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1966-05-26 第51回国会 参議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十六日(木曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      上原 正吉君     林田悠紀夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木内 四郎君     理 事                 長谷川 仁君                 増原 恵吉君                 森 元治郎君     委 員                 笹森 順造君                 杉原 荒太君                 高橋  衛君                 林田悠紀夫君                 廣瀬 久忠君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君                 黒柳  明君                 渋谷 邦彦君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君    政府委員        防衛庁防衛局長  島田  豊君        公安調査庁長官  吉河 光貞君        外務大臣官房長  高野 藤吉君        外務省アジア局        長        小川平四郎君        外務省北米局長  安川  壯君        外務省欧亜局長  北原 秀雄君        運輸省航空局長  佐藤 光夫君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務省条約局外        務参事官     大和田 渉君        大蔵省主税局国        際租税課長    大倉 真隆君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○所得に対する租税及びある種の他の租税に関す  る二重課税回避のための日本国ドイツ連邦  共和国との間の協定締結について承認を求め  るの件(内閣提出) ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)     —————————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。去る五月十二日上原正吉君が委員を辞任され、その補欠として林田悠紀夫君が選任されました。     —————————————
  3. 木内四郎

    委員長木内四郎君) まず、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避のための日本国ドイツ連邦共和国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 森元治郎

    森元治郎君 まあ一つ条約締結によって税収の影響ですね、両国の。国の力が同じであれば税収のふえたり減ったりする分も大体均衡すると思うんだが、両国経済関係から見て、両国増減関係はどういうふうになりますか。
  5. 大和田渉

    説明員大和田渉君) 二重課税防止条約そのものは、御存じのとおり、両国において課税される場合に、それが所得者に対して二重に課せられてはいけないというのがねらいでございます。もちろん、この条約のねらいといたしましては、あわせて両国課税関係を明確化する、それによって経済文化交流が促進されるという目的でございます。  税収の点でございますが、したがいまして、条約そのものは、これによって税収をよけいふやすとか、あるいは減るという問題そのものには直接には関係してまいりません。実際に税収が多いかあるいは少ないかという点につきましては、両国お互い相手の国にどの程度企業が進出しているか、あるいは、そこでたとえば具体的にはドイツにいる日本人の数と日本にいるドイツ人の数、あるいは企業進出状況ということに関連してまいりますので、この条約それ自身は、税の増収という式なものを直接目的にしたものではございません。
  6. 森元治郎

    森元治郎君 デュッセルドルフなんか七、八百人もいるようだが、企業進出状況と、進出日本人商業関係に従事している人の数なんかわかりますか。
  7. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) お答え申し上げます。企業進出状況は、日本からドイツに出ておりますものが非常に多くて、ドイツから日本に来ておるものは数としてはきわめて少のうございます。まず、商社メーカーその他の数からいいますと、現在日本からドイツに出て行っております現地法人の形をとっておりますのが四十四社でございます。それから、支店の形をとっておりますのが六社であります。駐在員事務所が百十社、もっとも、これは一企業で二カ所持っておるところもございますので、必ずしも百十社ということではございません。むしろ百十カ所というふうにお考え願ったほうがよかろうと思います。ドイツ側から日本に来ておりますのは、現地法人をつくっておるのはございません。支店が五社来ております。駐在員事務所は、私ども存じておる限りでは、銀行に一店あるだけのようでございます。人数は、正確な人数が、いつも動いておるようでございまして、必ずしもはっきりいたしておりませんけれども日本商社員メーカーの社員で常時ドイツに駐在している者は約二千人ではなかろうかというふうに存じております。
  8. 森元治郎

    森元治郎君 過去にも十数カ国とこの種の条約を結んだが、この種の条約を取りきめるのは大体先進国同士ですか。
  9. 大和田渉

    説明員大和田渉君) 必ずしも先進国との間のみというふうに限定されたわけではございません。事実、日本は過去において十四カ国とこの種の条約を結んでおりますが、その中には後進国も入っております。
  10. 森元治郎

    森元治郎君 後進国といったって、後進国もA、B、C、いろいろあるだろうけれどもアラブ連合なんかも後進国に入るのかな。
  11. 大和田渉

    説明員大和田渉君) 具体的に過去において日本が結んでおります相手国を申し上げますと、アメリカスエーデンデンマーク、パキスタン、ノルウェー、インド、シンガポール、オーストリア、イギリス、ニュージーランド、タイ、マラヤ、カナダ、フランス、以上の十四カ国と現在まで結んでおります。  なお、現在交渉中あるいは交渉予定の国といたしまして、そのほかベルギー、オランダ、それから豪州とも話がございますし、ブラジルとも話があるという状況でございます。
  12. 森元治郎

    森元治郎君 参考のために承っておくが、この種条約はなかなか取りきめまでに時間がかかる。共通してむずかしい点というのはどういうところにあるのですか。
  13. 大和田渉

    説明員大和田渉君) お説のとおり、従来の例から申しまして、大体三年ないし四年かかっております。で、そのむずかしい点と申しますのは、まずお互いの国の国内税制度というものをお互いにはっきり認識する必要があるということのために、いわば第一回戦では、お互いに自国の税制度国内法上の税制度説明し合うというような段階がございます。そのあとで、そのうちのどの税についてお互いに免除するかということを相談し合うというような段階を経ておりますので、したがいまして、従来の例から申しますと、大体三年ないし四年かかっておるということになっております。特にむずかしいというのは、おのおの国内税制度が若干ずつ変わっておりますので、過去に特定の国と結んだ条約そのものがすぐ使えるというのではなくて、やはりその国の国内税制とあわせて日本国内税制度をどういうふうにお互いに免除するかということで時間をとるわけでございます。
  14. 森元治郎

    森元治郎君 過去に結んだもので、またその国内法の改正もあるだろうし、経済情勢の変化に従ってそれを交渉し直したものなんかあるんですか。
  15. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) いままでの例といたしましては、米国との間に三回にわたりまして改定を行なっております。それから、イギリスが最近御承知のように岡内法企業課税を根本的に変えましたので、これに対応しまして現存の条約改定するように申し入れております。そのほかにスエーデンも一度改定したこともございます。なお、現在ノルウェーデンマークとの改定交渉準備中でございます。
  16. 森元治郎

    森元治郎君 これは統計があると思うのだが、日独と限定して、この協定締結されて、実際あるもうけというか、得というか、利点というのかな、日独間に限るとどんなふうになりますか、数字的に。
  17. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) お答え申し上げます。実は数字的に日本が、日本経済の側に立って、どれほど得をするか、ドイツ日本に資本、技術事業という形で進出することによってどれほど得をするかということがつかめると、私どもも非常に役に立ちまするし、交渉をいたします際に励みも出るのでございますが、実は数字的にはなかなかっかみにくい。むしろ、これはよってどういう面が一番楽になるかと申しますと、やはり事業所得課税、ある広告活動でございますとか、情報収集でございますとか、あるいは単にストックを置くだけである、そういうことでは現地課税が起こらないということがはっきりいたす。そのことによりまして、現地に出しております駐在員事務所課税上の地位が条約上明確になるという点に一番大きな利点があるのではなかろうかと考えております。先ほど申し上げましたように、日本商社というところのものは、ほとんど現在ドイツに出ております。また、メーカーが出ております。条約交渉を始めまして双方の意思が疎通するまでの間には、現実にいろいろと課税上のトラブルがあったわけでございます。今後条約が発効すれば、それが非常にきれいな形になり、かつ安定する。それが形にすぐあらわれてこないけれども、やはりお互い経済活動では一番大きな条約利点ではなかろうかと私ども考えております。もちろん、そのほか技術使用料でございますとか、利子でございますとか、配当でございますとか、そういう形の所得につきましては、現実国内法の税率が、たとえば二〇であるものが一五、ドイツ側で二五であるものが一〇だというようなことで、現実相手国投資所得に関する限りは有利になるということがございますが、くどいようでございますが、第一に申し上げました点が、租税条約効果としては、現実に一番大きいのではなかろうかと考えております。
  18. 森元治郎

    森元治郎君 この種条約は何回もこの委員会を通っているわけだが、いつでも数字がつかめない。大蔵省のほうから承っているのだが、つかめない理由を述べていただきたい。
  19. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) 現実に払うべき税金幾らどのように減るかということは、実は所得が現にどれだけ出るかということと密接にからんでおるわけでございます。一応の推定を下せば、それは数字が出ないことはないかとも思いますけれども、やはりいま申し上げましたように、それが三十九年度でたとえば一億円の得である、あるいは四十年度でたとえば一億五千万円の得であるということ以上に、先ほど来申し上げたように、課税上の形がすっきりする、安定するという形のものがむしろ企業にとっては効果があるのではないかというように考えております。
  20. 森元治郎

    森元治郎君 進出企業者の側としては非常にこれは喜ばれるのか。
  21. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) それはもうそう申し上げて間違いないと思います。私ども現地交渉いたしました際に、現地日本企業代表者約百名がお集まりになりまして、よくやってくださった、できるだけ早くこれをひとつ発効していただきたいということをしばしば言われております。
  22. 森元治郎

    森元治郎君 これはやはり数字をつかみにくいことはそのとおりだろうけれども、やはり、現地にも大蔵省も通産省も外務省も機関があって実態を把握しておかぬと、貿易でも経済関係でもほんとうの勝負はできないと思う。いいかげんに進出企業者にまかせっ切りで実態をつかめていないということはまずいと思うので、これはこういう機会に、金もかかるだろうが、しっかりした実態づかみということが大事だと思うのですが、どんなものですか。
  23. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) お話しの点はまことにごもっともと思うのでございまして、私どもも実は私どもなりに、各企業がどういう事業をしておるか、利益の上げ方がどうなるか、具体的にそれについてドイツ課税上どういう問題があるかということは、できるだけきめこまかく調べております。ただそれを、先ほど来お答え申し上げておりますように、それを一年分をまとめまして、税額として幾ら節約できるかというようなことは、結局、今後各企業所得が上がるか上がらないかということのかね合いでございます。なかなか数字についてお示しするに至らないということで御了承願いたいと思います。
  24. 杉原荒太

    杉原荒太君 いまのに関連するけれども実態数字がつかみにくい、また毎年度によっても違うし、この協定がある場合とない場合の差というものの大体の金は言えると思う。将来のことでなくて、いままで、過去のことで、その一つの場合として、日本においてドイツ商社関係からどれくらい一体税収があったのかというのを、たくさんじゃなくていいから、毎年度じゃなくてもいいけれども、わかっておれば、ある部分はわかっておるでしょうが、過去のことはそれはどうなっておるのですか。そうして、それは今度の二重課税回避協定ができることにより、その適用の結果として課税されないという種類のものについて、それから、過去においては一体どれだけ税収があったか。
  25. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) 現実に各商社がある年度でどれだけもうけておるか、ドイツでどれだけもうけておるかという点の御質問かと思います。
  26. 杉原荒太

    杉原荒太君 いや、もうけているじゃなくて、税収ですよ。現実にどのくらいあるのかというのがわかっておるかどうか。
  27. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) その結果、条約を結べばいままであった税収がふえるか、あるいは減るか、こういう御質問であるかと思いますけれども、現在、各社ごと所得を全部集計した資料は実はございません。かなりの時間をかけまして集計すれば出ないことはないかもしれませんけれども、この際申し上げますと、結局、駐在員事務所というのは、そもそもそのことからは所得が出ないのだということから、従来問題が発生しているわけです。たとえば広告活動情報収集、そういうことからはもうけはないのであるというのが一つのものの考え方であります。それに対しまして相手国では、いや、人間が働いているのだからもうけがないはずはなかろう。たとえば、本店から二万マルク送ってくれば、その五%なり三%は事業所得推定して課税する、こういうわけでありまして……
  28. 杉原荒太

    杉原荒太君 私の聞いているのはそういうことじゃなくて、現実にどのくらい税収があるのかつかめないか。
  29. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) ちょっと恐縮でございますが、事業所得関係で、数字が一体どうなるかということは、実は非常にむずかしい問題を裏に含んでいるわけであります。ただ、投資所得につきましてははっきりしておりまして、現在ドイツに対して日本が支払っております投資所得、持に技術使用料というのは年間五十億をややこえる程度でございます。これが条約でどうなるかと申しますと、この中に現在全然課税を受けていないもの、一〇%で受けているもの、一五%で受けているもの、いろいろあるわけでございますが、これが条約上一〇%になり、非常に大ざっぱな推定といたしますと一億円内外日本税収はこの面では減収になるということが申せます。これに対して、ドイツ側日本側から投資を受けているのが、いままでのところ残念ながら非常に少のうございますから、その意味では、ドイツ日本に対して利子なり配当なり技術使用料なりから取っている税金条約の結果即座に減るかというと、これはネグリジブルであると申し上げてもいいかと思います。それに比べて、先ほど来申し上げておりますように、従来取るか取らないかということでトラブルが起こったものが、今後取る取らないにおいてはっきりしてくる。
  30. 杉原荒太

    杉原荒太君 それはいままで聞いているからわかっている。私の質問について答えなさい。問題を限定してください。これは詳しくなにすることはなかなかめんどうだから、ただ一つの場合に限って、日本でどれだけの税収が上がっているのか、いま言っている税収についてこれはどうしてもわからないのですか。
  31. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) やはりいろいろ総合いたしまして、日本税収がこれによって減る部分というのは一億円内外、若干上回るか、円でございますが、この程度だと思います。ドイツ側でこれによって税収の減る部分というのが投資所得についてはほとんどネグリジブルである。事業所得については従来取ろうとしていたものが取れなくなるという意味減収がございます。それの金額についてはなかなか的確につかみにくいということであります。
  32. 杉原荒太

    杉原荒太君 何かそこのところはっきり説明ができぬものかね、何かおかしいような感じがするな、ぼくらには。
  33. 森元治郎

    森元治郎君 国民の税金幾らでも取ってしまう。いつもこれは明答できないのだ、毎回。
  34. 杉原荒太

    杉原荒太君 何もこの条約自体について疑問を持って質問しているのじゃないので、何もこれを合理化するのにいろいろ説明しないでもいいですよ。いま質問していることだけ答えてみたらどうです。できないなら、どうしてできないのか。
  35. 大倉真隆

    説明員大倉真隆君) 御質問の点、私どもよくわかりませんが、先ほど来申し上げておりますように、いろいろむずかしい点がございますけれども、できるだけ集めまして、次回御質疑までに何か提出できるものは提出さしていただきたいと思います。
  36. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  37. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  38. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に、国際情勢等に関する調査議題といたします。  これより当面の国際情勢について質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  39. 羽生三七

    羽生三七君 問題は、この韓国提唱アジア閣僚会議に関して二、三お尋ねをいたしたいと思いますが、先日の新聞報道によりますというと、韓国李東元外務部長官記者会見で、六月のアジア太平洋地域閣僚会議では、膨張する中国の勢力に対抗するため、韓国としてはアジア自由諸国間の集団安全保障問題について話し合いたい、こう述べたといわれております。これはソウル中央テレビ放送で行なったインタビューで表明したもののようであります。いままで韓国は、この通称アジア外相会議、これは経済文化面だけの相互協力、こういうように言っておったわけですが、今度軍事的な安全保障問題にまで幅を広げて意思を表明したものと思います。それで、従来参加国の中には非軍事的な面での協力だけを主張した国もあるといわれておりますが、これは日本をさすと思いますが、また、中には、進んで新しい政治、軍事的な安保体制の必要を主張される国もあるが、韓国はその後者をとると、こういうように言われております。このような性質の会議になっても、来月の韓国提唱アジア外相会議あるいは閣僚会議日本としては参加されるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  40. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 準備会議では、安全保障問題であるとか防衛問題といったような問題を取り上げることになっておったようでございますが、そういう問題を取り上げることはやめるべきだ、そうして、もっとゆるやかな国際会議にするということを提唱した結果、大方の賛同を得まして、これを削除した、そういうことになりまして、準備会議は終わったわけでございます。でありますから、ソウルの本会議におきましては、準備会の取りきめた趣旨精神に沿って運営さるべきであるということをわれわれは確信するわけでございます。韓国外務部長官がどういう意図を持っていかなる場合にそういうことを発言したか、それはわれわれのほうの関知するところではない、あくまで準備会議趣旨に沿って本会議が進行される、こう考えております。
  41. 羽生三七

    羽生三七君 さきのバンコクにおける準備会議はそういうことであったかもしれませんが、あらためて韓国の責任ある外務部長官記者会見で、しかもテレビインタビューでこういうことを明らかにしている。日本は関知しないと言いますが、そこで、続いて昨日の放送によりますというと、これはたぶん日本意思と若干の関連があるかと思います。これによりますと、韓国は六月にソウル開催予定アジア太平洋閣僚会議に続いてアジア太平洋条約機構結成を推進する計画で、同条約機構結成について会談を開くよう数カ国と協議中である、こう放送されております。したがって、これはソウルで開かれる最初アジア外相会議閣僚会議、この場合に、もし日本の考えるような方向で会議が進められて、アジア集団安保等討議対象にならないというようなことになれば、引き続いてあらためて別個の会議を持ってこの太平洋条約機構結成するための会議を新たにつくっていく、こういう意思表示であろうと思います。それで、いまのところ日本が関知するかどうか知らないにしても、そうであるならば、もし来たるべき来月のアジア外相会議閣僚会議日本出席をして、そして、もし韓国がここに伝えられているようなアジア集団安全保障条約、あるいはけっきり条約でなくても、最初日本政府が予定したような、純経済的、文化的な問題に限定することのない、他の違った政治的、軍事的な条件が出てきた場合には、たとえば集団安保というようなものでなくとも、軍事的あるいは機構的、いろいろあるでしょう、政治的——そういうものが新たなる討議対象になったような場合には、日本はこの会議から当然退くものと了解してよろしゅうございますか。
  42. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) そういう問題、限定した安全保障とか防衛とかいうようなことでなく、一般的な政治的な問題を取り上げる、あるいは文化経済の問題を取り上げる、そういう、もっと余裕のあるゆるやかな国際会議にするという了解でございます。これはどうも韓国がいかにどういう宣伝をしているかわからぬけれども会議の実体をかってに変更することはできないはずでございます。私は、そういうことはあり得ないと思っております。
  43. 羽生三七

    羽生三七君 いや、あり得ないと言いましても、責任ある外務部長官がこれだけはっきり記者会見で言っているから、必ず何らかの形でそれが出てくると思う。もし出てきた場合には、日本——この当委員会で私の質問に答えて椎名外相は、そのような場合には会議出席を見合わせることもあり得るとはっきり答えております。これは速記にも載っております。そのことを再確認してよろしいかどうか。
  44. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 記者会見の問題、あれはどういうふうになっているか知らぬけれども準備会議趣旨精神、これをかってに踏みにじることはできないはずでございます。会議それ自体は決してこういう問題にこだわるということは絶対にないし、また、そうさすべきではない。でありますから、記者会見の、事前にやったということで、いま日本の態度を変える必要はない。本格の会議にわれわれが参加いたしまして、そうして、そういうことにならないようにこれを防止する、当初の約束どおり会議にするということに努力したいと思います。必ず、これは私は確信して言えることでございます。
  45. 羽生三七

    羽生三七君 くどいようですが、日本の当初の方針を変える意思はないということは、そういうものが出たときには今後は参加しないし裏の問題ですが、そう了解してよろしゅうございますね。
  46. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) そう簡単に敵にうしろを見せて逃げるようなことをする必要はないと思う。必ずそういうことがないように努力いたします。
  47. 羽生三七

    羽生三七君 いや、私の言うのは、努力しても、必ずそういう問題が出てくると思うので、念を押しておるわけです。特に、先日、アメリカベトナム駐在大使ロッジ氏が韓国に立ち寄ったことを私は非常に重く見ておるわけです。これはロッジ氏が韓国になぜ立ち寄ったか。そこで討議されたことは、いままでの地上部隊ではなしに、今度は砲兵部隊、空軍等の出動の要請をして、これはベトナム戦争のエスカレートにつながるものであることは天下周知の事実であります。韓国はいまやそういう方向へ進んでおるのでありますから、たとえば日本の顔をかりに立てて、来月の会議一度ぐらいはそういう集団安保等に通ずる問題を提起しないにしても、韓国がいまや進んでおる方向というものはそういう方向であることは間違いない。そのために日本のかりに参加が得られない場合を予想して、別個にアジア太平洋条約機構結成を推進するための別途の会議を計画中ということになっておるわけです。したがって、そういう立場から見て、私は、外交上の問題でありますから、そんなに紋切り型の質疑応答をどこまでやっていいのか、私もその辺は心得ておるつもりですけれども、それにしても、明らかにこういう方向に進んでおる現時点において、もし問題がそういう方向に提起された場合には、少なくとも日本政府というものかいままで確認したものをいまあらためて表明しても、そういう方向に努力すると言うんですから、一向差しつかえない。何もちゅうちょする必要はない。それは通告済みのことをあらためて確認するだけですから、別に私が新たなる問題を提起するわけではない。従来の態度を確認するということでもよろしいわけですね。重ねて伺います。
  48. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 妙に小さくこりがちになったような会議ではおもしろくない。そういうことがどうしても実現しそうだというような場合には、これには参加しないということもあり得るということは申し上げた。ところが、集まった大多数の国が、そのほうがよろしい、日本の主張はたいへん正しい、そのほうがいいという賛成を得て、そういうことになったのですから、それで参加するということに正式に通告をした。今度は、あなたのは、新しい。参加しても、突如そういった問題が提起されたらうしろを見せて帰るかということなんですが、もともとの申し合わせか、そういうことのないようにしようということなんですから、そんな御心配は要らない、こう申し上げている。
  49. 羽生三七

    羽生三七君 いやいや、それは向こうははっきりやると言っているんですから、かような点は何もうしろを見せるとか前を見せるとか、そんなことはどっちでもいい。日本の態度はいままでどおりかどうか。  もう一つは、どういう形にしろ、新しい提案であるかどうかは別として、どういう形にしろ、集団安保等にはもちろん、韓国の考えておるアジア太平洋地域集団安全保障機構、これには参加しない、これはもうはっきりおっしゃることができると思いますが、これはいかがですか。
  50. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) そういう話は聞いたことがありません。いま初めて伺うんですから、もしそういうような会議をやるとすれば、これは出る意思はございません。来たついでにこっちのほうの会議も立ち寄ってくれと言われても、それは約束が違うから、それは行きません。それから、あくまで準備会議趣旨を貫いて本会議を開くということは、申し合わせでございますので、その国際間の申し合わせをあくまで実行するようにいたしたい、こう考えております。
  51. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つは、私非常に不思議に思うことがあるのですが、先般、日本が主催したアジア開発閣僚会議、これは純経済的な問題に終始したわけです。それが開かれておるのに、あえて新たに韓国が同じ性質のものを別途開くということについて、これはどういう意味があるのでしょうか。新たなる意味があればこそ韓国が別途に開くのじゃないですか。もし日本と同じ性質のものを開くとするならば、それは参加国は若干違うかもしれませんが、二重に同じような性質のものを一開く意味は全然ない。すでに、いい悪いは別として、日本の前回主催したあの会議で事足りておるはずです。よその国が主催することですから、かれこれ言う必要はないと言えばそれまでですが、日本が参加する以上、同性質のものをなぜ二度続けて新たにやる必要があるかどうか。そこに新たなる意図があるからこそ、別途の会議を持とうとしておるのじゃないですか。その辺はどういうふうに判断しておるのか。
  52. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはかねて韓国が提唱しておったのでありまして、アジア外相会議、これは三年越し提唱しておる問題でございます。それで、当初は日本は参加しないという返事をしたのであります。それは向こうも日本を初めから除外して計画されておったようであります。ところが、ある国から、日本を除外するということは意味がないということが提唱されたので、それで、途中から日本に参加を勧誘してまいった。しかし、日本としては、そのときはお断わりしたのです。ところが、昨年はとうとう日韓国交正常化の条約の審議等がございまして、その問題は見送った。いよいよ今度あらためて提案してまいったのであります。そういうことで、これは韓国としては三年越しの問題だ。われわれとしては、国交正常化もいたしまして、それから過般日本が開催した、東南アジア地方に限定して強い連帯感を再確認して国際協力でこの地域の経済発展をはかろうじゃないかというコンパクトな目的を持って開いた会議とは、御存じのとおり、範囲も違います。そして、政治経済文化、そういうあらゆる面にわたってお互いに国づくりに成功するようにいろんな話し合いをしていく、こういうごくゆるい性質の会議でございまして、これは重複するから、むだだからよせというようなものじゃないと思う。国際会議はよく似たような会議がそちこちで行なわれますが、そういうことならばおつき合いしよう、こういうことでやっておるのであります。私は、東南アジアのこの間の開発会議と重複するような考えは持っておりません。
  53. 羽生三七

    羽生三七君 きょうは外相の時間が限定されておるのに他の委員の御発言もあるようでございますので、実は時間があれば、最近のベトナム問題とか原潜問題、あるいはグロムイコ外相訪日に関する問題とか、お尋ねしたいことはたくさんありますが、最後に一点だけもう一つお尋ねしたいことは、フランスが近く南太平洋で核実験をやるわけです。これは日本政府も抗議したと思いますが、少なくとも、日本が十八カ国軍縮委員会に参加の希望を表明しているこの際、無限に、また新たに、しかも太平洋——南太平洋でありますけれども、こういう実験をするということについては、徹底的な抗議をすべきだと思う。いままでどういう措置をとられたのか。また、今後強力にこの問題については日本の政府としての意思表示をすべきだと思いますが、いままでどういうことをやってこられたのか。もしやっていないとすれば、今後どういうようにやられようとするのか。特に、いま申し上げたような十八カ国軍縮委員会に参加の希望をしている日本としては、当然この軍縮の立場からも重大な関心を払ってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  54. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本としては、ぜひこれは中止してもらいたいという申し入れを約一週間ばかり前にいたしました。
  55. 羽生三七

    羽生三七君 これで終わりますが、申し入れはそれは私も新聞で承知しておりますが、そんな、あそこに報道されているような弱いものでなしに、くどいようですが、軍縮委員会に参加を、アメリカ、ソ連等を通じて促進方の意思表明をしている日本の立場においては、なおさら私はこの問題については強く抗議する必要がある。こんなことが際限なしに発展していっては軍縮も何もあったものではない。しかも、こういう問題をもちろん含めて、今度たとえばグロムイコ外相等が来たときには、徹底的にそういう問題も私は討議してもらいたいと思う。それであるから、一週間前にどういうことを言ったか知りませんけれども、重ねてもっと強い抗議の意思を表明すべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
  56. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 別に、弱い申し入れをしたわけではございません。はっきりと、こういうことは時代に逆行するものであるからというので、はっきりした申し入れを行なっております。しかし、必要があれば、なお考えたいと思います。いまのところはこれで十分ではないかと、こう考えております。
  57. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 中国の問題が最近とみに重要になりつつありますので、この問題についていろいろお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、アジア公館長会議で、特にきのうの会議あたりでは中国問題が中心議題になったようですが、大臣としては、中国の現在の問題をどう認識しておられるか。それから、中国に対する態度を今後どういうふうに持っていこうとしておられるか、まず、その点からお聞きしたい。
  58. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) きわめて重大な問題でありまして、絶えずわれわれは情勢の推移を見守り、これに対する方策等につきましては絶えず情勢を分析し、検討を加えておるような次第であります。ただいまのところは、中国問題と申しましても、いろいろな、たくさん数多い具体的な問題を包含しているわけでございます。特に従来の方針を大きく変更するという、いま結論を得ておりません。大体従来の方向に沿うていくべきであると、こう考えておる次第でございます。
  59. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 アジア局長にお尋ねしますが、昨日いろいろな方の、中国認識、対策でいろいろお話があったようだし、最終的には意見の一致を見たというふうに報ぜられておりますが、どういう意見があり、どういう点で意見が一致したか、御説明を願いたい。
  60. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 会議におきましては、各公館長がおのおの自分の考えている意見を申すわけでございます。それに対しまして、本省側がそういう意見をいろいろ承りまして、その他の状況をにらみ合せまして、そのつど施策に盛り込んでいこうということでございますので、会議におきまして、ある結論を出すとかあるいは意見を統一するとか、そういうものではございません。意見が一致して、その方向に進むというようなことはないわけでございます。
  61. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 新聞の伝えるところによると、アジア局長がまず冒頭に中国問題に対する報告をされて、それを中心にしていろいろ論議があったと伝えられておりますが、アジア局長はどういう意見、どういう認識を持っておられるのか。
  62. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 会議の内容を詳しく申し上げるのは差し控えたいと思いますが、新聞で申しておりますところは、本省側としては、先ほど大臣の仰せられましたとおりに、現在の段階において従来の方針を変更する必要はないのではないかという観察でございます。これに対しまして各公館長が、それぞれ任地から見ております観察を述べたわけでございます。
  63. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 どうも問題の内容を具体的にお話しにならないので非常に不満ですが、大臣も先ほど言われたと言われますけれども、大臣は何事も語っていないんですね。そこで、もう少し私のほうから問題を具体的に出しますが、大臣にお尋ねしたいのですが、従来の、政経分離の原則であるとかあるいは反共の態度というような態度をどういうふうにされるか、特に、平和共存という問題をどう考えられるか、その二つの関連をどういうふうに考えておられるか、まず、その点からお聞きします。
  64. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 平和共存ということは、これはお互いに戦争をしない、そして文化経済の面で競争していく、そうして、どちらがより多く世界の共感を得ることができるか、そういうことによって競い合おうという精神だろうと思います。これは一〇〇%実行されておるかどうかということは別問題にして、ソ連がとっておる今日の政策はこれに該当するのではないか。私は、そういう観点からは、建設的な、世界全体の繁栄のためにいい政策だと、こう考えております。それから、それを中共がとっておるかどうかということを考えると、私は、中共は、平和共存というのはこれは共産主義の堕落であると言って激しくソ連を攻撃しておる、したがって、中共の政策は平和共存ではない、こう考えております。それから、政経分離の方針は、従来どおりこの方針で進めていきたい、こう考えております。
  65. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 政経分離の原則という場合に、政治的な話し合いは一切しないという意味なのか、それとも、日中の間で政治的な問題に対する会談を何らかの形で今後やることを妨げない、むしろ積極的にそれを推進するというお考えかどうか。たとえば川島特派大使がAA会議に行ったときに周恩来首相との会談をやられた、あるいは大野氏もそれに同席した。したがって、日中の政府の要人が会談をした、しかも政治的な問題の会談をしたと思うのですが、その前後に、今後はそういう意味での折衝をさらに積極的にひんぱんにやることを妨げない、むしろそれをやりたい、こういうふうに総理は言っておられますが、また、自民党の諸君も、松村さんをはじめ、その後にも、また近く訪中をするというようなことで会談をもくろんでおられますが、それらの点はさらに推進をされるかどうか。さらには、もっと具体的に言って大使級会談、これはもうおそきに失しているので積極的にやるべきである。米中の間では非常にひんぱんに数百回にわたって行なわれているし、二、三日前も行なわれたようでありますが、もっと緊密な関係を持っている日本は、そういう点に積極的な意欲を示すべきだ、こういうふうに思いますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  66. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 政経分離と一がいに申しましても、これは問題を突き詰めれば突き詰めるほど、非常にいろいろな疑問が起こってまいりますが、これは常識的に考えるべきものであって、経済の交流に政治問題をからませない。そうして支那大陸の中共の政権下にある七億の人民、そういう存在の自主性を認めて、そうして経済の交流を進めていく。ただし、政治問題はこれにからませない。両国の間はお互いの政府が承認し合っておりませんから、そういう程度意味でございます。しかし、これが一番いい形だとは思っていない。一つの道程のいわば現象にすぎない。何らかの形においてこれがはっきりしたまとまりをつける必要があるだろうと思うが、これはなかなかむずかしい問題であります。台北政府との関係もあり、これは日本一国でどうしようというわけにもいかない。これはいわば世界的な重大な問題である。したがって、国際世論というものを背景にして一歩一歩解決に向かって進むべきものである、こういう方針をとっておるのであります。この方針に沿う意味において、何らか政治的な色彩を持った接触をするかしないかといったような問題は、いわゆる政経分離のその考え方に変更を来たすとかなんとかという問題ではない。そういうことが問題解決のために必要であれば、それはそういうこともやるべきであるが、また、やれることでもあると思うのであります。そういったような問題につきましては、これはいま何とも具体的にお答えする用意を十分にいたしておりません。
  67. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 必要があればやることにやぶさかでないとおっしゃいますけれども、今くらいそれが必要な時期はないのじゃないか、こう思うのです。したがって、また総理も、これをやることにやぶさかでないし、ひんぱんに積極的にやりたいと思うと、総理は予算委員会その他で答弁しておられるのですが、それから見ると、外務大臣の態度は非常に後退をしたと言うほか表現のしかたがないと思いますが、それでいいのですか、もっと積極的であってしかるべきじゃないか。いまは何とも言えませんというようなぐずぐずした問題でないと思いますが、どうお考えですか。
  68. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは抽象論を言っても果てしのない問題であります。具体的にどういうぐあいにどうすべきかという問題がまだ爼上にのぼっておりませんので、私は、従来の大方針のワク内において両国の間に従来以上の接触を深めるという余地は考えられるということは申し上げて差しつかえない、どういうことをじゃあやろうとするのか、どういうことが一番大事であるかというようなことについては、お答えする用意を持ってないと、こう申し上げたのであります。
  69. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それならば、いまのそういう態度といわゆる封じ込め政策——きのうあたりからのあれによりますと、「せきとめ政策」とことばを変えられるそうですが、その「せきとめ政策」というような問題についてはどういうふうにお考えになり、今後どういうふうな態度をとられるのか。ことばをわざわざ変えられたのは、かなりの方針の変更も含むものと解釈することのほうが妥当だ、単なることばの問題じゃないと思いますが、その点をどうお考えになりますか。
  70. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは英語の訳が、「封じ込め」ということはどうも適当じゃないのじゃないか、何かこう積極的に、行ってふとん蒸しでもするように封じ込めるというような積極的な行動を連想させるので、適当な訳ではないのではないかというような話が出たらしいんです。何もこれを日本がこういう政策に出るとかなんとかというんじゃない。訳語として適当かどうかというその表現の問題で、会議の席上、多少くつろいだ会議の空気になっておって、そのときに出た問題だそうでございます。それは、実際そこに立ち会った北米局長がここにおりますから、北米局長からお答えいたします。
  71. 安川壯

    政府委員(安川壯君) 大体ただいま大臣から御説明がありましたとおりでございまして、昨日の午後、中国政策について本論は終わりましてあと、いろんな問題を雑談しておるときに、コンテインメントというのを「封じ込め」と訳すのは必ずしも正確じゃないんじゃないか、むしろ何か、封じ込めといいますと、相手を締めつけるというような意味にとられがちだし、特に最近ではアメリカでも、コンテインメント・ウイズアウト・アイソレーションということばさえ出ているので、「封じ込め」という訳は必ずしも適当じゃないので、何かいい訳はないだろうかというような話から、だれであったかは忘れましたが、むしろ「せきとめ」とでも訳した方が適当じゃないかというのが雑談の間に出まして、それがまあ新聞記者会見で披露されたということでございます。
  72. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そしたら、その「せきとめ政策」というものの具体的な内容、方策はどういうことなんですか。
  73. 安川壯

    政府委員(安川壯君) でございますから、それだけの話でございまして、要するに、アメリカのコンテインメント政策というものを訳すとすれば「せきとめ政策」と訳したほうがよかろうというだけでございまして、これは日本の対中共政策を「せきとめ政策」でいくべきだというような話ではもともとなかったわけでございます。
  74. 森元治郎

    森元治郎君 関連。一体独立国に向かって、戦争状態の宣言もしてないくせに、封じ込めるとかせきとめるとか巻き返しとかということばをつかうことは、これが平和を破壊することになるんだと、平地に波乱を起こすんだと。独立国のメンツはぺしゃんこですよ。一つの国を封じ込めるなんて、こういうことばはつかわないんだと、これをアメリカにこちらが教えてやることが私は平和の一歩だと思うんです。一つの国に、封じ込めるって、どんな小さい国だってぶち破ろうとします。いかがですか、大臣。名と実体と、そういうものをやめるべきだ。——封じ込めがまずいものだから、このごろ、文化はいいとか、あるいは新聞記者はいいとか、だんだん少し削ってはきましたが、そもそもよその国をコンテインするということが、私はかねがね不愉快なことばだと思うのです。日本だって、どこかが封じ込めると言ったら、自民党だってヒステリーになってしまうでしょう。これはやめるべきです、こういうことばづかいは。内容もそう。いかがでしょう、大臣。アメリカに言いなさいよ。こんなものはやめる。そんなことばつかわない。実体もやらない。封じ込めなんて独立国のメンツはペシャンコだよ。こんなもの、どんな小さい国でもこれは反抗しますよ。
  75. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) できることならば、そういうあまりぶっそうなことばはつかわないほうがいいと思います。武力による国際共産化なんというのも非常にいやなことばでございます。そういうことばは全部世界からなくしたほうが私はいいと考えております。
  76. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 時間がありませんので、もう一点だけ。アメリカでは中国敵視政策は完全につまずいたということを認めた。封じ込め政策によって中国の前進をはばむことはできないということをアメリカは認めた。これはアメリカの下院外交委員会における極東特別委員会の報告にそういうことが出ていると思うのです。そこで、中国問題なり中国政策を再検討する。そして、単なる封じ込め政策、あるいはただ相手側の変化を待つという政策ではむなしいものであり、危険であるということをこの報告書は認めたと思うのです。アメリカにおいてすらそういう情勢にあるのですが、そういうアメリカの情勢の変化とも関連して、日本はそういう封じ込め政策なりなんなりについて今後どういうふうな態度をとろうとしておられるか、大臣にお答え願いたい。
  77. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは日本は独自の立場をとって対中国政策を進めつつあるということを、昨年の一月ですか、佐藤・ジョンソン会談においても佐藤総理から主張されております。すなわち、封じ込めということは日本としてはとらない。政経分離の方針のもとに文化経済の交流は進めてまいるつもりであるということを断わっているわけでございまして、日本は初めから封じ込め政策には追随はしておりません。
  78. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それじゃ、押し込め政策もとられないわけですね。
  79. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) もちろんです。
  80. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 なお、中国との外交問題についていろいろお聞きをしたいと思いましたが、時間がありません。なお、通産大臣あるいは防衛庁長官、運輸大臣、郵政大臣、公安調査庁にもお尋ねをしたいと思っているのですが、これも時間の関係で割愛をして、一点だけ、公安調査庁お見えになっておりますので、公安調査庁長官にお尋ねいたしますが、中国の共産党が日本の共産党あるいは社会党に対してどういう態度を持ち、どういう政策をとり、どういう意図を持っていると長官はお考えになっているか、御報告願いたい。
  81. 吉河光貞

    政府委員(吉河光貞君) 中国問題の研究の権威であられる佐多委員からたいへん大きな御質問をちょうだいいたしまして、お答えするのは、あくまでも公安の観点から見たものであるということをお断わりしておきたいと考えるわけであります。また、私どものお答えは、公式に煮詰まった見解ではございませんので、非常に未熟な取りまとめでございますので、いろいろ御叱正を受ける点が多かろうと考えております。  中共の対日基本政策というふうなものは、決して一本調子の簡単なものではない、非常に幅の広い、複雑なものだと思います。基本的に申しますれば、中共はわが国を二つの面でとらえていると考えるわけでございます。その一つの面は、わが国が非常に高度に発達した資本主義国として、政治上または経済上、アメリカとの間にいろいろな矛盾をはらんでいるという面でございます。この面から、中共はわが国とアメリカとのこれらの矛盾を激化させまして日米離間をはかるというような方策を生み出しているように存ずるわけでございます。さらに、他の一つの面につきましては、日本の支配層である独占資本は、いわゆる安保体制などによりましてアメリカに従属しておる。アメリカ——いわゆるアメリカ帝国主義は、日本の独占資本を手先として日本人民を収奪し、後進国に近いような抑圧を行なっている、したがって、日本人民の間には、この抑圧に反抗してアメリカ帝国主義と日本の独占資本と抗争する反米、反独占の革命的な運動が成長している、そこで中共は、この日本人民の革命運動をあくまで支援する、日本を解放して社会主義国をつくらせなければならないというような方策を打ち出しているように存ずるのでございまして、この後者の面につきまして、中共は、日本共産党を中心にこの日本の革命運動が達成されることを強く期待し、従来、いろいろな指導援助を与えていることは、歴史的にも明らかな事例が多いと考える次第でございます。
  82. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いろいろお尋ねしたいのですけれども、時間がありませんからこれでやめますが、  一点、資料だけをお願いしたいのですが、先ほどちょっと触れました、アメリカの下院の外交委員会の極東特別委員会における報告書、これをぜひ外務省からお出しを願いたいと思います。
  83. 森元治郎

    森元治郎君 私、五分以内でやりますから、事実だけ。  けさの新聞を見ますと、われわれが地元として非常に希望している那珂湊の射爆場のかえ地が新島に、大体アメリカ軍もその条件を多少緩和したのでしょう、話し合いができて、ほとんどのんだような記事が出ております。何とかいう司令官がアメリカに帰って相談してくるのでしょう。そうすれば、早ければ七月ごろにも着工をしていくんじゃないかという大きな記事が出ておる。かねがねこの委員会でも再三質問をしたので、その事実の関係をお話し願いたい。
  84. 安川壯

    政府委員(安川壯君) 私、その新聞記事は見ておりませんが、私が承知している限りでは、防衛施設庁と米軍との間に代替地につきまして具体的な折衝を進めておるという段階までは承知をしておりますが、それが最終的に話し合いがついたというところまで、私はまだ確認いたしておりません。
  85. 森元治郎

    森元治郎君 防衛庁のだれか来ておられるようですが。
  86. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 私も、実は担当が違いますので、この点の事実関係については承知しておりません。
  87. 森元治郎

    森元治郎君 関係が違う——違うことないですよ。大問題としてあなたのほうの大臣に聞いているんだから、下の局長さんは当然知っていられるはずだね。答えられないのかもしれぬ。それから、アメリカ局長は新聞を見ていない。新聞ぐらい見なさいよ。何ぼでもない。外国ではサリンジャー報導担当官とかなんとか、実際新聞を裏表見てやっているんですよ。あれほど言ったんだから、けさ新聞に載っておる、あれを尋ねるからと言ったのに、だめだな、これは伝えておかなくちゃ。時間かかっちゃってしょうがない。あれを見たら……、きょうは終っちまうからだめだが。
  88. 安川壯

    政府委員(安川壯君) この問題は外務省としても関心を持っておりますので、さっそく施設庁のほうと連絡をとりまして、事実についてもよく確認をいたしたいと思います。
  89. 森元治郎

    森元治郎君 そこで安川さん、あれは非常な確信的な記事なので、想像じゃないような記事なので、そういう話し合いがその辺まで行っているのだ、たとえば、がけをくずせば乱気流が減るのだかなくなるのだかで使えるらしい、こういうことが出ているのですが、あなたも、この前そういうような御説明があったので、その辺までは話は進展していると想像してよろしゅうございますか。あなた、想像しませんか。
  90. 安川壯

    政府委員(安川壯君) かなり具体的な条件その他について話し合いが進んでいるということは最近聞いております。しかし、最終的に話がついたというところまでは、私まだ承知しておりませんので、その点はさっそく確認させます。
  91. 森元治郎

    森元治郎君 それじゃ、非常に望みがあると、−こういうふうに御答弁できますか。
  92. 安川壯

    政府委員(安川壯君) 交渉妥結の話し合いがつく可能性も持つというふうなことだけは私申し上げることはできますけれども、現在のところ、その程度でございます。
  93. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間が限られておりますので、端的に質問したいと思いますけれども、昨日の会議で、外務大臣の代読メッセージで、わが国のアジア外交はアジア諸国が連帯意識を高揚させることにあると、こういう外務大臣の発言でございますが、どのような意図でこういうことをお述べになったのか、お伺いしたいと思います。
  94. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 政務次官が私のあいさつを代読した文句の中に入っているそうです、いま聞きましたが。それは、東南アジアの開発をやる上において、われわれは、どうしてもあの地域が気候、風土その他社会的な条件というものがかなり共通したものを持っておる、したがって、お互いにまあ同じような環境にあるんだと、そしてその環境を大いに開発して繁栄をここに持ち来たるのだという意識を高めるためには、まずもってその連帯感、同じ環境の中に住んでいるのだという連帯感を強めて、そうしてその上にお互い協力し合ってこの地域全体の開発をしようじゃないかと、まあこういうふうに持っていかないと、ほんとうにその開発の気運というものは高まらない、そこからひとつ気運を起こしていこうではないかという考え方。で、われわれはあの会議の際にも、総理の演説の中に連帯感ということを強調しておったわけです。そういう意味でございます。
  95. 黒柳明

    ○黒柳明君 こういう連帯意識の高揚という面から、将来、このアジア地域開発とともに核に対しての防御態勢として非核地帯の宣言、このようなことは外務大臣としてお考えございませんですか、アジア地域に対する非核地帯の宣言。
  96. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 非核地帯というものは、これはどういうところに設定するのが最も有効であるか、これはなかなか議論の多いところであります。その地域のなかに、あるいは地域にすぐ隣して核開発をやっておる国であるとかいうようなものが入っておれば、非核地帯なんということは初めからもう問題にはならない、近所にそういう大国があればすぐ突きくずされてしまうというわけでございまして、そう簡単にどこをその非核地帯にするかというようなことは、これは非常にむずかしい問題であります。でありますから、われわれは簡単にアジアに非核地帯を設定するというような結論を軽々に下すべきではない、こう考えております。
  97. 黒柳明

    ○黒柳明君 インドネシアの問題ですが、経済使節団も来ております。またブオノ副総理も来ておりますが、このインドネシアに対する経済援助は非常に韓国と並んで政治意識が強い、こういうふうに言われておりますが、何か特別な考慮を払った上においての経済援助、こういうようなことはお考えになっておりますか。
  98. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 一億の人口を持っておって、島の数でも三万と言われております。人間の住んでいるのはそれの約五分の一でございますが、六千ないし七千ぐらいの島に一億の人口が生息しておる。しかも、天然資源がきわめて豊富である。また、熱と光に恵まれておりますから、そういう植物資源を育成する点からいいましても、非常に恵まれた地帯でございます。また、あとは非常に東南アジアの諸国は概して貧困な国が多いのではないか。インドネシアも現状のままにしておくとなかなか繁栄なんというものはおとずれてこない。どうしても手をかしてやって、そしてあそこを開発して、そしてその上に政治的な安定というものをつくり上げていくという必要があるのでありまして、そういう意味では、できるだけ先進諸国が手をかしてやって、そして向上をするようにしてやらなければならぬと、こう考えておるわけでございまして、特別に政治的意図というようなものは私はないと思うのです。純粋に、みな東南アジアに対する経済協力は純粋な考え方で、それによって特別の利権を獲得するとか、特別の政治的な立場をつくるとかいうようなことは私はないと思う。しいて政治的な問題があそこにあるというならば、むしろインドネシア自身にあるのではないか。経済の安定、繁栄をわれわれが協力してやる前に、まず政治的な考え方をもう少し考え直してもらいたい、あるいはまた政治的な姿勢をもう少し直してもらいたい、そういったようなことはありますけれども、援助する国のほうから別に政治的な意図は私はないと、こう考えております。
  99. 黒柳明

    ○黒柳明君 マレーシアの問題に移りたいと思いますが、バンコックにおける二カ国の話し合いが決裂した場合、昨日マレーシア大使もその調停の用意をしておかなければならないと、このように発言しておりますが、外務大臣としてはそのお考えはあるでしょうか。
  100. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) それはまあ近所がけんかしておるということはお互いにおもしろくないのでありますから、できるだけ平和を招きますように日本としても従来も努力しておるわけでありますが、今度の両国の話し合いは、かなり両方とも意欲的でございます。非常に両方とも軍費を要するわけでありまして、こういうことは、たいした実りがないのに多額の軍費を浪費しておるというような状況から一日も早く脱却したいという気持ちがありまして、両国とも非常に意欲的であるように思われます。できるなら、やっぱり第三国ということでなしに、さしで仲直りできればこれは一番いいと思います。私はかなりの程度まで今度は成果をあげていくのじゃないか、こう考えております。
  101. 黒柳明

    ○黒柳明君 総理の外遊についてですが、昨日の大使も東南アジアヘもぜひ訪問してもらいたいという、こういう意見が多かったらしいんですが、総理のコースも大体決定している模様ですけれども、ラーマン首相にしても、今度のインドネシアの問題にしても、東南アジア日本の援助あるいは東南アジアのリーダーシップを日本がとるべきだ、こういうようなことを発言している東南アジアの首相もおりますが、これに対して、ソ連の前にぜひ総理に東南アジアを訪問してもらいたい、このような考えを持っておるわけですが、外務大臣としてはいかがでしょうか。
  102. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあできるだけひまを見つけて海外に旅行されて、大いに親善友好の度を嵩めるということは、これは必要なことだと思います。さて、実際の問題としてどこから始めるかということでございますが、まだ総理の海外旅行は決定しておりません。ただいま研究しておる段階でございます。
  103. 黒柳明

    ○黒柳明君 最後に原子力潜水艦の問題ですが、いよいよ横須賀に入る、こういうような予想ですけれども、この次にエンタープライズがやがて来るんじゃないか、こう予測されます。北爆の基地としてのエンタープライズがもしわが国に寄港した場合は、非常に大規模な反対デモが起こると、こう予測されますが、どんな不祥事態が予測されたとしても、このエンタープライズの寄港を認める、こういうお考えでしょうか。
  104. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どういうわけでそんな大きなデモをしなければならぬのか、私はよくわかりません。これは日米安保条約のたてまえからいって、ただ推進力に原子力を使っておるだけの話、それが日本防衛の責任を負っておるアメリカといたしまして日本に寄港したい、補給その他の意味においても寄港したいというのに、これを拒絶する一体理由はない。でありますから、デモはデモ、空母の寄港は寄港、デモがあるからやめるというような考え方は持つべきでないし、私どもは持っておりません。
  105. 黒柳明

    ○黒柳明君 最後に一問、それに関して、これは科学技術庁からも意見が出たはずですが、要するに、原子炉の安全性あるいは廃棄物、それの海水の汚染、あるいは昨年英国のポラリス原潜寄港の基地が多少海水が汚染した、こういうような発表もありました。これは人体にはあまり影響がない。それにしても、まだまだこういう科学的データというものははっきりつかんでいないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。はたして外務省として、日本政府として、アメリカ国務省に対して、この原潜あるいはエンタープライズに対して、はっきりした安全性を確かめる科学的データをつかんでの上で海水の汚染はないと、こういうようなことを確認して安全性を発表しているのかどうか、その点いかがなんでしょうか。
  106. 安川壯

    政府委員(安川壯君) 原子力潜水艦につきましては、御承知のように、寄港の決定するまでに、入手し得るあらゆる情報、資料を入手いたしまして、それに基づきまして原子力委員会として安全性を確認したわけでございます。ホーリーロッホの件にりきましても、たでいま御指摘のような事実がございまして、これについてもできるだけ資料を取り寄せて検討しております。原子力空母につきましても、大体実質的に原子力潜水艦と変わりございませんので、あらためて安全性について根本的な再検討をする必要は感じておりませんけれども、いまだ正式に申し入れはございませんけれども、正式な申し入れがあることを予想いたしまして、空母につきましてもいろいろな資料を入手して事務的にはただいま検討いたしております。
  107. 羽生三七

    羽生三七君 関連して一問だけ。いまの黒柳君の質問に関連するんですが、きのうの衆議院(しゅうぎいん)の外務委員会における原潜問題の質疑応答の記事を新聞で見た限りにおいては、従来の外務大臣の国会答弁と較べてみると、私非常な発展が見られると思う。というのは、いままではかなり消極的だったものが、今回はむしろアメリカ日本を安保で守ってくれるのであるから安全のためにということで、非常に積極的に発言されたように見られます。ですから、日本に対する直接侵略あるいは直接攻撃の場合ならいざ知らず、ベトナム問題に関連してああいう原潜寄港等がある場合に、それが日本の安全を守るためというお考えは非常な私は発展、飛躍ではないか、そういう印象を受けたのですが、ちょっといささか、いまのベトナム情勢、アジア情勢から見て、これは逆行じゃないですか。
  108. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあいろいろな角度からかなり綿密な質問を受けたのです。それに対して答えたわけなんですが、それをどういうふうに新聞が報道しているかよくわかりませんけれどもアメリカの軍事作戦上、原潜、空母が日本に寄港する必要かあるという記事が出ているのだがこれはたいへんなことじゃないか、といったような御質問がありました。ところが、原文を見ると、作戦というのは何かオペレーションということばを「作戦」と訳したのを、それを取り上げて御質問があったようです。私は、その作戦上日本に原子力空母が寄港する必要があるということをアメリカが言ったということは、どうも信じられない。その作戦というのは、ただ平らな意味を持っているのじゃないかと、こういうことばで私は応酬したように覚えておりますが、はたして調べてみると、ただ「操作」というふうに訳せばいいようなやつを、「作戦」と訳したのでそういうやり取りになったように思われますが、そんなことから、何かそのことに関連した記事をお読みになってそういう感触を持たれたのだろうと思いますが、別にベトナム戦争に関連して私はそういうことを答えたつもりもないし、私としては、そういままで以上に調子の高い気持ちで答弁した覚えはないのですから、どうぞ御了解願います。
  109. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。  本日は、これにて散会いたします。   午後零時二十三分散会      —————・—————