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吉田忠三郎君 自民党がこの
修正案を
提案した田邉さんにちょっとお伺いしたいのですが、もとよりわが党は、本
委員会におきましても、要約して三点の
修正案をただいま準備中ですから、成規の手続でこれを取り扱いますから、そのときに
提案理由を
説明をいたすことにしますが、ただいままでの
衆議院段階における
審議の過程、それからいま同僚の谷口
委員が質問されて答えられた中でも、非常にこの
法律を制定する精神とは逆行している面があるのじゃないか、こういう感じが
一つするのです。
それから
一つには、
修正を、どうもいまのお話を聞いておりますと、何か与党内で紆余曲折があってこんな程度にとどまったというようなことのようにうかがえたのですけれ
ども、そのために何か非常に筋の通らない
内容になっているのじゃないかとこう思うので、二、三伺っておきたいと思うのです。
そもそも、この原付自転車を自賠法に
法律化していく、こういうものは、とりもなおさず四十年の一月の二十日に
答申されたわけですね。
審議会の
答申がありましたね。これに基づいて私はやったと思うのですよ。ですから、そのことは、今日も原付自転車の全国的な交通事故の数等を見ても、これは入れてはいかぬと、こう否定するような人はだれしもないと思うのです。そこで、それはいいのだけれ
ども、今度はこの再保険の
関係になってまいりますれば、この
修正案ではこれを除外していますね。これは種々当時、簡単なものですが、
審議会の資料がございますが、この再保険についてはいろんな各
委員間の意見がありまして、ついに意見の一致を見ることができなかったというこの
答申になっていますがね、どこにそういう
問題点があったのか、これからだんだん
委員会で私は伺っていくつもりでいますが、どうもいま谷口さんの質問聞いていると、そこらあたりに意見の一致を見ないというのは、大蔵省の
考え方に非常に強く支配される、こう思うのですね。で、少なくとも自賠法の精神というのは、被害者擁護の
法律だと私は思うのですよ。したがって、すべての、不幸にして被害者になった国民平等にその
法律の恩恵を浴せしめるということは、ぼくはこの
法律のたてまえだと思うのですね。ところが、原付の
関係のたとえば再保険の
関係は、これはそれとは別ですが、なぜ再保険をやるのかということは、もうこれは論をまたないのです。しかも、自動車という定義からいけば、これは自動車になっていますよ。ですから、こういう点をなぜここまでせっかく二カ月も、それぞれ最初に与野党が一致をして合致点を見たものを、さらに途中で二転、三転して、最後に何かぼくら聞くところによると、その約束をほごにしましてこんなお粗末な
改正案が出てきたというについては納得がいかぬのが
一つ。
それから二つ目は、ここにも
答申に出ていますが、保険の
対象の範囲、これは第三番目に、「農耕用の小型特殊自動車については、」——これは自動車ですよ、いわゆるティラーですがね、自動車です。自動車
局長、間違いないですね、自動車の定義ですね、この自動車については、「その特殊性にかんがみ、性能等を検討のうえ、その実情に応じ、これを保険
対象から除外することが適当である。」、こう出ているのですよ。ですから、この保険金をかけていくというような、その面からの除外については、私
どもも決して事故等々の傾向を見ても、そうさほど数は多くいまのところなっていません。ですから、この自動車そのものの性能から見ても、これは除外しても差しつかえない、こう思うのですよ。ところが、田邊さんの
改正案でいくと、それと同時に本法からすべてを除外したのですね。除外をしたということになると、先ほど申し上げた自賠法の精神からいくと、つまりこの被害者の擁護が基本になっていますからね。全くこのティラーといえ
ども、事故がないのかというと、そうではないのです、御
承知のようにね。かりにこの自動車が事故を起こして被害者が出たという場合に、田邊さんの
改正案でいくと、何ら補償がないということになる、死傷者が出た場合。全く死んだりけがをした人はそのまま泣き寝入りということになりませんか、これはね。そうすると、この
法律の精神に合致しない、こういうことになるのですがね。この点はどうお
考えになっているのですかね。この
答申との関連でですね、こういう点ね。
それから、谷口
委員も盛んに、これは農協出身でございますから、力説しておりましたが、私は農協出身でも何でもございませんが、農協出身であるとか、出身でないとか、そうしたことを全く
関係なくして
考えてみても、この賠償の保険の取り扱いを少なくとも
改正案では、原付の自転車を農協の共済、ここで扱わす、こういうようなことですね。それと農協の自家用車に限られておりますね。なぜこう限らなければならないか、私は非常にここに疑問があるのですよ。保険制度とか共済制度とかなんとか、いろいろ賠償なりあるいは補償していく制度というものが多種多様にありますけれ
ども、ぼくは、そういう
議論をしている段階じゃないと思うのですよ。自賠法をつくり上げていくというこの根本のものは、ですから、事故が起きて、さあけが人ができた、不幸にしてなくなった等々のときに、これが従前の
一般の保険制度で扱うか、あるいは共済のほうで扱うかなどという
議論をしているひまがないのですよ。そんなひまは大蔵省の保険をやっている役人くらなものですよ、ことばは悪いけれ
ども。私は、少なくともその原付を扱うということになれば、全般にわたって扱わせるべきものだと思うのですよ。加えて、これは他のものの面も扱っていかなければならぬとかなんとかありますが、私は、もう
一般的に言っては、部外者であろうと何であろうとも、それぞれの希望でやるわけでありますから、希望でそこに契約するわけですから、やっていいと、これくらいのことを私
ども言っております。しかし、私はそこまで飛躍もしませんが、今日的な段階では、少なくとも農家が保有しています自動車——自家用をかなり持っています。持っていますから、そんなものはすべて農協で共済制度の中で扱っていいものではないか。これはなぜ原付だけに限って、あるいは農協の保有自動車だけに限ったかという点について、非常に私は理解に苦しむのです。こういう点は、
改正を
提案した田邊さんはどうお
考えになっておるか。私
ども、国鉄
労働組合の中にも火災共済ですか、こういう制度、それから相互共済等々の共済制度というものをやはりやっていますよ。これは農協さんのような年間契約高が三兆円などという膨大なものではありませんよ。膨大なものではありませんが、そういう機関を持っています。この場合に、逐一大蔵大臣の同意を求めるなどということはないのですよ。これはないのですよ。農協だって、いま建物共済とか農業共済、いろいろやっておりますね。やっていますが、その場合、やはり大蔵大臣の同意を求めなければならぬということはない。なぜ、自賠法だけに限って大蔵大臣の同意を求めなければならないかという、私はそこの意図がわからないのですよ。できるだけこういうものは、それぞれの所管大臣がやるわけですから、その所管大臣の、特に農業用の
関係でありますればこれは農林大臣の
関係であるかもわかりませんが、数の限られた少ないところでできるだけこの事務の煩瑣というものを排除して、的確に、しかもすみやかにこういう補償というものをしてやるというのが、この
法律の私はたてまえじゃないかと思うのです。冒頭に申し上げた、基本が被害者の擁護ということになりますれば、そういうものじゃないかというように思うのですが、これは
提案者はどうですか。