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1966-06-03 第51回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年六月三日(金曜日) 午後一時十四分開会
—————————————
委員
の
異動
五月十二日
辞任
補欠選任
秋山
長造
君
伊藤
顕道
君 六月二日
辞任
補欠選任
光村
甚助
君
佐多
忠隆
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
大森
創造
君 理 事 鹿島 俊雄君 源田 実君 戸田 菊雄君 森 元
治郎
君 委 員 近藤 鶴代君 笹森
順造
君
中村喜四郎
君 八田 一朗君 平島 敏夫君 船田 譲君 宮崎 正雄君
佐多
忠隆
君 森 勝治君 黒柳 明君 向井 長年君
国務大臣
国 務 大 臣 上原 正吉君 国 務 大 臣
藤山愛一郎
君
政府委員
防衛庁装備局長
國井 眞君
経済企画庁総合
開発局長
加納
治郎
君
科学技術政務次
官 田川 誠一君
科学技術庁長官
官房長
小林 貞雄君
科学技術庁研究
調整局長
高橋
正春君
科学技術庁原子
力局長
村田 浩君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
説明員
科学技術庁宇宙
開発推進本部長
高木
昇君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
科学技術振興対策樹立
に関する
調査
(
宇宙開発
に関する件) (
原子力潜水艦等
の
安全性
に関する件)
—————————————
大森創造
1
○
委員長
(
大森創造
君) それでは、ただいまから
科学技術振興対策特別委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る五月十二日、
秋山長造
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
伊藤顕道
君が選任されました。 また昨日、
光村甚助
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
佐多忠隆
君が選任されました。
—————————————
大森創造
2
○
委員長
(
大森創造
君)
科学技術振興対策樹立
に関する
調査
を議題といたします。 御質疑のおありの方は順次御発言願います。
佐多忠隆
3
○
佐多忠隆
君 まず、
宇宙開発
の
現状
について、特に
アメリカ
と
ソ連
の
現状
のあらましを御
説明
願いたいと思います。
高橋正春
4
○
政府委員
(
高橋正春
君)
先生
、
日本
の及び
米ソ両国
でございますか。
佐多忠隆
5
○
佐多忠隆
君
日本
のやつは
あと
で聞きます。まず
米ソ
。
高橋正春
6
○
政府委員
(
高橋正春
君)
米ソ
に
おき
ます
宇宙開発
の
現状
を簡単に御
説明
申し上げたいと思いますが、まず、私どもはまだ及ばないところでございますが、
両国
とも最も熱を入れておりますのは、いわゆる
有人
の
宇宙飛行
でございます。 お知り
おき
のとおり、
米国
に
おき
ましては、
アポロ計画
というものがございまして、一九七〇年よりも前の時期に月に二人の
飛行士
を
着陸
させるということで、二百億ドル
程度
の
予算
をかけまして従来から行なっております。これは、
アメリカ
に
おき
ますところの
航空宇宙局
の
予算
の七〇%
程度
を占めておりますものでございまして、この
計画
が
アメリカ
に
おき
ますところの
宇宙開発計画
の最も主柱をなしております。この
計画
、先ほど申しました
最終目標
に到達いたしますまでに、いろいろな
段階
を踏むわけでございますが、お知り
おき
のとおり、いわゆる
衛星
に
人間
を、これは一人でございますけれども、乗せまして軌道の
飛行
の
計画
をいたしましたところの
マーキュリー計画
というのがございまして、これは一九六一年から六三年の間に六回
実施
をいたしまして、
衛星
を打ち上げますところの
ロケット
の
信頼性
、あるいはそれの改善、あるいはいろいろな
宇宙船
の
補助装置
の性能の確認でございますとか、あるいは
追跡システム
の完成というような
一つ
の
開発
の
効果
を得まして、引き続きまして一九六四年から
ジェミニ計画
、二人
乗り
の
人工衛星計画
を行なっておりまして、これは全部で十二回やるわけでございますけれども、本年の三月までに8号を打ち上げました。最近9号が打ち上げられることになっておりますが、これは
種々
の
技術
的な問題のために現在は打ち上げが延期されております。いままでの8号まで打ち上げました結果によりまして、たとえば長時間の
飛行
に
おき
ますところの、いろいろな医学的あるいは生理学的な変化に対しますところの
研究
でございますとか、あるいは6号・7号によって行なわれましたところのランデブーでございますとか、あるいは8号によって行なわれました
ドッキング
でございますとか、そういうような
技術
的な
訓練
の
成果
を得、あるいは4号において行なわれましたような長時間の
船外活動
、いわゆる
宇宙遊泳
、こういうようなものの
技術
につきましても
成果
を得ております。今後一九六七年まで、先ほど申しましたようなランデブーなり、
ドッキング
の
訓練
、
技術
を重ねまして、一九六七年からは
アポロ宇宙船
を打ち上げるというような
計画
に移行するものと思います。
ソ連
に
おき
ましては、同様に、
有人
の
宇宙飛行
に非常に熱を入れておることは御
承知おき
のとおりでございまして、これは一九六七年ごろに
人間
を月に
着陸
を実現させる
計画
であるといわれております。で、いわゆる
ボストーク
の
シリーズ
、あるいはウォスホートの
シリーズ
を経まして、現在までにかなりの
成果
をあげております。たとえば、
史上初
めての三人
乗り
の
衛星船
を打ち上げましたり、あるいは
史上初
の
宇宙遊泳
を行ないました。そういうようなことにつきましては、すでに御
承知おき
のとおりだと思います。 次に、このような
アメリカ
の
アポロ計画
なり、
ソ連
の
月着陸
を実現いたしますさらに前提といたしまして、いろいろな
無人
の
月探査
の
計画
というようなものも、当然に行なわれなければならないわけでございます。 これも、御
承知おき
のとおり、
米国
に
おき
ましては、
レーンジャー計画
というものを一九六一年から六五年まで行なっておりまして、九つほどの
ロケット
を打ち上げまして、
月面
の精密な
写真
の
撮影
によりますところの月の
表面
の
模様
によりまして
着陸地点
をつかむべく、いろいろな
資料
を得ております。さらに、月の
表面
に
宇宙船
が
軟着陸
いたしまして長い期間にわたりましていろいろな
月面
の精密な
写真
をとりまして、
着陸地点
の選定を行ないますために、
サーベイヤー計画
というものが行なわれております。全体で八機ほど打ち上げまして、七機までは予備的なもの、八機以後につきましては、
科学
的な
種々
な
観測
を行なうことでございまして、これも、今回の−号の
軟着陸成功
につきましては御
承知おき
のとおりだと思います。さらに今後は、
ルナ・オービター計画
と申しまして、さらに月の周辺を
衛星
が回りながら
テレビ等
で
月面
の実況を
撮影
いたしまして、
宇宙船
の
着陸地点
を発見するというような方法を
計画
いたしております。
ソ連
に
おき
ましても、いわゆる
ルーニッタ
・
シリーズ
というものがございまして、一九五九年以降本年の三月までに十機の
無人月探査機
を打ち上げております。3号に
おき
まして初めて
月裏面
の
写真
を
撮影
をいたしましてから、本年の二月には初めて
軟着陸
が成功いたしまして、これに
おき
まして
アメリカ
を四ヵ月ほどリードしたわけでございます。さらに、月の回りを回りますところの月10号、これも
史上初
の
孫衛星
でございますけれども、これによりましていろいろな
減速技術
を確立いたしております。 そのほか、月以外の
惑星
の
探査
といたしまして、
アメリカ
に
おき
ましては、
無人探査機
によりますところの
火星
、
金星等
の
惑星
の
探査
を行ないます
マリーナ計画
というものがございまして、六二年以降六四年末まで
四つ
を打ち上げまして、それぞれ、そのうちの2号、4
号等
は、
金星等
の
科学
的な
探査
、あるいは
遠距離
の
写真
の
電送
というような
技術
に
おき
まして大きな
成果
をあげましたことも御
承知おき
のとおりでございます。
ソ連
に
おき
ましても、一九六〇年以降、これは多少
資料
的に不確実な点もございますけれども、昨年の十一月までに十四機
程度
の
無人探査機
を打ち上げております。こういう点につきまして、
惑星
の
探査等
につきましては、一がいに申しますれば、
ソ連
は従来は
米国
にかなり一方的にリードをされていたようでございますけれども、
金星
3号が、昨年の十一月でございますか、三十一億キロというような
遠距離
を飛びまして
金星
に到達いたしましたということは、
ソ連
に
おき
ますところの
エレクトロニクス関係
というものが、
米国
に比べまして決して劣っているものではないという
一つ
の証左であろうと思いますが、両者大体同じ線に到達したようでございます。 さらに
米国
に
おき
ましては、
ボエイジャー計画
といいまして、
マリーナ
よりももう少し複雑高度の
惑星
の
研究
を一九七一年以降行なうということになっておりましたが、これは
種々
の
予算関係
でございましょうか、現在のところ、七三年から行なうことに延期されまして、そのかわり、一応終了いたしましたところの
マリーナ計画
のほうを、さらに三機ほど
金星
及び
火星
の
探査
を行なうべく
計画
が
模様
がえに相なったようでございます。 以上申し上げましたほかに、いろいろな
科学的観測
のために
ロケット
を打ち上げましたり、あるいは
アメリカ
に
おき
ますところの
オゴ衛星
のような、非常に大きな
気象観測台
のようなものが
衛星
として
宇宙
を回っているというような
開発
も進んでまいりましたが、一方、いままで申し上げましたような
科学衛星
、あるいは
有人飛行
のための
開発
のほかに、直接的に社会的あるいは経済的な
効果
をねらいますところの
実用衛星計画
があるわけであります。時間がございませんので簡単に申し上げますが、すでに御
承知おき
のとおり、
アメリカ
に
おき
ましては、
タイロス
、ニンバスというような
気象衛星
を打ち上げ、さらに最近に
おき
ましてはエッサというものを打ち上げまして、これによりまして雲の解析その他を早急に行ないまして、
気象予報
に役立たせるということで、
実用化
が進んでおります。それから
通信衛星
につきましても、
シンコム
3号でオリンピックの中継が行なわれましたことは、すでに御
承知おき
のとおりだと思いますけれども、六五年の四月には、
商業用
の
通信衛星
でありますところのアーリーバードが打ち上げられまして、これが
実用
に供されております。そのほか、
航行衛星
、
測地衛星等
につきましても、現在実験的な
段階
で
研究
がなされております。そのほか、着目すべきものといたしましては、
通信衛星
でございますとか、
航行衛星
、あるいは
衛星
に必要な姿勢の制御というような面の
技術
を
開発
いたしますために、本年度の末には、
多目的衛星
、ATSというものが打ち上げられることに相なっております。そのほか、
宇宙技術
の
開発
なり、あるいは
宇宙技術
に必要ないろいろの
技術
の
開発
、計器測器の
開発
、あるいは必要な
地上施設
の
開発
というようなものが引き続いて行なわれております。先ほど申し上げました
アメリカ
の一九六六年の
航空宇宙局
の
予算
の中で、
最初
に申し上げましたところの
有人宇宙飛行関係
のものが約六八%、それから
実用衛星
が二・二%、関連のいろいろの
宇宙技術
の
開発
に七・六%、
地上施設関係
では六・六%、一兆八千九百億
程度
の
予算
がこれに充てられているのが実情でございます。
ソ連
の
実用衛星
の現況につきましては、実はまことに申しわけない限りでございますけれども、的確な
資料
を現在まで得られておりません。ただ、昨年モルニアという
通信衛星
を打ち上げまして、モスクワーウラジオストク間のいろいろな
テレビ
、電話の
送信等
に
利用
いたしておりまして、これが、たしか2号まで打ち上げたと思いますけれども、フランスとの
協力
によりまして、
テレビ
の
両国
間の
電送等
も現在検討いたしておるようでございます。 大
体現状
の大要を申し上げました。
佐多忠隆
7
○
佐多忠隆
君
国連
における
宇宙開発
の
研究
の
状況
はどうですか。
高橋正春
8
○
政府委員
(
高橋正春
君)
先生
の御質問の向きは、一般的な
国際協同
という意味でございますか。
国連
の
平和利用委員会関係
の問題でございましょうか。
佐多忠隆
9
○
佐多忠隆
君 一般的な
科学技術小委員会
でやっているものがあるのじゃないですか。
高橋正春
10
○
政府委員
(
高橋正春
君) この点につきましては、具体的な
計画
と申しますよりも、むしろ
宇宙平和利用委員会
に
おき
まして、
宇宙
の
開発
、あるいは
宇宙
の
利用
を
平和的目的
に限ろうというような意見がございまして、それに関しまして、いろいろな
技術
的な検討をいたすということが主でございまして、
平和利用委員会
に
おき
まして
国連自体
の特別な
各国
の
共同
的な
開発計画
というようなものは現在のところはございません。ただ、これは、
コスパル関係
の、いわゆる
世界学術連合
でございますか、これがいわゆるIGYの
観測年
以来、
各国
の
共同
によりまして、
科学
的な
観測
は
共同
でいたしておりますが、その点は
高木先生
から御
説明
いただいたほうがいいかと思います。
高木昇
11
○
説明員
(
高木昇
君) ただいまの
高橋局長
の補足をいたしますと、
学術関係
では、御
説明
ございましたように、
日本学術会議
とか、
各国
のいわゆる
学士院
、アカデミーが連合いたしまして、
宇宙空間研究委員会
、
コスパル
というものをつくっておりまして、これは
世界
の
学術会議
の連合体、ICSUというものの
下部機構
になっております。これが、
国際地球観測年
が終わると同時に、毎年こういう
科学
の面で
各国
とも
協力
して
共同観測
を行なうということになりまして、現在二十三カ国が加盟しておると思います。その中に
ABCクラス
という格づけをいたしまして、Aが
人工衛星
が上げられる国、Bは
観測ロケット
がやられたりする国、それからCが
地上
からの
観測
で
協力
する、こういうふうに分けられておりまして、毎年、一年一回
国際会議
を開いて、昨年やりました結果を報告する、あわせて次の年にはどういう
共同研究
をやろうかという決議などを行ないます
機関
でございまして、
日本
は第一回からそれに参画いたしております。 以上でございます。
佐多忠隆
12
○
佐多忠隆
君
企画庁長官
のほうに時間の御都合があるらしいですから、少し問題を
あと
に残しまして、
長官
のほうにお尋ねしますが、
宇宙開発
の
ステーション
が鹿児島県の
種子島
にできることになりました。その
種子島
は、申し上げるまでもなく
離島振興計画
の中に入って、
振興計画
をいろいろおやりになっておると思いますが、今度の
宇宙開発
の
ステーション
をつくることを組み込んで、
開発計画
がどういうふうに変更されるか。そこいらの
模様
をお尋ねしたいのですが、まず、
宇宙開発
の問題と離れて、いま一般的に
離島
の
振興計画
の一環としての
種子島
の
振興計画
、これはどういうふうにお考えですか。
藤山愛一郎
13
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君)
種子島
の
離島振興計画
につきましては、御
承知
のとおり、
特産物
である
甘蔗農業
の
生産
の
拡大
、
製糖業等
の
食料品加工
の育成ということが主たる産業の
目的
でございます。なお、
農業基盤
の確立とか、あるいは
交通施設等
の
整備
をはかるとともに、
生活環境
、文教、
厚生等
の
施設
の
整備
をはかっていく一般的な
離島振興
の
計画
につきまして、全体的に
種子島
にそれを適用しつつやっておるわけでございます。そして四十一年度は大体七億九千四百万円の総
予算
でございまして、そのうち国が持っておりますものが五億四千二百万円と、こういうことになっております。
佐多忠隆
14
○
佐多忠隆
君 特に
道路
であるとか
港湾
であるとかいうようなものの
開発
の
計画
はどうなんですか。
藤山愛一郎
15
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) こまかい点につきましては
局長
から……。
加納治郎
16
○
政府委員
(
加納治郎
君) いま
長官
から申し上げました
事業費
の内訳について御
説明
申し上げます。
種子島
の分につきましては、いまの七億九千四百万円のうちに、単独のものとして最高の
道路
が二億六千八百万円、続いて
港湾
の一億八千四百万円、さらに
農業基盤整備
の一億七千五百万円という順序になっております。その他のものを合計いたしまして、七億九千四百万円でございます。
佐多忠隆
17
○
佐多忠隆
君 今度
基地
ができるということになると、それに関連して、
道路
の問題であるとか、
港湾
の問題であるとか、あるいはさらには電力の問題、水源の
問題等
がいろいろ問題になると思うのですが、それらはどういうふうに
拡大
をされるというお見通しでございますか。
藤山愛一郎
18
○
国務大臣
(
藤山愛一郎
君) 今回の
計画
が
実施
に移ってまいりますれば、当然、
道路
でございますとか、いま御指摘のように、水の問題とか、諸般の問題が出てまいりますと思います。それらにつきましては、従来
基地
になっておりません
関係
上、新たにそれらのものを策定してまいらなければならぬのでございまして、今後
施策
の上において十分それを考えたい、こういうことでございます。
佐多忠隆
19
○
佐多忠隆
君 それは、四十一年度からすでに組み込まれることになりますか、どうですか。
加納治郎
20
○
政府委員
(
加納治郎
君) 現在まで、
ロケット発射場
の御
計画
を伺い、
科学技術庁
のほうと
調整
をいたしました限りでは、先ほど申し上げました
事業費
の中で
計画
をいたしております
港湾
の岸壁その他、あるいは
道路
、
主要地方道
、あるいは
県道等
につきましては、大体現在すでに
計画
に組み入れられているもので
目的
を達するのではないかと考えられております。ただ、年々の
事業費等
につきましては、スピードを上げるというような必要が出てくるのじゃないか。あるいは将来さらに御拡張になる、いろいろ
計画
が広げられるような場合には、あるいは変更になることがあるかもしれませんけれども、全体の
目標
といたしましては、現在各省並びに
経済企画庁
で考えております
事業計画
で一応おさまるのではないか、かように考えているわけでございます。
佐多忠隆
21
○
佐多忠隆
君
経済企画庁
の
関係
はそれでけっこうです。
宇宙開発
の
状況
を、
世界
的に、
ソ連
、
アメリカ
、あるいは
国連等
の
関係
をいまお聞きしたのですが、
わが国
におけるこれまでの
宇宙開発
の
施策
の概要といいますか、それをひとつ御
説明
願いたい。
高橋正春
22
○
政府委員
(
高橋正春
君) 歴史的に申し上げますると、
わが国
に
おき
ますところの
宇宙開発
の発端は、
昭和
二十九年に
——国際地球観測年
が三十二年から三十三年にわたって行なわれたわけでございますが、
ロケット
でこの
観測事業
に参加しようということが
学術会議
に
おき
まして承認をされまして、
予算
的には、
昭和
三十年に
東大
の
生産技術研究所
にそのための
予算
が割り当てられましたことが、行政的な措置の
最初
でございます。
最初
に、御
承知おき
のとおり、
東大
で
ペンシルロケット
という小さい
ロケット
が
開発
されまして、それからさらにカッパー
ロケット
というふうに
段階
が進んでまいったわけでございます。一方、
東京天文台
でございますとか、あるいは海上保安庁の
水路部
、郵政省の
電波研
というようなところで、
アメリカ
で
昭和
三十三年に打ち上げましたエクスプローラー、あるいは
ソ連
で打ち上げましたところのスプートニク、これらの
衛星
を光学的に追跡するというようなことが行なわれたわけでございます。 そのように、各
機関
に
おき
まして、それぞれの
業務
の範囲内において行なわれておりましたのでございますが、
昭和
三十五年の五月になりまして、
わが国
に
おき
ますところの
宇宙開発
の大綱をきめるべきであるというような意向が強まりまして、
宇宙開発審議会
が設置せられましたわけでございますが、直ちに当
審議会
に対しまして、「
宇宙開発推進
の
基本方策
」というものにつきましての
諮問
が発せられたわけでございます。 この
諮問
に対しまして、二年の経過をたどりましたのですが、
昭和
三十七年の五月に同
審議会
から
答申
がなされましたわけです。この
答申
の趣旨は、
わが国
に
おき
ますところの
宇宙開発
の基本的な考え方ということは、第一に平和の
目的
に限るということ、第二には自主、公開の原則をとるということ、第三番目には
国際協力
を重視するということでございます。当初といたしまして、そのような基本的な構想のもとに、一応当面五カ年
程度
の
目標
といたしまして、
観測ロケット
によりますところの
科学
的な
観測
と、それから外国の
衛星
を
利用
いたしますところの
宇宙科学研究
を行なうことが強調されました。一
号諮問
に
おき
ましては、
実用面
の
開発
につきましては実体的にはあまり主眼が置かれていなかったようにも思っております。
科学技術庁
は、
宇宙開発審議会
の設置と同時期と思いますが、三十五年から
宇宙開発
の
業務
に着手いたしまして、
昭和
三十五年以降民間の会社に
気象ロケット等
の
研究委託
をいたしまして、さらに三十六年以降に
おき
ましては、
人工衛星
のいろいろな基本的な
システム
の
開発
ということを行なってきたわけでございます。で、三十七年には、今度は
東大
のほうでいわゆる内之浦の射場、あるいは
国際電電
に
おき
ますところの茨城の
宇宙通信センター
というようなものの建設が開始されまして、さらに
昭和
三十八年に至りまして、このような各
省庁
にわたりますところの
宇宙開発
が非常に活発になりましたときに、
宇宙開発審議会
に対しまして第三号の
諮問
が発せられたわけでございます。
諮問
は、「
宇宙開発
における
重点開発目標
と、これを達成するための
具体的方策いかん
」ということでございまして、この
諮問
に対しまして、
昭和
三十九年の二月に
答申
が行なわれました。この
答申
の内容につきましては、具体的な
開発
の
目標
といたしまして六つの
重点
をあげております。第一は、
人工衛星
を国内で
開発
、製作をいたすということ、それから第二には、
気象等
の
実用化ロケット
を
早期
に
開発
するということ、第三には、さきに申しましたような
人工衛星
を打ち上げますための
大型ロケット
を
開発
するような能力の涵養をはかるということ、第四には、他国の
衛星
によりますところの
宇宙
の
利用技術
を
開発
促進すること、それから第五には、
観測ロケット
を用いまして
宇宙科学
の
研究
を行なう、最後に、これらの
宇宙開発
に
関係
いたしますところの
各種
の
観測
あるいは
計測機械等
の
開発
を促進するということをうたっております。さらに同時に、この
答申
は、
宇宙開発
の
体制
につきましても論じておりまして、冒頭に掲げてございますように、
わが国
の有する
科学
・
技術
…
資金等
を総合的、効率的に活用し得る
一元的機関
を設けることが理想であるが、当面は二本立ての
開発体制
をとって、そうしてそれぞれの
調整
の場として
宇宙開発審議会
の場を
利用
するということをうたっております。そうして、
実用化
の
目標
の中の一にございますところの
人工衛星
の
開発
、それから二番目にございますところの
気象等実用化ロケット
の
早期
の
開発
、それから三番目の
人工衛星
打ち上げ用の
大型ロケット
の
開発
、それから
各種
の
観測
計
機等
の
開発
という五番目のこと、この
四つ
の
目標
を達成するためには、各
省庁
に
おき
ましてこれらを
開発
するために特に多額の経費を要しますものにつきましては、これを一元的に
開発
いたしますために、
科学技術庁
に
宇宙開発推進本部
を設置すべき旨を
答申
されております。この
答申
に基づきまして、三十九年の七月に、
科学技術庁
に
宇宙開発推進本部
が設置せられまして、先ほど申し上げました
四つ
の
重点目標
の
開発
を現在まで手がけておるわけでございます。 さらに、同
答申
は、
宇宙
に
おき
ますところの純粋
科学
的な
研究
を推進いたしますために、大学の
共同
的な
研究機関
といたしまして、
東大
の
生産研
において行なわれておりました
業務
を中心といたしまして、新たに
宇宙航空技術研究所
を設置すべき旨を
答申
されております。これに基づきまして、
昭和
三十九年には、同じように東京大学に、旧
航研
と
生産研
の一部を含めましたところの
宇宙航空研究所
が設置せられまして、以後引き続き
科学
的な
宇宙開発
の
開発技術
を取り扱っておられるわけでございます。 以上が大要でございます。
佐多忠隆
23
○
佐多忠隆
君
宇宙開発審議会
というものをおつくりになったというのですが、それの構成だとか、それの任務、それの活動の
状況
について御
説明
を願います。
高橋正春
24
○
政府委員
(
高橋正春
君)
宇宙開発審議会
は総理の
諮問
機関
でございまして、
わが国
に
おき
ますところの
宇宙開発
に開しましての重要な事項を審議いたしまして
答申
をいたしますとともに、さらに総理に対しまして前記の事項につきましての意見を述べることができるというような機能を持っております。従来までには、先ほど申し上げましたとおりの第一号
答申
を三十七年五月に行ないまして、
宇宙開発
の基本的な考え方を
答申
され、さらに三十九年の二月には、第三
号諮問
、「
宇宙開発
における
重点開発目標
と、これを達成するための
具体的方策いかん
」というものに対して御
答申
に相なったわけでございます。 さらに、昨年、四十年度に
おき
ましては、今後の
わが国
の
宇宙開発
の具体的な長期
計画
を御審議賜わることになりまして、各
省庁
から提出されました四十五年度を一応めどといたします長期
計画
を、昨年じゅう前後十回にわたりまして御審議をわずらわしておるわけでございますけれども、種種の事情から、現在まで、長期的な今後の総合
計画
につきましては、いまだお示しをいただけませんで、とりあえず昨年の
予算
期には、それらの長期
計画
のうちで四十一年度の
予算
に関します部分につきましてのみ
審議会
といたしまして適当であろうというような御承認を受けておる次第でございます。 で、なお現時点に
おき
ましては、長期
計画
をできるだけ早く策定していただきますために、
種々
の分科会等をつくりまして、たとえば四十二年の
東大
の
衛星
の打ち上げの際に必要な追跡
施設
、
技術
をどうするかという問題、あるいは当庁で考えておりますところの
実用衛星
にどのような
衛星
を用い、そのためにはどのような大きさの推力の
ロケット
が必要であるか、あるいはそれに基づいてどのような射場を必要とするかというようなことにつきまして御審議をわずらわしております。
予算
時期前に大綱を
おき
めいただき、さらに本年度末には実質的な長期
計画
の内容が御審議いただけますように、事務的には進めておる
段階
でございます。
佐多忠隆
25
○
佐多忠隆
君
東大
の
宇宙航空研究所
の
研究
の
成果
なり、いままでにどういうことをやってどの
程度
の
成果
があがっているかというようなこと、その水準と規模、そういうものをあらまし御
説明
願いたい。
高木昇
26
○
説明員
(
高木昇
君) 私、
東大
のほうの
宇宙航空研究所
の所長をしておりますので、概略の御
説明
を申し上げたいと存じます。 先ほど、
局長
から
説明
もございましたように、
昭和
二十九年、実際に
成果
をあげ出したのが
国際地球観測年
でございますが、その二年間の間に、ようやく六十キロメートルまで上がる
観測ロケット
が完成いたしまして、その二年の間に何回か
宇宙
観測
をいたしました。これは、高さが百キロ未満でございますので、ほんとうの画期的な
成果
というものではございません。それから逐次高さを上げませんと
観測
項目がふえませんので、だんだんと高度を上げるようになりまして、
昭和
三十九年、四十年の二年間が太陽静穏の年に当たりまして、その二年の間には
世界
的には大体二百キロメートル前後の
観測
をするようにということでございましたが、
ロケット
の高さが十分上がるようになりまして、四百キロメートルまで上がるカッパー9L型、千キロメートルまで上がるラムダとか、こういうものの準備が完了いたしましたので、この二年間に
観測
数おそらく約六十機以上の
観測
を行ないまして、その
成果
は本年五月ウィーンで
コスパル
の
国際会議
がありましたときに発表したわけでございます。
観測ロケット
を使いました
観測
水準、どのくらいの水準かということにつきましては、
米ソ
に次いで一まあ
米国
とか
ソ連
は年間百機以上あげておりますので、機数においては遜色がございますが、一個、一個の
ロケット
の性能はあちらよりはよろしいと自分では考えておりますし、考え方といたしまして、なるべく
観測
器を小さくして一本の
ロケット
に多数入れる、したがって、同時に多数
観測
ができるというようなところで、特に
米国
のものとは違った特徴を持たせておるつもりでございます。また、
日本
の置かれておる位置が磁気的に、マグネチックでございますが、磁気的緯度で非常に適した緯度である。赤道に近い。鹿児島は北緯三十度に該当いたします。
アメリカ
で上げておる実験所は北緯五十度、北緯七十度に位しておりますので、数少ない
日本
の
観測ロケット
の結果は、かりに同じ実験をやったといたしましても、
アメリカ
と相補的になる。また、違った
観測
項目をやりますと、それが
世界
的に寄与する。こういうようなことで、
観測ロケット
を続けることの必要性というものは、一応われわれ学界としては認めて、この仕事を続けさしていただいております。 ほかの国は、フランス、イギリスは、それぞれ
観測ロケット
を持っておりますが、非常に少ない数でございます。むしろ、そちらのほうは、
科学衛星
によって非常に広い範囲の
観測
をしようという方向に
重点
が向けられております。イギリス、カナダ、イタリアは、自分で
科学衛星
をつくって、
アメリカ
で上げてもらっております。その
観測
結果がよく
コスパル
で発表されております。 そのようなわけで、
日本
の
科学
者もそれに刺激を受けまして、
観測ロケット
では確かに二、三年前までは非常に
成果
をあげておりますが、いまは
科学衛星
を上げないと、まあ学者の仲間でも
成果
を十分あげたというふうに言えなくなる。こういうので、
科学
者のほうから、ぜひ
観測ロケット
の経験をもとにして
科学衛星
のほうへ進んでほしいという要望があります。この辺が、ただいま
日本
の
現状
かと思います。いろいろ学術発表は、国内はもちろんでございますが、国外にも多数発表されております。
佐多忠隆
27
○
佐多忠隆
君 防衛庁のほうは、
ロケット
開発
はどういうふうに考えて、どういう
研究
なり、どういう
施策
をしておられるのか、承りたいと思います。
國井眞
28
○
政府委員
(國井眞君) 防衛庁に
おき
ましては、
昭和
三十年度以降、この
ロケット
あるいはミサイルについての基礎
研究
を実は庁内でやっております。その後、対戦車誘導弾、それから三〇型の
ロケット
弾、それに空対空−AAMと言っておりますが、のミサイルのこの弾種につきまして
研究
開発
を進めてまいりました。このうちで、対戦車誘導弾、いわゆるATMにつきましては、すでに
開発
を完了いたしております。それで、現在これについて部隊において運用
研究
を
実施
しておる
段階
でございます。それから、三〇型の
ロケット
弾につきましては、四十一年度中に
開発
完了の見通しでございます。もう
一つ
の空対空の誘導弾、これにつきましては、四十二年度中に
開発
完了の見通しでございます。 今後の方針といたしましては、この対戦車誘導弾について距離の延伸等の
研究
をさらに進めたいというふうに考えております。また、空対空の誘導弾につきましては、現在
開発
中のものが赤外線のホーミング方式のものでございますが、このホーミングの方式につきましては、さらに改善改良というような点の
研究
開発
を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
佐多忠隆
29
○
佐多忠隆
君
ロケット
の
開発
についていろんなところでおやりになっているのですが、
東大
のものと、それから、
科学技術庁
のものと、いまの防衛庁のものと、その相互関連はどういうふうに考えておけばいいのでしょうか。
高橋正春
30
○
政府委員
(
高橋正春
君) まず、
科学技術庁
と防衛庁との
関係
でございますが、先ほど申し上げましたとおり、
科学技術庁
といたしましては、一号
答申
に
おき
ますところの平和
利用
の
目的
に限るということ、あるいは設置法上の
関係
からいたしまして、平和
利用
のものに限っておるわけでございます。従来、当庁が三十五年から
開発
に着手いたしまして、その間、三十八年の夏からかと思っておりますが、防衛庁の新島の
施設
を使わせていただきまして、発射の実験をいたしておるわけでございます。 で、その場合に
おき
ますところの防衛庁との
協力
の実情につきましては、これは、実験の主体はどこまでも
科学技術庁
にあるわけでございまして、もちろん、
開発
の
計画
あるいは
実施
の
計画
につきまして防衛庁との関連はございません。ただ、先ほど申しましたように、経費的な
関係
と私どもの職員数との
関係
等からいたしまして、防衛庁の
施設
を、一年間に約二週間から十八日
程度
と思いますけれども、使用さしていただいております。この場合に、指令でございますとか、あるいは
ロケット
の発射、あるいはテレメーターによりますところのいろいろな
観測
の結果を受けましてこれを解析いたしますようなことは、これはもちろん
科学技術庁
において全部行なっております。ただいままでに防衛庁に御
協力
いただきました範囲といたしましては、主として海幕のほうに、海上輸送といたしまして、
ロケット
でございますとか、あるいは火薬あるいは大型の機材等を新島まで輸送いたします場合にお願いしております。小型の機材は全部私どものほうで日通で運んでおります。そのほか、島内に
おき
ますところの陸上の輸送の問題で、トラック等をお借りいたしまして、約四十名くらいの方々にお手伝いを願っております。打ち上げの実験につきましては、先ほど申し上げましたとおり、ほとんどすべて私どもの手で行なっておりますけれども、人員の
関係
で、防衛庁のほうであそこに設置いたしておりますところの光学
関係
で約二十名の方に光学的な追跡のの面に
おき
まして
観測
の
業務
をお手伝い願っておる、これが実情でございます。 次に、
科学技術庁
と
東大
との
関係
でございますが、先ほど、
高木先生
なり私なり御
説明
申し上げましたように、
東大
は
宇宙
の諸現象の
科学
的な解明に当たられておりまして、私どもは
実用衛星
の
開発
ということを
目的
といたしております。もちろん、この両者につきましては、
協力
すべき
技術
的な面が非常に多うございますし、特に
東大
は二十八年以降、
技術
的な蓄積が大いにおありになるわけでございますので、私どもといたしましても、
東大
からの御教示を十分に期待しておるわけでございます。たまたま
宇宙開発推進本部
が設置いたされまして、初代の
開発
本部長に、ここにおいでいただいております
高木先生
が、
東大
の
宇宙
航究
研究
所の所長と併任でお引き受けいただきました。その
関係
ももちまして、
高木先生
を
一つ
の接点といたしまして、両者の
協力
を進めております。たとえば、
宇宙開発推進本部
の中に
技術
委員
会というものをつくっておりますけれども、
宇宙開発推進本部
の行ないますいろいろな
技術
的な問題につきまして、
東大
側の
先生
方から
技術
的なアドバイスを受けるということで、曽田教授以下五名の教授の
先生
方にお入りいただきまして御指導を願っておる次第でございます。その他具体的な問題につきましても、現在
宇宙開発審議会
のいろいろな分科会に
おき
まして当庁の
実用衛星計画
が審議されておりますが、その場に
おき
ましても、
東大
の糸川
先生
はじめ諸
先生
方にいろいろな
技術
的な指導を受けておるということでございます。 で、実態的にはそのようになっておりますが、さらに
予算
的な措置といたしまして私ども考えておりますのは、四十五年度に
実用衛星
を打ち上げます場合には四段の
ロケット
を考えておりますが、その一段目、二段目は固体
ロケット
を考えておりまして、その固体
ロケット
につきましては、
東大
がいま
開発
をされておりますところのミューの
ロケット
をさらに改良したものを使わしていただくということで、四十一年度あるいは四十二年度につきましては、第一段及び第二段の
ロケット
の
開発
の経費というものは、
科学技術庁
は計上いたしておりません。第三段目の誘導制御を行ないますために必要な液体
ロケット
と、それから四段目の固体
ロケット
の
開発
経費は私どものほうでいろいろいたしておりますが、いま申します一、二段のほうは、
東大
のミュー
ロケット
の完成を待ちまして、その
技術
を導入いたしまして一、二段目の
ロケット
を製作する、こういうことでございまして、
技術
的な御指導あるいは
予算
的な措置につきましても、両者の
協力
、あるいは二重投資を避けるということにつきまして、できるだけの努力を払っておる次第でございます。
佐多忠隆
31
○
佐多忠隆
君
宇宙開発
の基本原則として三つのものをあげておられますが、そのうちの第一の自主性の尊重というのは、具体的には、内容的にはどういうことを指しておられるのですか。
高橋正春
32
○
政府委員
(
高橋正春
君) 特に、第一
号諮問
につきましては、先ほども申し上げましたとおり、内容の主体というものが
科学衛星
の
開発
ということに八ないし九割方費やされております。したがいまして、この一
号諮問
におけるところのその自主性の尊重と申しますことは、いわゆる学者の自主性を大いに尊重いたしますということが第一点と、それから
技術
自体を、
日本
の
技術
に
おき
まして
開発
いたしますこと自体が、関連産業の、あるいは関運
技術
の
開発
その他にも大いに役立つことでございますので、その両者の意味を含んでいるものと考えます。
佐多忠隆
33
○
佐多忠隆
君 第二点の、公開の原則というのは、どういうことですか。
高橋正春
34
○
政府委員
(
高橋正春
君) これは、当然平和
目的
という面にもかかりますし、国費をもちまして
開発
いたします
研究
の内容というものを当然一般的に公開いたしまして、国民の利益なり、経済的あるいは社会福祉の増進ということに関します
技術
の
開発
に、そのような
宇宙開発
に関連します
技術
を十分に援用してほしいということであろうと考えております。
佐多忠隆
35
○
佐多忠隆
君 その三の、
国際協力
を重視すると書いてありますが、これにはどういう
協力
をなされたのか、今後しようとされているのか。
高橋正春
36
○
政府委員
(
高橋正春
君) お知り
おき
のとおり、
宇宙開発
というものにつきましては、特に国際的な問題がございます。これは、政治的あるいは社会的な諸現象に
おき
ましても二義的にいろいろな
関係
もございますが、さらに
技術
的に申し上げましても、たとえば
一つ
の
衛星
を打ち上げまして、それが非常にローカリティを持っていると同時に、グローバルと申しますか、
世界
全体のものに相なるわけでございます。たとえば、コムサットによりますところの
通信衛星
等に
おき
ましてもそうでございましょうし、あるいはエッサという
気象衛星
につきましても、それぞれ
衛星
の
利用
ということが、単に一国だけではなくて、国際的に十分に
技術
的にも
利用
できる、それがひいては国際間の
協力
あるいは
世界
の平和というものにつながるであろうという思想だと思います。
わが国
に
おき
まして現在行なわれておりますところの
国際協力
は、学術的な面につきましては、先ほど
高木先生
からお話のございましたコスパリに関しますところの
科学
的な
観測
についての
国際協力
、そのほかに、国際電気通信連合でありまするとか、あるいは国際気象連合というようなところに加盟いたしておりまして、
衛星
によりますところの通信的な問題、あるいは高層気象の
観測
というようなものは、それぞれの国際的の
機関
を通じて
協力
を行なっております。 なお、二国間に
おき
ますところの
協力
もその他にございまして、たとえば、先ほど申し上げましたとおり、
シンコム
3号を用いてやりましたオリンピックの中継でも
米国
との
協力
でございましょうし、あるいはアンナという、あるいはエコーというような測地
衛星
というもの——
アメリカ
のものでございますが、これを
利用
いたしまして、
離島
でございますとか、そういうところの地図をつくる測地というようなものをやっております。そういうような点で、二国間のいろいろな
技術
的な
協力
というものも、国際的なもののほかにも行なわれているのが
現状
でございます。
佐多忠隆
37
○
佐多忠隆
君
宇宙
センターを鹿児島県の
種子島
に設置しようとしておられるようですが、そういう
宇宙
センターを設置するのに
種子島
が特にいい条件を備えているとされた、それらの条件、それらの
状況
ですか、これについて御
説明
を願います。
高橋正春
38
○
政府委員
(
高橋正春
君)
種子島
を、今回
科学技術庁
といたしまして、今後の
宇宙開発
のセンターと申しますか、そういうようなものといたしまして発展させていきたいということに相なりました原因と申しますか、要因は、大きく分けまして二つあると思うわけでございますが、
一つ
は現時点の問題でございます。 私どもは、先ほど申し上げましたように、
昭和
四十五年度に
実用衛星
を打ち上げますために、大きな
ロケット
の
開発
を引き続き年次ごとに追って
開発
いたしていくわけでございます。そのほかに、従来も行なっておりましたような
気象衛星
等をさらに
実用化
するための打ち上げもあわせて行なう必要があったわけでございまして、そのために、特に前段の
実用衛星
用の
ロケット
、これはしS−Cと言っておりますけれども、
実用衛星
を打ち上げる際の三段目の
ロケット
になるわけです。これは二段でございまして、一段目、二段目あわせまして十メートルほどのものでございまして、推力が三・五トン
程度
のものでございます。これを四十年度に試作いたしまして、その
ロケット
を新島に
おき
まして打ち上げるべく準備をいたしたわけでございます。そのために、従来の新島の射場に
おき
ましては不足をいたしますところの
ロケット
の飛しょう試験のために必要な、打ち上げのランチャーでございますとか、あるいは
ロケット
の組み立て室というようなものを新島にさらに付加設置いたすべく、四十一年度に
おき
まして
予算
を組んだわけでございますが、お知り
おき
のとおり、その後新島に
おき
まして、地元の一部の方と国との間に
おき
まして所有権の確認あるいは入り会い権等の問題につきまして訴訟が提起されまして現在係争中でございますので、諸般の事情から早急にこれを
利用
することができなくなった。お知り
おき
のとおり、
ロケット
の
開発
というものは年次を追いまして
段階
的に発展いたすものでございますので、一年間のブランクがあきますと、当初
目的
といたします四十五年度の
実用衛星
打ち上げというものも非常に不可能と相なりますので、早急に別のところに射場を設ける必要に迫られたわけであります。その射場をつくります際、もう
一つ
私どもが要因として考慮いたしましたことは、お知り
おき
のとおり、新島
施設
に
おき
ましては、先ほど申し上げましたような
実用衛星
を打ち上げます四十五年度になりますと、大きな
ロケット
を使わなければなりませんので、現在の新島は使用不可能でございます。 それから
東大
の内之浦の射場につきましても、これは
ロケット
観測
用に
最初
出発したものでございまして、お知りのような地形でございますし、現在のところ、直径が一・四メートル以上の
ロケット
は打ち上げることが
技術
的にも不可能だろうとされております。そういたしますと、まだ、私のほうははっきりは申し上げられませんけれども、現時点に
おき
ましても、直径一メートル六十センチ、あるいは二メートルというような
程度
のものを考えておりますというと、内之浦に
おき
ましてもこれを打ち上げることができない。そこで、四十一年度に早急に、
ロケット
の実験を行ない、さらに将来もそれが発展いたしまして大きな
ロケット
なり
衛星
を打ち上げられるようなものをあわせて考えるという構想をいたしたわけでございます。これによりまして、まあ南のほうから北のほうまで、これは図上作戦でございますけれども、
種々
選びましたところが、地形の点から申しましても、また人口も稠密でございませんし、航空路あるいは海上あるいは漁場の問題その他を勘案いたしました場合、さらに内之浦という
東大
の射場が近くに控えておりますので、今後これと相関連し御
協力
をいただけるという点、あるいは気象的な条件、そのような点からいたしまして、
種子島
が最も適当な地点であるというふうに考えました。さらに、必要な地元の御
協力
も十分に得られるような見通しも立ちましたので、
種子島
に
おき
まして、今後の射場も考慮に入れまして、まず四十一年度から打ち上げ実験
施設
を設置いたしたいと、このように考える次第でございます。
佐多忠隆
39
○
佐多忠隆
君 上原
長官
は、ついせんだって、
種子島
の現地を視察をされたのですが、その現地を視察されて感じ取られた感想は、どういうことですか。
上原正吉
40
○
国務大臣
(上原正吉君) 私は、
ロケット
打ち上げのための
科学
的知識が貧弱なものですから、学問的にはよくわかりません。ここにおいでの
高木
博士に
説明
を伺って得心をしたような次第でございますが、内之浦も見せていただきましたけれども、内之浦に比べますと、たいへん平たんで、山も低くて、そうして地形が何をするにも便利なところでございますし、ただ、水がどうかと思いましたが、水も不自由はないようでございまするし、港も新島よりはいいようでございますし、内之浦にも近うございますし、まあ、地形からいっても広さからいっても、山を見ましても、将来規模が
拡大
されるということを考えてみましても、そんなに残らず耕作されておるというふうな山にも見えませんし、そのくせ、その上に地形はたいへんよろしいし、ここがよかろうと思った次第でございます。
佐多忠隆
41
○
佐多忠隆
君 防衛庁のほうの新島の射場は、今後どういうふうになるのですか。
國井眞
42
○
政府委員
(國井眞君) 射場そのものの管理と申しますか、扱いは、実は私の所管ではございませんで、防衛
施設
庁の所管でございます。ただ、私の
関係
しております
研究
開発
という面からいたしますと、従来、新島を使って
開発
上の試射等をやってまいりましたが、四十一年度に
おき
ましても実は十月ごろ少数の試射をやりたい、これも
研究
開発
上のものでございますが、という予定でございます。ただ、新島自体の将来ということになりますと、ちょっと私の所管を離れますので、お答えいたしかねる次第でございます。
佐多忠隆
43
○
佐多忠隆
君
種子島
の現地は、私も、ついせんだって見てまいったのですが、この
ロケット
の射場ができるということについて、島民は、これに関連して、あそこの
離島
の悪条件が取り除かれると、
開発
されるという点においては非常な期待を持ち、したがって大歓迎をしているのですが、ただ、初め新島で防衛庁と一緒にやられていた、したがって、これが軍事
利用
に転化するのじゃないかということを現地の諸君は憂えまして、もしそうであるならば、少しでも軍事的な
利用
のにおいがあるのであるならば、これが来ることについては警戒をしなければならないし、むしろ反対をしなければならないという空気も非常に強く感じ取れたのです。で、第一回の
調査
団でしたか、
科学技術庁
の
調査
団が行かれたときに、新聞記者会見で
調査
団の方が、これは純粋に
科学
の問題なんだから何に使われようとそれはわれわれの関知するところじゃない、というようなお答えで、軍事
利用
なきにしもあらずというような感じを受けたというので、非常に警戒をしているという向きもあるんですが、これらの点を、
長官
はどういうふうにお考えになっているか、これが完全な平和
利用
であって、自衛隊とは完全に無
関係
なものであるか、軍事
利用
は絶対に許さないんだというふうのお覚悟があるかどうか、その辺についての
長官
のお気持ちを聞いて
おき
たい。
上原正吉
44
○
国務大臣
(上原正吉君) 御
承知
のように、
科学技術庁
は、その
科学
技術
の
研究
は軍事
目的
は絶対に取り除いて、平和
目的
に限ると、こういうふうに設置法のもとにおいてなっておりますし、
予算
もそのように厳重なワクがはめられております。それからスタッフ、
研究
のテーマも、軍事
利用
というものは
一つ
もございませんので、これはやろうと思ってもできないことでございますから、もともと初めからやるつもりはございませんし、今後も軍事
利用
の
ロケット
の
開発
というようなものは全然考えておりませんし、私もやるつもりはございません。したがって、御疑念の点は絶対にないものと、かように確信いたしております。
佐多忠隆
45
○
佐多忠隆
君 それじゃ、
種子島
の射場は完全な平和
利用
であって、軍事的なものは全然考えていないんだと、それは絶対に排除してあるというふうに了承して、問題を次に進めていきたいと思います。
種子島
に射場をおつくりになるとすれば、いまは
離島
、僻地の悪条件をたくさん持っていると思うのですが、射場をおつくりになるとすれば、今後
種子島
にどういう
施策
をし、どういう規模で、どういう年次を追って、それらのものがつくられていくか、そのあたりをあらまし御
説明
を願いたいと思います。
高橋正春
46
○
政府委員
(
高橋正春
君) 実は、たいへん申しわけないことでございますが、先ほど申し上げましたとおり、当初新島において行なう予定が、諸種の事情から
種子島
に変更に相なりましたのが四月の半ばでございます。したがいまして、現在長期的な
計画
というものは私のほうで急遽一生懸命練っておりますけれども、まだでき上がっておりません。これができましたら、
宇宙開発審議会
の議に付して決定をいたしたいと思っております。本年度につきましては、先ほど申し上げましたとおり、新島において施行いたします経費の範囲内に大体相とどめ、できるだけ早い機会に、
研究
が中断いたしませんように打ち上げをいたしたいと思いますが、現時点に
おき
ましては、
ロケット
の打ち上げ経費と、その設備等に要します経費といたしまして、一億三千八百万円ほどの経費が計上されております。
種子島
に移行した場合に
おき
ましては、さらにこの中で多少減るものもございますけれども、新射場の整地、あるいは
道路
の一部、射場に至りますところの改修等も考えなければなりませんので、少なくとも二千万円
程度
のものは不足するのではなかろうかと思っておりますので、これを大蔵省と現在流用の手続を折衝中でございます。 今後の問題につきましては、先ほども申し上げました四十五年に
宇宙
衛星
を打ち上げるということになりますと、やはりそれにマッチいたしますように事を運ばなければならない。昨年度、
宇宙開発審議会
に
おき
まして、各
省庁
五カ年の大体の
宇宙開発
に関しまするところの
予算
の見積もり額をとったわけでございますが、その当時、たしか私のほうの
科学技術庁
は、四十五年までに二百四十六億でございましたか、経費が必要であるということに相なっております。その場合に
おき
ましては、
種子島
に新たに射場をつくるという構想は入っておりませんので、それにやはり必要な経費が加算される。内之浦は四年間で二十三億使いましたそうでございますが、やはりそれに相当するような経費が、さらに先ほど申しました額に加算されるものだと思いますけれども、いずれにいたしましても、申しわけない限りでございますけれども、長期
計画
はまだ確定いたしておりませんので、申し上げかねます。 なお、先ほど御示唆がございましたように、射場の
整備
だけではなくて、これに伴いますところの
道路
、電力、水利その他につきましては、
離島
開発
の
関係
もございますので、十分私どものほうで、実際必要な要素と申しますか、そういうものを今後拾い出しまして、
経済企画庁
その他
関係
各省には十分に御連絡を申し上げて御支援を得たい、このように考えております。
佐多忠隆
47
○
佐多忠隆
君 それから
種子島
の射場の名称でありますが、竹崎が最有力なところとしてほとんど確定をされているように聞いておりますが、その場合に、「竹崎」というような局地的な名前でなくて、もっと広い「
種子島
射場」というようなふうに、
種子島
全島が、あるいはもっと広く、全国的にこれを支援するというような態度が盛り上がってくるように、名称も全部をカバーするような名称をお考えを願いたいということと、それから「
基地
」ということばには軍事的な
利用
の問題がつきまとっているので、何か、
基地
というのでなくて、たとえば「
宇宙
センター」であるとか、「
ロケット
センター」であるとか、そういうふうな名前をお考え願えないだろうか、したがって、たとえば「
種子島
宇宙
ロケット
センター」とかなんとかいうような名前、そういう、全部をカバーするような、しかも軍事的な
利用
のにおいの全然ないような名前をお考え願いたいということを、現地の諸君は非常に力説をいたしておりましたが、
長官
はその点どういうふうにお考えでございますか。
上原正吉
48
○
国務大臣
(上原正吉君) 実は、私どももそう考えているわけでございます。「竹崎」というような名前を使うと、竹崎だけしか使わぬようなことにならぬとも限りませんし、竹崎でないところにできたら、名前と実際と違うことになりますから。また、歴史的にも、
日本
国民には
種子島
というのはなじみが深い名前でございますので、考えたいと思っております。おっしゃるように、「
基地
」というのは、どうも軍事的な響きが、においがするので、そうでない名前はないものかと考えているわけでございます。ですから、現地の皆さんとわれわれの考えも一致している、かように考えております。
佐多忠隆
49
○
佐多忠隆
君
ロケット
発射のセンターでありますから、現在の
離島
の僻地の非常に不便な点を考えますと、今後どうしても、射場をおつくりになるのに関連して、
道路
の
開発
であるとか、あるいはいろいろな資材その他をたくさんお運びになるでしょうから、
港湾
の改築であるとか、あるいは水の問題であるとか、さらには電力の
問題等
が、大規模なものを
開発
されるとすれば、隘路になると思います。したがって、
離島振興計画
を、ただ単に
離島
を僻地性から脱却せしめるというだけでなくして、新しい
科学
技術
をあすこに導入をする、それに関連した非常に大きな
開発
を積極的にやるというような意気込みで、これを機会に、あすこの
開発
をお考えを願いたいというのが現地の諸君の非常な熱望でありますので、それらの点についても、大規模に、積極的に、しかも
早期
に、そういうものが実現をするように御努力を願いたいと思うのですが、
長官
どうでございますか。
上原正吉
50
○
国務大臣
(上原正吉君) 私もそのように考えております。
宇宙開発
という仕事も中途半端で終わってしまっては、何の実効もあげ得ない。
科学技術庁
がもくろんでおりまするものは、
実用衛星
を打ち上げよう、打ち上げる
衛星
が
実用
に供されるものでなければならない。そうなりますと、相当に大規模なものでなければ
実用
になりませんから、それだけでも将来相当の規模のものになる、かように考えます。それを考えまして、現地で伺ってみましたところが、港もだいじょうぶのようでございます。
道路
も地盤もいいようでございまするし、さらに高い山がございませんから、
道路
もつくりやすい。これも適地の条件だろうと思います。それから先ほど申し上げましたように、地形が平らであるということもあります。電力も火力でやれば——いま電力はほとんど火力でやっておりますから、火力でやりまして、それで足りなければ、それは狭いものですから、十分なものがつくれる、かように考えております。水だけが心配でございますが、水もどうやらあるようでございまするから、
開発
に支障はない、かように考えておりますので、御期待をいただいておるようなことは、事実上の問題がございませんから、実現できるだろうと思っております。それが実現できなければ、
開発計画
そのものが
目的
を失ってしまう、こう考えておる次第でございます。
佐多忠隆
51
○
佐多忠隆
君 電力については、どれくらい将来お使いになることになるのか、それらもお聞きしたいと思います。単に、現地で火力発電でこれをカバーするというだけでなく、お隣の屋久島には有名な屋久島電力がございまして、これは非常に豊富な、そして低廉な電力でありますし、これまでに
調査
したところによると、あれを海底ケーブルでもってくけば、屋久島から
種子島
に持ってくることは非常に簡単で、普通の民家の灯火としても、そろばんに合うというような結論も出ているようでありますから、その点もひとつお考え願いたいと思いますが、電力なんかはどれくらいお使いになることになりますか。
高橋正春
52
○
政府委員
(
高橋正春
君) 先ほど申し上げましたとおり、具体的な数字は出ておりませんが、伺いますところによりますと、内之浦に
おき
ましても、現在の
開発
段階
で八百キロでございます。将来は千五百くらいというようなお話も伺っておりますので、やはり千五百とか二千キロというものは必要だろうと思います。四十一年度は、先ほど申し上げましたとおり、早々にまず根をおろしたいということを考えておりますので自家発電になりますが、将来は、御指摘のような点につきましても、通産省その他と十分に連携をとりたい、こう考えております。
佐多忠隆
53
○
佐多忠隆
君 将来
計画
として、内之浦との関連は、さらにどういうふうに進められることになるでしょうか。
高木昇
54
○
説明員
(
高木昇
君) 先ほど
局長
からも御
説明
がありましたように、
実用
の
宇宙開発
をやるためには内之浦が地域的に非常に狭い、
種子島
は非常に適地であるということでありまして、内之浦と
種子島
の直線距離が百キロメートル未満でございます。電波的にいえばたいへん近い距離でございまして、したがいまして、内之浦と電波的な大きな機器はおそらく共用できるのではないかと思います。また、
種子島
でいろいろな実験をやるときに、予備的に内之浦からそれを見守っておる、かりに失敗すれば、内之浦のほうがすぐ助けて、そこで成功するというふうに、外国でも、距離を離して、
一つ
の
人工衛星
を上げるときには、何カ所からもそれを見守っておりますので、そういう意味でも、ごく近いお隣に実験場ができるということは、相互援助が非常に円満にいくのではなかろうか。
一つ
だけで何でもやるというのは、非常の、まさかの場合を考えると危険である。こんなことからいって、両方がお互いに助け合う
基地
になるように私は望んでおりますので、そういう意味でも
種子島
がよかったのではないか、こう考えております。
佐多忠隆
55
○
佐多忠隆
君
開発体制
としては、理想的には一元的な機構がいいんだが、さしあたりは
現状
に即して二本立てでやる、というようなことになっていると思うのですが、将来の長い
計画
としては、この問題はどういうふうに進展していくんでしょうか。
高橋正春
56
○
政府委員
(
高橋正春
君) 本件に関しましては、現在
宇宙開発審議会
の中で総合部会と申します部会がございますが、ここに
おき
まして
体制
的な問題の将来を御検討中でございます。さらに
技術
部会という部会がございますが、
技術
的な今後の進展の度合いに応じまして、やはり
体制
という問題が当然からんでまいりますので、両者がただいま互いに緊密な連絡をとりながら今後の
体制
を御審議しておられます。 なお、過日衆議院の
科学
技術
特別
委員
会の
宇宙開発
小
委員
会に
おき
ましても小
委員長
報告が出ておりまして、これらの御報告の内容等も参酌いたしまして
審議会
に
おき
まして御審議が相進むものと、このように考えております。
佐多忠隆
57
○
佐多忠隆
君
宇宙開発審議会
の
答申
として基本的な方策が打ち出され、さらに
重点開発目標
が具体的に示されたのですが、その後の実験の結果その他を考えますと、もう一度あらためて早急に基本的な方策を策定され、そうして、さっき言った二本立ての問題その他を、もっと
整備
をしていくという
段階
に来ているように思うのですが、そういう点は今後どういうふうにお扱いになりますか。
高橋正春
58
○
政府委員
(
高橋正春
君)
先生
の御指摘のとおりだと思うわけでございまして、特に三号の
答申
に
おき
ましても、たとえば
衛星
のミッションの種類の決定でございますとか、あるいは
ロケット
能力の涵養等につきましては、
審議会
に
おき
ましても長期
計画
をお立てになるということをはっきりとお示しいただいておるわけでございます。先ほど申し上げましたとおり、各
省庁
の長期
計画
の案も一応出そろいました。さらに
宇宙開発
の進展というようなものは非常にその進度が早うございまして、たとえて申しますと、一号
答申
と三号
答申
の間は二年ほどしかたっておりませんですが、三十七年に一号
答申
が出されました当時は、
日本
で
人工衛星
を打ち上げるということなどは全然考えられませんでした。第一号
答申
のときにおいては、
人工衛星
の打ち上げにつきましては、外国の
人工衛星
の
利用
ということだけで、それについて触れておりませんが、二年たった三十九年の三号
答申
に
おき
ましては、
人工衛星
の打ち上げということが顔を出しております。
宇宙開発
の進展というものは非常に早うございますので、かつ、
わが国
のそれに対応いたします長期の
計画
を確立いたしますために、できるだけ早い期間に
審議会
の御
答申
の作業をお進めいただきたいと思っております。先ほど申し上げましたとおり、各分科会等でただいま積み上げをやっておりますので、めどといたしましては、六月の末ないし七月の半ばごろには、少なくとも将来に対しますところのおおよその概要をお示しいただきたいということを希望いたしておる次第でございまして、その趣旨に基づきまして、事務局といたしましての
資料
整備
に努力をいたしたいと考えております。
佐多忠隆
59
○
佐多忠隆
君 総合的な長期
計画
を
早期
にお立てになるというようなことがうたわれておりますが、この総合長期
計画
をなるべく早い機会にお立て願いたいことと、その場合には、申し上げるまでもなく、完全な平和
利用
で、軍事的な
利用
は全然考えないのだという完全な平和
利用
、したがってまた、完全な公開性ということを確保しながら、早い機会に総合的な長期
計画
を樹立して、そうして積極的に大規模にこの
開発
をしていくということに全力を注がれるようにお願いをいたしまして私の質問を終わります。
黒柳明
60
○黒柳明君
種子島
の問題につきましては
佐多
委員
より御質問がありましたので、私はそのほかのことで……。
ロケット
の
開発
について、
各国
また
日本
の
状況
はわかったのですが、糸川
ロケット
と
宇宙開発推進本部
で
開発
している
ロケット
との差、これはどのような格差があるか、
説明
願いたい。
高木昇
61
○
説明員
(
高木昇
君) ちょっと御質問の趣旨が私わかりかねたのですが、一応お答えいたします。 糸川
ロケット
と申しますと、実は東京大学が中心になってやっております
ロケット
でございまして、各専門家が集まって
計画
しておりますのがカッパーであり、ラムダであり、ミューでございます。それから推進本部長をやりましてから私はそれを見てまいりましたが、御
承知
のように、液体燃料
ロケット
の
研究
が続いておりまして、これも
東大
の連中によく検討をしていただきましたところ、これを続けていくように、そういうことで、
東大
の
研究
者もそれに応援して、液体燃料
ロケット
を
開発
しております。それから本部でやっております小さな固体燃料
ロケット
でございますが、一応これは
開発
の
目的
を果たしまして、気象
ロケット
に使えるという
段階
になりましたので、これは今後は続けないようになりました。それからもう
一つ
の大きなテーマは、大きな
ロケット
をどうしようかということでございましたが、これは、
東大
のミュー
ロケット
を改良し、大きくするのをそのまま推進本部のほうでやる、それについては、大学の
研究
者が設計、試作に
協力
して、本部としてまとめていく、こういうふうに進めております。もともと
東大
のほうでやっておりました
ロケット
の行き方と、推進本部のほうでやっておりました
ロケット
の行き方と、ちょっと方向がダブっているものはなかったのでございます。小型
ロケット
だけが、同じく気象
ロケット
として
東大
でやりました気象
ロケット
と、
科学技術庁
のほうでやりました気象
ロケット
が、一年くらいダブりましたが、これは両者とも一応
開発
段階
を終えて、現在は気象庁のほうで年次
観測
を行なう、そういう方向に移しましたので、現時点においてはダブりもございませんのと、
東大
と本部とが一緒になって設計
会議
などを始めようと、こういうふうに、ようやく一年間かかりまして、そこまで参りました。これでお答えになっているかどうか、ちょっと……。
黒柳明
62
○黒柳明君 聞くところによると、ドイツなんか、糸川
ロケット
の
開発
が非常に進んでいるので驚いたと、こんな話を聞いておりますが、
わが国
が
人工衛星
打ち上げの第四の国になる可能性はいかがでございましょうか。
高木昇
63
○
説明員
(
高木昇
君)
観測ロケット
一本やりで
日本
の
科学
技術
者を結集してやってまいりましたのと、
目的
が常に
科学
観測
というふうに
科学
者と
技術
者が密着していったからだろうと思うのですが、私たちの
研究
の速度は意外に早いというおほめのことばを
各国
からいただきます。それに
乗り
まして
科学衛星
を、なるべく簡単な姿勢制御で行なうべく、いま始めておりますが、第四になることを私たちは希望はもちろんとしておりまして、ミュー
ロケット
の
開発計画
が四十二年度で一応終わりますと、四十三年以降
科学衛星
を上げたいと、こう考えております。これは普通のルートでございますが、その前に、
人工衛星
を上げるための諸
技術
——これは
ロケット
も電子工学も非常にむずかしい
技術
がございますので、昨年あたりからそれの基礎
研究
をやっておりますが、ラムダ
ロケット
で何回も練習をやりまして、小さな
人工衛星
を上げる練習をして
おき
たい。それが卒業いたしますと、今度は大型のミュー
ロケット
でやれるのではないかと、こう思っております。このようなスケジュールでいま進んでおりまして、年度
計画
としては、いろいろな
技術
の積み重ねを一回ごとやっていくことを考えると、ラムダ
ロケット
での
人工衛星
の打ち上げの練習でございますが、何回もやらなくちゃいけないでしょうし、あわせてミュー
ロケット
の
開発
が完了してから
科学衛星
を上げるということを考えますと、そのような進み方で第四になることを希望はしておりますが、ほかの国も一生懸命やっておりますので、何とも私ども申し上げられないと思います。
黒柳明
64
○黒柳明君
東大
の
研究
所と
科学技術庁
と完全に
技術
的にタイアップしてやっていく、こういうようなことだと思うのですが、いろいろ
目的
は違うと思いますけれども、
東大
と
科学技術庁
と、シンポジウムなんか年じゅうやっていると思うのですが、また近々やる御予定はございますでしょうか。
高橋正春
65
○
政府委員
(
高橋正春
君) 御指摘のシンポジウムは、実は明日、これは
東大
だけではございませんですが、各
省庁
、大学
関係
の方々のお集まりをいただきまして、九時から夜の五時まででございますが、
日本
の
宇宙開発
の
現状
とそれから将来のビジョンと申しますか、それを、ちょっと
資料
を持ってまいりませんでしたが、二、三十名の第一線の方にお集まりいただきまして、シンポジウムを明日開くことにいたしております。
黒柳明
66
○黒柳明君 大体そのシンポジウムで、推進本部としては、どんなような将来のビジョンを打ち出す御予定なんでございましょう。
高橋正春
67
○
政府委員
(
高橋正春
君) 四十五年に、
実用
人工衛星
、重さ百五十キログラム
程度
のものを千キロメートルの高さの円軌道に乗せるということが、私どもの現時点の
目標
でございます。それで、どのような種類の
衛星
にいたしますかということは、これは四十二年度中に決定するわけでございますが、冒頭申し上げましたように、
衛星
というものは国際的な組織網がございますので、そのようなグローバルな
関係
、そうしてローカルなものをつくります場合は、
関係
の各
省庁
がどういうような
業務
にお使いになるかという御要求の問題、それらが明日のシンポジウムの際に、各
省庁
からそれぞれ御発表に相なるわけでございますが、そのようなものをもとにいたしまして、四十二年度中には、どのような
衛星
を上げるかということを考える。ただ、
アメリカ
の従来の
ロケット
なり
衛星
の
関係
からいたしますと、百五十キログラムの重量で千キロメートルの高さというものが大体平均の要素になっておりますので、現時点に
おき
ましては、それを
目標
にいたしまして
開発
を進めていく。本年度から、
人工衛星
につきましては共通的な、基礎的な部分を——要しまするのに、どのような
人工衛星
の種類にいたしましても、その場合に、共通するような計器、測器、電力その他のような各要素につきましての共通的部分の
開発
をいたします。 それから、本年度から私どものほうは三段目に用いますところの液体燃料の
ロケット
の
開発
をいたしておりますが、昨年度に
おき
まして試作いたしたものを
種子島
に
おき
まして打ち上げまして、その直径を漸次広げていきたいと思っております。それから一、二段目につきましては、先ほど
高木先生
のおっしゃいましたように、
東大
のミュー
ロケット
の
開発
を待ちまして、その改良と申しますか、さらに直径の大きなものをつくるために四十三年度あたりから
予算
を要求する、そういうことで、
東大
の
技術
と経過的に相待ちまして、先ほど申しましたように四十五年には
実用衛星
を打ち上げたい、大体こういう構想であります。 なお、それに必要な
種子島
の射場の
整備
につきましても当然……。
黒柳明
68
○黒柳明君 百五十キロ・一千キロと、この試射が成功したら、それから
人工衛星
に結びつく過程ですね。それは、どのくらいな経過が必要なのでしょうか。
高橋正春
69
○
政府委員
(
高橋正春
君) 四十五年には、その高さに
人工衛星
を打ち上げるということにいたしておりますが、ただ、端的に申しまして、その場合に、四十二年に決定いたします
人工衛星
の種類によりまして、それが多少、こう、何と申しまするか、実験
衛星
と申しますか、そのような様相のものに相なりまするか、その点はさだかでございませんが、たとえば、現在各
省庁
等に
おき
まして御要望の最も強いものが放送
衛星
と、それから運輸省
関係
の
航行衛星
でございますが、放送
衛星
につきましては、
アメリカ
に
おき
ましても、一九七七年、なお十一年の
開発
の経過をとりませんとできないと言っております。もちろん、今後
技術
が進歩いたしますので、その十一年というものは短縮されるかと思いますが、そういう点を考えますると、四十五年にいきなり放送
衛星
を打ち上げるようなことは
技術
的に無理でございます。その間のつなぎの
段階
で、たとえば中継
衛星
、直接家庭には送信いたしませんけれども、
地上
局を通じてやりますところの
通信衛星
の一種で
テレビ
専用の
衛星
でございますが、そういうようなものにつきましては、いわゆる真の意味の放送
衛星
よりも早く
開発
できるのではないか。
航行衛星
につきましては、運輸省のほうに
おき
まして、ただいま、どのような
システム
がよろしいかということを
研究
しておいでなりますので、これも四十二年ぐらいに
おき
まして運輸省のほうの御構想がきまりますと、
技術
的に検討いたしまして、四十五年度の
計画
とどのように結びつけるか考究いたしたい、このように考えております。
黒柳明
70
○黒柳明君 この
宇宙
ロケット
の
開発
あるいは射場が軍事
目的
には使用されない、これは何回も確認されたのですが、
科学
技術
的に見まして、第三次防のナイキ、ホークのあれは、これは燃料も構造も違うと思うのですが、この可能性はいかがでしょうか。
高橋正春
71
○
政府委員
(
高橋正春
君) あるいは、
技術
的な問題でございますので、
高木先生
から御
説明
していただいたほうがよろしいかと思っておりますが、たとえば、加速度の問題にいたしましても、あるいは
ロケット
の私どもの打ち上げますものは、これは垂直に高く上がるわけでございますから、初めのうちはあまり燃料を使いませんので高いところに早く出るというような
関係
がございます。それからミサイルでございますと、空気中に再突入いたさなければなりませんので、そのために、非常に数千度の温度に上がるということでございますので、いま私どもが考えておる、あるいは
東大
でおつくりになっておりますような二、三ミリ
程度
の薄い
ロケット
では、とてもその役には立たないと思います。そのほか、
観測
いたします場合には、それぞれの相定まった計器を積むわけでございますので、それを兵器といたしまして改良いたしますということは、これはちょっとできないと思います。
あと
は
高木先生
に
技術
的な面で補足願ったほうがよろしいと思いますが……。
高木昇
72
○
説明員
(
高木昇
君) 私、実はナイキ、ホークのこともよく存じませんので、そのほうとの比較、それと、それの諸性能などの、何と申しますか、
宇宙
ロケット
との比較は、ちょっとできないのでございますが、いま
局長
が申しましたように、まず、初速度が、私たちのは非常におそくいたしておるのと、燃料が固体燃料ということでも違っておるのでございまして、なるべく空気のあるところはゆらゆら上がって摩擦熱に耐えるようにしていくようなこととか、いま、「もなか」の皮みたいに薄いような側を使っているようなことなどが、いろいろ違うのだろうと思います。
ロケット
の
開発
というのは、カッパー
ロケット
一つ
とっても、ラムダ
ロケット
一つ
とりましても、
最初
からやりますと、やはり三年間はどうしてもかかりますので、
ロケット
を転用するというようなことは、やはりこれは初めからやったと同じ違いが出てくると、私たちはそう考えております。
目標
なしに
ロケット
の
開発
というのは普通できません。大は小を兼ねるというわけにはいきませんので、やはり
人工衛星
なら
人工衛星
を上げるのに、最も金がかからずに、かつ有効だということをやりますので、やはり使命が違うと、全然設計が別じゃないか、こう考えております。
黒柳明
73
○黒柳明君
長官
にお伺いしたいと思うのですが、本年の二月ごろ、「エンタープライズ」の
安全性
を確認するために、
科学技術庁
が外務省を通じて
アメリカ
政府に質問状を提出したと、こういうようなことを新聞が書いておりますが、それは提出されたのでしょうか。
上原正吉
74
○
国務大臣
(上原正吉君) これは外務省からお聞きをいただいたほうがいいと思うわけでございますが、勉強中なので、どんな質問があり、どんな答えがあったかということは、外務省からお聞きを願いたいと思います。窓口が違いますので、ただいま私のほうで申し上げることができるのは、勉強中であり、そうして原子力空母を
日本
に寄港させたいというお申し出が
アメリカ
からあったら、即座にそれに対処し得るような準備を勉強中であると、こう御了解いただきたいと思います。
黒柳明
75
○黒柳明君
科学技術庁
として質問状をまとめたのがあるのではないですか。五項目。それをまた、回答次第によっては再質問する余地もある、このようなことであったと思うのですが……。
村田浩
76
○
政府委員
(村田浩君) 私、手元にただいまの
資料
を持っておりませんが、私の了解いたしますところでは、
科学技術庁
が、原子力空母がいずれ来るかもしれないということで、その
安全性
について
技術
的な勉強をしている、こういうことは、ただいま大臣の御答弁にございましたように、そのとおりでございますが、その当時において、何々ごうごうという質問状を発した、そういうことはございません。ただ、原子力空母に
おき
ましても、原子力を推進力として用いる軍艦であるという点において原子力潜水艦と基本的には同様なものでございますから、その
安全性
をいろいろ検討するにあたりましては、原潜において行なわれたような項目が問題となるだろうということで掲げてあるものと私どもは了解いたしております。
黒柳明
77
○黒柳明君 そうすると、これは
科学技術庁
がまとめた質問じゃないのだ、こういうわけですね。そうすると、そうでないとすると、あれですね、内容的に国民も私たちも、こういう回答を知りたいわけなんです。いろいろ五項目にわたって書いてあるのですけれども、原子力
委員
会のほうから出たものは、確かに安全である、こういうような
アメリカ
の回答で、
科学
的な裏づけをデータでつくったのではないのですが、
日本
の
科学技術庁
なり外務省は、向こうの一方的な、安全である、こういう回答で満足しているわけですが、ぜひ
科学技術庁
あたりから外務省を通じて、あるいは原子力
委員
会のサゼッションを得て、こういう質問状をつくるなり、その勉強の結果、相当まだ
安全性
に対して——外務
委員
会あたりでも、
安全性
が未確認だ、こういう問題の余地を残しているわけです。何か、この「エンタープライズ」、原潜についての
安全性
、そういうものを、
科学
技術
的に、質問があるならある、疑問があるならあるで、
わが国
として
科学
的データあるいは疑問をまとめて、それを国民の前に、こういうふうに
安全性
があるのだと、こういうようなことを何かお考えになられていないですか。
村田浩
78
○
政府委員
(村田浩君) 原子力潜水艦の場合のことで、よく御理解のことだと思いますけれども、原子力空母につきましては、たびたび他の
委員
会でも政府から申しておりますように、まだ正式な寄港申し入れはございません。したがいまして、事務的に勉強しておるという
段階
でございますが、もし、いずれそのうちに正式な申し入れがございましたならば、原潜の場合に準じまして、原子力
委員
会では、今度は空母の
安全性
ということを検討されることになろうと思います。そうして、その検討された結果、こういった点は米側に
説明
を求めたい、こういった点はよく
資料
等がほしい、こういうようなことが出てまいりますと、それを外務省を通じて米側に提出して、その回答を得るように努力いたすわけであります。原潜の場合にもそのような手続をとりまして、そうして最後にそれらの質問並びに回答に盛られたことが要約されまして、米側の声明及び覚え書きという形で
日本
政府に公式に与えられたわけであります。その間における質問状あるいは回答書というものは、いわゆる外交文書でもありまして、外務省の取り扱いに所属することでございますが、当時も、そのものは公表されておらなかったと私記憶しております。今度、空母の場合に
おき
まして、そういった質問書あるいは回答書がどういうふうに扱われますかということは今後の問題でございますが、私どもとしましては、空母における
安全性
の確認ということについての原子力
委員
会側としての取り扱い、あるいは
科学技術庁
側としての取り扱いは、原子力潜水艦の場合に準ずると、こういうふうに存じております。
黒柳明
79
○黒柳明君 原潜が寄港した
基地
の港の海底の動植物に放射能が長期にわたって帯びる帯びないということが非常に問題になったと思いますが、そのあたりの
科学
的なデータを検討しようというお考えはあるか、また、何かデータはあるかどうか、どうなんでしょう。
村田浩
80
○
政府委員
(村田浩君) そのような
安全性
と直接間接
関係
があると思われますような
資料
はできるだけ入手して、
安全性
の検討に資するようにしたいと思っております。
黒柳明
81
○黒柳明君 英国のホリーロッホのデータというものはございますか。
村田浩
82
○
政府委員
(村田浩君) 一応英国側からすでに出されているわけでございます。が、なお、これは英国に場所がございますが、同時に、
アメリカ
のポラリス型潜水艦の
基地
でございますから、
アメリカ
側にももしそのような
アメリカ
側としての
資料
があれば、ぜひ入手いたしたいと思っております。
黒柳明
83
○黒柳明君 そういう
資料
に基づいて、当然
科学技術庁
として、より
安全性
を確かめる、そういうような方向に向けて、ぜひ国民に、原潜なり「エンタープライズ」なりが、こういうふうに安全なんだというようなことを、
科学
的にわかりやすく納得できるように、データを求め、また
研究
してもらいたい、こういうふうに思うわけです。 以上です。
大森創造
84
○
委員長
(
大森創造
君) 関連してお聞きしますが、「エンタープライズ」について
科学技術庁
が
調査
したというか、質問状を出した、そういうことは、外務省なり政府筋のほうから、いずれ「エンタープライズ」が入ってくるから、そのことに備えて
科学技術庁
がひとつ質問をしろ、必要な条項を
調査
しておけ、こういういきさつでございますか。
村田浩
85
○
政府委員
(村田浩君) そのような命令といいますか、指示を
科学技術庁
としてはまだ受けておりません。先ほど申しましたように——
科学技術庁原子
力局が原子力
委員
会の事務局をやっているわけでありますが、
安全性
につきましては、原子力
委員
会が、前回に
おき
ましても、その所見をまとめて公表しているわけでありますが、原子力空母の場合につきましてはどのような扱いになりますか、今後の問題でありますが、大体原潜に準じてやるということになりますと、その際に、私どもが一応入手しました
資料
を提供して御検討いただき、その検討によりまして、こういったことを調べろ、さらに質問を出せ、こういう指示を受けることに相なろうかと思います。その指示に従いまして質問書をつくり、外務省を通じて向こうに渡して回答を求めるように努力していく、こういう手順になろうかと思います。
大森創造
86
○
委員長
(
大森創造
君) もう
一つ
お尋ねしますが、きょう出港したはずのスヌーク号、これについての
調査
は、どこで、いつ行ないましたか。
村田浩
87
○
政府委員
(村田浩君) スヌーク号は、去る五月三十日午前八時十一分に入港しまして、本三日午前八時に出港したわけでありますが、この入港の通知を受けました二十九日から今日まで、この入出港に伴う環境放射能の変化というものを
調査
いたしているわけであります。 その
調査
は、大きく分けまして二つございまして、
一つ
は、横須賀の港内に定置的に設けましたモニタリングポスト及びモニタリングポイントで、これの測定をし記録をしているという実情でございます。このモニタリングポスト及びモニタリングポイントによる測定は、
科学技術庁
のほうで
予算
をとりまして、
科学技術庁
は御
承知
のとおり手足を持ちませんので、横須賀市に委託してやっていただいておるわけであります。それから他の
一つ
は、港内の海上に
おき
ます放射能を移動的に
調査
することでございまして、これには、海上保安庁の横須賀保安部にモニタリングボートというものを、かねて配置してございまして、このモニタリングボートをもって、かねがね
研究
しております所定のコース並びに原子力潜水艦の周辺を運転しまして、海水並びにその付近の空気中の放射能を、ボートに積みました計器で測定する。このほうの担当は海上保安庁のほうが担当してやっていただいております。この両方ともに、
技術
的な指導という点につきましては、私どものほうの原子力局が担当しているわけであります。
大森創造
88
○
委員長
(
大森創造
君) 二十九日に事前の通知があったというけれども、あなたのほうでは、その前に、スヌーク号が歩いているその部分を
調査
しているのと違いますか。
村田浩
89
○
政府委員
(村田浩君) ちょっと御質問の趣旨がわかりませんが……。
大森創造
90
○
委員長
(
大森創造
君) もう一回申しますが、二十九日に、二十四時間前に、
アメリカ
の大使館から外務省の
局長
のところに電話があった。翌日の何時ごろに着くということが。それ以前に、あなたのほうは、スヌーク号がどこを歩いているか、その場所を
調査
したという事実はございませんか。
村田浩
91
○
政府委員
(村田浩君) そのような事実はございません。私どもとしましては、二十九日、二十四時間前に、外務省を通じて連絡を受けまして、初めて正式に来ることがわかった。その前にいろいろ新聞等に載っておりましたが、これはむしろ新聞記事等で
承知
したということで、いわば情報でございますか、正式な連絡とは解しておりません。さらに、私どもが指導して行なっております放射能
調査
は、先ほど申し述べましたように、固定したポスト、それから横須賀の港内を動くモニタリングボートによってやっておりますので、これらを、
わが国
に寄港する前にさかのぼって、遠いところまで出して
調査
したというようなことはございません。
大森創造
92
○
委員長
(
大森創造
君) 他に御質疑もございませんようですから、本件につきましては、本日はこの
程度
にとどめます。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時十分散会