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1965-12-27 第51回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十七日(月曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————    委員異動  十二月二十二日     辞任         補欠選任      横川 正市君     達田 龍彦君  十二月二十四日     辞任         補欠選任      高山 恒雄君     瓜生  清君  十二月二十七日     辞任         補欠選任      久保 勘一君     草葉 隆圓君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 道子君     理 事                 佐藤 芳男君                 谷口 慶吉君                 野知 浩之君                 相澤 重明君                 鶴園 哲夫君                 二宮 文造君     委 員                 内田 俊朗君                 川野 三暁君                 久保 勘一君                 熊谷太三郎君                 黒木 利克君                 内藤誉三郎君                 山崎  斉君                 大森 創造君                 岡  三郎君                 佐野 芳雄君                 柴谷  要君                 竹田 現照君                 黒柳  明君                 岩間 正男君                 石本  茂君    国務大臣        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        労 働 大 臣  小平 久雄君    政府委員        厚生政務次官   佐々木義武君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生大臣官房会        計課長      戸澤 政方君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        厚生省保険局長  熊崎 正夫君        社会保険庁医療        保険部長     加藤 威二君        社会保険庁年金        保険部長     網野  智君        労働政務次官   天野 光晴君        労働大臣官房長  和田 勝美君        労働大臣官房会        計課長      上原誠之輔君        労働省労政局長  三治 重信君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省訓練局長  松永 正男君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        会計検査院事務        総局第三局長   佐藤 三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件委員派遣承認要求に関する件 ○昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和三十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十八  年度政府関係機関決算書(第四十八回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第四十八回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 藤原道子

    委員長藤原道子君) それでは、ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告をいたします。  去る十二月二十日、山高しげり君が委員辞任され、その補欠として石本茂君が選任されました。  十二月二十二日、横川正市君が委員辞任され、その補欠として達田龍彦君が選任されました。  また、十二月二十四日、高山恒雄君が委員辞任され、その補欠として瓜生清君が選任されました。     —————————————
  3. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりをいたします。  昭和三十八年度決算外三件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のため、自然休会中に委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地派遣期間等はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書作成等便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 藤原道子

    委員長藤原道子君) これより昭和三十八年度決算外三件を議題といたします。  本日は厚生省及び労働省決算について審査を行ないます。  この際おはかりいたします。当委員会提出されております厚生省及び労働省決算の概要につきましては、口頭報告を省略し、これを本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、会計検査院検査報告につきましても、これを省略し、後日文書をもって提出願うことといたし、これらの報告につきましても会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、厚生大臣及び労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木厚生大臣
  10. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 昭和三十八年度厚生省所管一般会計及び特別会計決算につきましては、お手元に配付いたしました説明書のとおりでございますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  11. 藤原道子

  12. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 本日から労働省所管昭和三十八年度決算につきまして御審議をいただくわけでございますが、決算説明要旨につきましては、御配付申し上げておるとおりでございます。何ぶんよろしくお願い申し上げます。
  13. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 次に、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 私は、緊急質問として、労働厚生大臣に特にこの際お答えを願っておきたいと思うのでありますが、それは日本の海運関係で、全日海の賃金要求に伴う紛争の問題これはわが国産業に、特に外航、内航関係について重要な問題を含んでおるのでありますが、いまだに政府の誠意が十分認められないという形で、実際にこの紛争関係妥結を見ておらないのを私はまことに遺憾だと思います。労働大臣は、この労働者賃金要求等の問題について、どういうサービス省としての立場をとっておるのか。単にこれは運輸省所管だなどということで私は傍観しては相ならぬと、こう思う。いわゆる佐藤内閣自体、しかもその労働者のそういう重要な生活権を持っておる問題についてどう処置をとっておるのか、ひとつお尋ねをしたいと思うのです。  これに関係をして、いま港の労務者生活状態というものは一体どうなっているのか。その中で最もわれわれが人道的に許すことができないのは、売血の問題だと思うのであります。港の港湾労働者が血を売ってその日の生活をしておる。これはまことに許すべからざる問題だ。厚生大臣はこれら港湾労働者生活権について実態を把握しているのかどうか。特に東京弁護士会が、人権擁護の問題として、これら売血の問題について所要処置をとれという申し入れを行なっておることについて、あなたはどういうふうに受け取っておるのか。この点はきわめて重大な問題であるので、予算委員会に御出席のたいへんな時間の多忙なときではありますが、これは特に私が横浜に住んでおる関係で、これらの問題を傍観視するわけにはいかない。厚生大臣労働大臣のそれぞれの所見をひとつ承っておきたいと思うのです。
  15. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 海員ストが非常に長引いてまいっておるということは、まことに遺憾にたえないと存じております。このストが起こりましてから、労働省といたしましても、決して傍観いたしておるわけではございませんが、先生が御指摘のとおり、直接的には運輸省所管に相なっております関係上、労働省が表に出て動くというようなことはむしろいかがなものであろうか、こういうことで、表面的な動きというものはいたしておらないのでございますが、労働行政一般をお預かりしておる、こういう立場から、政府部内におきましては、運輸大臣、さらには官房長官等々と常に相談をいたしておりまして、この問題が一日も早く解決するようにということにつきまして、種々今日まで打ち合わせをいたしてまいっておるのであります。御承知のとおり、船員関係につきましては、船員中労委がございまして、そのあっせん案等も出たわけでございますが、これは組合側においても、あるいは船主側においても、受け入れるところとならなかったわけでございまして、正月に入りましてからさらに第四波でありますかのスト組合側において計画されておるやに伺っておりますが、何と申しましても、海員組合はもう全国一本の組合でありまして、ひとり外航のみならず、内航につきましても同時にストが行なわれるというような関係で、わが国経済全般について、もう輸出関係は申すに及ばず、国内の主産業に対しましても非常な影響があるわけでございますので、私どもといたしましても、これが一日も早く解決することを望んでおるわけでございます。ただし、これはあらためて申し上げるまでもなく、もう労使間の紛争でございますから、政府がこれに介入するということになりますと、これは非常にまた問題があるわけでございまして、直接政府が介入する立場にはないわけであります。そのために中労委等があるわけでございますので、私どもはもちろん原則的には労使の相互の立場を理解した自主的な話し合いによって解決を願うということが一番望ましいことであります。それがどうしてもできないということでありますならば、この中労委の機能というものを十分発揮していただいて、一日も早く解決をしていただきたい、かように望んでおるわけでございます。  なお、港湾労働者のことにつきましては、スト影響というものがもちろんあるわけであります。それを私どもも心配いたしておるわけでございますが、港湾労働者のうちの特に登録されておりまする労働者等につきましては、その影響がなるべく少なくて済むように労働省といたしましても十分配意して努力を重ねておるところでございます。
  16. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 海員スト長期化に伴いまして、港湾労働者その他関連した仕事に働いております労働者諸君がいろいろ生活影響を受けておりますことは、御指摘のとおりでございます。その結果、港湾労務者の中から血を売って生活のかてにしておるという方々が出てきておるということを聞いておるわけでありまして、まことに遺憾な次第であり、また心配をいたしておるところでございます。厚生省といたしましては、できるだけ血液国民の皆さんの御協力による献血によってこれをまかなっていきたいということを基本的な方針として、これを推進いたしておるわけでありますが、まだ残念ながらこの献血運動十分成果をおさめておりません。現在のところ三〇%程度をわずかに献血によってまかなっておるという現況でございまして、売血に依存する度合いが高い、現在でもなお五九%程度売血によってまかなっておるという現況でございます。私どもは、この献血運動献血の意味を十分国民認識徹底をはかりまして、できるだけ早く献血によって血液問題が解決できまするようにしてまいりたいと考えておるわけであります。血清肝炎の問題、その他いろいろな弊害がここに出てきております。  先般東京弁護士会から、売血に対しまして建議書が出ております。その趣旨は私どももまさに同感であり、そういう方向政府努力してきたところであり、今後も努力してまいりたいと考えております。特に月に一回四百ccの採血をしておるということは、学問的には必ずしもこれは弊害があるという断定はできないようでございますけれども、やはり一般献血の場合と同じように月一回二百cc程度にとどめることが妥当である。こう考えておりまして、所要改善措置を講じたいと考えております。また、商業血液銀行の監査、取り締まり等につきましても、十分徹底をはかって、売血による弊害をなくするように、そうして一日も早く献血によって血液がまかなわれますようにしてまいりたいと考えております。  私は、ただいま労働大臣も申されましたように、海員ストが一日も早く円満な妥結を見まして、それに伴う売血というような事態が港に横行しないようになりますことを念願をいたしておる次第であります。
  17. 藤原道子

    委員長藤原道子君) おはかりいたしますが、労働大臣厚生大臣予算委員会のほうの要請がございますので退席していただきますので、御了解願います。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 関係次官局長、最初に労働省に、いま労働大臣が、海員ストライキについて、まだ解決しないのは遺憾である、こういう御答弁をされたのですが、現実に全日海という海員組合組合員数は幾人ですか、それから具体的にこの海員ストライキによる影響を受けている港湾労働者は幾人ですか、私はそれからひとつ労働省に聞いておきたいと思うのです。
  19. 三治重信

    政府委員三治重信君) 海員組合全国組合員数は約十二、三万人でございます。
  20. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 今回の海員ストによる港湾労働影響でございますが、御承知のように、港湾労働者は常用と日雇いに分かれておりますが、六大港だけで、常雇いが約六万、日雇いが三万五千、十万近くございます。九十二港の合計をいたしますと、日雇い常雇いと合わせまして十三、四万ございます。で、最も影響の大きいのは、何といっても六大港でございますが、六大港中心にしまして影響を考えますと、常雇いは大体別といたしまして、日雇いの問題といたしましては、約三万五千の日雇いのうち二万八千五百名が、先ほど大臣が申しました行政登録という形で職安に登録をされて、日々港湾労働に紹介されておるわけでございますが、これらの登録労働者につきまして、影響を第一次スト以来ずっと見ておるわけでございますが、大体一番ひどいときには約四割のあぶれが出ております。平均いたしまして、三波ストを通じまして三割程度のあぶれが出てまいっております。もちろんこのほかに、登録をしておらない、いわゆる名称はよくございませんが、アンコとか風太郎というのがございますが、これらに相当のしわ寄せがきておる。これはなかなかわれわれで測定ができないんですが、登録の分についても三割前後の影響が出ておりますので、その外縁にありまするいまの日雇い労働者については相当のしわ寄せ影響が出てきているんではないか。今日までのところ、まず失業保険の支給によってこの登録労働者についてはあぶれ時の生活の保障を考えております。さらに失対就労適格者がこの中には約千五百名ほどございますので、そういった方々は失対のほうへ就労あっせんをいたしております。さらに民間の就労あっせんも積極的にいたしております。また、港別に多少のニュアンスがございますが、東京あたりでは都営の単独事業を行ないまして、約千二百名の就労ワクでもってあぶれ労働者の吸収をいたしております。横浜では、御承知のように、社会福祉協会から一人当たり千円の貸し付け金をいたしておりますが、この実績が現在までのところ二百八十名という実績が出ております。かような次第で、第三波ストまではとにかく影響最小限度に食いとめる努力をしてまいりましたが、四波ストになりますと、御承知のように、日雇い保険の、過去における就労実績が一波、三波の影響でだいぶ欠けてまいりますので、この辺から相当深刻な影響が出てくるのではないか、こういうふうに観測をいたしまして、さらに一段とその対策を強化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 いまの港湾に従事しておる常雇いあるいは日雇い約十三万人余という御説明をいただいたんですが、労働者ばかりでなくて、沿岸荷役等を行なう人たちを含んだ、いわゆる船を持っておる人たちはどのくらいの人数がおるかということを御承知ですか。
  22. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 事業主のほうでございますか。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 ええ。
  24. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 六大港について申し上げますと、事業者の実数が千百三でございます。で、これを一般船内はしけ沿岸イカダ、こういうふうな事業種類別免許事業者数に分けて申し上げますと、一般が三百四十四、船内が二百七十七、はしけが四百十七、沿岸が六百六十、イカダが五十八、合計いたしますと千七百五十六ということで、一業者が二種類以上の事業免許を持っておるという計算になっております。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 いまそういうはしけ等を持っておる事業者というものはどういう状態になっておるかということを御存じですか。この海員ストライキ影響を受けてどんなふうになっているのか。
  26. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 私もこの業者のほうの実態は詳細につかんでおりませんが、先生承知のように、停船の状態でございますので、はしけ等は一切とまっておる——船だまりになってとまっておるという写真をよく見ておりますが、事業者の側も非常に困っておるという事情にあると思います。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 私は、そういう政府答弁が、なまぬるい政治のあり方というものを実は憤っているわけなんです。そんな状態ではない。すでにこの海員組合ストライキ影響によって一ぱい船主あるいは二はいを持っておる船主が維持ができない。仕事がないんだから、船を売らなきゃならぬ。船をつくったその時価から考えて、まだ借金が残っておるのに、その船を安くたたき売らなければ自分生活ができない。船を売ってしまうから、今度はそこに働いておる労働者というものは当然失業する。その失業した人たちの多くの人がいま血を売っておるということなんです。海員ストライキはたいへん遺憾でございますという、遺憾でございますと言って答弁をしておる政府の者はいいかもしれぬけれども、港でもって営業しておる、生活をしておるこの事業者諸君は、この暮れに迫って、第三次ストライキまでいま目前にして、船を自分が売って生活しなきゃならぬ。その船を売られた者は、今度は働く場所を失って、血を売って生活をしなきゃならぬ。この苦しみというものがわかりますか。私は、少なくとも、海員組合十二万人、沿岸労働者沖仲士を含んで十二、三万人というだけじゃないんです。これは、その関連する産業の多くの人たちが、いまみんなこの問題でもって悩んでおるわけです。これを私は、佐藤内閣自体が考えなければいかぬし、内閣自体がなまぬるい政治の姿勢にあるから、こういうふうな問題が解決できない、こういうふうに私は思うんです。特に労働者サービスセンターであるところの労働省が、この労働者実態というものを把握しなければ私はならぬと、こう思う。それを私は言っているわけなんです。  そこで、厚生省一つお尋ねをしたいんですが、先ほど大臣は、鈴木善幸さんは、とにかく売血ということはよいことでないから献血運動をやりたい、献血運動によってこのいわゆる輸血の問題はひとつ解決をしていきたい、こういう話があったけれども一体具体的に関係法律規則というものはどういうふうにこれを改正していこうとするのか。先ほどの、東京弁護士会建議書を出しておるが、その建議書に基づいてあなた方はどう一体、その東京弁護士会——東弁が出しておるところの建議書を御検討なさったのか。あなたの手元建議書があるでしょう。どうやったならば一体法律上あるいは規則上これを政府として直して、そうしてそういういわゆる売血というものをなくして、人体の影響というものを少なくしていくのか、あるいはそういう港湾労働者等のそういう悲惨な問題というものをなくしていくのか、人権問題をなくしていくのか、こういうことについてひとつ具体的に御答弁願いたい。
  28. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほど大臣から、東京弁護士会建議書に対する見解は御披瀝がございましたが、具体的にそれに対する法律的な改正問題等に関してどういうふうな検討を進めているかというお話でありますが、御承知のように、この建議書は大きくは二つ問題がございまして、一つは根本的な改正問題でございます。もう一つは、その根本的な改正に至る経過措置といたしまして、どういうふうなことがとりあえず必要かという、二つに分かれております。  そこで、根本問題は、大臣からお話がございましたとおりで、厚生省といたしましては、あくまでも献血中心にいたしまして、将来はそれ一本でもっていきたいという観点は変わっておりません。ただ、即座にそれに入ります場合には、血そのものが足りなくなりまして、患者等に不測の災いを生じますので、その間経過措置を必要といたしますので、その経過措置に対していかなる施策をとるかという問題になろうかと思います。大体弁護士会建議書暫定措置といたしましては、三点ございまして、一つは、先ほどもお話がございました、一日一月一回二百CC、これを採血及び供血あっせん業取締法及び同施行規則に明確に規定したらどうかという提案でございます。これは、もちろんそうするのが望ましいのでございまして、ただいまそういう方向に向かいまして検討を加えつつございます。  それから第二点は、同取締法の第三条第二項のただし書きを削除したらどうか。このただし書きと申しますのは、要するに廃血——要らなくなりました、あるいは不適当な血を他のものに流用する際の規定でございますが、それに際しまして、そのただし書きを削除したらどうかという建議でございます。これに関しましても、誤用等のないように行政指導の適正をもって臨みたいという考えでございます。  第三番目は、商業血液銀行等に関する行政指導の問題でございますが、これを厳重にやるべきであるという提案に対しましては、全く同感でございますので、ただいま趣旨に沿うように鋭意努力中でございます。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、いまの東京弁護士会建議書に対しては、政府はその趣旨に沿って実現方を考えておる。それは、そういうことについて、そういうふうなことは、もう政府間においても話し合いがされたことなんですか。ただ厚生省が、あなたが次官として、まあ大臣の御答弁に沿ってそういうふうな努力をするというこの国会限りの答弁であっては、私は了承できないわけです。したがって、このいわゆる法律並びに施行規則等に基づいたこの申し入れ書について、直すというのなら、それではいつからそういうことを政府としてはやるのだという時期等についてひとつ御明確にお答えをいただきたいし、それをやるにはこうしなければいかぬという具体的な考え方を厚生省が持っておらなければ私はできないと思う。  そこでひとつお答えをいただきたいのですが、この現在の採血というものは、血をとっておるのはどのくらい全国であるのですか、また必要量はどのくらいなんですか、まずそれをお答えをいただきたいと思うのです。
  30. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 第一点の、先ほど政務次官からも御答弁申し上げました、東京弁護士会建議に対するわれわれの考え方でございますが、これにつきましては、含まれている問題のそれぞれがいろいろ各方面から検討をしなければならぬことは、先生おっしゃるとおりでございますので、基本方針としては、大臣なり政務次官から申し上げたとおりの方針で、ただいま検討を進めるというところに来ているわけでございます。ただ、その際、これを東京弁護士会建議書のとおりにかりに実施するにいたしましても、御指摘のように、いろいろなところの問題点を調整する必要があるわけでございます。したがいまして、たとえば民間の商業血液銀行のほうとも、いろいろわれわれ行政指導なり監督をいたしております関係上からして、そういうところの民間商業血液銀行あたりでも、十分この問題について事態をよく認識して、反省し、自粛すべき点は自粛していくと、こういうようなことを考えてもらう必要があるわけでございますので、先般来から血液銀行の関係団体にこのような趣旨の申し入れもやりました。商業血液銀行の団体自身が、年明けますと、それに一つ方向を出してまいるようでございます。その方向をわれわれ十分見た上で、実施時期等について最終的な決断を下していこう、こういう考え方でいるわけでございます。したがいまして、方向としましては、先ほど来から大臣、政務次官が申し上げておりますような方向で、この東京弁護士会建議書は受け取っていきたい、こういう気持ちでいるわけでございます。  それから第二のお尋ねの、現在の血液の必要量でございますが、大体過去二、三年来の実績等を勘案いたしますと、日本における保存血液の総必要量といいますのは、私どもは大体五十万リッター前後であろうと——大体最低は四十四、五万リッターから、多くとも六十万リッターあればだいじょうぶだ、大体平均しまして五十万リッターあればだいじょうぶじゃなかろうか、こういうことでこの問題を考えているわけでございます。  現在の採血の状況でございますが、冒頭に大臣からも申し上げましたように、現在は献血は三〇%ぐらいのところまで伸びてきているわけでございまして、この三〇%ぐらいの状況で今後年間進みますならば、先ほど申し上げましたような必要量はほぼ充足できるのじゃなかろうか、こういう考え方でいるわけでございます。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 いまの御答弁聞いておると、まあ献血運動がいまの約一〇%前後のものが三〇%前後に上昇してきた、したがって年間四十五万程度のものがまあ五十万程度で、あるいはもっと交通戦争とも言われるいまのような非常な事故の多い中では輸血も多い、したがって必要量見込めば多くとも六十万リッターぐらいは必要であろう、こういう見方なんですね。それでいけますか。現在の売血の状況、先ほど厚生大臣答弁されたことからいって、いまの献血運動が三〇%程度で、それでもっていまのたとえば五十万なり六十万リッターの場合の確保できますか、需要が。どういうふうにやって確保するのか、具体的にひとつ説明してくださいよ。ただあなたのそういう見込みだけを言われても、そんなことで私はぴんとこない。なぜこないかといえば、一つには、自分献血をしたものが一体どういうところに使われるかということが、まずこの献血する者は知りたいのですよ。それがわかっていない。どこへ使われるかわからない。ここに私はいまの献血運動というものが発展しないところがあると思う。私も実は日本赤十字のそのほうの関係者なんですよ。私もそういう点を思っているのです。だから、私はむしろ、献血運動、輸血運動を盛んにやらなければいかぬと、こう思っているのです。それをやらなければ、いまの売血制度というものが、これはなくそうと思ってもなくすことはできない。自分一体献血したものはどこにいくのだ、だれに使われるか、いまの預血制度というものはきわめて貧弱なパーセンテージしか出ておりませんけれども、私はむしろ自分の血というものはだれのために使われるのだということが明らかになれば、みんな喜んで出してくれると思う。どこへいっているかわからない。ひとつ現在まであなたがいま答弁された献血されたものは、一体どこにどういうふうに使われたかということを御説明いただきたい。
  32. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 先ほどの御質問でことば足らずであるいは誤解を招いたかと思います。献血の量だけから申し上げますと、三〇%ぐらいの量を現在きめているわけでございますが、申し上げました五十万リットルと申しますのは、決してこれは献血だけの量ではございませんので、献血とそれから現在言われております預血、それからただいま問題になっております有償供血たるいわゆる売血、この三者を合わせまして私どもは四十年度は大体五十万リットルぐらいの目標を立てている、こういうことでございます。したがいまして、献血だけの量を大体どのくらい見込んでいるかという点でございますが、献血だけでございましたら五十万リットルのうち、大体十五万リットルぐらいを献血の量として見込んでいるわけでございます。残りが預血と売血である、こういう点でございます。ことば足らずで失礼いたしました。  それからただいま御指摘の日本赤十字社でやっております献血された血液が、どういう方向に使用されているのかということでございますが、これは私どもとしましては、献血自体が先生御存じのように不特定の人に血液を無償で供血するというのが、献血制度の趣旨でございますので、どこどこにこれがいっているというふうに、確実に行くえを追求はできないわけでございますが、御存じのように、日本赤十字社が中心、あるいは一部地方公共団体等やっておりますが、この献血された血液というものは、それぞれ国内の病院等に十分役立てられるように使用をされている、こういうことしか申し上げられないわけでございまして、ここに自分の血がどこどこのだれに個人的に使用されたかというところまでは、われわれは追求はできていないわけでございます。ただ一般的に日本赤十字社等でやりましたこのたっとい一般国民の善意に基づく血液でございますので、病院等に日本赤十字社等が契約を結びまして、善意に基づくありがたい血液であるというような意味からして、有効な、しかも適正な使用をしてもらっていると、われわれはこういうふうに考えておるわけでございます。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 まあ一つの宣伝的なことを聞いておきたいのですが、たとえば献血運動の街頭車を出すというような場合も、これは日赤等ではやっているわけですね。街頭に進出して献血を受けておる、そういうようなことは全国でどのくらいあるのですか。そういう車は実際にどういうふうに、どのくらいの金をかけて、どのくらいの台数を持っているのですか。
  34. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) いま先生お尋ねの点は、街頭等に出回って採血しているという意味のことだろうと思いますが、大体一般の街頭等に出回って採血しているのは、われわれのほうのことばで申しますと移動採血車ということであろうかと思いますが、移動採血車と言われまして、日赤等のいわゆる拠点たるべきセンターからこの移動採血車を派遣しまして、しかるべき採血の要望があったところに定期的に回っているわけでございますが、この移動採血車の現在の状況でございますが、昨年、閣議決定をいたす前までは、先生御存じのように、非常にこの移動採血車の台数が少なかったわけでございますが、閣議決定されて以来、急速にこの採血車の整備というものを行ないまして、一年間に全国的に見ますると、各都道府県ごとに、少なくともこの採血車がないというところはないように整備をしてきたというわけでございまして、現在のところ五十台くらいの移動採血車が、全国的に運用をされているという状況でございます。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 どうもはっきりしない。五十台くらいというそういう統計があるのですか、あなたのほうで。実際に移動採血車がどこの県には、どこの日赤の支部には何台持っているということがあるのですか。
  36. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 全部私どものほうで承知しております。したがいまして、正確に申し上げますと、各県ごとに一台でございます。それから北海道が三台、東京が二台、神奈川県が二台でございますので、合計五十台、こういうことになっております。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 それで、その採血車についての資金というものは、あなたは先ほど閣議決定されてから非常に多く購入するようになった。そうすると、政府でもってその資金というものはどういうふうにしたのですか。どういうふうに出しておるんですか。
  38. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 昨年の八月に行なわれました閣議決定の際には、予備費を支出いたしまして、採血車の増を見たわけでございます。したがいまして、今日のところ、いま申しましたように五十台というものが整備されているわけでございます。これは昨年までは、日本赤十字社のほうに、われわれ厚生省のほうから、それぞれ年間必要な経費を補助しまして、日赤のほうで整備をしてきたわけでございます。そこで、昨年閣議決定の際に、先ほど申しましたように、八千万円の予備費を支出しまして移動採血車等を整備してきた、こういう現状になっているわけでございます。今後は、こういうような採血車等の増設がいろいろ必要になってまいるわけでございますので、今後はこういうような採血車の整備に必要な経費というものを、いろいろ各方面の協力によりまして、融資等の措置によって整備をしていく、こういう考え方でいるわけでございます。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 いま少し政府は、実際のそういう趣旨に、もし政府がお考えがあるなら予算的に考えていかなければならぬと思うのですよ。実際に各都道府県でどのくらいの苦労をしてこの車を買っているかということは、あなた方は実際知らぬでしょう、私ども日赤の関係者としては、ずいぶんこれは苦労しているんですよ。いま少しそういう点に対する、私はこの献血運動そのものは、売血制度というもの、これをなくして、社会悪をなくしていくためにはどうしていかなければならぬか、こういう点に力を入れるならば、政府が、もっと施策そのものが前向きでなければ私はいかぬと思う。  それじゃあお尋ねしますが、四十一年度は厚生省としてはどのくらいの予算をこういう面に使うつもりなんですか、いま要求しているでしょうが、あなたはどのくらい要求しているんですか、四十一年度は。
  40. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 四十一年度予算には、実は国のほうの経済は予定をしておりません。すべて融資その他によって移動採血車等の整備をはかっていく、こういう考え方でおるわけであります。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官、いまの答弁いかがですか。私は先ほど申し上げた、法律規則等を実際に政府国民のこの重要な人体を守るという立場で、しかも一方において売血のために中には命を落とす者もある。しかもその売られた血が実際に使われたときに、大きな欠陥というものが医学上出ておるのでしょう、統計上個々に。そういう点から考えて、やはり法律上あるいは施行規則上、あなたのほうでは先ほどの答弁のいわゆる東京弁護士会建議書についてもそれをそのとおり直していくといいながら、予算には四十一年度一銭も、そういう問題についてはたとえば採血移動車については考えておりませんという答弁であっては、私はちっとも直すべく気がないということだと思うんですね。一体どうしてくれるんです。これは国民の問題だから、国民の問題で君たちがやれ、都道府県で君たちがやれ、こういうことでは、あまりにも政府は無策すぎるんじゃないですか。私はいまの三〇%のものをもっと少なくとも五〇%や六〇%にするというのが政府の考え方でしょう、基本的には。あなた方のほうでは七〇%にすると言っているんじゃないですか。言っているけれども、実際にそういろ仕事をやる金を出すことも、仕事をやることも君たち地方でやりなさい。政府は精神的な訓示だけをしておきます。精神的な訓示だけで何ができるのだ、一体。私はこの点についても、明らかに厚生省のいわゆる献血運動そのものに対する熱意の欠除だと思うのですよ。これはいまの局長答弁だけを聞いておったのでは腹が立ってくるから、これはひとつ次官のほうからお答えをいただきたい。どうするんだ。
  42. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほど私から法律的な面を申し上げましたが、その際、問題になっておりますように、主として法的な規制をどうするかという問題と、実際に採血する等の際に、問題は国民の協力なしにはできない問題でございますので、こういういわば国民の自覚、協力というものをどうしたらよろしいかという問題が主だと思います。そこでその両面から考えてみますと、予算というものをそれではどういうふうにかみ合わしていくかという問題になるわけですが、私は先ほど局長からお話ございましたように、そういう問題に対する予算的な問題は、移動車等が主でございますので、そういうものの整備に関しては、金隔面でもしまかない得るものであればそれでまず各地方別に整備していく。どうしてもそういう面ではまかないきれないという際には、当然予算としてこれを盛るべきだというふうに考えております。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 だから政務次官、あなたは政治家でしょうが。選挙をやりて出てきた身でしょうが。政治家の前向きの姿勢は、金を貸すからお前たちそれをつくってやれというんじゃないわけですよ。献血運動やりなさいという訓示をしただけでは献血運動はやれないんだよ。具体的に政府がそういう法律なり規則なりを改正をするというお考えがあるなら、私はそういうふうに予算面でもあるいは定員の面でも考え直さなけりゃならぬでしょう。厚生省の定員は実際少ないでしょう。こういう面に当たる人間が。そういうことをいわゆる行政管理庁から各省の定員というものはふやしちゃいかぬとこう言われるから、そのほうだけが頭に来ちゃって、実際の仕事はできないという実態になっているでしょう。私はそれはいかぬと思うんです。やっぱり必要なものは遠慮なくものをいって、そうしてそれだけの措置をするということが、国民に対するほんとうの奉仕じゃないですか。これはまあ少しことばが強すぎるかもしれぬけれども、私はいまのたとえば移動採血車の問題についても、実際にあなた方のやらしているのは都道府県の日赤支部にやらしているのじゃないですか、われわれが下でやっているのですよ。幾ら金を出しているのですか、あなた方。予算に一銭も計上しないで、それでもってもし必要とあらばお金を貸しましょう、金融のあっせんをしましよう、金融のあっせんをしたってただじゃないですよ、あなた。そういうことであってはいけないと思うのです。  次に、私がお尋ねしたいのは、売血制度をなくすということなんです。今日まで売血制度によって八〇%なり九〇%をまかなってきたということですね、今日までは。そのうち、一体その血を買ったものがどのくらいの率で実際に活用されましたか、輸血にどのくらい使われましたか、実際に輸血に使われないで、そうしてこれはもう廃血にしなければならぬと、こういうものはどのくらいあったのですか、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  44. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 御指摘のように、供血、献血の場合も同じでございますが、採血をする際、すべての人が合格をするわけじゃないのでございます。いわゆる採血の合格率というのは、過去の経緯を見ましても非常に低いわけでございます。したがいまして、たとえば三十九年、昨年の調査事項でございますが、昨年の実績を見ますると、大体採血した場合の合格率と申しますのは五四%ぐらいになっております。したがいまして、逆に申し上げますと、四六%程度の人が採血基準に合わないということで不合格になっている、こういう状況でございます。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 一体そのいいのと使えないのとといういまのパーセンテージの発表なんですが、そうすると、その使えないというのはどうしたのですか、どうなったのですか。
  46. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 薬務局長に申し上げます。もう少しはっきりとした誠意のある答弁をしてください。言い逃がれればいいというわけじゃないのです。
  47. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 合格いたしました血液は、全部献血として先ほど申しましたように有効な使い方をしているわけでございますが、不合格になった血液といいますのは、御存じのように、廃棄するのがたてまえでございます。ただ廃棄する際に、現在のたてまえ上、特例的に血液製剤等に回すということは、一部許されているわけでございます。したがいまして、そういうような血液製剤に回している分があることは事実でございます。ただ、その血液製剤にほんとうにどのくらいの量が回っているかということについては、私どものところでいま現在のところ確実なデータを持っていないのでございます。——先生お尋ねの点、私勘違いしておりましたが、血液のいわゆる廃棄率という点であろうかと思います。この点は私どものほうで現在とっておりますデータによりますと、大体全体の採血した血液のうちの五%程度でございます。この分が廃棄されているということになっております。
  48. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと関連して。それじゃそれはあなたのほうの調査ですか、これは報告か、報告を受けたものでつくっているのですか、調査しているのですか、それがまず一つ。  それからみんな廃棄と言っていますけれども、廃棄じゃないじゃないですか、これは。実際はまあ乾燥血漿に使う、それからシャボンに使っている、石けんに。そうじゃないですか。そういう実態をあなた調べないで、単なる廃棄したなどという報告だけで、それを受けてここで答弁していたんじゃ実態から全くはずれてしまうのですよ。だから調査する機関がないのかどうか。さらにそれによってちゃんと統計がつくられているのかどうか。調査のないところのそういう政治というのはあり得ないんだ、そこから始まってんだから。これはどうなんだ。その点が非常にあいまいだと思います。  それからもう一つは、採血をする基準ですね、どういう検査をしてから採血をするのか。採血に合格したと、こう言ってるけれども、合格をきめるときの基準というものは、一体どういうことが基準になっておるのか。これはちゃんときまっておると思うんだけれども、この法律が守られているのかどうか。実施面において、はたしてこれが厳正にあなたたちの監督の指揮下にあるのかどうか。その点を明確にやっぱりしないとたいへんだ。私は関連だから、あとで詳しく聞くけれども、とにかくいまの点を明確にあなた答えなさい。いかがですか。
  49. 藤原道子

    委員長藤原道子君) あわせて、前に不合格品を化粧品に回してましたね、それらに対する処置もその後どうなっているか、あわせて御答弁してください。
  50. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 廃棄率は五%ということを申し上げましたが、これは各県からの私ども報告を全部とっておりますので、それに基づきました数字でございます。  それから、この廃棄率の五%はほとんどのものが事実上廃棄していると、こういうような報告になっているわけでございます。いま東京弁護士会等で問題にされております、化粧品に再生しているじゃないかというような点につきましては、われわれも調査をいたしているわけでございますが、現在までのところ確実にデータをつかめませんが、ごく微量であると、化粧品に回している分はごく量が少ないと、こういうことになっているようでございます。  それから、採血する際の採血基準等でございますが、これは法令上規定がございまして、健康診断等をやることになっているわけでございます。その際、特にただいまの問題点と関連がある点として申し上げておきたい点は、血液の比重検査でございます。これはどこの血液銀行でも厳格にやっていると、またやらすように指導しているわけでございます。それから体重の検査、それから血圧の検査、これはもちろん法令に根拠のある年齢等、あるいは女性の場合、妊娠の有無、そういうようなことについて法令で規定ある事項について一応検査をしている、こういう状況でございます。
  51. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つ。いまの検査で、やっぱり血清肝炎なんかの関係で非常におそろしいのは、肝臓病をやったことがあるかどうか。これは一番直接くる問題だと思うんです。そのほかにいろいろ内部疾患を起こして、いままで既往症があった場合、ない場合、これは非常に血液の性質が変わってくるわけだ。そういう場合に、事前に調査をし、健康診断のように血圧とか、それからその他の体重測定ぐらいじゃわからないわけでしょう。これをやらないでとってしまうんですか。これは単にもう話を聞いたぐらいで、こういうことを既往症が、たとえばいままで肝臓病をやったことがあるのかどうか、ないと言えばそれでそのままになってしまうんじゃないですか。どうですか。うそを売血の場合なんかだったら、当人があると言ったら売れないにきまってんだから、ないと言うにきまってんだ。そういうような点についてはどんな指導をし、どういう調査をしているか。あなたたち、報告だけでいまの答弁してるんだが、きつきも言ったように、報告だけじゃ話にならぬでしょう。これは人命に関する問題だ。あとで私詳しく聞きますけれども、そういう点から言うと、いまのようなあいまいな答弁では、全くこれは国民の健康は守れないということははっきりしている、そのためにたいへんな被害を受けているんだから。この責任をどうするのだ、これは政府として一体。そういう点から私は聞いているのですが、いまの問題、どうですか。病気の問題についてどういうふうに思うか。それから調査する機関があるのかないのかどうか、この二つ、はっきり言ってください。
  52. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 採決する際に、ただいま御指摘のように、既往症等の有無を確かめることになっているわけでございます。ただ、この点は医師がやる際に既往症の有無を聞くわけでございますが、相手の態度いかんによっては、これを確認する方法がまあ必要になっているわけでございますが、御存じのように、肝臓障害を起こしている例があるわけであります。特にいわゆる血清肝炎といわれているものでございますが、この血清肝炎の予防なり、診断なり、治療の問題については、私どもも数年前から特に力を入れて研究を進めているわけでございますが、何ぶんにも現在の医学のもとにおきましては、血清肝炎の診断方法というものが、まだ学問的に確立できていないわけでございます。したがいまして、三十八年以来研究費を支出しまして、学者に研究を依頼しているわけでございますが、ただいま先生指摘のように、既往症の有無を調べるだけで、それを確実に調査する機関というのがないわけでございます。と申しますのは、いま申しましたように、事前に供血者から採血前に発見してチェックするという、その学問的な方法なり何なりが、まだ現在においては確立されていませんので、どうしてもそこに口頭で既往症等を聞く程度で済んでいる、こういう実情でございます。したがいまして、私どもとしては、早急にこの血清肝炎等の学問的な基準、診断方法なり、治療方法等を含めての学問的な基準というものを早急に確立したい。そういうことによって、採血の際のいろいろな既往症の有無をはっきりしていきたい。こういう気持ちで三十八年以来、鋭意研究しておる学者の方にお願いして研究を促進している、こういう段階でございます。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 いまの答弁だけでは、全く各大学の教授グループにあなた方がお話を聞いておる。したがって、政府としての仕事をしようという熱意が、まだ私はないと思うのです。ですから、いませっかくあなたがそういうふうな答弁をされるのなら、私は厚生省の中に、たとえば審議会なら審議会でもいいと思うのですが、どういう形になるか、とにかくたとえば輸血学会の報告等もあなたのほうとしていろいろ聞いておると思うのですが、とにかく、学界を動員すればかなり私はやはりそういう人体に関する貴重な意見というものを、各大学の教授グループは出してくれると思うのです。したがって、その方法としては、政府機関として、あるいは厚生大臣なら厚生大臣の諮問機関として、そういうものをやはり前向きに進めるようにしなけりゃ、ただ各大学の研究室ではこういう発表がありました、このお医者さんに聞いたらこういうお話がありましたということだけでは、私は権威がないと思うのですよ。また、ほんとうにこれに取り組んでいく立場には立っていないと私はこう思う。そういう意味で、政府がたとえば先ほどのこの血清肝炎等に対する問題の一つを取り上げても、私は大事な問題ではないか、こう思うので、ひとつそういう政府機関としてお考えになるのかどうかということが一つ。  それからいま一つは、やはり何と言っても実際に、先ほど申し上げましたように、せっかく献血をしても、自分の血がどう使われておるかわからぬという疑問を国民が持ったら、献血なんかしませんよ。ですから、私はこの売血制度に頼らざるを得ないといういまの実情になってしまうと思うのですよ。ですから、献血、預血という運動が発展をしてこそ、初めて売血というものをなくすことができるわけです。これは私は職場等の人たちは、これはもう自分たちの血が自分たちの仲間に使われる、こういうことになれば、これは喜んで預血をするわけですよ。私どもも、実はこの預血運動をいま盛んにやっているわけです。そういう点から言って、政府ではまだそういう姿勢をとっておらぬからこそ、いつでも国会答弁ではこういうふうにやります、ああいうふうにやりますと言ったところで、具体的にそういう問題が進んでこない、こういうところの悩みを私は持っておると思うのです。そこで、先ほどのせっかくとった血がどういうふうに使われたか、そのうちのよいのと悪いのと、あなたはいま説明をされたけれども、捨てましたといったところで、だれが一体捨てたか、それをだれが見たか。それは皆さんが各血液銀行なり、あるいは日赤の支部から、そういういろいろ医療機関から報告をされたものをデータにしただけでしょう。数字を並べただけでしょう。実際にそういう機関がないのですね。私は、やっぱりこれだけの大きな問題になっておるのに、政府がただそういう御報告を待つということだけでなくて、自分みずからがそういう調査機関を設ける、こういうふうにならなければ、この問題はやはり解決をしないと私は思う。こういういわゆる東京弁護士会から先ほども申し上げたように、建議書を出しておるように、やはり少なくともそういうものをなくすというからには、それだけの機関というものを政府みずからがつくって、そういうあやまちをおかさせない、こういうことにならなければ、私はほんとうにこの問題が発展してこないと、こう考えるんですがね。そういう点について、調査機関等についても政府自身がお考えになるのかどうか、これはひとつ政務次官からお答えをいただきたいと思う。
  54. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ちょっと局長、私からも関連して伺いたいんですが、社労委員会でずいぶん問題になったときには政府はずいぶん真剣な答弁をしているんです。いま質疑を伺っておりますと、憤りを感じるくらいなんです。いま相澤委員からいわれましたグループ献血ですね、こういうことに対してどういう指導をしておいでになるか。オープン採血は現状では行なわれているのかどうか。行なわれているとすればどの程度にやっておられるか。  それからもう一つ、最近、民間血液銀行で、献血は日赤で、預血は血液銀行で、というようなことを盛んにPRしている。民間では民間血液業者厚生省へ圧力をかけている、こういううわささえ飛んでいる現状でございますが、これらに対しての明確な御答弁を伺いたい。  それからさっき化粧品会社へ売っているのはごく微量だ、こういうお話でございましたが、血液銀行へ行ってみますと、化粧品会社の自動車が来ている。何のために自動車が来ているか。ごく微量と私は考えられないんですが、それに対しての御調査をどうなすったか。これに対しては私、社労で、そういうことは今後一切やらせませんと答弁を伺っているのでございますが、その後どう扱っておるか、あわせてお伺いしたい。
  55. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほど相澤先生からお話ございました政府に調査機関等を設け、あるいは実際に報告のみならず、自分みずから検査に取り組むべきじゃないかという御意見、まことに私ごもっともだと思います。そういう方向で進みたいと思います。なお、委員長からのただいまのお話は、具体的な問題でございますので、局長からお答えいたさせます。
  56. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) お尋ねの点でございますが、第一点の、いわゆる出張採血の点でございます。これにつきましては、われわれも従来から一定の基準をつくりまして実施をいたしておるわけでございます。現在のところ、数字だけ申し上げますと、五都道府県で約三十件程度実施をしている、こういう報告になっております。したがいまして、今後出張採血というものにつきましては、私どもはどうしても献血を伸ばす意味合いにおきましても、これは相当推進していかなければいかぬのじゃないか、こういう気持ちを強く持っているわけでございます。したがいまして、各都道府県等に対してもこの出張採血の推進というものを、ただいま強く働きかけておるわけでございます。ただその際、法律等できめられた基準等については、十分厳格に守っていただかないと、これはまかり間違うと人命にかかわる問題もございますので、そういう基準を守りながらの出張採血の推進ということについては、今後も十分努力をしていきたい。都道府県等を督励してどしどしやっていきたい、そういうことによって献血運動を伸ばしていきたい、かような考え方でいるわけでございます。  それから第二のお尋ねの、献血は日赤で預血は民間商業銀行で、こういうようなお話がございましたが、これにつきましては、いろいろ末端において誤解があるやに聞いている点もございます。したがいまして私どもとしましては、やはり献血を推進する上においてどうしても売血自体は早急に廃止しなければならないけれども、この預血と称せられるものについて今後どうしていくかということの態度でございますが、現在、商業銀行等でやっております預血といわれるものは実はいろいろ見方がございまして、これはほんとうに売血に近い預血だと、こういうふうに言われておるわけでございますので、こういうようなやり方の預血というものは、われわれは考え直していかなければいかぬのじゃないか。したがって本来の意味の預血ということでありますならば、やはり献血と同様に推進をしていく、こういう気持でおるわけでございます。ただ現在の商業銀行でやっております預血制度というものは、どうしても売血に通ずる非常に大きな問題点を持っておりますので、そういうようなやり方については、私はつい先般も民間商業銀行の団体にそういう申し入れをしまして、本来の預血制度、正しい預血制度に変えてほしい。どうしても売血につながる預血制度だったらこれは早急に廃止してほしいということの申し入れをしてあり、今後もそういう観点から行政指導をやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから化粧品会社の自動車等が商業銀行のところ等に送り迎えしておるというようなお話でございますが、そういうことの事実は私ども確実につかんでおりませんが、もしそういうことがございますならば、早急にそういうことはやめさしていきたい、よく実態を究明してまいりたい、こういうことで考えておるわけでございます。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 時間がないので私はこれで終わりたいと思うのですが、いまの最後の、たとえば化粧品会社の自動車が血をもらいにいっておるというような話が全く出ておるのに、私どもはその事実をつかんでいないというような報告をされておったのでは、これは話にならぬと思う。現実にそういうことがやられておるからこそ、こういうふうに問題になる。ですから先ほど申し上げた調査機関とか、あるいは法律並びに施行規則等の実施の問題についても、あるいは血清肝炎の問題の研究についても政府がもっと真剣に取り組まないと、こういうことは解決しないと私は思うのです。きょうは年末でありますから、国会自然休会になりますから、ひとつ来年の再開国会では厚生省の項をまたやりますから、そのときに報告のできるようにしてください、いままで言ったことを。きょうのような御答弁では話にならぬと思うのです。しかし、せっかく政務次官努力されるということでありますし、また厚生大臣予算委員会においでになっておりますから、大臣と御相談になって、たとえばの例を先ほど私はとったのですが、移動採血車の場合一つとっても、そういう具体的な例について政府が精神訓辞をするだけではちっとも役に立たない。こういう問題はあまりにも問題が多過ぎるので、きょうのところはわれわれ委員の意見というものを十分お聞きになったと思うので、政府も十分相談をされて、年明けにひとつそれらの問題についての御報告をいただきたい、こういうことで私はこの問題を終わりたいと思うのです。もちろんほかの関係の方の御意見はたくさんあるわけですが、そういう点もひとつ私としては御努力願いたいと思う。いかがですか、政務次官の御答弁をいただきたい。
  58. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほど御説明申し上げましたように、政府にこの種のものを担当する機関を設け、また使途その他に対して、実際の検査等までみずから乗り出すという必要は、お話しのとおりと存じますので、大臣とも相談いたしまして至急整備いたしたいと思います。  なお、先ほど来お話がございました具体的な事例等に関しまして調査が不十分の点は、あらためて調査いたしまして御報告申し上げたいと思います。
  59. 相澤重明

    相澤重明君 他の委員の質問が残っておりますので、私はこれで終わりたいと思うのですよ。次の人にバトンタッチしたい。  次に労働省ですか、先ほどの御答弁で、実際に六大港をはじめ、多くの関連業者並びに労働者が、この海員ストライキによってどれだけが影響を受けているかということは、おわかりだと思うのです。私は自分が地元に横浜港をかかえておるからというだけではなくて、やはり日本の経済にとっても大事なことである。したがって、労働者のささやかな賃金要求を私は四の五の理屈だけでやっても解決できるものじゃないと思うのです。もっとざっくばらんに私はこの指導者の諸君ともよく話し合って、そして解決するように、これは運輸省所管ではあるけれども、しかし事が単に運輸省所管だけではないわけです、関連産業からいけば。そこで私は労働者を持っておるところの労働省は、労働省が閣議の中で、そういう点についてはもっと解決努力するあなた方の気持ちを私は出してもらいたい、これを実は小平労働大臣に私は言いたかったのです。次官もひとつ大臣と相談をされて、これは年がこれまできたのだから、もう年を越えてもしかたがない、年を越えてストライキをやられてもしかたがない、こういうことでは私は能がないと思うのですよ。そういう点について、この内航外航問題を含んだ今日の海運産業の危機が、私どもは一日も早く解決されるように望みたいと思うのです。これが一つです。  それからいま一つは、労働省に特に注文をしておきたいのは、職業紹介の問題について、昨年ですか、あなたのほうではいろいろと業務上の統廃合とか何とか行なったようでありますが、どうも新しく卒業をして就職される人たちに対する、学卒に対する就職あっせん職業紹介について、どうも少し政府の職員が少ないのじゃないですか。窓口というものが、この職業紹介のものも社会保険のものも一緒にやっているようなところがたくさんあるのじゃないですか。私は幾つかの事例を持っておるのですが、きょうはそれだけの私の質問する時間がないから私はやめたいのですが、ひとつ、今日の中高年齢層の再就職の問題と、それからいわゆる新卒の人の職業紹介の問題については、単にこの役人の定員をふやせばいいというだけでは、私はこの今の非常な困難な就職事情というものを解決することができない。本省はどうかよくわかりません。本省はどうかわかりませんが、私はこの地方の職業安定所の窓口を見ると、きわめて地方の職業安定所の窓口では職員が苦労しておる。こういうことだけは私はきょうはきつく申し上げておきたいと思う。ひとつ、どういうところがどうだということは、あなた方で研究してください。私は実情をつかんでおるから言っているのです。そういう点について、いよいよ来年になれば三月卒業期が間近になってくるわけでありますから、こういう点についても、労働事情の変転等も加わって今日のこの困難な状況を何とか解決をする、こういうことに労働省努力をしてもらいたい。以上二つの点を申し上げて、本日は私は終わっておきたいと思うのです。ひとつ、次官から御答弁を願っておきたい。
  60. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 前段の問題は非常に重大な問題でもあり、私の意見でここでとやかく申し上げることは言い過ぎになるかもしれませんので、予想される来春早々第四波のストに入るまでに、労働省も第三者的な立場ではなしに、労働者の扱いをするという立場に立ちまして、閣議等において、担当しておる労働大臣から各省との連絡を密にいたしまして、第四波ストに入る前に、何とか円満に妥結のできるように努力するように大臣努力方を要請いたします。  後段の問題は、これは担当局長がおりますので、局長から答弁をさせたいと思います。
  61. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 先生指摘のように、職安の窓口は非常に手不足もございますし、立て込んでございますが、仕事のやり方等につきましては学卒、中高年を中心にもう少し能率的にサービスが上がりますように努力改善をいたしたいと思います。
  62. 岩間正男

    ○岩間正男君 資料だけ要求しておきます。来年も詳しくやるそうですからね、資料をぜひこれは出してほしいと思うのですが、それは血清肝炎に輸血の結果かかっている患者の数というのは年間にどれくらいあるのか、これはつかまれているのか、それからその後死亡者もこれはたくさんあるわけですけれども、黄疸になって、それから非常に慢性化してひどいのは半年、一年というような入院者もこれは出てくるわけですね。それに対してその後どうなっているのか、そのうち何人死亡しているか、そういう調査がこれはできているのかどうか。  それからもう一つは、いろいろこれは災害が最近多いし、交通事故も多い、それから手術患者も非常に出ている、そうすると、それらを区分けにしてそれは何人くらい大体輸血を要する人があるのか、そういう調査もこれはなくてはならないわけでしょう。そのうち血液の不足が伝えられておるわけですけれども、それらについては全般的にわれわれは全貌を把握しなければ、この対策は立たないというふうに考えておるわけですから、その点についていまのいろいろな炭鉱その他の災害からくるもの、それから交通事故、これは非常に多いと思うのです。それからその次は最近手術が多いですから、そういう内臓疾患による、あるいは外部疾患による手術者、これはどのくらいあるか、それですね。  それから第四に要求したいのは、民間、日赤を通じての輸血を担当している機関ですね。いま民間の会社、これは幾つあるのか、これは東京にあるだけではなくて、地方にもあると思うのです。そうしてしかもその採血量は年間にどのくらい採血しているか、それからその中でどういうふうに処理されているのか、これは少なくともこんなものはないとしたらおかしいのであって、全然こういうものはデータがないとすれば問題にならないわけですから、これについて出してもらいたい。  それから第五には、病気にかかってたいへんなこれは犠牲だと思います。家庭の婦人の場合なんかといったら目もあてられない、一家は全くこれで破産する運命にありますよ。経済的負担だけではない、子供でもあってごらんなさい、話にならないですよ。そこに持ってきて就職でもしていればめちゃくちゃなんです。職場から追放されるという事態も起こってくる。そうしてなおってから病後がたいへんなんです。長いのは二年くらい加療しなければもとにならない、再発の危険がある。肝硬変になる危険に絶えず脅かされているのが現実です。御存じですか、そういうものについて全然補償がないわけです。この補償の問題について考えたととがあるかどうか、この問題について考えたことがあるかどうか、社会保障とか何とか言っておりますけれども、全然問題になりません。問題はさっき話しましたようにこの法令の不備にある、一つは。この法令は非常に不備だ。たとえばさっき病気は、と聞いたが、病気を調べる方法がないじゃないですか。これを見て驚いているのですけれども、この法律によるというと「健康診断の方法は、問診、視診、触診、聴診、打診、体温測定、体重測定、血圧測定」それから血液の重さを調べる、そのくらいのものなんですね。そうすると根本的に一体病気をほんとうに、ことに肝臓の場合は一体精密検査というようなものはやっていたら、血液業者は間に合わないはずだと思うのです。こういうものについて一体どういう指導がされているのか、全然これはいまの点では不安きわまりないものです。不安きわまりない、実に暗たんとしたそういうものの上に国民の健康が立たされているということがいま暴露されたと思うのです、そうでしょう。おそらくこれは何十万を数えるところの罹患者があるはずです。こういう人たちが何らの社会保障の対象にもなっていない。たいへんなこれはひどい破産に追い込まれるわけですから、こういうものについて、ほんとうに私は、あなたたちがやる気があるのかないのかということを、新年になって詳しくお聞きしたいので、いまの資料は出してもらえますか、どうですか。まず、その点について、はっきりした答弁を求めておきます。
  63. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 岩間君、資料要求ですね。それではただいま要求のございました資料の御提出を願いたいと思いますが、よろしうございますか。
  64. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) ただいま御要望のありました資料につきましては、われわれのほうでできる限りの資料を提出いたしたいと思っております。ただこの中におきまして、まだ学問的に未開拓の分野もあるようでございますので、できる限り現在の段階において、厚生省の力でできる範囲の資料を提出いたしたい、こういうように考えております。
  65. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  66. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 速記をつけてください。  それじゃ午前中の審査は、この程度にとどめたいと存じます。  なお午後一時から再開いたします。    午後零時二十二分休憩      —————・—————    午後一時十三分開会
  67. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、久保勘一君が委員辞任され、その補欠として草葉隆圓君が選任されました。     —————————————
  68. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 午前に引き続き昭和三十八年度決算外三件を議題といたし、厚生省及び労働省決算について審査を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  69. 二宮文造

    ○二宮文造君 三十八年度の決算審査にあたりまして、三十八年といいますと、ちょうどあの炭鉱の閉鎖ですね、それが非常に問題になっていた期間です。私いまお伺いしたいのは、端的に申し上げますが、昭和三十二年に第一次が始まりまして、四十年の三月に引き揚げてきまして、それで一応打ち切りになりました西ドイツに対する炭鉱労務者の派遣の問題についてお伺いをしたいわけです。  まず最初に、この派遣計画の成立の経緯、それからその内容について、アウトラインだけお伺いしておきたいんです。
  70. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 西独派遣の経緯につきましては、二九年ごろから石炭産業の合理化が叫ばれ出しまして、当時私のほうの大野君というのがドイツに留学をいたしておりまして、ドイツの炭鉱業界が日本の労働者の協力を得たいというふうな情報をキャッチいたしまして、たまたま日本に帰ってまいりましたところ、石炭産業の合理化というような問題が出ておりましたので、外務省を通じまして、ドイツ政府と再三にわたって派遣方について交渉をいたしましたところ、三十一年の十一月に至りまして、日独両政府間に派遣に関する協定ができ上がりました。この協定に基づきまして、三十二年の一月から四次にわたって炭鉱労働者の派遣を行なったのでございます。目的は技術の研修でございまして、滞在期間は三カ年、地域は西独ルールの炭鉱地帯ということになったのでございます。その後、三十七年から始まりました本格的な合理化計画に基づきまして、炭鉱の離職者についてもこの計画に基づいて派遣をしようということで、少し拡張いたしまして、三十七年の三月に七十人の離職者を派遣いたしたのでございます。で、これら全体の派遣人員は、合計いたしまして四百三十六人でございました。その後、わが国労働力事情が非常に変わってまいりまして、石炭の合理化も一段落、峠を越して、しかも派遣対象者になりまするような坑内における先山労働者は、わが国においても逼迫をするというふうな事態に立ち至りましたので、西独派遣は一応中止をいたしまして、打ち切りまして、この本年の三月に全部帰国をいたしたのでございます。ただし、四百三十六人のうち、ドイツに残留した者が三十二名ございます。それから、ドイツの婦人と結婚した者が二十四名ございます。さらに、不幸にして業務上の災害によりまして死亡した者が五名ございます。こういう状況で、継続派遣の問題は一応終了いたしたわけでございます。
  71. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまお伺いしまして、ほぼ明らかになったのは、名目は技術研修という名目でありましたけれども、内容はやはり、日本の炭鉱の合理化が進むと離職者も多くなってくる、そういうような観点から、いわば再就職の形、あるいは一時的な労働派遣というふうな意味を含めてあったと思うのですが、問題は、先ほど私指摘しましたように、炭鉱の閉鎖並びに離職者が激増してまいりましたのは三十八年です。なるほど、当時は岩戸景気という好況のときで、そういうふうなドイツへ出向いていくという希望者がなかったかもしれませんけれども、いまの時点から振り返ってみますと、一番炭鉱離職者が激増する昭和三十八年度においては、労働省のほうとしてはこの西独派遣については非常に冷淡であったというように私ども思うんですが、その点はどうですか。
  72. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 合理化の最高の山が三十八年、九年にあったことは、先生指摘のとおりでございますが、当時すでに炭鉱労務者の年齢構成は相当高まっておりまして、たしか三十七、八才になっておったと思います。したがいまして、西独へ派遣する適格者が、同時に日本の石炭産業においても先山として必要であったというふうな事情もございまして、当時、一方で合理化をして多数の合理化解雇者が発生しながら、ドイツに派遣する余裕が漸次なくなっておったという、相矛盾する現象が出ておったのでございます。したがいまして、三十七年派遣の七十名の離職者を最後にこの計画が中止された次第でございます。
  73. 二宮文造

    ○二宮文造君 その辺の政府間の協定の話し合いも、もっと本腰を入れれば交渉がスムーズに進んだのではないかと思うんです。と申しますのは、ドイツは、御承知のように、超完全雇用でして、全産業で百五十万の労働者の需要がある。まして、この炭鉱地帯においては、日本人の労働者が残した実績が非常によくて、契約期限が終わって帰るときには、炭鉱の町では小学校まで休んで、そうして子供たちが日の丸の小旗を持って送り出した。いわば家族と別れを惜しむような優秀な両国の友好関係、あるいはいい実績を残して終わったわけです。当時、すでにそういうふうな状況にあったんですから、ドイツとしてはもっともっと日本人労務者を採用したい、受け入れたいという希望はあったわけです。現在もあるそうです。ところが、ただ政府間協定にきめられた年齢制限だとか、あるいは単身で赴任する制限だとかいうことのために、あれほどあの当時やかましく言われた炭鉱離職者の再就職の問題について真剣に考えなかったというふうなここに証拠が出てくると思うのですがね。私ふしぎなのは、三十八年の一月で派遣を終わってしまっている。そして、いま局長が言われたように、三十八年、九年において離職者が激増している。この辺の当時の事情と、それから労働者労務者の派遣についての熱意とが、よほど違っているんじゃないかと私は思うんですがね。その点どうですか。  なお、ネックになった、先ほどおっしゃった先山労働者ですか、従事者ですか、それからあるいは年齢の制限というものについては、どういうふうな話し合いになっておったか、あわせて答弁願いたいと思います。
  74. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 派遣の資格要件としての年齢から先に申し上げますと、最初の協定によりますと、第一次の計画では十九才から三十二才まで、非常に年齢が制限されておったわけですが、これを若干後ほど緩和いたしまして、十八才から三十五才までと広げましたけれども、やはり年齢制限が三十五才というところに非常に問題があったのでございます。この年齢の問題については、西独政府と再三交渉をいたしたのでございますが、先方はこれに応じなかったという経過がございます。  それから、西独政府との間の協定に基づきまする派遣のワクの問題でございますが、これは途中で改定をいたしましたけれども、合計で千五百名というワクが実はあったのでございます。したがいまして、先ほど申しました四百三十六名というのは、ワクから見ますと三分の一にも満たない状況でございますが、これは主として——主としてといいますか、もっぱらこちら側の事情でもって派遣を打ち切らざるを得なかった、こういう事情でございます。
  75. 二宮文造

    ○二宮文造君 その当方の事情について伺いたいのですがね。
  76. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) これはもっぱら派遣適格者が炭鉱労務者の中から得られなかった。これはあくまで石炭協会と炭労と御本人と話し合いでもって派遣をいたすのでございまして、政府が強制的に派遣をするというわけにいきませんので、いたし方なく中止をいたしたわけでございます。
  77. 二宮文造

    ○二宮文造君 現状として、このルール地区ではどういうふうに労務者を充足をしておるか、その間の事情は職安局長はおつかみですか。
  78. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 詳細については承知いたしておりませんが、西独においては、御承知のように、外国人労働力を多く見積もる人は百万人から入れておるということは、いろいろな情報で承知いたしております。また、日本からの派遣が中止になりました後、韓国の労働者がこれにかわると言っては語弊がございますが、同じような政府間協定で派遣を開始したということも情報としては聞いております。そこで、西独の石炭産業労働者不足に相当悩んでおるということは推測をいたしております。
  79. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま答弁がありましたように、韓国からたしか私二千名と聞いたのですが、現状として入っておる。あるいはトルコ、それからアラブ連合、ああいう方面からも入っておる。これらはすべて未経験者です。で、西ドイツとしては、未経験者であっても、かりに日本の経験者であっても、日本の国内の作業の保安規則と、それから西ドイツの坑内における保安規則と、この規則も違いますし、作業も違いますので、三カ月間は実地訓練をして、いわゆる国家試験のようなものを受けさせなければ作業に従事させない。いわばのみ込みが早いという利点はありましょうけれども、かりに日本から行ったとしても、未経験者と同じような訓練を三カ月間やってから坑内の作業に従事させる、こういうしきたりになっておるわけです。ですから、確かにそれは日本の現在炭鉱に働いておる人にしてみますと、家族構成や何かの制限があって、そういうふうな西ドイツのほうに行くという実態にないかもしれませんが、日本人のいわゆる労働意欲が非常に旺盛である、勤勉である、忠実であるというふうなことで、ドイツが非常に好感を持って迎えておる今日としますと、日本のいまの潜在失業者の数も非常に膨大な数にのぼっておりますし、あらためて新しい時点に立ってこの炭鉱労務者という問題を西ドイツと交渉してもよろしい時期にあるのじゃないか、こういうふうに私ども思うのですがね。その点どうですか。
  80. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 日本から派遣した労務者につきましては、先ほど申しましたような年齢条件、それからその他適格者を厳選をいたしまして派遣をいたしましたので、西独側には非常に好感を持たれ、これが一般の親善友好関係にも非常にいい影響を及ぼしたのではないかということを考えておりますが、韓国の場合は、ああいった非常に雇用事情の悪い状態でございますので、しかも炭鉱の経験者というものは韓国にはほとんどいない状況でございますので、大学を出たようないわゆる失業者が相当西独の石炭要員として派遣されておるようでございますが、まあ全然未経験者として西独側も取り扱っており、またそういったインテリ失業者であるような関係で、いろいろと問題を起こしておるようにも承知いたしております。したがいまして、日本におきまして、日本の雇用事情からいたしまして、西独の炭鉱労務者として、十年前に行なった協定のようなものを再度復活して、これからあらためて派遣をするというようなことは、日本の国内の雇用事情からいたしますと、いかがかというように判断をいたして、この協定をさらに復活するというようなことは、いまのところ考えておらない次第でございます。
  81. 二宮文造

    ○二宮文造君 その辺の観点が、その労働行政とそれから日本の失業者生活の不安との間のギャップになっていると思うのです。もちろん永住するわけではありませんし、一時的に渡航をするわけですから……。ですけれども、現在の時点におきましては、こういう希望者は相当数あるはずです。私も二、三聞いてみますと、非常に労働条件もいいものですから、特にそういう希望を持っている方もあります。もっと政府のほうで、日本の労働情勢というものを、あるいは失業者の数というもの、それをどう善処していくかという問題を真剣に考えていきますと、非常にその労働環境もいいところですから、考えておりませんというような木で鼻をくくったような話でなしに、もっと前向きに考えてよろしいのではないか、私どもそういう意見を持っております。  それはそれとして、そこでもう一つこまかい点でお伺いしますが、第一次、第二次と派遣された人たちが、一時的な渡航であるために、ドイツ国内における社会保障といいますか、いわゆる年金だとか、あるいは労災だとか、そういう面において別途に考慮されたと聞いております。特に、先ほども伺ったのですが、年金の問題で、当然この人たちは日本に帰るものだと、したがって年金を受給する資格があっても掛け金はしないということで、それを留保して積み立てた金額が相当金額になっておると思うのですが、この点いかがです。
  82. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 御指摘のように、年金保険制度の適用は、日本人でありますので、免除されましたけれども、この保険料の相当額を別途に積み立てまして、派遣労務者の日独間の往復の旅費の一部に充当をいたしました。で、残りは約千七百万円ほど残金があったわけですが、この残金の使い方につきましては、日独炭鉱基金という基金を設けまして、この基金から日本人の炭鉱従業員を西独に技術習得のための勉強に派遣しようというふうな使い方を考えてこの基金をつくっております。もちろん、これは石炭経営者連盟と炭労と両者で協議をしてこういった基金が設けられた次第でございます。
  83. 二宮文造

    ○二宮文造君 その基金はどこで管理しておりますか。
  84. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) ただいま基金がすでに設置されたと申しましたけれども、これは現在そういった基金を設置しようということで両当事者で内々話を進めております。私どもも、そういう両者間の意見が合致すれば、この残金の使い方については妥当ではないか、かように考えております。
  85. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま千七百万円とお伺いしたのですが、それは第一次の派遣計画の基金じゃございませんか。第二次の分はどうなっておりますか。
  86. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 第二次分のいわゆる炭鉱離職者の七十名派遣分については、派遣労働者一人当たり六百マルク返済をいたしております。
  87. 二宮文造

    ○二宮文造君 第二次計画の総額は幾らになっておりますか。第二次計画で派遣した七十名についての留保した金額の総額は幾らになっておりますか。
  88. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) いま一人当たり六百マルクを返済いたしておると申しましたが、これで完全に清算がついておるわけではございませんで、いろいろ病気その他の事情もございますので、まだ清算が完結はいたしておりません。
  89. 二宮文造

    ○二宮文造君 その辺非常にあいまいになってくるのですが、たとえば第一次計画で、第一次計画の者が全部帰国し終わったのが三十九年の十一月、一年前です。それから第二次計画で送り出した者が帰国したのが、四十年の三月、もうすでに半年以上たっております。その一年あるいは半年以上経過しながら、総額もつかんでない。その留保したものも——留保したというのは、これは当然派遣労務者の権利だと思うのです。その人たちの手から奪い取って、そして人をまだきめておりません。基金をつくる——おそらくこれで年間何人かの留学生を派遣するという基金にしたいというような考えを持っているのだろうと思うのですが、それでは西ドイツに派遣した労務者はかわいそうじゃないかと思うのですね。自分たちの労働によって、そしてその年金の給付を受けないから、そういう犠牲のもとに積み立てた金です。それを別途の目的に使うというのは、いかにも名前はよさそうですけれども、内容は労務者を犠牲にするような使い方になるのじゃないかと思うのですが、その辺をはっきりしていただきたいのです。
  90. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 保険料の負担割合は、労務者分が賃金の八・五%、それから雇用主負担分が一五%ということに内訳としてはなっております。したがって、労務者が拠出した額を全部この基金に充当しようというわけではなくて、往復旅費の一部にも充当いたしておりますので、その残りが千七百万円という残金が生じております関係で、この千七百万円を、いま申したような趣旨の基金を設立して、今後有効に使っていこうということが、両当事者間に話し合われておるわけでございます。私どもとしては、話し合いがつけば、こういった方法で活用するということが一番いい方法ではないか、かように考えます。
  91. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの局長答弁ですがね、その労務者が八・五%しか出してないからこの金は労務者の権限に属するものじゃないというふうな言い方ですが、労務者の八・五%の掛け金に対して、企業主のほうで一五%を負担したとしても、それは労災補償だとかそういうものの考え方からいきますと、これは当然労務者の権限範囲内に属するものだと私は思うのですが、何も政府が負担したわけでもありませんし、あるいは炭鉱経営者協会が負担したものでもありませんし、西独の企業者が、企業が、派遣された労務者一人に対して、その賃金の一五%をかけたわけです。それを別途の目的に使うのが妥当であるというふうな考え方が、私ちょっと納得できないのですがね。補足して御答弁願いたい。
  92. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 負担区分が使用者に片寄っておるからどうこうという見方は私どもいたしておるわけではございませんで、残った残金の処理については、当事者間で了解がつけば、この線で了解がつけば、その方法がいいんではないかというふうに私どもは申し上げておるのでございます。
  93. 二宮文造

    ○二宮文造君 一年以上もたってですね、その間の経緯はどうなんですか、また当事者というのはその炭労をさすのですか、炭労と経営者協会をさすのですか、それとも派遣された当人をさすのですか、その辺いかがですか。
  94. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 第二次の離職者の分は返還をいたして——若干の清算未済がございまするけれども、返還をいたしております。その他の分は、それぞれまた炭鉱へ帰ったりあるいは一般産業へ転出したりしておりまするが、この関係当事者として、私どもは石炭経協と、それから西独側のルール石炭鉱業経営者連盟と、それから炭労、こういった関係機関の協議をしていただいて、了解がついた線で運用するのが一番いいんじゃないか、かように考えております。
  95. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、第二次計画と、それから第一次計画によって、それぞれ派遣されたときの約定が違うのですか。第二次計画の離職者の分については六百マルクですか本人に渡した、第一次計画のものについては当人たちを除外して使い方をきめる、契約の内容が違うのですか。
  96. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 最初は、こういった剰余金が出るかどうか、第一次計画の場合にははっきりしなかった点もございますが、そこで最初派遣の当時から残金が出たときの処分の使途の方法についてあらかじめ決定しておったわけではなかったのでございます。しかし、第二次分については、これはもう離職者でございますので、すべてを本人に還元しなければならぬという考え方で、先ほどのような処分をいたして、目下清算中でございます。  なお、第一次計画の在籍者につきましては、派遣期間中の厚生年金保険料というのは、事業主労働者の分も代替払いをしておった事情がございます。そういった関係で、この厚生年金の保険料の問題とは直接この残金の処理の問題は関係ございませんが、まあ在籍者についてはそういった事情もあったということを御了解いただきたいと思います。
  97. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、さっきちょっと私聞き漏らしたのですが、その千七百万円はどこが管理しておるのですか。
  98. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 西独のルール石炭鉱業経営者連盟が管理いたしております。
  99. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、いまの説明でまたあいまいもことしてくるのですが、第一次の計画のときには、残金が幾らあるかわからないから、派遣された一人一人の者についてはそういう契約はしなかった。第二次については、前例があったので、特にまた離職者であるので返した。そうすると、やはり先駆を切って行った者が損をしたという形になるのですかね。  もう一つ私言いたいと思うのです。この千七百万円を、あるいはルールの炭田の経営者協会が管理して、あとあと日本人の労務者が来るから、その人たちの福利厚生の基金にするということであれば、まあ相互扶助の関係で、炭鉱労務者も納得すると思うのです。打ち切ってしまったんです。もう派遣しないと政府は言うんです。そうします、と、その金額については、当然当該の労務者に返還されていいんではないかと、私はそう言いたいのですがね。
  100. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 一次と二次を多少説明が足りなかったのですが、二次派遣というのは、二次計画というのは、離職者だけの分でございます。一次計画による分は、四回か三回に分けて派遣いたしましたが、これはすべて在籍者のまま派遣した分でございます。したがいまして、あとの残金の処理のしかたも異なっておるわけでございます。
  101. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは、経営者協会がドイツの経営者協会といわば民間の契約で送り出したと、実務はそうなっておりますがね。しかし内容は、先ほども言いましたように、技術研修とは言ってみても、実は合理化の犠牲なんです。そして、西独へ渡ったこれらの人々に契約がはっきりしていないから返す義務はないんだというふうな考え方は、少しおかしいじゃないかと思うのですがね。もっとこう理論的に、こういうわけだから、たとえば政府がこれだけのものを立てかえた、あるいは経営者協会がこれだけのものを立てかえた、派遣については経営者の側でこれだけの犠牲をした、それを穴埋めする意味でこの分は留保するんだと、こういう説明があるともっと納得できるのですが、その点どうですか。
  102. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 在籍者につきましては、事業主が三年間で一人当たり約二十七万円の負担をいたしております。これは派遣に伴ういろいろな連絡員の経費その他を事業主側で負担をいたしておりますので、これらの負担の事情も考慮しなければならぬというふうに考えております。
  103. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、その間に政府はどういう努力をされたんですか。
  104. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ひとつもっと質問者の質問の内容をよくお聞きになって、明確に御答弁願いたいと思います。
  105. 有馬元治

    政府幾員(有馬元治君) 政府は積極的な関与はいたしておりませんが、関係者が話がつけばそれでいいんじゃないかというふうに考えております。
  106. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、結論的に申し上げますと、関係関係者とおっしゃっても、関係者の中からは当該労務者は除外されているのです。石炭協会と向こうの協会と炭労と、こういう関係で、おそらくそれも炭労の発言などというものはまずまず考慮されないで、いわば経営者の意向でもってこの千七百万円が処分されるというふうな傾向にあると思うんですがね。これは私、非常に派遣された労務者の方には気の毒であると、こう思います。したがって、政府のほうも、それらの労務者の今度は帰ってからの生活もなかなか物価高で逼迫しているわけですから、報償金の意味ででも一人一人に返還させ得るように指導することを私のほうで希望しておきます。  同時に、もう一点お伺いしたいのですが、このドイツへ派遣されているうちに傷害を受けまして、今日日本で療養をしている人は何人おりますか。
  107. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 十三名傷害を受けておる者がございますが、その補償は、先方から補償を受けておるわけでございます。
  108. 二宮文造

    ○二宮文造君 その補償の金額はどうですか。
  109. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) 傷害の程度によって違いますが、多いのは月額四百四十五マルク、邦貨に換算して四万百二十三円程度の補償を受けております。
  110. 二宮文造

    ○二宮文造君 現在入院加療中は何名ですか。
  111. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 二宮君に伺いますが、この質問の内容は通告してあったのですか。
  112. 二宮文造

    ○二宮文造君 通告してございます。
  113. 有馬元治

    政府委員有馬元治君) いま持っておる資料では、入院加療中のやつがちょっとわかりませんので、もしできましたらあとから提出させていただきます。
  114. 二宮文造

    ○二宮文造君 この傷害を受けて、日本で現在療養中の者も、月額一万円何がしの給付しか受けてない人もあるはずです。その方々は、結局日本の社会保障制度によって救済されている。こういうふうな、あれだけ鳴りもの入りで派遣を慫慂し、奨励し、政府が責任を持って政府間協定をつくって派遣をしたそれらの人々に対して、アフターケアがあまりにもなされてないじゃないかというふうな感じがします。私、時間があれば、同時に今度は炭鉱閉鎖後の再就職の問題、職業再訓練の問題、現在の生活環境の問題等々についてお伺いをしたかったわけですが、こういう面を見まして、非常に政府労働行政というものが冷たい、特に労災補償などは冷たいということを感ずるわけです。それは後日に譲りまして、きょう問題に私しましたことは、非常にいい実績を残したのであり、現在の不況の中で潜在の失業者が多いわけですから、そういう観点に立って政府間協定を再開すべきである、ぜひ政府がそれだけの気を働かしていくべきであるという意見が一つ。それから、小さい金額ではありますが、労務者一人当たりにとっては六万ないし七万という金額になります。それはそのまま生活の足しになるわけですから、この千七百万円の使途について、もっと明確な、派遣された労働者が納得のいくような解決のしかたをしていただきたい。この二点について結論をつけておきます。政務次官答弁をいただいて、私質問を終わりたいと思います。
  115. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 前段の問題ですが、その点につきましては、潜在失業者自体が、希望者が多くて、どうしても向こうへ行きたいという希望者がどんどんあれば、これはもう簡単だと思うのですが、そういう点、実情を調査することで御了承願いたいと思います。  それから第二点は、その千七百万円の使途の問題につきましては、いろいろ御議論がございましたが、これも関係者、特に当事者の意向を尊重して、行政指導とでも申しましょうか、そういう形で最終的な結論を出すようにしていきたいと思います。
  116. 二宮文造

    ○二宮文造君 最後におっしゃったその当事者という考え方の中に、派遣労務者も含めた考え方というふうに了解してよろしいか。
  117. 天野光晴

    政府委員(天野光晴君) 了承します。それでけっこうです。
  118. 石本茂

    石本茂君 私は厚生省関係のことで一つ二つ御質問申し上げたいのでございますが、政務次官お願いします。  医療関係のことでございまして、御承知いただいておりますように、ここ数年間の実態を見ておりますと、医療関係者の身分、待遇あるいは業務等の問題を通じまして、医療施設の経営管理にからまりますもろもろの問題が、ますます困窮の一途をたどっているというふうに見受けておるわけでございますが、これらにつきましてどのような行政上の措置がなされてまいりましたか、またこれからなされようとしておりますか。特に、いまから約三年前に、医療制度調査会が医療制度の全般につきましての改善の基本方策の答申などをなされておりますが、それらにつきましても、どの程度のことが実現なされてきたのか、またこれからされようとしておりますか、お伺いをしたいのでございます。お願いをいたします。
  119. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) はなはだ根本的な問題でございますが、ただいまお話ございました医療制度調査会の答申がございまして、この答申を尊重いたしまして、ただいま国民医療の確保という観点からその問題の処理に当たっておるのでありますが、いろいろ問題は多岐にわたりますけれども、大きく分類いたしますと、医療関係者、いわば人の養成という面と、それから物の面と申しますか、医療施設整備ということ、二つの問題を中心にいたしまして一それ以外もございますけれども——問題を進めさしていただきます。  そこで、当面の問題といたしましては、御承知のように、看護婦さんの養成の問題、あるいは理学療法士、作業療法士といったような新しい面の人の養成も必要になってまいりましたので、そういう点につきまして特に力を注いでおります。  また、施設におきましては、ガン対策とか、救急医療施設とか、リハビリテーションの問題とか、あるいは僻地医療の問題等、問題が山積してございますので、そういう面の関係施設の整備という点に力を注いでおります。
  120. 石本茂

    石本茂君 ただいまのおことばの中に、医療従事者、特に看護婦等の問題も出てきておりますが御承知いただいておりますように、看護婦等の問題につきましては、非常な人手不足がございまして、もちろん、そうなりました原因というのは、医療技術が非常に向上してまいりました結果、複雑な業務になってきたということと、同時に、お話にございました医療機関の整備拡充に伴ってもたらされた新しいベッド増床ということから、ますます足りないものが足りなくなったというふうにわれわれは考えるのでございますが、この足りない看護婦を持っておる医療機関が、ガン対策というようなおことばがございましたが、私自身そうした仕事をしてきた人間でございますが、看護婦がおりませんために、ベッドがございますのにそこに患者を入れることができないというような実態が所々方々に出てきております。卑近な例を申しますと、国立ガンセンターもそうですが、新しく本年発足しました愛知ガンセンターなどは看護婦がおりませんために、現在なお病棟一部閉鎖しているというような実態があるわけでありますが、こうしたことにつきまして、医務局長さんから、いろいろそれらに対する対策などお考えであろうと思いますし、現にしておられると思うのでございますが、そうした事柄についての御意見をちょうだいしたいと思います。特に、私自身が見て思うのですが、もう医療の現場には労働基準法もなければ、医療法もないというような無政府状態になってきているというような気がするのでございますが、それらの点と含めまして、今後の措置、あるいは過去に何をしてこられたか、教えていただきたいと思うわけでございます。
  121. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 看護婦の不足問題というのは、近年慢性的な現象になっておりまして、このことが医療それ自体の内容の低下、あるいは向上をはばむといういろいろな面が出て、まことになげかわしい状態であることは、おっしゃるとおりでございます。このような慢性的な看護婦不足ということが一体どこに基因するかということを、いろいろ過去あるいは将来にわたる需給計画というものを考えてみますと、やはり一番大きな問題は、もちろん養成施設それ自体がまだ不足であったということもございますけれども、御承知のように、三十五年の末から六年、七年にかけまして、いわゆる病院ストというものがございまして、看護婦という職業に非常に疑惑を持たれ、あるいは魅力を欠いた、そのころに養成施設に対する志願者が激減いたしまして、しかし、その時期が過ぎまして、三十八年ごろになりますと、そういう情勢がかなり緩和されてまいりまして、また一方、三十八年、九年になりますと、戦後のベビーブームというような波が押し寄せてまいりまして、中卒者が非常に多くなってまいりましたので、そのころから非常に看護婦に対する志望もふえてまいりまして、そういうような関係で施設もふえてまいりました。したがって、一番志望者の少なかった時代と、その影響が薄れてきた時代を比べますと、たとえば三十六、七年と三十九、四十年ころの志望者を比べますと、志望者だけで約一万三千ぐらいの増加が出てまいっております。逆に前は非常に少なかったということでございまして、そのような影響が、現在一番悪い影響がかぶっている時期でございまして、今後はそういう意味ではいい影響がかなり出てくる。したがって、需給問題にもかなり明るい傾向が見えているということが言えるかと思います。一方、養成施設も近年はかなりふえておりますし、応募者も非常にふえておる。二倍、三倍という施設さえもございます。したがって、そういうようないろいろな事情を勘案いたしますと、現在あるいは最近までが需給状態が一番逼迫した状態であった、今後はある程度ずつ、少しずつ緩和していくという見通しを持っております。  なお、それらの情勢に対してさらに積極的に拍車をかけますために、御承知のように、看護婦に対する給与金の制度をはじめ、あるいは養成施設の整備、補助金を出す、あるいは指導者の養成講習等をはかってまいりました。  なお、最近は御承知のように、高等学校へ看護学科を設置するというような機運から、通常の養成施設だけでなしに、学校教育の方面からの供給ということもかなり活発になってまいりました。昨年度は約十八校が設置されましたけれども、本年度は、約四十校にのぼる要求が出ております。文部省が実際に許可いたしますのはどのくらいになるかまだわかりませんが、そういうような状態で、総合的にこの需給状況が緩和の方向に向かっておるということを申し上げて、私ども努力の至らなかった点も、これからは幾らかはよくなってまいろうと思っております。
  122. 石本茂

    石本茂君 ただいまお話しになりましたように、看護婦等の需給計画は、将来明るい見通しであろうと言っておられるわけでございますが、現実の問題といたしまして、看護婦等、実際はその人がないとは言い切れないものもございますし、片や、無資格者がどんどんふえてまいりまして、すでに十万近いものが、単に看護婦の補助者ではなくて、医師と直接の関連において、看護助手ではなく、医療処置をしているという実態がございますので、こういう無資格者の大幅な投入というようなことにつきまして、局長はどのように措置される予定でございますか、お伺いしたいと思います。
  123. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 無資格者が業として看護の仕事をするということは、これは全く違法でございますので、このようなことがないように、私どもも指導監督をしてまいりたいと思います。  なお、看護婦の不足のために、現実に補助者という名前のもとで、事実上看護の業務を行なっているという者が出てきた実態は確かにございますので、将来はこういう需給状態の緩和と同時に、そういう面の監視もやってまいりたいと思いますし、また、そういうような傾向が起こらないように、これは末端においても全面的に目を光らしてまいりたいと思います。
  124. 石本茂

    石本茂君 話がちょっとずれるかもしれませんけれども、私お伺いしたいと思いますのは、いま言われましたように、無資格者も相当動員して現状の医療業務を緩和している、同時に、足りない看護婦が非常な労働強化の中にいま追い込まれておりまして、先ほどちょっと申しましたが、せっかく、働きます者のために労働基準法など設けてございますが、特定業務でございますために特例措置がありますために、あたかも使用者側がそういう者には労働基準法など関係ないのだというような状態で、時間外勤務にしましても、深夜勤務等にいたしましても、目をおおうようなものが所々方々にあるわけでございますが、これに対しまして、業務監督のお立場から、どのような指導ないしは具体的な措置をおとりいただいておりますか、お伺いしたいと思います。
  125. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 看護婦さんの労働基準法問題につきましては、私ども承知しております限りにおきましても、相当前から国会においても問題として取り上げられております。労働基準監督の重点の一つとして、今日まで相当数の監督を実施してまいりましたが、違反状況をみますると労働時間違反と、休日に関する規定の違反が最も多うございまして、はなはだ残念に思っておりますが、最近の傾向を見ますると、若干ではありますが、違反率はやや低下いたしております。ただ問題は、先ほど来、石本先生もお述べになり、厚生省からも御答弁ございましたように、看護婦の絶対数不足という深刻な事実を背景にいたしまして、いろいろな問題が展開されておりますので、単に基準法違反として送検したり起訴をするといったようなことで、問題が基本的に解決されるかいなかという点については、これは御了解いただけるかと存じまするが、私どもといたしましては、この点につきまして、同じ行政官庁の中で、はなはだ恐縮ではございますけれども厚生省、あるいはその他文部省など、関係方面には、労働基準法順守につきまして特段の配慮方を強く要請しますると同時に、いまひとつ、基本的な問題といたしましては、病院における労務管理のあり方が、近代的産業と比較いたしまして、いかにもおくれておるように私どもは感じております。したがって、近代的な労務管理をいたしましたならば、些少な時間の時間外労働をさせて法違反になるといったようなことは、労務管理なり労務配置の適正化といったようなことに特段の努力を払いましたならば、形式的な労働基準法違反は相当減少するのじゃないかというふうに、監督の体験を通じまして痛感いたしておるような次第でございます。そういう観点から、厚生省のそういった関係方々とも共同研究をさらに進めまして、病院内における労務管理の近代化といった点に、さらに一そう力を注いでまいりたい。かように考えておるわけであります。
  126. 藤原道子

    委員長藤原道子君) せっかく質問が核心に触れてまいりましたのですが、本会議の予鈴が鳴ったわけなんです。きょう、せっかく核心に触れたわけですから、一時休憩させていただいて、それから、一時間ぐらいで本会議が休憩になるそうでございますから、さらに再開を、すみませんが御協力願いたいと思うのですが、いかがでございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 藤原道子

    委員長藤原道子君) それでは、暫時休憩いたします。    午後二時十一分休憩      —————・—————    午後三時二十五分開会
  128. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから決算委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、昭和三十八年度決算外三件を議題といたし、厚生省及び労働省決算について審査を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  129. 石本茂

    石本茂君 先刻、労働基準局長お答えの中に、病院等医療機関の労務管理が非常に好ましくないというようなことがございましたが、この要因と考えられますものにつきまして、当然担当局としましては、もうすでに調査済みであり、実態をお知りだと思いますが、そのことをひとつお示しいただきたいと思うのでございます。
  130. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 病院というものそれ自体が、いわゆる近代産業というにはあまりにもお粗末な経営でございまして、どちらかといいますと、昔からの個人経営の伝統がございますために、労務管理、あるいは労務管理を含めて一切の経営管理ということ自体が、前時代的な面影がずいぶん残っておると思います。そういう意味で、近代の医業を改善してまいりますためには、病院経営のあらゆる面を近代化していく必要がございまして、そのためには、最近は病院の管理経営に関する学問が発達してまいりまして、こういうような学問は従来は全くなかったわけでございます。そういう立場から、厚生省におきましても、病院管理研修所ができ、さらに病院管理研究所になり、そういう面の研究をあわせ行なっております。こういう中には経営管理一切のものが含まれるわけでございます。そういうもののために、病院の管理者の指導研修を行ない、あるいは、それぞれのポストに応じて、院長の研修、事務長の研修、婦長の研修というようなことも行なっております。そういうことで、病院経営というもの全般的に近代的なマネージメントということをやっていく必要があるのでございますが、その中で、労務管理の面も当然近代性を欠いた点がございますので、そういうものの合理的な改善をはかりたい。たとえば勤務時間というものそれ自体につきましても、一体、勤務時間というものの考え方が必ずしも明確でなかったり、あるいは休憩というような時間についても、必ずしもそれを明確に処置できていなかったというような点もありまして、そういう面も含めまして、逐次そういう教育訓練ということを通じて改善をはかっているわけでございます。
  131. 石本茂

    石本茂君 ただいまのおことばの中に、そうしたものが、医療機関そのものの経営主体自体が非常に小規模でありますために問題があるという御意見でございますが、労働基準法などができまして、もう二十年近くなっておりますし、それから、先刻申しましたように、人命救助という非常に重要な要素を持った職場でもございますので、おことばのとおりだという気もいたしますが、しかし、それにしましても、少し経営者自身の感覚の中にズレがあるのじゃないかということをわれわれ思うわけでございますが、ただ単に経営の状態がそうだからできなかったのであろうというような推測をなさるところに、私は問題がいつも残っていくような気がするのですが、その辺を局長はどういうふうに今後解明し分析し、そうして実現していこうとしていらっしゃるか、その詳細の御意見を聞きたいと思うのです。ただ研究しております、そうしようと思っておりますとおっしゃっております時代は過ぎたように思うのです。ですから、病人は非常に不安な気持ちで、そうして私ども立場からしましても、こういうところに病人を入れて、この病人はどうなるのであろうかというような、相手方の国民立場に立って考えましたときにすらも寒けがするような実態があるわけでございます。ただ、そのことを暴露しないできたのは、働いておる人たち自身の自覚と申しますが、業務上の責任と申しますか、自分を不当にいじめ尽くして歯を食いしばって今日きておるのじゃないかと思うのです。この問題はきのうきょうじゃございません。もう十数年前、二十数年前にもあったと思うのですが、それがなぜこのように二十年近くもだらだらだらだらしてきたのか、私はむしろ経営の形態じゃなくして、経営する者の意識にあったのではないかと思うのですが、こういうことに対して、病院管理所などがどのような指導を実際に行なっていらっしゃるのか、具体的にお示し願いたいと思うのですが。
  132. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 先ほど来、夜間勤務等のことでも問題になりましたように、いま一番問題の核心になっております看護婦、その看護婦は年少女子労働者であるものが相当多数ございます。にもかかわらず、労働基準法のそういう深夜業務の適用等の排除の特例を設けております。こういうようなことは、年少女子労務者労働者として保護するという人道的な立場、一方、医療という患者の生命を預かるという人道的な立場、両方とも人道的な立場からお互いにその例外をつくらざるを得ない。病院のほうは、夜間勤務もさせざるを得ない、看護婦さんのほうは婦人年少労働者であるにもかかわらず、夜間勤務をせざるを得ない。そういう両々人道的な立場がからみ合ってまいりますので、これをいかに調整して、そこに調和点を求めるかということが、この管理者として意を用いるところであろうと思います。そういう意を用いて大いに改善いたしたいという意欲にもかかわらず、これも先ほど来、看護婦の供給の絶対量の不足というようなものがさらにこれにからみ合って、この改善をはばみ、条件を悪化しているという実情でございますので、それらの施策を総合的に進めませんと、一ところだけでこれを改善しようということはなかなか困離であろうと思います。そういう意味で、需給状態の改善とか、処遇の改善であるとか、あるいは勤務体制の改善であるとか、あるいは勤務環境の整備のための休養設備の強化であるとか、あるいは実際の勤務計画を立てられる婦長さんの訓練であるとかいうような、いろんな面からそれをやっていかなければならぬわけでございまして、そういう意味では、一方的にその勤務の計画を見ていてはなかなか困難でございまして、病院の総体の経営というようなものを勘案しながら、その衝に当たる管理者、特に婦長さんたちの意識の改善といいますか、そういうものも合わせまして総合的にやっていかなければならない問題だと思って、そういう立場でいろんな角度から少しずつ事態の改善をはかるという努力をやっておるわけでございます。
  133. 石本茂

    石本茂君 おことばの意思はよくわかるのでございますけれども、ですけれども、ただ、中間管理者でありますところの婦長が百万自覚してみたところで、あるいはまた、経営者自身がそのことをよく自覚してみたところで、そういうことがスムーズにできない要因というものがあると私は思います。そこら辺は局長どういうふうにお考えでございましょうか。特に政務次官におかれても、この点、いまおっしゃったような総合性の中で、医療というものは国家行政の総合性の中で私は根本的要因があろうというように思うわけでございますが、ですから、医療という小さい医療感覚だけに縮めないで、大ワクのところから御意見を伺いたいものだと実は思っているわけでございます。
  134. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 一部繰り返しにもなるかと思いますけれども、看護の問題の改善をはかろうといたしますと、看護婦の定員というようなもの、あるいは適正な人員の配置ということが必要になってまいりますし、そういたしますと、いわゆる病院の経営面に響いてもまいりまして、さらに、その経営がある程度楽でないと^看護婦の充足ということがうまくいかない、経営をうまくするためには、医療費というようなところにぶつかってくるというような問題があり、一面また、そういう事務的な面も改善していくにいたしましても、婦長、総婦長、あるいは事務長、病院長というようないろいろの段階、あるいは一般の診療を実際に担当している医師側の養成というようなことがからみ合いますので、そういう意味で、いろいろな面からの改善をはかりませんと、一部局だけの努力ではなかなか困難であるということを申し上げますので、そういう意味では、大きくは医療制度の問題、あるいは医療費問題、あるいは、さらには響けば保険問題というようなことにも関係してまいりますけれども、そこまで何も私ども責任を転嫁するつもりはございませんので、身近な点で私どもがさしあたってできる点をできるだけ力を用いて改善していきたい、そういう趣旨でございます。
  135. 石本茂

    石本茂君 局長としての責任の範囲内でできるだけのことをしたいというお気持ち、よくわかりますし、していてくださることも知っておりますが、いまおことばの中にありました医療費などの問題というような根本的要素になるものがあると思いますが、それにつきまして政務次官、何か現在すでに手を打っておられるもの、打とうとしておられますものについて、一言お聞かせいただきたいと思います。
  136. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいまお話ございました医療問題、医療制度、あるいは支払い制度、そういうものの根本的な合理化の問題等は、これから中医協等を中心といたしまして進めることになっておりますが、もちろん、そういう問題が片づきませんと、この看護婦さん等の待遇改善の問題も片づかぬとは必ずしも言い得ないのでございますので、ただいまお話ございました点に、さらに待遇改善の問題と、今度の補正予算と、御承知のように、いろいろ普通の一般職員に比しまして特に看護婦の待遇改善等を考慮いたしまして、できるだけの考慮を払いつつ、根本問題の解決の際に思い切った改善をとる、こういう趣旨でございます。
  137. 石本茂

    石本茂君 お話わかりました。次に、やはり局長さんにお伺いしたいのでございますが、先ほど看護婦さんの需給対策など、将来明るい見通しがつきつつあるのだというお話でございましたが、現実の問題としまして足りないと言われております看護婦自身が、医師が当然行なうべきだろうと思われる診断、治療、特に治療の分野の面で相当の業務をしておるわけでございますが、こういう点から、医師の医療現場におきます数と申しますか、患者に対する数と申しますか、そうしたものについて当然お考えになっていることがあろうと存じますが、そのことにつきましても一言お示しをいただきたいのでございます。
  138. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) いまお話がありましたように、現実に医師は医師法によりその業務が制限されておりますし、看護婦は保健婦助産婦看護婦法によってそれぞれの業務の範囲が規定されておりますけれども、これに多少の混淆が起こっているということも事実だろうと思います。しかし、ある意味では、たとえば皮下注射あるいは静脈内注射というような問題をここに取り上げますと、いろいろな問題があろうと思いますが、大局的に申しますと、やはり看護婦の本来の業務の中に数えられております診療介助という問題は、ある意味では、将来もおそらく幅広くなってくるのではないだろうか、また、それが社会の要請、あるいは医療それ自体の要請ではなかろうかと存じております。そういう意味で、この問題を現行のワクの中であまり強くきめつけますと、かえって医療の実態の混乱が起こる。看護婦の不足も確かに大きな問題でございますけれども、同時に、医師の不足ということも見のがせない厳然たる事実でございます。そういう意味で、やはり医師という医療行為の中にも、看護婦の中にも、PT、OTというものができ、あるいはエックス線技術者、あるいは衛生検査技師というようなものがだんだん拡充されまして、いわゆるパラメディカルワーカーというものが漸次拡大されてくる現状でございますので、そういうような情勢下において、看護婦がどの程度の業務を真に担当すべきか、また、そういう業務を行なうために、どのような配慮といいますか、また、看護婦自体の中でも、いかにこれを、合理的、効率的に行なっていくかというような点も加え合せまして、業務の実態というものを、現実に合って、しかも、法規にあまり逸脱しないというような、この手ごろなところというものを見つけていくという努力も必要ではないかと存じております。
  139. 石本茂

    石本茂君 まあ、おっしゃっておりますように、医師が足りない、そうして看護婦も足りない。しかし、医療法があり、医師法があり、また、われわれのためには補助看護婦法があるということで、法律があらゆるものを規制し、取り巻いておりますのに、それが全部じゅうりんされたかっこうに現実があるということですが、たとえば医療法の中に、医師一人の受け持つ患者数、看護婦一人の受け持つ患者数が示されておりますけれども、これはなお今日、将来ともこのまま、この法律規則の条文等をそのまま生かしていける自信がおありでしょうか、お伺いいたします。
  140. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) ただいま私どもの申し上げましたことの中で、医師あるいは看護婦の業務が混乱しているというようなことを申し上げたために、多少誤解もあろうかと思いますが、それぞれ法律ののりを越えてやっておるという趣旨ではございませんで、時代が変遷してまいりますと、どうしてもこのことばの解釈の範囲が違ってくることがあり得て、そういうものは時代の要請にある程度即応して解釈し、たとえば診療介助という業務の範囲がどの程度であるか、どこまでであるか、どの業務が入るか入らないかという点は、やはり時代の変遷によって多少変わってくるのが社会の実情ではないかという趣旨で申したわけでございます。そういう意味で、また業務の範囲も変わってまいりまして、パラメディカルワーカーというものも、だんだん範囲が広くなり、数が多くなってまいりますと、当然医師というものの担当すべき業務が昔と変わってまいります。おそらく、看護婦の業務の範囲も変わってまいると思いますので、そういうものは十分検討して、時代に即応するような形で逐次改めていくことが必要であろうと思います。そういう意味で、昭和二十四年の医療法が、現在なお全く厳然として、妥当であるかどうかということに対しては、私どもも疑問を持っておりますので、これらの点は、将来さらに弾力的に運用できるように、諸法規についても検討を加えたいという所存でございます。
  141. 石本茂

    石本茂君 ありがとうございました。  次に、労働省労働基準局長さんにお伺いしたいことがございますが、先刻来のお話の中に十分出てしまいましたのですが、女子及び年少者の労働に関しますことは、特に労働基準法の中には、第一条で、全労働者のための条件が書いてございますし、それから、いま申しました女子及び年少者等のためには六十条、六十一条、六十二条というようなところで適正な規制がされておりますわけでありますが、そういう適切な規制がされておるにもかかわりませず、現実には婦女子ないしは年少労働者の中に、非常に不当な労働条件を課せられている者が多くございます。で、私が最も自分に身近な時点において、先刻来申しております医療労働者、この中には、特に看護労働者といたしましては、ほとんどが女子でございますし、中には十八歳に満たない未成年者も相当数入っておりまして、それが先刻お話のありました女子年少者の労働基準規則というような適用規定のために、一部使用者側等におかれましても、あるいは働いている者自身が、何か自分労働者ではないのじゃないか、労働者であることは厳然としているにもかかわらず、労働基準法の適用外の人であるかもしれない、人なんだというような誤った意識のもとに、非常に不当な、劣悪な労働条件のもとにおるわけですが、そのことは、先ほど局長さんも、そういうことについての違反がだんだん減ってきた、届け出等について非常に減ってきているという喜ばしい御発言もございましたが、それは法律を守るたてまえの届け出等の問題ではないかと私は思うのです。というのは、現実に現場を見ますと、こえてはならない超過勤務がそこに厳然として行なわれております。一日十時間はいいところでございまして、十数時間働いているのが現実ではないかと思うような場所が非常に多いのでございます。全部ではございません。非常に多うございます。それから深夜勤務等々につきましても、はたして、この法律の定める時限においてそれが守られているのかどうか、届け出だけはしてみた、しかし、実際の実態というものはそんなになまやさしいものではないと思うのですが、こういうことについて調査などされましたかどうか、お伺いしたいと思うのです。もし、されたならば、どこどこの県のどこどこでいつ何どきそれをしたかということをお示しいただきたいと思います。
  142. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 看護婦さんの労働基準法関係の問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、私どもが年間、これは年によって違いますが、三千事業所ないし多いときは五千事業所の監督をいたしております。これは申告がなくて定期に私どもが監督をしておりますが、その中の違反のあった事業所で労働時間の違反のパーセンテージを見ますると、昭和三十六年度においては、三七・八という三分の一以上が明らかに労働時間の、特に女子に関する規定の違反があった。それが三十九年度におきましては、二八・二というふうに、私どもが数千事業所について定期監督を実施いたしました結果からいたしますと、多少違反の率が減っているという数字になっております。実は、先ほど来石本先生指摘の点につきましては、国会におきましても、数年にわたりまして御指摘をいただいておるところでございまして、はなはだ微力ではありますが、こういった定期監督を通じて何とかして法の定める姿に持っていきたいというふうに努力をしてきたわけでございます。これは石本先生も御承知のように、女子の場合におきましては、男子の場合と違いまして、労働基準法三十六条の協定によって、時間外労働がかなり長くさせられるという性質のものではございませんので、法定時間は九時間、その上に時間延長いたしますとしても、一日二時間、一週間六時間、一年間を通じて百五十時間というふうに法定せられておりまして、この基準は、労働協約をもってしてもさらに延長することはできないという、非常に厳格な規制を受けておるわけであります。したがって、当該病院におきまして、この労働時間を休憩時間合わせて十二時間まで可能でございますが、実労働時間十一時間、休憩時間が一時間、拘束十二時間という時間を前提にいたしまして考えました場合には、どのような人数の看護婦が必要であるか、それを労務配置としてどのように配置すれば適正であるかという計画は、ほかの労働者よりもむしろ立てやすい。むやみに労働時間延長はできない、こういう考え方すら成り立つわけであります。そういう観点から、単なる基準法違反ということじゃなくして、最大限延ばし得る場合であっても、法的に許容される場合がどのようなことであるか、それが当該病院に当てはめた場合どうなるかといったような点をも加味いたしまして、監督と合わせまして、いわゆる指導といった面も加えまして今日まで来ておるわけでございます。ただ、何ぶんにも、究極はその数が足らぬ、限定された人数の看護婦さんに仕事をしていただくという過程におきまして無理ができる。一般の事業所でございますならば、人手不足だから労働基準法違反を認めるということはとうていそれは許されません。必要なものは充足すべきであります。病院においても全く同様であります。ただ、ほかの事業所と違いまして、医療従業者が、医師と言い、看護婦と言い、いずれも法律により資格を持った者でなければ従事できないという特殊性がございまするので、きびしく法違反についての是正を求めます際に、そういった問題にぶつかる。一般の事業所と違いまして、無技の労働者をもってこれに充足することが簡単にできないというような実情にありますのが、私ども監督行政を実施いたします上に非常に問題のあるところでございます。しかし、だからと言って、これは法違反を見のがすという性質のものではございません。先ほど申し上げました違反状況のあるものにつきましては、必要な勧告も行なっております。特に従来からの監督の経験にかんがみまして、地方ごとにアンバランスがあってはいけないと思いまして、法違反があった場合には、指導ないしは勧告の手順、送検、告発の手順というのを最近全国的に統一をいたしておりまして、全国同じような手続方法によりまして、労働基準法違反については厳正な措置をいたしたいと考えておる次第でございます。  なお、十八歳未満の看護婦さんについてのお話もございました。この場合は、さらに労働時間は一日八時間というふうに、十八歳以上の女子労働者よりもさらに厳格になっておりまして、しかも、時間外労働は禁止される、こういうことになっておるわけであります。監督をいたしました経験から、こういった点をお知りにならぬといったような病院経営者も、なきにしもあらずでございますが、こういった点を正しながら、ひとつ法に従った、究極は近代化された労務管理のもとにおいて看護婦さんが医療行為に従事できますように、私ども心から期待いたしておるような次第でございます。
  143. 石本茂

    石本茂君 ただいまのお話などを通しまして、特に深夜勤務につきまして、これは婦人少年局長さんにお尋ねしたいのでございますが、せっかく、第六十二条などによりまして、女子の深夜勤務が禁止——原則として禁止されておりますが、先ほど来お話がありましたように、特定業務に従事しております女子、年少者等につきましてはこの限りではないということは、百も承知いたしております。しかし、それにしましても、勤務時間とか、あるいは割り増し賃金とかいうようなものについて、なぜ男子と同等に扱っているのか。してはならないということを、労働基準法の第六十二条で一応打ちどめをしておいて、特例を当てはめることによって、そういうことは一切考慮しないというような現状でございますが、それに対して、どのように局長さんお考えになっておられますか、御見解を承りたいのですが。
  144. 高橋展子

    政府委員(高橋展子君) 婦人少年局長でございます。ただいまの御質問の点は、女子の深夜勤務に関する点でございますが、これは労働基準法の全体系の中の一つの分野でございますので、基準局長のほうからお答えします。
  145. 石本茂

    石本茂君 私、特に局長さんの御見解、そういう事実に基づきまして、何かお立場上お考えになっているものがありましたら、参考のために聞きたいと思ったわけでございます、法律の原則じゃなくて。
  146. 高橋展子

    政府委員(高橋展子君) 婦人少年局のほうでは、ただいまのような問題も含めまして、看護婦の労働実態につきまして、最近の状態がどのようになっておりますかを全国的に調査をいたしましたので、その調査によって観察されましたことを少し述べさしていただきます。  全国の約三百七十にわたります病院、診療所における看護婦の方々を対象といたしまして、昨年の七月から十月にかけまして調査をいたしました。「女子看護要員の労働実態についての調査」という名称で調査を行なったわけでございます。  その結果、観察されましたことは、看護婦の労働条件等が、病院の規模であるとか、あるいは、その種類であるとかによりまして、かなり相違があるということでございまして、たとえば、ただいま問題とされております労働時間等につきましても、単科病院あるいは診療所といった規模の事業場では、残業時間の時間数であるとか、あるいは深夜勤務の回数が少ないようでございます。しかし、数科を併設しております病院になりますと、夜勤の回数がやはり、御指摘のように多いようでございますし、また、日直、宿直というものもかなり多くなっているように、このように観察されたわけでございます。で、御指摘の夜勤についての点につきましては、いろいろな角度から考えなくてはならないと思いますので、また今後検討さしていただきます。
  147. 石本茂

    石本茂君 おそれ入りますが、労働基準局長さんに、いま先ほど私が申しましたように、不当ではなかろうかというようなこと、このことを勘案いたしまして、御見解をひとつちょうだいしたいと思います。
  148. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 一般的に禁止されております深夜業を、特定の労働に従事いたします女子について、禁止を解除するという点についての問題でございますが、立法論的な批判をいまここでいたしますことは差し控えたいと思いますが、病院の看護婦さんのように医療行為に従事するという場合においては、夜間勤務ということもあり得るでありましょうし、また、飛行機のスチュワーデスとか、電話の交換手といったような、夜間勤務が当然予想されるというような職種については、一定の範囲で例外が認められているわけでございます。  ただ、二割五分という割り増し賃金の支払いにつきまして、それならば特殊な立場からの取り扱いをしたらどうかというような意味も、先ほどございましたけれども、御承知のように、時間外延長をいたしましたならば、二割五分以上の割り増し賃金を支払う、それから深夜業をいたしました場合には、二割五分以上の割り増し賃金を払わなければならないというので、ダブル・ダブル五割という割り増し賃金の計算になるわけでございます。相当な高額であります。それ以上のものを付加するということになりますれば、いろいろ問題があろうかと思いますが、時間外延長をして、その時間外延長が深夜業にわたりますときには、五割の割り増し賃金という、かなりのものを払わなければならないたてまえになっているわけであります。したがいまして、深夜業を当然予定するそういった女子の特殊な作業につきましては、よほど労働時間というものを明確にしまして、所定労働時間がどの程度であるか、時間延長はどうであるか、また、深夜に及ぶかということは相当厳格に検討すべきものであろうと私どもは思っておりますが、遺憾ながら、その点についての認識が、法施行後十八年間もたちましたけれども、まだ十分でない点がありますので、私どもは、その点の指導徹底を期しますと同時に、特に労働時間管理につきまして、時間の計算はどこから始まってどこで終わるのか、それをオーバーしたときには、非常に高い割り増し賃金が支払われるということの認識をさらに徹底いたしまして、労働時間管理の適正化の一助にいたしたいと考えている次第であります。
  149. 石本茂

    石本茂君 ただいまずっと労働省関係の御意見をたくさんちょうだいしたわけでございますが、もう一つ、医務局長さん、お伺いしたいのでございますけれども、いまお話があったように、看護婦等の場合は、ほとんど交代制勤務でございまして、深夜の者は深夜ばかりほとんどしているという事態があるわけでございますが、先の見通しが明るいであろうというような人員構成の御意見もございますが、現実には、深夜勤務がございますためにこそ、多くの看護婦等が現職を離れていこうとしている形態があるわけであります。現に離れていっているわけでございます。せっかく、看護教育を受けましたにもかかわらず、病院等に勤務することを好まないで、他の昼間の勤務する場所にどんどん行ってしまっている。そういうような現実を考えますときに、この深夜勤務、特に夜間勤務ということにつきまして、医療の現場にあります者については、特別の配慮がない限り、どんなに養成してくださいましても、どんなに教育に重点を置いていただきましても、現場はいつまでたってもますます混乱していくだろうと思うのです。労働基準法の第一条には、やはり人間たるに値する生活を営むというようなことが必要条件だと書いてございますのに、夜ごとの勤務を強制されているのは女子でございますのに、何ら特定の待遇を受けることがなくて、何ら人たるに値する生活を営むことができないということは、この職にあります者の見解でございますが、そのために、現場では非常に困難をしておるわけでありますが、こういう点を含めまして、当局、局長さんのそういうことに対します今後のあり方といいますか、あるいは手当てといいますか、そういうことも承りたいのです。特に人事院等におかれましては、先般来国家公務員等についてのみ、深夜勤務一回に対して幾らというふうな措置もされたようでございますが、あれで一体いいものでございましょうか、どうでしょうか、その辺も含めてお尋ねしたいと思います。
  150. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) これも、看護婦と夜勤の問題といいますのは、本質的に、看護婦に夜勤のような重労働をさしてはならないという人道の問題と、病院のような患者を収容するところでは、どうしても夜勤をせざるを得ないという、これまた人道的な問題と、両方を満足させなければならないという宿命にございますために、一方を捨てるわけにはいかない。したがって、看護婦に関しては、どうしても夜勤という業務を全廃するわけにはまいらないわけでございます。しかし、そうかといって、夜勤という業務をできるだけ回数を少なくし、その夜勤の条件をよくしていくということは、これは当然しなければならぬことでございまして、ただいまお話しの人事院の裁定におきましても、現在の夜勤の回数を減らすという意見がございました。また同じ夜勤にしても、夜勤の条件をよくするために、若い看護婦が深夜一人で夜勤をするというようなことをやめて、できるだけ二人でやれという意見も出ております。しかし、そういう意見も、同時に、ただいまのような二律背反する宿命を持っておりますために、できるだけ合理的に両方を満足させるような方法を見つけていくというところにこの問題があるわけでございますので、現在としては、私どもも、できるだけ回数を減らす、そのために必要な人員も充足したいという方向をとりますと同時に、単独夜勤というような場合も、休憩時間等を十分に活用できるように、休憩時間を補うために、パトロール的な夜勤体制で補充するとか、あるいは夜勤の間の休憩時間を有効に休養がとれるような勤務環境の整備というようなものを行ない、同時にまた、夜勤というものに対する償いといいますか、そういうために、経済的な意味からの手当の増加ということも考えて、これもできるだけ多方面に多角的に処置をしてまいりたいという考え方でございます。
  151. 石本茂

    石本茂君 ありがとうございました。  私は、労働省厚生省の当局の方々並びに責任あるお立場の方にお願いしたいのでございますが、厚生省におかれましては、やはり国民医療の完全化ということを期せられますためにも、国民の健康、福祉ということの万全をはかられますためにも、医療の根本でありますところの問題であると同時に、医療業務に従事しております枝葉末節的な場面にいるであろうと思われます者につきましても、特段の御配慮をいただきたいと、特に予算等々の面におきましても、そういう面にこそ重点を置いていただかない限り、こうした問題が永久に解決ができないじゃないかと私は思うわけでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思いますし、それから、労働省につきましては、ただ単に法律の番人であるというような場にあるのではなくて、法律の適用される者の立場に立って十分なる措置方をお願いしたい。そのためにもし予算等々の問題がございましたら、新規にそういうものもまたお組み合わせくださいまして、ぜひ婦人と年少労働者のためにこそ、もう一そうの目をかけてほしい。特に、いままでお話を聞いておりますと、医療労働者、特に看護労働者につきましては、お考えになってはおりますが、真剣に、ほんとうに真実をつかみ上げておいでにならなかった経過があるやに察知いたしますので、どうぞこのようなことのありませんように、今後一そうのお目をつけてくださいまして、よろしく行政措置の面で完全をはかっていただきたいことをお願いいたしまして、委員長、私の質問を終わらしていただきます。
  152. 相澤重明

    相澤重明君 私も、少し申し上げておかなければいかぬと思うのですが、いま石本委員が専門的な立場で御質問がありましたが、私は、厚生省が実際の予算獲得とか、あるいは行政面の指導とかいう問題で少しおとなし過ぎるのではないか。人間は生れてから死ぬまで、おかあさんの厄介にもなるし、お医者さんの厄介にもなる。実際そういう面で一番大事な、社会保障の中でも最も大事なものは医療問題、この問題について、どうも戦後の行政のあり方を見ると、各省の予算ぶんどり競争から見て考えると、厚生省が一番おくれているんじゃないかと、こういう気がするのですが、この点は、政務次官、どうですか。あなたは政務次官になってみて、なるほどこれでは厚生省はなまぬるいという感じを持たれたと思うのです。これはひとつ厚生省のためにも、私は、昔の内務省ほどの切れ味を持てとは言わぬけれども、しかし、少なくとも戦後にあって国づくりの一番大事なことは、私は厚生行政だと思う。そういう面にもっと力を入れてもらいたい。  二つ目は、私は、前に助産婦さんや看婦婦さんの問題を当委員会でもずいぶん長い時間かけて質問したことがありますが、名称からして、たとえば看護人という名称がありましたね。いま多くのいろいろな人の名前をつけるのは、いまだにそういう名前を持っておるのは、私は、現代社会にふさわしくないと言って、看護人の名称をどうつくったらいいか、看護師にしたらいいか、士にしたらいいか、どういうのがいいかいろいろやってみた。国語上からいけば、いろいろな問題があると思う。しかし、要は人間尊重、働く者にいかに喜んで働いてもらえるか、こういうところに実は問題があって、それさえ、別に予算はかからない。その予算はかからないけれども、その法律提案することすら政府自身ができない、こういうようなぶざまではいかぬということを、私は、ここ数年来言ってきたことです。ですから、厚生省は自信を持ってひとついまの言われたような問題を率直に把握して、予算の面でも定員の面でもひとつがんばってもらいたいと思う。そうすることが地方の末端行政でも大きな前進になると思う。そこでいま考えられるのは、助産婦会とかあるいは看護婦会とかいう組織がそれぞれあろうと思う。そういうところと政府はどういうふうに定期的な会合を持っておるのですか。どういうふうにその問題の処理に当たっておるのか。私は、できればこの際政府のとってきた道をひとつ御説明いただきたいが、私の希望とすれば、各いわゆる政府関係機にいろいろな審議会というものがたくさんある。ただその審議会の意見を、私は、名前をつける、肩書をつけるというのではなくて、実質的にその仕事に携わっておる者の意見を尊重して行政の中に反映させる、これが私は国として大事なことだと思う。国会もそういう立場で議論が行なわれておるわけです。したがって、この特に女性でなければできない崇高な任務のいまの看護婦あるいは助産婦、保健婦、等、こういう問題については、率直に全国組織なり地方組織があるわけですから、そういう人たちと定期的な会合を開いて、そして十分意見というものを吸い上げるようにしていくことが、まああなた方の法律提案することになるだろうし、予算を獲得することにもなるだろうと思う。その点はどうやっておるのか、ひとつ伺っておきたいと思う。この機会にひとつお答えをいただきたいと思う。これは政務次官
  153. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 厚生省の予算に対する組み方と申しますか、心がけと申しますか、意気込みと申しますか、どうも他の省、特に農林省とか建設省と比較して手ぬるいじゃなかろうかというおしかりでございますが、私も実は経済官庁に長くおりまして、よそから見ましてそういう感じがせぬでもなかったのでありますが、まだ時間はあまりありませんけれども厚生省に入りましていろいろ聞いてみますと、ほかの省と違う点が実はございまして、たとえば、保険、年金、あるいは生活擁護等に非常な大きな金が食われまして、そこでわずかの金をつければ非常に効果があがるというものが、実際はとれない。それはたくさんある。それが実は一番むずかしい予算で、御承知のように、人の予算と旅費等ほどむずかしい予算はございません。これは、政治問題にならぬ予算でございまして——そこで、非常に数も多いし、また従来からのいきさつから、内容充実が迫られている問題もたくさんございますが、いま申しましたような点で、非常にむずかしい予算であるというのが事実でございますので、とは申しましても、お話しのように決して弱い省じゃなくて、非常に、何と申しますか、じみちではありますけれども、しんの強い役所でございますので、一生懸命今後ともひとつ先輩の皆さんの御支持を得まして、予算に努力してみたいと思います。  それから民間側の実際の実務者との会合を持って、そして実情に沿うた、いわば心のこもった行政と申しますか、にしたらどうだというお話、もっともでございます。できるだけそういう方向につとめたいと思いまして、ただいま努力中でございます。具体的な点はひとつ局長からお話しいたさせたいと思います。
  154. 相澤重明

    相澤重明君 そういうなまぬるい答弁が、いわゆる厚生行政が今日までおくれを持っておるところだ。私は、政務次官がせっかく私の質問にこたえられて、御研究されるということだが、鈴木善幸大臣はなかなかその点ははっきりしておるから、私から率直に申し上げておきますが、大臣と相談をして、少なくとも四十一年からは、そういう関係機関と十分意思交換をできるようにやりなさいよ。やると言明しなさいよ。そのくらいのことができなくてどうしますか。そのくらいのことができないから、あなた方は何やつたってできないということになっちゃう。言いなさい。やりますと言っておきなさい。
  155. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) たいへんな御支援でございまして、ありがとうございます。まあ確実にやるように努力いたします。
  156. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 最後に、私から二、三お伺いしておきたいのですが、どうもいつの答弁を聞いていても、その場限りのような気がしてならないわけなんです。まあ若松さんも御案内のとおり、この問題は十数年来の問題でございます。先ほど若松さんの答弁の中に、医療法をあまり狭く解釈しないほうがいいというようなことを言っていたのですね。だけれども、医療法改正の用意があるかどうかということと、看護婦が点滴注射までやらせられているのでよ。失敗すれば看護婦が医療法違反で被告になるのです。処罰されるのです。  こういうときのことをあなたはどう考えておいでになるか。これを一つ。  それから、大体、もともと、四人に対して一人という看護婦の基準をきめるときに無理があった。四対一で定員は充足しておりますというような答弁が間々あるのでございますが、定員が充足しているところでも、夜勤が十日から十三日くらい、多いところは二十日も夜勤しているところもございます。しかも、基準局長お話しになりましたけれども、深夜勤務を一人でやっておる。深夜勤務八時間の中で、どうして一人で休憩時間がとれるのですか。これに対しては、どういう考えをもって対処しておいでになるのか。これを一つ。  それから、人事院勧告では、夜勤は八日以内にすることが好ましい、できるならば二人勤務、ということが勧告されていると私は思います。そうしてまた、看護婦さんたちの希望は、夜勤は六日間以内にしてほしい。いま十日以上、多いところは二十日もやっておりますが、これを人事院勧告の八日以内にやる用意があるかどうか。ありとするならば、どういう方法でおやりになるか、これを伺いたい。それから資格をとる人と、非常に明るいような答弁があったのですけれども、看護婦の資格をとる人とやめていく人との率を私伺っておきたい。  以上、お願いします。
  157. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 看護婦が行ないます医療行為の介助という問題で、事実は医療行為そのものを行なう形が多い。実際は指示を受けてやりますので、介助ということにはなっておりますけれども、事実上担当せざるを得ない。そのために事故を起こして処罰をされるという事例があることは、全くそのとおり、まことに遺憾でございますが、こういう点は、先ほど申しましたこの介助として行ない得る業務の範囲というものをどこに限定するかという問題を検討して、その際における医師と看護婦の指示、監督の関係、自主性と補助の関係、そういうような点で逐次明らかにしていく必要があろうと思います。そういう問題も将来の看護業務全般、あるいは医療法にも関係してくる問題でございますので、そういう点は、私ども積極的に検討してまいる所存でございます。  また、四人に一人という定員が充足しているにかかわらず、一月十数日、あるいは二十日も、というお話がございましたが、個々のそういう事例、私必ずしも詳しく存じておりませんが、少なくとも国立関係では、大体九回平均、九回平均といいますのは、十回のところもありましょうし、八回のところもあると思いますが、そういうようなことで、深夜勤務というものを回数で制限するということ、あるいはこれを一人勤務ではなしに二人制にするというようなことは、同時に、直ちにこの看護婦の定員にからんでまいります。したがって、この定員を確保するということが、現在、需給状態から見ての困難、また経営面から見ての困難、また同時に、医療法の基準というものもございまして、基準に合っている以上、それ以上要求することが、はたして強力に要求するということができるかどうかという制度的な問題もございます。そういうような面もございますので、どうしてもこれも先ほど来のお話のように、看護婦の需給の問題、経営の問題、それから技術管理の問題、やはり多方面にからみますので、そういう意味でもそれぞれの制度的な面を改善いたしますと同時に、技術管理能力の開発ということもあわせてやっていく必要があろうと思います。厚生省といたしましても、国立関係では、できるだけ深夜業務の回数を減らすべく努力をして、来年度予算等にもその折衝をいたしております。  なお、最後に、やめる人と増加する——新たに入る人の比率という問題でございますが、やめるほうの方の比率というものを、私、現在、はっきり承知しておりません。しかし、おそらくやめるほうの比率はそれほど著しい変動はないと思います。それに対しまして、新たに就職されるほうの方は、非常にふえつつあるということを申し上げまして、そういう意味で、将来、若干でも緩和の方向にあるということを申し上げたわけでございます。
  158. 藤原道子

    委員長藤原道子君) いま一つ、先ほど来の答弁の中で、充足していこうとすれば、予算に直ちに関係してくるから、というようなことがあったけれども、予算が先ですか、人命が先ですか。そういう考えだから厚生省は弱いのですよ。四人に一人という看護基準できめるときに、厚生省はあとでこう言っています。現在ではベッド数と看護婦の数と割ると、しかたがない、四人に一人しかございません、将来努力して看護婦をふやすことにつとめます、ということを言っているのですよ。ところが、だらだらだらだら、今日何年になりますか、そういうことで、予算に縛られてこういうひどい勤務条件をさせられておる人たち、そういうもとで医療を受けなければならない国民立場、これらを考えて、これは厚生政務次官にとくとお願いしておきますが、そんなことでは安心して入院できないのですよ。しっかり医療法の問題を考えてください。答弁は要りません。同じ答弁は私は七、八回聞いておりますから、これを実行するように努力してほしい。  それから労働省の基準監督局だって、私、そのままには受けとめがたい点がございますけれども、夜勤の休憩時間もないんですよ、基準局長
  159. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御指摘の点、法律ばかり申しますとどうも冷めたいように……
  160. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 冷めたいですよ。
  161. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 受け取られますと、はなはだ遺憾に存じますが、実態的には非常にお気の毒でたいへんな苦労だと思いますが、一口に病院と申しましても、大病院の場合は三交代制をとっておるというような場合には、いわゆる宿直じゃございませんで、それは正規の勤務時間になります。そのような場合には、一人という場合はわりに少ないかとも存じますが、中ぐらい以下の病院になりますと、それが三交体制の正常勤務じゃなくて宿直形式で行なっておるところがあります。これはもちろん労働基準監督署長の許可を要するわけでございますが、その場合におきましては、宿直勤務になりますると、労働基準法第四十一条の規定により監視、断続労働ということで休憩時間の問題が排除されると、こういう関係になってくるわけであります。したがって、同じ病院の夜間勤務と申しましても、三交代制の正常、いわゆる通常の勤務状態の場合と宿直勤務の許可を受けて行なっておる場合とでは、法の適用に若干の差異が生ずるわけでございます。しかし、この点につきましては、すでに行政通達をもちまして、そういった場合の取り扱いについては具体的に指示をいたしております。しかし、そのような法律的な取り扱いの問題とは別に、御指摘の問題は、これはまことに深刻な問題でございまするので、かりに法の運用に藉口いたしましてそういった措置をするということのないように今後十分気をつけてまいりたいと存じます。
  162. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 最後に若松さん、あなたは国立病院のことだけでいいんですけれども、日赤病院なんかの監督はどこなんですか、おたくでしょう。やはり日赤の実態なんか調べていますか。この次までによく調べておいてください。  他に御発言がなければ、本日はこの程度で散会いたします。    午後四時二十二分散会      —————・—————