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1966-02-04 第51回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月四日(金曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————    委員異動  十二月二十八日     辞任         補欠選任      草葉 隆圓君     久保 勘一君  一月二十五日     辞任         補欠選任      瓜生  清君     高山 恒雄君  二月二日     辞任         補欠選任      野知 浩之君     館  哲二君  二月三日     辞任         補欠選任      館  哲二君     野知 浩之君      園田 清充君     仲原 善一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 道子君     理 事                 佐藤 芳男君                 谷口 慶吉君                 仲原 善一君                 相澤 重明君                 鶴園 哲夫君     委 員                 久保 勘一君                 黒木 利克君                 内藤誉三郎君                 野知 浩之君                 八木 一郎君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 竹田 現照君                 中村 波男君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君                 石本  茂君    国務大臣        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        厚生政務次官   佐々木義武君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生大臣官房会        計課長      戸澤 政方君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        農林省農政局長  和田 正明君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君        通商産業省軽工        業局長      伊藤 三郎君        労働大臣官房会        計課長      上原誠之輔君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        農林省農政局参        事官       河原卯太郎君        会計検査院事務        総局第三局長   佐藤 三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選の件 ○派遣委員報告昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和三十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十八  年度政府関係機関決算書(第四十八回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る十二月二十八日、草葉隆圓君が辞任され、その補欠として久保勘一君が選任されました。  また、一月二十五日、瓜生清君が委員辞任され、その補欠として高山恒雄君が選任されました。  去る二月二日、野知浩之君が委員辞任され、その補欠として館哲二君が選任されました。  また、二月三日、館哲二君、園田清充君が委員辞任され、その補欠として野知浩之君、仲原善一君が選任されました。     —————————————
  3. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 次に、理事補欠互選の件についておはかりいたします。  野知浩之君の委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事仲原善一君を指名いたします。     —————————————
  5. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 次に、派遣委員報告に関する作を議題といたします。  自然休会中に当委員会が行ないました、昭和三十八年度決算外三件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産管理に関する調査のための委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。野知君。
  6. 野知浩之

    野知浩之君 去る一月十二日から十五日までの四日間、藤原委員長黒柳委員、私の三名で、三重愛知静岡の三県におもむき、その財政事情及び補助金並びに災害復旧事業等昭和三十八年度決算について会計検査院から指摘されました事項につきまして、また愛知用水公団現状及び日本道路公団名古屋支社管内施設状況等についてもあわせて調査してまいりました。  以下その概要につきまして簡単に御報告いたします。  まず、県財政及び補助金について申し上げます。  昭利四十年度の各県の歳入は、補正を含めまして、三重県四百二十三億円、愛知県九百七十八億円、静岡県六百五十二億円となっております。これらの歳入のおもなものは地方税国庫支出金でありますが、このうち地方税歳入に対する割合について見ますと、三重県では二五・五%、愛知県五三・二%、静岡県四二・二%と、非常に高くなっております。また国庫支出金は、三重県二八・九%、愛知県二二%、静岡県三〇・七%と、地方税に次いで高い比率を示しております。  一方、歳出について見ますと、三県とも人件費が圧倒的に多く、三重県では四二・四%百七十九億円、愛知県四〇・六%三百九十七億円、静岡県四二・二%、二百七十五億円と、いずれも歳出全体の四〇%以上を占めております。これに次いで高いのが普通建設事業費でありまして、三重県二九・二%百二十三億円、愛知県三一・一%、三百五億円、静岡県三三・五%二百十八億円となっております。  なお、給与改定につきましては、各県とも二月ごろに行なう予定であるとのことでありまして、これらの財源措置の問題はもちろんありますが、県財政の基本的な問題といたしまして、給与改定の平年度化、諸経費の増大など、義務的経費歳出に占める割合が増加するとともに、歳出はますますふくらむ傾向にある反面、経済の不況の影響から地方税伸び率が鈍化し、その財源が頭打ちになっている現状なので、財政健全化に対する施策については特に留意しているのが実情であります。これらの各県において国庫支出金県財政に占める割合は高いのでありますが、このうち昭和四十年度の補助金について見ますと、三重県では、建設関係が最も多く約二十億九千万円、次いで農林関係が約十六億六千万円となっており、愛知県においては、厚生労働警察関係等補助金を引き離して農林関係が圧倒的に多く、総額八億六千万円のうちの約六五・七%の五億七千万円が農林関係補助金となっております。静岡県につきましては、百十一億九千万円の補助金のうち、建設関係が一番多く四十七億二千万円、次いで農林関係の四十一億九千万円で、以下厚生関係災害対策の順になっております。  以上申し述べましたとおり、各県に対しまして多額の補助金国庫より支出されているのでありますが、これに関連いたしまして、これら補助金補助率の引き上げと同時に、その基準単価対象範囲実情に即していないため、これから生ずる地方超過負担が毎年増加し、ひいては県財政を圧迫することとなるので、国において配慮してほしいとの要望が、三重愛知静岡の三県においてありました。なお、これらの問題のほかに、三重県においては、国の直轄事業負担金を各県平等にしてもらいたいとの要望があり、愛知県においては、現在地方交付税の不交付団体であり、三十六年度以降地方道路譲与税及び義務教育費国庫負担金について財源調整を受けておりますが、この調整にあたって基準財政収入額算定等で不合理な点もあり、これらの財源調整の廃止につきまして要望があり、さらに静岡県におきましては、国道一号線及び二百四十六号線の早期完成とその予算措置方について、また現在県の事業として行なっている東名高速道路建設県財政に与える影響を考慮され、これを国の事業として行ない、地元負担額全額長期低利の起債を認められたいとの要望がありました。  次に、昭和三十八年度決算において会計検査院から指摘を受けました二十三件の災害復旧及び道路改良事業措置状況について申し上げます。  本件につきましては、その実情等について、県当局より説明を聴取したほか、三重県伊賀町及び静岡平沢地内の現場調査いたしましたが、時間の関係もあるのでその詳細な報告は省略いたしますが、三県とも補強工事を行なうなどすでにその措置を完了しておりまして、特に県当局からは、今後かかる事故の発生しないよう、工事監督検査請負業者選定等につきましてもその体制強化整備し、国損のないよう万全を期したいとの決意のほどが披瀝されました。  それから、私ども静岡県において広野海岸防潮堤建設現場愛知県下の鍋田干拓事業も視察してまいりました。特に鍋田は、たくさんの死者及び行くえ不明者を出した昭和三十四年の伊勢湾台風による被害もすっかり復旧されまして、干拓事業も完成し、現在、水田二百五十五ヘクタール、畑十八・八ヘクタールの耕地に百三十六名の入植者が営農に従事しておりました。  次に、愛知用水公団事業につきまして申し上げます。  本公団では、現在木曾水系事業豊川水系事業の二つの事業を行なっておりますが、このうち豊川水系事業については現在建設中でございます。  初めに木曾水系事業について申し上げますと、昭和三十六年の竣工直後に災害を受け、そのため昭和三十六年のかんがいには間に合わなかったのでありますが、同年末から通水可能となりまして、知多半島一帯農業経営の改善と合理化に貢献するとともに、電力をはじめ、名古屋市等に上水道及び工業用水を供給するなど、木曾水系水資源を総合的に開発利用し、施設維持管理及び配水等の業務もおおむね円滑に運営されております。  本事業管理部門収支状況を見ますと、収入では、三十六年の施設管理の発足当時の決算では、長期借り入れ金二千万円、国庫補助金十七億一千六百万円、事業収入十四億一千五百万円、その他五億七千七百万円で、合計三十七億二千八百万円でありましたが、三十九年の実績では、国庫補助金二十八億九千七百万円、事業収入十七億一千九百万円、事業外収入六億六千九百万円、その他五百万円で、予算額には達しておりませんが、合計五十二億九千万円と伸びております。一方、支出につきましては、三十六年が管理費借り入れ金償還等を含めまして二十二億九千八百万円であったものが、三十九年は三十億七千百万円で、その収支は黒字となっております。なお、これに関連いたしまして、建設費災害復旧費及び施設管理費にかかる負担金の問題があるのでありますが、このうち電力、水道及び工業用水負担金は予定どおり徴収されてまいりました。しかし、農民賦課金についてはその徴収がおくれておりましたが、公団当局努力と県及び土地改良区の農民協力により、昨年四月には土地改良区の総代会において建設賦課金徴収議決がなされまして、今後の賦課金徴収もようやく軌道に乗ることとなりました。  次に豊川水系事業でありますが、本事業は、豊川水系水資源開発し、豊橋市をはじめとする東三河一帯及び静岡県浜名郡湖西町を含む地域農業用水上水道及び工業用水を確保し、この地域の総合的な開発をはかろうという目的で、三十六年九月国から引き継ぎましてから三十九年までに、本公団借り入れ金国庫補助金など百四十二億四千五百万円の巨費を投じ、目下その建設を急いでいるとのことであります。  最後に、日本道路公団名古屋支社管内施設状況について申し上げます。  本管内では、現在名四道路管理事務所をはじめ九つの管理事務所管理のもとに、十一の有料道路を営業いたしております。このうち立山登山道路及び大垣羽鳥道路を除きましては、その営業成績は良好で、四十年八月に開業した伊勢道路を別にいたしました十道路についての三十九年と四十年の料金収入交通量の比較を見ますと、料金収入で平均一八・一%、交通量一九・四%と、それぞれ増加しております。このうち昭和二十八年に開業いたしました参宿道路は、四十二年の中ごろには無料にできるであろうとのことであります。なお、これらの道路のほかに、伊勢湾臨海工業地帯の発展及び衣浦湾臨海工業の誘致に伴う交通量の増加に対する緩和策並び知多半島資源開発観光開発の一翼をになって、三十九年九月着工、四十二年三月までに十九億五千万円の工費名四道路の第二期工事を、また、四十年三月着工、四十円年三月までに六十三億円の工費知多半島道路の二道路建設が進められております。  以上、簡単でありますが、派遣報告はこれをもって終了いたしたいと存じます。
  7. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言がなければ、派遣委員報告はこれをもって終了いたします。     —————————————
  8. 藤原道子

    委員長藤原道子君) これより昭和三十八年度決算外三件を議題といたし、前回に引き続き厚生省及び労働省の決算について審査を行ないます。  まず、前回委員会において委員の質疑に対し答弁を保留いたしました点について政府より発言いたしたいとの申し出がございますので、これを許します。
  9. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 調査機関を設置してはどうか、こういうお尋ねでございましたが、政府におきましても調査機関の設置の問題をいろいろ検討を進めております。しかし、当面の措置といたしましては、都道府県献血推進協議会がございますし、この協議会活動を活発にいたしますと同時に、監視員活動強化いたしまして、当面の措置を遺憾なく進めてまいりたいと考えております。委員会のほうからの御質問、御提案のございました調査会の問題につきましては、鋭意検討を進める所存でございます。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 厚生大臣のいまの御答弁ですと、それは具体的に厚生省として各都道府県指示をしたのですか、それが一つと、いま一つは、この前も採血中等について厚生省としては具体的に何らの予算措置がなかった、今回、いま厚生大臣、あなたが言われるようなことについて、人の問題やら予算の問題も関係してくると思うのですが、そういう点については四十一年度にするというのか、当面も運用の面でそういう面をおはかりになるのか、これでは不明確なので、いま一度ひとつ御答弁上願いたいと思います。
  11. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 都道府県に対しましては、すでに指示をいたしております。また、四十一年度の予算の中にも、それに必要な経費は計上いたしております。
  12. 藤原道子

    委員長藤原道子君) この際、委員各位の御了解いただきまして、血液問題について私若干質問いたしたいと思いますので、お許しを願いたいと思います。   〔委員長退席理事相澤重明君着席〕
  13. 相澤重明

    理事相澤重明君) それでは、委員長質問がだいぶございますので、また関係者質問もありますので、暫時私が委員長席に着きます。  それではこれより質問を行ないます。藤原委員長
  14. 藤原道子

    藤原道子君 この血液問題につきましては、一昨年来、議会におきましても、あるいはマスコミにおきましても、非常に大きな問題になりましたことは、御案内のとおりで、それにつきまして厚生省はそのつど、努力をする、こういう方法だということを言っておいでになりますが、最近の血液不足は目に余るものがある。ことに政府ガン対策推進する、こういうことを強調しておいでになりますが、ガン手術あるいは心臓の手術等に対しましては、血液を多量に要することは、御案内のとおりであります。ところが、各病院におきまして、最近非常に血液不足を来たしておる、悲鳴をあげておるのです。こういうことに対して、一応献血車をふやした、あるいはまたオープン採血に踏み切ったということを申されますけれども、この採血車あるいはオープン採血が当を得ておるかどうか、どのようにこれが活動しておるのか。ある方面に参りますと、採血車は来たけれども、十分に機能を発揮していないというようなことも耳にいたしますが、これらについての御見解を伺いたいと思います。
  15. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この血液の問題は、非常に大切な重要な問題でございまして、私ども政府といたしましては、この血液問題を解決いたしますためには、どうしても強力な献血運動推進をいたしまして、国民各層の強い御協力をお願いしなければならないということで、献血に対しまして各職域あるいは地域献血組織整備強化等につきましていろいろ努力を払ってまいっております。また、都道府県におきましても、献血推進協議会をそれぞれつくっていただきまして、積極的な御指導をいただいておるわけであります。その結果、昭和三十八年当時は全体の七・数%にすぎなかったのでございますが、昭和四十年度の九月、十月におきましては二七%ないし三〇%程度献血でまかなえるように前進してまいったのでございます。もとよりこれでは不十分でございまして、血液センター整備、あるいは支所を設け、あるいは献血車を回しまして、そして採血体制をさらに強化をするというような措置も講じておるわけでございます。一面、この売血の面におきましていろいろ御批判がございまして、血液銀行協会自粛申し合わせによりまして、供血者登録制及び、供血者の一回当たり、従来四百CC程度採血をいたしておりましたものが、二百CCにとどめるということをとるようになりましてから、そういう面からの血液の確保ということが減少をいたしておるのでございます。それだけに今後献血にまたなければならぬ度合いが非常に高まってまいっておりますので、さらに政府としても、この献血の問題に特に力を入れる必要があると考えておりまして、せっかく努力をいたしておるような次第でございます。
  16. 藤原道子

    藤原道子君 たいへん力を入れているとおっしゃいますが、一体PRはどういう方法でやっておいでになるのか。私は最近各方面へ参りまして、私自身この問題と取っ組んでおる関係上、いろいろ献血必要性を説いておるのでございますが、そういうときに国民の中から疑問の質問が出てくる。まず第一に、献血血液売血血液値段同一である。千六百五十円。売血は六百円でこのごろ売買されておるけれども血液は私たちただで差し上げている。それが使用されるときには同じ値段で使われておるということに納得がいかないということが一つ。いま一つは、日本人のきれいな血が、これが日赤に献血して、ベトナム等軍事的な面に送られておる。私たち日本人同士生命を守るという人類愛から献血しているのに、これが軍事目的のために利用されるということは許されないことだ。それからいま一つは、血液は肉体の一部である、生命の根源である、この血液が売買されておる、物として扱われておる、これが私たち納得がいかない、こういうことで非常に質問にあうわけでございます。私は、そういうときに、厚生省の言い分を信じまして、そんなことはない、まさか献血した血液が、軍事目的のために、しかもベトナムへ送られているというようなことはあり得ないことだ、もしそういうことがあったら私に資料をもって御説明願いたい、こういうふうに申してまいりました。さらに、値段の点につきましては、繁雑ではあるけれども厚生省を督励して、二重価格制というのでしょうか、献血の分と売血の分との価格の差をつけさせるべきだと思うというふうに、私は説得をしてまいりました。ところが、最近におきまして、あることか、あるまいことか、民間血液会社採血した血でプラズマをつくって、乾燥血漿をつくって、これが年間でばく大な数で、その血銀では、保存血採血は減っているけれどもプラズマ用採血はどんどんふえておる、これが大手商社を通じて諸外国へ輸出されておる、こういう事実が明らかになりました。一体、こういうことに対して厚生省はどういうつもりで取り締まっておいでになったか、指導しておいでになったか。私たちは、日本人生命の一部が薬剤という物品にされて、しかもそれが海外へ送られている、こういう点について、ひとつ大臣のお考えを聞かしていただきかい。
  17. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) お尋ねの第一点は、献血による保存血液価格売血による保存血液価格同一に扱われておるということは不合理であるという御指摘でございますが、その点につきましては、私どもも、血液代に相当いたします額は、献血の場合にはそれだけ差し引いた価格、安い価格でこれを提供すべきものである、そういう方向でいま検討を進めております。実情を申し上げますと、血液代に相当する額は御承知のように五百円でございますが、そのうち三百円は、RHマイナス型の判定等事業費に三百円を振り当てております。あと残りの二百円は、これを献血推進の費用に充てることにいたしまして、積み立てをいたしておるのでございます。今後この積み立てされました金額の使途につきましては、各都道府県献血推進協議会等におはかりをいたしまして、献血者の御意思も十分聞きまして、御意思に沿うようにその使途をきめていきたい、このように考えておりますが、冒頭に申し上げましたように、政府といたしましても、血液代に相当する五百円の分につきましては、献血のものについてはそれだけ安く供給するような方向でいま検討を進めておるわけであります。  それから第二点は、血液からつくられたところの人血漿、そういう薬剤ベトナムの軍事的な面に輸出使用されているのではないかという御指摘でございますが、この血液製剤に使いまするところの血液献血によるものは絶対にございません。売血にその原料を求めておると思うのでございますが、この血液製剤は医学上どうしても必要欠くべからざる貴重な薬剤でございます。ただ、そういう貴重な血液製剤が、これが軍事的な目的に使用されておるというようふうな御指摘、御発言でございますが、確かに東南アジア方面にこれが輸出をされておったことがわかりまして、昭和三十九年度ごろから数度にわたりましてその民間会社輸出を取りやめるように勧告をいたしてまいったのでありますが、それが実際に中止をされていなかったということがわかりまして、先般再度社長を厚生省に呼びまして厳重に勧告をいたしました。そして輸出はしないということをはっきり確約をとった次第でございます。また、今後この貴重な血液製剤が国内の血液不足しておるにかかわらず海外に出るというようなことがあってはいけないということで、制度的にもかってに輸出がされないように、通産省との間にいま法制的な措置をとるために協議を進めておる段階でございます。  なお、ベトナムに直接これが輸出されたという事実は、私ども承知いたしておりません。他の東南アジア諸国に出されたということは、先ほど申し上げましたように、確かにあったようでございまして、そのことにつきましても、今後輸出が絶対にされないようにということを厳重に勧告をし、その誓約をとっておる。また、重ねて申し上げますが、今後さようなことができないように制度的にも措置を講ずる必要を認めまして、いま通産省とその法的な措置について協議検討を進めておるということでございます。
  18. 藤原道子

    藤原道子君 三十九年度にそういううわさがあったから勧告をした、だからやっていないものと思っていた。ところが、私ども調査によりますと、三十七年度には二万リッター出している。三十八年度には二万四千リッター、この勧告をしたという三十九年度には三万一千リッター、四十年度も同じく三方一千リッターというものが出ているのですよ。それから、東南アジア方面といいますけれども、結局香港ルートを通じて相当出ておる。しかも、この扱っておりますのが、日綿商社であるとか、三井であるとか、相当有名な貿易商社が扱っている。しかも、あなたはいま、ベトナム方面へは行っていないはずだとおっしゃるが昨年の十二月に民間医療調査団がベトナムへ参りまして、サイゴンの国立病院に参りましたところが、たなにプラズマがぎっしり詰まっている、びっくりしてこれを聞いたら、いやみな日本から来ているのだ、そばへ寄って見ましたら日本の製品でございます、実に驚いた、こういうことを現に東京都内のお医者さんが言っているのです。私はその人に会って直接聞いた。これは一体どういうことでしょう。長崎医大で軍事援助で参りましたときに、やはり、血液がほしい、幾らあっても足りない、ぜひ日本から血液をどんどん送ってもらいたいというようなことをしきりに懇望されたということでございます。結局、厚生省は、一片の勧告で、はいさようでございますかとやめるような業者だとお考えでございましょうか。  さらに思い起こしていただきたいのは、三十六年に箱根で国際血液学会が開かれたときに、日本の学者が日本では赤血はやむを得ないのだということを発言したとたんに、世界各国の学者から、それなら聞くけれども、日本では医学が進んで肝臓なりじん臓なりを移植することが可能になるときが来たならば、肝臓や臓器もこれを買い上げるのかと言われて、日本の学者は答弁に窮したそうでございます。いま世界で日本の売血があまりに有名でございますから、印パ紛争が起きればインドから、各方面から事が起こるたびに日本のブラスマを求めて注文が殺到しておると聞いております。生命の一部ですよ。しかも、生活困窮の底辺の人の血をしぼり取って、それで利潤の追求にこれを充てるということは、私はこれは許されない。しかも、竹内はブラッド・イズ・インターナショナルとうそぶいておる。かつてここで問題になりましたのは、プラスマン化粧水にこれが使われているというので問題になったことがある。彼女は、私が視察に参りましたときにも、そういうことはしておりません、廃液は全部捨てておりますとはっきり答弁した。裏へ回ったところが、ちゃんとそこにプラスマン化粧品のライトバンが待機している。あとで調べたら、同じ会社だというじゃありませんか。血をしぼり取られて貧血症状になり、廃人同様の身になった底辺の人たちの運命は一体どうなるんでしょう。私は厚生省は弱いと思うのです。年間三万リッターを製品にしている、牛乳ビン十五万本。これはみんな底辺の人の生き血をしぼっているのですよ。これ一片の勧告でこと足れりとお考えでしょうか。私非常に残念でございます。ことに世間で、南べトナムヘこうしたプラズマが行っているということが、きれいな献血の血が流れているといううわさが流れているのです。これで、献血しようと思ったけれどもいやになったからやめました、こういう人がこのごろたくさんあらわれております。一体これに対してどういう処置をおとりになるのか、さらに、いまあなたは通産省と相談して対策を立てるとおっしゃいますが、厚生省は極力押えていらっしゃるらしい。通産省は商売でございます。これを引き受けたい願望を持っておいでになると聞いておる。非常に不安でございます。こういうことが人道上許されるかどうか。しかも、ニチヤクのほうを調査いたしましたところ、四十一年度の事業計画はやはりちっとも変わっていない。しかも、この保存血のほうを減らして、プラスマ製品のほうをどんどんふやしておる。ところが、プラズマは、御案内のように、比重も濃度も関係ない。どういう薄い血でも役に立つ。こういうことが今日この東京で行なわれていることに対して、厚生大臣としてはどう対処なさいますか。
  19. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 過去におきまして、この人血漿血液製剤海外に出されたということにつきましては、まことに残念に思っておるわけでございます。特に最近の国内の血液事情からいたしましても、この貴重な血液製剤海外に流れるというような事態は看過できない、こう考えまして、私は事務当局に強く指示をいたしまして、そうしてこのようなことができないような法的措置を講ずると、こういうことで、いま関係当局と鋭意検討を進めております。必ずこれは、いま委員長からお述べになりましたような御趣旨に沿うように、責任を持って法的な措置を講ずる所存でございます。また、輸血に使われないようになった廃棄された血液といえども、そういうものから化粧品等をつくるというようなことは、これは国民の方々に与える影響も非常に深刻なものがございますので、絶対にさようなことをしないようにということを強く業者のほうにも厳重な警告を行なっておりまして、これは事務当局から御説明をしたほうがいいかと思うでありますが、その結果、胎盤等に付着しております血液を利用するような研究等も進めておるということも実は聞いておるようなわけでございますが、私は、血液問題につきましては、委員長の御意見とは全く同感であり、そういう方向ですべての血液対策を進めていく考えでございます。
  20. 藤原道子

    藤原道子君 さらにお伺いいたしますが、四十年度で一カ月の生産高四千二百万円分を生産しているのですね、ニチヤクで。そのうちの、武田製薬を通じて国内消費が千五百万円、ニチヤク直売が四百万円、輸出が二千三百万円、これは一カ月です。そこで、輸出のほうはそういう手をお打ちになる。まあぜひそうしなければならない問題だと思います。たとえ通産省からどういう強力なあれがありましょうとも、この点だけはがんばっていただきたい。  それでお伺いいたしたいのは、国内消費の問題でございますが、国内消費ではどういう方面へ使われているか。結局は、保存血に比べまして、プラズマは効果は薄いわけです。血液型に関係のないかわりに、非常に効果は薄いはずです。元来プラズマは軍事用の目的のために生産された。ですから、日本でこれが生産が始まりましたのは昭和二十五、六年のあの朝鮮戦争のときです。そのときには、厚生省すら、もとのブラッドバンク等から要請があり、プラズマをどんどんつくってほしいという要請があったと、そこの重役が私に話しております。そして朝鮮にどんどんプラズマが送られたはずなんです。こういう記憶があるのですよ、国民の中には。そこで、最近アメリカの野戦病院が相次いで日本に拡大されつつある。こういう方面に流れているというような疑いも持たれるわけでございますが、これはどうなんです。  それからいま一つは、これからプラズマ等に対しては、胎盤から血を吸出して、これでつくるように準備をしているということは、事務当局から伺いました。胎盤はもうこれは必要ないものでございますから、それから貴重な薬ができるということは、これはいいと思います。だがしかし、プラズマがこういう状態でもしも軍事目的のために使われるということになると、ここに問題がある。  それからいま一つは、保存血は三週間でございますから、二十一日たてば廃液になるわけです。この廃液になる量は何%ぐらいが廃液になっておるか、そして廃液になった保存血はどういう方面に生かしておるのか、これをお伺いしたい。
  21. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この血液製剤軍事目的に使われておるのではないか、こういう御指摘でございますが、過去におきましては日本の軍隊のために使われたこともあると思いますが、私どもは、わが国の血液事情からいたしまして、それが米軍その他の軍事目的に使用されるようなことはやるべきでないし、絶対にやらせないということで、その取り扱いにつきましては特に厳重に注意をいたしておるところでございます。  その他、血液製剤の医学上の重要性なり、あるいは廃棄された血液がどういうぐあいに使用されておるかという面につきましては、きわめて専門的、技術的な問題でございますので、局長からお答えをいたします。
  22. 藤原道子

    藤原道子君 もう一つ大臣は急ぐそうですから、大臣に。  私が入手いたしました資料によりますと、ニチヤクではほかの民間血液銀行からも買い入れている、プラズマをつくるために。その中で、東京の渋谷にある日赤の輸血研究所でも乾燥血液の製造が着々準備されている。まあ長期保存がききますから、五年間ですね、有効期間。で、日赤でもそういう研究が進められているということになると、非常にまた民間で疑惑の目が高くなると思うのですが、こういうことについて大臣はどうお考えですか。
  23. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 専門的なことはあとで詳細に事務当局から御説明申し上げますが、私が先ほど申し上げましたように、血液製剤は医学上の必要欠くべからざるものであるということは、最近における需要が相当高まってきておるというような事実からいたしましても証明されるところだと、こう思います。ただ、この血液製剤献血された血液からつくるということだけは、これは絶対にやらしておりません。そういうことでございますので、一方において医学上必要であるということ、しかしながら、国民の善意に基づく、御協力によるところの献血による血液はその原料に使わない、こういうことにつきましては、十分注意をいたしておるところでございます。あとは事務当局から御説明をいたさせます。
  24. 藤原道子

    藤原道子君 最後に一つ大臣に。  血液問題がいろいろ紛糾しているわけですね。これは最初のGHQの指導で売血によって発足した日本の血液問題が今日の混乱を来たしておると思うのです。けれども、また一面におきましては、ある時期においては一応の役割りも果たしてきた。ところが、今後献血一本にまいりますと、これらの民間血液銀行はつぶれる運命にある。ところが、一方において血液問題がどんどんと国の方針で献血に変えられていく。そこには相当熟練した技術者も必要であり、労働者も必要だ。アメリカあたりではそれを専門に養成して、それでやっているのです。だから、いくら拡大しても、一朝にして技術者が生まれるとは思われない。そこで、これら民間施設を吸収して、ここにいる技術を生かして、そして国一本というか、国管というか、それに民間の代表も入れてすっきりした一つの線を打ち立てる、それ一本でやっていく。それで、民間血液銀行で働いておる五千人からの労働者もいるわけなんです。これは血液問題では熟練しているわけです。こういう人の生活権もあり、技術も生かすというような意味で、そういう構想をお持ちではないかどうか。
  25. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 血液対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、売血を将来できるだけ早く廃止して献血一本に持っていくという基本的な方針に基づきまして、今後献血による受け入れ態勢の整備という面につきましては、委員長からも御指摘になりましたように、民間血液銀行等で働いておりました技術者等も、これを十分新しい組織の中で活用できまするように配慮していきたい、かように考えております。また、献血組織の育成強化ということがきわめて大切になってくると思いますので、地方献血推進協議会を中心にいたしまして、この点につきましては特段の努力を傾けたい。また、今度の四十一年度の予算におきましても、血液型の登録ということをぜひやりたいということで予算を若干計上いたしておりまして、今後血液型登録を地域、職域にわたってこれを整備をいたしまして、そして献血の組織強化をはかりますと同時に、職域等において大きなけが等で輸血を要する場合には、その血液型登録を活用して即座に輸血ができるようにしてまいりたい、そういうような対策を講ずる所存でございます。
  26. 相澤重明

    理事相澤重明君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  27. 相澤重明

    理事相澤重明君) 速記を起こして。  それでは、先ほどの藤原君の質問に対して、事務当局から御説明を願います。
  28. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 先ほどの大臣答弁に漏れていました点を補足して申し上げたいと思います。  藤原先生からの御質問の第一点は、現在の保存血としての廃棄したものの廃棄率等はどうなっておるかという点でございますが、この点につきましては、大体私どもの現在の調査では、全国平均いたしますと五・三%程度が廃棄率というふうになろうかと思います。そのうち三・四%が、先ほど来から問題になっております保存血以外の血液製剤——人血漿とか、ガンマ・グロブリンとか、そういうような血液製剤に使用しておる分でございます。それから残りの一・九%が、そういうような兼用のできない、これは純然たる廃棄、つまりそのまま使用不可能なものでございまして、文字どおり廃棄するという状況のものでございます。これが廃棄率についての御説明でございます。  それから第二点は、日赤等で血液製剤を製造するかどうかということの問題でございますが、現に北海道の日赤で一部血液製剤をつくっております。しかし、これは非常に量が微々たるものでございます。そこで、先ほど御指摘のございましたように、東京の中央日赤で現在そういうような製剤所をつくる計画を持っておるわけであります。私どもはこれについては、日赤のやっております献血で、先ほど申しましたように、廃棄せぜるを得ない血液というものが、今後末端等で、いろいろ先ほど御指摘を受けておりますように、誤解なり何なりを受けないように、日赤自体でこれは処分する。そのためにはどうしても、製剤に回せる分がありますならば、全国の日赤から全部東京にそれを送ってもらいまして、そうして東京の中央の製剤所で血液製剤に回す分は回す、それから廃棄する分は廃棄する、こういうふうに全国統一的にやったほうが、一般の国民の方々の誤解なり何なりを解く方法じゃなかろうか、こういうことを考えます。それからまた片一方、民間血液銀行等に献血の廃棄されたものが流れるというようなことも防止する意味において、日赤自体で処分してその結果を明らかにしていくというようなことが大事だろうということで、ただいま日赤が計画しておる考え方については、私どもも十分行政指導してまいりたいと、かように思っているわけでございます。ただ、その場合でも、先ほど来問題になっておりますように、外国に輸出する、そういうような疑惑を招くようなことは一切やらせないように厳重に注意してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  29. 藤原道子

    藤原道子君 厚生省はいつもそう言うのですよ、今後そういうことのないように注意いたしますと。ところが、結局さらに大きな問題が次々と起きてくると、まことに不安であります。どうかそういうことの一切ないように、今度こそ真剣にやってほしい。——大臣もそういう方向でいきたいということでございましたが、一つのものにまとめて、やはり民間代表を入れて、そうして疑惑をなくするような強力な運営方針を確立していく、この方向でどうぞ御検討を願いたい。強く要望いたします。  それからいま一つは、血を売る人たちの側に問題がある。調べてみると、やはり底辺の人々ばかりなんです、失業者であるとか、山谷の住民であるとか、こういう人たちがこうした血を利潤追及のためにむさぼりとられている。これは黙視するわけにはまいりません。そこでこれらの人に社会開発というようなことを大きな公約にしておる現政府でございますから、もっと社会保障の手をあたたかく伸べて、血を売らなくったってもやっていけるような政治が望ましい。これを強く要望いたします。  それからいま一つは、日本の売血があまりにも有名でございますから、外国の紛争があるたびに日本に注文が殺到しておる。恥ずかしいことだと思う。しかも今度は、大臣は簡単に御答弁になりましたけれども、通産省では相当強い輸出の意向があるやに私は聞いておる。どうも通産省が強くって、いつも厚生省は押されぎみでございます。そういう場合にも人道上の問題から、生命の一部だ、生きた細胞だというふうなお考えのもとに、そういうことのございませんように、ひとつ対策を立ててもらいたい。  それからもう一つは、献血の問題にもちょっといろいろ問題があって、私も納得がいかないのです。これは二月二日の毎日新聞の朝刊の投書欄に出ていたんですが、「献血でもらう記念品に疑問」という、高校生です。この子は純真な気持で献血した。その後、記念品として送ってこられたのであけて見たら、七百円の商品券が入っていた。それでもうすっかり裏切られたような気持ちで献血に対する情熱を失ってしまった。こういうことが毎日新聞の二日の朝刊の投書欄に、「献血でもらう記念品に疑問」という高校生の投書となってあらわれている。一体献血した場合に、まあ造血剤とか、あるいはちょっとお茶とお菓子ぐらいは出していると聞いておりましたけれども一体こういう記念品に七百円を送るということは、形を変えての売血じゃないですか。これは一体どういうふうに統一してやっておいでになるか。こういうことが、これは福島市の野田町というところの高校生、渡辺景子さん、十六才、この子からの投書でございますが、献血推進していこうとするには、人類愛に訴えていくわけでございますから、品物ではない、お金ではない。金がほしければ売血いたします。こういうやり方だから献血が思うように進まないんだ、こう思うんですが、一体どういうふうな方法献血をしておるか。バッジを出しているか。いろいろ聞きますけれども、不必要なものは一切出さないでよろしいと思うのだが、どういうことかお考えを聞きたい。
  30. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 第一点の、今後の血液対策が先ほど来から問題になっておりますように、いろいろ国民に疑惑なり不安を与えている。そういうことのないように、しっかりした血液対策の運用をやっていくべきだ、こういうことについては、先ほど大臣からも答弁していただいたとおりでございます。私どもはよくただいまの御指摘の趣旨を体しまして、現在各都道府県にございます推進協議会、これは各界の代表者等を全部網羅してございますので、この推進協議会のほうで十分対策を練って、そして県民等にそういうような疑惑なり誤解を与えないように、血液対策推進をやっていくということが一点。それから中央におきましても、同様な推進打合会を持っておりますので、こういうところでも、今後、御趣旨の線に沿いまして十分配意してまいりたい、かように思っております。  それから関連いたしまして、先ほど問題になりました血液製剤輸出の問題でございますが、大臣からも答弁いたしましたように、過去のことは非常に遺憾でございますが、将来の問題としましても、先ほど大臣答弁いたしましたように、現在通産省当局と法令上の措置を相談中でございまして、私どもが受け取っている感じでは、通産省当局にもよく最近の血液事情というものを了解してもらいまして、私ども要望どおりに、おそらくこの法令措置は解決できるんじゃないか、こういうふうに受け取っておりますので、ぜひそういうような法令上の措置もとってまいりたい、早急にとってまいりたい、かように考えているわけであります。  それから供血をする人たちの、何と申しますか、雇用対策と申しますか、社会政策の問題は、あるいは私からお答えするのは不適当かもしれませんが、おっしゃるまでもなく、十分政府としまして最大の配意をしなければならぬ問題でございまして、血液を売らないでも十分生活が成り立つような社会政策というものの重要なことは、申すまでもないことでございますので、そういう線に従いまして、今後とも努力をいたすべきものと、かように思っております。  それから最後に、毎日新聞の投書のことでございますが、はなはだ恐縮でございますが、実は私、そのことについていままで知らなかったわけでございます。もしそういうようなことがありますならば、早急にそういうことのないようにしてまいりたい。ただ、この際、申し上げて御了解願っておきたいと思いますのは、献血の際の献血していただいた方に対するいろいろ処遇の問題がいまの問題でございますが、この点につきまして、私どもが各日赤のセンターなり何なりに指導いたしておりますことを、簡単に申し上げますと、先ほど藤原先生もちょっと触れましたように、献血していただいた方には、献血のバッジというものを差し上げます。それから献血の手帳と申しまして、将来、万が一その方が輸血を必要とするような場合には、優先的に血液をお返しするという証拠になります献血手帳というのを差し上げております。  それから採血したあとには、先ほどもお話がありましたように、簡単な茶菓を差し上げているということ、そういうような程度のことだけをやっております。これは先ほど大臣からも答弁いたしましたように、三百円の範囲内でやっているわけでございます。で、そういうバッジとか手帳とかいうようなことだけに限定しまして、献血をしていただいた方には処遇をいたしているわけでございまして、ただいま新聞に出ておりますように、多額の商品券を送ったというようなことはないはずだと思いますけれども、これは万が一、そういうような事実がございますならば、よく実情調査いたしまして、早急にそういうことのないように取り計らっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  31. 相澤重明

    理事相澤重明君) それでは、先ほどの藤原委員長質問に対して通産省のほうから答弁を願います。
  32. 伊藤三郎

    政府委員(伊藤三郎君) 人血漿輸出の制限措置につきましては、厚生省と御協議をしてまいったところでございます。最近に至りまして、厚生省としても製造業者に対する勧告という程度ではなく、法的な制限の措置を講じてもらいたいという連絡がございましたので、通産省といたしまして、こういう措置についてもちろん異存があるわけではございませんので、輸出貿易管理令の一部を改正いたしまして、血液製剤について輸出制限措置を講ずるという措置を講ずるという措置を行なうべく手続を進めておる状況でございます。
  33. 藤原道子

    藤原道子君 私の手元にも調査したのがございますが、何社がこのプラズマ輸出を扱っているか、どこの社、どこの社というような、資料でけっこうでございますが、それからどこの社が数量どのくらい扱ったかということも、わかりましたら、資料として御提出を願いたい。  重ねて申し上げますが、どうか重要な問題でございますので、一部に疑惑を与えますと、せっかくの献血が十分推進されませんので、通産省でも強くその点配慮されますことを要望いたしまして、他に御発言もございますので、たいへん長い時間失礼いたしました。
  34. 相澤重明

    理事相澤重明君) それではいまの、通産省で資料を提出を願うのですが、いま答弁できるものは答弁をしておいてもらいたい。
  35. 伊藤三郎

    政府委員(伊藤三郎君) 現在までのところ、人血漿は、輸出につきましては、特別の制限を行なっておりません。   〔理事和洋軍明君退席、委員長着席〕 また、輸出の統計上も血漿として特掲をしておりませんので、どういうふうに輸出されたかというような数量はないわけでございまして、そういう状況でございますので、あらためて調査いたしまして、資料提出をすることになりますので、時間がかかりますので、その点を御了承願いたいと存じます。
  36. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ちょっとおかしいと思うのですよ。私の調査でもわかっておるのです。それが通産省でわからないというはずはないと思う。何というのか、第一通商が北ベトナムへ二百五十cc、月間ですよ。それから日綿が西独へ三百、イラクへ九百、進和産業が中国へ二千本というふうなことを私は当たっている。ですから、私たちにわかるものが通産省でわからないというはずはない。ぜひお調べの上で資料の御提出を願いたい。じゃ、よろしゅうございますね。
  37. 柴谷要

    ○柴谷要君 大尉がいなくなったので質問ができなくなったのですが、厚生省にいまの資料の要求の追加をしておきたいと思うのです。通産省で輸出額が全然わからぬというばかげた行政をやっておるので、はなはだあ然としちゃったのだけれども血液銀行が扱った数量というものはわかると思うのです。その中で国内でどのくらい使って、あとはどうしたのか。これは調査したらわかると思うのです、厚生省のほうで。その資料をひとつあわせて要求をしておきたい。これは通産省がそういうことを知らぬと、こういう答弁したことは、明白に議事録に残っておるのだから、次回の委員会に通産大臣の出席を求めて、ひとつ追及をしたい、こう思うので、ひとつそのような手はずを整えてもらいたい。
  38. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 厚生省、ただいまの資料よろしゅうございますね。
  39. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) ただいまの御要望のあった資料につきましては、私どもとしましては、いま手元に正確な数字を持っておりませんので、調べましてできるだけ早く提出をさせていただく、かように思います。
  40. 大森創造

    ○大森創造君 藤原委員長質問とダブらないように端的に質問をいたします。血液の問題について、まずベトナムへ送った血液というものですね、これは商社が送った。これはあとから資料を提出されるそうだけれども、それと日赤がやっておるでしょう。日赤の扱いの数量などがわかったらば、この場でお教えいただきたいことが一つと、それからベトナムヘの献血というものは、一体自主的に始めたのか、だれが言い出したのか、あるいは要請があってそれに応じて始めたものかどうか、それをひとつお聞きしたい。
  41. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 第一点の、日赤がベトナム輸出しておるというふうにお受け取りしたわけでございますが、この点につきましては、冒頭にも大臣が申し上げましたように、日赤で始めました献血等につきましては、一切外国に輸出していない、こういうふうに私どもは承知しております。  それから第二点の、献血推進の役割りをだれが最初からになったのかということでございますが、献血の考え方につきましては、公の立場でやりましたのは、御承知のように一昨年八月の閣議決定で政府がそういう方針を打ち出したわけでございます。ただ献血の考え方につきましては、それ以前から日本赤十字社において、愛の助け合い運動というような形で献血の運動をやっていたことは事実でございます。しかし、これは日赤自体として、やっていたわけでございまして、政府の公の立場において献血運動というものを主唱しまして実施をしてまいりましたのは、一昨年の閣議決定以来やっている、こういう事情に相なっているわけでございます。
  42. 大森創造

    ○大森創造君 それでは別なことを聞きますけれども、よい血と悪い血というのがあって、悪い血のほうは俗に黄色い血と言われております。さっき厚生大臣がちらっとお漏らしになったんだけれども、その黄色い血のほうを化粧品に使っているというお話が出ましたね、大臣の口から。これは事実でございますね。
  43. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) お尋ねの、売血からとっております分の中に化粧品に回っていることの問題は、先ほど藤原先生からいろいろ御質問があったとおりでございます。この間の事情を簡単に申し上げますと、本来化粧品等に使用するために血液を人体からとるということは、これは絶対許されていないわけでございます。法律上許されていないわけでございます。ただいま御指摘のように、化粧品に回されているという点につきましては、どういうような過程で回されているのかと申しますと、人体から保存血液として血液を採取する際に、これを保存血液として製造するわけでありますが、そういう際に、溶血したり凝血したりするような不良品というのが一部出てまいります。そういう不良品が出てくるということと、それから保存血を製造した後に、保存血には御安内のように二十一日という有効期限がございますので、その有効期限を過ぎたもの、有効期限切れになったものというようなそういうもの、つまり保存血液として人体に輸血をするような作用が全然なくなってしまったというようなものを、まあ先ほど来廃棄するというようなことばで申し上げていたわけですが、そういうような廃棄されるべき保存血液からガンマグロブリンというものを抽出いたしまして、このガンマグロブリンというのは、これも先生御承知のように、はしかの治療薬として非常に貴重なものでございます。そういうガンマグロブリンというような血液製剤を抽出するわけでございますが、さらにこのガンマグロブリンを抽出した後に、残った廃液がありますが、その廃液を、これは本来もう捨てていいものでございます。当然捨てるべきものでございますが、その廃液から化粧品をつくっているというのがあるわけでございます。それが先ほど来化粧品化粧品ということで言われているわけでございます。決して化粧品をつくるために保存血を人体から採血するというわけじゃないわけでございます。当然捨てるべき廃液から化粧品をつくっている、こういうような実態になっているわけでございます。ただこの点につきましては、先般来当決算委員会におきましてもいろいろ御指摘を受けております。国民に与える影響がよくないという点もわれわれはよく承知できるわけでございますので、先ほど大臣答弁いたしましたように、化粧品をつくるにしても、保存血液から化粧品をつくる、いまのような過程を通って保存血液から化粧品をつくるということは、今後やめていただくというような方向で強く行政指導をしてまいりたい。業者のほうでもそういうような気持ちでいまやっております。今後保存血液の製造過程によって当然出てまいりますそういう化粧品の製造というふうなものはやめてもらいたい、こういうように考えておるわけでございます。
  44. 大森創造

    ○大森創造君 それでは一言だけ申し上げます、血液の問題について。いまの化粧品、どこで、どういう化粧品をつくっておりますか。口紅などだろうと思いますが、おわかりになったら言ってください。
  45. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 現在つくっておりますのはプラスマンパックというもの、それからもう一つ化粧水があるそうでございます。
  46. 大森創造

    ○大森創造君 その点はわかりましたけれども、私の考えでは、たとえ廃液であろうと廃棄すべきものであろうと、ベトナムの問題は、戦争目的とはいいながら、人間を救助する目的で使われているので、ある程度その意味ではわからないことはない。私は血液が二十一日経過して廃液みたいになったとはいっても、人間が化粧品に使うということは、何としても私の頭では了解できない。何となく気持ち悪いですよ。どうです、感覚的に、人間の血液を化粧品、口紅やそれからほお紅に使っているということは。さっき大臣もおっしゃったけれども、これはやめるということですね。廃液だからこれは使ってもよろしいということじゃなくて、がっちりやめるということにしてもらいたいと思う。これは人道的な問題だと思う。さっき委員長言われたように、生命の一部なんです、まさしく。その生命の一部を今度は、輸血するとかそういうことに使うのではなくて、化粧品に使うことは、何とも私は納得できない。これはどうぞ、この点はがっちりととめていただきたいと思う。ベトナム、ベトコンであろうと、それの輸血をするということについては、これはその限りではわかる。しかし軍事目的に使ってはならぬということはさっき申し上げたとおりだが、化粧品、口紅やほお紅では、これはどうも私はぴんとこない。ほかの材料でもできるはずだと思うのだが、試みに聞くが、化粧品では日本よりもずっと先進国であるフランスあたりでもそうなのかどうか。同じような措置をしているのかどうか。日本では血液による化粧品などというものは禁止するという措置はとれないものですか、具体的に。ややこしいことを言わないで、それだけお伺いしたいと思う。それが終わったら、午後から血液の問題以外の問題についてたっぷり御質問申し上げたい。
  47. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 先ほど申し上げましたように、保存血液から化粧品をつくることについては、いろいろ国民の間に疑惑を持たせる現状でありますので、大臣からも申し上げましたように、保存血液から化粧品をつくるというような考え方は早急にやめさしていきたい。他にかわるものをいま早急に研究するようにしていきたい、こういう気持ちでございます。
  48. 大森創造

    ○大森創造君 そういうことをひとつ明確に措置することをお約束くださいましたので、その問題は終わりますが、これと関連して一言だけ、東京医科歯科大学で人体実験をやっておりますね、製薬会社の要請などによって。この事実、御存じですか。
  49. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 製薬許可の事前段階といたしまして、一般的に医薬品製造承認をいたす際に、私どもはいろいろな実験データを提出してもらうたてまえになっているわけでございます。その中に、動物実験をするとか、あるいは特に胎児に及ぼす影響の実験をするとか、あるいは臨床実験をするとかいうようなことをしまして、明細なデータを出して、それをもとにしまして審査いたしまして、個々の医薬品の承認をいたしていくというのがたてまえでございます。ただその際に、いま御指摘がございましたように、各製薬メーカーが、臨床データをどうしても集めなければならぬわけでございますので、その臨床データは、私どもの指導では、国内の権威ある施設、まあ大学病院などでございますが、そういう大学病院などで、臨床データを五カ所以上、百五十例ぐらいのものを要望いたしておるわけでございます。そういうような臨床データを権威ある病院等で行なって、そうしてそういうデータを出してもらう、そういう指導をしておるわけでございます。そこで、各製薬メーカーが、個々の医薬品について、大学病院等にそういう臨床実験を依頼しているわけでございます。そういうようなことをやっているのがたてまえでございます。いまおことばにございましたように、人体実験ということばは必ずしも適当かどうかわかりませんが、おそらく先生のお尋ねにあったのは、その臨床実験を各大学にお願いしている、そのことを指しておられるのではなかろうか、こういうふうに考えて、そういうふうに受け取って理解したわけでございます。そこで、この臨床実験を大学等にお願いしているこのたてまえは、これはもう世界各国どこでもやっておるわけでございます。どうしても医薬品を許可する際は、そういう動物実験なり、臨床実験のデータがなければ、医薬品として市販するわけにまいらぬわけでございます。で、人体実験というような考え方でこの臨床実験をやるということ自体は、非常にことばから与える影響からしまして好ましくないわけでございます。私ども、その臨床実験の段階においては、これはあくまでも各大学の個々のお医者さんに十分責任を持って臨床実験をやってもらうたてまえでございますので、そこに人体実験という考え方を入れるかどうかは別としても、臨床のそういう実験を個々の医師が責任ある立場でやる。こういうことは現在どうしても医薬品を許可する際に通らなければならぬ関門でございます。そういうことは指導いたしておりますが、ただ、いろいろ誤解を招いたり、あるいは事故を起こすような人体実験のやり方が行なわれることについては、十分従来から指導して、そういうことのないようにやっておる、かような状況でございます。
  50. 大森創造

    ○大森創造君 いまの説明の限りでは、私はわからないことはございませんが、東京医科歯科大学では、いまの説明のらち外のことをやっていると私は聞いている。昨年あたりも、そのために相当に事件を起こして、最近でも事件を起こしたということを私は事実知っておりますので、血液の問題に午前中は限るということでございますから、後ほどあらためてお伺いしたいと思います。質問を留保いたします。
  51. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間があまりないので、最初に要望しておきますが、何か質問すると先回りして弁解する必要はないと思う。事実を究明するのだから、長く時間を、そこで、答弁でとる必要はない。だからその点注意しておきます。  私は、血清肝炎の問題で質問したいのですが、その前に、さっきの血液輸出の問題と関連して、日赤の態度について明らかにしておいてもらいたい。これは大臣に聞きたいのだが、次官がいるようですから、次官から通達して、この次はっきり答弁できるようにしてもらいたい。「昭和二十五年十月五日号の”日赤新聞”によると、日赤が”国連軍将兵に日本人の血を提供し、感謝と協力の意を示そう”と、その九月二十八日から……」そのというから昭和二十五年ですね、「その九月二十八日から当時、千代田上区丸の内の三菱東七号館二階にあった”国連軍第四〇六診療所輸出部”において、国民の供血奉仕の受付けを開始しました。」あなたは、日赤はそういうことを自発的にやったということを先ほど答弁されたのですが、この事実をさすのですか。そうして国連軍第四〇六部隊というのは、これは何ものですか。これは国会でもしばしば問題になった座間にあるあれでしょう、国連軍のC・B・R作戦部隊の研究所ですね。間違いのない事実でしょう。この事態について、あなたたち事実を知っておられるかどうか。知らないとすれば、この事態をはっきり明らかにしてもらいたい。先ほどの血液輸出の問題あるいは献血、国連軍という名前で、こういうベトナムへ血を提供された事実がある。これはまぎれもない事実です。それを香港ルートからといっている。これはそのルートからどこにその血がいくか、はっきりするでしょう、この点いかがです。次官御存じなら次官から……。
  52. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) ただいまの御指摘の問題につきましては、率直に申しまして私ども実は承知しておりません。昭和二十五年というやや以前の時代のできごとのようでございますし、そのことの問題自体については承知していないわけでございます。ただそれに関連しまして、日赤の血液が、少なくとも献血運動をやってから以後におきましては、私どもは絶対に海外に出ていない、また出すべきじゃない、こういうようなふうに承知しております。また、そういうような指導を日赤当局に対してやっている、これは事実でございます。
  53. 岩間正男

    ○岩間正男君 資料を要求しておきたいのですが、こういう事実があるのかどうか。日赤新聞に出ているんですから、四〇六部隊というものについてあなたたち御存じないのですか、あるのですか。なければこれは調べてもらいたい。これはもうはっきりしておるんじゃないですか。「神奈川県相模原に約六万坪の、医学研究所を持ち、細菌学部、化学部、昆虫学部、動物学部、血液学部などをもつ、C・B・R」、つまりいまの生物、化学、放射線の化学兵器部隊。「朝鮮戦争末期に国際的に非難の的となった細菌作戦を指導したアメリカ陸軍CBR兵器研究本部の付属機関でもあり、現在ベトナムヘこの特殊部隊の”移動研究所”が設けられ、CBR作戦を指導し推進する中心となっている」ことは、これは明らかだ。これはこの前予算委員会でも私は毒ガスの使用問題で追及した問題ですから、この点をあなたたち知らないではいられないわけですから、調べて資料として出してください。第四〇六部隊というのはいかなる部隊か。それから日赤との関係があったのかないのか、この事実をひとつ最初に、要求しておきます。これは大臣にあとで聞きます。  そこで質問に入りますが、この前私は、非常に短い時間でしたから、資料だけを要求した。ところが、この資料の要求の中で出ていない資料があるんです。それは補償の問題ですね。血清肝炎になった場合に、一体どのような補償をするのか、対策はいかんということで検討した事実があるかどうか、この資料がほしいということを私は要求した。ところが全然出ていない。これはどういうわけですか。
  54. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) ただいまご指摘の血清肝炎による補償についての資料は、実は提出していないわけでございます。私どもの考え方は、血清肝炎等については、先生もご存じのように、まだまだ学問的、医学的に不明の点が多分に残されている。そういうような状況で、現在血清肝炎問題に対して早急に学問的な研究を進めていくようにやってきているわけでございますが、遺憾ながら現在の学問水準、これはもちろん世界的な傾向でございますが、血清肝炎については、いろいろまだその本体なりあるいは診断基準、あるいは治療方法、いろいろまだ学問的に明確な結論が出ていない現状でございます。早急に私どもはそういうような学問的な研究を進めてまいってこの実体を究明し、そして確実な診断方法なり、治療方法を見出したい、こういうことでいろいろやっているわけでございます。残念ながら、今日の事態においては、まだそこまでいっていないわけでございます。したがいまして、そういうような時点におきまして解決をした結果、たまたま血清肝炎にかかる率が若干十何%ぐらいの率にあるわけでございますが、私どもはこういう血清肝炎にかかった方の補償等については、いろいろな考え方はあるにいたしましても、現在の段階においては、血清肝炎自体がまだ学問的に不明であるということもあわせ考えまして、現在のところは特別な補償というものはなかなか考え方として出てきにくい。どうしてもそういうような方には、現在ありますいろいろな制度で十分補償していくということが、現状においてはやむを得ないことじゃないかというように考え、将来の問題といたしましては、一刻も早く血清肝炎自体を学問的に掘り下げて、そして結論を出す。それに従いまして採血をする場合の肝炎の発生率というものを防止していく、こういう学問的な研究が先である、こういうような考え方を持っているわけでございます。したがいまして、これについてのいろいろな先生要望の補償の資料というものは、現在外部に出せるところまでまだいっていないわけでございます。はなはだ申しわけないわけでございますが、資料の提出ができなかったわけでございます。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもさきに注意したことをあなた守っていない。私は、この資料がなぜできなかったかと聞いたわけですね。ところがあなたは、学問的研究が何だかんだということを答弁している。学問的研究と関係はないとは言いませんけれども、この問題を別にして、たくさんの人がかかっているんだから、これに対する対策なり補償について研究したことがあるかどうか。ないでしょう。ないから、そういう長々しい答弁でごまかす。そんなこと、わかりきったことですよ、なんぼわれわれしろうとだって。だからいまの資料、私はやったことがあるかないか、聞いたんですから、ないならない、あるならいつどういうことをやったと、ところが出せないところを見ると、やっていない。いまだかつて、この血清肝炎の問題で罹患者が非常に多い、それに対する補償の問題なんか、討議したことはないでしょう。どうですか。簡単に言ってもらいたい。
  56. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 血清肝炎の補償問題として、特に私どもはこの問題をいろいろ資料の作成上からやったことはございません。しかし、やはりこの問題についてはいろいろ大きな問題が残されておりますし、また大事な点があるわけでございますので、われわれはいろいろ血清肝炎全体の問題として検討を進めていると、またそういうような学問的に検討の資料は持っているわけでございますが、補償そのものについての資料というようなことについては、いまのところ外部に出せるほどのものは、手元にない、こういう事情でございます。
  57. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはあなたは率直に出せないのです。そういう補償の問題でいままで対策を考えたことはございません、こういう資料なんだ。ゼロ資料だと言えばこれでいいのです。私はそのことを聞きたかった。あなた方実際いろいろ言っていますけれども、何にもやっていないのですよ、ほとんど。研究も何もしていない。していないからこういう事態が起こっている。しかも補償問題で聞かれるというと結局はやっていない、これがはっきりしている。何もやっていない、これは事実だと思うのです。だからこの資料は出せなかった。ここにもうはつきり現在の厚生省の大体医療に対する態度というものの、もう一端をうかがうことができる、明確にすることができる。  そこで次にお聞きしますが、これは血清肝炎がだんだんふえているということですね。そうすると、資料によりますと、あなたたちの出している資料によるというと、これは一九六〇年、この六年前は発生率は、まあ全体じゃありませんが、一例から、あなたたち出している資料だが、五百三十四人のうち十四人かかっている、二・六%。それが今度は次の年の六一年になると七百二十人のうち五十四人で七・五%。一九六二年になりますと八百五十四人のうち八十六人で一〇・四%。一九六三年になりますと三百四十九例のうちで七十四人がかかっている、一三・五%、こういうことになるわけですね。最近もっとふえているでしょう。これは率はどうなんです。簡単にやってくださいね。ふえているのか減っているのか、それでいいのだから。時間がないのだから。
  58. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 血清肝炎の発生率につきましては、残念でございますが、政府の法的な立場で調費したものがございません。したがいまして、いま先生も引用されましたけれども、学会等で断片的に調査したデータをわれわれは参考にせざるを得ない、どういう事情に相なっているわけでございます。したがいまして三十五年から三十七年、八年あたりの数字が、日本輸血学会等で調査したものがいま先生お述べになった数字だろうと思っておりますが、私どもは三十五年から三十八年ごろまでは、政府の提唱による献血運動というものが実はなかった時代でございまして、この時代はだんだんだんだん年を追うて発生率がふえている、増加しているということは事実でございます。三十九年から初めて献血運動というものを実施しまして売血の廃止を呼びかけたわけでございますので、三十九年、四十年と献血運動が伸びるに従い、また売血の量が減るに従いまして、この血清肝炎の発生率というのは、私どもは少しずつ減っていくのじゃなかろうか、こういうふうに予想しているわけでございます。すでに外国等では肝炎は御承知のように非常に低い発生率を示しておりますので、わが国の場合においても売血が減るに従いまして、血清肝炎の発生率が逐次減っていくのじゃなかろうか、こういうふうに考えておりますが、何ぶんにも最近の新しいデータがございませんので、実証的にその点は裏づけができないわけでございます。したがいまして、お手元に提出いたしましたように、一三%というのはこれは三十八年当時の肝炎の発生率でございます。どうしてもこういう高い発生率になっているということだけは、御了解願いたいと思うのでございます。
  59. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも困ったな。委員長から注意してもらいたいですね。時間の制限があるから私は急いでいるのですが、ふえているかどうかを聞いているのに、そうじゃないという理由を長々と述べられて。依然として調査の上に立っているのじゃないのです。そういう予想や見込みや、そんなことじゃ実際科学行政にならないのですよ、これは。こんな大体思いや希望で、医療行政やられたのではたまらない、実際。たまるか。もう少し、頭を整理してもらいたい。こんなことじゃとても話になりません。減っているという、そういうのにはならない。ふえていますよ。どんどんふえていますよ、これは。  それから次に、もうそういうところにこだわっていては時間取りますから進みますけれども、輸血量ですね。これはたとえば三十八年の例をとりますというと、病院と診療所合わせて百九十万五千九百七十七ですか。あなたたちの出している資料はそうですね。あなたたちの出した三枚目だ。そうでしょう。たとえば三十八年、これに私は一三・二%かけた。これは三十八年の率が一三・二%になっているわけですから、そうすると結局何万になります。血清肝炎にかかる人間の数何万ある。二十四万八千百五十八人じゃないか。これだけかかっているのですよ。どうなんです。それに対していまのような答弁をやっていて、その日暮らしでやっていて間に合いますか。だからそれが認められるでしょう。これは子供の数学だからこれは認めるでしょう。
  60. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 坂元局長答弁を簡潔に願います。
  61. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) いま岩間先生引用されましたこの輸血延べ患者数の調査でございますが、これはここにございますように、輸血を一回やったその延べの患者数ということでございまして、これは輸血の実際の実患者数ではないわけでございます。実は実患者数というのは、はなはだ残念でございますがデータがはっきりしたものがございませんので、各社会保険等の病院で診療行為をやる際の延べの輸血件数というものを、ここに取り上げてやったわけでございます。したがいまして三十八年は御指摘のように百九十万人というふうになっておりますが、これは延べの輸血患者数と、こういうことになっておるわけでございます。
  62. 岩間正男

    ○岩間正男君 延べだって、手術をやるときに輸血をして、そうして何回もそんな輸血するものじゃないですよ。私が特にこの血清の問題を聞いているのは、実は私の家族が昨年半年やられた。われわれは、個人の経験にすべきじゃない、いやしくも国会議員が。自分の家族で起こった、そういうことで悲惨な事実を経験しました。なまなましくひどいものだ、これは全く。私は自炊生活をやったのだから、そうして日韓なんか戦ったわけですからね。だから、これは非常にもう自分ではかってないほどつらい目にあったのだ。そういうところからこれは聞いているのですよ。しかしこれは、この経験は国会議員として個人の経験で埋没さすべき問題じゃないと考えている。これはむしろ与えられた機会なんだ、この機会にこの血清肝炎の問題をほんとうに明らかにしなかったら、私はもう国会議員の資格がない、そう思って聞いているのですよ。だからそういう気持ちで答えてください。  そこで、結局あなたたちはこれは延べであるから実人員じゃないと言うけれども、実人員がない、こういうかっこうでしょう。あんな統計というものはこれは科学か。科学になっていないじゃないか全然。大体もうこれは、この数字はそんなに違いません。二十四万人ですよ。しかしこれは表に出ただけですよ。表に出ないそういう人たちを考えると、この三倍あるか四倍あるかわからないというのが実態だ。血清肝炎というものは、私は名前は聞いておった。しかし実際は、これは身近の者がそういうものに落とされてみて、どんなに悲惨なものであるかということを感じた。第一に、これはまだ私の家族は子供がない、だからこれはまあまだいい。子供があったらどうなんだ。そうしてこれは、一家の主婦がかかった場合にどうなんだ、それから職業を持っている人がかかった場合にどうなんだ。半年ですよ。ひどいのは一年一二年という例もあります。ほとんど廃人同様になる、ぶらぶらなんだ。そうしてかりに今度は黄だんになった、黄だんがなおってようやく退院するという運びになっても、あと一年くらい予後朝間がありますよ。これはそう考えたら、全部これは生活が破壊されるのだよ。これがあなた社会保障の対象にもならない。これに対する対策も考えられていない。そうして一体厚生省の医療行政なんというものはあるか。私はそういう点でこれだけの問題について何らの一体調査さえも進めていない。調査がないから、これの対策なんてものはむろんない。こういうことで済むかどうかということを聞きたい。そうして、しかも先ほど問題になりましたように、藤原委員長から質問がありましたように血が売られている。これと関係ないとは言えない。どんどん血が出されている。不足している。そういう不足しているからこそ売血が盛んだ。売血せぬように切りかえると言ったって、まだ七〇%売血をやっているのじゃないですか。またそういうような血でもってこういう悲惨な犠牲者がある。ベトナム戦争と関係ないなどというのは言えないのだ。やっぱりベトナム戦争と関係あり。  それから第二に——第二より第一と言いたいが、厚生省のそういう野放し政策、何らの具体的な問題も追及しようとしないそういう態度から、こういう問題が発生しているということをはっきり感じる。だから私個人のそういう体験などというものは微々たるものですよ。問題になりません。しかし何百倍の人が、何万倍の人が、何十万倍の人が苦しんでいるという現実を考えたとまに、私は国会議員として黙っているわけにはいかない。こういう点で聞いているのですよ。これは大臣に出てもらって聞きたいと思いますが、次官、どうです。一体、いまのような事実知っていたのですか。たとえば二十五万に近いような人たちが、統計の上だけでも、これは血清肝炎にかかっているという事実を知っていますか。どうですか。率直に、育ってください。
  63. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 御質問の趣旨は、そういう事実を知っていたかどうかという御質問のようでございますが、先ほど局長から御説明申し上げましたように、延べの統計はありますけれども、実人員として何名かというはっきりした数字は、ただいまのところ持っておりません。
  64. 岩間正男

    ○岩間正男君 次官もたよりないですね。次官もっとたよれるかと思って聞いているのですよ。そんなことあなた、局長のまるでお先棒をかつぐようなことじゃなくて、あなた自身として——、いまのような二十四万、そんなに違いないですよ、あなたはこれどういうふうに言います。これは二回やる人もありましょう、しかしまれですよ、それは。そういうことから考えまして、かりにあなた、五万人いたってたいへんな問題ですよ。しかもあらわれたのだけでも二十五万、そうして隠れたのを合わせればその三倍からもあるという、こういう実態の中で、この事実をあなた御存じないから、そういうようなゆうちょうな答弁をすることができるんだね。それでお聞きしますがね、どうですか、なぜ一体こんなにふえているか。この原因は売血によるもの、それからいま言ったような血がやはり外国に流れている問題、しかもこれを追及するシステムが、あなたたちの省にありますか。どうです。血清肝炎についてはどういう一体これを研究調査する、そうして、これをあくまで問題を追及するシステムをつくっておられるか、これは医療行政の全般との関連において私はお聞きしたい。どうです。
  65. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほど、事実を知っているかどうかという御質問でございましたので答えたのでございますが、こういう問題に対して一体どういう態度を厚生省とっているのかという御質問でございますので、簡略でございますがお答え申し上げたいと思います。  まず、先ほど局長からも御説明ございましたように、この実態が実は科学的に究明まだできておりません。実は万国ともと申しちゃ言い過ぎかもしれませんが、世界的な実は問題になっておりますので、わが国といたしましても、事の重大性を考えまして、ただいま昭和三十八年以降、輸血学会を中心といたしまして、この原因あるいは予防、あるいは治療等に対する対策を、補助金を国で出しまして、輸血学会中心にいま研究を進めております。そういう状況でございますので、苦慮はいたしておりますが、何しろただいま申しましたように、非常に学問的に不明なものが多々ございますので、その究明に一生懸命努力しているというのが実情でございます。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 これもね、厚生省内にそういうシステムがあるかないかということをお聞きしているのですね。単にここで、国会でそのいまのようなお話をされても、話にならないのでありまして、どういうようなちゃんと機関をつくって、これでもってどういう調査をやっている、それからどういう委託をやっている、それでそれについての厚生省の会議はどう持っていると、こういうシステムについて聞いているのだが、これはないと考えてようござんすね。もう簡単に言ってください、簡単に。ほとんどないと言っていいというのでしょう。
  67. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) お尋ねの点にずばり当たらないかもしれませんが、学問的な研究につきましては、政務次官から申し上げましたように、実は三十八年以来、研究班というものを組織しております。そうしてこれは輸血学会の先生、それから各大学の専門の先生を中心として、過去三年間も研究班を組織してやっております。こういう実情であります。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃそのシステムを資料で出してください。どういう構成で、どんななにをやっているか、これを早く出してもらったほうが、時間の関係からいいでしょうから。  そこでやはり売血の問題なんですが、とにかく売血がいまだに七〇%近くこれは行なわれているという、そういうことから非常に起こっていると思うのですが、どうですか。私、ここでお聞きしたいのですが、採血及び供血あっせん業取締法の第十三条、これによるというと、「血液製剤等の原料たる血液又は輸血のための血液を得る目的で、人体から採血しようとする者は、あらかじめ被採血者につき、厚生省令で定める方法による健康診断を行わなければならない。」ときめられているのですね。そうしてその施行規則の第八条によるというと、これは血をとる前にどういう措置をとる、どれだけのことをやらなければならないということになっているのですか。その法令の施行規則第八条ですね、これをひとつ、あなた読み上げてください。
  69. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 施行規則の第八条には、健康診断の方法を書いてあるわけでございますが、読み上げますと、「法第十三条第一項の規定により、被採血者につき行うべき健康診断の方法は、問診、視診、触診、聴診、打診、体温測定、体重測定、血圧測定及び硫酸銅法による血液比重検査又はザーリー氏法による血色素検査とする。」、こういうふうに第一項のほうは書いてあります。まだ第二項がございまして、第一項はこのように書いてあります。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 これで十分だと考えておりますか、この法令で。
  71. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 第八条の第一項に書いてある検査で、私どもは十分だとは思っておりません。しかし、現在の学問水準においては、これだけの検査しか法的のものとしてはできない、だからお尋ねのような血清肝炎にかかっているかどうかのそういう検査も、現在は事実上はやらしておりますけれども、法文の中にとり入れるところまで、学問的な根拠というものがまだ確立していないために、これに出ていないわけでございまして、将来は、できるだけ早くこういう検査をやっていきたい、こういう気持ちでいるわけでごございます。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 この法律、完全実施されていると思っていますか。これは完全だと思えない法律で、この不完全な法律さえ完全に実施されていないというのが事実でしょう。そうでしょう。これは一言で言ってください。
  73. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 完全に的確に実施するように指導はしております。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 指導はしていたって、その指導は全くごまかされているでしょう。これは弁護士会のこれにだってちゃんと出ているでしょう。東京弁護士会の建議書の中に出ているでしょう。全然それは検査が十分にやられていない。それで、わずかに日暮里ではこれは体重測定、血圧測定という健康診断は実施しているけれども、その他はほとんどこれは不明だ。そうして業者は供血者に米穀通帳、運転免許等の身分証明書を提示させているが、実際はかようなことさえ行なわれていないのが実情である。ましてこの山谷のドヤ街なんかの場合ですね、これはもう話にならぬでしょう。血液が薄くて、とてもぐあいが悪い。そうするとそばに鉄分を売っているのがあって、鉄分をぐっと飲むと、そうすると血液がややしばらく重くなる。そうでしょう。それでもって血を売っているというのが実情なんです、実際は。これはもう知らぬのは厚生省ばかりなり——、知っているでしょう、知っていて知らぬと言っているのかもしらぬけれども、実際はそういうかっこうです。こんなやり方です。こんなやり方でもってやられて、つまり法律は完全に無視されて血がとられているところに問題がある、この事実をどう思いますか。
  75. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 御指摘のように、この健康診断の方法を確実に実施するように従来指導しているわけでございますが、私どももあちらこちらから、完全に実施されていないといういろいろな批判を受けておりますので、事あるごとに、業界のほうにそういうような注意なり何なりを強力にやっているわけでございます。特に昨年の弁護士会等の勧告がございましたので、さらにまた一段と健康診断の方法を確実に完全に実施するように業界に申し入れ、業界自身もそういうような自粛の方策をきめておりますので、今後はできるだけそういう先生方の御意見のように業界自身にも指導し、また私どもも十分監視をいたしまして、この健康診断の方法が法律の精神どおりに実施されるように努力をしてまいりたい、かように思っております。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはもう実施されるように——。国会答弁と事実ははなはだしくこれは違ってくるのですね。私が身近な場合の例をあげたら、びっくりするんじゃないですか。ここに生きた資料がある。富士臓器株式会社、名前をあげてもいいのですが、当人に送ってきました。病院にかかった。これは病院の名前をあげてもいいのですが、ここでは伏せておきましょう。世田谷の病院です。そこで私の家内が手術しました。それで三本打ちました。それから約半月で、なおって退院した。退院してからどうも思わしくない。だんだん顔が黄色くなる、それからだんだんはって歩くようになった。参議院の選挙のときには、全くもうぐあいが悪くて、ずいぶん時間かかって投票所に行くというようなかっこうになった。目が黄色になってきました。どうもおかしいので、それでその病院にやってみたら、病院で飛び上がるほどびっくりしたわけですね。それからこっちの血液の何に話をしたらしいので、ここから書面を送ってきた。この中にこういうものがある。あとでお目にかけますけれども、こういうことを聞いておるのだな。アンケートをとっておるのだな。この富士臓器製薬株式会社、これがアンケートをとって、いかにもこういう手段を尽くしましたから、事前にやりましたので、しかもまた聞いてみましたからだいじょうぶでございますといってこれを送ってきた。驚いているのです。その質問の内容は、以前に供血したことがあるかないか、あるとすればいつごろか、第二は、以前に輸血を受けたことがあるか、あるとすればいつごろ、以前に黄だんになったことがあるか、あるとすればいつごろ、肝臓病になったことがあるか、あるとすればいつごろ、以上の件について至急御返事ください、そしてその該当のところにマルじるしをつけてください、こんな往復はがきを出しておる、それから返答をとって、いかにも私のところに潔白を証明するようなこういうものを送ってきた。これは送り先がまずいです。なぜかというと、こんなものをこの段階で聞くというのは一体どういうことなんだ、この段階で聞くということは、これを聞かないでとったということの証明じゃないですか。そうでしょう。これ一つ見たって、あんたたちのいま言ったことが行なわれていると言えますか。見てください。こういうばかなことあるかな。世間を愚弄するのもはなはだしい。これは委員長も見てください。こういうばかなことをやって、そして法律が行なわれているとかなんとかいう欺瞞した態度をとることができるかどうか、何でいまごろこんなものを送らなくちゃならぬか。あんた、これ弁解があったら言ってください、監督の立場として。
  77. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 申しわけないわけでございます。初めて私も見せていただいたわけで、業者のほうでどういう意図でやったかわかりませんが、いま先生御指摘のような御意見十分私どももわかりますので、今後こういうことのないように厳重に業者のほうには警告を発し、また健康診断そのものについては、先ほど申し上げましたような趣旨で厳重に取り締まり等をやってまいりたい、かように考えております。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 法律違反の場合には、業務停止をさせることができますか。どうですか。
  79. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 血液銀行等を経営する者が、法律の規定に違反するような行為をやった場合には、許可の取り消し、あるいは業務停止等のそれぞれの行政処分を法律上とれることになっております。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 いままでそういうことを停止処分の前に、たとえば警告を発するとか、そういうようなことをやり、さらに停止処分に処したことがございますか、ございませんか。
  81. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 結論的に申し上げますと、業務停止をやった例はございません。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは野放しであったということの証明だと思います。血清肝炎になった場合の報告を、これは厚生省は受けるようなシステムになっておりますか、おりませんか。輸血の結果、血清肝炎になった場合に、報告を受けるようになっているか、なっていないか、これはどうです。
  83. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 法律上の措置としては、そういう報告を受けるようにはなっておりません。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、こういうところは、これは法令の不備じゃないですかね。これは厚生省が直接受けなくなったって、下のほうでちゃんと受けて、それに基づいて、今度やはり政治の手が履くというのでなければ、厚生行政なんていうのは全然不在と言わざるを得ないのですね。そうじゃないですか。
  85. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 血清肝炎の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、まだ診断基準というものが実はできていないわけでございます。したがいまして、学界のほうでも、何をもって血清肝炎と診断していいかわからんというような状況にあるわけでございますので、私どもは、法律上の措置としまして、血清肝炎患者というものを報告させるということについては、まだ現在のところ、そういう学問的水準のもとにおいては、非常に困難なことだと、かように考えておるわけでございます。しかし、事実上の問題としましては、先ほど来先生からも御注意を受けましたように、血清肝炎自体の問題については、いろいろ研究もし、また、調査も今後やりたい、こういうことで、いま決意を新たにしている次第でございます。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ大臣が出て、私詳細やる気ですから、まあ大体あと二、三で終わりますけれども、患者の立場にやはり立ってもらいたいということですね。学界で結論が出ないから、厚生省は何も手をつけない、これは問題が違いますよ。問題によりけりですよ。学問的な結論が出なければできないという問題もあります。しかし、現実には二十数万の人たちが苦しんでいるのだ。この問題に対して厚生省は、学界の結論が出なければできない、こういうのですが、患者の立場に立って考えてごらんなさい。一体そうしてこれが医療の対象にも何にもなっていないのです。私の病気——私病なんです。私病として扱われるのです。これが現実じゃないですか。しかも、年々こういうものがふえている。これについて一体どういうことを国民が要求しているか、これは切実なものです。私たちにも、手紙それから何を受けておりますけれども一体どういうような対策をしたらいいと考えているのですか。私は次のような点は少なくとも要求しなければならぬと思うのですね。これはわが党の政策でもあるのだけれども、この問題を扱って真剣に取り組んでいる人たちのまとめたところ、それからわれわれ共産党のこの問題について検討してみて、当面このような点についてこれは特に申し入れしておきたい。第一に、きれいな血を確保し、患者の負担なしに無条件に供給せよ。第二には、供血者に対しては休養、栄養、健康の保障を行なう、これは血の問題ですがね。それから第三に、売血制度を直ちに廃止し、監視を伴う民主的運営による供血制度を確立せよ。非営利的な血液銀行を全国的につくれ。それから輸血による被害については、患者の治療費、血清肝炎になった者についてはですね、患者の治療費、生活費を完全に補償せよ。血清肝炎の本体について早急に研究を進める、もっともっとこれは金を出してしっかりやらなければいかぬですよ。そして、完全な予防体制を確立する。それから第五に、科学的な採血基準を厳守し、未成年者及び老人からの採血を中止せよ。そうして、こういうことは全部、いま申しました五つの項目は、血液問題については全部すべてが国の責任でこれを行なうべきであるというのがわれわれの主張でございます。  第二の問題は、日本人の血をアメリカのアジア侵略政策に使うな、大きな第二の問題ですね、これが私たちのいま答面要求する問題なんです。われわれのなまなましい一つの声、特にこれは国会議員の家族にこういう試練を与えたということは、これが一つの突破口になって、そうして少なくともこの血清肝炎の問題を解決する端緒になり得る、またそうしなければならぬというふうに私は責任を感じている。そうなれば非常に幸いなんだ。これはほんとうに災いを転じて福にすることができる。私たち共産党はそういう立場でこの問題にはっきり取り組んでいるのでありまして、決して個人のいきどおり、そんなものでやっているわけではございません。そういう点を考えて、この次に厚生大臣に、これに対するもっとはっきりした態度をお聞きしたいと思います。次官から、最後にこれに対する決意を述べていただきたい。
  87. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 血清肝炎対策に関しまして、ただいま五つか六つの御要望の点がございました。先ほど来その問題に関しまして触れました点もございまするが、まだ問題を出されただけの問題もあるように考えますので、ただいまの御要望の点を十分研究申し上げまして、お答え申し上げたいと存じます。  それから第二の戦争に対して日本人の血を使ってはいかぬという点に関しましては、冒頭、大臣からも御説明ありましたように輸出に関しましては、これを制限する措置を講じ、同時にまた国内におきましても、そういう点のありませんように監視、監督する所存でございますので、その点は御安心いただきたいと存じます。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 大臣に対する質問を保留いたします。
  89. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 最後に、岩間委員から資料の要求がございましたが、すみやかに御提出を願いたい。ただ二十五年ごろ朝鮮戦争に米軍からの要求で出されたということは、これは隠れもない事実かと思いますので、そういうことを隠蔽なさらないように率直に出していただきたい。私のほうにも朝鮮戦争に出したという資料もございますので、そういう点は包み隠すことなく、過去はこうであったけれども現在はこう、そういうことはしない、こういうような方向でお出しになったらいいと思います。  それからもう一つは、岩間君が言われたように、許可取り消しの方針があるにもかかわらず、あまりにもルーズであると思います。私も二、三回血銀調査をいたしましたけれども、問診だってろくにしてはおりません。ほんとうにそのままです。ただ比重を検査しただけで、あとはさっさと医者のところを通り越して血液を取っております。そういう事実をひとつ十分検討して、不良な血銀に対しては許可取り消しという挙に出ることが一番大事じゃなかろうか。今度こそ厚生省が本腰を入れたということのあらわれになると思います。  それからもう一つ、先ほど私に対する答弁の中で、今後はそういうことはいたしませんということでしたが、三十九年度に勧告されたときに、もう取りやめますと言っておったのが四十年もやっていた。そして厚生省がおしかりになったところが、年度内にやめます、ところが、事実は、貿易商社のほうとの契約もあるので、三月まではこれを出すというようなことを聞いております。それからさらに四十一年度の生産計画も変更されていない。売血は減ったけれどもプラズマ用のSビンと称するほうはどんどんふえているという事実がございますので、立ち入り検査その他によって、この点を明確にしてほしいということを強く要望いたします。  それでは他に御発言がなければ、午前中の審査はこの程度にとどめたいと存じます。午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後一時四十一分開会
  90. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和三十八年度決算外三件を議題といたし、厚生省及び労働省の決算について審査を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  91. 中村波男

    ○中村波男君 最初に、国立病院並びに療養所等の運営その他について質問をいたしたいと思うのでありますが、三十九年度の厚生白書によりますと、国立病院が、病床数が二万八千百、八十八施設。国立療養所が、いろいろございますが、百七十九施設あるように書かれておるのでございますが、私の見聞した範囲によりますと、これらの病院並びに療養所というのは、戦後の急造建築が多くて、耐火建築というものはほとんど見当たらないのではないかというふうに思うわけであります。極端なところでは、雨漏りがして、放置されているというような療養所等も相当あるように見るのでありますし、聞くのでありますが、まず最初に、これらの施設の構築物に対する、何といいますか、状況というのをひとつ御報告を願ってから、次の質問に入りたい、こう思うわけであります。
  92. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立医療機関としての国立病院並びに国立療養所の建造物としての病床でございますが、ただいま御指摘のありましたように、国立病院は大部分のものが旧陸海軍時代の衛戌病院、その他の陸海軍病院を継承いたしたものがたくさんございます。もちろん、その他の医療団等のものもございます。また、結核療養所につきましては、大部分が軍事保護院、あるいはその前の傷兵保護院の建造物でございまして、すでに四十数カ年を経過したものが大部分でございます。したがいまして、建物は木造で老朽化したものが大部分でございます。御指摘のように、決して療養の環境としても十分なものではございませんし、火災あるいは事故の防止等につきましても、決して十分とは申せません。したがって、私ども、これらの整備につきましては、年次計画等を持ちまして、逐次整備する方針を立てておりまして、国立病院につきましては、比較的財政的な基盤も健全であるために、借り入れ金等の制度をつくりまして、借り入れ金を三カ年間で約百億の借り入れ金までいたしまして、鉄筋コンクリート化をはかってまいっております。しかし、なお、半数に満たないものが鉄筋化されたというにすぎません。一方、国立療養所におきましては、なお整備状況が悪いわけでございまして、国立療養所は国立病院に比べましても、経済的基盤が非常に劣弱であるために、すべてを一般会計によってまかなわねばならない。国立病院のような借り入れ金等によって整備をはかるということが不可能でございますので、一そうその整備がおくれていることは事実でございます。しかし、私ども、これを計画的に整備するたてまえをとりまして、基幹療養所と称します、各ブロックにおける中心的な療養所はすでに鉄筋化をし、相当程度進んでおります。また、御承知のように、療養所の数が非常にたくさんございますので、現在は結核患者の減少傾向とともに、利用率が非常に低下いたしておりまして、したがって、空床等が相当多くなっております。一方、国立療養所は数が多いために近接したもの、あるいは隣接したもの等がございますので、それらのものを統合あるいは合併等のことによりまして、数を減少すると同時に整備を促進していく、その際にこの整備を平そう促進するために統廃合いたしまして生じました敷地等を大蔵省の一般財産に納入いたしまして、その見返りの資金をもらうというような方法まで講じまして、現在せっかく整備中でございます。しかし、残念ながら総体といたしましては、まだきわめて不十分な状態であることを残念に思うわけでございます。
  93. 中村波男

    ○中村波男君 さらに具体的にお尋ねしたいと思うのですが、私が得た資料によりますと、保安度と申しますか、三百点−六百点のものが五三%を占めておる。それから、六百点以上のものが四〇%で、耐火構造物はわずか〇・七%であるということを調べたのでありますが、このような状況であるかどうか。そこで、時間もありませんから、ここで具体的に指摘するのも、そういう点であとにいたしてけっこうでありますが、そこで、そういう実態の資料をひとつ次の会までに出していただきたい。それから、いまおっしゃいました、年次計画を立てて、特に国立病院を中心にいたしまして進めておるということでありますが、その年次計画につきましても、資料としてひとつ御提出がいただきたい。委員長のほうにもひとつお取り計らいをいただきたいと思うわけでございます。  そこで、いまお話がありましたように、結核病は三十二年をピークといたしまして漸減しつつあるということは承知をいたしておるのでありますが、その趨勢をこの機会に具体的に御報告を賜わりたいと思います。
  94. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 私、準備が不十分で、結核患者の具体的な数の動向等については、ただいま資料を持っておりませんので、先ほどいろいろ資料の御要求がございましたので、それと合わせまして、結核患者の動向についての資料は、数字の上で確実なものを提出申し上げたいと思います。要するに、私ども、結核の実態というものは、理論的には結核実態調査をもとにしております。これは、結核実態調査は、昭和二十八年、三十三年、それから三十八年と、三回実施いたしております。したがって、理論的な推計患者数は、二十八年におきましては、これは私の記憶でございますが、大きな相違はないと思いますが、二十八年には三百四万、ところが、三十三年には二百九十三万、それから、そのあとの三十八年には非常に減少をいたしております。しかし、この結核実態調査の数は、これは理論的な数でございまして、現実にあらわれる患者は、結核病床の利用率で見ることが一番適当なのでございますが、これは御承知のように、三十二、三年をピークにいたしまして、それから急激に減少いたしております。ここに最近におきましては、ベッドの最もたくさんあった時代に比べますと、約六万程度減少しておるかと存じます。
  95. 中村波男

    ○中村波男君 さらに具体的な質問をしたいと思うのでありますが、国立療養所の結核の現在のベッド数と、実際に入院しておる実数といいますか、入院患者数はどうなっておるかということを伺いたい。
  96. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 最近の結核療養所の利用率は、大体八〇%を割る程度でございます。
  97. 中村波男

    ○中村波男君 そこで、結核患者が漸減しつつあるということでありますが、この厚生統計協会の資料によりますと、三十六年の十二月で、総数は十一万五千八百三十で、命令入所措置数は五万一千七百二十二と、三十七年が十三万五千八十六に対して七万五千、三十八年は十二万七千に対しまして十万四千、三十九年は十一方九千に対しまして十万がいわゆる命令入所措置が行なわれておる。これは生活保護によるのを切りかえたというような点もあろうと思うのでありますが、そこで、ベッド数が国立の場合相当余裕があるということを、これは医療機関全体を通じて資料が出されませんから、ここでいま批判ができませんけれども、あまりにも国立療養所が、平たく言えば、おんぼろで施設その他が悪いというようなことが、療養所に入りたくも入れないというような状況というものを考えなければならない大きな問題点ではないかというふうに思うわけであります。そこで、いろいろ厚生白書等を読んでみますと、伝染病、特に結核については、濃厚感染源対策として命令入所制度や、治療薬の進歩によって早期になおって死亡率がきわめて低くなっている、こういうことが書かれているのでありまして、死因構造が大幅に変化をあらわしつつあると思うわけであります。したがって、結核の国立療養所の患者も逐年減少しつつあると思うのでありますが、その時点に立ちまして、結核の国立療養所を、精神病、脊髄損傷、胸部疾患、その他一般慢性疾患の病棟にいま転換するという計画がなされておる。三十九年度におきましては、精神病床へ三百床、四十年度においては六百床を計画しておるということが書いてあります。この精神病床その他への転換の三十九年から四十年にかけての経過、それから今後の計画というものがあると思うのでありますが、具体的にひとつお示しをいただきたい、こう思うわけです。
  98. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 結核療養所が逐次空床が多くなってまいりまして、現在私ども、空床といいましても、絶対的な空床と相対的な空床がございまして、これは妙なことばでございますが、建物の広さだけから言いますと、非常にたくさんう収容能力を持っております。しかし、現実に患者が逐次減ってまいりましたので、職員の配置等を考えまして、私ども、現実に職員の能力に見合った、いわゆる訓令定床と私ども言っておりますが、厚生大臣がこの施設は何名収容するという訓令を出しておるわけでありますが、訓令定床をさらに下回っている状況でございます。したがって、この調子でいきますと、職員はいるけれども患者は一向に入ってこないという状態が出てまいります。したがって、これらの多年結核に貢献した医療従事者が職を失うというようなことはきわめて遺憾でございますので、国としては、できるだけ国立療養所の施設にふさわしい方面にその能力を転換してまいりたい、そういう趣旨で結核病床の一部を精神に転換し、あるいは慢性疾患のリハビリテーションに転換するというような交渉をいたしておるわけでございます。現に小諸療養所を精神専門の病棟に転換いたしまして、さらに、鳥取療養所あるいは新潟県の犀潟療養所等を精神の療養所に転換する計画を、現在地元との折衝を進め、大体了承を得て円満に転換ができるという見通しがついております。
  99. 中村波男

    ○中村波男君 その転換の計画なんですが、まだ具体的な、何ヵ年計画によってどういうふうにするのだという、そういうものがなくて、その地域、そのところの問題になったときに対処していくというやり方なのかどうかということが一つと、そういう計画があるならば、ひとつ具体的な計画を資料として提出をいただきたい。  これを前提にして、今度具体的に、昨年の二月、岐阜の結核療養所が焼けたわけでありますが、七棟全焼いたしまして、老人が二人焼け死にまして、九十八人というものが焼け出されたという事件がございました。これは御存じでしょうな。そこで、すでに衆議院、参議院にも、「国立岐阜療養所災害保障などに関する請願書」というものが出されておりますが、もちろん、これは社労等で御審議をいただくことになろうと思いまするけれども、その趣旨は、まあ短いものでありますからちょっと読んでみますと、「昭和四十年二月二十一日、当国立岐阜療養所に不慮の火災が突発し、病棟等七棟を全焼、老令患者二名の焼死を始め九十八名が焼け出され、私物被害総額六、二一七、〇一五円と云う惨事になりました。かような惨事になった原因は次のような点にあることは明白であります。」一、保安度平均五十パーセント以下の老朽病舎であった。二つ目は、警備職員、看護婦の削減がなされておる。再三消防署より警告を受けるというような貧弱な防火設備であったということ。非常の際の脱出に困難な二階の病室に老令患者を収容していたというようなこと。「この様に政府厚生省の医療行政など社会保障に金を出さない政策に依り、二名の尊い人命が失われたのを始め、百名近くの罹災者、多数の物質的損失及び医療にたずさわる多くの方達の労苦が水泡に帰したことは、ひとえに政府厚生省の責任であり、国がその全罹災者に対し私物一切及び精神的、肉体的損害を全面的に保障するのは当然であります。以上の様な観点から私達は関係当局に対し焼失物の補償、生保申請等により生活の保障、焼失病棟の再建等を要請したにもかかわらず厚生省は私物補償を一蹴し、生保申請は殆んど却下、その上……」、これはちょっと専門用語かと思うので、私にはわかりませんが、「命入の打切りひきしめを行ない、あまつさえ再建の意志もなく」云々ということを書いておるわけであります。  そこで、私の質問を申し上げます要点は、これはただ単に岐阜県の国立療養所の実態だけではなしに、全国的にこのような保安度の低い危険な病棟がたくさん放置されておるということ、したがって、これについても、国立病院と同じように、ひとつ結核患者の趨勢から見ましても、まだまだ国の療養所の果たす役割りというものは大きなものがあるのでありますから、具体的にひとつ検討を願って、いわゆる耐火建築に切りかえる等の措置をとられたいということと、それから、この陳情書によります質問でありますが、焼けた人に対して何ら補償がされておらない。また、被害を受けた人たちの私的な損害についても補償がされておらない。これはまあそれを救う法律の根拠がないと、こういうことだろうと思うのでありますが、しかし、この火災の原因を警察本部等で調べてみすまと、ストーブ——たきぎによるストーブをたいておりまして、そのたきぎの飛び火が、おそらく床板のすき間から落ちまして、そうして、それが火災の原因になったのではないかということを推定いたしております。断定するだけの資料がなかったそうであります。そういうような点から見て、入院しておられる患者の生活を考え、状況を考えますと、何らかの方法厚生省として、もう少しこの人たちを慰め、救うような方途というものが考えられなかったものかどうか、このことについて、厚生省としてはどういう御見解をお持ちになって今日まで放置されておるかということをこの機会にお聞きしたいと思うのであります。
  100. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) ただいまお話しの事件は、昨年の二月二十一日の事件でございまして、この補償につきましては、御承知のように、失火の責任に関する法律という法律によりまして、火災の原因が重大なる過失によるものでない限り、火災の損害に対して賠償する責任はないという法律の定めがございます。したがって、今回の火災において入院患者が受けました被害に対して、法的な根拠をもって補償ができるかどうかという点の検討につきましては、残念ながら法的な根拠をもって国が賠償をしなければならないという責任は出てまいらないわけでございます。しかし、直接法律的な責任はないにしても、人情において、やはりできるだけの手当てをして差し上げなければならないということは当然でございますので、罹災の当時、七十三歳と七十六歳の死亡者に対しましては、さしあたり五万円ずつのお見舞い金を療養所のほうから差し上げ、さらに引き続きまして、療養所の職員がそれぞれ見舞い金のカンパをいたしまして、さらに近くの療養所あるいは関係者等にも呼びかけまして、できるだけの資金を集めようということで資金を集めまして、その結果、約百三十五万円程度の拠金ができましたので、これらを九十八人の罹災者に対してそれぞれ配分いたしまして、その結果、大人の罹災者には一万四千二百九十九円、子供の罹災者には一万九百六十四円、焼死者につきましては、外からの見舞い金とを合わせて約七万五千円ずつということで、昨年の五月十一日に、これら義援金その他の精算をいたしておるわけでございます。そういうことで、私ども、すでに、この問題については不十分とは思いながらも手当てを落着したものと必得ていたわけでございます。  なお、それらの義援金、見舞い金のほかに、療養所といたしましては、焼失いたしました寝具——掛けぶとん、敷きぶとん、敷布、その他一切の寝具、それから下着類、それから日用品等、一切日常生活に直ちに困らない程度の現品を支給いたして、それらの方々の生活に不自由のないように手当てをしておる次第でございます。
  101. 中村波男

    ○中村波男君 いまいろいろ御説明をいただいたわけでございますが、私たちももちろんカンパをした一人でありますが、それと国の施設を焼いたという責任とは別に考えていただかなければならないと思うわけです。もちろん、これは火災の原因ははっきりしておりませんし、どこが責任を持つかということは、法律的には明らかになっておりませんけれども、何と言っても、今日ストーブにまきで暖をとらなければならぬ、こういう低悪な暖房条件、あるいは、そういうすき間があいておるというようなことは、火が落ちたということから見ても、また、こういう事件がいままでに起きたかと思いますし、今後も起きると思いますが、もちろん、こういう内容の災害に対する立法といいますか、該当法律がつくられておらないところに問題がございますし、厚生省だけの問題じゃないかもしれませんけれども、これらの問題については、今後十分ひとつ御配慮をいただくなり、御検討をいただきたいということをお願いを申し上げるわけでございます。  そこで、七むねの病棟が焼けましたが、再建計画は、私の知った範囲ではできておらないようでございますが、この岐阜県の国立療養所に対する今後の運営について、計画があるならば、この際、明らかにしていただきたい、こう思うわけです。
  102. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 七むねが焼失したのではございませんで、第七病棟が焼失いたしたのでございます。七病棟の一個病棟が焼失したわけでございます。したがいまして、焼失いたしました、焼け出されました患者は直ちに第六病棟に収容いたしております。といいますのは、先ほども申しましたように、国立療養所というものは、スペースそれ自体としては非常にたくさんあいております。したがって、比較的いい病棟だけを使い、悪い病棟はあけておくというような状態が至るところにございます。そこで、岐阜療養所の場合も第六病棟を——さしあたりほかの病棟に収容いたしましたが、すぐに第六病棟に三百数十万円の金をかけて整備をいたしまして、現在第六病棟を使っている状態でございます。  なお、今後の整備等については、現在これを全面的に鉄筋化するというような段階には今日まだ至っておりません。まことに残念でございますが、そのような状態でございます。
  103. 中村波男

    ○中村波男君 資料をお出しいただいてから、また次の機会にいろいろ質問を申し上げることといたしまして、次の質問に入りたいと思うわけでございますが、一月の二十七日に、大阪府の八尾市の岡島智奈美さんが長女雅美ちゃんを道連れに親子心中をした事件があったことは御承知だと思うのでありますが、その原因が、生活保護世帯でありまして、電気冷蔵庫を置くことを認められておりませんから、係員が早く売れと言った、これを苦にして死んだという事件でありまして、まことにお気の毒であり、国民の多くからも同情を呼んでおる事件だと私は思うのであります。そこで、生活保護法における生活保護の基本原理といたしましては、生活保護は国の責任において行なわれている最低限度の生活の保障である。二つ目は、国民には法律に定める要件を満たす限り、無差別平等に保護を請求する権利がある。三つ目は、生活保護制度によって保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準のものでなければならぬ。四つ目は、生活保護は、生活困窮者がその利用し得る資産、能力、その他あらゆるものを最低生活維持のために活用することを要件として行なわれるのである。以下まだありますが省略をいたしまして、以上の基本原理の中で一番問題になりますのは、三の最低限度のいわゆる憲法二十五条の、健康にして文化的な生活を保障するという生活基準をどのような角度から厚生省は測定をされているのか、まず、このことをひとつお聞きいたしまして、次の質問に入りたいと思います。
  104. 今村譲

    政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。  大阪のいまお話しになりました件、いろいろ私ども調査いたしておりますが、こういう事態になりましたことにつきましては、深くおわびを申し上げなければならぬというふうに思っております。  それで、直接お尋ねありました点につきましては、やはり一番問題は、生活扶助、いわゆる衣食住というふうな問題でございますが、これにつきましては、栄養審議会、あるいはFIESと言いますが、全国の勤労者のいわゆる生活実態調査、そういうふうなものの食品なり、あるいはその他の支出なりというふうなものを詳細に分析しまして、それとのバランスで、そっちが上がればこっちも上がるというようなかっこうで毎年努力しているわけでございますけれども、その辺の何といいますか、一般の国民生活の水準と生活保護との水準の差というものを毎年毎年一生懸命縮めてはきておりますけれども、まだ大体五〇%前後というようなかっこうになっているわけでございます。これはできるだけ早い機会にそのパーセンテージをもう少し上げなければならぬという気持ちでおりますが、そういうふうな考え方をしております。
  105. 中村波男

    ○中村波男君 まあ、八尾市の悲劇は、厚生大臣の定めた運用指示の中に電気冷蔵庫を除外しておったために起きたというふうに私は思うわけです。そこで、保護基準は、要保護者の最低生活のための需要の大きさをきめるものさしであると私は思うわけです。したがって、生活保護による最低生活とは、この保護基準によってはかられた生活水準であって、国民に保障されるいわゆる憲法二十五条の最低生活水準というものは、固定的な最低生活維持水準として考えるべきではないと思うのでありますが、一般国民生活の向上や文化の発展、国民の経済の成長などによって、絶えず進展、向上させるべき相対的なものだというふうに私は考えますが、この考えについて、厚生省はどうお考えになっておりますか。
  106. 今村譲

    政府委員(今村譲君) それはおっしゃいますとおりに、終戦直後はもう最低のいわゆる生存といいますか、物量的にはかりまして、これ以下ならば人間は生存ができないというふうな、いわゆる理論値のものをたよりにやっておったのでありますけれども、三十年以降につきましては、やはり貧困といいますか、健康にして文化的な生活水準というふうなものは非常に相対的なもので、ほかが一般によくなれば、その最低生活の水準も上がらなければならぬというふうにして、ことに第一次的には、一般国民の平均の生活水準というものの上がり下がりに気をつけて追随し、格差を縮める。ことに、最近におきましては、全国民の平均ではやはり足らないので、たとえば低所得階層、これは第一・十分位階層と言っておりますが、全国勤労者の生計実態調査で、全部の人数を十に分けまして、一番下の第一の十分位階層、大きく申しますならば、一億の人口がありますならば、一千万人の階層でありますが、その階層が一般よりもどんどんと伸びる、消費水準が上がるという傾向が強い。したがって、むしろ、それを追っかける、平均を追っかけるのでは困るというふうな気持ちで私どもいま考えております。
  107. 中村波男

    ○中村波男君 そのことも理解いたしますが、そうだといたしましても、国民生活の水準向上や消費構造の変化などによりまして、これに即応するやはり改正措置というものがとられてこなければならないというふうに思うわけです。本年度の予算を見ますと、標準家庭で二千四百五十八円、一三・五%の引き上げになっておるようでありますが、このことの可否につきましては、決算委員会の性格から見ましても、社労等でまた議論のあるところだろうと思います。私はきょうは申し上げませんが、私の言いたいことは、生活保護の実施にあたって、資産の活用についても流動性を持たせてやらないと、実態と大きな食い違いを来たしまして、そうして八尾のような事件を引き起こすのではないかというふうに思うわけです。そこで、その実施要領を見せていただきますと、昭和三十六年の四月一日に出されておるのが、昭和四十年四月まで改正が行なわれておらない。その昭和四十年四月に改正された中に、いわゆる電気冷蔵庫は除外されておると、こういうことでありますが、ここで確認しておきたいと思いますのは、社会保障制度は日本はまことに立ちおくれておりますけれども、まあ、それでも漸次改められつつあるのでありまして、また、国民生活の水準向上や消費構造の変化を考え合わせますならば、それに即応するよう常に検討をされるべきだと思うわけです。従来の実施要領が、社会局長通報または次官通達をもって指示されておりますが、これをきめられるきめ方ですね、また、その考え方ですね、これをひとつ具体的に御説明を賜わりたいと思うわけです。
  108. 今村譲

    政府委員(今村譲君) 最初に、先生おっしゃいましたように、三十六年の次官通達が四十年まで改正なしに、四十年四月に直ったというお話でございましたが、実はこれは次官通達、それに基づく局長通知というふうなものは、毎年毎年必要があれば変えるということで、若干ずつは改正してきておる。で、いまありますのは、四十年四月までの改正した部分を掲記したと、こういうふうな状況でございます。それで、おっしゃいますように、これは生活保護でありますだけに、あらゆる資産を活用して、なおかつどうにもならぬというようなものは、国家責任において生活を援護するということになっておるわけでありますが、その資産もやはり、何といいますか、一般の国民の実態、ことにボーダーライン階層といいますか、生活保護よりちょっと上でありますが、相当の大きな社会階層の人々がおるわけでありますが、その生活の中で、たとえばテレビ一つをとりましても、昔はそれがテレビの普及が非常に低い、二〇%、三〇%という程度のものであれば、保護家庭では無理であるというふうな考え方をしておるわけでありますが、去年の通達の改正によりまして、テレビは入ったわけです。ただし、その周辺で、とにかく一軒も持っているところはないというふうなところは困るけれども、原則としてはけっこうであるというふうに話をしたわけでありますが、これは一例をとりますと、経済企画庁の耐久消費財所有調へ——国民生活白書の中にありますが、テレビは市部では九三・五%の世帯が持っておる、それから郡部におきましては八一・七%の世帯が持っておる。どこへ行きましてももう八割以上の世帯が持っておるということになりますと、生活保護の世帯が持っても別にそうおかしくないのじゃないかというふうに、普及度の状態もにらみ合わせてやりたいというふうに考えるわけです。たとえば電気冷蔵庫にしますと、これも経済企画庁の調査でありますが、市部では六六%、ところが市部以外の郡部といいますか、全部ひっくるめまして、あらゆる階層の世帯を通算して一四・五%しかない。したがって、そのうちでボーダーライン階層あるいは低所得階層の電気冷蔵庫の保有状況というのは、非常にまだまだ一四・五よめずっと下である。その辺の状況を見ますと、やはり保護家庭で電気冷蔵庫は差しつかえないというふうな状態に達するには至っていないのじゃないか。これは一例を申し上げたわけでありますが、そういうふうな普及状況を見て、働いておる人たちの生活実態とのバランスを考えながら逐次進んでいく、こういうふうな考え方をいたしております。
  109. 中村波男

    ○中村波男君 そこで、逐次進めておいきになるが、問題は、電気冷蔵庫を持たせるか、売らせるかでもって親子心中をしたというこの問題の上に立って、新聞の報道によりますと、二十八日の閣議で、制度運用の改善を指示をされて、厚生省はこれを受けて立って、具体案を検討して、民生部長会議か何かに指示をする、こういうような内容の記事が載っておるわけでありますが、従来、政府は、マリアナ海域で遭難をいたしますと、いわゆる海難救助対策強化するとか、あるいは予知機関を整備するとかと言われますけれども、しかし、全く新聞辞令に終わってしまって、ことしの予算を見ましても、あのときの閣議決定なり、当時運輸大臣なり、あるいは関係大臣が言明されたような内容の予算というものは盛られておらない。こういう事件が起きたから、ただ単に取りしげて新聞に報道して、あたかも政府では熱意を示しておるようなことをやられますけれども、問題は、その死なれたことが、厚生省としていまの時代に即応しておったかどうか、この反省があってこそ、初めて運用を検討するということばが私は出るのではないかというふうに考えるわけであります。善意に解釈をいたして質問申し上げるのでありますが、その観点に立って、その後だいぶ日にちもたっておりますが、どのような検討がなされ、具体的にはこの問題について、電気冷蔵庫等等についても認めるような方向というものが考えられておるのかどうか。また、いま一般人との均衡ということも私は大事だと思いますが、生活保護家庭で、かりに働きにいくというような家庭にあっては、やはりテレビよりも電気冷蔵庫が必要であり、電気掃除機が必要であり、その他必要なものはまだたくさんあると思うわけです。そういう点を、実態に即し、最低生活というところにものさしをはめて検討することも必要ではなかろうか、そういうふうに考えるわけでありますが、その二十八日の閣議における指示に基づく厚生省検討なり計画なりをお聞かせいただきたい。
  110. 今村譲

    政府委員(今村譲君) 大臣のほうから閣議のあとで、こういうふうな事態があるので特に検討せよというのは二つございました。一つは、いまのような生活保護の資産調査なり、あるいは収入認定なり、現実に即しないような問題はできる限り、これは予算にみな響くわけでありますけれども、矛盾のないような検討を至急進めよということが一つ。もう一つは、全国で福祉事務所というのが一千四十カ所ございまして、大体二万五千人おりますが、その人が生活保護家庭の具体的なお世話をするわけでありますけれども、それが機械的でなしに、ほんとうに心を割って生活保護なり、いろいろな相談に当たるようにする、それがつっけんどんなかっこうでは困る、その辺の姿勢といいますか、態度といいますか、そういうふうなことで問題が起きないように教育、訓練なりを十分に考えてくれ、こういう二点の指示がございました。私ども、来年度の予算がきまりましてワクがきまりますと、その範囲内におきまして、たとえば特定の世帯の事情によっては、いろいろな加算をつけます。それから、働いた人につきましては、働いた収入を全部差し引いてしまうということでは、非常に勤労意欲を阻害しますので、そのうち、仕事に必要なものは特に収入のなかったものとみなす、控除と言っておりますけれども、そういうふうなものも十項目ほどございます。いろいろな組み合わせがございますが、それを予算とにらみ合わせながら、今年よりも来年、来年よりも再来年というふうに修正をしていくというふうな作業をいまやっておるわけでございますけれども、その中で、資産の状況につきましても、どれだけの制限緩和ができるかということを現在の状況では検討いたしておる次第でございます。
  111. 中村波男

    ○中村波男君 そこで、最後に要望申し上げておきたいと思いますが、生活保護を受けるということは、これはさっきも申し上げましたように、生活保護は法律の定める要件を満たす限り、無差別平等に保護を請求する権利を国民が持っておる、したがって、たまたまそういう状況に追い込まれた人には国が救ってやるというのでもないわけです。しかし、ややもすると社会福祉事務所の職員等がまだ官僚的で、そういうような態度で臨む、したがって、それを受ける人たちはまことに卑屈な気持ちで、それがいやさにぎりぎり一ぱいの生活を立てておって、にっちもさっちもならなくなって医療保護を受ける、生活保護を受ける実態というものは、私たちもいろいろと相談を受け味わっておるわけであります。したがって、局長も新聞談話で言っていらっしゃるように、実際保護世帯に接触するケースワーカーの態度に問題があるから云々とおっしゃっておりますが、これの教育といいますか、訓練と申しますか、そういうものを今後徹底的にやるということも重大だと思うわけです。  それから、やはり一人一人の能力が違うのでありますから、ただ抽象的な支持をいたしまして、その判断にまかせるということによって大きなあやまちをおかす場合もありますから、やはり指示される事項の中に、もう少し具体的にやはり品目等も検討されて、そうして運営の面で万遺漏のないような方途を講じなければならぬということが一つ。  それから、特に一番最初に相談を受けます民生委員等についても、やはりそういう認識なり、そういう理解が足らないために、相談によう行かない、こういう実態もたくさんあると思います。また、国民の一般も、生活保護を受けることに対してきびしい目で見まして、子供たちが学校へ行って、いろいろなことを言われて、学校へ行かなくなるというような実態さえあるわけです。したがって、そういう面で、いわゆる生活保護なり社会保障というものの本質を国民にPRし、教育をし理解をさせるという運動も、これは大事なことではないかというふうに私は考えるわけです。そういう点で、ひとつこの八尾の事件を契機にして、再びこういう気の毒な人をつくらないために、厚生省として前向きで早急にひとつ御検討をいただいて、これに対応する施策を進めていただきたいということをお願いいたしまして、一応質問をこれで終わります。
  112. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいまの御要望、まことにごもっともと思いますので、御趣旨に沿いまして、一生懸命やっていきたいと思います。
  113. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 先ほど要求のございました資料ですね、それを御提出願えますか、確認しておきます。
  114. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) できるだけ提出いたします。
  115. 藤原道子

    委員長藤原道子君) それでは大森君。
  116. 大森創造

    ○大森創造君 厚生大臣予算委員会説明会で終わったと思うんですけれども、いまから来られます一か、ここへ。
  117. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 午後、心身障害児のためのテレビ放送の座談会がございまして、出席がきょうはできないのでございます。したがって、農林省のほうの御質問を願いたいと思いますが、厚生省やりますか。
  118. 大森創造

    ○大森創造君 厚生省やります。  それでは質問をします。厚生省は四十年の十一月に、サリドマイドの奇形児の父母など二十八家族から、六億円余りの損害賠償の訴訟が起こされたわけです。その前にもずっと継続的にサリドマイドによる被害の訴訟はなされておりますが、二十八家族から六億円余りの損害賠償をやられているという、こういう大きなケースは初めてです。その経過と今後の方針をまず承わりたいと思います。
  119. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) サリドマイドの事件と言われておりますものの経過について最初に申し上げたいと思います。  三十六年の十一月に、西ドイツのほうでレンツ博士という方が、サリドマイドと奇形児との関係について論文を発表されまして、その際、奇形児というものがサリドマイドという薬剤を妊娠中に服用することによって原因があるかもしれぬというような点についての発表があったわけでございます。それにつきまして、当時における事情を簡単に申し上げますと、サリドマイドと申し上げますものは、御案内のように、催眠剤と言われる系統の薬剤でございます。それ以前からわが国においても市販をされていたわけでございます。この薬剤が、ただいま申しましたように、西ドイツのほうで、そういうレンツ博士の発表によって問題になったわけでございます。それで、このことは、いま申しましたように、三十六年の十一月であったわけでございます。厚生省としましては、当時における学問の水準においてそのような副作用はないという国内の専門学者の意見によりまして、製薬の許可をして市販されていたわけでございます。そこで、ただいま申しましたようなレンツ博士の発表がございましたので、直ちに厚生省としましては、この情報の真偽を確かめるとともに、また、日本の国内の専門学者に依頼しまして、そのようなことがあるかどうかについて研究を進めたわけでございます。そうして、一方において、翌年の三十七年の五月には、やはりまだこのような研究も片一方においてやりながらも、西ドイツでそのようなレンツ博士の発表がありました関係上からしまして、一応とのサリドマイドと言われる薬剤の出荷の停止を業者のほうに、メーカーのほうにやらせ、そうして、三十七年の九月には、完全に全国の市場から回収さしたわけでございます。ところが、その後、これに基づきまして、厚生省としましても、学問的な研究をもう少しやらなければならぬという判断のもとに、胎児に及ぼす影響等についての動物実験というようなものを、その後、鋭意、国内学者に依頼しまして進めたわけでございます。これは、このサリドマイドの事件が起きるまでは、胎児に及ぼす影響等についての動物実験というのは、日本の国内においても、それからまた、世界的にも、国際的にもまだ十分学問的にその方法論等が確立されていなかったわけでございます。この事件を契機にして、わが国においても、早急に胎児に及ぼす影響等の動物実験を実施する必要があるということで、専門学者に研究をしてもらったわけでございます。その結果、そのような動物実験の方法論も確立いたしましたので、今日においては、そういう動物実験の場合に、動物の胎児の実験というものもあわせ行なっているわけでございます。その後、このサリドマイド事件を契機としまして、国内のいわゆるサリドマイドの被害を受けました家族の方から、製薬メーカーと、それから国を相手にしまして、損害賠償の裁判が提起されているわけでございまして、現在は、国を被告にしまして行なわれています裁判は六件ほど提起をされておりまして、現在、各当該裁判所で審理中でございます。大体経緯を申しますと、そういうことでございます。  それから、これにつきましての私どもの考え方でございますが、冒頭に申し上げましたように、この薬剤を承認いたしました当時における日本及び諸外国の学問的な水準におきましては、このような副作用はないという前提で承認が与えられていたわけでございます。したがいまして、はたして西ドイツのレンツ博士の論文のように、はっきりした結論、つまり、奇形児とサリドマイド服用との因果関係というものがはっきりしているものかどうかということについては、まだ世界の学者には異論があるところもあるわけでございます。国内的にもまだその点は十分根本的に究明されていないわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、このようなサリドマイドの被害を受けた家族の方には、まことに遺憾だと思いますけれども、この損害賠償の問題につきましては、そのような学問的な結論等が出る段階で十分検討しなければならぬ問題じゃないか、このように思っています。  それから、もう一つは、不幸にしてサリドマイドの被害を受けられた子供さんなり家族の力に対しては、私どもとしましては、今後社会政策的な観点から、施設に入れていくとか、あるいは、いろいろ更生医療の道を考えるとか、そのようなことを厚生省全体の施策の中でいろいろ検討している。また、現にそういうふうな施策を一部推進しているわけでございます。  以上でございます。
  120. 大森創造

    ○大森創造君 答弁のていねいなのはけっこうですが、もう少し簡略にお願いしたいと思います。そうすると、サリドマイドというものは、輸入をして日本で使い始めた当時、その段階では、日本の学者の問においても、はたしてサリドマイドの服用の結果、こういう奇形児が生まれる、そういう因果関係がわからないし、現在でもわからないということなんですね。
  121. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 製薬許可を与えました当時においては、日本の国内学者だけじゃなくて、世界的にもまだそのような副作用があるという学問的な究明は承知していなかったわけであります。  それから後段のほうの、現在においてもその点についてはまだ世界的にも、それからまた、国内の専門学者の間にも、完全に意見が一致していない、因果関係が完全にあるという点については、はっきりした学問的な結論がされていない、いろいろ学者によって意見があることは事実であります。
  122. 大森創造

    ○大森創造君 ドイツのレンツ博士が発表したこのサリドマイド、あざらし状の奇形多発はサリドマイド服用のためと見られるというレンツ博士の発表とほとんど同時に、ドイツでは直ちに販売を停止さした、これは事実ですね。それから、その他の国々、ほとんどの国が、それまで使用していた国々は相前後してこれを販売停止させた事実はおわかりですね。
  123. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 西ドイツのほうにおきましては、レンツ博士の発表後、早急にサリドマイド薬剤の市販を中止しておることは事実でございます。それから、それ以外の国においても、若干例外はあるようでございますが、ほとんどの国が中止しているというふうに聞いております。日本の場合は、先ほど申しましたように、約一カ月ぐらいおくれて市場から完全に回収がなされている、こういう事情でございます。
  124. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、その結論がわからないけれども、日本においても販売停止、取引停止という措置をとったんですね。そうすると、因果関係があるかもわからないという学者の結論が出るかもわからない、そういうことでございますね。
  125. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) レンツ博士の三十六年当時の発表が、世界各国においてそのような大きな波紋を呼び起こしまして、この問題がわが国の国内的にもいろいろ大きな影響を与えたわけでございます。したがいまして、厚生省としましては、先ほど申しましたように、片っ方において、早急に因果関係等の研究を進めるという施策を講ずるほか、国内的に国民に非常に大きな心理的な不安なり何なりを与えるというようなことがあっても困るというような配慮も片一方においてございました。また、製薬メーカーのほうにおいても、そのような認識のもとに立ちまして、自発的に回収をするというような措置をとったということでございます。
  126. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、学問的にはわからないが、どうもそういう因果関係はあるらしいということで、販売禁止の措置をとったということになれば、これは禁止の措置が、少し手続がおくれたんではありませんか。まだはっきりわからないながら不安がある、因果関係があるかもわからぬということになれば、直ちに早急に販売禁止の手続をとるべきであったと思うのですが、どうですか。
  127. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 当時における厚生省の考え方といたしましては、確かに、それまでは全然国内的にもこのような事故が起こり得るということは、専門学者においても予想もしていなかったということでございます。厚生省自体もそのような副作用があることは当時においてはわからなかったわけでございます。しかしながら、西ドイツのレンツ博士の発表以来、国際的にも、また日本の国内的にも、この問題が大きな反響を及ぼしましたというような事情もございまして、それからまた、私どもとしましては、先ほども申しましたように、鋭意、胎児に及ぼす動物実験の方法論等を研究し、そして、片方において専門の学者に依頼しまして、その研究をやってもらったわけでございますが、当時におきましては、研究の結果は、そのような因果関係は見られないというような学者の結論になっているわけでございます。しかしながら、いま申しましたように、大きな国際的な問題でもありますし、日本の医薬品の信用と申しますか、信頼の基本にかかわる問題にもつながるというような配慮もございまして、国内の不安をなくさなければいかぬというような考え方のもとに、とりあえず、この問題については、学問的な研究を進めながら、一方において市販を中止すると、こういう措置を講じたわけでございます。
  128. 大森創造

    ○大森創造君 いまのお話の中に、因果関係が見られないという学者の説があるということですが、それはどなたなんですか。
  129. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 三十六年のレンツ博士の発表以来、私どもとしましては、この方面の専門家であります京都大学の西村教授に委嘱しまして、動物実験を行なったわけでございます。その結果、サリドマイドが胎児に催奇形の影響を与えるという事実は、動物実験の結果から出てきていないという結論になっているのでございます。
  130. 大森創造

    ○大森創造君 京都大学の西村博士のみですか、そういう結果を出しているのは、まだまだあるはずでしょう、学者は、お一人でないでしょう。いろいろ学説が分かれているでしょう。そこで、私は、西ドイツのレンツ博士がそういう発表をして、西ドイツでは直ちに販売を停止をし、その他のおも立った国が販売停止をして、しかも、日本では学問的な結論は出ないけれども、販売停止を、おくれてはいましたけれども、したという事情にかんがみて、私は、これはやっぱり販売停止というような措置をより早くとるべきであったと思うのです、行政的に。その他の学者の説はどうなんですか。憲法と同じように非常に複雑な問題だろうと思うが、この西村博士お一人でしょう、そういうことを言っているのは。その他多くの博士は、因果関係をお認めになっているのではありませんか。
  131. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) いまも申し上げましたように、私どものほうで、この問題が起きましてから、この方面の専門家ということで目されておりました京都大学の西村教授に依頼したわけでございます。それで、西村教授から、先ほどのような動物実験の結果が出たのであります。ただ、先ほど先生御指摘のように、この問題についてこの学問的な研究というのは、国内的にいろいろ、ほかの専門学者の方もやっておられることは事実でございます。そういう方の意見も、関係があるというふうに断言はできないかもしれないけれども、それに近い御意見を出しておられる学者もございます。しかし、当時においては、私どもとしましては、西村教授にお願いして、西村教授からそういうようなデータをもらったわけでございます。ただ、先生も御指摘のように、西村教授だけの御意見で、この問題の結論を出すということも、これは非常に問題が大きいだけに、早計でございます。厚生省としては、当時、国内外の文献を早急に収集するというふうなことも片方においてやっているわけでございます。したがいまして、そういう西村教授の意見があるかたわら、また、国内外の文献の収集もやる、また、国内不安を除去するというような考え方がございまして、市販を中止した、こういう事情に相なっているわけでございます。
  132. 大森創造

    ○大森創造君 そのいきさつについては大体わかりましたが、どうも私は、厚生省の薬に対する監督が不十分であるような気がするのです。どうも薬の圧力が強そうだな。どうもそういう感じがするのです。いまのサリドマイドの問題、一例でございますが、どうも薬の力が強そうだね。厚生省よりも強いような感じがするのだ。そこで、このサリドマイドの問題は、因果関係がどういう時点ではっきりするかわからないが、はっきりしたならば、国が敗訴になって、われわれの税金を払うということになるし、親たちにも気の毒だということになるのだが、私は、西村博士はいかなる権威かわからないが、レンツ博士をはじめ、その他の国々の学者や、日本の少なからざる学者がこの因果関係を認めている事情から見て、そうして、日本の厚生省自身も、おくればせながら販売禁止の措置に出たのだから、敗訴ということも考えられますし、その場合の厚生省の責任は大きいと思うのだ。それはその程度にとどめておきますが、昨年のかぜ薬もそうだ。それから最近新聞に問題を起こしました目薬、「美容目薬乱用は危険」、これは二月二日の朝日新聞に出ておりますが、「障害はっきり」「厚生省が規制」、こういう記事が出ておりますが、このいきさつをちょっと簡単に聞かしてくれませんか。どうも薬には甘いような気がするのだ。私の聞くのは辛い薬だな。
  133. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 目薬の問題について、新聞に出ていたことは事実でございまして、あのとおりの規制を現存考えているわけでございます。それで、経緯だけを簡単に申しますと、いま目薬と称せられているもの、医療用の目薬と称せられているもの、相当数が多いわけでございますが、数年前からメーカーのほうで、いわゆる「美容目薬」というようなタイトルの宣伝をして売っているという型の目薬が、数年前から非常に大量に製造されて市販されているわけでございます。ところが、昨年ぐらいからこの「美容目薬」いわゆる「美容目薬」とメーカーのほうで言っている目薬につきまして、いろいろな副作用が出てきているということが、一、二の学者の実験であらわれてきたわけでございます。これは私どもとしまして、確かに、現在の目薬についてのいろいろなメーカーのやり方というのは問題があるということは、私どもも承知しておりまして、実はこの問題についての対策としまして二つの点を考えて現在まで検討を進めてまいったわけでございます。  第一点は、いわゆる広告の問題でございます。目薬の場合は、一般的に、医薬品全般に当てはまる問題でございますけれども、特に、このいわゆる「美容目薬」なるものについての最近の広告が、非常に一般国民に乱用を助長するような傾向の広告というものが非常に数が多く見られてきている。で、この広告を、もっときびしく規制していこうというのが一つ対策でございます。  第二点は、いわゆる「美容目薬」の中に含有しております成分の中に、若干副作用を持っているようなものがあるということが、学者のほうから指摘されまして、塩酸ナファゾリンと称せられるものでございますが、この含有量が少し多いのじゃなかろうかということが、第二の問題点でございます。  したがいまして、第一の広告の問題につきましては、昨年以来、「美容目薬」の広告、特に乱用を助長するような広告というものを相当きびしく業界に指導し、また取り締まりをやったわけでございます。極端な場合は毎日数回点滴しなさいというような広告が行なわれていたわけでございます。非常にそういう乱用をしますと充血が激しくなる、二次充血と称せられているものですが、そういう充血がかえって激しくなるというようなこともございますので、広告の面から規制していくということが一つと、それからもう一つは、成分の塩酸ナファゾリンの含有量を少し減らしていこうということで、現在その二点を中心としてやっている。  それからもう一つは、目薬の注意書きについて、目薬を市販する場合に、そのような注意を正確に確実に喚起するような注意書きを貼付させる、このような点を中心として、この「美容目薬」の問題について対処したい、かように思っておるわけでございます。
  134. 大森創造

    ○大森創造君 お話はわかるんですが、どうも私の見たところでは、結局、製薬会社に押されているような形の行政になっているような気がするわけですね。国家の立場から、もっと信頼できるような薬の検査を終了してから市販させるというような、そういうことをやらにゃいかぬと思う。で、いつの場合でも、かぜ薬の問題でもそうですが、さっきもこちらからお話がありましたとおり、市販されて被害が出て販売を停止する、全部手おくれになっているような気がするんです、いつでも後手だ。これは一般市民や大衆をモルモットがわりに使って、結果が悪くなると、いま薬務局長が言われたように、これをこうする、ああするということを言われるんだが、製薬会社というのは、コマーシャルでごらんのように、非常になかなか商売は激しいんですよ。頭もよろしいが、それだから、その場合において、厚生省がよほど検査というものをがっちりやらぬといかぬと思うんです。被害が出て、こうします、ああしますじゃ始まらぬと思うんです。これは善良な市民を苦しめることになりますよ。その監督、検査をする立場にある厚生省というものは、よほどしっかりかかってもらわぬと困ると思う。そういう薬を市販する体制をどういうふうにしてつくるのか。それから現在薬を——私は、目薬や問題になったかぜ薬ばかりではないと思うんです、アンブルばかりじゃないと思うんです、その他いろいろあると思うんです。そういうものについて、どういう検査をやるのか。その検査の体制というものがしっかりしているのかどうか。あぶないですからね。お覚悟のほどをひとつお聞きしたい。事、人命に関する問題ですから。
  135. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 医薬品の品質管理の問題でございます、安全性の問題でございます。私どもとしては、製薬許可を与える際に、これは第一の関門でございますが、相当厳重に学者のほうに依頼しまして、審査をやっている、これが第一点でございます。  それから、市販されました医薬品の品質管理につきましては、もちろん、メーカーのほうで自家試験を毎年毎年必ず一回はやらせている。それから、われわれ当局側のほうにおきましても、毎年毎年一斉監視というものをやりまして、抜き取り検査をやっている。こういうことでこの品質管理の問題を考えているわけでございます。  それから、どうしても後手後手に回るんじゃないかという御意見に対して、弁明するわけじやございませんが、そのときそのときの学問的な水準に応じまして最大の努力をして、絶対安全だという前提で許可を与えている医薬品でありましても、時の経過により、新しい学問的な事実が発見され、それによってどうしても思わぬ副作用が出てくるというような事態もございまして、この問題は、最善の注意を払いながらも、学問の進歩によって余儀ない副作用が出てくるという面も一部ございますので、そういう面を十分考えながら、私どもとしては、この安全性の問題についていろいろ現在予算的にも対策を講じている、こういう現状でございます。
  136. 大森創造

    ○大森創造君 とにかく、そのときどきの答弁で事を済ませることのないように、がっちりと取り組んでいただきたいと思います。  時間がないようですから、その次に移ります。  農薬の問題についてお聞きします。農薬だから農林省の所管だという役人さんのなわ張り的な考えではなく、この農薬の問題は、生産者である農民はもちろん、消費者である一般国民にも大きな影響を与えております。国民の保健衛生を守るという見地からひとつ考えてもらいたいと思います。初めに、農林省、厚生省の担当の方々から、最近の新聞や雑誌でもときどき書かれておりますが、農薬禍について、どの程度御存じか、時間がありませんから、簡単にお話しいただきたいと思います。
  137. 河原卯太郎

    説明員河原卯太郎君) これはもちろん所管の問題を離れまして、御指摘のとおり、事態をわれわれ十分承知いたしております。したがいまして、被害防止につきましては、これは予算措置も講じておりますが、毎年五月十五日から六月十四日まで、これを農薬の被害防止運動期間というふうに定めまして、毒物及び劇物取締法の趣旨の徹底、そういったようなことをやりまして、被害防止の方法でございますとか、あるいは中毒時における応急措置方法でございますとか、そういったようなことにつきましての知識を周知徹底させるというような措置をとっておる次第でございます。さらに、新しい農薬の登録にあたりまして、やはり毒性の強い農薬につきましては、登録をいたします前に厚生省に連絡いたしまして、毒物及び劇物の取締法による指定を受けましたものを、初めて農薬として登録するというような手段もとっておるわけでございます。これはまあそういうようなことで、だんだん一方におきましては、低毒性の農薬の開発というようなことによりまして、毒性の低い農薬というものが最近非常にふえつつありますので、したがって、そういう趣旨の徹底と同時に、低毒性農薬の開発といったような方向でこれに対処していきたい、かように考えております。
  138. 大森創造

    ○大森創造君 昨年の十一月の十八日に、大手町農協ホールに全国から集まった農業関係者の会議が持たれたことは、御存じだろうと思います、農民の健康管理のことについて。そこで数々の農薬禍の実態が報告されております。これも御存じだと思います。まず、農薬が農業の生産性の向上に大きな力を発揮したということは、私も認めるにやぶさかではございません。除草剤が労力軽減に役立って、効果が絶大であるということもわかっております。しかしその陰に、農薬を使用することによって、中毒や病気にかかる人の数が年々増加の一途をたどっておるという事実がある。そこで、農薬禍を除くためにどうすべきかが論議されておりますが、繰り返すようになりますが、厚生省と農林省はどういう対策を考えておられるか。  それから、最近の農村は、主婦農業が非常に多くなっております。日本の農業経営からして、農薬を主婦が扱うことになりますが、その場合に、農薬によって未熟児の出産がふえたり、死産がふえたりする、こういうふうに報告されておる。こうなるというと、前に述べたサリドマイド奇形児の二の舞いになりかねない。第一、そうなった場合に、生まれた子供、家族の不幸ははかり知れません。こういう点から、農薬は、農林省ばかりでなくて、厚生省一体となってひとつ取り組んでいただきたいと思います。  サリドマイドもかぜ薬も農薬も、私らから見まするというと、どうも市販前の調査や検査が必ずしも十分でないと思う。そういうことについて、一言ずつ農林省と厚生省からお述べいただきます。
  139. 河原卯太郎

    説明員河原卯太郎君) 先ほどもちょっと触れましたように、われわれといたしまして、農薬の1使用基準というものを徹底させまして、できるだけ普及指導等によりまして、そういう被害を防止いたしますとともに、低毒性の農薬の開発ということに非常に力を入れてまいっておるわけであります。まあどうしても従来のようなパラチオン剤でありますとか、テップ剤でございますと、かなり危険な薬品でございますが、最近それにかわりまして有機燐剤でございますとか、カーバメイト系の農薬でありますとか、といったようなものが同じような効果をあげながら、非常に毒性の低い農薬が開発されまして、それを積極的に普及させていくというようなことによりまして、これを解消していきたいというふうに考えております。
  140. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 農薬の問題につきましては、私どものほうにおきましても、先ほど来お話がありましたように、毒劇物取締法で規制を加えているわけであります。確かにこの農薬の事故というものは軽視できないものがございますので、農林省と共同しまして、いろいろな施策をやっているわけでございます。最近の傾向としましては、農薬による中毒事件は少しずつ減っておりますが、いろいろその他の事故というものは、やはり依然としてあとを断たないようでございますので、今後とも、御指摘のように、この農薬の事故撲滅あるいは予防の対策というようなものを、農林省と一体となって強力に進めてまいりたい、かように考えております。
  141. 大森創造

    ○大森創造君 よほどしっかりかかってもらわなければいかぬと思うのです。あなた方は髪の毛の問題を御存じだと思いますが、この中に水銀剤の毒物が入っておる。生産性の向上には役立つかわかりませんけれども、人命にはかえられませんよ。米の中に水銀の毒物が入っていて、人体実験をしてみると、それが体内あるいは髪の毛の中に入っていくということが現実に報告されております。これは御存じだと思います。留学生なんか調べてみますと、アメリカに行っていると毒物が出ないけれども、日本に着いたとたんに米を食い出すと毒物がふえてきたという事実が立証されておりますが、こういう問題については、しっかりかかっていただきたいと思うのです。これは要望です。  その次にお伺いします。汚染馬肉の問題。これは御存じだと思いますけれども、この汚染馬肉の問題は各新聞に出ておるのですが、さっき係の方に聞いたら、あれはたいしたものではなかったというのですけれども、これは誤報かどうか。全くこういう事実がなかったのかどうか。この内容については、私申し上げませんけれども、新聞に出たのに近いような事実があったとすれば、これはとんでもないことなんです。これはどうなんですか。全くこういう事実がなかったのか、どの程度の事実があったのですか。汚染馬肉の問題についてお伺いします。
  142. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 昨年の七月十三日に横浜に入港いたしましたロンドン丸で、アルゼンチンから積んでまいりました冷凍馬肉を、港に係留いたしております際に、食品衛生監視員が検査をいたしました。そういたしましたところが、二千体、六十トン分のアルゼンチン産の冷凍馬肉の中から、パラチフスB菌及びサルモネラE菌群が検出されました。その結果、この馬肉を伝染病予防法の規定によりまして消毒をして、消毒済みの馬肉を食品衛生法に基づきまして廃棄処分にする、廃棄させるということで輸入業者に指示いたしたわけであります。この馬肉は、船に積みまして、消毒済みの一応安全になった形ではございますが、海洋投棄をするということで投棄せしめたわけでございますが、投棄船に積みます前に、この二千体の中の約四十体を輸入業者が保税倉庫の中に隠匿をいたして、おそらくは販売をしようと思ったわけでございましょうけれども、販売しようといたしたのでございます。幸い保税倉庫の中の別の場所に隠匿されていたものが、そのまま発見されただけで済んだのでございます。したがいまして、当初いろいろ新聞紙上において報道せられたとおりであります。ただ、これはその後、これらの食品が販売せられないで無事倉庫の別の場所にあったということで、再びこれを消毒し、海洋投棄をいたしたわけでございますので、これらの業者は食品衛生法上の処分を受けませんで、関税法の関係の起訴が行なわれたわけでございます。
  143. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、業者はもうけをねらって、端的に言えば、保税倉庫なりその他の倉庫に百四十体を保存していたということは、業者がやったんですね、一言。
  144. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) そのとおりでございます。
  145. 大森創造

    ○大森創造君 そのことについて、厚生省の技官はどういう態度をとったのか、わからなかったのか。
  146. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) これは業者に命じて船で二千体を投棄せしめ、投棄船には港の監視員が乗ってまいったわけでございますが、そのとき隠匿してあったという事実が判明しなかったわけでございます。
  147. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、新聞によると、海中に投棄することになっていたのに立ち会っていた厚生省の技官が、料亭で飲み食いをして、大島沖に投棄するのを利用して大高元物をした、つけを業者に回したということになっている。どうもこういう事実はなかったのですか。
  148. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 港の職員が同町に乗ってまいりまして、帰りに海が非常に荒れまして、大島で一泊をして帰った事実はございます。しかしながら、この馬肉の隠匿事件と、この港の監視員との何か不正な関係はないかということで、警察並びに検察の調べが行なわれたわけでございますが、不起訴になりまして落着いたしております。
  149. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、そういうふうに見物をしたり、飲み食いした金はどうなったんだ、一体
  150. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 本人が支払いました。
  151. 大森創造

    ○大森創造君 業者に払わして、事が起きてから本人があとから払ったのと違うか。
  152. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 船に乗ってまいりまして、帰りに、ただいま申したような事情で港に、大島で上陸いたしましたので、一時立てかえてもらいまして、帰りましてからその分を支払っております。
  153. 大森創造

    ○大森創造君 なに、いまの最後のところちょっと聞かしてください、どういうこと。
  154. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 立てかえてもらいまして、その分を業者に返しております。
  155. 大森創造

    ○大森創造君 なに……。
  156. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 一時立てかえてもらいまして、帰ってまいりましてから業者に返したわけであります。
  157. 大森創造

    ○大森創造君 それで船に乗って見物に行って、業者に立てかえてもらって、返したのはいつだ。その時間の経過はどのくらい。
  158. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 数週閥たってから返しております。
  159. 大森創造

    ○大森創造君 大体数週間というのはおかしいな。これはおかしい。それで、その大島見物をして、それから飛行機に乗ったんでしょう。それから飲み食いしたんだろう。泊まったんだろう。そうしてその金を数週間たってから……。これは確実に調べてもらいたい。そこで私は因果関係があると思うがどうだ。業者が馬肉を隠したという事実と、そういう厚生省の技官とが旅行をした、立てかえ払いをさせたと、数週間たってからというと、この事件が露見したからだろうと私は思うけれども、この辺はどうです。正直に言ってください、あとで調べればよくわかるんだから。
  160. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 約一カ月たちましてから返却いたしております。この件につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、神奈川県の警察並びに検察庁の調べを受けまして、ただいま申しましたような扱いで、処置が不起訴として決定したわけでございます。
  161. 大森創造

    ○大森創造君 何でこういう必要があったのか。当時泊まったり、そういった大島見物をしたり、つけを業者に回したというような、そういう必要があったのか、どうです。
  162. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) その乗って行った船でそのまま帰ればもっとも適当であったと考えます。
  163. 大森創造

    ○大森創造君 もっとも適当であったなんというようなことでなしに、私は帰るべきだと思うのだけれども、どうも御丁寧過ぎますよ。料亭で飲み食いして大島へ行って、それから大島見物をして云々ということなんだが、どうも不起訴だ不起訴だと言うけれども、単なる業者の責任とばかり私思えないのだが、まさしくそうですが。あなたのおっしゃるとおりですか。
  164. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 馬肉の隠匿事件とは全然関係ございません。ただこの職員を馬肉を廃棄する船に同乗させ、そうして投棄を監視し帰ってくるということを行なったことに対して、業者が金を貸して、帰りの大島へ立ち寄る族費を立てかえたということでございまして、隠匿との因果関係でこういうことが行なわれたということは毛頭ございません。
  165. 大森創造

    ○大森創造君 どうも私はぴんとこないのですね。その金を自分で払うべきでありませんか。それから一ヵ月たってから払ったのは、どう解釈されますか、あなたは。この事件が起きたのはいつだったか、新聞に出たのはいつでしたか。これは事になりそうだと思って支払ったのでしょう。このことが新聞に出なくて、事件にならないという予想が立ったならば、これはそのままじゃないですか。業者に払わなかったのじゃないですか。そう想像されますがね、私からすれば。それが常識じゃありませんか、中一カ月たっているのだから、払うなら二日か三日で払いなさいよ。一カ月、間を置いたというのは、完全にこれは事件になる、あぶないということで払ったのじゃないですか。だれかの指示によって、もしくは自分で自粛して、あぶないということで払ったというのとは違いますか。金額幾ら。
  166. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 食事代が千三百円、大島の滞在費が五千円でございます。
  167. 大森創造

    ○大森創造君 飛行機代は。
  168. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 飛行機代を含んでおります。
  169. 大森創造

    ○大森創造君 そこでお伺いしますが、くどいようですが、この事件が起きたのはいつでしたっけ。
  170. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 船の入港が七月十三日でございますが、事件が起こりましたのは九月二十日でございます。
  171. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、この九月二十日という日に、業者が隠匿したということがわかったという日ですか。
  172. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この事件が表に出ましたのは九月二十日でございます。
  173. 大森創造

    ○大森創造君 九月二十日、それから大島に行ったのは。
  174. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) それよりは約一カ月前でございます。
  175. 大森創造

    ○大森創造君 一カ月前に行ったのですな。そうすると八月ですね、大島に行った。事件が起きたのは九月二十日、それから金を支払ったのはいつ。
  176. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 九月二十日ごろでございます。九月二十二日だと記憶しております。
  177. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、こうだな、一カ月前に、八月の上旬にこういう飲み食いをして、そうして約一カ月たってから今度は業者が倉庫の中に隠匿した、チフス菌のあるある馬肉を。そうして今度は、それがばれたのは九月二十日ですから、金を支払ったのは九月の二十日以降なんですね、そうでしょう。
  178. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 業者が馬肉を隠匿したのはだいぶ前でございます。そうして船で投棄したのが八月でございまして、隠匿したことがわかったのは九月二十日でございます。
  179. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、馬肉を隠匿していたのがわかったのが九月二十日、金を業者に支払ったのは九月二十二日、その間の因果関係、どう思う、あなた。私は、警察はどうあろうと、どうも変な気がする。
  180. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 即座に払うべきでございましたものが、非常に遅延し過ぎてそのようになったと思います。
  181. 大森創造

    ○大森創造君 ふざけるなよ。常識で考えられない、そんなことは。八月の何日かに行って、それで馬肉を隠匿したのがばれたのが九月二十日、これは業者が悪いのでしょう、きっと。しかし、それから二日たって——そうするというと、その間に一カ月以上たって、しかもこの事実が露見してから業者に払っているのでしょう、この金を。これは露見しなかったら払わなかった性質の金じゃないかな、人が悪いようだけれども。大体そんなことをふんだんに行なっているのだろうと思うのだ。だけれども、九月二十日にこういう事実がばれたから九月二十二日に支払ったのだ。そういうふうに私は推定をするのだが、あなたはどう推定をする。
  182. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) もしもこの事件が表に出ません場合には、支払いをしないままで過ごしたかもしれぬという疑いもないわけではございません。ただ今回のように、船で食品を捨てさせ、それに乗っていって現場を監視したということは初めてでございまして、従来こういう事例があったということはございません。このような事例は初めての港における処分でございます。
  183. 大森創造

    ○大森創造君 どうも私はゆるがせにできないと思うのだね。これはこうでありませんか。くどいようだけれども、ばれなかったら金を払わなかったのだろう、業者に。そう思われるでしょう。それが大体いままでの習慣でしょう。何でこういうものを払うものですか。払うならば一週間か十日で払いますよ。九月二十日にばれてからあわてて払ったのでしょう。このことは警察とは無関係に言えると思うのだが、どう。
  184. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) お尋ねのように、この事件がもし表に出ません場合には払わなかったかもしれないことは想像できるところでありますが、ただ、従来の事例に照らしてということでなくて、今回このような馬肉を船に積んで沖合いに参りまして捨てるという初めての事例がありましたので、従来の経験に徴してということではないわけでございます。
  185. 大森創造

    ○大森創造君 私はどうも納得できません。その間の因果関係について納得できない。そこで、いまあなたがお答えのように、との事件が事件にならなかったならば、このことは業者に持たせていたであろうということを、あなたもいまお認めになりましたね。そういう習慣はいいと思うか。これは金額五千円だけれども、五万円でも五十万円でも同じだよ。
  186. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 絶対にそのようなことはけしからぬことと思っております。
  187. 大森創造

    ○大森創造君 絶対にけしからぬことならば、どういう処分をしたか、その人に対して。
  188. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 検察の処分を待ちまして処置するつもりでおりましたところが、検察の扱いが決定はいたしましたが、私どものほうで行政処分をするつもりで、目下検討中でございます。
  189. 大森創造

    ○大森創造君 私は、警察はどういうことをしているのか知らぬけれども、私の調べた範囲では、どうもおかしいのですよ。そこで毒物、しかもチフス菌が入っている、こういうものが食品として市場に出回るということが十分予想されたにもかかわらず、これを認めたということになるのではないかというふうに私には想像されるのだけれども、そこで私は、その金の支払いの一点からそういうふうに思われるのだが、何かがあったのですよ、これは。   〔委員長退席理事相澤重明君着席〕 警察で調書をとった面については出ないですよ、これは。出ないけれども、わずかな金額だが、支払いとそれから事件露見の日にちのズレ、これらを見るというと、完全にこれはいままでのくされ縁があったというふうに私想像される。で、あなたがおっしゃるように、事件が露見しなかったならば、この業者に永久に持たせたであろうということ、これはいけないことですよ、こんなことは。そこでどういう態度をとったのか、とろうとするのか。こんなことが、因果関係が全くなしと断言できないと私は思う。この金銭の授受から見て因果関係なしと私は断言できないと思う。そうなるというと、重大問題だと思うんです、飛行機を使ったりなんか、いろいろしているんですが、これは食品衛生法で取り締まるというんだから……。そこで、どういうふうな処分をするつもりか、この人に対して。
  190. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 従来、たとえば台湾のコレラで汚染をいたしましたバナナのきわめて大量のものの廃棄、あるいは米の黄変米の処分というようなものの数量の確保というものは、必ずしも完全に処理できる種類のものでないということから、廃棄処分の最終責任というのは、すべての数量を数えあげ、その廃棄の最末端まで全部監視するということは、なかなか、数最がきわめて多い場合がございますので、実際上は困難な場合があるわけでございます。今回は特に海洋廃棄をさせたために、具体的に船に乗って廃棄を監督させたということで、従来ない新しい処分方法をきわめて厳重に行なわしめたわけであります。したがいまして、係官としては、新しい処分をしたわけであります。今回これらの職員が捜査対象となりましたのが、最大の主眼点は、この事件との因果関係へ最重点がしぼられて捜査を受けたわけでございまして、それらの点でそういう懸念は一切ないということが判明したわけでございまして、私どもも、そういうことがあっては絶対に許すことができないというつもりで、十分調べてみたわけでございますが、そういう関係は全くございませんでしたことを御報告申し上げます。
  191. 大森創造

    ○大森創造君 私は、そういうことは警察の調べ、それからあなたのほうのお調べが信用できないんですよ。私はどうもくさいと思うんですね。そこでこれは、それではどういう処分をするおつもりですか、行政処分。大体金を一カ月以上——その間に飲み食いもまだしていやしませんかな、それ一回じゃないでしょう、ちょいちょいあったんじゃないですか。
  192. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) それらの点も、今回厳重に私どものほうで調査をいたしました。また、警察もきわめて厳重な、特別捜査班をつくってまで調査をいたしたわけでございます。その結果、今回の事件とは関係がないということが明快になったわけでございます。
  193. 大森創造

    ○大森創造君 いまの限りにおいては、私はお話として聞いておきますけれども、金をずっと一月以上も持っていて、事件が発覚してから今度はお返しするいう行き方、これはまずいですね、どうです。
  194. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) きわめて遺憾なことでございます。
  195. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、食品衛生の問題に関連して、現在行なわれておる厚生省の食品衛生検査は、夏とか、それからお歳暮の時期とか、それから正月というふうに時期を限って、しかも毎年同じ時期に食品検査をするんですよ。その効果はあがっているのですか、どうですか、これは。
  196. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 食品衛生の各種の食品の検査は、常時、特に時期を限らず実施すべきものでございまして、現に実施し各種の違反を発見いたしております。ただ、毎年夏季並びに正月々中心として実施する理由は、食中毒の発生時期は夏季が最も多いという点と、食品が家庭へ多く出回る——各種の食品中毒を起こすような、かまぼこその他の、そういう種類の食品が最も出回る時期が、正月を中心とした時期であるということから、この時期を選んで特段に、交通規制取り締まりのような特別調査をするようにという指示をいたしておるわけでございます。
  197. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、私どものほうの調べでは。こうなんだ。あなたのところはそうかもしらぬが、私の聞いているところでは、業者のほうは例年のことなんでよく知ってるのです。あなたのほうの検査時期が近づくというと、有毒色素は使わないとか、禁止されている漂白剤を使わないとか、目方をごまかさないとか、これは業者はすでに手が打ってある。業者に当たってみると、実際に言うのだ。すっかりあなたのほうの検査の態勢がわかっているのだ。これは裏をかいているわけです。業者のほうはりこうだから、来るなということになったら、ぱっとやっちゃうのだな。これはほんとうにそうなんです。私は、業者を御紹介申し上げましょうか、続々と、そういう業者なんですよ。それで、その検査にひっかかるのは私御紹介申し上げてもいいけれども、よほど間抜けな業者じゃないとひっかからないと言うのだ。少し足りない業者だと言うのだ。いまひっかかるのは——厚生省の食品の監督なんかにひっかかる業者は、よほど足りない業者だ。この取り締まり検査は、私に言わせれば、欧米先進国が行なっているサンプル検査を常時行なうような検査に改めたらどうだ。これは重大問題ですよ。時期をきめての定期検査的なことはあまり効果がない。私は失礼して申し上げますが、保健所のほうも手が足りないでしょう。現に行なわれているのです、あっちでもこっちでも。肉だとか魚だとか、検査のときにはちゃんとワクをやることになっていますね。検査の人が来るときには、ちゃんとワクをつけている。電話連絡があるのだ。それをちゃんとワクをやっておいて、検査が終わるとワクをはずしちゃう。これは無数に行なわれているのですよ、全国で。知らぬは厚生省ばかりなり。私がいままで申し上げたことは、結局、ことばがきついようだったけれども、人間の命を粗末にしちゃいかぬということですよ。どうも目薬にしても、サリドマイドにしても、汚染馬肉の問題にしてもそうだけれども厚生省は命を粗末にするケース——そういう重大使命を忘れがちのような気がする。覚悟をひとつ承ってきょうは終わっておきます。
  198. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 先般問題となりましたカキにメチールを使いましたという事件、あれも別に時に歳末の一斉でない時期の検査でございました。しばしば全国各地で、特別取り締まりの時期でない時期にも検査が行なわれておるわけでございますが、ただいまお話がございましたように、保健所の手が必ずしも十分でないというところから、多数の食品を広く行なうということが不十分であるということは、御指摘のとおりでございまして、私どもも、特に一斉取り締まりに対して抜け道をつくられて、食品衛生の万全をはかられないようなことのないように、ただいまの御趣旨を体して、やり方を十分考えてまいりたい。しかも、食品衛生行政は、人の健康にきわめて重大な影響のある行政でございまして、近年の中毒の発生もそれほど減っておりません。私ども努力をしておりますが、ふえる傾向にはございませんが、必ずしも減ってないということから、十分そのための努力をいたしてまいりたいと思います。
  199. 大森創造

    ○大森創造君 どうも厚生省の行政なんていうのは、地味なほうでございますし、きょうも衆議院の予算委員会のほうにまず厚生大臣が引っぱられて、あなた方がこっちに答弁に立たれるわけでございますけれども、国会においても、私ははでなことを追わないで、もっとこういう国民生命に関するような問題をじみちに、私はやる必要があると思う。甘いですよ、私の見るところ。国会のこういう決算委員会の場では、しっかりした答弁をされておりますが、私は、実例をあげろと言えば限りなく持っておりますから——これはよほどしっかりやってもらわなければいかぬ。  もう一つ、汚染馬肉の問題については、私は納得しませんよ。あなたのほうでもまだ最終的なものは出さないと思うから、これはひとつ今後に留保しておこうと思う。  以上で終わります。
  200. 黒柳明

    黒柳明君 時間もおそくなりましたので、簡単に二、三質問をしておきたいと思います。  医療行政は、先ほどの賛同に若干関連しますが、認可の問題、私が調べたところによりますと、昭和三十五年から四十年までに、薬品は、大体毎年二割くらい増加されてどんどんつくられております。また宣伝のほうも、一般産業ですと、全売り上げ高の一・一%ですが、薬のほうは一〇・九%、これは三十八年と三十九年の二年間においては非常に宣伝がばく大な費用を使ってなされております。また新しい薬も、昭和三十七年、八年、九年と、大体六千種、一年に六千種くらいの新しい名前の薬が出ております。要するに、こういうように生産、宣伝、それに伴って当然消費があるから、こういうように薬品がどんどんどんどん金を使って生産され、宣伝され、そうして消費もされていく。そういう過程において、先ほど質問がありましたように、やれ目薬だ、やれサリドマイド、今度の目薬ですか、先日のかぜ薬、アンブルの問題、非常に薬の乱用が目立っている。こういうようなことは上医薬行政が何かそこに不備なところがあるのじゃないか。こういうような点が痛感されるのですが、今日の医薬行政、そういうものについて、まず次官の所感をお伺いしたいと思います。
  201. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 御承知のように、科学がかつて人類の経験しないほどのスピードでただいま各方面において進歩しておりますが、こういう情勢下におきまして、各製薬業者においてもそれぞれ研究所を持っておりまして、よりいい薬をということで研究を進めているのは御承知のとおりでございます。そういう関係もございまして、いままでなかったような薬、あるいは従来あったものに改善を加えまして幾多の新しい薬品が出てくるのでございますが、こういうことは、そのもの自体から申しますと、決して否定すべき事象ではないと存ずるのでありますが、しかし、その薬品自体が、先ほど来いろいろ御議論がございましたように、人類に有益なもののみでありますればたいへんけっこうでございますけれども、ややもいたしますと、まだ化学的に解明のできないような問題もその中に介在しているということになりますと、これは問題は重大でございますので、そういう面に対しまして、厚生省といたしましては、医薬行政上どういうふうな厳密なたてまえをとっていくのか。ただいままでも法の許す限り、あるいは行政機関といたしまして、でき得る限りの厳密な検査等を通じまして許可をしているのでございますけれども、ただいまお話しのございましたような、安全かと申しますと、何せ科学の進歩がたいへん急激でございますので、中には、お話がございましたような点もあろうかと思いますので、今後とも医薬行政、特に認可等におきましては、厚生省といたしましても特段の力を入れまして、万全を期すというふうに考えておりすす。
  202. 黒柳明

    黒柳明君 新しいのが、それが有益なもので断れば大いにけっこうだと思いますが、中にはまだ実験の段階、あるいは学術的に結論が出ていないものがある。それに対して、厚生省としても留意を払っていく、こういう点は確かにいいと思うのですが、いま現在、きのうの新聞にも出ておりました目薬の問題が非常に問題になっております。これは前からそういう問題がございますが、さらに一つの例をあげますと、アイカ・オロテートという抗生物質を使ったチオクタンW、また、アイカミンとかという薬がある。これには東大の高橋博士が、サリドマイドと同じような効果を持つ非常に危険な薬である、こういう研究論を発表しております。先ほど薬務局長が、京大の西村博士の意見を非常に尊重した、こういう観点からであると、この東大の高橋博士の研究結果というものは絶対ゆるがせにできないと思います。チオクタンWというのは、これは非常に有名です。これは、男性の性的機能を狂わして、要するにエンゼル・べビー・をつくらす非常に大きな障害になる。これがすでに発売されて三年たっております。はたしてこれについて、厚生省としてはこういうことを御存じ——まあ御存じだろうと思います。それにに対してどのような手を打ち、また手を打ちつつあるか、この点お伺いしたいと思います。
  203. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) アイカミンの問題につきましての御意見、御指摘でございます。アイカミンにつきましては、私どもは、三十七年でございますが、申請がございまして、中央薬事審議会でこの問題は十数回審議をいただき、そして最終的に医薬品としての効能、効果があるという学問的な実証によりまして承認を与えて今日にまで至っているわけでございます。  ただ、ただいま御指摘のように、催奇形の問題があるのじゃなかろうかということにつきましてでございますが、三十七年でございまするので、私、先ほど大森先生の御質問にもお答えしましたように、サリドマイド事件が起きたのは三十六年でございますが、それまでは催奇形の実験というものは、国内的にも国際的にもなされていなかったわけでございます。したがいまして、このただいまのアイカミンを製薬許可する際は、催奇形の問題についての実験データというものは審議の対象になっていないわけでございます。催奇形の、いわゆる胎児の動物実験というものを厚生省がやり出しましたのは三十八年からでございますので、このアイカミンを製薬許可を与えた当時は、そういうような実験がなされていなかったわけです。したがいまして、催奇形の問題があるということがメーカーのほうにもわかりまして、早急に胎児の実験、動物実験を実施したわけでございます。その結果につきまして、私どもはその結果は全然異常がなかったという報告を受けている、かような段階でございます。  なお、この点については、いろいろ世間的にも御意見がございますようでございますので、製薬メーカーのほうでも、なお慎重にこういう研究をさらに進めていくように話し合いをしている段階でございます。
  204. 黒柳明

    黒柳明君 なお慎重に、あるいは話し合いをする段階というのは、これはいいと思うのですけれども、現実問題として、それは発売されて、これを服用している人がいるわけです。また、これは目薬、あるいはアンプルのかぜ薬と同じように、もし害があって後にまたこれはだめだった、こんなことを繰り返して、はたしていま次官が言ったような医薬行政をほんとうに誠意を持ってやっていると言えるか。いまの次官の話と局長の話は、何か食い違って矛盾があるような感じがするのですが、その点、次官、どうでしょうか。
  205. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいまの薬品そのものの有害性等に関しましては、私、詳細には存じており、ませんけれども、ただいま局長が話しましたとおり、若干の疑いでもあれば直ちにこれに対していろいろな実験等を繰り返しまして、その害毒の有無を検査するというふうな慎重な行政を行なっているのでございますので、私は、必ずしも私が先ほど申しました方針と矛盾しているものとは考えておりません。
  206. 黒柳明

    黒柳明君 これは若干どころじゃございません。高橋博士にもきょう会ってきました。もし必要とあれば参考人になって膨大な資料を国会に持ち出してもいいと、自信満々でございます。でございますから、そういうことがあって、少しでもそういう憂いがあるならばというおことばであるならば、早急に、また、いままで御存じなかった点であるならば、すぐこの問題に対して手をつけてもらいたい、こういうことを要望したいと思うのですが、また認可の、許可にあたってこの点は、アイカミンあるいはチオクタンW、午前の質疑応答の中では、認可の制度は五つ以上の権威ある研究所を通し、あるいは百五十以上の臨床実験を必要とする。ところが、このアイカミン、チオクタンWについては、製造申請書と一緒に出された資料は五十編、臨床実験わずか十五、そのうち対照観察したのは、わずかに二点しかない。非常にこれは認可自体も不備じゃないか。この点も先ほどから大森さんが言いましたように、何か製薬会社のほうが強いのじゃないか、こういうふうな疑いもあります。ですから、認可制度をもっともっと厳重にしなければならない、このようなことも考えられます。また、アメリカなんかの例を見ますと、対照観察を除いたほかのことは、もう医学的な臨床実験云々というものは、医学的なデータとは認めない、こういうようなことを言っているわけですが、その対照観察あたりをもっともっと強化する必要があるのじゃないか、こういうことも考えられますが、これについてどうでしょうか。
  207. 相澤重明

    理事相澤重明君) 要領よく答弁してください。
  208. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 午前中私が申し上げた臨床データの数でございますが、五カ所、百五十例以上と申しましたのは、つい最近からそういうふうに臨床データをふやしているわけでございます。三十七年のアイカミン製薬を許可した当時は、二ヵ所、六十例、こういうような大体の内規で指導してきた、こういう事情でございます。  それから、ただいま最後におっしゃいました対照観察等の問題でございますが、いろいろまだ日本の国内的にも、この方法論について、学問的にまだきちんと結論は出ていないのでございますので、考え方としましては、そういうような考え方も今後十分取り入れていくような研究をいたさせなければならぬ、こういうふうに思っているわけでございます。
  209. 黒柳明

    黒柳明君 これは三十七年のときですから、二ヵ所、六十例でよかったのですけれども、臨床実験は十五しか出ていない。その点もいまの答弁とは違うわけですけれども、追及しても時間ありません。また、後に資料要求しまして、これについて徹底的にやりたいと思いますが、よく調べていただきたいと思います。  そうして私が要望したいことは、ともかく、臨床実験の秘密、まあこれはいろいろ薬屋さんの都合もあると思うんですけれども、化学的データですから、臨床実験した結果は公開したらどうか。  それからもう一つは、わが国の医学の最高水準をいくような臨床実験、それを厚生省自体が持たなければならないのじゃないか。ただ一片の研究所から来たそういうデータに基づいて、薬の申請に対しての許可を与える、こういうことじゃうまくないと思います。ですから、その二点について今後考えなければならない問題と思いますが、どうでしょうか、次官のお考えは。
  210. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 国で、お話しのように、みずからの手で実験その他を行ない得れば、これが一番よろしいかと存じますが、しかしながら、反面考えますと、国立の実際の大学その他の機関がございまして、そこに最も優秀な最高峰の人たちがいるわけでございますので、そういう人たちを通じまして、その人たちの結論を得るのは、結果においては、私は、同じような結果になるのじゃなかろうか、現段階においてはそういうふうに感ずるのでございまして、国で直営と申しますか、やりまして、そういう人は全部その機関に包含できるかといいますと、これまた、なかなか分野も広いでございましょうし、また、問題の深さも多々ございましょうから、むずかしいかと存じます。ただしかし、せっかくのお話でございますので、研究してみたいと思います。
  211. 黒柳明

    黒柳明君 資料要求をお願いしたいと思います。  第一点は、厚生省出身で、三十五年以降今日まで、薬品関係の企業あるいはその組合、連合会等に転出している人の状況、これが第一点です。  第二点、サリドマイド禍のときに、認可資料の公開を国会で要請しましたが、それを見せなかった理由と根拠。  第三点、厚生省の毒性センターの構想ですね。四十年、四十一年、予算も人数も非常に削られてたいへんだったと思いますが、四十一年度の予算、人数、予定、構想。  それから第四点、これは薬の名前をあげます。強力パブロン、強力テルミックス、エスピレチン、リポビタンD、アスパラ、以上の薬について、これはもう全然害はあれ——害はあれと言っちゃ極端ですが、益になんかならない薬です。しかも、それが市販されておる。何かこの点にも製薬会社と、くどいようですが、厚生省の役人とのつながり合いみたいなものが感じられます。この点もっともっと研究してみたいと思います。いま、以上の薬についての認可申請会社提出資料の内容、類別の実験責任者の氏名、実験の試験官、動物実験、臨床実験の対照観察の件数、審議した関係者の氏名及び年月日、このようなことに関して、資料要求したいと思います。次に問題はかわりますが、いまの資料要求、よろしいですか。
  212. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) ただいま資料の御要望がございましたので、できるだけ早くまとめたいと思いますが、中には、ちょっと時間もかかりますし、それからまた、私どものほうだけで調査できない面もあるようでございますので、そこらあたりは時間をちょっとかしていただきまして、十分調査しましてやりたいということが一つ。それから厚生省だけの判断であるいは資料ができない面もあるかもしれませんので、そこらあたりはひとつ御了解を願いたい、かように思っております。
  213. 黒柳明

    黒柳明君 次に、話題を変えまして、中性洗剤の問題ですが、これは国会で追及された後、科学技術庁で手数、百万円かなんかかけまして調査した、こういうことを聞いておりますが、その後のてんまつ記、要するに、認可にあたってどのような実験段階を経て認可したのか。その後国会で追及されて科学技術庁に依頼した、何か厚生省の認可制度というものが、非常に国民に対して不信の念をいだかせるような結果が出ておるように思いますが、その後どういうふうになったのか、経緯を簡単でけっこうですからお願いしたいと思います。
  214. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この点に関しましては、昨年三月八日に参議院におきまして、鈴木先生、次いで四月十三日に阿具根先生から御質問がございました。この当時にはまだ科学技術庁の正式な中性洗剤に関する毒性の報告はなかったわけでございます。八月に至りまして、それまで各般の調査をしておりました総合調査の結果が報告せられたわけでございます。その科学技術庁が取りまとめました報告の概要を申しますると、通常の使用であれば毒性の心配はない、かような結論でございましたが、通常の使用であればということばの裏には、やはり通常の使用を誤る場合にはあり得るということも、私どもとしては十分考えなければならないという御報告があったわけでありまして、その際に、並びに昨年の参議院におきまする御質問の中でも特に強調せられました、皮膚の障害の点というような点も触れられております。また、当委員会、昨年の参議院におきます御注意もございまして、私どもとしては、この中性洗剤の障害に基づく皮膚の炎症という事例もございますので、公文をもちまして、都道府県並びに中性洗剤協会に、中性洗剤の使用にあたっては、委員会で注意がございまして、厚生大臣からお答え申し上げましたように、手袋の使用その他十分な注意をするようにという指示をいたし、また、通産省がこれらの製品の表示の監督をいたしておりますので、通産省に十分そのような措置をとってもらいたい、かようなことをいたしましたのと、また、この参議院におきまして特段に指摘を受けました、中性洗剤が下水道の処理能力を害し、また、水道にこれが入りまして発泡作用をするということから、一刻も早くソフト型に切りかえる措置を考えるべきであるという御指示がございました。私どもとしましても、通産省、科学技術庁、相寄りまして、早急にソフト型に切りかえる方向に、どのような手段がよろしいかという相談をいたしたわけでございまして、厚生省としましては、でき得る限り早く中性洗剤をソフト型に切りかえるように促進をいたしておるところでございます。
  215. 黒柳明

    黒柳明君 これは、いま局長が言ったとおりのてんまつでございますが、ところが、いま玉川浄水場の汚染度が、人体の許容量は〇・五PPMですか、それをこえること十倍、五・〇〇PPMですか、それから杉並、三多摩方面に行きますと、井戸が一・PPM、これは非常に有害だと思います。その中性洗剤の毒性を中和するために、毎月百万円の活性炭素を使って、それで中和している、こういう事実があるわけですが、また、ある学者の実験によると、ゴキブリに振りかけたらすぐ死んじゃったとか、あるいはハツカネズミに一キロ当たり四グラムですか、かけたら死んじゃったとか、非常に危険なことを実験が示しておりますが、そういうことで去年のたしか四月だと思うのです、国会で追及されて、神田厚生大臣も、すぐソフト化すると言われたが、もうやがて一年たとうとする。ところが、現実において、各家庭においてまだまだ中性洗剤が使われておる。手袋を使わなければならないと通達されておりますが、そんなに各家庭で手袋を使え使えというようなことは言われておりませんし、現在手袋を使わないで使っておる。この中におられる方の台所にも中性洗剤があると思うのです。それがくだもの、あるいは野菜につきますと、今度は人体実験で五時間で尿になってあらわれておる。こういう実験もされております。非常に危険な状態でほうり出されて、それがいま逐次ソフト化に向っていると——確かにモノゲンですか、ソフト化が完成したと、おとといでっかい広告が出ておりましたけれども、はたしてそれも完全に完成されたかどうか、今後の結果を見なければわかりませんが、これも先ほどのアイカミンと同じように、もっともっと早急な手を打たなければならない。現に昨年の四月には、危険であると、手袋をはめなければならないと、こういうこともちゃんと言明しているわけですが、それに対して、もっと誠意ある、まあできないかわかりませんけれども、薬を売るときには、手袋の一つぐらいサービスにつけて、はめなければ使っちゃいけませんよと、これくらいなことをやらないと、家庭の奥さんなんかわかりやしません。国会で言われたって、あるいは新聞に出たって、読む人だってどのくらいいるかわかりません。それが現実問題として使われておるし、いま言われましたように、玉川浄水場あるいは杉並、三多摩の井戸なんて、白いあぶくが立っておる。こういうような事実に対して、また先ほどの話じゃないですが、何かこの業者と厚生省あたりまた何か関係でもあるんじゃないかと、こういうような疑惑も抱かなければならないような状態でおっぽり出されておる。こういうような点に対して、もう一年もたちますから、どのようにこのハート型をソフトにする、こういうことについて、さらに促進する考えがあるのか、ひとつ御意見をお伺いしたいと思う。
  216. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ただいまの御指摘のおり玉川の源水には五PPM近いABSが含まれ、それがために活性炭素の使用金額も一日百万円近いほどの金額が使われておることは、まことに御指摘のとおりでございまして、杉並を中心としました井戸の調査によりましても、相当多量のABSを含有しておるということは御指摘のとおりでございます。で、私どもといたしましては、一刻も早くABSをソフト化するようにということは、前々から強く主張いたしておるところでございまして、通産省に対しまして、業界をこのような方向に強く指導するように申し入れをいたしておるわけであります。できることであるならば、私どもとしては、かなり法的に強制ということも、あるいはむずかしいかもしれません。現状では私どもはどこにネックがあるかということをさぐりました。私どもの知り得た範囲では、中小メーカーがなかなか切りかえに乗ってない。大きなメーカーはほとんど切りかえの方向をとっており、すでに申請も出ておるし、お尋ねのような大メーカーがほとんど全製品を切りかえるという形をとっておりますが、中小メーカーが非常にむずかしいネックになっておるというお話がございますけれども厚生省としましては、一日も早くソフト化が必要であることは痛感いたしておりまして、今後とも通産省に対しては強く申し入れてまいるつもりでございます。
  217. 黒柳明

    黒柳明君 これはソフト化に踏み切るにしても、技術提携の問題もありますし、また機械の転換の問題もありますし、これは非常にたいへんだと思うのですが、ひとつ、公明党でも二十人の議員がいます。そのうち八名が家庭に中性洗剤があります。そういう話を聞いていて知っているみたいですけれども、現実問題としては、使っていても平気なんです。それが先ほどから言いましたように、くどいようですが、非常に盲点です。そのことがわかっていながら、実際に使われている家庭にそういうPRをなさないとだめだと思うのですよ。つくるほうには一年かかったって、あるいはこれから一年、二年かかるかわかりません、ソフト化するまで。その間において大切なわれわれ国民大衆の人体にそういう毒がどんどんさっきの水銀の話じゃないですが、吸収されたんじゃ、これは非常にうまくない。厚生省がそういうような非常に柔弱な行政をやっていたんじゃうまくない。ですからここらあたりで思い切って大々的にその中性洗剤のPRをやってこそ、ああこれは絶対厚生省と業者とのくされ縁はないんだな——もう一回あらためて家庭の奥様力にそういうPRの徹底をやっていただきたい。   〔理事相澤重明君退席、委員長着席〕 こういうことを要望するのですが、このいかがでしょうか。
  218. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 中性洗剤の誤用に基づく健康障害ということが起こらないように、PRに対してはあらためて十分努力をいたします。
  219. 黒柳明

    黒柳明君 そのことを期待しまして、私もうちへ帰って女房に言っておきます、PRするからよく読めと。近所隣にもよく申しますから、必ずやっていただきたいと思います。  それでまた資料要求したいと思いますが、中性洗剤のメーカーの会社別、ハード型技術の国際提携の状況及び設備投資額、投資年月日、ソフト化の計画、それについて資料を出していただきたいと思います。そうすれば、くされ縁がないんだ、こういうことははっきりするんじゃないかと思います。  最後に、簡単に、埼玉県北葛飾郡庄和村に朝倉病院という、こういう私立の結核療養所があります。これは非常に荒れほうだいに荒れています。この内容について私は云々するよりも、一回目で見ていただければいいと思いますが、厚生省の監督として非常に不備ではないかと思います。もう性的にも乱れている。それから山谷あたりに行きまして引っぱってきて、それでそれを結核患者に仕立てて、厚生省からの補助金をもらう。埼玉県会でも取り上げました。陳情にも行きました。県会では、いたしかたないと、こういうふうに突っぱねられております。国会で何とかして厚生省当局として手を打ってもらいたい、こういう問題があります。埼玉県北葛飾郡庄和村私立朝倉病院——ものすごい結核病院、聞いて天国見て地獄と、こういうことわざどおりでございます。四百五十のベッドに七百人収容されている。奥さまがみんな同居しています。それから外出自由。視察が来ますと、外出している先に電報で呼ばれて、早く来い、そして物置きに住んでいる患者は、視察が来ますと、どんどん映画を見てこいと、二百円渡されます。そういうようなことで、これは私の関係のところでございます。私が住んでいるところですから、何回もこの目で見ております。けさも電話を入れましたら、いまもって変わってないと、こういう返事が来ております。その中にもわがほうの同志が一ぱい入っておりますが、事実でございますから、早急にこの私立朝倉病院に対しての監察をやっていただきたい。これを要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。
  220. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ただいま先生からお話のございました資料は、通産省が中性洗剤の生涯並びに表示等の監督をいたしておりますので、通産側に伝えまして、お尋ねのような資料を出すようにいたします。
  221. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 私立朝倉病院の経営管理の紊乱しておりますことは事実でございまして、この点につきましては、県当局も、医療監視の重点といたしまして、非常に数年前からいろいろなことをやっておりましたけれども、なかなか実効があがらぬということで、最近県当局だけではなかなか困難であろうということで、国も応援いたしまして、総合的にこの粛正をはかっていくつもりでございます。
  222. 藤原道子

    委員長藤原道子君) よろしゅうございますか。——じゃ石本君。
  223. 石本茂

    ○石本茂君 私は、母子保健に関連いたしまして若干お尋ねをしたいのでございますが、まず国民の健康の増進という基本的な問題で母と子の保健対策強化されまして、昨年の八月には、母子保健法が成立し、これが今年の一月から施行されておるわけでございますが、この法律につきまして、従来児童福祉法が適用されながら、その中にあります母子衛生がこういうような面で実際の行政の中で行なわれてきたわけでございますが、この新しい法律ができまして、これが施行されます現段階におきまして、従来の児童福祉法の段階との実際面の相違と申しますか、いわゆるどのように充実化し、それがどのように母子保健の前進をはかるものであるかと、助けるものであるかというようなことにつきまして、簡単に、簡略に、もし項目別に一、二とあげられるようなものでもございましたら、時間の関係もありますので、この点お尋ねいたしたいのでございます。
  224. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 児童福祉法から従来やっておりました妊産婦、乳幼児の保健指導を中心としました部分をますます強化していくために母子保健法をつくったわけでございますが、その主たるねらいといたしまするところは、児童福祉法ではどうしても児童という問題が主体になりますので、むしろわが国の現在の状況からいたしますると、乳幼児の問題ももちろん大事でございますけれども、妊産婦死亡率その他で妊産婦の保健状態というものがまだ諸外国に非常におくれておると、こういう、面から見まして、母性の尊重という面を強調したわけでございます。ただ、具体的な内容といたしましては、特にそのための条文の変更というものはございませんが、ただ一つだけ、栄養強化という面からいたします母子保健法の中に、市町村長が、妊産婦、乳幼児の栄養強化のための援助をする、こういった規定が設けられております。その他は母性の尊重というような、先ほど申し上げましたような趣旨を明らかにいたしますとともに、知識の普及というような条文を設けまして、母性に至る、つまり結婚前の女性からの教育ということを特に強調しておるわけでございます。その他、従来予算でやっておりました妊娠中毒症対策あるいは母子健康センター、こういったものは規定の中であらわしておる次第でございます。
  225. 石本茂

    ○石本茂君 栄養補強というおことばがありまして、現在それが実現に移されておると思うのでございますが、見たり聞いたりいたしております段階でございますが、十五円の牛乳に対しまして、実際現在売っております牛乳は、市価で二十円という価格でございます。ところによりますと、その差額は、業者の経済的な援助といいますか、そういうようなことで、とにかくにも、なま牛乳が支給されておるところもありますし、それからあるところによりますと、とてもそれは価格上の問題もあり、あるいは地域的の問題もあったかと思いますが、粉ミルクが支給されておるというような実情も現にございますので、その辺、とにかく形は何でもいいから、ミルクらしきものを支給しろということの指導でございますか。そうではなくして、やはり最初にお話があり、われわれ国民納得しておりますところの牛乳等による栄養補強というようなところなのでございましょうか。  それからなお、いまお話しございました、四十大都道府県のうちで、どのようなところが具体的にどうなっておるか。その辺のところを、もし質料としてお持ちでございますのかどうか。その辺のところをお尋ねいたします。
  226. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 妊産婦及び乳幼児に対しましての栄養の強化ということで、厚生省といたしましては、なま乳の支給という方針を持っておったわけでございますが、御指摘のように、十五円という値段につきましては、各地域でそれぞれ値段が違っておりまして、実際の価格は、都会、特に大都市の場合では二十円というようなところもあるように聞いております。そのために、各府県あるいは各市町村におきまして、市町村あるいは業者、こういったものがそれぞれ分担をいたしまして差額を補給している、こういった事情にございます。ただ二、三のところでは、どうしても市町村自体が負担ができないという問題がございまして、そういうところでは、やむを得ず粉乳をもって同じようなカロリーと申しますか、栄養効果を与えるというようなことで、これを認めているような状況でございます。  なお、都道府県の実施状況は、和歌山県、埼玉県を除いた以外の都道府県におきましては、これは実施されているということでございます。
  227. 石本茂

    ○石本茂君 そのことにつきましては一応了解いたしますが、将来とも粉ミルク等によりまして代替されるというようなことにつきましては、そういうことがありませんように特別に指導をしてほしいと思います。  なお、局長の御意見にもありましたように、この母子保健ということを中心にいたします場合には、やはりそこには教育と指導というものの普及徹底、これが中心的な役割りであろうかと思うのでございますが、その場合に、従来の保健所ないしは市町村等におきまして、この問題と取り組んでまいりました。末端ということばが適用できますかどうか存じませんが、行政の最前衛線にありまして実際に活動してきておりますのが主として保健婦、助産婦等であろうかと思うのであります。ところが、保健婦、助産婦等におきましては、現在どれだけの数に対して何名という規定もございませんままに、地域によりましては、一人の保健婦が一万人近い地域住民をかかえまして、その保健指導に当たってきたわけでございます。特に助産婦等におきましては非常な不足を来たしているのでございますが、実際の面においてこの足りない保健婦、助走婦等を今後どのように活躍さしていくのか、また、させようとしておいでになりますのか。それから数等におきましても、現在の保健所あるいは市町村におられます国保の保健婦さんの数だけを充当していこうとしておられますのか、それをお伺いしたいと思います。定員等はありませんが、現員をもっていま行なわれてまいりましたところの保健指導というようなものをさらに強化してまいりますということは不可能だと思いますので、お尋ねをいたします。
  228. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 御指摘のように、母子保健法の実施の考え方といたしまして、知識の普及ということ、それから保健指導、こういったことによりまして、できるだけ妊娠、出産の重要性、また、守らなければならない事柄、こういったことを指導してまいりたい、かように考えているわけでございますが、現在のところ、保健所あるいは市町村においてもさようでございますけれども、十分に保健婦あるいは助産婦の方々が充足されていない、こういうこともあるわけでございます。開業の助産婦の数にいたしましても、約四万人程度でございまして、むしろ毎年減っていく、こういうふうな実情にあるわけでございます。そういう面からいたしまして、やはり今後の一番大事な問題としましては、そういう専門の方々を確保していくということが非常に大事な問題でありますが、また、こういう現在おられる方々の能力を活用していく、指導訓練によりまして強化していく、こういうような方法でこの部面に対して対処していきたい、大体こういう考え方で努力をいたしている次第でございます。
  229. 石本茂

    ○石本茂君 いまお尋ねしようと思いますことは、関連でございますが、医務局長さんの関係かと思うのですが、いま言っておられますように、保健婦も助産婦も非常に足りません。もちろん足りていまして毛、はたして雇うか雇わないか、これはわかりませんが、足りないといわれております保健婦、助産婦等の確保につきまして、当局としまして、今後どのような対策を持っておられますのか。  それから、なおもう一つ、現在の医療法等見ておりますと、助産婦等につきましては、たとえば、これは病院に関連いたしますが、適当数おればよいというようなことで、人員等の構成については、何ら具体的なものが示されておりません。  それからなお、これは保健所法に関連するかもわかりませんが、保健婦等につきましても、数の、どういいますか、定員化というものはないように思うのでございますが、こうしたものを、医療行政、特に衛生行政監督の府にあります当省とされまして、どのように不足対策を含めてお考えなのか。  それからもう一つ、ちょっと問題がずれますけれども、この人たちの身分と申しますか、看護婦等につきましては、国家公務員等もおりますので、人事院規則の中で、給与の中でその者の初任給等が示されておりますが、保健婦等になりますと、国の職員がおりませんというようなことから、この者の初任給等については何ら規定がないのでございます。こうしたことで、現在都道府県行政の中で、あるいは市町村行政の中で働いております保健婦等が、非常に不安定な条件を背景にして非常に苦労しながらその業務のために努力しておるということもございますが、こうしたことにつきまして、医務局長さん、どのように考えておられますのか、将来どうしようという構想をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
  230. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 保健婦、助産婦の数の不足の問題は、看護婦の数不足の問題と並行いたしましてなかなか困難な問題でございますが、最初の段階である看護婦になる人間が少ないということと、看護婦さんになってから保健婦ないし助産婦になっても、保健婦では、保健所以外に比較的勤務条件のいい養護教諭というようなものもございまして、そういう方面にかなり横流れ、と言ってはおかしいのですが、流れていくという関係もございまして、かなり需給が困難でございましたが、最近におきましては、保健所における保健婦等の絶対数もやや増加の傾向を見せております。  なお、養成の関係につきましても、できるだけそういう養成施設強化していただきたいということで都道府県にもお願いしておりまして、現在保健婦の養成施設も、年々二校程度ずつふえております。そういう意味で、三十九年度の入学者数は八百六十五名でありましたのが、四十年度には九百六十八名、約百名の増を見ております。  また、助産婦につきましても、助産婦が従来病院内において特殊な扱い——優遇されるという条件がなかったために、看護婦から助産婦になる人が非常にに少なかったのでございますが、これも最近の施設内分べんの増加に伴いまして、どうしても病院内における助産婦の需要が高まってまいりまして、そういうせいもありますか、最近またやっぱり助産婦の入学者等も増加いたしております。養成施設も、最近やはりこれも年々二校ずつ程度増加いたしておりまして、三十九年度は、養成施設二十七校で三百四十三名の入学者でございましたが、四十年度は、二十九佼、四百二十七名と、これもかなり、二割程度増加するという状況でございます。  なお、もちろんこれでもなお十分とは申せないかもしれませんが、なかなかこれを計画的、強制的にということも困難でございますので、やはりじみちな努力を続けていくよりいたしかたがないかと存ずるわけでございます。  なお、医療法等におきまして、病院における、看護婦の定数はほぼ基準があるけれども、助産婦には基準がないということに対する申し入れでございますが、これは、おそらく医療法制定当時の事情におきましても、助炭というものが非常に施設により、また年により非常に浮動性がある、ベッドでございますと、そのベッド四人について一人という看護婦さんはほぼ恒常性がございますけれども、出産の場合は、実績から見ましても、同じ病院におきましても相当出産数の不同が著しいのでございまして、そういう意味から産科ベッドということだけで必ずしも規制することが適当ではないという判断があったのではないかと存じております。しかし医療法その他の改正ということも将来考えなければなりませんので、それらの時代には、はたして規制をするほうが適当であるか、あるいはある程度幅を持たせて自由裁量にするほうが適当であるかというような点について再度検討いたしてみたいと存じます。  なお、それらの俸給の問題につきまして、看護婦は国家公務員であって人事院がきちんとしておるけれども、保健婦、助産婦の問題については人事院は関心がないということでございましたが、これは三十九年度から実は現実的に保健婦、助産婦について、それぞれこの初任給に対する加算が現実に行なわれまして、三十九年度、四十年度引き続いて若干の改善が行なわれております。
  231. 石本茂

    ○石本茂君 おことばはわかりましたが、いま申されましたように、実際にはそうした人方に対しましても、看護婦の給与が適用できないということがわかっているのでございますから、やはりこうした特定業務でございますので、働く場も違うのでございますから、当然職種設定があって、それに見合う給与基準があるべきだと存じますから、ぜひこのことは当局におかれまして精一ぱいがんばっていただいて、これの確立化等をお願いしたいと思います。  続きましてお伺いしたいのでございますが、現在新生児の訪問指導料の件でございますが、一件につきまして、きょう現在ただして見ましても百円でございます。この東京都におきますと、百円をもらいましても、助産婦さんが非常に近間ならよろしゅうございますが、ほとんどバスないしは電車を利用して行っておりまして、足代に大かた八十円どころ使ってしまって、二十円というもので働いているわけじゃございませんが、場所がわかりませんために半日もうろつく場合がある。ところが、ほんとはこの百円ももらうことが腹が立つのだ。しかし職業上わが使命を果たすためにわれわれは努力しておりますけれども一体これでよいのだろうか、どんなにいい法律ができましても、実際働く者の身分の保障をしなければ、そういう賃金体系についても何ら考慮しないで一体これで何ができますかと言って盛んに嘆いておりますが、これについてどのようなお考えを持っておられますのかお伺いいたします。
  232. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 従来こういった訪問指導の費用、あるいは受胎調節にも同じような問題があるわけでございますが、一件当たり国の予算の単価としましては八十五円であったわけでございます。これの改善につきまして、来年度四十一年度予算で、私どものほうではまあ母子保健の中で一つの重点事項として折衝いたしたわけでございますが、ようやく百二十円まで認められたわけでございます。これでもまだ十分ではございませんので、今後ともさらに努力してまいりたいと、かように考えております。
  233. 石本茂

    ○石本茂君 あの社会局等におきまして、生活上の補導員といいますか、指導員には月額幾らという補助があるわけでございますが、そういうことは将来とも見込みとしてできないものでしょうか。やはり一件幾らというようなことで、これは将来ともきめていきたいという構想でございますか。
  234. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) この訪問指導は一件についての費用でございまして、職員の給与にすぐ結びついている問題ではないわけでございます。そういった面でたとえば婦人相談員とか、あるいは老人ホームヘルパーでございますか、これは給与として、パートタイムを原則として来年度予算で一万五千円に上がったわけでございますが、そういった給与法がいいのか、あるいは日給制がいいのか、そういった点についても私どもといたしましても検討をいたしたいと、かように考えております。
  235. 石本茂

    ○石本茂君 次に保健婦が地域、特に僻地などにおりまして指導あるいは給付に当たりますとき、たとえば乳児について非常にお乳の量が足りないと、その補強します部分についての証明をいたします場合には、保健婦では現在できないのでございます。これは医師の証明ということになっております。そういうことで実際にそれを見て足りないんだということを認定できる能力を持っておる者がそれができませんで、その地にはおりません他の場所におります医師のところに行って、話を聞いて、確認をして証明をする医師の証明書がまかり通るというような事実が現実にございますのですが、こういうふうなことはいずれの省に関係しますか存じませんが、こういうことでよいものでしょうかどうでしょうか。ということは、実際活動するという場合におきまして、このように権限のない身分だけでは、とても働けない場面が相当出てきております。もしそういうことが今日のまま将来も続くというのならば、必ず医師が僻地といえどもそこにいて、それを確認するという状態がほしいということを保健婦等の声として出てきております。当局におかれては、当然これは承知のはずでございますが、これは私は政務次官にお伺いしたいのですが、高等学校を出て四年以上の教育を受けて、国家免許による国家試験を経過した者が、その免許証に値する職務であろうということは、われわれ自身その職にあります者が考えていたのでございましたが、いざ実務についてみましたら、いま申すように指導もでき、教育もできる、しかしながら証明書等になりますと、何ら権限がない。見たことも聞いたこともない医師が証明して、それが通っていくというこの事実についてどのようにお考えになっておりますか。将来とも保健婦、助産婦等につきましては、いただきました厚生大臣免許証があたかも仮免許証のようなものでございまして、免許証を持っておりますが、何らものをきめることができません。このような免許証ならば、自動車の運転手さんの免許証よりもっと価値のないものだというような声も出るのでございますが、どのようにお考えになっておりますか、お尋ねをいたします。
  236. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) ただいまの保健婦さんが授乳あるいは哺乳量の見当をつけて指導をする場合に、医師の証明がなければならないということ、確かに非常にやっかいなことだと思います。おかあさんがお子さんに与える乳の量というものは、保健婦さんがある程度量の判定ができ、またおかあさんのお乳が大体どれくらいであるかということをはかることもできるわけでございます。したがって、その過不足を認定し、それによって必要な指示を与えるということは、これは当然やられていいことのように考えます。ただ、いままでこれが一つの診断行為、医療行為としての診断行為と考えれば、これは、医師の行なう行為であり、保健婦が単独で行なえないということになるわけでございますが、これを保健指導の一業務とするか、あるいは、医療行為としての診断行為とするか、それによっておのずからその権限が分かれてくることと存じます。これらの点非常に重大な問題でありまして、保健婦は当然独立業務をするたてまえの職種であり、看護婦は医師の介助並びに看護をやる業務でございます。したがって保健婦さんがそういう独立業務を行なうべき範囲が相当多いということは当然でございますので、ただいま問題になりましたような行為がはたして医療行為であるか、あるいは保健指導行為であるかどうかということにつきまして、いま少し他のいろいろな問題もあると思いますので、関連事項として検討させていただきたいと存じます。
  237. 石本茂

    ○石本茂君 過去においてこういうことが問題として検討されましたかどうか、それをちょっとお伺いしたいのでございます。いま話が出たので、これからするとおっしゃるのか、もうすでに研究段階にあるということなのか、お尋ねいたします。
  238. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 実は私医務局長はあまり長くございませんので、これが前から検討されておりますかどうかは明らかに存じておりません。しかし前に医務局におりましたので、こういう業務以外に、看護婦の業務につきましても医療行為とあるいは看護補助の業務というようなものの限界、割り振りというような問題が多々あることは存じておりますので、これからそのような観点でいろいろの問題を整理していかなければならぬというふうに考えます。
  239. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほど答弁を申し落としましたが、ただいまの問題は、厚生行政を見てみますと、いろんな実施の途上におきまして、御指摘のございましたような困難な問題と申しますか、あるいは解決を要する問題がたくさんございまして、今後さらに皆さまの御要望に沿えるような改善を必要とすることはよく承知しております。そういう次第でございますので、お話のございました点は、ただいま医務局長から申し上げました点等もよく勘案いたしまして、省といたしましての態度をきめたいと存じます。
  240. 石本茂

    ○石本茂君 もう一つお尋ねいたしたいんですが、現在開拓地に参りますと、開拓の保健婦という人がおられます。この人方は、農林省の開拓の関係に属します身分でありますために、そこで行なわれております業務を通しまして、地域保健所とのつながりもございませんままに、孤立したような状態に現在あるわけでございます。それでよいのだということで関連なくいけばよいのですが、それとも厚生行政の担当の府として、やはり厚生省が何らかの監督権をお持ちなのでございますから、いまのような孤立の状態でほうっておかれるのでございますか。それとも何かこのことについてお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  241. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 本来保健婦は、開拓村におりましょうが、あるいは保健所におりましょうが、あるいは市町村におりましょうが、保健所長と十分連絡をとり、保健所長の指示を受けて働くという性質のものでございますので、農林省の職員でありましても、保健所と十分連絡をとって仕事をしていくべきものと思っております。また、保健所自体その管内に開拓村があるといたしますれば、その開拓村についても保健指導の責任がございますので、当然その管内の保健婦等についても適切な指導、指示を与えていくべきものと存じます。
  242. 石本茂

    ○石本茂君 現在先ほども申し上げましたように、保健婦さんは保健所長、市町村長よりも、国保関係——いま申し上げました特定の個所等にそれぞれ身分、配置も異なっておるわけでございますが、この保健行政というものを前進させていく前提において、いまのような状態でよろしいのかどうかということを非常にわれわれ考えさせられるわけでございますが、国が法律をつくって、その法律をまじめに進めて、ほんとうに母子保健というものを確立していかれるのでございましたら、少なくとも市町村に配置される国保の保健婦さんなり、それらの方々に対しましても、身分等々の面で現在の官職であります保健婦と同じように扱うことについて何かお考えがございますか。それを統一する、いわゆる身分の統制をはかる必要がないというお考えでございますか。それとも近い将来にはそれらの身分の統制をして、そうしてこの法律の前進をはかることが必要だということでございましょうか。当局の御意見をちょっとお伺いしたいのでございますが……。
  243. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 御承知と思いますけれども、母子保健法を当初提出いたしました際は、母子保健の仕事を都道府県から市町村へ移す、こういうような考え方で法案を提出したわけでございます。と申しますのは、母子保健の仕事と申しますものがやはり地域に密着をしたきめのこまかい仕事をする必要がある、こういう考え方であったわけでございますが、現在のところ、保健婦の数にいたしましても、先ほど御指摘のように必ずしも全部の市町村が持っておるわけじゃございません。そういう面で保健婦の数からだけ申し上げますと、保健所におる保健婦さんと市町村在の保健婦さんが大体同数で、それぞれ約五千余りの者がおるわけでございます。そういった面でまた市町村におる保健婦といたしましても、主として国民健康保険の保健婦活動として設けられておることは御指摘のとおりでございます。私ども理想的に申しますと、市町村にこういった保健婦さんが全部配置され、また充足いたしましたら、当然母子保健の仕事も、その他の医療機関の整備と相待って市町村へ委譲していきたい、かような方向を考えておるわけでございますが、現状はまだそこまでいっていないということで、都道府県あるいは政令指定の段階で現状はやっているわけでございますが、将来の方向としては全市町村の段階まで持っていきたい。また、そういった際には都道府県と市町村の保健婦さんとの仕事の割りふりでありますとか、あるいはむしろ市町村のほうに重点を置いて充足していくべきではないか、かように考えておる次第でございます。
  244. 石本茂

    ○石本茂君 わかりました。最後にお願いでございますが、やはり先ほど申しましたように、いろいろどんなにすばらしい法律ができましても、その実施の過程におきまして、そのことで実際に活動する者の身分の確立とか、あるいは給与等の体系の確立がございませんままに、こういうものを進められるということはあり得ないと信ずる一人でございます。特に教育とそれから指導が中心でありますところの母子保健でございますので、先ほど来申しましたように、ぜひこの仕事に従事する末端の活動家に対しまして、特段の御配慮を今後ともにちょうだいいたしたいということを、心の底からお願いいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  245. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 佐々木政務次官からお覚悟のほどをひとつ。
  246. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほども申しましたように、私も実際現地を歩いてまいりまして、いろいろ視察して見ますと、厚生行政は制度あるいは法律等はそれぞれ進んでおりますけれども、運用の面におきまして、必ずしも充実しておるとは申し上げることができません。したがいまして、四十一年度の予算におきましても、まず内容の充実という点に重きを置きまして、できるだけの努力を払ったつもりでございますが、ただいまお話のような点も残されておりますので、今後とも省といたしまして努力いたしたいと存ずる次第でございます。
  247. 相澤重明

    相澤重明君 時間外ですが、二つだけ伺っておきたいと思うのですが、一つは民生委員、いわゆる児童委員厚生大臣の仕命を昨年終わったわけですが、いま手当は幾ら払っておりますか。
  248. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 民生委員は児童委員と両方かねておるわけでございますけれども、これは交付税の算定の基礎に入っておるわけでございまして、民生委員として年額二千円、児童委員として年額二千円、合わせて四千円でございます。
  249. 相澤重明

    相澤重明君 まあいま青少年の不良化防止ということは、たいへん世の中で騒がれておる。こういう問題については保護司等を通じて、あるいは協力委員を通じてやっておりますが、一般の民間で非常に困っておる家庭、そういう人たちの相談は民生委員あるいはこれを兼ねておる児童委員ですね、こういうことからいくと、いまのあなたの御説明のように、あまりにも実はささいなお礼ではないか。こういう点で私ども実は末端においていろいろと相談を受ける立場に立ち、あるいは民生委員を推薦する立場に立つと、一体これでいいのか、こういう気持ちに実はなっておるわけですが、そこでいまのようなささいな年額の報酬をもっと改善するというような気持ちが厚生省にあるのかないのか。これは市長村長から推薦があって、県知事から推薦があって厚生大臣が任命をしても、大臣の確かに委嘱状はもらっても、これは実際にその名にふさわしくないということであっては、貧困の家庭あるいは因っている人たちの相談をされる末端のそういう御苦労願っている人たちに対する報いにはならぬではないか、こういう点が、私ども日常相談を受ける立場では持つわけなんです。そこで厚生省としてはそういう点についての改善の意見があるかないか、これをひとつお尋ねしておきたい。もし四十一年度の予算にもそういう点があれば、ひとつお聞かせをいただきたい。
  250. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) お話のように、私も現地を回りますと、至るところでこの問題を聞かされました。ほとんど例外なしでございまして、できますれば、従来長い間社会奉仕という面に力点を置きましてこの制度が発達したのでございますけれども、現在の段階では社会奉仕という形ではあまりに仕事の部類、その他がふえてまいりまして、たいへん民生委員の皆さま方に御苦労をかけておりますので、何とかして給与の点等、手当の改善をはかりたいと思いまして、いろいろ工夫いたしましたのですが、今年の予算には残念ながら増額は見られませんでしたけれども、はなはだどうも笑い話になるかもしれませんけれども、去年の十一月に民生委員の改選がございまして、その際、せめて厚生大臣から、やめられる方には、長らく御苦労でございましたと、感謝の気持ちくらいは国としてなすべきではないだろうかということから、たいへんささいではございますけれども、二回以上おつとめになってやめられる方には大臣から感謝状を贈りまして、せめてものあれとしたのでございますが、今後重々ひとつこの点には努力したいと存じております。
  251. 相澤重明

    相澤重明君 いま一つは、人口の分布状態によってもだいぶ違ってくるわけです。都道府県の定数というものも出てくるわけです。私はやはり今日のような社会情勢になると、現在の定数では少な過ぎるような気がする。ということは、受け持ち範囲が広過ぎる。こういう点は私は横浜に住んでおりますから、特にそういう感を深くするわけです。ですから、そういう点についても再検討をされることを望みたいと思うのですが、政府で昨年は若干の改正をしました。若干の定員の増加をいたしましたけれども、まだ実情から見ると私は非常に少ないような気がするわけです。そういう点を厚生省で御討議になったことがあるのか、それともお考えがあるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  252. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 御指摘のように民生委員、児童委員の定数につきましては、地方の人口に対する基準でやっているわけでございますけれども、特に東京、横浜等大都会におきましては団地等急速にふえてまいっておりますが、そういった面につきましての民生委員の定数は必ずしも増加していない、こういう状況であったわけでございます。厚生省としましても昨年の改選にあたりましては、こういう大都市を中心にしてできるだけ増加してもらいたいということを要望しておったわけでございますが、昨年の十一月の改選では従来よりは若干改善をみたという程度でございます。今後とも努力いたしたいと思います。
  253. 相澤重明

    相澤重明君 最後に、これは私ども議員立法の問題ですが、優生保護法第十四条、この前医務局長にもちょっとお話をしましたが、この人工妊娠中絶等の問題は大事なことでありますけれども、現在の法律上から考えると、都道府県の医師会長が認定をして指定をする、この問題について地域、条件によってはなかなか政府の考えておるような立場を医師会はとっていない。こういう面があるのではないかと思う。そこでわれわれの議員立法でありますから、議員自身がまた考えなければならぬ問題もありますが、法律というものは実施してみて悪ければ直す必要もあると思う。現在まで厚生省としてこの法律実施に当たって、そういう面がいままで考えられたかどうか、あるいはそういうことがあったのかなかったのか、こういう点についてまず最初にひとつ聞いておきたい。
  254. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 直接現在私所管しておりませんけれども、前の関係がございますので、現実の問題といたしましては、しばしばその扱いに不公平を見ているという例を聞くことはございますけれども、私どものほうまで都道府県あるいは医師会等の方面から、この運用をぜひとも改めなければならぬというほどの強い意向は出てまいったことはございません。したがって、私どもいままでその指定の方法について改正の検討はいたしたことがないと存じております。
  255. 相澤重明

    相澤重明君 私は現実にそういう問題を見ているわけなんでありますが、たとえば都道府県の中でAの県ではその医師に対して認定をして指定をされた、今度はその医師が他の府県に移動をした場合、その場合にまたその地域都道府県の医師会長の認定になるわけです。ですから、これは単にその人だけでなくて、その医療の施設あるいは地域、こういうものとあわせてその人に対して出るわけだと私は思うのでありますが、その場合に、前の都道府県ではたとえばなっても、今度移動をした場合にそれはその地域の条件で認めない、こういうことがその人に対して行なわれるかどうか。いわゆる施設地域、条件等がそろっておれば、当然そのことは同じ政府関係として、いわゆる医師の資格を持った者が適法に申請された場合にそれが出せるのか出せないのか、こういう点については一度伺っておかなければならぬことだと思うのです。いかがですか。
  256. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 実は従来あまり考えておりませんでしたので、十分に推敲いたしておりませんが、これは都道府県の区域を地域とする医師会の認定でございますので、おそらくその地域における通用である、これが都道府県知事に登録するというようなことで、国の権限が都道府県にまかしてある場合には、それはどこへ行っても通用いたすと思いますけれども、これは国の機関としての都道府県知事に届け出あるいは都道府県の認定というようなことでございませんので、おそらくその地域の医師会の認定した地域内の権能であろうと存じております。もし間違っておりましたら、後刻訂正させていただきます。
  257. 相澤重明

    相澤重明君 法律の趣旨はそういうことなんです。ところが私がおそれるのは、国民の健康を守る、国民のいわゆる母体を守る、こういう重大な問題からいけば、医師会の権力争いではない、医師の権力争いではないいわゆるそういう純然たる医学上の立場、人道上の立場からわれわれは法律というものを考えなければならぬし、運用も考えていかなければならぬということになると、私もいま局長答弁のように法律上の解釈は制定の当時の経緯から見て言えると思うのです。それが妥当であるかどうかという点は、やはり今日の時点に立ってみると、私はやはり考えなければいけないのじゃないか、こういうように思うわけです。そういう点でこれはむしろひとつきょうは政務次官も出席しておりますから、大臣とも相談して、私は純然たる医学的立場あるいは人道上の立場、医療行政の立場からそういう点は考えていくべきじめ、ないか、こういう点を持つわけなんでありまして、御検討をひとつ願っておきたい。直接の担当は医務局長ではございませんが、やはりお互いに省の首脳部でありますから、十分そういう点を検討して、単に地域の条件が違ったら、それはもうその人自身がいままで持っておるものを使うことができないということが少し私は法律上の運用としては問題があるのじゃないか、残るのじゃないか、こういうように考えられるわけです。そういう点でひとつ御検討を願っておきたいと思うのですが、政務次官の答弁を聞いて終わりたいと思います。
  258. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 私この問題は、ただいまお話ございましたですが、つまびらかでございませんので、お話の趣旨をよく帰りまして大臣にもお伝えし、今後検討してみたいと思います。
  259. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 他に御発言でなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会      —————・—————