運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-02-14 第51回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月十四日(月曜日)    午後一時十八分開会     ————————————— 出席者は左のとおり。     委員長         藤原 道子君     理 事                 佐藤 芳男君                 仲原 善一君                 相澤 重明君                 二宮 文造君     委 員                 木内 四郎君                 熊谷太三郎君                 黒木 利克君                 高橋文五郎君                 内藤誉三郎君                 野知 浩之君                 大森 創造君                 岡  三郎君                 中村 波男君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君                 石本  茂君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        科学技術政務次        官        田川 誠一君        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君        外務大臣官房会        計課長      鹿取 泰衛君        外務省北米局長  安川  壯君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局次        長        鳩山威一郎君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省医務局長  若松 栄一君        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房経        理課長      三浦 善郎君        農林大臣農地局        長        大和田啓気君        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業大臣官        房会計課長    佐々木 学君        通商産業省軽工        業局長      伊藤 三郎君        中小企業庁次長  影山 衛司君        建設政務次官   谷垣 專一君        自治政務次官   大西 正男君        自治省選挙局長  長野 士郎君     —————————————        会計検査院長   小峰 保栄君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        会計検査院事務        総局次長     宇ノ沢智雄君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和三十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十八 年度政府関係機関決算書(第四十八回国会内閣 提出)(継続案件) ○昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 藤原道子

    委員長藤原道子君) それでは、ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和三十八年度決算外三件及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書を議題といたし、昭和三十八年度決算外三件の総括質疑及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書の質疑を行ないます。  なお、本日は佐藤総理大臣出席されておりますが、総理に対する質疑はおおよそ二時三十分ころまでに終わるよう、あらかじめ御了承を願っておきます。   〔質疑のある方は順次御発言を願います。〕
  3. 相澤重明

    相澤重明君 本日は総理大臣に対する質疑に限られておりますので、私はごくしぼって三、四の問題点質疑をいたしたいと思うのであります。  その第一は、国有財産管理処分についてであります。本委員会で、私ども決算委員会といたしまして会計検査院報告事案に基づいて審査をすると同時に、本院の特殊性と申し上げますか、決算委員会審議過程において、国有財産に関する小委員会設置をしてまで審議を進めなければならなかったという事情があるわけです。これは、毎年報告される事案の中で、いかに国有財産管理というものが十分でないかということが痛感されるわけであります。今日なお、大蔵省の所管に関する問題についても、質疑過程の中でまだ不明確な点がたくさんある。これは私はまことに遺憾だと思うのであります。昭和三十二年以来、時の大蔵大臣池田勇人氏がこの国有財産実態調査というものを国会に提案をして、そうして私ども議会においても、国民財産というものを大事にしなければいかぬ、こういう形で進めてきたわけでありますが、いろいろな問題がその中に派生しておるということについて、特に小委員会を持ったその中で、私が小委員長としてその間に国民の各方面から受けた投書なり意見というものはばく大なものであります。本委員会でも報告したのでありますが、これらに基づいて、総理大臣は、国有財産管理というものをどのようにしたならば一体国民期待に沿うことができるのか。また、その処分については、少なくとも特定政治家なり特定の役人が介在をして、そして不当所得を得る、不正に処分が行なわれる、こういう問題については、これは許されぬことだと思うのであります。もちろんその中からいわゆるこれが公務員等の場合には網紀粛正の問題が生まれてくることは当然であります。あとでその点もちろん申し上げますが、私は、そういう面について、国有財産管理処分については一体どうしたらいいかという総理大臣の基本的な考え方というものを伺っておきたいのが一つであります。  その中で、決算に対する考え方が、与党自民党として、あるいは行政府最高責任者内閣総理大臣として、決算の場を通じてこういうような会計検査院国会並びに政府提出する検査院報告書だけで政府としては議院が審査をすればそれで事足りる、こういうふうにお考えになるかどうかが重要なポイントになろうと私は思うのであります。私ども参議院におきましては、私が昭和三十七年当委員会委員長当時に、前の委員長佐藤芳男委員長のときから継続をして審議をいたしました結果、決算審査あり方という方針を本院ではきめておるわけであります。そういう場を通じまして、私どもは、このあり方ではいけない、具体的にもっと徹底した審議を通じて国民の前に国有財産問題点を明らかにして、そうして国民各位協力を願うという立場をとらなきゃいけないという立場で、いわゆる審査の中には当然小委員会等設置して専門的にこれらの問題を把握していくということが大事なことではなかろうか、こういう立場に立ったのでありますが、今日まで与党皆さんの御協力を十分に得ることができなかった。もちろん私ども審議の不十分さもあったと思うのでありますが、これらについて、私はやはり、基本的に国有財産管理処分という大きな問題であるだけに、ひとつ行政最高責任者としての総理立場、それからできるならば本院におけるこの決算委員会の運営上、私は当然国有財産に関する小委員会等は置いて、審議を通じて国民協力を願う、こういうことが大事なことではなかろうかということが一つであります。  いま一点は、決算審査あり方についてひとつお尋ねをしておきたいと思うのであります。これは今日まで残念ながら、決算の問題については会計検査院報告を受けるというだけでございました。しかし、これには学説上報告あるいは議案の両説があることは私ども承知いたしており、私ども本院におきましても各界の方々においでをいただいて十分意見を聴取いたしたこともございます。しかし、今日毎年会計検査院報告をするだけでも、総額で十五億、二十億、あるいは三十億という不正不当事案が出てくる。こういう問題を考えてみると、しかもそのことは、会計検査院の定員が必ずしも多くない、検査の対象も必ずしも全部ではない、まさに氷山の一角と考えられるときに、このままの、報告だけで私ども国民の負託にこたえるには不十分である。したがって、私どもとしては、これを議案として取り扱うべきではないか、十分慎重審査をして、そして国会としての権威を高からしめる、これが私は決算の中における取り扱い方ではないかと考えておるのであります。幸いにいたしまして、昨年の暮れから、与党自民党皆さん、また野党の一致した意見として、少なくとも会計検査院報告はこれを本会議において質疑をする程度までお話し合いのできたことを、私はたいへん喜んでおります。喜んでおりますが、基本的には私は議案説をとるべきではないか、こういうふうに考えるのでありますが、総理大臣のお考えお尋ねをしておきたいと思うのであります。  第二の問題点は、補助金等の問題であります。これは会計検査院においても、今日検査を進めた過程におきまして、いかに補助金等の問題が多くの問題点を提供しておるかということは、政府改善意見を求めたり、あるいは行政管理庁の勧告が出され、あるいは本院において常に政府指摘をしておるところであります。したがって、私どもは、少なくとも国民税金を最も効率的に運用するためには、決算上いわゆる不適当と思われるものについてはこれを是正をして、次年度におけるところの予算の編成の中に十分その成果を生むようにしていく、これが私は検査院指摘事項に対する本院における決算審査あり方だと思うのであります。国民税金というものは、一口に申し上げて、ただ単にはなやかにアドバルーンを上げることに一生懸命になっても何にも役に立たぬし、また同時に決算が、単に重箱のすみをつついて、ただ悪いことを引き出せばそれでいいというものでは私はないと思うのであります。したがって、国民期待にこたえるためには、そういう補助金等あり方についても十分再検討をしなければならぬと思うのでありますが、これらについては一体どう考えておるのか。  第三の問題は、私はこの機会に、総理が少なくとも国民に対して人命尊重、いわゆる社会開発等を提唱せられておる中に、みずからのえりを正すということは非常に大事なことではないか、それは綱紀粛正の問題であります。残念ながら、今日いろいろな審査段階におきまして、公務員が関与をしておる問題、あるいは政治家関係をしておる問題、たいへん多く本院で実は摘出をせられておるのであります。もちろん、国会決算委員会でありますから、検察当局なり裁判所でございませんから、そういう犯罪事犯についてのわれわれは問題に触れておるわけではございません。ただ、政治的にあるいは経済的に国の行政上の中における末端までの中にいわゆる公務員なりあるいは政治家が介入したために、その問題が国民のひんしゅくを買う、こういうことについては、許すことのできないことだと私は思う。あとで同僚の議員からもお話があろうと思うのでありますが、先日も当委員会において、たとえばマルマンの問題の指摘がございました。その際私は、大蔵省藤井政務次官の当委員会における答弁の態度というものは必ずしも好ましいものではない。これは与党皆さんといえども、私はこの点については十分うかがえるところであると思うのであります。したがって、政府行政府を担当しておる皆さん方にむしろ姿勢を正していただくことが、国民にそのことをよく理解してもらい、協力してもらうことになる。同時に、公務員輸入輸出の際に非常に大きなやはり問題を提供しておる。こういうことは、私は、国有財産の処理につきましてもしかり、各般にわたってあまりにも公務員のそういう問題が多過ぎる。これらに対して、一体綱紀粛正をどうするのか。そのことを正さずして、いかに精神的な訓示をしても、私は役には立たない、こう考えるのであります。したがって、綱紀粛正についての基本的な態度というものをひとつ総理大臣からお答えをいただきたいと思うのであります。  最後に、これはわが国が米軍基地を提供しておる関係でいろいろな陸海空にわたる問題があります。特に私は、本院において、長い間基地周辺住民の民生安定についてはどうするのかということを質問し続けてまいりました。私その中で、前になくなった池田総理に対して、現在の国家賠償法という法律がきわめて狭義のものである、狭い範囲のものである、このような法律上の問題では決して国民を安心させることはできない。したがって、あらためてフランスなりあるいはアメリカなりドイツなりの私どもはいろいろな法律というものを検討した結果、この時点において国家賠償法の改正も必要ではないか、あるいはそれに匹敵する近代立法を必要とするのではないか、こういうことを提案し続けてきたものであります。したがって、今日政府基地周辺等の民生安定についてはどういう考え方を持って立法措置なり予算措置なりというものをお考えになっておるのか、この点については、きわめて大事なことでありますので、ひとつお答えをいただきたいと思うのであります。  以上四点にわたるところの御質問を申し上げた次第であります。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 当院決算委員会は、ただいまの相澤君が前委員長をされたり、あるいはまた佐藤君が委員長をされたりして、たいへん決算のお仕事に熱意を示しておられます。政府は毎回当委員会に出てまいりまして、過去の行政あり方、また将来いかにあるべきかという点で、いろいろ示唆に富んだ御注意をいただいておるわけであります。  ただいままた、国有財産管理処分についてまず第一に御意見を述べられました。御承知のように、国有財産は申すまでもなく国民のものであります。国民のものでありますから、その立場に立って管理処分をする。申すまでもなく、国民利益のために、また国民に有効適切な用途でこれが管理処分される、こういうことでなきゃならない。またその扱い方は、ただいまのお話にもありましたように、どこまでも公正でなければならない。このことは、基本的に要求されることだと思います。国民のものだ、また公正に扱うべきだ。したがいまして、国有財産中央審議会というものがございまして、各界各層の専門的な意見も伺っており、その答申に基づきまして、ただいまのような適正にして有効なる管理処分をする、こういうことになっておるのであります。それぞれ具体的に運ばれておる、かように確信をいたしております。しかしながら、この国有財産処分につきましては、過去におきましても、たいへん疑惑を投げたり、また不信を買っておると、かように思いますので、ただいまのような点で、今後は一そう注意してまいるつもりでございます。この国有財産中央審議会答申によれば、ただいまのような弊害は除去されると、かように私は思っておりますので、一そうその方向で努力してまいるつもりであります。  ただいま相澤君から、具体的にどうも決算あり方として、まあ議案審査式にしたほうがいいんではないか、会計検査院報告だけでやるという限られた状況では困るんだと、こういうようなお話がございましたが、これらのことは当委員会でもちろんおきめになることでございますから、政府からとやかく申しません。ことに具体的な問題で小委員会設置等お話が出ておりますが、ただいままで私の承知しておるところでは、政府でなしに、各党の間で、国会対策の間でそういう点を協議しておられる、かように伺っておりますが、私は党の総裁として、そういうような具体的な話が出た場合には、党の国会対策等とも十分連携をとりまして、委員会にさような小委員会を置く必要ありやいなやこれを十分検討してみたいと、かように思います。  また、補助金あり方についてのお尋ねでございました。申すまでもなく、お説にありましたごとく、税金国民負担でありますから、これは効率的に使われるということでなければならない。補助金が、本来の目的等から見まして、零細な補助金では十分その成果をあげ得ない、こういうこともしばしば指摘されております。そういう意味で、政府も、零細な補助金、これはあまり設けることはよろしくないんじゃないかという意味で、その目的主義的に十分検討しておりますし、またすでに補助金目的を達したにかかわらず、従前どおり補助金というような名前で支出されている、こういうようなことがあれば、これはもうすでに目的を達したんですから、当然整理すべきものだ、かように思います。これらの点では、ただいまのお話のありましたように、国民負担、その税の使い方ということについて、政府はもちろん注意していかなければならない、お説のとおりでございます。  次に、綱紀粛正についてのお話でございました。公務員並びに政治家等についてのお話でございます。先ほどの補助金の問題といい、また綱紀粛正の問題といい、これはいずれももう古くから言われておりまして、また新らしい問題でもある、かような意味で、特に政府は気をつけていかなければならないと思います。ことに最近の世相等から、特に綱紀粛正の緊要な、また必要なことも痛感いたしているような次第でございます。お話にもありましたように、まずみずからの姿勢を正す、こういうことで、公務員あるいは政治家等はみずから厳正にその身を持したそうして疑惑を生じたりあるいは不信を買うような行為のないように一そう努力をいたしまして、いわゆる国民へ奉仕する、その態度をはっきりさしたい、かように思います。  次に、基地周辺の整備についてのお話がございましたが、これは関係閣僚協議会でいろいろ検討中でございます。私は、お話にありましたごとく、基地周辺住民はたいへん生活万般にわたりまして御苦労が非常に多いと思います。こういう意味において、十分の理解を持って、そうしてこれの対策を立てるべきでございます。いずれ法案が提出されました際には、十分御審議をいただきたいと考えております。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 私の時間は終わりますので、最後に申し上げておきたいと思うのでありますが、従来総理大臣は本院決算委員会には必ず御出席をいただいているのでありますから、特にきょうの場合は衆議院との関係で時間の配分が十分取れなかった。当初本院としては、少なくとも三時間、普通でいけば五時間ぐらい総理出席をいただきたい、こういうことでございましたが、二時半という目標がございますので、私どもきょうはその線に沿って各派からの質疑をしてもらう、こういうことになっておりましたが、きょうのこれは前例にしないで、総理としてはできるだけ出席できるときは出席をして、そうして各議員質問に答えてもらう、こういう姿勢をとってもらいたいことをまず冒頭にお願いをしておきたい。  それから、先ほど第一にお答えをいただきました国有財産管理処分等についての中で、もちろん議会運営の問題でありますが、決算委員会の中に小委員会設置して審議をする、こういうような問題については、これは私ども参議院決算委員会では満場一致なんです。満場一致で、与党野党もない、超党派でそのことは認めておって、ただ臨時国会の際には日韓問題等があったので、これはその当時その審査を延ばしておったのでありますから、この点は、あなたが与党総裁として、しかも行政府最高責任者総理大臣として、そういう点についてはこの参議院の実情というものを十分御了解いただいて、その線に沿うてひとつ御相談いただくことを私は希望しておきます。  以上をもって私の質問を終わります。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの御希望でございますが、これは御希望というよりも、政府審議協力することは当然でございますから、私も、当委員会に過去におきましても総理が出ておりますので、ことに決算議案が成立する前、通過する前には必ず出るようにいたしたい、このことはもちろんいたすつもりでございます。  また、ただいまの小委員会設置の問題にいたしましても、政府皆さんの御審議協力することは、当然でございますから、そういう点で十分連携を緊密にいたしたい、かように思います。
  7. 大森創造

    大森創造君 まず初めに、非常に率直な質問ですが、政治姿勢に関連して、職権個人の資格の区別ということについて、ぜひ総理にお伺いしたいと思います。  いま、国民の間には、残念ながら私の感覚では政治不信政治家不信の風潮が非常にびまんしていると思うのです。私の質問は至って単純なことですが、影響するところは、必ずしも小さいことではないと思います。で、ここでお伺いしますが、もし佐藤総理の友人が、自分の企業の利益のために売り込み先やそれから融資先銀行ですね、融資先あっせんを頼みにきたと仮定いたします。またその私企業は、山一証券のような国家利益を左右するような影響力はないものと仮定いたします。その場合に、佐藤個人あるいは総理佐藤として、しかるべきところか、あるいは人を紹介しあるいはあっせんする、これはまあまあいいといたします。両者取引条件が整って、契約調印段階となって、両者があなたに、総理取引契約立ち会い人として、場所は総理官邸内閣総理大臣佐藤榮作官職名入り署名捺印を求めた場合に、あなたはそれに応じますか、応じませんか、そういうことはいいことですか、悪いことですか。イエスですか、ノーですか、どうぞひとつお答え願います。
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま大森君のお尋ねはどういうことか、私にもねらいがよくわかりませんけれどもお尋ねにただいまなりましたことは、私は総理としてさようなことはいたしません、はっきり申し上げておきます。ただ私この機会に、いろいろ職権総理個人と、こういうような言い方があろうかと思いますが、しかしいずれにいたしましても、疑惑を受けるとかあるいは不信を買うとか、こういうような行為は、私自身が総理であります限りにおいて、一切そういうものにタッチしない、これが私のつとめではないか、かように私思っております。
  9. 大森創造

    大森創造君 それでは、さらに具体的に申し上げますが、私は当委員会マルマンの問題について二、三回質疑応答いたしました。どういうことかというと、通産省伊藤軽工業局長は、私に対してこういうことを言った。マルマンに対して六億の協調融資をした、それに対する肩書き入り署名捺印をしたということについて、私の質問について、伊藤局長はこういうことを答えている。上司の指示によって、そしてまた銀行側の要望によって六億の協調融資あっせんをした、立ち会い人となった、肩書き入り署名捺印をいたしました。——実質は、これは私はあとから銀行局長お尋ねいたしますが、無担保だと思います。無担保だから銀行側は非常に危険を感じている。リスクを感じたので、そこで通産省伊藤軽工業局長、その上司である三木通産大臣、それからこの軽工業局というのは、御承知のごとくマルマンという業者の監督官庁である。銀行側監督官庁は、いまさら申し上げるまでもなく大蔵省であります。大蔵省政務次官藤井勝志氏が立ち会い人署名捺印をした。だから私に言わせれば、いま言いましたことは架空の話ではなくて具体的な問題であります。こういう行為——この前要求いたしました資料で、このことについて総理に御判定いただきたい。それをお読みになって、そういう行為をして公務員として許されるべきものかどうか、従来もこんなことが行なわれていたものかどうか。こんなことが佐藤内閣のもとにおいて、佐藤総理大臣が任命権を持っているその政務次官がそういうことをやっていいものかどうか、お答えいただきたい。
  10. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はこの事件の詳細は存じませんが、先ほど来申し上げますように、公務員あるいは政治家、これが不信、あるいは疑惑を生ずるような行為は慎むべきだ、かように思います。このことについて、どうもいわゆる不正があったとは、かようには思いませんけれども、やや行き過ぎの感があり、とやかく疑惑を持たれるとか、あるいはいろいろ行き過ぎではないかというような批判があるだろうと、かように私は思います。当時の融資あっせん、いわゆる中小企業に対する融資あっせん、あるいは事業がどういうようになっておるかということで、いろいろ通産省伊藤君が心配をしただろうと思いますが、この藤井君が、政務次官が、これに立ち会い人になっておる、ちょっとこれは事情私よく存じません。どんな状況でしたか、お調べになったでしょうか。どうもこの局長のほうは、自分たちが扱っておる業者、その不振の状況、それについての融資だろうと、かように私は思います。
  11. 大森創造

    大森創造君 これはひとつ時間がありませんから、いままでの経過の詳細を申し上げることはできないが、マルマンが動くデパートというものを始めて、マルマンというのは、時計バンドとガスライターの会社ですが、ところが、動くデパートを始めたけれども、そのことについてだんだん失敗をしてきておる、銀行側のほうの融資がとまってきたということになります、去年の一月から。それから労働省のほうでは、労働基準法の二十六条ですか、いわゆる賃金未払いの問題について大々的な手入れを行なった。八月二十九日に、各マスコミに報道されております。そこで、取引銀行は手控えてきた、銀行側マルマンに対して融資を。非常にリスクが大きいということで手控えてきた。いま総理の手元におあげしましたようなこういうことが結論になりまして、このことによって私は六億の融資がきまったものと理解している。銀行側の要請により、それから上司の指示によって、六億の融資をきめたということを御答弁になっておりますが、それに間違いないと、そこで総理にお伺いしたいことは、こういうことが許されるかということです。あなたが、任命権者であるあなたとして、こういうことが佐藤内閣のもとにおいてやっていいかということを、具体的にひとりお答えをいただきたい。
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) あまり例のないことでございますが、私も長らく役人生活をいたしましたが、この種の事柄はあまりございません。したがって、いわゆる行き過ぎではないかと、かようなことが疑われる、かように私は思います。これがその行き過ぎであるという点で、いかなることをすべきか。まず、注意をすることによって、この種のことは解決ができるのではないか、私かように思っております。これはしかし、こういう事柄がどんどん行なわれるということになりますと、公正を欠くということが心配だと、かように私は思っております。したがいまして、どうも行き過ぎではないかな、という感じがいたします。
  13. 大森創造

    大森創造君 総理自身が行き過ぎであると認められるのは、私は常識だと思う。しかし、藤井政務次官はそういうふうに言っておらない。てんとして、堂々とこういうことをやるのはあたりまえだという答弁をされている。そこで、私はこのことをただすのは、やはり総理しかないと思うので、ここでお尋ねするのですが、こういうことが、白昼公然と政務次官立ち合いのもとに行なわれているということを許しておけば、これは佐藤内閣の政治姿勢というものは、むちゃくちゃになると思う。そこで、これは総理は前例がないと言いましたが、局長もこのことは前例がないということを言われましたが、こういうことは前例といたしませんね、一言お答えいただきたい。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、こういうことは前例といたしません。また、十分注意いたしまして、いわゆる不正といいますか、不正という——白昼公然とやったというもので、いわゆる不正はないだろう、かように私思いますが、しかし、とにかく行き過ぎであることだけは確かですから、こういうことを前例にいたしません。また、将来も十分注意するつもりでございます。
  15. 大森創造

    大森創造君 私は、重政議員の秘書がピストル二丁の取引をしたということや、それから小林章参議院議員の選挙違反問題で、間接的ではあるが阪田総裁が責任をとった、ある意味ではお気の毒だと思っております。重政さんは本会議でもってちゃんと謝罪をされた。ところが、私はそのことと比較して、総理、どうお考えになりますか、こういうことを行なったということは、行き過ぎの点があったということで済まされますか。行き過ぎがあったということになれば、私は、具体的な例をあげて小林章議員に対する阪田総裁の引責辞職、それから重政さんの秘書のピストルの取引についての本会議の釈明ということに比べてみて、藤井勝志政務次官、それから軽工業局長のとった措置というものは、それ以上だろうと思うんです本人がこういうことをやったんですから。このことが全国の中小企業に露呈されたらたいへんなことになりますよ。いかがですか。遺憾であったと済まされるべき性質のものでないと思うんですが、いかがですか。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、ただいまの重政君の秘書のいわゆる藤野某のピストル事件、これとは事情は違うと思います。これはもう申すまでもなく犯罪、明らかな犯罪行為でございますから、これとは違うと思う。たただいま伊藤君あるいは藤井君のものは、私は、さような犯罪行為だとは、かようには考えません。ただおそらく、当時この二人が立ち合い人になった、そしてこれによって融資ができた、マルマンの事業がこれで助かった。いわゆる給料不払いもこれでやんだ、今後この事業はりっぱに育つんだ、こういう確信のもとに私はやったんだと思います。これは公正だという、そういう立場でやったことだと、かように私思いますが、しかしながら、とにかく肩書きつきでこういうあっせんをすることは、私は、どうも政務次官の場合に、この仕業をすることが一体どうかしらん、かように私考えておりますので、そこで行き過ぎだと、かように実は申し上げておるのであります。おそらく伊藤君は、この他にも事業の非常に困っておるものについては相談を受け、そういうものに融資あっせんもしておるに違いないと思います。しかしながら、名前を出して、立ち会い人としてそこに名前を出すようなことはないだろう、かように私思っております。本来のそれは仕事だ、かように思っております。けれども、どうも政務次官と二人というところに問題があるような気がしているので、どうも行き過ぎじゃないか、かように私は申しておるのです。ただいまの責任の所在をもっと明確にしろと言われますけれども、いわゆる犯罪を形成しているものじゃない、かように確信しておりますので、その責任まで考えることはどうかと思います。しかし、これが当委員会の問題にもなり、当委員会において、一そう公正であるべき、また公明であるべき事柄だ、こういう意味の御指摘があって、そして本人もそれについてはそのとおりだと、かように私思っておると思います。私もそういう意味で、当委員会指摘なすったことは、当然のことだろう、かように思いますので、私自身も、総理としてかような局長のいますことについては、十分注意をいたしますが、今後ともかようなことがないように注意いたしたい。まことに遺憾なことであったと思います。
  17. 大森創造

    大森創造君 大体総理の話で了解いたしますけれども、なお一点だけ銀行局長お尋ねいたします。総理でもさしつかえございません。これは、銀行が非常なリスクがあるということでこういうことを立ち会い人に求めた、いわば銀行側にも私は責任があると思う。そこで、万一マルマンのほうで支払い能力がなくなった場合には、これは大蔵政務次官とそれから軽工業局長が責任をとるということに相なりましょうね。いかがですか。
  18. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 前回の委員会においても申し上げたところでございますが、四行の協調融資、これにつきましては、担保銀行としてはとっておるわけでございますし、また銀行としては、この企業の今後におけるところの採算見通し、もしくは貸し付け金の回収の見込みというようなものを、十分に審査をいたしまして、その基礎の上に立って融資を行なったものと考えられますので、ただいまお話しのようなことはまずあるまいと、かように思いますが、まあしかし将来、何ぶんにも将来の問題でございます。経済情勢の変動、その他われわれ現在の段階において予測のつかないこともいろいろございましょう。おそらくはその場合にどうかというお尋ねかと思いますが、しかしいずれにいたしましても、その場合に、ただいまの藤井政務次官なり伊藤軽工業局長でございますかの方々は、融資に対する保証ということをやっていらっしゃるわけじゃございません。したがって、これはそういう意味においては、何らの担保にならない、かように考えております。
  19. 大森創造

    大森創造君 そこで申し上げますが、銀行局長、「この誓約書に違反致しました場合、並びに、銀行取引上支障を生じました場合には、いつにても御取引を解消されても異議なく別記大蔵政務次官藤井勝志殿、通商産業省軽工業局伊藤三郎殿立会の上取引各銀行には一切御迷惑を御掛けしないことを誓います。」と、こう書いてありますね。この場合に、「いつにても御取引を解消されても」云々という取引というのは、前段に書いてある六億をさすのでしょう、この文章は。いかがです。
  20. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) これは、いわゆるマルマンなる企業が、みずからの、いわば経営の一生懸命にやりますという意味における誠意を披瀝したものと考えられますので、当該の融資についてどうこうという問題でなくて、全体として、これは先生御承知のように、今回の融資のみならず、既往の融資もございます。そういったようなものをすべて含めて、マルマンが企業として銀行に迷惑をかけないように一生懸命やりますと、そういう趣旨のものであろうかと理解しておるわけでございます。
  21. 大森創造

    大森創造君 そこで銀行局長はどういうふうに判断されているかわかりませんが、私の調べた限りでは、その担保はとってございますけれども、価値のない担保をとっておるというのが、私の調査でございます、三番抵当、四番抵当ぐらいになっているから。ここでお願いしておきますが、無価値なものでは抵当に入れてもだめですから、登記簿の謄本などを、本委員会に出していただきたいということですね、その抵当の。それからもう一つ、私は総理の遺憾であったと、行き過ぎであったと、前例のないことで今後いたしませんと、そのことはよくわかります。それならば話の筋が通ると思います。そういうことが許されているならば、これはもうどういうことになるか、私は際限がなくなるだろうと思う。そのことは了承いたしますが、どうしても私は疑問を感ずるのです。このことは私は軽くとれません。ですから、できるならば、銀行とそれから関係の方に、次回の委員会でも来てもらうということにして、きょうのところは時間がありませんから、これでとどめます。
  22. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) ただいま御要求のございました担保の謄本という話がございました。これにつきましては、先生よく御存じで、申し上げるまでもないと思うのでございますけれども、個別の、銀行対企業の取引の、いわば中身の話でございまして、個々の商取引、まあこれは商売の機密にも属することかとも思いますので、これはどうも公表をするというわけにもまいりません。したがいまして、これは銀行に対しては、御承知のように大蔵大臣が厳重な検査、監督もいたしております。私どものほうにおきましても、担保の内容についてしかと調査いたしておりますので、この点はひとつ御了承をいただきたいと思います。
  23. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大森君にひとつお答えいたしますが、実はこの種の融資、それに立ち会い人というものが要るのか要らないのか、まず第一にそこが一つ問題だと思います。しかもその立ち会い人大蔵政務次官だとか、あるいは通産省局長だとか、こういう肩書きがついている。いかにも、融資あっせんが自由に行なわれるべきものが、官憲とでも申しますか、権力を使った、こういうような印象をひとつ与えておる。そういう点が実は私ふに落ちないことなんです。軽工業局長や何かは、自分の監督指導している事業がうまくいかないときに、融資あっせんすることは当然のことだ、かように私は思います。それだけのめんどうを見て初めて局長がつとまるのだと思いますが、この契約書の立ち会い人になり、しかも肩書づきで立ち会い人にならなきゃならない、どうもそこらが私はふに落ちない。そういう意味で、先ほど来申し上げますように、これは行き過ぎではないか、かように私は申しておるのです。
  24. 大森創造

    大森創造君 行き過ぎならば行き過ぎのような、われわれにわかるような処置をひとつ総理やっていただきたいと思います。
  25. 二宮文造

    ○二宮文造君 冒頭に、相澤理事から国有財産管理処分について質疑がございました。私もその小委員の一人として審議に参加してまいりました。その過程を振り返ってみて、次の三つの問題につきまして総理の御見解を伺いたいと思うのです。  その第一点は、先ほども相澤理事が国有財産管理処分をめぐって政党人が介在をする、これは政治姿勢を正す上においてはなはだ好ましくない、こういう御発言がありましたけれども、事実そのような問題が当委員会の、しかも小委員会で問題になりました軍、学校のあと地を幽霊法人の法人名で借り受け、それを他に転貸しをする、しかもその代表者が政党人である、国のほうはしばしば返還要求をし、未契約の状態であるのに事態が進捗しない、そういう事実が出てまいりました。さらには、国有地を社会福祉法人の名義で特別措置の割り安の価格で払い下げを受けて、それを用途指定があるにもかかわらず他に転売をする。受けたその団体の代表者が政党人である、しかも、厚生省は、その払い下げの転売を受けた団体に対して多額の補助金を交付して会計検査院指摘を受けておる、これも代表者が政党人です。さらに、問題にはなっておりませんが、今後問題になってまいりますものとして、住宅公団が造成をしました工業用地、それを政党人が買い受け、契約の条項を守らない。いわゆる工業用地でございますから、それを買い受けた場合には、二年以内に施設をつくらなきゃならぬというふうな契約があるにもかかわらず、契約を履行しない。住宅公団はしばしば内容証明郵便でもって善処方を要望するのに、一向に事態が進まない。これらの問題を振り返ってみますと、私どもは当局の説明を受けまして、その答弁が非常に不十分でもありますし、よく事情をくんでまいりますと答弁しにくい問題である。要するに、そういうふうにいまは政党政治の時代でございますし、当局の手では何ともしようのないような問題になってしまっている。先ほどもどなたかの発言がありましたけれども国民政治に対する不信というのは強い。そういうときにわれわれ政党人、あるいはその政党としては、そういう問題に対してみずから姿勢を正すべきではないか、このように感じます。総理行政府最高責任者でもあり、かつ最大多数党の総裁でもあられますので、両者立場に立って、今後政党人のこういうケースについてどのようにされていくか、その決意をお伺いしたいのが第一点。  第二点は、問題をずっとひもといてまいりますと、一部の特定業者があらゆる場合に顔を出している。具体的に申し上げますと、虎の門公園のあと地が問題になりました、そのニューエンパイヤモーターの代表取締役は、現在払い下げをめぐって問題になっております池袋の学校あと地、その会社の代表取締役と同一人物です。さらに、そのニューエンパイヤモーター株式会社がある土地会社に吸収合併をされましたが、その吸収合併された会社の代表者は、今度はちょっとケースが違いますが、公有水面の埋め立ての許可をとって、それを最初の契約以外の用途にいま使おうとしている会社——それは全日本観光株式会社という会社ですが、その全日本観光株式会社の有力な役員です。今度はまた、千葉県の浦安の地先で数百万坪にわたって公有水面の埋め立てをいましつつある。これに関係いたしますのは、こういう特定の業者を含めて、さらには大蔵省であり、農林省であり、建設省であり、あるいは千葉県である。こういうように問題をひもといてまいりますと、公有水面といっても、これは国民のものでありますから、どういう名義を使おうとも、一部の業者が不当な利得を占めようとしているという事態がそこにある。そうして、今後公有水面の埋め立ての認可にあたって、ある場合は建設省である、ある場合は農林省である、ある場合は運輸省であるというふうな、いわゆる行政区画といいますか、その調整をする問題も出てくると思うのです。  したがって、結論的に申し上げますと、国有財産の払い下げ、あるいは公有水面の埋め立てという問題について、国民から疑惑を持たれないように、行政府責任者としての総理がどういう監督をされるのかというのが一点。  以上は過去の問題ですが、第三点としては、いま申しました第一点と第二点をミックスしたような問題で、具体的に申し上げますと、高輪の旧御用邸の払い下げの問題であります。これは種々経緯があるのでございます。現在国有財産審議会の承認を得て具体的に交換契約を進めている段階になっておりますが、これを今後進めていくのに、土地評価の問題にしても、あるいは交換をする財産が正当なものであるかどうかという問題についても、総理はお耳にしておるかどうかわかりませんが、ここで問題を出しておきます。したがって、国民が納得するような方式でこの高輪の旧御用邸の払い下げを処理するように——これは要望でありますが、総理の監督を特にお願いしたい。  以上三点について総理の御所見を伺いたいと思います。
  26. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど相澤君にお答えをいたしたのでありますが、また二宮君からその基本的な態度並びに具体的な案件についてのお尋ねがございましたので、お答えをいたします。  申し上げるまでもなく、国有財産国民全体のものでございますから、その管理処分は、国民全体のために適正にこれがやられること、また国民に利便を提供するという、こういう形でなければならない、私はかように思います。ただいまいろいろの人が関係した、特定の人間が関係してこれがいつも同じようなことに名前を出す、こういうので、その特定の人だけが非常な利得をする、こういうような御指摘でございますけれども、私は、この人のほうからとやかく言うよりも、国有財産そのもの、土地そのものがどういうふうに処分されるかという、こういうところに重点を置いて、この問題を見るのがいいのじゃないだろうか。それぞれ専門家がいるようでありますから、あそこがもうけたとか、こういうようなことが言われるのでしょうが、いわゆる不正があるとか、あるいは非常な不公正な扱いをしている、こういうことでないならば、また国有財産そのものが本来の目的に沿っている、国民のためにこれが処置されておる、適正にこれが管理処分されておる、こういうことであれば、これはひとつ納得していただきたい、かように私はお願いをするのであります。  ただ、そうして、いろいろお話が出ておりまして、このケースはどうか、あるいは公有水面の埋め立てをする、この場合は一体どうだと、こういうようなお話が出ておりますが、公有水面の埋め立て、これも各地でいわゆる利権化している、こういう批判が非常にございます。だから、こういうものは公正に使われなきゃならぬ、いわゆる利権化することは、これは国として避けるといいますか、そういうことのないようにしなきゃならない問題である、かように私は思います。だから、具体的の財産処分、それからまた、公有水面の埋め立ても同じように処分されるべきものだと、かように私考えております。  また、いま高輪の旧御用邸の問題が出ておりますが、これもいろいろのうわさを聞くのでありまして、私も気にかかっておる一つでございます。ただいま二宮君が、これが国民の納得のいくような処理をなさいと、こういう御注意でございますので、十分調べた上で、国民の納得のいくような処置を私もいたしたい、かように思います。
  27. 二宮文造

    ○二宮文造君 総理の答弁でございますが、私のほうから提示いたしましたのは具体的な問題です。もちろん、私どもがいまここで議論をしておりますのは、国民のために国有財産が正当に使われていくならば、それは歓迎すべきことである。たとえば公共団体が住宅用地にしていく、そのために、住宅に困難を来たしている国民の多くの方がその住宅に収容されるということは、むしろ歓迎すべきです。しかし、いま私が具体的に例を申し上げたのは、政党人が行政府を困らせるような事案を現在起こしている。これはそれぞれの政党の責任において解決すべきではないか。特に与党総裁である総理は、もしも、かりにみずからの政党にそういう事案があるなら、友人としてでもけっこうでございますし、党の責任者としてでもけっこうでございますが、この問題の解決をはかって、そうして天下に、もって総理の威信を示すといいますか、そういうふうにすべきではないかと、こう申し上げるわけです。  それから一部の特定業者が不当利得をする、これも正当な手続によってなされてきたのであれば、私どもはここで問題にいたしません。公有水面の埋め立てにしましても、遊園地にする、ドリームランドをつくる、地元はあげて喜んだわけです。そういう事業であるならば、われわれとしては、それをもろ手をあげて受け入れよう、むしろ積極的に協力をいたしました。また、千葉県などは、名義を貸して農地の転用許可まで出しております。ところが、でき上がってしまって、遊園地にしないで、今度は住宅用地として転用されていこうとする。農林省はだまされたと言う、地元では、これはあげて今度は反対に回る、こういうふうな事態が起きている。それも一連の業者がそういうことをやっている。これは各省の連絡が悪いし、許可認可事業というものがそれぞれの省に分かれているから、こういう事態が起こるのじゃないか。行政の総合調整というのも必要であります。特に公有水面の埋め立ては、総理も言われたように、利権化しているといううわささえもあるわけですから、この問題をさらに掘り下げて、正当な手続のとおり、当初の案のとおり進めていくように、もしそうでなければ白紙に返すように、強力な指導をすべきである。そうなさることが、今後一部の業者がそういうふうな不当な利得を占めるようなケースがなくなると私は申し上げるわけです。その点についてさらにお伺いしたい。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この国有財産、また公有水面の利用につきましては、これが利権化する、あるいは不正が行なわれないようにということで、いわゆる国有財産処分をいたします場合には、審議会にかけて、そうして、その了承を得て、しかる後に処理をする、この審議会に役人はもちろん入っておりませんから、民間の第三者がこれに参加している、こういうことで、手続とすれば十分注意はされておるわけであります。しかし、私は、いままで国有財産の払い下げがいろいろ行なわれておりますが、どちらかというと、どうも払い下げを差し控えるようにしたほうが、最近の行政あり方から見て必要なんじゃないか、たとえば国有林野の問題なども、一部で非常に開放の話が出ております。しかし、その管理処分、また、どこまでも利用で効果をあげる、こういう方向が望ましい行政あり方ではないかと思います。私、最近の住宅問題など考えました場合に、限りある土地を出して売りまして、そうして処理する。そうすると、どうしても、もうからなければ、払い下げをなかなか受けない、損をするような形では払い下げはできない、相手方も十分そろばんをはじくのですから、そういう形なんだが、そうして、その用途を限られる、それよりも、むしろ、国なりあるいは地方自治体が持つことによりまして、その利用度を高めることによって、公衆の利便がもっといまより、払い下げより以上に効果をあげるのではないか、かように私は思っておるのであります。したがいまして、ただいま問題が次々と起きておりますが、それらのものが公共的に処分がされておるということならばともかくも、特別な個々の具体的な業者あるいは特定の人に利便を供給する、こういうような形はあまり望ましいことじゃない、かように思います。これらの点も、審議会等で十分審査されまして、そうして納得のいくような結論を出してもらいたい、かように私は思っておる次第でございます。とにかく、ただいまのような払い下げをいたしておりますと、競願の場合に、一部は目的を達したと言って喜ぶし、また、一部のほうの申請した者ははずれたということで、この間、一体適正じゃないのじゃないか、必ず恨みを買う、こういうようなことになりますと、むしろ、公共の利便にその土地を利用する、あるいは建物を考える、あるいは水面を埋め立てたり、こういうようなものは、もっと特定の者よりも、広い意味考えられるべきじゃないだろうか、かように思います。こういう点は、一そう指導の面でも私どもは留意すべきことだと、かように思います。ただいま、政党人あるいは特定の人がいつも入っている、こういうことで御指摘になりましたが、私は、個々の人のあり方よりも、もとを正していくというか、国有財産あり方、その方向でやらないとどうも……具体的にどうもそんな気がいたします。その辺もひとつ注意してまいることにいたします。
  29. 二宮文造

    ○二宮文造君 こちらも時間がありませんので、最後に具体的に例を出しまして、それはすでに過去に問題になった例です。したがって、総理のほうも、この具体的な問題について今後適切な指示を与え、問題を疑惑で見られないように解決をはかっていただきたいと思います。その点いかがです。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 十分、御注意もございましたから、今後気をつけてまいるつもりでございます。
  31. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は総理にお伺いしたいことは、例年この決算委員会の結果に基づいて、本日のようなこの注意あるいは希望、あるいはまた、その答弁の中でも非常にきれいなことばをお使いになり、努力したいとか、あるいはまた、今後はそういうものは是正していきたい——けれども、私はこうして決算書を見ますと、少しも是正されていない、こう言わざるを得ない。一つの例を取り上げて見ますと、これは昭和三十八年のですが、補助金に一番不当が多い。この補助金の不当を見ますと、いかに補助金の取り扱いと申しますか、地方において不当な扱いをしておるかということが例年問題になっておるわけです。しかも、また三十九年度報告書がまいっておりますが、これは逆にふえてきておる。そうしますと、いままで相澤委員や他の委員がいろいろ御質問をされたのですが、政府国民税金を、できるだけそういう不正不当がないような扱いをしたいという、この例年の答弁と逆行の形に進んでおる。これでは、いかに国会でわれわれがそれを論じて、総理希望意見を申し上げ、あるいはまた、是正方法の依頼をしてみても、ちっともよくなっていない。根本的には、やっぱり佐藤政治姿勢というものが、そういうものにメスを入れようとしない。こういうふうに考えざるを得ないのであります。−なおまた、こうした問題の処理に新しい考え方でやろうかという気魄も今日は欠けておるのではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。しかも、また、起こった問題の処理については、処罰その他等の方法によるやり方をしておられるということは、これは事実でございましょうけれども、私は、不当なるものが出たものについては、これは事前の処理として、もう少しそれに対する施策があってもいいのではないか。それでなければ、決算委員会で、いかに総理が毎年三時間でも四時間でも来て、私はお答えします、あるいはまた、努力をいたしますとおっしゃっても、現実がそれに向かない限りにおいては、これは架空のやっぱり論争にすぎないと、私はこう思うのです。  そこで総理にお伺いしたいのは、いまの不当という問題は、もう不正に近い問題だと思う。たとえて申しますならば、一つの物品購入については、不当な価格をつけておる、これはもう不正と同じなんです。したがって、それは単に一般公務員、あるいはまた次長クラスでかってにできる仕事ではないと私は思うのです。少なくとも、地方における課長その他は、そのことを十分知っておる。そうすると、地方では、補助金の取り扱いについては、一つのグルーブの立場から、それを十分承知の上でやっておるんではないかという見方をせざるを得ないのです。これは私の考え方を申し上げるのですが、できれば、こうした毎年累積する、しかも、増大しつつある補助金の処置について、あるいは、そのほかの不当でもいいですが、これは地方関係責任者にはむろん現在も報告はされておるようです。また、処罰の方法も法律に基づいて適切なやり方をやっておられるようですが、それを一歩進めて、地方議会に対して報告する義務を課すべきではないか、地方議会でそういうものを防止する立場から、地方議会に対して報告をする義務を課すべきではないかという考え方を私は持つわけです。そうしますと、地方の議員は知らないままに、こうした不正不当というものが、あるものは一部の執行機関だけでこれが終わっておる。そのために、何年たっても改善ができないということになるのではないか、こういうふうに私は考えるわけです。この点、総理の答弁を願いたいと思います。  もう一つは中小企業の問題ですが、総理の日ごろからおっしゃっておられるような、農業と中小企業の問題が一番いま問題になっておる、こう言っておられますけれども、先ほどの大森委員の質問ではございませんけれども特定の人は金が十分借りられております。特定のそういう企業に対しては、銀行としてはあらゆる方面でやっぱり金は出しておる、しかし、中小企業には金を出さないじゃないか。したがって、これも総理の日ごろから言っておられる点から見ると、これは逆行しておる形になるのではないか。しかもまた、非常に高い金利が——私は調査いたしたのでありますが、一般全国銀行から貸し出しておる金利は日歩——四十年の九月の調査ですが、全国銀行では二銭一厘です。さらに都市銀行では二銭四糸、地方銀行では二銭一厘七毛、ところが、信用金庫の貸し出しになると二銭四厘五毛です。これはどこで高くなるかというのです。これは中小企業ですから、むろん抵当物件も大企業みたいにはないでしょう。そのためにいま政府がつくっております信用保証協会というものがあります。そうして、しからば、この保証協会そのものが中小企業に金を貸すときに企業診断をするのかといったら、ここでやっておるわけじゃない。これは幾らでも信用金庫が企業診断をやるわけですね。損なら保険にかけるということになります。したがって、中小企業は裏づけがないと言えばそれまでかもわかりませんが、そうじゃなくて、中小企業をほんとうに助ける意味であるならば、企業診断は信用金庫が診断をしていただく、そして保険はそのまま生かしていく、この保証協会というものは私は必要じゃないか、むしろ、それは協同組合における保証機関というものをつくるべきじゃないか、そうして金利を低金利で中小企業も与えなければならぬ。こういうような施策がなければ、私は、中小企業の育成強化、さらにまた、農業の問題もその一つに入りますが、農業のほうでは、信用保証協会というものは手数料を取っていない。ところが、一般中小企業は取っておる。しかも、今度、保険制度を農業もつくろうとしておる。こういう問題を総理はやっぱり是正して、何とか守ろうという姿勢というものが、ほんとうにはないのじゃないか。国会の答弁だけ詭弁をおっしゃって、実際にはやろうという気魄がない。先ほどのこの不正不当でもそうでございますが、毎年これは同じことです。三十九年が出ておりますが……。
  32. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 高山委員に申し上げます。時間が経過しておりますので、簡単にお願いします。
  33. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 二百五十九件が三百十五件にふえております。こういうふうに見てきますと、私は一つの中小企業の例を申し上げましたが、例年出しておりますこの報告書から見て、答弁されることと、実際にやろうとするあたたかい気持ち、そういう気持ちが現実にあらわれていない。来年総理が続けておやりになるならば、実際に減す自信があるのかないのか、そこまで確認しなければ、私たちがいかにここで論じようとも、この問題は解決つく問題ではない。不当が累積して不正になる、不正は事実出ております。こういう点を総理どうお考えになるか、ひとつ御答弁願いたい。
  34. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まず第一は、補助金の適正化の問題です。会計検査院からいろいろ指摘される、あるいは不当であげられる問題は、初めから犯罪を形成しておりますものは、これはもう扱い方が非常にはっきりしておることで、これの問題は別といたしまして、いわゆる不当だというものに、そしてまた、その話を聞いてみまして、もっともだと、かように考えられる、こういうものは、予算編成の前には、事務当局において、会計検査院大蔵省との間に十分協議を遂げまして、そして予算編成にあたりましての対策を十分立てておるのであります。そういう点で、これは全然努力のあとがないというおしかりを受けますけれども、この会計検査院報告というものが生きるように、予算編成の場合に注意して取り上げているわけです。しかしながら、まだ十分効果をあげていないじゃないか。確かにおしかりを受けるような状態であります。しかし、この事柄、ことに、会計検査院が抜き検査をしているその状態におきまして、全般が長い事柄でもありますし、また、広範にわたるものでもありますから、そう簡単には全部の成果があがったと、ここまではなかなか言えないかと思います。しかし、事務当局におきましても、私どもも、この会計検査という制度、これを十分生かすつもりでおります。ただいまのような、こまかな注意もいたしておるのでありますから、この点の御了承もいただきたいと思います。  次に、中小企業の対策についてお話がございましたが、ことしは、予算的には、ずいぶん前年に比べまして金額がふえております。こういう点は、いわゆる増加率で言うと自慢ができる、もとが小さいからだめだというおしかりもあろうかと思います。しかし、融資のワク等が、政府関係三機関等でもよほどふやしてまいりましたし、また、金利も、皆さんの御審議によっては、さらに三厘下げということにもなりまするような、いわゆる金利を下げていく、その努力をいたしているわけです。特定の人に対しては融資ができているが、一般的に非常に困る、まだ金利が、実際金利としてなかなか下がらないという御指摘のように思います。政府の三機関は、これはもう下げたとおりに貸すのでありますから、この点はいいのでありますが、しかし、金額的に量に制限がありますから、もっと実際の融資をいたしておりますところの金利が下がらなければ中小企業は救えない、こういうことになるわけであります。そういう意味で、歩積み両建て等について、大蔵当局、積極的にこれを是正をしていくということをいたすわけであります。また、ただいま信用保証協会、これがこの手数料を取っているいわゆるなには、金利は下げても、この保証協会にいろいろのものを出すということになれば、実際の金利はちっとも安くならないのじゃないか、こういう御指摘のようですが、私もこの点は同感でありますので、信用保証協会のあり方について、政府自身がもっと指導すべきではないか、すでに指図をしているような次第でございます。この実際の金利が下がらないという点は、なかなか総合的な施策、また各方面から留意しないと、十分な効果があがらないようなわけでありますので、役所ばかりでなく、利用団体、また第三者の機関等も協力して、実際に金利が下がるように、一そう協力をお願いし、また努力したい、かように思っております。
  35. 藤原道子

    委員長藤原道子君) もうあと二人でございますので、答弁もたいへん御親切でありがたいのでございますが、要領よくひとつ……。
  36. 石本茂

    ○石本茂君 私は医療行政に関連いたしまして、一、二のことについてお伺いしたいのでございます。  総理も御承知いただいておりますように、非常に現在の医療そのものは、医療機関の整備あるいは拡充、ないしは医療業務の実際面の向上あるいは充実化というようなことがありまして、そのために、国民の福祉につながる者としては非常にうれしいのでございますが、反面、この仕事に従事いたします現場におきましても、技術者そのものの数の確保につきまして、非常に困難な状態におちいっているのでございます。特に看護婦等の労働力の不足は、もうその極限に達しているのではないかしらと思われるようなところに私どもはいっていることを知るのであります。たとえて例を申しますと、たしか、ある一市井人の言われたことでございますが、現佐藤総理大臣は、国民の生命の尊厳を説いておられますので、私は非常に信頼し、心を寄せておりますが、実際病気になりまして医療機関の玄関を訪れたときに、はたして、そこにどういう状態があったでしょう。と申しますのは、その方がたまたま直面したことではありますが、看護婦等がおりませんために、一、二ヵ月前まであるキャバレーにおりましたホステスが突然に前にあらわれて、看護婦の服を着て注射をしてくれた。そのときにはびっくりぎょうてんした。出した手を引っ込めたかったのですが、痛いおなかをなおしたいばかりに、何ともいえない不安な気持ちで注射をしてもらってから、どうして君はここにいるのと聞きましたら、ある事情がありましてやめたのですが、食っていくためにはやむを得ませんので、職安を通していまこの病院に来ている、ややこしい、じみったらしい商売はいやでございますが、生きるためにはいたしかたがないというようなことを言っておった。これでも一体、人間の生命の尊重とか大切さというようなことがあるのでしょうかというようなことを聞かれたことがございます。  それからまた、私、現に知っておることでございますが、ある倒産いたしました企業におりました工員であります未成年の女子の人が、倒産をいたしまして失業いたしましたけれども、家には帰れませんので、やはり職安を通しまして、ある医療機関に雇われた。そうして、そこで同じように注射をし、薬をつくっておりますが、そのことについては何にもわからない。非常におそろしい仕事だ、早くやめたいということを現に聞いておるのでありますが、このようなことが一体あってよろしいものでございますか。足りないと言われております看護婦等の不足に対して、一体どのような対策が現実にとられておりますのか、私は非常に大きな不安を持っております。ところが、最近になりますと、政府におかれまして、国民の保健あるいは健康ということの政策だと存じますが、肢体不自由児の対策でございますとか、あるいは成人病対策などと称せられまして、重度心身障害者の施設や、あるいはガン対策の医療施設が次々とできてきております。これまた、非常にけっこうなことでありますが、それらの人々はただ建て物があって、設備があって寝るところがあればそれでよいというものではないと信ずるものでございます。それらの人々の病気をなおす医師ももちろん必要でございますが、生活の場面におきまして導き出し、そうして育てていくところの看護者が要るのでございますから、真に医療の効果があがりますかどうか、私は非常に大きな不安と疑問を持っているのでございます。こうしたことにつきまして、総理御自身どのようにお考えになっておりますか。その辺の御意見を承りたいのが一つ。  もう一つは、私は予算等の詳しいことはよく承知できないのでございますが、厚生省当局の予算の背景を見ておりますと、医療保障に関係しておりますような予算の背景、あるいは国民の福祉につながるような社会保障の予算の背景、それらのものが必ずしも国民希望し、われわれがお願いしているようなものになっていないと思いますし、せっかくできました法律、規則なども、個々ばらばらでございますために、その恩恵を受けるべき国民が非常に惑い、そのことのために仕事をしております末端の従事者が、非常な苦しみの中であらゆるしわをかぶっておるのが現状でございますが、このようなことにつきましても、厚生予算そのものについて、いまのようなあり方が当然なのでございましょうか。それとも、何か特段の配慮がなされるべきお考えがありますのかどうか。この点もあわせまして二点のことをお伺いいたします。  以上でございます。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのお尋ねになりました点は最も大事な点であります。私が非常に心配しておりますのは、看護婦等の数が足りないというばかりではなく、最近は、その技術あるいは知識の点においても非常に不十分なのではないか、これを実は非常に心配をしておるのであります。そういう意味で、待遇の改善なり、また人員の確保等について、地方自治体の協力も得て、ぜひとも、りっぱな必要な要員は確保したい、かように思っております。大事な生命を預かられる方々でございますから、どうしても医学的な知識も必要でありますし、また、注射その他の技術も必要だろうと、かように思いますが、そういう意味で気をつけるべき点が非常に多いようであります。  ただ私は、潜在看護力と申しますか、一般家庭等におきましても軽微な看護はみずからできるように、これは自衛的な問題だと思いますが、専門家がそういう意味の普及方法をはかっていただいたらどうだろうか、こういうようなことを考えるような次第でございます。  なおまた、ただいま予算についてのお話がございましたが、これは漸を追うて整備されつつあります。しかし、まだ十分だとはもちろん思いません。ただ、もう一つ問題になりますのは、厚生省関係におきまして法令等がよほど繁雑であって、しろうとに、一般にわかりにくいということもありはしないか。法令の不知のために、せっかくの制度を十分利用されないということがあってはまずいことだと思いますので、法令、制度等もよく理解できるように徹底さしたいと考えております。  石本君にもお願いいたしますが、ただいま冒頭にお尋ねになりました点は、非常に心配になりますので、そういう意味で、具体的にこういうようにすれば所要の看護婦ができる、こういうようなことも今後なお検討してみたいと、かように思います。
  38. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、大きく言って二つの問題を質問したいと思うのです。  第一は、核艦隊の入港に関する問題、もう一つは、日韓経済協定の実施に関する問題、——時間の関係から個条書き的に質問申し上げますから、具体的に答えていただきたいと思います。  第一に、原子力潜水艦の入港に伴って、核艦隊が「エンタープライズ」を先頭として、入港が間近に迫っている、そういうような事態を国民は非常に憂えているわけです。過般の国民協会の昼食会で、総理は、横須賀港に原子力軍艦が立ち寄るという話があるが、軽々しく人の近くに立ち寄るとは思わない。こういうことで保守革新が争わないようにしたい、というような意味のことを述べておられます。はたして、こういまも考えておられるのかどうか。ところが、これに対しまして、米七艦隊司令長官のハイラッド中将は、初寄港は、大型艦隊の入港受け入れ準備の整った横須賀になろう、こういうふうに一月十二日の記者会見で語っているわけです。そうなりますと、このような申し入れがあったときには、総理ははっきり横須賀に入港することを断わるのか。それから佐世保の問題がございますが、佐世保に対しても、これははっきり断わるべきだと思うのでございますが、断わるのかどうか。この点が第一点であります。  第二の問題は、政府と、この首相の国民協会におけるお話には食い違いがあると思う。この前二月七日の当委員会におきまして、私は質問しました。そうすると、これに対しては、外務省の安川北米局長は、二月七日の私の質問に対する答弁では、将来原子力空母の入港が要請されたら、横須賀か佐世保になるものと予想されるという、そういう意味のことを答弁している。しかも、これは安保条約によってはやむを得ないだろうというような意味のことを言っている。そうすると、総理が非常に安全の問題を心配して、横須賀の入港は望ましくないと言っているそういう趣意とは、これは事務局の考えが非常に違っている。この食い違いの点を総理ははたしてどう考えるのか。この点が第二点であります。  第三点は、きょうの東京新聞によりますと、科学技術庁は、この安全性に対する質問をまとめて、そしていま準備中だと聞くのであります。安全性があれば認めるのだという前提の上に立たなければこういうことはできないわけだ。しかし、総理の言明とこの点の食い違いは非常に私はあると思う。まだ申し入れがないのだろうと思う。申し入れがない段階に、こちらが進んでいかにも受け入れ準備態勢のような、このようなことを言う必要があるのかどうか。これは科学技術庁としては、私は非常に軽卒な態度ではないかと思うのです。この点について、いかにも政府の——総理はどう考えようが、政府の当局はどうも促進に協力しているというような実情だと思うのです。  私は、第四点と第五点としまして、当然このような核艦隊、しかも明らかに核兵器を積み、八万五千トンという大型の核空母が、しかも、いまのベトナム戦争を中心として大きく動いている。これに対する日本国民の不安というものは非常に高まっている。原子力潜水艦に次いでこのような核艦隊の寄港を認めるべきでないと、はっきり断わるべきだ、こういうふうに思うのでありますが、この点についてお伺いします。  第二の点は、これは日韓経済協力協定の問題です。つまり請求権の問題につきまして、この前、日韓条約が不当不法にこれは通過したということになっている。私たちは、これははっきり認めておりません。しかし、この実施状況を見ますというと、非常にこれは最近おかしいのではないか。つまり、この協定によりますれば、有償二億ドル、無償三億ドル、合わせて五億ドル、これを十年間で均等に実施していくというのがこの趣意でありましょう。ところが、これを最近は繰り上げて六年間で実施すると、しかも、そのような了解を佐藤総理から得たということを、これは韓国の政府当局は言っているわけです。そうしてしかも、そのために正式の申し入れをするということになっているのです。そうしますというと、これは全く条約違反だ。この不当な無効に通された条約そのものさえも守られていない点、こういうようなことが陰のほうで行なわれているということになりますと、第一に条約違反として許すことができない問題だ。これをまずどう考えるか。それから首相が了承を与えたのか、与えないのか。もし与えたとすれば、明らかに条約違反のこのような事項をこれは総理がやっていることになるわけですから、これは絶対に許すことはできないと思うのです。  第三に、このような急いだ……。
  39. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 岩間委員、約束の時間です。
  40. 岩間正男

    ○岩間正男君 繰り上げ実施をやるのは、韓国の軍隊がまた二万新たにベトナムに増強されようとして、そのための軍事物資を提供するのではないか。二千万ドルの、一昨年十二月に行なわれましたこの協定におきましても、その内容は、ノックダウン方式というもので実は軍事物資に使われたそういう点が非常にあると思う。これとの関係でまた再びそういうことを繰り返すところに政府のねらいがあるのではないか。こういうようなベトナム協力はやめるべきだと思うのでありますが、あわせて御答弁いただきたい。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 第一の原子力空母の問題ですが、これは正式にまだ申し込みがございません。これについて、ただいままでいろいろな議論が出ているのは、いままでのところ非公式にそういう立ち寄るというような話がある。そういうところから出ているのだと思いますが、政府がはっきりした意思をまだ声明しておらないのは、ただいま申し上げたように、具体的に申し込まれたわけではございません。そういった場合に一体何が問題になるのか。もし出てくるということになれば、もちろん安全性の問題が一番の問題であります。そういう意味で、安全性について何ら危険がないというこういうことになれば、安全保障条約によりまして、この寄港ということは考えられるのであります。ただいまの核兵器持ち込みにならない、また核兵器は持ち込ませない、こういうことはわがほうの基本的態度でありますから、このことに関係のない場合におきましては、いわゆる安全保障条約で、原子力潜水艦の寄港を許しておると同様にお考えをいただきたいと思います。
  42. 岩間正男

    ○岩間正男君 横須賀はどうです、横須賀のほうは。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 横須賀であろうが、佐世保であろうが、そういうことは問題ありません。
  44. 岩間正男

    ○岩間正男君 認めるというのですか。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 安全保障条約のたてまえから申して、核兵器の持ち込みでない、そうして安全性に何ら心配がない、こういうことになれば……。  それから第二の問題といたしまして、日韓の経済協力の問題ですが、これも、ただいま私が繰り上げについて賛成したということは、まだ繰り上げの交渉を受けておりませんから、もちろんございません。で、この事柄について、一部においては繰り上げを要望するのではないか、かようなことを心配しておる向きがありますけれども、まだ第一年の実施もしておらない。実施しないうちから繰り上げなどは考えられません。こういうことは先ばしったことのないように願いたい。  ベトナムの派兵との問題、これは全然関係のないことで、日本の経済協力、これは韓国の経済をりっぱに育てさせ、また、それに役立つ、こういうことを私ども考えておるのでございますので、ただいま正式の申し入れはございません。そういうゆえ、はっきりお答えをいたしておきます。そうしてこれはまず第一年の実施もしておらないうちに、さような状態は考えられない、ということで御了承願いたいと思います。
  46. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 総理大臣委員長の不手ぎわでたいへん時間が延びまして御迷惑をおかけいたしました。おわびいたします。  これから時間がございましたら、なるべく当委員会に御出席願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) また喜んで出てまいります。
  48. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十三分散会