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1966-06-23 第51回国会 参議院 運輸委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十三日(木曜日)    午前十一時四十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 岡  三郎君                 吉田忠三郎君     委 員                 井野 碩哉君                 木村 睦男君                 源田  実君                 谷口 慶吉君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 森田 タマ君                 相澤 重明君                 木村美智男君                 中村 順造君                 浅井  亨君                 岩間 正男君    衆議院議員        修正案提出者   田邉 國男君    国務大臣        運 輸 大 臣  中村 寅太君    政府委員        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        大蔵省銀行局保        険部長      上林 英男君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省船舶局長  芥川 輝孝君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      伊藤 栄樹君        大蔵省銀行局保        険部保険第二課        長        田辺 博通君        運輸省自動車局        参事官      小口喜久二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (新空港問題に関する件) ○自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○小型船造船業法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査議題といたします。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 大臣にお尋ねいたしまするが、いままで国際空港敷地についてはいろいろと経過があって、その間木更津とか各種の検討がなされてきたわけですが、昨日、佐藤総理大臣並びに友納千葉県知事、こういう中において、急拠三里塚牧場中心としたところの敷地を推進したい、推進しようという話になってきた模様ですが、この間の事情についてひとつ大臣のほうから御説明願いたいと思います。
  4. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 新空港予定敷地につきましては、御承知のように、富里地域として昨年内定いたしまして、その後地元了解工作に相当時間がかかりまして、今日に至ったのでございますが、当初考えておりました際に、富里地域農家等に立ちのいてもらわなければなりません方方の、大体主として御料牧場をぜひ相談してもらいたいという地元の強い要請もございまして、そういうことでずっと進めてまいったのでございまして、大体この御料牧場のほうはそういうことで話が進んでおりました段階でございまして、地元の御承知のように反対等が非常に強い意向等もございますので、できるだけ地元方々に御迷惑のかからない方法で検討いたしました結果、三里塚の一帯、あるいは県有地とか、ゴルフ場というような、そういう反対方々の御迷惑をできるだけ少なくするという方針でいろいろ検討いたしました結果、三里塚中心の三百二十万坪くらいに、四千メートルくらいの滑走路と二千五百メートルないし三千メートルくらいの滑走路一本、これで空港をつくろう、こういうことに大体の方向が一致いたしまして、きのう総理知事にも協力を要請しまして、知事検討を約して、地元検討するということになったという情勢でございます。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 まあ、新聞情報等によりますると、広さは半分以下になって、そうするというと、当初の計画を大幅に変更しなければいかぬ、そういう点から、今回の三里塚御料牧場中心とする新空港敷地は暫定的なものであるというふうな表現も見られるわけです。そういう点で、当初の計画と今回の大幅に変更されたこの計画というものとの関連がどういうふうになるのか。つまり、補助空港としてここにひとつ暫定的につくって、さらにこの場所を拡大するとか、あるいは他にまた本格的なものを求めてやるのか、いろいろとこの点について、まだ十分確定的なものはないと思いますけれども大臣としては、当初の広さから比べると非常に小さいものになる、そういう点で、どういうふうに関連をお考えになっておるのか、御答弁願いたい。
  6. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 運輸当局といたしましては、岡委員も申されましたように、当初、六、七百万坪の完全な空港をと考えまして、計画を進めてまいったのでございますが、地元皆さんにたいへん御迷惑をかけるようなことになるという実情を勘案いたしまして、一応三百二十万坪で四千メールの滑走路を一本と二千五百ないし三千メートルの滑走路一本で新空港をつくりまして、それによって超音速機の当初くらいには間に合う、将来SSTがひんぱんに入ってくるようになった際には、その時点でひとつさらに考えていいのじゃないだろうか、そういうことを考えて、さしあたり現時点におきましては三百二十万坪をもって空港を設置する、こういう決心をいたした次第でございます。
  7. 岡三郎

    岡三郎君 大幅に変更された事態の上に立って検討すると、結局この空港建設されても大体五年くらいで一ぱいになってしまうのじゃないかというふうに想定されておるわけですね。そうするというと、どうしても、いま言ったように、超音速機ですか、それが登場してくるということになると、これは目前に狭隘になってくる、そういう点で、この三里塚建設がどの程度完成する見通しを持っておるのか。そうしないというと、飛行機の空のラッシュの今後の趨勢とこの建設の工程とをかね合わせて考えるというと、やはり三里塚中心にして現在の富里のほうへもうちょっと敷地を拡大していくというふうな絵図面になっておるわけであります、点線でね。この点についての考え方はどうなんですか。
  8. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、当初は、先ほど言いますように、新空港として将来十年、二十年だいじょうぶというような空港をつくりたいということで計画を立てたのでございますが、しかしながら、地元の御意向等も十分尊重しなければならないことは、御承知のとおりでございまするので、地元反対意見等を十分考慮いたしまして、いま言うような形に決定いたしたのでございますが、これとあわせまして、羽田のいまの空港のほうも、滑走路の短いやつを三千メートルに延べるとかいろいろくふうをいたしまして、そうして繁雑さはこれは防げる、かような見解をもって三百二十万坪の空港というものの設置を了承したわけでございます。
  9. 岡三郎

    岡三郎君 いまの答弁を集約すると、三里塚御料牧場中心とした飛行場をつくるその建設進行状況の中から、将来ここが狭くなるということで羽田空港を広げるということをかね合わせてこれを了承したと、こういうふうにとったわけですが、それでいいですか。
  10. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 全面的な拡張ということをいま考えておるわけではございません。御承知のように、一本の滑走路は短いやつでございます。あれはさしあたり三千メートルに広げる、そういうことと、羽田空港にいろいろのくふうをしてやれば、いわゆる御料牧場の周辺につくる二本の滑走路と両方で大体間に合う、こういう計画でございます。
  11. 岡三郎

    岡三郎君 先ほどお尋ねしてお答えがないのですが、三里塚御料牧場中心とした新空港のこれは建設はいつごろまでに完了する予定なんですか、大体の見通しは。
  12. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 技術的には私はしろうとでございますから何でございますが、大体御料牧場でございますので、わりあいに作業に早くかかれると考えますので、二年か三年ぐらいのうちには完成させられるのじゃないかと、かように考えておる次第でございます。
  13. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連。いま岡委員質問を伺っておりますと、そしてそれに対して答弁がございましたが、どうもはっきりしないと思うのですよ。いままでの本委員会におけるこの問題の審議過程から見まして、何か運輸者としていろいろ調査をした——その調査はどの程度したかちっともわれわれは承知していませんけれども、当初も富里地域が最適であるということで方針を立てた。この方針を金科玉条のごとくそこに追い込めてあるというような印象が強いのです、私率直に考えると。一面今度は本委員会公団法を、直ちにできるがごとく言うて法律を通して、依然として約二年近い間場所もきまらない。あの法律の中に——こんなものは死んだ子の年を数えるようでどうかと思いますけれども場所がきまらなければ公団が発足できないということになっていますね。本来こんなものは間違いだとぼくは思うのだが、いま申し上げたように、こんなものは過ぎ去ったわけですからどうこう言いませんけれども、私はこんなにもめたり紛糾しているということは非常に複雑であるからだと思うのですよ。だからこの際は、どうもネズミが食いかけるようなちっぽけな考え方に立たないで、白紙にして、いまの運輸省スタッフではこれはとてもじゃないけれども満足な調査ができるような人員構成でもないわけですね。だから、この際は公団をとりあえず発足させる、そこにぼくは目を向けるべきだと、こう思うのですよ。そのためには、法にもひっかかっているところがありますから、法を改正すればいいのです。改正するには一体どうか。いまの国会にはこれは間に合いませんね、これは事実問題として。だから私は、聞くところによれば、こういう状態の中では、臨時国会というのはこれはだれが考えてみたって早い時期に召集されなければならぬ情勢だと思いますね。その臨時国会で、私はやはり、根元の公団法法律改正、ほんのわずかですから、一くだりですから改正をして、そして公団を発足させる。そうしてスタッフをかなり整備をして、そこで先ほど申し上げたようにあせらずに、具体的に各般にわたって調査検討研究を加えて場所をきめる、このことでも私はおそくないような気がするのですよ。いままで運輸省が言ってきたことを考えてみると、おそくないような気がする。そこで運輸大臣、せいては事をし損ずるということわざがあるでしょう。われわれ一般的な庶民のことばでは、あわてるこじきはもらいが少ないということばがありますよ。どうも運輸大臣のやっていることが、あわてるこじきはもらいが少ないたぐいに私は属しているのじゃないかと思うのですが、どうなんですか、そういう方向で。
  14. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国際空港緊急性は、吉田委員も御承知のところであります。そういうことでございますので、完ぺきな新空港をつくりたいという計画のもとに、吉田委員調査等が不十分のようにおっしゃいますけれども航空審議会等でもそれぞれの専門的な者に命じて調査研究をいたした結果結論を出しておりますし、運輸省としましてもできるだけの努力をして調査研究いたしました結果、あの地域以外にないという結論に達したことは、その経過は御承知のとおりであります。そういうことでございますので、できるだけやはりこれは早く着工しなければならぬということも、これは吉田委員も御了承していただける点だと思うのであります。  公団を早く発足させるということ、これは非常に大事なことでございます。これが、もしも社会党の御協力を得て、法改正をしようじゃないかという与野党の話がつけば、一日か二日あればできますので、今度の国会法改正でもしていただけると私は非常に好都合だと思います。そういうことができれば非常にありがたいのでございますが、現在の時点では、そういうことも考え得られないのではないかと考えますので、社会党皆さん方反対的な御意見等も十分尊重いたしまして、三百二十万坪でさしあたり間に合う飛行場をつくろう、そうして羽田のほうも同時に整備していこう、こういうことで実は進んでおるわけでございます。
  15. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、ぼくはでたらめな調査をしたなんて言っていないですよ、私は言っていない。この点は誤解ないようにしてくださいよ。  それから、いまあなた方が何か動いているようだけれども、その動き方もこれは私ども承知していませんが、一般国民から見れば、だれが何といっても、公団を発足させる、公団をスタートさせる手段より見えないのですよ、いまあなた方がやっておられることは。だから私は、そういうことであるならば、いろいろな理由があると思いますよ、早く公団を発足さしたいというのは、一面においては法律とも関係があるだろうし、一面においてはいまの運輸省要員構成では満足なことはできませんからね。これは本来の仕事をしなければならぬわけですからね、航空局だって。だから、そういう点等をもカバーする意味において、早く公団を発足さしたい、こういう意味だろうと思うのです。この手段にのみ目が向いているように思うのです。それだったら、かりにいま申し上げたように、臨時国会もそんなにおそく開かれるという状態じゃだれが考えてもないのですから、だからその段階公団を発足——いろいろな複雑な問題を別にしておいても、公団を発足させるような法律改正をしたらいいじゃないか。そこで全体のスタッフを、条件を整えて、それから場所を選定したっていいのじゃないか。あなたの気持ちはわからぬわけじゃないですよ。七月に内閣改造があって大臣をやっているかどうかわからぬからおれが大臣をやっている間にきめたのだと、そういう意欲的なあなたの気持ちもわからぬじゃないけれども、すなおに考えてそういうような方向でいいのじゃないか、こう思っている一人なんです。そこで、社会党が何とかかんとかというお話が出ましたが、社会党だっていま言ったもろもろの複雑な条件は一応別にしておくわけですから、そうしてだれが考えてみたって、公団を発足させるためにはあの法律ではひっかかりがあるわけです。そこを直すということにはだれも私は反対するわけじゃない、根もと法律が通っているわけですから。だから、そういう手順を踏んでやることがぼくはいいのじゃないか。そのことがまた、超音速時代に、時期的に見てその程度の時間をかけても私は支障がないのじゃないか、こう考えているので、建設的な意見として聞いたのですよ。
  16. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 吉田委員の御意見も、それは一つの私は行き方だと思うのです。いまここまで来ました、政府の歩いてきました方向は、航空審議会等の御答申を尊重いたしまして、そうしてさらにできるだけの力を注ぎ、それを研究した結果富里地域以外に適地はないという結論に達しましたので、その結論に沿って作業を進めてまいっているのでありまして、その過程で、先ほど言いますように、当初計画をしておりました六、七百万坪の計画を一応御破算にしまして、三百二十万坪ぐらいの最小限の行き方でいこうと、こういうことに方向を変えたわけでございまして、その線で地元知事協力もできるように総理等からもいろいろ話をしまして、知事のほうでも、その案ならば地元に与える非常な——大きな立ちのき等も非常に少なくなりますので、ひとつ検討してみましょう、こういうことで進んでおりますので、大体私はスムースにいくのじゃないか、こう考えておる次第でございます。
  17. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記とめて。   〔速記中止
  18. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記つけて。
  19. 岡三郎

    岡三郎君 いま吉田委員からも質問があったわけでありますが、本日は当面する自賠法の審議を行なうという約束でありまするので、いままで木村委員が見えておりませんでしたので、見え次第そちらに移るという約束でありまするから、一応新空港計画についてはここで本日は打ち切って、次回のすみやかなる時期にひとつ運輸省のほうから報告を受けて、それに基づいて本委員会としては十分審査したいというふうに考えます。  以上で、新空港計画は一応本日はこれで打ち切ります。     —————————————
  20. 江藤智

    委員長江藤智君) 自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案議題といたします。木村美智男君。
  21. 木村美智男

    木村美智男君 たいへんどうも御迷惑かけまして失礼いたしました。  この間、相撲じゃないですけれども、水を入れたんですが、水が入りたのが、水じゃなくて、どうも終わりになりそうですが、何ぼ聞いても同じことしか答えられてないので、運輸省のほうの関係は大体それで答弁が尽きているように考えられますから、きょうは少し大蔵省にひとつ再保険問題で伺いたいのですが、法律の四十条の関係と、それから自賠責そのもの責任保険だという、こういうたてまえから考えて、まあ原付については、少なくともいろいろの条件から考えてほかのものと同じだというふうに考えられて、これはやはり再保険対象とすべきだというふうに考えているわけですが、大蔵省のほうはその点はどういうふうに考えられていますか。
  22. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) お答え申し上げます。  そもそも、いわゆる政府が再保険というものを行なうというのは、一体いかなる場合において生ずるかという問題から実は入ってまいりたいと思うのでございますが、本来、先般木村委員も御指摘のごとく、いわゆる再保険ということそのものは、いわゆる元受け保険だけで危険の分散を十分しがたいというような場合に、再保険にかけまして危険を分散するという、これは保険基礎原理でございます。  そこで問題は、じゃあ政府が出てくる、政府がつまり再保険者になるということは、どういう場合に必要になってくるであろうかということでございます。この点につきましては、いわゆる強制保険なるがゆえに政府の再保険が必要であるというような考え方が一部にあるようでございますけれども、この点につきましては、私どもはさように実は考えておりません。衆議院においてもるる御答弁申し上げたところでございますけれども強制保険即再保険ということには実はならないわけであります。ということは、現に原子力災害保険というものがございます。これは御承知のように強制保険でございます。しかしながら、国の再保険制度はございません。この一事をもって見てもわかりますように、強制保険即国の再保険ということは出てこない。  しからば、いかなる場合において必要であるかということでございますが、これはやはり元受け保険者のたとえば担保力等において十分でないものがある場合とか、あるいは新規の保険のために、事故率でございますとか、あるいは損害率といったようなことが、必ずしも将来にわたって明確な見通しを立てがたい、そこに不安があるというような場合、しかしながら、一方において、そういう制度を、保険をどうしても国策上やらねばならないといったような場合に、そこでその制度を奨励と申しますか、育成と申しますか、政府方針に従ってそういう制度を実行に持っていくための突っかい棒というものがやはり要るというようなときに、この再保険制度というものが、ことに国としての、国が再保険をいたすという制度が出てまいる、かように実は考えているわけでございます。  そういう観点に立って本件を考えました場合に、先般自動車局長からも御答弁がございましたが、自動車損害賠償保険制度というものが発足以来今日まで、ほぼ十年の歳月をけみしております。その間にいろいろと経験も積んでまいり、ある程度事故率損害率等に対しましても、先き行きの見通しと申しますか、そういうところもだんだんに明らかになってきている。そういう環境のもとにおいて、ここに新たに原付自転車でございますか——をここに強制付保対象に取り上げるかどうかという問題が実は起こってまいったわけであります。その場合に、原付自転車というものを強制付保対象にするについて、それが保険制度本来の趣旨、つまり賠償責任制度本来の趣旨に従って確実に運営されるという見通しがあるかないかということが、国の再保険を必要とするかどうかということのいわばきめ手になるであろう、まあこういうことから、昨年来運輸省当局ともいろいろ御相談を申したわけでございますけれども原付自転車については、国の再保険を要せずして、いわゆる元受け保険だけで制度本来の目的を達し得るということを運輸省としても判断をされ、私どもとしてもそれは適当な判断であろうと、まあこういうふうに考えたわけでございます。これを一言に尽くせば、つまりその再保険、国の再保険制度が必要でないからこれを採用しなかったというだけのことに尽きるわけでございます。  そこで、その法律第四十条でございますか——との関連を問題になさったわけでございますけれども、これは一見自動車賠償責任保険が即この国の再保険というふうに現在の法律、少なくとも改正前の法律はなっております。したがって、それだけ見ますると、およそ自動車に関する賠償責任というものは国の再保険と一体不可分と、こういうふうに見れないこともないわけでございます。しかし、そこはしさいに立ち入って考えますと、私がいま申し上げておるように、要するに国の再保険が必要であるかどうかということは別個判断の問題であって、要するに問題は強制付保対象にするかしないか——原付自転車についてもそういう賠償責任対象として取り入れていって、その制度に乗せてくるということは、そこが非常に大事なところでございまして、強制付保にするかしないかということ、しかし強制付保にするということが即国の再保険でないということは一等最初に申し上げたとおりでございますから、したがって、いまの法律体系から申しましても、ここで法律改正をいたしまして原付自転車というものを強制付保対象に入れるということと、それを国の再保険に付するかいなかということは、全く別個の問題であって、もしこれが国の再保険がなければ所期の目的を達しがたいという判断であれば、それは再保険適用ということに相なったと思いますけれども、その必要なしというのが運輸省当局判断でもありますので、したがってこれは何ら法律に矛盾をいたすものではないと、かように考えております。  なお、若干補足いたしますと、先般木村委員が御指摘になったお話は、非常に論理的でございまして、つまり必要がないということで自転車をはずすなら、そんなら自動車をはずしたらいいじゃないかと、自動車は相変わらずやっておって、自転車はもう必要ないからやめますというのは、まことに論理一貫しない、矛盾しておるではないかというお話がございました。私はまことにそれはごもっともなお話で、ことに非常に論理に忠実にお考えになり、条理を押してお考えになれば、私は当然そういう議論が出てくると思うんです。しかしそれは、自動車賠償責任保険制度というものが採択されて今日まで十年と申しましたけれども、それはまだまだ長い歴史を重ねてみないと、必ずしももうこれでもって、何と申しますか、もう全く何の不要も疑問もないということに必ずしもいまの段階で言えるかどうか。相当経験は積んだということはございましょうけれども、そこのところはいま直ちにそれじゃあ自動車についてももう必要がないということを言い切るだけの判断は私は運輸省にもないだろうと思うんです。ですから、あるいは将来の方向としましては、だんだんその必要がなくなる時期があるいはいつの日にかはそれは来るのかもしれません。しかし、それはあくまで運輸省当局判断であって、運輸省がそういう判断にならない限りは、それはやはり続いていく、国の再保険が続いていくということではなかろうかと、こう思います。ですから、そこは論理というものと現実の関係が必ずしもそう密接に割り切れる、明確に割り切れるというものではない。これはもう木村先生よく世の中の実態を御承知の方でございますから、論理どおりにはいかないものがあるわけでございます。そういう意味で、私はいま直ちに矛盾だとも言えないんじゃないか、かように考えております。
  23. 木村美智男

    木村美智男君 なるほど、大蔵省答弁もね、まあ答弁のし方はうまいけれども、筋の通らないことはやっぱり運輸省と同じだね、これは。この点では。しかし、私がこの間、自転車を再保険しないならば、ほかの自動車もみなやめたらいいじゃないかと言ったのは、やめろと言ったわけじゃないのですよ。それは筋を通していけば、自転車のほうをやめるならばですね、自動車のほうも再保険している理由はちょっと根拠がおかしくなるじゃないかと、こういうその論理の発展として言ったんでね。で、私自身の本旨が自動車の再保険をはずすことにあると思われたんじゃ困るのです。これは明らかにしておきます。  で、いまいろいろ伺ってみますとね。強制保険であっても、実際実例としてこの間、原子力の問題、原子力保険関係がですね、まあ今度の原付自転車と同じように再保険対象にしていないというようなことを引かれて言いましたけれども、やっぱり、国のこの責任保険、国が強制保険として責任保険対象にしていくという以上は、やはりそれは筋道としてですね、一応その再保険という問題は当然それはするのが筋道だけれども、いろいろこの間から運輸省でも述べられたように、またいま銀行局長が述べられたような、そういう現実の問題もあって、これは例外として、いわば実害がないからまあ認めてもいいんじゃないかという、一つのですね、筋と現実の妥協だというふうにこれは答えられないとね、どこまでも理屈で、これははずしてもこの筋からはずれていないのだという言い方では、どんなに言い回しをされても、これは理屈としてなかなか納得はできない。ましてや私自身が、まだこれは未熟者なんで、おたくに持ち上げられて喜ぶものじゃないのでね。そういうことで筋道ひん曲げられたんじゃこれはいかぬのでね。いまの点は、やっぱり理屈としては、冒頭に申し上げたように、運輸省のいろいろ答えられたものと、事情というのはおよそ大体どういうものであるかはだんだんわかってきたような気がしますがね。筋道としては、やっぱり大蔵省答弁も、これは筋が通っていない。したがって、この問題については、本来再保険をやはりすべきであって、法四十条の問題などについては、これは本来なら私は目くじらを立ててほんとうはどなりつけなきゃならぬ問題ですよ。大体今日の役人がですね、現実の法律をかってにひん曲げて解釈をして、これはその法四十条については、そういう表面的な理解だけじゃなくて、もっとよく世の中知ってるんだから、中身を理解しなければなんという、そういう解釈をすべきじゃないのだ。法律をちゃんと改正をした上に立ってものを言うならいいけれども、法四十条に関する限り、どこからあなたこの再保険をしなくてもいいんだという理屈が出てくるのか。これはね、そういうこじつけた理屈ではなかなか納得できない。これはまあこれ以上追及しても、どうも再保険問題は尽きないようですから……。
  24. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ちょっとそれであるのだが……。
  25. 木村美智男

    木村美智男君 いまの問題で——じゃあ一応ここで。
  26. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ちょっとここで関連して。この再保険の問題ですね。この前の委員会でも、きょうの委員会でも、そうしてまた私も関連して伺っておきました。どうもこの答弁で、法律の四十条の問題はさておきながら、答えられている自動車局長答弁、さらにいままた銀行局長の答弁では、歴史的に見て十年余になっているから、その体験、経験上から、原付については再保険が大体把握をしてつかめるので必要がないのだと、こういうまあ答えになっていると私は理解している。言いかえれば、見通しがついているものだ、こういうまあ答えだと思うのですよ、簡単に言えばです。これは間違いないですね。どうですか、両局長。まずこれは銀行局長、それから運輸省の坪井局長、それぞれ答弁してください。この考え方間違いありませんか。
  27. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) 私が申し上げましたことを一言にして要約をいたしますと、つまり賠償責任保険制度の本来の趣旨なり目的なりというものが確実に実行され、その効果が確保されるということであれば、国の再保険は必要ないということを申したのでありまして、したがって、原動機付自転車についてはそれはどうであるかということを見た場合に、これはいまの制度趣旨目的を十分達し得る、国の再保険制度なくしてという判定を運輸省においても行なわれ、われわれもそれに同調しておる、こういうことであります。
  28. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 私が申し上げましたのは、自動車において再保険をやっておるわけでございます。これらについての実績その他保険運営が相当軌道に乗っておりますので、今回新らたに原付強制保険にする場合に、再保険なしでも、国としてのこの保障法の運営上、原付について適正な運営が可能であるというふうに考えております。
  29. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま銀行局長が、この保険のつまり精神さえ完全に実施されれば必要がないと、こういう答えでありますね。これを私はここでとやかく難くせをつけようとは思いませんよ。あなた方、両局長は、衆議院段階で、そこにおられます——今度ここへ来ては提案者になっておりますけれども衆議院の田邊議員の質問にそれぞれ答えていますよ。いま答えられたこととは違うことが答えられている。だから私はここで聞いたんです。その答えていることは何かというと、いままでの十年間の体験、経験、さらには原付自転車というものの数が現在自動車と同じぐらいの数があるので、つまりこれを見ますると、手続等の問題を考えてみると、これはなかなか直ちに再保険を実施するということは、全部を実施するということは困難でありますと、さらにここで言ったように、いままでの過去の例から見まするとそうしなくてもやっていけるというここで自信がありますというような答えをしております。こうなれば、ぼくはいま聞いたように、したがって過去の体験、経験から見て原付はもう再保険しなくてもよろしいんだというやっぱり判断に立たなければ、こういう答弁にならないですな。どうですか、局長。これは銀行のほうはまたぼくはあとで聞くが、自動車局長ひとつ答えてくれ。こういうことを答えている。日にちは四十一年三月二十五日だ。衆議院運輸委員会で。これはあなたでたらめな言い返しをしても困るんですよ。ちゃんと記録に載っているんだ。
  30. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 私が申し上げております趣旨はやはり変わっておりませんので、原付についての現実の事態を総合勘案して、いろいろこれを再保険にする場合のことも考え、あわせて現在の自賠法のたてまえというものも考え、総合勘案した上で、再保険なしでもやっていける、原付は再保険なしでも適正な運営が行なえる、そういう判断に到達したわけであります。
  31. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 当時の答弁考え方は変わらないと、こういうことですから、ここで私はあえて時間をとってやりとりいたしませんが、田邊委員の質問に対して、この原付を再保険をしないというのが、いまあなたが申されたような、過去幾たびか答えられたような考え方に立って、その見解はいわば国営保険の性格も帯びているものであるという見解を持っていますと、こういうことなんであります。これはあなたを苦しめるというより、あなたが答えている。これはあなたの答えたことをいま私は読み上げている。だとすれば、私もそういうものであるべきだということは否定しない。むしろ同じ意見かもしれない、ある意味においては。だから、あえてここでどうこう言うものではない。ないが、結論から申し上げますれば、この制度というものは営利を目的としていないわけですね。これが原則だということは、今度修正案を提案した田邉提案者も言っているわけですよ。私は同感ですよ。だけれども、いまの銀行局なりあるいは自動車局の答えを聞いていると、そのままをつくりわれわれは一〇〇%今度はそれがそうだということに理解して、受け取って、裏を返してみたらどうかということになれば、いままでは、したがって過去の実績等々でかなりこの保険事業というものはペイされていた、こういうことになりませんかね。だから、今度は再保険が要らないんですよ。こういう私は計算になってくるのじゃないかと思うんですよ。私は、非常にいままでのこの衆議院段階におけるやりとり、それから本委員会に付託されてからのこの委員会での質疑応答を見ておっても、まことにこの事業というものはわかりにくい、複雑である、こういう子らに考えざるを得ません。したがって、これからわれわれは、少なくとも私の考え方は、この法律の精神というものは、被害者を保護する、被害者の擁護の法律であるから、もっともっと制度というものについて検討しなければならぬ。本来のこの保険制度、この自賠責の制度というものを検討しなければならぬ。これがためには、残念なことには、いままでに私どもが理解したり、納得するような答えになっていませんから、ひとつこの際大蔵省の銀行局にもう少し私は検討していく意味におきまして資料を求めたいと思うんです。いままでわれわれに提示された資料は幾つかありますけれども、この中に一つも出ていません。出ていませんから、この際すみやかに出していただきたい。委員長にお願いしますよ。それは、この間も自民党の木村委員から、自動車のつまり加入率というものを、一つの標準ですね、この保険金をきめる算定のファクターにしなければおかしいじゃないかというお話が出ましたが、これはこれとして、私は、この際もうちょっと、先ほど言ったように、検討を加える意味から、いままでの自動車の車種別の付保率というものを都道府県別に出してください。いいですか、この場合、都道府県別に車種別の付保率というものを一つ出してください。それから、これは運輸省でもどちらでもけっこうだが、保険料区分の地域別がございますね。これの付保率をも出してもらう。それから、一体全国都道府県にこの保険を扱う代理店の数というものは幾つあるかということについても、私はわかりません。ですから、これを出してもらう。同時に、その代理店を含めて、この事業に従事をしている職員の数、これもあわせて出してもらわないと、私はそういうものを総合的に検討しなければわかりませんから、これを出してもらうことをまずとりあえず要求しておきます。
  32. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) ただいま御要求の資料のうちで、第一の資料、これに運輸省のほうから出していただきます。私のほうは、いまの保険の代理店の数とそれから人数の資料を即刻ひとつお出ししたいと思います。
  33. 岩間正男

    ○岩間正男君 さっきの木村委員質問に対する銀行局長の答弁の中で、ちょっと私わからないところがあるので、二点だけお伺いします。  一つは、これは原付自転車の場合は、いまの営業方針を貫いていけばこれは再保険の必要はないのだ、ちゃんとやっていけるのだ。そういうことになりますというと、これは自動車の場合は再保険なしには運営がうまくいかない、そういう前提に立っておりますか。そういうふうになりますね、あなたのさっきの論理を発展さして考えていくと。  もう一つの問題は、これは強制加入イコール再保険にならないのだ、その例はというので、これは原子力の場合をあげられたのですね。しかし、どうでしょう、具体的に考えて、原子力の場合は非常に危険があるのですよ。だから、これは強制加入ということを一応肯定できるわけです。ところが、原付自転車の場合は、これはそれほど原子力に比べて問題にならないほど危険ということは少ないわけですよ。それを強制加入させるのだから、当然イコール再保険という意見が出てくるのだ。それを単に前例があったというだけで、前例を引っぱり出しているのだけれども、これはおかしいですよ。この二点を明確にしてもらいたい。  それから、原子力の場合、再保険してないのはおかしいのだから、これは再保険すればいいのであって、前例があればといって当てはめるのは——、問題は、これはやはり政府の保護政策というものの考え方、心の置き場にあるのだ。そこのところを抜きにして政策として論議しているのだから、それを抜きにしていまのようなことを事務的に答弁されては、納得できない。そこのところをお伺いいたします。
  34. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) 第一点。これは岩間先生の御解釈で差しつかえないと思います。要するに、国が再保険をしている限り、これはやっぱりそれだけの必要があってしている。ということは、さっき申し上げているように、制度本来の趣旨なり目的を十全に果たしていくことが必要だということだからやってるわけですから、この点はおっしゃるとおり。  それから第二点。原子力の災害というのは非常に大きい、だから強制はわかる、しかし自動車の場合は小さいから強制することにもともと無理があるのじゃないかという御指摘かもしれません。ただしかし、これは大きいか小さいかという点は、何を基準にものを考えるかということでございます。先般ほかの委員からの御指摘もございました。いまや交通戦争の時代だと、こういうことでございます。なかなかこれはそう軽々に災害が小さいと言うわけにはいかぬじゃないかと思います。だから、これはやっぱり軽視できない非常に重大な問題だから強制保険にかけられる。しかも、これはもともと本来ならば、そういう自動車で事故を起こして、あるいは人身事故を起こすということは、全く民事上の責任の問題でございます。民事責任であるから、当事者間において話し合いをして必要に応じて賠償をするというのが本来のたてまえです。しかし、そうしておくと、とかく資力が足りないという人が十分に払えないということになっても困るのじゃないかということから、そういう人たちの支払い能力を担保するために、これを保険にかけようということになった。したがって、それはひとしく交通戦争というものから国民大衆を守るということに立てば、これはやはり強制保険ということは一つの筋として出てくるのだろうと思います。これは世界各国の例を見ましても、自動車賠償責任の強制制度をとってるところがずいぶんあります。むしろ強制のほうが多いのじゃないかと思うのです。しかし、さればといって、国の再保険をしてやってるところはどこかにあるかといえば、これは先進諸国にはどこにもありません、日本だけのものでございます。
  35. 岡三郎

    岡三郎君 関連。ちょっと銀行局長に聞きますが、いま言っていることについて考えてみると、自動車のほうの再保険の数字を見てくると、これは見込みですが、かなり再保険のほうの特別会計は黒字になってきている。それだから、アフターケアの問題等を含めてやるべきだと、いろいろ注文を出したわけですが、私はいま強制保険から再保険という問題との関連考えていくと、まあ強制保険にした場合において、再保険をしないでも危険性がない、十分やっていけるのだ、こういう見通しの上に立ってると思うのです。というのは、自動車賠償のほうのように赤字が累積していくということになってくれば、再保険をどうしてもしなければこれはやっていけないのではないかということになるわけです。そういうふうに考えるということは、今回の原付の問題については、これはたっぷり保険会社に入るから、もうそういう心配がないのだというようにとれるのだ。裏から言うと、危険が全然ない、十分払えるのだということは、逆に言えば、原付自転車に対する一年契約の金がたっぷり見込んであるということで、高いと私は言うのです。私は逆に言えば、再保険しなくても、今度強制保険をやれば、十分台数もあるし、一台に対する金額も危険度数の経験から見てこれはいけるのだ、だからこれは再保険しなくともやっていける、こうなってくるというと、保険会社のほうは事故防止に金を出すとかなんとか言って微々たる話をしておりましたのが、その金が余って十分やれるという見通しがあれば、私はそれに対する措置を考えてもらわないと困るということを言ったわけだ。いまのことばで言えば、余れば余るほど、損得をしないたてまえになっているから、やはり再保険をして、そうして再保険した金の中で余ったら、それを十分、死んだり、けがをした人だけでなくて、あとの処置とか、それから事故を起こしたときのいろいろな一般の人々に対して事故を取り上げてもらうというような機関を積極的につくっていく。そういうような点については、田邊さんの答弁では、農協がやるという場合においてはそういう点を十分考えつつあるということで、了解できるのですよ。ところが、銀行局長の答弁を聞いていると、再保険は必要ない——この必要がないということは、裏を返すと、たっぷり出てくる。そういう危険性がこれからだんだんだんだんと出ては困るということよりも、黒字がだんだんふえてくるという見込みがある。それなら、保険会社に置いておいて、一体その金をどうするのかということになれば、そういった面から再保険さして、十分余裕があっても、万が一の場合における予防にもなるし、余った金についてはどうするかという処置をやったほうが本来の保険制度趣旨からいって合うと思うが、銀行局長どうですか。
  36. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) どうも私のことばが足りませんでしたために、あるいは岡先生の誤解をいただいたのかもしれませんけれども、私は決してたっぷり余るなどということは一度も申したことはないのであります。(「危険性がないということはそういうことになる」と呼ぶ者あり)危険性がない——事故率なり損害率というものに対する将来の見通しなり何なりというものについて的確に見通せるかどうかということについて不安があるかないかという問題があるということを最初に申し上げたのであって、確実に見込めるならば、損得なしということが原則ですから、もしたっぷりもうかるなら、料率が甘過ぎると思う。料率はあくまで適正な料率を定めるべきであって、また甘い料率を大蔵大臣が認可するはずがないのであります。きちっと見て、余りもしなければ足りなくなることもなく適正なところで運営されるということにおいて料率として定めるべきである。したがって、国の再保険の必要がないということが裏を返すとたっぷり余るとおっしゃるのは、これは先生の御指摘は、少し私の申したことからは、私の真意からはだいぶ違った形になりますので、その点は御了解いただきたいと思います。
  37. 岡三郎

    岡三郎君 たっぷり余るということばが気になってしょうがないから、そういうふうに十分でなかったというふうに言われたんでしょうけれども、とにかく再保険しなくても危険性がないということでしょう。それが前提に立って、とにかく再保険はやらなくても大体いけると、こういうことが前提になるということは、自動車に再保険をかけたところの経過を見れば、これは赤字がずいぶんあった。それで最近において料率改定をしたから今度黒字になってきた、こういうことははっきりわかるわけです。いまの場合で言うと、再保険しなくてもいいということの前提は、将来の見通しに立っていく場合においてその危険性がないということなんですよ。危険性がないということは、赤字にならないということをやっぱり想定しているんですよ。そういうふうにはっきり言われたと私は思うんです。これはことばの違いではないと思う。損得がないということは、一つの経過の中において、よく大蔵省の言うように、五年、五年と言うけれども、その中におけるところの金の金利だけだってたいへんなものですよ、これ。金利だけだって何百億になるんですからね。その金利というものが延べ払いになっていくわけですから、それだけだってたいへんなものだ。それだけの金利の問題にしても再保険に置いておけばはっきり出てくるんだから、だからその問題の中からいろいろの方途が私は生まれてくるんじゃないか。それを私が言うように、前向きでやらせますということば言っただけで事故を防止するということは、保険会社がもうかるからそれは積極的にやりますよ、保険会社は事故が少なければ少ないほど資金量というものは余ってくるわけですから。料率を下げるといっても、下げるときにはこれはたいへんなことで、下げないですよ。下げないで、今度賠償額を上げようとすれば、原付自転車だけの賠償額だけ上げるわけにいかないでしょう。自動車との関連が出てくるでしょうということを考えてくれば、私はやはりそこのところが非常に問題点だと思うんですよ。だから私は、料率を下げると言うけれども、料率を下げる場合に自転車なら自転車だけ下げるのか——いいですか、賠償額をふやすときに自動車とは別個に賠償額をふやすのか、こういう問題が出てくると思うんですよ。いまのところはとにかく自動車よりもこっちのほうが確率がいいから再保険は要らないんだと、現実に立って見ればそういうことになると、将来自動車のほうもそうなればそういうふうにしたいと言うけれども、それならばいま吉田さんが言うように、四十条の改正というものが基本的に必要じゃないかということになってくると思うんですが、その点どうなんです。
  38. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) まあ誤解をいただいているといけませんので繰り返し申し上げますと、つまり保険計算上、これは保険数理に基づいた保険計算というものをやっております。そうすると、それは長期にわたって必ず保険収支をバランスさせる、そのバランスするというところで料率がきまってくるわけです。したがって、そういう保険計算というものが成り立つか成り立たないか、これはやはり事故率なり損害率なりというものがきめ手になるわけです。そういうものが正しくつかめるかつかめないかということだと思うんです、私が申し上げている意味は。十年前に日本に初めて自動車賠償責任保険制度というものを導入したときは、全く新しい未知の世界であったわけです。したがって、その発足当初においては、一体これは事故率や何かどうなるのか、過去の正確な統計も比較的乏しいし、どうなるかわからないという状態でもあったと思うんです。しかしながら、やっぱりこれは発足させなければならぬ。そこで結局料率というものはある程度トライアル・アンド・エラーでいかざるを得ない状況だったと思うんです。これは結局過去の例においても、示しておりますように、先生もまさに御指摘になったように、初めは赤字であった。それでまあ料率改定してみたところが、その間にいろいろ警察の手当てや何か進んできて事故率もどんどん下がってきた。だから、そこで余裕も出たから、今度はそうなら料率を下げるか、あるいは給付内容をよくするかという問題として今日出てきているわけです。ですから、それは決してもうけが出て、そいつをふところに入れてしまうという観念でなくて、もしもそれが料率が非常にから過ぎたんならそれは直すし、今度やってみたら甘過ぎたというんならそれは下げて、あくまで受益者のために還元していくということで時々刻々調整されて今日まで至ってきていると思います。だから、そういう意味で、私が言っているのは決して、国の再保険が要らないのはどうももうかるからだという意味におとりになっていらっしゃると思いますが、そうではなくて、保険計算というもののめどが立つ、見通しが立つというところに問題があるのだということを、これは何としても御理解いただかないと、これは一番大事なところなんです。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 そのもうかるということばがいけなければ、余裕が出てくるということばに置きかえてもいいんですよ。少なくとも基本的には、再保険しないということは、危険性がないと。危険性がないということは、やっていけるということですよ。やっていけるということは、赤字にはならないということを見込んで、そういうふうな現実に立って措置しているんです。だから、私が言うのは何も無理でないので、つまりそういうふうな方向で再保険は要らないのだと、こう言っても、じゃ先ほど言ったように何百億という金の金利だけでもどうなっているかということを聞きたいんですよ。それが、できるだけ早く、できるだけ早くと言っても、早くなっておらぬじゃないですか。これは運輸省に聞かなければならぬけれども、早くなっておらないんで、だから早く支払わせるためにやっているんで、金利のほうは見ておりませんと。ところが、現実に何百億という金が余ってきて、どんどん徴収されてきて、その金一体どこへ計上しているのか、計上しようとしているのか、銀行局長、その利ざやというものがこれは一年間にどのくらいになりますか、ちょっとそれをお伺いしたい。利ざやがあるから、利ざやをちょっと正確に話してもらいたい。五年計画でもいいですよ。
  40. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) これは、この間も申し上げましたように、岩間委員の御指摘がございましたから——支払いがおそいんじゃないか。支払いという問題は、二つの問題に分かれると思うのです。つまり、保険金額が確定しているにもかかわらず現金の支払いがずれているという問題、もう一つは保険金額を確定するために査定その他の手続が要りますから、そういう意味の確定するまでの時間、確定したあと現実に今度保険金支払い、そういう問題があるわけです。だから、その点岩間先生にはお答えしたのですが、そういうものを両者含めまして極力これは促進しなければいかぬ、これはもうおっしゃるとおりなんですから、一日でもこれは詰めていくという努力をやらなくちゃいかぬという点で、今後とも指導を強化してまいりますということをお答えしたわけです。これは最も一生懸命やらなければいかぬと思います。
  41. 岡三郎

    岡三郎君 それは私に対する質問の答えにならぬよ、あんたの言うのは。それじゃもう全利もないように即刻払うと、ぱっぱっと、そういうことになればそれはいいですよ。しかし、そういうことを、それこそ銀行局長が言っているように、過去からのずっと趨勢をながめて、いまにわかに昭和四十一年度のこれから掛け金をさして、四十二年度になったらぱっぱっと全部金を払いましょうということに私はならぬと思うんです。そうするというと、従来の経験に徴して、ここに何百億という金が入るわけですから、その金利計算を年間して、いままでの過去の実態から見てどのくらいになりますかということを聞いている。いままでの経験に徴して、いままでの実態に立って支払い期間というものを見た場合にどのくらいになるかということです。一応それはめどがつくと思うから、局長が無理ならば、その隣にいる部長でも課長でもずっと計算してみてください。それはなぜかというと、再保険した場合においてははっきりこれが出てきますよ。これどうするかという問題はあとにできますよ。銀行の場合はどっかへ行っちゃうんだから、これ。どんぶり勘定じゃないけれども、どっかへ行っちゃって裏金にでもなっているんじゃないか。だから私は、その点について、局長答えなければ、部長なり課長なり、過去の計数があるんですから……。これはたいへんな金ですよ。
  42. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連して。岡先生が指摘された点について関連して伺いますが、やはりこの再保険を必要としないというのは、過去のいろいろな、そのことだけじゃないですよ、推移を見るわけですね。だから、ここで具体的にこれ申し上げますけれども、たとえば再保険の特別会計の勘定の年度別の損益状況の推移ですね、これはまあ金の出し入れだけですよ。出し入れだけで、これは明らかに運輸省から出た資料でございますが、三十八年までに多少の赤字ですよ、これは。多少のね——二億五千万程度の。そうして三十九年に料金の改定をしたときには一体どのくらいの損益の黒字が出たかというと、一挙に二十七億出た。これはトータルですよ、トータルで。それで私は四十年の決算の状況を聞こうとしたら、まだ決算していないということだが、決算しないといっても、もう決算期過ぎていますから、当然仮決算で出るわけで、四十年は見込みでけっこうだからひとつ出せということを申して取り寄せましたら、四十年は今度は百八十五億という金が余る。これが岡さんが言う余裕というものだと思うのですよ。こういう推移なんです。しからばこの三十年度から全体の損益勘定の中でどうなっているかというと、総額で収入が六百億です。支出のほうが三百三十億。差し引いた損益が二百六十億、三十年来の総損益累計残として余裕が出たものが三百十億。だから、私はどこの会社があるいはどこの事業体がこの余裕が出たからといってどうこう言うものではないけれども、これを再保険ですから百分の六十と百分の四十に分けてみると、国に入った金は、大蔵省の運用部資金として入った金が百八十五億、それから保険会社に入った金が百二十五億です。これは三十九年以降ですよ。全体のトータルであるけれども、三十九年以降に、料金を改定してから、料金の値上げをしてから、百二十五億という余裕が出ているのですね。こういうことを皆さんが十分考えなければ、再保険をやめますよということにならないのじゃないですか、これは。こういうことがいま岡さんの言っている一つの例だ。この金の使い方についてはあとでお伺いしますけれども、とにかくこの出された資料を読み上げてみると、こういうことになっていますよ。それからもう一つは、自動車損害賠償責任保険特別会計事業年度別損益状況の推移、これは例の保障の関係、資金繰りとかなんか、この推移を見てみましても、やはり三十七年までは赤字になっている——五千七百万程度赤字。そうして三十七年から若干黒字になって、六千万。料金を値上げしたときには、一挙にここでもう十億くらいの黒字になっている、全体のトータルで。しからば、時間がありませんから答えだけ申し上げますけれども、現在十億黒字になっているのですよ、銀行局長。ですから、そういう推移を見て、あなたが先ほど来いろいろなお答えしておりました、いわゆる余剰金は出ない、あるいは足らなくならないように、そういうお話がありましたけれども、私はそういう推移を見て、やはり保険をかけている人々に還元するか、あるいは法律そのものは被害者の擁護でありますから、そちらのほうに、まるまる現金じゃなくて、いろいろなやり方がある。あなた方はいろいろ先刻来答弁していますように、特に田邊さんが答弁した中では同意していたわけでございますけれども、社会保障的なこれは一つの保険制度なんです。そうでしょう。ですから、やり方というのは幾らもあるのです。あるものですから、運輸省としても、たとえばこの保障センターであるとか、あるいは事業相談所であるとか等々のことをやりたいということで、いまその熱意を示しているのだと思う。ところが、そういうものは全部ほおかぶりして、大蔵省のほうは、この間の答弁は、あなたが担当じゃなくて主計局長がやったと、こういうお話でありますけれども、全部そういうものはカットしてしまう。ここらあたりに私は問題があると、こう言っているのです。その問題の解明は別として、計数的にぼくが読み上げたのは、この数字はうそであるかどうか、これはどちらでもいいですが明らかに答弁しておいてください。その上に立たなければ、岡さんの質問の根拠、いわゆる答弁は出てこない、こういうことになりますので、私は関連して計数を読み上げたのです。
  43. 木村美智男

    木村美智男君 関連質問。  もう理屈上の問題じゃケリはつかぬから、ぼくも数字をあげてやっぱりやらなければいかぬと思うのですが、この自動車損害賠償責任保険関係でいま言ったようないわゆる剰余金が出てくるのですけれども、もう一つの問題は、年間この保険によっていわゆる支払われる保険料というのは総額大体六百億前後になると思うのですね。ですから、この六百億というような金額というものは、これは多少何億程度の違いはあっても、大体推定六百億くらいになるわけですから、一体これの金利というものはどうなっているのかということをひとつやっぱり明らかにしたい。この前岩間委員は、大体五十一日という話が出たのだが、そんなことはないので、もっと長いのですよ。これは保険料が払い込まれてそうして保険金が支払われるまでの平均というのは大体十カ月から十一カ月くらいですから、したがって年間かりにいまの金利で七分くらいに計算をするとしても、それをまるまる十二カ月ではないから七分に計算をしても、大体四十億前後の利息というものはこれは運用面から必ず出てくる。その場合、国が六割の再保険をしているわけですから、たとえば保険会社に残るのはあとの四割にしても、六、四に分けたらどうなるのかということになれば、これは四十億の六割なら二十四億の、十六億でしょう。そうすると、金利だけでもこれは十五億前後の金になるということが計算上出てくるわけですよ。したがって、さっきから言っているように、十年くらいの経過を見て再保険をしなくてもやっていけるというこのことについて、三十九年に料金を改定してやったことがこれは根本的に間違いであるか、そうでなければそういう余剰が出てくるようなやり方をやったのは間違いであるかへそうでないとするならば、そういう事情を知ったまま今日何らのこの対策もとってない、これは単に自動車損害賠償保険の問題だけじゃなしに、あらゆる保険の場合に今日言い得ることで、きわめて重大な問題をこれは提起をしておると私は思うのです。そういう意味で、さっき私は銀行局長の答弁関連をして、自動車の再保険をはずせと私が言っているのじゃないと言ったけれども、そんなものじゃない。自動車の再保険については、これは絶対にはずしちゃいかぬ。こんなものをはずして、言ってみれば保険会社にもうけさせるというのなら、これは大蔵省保険会社とぐるになっていると、こう言わざるを得ない。そこまでひとつこの点は極言をして、この自動車保険の問題については、今後の経過を見てとか運輸省の態度を待ってとかという問題じゃなしに、これは再保険というものは、根本的に保険制度のあり方自体を変えるなら別として、今日の制度のたてまえの中では、自動車の再保険を将来はずすなんということはもってのほかであるから、これはもう厳格にこの際申し上げておきます。さっきの金利の問題も含めて、ひとつ吉田委員質問関連をしてこれは明らかにしてもらいたい。そういう関係がやっぱりあるので、だからこういう関係を、国が吸い上げて、そうして交通事故防止のためにいろいろ金を使うとか、あるいは実際に損害を受けた者の相談の関係の至れり尽くせりの施設に回すとか、たとえば田邊議員が言われたように、これが共済である場合には組合員に還元をされるからアフターケアの問題をやるとか、こういうようなことになっていって初めて保険業務というものがこれはいわばまともな運営になっていくんであって、そういったことにならなければ大蔵省の言っているのはまるっきり筋が通らない。単に筋が通らないだけじゃなしに、そういう事柄というものをよく見きわめた上でこの問題を扱わないと、もしそれがそういうことにはならないんだというんなら、これはもう明確に、いま少し保険料取り過ぎているから料率を下げて安くする、こういうか、どっちかにしなければ筋は通らない。そういう意味で、その点も明らかにしてもらいたい。
  44. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) いまの金利の問題についての考え方は保険部長からお答えいたしますが、その前に、三十九年二月の引き上げが間違っておったのではないかというお話がございましたが、私はそれは間違っていなかった、それがその後変わってきたのは、先般来御説明しておりますように、つまりその間に交通安全施設の整備も進み、あるいは交通取り締まりというものが非常に強化されてきた。その結果として、あるいはまあドライバー自身のいろんな注意も進んだと思います、いろいろなものが総合されて——あるいは道路がよくなったとか、いろいろなものが総合されて、それが結局現実の事故率というものが、当時推定した、見込んだものよりも下がってきたということだと思います。だからこそ、ここでそれを再計算してみて、それを先生のおっしゃるように料率を下げるなら下げたっていいと思うんです。しかし、片方では百万ぐらいの金額ではしょうがないんじゃないかという声もあります。それなら料率はそのままにしておいて給付内容の改善をはかる、これはつまりどっちにしても同じことだと思いますので、そこで給付内容の改善をはかるということでありますので、その点は決して間違ったことではないということを申し上げておきたいと思います。
  45. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 御指摘の金利の点につきましては、非常に重要な問題でございまして、むずかしい問題を含んでおるわけでございますが、その前にひとつ御理解をいただきたいと思いますのは、ここにございますように、たとえ四十年度、三十九年度非常に黒が出ておるわけでございます。しかし、これはこういう事態が正常な状態であるわけではございません。こういう事態が起こりましたので、私たちは、先ほど来、前々から御説明申し上げておりますように、保険料を据え置いたまま保険金を上げる、したがってこの損益状態がゼロになるということを目標のもとにいろいろの計算をいたしておるわけでございます。また、いまの金利計算を考えますにあたりまして、厳密に申しますると、発足当初から三十五年度までは相当の赤字があったわけでございます。ここにあります資料は運輸省の計算でございまするが、全体として私ども申し上げております契約年度ベースの収支実績からの数字を申し上げましても、三十年度から三十五年度までにはトータルとして五十九億の赤ができておるわけでございます。もちろん、こういう数字が出ましたときには、そのマイナスの金利もあるいは考えてやらなければ、これはノーロス、ノーペイという思想はいまはないわけでございます。したがいまして、できるだけ方針方向といたしましては、こういう損益のロスの隔たりというものが少なくなるように保険料率を定めていくということが一番大切なことでございまするけれども保険料率を定めますにつきましては、やはり若干のトライアル・アンド・エラーが加わってまいるということは、これはまことにやむを得ないことではなかろうかと思っておるわけでございます。こういう点については、今後十分その差が少なくなるように努力していくつもりでございます。  なお、金利計算につきましては、確かに御指摘のような点があるわけでございます。いま申しましたような点を調整いたしました上でもさらに金利が残るのではないかという点がございます。そういう金利計算を加味した保険料という考え方もございます。しかし、一般的には保険料率については金利計算しないというのが通例でございますが、この保険の性格にかんがみてそういうことも考えろという御意見はごもっともであると思います。しかし、その点につきましては、先ほど申しましたようなマイナスの金利をどうするか、あるいは率直に言いますと、この賠責の性格にかんがみまして、社費は極力切り詰めております。先般来御説明いたしましたように、人件費は公務員ベースに割り直して計算をし、さらにたとえば今回の社費におきましても計算される数値から節約を考えて一〇パーセント減というような査定をしているわけでございます。現実には公務員ベースで社員を雇えるものでもございませんし、その間の赤字が、率直に申し上げますと、始まって以来現在までに約三十億近い赤字が出ているわけであります。こういうような問題、あるいはそういういろいろな問題を加味いたしまして、これは検討をしなければならない問題でございます。そういう意味におきまして、私どもの金利計算その他をいたしましたところにおきましては、おおむねそういう社費のロスとか金利というものの計算をいたしましても、いままでのところではそう大きな差がないという感じを持っているわけでございまするが、こういう問題の扱いにつきましては、なお今後も十分検討いたしてまいりたいと思っておりまするけれども、いま申しましたようないろいろな要素を加味してやるということになるわけでございまして、金利の問題については非常にむずかしい問題であるが、なお検討いたしたいということを申し上げたいと思います。
  46. 岡三郎

    岡三郎君 答弁になっておらない。よく聞いてくださいよ。答弁になっておらないものだから、答弁にならぬことをなんぼでも長く言って、そのうちにこっちがわからなくなるだろうと思って答弁しているのじゃないかと思う。私の言っているのは、再保険をしないということから言っているのですよ。いいんですか。つまり、これから原付強制保険が始まるのですよ、この法案が通れば。そうした場合に、再保険をしなければ金が全部農協にも入るし、保険会社にも入るわけです。ところが、農協のほうは、大体趨勢を見て、かなりこれは金が余まってくるし、金利もついてくるから、何とか被害者に対して手厚い保護の手を差し伸べようというから、われわれは了解している。そうでなければ、これは困るということになる。私が言うのは、自動車損害保険の再保険について赤字が出たから、黒字が出たからという話をしているのではない。原付保険がこれから強制的に始まる、その金が全部農協なり保険会社に入る、政府のほうには一銭もいかない、その二とについては。そうすると、その金が、全部農協なり保険会社に入った金がどのくらいになって、原付で、これは赤字も黒字もない、これから徴収が始まるのですから。それに基づいてどのくらい年間に金利が出るのか。これは農協に加入するものと保険会社に加入するものの大体の見当をつけて計算すれば一応出てくるわけです。そういうことであれば、これはもうプラス・マイナスがないのだといいながら、その点についてはむずかしい問題だから検討するという、そんなばかげたことはありっこない。だから、私たちは、少なくともその金が政府の再保険に入っておればうやむやにならぬから、金利にしても十分捕捉ができるけれども、民間の保険会社に入ったら、これは一体どうなるのか、たいへんな額じゃないか。あなた方は損得ないにしても、交通戦争のために、被害者保護のためにやるのだということばの裏から、全然それはもう違ってくるのじゃないか。だから私が言っているのは、再保険をしない、全部金がいま言ったように保険会社に入ってくる額が一体どのくらいになって、どのくらいの年の利息がつくかということを聞いてくる。これについて一言も答弁してくれない。これは推定ですよ。推定だけれども、大体こういうことになると思う。これはいくら逃げかくれしても、はっきり答えてもらわなければ困る。再保険をやらなければ民間に全部いってしまうのですから、これは計算してください。全然答弁になっていないよ。
  47. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 保険会社におきまする金利につきましては、先ほども申しましたように、資金がたまりますともちろん出てまいりますけれども、ときによりましてはマイナスの場合もあったわけでございます。その場合については、もちろん手当てをするわけでございます。
  48. 岡三郎

    岡三郎君 原付はマイナスにならぬと言っているんだよ。何を言っている。原付の場合を言っているんだよ。
  49. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 原付につきまして、これが赤字になりますか黒字になりますかは今後の問題でございますので………(「そんなこと言うなら、再保険しなければ論理一貫しないじゃないか。絶対そんな答弁じゃ審議できない。全然違ったことを言っている。」と呼ぶ者あり)
  50. 江藤智

    委員長江藤智君) 静粛にしてください。
  51. 上林英男

    政府委員(上林英男君) ちょっと私の考え方を申し上げますと、先ほど銀行局長がこれで見通しがきちんと立っていると申しましたのは、それはトライアル・アンド・エラーで保険料を計算いたしますから、ときによりましては黒になる、ときによりましては赤になるということも今後はあり得ると思います。しかし、その発足の当初におきましては、一体どの程度の、どういうことになるのだろうかということ自体につきましても見通しがなかったわけでございます。したがいまして、それを保険いたします保険会社におきましても、外国の事例その他から申しまして、国の再保がないと非常に不安であるというような心境があったことも事実であろうかとも思います。そういうことを、私は銀行局長が申し上げたのだろうと思います。したがいまして、今後の保険料につきましては、保険の収支については、それは黒もあり赤もあり得るということが考えられるわけでございます。原付につきましては、もう同じような問題もありまするほかに、先ほど申し上げましたように、社費につきましては、同じように公務員べースでこれをはじいております。それから、たとえば金利計算におきましても、民間保険会社とそれから国の特別会計のやりとりの問題につきましても、実はその金利まで考えますといろいろな問題があるわけでございまして、それをなくしますために、現在では、たとえば保険金の支払いはまず保険会社が支払いまして、それからその六割に相当する分を国の特別会計からもらっているわけです。その立てかえ金利をどうするかという問題も起こってまいります。しかし、そういう問題をなくしますために、再保険料を納めますのと再保険金を支払われますのを同時に行なうというようなこともあって、そこらの効果も、できるだけ差が少なくなるように、そういう努力もいたしておるわけでありまして、そういうような問題を考えますと、この金利を込めて計算をするという問題、確かにこういう問題につきましては考えるべき問題ではあろうかと思いますけれども、いま申しましたように、この自賠責を行なわせることによって保険会社に不当の赤字を負わせるということも、これもいけないことかと思います。そういう観点からいいまして、いま申し上げましたいろいろな問題を十分解決するような案というものが考えられなければいけないのではなかろうか。それにつきましては、非常にいま申しましたようにいろいろむずかしい問題があるので、なお検討中、こう申し上げたわけでございます。
  52. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  53. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記つけて。
  54. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 こういうことですよ。原付がやってみなければ赤字になるかあるいは黒字になるかわからぬという上林君の答弁なんだ。だけれども、われわれは、大体これは試算ですよ。この間からの説明では、この原付というのは大体六百五十万台あるという。だから、この六百五十万を今度は逆に、加入は六百万台にかりに考えてみても、政令できめることですからね、料金はね。われわれの手元にまだ何にもないですよ。ないけれども、このところは全部この委員の人は大体わかっておるわけですよ。どのくらいにきめられるか。およそ二千円ぐらいだとぼくは思うのですよ、普通車と比べてみてね。そうすると百二十億円ぐらいになりますよ、ぼくの計算では。これはかりの計算です。そうして付保率をどう見るかという問題、それで先ほどぼくは付保率を聞いたのです。初年度ですから、付保率がいまのように九〇%をこえることはないと思う、かなり僕はからく見ても。かりに付保率を七〇%と見ると、八十うことになれば、百分の六十ですから五十億ということになるでしょう。それから会社に三十四億というものがいく。ところが、再保険しないということになりますから、まるまる八十四億というものは保険会社と——今度は農協が入りますから農協と、その辺はどの程度の率になるかは別として、折申される。かりにここでまるまる半分半分ということになれば、四十二億というものが保険会社に入り、四十二億というものは農協に入る、こういうことなんです。そういうことでしょう。したがって、赤字が出るか出ないかということは、ここから判断すれば、われわれは赤字なんというのはナンセンスだという判断に立つのですよ。
  55. 上林英男

    政府委員(上林英男君) ただいま先生おっしゃいました数字、もしそういう観点に立ちますと、そういうことになるかと思います。もう一度繰り返して申し上げますと、原付の純保険料は約二千円——千九百七十円だったと思いますが、約二千円でございますから、この原付の台数を約六百万台、かつ付保率を七〇%、こう考えますと、八十四億の……。 四億ぐらいになりますよ。これをいま盛んにわれわれが言っておるように、再保険をしなさいとい○岡三郎君 六百万台じゃないよ。もう七百万台になっているよ。三十九年度が六百七十二万、四十一年度は七百万になっているんですよ。(「休憩々々」と呼ぶ者あり)
  56. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと御静粛に願います。
  57. 岡三郎

    岡三郎君 数字が間違ってちゃ困る。
  58. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 大体の感じで申し上げます。したがいまして、七百万台になりますと若干ふえるわけですが、まだちょっと計算ができておりませんから、六百万台にかりにいたしますと、付保率が七〇%で八十四億になります。これを農協と保険会社がどの程度の割合かわかりませんが、かりに半々といたしますと、いまおっしゃいましたように四十二億入ることになるわけでございます。かりにこれを六〇%再保するということになりますと、四十二億が、国に二十六億、保険会社に十六億、こういうことになるわけでございます。
  59. 岡三郎

    岡三郎君 これは数字の答弁を聞いても、大蔵省たるものがそういういいかげんなことを言ってごまかそうと思ってもだめですよ。それはいま言ったように、昭和三十九年自体にしても六百七十二万一千七百六十三台、いいですか、これは違うのかどうか。あなた六百万台と言うけれども、六百万台ではないですよ、現在は。そういう点と、もう一つは、七割でいいですけれども、農協と、それから一般保険の大体の推定はどうなっておるのですか、もうちょっと正確に言って。
  60. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  61. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  62. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの基本的な問題は、いま少し大蔵省に整理をしてもらって答弁をしてもらうという余裕を与えてもらって、その間に私が一つだけ自賠法についてひとつ御質問したいと思います。で、法務省も出席いたしておりますから……。  それは、私はここにごらんのように、交通事故による被害者なんです。昭和三十五年に自動車事故によって、じょうぶな足が今日までまだつえをつかなければいけないという被害者の一人なんです。警察庁の高橋前の交通局長もそうだったのです。この委員会に呼んだときに、やはりすわっていなければ答弁できなかった。その被害者の一人として、このいまの自賠責の問題についてはやはり非常に関心を持っているわけです。そこで、同じような問題がいま議論をされているのでありますが、保険会社が保険金を実際にどのくらいで払うのかという議論もありました。保険会社がその支払われたいわゆる保険料、あるいは支払ったこの保険金の問題等を考えてみると、ずいぶん私は現在の保険会社はたくさんの金を持っておる一いや、もうかっておると、こういうことは率直に言えると思うのです。  そこで、一つの例が一これは特に運輸大臣にこの点自動車の監督機関として厳重に私は申し上げたいのでありますが、昭和四十年の八月二十二日の午前九時半に神奈川県箱根町の仙石原県道大原地先において、箱根町の町会議員の平戸順次という人がなくなったのです、自動車事故によって。これは昨日も私は一この請願書が遺族から参議院運輸委員ということで私の手元に来たわけです。来たから、法務省の刑事局長と運輸省自動車局長にこの同じものを出しました。昨年の八月二十二日でありますから、すでに一周忌を目の前にしておるわけです。この一周忌を目の前にして、いまだに金が払われていない。これは事故の内容等についていろいろ議論があるにしても、私はこの自動車にかけた保険金というものは、これはそういう場合に支払うべきものだという原則をまず考えなければいかぬ。人間の命がなくなったとか、けがをしたという場合については、これは今度あとでそういういわゆる生活保障とか遺族保障という問題は、これは自動車保険とまた別だと思うのですよ。別だと思う。少なくとも自動車に対する保険料をかけておれば、事故があった場合には保険金は支払うべき性格のものだと、私は第一にこれを考えたいと思う。この点について運輸大臣はどういうふうに考えるのか。保険というものはかけっぱなしで、事故があっても、それは内容的なものが整わなければ保険金というものは支払いができないものだ、つまりかけさせるときには、かけておけば事故があったときにはこれは負担ができますよと、こう言っておきながら、いざ事故が起きたときには、いつまでたっても保険金を支払わないと、こういうことは、私はとるべきではないと、こう思うのだが、この点について、まず第一にこの原則を運輸大臣からお答えを願いたい。
  63. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、自動車事故によって人が死んだ場合には、その自動車にかけておる保険というものの性格上、当然やはり支払うべきものであると、こう考えるものでございます。
  64. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、いま申し上げましたように、箱根町の町会議員であった平戸順次氏が自動車事故でなくなったけれども、現在まで保険金が支払われておらない。そこで、この相手を——簡単でありますから読んでみますと、この平戸順次さん自身がやはり自動車を運転している。それから相手の自動車会社は箱根登山鉄道株式会社自動車部ハイヤー、運転をしておったのは運転手の大野由郎という人であります。その人と衝突事故によって——即死ではないのです。衝突事故によって大きなけがをされて、小田原の病院に運ばれた後に死亡したというものです。この事故がどういうことかというと、一面におきましては、当日は天候状況がよくなかった。天候状況がよくなくて、それで箱根登山鉄道株式会社のバスのうしろから来たハイヤーですね、ハイヤーが追い抜きをした。反対側から来た平戸順次氏の車と正面衝突したところが、ここに図面が書いてあるわけでありますが、この正面衝突した両方の運転手が生きておったのですね。そのときには生きておったから、衝突したのはそれぞれの反対方向に車が行っておる、こういうふうになっておるわけです。ところが、このことが検察庁で、小田原地検で調査をした結果は、平戸順次さんが一方的に悪かったと、こういう判断をして、九月三十日にいわゆる不起訴処分にしたというものです。ところが、その話を聞いてみるというと、全然違うというのです。この請願書を私はひとつ読んでみたいと思うのです。「是非再調査の上、死者の面目、遺族のためにも、納得の出来る様御配慮を御願い申し上げます。」、こうなっている。「一、事故発生の原因(昭和四十年八月二十二日午前九時半)当日午前九時半平戸順次(職業仙石マッサージ経営者)は女マッサージ竹渕友子を(自家用車自己運転)同乗、県道仙石原湖尻線(台ケ嶽西麓)大原地先を高原湖尻方面に(向って五十キロ前後)差しかかった処、前方高原方面より大型バス一台(箱根登山鉄道バス運転手岩本)が進んで来たのであります。処が其のバスの後ろに追尾して来た同会社のハイヤー(運転手大野由郎)がバスの追抜きをして来たのであります。其の結果生じた事故死であります。」。特記事項として、「1、当日其の時刻は山地特有の強雨でありまして、視界極めて悪く、為めにライトをつけていた。2、本来現場は道路条件等によって追抜をしない地理的条件場所であり、何としても無理な追抜きをした事が原因でこの事故を生じたもので、平戸順次の処置は当然であったと思はれる事。3、バス運転手が追尾して居るハイヤーにこの場所で追抜きの信号を送ったことは極めて重大な事です。4、ハイヤー運転手は乗客を迎へに行った先である事情で」——「ある事情」というのは、当日旅館でもって二台ハイヤーを呼んだところが、たまたまいまのこのハイヤーは湯元からその旅館に行った。三台になったのでフロントでもって店の者とけんかになったというのです、どのお客を乗せるか。結果は三台に分乗さしたそうですが、そういうことでたいへん当日「頭に来て居て荒れた運転をしていた。」、これは乗客の証言なんです。その車に乗った乗客がそう言っているのです、乱暴な運転をした。そうして事故誘発の重要な要因の一つと考えられるが、またこの人は過日も事故を起こし、それからあまり期日を経ていなかったということも言われているのであります。5として、証人としては、当日事故の相手ハイヤーの乗客四名の方がおります。東京都世田谷区池尻町五〇六井上富夫さん、東京都品川区西大井二ノ一四ノ一五関口英雄さん、大阪府池田市轟木町二六六江口誠次さん、東京都練馬区東大泉九二〇西尾驥一郎さん、この人たちが乗用車に乗っておった人たちですね。この人たちがそういうことを言っておるそうであります。そこで、現場検証をした警察官がおるわけです。「現場検証の係官(小田原警察署元箱根駐在所内藤部長)、」これは当日検証をした巡査でありますが、「は、検証後、事故発生の時点に於いての地理的・気象条件等を考慮して、当時被害者の妻女に対する話しでは、平戸側に落度はないと認定される。追抜き側に責任ありとの話をして居た。其の節の係官は、相手運転手に対する意見をきかれたので、左の如く答へたのであります。「大野運転手も妻子がある事でせうから、出来るだけ穏便に願ふ様進言したのです」係官は、いづれにしても大野は体刑は免れないことだと明言しました。」と、こういうのです。これは内藤部長が当日係官として立ち会ったことであります。こういうようなことで事故が起き、しかもその平戸町会議員はその後事故現場から小田原の病院につれていかれて間もなく死んだというものです。それが今日まで、もう一周忌を前にするまでお金は一銭も払ってない。当時平戸さんのお葬式があったときに、箱根登山鉄道からは一万円の香典を持っていったそうであります。こういうことを言われて、運輸委員会で何とかそういう問題を、自動車賠償についてひとつ、こんなものかけるときは一生懸命かけさせて、実際にこういう事故が起きたときに支払いができないものなのかということを遺族並びに親族の者から強く要望されたわけです。この点について、私は、運輸大臣並びに法務省に事故の概要というものを説明願い、それからなぜ今日そういうふうなことが放任をされているのか、こういうことについてそれぞれひとつ担当者から御回答いただきたい。これはすでに昨日私から申し上げておって、きょうの委員会答弁してもらうつもりで準備をしてもらったことでありますから、委員長も御了解願いたい。
  65. 伊藤栄樹

    説明員(伊藤栄樹君) それでは私のほうからこの事故の概要を御説明申し上げます。いま先生御指摘の点とダブリます点を適宜省略しながら簡単に申し上げたいと思います。  検察庁におきましては、横浜地検の小田原支部でございますが、昭和四十年九月九日に警察署から被疑者大野由郎に対しまする業務上過失致死傷事件の送致を受けております。送致事実の概要は、昭和四十年八月二十二日の午前九時二十五分ごろ、神奈川県足柄下郡箱根町仙石原千二百四十六番地先路上で起きた交通事故でございまして、要するに被疑者であります大野運転手は、当時湖尻の方面から宮ノ下方面に向かって時速約四十キロメートルで進行しておりましたところ、同一方向に時速三十五キロないし四十キロメートルで進行中のバスを認めまして、これを追い越したわけであります。その際追い越しを終わるあたりで、約二十五メートル先に平戸順次氏の運転する乗用車が対向して進行して来るのを発見して、急ブレーキをかけるとともにハンドルを左に切ったが及ばず、正面衝突させまして、同日午前十一時三十分ごろ、先ほど相澤先生御指摘のとおり小田原の病院で平戸氏を死亡させましたほか、同氏の車に同乗しておりました女性一名に全治一カ月の傷害を負わせ、また大野運転手自身の車に乗客が四名乗っておられたことも先ほど御指摘のとおりでございますが、その四名にそれぞれ全治十日から三週間の傷害を負わした。これが業務上必要の注意を怠ったものである、こういう送致事実で送致されたわけであります。交通事故の中でも、一名がなくなられて、また五名がけがをされている相当重大な事件でございますので、検察庁におきましては直ちに捜査を開始いたしまして、捜査を遂げました結果、同年九月三十日公訴を提起するに足る証拠が不十分であるという理由で下起訴にいたしております。その不起訴の理由は、まず実況検分の結果、現場を見てみますと、衝突現場が被疑者大野の進行方向に向かいまして左側の路肩の部分である、すなわち衝突した事件をとりますと、大野氏はバスを追い越し終わって左側を通行しておった、平戸氏はこれに対して自分の進行方向に対しまして右側通行をしておったことのために衝突したという事情が、実証検分の結果、スリップ痕等から認められたわけであります。そのほかに、この被疑者である大野運転手自身の供述でございますとか、あるいは追い抜かれましてすぐうしろを追尾しておりましたバスの運転手の供述等を勘案し、さらに平戸氏の車に同乗しておりました女性の陳述も徴しまして、これらを勘案いたしました結果、どちらかといえばむしろ平戸氏の運転の過失があったのではないか。いずれにしても、被疑者である大野氏について公訴を提起するに足るどうも証拠は不十分であるということで不起訴処分にしておるわけでございます。ただ、私ども現地から詳細な報告を得たわけでございませんので、十分的確なお答えになるかどうかわかりませんが、かような交通事故に対しまして検察官としてとるべき態度としましては、やはりあくまで厳正に証拠判断をしまして起訴、不起訴を決定するということがまず第一でございます。続きまして、やはりこれが起訴されますにしろ、不起訴やむなしということであるにせよ、被害者の方々の納得を十分に得るということがやはり検察上大事なことだと思います。先ほど相澤先生からも御指摘のように、証拠関係は、私どもが報告を受けました関係では、ただいま御説明申し上げたとおりでございますが、必ずしも被害者の方々の御納得を得ていない面がある、かように存ずるわけでございます。そういう意味におきまして、先般も先生を介しまして請願書の写しをちょうだいしております。これらをさらに十分調査してみたい、かように存じておる次第でございます。
  66. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 本件の場合は、二台の自動車が衝突してお互いに加害者でありお互に被害者であるという事案でございまして、この場合に保険金は、双方が加害者であり被害者であるという関係で、双方にそれぞれに支払われるという関係にあるわけでございます。普通の場合には、加害者お互いが加害者の立場としてまず話し合いをして、保障額がきまりましたら、保険会社のほうに保険金の請求をするという手続をとるわけでございますが、なお被害者請求という制度もございますので、被害者の立場からお互いが保険会社のほうに直接に請求することもできるわけでございまして、その限りにおいては、保険会社は当然規定の額を支払う、そういう関係になっています。
  67. 相澤重明

    ○相澤重明君 時間の関係でここで希望だけ申し上げて終わっておきたいと思うのですが、実はこの問題について、社会党の神奈川県の西部支部協議会というのがあるが、この人たちがこの問題を取り上げていろいろ相談をいたしました。結局、いま政府が進めておる死亡の場合のホフマン方式、そういうもので算定をして要求を出したようであります。それは金額については、そのホフマン方式でいくと三千万ぐらいになるのだそうです。それは金額の多い少ないということは私は別に議論しまして、とにかく自動車事故による自動車の損害保険というものはどうなのか、たださえ支払いがされていない。しかも、その上に立って、箱根登山のハイヤー部長等は、その平戸さんがなくなる直前の病院では、そこの看護婦さんやお医者さんに、私のほうとしてもできるだけ誠意をもって補償をいたしますという話をしておったけれども、この不起訴処分がきまったという九月三十日以降、絶対に私のほうは悪くない、したがって払う必要はない、こういうふうに攻勢に転じてきた。それはわずか、八月二十二日ですから、三十七、八日のうちに、双方の弁護士がどういう相談をされたか知りませんけれども、とにかく一応検察当局が十分な、いわゆる現場検証等を初めとして関係者の調査を進められて、そしてこの不起訴処分がきまるということは、私はそんな簡単なものじゃないと思う。いままで検察庁がいろいろな、選挙違反をはじめとして、あらゆる問題についてそういう不起訴処分をするなんていうことは、そんなに簡単に出ていない。しかし、この事案に限ってそういうふうに早く不起訴処分にしたということは、何か検察庁に対する割り切れぬものが出てくると思う。これが遺族の一つのやはり割り切れぬ問題だ。先ほど課長から答弁がありましたけれども、これはむしろ検察審査会に出すべきではないかという意見が現在出てきております。けれども、それはそれとしても、運輸省が監督官庁であるバス会社あるいは自動車会社、しかもきょうも私どもの手元にこういう運輸省から資料を出してもらいました。いわゆる保険金のこの自賠法の問題と同時に、「ハイヤータクシーの事業監査及び処分の実績状況」、こういうようなものを出してもらっても、こういう事故を多く起こした会社はどう処分するのか、いわゆる法律でもって事業停止をする四十三条の関係とか、車輌使用停止をする四十三条の関係とか、あるいは業務の内容について十九条、三十条、三十三条、こういうことをあげているが、実際にどうしたか。しかも、そういうことを今度はいわゆる全く被害者の立場というものが無視されたような形において公然と言われるというようなことは、まことにもって死亡者が、全く権力の、ものによっては十分にじゅうりんされるというようなことが実は疑われるわけです。しかも、ハイヤー部長のいわく、「保険金が百万出ます、しかしこの保険金は、私のところの大野運転手もけがをして入院しましたから、そういう金を全部差し引いて、その余ったものをもしやるとするならば被害者の平戸さんに差し上げることになります」、こういうようなことも言い、全くつまらないことを次から次と放言をしている。そういうことでありますから、私はここで、法務省には再検討を願いたい。事実をよく調べて、場合によれば、私どもは検察審査会にかけなければならぬだろうし、また関係者を証人として呼ばなければならぬと思うのですよ。そうして、名前も全部あがっておることですから、そういうようにして公正を期さなければならないと思う。運輸省には、これは運輸大臣に私はきつく言っておきたいのですが、そういう事故をたくさん起こす会社というものは特別監査をしなければならない。ただ普通にそのまま定期的に検査をしました、あるいはうちのだれが行っています、かれが行っていますという、人情にとらわれてはいけない。私の先輩が行っているかもしれない、そういうことでこの事業の運営というものを誤らしめてはいけないと思う。そこで、ひとつ箱根登山に対して特別監査をやってもらいたい。最近におけるところの五年間でけっこうですから、どんなに事故が起きているのか、人身事故はどうなっているのか、その処置はどうなっているのか、最近五年間の箱根登山に対する特別監査をして出してもらいたい。それから、いまのこの事故に対してとっている態度、こういうことは絶対に許せない。人を殺しておいて、それでしかもこの大野運転手は平戸さんの家のそばなんですよ。その人が事故にあって、家の奥さんには何らの連絡もしないで、箱根から小田原まで持っていったのですから。それで、病院へ行っても、なおかつ奥さんには連絡しなかった。こういう人情のないやり方なんというものは許せない。しかもその当時、その事故が起きたときには、御近所の人や病院の看護婦さん、お医者さんには、大野運転手もハイヤー部長も、私どももできるだけのことをやりますと言いながら、この検察庁との中の問題が終わってしまうと、まるきり逆のことを言っているということを聞きまして、私もこの陳情書を見て、ほんとうに自賠法というものをわれわれが審議をして、しかもできるだけ被害者に対する手厚い保護をしなければならぬ。しかも、もしその人が、死亡ばかりでなく、重大な傷害を受けた場合には、この委員会でも各委員から言われるように、アフターケア等も持って、その人のやはり将来のいわゆる生活が立ち直れるようなことを考えてやるべきだと思う。私自身が一人の被害者としてもそうであるし、また警察庁の高橋交通局長もそうだと、そういうことを考えると、ただ単にこの保険会社に金がたくさんあって、それがその保険会社のどんぶり勘定になるということは絶対に許さない。そういうことを各委員から私は指摘されたことはたいへんうれしく思うし、政府もまともに取り組んでこういう交通戦争による被害者の立場というものを救済をしてもらいたいと思うのです。そのことを特に私は運輸大臣にこのことはきつく申し入れておきますから、その善後措置を講じたことをあとで報告してもらいたい。以上法務省並びに運輸省に対して私から申し上げて、たいへんおそくなりましたが、私の意見を終わります。
  68. 江藤智

    委員長江藤智君) 午後三時まで休憩いたします。    午後一時五十一分休憩      —————・—————    午後三時三十九分開会
  69. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。
  70. 木村美智男

    木村美智男君 午前の質問に引続いて、再保険の問題でだいぶ答えていただかなきゃならぬわけなんですが、先ほど再保険関係が収支とんとんだ、こういうふうに一応保険部長のほうで答えられたわけですけれども、かりに収支とんとんということを考えてみれば、これは国が六割を負担をしているわけだから、そうすれば、ものの言い方によっては、現在の再保険関係のものは、もし再保険をしないとすれば六割部分だけ赤字が出ているという計算にこれはならざるを得ない。そういうふうな見方が成り立つので、いろいろと午前中疑問の出た点について、あらためてひとつ大蔵省のほうから数字的に説明をいただいて、それの結果によってまたお伺いをしたいと思います。
  71. 田辺博通

    説明員(田辺博通君) 再保険関係の収支の表が出ておりますが、元受け全体を含めました保険の収支は、先般御提出したとおりの保険の収支実績になっておるわけでございます。それは、現在の段階におきましては、すでに過去の赤字を償去して黒字に転じていると、こういうぐあいに思われるわけでございます。そこで、今回は保険料は据え置いたほうが、保険金額を引き上げることによりまして収支とんとんになるべきところをねらっておるわけでございます。それから、六割部分が再保険でございまして、四割が元受けに残る、こういう形になるわけでございますが、この再保険料は、保険料のうち約六割部分が政府のほうに入ってくるわけでございますから、六割の再保険がなければ、収支とんとんであれば、その部分が赤字になるというものではございません。その点は御了解願いたいと思います。
  72. 木村美智男

    木村美智男君 私の聞いたのは、午前中の質問に対して答えてもらうのに、何もきっかけがなくちゃうまくないだろうと思ったから、よけいなことを言ったんで、何も六割部分だけ余分に赤字が出るんじゃないかというふうなことは、それを答えてもらおうと思ったんではなくて、午前中の関係について答弁してもらうために、話を引き出すという意味で聞いたんだから、中心を午前中の問題に置いて答えてもらいたい。
  73. 江藤智

    委員長江藤智君) 委員長から申し上げますが、午前中概略計算をすぐやるというお話だったけれども、あまり急いでもというので、午後にしましたから、その説明を大蔵当局から聞くことにいたします。
  74. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 午前中に申し上げました数字につきまして申し上げます。  原動機付自転車の純保険料は千九百七十円でございます。予定されます六百七十万台の原付につきまして、原付のうち七割が付保されるといたしました場合に、純保険料の収入総額は九十二億円というふうに見込まれるわけでございます。その九十二億円のうち、損保会社と農協にどの程度付保されるかという問題でございますが、農村地帯には、六割近くの原付があるというようなこともいわれておりまするが、大体半々というふうに推定をいたしますと、この九十二億というものが、保険会社に四十六億、農協に四十六億というふうに入るわけでございます。もっともこの四十六億がすべて保険会社なり農協に入ってそのままになるというわけでございませんで、御承知のように、この四十六億が元受けから事故が起こりました場合に保険金が支払われていく、そういうかっこうになるわけでございます。
  75. 木村美智男

    木村美智男君 そうしてみますと、結局理屈上のやり合いをいろいろとしたのですが、理屈のほうはやめて、そんならばひとつ金の計算を実際的にやってみようということで、一応いま大蔵当局が考えられているように、結局十年間の経験によって大体再保険をやらなくても済むというふうに、だいじょうぶだというふうに見当をつけたという意味は、この十年間の中で、やはり三十九年にこの保険料の改定をやった、その結果、今日大体再保険をせずにもやっていけるという意味であって、十年間の経過ということについては、これは言ってみれば、十年間だいじょうぶだから、それで再保険はしないのだ、こういう意味ではないということが数字の実証をもって明らかにされたと思うんです。ですから、必ずしも三十九年度この料金改定をしたことは間違いだとは言いませんけれども、ある程度、何といいますか、それが必ずしも今日までの十分な経験というか、あるいは実績の上に適正な保険料の改定であったともこれまた言えないと思う。むしろ剰余金が予想をされる段階だから、したがって、料率を引き下げるか、保険金を引き上げるかということになって、保険金を引き上げる方向に道を選んだんだ、こういう趣旨も大体はっきりしてきたと思う。ですから、ここではやはり、大蔵当局といえども、本来ならばこれはやはり、法律のたてまえからいっても、実際問題としても、この制度が、国が再保険をし、強制的にやらせる保険だというたてまえからすれば、再保険をさせることが本来だけれども、いま言ったような事情もあるので、したがって、一応筋道としては立たぬかもしれぬけれども、現実的な筋としてこの再保険原付についてだけはやらないという立場で、とにかく収支とんとんになるところをねらっていま出発させているのだ、こういうふうにざっくばらんに答えてもらえば、そういう問題は、事のよしあしの問題は別にして、紛糾をしなくて済んだと思うんです。それをあなた方が強弁付会すというか、むやみにおれらの言っている理屈は正しいのだ、しかも具体的なことは言わずに、抽象論で煙に巻こうとするものだから、問題が紛糾した、こういうふうにこの問題は結論をつけて、私自身は、あと理屈の問題は、これはもうどうあったって再保険を事実すべきものだということを事実上大蔵当局も運輸省も認めた、こう了解して次に進みたいと思うのだ。  したがって、次に伺いたいのは、責任共済の対象に含めないものが幾つか今回あるわけでありますね。私たちしろうとの考えからいうと、どうも自動車である以上は、事故の起こる可能性というものも、あるいは起こった場合には当然救済もしなければならぬということも、さらにはいろいろ運行上の問題その他についても何ら変わりがないのだから、そうだとすれば、例外を設けてあるということはどうも理屈に合わぬじゃないかというふうな気がするのですが、この点は運輸省としてはどういうふうに見ておられますか。−いまの関係がよくわからぬようですから、責任共済の対象にならない車にはどんなのがあるかというふうに聞き直してみましょう。
  76. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 責任共済じゃなく、強制保険対象外。
  77. 木村美智男

    木村美智男君 強制保険対象外、失礼しました。
  78. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 強制保険対象外に置かれておりますのは、適用除外として国、それから日本専売公社等、あるいは地方公共団体、こういったものが適用除外になっております。それからそのほかに五十五条で、「運輸大臣の行う自動車損害賠償自家保障の許可を受けた者」が強制保険をつけないでも自動車を運行の用に供することができる、これがいわゆる自家保障の関係であります。
  79. 木村美智男

    木村美智男君 五十五条の関係は、確かに強制保険対象にはなされてないけれども、実際問題として、事故が起こり、そういう事件が発生した場合には、この自賠法を適用するとほぼ同じような措置がされるわけですね。ですから、この点は多少その勘案をすることはできると思うのですけれども、国というのは一体どことどこかということになりますが、国といっても、国会も国だし、各省もこれは全部含まれるのだから、それから地方公共団体も、これは府県だけであるのか、ほかにも入っているのか、これらをひっくるめると大体概数どのくらいの車両数になるのか。
  80. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 二十万両程度でございます。
  81. 木村美智男

    木村美智男君 二十万両程度ということなんですが、しかし、いまの事故率から引いてみると、これが極端に、地方公共団体の車だから、国の車だからということで、事故が三分の一あるいは五分の一だというまではちょっと考えられない。そうしてみれば、これについては相当の、約二十万台に対する事故比というものは、それなりに、今日の事故率にほぼ近いものによってやはり事故が発生していると見なければならぬわけです。ということになれば、どうしてこういうものを除外をしているのかということが少しこれは納得ができないので、その点をひとつ聞かしてもらいたい。
  82. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 法律で適用除外にいたしておりますものは、いわゆる賠償能力というものが十分ある。この法律目的が賠償能力を保障するというのが目的でございますので、国その他においては賠償能力において欠けるところはないということで、事故があっても十分に保障ができるという観点から、適用除外にいたしておるような次第でございます。
  83. 木村美智男

    木村美智男君 賠償能力が保障できるから法律で除いておるというその限りでは、被害者保護という面からは差しさわりがないように一応聞こえるわけでありますけれども、しかしそうかというて、やはり国だとか地方公共団体だとかいうのは、いわゆるお役所の車であるわけで、そういう意味で言えば、きわめて適正な示談とか何かで処理されていくという問題以外に、さらにやはりお役所というものを別な目で見る一つの国民的な感情ということもあるし、そういう面では、きょうは具体的なものを持っていないのですが、ままやはりぶつかった車の相手が国の車なんで、あるいは県庁の車なんでということで、被害者のほうが泣き寝入りに近いような条件で問題を片づけておるという傾向が、やはり二、三私も聞いておるわけであります。そういうことになりますと、本来のいわゆる自賠法の精神から、やはり被害者保護という立場からいうと、この法の趣旨というものを現実の問題としては逸脱をすることになっておるのじゃないかというふうに考えられるものですから、これらの一つの指導監督というか、こういう点についてはどういうふうにやられておりますか。
  84. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 国その他を適用除外しましたのは、賠償能力が十分であるということからでございますが、実際の事故の場合に示談その他において話がつくまで支払いができないとか、いろいろ基準も違うというような問題もあるわけでございまして、こういったことのないように、われわれとしては、適用除外者に対して、関係の各省あるいは自治省とも十分連絡をとって、被害者保護の万全についても、今後とも前向きで指導していきたいと思います。
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 関連。いまの自賠法の国等の公共機関ですね、これが適用除外になっておる問題をいま木村君が質問しておりましたが、実は私がかつて本院でその話をしたことがあるのですが、それは自衛隊の車に国鉄の職員の子供がひかれたわけです。その子供というのも、決して小さいのでなくて、富士フィルムに勤めておった人が、御殿場の演習場の帰りの車で擁壁にはさまれて実はひどい目にあった。かつて私が、本院の決算委員会で、自衛隊の首脳部を呼んでこの賠償の問題で話をしたことがありましたが、非常にやはり困難でした。私はやはり、きょうは運輸大臣も出席しておりますが、国といえども、やはり民法を基本に、いわゆる人権を基本にすべきものでありますから、国家機関といえども法律には従うべきだ。だから、確かに適用除外という国の賠償能力というものについては私はわかるけれども、ともすると法律がないということで、法律の適用除外ということで、国家権力による国民のいわゆる制限を受けるような立場がないとは言えない。それはいま私が申し上げた、かつて自衛隊の問題で本院でそういうことを言ったことがある。ですから、私は、いまの大きな会社の車両を保有している人たちとか、あるいは国、地方公共関係のそういうものとか、あるいは軍とか、あるいは外国の車両が日本の国内に持ち込まれている場合とか、いろいろケースがあります。ありますが、そういう問題についても、やはり自賠法というのはいわゆる国民の生命財産を守るのに最低の問題であるということを頭に置いて、この国民の生命財産を守っていくということでなければいかぬと思う。それを、国はもっとそれ以上のことをすべきだというのが本来の私はあり方でなければならぬと思う。そういう意味で、いまの木村委員質問はきわめて重要でありますから、これは内閣でそういうことをやはり何かの形で意思統一をして発表してもらわぬと、これはもう賠償の対象ではないのだからわれわれの解釈でよろしいのだということを下されたら、これはたいへんなことであります。そういう意味で、こういう機会だからこそ私は、特に運輸大臣にひとつ考え方だけはここではっきりしておいていただきたいと、こう思うのです。大臣、これは局長じゃない、大臣答弁を……。
  86. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府機関等が持っております自動車の場合は、特にこれは事故を起こさないように格段の配慮をすることは当然であります。事故を起こしました場合には、この法の精神等を十分考えまして、模範のような形で国民に保障の責任を果たしていけるように政府はやっていくべきである、さように考えますし、そういう方向で指導してまいりたい、かように思います。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連。大使館、外国公館の場合の適用除外ですが、これはどういうふうにするのか。この前マレーシアの大使館の参事官が日本の大学生をひき殺した問題があった。母親が非常にその結果長いこと病気になった、深刻な問題としてこれは問題になったわけですが、このような問題については、全然向こうは賠償の責任に応じないで、言を左右にして、そうしてのらりくらりやっている。いまの自衛隊の問題もあるが、何か適用除外というのは特権というふうに考えやすいのだが、いまの自動車局長答弁によると、賠償能力があるから適用除外をやっているのだと言うけれども、実態に反するのではないか、実際はそうですよ。何か特権だと思っているのですよ。実際はなかなか、これは了承して、これが進んで賠償をしないというのがいままでのあり方です。ことに外国公館の場合はどうですか。これは国内法の適用ができないというような問題で、非常に複雑なんですね。こういう問題もやはり明確にしておかないと、これは相当にアメリカのなにがいるわけですからね、日本には。MSAによる軍事顧問団が入っているのです。これはナンバーをつけていない。つけていないけれども、日本を横行しているのだから、何百台か。これは御存じのとおりだ。ですから、こういう問題についてもう少しやっぱり明確にしないと、一方だけは厳重にして強制加入をやってもまずいと思うのですが、こういう点について考えたことがありますか。これはやはり大臣答弁すべき範囲ですね、これは明確にしておいてください。この問題、現に事態が発生して大きな問題になっている。
  88. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 外交官等については、外務省において、任意保険百八十万円でございますが、加入を指導するなどの措置を講じております。いまの場合も、保険会社から保険金が出ておるわけでございます。ただ、加害者としての責任関係についての問題その他については、いろいろ外交上の問題があるかと思います。保険金については、いまの任意保険で支払われております。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 わかっているのですから、とにかく何年も放置している。
  90. 木村美智男

    木村美智男君 時間の関係もありますから、あと二つばかり伺いたいと思うのですが、要望が一つあるので三つありますが。しばらくこの問題が実は起こったときにティラーの問題で本委員会で議論したはずですけれども、いま提案をされているこの法案からいけば、いわゆる農耕作業用の小型自動車というものは一応強制保険関係からは対象としてはずすというふうにこの案はなっているわけですが、だからといってまるきりこれはもう絶対に事故が皆無だということはこれは言えないと思いますね。ですから、もしこれによって、いままでの経験からいってもだいぶそういう関係は、特に最近は自動車の道路の整備というような問題があって、自動車道路で死傷するというような事態は幾つもぶつかっているのですが、そういう中で事故発生というものはやっぱりきわめて少ないようですけれども起こっていることだけは間違いないのです。そこで、責任保険の契約がないからといって、事故は起こるわけですから、したがって、この面の救済というか、被害者保護という、この点についてはどういうふうに考えておられるのか、答えようによっては、これはまた再質問をしたいと思います。  それから、もう一つの問題は、これは大蔵省に伺うのですが、この法案の五十四条の九ですか、ここに規定をされておりますように、要するに行政庁が責任共済あるいは責任共済の契約によって負う共済責任の再契約をして、その共済規程のうちでいろいろの事業をやっていく場合には、その実施方法なり共済契約なりあるいは共済掛け金を、関連をするものについて大蔵大臣の同意を得るというふうにこの案はなっているわけですが、実際問題として、午前中議論されたような意味で、これが営利事業という場合には、むしろその不特定多数の者から掛け金を——掛け金というか、保険料を取って、そして運用する問題であるから、これこそ大蔵大臣がある程度掌握をして、不当なやっぱりそこに利潤が出るとかあるいは料率が課せられているとかいうようなことについては規制をしなければならぬと思うのですけれども、共済のような場合には、これは全部加入者に還元をする、こういう仕組みに実はなっているわけですから、われわれとしては、大蔵大臣が五十四条の九のような状態の場合には必要がないじゃないか、大蔵大臣が特別これに……。先ほどの保険会社の関係等については、これは全然そういう点についてむしろ野放しになっておって、こういったむしろ自主的な共済制度についてくちばしを入れるということは、われわれからすればこれはよけいなことだ、率直に言ってそういう気持ちがするわけです。したがって、どうしてもこれはそういうふうにしてもらわなければ困るのだ、こういう理由があるならば、ひとつその点を明らかにしてもらいたい。  この二つを伺って、その結果、再質問並びに要望をしたいと思うんです。
  91. 田邉國男

    衆議院議員(田邉國男君) 先ほどから、各委員から大蔵省に御質問がございまして、私は大体もう核心に触れて議論は尽きておると思いますが、私もこの責任保険というものは国の再保険を通じて保険会社の監督をするということが当然だと思うわけであります。この点については、もう御指摘のとおり、私も同じ考えなんです。しかし、原付自転車責任保険につきましては、他の一般の自動車保険を通じましてすでに十分な監督をしておるわけでございます。しかも、先ほど局長からも説明がありましたように、この原付だけははずしても、十分監督の面も、また運用の面においてもやっていかれると、こういう話であるわけでございますが、私は本来なら再保険をすることは当然であるけれども、外国の例を見ても、国が責任保険ではあるけれども保険をしてないという問題もあるわけでございまして、私はテストケースとして今回はこういう原付については一度はずしてやってみたらどうかと、こういうことでございます。  なお、ティラーの問題でございますが、私はティラーについては今回対象車種からはずしたということについては、衆議院委員会においてすでに議論をした際においても、社会党の先生方からも、大体同様な趣旨であるように考えておるわけでございまして、しかしこの事故が、非常に特定の場所を走るということ、しかもスピードは十五キロを制限をされておる、しかも使用目的というものは耕作という限られた分野である、しかも事故率においては非常に年間僅少のものである、しかも従来からの例を見ましても年間に一件ないし多くて二件というような事故率でございます。しかも、これは大体当事者間の話し合いにおいて解決をしておるという現状でございますから、これを今回被害者保護の立場に立っても、話し合いで大体できて、解決をしておる現状でございますから、これを今回はずしたということで、実際の、実質的の目的とはそう大差がないんではないかと、かように考えまして、こういう措置をとることにしたわけでございます。  もう一つ、大蔵大臣の問題でございますが、これは共済制度のたてまえからまいりまして、従来の共済制度というものは農林省の所管事項でございますが、今回の新しい自動車共済事業というものにつきましては、やはり共済約款または共済掛け金率、責任保有とか査定の問題に限りまして、保険との調整をとる意味におきまして大蔵大臣との協議をせしめると、こういう意味で、ございます。
  92. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 この前、吉田委員がこの問題に触れられましたときに、ティラーによる事故の件数と支払い保険について私はどういう結果になっているのか数字でお示しなさいと言ったんですよ。ところが、それを示していないんですよ。もし与党の議員だからどうでもいいとお考えになっているなら、それじゃ私は腹に据えかねるのであります。これは吉田議員が、ティラーといえどもやはりこれは強制保険対象にすべきであると、そういう発言があったから、なぜこれははずしても大きな支障はないというようなことであろうかと思って私は質問した。ところが、いま申し上げましたように、資料の御提示もなければ、答弁もございません。繰り返し申し上げますけれども、私が与党の議員であるがゆえに黙ってこらえてくれるものだと思ってのことであったのか、あるいは失念されておったのか、もしわかりましたらお答えいただきたい。
  93. 小口喜久二

    説明員小口喜久二君) この前のときに谷口先生からお話のございましたことは覚えているわけでございますが、その御説明を申し上げる機会がなかったのでございますので、いまごろになってたいへん失礼いたしました。そういう意味で、用意はしておったわけでございますので、お答え申し上げます。  ティラーにつきましては、現在台数は、実は的確な台数はつかめておりませんが、一応各省で大体の概略の数字をつかめましたものを申し上げますと、自治省の調べによりますと百十五万台となっております。それから農林省で最近調べた数字によりますと百六十八万台、そういうような非常な開きがございますが、登録がございませんので運輸省の調べといたしましてはほかの自動車のように的確な調べがついておらないわけであります。ただ、現在保険に加入しているティラーの台数は、運輸省の調べによりますと十三万台になっております。非常に全般にわたりまして差がございますので、的確な数字がわからないわけでございます。  それで、死傷数につきましては、私ども運輸省といたしまして、保険金を支払いました件数から調べますと、大体死者が四人、それから傷害が四十七人ということになっております。合計いたしますと五十一名ということになっております。これは三十九年度の数字でございます。  それで、事故率でございますが、大体の想定いたしましたティラーの数字とそれからこの死傷者の数と割ってみました事故率でございますが、これによりますと〇・〇一六%という数字が一応推定できるわけでございます。で、〇・〇一六%でございまして、普通自動車の数字は五・二%という数字が出ております。これに比較いたしますと非常に少ない数字で、大体全自動車事故率の三百分の一というくらいの事故率しかありませんので、そういう意味でこの際はずしたらどうかという話も、そういうような意見が出てきておりますのも、この点、事故率の点が非常に低いということからきているかと思われるわけでございます。  以上でございます。
  94. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これは所有者が第三者に与えた損害だけの数字でございますか、それをもう一度。
  95. 小口喜久二

    説明員小口喜久二君) 保険のほうでございますから、保険金の支払いから調べた死傷者でございまするので、これは第三者に与えた数字でございます。
  96. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 事故が皆無でないということは、やはり第三者に与えた損害を、被害者保護という立場からいえば完ぺきでないということは言えると思うのですよ。ただし、将来農協でこれをやらせます場合に、任意共済の中で強い御指導を願うということは、私はこれは考えておかなければならない問題だと思うのですが、そういう面の行政指導でも十分農林省と話し合いの上でおやりになる気持ちはございますか、それを承っておきたいと思います。
  97. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 被害者救済のために十分行政指導——いま先生の言われたような意味の行政指導をいたしたいと思います。
  98. 木村美智男

    木村美智男君 いま谷口さんが言われたので多少は了解できるのですが、このティラーの問題は、一年限りで、四人死んで、それから四十七人も、これはけがだっていろいろあると思うのですよ。むしろ後遺症とか、あとで問題が残るのは傷害のほうのほうが問題なんで、四人ならどうでもいい、何百人も起こるやつは何とかせなければならぬというのは、いまの制度の一番悪いところなんですよ。佐藤総理が言う人命尊重というのは、四人だから何百人だからという関係には関係がないわけです。だから、そういう意味で言えば、私はやはりティラーというものは、これは本来はいわばこういう被害者保護の法律のたてまえからいけば、これまたやはり事務的に煩 な面やいろいろなことはあっても、筋としては、やはりティラーというものは強制保険をかけさせるということがこれは当然でなければならぬ、こういうふうに思うわけですが、したがって、いまの答弁で了解をするわけにはいかぬけれども、そうかといって、この問題について反対ということだけ言っておっても、あなた方は、それは男を女にすることはできぬけれども、それ以外のことはやりそうだから、私はそれ以上のことを言うよりも、逆に、この結果起こってくる被害についてはひとつ遺漏のないように、少なくともこのティラーの問題について、被害者が泣き寝入りをしたり将来に問題をかかえて苦しまなければならぬことのないように、この点はひとつ厳重に皆さん方の指導としてやっていただいて、もしやる場合には、そういう事態が起こった場合には、たとえばこの自賠法の精神である政府の行なう保障事業というか、こういったような関係で万全の救済対策をとってやるという一つのこの際答えをいただいておきたいと思う。  もう一つの問題は、冒頭に、この前、交通事故相談所みたいなものをつくっておく必要があるのじゃないか。たとえば自賠のようなこういう法律があることもよく知らぬ、どっちかというと被害者の法律であって、なおかつこういう法があるということを、いわゆる一般の国民のほうが知らないというのがこれは実態だと思うのです。そういう面について、すなわち警察なんかの交通相談は、こういうところへ行ったらいいとか、こういうような救済の方法があるとかいう方法論は教えてくれるけれども、実際に親身になって相談をする、そういう相談所というものは今日皆無なんですね。ですから、こういう点については、ひとつこれは監督官庁である運輸省のほうが何か交通センターを設けようということにしたが、ことしは一切公団その他の事業団体まかりならぬということになって、だめになったというのですが、これはぜひひとつ自賠法の改正を機会に新しい立場でひとつこの問題は検討して具体的に取り組んでもらいたい。  それから田邊さんにですが、これは特に私たちが、いわゆる今度の原付自転車の問題を農協がやるという筋の中で、この前提案直後にいろいろ答えられた中で、きわめて同感だと思われた点の中では、今後ひとつ、何というのですか、いわゆる剰余金というか、そういったようなものについては、このいわゆる組合員、加入者に利益を還元をする、こういう関係の中で、今日交通事故によって相当のけが人、負傷者が出て、それがやっぱり将来ぬぐうべからざる、精神的なものだけでなしに、肉体的な被害を受けておるわけですから、そのアフターケアの問題というのは、この法律を通すための一つのやはり技術的な言いわけやなんかでなしに、具体的にこれを軌道に乗せてもらって、とりあえず農協の中にはそういった、先ほど言った運輸省に申し上げたような意味での、いわば自賠法をこれから運用していく上の一つの被害者保護の相談所的なもの、これと、それから実際に事故にぶつかって苦しんでいる、あるいは悩んでいる、そういう人たちのたとえばアフターケア施設として、それ専門の病院をつくるとか、こういうことをひとつ具体的にこの法律が実行に移されていく過程の中で計画をしてこれは進めてもらう、こういう点について、これは賛成反対の問題を別にして、強くひとつ要望をして、私は一応質問を終わらせていただきます。
  99. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いろいろいままで社会党としては岡理事を筆頭に各委員からそれぞれの質問がございました。さらには各会派からもございまして、この委員会ではあまり例のない与党の委員の方々のかなり突っ込んだ質問がございました。そこで、あまりいままでの質問とダブって質問してみても時間がありませんから、できるだけダブらずに要点をしぼって質問したいと、こう思います。ですけれども答弁のいかんによっては私は何時間でもやりますことを冒頭に申し上げて、委員長にお断わりしておきます。  第一に、いままでの経過で、大蔵省として一番よくないのは、銀行局長に言っておきますが、資料の要求がなければ資料を出さない、こういう根性を今後改めていただきたい。少なくとも法案が提案されておるわけでございますから、それと同時に関係の資料というものを提示をして、各委員の審議がスムーズに入れるようにするのが私は行政庁の仕事だと思います。にもかかわらず、資料を要求されなければ出さない、同時に、先ほど午前中に私が資料の提示要求をいたしましたが、依然出てこない。全国のつまり保険代理店の数、職員の数は一体どうなっているかということについても、いまだに、私の質問に入って四時半になりますが、出てこない。こういう根性を私は改めてもらわないといけないと思うのです。これはこの点を冒頭に申し上げまして質問をいたしたいと思う。  で、この委員会に提案されています自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案は、だれが何と申し上げましても、そのおもなものは、第一には、原付自転車を本法すなわち自動車損害賠償保障法対象の車種に含める、これが一つだと思う。  それから、第二には、従来の保険金、つまり現行百万円を百五十万円に引き上げる、言いかえればそういうことではないか、こう思うのです。で、いろいろ理由はあると思う。非常に事故が多くなってきたから、この際は一つにはそういうことをしなければならぬ。それから、もう一つの側面としては、原付自転車はかなり事故率が高くなってきたので、この際は本法の適用を受けるようにしなければならぬ等々、ないしは一般国民世論も自動車の安全の問題が非常に論ぜられるようになってまいったので、この際は世論にこたえる意味も含める等々の理由からだったと私は思うのですね。したがって、すなおにそういう理由を私どもは解釈をして理解をしてみると、何はともあれ、この法律というのは、何が何でも被害者保護、つまり被害者の擁護の私は根本的な精神に立っていると思うのです。ですから、こういう理解をいたしますれば、今日まで運輸大臣はじめ運輸省としてとってきた態度というものと事務の作業については、私は最大の敬意を払っていいのじゃないかと、こう思うのです。それだけに私は、原則的な考え方としてはあまりとやかく言いたくない。ですけれども、これを具体的にさらに中身を充実するためには、どうしてもこの委員会で私は聞いておかなければならないことがある。いままでの質疑応答の中でも大蔵省答弁したようなことでは、歌の文句じゃないけれども、傷つき果てた法律になるので、私はこの際是正すべきものはすべきである、修正すべきものは修正すべきであるという考え方に立って、ただいまから若干の質問を行ないます。  第一に伺いたいことは、昭和三十年七月の衆議院におけるやはり附帯決議の問題です。いままでの質問のいろいろ経過をたどってみましても、十年間の経験の歴史があるから、たとえばさいぜん問題になった原付の再保険についても、かくかくしかじかだという答弁が出てくる。そこで、一体そういうことばが出てくるということは、この決議を完全に国会の決議事項、議了された事項として関係の省庁がほんとうに正しくこれを踏まえて、十年後に改正をせんとするこの法律にどう生かしたかということを、私は聞かなければならないと思う。それで、この附帯決議の第一では、保険金額を政令で定めるにあたっては、本法制定の趣旨にかんがみ、一事故あたりの保険金額の制限を行うことなく充分に被害者並びに被保険者の利益を考慮すること。」、このことについて一体どう措置をされたか、どう考えてこの法律に加味したか、この点が一つ。  それから、第二には、「保険料率についてはこれが低廉化を図り、その算定にあたっては、無事故に対する報償制の採用、交通繁雑なる地域と然らざる地域等との間における料率に差等を付し、輸送の態様、業種別等による事故率の差異に相応して料率に差等を付すること。」これはきわめて重要なことが第二に附帯決議に付されている。先ほど来の答弁を聞いていますと、料金を据え置きにして、したがって今度は百万円から百五十万円に上げる措置をする、ノーロス・ノーペイの原則をとるのである、こう上林君が答えられておりますが、この第二の問題は、そのことだけを言っておるのじゃないのです。ですから、これはどう具体的にこの法律に反映されたか、これは最初に提案者に聞きます。  それから第三は、「収受した保険料総額から、支払った保険金総額と附加保険料総額との合算額を控除し、なお相当の残額あるときは、これを一定の比率に保険契約者に割戻すが如き方法を考慮すること。」、これが午前中に岡理事からいろいろな角度から指摘された項ではないか、こう思うのですが、この三についてどう具体的に配慮をしたか。  それから第四は、「保険会社が代理店契約を締結するにあたっては、特別な事情で止むを得ないと認められる場合の外、本保険加入義務者の組織する団体で運輸大臣の指定するものとの間にこれを行うものとすること。」この項もございます。  それから第五に、「本法が多分に強制保険の方法で被害者の保護を図る目的を有するものである点にかんがみ、更に国庫負担の増額を考慮すべきこと。」、ここにこうなっていますけれども、私の調べて承知をしておる範囲では、国庫負担なんというような金はびた一文ないように思うのです。ありとすれば、この際銀行局長のほうから、かくかくしかじか、こういうようにして——これは十年たっておりますからね。あなた方が答弁で再三言っておるように、決議してから十年たっておりますからね。ここで答えていただきたい。  それから第六の点は、「自家保障については、速かに一定の基準の下に相互保険へ移行せしめること。」、すみやかにということばが使われておる。十年ですから、もうとっくにすみやかは過ぎたと思うのですがね。ですから、これはどういうように具体的に処置をされたか。  それから第七、「商品たる自動車保険については、その特質にかんがみ、実情に即するよう特別の措置を講ずること。」、こういう項も附帯決議につけられております。  第八、「本制度実施に伴い、運転者その他労働者の労働条件の悪化を来さゞるはもとより特に勤務時間の適正化と賃金制度の改善を図ること。」、これは午前中に相澤先生からも言われたし、前の委員会では、一般の営業自動車関係が非常に多いわけですから、木村委員からも指摘された項じゃないか、こう思いますが、いずれにいたしましても、この八つの附帯決議というものを、どう踏まえて本法改正にあなた方がこたえたかということを、明らかに第一問としてしていただきたいと思うのです。
  100. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) お答えいたします。  第一の、「保険金額を政令で定めるにあたっては、本法制定の趣旨にかんがみ、一事故あたりの保険金額の制限を行うことなく充分に被害者並びに被保険者の利益を考慮すること。」、これにつきましては、一事故当たりの制限は発足当時から行なっておりませんので、この趣旨に十分沿って運用されております。したがいまして、バスがひつくり返った場合にも、一人一人について限度一ぱいの保険金額が支払われる。何人乗っておりましても、限度を設けない。そういう措置がとられております。  第二の、「保険料率についてはこれが低廉化を図り、その算定にあたっては、無事故に対する報償制の採用、交通繁雑なる地域と然らざる地域等との間における料率に差等を付し、輸送の態様、業種別等による事故率の差異に相応して料率に差等を付すること。」これにつきましては、料率の算定にあたっては、地域差、業種別、用途別等を考慮して、二十三車種に細分しまして、負担の公平をはかってきております。なお、無事故者報償制につきましては、技術的になおかなり研究の余地があり、また、全体の九割以上が無事故者であるから、これを優遇するためには、事故を起こした者から高額の保険料を徴取するか、あるいはあらかじめこれを見込んで相対的に割り高の保険料を設定しておかなければならぬといったような問題点がございます。しかし、無事故者に対して何らかの優遇策を講ずることは、事故防止、安全運転の奨励にもなり、望ましいことでありますので、さらに研究を進めていきたいと思います。また、地域差を設けることにつきましては、保険集団がきわめて細分化され、偶発的な要素が損害率を大きく左右することになりまして、大数的な観察が不可能になるおそれがありますので、今後の自動車数の増加に対応して慎重に検討してまいりたいと思っております。なお、離島の保険料については、事故の実態等の調査がおおむね完了しましたので、実情に即して改定すべく準備を進めております。  第三、「収受した保険料総額から、支払った保険金総額と附加保険料総額との合算額を控除し、なお相当の残額あるときは、これを一定の比率に保険契約者に割戻すが如き方法を考慮すること。」これにつきましては、昭和三十九年の決算から残余の額が生じてまいりました。これは午前中にいろいろ御審議あったところでございます。現時点におきまして、これを保険金額の引き上げに使用することが最もその活用をはかる道であるという考えから、ただいま保険金の引き上げという方法を考えているわけでございます。  第四の、「保険会社が代理店契約を締結するにあたっては、特別な事情で止むを得ないと認められる場合の外、本保険加入義務者の組織する団体で運輸大臣の指定するものとの間にこれを行うものとすること。」この問題につきましては、ユーザー団体を自賠責の代理店とするよう、大蔵省と覚え書きを結びまして、大蔵省から各保険会社に対し、代理店契約の締結について、公益法人たるユーザー団体を優先するよう銀行局長通達を出しておりまして、運輸省においても、陸運局を通じてその旨の指導を行なっております。  第五番目は、「本法が多分に強制保険の方法で被害者の保護を図る目的を有するものである点にかんがみ、更に国庫負担の増額を考慮すべきこと。」これに関しましては、国庫負担の増額については、自動車事故による損害賠償の財源は、当然損害賠償責任者たる自動車保有者の集団の負担にのみ帰することが公平の見地からいって妥当であるというような意見もありまして、また、財政的な理由もありまして、附帯決議の趣旨に沿った措置が現在とられておりません。この点については、さらに御趣旨に沿って努力していきたいと思っております。  第六番目は、「自家保障については、速かに一定の基準の下に相互保険へ移行せしめること。」この問題につきましては、今回、農業共済というものが取り入れられたわけでございますが、今後、こういった相互保険という問題につきましては、受け入れ態勢なり、あるいは保険事業全体との関連その他十分慎重に考えまして、関係の各省とも相談してまいりたいと思います。  次に、「商品たる自動車保険については、その特質にかんがみ、実情に即するよう特別の措置を講ずること。」商品たる自動車保険につきましては、無理のない方法を別個の車種としまして、特に短期間の保険も設定する等、実情に即した措置を講じております。  八番目の、「本制度実施に伴い、運転者その他労働者の労働条件の悪化を来さゞるはもとより特に勤務時間の適正化と賃金制度の改善を図ること。」この点については、自動車運送事業における運転者その他の労働者の労働条件の向上について、たとえば運転手の休養施設の整備の義務づけ、あるいは乗務距離の最高限度の設定、運転ノルマ制の禁止、基本給の増額、最低保障給制度の導入等、大いに努力してきたところでございます。以上でございます。
  101. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 十年前の決議のあと始末の問題に答えられたのですが、私は非常にいまの答弁というのは、いわゆる官僚の国会のおざなり答弁のたぐいだということを言わざるを得ない。そこで第三番目の問題については、いま局長からも答弁しておりますように、今回は五十万引き上げる。ですから将来も引き上げていくものであるという考え方に立っていいですか。一つが、こういうことですよ。これが通れば百五十万円に上げるわけです。しかし、この精神を生かしていくということになれば、二百万に将来なるかもわからぬし、二百五十万になるかもわからぬということになると思いますが、そういう理解でよろしいですか。
  102. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 被害者保護の見地から、われわれとしては現在の限度額も必ずしも十分ではないという考え方から、できる限り引き上げの方向に持っていきたいというふうには考えております。
  103. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 できる限りという、限りがつきましたけれども、それはそれでいいでしょう。ですけれども、この第三のほんとうのねらいは、合算をして控除した残余のものがありますれば、契約者に割り戻す、このことを考えなさいということなんです。ですから、いってみれば、午前中の木村委員質問しておりましたように、三十九年の保険料引き上げ、このときには三倍値上げしたのです。この値上げは妥当であったかどうかということの議論は別として、やはり強制加入ですから、いや応なしに加入しなければならぬわけですから、保険料率というものをやはりここでは下げなさいという意味が私はうたわれていると思うのです。あなたのつまり保障金額を上げていくということもいいことですが、ここのねらいというのは、保険料金を下げなさいということがねらわれていると思うのですが、これはもう強制加入者としてはたいへんな問題ですから、こういう点を十分この決議というものを、あなた方は生かしてもらわなければならぬ、そういう私は行政官として責任があると思うのです。  それからもう一つは、今度この法律で、第六の自家保障については、農業共済を対象にしたのであって、あとあとの問題については、この精神を生かして慎重に、あまりに慎重過ぎるのですが、慎重に各省庁と折衝しますということでお茶を濁そうとしている。これは一年生だってわかることなんです。まあごらんなさい。「速か」と書いてある。私はそういう条件が今日整っていると思うのです。十年たって、今日すみやかにということは、なおかつ、ここで慎重に各省庁と折衝すると、こういうばかげた答弁では、ああそうですかということになりませんよ。なぜかというと、ここに当時の会議録がありますが、私はあまり時間ありませんからくだくだ言いませんよ。当時の運輸委員会の原委員長——委員長というのは与党の人だと思いますがね、大体委員長と名のつくのは、衆議院では社会党いませんから、自民党の委員長だと思う。この委員長が自家保障について質問しているわけです。これに対して当時の運輸大臣、これは三木国務大臣ですが、相互保険の問題は、受け入れ態勢の整備等も勘案して、御趣旨に沿うようにすみやかに善処いたしますという答弁をしておりますよ。その答弁のとおりやっていないということは、あなた方サボタージュしたということになる、そういうことになりませんか、これはそういうことになるでしょう。ですから、そういうのんびりした、これから慎重に各省庁と折衝などと言ったって、それは大蔵省に気がねをしているわけですよ。午前中の質疑にもあったように、いまの大蔵省は、言い過ぎかもしれぬけれども、既存業者擁護に立っているわけですから、これははっきりしている。だからそんなところと折衝したっていい答えが出てくるわけがない、それは大いに事務連絡、折衝は必要だろうけれども。こういう記録があるわけですから、しかも、いやしくもこれは国会の決議なんですから、そんなのんびりした答弁では、いいということにはなりませんよ。冒頭質問するときに、答弁いかんによっては何時間でもやりますよと言ったのは、ここにあるんです。明快に答弁をしてください。
  104. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 自家保障については、すみやかに各省庁と折衝し相互保険に移行せしめる、この問題につきましては、当時の三木大臣がおっしゃられましたように、受け入れ態勢という問題があります。また、被害者保護の見地から、十分にそういった態勢がはかられるかどうか、あるいは保険事業との調整の問題等、いろいろと問題があるのでございまして、そういった意味で被害者保護に欠けることのないよう十分な態勢ができるまでは、なかなかむずかしい問題だと思うわけであります。それらを十分考慮して考えていきたいと思います。
  105. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもそういうことでは、はいそうですかということにならないですよね。しかし、もう五時ですからね、いや五時だって、十二時までけっこうですがね、きょうしゃにむにやらなきゃならないということもないが、もっとこの際は、できなかった事情というものを、もう十年もたった今日ですから、できないなりに理由があると思うんです。こういう事情で、こういう理由で、かくかくしかじかでこういうことになったんですと。だけども、この精神は生かしていかなきゃならぬ。ですから、何かすると、前向きということばが出てくるが、何で前向きかうしろ向きかわからぬが、具体的にこれからはこうやりたいとかなんとかという、何か実のある答えでなければ、はいそうですかということにならぬですよ。これだけの記録が残っているわけですから、言いっぱなしにしたということではないでしょう。こういう点で、もうちょっと誠意のある答弁を私は求めます。  それから、銀行局長に伺っておきますが、自家保障について、いま申し上げたように、すみやかに一定の基準を設けて相互保険に移行しなさいと、こういう決議がある。これはいま申し上げたように当時の会議録でも明らかになっているわけです。そこで、大蔵省としては、いろいろこのことについても検討したと思うのです。その検討の結果、大蔵省は、いま坪井局長が答えられたようなことになるのかどうか、少なくとも強制加入であるわけですからね。現実の問題はこの無過失の責任の主義というものをここで貫いているのじゃないかと思う、この法律はね。だから結果的には、ことばを変えてみると、被害者保護という一種の社会保障的な性格がここににじみ出ている、こういうことになるわけでしょう。そこで私は、本来、こういう事業というものは国家でやるべきものではないか、こう思うのです。  そこで、いまのこうした体制の中で、国家でやれといっても、なかなかそうならないと思うんですよ。これは社会党が政権をとればやれますよ。直ちにやってみせますがね。しかしいま残念なことに社会党が政権をとっていませんから、やれない。そこで、私は最小限度そのことを認めつつ申し上げるわけですけれども、少なくとも条件があると思う。その条件が、午前中来、いろいろ議論してきた、少なくともその種の性格を持ったものですから、営利を目的としてはならない、こういうことだけはこの条件としていえるのではないか、こう思うのです、こういう認識に立てばですね。どうも今日までそのこととは逆に、営利を目的とする保険会社にのみこの問題を取り扱わせてきた。この法律衆議院審議するにあたっても、農協に、しかも車を限定した範囲で今度扱わすということについても、かなりの議論があったし、保険業界からもかなりの抵抗があったということを聞いているのです。私は、それはそれなりに理由があるんだと思うが、銀行局長、この理由を私どもに聞かしていただきたい。なぜ営利を目的とする保険既存業者にそういうものを扱わせてきたかという、その理由があると思うから、その理由をひとつ聞かしていただきたい。これが二番目。あまり一ぺんに伺ってしまいますと、時間が少し余ってきますから、ひとつここらあたりで答弁してください。
  106. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) 営利を目的とする保険会社にやらせてきた理由は何かというお尋ねでございまして、これは御承知のように、保険につきましては保険業法という法律がございまして、大蔵大臣保険会社というものに対して厳重な監督、検査を行なってやっておるわけです。株式会社組織でやっておるものからいえば、それは先生のおっしゃるような営利目的ということは言えるかと思いますけれども、しかし、同時に、保険業というものはやはり単純な営利事業ではない。そこは公共的な性格を非常に強く持っておりますがゆえにこそ、保険業法というものによって厳重な監督を受けております。公共的使命を果たすように、そこは制度的に大蔵省自身が見ておるわけでございます。したがって、そういう保険の事業として自動車保険というものが出てきております場合に、それを保険業法にのっとって事業をしておりますところの保険会社がやったということが、これが従来までの経緯でございます。ただしかし、先生がおっしゃいますように、大蔵省というものは、ただ、既存業者の温存だけを考えておるのじゃないかというお話でございましたけれども、私どもは決して実はそのようには考えていないわけです。要は先般も申し上げましたように、自動車賠償責任保障制度というものが、確実に実施されていく、所期の目的を果たしていくということが、一番大事なことでございます。したがって、そういう角度から問題をながめてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、何も保険会社だけがやればいいというようなことではないと思います。他にそういう適当な、十分に制度目的に沿って効果をあげていくというものがあるならば、それも当然考えてしかるべきだ、全体として。そういうことが相まちまして、国全体としての効果があがるということが、一番望ましいことだというふうに思っております。  それから、第一点でお尋ねになりましたいわゆる自家保障制度でございますが、すみやかに相互保険制度に移行することを検討せよ、これについては先ほど自動車局長がお答え申し上げましたところと全く同じでございます。ただ、これは先生も実は私なんかよりよほどよく御存じだと思いますが、なかなかやはりいろいろとむずかしい問題があることは御承知だと思います。どうやったらほんとうに確実に制度趣旨に沿ったりっぱなよい制度ができるかということでやはり考えなければいかぬと思いますので、坪井君のほうでも鋭意検討しておるわけでしょうが、そのいろいろな問題点を一つ一つ解決しながら、そしてほんとうによい制度をつくり、一たびつくったら、それは百年の大計に沿わなければならないということでもございますので、十分慎重に検討をしてこられたと思います。私どももその意味で、これは運輸省とも相談しながら今後ともひとつ十分検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  107. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま答えられまして、いろいろな複雑な事情、困難な事情はよく知っているだろうと、ややおだてのようなお話でございますが、私はおだてられるような金融業などというようなことはやった経験はありませんから、そういうものを持っておりませんよ。持っておりませんが、一たび法律をつくったならば百年の大計云々というお説がございましたがね、この限りでは私は同意するんです。だからあえて聞くんですけれども、それは幾つかの困難な事情、幾つかの矛盾、あるいは法律が現状にそぐわないという点が出ていることは、私は承知しているんです。そこで、承知しているがゆえに、ここ両三回くらい委員会を開きましていろいろ問題を提起して議論したり、意見を交換したりしてきた中で、その中でも大体明らかになってきたのは、たとえば第三項あるいは第四項においても、当然この機会によりよいものにして、制度的にもいま銀行局長が答弁したように、一たん法律をつくったら百年の大計を実行していく、こういう方向になるように私はしなければならぬと思うんですよ。具体的にたとえば、現在あなた方からちょうだいしたこの保険金の今日までの金の損益の出入りの関係を見ても、そういうことは明らかに言えると思うんですよ。いかに部長が名答弁をしても、ぼくらにしてみればこれは迷い答弁と言わざるを得ない。なぜかというと、昭和三十七年までは確かに赤字が出てきている、三十九年に一挙に一二倍に料金を値上げをして、その赤字どころではない、累積赤字は先ほどの答弁では五十七億というふうに答えられましたが、三十九年ですでに一挙に二百七十億という膨大な黒字が出ているわけですよ。こんな商売はどこにもない、銀行局長。しかも強制保険なるがゆえに、他の一般の保険事業と違いまして、勧誘して歩くということがないんだね、これは強制ですから。そうでしょう。そういう一般的な経常的な経費というものは必要ない。そういうものでしょう。まずこういうふうにあらわれてきている。現状はどうかというと、四十年の面を見込んで、保険会社——これはいままでは農協は入っていませんでしたから。保険会社だけで前の借金を一切がっさい始末をして、なお百二十五億——先ほどもうかった、もうからないの議論がありますがね、余剰が出ている、黒字が出ている。だから、ほんとうにいま保険部長が答えられたような精神をくむならば、この百二十五億を保険会社がどういう面で、どう使っているのか、この金をどう運用しているか、この点をまず明らかにしてもらいたい、この際。  それから、もう一つは、提案者の田邊さんのほうは、農協扱いになった場合——まだ法律はできていませんが、扱いになった場合は、過去の実績、これからの推移等々を見て、必ずや余剰が出る。その余剰は社会保障的な法律であるから、その法律を踏まえて、具体的にはそれぞれの加入者に還元はできないとしても、アフターケア等々のことを農協としてはやるんだ、こう言っているんですね。まだ発足をしない、まだこの法律がこの委員会で可決されない前にそういう意見が出ている。これは提案者から出ている、答えられている。ところが、片や保険業者のほうはすでに百二十五億の三十九年以降トータルで剰余金が出ているわけですから、わずか三十九年、四十年、この二カ年で、いままでの一切の赤字を埋めて、なおかつ百二十五億というのは、年間七十億ぐらいの余剰金が出る。こんな事業というものは、あまり日本にはないんじゃないかと思うんですよ。ですから、これをやはり十年前に見込んで、こういう第三項の附帯決議になっていると私は思うんだから、ここでやはり是正すべきものはしなければならぬという理論はここで成り立つんじゃないか。  それから、もう一つは、この百二十五億というものが、どういう形で既存の保険会社が一あなたは保険会社の擁護の立場をとっていないという答弁をしているわけですから、どのように使われて、しかも大蔵大臣が監督しているわけですから、そのことがわからぬということはぼくは言い切れないと思う。この点をきょうの委員会で私は明らかにしてもらいたい。
  108. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 保険会社におきましても、従来とも、たとえば交通事故の防止や医療機関の整備に関する協力等につきまして、そういうような意味合いから各般の資金協力をいたしております。たとえて申しますると、いままでに交通事故の防止のための、たとえば地方都道府県におきまして信号機を設置するために地方債を発行いたしておりますが、それを引き受けておりましたり、あるいは交通事故防止関係の企業に対しましても投融資をいたしましたり、あるいは交通事故の予防資金といたしまして、たとえばカメラ車だとか、事故処理車というようなものを、損保協会から都道府県に寄贈した例もございまするし、あるいは財団法人の全日本交通安全協会へ、運転者の心理テストの研究のための寄付をいたしましたり、その他医療機関の整備関係におきましても、指定救急病院でございます各種の病院につきまして、病棟建設資金などを融資をするというような各般の措置をとってきておるわけであります。今後の問題につきましても、そういう方面に十分な御協力をいたしまするように指導してまいりたいと思うのでございます。
  109. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 指導協力はけっこうですがね、いまあなたの答えているのは、私の質問に答えていないのだよ、具体的に出しなさいよ。たとえばある研究所に幾ら寄付したとか、それからもう一つは、信号機等の設備改善のために地方債の消化、地方債というのは銀行にあれするより多い利子がついているんですよ、それはそのまま百二十五億の金をそのまま無利子無担保、どこかにやったようなかっこうで無期限にやっておるのではないのだ。地方債というのは、これは七分一厘とか七分八厘の利子がついて返ってくる、むしろふえて返ってくるんですよ、それからもう一つは、投融資をした、これもそうでしょう、投融資といったって利子つけて貸してあるのだ、こんなものは論外ですよ。ですから具体的に、この金は大部分そういうふうに運用するならしてもけっこうだから、運用された内容をもう少し数字的に明らかにしなさい、数字的に。いまのようにそういうもやもやというようなことを聞いて、はいそうですか、というようなわけにはいかないですよ、私は。
  110. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 金額的に申し上げますと、先ほど信号機等の設置のために地方公共団体の地方債を四十年度以降二十五億引き受ける予定でございまして、現在四十年度において五億引き受けております。それからたとえば交通事故防止関係の信号機の企業に対しまして、四十年度に一億六千万円の融資をいたしております。また、先ほど申しましたカメラ車、事故処理車につきましては、具体的に申しますと大阪府警に四台四百五十万円、これは寄贈をいたしております。それから財団法人の交通安全協会への寄付は、運転者の心理テストの研究のために四百十万円でございます。そのほか四十一年度におきまして、交通安全に関する教育研究目的とする財団法人が設立される予定になっておりますが、それに対しまして約三千万円寄付が見込まれるというような状況でございます。あるいは先ほど申しました医療機関の整備関係に対しまする融資といたしましては、たとえて申しますと順天堂病院等に七百七十八万円程度の融資が、貸し付けが行なわれております。そのほか損保協会から社会福祉事業関係の施設に対しまして、たとえて申しますと、四十年度に四百七十三万円の福祉事業への寄付等が、日本赤十字社その他に対しまして行なわれておるような状況でございます。
  111. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まだ明確でないですね、概算してみるとそれが有形無形に加入者あるいは被害者に還元されているという金額が少ないわけですね。あとはもう融資であるとか、債券を消化するとかあるいは投融資をする、こういうことになっていますが、この関係の利子はどのぐらいになるのですか、利率は。
  112. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 先ほど申しました地方債につきましては、利率は七分二厘でございます。
  113. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それから投融資の関係は。
  114. 上林英男

    政府委員(上林英男君) ただいまその利率につきましては資料を持っておりませんので……。
  115. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 すぐ出してください。先ほどの資料まだ提出されておりませんから、それと同時に利率もそれぞれ出してください、すべて七分二厘というわけにはまいらんと思いますけれども、そこで、こまかな話になりますが、百二十五億、これは全部トータルしても全く、この先ほど言ったように、無償で還元されているものは億単位にならない、百二十五億、かりにですよ、かりにどうですか、七分にしても一年間にばく大な利息金が入ってくるわけでしょう、こういう事実を認めているところに——ぼくは認める認めないは、大蔵省の権限かもしれぬが、認めているところにややもすると全般の国民から、大蔵省というのは、特に銀行局は既存の保険業者の、つまりバックアップ体制をしているのではないかという疑いだって持てるのです。こういうことをやはりすみやかにあなた方が再三言うように、ノーロス・ノーペイという原則に立てば、こういう機会に改善しなければならぬのではないか、そのことを附帯決議でうたっているわけなんです。ぼくは、時間がありませんから、あまり多く言いませんが、そういうことを考えてみたら、これは坪井局長が、こういうことについても慎重に各省庁と折衝しますと、こう言っておりますが、折衝する場所というのは大蔵省よりないのです。金の関係は、この三項と六項の関係になってまいりますと。ですから、われわれは全然知らぬと思ったらとんでもない話です。こういうことを十分承知しているから、いろんな再三にわたる質疑をしているわけですから、ぜひ運輸省があなた方に、慎重であるかどうか別として、折衝に当たられる場合は、いまぼくが指摘しましたような問題は、すみやかに解消するように相談に私は応ずべきだと思うのですが、どうですか、局長。
  116. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) おっしゃるとおり十分ひとつ相談に応じてまいりたいと思います。
  117. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 十分相談に応ずるそうですから、うまい相談ができ上がるように両方でやってもらいたいと思います。  もう一つ局長に聞きますが、そのことを前提とすると、今度の法律で曲がりなりにもここの相互保険に移行せしめるとか、あるいは第六項の自家保障のこと等も若干加味されるようなことになるわけで、その一環として、農協共済の扱い方というものを、これはまあ政令で本来きめるべきものだと思うのです。この農協共済とか何々共済というのは、ところが今度の修正案、田邊さんに伺いますが、提案者でありますから、法律に農協共済とぴんとうたってあるのです。ぼくは少し若干法律の立論からいうとおかしいのではないかという気がするのです。何々事業体田邊会社、吉田会社というものは政令できめるべきもので、法律で田邊会社、吉田会社ときめるべきものではないという気がするのです。法律の律というものはそういうものではないか、法制局に聞いたら大体、そうじゃないよということは言わないが、聞けばわかると思うのです。わかると思うが、ぼくはそう思います。そしてぼくは、いま銀行局長が答えられたこの種問題も含めて、十分その相談に応じましょうという意味のことは、私はやはり他のこの相互保険であるとか、あるいはこの中小企業団体がそれぞれ規模の大小は別として共済を持ってるとか、それから相互共済も各種団体が最近おやりになっていますね。そういうところだって、いま直ちにということは言いませんが、将来やはり少なくともその団体に加盟している人々が自家保有車として持っているぐらいのものは、当然そういうところで扱わしてやっていいのじゃないかという気がするのですが、こういう点は提案者としてどう思いますか。
  118. 田邉國男

    衆議院議員(田邉國男君) 私は農協以外の、たとえばいろいろの共済組合等がございます。これはやはり農協と同様に全国的な組織等が完備しておる団体については、将来これに拡大をしていくべきであると考えています。
  119. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 提案者の田邊さんからそういう答えがございまして、私は満足しているのでございますが、銀行局長のほうはどうですか。
  120. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) 先ほど先生の御質問にお答えしましたように、要は自賠制度というものの目的、効果、これを十全に発揮していくというところにあるわけですから、そういう観点に照らして適格なものがあるならば、これはやっぱり拡大の方向考えるのは差しつかえない、かように考えます。
  121. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 この前運輸大臣は外国を回って御不在だったのですが、この農協に自動車強制保険をやらせると、こういうことなんですが、やらせる中の車種は政令で定める、となっているのだけれども、修正者の田邊議員のお話を承りますと、三百六十cc以下の車に限ると、こういうことになっておる。そこで、この前も申し上げたのですけれども、農村の実態、これは大臣はだれよりも御承知なんですね。野菜を運搬する三百六十cc以上の車は保険会社へ、三百六十cc以下の原付自転車その他の軽自動車は農協へと、同じ農家の中で、これが二つに分かれて付保しなければならない立場に立ってる。これは何としても、農村に帰って私どもがどうしてだと聞かれても返事ができない。ですから、ここで、政令で定める、となっていますが、私たちは将来に夢を持ち続けていきたいと思います。現時点においてはやむを得ないとして、どうなんですか、そういうところで、もっとこれは大蔵大臣あたりともお話し合いをなさったことがあるのかどうか、それが一点。  それから銀行局長、私が質問したときあなたがいなかった。だからいま申しますようなことは、たとえば青森県のリンゴを運搬する農家は、みんなこのごろ持っていますよ、小型トラックというものは。それは保険会社にいくのだ。奥さんが乗る原付自転車にこれは農協へと、こういうことになるのですよ、実際は。この場合に、きょうこういうことを申し上げてどうかと思うけれども、けさの新聞を拝見すれば、銀行局長は今度農林漁業金融公庫の副総にお裁なりになるということだが、そういうことになれば、あそこでもっと御勉強なされば、自分たちの認識が欠けていたのだということがよくわかると思うのです。置きみやげでどうですか、車種を政令で定めるということについて、どうしても農民が割り切れないようなものを、きょうの時点では申し上げませんが、これを二年か三年やらしてみたら、皆さんが納得なさるような農協の実績というものも出るでございましょう。ほんとうにもうかるか損するかということも出ると思います。そういう実績の積み上げの上に立った場合に、そのときには銀行局長さんでないかもしれませんが記憶にとめておく必要がございますから、その際にはやはり前向きの姿勢で考えてやるのだというお気持ちがございますかどうか。それを局長に伺いたい。大臣、それをはっきりしておきませんと、大臣はこういうことを言うとおしかりを受けるかもしれないが、大臣をおやめになってから、やはり福岡県の農民の地盤に立っているわけなんだから……。大臣は何をなさいましたと言われたら、あなたもお困りだろうと思いますから、この向きにやるのだ、考えるのだと御答弁くらいしていただいたほうがよいと思いますから、念のために伺います。
  122. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 谷口委員から、なかなか御親切なおことばをいただいて恐縮いたします。この法案をつくります過程におきましては、いろいろのやはり意見がございました。これは谷口委員も御承知のとおり、谷口委員あたりの御意見から考えれば、おそらく不満なところもあろうと思いますが、これは最初申しましたように、いろいろの意見を調整いたしまして、最大公約数の案となっておりますので、すべての人の意見がすべて全うされるということはないと思いますが、私個人の意見は谷口委員の御意見とおよそ同じでございますが、やはり法律を通しますためには、最大公約数というものによらなければならないというような経緯がございまして、具体的にはいろいろ申し上げにくいのでございますが、そういう意味でこういう法案になったのでございます。しかし、私個人の意見は、いま申しますように、谷口委員の御意見と変わりありません。将来はやはりこの方向で努力していくことはお誓い申し上げますが、現時点におきましては、この案が最も皆さん方の御努力によって通りやすい法案である、という見解に立って提案をいたした事情でございますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
  123. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) これは政令の内容でございますので、いずれ運輸省ともあるいは農林省とも相談をしてまいるわけでございますが、先生御指摘のような点で、いかにもどう考えてみても、常識的に考えてもおかしいというなら直さなければならぬだろう。したがって、実情をよく見まして、実情に応じて皆さんが納得するような合理的な線で考えていくということかと思います。
  124. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもいまぼくの質問関連して車種の扱い、限定の問題で谷口委員が聞きました。私も尋ねてみようと思っておった一つでありますから、あらためてお尋ねすることは省略します。しますけれども、いまのように運輸大臣なり銀行局長がすなおに正直に答弁をすれば、あまりこういう紛糾はしない。いままではどうもどっかにものごとを隠すような、奥歯にものをはさんだような答弁をするものだから、この委員会がかなり紛糾しておった。おおむねわかりました。  この段階で、私はひとつ銀行局長に強く要望しておきます。それはこの間も自民党の木村委員から加入率の問題が出ました。その問題は、やはり何としても保険料金の算定の基礎となるべきファクターだと思うのです。それをとるとらないはこの間から議論をして、まだ結論は出ておりませんけれども、加入者にしてみれば、保険料金というものは非常に大事なことなんですね、その率をどうするかということについて……。そこで、あなた方流に慎重に扱うために、この算定会というものを設けていると思うのだね。そこで、われわれはそのメンバー、どういうメンバーかということで、この間資料をちょうだいをしたわけでございますけれども、この中を見ると、あまり私はこういうえらい人の名前というのはよう知りませんけれども、どうもこれは保険会社の関係の人間ばかりですよ、これは。たとえば理事長の山県某なる者は、興亜火災海上保険会社の社長である。以下、時間がありませんから申し上げませんけれども保険会社だけですね、ずっともう六、七人並んでいる。それから、鉄道建設公団の総裁とか、これもやはり銀行関係ですね。そうでしょう。日銀の何だかですが、これは鉄道建設公団の総裁というけれども、これは保険会社のほうに関係ある人なんだね、これは言ってみれば。したがって、先ほどから言っているように、どうもやっぱり何はともあれ大蔵省のやっていることは、銀行局のやっていることは、何とかかんとかというようなことで色めがねをかけて見なければならぬと、こういうようなことになるんじゃないかと思うのですよ。ですから、こういうものには、やはり少なくともこの法律の精神を踏まえるならば、運輸省関係——私は決して運輸省応援するわけじゃないんだ。ないが、そういう関係の受益者ね、こういう人々の代表もここに何人か入れたってそうたいしたことないんじゃないかというふうに思うのですがね。これは十分今後委員を任命する場合に——決してわれわれ立法府が行政府に介入する気はさらさらありませんが、少なくとも国民大衆から見て、そういう懸念されるようなことのないようにひとつしていただきたい。これが一つの要望です。  それからもう一つは、先ほど来申し上げているように、かなりの、たとえば五十万円今度保険金を引き上げるわけでございますけれども、それにしても私は剰余金が出ると思う。現に、現行の保険料金を据え置きしても四十一年度は黒字になりますということは、同じ田辺でございますけれども、あまり賛成しないほうの田辺ですが、田辺保険課長がこの間答弁されているのだな。ですから、赤字になるということは見込んでいないと思う。したがって、私はかなりの剰余金、黒字が出るということも、われわれしろうとでありますけれども判断がつくのでありまして、この場合は少なくともいまいろいろ、この間各委員からも指摘されたように、被害者はたいへんこの問題についての相談する場所もない等々から、いかがわしい示談屋だなんて、両方集めて適当なことを言って両方からお金をとる、こういうのがいま流行しているのですね。これじゃいかぬから、少なくともこの保険を扱う既存の保険業者といえどもできるだけ、可能な限りその相談に応ずるような相談事務所のようなものを設けていくように、指導監督を私はしてもらいたい。  それからもう一つは、運輸省のほうとしては、これは保障関係でありますが、こういう関係の仕事をスムーズにするためには、本年度は確かに大蔵省の主計局長が大なたをふるわれたようでありますけれども、けれども一回没になったからといって、こんなものは引っ込む必要はない、これはね、やはり被害者擁護ですから。ですからこれは来年度予算編成の時期というのは間もなくきまずから、そのときには、金がないんじゃなくて金はあるわけですから、あり余るくらいあるわけですから、ですからその金を活用する意味においても保障センターというものをつくって、より加入者、被害者のお世話、サービスにつとめるべきだという考えを持っているので、この二つをこの機会に要望しておきたいというふうに思います。  それから、あとこのティラーの問題であるとか再保険の問題であるとか、あるいは車種を限定したということについての質問は、他の委員からもされました。それから、今度行なわれる農協共済についても、私ども考えでは、大蔵大臣の同意を求めなければならぬというような理屈はないと思う。それほど重要ではないと思う。これは勘ぐってたいへん恐縮ですけれども、銀行局長、この機会に大蔵省は、大蔵大臣の名に隠れて、発言権を求めていく条項ではないかというふうに、私は勘ぐっている。ですから私は、あなた首を横に振っているわけでございまして、首が横に振れる理由があったら、ここで議論したいけれども、時間もないことですから、こちらのほうをやらなければならぬから、あえて私は答弁求めませんが、私はそういう見方をしている。ですからそれはそれとして、とにかくこの再保険の問題と、それからティラーの問題について私は筋が通らない。なぜならば、この法律の、本法の二条に自動車という定義がありますよ。この定義からいけば、運輸大臣、ティラーといえども、これは自動車である。それから先ほど言ったように法律の四十条で、再保険のことが明記されている。それからまいりますれば、原付だけ除外するということも筋が通らない。先ほど来言っている法律というものは、いまの目前の、当面の問題を志向するのではなくて、百年の大計をはかるために志向するのだ、こう皆さん答弁しているくらいなんですから。だとすれば、現状たとえば事故が少ないとか、あるいは何とかと、こういうことをおっしゃっていますけれども法律のたてまえから筋としては通らない。ですから賛成できない、これは。あくまでも賛成できない。ですから、これは私としてはここであえて皆さん答弁を求めようとはいたしておりませんけれども委員長に申し上げますけれども、私どもは国民の立場に立って、納得のいかないものは、私はこの機会に幾つか修正すべきものがありますから、修正案を提案することをもう少し添えて私の質問を終わります。
  125. 岡三郎

    岡三郎君 そこで委員長、最後に、いま吉田委員から言われた問題で、前向きで取り組むと、きのうか、おととい銀行局長が言った。あのことばは、まだまやかしだと私は思うのだよ。めんどうだから、いま言っとかなければうるさいからというので言ったのじゃないかと思うのだよ。で、いままでも、いま吉田委員指摘しているように、ていさいのいいことを言って少しもやらないというのが一ぱいある。附帯決議なんていうのは、大体もうどうにかなっちゃっているものばっかりだからね、いままで。そういうことじゃなくて、正規の政府委員答弁している事柄がなかなかできない。そういう事柄が多いのだよ。そこでいまの身障者のいわゆるセンターというものを、運輸省が予算要求したらけっ飛ばされたと、こう言う。で、再保険の、資金運用部資金の利息が幾らあるのだと、年四分で十億ぐらいあるというのですよ、十億ぐらい。もうさっき非公式に自動車局長に聞いた。そうすると政府のほうに、うんといじめられている被害者を含めた被保険者が何百億も入れて、いろいろと再保険しているわけだな。それで安い利息で資金運用部資金に入れている。そのもとといえば、被保険者ですよね。被保険者だ。その出てくる利息までも使わせないというのじゃ、ひどいじゃないか。私の言っているのはそうじゃなくて、そんなものはあたりまえなんで、町の損保の保険会社というのは、日本でも一番いいいまの銀行よりもうけているといわれている。これは私のひが目じゃないと思う。この原付保険料なんていうのは目じゃないですよ。特にこうやっていわゆるひき殺されたり、永久かたわになっているという人が大ぜいいるのに、安全協会が云々でひかれないようにすることはいいですよ。しかし、ひかれちゃった者に対する手当てはしないで、事故防止、それはいいことだ、いいことだけれども、事故防止は保険会社もうかる一方だ。だからそのほうは金だ、それじゃ片手落ちで、事故防止をやってもらうことはありがたいけれども、事故防止する金を、微々たる金を出すだけじゃなくて、ある程度ひとつへそくってなければしかたがありませんよ。あるなら、何とかひとつこの際やはり被害者保護という立場に立って、損得もないんだからその利息分だけぐらいは、これからたまったら出しなさいよ。いままでのやつはなかなか保険部長も言いたくないようですけれども、それを利息を中に入れて額を低めるとか高めるとかいうことじゃなくて、実際問題としてとにかくある程度そういう面についても、やっぱり交通事故を少なくするということとともに、それも考えているということになれば、少なくてもこれは農協と同じになるわけだ。だからそのほかのことは言いませんよ。これから原付が出発するんだから、出発する原付は百億程度——私から見るなら百億ぐらいになると思うのですよ。百億ぐらいになるから、それを保険会社と農協に五十億と五十億になる。五十億ぐらいじゃたいした金ではないけれども、二億ぐらいの利息は出てくる勘定になる。これは私は全体から言うと、ある一定の年数がくれば計算方法があるにしても、ある程度まとまっていくんではないか。そういう点でそれを前向きでやると銀行局長はおととい言ったから、これはごまかしじゃないということを、はっきりもう一ぺん言ってくださって、それからもう一つは、委員長、今度は銀行局長が、それは主計局のことだからと言うので、主計局長を呼んできてもらって、次長でもいいからそのことをはっきり言って、身障害者のセンターをつくることについて確約したら通すと、きょうでもいいですけれども、土曜日にでも通す。聞くところによるというと、この法案が通らなければ、大蔵省の銀行局のほうはにこにこするんだという話が飛んでいる。とんでもないと言ったってそういう話が飛んでいるんですよ。これが飛んでいるというと、農協にやらなくてまたあらためて次にということになると、もうここに既成事実ができたら、そういうわけにいかない。やはり大蔵省も誠心誠意をこめてと言うてばかりだけでは許されませんよ。そういう二点について銀行局長が主計局長にかわってでもよし、それはやらせると、保険会社のほうもいまにわかに利息とか何とかいろいろなことを言われて、ごもっともな点があるけれども、この点はいまここでにわかにどうします、こうしますということの約束ができないかわりに、何とかアフターケアかそういう面についても極力、団体交渉はあんた方がするわけじゃないんだけれども、そういう点をやらせると、そういうことを言ってくれないと、じゃあ保険会社や銀行に大蔵省から何人ぐらい重役が入っているかと、これから聞きますからね。
  126. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) 決して私はそういういいかげんなことを申しておるわけではございません。そこで、いま先生御指摘のように、いわゆる交通安全施設の強化、あるいは警察取り締まりといったようなものを、これはまあ事故をまず未然に防ぐということが大事なことです。そこで、そういうことで事故率が落ちてくれば、これは保険会社がもうかるからいいだろうということじゃなくて、そうなれば当然料率を下げなければならないわけです。そこで加入者のほうに利益を還元していく、あるいはもしくは保険金を上げて給付内容の改善をはかる。いずれにしても、これは加入者の利益をはかる面に向かって、これはもう保険会社といえどもやはり当然考えなくちゃならないと思います。で、先生の御指摘なのは、いままでは国の再保険があったけれども、今度発足するものについては、再保険がないんではないか。それだけに従来考えなかったようなことも考えるべきではないかということだと思うのです。私はその点まことにごもっともと思います。私自身も実はそう内々思っておったわけです。実はそういう線で、ただ、まさにおっしゃるようにとっさの場合に具体的にどうかというところまで、この席で申し上げるのもなかなかむずかしいと思いますが、方法なりやり方等については、今後の検討問題としても、いずれにしてもそういう方向保険会社の指導に当たりたいということでまいりたいと思います。  それから、その国費に関する予算措置の問題でありますが、この点については、これは先般私ちょっと失言をいたしまして、主計局の問題だと言ったのですが、これはやっぱり大蔵省全体の問題でございます。大蔵省としては、当然やはりそういうものについても前向きに考えなければならぬという点は、全く先生のおっしゃるとおりでございますので、ただ何ぶんにもこれは予算編成の問題でございますので、予算編成期において運輸省と十分相談したい。
  127. 岡三郎

    岡三郎君 いまの銀行局長の答弁は、いままでに比しては比較的に誠意があったと思う。その点は一部了承しますが、最後の分については、金があるのですから、大蔵省の金をもらってくるというのではなくて、保険をする者が掛けた金がくるのですから、それまで巻き上げてしまうというのは、これは交通戦争時代に被害者保護の立場を逸脱しておりますよ。そこまで国家がそのビタ銭まで取り上げてしまうというのでは情けない。だから、いみじくも銀行局長が言ったように、大蔵省全体の問題ですから、それは額を上げるのもいいですよ。少なくとも窓口をつくったり、いま言った身障者のいろいろな手当てをするという形で何とかやっていきたいということで、たまたま運輸省がおくればせながら、吉田委員にしかられながらも出したところがぺけになった。それじゃわれわれ情けないですよ、裏づけとして。だから立法府としては、そういう点についてはわかりました、やっぱりそれを額を上げてもらってもいいですけれど、長期にわたって身障者がいま一ぱい出ている、そういう形の中で国のほうも十分手当てをしてやろうという新しい時期なんだから、そういう点についてひとつ協力して出しましょう。この際そのかわりに保険会計全体がまたおかしくなったら、ひとつその点についても御協力願おうというのなら、私も快く聞きますよ。だから、そういう点は一にかかっていまの交通事故自体にある。国民の生命を維持し、生命だけじゃなくて、けがをした者も何とかしてこれから一つの橋頭堡の一歩ほんとうに前進、それで能事足れりと言うのじゃないのですけれども、せめてそれぐらいやらなければ、黒字になってきましてよかったということは、意味がないじゃないかと言っているのです。その点もう一ぺんはっきりしてくださいよ。
  128. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) 運輸省の提案そのものがいいかどうかという点は、これは十分検討すべき問題だということを、実は私は衆議院段階でお答えしておりまして、要はつまり先生がいまおっしゃいました目的を達するようなふさわしい措置、こういうことだと思います。したがって、そういうものについて今後よく運輸省と相談してやろうということを申し上げているのです。
  129. 岡三郎

    岡三郎君 それからもう一つ、相談して誠意をもってこたえてもらいたいと思う。
  130. 佐竹浩

    政府委員佐竹浩君) 誠意をもって実現につとめたいと思います。
  131. 江藤智

    委員長江藤智君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 江藤智

    委員長江藤智君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  133. 江藤智

    委員長江藤智君) 次に、小型船造船業法案議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  134. 木村美智男

    木村美智男君 小型造船事業の問題について、時間がきょうはあまりないそうですからまた続けてやることにしまして、二、三お伺いをしておきたいと思います。  第一番は、昭和二十五年にこの造船法という法律ができておるわけですね。この造船法の問題は、大体中心が五百トン以上の主として鋼船の問題について規定をしておるということはよくわかるのですが、しかしこの造船法の中でも、小型船造船業の問題について、たとえば事業を始めるとか、あるいはその造船業を廃止をするとか、仕事をやめるとか休むとかいう場合には、そういう点については造船法でも規定をしておるわけですね。したがって、一応しろうとの立場で考えてみますと、そういったようなことをせっかく造船法にもきめてあるのだから、この程度のことであれば、ある程度造船法を改正をしても、小型船造船業法案という独自なものをつくらぬでも間に合うのではないかという気持ちを、たとえばしろうとなりに考えられるわけです。しかし、それをしいて一本の法律に、別個法律にしてつくり上げたというのには、やはりそれなりの理由があったのではないか、こういうふうに思うので、それはどういうわけかということを、まずお伺いしたい。
  135. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) ただいま造船法のことについての仰せでございますが、そのとおりでございまして、造船法は五百トン以上につきましては、設備等については許可制、それから二十トン以上につきましては届け出制、こういうふうな形になっております。しかし、その法の運用におきましては、五百トンで線を引きましてそれ以上を主とした問題にしておるということでもおわかりのとおりでございまして、五百トン以上のたとえば設備の新設等を判断いたします場合、事実問題のほかに、さらに日本の経済の発展というふうなことを中心考えまして、非常に問題を大局的に見てこれを処理しておったわけでございます。一方、五百トン以下につきましては単なる届け出制でございまして、事業の開始あるいは廃止等、事後において届け出ればいいという程度のものでございますので、はっきり申しますと、その辺にはあまり重点が置かれておらないということが言えるわけでございます。そこで、同じ法律でやってまいるということを、まずわれわれ考えておったのでございますけれども、この五百トン以下の問題につきましては、この前運輸大臣から提案趣旨の御説明でも申し上げましたように、若干造船法ではやりにくい面がございます。と申しますのは、一つは日本経済という大きな立場だけでこれを見てまいりますには、少し問題が違ってまいりまして、たとえばこの事業規模が小さいものでございますので、地域的な問題も多々ございます。そうなりますと、何と申しますか、いわゆるその面から見ますと、同じようなことばでございますが、いわゆる国民経済的にものを判断していく必要もあるというふうな点もございます。さらにごく最近の傾向といたしまして、木造船から鋼船に転業してまいりましたいわゆる鋼船への転換業者のつくる船が非常に粗悪であって、安全法の検査にもなかなか合格しない。そうなりますと、極端に言えば船のかっこうをしているが、所期の性能に達していないというふうなことになりますので、非常に小型船のほうの経済分野におきましていろいろ混乱が起きるのではないか。そこでわれわれといたしましては、二十トンと五百トンの間に一つ画然たる仕切りを設けまして、その分野を特に取り上げまして、ただいま申し上げましたうちの一番基礎的な分野、つまり技術の適正な水準を確保してもらいたい。その点を浮き彫りにしたほうがいいのではないか。一方、中小企業近代化促進法の取り扱い分野も、大体この辺にはまりそうだというあたりから、それの対応する基礎的な問題として、これをあらためて一つの法律にまとめるほうがいいのではないか、そういう判断で一つの法律案として提出した次第でございます。
  136. 木村美智男

    木村美智男君 大体いまの説明で、この小型船の造船業について特別な立法措置をとったということが、事情が理解をできるわけですが、そうすると五百トン以上の関係は造船法だと。それから二十トンに線を引いて、二十トンから五百トンまでは今度の新しいこの法律によって規制をするのだと、こういうふうになってきますと、大体そういうようなことでラインを引いて、たとえば考えてみれば、最近の造船業の実態というやつは、たとえば五百トン以上のがどのくらいの企業数で年間どの程度の船をつくると、そういう状態で、この今度のつくろうとする法律の範囲に含まれる二十トンから五百トン以内といったようなところはどのくらいで、さらに二十トン以下の零細なものはどの程度あるのかという概数が、いまお答えできれば答えてもらいたいし、それから多少こまか過ぎて何か数字的に資料でも出したほうがいいということになれば、それでもいいんですが、いずれにしても概況について概略お聞かせいただきたい。
  137. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) ただいま御質問の点につきまして数字で申し上げますが、数字が非常に入り組んでまいりますので、できるだけ明快に申し上げたいと思います。  それで五百トン以上の鋼船造船業者、これを許可業者、こういうふうにいたしますと、企業者の数で九十五あります。それから届出造船業、二十トンから五百トンまでの間、これでございますと届出の鋼船造船業者が三百七十二ございます。そういたしますと、鋼船業の合計が四百六十七あるわけでございます。それから木造船業これが千四十二でございます。以上合計いたしますと千五百九あるわけでございます。
  138. 木村美智男

    木村美智男君 トン数はわからないですか。
  139. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) トン数で申しますと……
  140. 木村美智男

    木村美智男君 大体四十年なら四十年でもいいです。いまでなくてもいいです。
  141. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) トン数についてちょっと古くて恐縮でございますが、三十九年度の実績を申し上げますと、鋼船造船業者でいわゆる大手業者と称する非常に大きな船をつくりますものが概略で申し上げますと、三百八十万トンでございます。それから中小鋼造船と称しておりますものが三十七万トンでございます。したがいまして、そこまでを合計いたしますと四百十九万トンになります。それから木造船業者、これが概数で申し上げますと二万四千トン大体こんなふうな形になっておりす。
  142. 木村美智男

    木村美智男君 こういういまお伺いしたような状況の中で、要するに五百トン以下で二十トン以上の船を規制していくということで新しい法案ができるわけですが、この法案の中心的なものは、何といってもやはり登録制を採用する、こういうところにあろうと思うのですが、大体この登録制をとる場合には、ある程度ものさしがあって、そうしてそれに当てはまる、当てはまらぬという形で、許可あるいは許可しないということが出てくるだろうと思うのですが、大体いま運輸省として登録の基準をどういうところに置いているのか、それをひとつ具体的に聞かしてもらいたい。
  143. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) 登録の基準といたしましては、一つが設備で、一つが主任技術者制度、この二つがございます。そこで設備の中で特定設備というものを設けまして、それには船台、クレーン、ドック、それから最近溶接工事が非常に行なわれておりますので、溶接関係の設備等を考えております。それから主任技術者制度につきましても、法律の中でも若干触れておりますように、技術を一定の程度有する者、その一定の程度と申しますのは、先ほどちょっと申し上げましたように、安全法を正しく解釈いたしまして、それに適合する船舶を製造できる者という程度にしておりまして、たとえば大学卒業後三年を経た者と詳細に規定しておるわけでございます。  なお、設備の基準につきましては、政令に譲っておる事項もございます。また、われわれのほうも今後これらの基準制定にあたりましては、われわれのほうの調査を一そう進めますとともに、業界の意見も十分参酌しながらきめてまいりたい、そういうふうに存じております。
  144. 木村美智男

    木村美智男君 いま言われたような基準によって、これからかりに法案が成立した場合には、実際にこの基準によってふるいにかけると、そのふるいにかからぬで、いわゆる基準に合わないといったような関係のところがあるのかないのか。それから、あるとすれば、どのくらいそういう個所が出てくるのか。
  145. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) ただいまの基準に合うか合わないかということでございますが、これは私どものほうで全体を調査いたしているわけではございませんで、この法律の適用される工場が約千四百あると存じますが、その中で、分類別に分けまして五百工場につきましてアンケートをとりまして、それからそれの回答を求めまして、現在回答がきているのが三百七十六でございますが、ここらあたりから回答の分析をいたしまして、若干推定が入りますので、ちょっと大ざっぱになると思いますが、二〇ないし三〇%、二割ないし三割の工場につきましては、いまのままでは不合格になるのじゃないか。そこで法律といたしまして、附則に経過措置を設けまして、この期間にこれをできるだけ基準に適合するように引っぱり上げていくように、何とか指導いたしてまいりたいというふうに考えているのであります。  なお恐縮でございますが、先ほどちょっと主任技術者の点を登録の要件のように申しましたが、これは実際上はもう登録の要件と申し上げてもさしつかえないのでありますが、この法律を読んでまいりますと、逆に主任技術者を置きますのは、事業を開始する際に、それまでに主任技術者をそろえる、こういうことでございますので、ちょっとその点恐縮でございますが、そこを訂正させていただきます。したがいまして、主任技術者がいなくなりますと、すぐにまたこれは登録を取り消す、こういう措置になりますので、ちょっとことばが足りませんでしたが、実際上は登録の要件にもなり得ているもので、法律の表現ではそういうふうになっておらぬ点を訂正させていただきたいと思います。
  146. 木村美智男

    木村美智男君 いまのアンケートをとった結果、大体の傾向を見たら二割ないし三割くらいが、あるいはこの基準に合わないものが出てくるのじゃないか。したがって、そのことも考え経過規定をつくって、その間にできるだけ基準に合うように持っていきたいという配慮をしているのだということはよくわかったわけですが、問題は、この法律に基づいてやられるようなところは、いってみれば造船業の中でもいわゆる中小企業が対象だろうと思うのです。したがって、ことばで言えば、この二年間のうちに何とかめんどうを見てやって基準に合うように持っていきたいということですから、実際問題としては、やはり相当技術的な問題、あるいは資金的な問題ですね、そういうものについて相当具体的にめんどうを見てやらなければ、なかなかこれは言うはやさしくして、実際には無理な面が出てくるのじゃないかという点が心配をされるわけです。そこら辺についてまあ海運局として実際に具体的にこうするんだということを考えておられるならば、それを聞かしてもらうし、ないとすればこれは十分この法案審議のとおり、方針的にやっぱり具体的なことを明らかにしてもらわないと、なかなかこれはことばだけで、それでよろしいというわけにもちょっといかぬような気がするので、その点ひとつ伺いたいと思います。
  147. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) 設備の点につきましては財政資金を考えておりますので、その点を先に御説明申し上げます。中小企業近代化促進法による指定業種になっておりますので、それによりまして中小企業金融公庫から約二億円、これが一つでございます。第二番目といたしましては、中小企業近代化資金助成法による都道府県の直接貸し、これを約五千万円。第三番目には、中小型鋼船造船業合理化臨時措置法による、これは中小企業金融公庫でございますが、これが約三億円で、もう一つ、第四番目に、船舶振興会から設備近代化貸付金、これを四億円、約十億円の金をいまのところ考えております。それでこれは最後に申し上げました船舶振興会の分を除きまして、大体五十、五十の負担になる分でございますので、いま申し上げた数字のほかに、民間で五〇%用意する必要がございます。それからしまいに申し上げました船舶振興会の分は、これは八〇%振興会のほうで用意いたしますので、民間のほうは二〇%を用意されればいいと、大体こういうふうな見当で、一応先ほど申し上げました設備が不足するであろうという分は、基準まで引き上げることができるのではないかというふうに考えております。  それから主任技術者の点につきましては、これは一人一人を技術力を上げるのでございます。でしたがいまして、地方海運局あるいは主要支局の所在地で講習会を開催いたしまして、そうして主任技術者の知識の向上をはかってまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  148. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をとめて。   〔速記中止
  149. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記を起こして。
  150. 木村美智男

    木村美智男君 いまの大体二年間の猶予期間の中で、助成方策として施設関係あるいは主任技術者の関係を聞いたのですが、しかし実際にはこれはやっぱりある程度振興会なら振興会なりから金が出ることはこれはわかりますけれども、これはやはり融資だろうと思いますからね。したがって利息はどのくらいのもので借りるのか、借りてやることはやれたが、しかしやったあとでは利息も払えぬという状態でやってしまうということになれば、またこれはあとに問題が残ってくるし、そこら辺のことについては、実際にこの小型の関係では、聞くところによればまあ小型船舶工業会であるとか、そういう業者団体もあるようであります。したがっていろいろさっきの基準をつくる関係の問題なり、いま言った融資なんかにおいて実際問題としてこういうことをやれば十分ですね。この法案に沿う目的が達成できる。そうしてあとは、まあ大きな経済変動でもない限りは、大体うまいことやっていけるというような見通しでも立った上でこういう計画を立てられているのかどうか。いや、これはそういうこととは無関係運輸省だけの一応この法案実施にあたって一つの何というか計画なんだというものがあるのか、そこら辺はどうなっていますか。
  151. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) ただいま申し上げました数字は、運輸省だけの計画というものでございませんで、中小企業近代化促進法によりまする近代化計画、これを樹立いたしまして、それによる数字でございます。で、御承知のとおり近代化促進法は生産性の向上を目ざしまして、産業構造の高度化、または国際競争力の強化というふうなことを考えてやっておるわけでございます。で、私のほうといたしましても、そこらをあわせ考えまして、たとえば木船業におきましては、木船業の需要減退それを補いまするところの鋼船化というふうなことを中心にして、この近代化基本計画というのをつくったわけでございます。そこらを基準にいたしまして、それからさらに先ほど申し上げましたアンケートによりまする推定の数字、両方を合わせまして、ただいまの数字をつくりましたものでございまして、運輸省だけで推定によって進められたものではないわけであります。
  152. 木村美智男

    木村美智男君 いま答えられている中で、多少何というのですか、状況を聞いてみますと、いまの近代化計画というのはイコール鋼船化計画といってもいいのではないかと思われるように、大体それは方向としてはそういうことになるのじゃないかとは思いますが、現実の小型造船業の多くというものは、やはり相当木造船の設備というものをかかえておる。したがって、これが実際出てくるについては、相当転廃業の問題も出てくるということが予想されているわけですね。予想されているというか、そういうことも問題になりそうだということを聞いておるわけです。で、これはどちらにするかということは別にして、運輸省判断としては、この木造船と鋼船の問題についてある程度その船の果たす役割いかんによっては、必ずしも近代化イコール鋼船化一本やりで考えていくことが、実情に沿ってないような面も私はあるように思うのですけれども、この辺について一体どういうふうに考えていられるか。大体その建造費そのものは、本造船は大体五分の一か八分の一くらいでできるというふうに言われているし、あるいはその修繕等についても、非常に上架塗装や何かでも安く上がるようにできる、こういう点からこの経済性の問題なり修繕という、あとの修繕費等のことを考慮すると必ずしも近代化はイコール鋼船化というふうにはこれは割り切っていっていいものかどうかということが考えられるので、まあその船によりけりですけれども、特に漁船であるとか、あるいは比較的貨物運送に使っているような百トン足らずのような船については、木造船のほうが経済性からいっても、あるいは将来の維持費等から考えても、修繕の面から考えてもいいという意見をよく聞いているわけです。ここら辺については、いわば近代化計画というものは、そういったようなことを十分考慮をしてやっていこうとされているのか。それとも、いわば近代化イコール鋼船化という、大体そういう筋に乗ってとにかく相当強力にこれを推し進めようというふうに考えているのか、この辺はどうなんです。
  153. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) 木船が依然として有利な点を持っておりますことは、お説のとおりでございますけれども、やはり鋼船化という現実も相当勢いがございます。それで、ちょっと数字で申し上げますと、昭和三十五年に木造船が六万二千トンの竣工実績を持っておりましたが、三十九年にはこれが二万四千トンに減っておるわけであります。やはりいろいろ言われておりますけれども、経済的に総合判断いたしますと、やはり鋼船のほうが有利であるというふうな結果から、こういうふうな数字が残ってきたというふうに考えておるわけであります。それで、なお近代化促進法によりまする近代化計画におきましても、先ほど申し上げましたとおり、国として財政資金を出す方向は、鋼船化ということを中心にして考えておりますけれども、これは実際の企業としては、やはり木造船兼鋼船業、もしくは逆に鋼船業兼木造船業という形になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。重点はあくまでも鋼船化に置いておるわけでございますけれども、木造船設備につきまして、それを何と申しますか、第二義的に考えておる、正直に申し上げますと、そういうことでございます。
  154. 木村美智男

    木村美智男君 時間がありませんから、もう一つしまして、あとまた次回に続けてやらしていただきます。いまの木造船と鋼船の問題ですが、たとえば従来の海難事故なんかの関係を見ると、やはり被害の程度とか、あるいは人命がどっちが多く助かっておるかというような関係を見れば、これは木造船のほうが、はるかにそういう意味では安全性が高いという結果が出ているわけですね。そういうことも考えてみると、たとえば造船法に規定するような、対象になるような問題については、この船はまあ木造じゃ問題にならぬのですけれども、いま私が申し上げておるような関係については、近代化というものができるだけ鋼船に沿っていくということは、これはもう原則的に私ども了解しますが、しかし無理押しをすれば、それだけやっぱり近代化計画というものの中でも相当十分な資金の準備と、それから船をつくったあとの維持、あるいはそれによって中小の造船業が成り立たぬというようなことの結果がより多く出てくるようなことにならないように、これは十分配慮をしてやっていかなければならぬ問題だと思いますから、そこのところを特に筋道としては鋼船の関係を原則的に認める、しかし、そのかわりこれによって無理なことをした結果、転廃業が多く出てきて、実際には、これは中小の切り捨て法案になってしまうというようなことのないように、これは今後の中でひとつやってもらいたいということにして、そういう要望をしてあとは次回に譲ります。
  155. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 一点だけ、資料要求。  局長のほうから出されております資料によりますと、造船業が鋼船、木造船も入れて四百三十三、修繕業が千三百五十七、こうなっておりますね、これをいまでもあるかもしれませんけれども、次の委員会のときでよろしゅうございますから堅頭にお出し願いたいのは、各都道府県ごとにどういうふうな分布状況になっているかということを知りたいのです。おわかりですか。造船所が、鋼造船所が百八十一、木造船所が二百五十二、合計四百三十三、これが都道府県別にどういうふうに分布しておるか。それから修繕業が鋼造船で三百八十二、木造船が九百七十五、合計千三百五十七となっております。これを同じように都道府県別にどういう分布の状況にあるかということをば知りたい、かようなことでございます。次の委員会のときお示しいただければけっこうでございますから、お願いします。
  156. 江藤智

    委員長江藤智君) いいですね。  次回は追って公報等でお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十七分散会      —————・—————