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1966-02-09 第51回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月九日(水曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員の異動  二月九日     辞任         補欠選任      谷口 慶吉君     高橋文五郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 道子君     理 事                 仲原 善一君                 相澤 重明君                 鶴園 哲夫君                 二宮 文造君     委 員                 川野 三暁君                 木内 四郎君                 黒木 利克君                 内藤誉三郎君                 八木 一郎君                 大森 創造君                 岡  三郎君                 竹田 現照君                 中村 波男君                 岩間 正男君                 石本  茂君    政府委員        大蔵政務次官   藤井 勝志君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        国税庁長官    泉 美之松君        文部政務次官   中野 文門君        文部大臣官房会        計課長      岩間英太郎君        文部省管理局長  天城  勲君        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房経        理課長      三浦 善郎君        農林省農地局長  大和田啓気君        通商産業省軽工        業局長      伊藤 三郎君        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省河川局長  古賀雷四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        大蔵省国有財産        局国有財産第二        課長       立川 宗正君        会計検査院事務        総局第一局長   保川  遜君        会計検査院事務        総局第二局長   樺山 糾夫君        会計検査院事務        総局第四局長   小熊 孝次君     —————————————  本日の会議に付した案件昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和三十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十八  年度政府関係機関決算書(第四十八回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和三十八年度決算外三件を議題といたし、大蔵省通産省文部省建設省及び農林省決算について審査を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 大森創造

    大森創造君 私は、昨年の十月二十五日の当委員会で、マルマンの問題について質疑をいたしました。ところが、当日は、大阪で貨幣大試験があるということで、どうしても福田大臣藤井政務次官その他の関係の方々に御出席をいただかなければならなかったのに、そのことができませんでしたので、ひとつその続きを質問いたしたいと思います。  まずお伺いいたしますが、マルマン融資をいたしましたね、協調融資。そのことについて藤井政務次官はどの程度知っておるか、簡単でけっこうですからお答えいただきたい。
  4. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) ちょっとかぜをひきまして、声が小さいので、まことに恐縮でございますが、お聞き取りにくいようでしたら、近くのほうに、恐縮ですけれども、私が行ってもよろしいですけれども……。  マルマン協調融資の問題、いろいろ御心配をかけて、何かと貴重な時間をわずらわしておりますこと、たいへん恐縮に存じます。  この問題は、実は私が政務次官に就任いたしまして、その後でございますが、まあ事情を、社長とかいろいろ私のところに来られまして、話がございました。いわゆる動くデパートで、前受け金をして、その関係世帯二万世帯に近い、しかも自分企業に関連する中小企業三百二十数社、自分のうちだけでも千八百人ばかりの従業員を擁している、これが一朝倒れんか、たいへんな社会的な不安あるいは動揺、こういったことでありますから、何とかひとつ救済方銀行方面依頼をしてもらいたい、こういうことでございました。  かねてから、私ずっと長い間大蔵委員をしておりまして、大蔵委員会の場において、与野党ともに、金融がつかないばっかしに倒れなくても済む企業が倒産していろいろ社会問題になる、これは極力大蔵省当局も積極的に努力すべきである、こういうことを、私みずからもそういう感じを持っておりましたし、大蔵委員会における当時の委員各位発言、こういった体験を通じまして依頼を受けました。私としてはできるだけ協力をしよう、こういうことで、四行がいろいろ協力するにあたって、原因がどこにあるかという、結局動くデパート倒産寸前最大原因である、これを断ち切ればあるいはいけるかもわからない、こういうことで、金融機関がこの辺を慎重に調査をして、助かるものならば助けてもらいたい、こういうふうな話をしまして、出先の支店長が、約十日か、一週間以上、徹夜作業のごとく、まじめに熱心に努力して、これならいけるという案ができて、最高額六億の融資をするという決定なり、その決定に立ち至りまして、せっかくだから立ち会い人になれということで、私も立ち会い人の一人になりました。会社側役員が全員四行に対して誓約書を書きまして、その誓約書立ち会い人になる、こういうことでスタートをいたしました。おかげさまで順調で、現在ようやく再建軌道に乗ったと聞き及んでおるわけでございます。  一応先ほどの御質問に対する私のお答えをいたしました。またいろいろ御質問に応じましてお答、えいたします。
  5. 大森創造

    大森創造君 銀行局長にお伺いするが、いますか。——いま藤井次官のおっしゃるとおりの経緯だと思うのです。そこで、銀行局長にお伺いしますが、マルマンの動くデパートというものを始めたのは三十九年の六月ごろと記憶している。ホテル・ニューオータニでレセプションか、その開所式をやって、田中幹事長はじめ、あなたおいでになっていますね。途中ですが、お聞きします。そのレセプションおいでになっていますか。
  6. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 全然。私は実は……。
  7. 大森創造

    大森創造君 いいですよ。それじゃおいでになっておるかどうか。
  8. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 全然行っておりません。
  9. 大森創造

    大森創造君 そこで、動くデパートというものを始めた。で、いま藤井さんのおっしゃるとおり、どうもこれはあぶないような企業であったのでございますが、事実、そのスタートのときに、動くデパートというものを——マルマンというものはもともとガスライターをつくる会社でございますけれども、それで有名ですが、動くデパートという新しいプランを始めた。そのときに、メインの銀行三和銀行でございましたが、五千万円融資したんですね。そこで、三十六年六月ごろから始まって、だんだん様子が悪くなってきた。経営が不振になってきた。四十年になってずっとまずくなりまして、それで八月の二十七日に労働省手入れがございました。二十七日と二十八日の日の夕刊なり朝刊なりトップ記事でこのことが報ぜられました。このことを御存じだと思うんだが、とにかく銀行局長にお伺いしたいのは、銀行のやり方として、この動くデパートというものが出発するときに、五千万円の融資三和銀行がしたほどだから、動くデパートを、全体をやっていくのに五億なり八億なり十億なりの金が要るだろうと思う。ある程度まとまった融資をすべきであったと思うのです。私はそういうふうに考える。ところが、いま申し上げましたように、動くデパートがだんだん左前になって、それで賃金未払いが続出した。銀行はもう手を出さなくなりますよ。きょうは、三和銀行東海銀行はじめ、四銀行の方にあとからおいでいただこうと思ったんですけれども、どうしてもやっぱり銀行局長でもおわかりにならない点もあるだろうから、関係銀行の方においで願ってこの点は私質問したいと思うんだが、銀行常識として、労働省強制捜査を受けた、そのあとに約六億の協調融資に踏み切ったということは、いかがなものでございましょうか。これは銀行局長に聞くのは当たらないが、きょうは来ておられないので、あなたに聞きます。
  10. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) ただいまのお尋ねは、マルマン賃金不払いの問題によりまして労働基準監督署手入れが行なわれたという事実があって、その後において銀行融資をいたしておるが、これは一体普通の銀行融資常識から見て適当であるかどうか、かようなお尋ねであろうかと思います。それでよろしゅうございますか。
  11. 大森創造

    大森創造君 そうです。
  12. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) これにつきましては、先生よく御承知だと思うのでございますが、銀行融資をいたします場合には、つまり取引先企業の将来における収益見通しなり、それから資金回収見込みといったようなもの、と同時に、債権保全のための担保状況というようなことをいろいろ見まして、そしてこれは担保価値からいっても債権保全上の心配がない、さらには元利払いの能力もあるし、将来確実に償還の見通しが立つということであるならば、これは銀行判断において融資を行なうもの、かように思います。一般論としてさように実は考えておるわけでありますが、今回の融資につきましても、いろいろ事情も私どもその後において聴取をいたしてみましたところが、ただいま私が申し上げましたような、金融機関としての融資にあたっての適格要件と申しますか、そのようなものをやはり備えておるという判断銀行としていたしたというふうに承知をいたしておるわけであります。したがいまして、賃金不払いという事態が起こったことは事実でございましょうけれども、それがその後において解消をいたし、さらに先行きの経営見通しを立てた場合に、これが成り立っていく、そういうことであるならば、これはやはり銀行の責任において出していくということは十分あり得ると思います。
  13. 大森創造

    大森創造君 私の調べたところでは、担保というものが形式上なくて、事実は無担保にひとしいのです。藤井さんは知っておるだろうと思うのだけれども、その誓約書なるものはどういう担保物件があったのですか。
  14. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 大森委員誓約書というものの中身について多少誤解をされておるのではないかと思うのでありまして、その誓約書は、協調融資をしてもらう四行に対して、会社社長以下役員が、経営合理化あるいは経営の強化、それから経理内容明確化、こういう項目に対して、今後一生懸命に職員一同やりますと、こういう、まあ誓いのことばですね、誓いのことばを書き並べて、それに対して融資を考慮してもらいたいと、頼んだ側の私に対して一応立ち会い人になってくれということであって、それに立ち会ったわけでございますから、担保価値がどうとか、そういう立ち入った何は、金を貸す金融機関自体の精密な調査、その結果踏み切ったわけでございますから、踏み切ったあとの心がまえに対して一応立ち会えということで、それで立ち会った、こういうことをひとつとくと御了解をいただきたいと思います。
  15. 大森創造

    大森創造君 銀行局長に聞きますがね。どうしてもこれは四行の人に来てもらわぬといかぬのだけれども、私の調査では無担保同様なんだな。無担保同様なんですよ、事実は。それに対して巨額な六億の協調融資に跡み切るものですか、普通の銀行は。
  16. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) 大森先生のどういう御調査か、私も拝見してみないとわかりませんのですが、私ども実は担保については調査をいたしております。その結果、従来のいわゆる既往からの融資もございます。新しく出たほかに、従来からの融資もございますし、新たに昨年の、これは秋以来でございましたか、今日に至るまで追加融資が出ております。それらの全部を含めまして、それに対して、それをカバーするところの担保は十分あるというふうに認めております。
  17. 大森創造

    大森創造君 銀行局長はどういう筋でお調べになったのか知らないけれども、私は実質を。これは無担保なんですよ、事実上は。これはあと銀行の人に来てもらって、マルマン社長に来てもらって、調査をしてみましょう。あなた自信がございますか。担保が十分取ってあるという自信がございますか。
  18. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) これは、私どもは本件について直接検査をいたしたわけじゃございません。御承知のように、それぞれ銀行検査は定期的な検査でございますので、当然定期の時期に来れば検査をいたします。そこで、こういうような場合には当該銀行から報告を徴することができます。したがって、銀行からの報告をとるのでございますが、その報告によりますと、その担保内容というものは、これはちゃんとある。先生のおっしゃるように無担保というふうに判断はいたされなかったわけでございます。
  19. 大森創造

    大森創造君 それが事実かどうか。事実ならば局長答弁を了承するが、事実でない。私は証拠を握っておるのです。だから、銀行強調融資をコマーシャル・ベースで実質的にやったのじゃありませんよ。これは確たる証拠がある。そこで、藤井さんはこのいきさつ御存じだと思うのだが、こういういきさつですよ。こういう順序になっておりますね。八月二十七日労働省強制捜査が行なわれて、同日及び二十八日にかけてマスコミに一斉に報道された。これは痛かったわけですよ。御存じのように、マルマンは、深夜放送などをやったり、非常に宣伝をしておりますから。しかし、宣伝をしていてもなんでも、賃金未払い労働基準法第十三条違反ということでやらざるを得なくて、労働省が踏み切ったわけです、捜査に。そこで、翌八月三十日に片山マルマン社長藤井大蔵政務次官依頼して、次官から東海、三和、大和、勧銀救済融資をしてもらうことを了解を得ています。その後八月三十一日、その翌日に四行の本店にマルマン取引のある支店長が呼ばれて、事情調査されて、マルマン経理担当重役窓口交渉が始まった。その翌日の九月一日、東海安江福頭取御存じだと思うのだが、この人があなたとともに一役買って、安江頭取から三木通産大臣に働きかけがあった。九月二日にマルマン社長三木通産大臣へのこの融資あっせん依頼がありました。これはいまのマルマン榎並常務がそういうふうに申している。これは事実です。九月三日に、マルマン手形が割り引けないということで、またマルマン側示唆を受けて、示唆を受けた代表中小企業庁と通産省に陳情に行った。マルマンは五億九千万の融資申し込みを行なった。九月四日の晩マルマン社長国会図書館長の河野さんと——これはマルマンとは若干関係がある——それで藤井大蔵政務次官を連れられて福田大蔵大臣を自宅に訪問して救済依頼した。そして三木通産大臣の意向によって、通産省窓口になった軽工業局長片山社長は九月七日に訪問した。融資あっせん依頼して、同日通産省より四行の協調融資代表東海銀行に引き受けるように依頼があった。そこで融資問題が本格的に軌道に乗った。九月八日、九日、それから十四日、十五日と四行間協調融資の検討が行なわれ、九月の十五日に、これは勧銀だろうと思いますが、そこで審査部長会議があって、事実上の融資決定があった。この会議には大蔵省から出ているし、通産省からも役人が出ている。マルマンのためにあっせん会議をやった。九月十七日、十八日も再度にわたり四行間最終的打ち合わせがあって、九月二十一日の日に大蔵省政務次官室において藤井政務次官伊藤軽工業局長——銀行局長よく聞いて下さい、会計検査院の方も。藤井政務次官伊藤軽工業局長立ち合いのもとに、四行代表及びマルマンの全重役出席のもとに融資決定調印が行なわれた。再建計画どおり経営を立て直して返済する旨の誓約書に、次官局長肩書き——大蔵省政務次官藤井勝志と、それから通産省軽工業局長伊藤三郎という肩書き署名捺印があって融資問題がスタートした、こういういきさつになっている。こういういきさつから見て、銀行が実質的に融資決定したというふうに銀行局長思われますか。
  20. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) ちょっとその前に。いろいろ大森委員決算委員会でこの問題を取り上げられるに至るまでには相当緻密な御研究、御調査があったと思うわけですけれども、肝心なところで全然事実と違ったいま日記帳のようなものを読まれたわけでございますけれども、私はこの問題の当事者の一人として、全くいま言われたことの中に、たとえば大蔵大臣のところへ私が行ったとか、そういった問題、あるいはまた融資にあたって大蔵省役人がそれに参画しておるとか、これはもう全く事実無根であります。  同時に、調印式という、そういうことばを使われておりますけれども、先ほど私がるる申し上げたごとく、会社社長以下役員協調融資をしてもらった四行に対して、職員一同今後以下の項目について誠心誠意努力して御迷惑をかけません、今後このような社会不安をもたらすようなことはいたしませんと、こういう誓約書を書いて、それに融資決定した金融機関から立ち会ってくれという依頼があって私はこれに立ち会い、むしろ立ち会いでは変なところでこそこそする筋合いのものではない、堂々と、不況克服連鎖倒産防止ということは、われわれ政治家として当然頼まれた以上は真剣にまじめに考えるべきだと思う。そういうことでやったのでありまして、何だかこちらが押えつけて、銀行側自主的判断がないのに、無理やり政治的判断でやったと、こういう前提でお考えになっておると思うのでありますけれども、これは全く肝心なところでその日記帳は違います。これはお互いに同僚国会議員として、ひとつ慎重に御調査願った上で御発言をいただきたい、このように思います。
  21. 大森創造

    大森創造君 藤井政務次官におっしゃられるまでもなく、私も国会議員として堂々とやりたいと思うのだ。九月四日の晩に福田大蔵大臣のところにあなたが案内していったことは事実でしょう。
  22. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) どこでそういうことを言われるのか。かく申す私自身全然そういう身の覚えもない事柄であります。どこで調べられてもそういうことは全然ないわけですから、これはひとつ大森委員、全く、あなたがどこで手に入れられた情報か知らぬですけれども、まるで違います。この問題について大蔵大臣と私一口も話したことありません。
  23. 大森創造

    大森創造君 そこで、この前の委員会では、伊藤局長が私にこういう答弁をしている。肩書き署名捺印をどうしてしたのだと聞いたところが、伊藤局長こう言っているのだね。上司の指示によって、銀行側要請によって判こを押しましたということになっている。これは事実でしょう。
  24. 伊藤三郎

    政府委員伊藤三郎君) 私が前回の委員会お答えいたしましたのは、誓約書の立ち合い人になることについて銀行側要請があったので、従来の経緯から見て立ち合い人になることは差しつかえないと考え、かつ上司の了承を得て立ち合い人の署名捺印をしたというふうに申し上げたわけであります。
  25. 大森創造

    大森創造君 これは銀行局長藤井さんは堂々とりっぱにお答えになっておるようだけど、端的にお伺いするが、なぜ大蔵省政務次官藤井勝志、それから通産省軽工業局長伊藤三郎という署名捺印をする必要があったのか。破ってしまってもいいのかな。
  26. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 一般的に考えまして、大森委員が言われるように、大蔵政務次官という肩書きをつけるのはいささかどうかなということを私も書く前に感じないわけではなかった。ところが銀行側から書いておいてくださいということで書く気になったのは、やはりこれは堂々と自分の職責上やって差しつかえないことだ、何もうしろめたいことをするわけでもなし、別にリベートをもらってやるわけでもない、堂々と大蔵政務次官として、かつて大蔵委員会でしょっちゅうこういう問題を与野党ともに論議をしたことがある、堂々と名前を使ってしかるべきだ、請われるままに、そういう考えをしまして、大蔵政務次官という肩書きをあえて書いたのでありまして、決して大蔵政務次官という肩書きをなにして、いやがるやつを無理に川まで連れて行って水を飲ました、こういうしかけのものではさらさらございません。
  27. 大森創造

    大森創造君 場所を大蔵省政務次官室でやった、いまおっしゃられたような御心境で堂々とやったと言われるけれども、これは銀行に聞かないとわからない。これは私が聞いた範囲では、これもあなたと見解が違うだろうと思うけれども銀行側はずっと融資していないのですよ。あぶなくなってからほとんどまとまった金の融資はしていないのですよ。九月二十一日の日に大蔵省政務次官室においていま言ったようなことがあって、そうして銀行側要請によって銀行監督官庁である大蔵省政務次官のあなたの署名捺印、それからマルマン監督官庁であるところの軽工業局長肩書き入り署名捺印を要望したから署名捺印したのであって、何も大蔵政務次官室をそういうものに使う必要はない、常識上。銀行局長、そう思いませんか。すなおに答えてください。
  28. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 私が答えましょう、局長関係はないから。  政務次官室を使ったということも、大森さんがたいへん御心配になる、誤解されておる一つの要素ではないかというふうに思います。したがって、この間のいきさつをちょっと御報告かたがたお聞き取りいただきたいと思うのでありますが、あれはたしか九月二十日であったと思いますが、いろいろ銀行側研究いたしまして、結局銀行がそれまで融資をしなかったのは、動くデパート、これがガンであった。このガン切開手術をして、これを断ち切ってしまって、はたして再建ができるかどうかということを再三にわたって研究をしたようでございます。私も銀行首脳部融資依頼するにあたって、最後は銀行側が自主的に判断をされる、これは言わずもがなのことであって、したがって、これで生き返るものならばひとつ融資を願いたい。これがもしできぬか、賃金遅払いで困っている。働き手も往生する。あるいは、予約販売で、二万世帯もこれがそのままになってしまう。あるいは関連企業が連鎖倒産する。こういうことがあるから、ひとつできることなら助けてやってもらいたい。しかし、どうしてもいけない融資は、これは私はあえて言うものではない。これはるる銀行首脳部にお話をして、その自主的判断ということ、これは当然のことでありますけれども、念のために私は申し添えておるのでございます。  そこで、先ほど大森委員から、いままで融資をしなかったのに急に融資をしたじゃないかというのは、私の察するところ、やはりガンを断ち切るという決意を社長もし、そうして銀行側もその判断の上に立って救済資金協調資金を踏み切ったということに相なるわけでございます。そうしてあれは、九月二十日は、二千万円の手形を落とさなければならない、こういう日になっておった。で、ぎりぎりのところで銀行側判断をいたしまして、融資に踏み切るという判断をした。ところが、私のところに片山社長から連絡があったのは四時半過ぎ。すでに二十日の日が押し迫ってきておる。しかも、私は六時から別の予定の会合がある。どこの場所にというわけにもいかない。四行の協調融資でありますから、一つの銀行に集まるわけにもいかない。さればといって、あるいはどこか、ヒルトンホテルとか、プリンスホテルとか、どっか会合の場所といっても手配がつかないし、かりに手配がついたとしても、すぐ五万、十万要るでしょう、へたしますと。こういう金を倒産寸前企業者に負担させるということはいかがなものであるかと考えてみると、五時過ぎ一応大蔵省という、国民の税金で建てた役所の一室、これはひとつやむを得なければこれを使ってもよろしい、こういう考えを持って、私は頼まれるままに、どっか場所はないかという頼まれるままに大蔵政務次官室を使いました。それがたいへん誤解を受けたということは、またお立場上いろいろ推測される点、私も理解できないことはございませんけれども、私が大蔵政務次官室を使いました経緯、心境、これはいま申し述べたようなことでございまして、それはけしからぬぞと言われれば、それはそれまででございます。以上でございます。
  29. 大森創造

    大森創造君 銀行側をどうしても呼んでみなければわからぬのですよ、見解が違うから。自主的に融資に踏み切ったとは思えないのです。担保の問題も、事実無担保なんです。そこで不安なんですよ、銀行は、そこで肩書き入り署名捺印が必要なんですよ。大蔵政務次官藤井勝志——個人ではない。軽工業局長——個人ではない。かように、大蔵省と、それから通産省が要る。これはコネがあったからですよ、端的に言うと。マルマンという会社、これはコネがなければ、藤井さんそこまであっせんの労をとらないでしょう。世の中にそういう倒産は幾らでもあるのだ。コネがあったからでしょう。端的に言ってそうだと思うが、どうです。
  30. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) それは、コネがあったといえば、そのとおりかもしれませんけれども、頼みに来ないのに一々こっちが注文を取りに行って、この忙がしいのにやるわけにはいかない。それはまあ片山君がぼくをたずねてきて、頼んできたということでございますが、頼んでこられたからできることならやるのが人情じゃないでしょうか。それを一々、コネでやったからけしからぬ、そういうことを言われると、私はこの問題を決算委員会でいろいろやる——マルマン融資に対して銀行が手控えなかったからいいようなものだけれども、あなたはこういうことで銀行屋を一々呼ぶというお話でありますけれども、これはあなたの御自由だからあれですが、そういうことでやって、どっちにしようかという場合に、それはやはりよくやったというのと、それによって企業が成り立つというのと、うっかり無理してやっちゃった、もうばからしいから、決算委員会で貴重な時間をつぶされるから、ああいうところに手を出さないほうがいいというふうに金融機関が思うようになったら、中小企業の現在の倒産の問題に対して、金融がつかない場合に倒産する事例は皆さん方よく体験されているでしょう。できるだけそういうことは、お互いにそういう事情を知った以上は協力するのが私は当然だろうと思う。それをいかにも何か変なコネがあるから悪いことだというふうなきめつけ方は、これは私はいささか心外千万。
  31. 大森創造

    大森創造君 お説のとおりなんだけれども、ここで問題なのは、マルマンみたいな会社は無数にあるのですよ、私の知っている限りでも。そういうケースがあったら、同様の措置をとってくれますか、今後。
  32. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) それは、依頼があって、ケース・バイ・ケース、当然頼まれれば、あなたが来られたってやりますよ。遠慮なしに言ってください。これは問題ないのです。
  33. 大森創造

    大森創造君 堂々とおっしゃいますが、それではマルマンだけではなくて今後もやるし、いままでやってきたから今後必らずやってくれますね。私は知っていますが、私に言わせると、マルマンという会社は、労働省強制捜査され、それから通産省関係大蔵省関係労働省関係、違反事項ばかりやって、ごたごたやっている。賃金未払いが続出しているというときに労働省手入れしたという不良会社、こういう不良会社融資を踏み切って、肩書き入り署名捺印融資をするというようなこと——これはたいてい銀行政務次官軽工業局長判こがあれば融資を出しますよ。そこで、これは大きく窓口を開いて、そういう方向に全国的にこの基準もひとつ設けて……。マルマンみたいなものはつぶれているのですよ、現に世間に。賃金をすっかり払っておいて、しかもあなた社長が自殺しているのが世間に無数にある。そこで、一定の基準があって、マルマンに対してそれだけ積極的なあっせんの労をとるならば、全国にあるそういう企業に対しても同様なあっせんをしてくれますか、政務次官
  34. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 先ほどもお話しましたように、ケース・バイ・ケースで、これは再建の可能性があるといろ場合には、銀行判断して、そこで協調融資して、立ち会い人になってくれということなら、私はなります。そういうように銀行が自主的に判断をして、再建計画を立てられ、これはひとつ正確なんだから立ち会い人になってくれと言われれば、喜んで立ち会い人なります。
  35. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと政務次官に聞きたいのだが、あなたのお話を聞いていると、一営利会社に対して大蔵政務次官という肩書きなり軽工業局長という肩書きを、どういう理由があるか知らぬが、それを押してやることがあたりまえだということがあなたの心境ですか、どうですか、ちょっとそこを聞きたい。
  36. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) そこで、ケース・バイ・ケース、私はあのときいろいろ考えて……。
  37. 岡三郎

    ○岡三郎君 ケース・バイ・ケースではないですよ。
  38. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) いや、私の考えはそうです。当然、向こうが要請するから、しいて断わる必要もない、こういう考え方もできるから、そこで私は大蔵政務次官藤井勝志と、何も二重人格を使う必要がない、大いにやるべきだと判断をそのときのケースにおいてしたと、こういうことです。
  39. 岡三郎

    ○岡三郎君 何もはばかるとかはばからぬとか言っているのじゃない。あなた大蔵政務次官というのはどういう仕事でなっているか御存じのとおりでしょう。大蔵政務次官という公職の名前を個人会社金融の問題に書くなんというようなことはたいへんなことですよ。ある意味ではこれは越権ざたですよ。われわれ国民から見て、一個人の会社に公職の名前を使って判こを押すということをそんなに平気に考えているのですか。これも、あなたのうしろめたいことをやっているとかやっていないとかという、そういうことではなくて、それはあなたの越権です。あなたが個人会社融資大蔵政務次官なんという名前を使うことは許されないと思うのですが、それはどうです。許されるのですか、それは。
  40. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) あなたはそういう御意見かもしらぬけれども、あのとき向こうが書いてくれと言わなきゃ書かなかった。それは銀行側が書いてくださいと、こう言うもんですから、そう書いたってこういう解釈もできるからという受け身の形で私は書いたことは間違いないです。しかも、やった行為が、私は先ほどからるる申し上げているごとく、やはりこの際金融がつくことによって立ち直る、こういう判断金融機関がした。しかも、その金融機関に対しては、私のほうからも、できればひとつ助かるものなら助けてやってくれ、こういうふうに言った。相手方からそういう話がありましたので、私の名前を書いた肩書きを書き、私の名前を書いた、こういうことですから、その点御了承願いたいと思います。
  41. 岡三郎

    ○岡三郎君 話の中で受け身とかなんとかありますが、ここんところははっきりしましよう。いいですか、政務次官という名前は公職の名前なんですよ。それはあなたが、ほかの会社に、銀行に何ぼ借してくれとか、いろんなあっせんの労をとられることはけっこうですよ。私はそこんところを言っているのではない。ただ、民間の金融の問題について大蔵政務次官という公職の名前を使って、向こうから頼まれようが頼まれまいが、やることはいかぬと私は思うのですよ。これは軽工業局長についてもそうだ。ここんところだけは、いまここで私は言いませんが、これははっきりと、たとえば農林関係会社がつぶれそうになった、農林政務次官がみんな判こを押す、こういうことがあなたかりにいいとでも思われたら、これは綱紀粛正成り立たぬです。あなたがこういうふうに民間の方に対して融資をすることはけっこうです。あっせんをすることもいいです、代議士としての一つの仕事があるわけですから。しかし、少なくとも、政務次官という公職の名前を民間の融資につくということがあたりまえで、これは当然なんで、やってしかるべきだ、こういう見解は、私は納得できない、これだけは。これは大臣が来てからやりましょう。あなたじゃない。それはいけないですよ。それは特例ですよ。
  42. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) あなたは、私が立ち会った誓約書内容をごらんになれば——やはり一応この際頼まれれば大蔵政務次官という名前を書いてもそうおとがめを受けるような越権行為をしたとはいまだに考えておらない。経営合理化、あるいはまた強化、経理内容明確化、こういった項目を誓約しておるのですから、これで企業が一つでもよくなるということに対して、これは一応こうこうこういう考えでやった。それが名前を使ったのはけしからぬ、そういう御意見も、私も半分わからぬことはない。わからぬこともないけれども、そうどえらい越権行為をした、大臣を呼べ、そんなことでないことをもう少しよく実態を御了解いただきたい、このように思います。
  43. 岡三郎

    ○岡三郎君 いまの点は、あなたのそれは思っていることについて私のほうは了解できないから、これは明確にしなきゃいかぬ。これは少なくとも私の見解は、やはりそれぞれの局にあって権限を持って責任遂行している政務次官という肩書きは、一々そういう民間融資に捺印していいか悪いかということは、私は常識論だと思う。だから、この点については、あなたの見解と違う。あなたは半分ぐらいはわかるなんといういいかげんなことを言っている。いずれにしても、私はあなたがやったことに対して、その点は納得できない。だから、この点はあとでやっぱり大臣に来てもらって……。じゃ大蔵大臣が一々民間のあれに、あなたの論から言えば、つぶれそうになったら判こ押してもいいのだ、融資してもいいのだ、これはたいへんなことですよ。これは一つの裏書き的な行為ですよ。やっぱり、こういうことがやたらやられていいのだということになったら、世の中混乱すると思う。私はその点について見解が違うから、後日大蔵大臣を呼んでやってもらいたいと思う。そういうことが横行しては困る。
  44. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 私がやったことが、えらい悪いことして、それに加担して大蔵政務次官の名前を使ったというふうな前提で……。   〔委員長退席、理事相澤重明君着席〕
  45. 岡三郎

    ○岡三郎君 そんなことを言っておりませんよ。
  46. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) だけれども、裏切り的な何だとか言われたでしょう。そんなばかなことはないですよ。
  47. 岡三郎

    ○岡三郎君 あなたが大蔵政務次官という名前を使って判こを押したということは、職務柄それは逸脱しておるということを私は言っておるわけです。そういうことはやられていい問題じゃない。特例ですよ、一つの私の常識から考えて。だからその点について、私のほうの見解は、一種の裏書き的行為だというふうに見えるが、あなたがリベートをもらっておるとかなんていうことは言も言いません。そういうことを平気でやられることは困るということを言っておる。だからあとでやると言っておるのです。
  48. 大森創造

    大森創造君 私は、政務次官個人が、藤井勝志さん自身がそういう考え政務次官をやっておるなら、おかしいと思う。それはあなた個人の見解ですよ。しかし、いま岡委員が言われたように、私はこういう考え方もある、しかし私はこういう考え方もしているのだという筋合いの問題じゃないと思う。そういうことを言っていいものかどうか。いま言われたとおり、大蔵政務次官も大臣も変わりはありませんよ。中小企業は幾らも倒産しているのです、首つりして。それを全部捺印して銀行が保証する行為がいいとあなたは思っているけれども、絶対に悪いと思う。これは、大臣でなくて、一体そういう政治の姿勢がいま行なわれておるならば、めちゃくちゃだと思うのですよ。これは会計検査院、どういうふうに思うのですか。そういうことをやっていいのですか。各省の政務次官、そういうことをばたばたやって、さっそく持ってきますよ、あなたのところに署名捺印してくれと。
  49. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) もう私がたびたびあの当時の私の考え方を申し述べて、繰り返すようで恐縮ですが、その取り扱った事柄なりその経緯、そしてまた銀行側から肩書きを入れてくれという依頼があったと、そういう全体を総合的に御判断していただくならば、一々やたらに政務次官の判をべたべた——あらゆる問題においてけしからぬやつだというふうに一般論できめつける、こういうきめつけ方は、ちょっとお互い同僚国会議員としてまことに私自身了解に苦しむ。私は決して悪いことをしたとは思わない。善意でやり、半分わかると言ったのは、理屈をつければけしからぬじゃないかという、そういう意見も、それは意見を言う人もおるかもしれない。そういう人の意見の筋もわからぬこともないという意味で言っておるわけです。私はそういう考えは持たないでやりましたことですから、これ以上水かけ論になりますし、まあ私の心境を御了解いただき、その経緯を御理解いただければけっこうだと、このように思います。
  50. 大森創造

    大森創造君 私はこれは水かけ論じゃないと思うのですよ。たとえば、この間、重政元副議長の秘書がピストルの授受をした。わずか五万円ですよ。これは本人じゃないですよ、秘書がやったのですね。それから小林章の選挙違反で——これは阪田総裁は、自分は直接関係しなくても、責任をとってやめた。あなた堂々とおっしゃっておりますけれども、そういうことは絶対にまかりならぬと思うが、どうですか。そうでなくて、いまあなたがおっしゃられるように、こういうことは許されるとでも思いますか。私は許されないと思うが、会計検査院はどう思いますか。こんなことやっていいですか。
  51. 保川遜

    説明員(保川遜君) 突然のお尋ねで……。いまの大森先生のお話は、おそらく公務員としての行政の姿勢といいますか、そういう問題であろうかと拝聴したのですが、われわれ経理の関係では、そういった点がちょっといい悪いということをここで検査院として御意見申し上げる筋合いではないのじゃないかと思いますので、御了承願います。
  52. 大森創造

    大森創造君 これはどうなんですか、あなたと伊藤軽工業局長判こを押したということ、判こを押さなかったならばどうなんですかな、判こを押したから融資したのでしょう。
  53. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) これは銀行側にこう判断される問題であって、最後の仕上げ式にあたって立ち会い人がサインをした、こういうことなんで、   〔理事相澤重明君退席、委員長着席〕  私の察するところは、サインをするせぬは貸す貸さぬのきめ手ではない、すでに決意をして貸します、したがってこういうふうに会社側は銀行に対して誓約書を入れているからその立ち会い人になってくれ、そういうことをはっきり第三者を間に入れて確認することによってその約束を確実に履行させるという念書としてこう銀行側が要求した、こういうふうに私は思いますから、それが貸す貸さぬというきめてでは決してない、こういうふうに理解しております。
  54. 大森創造

    大森創造君 どうしても銀行側に来てもらわなければいかぬし。それから、事実が食い違っているんですね。福田大臣のところに訪問したということは、あなたは行かれないかもしれませんけれども片山社長とか河野図書館館長が行っているんですよ。あなたは行かないかもしれないけれども、そういう事実があるし、それから、銀行も、私が聞いたところでは、ほんとうは融資をしたくなかった。それで、二人の肩書きがあって、署名捺印があったから融資に踏み切ったというふうに私は理解している。そうでなければ、その署名捺印の必要がなかったと思うのです。これは水かけ論でないと思うんです。それから、会計検査院のほうは、そういう行為が何だか許されるような許されないようなことを言っておりますけれども、これはどう思いますか。これはめちゃくちゃなことだと思う、こういうことをやったならば。私はこれはまずいことだと思うのですが、いかがですか、政治の姿勢として。
  55. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) これはまあ、私のやったことは、第三者が判断してもらわなければならないので、何ですけれども、私のほうへ向かって御質問のようだったからお答えしますけれども、私は、あのときのケース、あの経緯考えて、政務次官であると同時に、私は一個の政治家として、正しい判断に基づいてやった。まあ名前を、肩書きを書いたり場所を使ったことが、また見よう見方によっていろいろ御心配をかけたことは、御心配をされる側のいろいろまた御判断でしょうから、そういうことに対しては、何と申しましょうか、私はそうではなかったけれども、こういう気持ちでございました、御了解いただけませんか、こういうことを言うよりほかに方法はないと、こういうふうに思います。
  56. 相澤重明

    ○相澤重明君 藤井政務次官、いまのお話を聞いておると、少し強答弁のような印象を受けるんですがね。あなたが政務次官に就任をされてから、いまの大森委員の指摘のような、倒産をするような会社融資をすればそれが食いとめられると、こういう点について、マルマン以外にもそういう経験がおありなんですか。私はいま、あなたに直接お話しになったり要請をされたというのがなければもちろんできなかったことだと思うのだけれども、そういう点が政務次官に就任されてから他にあれば、その点もあわせてひとつお答えをいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  57. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) あれ以来、別に私のところに具体的な問題を持ち込まれたケースはございません。
  58. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますと、あなたもこの件については特別に御心配をされて、多くの従業員なりまた販売先の人たちの不安をなくすと、こういう意味での協調融資あっせんされたと思うのです。ただ、この際、私ども決算委員会で、別にあなた個人の問題ということではなくて、銀行融資は一体どういうものであるか、国家としての監督行政上はどういうものであるか、こういう点を考えてくると、若干意見が違うように受け取られるのです。ということは、いわゆる総理大臣である、あるいは政務次官である、こういう肩書きが、もしそういうふうな個々の企業の場合に、融資をする場合に、署名捺印をされるということになると、行政上の最高の責任者というものが、一体全体の国民のその対象になっている者が、そういう個々のものにはたしてやっていいものかどうか。私は、私ども参議院議員なり、あるいはあなたが衆議院に籍を置くわけですから、衆議院議員ということであれば、これは包括的ないわゆる国会議員としての立場での十分活動をされることは、理解をできるわけです。ただ、監督行政にある、行政の監督者としての最高の責任にある者が、そういうふうなことをどれでもおやりになるということになると、私は、行政というのは一体どうなるのだろうか、こういう点をいま心配をされた質問だと思うのです。岡委員等の言われているのは、そういう国会議員という立場と、行政の最高責任者である総理大臣とか、あるいは大蔵大臣とか、あるいは政務次官とかという肩書きというものはいかがなものであるか、こういうところにいまの論点があると思う。その点を、少しいま御答弁を聞いていると、何か、質問のしかたの点のもあるかもしれないが、少し答弁が、私どもは聞いておって、どうも強答弁のような気がする。こういう点は、私は少し直してもらわぬと、この決算委員会としてはちょっとおさまりがつかぬのじゃないかという気がするわけです。これは同僚の、別に社会党の議員だから、自民党の議員だからというのではない、決算委員会としてはやはり公正な立場で、いわゆる国民の期待にこたえる行政であってほしい、こういう面からいくと、そういうふうな点が考えられるのだが、この点、藤井さんどうですか。少し私の受ける印象が、そういうふうに思うのだが、どうですか。
  59. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) いや、御心配いろいろかけまして、たいへん恐縮に存じますが、どれもこれも、こうべたべた政務次官の名前を使ってやる、それはお話しのとおりよくないと思う。この問題についても、いろいろ大森さん、事実の誤解がおありのような感じもいたします。したがって、なおさら政務次官という名前を使ったのはけしからぬと言われる御意見は、十二分に理解いたします。したがって、これからは、大蔵政務次官という、こう肩書きを使う場合は、よほど慎重にしないと、相当にえらいポストだなということを、こういう事件を通じて感じますので、私はまだ、国会議員であり、かつて長い間県会議員をした、そこら辺のどろくさいところが抜けない。もうちょっと品よく、政務次官でござるというかまえを、ひとつ今度はしていきたい。御指摘されました、いろいろ御意見賜わり、御注意いただきましたことは、十二分に今後に処したい、このように考えます。
  60. 岡三郎

    ○岡三郎君 いまそういうことを聞くと、また私言いたくなるのだが、いま相澤委員は、決算委員会としておさまらぬ——そんなことは二の次です。これは会計検査院もよく聞いておいてもらいたいと思うのだが、私の言っていることは、これは、いま直接の私の聞いている範囲内において、大蔵政務次官というのは公職だということを私言いましたね。いいですか。あなたは差しつかえないということを答弁しておられる、初めから。差しつかえないと。われわれはこれはうまくない。これは各省の大臣が、一々民間の企業判こを押してくれなんて言われて押して、たまに一つのケースがあったとしても、これは一つのケースということじゃなくて、やはりそれは具体的な事例ですからね。これはうまくないということを言っているわけです。いま言われたように、大蔵政務次官というのは、銀行を監督している主要な頭にいる人です。銀行局長の上にいる人です。監督官庁としての権限を持っているあなたが、監督官庁肩書きをもって判こを押すということ、これは銀行側のほうとしては、これは一つのやはり考え方が押してくれというところにあったと思う。でなかったら、何も君、肩書きなんか要らぬじゃないか。肩書きを、君、なぜ押せと言うのだ。銀行のほうは、監督官庁藤井さんが言うから融資をしたということにもこれは受け取られて、私は異常ではないと思うのです。そういう点で金融機関のほうがどうしてじゃあ肩書き要請したか、これは銀行側に来てもらって私はやらなければいかぬと思う。あなたのほうはこれは差しつかえないでしょう、そういうことを言われているわけですから。銀行側のほうとしてはなぜそういうふうな肩書きを、軽工業局長とそれから大蔵政務次官肩書きを入れさせたのか。銀行側も非常識なら非常識です。これはどうですか。会計検査院、あなたはいいか悪いか言えないと言われたけれども、行政官庁の責任者、つまり監督の立場にある者がですよ、いろいろとあっせんということばは悪いけれどもあっせんをした中において、監督官庁の権限の名前を使って判こを押すというふうなことが、会計検査院としてそれはどういうふうに、権限というものから考えてどう考えますか。権限がある者が肩書きを入れて判こを押すということについて、それはいいんだか悪いんだかわからぬというような会計検査院なら、そんなものは要らない。藤井さんが一代議士としてやられるなら、これはかまいませんよ。代議士としてあなたが判こを押して、銀行団がこう言うのだから、たまたままん中に入ったのだから、これは藤井勝志としてひとつあっせんの労をとったからやりました——それならいい。しかし肩書きというのはどういうことなんだ。私はそこにポイントがあると思う。だからこれは銀行団のほうがなぜ肩書き要請したのか、融資に際してですね。これは行政の責任をしいる立場になるかもしらぬ、何か不安だから、藤井代議士個人ではうまくないから、大蔵政務次官藤井さんという名前でやってもらうということを言ったようにもわれわれはとれるわけです。とるわけです。ですからそういう点でですね、会計検査院はむずかしいから言えないと言われれば、言わなくてけっこうですけれども、私はやはり銀行団を呼んでもらって、ここに来るなら、それから大蔵省次官を、いつでもいいですけれども、いわゆる職務権限とそういう問題についてですね、やはり本決算委員会は適当な、あいまいな形で私は済まされるべきじゃないと思う。そういうふうな見解ではっきりしてもらいたい。これは一ぺんあっても二度あってもそれは同じことです。いけないことはいけないと私は思う。これは明確にしてもらいたい。あなた、代議士でやられることはけっこうだけれども大蔵政務次官としてそうやられたことについて後日、きょうでなく後日これは中途はんぱな形では私は困る。だからその点については明確に銀行団がなぜ肩書き要請したのか、そういう点について明確に私はしてもらいたいと思います。それは大蔵大臣についてもそうです。
  61. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 念のために発言をお許し願いたいのですが、私が立ち会い人になった誓約書内容をですね。先ほども繰り返して申し上げたように、経営の強化とか合理化とか、経営内容明確化とか、こういう二度と御迷惑はかけませんと、こういう経営者として当然心得るべきことを書かれた、ほんとうを言えば要らぬようなものですよ。それをせっかく頼んだほうの側が何してくれと言うからまあつい立ち会うて、そして名前を、肩書きまで書けというから書いた、こういうしかけなんですから、そこら辺ひとつ事実をすなおに御了解願いたい、このように思います。
  62. 藤原道子

    委員長藤原道子君) いま岡さんがおっしゃいましたように、あなたの肩書きという立場からいっても、あるいは大蔵政務次官の名前をお使いになった。そういうことについてもやはり岡さんが言ったようにそういう点もございますし、それから当委員会といたしましても、銀行側を呼んでほしいという強い要望もございますので、理事会ともいろいろ御相談しておりますので、あとでよく御相談して、あいまいな形では済まさないという方向に持っていきたいと思いますので、御了解願いたいと思います。
  63. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) ちょっと委員長……。まことに恐縮でございますが、たいへん皆さん方に御心配をかけている当事者の一人として、これだけはひとつ決算委員各位にお願いをいたしておきますことは、なるほど、この事件に対してずっといろいろまだ納得のいかないことを御調査になることは、けっこうです。ただ、それが金融機関がいろいろと中小企業、今後の中小企業金融でいろいろといま迷っているような、こういう場合に、無理して善意に解釈して融資しよう、これが手控えになると、日本全体の金融に困っておる零細企業者が金融がつかないために云々ということのない、そういう連鎖反応がないような特別な御配慮を特にお願いしたいと、こう思います。
  64. 藤原道子

    委員長藤原道子君) その点についてはよく承知しております。あなたのおっしゃるのと委員考え方とは非常な食い違いがあるようであります。
  65. 大森創造

    大森創造君 私も藤原委員長の言うとおりですね。あなたがそういうことを言われるなら、ほんとうは労働省手入れしないほうがよかった、私が質問する必要はない、マルマンを育てるためには。そうでしょう、これはなるほど何というか深夜放送までして非常にコマーシャルをやっておる企業。しかし、前回の委員会で私がるる申し上げたとおり、これは相当法律違反をやっておるのですよ、マルマンという会社は。あなたの論理からするというと、労働省手入れをしたことは行き過ぎですよ。マルマンを今後再建するためには、労働省手入れは痛いのです。私のこういう問題を決算委員会に取り上げることすら、はばからざるを得ないようなあなたの発言です。そんなことでは私は済まされない。やはり政治の姿勢の立場から、あくまでただしたいと思う。それからなお申し上げますが、あなたはこのことは絶対悪かったと思っていますか、いまでもいいと思っていますか。
  66. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 決して私は悪いことをしたとは思っておりません。やった、えらい悪いことをしたというようなきめつけ方で言われるのは、心外千万だと私は思います。
  67. 大森創造

    大森創造君 私は絶対これは悪いと思います。
  68. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 押し問答をしないように……。
  69. 大森創造

    大森創造君 それでこれは銀行側とそれから大臣なり会計検査院なり来てもらって、そうしてこのことをあなた個人はいいと思っていても、私は悪いと思っているから、さっき岡委員が言ったとおり、こういうことが許されるならば、日本の行政はめちゃくちゃですよ。私はマルマンという会社に対して、こういう積極的なあっせんの労をとるほどならば、もっと必要度のある会社なり企業が幾らでもあると思う。これを持ってこられた場合に、署名捺印をせざるを得ない。そういう立場から私はこういうことをやっていけないということは常識だと思うのですね。そこで小林章議員の選挙違反の問題でもこの次はやらないという、それから重政さんの秘書だって、やらないでしょう。しかし、なされた行為は事実です。これは消せない。どうですか。私は、重政さんが本会議で陳謝されたということ、それから小林章さんの選挙違反について、インダイレクトに阪田さんは進退を問うた、やめたということです。そのことと比べてみて、私はこのほうがずっと重大だと思う。阪田総裁はやめることはない、重政さんは本会議でわびる必要はないと思う。あなたはこういうことが許されるという立場は、あなた一人の考え方だと思う。だれが審判しますか。決算委員会であるいは福田大臣の見解も聞こう、それからこれは世論に聞いてみましょう。こういうことが政務次官として許されるならば、これは日本の行政はめちゃくちゃだと思いますよ、繰り返しますが。そこで、伊藤軽工業局長は、この前私の委員会でのお答えによりますと、銀行側要請によるということをはっきり言っておる。それから上司の指示によると、それで肩書きを入れて署名捺印したと、藤井さんはどうか知らぬが、私の聞いたところによると、大蔵省政務次官というものとそれから通産省軽工業局長、これは監督官庁でしょう。銀行監督官庁政務次官大蔵省、それからマルマン監督官庁軽工業局長、これが肩書きを入れて判こを押した場合は、銀行は金を貸しますよ。こういうことは絶対許されるはずがない。これは押し問答と言うが、これをどっちが是か非かということになれば、これを是とするような人が、政府の中に総理大臣以下いるならば、私は政治の姿勢なんかめちゃくちゃだと思う。これは悪いことをしたけれども、前例のないことだということを伊藤局長はおっしゃったけれども、前例があるはずがない。私最初質問したことに対して答弁は、こんなことはあたりまえだというふうなことを言っておられるから、これは重大問題だと思うので、これはあくまでも私はただしたいと思う。そこで、私は委員会として要望するが、これは前からも御了承得ていると思うけれども、せめて、東海銀行がメインの銀行でございますから、東海銀行なり、それから前のメインは三和銀行でございますから、福田大臣、三木大臣、そういう人たちに来てもらって、これをただしたいと思う。重政さんの秘書がピストルあっせんしたり、小林章議員の選挙違反による阪田総裁の引責退職の問題だって、ただ一回で、二回も三回もはないんです。あなたのやったことはまずいことだ。あなたのやっているこんなことが許されるならば、重政さんも陳謝する必要もないし、それから阪田総裁もやめる必要はなかったと思う。私はそう判断する。藤井さん個人はそう思っていても、私はそのように判断するので、次回の委員会で参考人としてお呼びいただくことを、委員会としておきめいただきたい。
  70. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連になっているけれども、私は、いま藤井さんの言ったことばはおかしい。われわれが銀行を呼んで、中小企業がどうだこうだ——これはさかさまな御意見です。たまたま銀行団のほうで融資やらないとしたって、そんなあやふやな融資だったら、やめてもらってもけっこうだ。そんなことで国政論ぜられますか。これは一中小企業の問題じゃなくて、行政の責任の問題だから私たちは言っているわけで、あなたがもしも銀行団を呼んで参議院でそんなことを問い詰めたら融資がとまって困ってしまう、その責任はあなた方にありますよなんて、そんな責任私たちにありませんよ。そんなべらぼうな説明を聞いては黙っていられませんよ。この点は、大森さんが言っているように、あえて銀行団呼ぶことも、やっぱり考えてみれば、われわれも何とか中小企業倒しちゃいかぬと思っているので、考えてみればあまりいいことじゃないということをすなおに言われるならば、それは熱のあまりそういうことになったと言われればいいけれども、あえてあなたが強弁するならば、やっぱりやらざるを得ないから、銀行を呼んでもらいたいと私も思いますね。私は、初めはそう思っていなかったけれども、だんだんそういう心境に到達した。これはしかたがないよ。
  71. 藤原道子

    委員長藤原道子君) この問題につきましては、委員長、理事におまかせ願いたい。
  72. 岡三郎

    ○岡三郎君 おまかせ願いたいと言ったって、呼ぶことをきめてからおまかせしますよ。
  73. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  74. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 速記を起こしてください。  参考人の問題につきましては、委員長・理事打合会、ここで十分審議して結論を出したいと、かように御了承願いたいと思います。
  75. 大森創造

    大森創造君 この問題はね、委員長・理事打合会でもって十分審議をして云々ということでございますがね、この前、十月二十五日に私が質問したときに、すでに参考人呼ぶということを決定になった。これは委員長・理事ではなくて、この委員会で。そこで、いろいろ御都合があるということで、きょうに質問残されたのですから、いままでの問答の限りにおいても、藤井さんは非常に堂々たる答弁をされているようだけれども、事実は違うのですよ。私の事実認識違う。したがって、だから銀行側をひとつ、メインの三和銀行でもよい。それから三木通産、福田大蔵大臣を呼ぶ、こういうことは前回の約束もあることですから、ぜひ呼んでいただきたい。そうでないと、これはほんとうに押し問答になってしまいますから。藤井さんがああいう立場でいるならば、私たちはどうしても済まされない。はっきりこれは委員長・理事打合会でもって、次回にそういう関係の方呼ぶということに御決定いただきたいと思います、この委員会で。
  76. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 速記をつけて。
  78. 大森創造

    大森創造君 大体藤井さん御存じだと思いますけれども、私は見解が違うが、銀行は普通、市中銀行は億以上を貸す場合には、一番抵当でなければいかぬということですよ。三番抵当、四番抵当なんかでは、担保がなければ絶対貸さないということになっているのが常識であるし、融資あっせんをとったときには、秘密裏かもしらぬけれども、三%ぐらい報酬がもらえるということは常識になっていますね、私の聞いた限りにおいては。藤井さんのことを言っているのではありませんよ。そこでね、これは非常に政治的な問題だから、私は引っ込みつかないのですよ。あくまでもこのことをただす。参考人を呼んで、とことんまでこのことをたださない限りは、私は疑惑の目を持って見られるのですよ。自民党の理事諸君も疑惑の目を持って見られますよ。決算委員会としては、いま委員長の言われたとおり、マルマンを倒すつもりはない。岡委員も言われるとおり、融資をとめるというつもりはない。決算委員会質疑応答したならばとまっちまう融資ならば、そんな融資はする必要ない。インチキ融資ですから。あくまで事実を究明したい。あくまで参考人を呼ぶ。これ以上はきょうは議論は進みませんね、私の判断では。そこのところをひとつ御了解いただいて、きょうのところは私の質問終わります。
  79. 相澤重明

    ○相澤重明君 資料要求しておきたいと思うのですが、先ほど政務次官軽工業局長立ち会いの上に署名をされたあなたのお話しになったその資料を、ひとつ御提出いただきたい。
  80. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまの資料の御提出はできますね。至急にお願いいたします。
  81. 石本茂

    ○石本茂君 私は国民の健康管理の任務を持っております保険医療業務に従事している者の教育につきまして、文部政務次官並びに当局の御意見を得たいと思います。  ただいま申しましたように、保険医療の業務に従事します者のうちで、医師、薬剤師以外のほとんどの従事者は、現在、各種学校というような教育のケースの中で教育を受けているわけでありますが、この教育の場が、その教育の方法が、現在の教育法にややはずれた向きもございますために、ほとんどの医師、薬剤師以外の従事者は、社会的にも身分あるいは処遇の確立ができませず、まるで日陰者のような状態で、現在縁の下の力持ちのように非常な努力を重ねながら、医療の仕事を進めているわけでございますが、特に看護婦等の教育でございますが、明治十八年に始まりまして約七十年の経過を経ておりますのに、今日なおこの点も御承知いただいておりますように、国立の大学と称しますようなものはただ一校だけ、あと三校の公私立がございますが、短期大学にいたしましても、民間に四つほどございまして、あとは全部約四百校近い保健婦、助産婦、看護婦の学校が各種学校であります。特に准看護婦などにつきましては七百校近いものがあるのでございますが、いま申しましたように、ほとんどが各種学校系列の中で、非常にあいまいな条件をもって苦労しながら教育を受けておるのが現実でございます。このことに対しまして、どのようにお考えになっておられまするのか、御意見をちょうだいしたいのでございます。
  82. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 医療関係の職員の養成に関する問題でございますが、一部では、御案内のように大学の学部あるいは短期大学という形で、数は少ないのでございますが、養成されておりますが、大部分の者が現在各種学校のカテゴリーになっておるわけでございます。  そこで問題は、二つあろうかと思いますが、これらの看護婦、助産婦あるいは保健婦等の養成に関して、それぞれの学校段階において、いわゆる一条学校の中に位置づけしていくという一つの問題と、それから各種学校は御案内のように非常に包括的な規定でございますので、対象となっております学校の種類あるいはその教育内容、あるいは規模、形態等がまことに多様でございますので、この中の一つとしてこれらの学校が位置づけられておるという状況でございます。そこで、現在各種学校の制度について、内容があまりにも多岐にわたっておりますので、若干これを制度的に整備してまいりまして、それぞれの教育形態や教育目的に即したような形で、各種学校の内容をととのえていったらいいのではないかということが一つ。その考え方の中で、これらの医療技術者の養成機関が一定の位置づけができるのではないかというふうな考え方でございます。もう一つは、一条学校の中に、それぞれこれらの医療技術者関係の養成機関が移っていく。たとえば看護学校を短大という形に整備していくとか、准看の養成機関が高等学校の新しい課程として看護学科という形で位置づけられていくというような二つの方向で、この問題を考えているわけでございます。
  83. 石本茂

    ○石本茂君 いまおっしゃったことはわかるのでございますが、たとえば三年前から国立の短期大学ということで看護学校の発足をお願いしてきたわけでございますが、来年度のことにつきましても、やはりそれは認められませんでしたが、教育の府であります当局とされまして、このことの必要性をお考えになっておりますのかどうか、非常に疑問を持ちますわけです。というのは、世論がそこにいっておりませんということで、私どもは結論を聞いておるわけでございますが、世論ということばの中には、それぞれ問題もありますし、政策上のこともあると思いますけれども、先ほど申しましたように医師、薬剤師だけで医療は進められているわけではありませんし、特に保健ということになりますと、ほとんど保健婦、助産婦、看護婦等がこの第一線に立っておりますので、そのような重責を持つ者の教育を、ただ従来の長い歴史、伝統の中でそれでよいんだ、そういうものは雇い入れた者がすればよいんだということで放棄されております現時点の中で、私はどのようにお考えになっていらっしゃるかを知りたいわけですが、おことばは非常になまぬるいように思います。二月の二日付でございましたか、各種学校の改善要綱がまとまるということで、新聞紙上でもそのことにつきまして拝見はしておりますけれども、そういうふうな将来の構想をお持ちなのでありましたら、なおさらにもいま私が申しましたような、国民の命というものは地球よりも大切な命、生命であると言われております現在の状況下にありまして、もう少し気をつけていただきたいということで御意見を聞いたわけでございます。つきましては、もちろん政府当局、特に総理などの言われますような国土開発とか経済開発とかいうようなことの基本的な条件として、これも私以上にその辺のことについては御承知になっております国立高等専門学校、これは工業関係の学校でございますが、昭和三十七年に設立されまして、現在その三倍ぐらいの四十三校が国の予算措置の中で経営されております。これに投じられております予算額を拝見いたしますと、約五十二億に満たんとする予算措置があるわけです。もちろん重要な教育の課程でございますので、そのことの必要性はわかるのでございますが、社会開発などということばがしきりに出ております現在、いま申しますこの医療従事者、特に看護教育等におきまして、この国立高等専門学校と性格は違いますけれども、なぜこのものの重要性というものをお認め願えないのか、その辺をもう一度はっきりと、今後のことも含めて私は教えていただきたいのでございます。
  84. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 先ほど申し上げましたように、二つの点があると思います。一つは、いま石本先生おっしゃった一条学校の形態でもって医療技術者の養成という点をおっしゃったわけでございますが、特に高等専門学校のタイプに、これらの養成機関を国立でつくったらというお話と承りますが、国立の高専——国立に限りません、高等専門学校は現在、法律上工業に限るという形でできておりまして、制定の当時、技術者の不足ということから、新しいタイプの学校の必要が出てまいりまして、工業だけに出たわけでございます。その後、他の職業分野、農業でありますとかあるいは商業、あるいは水産とか、各方面からそういう分野につきましても高専をつくったらどうかという御意見も出ておりますので、現在文部省におきましては、高専を工業以外にどういう分野にどういうふうに拡大していくかということは検討中でございまして、工業以外は一切つくらないという考え方でもございません。したがいまして、医療技術者の問題は高専に限りませんで、現に短大になるものもございます。しかし、これも先生よく御存じのことでございますが、ことしも明年度の予算要求の段階では、われわれも国立の短期大学を設置しようという意図を最初持っておったのでございますが、予算の過程でこれが認められませんでおるわけでございまして、考え方としてはそういう方向を考えております。同時に、准看の養成につきましても、中卒で現在二年やっておるわけでございますが、高等学校に看護学科をつくれば、あと看護婦養成のときの期間も短縮できますし、高校卒という資格と両方兼ね備えられますので、次第に高等学校の看護学科もできていく傾向でございまして、四十一年度も、かなりの高等学校の中に看護学科ができていく予定でございます。そういう形で、全体の問題を手ぬるいとおしかりを受けるかもしれませんけれども、全体としてはそういう方向で考えております。  それから各種学校の問題につきましても、やはり卒業生の処遇の問題ですとか、あるいは学校の社会的な位置づけというようなことから、なるたけはっきりした制度にしたほうがいいんじゃないかという意見が、関係者の間からも出ておりますので、そういう意味でこれはひとり医療技術者の養成機関としてだけではございませんけれども、全般に各種の技能者の養成を担当しております各種学校も、そういう意味で整備していこう、こう考えておるわけでございます。
  85. 石本茂

    ○石本茂君 先ほど局長さん約八千校ぐらいの各種学校があるというお話もございましたが、私ども承知しておりますところでは、半分以上が和裁洋裁というような、何といいますか家庭の技術関係に属しますことであり、看護婦等のような教育につきましては、同等なとはもちろんお考えになっておらぬと思うのですし、われわれもそうではないと考えておるのでございますが、昭和四十一年度から実施するために、学校教育法の改正案を近く国会に提出するというようなことが、新聞に載っておるのでございますが、これは事実でございましょうか、ただうわさでございましょうか、お伺いします。
  86. 天城勲

    政府委員(天城勲君) ただいま申し上げましたような考え方のもとに、各種学校制度の整備について、現在内部で検討はいたしております。その結果、案がまとまれば、現在の学校教育法の一部改正という形でまた御審議を願うことになると思いますけれども、現在内部で検討の段階でございますので、いま確定的なことを申し上げられないわけでございます。  さっきのことでちょっと補足さしていただきますと、各種学校は和洋裁あるいは機械技術系、自動車あるいは電波関係から始まりまして、非常に多種類の課程があるわけでございまして、この中には、現在すでに高校卒以上を対象とするいわば短大レベルのかなり高度の内容を持った各種学校もございますし、あるいは義務教育終了後で実際生活に即するような知識を授ける等、いろいろな段階のものが一本の制度でごちゃごちゃになっておりますので、これらの実態に即した整備をしていく必要があるんじゃないか、こう考えておるわけでございまして、御指摘のように、医療技術者の養成機関などは、この各種学校の中におきまして最も内容的にもはっきりいたしておりますし、水準も高いものも入っておりますので、十分こういうことも意識しながら、各種学校制度の改善の問題は考えておるわけでございます。
  87. 石本茂

    ○石本茂君 もう一点、先ほど高等学校の課程の中に、いわゆる看護業に従事するであろう准看護婦の資格要件を持つ教育が始められておることのお話しがございましたし、現に十数校が開講いたしておりまして、非常にうれしいことではございますが、この学校の看護を教える看護教師そのものの資格につきまして、先ほど申しました各種学校を出ておりますばかりに身分がなくて、そのための教師課程の養成もいたしてきたはずでございますが、それにつきまして本年大学課程が一つと、それからもう一つ現任教育課程ができましたこと非常にうれしいのでございますが、先ほど申しました一千校近い看護関係の各種学校が、二年あるいは三年先に、もしこの学校教育法の改正案が、今年度のあるいは国会を通過しまして、四十一年度から実施し、二年後に云々というようなこの新聞等の記事を通しまして、もしそういうことが実現いたしました場合に、いまでさえも高等学校教師の資格を持っていない看護婦が一ぱいおります。教師の資格を持たない、当然そのことについて教える能力はありますが、資格がないばかりにその職に従事することができない。この時点にありまして、はたして千校近いもののそういう格づけをされましたときに、教師の身分につきましても、資格につきましてもということが書いてございますが、一体、その時点でどのようにさばいていきなさるのか。今年度はたった二つの条件が通りまして、しかも先ほど言いました、現任教育課程が二つの大学に、どこかまだ存じませんがつくであろうということを聞いておりますけれども、来年、再来年と、どのようにこのことを対処なさるおつもりでありますか、このことをもう少し具体的にお聞かせを願いたいのでございます。
  88. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 現在、先ほど申し上げましたように、全般の問題を検討中でございまして、一般的に各種学校の内容の問題を議論しておりまして、個々の医療技術者の養成機関はどうだとか、あるいは工業技術系はどうだとか、洋裁系はどうだとかいうところまで、私たちは必ずしも考えておるわけではございませんので、各種学校という一つの形態の面から問題を見ているわけでございます。したがいまして、御存じの学校教育法の一条学校におきましては、教師の資格につきましては、それぞれ免許制度をとっておりますけれども、各種学校については、現在そういう制度をとっておりません。おりませんけれども、それぞれの種類に応じて一定の教師の資格というものがあるのじゃないか、これは免許状ではございませんけれども、そういうことを考えておるのでございまして、一定の一条学校による卒業資格がなければ各種学校の教師になれないというような、そういうかた苦しい狭いことは、私たち考えておりませんです。なおこれらの問題については、現在検討中でございますので、確定的なことは申し上げかねる段階にあることをひとつ御了承を願いたいと思います。
  89. 石本茂

    ○石本茂君 現在研究中であるということはけっこうでございますが、先ほど私が申しましたように、二月の二日に出ましたあの新聞の記事は、単なる構想でありまして、全然そういうものは実現するかどうかわからないということでございましょうか、それを確認しておきたいのでございます。
  90. 天城勲

    政府委員(天城勲君) これも先ほど申し上げましたように、現在、諸般の事情から、こういう分野を整備する必要があるという考え方で、検討を進めておる段階でございまして、いつ、法律改正の形でどうするかというところまでまだきめておりませんし、その点はまだ未確定でございますが、そうかといって、全然根の葉のないことでございませんので、現にわれわれ検討いたしております。
  91. 石本茂

    ○石本茂君 最後にもう一つだけ当局の御意見を承りたいのですが、教育というものは、もちろん国家社会のために必要に応じた人をつくるための教育だと、われわれは考えておるのでございますが、先ほど来申しております医療従事者の教育につきましては、各種学校であろうと何であろうと、その次元はかまいませんけれども、その人方の教育が必要であるからしでいるとわれわれは思うのでございますが、その必要な教育を国の責任においてするということについて、なぜちゅうちょなさるのか、その辺の意図がちょっとわかりかねる向きもございますので、恐縮でございますが局長さんのお立場で、世論のしかるところというようなところで、せっかく文部当局のお出しになりましたことがつぶれておるわけでございますが、そういうことに対して聞かせていただきたいのでございます。ことばの言い方が足りないかもわかりませんが、私が申し上げたいのは、世論と申しましたのは、文部当局はぜひそうしなければならぬ諸般の情勢、特に先ほど来申しております業務の性格等によりまして、正しい教育をして国会社会が認める人間をつくるという意識がありますのかどうか。ただ文部省はそう思うけれども、社会がそう思っていないから、しかたがありませんというような弱い腰でお臨みになっている向きがあるのではないかということを考えますために、こういうことをくどくくどくお伺いしているわけでございます。
  92. 天城勲

    政府委員(天城勲君) いまのお話、私たち先ほど来申し上げましたような形で、医療技術者の養成機関を整備していくということにおいて、別にちゅうちょいたしておるわけではございません。  それから、なぜ国立でやらないかという、最後の一点はそういうことになるんだろうと思いますけれども、それも石本先生、むしろもうよく御存じだと思うのですけれども、本年私たちも国立で三校ほどそういうものをつくる予定で予算の要求をいたしたのでございますけれども、予算編成の過程において、最終的に認められなかったということでございまして、それ以外は特に他意はございませんので、なお今後もそういう面で検討と努力を続けたいと思っております。
  93. 石本茂

    ○石本茂君 最後にお願いをしておきたいのでございますが、もちろん行政のお立場にいらっしゃる局長さんは、あるいは課長さんは、だんだんとおかわりになりますので、十年前から、あるいは十数年前から出てきておりますこうした教育等の問題につきまして、なかなか国家を背景とする正当なルートに乗せていただけないことにつきまして、その辺の情勢もわかりますけれども、どうぞいいかげんな教育ではない、医療教育というものは、医療現場に従事する者の教育というものは、ただ単に先ほど申しました洋裁だ、和裁だ、それお花だ、お茶だというようなものと混同されてはたまらないという気持ちが、国民の一人として、自分の健康を守ってくれる人としての立場から、それはぜひ正当な教育のルートに乗せていただいて、医師、薬剤師の陰に隠れていつもあいまいな気持ちで、そして責任ある仕事をさせられてはたまらないという気がいたしますので、どうぞ社会的にも、そして自分個人の自意識の中でも誇りを持って仕事ができるような教育の場を、一日も早く実現していただきたいことを、国家の責任においてしていただきたいことをお願いいたしまして、私のお尋ねを終わらせていただきます。ありがとうございました。
  94. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 医療従事者としての看護婦さんの教育養成のことにつきまして、まことに切実な御質問がただいま石本委員からあったのでございまして、そのことをそのままそのとおりであると私存じます。特にお話のありましたように、あるいは医者の養成のこと、薬剤師の養成のこと、その裏に隠れたのでありましょう、最も大事な、直ちに脈をとり、注射をしてくれる看護婦さんの養成のことが、いかなる理由か、今日まであまり脚光を浴びておらなかったことは、まことに私残念に思います。たいへん重要な事柄でございまして、石本委員の御発言、そのまま私よくわかりましたので、文部省の立場で解決のできることは一そう前向きで善処いたしたい、かように存じますので、御了承賜わりたいと思います。     —————————————
  95. 藤原道子

    委員長藤原道子君) それでは委員の異動について報告いたします。  本日、谷口慶吉君が委員を辞任され、その補欠として高橋文五郎君が選任されました。     —————————————
  96. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、午前中の審査はこの程度にとどめたいと存じます。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会
  97. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き昭和三十八年度決算外三件を議題といたし、大蔵省農林省及び建設省決算について審査を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  98. 二宮文造

    ○二宮文造君 前回の委員会で、国有財産に関する小委員会で問題になりました接収ダイヤの問題とそれから碑文谷のマンションの件につきましては、当局からその後の経過の御説明がありました。私は、きょう冒頭にお伺いしたいのは、これまた小委員会で問題になりました若松町の経理学校あと地並びに虎の門公園、このその後の経過についてお伺いしたいのですが、前者については、そのときの当局の御発言では、国に返還をさせて東京都に住宅用地として払い下げると、こういう方針で進むと御答弁でございましたが、その後の経過、それから虎の門公園につきましては、根抵当権が第三者によって設定されておる。これが抵当流れになっては困る、したがってそれを何らかの形で防御して、不当な転売を許さない方向に持っていくという当局の答弁でございましたが、これらに関してまずその後の経過をお伺いしたいと思います。
  99. 竹中恒夫

    政府委員(竹中恒夫君) お答え申し上げます。  虎の門の事件につきましては、御指摘のとおりの経過をたどってまいったのでありまするが、所有権の移転の登記につきましては、売買契約をしていた事実を知りましたので、さっそくに所有権移転の仮登記が必要でなくなった現段階においては、その抹消をするように相手方に慫慂いたしましたところが、幸いに相手方もこれを了承いたしまして、昭和四十年の九月の十四日にその仮登記を抹消いたした次第でございます。  その後園に対します支払い状況でございますが、売り払い代金の十一億二千四百九十八万四千八百円、そのうち即金として五億六千二百九十八万四千八百円を受け取り、五ヶ年延納のうちの二回分をいたしまして延納代金を昭和四十年の九月一日にすでに支払い済みでございます。次回は、四十一年の九月一日に支払われることに相なっておるわけでございます。なお、丸紅飯田からの借金十億円は、四十年十月三十日をもって全額を返済いたしておるのでございます。朝日土地は売り払い物件をみずから所有し、かつ利用するという契約条件に従って、目下利用計画を検討中の模様でございます。聞くところによりますと、駐車場を考慮しておるというような状況であるわけでございます。  次に、若松町の陸軍経理学校あと地は、御指摘のとおりでございまして、東京都では当該地区を改良住宅地区として改良住宅を建設するための手続を進めておる現在状況でございます。四十年十一月二日に東京都の副知事より本地区の貸し付け、または売り払いの正式な申請をしてまいってきておるわけでございます。以上御報告申し上げます。
  100. 二宮文造

    ○二宮文造君 その後所期の方針に向かって当局のほうで努力されておることを、一応この点で了解いたしておきます。  いま政務次官の御答弁では、不法占拠しておる現在の同胞援護会東京都支部牛込支会というものからは、まだ返還を受けたかどうかについては御答弁がなかったのですが、これはどうですか。
  101. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 返還はまだいたしておりません。これは実は返還財産につきまして、もろもろのいろいろの問題を整理して、そうして住民も納得をして、そうして改良住宅の建設が進むということになっておりまして、大体方向は、先ほど政務次官からも申し上げましたように、また、従来からここで東京都が参考人としてはっきりと回答いたしましたように、改良住宅を建設する、こういう方向で進んでおりますが、それが着手になるのには、やはり現在入っておる方々によく納得をしていただく、それに伴って返還を受けるという手続がいま進められつつある状況でございます。
  102. 二宮文造

    ○二宮文造君 資料の関係で、すわってやらしてもらいます。小委員会で種々問題になりましたのが契機になりまして、国有財産の売り払いとか、あるいは交換契約については、従来の姿勢を改める。たとえば用途指定については、もっと用途指定を厳格にするとか、あるいは、他に転売をさせないために抵当権を設定させるとか、あるいは、随意契約をやめて競争入札に改めるとか、種々当局のほうで今後の問題を勘案しながら妥当な線を考慮され、ているようでございますが、いま当局のほうで考慮されている線をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  103. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 二宮先生からお話がございましたように、昨年来国有財産についていろいろとこの委員会で御検討願って、その御趣旨を体しまして、去る昨年の十月に国有財産中央審議会を開催しまして、大蔵大臣からもろもろの問題についての処理方針、基本的な方針というようなものを諮問したわけでございます。  諮問された問題点は、契約の方法の問題、それから用途指定に対する措置の問題、それから評価のやり方、その他国有財産の処理を公正に行なうための措置というような四点を主として諮問されたわけでございます。  これに対しまして、十一月、中央審議会から答申がございました。その答申に基づきまして、その答申の線に沿うて措置をいたしますように、従来の処理方式あるいは処理基準、評価基準というようなものを現在修正する等の措置を講じつつあります。  現在までに、すでに評価の問題につきましては、昨年暮れまでに各財務局に徹底いたしたのでございます。用途指定につきましては、ここで問題になりましたように、用途指定のつけ方、それから用途指定をつけた財産が他に転売された場合に、第三者に対抗できないために、結果的に第三者の手に移ってしまうということを防止するための登記を設けるという制度を新たに始めることにいたしております。それから、今後そういう転売等の事実の発生を未然に防止するという観点から、用途指定財産の監査制度を厳重にしていく、原則として年一回はそういう監査を実地に即して行なうということをいたしております。こういう面の処理方式は、現在、大蔵省のいま最高のところまで決裁が進んでいる状況で、近々のうちに処理はまいると思います。  なお、本日から財務局長会議が開かれておりまして、そういう面に対する各末端への周知徹底、並びにその趣旨についての説明を十分いたしまして、財務局全体で新しい方針に即した処理を進めてまいりたいと思います。  なお、もう一つ、契約の処理のしかたの問題につきましては、ただいままだ私の手元でいろいろな点を練りつつあると申しますか、いろんな段階、いろんな点の検討をまだ進めておりまして、若干時日がかかろうと思いますが、もう一点の国有財産の処理を公正に行なうという点、特にリスト問題に関連いたしました点につきましては、従来から各財務局の局長、部長、課長の各担当者の会議を経て周知徹底を期しておりますが、そういう趣旨を十分周知徹底いたさせまして、現にその方針で処理はすでに進められておるということになっております。
  104. 二宮文造

    ○二宮文造君 だいぶ努力をされてここまで進んでこられたんですが、最もお聞きしたい契約をする場合に随意契約の形をどの程度に残すのか、あるいは新聞紙上で伝えられたように、競争入札を主体に契約を進めていくのか、この方針としては、どちらの方針をいま検討されておりますか。
  105. 松永勇

    政府委員(松永勇君) まず、答申になりましたものでは、国有財産の処理にあたって、特に土地問題が最近のように非常にむずかしくなっている、しかも、貴重な土地になりつつあるという状況、特に大都市においてはその感が深いわけでございますが、そういう国有財産を、大きな観点からどう活用すべきかという点が答申に大きく盛られておるわけでございますが、それの点では、公共的なものにこれを使うということが、その答申に強く出た特色でございます。  で、私たちとしましても、国有財産として処分できる対象は非常に少なくなってきております。特に土地は非常に少なくなってまいっておりますので、残されたそういう土地を最も国家的に有効に使うという趣旨から見ますれば、第一に考えなければならないのは、公共的な用途への提供と申しますか、土地を使っていただくということであろうと思います。そういう点では、それは主として公共団体等を通じて活用するということになりますので、勢い、随意契約で当該公共団体に譲与もしくは売り払い等の措置が中心になってまいろうかと思います。したがって、量的な面から申しますれば、依然として随意契約というものがやっぱり大宗をなすということになろうと思いますが、今後もただ安易に随意契約に流れるということではなくて、その財産を国民経済的あるいは国民の福祉という立場からどう利用したらいいかという点を主眼にものを考えて、契約のしかたというものも、それの目的にふさわしいような契約方式というものが、おのずからそこに出てくるというふうに考えるべきである。これは非常に抽象的なことでございますけれども、そういうものの考え方で、その土地の現況に即し処理を考えるということを基本といたしております。初めから、したがって随意契約とか一般競争入札ということが前面に出るのではなくて、その用途を何に使ったらいいかというような点を考えて処理をきめていく、それに伴って処理方式も、従来安易に随意契約で売り払ったという事例がもしあれば、そういう点は今後戒慎して新たにいこうという考え方に立っておるわけでございます。
  106. 二宮文造

    ○二宮文造君 だいぶ前向きで進んでおられるので、今後の経過というものに注目さしていただきたいし、また、総理がよく言いました勇断ということをこの際発揮していただきたい。これはくれぐれもお願いしておきます。  ここで問題になりますのは、国有財産法の中に、地方審議会あるいは中央審議会という売り払いの審議会の性格がきめられておりますけれども、私ども見ておりまして、この審議会が単なる御用機関といいますか、あまり、設置された基本的な性格に従って審議会が活用されてないような感じもいたします。と言いますのは、審議会で承認をされて二年、三年もたって、まだその売買なり、あるいは交換契約が成立しない。そうして、よく事情を聞いてみると、かえ地が問題になるとか、価格が問題になるとかいうことで売買契約が進捗しない。ならば、そういうネックのあるものをそのまま審議会でうのみにして、そうして承認してしまうという姿勢は、私はちょっと合点がいかないわけです。  それで、まずお伺いしたいのは、三十七年、八年、九年、四十年で、しかも、それを関東だけに限って、審議会で承認をされて今日まで売買契約あるいは交換契約が成立しなかった件数は、何件くらいありますか。
  107. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 審議会の議を経ておりながらまだ処理が進まないという事案が相当ございますことは事実でございます。この点につきましては、現在、不動産の関係の処理というものが、なかなか実際問題として、いろいろな点の隘路から、直ちに処理が進むということが困難な場合があります。そういう事例のために、そういう望ましくない事態が起きていることは遺憾に思っております。今後、こういう問題につきましても、処理の進め方に適正を期したいという考え方で現在ございますが、件数について申し上げますと、三十七年度では、審議会の議決を経ました案件が三十五件、そのうち、すでに処理いたしましたものは二十九件、現在手続中のものが五件、それから一件は、結局、議決を経ましたがその間相手方が辞退するというような点がございまして、結局、申請書を返却するという事態になって、議決をした事実がそのまま実施されないという件数が一件ございます。三十八年度につきましては、四十七件のうち三十六件が処理済み、手続中が十件、同じく申請書を返却いたしましたものが一件。それから三十九年度につきましては、四十四件のうち処理したものが二十件、現在手続中のものが二十件、それから申請書を返却いたしましたのが四件。四十年度、これは現在進行中でございますが、現在までに二十一件の議決を経ましたうち、処理済みが四件、手続中のもの十六件、それから申請書を返却いたしましたのが一件ということになっております。
  108. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、審議会に諮問をします事項は、どういうことを諮問されますか。
  109. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 国有財産法では、重要な事項ということになっております。実際にこの審議をいたします際には、私たちが一番まあ重点を置いておりますのは、それをどういう用途に使うか、したがって、だれに売るかということが一番ポイントになります。それが払い下げであるか、譲与であるか、あるいは所管がえであるかというような事項にそれがまたがってまいるわけでございます。この点を中心にして諮問をしている状況でございますが、価格の面につきましても、実は各財務局——関東を除く各財務局では、価格の面も出せる場合には、すなわち、売り払いのときには、価格の、売り払い価格も諮問の案件に加えてございます。関東では、その価格は諮問に書いてございません。売り払いの場合、所管がえの場合等は、台帳価格というので書いてあるものもありますが、関東において価格の面を掲げてない理由は、まあ価格の面につきましては、審議会の委員さんのほうから、価格の評定ということについては、実は自分たちはそれほど専門家じゃないと、むしろ、それは専門家である財務局のほうでおやりになって、だれに処分するか、あるいは、どういう利用方法をはかるかという点を中心にやってもらいたいという希望がありまして、関東財務局では、現在、価格を掲げてない状況でございます。
  110. 二宮文造

    ○二宮文造君 交換契約の場合にですね、その国有地のある部分を、これとこの部分と交換をするということになりますと、やはり交換されるかえ地がどういうものであるか、また、目の子算でそれがどれくらいの価格のものであるかということは、審議会の審議の過程の中で問題になってくるのじゃないのですか。
  111. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 交換の場合には、そういう点がやはり一応、すなわち、交換の規模と申しますか、そういう点が問題になることがございます。そこで一応、この関東財務局では、交換の事案につきましては、一応の価格を付記してございます。それは結局、交換、渡し財産と受け財産の何というか、規模がおよそわかるということのために、しかも、交換は国有財産法によって、交換金額の四分の一以上差があるときには交換はできないという規定になっております。そういうことで、大体の規模が見合うということでないと交換はできませんので、見合う規模というものを見る意味で、一応の価格が出されております。しかし、その価格は、売り払い価格の際に、各財務局が価格を表示して諮問しているような価格ではございませんで、これは各、関東財務局以外が売り払いについて価格をつけております価格というのは、審議会がもし通れば、その価格で契約をする価格そのものずばりでございます。関東財務局で掲げております交換の価格というものは、そういう意味の、一応の規模の目安をつけるという意味のものでございまして、交換を実際に実施する際には、ちょうど売り払いのときに価格をこれから評価いたしますと同様、交換の際も、これから厳密な評価をいたすということに相なるわけでございます。
  112. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、非常に極端な言い分ですが、その土地の環境が変わったがゆえに五割アップするとか、あるいは、ときによれば倍額になるとかいうようなことも考えられるわけですが、そんなに動かないですか。大体概算ではあるけれども、そこを中心に価格が動くというのか、あるいはまた、全然御破算にして白紙の立場で売買契約の際は検討されるから、そういうことも考慮されるということになるのですか、どっちですか。
  113. 松永勇

    政府委員(松永勇君) これは、実際の交換契約をいたします際に、あらためて評価をいたします。いわば白紙——先ほど先生がおっしゃった白紙に戻すと申しますか、白紙の立場で評価をやるというのが、厳格に申しますれば、それが正しゅうございます。ただ、先ほど言ったように、交換の規模がそれで非常に大きく違ってくる。と申しますのは、先ほど申しましたように、四分の一以上金額において差がある場合には、交換は国有財産法上できないことになっております。そういう事態が起こることもあり得ると思います。そういう場合には、あらためて他の物件をやるとか、あるいは追加物件を求めるとかというような話がそれに続くだろうと思います。評価自体は、その交換時においてでございます。したがって、関東財務局の例で申しますと、先ほど申しましたように、審議会には相当古い時期にかかっておって、まだ契約が締結されてないというような事案がございます。こういう事案につきましては、もちろん、その間に物件の価格というものは時価が動いております。特に最近の地価の値上がりが相当多うございますから、そういう動いているそのものにつきまして、当然その交換契約をするその時期における地価というものを評価いたす次第でございます。
  114. 二宮文造

    ○二宮文造君 具体的にお伺いしたいのですが、昭和三十九年の十一月の二十五日、国有財産関東地方審議会で原案どおり決定をされました旧高輪南町御用邸と京浜急行電鉄所有地との交換についてお伺いしたいのですが、いただきました資料を見ておりますと、この土地に対しましては、いただいた資料だけでも、昭和二十七年から三十九年までに、数件にわたって、この売り渡しの希望を述べた申請なり、あるいは陳情なり、そういう形で出ておりますが、その中で特に京浜急行が選ばれて審議会で承認をされるに至った経緯ですね、これを簡単にお願いしたいのですが。
  115. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 高輪の問題につきましては、高輪の御用邸がどういうように国有財産になったかということを簡単に申し上げます。  この高輪御用邸は、明治三十一年に後藤伯爵邸の土地を御用邸として……
  116. 二宮文造

    ○二宮文造君 時間がありませんから、前に大体いままでに審議されておりますからよろしいと思います。競願されて、その中で京浜急行が選ばれたという、その時点から始めていただきたいと思います。
  117. 松永勇

    政府委員(松永勇君) この御用邸を、結局は、国としては御用邸を廃止して他に物件を求めたいという事態にあったわけでございます。たまたま、この高輪という土地が品川の駅前にあって、そこで京浜急行がこの土地を電鉄のまあターミナルビル——ターミナルの地域としてこれを活用したいという考えを持っておったようでございます。二十六年以降、京浜としてしばしば陳情が出ておった状況なんでございます。そこで、この土地が池袋とか、あるいは新宿等の他の東京の地区に比べまして、ああいう土地柄にありながら、品川地区がさびれておると申しますか、御用邸があるために、あの地区がそういう発展を遂げてないということもございましたので、この地区をそういう京浜急行が開発する、ターミナル地域ということにすることは適当であろうというように考えます。  もう一点は、たまたま、国のほうといたしまして、先ほど申しましたように、御用邸を廃止して、これにかわる御用邸を他の地区に求めたいというような実情、特に沼津の御用邸、葉山の御用邸等も、最近のあの地域の状況から、御用邸としてはいろいろ問題が出てまいっております状況で、そういう点を考えておりました際に、そういう話があって、国としても、品川地区の発展から見てけっこうであろうということで、この京浜を選んで交換を行なうというふうに決意いたしまして、審議会にかけた次第でございます。
  118. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま伺っておりますと、葉山の御用邸とか、それからもう一つの御用邸を廃止するのですか。そうして、新たなところへ設ける。そういう意味で、それは宮内庁からの正式の申し入れですか。
  119. 松永勇

    政府委員(松永勇君) これは宮内庁からの正式の公文というわけではございません。しかし、この御用邸を廃止する際に、いろいろ宮内庁方面の御意見を聞いておりまして、特に沼津の問題が、ばい煙の問題から御用邸に適しなくなったという事実はございました。まだ現在これを廃止するというところまでには至っておりませんが、いずれ遠い将来には、そういう時期も来るであろうということは、宮内庁も予測をいたしております。ただ、葉山の問題も、確かに、あの地域が最近のあの葉山地区の状況から、いろいろ御用邸としては必ずしも適していないという事態になっておることは事実でございますが、しかし、この方面は近い将来にこれを廃止するというような事態になることはなかろうというように宮内庁も考えておるようでございます。
  120. 二宮文造

    ○二宮文造君 おたくからいただいた資料を見ますと、むしろ、いま局長が言われた前段のほうに意味があると思うのです。前段のほう、すなわち、京浜急行が品川の駅前を電鉄のターミナルとして施設を設けて、そうして利用したいというところに主眼があるのでして、そこへ御用邸云々というものを事新しくくっつける必要は私はない、こう思います。といいますのは、この内容につきましては、もう御用邸に関する部分は一割強です。一割五分くらいです。八割五分は公務員宿舎の用地にするとか、あるいは空港の用地に買い上げるとかいうふうな意図のもとになされておるわけで、その辺を伏せて、ことさら国民感情を盛り上げていくような御用邸云々という言い分は私はしないほうがよかろう、こう思います。これは意見ですが……。  さて、出された計画の中には、銀行もあれば、国鉄もあれば、あるいは土地会社もある。東京都もある。その中で京浜急行が特に選ばれた。これにも私は多分に問題があろうと思いますが、さて、そのかえ地のほうですが、高輪南町の土地は一万六百六十六坪という、まとまった土地になっております。かえ地として京浜急行が提供しようとするのは、三田四国町が六百七十六坪、あとは羽田の鈴木町が四千四百九十、横浜の老松町が——これも地形を見てみますと、まだ土地造成が、土地が十分に道路もできていないというふうな状況なのが二千三百、非常に分筆されているわけですね。一番いい土地をこういう不便な土地と交換をしなければならないその理由はどこにあるのかと私は思います。その点はどうですか。
  121. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 先ほど御用邸の交換について御説明申し上げましたが、この交換を行なう要素としては、先ほど言った二つ、すなわち、たまたま御用邸がほしい、われわれ、かわりの御用邸の用地がほしいと考えておったところに、京浜としてターミナルをつくるにふさわしい、それを希望しておる、また、地元の発展のためにもそれは非常にいいことであるという考え方でなされたことでございますが、もう一つの要素としては、公務員住宅の用地が東京都内において求めがたくなっておる。公務員全体の関東地区における宿舎の需要というものから見まして、まだ二十数万坪の土地が不足しておるという状況にございますが、その土地もその中に入れるということ。それから、先ほど先生が触れました羽田の飛行場として現に使用しておる、京浜が所有して、それから運輸省が借り上げておるという土地、こういう土地も国の所有に帰したいということ、そういうことのために交換をいたした次第でございます。国がそれぞれの土地を必要とする、国有財産法の二十七条の規定に基づきまして、国の公用の用に供したい、あるいは公共の用に供したいという必要性に基づいてこの交換を実施するということに予定した次第でございます。
  122. 二宮文造

    ○二宮文造君 かえ地を一つ一つ問題にしたいと思うんですがね。いまおっしゃった羽田の鈴木町の土地ですが、これは確かにおっしゃるとおり、現在、国際空港として使っております。運輸省が借り上げておりますが、これは特に京浜ばかりじゃないんです。まだ、ここにちょっと調べたところによりますと、二万六千坪も民有地があるわけです。そして、それぞれの民有地は国に早く買ってもらいたいという交渉をし、中には、国が買ってくれなければもう貸さぬと、契約を拒んでいる人もいるわけです。そうすると、同じ条件で借り上げている中で、特に京浜急行だけこういう形で解決をするということは、私はあとの二万数千坪の所有者に対して変な気分を与える。やはりこれは国が同じような条件で借り上げているんですから、二万六千坪に関する限りは、同じような条件で、同じようなときに解決すべき問題であって、これだけ別に取り上げて解決する方式は好ましくないと思うんです。あとの七社の人がどういう気持ちを持つか。さらに、概算とはおっしゃいますが、その土地を坪十万円と評価しております。大体地上権というものを考えてみますと、地上権の場合は、土地の価格の七割、八割が地上権になるというのが一般の常識なりますが、そうしますと、現在駐車場になっているもとの穴守神社のため池の付近が五十万に評価されるような勘定になるわけですね、概算です。十万円と概算されておりますが、これにプラス地上権を加えますと五十万にもなる。一方、品川のほうを幾らぐらいの概算で見積もっているかと申しますと、品川駅前、第一京浜国道に沿った土地を坪当たり四十万と評価している。この考え方がはたして正しいかどうか。
  123. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 御質問の第一点、すなわち、現在約九名の方からまだ羽田の空港の土地を借り上げているという事実は、運輸省のほうでそのとおりでございます。確かに、将来ともこの空港敷地は国において買収したいという気持ちを運輸省としても持っております。現に二十八年以降、この民有地の買収を継続してまいっておるようでございます。その中から、京浜と交換によって、他の九名よりも先に京浜から買うのはいかがであろうかという御質問でございましたが、この点につきましては、国として予算をとって買収するという場合に、一括その予算がとれれば、それで一括買うということももちろん行なわれるわけでございます。しかし、こういう公共事業につきまして非常に金額も張ることであるし、一括全部の人から買うということがなかなか困難で、国としても逐次買っていくというようなことは、しばしば他においてもとられておる措置でございまして、本件につきましても、二十八年以降、逐次買ってまいっておるような実情でございます。たまたま、この京浜急行につきましては、その土地があり、国も必要とするということで、先ほど言った国有財産法第二十七条によってこれを取得したいという考えに立ったわけでございます。  それから第二点の評価の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、評価は一応の腰だめで審議会に出してあるということを申し上げました。評価は、この交換契約を実施する際に、厳格にまた公正に地価というものを評価するというたてまえになっております。この現在審議会の参考として出した金額が、どの程度の正確さを持つかを私もよく存じませんけれども、意味は、そういう程度の意味しかないものでございます。実際の交換の際には、十分検討して適正な地価を算出したい。もちろん、民間精通者等の意見を聞き、私のほうで新しい評価基準を昨年末出した様式に沿って十分適正にやりたいというふうに考えております。
  124. 二宮文造

    ○二宮文造君 羽田の問題については、具体的な答弁がないのですが、それから次に、横浜の金沢区の泥亀町、これは横浜市と、それから京浜急行が契約をして、土地の造成をやっている、本年の三月の末に大体それが完成をすると、その際に、四万八千坪について京浜急行は約九億の土地代金を支払うというような、横浜市と京浜急行の契約になっておりますが、この高輪南町の御用邸と交換をする面積は二万二千五百坪、約半分に足りません。四割五分くらい。しかも、概算として九億という金額を書き込んでおります。そうしますと、これはしろうとの考えですが、京浜急行は横浜市から四万八千坪を九億円で手に入れて、そのうち二万二千五百坪を九億円として交換財産として出すという不当な利得を得るような感じが、この契約の中からは出てくるのですが、これはどうします。
  125. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 評価の基本の考え方は、先ほど申し上げたとおりでございます。国のほうで出しておるこの数字が最終のものというよりは、まだ実は評価は何もやっていないというにひとしい状況でございます。契約段階に入るには、まだまだいろいろな点が確定いたしておりませんので、もし契約をするとすれば、これから評価にかかるのだという点は、先ほど来申し上げましたので省略いたします。  本件につきましては、横浜市が、横浜市の所有であるところの泥亀の土地——これは非常にハス田であって湿地であったそうでありますが、その土地を、水につかって、都市計画としても非常に困っておるような土地、それを京浜急行に渡して、京浜急行がそれを造成して、造成の費用は京浜急行が大部分を持ち、そのほかに道路とか護岸というような点については、若干公共団体が持つという点があるようでございますが、そういうことによってでき上がった土地四万八千坪を京浜に渡すという契約になっておるようであります。なお、この契約は、当初三十五年に横浜市と京浜との間回で契約されておるようでありますが、その後、二の変更がございまして、一番新しいところでは、四十年の三月一日に、いま先生が申しておられた八億九千万ばかりの金を京浜が負担する。これはこんな金額が——当初は五億程度でございましたが、上がってまいったというのは、工事費がだんだん上がってきている、こういう工事費を全部持つというたてまえになっておりますので、工事費がこんなにふくらんできた結果であろうと思います。確かに、この面から見ますと、この工事費総額でこの土地ができ上がり、そして、四万八千坪が京浜の土地に入手できるということになると、まあ私たちが見たところでは、京浜は相当これは安く手に入れることができたと、これは埋め立て造成という工事を伴うことであるにしろ、そういう結果になるというふうに思います。ただ、この工事は相当長期にわたって工事が行なわれておりますので、その間の危険負担もあったでしょうし、土地の値上がりという点もあったわけでございます。私たちは、いずれにしろ評価を、交換契約をいたします際には、そのときにおける適正な地価というものを民間精通者の意見もいれまして、適正な地価をはじいて交換をするというたてまえで、その点は厳正に行ないたいということでございます。
  126. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、私はまた地方審議会の権威という問題を、戻ってお伺いしなきゃならぬのです。評価はそのときに、契約をするときにし直すんだと、こういうようにおっしゃりながら、いま言った概算価格を入れたものを見せているわけです。また、坪数については、交換財産は一万六百六十六坪五合八とか、あるいは立木は六百九十五本とか、建物は何坪とか、工作物は一式とか、こういう具体的なものになっておりますし、受ける財産のほうも〇・一坪とか、八合とか、〇・七坪まで入っているわけです。したがって、これだけのものを受けて、この土地と交換しますと言っておきながら、さて契約のその際には評価はあらためてすると、具体的な疑問点を突き上げますと、正式に契約をするときにはちゃんと評価をするんだから御安心をと言われるんですが、じゃ、もう全然審議会にかけたことと内容が変わるような契約にならざるを得ないと思うんですがね。それじゃ、審議会というものは、一体その権威はどうなるんですか。
  127. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 先ほど申しましたように、審議会で私たちが審議会の委員さん、練達の士の御意見を聞きたいという一番の中心は、国有財産を何に使ったらいいか、どういう目的にこれを活用したらいいかという点が第一である。そのことは一番重要視されるところでございます。坪数につきまして、いまのように売り払いいたします際の坪数というものは、これは比較的確定いたします。交換につきましても、私のほうから渡そうという財産は、これは確定いたします。しかし、受けるほうにつきましては、先ほど申し上げておりますように、国有財産法では二五%以上の開差があった場合には、これは交換は実現できません、法律上。そこで、おおむね二五%の範囲になっているかどうか、受け財産ということの目安をつけるために掲げておるのでございます。実交換の際に、そういう二五%の線を割るということになれば、交換をやめるということにするか、他に国有財産、国有の必要な土地、国として必要な土地を受ける必要があるかどうかというので、追加のものがあればそれも合算いたしまして、二五%の範囲内に入った場合には、交換をするということが行なわれるわけでございます。その点、交換というものが、すべて金額、数量を確定しないで審議会の議案に提出しなければならないような事態のもとでは、自後の状況によってそういう変更をすることはやむを得ない。もし、それが変わりますれば、さらに審議会にもう一度はかるということもいたすことがございます。いずれにしろ、それで審議会の権威がくずれるというものではないというふうに考えます。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは相当前から問題になっておりました土地ですからね。京浜急行としても、有利に入手したいというので、相当画策をしている事実はあるわけです。で、先ほど局長は、下田のほうへ京浜急行が持っているから——そららのほうが御用邸としてたまたまほしいと日ごろ考えていたところへ、たまたま京浜急行が持っているので、交換をするというふうな考え方に固まったという説明ですがね。いただいた資料によりますと、この下田の土地に、三十七年の四月から京浜急行が精力的に買い集めておりますね。もう無数にその地主がおりますが、三十七年の四月から四十年の十二月まで、下田町を含んで精力的に買い集めております。したがって、事前にもう京浜急行に売り渡される——交換されるという打ち合わせが済んで、そうして審議会にかけられたという形跡があるわけです。私はその点を非常に心配するんです。たとえば下田の山林をここで坪概算五千円と出しております。山ですよ、海岸の、町からはずれた。それを坪五千円と評価しているわけです。あとでお伺いしたいと思っておりますあの手賀沼ですね、我孫子町の農地でさえも千二百円——東京にはもっと近いです。農地でさえも坪千二百円で最近も取引されているにもかかわらず、いやしくも概算とはいいながら、こうやって大蔵省が資料として提出されるその金額に、山林を五千円と計上してくるような、こういう交換契約の進め方自体に、私は問題があると思うのですがね。これは一度、時点を白紙に戻して、世論が納得するようた形でですね、この高輪南町の御用邸の問題については考慮されたらいかがかと思いますがね。資料を一つ一つ見さしていただいて、どれ一つとして納得できるものはないです。どんな背後に政治的なかけ引きがあったのかもしれませんけれども、国有財産がいまもう世論の注目するところとなっている現時点で、あえて過去に審議会で承認されたからという経緯でこれを強行されますと、大きな問題になってくると思うんです、総額四十億と評価されておりますから。ひとつ、どうしてこういう概算をしたかという説明をしていただけませんか。
  129. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 概算の問題につきましては、先ほど来しばしば申し上げましたように、この数字は、かりに向こうがこれだけ金をかけて買ったんだという数字がございましても、私たちは、そういう数字はとりません。現実に契約をする際には、国が適正だと思う価格でないとこれはとりません。従来も交換をいたしました際には、しばしばそういう事態が起きております。相手方が、どこそこから買った値段は幾らであったから、その値段を認めてくれというようなことは、相手方がしばしば申し出てまいりますけれども、国は国として評価のやり方をいたします。その評価で妥当だと思う金額で契約をするというたてまえをとっております。そうしなければその契約は成立させないというのがたてまえでございます。この概算が約四十億ばかり高輪の御用邸を見込んでおりますが、これは先ほど言ったように、一応の見通し、一応の価格ということで参考に審議会に掲げたものでございまして、民間精通者の意見等をとって、最終的に国が売り払うというような価格で調査したものではございません。これは、審議会を通って契約をいたします際には、どうしても時間的に相当後になります。その時期に評価を適正にいたさないと、いま不動産は相当値上がりをいたしております。いわゆる時期の違いによって適正な価格でなくなってくるということでございます。交換をいたします際に適正な価格を出す。ここでは、先ほど言ったような意味で、ごくラフは一応の目安をつけたというもので、これにこだわったり、相手方が幾らで買ったからこれで買う、国が交換の価格とするというようなことはいたさないことになっております。絶対にいたさないつもりでございます。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 答弁がまたずれてくるんですがね。これは出したんでしょう、審議会に。
  131. 立川宗正

    説明員(立川宗正君) 金額につきましては、審議会に付議いたしました中には、渡し財産、つまり、高輪の土地でございますが、これは台帳価格だけが載っております。それから受け財産、国が受ける財産につきましては、坪数だけ載っております。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 審議会というのは、そんなあれですか、高輪の土地が台帳価格だけ示されて、そして今度は受ける土地は、土地の地名と坪数だけが示されて、そして、これで交換契約をしたいがよろしいかと、じゃ異議なしと、こんなきめ方をする審議会ですか。
  133. 松永勇

    政府委員(松永勇君) それは、先ほど一番最初に二宮先生から御質問がありましたように、審議会というものはどういうことを諮問しているかというお話ございまして、その際にお答えいたしましたように、要するに、国有財産——国民の財産をどのように活用することが一番妥当かという点が一番ポイントになります。で、価格の面につきましては、担当の国有財産審議会の委員さんは特に審議会の席上で  従来、この関東も最初は金額を出した時代がございます。それに対して、価格の評定については、自分たちは判断できないから、それはそちらでやってもらいたい。財産をどう処分するか、だれに、どういうふうに使うかということが一番ポイントで、それについての諮問、特に東京近郊のこの土地というものは、国有の土地がそういう意味で一番重要なことでございます。審議会にはその点をおはかりするということで、金額につきましては、この交換の場合も参考ということになっております。以上であります。
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、これは事務当局の概算ですか。
  135. 松永勇

    政府委員(松永勇君) いま私ちょっと担当課長から聞きましたら、実は、予算要求をいたす際に事務当局で一応の目安をつけたという評価だそうでございます。したがって、この金額四十億とかいうふうに出ておりますのは、そういう程度の一応の試算と申しますか、の金額でございます。
  136. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、たとえば品川の土地を坪当たり四十万と評価して、しかし、それが二割五分も今度は評価額が変わってくると、この承認されたこと自体が御破算なんですか。白紙になるのですか。
  137. 松永勇

    政府委員(松永勇君) もし、これで実際に評価をいたしまして、開差が二五%以上ということになりますと、国有財産法上交換ができないということになります。そういう事態のもとでどうするかということは、再び国有財産審議会に再提出して、追加の交換物件も掲上して再審議を受けるかということは、そういうことの事態のもとでまた判断をし検討するということになろうかと思います。
  138. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、承認をした段階においては、これとこれとで交換してよろしいという考えで、今度は二五%の開差ができるということは、審議会は全然責任ないじゃありませんか、最初から金額は当たってないのですから。二五%以上の差ができたら再び審議会にかけなければならぬというのは、どういうわけですか。最初から金額に関係ないじゃありませんか。
  139. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 審議会にかけてございますのは、渡し財産がどれどれ、受け財産がどれどれということでかけてあるわけでございます。すなわち、国有財産法等の法令上はこれで交換ができるということでかけているわけでございます。審議会としても、そのように了解していただいていると思っております。ところが、それが評価の結果、二五%をこえたという場合には、そのとおりで実施するわけには法律上まいらない。そこで、さらに追加するという場合には、当然審議会におはかりすべきであろうというふうに考えております。
  140. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは私の想像ですからね、推測ですから誤りがあるかもわかりませんが、私がかりに審議会の委員であったら、一体、これこれの財産が交換されたときは、等価交換なのか、あるいは差額を取るのか、あるいは国が差額を納めるのか、大体総額としてはどのくらいの金額なのだということは、委員としてどうしても自分の職責を忠実に果たしていこうとすれば、どうしても必要だろうと思うのです。おそらくそういう議論が、審議会の中で私は議論があったと思うのです。それが知りたいので、当時の審議会の記録を出していただきたい、こうお願いをしたら、会長の承認を得なければ出せないということで、今日まで資料はいただけないわけです。ですから、全然金額の点に触れないで、この坪数とこの坪数と交換したい、申請者は交換したらこの土地をこういうふうに利用したいと言っている、委員の皆さんよろしいかと、こんな子供だましのような審議会の運営は私ないと思うのですがね、常識考えてもそうですよ。もっと審議会の中身のことについて、私が納得のできるように説明していただけませんか。審議会では全然金額は問題になりませんか、差額のことについても問題になりませんか、その点どうですか。
  141. 松永勇

    政府委員(松永勇君) その金額は幾らであるのだとか、あるいは差額は国のほうで取るのであるかとか、そういうような質問とかいうものは全然出ておりません。先ほど申し上げましたように、一番重要なことは、本件につきましては、京浜と交換をするということが問題である。それから、その京浜が受けた土地は何に使うのか、それから国は何を目的で財産を受けるのか、そういう点、それからお手元にその審議会の経過の概要がございますように、東京都のほうから、あの品川の駅前の土地というものが持つ都市計画的な意義についてのいろいろな意見が述べられたということは、お手元に配ってあるのであります。
  142. 二宮文造

    ○二宮文造君 手元にいただいたその審議会の経過は、お目にかけましょうか、これだけですよ。こういう薄い用紙に一枚、これが審議経過として出していただいたものですよ。で、結論として私がずっといま疑問点をあげましたが、もう一度それを整理して申し上げますと、あくまでも私は、この概算価格というものが、そのときに正しく評価されるのだというたびたび重ねての答弁ですけれども、ある程度の拘束力は持っている、もし当委員会なりで指摘を受けなければ、審議会は通ってしまっているのですし、随契ですし、おそらくこういう形で進められたんじゃないかとさえ心配します。ですから、あくまでもこれは概算であって、世論が納得するような高輪南町の単価をまず作定すべきである。  さらに、羽田鈴木町の四千四百九十坪については、これは同じような条件でほかにも国と係争中の人がいるわけですから、こういう場合の交換財産として受け取るということは片手落ちになる。それらを含めて同じような条件で解決すべき問題で、当然交換財産の中からはこれは除外すべきである、概算金額として五億も見込んでおりますから。  それから金沢の泥亀町の問題にしても、京浜急行は九億円で四万八千坪を確かに入手する契約になっているわけですから、これを九億と見込むならば、ここにやはり交換財産としては四万八千坪があがってくべきである。そんな四十一年の、本年の三月三十一日に竣工するその土地について、しかも、それが三十五年からかりに仕事にかかったとしても、倍にも登記をさせるという交換財産の受け方は私は疑問を残す。それから国有財産法によりますと、皇室用財産を新たに取得するときには、国会の承認がなければならぬ、厳然と国有財産法の規定になっております。交換契約をするときに、いきなり国会へ承認を求めるというようなやり方ではなくて、そんな世論を妙な意味で刺激するようなやり方はやめて、この際交換財産に下田は加えるべきでない。こういうふうなちょっと見渡したところ、私の心配な点が出てまいっておりますので、今後おそらくこれが正式契約に進められると思いますが、当委員会で指摘を受けたという時点に立って、納得のいくような取り計らい方をやっていただきたいと思う。よろしいですか。
  143. 松永勇

    政府委員(松永勇君) いま四点にわたって御質疑がございました。おおむね私が述べたところで尽きているというふうに考えておりますが、最後の、皇室用財産を取得する際には、国会の承認を要するということは、国有財産法十三条に規定がございます。この事案は、今後交換をすることが進みました場合は、当然国会に対して、皇室用財産の取得に関する承認事案を提出する考えでございます。その国会の御承認がなければ、交換契約はできないということは当然でございます。現在下田で検討いたしておりますこの地区も、皇室用財産として必要であるというふうに行政部内で決定いたしました場合は、国会に承認事案を出す予定でございます。なお、もちろんこの委員会においていろいろと御指摘があった点、私どももまだ契約をいたしておるわけではございません。今後契約をする事態になろうかと思いますが、その際には十分そういう点についての配慮をいたしますし、踏むべき手続は踏んで、そういう事態に契約をいたしたいというふうに考えております。
  144. 二宮文造

    ○二宮文造君 その際もう一つ私心配な点は、いわば、この審議会で承認を得るまでに、京浜急行がいろいろな経費も使っているようなうわさも聞いておりますが、そういうことは一切既得権益として認めない。これは行政の姿勢を正す意味で、ぜひとも必要であると思います。過去の経緯がこうであったから、京浜急行に優先権を認める、既得権益を認める、既得権益を認めるがゆえに、評価においては、こういうような条件をつけなければならぬということは一切ないでしょうね。
  145. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 契約というのは、もう当然こういう契約は自由な意思のもとにおける契約でございます。評価につきましては、先ほど来申し上げておりますように、私たちは確信を持って国会に答弁できる評価額というものをもって契約をするというのは当然でございます。今後この評価に入ります際、そのものに即して、それが一般にプリベールする時価というものを確実に調査いたして、その価格でもって、交換をいたしたいというふうに考えております。
  146. 二宮文造

    ○二宮文造君 現在の時点で正式契約ができるような段階にもうなっておると思うのですが、見通しとしては、いつごろ正式契約をする考えですか、事務当局としては。
  147. 松永勇

    政府委員(松永勇君) まだ事務的にいつごろということははっきり申し上げられないと思います。と申しますのは、実は私のほうで評価もいたしておりません。評価をして、これが先ほど言った国有財産法の二十七条に規定する二五%の範囲に入るのか入らないのかということは、評価をやってみてからでないと正確に言えないというのが第一点。  それから第二点は、皇室用の財産の取得につきましては、国会の承認を必要とするということで、もしこれをやるといたしましても、これから国会の承認事案を提出するということでございます。その事案が国会の承認を得てからでないと契約できないわけでございます。したがいまして、いまの時点でいつというような点は、相当予測がむずかしい状況であります。
  148. 二宮文造

    ○二宮文造君 せっかく当局のほうでも御苦労されて、姿勢が非常に正されてきて、国民のほうでも国有財産の管理とか、あるいは売り払いという問題について、やっと目鼻を開いたところなんですね。ですから、今後再びまた国民の中で、そういうふうな疑点を生ぜしめないようなやり方を、現在の姿勢のままでやっていただくことを要望しておきます。たいへん御苦労さまでした。
  149. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 以上の御質問に対して、政務次官の御決意をひとつ伺いたい。
  150. 竹中恒夫

    政府委員(竹中恒夫君) ただいまの二宮先生の御趣旨十分体しまして、行政処理上誤りなきを期したいと思います。
  151. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 本件に関しては、この程度にとどめまして、次の質問に移りたいと思います。  次に、手賀沼の問題並びに浦安地先の埋め立ての問題、ともに公有水面埋め立ての問題ですが、だいぶ時間がたってきましたので、……。前々国会の予算委員会で、ちょっと問題を出したのですが、手賀沼の問題です。これは、経緯はすでに明らかになっておりますが、要するに、ここに二つの問題があります。  その一つは、千葉県が、現在の開発公社として遊園地をつくる。そういう大義名分で、農林大臣の転用許可を受けた。約二万一千坪。ところが、転用許可を受けて、その後の経緯というものは、遊園地はつくらない。伝え聞くところによると、会社としてはそれを住宅用地に売り払いたい、こういう内意を漏らしているようです。この問題が第一点。  それからもう一つは、二口に分かれておりますが、手賀沼の公有水面の免許をとるに際して、ともに遊園地をつくる、ドリームランド式の遊園地をつくる、地元民に非常に期待をされた中で発足をした埋め立てですが、それができ上がってみると、地盤が軟弱であると称して、これまた住宅用地として売り払いたい内意を持っている、こういう疑問点が現在の状況です。  まず、お伺いしたいことは、この二万一千坪の農地転用許可の経緯を、農林省のほうからお話し願いたい。
  152. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) お答え申し上げます。昨年の八月の十日でございますか、参議院の予算委員会で、ただいま御指摘の問題がございまして、私ども、その後十分調査をいたしたわけでございます。御指摘の農地は、財団法人千葉県開発公社から、千葉県我孫子町我孫子新田に観光遊園施設をつくるという目的で農地法五条の許可申請がありまして、昭和三十六年の五月に農地二万一千余坪の転用を許可いたしているわけでございます。そして、その後の調査によりますと、この土地は、後に砂土をもって土盛りをされまして用途変更になりまして、登記簿上雑種地に変更し、三十七年の十一月に、千葉県の開発公社から全日本観光開発株式会社へ所有権が譲渡されております。申請目的である観光遊園施設ができないままの状態で現在推移して、はなはだ無念に思っておる次第でございます。昨年の八月に予算委員会で御指摘がございましてから、実は千葉県知事をはじめ千葉県庁と何回かお話をいたしまして、私どもといたしましては、農地転用許可の目的、すなわち遊園地あるいはレクリエーション施設にすることが一番望ましいわけでございますから、そういうことで御指導を願いたいということをたびたび申し上げているわけでございます。現在のところ、この所有権者でありますところの全日本観光株式会社の財務面の問題があるようでございまして、なかなか私ども考えておりますように、この問題の処置が進まないことはたいへん遺憾に存じておりますけれども、千葉県といたしましても、千葉県知事も、できるだけ当初の目的に従って使われることが望ましいから、なお一段の話し合いを進めたいので、もう少し待ってほしいということを申しておりますので、私ども、できるだけ早い機会に、この問題の決着がつきますことを祈って、しばらく事態を、千葉県の努力を見守っている状態でございます。
  153. 二宮文造

    ○二宮文造君 あらましの説明があったわけですが、実態を申し上げますと、千葉県開発公社というのは、この農地の買収にはタッチしておりません。すなわち予算措置は全然ありません。買収をしたのは全日本観光株式会社が個々に買収をしております。したがって、千葉県開発公社というのは、当初から遊園地をつくる予算措置もないし、考え方もない。ただ単に名義を貸しただけです。これは千葉県当局が認めております。ただ手続として、一たん公社の所有に移し、そしてその全日本観光株式会社に売り渡したような形はとっておりますが、こういう場合明らかに転用許可を出すにあたって農林省を欺瞞するようなやり方で申請をしてくることがはたしていいものかどうか。また、その時点がわかって、農地法によれば転用許可を取り消すということになっておるにもかかわらず、じんぜんと時を延ばして今日に至るまで千葉県の出方を待っているというような態度、これはよろしいでしょうか。
  154. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 千葉県の開発公社が名義上のものではないかという御指摘が昨年の予算委員会でございまして、私ども、当時の模様をよく調査いたしたわけでございます。で、農地の許可は、御承知と思いますけれども、五千坪以上は、農林大臣の権限になっておりまして、それを農地事務局長が専決処分をいたす内部規定になっておるわけでございますが、農地事務局あての当時の許可申請の文書を詳細に調査いたしましたところ、千葉県の開発公社からの申請書に別に遺漏はございませんし、千葉県知事からの副申もございますし、また、千葉県開発公社が遊園地ないしはリクリエーション施設をつくるということを前提として、当時の土地改良課なり、我孫子町なり、あるいは手賀沼の漁業協同組合関係から転用について異議のないむねの念書も入っておりますし、当時の模様といたしましては、千葉県開発公社が遊園地あるいはリクリエーションの施設を造成するというふうに東京農地事務局では判断をいたしたと思います。私も、予算委員会で御指摘がありましたことでありますから、実は当時の農地事務局の関係者に当たりましたところ、全部農地事務局のその仕事からは離れておりますけれども、千葉県の開発公社がやるものと判断をして、転用の許可をしたということを皆さん一様に言われておるわけでございます。その後事実問題として、どうやら御指摘のように、全日本観光株式会社が事実上の仕事をしたことは事実であるわけでございます。それで私ども、しかし、土地の農民からの取得、それから登記は千葉県の開発公社がやって、後になって全日本観光株式会社に所有権を移しておる経過もございますし、農地法上の許可の取り消しをしてはどうかという御意見も、私どもよく検討をいたしましたけれども、現在の農地法のシステムによりますと、所有権の移転の許可を取り消しますと、所有権の移転は法律上無効になりますけれども、農地法上原状回復についての農林省あるいは農林大臣の権限はございませんし、また、登記を元に戻す規定もございませんし、私ども、いま私たちとしてやるべきことは、許可の取り消しという非常手段を用いるよりも、できるだけ関係者を説得して、転用許可の目的に沿うような形で土地が有効に利用されることをやはり根気強く指導することが一番よろしいのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  155. 二宮文造

    ○二宮文造君 非常に問題なんですよ。一般論としてお伺いしますがね、私どもも農地を買ったことがあります。こんな何万坪という土地じゃありませんが、地元の市町村の農地委員会一転用許可の申請をします。そうしますと、二カ月ないし三カ月、転用の許可が来るまで、もうその農地は絶対動かしちゃならない、手も触れてはならない、土盛りもしてはならない、もしもそれをやりますと、あとできつい罰則の適用を受けるわけです。いま局長さんが答弁なすった、その手続としてはそういう形をとったけれども、事実問題として、それはただ単に手続だけであるということが判明してですよ、判明したあと農林省の態度が、手続のとおりにやっていただくことを待っているとか、でき得ればそういう所期の目的に使ってもらいたいとか、そういうことを千葉県に申し入れているというだけでは、法をくぐった人が得をする。まともに法と取っ組んでいる人が損をするというような状態になる。法律を厳正に運用する行政当局がとる態度としては、非常に何かこう手ぬるいような感じがするのですがね。一般庶民に対しては、罰則の適用が直ちにくる。この全日本観光株式会社なり、あるいはその計画に参画した千葉県開発公社の責任者、それらに対して、なぜもっと強硬に、罰則の適用をするぞという態度でもって事態の解決をはかろうとしないのか。そこに巷間——いやだいじょうぶなんだ、ああやって時をかしておけばこの問題は消えるのだ、そういう政治工作は終わっているのだというふうな、ありもしない疑惑の目が向けられるわけです。私は、もっと農地局として厳正なる態度を望むわけですがね。いかがですか。
  156. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農地法上農地の壊廃は厳重に統制いたしておることは事実でございます。で、御指摘で、もちろん農業委員会に申請を出して、相当時間がかかっておるというお話でございますが、私ども、統制を厳重に施行すると同時に、できるだけ皆さんに御迷惑をかけないように、最初のうちは、農業委員会が握りつぶしてなかなか意見を出さないということがございました。そのために転用事務が非常におくれたという非難があったわけでございますけれども、省令で、農業委員会が意見を出さない場合は、四十日たてば農業委員会の意見がなくても知事が動き出せるようなことに改正いたした経過もございます。したがって、できるだけ厳正かつ迅速にということでやっておるわけでございます。  それで、まあ農地の転用の許可を受けて、その転用する目的に従わないでいる場合というのは、実は法律上なかなか取り扱いのむずかしい問題でございまして、あるいは私の誤解かもわかりませんけれども、このケースで非常に甘く、他のケースで辛いのではないかという御趣旨のお話がございましたけれども、農地法上の許可の取り消しをいたしましても、先ほど申し上げましたように、原状回復の問題もあるし、登記法上の問題もございますので、一般に五条の許可を取り消すというふうには、私ども法律を動かさないで、むしろできるだけ根気よく転用の目的に従って土地を利用するようにという指導を各方面でやっておるわけでございます。したがいまして、御指摘の点について甘く、その他の点で辛くということは、この転用許可に関連しては、ございません。
  157. 二宮文造

    ○二宮文造君 では、あとと関連してお伺いしていきますが、建設省のほうにお伺いいたしますが、公有水面の埋め立てについて、その免許の取り扱い方の一般論をちょっとお伺いしたいのですがね。
  158. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) お答えいたします。公有水面の一般の事務取り扱いにつきましては、指定河川の河口におけるものにつきましては、これは別途指定河川を定めてありますが、そういう河口につきましては、治水上あるいは公共の問題とも関連しまして、建設大臣が認可することになっております。その他、それ以外の個所につきましては、十五万坪以上につきましては、建設大臣が認可する、それから、それ以下の土地につきましては、知事が認可するようになっております。
  159. 二宮文造

    ○二宮文造君 その場合、知事が認可する分に該当するのが、この手賀沼の水面なんです。当初はモーターボートの競艇場というのですか、それをつくりたいということで安美湖リクリエーション株式会社というものを設立した。さらに、それが名称を変更して千葉観光株式会社になって、千葉観光株式会社が一万二千坪の申請をした。ところが、競艇場が御破算になりまして——運輸省や通産省の認可がとれない。今度は目的変更をして遊園地にする、映画の撮影所をつくるというようなことで、一万二千坪を許可を受けた。さらに、その事業に着手しないうちに、全日本観光株式会社というのが設立されて、そしてその千葉観光から権利譲渡があった。で、全日本観光株式会社は、前記の一万二千坪に加えて五万七千坪、合計約七万坪ですが、その埋め立てを開始した。それは遊園地をつくるということだったのです。ところが、でき上がってみると、その目的がいま変更されようとしているのです。こういう場合に、国として千葉県なり、そういう認可を与えた県知事なりに行政指導をする方法はありますか。
  160. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 詳しい点は河川局長から補足さしていただきたいと思いますが、運用の原則の問題でございますので、私からお答えさしていただきます。  公有水面埋立法——これは国有財産である水面を埋め立てるわけでございますから、当然に公有水面埋立法の趣旨に即したものでなければなりませんし、そういう立場からこれを認可をしておる、こういうことでございます。いま御指摘のございます手賀沼の案件に関しましては、遊園地の建設を目的にして、その点は地元の我孫子市その他が議会等でも賛意を表してやってまいったようでございますので、当然にそういう埋め立て目的のために埋め立てがなされておる、また、そのことの可否を判断して埋め立ての認可をした、こういうふうに考えられるのであります。ところが、いまお話がございましたように、当初の目的でございまする遊園地がほかのほうに転用されるというふうな動きがあるということに対して、どういう知事に対する監督指導をするかという御質問でございますが、この案件に関しまして、以前にも御質問等が当委員会でございまして、私たちのほうとしましては、従来申し上げましたように、当初の目的に違った形でそれが使用されることは、本来の運用上おもしろくないものという判断で、直ちに千葉県の知事に対しまして、本来の目的のために使用せられるような行政指導を強力にやっていくように実は連絡をいたしたわけでございます。その後、千葉県のほうからも連絡がございまして、いろいろと努力をしておる中間報告がございました。しかし、この問題は、私たちのほうとしましては、単に手賀沼だけの問題ではないというふうに感じましたので、この埋め立て権を許可いたしまする場合の運用上の心がまえというものを、実は通牒の形で各府県に出した、こういうような経過でございます。また、知事に対しまする指導監督と申しますか、本件に関します監督指導は、そういう形で現在までやっておる、こういうのが実情でございます。  いずれ、もう少し補足することがございましたら……。
  161. 二宮文造

    ○二宮文造君 私現地へ行ってきました。農林省の方は見ておいていただきたいのですが、ここが手賀沼、水面です、こっちのほうがですね。それからこれが買収した農地です。それからこれが埋め立て地です。大体これぐらいの感じになりますが、長さはもっと長くなりますけれども、こうなっておりますが、この部面に幅員十四メーターの県道バイパス、これを現在造成中です。当初の全日観の計画は、ここへ遊園地をつくる、ドリームランド式のものをつくる、しかも、現在はここへバイパスができておる。さてこのバイパスが、街路が決定した、路線が決定したのはいつか。三十六年の六月に県はもう線まで入れているんです。ドリームランド式のまん中にバイパスが通る、こんなばかげたことはないわけです。そうしますと、埋め立て申請の当初から、これはもう着手の当初からこの地点にはバイパスが通るということは県にきまっておるわけです。そうして農地を買っているわけです。遊園地をつくるなどというのは名目であって、こちらにはりっぱなもう散歩道ができております、幅員五メーターくらいの。桜の木を植えております。ここにりっぱな道を沼沿いにつくっております。ここにバイパスがあります。かっこうな住宅地なんです。したがって、全日観が遊園地をつくる、しかも、それで我孫子の町議会に諮問をして、町民をあげて賛成をしている。その裏にはこういうふうな画策があった。この時点をどうとらえますか。それで農民が騒ぎまして、全日観のほうは、最初坪千幾らで買っておったんですが、さらに千円見舞い金として追加してだまらしました。こういう事態で、公有水面というのは読んで字のように公のものですし、もっと具体的に言いますと、国民のものですし、それが一部のその地方行政に精通した人が、こういうようなやり方で私企業に土地を造成させる、住宅地を造成させるというやり方は好ましくない。これは現時点で、これを何らかの形で、国民が不当な損をしないように国として行政指導する必要があると思うんですがね。この付近の現在の地価は、農地を宅地に転用しますと、大体坪二万円から三万円、この農民はつい三、四年前に売り渡したわけですが、現在で大体平均の二万三千円ぐらいになっております。そうしますと——もっとも県が約四千坪ほど道路用地として買い上げておりますから——それにしても、一万五千坪はぬれ手でアワという形になります。こちらのほうは地盤が軟弱です。だから、もう一メーターほど土盛りをしないと、住宅地としても転用できない。これは、私、地質検査をしたわけでないので、町当局の説明を受けただけで、そのことをそのまま申し上げるわけですが、それにしても、この土地も手賀沼のほとりのほんとうに風光明媚なところです、水はよごれていますが。こういうふうな時点をどう指導されますか。このまま、これは県知事の認可の段階だから、建設省としてはどうしようもないという考え方ですか。
  162. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) いま御指摘の問題は、公有水面埋め立ての問題から見た問題が一つあると思いますが、同時に、少し立場を変えてみますと、住宅の問題というのが一つあると思います。私は、公有水面の埋め立ての運用の問題から申しますと、埋め立て目的に反してそれ以外に使用されるということは、これは適当なものじゃないので、これを是正する必要がある。それから、これはあるいは言わずもがなのことかと思いますが、住宅の問題は、これは住宅の問題として非常に重要であろうと思いますが、本案件に関しましては、これは公有水面埋め立ての運用の問題でございますので、その目的以外に使われていることは、これは行政庁として非常におかしい問題だと思うのでございます。これは県知事に対しまして、厳重に本来の目的に使用するようにいたさなければならぬと思います。ただ、状況が非常に変化してどうだと先ほど御指摘がございましたが、非常に水面が汚水化して、本来の遊園地化する状況が変化したということがあるいはあるのかもしれません。それはそれとして別個の判定であろうと思います。現在のところでは、本来の公有水面埋め立ての目的のために使わせるべきものである。そういうこと寸県知事のほうに指導するように私たちは希望申し上げ、期待をいたしております。で、そのあとで、知事が行政運用の上でこういうことだということは、いずれまた私たちのほうにも連絡があるものと思いますので、現在のところは、知事さんのほうでは公共用地に使う、また、かりにいま御指摘のように宅地というふうに使うか、その他に使うかということは別にしましても、要するに、それで不当な利得を得るというようなことがあり得ちゃいかぬという態度で指導しておる、こういう連絡を受けておるのが現状でございます。
  163. 二宮文造

    ○二宮文造君 このバイパスですね、これは国の補助事業ですよ。そうしてドリームランド式の遊園地をつくる、こういう申請でできているものが、ここへ、遊園地のまんまん中ヘバイパスが通る、しかも、それは国の補助事業なんです。そういう路線を入れて、ドリームランド式なものがここへできますか。
  164. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) これは私も、いまここで、そういうバイパスがどういう経過でできたかということを、実はうっかり一まだ調べておりませんので、明確な御返事ができかねてたいへん申しわけないと思います。道路関係のところに照会をいたしてからでないと、はっきりしたことは申し上げかねるのです。がしかし、道路をつけるほうは、また一応別個の目的でつけることだと思います。具体的なその案件として判断をしませんというと、道路の問題と遊園地の問題とが、道路が入ったから遊園地ということができないと——これはもっと具体的な問題であろうと思いますので、一般論としていまここでお答えするのには不適当かと思いますが、いずれ道路のほうの状況を私たちのほうでも照会をいたしてからでないと、明確な御返事はいたしかねると、かように考えるわけであります。
  165. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは当初からかっこうの住宅地なんです。これは予定の線なんです。といいますのは、全日本観光株式会社は、当初は安井誠一郎氏やその他入っておりました。ところが、社長が代がわりしまして、そして、具体的に仕事を始めたのは、現在の社長のときから仕事を始めておるわけです。当初の埋め立て許可をとったその時点と、具体的に事業に着手した時点との会社考え方は、もう変わっているわけです。というのは、その会社は、ここにバイパスが入るという路線を——これは三十六年の六月十二日にきまっているわけですから、承知の上でかかっているわけです。したがって、こういうふうなやり方をそのまま黙認するということは好ましくない。何らかの強い措置をとっていただきたい。また、農林省としても、その転用許可の段階において、いわばごまかされたわけです。大きな汚点だと思うのです。農林省の権威に関する問題であろうと思う。そういう事情了解の上で、この問題を一般で納得できるようなやり方にかえてもらいたい。指導してもらいたいと思います。  それから、関連して特に要望しておきたいことですが、私も行ってあの水面を見ました。ところがその付近にずっと住宅ができまして、いわゆる都市下水といいますか、あれが自然にもう沼の中に入ってきているわけです。関係九カ町村が非常に困っている。したがって、これは地元の市町村ではどうすることもできない。やがて隅田川のいっときのように、自然公園地域として指定されているあの手賀沼が、そういうことでもう死んでしまうという心配が非常にされておりますから、これは国としても、関係九カ町村の住民のためにも、何らか考慮される必要があるのじゃないか、以上申し添えておきます。  以上の二点について、手賀沼の問題を建設省は、埋め立ての認可を与えた県知事に対して、どういう態度で臨まれるか。農林省側としては、虚偽——私はあえて虚偽と言います。虚偽の転用申請をした知事に対して、どういう指導をされるか。この二点について、それぞれ政務次官から御答弁いただきたい。
  166. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) 十分検討いたしまして、知事に対しましては、最初の農地転用の目的に沿うように強く要請するつもりでございます。
  167. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 従来お答えをいたしました中でも申し上げておきましたが、建設省といたしましては、公有水面埋め立てが埋め立て目的以外に使用されることは、これは行政の運用上きわめて不適当だという感じがいたします。したがいまして、従来もそういうことのないように強い指導を、行政指導をするようにということを申しておりますが、また、全国的にもその趣旨を明確にいたしまして、通知を出しておりますが、本案件に関しまする千葉県当局に対しましては、今後におきましても、その趣旨の指導をして、そして知事の行政的な指導を見守ってまいりたい、かように思います。
  168. 二宮文造

    ○二宮文造君 だいぶ時間がたちましたから簡単にしたいと思うのですが、同じように公有水面の埋め立ての問題でもっと大きな問題がある。といいますのは、全日本観光株式会社、現在の手賀沼ですね、手賀沼の構成メンバーとほとんど同じような構成メンバーで浦安の地先でオリエンタル・ランドが、三百万坪にわたって埋め立てを、現にABC地区と、三地区に分けて、いまB地区にかかっております。次にA地区、C地区と、こういうふうにかかるそうですが、同じメンバーでこういうふうに公有水面が私企業で埋め立てられていく。そして、造成された土地が私企業の利潤をつくり出していくという考え方ですね、これはあの鳥屋潟のほうも鳥屋潟の公有水面、それも部落有から、部落から私企業のほうに、ほとんど売り渡されているわけです。各地でこういう問題が起きております。もっとも浦安の海岸については、千葉県がやっていることになっております、千葉県の開発局が。しかし、県は予算を一つも組んでおりません。千葉県がやることにしておきますと、膨大な免許料が、これは公共団体ですからただになる、そして、県が建設大臣に申請をし、認可をとり、工事の委託はオリエンタル・ランドに委託してしまっているわけです。そして、できた土地は、分譲協定というものをつくって、それぞれ関係の人に渡されるような協定になっているわけです。こういうやり方がよろしいかどうか。いかがですか、建設大臣が認可していますよ。
  169. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) まだ、この埋め立ての免許を与えましていま工事中でございますが、具体的な実情は、御意見のあったように、私は十分調査していませんものですから、今後具体的に調査いたしてまいりたいと思っております。  なお、この免許につきましては、公有水面は百九十三万坪でございまして、私有水面は、特にC地区が多いのですが、C地区に約六十万坪ぐらいの私有地がございます。したがいまして、合計二百五十九万坪の埋め立てにかかわるものでございます。これは三十九年の一月二十九日付で埋め立て免許を千葉県知事に与えております。埋め立て地の処分計画については、御説のとおりでございまして、このうち公共用地に、例の御承知の東京湾沿岸の百メートル道路の敷地等に四十六万坪程度、それから宅地、遊園地等につきまして百十五万坪でございます。それから鉄鋼団地に二十万坪程度、漁業補償用地に十六万坪程度、二百五十九万三千坪でございます。ただいまやっていますのは、大体百二十万坪をA、B地区について実施いたしております。これも実情をよく調べてみないと、どういうことが事実であるのか、真実であるかどうか、そういう目的に、そういうことになるのかどうか、その点もはっきりいたしませんので、調査してまいりたいと思います。
  170. 二宮文造

    ○二宮文造君 C地区は遊園地にするというのですね。遊園地七十万坪。七十万坪の遊園地というのは世界にもないのだそうです。ロスアンゼルスのディーズニーランド、あれでも十三万坪だそうです。ですから、C地区のこの七十万坪の遊園地というのは、はたして遊園地に使われるのかどうか。  さらに、もうすでに業者との協定はかちっとできているのですよ。浦安地区土地造成事業工事委託協定書、これは県と株式会社オリエンタル・ランドとの工事委託協定書です。さらに今度はもう一つ浦安地区土地造成事業及び分譲に関する協定、これは千葉県とオリエンタル・ランド、朝日土地興業株式会社、京成電鉄、三井不動産、これらとの間に協定が結ばれているわけです。それで私、先ほど言いました県が事業主体という形をとる、先ほどの手賀沼の問題の農地転用と一緒です。県が事業主体という形をとりながら、内容は私企業の事業でやる問題、公共用地は取れるでしょう。公共用地は取れますけれども、われわれが見て、これら公有水面を原因として不当な利潤が生まれてくるのではないかという心配がここから出てくるわけです。ですから、これはひとつ今後の問題として、手賀沼も推移を見詰めさしてもらいますし、浦安地区の推移もわれわれのほうとしても見詰めさしていただきたいと思いますが、今後にこういう事態が起こらないように、建設省としても目を光らして、公共団体がつくるのならば私は何も言わないのです。かりに公共団体が土地造成の費用に、相当高い利潤を加わえても、それはまた地方団体の利潤になるわけですから、その財源になるわけですから、あるいは住宅公団がそれをすれば、政府機関なり、あるいは地方公共団体が事業をすれば、実質的にもやっていくということであれば、土地がないおりからですから、非常にけっこうなことだ。しかし、それに一部業者が加わって、不当な利潤をあげるというやり方を残すことはよろしくないのじゃないか、こう思うのですね。それで本日のところは、それらに関する政務次官のお考えを最後に聞いて、この程度でとどめておきたいと思います。
  171. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) いま御指摘の案件につきましては、まだ私たちのほうも、その詳細な実情というものをちょっと把握いたしかねております。したがいまして、それの、仮定の上での結論を申し上げるのはいささか時期が不適当だと思いますので、実情をとくとひとつ調査をさせる時間を与えていただきたいと、かように考えております。
  172. 二宮文造

    ○二宮文造君 具体的な問題でなくて、この件についてはそうでしょうが、お調べになるわけですが、今後の一般的な問題として、公有水面の埋め立ての認可ですね、認可について、どういう考え方を持たれておるのかということをひとつ明らかにしていただきたい。
  173. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 私たちとしましては、この地方公共団体、ことに県当局も、性悪説というよりも性善説で考えているわけでございます。したがいまして、県が主体になってやっておりまするのでございまするので、いま御指摘のように、その事業費というものが、一つも県当局から出ていない。あるいは具体的な私企業に売買譲渡していくもう予約ができておるというような実情をもう少し調べさせていただきたいと思うのであります。もちろん公有水面というものは、これは公のものでございまするから、それが公共性を強く持っておることは当然のことでございますが、同時にまた、ことに遠浅のところで埋め立てが将来ともにできていく、また、それを計画的にやる必要のある場所については、それの資金の造成方法なりその他の問題について、いろいろと議論をいたさなければならない問題があろうかと思います。そこに一体、公共的な立場を貫きつつ、どの程度に民間のものを入れるかという問題点があろうかと思う次第でございますので、もちろん本来の公有水面埋め立ての趣旨は、公共性の強いということでございますが、そこらの点、もう少し実態を調べさしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  174. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと思います。  なお、次回からは、総括質疑に入りたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十二分散会