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1966-02-07 第51回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月七日(月曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員の異動  二月七日     辞任         補欠選任      金丸 冨夫君     中津井 真君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 道子君     理 事                 佐藤 芳男君                 谷口 慶吉君                 仲原 善一君                 相澤 重明君                 鶴園 哲夫君                 二宮 文造君     委 員                 川野 三暁君                 木内 四郎君                 久保 勘一君                 内藤誉三郎君                 大森 創造君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君                 石本  茂君    政府委員        防衛政務次官   井村 重雄君        防衛庁長官官房        長        海原  治君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        外務政務次官   正示啓次郎君        外務省北米局長  安川  壯君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        文部大臣官房会        計課長      岩間英太郎君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省河川局長  古賀雷四郎君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        大蔵省国有財産        局国有財産第三        課長       吉川 昌二君        会計検査院事務        総局第一局長   保川  遜君        会計検査院事務        総局第二局長   樺山 糾夫君        会計検査院事務        総局第五局長   小原  剛君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和三十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十八  年度政府関係機関決算書(第四十八回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○国家財政経理及び国有財産管理に関する調  査 (国有財産管理及び処分に関する件)     —————————————
  2. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和三十八年度決算外三件を議題といたし、建設省防衛庁外務省大蔵省文部省及び運輸省決算について審査を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 黒柳明

    黒柳明君 私は、豊島池袋二丁目にございす元豊島小学校あと用地問題について質問したいと思いますが、本日は時間もございませんし、また午後から本会議もございます。また、この問題は非常に重要な問題であると思いますし、文部大蔵運輸にわたって複雑な様相を呈しております。きょうは、その入り口だけ若干触れまして、また後日各省関係者に集まっていただいて、問題を追及したいと思います。  国有財産ののろのろ管理であるとか、あるいは六千坪の国有財産をめぐる土地獲得合戦大蔵省違法行為だとか、このような報道が行なわれております。現に私が昨年の十一月からこの問題を調べている過程におきまして、この土地を入手する当事者でございます池袋交通センターから数回にわたって私のところに陳情書が出されております。また、面会を求めてきております。非常にその点についても疑惑を感じますが、きょうは、先ほども言いましたように、その入り口だけに触れたいと思います。  まず、この土地所管省である文部省会計課長からこの経緯について説明していただきたいと思います。私は、去年の十一月文部省から受け取りました資料がございますが、その資料に基づいて、日にちを追って説明していただきたいと思います。また、現存は文部省特別会計所管普通財産となっていると、このようなことでございますが、その決定の年月日もあわせて報告していただきたいと思います。
  4. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) ただいま御指摘のございました豊島小学校あと地の問題でございますが、この土地は以前は都の所管であったわけでございますけれども、昭和十八年の三月三十一日に師範学校国立移管のために、豊島師範土地約一万四千坪、建物が約六千坪、東京都から文部大臣あて寄付採納願いが出ておりまして、昭和二十年の四月の三日に土地建物を得付受領いたしております。その後、昭和二十年の四月十三日に戦災を受けまして、現在ございます鉄筋建物附属小学校建物を除きまして、ほかの建物を焼失いたしております。そこで、建物の復旧はたいへん困難でございましたために、小金井のほうに陸軍の第三技術研究所あとがございまして、そこに移りまして授業を開始しております。昭和二十二年の三月五日に、その第二師範学校土地建物につきましては、所有権移転登記を嘱託いたしまして、次いで昭和二十六年の三月二十四日に、現在使用中の六千二百九十七坪を残しまして、ほかの七千七百八十七坪は、これは大蔵省のほうに引き継ぎをいたしました。なお、その間に、小中学校では、環境がよくない、あるいは建物戦災を受けているというふうな関係がございまして、あと地につきまして六億五千万円を特定財源といたしまして、三十五年から三十七年度にわたりまして大学付属学校小金井地、区に統合することにいたしたわけでございます。その後、あと地があくということになりましたために、昭和三十八年の九月十二日に、これは私どものほうでそのときはまだ特別会計ができておりませんりで、あと地大蔵省に移すということを前提にいたしまして池袋交通センター株式会社自動車ターミナル法に基づきまして運輸大臣の免許を受けまして、三十八年の九月二十五日には、国有財産関東地方審議会におきまして、そのあと地池袋交通センター払い下げ処分をするということが決定したようでございます。なお、昭和三十九年の三月三十一日に豊島小学校は正式に廃校いたしまして、三十九年の四月の三日に国立学校特別会計ができましたために、豊島小学校土地建物国立学校特別会計に帰属をいたしております。その後、三十九年の六月二十五日に、東京都の知事代理鈴木俊一氏から、そのあと地が、昭和十八年当時に寄付をしたという事情がございまして、そのときに、これが師範学校の用に供しなくなった場合には優先的に下付するというふうな条項がございますので、その条項に基づきまして副知事から下付の申請がございました。これに対しまして、四十年の二月の一日に文部大臣のほうから、バスターミナル予定地につきましてはこれはお返しできない旨の回答をしております。その間、昭和三十九年の九月の五日に池袋交通センター株式会社自動車ターミナル法の第六条の規定によって工事の施行の期限の延期を認められております。それから三十九年の十二月二十八日に、運輸省建設省東京都の三者の間で、豊島小学校あと地は一部公園の敷地にする、約面積は千二百二十五坪を公園用地にする、それからバスターミナル用地は四千八百坪にするというふうな御相談があったようでございます。なお、現状につきましては、現在豊島小学校あと地は六千二百五十八坪ございまして、そのうち千二百四坪がこれは国有地でございます。したがいまして、残りの五千五十四坪、これが現在東京都との間で話をしている土地面積でございまして、そのほかに、鉄筋の本館が千三百五十四坪、それから屋体が百五十坪、それから二十五メートルのプール工作物としてはあるわけでございます。なお、プールにつきましては、これは消防署のほうから、防火用水として一応あそこの地区に現在のところ確保したいというふうな話もございます。  以上がいままでの大体の経過でございまして、この問題の解決につきましては、東京都のほうともいろいろ話し合いをしまして、いままで努力をしてきたわけでございますが、現実は、ただいま御指摘のございましたように、まだ処分が進行していませんで、その点につきましては、まことに申しわけない次第であるというふうに考えております。
  5. 黒柳明

    黒柳明君 ただいまの文部省説明にあったとおりですが、非常に文部省当局としてもこの問題については頭を悩ましている、こういうことが実情であると思います。  次に、国有財産局長にお伺いしたいと思います。本件土地について関東財務局及び国有財産関東地方審議会においてはどのような処置をとったか、その経過説明していただきたいと思います。これも、昨年の十一月九日私が大蔵省から取った資料がございますが、それに基づいて説明していただきたいと思います。
  6. 松永勇

    政府委員松永勇君) ただいま文部省会計課長のほうから説明がございましたように、この土地処分方針をきめまして、池袋交通センターに売り払いをすることが適当であろうということになりまして、三十八年の六月二十六日に開催されました第四十九回国有財産関東地方審議会審議をお願いした次第でございますが、この件は継続審議になりまして、九月の二十五日、第五十回の審議会におきまして、原案のとおり相手方処分することが適当であるという旨の答申がなされたのでございます。審議会ではこのように答申になりましたが、本件処理につきましては、先ほど文部省から説明がありましたように、東京都のほうにおいていろいろと問題があるということで、現在に至るまでまだこの答申に基づく契約という措置はとられてない状況にございます。
  7. 黒柳明

    黒柳明君 ここに私は十一月九日大蔵省からいただいた資料がございますが、これに基づいてもう一回御説明を願いたいと思います。
  8. 松永勇

    政府委員松永勇君) 十一月九日に提出いたしましたのは、一つ関東財務局国有財産地方審議会に付議した経緯というので説明提出いたしております。本案は、先ほど申し上げたように、三十八年の審議会にかけて答申になっております。で、その答申になりました趣旨に沿いまして、三十八年の十月二十二日、池袋交通センター発起人代表に対しましてこの旨を通知し、売り払いについての申請手続をとられたいということを通知いたしております資料が第二に添えております。それから第三として、交通センターに対する売買契約状況というのがございます。これはその書面の第三のところにございまして、いまだに契約は締結されていないという趣旨のことが書いてございます。提出しました資料はそのようでございます。
  9. 黒柳明

    黒柳明君 この三十八年十月二十二日関東財務局長通知は、これは池袋交通センターに対する売り払いの方針を示したものである、こう受け取ってよろしいですか。
  10. 松永勇

    政府委員松永勇君) さようでございます。
  11. 黒柳明

    黒柳明君 ここの一番下、「記 豊島池袋二丁目千二十四番地土地七千六百六十四坪と建物」云々と、こうございまするが、池袋の二丁目千二十四番地に七千六百六十四坪の土地がございますか、この点確認したいと思います。
  12. 松永勇

    政府委員松永勇君) この点はちょっとお断わり申し上げたいと思うのです。実はこの書面は、関東財務局長から出した書面そのとおりでございますが、実はその後になりまして番地に誤記があるということが発見されております。これは、池袋二丁目千二十四番地ではなくて、千二百四番地、ちょっとゼロの位置が違っておりまして、この通知しました書面が間違っておるということをその後発見いたしまして、関東財務局から相手方に訂正するように通知しておると思います。
  13. 黒柳明

    黒柳明君 その後というのはいつですか。
  14. 松永勇

    政府委員松永勇君) これがわかりましたのは先週の土曜日で、関東財務局のほうから間違いがあったからという通知がございました。
  15. 黒柳明

    黒柳明君 おかしいじゃないですか。三十八年十月二十二日ですよ。私が調査始めたのは去年の十一月からやっているのです。七千六百六十四坪の土地国有財産、しかもその番地が違うと先週になって初めて通知があった、こんなだらしがない事務管理大蔵省はやっているのですか、国有財産当局はこの点についての責任はだれがとるのですか、まずその点からお伺いしましょう。
  16. 松永勇

    政府委員松永勇君) 公文の書面番地を間違ったということは遺憾に存じます。この番地を出しましたのは、関東財務局長が出す際に先ほど申しましたように番地数字を間違えたということで、事実その番地を間違えたこと、いままでに知らなかったということ、これは文部省と照合いたしましたその過程においてわかったことでもわかり方が非常におそかったということは、まことに申しわけなく思っております。
  17. 黒柳明

    黒柳明君 いまおっしゃったことは詭弁です。文部省当局によくこの実情は聞いてあります。隣に会計課長がいますが、この問題について文部省はお手あげだと、東京都の国有財産審議会公明党のほうの東京都の議会ともちゃんと連係をとってございます。非常にこれは重要です。ただ一片の書類を出すにあたってすら番地が間違っている。いま千二百四番地と言いましたけれども、それじゃ千二百四番地に七千六百六十四坪の土地はありますか、もう一回確認します。
  18. 松永勇

    政府委員松永勇君) 番地は千二百四番地の三、ほか合わせまして七千六百六十四坪ということでございます。
  19. 黒柳明

    黒柳明君 ほかとは何番地ですか。それぞれの土地の分離はどうなっておりますか。
  20. 松永勇

    政府委員松永勇君) 千二百四番地の三が四千五百六十坪、それから同じく八百六十四番地の三が四十坪ございます。同じく千百四十四番地の二というのが六百九十三坪、それから千百七十一番地が千四坪、千二百二十四番地が百七十四坪、それから千二百二十五番地が二百四十一坪、千二百二十七番地が二百七十九坪、それから千二百二十八番地が六百七十三坪ということで、合計が先ほど申しました数字になります。
  21. 黒柳明

    黒柳明君 こんなことは登記所に行けば簡単にわかることなんです。そもそもこの売り払いの方針をとったときには、何かこの裏にはあるのです、隠されたものが。大蔵当局最高幹部とこの土地業者発起人代表小島忠、このあとにもう一人の人物がいるのです。その人物との取引関係がちゃんとできておりまして、まあひとつ書面がなければうまくないから書類をつくってもらいたい、それじゃそんなものをつくるよといった、そういう雑な書面がこれに出ておる。それで、こちらが調査した結果、これはうまくない、こういうわけで、一番基礎であるべき番地、しかもその坪数、そこからいま初めてこういうわけだと、そういうことをいま局長が言いましたけれども、そんなものは初めからわかる基本線です。そんなものは、こちらは追及しようとは思いません。まずそこら辺の事務管理の不行き届き、それから始まって、この売り渡しがいかに不当なものであるか、この裏には、先ほども言いましたように、高級官吏とそして業者とのやみ取引がある。わが公明党が、またこの小委員会が追及しました国有財産の黒い影、その一つがまたここにクローズアップされようとしているのです。また、先ほど申しましたように、この問題の非常に膨大な資料がここにございます。各関係者出席を求めませんと追及できませんから、きょうは、この番地不備だ、これ自体、この書面をつくるにあたって、いかに大蔵当局が粗雑な事務管理を行ない、また先ほどのことを繰り返すようですが、その裏に国有財産に対する黒い影が暗躍している、こういうことを少し知っていただきたい。あとこの問題について、十四日、十六日、予備日もございます。徹底的に調査した資料に基づいて追及したいと思います。  また、この発起人なり、池袋交通センターなり、小島某、これについてもいろいろ調べております。その陰に暗躍する黒い影に対してもこちらは追及のメスを入れるつもりでございますから、まず大蔵省国有財産局長としても、こういう不備を今後なくするように、まずこの点だけを善処方要望して、きょうの私の質問を終わらせていただきます。ひとつこれに対して御答弁を。
  22. 松永勇

    政府委員松永勇君) 先ほど申しましたように、番地を間違えておりました点は、申しわけなく思っております。そのほかにつきましては、先ほど文部省のほうから申し上げましたように、本財産文部省所管特別会計所属のものでございます。私のほうはその委託を受けて処分するという、処分についての専門的知識を活用して処分するという立場に立っております。本件につきましては、先ほど文部省から説明がありましたように、処分をすることに決意し、審議会にかけた、その答申を得たというところにあるわけでございます。しかし、それを契約する段階に至りまして、都のほうから地元としてのいろいろな要望が出ております。そういう要望処理要望をどう受けとめて処理すべきかという点につきましていろいろ問題があって、答申どおり処理ができない状況に現在なっております。したがいまして、こういう段階であらためて東京都の意向等を含めて処理案をもう一ぺん練り直さなければならないという事態だと考えます。もちろん一番重要な点は、都市計画審議会等においてこの土地をどう考えるか、そういう点のいろいろな要請を受けとめて、所管大臣である文部大臣文部省の御意向をも聞きまして、最終的な処理をはからなければならないというふうに考えております。
  23. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっと関連して。資料の形でお伺いしておきたいのですが、この発起人代表小島忠という方は、前回私がニューエエンパイヤーモーターの関係で種々当局答弁を求めましたときに、あのニューエンパイヤモーター大蔵省売買契約を結ぶその以前に、小佐野賢治という方と根抵当権を設定した。この小佐野賢治という方はたしか国際興業の有力な方であると思いますが、その国際興業のたしか代表取締役小島忠氏はいたと思います。したがいまして、いまこの池袋交通センターの問題にも小島忠氏が顔を出してきた。かつて問題にしたニューエンパイヤモーター株式会社の、あの虎の門公園の問題についても、間接的にでも小島忠氏が顔を出してくる。したがいまし  て、私がいま疑問とするところは、こういう国有財産の売り払い契約に同一人物が重要な事項に顔を出していくというところに問題があるのではな  いかと思うのです。したがいまして、小島忠氏と小佐野賢治氏、あるいは今度の池袋交通センター構成メンバー、そういうものについてもっと具体的に資料を次回までに御提出願いたいと思うの  です。
  24. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいま二宮委員から要求のございました資料の御提出はすみやかにお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますね。
  25. 松永勇

    政府委員松永勇君) ただいま二宮先生から御要望のありました点は、九月の二十四日に運輸省が当委員会に出しました資料に出ておると思うのでございますが、これでなお不十分でございましたら、不十分な点を追加いたしたいと思います。
  26. 藤原道子

    委員長藤原道子君) それでいいですか。
  27. 二宮文造

    二宮文造君 けっこうです。
  28. 黒柳明

    黒柳明君 最後に一言つけ加えます。  まだまだ種々問題がありますが、先ほど局長が言いましたように、いまになって、東京都の当局とも話し合って善処したい、こういうことをおっしゃることは、わかりますけれども、これはすでに暗い影を投げかけたのは過去の問題なんです。当然将来に対しては善処しなきゃならないことはあたりまえですが、三十八年の四月二十四日、池袋交通センター大蔵省に対して払い下げ申請をしたときには、まだ学校は現存しているのです。移転の話も出てなきゃ、取りかえしの話も出てない。そういうときからすでに申請書大蔵省提出されている。こんなこともおかしいと思いますし、また、ともかくどういうふうに言いのがれしたところで、これは国有財産法第十八条の行政財産条項の、これは制限をこえる範囲でございますから、またその点についてももっともっと詳しく質問もしたいと思います。これは後日に譲りたいと思います。  以上です。
  29. 松永勇

    政府委員松永勇君) いま後日に譲るというお話でございますが、いま黒柳先生が御質問になりました点、簡単にちょっと御返事いたしておきたいと思います。  国有財産関東地方審議会にかけましたのは三十八年でございます。それはまだまだ用途廃止前であるということは事実でございますが、先ほど文部省のほうから説明がありましたように、この豊島小学校小金井のほうに統合整備になるということは相当以前からもう計画化され、三十五年からすでに予算で逐次その実行に移されつつあったということでございまして、この三十八年審議会にかけた当時におきましては、もちろん行政財産用途廃止はされていなくても、それが近く廃止になるということは確定されておった状況でございます。で、そういう状態で、このあと地をどう処理することがいいかということを考えておった過程においてこの処理方針が出されたということで、まあ行政財産廃止した、それからすべてものごとが始まる、手続的にはまさにそのようでございますが、実際の国有財産処理としては、そのようにすでに確定した方針が打ち出されておる、すなわち用途廃止になることは明らかであるという前提のもとで処理が進められたわけでございます。
  30. 岩間正男

    岩間正男君 私は防衛庁並び外務省にお伺いしたいと思います。防衛庁長官が見えられないので、この前から懸案になっております事前協議の問題について質問することが実はできないわけですけれども、外務次官が見えておりますから、できるだけこれについて明確にお答えを願いたいと思います。  最初に、防衛施設庁にお聞きしますが、安保条約に基づいて米軍に提供した施設にかかわる賃貸料、それから漁業補償費道路整備補助金などの支出を行なっているはずでありますが、昭和三十九年度の横須賀、佐世保、呉への支出額は全体で幾らになるか、この点からお伺いしたいと思います。
  31. 藤原道子

    委員長藤原道子君) まだちょっと見えていないようですから、ほかの方面から……。
  32. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃこの金額は、いま施設庁の係官が来たらお聞きすることにしまして、一体これらの提供施設諸費日本政府支出しなければならないという根拠はどこにあるのですか、どのような条文によってこのような支出をやっておるのですか。
  33. 安川壯

    政府委員安川壯君) 地位協定によりまして施設米軍施設区域として提供いたします場合には、これを提供するに要する費用、すなわち国有財産の場合には日本政府の負担ということでございますから、そのまま無償で提供するわけでございす。  それから、民有の施設でありますときには、日本政府所有者に所要の使用料その他の補償を支払いまして、アメリカ側に対しては無償で提供するわけでございます。その根拠は、地位協定の二十四条に規定してあるとおりでございます。
  34. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、この二十四条の細目取りきめがあるはずだと思うのです。二十四条は非常にばく然とした一般の何をうたっておる。おそらく日米合同委員会が開かれて、そうしてそれについている細目合意書もあるはずだと思う。これなしに詳細なことがわからないわけでしょう。日米合同委員会でどういうふうに扱ったか、これに対する合意書はどうなっておるのですか。
  35. 安川壯

    政府委員安川壯君) どういう施設をどういう範囲でどういう条件で米軍に提供するかということは、同じく地位協定に定めてありますように、日米合同委員会で合意したものを提供するわけでございます。しかし、アメリカ側に負担をかけることなく提供することになっておりますので、どういう範囲でどういう建物あるいはどういう土地をどういう面積で提供するかということは、合同委員会アメリカ側と協議するわけでございますけれども、その協議がきまりましたならば、その範囲で、きまりました施設に対する金銭的な負担をどうするかということは、これは日本側内部の問題でございますから、国有財産であれば、そのまま補償の問題は起こりませんし、民有の場合には、いかなる補償金を払うかということは、日本政府所有者の問題でございますから、それはアメリカ側との取りきめの対象にならないわけでございます。
  36. 岩間正男

    岩間正男君 私は金の支払いの問題を聞いているのではなくて、どういう施設を提供するかという、そういう細目については、これはきまっておるはずです。そうでしょう。この合意言なしにこれは実際具体的にわからないじゃないですか。たとえば佐世保でどことどこが民有地だ、そうしてそれに対して国庫で支弁をする。あるいは横須賀ではどうか。国有の場合にはいま言ったように提供するのでしょうが、その点、合意書もあるかないかという問題ですよ、この提供の問題についての。
  37. 安川壯

    政府委員安川壯君) 個々の施設について合同委員会で合意したものがございます。その合意に基づきまして閣議で決定いたしまして、その結果を官報で告示いたします。
  38. 岩間正男

    岩間正男君 それと関連して、それでは現在区域施設を提供している数ですね。  それから、これに対する補償料——いま言いました補償料からいろいろなものを含みますけれども、日本政府が分担している金額、この総額は幾らになるか。ついでに、さっきの横須賀、それから佐世保、呉、これの一体日本政府支出金、それを明らかにしてもらいたい。
  39. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 現在駐留軍に提供しております施設の総数は百五十四でございます。先ほどから問題になっています施設提供費について申しますと、大体、借料、買収関係、ずっと入れまして、四十年度予算が約百十七億でございます。
  40. 岩間正男

    岩間正男君 そのうち、一番初め、あなたがいないうちに聞いたんですが、この協定に伴う貸借料、それから漁業補償費道路整備補助金、こういうものは、横須賀、佐世保、呉の場合、どのくらいになっておりますか。
  41. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ちょっと、突然の御質問でございまして、横須賀、呉の場合の施設のこまかいところは現在手元にございませんが、全国的に申しますと、漁業補償関係が三億五千万、道路改修が四億九千万……。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 それは横須賀ですか。
  43. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 全国でございます。
  44. 岩間正男

    岩間正男君 全国はいいんです。
  45. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ちょっと、横額賀と呉の仕訳は、手元に資料がございませんものですから、追ってひとつ……。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 これは防衛庁の出している資料でしょう。一部分、横須賀軍施設、三十七年度たとえば千二百九十一万、それから三十八年度四千四百八十万、これはどうなんです。この資料はあなたのほうで出したのじゃないか。それから佐世保の場合は三十七年度五百五十五万か。それから三十八年度が五百七十三万。これは一部入っているんですが、全体のこれが見たいのですが、わからないんですか。
  47. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 全国は、先ほど申し上げましたような資料でございますから……。
  48. 岩間正男

    岩間正男君 全国は資料で出してください、全部、いろいろ分けてね、施設別に分けて。そして、その資料であらためて……。横須賀と呉のやつはどうですか。
  49. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ちょっと手元に資料がございませんから、ひとつ……。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 これもあらためて出していただきたいと思うんですね。特に、いまの三つの軍港について、日本政府地位協定に伴う支出金というものを明らかにしてもらいたいと思うんです。  そこでお伺いしますが、これは外務次官にお伺いするんですが、これはどういうたてまえになるんです。地位協定の精神ですね。つまり、日本政府米軍に、そのような施設を、民間に賃貸料を払い、補償金を払って提供しなければならぬ、それだけの責任を負わなければならぬというのは、どういう一体反対給付がある、何のためにこういうことになる、こういうふうに考えているわけですか。
  51. 安川壯

    政府委員安川壯君) 基本的には、安保条約第六条に、米国軍隊が日本の安全並びに極東における安全に寄与するために日本国にある施設、区域の使用を許されるということは、基本的にきめてあるわけでございます。その施設、区域の使用の細目を地位協定によってきめておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、地位協定の第二十四条、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担」するということがきめられておるわけであります。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 私が政務次官にお聞きしたのは、いまのようなただ事実の答弁で、そうきまったということではなくて、なぜそんな犠牲まで払って、多額の、百十七億という膨大な国費を費やして米軍施設を提供しなければならないのか。それは、日本の安全をアメリカに守ってもらうんでその一部を負担するという、こういう何でやっているんですか、どうなんです。そういうことを聞いてるんだ。
  53. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは、もう岩間先生はよく御承知のことをお聞きになっていらっしゃるわけでありますが、要するに、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約、これは双務的な条約でございます。その第六条におきまして、ただいま北米局長が申し上げましたように、米国はその陸軍、空軍、海軍の使用する施設、区域を使用する権利を認められておる。これは、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、また日本国の安全に寄与するために、米国がその軍隊の活動をしている。これに対する日本国の一つ施設供与義務をはっきりと明記している。そういう双務的なたてまえから提供していることは、御承知のとおりでございます。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 それは、私がさきに指摘したように、日本の国を守ってもらっているのだから、そのかわりにいまのような負担をやるのだ、こういうふうに解釈しているわけですね。この目的は遂行されているというふうに考えていますか、どうです。
  55. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) われわれは、このいわゆる日米安保条約、これは非常な力を持ち、また存在価値を持ち、これによって日本の安全、極東の安全というものが保たれていることは、これはもう明白な事実である、かように確信をいたしております。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 これは現地で、特に原潜の入港問題なんかで絶えず騒いでいるわけでしょう。あそこの海水が汚染され、それから付近の漁民たちが魚がとれなくなってくる。どうも安全のほうにあまり役に立たないで、アメリカの戦略のために使われているわけです。日本の国の立場から考えてみると、どうもかえって得る害のほうが多くて、そうして利益はあまり少ないというふうに考えられる節があると思うのですが、ここは意見の違いになるかと思いますが、したがって、この点は、日本政府はもう当然のことだ、アメリカは権利だというふうに言われておりますけれども、この問題は、あくまで日本国民の安全、それから何よりも現実の生活の利益から判断するという立場が一つ入らなければならぬと思いますが、どうもいままでのあなたたちの御答弁を聞いていますというと、非常に安保条約は大きな力を発揮していて、極東の安全に非常に寄与しているということの面だけ強調されているわけですが、これは事実と非常に違ってきているのじゃないか。ここのところを、私は、これだけの大きな負担をしておりながら、しかも得るところは非常に少ないのじゃないかというふうに考えます。  それから、次にお聞きしますが、昭和三十八年度以降、米軍の空母が日本の港に入った月別の統計がわかりますか、アメリカの航空母艦が入ってきておる。
  57. 安川壯

    政府委員安川壯君) 米軍に提供いたしました施設、区域に米国の艦船が出入いたしますときには、特に日本側に通告をする義務を負っておりませんので、その正確な数字というものは把握しておりません。  ただし、施設以外のいわゆる開港場に入港いたしますときには、事前に通告を受けておりますので、その数について申し上げますならば、ここに手元に持っておりますのは、四十年の一月一日から同じく四十年——昨年でございますが、九月の二十日までの数字について申し上げますと、航空母艦が入港いたしましたのは、函館に一回と横須賀に七回、計八回ということになっております。
  58. 岩間正男

    岩間正男君 これは、水先案内ですね、港には通知をしないことになっていますか。水先案内人は要求しなければならないのだから、当然港は統計を押えているはずだと思うのですが、どうです。
  59. 安川壯

    政府委員安川壯君) 地位協定の第五条に、日本の開港場に入ります場合には、通常の状態においては日本国の当局に適当な通告をしなければならない。特別な場合を除きましては通告することになっておりますので、これを日本側の海上保安庁がその通告を受けまして、それに基づく資料がただいま申し上げた資料でございます。  それから、水先案内につきましては、水先案内をつけなければならないという義務は米軍については免除になっております。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 これは安保国会で非常に大きな問題になった。私は第七艦隊の問題でこれは質問した。当時非常に大きな問題になった。六年前の話です。だから、全く、これは全然わからないのですね。アメリカの軍隊が入ってくる、通常の場合には通告するというけれども、ことにベトナム戦争なんかのこのもう戦時事態、戦略上これは通告してぐあいが悪いというのでどんどん入っているわけだけれども、これについて何ら日本の政府はこれにタッチする権利がないのがいまの姿です。これはあらためてわれわれはこの問題を明確にしなければならない問題だと思う。重大問題ですよ。自分の港なのに、外国の軍隊が入ってきているのを通告さえも受ける権利がない。そういうことですから、どんなふうに使われているか事情は知らない。決して安全に使われておって心配ございませんということをただいま政府が言ったにしても、これはベトナム戦域で動いた、そうして大いにあすこで戦った、そういう艦隊がどんどん入ってくるのは事実でしょう。こういうものが全然わからないという姿に置かれているというのが日本の現実です。これについてどうですか。こういう事態について、これは日本の安全のために差しつかえないというふうに考えておられるのか。これは外務政務次官にちょっとお聞きしたい。これは全然知らないというのは、どんなに安保のたてまえと言っても、日米行動のどうこうということを言っているのだが、そういうようなたてまえであるということから、われわれつんぼさじきに置かれている日本の現実というものをはっきり認めなければならないと思う。
  61. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 岩間先生の御指摘は、先ほどのお話しのように、日米安保条約というものが非常な害があるんだという前提のもとにお話しになっておられますが、われわれは根本において認識を異にいたしております。私はむしろ、今日の日本のこの敗戦からの立ち上がり、経済の繁栄ということは、こういう安保条約がございまして、日本が防衛費その他において非常に負担の軽減をはかれたという、そういう財政、経済的な意義をこそ、私どもは生きて、また体験上はっきりとこれを体得しておる。まずこの認識の上にお答えを申し上げたいと思うのであります。この日本国とアメリカ合衆国との間の条約の基本をなすものは、相互の信頼であり、協力でございます。岩間先生のように相手を疑ってかかる、こういう立場とは根本において違っておるのであります。そこで、アメリカ合衆国の軍隊がどういう場合に日本国の事前協議を経なければならぬかということも、これは御承知のようにはっきりと規定をいたしておるわけでございます。それ以外のことにつきましては、日本国は、先ほど申し上げましたように、施設、区域を提供いたしまして、これの使用を許しておるわけでございます。その基本的な相互信頼の関係において、事前の協議を要しない事柄について一々とやかくは申さないことになっておるわけでございます。
  62. 岩間正男

    岩間正男君 いまのような答弁をあなたがされる、そこに日本の現実があるんだということをあらためて確認しておきます。あらためて佐藤総理の施政方針演説のまた蒸し返しみたいなことを言っている。安保は日本の安全のために寄与したと言い、それから経済の繁栄のために役立ったとか、これは佐藤総理の、それから自民党の諸君だけの言い分です。日本の国民はそんなことを考えてない。しかも、ベトナム戦争にどんどん使われている、そういう事実を何一つこれはタッチすることはできないで、そうしてもうほとんど無秩序みたいに許して、こんなところに一体たいへんな問題があると思う。たとえば、ここでも問題になった、この前、ベトナムで戦った飛行機が日本に逃げて来た場合どうなるか。そうなれば、これは当然作戦基地として相手が認定して、それを追っかけてきてたたく。艦隊だっておなじことなんです。現在は起こってないけれども、これは一つの想定としてはあり得ることでしょう。  こんなときに日本は戦争に巻き込まれるでしょう。いまのようなことを言ったって、子供だましのような答弁をしても、だれも承認できない。そこで私は、そんな議論をここでやっておってもしようがないから、資料を求めます。つまり、いままで日本政府でわかった範囲だけでいいから、これについて実際一体どれだけの空母が入港しておるか、これは港です。それから三十年……、そうですね。ベトナム戦争になってからでもいいから、三十七年、八年、九年、四十年、そこまでの何をちゃんとあと資料として出してください。  そこで、次に移ります、時間がないから。「エンタープライズ号」の入港の問題が非常に問題になっておる。これがもし入ってくるとすれば、日本の施設としてこれの入港を受け入れることのできる港はどこどこでございますか。
  63. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ちょっと私前にお断わりを申し上げておきますが、ただいま御要求の資料は、御承知のように、米軍の秘密に入る資料でございまして、私どもはできるだけ御協力をして出したいと思いますが、これはひとつ委員会の正式の御要求にしていただきたいということをお断わり申し上げておきます。なお、ただいまの御質問に対しましては、できるだけ調査をいたしましてお答えを申し上げたいと思います。
  64. 安川壯

    政府委員安川壯君) まだ「エンタープライズ」の入港につきましては正式にアメリカ側から要求がございませんから、こちらとしてどこに入港させるということはまだ考えておりません。ただ、原子力潜水艦の場合には、横須賀、佐世保ということになっておりますので、航空母艦の場合にも、将来正式に入港の申し入れがあるというような場合には、予想といたしましてはやはり横須賀と佐世保ということになるのではないかと思っております。
  65. 岩間正男

    岩間正男君 これは原則としてあなたたちはそういう要請があったら認めるということをいつも言っておるんじゃないですかね。だから、そういう正式の通告がないからということで逃げておるわけでございますけれども、これはそうでしょう。それから、いまの入港可能の港ということになると、これは横須賀と佐世保だけですか、そういうことになるのですかね。
  66. 安川壯

    政府委員安川壯君) 正式の申し入れがございませんから、どこどこに入れるというようなことは、先方とも話し合っておりませんし、こちらとしてもまだ具体的にきめておらないということでございまして、ただ予想としましては、いろいろな施設その他の関係から申しまして、横須賀と佐世保となると考えるのが常識ではないかと考えております。  それから、ほかの港に入れるかという御質問でございますが、私も軍事的な専門家でございませんので、ただ港に入るということだけならば、ほかの航空母艦もたとえば横浜港にも入っておりますので、ただ入港するということが物理的に可能かということになれば、可能であると思いますけれども、これはただやはり軍艦でございますので、いろいろな補給でありますとか、修理でありますとかということを目的として入るということを前提として考えますと、やはり軍の施設のある横須賀とか佐世保に入るというふうに考えるのが常識ではないかと考えております。
  67. 岩間正男

    岩間正男君 この点は、非常に最近時期尚早とか何とかいうことで再検討のように言っておるのですが、それはどうですか。すでに横須賀の基地では、米軍が十二月初めから横須賀最大の第六号ドックの改修工事を始めて、それから最大級の艦船の受け入れができるようなクレーンの設置個所の変更を急いでいる。こういう工事を始めている。受け入れ態勢をとっているんじゃないですか。これは事実じゃないですか。これはどうなんですか。
  68. 安川壯

    政府委員安川壯君) 米軍が自分の施設の中でどういう作業をしているかということまでは、私どもは承知しておりません。しかし、アメリカ側が将来寄港が必要になるであろうということは、すでに第七艦隊が配属されましたときに、非公式に通告して連絡してまいっておりますので、将来正式の申し入れがあるであろうということは、当然予想しておりますけれども、まだそういう正式の申し入れはございませんので、こちらとして、具体的にそれに対する受け入れ態勢というようなことは、現在のところまだ考えておらない、こういうことでございます。
  69. 岩間正男

    岩間正男君 申し入れがあった場合に、どうするのです。
  70. 安川壯

    政府委員安川壯君) 申し入れがありました場合には、これは原子力航空母艦でございますので、原子力潜水艦のときと同様に、この安全性というものについては、これを確認しなければならないと考えております。ただ、安全性の問題が、原子力潜水艦と同様に、確認されるということでありますならば、当然、条約上は寄港に反対する理由はないというふうに考えております。
  71. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、すでにこれは原潜の場合の前例があるのです。ほとんどもう日本政府は、これとの関係で、安全性をこれは認めるということを一つ条件にしていますけれども、これは一つのまあ条件、言いわけみたいなことになるので、既成事実として認めるような、そういうもう方針のもとに固まっているのじゃないですか。そう考えてもいいのじゃないですか。あなた方、どうなんですか。
  72. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 北米局長がお答え申し上げましたように、安全性の確認ということは一つ前提でございまするが、先ほども私からも申し上げましたように、安全保障条約の根本の考え方からいたしまして、これは核弾頭を装備しないというふうなことはもとよりのことでございますが、そういう考え方からいきまして、当然に使用できるものというカテゴリーに入るという考え方を持っておるわけでございます。
  73. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、原則的には、もう認めざるを得ないということになるわけでしょう。安全性の問題についていろいろ検討する——原潜のときもそうでした。しかし、この検討のしかたがいろいろ問題がある、すでにね。これはずいぶん違うのです。もう米政府の言う場合、それから日本政府の調査のしかた、これもこの前私は質問したことがございますけれども、ずいぶん、これは行ってみますというと、横須賀あたりの汚染の問題なんかも、非常にこれはずさんなやり方なんですよ。そうして、結局、安全性があるのだということで、入れる。大体もうアメリカのそういう言いなりになるような、そういう方針をとっているのじゃないですか。そう考えていいのじゃないですか。どうなんです。
  74. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 言いなりになるようなことになっておるではないかというおことばでございますが、これはいささか、その真意を私どもは理解に苦しむのでありまして、やはりわれわれは、安全性を確認するということは、客観的な科学的なデータに基づきましてこれを確認いたすのでありまして、決して相手方の言いなりになるというふうなものではございません。ただ、条約上の義務といたしまして、また、権利といたしまして、いわゆる事前協議の対象になるような事柄は明定されておることであります。それ以外の事柄につきましては、これは、いま申し上げたような事実の関係がはっきりいたしますれば、当然に先方がそういうものを使い得ると、この条約上の規定ははっきりしておる、こういうことを申し上げたわけであります。
  75. 岩間正男

    岩間正男君 総理は、この問題について、いまの段階ではぐあいが悪いというようなことを、意向を、これは漏らしたように新聞は報道しておりますけれども、これはどうなんですか。なぜぐあいが悪いのか。この、いまの段階ではぐあいが悪いということは、どういうことなんですか。先の段階ではこれは差しつかえないのか、どうなのか。そういうことを含めたことばのようなんですが、これはどうなんですか。
  76. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま私がお答え申し上げたような、条約から出てくる関係というものは、どういう時期にぐあいがいいとか、どういう時期にはぐあいが悪いとかいう性質のものではないと考えております。また、総理もさようなことを申されたことはないと私どもは理解をいたしております。
  77. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 岩間君、ちょっと申し上げますが、十二時で終わりですから、そのつもりで質問してください。
  78. 岩間正男

    岩間正男君 これは何ですか、はっきりそう言っているじゃないですか。佐藤総理は二十六日の国民協会の昼食会で、「米原子力潜水艦や原子力空母が横須賀港に寄港するのではないかといううわさがあるが、米側が軽率に寄港するとは思わない。」と述べて、「このような問題で保守、革新の争いを起したくない。」ということで、横須賀に入ることは好ましくないと、こういうことをこれは述べている。ですから、あなたのいま言われたこと、これは事実に反していますよ。  そこでですね、とにかく、いまの段階がぐあいが悪いというのは、これはどういうことなんですか。つまり、いま国会開会中で、非常に刺激をしてぐあいが悪い。いつでも国会があるときにはこういうことを言うのです。国会の終わった次の日あたりに承認した例があるのです。こういうことでは、全く国会を私は瞞着していると思うのです。国民の目をごまかすというやり方、こういうふうに思うのですが、こういう点はどうなんですか。これは総理がいれば一番いいのですがね。
  79. 安川壯

    政府委員安川壯君) 総理の談話が新聞に報道されました点は、若干誤解を生んだかと思いますが、これは、私は総理の御意向を直接確認いたしましたので申し上げますが、実は総理がそういうことを申されましたのは、最近、横須賀に原子力空母が入ってくるのだというようなうわさがあったことは事実であります。このうわさを否定されたのが総理の御趣旨でございまして、と申しますことは、原子力潜水艦が入りますときにも、御承知のように、事前に安全性その他について確認いたしまして、日米間で文書の交換をいたしまして、入港その他について双方で取りきめをいたしまして、その上で入港が実際に行なわれたわけでございます。原子力空母の場合にも、先ほど申し上げましたように、入港する前には、当然アメリカ側から正式な申し入れがありまして、その上で、安全性その他取り扱いについて何らかの取りきめをいたしまして、その上で入ってくるということになるわけであります。現在はそういう段階でございませんので、そういう段階も踏むことなしに、いきなりアメリカが原子力潜水艦を入港させることはあり得ないということで総理は申されたことを、確認いたしました。
  80. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると何ですね、いまの手続上の問題で、いまその時期でないというようなふうにこれは解釈すべきなんですね。そうすると、先にいって入れる、そういう事態はあり得るということが、いまのあなたの説明からは出てくるわけなんです。そうすると、はっきり横須賀に「エンタープライズ」を入れないと、そういう約束はできないというわけですか。これはどうなんですか。その点はそういうことですが、入れるとも入れないとも、いまの段階ではわからないのだ、しかし、先にいって、いまの安全性の問題とか手続上の問題がきまれば、これはハイランド司令長官がはっきりそういうふうに入りたいと言っているのだ、しかも、条約上のあれだからやむを得ないからこれは入れざるを得ないのだと、そういうふうに腹の底では考えているのだ、こういうふうに解釈してよろしいですか、どうなんですか。
  81. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 条約上の関係は、先ほど来申し上げたとおりであります。  具体的に、この原子力空母の寄港問題につきましては、ただいま北米局長が申し上げたように、所要の事前の確認行為等がまだとられていないから、したがって、いますぐ入るというようなことは想像できない、こういう趣旨のことを申し上げたわけでありまして、将来の問題は、もとより、先ほども申し上げた条約の解釈するところに従いまして、そのときに所要の手続を経た上で、われわれとしては安全性を確認いたしまして、これを認めることはあり得ることでございます。
  82. 岩間正男

    岩間正男君 これは重大なことだと思うのですね。これに対する反対は、非常にこれは全国的に高まっている。原潜でも非常に、数次の、七回にわたってこれは入れている。これについての国民の反対は、依然として変わりがないでしょう。そういう中で、今度はさらに大きな、世界最大とも言われる八万五千トンの核空母を入れる、こういうことですね。それについても、いまのような方針をとっておられるということは、非常に私は重大な問題だと思います。そこで、ここで議論をやる時間ありませんから進めますけれども、さて、どうなんです。この「エンタープライズ」というもの、これは防衛局長にお聞きすればいいのですか、どういう艦隊でしょう。どういう装備を持ったあれか、明らかにしてください。
  83. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 事実関係についてのお尋ねでございますので、私から御答弁申し上げますが、もちろん、「エンタープライズ」の正確なる装備等につきましては、われわれとしても情報を持っておりませんが、一般に交換されました資料に基づきまして申し上げますと、まあ、大きさは基準排水量で約七万五千七百トン、速力は三十三ノット、航続距離は二十ノットで四十万ノーチカルマイル、それから装備につきましては、艦対空ミサイルテリアの発射機を二基持っております。搭載の航空機といたしましては、七十機から百機程度、これは機種によりまして異なりますけれども、七十機から百機程度というふうに承知しております。これは先ほど北米局長からお話ございましたように、「エンタープライズ」は現在第七艦隊に所属しております。南シナ海で行動しているように言われておるわけでございます。
  84. 岩間正男

    岩間正男君 これはどうなんです、核装備をしているでしょう。
  85. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 核装備はしておりません。ただ、搭載機の中には、核弾頭、核爆弾を搭載可能の航空機がございますけれども、実際には核装備をしておるということはないと考えております。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 どうも、そこのところだけないと言明しているのだけれども、その先のほうは正確にはわからない、いままで情報交換した範囲内でと言っているけれども、これはもう明らかな事実じゃないですか。単に核動力によって動いているというだけじゃなくて、百機の搭載機の中には核弾頭をはっきり積める、こういうような核装備のものであり、しかも、どうです、これが単に一隻じゃなくて、それに付随した艦隊があるわけでしょう。四隻からなっている艦隊でしょう。しかも、東南アジアで動いている。これはもうはっきりしている。香港に入って非常に大きな問題になった。フィリピンの港に入ってやはり大きな問題になっていることは事実です。これははっきりそう認めていいですね。ベトナム戦域の中で非常に活躍している艦隊だということは明確ですね、この点は。
  87. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 先ほど東南アジアのほうで原子力推進の水上艦が四はいと言われておりました。現実に配置しておりますのは、「エンタープライズ」ともう一つ原子力推進のフリゲート艦の「ベインブリッジ号」、この二はいでございます。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 そこでお聞きしたいのですが、このような核装備を持った世界最大の核空母を主力とするところの核艦隊が日本に入ってくる、それについて、これは事前協議の対象になるのかならないのか、これは一体どう考えておるのです。事前協議というものが安保条約のときに非常に論議されました。そして事前協議があるからだいじょうぶだ、このような戦争には日本が巻き込まれる心配はないのだ、日本の政府はあくまでアメリカと交渉して、そういうものについては断わるのだということを再三言明したはずです。それはわれわれもそのときに討議に参加して、何回かこの問題を追及した。そういうことから言いますというと、いままでの核装備の中でも最大のものでしょう。しかも、現実にこれはベトナム戦域で戦っている。そういうものが日本に入ってくる。そういう事態について、事前協議の対象になるのかならないのか、これは十分考えているんですか。
  89. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 原子力の力で運航される空母といえども、核装備をしていないものは、もちろん事前協議の対象にはならないわけであります。また、核装備をしたものを日本に持ち込むということについては、今日、日本政府の、また、国民の世論の状況というものは、アメリカは十分これを理解をし協力をいたしておることも、御承知のとおりでございまして、われわれは、いまの御質問のようなことは、核装備をしたものが入ってくるというふうなことは絶対にあり得ないことである。かように確信をいたしております。
  90. 岩間正男

    岩間正男君 質問に対する答弁にならないようですが、そういうことは、あなた言っておりますけれども、これは日本の外務次官殿としては無責任じゃないですか。フィルドバリックが一九六二年五月二日の段階でこういうことを言っていますよ、米大統領承認のもとに次のような公式声明を発表している。フィルドパリックは、「現在アメリカの三軍が幾万という運搬手段を持っている。この運搬手段は複数の核弾頭を装備している。」、これが一九六二年の段階でこういうことを言っている。それから、ベトナムのこの宣戦なき戦争は、御承知のように、現在のような熾烈をきわめている、そういう中で動いているその核艦隊が日本に入ってくるときに、いまのような答弁じゃ話になりませんよ。それから、事前協議があるかないか、そういう、一体対象になるかならないか、これはどうです、事前協議の、装備の変更、それから配置の変更、こういう点から考えましても、この二つの条件から言って、まさにこれは事前協議の対象にはっきりなると思うが、事前協議の対象にする考えがあるのかないのか、簡明にお伺いしたい。
  91. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 岩間委員は、いま核装備ができるというふうなこと、これを前提にして、できるものについては事前協議を拡大せよというふうな御意見のようにも受け取れるのでありますが、さような考えはございません。われわれはどこまでも、核弾頭自体を持ち込むことについて事前協議の制度が厳としてあるわけでございます。  なお、御参考まででございますが、ベトナム、ベトナムと言われますが、ベトナム地域において核を使用したという事実は、われわれは一つも承知していないわけでございます。
  92. 岩間正男

    岩間正男君 いまそんなことを言ったって、関係ないですよ、核でどうかつしているんだから。核が使用されたら重大な問題です。どうかつしているんです。そういう対象の中で言っているので、もう少し、いまの現時点を明確につかんで、その上に立って御答弁いただきたいと思うのです。事前協議の対象にならない、核弾頭をつけるかどうかわからないからということを言っておりますけれども、明らかに装備の変更です。日本の港に入ってくる、そうすると、これは在日米軍でないとあなたたちは言い張るわけですが、この問題が一つ。それから配置の変更なんです。そのうちの一環として、アジアにおけるアメリカの戦略体制の一環として、横須賀が使われる。そして、その使われるそういう体制の中での事前協議はどうかと開いている。しかし、事前協議は空文なんだ、いままで事前協議を使った例がございますか。どうですか。
  93. 安川壯

    政府委員安川壯君) 事前協議が現在まで行なわれた例はございません。と申しますのは、まず事前協議の場合は、御承知のように、三つの場合がございまして、一つは、日本国から行なわれる戦闘作戦行動のために日本の施設、区域が使われる場合でございまして、こういう例は従来ございません。それから、核兵器を持ち込んだという例もございませんし、そういう事前協議も現在まで一回もございません。それから、配備の変更につきましても、これは重要な配備の変更の場合には事前協議の対象になることになっておりますけれども、従来はむしろ、日本から米軍が引き揚げていくという例のほうが多いのでございまして、大規模な部隊が新たに日本に配備されたという例がございませんので、これにつきましても事前協議をやったという例は現在までございません。
  94. 岩間正男

    岩間正男君 事前協議というぐらい、あのとき、安保条約を通すそのときの一つの苦しいときの神頼みみたいに持ってきたものはないのです。しかし、これは実際はあとは野となれ山となれ、空文で、あるように見せかけておいて、これがあるからだいじょうぶでございますと盛んに宣伝した。しかし、これは当時、速記録で、われわれは追及して、そんなものは空文じゃないか、アメリカ側がはねつけて、そして協定が成立しない場合どうする。これまでも何にもない、拒否権もない。交換公文できめられたものでしょう。ですから、どうですか、あのあたりでは事前協議の対象に、たとえば沖縄に日本の軍隊が行く、沖縄から行く場合、そういう場合にはクッションをつくって、直接戦闘には作戦しないのだということで、事前協議の対象になるのかならないのかという問題にした。ところが、そういう場合にさえ、なりますとはっきり答えているのが、当時の六年前のこれは国会論議ですよ。今日ではどうですか、全くこれは空文になっているじゃありませんか。沖縄に行って、沖縄からまた今度向こうの戦地に行くという事態が起こっても、これは事前協議の対象にならない、こういうようなふうに、全然これは最初から国民をだますためのものであるということを私は確認していいと思う。事前協議、だからそういうものに期待をして、何かこれはあるような幻想を持っている。かりに協議をやったにしたって、今度はその内容について拒否権がない、こういうことでありますから、まことに私はごまかしであると思うのですね。こういう点で、これは実はもっと詳細に、防衛庁長官出席を求めておいて、この点と、いまの時点における政府のその後の態度の変更について、私たちは明確にする責任があると思う。これはまあ防衛庁長官出席を求めて——それから外務大臣と防衛庁長官出席を求めてやり直したいと思います。  で、次にそれじゃ移りますが、防衛庁のPR映画の問題です。それで、まあ、これは海原官房長がだいぶ主になっているらしいのですが、新聞でそう見ましたが、「日本の防衛」と題したPR映画を作成中であると聞いているのですが、これは意図はどうなんですか、こういうものをつくった意図というのは、つくろうとしている意図はどうなんですか。いつごろからやるわけですか。
  95. 海原治

    政府委員(海原治君) 新聞に出ました広報映画の実態でございますが、これは毎年、過去数カ年の間、防衛庁としましてはいろいろなPR映画をつくっております。で、現在撮影いたしておりますものもその一つでございまして、陸海空の自衛隊がどのような形で日本の安全を守ることに努力しておるかということを国民に紹介したい、こういうことでございます。ただ、自衛隊は、先ほどからお話が出ておりますが、日米安全保障体制のもとで米軍とも協力いたします。したがいまして、日本の安全をはかるためには、当然に米軍との協力関係が出てくるわけであります。したがいまして、その辺のところを映画にいたしまして、一般国民の方々に自衛隊の現在の姿を御認識いただくというのが、この映画製作の意図でございます。
  96. 岩間正男

    岩間正男君 この予算はどれだけかかるのです。それから、どういう内容のものですか。
  97. 海原治

    政府委員(海原治君) 製作費は大体一千万円程度と見積もっております。内容につきましては、陸上自衛隊の北海道におります第七師団の活動の状況、海上につきましては、潜水艦作戦についての海上自衛隊の活動の状況、航空自衛隊につきましては、F104によりますところのいわゆる要撃体制及びナイキのミサイルによりますところの準備体制、こういうものを紹介したいと考えております。
  98. 岩間正男

    岩間正男君 これは二月一日付の朝日新聞の記事によりますと、官房長の談話というのが出ておりますね。「安保体制下に、日本に駐留している米軍について、日本人の大部分は認識が不足している。」云々と、こういうことなんです。これはそうなんですか。何か偏見、予断を持っているんだ、これを正すためにこの映画をつくられたというようなことを言われているわけなんですけれども、これはどうなんですか。日本人の偏見というのはどういうことなんです。
  99. 海原治

    政府委員(海原治君) 私どもは、日本人とか国民とかの偏見、予断を正すというような任務は与えられておりません。
  100. 岩間正男

    岩間正男君 認識不足というのはどういうことなんです、米軍に対する認識不足というのは。
  101. 海原治

    政府委員(海原治君) 日本の国内には、いろいろと米軍の基地等につきましても、その意味を御了解なしに、ただ反対される方々がおるということにつきましての雑談が、当時の記者との間にございましたが、私は談話を発表した覚えはございません。
  102. 岩間正男

    岩間正男君 それでは、なんですか、この新聞のこの記事というのはうそかな、談話を発表したなんというのは。ここに官房長の意見として次のように言っている——官房長がそういうことを発表した。そうすると、このいま基地について、あなた、ただよくわからないで反対しているんだというふうに言われるが、これは失言じゃないですか。認識不足というようなことを言っているけれども、とんでもないことじゃないですか。日本人ぐらい、これは米軍の役割りについて認識しているのはないですよ。いま、私たち頭の上を、朝晩、ことに北爆でも始まったときはどうです、朝っぱらから認識させられている。ぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅうと、ひどい目にあっていますよ。これに対して反対してくるのは当然じゃないですか。米軍は日本にいる。しかし、ベトナム戦争との関連でわれわれの不安はたいへんです。いつこの戦争に巻き込まれるかわからないという、そういう体制の上にはっきり立たされているというのが実情じゃないですか。これを認識していないというのはとんでもない話で、ただ米軍の立場に立って、米軍のまるで露払いみたいな、そういう宣伝だけをやっているというのが、それがあなたたちの立場のように聞こえるのですが、とんでもない話なんです。どっちが一体偏見を持っているんですか。どっちが認識不足ですか。官房長ですから、あなたは一番米軍のそういう事態について知っているのかもしれないけれども、官房長の立場として、そういう意味で言っているのかもしれないけれども、これは国民の立場として、もっとこれは考えてもらいたい。どうなんです、その点。
  103. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいまのは岩間先生の御意見でございますので、それにつきまして私こまかく申し上げるわけにはまいらないと思います。
  104. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 岩間君、時間がございません。
  105. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく、とんでもない。認識不足とかなんとかいうような立場に立って米軍の宣伝をするような映画をつくる。そうして、実際に、いかにも米軍の行動が正当であり、日本の政府がこれに協力するのはあたりまえだ、国民がこれに協力しないのはけしからぬというような、そういうような、これはPRを行なうというようなことは、これは慎まなければならないんじゃないかと思うのです。  それで次に聞きますが、この映画の運用ですが、一般映画館にはどのようにして配給し、また、防衛庁自身の上映計画はどのようになっているのか、この点を伺いたい。
  106. 海原治

    政府委員(海原治君) 現在考えておりますところは、私どもに地方連絡部という機関がございますが、この地方連絡部とか、あるいは各部隊に配布いたしまして、上映の機会を持たせたい、こう考えております。  なお、これは今後の問題でございますが、防衛庁にはほかにも、たとえば、自衛隊のオリンピック作戦というようなきわめてすぐれた映画がございますので、こういう映画と一緒に、もしできますならば一般の配給機構に乗せまして、なるべく多くの方々に見ていただくということが適当ではないか、こういうふうに考えておりますが、このことはまだ検討の段階でございまして、実施につきましては、今後の問題でございます。
  107. 岩間正男

    岩間正男君 時間の関係から、事実関係を最初に明らかにしておきますが、米軍はこの企画に参加したのか、しないのか。  それから、立案を担当してこれを実施したのはどこなんです。
  108. 海原治

    政府委員(海原治君) 米軍は、企画には参画いたしておりません。ただし、私のほうで協力を依頼いたしております。  企画に当たりましたのは、防衛庁長官官房の広報課でございまして、私がその監督の責任を持っております。
  109. 岩間正男

    岩間正男君 この映画の目的の一つに、米軍に対する親密感を持たせるということがあると思うのですが、どうですか。そうですか。
  110. 海原治

    政府委員(海原治君) そのような企図はございません。
  111. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  112. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 速記を始めて。
  113. 岩間正男

    岩間正男君 そこで、どうですか。強く、ありませんというようなことを言っておりますけれども、実際は、これはベトナム戦争で、日本の国民の世論を聞けば、非常に米軍に対する激しいこれは反対の感情が強くある。そういうものを実際にこの映画でこれを緩和していくという、そういう目的が持たれているのじゃないですか。具体的にそうなる。
  114. 井村重雄

    政府委員(井村重雄君) ベトナム戦争とは何の関係もございません。自衛隊が発足して十五年もたちますので、やはり自衛隊の実態というものをよく国民に認識していただき、また、独立国家として国防はいかにあるべきかということをよく国民に知らせるためでありまして、これは政府の責任であり、また、国民に対する親切の一つだと考えております。
  115. 岩間正男

    岩間正男君 そういうことを言われておりますけれども、あなたたちの立場ではそういう答弁をやっておるかもしれませんけれども、全く一つの、いま、しかも、こういう段階、非常に米軍に対する国民の感じが悪くなっている、こういう態勢の中で、認識を新たにするというような形で、いまのような意図のもとにつくられている。  それから、これはどうですか、海外派兵の問題が非常に一方に起こっている。これは三矢作戦なんかで論議されている。そういうのに対して、国民を精神動員的に軍に協力させる、そういうような一つの意図が出てくるのじゃないか。結局、軍を賛美し、国防という立場からこれをやっていく、これが今度本年度から始められるという三次防の大きな特色になっているのじゃないか。三次防の中の基本線として、このような戦争協力体制というものを貫いていく、こういうものとはっきりこれはつながりがあると思う。この点で、時間でそちらのほうから非常に請求があるものですから、議論をやめますけれども、私は、こういうPR映画ですね、しかも、これが防衛庁の手によってつくられる、現時点で好ましくないと思う。こういうものを継続的にこれはやるという、そういう考えを持っているのですか。いつごろこれは封切りですか。
  116. 井村重雄

    政府委員(井村重雄君) 第三次防衛計画は目下作業中でありまして、いまの段階では、具体的にまだお答えする段階ではないと存じております。  なお、映画についても、私いま現在では、具体的な、第二回目、第三回目という具体的なものは持っておりません。  また、海外派兵は断じて行なわないということは、政府当局が数回とれを発表しているところでございまして、さような戦争に協力する、ベトナム戦争に協力するというふうな意図、または国民を精神動員いたしまして戦争に協力せしめるというような意図は全然持っておりません。  ただ、われわれは、現在の防衛態勢、自衛隊のあり方というものの真実を知ってもらいたい。また、これについていろいろ国民の御批判があれば、それもすなおに聞きたいという考え方であります。
  117. 岩間正男

    岩間正男君 最後に。そういうことならやめたらいい、この映画を特につくる必要もない、そういうものをわざわざ現段階で、これは内容を見ればなお詳しくなると思いますが、内容を見てからさらにやりますけれども、やめるべきだと思います。そこで最後に資料を要求しておきたいと思いますが、二つあります。一つは、朝雲エージェンシー、防衛庁に密着した広告代理店というのがあるようですが、これは何なんですか、防衛庁の広告代理店なのか。それから、これはいままでどのような仕事をしたのか、この資料を要求します。  第二には、自衛隊の戦陣訓ともいうべき「使命教育編」がまとまったと言われているが、現在使われている。「自衛官の心がまえ」ではどんな不備があるのか、その点。したがって、両方のものを資料として出してもらって、なだ新たにこういう戦陣訓みたいなものをつくる必要が出てきたのか、この点を資料として出していただきたい。
  118. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいまの二点の資料の御要求でございますが、後段のほうの戦陣訓的なものがまとまったというふうにお考えになっておられますが、これはまだそういうものはまとまっておりません。「自衛官の心がまえ」というものをふえんいたしました、部隊におきますところの教育資料の作成、これは当然なこととしてやっておりますが、これもまだ草案の段階としてもまとまったものはございません。したがいまして、この第二番目のものの資料はお出しできかねることをあらかじめお答えいたしておきます。
  119. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 申し上げますけれども、先ほど資料のことについても、あとで御相談したいと思うのですが、いまの草案でも、現に使っているなら、出せるのじゃないですか。
  120. 海原治

    政府委員(海原治君) 草案と申しますのは、たとえば各部局が持ち寄りまして検討するほんのまだ下ごしらえのものでございまして、部隊が使っているものではございません。担当の者のところで、どういう形にしたらいいだろうかという、いわば原稿的なものをそれぞれの部局が持っている、これから持ち寄りましていろいろと検討していく段階でございまして、先ほど委員長のおことばでございますが、部隊が使っているものではございませんので、これはまだ外部に出せるようなものではございません。
  121. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 岩間さんに申し上げます。先ほど御要求の資料に若干問題があるようでございますので、さっそく理事会で御相談して、出せるものを出してもらう——出せるものという弱い意味ではございませんが、相談して決定したいと思いますので、御了承願いたい。
  122. 岩間正男

    岩間正男君 委員長に特に要望したいのですが、先ほども言いましたように、いま全然われわれはつんぼさじきに置かれている。先ほどの応答で委員長も事態をお考えいただきたいと思うのですけれども、しかし、これでは困るのです。そういう点からどうか……。
  123. 藤原道子

    委員長藤原道子君) わかりました。  それでは、他に御発言がなければ、午前中の審査はこの程度にとどめたいと思います。  午後二時より再開いたします。午後二時まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後二時五十六分開会
  124. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  委員の異動について報告いたします。  本日、金丸冨夫君が委員を辞任され、その補欠として中津井眞君が選任されました。     —————————————
  125. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 午前に引き続き、昭和三十八年度決算外三件並びに国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題といたし、大蔵省及び建設省決算等について審査を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  126. 相澤重明

    ○相澤重明君 たくさんの議案がある大蔵省建設省でありますが、本日私から若干の質問をいたしたいのは、建設省はごくわずかですから、先に建設省のほうを御答弁いただいて、そのあと大蔵省に入りたいと思いますので、約一時間目途で御了解願いたい。  最初に建設省に、河川敷地の占用許可の方針、あるいは佐藤総理が就任後、国民広場をつくって多摩川の河川敷等については十分供用したいというお話がありまして、当決算委長会でも何回か、このことについて御質疑が交わされたのでありますが、それらについて、建設省からひとつ御説明をいただきたい。
  127. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) いま相澤先生からのお話のように、当委員会におきまして河川敷の利用問題、占用問題で数回の御質疑がございまして、そのつど御答弁申し上げておったのでありますが、その後、昨今の十一月の十日付で河川審議会答申がございまして、これに基づきまして河川敷地の占用許可の準則を定めまして、十二月の二十三日付で、建設省の事務次官名をもちまして、各河川管理者に通達を行なっておるわけであります。  その内容でございますが、占用許可の基本方針、公共性の高い事業の計画との調整、占用方法の基準、占用の許可の期間、許可の内容、特にまた、都市におきまする河川敷地占用の特例等につきまして定めておりますが、占用許可の基本方針としましては、累次申し上げておりましたように、河川敷地は河川の流路を形成しまして、洪水を安全に流下せしめることが、その管理の主眼でございます。しかし、そう申しましても、そのほかに、公共用物として一般公衆の自由な使用に供さしたいという、この二つを原則といたしまして、社会経済上必要やむを得ず許可する場合にも、当該占用によりまして、治水上あるいは利水上支障がなく、かつ、河川の自由使用を妨げず、また、河川及びその付近におきまする環境をそこなわない場合で、営利を目的としない、こういうものに限り、公共優先の原則に従いまして占用許可をする、こういうことでございます。また、道路橋でございますとか公園等の公共性の高い事業のために占用計画が確定しておりまする場合におきましては、これに支障を及ぼさないようにするということ、それから特に都市におきまする河川敷地につきましては、公園、緑地、広場、あるいは一般公衆の用に供しまする運動場のためにいたしまする占用に限ってこれを許可する、こういうことを定めまして、河川敷地を一般公共の利用に開放できるように十分配慮をして、そういう通達をいたしているわけでありまして、今後におきましては、以上のような準則を各河川管理者に十分に徹底させまして、適正な河川敷地の利用をはかっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  先般来の、当委員会の質疑におきまして、特に問題になっておりました多摩川の問題でございますが、これは単に多摩川だけにとどまりませず、大都市を流れております川におきまして、そういう問題があるわけでございますが、公園、緑地等の不足しておりますこれらの大都市周辺の河川につきましては、公園の整備事業と十分に調整をはかりまして、逐次、既存の占用をいたしておりまするものも整備いたしまして、同時に、まだ十分に整備されておらない河川敷地の整備を行ないながら、公衆の利用の促進をはかりたいと考えておるわけでありまして、特に、多摩川につきましては、東京と神奈川県等の関係の地方団体と協議いたしまして、具体策につきまして、現在、検討いたしておる状況でございます。  大体、そういう状況でございますが、いま相澤先生のお話の中にございましたような四十一年度、いま申しましたようなことで、大体、今年の状況は過ぎておりますが、四十一年度におきまして、これらの結果を具体化させなければならないと思っているわけでございます。新たに二子玉川の上流右岸地区になりますが、これをまず、都市河川整備事業という事業の対象にいたしまして、二カ年計画でこれの河川整備の着手をいたしてまいる、かように考えております。四十一年度におきましては、大体工事費が四千万くらいでございますので、六万平米くらいのものを、河川敷地の整備事業といたしまして整備を行ないたい。道路等、河道の整備を行ないますと同時に、そこの橋のたもとへの道をよくしたり、あるいは整備をいたします。でこぼこを整備いたしたりするような状況であります。高水敷の整備あるいは低水護岸の施設を完備いたしたい、かように考えているわけでございます。これのほかに、公園等に使いまするための事業も考えておりますが、一応この河川敷の整備といたしましては、そういう方向をとり、その整備が終わりますれば、その地帯が緑地になりまするような芝を植えたりするような施設を進めてまいる、かように考えておるわけでございます。  ちょっと内容に入りますが、いま申しましたのは河川敷の整備事業としてそういう形をいたしますが、先般来のお話の中にございました、いますぐに公園としてやる方法はないかという点には一つ問題がございまして、これは先ほど公園、緑地として河川敷地を利用する問題でございますが、これも四十一年度におきまして、新たな補助事業、国庫補助の事業対象にいたしましてやってまいりたい。すぐにやれるところは、いまのところ、多摩川のところの沿岸で、四十一年度は約六万坪くらいやれるかと思っております。これはすぐに河川敷の公園、緑地という形で使えるようにやってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。先ほどの河道の整備のほうは、これは基本施設等をやりまして、そのあとで、それが公園、緑地等になり得ることをやらなければなりません。これは少し時間がかかります。先ほど申しました公園、緑地にいたしますほうは、四十一年度で約六万坪くらいの見当で、これは直接公園にするようにいたしたい。こういう順序で先般来の通達をいたしたわけでございます。
  128. 相澤重明

    ○相澤重明君 たいへん努力のあとが見られてけっこうだと思います。  そこで二、三お尋ねしておきたいのは、審議会答申に基づいて方針を十二月末に御決定されて通達を出されたようでありますが、この中で、いわゆるこの通達を出した時点以前の問題、いわゆる不法占拠というような問題があると思うのですね。そういうものについての措置というものは、具体的にどういうふうに進められるのか。どのくらいの不法占拠というものが、件数なりあるいは坪数なり費用というものが見込まれておるのか。というのは、四十一年度のこれは予算が通ってからでないと、具体的にはならぬと思うけれども、考え方として、政府の方針がなければこの通達というものも死んでしまうと私は思う。そういう意味で、どのくらいお考えになっておるのかというのが一つ。  いま一つは、この方法、通達の内容を拝見をいたしますというと、たいへんよくできておるわけでありますが、いわゆる都市等における占用の措置について特例等がありますが、具体的に先ほどの御説明によりますと、河川管理者の都道府県知事、こういう人たちと御相談をされることだと思うのでありますが、この通達の最後の三ページの6の(2)「公園、緑地等が不足している」云々の、この中に、地方公共団体の公園担当部局等と十分連絡をするということでありますが、それは単に現在の部局と連絡をして、今後占用期間というようなものについての相談をするというのか、あるいは政府が基本方針にある緑地帯等の不足等からかんがみて、総理大臣の言うように、国民の健康を助長するとか、あるいは足りないものをよく直していくとか、こういうことから考えて、積極的に連絡会議というか、地方自治体と政府との間にそういう相談機関というものを設ける気なのか。これは事務的に進めるか、あるいは、ある程度政治性を持ったものを持って、そういうことを将来相談をしていくのかという点の私は分かれ目になると思うので、ひとつお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、これが二つ目であります。  それから三つ目は、この中に、占用期間というものを与えるということになっておりますが、最後のほうの「(占用の許可の期間)」、この期間が、「占用にあっては五年以内、その他の施設のためにする占用にあっては三年以内」、こういうのが六ページに書いてございますが、これは前段にあるところの補償は伴わないもの、こういうふうに理解をいたしますというと、少なくとも恒久施設というものは、これは全然ない。いわゆる普通だれが見ても、これならば簡単に取りこわしのできるもの、いわゆる補償を要求しなくても当然そういう必要性のないものと、こういうふうに考えられるが、そういう考えのもとに立っておるのかどうか。そうしますというと、たとえば京浜第三道路が、このゴルフ場の上に、橋脚を立てた場合の補償料を支払ったというようなことで、当委員会で4、私から御質問を申し上げましたように、同じ国の行政の中で、たとえばゴルフ場に貸しておっても、わずか一円五十銭か三円の坪のものが、何千万円という補償を払わなければならぬというのはおかしいではないか、こういう疑いが、私はなくなると思うのです。そういう面で、過去に京浜第三道路の場合に、ゴルフ場に支払った補償のようなことは再び起こらないと、こういうふうに考えていいかどうかという点を、あわせて第三番目にひとつ御質問申し上げたいと思う。以上、三点についてお答えをいただきたいと思います。
  129. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 詳しいことは河川局長からお答えさしていただきたいと思いますが、従来のこの河川敷の場合に、いわば不法占拠といいますものは、これは戦後の混乱のときにだいぶございましたが、現在において不法占拠というものは、非常に数が少なくなっておると思います。しかし、先般来いろいろ御議論がございましたように、今度の審議会答申等から見まして、趣旨その他においてもっと考えなければならぬ、こういうものは、御指摘のようにかなりあるわけでございます。不法占拠の問題どうこうと申しますよりは、いまの段階において考えて、訂正をしなければならぬというものに関しましてのやり方を改めさしていかなければならぬと思います。先ほどお話しのように、当然これは、河川管理をいたしております地方公共団体と相談しなければなりません。なりませんが、事務的だけで進む筋のものではなかなかろうと思います。したがいまして、もうすでにその問題、いろいろやっておりますのについては、連絡会議の形をもちまして、こちらからの指導を強めてやっておるというのが現状でございます。  いろいろとこの現在の占用の期間を改めさせる、あるいは占用の条件をあれさせるという問題につきましては問題がございますし、また補償等の問題につきましては、個々の例によって問題がございまするので、この点につきましては、河川局長のほうからお答えをさしていただきたいと思います。
  130. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 第一点の不法占用の問題について補足説明をいたしますと、現在、多摩川につきまして占用しているものは、不法占用はありません。若干たとえば畑の耕作等につきましてありますけれども、大きな占用につきましてはございません。ただ、これが社会経済上不当であるというような御意見も、決算委員会で出ておりますので、ただいま準則でそういったような許可につきましてしっかりした理念を確立したわけでございまして、今後そういう方針に従いまして、逐次国民の要請にこたえ得るようにやっていきたいというふうに考えております。  なお、不法占用で、たとえば鶴見川等におきまして、若干の占用が堤防上にございます。あるいは大井川とか、いろいろな点でございますが、そういう点につきましても、現在、河川管理者とその撤去について協議いたしております。ただこれの問題は、非常に生活の問題と関連いたしまして、土地の手当ての問題、あるいは移転家屋の問題、そういった問題がありますので、なかなかスムーズに進まない。不法々々だけで、なかなかどけるわけにはいかないという状況でございまして、その点ひとつあしからず御了承お願いしたいとふうに考える次第でございます。万全の努力をいたしております。  それから都市河川の特例で、地方公共団体と密接に連絡しているかということについての御質問でございますが、これにつきましては、こういう準則を出しました以上、国として積極的に国が主体性を持って指導していきたい。幸い今回の予算におきまして、多摩川が一級河川になるということが、今後の指定の事務手続はあるといたしましても決定いたしました。したがいまして、指定がなされるものとして、われわれは主体性を持ちまして、国として準則に従いまして、できるだけやっていきたい。ただこの問題につきましては、先ほど政務次官がおっしゃいましたように、個々の問題につきますと、補償の問題等いろいろございますので、まずわれわれはどういうぐあいにしてこれを公共の利用に供すべきか計画を立てまして、その計画に基づいて納得づくで持っていきたいというふうに考えております。ただいま計画について検討中でございます。  それから、占用の期間の問題でございますが、この五ヶ年、三カ年をきめましたのは、五ヶ年、三カ年で十分償却できるような施設しか許さない。したがいまして、その後は補償はしないという前提に立っております、ただ、いろいろ法的問題はあろうかと思いますので、いろいろ係争の場が起きるかと思いますが、われわれのこの準則をつくったたてまえは、そういうたてまえでつくっております。したがいまして、今後のたとえば第三京浜の補償等の問題等につきましても、河川管理者がみずから出ていって、できるだけそういった方向に指導するようにいたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  131. 相澤重明

    ○相澤重明君 基本方針として、いまの御説明を了解をいたします、できるだけやはりこの河川敷等の問題は、全国的な問題として政府も御承知のとおりでありますから、方針をつくられた以上、私はできるだけやはりこの計画的に早く解消するように努力してもらいたいと思います。  それから先ほどの次に御説明をいただきましたたとえば多摩川の二子上流の二カ年の開放計画、これは神奈川県、寄りと東京都寄りに両者につくる、こういうことで、その最初、ことし神奈川県寄りにおつくりになる、こういうことなんですか、それとも、とにかくことしこの十七万平米のうち、五、六万平米を神奈川県寄りにつくる、こういうお考えなのかどうか。それが第一点。  第二点は、たとえば広場をおつくるになる、造成されて、その管理というものは都道府県知事に、あるいはこれら都道府県知事は基本といたしましても、たとえば二子の場合は川崎市が一番身近にある都市である。そういう面で、川崎市長とも御相談になるお考えがあるのかどうか。これは河川管理からいけば、都道府県知事ということになるわけでありますが、そういう面の具体的な構想をお持ちになっているのかどうか。東京都の場合でいえば特別区になるわけですね。都知事のほかに、もしやるとすればそういう区長にも御相談になるのかどうか、こういう点も運用の面で私は今後出てくると思うのでありまして、お考えがあれば、この際ひとつ御発表願っておきたい。
  132. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) ただいま都市河川整備事業におきまして、二子玉川上流右岸地区に十七万七千平米をほぼ二カ年でやりたいということを、政務次官から申されました。これはわれわれとしましては、ただいま都市河川整備をやるような地域が、とりあえず二子玉川橋の上流の右岸にしか見当たらないわけでございます。とりあえずそれを二カ年でやっていきたい。逐次そういったものを探しまして整備していきたいという気持ちでございます。今後も個所につきましては、具体的に当たっていきまして、あるいはそこに一部占用の問題等もございますので、そういうものの調整がつかないと、なかなかできない部面もございます。したがいまして、いまできる地点を選んで整備事業を行なうということで、二子玉川橋の上流の右岸を選んだわけでございます。  それから、今後の管理の問題でございますが、御承知のとおり都市河川整備事業は、河川管理者が行なう河川工事でございまして、河川の機能を増大する一方、高水敷を造成しまして公共利用を増進していくということでございます。したがいましてこれが管理につきましては、河川管理君みずからやる。しかしながら、適切な公園管理者とかあるいは緑地管理者とかというものがありまして、その管理者がはっきりきまりましたならば、それは公園管理者の責任においてそれを公園化するとか緑地化するとかいう仕事をやっていただきたい、このように考えております。第一段階では、要するにそういった広場をつくっていく工事は、河川管理者でやっていきたいと思っております。
  133. 相澤重明

    ○相澤重明君 建設省のいまの御説明でけっこうです。私としてもたいへん努力されたあとを了承したいと思います。  次に、大蔵省関係に入りたいと思うのですが、まず国有財産局長からお答えいただきたいのは、小委員会で懸案事項になっておりました問題のその後の報告を求めたいと思う。たくさんありますが、たいへん大蔵省も努力されて、解決への方向が見られたものもございますので、私は次のような点をきょうはお答えいただきたいと思うのです。  それは、ダイヤモンドの処理についてどうするか。その処理方針、時期。それから、碑文谷マンションの係争の問題について、その後どうなっておるか。それから、公務員の宿舎二重使用の問題とか、あるいは国有林野の問題とか、また図書の購入の問題等につきましては、それぞれ関係者から後刻予備審議を経まして総括の際にあると思いますので、私は、以上ダイヤモンドと、それから碑文谷マンションの問題は一応本日でき得ればその後の報告を求めておきたい。  それから、第三は、小委員会といたしまして、たくさんの投書あるいは申告を受けまして、今日まで決算調査室が調査を進めてまいりました。その間にもすでに大蔵省の努力で解決したものも幾つか見られます。したがいまして、あとでお許しを各委員の皆さんにも御了解いただいて、調査室長からこの中間報告をしてもらって、その中で若干の点を私から政府にお尋ねをしておきたい、こう考えておるわけです。以上のような立場で、時間的な問題もございますので、最初にひとつ以上二点を御報告いただきたいと思います。
  134. 松永勇

    政府委員松永勇君) まず、ダイヤモンドの処理でございます。ダイヤモンドの処理につきましては、当委員会でいろいろ御審議を願いました、その結果を私たちとしましても、これを四十一年度以降において処分をするという方針を法定いたしました。四十一年度の大体秋ごろに第一回の売り払いをいたしたいというふうに考えております。で、ダイヤモンドはその処分方法といたしましては、いろいろな観点から検討をいたしました結果、一般競争入札をもって原則とする。ただ一般の国民が供出されたものであるという点を考慮いたしまして、一般の国民にも、そのダイヤモンドが希望される方にまあ手に入るような措置を副次的に考慮したいという考えから、一部につきまして国が直接委託販売をするということをあわせ行なう、大部分は一般競争入札ということにいたしたいと思います。来年度におきましては、全体の処分数量の約四分の一程度の委託販売というふうに考えております。それからなおこの処分をいたします前堤といたしまして、この評価が適正でなければならぬ。私たちもこのダイヤモンドを処理するにあたっては、公正な処分ということを第一義的に考えまして、この処分を急ぐというよりは、公正に行なうということを主眼点として今後の処理に当たろうといたしております。その一つとして評価を行なう。で、この評価は本年度末おおむね三月と予定いたしておりますが、三月に評価をいたしまして処理をする、評価のやり方につきましては、まだこまかい点は確定いたしておりませんけれども、ここで問題になりました外国人の鑑定人を参加させてはどうかというような御意見を種々検討いたしました結果、目下アメリカのある専門家に対して訂価の依頼をいたしている次第でございます。それからなお従来の評価が、一部の専門業者に片寄っていたという点を考慮いたしまして、今回はそういうのに対してまあ価格をいわゆるチェックできるような学識経験者と申しますか、そういう方々にも参加いたしていただくということで、おおむね全体としては十人ないし十一人の鑑定人に依頼をして、適正な鑑定をいたしたいと思っております。それからなお鑑定のやり方につきまして、昨年この席で申しましたように、いわゆる投票をしていただくというか、各人がそれぞれ妥当と思う価格を投票していただいて、その結果を集計して、最終の予定価格は私たち担当者のみが知っているというようなことをくふういたしたいというふうに考えております。大体いまの処理方式によりまして、九月以降において全体の数量のうちの約五分の一程度のものを初年度において処理いたしたいという考え方で予算等の措置も講じてまいっております。ダイヤモンドにつきましては、以上のような状況でございます。  第二点の碑文谷マンションの問題につきましては、この当委員会本件は訴訟として争うという考え方で措置いたしますということを申し上げましたが、法務当局と密接な連絡をとりまして、その後本件を訴訟に提起いたしまして、現在東京地方裁判所において審理が進められておりまして、現在二回ほどすでに公判が開かれている現状でございます。以上二点について簡単に御報告いたしました。
  135. 相澤重明

    ○相澤重明君 あといろいろこまかい点についての質疑もあろうと思いますが、それは次回に譲りまして、報告を一応了承しておきます。  次に、国有財産管理処分に関する投書等についてのまとめたものが資料としてできておりますので、これはお許しいただいて、調査室長から先に報告いただいて、そのあと私から二、三質問いたしたいと思いますので、お許しいただきたいと思います。委員長からひとつお願いいたします。
  136. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 池田調査室長。
  137. 池田修蔵

    ○専門員(池田修蔵君) ただいま相澤先生から仰せございましたように、お手元に「国有財産管理処分に関する投書について」という中間報告を刷りものとして差し上げてありますが、それにつきまして大体の概要を御説明申し上げたいと思います。  国有財産管理処分に関する投書につきましては、目下の受付件数は八十九件、これは四十一年二月五日現在でございます。八十九件に及んでおります。そのうちには若干同じ人から二度もきたようなものもございますので、事件としてはあるいは重複しているものもございますが、とにかく逆数としては八十九件という延べになっております。であって、そのうち匿名のもの二十三件を除いた六十六件、この二十三件匿名のものを除きましたと申しますのは、小委員会の席上におきまして、委員の皆様から、匿名できたものについては、多少その間、責任を当委員会として負いにくいようなものもあるだろうから、まずそういうものは除いて、投書者の氏名、住所のはっきりしているものから手をつけろということでございましたので、その御方針に従いまして匿名のものはあと回しにいたしまして、それを除いた六十六件について鋭意調査を進めておる次第でございますが、その進捗状況は大体次のようでございます。  すなわち解決済みのもの、これは各省からの処理につきまして本人にも通知しましたところが、本人のほうでも納得できましたというような案件でございます。それからその次は、官庁側に対して円満解決、官庁のほうでも円満解決に努力をしておられるわけでありますが、なお投書者との間の意思疏通を十分はかって円満解決をしていただくように督励しておるものでございます。それが三件ございます。それから官庁側の説明をこちらで受けまして、その趣旨を投書人に連絡いたしまして、投書者のほうから、さらにこういう点を調べてもらいたいとか、さらに新たなる観点について調査を願いたいというような再投書みたようなものが参っておりますので、その案件についてさらに検討をしておるものが三件ございます。それからその次は、官側の説明を投書人に連絡をいたしまして、まだ回答がきてないもの、これを待っておるものが四件ございます。それからその次は官側の説明を投書人に連絡をいつでもできる態勢にございますが、まだプリントその他の関係で連絡をしておりませんけれども、これをいつでも出せる、内容的には出せる段階に至ったものが十件ございます。それから官側の説明を待っておるものがまだ三十七件、これはちょっと多いようでございますが、三十七件ございます。それからその他特に処置をどうするということじゃございませんけれども、たとえばダイヤモンドはこういうふうな処分方法をしたらいいとかいうような参考的な意見を舌ってきたもので、特にこれは私のほうで処置するものでもございませんので、大蔵省等にも連絡をいたしまして、参考に供せられるようにしたものが二件、合わせて六十六件でございます。  それでその詳細につきましては、ここにメモとして記録してございますので、どうぞこの記録によってごらんを願いたいと思います。以上御報告を終わります。
  138. 相澤重明

    ○相澤重明君 以上、調査室長から調査の経過について御報告がありましたが、私は二、三この機会にお尋ねをしたいと思うのですが、まずその中で二一ページ第二八号、神奈川県三浦市三崎町城ケ島四六九、加藤ミトこの人にかかわる問題から若干のお尋ねをしてみたいと思うのですが、まず大蔵省にこの神奈川県の三浦市三崎町にある城ケ島に国有財産というものはどのくらい終戦当時おありになったかということがおわかりになるかどうか。その中に、戦後国有財産に編入せられた中に、戦前いわゆる旧陸海軍の所有地はあったのかなかったのか。いわゆるこの戦後の普通財産として国有地に編入をしたものの中に、そういう軍の財産がどのくらいあっただろうか。軍の財産以外の国有財産というものはどのくらいあっただろうか。こういう点をひとつおわかりになったならば、御報告いただきたいと思う。
  139. 松永勇

    政府委員松永勇君) いま突然で、三浦三崎地区ということでお話がありましたので、まだ調べておりませんので、説明員のほうでちょっと説明させます。
  140. 吉川昌二

    説明員(吉川昌二君) 城ケ島には、戦前戦後陸軍から引き受けた財産がございまして、これは旧陸軍城ヶ島砲台という口座でございますが、二十年の十二月一日に、旧地目としては雑種地で陸軍より五万四千六百九十六坪を引き受けました。なお別口としまして、同様に陸軍の雑種地で、同日の二十年十二月一日付で五百五十坪を引き受けております。  それで現在は、それぞれ当初の五万四千六百九十六坪のうちから、農林省へ二十八年三月三十一日付で所管がえいたしましたのが二万七千九百二十九坪、それから三十一年四月十八日に神奈川県に三百三十二坪八合九勺を売り払っておりまして、その残としましては二万六千四百三十四坪一合一勺でございます。別口の五百五十坪のほうは、三十七年四月十八日に神奈川県に売り払いが百七十八坪三合四勺で、残としまして三百七十一坪六合六勺でございまして、合わせて現在は二万大千八百五坪七合七勺がございます。これは台帳上に残っておる坪数でございまして、これは現在都市公園として神奈川県に無償貸し付けをするべく準備中でございまして、貸し付けたあとにおいては、残地はなくなる見込みでございます。
  141. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの御説明でわかりましたが、その旧陸軍用地、戦後いわゆる普通財産になったもの、いわゆる旧陸軍用地というのは、その以前はどこの所有だったか。
  142. 吉川昌二

    説明員(吉川昌二君) その以前は、陸軍から引き受けた記録はございませんので、私どもとしては現在実情を把握いたしておりません。
  143. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は昭和三十二年以来、国有財産の実態調査を行なうべきであるということで、なくなった総理大臣の池田さんが大蔵大臣当時に、当委員会で私が強く、要望をし続けてきたものであります。したがって、その後国有財産の実態は、大蔵省のたいへんな努力と、また各省の行政財産についても進められてきたのでありますが、特にこの国有財産の中で、私は城ヶ島の問題については一つの提案といいますか、考え方を私は持っておるわけであります。それというのは、いま課長から御説明をいただきまして、旧陸軍の所有の以前は一体だれなのか、こういう点について不明確のようでありますが、ここに資料をひとつ提供したいと思うのであります。それは国立国会図書館の中に、「帝室林野局五十年史」というのがあります。この「帝室林野局五十年史」の九三四ページに、大正十四年神奈川県三浦郡三崎町所在、城ケ島御料地四町一反七畝余(実測五町一反一畝十六歩)を陸軍省用地として政府へ譲与、と、こうなっておるわけであります。これは宮内庁の土地台帳にも実は載っておるのでありますが、大蔵省ではこの点まではまだ不明確のようでありますけれども、私はこの点は元台帳を調べていけば明らかになることだと思う。私の口からこう言うのも、たいへんおこがましい話でありますが、皇室財産も決して十分ではないわけであります。毎年皇室の経済の問題についても、国会でもあるいはまたこの審議委員の諸君もずいぶん苦労をしているわけでありますが、昨年皇孫礼宮がお生まれになったので、私はむしろもとのいわゆる御料地であるなら、それをむしろそういう逼迫している皇室財産の中で苦労されておるわけでありますから、礼宮にでもひとつやったらどうか、こういう気持ちを持つわけであります。風光明媚、また葉山の御用邸にきわめて近いところでありますから、まあ俗に言えば、せっかくの子供が生まれたんでありますから、子供にひとつやるのもいいことではないか、こう思うのでありますが、しかし、すでにこの御料地が陸軍省に譲与されて、その陸軍省は戦争によって負けたわけでありまして、戦後は国民のものになり、国有財産になる、その国有財産になって、それがいわゆるいまの御説明によりますと、神奈川県の県立公園の一部になっておる。そしてまたさらに現在まで手続が全部完了しておらないようでありまして、それが完了してしまえば残地がなくなると、こう言うんですね。そうしますと、全部がこれが国有地公園用地になるというふうに御説明を承ったことになるわけなんですが、この県立公園というのはどのくらいの広さなんですか、おわかりになりますか。
  144. 吉川昌二

    説明員(吉川昌二君) ただいま申し上げました、神奈川県に無償貸し付けするよう準備中である都市公園が、県立の城ケ島公園でございまして、これが県立公園の大部分の地積である、あるいは若干そのほかに、これ以外に坪数があるか、私そこまではちょっと把握いたしておりませんが、これが県立城ケ島公園の大部分であると承知いたしております。したがいまして、これが都市公園として利用されるわけでございます。
  145. 相澤重明

    ○相澤重明君 いま私が読み上げましたように、帝室林野局の五十年史によれば、御料地のあるこの城ヶ島のその実測は、五町一反一畝十六歩と、こう史実には明らかになっておるわけであります。したがいまして、現在の神奈川県の城ケ島における県立公園は五万余坪であり、この御料地、いわゆるいままでの国有財産はその一部であると私は思うのであります。そこでその中には——私は城ケ島にはこの御料地のほかに国有財産があったと思うのです、それをやはり交換分合なりあるいはまた他に転用するなり、いろいろあったと思うのですが、これは私自身大蔵省じゃございませんから、実態はわからないのでありますけれども、そういうことがおわかりになっておるかどうか。つまり国有財産というものは他にもあったのかどうか、たとえば城ケ島の中に。こういう点についておわかりになれば、ひとつお答えをいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  146. 松永勇

    政府委員松永勇君) この投書のございました加藤ミトさん、この方の投書の書面を拝見し、それからいろいろの事案を深く検討しました結果、先ほど申しました旧軍用財産のほかに、脱落地と申しておりますが、いわゆる国有財産台帳に載ってなく、したがって私たちとしては国有財産とは思ってなかった土地というようなものがあるのではないか、こういう事案は、国有財産の実態調査を進めていくに従いまして脱落地が見つかったというような点は多々ございます。この三崎にも私たちがいままで実は知らなかった国有財産があったのではないかというような点は、思い当たる節があるわけでございます。しかし、それがそのほかまだどのくらいあるかという点になりますと、正確なことはわかりません。現在のところこの投書になりました事案につきましては、従来いままで調べたところの状況では、どうもそういう脱落地として国有地ではないかというようなものが現にあるというふうに考えられます。全体としてそういうものが幾らあるという点の、三崎地区にもまだほかにもあるというような点は、なかなかむずかしい問題でございまして、これを契機に、若干の地域について関東財務局でも現在調査いたしておりますけれども、正確な点はまだ申し上げる段階に至っておらないと思います。
  147. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあたまたま当委員会国有財産に対する多くの関心が持たれたので、この城ケ島のたった一つの問題が、私はやはりきょう私が申し上げたようなことになってしまったと思うのでありますが、ぜひ大蔵省においても十分御調査をいただきたいと思うのでありますが、きょうこの席に法務省はお呼びしておりませんけれども、私は登記の問題についても、若干そういう面について検討しなければならぬ点がたくさんあるのではないか。それというのは、先ほど申し上げたように、神奈川県が県立公園をつくるのに、昭和二十四年ごろだと思いますが、それ以来国有財産に目をつけ、あるいは官有地といいますか、昔でいう官有地いまでいう脱落地あるいはその地域に包含をする民有地の交換、こういうような問題が行なわれなければ、五万有余坪という土地はできないと私は思う。そういう中に実は私の手元にある資料によりますと、同じ登記所で登記をしておる問題についても、同じ土地のものが二人にも登記をされておる、こういうようなものも見られ、しかも法務省の三崎出張所の登記簿と三浦市の土地台帳と、これがやはり大蔵省国有財産の台帳というものと違うものが幾らかやはり見られる。こういうことは私は官公庁の間の実態把握が不十分であったと、こういうように思うわけであります。あるけれども、しかし十分関係者が実際を見て、そうして調べなければ結論は出てこないと私は思う。憶測をしてもいけないし、誤った考えを持ってもいけないと思うのであります。そういう意味で、たまたまいわゆる加藤ミトさんの、国有地と判断をされるものが私のものであるという見解によって、裁判が提起をされているというこの問題がこの投書の趣旨でありますけれども、私はこういう点については、事実をやはり判断をしてびしっと姿勢を正しくしないと、行政というものはどこにあるのかということを言われると思うのです。そういう面で、昭和二十四年以来三十七年までかかって城ケ島大橋がかかるまでこの公園の整備等が進められ、その間に国有地、民有地のそういう統廃合あるいはこの移転登記というものが行なわれたと私は思う。こういう面で、きょうは会計検査院も出席でありますから、会計検査院にもこの事実を私は調査を進めてもらいたい。少なくとも三十年前後のこの移転登記については、たいへん地元の者が疑惑を持つようなことでは困るわけでありますから、正しいものは正しい、正しくないものは正しくない、こうしなければならぬし、行政上に誤りがあれば、これは直してもらわなければならぬ、こう思うのであります。で、国有財産局として、大蔵省としてはぜひ国有財産が、この県立公園を策定をする昭和二十四年以前にはどこにどのくらいあったのか、それから現在はどうなっているのか、これをひとつお調べをいただきたいと思う。それから会計検査院には、この国有財産移転登記あるいは民有地の移転登記がそれぞれ登記所に行なわれていると思う。その登記の価額は一体どのくらいで、これは買収をしたものか、売り払ったものか。いま一つの問題は、私に言わしむるならば、さらにそれはいわゆる土地等を所有をした場合には、当然課税があるわけです、税金の対象になるわけです。そういう課税というものは一体行なわれているのかいないのか。財産だけはどんどんふえていったけれども、実際にはそれは何にもあとは課税はされていない、あるいは移転登記は行なわれておったけれども、その前の所有者から買ったとかあるいはその者が売ったとかということはどうなっているのか、それがない。こういうことでは私はやはり疑問を残すと思う。中にいまの城ケ島の加藤ミトさんのいまのこの争いの土地のそばに、皇室財産なるものがある。約三百坪と、こういわれている、それは一体どこへいったのか。いまの城ケ島砲台のあとの県立公園のことはわかりました。しかしこの加藤ミトさんの隣りにあったといわれます皇室財産約三百坪というものは一体どうなのかという点を、土地ではいろいろ言われるのでありますが、これは私、専門家ではないからわからないのであります。そういう点を、事実であれば直さなければならぬし、誤りがあればこれは誤りであると言ってやらなければいかぬと思う。それが私は決算委員会としては正しいものにやはり直していくという仕事だと思う。そういう面で、法務省にもこの点はひとつ決算委員会からも、登記をよく調べてあやまちのないようにしてもらうという忠告をするつもりでありますが、国有財産局並びに会計検査院に調査をしてもらいたいと思うのですが、それぞれ御回答をいただきたいと思うのです。
  148. 松永勇

    政府委員松永勇君) 先ほど説明員説明したようでございますが、なお国有財産台帳の面からもう一度、その台帳にあった坪数がそれぞれ処分され、あるいは処分されようとしておりますそれとの関連がどうなったか、それからもう一点、先ほど皇室用の財産があったということを相澤先生はおっしゃいましたが、皇室用財産はいわゆる旧憲法下の皇室用財産ということであるのではないかと思うのでありますが、新憲法下の国有財産でございますと、これは、皇室用財産国有財産のうちの行政財産として宮内庁が管理しております。宮内庁のほうには現在そういう管理した土地はないようでございますから、そうではない、かつての皇室用財産というお話ではないかと思うのでございます。この点につきますと、これはいわゆる国有財産ではなくて、皇室自身の財産であるということになろうかと思うのであります。しかし、そういう財産があったのかなかったのか、この点については確認等なかなか困難だと思いますけれども、むしろ法務省の土地台帳等によって調べるほうが——すなわち国有財産ではございませんで、大蔵省としては関知してないところでございます。土地台帳等でどうなっておったかということが、実態の問題だろうと思うのであります。
  149. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 厳重にお調べを願いたい。
  150. 保川遜

    説明員(保川遜君) 先ほど相澤先生おっしゃいましたように、国有財産の実態調査、これは大蔵当局も相当以前から何カ年計画かでやっておるわけでございます。われわれももちろん非常な関心を持って、まあ実態不明というような事態は、本来財産の問題としては非常にまずい問題でありますので、われわれも極力検査を通じまして明らかにしていきたいと考えております。  ただ、ここでちょっと私先ほどからお話を承って、実はこの具体的な問題をちょっと存じませんけれども、脱落地、これはおそらく公共用財産、本来用途廃止いたしますと、これが引き継ぎで普通財産になる、その引き継ぎの処置がとられないままいつの間にか、廃止になって、いつの間にか引き継ぎもされない、こういう宙ぶらりんの状態のものが、おそらく脱落地ということであろうかと思います。われわれもこういうものの所在というものを、できるだけ検査を通じて把握しようと努力はいたしておりますが、非常に困難であります。その点、そういう点もひとつお含みおき願いまして、ただいまおっしゃいました調査の点は、われわれの力の及ぶ限り調査をいたしたいと考えております。
  151. 相澤重明

    ○相澤重明君 その次に、いま一点これもお尋ねしておきたいと思うのですが、今度は別冊の三六ページ八九号ですね、四十一年一月受付、投書人は長倉光男というのですか、横須賀市西逸見町一の三八、長倉歯科医院設立以来の経過というのからずっとこう出ておりますが、これは大蔵省がこの長倉さんでない別な人にお貸しになったということであります。ところが、その物井氏という別な人が、長倉さんという歯医者さんに家をお貸しになったようであります。それが何年かのうちに長倉さんのおうちが火事になった、燃えてしまった、こういうことですね、これをずっと見ると。そうして、いまは裁判にやはりなっておるようであります。ところが、私、実は横須賀に行ったときに見たところ、国道十六号線のところでありますから、逸見隧道の出たすぐ左側でありますから、これははっきりしておりますが、焼けたおうちのところで、一部焼け残ったところで歯医者さんをやっておるわけであります。ところが、大蔵省の関財ですか、地元の横須賀の大蔵省の担当者は、この家は全部燃えてしまったということを、裁判の際証人で呼ばれたのですか参考人で呼ばれたのですか知りませんが、その際にお話しになったというのであります。ところが厳然とうちは残っておって、商売をやっておるのであります。こういうことを見ると、まあ争いに巻き込まれたくないということはわかっても、一体実態というものを把握しているのかどうか、こういう点が私はやはり非常に疑問になるわけであります。現実に歯医者さんをやっておって、もう大ぜいの人がそこで歯をなおしておる。しかも署名簿まで添えて関係当局にこの用地払い下げてもらいたいと、こういうことを言ったところが、一方の人に貸しておるから、君のところと関係がないのだ。しかも君のところは火事になって燃えてしまったから何も用はないんだとこういう話で、事実はこれは私どもが行って国道十六号線のそばにあるこの現地を見ると、焼けたうちは焼けたままで残っていますが、その一部で歯医者をやっておるが、全部焼けてなくなったという報告をするということは、何としても私どもに納得ができない。これは御本人に来てもらって……、現地をさらに見るとわかるのですが、こういう点については、これは調査室からも政府にお尋ねになったと思うのですが、こういう点は少し私は行き過ぎではないかと、むしろ弱い者をあまりいじめ過ぎはしないかという気がするわけです。そういう点でこの点はどういうようにお考えになっておったかお答えをいただきたいと思うのです。これは私にはよくわからない。一体どういうふうに実態を把握しているのか、この点いかがですか。これはまだ読んでいませんか。
  152. 松永勇

    政府委員松永勇君) 書面はまだ読んでおりませんが、実は本件につきましては、私も報告を聞いております。先ほど相澤先生がおっしゃっているように、この歯科医師さんの建物が——使っておった建物ですが、建物が全部焼けたというようには聞いておりません。焼けたには焼けたが、若干の何か焼け残りがそこにまだあるんだというふうに私は報告を受けております。で、横須賀の出張所の人が、どこでどういうことをお話しになったか、私その話はいままで聞いておりません。ただ事実問題としては、若干の焼け残りがそこにあるということは、私ども報告を受けております。  なお、本件処理につきましては、実は非常に私たちとしてはなかなかやっかいな問題でございます。もともと国から貸しておりますのは、港ホテルという方で、その方が終戦以来ずっと借りておった。それをまあ一部転貸と申しますか、そういう形でそこに歯科医師さんが入っていらして、相当長年にわたって使っておられ、その間に火災になったという問題で、この相手方の港商事と歯科医師さんとの間でいま訴訟が行なわれつつあるというケースでございます。こういう問題につきましては、まあ国有財産を貸し付けておるのが、いわゆる転貸借になっておったという点を知らなかったという私たちの管理上の手落ちもございますが、そこに借家権があるかないかということで現に訴訟になっておる段階でございます。本件につきましては、円満な解決方法はないかということを、私たちも種々検討いたしたのでございますが、両者間の争いが非常に強く、訴訟としてどうしても訴訟で継続するという御意見でいまやっておられます。私たちの立場もまた別にあるわけでございます。この訴訟に参加するか、あるいはとの貸し付け先である港商事を通じて何らかの是正措置をすべきかどうかというような点も、訴訟の経過と関連して措置を検討いたしたいと思っております。
  153. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、局長のお話はそのとおり私も受けていいと思うのでありますが、一つやはり気になるのは、こういう書面を出されてきたわけでありますが、そういう最中に現在この長倉さんという人が歯医者の商売をしておる土地を、今度は自動車の置き場として港商事に貸してしまったということじゃありませんか。そういう事実が、昨年当委員会に出された当時はわからなかったんでありますが、その後聞いてみるというと、そういう係争中のものを、もうあれは別に家がないんだと、このように全焼だと、こう言っておって、さらにその上に追い打ちをかけて、今度はその土地を全部自動車の置き場に貸してしまったと、こういうことを言われておるのですが、これは事実ですか。
  154. 松永勇

    政府委員松永勇君) 先ほど申しましたように、国とこの土地建物と焼けた建物も含んでおりますが、土地建物を含めて国が貸しておったのは、港商事でございます。これは契約関係が継続しておったわけであります。そこで焼ける前の状態は、木工場と旅館を経営しておったわけであります。木工場の部分が焼けてしまったわけでございますが、焼けてしまっても契約関係は続いておるわけであります、土地につきまして。そこで当時地元としては、この地区が交通上駐車場等もほしい地域にあるので、駐車場になることが非常に望ましいというような点もございまして、一面、国としてもこの地区にこの土地を若干ほしいという点もございます。国のほうとしては、一部を返してもらいたいということで、従来貸し付けておった土地のうちの一部を返してもらい、そうして残りを従来どおり貸し付け契約をする、継続するということで、その際木工場としての建物は焼けてしまったので、駐車場としてこれを借りたいということで貸したということで、それがために歯医者さんに国から貸しておったということは、いままでもないわけであります。ただ歯医者さんが転貸借として、転貸借が国有財産の面から見れば非常に問題になるわけでありますが、転貸借を受けた歯医者さんが権利を有するかどうかという点は、いま訴訟が行なわれて、訴訟によって確定するわけで、それを国が別の意図からいまこの段階で追い出すという措置を講じたわけじゃございません。
  155. 相澤重明

    ○相澤重明君 たいへんこの局長の御説明は、私はわかるような気がするわけですけれども、実態として焼けたというこの投書、この言い分がここに出ております。裁判になっていることも出ております。ところがいま裁判をやっている最中に——裁判は相手があってやっているのですから、港商事と歯医者、両方あるわけです。裁判をやったわけです。ところが裁判をやられておる長倉さんというのがいないということで、どうして駐車場にその土地を貸したのですか。それが昨年だというのです。係争中のその者がいないのだ、そういうことで駐車場にその家のある所を貸したということは、これはちょっと実態の把握ができなかったのではないか。  それからいま一つ問題は、その港商事という人が木工場を経営しておった。その一部を焼けたために国有地が戻された。いま戻された所が駐車場になっております。ところが焼けたという木工場が、それはやはり第三者に貸しておったのですね。貸しておったけれども、そこが火事になって、その人が港商事の代表者から焼けたからお前出て行けと言われて、出て行った。しかし、その裁判の中でいろいろな話を聞いてみると、そこはだれにも貸しておらなかった、こう言っておる。ところが貸しておらなかったということの事実は、証明ができるのかできないのかというと、たいへん申しわけないのだけれども国有財産があったのですよ、その中に旧海軍の機械があった。その機械を第三者が買ってしまって、そこで工場を経営したのです。そういうような事実が明らかになっている。大蔵省は旧海軍の機械を港商事じゃないですよ、その工場をやった人に売ってしまった。売って工場ですが仕事をしておったけれども、たまたま焼けてしまった。だからそこに港商事でないほかの人がおったのかおらないかということは、なぜそれならばその国有財産払い下げたのですか。払い下げたという事実があるのに、いまなかったということは言えないわけです。そういうことと同じように、いまの長倉さんが国と貸借関係はないにしても、港商事が国有地を借りて、そうしてそこで長倉さんという歯医者さんが商売をやっておった。しかも、全部焼けたとおっしゃったけれども、全部焼けたのじゃなくて、ぽつぽつと残っておって、その一部で現在営業している。その家があるのに、係争中であるにもかかわらず、そこを自動車の置き場として再度港商事に貸し付けたというのは、一体どういう理由なんですか。これは、私は、あまりにも人権を無視した結果ではないかと、こう思うのです。ですから、国有財産の実態調査を私があれほど十年かかって当委員会で何回もやるのに、そういうことでいつも紛争を起こされては、たいへん迷惑をするわけです。ましてや、国民のそういう目にあっておる人たちは、なおやり切れないだろうと思う。こういう点で、いま少し大蔵省の姿勢というものを私は正してもらいたいと思う。私はその中で一つ、二つの例を申し上げたわけです。きょうそれを全部やるなんという考えはありません。きょうやるなんという考えはないけれども、そういう投書の何十通かのものを考えてくると、私は、大蔵省はこれはたいへんなことだと思う。しかし、その努力は、先ほども調査室長が報告されたように、大蔵省の誠意に対して、幾つか改善されつつあることは、たいへん私は喜ばしいし、その努力に対しては敬意を表したいと思う。敬意を表したいとは思うが、その一つ、二つの例をとってみたところで、私はいまのような問題というものは、これは許されないことだと思う。許されないことであるだけでなく、私は、これは生存権を侵害されており、人権問題だと思う。人道上も許されないと思う。こういうふうに、御本人が投書の中で、私どもに激しく、一体国会というところは何だというように、こういうふうにまで私どもをきびしく追及されるわけですが、私はその気持ちもわかる。だから、私は、局長さんが答弁されることは、それはそれとしてわかるような気もするけれども、あまりに実態と違うような答えで、しかも、それが十年、二十年もの前のことではなくて、昨年それをやったということは、一体どういうことですか。四十年の五月か六月に再度この土地をお貸しになったという。その家があるのに、家がないものとして、それを自動車の置き場として貸し付けたというようなことは、これは何としても納得できない。  こういう点で、私は、もっと政府に真剣にこの国有財産の仮処分等についてはお考え願いたいと、こう思うのです。こういう点について、これは御答弁の限りではありません。答弁をされたところで、そのまま答弁をされたからそれを認めるいうわけにはいきません、実態が違うのですから。ですから、私はむしろこの実態を十分に把握していただきたい、こういう点を私はきょうは申し上げて、質問を終わるつもりです。ですから、国有財産の問題があまりにも乱雑過ぎる、その実態が把握されなさ過ぎるという点を私は指摘をしておきたいと思う。  もしお考えがありましたらお答えをいただいて、私は終わります。
  156. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 安心できるような返事をしてください。
  157. 松永勇

    政府委員松永勇君) 国有財産処理につきましては、いろんな点について御叱正を受けております。私たちも誠意を持って処理に当たりたいということで処置いたしております。個々の事案につきましては、こういう説明を申し上げて、言いわけになると、私の本旨ではございません。非常に数多くの国有財産が終戦後一度に旧軍から引き継ぎを受けた。その処理が、戦後のいろんな経済状態のもとで、いろんな既成事実がつくられたというようなものもこの中に多々ある一わけでございます。不法占拠のごとき、あるいは契約未済とかというような問題が、多くはその戦後のどさくさに根を発しているというものが相当多いわけでございます。私たちも限られた人員と予算で精一ぱいの管理を適正にしていかなければならないということ、それから、先ほどお話が出ておりますように、いわゆる実態不明財産というものも明らかにしていかなければならないということで、相当長期にわたってこの計画を続けております。今後も、こういう処理につきましては、国民の財産であるという観点から・適正、公正を期したいという考えで処理いたしたいと思っております。  なお、本件の、いまの問題につきましては、私もまだ詳しくはすべて知っておったわけではございません。何か三課長のほうで、若干私の答弁が食い違っているような点があるようでございますので、後ほど詳しく調査いたしまして、また先生のほうに御説明に参りたいと思います。
  158. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっと関連して。  先ほど国有財産局長から報告がありましたダイヤの処分の件と、それから碑文谷のマンションについて、関連して若干補足的にお伺いしておきたいのですが、碑文谷のマンションの件については、すでに二回公判があったという御報告です。当局のほうも解決に努力をされていると思いますが、この提訴された内容は、どういうことを主として提訴されておりますか。それから提訴先は楽石社だけですか、それと、それからたしか損害賠償を要求していると思うのですが、その損害賠償の権利を保全するために何か仮処分なんかやっておられますかどうか、その点について。
  159. 松永勇

    政府委員松永勇君) 訴訟の案件は、四十年九月三十日に提起いたしておりまして、いわゆる違約金の請求の訴えでございます。違約金の金額は、この前当委員会で申し上げました九千万何がしのものでございます。  なお、この保全の措置としましては、先般当委員会でも御報告いたしましたように、楽石社の文京区にある土地建物につきましての仮処分を法務省に請求いたしたところでございます。
  160. 二宮文造

    二宮文造君 その点はそれで一応了解しておきまして、ダイヤの問題ですが、局長さんの先ほどの報告では、主として公正な処分に力を注がれている、そういうふうな答弁の模様でございましたけれども、なお内容をお伺いしておりますと、一般競争入札とか、あるいは一部に委託販売をさせるとか、さらには評価については、外国人も含めて評価を依頼する、また、少数の人ではなくて、十数名の鑑定人を依頼して公正を期したい。努力のあとが見受けられて、非常に前向きの姿勢になったとは思うのですが、このダイヤをめぐりましてはいまだにやはり黒いうわさがつきまとって払拭できません。したがって、この処分方法が、もっと国民が納得いくような処分方法をとるためには、ダイヤの処分をめぐって、何か審議会のような機構をつくって、そうして大蔵省なら大蔵省処分に対する考え方をこの審議会に提起して、皆さん方の意見を聞いてなさっていくというふうにすれば、もっとすっきりすると思うのですが、ただ大蔵省の内規でこういう手続をとられていったのでは、ただでさえ黒いうわさをずっと積み上げてきたこの問題ですから、この点私は、姿勢を正す意味で、処分方法をめぐってそういう機関をつくっていったらどうか、こういうふうな考え方を持つわけですが、大蔵省にはそういう考えはありませんか。
  161. 松永勇

    政府委員松永勇君) 御承知のように、国の財産、国の物品等を処分いたします処分のやり方は、すべて会計法、予算決算会計令等の法規によって行なうわけでございます。本件処理につきましては、そういういま一般競争入札に付するかどうかという点につきましては、各省各庁の長である大蔵大臣がきめることになっております。もちろん、その前提となります処分のしかたがどうしたら一番妥当であるかということにつきましては、昨年来、当委員会におけるいろいろな御意見等を基礎といたしまして、また私のほうで、これは正式に審議会というわけではございませんが、こういうことの専門家の懇談会を開きまして、いろいろな御意見を聞いた。それをもとにいたしまして、接収貴金属の処分に関する法律に基づいてつくられております審議会というものがございます。これは、ダイヤモンドばかりでなくて、接収貴金属全般の処理を行なってきた審議会でございます。この審議会にも実は正式の議案としておはかりしようかということも考えたのでございますけれども、審議会の会長の御意見によって、審議会にどうしてもその案件をかけなければならないという法律上の必須要件になっていないというので、正式の議案としてはかけておりませんが、処分についての考え方というものにつきましては、その審議会に御意見を聞き、私のほうからも考え方を示して、それについての御批判を受けるという措置をいたしまして、そういういろいろな過程を経まして、現在のような処理方針というものをきめました。現に、四十一年度予算にそれを要求し、国会に提案しているところでございます。各方面の御意見を十分聞き、そしてこの処理が適正に行なわれるように、公正に行なわれるようにということを念願として、ただいまのような処理方針をきめたところでございます。御了承願いたいと思います。
  162. 二宮文造

    二宮文造君 各方面の御意見を聞きというところは非常にはっきり言われるのですが、その各方面の御意見を聞く方式ですね、それをもっと検討していただく余地があるのじゃないか、こう私は申し上げているわけですが、確かに接収貴金属の処理委員会というのもあることは承知しております。その委員会がありながら、処分をめぐってずいぶんと巷間うわさがあるわけです。したがって、その姿勢を正すことが現在大事ではないか。委員会がある、その委員会があるから——ところが、その委員会の会長の意見で、かける必要はない、必須要件ではないというふうなことをたてにとって、大蔵省内部でやられようとしているところに、ありもしない、またあってはならない好ましからざるうわさがつきまとうわけです。ですから、そういう意味で、各方面の意見を聞く具体的な方式をお考えになる必要があるのじゃないか、こう私は思うのですが、重ねてお伺いしたいと思います。  それからもう一点、三月の末ごろとおっしゃったと思うのですが、再評価の段階に入ると、これはまたあとで問題にしてまいりたいと思いますけれども、処理方針としては、先ほどきまったようなきまらないようなお話でございますが、処理方針はもうきまったのですか、具体的項目にわたって。
  163. 松永勇

    政府委員松永勇君) 処理方針先ほどのようにきまっております。ただ、その処理方針に基づく事実上のこまかい、たとえば入札の場所をどこにするかというような点、そういう点につきまして、まだ今後きめていくというような問題はあろうかと思いますが、やり方といたしましては、先ほど言ったようにきめまして、来年度の予算にも歳出予算並びに歳入予算を計上いたしておるわけであります。  なお、先生からいろいろ御意見を承っておりますが、私たちとしては、この処理のしかたというのは、競争入札、これは二宮先生も強く御主張になった点でございますし、また会計法が原則としておるところでございます。その一般競争入札、これは一般競争入札には外国人も含みますが、そういう一般競争入札というものを原則として掲げる、またそれが会計法の大原則でもあるという点で、種々検討した結果、黒いうわさというようなことは絶対に起こしてはならないし、また私たちがいまやっておりますやり方については自信を持って申し上げたいのでございますが、しかしなお、先生方が指摘なさるように、黒いうわさがあるということでありますれば、私たちのなお不明の点がそこにあるのだろうと思います。われわれの努力がまだ理解されないという点があるのかと思いますが、今後さらに処分につきましては、そういう黒いうわさがあることのないように、公正という点を第一義に考えて措置してまいりたいというふうに考えております。
  164. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、本日の審査は一応この程度にとどめたいと存じます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十六分散会