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1966-06-03 第51回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月三日(金曜日)    午後一時十四分開会     —————————————    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      秋山 長造君     伊藤 顕道君  六月二日     辞任         補欠選任      光村 甚助君     佐多 忠隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大森 創造君     理 事                 鹿島 俊雄君                 源田  実君                 戸田 菊雄君                 森 元治郎君     委 員                 近藤 鶴代君                 笹森 順造君                 中村喜四郎君                 八田 一朗君                 平島 敏夫君                 船田  譲君                 宮崎 正雄君                 佐多 忠隆君                 森  勝治君                 黒柳  明君                 向井 長年君    国務大臣        国 務 大 臣  上原 正吉君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君    政府委員        防衛庁装備局長  國井  眞君        経済企画庁総合        開発局長     加納 治郎君        科学技術政務次        官        田川 誠一君        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        科学技術庁宇宙        開発推進本部長  高木  昇君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (宇宙開発に関する件)  (原子力潜水艦等安全性に関する件)     —————————————
  2. 大森創造

    委員長大森創造君) それでは、ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月十二日、秋山長造君が委員辞任され、その補欠として伊藤顕道君が選任されました。  また昨日、光村甚助君が委員辞任され、その補欠として佐多忠隆君が選任されました。     —————————————
  3. 大森創造

    委員長大森創造君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  4. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 まず、宇宙開発現状について、特にアメリカソ連現状のあらましを御説明願いたいと思います。
  5. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 先生日本の及び米ソ両国でございますか。
  6. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 日本のやつはあとで聞きます。まず米ソ
  7. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 米ソおきます宇宙開発現状を簡単に御説明申し上げたいと思いますが、まず、私どもはまだ及ばないところでございますが、両国とも最も熱を入れておりますのは、いわゆる有人宇宙飛行でございます。  お知りおきのとおり、米国おきましては、アポロ計画というものがございまして、一九七〇年よりも前の時期に月に二人の飛行士着陸させるということで、二百億ドル程度予算をかけまして従来から行なっております。これは、アメリカおきますところの航空宇宙局予算の七〇%程度を占めておりますものでございまして、この計画アメリカおきますところの宇宙開発計画の最も主柱をなしております。この計画、先ほど申しました最終目標に到達いたしますまでに、いろいろな段階を踏むわけでございますが、お知りおきのとおり、いわゆる衛星人間を、これは一人でございますけれども、乗せまして軌道の飛行計画をいたしましたところのマーキュリー計画というのがございまして、これは一九六一年から六三年の間に六回実施をいたしまして、衛星を打ち上げますところのロケット信頼性、あるいはそれの改善、あるいはいろいろな宇宙船補助装置の性能の確認でございますとか、あるいは追跡システムの完成というような一つ開発効果を得まして、引き続きまして一九六四年からジェミニ計画、二人乗り人工衛星計画を行なっておりまして、これは全部で十二回やるわけでございますけれども、本年の三月までに8号を打ち上げました。最近9号が打ち上げられることになっておりますが、これは種々技術的な問題のために現在は打ち上げが延期されております。いままでの8号まで打ち上げました結果によりまして、たとえば長時間の飛行おきますところの、いろいろな医学的あるいは生理学的な変化に対しますところの研究でございますとか、あるいは6号・7号によって行なわれましたところのランデブーでございますとか、あるいは8号によって行なわれましたドッキングでございますとか、そういうような技術的な訓練成果を得、あるいは4号において行なわれましたような長時間の船外活動、いわゆる宇宙遊泳、こういうようなものの技術につきましても成果を得ております。今後一九六七年まで、先ほど申しましたようなランデブーなり、ドッキング訓練技術を重ねまして、一九六七年からはアポロ宇宙船を打ち上げるというような計画に移行するものと思います。  ソ連おきましては、同様に、有人宇宙飛行に非常に熱を入れておることは御承知おきのとおりでございまして、これは一九六七年ごろに人間を月に着陸を実現させる計画であるといわれております。で、いわゆるボストークシリーズ、あるいはウォスホートのシリーズを経まして、現在までにかなりの成果をあげております。たとえば、史上初めての三人乗り衛星船を打ち上げましたり、あるいは史上初宇宙遊泳を行ないました。そういうようなことにつきましては、すでに御承知おきのとおりだと思います。  次に、このようなアメリカアポロ計画なり、ソ連月着陸を実現いたしますさらに前提といたしまして、いろいろな無人月探査計画というようなものも、当然に行なわれなければならないわけでございます。  これも、御承知おきのとおり、米国おきましては、レーンジャー計画というものを一九六一年から六五年まで行なっておりまして、九つほどのロケットを打ち上げまして、月面の精密な写真撮影によりますところの月の表面模様によりまして着陸地点をつかむべく、いろいろな資料を得ております。さらに、月の表面宇宙船軟着陸いたしまして長い期間にわたりましていろいろな月面の精密な写真をとりまして、着陸地点の選定を行ないますために、サーベイヤー計画というものが行なわれております。全体で八機ほど打ち上げまして、七機までは予備的なもの、八機以後につきましては、科学的な種々観測を行なうことでございまして、これも、今回の−号の軟着陸成功につきましては御承知おきのとおりだと思います。さらに今後は、ルナ・オービター計画と申しまして、さらに月の周辺を衛星が回りながらテレビ等月面の実況を撮影いたしまして、宇宙船着陸地点を発見するというような方法を計画いたしております。  ソ連おきましても、いわゆるルーニッタシリーズというものがございまして、一九五九年以降本年の三月までに十機の無人月探査機を打ち上げております。3号におきまして初めて月裏面写真撮影をいたしましてから、本年の二月には初めて軟着陸が成功いたしまして、これにおきましてアメリカを四ヵ月ほどリードしたわけでございます。さらに、月の回りを回りますところの月10号、これも史上初孫衛星でございますけれども、これによりましていろいろな減速技術を確立いたしております。  そのほか、月以外の惑星探査といたしまして、アメリカおきましては、無人探査機によりますところの火星金星等惑星探査を行ないますマリーナ計画というものがございまして、六二年以降六四年末まで四つを打ち上げまして、それぞれ、そのうちの2号、4号等は、金星等科学的な探査、あるいは遠距離写真電送というような技術おきまして大きな成果をあげましたことも御承知おきのとおりでございます。  ソ連おきましても、一九六〇年以降、これは多少資料的に不確実な点もございますけれども、昨年の十一月までに十四機程度無人探査機を打ち上げております。こういう点につきまして、惑星探査等につきましては、一がいに申しますれば、ソ連は従来は米国にかなり一方的にリードをされていたようでございますけれども、金星3号が、昨年の十一月でございますか、三十一億キロというような遠距離を飛びまして金星に到達いたしましたということは、ソ連おきますところのエレクトロニクス関係というものが、米国に比べまして決して劣っているものではないという一つの証左であろうと思いますが、両者大体同じ線に到達したようでございます。  さらに米国おきましては、ボエイジャー計画といいまして、マリーナよりももう少し複雑高度の惑星研究を一九七一年以降行なうということになっておりましたが、これは種々予算関係でございましょうか、現在のところ、七三年から行なうことに延期されまして、そのかわり、一応終了いたしましたところのマリーナ計画のほうを、さらに三機ほど金星及び火星探査を行なうべく計画模様がえに相なったようでございます。  以上申し上げましたほかに、いろいろな科学的観測のためにロケットを打ち上げましたり、あるいはアメリカおきますところのオゴ衛星のような、非常に大きな気象観測台のようなものが衛星として宇宙を回っているというような開発も進んでまいりましたが、一方、いままで申し上げましたような科学衛星、あるいは有人飛行のための開発のほかに、直接的に社会的あるいは経済的な効果をねらいますところの実用衛星計画があるわけであります。時間がございませんので簡単に申し上げますが、すでに御承知おきのとおり、アメリカおきましては、タイロス、ニンバスというような気象衛星を打ち上げ、さらに最近におきましてはエッサというものを打ち上げまして、これによりまして雲の解析その他を早急に行ないまして、気象予報に役立たせるということで、実用化が進んでおります。それから通信衛星につきましても、シンコム3号でオリンピックの中継が行なわれましたことは、すでに御承知おきのとおりだと思いますけれども、六五年の四月には、商業用通信衛星でありますところのアーリーバードが打ち上げられまして、これが実用に供されております。そのほか、航行衛星測地衛星等につきましても、現在実験的な段階研究がなされております。そのほか、着目すべきものといたしましては、通信衛星でございますとか、航行衛星、あるいは衛星に必要な姿勢の制御というような面の技術開発いたしますために、本年度の末には、多目的衛星、ATSというものが打ち上げられることに相なっております。そのほか、宇宙技術開発なり、あるいは宇宙技術に必要ないろいろの技術開発、計器測器の開発、あるいは必要な地上施設開発というようなものが引き続いて行なわれております。先ほど申し上げましたアメリカの一九六六年の航空宇宙局予算の中で、最初に申し上げましたところの有人宇宙飛行関係のものが約六八%、それから実用衛星が二・二%、関連のいろいろの宇宙技術開発に七・六%、地上施設関係では六・六%、一兆八千九百億程度予算がこれに充てられているのが実情でございます。  ソ連実用衛星の現況につきましては、実はまことに申しわけない限りでございますけれども、的確な資料を現在まで得られておりません。ただ、昨年モルニアという通信衛星を打ち上げまして、モスクワーウラジオストク間のいろいろなテレビ、電話の送信等利用いたしておりまして、これが、たしか2号まで打ち上げたと思いますけれども、フランスとの協力によりまして、テレビ両国間の電送等も現在検討いたしておるようでございます。  大体現状の大要を申し上げました。
  8. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 国連における宇宙開発研究状況はどうですか。
  9. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 先生の御質問の向きは、一般的な国際協同という意味でございますか。国連平和利用委員会関係の問題でございましょうか。
  10. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一般的な科学技術小委員会でやっているものがあるのじゃないですか。
  11. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) この点につきましては、具体的な計画と申しますよりも、むしろ宇宙平和利用委員会おきまして、宇宙開発、あるいは宇宙利用平和的目的に限ろうというような意見がございまして、それに関しまして、いろいろな技術的な検討をいたすということが主でございまして、平和利用委員会おきまして国連自体の特別な各国共同的な開発計画というようなものは現在のところはございません。ただ、これは、コスパル関係の、いわゆる世界学術連合でございますか、これがいわゆるIGYの観測年以来、各国共同によりまして、科学的な観測共同でいたしておりますが、その点は高木先生から御説明いただいたほうがいいかと思います。
  12. 高木昇

    説明員高木昇君) ただいまの高橋局長の補足をいたしますと、学術関係では、御説明ございましたように、日本学術会議とか、各国のいわゆる学士院、アカデミーが連合いたしまして、宇宙空間研究委員会コスパルというものをつくっておりまして、これは世界学術会議の連合体、ICSUというものの下部機構になっております。これが、国際地球観測年が終わると同時に、毎年こういう科学の面で各国とも協力して共同観測を行なうということになりまして、現在二十三カ国が加盟しておると思います。その中にABCクラスという格づけをいたしまして、Aが人工衛星が上げられる国、Bは観測ロケットがやられたりする国、それからCが地上からの観測協力する、こういうふうに分けられておりまして、毎年、一年一回国際会議を開いて、昨年やりました結果を報告する、あわせて次の年にはどういう共同研究をやろうかという決議などを行ないます機関でございまして、日本は第一回からそれに参画いたしております。  以上でございます。
  13. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 企画庁長官のほうに時間の御都合があるらしいですから、少し問題をあとに残しまして、長官のほうにお尋ねしますが、宇宙開発ステーションが鹿児島県の種子島にできることになりました。その種子島は、申し上げるまでもなく離島振興計画の中に入って、振興計画をいろいろおやりになっておると思いますが、今度の宇宙開発ステーションをつくることを組み込んで、開発計画がどういうふうに変更されるか。そこいらの模様をお尋ねしたいのですが、まず、宇宙開発の問題と離れて、いま一般的に離島振興計画の一環としての種子島振興計画、これはどういうふうにお考えですか。
  14. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 種子島離島振興計画につきましては、御承知のとおり、特産物である甘蔗農業生産拡大製糖業等食料品加工の育成ということが主たる産業の目的でございます。なお、農業基盤の確立とか、あるいは交通施設等整備をはかるとともに、生活環境、文教、厚生等施設整備をはかっていく一般的な離島振興計画につきまして、全体的に種子島にそれを適用しつつやっておるわけでございます。そして四十一年度は大体七億九千四百万円の総予算でございまして、そのうち国が持っておりますものが五億四千二百万円と、こういうことになっております。
  15. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 特に道路であるとか港湾であるとかいうようなものの開発計画はどうなんですか。
  16. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) こまかい点につきましては局長から……。
  17. 加納治郎

    政府委員加納治郎君) いま長官から申し上げました事業費の内訳について御説明申し上げます。  種子島の分につきましては、いまの七億九千四百万円のうちに、単独のものとして最高の道路が二億六千八百万円、続いて港湾の一億八千四百万円、さらに農業基盤整備の一億七千五百万円という順序になっております。その他のものを合計いたしまして、七億九千四百万円でございます。
  18. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今度基地ができるということになると、それに関連して、道路の問題であるとか、港湾の問題であるとか、あるいはさらには電力の問題、水源の問題等がいろいろ問題になると思うのですが、それらはどういうふうに拡大をされるというお見通しでございますか。
  19. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今回の計画実施に移ってまいりますれば、当然、道路でございますとか、いま御指摘のように、水の問題とか、諸般の問題が出てまいりますと思います。それらにつきましては、従来基地になっておりません関係上、新たにそれらのものを策定してまいらなければならぬのでございまして、今後施策の上において十分それを考えたい、こういうことでございます。
  20. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは、四十一年度からすでに組み込まれることになりますか、どうですか。
  21. 加納治郎

    政府委員加納治郎君) 現在まで、ロケット発射場の御計画を伺い、科学技術庁のほうと調整をいたしました限りでは、先ほど申し上げました事業費の中で計画をいたしております港湾の岸壁その他、あるいは道路主要地方道、あるいは県道等につきましては、大体現在すでに計画に組み入れられているもので目的を達するのではないかと考えられております。ただ、年々の事業費等につきましては、スピードを上げるというような必要が出てくるのじゃないか。あるいは将来さらに御拡張になる、いろいろ計画が広げられるような場合には、あるいは変更になることがあるかもしれませんけれども、全体の目標といたしましては、現在各省並びに経済企画庁で考えております事業計画で一応おさまるのではないか、かように考えているわけでございます。
  22. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 経済企画庁関係はそれでけっこうです。  宇宙開発状況を、世界的に、ソ連アメリカ、あるいは国連等関係をいまお聞きしたのですが、わが国におけるこれまでの宇宙開発施策の概要といいますか、それをひとつ御説明願いたい。
  23. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 歴史的に申し上げますると、わが国おきますところの宇宙開発の発端は、昭和二十九年に——国際地球観測年が三十二年から三十三年にわたって行なわれたわけでございますが、ロケットでこの観測事業に参加しようということが学術会議おきまして承認をされまして、予算的には、昭和三十年に東大生産技術研究所にそのための予算が割り当てられましたことが、行政的な措置の最初でございます。  最初に、御承知おきのとおり、東大ペンシルロケットという小さいロケット開発されまして、それからさらにカッパーロケットというふうに段階が進んでまいったわけでございます。一方、東京天文台でございますとか、あるいは海上保安庁の水路部、郵政省の電波研というようなところで、アメリカ昭和三十三年に打ち上げましたエクスプローラー、あるいはソ連で打ち上げましたところのスプートニク、これらの衛星を光学的に追跡するというようなことが行なわれたわけでございます。  そのように、各機関おきまして、それぞれの業務の範囲内において行なわれておりましたのでございますが、昭和三十五年の五月になりまして、わが国おきますところの宇宙開発の大綱をきめるべきであるというような意向が強まりまして、宇宙開発審議会が設置せられましたわけでございますが、直ちに当審議会に対しまして、「宇宙開発推進基本方策」というものにつきましての諮問が発せられたわけでございます。  この諮問に対しまして、二年の経過をたどりましたのですが、昭和三十七年の五月に同審議会から答申がなされましたわけです。この答申の趣旨は、わが国おきますところの宇宙開発の基本的な考え方ということは、第一に平和の目的に限るということ、第二には自主、公開の原則をとるということ、第三番目には国際協力を重視するということでございます。当初といたしまして、そのような基本的な構想のもとに、一応当面五カ年程度目標といたしまして、観測ロケットによりますところの科学的な観測と、それから外国の衛星利用いたしますところの宇宙科学研究を行なうことが強調されました。一号諮問おきましては、実用面開発につきましては実体的にはあまり主眼が置かれていなかったようにも思っております。  科学技術庁は、宇宙開発審議会の設置と同時期と思いますが、三十五年から宇宙開発業務に着手いたしまして、昭和三十五年以降民間の会社に気象ロケット等研究委託をいたしまして、さらに三十六年以降におきましては、人工衛星のいろいろな基本的なシステム開発ということを行なってきたわけでございます。で、三十七年には、今度は東大のほうでいわゆる内之浦の射場、あるいは国際電電おきますところの茨城の宇宙通信センターというようなものの建設が開始されまして、さらに昭和三十八年に至りまして、このような各省庁にわたりますところの宇宙開発が非常に活発になりましたときに、宇宙開発審議会に対しまして第三号の諮問が発せられたわけでございます。  諮問は、「宇宙開発における重点開発目標と、これを達成するための具体的方策いかん」ということでございまして、この諮問に対しまして、昭和三十九年の二月に答申が行なわれました。この答申の内容につきましては、具体的な開発目標といたしまして六つの重点をあげております。第一は、人工衛星を国内で開発、製作をいたすということ、それから第二には、気象等実用化ロケット早期開発するということ、第三には、さきに申しましたような人工衛星を打ち上げますための大型ロケット開発するような能力の涵養をはかるということ、第四には、他国の衛星によりますところの宇宙利用技術開発促進すること、それから第五には、観測ロケットを用いまして宇宙科学研究を行なう、最後に、これらの宇宙開発関係いたしますところの各種観測あるいは計測機械等開発を促進するということをうたっております。さらに同時に、この答申は、宇宙開発体制につきましても論じておりまして、冒頭に掲げてございますように、わが国の有する科学技術資金等を総合的、効率的に活用し得る一元的機関を設けることが理想であるが、当面は二本立ての開発体制をとって、そうしてそれぞれの調整の場として宇宙開発審議会の場を利用するということをうたっております。そうして、実用化目標の中の一にございますところの人工衛星開発、それから二番目にございますところの気象等実用化ロケット早期開発、それから三番目の人工衛星打ち上げ用の大型ロケット開発、それから各種観測機等開発という五番目のこと、この四つ目標を達成するためには、各省庁おきましてこれらを開発するために特に多額の経費を要しますものにつきましては、これを一元的に開発いたしますために、科学技術庁宇宙開発推進本部を設置すべき旨を答申されております。この答申に基づきまして、三十九年の七月に、科学技術庁宇宙開発推進本部が設置せられまして、先ほど申し上げました四つ重点目標開発を現在まで手がけておるわけでございます。  さらに、同答申は、宇宙おきますところの純粋科学的な研究を推進いたしますために、大学の共同的な研究機関といたしまして、東大生産研において行なわれておりました業務を中心といたしまして、新たに宇宙航空技術研究所を設置すべき旨を答申されております。これに基づきまして、昭和三十九年には、同じように東京大学に、旧航研生産研の一部を含めましたところの宇宙航空研究所が設置せられまして、以後引き続き科学的な宇宙開発開発技術を取り扱っておられるわけでございます。  以上が大要でございます。
  24. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 宇宙開発審議会というものをおつくりになったというのですが、それの構成だとか、それの任務、それの活動の状況について御説明を願います。
  25. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 宇宙開発審議会は総理の諮問機関でございまして、わが国おきますところの宇宙開発に開しましての重要な事項を審議いたしまして答申をいたしますとともに、さらに総理に対しまして前記の事項につきましての意見を述べることができるというような機能を持っております。従来までには、先ほど申し上げましたとおりの第一号答申を三十七年五月に行ないまして、宇宙開発の基本的な考え方を答申され、さらに三十九年の二月には、第三号諮問、「宇宙開発における重点開発目標と、これを達成するための具体的方策いかん」というものに対して御答申に相なったわけでございます。  さらに、昨年、四十年度におきましては、今後のわが国宇宙開発の具体的な長期計画を御審議賜わることになりまして、各省庁から提出されました四十五年度を一応めどといたします長期計画を、昨年じゅう前後十回にわたりまして御審議をわずらわしておるわけでございますけれども、種種の事情から、現在まで、長期的な今後の総合計画につきましては、いまだお示しをいただけませんで、とりあえず昨年の予算期には、それらの長期計画のうちで四十一年度の予算に関します部分につきましてのみ審議会といたしまして適当であろうというような御承認を受けておる次第でございます。  で、なお現時点におきましては、長期計画をできるだけ早く策定していただきますために、種々の分科会等をつくりまして、たとえば四十二年の東大衛星の打ち上げの際に必要な追跡施設技術をどうするかという問題、あるいは当庁で考えておりますところの実用衛星にどのような衛星を用い、そのためにはどのような大きさの推力のロケットが必要であるか、あるいはそれに基づいてどのような射場を必要とするかというようなことにつきまして御審議をわずらわしております。予算時期前に大綱をおきめいただき、さらに本年度末には実質的な長期計画の内容が御審議いただけますように、事務的には進めておる段階でございます。
  26. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 東大宇宙航空研究所研究成果なり、いままでにどういうことをやってどの程度成果があがっているかというようなこと、その水準と規模、そういうものをあらまし御説明願いたい。
  27. 高木昇

    説明員高木昇君) 私、東大のほうの宇宙航空研究所の所長をしておりますので、概略の御説明を申し上げたいと存じます。  先ほど、局長から説明もございましたように、昭和二十九年、実際に成果をあげ出したのが国際地球観測年でございますが、その二年間の間に、ようやく六十キロメートルまで上がる観測ロケットが完成いたしまして、その二年の間に何回か宇宙観測をいたしました。これは、高さが百キロ未満でございますので、ほんとうの画期的な成果というものではございません。それから逐次高さを上げませんと観測項目がふえませんので、だんだんと高度を上げるようになりまして、昭和三十九年、四十年の二年間が太陽静穏の年に当たりまして、その二年の間には世界的には大体二百キロメートル前後の観測をするようにということでございましたが、ロケットの高さが十分上がるようになりまして、四百キロメートルまで上がるカッパー9L型、千キロメートルまで上がるラムダとか、こういうものの準備が完了いたしましたので、この二年間に観測数おそらく約六十機以上の観測を行ないまして、その成果は本年五月ウィーンでコスパル国際会議がありましたときに発表したわけでございます。観測ロケットを使いました観測水準、どのくらいの水準かということにつきましては、米ソに次いで一まあ米国とかソ連は年間百機以上あげておりますので、機数においては遜色がございますが、一個、一個のロケットの性能はあちらよりはよろしいと自分では考えておりますし、考え方といたしまして、なるべく観測器を小さくして一本のロケットに多数入れる、したがって、同時に多数観測ができるというようなところで、特に米国のものとは違った特徴を持たせておるつもりでございます。また、日本の置かれておる位置が磁気的に、マグネチックでございますが、磁気的緯度で非常に適した緯度である。赤道に近い。鹿児島は北緯三十度に該当いたします。アメリカで上げておる実験所は北緯五十度、北緯七十度に位しておりますので、数少ない日本観測ロケットの結果は、かりに同じ実験をやったといたしましても、アメリカと相補的になる。また、違った観測項目をやりますと、それが世界的に寄与する。こういうようなことで、観測ロケットを続けることの必要性というものは、一応われわれ学界としては認めて、この仕事を続けさしていただいております。  ほかの国は、フランス、イギリスは、それぞれ観測ロケットを持っておりますが、非常に少ない数でございます。むしろ、そちらのほうは、科学衛星によって非常に広い範囲の観測をしようという方向に重点が向けられております。イギリス、カナダ、イタリアは、自分で科学衛星をつくって、アメリカで上げてもらっております。その観測結果がよくコスパルで発表されております。  そのようなわけで、日本科学者もそれに刺激を受けまして、観測ロケットでは確かに二、三年前までは非常に成果をあげておりますが、いまは科学衛星を上げないと、まあ学者の仲間でも成果を十分あげたというふうに言えなくなる。こういうので、科学者のほうから、ぜひ観測ロケットの経験をもとにして科学衛星のほうへ進んでほしいという要望があります。この辺が、ただいま日本現状かと思います。いろいろ学術発表は、国内はもちろんでございますが、国外にも多数発表されております。
  28. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 防衛庁のほうは、ロケット開発はどういうふうに考えて、どういう研究なり、どういう施策をしておられるのか、承りたいと思います。
  29. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 防衛庁におきましては、昭和三十年度以降、このロケットあるいはミサイルについての基礎研究を実は庁内でやっております。その後、対戦車誘導弾、それから三〇型のロケット弾、それに空対空−AAMと言っておりますが、のミサイルのこの弾種につきまして研究開発を進めてまいりました。このうちで、対戦車誘導弾、いわゆるATMにつきましては、すでに開発を完了いたしております。それで、現在これについて部隊において運用研究実施しておる段階でございます。それから、三〇型のロケット弾につきましては、四十一年度中に開発完了の見通しでございます。もう一つの空対空の誘導弾、これにつきましては、四十二年度中に開発完了の見通しでございます。  今後の方針といたしましては、この対戦車誘導弾について距離の延伸等の研究をさらに進めたいというふうに考えております。また、空対空の誘導弾につきましては、現在開発中のものが赤外線のホーミング方式のものでございますが、このホーミングの方式につきましては、さらに改善改良というような点の研究開発を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  30. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ロケット開発についていろんなところでおやりになっているのですが、東大のものと、それから、科学技術庁のものと、いまの防衛庁のものと、その相互関連はどういうふうに考えておけばいいのでしょうか。
  31. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) まず、科学技術庁と防衛庁との関係でございますが、先ほど申し上げましたとおり、科学技術庁といたしましては、一号答申おきますところの平和利用目的に限るということ、あるいは設置法上の関係からいたしまして、平和利用のものに限っておるわけでございます。従来、当庁が三十五年から開発に着手いたしまして、その間、三十八年の夏からかと思っておりますが、防衛庁の新島の施設を使わせていただきまして、発射の実験をいたしておるわけでございます。  で、その場合におきますところの防衛庁との協力の実情につきましては、これは、実験の主体はどこまでも科学技術庁にあるわけでございまして、もちろん、開発計画あるいは実施計画につきまして防衛庁との関連はございません。ただ、先ほど申しましたように、経費的な関係と私どもの職員数との関係等からいたしまして、防衛庁の施設を、一年間に約二週間から十八日程度と思いますけれども、使用さしていただいております。この場合に、指令でございますとか、あるいはロケットの発射、あるいはテレメーターによりますところのいろいろな観測の結果を受けましてこれを解析いたしますようなことは、これはもちろん科学技術庁において全部行なっております。ただいままでに防衛庁に御協力いただきました範囲といたしましては、主として海幕のほうに、海上輸送といたしまして、ロケットでございますとか、あるいは火薬あるいは大型の機材等を新島まで輸送いたします場合にお願いしております。小型の機材は全部私どものほうで日通で運んでおります。そのほか、島内におきますところの陸上の輸送の問題で、トラック等をお借りいたしまして、約四十名くらいの方々にお手伝いを願っております。打ち上げの実験につきましては、先ほど申し上げましたとおり、ほとんどすべて私どもの手で行なっておりますけれども、人員の関係で、防衛庁のほうであそこに設置いたしておりますところの光学関係で約二十名の方に光学的な追跡のの面におきまして観測業務をお手伝い願っておる、これが実情でございます。  次に、科学技術庁東大との関係でございますが、先ほど、高木先生なり私なり御説明申し上げましたように、東大宇宙の諸現象の科学的な解明に当たられておりまして、私どもは実用衛星開発ということを目的といたしております。もちろん、この両者につきましては、協力すべき技術的な面が非常に多うございますし、特に東大は二十八年以降、技術的な蓄積が大いにおありになるわけでございますので、私どもといたしましても、東大からの御教示を十分に期待しておるわけでございます。たまたま宇宙開発推進本部が設置いたされまして、初代の開発本部長に、ここにおいでいただいております高木先生が、東大宇宙航究研究所の所長と併任でお引き受けいただきました。その関係ももちまして、高木先生一つの接点といたしまして、両者の協力を進めております。たとえば、宇宙開発推進本部の中に技術委員会というものをつくっておりますけれども、宇宙開発推進本部の行ないますいろいろな技術的な問題につきまして、東大側の先生方から技術的なアドバイスを受けるということで、曽田教授以下五名の教授の先生方にお入りいただきまして御指導を願っておる次第でございます。その他具体的な問題につきましても、現在宇宙開発審議会のいろいろな分科会におきまして当庁の実用衛星計画が審議されておりますが、その場におきましても、東大の糸川先生はじめ諸先生方にいろいろな技術的な指導を受けておるということでございます。  で、実態的にはそのようになっておりますが、さらに予算的な措置といたしまして私ども考えておりますのは、四十五年度に実用衛星を打ち上げます場合には四段のロケットを考えておりますが、その一段目、二段目は固体ロケットを考えておりまして、その固体ロケットにつきましては、東大がいま開発をされておりますところのミューのロケットをさらに改良したものを使わしていただくということで、四十一年度あるいは四十二年度につきましては、第一段及び第二段のロケット開発の経費というものは、科学技術庁は計上いたしておりません。第三段目の誘導制御を行ないますために必要な液体ロケットと、それから四段目の固体ロケット開発経費は私どものほうでいろいろいたしておりますが、いま申します一、二段のほうは、東大のミューロケットの完成を待ちまして、その技術を導入いたしまして一、二段目のロケットを製作する、こういうことでございまして、技術的な御指導あるいは予算的な措置につきましても、両者の協力、あるいは二重投資を避けるということにつきまして、できるだけの努力を払っておる次第でございます。
  32. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 宇宙開発の基本原則として三つのものをあげておられますが、そのうちの第一の自主性の尊重というのは、具体的には、内容的にはどういうことを指しておられるのですか。
  33. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 特に、第一号諮問につきましては、先ほども申し上げましたとおり、内容の主体というものが科学衛星開発ということに八ないし九割方費やされております。したがいまして、この一号諮問におけるところのその自主性の尊重と申しますことは、いわゆる学者の自主性を大いに尊重いたしますということが第一点と、それから技術自体を、日本技術おきまして開発いたしますこと自体が、関連産業の、あるいは関運技術開発その他にも大いに役立つことでございますので、その両者の意味を含んでいるものと考えます。
  34. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 第二点の、公開の原則というのは、どういうことですか。
  35. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) これは、当然平和目的という面にもかかりますし、国費をもちまして開発いたします研究の内容というものを当然一般的に公開いたしまして、国民の利益なり、経済的あるいは社会福祉の増進ということに関します技術開発に、そのような宇宙開発に関連します技術を十分に援用してほしいということであろうと考えております。
  36. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その三の、国際協力を重視すると書いてありますが、これにはどういう協力をなされたのか、今後しようとされているのか。
  37. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) お知りおきのとおり、宇宙開発というものにつきましては、特に国際的な問題がございます。これは、政治的あるいは社会的な諸現象におきましても二義的にいろいろな関係もございますが、さらに技術的に申し上げましても、たとえば一つ衛星を打ち上げまして、それが非常にローカリティを持っていると同時に、グローバルと申しますか、世界全体のものに相なるわけでございます。たとえば、コムサットによりますところの通信衛星等におきましてもそうでございましょうし、あるいはエッサという気象衛星につきましても、それぞれ衛星利用ということが、単に一国だけではなくて、国際的に十分に技術的にも利用できる、それがひいては国際間の協力あるいは世界の平和というものにつながるであろうという思想だと思います。  わが国おきまして現在行なわれておりますところの国際協力は、学術的な面につきましては、先ほど高木先生からお話のございましたコスパリに関しますところの科学的な観測についての国際協力、そのほかに、国際電気通信連合でありまするとか、あるいは国際気象連合というようなところに加盟いたしておりまして、衛星によりますところの通信的な問題、あるいは高層気象の観測というようなものは、それぞれの国際的の機関を通じて協力を行なっております。  なお、二国間におきますところの協力もその他にございまして、たとえば、先ほど申し上げましたとおり、シンコム3号を用いてやりましたオリンピックの中継でも米国との協力でございましょうし、あるいはアンナという、あるいはエコーというような測地衛星というもの——アメリカのものでございますが、これを利用いたしまして、離島でございますとか、そういうところの地図をつくる測地というようなものをやっております。そういうような点で、二国間のいろいろな技術的な協力というものも、国際的なもののほかにも行なわれているのが現状でございます。
  38. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 宇宙センターを鹿児島県の種子島に設置しようとしておられるようですが、そういう宇宙センターを設置するのに種子島が特にいい条件を備えているとされた、それらの条件、それらの状況ですか、これについて御説明を願います。
  39. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 種子島を、今回科学技術庁といたしまして、今後の宇宙開発のセンターと申しますか、そういうようなものといたしまして発展させていきたいということに相なりました原因と申しますか、要因は、大きく分けまして二つあると思うわけでございますが、一つは現時点の問題でございます。  私どもは、先ほど申し上げましたように、昭和四十五年度に実用衛星を打ち上げますために、大きなロケット開発を引き続き年次ごとに追って開発いたしていくわけでございます。そのほかに、従来も行なっておりましたような気象衛星等をさらに実用化するための打ち上げもあわせて行なう必要があったわけでございまして、そのために、特に前段の実用衛星用のロケット、これはしS−Cと言っておりますけれども、実用衛星を打ち上げる際の三段目のロケットになるわけです。これは二段でございまして、一段目、二段目あわせまして十メートルほどのものでございまして、推力が三・五トン程度のものでございます。これを四十年度に試作いたしまして、そのロケットを新島におきまして打ち上げるべく準備をいたしたわけでございます。そのために、従来の新島の射場におきましては不足をいたしますところのロケットの飛しょう試験のために必要な、打ち上げのランチャーでございますとか、あるいはロケットの組み立て室というようなものを新島にさらに付加設置いたすべく、四十一年度におきまして予算を組んだわけでございますが、お知りおきのとおり、その後新島におきまして、地元の一部の方と国との間におきまして所有権の確認あるいは入り会い権等の問題につきまして訴訟が提起されまして現在係争中でございますので、諸般の事情から早急にこれを利用することができなくなった。お知りおきのとおり、ロケット開発というものは年次を追いまして段階的に発展いたすものでございますので、一年間のブランクがあきますと、当初目的といたします四十五年度の実用衛星打ち上げというものも非常に不可能と相なりますので、早急に別のところに射場を設ける必要に迫られたわけであります。その射場をつくります際、もう一つ私どもが要因として考慮いたしましたことは、お知りおきのとおり、新島施設おきましては、先ほど申し上げましたような実用衛星を打ち上げます四十五年度になりますと、大きなロケットを使わなければなりませんので、現在の新島は使用不可能でございます。  それから東大の内之浦の射場につきましても、これはロケット観測用に最初出発したものでございまして、お知りのような地形でございますし、現在のところ、直径が一・四メートル以上のロケットは打ち上げることが技術的にも不可能だろうとされております。そういたしますと、まだ、私のほうははっきりは申し上げられませんけれども、現時点におきましても、直径一メートル六十センチ、あるいは二メートルというような程度のものを考えておりますというと、内之浦におきましてもこれを打ち上げることができない。そこで、四十一年度に早急に、ロケットの実験を行ない、さらに将来もそれが発展いたしまして大きなロケットなり衛星を打ち上げられるようなものをあわせて考えるという構想をいたしたわけでございます。これによりまして、まあ南のほうから北のほうまで、これは図上作戦でございますけれども、種々選びましたところが、地形の点から申しましても、また人口も稠密でございませんし、航空路あるいは海上あるいは漁場の問題その他を勘案いたしました場合、さらに内之浦という東大の射場が近くに控えておりますので、今後これと相関連し御協力をいただけるという点、あるいは気象的な条件、そのような点からいたしまして、種子島が最も適当な地点であるというふうに考えました。さらに、必要な地元の御協力も十分に得られるような見通しも立ちましたので、種子島おきまして、今後の射場も考慮に入れまして、まず四十一年度から打ち上げ実験施設を設置いたしたいと、このように考える次第でございます。
  40. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 上原長官は、ついせんだって、種子島の現地を視察をされたのですが、その現地を視察されて感じ取られた感想は、どういうことですか。
  41. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) 私は、ロケット打ち上げのための科学的知識が貧弱なものですから、学問的にはよくわかりません。ここにおいでの高木博士に説明を伺って得心をしたような次第でございますが、内之浦も見せていただきましたけれども、内之浦に比べますと、たいへん平たんで、山も低くて、そうして地形が何をするにも便利なところでございますし、ただ、水がどうかと思いましたが、水も不自由はないようでございまするし、港も新島よりはいいようでございますし、内之浦にも近うございますし、まあ、地形からいっても広さからいっても、山を見ましても、将来規模が拡大されるということを考えてみましても、そんなに残らず耕作されておるというふうな山にも見えませんし、そのくせ、その上に地形はたいへんよろしいし、ここがよかろうと思った次第でございます。
  42. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 防衛庁のほうの新島の射場は、今後どういうふうになるのですか。
  43. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 射場そのものの管理と申しますか、扱いは、実は私の所管ではございませんで、防衛施設庁の所管でございます。ただ、私の関係しております研究開発という面からいたしますと、従来、新島を使って開発上の試射等をやってまいりましたが、四十一年度におきましても実は十月ごろ少数の試射をやりたい、これも研究開発上のものでございますが、という予定でございます。ただ、新島自体の将来ということになりますと、ちょっと私の所管を離れますので、お答えいたしかねる次第でございます。
  44. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 種子島の現地は、私も、ついせんだって見てまいったのですが、このロケットの射場ができるということについて、島民は、これに関連して、あそこの離島の悪条件が取り除かれると、開発されるという点においては非常な期待を持ち、したがって大歓迎をしているのですが、ただ、初め新島で防衛庁と一緒にやられていた、したがって、これが軍事利用に転化するのじゃないかということを現地の諸君は憂えまして、もしそうであるならば、少しでも軍事的な利用のにおいがあるのであるならば、これが来ることについては警戒をしなければならないし、むしろ反対をしなければならないという空気も非常に強く感じ取れたのです。で、第一回の調査団でしたか、科学技術庁調査団が行かれたときに、新聞記者会見で調査団の方が、これは純粋に科学の問題なんだから何に使われようとそれはわれわれの関知するところじゃない、というようなお答えで、軍事利用なきにしもあらずというような感じを受けたというので、非常に警戒をしているという向きもあるんですが、これらの点を、長官はどういうふうにお考えになっているか、これが完全な平和利用であって、自衛隊とは完全に無関係なものであるか、軍事利用は絶対に許さないんだというふうのお覚悟があるかどうか、その辺についての長官のお気持ちを聞いておきたい。
  45. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) 御承知のように、科学技術庁は、その科学技術研究は軍事目的は絶対に取り除いて、平和目的に限ると、こういうふうに設置法のもとにおいてなっておりますし、予算もそのように厳重なワクがはめられております。それからスタッフ、研究のテーマも、軍事利用というものは一つもございませんので、これはやろうと思ってもできないことでございますから、もともと初めからやるつもりはございませんし、今後も軍事利用ロケット開発というようなものは全然考えておりませんし、私もやるつもりはございません。したがって、御疑念の点は絶対にないものと、かように確信いたしております。
  46. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃ、種子島の射場は完全な平和利用であって、軍事的なものは全然考えていないんだと、それは絶対に排除してあるというふうに了承して、問題を次に進めていきたいと思います。  種子島に射場をおつくりになるとすれば、いまは離島、僻地の悪条件をたくさん持っていると思うのですが、射場をおつくりになるとすれば、今後種子島にどういう施策をし、どういう規模で、どういう年次を追って、それらのものがつくられていくか、そのあたりをあらまし御説明を願いたいと思います。
  47. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 実は、たいへん申しわけないことでございますが、先ほど申し上げましたとおり、当初新島において行なう予定が、諸種の事情から種子島に変更に相なりましたのが四月の半ばでございます。したがいまして、現在長期的な計画というものは私のほうで急遽一生懸命練っておりますけれども、まだでき上がっておりません。これができましたら、宇宙開発審議会の議に付して決定をいたしたいと思っております。本年度につきましては、先ほど申し上げましたとおり、新島において施行いたします経費の範囲内に大体相とどめ、できるだけ早い機会に、研究が中断いたしませんように打ち上げをいたしたいと思いますが、現時点におきましては、ロケットの打ち上げ経費と、その設備等に要します経費といたしまして、一億三千八百万円ほどの経費が計上されております。種子島に移行した場合におきましては、さらにこの中で多少減るものもございますけれども、新射場の整地、あるいは道路の一部、射場に至りますところの改修等も考えなければなりませんので、少なくとも二千万円程度のものは不足するのではなかろうかと思っておりますので、これを大蔵省と現在流用の手続を折衝中でございます。  今後の問題につきましては、先ほども申し上げました四十五年に宇宙衛星を打ち上げるということになりますと、やはりそれにマッチいたしますように事を運ばなければならない。昨年度、宇宙開発審議会おきまして、各省庁五カ年の大体の宇宙開発に関しまするところの予算の見積もり額をとったわけでございますが、その当時、たしか私のほうの科学技術庁は、四十五年までに二百四十六億でございましたか、経費が必要であるということに相なっております。その場合におきましては、種子島に新たに射場をつくるという構想は入っておりませんので、それにやはり必要な経費が加算される。内之浦は四年間で二十三億使いましたそうでございますが、やはりそれに相当するような経費が、さらに先ほど申しました額に加算されるものだと思いますけれども、いずれにいたしましても、申しわけない限りでございますけれども、長期計画はまだ確定いたしておりませんので、申し上げかねます。  なお、先ほど御示唆がございましたように、射場の整備だけではなくて、これに伴いますところの道路、電力、水利その他につきましては、離島開発関係もございますので、十分私どものほうで、実際必要な要素と申しますか、そういうものを今後拾い出しまして、経済企画庁その他関係各省には十分に御連絡を申し上げて御支援を得たい、このように考えております。
  48. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから種子島の射場の名称でありますが、竹崎が最有力なところとしてほとんど確定をされているように聞いておりますが、その場合に、「竹崎」というような局地的な名前でなくて、もっと広い「種子島射場」というようなふうに、種子島全島が、あるいはもっと広く、全国的にこれを支援するというような態度が盛り上がってくるように、名称も全部をカバーするような名称をお考えを願いたいということと、それから「基地」ということばには軍事的な利用の問題がつきまとっているので、何か、基地というのでなくて、たとえば「宇宙センター」であるとか、「ロケットセンター」であるとか、そういうふうな名前をお考え願えないだろうか、したがって、たとえば「種子島宇宙ロケットセンター」とかなんとかいうような名前、そういう、全部をカバーするような、しかも軍事的な利用のにおいの全然ないような名前をお考え願いたいということを、現地の諸君は非常に力説をいたしておりましたが、長官はその点どういうふうにお考えでございますか。
  49. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) 実は、私どももそう考えているわけでございます。「竹崎」というような名前を使うと、竹崎だけしか使わぬようなことにならぬとも限りませんし、竹崎でないところにできたら、名前と実際と違うことになりますから。また、歴史的にも、日本国民には種子島というのはなじみが深い名前でございますので、考えたいと思っております。おっしゃるように、「基地」というのは、どうも軍事的な響きが、においがするので、そうでない名前はないものかと考えているわけでございます。ですから、現地の皆さんとわれわれの考えも一致している、かように考えております。
  50. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ロケット発射のセンターでありますから、現在の離島の僻地の非常に不便な点を考えますと、今後どうしても、射場をおつくりになるのに関連して、道路開発であるとか、あるいはいろいろな資材その他をたくさんお運びになるでしょうから、港湾の改築であるとか、あるいは水の問題であるとか、さらには電力の問題等が、大規模なものを開発されるとすれば、隘路になると思います。したがって、離島振興計画を、ただ単に離島を僻地性から脱却せしめるというだけでなくして、新しい科学技術をあすこに導入をする、それに関連した非常に大きな開発を積極的にやるというような意気込みで、これを機会に、あすこの開発をお考えを願いたいというのが現地の諸君の非常な熱望でありますので、それらの点についても、大規模に、積極的に、しかも早期に、そういうものが実現をするように御努力を願いたいと思うのですが、長官どうでございますか。
  51. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) 私もそのように考えております。宇宙開発という仕事も中途半端で終わってしまっては、何の実効もあげ得ない。科学技術庁がもくろんでおりまするものは、実用衛星を打ち上げよう、打ち上げる衛星実用に供されるものでなければならない。そうなりますと、相当に大規模なものでなければ実用になりませんから、それだけでも将来相当の規模のものになる、かように考えます。それを考えまして、現地で伺ってみましたところが、港もだいじょうぶのようでございます。道路も地盤もいいようでございまするし、さらに高い山がございませんから、道路もつくりやすい。これも適地の条件だろうと思います。それから先ほど申し上げましたように、地形が平らであるということもあります。電力も火力でやれば——いま電力はほとんど火力でやっておりますから、火力でやりまして、それで足りなければ、それは狭いものですから、十分なものがつくれる、かように考えております。水だけが心配でございますが、水もどうやらあるようでございまするから、開発に支障はない、かように考えておりますので、御期待をいただいておるようなことは、事実上の問題がございませんから、実現できるだろうと思っております。それが実現できなければ、開発計画そのものが目的を失ってしまう、こう考えておる次第でございます。
  52. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 電力については、どれくらい将来お使いになることになるのか、それらもお聞きしたいと思います。単に、現地で火力発電でこれをカバーするというだけでなく、お隣の屋久島には有名な屋久島電力がございまして、これは非常に豊富な、そして低廉な電力でありますし、これまでに調査したところによると、あれを海底ケーブルでもってくけば、屋久島から種子島に持ってくることは非常に簡単で、普通の民家の灯火としても、そろばんに合うというような結論も出ているようでありますから、その点もひとつお考え願いたいと思いますが、電力なんかはどれくらいお使いになることになりますか。
  53. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 先ほど申し上げましたとおり、具体的な数字は出ておりませんが、伺いますところによりますと、内之浦におきましても、現在の開発段階で八百キロでございます。将来は千五百くらいというようなお話も伺っておりますので、やはり千五百とか二千キロというものは必要だろうと思います。四十一年度は、先ほど申し上げましたとおり、早々にまず根をおろしたいということを考えておりますので自家発電になりますが、将来は、御指摘のような点につきましても、通産省その他と十分に連携をとりたい、こう考えております。
  54. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 将来計画として、内之浦との関連は、さらにどういうふうに進められることになるでしょうか。
  55. 高木昇

    説明員高木昇君) 先ほど局長からも御説明がありましたように、実用宇宙開発をやるためには内之浦が地域的に非常に狭い、種子島は非常に適地であるということでありまして、内之浦と種子島の直線距離が百キロメートル未満でございます。電波的にいえばたいへん近い距離でございまして、したがいまして、内之浦と電波的な大きな機器はおそらく共用できるのではないかと思います。また、種子島でいろいろな実験をやるときに、予備的に内之浦からそれを見守っておる、かりに失敗すれば、内之浦のほうがすぐ助けて、そこで成功するというふうに、外国でも、距離を離して、一つ人工衛星を上げるときには、何カ所からもそれを見守っておりますので、そういう意味でも、ごく近いお隣に実験場ができるということは、相互援助が非常に円満にいくのではなかろうか。一つだけで何でもやるというのは、非常の、まさかの場合を考えると危険である。こんなことからいって、両方がお互いに助け合う基地になるように私は望んでおりますので、そういう意味でも種子島がよかったのではないか、こう考えております。
  56. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 開発体制としては、理想的には一元的な機構がいいんだが、さしあたりは現状に即して二本立てでやる、というようなことになっていると思うのですが、将来の長い計画としては、この問題はどういうふうに進展していくんでしょうか。
  57. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 本件に関しましては、現在宇宙開発審議会の中で総合部会と申します部会がございますが、ここにおきまして体制的な問題の将来を御検討中でございます。さらに技術部会という部会がございますが、技術的な今後の進展の度合いに応じまして、やはり体制という問題が当然からんでまいりますので、両者がただいま互いに緊密な連絡をとりながら今後の体制を御審議しておられます。  なお、過日衆議院の科学技術特別委員会の宇宙開発委員会におきましても小委員長報告が出ておりまして、これらの御報告の内容等も参酌いたしまして審議会おきまして御審議が相進むものと、このように考えております。
  58. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 宇宙開発審議会答申として基本的な方策が打ち出され、さらに重点開発目標が具体的に示されたのですが、その後の実験の結果その他を考えますと、もう一度あらためて早急に基本的な方策を策定され、そうして、さっき言った二本立ての問題その他を、もっと整備をしていくという段階に来ているように思うのですが、そういう点は今後どういうふうにお扱いになりますか。
  59. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 先生の御指摘のとおりだと思うわけでございまして、特に三号の答申おきましても、たとえば衛星のミッションの種類の決定でございますとか、あるいはロケット能力の涵養等につきましては、審議会おきましても長期計画をお立てになるということをはっきりとお示しいただいておるわけでございます。先ほど申し上げましたとおり、各省庁の長期計画の案も一応出そろいました。さらに宇宙開発の進展というようなものは非常にその進度が早うございまして、たとえて申しますと、一号答申と三号答申の間は二年ほどしかたっておりませんですが、三十七年に一号答申が出されました当時は、日本人工衛星を打ち上げるということなどは全然考えられませんでした。第一号答申のときにおいては、人工衛星の打ち上げにつきましては、外国の人工衛星利用ということだけで、それについて触れておりませんが、二年たった三十九年の三号答申おきましては、人工衛星の打ち上げということが顔を出しております。宇宙開発の進展というものは非常に早うございますので、かつ、わが国のそれに対応いたします長期の計画を確立いたしますために、できるだけ早い期間に審議会の御答申の作業をお進めいただきたいと思っております。先ほど申し上げましたとおり、各分科会等でただいま積み上げをやっておりますので、めどといたしましては、六月の末ないし七月の半ばごろには、少なくとも将来に対しますところのおおよその概要をお示しいただきたいということを希望いたしておる次第でございまして、その趣旨に基づきまして、事務局といたしましての資料整備に努力をいたしたいと考えております。
  60. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 総合的な長期計画早期にお立てになるというようなことがうたわれておりますが、この総合長期計画をなるべく早い機会にお立て願いたいことと、その場合には、申し上げるまでもなく、完全な平和利用で、軍事的な利用は全然考えないのだという完全な平和利用、したがってまた、完全な公開性ということを確保しながら、早い機会に総合的な長期計画を樹立して、そうして積極的に大規模にこの開発をしていくということに全力を注がれるようにお願いをいたしまして私の質問を終わります。
  61. 黒柳明

    ○黒柳明君 種子島の問題につきましては佐多委員より御質問がありましたので、私はそのほかのことで……。  ロケット開発について、各国また日本状況はわかったのですが、糸川ロケット宇宙開発推進本部開発しているロケットとの差、これはどのような格差があるか、説明願いたい。
  62. 高木昇

    説明員高木昇君) ちょっと御質問の趣旨が私わかりかねたのですが、一応お答えいたします。  糸川ロケットと申しますと、実は東京大学が中心になってやっておりますロケットでございまして、各専門家が集まって計画しておりますのがカッパーであり、ラムダであり、ミューでございます。それから推進本部長をやりましてから私はそれを見てまいりましたが、御承知のように、液体燃料ロケット研究が続いておりまして、これも東大の連中によく検討をしていただきましたところ、これを続けていくように、そういうことで、東大研究者もそれに応援して、液体燃料ロケット開発しております。それから本部でやっております小さな固体燃料ロケットでございますが、一応これは開発目的を果たしまして、気象ロケットに使えるという段階になりましたので、これは今後は続けないようになりました。それからもう一つの大きなテーマは、大きなロケットをどうしようかということでございましたが、これは、東大のミューロケットを改良し、大きくするのをそのまま推進本部のほうでやる、それについては、大学の研究者が設計、試作に協力して、本部としてまとめていく、こういうふうに進めております。もともと東大のほうでやっておりましたロケットの行き方と、推進本部のほうでやっておりましたロケットの行き方と、ちょっと方向がダブっているものはなかったのでございます。小型ロケットだけが、同じく気象ロケットとして東大でやりました気象ロケットと、科学技術庁のほうでやりました気象ロケットが、一年くらいダブりましたが、これは両者とも一応開発段階を終えて、現在は気象庁のほうで年次観測を行なう、そういう方向に移しましたので、現時点においてはダブりもございませんのと、東大と本部とが一緒になって設計会議などを始めようと、こういうふうに、ようやく一年間かかりまして、そこまで参りました。これでお答えになっているかどうか、ちょっと……。
  63. 黒柳明

    ○黒柳明君 聞くところによると、ドイツなんか、糸川ロケット開発が非常に進んでいるので驚いたと、こんな話を聞いておりますが、わが国人工衛星打ち上げの第四の国になる可能性はいかがでございましょうか。
  64. 高木昇

    説明員高木昇君) 観測ロケット一本やりで日本科学技術者を結集してやってまいりましたのと、目的が常に科学観測というふうに科学者と技術者が密着していったからだろうと思うのですが、私たちの研究の速度は意外に早いというおほめのことばを各国からいただきます。それに乗りまして科学衛星を、なるべく簡単な姿勢制御で行なうべく、いま始めておりますが、第四になることを私たちは希望はもちろんとしておりまして、ミューロケット開発計画が四十二年度で一応終わりますと、四十三年以降科学衛星を上げたいと、こう考えております。これは普通のルートでございますが、その前に、人工衛星を上げるための諸技術——これはロケットも電子工学も非常にむずかしい技術がございますので、昨年あたりからそれの基礎研究をやっておりますが、ラムダロケットで何回も練習をやりまして、小さな人工衛星を上げる練習をしておきたい。それが卒業いたしますと、今度は大型のミューロケットでやれるのではないかと、こう思っております。このようなスケジュールでいま進んでおりまして、年度計画としては、いろいろな技術の積み重ねを一回ごとやっていくことを考えると、ラムダロケットでの人工衛星の打ち上げの練習でございますが、何回もやらなくちゃいけないでしょうし、あわせてミューロケット開発が完了してから科学衛星を上げるということを考えますと、そのような進み方で第四になることを希望はしておりますが、ほかの国も一生懸命やっておりますので、何とも私ども申し上げられないと思います。
  65. 黒柳明

    ○黒柳明君 東大研究所と科学技術庁と完全に技術的にタイアップしてやっていく、こういうようなことだと思うのですが、いろいろ目的は違うと思いますけれども、東大科学技術庁と、シンポジウムなんか年じゅうやっていると思うのですが、また近々やる御予定はございますでしょうか。
  66. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 御指摘のシンポジウムは、実は明日、これは東大だけではございませんですが、各省庁、大学関係の方々のお集まりをいただきまして、九時から夜の五時まででございますが、日本宇宙開発現状とそれから将来のビジョンと申しますか、それを、ちょっと資料を持ってまいりませんでしたが、二、三十名の第一線の方にお集まりいただきまして、シンポジウムを明日開くことにいたしております。
  67. 黒柳明

    ○黒柳明君 大体そのシンポジウムで、推進本部としては、どんなような将来のビジョンを打ち出す御予定なんでございましょう。
  68. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 四十五年に、実用人工衛星、重さ百五十キログラム程度のものを千キロメートルの高さの円軌道に乗せるということが、私どもの現時点の目標でございます。それで、どのような種類の衛星にいたしますかということは、これは四十二年度中に決定するわけでございますが、冒頭申し上げましたように、衛星というものは国際的な組織網がございますので、そのようなグローバルな関係、そうしてローカルなものをつくります場合は、関係の各省庁がどういうような業務にお使いになるかという御要求の問題、それらが明日のシンポジウムの際に、各省庁からそれぞれ御発表に相なるわけでございますが、そのようなものをもとにいたしまして、四十二年度中には、どのような衛星を上げるかということを考える。ただ、アメリカの従来のロケットなり衛星関係からいたしますと、百五十キログラムの重量で千キロメートルの高さというものが大体平均の要素になっておりますので、現時点におきましては、それを目標にいたしまして開発を進めていく。本年度から、人工衛星につきましては共通的な、基礎的な部分を——要しまするのに、どのような人工衛星の種類にいたしましても、その場合に、共通するような計器、測器、電力その他のような各要素につきましての共通的部分の開発をいたします。  それから、本年度から私どものほうは三段目に用いますところの液体燃料のロケット開発をいたしておりますが、昨年度におきまして試作いたしたものを種子島おきまして打ち上げまして、その直径を漸次広げていきたいと思っております。それから一、二段目につきましては、先ほど高木先生のおっしゃいましたように、東大のミューロケット開発を待ちまして、その改良と申しますか、さらに直径の大きなものをつくるために四十三年度あたりから予算を要求する、そういうことで、東大技術と経過的に相待ちまして、先ほど申しましたように四十五年には実用衛星を打ち上げたい、大体こういう構想であります。  なお、それに必要な種子島の射場の整備につきましても当然……。
  69. 黒柳明

    ○黒柳明君 百五十キロ・一千キロと、この試射が成功したら、それから人工衛星に結びつく過程ですね。それは、どのくらいな経過が必要なのでしょうか。
  70. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 四十五年には、その高さに人工衛星を打ち上げるということにいたしておりますが、ただ、端的に申しまして、その場合に、四十二年に決定いたします人工衛星の種類によりまして、それが多少、こう、何と申しまするか、実験衛星と申しますか、そのような様相のものに相なりまするか、その点はさだかでございませんが、たとえば、現在各省庁等におきまして御要望の最も強いものが放送衛星と、それから運輸省関係航行衛星でございますが、放送衛星につきましては、アメリカおきましても、一九七七年、なお十一年の開発の経過をとりませんとできないと言っております。もちろん、今後技術が進歩いたしますので、その十一年というものは短縮されるかと思いますが、そういう点を考えますると、四十五年にいきなり放送衛星を打ち上げるようなことは技術的に無理でございます。その間のつなぎの段階で、たとえば中継衛星、直接家庭には送信いたしませんけれども、地上局を通じてやりますところの通信衛星の一種でテレビ専用の衛星でございますが、そういうようなものにつきましては、いわゆる真の意味の放送衛星よりも早く開発できるのではないか。航行衛星につきましては、運輸省のほうにおきまして、ただいま、どのようなシステムがよろしいかということを研究しておいでなりますので、これも四十二年ぐらいにおきまして運輸省のほうの御構想がきまりますと、技術的に検討いたしまして、四十五年度の計画とどのように結びつけるか考究いたしたい、このように考えております。
  71. 黒柳明

    ○黒柳明君 この宇宙ロケット開発あるいは射場が軍事目的には使用されない、これは何回も確認されたのですが、科学技術的に見まして、第三次防のナイキ、ホークのあれは、これは燃料も構造も違うと思うのですが、この可能性はいかがでしょうか。
  72. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) あるいは、技術的な問題でございますので、高木先生から御説明していただいたほうがよろしいかと思っておりますが、たとえば、加速度の問題にいたしましても、あるいはロケットの私どもの打ち上げますものは、これは垂直に高く上がるわけでございますから、初めのうちはあまり燃料を使いませんので高いところに早く出るというような関係がございます。それからミサイルでございますと、空気中に再突入いたさなければなりませんので、そのために、非常に数千度の温度に上がるということでございますので、いま私どもが考えておる、あるいは東大でおつくりになっておりますような二、三ミリ程度の薄いロケットでは、とてもその役には立たないと思います。そのほか、観測いたします場合には、それぞれの相定まった計器を積むわけでございますので、それを兵器といたしまして改良いたしますということは、これはちょっとできないと思います。あと高木先生技術的な面で補足願ったほうがよろしいと思いますが……。
  73. 高木昇

    説明員高木昇君) 私、実はナイキ、ホークのこともよく存じませんので、そのほうとの比較、それと、それの諸性能などの、何と申しますか、宇宙ロケットとの比較は、ちょっとできないのでございますが、いま局長が申しましたように、まず、初速度が、私たちのは非常におそくいたしておるのと、燃料が固体燃料ということでも違っておるのでございまして、なるべく空気のあるところはゆらゆら上がって摩擦熱に耐えるようにしていくようなこととか、いま、「もなか」の皮みたいに薄いような側を使っているようなことなどが、いろいろ違うのだろうと思います。ロケット開発というのは、カッパーロケット一つとっても、ラムダロケット一つとりましても、最初からやりますと、やはり三年間はどうしてもかかりますので、ロケットを転用するというようなことは、やはりこれは初めからやったと同じ違いが出てくると、私たちはそう考えております。目標なしにロケット開発というのは普通できません。大は小を兼ねるというわけにはいきませんので、やはり人工衛星なら人工衛星を上げるのに、最も金がかからずに、かつ有効だということをやりますので、やはり使命が違うと、全然設計が別じゃないか、こう考えております。
  74. 黒柳明

    ○黒柳明君 長官にお伺いしたいと思うのですが、本年の二月ごろ、「エンタープライズ」の安全性を確認するために、科学技術庁が外務省を通じてアメリカ政府に質問状を提出したと、こういうようなことを新聞が書いておりますが、それは提出されたのでしょうか。
  75. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) これは外務省からお聞きをいただいたほうがいいと思うわけでございますが、勉強中なので、どんな質問があり、どんな答えがあったかということは、外務省からお聞きを願いたいと思います。窓口が違いますので、ただいま私のほうで申し上げることができるのは、勉強中であり、そうして原子力空母を日本に寄港させたいというお申し出がアメリカからあったら、即座にそれに対処し得るような準備を勉強中であると、こう御了解いただきたいと思います。
  76. 黒柳明

    ○黒柳明君 科学技術庁として質問状をまとめたのがあるのではないですか。五項目。それをまた、回答次第によっては再質問する余地もある、このようなことであったと思うのですが……。
  77. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 私、手元にただいまの資料を持っておりませんが、私の了解いたしますところでは、科学技術庁が、原子力空母がいずれ来るかもしれないということで、その安全性について技術的な勉強をしている、こういうことは、ただいま大臣の御答弁にございましたように、そのとおりでございますが、その当時において、何々ごうごうという質問状を発した、そういうことはございません。ただ、原子力空母におきましても、原子力を推進力として用いる軍艦であるという点において原子力潜水艦と基本的には同様なものでございますから、その安全性をいろいろ検討するにあたりましては、原潜において行なわれたような項目が問題となるだろうということで掲げてあるものと私どもは了解いたしております。
  78. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、これは科学技術庁がまとめた質問じゃないのだ、こういうわけですね。そうすると、そうでないとすると、あれですね、内容的に国民も私たちも、こういう回答を知りたいわけなんです。いろいろ五項目にわたって書いてあるのですけれども、原子力委員会のほうから出たものは、確かに安全である、こういうようなアメリカの回答で、科学的な裏づけをデータでつくったのではないのですが、日本科学技術庁なり外務省は、向こうの一方的な、安全である、こういう回答で満足しているわけですが、ぜひ科学技術庁あたりから外務省を通じて、あるいは原子力委員会のサゼッションを得て、こういう質問状をつくるなり、その勉強の結果、相当まだ安全性に対して——外務委員会あたりでも、安全性が未確認だ、こういう問題の余地を残しているわけです。何か、この「エンタープライズ」、原潜についての安全性、そういうものを、科学技術的に、質問があるならある、疑問があるならあるで、わが国として科学的データあるいは疑問をまとめて、それを国民の前に、こういうふうに安全性があるのだと、こういうようなことを何かお考えになられていないですか。
  79. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 原子力潜水艦の場合のことで、よく御理解のことだと思いますけれども、原子力空母につきましては、たびたび他の委員会でも政府から申しておりますように、まだ正式な寄港申し入れはございません。したがいまして、事務的に勉強しておるという段階でございますが、もし、いずれそのうちに正式な申し入れがございましたならば、原潜の場合に準じまして、原子力委員会では、今度は空母の安全性ということを検討されることになろうと思います。そうして、その検討された結果、こういった点は米側に説明を求めたい、こういった点はよく資料等がほしい、こういうようなことが出てまいりますと、それを外務省を通じて米側に提出して、その回答を得るように努力いたすわけであります。原潜の場合にもそのような手続をとりまして、そうして最後にそれらの質問並びに回答に盛られたことが要約されまして、米側の声明及び覚え書きという形で日本政府に公式に与えられたわけであります。その間における質問状あるいは回答書というものは、いわゆる外交文書でもありまして、外務省の取り扱いに所属することでございますが、当時も、そのものは公表されておらなかったと私記憶しております。今度、空母の場合におきまして、そういった質問書あるいは回答書がどういうふうに扱われますかということは今後の問題でございますが、私どもとしましては、空母における安全性の確認ということについての原子力委員会側としての取り扱い、あるいは科学技術庁側としての取り扱いは、原子力潜水艦の場合に準ずると、こういうふうに存じております。
  80. 黒柳明

    ○黒柳明君 原潜が寄港した基地の港の海底の動植物に放射能が長期にわたって帯びる帯びないということが非常に問題になったと思いますが、そのあたりの科学的なデータを検討しようというお考えはあるか、また、何かデータはあるかどうか、どうなんでしょう。
  81. 村田浩

    政府委員(村田浩君) そのような安全性と直接間接関係があると思われますような資料はできるだけ入手して、安全性の検討に資するようにしたいと思っております。
  82. 黒柳明

    ○黒柳明君 英国のホリーロッホのデータというものはございますか。
  83. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 一応英国側からすでに出されているわけでございます。が、なお、これは英国に場所がございますが、同時に、アメリカのポラリス型潜水艦の基地でございますから、アメリカ側にももしそのようなアメリカ側としての資料があれば、ぜひ入手いたしたいと思っております。
  84. 黒柳明

    ○黒柳明君 そういう資料に基づいて、当然科学技術庁として、より安全性を確かめる、そういうような方向に向けて、ぜひ国民に、原潜なり「エンタープライズ」なりが、こういうふうに安全なんだというようなことを、科学的にわかりやすく納得できるように、データを求め、また研究してもらいたい、こういうふうに思うわけです。  以上です。
  85. 大森創造

    委員長大森創造君) 関連してお聞きしますが、「エンタープライズ」について科学技術庁調査したというか、質問状を出した、そういうことは、外務省なり政府筋のほうから、いずれ「エンタープライズ」が入ってくるから、そのことに備えて科学技術庁がひとつ質問をしろ、必要な条項を調査しておけ、こういういきさつでございますか。
  86. 村田浩

    政府委員(村田浩君) そのような命令といいますか、指示を科学技術庁としてはまだ受けておりません。先ほど申しましたように——科学技術庁原子力局が原子力委員会の事務局をやっているわけでありますが、安全性につきましては、原子力委員会が、前回におきましても、その所見をまとめて公表しているわけでありますが、原子力空母の場合につきましてはどのような扱いになりますか、今後の問題でありますが、大体原潜に準じてやるということになりますと、その際に、私どもが一応入手しました資料を提供して御検討いただき、その検討によりまして、こういったことを調べろ、さらに質問を出せ、こういう指示を受けることに相なろうかと思います。その指示に従いまして質問書をつくり、外務省を通じて向こうに渡して回答を求めるように努力していく、こういう手順になろうかと思います。
  87. 大森創造

    委員長大森創造君) もう一つお尋ねしますが、きょう出港したはずのスヌーク号、これについての調査は、どこで、いつ行ないましたか。
  88. 村田浩

    政府委員(村田浩君) スヌーク号は、去る五月三十日午前八時十一分に入港しまして、本三日午前八時に出港したわけでありますが、この入港の通知を受けました二十九日から今日まで、この入出港に伴う環境放射能の変化というものを調査いたしているわけであります。  その調査は、大きく分けまして二つございまして、一つは、横須賀の港内に定置的に設けましたモニタリングポスト及びモニタリングポイントで、これの測定をし記録をしているという実情でございます。このモニタリングポスト及びモニタリングポイントによる測定は、科学技術庁のほうで予算をとりまして、科学技術庁は御承知のとおり手足を持ちませんので、横須賀市に委託してやっていただいておるわけであります。それから他の一つは、港内の海上におきます放射能を移動的に調査することでございまして、これには、海上保安庁の横須賀保安部にモニタリングボートというものを、かねて配置してございまして、このモニタリングボートをもって、かねがね研究しております所定のコース並びに原子力潜水艦の周辺を運転しまして、海水並びにその付近の空気中の放射能を、ボートに積みました計器で測定する。このほうの担当は海上保安庁のほうが担当してやっていただいております。この両方ともに、技術的な指導という点につきましては、私どものほうの原子力局が担当しているわけであります。
  89. 大森創造

    委員長大森創造君) 二十九日に事前の通知があったというけれども、あなたのほうでは、その前に、スヌーク号が歩いているその部分を調査しているのと違いますか。
  90. 村田浩

    政府委員(村田浩君) ちょっと御質問の趣旨がわかりませんが……。
  91. 大森創造

    委員長大森創造君) もう一回申しますが、二十九日に、二十四時間前に、アメリカの大使館から外務省の局長のところに電話があった。翌日の何時ごろに着くということが。それ以前に、あなたのほうは、スヌーク号がどこを歩いているか、その場所を調査したという事実はございませんか。
  92. 村田浩

    政府委員(村田浩君) そのような事実はございません。私どもとしましては、二十九日、二十四時間前に、外務省を通じて連絡を受けまして、初めて正式に来ることがわかった。その前にいろいろ新聞等に載っておりましたが、これはむしろ新聞記事等で承知したということで、いわば情報でございますか、正式な連絡とは解しておりません。さらに、私どもが指導して行なっております放射能調査は、先ほど申し述べましたように、固定したポスト、それから横須賀の港内を動くモニタリングボートによってやっておりますので、これらを、わが国に寄港する前にさかのぼって、遠いところまで出して調査したというようなことはございません。
  93. 大森創造

    委員長大森創造君) 他に御質疑もございませんようですから、本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時十分散会