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小柳勇君 私は、西
日本短期大学に対する国有財産払い下げ問題について質問いたします。
去る二月十六日の本
委員会で第一回の質問をしたのでありますが、その後の大蔵省の処理及び文部省の見解について質問するのが重要な私の本日の課題であります。
まず、各
委員にも知っていただきたいので、事件の概要を申し上げます。前の
委員会でも申し上げたのでありますが、若干その後の地元の動きについても御報告申し上げたあとで御質問申し上げたいと思います。
事件の概要は、福岡県八女市岡山区亀甲にある元岡山研修所あと国有財産土地一万六千四十坪五一、建物千四百九十七坪四七を、去る
昭和三十四年十一月二十四日、北九州財務局久留米出張所が西
日本短期大学理事長江口繁君に、国有財産特別
措置法第三条により減額五割の
値段九百十三万二千七百九十八円で払い下げたのであります。この土地建物は、大東亜戦争の末期飛行場建設のため民有地を犠牲的
価格で提供し、旧八女郡市一帯の地元の人たちが勤労奉仕して全くの戦争遂行の国策としてとうとい数人の犠牲を払いながら建設されたものであります。終戦後
昭和三十四年一月七日、八女市は岡山、八幡両中学校の統合と公園などの用地として払い下げを申請いたしたのでありますが、これは国から払い下げておりません。しかるに、
昭和三十四年九月二十三日、西
日本大学(四年制大学)の誘致の話が持ち上がり、八女市も四年制大学誘致であればということで賛成をして、これに同意をいたしたところであります。ところが、四年制大学の設置は文部省が許しませんで、付属高等学校も県の不許可になったところであります。そこで、四年制大学を短期大学と付属高等学校に切りかえて申請がなされた。申請したときは四年制の大学と付属高等学校であったのが、そのままの処理で短期大学と高等学校に申請がえがなされておる。この点が、地元で問題にいたしておる第一点であります。その間種々の疑惑が生まれ、世論がわき立ち、市議会には
昭和三十四年十一月二十一日西
日本短期大学処理特別
委員会が設置され、また
昭和三十八年五月に改選後の市
会議員によって調査特別
委員会が設置されたところであります。また、
昭和三十五年四月十一日には、国有財産払い下げ処分取り消しの上契約解除の訴願書が市民代表から関係当局に提出されているところでございます。
現在の
実情は、短期大学と付属高等学校をこの土地で
経営いたしております。学校生徒の数は、高等学校が、三十九
年度八十九名、四十
年度八十九名、現在の生徒数は不明であります。短期大学は、三十九年十五名、四十年十五名、四十一年はこれも不詳であります。こういう学校が運営されておるのでありますが、なお用途指定として大蔵省の払い下げは七年の期限でありますが、それが
昭和三十六年十一月から用途指定として学校
経営がなされておる。したがって、
昭和四十三年十一月になりますと、その大蔵省が払い下げた用途指定による期限が切れるということになるのであります。
以上が大体この事件の概要でありますが、私がさきの
委員会で申し上げたように、質問いたしておる目的は三つあります。
第一は、使用目的に合致しない払い下げ国有財産をどう処理するのか、これが第一点であります。
第二は、
昭和三十四年以来の地元民の疑惑を解いて市議会などの混乱を防がなければならない。すなわち、この限乱にピリオドを打ちたい、これが第二の問題であります。
第三は、払い下げの趣旨を完全に生かす教育がなさるべきである。現在の教育はそのような方向になされておるかどうか。地元では国有財産を払い下げてもらって私利私欲のために一応名義上学校
経営をしているのではないかという疑惑がありますから、文部省はこの学校教育についてどのような指導をなされているか。
この三つの問題を明らかにするために前回質問いたしたのでありますが、質問いたしましたあと、地元にも
相当の反響がありまして、地元市議会は再三
委員会を開き、先般満場一致で次のように決議いたしたのであります。「元国有財産払い下げに関することについて」「西
日本短期大学に払い下げられた元国有財産に関し
昭和四十一年三月二十九日八女市議会において別紙写のとおり決議しました。」その写しのほうには次のように書いてあります。「元国有財産に関する決議」「西
日本短期大学に払下げられた元国有財産が二月十六日の参議院
決算委員会において、大蔵省に一部返還も考慮されているよしであるので、八女市としては公共施設用地として払下げを受けることを決議する。
昭和四十一年三月二十九日八女市議会」すなわち、大蔵省が一部返還するならば、八女市としては公共施設用地としてこれの払い下げを受けるという決議を満場一致いたしております。これが第一の反響であります。
第二の反響は、この学校を
経営をいたしておる当事者でありますが、西
日本短期大学理事長江口繁、西
日本短期大学長宇賀田順三、西
日本短期大学付属高等学校長国武忠男、三氏の署名によります文書が方々に流されました。その最後のほうにこういうことが書いてあるのであります。「八女市議会に「西大問題特別処理
委員会」というのが設置され、当学園の払い下げ問題に関する事情調査に乗り出し、大蔵省や文部省に行って詳しく調査したものの、
委員会が意図したようなことは全く出て来ないので遂に解散してしまい、結局特定の議員個人が参議院某を通じて、新聞掲載の演出を行ったわけであります。」云々、あとのほうをもう少し読んでおきますと、「当学園の学生、生徒募集期の大切な時期をねらい、その名誉権益を不当にじゅうりんして、募集を妨害し、恰も八女地区市民の
利益を計るかの如き擬装の中で、私利のための地盤を固めたかの如き疑いを抱かざるを得ません。損得を離れて、誠意をもって当らねばならぬ教育
事業に対し、かかる悪意をもって立向われたことは、全く心外に堪えないものがあります。」こういう文書を各方面にばらまいております。この点についてはあとで問題を明らかにしてまいりますが、こういう事実があるのであります。
第三は、地元勤労者あるいは地元民の反響としては、各地方紙によって一斉にこれが報道されまして、
昭和三十四年以来の問題がこの際参議院
決算委員会において解決されるのを期待する、この参議院
決算委員会の審議と大蔵省、文部省のその後の
措置について重大な関心を抱いておるという報道がなされているところであります。
以上、二月十六日の私が質問いたしましたあと、そのような反響があるのでありますが、まず
問題点の質問に入ります前に、この
問題点を明らかにしておかなければなりません。その
問題点は、第一は、払い下げに対する事務的な疑惑が現在なお地元では払拭されておりません。払い下げのときの事務的な疑惑、そういうものがまだ十分に解明されておりませんから、こういうものも大蔵省としてはこの
決算委員会を通じて解明する必要があろうと思います。
それから第二の問題は、学校
経営の見通しについて、文部省の学術
局長は、私があとで述べるように、非常に非観的な見通しをなされておる。地元民もそのように見ているわけです。広い土地に短期大学、同付属高等学校を
経営しておるが、付属高等学校のほうはまあまあでありますが、短期大学のほうはなかなか困難ではないかという見通しであります。この問題が
一つであります。
第三は、その払い下げました国有財産の中には私有財産が数点点在しておる。この問題は未解決のまま放置されておる。したがって、この問題をどうするか。
それから第四点は、
昭和四十三年の十一月に用途指定、使用の期限が切れるのであるが、それが切れたら一体どうなるのか、これは個人の財産になってしまうのではないか、したがって大蔵省、文部省ともにこれをどう処理するのか。
この五つの
問題点を本日のこの
委員会で解明しなければなりません。
その質問に入ります前に、私はこの西
日本短期大学江口繁理事長ほか二名の人でばらまかれた書面なるものについて問題を明らかにしておかなければなりませんが、第一の問題は、西大問題特別処理
委員会が解散された
理由は、九月定例市議会における西大調査特別
委員会委員長報告というものがございます。これによりますれば、次のように書いてあるのであります。「慎重審議いたしました結果、
委員九名、五対四にて本日をもって終結するということに決定いたしました。
理由は本
委員会の調査により、西
日本短大との交渉を果たすべきであろう、また参議院決算審査
委員会に調査願いを出すという
結論を得たのでこの際終結すべきであるという
意見が五、」
——そういう
意見が五人、「継続すべきだという
理由は参議院
決算委員会に調査願いを出した以上その経過、回答を待つべきであろうという
理由の者が四」、以上九名でありまして、この調査特別
委員会を開催いたしましたのは、大蔵省や文部省が調査したけれ
ども何にも問題がなかったから解散したのではないということをこの
決算委員会でも明らかにしておかなければならぬ。でないと、もう西大調査特別
委員会は解散されて、それはもう何にも問題がないから解散されたのだと、こう書面に書いてありますから、これでは市民をごまかすことになりますから、これは明らかにしておかなければならぬ。
それから第二の問題は、「生徒募集時期の大切な時期をねらって
決算委員会で問題にしたのは、入学を妨害したのだ」、こういうふうなことを書いてある。これはまことに許しがたいことでありますが、この
決算委員会で取り上げましたのは、私が冒頭言いました三つの問題を解決するために質問いたしたのでありまして、決して学校をつぶすというたてまえでないということ、学校教育に対しては地元市民も非常に歓迎をいたしております。しかしながら、学校教育ということを看板にして将来私有財産になることを目途としておるのではないかという疑惑があるから、この
決算委員会で問題にしておるのだということ、私が質問の冒頭にも、学校教育をもう少し前向きにするためにはこの問題を解決しなければならぬということを発言しておるのでありまして、その発言があるにもかかわらず、このような書面を学校教育者が一方的に誤解をしてばらまくということについては、許しがたいことでありますが、これは別途の
方法で明らかにしなければならぬが、一応この
決算委員会ではそのことを明らかにしておきたいと思うのであります。
そこで、私はただいまから、まず文部省に質問をいたしていきたいと思います。この前の
決算委員会で、学術
局長の杉江君が次のように
答弁をいたしております。「ただ、このような生徒数では、おそらく
経営は非常に困難であろうし、将来
経営の面からかなり大きな困難が出てまいるということは十分予想されます。」。これは私が、「このような地方短大の育成強化についてどのような態度をしておられるのか、お
考えをお聞きいたします。」、こういう質問に対する回答でありますが、「で、その際にまあどういう
措置を法人として
考えられるかということは、まず第一に法人としての御
判断にかかる問題でございます。ただ国としては、その
経営の困難ということから、設置基準を著しく下回り、短大なり高等学校としての教育の実質が確保されないというようなことになれば、これはまたそれとして別の
判断があるわけでございますが、しかし
経営困難に対しては、できるだけ、一般的に申すならば、
各種の助成が強化さるべきだろう、こういうことは言えるだろうと思います。しかし、問題になっておりますこの学校においては、あまり定員が少ないという
事態は、私はそういった単なる助成ではたして今後健全な
経営の見通しが持てるかどうかという点については、かなり疑問を持っているわけでありますけれ
ども、一般的には、今後私立学校の助成という点については、非常に努力しなければならぬ、かように思っております。」という
答弁がなされております。したがって、それから半年たったのでありますが、
昭和四十一
年度の生徒も募集されていることでありますが、現在文部省としては西
日本短期大学に対してどのような把握をしておられるか、
経営の見通しなりについてお伺いいたします。