月になりまして、先ほど申しました短期大学に市が払い下げました財産につきましての契約解除市議会で議決しまして、同時に西日本大学誘致同意したのは取り消すということを財務局に通知してまいったわけでございます。それから翌月、三十五年二月になりまして、市議会西日本短期大学移転の反対を決議せられております。まあそういうようなことで、八女市と西日本短大との間に紛争を生じておりましたため、学校移転開設がおくれておるわけでございますが、その間三十六年の七月に、八女市議会におきましては、全員協議会でもって、まあその後の情勢の変化もあるし、また本件財産八女市の財産でもないので短期大学自身開校するかどうかをきめればよいというような理由でもって、短大の移転には同意することに決定せられております。  なお、ただいま申し上げましたような事情で所期のとおりの学校開設がおくれましたので、西日本短期大学におきましては、当初指定用途に供するのを三十五年四月からということになっておりましたのでございますが、それの延長の申請が三十六年の十一月になってございまして、財務局はその申請を承認いたしておるわけでございます。  その後、西日本短大におきましては、三十七年四月付属高校認可になりました。三十九年の四月一日からは短期大学開校になっておる状況でございますが、その実情は、先ほど小柳委員からお話がございましたように、学生は、定員短期大学六百名に対し実員は三十名、高校定員が六百名に対して実員が二百六十六名というような現況になっております。  現在までの状況はこのようでございますが、財務局におきましては、このような学校施設利用状況にかんがみまして、現在そういった内容とか将来の計画等につきまして学校当局にもいろいろ照会している状況でございます。なお、売り払いました財産代金につきましては六年の延納を認めておったわけでございますが、昨年四十年の十一月に延納代金は全部完済されております。  以上が状況でございます。
  8. 小柳勇

    小柳勇君 いまの説明で概略わかりましたが、北九州財務局久留米出張所八女市の同意書の趣旨の四年制大学に反して二年制短期大学払い下げしておるのでありますが、市の同意書はなくとも、市の同意書を無視して払い下げられたのは、どういうわけでございましょうか。
  9. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 八女市議会のほうで議決されました同意によりますと、これは四年制の大学ということでなく、短期大学八女市に移転するということにつきましてまあ同意しておるということになっておりますので、財務局といたしましては、八女市に西日本短大が来るということで財務処理をいたしたものでございます。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 そこのところが、地元では非常に混迷しておって、紛糾の原因ですが、国有財産であるから、初め四年制大学であるならば誘致してくださいという同意を与えて、それはそのままで、もし開校できない場合は同意を取り消すという契約があったことは、いまおっしゃったとおりです。にもかかわらず、その利用目的が今度は短期大学付属高校ということで、その初めの八女市議会同意がないんですね。初めと違っておりますから、同意はもうないものとしなければならぬが、国有財産というものは市会の同意がなくとも短期大学だから払い下げてよろしいものかどうか、この点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  11. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 大学開設につきましては、まあ文部省当局認可が必要であるわけでございますが、地元八女市はこの大学なりあるいは短期大学誘致されるという意味において賛成ないし同意をされておるのでございますが、国有財産払い下げる立場におきましては、大学が実際に開設されるかどうかということはもちろん十分慎重に判断しなければならないことでございますが、地元同意であるかどうかということは、大学開設できるかどうか、あるいは認可するかどうかということの一つ条件になるかもしれませんが、その点は国有財産払い下げとしては必ずしも条件にはしておらないわけでございます。
  12. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、国有財産払い下げは、短期大学付属高校開校されるならば八女市の同意がなくともよろしい、しかも五割の減額で、利用期間は七年という期間を切っておる。七年が過ぎますと、江口理事長学校をやめても、閉校しても、これは国有財産に返ってこない。それを市としては問題にしておるんですが、その点はいかがでございましょう。
  13. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 学校施設に充てるために財産払い下げます場合には、もちろん学校開設されるということが実行されるという見込みのもとに行なわれるわけでございますが、地元の御意見はその場合にもちろん十分参酌することが望ましいわけでございますが、かりに学校開設認可がございますれば、あるいは認可があることが確実でありますれば、地元誘致意向というものにつきましては財務局としては必ずしもそれを条件にするわけではございません。それから、売り払いにあたりましては、何年間の用途指定、それからいつまでに用途に供しなければならないかというような条件をつけておりますので、契約上その条件に違反をすれば、契約解除というようなことが法律的には可能でございますが、現在の状況におきまして、この短期大学及び高校は、現に、先ほど申しました規模といたしましては当初の計画より小さいわけでございますが、現実に開校してやっておるわけでございます。それから、大学につきましては、現在認可されておらないということで、開校には至っておりませんのでございますが、契約に定めました用途に現在の状況が供されているのかいないのかという点につきましては、必ずしもそれですぐ解除になるということが言えるかどうかという点には問題があろうかと思います。
  14. 小柳勇

    小柳勇君 いまそこのところを質問しているのじゃなくって、一つは、四年制大学だから魅力を感じて市が払い下げてもらいたかったけれども、それをおろして同意しているわけですね。その開校同意している。ところが、文部省許可しなかった。許可しなかったものですから、今度は短期大学付属高校に切りかえて払い下げ申請をしたわけです。ところが、市は、四年制大学には同意したけれども、もしこの大学開校されない場合はこの同意解除すると書いてあるのですね。その解除を無視して国有財産であるのに払い下げてよろしいのかどうかというのが一つ。それから、任期七年過ぎましたならば、これはもう学校を閉鎖しても国有財産にまた返ってこないのじゃないか、そのことを地元民は心配しているわけです。あと三年ありますけれども、任期は。それが過ぎたら、江口理事長個人のものになって、学校を閉鎖してもまた国有財産に返ってこないのじゃないか、その点はいかがですかと質問しているのです。
  15. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 財務局が売り払いいたしましたときの用途指定といたしましては、西日本短期大学及び付属高校用途に供するということを条件にしておるわけでございます。そこで、四年制大学開設につきましては、確かに、いまおっしゃいましたように、地元のほうで誘致の際にそういうことを条件にしておるというようなことがあろうかと思うのでございますが、国と西日本短期大学との間の契約、あるいはその払い下げましたとぎの事由といたしましては、そういうことで、短期大学とそれから付属高校ということで払い下げをいたしております。大学関係は、もちろんそこで開設されれば問題ないわけでございますが、開設されない場合でも、直ちにこれをあと財産を取り返すというようなことにはならないのではなかろうかと考えておる次第であります。  補足して申し上げますが、現在の状況が、先ほど申しましたように、施設として十分に利用されないという状況でございますので、財務局といたしましては、現在の状況、それから今後の見込み等十分勘案の上、ほうっておきますれば、用途指定期間が満了すれば、それによって国としては法律的にはいかなる措置もとれないということになるわけでございますが、はたして用途に十分供されているかどうかという点につきましては、若干問題がある点もございますので、その点につきましては十分今後慎重に検討してまいりたいと思います。
  16. 小柳勇

    小柳勇君 その問題はまたあと質問いたしますが、私が質問するとき、要点だけちょっとノートしておいてもらって、それで答弁してください。  一つは、国有財産払い下げるときに、まだ開校されておらぬ短期大学を設置するといった場合、八女市などの同意がなくとも払い下げるのですか。地方公共団体などの同意がなくとも払い下げるのですか。もしそうであるならば、市は初めは、中学校統合公園にそれを払い下げてもらいたい、その意思があったわけですから、それを撤回して、四年制の大学ならいいなということで同意したのです。それが開校しなかったのですから、同意取り消しておる。取り消しておっても、これは短期大学付属高校をやりますという場合は、その市の同意などというものはかまわない、無視してそういうことをやってよろしいのでしょうかというのが一つあとは、ちょっと触れられましたけれども、第二点は、あと三年過ぎますと、任期が過ぎますと、また国有財産には返るのがなかなかむずかしゅうはございませんか。この二点を聞いているわけです。
  17. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 御質問に十分的確にお答えできませんで、申しわけありませんでした。  最初の点につきましては、市の同意がございまして、財務局払い下げました時点におきましては、まだ大学の不認可、あるいはそれがために市がその同意を撤回するということが行なわれておらなかったわけでございまして、市の誘致賛成であるという意向に基づきまして、財務局払い下げをしておるわけでございます。  それから、用途指定期間が満了したらどうなるかということでございますが、この点につきましては、先ほど申しましたように、現在の先方との間の売り払い契約書によりますと、用途指定期間がそのまま満了してしまえば、国としては法律的にはいかんともしがたいということになるわけでございますが、現在の契約上、契約に定めるとおりの用途に供したかどうか、あるいはその他の点につきまして契約が十分順守されているかどうかというような点につきましては、若干問題のある点もあろうかと思いますので、契約期間が満了するまでの間に、国としては、もし必要があれば、適当な措置をとるということは考えられるわけでございます。
  18. 小柳勇

    小柳勇君 その答弁は、先のことを考えておられる。先のことはまた先で質問しますから。いま言っているのは、その二点。これは一般国有財産払い下げに関連しますから、その原則をただしておるわけです。市の同意がなくても、私は短期大学高校開校しますよといって国有財産払い下げ申請した場合には、払い下げるのですね、これが一つあとは、任期が、七年使用指定していますから、それが過ぎたら、もうあと、今度はいろいろ言っても、個人の私有になって、もう短期大学の希望はありませんから閉校しますと言う。そうすると、それはもうその人の土地建物になってしまうのではありませんか。その二点だけはっきりおっしゃっていただけば、あとはいいのです。
  19. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 一般論としての御質問でございますので、一般論としてお答え申し上げます。  払い下げますときに地元同意のあることが絶対の条件であるかと申しますと、これは払い下げる場合に、はたしてそれに払い下げることが適当であるか、あるいは地元公共施設等に充てる意図はないかどうかというようなことを十分財務局といたしましても確かめまして払い下げ処理をいたしますわけでございますので、そういう地元意向というものが絶対の条件ではないにいたしましても、判断をいたします場合に重要な要素になるということは当然でございます。で、一般論としてはそういうことでございます。本件につきましては、払い下げ処理をいたしましたときには、地元誘致同意があったという前提において払い下げておるということでございます。  それから、契約条項に定めた用途指定期間が経過してしまったという場合には、一般論としてこれを申し上げますれば、国がその間何の措置もとらずして契約の定める指定用途期間が過ぎてしまえば、法律上は国としましてはその限りにおいてはいかなる措置もとれないということでございます。
  20. 小柳勇

    小柳勇君 第一点の問題で、市は初め四年制の大学魅力を感じて自分の意図を撤回して同意したのだ。それを財務局久留米出張所は御存じあったはずです。もし四年制大学開校されない場合は同意取り消しますよということになったのが、それを無視して払い下げたものですから問題が起こっているんですから、原則論といまの実態の問題はわかりました。  第二の問題は、文部省にお尋ねいたしますが、大学の設置基準を中心に質問いたします。一つは、昭和三十四年に四年制大学の不許可になりました理由をお聞かせ願いたいと思います。
  21. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 大学の設置につきましては、文部省に設けられております大学設置審議会に付議して認可することにいたしております。この設置審議会におきましては、設置基準に該当しているかどうかという点を主として、審査いたします。この西日本短期大学が、この法人が四年制の学部の設置を申請いたしました際においては、これは現地調査によりましていろいろ設備の状況を見ておりますけれども、施設設備が一般に不十分である。たとえて申し上げますと、一般教育、自然科学系列の実習室が全然整備されてないというようなこと、その他図書等も不十分であるというように、施設設備が不十分である。なお教官組織も不十分である。こういうふうな判断がされまして、不可の判定をされた。文部省はその判定を是として不可の措置をいたしたのであります。ただ、不可の措置といいましても、そういう判定を大学に伝えましたところ、設置の申請を取り下げられたのであります。
  22. 小柳勇

    小柳勇君 第二の問題は、現在短大と高校ができておりまして、四カ年経過いたしまして、一年十五名、二年十五名、高等学校が二百六十六名、さっき申し上げたとおりでありますが、近い将来学生増加、あるいは四年制大学に昇格する見通しがございましょうか。
  23. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 現在そのような御計画があるかどうか、私ども承知いたしておりません。この昇格とか、新しい学部をつくるとかいうことは、これはあくまでも当該学校法人が自主的に御計画されて、その御計画文部省として、設置基準の要件を備えているかどうかの判断をするのであります。現在のところ、そのような御計画があるということを聞いておりません。  以上でございます。
  24. 小柳勇

    小柳勇君 第三点は、現在短大の学生と高校の生徒で必要とする土地建物の所要規模を聞きたいのですが、さっきから大蔵省の御説明のように、土地が一万六千四十坪、建物千四百九十七坪は、短大六百名、高等学校六百名のところで払い下げになっているわけです。ところが、四年たちましても、短大の生徒三十名、高等学校二百六十六名、まあこれはあまり増加もしないだろうという見通しのようですが、現在の生徒数に対して、この短大及び付属両校の所要土地並びに建物はどのくらいあったらいいのでしょうか。
  25. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 私どもが設置基準に基づいて必要とする校地及び校舎の坪数を計算いたします場合においては、学則に規定されております入学定員によって計算するのであります。現実に入学定員より下回って採用している場合、またはそれを上回っている場合、これはその学校の御判断によるのでありますが、基準としましては、その学則に規定されました入学定員によるわけであります。そこで、この短大の入学定員から必要とされる、まず敷地面積を申し上げますと、短大分として三千七百五十坪でございます。高校分としては四千三百二十坪でございます。校舎のほうにおきましては、短大として七百五十坪、高校として八百六十四坪、以上が基準から計算される最低必要坪数でございます。
  26. 小柳勇

    小柳勇君 次に、大蔵省当局に質問します。いまのような文部省の見解ですが、概数、倍の土地払い下げておりまして、この土地がどうされるかということで市議会も市民も疑惑を持っているわけです。払い下げについても疑惑を持っておりますが、将来一体どう処分されるかということについて疑惑を持っているわけです。私はいまの短大なり高校をつぶしてよろしいとは考えません、学校というものはなるべく近くに建てなければなりませんから。幸いここに開校されておりますから、これは発展させていかなければなりません。これはあとでまた文部省質問いたしますが、このような膨大な土地を、あと三年たちますと個人の所有に帰す、もう国有財産に帰することはないんだと先ほどおっしゃった。倍近くの土地が半額の値段で払い下げられている。これをどのように処理しようと考えられているか、お聞きいたします。
  27. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) ただいまの学校の利用の実情を見ますと、払い下げをいたしました土地並びに建物は、現状では過大であるということは常識的に申せるかと思います。ただ、この学校定員といたしまして、短大が三百人、高校が六百人の定員ということになっておりますし、今後学生の数がどういうことになるかということは、現状だけでは判断はいたしかねる点もあろうかと思います。したがいまして、そういった今後さらに学校が、学生もふえ、発展されるということも考慮に入れまして、はたして将来を見てどの程産の規模が適正であるかということにつきましては、なお十分に検討しなきゃならない点はあろうかと思います。これは学校御当局並びに地元のほうとも、いろいろ御意見をお伺いいたしまして、今後慎重に処理を要しなければならない点だと思いますので、現在の段階において、具体的にこのように処理するという結論は、もちろんまだ持ち合わせておりませんわけでございますが、今後の、学校の現状から見た発展の状況、それから地元においてこの土地等を公共施設等に利用される御計画等があるかどうかというような点も十分検討いたしまして、よく各方面の御意見も拝聴いたしまして、そうして国有財産として払い下げたものの処理が適正を欠くことのないように検討をしてまいりたいという考えでございます。
  28. 小柳勇

    小柳勇君 まあまことに役所的な答弁ですけれども、もう四年間紛糾しているわけですね、市議会も市民も。私ども参りましても、たとえば市役所の前に公開質問状などが出たりしております。大蔵当局にはこの四年間の紛争はもう耳に入っているはずですし、いまそういう抽象的な答弁でなくて、これだけ広いものを一体どうするのかという具体的な問題、それから市当局などは、さっき申し上げましたように、初め中学校の合併、公園など考えておりましたし、また市営住宅なども考えておったんですが、市としてはいまでもその考えは捨ててないようです。具体的に少し実のある答弁をいただきたいのですが。
  29. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 本件土地は、先ほど申しました一万六千坪というかなり広い土地でございます。したがいまして、当局といたしましては、この土地学校並びに地元のために最も有効に活用することが必要であるという基本的な考え方でおるわけでございます。ただいまのところ、地元におきまして、それではこれを西日本短大をさらに発展させるということによって利用するか、あるいは他の学校施設その他公園等の公共施設として利用するような計画であるか、その辺のところにつきましては、当局といたしましてはまだ具体的にはっきり伺っておらない状況でございますが、もし地元におきましてそういう公共施設のために利用し、現在のようにまあ学校としては遊休施設の分もあるようでございますので、そういった分をさらに公共的に有効に利用するというような御計画があり、また学校当局におきましても、将来の学生の増等考えても、地元計画に協力できるような状況でございますれば、そういう方向で考えるというようなこともあろうかと思いますのでございますが、現在そういった地元並びに学校当局の実情につきまして、財務局からいろいろ照会中の段階でございます。
  30. 小柳勇

    小柳勇君 非常に処理のしかたがおそいものですから、ますます疑惑がありますと生徒も集まらぬわけです。問題がありますと、学校がいつどうなるかわからぬということで、おそらく集まらぬと思いますが、それは両々相まっていっているわけですね。四年間もこれを放置するようなことをやられる。私わからぬのですが、こういう一般国有財産払い下げで紛糾が起こったようなとき、出先機関——これは北九州財務局久留米出張所ですけれども、出先機関に対してどういうふうな指導をやっておられるか、行政指導の実態をお聞かせ願いたいと思います。
  31. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 国有財産の処分にあたりましては、御承知のように、用途指定を三十九年以降付しておるわけでございますが、この用途指定した用途に、すなわち国がその払い下げをいたしましたときの意図にはたして適切に供されているかどうかという点につきましては、特に最近におきましては国有地も少なくなってきて、また土地の価値が高くなってきたというようなことから、十分慎重に事後におきまして監視する必要があるということで、最近におきまして大蔵省といたしましても、払い下げをいたしました国有財産指定用途につきましては、出先財務局を督励いたしまして十分監査をするということをやらしております。来年度以降におきましては、さらにこの監査を十分徹底させるという方向で考えておりますので、監査の結果、いろいろ国の当初意図した目的に供されていない等の状態が発見されました場合には、これを極力是正いたしまして、国有財産が国の意図どおり有効に利用されるというようにいたしたいということで、財務局のほうに十分指導いたしておる状況でございます。
  32. 小柳勇

    小柳勇君 くどいようですが、もう一回大蔵次官に、これはもう最後の政治的な決断、決意をお聞かせ願いたいのですが、この事件は、昭和三十四年に払い下げ申請して、しかも開校に至りました三十九年、その間に生徒が集まらないから、あるいは移転反対があるからということで、開校延期願いなどいたしました、そういう問題ですね。したがって、いま生徒は三十名しか集まっていません。さっき入学定員に対してはこれだけとおっしゃいましたが、現在の生徒数三十名にいたしましたら、もっと財産は三分の一くらいで済むのじゃないかと思いますよ、計算いたしますと。そういたしますと、あと三年しまして、生徒も三十名以上集まりませんから、短期大学は返上するといたしますと、高等学校は二百六十名ですから、これはまあまあですね。その場合に、もうこれは閉校いたしましたけれども、いま答弁のように、大蔵省に返りませんね、国有財産になりません。個人用途にまた使われる。そうなりますと、学校を開くという名義を持てば、市議会同意も要らない——最終的には要らない、払い下げてあるのですから。そうして、短大を募集したけれども集まりませんでした、七年の期間が切れた。今度は個人が、学校はできませんから、工場をつくりますとか、あるいは私の邸宅をつくりますと言っても、国有財産としてもう払い下げた以上何とも言うことはできないわけです。それを市民は、言うならば自分たちの土地を取り上げて乗員養成所をつくったのだ、しかもわれわれ勤労奉仕をして犠牲者まで出した建物じゃないか、それを今度は安く五割で払い下げて、学校を開いてみたけれども、生徒が集まりませんからもうこれでやめます、やめましたけれども、もう財産は私のものでありますでは、あまりではないかというのが地元民の言い分です。したがって、市議会も紛糾しておるわけですから、こういうものは、もっと早く問題を解決しなければならなかったと私は思う。指導にしても、そう思うのです。したがって、早急にこの問題については、現在の入学定員といいますと——募集しますと、五百でも六百でもいいでしょう、集まらないのですね、三十名しか。現在三十名しかいないのですから。そういうものを勘案して早急に問題を解決していただきたいと思いますが、大蔵省としての見解を聞いておきたいと思います。
  33. 竹中恒夫

    政府委員(竹中恒夫君) 国有財産の問題につきましは、昨年の夏以来、御承知のように、国有財産特別小委員会が本院にも設けられまして、非常に論議が戦わされたわけでございます。私どもも十二分に教えられるところがあり、認識を新たにしなければならないという点が実はございまして、反省をいたしておるわけでございます。したがいまして、その特別委員会における結論的な御意向を体しまして、その後鋭意国有財産の管理、あるいは払い下げ条件、あるいは払い下げ後の監視等につきましては、それぞれ整備した制度を設けるということによって、国民のとうとい財産の管理、処理、運営にあやまちなきを期して現在おるわけでございます。ただいま御指摘の小柳先生の具体的な例につきましては、はなはだ遺憾な点があるわけでございまするが、先生のお説のとおり、前向きに——この学校を廃止あるいは廃校することによって個人が利益するとかなんとかいうことよりも、積極的に文部省とも話し合いいたしまして、教育機関が整備されて所期の、最初の目的どおり学校が繁栄するような方策でもって処理したいということが第一次的な考えでございまするが、もし不幸にしてなかなかそうでないということでありますならば、一般的な処理、管理等の基準に従いまして処理しなければならぬ、かように考えるわけでございます。できるだけ積極的に、前向きに指導してまいりたいと思っております。  ただ問題は、現在開校しております学校の所要条件が、面積が大きいということは——小さい場合は問題でございまするが、大きいがゆえにそれがけしからぬというわけにはまいりませんで、多々ますます弁ずるで、大きいからいけないということではございませんので、その点で、学校当局の御意思がどういう点にあるかということも一つのポイントだと思います。その点は十分調査いたしまして、なお七年間の用途指定期間がはたして中断することができるかどうかというような点も私よく承知いたしておりませんが、これを実現するために中断することができまするならば、あと二年か三年期間が延びるかもしれません。そういう場合には、より一そう整備するような方途を立てまして指導いたしてまいりたい、かように存ずるわけであります。
  34. 小柳勇

    小柳勇君 最後に文部省質問いたしますが、このような地方短大の育成強化についてどのような態度をしておられるのか、お考えをお聞きいたします。
  35. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 私立学校の運営につきまして、一般にその当該法人、当該大学の自主性にゆだねるというのが、現在の私立学校に対する国の基準的な態度でございます。そこで、現在定員が非常に少ないということ、そのことだけで、直ちに国としてどうこうするというたてまえにはいたしておりませんし、またそのような点について特にいまにわかに何らかの手を打つということも考えておりません。ただ、このような生徒数では、おそらく経営は非常に困難であろうし、将来経営の面からかなり大きな困難が出てまいるということは十分予想されます。で、その際にまあどういう措置を法人として考えられるかということは、まず第一に法人としての御判断にかかる問題でございます。ただ国としては、その経営の困難ということから、設置基準を著しく下回り、短大なり高等学校としての教育の実質が確保されないというようなことになれば、これはまたそれとして別の判断があるわけでございますが、しかし経営困難に対しては、できるだけ、一般的に申すならば、各種の助成が強化さるべきだろう、こういうことは言えるだろうと思います。しかし、問題になっておりますこの学校においては、あまり定員が少ないという事態は、私はそういった単なる助成ではたして今後健全な経営の見通しが持てるかどうかという点については、かなり疑問を持っているわけでありますけれども、一般的には、今後私立学校の助成という点については、非常に努力しなければならぬ、かように思っております。
  36. 小柳勇

    小柳勇君 私の質問終わります。
  37. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、二つほどの問題点で、大蔵省、それから防衛施設庁、農林省関係者にお尋ねしたいと思います。  まず最初に防衛関係問題についてお尋ねするわけでありますが、先日当委員会で、内閣総理大臣から、基地周辺等の民生安定についてはどうするのか、こういう質問を私がいたしましたところが、法律を準備しており、予算も考えておるので、関係者などと十分相談をしていきたい、こういう答弁が本委員会であったわけです。そこで、現在基地周辺の問題については、どういう性格のものを法律として準備をされているのか、内容を若干御説明いただくと同時に、いつごろ国会に提案をする考えでいるのか、まず最初にひとつお答えいただきたい。
  38. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) いわゆる基地問題の処理は、基地周辺の民生安定上もきわめて重要な問題でありますので、政府でも基地問題閣僚協議会等を設けまして施策を講じてまいったことは、先生も御承知のとおりでありますが、今回お話のありました法律案につきましては、さらに基地周辺の民生安定の強化と基地の維持運営の円滑化をはかるということを主眼といたしまして、現在立法措置の準備をしております。その内容は、大体の骨子は、なおこれは法制局で審議をいたしまして多少こまかい整理はございますけれども、重点的に申しますと、自衛隊や駐留軍の行為によって生じます損失を補償する、次に、やはり自衛隊や駐留軍等の行為によって生ずる障害を防止する措置を講ずる、その次には、基地がございます周辺の地域にいろいろ御迷惑をかけますので、それをいかにして助成するかという措置をきめる、最後に、飛行場周辺地域におきまして、たとえば滑走路の直下というような危険地帯に対する安全措置を講ずる、大体以上のような諸点がおもな項目でございます。提案の時期は、現在鋭意折衝しておりますが、おおむね二月下旬を目標として提案をしたいと考えております。
  39. 相澤重明

    ○相澤重明君 いま防衛施設周辺整備法の構想をお話しになったわけですが、それに要する予算というものはどれくらいお考えになっているのですか。
  40. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 四十一年度の予算といたしましては、損失補償、騒音防止、防炎工事、周辺道路整備措置、あるいは周辺整備助成措置飛行場周辺安全措置等を含めまして、総計おおむね百十二億五千万円を考えております。  また、これを自衛隊、米軍別に分けますと、その内訳は、自衛隊が二十三億八千万円、米軍が八十三億七千万円、両者に共通の周辺整備の助成措置が五億円、計やはり百十二億五千万円を考えております。
  41. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの予算と、今日までいわゆる基地を持つ都市に対して基地交付金を支給しておったわけでありますが、これとの関連はどうなりますか。
  42. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 従来自治省で十四億をこえます基地交付金というものがございますが、これは基地の所在する地域につきまして自治省から出ている金でありまして、これは、国有の固定資産が市町村の区域内に所在することによりまして、当該市町村が特殊な財政需要を余儀なくされているという点にかんがみまして、当該固定資産の価格、当該市町村の財政状況等を考慮して、一般財源として市町村に交付されているものであります。これに対しまして、当方が考えております周辺整備助成の金は、これは補助金でございまして、その基地が所在する所在地に関係なく、つまり所在地を管轄する市町村、あるいはその以外の市町村につきましても、その基地があることによって、その基地の機能によって非常に迷惑をこうむるという場合に、そのためにその迷惑を緩和するという意味で市町村に出します補助金でございまして、両者の違いは、一つは基地の機能を今度の補助金で充実する、第二は基地が所在するその村だけではない、第三は一般財源か補助金かという、この三つの点が差異でございます。
  43. 相澤重明

    ○相澤重明君 端的に言って、従来の自治省からの交付金は従来どおり行なう、こう理解していいわけですね。そこで、私従来当委員会でいつも、ジェットの騒音対策について御意見を申し上げ、あるいは政府の努力を要請しておったわけでありますが、今回のこの法制定の中でも、いわゆる航空機等の進入表面、あるいは左右の危険区域、こういうものについては、従来の政府の見解で構想が出ておるのか、それとも、私どもがいつも言う、このジェット機等の非常な危険区域というものをもっと拡大をすべきではないか、こういう考え方を持っており、さらにはNHKのテレビ、ラジオ等の聴取不能、視聴の不能のものについてはこれを国が減免を行なうべきではないか、こういうようなことを私どもが申し上げておったのでありますが、そういう点についてはどのように今回の法制定の中には盛り込まれておりますか。
  44. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ジェット機につきましては、さしあたり従来から閣議決定になりました線でやっております。しかしながら、先生の御注意もありましたように、非常にそのために迷惑をかけるということにつきましては、今度は助成措置を講ずることになっておりますので、その点は従来より手厚くなるだろうと思っております。  なお、テレビにつきましては、これは電波法の関係もありますので、別途行政措置で折衝してみたいというふうに考えております。
  45. 相澤重明

    ○相澤重明君 NHKの今年度、いわゆる新年度の予算も、テレビの映像が悪いというようなところについては、テレビ局を開設をして、そうしてできるだけ視聴をよくするというのが方針なんですね。そのための予算もたいへん多くしておるわけです。そういう面からいくと、地方のいままで恵まれない地域にはテレビ局を開設をしてよくなるのに、都市において基地を提供しておるがために映像が十分でない、あるいは聴取が不能になる、こういうことは、私はやはり片手落ちになると思う。したがって、いま申し上げたように、これはNHKとも十分関係があるのであるが、国としてそういう施設等を整備をすると同時に、それがどうしてもいかぬというものについては減免の措置をとるべきではないかと思う、私はやはり国税、地方税ともに。この周辺住民の意思というものを十分尊重するような人権擁護という立場で私はこの法律というものは考えていきたい、こういうふうに思うんです。これは時間の関係できょうこまかい点について一つ一つ議論しておられませんから、また政府が法律を国会に提案してから十分御意見も聞きたいと思っておりますけれども、とにかくできるだけジェット機禍によって悩んでおる基地周辺の住民の意思というものを私はやはり尊重していく。私ども社会党からいえば、むしろ基地はなくせという本来の主張なんですからね。そういう意味からいっても、百歩譲って今日の事態を認めるとしても、その特定の地域の住民だけが国のために非常に迷惑をこうむっておる、このことについては、私どもは何としてもこの法律制定によってよくしてやりたい、こう思うんです。  それから危険地域の問題で、いま申し上げたような対策を十分政府が講じないと、昨年も私が申し上げたように、非常に国民感情が悪くなるわけですね。ですから、危険区域については、早急に私はやはり本人の意思も尊重しつつ集団移転をはかり、そうしてジェット機の墜落等、あるいはまた騒音等の被害をなくす、こういうことが私は大事じゃないかと思う。現在四十年度の予算の中で、従来政府が考えておった昭島市なり厚木市、大和市、そういうものの集団移転というものはどのように今日進んでおるのか、その経過をひとつ御説明願いたい。
  46. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 安全措置につきましては、全く相澤先生のおっしゃるとおりだと思います。  なお、横田、厚木につきましての進捗状況を申し上げますと、横田につきましては、昭和四十年度に大体二百二十戸予定しておったのでございますが、現在いろいろ話し合っておりますが、御承知のように、本人たちの御意向もございまして、なかなか移転費その他につきましてまだ若干の問題がございまして、年度内には一部移転が可能かどうかということでございますが、もし年度内にこれが十分移転できぬ場合は、先回先生からも御注意がありましたように、予算を繰り越しまして続行してやってまいりたいと思っております。  それから厚木につきましては、同じく昭和四十年度に約六十戸移転計画しておりました。これにつきましては、約二十数戸は若干土地の問題で話し合いが残っておりますが、それが順調にいきますれば二十数戸は移転できるのじゃなかろうか。もし残りましたら、これも繰り越しまして継続して努力していきたいと思っております。
  47. 相澤重明

    ○相澤重明君 四十一年度の予算はどの程度なんですか。
  48. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 四十一年度は、横田につきましては約百八十戸、厚木につきましてはなお七十戸を予定しておりまして、金額にいたしまして、両者合わせまして約十二億を予定しております。
  49. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの昭島市の集団移転が必ずしも年度内に全部というわけにもいかぬようであります。また、大和の場合もまた戸数上からいけば全く微々たるものだということになると、いまのお話で、四十年度、四十一年度の予算を効率的に運用して、そしてその成果をあげるように最善の努力を私はしてもらいたいと思う。その中に、先ほど申し上げました、たとえば進入表面下における危険区域の問題、これについては、若干政府のしゃくし定木的なものでは私はできないと思う。先ほど御答弁がありましたが、弾力性を持った形の中で、やはり危険というものをなくしていくという努力が私は必要だ、そういう中で集団移転というものを行なう、あるいはまた整備というものを行なっていくようにしてもらいたいと思うのですが、そのように考えていいですか。
  50. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先回も御質問があったと思いますが、現在のところでは滑走路の位置から一千メートルの範囲内でやることになっております。これはなぜ一千メートルにいたしましたかといいますと、われわれの実際の航空事故の統計をとりまして、大体一千メートルの範囲内に七、八割の事故が起こっておるということであります。あとの二、三割が米軍自身あるいは自衛隊自身が航空事故に注意するということで、相当努力しなければいかぬと思っておりますが、いずれにいたしましても、この一千メートルをまずやりたい、それ以外のところにつきましては、まずその重点施策が進行してから、私はフレキシブルに考える余地があるのじゃなかろうかというように考えております。したがいまして、とりあえずは、閣議了解の一千メートルの範囲をまず第一にやりたいと考えております。
  51. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、今日まで政府が、これらの危険区域の中で、集団移転なり、あるいは整備をするについて努力されておっても、まだ十分な成果があがっていない、こういう問題については、やはり私は率直に言って、関係地元の自治体、いわゆる都道府県、あるいは市町村、こういうところとやはり積極的に協力態勢というものをつくらなければ私はいかぬと思う。ですから、たとえば住宅を移転したいといっても、行く先の土地が見つからぬ、家がない、こういうようなことでは、いくら政府が予算をつくっても何にも役に立たない。そこで、たとえば東京都の場合をいえば昭島市なり東京都に、神奈川県の場合でいけば、厚木飛行場について、神奈川県なり大和市にやはりそういう協力方を求めるという方針を立てて、私は進めていくのがいいのではないかと思うのですが、そういうふうな考えを持って進めてきたのですが、今後ともやるつもりなのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  52. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) いままでも努力してきておりますが、なお努力の足らぬ点は今後大いに努力して、お示しの線でやりたいと思っております。
  53. 相澤重明

    ○相澤重明君 それからいま一つは、私も騒音の調査には当委員会で発言をし、さらに関係者——NHKや郵政省、あるいは防衛庁と一緒に大和の調査に行ったわけでありますけれども、やはり関係自治体に協力を願うと同時に、その地域における住宅の人たちにも、あるいは商工業の人たちにも御協力をいただかなければならぬ、そういう人たちとも、やはり私は連絡協議会なり懇談会なり持って、そうして積極的にこの面の推進をはかる、こういうことが大事だと思うのです。場合によれば、私も、たとえば神奈川県の問題ならば連絡をとってもけっこうだと思うのですが、そういうお考えはありますか。
  54. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) われわれも努力しておりますが、足らぬところもあろうと思いますので、今後なお一そう努力したいと思いますし、また、相澤先生のお力もおかりしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  55. 相澤重明

    ○相澤重明君 その次に、私はきょうは通告をしていなかったことですが、これはしかし関係あることですから、ひとつ政府の関係者の御見解を承り、できればひとつ努力してやってほしいのですが、米海軍上瀬谷通信隊施設周辺地域の問題であります。これは御承知のように、政府が非常に努力をして、いわゆる農民の農耕者に対する特別損害補償まで決定をしておる問題でありますが、この地は非常に御承知のようにむずかしいところでありまして、私ども地元から見ると、たとえばお百姓さんが、農耕地がだんだん少なくなっていく現状において、いまの電波障害地ですね。この地帯の選択的拡大農業というものはどうあるべきかということも研究をしているわけですね。ところが、米軍からは強い規制の措置がとられ、日本の農民はなかなか農業さえ満足にできない、こういう悩みを持っているわけです。そこで私はひとつきょうは、この第一ゾーンから第五ゾーンまである中で、一番強い規制を受けている第一ゾーンの、特に米軍基地の南部側ですね、これについて、ひとつこういう点は政府として研究ができないか。つまり、横浜市は今日二百万にもなろうとする人口をかかえているわけですが、都市化、近代化によって非常に墓地が不足をしているわけです。そこで、公園墓地等の構想が横浜市では強く打ち出されてきているわけです。いわゆる大学の教授グループ等も飛鳥田市長の相談役になっていろいろ相談をして、その答申が出ているわけです。それによりますと、将来横浜が二百五十万というのはそう遠くない時期になってくるわけです。現在の都市化が進むと同時に、いま農民の持っている墓も、あるいは先祖代々から来た墓も、道路の整備なり、あるいは都市の整備に伴ってお墓がなくなっていく。したがって、公園墓地をつくる必要があるのではないか。現在、横浜にも若干公園墓地がありますけれども、ほとんど拡大不可能、こういうような事情の中で、少なくとも三十万坪くらいの土地をほしい、墓地だけで、関係施設を別にしても十五、六万坪はほしい、こういうのでありますが、幸いに、米軍の通信隊の第一ゾーンは、そういうお墓等については別に何ら規制をされる心配はないと思う。そういうような問題で、これらについてひとつお考えできるかどうか。これは特に政務次官も出席でありますから——これはこういうことになっておりますね、このときの米軍とのいわゆる電波障害に対する協定等を行なった場合、地位協定に基づいて、電波法なり、あるいは電波障害問題の閣議了解等において、国は農地の転用許可及び都市計画上の用途地域の指定等については、できるだけ努力をしていくということになっておるわけですね。そこで、地域圏の設定の契約ができておっても、その地域の発展に基づいて、合同委員会の中で日本政府が提案をすれば、アメリカ側としてもこれを必ずしも拒むことはできないということが、いま申し上げた地位協定なり、あるいは電波法なり、通信施設電波障害問題閣議了解事項等において、これは従来相談をされてきたところなんです。そこで私は、いま申し上げた、特別に電波障害がないものであれば、これは日本政府から提案をしてやれば、米軍側としてもこれは了解をするものだと思う。そういう意味で、この上川井地区、横浜市の中の保土谷区の上川井地区と、戸塚区の瀬谷の一部、これが第一ゾーンで南部地区でありますから、ここは公園墓地に最も適切なところである、こういうことを横浜市においても答申が出ておりますし、ひとつ政府において関係機関とよく相談をされて努力をしてもらいたいのが一点であります。  その次の問題は、これは少し大きい問題でございますが、今度は北のほうのゾーンです。第一ゾーンでありますが、これは旧地主が農地を返してくれという要求を農林省大蔵省に行なっておるわけであります。沿革を申し上げますと、昭和十六年にこの地帯は旧海軍によって接収されたものなんです。ところが、その国有財産になりましてから開拓農民ができまして、そうして現在は国から土地を借りて耕作料を払っているわけですね。耕作料を払っておる。それと、いわゆる自分たちの持っておるものとは、これは私は一つの例を申し上げると、図面をつくってきたんですが、ここにこう見るように海軍省の用地、これは普通財産大蔵省の用地、もとから現在までそういうふうに持っておる。それから自己の所有のもの、こういうものが入り乱れて、個人土地も国有地の中に包含をされて、いまの電波障害という形で規制をされておる。それで、しかも、本人は税金を納めておる者もあれば、耕作料を払っておる者もある。そこで、国有農地払い下げを陳情をすることになって、昨年、この該当の農民は、もうこんなことで政府がいつまでもめんどうを見てくれないのではたまらぬということで、ついに組合をつくって、そうして強力な運動を展開しようということになってきたわけです。どのくらいの戸数があるかというと、横浜市の戸塚区の農民が百二十九人、それで、そのほかに、まだ、保土谷の上川井地域に八十三人おるわけであります。これだけの農民が、いまの電波障害地域として行政措置を講じられておるために、何らかの農業を行なうのに建てる掘っ立て小屋といいますか、施設といいますか、そういうものまでできないのです。この地域はほとんど農業施設というものができないで、私はよくモグラモチと言っているのですが、その地域においてはウドをつくっている。地の中ならば電波障害にはならぬというので、農民はやむを得ずウドをつくっておる。しかし、それ以外のほとんど地上の、農耕機を使うことも電波障害だと言って米軍におこられる、自動車を持って行っても、電波障害だと言っておこられる、家を建てるといえば、建築制限にひっかかる、こういう形で、今日は非常に苦労しておるわけです。しかし、その周辺は御承知のように、工場誘致あるいは住宅地として地価の暴騰と同時に、農地というものはほとんどなくなっておるわけです。これがいまの上瀬谷通信基地の米軍施設のところだけが、いま一番大事なところに残されておる。こういう点で、私はまず、防衛施設庁もこれらの関係者の問題について、電波障害というものが与える影響を受けないようなものについては、積極的な、農民に協力をしてやってほしい。これが一つです。  それから大蔵省農林省、特に農林省は農地を——いまなかなか少なくなるときでありますから、この農地を開放してやる、こういうことを私は進めていってもらうのがよいのじゃないか。つまり、昭和三十六年の開拓財産中接収を受ける財産処理打ち合わせ会を実際に神奈川県と横浜市と国が持ったのです。国でもってその農地をそれでは払い下げてやろうということをきめておきながら、今日までついにそれをしなかった。これは農林省が農業構造なり選択的拡大とか、いろいろなことを言いながら、実際には農民の立場を理解をしておらなかった、こういうことにも私は通ずると思う。同時に、その地区における自分の土地を国に取り上げられて、いま小作料を払っておるなんということは、これは農民感情としてやり切れないと私は思う。こういう面を、きょうは私の突然の質問ですから、研究も十分とは言えないと思うから、この点については研究を願いたいと思うのです。この間私、税務署で調べてみました。調べてみたら、みんな税金を納めている。国税庁長官きょう呼んでおりませんけれども、税金も、かなり高い税金を払っておる。こういうようなことをして、実際に自分の土地を持っておっても、農業もできない、ましてや、家を建てることはできない。それから、払い下げてもらおうと思っても、払い下げてくれないで、小作料を払っておいて、税金は、こういうふうに一方においてはたくさん払っておる。こういう矛盾した政策というものは、私は直さなければいけないと思うのですよ。そういう意味で、上瀬谷の通信隊施設周辺の問題については、防衛施設庁並びに大蔵省農林省等において、いま一度御検討をいただきたいと思う。できれば、この開拓農民の意向というものをくんで、これらの地域の希望をいれて、できるだけ私は開放してやるのがよいのではないか、こういうふうに思う。こういう点については、さらに事務的な面もあろうと思いますから、ひとつ御相談を願いたいと思うのですが、ひとつ、政務次官出席しておりますから、お答えしていただきたいと思います。
  56. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 私のほうの所管のものについてお答えいたします。  第一の、南の第一ゾーン地区に共同墓地をつくったらどうかという御提案でございますが、御承知のように、上瀬谷は非常に騒音も少なくて、環境もよいところでございますので、そういった電波障害にならないようなケースのものにつきましては、われわれも協力申し上げたいと思いますので、これは具体的な成案ができましたら、また関係方面とも折衝したいという決心でおります。  第二の、北の地区におきましては、これも電波障害にならないような何か設計等が、企画等がございましたら、われわれの支援できる範囲では支援したいと思っておりますので、われわれもまた知恵を出しますけれども、ひとつよく協力して、制限しっぱなしでほっておくというようなことはないようにしたいと思っております。
  57. 竹中恒夫

    政府委員(竹中恒夫君) 実情を十二分に私のほうといたしましても取り調べまして、御期待に沿うように善処いたしたいと、かように思います。
  58. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) ただいまお話しの農地の問題でございますけれども、私ども前からよく承知しておる事案で、米軍施設関係でなかなかむずかしい問題がございますけれども、農地の売り渡し、あるいは農家の経営の安定という立場から、防衛施設庁その他とも現在打ち合わせ中でございます。
  59. 相澤重明

    ○相澤重明君 ですから、いま政務次官や防衛施設庁長官が言ったように、方針としては農林省の考えのようになることだと思う。要は、積極的にやるかやらぬかでこれだけの時間が延びてしまったのです。だから、三十六年にはもうそういうことでみんな意見が一致し、政府も地元も一致した。ところが、それが延びてしまった。私は今日、こういうふうに私自身が質問しなけりゃならぬということをまことに残念だと思う。ですから、農地局長も、これはもう方針としてはいいことなんですから、やはりそれを積極的に推し進めていってやる、こういう決意のほどを披瀝してもらわぬと、いやむずかしい問題だから、それはとにかくよく関係者相談をしてという程度では、私は農林省は一体ほんとうに農民の立場に立っているのかどうかという気持ちになってくる。実際はあなたのほうが一番主体的な条件を持っている、また、一番よく理解をしているわけです。むしろ、理解をしていないのは防衛庁なり大蔵省だと、こういうふうに私は思うくらいに農林省はよくやっていると思っている。ところが、いまの答弁では、どうも積極性がない、こういうふうに思うのだが、いま一度答弁を願いたい。
  60. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) もう一度繰り返すことになりますけれども、農地の売り渡し、あるいは農家の経営安定という立場から、せっかく折衝を現在やっておるところでございます。
  61. 相澤重明

    ○相澤重明君 時間がないようですから、これは先ほど大蔵省関係者にも書類をお見せしたと思うのですが、当小委員会提出されました四日市の、それの処理についてどういうふうに具体的に作業が進められているのだか、これは前回、私が当委員会関係者を呼んだのは、日本住宅公団を呼んで、公団にそういうことがあるか、こういう点を説明を求めたわけです。しかし、この点の投書の趣旨は、自分たちの土地が山林にせよ、畑にせよ、とにかく安く買い取られて、それが次から次へと転用されていって、今日、住宅公団に売られて、それが非常に高く売りつけられる。地元民としては何としても納得ができない。こういうのが四日市の投書の趣旨なんですね。そういう点についてお読みになったでしょうが、ひとつ松永局長から御答弁をいただきたい。
  62. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 本件につきましては、昨年の夏、住宅公団のほうでお調べになっていたように当委員会で拝聴いたしております。ただいま、この投書の中身を見まして、問題とされております点は、第一点は、戦争に協力という名のもとに、強制的に買い上げられた土地が、なぜ戦争が終わっても旧地主に返還されないかという質問のようでございます。この点につきましては、現在の旧軍財産の問題は、戦争中に旧軍が買収した、その買収の背景には、相当強制的な要素があったであろうということは想像できるわけでございます。事実、そういうことで国民から買い上げた結果が国有財産になっているというものでございますが、こういう財産処理を戦後進めてまいりました私たちとしまして、これをもとの所有者にそれぞれ返すという措置を原則としてはとっていないのでございます。もちろん、契約条項等にその返すことがはっきりしているもの、そういうものについては、これを返すという措置をとってまいったのでございますが、売買の形で一応そこが仕切られているという形のものは、むしろ、これらの旧軍財産を戦後の復興と民生安定のために積極的に活用するほうがより望ましいという観点から、もとの所有者に売り払うという措置ではなしに、日本のそういう発展のために、より有効な活用をはかりたいということで措置してまいったわけでございます。本件につきましては、住宅公団が四日市地区の住宅事情のため住宅団地をつくりたいということで、この地区を一括して住宅公団に現物出資したと記憶いたしております。その点がこの投書者の気持ちにぴったり来なかったという点が第一点ではなかろうかと思います。  それから第二点として、住宅公団は坪四百円でわれわれから取り上げておきながら、なぜ一万七千円という価格で売り出さねばならないかということをここに述べておるわけであります。この四百円というのは、これはこの前るる述べておられるところから推測いたしますと、ここは山林地帯だったようですが、その立木をこの方々が買い取っておったその立木を伐採して、立木代金のほかに何かそういう何というか、一種の補償料のようなものを払ったのが四百円というようにこれは見受けられます。したがって、この土地価格が四百円という意味ではないようでございます。現物出資した価格はこのほかにあるということで、そういうものをコストとし、これに造成費を加えて住宅公団が売り出した価格は一万七千円、この文面によりますと、ということに考えられます。一万七千円が妥当であるかどうかは、私のほうとしてはよくわかりません。これは住宅公団のほうから答えていただきたいと思います。そういう筋合いになっておるのであります。  それから第三点として、払い下げ価格は幾らであったかということが書かれております。これは払い下げではなくて、現物出資、政府から住宅公団に対する出資現物で出資するということで、別に国としてはそれの対価を収入としてとったという性質のものではございません。  それから第四点として、住宅公団は営利団体かということ、これはもうけておるんじゃないかということから、そういうことが書かれておると思います。もちろん、法律上は営利団体ではない、政府の特殊法人、住宅対策の遂行のために設けられた特殊法人であることは、御承知のとおりでございます。
  63. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、局長、やはり投書の人の趣旨が、いわゆる何か疑惑を持つ、こういうようにも見受けられるわけです。そういう点については解明を与えなければいけないと思う。いま局長説明されたのも、幾つかの解明になるわけです。しかし、この問題は、いろいろ住宅公団に地元として現物出資した、こういうことでありますが、その内容を、そこのレターに書いてあるのを見ると、二転三転して、結局は住宅公団に売っているというところに、地元の要請と、それから市等がとっている態度に、今日の時点において、ずいぶん問題があるようですが、そこで、いわゆる住宅公団に提供する前に市がこれを受けた、そして、それは幾らの評価でもって住宅公団に現物出資したのか、こういうことは私ははっきりしないと、いま言った四百円というその話が一万七千円と、ずいぶん違うんじゃないかと思う。まるっきりギブ・アンド・テークみたようなことになってしまう。そういうことですから、私はその点をひとつお調べになって、そうして御報告をいただきたい。そうでないと、私どもとして、一体この投書をした人の趣旨と、現実にいま政府なり住宅公団で行なっておることとの差というものは、はっきりとつかめない。こういう点で、ひとつその内容を明らかにしてもらって出していただくことを要請いたしまして、私の質問を終わります。
  64. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 現物出資をした額はさっそく調べて御報告いたします。  なお、先ほど相澤先生が申されましたように、これは私の記憶では、この地区は、当初、地方公共団体がいろいろとこの四日市の発展のために、全体として市が中心になって何をつくるかということで、一部を公園とか、そういうようなことが考えられ、だいぶん長い間にわたって、市が中心になっていろいろな問題が進んでいったように聞いております。最終的には、市の財政負担等もあり、それから四日市地区の住宅事情等の状況もあって、市と住宅公団が話し合って、住宅公団においてこれを市の計画の趣旨に沿った住宅団地をつくることが望ましいであろうという話になって、その結果、いまのような出資をするという曲折を経ておるように聞いておりまして、先ほどお話のございました出資額は、後ほど調べて御報告申し上げます。
  65. 大森創造

    ○大森創造君 林野庁の田中長官にお伺いしますが、私は九月三十日かと思いましたけれども、半年前、二回、三回にわたって相当な資料を要求いたしましたので、御苦労のほどは感謝申し上げますが、九月三十日に出された資料と、事務的なことで恐縮でございますけれども、おわかりにならなければ、ひとつお帰りになって調べられてもけっこうでございますが、十一月十六日にお出しになった資料、これは当然両方の資料に出てこなければならないものが、九月三十日の資料には出ておっても、十一月十六日の資料にはない。今度は、十一月十六日の資料には、例を申し上げますと、北海道の羅臼温泉四千三百四十七坪、十二万一千六百八十八円の貸し料、栃木県那須町の地産KK、四千六百六十一坪、六十三万一千六百三十九円の貸し料、栃木県の日光市レークサイドホテル、坪と、それから価格は略しますが、それから日光市の金谷ホテル、それから同じく栃木県の東武鉄道に貸したもの、群馬県群馬郡榛名町の群馬バスに貸したもの、鹿児島県の何とかというところに、日高某国会議員に貸したもの、その他もございますけれども、これが九月三十日の資料には出てきているにもかかわらず、十一月十六日の資料では全部書いてございません。どういうことか、ひとつ最初に伺いたいと思います。
  66. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 御指示の資料がたいへんおくれておりますことをおわび申し上げます。御要求になりました一町歩以上の貸し付けの一覧表につきまして、十一月の十六日に差し上げましたのは、全部で十四営林局のうちの八つの営林局でございます。それは旭川、札幌、青森、秋田、東京、名古屋、大阪、高知、それだけでございます。それとあわせてあとの六つの営林局の一覧表を差し上げなければならないのですが、内容が非常に広範にわたっておりましたのでおくれているわけでございます。それで、いま御指摘の、九日の三十日にはあった資料というお話がありましたのは、提出のおくれております六つの営林局に属しているわけでございますので、それで、その分には一町歩以上である限り、全部登載されていたわけでございます。
  67. 大森創造

    ○大森創造君 こういうことが言えやしませんか。田中長官が幾ら努力をされても、国有林野の貸し付け関係が、本庁のほうではほとんど不明で、一々営林署に照会しておるような行政のやり方だからだめだと私は思うのです。監督不十分の点が必然的に出てくるだろうと思う。だから、これはどうですか。あとからでけっこうですが、林野庁全般として、貸し付け、それから払い下げ、こういうものは本庁のほうで全面的に把握するというような機構の整備をされたほうがいいのじゃないかと思うのですよ。だから、私は払い下げの問題でだいぶ分厚の資料をちょうだいいたしましたけれども、さっき小柳委員お話ございましたように、私はこれを御苦労でもお願い申し上げたいので、まず冒頭にお願いしますからぜひお聞きいただきたい。多少時間がかかろうとも本委員会提出してもらいたいというのは、過去五年間にわたり払い下げたもの、相手の名前——株式会社なり個人名、その所在地、面積、価格——価格をまず十万円以上としましょうか。払い下げばかりの資料要求をしては片手落ちでございますが、林野庁も御覚悟召され、払い下げで十万円以上のものを提出していただきたい。期間はどのくらいかかりますか。これは林野庁と国のためでございます。
  68. 田中重五

    政府委員(田中重五君) いま御要求のございました資料につきましては、できるだけ早く正確を期して提出いたしたいと思います。  それから前段で御指摘のございました貸し付けの全貌について林野庁で把握すべきである。しないと監督不十分ではないかという御指摘でございます。そういうお考えも確かに一理あると存じますが、貸し付けの全件数は四万四千件くらいにわたるわけでございますが、しかも、きわめて零細な貸し付け面積の件数が非常に多いわけでございます。それで、現在では貸し付けの権限を営林署長に委任をいたしまして、そうして、その貸し付けの事務の執行についての常に指導の方針と、それから、それの適正化につきましては、内部の監査で監督をする、こういうふうにいたしているわけでございます。それで、ただ、その借り受け人ごとの資料をそのつど徴取するということになりますと、事務の面で相当にまた繁雑を加えますので、その点なるべく研究をいたしたいと、こう存じておりますけれども、ただいまのところ、営林署長の権限ということで整理されておるわけでございます。
  69. 大森創造

    ○大森創造君 その問題はまあおいておきましょう。しかし、御検討いただきたいと思います。  そこで、だんだん具体的な問題を二、三お尋ねしますが、九月三十日の私の質疑に対して、田中林野庁長官は、貸し付け予定地の近傍類地の地価を調査いたしまして、なお、その他第三者としての不動産研究所あるいは銀行の調査を勘案いたして出した時価をもとに、その百分の四というのが年間の貸し付け料でありますと答えております。  そこで、この答弁は間違いないとして、具体的な問題を伺いますが、九月三十日にあなたのほうから提出された資料によれば、栃木県那須町に地産株式会社というのがございます。この会社は、いまはなき自民党の実力者の河野さんの関係だろうと思うんだけれども、那須牧場建設のために焼き討ち事件というものが関係が深いと思います。これが旅館を経営するとして四千六百六十一坪借りていますね。この貸し付け坪単価が、私の計算によると百三十五円と六円の間です。これは近傍類地の地価の銀行の評価を参考にしてきめたかどらか、これはどうでしょう、どうも個別的なことでおそれ入りますが。
  70. 田中重五

    政府委員(田中重五君) ただいまお話のございましたとおりに、地産株式会社に四千六百六十一坪貸し付けをいたしておりますが、その貸し付け料金についての問題でございます。いま先生からお話のありましたように、その貸し付け価格の適正を期するための措置を十分にとって額の算定をいたしておるつもりでございますので、安過ぎるというふうには考えておりませんけれども、なお、今後この近傍類地の地価の値上がりに応じて十分また改正をいたしてまいることになると存じます。
  71. 大森創造

    ○大森創造君 それならばそれでよろしいが、私の調査した限りでは、最近数年間に那須高原、この付近は別荘地ブームで地価は都会並みで、坪当たりとにかく十二、三万円もしておる。これは売買価格がそういうことなんで、やっぱり地価の計算が安過ぎやしませんかと私は思うんですよ。田中長官、この地産KKというものについて、近傍の地区について、電話でなくて実際にお知りですか。
  72. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 私は直接現場へ参っておりませんし、また、直接それを調査はいたしておりませんけれども、営林局におきまして、いま申し上げましたような方法で適正を期して算定をいたした、そのように考えております。
  73. 大森創造

    ○大森創造君 私はどうもやっぱり電話連絡なり、それから監督の営林署長がしたことが、書類によってあなたのほうのお手元に来るということになるんだろうと思うんだけれども、どうも私の調査では、この辺の地価は相当高いんだな。それはそれとして、ここでほうっておいてもしかたがありませんから、いずれ私も行って調査してくる、私もいままで代理人をやったんだけれども相当高いんですよ。  それで次に移りますが、国有林野を貸し付けたあとの監督が、幾ら田中長官がどうがんばられても、どうにもならないんですね。私が調べたところでは、一度貸し付けると、その後に国有林野の借り主が目的どおり、国との約束どおり使用しているかどうかという点に非常に問題があると思う。そこで、政治家を利用して別荘適地とか、旅館、温泉の適地の先取りが行なわれている、政治家の口ききで。いつ建つかわからない、計画もはっきりしない、そういうことが全国至るところで起きている、私の調査では起きている。林野庁、御存じですか。
  74. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 貸し付け地が貸し付け目的どおりに使用されているかどうか、その点につきましては、常に営林局長を督励いたしまして、その監督を強化するように指導いたしておるつもりでございます。したがって、明確でない貸し付け目的のために貸し付けするというようなことはいたしていないつもりでございますが、なお、その点につきましては、今後十分に留意をいたしまして指導いたしたいと考えております。
  75. 大森創造

    ○大森創造君 恐縮でございますが、お教えいただきたいのだが、いまの栃木県那須町の地産株式会社というものに貸し付けたのはいつですか。これは御存じですか。
  76. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 貸し付けの時期は昭和三十九年の十二月になっております。
  77. 大森創造

    ○大森創造君 確かに、あなたの出された書類にはそう書いてあるのだが、三十九年の十二月と書いてあるが、これは三十九年の十二月に更新したということであって、私の調査では、六年前ということになっているんだなあ、どうも。六年前に林野庁から借りたということになっているんですよ。林野庁との貸借関係は六年前からできているんではないですか。三十九年十二月は、更新した時期のことをこれに書いてあるのではないですか、いかがですか。
  78. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 私どものほうの調査では、三十九年十二月が始期になっておりますけれども、なお、念のために調査をいたしましてお返事を申し上げたい、こう思います。
  79. 大森創造

    ○大森創造君 ぜひ御調査いただきたいと思うのです。私は人を出して調べているんですよ。そうすると、地産株式会社というものと国との間に貸借関係があったのは六年前だというのですね。そしてチサンホテルというものを、旅館と書いてありますね、用途として。だから、貸し付けを受ける場合に、旅館を建てるという名目で、これは林野庁のほうで許可を与えたに違いない。ここに、あなたの資料に旅館となっているが、旅館は建っていない、この事実おわかりですか。
  80. 田中重五

    政府委員(田中重五君) この貸し付けに先立って、工事がおくれてはいるようでございます。それは旅館の近くに飲料水源地帯があるので、汚水処理の方策の検討をしていたためにおくれていたようでございます。その見込みがついたので、三十九年十二月に貸し付けをきめた、こういうふうに承知をしております。
  81. 大森創造

    ○大森創造君 どうも田中長官、林の中にこだまするような、もう少し大きい声で言ってください。よく聞こえなかったけれども、いまの説明、六年前に、何が汚水の、どういうことを言われました。
  82. 田中重五

    政府委員(田中重五君) お聞き取りにくくて申しわけございません。
  83. 大森創造

    ○大森創造君 耳悪いかな。
  84. 田中重五

    政府委員(田中重五君) この工事の始期は三十九年十二月というふうになっていますという点が第一点です。  それから、もっと早く工事に着工するはずであったのが、旅館建設予定地の付近に飲料用の水源地帯があって、そこで旅館の汚水処理の方策、それがはっきりしなかったので、それがはっきりするまでおくれていた、それが検討が済んだので、そこで工事の着工予定も明確になったので、三十九年十二月に貸し付けをした、こういうふうに承知をいたしております。
  85. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、着工されておりますか。現在明確になったから——前から話は、貸借関係みたいなものがあったと判断するのだが、いまの飲料水の水源云々ということで、汚水処理の問題が旅館経営にまずいから、その点を検討するために、実際にその見通しが立ったから、三十九年十二月に貸し付けたと、こういうお答えでございますが、それならお伺いしますが、これは、ことし昭和四十一年でしょう、この建物着工しておりますか。
  86. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 着工しておるというふうにただいま承知しております。
  87. 大森創造

    ○大森創造君 これは着工してないはずです。長官はごらんになっていないでしょう、目で。どうですか。
  88. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 私まだ現地は見ておりませんが。
  89. 大森創造

    ○大森創造君 それで、うしろにいる方にお尋ねする。長官に言ってください。いつ開設されるか、このホテルが。いつ始まるのだ、あるいは開設されたかどうか、着工して、いつ旅館は営業が始まるのか、どういう見通しでございますか。
  90. 田中重五

    政府委員(田中重五君) ただいま着工をいたしておりまして、ことし四十一年の十二月に竣工の予定というふうに承知しております。
  91. 大森創造

    ○大森創造君 それは林野庁ひとつ責任を持って言えますか。長官の御答弁でございますけれども、うしろの方、よろしゅうございますか。水かけ論になっちゃうのですよ。そういうものが着工しているかということに対して、現地のほうから着工しているという報告があっただけでは済まされない、うしろの方、あなたごらんになりましたか。
  92. 田中重五

    政府委員(田中重五君) ただいまお答えを申し上げましたとおりでございますけれども、なおよく現場を確認いたしまして御答弁を申し上げたい、こう思います。
  93. 大森創造

    ○大森創造君 これは、ここで議論しても始まらない、これはどっちが真実か、現場に行って確かめないとわからない。地元ですよ。  次に移ります。それから、これはお教えいただきたいと思うのだが、群馬県の群馬郡の榛名町の群馬バス株式会社に、目的用途は教育センターということで貸した。群馬バス株式会社というのは、会長は木暮武太夫です。この教育センターというのは、何をやるのですか、教育センター。   〔委員長退席、理事相澤重明君着席〕
  94. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 群馬バスに貸し付けしておりますのは、建物の主目的といたしましては、食堂、会議室、宿舎、そういうものでございます。
  95. 大森創造

    ○大森創造君 それが教育センターという名目で貸し付けられているのだが、私が計算したところによると、これは坪当たり四十円ですね。これの価格は妥当と思いますか。
  96. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 貸し付け料の算定につきましては、先ほど申し上げたような方針で進めておりますけれども、なお、この貸し付け案件についての貸し付け問題につきましての詳細な内容につきましては、十分調査をいたしまして御答弁をいたしたい、こう思います。
  97. 大森創造

    ○大森創造君 これはやっぱり水かけ論になってしまう。これも私、人を出して調査しているんですよ。  その次の問題に移ってまたお伺いします。鹿児島から当選された国会議員が旅館を建てるということで、これは鹿児島県の何というのかな——ここに三十九年の五月に六千二百五十一坪貸している。で、これは旅館が建ててありますか。私の調査では、建てていないのだがね。旅館を建てるということで貸し付けるならば、私も参議院議員だから、一番いいところを借りたいと思っているのだけれども、これは建ててありますか。建てていないと判断するのだけれども、判断でなくて、建てていないでしょう。
  98. 田中重五

    政府委員(田中重五君) その問題につきましても、調査をいたしまして御答弁を申し上げたいと思います。   〔理事相澤重明君退席、委員長着席〕
  99. 大森創造

    ○大森創造君 どうも困ったものだな。私の調査によると、これは建てていないのですよ。建てる気配なんかは全くないね、これは。  そこでお伺いしますけれども、けさちょうだいしましたこの資料——半年ぶりにもらったのだと思うのだけれども、この中で「温鉱泉用地」を見ると、貸し付け料五万円未満のものが十四件あって、坪数が九万一千二百四十四坪で、それから貸し付け料年額が二十四万七千八百七十三円。これを坪数で割ると、坪当たり二円五十銭だね。年間の貸し付け料が二円五十銭ですよ。温鉱泉用地を平均すると二円五十銭。これは安いとお思いになりませんか。
  100. 田中重五

    政府委員(田中重五君) まあ高いか安いかの問題ですけれども、いまも申し上げましたような方針で進めておりますので、貸し付けの価格は適正に進めているというふうに考えております。
  101. 大森創造

    ○大森創造君 どうも私は二円五十銭というのは安いと思うのですよ、私の調査では。温泉用地、あるいは鉱泉用地なんかは、これではだれでも借りたくなると判断するのじゃないかと思うのです。だから、田中長官が幾らがんばっても、これを把握し切れないのですよ。これはあなたが幾らおつとめになっても、現地の営林署長と政府ボスの話し合いで、ぱっぱと借りていってしまう。国会で問題になると多少値上げするということもあるだろうけれどもね。私はあらさがしをするわけじゃないけれども、少し心もとないような感じがするのです。これはほんの一例でありますよ、私が気がついた。あなたのほうでは建物が建っていると言うのだし、私のほうでは建物が建っていないと言っている。これでは水かけ論になる。あなたのほうでは自信がないのでしょう、いままでの御答弁……。建物がないだろうと言われると、あると確信を持てる答弁はできないはずだ。  まあ、そこで次に移ります。時間がありませんから最後にします。行管のほうにお伺いしたいと思う。那須高原あたりでは、別荘ブームでいろいろ問題がある。そこで、こういうことを河村栃木行政監察局長は言っている。「簡単にいえば、国の事務がずさんなため、国有財産が勝手に切り取られたり、一般の人にもめいわくをかけていたということだ。極端ないい方をすれば、国が領土をしっかり決めていないということで、一晩のうちにナワ張りをしておれの土地だと主張すれば、合法的に登記できるというありさまだ。誇大広告や不正取り引きなど不良不動産業者が問題になっているが、那須の土地の”無法状態”はそれどころではない重大な問題だ。とても地元だけで解決できる問題ではないので、中央で急いでなんとかしてもらいたい」ということが、この談話として出ておりますが、監察局長御存じでございましょうか。
  102. 稲木進

    政府委員(稲木進君) ただいまのお話の件につきましては、那須のほうの登記所に公図がないということのために、所有権が非常にこんがらがっているということに関連したお話だったと思います。栃木の行政監察局長の談話としていまお話しになりました内容につきましては、私詳細に存じておりませんけれども、ただ、この問題については、栃木の行政監察局長が昨年その実情を一部調査しまして、その結果は私どものほうに参っておりますので、大体こういう問題であるということはよく承知をしております。
  103. 大森創造

    ○大森創造君 まあ時間がありませんから、それひとつ御調査をいただきたいということだけにとどめておきますよ。  それから最後に、もうこれは私は、いろいろな資料をちょうだいしましたが、どうも資料の中に、これは非常に私は皮肉な言い方で恐縮でございますが、事務段階で都合の悪いところを抜かれている資料のような気がするのですよ。どうもあぶないものは抜いてお出しになっているような節があるのですよ。この資料、ほんとうに長官並びに長官のうしろにいる方ね、自信を持って私のところに提出できますか。この資料の内容に間違いないということは言えますか。
  104. 田中重五

    政府委員(田中重五君) その点につきましては、絶対に間違いのない資料でございまして、正確を期するために期間も長くかかったわけでございますが、これは国会に提出する資料である以上、細工をしたり、そういうことは絶対にないということをはっきり申し上げます。
  105. 大森創造

    ○大森創造君 長官の御答弁はわかるのだが、各営林署で貸し付けの権限を与えられるということになるというと、どうも営林署に行って当たってみないとわからない、営林署に行って。そうすると、私の調査もあと半年ぐらいかかるような気がするのですよ。そこで、こういう資料を出されたけれども、私は実はどうもふに落ちないところがあるのですよ。そこで、まあ押し問答になりますからやめておきますが……。  ひとつ、資料として、今度、さっき小柳さん言われましたように、貸し付けなんです。実は払い下げてしまったもの、これをさっき冒頭に申し上げたような条件で、なるべく早く御提出いただきたいと思うのです。国のため、林野庁のために、このことはぜひお願いいたしたい。そのことだけで、きょうはやめておきます、時間ございませんから。
  106. 田中重五

    政府委員(田中重五君) いまの御要求の資料は、できるだけ早く、かつ、御要求どおりの内容提出をいたしたいと思いますが、重ねて申し上げますと、営林署の段階でも、これは最も正確を期して各職員やっておりますので、そこで細工するなんというようなことは絶対にないことを重ねて申し上げておきます。
  107. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 申し上げますが、だいじょうぶですか。絶対にだいじょうぶなんですね。  それで、そのお約束になりました資料は、本委員会全体に御提出を願いたい。
  108. 柴谷要

    ○柴谷要君 一言だけ……。  長官は最近長官になられたので、あなたを責めるわけじゃありませんけれども、どうも国会に出てきて答弁されるのに用意が少し足りないような気がする。私聞いておりますと、後日調べるとかなんとか言って逃げているようだが、そういうことになりますというと、お気の毒ですけれども、林野庁だけ一日みっちりこの決算委員会やらなければならぬ。だから、少なくとも二時間なり三時間の間に済ませよう、こういうわれわれ決算委員会の気持ちも十分ひとつ参酌されて、それで後日調べて御答弁申し上げますというようなことでなしに、自信を持ったあなた方の行政をしておるのだから、自信を持って答えられるように随員を連れてきて、きちっとやられることを要求しておきたいと思う、それはあなたの責任ですから。先ほど大森君の質問に答えられないところを見るというと、何か疑惑を招くような気がする。そういうようなことじゃ、あなた方の損だと思う。実際に下部を回ってみるというと、営林局の職員あたりは非常な努力をしておる。雪の中でも、山林盗伐があったり何かしちゃいかぬというので、たいへんな営林局の職員が努力しておることをわれわれは目のあたり見ておる。そういうところで行なわれる行政ですから、多少の間違いもあるだろう、あればあっていいんだ、それは訂正すればいいんですから。ただ、それを中央が十分掌握をして国会で答弁がきちんとできていけるように用意をしてきてもらわなければ、下部で働く職員はかわいそうだと思う。そういう点を御注意申し上げておきますので、次回の委員会のときに、林野庁の場合には、十分長官としてはお答えのできるように、あなた御自身だけでなしに、自分でできなければ、随員をそこへ一ぱい連れてきたってかまいませんよ、林野庁の職員全部連れてきてもかまわぬから、ひとつ十分国会に答弁のできるような用意をして参加されることを希望しておきたいと私は思う。
  109. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、午前中の審査は、この程度にとどめたいと存じます。  なお、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      —————・—————    午後一時五十四分開会
  110. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから、決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和三十八年度決算外三件及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書を議題といたし、昭和三十八年度決算外三件の総括質疑及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書の質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  111. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は前回総理大臣に、また前々回の本委員会でも問題にいたしました高輪の旧御用邸のこれから行なわれんとする交換契約、それを、当局の考え方を聞いたわけですが、それに重大な関連を持ちます問題として、きょうは新たな時点からもう一つの問題をお伺いしたいと思うのです。といいますのは、四十年十二月の二十八日、まさに御用納めのそのときですが、国と財団法人中央労働福祉センターとの間に交換契約が取りかわされ、一月の二十五日にこの契約が実施されました。ついては、この交換に至る経緯を大蔵省のほうから簡単に御説明をいただきたいと思います。
  112. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 本件につきましては、この中央労働福祉センターから、本郷湯島にある旧岩崎邸のあと地についての交換の申請が参りました。国といたしましては、ちょうど前回も申しましたように、公務員宿舎用地を必要とし、これを現段階においては東京周辺で約二十数万坪の不足を来たしているという現状から、公務員宿舎用地を取得したいと考えておりましたので、東久留米にある土地を公務員宿舎用地とする考えのもとに、国有財産法の二十七条による交換をいたすことに決意いたしました。関東地方国有財産審議会の審議を経まして交換契約を締結した次第でございます。
  113. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの答弁でございますが、実は前回も申しましたけれども、国有財産払い下げとか、あるいは処分をめぐりまして、大蔵省としても姿勢を正したいという意向がありましたし、大蔵大臣が中央審議会に諮問をしまして、その答申が昨年の十一月に出ているわけです。その答申には、あるいは払い下げ払い下げ人を選定する問題とか、さらには、その用途指定の問題とか、評価の問題について、従来ややずさんな点がある、その姿勢を正していきたいという答申が出て、大蔵省もそれを受けて、まさにその姿勢を正そうとするときに、従来の慣例のまま、こういう交換契約が行なわれたということは、私いささかふに落ちない点があるのです。いまの局長説明の中には何ら触れておられませんが、これには一つの前の経緯があるわけです。それはそれでまた別の問題からお伺いするとして、いま局長が言われた国有財産法の二十七条第一項の規定を見ますと、まあ該当するとしますと、公益事業の用に供するため必要があるときは交換をする。その前のほうを読んでおりますと、大体「国又は公共団体において公共用、公用又は国の企業若しくは公益事業の用に供するため必要があるときは、」と、交換契約には非常に制限をつけているような気がするのです。なるほど、この中央労働福祉センターは労働大臣の認可もとっているようでございますし、また、事業計画としては、いわゆる年金あるいは社会保険の被保険者の福利厚生というものを訴えて、公益法人としての性格は持っているようでございますが、あえてこれを交換契約に持ち込んだ理由というのは、単に公務員府会の用地を確保したいという理由のためでございましょうか。
  114. 松永勇

    政府委員(松永勇君) この交換契約と申しますのは、二十七条に規定しておりますように、国において公用の用に供するため必要があるときは交換契約をすることができる。この場合は、国の公用でございます。国の行政財産としての公務員宿舎を取得する必要があるという、この条項に従って交換契約をいたした次第でございます。
  115. 二宮文造

    ○二宮文造君 法律というのは、読みようによっては、どのようにも解釈できるものでして、私は、交換を受ける相手先を規定する問題とも解釈をするわけですが、局長のほうは、国が公務員宿舎を要する、そのほうが公用だというふうに解釈する、これは法律の解釈の問題ですが、私はここで、当該の土地、それを交換を受ける、交換の申請をする中央労働福祉センターが、いかなる目的のために使用したいというふうな意図で申請をしたか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  116. 松永勇

    政府委員(松永勇君) この中央労働福祉センターは、御承知のように、全国的な労働団体四団体が発起人としてつくられた民法上の公益法人でございます。その事業の遂行目的は、全労働者の労働福祉施設を完備するということを目的といたしておりまして、東京都内に労働福祉会館を建設する、そういう労働者が受益するような労働福祉会館を建設するということを大きな事業計画として掲げて、その土地に湯島の土地を使いたいということを交換申請理由に掲げておるところでございます。
  117. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、具体的に労働者の福利厚生施設をつくりたいという厚生施設内容は、どういうことですか。
  118. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 宿泊施設、スポーツセンター、結婚式場等を含みました福祉会館。規模としましては地上二十階、地下二階、延べ九千坪余のものをあすこに建てるという計画になっておるようであります。
  119. 二宮文造

    ○二宮文造君 この福祉センターの出資金は幾らですか。
  120. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 基金として五百万円でございます。
  121. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの地上二十階、地下二階、延べ九千坪の建物の建設の資金計画は、どういうふうに申請になっておりますか。
  122. 松永勇

    政府委員(松永勇君) この会館の建設費は約四十一億円と予想されております。この四十一億円の金の調達は、年金福祉事業団からの融資を仰ぐものとして約二十四億、それから東京労働金庫からの借り入れ四億、それから組合員から一口千円の拠出を仰ぐものといたしまして約四億、その他九億といたしまして、約四十一億の事業資金を調達する計画になっております。なお、事業資金の中身につきましては、その他九億というものにつきまして、種々私のほうでもその内容をお聞きし、検討したところでございますが、これにつきましては、福祉センターは種々の計画を持っておられるようで、その一部は東京都からの助成金というようなものも考えられているようでございます。この辺について私たちも種々お話し合いを聞いたわけですが、それの金額はまだ確定はしていないようでございます。そういうものの不足分は金融機関等の借り入れ、そういうものを含めて約九億を拠出して四十一億の事業資金を獲得したい、こういう計画になっております。
  123. 二宮文造

    ○二宮文造君 この交換契約には、交換契約なるがゆえに用途指定はしてないのですが、用途指定はしてないとしますと、従来間々ありますように、転売とか、あるいは他目的に使われるというふうな危険性というものも感じられるわけですが、その点はどういうふうに考慮されて今度の交換契約を結ばれましたか。
  124. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 御承知のように、この国有財産法の二十九条によりまして用途指定を付さなければならないというのは、売り払いをする場合に限定されております、法律上は。交換の場合には、したがって用途指定をつけなければならないということにはなっておらないわけでございます。と申しますのは、交換というのは、先ほど述べましたように、二十七条の規定によって交換をいたします主たる理由は、要するに、国が公共用、公用等の用に供するため必要があるという規定になっておりまして、要するに、一番この交換を決意するポイントは国の必要性、あるいは公共団体の必要性というものが中心になっております。したがいまして、法律上はそういうふうになっておりますが、交換契約の場合にも、当該渡す土地というものはふさわしい使い方をしてもらうということを私たちとしても望むところでございます。そういう意味から、交換契約につきましても、相手方の計画というものはこれを一応検討いたすということで、今回の場合には、そういう計画は妥当であろう、それから、相手方がこういうきわめて信用のおける団体であり、その相手方の事情等をいろいろ審査いたしましても、われわれも信頼するに足るということに考えまして、この申請目的は十分達し得るし、また、他の転売等の事実は起こらないであろうというように信じて行なったわけでございますが、なお、契約面ではそういう用途指定はつけておりませんけれども、実は相手方が念書を当方に提出してまいっております。それは、この交換渡し地につきまして、これを転売あるいは転貸等のことはいたしませんという趣旨を先方から念書として入れているわけでございます。
  125. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、この事業計画については、相当に信憑性を持って大蔵省は交換契約をした、尽くすだけの手段は尽くした、こう私は了解するのですが、ならば、先ほどの資金計画に戻りまして、建設費の四十一億五千万円と予想されますその建設費の大部分、半額以上が年金福祉事業団から還元融資を受けるという向こうの申請になっておりますが、この点について、年金福祉平楽団の意向大蔵省としては確かめた経緯はありますか。いかがですか。
  126. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 年金福祉事業団には、事情は平務的には聞いたわけでございます。もちろん年金福祉事業団としては、現段階においてはまず土地の入手が可能でなければ、とうてい考えるわけにはいかない。で、土地の入手が前提であるというような御意向であったと聞いております。
  127. 二宮文造

    ○二宮文造君 年金福祉事業団の方がいらっしゃるわけですが、過去に還元融資として、二十四億五千万円という膨大な還元融資をなすった実績があるかどうか、あるいは過去に一口としてまとまった還元融資の最高の金額は幾らであるか、この点についてお伺いしたいことと、もう一点、年金福祉事業団に対して中央労働福祉センターなるものがこの還元融資について話し合いをしてきたと思いますが、現在までの話し合いの段階がどうであるか、この三点について簡単にお伺いしたい。
  128. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) ただいま御質問にございましたような巨額な資金を貸した前例は、いままでのところはございません。厚生福祉施設に対しまする最高額は二億円程度でございまして、他のたとえば、住宅等におきましてこれより多い例もございますが、十億をこえる融資を行なった例は、いままでのところございません。
  129. 二宮文造

    ○二宮文造君 もう一点。中央労働福祉センターが年金福祉事業団に対してこれこれの会館を建設したい、ついては二十四億五千万の還元融資を受けたいというふうな話し合いがどういう形で行なわれたか、あるいは正式に受け付けてないか、この点についてお伺いしたい。
  130. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) この福祉センターの申請は、四十年の八月に書類としては事業団に提出されておるようでございます。ただこの内容につきまして、非常に巨額な金でございますし、事業団におきまして、当該団体の償還能力、事業内容の適否等につきまして慎重に検討中であるという段階でございます。
  131. 二宮文造

    ○二宮文造君 事業団の方がお見えになっていると思うのですが、もう少し詳細にその間の経緯をお伺いしたいと思いますが……。
  132. 杉山二郎

    参考人(杉山二郎君) お答えいたします。いま年金局長からお話がありましたように、昭和四十年八月二十五日に、東京労働金庫の窓を通しましてわれわれのほうに、先ほどから大蔵省のほうからもお話がありましたと同様の申請が出ております。その後正式には別に進展した文書その他はいただいておりません。年金局長からお話がありましたように、土地の問題、組織の問題等ありまして、今後研究さしてもらうというふうな段階でございます。
  133. 二宮文造

    ○二宮文造君 国有財産局長にお伺いしたいんですが、先ほどの答弁と、それから当面の還元融資を取り扱う窓口であるところの事業団との見解とは大きく開いております。私どもが考えてみましても、宿泊設備、センター、結婚式場なるものでこの四十一億五千万円の会館が運営できるとはとうてい考えられないわけです。そこにすでに大蔵省としては中央審議会で答申をしているものを、何か背景に政治力を意図して不問に付している。幾ら姿勢を正しく見せても、その陰では変なことが行なわれている。  私もう一点疑問があるのです。労働省の方がお見えになっておると思うのですが、私は労働金庫というものは、労働者の福利あるいはそういうものの資金融通、会員の資金融通ということに理解しているわけですが、当面この東京労働金庫は東久留米の土地を入手し、国に交換財産として差し出すための土地を買うため極度額を七億六千万円の融資をすでにしているようでございます。中央労働福祉センターは会員でもありますまいと思いますが、こういう会員外の法人に、たとえそれが間接的に労働者に関係があるとはいいながら、七億、八億もの巨額の資金を、しかもその土地に融資する——いま伺いますと、建設資金としても、さらに四億融資するというふうな資金計画になっておりますが、こういうふうな事態が、労働金庫そのものの使命からどうかと私は思うのです。見解はいかがでしょうか。
  134. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 労働金庫は、先生御存じのように、労働組合とか消費生活協同組合その他の労働者の団体が共同してやる福祉、共済活動というもののための金融というふうに規定されているわけでございます。いま先生が御指摘のこの福祉センターは東京労働金庫としては会員に入れております。それで、そのためにそういう融資をしたのじゃないかと思うのです。
  135. 二宮文造

    ○二宮文造君 いえ、私の伺いたいのは、そういう土地建物に八億、十二億というふうな融資をするということが、労働金庫本来の使命から逸脱しているような気持ちが私はしているのですが、その点はいかがですか。
  136. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 土地に何と申しますか融資するという限りにおいては、先生のおっしゃることも言えるかと思いますが、先ほど来、先生、関係者への御質問にもあるように、これが労働福祉会館、いわゆる労働者の福祉共済活動をやるための施設をつくるために、やはり土地の入手も必要であろうし、そういうためのものでありますから、必ずしも目的外というふうには判断——ただそれがその土地だけを入手して利ざやをかせぐという特別のほかの目的をもってということになるとわかりませんが、その土地の入手だけに融資したというだけだとそういう感じを持たれると思いますが、その土地を入手する手段を講じて、最終的には労働者の福祉共済活動のために利用しようとする目的での最初の行動、あるいはそれに関連した行動であるならば、必ずしも目的を逸脱することにもならぬ、これはもう少し長い目で見ないと、いま直ちにそういうふうに判断できない、こういうことでございます。
  137. 二宮文造

    ○二宮文造君 近い例では、千葉県でワク外に労働金庫が貸し出しをしたというので、労働者の皆さんがたいへん憤慨なすっておるというふうな例もありますので、ひとつこの点については、もっと労働省としても目を光らしていただきたい。  それで、話をもとへ戻しますが、国有財産局長は、公務員住宅をほしいということで、交換住宅地がほしいということで交換契約に持ち込んだ、たまたまそういう土地があったから交換契約に持ち込んだというふうなニュアンスの話をするわけですが、中央労働福祉センターが土地を入手いたしましたのは三十九年の六月です。そうしますと、すでにその前に国有財産の審議会でも承認の段階に入っておりましたし、いわば交換契約を取り結ぶために土地を入手した、それでこの登記謄本を見てみますと、まだ、これは形が宅地に変わっておりせん。そして、中央労働福祉センターは、自分が所有権を取得しないままに、国と交換契約を結んでおります。そうしますと、国は交換契約の相手先を中央労働福祉センターにしておりますが、この土地を登記いたしますときには、相手先は中央労働福祉センターではなくて、もとの所有者になっているはずです。なぜかと申しますと、登記簿によりますと、仮登記しかしておりません。本登記はやってございません。本登記をしないまま、いわば中央労働福祉センターを抜いて、もとの所有者と大蔵省との間の交換になっております。こういうふうな手続だけを合法化して、内容は体裁を整えるための交換契約のやり方が、従来指摘されたところです。で、大蔵省にこの地先について、いろいろ私伺ったのですが、資料がいただけませんでした。外何件となっておりますが、その冒頭の、ただ一つの所有者についてだけ調べてみますと、そうなっております。したがって、この土地評価の問題にしましても、概算が、東久留米の土地が三万五千円、坪当たりになっております。地目は畑地です。一方、湯島のほうの、いわゆる国が提供するほうの評価額は、平均して坪当たり三十二万円程度になっております。ここにもまた、出すほうの評価は非常に低い。なぜかといいますと、湯島は、湯島の地は元岩崎邸、いまも言われたように、岩崎邸、すなわち不忍池を一望におさめる土地です。また、都電がいま通っておりますが、都市計画によりまして道路が広がる。そうすれば、さらに環境がよくなります。交換契約のときには、もうすでに道路が広がる部門については除外して、契約を結んでおります。したがって、私はその算定の基準というものについては、民間精通者の意見をとったと仰せになりますから、審議会で問題になったあとでもあり、相当厳格な民間精通者あるいは付近の売買実例というものを勘案されたであろうと期待をして、資料要求をしたのですが、それも出していただけません。出た数字は、幾ら、民間精通者は幾ら、足して二で割ればこれというふうな、実にずさんな資料しかいただけません。なぜこういうふうな問題が起きるかと申しますと、先ほど冒頭にはしょりましたけれども、この中央労働福祉センターは、もとの高輪御用邸と、所有権のない人を相手に使用貸借を結んでおりました。それが後にまた、その居住者が京浜急行に二重に使用貸借の契約を結んだので、内容証明郵便でもってその居住者に対して反省を求めると同時に、代替地をさがしてくれなければ困る、あなたを名誉総裁に仰いで、月々二十万のお手当を支給したのは、何の意味かというふうな内容証明郵便を、中央労働福祉センターの専務理事から出しております。それらがからんで、高輪御用邸とからんで、この問題が派生してきた。ですから、正面いろいろな手続の、局長さんがお話しになっても、そういう伏在した事情というもの、政治的な配慮というものを明らかにしない限りは、この問題は明快になりません。  で、私は、あらためてこの委員会の席上で、資料要求をいたします。算定の基礎、国の算定の基礎、民間精通者の算定の基礎、おそらく三件くらいはとっているはずです。あれだけ審議会できびしい答申が出ているわけですから、その直後ですから、なさっていると思います。それから付近の売買実例、具体的にお示しになったもの、要すれば民間精通者の意見の原本の謄本をいただきたいと思います。それから交換受けのほうの土地の地名、元の所有者、坪数、それから算定の基礎、これも合わせて前の例に基づいていただきたいと思います。  さらにもう一点お伺いしておきたいことは、念書はとっていると仰せになりますが、これは法律的な効果は、私ないと思うのです。もしも碑文谷のマンションのようにある商社が出てきて、それを使用目的に反するような建物にしてしまう。さらには資金ができなかったと称して、これを転売する。そういう危険性も私はあると思いますが、その点については、どう責任をもって防御される考えなのか。これは口頭でいま答申していただいてけっこうです。以上の二点について、まず局長にお伺いしたい。
  138. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 先ほど仰せになりました資料につきましては、後ほど調製して提出いたしたいと思います。  なお、ちょっとお断わり申し上げておきますのは、昨日、先生からいまのような資料の要求があったそうで、それにつきまして打ち合わせをした事務担当者が、この資料でいいと思って御提出したのが、きわめて簡単であったということで、御要望の趣旨に沿わなかったということでございます。申しわけなく思っております。御要望のありました、ただいまの資料は、調製いたしまして提出いたします。  次に、念書の問題でございます。先ほど申し述べましたように、交換は、用途指定を法律上つけなければならんということにはなっていないという点、それから私のほうとしては、交換契約を行なう最大の理由は、国が必要とするところの公務員宿舎用地を取得するためである。法律上の要件は、それをもって足りるわけでございます。しかしながら、あわせて交換の、渡す土地が、都市計画その他の立場から見て、より有効に使われることが望ましいということは事実でございます。そういう点から、種々の配慮をいたすということはある。そういう事態があることは、先ほど申し述べたとおりでございます。本件の相手方に対しては、信用のある相手方であるというふうに思い、事実そういうことが行なわれるであろうと思ったわけでございます。これを、どうしても交換契約用途指定をつけなければならないというふうには判断いたさなかったわけでございます。契約は信義誠実の原則に従って行なうということは、契約の第一にも書いてございますように、相手方の信頼すべき信義誠実の原則のもとに行なわれるであろうということで、相手方から出していただく念書をもって、私たちは信頼しているところでございます。
  139. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、ここに審議会の答申があります。ならば、この審議会の答申といまの局長の答弁とは、ずいぶん食い違いがあります。審議会は答申するだけでよろしいのです。この答申を受けて、大蔵省としては、その趣旨にのっとって善処するというふうな考え方を明らかにしているわけです。第一項は、「処分の相手方の選定方法について」「これは、土地のもつ特殊性にかんがみ、これを国民全体のために最も有効に利用するという見地から、特に公共及び公益的な用途ないし国民経済的に重要性の高い用途に優先的に」云々とありまして、非常に相手先に対して用途についてですね、相手先を選ぶのについて神経を注ぎ、なお、その末尾に、「また、国有財産と民有財産との交換を行なう場合においても、交換制度の本旨に即した適正な運用を図るため、国の交換渡し財産について、上記の趣旨にのっとり、売払いの場合に準じた取扱いを検討することが望ましい。」これを大蔵省としては答申を受けているわけです。にもかかわらず、いまの局長の答弁によりますと、交換契約の場合に大事なのは、公務員宿舎を確保するということが大事であって、用途指定の問題などというのは二の次だ。それだけで法律要件は足りるというふうな答弁ですと、前回以来ずっと問題になってまいりました国有財産の取り扱いについての大蔵省の姿勢は全然変わってない、こう私は断定するよりほかないと思う。これがこの交換契約が答申の前ならいざしらず、答申は十一月の二十二日受けております。そうですね。その直後の問題です。この点はいかがですか。
  140. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 私が先ほど要件を備えていると申しましたのは、国有財産法の二十七条のことを申し上げたのでございます。その点ちょっとことばが足らなかった点をおわびいたします。国有財産法の二十七条は、すなわち法律的要件として国の公用ということがあれば交換をすることができるという規定になっております。で、本件の場合、そういう交換の場合には、先ほど来申しておりますように、国有財産法二十九条では用途指定を受ける必要がない、法律上はそういうことになっております。そういうことで、売り払いと交換というものはそこにおのずと違った問題があるわけでございます。ただ交換につきましても、そういう答申の趣旨に沿うて、先方、相手方の選定等については十分姿勢を正して配慮するという趣旨にこの答申があったと了解いたしております。そういう意味で、私たちも交換であるがゆえに用途指定を全然しない。一切何に使われようがかまわないというふうには考えないで、それぞれのケースに応じてその交換渡しの土地というものの利用計画、相手方等を十分検討し、ケースによっては用途指定を付する。あるいは用途指定に準ずる念書のようなものを徴するということは、それぞれの具体的なケースによって判断していくべきであろう。現に実はこの中央審議会の答申にあります、先ほど二宮先生がお読みになった点につきましては、まだ私たちもこの趣旨に沿うた通牒を検討いたしておるところでございます。種々問題がむずかしい点がございますので、せっかくこの方向で努力いたしているところでございます。
  141. 二宮文造

    ○二宮文造君 必死に防衛されるのですがね。しかし、あれでしょう、四十一億五千万円の資金計画そのものがくずれているわけです。年金福祉事業団としては、そういうような巨額な融資はしたことがない。また将来これをするとすれば、たいへんな問題があるわけです。建物については二億限度だ。そういう事態を私踏まえますと、大蔵省申請書の内容を実現性があるものだと、信憑性があるものだとせんさくをしなかった理由は何か、その以前に理由がある。その以前の理由とは、私が先ほど申し上げましたような理由です。内容ははしょりますが、これは大蔵省で調べていただけばわかります。事態だけ申し上げておきます。昭和三十八年十一月十二日第八百三十、東京中央ナ号書留内容証明郵便物を資料としてお取りになればわかります。差し出し人は、東京都港区芝田村町二の十一、山田ビル五階財団法人中央労働福祉センター理事長今井一男、あて先は、東京都港区芝高輪南町十七番地——もとの居住者です。それから同じく三十八年十一月二十二日、同センター間宮常務理事から同じ居住者にあてて、配達証明郵便が出ております。東京中央郵便局局受け番号東京中央と七百六十六号、この二つをお読みになれば、この芝の高輪の御用邸と中央労働福祉センターが、どのような関係にあったかということが一目りょう然といたします。私はこの交換契約も問題でありますと同時に、これが行なわれるくらいですから、前回問題にいたしました高輪の御用邸が不当に安く早晩交換契約がされるに違いない。それを防止したいわけです。前回私は高輪の御用邸については、坪六十万、七十万と私申しましたが、大へんな認識の誤まりでございました。付近の業者にお伺いいたしますと、大体坪当たり二百万、こういう評価をしております。坪当たり二百万。まああの御用邸の面積が一万坪ですから、若干割り引きされたとしても坪当たり百万以下ではありません。これは断定いたしておきます。そうしますと、大蔵省が概算として出した四十万というのは不当に安い。交換を受ける財産につきましては前回申し上げましたとおり、これは不当に高い。そしてもっと申し上げておきたいのは、これは巷間うわさされるところです。御用邸の交換を受けようとする京浜急行は、もうすでに何億という金を使っている、こういううわさがございます。またこの中央労働福祉センターも京浜急行との間に係争がありまして、もっと具体的に言いますと、この土地をめぐって東亜開発という会社が使用契約を結んだ。居住者の所有権を前提としてというような公正証書の条文の示し方です。所有権があるものと前提して、両者の間にこういう使用貸借を結ぶ条件はこうだ、さらにそのあとに中央労働福祉センターがこの東亜開発の使用貸借の契約をくつがえして、いわば二重契約になるわけです。二重契約になる。それをもとの居住者と契約を結んだ。当然東亜開発ともとの居住者との間に係争がありまして、その係争をしておるうちに今度は、京浜急行ともとの居住者が、またこれ使用貸借を契約した。三重の使用貸借の契約です。私は、もとの居住者がこれに対して権利があるとかないとかということは、いま云々しておりません。しかし、少なくとも国有財産であり、その国有財産で所有権が国とはっきりしているものについて、そういう係争が起こってきた。それを政治的に解決すると称して、いま申し上げたような条件で——結論は国民が損をします。いわばこの中央労働福祉センターの交換の内容は、その飛ばっちりです。いわば口封じとも言えます。私はそう思います。そのようなことを、いま国有財産の管理処分が問題になっているときに、姿勢を正さなければならない大蔵省が、先んじてそういうことをするということは、私は納得ができない。もうすでに交換されたわけですから、所期の目的のとおり、この中央労働福祉センターが労働者の皆さんの福利厚生施設をつくるように、もっと厳格に指示していただきたい。少なくとも碑文谷のマンション式や、転売などについては、あなたの役職、官職の責任において監督をしていただきたい。あるいはこれはそこに政務次官もおられますが、大蔵省の責任ある立場として、これを管理していただきたい、監督していただきたいと思います。私が本日これを問題にいたしましたのは、まさに行なわれんとする高輪の御用邸が、不当な価格で交換されてはならないということの防御のために出したわけです。事態をもっと究明されて、後日責任のある答弁をいただきたいと思います。いま申し上げた内容証明については、大蔵省の御見解も、あとで後日伺いたいと思います。政務次官、最後に答弁をいただきたいと思います。
  142. 竹中恒夫

    政府委員(竹中恒夫君) 本日の午前中の当委員会におきましても、国有財産の管理運営あるいは払い下げ払い下げ後の監査監督等につきましては、従来に倍しまして姿勢を改めて厳重な行政指導を、私どもも担当官にいたす決意でございます。ただいま御指摘の問題につきましては、いま少し私自身詳細に内容を検討いたしまして、後日この問題に関する答弁をさしていただきたい、かように存じます。
  143. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ国有財産の問題はこの程度で——。あと十分か十五分会計検査院に——。全然問題が変わるわけでございます。  本日は、この三十八年度の決算報告、それらを中心にしまして、いわゆる総括質疑、締めくくりの総括質疑となっておりますので、この前も会計検査院の院長と種々論議したわけでございますが、この会計検査院のあり方というものについて、若干お伺いしたいと思います。  今日いわゆる指摘事項として、批難事項として検査報告に出ておりますが、あの検査報告に出ているものをもって、あるいは現在の会計検査院として検査機能が十分に発揮されていると、こう院長は理解されているかどうか。お伺いしたい。
  144. 小峰保栄

    会計検査院長(小峰保栄君) お答えいたします。  現在の検査報告に出ている事項で会計検査院としては十分機能を達しているかどうかと、こういう御質問でございます。よく世の中一般に、検査報告に出ている事項は氷山の一角だというようなことを私どもも耳にいたしますし、また活字で見ることもあるのでありますが、私どもは、実はそう考えておりません。と申しますのは、会計検査の対象は、御承知のようにいろいろな形態がございます。まず第一に、国が直接に収入支出するものがございます。それから補助事業、あるいは保険とか、まあいろんな関係ございます。それらをごらんになりますと、ずいぶんいろいろな種類のものが載っているわけでございます。国の直接に担当しております収入支出、特に支出、これにつきましては、会計検査院は、おもな官庁は毎年のように検査に参ります。また少なくも一年おきには実地検査に行っております。また御承知のように、会計検査院は計算証明ということで、毎月計算書と証拠書類を、小さいものを除きまして、出してもらっているわけでありまして、これについては、全部の検査をやっているわけでございます。その結果あがりますのが、検査報告事項として出るわけでありますが、これにつきましては、相当にまあ充実したと申しますか、われわれできる範囲でかなり充実した検査をやっていると、こう思っているわけであります。  それからよく、先ほど申しましたように、氷山の一角とかいろんなことを言われます理由は、大体補助事業の検査というものが、あまり行き届いていないのでありまして、これは検査報告にもはっきり書いてございますが、補助事業の件数から申しますと、一〇%ぐらい、省によっては年によって一〇%以下というようなところもございます。これは何ぶんにも、補助事業と申しますと、計算証明はあまり出てまいりませんし、件数は全国で十万件、また農林省のいろいろな一般補助——公共土木以外のもの、を除いた一般補助などを見ますと、これは非常に数が多いわけでございます。そういうものにつきましては、これは先ほど申し上げました国の直接の支出というようなものと違いまして、なかなか現場を全部回るというようなことはできない実情でございます。これはいま申し上げましたとおり、省によっては一〇%以下、しかもやれなかった。九万、数万、五万、四万というようなところについては数千件しか見られなかったというようなことを繰り返しているわけでございます。これについては、必ずしも私は十分な検査をしたともちろん思えないのでありますが、しかし、問題のありそうなところ、また金額の大きな工事、事業というようなものは大体見ております。ですから、かりに一〇%で、いま検査報告に数百件のものが出ると、それを一〇〇%やったらその同じ倍数で正比例的に出るかどうかと、こういうことになりますと、私はおそらく出ないだろうと思うのであります。検査決して現在の状態で万全だということは、ちょっと全体を通じて見ますと、また特に補助事業などにつきましては申し上げかねますが、おもなものについては、まあ大体検査できているのじゃないだろうか、こう考えている次第であります。
  145. 二宮文造

    ○二宮文造君 三十八年度の批難件数及び金額が六百十六件、二十三億円、それがまあ漸次ふえております。五年前の三十四年度に比べますと、二百九十二件、十三億円、件数あるいは金額ともに二倍に増加し、さらに三十九年度においてはさらにそれを凌駕しているというふうな傾向にありますが、こういう指摘事項、批難事項が多くなってくる現段階を踏まえまして、会計検査院として、国の経理全体がよくなっている、あるいはなお改善しなければならないというふうな、これはラフな見方ですが、院長の見解を伺いたい。
  146. 小峰保栄

    会計検査院長(小峰保栄君) 仰せのとおり、件数、金額は、このごろずっとのぼっております。これは中身を分析いたしますと、先ほど申し上げたように、補助事業の関係が実は大部分であります。ほかに金額の大きいものは、批難事項分類してみますと、件数、金額多いというのは、租税の関係、あるいは保険の関係、これが金額的には多いのでありますが、補助事業の関係というのは圧倒的に多いし、また最近、徐々ではありますがふえつつあるというのが現状であります。先ほど申し上げましたように、検査も事業の数にいたしますと一〇%内外というような現状でございますが、このものがだんだんだんだんふえてくる、こういうのが現在の実情でございます。国のほかの面、国が直接に支出するというようなものにつきましては、それほど顕著なふえ方というものは、現在のところしておらないわけでございます。
  147. 二宮文造

    ○二宮文造君 検査報告を見ますと、いわゆる不当事項というものについての抽出は非常に多うございまして、その経理の技術的な問題についての改善の意見というものはるる出ております。しかし、巷間、検査院の検査の姿勢が弱い者いじめではないかというふうないわば声もないでもないわけです。私どもが考えますのは、そういう確かに部分的な問題での不当事項の指摘は、これはまた当然だと思いますが、国の政策の方針というもの、あるいは予算の効率的な使用がされたかどうか、国の政策的な問題についての改善意見というものも、私は会計検査院としては当然ではないか。具体的な例を申し上げますと、この前、院長との間で、国立高専の用地の問題について論議をいたしました。そして、確かにそれは受け入れ側の熱意によってこういう無償貸付という、地方財政の再建特別措置法に反するようなことが平気で行なわれている。これを院長も好ましくないと仰せになりました。私は、そういう好ましくないものは、検査報告の中に改善意見として指摘すべきであると、こういうふうな意見を申し添え、あわせて国の政策というものについて、検査院も強い姿勢で臨むべきではないか、こう申し上げました。当時三十八年度の検査報告が提出される直前でした。それにはないとしましても、三十九年度においてもこの国立高専の用地の問題については、検査院としては何ら指摘をされない。こういうところに会計検査院は、零細な補助金については姿勢を高くしてそしてさがしてくるけれども、大きな部面にわたっては——それがまた地方財政をものすごく圧迫しているわけです。そういうものについては、ほうかむりしていくという非難もそこから出てくるのではないかと思うんです。こういう点について、今後院長はどういうふうな決意で臨まれるか、それを伺いたい。
  148. 小峰保栄

    会計検査院長(小峰保栄君) 不当事項個々を見ますと、なかなかこまかいのもずいぶんございます。それで、小さいものばかりほじくっているというようなことも、私ども実は耳にするのでありますが、会計検査院というものは、大体こまかいものといえども決して見逃してはいけないところでございます。不当支出ということになりましたら、やはりこれはそう見逃すということはしていけないところだと思うのであります。ただ一方、政策的な問題とか、大きな問題はどうか、こういうことになりますが、国の政策を会計検査院が論議するというようなことは、わりあいに会計検査というワク内には入ってこないのが普通でございます。それから予算——昔から予算は会計検査院は批難しないというような原則も、これは原則としてはあるわけでございますが、行政効果の判定、こういうようなことも私どもとしては仰せのとおり、近ごろは重々にそういう点には気を配っているつもりでございます。それで最近は、検査報告をごらんになるとおわかりになりますが、ここ数年来批難事項に終始している、不当事項などに終始しているというのは、現在の会計検査としては決して十分ではないというので、改善要求ということを最近大いに馬力をかけております。数年前から、年々これがふえております。それから、ただ技術的なことというのには実は終始していないわけでありまして、いろいろ行政効果とかあるいは取り扱いが悪いためにいろんな不備を招いているというような問題も、かなり大きく網を張りまして、大体検査報告に載せておるつむりであります。だんだんこういう方向に、会計検査の向きが徐々に変わりつつある。しかし、このこまかい事項というような不当事項は、やはりこれは現在の制度が、法律がある以上は捨ててはいけない、こういう方向でいま検査をやっているわけでありまして、だんだんだんだんと少しずつ改善要求という形によりまして、会計検査が昔とは変わりつつあるというのが現段階でございます。  それから、先ほど例におあげになりました国立高専の問題でございますが、これは私、院長になりましたばかりのころ、二宮先生とここでだいぶお話し合いをしたわけでありますが、これはその後当局——その当時も当局が種々努力して改善の方向に向かいつつあるので、しばらく様子を見たい、こういうことを申し上げたつもりでおりますが、その後当局も、この解決はなかなかむずかしい問題でありますが、鋭意努力されているのであります。それで、国有地との交換とかというような方向にも、具体的に言うと実現した、直されたものもございます。こういう段階におきまして、会計検査院として改善要求を出すということは、まあ差し控えて事態の改善を見守ろう、こういうつもりで実は私どもとしてはしておるわけでございます。したがいまして、三十九年度の検査報告には、この問題には触れてないわけでございます。まあこの程度でひとつ御了承いただきたいと思います。
  149. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこに問題があるのじゃないですか、地方団体とすれば。これは私が院長と話をした事後においても、たとえば釧路の問題だとか八王子の問題だとか、同じようなケースが出てきているわけです。むしろ三十八年度の会計検査院の検査報告にこういう事態がある。用地を無償貸し付けを受けているというふうなことをしないほうがいいというんで指摘して、改善要求を出しておけば、これは強い行政府に対する反省の材料にもなるし、それが地方団体を非常に財政的に救うわけです。それがなされないで補助金の問題を、それはなるほどこまかいことでもほうっておくわけにはいきませんが、それをさがしている。大きなところを口ぬぐって、これは改善されていくのだから、将来直っていくのだからいいだろうというような姿勢では、会計検査院としては十分ではないじゃないか。今後そういう問題について、いままでの態度を改めて積極的に指摘をし、改善意見を出していくというように改めていただきたい。これは要望です。  それからもう一点。最近、公務員の犯罪が非常に多くなっているわけです。で、会計検査院法によりますと、たしかあれは三十三条ですか、「会計検査院は、検査の結果国又は公社の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない。」こうなっております。過去五年間にこういうような通告をなすったことがあるかどうか。その件数を資料として出していただきたい。これはきょうでなくてけっこうです。  それからもう一つ、第二十七条に、「会計検査院の検査を受ける会計経理に関し左の事実があるときは、本属長官又は監督官庁その他これに準ずる責任のある者は、直ちに、その旨を会計検査院に報告しなければならない。」その「一」として「会計に関係のある犯罪が発覚したとき。」こうなっておりますが、この条文に基づいて報告を受けた件数、この資料を出していただきたいとこう思います。  最後にお伺いしますが、やはり国の会計検査というものが、検査報告が出てくるのは、御承知のようにいまわれわれは三十八年度をやっております。そうすると、すでにもうその当面の責任者はどこかへ行ってしまって、いわばしりぬぐいのしようのないような問題になっております。したがって、私どもとすればこの検査というものが、あるいは決算の審査というものが、国の行政に直ちに反映していくということが、われわれ決算委員としては非常に望んでいる審査の方針です。したがって、会計検査院のほうから手続上はむずかしいかもわかりませんが、常時監査という条文がある限りにおいてはできないわけはないわけです。したがって、中間報告式にあるいは一つの事業についてこういう予算がついている、こういうふうに使用しているにもかかわらず、事業実績はここまでしかあがってないというふうな検査院の態度というものをここへ出してくださいますと、審査がより有意義になりますし、直ちに国の行政の方針にそれが是正されていくということになると思うのですが、この点についての院長の見解を伺いたい。
  150. 小峰保栄

    会計検査院長(小峰保栄君) まず最初に、会計検査院法によります犯罪通告、これは資料としてもちろん提出いたしますが、実はこれはこの法律ができまして間もないころはちょくちょくと犯罪がありますと、会計検査院が通告するということをやっていたわけでございますが、ところがその後だんだんこの制度が一般に知れ渡ったせいもあるかと思いますが、犯罪がありますと、当局のほうで告発すると検査院の通告を待たないで当局のほうが自発的に告発したり、あるいは犯罪者に自首をさせる、こういうようなのがふえてまいりまして、会計検査院にはこのとおり処置いたしましたといって報告を出すわけでございます。もう告発を済ませたり、本人が自首してしまいますと、会計検査院としてはあらためて二度の告発をするという必要もないわけでございます。そういうようなことで、最近では告発をしなければいけないというような事態というものは、ほとんど検査院にまいりません。したがって告発も、あの法律によりまして告発をするということも実はあまりない、実際問題としてはないのが実情でございます。これは念のためによく調べまして、五年間といえばおそらくゼロじゃないかと思いますが、念のためによく調べまして、御報告いたします。  それから会計検査院法による犯罪の検査院に対する通知、これは非常にたくさんきております。これはあれば必ずきておる、励行されておりますから、これの件数は調べまして後ほど御提出いたします。  それからこの中間報告でございますが、これは会計検査院といたしましては、実はもうここでは三十八年度をおやりでございますが、実は三十九年度が出ておるわけでございます。で、中間報告という段になりますと、これはだいふ前でございますけれども、もう十年ぐらいになりますか、前でございますけれども、この委員会でもそういう御要望でございまして、それで私どももできるだけその御要望にこたえようと、こういうことで一年か二年ここへ各局長が参りまして、やったこともございます。私どものほうでその御報告する事項を、みんなでまとめるわけでございますけれども、会計検査というものは、同じようなことを、日本全国の役所でやっておるというのが実態でございます。それでだんだん地方から始めまして、末端から検査を始めてだんだん中央へやってくる、それをやるのが八月の末から九月の初めになるのが、毎年の実情でございます。それで、地方で見つけましても、それをまとめるというのは大体は八月、九月になるのが実際なんでございますが、中間報告ということになりますと、どうしても六月とか、おそくも七月とか、こういう段階で御報告しなければ意味がないわけでございます。ところが、その段階では会計検査が実はまだまとまっていない、こういうのが実情でございまして、実はここへ出て参りまして御報告したこともあるのでございますが、非常に貧弱な小さいものばかり、ここで御報告せざるを得ないようなことになってしまうわけでございます。全体をまとめなければいけないような問題がごらんになりますと非常に多いのですが、ことに大きな問題になりますと、どうしても東京の本省なり本社なりを見ないとそちらへ照会も出せない、こういうようなのが実情でございます。それでだんだん中間報告というのも一、二年で立ち消えになってしまいまして現在に至っているわけでございます。で、これから私どもとしては、決してやるのをいやがるわけではございませんけれども、やってみましても、ここでそう大きな問題というのは、これは出ない。租税の古い徴収不足とか、あるいは小さい犯罪とか、あるいは補助事業の早く検査したものとか、こういうようなものしか実は御報告できないのが実情でございます。それで私どもとしては、いまのところ中間報告はしたほうがいいとは、実は考えていないわけでございます。どうぞひとつ御了承を願いたいと思います。
  151. 二宮文造

    ○二宮文造君 たとえば、例を出してみますと、末尾にいつも精算未済額として防衛費のあれが累積しているわけです。われわれとすれば、何年も、あれはたしか昭和三十五年度からずっと未済額で累積してきていると思うのです。やはりそれらのことについても、ただ単に精算未済額はこれこれでございますというようなことでなくして、艦船の建造なら艦船の建造、あるいは飛行機の製造がどうでどの程度に納入されてどうなっているというというふうなこと、そういうことも、やはり私はそういう意味も含めて中間報告というわけです。これは部分によったらできるものもありましようし、いま院長が言われたようにできないものもあると思います。しかし、そういうことができないときめないで、やろうとする体制に入っていけば、よほど国政の方向にプラスするような結果が出てくる、こう私は考えるので、いたしませんなどというようなことでなくて、いたしますというふうな考えに考え方を改めていただきたい。  それからもう一つ、不当事項の中で、租税徴収の問題について非常にあるわけです、過不足の問題。そういうことについて、これは当然改善意見として、租税徴収の適正化というものについて会計検査院としては改善意見を出すべきである。でなければ毎年のように……、租税の場合には三十六年が百五十三件、三十七年が二百件、三十八年が百九十六件、三十九年が百八十一件と、これは非常にいつも大きな割合を占めているわけですから、この点について会計検査院としては当然改善意見を出すべきである。これもやはり国政に対する意見になると思うのですが、そういうことのお考えがあるかどうかをお伺いして、きょうは終わりにしたいと思います。
  152. 小峰保栄

    会計検査院長(小峰保栄君) 未確認金額が非常に多い、これは特に防衛庁に多いわけですが、これは先ほど仰せのとおり、兵器、艦船、こういうものの購入に対する概算払い、こういうものが多い関係でこれは上がってくるわけでございますが、これは金額だけ表にいたしましてまことに恐縮でございましたが、これは検査報告の書き方といたしまして、私どものほうとしても、これは十分考えて、よくおわかりになるようにしたほうがいいと思いますし、またできると思います。  それから、租税の徴収不足は、これは御指摘のとおり、年々非常に多いのでございます。件数も多うございますし、金額もとにかく多いときには四億以上でございますから、金額が多いのでありまして、これについての改善意見というのは、実はいままで出したことはございません。この何億という中で特に多いのは、このごろは土地の譲渡所得、不動産の譲渡所得が問題であります。御承知のように、これは非常に値がどんどん上がってまいりますから、昔から持っている不動産を売りますと、非常にもうかるわけであります。そのもうけの一部を税金として徴集するということが、法律上きまっております。そのケースが非常に多いのであります。これにつきまして、注意書を、三十七年でございましたか、出したことがあります。これは三十六年度の検査報告にちゃんと書いてございます。あと、改号要求というようなことはしたことはございませんが、これは会計検査院で資料、会計検査院で検査につけて検査報告に載せた事項というのは、会計検査院は御承知のように、納税者のところへ行って調べるということは、これはできないことです。したこともないのであります。これは税務署と違いまして、結局役所のわれわれの手元に参りますいろいろな官庁の証明書類とか、こういうようなもの、それから税務署で相互に通報し合っているものとか、こういうものだけを見ていま検査しているわけであります。そこで徴集漏れがありますと、照会を出して税金を取ってもらう、そしてここにあげる、こういう段階を踏んでいるわけであります。この資料の活用というようなことについては、もうたびたび検査院では注意をしております。それから会計検査院に計算証明で官庁の支出が出てまいります。土建関係のものなんか多いわけであります。あるいは物品の購買とかございますが、こういうものにつきましては、毎年税務署から人が参りまして、書き抜きをやっていって、それを税務署のほうで税の対象に入れるというようなことも、これはだいぶ前からでございますが、年々やっております。会計検査院としては、自分のところでできる協力はやっておるわけでございますが、それでもなおかっこういうふうに、あとで検査して歩きますと、何億というのが見つかってくる段階でございます。
  153. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は勤労青少年に対する国鉄運賃の割引の件について御質問申し上げたいと思うのです。それに関連しまして、今度の国鉄の運賃の値上げに伴って、従来からの割引制度ですね、貨物、長距離等について割引制度がありますね。そういう割引制度をやっておられる種目というものはどのくらいにわたっておるのか、まずそれを初めにお尋ねしたい。割引制度をとっておられるもの。
  154. 今村義夫

    説明員今村義夫君) 貨物の割引につきましては、現在百一品目についてやっております。
  155. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 貨物だけじゃなしに、たとえば学生の割引だとか、あるいはいろいろあるでしょう。傷病者の割引だとか、そういう種類がどのくらいあるのか。何か二十二、三あるのじゃないかというふうに考えておりますが、どのくらいそういう種類があるのか、それをひとつ。
  156. 今村義夫

    説明員今村義夫君) 現在割引をやっておりますのは、旅客につきましては、通勤通学の定期の割引、それから学生割引、それから新聞、雑誌の特別割引、それから身体障害者の割引、戦傷病者の割引等でございます。それから貨物につきましては、ただいま申し上げました暫定割引と称しますのが百一品目と、それから、これはまあ割引ではございませんが、現在の貨物の制度上特別等級というものをつくりまして、いまの制度は、ものの値段の高低によって運賃をいただくという従価等級制度になっておりますが、その値段に相応する運賃額よりも安く運賃をつけるのが特別等級でございますが、この制度がございます。大体そういうかっこうの割引制度を行なっております。
  157. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 その中で、政府が補償しているやつがあるでしょう。厚生省なりあるいはいろいろなところがですね。国鉄がやっているんじゃなくて、政府が補償して割引をやっている、これは何と何があるのですか。
  158. 今村義夫

    説明員今村義夫君) ただいま政府から補給をしていただいておりますのは、戦傷病名に対する運賃の割引だけでございます。
  159. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そこで今度の値上げについて、従来から三年ぐらい前からの問題ですが、すでに御承知だと思うのですが、世間も関係者の方も、この勤労青少年の社会的な地位を高めるという問題も大きな問題の一つとして、運賃の割引の要請が強く出ておるはずです。さらにまた、遠隔地から来ております——出身地域ですね、九州、東北並びに北陸、そういう地域から県会、町会等の決議もかなり政府に強く要請があったはずだと私は思うのです。そこで、この問題については、石田労働大臣は閣議に一応同様な趣旨をかけて承認を得たという新聞報道までは、一応公になっておるわけです。なおまた、私もこの問題については、非常に日本の現状から考えてみて、青少年の勤労者が、何ら割引の対象にも当たっていないということで、非常に不合理が今日現実に起こっているわけです。それはどういうことかと申しますと、地域の産業地域において、分校制度がかなり拡大しています。御承知のように定時制ですね。で、同じその地域から都会に出て、産業地に出てきて、片や半額の割引を受ける。一方は何の恩典もかい。こういう点で、内部的にもかなりの不服が出ているわけですね。私はこの点が非常に重要だと思うのです。なお、その点を考えますと同時に、石田総裁にも、私自身もその矛盾点は是正すべきじゃないか、こういうことで一応陳情申し上げたことがあるのです。総裁は、まあそういう矛盾点はたくさん国鉄にもあります。がしかし、何といっても今日の国鉄は採算制の問題を中心にまず考えなくちゃいかぬ。それには、おくれている国鉄の値上げの問題です。それとともに、そういう不均衡な、国民の非常な不利な立場にある人の立場も理解できますから、何とか私も考えていきたいという答弁をいただいているわけです。しかも、閣議でもそういうふうになっておる。今度の値上げとともに、これが何がしかの形において私は実現可能なのかといろいろ調べてみたところが、何らその問題は考慮されていない、こういうふうに私が聞いておる範囲では思うのですが、一体国鉄としては、この問題を議題に供されたことがあるのか。これは担当課長からその後の経過を一応ひとつ御説明を願って、なおまた、もしそれがやっていないということであるならば、きょうは総裁なり、あるいはまた運輸大臣来てもらいたいと思ったんですけれども、多忙のようですから、次官でもけっこうですから、ひとつ確実な答弁を願いたい、こういうふうに考えます。
  160. 福井勇

    政府委員(福井勇君) お尋ねの件につきましては、勤労青少年につきましては、全くごもっともな御要望でございまして、私個人のことを申し上げてはどうかと思いますが、私自体もそういうふうな立場にあった当時から現在の状況をいろいろ見まして、御質問と同様な陳情を運輸省並びに国鉄へいたしてまいった経過がございますので、それでたとえば私が直接関連しましたのは、新卒業生で比較的貧困な家庭の就職者たちが、東京なり大阪なりに集団ないしは個人で就職する。その隣の金持ちの息子が入学許可を受けて、学割りを利用して意気揚々と行くというようなことが実際にございますことは、まことに不合理でございますので、私運輸省に参りましても、とくとその点を調べましたら、やはり相当国鉄と運輸省とは考慮をしておりまして、御指摘のような、詳しく申しますれば、四十年五月十八日の前松浦運輸大臣のときには、石田労働大臣と五月十八日の閣議後の話し合いをし、越えて五月二十五日には労働事務次官から運輸事務次官に申し入れがあり、それから同じく四十年八月三日には、民主社会党さんから大臣及び内閣官房長官にも陳情され、それから同様八月四日には総理府もそのことについて運輸、労働、大蔵、この関係の省の打ち合わせがございました。また去年の四十年十一月二十二日には、次官会議でその話を進めてまいっております。越えて十一月二十四日には、閣議のあとで労働大臣から運輸省に正式に申し出があって、翌二十五日には、交通部会あるいは青年婦人対策特別委員会等と合同部会でも、それを前進するような相談を終わり、越えて四十年十一月二十六日、去年のほんのついこの間のことでございますが、御指摘のとおり、閣議の席において運輸大臣から前進的な発言がございまして、閣議の話し合いも済んでおりますので、もちろんそのテーマとしましては、御指摘のとおりの勤労青少年に対する既成割引を考慮しなければならぬという発言がありまして、現在この点も御指摘でございますが、運賃値上げの議題を審議をしていただいておりますが、そのこととは別途に、関係の各省間において細部にわたって割引をせにゃならぬという事務操作を進めておる段階でございます。
  161. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 その操作を現実にやっていただいておるところは、運輸省でやっておるわけですか、あるいはまた国鉄との関連を密にして、国鉄も入ってのそういう会議がなされておるのか、この点ちょっとお聞きしておきたいとのですが……。
  162. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) お答えいたします。事務的な話でございますので、主として国鉄との間での話を現在進めております。運輸省はその間いろいろ話を聞き、あるいは示唆をしておるという段階でございます。
  163. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうしますと、これはまあそこまで追及するのはどうかと考えますけれども、目安の問題ですがね。御承知のように、この物価の値上がりと、全く青少年、勤労者を問わず、全般の労働者でございますけれども、特に近年にないこの物価値上がりで困っておるわけですね。したがって、年に一回ないし二回しか帰ることのできない遠隔地から来ておる青少年に対して、私はこの七月のお盆と申しますか、これに間に合うような方策が立てられないものか。これはすでに三年越しの問題でもありますし、私は運賃改正の問題と、どうせこれも国会でも自民党多数で押し切られるのじゃないかという気がしますが、できるならば、これはやっぱり実現さしてもらいたいと、こういうふうに考えておるのですが、この点ひとつ次官、責任ある御答弁を願いたいと思うのです。
  164. 福井勇

    政府委員(福井勇君) 御指摘の点につきまして、お盆とか、正月だとか、あるいは会社によりましてはいろいろの種類の変わった休暇等もありますので、年に一回、二回、三回というような基準でなくて、これが可能な線はどういう線であろうかというようなことを、いま事務操作というようなことについても申し上げたのでございますが、その中へ入れて、この点は一回とか二回とかいうところまでまだ決定しておりませんが、そういう事柄については、私もその話の中へ乗っておりますので、決定的な幾日からというようなことは、私ここでもったいぶったり、秘密のという意味でなくて、操作の途中でございますので申し上げかねるということを、御了承願いたいと存じております。
  165. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 その点はわかりましたが、まあできるだけ、希望意見として近く実現するような方向に次官としても御努力を願いたいと、こういうようにお願い申し上げます。  もう一つお聞きしたいのですが、各種学校の割引はどうなっているか、学校でもいろいろありますが、各種学校というのは対象になっているのと、なっていないのとが私はあると思うのです。こういう取り扱いは、国鉄としてはどうしておられるのか、この点ひとつ……。
  166. 今村義夫

    説明員今村義夫君) その前にちょっと、先ほども割引問題がありましたけれども、まあ国鉄の立場でちょっと申させていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
  167. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 どうぞ。
  168. 今村義夫

    説明員今村義夫君) 実は国鉄の運賃にかかわります公共負担と申しますのは、昭和三十九年度で約八百六十八億になっているわけでございます。これらの公共負担は、年々輸送量の増とともに増加していくわけでございまして、国鉄の経営の重荷ともなっておるわけでございますので、この公共負担の是正につきましては、まあ国鉄基本問題懇談会等の御意見でも、できるだけ是正すべきであるということになっておるわけでございます。したがいまして、今回の運賃改正に際しましても、通勤定期の割引率の是正でございますとか、あるいは学生割引制度の一部の是正というようなことで、公共負担の是正をお願い申し上げておる次第でございます。したがいまして、こういう機会にさらに新たなる公共負担が加わるということは、国鉄にとりましては非常な大きな重荷でございまして、できれば、こういうものがもし青少年の対策としてぜひとも必要であるということでございますれば、また、私は当然それは必要であると思いますけれども、それはやっぱり国の補給——国の施策としておやりいただくのが至当じゃないかというふうに考えるわけでございます。しかし、いろいろ御要望もございますし、また閣僚間のお話もあるようでございますので、その点につきましては、ただいま運輸次官から御答弁がありましたようなかっこうで、国鉄としても労働省その他と話し合いをしておる段階でございまして、できるだけ検討は重ねておりますけれども、まあ帰省等について、何らかの措置がとれるようにはいたしたいと、かように考えておるわけでございます。  それからただいまのお話の各種学校の問題につきましては、国鉄に一定の基準がございまして、その基準にはまるものにつきましては、割引証を発行するということにしておりまして、これは一定の年間の授業時間数とかいうような基準がございまして、そういう点で一応の基準に当てはめてやっております。
  169. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 時間がありませんから簡単に御質問申し上げますが、基準のほうは私もわかっておるのです。ところが、その基準自体がかなり複雑で、また基準に達するまでの、努力によっては基準に入る、努力しなけりゃ基準に入らないとか、こういう問題が山積しているのじゃないかと思うのです、各種学校においては。これは大きな問題でありまして、私はもっと綿密な調査の結果、そうした青少年に対する取り扱いというものが不均衡、あるいはまたそういう不平の温存の対象にならないような処置をこれは当然考えるべきじゃないか。むろん国鉄としては、いま御説明がありましたように、八百六十八億というような公共に対する負担等があるとおっしゃってますが、これは堂々と政府に対して要求されるべきだと思う。そういうことを要求されないで、そうして国鉄の値上げをやるということに問題があるのです。これは私はあなたの御意見に大賛成。そういう点を国にやっぱり保障させてやる。あるいは労働省からでもよろしいし、どこでもいいですから、関係官庁のやっぱり負担で、傷病者と同じような国家の補助を受けるものは受けていくと、こういうふうにされるべきじゃないかと思うのです。こういう不均衡を、国鉄の経営上からくる問題だけを主張されて、是正しないということは、これは非常な不当な行き方じゃないかと私たち考えるんです。この点国鉄がそういう方針であるならば、できるだけわれわれも関係官庁に促進することもやぶさかじゃありません。ぜひひとつ公平なる取り扱いをしていただくことを要望意見として申し上げておきます。
  170. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 高山先生、いいですか。
  171. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いいです。
  172. 石本茂

    ○石本茂君 私は厚生省所管事項の二つのことにつきましてお伺いしたいのでございます。  昨日、毎日新聞でございましたが、一面に非常に大きく「救急医療の体制を強化」ということで、厚生大臣の御意見が述べてございますが、この中で、国民として心ある人ならば、非常にふしぎだと思うことが一つございました。というのは、現在不慮の災害で毎日のように新聞紙上に二件、三件、五件というように人命を落としたり、あるいは大けがをしている人があるのでございますが、これらの人方の対策のために、昭和四十一年度に厚生省が予算措置をされましたものが、ゼロ査定になったというこのことなんです。救急病院のための医師、看護婦等の人員確保のための三億数千万ということを要求されましたら、ゼロ査定に終わりましたということでございますのですが、これはいかなる理由によりまして、そのようなことになりましたのか。診療そのものが自由業でございますので、そうしたたてまえでございましたのか。あるいは地方当局において、これは地方自治の中でするべきものだというので国の予算がはずれましたのか、その辺をちょっとお伺いしたいのでございます。
  173. 渥美節夫

    政府委員(渥美節夫君) 救急医療対策につきましては、昭和三十九年以来、消防法の改正に基づきまして、厚生省におきまして、厚生省令、つまり救急病院なり救急診療所を定める省令といたしまして、救急病院、救急診療所を現在まで約二千八百カ所ばかり県において告示をいたしまして、それを中核といたしまして実施しておるということでございます。ただいまお尋ねのこれらの告示をいたしました二千八百近くの救急病院、救急診療所におきまして救急患者を治療するということのために、医師なりあるいは看護婦なりを待機させておったり、あるいは救急患者のために病床を確保しておくというふうな経費といたしまして、来年度予算のためにそれらに必要な経費を厚生省におきまして検討しておったわけでございますが、この二千数百の病院、診療所におきまして、はたしてどの程度の救急患者を、どういうふうな方法で診療に当たっているかという点につきましての詳細なるデータもなかったのでございまして、したがいまして、予算折衝の過程におきましては、もうしばらく検討するということで、その予算の計上ができなくなったということでございまして、本年度におきまして、実際救急医療に当たっておりまする病院、診療所等の施設等も十分に把握いたしまして、さらに検討を続けていきたい、かように考えております。
  174. 石本茂

    ○石本茂君 ただいまのおことばで、私はほんとうに憤りに似たものを覚えます。といいますのは、私も最近十年間、こうした現場の中におった人間でございますが、このことのために、その救急患者でありますだけじゃなく、一般患者が非常に大きな影響を受けておる事実がございます。いまさらのように、資料が十分なかったと言われますが、非常に私はふしぎでございます。と申しますのは、こういう救急病院に当てられましたところは、ほとんどもう返上したいような実態がありますことは、診療点数が低くて赤字決算でありますこともちろんでございますけれども、このことのために従事いたします医師、看護婦というものは、ただだれでもができないのでございます。ほとんど八〇%が、それこそどちらに転ぶかわからないような重傷者が入ってまいります。まあ二〇%ぐらいは何とか傷の手当てをすればすぐ治るであろうという人であるかもわかりませんが、そういうようなことで、昼間と夜中を問いませず、こういう方が入ってまいります病院の時点というのは、ちょうど戦場のようなありさまが実はあるわけでありまして、これに対処する医師は、少なくとも外科医療に熟達した医師でなければできませんし、また看護に当たります看護婦も、ただその辺でうろうろしている者じゃ間に合わぬのでございます。ほとんど手術場に働く専門の技術と知識を持ちます看護婦が当たっております。そういたしますと、きょうこれから一般患者の治療をし、手術をしようと思っていたときに、こういう人が入ってまいりますために、それが取りやめになってしまう可能性がありますし、現にそうしながらこの治療もしてきております。夜間でございますと、昼間精一ぱい働きましたこの医師と看護婦がそのことに当たりますために、明日の手術をまたおくらせなきゃならないということで、単にこの新聞の記事にありますように、診療点数を考慮すればよいとか、特別の手当てを出せばよいというようなことでは解決できないのが私は真実だと思うのでございますが、どうぞ、これから資料をおつくりになるのでございましたら、ただ話を聞いてではございませんで、こういう場面を幾つも幾つも御体験をいただきまして、その際に、そこで働く医師、看護婦が——聖人ではございません。この聖人ではない人間である医師、看護婦が、ものもろくに食わないで、そうして十数時間もこのことのために奔命しているという事実がございます。そのために、この近辺にあります病院等の意見ですが、もう引き受けたくないのだが、しかし、人命救助ということもあるので、それで当番制で今月は私の病院が受け持ちますからというような事、実があるわけです。ここまで追い込んでおきながら、なお資料が十分でないのでというようなことは、一体何事でありますかと申したいわけでございますが、いまさらそういうふうなことを言ってもしょうがないのでございますが、いま私が申し上げましたこの人の問題、これはどういうふうに考えておられますか。いかによい設備をつくりましても、予算を計上しましても、人がそこらにころがっているわけではないのでございますが、一体このことはどのようにお考えでございますか。これをお伺いしたいと思います。
  175. 渥美節夫

    政府委員(渥美節夫君) 石本先生のお話のように、救急患者を扱います救急病院、救急診療所におきまして、一たん患者を引き受けますと、いろいろむずかしい問題も起こりますし、また、たいへん忙しい目にもあうわけでございまして、そういった労苦に対しまして何らかの考え方を、措置を検討しなくちゃいけないことは当然だと思います。そこで、まずこの救急病院、診療所におきます医師の対策でございますけれども、現在たとえば交通事故でなくなる方の数は年間一万二千ないし一万三千程度ということになっております。このうち頭を負傷する頭部損傷ということでなくなられる方が、その約七割というふうになっております。したがいまして、一万二千ないし一万三千のうち一万近くの方がその頭部損傷が原因でなくなっている。ところが、この頭部損傷の治療にあたりましては、相当専門的な知識が必要でございます。最近医療法の一部改正がございまして、脳神経外科という科目が標榜されることになったのでございますが、こうした脳神経外科を標榜し、実際にこの治療に当たられる方の数が比較的少ないのでございます。したがいまして、国、厚生省におきましては、昭和三十九年からこういった頭部損傷を中心といたしまして救急医療のための医学を再研修する、ポストグラジュエートのトレーニングをする予算を一千万円三十九年度に計上いたしまして、これは引き続きまして四十年度、それから来年度の予算に一応また一千二百万円程度を計上するような予定でございますが、こういった医師の研修費によりまして、毎年千人近くの方々の医師の研修を行なっておるということでございます。なお、医療関係者の中には、これは医師だけではございませんで、看護婦さんもいらっしゃるわけでございます。したがいまして、看護婦さんのこういった救急医療のための研究、研修ということも今後取り上げていかなければならないと、かように考えております。  なお、看護婦自体の数が不足であるというふうな問題もからみ合いまして、看護婦さんをこの救急医療の面で確保するということは非常に容易なことではないわけでございますが、今後はそういうふうな方針で進んでいきたい、かように思っております。
  176. 石本茂

    ○石本茂君 いま御理解をいただいておることはよくわかりましたが、実際こうした業務に従事しておりまして、たとえば病院等でございますと、何十人の患者に医師一人でございますとか、何人に看護婦が一人でございますとかというふうな基準がございますけれども、こういうような実情にございまして、そのような算定人員では対処できないのでございますから、非常に困難な問題ではございますけれども、医師、看護婦の増員というものがなかったら、いかによい設備ができましても、いかによく背景の経済的な問題が解決されましても、私はなかなか一朝一夕には解決できないと思いますし、先ほど申しましたように、単に救急医療は救急患者だけではなくして、そこの病院に入っておられます入院患者、外来患者さんの一般の患者さんにまで非常に大きな影響を及ぼしているということだけを特に御配慮願いたいと思うのでございます。こういった方が入ってまいりますと、たった一人か二人で働いております看護婦が——手術をいたします段階は医師と看護婦でいたしますが、あとは看護婦が引き受けるわけでございまして、何とも言えない苦しみを味わってしるわけでございます 私どももかつて、そういうような方が送り込まれてまいりますと、その人の命は守りたいのですが、ほんとうに悪魔か何かが襲って来たような、あの救急車の声を聞きますと、またかというような経験を持っております。やっとそういうことのない病院にまいったときには、何か極楽みたいな気がしたものですが、それほどにその特定の病院、救急医療の病院は非常な苦心惨たんをしておりますのに、ただ金をつけて解決するのだというような考え方だけに終始されますことは、私は非常におそろしいと思いますので、特段の人為的な措置についても、ただ研修制度によりましてそういう知識の普及だけではございませんで、働く人間も一般患者も含めての考え方をこの際ぜひ御配慮の中に入れていただきたいことをお願いしたいと存じます。  大体、このことにつきましては以上でございますが、政務次官がおられますので、このことにつきまして御意見をちょうだいしたいと思います。
  177. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 私も去年秋でございましたが、いろいろ機会もありまして、実際に緊急医療のための設備あるいは人的要員がどれほど病院の負担になっておるかということをよく知っております。そういう関係でことしの予算の際に、先ほど石本さんからお話がございましたように、相なるべくはそういう働く人たちのためにできるだけの予算をと思いまして、いろいろ折衝したのでございますが、結論的には、新聞に載っておりますのは一部のもののようでございまして、実は先ほど御説明にありました医師の研修会のほか、設備の整備の問題がございますので、まず設備を整備しようというので、本年度も千二百万ばかり予算を計上いたしまして、設備の補助に充てたいと思っております。また、特別地方債あるいは、臨時収入等の手段もございますので、そちらのほうでできるだけ設備の整備のお役に立てたいというふうに考えております。  なお、国全体の問題として、やはり中央に先ほど申しましたように、脳神経外科等の特殊な分野がございますので、療養のセンターをつくったほうがいいんじゃないかということで、東一かと思いましたが、向こうに診療部門あるいは専門の病床等をつくりまして、こういう救急医療の日本の中心病院を来年度からつくりたいと思っております。その他交通事故が多いわけでございますので、一県でやっておりましても、県境等で起きた場合にはたいへんな苦労がございますので、こういう点も考慮いたしまして、広域的数県にまたがる打ち合わせ会というものをつくりまして、いざという場合でも困らないように、お互いの連絡をとることができるようにしたいというふうに考えております。  ただ、お話のように、看護要員の手当の問題に関しましては、御承知のようになかなか、人間に対する予算と言っては失礼ですけれども、予算の中では一番むずかしい予算——と申しましてはたいへん失礼でございますが、そういうことになっております。厚生省にはこの問題が一番多いのでございますが、いろいろといままで何年かつかないような予算もずいぶん折衝を重ねまして、ことしは従来にないほどそういう面の充実に努力したつもりでございますが、この問題だけはなかなか最後まで通りにくうございまして、先ほどお話のございましたように、今後中医協等にもいろいろ御相談と申しますか、御協議をいただきまして、そういう方面からでも善処の方法があればということで、かようなことで進みたいと思っておりますけれども、何と申しましても、これは予算の問題でもございますので、引き続きまして、今後とも努力を申し上げたい、こういうふうに思っております。
  178. 相澤重明

    ○相澤重明君 関連して。私からもちょっとお尋ねしておきたいのですが、いまの政務次官の答弁ですと、救急病院に対する国のいわゆる具体的な補助関係とか、あるいは人民養成とか、そういうようなものについては全くお手上げという形で、施設の整備ですか、何かそういう面で若干の費用を、予算を獲得することができたというような説明ですが、そういうことなんですか、どうなんですか。実際には何もやっていないと、こういうことにひとしいようにいま受け取れたのですが、いま少しはっきり教えてください。
  179. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 医師の研修費、先ほど申しました脳神経外科等の特殊な外科部門が必要でございますので、そういうこととの研修費は来年度は千二百万円見ております。それから施設もそれぞれ問題によりまして整備するものもございますので、その施設整備費を来年度は千二百万円見ております。なお、国の補助金のみならず、実際に必要な場合には特別地方債等の道が開かれておりますが、そちらのほうでできるだけごあっせん申し上げまして、そして施設の整備をはかりたい。そういう施設の整備と同時に医師の研修の問題、これが来年度予算の一つの問題でありますが、特に何と申しますか、国の全体のモデルといっては語弊がありますが、そういうセンターのようなものをつくりまして、こういう救急患者に対してはこういうふうな措置が必要であると、これが一番いい方法だというようなセンターをつくる要があるのではなかろうかということで、国立医療センターというものを東一につくりまして、そしてそこで研修や何かのときにもこういうふうにしてという、右へならえのモデルをつくろうと、こういうふうな点をおもに来年の予算に組んであります。
  180. 相澤重明

    ○相澤重明君 国立医療センターの計画はたいへんけっこうなことだと思うのです。しかし実際に都道府県で交通センターなんかをつくって、そして、交通による事故の人を救急救済する、こういうようなことはやっておっても非常な金がかかるわけです。そういうことができないから救急病院を指定をして、そしていざというときにそこの救急病院にかつぎ込めば、そこで応急手当ができる、こういうのが救急病院の指定なんでしょう。全国で二千八百か幾らある。ところが、いまのたとえばお医者さんの中の特に新設を認められた脳何とかいう、それの研修費だけが千二百万円ということは、それは何んですか、旅費になるのですか、会議費になるのですか、一体何になるのですか。千二百万ばかりを一体どういうことに使うのですか。医師の講師のお礼ですか、それはどういうものです。内容をいま少し説明してください。
  181. 渥美節夫

    政府委員(渥美節夫君) 救急医療の関係の専門的な医師の研修費の内訳でございますが、これらの研修会に出席いたします講師の方の謝金でございますとか、あるいは資料の作成費でございますとか、会議費とか、そういう経費でございます。対象は約八百人程度考えております。
  182. 相澤重明

    ○相澤重明君 全くますますどうもわからなくなってくるのですが、いまの八百人、それは全国都道府県から選ぶのでしょう。都道府県の指定医の中とか、あるいはまたそういう関係のお医者さんに研修をしてもらう、こういうことですね。その人たちの謝金とか、交通費とか会議費とかいうことになってしまって、実際にはほんとうの人をつくるといいますか、もっと真剣に人員確保のためにどうしなければいけないかという点については、全く根本的には触れていない、こういうことですね、ざっくばらんに言えば。そのくらいの政務次官、あなたはたいへん努力をして取ったような印象を私も受けて、むしろその努力は多といたしますが、謝金なんというものはそんなことをしなくてもできるんじゃないですか。これは公安調査庁の費用じゃないけれども、そんなものはあなた、謝金を出すくらいならば幾らでも本省の費用というもので出せるでしょう、そういう特別な研修費というものをつくらなくとも。これは各省やっているのじゃないですか。だからそういう点でせっかくそこまで努力されるのなら、いま少し実の入ったものに、実際の教育する人の確保というような問題にまで突っ込んだひとつ作業というものは進まないのでしょうかね。そこら辺私は全く——千二百万というような新しい項目を起こしたのは、これは多としますが、全くどうも国の仕事ですからね。どうもその点、いまのたいへんな努力ということは多とするけれども、いかにも割り切れない。先日も血液の問題で献血運動を赤十字のマークの車でもって移動採血車でやると、こう言ったが、その場合に採血車はどのくらい補助すると言ったら、国では一銭もありませんと、こういう話じゃ、厚生省というものはずいぶん一生懸命やっていると思われるようだけれども、何か一本抜けているところがあるのじゃないかという気がするわけですがね。謝金なんというものは、たとえば岸総理が外国へ行ったときのまあおみやげを買ってやったとき、あるいは外国へこれを寄付したとき、これは謝金で出せるのですね。あるいは総理府の中でつかみ金で出せるわけです。これはさんざん当決算委員会で、あのときのハワイの学校の金がどうしたとか、ネコ目石——ネコ目石はそうでもなかったけれども、いずれにしてもそのくらいのことはいままで庁費の中で、あるいは官房の予算の中で出せる。こういうことは公安調査庁がこれは最高だったのですが、そういう点は指摘ができたのですが、どうなんですかそういう点、千二百万円の研修費というのは。その研修費の内訳は謝金、会議費、交通費と、こういうことでは少しどうも何だかもの足りない気がするのですが、そういうことしかできないのですか、いま一ぺん御答弁願いたい。関連ですからこれで終わりますが。
  183. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) まことにおしかりをちょうだいいたしまして痛み入ります。私もお説のとおりの気持ちでいろいろ努力したのでありますが、予算の最終段階になりまして、ガン対策とか、いろいろ出てまいりまして、救急医療のほうは先ほど次長からも説明がありましたが、ことしは少しでも、今後ともお説の意気込みで一生懸命努力したいと思います。
  184. 石本茂

    ○石本茂君 いまの問題につきましては、ほんとうに特別の御配慮を、ただ単に救急医療ということだけでなくお願いしたいと思います。  続きまして質問でございますが、これは本月の十三日の夕方でございましたか、たまたま京都で精神病者でありますところの少年が、警官から短銃を奪いまして、そうして人を殺し、傷害を起こしたという事件でございます。このようなことは、かってライシャワー米大使がやはりこのようなケースで刺傷されまして、そのときに厚生当局におかれましては特段の配慮をされたと思うのです。というのは、当時この精神衛生法等につきましても非常な騒ぎがありまして、一部改正があったのでございますが、この改正後二年を経過しておりますが、具体的の行政の面でどのようなことが実現されて、どのように効果をあげておりますのか、まずそのことをひとつお伺いしたいと思うのですが、お願いいたします。
  185. 中原龍之助

    政府委員中原龍之助君) 精神衛生対策につきましては、従来とも精神障害者の発生の予防等につきまして、その医療保護というものを通じ、特に社会復帰に至るまで、という一貫した方針をとるということを目的にいたしまして、いろいろやっておるわけでございまして、ライシャワー事件後いろいろ問題が起こりまして、精神衛生の問題対策をどうするかということが論議が行なわれたのでありますけれども、各界の意見を徴しまして、昨年の六月には精神衛生法の一部改正を行なう段取りになったのでございまして、その一部改正によりまして、特に精神障害者の早期発見を行なうということを目的といたしまして、申請、通報制度というものを整備をするということが行なわれてきたわけでございます。それから精神障害者の適正医療の普及というばかりでなく、早期の治療及びアフターケアというものを目的といたしまして、通院医療費の公費負担制度というものが新たに設けられたわけでございます。そのほかに保健所に精神障害者に対する相談及び訪問指導体制の整備ということを目的といたしまして、相談員の配置並びにそのほかに保健所には専門の医者はおりませんので、嘱託医をひとつ設けるというような制度をとりまして、精神衛生対策の実は総合的推進をはかるというふうにつとめてきたのであります。ことにアフターケアにつきましては、きわめて重要であるということでありますので、さしあたりリハビリテーションというような施設につきましては、公立の病院の中に作業療法設備の新設のため病床整備費の補助金のワク内で補助を行ないまして、治療訓練の充実をはかるというようなことを行なっております。それから訪問指導の一そうの強化、それから通院医療費公費負担制度の拡充、精神衛生センターの整備、この整備につきましても、予算的にはすでに四十年度に六カ所、現在動いておりますのは四カ所動いております。この中には従来からありましたものが二カ所、それから四十年度の予算によってつくりましたのが二カ所、あと四カ所ばかりは現在建設中である。来年度におきましてもやはり六カ所予算を計上しておりまして、そしてこの精神衛生センターを整備しまして、保健所の相談と相まちまして、このアフターケア並びに早期発見等につきまして指導を行なっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  186. 石本茂

    ○石本茂君 いま局長さんのお話を聞いておりますと、まあなるほどごもっともと思うことばかり並べていらっしゃるのですが、私のお尋ねしましたのは、そういうような措置をなさった結果、どのような具体面において効果があがりましたかということを聞いてみたわけですが、私がむしろ、もう一つ重ねてお伺いすることになりますが、もういまさら私が言いませんでも、厚生省当局が昭和三十八年に調査の結果お示しになっております数字を追ってみますと、施設に入りまして治療を要しますところの精神病者等がもう五十七万人おると、それから要入院患者は二十八万人おると、しかるに入院可能のベッドが十六万であるということになりますと、単にこれはもう精神障害という段階じゃなくて病人でございます。いわゆる精神病者でありますから、そのほかにさらに精神病質者でございますとか、あるいは精神薄弱者でございますとかいうものが、数学を追ってみますと百二十五万、これはもうたいへんな数字だと思うのですが、そういうものが十六万、あるいはアフターケアの中にどれだけ現在入っているか知りませんが、そうしたものを除いたのが全部野放しである。いろいろ保護措置もしている、保健所でも指導に十分力を入れているとおっしゃるのですが、そういうことを完全に行なうことは困難だと思いますけれども、ある程度効果をあげておりますものならば、なぜ今回のように、昨年の十二月に病院を出てきて再び入院させなければならないような状態にあった子供がそういうことを起こしたわけですが、この間にその子供に対してどのような具体的な措置がとられていたであろうか、保健所の実態一つを見たり聞いたりいたしましても、精神病医が少のうございますために、嘱託医がなるほどおられます。おられますけれども、実際に真にどのような効果をあげていらっしゃるのか、それから保健婦等がやはり出先の中におりまして、指導に当たっている向きもございますが、はたしてどのように活動できる状態がつくられているでございましょうか。法律規則がどのようにすばらしくできましても、それが実際現場の活動の中で役立つような、効果的に活動できるような仕組みがない限りは、幾ら美辞麗句を並べられましても、実際そういう人たちは守られませんし、また医療の段階に持っていくことも困難であろう。早期発見けっこうでございますが、もっとおそろしいのは、入院を要する、治療を要する人がそれだけ野放しになっている。しかも今回のごときは先ほど申しましたように、最も危険な状態にあった者がそのような犯罪を犯しているわけでございますが、そのような場合にどのような具体的な措置が保健所との間、あるいは警察当局との間、あるいはかつて収容しておりました精神病院との間にあったものかどうか。また、現在とりつつありますものかどうか。それを具体的にひとつ時間もありませんので簡単に、——具体的に簡単にということは矛盾いたしますけれども、お聞かせいただきたいと思います。
  187. 渥美節夫

    政府委員(渥美節夫君) 実は施設につきましてただいま申し上げましたけれども、数字的に申し上げますと、先ほどのセンターとか、あるいは精神衛生相談員の設置、精神衛生相談員の設置につきましては、現在本年度予算におきましては二百十八名の定員をもらいましてその充足に努力しております。なお、来年度におきましては六十一名ばかり増員計上されております。そのほかに精神病のベッドにつきましては、現在大体昨年の十一月末ごろで約十七万ベッドに大体なってきております。そうしますと、ベッドの最近の増加の傾向は、ここ数年一万五千ベッドから二万ベッド近くの年々の増加ということに大体なってきております。もちろん現在の要入院、実態調査によるところの入院を要する患者、入院を要する患者の中には措置入院の対象もありますし、そうじゃない対象ももちろん含まれております。そういうものに対して現在は十七万幾らのベッドしかないということになりますと、まことに足りないのはごもっともでございます。大体いまのところまだ病院は若干超過収容でございまして、実際上は十八万近くが入院をして治療を受けているわけでございます。そうしますと、二十八万に対しまして大体六〇%の割合で現在は入院、治療ができている。あとのものが結局いわゆる治療を受けてないということになっておりますが、二十八万人はこれは実態調査の結果、一つのサンプル調査をもとにいたしまして、それから算出した推定計数でございまして、実際は二十八万人を全部つかんでいるわけではございません。したがいまして、それをつかむための一つのやり方としまして、申請、通報制度がいろいろありまして、それから具体的な数字がつかまれてくるわけでございます。その数字にいたしますと、三万数千件の報告から大体二万人近くの入院患者が見つかりまして、もちろんその報告の中には精神障害者でない人もおります。そういうものをいわゆる入院をさしているという形になっております。  今回の問題につきましては、これはまあ京都府の衛生部を通しまして聞いた範囲内におきまして、その患者の状態につきましては大体において新聞に出ているのとほぼ違いがございませんけれども、十七歳の少年でございまして、この者は入院いたしましたのが四十年の三月二十日で、そうして退院をいたしましたのが十一月三十日でございます。したがいまして半年ばかり入っていたわけでございますけれども、入院前におきましての所見といたしましては、本人はどちらかというとやはり抑うつ性の傾向がありまして、ときどき爆発的な傾向があるというようなことを家人が言っておったわけでございます。そうして入院の前には睡眠薬の服用をしたり、自殺をはかったというようなことがあるものですから、これは病院に入れましたところが、病院で診断をしてみますと、病院内に入りましてからは非常におとなしく、むしろ抑うつ的なような傾向がありまして、不眠を訴えておる。不眠症の点がありまして、その面を治療してまいりまして、非常によくなりまして、そして社会的な緩解ということで十一月の三十日に心配がないということで退院をいたしたのであります。病名は、カルテの名前は精神病質でございます。そうしてこの者は、引き続きお医者さんのところへ通いまして、医者から薬をもらったり診察を受けたりすることになっておりましたけれども、最初二週間分の投薬を受け、それから院長から病院へ通院するようにと言われておりましたけれども、通院しないうちに現在に至ったという形でございます。二月の五日ごろから少し様子がおかしくなったというので、これを家人が十日に入院させようというふうにいろいろしておった。どうもそれが本人にわかったのかどうか、二月十三日の午後五時二十分ごろ夕食後外出して事件を起こしたというかっこうになっているのでありまして、入院時の所見、入院しておる間の所見、退院するときの所見そのものからいいますと、これほどまでのことをするということまではちょっと想像ができなかったような状態であったように思っております。しかし、このような事態が起こったということは、はなはだ遺憾なことでございまして、こういうためにやはりこの者は一応通院医療を受けながらやっていくたてまえでございまして、家人も一応承知はしておったのでありますけれども、それが少し厳格を欠いたといううらみがあるんじゃないかと思っております。通院医療の制度はアフターケアとしては非常に重要で、また効果のある制度でございます。これがうまくいかなかったということで、これを否定するわけにもいきませんし、依然としてこの制度は伸ばしていきたい。大体以上のような状態でございます。
  188. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 答弁はもう少し要領よくやってください。
  189. 石本茂

    ○石本茂君 ありがとうございました。大方の承知しておりますことばかりをお知らせいただいたのでございますが、私が聞きたいと思ったことは、要領よく言っていただけませんでしたので、いずれまた次の機会にお聞きしたいと思いますが、せっかくよい法律ができまして、保護ないしは取り扱い方が明記されておりますにもかかわらず、通院を認められて行くべく手当てされていたものが行かなかった、その間に偶発的にああいうことが起きたという経過はわかりますが、ひとりこの少年にとどまりませず、そういう精神病者に対しまして、あるいはその法律の定めるところの範疇にあります者に対して、もう少し行政当局におかれまして、二年前にあのような大騒ぎをし、その後におきましても再々新聞紙上をにぎわしておりますのが、少年にとどまらず、おとなでありますところの精神病者が非常に多く事例としてあがっているのですから、単に法律がそうなっております、予算はそう取ってあります、ああでございます、こうでございますではございませんで、もう少し国民の不安をなくするという意味におきましても、実際行政面の中で当局が監督あるいは督励、あるいはまた実際にそのことについて国家の運営する、あるいは国家の設立するそういう施設もあるのでございますから、このような者についてもう少し力を入れていただけたらどんなによかったかしら。将来ともそういうことも含めてお尋ねしたかったのですが、そのことについてはけっこうでございますが、ここで関連でございますけれども、このような人方が野放しになっていて、施設がないから、設備がないからというお話もございましたが、聞くところによりますと、結核の療養所、こういう国立の施設などが相当程度この精神病者のために転換されようとしていることを聞いております。聞いておりますが、ただ単に建物がありまして精神病者を入れるだけの設備ができたとしましても、この人方を見る医師、この人方のために身の世話をし、そして医療の効果があがるような、あるいは保護の効果があがるようにしていくための医療従事者につきまして、どのような考慮が払われておりますのか。これは公衆衛生局長じゃないかもわかりませんが、担当の局長さんにお伺いしてみたいのでございます。
  190. 渥美節夫

    政府委員(渥美節夫君) 国立療養所の一部におきまして、精神衛生対策のために精神病床に転換させるということは、この数年来三百床あるいは六百床の幅で行なっているところでございまして、その際の医療関係者、特に看護婦さんの転換病床のための職場の転換に伴いまする講習会、研修会というものは、二カ月ないし三カ月程度の期間行ないまして、精神病床転換のためにうまくいくように実施しているというのが現状でございます。
  191. 石本茂

    ○石本茂君 ありがとうございました。先ほどお尋ねいたしましたときにもそうでしたが、どんなすばらしい政策をお立てになりましても、それらの根本的な要素でありますところの人づくりをしないで、ただ枝葉末節的なことだけを大きく取り上げられておりますところに私は非常に不安を持つものであります。どうしようと思うとか、どうしなければならないということじゃなくて、厚生行政の中で、ほんとうにこういう面に力を入れていただかないと、ただ名目ばかりたくさんあげても、さっぱり実際に効果があがってこないということになると、国民が厚生行政に対しましては、いまでも不安を抱いておりますが、ますますそういう気持を醸成していくことは、国家の大きな意味の建設にとりまして、一番大きな問題をかもしていくのじゃないかと思うのであります。そういうことでお尋ねいたしたのでありますが、やはりなるほどという回答が得られませんので、十分今後とも実現方について御配慮をいただきたいと思います。  さらに関連でございますが、これは児童福祉法の中で、児童につきましては担当程度いま保護もされ、あらゆる意味の措置が講ぜられておりますのに、その児童の範疇に入ります精神病者につきまして、特段の配慮が現在のところ法律等にはございませんようでございますが、この辺児童局長さんのお立場でどのようにお考えになっておられますか。児童福祉法の中ではちょっと触れている条項もございますが、特段には触れておりませんが、いかようにお考えですか。お伺いいたします。
  192. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 児童の問題でございますので、児童局長からお答えいたしたいと思います。  児童福祉法の中には精神障害児童につきまして特別の規定が設けられておりません。これは御指摘のとおりであります。児童福祉法で取り上げておりますのは、要保護児童と申しますか、保護を要するという非常に広い範囲で取り上げているのであります。したがいまして、特に精神衛生法の関係から申しますと、精神衛生法の中にも精神障害の範囲がきめてございますが、その中で精神薄弱児につきましては、精神衛生法の対象であると同時に、児童福祉法あるいは精神薄弱者福祉法の範囲になってくるわけであります。そういう面で私どものほうでは一般的に精神障害児につきましては、児童福祉法の対象になるということは、精神衛生法ができました当時の基本通達の中にもうたってあるわけであります。ただ医療を要するいままで出ました精神病質の子供、あるいは精神病の子供は、これは当然精神衛生法の対象であると、かように考えております。
  193. 石本茂

    ○石本茂君 いま児童局長さんのおことばで話はわかるのでございますが、精神衛生法にいたしましても、精神病者のための保障制度にいたしましても、児童の問題が大きく取り上げられまして、特に十七才などという未成年で、精神的にも固まりが少ない者のために相当程度社会もいろいろなことを要求し、当局におかれましても考えておられますことの保護の網の中では、一番大きな盲点になっているように思いますので、この点児童局長さん、社会局長さん両方にまたがりますとともに、いまおっしゃったように医療の範疇にもまたがりますし、公衆衛生のほうにもまたがりますので、どこかでだれかがするのだという複雑な制度にむしろ今日なっているのじゃないか。このことだけでなくて、厚生行政万般にわたりまして、そういう気がするのでございますが、どうぞこういう機会に今後各局におかれましては、有機的に総合的な判断のもとに一つの問題を十分に御検討いただきますことを私はお願いしたいと思います。  以上簡単でございますが、時間も過ぎましたので、これで私の質問は終わります。ありがとうございました。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。
  195. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 簡単に。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 この京都の少年犯罪で厚生省は具体的にどういう処置をとったか、つまり現場に人を派遣し、それからこの問題を究明したと思うのですが、どういう措置をとったか、簡単でいいです、それをほんとうに二、三分でいいですから言ってもらいたい。簡単にやってください。
  197. 中原龍之助

    政府委員中原龍之助君) こちらは、人は派遣いたしませんで、こちらのほうといたしましては、京都府の衛生部と連絡をとりながら作業をいたしました。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 報告をとっただけですか。
  199. 中原龍之助

    政府委員中原龍之助君) はい。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 わかりました。
  201. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 私からちょっとお伺いしたいのです。石本委員から言われたように、ライシャワー大使のときには大騒ぎした。法律を変えた。それで社会に向かっては、結核と精神病は国の力で駆逐するのだと声明した。もし公費負担が拡充されているならば、今度の事件はあるいは起きなかったろう。入院料がかかるのですよ。それでやむを得ず、病院長の話によると、家庭から退院させたいといえば、これはさせないわけにはいかない、こう言っていられる。出たあとのアフターケアも足りない。何回訪問指導していますか、そんなことしてないと思う。薬はわずか一週間分持って出たきりで、あとは野放しじゃありませんか。そして入院させなければならないと思っている直前に起こった問題です。ライシャワーさんのときにも、その直前に起こった、同じ事件なんです。こういうことについてあまりにも私は厚生省はいくじがないと思うのですよ。さっきの救急医療の問題にしても、精神衛生対策にしても、大蔵省だってこの事態がわからぬはずはないと思うのです。もっと強くなってほしい、これを私は心から要望しておきます。怒りを込めて要望いたします。  それから、看護婦の不足の問題は目に余るけれども、幸い今年は非常に志望者が多くて、各高等看護学院では三十名の定員に二百名とか三百名応募している。これだけ看護婦が足りないときに、みな三十名以上はとれない仕組みになっているようでございますが、看護婦の養成を急ぐという立場に立って厚生省はどう考えるか、私は志望者が多いことを非常に喜んでいたところが、どこで聞いてもみな三十名しかとっていないから、落している。これは一体どうするのか。いまの看護婦の足りないのは、あなたがたが考えている以上に深刻ですよ。これについてどういうお考えを持っているか、ちょっと聞かしてください。これが一点。  それから時間がございませんので、それで精神衛生の精神病者とか、特異体質とか、精薄とか、こういうことはばく然とは新聞発表で知っていますが、私たち詳しく承知いたしておりません。正確な資料、それから施設状況、これの資料をお願いしたい。それから公費負担でどれだけの人が入院しているのか、それでそのあとアフターケアでどういう方法をとっているかというようなこともあわせて資料で御提出お願いたい。  それから今村社会局長にお順いいたします、生活保護が各地で問題を起こしておる。今度もどこだったか、朝日新聞で拝見したのでございますが、これによりますと、両足ともないのですね。やっと家の中で車いすで用を足しておる五十四才の女の人ですが、この人が有線放送にたよって生活していた、きょうだいの金もらって。それでようやく有線放送をひいて日常どうやらやっておる。ところが、今度それが一般の話もできるようになったとかいうことで、生活保護を打ち切るか、それとも電話をやめるか、こういうきついお達しで、やむを得ず生活保護をもらわなければ食えないから、一カ月あまり電話をやめているそうです。一体、もしも火事でも起きたときにはその人は焼け死ななければならない。両足のない人が命の綱としてたよりにしている電話まで打ち切らなければならないのか。この間も冷蔵庫の問題で悲劇が起きております。非常に取り扱いが過酷でございますが、どういう状態かちょっとお聞かせ願いたい。
  202. 渥美節夫

    政府委員(渥美節夫君) 看護婦養成所におきまする入学の取り扱いの問題でございますが、御承知のように看護婦養成所は、その教科課程あるいは職員の状況等におきまして定員はきめられてございます。しかしながら、お説のようにただいまのような看護婦が非常な不足の状況であり、かつまた、たまたまこういうふうな入学志願者が多い時代でございますので、院長がお話のように定員を厳守するというふうなことでなしに、教育効果が妨げられない程度におきまして多少の超過を認めて入学を許すように、いろいろな会議におきまして通達、通知を、連絡をするということでやっております。
  203. 今村譲

    政府委員今村譲君) 有線放送は、実は昨年これは農山漁村のいろいろな生産活動、いろいろな関係がありますので、これは差しつかえないという通達を出しておるわけでございます。ただ問題は、今度のように、そういう有線放送約千九百戸ありますが、全部外部の電話とつないだものですから、第一線の福祉事務所のほうで、それならば普通の電話と同じじゃないかというふうな感じを持ちまして、それでこういう本省のほうの方針と食い違ったわけでありますが、私どものほうのところでは至急実情調査しました結果、それは別に売っても換価処分というものは、これはいなかでございますから別に売れないわけでございます。そういうふうな点もあり、現実に有線放送が主力でそう遠くへかけるかっこうのものでもないし、その付近で農業協同組合主体で相当持っておるということであるから、従来の方針どおり有線放送としてそれは保有を認めて差しつかえないのだというふうなことを、けさ至急連絡をいたしました。ただ、非常に申し上げにくいのでありますが、生活保護のたてまえ上、たとえば自家用車とか、電蓄とか、電話とか、貴金属類とかいうふうなものは、一般的に生活上どうしても必要でないと見られるようなものについては、あらゆる方法でそれを売るなり貸すなりやって、それで生活に充当して、足りないところは国がやる、めんどうを見る、こういうのが生活保護法の基本原則というふうなかっこうになっておりますので、ある程度の限界というものはどうしてもやむを得ない。ただ、問題は、テレビは昨年認めましたように、どこへ行きましてもそれは大体八〇%、九〇%というふうに普通の世帯でも持っているというふうな普及度になりますならば、これは差しつかえないというふうに、そのつど弾力的に改める方式ではおりますけれども、基本的にはそういうことでございますが、今回のものは千四百カ所の福祉事務所ありますうちで、本省の通達の解釈の間違いで、一般市外通話がかかるならば普通の電話ではないかというふうな行き過ぎといいますか、解釈の相違がありましたので、これは至急直せ、もとどおりというふうな指示をいたしてございます。
  204. 藤原道子

    委員長藤原道子君) そこで、自家用車まで認めろとは言わない。電話も私はそういう考え方は納得がいくのです。けれどもケース・バイ・ケースで、足がなく、これをたよりに生きている人はそういう苛酷なことは困る。それであなた方の本省の考え方が下部に浸透しておりません。下部の福祉事務所にいくとずいぶんむごい扱いをいたします。  そこで資料を要求いたします。本委員会ではまだ生活保護法の最低基準ですか、食費が幾らで、教育費が幾らで、それからどれだけの人が生活保護の対象になっているか、それから医療扶助等によって入院している人がどのくらいあるかというようなこと。それからこのいま言った電話とか何とかいうものがどの程度にきめられているか。それから内職しなければ食えないので、いまの保護基準では食えないのですよ。内職を通して入ってくるお金が税の対象になったり差し引かれている、これでは自立更生をしようと思ったってできませんよ。ですからこれらに対してのお考えと、どの線を引いておるか、これは社労でしばしば私やってきております。収入に対しては差し引くのをやめろというふうに言っておりますが、どの程度いま認めておいでになるか、食費その他が幾らであるか、最低基準ですね。こういうことの詳しい資料を御提出願いたいと存じます。よろしゅうございますか。
  205. 今村譲

    政府委員今村譲君) はい、よろしゅうございます。
  206. 藤原道子

    委員長藤原道子君) それでは、ほかに御発言がなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会