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木村美智男君
大臣ね、非常に私は好感を持って、あなたの
答弁はいいと思うのですよ。あまりよく
実態は知らない。知らなければ知らぬで、
大臣りっぱですよ、その
答弁でね。そういうことで私はいってもらいたいと思うんですね。そうして、
ほんとうに知らなければ、まあいろいろ
内容も聞かれるわけですから、そういう
立場から率直にこれから
自分でこうするのがやっぱり正しいと思うことをひとつ
行政指導の中へ
大臣生かしていただくように、これはまあ
大臣にお願いしておきます。
そこで、せっかくですからちょっと
大臣時間をさいてもらいたいと思うのですが、いま
交通安全運動をやっているこの時期に、実は先ほど申し上げたことでは、まだまだ交通安全、
人命尊重という
立場からいうと不十分なので、実はさっき申し上げた保有台数七十三台、この
会社の件数を見てみたんですが、去年一年間に七十三台の自動車を持っているところの
事故件数が何と二百九十二件にのぼっているのです。七十三台で三百六十五日のうちに二百九十二件の
事故を起こしている。これは一体どこからこういう
事故が起こってくるのかということをいろいろ調べてみましたら、実は本採用者がこの中で起こした
事故は三十一件なんです、本採用では。それで、さっき言った試みに雇っているというこの
関係については、これはいまから本採用してもらえるかどうかのテスト中ですからね、やっぱりそういう心がまえがこの数字にあらわれていると思うのですが、これは十三件なんです。
あとの大部分の二百二十八件というのは、これはこの日払い専属のいわゆる
日雇いの
運転手が起こしている
事故なんです。こういうことを見ましてね、二百九十二件という
事故が実際問題としてその
日雇いというところにあるから、こういう問題を積極的に解決していかないとなかなか
事故防止はできませんよということを先ほどから申し上げているわけですよ。じゃこういうこの
会社が一体、自動車
運輸規則にきめられておる、大体夜中の二時になったら一たん車庫へ帰ってこいというのがこれは原則でしょう。この夜中の二時にどういうふうに帰ってきているかということを一週間ばかり
調査をしてみた。この
調査の結果、大体夜中の三時から四時ごろにかけて仮眠をしていた者が
——七十三台持っているんですから、さっき言ったように、大体
運転手全体で二百名前後になるわけですが、その中で一晩に泊まる人間がどのくらいおるかというと、第一日に十二人寝ているのが、二日目が十九人、三日目が十九人、次は少し多くなって二十七人、十四人、二十三人、十七人。平均して、大体二時から六時までの間車庫へ帰ってそして寝ているというのは十九人平均なんです。という
意味は、これはやっぱりどうもあまり睡眠をとっていないという
一つの証拠になるわけですね。これはやっぱり人間寝
不足のときには通常の
状態のときよりも
事故を起こしやすいということは、これからも言えます。で、なぜここへ戻ってこないかということについては、その晩泊まりになる八十名からの
運転手の全員が休めるような設備というものはないということが
一つですね。それから、休みたくても、実際に
ノルマの三百六十五キロにはるかまだ余地があるし、
ノルマの金額そのものがたとえば十三万円なら十三万円というところにいかなければ
自分の手当が減っていくわけですから、それをかせぐためには寝ているひまがないということになるわけです。そういう
意味で、夜中あっちへ行ってちょっととめておく、あるいは車の中で仮眠をしておっては多少でも拾っておる、そういう
関係になっているわけですね。こういう
事情を、実は
ほんとうにこの点を
調査をして、そして具体的な例をやっぱり幾つか、抽出
調査でも何でもいいのですよ、やって、その結果出てきた
一つのものを基準にして、やはりこの経富者全体を集めて、こういう
あり方というものはこれは直さなければいかぬじゃないかという
指導が私はどうしても必要じゃないか。で、この点について、これはどうしても
運輸省では、いわばくつの外からかゆいのをかいているような
状態で、ちょっとこういう話として即座によろしいとも返事もできないというなら、できれば
陸運事務所のほうもこれはやっぱり適当な
機会に開いてもらって、そしてあなた方はやっぱりあなた方なりの自主的な
立場からの
資料を持って、そして
陸運事務所を
指導をするということをやってもらわなければ、これはいつまでたっても
事故は直らぬと思う。
もう
一つの問題は賃金の問題でありますが、さっき言ったように、例の
神風タクシーのときの
決議によって、大体固定給六〇%、能率給四〇%くらいのところへできるだけ持っていけということになっておって、その直後は比較的そういう
方向に、あなた方の
指導の結果もあると思うのですよ、なってきた。ところが、ここ二、三年のうちにがたがたとそれがもとへ戻ってきて、いまものすごい、何というか、
事故発生が賃金面から起こってくるような賃金体系に今日なってきておる。この点がきわめて、私はこれは
日雇いの問題と賃金と、いま言った労働条件というか、勤務の問題ですね、この点を皆さんが率直に
調査をして、改善をはかる努力をしてくれなければ、これは
事故はとうてい直らない、こういうことに実は
考えられるものですから申し上げるのです。都内のある
タクシー会社が二千七百台くらい持っているのですが、これは大体大日本帝国といわれる大和、日交、国際、帝都ですね、これと匹敵するでしょう、二千七百といったら。おそらく
自動車局長どこら辺だか見当がつくと思うのですがね。ここの賃金体系はそれはひどいもので、本給は一万円しかないのです。
あと合計をしてまず二万七、八千円というのはほとんどが能率給的なもの、それは何かというと、乗務給、無
事故給、皆勤手当、それから生産手当、こういうふうになっておるわけです。こういう
関係で、この賃金体系がこんな大きな企業ですらやられておるわけですから、小さいところ
——私はきょう一々申し上げませんよ。しかし、ここでとられておるこの賃金体系は、大体一カ月の水揚げが十万円以下であれば二八%です。つまり二万八千円ですね。そこで、十万円以上になれば、十万円をこえた部分について折半方式をとっておるのです。つまり、十一万円水揚げをやれば、基本の二万八千円プラス、一万円超過しておるのだから、そのうちの半分五千円がプラスされて三万三千円、こういうことになるのです。そういう仕組みでどんどんとにかく
——おそらく標準は、一カ月の水揚げは大体十三車稼働だと思いますけれども、この間も言いましたが、ぎりぎりやっておるところは十五車稼働をやっておる。そうすると、月のうち二日あるいは一日しか休んでいない、こういうことになりますからね。したがって、大体公休だけ、普通の日曜だけ休むといった
意味の公休だけとったとすれば十三車と見なければならぬですから、そうするとまず一日一万円ずつ揚げて十三万円ですよ。それが十三万円になった場合には、十万円をこえる三万円について半分もらえるわけですから、一万五千円ついていくわけですね。これは
考えてみたら、まさに馬の鼻づらにニンジンをぶら下げた
やり方でしょう。その
一定限度を置いて、そこからこえたら半分くれるというのだから、これは魅力のあること間違いないですよ。固定給が低いのだから、それを一生懸命取らなければ女房子供を食わしていけないということになるから、しゃにむに水揚げをふやすという運転のしかたになってくるわけです。そこで、最近特にぼくもむしろ
タクシーを使う
機会が非常に多いものですから、ときどきあぶなくなって
会社の名前を聞いたり本人と話をしたりするのですが、これは二千七百台持っておるところですが、こういう賃金体系をとっておるわけですから、他は推して知るべしです。もう
一つの例をあげてもいいのですが、時間の都合もありますから、これは省略しますが、とにかく大体十三車動かせば一応標準的な賃金をもらえるというような賃金体系の
あり方というものについてもう少し
指導していく、それが必要じゃないか。そのために
会社が成り立たぬということになるならば、零細なそういう企業について、たとえば融資の方法を講ずるとか、いろいろ育成、助成の問題について、これは
運輸委員会としては当然そういうことを
考えてやらなければならぬ問題だ。それを
行政的にはそういうことはおっぽっておくために、結局
自分自身が、はやりことばで言えば、企業防衛せぬければならぬということから、
経営者も無理やりそういう賃金体系を押しつけてくる、こういうことになってくるわけです。そこら辺の問題は、当然これは
運輸省が管轄をして
指導していくべき筋のものだと思う。どうしてもそれがいかぬければ、
運輸委員会に特別
委員会をつくってやってもいいですよ。これはまあ
一つの話ですけれども、それくらいの熱意を持ってやらなければ、いくら
交通安全運動とスローガンだけ掲げて騒いでみたって、この問題は解決しないのじゃないか。ひとつ
大臣この点について、いま申し上げたようなことの中から
——先ほど
監査についても、多少は
公開の
請求があったらそれはひとつ見せる、そうしてその原因というものはどこにあるかということを十分世の中にも知ってもらう、
関係者にも知ってもらう、そうして周囲の協力体制をとるということでなければ、中で
内々よろしくやっておって、お前のところはあまりやっていると、これはいま突き上げるからその辺は少しかげんしろというようななまぬるい
やり方ではこれはだめですよという、その点を特に強く申し上げてそしてできれば
自動車局長、これはしかるべき時期にあなた方のほうで、いま申し上げたような賃金体系の問題、
日雇いの問題、あるいは労働時間の問題ですね、
休養施設等の労働条件等の問題について、大体いろいろ企業の差異はあるが、当時
神風タクシー以後にきめたいわゆる
運輸規則というものの精神はここだ、そこから
考えれば、サンプル的なものを
一つ示してそれをやれというのではなくして、そこを目標に
経営者側の
指導もし、これから
労働組合に対しても協力体制を求めるということをやらない限り、これは
事故防止はできない。そういう
意味で、
労働組合側に協力できない筋があるならば、これは私どもその点については皆さんに全面的に協力をいたします。問題はやる気があるかないかというところにあるんで、ぜひいま申し上げたようなことについて、まずこの際
ほんとうに
大臣が
交通安全運動ということについて
考えられて、何も安全運動だけではないのですが、たまたまこの
機会が安全運動なんですけれども、
人命尊重、
事故防止ということに特に
自動車行政を通して真剣に
考えられているとすれば、
大臣、ぜひいまのような点について、具体的にひとつ手を打つというか、
措置をとってもらいたい。この点についてひとつ
大臣、お帰りになってしまっては困るので、
答えていただいて、それからまた
伺います。