運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-05-26 第51回国会 参議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十六日(木曜日)    午前十時四十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 吉田忠三郎君     委 員                 井野 碩哉君                 木村 睦男君                 谷口 慶吉君                 中津井 真君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 相澤 重明君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 浅井  亨君                 岩間 正男君    国務大臣        運 輸 大 臣  中村 寅太君    政府委員        運輸省自動車局        長        坪井 為次君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    片岡  誠君        運輸省自動車局        業務部長     黒住 忠行君        労働省労政局労        働組合課長    北川 俊夫君        労働省労働基準        局監督課長    藤縄 正勝君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (道路交通に関する件)     —————————————
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。本日は道路交通に関する件について質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 木村美智男

    木村美智男君 現在たまたま交通安全運動が実施をされたという段階でありますので、最近幸いにして航空関係あるいは鉄道の関係ではこのところまあ事故も比較的——ほとんどないといったような状況で、喜ばしい状況だと思うのですが、特に陸上自動車関係が、トラック乗用車、これは両部面にわたってもちろん関係をしますが、比較的事故が、やはり死傷事故を含めていまだに相当頻発をしているというふうに見られる状況にあるわけであります。したがって、こうした人命尊重事故防止という観点からいいましても、当面しているこのトラックなり乗用車に対する対策というものはきわめて重要な問題ではないかと、こういうふうに考えられますので、きょうは、ハイヤータクシー関係を中心にして、運輸事情の改善という立場から、せっかく大臣もお見えになっておりますので、少し政府側考え方なり具体的な施策なりについてお伺いをしていきたいと思います。  で、この間、私も立ち会いまして、中村運輸大臣に、全国自動車交通労働組合連合会——全自交の代表から、当面の諸要求、いろいろこうしてもらいたい、ああしてもらいたいという要望が大臣にも伝達されたわけですが、これに対する自動車局長からの回答が出されました。で、私もこれをいろいろ読んでみまして、なかなか文章としては非常に、比較的誠意をもって書かれていると思うのですが、端的に申し上げて、少し上っすべりの考え、つまり、具体的な御事情について十分知られた中でこういったいわゆる回答を出されているのかどうかということについて多少疑問がありますので、少しこれらの点についてお伺いをしたいと思うのですが、まず第一番に、陸運行政の問題について、今日のこの自動車運送協議会構成なりあり方なりについてまずお伺いをしたい。  で、現在は、使用者側、あるいは公益委員側政府側と複数になっておるけれども、ちょっと労働者側委員については、これは利用者側という立場に入っているのですが、これはちょっと筋が通らないのではないか。この私の考え方は、決して、何か二つの意見が分かれるから常に過半数でなければならぬとかなんとかという、そういう考え方というものは一切抜きにしまして、ハイヤータクシー運転手そのものは、これは当然利用者側というよりは、いわゆる実際の実務に当たっている担当者ですから、そういう意味で、一般利用者とは別に、現実仕事に携わっている者の代表という立場でこの構成の中に考えられていくべき筋のものではないかと、こういうふうに考えるのですが、まずその点からお伺いをしたいと思います。
  4. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 自動車運送協議会構成の問題でございますが、これにつきましては、構成としては、事業者関係行政庁の職員、学識経験のある者、それから自動車運送事業者及び自動車運送事業を利用する者、つまり事業者利用者とそれから関係官庁あるいは学識経験、つまり第三者的な者、そういう三者構成になっているわけでございます。  それで、この協議会については、かねて、労働組合代表を加えて、そういった立場から十分意見を反映さすべきであるというような御意見もございまして、現在全国自動車運送協議会にはそういった方の代表を加えておるわけでございます。ただ、その選任をする場合に、どの範疇でこれを加えるかという問題については、いろいろ検討をしました結果、利用者代表ということで取り扱う、そういうことに本庁方針をきめたわけですが、これが適当であるかどうか厳格には、いろいろ問題はあると思いますけれども、われわれとして、これらの三者構成内容考えまして、そういう方針組合代表を加えてまいったわけでございます。
  5. 木村美智男

    木村美智男君 私はこの問題について単なる構成問題としてお伺いをしているわけではないのですが、少なくとも、自動車運送協議会というものが今日やらねばならない仕事あるいはその機関の持つ性格、こういうことからいろいろ検討をしていった場合に、いわゆる労働者側利用者だという考え方はどういうところから出てくるのか、これはどうしてもわからないので、本庁のほうできめたというこれは局長答えですが、その点について、いやこれはこういう理由で絶対正しいのだというなら、それはその理由を明らかにしてもらいたいし、やはり多少問題があるのだというならば、将来に向かってこれは検討してもらうという方向になるのですが、そこら辺についてどういうふうにお考えですか。
  6. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 法律構成である程度内容がきめられておりますので、このいずれの代表として扱うかというのは一つの問題でございますけれども、事業者代表ではない、また関係官庁範疇にも入らぬ、しからば学識経験者利用者かということになるわけでございますが、実際問題として学識経験者には従来からいろいろ学校の先生その他をお願いしておりますので、そういった意味利用者範疇でこれを迎え入れるということにきまった、こういうわけでございます。
  7. 木村美智男

    木村美智男君 内容の問題に少し触れて、私がなぜこういう問題を提起したかということについては、あとでそれでは私のほうでも、そうしてもらったほうがいいじゃないか、あるいはこうしてもらったほうがいいじゃないかという意見を述べることにして、とりあえず、この運送協議会の問題は一応保留をして、次の問題に進みます。  この回答の二番目に記された中で、道路運送あるいは神風タクシー行政監督を少し強化をされたいというところに問題があるのですが、この強化をされたいという意味は、要するに、かつて——三十三年ですか、神風タクシー問題が非常に世上をにぎわした時期に、私はそのとき、当事者では。ございませんでしたが、当委員会においてもいろいろとこの問題が議論をされて、そうして自動車事故防止に関する決議というものが行なわれたことは、これは自動車局長承知をしておりますか。
  8. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 三十三年の四月十八日、参議院の運輸委員会決議で、自動車事故防止に関する決議というものが出ておることは承知しております。
  9. 木村美智男

    木村美智男君 で、その決議に基づいて自動車運送事業法運輸規則改正されたことは、これは御存じですか。
  10. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) そのとおりでございます。
  11. 木村美智男

    木村美智男君 その改正の中でどういうことが改正をされたかという点について私から申し上げて、それに間違いがあるかどうかひとつお答えいただきたい。  運輸規則改正にあたって、大体その改正をした条項というものは、非常にああいう問題が発生している原因が、乗務員休養施設がこれは全くなっていないということから、この休養施設の整備という問題が一つ取り上げられた。それから無制限にノルマで追い回されているというようなところから、スピード違反も出るし、乗車拒否も出るといったようなことから、乗務距離について最高限度——おそらく三百六十五キロというものがこれに当たると思うんですが、そういう最高限乗務距離が設定された。それから、ノルマを設定して、そうして無理やり強制をするという、そのことは禁止をしなきゃいかぬということの趣旨が盛り込まれ、あるいは運行管理者資格要件といったようなものがきちっときめられて、そうして事業計画遂行に十分な数の運転者選任してやる義務がある、だれでもかれでも雇い入れてはいかぬのだということもきめられておると思います。  そこで、こういったようなことを一々あげますと非常に長くなりますから、そこでひとつ自動車局長伺いたいんですが、今日の大体ハイヤータクシーの中における日雇い、いわば臨時雇いというか、日々雇っていくという制度というかやり方が行なわれていることを自動車局長は御承知かどうか、これをひとつお伺いしたい。
  12. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) タクシー運転者不足のために、まあ本来は常用で、しかも一両当たり二・四人という人員を確保するということになっておりますけれども、現実問題としてなかなかそういった態勢がとれないということから、ある程度まあ日雇いの介入しているということは想像されるわけでございます。
  13. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 運輸規則の二十五条の六というのがございまして、運転者選任というのがございます。法律的には日雇い以外の運転手を常時十分な数のものを選任しておかなけりゃならないということでございまして、おおむね現在では運転手の点はだいぶ安定してきておりますので、おおむね日雇い以外のものでもって確保してまいっております。しかし、当時といたしましては、あるいはその後に非常に増車等がありました場合におきましては、常雇いの者のみで確保し得なかった事情がございまして、その点につきましては監査制度でもって十分監督いたしておりますので、最近におきましては相当減っているように考えております。
  14. 木村美智男

    木村美智男君 労働力不足を補うために二週間以内の期限を切って雇うということは、これはさっき言った自動車運送事業等運輸規則の中にも認められているところですから、私はそういう事情があってはならないと言ってるわけではないんです。問題は、この規定の中にも明確にあるように、少なくともさっきの運転者選任義務ということが経営者側に対して課せられているわけですから、それでは伺いますけれども、たとえばこういう常にそこに雇われて普通の企業の労働者という形で見られる者よりも、いわゆる日雇い的な者が半分以上もあっていいということがこの法律趣旨かどうかですね、この点はどういうふうにお考えですか。
  15. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) この省令の規定いたしております点は、日々雇い入れられる者、あるいは二カ月以内の期間を定めて使用される者、または試雇い——試み使用期間中の者でなく、それ以外の常用の者でもって一定の者を確保しておかなければならぬということでございます。その一定の数といいますのが、東京タクシーにおきましては一車両につきまして二・四人でございます。そういう常雇いの者をもって必要な運転手を確保しておかなければならないということでございまして、いま先生がおっしゃるように、半数の者が常用でなくて日々雇い入れるというふうなことであれば、この二十五条六に違反しているということでございます。
  16. 木村美智男

    木村美智男君 そういうようなところがありましたら、運輸省としてはどういう措置をとられるのですか。
  17. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) これは監査その他の機会にわかることでございますが、行政的には増車その他の場合におきましてそういう点を考慮する、あるいはきわめて悪い場合におきましては直接勧告その他の必要な処置をもって臨むということでございます。
  18. 木村美智男

    木村美智男君 具体的の例をあげてもいいのですが、その前にちょっと伺っておきますが、いま言われた監査という問題ですね。監査の結果は、一体いま私たちがたとえば一般的に知る方法があるのですか。
  19. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) これは役所内部行政的な措置でございますから、常に監査のたびことに個々会社についてどうであるかということは発表いたしておりませんけれども、監査をやりましたときの趨勢、特にこういう点が業界として悪いという点につきましては、協会を通じあるいはいろんな会議その他のチャンスにおきまして具体的に指摘をいたしまして注意をしているというようなことでございます。したがいまして、監査の場合に、個々に発表という形式でなくて、協会に対する指導を通じましていわば具体的にそれをあらわしているということでございます。
  20. 木村美智男

    木村美智男君 これは内部でとにかくまとめて、一応その結果については大体の方向を、あと必要によってはたとえば指導方針なら指導方針の上に乗せてやっているということについては、これはたいへんいいことだと思うのですが、この監査の結果というものは公表すべき性格のもののように思うのですがね。この点について、なぜそういうことを言うかというと、決してあなた方がただよろしくやっているとは申しませんけれども、実際問題としてこの監査の結果というものは表に出ないために、監査をせっかくやってもちっとも痛みを感じない、あるいは次から直しますという一片の経営者側答弁で、その答えによって大体了承をされているといったような傾向がたくさんあるので、私は監査というようなものは、それは経理内容とかそういうものは別にしてですよ。たとえば安全確保のためにいまの運行上どうなければならぬか、その労務管理実態がこうなっているというようなことは、ある程度公開請求した場合にはそれは一般——一般にといっても関係のない者はそんなこと言いっこないのですが、見せるような、公開請求に応ずるようなことに改める必要があると私は思うのですけれども、この点はどういうふうに考えられますか。この点については、またあと大臣から見解伺いたいと思います。  もう一つは、なぜそういうことをやるかというと、監査というものが、たとえばいまスピード違反をつかまえるにしても何にしても、公開取り締まりというものもありますけれども、いわゆる抜き打ちというものがあるのですよ、やり方としてはね。この監査というのは、いま運輸省のやられている監査は、少なくともいついつおまえのところへ大体その事情監査に行くからという予告があってやられているのでしょう。抜き打ちでやられているというなら、これはまた話は別になってきます。この点はどうですか。
  21. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 監査やり方につきましては、二色ございます。といいますのは、一つ前ぶれに、相当前からというものではなくして、そのときに責任者がいないというふうなことになりますというと、的確に説明等が得られないような場合がございますので、一、二日前に予告する場合と、それから問題等が起きておりました場合におきましては抜き打ち監査というふうなことでございまして、なるべくこの前ぶれに、いろいろな統計あるいは帳簿等を訂正するというふうなことがないように、しかし必要な資料その他を調査する必要がございますから、そういう面のやり方をやっている。それから、抜き打ちでやります場合におきましても、当然でございます。
  22. 木村美智男

    木村美智男君 抜き打ち監査をやったの何回くらいありますか。
  23. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) これはハイヤ・タクシー監査につきましては、陸運局に一応まかしております。で、そのときの重点事項その他につきましては、本省といたしましても指導はしておりますけれども、具体的の回数であるとか場所等につきましては、各局局長の判断に応じましてまかしておるのでございまして、いま何回という的確な資料は持ち合わしておりません。
  24. 木村美智男

    木村美智男君 あなたいま答えたけれどもね。自動車局長、あなたほんとう抜き打ち監査やっておると自分で把握をして答えているのですか。陸運局長にそれは権限としてまかしてあるとかなんとか、それはあなたの言いのがれで、あなた自身が現実にいまの自分行政の上で抜き打ち検査指導方針としてやらしているならやっていると言えばいいし、知らなければ知らぬと言えばいいのですよ。それは権限として陸運局長にまかしてあるのだというのじゃ、答弁にならぬのですよ。私は少なくとも、いまのこの監査というやつは、抜き打ち監査なんかやっていませんよ。そういうふうに現状を把握しているから、そうおっしゃられるなら何回くらいやっておるか明らかにしろと言ったら、陸運局長にまかしてあるからいま知らぬと、こういうことですけれども、やっていないはずなんです、これは抜き打ち監査については。だから私は先ほど、監査の結果というものについては、少なくとも公開請求があればそれに応ずるというくらいのことをしない限り、内々でもって監査をして、内々でよろしくやっておって、それではほんとうのこれは自動車行政指導というものができっこないのじゃないかという意味で申し上げたんですよ。だから、もしあなたのほうがそんな抜き打ちのことについてちゃんとやっているということを把握しているというなら、それはどのくらい、いつ、どういうところで、どういうふうにやったか。その実態は、請求があったものが何件あって、自動車局あるいは陸運事務所が自発的に抜き打ち検査をぴしっとやったのが何回、こういうことをこの次の機会に出してもらえますか。
  25. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 監査やり方といたしましては、法規に反しているようなまずい点を指摘している場合と、それから事業あり方につきまして指導的な監査をやる場合とございます。指導的な監査をやります場合におきましては、やはりスケジュール的に前もって予告いたしまして監査をやっているわけでございます。それからいろいろ問題が起きましたときにやります場合におきましては、抜き打ちというふうなこともあり得るわけでございまして、私が地方の局長をやっておりました場合におきましては、抜き打ち的にやった経験がございますので、抜き打ち検査もあり得るということを申し上げたわけでございます。それで、いま件数につきましては、これは各局のことでございますので、具体的には把握していないということでございまして、そういうふうな面から申し上げたわけでございます。
  26. 木村美智男

    木村美智男君 このことで議論しようとは思っておりませんから、抜き打ち検査をやったことについて、その抜き打ち検査やり方が、自主的に陸運事務所がやった、あるいは問題について提起をされて、そのための抜き打ちをやったということを種類別に分けて、そうしてこういうことをことし一月から何回やっているか、それをひとつ次の機会資料を提出してもらいたい。委員長いいですか。
  27. 江藤智

    委員長江藤智君) 自動車局のほうはいいですか。
  28. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 最近におきましては、指導的な監査が多いようでございまして、各局事情によって違うかと思いますが、極力各局で調べまして、調査いたしたいと思っております。
  29. 江藤智

    委員長江藤智君) 私から申し上げますが、いずれにしても各局からその実績をとって、ひとつ資料として出してください。
  30. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) はい。
  31. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、日雇いの問題について触れますが、一応ある程度会社側——日雇いを雇うということについて、たとえばいま自動車運転手何とか組合というような、そういうものが労働協約をそれぞれの経営者との間に結んで、そうして労働省から認可をもらってやっている点については、私は弊害がそう多いというふうには考えられないので、むしろやみの日雇いといいますか、そういう事態について、先ほど自動車局長見解でも、もし日雇い半数をこえるというようなことであれば、もちろんこれは一社二・四人などという人員が確保されていないわけですが、そういう事柄について多少これは具体例をあげて申し上げようと思うのですが、何か問題が提起されなければあなた方は監査をしないみたいな答え方をされているので、もう少しその熱意を持ってやってもらいたいという立場から申し上げるのですけれども、最近は少ないところでも日雇いというのは、たとえば東京の大手四社あたりでも二割近い日雇いが入っておるのですが、それで最高七割くらいが日雇い、三割は本務というはなはだしいところがある。こういう実態をどういうふうに自動車局のほうでつかんでおるかどうかわかりませんけれども、あなたのほうで指定されるなら具体的な例をあげますけれども、ある会社は、タクシーが七十一台、駅待ちが二台、合計七十三台のタクシーを持っておって、ここは当然乗務員が百八十名必要なわけです。二・四人という考え方に立って考えてみましても、大体百八十人くらい必要なんですが、その中で本採用になっているものは六十八名、三分の一をちょっと八名こえたくらいです。こういう実態が現にあるわけです。これは当然陸運局にも、また基準監督署にも、私は写しを持っておりますが、申告書というものが出されている。この点について、陸運事務所自動車局では御存じですか。
  32. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 会社によりまして非常に日雇い運転手をたくさん雇っているというふうな御指摘がございましたが、これは逐次よくなっているというふうに思っております。タクシー業者が非常にたくさんございますので、その中にはきわめて悪いものがあるというふうな御指摘がございましたが、これは存じております。
  33. 木村美智男

    木村美智男君 自動車局長答えてくれませんか。あなたこれは責任者なんだから、自動車局長答えてもらわないとだめなんだ。いまの申告書の問題について自動車局長は知っておられるかどうかということを聞いているわけなんです。
  34. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 知っております。
  35. 木村美智男

    木村美智男君 局長知っておられるというので、どういう内容であがってきておって、自動車局としては、これに対して、これはよろしいと思っておるのか、うまくないと思っておるのか、あるいはほかに何か考えておられるのか、その方針もちょっとお伺いしたい。
  36. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) まあ法令に照らして考慮しなければならぬ点がありますが、その実態についてなお調査した上でないと、ただ申告だけでは直ちにどうこうということはできないと思います。
  37. 木村美智男

    木村美智男君 なるほど、それはこの場の問題としては、そういう答え局長できますよ。しかし、この申告が出されたのはもうずっと前の話ですから、だからいまごろそんなとぼけたようなことを言っておられちゃ困る。  それは、大臣、こういういまのやりとりを聞いていてもわかると思うのですが、大体日雇い問題一つ取り上げても、一つ会社に三分の二も日雇いがおって、そうして不安定なそういうタクシー業界というものがいまざらにあるのですよ。ざらにというよりは、そのほうが多いのですよ。そういう事態は、一体大臣自動車行政としてはどうお考えになりますか。
  38. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) そういう状態は、私は好ましい姿ではないと思います。
  39. 木村美智男

    木村美智男君 そういう状態が思わしくないということならば、もっと時間的にも、こういう申告書が出てきたら、いま局長が言われたように、それは申告は受けておりましたけれども、中身をよく知らないで——中身を知らなければ、さっき言った監査をどうしてどんどんやらないのですか。それが、先ほど私が言ったように、あなた方は抜き打ち監査ということについて考えてもいないような状態だから、そういう結果になるのですよ。そういう申告書が出たら、まず労使の問題を離れて、あるいはどちら側という問題を離れて、自動車局は自主的な立場で一応監査して、その上で労働組合なり労働者側に悪いことがあればどんどん指摘もするし、経営者に悪いことがあれば指導方針として経営者側を集めてものを言うというやり方をやるというのが運輸行政じゃないですか。そういうことを全然やらないでおっぽっておいて、それで監査はやっております——自分が当時管理課長であったので、あなたは自分がやった経験からいって、五年も八年も前の話をここでされたっていけません。これは私が申し上げているのは、神風タクシーのあのときに、運輸省も参議院の決議に従って、新しく業界も、あるいは労務管理の問題も、全部軌道に乗っけてこようという土台をつくったわけでしょう。そうすると、あなた方の先輩もそれに努力されて一応よくなってきた。よくなってきたのだけれども、最近、特にこれはいま日雇い問題だけを言っておるから、何か日雇いばかりのように思っておりますが、一番大事な交通の安全を守るべく、いまから事故件数でも何でも全部参考にあげていいですよ。賃金の形態から、いまの勤務状態から、それから事故発生の状況から、そういうものが、だんだんあのときに敷いたあの運輸委員会決議の線から逆に後退をしてきているから、監督官庁である運輸省が十分しっかりしてもらわなければ困りますよという意味で、いままでもそれはある程度やってはきているのだろうが、この際特段の注意を配って、積極的にこれに乗り出してもらわぬと、口では何ぼ人命尊重を言っても、事故防止運動だのと言っても、そういう事故の起こるような原因をわざわざ——わざわざというわけではないが、できているのを、これを根絶することを考えないで——これをなくすようにつとめるのが監督官庁としての運輸省の私は責任だと思うのですよ。それがやられてないから、どうなんだと、やられでなければやられてないで、気のついた点があるかもしれないから、率直に言ってもらえばいいんだが、監査はちゃんとやっておる、抜き打ち監査だって場合によっちゃやっておると言うから、そんならこういう申告書が具体的に出ておるのに、これについて抜き打ち監査をやったかと言えば、日が相当たっておるのですよ、まだ監査は全然やっていない。現場の監査の結果を見なければ局長は何とも言えないという立場だと思うのだ。それならそれでいいのです。まだやってないから、それは早急にそういうことについてはやるというふうに誠意を示してくれさえすれば、私は何もおこりはせぬのだ。あなたらの大体答え方が、当初に言ったように、この文章はきわめて文章としては作文はうまくできておりますよ。だけれども、ほんとう実態をつかんで、あなた方が誠意をもって事故防止を積極的に指導していくという気がまえが見えてないので、いま聞いておるのですよ。
  40. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) その申告書については、陸運局で当然調査をしなければなりませんし、現にやっておるはずでございます。調査の結果、さらに必要があれば現地の監査をして十分調べるという、これは非常に重要な問題でありますから、当然陸運局としては放置できない問題だと思っております。
  41. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連ですから簡単にやりますが、非常に重要な問題だと思うのですね。それで、これは自動車運送事業等運輸規則ですね。これをあなたは守る気があるのですか。あるとすれば、当然これに違反したものを第一に調査したり監査しないでどうして守ることができますか、どうなんですか。念のためにこれをはっきりさしてもらいたい。どういうことがきまっておるのですか。「旅客自動車運送事業者は、事業計画の遂行に十分な数の事業用自動車の運転者を常時選任しておかなければならない。」——常時選任しておかねばならない、そうでしょう。それから第二項には、「前項の運転者は、日日雇い入れられる者、二月以内の期間を定めて使用される者又は試の使用期間中の者であってはならない。」、ところが、木村さんが数々あげられたように、ひどいのは、あるAの例——これは名前出しませんけれども、本採用は四人しかない、日雇いが八十人、一番これは極端な例ですが、それからBの例を見ますと、本採用六人、日雇いが六十人、三十六台持って。それからあるCの例を見ますと、本採用が七十人、日雇いが百人、こういうのが二、三あげた例だけで極端のやつが出てきておるでしょう。これは神風のときに非常に大きな問題になったでしょう。固定給の問題とあわせて大きな問題になったのは、これはやはり常に常用しておく、そうしてちゃんと身分を保障する。そのことなしには神風の大衆に対する被害というものを守り切れない。あなたちゃんとそういうことを書いておるじゃありませんか。三十三年のときに書いておる。それなのに全然守ってない。最近の態勢というものは、全くひっくり返っておる。もっとひどい例があるのですが、これも名前をここに特にあげませんけれども、本採用の人間に対して、絶えず日雇いになるようにすすめているのを、これは御存じありませんですか。本採用ではぐあいが悪いから日雇いになって、そうするためにはちゃんと届けを出さなければならない。届けを印刷でちゃんと刷っておる。いまここに持ってきておりませんけれども、必要ならあなたにお目にかけますが、それが常道になっておる。そうすると、私たち委員会で三十三年にあれだけ努力をして、とにかく世の中であれだけ騒いで、そうしてこれを根絶するための一番重要な問題として労働条件が問題になったでしょう。そういう結果、これらがこういうふうにやられております。ところが、どんどん進めておる。これは何だかというと、組合員に団結することをこれはやめさせるためなんだ、組合をこわすためなんだ、ねらいは。こういう実態御存じですか。これは明らかに労働法違反です。団結権というものを全く下からこわしていって、そして全くばらばらにしてしまう、そして臨時に持っていく、こういうことになっているんですから、私は非常にこれは重大な問題について木村委員は質問されたと、こう思うんですね。したがって、いまのような事態をあなたは知っているのか知らないのか、知らないとすれば急速にこれを調査するのか、そうしてこれはやっぱり実態を明らかにするのか、そしてその結果をここにはっきり報告する少なくとも義務を持っているんだ。これは運輸大臣もあわせてこれに対してあなたの決意のほどを、まあいろいろ聞きたいことはあるけれども、私は関連で、木村さんのあとにやることになっていますからやりますけれども、とにかく日雇いの問題というのは一つのいまのタクシーの営業のこれは体質改善に関する問題ですね。この体質を改善することなしに絶対に事故というのを防止することはできない。この一つくさびを入れただけでも、たいへんな問題になるんですよ。いままでの答弁では全然わけわからないんですね。全然これは五里霧中だ。陸運局にまかしてあるといったって、あなた陸運局指導してないじゃないか。陸運局からちゃんと集めてごらんなさい、全然やってない、なれ合いになっているんだ。ここのところをはっきり答弁してください。大臣からも決意を聞きたい。
  42. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 常用運転手タクシー事業構成されなければならないということは非常に基本的な問題でございますので、陸運局でも常にこの点については十分留意しているところでありますが、現実にどういった実態になっているのかということは増車その他の場合にもいろいろ資料をとっているのでございますけれども、なかなか正確な実態というものは把握が困難であるのが実情でございます。まあそういった申告なり何なりがあれば当然に調査を開始しなきゃならないし、また必要があれば監査しなければならない、そういうように思うんです。
  43. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま実情を把握されていない、しかもとっているけれども実態がわからない、ここに盲点があるわけでしょう。だから、いま抜き打ち監査の問題、これを木村さん出されているんです。これをどんどんやったらどうです。そして少なくともひどい例を一つ押えれば、それは単に一つの問題じゃなくて、それは全部影響を与えるんですからね。そのようなものが政治的指導でしょう。この点をやっぱりはっきりされることですね。これは大臣の決意もあわせて伺いたいんです。これについてどうですか、これほったらかしておいたらだめですよ。
  44. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 自動車事業実態は、ただいま岩間委員あるいは木村委員から聞きまして、いろいろ複雑な問題をはらんでいるようでありますが、私もきわめて不勉強でその実態をまだ把握いたしておりません。日雇いに正規の運転手をかえさしていくとか、いろいろそういうことがあり得るとは私は考えておりませんけれども、しかし御指摘のような点があるとするならば、それはきわめて好ましい姿でございませんので、実態をよく速急にひとつ全面的に調査検討いたしまして、そうして正常な自動車行政というものが行なわれるようにひとつやっていきたいと考えておる次第であります。
  45. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連。大臣時間がないようですから一つお聞きしたいんですけれども、いまお聞きするとだいぶ問題がたくさんあるようです。そこで、これからの問題なんですが、いろいろ問題があって実態を把握しなければということだけれども、実態はある程度把握されているわけでしょう。把握されておってもなかなが手がつけがたいのが実情じゃないか。大臣もいまはしなくも御答弁になりましたが、まあよくわからなかったというお話だった。で、よくわからないで、わかったころは大臣がかわっちまうというのでは、あとあとどうもうまくいかないんじゃないかという気がするんです。そこで、個人タクシーの問題ですが、個人タクシーというのがありますが、まあ話によると、個人タクシーのほうはあまり運輸省は歓迎していない。従来の業者、大きな会社等の圧迫等もあってどうもはかばかしくないというふうなうわさも聞いておるわけなんですけれども、もし在来のようなシステムがうまくないというようなことであるならば、個人タクシーを奨励をするということもこれは考えられると思うのです。それぞれ一長一短あるかと思いますけれども、やはりこれは情実にとらわれるのではなくて、公平に見てどちらがいいのか。で、よければいいほうをやはり今後のシステムとして指導をしていくという面で考えていいことじゃないかと思うのですけれども、大臣としてはどのように御理解になっておられるか、その点をひとつお聞きしたいと思うのですが。
  46. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) タクシー業の実態は、最近人手不足等の、労働力不足等の状態から、非常に優良な運転手が得にくいという事情等もあると考えますが、このタクシー業の実情の中で、最近新しい制度として、御指摘があったように、個人タクシー制度というものが生まれてきたわけでございますが、大体において私は個人タクシーの評判というものは悪くない。しかし、最近個人タクシーの間にもいろいろ問題があるようでございます。これはやはり行政指導で間違いのないような方向指導していきながら、やはり長年会社等につとめて、妻子があって、そうして事故等もちっともやらない、模範的な運転手で、しかも個人タクシーをやりたいという人には、できるだけそういう希望を達成さしていくという方向が私は好ましいと思っております。ただ、そういうことでございますので、一がいに全面的に個人タクシーに切りかえていくというようなことは、これはできないと思いますけれども、個々の優秀な運転手で年をとって個人タクシーをやりたいというような方たちには、できるだけその希望にこたえるような方向で持っていきたいと、かように考えております。
  47. 木村美智男

    木村美智男君 大臣ね、非常に私は好感を持って、あなたの答弁はいいと思うのですよ。あまりよく実態は知らない。知らなければ知らぬで、大臣りっぱですよ、その答弁でね。そういうことで私はいってもらいたいと思うんですね。そうして、ほんとうに知らなければ、まあいろいろ内容も聞かれるわけですから、そういう立場から率直にこれから自分でこうするのがやっぱり正しいと思うことをひとつ行政指導の中へ大臣生かしていただくように、これはまあ大臣にお願いしておきます。  そこで、せっかくですからちょっと大臣時間をさいてもらいたいと思うのですが、いま交通安全運動をやっているこの時期に、実は先ほど申し上げたことでは、まだまだ交通安全、人命尊重という立場からいうと不十分なので、実はさっき申し上げた保有台数七十三台、この会社の件数を見てみたんですが、去年一年間に七十三台の自動車を持っているところの事故件数が何と二百九十二件にのぼっているのです。七十三台で三百六十五日のうちに二百九十二件の事故を起こしている。これは一体どこからこういう事故が起こってくるのかということをいろいろ調べてみましたら、実は本採用者がこの中で起こした事故は三十一件なんです、本採用では。それで、さっき言った試みに雇っているというこの関係については、これはいまから本採用してもらえるかどうかのテスト中ですからね、やっぱりそういう心がまえがこの数字にあらわれていると思うのですが、これは十三件なんです。あとの大部分の二百二十八件というのは、これはこの日払い専属のいわゆる日雇い運転手が起こしている事故なんです。こういうことを見ましてね、二百九十二件という事故が実際問題としてその日雇いというところにあるから、こういう問題を積極的に解決していかないとなかなか事故防止はできませんよということを先ほどから申し上げているわけですよ。じゃこういうこの会社が一体、自動車運輸規則にきめられておる、大体夜中の二時になったら一たん車庫へ帰ってこいというのがこれは原則でしょう。この夜中の二時にどういうふうに帰ってきているかということを一週間ばかり調査をしてみた。この調査の結果、大体夜中の三時から四時ごろにかけて仮眠をしていた者が——七十三台持っているんですから、さっき言ったように、大体運転手全体で二百名前後になるわけですが、その中で一晩に泊まる人間がどのくらいおるかというと、第一日に十二人寝ているのが、二日目が十九人、三日目が十九人、次は少し多くなって二十七人、十四人、二十三人、十七人。平均して、大体二時から六時までの間車庫へ帰ってそして寝ているというのは十九人平均なんです。という意味は、これはやっぱりどうもあまり睡眠をとっていないという一つの証拠になるわけですね。これはやっぱり人間寝不足のときには通常の状態のときよりも事故を起こしやすいということは、これからも言えます。で、なぜここへ戻ってこないかということについては、その晩泊まりになる八十名からの運転手の全員が休めるような設備というものはないということが一つですね。それから、休みたくても、実際にノルマの三百六十五キロにはるかまだ余地があるし、ノルマの金額そのものがたとえば十三万円なら十三万円というところにいかなければ自分の手当が減っていくわけですから、それをかせぐためには寝ているひまがないということになるわけです。そういう意味で、夜中あっちへ行ってちょっととめておく、あるいは車の中で仮眠をしておっては多少でも拾っておる、そういう関係になっているわけですね。こういう事情を、実はほんとうにこの点を調査をして、そして具体的な例をやっぱり幾つか、抽出調査でも何でもいいのですよ、やって、その結果出てきた一つのものを基準にして、やはりこの経富者全体を集めて、こういうあり方というものはこれは直さなければいかぬじゃないかという指導が私はどうしても必要じゃないか。で、この点について、これはどうしても運輸省では、いわばくつの外からかゆいのをかいているような状態で、ちょっとこういう話として即座によろしいとも返事もできないというなら、できれば陸運事務所のほうもこれはやっぱり適当な機会に開いてもらって、そしてあなた方はやっぱりあなた方なりの自主的な立場からの資料を持って、そして陸運事務所指導をするということをやってもらわなければ、これはいつまでたっても事故は直らぬと思う。  もう一つの問題は賃金の問題でありますが、さっき言ったように、例の神風タクシーのときの決議によって、大体固定給六〇%、能率給四〇%くらいのところへできるだけ持っていけということになっておって、その直後は比較的そういう方向に、あなた方の指導の結果もあると思うのですよ、なってきた。ところが、ここ二、三年のうちにがたがたとそれがもとへ戻ってきて、いまものすごい、何というか、事故発生が賃金面から起こってくるような賃金体系に今日なってきておる。この点がきわめて、私はこれは日雇いの問題と賃金と、いま言った労働条件というか、勤務の問題ですね、この点を皆さんが率直に調査をして、改善をはかる努力をしてくれなければ、これは事故はとうてい直らない、こういうことに実は考えられるものですから申し上げるのです。都内のあるタクシー会社が二千七百台くらい持っているのですが、これは大体大日本帝国といわれる大和、日交、国際、帝都ですね、これと匹敵するでしょう、二千七百といったら。おそらく自動車局長どこら辺だか見当がつくと思うのですがね。ここの賃金体系はそれはひどいもので、本給は一万円しかないのです。あと合計をしてまず二万七、八千円というのはほとんどが能率給的なもの、それは何かというと、乗務給、無事故給、皆勤手当、それから生産手当、こういうふうになっておるわけです。こういう関係で、この賃金体系がこんな大きな企業ですらやられておるわけですから、小さいところ——私はきょう一々申し上げませんよ。しかし、ここでとられておるこの賃金体系は、大体一カ月の水揚げが十万円以下であれば二八%です。つまり二万八千円ですね。そこで、十万円以上になれば、十万円をこえた部分について折半方式をとっておるのです。つまり、十一万円水揚げをやれば、基本の二万八千円プラス、一万円超過しておるのだから、そのうちの半分五千円がプラスされて三万三千円、こういうことになるのです。そういう仕組みでどんどんとにかく——おそらく標準は、一カ月の水揚げは大体十三車稼働だと思いますけれども、この間も言いましたが、ぎりぎりやっておるところは十五車稼働をやっておる。そうすると、月のうち二日あるいは一日しか休んでいない、こういうことになりますからね。したがって、大体公休だけ、普通の日曜だけ休むといった意味の公休だけとったとすれば十三車と見なければならぬですから、そうするとまず一日一万円ずつ揚げて十三万円ですよ。それが十三万円になった場合には、十万円をこえる三万円について半分もらえるわけですから、一万五千円ついていくわけですね。これは考えてみたら、まさに馬の鼻づらにニンジンをぶら下げたやり方でしょう。その一定限度を置いて、そこからこえたら半分くれるというのだから、これは魅力のあること間違いないですよ。固定給が低いのだから、それを一生懸命取らなければ女房子供を食わしていけないということになるから、しゃにむに水揚げをふやすという運転のしかたになってくるわけです。そこで、最近特にぼくもむしろタクシーを使う機会が非常に多いものですから、ときどきあぶなくなって会社の名前を聞いたり本人と話をしたりするのですが、これは二千七百台持っておるところですが、こういう賃金体系をとっておるわけですから、他は推して知るべしです。もう一つの例をあげてもいいのですが、時間の都合もありますから、これは省略しますが、とにかく大体十三車動かせば一応標準的な賃金をもらえるというような賃金体系のあり方というものについてもう少し指導していく、それが必要じゃないか。そのために会社が成り立たぬということになるならば、零細なそういう企業について、たとえば融資の方法を講ずるとか、いろいろ育成、助成の問題について、これは運輸委員会としては当然そういうことを考えてやらなければならぬ問題だ。それを行政的にはそういうことはおっぽっておくために、結局自分自身が、はやりことばで言えば、企業防衛せぬければならぬということから、経営者も無理やりそういう賃金体系を押しつけてくる、こういうことになってくるわけです。そこら辺の問題は、当然これは運輸省が管轄をして指導していくべき筋のものだと思う。どうしてもそれがいかぬければ、運輸委員会に特別委員会をつくってやってもいいですよ。これはまあ一つの話ですけれども、それくらいの熱意を持ってやらなければ、いくら交通安全運動とスローガンだけ掲げて騒いでみたって、この問題は解決しないのじゃないか。ひとつ大臣この点について、いま申し上げたようなことの中から——先ほど監査についても、多少は公開請求があったらそれはひとつ見せる、そうしてその原因というものはどこにあるかということを十分世の中にも知ってもらう、関係者にも知ってもらう、そうして周囲の協力体制をとるということでなければ、中で内々よろしくやっておって、お前のところはあまりやっていると、これはいま突き上げるからその辺は少しかげんしろというようななまぬるいやり方ではこれはだめですよという、その点を特に強く申し上げてそしてできれば自動車局長、これはしかるべき時期にあなた方のほうで、いま申し上げたような賃金体系の問題、日雇いの問題、あるいは労働時間の問題ですね、休養施設等の労働条件等の問題について、大体いろいろ企業の差異はあるが、当時神風タクシー以後にきめたいわゆる運輸規則というものの精神はここだ、そこから考えれば、サンプル的なものを一つ示してそれをやれというのではなくして、そこを目標に経営者側指導もし、これから労働組合に対しても協力体制を求めるということをやらない限り、これは事故防止はできない。そういう意味で、労働組合側に協力できない筋があるならば、これは私どもその点については皆さんに全面的に協力をいたします。問題はやる気があるかないかというところにあるんで、ぜひいま申し上げたようなことについて、まずこの際ほんとう大臣交通安全運動ということについて考えられて、何も安全運動だけではないのですが、たまたまこの機会が安全運動なんですけれども、人命尊重事故防止ということに特に自動車行政を通して真剣に考えられているとすれば、大臣、ぜひいまのような点について、具体的にひとつ手を打つというか、措置をとってもらいたい。この点についてひとつ大臣、お帰りになってしまっては困るので、答えていただいて、それからまた伺います。
  48. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、自動車事故というものが非常に最近ふえてまいりまして、内閣でもこれは重大問題として取り上げておりますので、運輸行政の中では、特にタクシーというものの経営状態、それから勤務状態、給与体系、その他タクシー業の実態をやはりこの辺で本格的に検討してみる時期であるということをかねてから考えておるのでございますが、同時に役所がやっております仕事にもこの辺でひとけじめをつけて、本腰を入れて本来の仕事と取り組んでいく必要がある。先ほど監査等の問題が起こっておりますが、これは私はやはり役所は役所なりにやっておるとは思いますけれども、役所の人手も少ないし、事業量がふえてくるというような実態等々考えまして、それはやはりときどき新しい気持ちで激励する必要があると思うので、近く私は陸運事務所会議も開きまして、そうして体制を整えて推進すると同時に、給与体系等も検討を加えまして、事業者等も集めて、事業者、それから政府、役所が一体になってタクシー業の正常な姿をつくり出して、事故を絶滅していくという方向に進めてまいりたい。これはかねてから政府の事故対策の一環として運輸大臣として考えておったことでございます。きょう木村委員あるいは岩間委員等の御意見等もございますので、早急にそういう方向行政を進めてまいりたい、かように考えております。
  49. 木村美智男

    木村美智男君 いま大倉委員が大臣と言われて、中断しますが、大臣いま答えられたことを、この大臣考え方を原則的に私は了解をしたいと思うのです。ぜひその筋で運輸省当局のほうもこの際ひとつほんとうに、何というか、いまの後退しつつあるこのハイヤータクシー関係を、もっと労使の関係もそういう形を通して円滑化し、事故も防止をするという、そういう筋に向けて一つの強い指導方針をひとつ運輸省としても具体的に立てていただくように、この際要望いたしておきます。  それで、そういう点から自動車運送協議会関係等についてもこれは私は持ち出すべき性質のものではあるが、やはりそういう場所にいろいろの問題が提起されないところに問題があるので、運営ができなくなるようなことを決して考えておるわけではありませんから、あの構成の問題についてもひとつ検討をしていただくということを、これは要望をいたしておきます。  大臣のおられる間に質問したい方がありますから、私のほうは一たんこれで質問を切っておきます。
  50. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  51. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記を起こして。
  52. 大倉精一

    ○大倉精一君 大臣お急ぎのようですから、簡単にお尋ねしたいと思うのですけれども、交通施設問題についてはいろいろこういう計画があるようですけれども、何といっても交通事故というもの、交通というものは人間が行なうものですから、人手によってやるものですから、人間の問題を解決しないというと、どんなにこういう構想を練ってもだめだと思うのです。木村君からも指摘があったと思うのです。そこで、対策本部なり、本部というものはいろいろ設けられておりますけれども、一体どういう活動をしているのか、実は私は疑問に思うわけです。たとえばこの一宮のタンクローリー問題でも、あの原因というのはきわめて簡単ですよ。これは運転手がトンボ返り運転やって、何といいますか、ねむけがさしてああいう事故が起こったのです。あのときも問題になったですけれども、その後労働省あるいは警察等々の関係省庁との間に、この路面交通労働者の労働条件なりあるいはそういう実情などというものについての対策の協議はどういうぐあいに進めておられるか、これを一ぺん聞きたいと思う。
  53. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 交通の安全につきましては、政府としましても非常に重大な案件として本腰でとにかく取り組んでおりますが、総理みずから先頭に立って、全国の各関係業者を網羅した協議会等も持ちまして、そうしてその中にいわゆるそれぞれの立場に立っておる人たちの具体的な意見あるいは被害者等の意見を重視いたしまして、そうして事故をなくしていくという方向に鋭意努力をいたしておる次第でございます。
  54. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは業者の行政監察というのは一体どの程度やっておるのですか。大臣どういうぐあいにお考えになっているのか。たとえばトラックにしろ、あるいはタクシーにしても、名前言いませんけれども、あるところでは修理道具さえ持っていないというダンプカー業者を知っておりますよ。買いたいと言っても主人が買わない、あるいはタクシーでも寝るところさえもない、あるいは修理場を持っていないというところもあるのですね。そういう現場の認識について、どういう指導をなさるのですか、これから。どうでしょう大臣
  55. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 大倉委員の質問の、御指摘なさいましたようなことは、さっきから木村委員の質問なさったことでございます。私は、タクシーあるいはトラック事業等の実態は、陸運局としてはできるだけの実情をつかみ、行政指導もしておると思いますが、事業量等もふえてまいりまして手薄等の関係もありまして、これは完ぺきであると考えません。そこで結局、やはり気を新たにして監査等を一斉にやるというようないろいろな方法を考えまして、そうして実態をつかみ、さらに自動車事業の運営の内容、たとえば給与体系とか、勤務状態とか、あるいは賃金の問題等タクシー全体の問題として検討を加え、そうして事故のなくなる方向に、安全運行方向に力強い行政指導を進めてまいりたい。そのためには、陸運局局長会議でも開いて、さらに経営者をも集めて、いろいろ力強い指導をいたしてまいりたい。そういうように事業者と役所が一体になって交通の安全体制を強化する方向に進めてまいりたいということを、木村委員の質問に答えたところであります。
  56. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  57. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。  これにて休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時四十一分開会
  58. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。
  59. 木村美智男

    木村美智男君 午前中の質疑の中で、当面しているハイヤータクシーの問題が、非常に実情として、当委員会がかつて小委員会を持って相当の熱意をもってきめたことが具体的に守られてないという意味で、その実情に対して、多少私どももどうも問題が多過ぎるという立場で、問題の指摘に重点が置かれたかっこうに実はなっているものですから、皆さんのほうの受け取り方、必ずしもなめらかに受け取れたかどうかという気持ちもありますので、少し問題を整理をして、締めくくり的に、だんだん皆さんのほうに重点の置きどころをどこへ置いてやってもらうかということの注文を、私のほうで一般的に申し上げていくことのほうがよろしいかと思うので、そういう立場からさらに午前に引き続いて質問をいたしたいと思いますが、大臣が、先ほども私気持ちを申し上げたように、ほんとうにそういう方針でやられるということになれば、あとは具体的にどう手を打つかということだけになるものですから、そういうことを踏まえて申し上げるわけですが、まず第一番に、日雇いの問題について、いわゆる臨時職員の採用とその稼働の実態について、ぜひ私は、抜き打ちということばは悪いけれども、実態をそのまま見るという意味で、運輸省が自主的に監査を予告をせずに、そのかわり予告がなかったんだから書類の不備や何かというようなことについてそう文句を言うということはいかぬと思うのです。いわゆる指導という立場から立って、とにかく予告なしのひとつ監査をやってみる気持ちがないかということなんです。これが一つ。この点はいかがですか。
  60. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 午前中の答弁で若干ことばが足らなかったことかと思うわけでございますが、私たちも従来地方の責任者の場合におきましては御指摘のような点を実行してまいったつもりでございますし、またいま先生の御指摘のような点につきましては、御趣旨に従いまして今後やりたいと思っております。
  61. 木村美智男

    木村美智男君 そういう方向でやってみようということですから、一定期間、また委員会が開かれる時期に、その結果について二つでも三つでもいいですが、ひとつ資料をもって御報告をいただくように、これはそういうことで、日雇い問題について内容はもう申し上げてあるわけですから、私そういう趣旨でぜひやってもらいたい。  それで、先ほど申告書の問題に触れましたが、いろいろ社の関係も含めてどうかという気持ちがありましたんで、抽象論になっていますが、実はこれは京急東亜タクシーなんです。これはどうせ申告書が出ておるのですから、公のことですから明らかにいたしますが、この中で、これはまあ江東区の清澄町にあるタクシー会社ですけれども、申告事項は何かというと、   一つは労働条件の決定の問題で、これは要するに、労働協約によって労働条件は対等にひとつ相談してきめようという、そういう協約があるが、これがまあ全然相談なしに、一方的に使用者側の意向によってやられているという点が一つです。  二つ目には、雇用の問題について、先ほど私指摘しましたように、日雇いが三分の二大体近いという、こういう実態はどこから出ておるかというと、これも労働協約の四条でユニオンショップの条項がきめられておるのですが、それを無視して実はこの採用をやっておるというところに、百八十名以上の乗務者の中で本採用者がわずかに六十八名しかいない、こういう実態が出てきておるわけです。しかも、この本採用者以外の百二十名からの人についての従業員というのは、在籍三カ月以上から、長いのになると一年以上たっている。そうすると、これはいわゆる日雇いという観念ではなくなるわけですね。そういうことで考えますと、やはり、ここへ基準法を持ち出すまでもございませんが、いろいろ基準法の問題から問題もありますし、同時に基準法が保障するいろいろの適用条項が適用されてないという結果が出てきているので、二番目にはこの雇用の問題について問題がある。  三番目は採用の問題、これはまあさっき申し上げましたが、要するに、労働協約というものは労使が双方誠意をもってきめたものなんだから、それをきめたら経営者が守るということに、ついて、こんなものは一片の紙に書いたものだという理解もどうやらあるような気もします。そういう話を数多く聞くので、これはいずれ、この申告書の問題の処理だけにとどまらず、業界全般についてそういう指導をこれはしてもらわなければならぬ性質のものじゃないかというふうに考えられますから、そういう意味でこの採用の問題を申し上げたわけです。  それから、時間外、休日、深夜等の割り増し賃金あるいは賃金制度というようなことについても、これまた労働協約は全然守られてないという関係で、協約は大体労働基準法に基づいてきめているわけですからね。したがって、基準法で保障する割り増し賃金の算定基礎なりあるいは算出のしかたなんというものが、これがそのとおりになってないために、何というのですか、法にきめられた割り増し賃金をはるかに下回った形で支給をされておる。これは一種のピンはねですからね。これはやっぱりうまくないと思う。そういう点と、それから年次有給休暇の問題でも指摘をされている。  ですから、これは読んでいただけばわかるわけですが、問題は、これは単に京急東亜タクシーの問題ではないのです。これはひとつ申告書に基づいて陸運局を通して十分精査をしてもらうということと同時に、この種の企業が実は非常に最近多くなってきている。抽象的に言えば、神風タクシーのときにせっかく運輸規則をきめてこうしようじゃないかといって軌道に乗せたものが、最近次々とこわれているという実態が、実はこの申告書一つの象徴的なものとして出てきているわけですから、そういう意味で、この申告書の扱いについては、そういう関係から、これは何というのですか、行政事務的な問題、もう一つは全般に対する行政指導内容を含んでいるものという理解の上に立ってこの申告書の問題を扱ってもらうということについて、これは申告書だからいずれやるだろうということでほうっておかれたのではいかぬので、早急にひとつ手をつけてもらいたいと思うわけですが、この点について、陸運事務所を督励をして直ちにこれに着手することができるかどうか、御意向だけこれは聞かしておいてもらいたいと思います。
  62. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) ただいま御指摘の点につきまして、至急調査いたしたいと思います。
  63. 木村美智男

    木村美智男君 それからもう一つ、最近新しく出てきた問題で、二人一車請負制度というのがあるのですが、これはどういう事柄か、中身を述べる必要はないのですが、大体そのことを知っているかどうかということだけ——もし御存じなければ、私のほうからちょっとおおまかな点だけ言って、これが一体指導方針としてよろしいかどうかということについてやはりただしたいと思うのです。そうして、いけないというならば、できるだけこれはやめさせなければいかぬし、誤っているという点があるならば、それはある程度指導矯正をしてもらわなければならぬわけですから、そういう意味で、この二人一車請負制度というものを具体的に把握をされているかどうか、 これをちょっと伺っておきます。
  64. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 東京陸運局におきましていま御指摘の二人一車の請負制というもののありますことは承知をしております。しかし、それが法規上どういうふうになるか、あるいは具体的内容がどういうものか等につきましては、いま調査をしておるような状態でございまして、さきに局長からお答え申し上げました諸調査とともに、これらもやってみたいと考えております。
  65. 木村美智男

    木村美智男君 そういう制度があるということはわかっているということ、その点はわかったわけですが、私が一応この二人一車請負制度というものを多少知った範囲で申し上げますと、これはきわめて重要な問題を実は含んでおるので、概略だけ申し上げますが、形の上では、この使う運転者に対して現行賃金と退職金は保証するという、こういう名目になっているのです。そうして上げた利益金は一時金として折半するという方式。だから、これだけを聞いてみると、非常に大義名分が通っている。現行賃金をもらって、なおかつやめるときの退職金はもらって、毎日かせぐかせぎ高の中からいろいろの経費を差し引いて残った利益金については半分を使用者側とその運転者二人で、かりに一万円の利益があったとすれば、使用者側に五千円、運転者二人で五千円、こういう受け取り方をするのがこの制度なんですよ。結局、実質的には完全な請負制度と見なければならぬと思うのです。そういう意味で、これはいろいろの点で問題が起こっておる。  それは、まず第一番にどういうことかというと、運輸規則による一車当たり二・四人という要員は、まずこれは確保されておりませんね。これが一つ問題点。それから二つ目には、そういうことで利益を上げる仕組みですから、当然出勤割り当て表を見れば十三乗務になっております。つまり、ハイタクの運転手の勤務時間が十六時間ですから、国鉄やその他と同じように、朝出てきてあしたの朝までやってその日は帰るという二日を一日に十六時間働いて、そうして二日超過するという仕組みですから、したがって十三勤務以上やるとなれば週休も何も取れないことになってきますので、表向きは十三勤務になっていますが、実際の出勤の割り当て表を見ると十四勤務、はなはだしいのは十五勤務、こうなったら、三十一日あるときには一日休むけれども、三十日の中では一カ月とにかく皆勤するという、こういうかっこうになっているわけですね。これは相当やっぱり、事故防止という観点、労働者の疲労という問題ですね。こういう点からこれが一つ問題が出てきている。したがって、有給休暇なんというものは、もうこれは事実上とれません。なぜかというと、さっき言いました利益金の関係ですね、これはまたうまくできているのですよ。私はよくこれを見て驚いたのですが、一カ月間に営業収入は、大体この請負制度でやると十五万から十七万くらいの水揚げがある。その中で、なるほど、給与は、五万円なり六万円なり現行給与を保証するという中で、このくらい能率を上げればもらっています。そのかわり、ちょっと病気をした月になると、水揚げが五万円くらいしかないという時期には、保証される現行賃金は一万三千円に減ってくるわけです。つまり、水揚げが十五万円程度あるときは五万円程度の標準的なものをもらえるけれども、病気か何かしてたとえば十日しか働けなかった、こういう場合には極端に手取りの賃金は四分の一に減ってしまう、こういうようなことになっているわけです。したがって、この十五万の中から、燃料費だとか、修理費だとか、事故の際の事故費あるいは償却費ですね、その他の経費というものを差し引いて、そうして使用者のほうは営業経費として十五万のうちから十三万ばかり取っておる。そうすると、残るところは差し引きそれでも一万六千円ばかり、ことしの一月の資料ですが、残ったこれがいわゆる利益金なんです。ところが、さっき言ったように、同じ人間が二月は総水揚げが五万一千円だから、諸経費を引いて営業経費を支払うと残りはマイナス二万七千円ということになる。そうすると、この二万七千円という赤字は、これは来月以降の利益金で埋め合わせるということになっているから、年間を通すと、実質的には——表向きは利益金を折半するのだということになっているが、大体これだけまるまる稼働するというやり方なんです。病気もすれば、故障も起こるということから、ほとんど利益金というのは出なくなってきておる。こういうことになってきているものですから、表向きの大義名分というものは、これはたいへんいいように聞こえるが、中身というものはまさに事故発生の原因になる最も悪い労働条件というか、そういう条件のいわばタクシー会社と同じ実態に二人一車請負制度というものが作用しておる、そういうことなんで、非常にたいへんな問題でありますから、この点は、一応制度が、そういうものがどうもやられているようだというふうにわかっているようでありますから、ぜひこれをひとつ具体的に二人一車制度というものを監査をしてもらいたい。そして、現在この二人一軍制度をとっているこの台数は、いま私が申し上げたようなこういう結果も出て、会社の実情は七十一台の中で二十五台をこの二人一車制度の請負でやらせておる、こういう関係、ですから請負だけをどこかでやみでやっているのでなしに、正規のタクシー会社の中でその自己保有の車の中の幾両かを請負制度という形でいま申し上げた運用をしておる、こういう関係ですね。これはきわめてこの点は問題であって、これがいわゆる本採用という、身分的にはそれもなっていないし、不安定ないわば労働条件の中にあるわけですから、したがって、病気でもした翌月というようなのは、何とかして借金を返さなきゃならぬ、それから自分の固定給ともいうべきものもこれは入ってこないということで、しゃにむにこれはかせぎまくらなきゃどうにもならぬ、水揚げをあげなければどうにもならぬということで、自分自身が追いまくられるかっこうになるわけですね。ですから、これは二人一車請負制度というものは、そういう意味で非常に今日の問題点でありますので、実情についてよく知らないということでありますから、これをひとつ調査をしてもらって、そしてこれは、私はやはりこの自動車運送事業等運輸規則によっても、違反をしておると思う、少なくとも。ですから、できるだけこれは廃止するやはり指導をしていかなければならぬ問題だと思うのですけれども、しかし、まだ法的にどうこうということも言われておりますから、それならば若干法的な検討もされてけっこうだと思いますが、ぜひこういうことの実情を正確に把握をしてもらい、そうしてそれがいわゆるこの神風タクシー後の運輸委員会決議並びにそれによって改正された運輸規則に大きく抵触しておるということになれば、これはやはり積極的にこれを改める指導をしていただかなければいかぬと思うので、そういう点で、どういうふうに一応お考えになられるか、この点は実情知らぬところでどう思うかと言っても、どうするこうするは言えぬでしょうけれども、私が申し上げたような筋道が御理解できて、そういう方向へ努力する意向があるならあるということだけ答えていただければいいと思うのですけれども、非常に親切に質問しているつもりですけれども、ひとつ。
  66. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) ただいま二人一車請負制ですか、詳細な御説明がありまして、われわれもこれは実態についてまだ十分調査しておりませんので、なおこれにつきましてはよく実態を調べまして、法令違反があれば、当然またわれわれとしては、事故防止のための、前回の附帯決議に基づく指導方針みたいなものがございますので、そういった方針に照らして、不適切であれば是正させていきたいと、さように考えておるわけであります。まあわれわれとして、タクシー問題について、一般的に質のいい、安全なタクシーの輸送力の供給ということがわれわれの行政の目的でございまして、このために事故防止は当然のこと、サービスの改善という見地からもいろいろと監督をしておるわけでございます。先般の決議一つ方針がきめられまして、この方針のもとにたびたび監査もし、その後ずっと監督はしておるわけでございます。ただ最近私も、やや神風的なあるいはノルマあるいは歩合いその他の点において無理な情勢が起こりつつあるというようなことは、たまに耳にして心配しておるわけでございますが、いろいろ考えてみますと、運賃関係なんかも必ずしも、われわれの必要と思われる運賃改正が手おくれになっておる、そういったような事情もありまして、業界も相当苦しい中で、あるいはそういった方面に無理がかかってきたんではないだろうかというようなことも懸念されるわけであります。われわれとしては、やはり質のよいサービスをするためには、労働問題あるいは待遇等も十分なものにしなければならぬし、またそのために必要なら適正な運賃にしてやらなければならぬ、そういう見地から、やはり質のいいサービスのために適正な運賃で健全な発達をはかっていくというのがあくまで念願でございます。いろいろの事情でここのところ運賃改定等も十分にいかなかったというような事情から、あるいはそういったような方面に無理がかかっているようにも思われるのでありまして、なお十分監督していきたい、こういうふうに思っております。
  67. 木村美智男

    木村美智男君 自動車局長、いま何か私の申し上げたような二人一車請負制度というものが、だいぶ経営の面から料金が安くて経営が成り立たぬためにそういう苦肉の策を講じているのだというふうに聞こえるので、それは私はやっぱりうまくないと思うので、これはあとで私も触れようと思ったのですが、今日のハイタク関係の大体二百台以上くらいは企業としてそんなに困るということはないようですけれども、たとえば三十台持った五十台持ったというところは、相当企業として、なかなかむずかしいやりくりをやっておるということは承知をしておる。そこで、それはその問題として、やっぱりそういう中小ハイヤータクシーの企業の公正な競争ができるように、企業基盤というものを強化してやるというのが、政治の面で当然やっぱりやらなければならぬ問題だから、それはまた融資その他の、つまり融資といっても長期低利の融資その他の問題を別途考慮しなければならぬ問題だと思うのですよ。それはそれなりに私どもも考え方を持っているわけなんで、しかし、いま私が提起した問題は、そういう経営の問題からながめられると、これは、じゃある程度やむを得ないじゃないかという指導面でのやっぱり甘さが出てくる。それはそれとして、厳格にやはり規制をし指導をしながら、なおかつどうしてもやっていけない経営の困難な、経営基盤の脆弱な点については、やはりこれは他の中小企業関係やその他多くの政治的な手が打たれてある例のように、やっぱり低利長期の融資問題を考えるべきであって、これとこの料金問題を、あるいは運賃問題を一緒にされると、やっぱりあなた方が本気になってそういうことについてやる気があるのかないのかというふうに受け取らざるを得ない。それはそれとして、これは質問をする立場でもちゃんと企業のやりくりの問題は考えているわけですから、それと何かくっつけた形でこの問題を扱われるのでは、ちょっと私の申し上げた趣旨とは少し違ってくるので、無関係とは申し上げませんが、そういう中で、それはそれで、企業の今日の問題点がこういうところにあるということを調査の、あるいは監査の中から出していただけばいい。そうしたら、その出てきたことについて、そんならどういう手を打ってやるかという問題をまた相談すればいいはずですから、そういうふうに区切りをつけてもらわぬと、あなた方の真意があるかつかみかねるから、もう一回いまの問題お答え願いたい。
  68. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 私のお答えが非常に不明確であったようでございますので、重ねて申しますと、われわれとしては、タクシー事業の使命として、安全で質のよいサービスを提供するということが使命でございまして、このためにいろいろと監督上待遇あるいはその他の点において十分な手当てがされなければならぬ、さもなければ安全で良質のサービスができないというのが基本的な考え方でございますので、あくまでもその見地からわれわれは指導していく、違法のものは正すという、そういう態度でいくことについては変わりはないわけであります。
  69. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、いま自動車局長、大体趣旨を言われましたので、そういう精神でやっていただきたいと思いますが、先ほど午前中にも申し上げたように、非常に今日の賃金体系の問題、これはもう具体的に出てきている問題ですから、やっぱり少しひど過ぎると思うのです。一時われわれの側の勧告なり、例の神風タクシーあとの処置の中では、大体賃金の中で固定給というか、常に保証されている賃金というものは、大体六五%ぐらいというところに目標があることが一番望ましいのだということを勧告をしているのですから、それでこれが大体おも立ったハイタクの関係では五五、六%まで上昇したのです。これは皆さんの指導もあったと思うんです。そういう意味で非常によかったんですが、最近は固定給部分が三〇%程度になって、能率給が七〇%という例が出てきておる。それで、大きな流れの方向としては、固定給部門をどんどん削って、そして賃金改定のたびに、ベースアップのたびにその比率を変えるという方向にだんだんだんだん時間とともに逆転をしてきている、逆行してきているので、これはもう具体的な事例ですから、おそらくほとんどのタクシー会社を見てもわかると思いますが、このことが実はいわゆる水揚げをよけいしなければならぬという、しかも乗務キロ制限としては三百六十五キロになっている、この範囲の中でいかにノルマをあげるか、水揚げをあげるかということになるから、たとえば私なんかも夜たまたまおそくなって行きたいところへ行くといっても、横浜なら連れていく、立川なら連れていくという、こういう形で、立川へ行く場合には、今度はメーターで行くのじゃなしに、つかみ金で幾らということで別途契約をして乗っけていくという形がふえている。これは私も現実に三回ばかりぶつかって、乗らぬのですけれども——それはうまくないじゃないかということで乗らなかったのですが、これは現実の話を申し上げますが、そういうことが出てきているのには、単に今度は運転者だけじゃなしに、班長制度というお目付役がおって——これはうそだと思ったら、新橋で、夜十二時ごろから一時ごろまで、あの周辺でタクシーをつかまえてみたらわかりますが、会社の督励隊がいるんですよ。そういうかっこうの中でこの事情が出てきているのは、一にかかってノルマ賃金というか、能率給の結果災いしているのが、だんだんだんだん、ちょっとばかりこれはいかぬなとお互いが思いつつ、それが助長されて、いまや公然とそういう形が出てきているということになっているわけですから、この点は、やはり何といっても、問題は、この際、経営者側がいかぬとか、そういうことをやっている乗務者がいかぬとかいうことの前に、根っこになっている賃金体系それ自体についてやっぱり抜本的な指導をしていかないと、ただ単に個々の事例をあげて、これを追及をしたりあるいは処罰をするようなことを考えてみても、この問題は私は解消しないと見ているのです。そういう意味で、賃金体系の問題あるいは給与のあり方というものについて、やはり本委員会が勧告をした筋を目標にして、とにかく固定給を下げて能率給部分をふやすというやり方を、能率給部分を切ってそして固定給をふやすという方向に、これは一つのサンプルをつくり、そのサンプルをもって指導していくという、そういう態度がなければこの問題はなかなか解決しないと思う。この間、中村運輸大臣は、この問題で陳情があったときに、まあ個人的な見解を述べれば、私は全面的にこれは固定給だけで食っていけるという賃金でなければいかぬ、それ以上働いた者について、それはいわゆる奨励手当みたいな形でプラスをしていくべきだと考えるということを中村運輸大臣自身が言明をされて、私も立ち会った中で言明をされていることなんで、それはある意味では一挙にそこへ持っていくのは理想論でしょう。しかし、その意図というものは、私は大事な問題だと思うので、大臣がそういう方針を述べられていることに、私は少なくともこれは賛成をするわけなんで、これは本委員会の勧告の精神にも合致しているんで、そういう指導が一体今日この賃金体系をめぐってやられているのかどうか、やられていないとすれば、これはやってもらわなければならない、この点をひとつ伺いたい。
  70. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 歩合給をできるだけ減らして固定給をふやしていくという方針については、勧告以来終始変わらざる方針でございまして、いまもってその方向でやっておるわけでございます。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、比較的われわれの見たところでは、神風タクシー以来いろいろそういった問題が起こりまして、あらゆる手を打たれた結果、相当に内容的には向上したと思われるものが、ごく最近においてやや乱れる傾向が見られたということについて、いろいろ考えました結果、いろいろと運賃問題その他の無理もある程度そういったところに出たのかというふうにも感じたわけでございまして、ただわれわれとしては、あくまでも方向として、あるいは監督としてはきびしく取り締まっていくということでございます。
  71. 木村美智男

    木村美智男君 これもやっぱり、何というんですか、単に一片の文書じゃなしに、私は、今日のこの行政指導というと、何か通達を出してそれで終わりになっている傾向があるんじゃないか。まあなかなか予算の関係でそういうことができないというかもしらぬですがね、もっと血の通った行政指導がやられていいんじゃないか。つまり、タクシー会社経営者側全体が持っている東乗協ですか、たとえば東京の場合なら東京乗用車経営団体とかというふうな組織があって、会長以下全部あるわけですよね、それをやはり、これは業者の自主的な集まりに形はしても、中身は運輸省が当然免許その他全般的に監督する立場にあるんですから、そういう会議を招集をして、具体的にこういう問題の指導をすべきだ。特に最近やかましく国民の世論として事故防止ということが言われているんだから、それはその筋に沿って努力することは、これはもう当然経営者としてあたりまえだし、それからそのことがいろいろ労働組合との関係についてあれば、個々経営者の中で、労働組合との協力も求めて、そうしてやっぱりやっていくということでなければ、単に一片の通達だけを出したんでは、なかなかこれは——それはそのときだけ読んでまあ終わりということに実情はなってしまうんじゃないかと思う。ですから、そういう点について、あるいは実態の報告も求め、全体を集めて、ほんとうにこういう状態になっているということについて、まあ事故防止あるいは人命尊重という観点からうまくないということの話をして、現実に何か情が通う指導をしていかなければ、これはやっぱり監督していると、ことばの表現としてはそれはできても、実際に監督をしているということにはやっぱりなっていかぬのじゃないか、こういうふうに思うんで、そういう点、いろいろの方法があると思うんですけれども、技術的な点まで一々、こういうふうにやれ、ああいうふうにやれ、あるいはやったらいいんじゃないかということを申し上げようとは思いませんけれども、一つの例をいま申し上げたんですが、そういう指導をしていかなければこれはなかなか徹底をしていかないんじゃないかというふうに思うんで、この点はひとつこれは大臣にも伺いたいと思うんです。途中で大臣来られましたけれども、最近の賃金といったようなものは、大臣答えられたように、固定給が当委員会の勧告——神風タクシー後のこの委員会で慎重審議をした結果出したものは、大体固定給六五%、能率給三五%という筋に目標を置いてひとつ各企業は事故防止の観点から努力をしてほしいということをしたわけです。それが逆になってきて、いまや七〇%の能率給、三〇%の固定給というはなはだしいものも出てくる、いいところでも半々というところに逆行をしてきているので、大臣、これは私はそういう問題について、一片の通達だけではだめじゃないかということをいま申し上げてるわけで、したがって、この経営者団体なら経営者団体の総会といったような、そういう会合の中で、できれば大臣も出席してもらって、今日の人命尊重事故防止という重要な国民の要請にこたえるために、経営者側はひとつそういう筋で協力をやっぱり、大臣、要請をすべきだと、こういうふうに思うんですけれども、大臣見解自動車局の監督の立場見解伺いたいと思う。
  72. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 指導趣旨が徹底するようにあらゆる方法を講じてやっていきたいと思っております。そういうことで私は目的はある程度達し得るという自信を持っておりますので、そういう方針でやってまいりたいと思います。
  73. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 大臣のおことばのとおりでございます。
  74. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃ、具体的なやり方というようなものは当然私たちのほうがいろいろ申し上げる必要はないんで、趣旨が徹底するように、大臣も自信がおありのようですし、ぜひこの点はやっていただきたい。それは賃金問題だけじゃなしに、さっき言った労働時間の問題、それから基準法にきめられた休養時間といったような点について、何も四時間が一分欠けたらどうこうというんじゃなくて、大筋言ってやはり朝の二時になれば車庫に帰ることに一応なってるんですから、まあ時間が二時ぴったりということを私言おうとしてませんが、大体原則的に深夜は車庫に帰って、そしてある程度疲労回復の上で翌日運転のできる、そういう態勢にしていけという、そういう筋でいまの賃金問題とあわしてこの労働時間の問題ね、これについてもひとつ指導をしていただくということで、いまの点は私了承をしたいと思います。  それから次の問題は、最近の自動車に乗ると気づかれると思いますが、首のうしろに例のまくらカバーみたいなものが相当つき始めていますね。あれは要するにむち打ち病防止の対策であるわけですね。このむち打ち病というやつが最近非常にはやってきまして、自分がぶつけたときということよりも、うしろからほかの車によってぶつけられたときに大体なる病気だそうです。何か衝撃を受けたとたんに、首が少し重いのだそうですが、その結果脊髄のてっぺんのあたりがお皿がずれるらしくて、これがもとで非常に天気の悪い日には頭痛、あるいはノイローゼ、非常にいらいらしてくる、そういう病気が最近特にはやってきている。この点は運輸省の管轄の問題としては別途のことを申し上げたいと思うのですが、これは大臣ぜひ厚生省のほうに、まだ話をつけてないとすれば、連絡を密にしていただいて、職業病として指定をする必要があるように実は私思っているので、その点について、これは厚生省を呼んで話をするのも一つの方法だと思いますが、監督官庁のほうからひとつこれは事前に連絡をしてもらって、いずれこの問題については厚生省に来てもらってやりたいと思うのですけれども、運輸省側としてはできるだけ、あのまくらカバーの問題と、バンバーですね、例の車のうしろへついている、前にもありますが、緩衝の役割を果たしているやつ、あれが最近はバネじゃなくなっているのです。取りつけっぱなしだものだから、がたんといったらその衝撃そのままガッといくようになっているのです。これは最近世の中進歩してモダンになってきたものだから、昔みたいにでかいものをつけておいてバンと当たってもそこのところがバネで収縮するようにしてあるとていさいが悪いとか、車の品位を落とすとかいうようなことから、最近はていさいだけくっつけているものだから、ぴしっとくっつかっているわけです。これは緩衝の役割りを果たさぬで、そっくり衝撃を受けたらそのままガタンといくようになるものだから、そのとき首をがくんとやられるという結果になってきているという面で、これはやはり乗客の場合も同じだと思うのです。そういう意味で、やはり運転手のみならず乗客のことも考慮して、ひとつ車体構造あたりの問題について、通産省あたりと事故防止の観点からこの問題は検討する必要があると思うのです。その点が一つと、まくらカバーをつけていくような指導。それから、まだまだ自動車強盗が絶えていないのですね。ところが、やはりうしろに板のある車はいままでの統計から見て自動車強盗の被害というのはやはり少ないということが明らかになってきているので、あれをやはり指導をして、より多く防犯ガラスですか、あれをつけさせるということが必要じゃないかと思うのです。もう一つは、運転席に乗客をむやみに乗せてはいかぬということ、これを厳格な規定を設ける必要がある。大体自動車強盗も、事件が発生しているのは、前とうしろに必ず両方へ乗る。二人しかいなくても、うしろへ二人乗らぬで、前へ一人うしろへ一人乗る、こういう関係に乗っている事犯がきわめて多いのですね。したがって、夜は——数によってはなかなかそうはいかぬけれども、大体運転手のわきへは原則的に乗せないのだ。昼間大体見て、婦人や子供連れというのは、そういう乗客なら、まずまず強盗の心配はないから、これはいいけれども、しかし少し怪しいと思ったら断われるような措置というものを考えてみる必要があるのじゃないかという点がありますので、その点もつけ加えて、むち打ち病問題にからんで検討をひとつしていただきたい。これは要望になります。いいですか。お答えいただいてから……。
  75. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) いわゆるむち打ち病につきましては、職業運転者のみの問題でなく、自動車運転者全体に共通する問題でありますが、その実態がまだ十分明らかになっていないようでありますので、関係行政機関相互に十分連絡をとって防止対策について検討していきたいと思います。  それから車体構造の問題でございますが、これにつきましては、従来からその改善をいろいろとはかってまいりました。特にただいま御指摘の車の衝突時における安全性に関する問題につきましても、関係各省の協力を得まして、自動車の衝突、横転、転落等の事故に際し乗務員の被害を最小限度に食いとめるために要求される車体構造、一内部構造等について実験研究を鋭意行なっておりまして、これらの研究結果を待って、より一そうの安全性を確保することにいたしたいと思います。
  76. 木村美智男

    木村美智男君 いまの点は、それは局長答え趣旨はそのとおりで私けっこうだと思うんですが、この場だけ済まされちゃ困るので、その趣旨で具体的にひとつ実行に移してもらう、こういうことでいまの答弁を了承します。  それから最後に、冒頭申し上げました自動車運送協議会関係についてでありますが、これは率直に言って、昨年ごろまでは自動車運送協議会というのは大体増車問題ぐらいしか扱っていなかったというんですが、それは事実そうですが。ほとんどこの自動車運送協議会で扱っていた問題は増車問題程度で、ようやく去年あたりから乗車拒否の問題など、バス乗り入れの問題など、あるいは多少は個人免許の問題ぐらいまでは扱ってきたようですけれども、私はもっと自動車運送協議会というものについて権威を持たせる必要があるのではないか。つまり、運輸規則にきめられたやるべき仕事というものはまだほかにたくさんあるはずですよ。あるいは道路運送法の規定に基づくものがあるはずなんです。そういう点をどんどん推進をする運送協議会にならなければ、これは実際もってあまり意味のない機関だということになりかねないので、多少二年くらい前よりは範囲を広げて問題を真剣に扱うようになってきているというから、そのことについて傾向としてはいいと思うんですが、もう少し車の休廃止の問題、あるいは需給調整の関係、さらに料金の問題、こういった問題までやはりこの運送協議会が取り上げて、そして一つ方針を出して、あなた方の行政のやはり参考にもしてもらうという、そういう意味でやはりもっと運営の問題で考える必要があるんじゃないか、こういう点で見解伺いたいと思います。
  77. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 自動車運送協議会につきましては、先生が御指摘のような点が従来ございまして、三十七年度まで開催をいたしておりましたが、タクシーハイヤーの需給調整等が主として議題になっておりました。二年ばかり中断いたしまして、四十年から再開をしたわけでございますが、昨年の二月に、今後の自動車運送協議会の運用につきまして通達も出し、従来のようなハイヤータクシーの問題のみでなくて、各局におきますところの当面する重大問題——それはバスにもございますし、トラックにもございます。たとえばバスにつきましては、辺地のバス事業をどうするか、あるいはワンマンバスの問題等もございます。それからトラック問題等もおのおのあるわけでございまして、そういうふうに、ハイタクの問題のみならず、各事業主体、種別に応じまして、緊急の諸問題についていろいろ検討する。それには運賃問題、あるいは運転手の養成というふうな問題等、各事業の共通の問題もございます。そういう点を指摘いたしまして、現在では各陸運局各局の問題に応じつつ開催をして、今日までに至っている次第でございます。今後予算の拡張その他をはかりまして、これを有意義に活用したいというふうに考えている次第でございます。
  78. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、相当やはり自動車運送協議会の運営問題について批判も出ているわけなんで、私冒頭に申し上げたのは、もっといま、先ほどから指摘しているような、そういう問題点がこの自動車運送協議会の中でも多少は取り上げられてしかるべき問題だと思うのですよ、全体として考えた場合には。そういう意味合いも含めて、運送協議会の権威というものをもう少し確立をする、任務を明確にすると同時に、その構成についても、先ほど申し上げたような形で、他が複数制をとっているなら、やはり労働者代表も複数制をとって、そういう中で学識経験者というものが判断できるような仕組みにちゃんとなっているわけですから、別に経営者側にとって不安な構成でもなければ、自動車局が運営をやっていく上においてどうにもならぬような、そういうことにはならないのですから、もう少しいま申し上げたような一般的な労働組合代表ということと、実際の運転者代表といったような関係にこの問題を考えて、複数制を考えてみたらどうか。そうすることが、より多くの意見が出てき、皆さん方の行政運営の上に非常に私はプラスとなると思って冒頭に申し上げたのですけれども、そういう意味でひとつこの問題は再検討していただいて、そして法律改正を必要とするかどうかわかりませんが、あまりこういう小さな問題だから、運営の問題だから、そうややこしい問題じゃないと思うので、この点についてひとつ最終的にまあ了解できるような答弁をいただけば、私はこれで質問を打ち切りたいと思う。大臣でいいですよ。
  79. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府では各種の審議会あるいは協議会というものにつきまして根本的に検討をやっておる状態でございますので、この協議会につきましても今後検討を加えていきたいと思います。
  80. 木村睦男

    木村睦男君 関連して。午前中以来、社会党の木村委員から非常に詳しく質疑があったのです。それに関連をいたしまして二、三お聞きしておきたいと思うのであります。  まず第一に、運転手の給与の問題について、いろいろ詳細にわたって御質問があったのでございますが、特に問題となっておりましたのは、事故防止の観点からもそうでございますし、労務管理の観点からもそうでございますが、歩合給の関係でございます。いろいろ非常に歩合給が多くて固定給が非常に少なくなっているという傾向について非常にひどい二、三の例もお話の中にあったのでございますが、大体神風運転の問題以来、固定給の比率の向上に運輸省も努力してこられたわけでございますが、私たちは六五%というふうな意見も出ておりますけれども、もっと固定給の比率を上げるところに目標を置いて、今後指導していくべきではないかと思うんです。ところで、すでにあれ以来この給与制度の向上ということはずっとやってきたのでございますが、特に最近一度上がりかけた固定給の比率が足踏みをしておるか、あるいは下降の傾向にあるかということを、これは主として東京事業者についてが中心の議論にどうしても勢いなるんですが、一般的な傾向を、極端な例は別として、平均値としてはことにここ一、二年の間にどういう傾向になっておるかということを承りたい。
  81. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) これは先般当委員会から御要求の資料資料6といたしまして提出いたしておりますが、それの資料は、昭和三十三年当時神風タクシーということで取り上げられた次第でございます。三十三年度から四十年度にわたりますまでの固定給と能率歩合給の具体的金額及びその率につきまして提出いたしておりますが、たとえば三十三年度におきましては歩合給が五四・九%でございましたが、これが逐次その率は減少いたしておりまして、三十九年度におきましては三八・六%で、四十年度が三八・四%でございます。この残りがいわゆる固定給でございまして、たとえば四十年度におきましては、基本給が二万六千四百十八円で五三・二%、それから諸手当——通勤手当とか家族手当というふうなものが固定的なものでございまして、それが八・四%でございます。合計いたしまして六一・六%ということでございまして、六五%には達しておりませんが、昭和三十三年あるいは三十四年ころと比べましては、逐次全体としては上昇しておるようでございます。固定給が増加しておるのではないかというふうな数字でございます。
  82. 木村睦男

    木村睦男君 そうしますというと、三十九年度までは非常に上昇して、三十九年度から四十年度を境として若干停滞しておるというふうな傾向と見受けるわけでございますが、そういう傾向の中にあっては、先ほど来指摘がありましたように、極端なひどいものも出てくるということも考えられるわけでございます。これらの非常に極端なものに対する手直しといいますか、施策を十分徹底してもらいたいのでございますが、同時にこの固定給の比率を上げるための具体的な施策、ただ一片の通牒その他では、とうていこれは改善できないので、何かの機会に何か具体的なものをつかんで、そうして固定給が上がるような指導をしなければいかぬ、こういうふうに考えるのでございますが、現在、東京では多少増車もしようという傾向にあるようですが、こういうふうな増車のような機会をつかまえて、そうしてその会社事業実態を見ながら、固定給の率の悪い会社、それから固定給の率のいい会社について、増車の配分等について十分配意するというふうなことも、一つの具体的な固定給を上げるという施策として有効じゃないかと思うんでございますが、そういうふうなことについてどう考えておられますか。
  83. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) いま先生の御指摘の点につきましては、最近は新規免許はそれほどございませんけれども、新規免許のときにおきましては、給与の制度それから厚生施設の関係、そういうふうな点につきましては、特に重点を入れまして、審査いたしております。したがいまして、そういう場合におきまして却下のような場合には、具体的にわかるわけでございます。既存業者におきましても、あるべき姿のようにしなければならぬということでございまして、既存業者につきましては、行政的に増車というチャンスがございまして、増車のチャンスのときにおきましては、この給与の関係、厚生施設等の関係を十分加味いたしまして、割り当ての車両数を決定するようにいたしております。それから、先刻来お話がございました監査のときには、こういう点は重点を入れましてやっておるつもりでございますが、なお不十分な点もございますので、今後さらに一そう努力いたしまして、改善をいたしたいというふうに存じておる次第であります。
  84. 木村睦男

    木村睦男君 どうか今後そういった具体的な問題、具体的な行政処理をなさるときに、それをつかまえて、そうしてこの問題を逐次上昇していくように努力していただきたいと思うんでございます。  それからこの給与の額につきまして、東京でも会社の規模が千両以上の会社あるいは五、六十両あるいは三十数両というように、非常に会社の規模に大小の格差がひどいんでございますが、この会社の規模と、それからその会社運転者の給料の額、これが会社の規模等に何らかの関係があるかないか、そういう点について実情を承りたいと思います。
  85. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 本件に関しましては、三十九年度に東京陸運局調査をいたしたものがございます。そのときに一両から五十両まで、これは非常に小さい業者でございます、それから五十一両から百両、それから百一両というふうなことでおのおの分けまして、数十社を摘出しまして調査いたしたのでございますが、そのときの調査によりますというと、小規模業者の場合に、必ずしも基準内賃金が低いというものではなくて、一両から五十両の場合におきまして、率としましては、基準内賃金が五五%、五十一両から百両が五七%、百一両が五四%ということで、平均といたしましては、基準内賃金が五五%というふうになっております。で全体の姿としましては、規模の大小に必ずしも結果としてはよってはいないのでございまして、個々会社事情によりまして、会社経営者その他の努力の結果によるものと思う次第で、ございまして、いま御質問の規模別によるところの賃金の格差というものは、調査の結果では出ていないような状況でございます。
  86. 木村睦男

    木村睦男君 最後にもう一点。個人タクシーと法人タクシーとの関連についてお尋ねをしたいんでございますが、最近個人タクシーを認める都市が、だんだん大都市から中小都市へと拡充してまいっております。特に個人タクシーを最初にやりました東京では、相当数個人タクシーがふえてきておる、これは個人タクシーというものは利用者の利便、サービスの良好という点から、そういう施策をとってこられたわけでございますが、だんだん個人タクシーも数がふえるに従って、やや内容的に見て、質的に見て見劣りがする傾向があるのじゃないか、しかしそれにいたしましても、年齢あるいは運転経歴その他に厳重な条件がついておる上で選ばれる個人タクシーでございますので、利用者にとっても非常によろしいというのが世評でございます。そこで、先ほどもちょっと意見が出ておったのでございますが、しからば利用者立場というものを考えた場合に、たとえば全部個人タクシーにすることが便利であるか、あるいは個人と法人とを織り混ぜてやるのがいいか、あるいは法人でやるのがいいか、都市の大きさあるいはその他の状況によっても違いましょうが、この個人タクシーというものの利用者立場からの利害得失、そういうものから考えまして、現在東京でもその他でも、この両者の形態のタクシーが併存しておるわけでございますが、今後運輸省行政指導方針として、両者の利害得失というものを勘案した場合に、どういうふうにこの両者の調和というか調整をとった指導をしていくことが、最も好ましいというか妥当であると考えられるか、そういう行政方針について御意見を承りたいと思います。
  87. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 個人タクシーと法人タクシーに関する免許方針のようなお尋ねでございますが、われわれとしましては、個人タクシーがサービスあるいは安全運転等によって旅客に好評でありますが、また一面営業時間は短く、深夜等は営業しないというような欠点もございます。またこれに反しまして法人タクシーは、昼夜区別なく営業しており、一台当たりの輸送力は個人タクシーのおおむね二倍であって、深夜、早朝の都市輸送には、不可欠の交通機関となっております。このように両者には一長一短あるわけです。両者の長所が十分発揮されるように考慮しながら事案の処理に当たっていきたい、さように考えております。
  88. 木村睦男

    木村睦男君 そうしますと、両者の長所をともに生かすように今後指導していくという方針でございますが、今後大都市でタクシーの輸送力を増強する場合、現在東京でとられておりますのは、個人タクシーは新しいものを認めていく、法人については業者の数のいたずらにふえるということは、監督その他の非常に不行き届きの点が出てくるというので、既存の会社に対して増車措置をとることによって、輸送力の増強をはかるという方針でいっておられるのでございますが、こういった考え方は、基本的にやはり今後続けられるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  89. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) 今後も続けていきたいと思います。
  90. 大倉精一

    ○大倉精一君 タクシーの問題については、社会党の木村君から非常に詳しく質問しておられましたので、もう尽きておると思いますから私はこの際省略しますが、ただ同じような問題がトラックにあるわけです。特にトラックの場合においては、非常な過当競争という現象がいま起こっておる。特に不況になればなるほど、路線トラックの過当競争が行なわれておる。これが一つの原因となって、運転手も非常に苛烈な労働条件をしいられておる。一カ月のうちに家で寝るのが三日か四日よりないという、そういうトラック会社がある。こういう過当競争の現状について、政府としてはどういうような認識を持っておいでになるか、さらにまたこれに対する対策というものは、どういうような方針を持っておられるか、この際関連してひとつ聞いておきたいと思うわけです。
  91. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) トラック事業は、日本経済の成長とともに逐年発達しておるわけでございますが、最近、不況によりまして、その影響を受けて、やや過剰ぎみになっております。そういった意味でわれわれとしては業界の体質改善ということ、あるいは近代化ということから、中小企業近代化の方策をいろいろと講じまして、できる限り協業化あるいは合併等、そういった方針内容の充実をはかりたい、さように思っております。
  92. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の質問しておるのは、せっかく政府が運賃料金というのを認可しておるわけですね。認可料金というのを非常に下回って過当競争をしておる。こういうことが原因になって、運転手に非常に苛酷な労働条件を課しておる、これが大きな事故の原因になっておる。こういうことですが、こういう過当競争の現状について、どういうぐあいに認識をしておられるか。かつてある局長に私は過当競争についてお伺いしたら、現在は過当競争ではないが、その限界にきておるというような御答弁がありましたが、過当競争と限界はどうやったらわかるんだと言ったらわからぬと言うんですね。いまあなたのほうで監督しておられるトラック運送事業の過当競争の現状というものは、これは放置しておくわけにいかぬ現状だろうと思う。そういう点に対する認識あるいは対策、こういうものを聞いておるわけです。
  93. 坪井為次

    政府委員坪井為次君) なかなかこれに対する対策というものは、名案があるわけではございませんので、われわれとしてはやはり業界の自覚によりまして、業者みずからがお互いに不当競争をやめるという自覚のもとにいろいろの手段を講じなければならぬ。そのためにあるいは近代化方策なり何なりの行政措置をできるだけ講じて、これらのものが集約なりあるいは協業化という方向に進むような行政指導をいたしておるわけでございます。
  94. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは簡単に言うとお手あげだと思うんですね。しかしこれは普通の料金と違って認可料金ですよ。それだけなければ公益上都合が悪いといって認可しておるわけですけれども、認可料金であってなきがごとし、こういう状態を監督官庁ほっておいていいのか、業者の自覚に待つといっても、なかなかそうはいきません。日本トラック協会ありますけれども、日本トラック協会はそこまで統制力はないと思っておりますよ、私は。でありますから、この認可料金を取っていない、ひどい競争をしておるという事態を何か検討しなければいけないんですけれども、いま案がなければ、さいぜんからの質疑応答にあわせて、この問題を慎重にひとつ掘り下げて考える、検討する必要があるんじゃないか、それに対する具体的な対策を立てる。そうでなければ対策本部なりつくってみても、そういう抜本的なものを検討しなければ、私は事故防止の対策にならぬと思うのですが、いまのハイヤータクシーの問題とあわせて、トラックのこういう問題につきましても、特にひとつ検討する必要があると思いますけれども、いかがでしょう。
  95. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 大倉委員から御指摘になりましたトラックの問題は、自動車事故の非常に多い分野の中においても、トラック事故というものは非常に多いということで、社会的に見てこれは重大な問題になっておるわけであります。先ほども申しますように、タクシーその他自動車による事故対策等との関連を持ち、さらに健全な事業が行なわれるような方策を検討していきまして、先ほどのとあわせて一緒にトラックの問題を取り上げて、慎重に検討してまいりたいと思います。
  96. 大倉精一

    ○大倉精一君 その問題は、ひとつ大いに検討してもらうということと、それからもう一つは、いわゆる自家用車のやみ行為ですね、これが相変わらず相当横行しておる。この事態業界を混乱させておるというこの事実も厳としてあるわけです。かつてこの委員会で新潟におけるそういう業界の混乱に対して委員会に取り上げて、新潟に関する限りは直すことができましたけれども、ハイヤータクシー並びにトラック、これの営業類似行為というものが非常に多くなってきている、こういう事態についてもあわせて検討を加え、抜本的な対策を立てる。特にハイヤータクシーの営業類似行為は、地方において暴力団、この暴力団にこれをやらせておけば悪いことをやらぬといって放任をしているところがある。富山県なんかそうです。そういうのを警察当局等と協力をして白ナンバー退治をやる、対策をみる、こういうところから業界の秩序を確立して、そしていま局長の言われた良質の安全なサービスですか、そういう問題に持っていく、こういう白ナンバー対策というものを立てなければどうにもならぬと思う。白昼堂々と法律の網をくぐってやっているのですから……。そういう点について御認識なりあるいは今後の対策なり、そういうものについてのひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  97. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 自家用自動車の問題だと思いますが、私は自家用の免許というものにもひとつ検討しなければならない問題があると思いますが、自家用は最近非常に免許をとるのが簡単で、ただ四、五カ月もとにかく練習すれば免許がとれるというところにも問題がある。それで自家用の若い人たちが事故をやっておるというのが、最近非常に多い例ですね。私はこの間の閣議でも、自家用の免許というものについて検討する必要があるのじゃないかということを、関係当局に申し入れておるのでございますが、やはり白タク、いわゆる白トラというようなものにつきましても、これはやっぱし運転免許と関連をもちまして厳重に取り締まって、正常な事業の妨害にならないようにやってまいるつもりでございます。
  98. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連ですからこれは簡単にしますが、いまハイヤータクシー、あるいはトラック業界で一番頭を悩ましているのは、白タクの問題と過当競争なんです。これを局長はお互いに自粛せいと言いますけれども、現在のような状態のもとにおいては、自衛上やはりダンピングをせざるを得ない。こういうのを放任しておくということは、免許行政の私は混乱になる。あるいはまたハイヤータクシートラック不在の免許行政になる、こう考えておりますので、いまお答えになったように過当競争、白ナンバー対策、これは十分にひとつ調べて対処してもらいたいと思います。  それから最後に、先ほど木村君のほうからもいろいろ質問があったときに、経営の事情という話もありましたが、新聞等によりまするというと、一年間タクシー料金をストップをすると、こういうことが書いてあります。これは物価対策上けっこうだと思うのですけれども、ただ、こういう料金を物価対策等のために、政策のためにストップをする、で、このストップによって経営状態が非常に悪いということになれば、これはまた運転手労働者にしわ寄せがくる、こういうことになりますので、この運賃料金ストップとこれに対する対策について何かお持ちになっておるかどうか、大臣、これはひとつぜひともお聞かせを願いたいと思います。
  99. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、先ほど木村委員の御質問に答えたのでありますが、運賃体系の問題、あるいは勤務状態の問題、あるいはそのほか各委員からそれぞれ指摘されました諸問題等検討いたします場合には、やはり基本的に料金というものとも関連があると思うのでございます。やはり健全な事業の運営と、その事業に携わっておる人たちの給与を正常なところに置いて、そして生活の安定をはかり、さらに公共の福祉にこたえていくという体制をつくりますのにはやはり料金というものは基本的な問題でございますので、上げるとか上げないとかということでなしに、いろいろ関連しております問題と一緒に、根本的に検討してみなければならない課題だと思っております。そういうものまで含めまして自動車行政のすべてに再検討を加えていきたいと、かように思っております。
  100. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の言っておるのは、対応策があるかということを聞いておるのですが、これはハイヤータクシートラック、バス、その他いわゆる本来ならば自由営業をやるそういう部門ですね。これを政策上の必要からストップをするということになれば、もうすでに政策料金になっておるわけですね。政策運賃になっておる。こういう場合に、たとえば運賃は上がらぬがガソリン税は上がる、プロパンガス税も上がってくる、 こうなってくると、これは商売をやれない。やれなければ、運転手に迷或がかかる、こうなってくると思うのですね。ですから、政策上の必要からストップをする、その間においては、ガソリン税を減免をするなり、あるいは事業税の延納を認めるなり、そういうような対応策を講じなければ、これは政府の身がってだということになるわけですよ。それを上げずにおいて、あとは合理化やれ、企業努力やれ、こう言っても、限度があると思うのですね。私は現在の段階においては、そういう公共料金を上げるべきじゃないと思う。ないと思うのですけれども、同時に対応策をやらなければ、無責任のそしりは免れない、こう思うのですね。ですから運賃料金に関するそういう点の運輸大臣のお考え、どういうぐあいにお考えになるか、ただストップしっぱなしで、あとは精神訓話でやるということなのか、その点を私は聞きたいと思っておるのです。
  101. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政策が事業に悪影響を及ぼさないように配慮していくということは、これは当然なことであります。現在の段階のいわゆる政策というようなものが、事業運行に大きな支障を起こしておるというようなことには絶対にならないように配慮しながらやっておるわけでございます。
  102. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは政治家として、当然そうであろうと思うのです。そうでなければならぬと思うのですが、政府の配慮する中身を私は聞いている。配慮する中身、これは十分に配慮していきますだけでは、国民は安心できません。これはだから経営者の問題ではあるけれども、同時にそういうことが午前中から論議になっておるように、運転手の肩にかかってくるわけなんです。これがいわゆる交通安全には大きな影響がある、こういうことでありまするので、私はそういう本来ならば自由営業であるべきところの運賃料金、この経済成長を無視するのですから、そうなればやっぱり政策的に対応策を検討しなければならぬと思うのですけれども、いま直ちに御答弁むずかしかろうと思うのですけれども、対応策についても御検討なさる御意思があるかどうか伺いたい。
  103. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 運賃料金につきましては、必要なものにつきましては、やはり事業の経営が健全な経営をなさせるために、料金の引き上げが必要な場合には、これは引き上げを認めていくという態度で臨んでおるわけでございまして、全部が全部ただ一律に上げないとか、上げさせないとかいう措置をとっているのではございません。
  104. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは大臣、この前のあれは、たとえば運賃料金を上げなければならぬという担当大臣のお考えであっても、閣議の承認がなければできないということなんですね。そういうような組織、運営になっておる。大臣はどうですか。現在のハイヤータクシートラックですね、そういういまの交通事故に関連をして、あるいは労働賃金条件に関連して、ハイヤータクシーの運賃というものはこのままでいいというぐあいにお考えになっておるのか、それともやっぱり上げなければならぬが、政策上やむを得ずストップをする、そのかわりに対応策を考える、こういうぐあいに考えるのか、どっちなんですか。
  105. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) それぞれの事業実態検討いたしまして、上げなければならないものにつきましては上げる措置をとりますし、上げずにやっていけるという、検討の結果見通しの立ったものにつきましては、上げることを押えていこう、こういう状態でございます。
  106. 大倉精一

    ○大倉精一君 最後に要望申しますけれども、政府が免許をする、認可をするという以上は、免許、認可の権限があると同時に責任があるのです。ですから免許行政について、もっと突っ込んだ責任を国当局は持ってもらいたい。いまじゃ免許しつばなし、あるいは認可しっぱなしですよ。それがどういう状態になっているのかということはさっぱりアフターケアがなってない。そういうことですから、免許行政についてはもっと責任のある考えを持ってやってもらいたいということを最後に要望いたしまして、これは関連でございますから、この程度で終わります。
  107. 木村美智男

    木村美智男君 関連ですが、先ほど自民党の木村委員の質問に答え資料の二一ぺ−ジの関係、これはたいへん異様に私感ずるものだから、そうすると私のさっき質問したことは、どうもインチキみたいに思われていかぬので、少し一問一答で、簡単に五分ばかりで終わりますから。  この資料はどういう調べ方をしたのか、これは一つも書いてないので、つまり都内タクシー業者全部を調べたのか、それとも幾つぐらいかを摘出をして調べたのか、あるいは事業所の人数は標準的なところを見たのか、上のほうなのか下のほうなのか。とにかくそういう関係がこれ全然わからぬのでね。ただ単にこういうふうに三十三年度は基本給が幾らで何%、諸手当が幾らで何%と、こんなものあんた資料になりませんよ。だからこいつをちょっと明らかにしてもらいたい、どういう調べ方をしたか。
  108. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) これは全業者ではございませんで、おおむね大、中、小ということで調べてございます。たとえば三十九年度につきましては、先ほど申し上げましたように、五十両以下と五十両から百両まで、それから百両以上というように分けまして調査いたしております。三十九年度の場合におきましては、それで合計いたしまして百四十二社でございますが、いまの区分にいたしますと一両ないし五十両六十六社、五十一両から百両まで六十四社、それから百一両以上のもの十二社、合計百四十二社調べてございます。それから四十年度におきましては、全業者ではなくてピックアップ方式でもって……。
  109. 木村美智男

    木村美智男君 はい、わかりました。この諸手当という中にはどういうものを含んでいますか。
  110. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 固定給の場合におきます諸手当には、家族手当であるとか、それから通勤手当、それから燃料手当、それから精勤、皆勤、それから愛車手当、そういうふうなものがこの固定給の中に入っております諸手当でございます。
  111. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、まあこれいま聞いただけでも多少問題が出てきたんだけれども、家族手当と通勤手当、これは固定給でいいですよ。だけれども、燃料手当というのは、燃料を幾ら乗ってどのくらい節約したかということについて褒賞的に出るんだから、この燃料手当というのは、これが固定給だなんということを考えたら、節約のしかたによって変化してくる。よけい節約すればこの手当がよけいになるし、全然節約しなければゼロになるんですよ。そんなものを固定給に入れて計算されたら、この皆勤手当もそうだし、愛車手当もそうです、だから、どうもおかしいと思ったんだけれども、いまのをたとえば具体的に言うけれども、さっき二千七百台持っているというのは、どこかと言ったら志村交通ですよ。これの給与体系がどうなっているかというと、本人給は一万円ですよ。それで乗務給が九千円、この九千円は二回乗務を欠席した場合には、これは条件つきで保証をするけれども、そこから先は一乗務の欠勤ごとに三百五十円ずつ減ってくるんですから、これは完全な能率給なんですよ、九千円というやつは。それから無事故手当、これはあんたの、いま言われたいわゆる燃料手当、精勤手当の部類に属するものとして無事故手当、これは一乗務欠ごとに千円を差っ引くのですから、三回休んだらこの三千円の乗務手当というものは全く出なくなる。それから皆勤手当というのは、一乗務欠ごとに千五百円を削ってしまうのだから、二回欠勤をしたらこれはなくなってしまう手当です。さらに深夜手当というのもありますよ。これは一乗務欠ごとに四百円ずつ差っ引くわけなんです。したがって、こんな手当を固定給の中に入れて標準的なものの報告を受けて、ここの会社はこれは固定給が幾ら幾らですというようなことをやられたのでは、これはもう全然実態をつかむことになっていない。だからこの資料六の中にある「都内タクシー運転者給与ベース推移」というやつは、これは私から言わせれば、多少給与については三年ばかり専門的に扱ってきたけれども、こんなずさんな計算で固定給と能率給の振り分けをされたのじゃえらい迷惑だ。これはだからこういう資料でもって答えられて、五三%固定給があるんだなんという、そういうことを言っているから、だからだめだと、さっきからそう言っているので、これはもう少しあなたに説明しましょうか、たとえば志村ですね、二千七百台持っているところです。今日のかせぎ高十万円の人は固定給三万二千五百円という固定給が、これに何万かせごうとこれが出てきているんですよ。それが十五万円になったときには歩合給が二万五千になるんです、さっき言ったように折半するから。その標準額からこえた分について使用者と労働者半分わけだから、そうすると二万六千円から三万五千二百円の比率になるんですよ、十五万円の水揚げやった場合には。こういう比率の状態にあるときに、これは少なくとも固定給がどのくらいになっているかということを計算をしてみなさい。これに、この歩合給で出てきた先ほどの無事故手当、皆勤手当、深夜手当、生産手当と、こういうふうにつけていくわけですから、そうしたらやっぱり五五対四五ぐらいになって、歩合給のほうがやっぱり五五%ぐらいになってしまっているんですよ。こんな大手ですら。そこで、先ほど木村委員が地方のほうはどうなっているかというから、地方のほうもあげましょうか。金沢のほうです。これは水揚げ九万五千円。これに対して基本給は二万八千円ですよ。そうして歩合給が三〇%。歩合給の三〇%というのはこの水揚げの九万五千円に対する三〇%なんですよ。水揚げ額に対して歩合給が三〇%。だからその報告を受けたときに、パーセンテージ歩合給三〇%ですといって、そのままうのみにしたら、とんでもない間違いなんだから。歩合給というのは水揚げをやったことに対する歩合給なんです。そうすると、歩合給に対する具体的な金額を出して、そうして基本給あるいは固定給と比べてみなければ、パーセンテージが何%だというわけにはいかない。たとえば九万五千円の三〇%といったら二万八千五百円でしょう。歩合給二万八千五百円で基本給二万八千円であるといっても、歩合給のほうが五百円よけいじゃないですか。そういうことをしさいに見て、そうしてやったのならいいですけれども、ただ報告だけを受けて、五十車以下、五十車以上あるいは百車以上という三段階に分けて抽出したという、そういうやり方はいいですけれども、この手当の、能率給と固定給の振り分けがそういういいかげんなことじゃ、これは固定給と能率給の数字というものは出てこない。だから今度はどういうことをやろうとしているかという、もめている問題までお話しいたしましょうか。だんだん削られてきているということの指摘は、今度は水揚げ十七万円にならないと、いままでの水揚げ九万五千円のときと同じ金額がもらえなくなる。いいですか。これはどういうことかというと、基本給はその日その日払っていくけれども、要するに出来高払い、出来高によって二五%の歩合を払う、こういうやり方です。十七万円もし水揚げすれば九万五千円の現行と同じになる、そういう体系に直そうというものだから、けんかをして話がつかないでいまもめているのです。そういう実情の上に立って私は先ほどから申し上げているので、こんな資料出してもらって、それであなた能率給は三八%だからあとの残った六一・六%が固定給だなんてしらばっくれていたのじゃ、これは実態は全然つかめません。だから、もう少し具体的につかんでもらわないと、これは給与のいろはですよ、こんなものは。そういうことで資料を出してもらって、なるほど今日の傾向はこうだと答えられるならいいけれども、権威あるこの委員会で自民党の木村委員の質問にそういう答え方をされたのじゃ、ぼくの言っていることは全然でたらめのように聞こえるから、これじゃ納得できないのですよ。こんな基本給部分が六一%もあるのならそんなにがあがあ騒ぎませんよ。いま、どこの給与体系を見たって、これは標準にいっています。これは、おまえら何を言うているか、これはあたりまえじゃないか。いま、世の中一般ここら辺が、基本給が六〇%こえていればまずまず上の部分だと、こう言いますよ。ところが、そうでないから言っておる。それをこんな六一・六%と、三八・四%なんという区別をして、そうしてもっともらしく「都内タクシー運転者給与ベース推移」なんて出されれば、これは一言私だってこれは文句も言いたくなりますよ。だから、そういう意味でこの点についてそれはどういうふうに考えられるのか、ひとつ答えてください。
  112. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) いま先生の御指摘の点でございますが、この表は三十三年度から、すなわち神風時代から四十年度までの毎年の推移を実は表示したものでございます。固定給の中の基本給というのは、最も基本的なものであるかとも思います。その場合におきまして、三十三年度が全体のわずか二八・九%でありまして、これはきわめて悪かったということでございます。その八千円というものが当時といたしましては一万四、五千円までにはなるべく早く、一つの目標といたしまして指導すべきじゃないかというふうな議論もございまして、それを逐次指導してきておりますので、現在では五三・三%であるのを二万六千四百十八円ということでございます。したがいまして、この基本給五三・二%と諸手当を入れたものが理想的姿であるということではなくて、現在の姿がこうでありますから、さらにこれを基本給の面の率の上昇をはかるように努力は続けるべきだと思います。それから諸手当の中におきまして、先ほど申しました燃料手当でございますが、これはたとえばLPGを使うことによりまして一日何百円、あるいはディーゼル自動車を使いますところのディーゼル手当というようなものがございます。これらのものも燃料手当でございまして、その手当の中には、いろいろ採用している会社と採用していない会社がございますが、一応調査のものにおきましては、合計いたしまして四千百六十八円というふうになっておるわけでございます。したがいまして、この諸手当の中にはまあ固定給、純粋の固定給じゃなくて若干休めば出ないというものもあるかと思うわけでありまして、やはり基本的目標といたしましては、基本給の面の上昇をはかるということでございます。一応この表は三十三年度のときのようにきわめて悪い姿からは逐次上昇はしてきたが、行政目標としては、さらにこれを改善していかなくちゃならぬというふうに考えておる次第でございます。
  113. 木村美智男

    木村美智男君 だから、私も先ほど申し上げたように、この中にいま言ったような燃料手当ぐらいのものは、これは両またかかったような手当にもなるということは私も了解している。それから家族手当なんというものはこれは純然たる諸手当の中に入れていいと言うのです。しかし、現実に採用している給与体系というものを各社ごとに把握してみなさい、そうすれば、さっき言ったように、名前だけあげてみても無事故手当、皆勤手当、深夜手当、生産手当、精勤手当、こういったようなのは全部何日出たらどうなる、一日休んだら何ぼ引くという性格のものだというのです。こういうものが諸手当の中に含まれておったり、固定給の中に含まれておるかどうか、ここのところを明確にして調査をしないと、大体今日のようなハイタクの本人給というものは二万円から二万五千円くらいしかないのですから、どこを見ても。この点をあなたのほうで、それは高いところで二万円から二万五千円ですよ。あとはみんなそういうふうな能率給になっておって、おまけにもう一つでかいのは、水揚げ額に対して幾らという、これが加わってくるから非常に能率給部分がふくらんでしまう、こうなっているのです。これは抽象論争をしておってもしようがないから、私の言ったことも十分考慮に入れてひとつ実態調査をやってみて、まずこういう統計をつくる前に各ランクごとに、三つぐらいのランクごとに十社くらいに分けてみてください。そうしてなるほどあなたのおっしゃるとおりなら私も訂正をしてもいいのですが、私の手元にある二十何件というやつを全部拾ってみた結果は、いま申し上げておるまん中の欄に持ってきたのですけれども、まん中より上部です。二千七百名の志村交通というのは、四大タクシーに次ぐこれは企業ですから、それですらこういう状態なんです。だからもう少し実態をつかんでやはり資料というものにとってもらわないと、決してあなた方が意図があってこういうものを出したとは言っていないのです。実際に資料というものをつくるときには、そういうことでなければ実態はつかめない。今日の能率給部分が多いとか少ないとかいう論争を具体的に明らかにするのは調査なんですから、そういう意味でいま申し上げたことをひとつ強く要望しておきますから、調査の段階では、いままでの従来の慣例でもってやるのでなしに、新たなる角度からはたしてこれが能率給的なものが固定給として入れらるべきものかを振り分けをして、そうして新しい調査の結果の資料を出してもらいたい。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの固籍の問題から私始めたいと思いますが、これは概念が違うと思うのです。当委員会で八年前に神風タクシーを取り上げたときに、固定給というものを特にこれは努力したわけでしょう、六五%と。それは何かというと非常に不安定なんです。能率給や歩合給は絶えず移動して、そうして生活の基礎が非常に不安定のためにそれが事故の原因になる。そこで何としても安定させるということが必要だというので、固定給というものは要求をされたのです。ところがいまのように、木村委員の指摘は全く正しいと思うのです。能率給の問題がたくさん入っているわけですね、諸手当の中に。こういうことになりますと、これは全然最初の意思と反するのです。したがって、とり方が非常に私はおかしいと思うのです。これは固定給ということになりませんよ。この諸手当のほうはどうしても検討しなければならぬ。そうして能率給的なものはみなはじき出して、そうして固定給というものを明確にすれば、いまのような形の割合が私は出ないと思う。問題は、たとえばタクシー労働者も人間ですから病気をする、いろいろ事故もある。そういうときに休むでしょう、休んだ場合に最低の生活の一体保障があるかないかということが、この委員会でも大きな論議の的になったわけです。だから、したがって、一日休んだけれども、これだけの固定給、最低のものはもらえるということでなければ、これは生活の安定というものはあり得ない。ところがいま木村委員も指摘されましたように、一日休んだ場合どうなるか。これは志村タクシーの例をあげたけれども、たとえば志村タクシーの例をもう一ぺんやってみますというと、一乗務欠勤した場合どれだけ引かれるか。本人給が三百八十五円、乗務給が三百五十円、無事故手当が千円、皆勤手当が千五百円、深夜手当が四百円、生産手当が千円、合計四千六百三十五円引かれる。さらに歩合を含めるというと約七千円引かれることになるんです。そうすると、たとえば四万五千円もらってる労働者は、一日休んだだけでもう三万八千円というふうに落ちるんです。二日休めばこれはまた同じような高額でやられるわけですね。そうしたらどこに生活の安定があるんです。これは光陽自動車の例を見ますというともっとひどいですよ、志村よりもっとこれは規模が小さいですからね。これは一乗務欠勤をやりますと大体一万一千円引かれる、こういうかっこうになる。こういうことでは、タクシー労働者ってものは結局、自分自分の生活を守るためには、病気を無理してもやらなくちゃならない、当然休まなくちゃならないことも、これはやはり自分ではがまんをして出ていかなくちゃならない。これがやっぱり事故の原因になってきておるんです。私は一体このような給与体系というものはあり得るんだろうかどうか。少なくとも日本のいまとにかく近代化されたとかなんとか、新憲法下で行なわれてるそういうような体制の中で、このような旧態依然とした前近代的な給与体系が残っている。これがものすごくタクシー労働者の心身を痛めつけ、これがまた国民にはね返ってきて事故の原因になってるという点ですね、この点を私たちは大きく論議したわけです。八年前の論議では、非常にこれは大きな論議をしたわけです。ところがここにきたとき、何も入ってない。私は基準局長来てますからお聞きしたい。こんな賃金体系をとってるのありますか。日本の他の産業でこんな賃金体系とってるのありますか。たとえば全日自労の労働者だって、これは二十七日なら二十七日働き、一日休めば一日分引かれるんですよ。ところがタクシー労働者の場合は、一日休めば三日分も四日分も引かれるというところに、非常に典型的ないわば何といいますか、先ほどもお話が出ましたけれども、目の前にえさをぶら下げて、そうしてこれを追い込んでいくという賃金体系だってことになる。基準局長答弁を私求めたいんですけども、この点一体どういうふうに考えてるんです。一体こんな賃金体系に対して、いまの日本の労働行政というのは黙ってることができるのかどうか。それから運輸大臣には、やはりこういう残存的な給与の体系というものをこのままにしていいのかどうか。これは非常に重要な問題です。根本的な問題ですよ。この問題を解決しないで神風問題を言ったって、全然問題にならぬ。、問題を異にしていることに私はなると思うんですね。したがって、この点について一体どういうような態度をとられるのか。少なくとも十六項目の勧告の精神というものは、そこのところをぶち破るために、どうしても労働者の最低保障というものに近づける……。最低保障は六五%じゃできないんです。だから八〇%、九〇%という議論さえあったはずです。しかしそのときの小委員会の空気では六五%くらいのところでということで、一応低い線でこれは勧告というかっこうになったわけです。そうしますとどうなんです。これは近代的な労働者じゃないでしょう。全然反対。これは前近代的な労働者、封建時代そのままの労働者の賃金体系です。この点について私は両者の意見をはっきり求めておきたい。
  115. 藤縄正勝

    説明員(藤縄正勝君) お答え申し上げます。運転者の労働条件が、交通災害等に非常に大きな関係があるのではないかということは、しばしば問題にされておるところでありまして、私どもも常日ごろ重大な関心を持ってまいっておる問題であります。で、実はそういう観点から、私どもも先般来、春の交通安全運動に臨みまして、全国で少なくとも三千以上の事業場について、ただいま一斉監督を実施しているような次第でございます。  で、ただいま先生指摘の賃金制度でございますが、およそ賃金制度一般論といたしましては、賃金制度は労働の態様あるいは作業条件等との関連において考えられるべきものでありますけれども、もとより過度に刺激的な賃金制度というものは、それ自体好ましくない。特に能率給制度労働者の安全や健康を無視するような労働強化を招くような結果になるものについては、もちろん適当ではないというふうに思いますし、能率給制度をとる場合においても、御承知のように労働基準法では、一定の保障給を設けることを義務づけておるような次第でございまして、常々自動車運転者については、いま御指摘のような点が問題になっておりますので、私ども、今度の調査におきましてもその点を特に調べてみたいと思っております。いずれにしましても過度に刺激的なものは、私どもとしては適当ではないというふうに考えておる次第でございます。
  116. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) タクシー業界の賃金制度、固定給が多いほどいいことは、これはもう常識でございます。現在タクシー事業の特殊性と申しますか、やはり能率給というものによってある程度の多額の所得が取れるというような魅力等があることも、これは一つの点でございまして、そういう点等の関連があって、今日の実情が固定給が必ずしも期待されるだけ上がっておらぬというところにあると考えられるのでありますが、行政指導方向といたしましては、固定給というものをできるだけやはりたくさんやって、そうしてそれによって労働者の生活が安定するということが私は好ましい姿だと、その基本的態度に沿ってできるだけ行政指導方向も、実情の調和を保ちながらそういう方向に前進させてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 基準局、監督課長の答弁は、現在三千以上の事業所でこれは調査しており、過度の刺激的な給与体系は望ましくない、能率給を加味するにしても、保障給をもっと確立しなければならない、こういう意見でありましたが、これを労働行政として打ち出すためには、少くともタクシー全国数万の労働者がこういう一つの閉ざされた、旧態依然たる体系の中に置かれているのですから、これに勧告する意図はないのですか。早くまとめてこれは勧告すべきだというふうに思うのですがね。それから運輸大臣のいまの御答弁だと、特殊性があるのでやむを得ないのだ、まあたくさん働いて生活を維持するというのが望ましいのだというような御答弁のようにお聞きしたのでありますけれども、これはタクシー労働者実態というものを、やはり運輸大臣は直接おつかみになる必要——おつかみになってていらっしゃると思いますがね。できれば、この前の小委員会では大臣も現場に直接皆さんと一緒に行くということを決議しまして、大臣も行かれたのですよ。これは神風タクシーだったけれども、実際あのときは永野運輸大臣でしたが、一緒に私たちと行って見ました。タクシー労働者実態、ことに帰ってきて深夜業の状況なんかごらんになれば、全く自分のからだを食べているという感じがしますよ。肉体を食っているのですよ。だからそうするといまのような、たくさん働いて生活を維持するのが望ましいという二宮尊徳ばりの考え方では、実際は労働行政というもの、運輸行政というものにはならないのじゃないか。ここのところもっと合理的な近代化を、ここにこそ光を当てていくというのが、私は運輸大臣の当然なしていただきたい努力だと思うのですがね。この点両者からもう一度御返答をいただきたいと思います。
  118. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私が申し上げたのに、あるいはことばが足りなかったのかもしれませんが、私は固定給が少なくて能率給が多いということが望ましいということは考えておりません。やはり原則としては固定給によって生活が安定するということが望ましい姿であると思っておりますが、いまのタクシー業界の実情は、まあ運転をする人たちともいろいろやはり協議をしてきめておると思いますが、やはり一〇〇%固定給ということにした場合よりも、まあこの委員会等でいろいろ出た六五%、そこらを固定給にして、あとは能率給にしたほうがいいという働く人たちの考え方もあるのではないか。そういう点の調和を保ちながら、できるだけ運輸行政としては固定給によって生活が安定する方向行政指導をしてまいりたいと、かように申しておるのでございますから、誤解のないようにお願いします。
  119. 藤縄正勝

    説明員(藤縄正勝君) ただいまやっております監督の結果につきましては、もとより当該事業個々につきまして労働基準法違反、あるいは基準法に違反しないまでも、先生指摘のような適当なものでないというようなことにつきましては、強力に勧告または指導というような形でやってまいりたいと思いますが、全体につきましてこういった点について勧告をするかどうかという点につきましては、監督の結果をまとめた上で十分検討をいたしたいと思っておりますが、この監督をやるにつきましても、私たちは警察庁あるいは運輸省とも協議をしながら進めております。今後とも関係各省と十分御相談しながら、労務関係の近代化に役に立つような指導を行ないたいというふうに考えております。
  120. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ労働大臣の最後の決断が要るところでしょうけれども、私は、この問題について当委員会が精力的にこの問題を現状の中で取り上げているわけですが、また機会があればそういう要求をしたいと思います。どうしてもここを打ち破らなければ、これはいまの交通事故ほんとうに解消することはできないというふうに私は考えているわけです。  そこで先に進みますが、この前の十六項目の決議、これに基づくところのその後の施策というので努力をして、まあこういう資料をいただきました。これは相当努力をされて、いままでの通達とかそういうものを集めてこられた。しかし、これは先ほどからいろいろ指摘されておるように、実際はこの実態にこれは合わないんじゃないか。私たちほしいのは、もう一つ先なんです。これは、なるほどこういう通達は出した。しかし、これが現実にはどう行なわれたか、そうしていまどうなっているか。この行政の追い詰めていって、そして問題を解決した、また問題が残っている、そういうものをほんとうに具体的な事実をもっと明らかにしてほしかった。そこで先ほどから、午前中から出されておるように、ほとんどこれだけではわからぬのですね。ただ気持ちだけはわかります。こういうことをしたいんだと、そういう方針なんだ、そういうことはこれはわかる。しかしそれが実際どうなっているかという点になるというと、一向これはわからないのが特徴的ですよ。私たちの求めているのは、実はこの前の八年前のいささかな努力が、今日どのようにこれは具体的に進められておるかという実態調査、こういうことだったんですね。ところが、こういう点では非常にやはり私がこの前要望したその要望とははずれているように思うんです。第一に、この刺激的な給与の問題がいま出たんですが、刺激的な給与を廃止するというふうにこのなにもうたっているわけですね。ところがどうでしょうか、いまもすでに木村委員の指摘によって矛盾があらわれているんですが、刺激的な給与が皆さんの今度は固定給の調査の中に入っているんです。そうでしょう、無事故手当だとか、それから皆勤手当とか、こういうやつはもう全部これは刺激的な給与になることじゃないですか。どういうことなんです、これは矛盾なんだな。全然矛盾なんですね。刺激的な給与というのは、たとえば、そんならいまあげました、まあ十三くらいあるらしいのだが、その中のどういうのが刺激的な給与とこれは考えておられるのか。それに対してどういう手を打たれたか。これを具体的にまずお聞きしたい。これはもういままでやられたのは、詳細に全部などと言ったら時間かかりますから、大きなところだけでいいですわ。しかし、これはずっと系統的にやってこられたわけでしょう。もっとも局長さんはずっと何代もかわってこられたようですが、ずっと継続的にやっておられるでしょう、自動車行政は。こういう点からいけば、刺激的な給与というのは、たとえばどんなものを一体考えておるのか。この作文をされたときに、少なくともどういうものを取り払おうと考えておったか、こういう点をお聞かせ願いたい。
  121. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) この表で能率歩合給というのがございます。これは水揚げに応じまして給与が変わってくるものでございまして、この能率歩合給の欄が、まあ最もこのいわゆる能率給というものでございます。それから諸手当の中には、水揚げによりましてあれが変わってくるというふうなものは入っておりませんので、こういうふうに分類したわけでございます。  それから、きわめて刺激的なものといいますのは、一定のこの金額をきめまして、その金額をこえれば、急にその給与の率がよくなるというような、一つの線を引いているわけでございます。まあ会社によっていろいろあるかと思いますが、その線を少しこえればきわめて率がよくなるというふうなものを、まあ刺激的給与というわけでございます。で、本表によりますと、その能率的な歩合給と申しますのは、歩合、水揚げに応じました給与というふうな意味で能率歩合給という欄に掲げたものでございます。それから、諸手当の欄は、水揚げに必ずしもマッチしたものでない諸手当を加えたものでございまして、純粋には、先ほど申し上げましたような固定給の欄の基本給というものが、固定給でございます。諸手当の中におきましても、いま御指摘のようなものも若干あるかと思うわけでございまして、われわれの目標は基本給の面を極力上げていきたい、能率歩合給の率を極力下げていきたいというのが、行政目標でございます。
  122. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと何ですね。この刺激的な給与というのは主としてまあ歩合給、能率給の問題、ことにまあ一定の範囲をこえるというと急に所得率が多くなる、そういう点で刺激的だ、こういうことなんですが、これは先ほど私があげましたように、たとえば一日休むと七千円引かれる。ひどいのは一万一千円引かれる。これはやっぱり反対に刺激的ですね。そういう中にやはり先ほど例をあげましたように、これは精勤手当とか皆勤、無事故手当、乗務手当、こういうのあるわけでしょう。こういうのは当然今度は抜いて計算しなきゃならぬと思いますけれども、これは木村委員の質問を私はさらに同じところを突いておるわけなんですが、これはどうなんですか。これははっきりさしておかぬといかぬですよ。これも刺激的な手当ということになりますね。ここ矛盾していますよ、あなたたちの出した文書とそれから現実調査の何とは矛盾している。これはどうですか。
  123. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 能率歩合給は、休みました場合には当然これはなくなるわけでございます。それから諸手当の場合におきましても、この精勤手当とか皆勤手当というようなものは、休みました場合には減額の対象にはなると思います。
  124. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ木村委員からも要求があるのですから、今度の調査のそういうデータをつくる場合には省くべきだと、当然これは明確になったと思うのです。  その次に、この走行キロの問題ですが、これは、走行キロはどうなんですか。どういう傾向をたどっていますか。この陸運要覧によりますと、東京の場合ですが、一社当たりの走行キロを見ますと、昭和三十九年の三月では二百八十三・四キロ、これが四十年三月になると三百六・七キロ、交通が非常に年々ものすごい倍率でもってふえていっているわけです、混雑しているわけです。それにもかかわらず走行キロがふえている、走行キロをふやさなければ食っていけない、歩合給ですから。こういうことになっているわけですけれども、これは三百六十五キロというのは制限キロ数なんじゃないですか。ところが、現実にはこの三百六十五キロというのはほとんど一つノルマ、達成すべき目標だというふうに理解されておる。そういう点が非常に多いと思うんですけれども、この運営の実態というのは、どういうふうになっておりますか、これはつかんでおられるのか、これをお聞きしたい。
  125. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 走行キロは走行すべき限度でございます、三百六十五キロまでが許容される限度でございます。三十五年度から三十九年度までのデータは持ち合わせておりますが、法人の場合におきましては、三十五年度が三百四十八・九キロ、平均でございます。三十六年度が三百三十七・三キロ、三十七年度が三百三十・一キロ、三十八年度が三百三十五・九キロ、三十九年度が三百三十三・二キロ、こういうふうな数字に、これは平均の数字でございます。しかしながら、監査等におきましては、具体的な会社の場合におきましてこれを超過しておるようなものがございます。それが指摘されましたら適当な処置をいたしておるわけでございまして、平均だけでなくて実際にそれを超過することがないように指導すべきだと思っております。
  126. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、どうなんですか、これは当然水揚げの問題と関連するんですけれども、水揚げが非常に要請されて、また、それなしには生活が立ちいかないということになると、当然走行キロを多く走るということになりますが、この結果ははっきりいろいろ出ていると思いますね。たとえば愛媛県ではちゃんと二百四十キロですか、それから愛知では三百二十キロ、そうしてこれを走れば手当を出す、やはりここにも手当がついておる。それから日本交通では三百二十キロ走らない者は早退とみなしている、こういうような実情があるやに聞いているわけです。このように会社によりいろいろ違いますけれども、より多く走るようにこれは奨励している。結局、三百六十五キロというのは当然これは走るべきだというような解釈を業者はやっているんです。制限距離ではなくて、この制限距離をこえているのはずいぶんこれは出ている、相当多分にあるわけでしょう。こういうふうになっていると思いますけれども、こういう点について、最近の交通事情等に関連して、こういうものをどういうふうに考えているんですか、この辺の指導ですね、これはどうなんですか。実態とは必ずしも合っていないと思うんですね、どうですか。
  127. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 先ほど申し上げましたのは三十九年度までの平均的な数字でございます。最近におきまして、いま先生が御指摘のような面もあるかと存じまして、東京陸運局におきましては、この二月に調査をいたしております。その調査の結果によりますというと、平均しまして三百四十三キロというふうな数字を示しておりますので、前年度のものと比べまして平均が上昇しておるというふうには——中には相当長い走行キロをやっている者もあるのではないか、こういうふうに考えられますので、この点につきましては、監査のひとつの重点的な指導事項として調査をする予定にいたしております。
  128. 岩間正男

    ○岩間正男君 この走行キロの問題は、結局給与体系の問題と深く関係してくるわけですね。先ほどの歩合給というものが、これはあなたたちの統計では三分の一ぐらいに見ておりますけれども、実際は、現状は半々、もっと例外のところが出てきているわけですから、そうなりますと、どんなに走行キロを制限し、指導しても、この給与体系について根本的な、抜本的なメスを入れない限りは、私は走行キロの問題というものはほんとうは根本的に解決しない、こういうふうに思うわけですけれどもね。ですから、結局固定給の問題にまた戻るわけですが、これは皆さんのほうでいろいろな給与、手当ですね、手当についていろいろあるわけですね、これ調べておられますか。手当のなには先ほどあげたようなものばかりじゃないと思うんですね、もっとこれは多種多様になっていると思う。十二、三あると聞いておりますけれども、さっきの以外にあげてもらいます。
  129. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 先ほども相当申し上げたと思いますけれども、個々会社を見ますというと、さらに多種類のものがあることは、否定し得ないかと思います。先ほど申し上げましたのは、おおむね調査いたしましたものの中で十社以上が採用しておるものでございます。そのほかにこれは住宅手当とかいうふうなものも採用している会社もございまして、その一、二のものは省略いたしまして、相当多数採用しておるものを、例として申し上げた次第でございます。
  130. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  131. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  132. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは昇給はどうなっておりましょう、昇給は公務員のベースなんかと比べものにならないほど低いというふうに聞いておるんですが、どうですか、一年間にたとえばタクシー労働者は、どれくらいの昇給をするというふうに見ておりますか。
  133. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) その関係につきましては、お手元の資料の二〇ぺ−ジにございます。一年につき三百円ないし五百円の昇給制度を制定するというふうに書いてあります。
  134. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはどういうふうになるんでしょうか、三百円ないし五百円という昇給は、今日の給与の分に入りますかな、ここが問題でしょう。これはやはり基本給の問題、固定給の問題と関係してくるんだけれども、これも非常に前近代的じゃないですか。十年やって三千円しか上がらない。こういったばかげた給与体系があるかと実は私たちもびっくりしているんです。資料の中でもそういうことがうたわれている、われわれはそう思っていなかった。何ぼ何でもタクシー労働者労働者なんですから、こういうんでは話にならないでしょう、ベースアップはどうですか。
  135. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 三百円ないし五百円とありますが、年功加俸の額でございまして、通常行なわれておりますところのベースアップは含まれておりません。したがってベースアップの額は、年によって違うかと思いますけれども、二千円から二千二、三百円というのが普通の場合ではないかと思います。おおむねといたしましては二千数百円というベースアップじゃないかと思います。
  136. 岩間正男

    ○岩間正男君 私もしろうとだからお聞きしておるので、大体基本給が一万円というのを一体なぜきめたんです、八年前にきめたんでしょう、こういうことが基準になっている。基本給を一万円にしているというところが問題なんです。こういうものは改定しなくちゃいかぬでしょう。それとの関連でいまのベースアップの問題が出てくるわけですからね、そうでしょう。いま説明によりますと、聞いております、とかいうなにですけれども、これは実態をつかんでいないんですか、これはどうなんです。この点をもう少し明確にしてもらいたいです。
  137. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) いま三百円ないし五百円と申し上げますのは、年功加給でございます。それから、ベースアップの場合に各社でいろいろございますが、平均して幾らになるかという計算はしておりませんので、おおむね二千円から二千数百円じゃないかということを申し上げているわけでございまして、これは決して知らないという意味でなくて、平均して幾らという計算がないけれども、二千円から二千数百円であるというふうに申し上げたつもりでございます。
  138. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは大臣がおられるうちに先に飛ばしてお聞きして、あとでまた戻りますが、第一に、資料によりますと一八ページですね、労働省所管、「タクシー事故防止は、労働条件の改善にまつところが大きいので、給与その他労働条件の改善については、労使の正常な団体交渉によらしめること」、こういうふうになっておるんですけれども、この政策は行なわれていますか、どうなんですか。
  139. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 団体交渉につきましては、労働省としましては、労働条件は自主的な労使の交渉によって労働条件の改善あるいは維持、そういうものを交渉するという指導をずっといたしております。で、個々の事例につきまして例外があろうかと思いますが、最近たとえばタクシー関係労働組合等の実態を見てまいりますと、労働組合は次第に充実してまいりまして、一般の民間産業と同じような交渉をやっておる例が多いと存じております。
  140. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ちょっと関連して。いまの関連でお伺いしますが、それはもう一般論で、まことに労働省の役人のそれは答えなんだな。そういう実態になっていないんだよ。いないから、全国的に至るところにそういう問題がある。たとえば給与の問題にしても、いままでだんだんの各委員から質問があったように、つまり賃金というものは一体何かというところから出発しなきゃならぬですよ、この問題は。これはまあ釈迦に説法のようだけれども、労働省の皆さんは十分知っているとおり、賃金というのは労働の質と量に対する代償でしょう。そこから出発して、労働基準法にはいわゆる基準外賃金と基準内賃金というものが制定されているわけだ。ところが、そのことは具体的にタクシー業の中にはないんですよ。ないから、基準外賃金のようなものもここに出ているように固定給と称して含まれているから、いろんな問題が内在しているから起きてくるわけですからね。そういうことなんですよ、これは一つの給与関係見れば。しかし、これはタクシー業だけじゃなくて、日本の給与の体系なり形態を抜本的に変えるということになるとこれはたいへんな問題になるし、いまの社会経済機構に直ちにそれがマッチするということにはならないから、漸進的にやるというようなことになってきているんだと私は思う。だから、そこまでぼくは議論を発展させませんけれども、たとえ労使の関係の労働条件等々については、団体交渉にゆだねる、これはまさにそのとおりですよ、法律からいけば。しかし、その労働条件というのは一体何かということをせんじ詰めて言ってみれば、ごらんなさい、たとえばハイヤータクシーの、先ほど岩間委員も言っておられましたが、職種が、これは深夜業を営んでいますから、それだけに基準法でも緩和措置をされているわけでしょう、勤務の実態とか何か。しかし、実質的に十六勤務が今日十八勤務あるいは二十日間も勤務しているという状態があるわけですよ。こういうものが、ただ単に団体交渉の、つまり労使双方の従前行なわれてきました慣行にゆだねていますなどというような、そういうばかげたことを言っておるというところに、私は問題があると思う。これは地方における基準監督署がわかっているわけですから、どんどんそういう点を指導監督してやることによって、ずいぶん改善される部面がたくさん残っていますよ。それから、たとえば休養施設の問題です。深夜業を営むから、当然そういう付帯的な施設を完備しなければならぬ、整備しなければならぬ。なっていますか。東京都内における四大会社はある程度整備されていると思いますよ。しかし、地方のほとんどのこの種業のそうした面というものはなされていませんよ。運転手が帰ってきて、たとえば夜中の二時なら二時が交代時間だということで、労使双方の団体交渉できめて、さて休養をとると、休養施設ありますか、ないですよ。乗ってきた車の中で毛布一枚かぶって寝ているのが。これは実態ですよ。東京のような、冬季間やや暖いところならいいけれども、ぼくのところの北海道なんというのはそういうわけにいかぬでしょう。ですから、エンジンかけたまま睡眠する、仮眠ですよ、こういうのは睡眠じゃなくて。ですから、それが逆に今度は排気ガスの何とかかんとかで、朝起きてみたら冷たくなっていたというような例はたくさんあるんじゃないですか。こういうのは一体労働基準監督署では関係ないのですか、こういうのは。こういう面をどうするかということをぼくは伺っているんだと思う。いまのような答弁を言うと、ぼくはずっと洗いざらい最初からやらなきゃならぬことになるが、どうなんですか、これは。
  141. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) いまの岩間先生の御質問は、私は労使の団体交渉が正常に行なわれておるかどうかという御質問と解しまして、労働条件についてはなるべく自主的にそういう指導をしておりますと答えましたけれども、いま吉田先生の御指摘のように、法で規律しております最低限の、労働基準法できめられておりますものにつきましては、労使の話し合いとは別個に、労働基準監督制度というものがございまして、その点につきましては、特にこういう交通関係については私の所管ではございませんが、重点事項として監督をいたしておるわけでございます。
  142. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、最近いろいろ団体交渉の問題で問題が起こっていることは、これは実際自分でもタッチしたし、ふえてきているわけですよ。そういう点から言っているんだが、これはまあ労使の団体交渉がわりあいとうまくいっているところもあります。しかし、なかなかそうでないところが多いんじゃないですか。ことにいろいろ企業の閉鎖をやるというようなかっこうで、実際はもう営業の体制を変え、そのためにこれをロックアウトするというようなかっこうのところで、ずいぶんこれはたくさん起こっている。そういう例はあなたのほうにあるでしょう。これは東京あるいはこの週辺だけでいいですけれども、最近のそういう資料を出してもらいたい。たとえば、東京の場合はたくさんあると思いますよ。メトロの場合はずっと先のことですが、最近では、昨年あたりから司の問題が起こっている。それから、近県では最近岩槻の問題を私は聞いたんですが、これはあなたのほうで耳に入っておりますか。岩槻で組合をつくったと、そうして組合の副委員長が社長のところへあいさつに行ったところが、いきなり何を思ったか、気違いじみたやり方でもってかしの棒でこの副委員長の頭をなぐった、棒が三つに折れた、私は現にそれを……。
  143. 江藤智

    委員長江藤智君) 岩間君、すみませんが大臣にひとつしてください。あとにまた……。
  144. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう血痕累々としたものを見たわけですけれども、そういう事態についてはあなたのほうでいち早く調査をして、これに対する一体どのような対策をしたのか、この陰には、はっきり暴力的な支配があるのですよ。こういう問題幾つか触れておるのでしょう。こういう問題についてあなたのほう、どう考えておりますか。
  145. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 私は一般的に、タクシー会社の、特に大規模の事業所においては、最近比較的労使関係が安定して、スムーズに団体交渉が行なわれておる、こういうことを申し上げましたけれども、御指摘のように東京でも、特に地方の周辺では、中小関係タクシー関係の労使関係では、不安定な事例が相当ございます。いま先生が御指摘の、たしか埼玉ではないかと思いますが、岩槻交通等につきましては、こちらで事例を把握いたしておりますが、組合結成に対して非常に使用者側が無理解、それに暴行事件を加えたということも把握いたしております。この件に関しましては、労働問題として不適当であるばかりでなくて、司法事件として刑法に触れる問題でございます。いま地検で鋭意捜査中と聞いておりますので、そちらの処断をこちらとしては待っておるところでございます。なお行政指導としまして、そういう労働問題に無理解な使用者に対しましては、積極的に労働教育を進めるようにいたしてまいりたいと思います。
  146. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは大臣にお聞きしますけれども、八年前の勧告のときにも、非常にタクシー労働者は、労働組合を組織することが困難な条件にあった。ことに中小企業の場合、圧力が非常に加わってくる。組合に入ったということだけで非常な圧迫を受ける。むろん組合活動については、もう自由が保障されないという形なんですね。そのために未組織労働者が非常に多いのが現状です。私はこの問題は、先ほどから述べてきたタクシー労働者にあるところの前近代的な給与体系、あるいは労働条件、こういうようなものと非常に深い関係があると思うのです。私は当然これは労働法による団結権、団体交渉権争議権を認める、その上に立ってはっきりとこれは対等の立場で話し合いを進めるというのを原則として今後行政を展開しない限りは、労働者の基本的権利は守られない、生活安定もあり得ない。したがって、当然国民に及ぼすところのこのような交通の危機から国民を守るということは、非常に不可能だと考えます。それで陸運行政の一環としてタクシー問題を運輸大臣指導され、その指導するにあたって、この点についてどういうこれは見解を持っておられるのですか。私たちはあのときの勧告の中で、まだ組合をつくらない未組織労働者も、代表を選んで、そうしてこれは業者と、資本家側といろいろな給与の問題や、労働条件の問題で話し合うように、そのようにこれは行政指導をすべきだという勧告を出したわけです。ところがこれは全く守られない。まるで反対の方向にこれはいっておると思うのです。むろんこれは労働省の所管の問題でもありますけれども、直接はやはり運輸交通行政の最も重要な一環をなすものなんですから、この点について私は運輸大臣見解を承っておきたいと思います。このことは非常に重要ですからね。今後のやはりタクシー行政、あるいはトラック労働者行政にとりまして非常に私は重要だと思いますので、お伺いしておるわけです。
  147. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 労使間の問題は、労使双方におきまして、互いに両方の立場考えながら、円満な労使慣行ができ上がることが私はきわめて好ましいと思っております。運輸行政としましては、そういう方向で善処してまいりたいと思います。
  148. 岩間正男

    ○岩間正男君 したがいまして岩槻の問題、 いま、まあこれは検事局のほうに移った問題らしいのでありますけれども、もう不当労働行為どころの話ではないのですね。全くこれは傷害事件なんですね。だから刑事問題として摘発されている。ところが実際はこれに類した問題がたくさんありますよ。私は一昨年司タクシーのあそこでロックアウトされた現場を見て、私自身も直接体験した問題です。それから社会党の亀田議員もその問題をやはり直接身をもって行って体験しておりますけれどもね。こういう問題はあとを断たないのです。こういうところに暴力団とタクシー業者との結合があるのです。こういう問題をはっきり私はやはり行政指導立場から明確にするという方向をとらなければ、ほんとうタクシーにわだかまっておるこの問題を解決することは困難だ。こういうふうに思うのでありますけれども、この点の決意はいかがです。  いまの岩槻の問題なんかについて、具体的に例をあげたんでありますけれども、岩槻のタクシーの場合のような問題については、これは運輸大臣としてもどういうふうにお考えになるか。
  149. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 刑事事件になっております問題は、これはそれぞれの所管の立場で処理されておると思いますが、運輸行政といたしましては、労使双方に教養と品位を高める方向指導いたしております。暴力問題等が介在する余地のないような雰囲気をつくっていくことに努力してまいりたいと思っております。
  150. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣は今度、外国に行かれるわけで、しばらくの間、大臣の御高見を承ることができないものですから、この機会にひとつ伺っておきたい。いままで主として路面交通、特に自動車の関係でいろいろな安全の問題を中心として質疑が行なわれてまいりましたのですが、非常にいま国民が、事安全に関してはたいへんな関心を寄せていると思うのですね。で毎日の新聞を見ても、この交通事故のない記事というのはないのですね。これはひとり日本だけではございませんけれども、そうした中でもこの踏切の事故もまだかなりあります。これは根本的な対策としては、立体交差等の問題がございますが、かなり事業主のほうはそういう点について力を入れ、政府も力を入れて、踏切事故というのは従前から見ますると、統計だけでもざっと半減してきております。してきておりますけれども、自動車と同じようにかなりの踏切の事故がある。その内容を大別して見ますると、これは自動車と無関係ではないものですから、この際警察のほうからも片岡さん、おいでになっておりますので、あわせてお尋ねをしますけれども、ほとんどがこの無免許の者が運転をして、それぞれの踏切の係員あるいは三種踏切の場合は警報が鳴っておるわけでございますけれども、そういうものに注意せずに飛び込んできている事故というのが大半なんですね。そこで、そうした事故の、とりあえず警察側として調査をしたり、あるいは現場保存のいろいろなことをやると思いますよ。やると思いますが、そういう手順が、この路面交通の自動車の場合は、往々にして私のほうもそういう場面を拝見しておりますけれどもね、どういうことであるのか、それから踏切の事故の場合はどういうようなことでやっているのか、最初に片岡さんから答えてもらって、内容は、いまもちょっとそちらから出たように、法務委員会の所管することであろうから、やがて私どものほうとしては、法務委員会でもその面は具体的に聞きますけれども、そういう取り扱っていく手順の関係ですね、これをちょっと最初にお聞かせ願いたいと思います。
  151. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 通常の踏切以外の道路上の交通事故につきましては、通常はそこの場所を管轄しております弊、警察署の係員が捜査をいたしております。ただ死亡とか非常に重大な事故、あるいはひき逃げ事故の場合には、各県の本部にひき逃げの捜査班の専門家がおりますので、それが出ていって応援して捜査いたしております。  それから列車事故の場合には、大府県では大体交通部が中心になって捜査をいたしておりますけれども、またその実力を持ってきておりますけれども、いなかの県の場合には、いまだに交通だけでは十分でございませんので、刑事部のほうの捜査の係官も、それから鑑識の係官も一緒に現場に行きまして捜査をいたしております。大体まず捜査のやり方としては、御存じだと思いますが、現場をまず保存をして証拠を集めます。それから参考人あるいは当事者から事情を聴取する、そういうことから捜査をやっております。
  152. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 一般論としてお答えを願いまして認識をしたわけですがね、道路における自動車の事故の現場の保存のやり方と、それから鉄道ですね。踏切事故、これは国鉄、私鉄を問わず、そういうところの事故の現場の保存のしかたというものは、かなり私は違っているのじゃないかと思っておりますが、その点はどうですか。
  153. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) いずれの場合にいたしましても、私はそう本質的な相違はないと思いますが、いずれの場合にいたしましても、あとの交通のことを考えまして、通常家の中で行なわれた犯罪のように長らく現場を保存してゆっくりやるというわけにはいかない。そういう意味でやはりあとの交通の円滑をはかる、あるいはあとの交通を回復する意味で、比較的短時間に集中してやるというむずかしさを持っていると思います。
  154. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 捜査をしたりあるいは調査する場合に、もとより刑法であるとかあるいは道交法をたてまえとしてやるのだと思いますけれども、これは画一的にやられるわけですか。たとえば道交法を踏まえてやる場合は、路面交通の場合。鉄道のそうした事故についても道交法でやるわけですか。
  155. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 単なる物の損壊の場合には、その物の損壊を起こした交通事故に関連のある道路交通法違反があるかないか、あれば道路交通法違反として送致する。それから人身事故の場合には、人の死傷の場合には、多くの場合に業務上の過失致死傷罪として刑法犯の捜査として現在やっております。
  156. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大体わかりました。  そこで、最近の直近の例として一つ伺って、あとで運輸大臣見解を賜わりたいと思いますが、四月の二十一日です、列車名は五七二列車、場所は飾麿線というところの踏切事故ですが、ここで踏切のやはり事故が発生しています。この事故は、やはり十六歳かの無免許で、三輪車にかなりの積載量を持ったものですが、これがもとより踏切の関係の、左右の確認もしないし、その他の諸法規の確認もしないし、同時に運転している側から言えば、再三にわたって警笛を発していたにもかかわらず、やはり突っ込んできて、急ブレーキをかけたけれども間に合わずして衝突事故を起こした問題があって、その場合に扱った警察は姫路の警察署なんです。これはあとで法務委員会で冒頭言ったようにやってもらいますけれども、この間の、取り調べております内容を若干記録をぼくはとってここに持っていますけれども、これはこういう形でいつも警察のほうでやられるかどうか伺っておきたいと思います。これが間違っているとすれば、かようなことのないように私は指導してもらわなければならぬと思う立場で、いま伺っているわけでございますけれども、先ほどのお答えにもございましたが、東京などではそういう専門の係官が現地におもむいておりますから、あまりこういうことがないと思います。しかし、いなかのほうに参りますれば、必ずしもその専門家がいなくて応援の方が、いわゆるこの方が応援であったかどうか別として、先ほど申し上げたような事情であるけれども、歴然とここに書いてありますものは、この記録では、名前をひとつ申し上げますが、係長ですが、小西という係長ですよ。ですから、警察署の係長というと、大体私の認識では警部補ぐらいじゃないかと思います。いってみれば中堅幹部になると思いますが、相当な私は諸法規に通じているだろうし、こういう問題の取り扱いも、過去においては経験しているのじゃないかと思いますが、現場で直ちに機関士を強制的にその現場からかなり離れたところに拘束しているのです。こういう事例が一つあるのです。運転士のほうは——機関士ですね、機関士のほうは鉄道には鉄道営業法、運転する場合には運転取扱規程等々を順守せねばならぬことになっている方ですね。これは普通の町の自動車の運転手さんであれば、道交法を順守すればいいのかもしれませんけれども、そういうものがある。そうした事故が発生した場合は、第一に機関土は取り扱わなければならぬ態度として、まずけが人が出た場合、そのけが人をすみやかに病院に送り込む等々の措置をしなければなりません。それからその前後の、これは普通の道路上と違いますから、限りない列車が走っているわけですね、前後に。したがって、それに対する措置をしなければならぬ。第三には、詳細検討してそれぞれの機関区の、つまり上司ですね、機関区長ですね、ここに事故の報告をしなければならぬことが義務づけられているわけです。ところが、直ちにパトカーに来い、ここで話せばわかるじゃないかという話になったところが、けしからぬやつじゃということでパトカーで連れていって——まあいろいろな事情を聞くことはこれは職務でしょうから私はとやかく言いませんが、その後現場保存という立場から、綱を一本、道路上で事故発生のときにおおむねやられるように、縄を張って、そうして本人が、ただいま申し上げたような本人の職務上の手続をとるために、電話をかけようとしても、そのことも認めなかった。こういうために七十五分間列車が、そうさして大きな事故じゃないけれども、遅延をして、姫路に延着をしたという事件が一つあるのですよ。こういう事件について、ひとつ、どのようにおたくさんのほうは考えられているか。  それから、そのときに、ここに供述書といいますか、警察で——その記録を私は一部持ってきておりますけれども、この係長という人は、君がかってに機関車をもっていま言った飾磨線を臨時に列車を作成して運転していたものである、こういうことを言っているのですよ。本人が、鉄道営業法、それから運転取扱規程等々の説明をしても、全然それは受け付けなかった。こういうことがこの記録には載っています。それから係長は、飾磨−姫路間を十分間で運転する規程になっている、ダイヤが組まれている。したがって、その間は、これはもとより——この列車は貨物列車でありますが、貨物列車の場合、何両牽引している、積載量が何トンになった場合には何キロで走れということになっている、大体。したがって、本人は大体この間を十分間に、かなりのものを積載していたわけですから、六十キロで走っておった。ところが、どこで本人がそのゲージをとったのかわかりません、速度計をとったのかわかりませんが、君は百キロでかってに走っておった、こういうことが供述書に載っておるわけです。これは機関士は、普通のハイヤーなんかの自動車の運転手と違いまして、かってに百キロで走ったり、七十キロで走ったり、七十五キロで走るというようなものではないのです。それぞれの駅間、区間、何分、何キロということで、それは一分おくれても事故を防止しなければならぬ。こういうやかましい規程になっておりますことは、私どもはその職場の中でめしを食っておりましたからよく知っております。委員長江藤さんも局長さんまでやられておった人だし、それから岡本理事も次官までやっておられた人ですから、よく知っておると思うが、こういうことにはならないと思うが、こういうことになっているのです。  それから、なお私は立ったついでですから、簡単に申し上げますけれども、私どもの常識ではわからないわけですけれども、こうしたものでも業務上過失傷害で調書を作成をする、これは検察庁に送るから。その根拠は道交法である、こういうお話なんですね。そこで、私は冒頭で画一的に道交法というものを適用するのかしないのか、これは事の起きた問題によりけりだし、それから私は鉄道の事故というものを長年見てきたし、今日でも、本線に現場保存という、つまり、警察官の職権で縄を張って、道路上でとめてやるようなことは、いまだかつてためしがないのです。そういうものが、できるだけ本人は、早くすみやかに解決して、列車を落としてでも事故の再発を防ぐというのが、これは本来の鉄道の任務でもあり、また法律にもそれぞれきまっていることなんです。ところが、こういうことをやられて、なおかつ道交法で君を送検することにするというようなことです。こういう事柄は、まことにこれは、鉄道の機関士さんはかなりのきびしい各種の試験制度を通過をしてきているものなんですね。たいていのこういう、ほかのことは別として、運転関係の諸法規なんというのは、権威者にひとしいくらいマスターしている人が多い、ほとんどの人が。そうでなければ、機関士の資格試験に合格することはできないわけですから。そんなものですから、このときにあまりにもそういう一方的なものの言い方、一方的な取り扱いというのは、警察官の職権をみだりに用いるのではないかというようなことを言うたら、それはとんでもない話だ、ということと、もう一つは、このことについては警察庁——つまり署長、現地で言うと署長がそういう覚悟で指示したかどうかということを伺ったところが、それはおれの権限でやることだから、上司の命令によってさような取り扱いをしたのではない、あくまでもぼくの——ここに書いてある記録をそのまま読みますと、私一個人の職権でやったのであって、上司はこれは知らないことだ、こう言っている。こういう点。それから最後に、私がいま言ったような、鉄道側の慣例といいますか、従前の扱い方になっているものですから、列車というものはかってにつくられているわけじゃないわけです。たいへんな時間をかけてダイヤを作成をして、そのダイヤに従って列車を運行さしている。その限りの中で運転業務というのは、列車が駅から発車すれば、機関士が一切責任を持って運行するものなんです、運転するものなんです。そういう話をして、したがって、この受けた損害等々については、ここにも金額は書かれておりますけれども、車の被害が約二十万、それからけが人が出たようですから、これは無免許の運転手さんだと思いますが、病院の関係の費用が十万円合計三十万円、これは君の責任だから示談で解決しなさい、という指示を受けた。本人は先ほど言ったように諸法規を全部知っていますから、そういうことについては、国鉄にはそれぞれのそういうものを取り扱う法規課というのがあるから、そこに十分内容を報告をして、そういうところの指示を得なければならぬ、と言うと、そんなことはどうでもええ、こういうことについては運輸大臣と法務大臣との話し合いでやるべきことで、君のようなものに何がわかるか、というようなことが記録に載っている。まことに私は、この記録を読んで不可思議なこともあるものだ。こんなことによって機関士なり機関助手というものが一警察官に扱われるということになると、これは人権の問題ではないか、こう思うのです。この限界を、これはやがて具体的にもう少し、——私は冒頭に言ったようにこの委員会の所管事項ではありませんから、法務委員会でやりますけれども、そこのところをひとつ、あなたが警察官としていわゆる、警察庁にいる幹部としてこの事柄についてどうお考えになるかということを答えられればけっこうです。またあとで私は法務委員会でやりますから。  それから運輸大臣には、運輸大臣と法務大臣と話し合えばいいのだということを書かれてありますから、そんなことは別として一体運輸大臣は、いわゆる列車運行ダイヤ、つまり、国民の利益を守るために運行するという立場から、営業法なりあるいは運転諸規則、取扱細則等々があって、国鉄の職員がこれを順守せねばならぬ内容になっています。その場合に、その例のないようなことで直ちに現場から拉致されたり、あるいは前に私は一回問題にしたことがあるわけですが、昭和三十九年の十二月の二十一日にやはりこれも姫路の管内。どういうものかそういう変な事態が姫路の警察に起きてくるわけですから、この場合でも手錠をはめて拉致して行っているんですね。手錠はめているから電話かけることも何もできないじゃないですか。これは無罪に当然なることですから——無罪になったんですけれども、何かその辺の強盗であるとか破廉恥罪を犯したような罪人扱いにしているところに、私は姫路の警察に問題があるんじゃないかというように思うんでね。それはそれとして、運輸大臣はこういう扱いをされることが営業法にどうなっているのか、営業法というものの精神とあのきびしい運転取扱規則、細則を一体機関士なり助手というものは、どう一体これは守らなきゃならぬか。それはどうでもいいのか、つまりこの警察の言うとおりやって報告その他一切やらなくてもいいものかどうか、こういう点をひとつ大臣——あとあと法務大臣とあなたと話し合えばいいというような、こんなものは別として、ひとつあなたの御高見をこの際私承っておきたいと思う。
  157. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 私もいま先生のお話を承っておりまして、私自身どうもふに落ちません。で、至急事実を調査いたしまして、それに基づいてお答えいたしたいと思います。
  158. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は国鉄の職員がやっぱり与えられた職務に忠実にやっていくことが正しいと思いますし、いま吉田委員が仰せられたことを聞いておりますと、私の良識とあまり隔りがあって何だかわからぬようなことでございますので、答えることもどう答えていいかわからぬようなことで、それで警察当局答えましたように、もう少し実情を聞かないと、その事件そのものについては何とも答えられる状態にはございません。国鉄の職員は、やはり与えられた職責に忠実にやっていくことが正しいものであると、かように思います。
  159. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 警察側のほうとしては、これは現地のことで逐一全部知っているわけじゃないでしょうから、十分こういう調査も、警察で調書もできて私も持っていますから、調べればわかりますから——調べるほうはあなた方の専門ですから、十分調べて私のところに——どうせ一回これは法務委員会でやらなきゃならぬことですから、調べて報告書出していただきたいと思います。それから大臣もほとんど私の考え方と変わらぬと思うんですが、そのけがをした運転手さんを始末して、約十五分間ぐらいかかったそうですよ、この内容ではね。それ以降というものは機関区長さんに電話をかけるから駅のほうにやってくれと言ってもだめだと、おまえはこの現場から動いちゃいかぬと言って拘束されているわけですから電話もできない。とうとうこれも現場検証のときに、これもちょっと常識外だけれども、一つの犯罪を犯したというふうに見ているわけでしょう。これはそういう措置をしているわけでしょう。いってみれば犯人——犯人ということばが当てはまるかどうかは別として、警察側とすれば見ているわけでしょうけれども、その犯人に、ひとつおまえ巻き尺を持ってそこからはかれと言ってやっているんでね、これは、小西という係長が。これは片岡さんが言ういなかのほうだからいいかもしらぬけれども、ために七十二分間おくれている。そうすると、約五十分間というものはその一警察官、これは上司の命令によってやったんじゃなくて自分の職権によってやったと言っているんですから、そういう列車を遅延さした責任があるわけですよ。本来鉄道側にエラーがあった場合は、そういうものについては鉄道が損害賠償を支払うんですね、相手方に。列車をおくらした場合に遅延事犯あるいは機関なり、あるいは車両破損した場合、逆にその部面をそれぞれ積算して損害賠償を取るんです。一体こういう五十分列車をおくらせた一警察官の損害賠償考えたら、これはやっぱり真剣に考えてみる必要があると思うんですがね、こういう内容のものなんです。ぜひ運輸大臣に、私は法務大臣と何かの機会にこうした事柄について、いろいろお会いする機会があろうと思いますから、少なくとも線路上の、これは普通の道路と違うわけですから、線路上における事故というものは、これは調査けっこうです、取り調べもけっこうだけれども、できるだけすみやかに線路上の障害物を排除してとにかく列車を通して、この人々逃げるわけじゃないのですから、所在が明らかですから、そのあとあと、つまり出頭を命ずるなら出頭を命ずる、ほんとうにそういう犯罪を犯しているというなら、これは逮捕もやむを得ないでしょうがね。そういう措置をとるように私は協議をしていただきたいし、警察のほうでもそういう指導をしていただきたいということを申し添えて、この件は終わりたいと思うのです。  それから大臣の所管願っておる……これは時間が過ぎておるので、まあこの次にしましよう。
  160. 江藤智

    委員長江藤智君) 大臣、どうも……。
  161. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がもうだいぶ迫っておりますから、要点だけ伺います。  私は行政局の北川労働組合課長にお伺いしたい。特に第一にこの争議行為というものは、これは法的にはどういうふうに定義されておるんですか。争議行為というものの定義をこれは明確にしてもらいたい。
  162. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 労働関係調整法第七条で、一応この法律における争議行為の定義をいたしまして、「争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行ふ行為及びこれに対抗する行為であって、業務の正常な運営を阻害するものをいふ。」こういうふうに規定しております。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますとね、これはあなたの問題ですが、四月十九日に総評の対政府交渉の際に、あなたはこういう発言をされておるんですね。争議行為は労務の提供の拒否だけにとどめるべきだ、こういう発言をされたというのですけれども、そうするとどういうことになるのですか。いまの解釈によりますと、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者がその主張を貫徹することを目的として行なう行為、こういうことになるんですが、たとえば全自交の争議の場合に、車検証を争議の準備行為として労働組合が保管するということは、当然争議行為の中に入らなければならぬと、こういうふうに思うのでありますけれども、単に労務の提供を拒否することだけが争議行為だというふうに狭く解釈をすれば、私はいまあなたの述べられたそういう争議行為の概念からもはみ出してしまう、これを非常に狭くするという結果になって、労働者の基本的権利は守られないと思うのです。この辺はどうなんですか。あなたはそういう発言をされたのか。それから、それといまの労調法七条との食い違いをどういうふうに解釈するのか、お聞きしたい。
  164. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 労調法の七条は、争議行為についての定義でありますが、その正当性、不当性については別途労組法に規定がございます。労働省あるいは裁判所の判例その他を見ましても、争議行為というのは刑法その他の刑事判例、法令に違反するような行為までも認められるものではない。そういう点からいたしまして、一般的にいうならば、争議行為というのは、労務提供拒否、それが最もポピュラーな形である、こういうことでございます。
  165. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもこれは判例とか何とかという例を具体的にあげてもらわぬとわからないのですが、労調法でちゃんと規定しているでしょう。  「その主張を貫徹することを目的として行ふ行為」、労務拒否ですね、労務拒否の一つの具体的な形として、当然これは車検証をこれは準備行為として労働組合が保管するということをやったわけですね。したがって、この場合には少しも違反しないじゃないですか。これは労調法の精神を貫いている、これでいいんじゃないですか、労務拒否の具体的なあらわれじゃないですか。そしてそのための手段として、その目的を貫徹するために行なう行為というふうに、はっきり解釈することができると思うのですが、何かあなたの解釈だけによるというと非常に狭い、そしてそれでもって推しはかられるということになれば、労働者のこれは行動というものは、当然の正当な権利というのは守られないと思う。この点どうなんですか。
  166. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 繰り返して申し上げますが、労調法の七条に規定をしております争議行為については、正当性、不当性ということについては触れておりません。と申しますのは、たとえ不当な争議行為でありましても、労働委員会その他が調整をする場合には、争議行為の正当性、不当性と関係なしに、両当事者間の主義主張、それの調整をはかる、そういう趣旨でございます。それとは別に、労働組合法の一条によりまして、労働組合の争議行為が民事上、刑事上の免責を受けるというものは「正当なもの」に限定されております。その「正当なもの」というのは、私が申し上げたように、労働組合の場合には他の刑罰法規その他に触れない、そういうことでございます。いま御指摘の車検あるいはタクシー会社等においてはキー等を保管するような争議行為がときたまございます。しかしながら、自動車の物件そのもの、車検等は法的に営業政策的にいえば所有者そのものが保管するものでございます。たとえ争議行為が行なわれて、労務拒否が行なわれておっても、その間、経営者自分の力で経営を続ける、そういうことについてはこれは認められておるわけでございます。それに、それを不当に妨害するために、たとえば車検をもって車が走れないような状態にしる、あるいは極端には自動車のタイヤの空気を抜いて車を走らせないようにするというようなことは、労働法上正当な争議行為とは認められない、こういうふうにわれわれは解釈いたしております。
  167. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはあなたの解釈であって、労働者側の当然の行為、労務提供、そういうものを具体的に当然それはいまのような解釈でやっていけば、これは全くもう制限されて、そして権利を抑圧されることになると思うのですよ、ここのところの解釈のしかたというのは、非常にこれは問題のあるところで、これは不当な労働行為というふうにあなた、解釈されているのです。判例があるというのですが、どんな判例ですか、いままでそういう例がありますか。反対の判例だってある。そうじゃないですか、ですから、そこのところは一方的なそういう解釈だけじゃこれは通らないと思うのですが、どうですか。労務だけを拒否する、そういうことで全然——そうすると何ですか、当然自分のなにですね、営業にタッチをしている、そしてそのための労務拒否に関連する、具体的に関連するのでしょう、それを不当だというふうに判定しておるところに、非常に大きな問題があると思うのですがね。これはどうなんです、その点。
  168. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 争議行為の正当性につきましては、おっしゃるように、判例では私の見解と反対のような判例がないではございません。しかし、大勢の判例としまして、争議行為の正当性というのは労務提供拒否、それ以上に積極的な行為がある場合には、おおむね不当であるという判例がおおむね多いようでございます。労働省の解釈といたしてもそのとおりでございます。ただ、私が申し上げましたのは、基本的に最も一般的な形として労務提供拒否ということを申し上げましたので、それ以外に、たとえば怠業だとかそういう争議行為に付随して起こることにつきまして、どの辺までが正当性であるかどうかというようなことは、具体的事例について見ませんと明確なことは申し上げられません。
  169. 岩間正男

    ○岩間正男君 さっきのあなたの答弁と少し変わってきたわけなんですけれども、この点については、ここで時間の関係からいろいろな具体例をあげて論議をするひまはありませんから、保留してもいいのですけれども、しかし、いまのはどうも業者の側に立った、業者を擁護するような立場の争議行為の解釈じゃないかというふうに思うのですよ。私たちもいろいろいままでタッチしてきました。たとえば、神奈川のサクラタクシーの場合ですね、当委員会でも取り上げた……、業者は自分のナンバーだからというので、ナンバーをこわしてはずしていったというような問題ですね、そういうような問題なんかでははっきり反対のなにが出ているのです、裁決が。そういうことですから、最近の解釈のしかたが、労働者の側に一体ほんとうに立っているのかどうかということは、非常にこれは疑問だと思うのです。私は、これは再検討をここで要求しておきます。  それで、時間の関係からさらに詳細を論及することはできません。できれば、あなたのほうの判例の二つの場合というのを、資料として出してもらえばわれわれは幸いだと思うのですが、そういうことを要求しておきます。  次に、時間が過ぎていますから大急ぎで聞きますが、退職手当というのはこれはどういうふうな実態になっておりますか、退職手当。
  170. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) これは提供いたしました資料でその後の推移について書いてあります。資料の二二ぺ−ジの「資料7」でございますが、三十三年と三十八年と三十九年の三年について書いてありますが、従来この制度が少なかったわけでございますが、逐次ふえておるというように見ております。
  171. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは例をとっておられるのですが、これはどうなんですか、三十三年では調査事業者数が二百六十五、ところが三十八年ではそれよりも減っている。三十九年になって百五十三というように調査の力が非常に弱っているわけです。反対に業者の数はふえておるのでしょう。だから、こういう形の上に立っての調査というものは、信憑性が非常に薄くなるのです。この調査の態度について一つ問題があるわけです。それからもう一つは、大体いいところで二十年勤続でも八十万、低いところになると四十万、こういうことになりますが、これはほかの業種と比べてどうですか、ほかの業種ではもっとこれは多いだろうと思うのですが、非常に低い。しかも、まあこういう規程のないところさえも相当の数が多くあるわけですよ。これはやはりこの勧告の線であなたたちの出された通達とは非常に距離が遠い、こういう実態を認めておられますか、どうですか。
  172. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 退職、手当の制度につきましても、当時問題になりましたことは、十分承知しております。したがいまして、その後の調査その他についても、退職手当制度は見ておりますし、事業者に対しましても退職手当制度の創設につきましては、強力に指導しておるところでございます。なお、この調査は意識的にこういうふうにやったわけではございませんので、資料の御要求がありましたから、三十三年と八年、九年に調査いたしましたときの姿が、こういうふうなことであるという点で提出したわけでございまして、毎年の調査いたします場合の対象業者は、その年によって違うわけでございます。その点は御了承願いたいと思います。
  173. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、退職手当の制度のないのは全体の業者の中でどのくらいあるのか、つかんでおられるかどうか。それからこれについての資料ですね、そういうものを最高、最低、そういうようなものでいいですけれども、これは資料として出してほしいと思います。  次にいきます。洗車、点検、これは帰ってきて夜中にやるわけなんですが、この通達によりますと、当然これは勤務時間中に入るという解釈をしておりますね。実態はどうですか。たとえば二時に帰ってくると、二時以後というのが多いのですけれども、まあ三時に帰ってくる。これはどういうふうに、ここのところ、現実は非常に違っていると思うんですね、帰ってきてから車を洗う、点検を受ける、そしてこれを返す、こういうかっこうになるわけですが、当然車を洗う時間、こういう点検を受ける時間というのは労働勤務時間に入る、こういう解釈をこの通達はとっているわけです。当然です。これは当然だと思うのですね。ところが、実態は非常にこれは違っているのじゃないですか、どうなんですか。具体的に言いますというと、二時までにもう洗車を済ませようと思って、かりにそれより早く帰ってきたとするというと、これは帰庫した時間がたとえば三十分早いというと、これは早退だというふうに見られるというのが実態、これは非常に現実と合わないようです。これはどういうふうに見ておられますか。
  174. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 御指摘の時間は勤務時間に含まれるべきものと思います。しかし実態につきましては、帰庫の時間が不適正であるとかいうふうなもの、それからいまのような点につきまして不十分なものがございます。それらの点の実態の具体的な何業者というようなものは、数字は持っておりませんが、完全に行なわれておるとは思いませんので、それらの点につきましても、十分注意をしていきたいと思います。
  175. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点は、これは厳重にやっぱりやってほしいですね。せっかくこういう当然の要求をちゃんと通達に出しておきながら、実際はほとんど行なわれてない。二時に帰ってきてそれからの分は、それは労働時間外、これはたいへんなことですからね。毎日の例になっている。この点については厳重にやはり私は監督すべきである。  それから懲罰的な下車勤というのはどうです、ないのですか。下車勤が非常に問題になった。成績の悪いのはどんどん落としてしまって、その辺の雑役に使うというやり方をやっているわけですね、労働者としても非常に不名誉なわけです。実際に自分の給与が非常にこれで削減される、生活をやっていけないということになるわけです。これは懲罰として課されている。これが非常に問題になって、この前の八年前の委員会でも、下車勤をなくせということが問題になったわけであります。これはどうですか。
  176. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 当時、下車勤の問題が指摘されましたことも、承知いたしております。ただ実際の監査の場合におきましては、懲罰的下車勤であるかどうかというようなもののつかみ方が、相当いろいろ技術的にも問題点がございますので、今後この点につきましても、把握しやすいようないろいろな方法を、陸運局にも検討をさせておるようなところでございまして、この問題も当然解消すべきものでございますから、その点は注意いたしまして、検討させていただくことにお願いしたいと思います。
  177. 岩間正男

    ○岩間正男君 これを調べるときに、あなたたちは業者に聞いていますか。業者に聞いていたら下車勤の理由というのはわかりませんよ。私はこれは組合に聞けばいいと思うのです。組合に聞いて、具体的に下車勤になったその人に伝票を渡して、それによって調査をすれば一番はっきりすると思うのですが、そういう方法をとりますか。そういう方法でなければ、下車勤が懲罰的なものであったかどうかはわかりません。業者に聞いたら、絶対に懲罰的なものでないと言うにきまっている。だから、そういうはっきりした具体的な調査方法をとるべきだと思いますが、そうやられますか、どうですか。
  178. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 業者に直接聞くだけでは、なかなか把握し得ないので、適正な方法につきまして検討してみたいと思います。
  179. 岩間正男

    ○岩間正男君 適正な方法というのは、いまの方法ですね。当人に聞くのが一番いいわけです。組合を立ち会いにして、組合を通して聞けば一番わかる。大体官庁の統計というのは、組合に聞かないのが、何かあなたたちのしきたりになっている。統計がだめになる証拠です。実際に労働の実態に当たっている人が、何より知っている。その人に聞かなければだめです。業者は、いま言ったように通達が出ている。下車勤をなくせという通達が出ている。そうしたら、懲罰的な下車勤はやりませんと答弁するにきまっている。こういうことを知っていてやるというのは、これはなれ合いとしか考えられませんので、こういうことは改めなければならぬと思うのです。  その次は有給休暇ですが、この制度はありますか、ないですか。実行されておりますか、おりませんか。どうです。
  180. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 有給休暇の制度は、もちろんあるわけでございますが、どの程度の実行状態だということは、ただいまちょっと資料を持ち合わせておりません。
  181. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういう実態について知っていますか。有給休暇をくれる。しかしこれは休みに扱われて、水揚げから引かれる。そうすると成績が悪くなるでしょう。さっきのあれを適用されたら、これは休暇が休暇にならないわけです。こういう実態を知っていますか。これは当然有給休暇ですから、休暇の日は仮想の水揚げを加えるとか何とかするということで、はっきりした給付がなければ、有給休暇は有給休暇にして有給休暇にあらずということになるわけです。こういう点についてどうですか。その実態を把握する努力をされるかどうか。
  182. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 御指摘の点は、陸運局あるいは陸運事務所のみの問題でもないかと思いますので、労働省関係ともいろいろ相談いたしまして、今後調査をいたしたいと思います。
  183. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つだけお伺いしますが、健康診断ですね。健康診断はどういう規定になっておりますか。年に何回行なうことになっていますか。そうしてこれはどんな実施状況です。
  184. 藤縄正勝

    説明員(藤縄正勝君) 健康診断は労働安全衛生規則四十八条及び四十九条の規定によりまして、「深夜業を含む業務」でございますので、雇い入れの際、あるいは毎年二回以上定期に健康診断を行なわなければならないというふうになっております。ただ、労働基準法はあくまでも最低基準でございまして、御承知のように労働協約、就業規則等でさらに高い基準が設けられれば、むろんそれによるわけでございます。
  185. 岩間正男

    ○岩間正男君 最低だと言われる基準が守られているというふうにつかんでおられますか、どうです。局長さんも少し答えてください。もう少し実態をつかまなければいかぬ。いかぬ、いかぬこんなことでは。
  186. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 健康診断が行なわれておりますことは、事実でございます。ただ、年に何回というものは統計をいま持っておりませんが、は実施いたしておるのであります。
  187. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは実施をしているでしょうね。たとえば勤務が終わって帰ってきて、みな疲れている。そこでそのために時間をとる。そういうかっこうで、なかなか実際はうまくいかない。それからここに統計があります。これは全自交で出している統計ですけれども、一年に一度というのが多いですね。北海道八八・四%、東京三四・八%、神奈川三六・八%、静岡八〇・八%、大阪三八・七%、福井六九・九%、兵庫六三・四%、長崎五三・一%、愛媛六八・六%というふうな全国的なやり方。二度行なわれておる、つまりさっきの基準に基づく最低のやつですね。それが北海道九・三%、東京は半分の五八%、神奈川が四三・二%、静岡二〇%、大阪が四五・五%、福井一・六%、兵庫が十二・九%、長崎三一・三%、愛媛二・八%。二年に一度というやつが北海道にはなし、東京で一・一、神奈川一・三、静岡なし、大阪が七・九、それから福井が一・〇、兵庫が一〇・三、あとなし、こういうふうになっておるわけで、これはまあ大ざっぱなことですが、全国の傾向がわかる。こういうかっこうで、これは先ほどからむちうち病とか胃腸病とか職業病の問題が出ておるわけですけれども、これは全く手が及んでいないというわけですね。行政の手も及んでいない。肉体を自分で食っている、タコみたいに。この前近代的労働条件の中に閉じ込められておるのがタクシー労働者であり、トラック労働者の現状じゃないか。もうこれで私終わりますけれども、こういう体制の中で、八年前に当委員会が率先して神風タクシーの問題を取り上げた、トラックの問題を取り上げたのです。われわれが責任を感じておるわけです。あのとき勧告した、あのときの江藤委員長も残っているのです、大倉委員もおられた。あのときずいぶん努力したと思うのです、お互いに。私はこの江藤委員長の時代にこういう問題の努力を再びここでやるときがきておるのじゃないかというふうに思うのだが、どうでしょう。私はそういうことをこれは要望して、あなたのほうから具体的に提案があるそうですから、出してください。私はこれで終わります。
  188. 江藤智

    委員長江藤智君) いいですか、きょうは。
  189. 木村美智男

    木村美智男君 これで締められると困るのです。委員長、動議を提案したいと思うのです。と申しますのは、交通事故防止人命尊重という観点から、午前、午後の質疑を通じて、ハイタクの事情調査をしたわけですが、非常に問題点も多いし、それからいろいろ指摘した点と答弁の間にも食い違っている点もあるものですから、したがってこれは先ほど運輸当局に事情の一応調査をして資料を提示するように願っておりますから、時期的な問題はこれはここに指定をいたしませんが、ひとつ関係者を喚問をして事情を聴取するということが一つ。二つ目には、適当な職場を指定をして、現場の視察を行ない、その結果、必要によっては、小委員会等でもって本委員会がかってなし遂げた方向が後退をしないような措置をとる必要があると思うのです。そういう意味で日時、具体的な事柄等については、委員長並びに理事の皆さんに御一任したいと思います。このことをやるからということは、決して運輸省のどうこうという問題とは関連がありませんが、一応私ども運輸省調査を依頼し、あるいは報告を求めておる関係上、時期的な問題は、そういう配慮の上に立ってひとつ決定をしていただくということで、事情聴取、現場視察の問題について動議を提案し、その取り扱いについては委員長、理事に御一任をしたいと思います。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの動議は大賛成です。
  191. 江藤智

    委員長江藤智君) 承知いたしました。具体的には委員長及び理事打合会において決定をいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会      —————・—————