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政府委員(村上茂利君) 看護婦さんの
労働基準法
関係の問題につきましては、先ほ
どもちょっと申し上げましたが、私
どもが年間、これは年によって違いますが、三千事業所ないし多いときは五千事業所の監督をいたしております。これは申告がなくて定期に私
どもが監督をしておりますが、その中の違反のあった事業所で
労働時間の違反のパーセンテージを見ますると、
昭和三十六年度においては、三七・八という三分の一以上が明らかに
労働時間の、特に女子に関する規定の違反があった。それが三十九年度におきましては、二八・二というふうに、私
どもが数千事業所について定期監督を実施いたしました結果からいたしますと、多少違反の率が減っているという数字になっております。実は、先ほど来
石本先生御
指摘の点につきましては、
国会におきましても、数年にわたりまして御
指摘をいただいておるところでございまして、はなはだ微力ではありますが、こういった定期監督を通じて何とかして法の定める姿に持っていきたいというふうに
努力をしてきたわけでございます。これは
石本先生も御
承知のように、女子の場合におきましては、男子の場合と違いまして、
労働基準法三十六条の協定によって、時間外
労働がかなり長くさせられるという性質のものではございませんので、法定時間は九時間、その上に時間延長いたしますとしても、一日二時間、一週間六時間、一年間を通じて百五十時間というふうに法定せられておりまして、この基準は、
労働協約をもってしてもさらに延長することはできないという、非常に厳格な規制を受けておるわけであります。したがって、当該病院におきまして、この
労働時間を休憩時間合わせて十二時間まで可能でございますが、実
労働時間十一時間、休憩時間が一時間、拘束十二時間という時間を前提にいたしまして考えました場合には、どのような人数の看護婦が必要であるか、それを労務配置としてどのように配置すれば適正であるかという計画は、ほかの
労働者よりもむしろ立てやすい。むやみに
労働時間延長はできない、こういう考え方すら成り立つわけであります。そういう観点から、単なる基準法違反ということじゃなくして、最大限延ばし得る場合であっても、法的に許容される場合がどのようなことであるか、それが当該病院に当てはめた場合どうなるかといったような点をも加味いたしまして、監督と合わせまして、いわゆる指導といった面も加えまして今日まで来ておるわけでございます。ただ、何ぶんにも、究極はその数が足らぬ、限定された人数の看護婦さんに
仕事をしていただくという過程におきまして無理ができる。
一般の事業所でございますならば、人手不足だから
労働基準法違反を認めるということはとうていそれは許されません。必要なものは充足すべきであります。病院においても全く同様であります。ただ、ほかの事業所と違いまして、医療従
業者が、医師と言い、看護婦と言い、いずれも
法律により資格を持った者でなければ従事できないという特殊性がございまするので、きびしく法違反についての是正を求めます際に、そういった問題にぶつかる。
一般の事業所と違いまして、無技の
労働者をもってこれに充足することが簡単にできないというような実情にありますのが、私
ども監督行政を実施いたします上に非常に問題のあるところでございます。しかし、だからと言って、これは法違反を見のがすという性質のものではございません。先ほど申し上げました違反状況のあるものにつきましては、必要な勧告も行なっております。特に従来からの監督の経験にかんがみまして、地方ごとにアンバランスがあってはいけないと思いまして、法違反があった場合には、指導ないしは勧告の手順、送検、告発の手順というのを最近
全国的に統一をいたしておりまして、
全国同じような手続方法によりまして、
労働基準法違反については厳正な措置をいたしたいと考えておる次第でございます。
なお、十八歳未満の看護婦さんについての
お話もございました。この場合は、さらに
労働時間は一日八時間というふうに、十八歳以上の女子
労働者よりもさらに厳格になっておりまして、しかも、時間外
労働は禁止される、こういうことになっておるわけであります。監督をいたしました経験から、こういった点をお知りにならぬといったような病院経営者も、なきにしもあらずでございますが、こういった点を正しながら、ひとつ法に従った、究極は近代化された労務管理のもとにおいて看護婦さんが医療行為に従事できますように、私
ども心から期待いたしておるような次第でございます。