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説明員(大塚基弘君) 御質問の件でございますが、予算
委員会で厚生大臣と人事院総裁との間で御
指摘のあった点につきましては、人事院は
調査をいたしますということでございましたし、先国会の本
委員会におきましても、一度御質問がありまして、
調査の
状況につきまして御
報告をしろ、こういうことでございました。なお、その当時は
調査が全部完了しておりませんでしたので、なお
調査を継続中であるとこう申したわけでございます。もちろん、ただいまの
段階においては、御
指摘の件に関する一応の人事院としては
調査を終わっております。簡単にそれを御
報告申し上げます。
まず、予算
委員会では、元
厚生省の職員であった四名の方が問題になったわけでございますが、そのうち一番日時の古い三十五年十二月に退職をされて、中外製薬に就職をされた喜谷氏の場合、当時製薬
課長でございましたが、この方に関しましては、その後明らかになりましたように、当時は人事院の百三条の営利企業就職に関する
申請の承認の基準といたしましては、三十八年の法改正以前でございましたので、一時的に喜谷さんの場合のような社長室付というようなポストに関しては、百三条の規定の営利企業における地位ではないというこういう判断をいたしまして、職員
課長名をもってそういうことを
厚生省に答えておきました。この件に関しては、人事院としては、当時といたしましては、承認の
申請による審査は必要でないと考えたわけでございます。その後、三名の方に関しましては、厚生側から百三条にかかわる
申請がございませんでしたということでございまして、この三名の方に関して
調査をいたしたわけでございます。その三名の方のまずつかれた地位でございますが、元
監視課長の市村孝夫さんは、明治製菓の
調査研究的事項を担当の嘱託につかれました。次に麻薬第二
課長をやっておりました五十嵐吉久氏は理研ビタミン油株式
会社の市場
調査担当の参事につかれたわけです。それから三人目の方である平瀬整爾氏は当時製薬
課長であったわけですが、この方は藤沢薬品工業の
調査研究的な事項担当の社長室付というポストにつかれたわけでございます。いずれも当時つかれたときのポストでございます。
ところで、これらの営利企業と三者の
会社と
厚生省との
関係は、市村さんの場合は、明治製菓は製菓
会社でございますので、それについての監督官庁としては、農林省の食糧庁
関係でございますけれ
ども、
事業の一部で薬品を製造しておりますために、その部分については
厚生省の監督を受ける、こういうわけでございます。五十嵐さんの場合の理研ビタミン油株式
会社の場合は、同じく食品製造業を主としておりますが、その
事業の一部で局方肝油等を製造いたしているわけでございます。その意味では、
厚生省との
関係はそれほど深いものではないと判断しております。平瀬さんの場合は、藤沢薬品工業で、医薬品の製造販売を営んでおるわけでございます。三者中では最も
厚生省との
関係が深いわけでございます。つきました地位は、いずれも先ほど申しましたように、
調査研究的な事項
関係を担当されておりますので、
厚生省と接触する
関係等を見ますと、それほど直接の
関係は生じない。
厚生省と三人の方々がつかれたそれぞれの
会社の地位との
関係については、それほど密接な直接的な
関係はないと判断されております。
ところで、いま申し上げた三人の方が人事院の承認手続を経ないでこれらの
会社のポストにおつきになったという
事情に関しましては、これも先般来明らかになっておるところでございますけれ
ども、
昭和三十五年の場合の喜谷さんの場合、職員
課長名をもって非該当と回答しておりますので、その非該当のポストに非常に類似したポストにつく場合であるということで、人事院に対しましては、
厚生省側として承認
申請の手続をとらないで処理をなさったということでございます。これらの点につきましては、実は三十九年の四月ごろより、人事院としましては法改正に基づきました新たな審査の方式を一応内部的に定めまして、それらの点については、各省庁にかなりの接触をもって非常に努力をいたしまして、新しい審査方針についての了解を得るようにつとめたわけでありますが、残念ながらいろいろのいきさつから、
厚生省側ではそれらの点の十分の御了解がなかったようでありまして、三十五年の例を踏襲したという形で、その後の三人の方についての
申請をなさらなかったわけであります。われわれとしては、若干遺憾だと言わざるを得ないと思います。
最後に、
あと始末の問題でございますが、いずれも三人の方々は、お一人は就職されました
会社の社長との多少の交友
関係等がありまして就職をされたようでありますが、他のお二人に関しましては、
厚生省側に
会社側よりこうした職員がほしいというふうな申し出があったようでありまして、当時の上司がそれについてのあっせんをなさったと思われます。したがいまして、三人とも当時の職員の立場といたしましては、別に法律の規定を知りながらそれをあえて犯して就職をしたという
事情にはないように思われます。御承知のとおり、法自体には罰則がございまして、一年以下の懲役及び三万円以下の罰金という罰則の規定がございますけれ
ども、これは当の職員であった方に対する罰則でございまして、いまの三件の場合を
調査いたしてみますと、少なくともそれら三人の方々に関しては、御自身ではその罰則を犯してまでどうこうしたというぐあいではない、むしろ人事院に対して承認を
申請すべき立場におられる、これはまあ法律の上でそういう規定になっておるわけでございますけれ
ども、これらの立場におられる
厚生省側の事務担当者の側に、新しい規則改正後の人事院の運用に関しての了解が不十分であったということがありますようなので、われわれとしては、この際罰則を適用するということは考える必要がないのではないか、こう判断いたしました。
つけ加えて申し上げますと、予算
委員会で問題になりました翌日、
厚生省事務次官が人事院事務総長のところへ参りまして、これらの件について遺憾の意を表され、かつ今後は絶対にこのような遺憾な問題が起こらないように、事務担当者を十分督励するという
お話があったわけでございますし、また私が担当しておりますわけですが、官房長あるいは人事
課長と私のところへ参りまして、同様の趣旨を表明されておりますので、人事院といたしましては、今後
厚生省が百三条の
関係において遺憾のないような運営をされることを希望して、離職された三人の方に関する罰則の適用は一応差し控えたい、こう判断いたしました。