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1966-04-21 第51回国会 参議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十一日(木曜日)    午前十時四十二分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      松平 勇雄君     館  哲二君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 谷口 慶吉君                 岡  三郎君                 吉田忠三郎君     委 員                 木村 睦男君                 中津井 真君                 平島 敏夫君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 岩間 正男君    国務大臣        運 輸 大 臣  中村 寅太君    政府委員        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省鉄道監督        局長       堀  武夫君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君        運輸省航空局長  佐藤 光夫君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省自動車局        業務部長     黒住 忠行君        日本国有鉄道常        務理事      豊原廉次郎君        日本国有鉄道職        員局長      井上 邦之君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道運営に関する件)  (自動車行政に関する件)  (航空に関する件)     ―――――――――――――
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、松平勇雄君が委員を辞任され、その補欠として館哲二君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 江藤智

    委員長江藤智君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  日本国有鉄道運営に関する件等について質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  4. 木村美智男

    木村美智男君 きのうから、あるいはおとといにかけて、新聞、テレビをもって大々的に報道をされているように、ことしの賃上げの問題をめぐる紛争が非常に重大な段階を迎えてきていると思う。それで、こういう状況の中で、当然この運輸委員会といたしましては、これらの事情について、ある程度情勢を明らかにして、でき得れば円満な解決が得られるように努力をするというのは、本委員会としての責任でもあると思うわけです。そういう立場から、少しきょうは、当事者である国鉄当局、また監督官庁である運輸省に対しまして、若干の質問をして、これからどういうふうにやろうとしているのか、対策なり方針についてもお伺いをしたい、こう思うわけであります。  そこで、まず国鉄当局に聞きたいわけでありますが、今度の紛争問題点賃金紛争、中心は何と言っても。これは、いろいろあったにしても、賃金問題じゃないかと思うのです。そこで、この賃金問題が、一体要求段階から今日まで、当事者間においてはどういういきさつを経て、そして今日どのような状態になっているか、これをひとつ事情を明らかにする意味で簡潔に報告してもらいたい。
  5. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 四十一年度の新賃金の問題につきましては、昨年の十一月の下旬に各組合が新賃金要求書を提出しておりまして、その要求に対しまして、国鉄当局側団体交渉を開始いたしたようなわけであります。それから団体交渉を重ねてまいりましたが、当事者間におきましては、組合要求、それぞれ多少違いますが、八千七百円というような要求に対しまして、国鉄側といたしましてはいろいろの事情を勘案しながら団体交渉を続けてきたわけでございますが、組合の側では、これは団体交渉では解決がつかないという見通しを立てまして、二月の二十二日に新国労調停申請をしました。同月の二十六日に国労調停申請、それから三月の十日に動労が調停申請をいたしました。その後、調停委員会におきまして、三月の中旬以降事情聴取が行なわれてきたわけでございますが、大体ただいまの段階では、事情聴取が終わりまして、調停委員会がどういう結論を出されますか、私どもにはわからないわけでございますが、近く何らかの調停が出るか、または調停段階からさらに仲裁に、その辺は私ども予測すべき立場じゃございませんが、そういう状態にあるというのが簡単に申し上げますとただいままでの経過でございます。
  6. 木村美智男

    木村美智男君 いまの当局の御報告によりますと、団体交渉がやられて、しかし、団体交渉はやったけれども組合側のほうでは、団体交渉解決がつかないということで、調停申請をした、こういうことですね。それで、ただ団体交渉解決がつかないから調停申請したというだけではわからないので、この間大体団体交渉というのは、やっぱり要求に対して、受けて立つ側のほうとしても、それが一体妥当なものであるとか、あるいは無理だとか、いろいろ反論が主張に対して行なわれたと思うのです。その辺について国鉄当局側団体交渉でどういう態度をとったかということが、いまの御報告では明らかでありませんので、こういう態度をとった結果組合側団体交渉では解決がつかないということで調停へ持っていった、こういうふうに話していただかぬと、ちょっとわからぬと思うので、その点。
  7. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 当局側態度といたしましては、国鉄職員給与を考える場合には、国鉄法の第二十八条にございますように、もう御承知のことと存じますが、「職員給与は、生計費並びに国家公務員及び民間事業従事員における給与その他の条件を考慮して定めなければならない。」、こういう法律の規定があるわけでございます。組合側生計費の非常な高騰ということを主張いたしておりますが、私ども生計費がだんだん高騰しておるということを認めないわけではございませんが、生計費高騰につきましては、これはある程度長期的な考え方を持たなければならぬ。ここ数年来の生計費高騰と申しますか、物価上昇賃金上昇とを見てまいりますと、賃金のほうの上昇率物価上昇率を長期的に見ますと上回っておりまして、実質賃金が低下しておるというふうに解せられないということ、それから国家公務員との比較におきましても、国鉄給与水準国家公務員給与水準より低いということには考えられない。民間事業につきましては、当時、四十一年度における民間給与というものの俗に言う相場が出ておらない状況でございます。それとの比較はその段階では困難である。また、国鉄支払い能力ということから考えても要求のような大幅なベース改定というものはできないということを回答いたしまして、数次にわたる団体交渉を重ねたわけでありますが、最後にそういう状態になった。調停段階に入りまして、事情聴取段階では、ただいま申し上げましたようなことを国鉄側といたしましては言ってきたわけでございますが、その間のいろいろな事情聴取のやりとりの場におきまして、民間給与について何らかのものが出てきた場合にはどうするかというような御質問もあったわけでございますが、私どもといたしましては、民間基幹産業である鉄鋼であるとか、また同種産業である私鉄であるとかいうものが出た場合、いろいろ──もちろん最後に決定されるものは支払い能力がなければどうにもならないわけでありますけれども、そういうものを考慮することはこの法律のたてまえからいっても当然ではないかという答弁をいたしながら現段階に至っておるわけでございます。
  8. 木村美智男

    木村美智男君 団体交渉組合側解決がつかないというふうに判断をした根拠になっている当局側主張というものは、いま述べられた点で大体わかったわけですが、ここは団体交渉の場ではありませんから、一つ一つ論争をしようとは思っていないのですけれども、しかし、国鉄当局側がいま述べられたこの問題の扱い方というか、基本的な態度について多少問題があるように思うので伺っておきたいのですが、たとえば生計費の問題についても、これは主張がはっきりしておらない。なぜかというと、確かに昨年来の物価の値上がりによってある程度生計費がかさんできているだろうということは認めるということを一面では肯定をしながら、他面、長期的に見てということを言っておるけれども、やはり労働者生活実態というものは、今日まで積み重ねてきた中で、昨年一応やはり春闘の時期に賃金問題でケリをつけておるわけです。その後一体生計費がどうなってきているかという、そういう状態でこの問題というものをながめなければ、過去の三年も五年も前にさかのぼった時点から、あるいはあと来年なり再来年を見通した長期的なそういうながめ方をしていけば、一体数字根拠をどこに置くのかという論争だってしなければならないわけですから、これは核心をぼかすものであります。そういうことではなかなか問題がはっきりしてこないので、当然生計費論争をするとすれば、もっとすなおに、当局側としては、やはり昨年で一応不満ながらお互いにこの調停によって問題を解決した時点以降、一体経済情勢がどう変化しているのか、民間賃金はどういうふうに上がっているのか、あるいは国家公務員賃金はその後どう改められたのかといったようなことを見て論争をすべきであって、その長期的なというようなことは、どうも客観的に私どもがお話を聞いていますと、これは何か断わるために議論をまぜ返しているようにしかとれないんで、ここのところは、必ずしも先ほども申し上げたように何も論争ということではないが、どうも問題の解決に前向きの気持ちというか、その姿勢がどうも薄いような気がする。ひとつこの点は今後の調停の進行に伴って基本的に考えてもらわなければならぬと思っています。  それから国家公務員関係ですね、これは低いとは考えられないと言うけれども、そういうことをあなた方が言うと、私のほうも多少議論したくなるわけですが、去年の仲裁裁定書をもう一回読んでいただかぬといかぬです、そういうことになれば。つまり、去年の裁定書では、大体あの六・二五%の賃上げを行なうことによって国家公務員とのバランスがとれると裁定書にきちっと書いてある。そこから考えれば、国家公務員関係賃金改定をしているんだから──これは基本的に国家公務員賃金がいいというのじゃないですよ、総体的に低いけれども、そういう中でバランス論議ということを言うならば、時期的に国家公務員賃金改定はその後やったわけであります。そういう意味で言えば、それは全体的にはある程度標準のところにはあるけれどもあとから追っかけて手直しをしておるということは事実なんですから、そういう経過だけは私どもはやはりすなおに受けとめてこの問題の議論をしてもらわないと、ただ抽象論国家公務員と比べても低いとは思わないというようなことだけではこれはいかぬ。そういう意味で、生計費のかさむ問題、いまの国家公務員関係等比較においても、どうも国鉄当局のとっている態度は何だか要求を断わるために言っておるような気がしてならないので、そこら辺の少し考え方を聞かしてもらいたい。
  9. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 先ほど私、生計費の問題を長期的というほうに重点を置いたように申し上げましたが、実はそれは正確でございませんので、昨年の四月の消費者物価指数とただいまの物価指数というものを比べましても、確かにやや上がっておるということは申せるかと思いますが、これも各月によって変わるわけでございますが、きわめて微少であるということは言えるわけでございます。月によりましては、むしろ同じである、やや低いというようなときもあったわけでございますが、最近のものにおきましてもそう大きな上昇はないということにつけ加えまして、長期的に見てというふうに申し上げたほうが正確であるかと存じます。  それから公務員関係におきましては、これは毎年仲裁裁定の出る時期と公務員に対する人事院の勧告の出る時期とは半年ばかりずれておりまして、いろいろ議論のあるところでございますが、全体的に見まして、国鉄給与ベースというものと、公務員が昨年の十月から実施いたしました給与ベースというものを比較いたしまして、国鉄職員が低いということはないというのが私ども考え方でございます。
  10. 木村美智男

    木村美智男君 さっき冒頭にだからいまここで数字を出して論争しようとは思っていないとこう申し上げたんですけれども、基本的な態度の問題で先ほどから伺っておるんですが、それでは基本的に国鉄当局に伺いますが、賃金問題というのは、どうも最近の国鉄労使の場合には、何か団体交渉が少し形式的になっておって、どうかすると第三者機関に持っていくことが賃金問題の扱いのように考えておる。しかし、公労法のたてまえからいっても、労働組合法からいっても、さらに今日まで政府が指導してきた方針からいっても、賃金問題はでき得れば労使団体交渉による自主的な解決がこれは望ましいというふうにいままでも指導してきたんだろうと思うし、しかしそういう筋からいうと、どうも当局側団体交渉に対する姿勢というものは少しそういう筋からはずれてきているように思うんだけれども、それは何か特別の──特別のということはないが、ほかに理由があってのことか。つまり、実際に交渉をいくら煮詰めてみても、やってみても、最終的にこれが幾らだと、あるいはわれわれとしてはこの程度を出しますということが言えないような事情にあなた方が置かれているのじゃないかという一面も考えられるのです。したがって、最近の、あえて言えば団交軽視というか、そういう傾向が見られるので、そこら辺はどういうふうな事情にあるのか伺いたい。
  11. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 労使間のこういう問題につきまして、団体交渉が基本的な解決の方法であり、でき得る限り団体交渉によって話し合いをつけるということは、これは先生のおっしゃるとおりでございます。私どもも全くそういう考え方でやっておるわけでございまして、そのことが外から見られまして団体交渉を軽視しておるのではないかというように見えるということは、まことに残念なことでございますが、私どもはそういう気は毛頭ないわけであります。  また、国鉄が何か外的ないろいろな理由によってもう団体交渉では話し合いがつけられないのだという事情があるんではないかというお尋ねでございますが、私どもはそういうものがあるというふうには考えておらないわけでございます。
  12. 木村美智男

    木村美智男君 団体交渉解決するのが望ましいという考え方については当局側も同じ考えだというふうにいま答えられたのですが、それではあなた方が、たぶん二十四年だったと思うのですけれども公労法が施行されて、今日まで労使団体交渉によって賃金問題が解決したということは何回ありますか。
  13. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ただいまの御質問賃金問題と申しましても、これは小さい、大きいいろいろございますけれども、いま問題になっておりますようないわゆる新賃金問題について、これは御質問の中に入っておるかどうか私ちょっとわかりませんが、いわゆる公労法十六条によって賃金問題を決定したという──十六条で、しかも予算上、資金上という問題を踏まえて決定したという例はございません。
  14. 木村美智男

    木村美智男君 私が聞いておるのは、つまり国会関係つまり三十五条、十六条の場合もそうですけれども、要するに予算上、資金上の公労法の制約なり、あるいは国会での資金の問題ですね、こういったようなことの関係なくして基本的な賃金要求の問題で──手当とか、特殊勤務手当とかいうような、そういうつまり給与と言われるささいな問題じゃなしに、基本的な基準賃金の引き上げ問題で労使団体交渉解決をした例が何回あるかと、こう聞いているわけです。
  15. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ただいまの御質問でございますが、調停段階できまったことが一回あるように記憶しておりますが、そのほかはすべて仲裁できまったということでございます。
  16. 木村美智男

    木村美智男君 調停で何回きまったとか、仲裁できまったとか聞いているのじゃないのですよ。つまり、そういうことにごやっかいにならずに、国鉄当局国鉄労働組合なり他の関係組合との間に、労使間だけで問題が、じゃ幾ら出そう、やむを得ぬけれどもこれでよしと手打ちをした、そういう解決をしたことが何回あるかと聞いているのです。
  17. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 労使間だけというものは、いま申し上げましたように、ないわけでございますが、私ども、少し三百代言的でございますが、調停というものも団交の延長のように考えているわけでございます。
  18. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、これはおかしいのだよね。私、それは賃金問題というのは労使団体交渉解決するのが一番いいのじゃないかということで、これは私が言っているのじゃなくて、法の精神もそこにある。政府指導方針もそこにある。そうして、国鉄当局もまたその考え方について基本的に賛成なんだ、こう言っておりながら、実際に賃金紛争の問題が労使団体交渉で一回も解決していない、みんな調停なり仲裁なりに行かなければならぬ。そうだとすると、それは労使団交できめることがいいと言っていることが、その場限りの、それこそ豊原常務の言う三百代言じゃないかということになるし、だから私がさっき、いやそういうふうに思ってやっているのだけれども、ほかに事情があってきめられないのだということがあるのじゃないかと聞いているのに、それはありません──なければ、じゃ国鉄当局は一体何やっているのだということになるわけです。団体交渉解決する気があるのだ、それがまた正しいと思っているのだ、だからと言って一生懸命やっている。ところが、実際、じゃ聞きますけれども、いままでの団体交渉の中で、あなた方は、かりに組合要求の八千七百円が、これにはとうていいまの事情から国鉄当局としては応じられないと言ったって、じゃ極端な話すれば百円も出せないのかと、こういう話になるでしょう。具体的にあなた方は幾らということを、どのくらいなら国鉄当局としてやれるという回答をしたのですか。
  19. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ただいままでの段階では、先ほど申し上げましたような理由から、賃金ベース改定する理由はないという主張を続けてきたわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、民間産業に対する回答が出てまいっております。そういうものを考慮いたしながら今後どういうふうにやるかということは一応別の問題でございますが、現在までの段階では上げる理由がないという主張を続けてきたわけでございます。
  20. 木村美智男

    木村美智男君 常務ね、言いづらいことがあるのかもしれぬけれども、あなたの木で鼻くくったような答え方じゃ何とも納得できぬわい。いまこれだけ物が上がっておって、それで全く、生計費の問題だってそれは上がってきているということ、家計もかさんできているということは認めると言っていながら、全くそれは賃上げを認める理由がないのだ、こう言って、そこのところで、実はあとで申し上げようと思うのだけれども、二十六日というような事態はどういうふうになることが予測されるのかも、少しあなた方の認識も聞きたいと思うのだけれども、そういうことで、あなたいま賃上げの全然理由がないなんて言うことが、世の中通ると思いますか。ましてや、それが全然上げないということの中から、汽車がとまるのだ、電車がとまるのだという話になったときに、一体世の中が通りますか、そういうふうなことで。だからそれは、今日何とか、生計費の上がったことも、ある程度はこれは上がっていることも認めざるを得ない。しかし、国鉄にはいろいろいま一本立ちでこうするという回答ができないために、なかなか具体的な解決ができぬで、紛争になろうとしているから、いまこっちもあっちも関係の個所に努力しているのだというなら、話はわかるけれども、いまこの場になって、まだ賃上げは全然理由が認められぬからと、そういうことを言っておって、これは済まされるのですか。
  21. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) いまの段階におきましては、先ほど申し上げましたように、民間基幹産業に対する回答等もだんだんに出てまいりましたわけでございますので、その事情を考えながら、かつ国鉄財政状態からくる支払い能力を十分に考慮しながら、検討をいたしておる段階でございます。
  22. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連。いま答弁聞いておりますと、非常にゆうちょうなお答えなんですよ。給料のほうはそんなにばたばた急がなくてもやっていけるのだといったふうな認識の上に立っての答弁のように聞き取れるわけなんですけれども、きょう私国鉄職員給料袋を持ってきてもらった。きのう給料日だということなので、きのうもらった給料袋、中身は本人に持っていってもらって、袋だけ、どのくらいもらっているものだか、これはうそ偽りのないところ、掛け値のないところひとつ見せてもらおうと思って、持ってきてもらったわけです。それで特に、組合のほうから持ってくるというと、えりにえって一番安いのを持ってくるのじゃないかというふうに思われちゃいけないから、そうじゃなくて、代表的な中堅層、相当勤続年数が長くて、家族があって、職場の中堅になっているような人たち給料袋をひとつ持ってきてくれ、こう言って頼んだのです。いま持ってきてもらったのですが、新幹線の例をあげてみますと、運転士で、勤続二十一年で、支給額は、基準賃金が四万五千五百円、手当等割増し給与を入れて四万七千百十七円、それから共済貯金公舎代金共済掛金所得税、生活協同組合といったようなものの差し引きをした支給額というのは、つまり手取りが三万六千七百十一円になっております。それから二十二年勤続の人のが、この人の場合は、基準賃金が四万七千円でありますけれども差し引き金額三万五百七十二円、それから同じく勤続二十一年の運転士、この人は運転士の中では一番高いのですが、やはり基準賃金合計額が四万五千五百円で、差し引き支給額が四万一千四十三円、大体二十年以上勤続をした新幹線運転士というのが三万円から四万円というのが給料袋の中に出ております。それから勤続三十年近い人たち給料はどうかということで、これはいまのは新幹線運転士、どうせですから、運転をする人と、乗っかっている車掌と両方、こう調べてみたのですが、勤続年数が三十二年六カ月、四十九歳の人の給料を調べてみますと、基本給が五万六千五百円、それから超過勤務なり、夜勤手当なり、加算給なり、いろいろのものを入れて五万九千七百五円、そのうち、先ほど申し上げたようないろいろな、共済掛金であるとか、所得税であるとか、これらのものを差し引いた手取り金額が四万八千八百十四円です。で、この人は妻と高校中学子供がいて、家族構成が四名、この人が四万八千円です。それから勤続二十八年、五十三才の人でありますが、家族構成が五名、この人の給料が、基本給が四万九千三百円、合計支給額が五万三千四十九円に、差し引き額を引いて手取りのほうが四万三千百九十円です。家族が五人で、しかも五十三才になって、勤続年数が二十八年で、ようやく四万三千円。それからもう一人、同じく二十八年勤続の人で、この方は子供高校二名、中学一名、小学校一人、両親が健在の人なんですが、基本給四万七千九百円、祝日給夜勤加給、全部を含めて五万二千四百十三円。税込みで五万二千四百十三円だけれども手取りのほうは四万二千九百六十五円。家族構成八名で、よわい五十才をこえて、差し引き支給額というのが四万二千九百六十五円。こういうようなのが中堅層実態ですね。一番悪い層じゃない。中堅層比較的上の部類。乗務員ですから、国鉄職員の中でもわりあいと給料のよい人たち。特に私は比較的よい人たちのを持ってきてもらった。悪い人たちの場合は、もちろんこれより低いことになる。そうすると、勤続二十年の人でようやく三万円台。それから勤続三十年になる人たちで四万円台という数字が出てまいります。手取りは。勤続三十年クラスになりますと、子供のほうも高校なり中学なり相当金がかかるような状態になっております。それから一番若い人の給料なんか見ますとですね、勤続十八年で合計支給額が三万八千円ですが、差し引き支給額手取りが二万四千幾らです。勤続十年くらいの人だったら二万四、五千円。こういう数字が出ております。そうするとですね、なかなかこれは生活ができるかどうか、今日の物価状態から考えてみてですね、たいへんなことだということは、はっきりしてくると思うのですよ。これは明瞭な数字なんですから、うそ偽りがないわけです。  先般もいろいろ陳情がありましたけれども、この給料じゃやっていけないから、しかたがないから奥さんがアルバイトをしたり内職をしたり、奥さんのアルバイトだけじゃなくて、本人が明け休みにいろいろとアルバイトをしたり、こういうような実情が訴えられましたけれども、これはあえて私は誇張じゃないと思う。こういうのが実態だとすると、賃金の問題は、これはもう緊急差し迫った問題だと思う。で、民間賃金との比較であるとか、あるいは国鉄財政状態であるとか、いろいろ言われますけれども、そういう表向きのことでもってですね、現実の問題から目をそらすというようなことになると、これはたいへんなことになると思います。で、組合の闘争というのは、見ようによれば、これを扇動する者があるから闘争するんじゃないか、こういう見方もあるかもしれませんけれども幾らたきつけても、枯れ木であればすぐに燃えるけれども、ぬれた木であれば燃えないわけなんです。こういう生活実態というものは、火をつけなくたって、乾燥し切っているのですから、山火事と同じで、自然発生的に火をふくというおそれが多分にあると思うのですが、このような実態をなおよく御承知の上で今日の賃上げに対しては根拠なしとお考えになるのか、あるいはこのような実態については目をふさいでおられるのか、一体いずれによるものか。先ほど答弁とあわして、いささか合点のいかない点がございますから、御答弁を願いたいと思います。
  23. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 私どもも、ただいま先生の言われましたような数字については、承知をいたしておるわけでございます。ただ、いまの差し引き手取り額という問題は、これはいろいろ個人によって違う場合もあるわけでございますが、まあ最初の税込みの額というもので一般に比較が行なわれるわけでございますが、そういうものが国鉄職員が非常に楽な生活ができる給料であるというふうには私どもも考えてはおりませんけれども、しかし、国鉄職員給与を考える場合の法律に定められた基準というものから考えまして、まあまあやっていける額ではないかというような考え方をいたしたわけでございます。ただ、先ほど来私申し上げておりますように、団交段階、または調停になりましてからも、民間給与というものもまだ参考とすべきものが出ていなかった状態においては、先ほど申し上げましたような見方をしておったわけでございますが、ただいまの段階におきましては、そういうものを考慮に入れながら、どこまでやるのがいいかということを検討しておる段階でございます。
  24. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣にちょっとお聞きしたいのですけれども、いま大臣にも見てもらっておりますけれども、これが比較中堅層の、つまり平均よりも上回った階層の人たち給料袋実態ですね。極端に安いのだけを持ってくると、これは選んで安いものだけを持ってきたのではないかと思われるといけないと思いましたので、わりありと平均レベルよりも上のところを持ってきたわけです。何とかやっていけるかのような答弁がさっき当局側からございましたけれども、いまごらんになったこの数字でもって、給料でもって、今日の物価でもって、何とかやっていけるというふうにお考えになるかどうか。こういう給料では、ちょっとこれは骨が折れるというふうに配慮をしていただけるものかどうか、やはり所管大臣として非常に重要な問題であるというふうに考えますので、当然これは現在の国鉄を動かしている人間の給料実態なんですから、このままでいいかどうか、直ちにこれは必要な手だてを講じて、そうして賃金の引き上げあるいは待遇の改善といったような問題に踏み切るべきときではないのかどうかという点について、大臣の御所見を承わりたいと思うのです。
  25. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 私は、現在の国鉄等の職員給与が、必ずしもそれは楽であるとかというようなことには考えません。やはり非常にきびしい生活に耐えておられるということは考えられると思うのであります。ただ、諸般を勘案して、やはり給与の引き上げ等については、いろいろの問題があると思いますけれども、私は、これは国鉄職員だけに限らず、やはり一般の国民生活にも相当きびしいものがあると思っております。国鉄職員実態等は、中堅層を見ましても、必ずしもこれは楽であるとは思いません。できるだけ給与等も考えて、生活を楽にしていくという方向で検討すべきものであると考えております。
  26. 木村美智男

    木村美智男君 いま具体的に瀬谷委員のほうから国鉄中堅賃金関係が出されたわけですけれども、まだもう少し当局側答弁のほうを続いてやっていただいて、大臣にはまたあとからお伺いします。  当局側の答えの中で、民間関係について、まだ四十一年度のいわゆる相場らしきものが出てきていないというようなこともあってというお話で、比較困難だというようなことを言っていますけれども、しかし、ほんとうに当局側賃金問題について、いまの国鉄職員賃金というものが決して高くはない、また生活の面では非常に困っている、こういうことをほんとうに親身になって考えておられるとすれば、ある程度民間賃金がいまどういうような状態で実際に解決をしたりあるいは経営者側から回答が出されたりしているかということくらいは握っておられると思うのです。そこら辺をどういうふうに把握しておられるかで、これはあなた方のこの問題解決に対する熱意のほどがどの程度かということがわかるのです。その点をどういうふうに把握しておるか、まず答えてもらいたい。
  27. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ただいまの御質問でございますが、いろいろ回答が出ておるわけでございまして、高いものでは住友化学の四千二百六十円というような、アップ率一〇・九%というものも出ております。その他製薬会社その他に相当大幅なものが出ておるものもございます。また、昨年を下回っておるアップ率のものもございますし、最近出ましたもので、鉄鋼の回答は御承知のように二千五百円、その中に定期昇給分千円というものを含んでおるというようなものが出ております。私ども調停段階でも、基幹産業である鉄鋼というものの賃上げについては、これは相当の考慮を払わなければならぬのではないかというような回答をいたしておるわけでございますが、現在においても、ほかの事情につきましては逐一わかる限り私どもも資料を集めまして検討をいたしております次第でございます。
  28. 木村美智男

    木村美智男君 何か当局側の一般の民間賃上げ状況の把握については少しとろいような気がする。というのは、鉄鋼だって、あなた方新聞を読んだ程度だろうと思うのです。これは大体、鉄鋼の二千五百円というようなものはどういうものであるかということを十分……、これは中身だって一番鉄鋼は悪い。例の二千五百円という中身は、これはあとで、生産奨励金であるとか、こういうものを含めて実質三千六百円になるのですよ。これはあなた方は新聞だけ見て、二千五百円で、大手は大体これが相場だなんという受け取り方をしているとすれば、根本的にあなた方の認識は間違いなんで、そういうことだけではなしに、いまの把握のしかただって、高いところの住友化学なんということを言っておるけれども、これは役所のほうの、労働省の労働ニュースからこれ持ってきたのだけれども、四月十八日の労働ニュースを見ると、住友化学が高いなんというものじゃないんですよ。化学関係では、七千円以上回答して、まだ妥結していないけれども、七千円以上一組合、五千円以上二組合、四千円以上十組合、そのうち七組合が妥結、これが一つ。金属関係だって、七千円以上が二組合も出ています。五千円以上六組合、四千円以上になっては実に三十七組合、三千円以上が百七十三組合、これはもう全面的に三千円以上の回答が出ています。例をあげればきりがないけれども、たとえば民間放送のような場合でも、毎日放送が四千五十円、これを筆頭にして、地方でも大分の三千六百円から新潟の四千五十円というふうにこれもあります。それから印刷関係でも、たとえば谷口印刷の五千二百円とか、主婦の友の四千六百円とか、軒並みこれは、ことしは平均して言えることは、昨年の少なくとも一割方どこでも上回った回答が出ているのです。労働省のこの労働ニュースが端的にこの点は証明をしているんで、別にこれはいいかげんなものを持ってきたわけではない。そういう状況で、あなた方の言う、民間賃金がまだ出てきていないので相場がどうも比較ができぬといったようなことを言っているけれども、どんどん出そろっているんです。それで重大な事態を迎えようとしているのだから、もう少し民間賃金についても積極的に資料を収集して、そうして、調停の問題にかかっておるとは言いながら、これは実際問題としては、当局、どうすればいいんだということを、あなた方意向を聞かれるにきまっているんだから、それに対する態度を早くきめなければいかぬじゃないか。ところが、いままでの答え方を聞いていると、いまだにどうもその辺が、団体交渉の決裂した当時のようなつもりで、まだその方針もきまっていませんというようなことは、何といってもこれはいまの時点としては了解できない。だから、きょう以来あと残された期間、もう少し気持ちを新たにしてもらって、積極的にこの問題の解決に取り組んでもらわなければいけない。このことを強くひとつ要望しておきます。  次に伺いたいのは、去年は少なくともあなた方五百円という回答団交でやったじゃないですか、どうですかこれは。
  29. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 昨年、初任給の引き上げという形で五百円の回答をしたことは、そのとおりでございます。
  30. 木村美智男

    木村美智男君 名目は初任給の引き上げであっても、やはりある程度物価生計費上昇というようなことから、これはただ単に初任給という要員需給の関係だけで引き上げたのではないのです、あの要素は。結局するところは、六・二五%になっていったわけです。そういうことを考えれば、去年有額回答が出て、そしてことしそれが全然出ないということは、一体どういうことなのかというのはちょっとわからないので、その辺を聞かしてもらいたい。
  31. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ことし、今後どういう回答をすべきかということにつきましては、いまおっしゃいましたような民間状況もございます。いろいろな事情を勘案しながら、ただいま鋭意検討をいたしまして、その回答を、何らかの回答をいたしたいという気持ちは持っておるわけでございます。
  32. 木村美智男

    木村美智男君 何か回答をしたいという気持ちを持っておるというのは、もう少し聞きたいのですが、つまり有額回答をするということを意味しているのですか。
  33. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 先般政府におかれましても、各当事者でそういう点を検討すべきだというようなお考えのように聞いておるわけでございます。私ども、そういう回答をいたす場合、いろいろな事情を勘案しながら、回答いたす場合にも、もちろん予算その他の問題もあるわけでございますが、それぞれ関係のところにお話をしなければなりません。いまこの段階でどうこういうことを申し上げるわけにいきませんが、私どもの気持ちといたしまして、有額の回答をいたしたいという気持ちは持っておるわけでございます。
  34. 木村美智男

    木村美智男君 いまのそのお出与えの中で、有額回答をしたいという気持ちを持っているということはわかったのですが、じゃそのお話の中にあった、予算的な問題もと言いますけれども、四十一年度の予算の中で、いわゆる今度の新しい賃金要求に見合う予算的なものはどういうことになっていますか。
  35. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 予算におきましては、新賃金の実施ということを前提としておりませんから、そういうものは原則として含まれておらないというように考えております。
  36. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃ、四十一年度の予算の中には、この新しい賃金要求に対する財源というものはゼロだ、こういうことですか。
  37. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 予算は御審議願いましたあの予算でございますので、新賃金がそのまま何らかの手を加えないで財源が出てくるということはないと思っております。
  38. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、いまのその予算というやつは、現在のベースでそのままで一カ年間組んである、こういうことですか。
  39. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 予算に関する限り、そうでございます。
  40. 木村美智男

    木村美智男君 予算に関する限りとか、何らかの方法を講じなければとかいうことばを聞きますとね、どうもその辺すっきりしないのですけれども、結局、何というか、新しい賃金がきまった場合には、いずれにしても何らかのかっこうで予算のやりくりといったようなものは考えなければいけないということを頭の中に入れていまのようなお答えをしているのですか。
  41. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 予算をよく検討いたしましても、新賃金の実施ということを考えますと、いまのところ予算上はそういう財源がないということであります。
  42. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃあなた方はもう実質的に、賃金問題についてはもう全然お手あげだ、解決の何というか、準備というかね、あるいはそれだけの用意というものは、少なくとも金の問題に関する限りはないのだ、言いかえれば、団体交渉当事者能力を持っていないのだ、こういうふうに理解していいですか。
  43. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 予算の拘束力というものはいろいろございますが、その中に、国鉄自体でできる場合、きわめて少額なもの、あるいは政府当局の御承認を得るものというようなことで、これは額によるわけでございますけれども、全く動きがとれないかどうかということは、これは問題がございますので、ただいまそういう点も含めましていろいろと検討いたしておるという段階でございます。
  44. 木村美智男

    木村美智男君 どうもまだ話が少しあいまいになってきたのですけれども、これは額によってはある程度できないこともないという意味にも受け取れるわけです。そうすると、昨年の五百円の有額回答という問題が一つあるのだから、そんならば今日まで全くのゼロ回答ということはどうしても理解できないということになってくるので、それはどういうわけか。だから、冒頭に私は、何か今日の時点の中ではいろいろ差しさわりがあるならあると、こういうふうに言っていただけば、それが法律的なものかあるいは政治的なものか何かわかりませんけれども、それならそれなりに理解ができるのですけれども、そういうことはない。そんならその国鉄のふところ自身の中では何かやり得る余地があるかと聞けば、額によってはそれは全然何もできないわけではないのだと、こうおっしゃる。ところが、実際の団体交渉ではゼロだ。これじゃまるきり筋が通らない。だから、八千七百円そのものは無理ですけれども、額によって多少やりくりをすればこれくらいのことにはなるが、これは問題の解決にはならないので、あるいは関係方面に働きかけているとか、あるいはその意思決定を待っているとか、そういったことにならなければ、何が何だかさっぱりわからぬじゃないですか。もう少しそこら辺を明らかにしてください。
  45. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 昨年五百円の有額回答をしたのにかかわらずことしはなぜやらないのだという御質問としていまの御質問は受け取ったわけですが、昨年は、先ほど豊原理事からお答えがありましたように、民間の初任給が非常に上がっておりまして、それに均衡をとってやはり私のほうでも上げませんといい職員が得られないということで初任給を千円引き上げるということの措置をとりました。これを全職員の一人当たりの原資に直しますとこれは五百円に相当する、結果として五百円のベースアップのようなかっこうになったということでありまして、趣旨は初任給の引き上げというだけでございます。去年その回答をいたしました時点におきましては、やはりことしと同じように、その時点では、まだ民間賃金相場が出ていないからベースアップというものについては回答の時期ではない、しかし初任給は現実に民間が上がっておるからそれに対する手当てだけはしなくちゃならぬ、かような回答をいたしたわけであります。昨年とことしの事情の違う点は、そういう点でございます。決して去年とことしと異なった態度をとっておるということではございません。
  46. 木村美智男

    木村美智男君 あなた方そういう事務的な答え方をするなら、それでは運輸大臣に伺いますけれども、運輸大臣、おととしね、おととしの実は春の賃金紛争時点で、たいへんな事態になるということで──あなたはまだ運輸大臣になられてなかったかもしらぬけれども、池田・太田会談というものが持たれたことを御承知だろうと思うのです。その時点で一番問題になったのは、解決あとで、こういう紛争の主要な原因の一つに、今日のこの公共企業体あるいは三公社五現業における当事者能力というものが、これがきわめて制約をされておって皆無にひとしい、これが紛争の大きな原因になっているから、これは何とかしてこの当事者能力を持たせるように法律的にも制度的にも検討をしなければいけないということが、政府と総評というか、池田・太田会談のメモとして約束をされた。これを受けて立って、去年の実はこの有額回答五百円というものの性格は、これは政府側は、労働大臣連れてきて聞いてもいいですけれども、明確に昨年の春闘の経緯からして、これはいわゆる三公社五現業に対する当事者能力としての一歩前進をしたものだ──こんな五百円ばっかりが何が当事者能力だと言ってみたものの、政府側としては、これは声を大にして、ことしは昨年の経験にかんがみて当事者能力として出したものだという、これを特に強調したんです。だからね、それは事務的に言えば、初任給が民間上がったからそれに合わせるために五百円上げたんだと言うけれども、本質的な性格は何かといったら、少なくともこれはこの三公社五現業の当事者能力としてちょびっとではあるが顔を出した、こういう性格としてわれわれは認識をしておったのだし、政府もまたそういうふうに強調しておったんです。だから、当然そういうことからいけば、去年は五百円であっても、ことしはあるいはそれがほんとうの小幅かあるいは大きく前進するかは別にしても、当然有額回答というものがあってしかるべきだ。それが今日全然されていないということになれば、運輸大臣一体何しているんだということになる。あなたの意見を聞かしてもらいたい。
  47. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 私は、現在の労使交渉等の経過から見ましても、今年もやはり有額回答をして重大な事態に立ち至らないようにすることが正しいと考えておりますので、そういう方向で指導をしてまいりたい、かように考えております。
  48. 木村美智男

    木村美智男君 運輸大臣、まことに有額回答をしてできるだけ事態を解決をしていくという方向でいくことがいいというふうにおっしゃられたんですがね。あなたのほうは少なくともこの間十九日ですか、おととい関係閣僚懇談会を開いているわけです。運輸大臣、率直に聞きますがね、あなたこの閣僚懇談会でこの当面の問題の解決のためにどういう立場をとられたのか、それでこの閣僚懇談会ではどういうことになったんですか、それをひとつ聞かしてもらいたい。
  49. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) これはどこまでも労使公共企業体の企業の労使双方の問題でございまして、政府が直接関与するととではございませんが、私は関係閣僚が集まっていろいろ見解等を述べ合って情勢の判断等いたしました際、有額回答をしてそうして事態を円満に解決することが好ましいものである、そういう方向で当事者が臨むように期待すると、こういう考え方で会議にも臨みましたし、会議でもそういう方向で発言をして会議の運営を進めた次第でございます。
  50. 木村美智男

    木村美智男君 国鉄当局に伺いますが、いま運輸大臣も言われたように、少なくともこのことしの問題の解決というか、紛争を処理していく上においては、運輸大臣も、有額回答をして、そうして事態を解決するように、そうしていくことが望ましいというふうにいま言われたわけですけれども、そこで国鉄当局に聞くんですが、この間あなた方は公労委の第三回目の事情聴取の際にこういうふうに言われたということを聞いているんですが、間違いありませんか。一つは、基幹産業の鉄鋼、類似産業である私鉄の動向が今月の下旬ごろに明確になるので、それは検討をして調停の場で関係方面の了承を得て言明をしたい、こういう、大綱そういったような趣旨のことを述べられたと聞いてるんですが、これは間違いございませんか。
  51. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 結論的に申し上げますと、そう違いはないと思いますけれども、若干ことばというものにはニュアンスの差がございますので、正確に申し上げておこうと思います。私が回答申し上げましたのは、労働者委員からの質問に対して答えたのでありますが、その質問は、民間相場、民間相場と言うが、民間相場は全体がそろわなければおまえのほうは回答しないのかという御質問に対しまして、率直に忌憚なく申し上げれば、そういうことになりますけれども、そこまでゆうちょうなことをわれわれ考えておるわけではなくて、やはり基幹産業である鉄鋼の回答あるいは妥結、あるいはまた同種産業である私鉄の賃金の動向、こういうものが出た場合には、われわれとしても態度をきめたいと思います、こう答えたわけであります。で、そのときに、それじゃその時期はどうなるのかと、こういうお尋ねがありました。時期につきましては、これは相手のことでございまして、私のほうから申し上げるわけにはいきませんけれども、巷間伝うるところによれば、大体下旬ごろまでには、鉄鋼はちょっと早くなるでしょうが、私鉄のほうも下旬ごろにはなるであろうというふうなお話を承っておるので、大体まあそういう時期になると思いますと、こう答えました。それではその調停段階で返事ができるのかというお尋ねがございました。調停段階のうちに御返答できるかどうかは、さきに申し上げました私鉄相場がそれまでに出ておるかどうかということにかかってまいりますので、調停段階でお答えするとここで確言はできませんけれども、それまでに私鉄相場が出ておれば、おそらく調停段階にお答えすることになりましょう、こういうふうなことを私は申し上げました。要約するといま先生のおっしゃったような要約になりまするが、ことばのニュアンスというものがございますので、あえて正確に申し上げた次第でございます。
  52. 木村美智男

    木村美智男君 大体事情は、私のほうもいま言われたようなふうに理解をして聞いたんですが、これに間違いがないということになると、じゃあ調停は大体いつごろ出るとあなた方は予測をしているのか。つまり、その点は二十六日の問題を関連をして重要に考えているわけですから、そういう意味で伺うわけですけれども調停がいつごろになったら一応話がまとまる、あるいは結論が出る、こういうふうに予想をされているのですか。
  53. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) これはたいへんむずかしい御質問でございまして、調停委員会がどういうふうにお考えになっているかということは、私ども実は承知をいたしておりません。いつごろまでに調停が討議に入って結論を出されるということは、実はわからないわけでございますが、先般、まあ新聞等で発表になりました、二十二日ごろにはというような記事があったわけでございますが、それの正確性につきましては、私ども全く承知しておりませんので、ただいまちょっと御答弁ができないわけでございます。
  54. 木村美智男

    木村美智男君 それは、調停委員会はまあ独自の機能を持った委員会ですから、それはあなた方が明確に何日とか、あるいはいつごろだとかということを、またあるいは言うべきでないかもしれません。しかし、問題は、国鉄当局のある程度態度というものが、この問題に対する当局側態度というものがはっきりしなければ、それは実際には調停委員会といえども時間も延びていくことに、そういう関係にあることはおわかりだと思うのですよ。そういう意味で言えば、これは大体基幹産業の鉄鋼は一応出た。類似産業の私鉄の動向がということも言われているけれども、実際問題としてもう毎年国鉄当局態度というのはよそ待ちなんですよ。鉄鋼が出たら考えよう、民間の中でも特に類似産業の私鉄が出たら考えよう、何一つあなた方自身がこの問題を積極的に解決しようという意欲がとにかく見えない。団体交渉の中でもそうでしょう。団体交渉は一応やったけれども、さっき言ったように、賃上げを断わるための口実を見つけているようなことにしか受け取れない。せめて出したいけれども実際にはこういう事情があってこの辺しか出ないという有額回答が出たんなら、これは一つの誠意ですよ。かりに有額回答が出なくっても、いやいま政府側に対してこういう点で要求をしているとか、あるいはこういうことを政府に頼んでいるとかいうことが具体的に話が出ていけば、それはそれなりに、問題を解決することはできっこなくても、その紛争をやわらげることにもなるし、問題解決に一歩前進するということになると思う。ところが、いまだにまだ、とにかく鉄鋼はこれは出たから、これは待っていないでしょうけれども、いわゆる民間といっても、今度は私鉄のほうが重点だから、私鉄のほうがきまらなければということで、いつまでたってもあなた方自身の態度というものがきまっていない。これは私は、今日の国鉄賃金問題を必要以上に紛争の原因にさせているというふうにしか受け取れない、いままでの質問の答えでは。そういうことで一体あなた方は、二十六日に何か、これは組合側としても、大体調停は、さっきも皆さんが当局側から答えられたように、新国労は二十二日、国労については二十五日に調停の期限が切れる。二カ月もたっている中にじんぜん日をそういうことで過ごして、そうして問題を積極的に解決しようという態度を示さなかった。これは一つは当局は責任を感じなければいかぬですよ。この点について当局はどういうふうに考えておりますか。
  55. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 私ども先ほど来申し上げますように、労使の間で何とか解決をいたしたいという熱意に欠けておるとは私自身思っておりませんが、他人待ちであるということでございますけれども、これは一番初めに私が申し上げましたように、やはり国鉄職員給与を考えます場合の法律上の一つの要件といたしまして、民間給与ということもあるわけでございますから、類似の産業である私鉄というような、また基幹産業といわれる鉄鋼というようなものの動向を見るということは、これはわれわれに課せられた一つの指標というふうに考えて、ただいままでのような態度をとってきたわけでございますが、いつまでもそれでは私鉄が出るまで何にも言わぬかということになりますと、これはそのときに応じまして私どもいろいろな事情を勘案しながら態度を決定しなければならぬとこう思っております。先ほど来申し上げますように、運輸大臣もおっしゃいましたような、有額回答をすることは望ましいという基本的な態度に立ちまして、私どもは、先ほど申し上げました予算上の問題その他を含めまして、ただいま鋭意検討をいたしまして、結論を早く出したい、こういうふうに努力をしておるところでございます。
  56. 木村美智男

    木村美智男君 ちょっと、運輸大臣がおらぬのですが、どうしますか。
  57. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 国鉄の財源上においてどういうふうになっているのですか。去年はどうしたのか、ベースアップする場合において財源はどうなっているのですか。
  60. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 財源的に申し上げますと、予算の中には新賃金というものを含めませんで予算が決定されておるわけでございますので、そういう意味で、財源はないというのが形式的な答えになるわけでございます。ただ、予算総則にもいろいろの面でありますように、予算自体は、それが各項目にきめられたとおり、どうにも動きがとれないものかと申しますと、必ずしもそうではない。ただ、ベースアップというものは、御承知のように、基準内賃金の変更でございます。形式的に申し上げますと、予算でも、基準内賃金からの流用、基準内賃金への流用というものが、大臣の承認というものにかかっておるわけでございます。そういう意味で、国鉄自体で、形式的な意味で、こういうことをひとりで決定するというわけにはもちろんいかないわけでございますが、そういうものも含めまして、ただいま検討いたしておる、こういうことでございます。
  61. 岡三郎

    ○岡三郎君 去年はどうなっておりますか。
  62. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 昨年は、修繕費等からの流用をもって仲裁の財源に充てたわけでございます。
  63. 岡三郎

    ○岡三郎君 その額は。
  64. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 昨年は、予備費の五十億と、経費の移流用二百十四億、こういうもので対処いたしております。
  65. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは、年度末でどういうふうになっておりますか。赤字で残ったのですか、どうなっておりますか、その金は。
  66. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) そういう移流用をいたしまして、修繕費──主として修繕費でございますが、非常な不足を生じたわけでございますが、その修繕費の不足につきましては、終局的には一部は補正予算によって修繕費を修正していただいたというかっこうになっております。
  67. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、言いたくても言えないというふうにとれるかもしれないのですが、大臣がいないので、鉄監局長がいるから聞きますが、そういうふうに年々再々やりくっているわけですね。同じようにことしもやりくれないわけはないわけです。そうするというと、運輸省、運輸大臣名でその操作ができるということになれば、怠慢というのは運輸省にもあると思うのだな。運輸省は一体どういうふうに考えておられますか。つまり、私が言わんとするのは、ストライキをかまえなければ答えを出してこないという態度、これは政府の一貫した立場かもしれない、運輸省だけ責めるわけにはいかぬかもしらぬけれども、少なくともストライキをかまえなければ賃金が出てこない、こういう状態で来ているわけですね。ストライキ権について違法だ適法だといういろんな論議があって、われわれとしてはそれより問題の解決は別じゃないかというととを言ってきたわけですが、運輸省のほうとしてはいつ出すのです。そういうふうなことについて、有額回答とか──ゼロ回答じゃ話にならぬ。鉄監局長じゃ言えないかな。
  68. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) どれくらいの回答を出せというようなことは、政府立場としては、この労使問題には直接介入をいたさないというたてまえになっておるということは、先ほど運輸大臣も申し上げたとおりでありますので、まあ運輸省のほうからどうせいということは、これはもう言えないということでございます。
  69. 岡三郎

    ○岡三郎君 そんなものを聞いているのじゃない。まあ、ゼロ回答やっているのを見て、大臣が、有額回答すべきである、しなきゃいけない、幾らやるかということは、これは国鉄のほうと裏のほうで話をするわけだろうけれども、それは政府全体としてするわけですけれども、私はいつでも思うのだけれども、ストライキをかまえなければ出してこないという、この悪い癖だな、こういうのが慣行になっているのだよ。それで、結局ストライキの前夜ぐらいになって、何ぽか出してきて、それで大体かっこうつけている。人騒がせするのもはなはだしい。国鉄の労働組合が悪いというよりも、当局の怠慢ですよ。大体ゼロ回答で済むわけじゃないですし。だから、いまのととろは、直接的に言うて、豊原さん、私鉄の賃金の出るのを待っているのでしょう、現在。どうなんです、ほんとうのところ言いなさいよ。
  70. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 先ほど、私鉄の賃金が出るということが、一つの民間産業賃金というものの同種産業でございますから、有力な参考になるということは言えると存じますが、実際問題といたしまして、私鉄の問題がいつ片づくかということは、私どももよくわからないわけでございますが、そういうものもまあ出るであろうということを、こっちが推定するのもおかしな話でございますけれども、私どもといたしましては、いまの段階では、鉄鋼を主として参考にしながら、国鉄の財源、またそれをもし使用する場合にはやるべき手続があるわけでございますけれども、そういう問題を含めまして検討をいたしまして、私鉄が出なければ絶対に回答ができないかというと、必ずしもそうではないというふうに考えております。
  71. 岡三郎

    ○岡三郎君 きょうは二十一日で、二十六日という期間で、まあわれわれの推定するところで、私鉄の賃金が出るのを待っている。大体公労委のほうも動き出したということで。しかし、全体的に見て、非常に様子を見ている期間が長いのじゃないか。もう賃金要求してから二カ月たっているわけでしょう。そうなってくると、一体よく、先ほども言われておるけれども当事者能力というのは一体何なんだ。運輸省のほうで国鉄に何やかや言うあれはない。国鉄のほうは操作することでなければ金は出てこない。その権能が運輸大臣にある。運輸大臣は閣僚懇談会でなければ出てこない。これではだれだって一騒動やらなければ出てこないというふうに思うのですね、これは。これは国鉄だけ責めても話にならぬと言うけれども当事者はとにかく国鉄だ。そうするというと、ことしも国鉄はそういういろいろな順序を経てやらざるを得ないということは腹に入れていると思うのですが、そうするとことしも予備費と修繕費ぐらいから出してくるということになるのか。財源がないというけれども、そうなると、たてまえからいうて、毎年毎年予算に計上してなくて操作してやっていくということになるというと、その累積したものが、五年なら五年、三年なら三年先に一体どうなってくるのか、第三次長期計画とのかね合いで。物価が上っている限りにおいて、これは生産防衛というか、そういう点で労働者のほうはめしが食えなくなってしまうわけだ。そうなってくれば、累積赤字というものが潜在的に膨張してくる以外にないのじゃないかという気がしてくる。ことしは収入が少しふえてくるから何とか操作が楽になってくるかとも思われるけれども、しかしそういうふうなことでは私はならぬというふうに考えるわけです。そういう点で、いままでの過去の例から見て、出すものならば、やはりさっぱりと早く出すという形をとるというと、いまの労働運動の趨勢はそれではとまらないから、やはり調停から裁定に行かなければだめだ、こういうふうにも思われるけれども、しかし何といっても、国鉄当事者として強く出していく、そういう姿勢がなければ、私は納得できないと思うのです。そういう点で、当事者能力、当事者能力と言われておるけれども、どうしてそういうふうな予算を組まないのですか。私はいつでもその問題があると思うのですよ。だから、予算が組めない理由というのは、それはどういうことなんですか。定期昇給というものはいまどのくらい組んであるか知らぬけれども物価がとにかくかなり大幅に上がってくるときには、どうしたってこれはもう賃上げ要請をせにやならない、こういう立場に労働組合は立たざるを得ないと思うのですがね。国鉄のほうとしてはその点についてどう考えているか。大体これでやめるというから、これ以上長くいたしませんが、早く出すべきだということについては豊原さん異議ないでしょう。
  72. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 私どもは検討が終わり次第早く出すべきだということにつきましては異議はございません。
  73. 岡三郎

    ○岡三郎君 検討がいつ終わるんじゃなくて、それはよそ待ちということですか。
  74. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 必ずしもよそ待ちというわけではございません。
  75. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、いつ検討が終わるんですか。
  76. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) これも、よそ待ちとおっしゃるのが、先ほどのお話の私鉄待ちかということかと存じますけれども、総合的に申しまして、私ども所定のやはり、手続というと少しおかしゅうございますが、先ほどいろいろ運輸省の御了解を得なければということを申し上げましたので、少しきつ過ぎたかと存じますが、形式的には確かにそういうことでございますが、私どもが財源をどう考えるかということがむしろ根本でございまして、それによって御了解を得るということその他ございますので、必ずしもいま私がここで何日までに結論を出すということはちょっと申し上げられないわけでございますが、急いで結論を出したい、こういうふうに考えております。
  77. 岡三郎

    ○岡三郎君 これ以上言っても答えが出てこないわけですが、やっぱり豊原さんじゃ無理だから、総裁なり運輸大臣が来てから質問をやっていかなければならぬと思いますので、中断します。
  78. 大倉精一

    ○大倉精一君 昼から大臣を要求したいと思います。聞いておりますと、総裁も。副総裁も御病気のようですから、責任ある答弁ができぬ。それで、この問題、労働大臣にも来てもらいたいので、労働大臣の出席を要求します。
  79. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  80. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。  一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十四分開会
  81. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。
  82. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、午前中大臣から非常に気持ちの上では了解でき得るような意向が述べられたんですが、国鉄当局にいろいろ聞いてみますと、大臣が言うような有額回答でぜひ解決をしていきたいということについては、まだまだいろいろの問題点があるようになってきているので、そこで大臣に、その有額回答で問題を処理したいという気持ちは、要するに、いまの予算的な仕組みからいうと、特に今日のベースアップに対応する予算というものを見込んで給与総額を幾らかふやして組んであるという仕組みにはなっていないようでありますから、そうすれば、当然予算の移流用の問題が起こってくると思う。そういう事柄についても、運輸省としてはある程度気持ちの上でも、また実際に問題解決段階ではそういうことを考慮して、大臣としても、先ほど答えられたような有額回答の線で解決することがいいというふうにまあ私のほうは受け取っているんですが、そういうことで間違いございませんか。
  83. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) いろいろ予算関係の面ではきわめてむずかしい事情にあるということは私も承知いたしておるのでありますが、しかしながら、今日のこの事態は、やはり有額回答をして誠意を示しながら解決をはかっていくという方向で進むことが好ましいと、かように私は考えておる次第でございます。
  84. 木村美智男

    木村美智男君 したがって、私の聞いているのは、たとえば予算移流用の問題等についても、国鉄から相談があれば大臣は積極的にいま言われたような立場で問題解決に努力をする、こういう趣旨に理解をしてよろしいですか。
  85. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) そのとおりでございます。
  86. 木村美智男

    木村美智男君 大臣の大体そういう気持ちはわかったわけですが、しかし、ここでまたひとつ大臣に骨折ってもらわなければならぬ問題があるわけです。それは、国鉄側がある程度有額回答態度をきめるということの中で、それは絶対的な条件ではありませんけれども民間の類似産業、特に私鉄問題ですね、私鉄の問題がやはり一つの大きな参考になる、態度をきめるについてね。ところが、大臣も御承知だろうと思いますが、私鉄はいま賃金紛争中で、これは労働委員会にかかっているわけですね、中労委のほうに。それでまあこの問題が解決をするということが、実は今日の、あわせて国鉄紛争も早期に解決をしていくという問題になるのですが、そうなってきますと、どうしても私鉄の問題を相当解決を促進するということが必要になってくるので、これは当然監督官庁としての運輸大臣が、単に私鉄の経営者に、あるいは私鉄の労使だけにこの問題をまかしているということでは、これはうまくないと思うので、私鉄の問題についてはどういうふうに考えられ、今日までまた対処をされてきたか、この点を少し伺いたい。
  87. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 私鉄の賃金関係の問題は、これはやはり経営者と働いている人、いわゆる当事者同士の話し合いによって決していくことが正しい道だと思いますので、その方向で一日も早く円満に妥結することを期待しているわけでございます。
  88. 木村美智男

    木村美智男君 大臣ね、基本的に、その労使が話をして、あるいは労使の努力によって円満妥結することがその原則ですよ。だけどもね、大臣が言うように、期待をしているという時点ではないと思うのです。御承知のように、私鉄も二十六日には、新聞発表によれば二十四時間のストライキという、場合によってはそういう事態にあるわけですから、これはやはりこの国鉄と同様に、私鉄の場合も、ただ単に両者の話し合いや努力に期待をして待っているという時点ではないので、もう少し積極的にこの問題の解決運輸省は努力をしていかなきゃならぬと思うのですが、その点はどうですか。
  89. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 政府のやり得る範囲におきましては、できるだけ努力をいたしたいと思いますが、やはりこの問題には政府が介入し得る一つの限界というものがありますので、その限界の範囲内での妥結の方向に向かって努力をしていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  90. 木村美智男

    木村美智男君 そのやり得る範囲ということばを使われたのですが、これはまあ鉄監局長でもいいんですけれども運輸省が私鉄の問題について今日やり得る範囲ということは、具体的にどういうことを言われているわけですか。
  91. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 労使問題については、まあ運輸省としては立ち入らないと、直接介入しないという立場を従来より堅持いたしております。で、紛争がどうしても決着つかないで、非常にまあ交通、通勤等に大混乱が起きるというときに、初めてまあ運輸大臣が公労委にあっせんを依頼するとか、そういうまあ場合の処置は、大臣としてはあると思うのですが、いまの段階では、直接何かするということはいまのところないと思います。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕
  92. 木村美智男

    木村美智男君 その直接介入というやつは、これはたてまえ上おっしゃるとおりだと思うのですよ。しかし、この大混乱が起こったらば、あるいはあっせんというようなことも大臣としては考えなきゃならぬという、ここのところの理解なんですがね。そうするといまのところでは、混乱は起きないというふうに考えられているんですか。
  93. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 二十六日にストをかまえているわけでありますが、それまでにはまだ若干日がございます。それでいまの段階では、全然まだ労使双方とも中労委に調停申請したとか、あっせんを依頼したとかということはございません。きのう第五回の団交をやったはずでございます。いずれにいたしましても、二十六日のストの予定日までに間に合うように、何らかの解決策を労使双方で努力する、そのためには、おそらくきょうあす中に何らかの回答をする、その上で、その両方妥結するかしないか、妥結できなければあっせん申請などが行なわれるんではあるまいかと、そこら辺の情勢の推移を、まあ運輸省としては十分見きわめていきたいと、かように考えております。
  94. 木村美智男

    木村美智男君 私鉄の団交で、大体今明日中くらいに回答が、私鉄の経営者側から出される情勢にあるということが一つなんですね。それでその回答が出て、その組合側が、かりに額そのものは要求額までいかぬでも、この程度ならやむを得ないということで解決をすれば、それはいいですよ。解決をしない場合もある程度予測されると言われたんだと思うのですが、あっせんの申請というやつは、いま言ったのはどこがやるんですか。というのは、いま私が聞いている限りでは、労働者側、組合側にしても、それから経営者側にしても、中労委のあっせんを求めるということを必ずしもいいことだと考えていないというふうに伺っているものだから、したがって、運輸省が問題解決に乗り出す意味でのあっせん申請という意味ならわかるんですが、そうでないとすれば、そういう両者の状態にあるので、一体あっせん申請というやつはどういうことを意味しているのか、その点をひとつ。
  95. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) いまの状態労使のどっちがあっせん申請をするか、これはなかなか虚々実々でございまして、われわれにも十分見通しが得られませんが、組合側がそういう意識がなければ、場合によっては、私鉄の会社側からそういう申請がある場合も予想できますし、あるいはまた職権あっせんということも考えられます。いずれにしましても、いまから運輸大臣があっせんを申請するというには、まだそういう時期ではないように思います。   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕
  96. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、もし今明日の回答いかんによってはあっせんをしなければならぬ場合が起こってくる。その場合に、労使どちらがやるか、あるいはどちらもやらぬという場合には、職権あっせんの場合もあり得る。いずれにしても、運輸省としては、監督官庁としてこの問題を重要に考えて、できるだけ二十六日の事態回避のためには努力する気持ちというものはちゃんと持っているのだと、こういうふうに了解してよろしいですか。
  97. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) よく情勢を見きわめた上で、その混乱を回避し得る方法があれば、これは当然運輸省としてはできるだけの努力をいたさなければならないと思っております。
  98. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、伺いますが、いまの、鉄監局長はよく情勢を見きわめた上でと、それはわからぬわけじゃないですよ。しかし、今日の事態というやつは、それはもう情勢は見きわめなくってもほぼわかってきているんですよ。大体鉄監局長自身も、いまそういうことを言われましたが、あなただってまさか満額回答が出ようとは思っていないだろうし、だからといって、鉄鋼みたいなことで私鉄が決着がつくとは思っていないだろうから、そうすれば、ほぼどこら辺かということを頭の中に描きながら、私は、監督官庁としては今日すでに私鉄のある場合というものを想定をして、これは運輸省としては対策をもう立てるべき段階に来ている、こういうふうに考えているわけです。したがって、そこのところに対して、運輸省としての腹がまえがあるのかということを聞いているのですよ。大臣、この点ひとつ。
  99. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 事態の推移をよく見まして、最善の処置をしてまいりたいと考えております。
  100. 木村美智男

    木村美智男君 まあ大臣答弁だからね、そういう言い方になるかもしれませんけれども、しかし、さっきの経緯からいうと、運輸大臣よく考えてもらいたいのは、国鉄の問題の解決の一つのやはり実際問題としてかぎになってきている、私鉄の問題が。だから、できる限りそこに少なくとも半日なんということじゃなしに、一日ぐらいの余裕を置いて私鉄問題をやはり決着をつけるということがなければ、なかなか全体の二十六日の事態解決というのはできていかないですからね。これは実際問題として、労働問題だからあまり扱ってきてないということであったにしても、それくらいのことは大体想像がつくだろうと思うんですよ。ですから、よく推移を見きわめることばかりやっておって、ながめているうちにいっちゃったということでは困るから、そこら辺はやはり大臣、これからまだ閣僚懇談会もあるだろうし、あるいは春闘の対策について特別な会合を持たれるかもしれませんので、そういう時点でひとつ、今日の問題の筋はやはり私鉄問題が一つの解決のかぎを握っている。それがやはり時期的に早く問題の解決ができるような、二十六日全体の問題がこれまた収拾ができるということにも通ずるわけですから、そういう意味で、どうも午前中からの運輸省の受け取り方は、必ずしも事態の認識について緊迫感がないですよ。しかし、実際私どもが聞いておるところによれば、それは単に国鉄関係だけじゃなしに、私鉄の大手がほとんど全面的な二十四時間ストライキをかまえているということだけじゃなしに、おそらくハイヤー、タクシーの関係でも、半数ぐらいはこの春闘の問題でやはり同じような立場にあるように思う。そういうことを考えてみると、今度の事態は、少なくとも戦後最大な規模を考えさせるような大きなものになることだけは間違いなく、そうなってくれば、あまりのんびりしておればそれは監督官庁としての責任は免れませんよ。やはり手を尽くすべきものは尽くして、やるだけのことはやって、そしてどうにもならなかった、こういうんならいいけれども、さっきから聞いていると、どうもそこら辺について今日運輸省のとっている態度というものは、事態の情勢を的確にてきぱきと手を打っているようには考えられない。これはもちろん運輸省だけの責任じゃありませんよ。むしろ私鉄の関係については労働省のほうが重点だと思います。しかし、やはり運輸交通産業全体がどうであるか、円滑な運営がやはりでき得るのかどうかという意味では、監督官庁として相当責任を持ってもらわなければならぬ面から、そういう意味でさっき言った問題の、十分情勢を見きわめてということが、単にここでのいわゆる大臣答弁じゃなしに、ほんとうに事態を解決するという熱意と、やはり誠意を持って当たる、こういう意味でひとつ大臣の答弁を了解したい思うでのすが、それでいいですか。
  101. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 私は、今度の春闘を通じての重大な事態といいますか、国民に非常に迷惑をかけるような事態にならないようにという考え方に立っておりますが、国鉄のいわゆる満額回答にしましても、これはやはりその他の公共企業等の関連等もございますので、あるいは他の企業等ともやはり歩調をそろえながら回答できるような空気をつくっていくようなことに運輸大臣としても努力してまいりたいし、さらに、関連の深い私鉄等につきましては、できる限りの努力を、あらゆる努力をいたしまして、いわゆる重大な事態になって国民に迷惑がかからないように問題を解決していきたい。組合の諸君にいたしましても、やはり国民のこうむるところの非常に大きな御迷惑というものを考えながら、労使協調の精神に沿って事態の解決に努力をしてもらいたいという考え方を持っております。そういう意味でできる限りの努力を続けていきたい、かように考えているものでございます。
  102. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をとめて。   〔午後一時五十五分速記中止〕   〔午後二時十二分速記開始〕
  103. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  104. 木村美智男

    木村美智男君 少し話を集約をしていきたいと思うのですが、まだ国鉄当局に少しひっかかるのですが、去年の仲裁裁定は六・二五%の二千百九十九円だったんですね。そこで、ことし一年間の消費者物価の値上がりというやつは七・六%、これを単なる算術比較をしようとは思いませんけれども、しかし、職員局長、さっき特に国鉄労働者の生活状態というものは、それは運輸省の場合は少し幅を広げてほかのことも見たということですけれども、かりにそうだとしても、いまどうにもならない状態ではないという、少しのんびりした気持ちを述べられて、現段階では、結論的にとにかく賃上げは必要ないのだということではこれは納得できない。そうではない、認識の問題は、やはり同じように消費者物価も上がったし、すでに去年の裁定を上回って生計費がかさんできているという、そういう状態にあっては、なおかつ、あなたのほうは、この間の運賃値上げによって第三次七年計画というものをこれから実施をしなければならない、そういう立場からいえばむしろ気の毒だし、今日の事情というものをできるだけ改善したいと思っていると、ところが、実際にそうしようと思えばいろいろ予算的な面の制約もある、あるいは一般的な動きもあって、そういう気持ちを達成するのには、国鉄同士で今日なかなか問題の解決ができないのだということぐらいの話になれば多少話は見えてくる。あなたみたいに、断わるために一生懸命で、賃上げはそれはもう現状では認めるべき必要性を認めないというような、そういう態度では、これはあなたら心にもないことを言っているらしいけれども、それじゃ世の中は通らない。これは答弁を断わる理屈としては通ったってこの委員会で、これは与党の皆さんも聞いておるが、まさか、これだけ世の中全部、わずかばかりといえども賃金というものは上がっていっているのだし、そういう環境の中で国鉄だけはいまのままでいいのだということにはならぬだろうと思う。そこのところはやっぱり、幾ら値上げするかは別として、賃上げはしてやらなければいかぬ今日の生計状態になっているということは、何も正式に答えたからといって、あなたのほうは別に法律で罰せられるわけでも何でもないのだからね。だから、そういうことをきちんとしてもらわないと、さっきからこの話実は締めくくりつかないから、一日やっていて、あしたも委員会を続けてやろうか、御苦労でもあなたにもう一日同席願わなければならないということに実はなってくるので、その辺のことはもう少し今日の国鉄労働者の生計状態、そういうものはやはり賃上げをある程度認めてやらなければならぬ実情にあるというような立場に立って答えてもらわなければ前に進まない。したがって、あなたではだめだから総裁出てこいと、それまで委員会は休憩ということになってしまうので、少しこの点は、さっきからぼくがひっかかっているところなんで、職員局長、もう一回そこのところを答えて話を先に進めるようにしてもらいたい。
  105. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 午前中豊原常務理事から御回答申し上げ、ただいま私もちょっと補足申し上げましたが、決してわれわれは、現在の国鉄職員賃金がこれでいいんだ、全然上げる必要はないんだ、かようなことを申し上げてはいないのでありまして、お受け取り方が多少違うのではないかと思うのです。ただ、申し上げましたことは、昨年の秋組合側から要求が出ました際、あの時点から団体交渉を始めたわけでありますが、あの時点では、まだ民間の問題、あるいは公務員との関係、この時点だけしかはっきりわからないわけです。もう一つ不確定要素として民間賃金相場というものがある、民間賃金相場というものは、毎年の実例に徴しますれば、春の四月になりますと上がる、これは不確定要素として残っておるのです。したがって、この不確定要素を見なければ、われわれとしては判断できない、かように申し上げておるのでありまして、現在の賃金国鉄職員はいいんだ、それで甘んじよ、さような気持ちを総裁はじめわれわれに至るまで毛頭持っているものではございません。
  106. 木村美智男

    木村美智男君 それでさっきひっかかったやつがようやく解けたので話を進めますけれども、決して上げる必要はないんだというふうには思ってないので、たまたま不確定要素の民間賃金の問題があったのでと、ところが、民間賃金の問題は、先ほどの労働省の「労働ニュース」を御披露するまでもなく、また、基幹産業といわれる鉄鋼の場合は、これはさっきの裏話も含めて、いま知っている限りのことを申し上げたわけですから、一応民間賃金というところは、ほぼ国鉄賃金を決定するに必要な大体条件を整えたと、きょうの時点ではですよ、もう判断が一応できるところに来ているのではないか。したがって、国鉄としては、まああと四日ばかりで二十六日という事態を迎えている直接の当事者なんだから、だから、おそらく総裁以下国鉄内部の労使関係で、列車、電車がとまっていくというようなことについては、できるだけこれは回避しなければいかぬというお気持ちだろうと思うのです。したがって、私は、ここで国鉄は早急に、とにかく今日の時点の中で相談をされて、そうして事態収拾のためにこの時点でなし得る最大限の方策というものを打ち出す必要があるんじゃないか、そういうことでこの事態を収拾をするという必要があると私は思うんですけれども、この点どう考えていますか。
  107. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 民間相場と申しましても広いものでして、全体を見渡して御回答いたすというのが本筋かもしれませんけれども、それはやはり時期的に切迫しておりまして、そこまでゆうちょうなことを言っておられないということは、先生のおっしゃるとおりです。したがって、これまた先ほど申し上げましたところでありますけれども、やはり基幹産業というものの鉄鋼一つ考え、また、われわれの同種産業としての私鉄相場というものも考えざるを得ない、かようなことでいままでやってまいったわけでございますが、鉄鋼はすでに御承知のとおり出ておりますし、それから私鉄も近々のうちに出るということになりますれば、これはわれわれとしてもできるだけ早急に態度をきめて、何と申しましても二十六日の混乱はできるだけわれわれも回避いたしたいと、かように考えております。
  108. 木村美智男

    木村美智男君 二十六日の事態を前にして、これを回避するためにできるだけのひとつ努力をするということで、いま国鉄当局から意思の表明があったわけですから、あと四日間あるんで、ひとっこれは全力をあげてそういう方向に持っていかれるように、これは国鉄当局には要望をして、あとで皆さんからお話があれば別ですが、私は、国鉄当局のほうは、ここの答弁ということだけじゃなしに、ほんとうに回避する立場で真剣に考えてもらわないと、三十六年あるいは三十三年当時起こった紛争の事態よりもさらに大規模な問題であるだけに、相当私どもも憂慮しておりますので、そういうことのないように、ぜひ当局側として、管理者として善良なやっぱり処置をとったという、そういうことの最大の努力をひとつするように要望しておきます。  ところで、運輸大臣なんですが、運輸大臣が先ほどいろいろ質疑で答えられておる中で、大体政府としても近く、ゼロ回答といったようなことではおそらく事態は解決しないだろうという判断から、寄り寄り協議をされておって、その態度決定も近いうちに出されるんではないかというふうに受け取れるわけですけれども、しかしこれは、いままでのとにかく大臣の、あるいは運輸省態度としては、率直に言って、テンポがおそい、これはわれわれとしては率直に受ける気持ちなんで。ですから、当然二十六日予想される事態回避のために運輸大臣としても、いま国鉄でもいろいろお話をされましたけれども当事者が問題を解決するについては、大臣が、あるいは運輸省が相当積極的に協力をしてやらなければなかなか問題の解決ができないという点が非常に多いわけであります。そういう意味で大臣には、特にこの二十六日の事態を前にしてできるだけ運輸省としての独自の立場からもひとつ意思決定をしてもらって、そうして積極的にその解決に乗り出すという立場で、関係の私鉄なり、あるいは国鉄なりとひとつ十分相談をされて、そうして事態回避に運輸省が全力をあげて今後努力する、こういうことにしてもらいたいと思うんです。大臣、この点についてぜひあなたの考え方、また、いまの心がまえというか、それを伺って私質問を終わらしてもらいたいと思います。
  109. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 私は、今回の問題については、やはり政府は誠意を持って積極的に対処していくという方向は大切であると考えておりますので、運輸大臣としても、そのたてまえのもとにあらゆる努力をいたしまして、事態の重大なことにならないように、円満に問題を解決していくような方向で努力していくことを決意をいたしておる次第でございます。
  110. 木村美智男

    木村美智男君 大臣から決意を述べられたので、きょうの段階では大臣の言うことを了とします。  そこで大臣もう一つ、これは春闘のことに関連をしておるわけですが、この間実は全自交の諸君と一緒に大臣にお会いして、いまのハイヤー、タクシーの問題でたくさん問題になっている点が、賃金要求とほぼ同じウエートで、いろいろと要請書として大臣の手元に出されておる。このことについて、その後検討されているとは思うんですけれども、近くぜひ御返事をいただきたいということになっているんで、それらの問題について少し督励をしていただいて、そうして運輸大臣としても、この回答というか、方針をひとつ早急に出してもらうということで、この点は私のほうは具体的な問題に解れませんけれども、これは要請をいたしておきます。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、また春闘に関連をして、いま木村委員からも質問のありましたハイ・タク労働者要求の問題、これは時間の関係がありますから詳細に触れるのはまたの機会にして、いま当面する二、三の問題、これをお聞きしたいと思います。  それで、この統一要求が出されていると思うのですが、この点についてどうですか、自動車局のほうではつかんでおられますか。
  112. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 全自交のほうから運輸大臣に対しまして申し入れがございます。これは行政上の申し入れでございまして、給与その他の問題についての交渉の内容については、われわれは知っておりません。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 その中で、これはいま当面するベースアップの問題、ことに最近の労働条件との関係において、それからさらに交通事故をなくすとか安全運転とか、こういう問題と関係してくるわけです。当委員会でもこの問題は、これは七、八年前になると思いますけれども、神風タクシーの問題について、ずいぶん熱心に取り上げ、小委員会まで持たれて結論まで出した、そうして勧告をした問題であります。で、特にその中で、今度の具体的な統一要求の中で、昭和三十三年四月七日付の交通事故防止対策本部長及び同年四月十六日付、労働省労働基準局長より通達された諸事項を守る、こういう要求が出されております。これは賃上げとともに、労働条件の問題として非常に私は重大な問題、この根幹になったのは言うまでもなく当運輸委員会で、当時神風タクシーの問題を精力的に取り上げて小委員会まで持たれて、小委員長から十六則の勧告を運輸省に対して出したわけですが、その勧告が具体化されていまのような通達になったと思うのでありますけれども、この勧告の内容ですね。それから今日これがどういうふうに実施されているのか。それからこれについて系統的にいままで指導並びに対策が持たれているかどうか。この点が非常に私は最近のこの交通事故の頻発とも関連して重大な問題だというふうに思うのでありますけれども、どうなっておりますか、この点について、これは御説明願いたいと思う。
  114. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 神風タクシーがありました三十二年当時に、参議院の運輸委員会から、十六項目にわたります勧告が出された、その点は、各関係省において、役所として事故防止対策上処理すべき点と、それから事業者に対しまして、給与の改善その他、運転手が安心して働き得る職場をつくる、そういう意味におきまして行政指導その他でもって処理すべき点と、そういうふうに分かれるのではないかと思います。  で、役所におきまして処理すべき点につきましては、内閣に置きます組織である事故防止対策本部におきまして、いろいろ対策が練られたり、運輸省といたしましては関係の省令、自動車運送事業等運輸規則の改正をいたしまして、乗務距離に関する問題あるいは運行管理に関する問題等につきまして、それぞれ所要の改正をいたした次第であります。  それから事業者に対しますもろもろの指導につきましては、運転手の給与制度を、従来のような歩合給を主とするものから固定給を主体とする給与体系に改正をする、あるいは運転手の休養施設、その他厚生施設とかというようなものを整備するというふうな点につきましては、直ちに当時通達も出しまして、その通達の内容に関する実施の状況につきましては、毎年監査を繰り返して改善をいたしてきた次第でございます。  それから労働組合等の組合活動に対しても十分な理解を持って臨むように経営者を指導するというふうな点もあるわけでございまして、それらの趣旨に従いまして、ただいままで行政指導をやってきている次第でございます。  したがいまして、その後の状況におきましては、給与の内容並びに厚生施設の問題等は、逐次改善をいたしている次第でございます。しかしながら、タクシー事業は相当多数の業者でございますし、中には小規模のものもあるわけでございまして、多数の運転手諸君を雇用しているわけでございますから、今後も十分これらの点に注意をして監督指導を強化していきたいと考えております。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの説明を聞きますと、十六則の勧告が十分に守られてだいぶ改善されたということになっているようなんですね。ところが、それは現状と照らし合わせて考えるときに、そういうことが言えるのかどうか。実際は非常にやはり形だけ、形式的に流れていて、実態が改善されていないという、そういう実態を私たちは知っているわけなんですね。そこが非常にやはり大切な問題だというふうに考えます。  そこで、まあきょうは、この詳細を一つ一つ具体的に追及するということをやる時間もありません。そこで、とりあえず、いままで勧告並びにそれに基づく指示に基づいて改善された面を、これは資料として出してもらえますか。もう九年前ですね──八年前ですか、三十三年ですから、どういう点、どういう点、どういう点がこれは改善されたか、十六則の勧告の問題点について、どういう点が改善されたか、それを最初に私たちもらって、それから具体的に現状と対比してこの問題を明らかにするということが非常に重要だと思います。いまのお話だけ聞いていると、非常にけっこうずくめのように思うのだが、とてもそういうふうにいっていないのじゃないか。そういう実態についてはっきりつかんでないですか、そういう実態調査する形になっているのですか。単にこれは官庁的な報告を受けてそれに基づいていまのような答弁がなされているのではないかと思われる節があるわけですね。ですから、そういう点を私懸念するわけですが、ここでいま論議する時間がありませんから、いまの資料を出していただきたい、これはいかがですか。
  116. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 神風タクシー以来、タクシー企業に対する世間の監視は非常にシビアーでございまして、二、三年前にも、乗車拒否の問題がございまして、これを解決すべく本格的に取り組んだ次第であります。そういうふうに非常にシビアーな環境がございますから、行政監督におきましても監査その他で実態を把握しつつ改善をしてきておるわけであります。いま、先ほど申し上げましたことにつきまして具体的に申し上げますと、たとえば三十二年当時におきましては、運転手のいわゆる基本給、固定給というふうなものは率が非常に少なく、たとえば五〇%に達してなかったようでございます。それが現在におきましては、おおむねの会社におきまして、基準賃金において五六%というふうになっておりますし、それから、たとえば医療の施設、食堂、浴場等の施設、あるいは退職金制度等がありますが、当時におきまして、退職金の制度が非常に少なく、ない会社が相当あった、特に新免会社等におきましてそうでございましたが、最近におきましては、ほとんどの会社におきまして退職金の制度が確立いたしております。それから、仮眠室、食堂、浴場等の施設につきましても、その後の監査等におきましては、万全でございませんが、当時の神風タクシー時代と比べ相当の前進でございまして、これらの数字を詳細に申し上げることは省略いたしますが、そのつど毎年監査をいたしておりますので、監査の結果について申し上げておるわけでございます。しかしながら、まだまだ改善すべき点がありますから、今後も具体的に監査等を行ないまして、具体的に指導をいたし、指摘して改善をしていきたいというふうに考えている次第であります。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 資料の点はどうですか。
  118. 江藤智

    委員長江藤智君) 何の資料ですか。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 資料を出してもらって、やっぱり抽象論議ではどうも事態を明確に前進させることができないのですよ。だから十六則、わざわざ半年近く努力して当委員会で八年前に出したわけですから、一、二、三、四、これについて、どういうふうに具体的に変わったか、最近の大筋でいいです。そういうものに従ってわれわれは論議をしていかないと、これはどうも、何ぼかよくなっているでしょう、とにかく歴史は流れているのですからね。当時あれだけ騒いだ問題ですから幾らかよくなっている、しかし、その度合いがどうだかという問題、そうして一方では、交通量は三倍以上にふえているでしょう、車の数からいったって三倍、事故の発生率もそれとは、幾何級数的にはいかないでしょうけれども、それはやはり依然としてあとを断たない増加の傾向になっているのです。そういう問題を根本的にやはり解決するという点については、この問題をもっと分析してはっきり爼上にのせなければならぬですよ。私はそういうときがまたきていると思う。八年前であれほど騒がれた、しかしその後、これは論議にはなっていましたけれども、徹底的にそういうものを解剖するということが行なわれないという事態の中で、いまのような御答弁はあったわけですけれども、根本的には解決しない、こういうふうに思うのです。だから資料を出してもらう。
  120. 江藤智

    委員長江藤智君) 岩間委員の資料というのは、こういう資料ですか、運輸委員会が、神風タクシーのときに小委員会をつくって勧告しましたね、その勧告がどういうふうに現在実施されているかと、こういうことですか。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 ええ。
  122. 江藤智

    委員長江藤智君) じゃ、それはまあ概略のものは出るでしょう、そうすぐは出ないかもしれないけれども
  123. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 業者数が非常に多いことと、それから八年間にわたる改善の結果というものはなかなか出せないと思うのですが、具体的にどういうふうに休養施設がよくなっているかという結果を、業者数が非常に多いのでなかなか把握しにくいと思うのです。われわれは随時監査によって、そういった点について改善さしていく、その結果がどういうふうになったかということは、なかなか時点の取り方もむずかしいし、たいへんな手数になると思います。
  124. 木村美智男

    木村美智男君 さっきは、春闘問題だから、この問題は実はぼくもやらなければならないことになったらしいのですが、問題は、資料を出してもらうといっても、いま言ったようなことを言っておるからだめですよ。少し自動車局長にお聞きしたいのですけれども、今月の八日ごろだったと思うのですが、日ははっきりしておりませんが、大臣に実は今日のハイヤー、タクシーの問題点を、要請書という形にして出したけれども、これは見ておりますか、おりませんか。
  125. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 全国自動車交通労働組合連合会の伊藤福雄氏からの大臣に対する申し入れ書は読んでおります。
  126. 木村美智男

    木村美智男君 その申し入れ書が実は今日のハイヤー、タクシーの問題点であるわけです。したがって、さっき私、大臣に、その申し入れしたそれぞれの事項について、具体的に検討をして今日の野点で報告すべきものは報告するし、それから欠けている点は欠けているなりに運輸省自体で方針を出して、そして経営者側にも指導するものはする、こういう整理をして回答してほしいと言ったんだけれども、その肝心の自動局はその問題について検討をしていますか。きょうその手紙を見たのが初めてですか。
  127. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) この申し入ればごく最近のことでございまして、もちろんこの内容につきましては検討をしておりますけれども、詳細な点につきましては、目下個々の点につきまして部内で打ち合わせ中でございます。近く、根本的な重要な問題が相当たくさんありますので、至急に検討いたしまして提出いたしたいと思います。
  128. 木村美智男

    木村美智男君 いまのように検討はしているが、まだ全部終わったということでないので、したがって、きょうは全部取り上げてやろうとは思いませんが、大きな点を二、三聞いて、なおかつ、注文もしたいと思うのです。  第一番に、この安全の問題から、大臣はこれは実情の説明を聞いてよくわかっておって、大臣も同感された点が非常に多いので、きょうはそこら辺で……、しかし、実際には大臣が答えられているようなことになっていないから、問題だから二つばかり聞いておきますが、たとえば賃金の問題ですよ、この賃金の問題は、例の神風一掃のときに、あなた方の指導として、それはこの委員会でも取り上げられて、大体固定給を六五%、能率給は三五%、こういう基本線を立てて、そうしてその経営者を指導をするということに実はなっておったわけです。一時それがそういう方向に向いて、先ほど答えられたように、五六%くらいまでいったということでようやく改善の徴候が見え始めたのですけれども、一昨年あたりから、これが今度はまた逆になってきまして、どちらかというと、固定給部分を削って能率給に加えていくという形で、最近は、神風当時と同じような事態に今度は賃金の面からしゃにむに水揚げを上げなければならないようになってきているので、これが一体資料を出すときに、十分実情を把握して出してもらわないと困るので、これが一つ。  それから労働時間の問題もそうです。大体標準的にいうと、やはり東京あたりなら、十三車というのが標準だといわれているのですが、最近は十七ないし十八車という勤務体制になっている。という意味は、二十四時間、一昼夜交代。だから十六時間勤務という言い方でもいいでしょう。それで十七あるいは十八ということは何を意味するかというと、週休すらもとっていないという状態にあるわけです。これは私の見ている限りでは、たとえば四大交通といわれる日交、大和、この辺でも十七、それから帝都が十六くらいです。ましてや、弱小のタクシー会社ではもう十七、十八というのはざらにある。こういう状況になっているので、この点もしっかり把握してやってもらいたい。超過勤務については百時間から百五十時間くらいにオーバーしているので、この勤務時間については、基本的なものと、いま言った超過労働についても資料の中でひとつきちっと出してもらいたい。  それから、あまり運輸省はタッチしたくないかもしれないが、労務管理の関係が最近非常に悪化している。この点は、たとえば班長制度というようなものを設けて、労務管理を直接会社がやらずに、労働者相互間の中でやらせるような仕組みをとってやってきているのでありますが、単にそれだけならいいですけれども、いろいろの不当労働行為が行なわれて、かりに労働委員会の裁定が出ても、そんなものは無視している例があちこちにある。さっぱり判決というものが実施されていないし、それからせっかく出た判決があっても、職場復帰を何とかかんとか言いながら拒否している、こういう事例が非常に多くなってきている。したがって、この労務管理の問題から相当、何といいますか、精神的な動揺を与えて、そうしてそのことが結果として事故の原因になっている、こういう事例が非常に多いので、この労務管理の問題についても、一応監督官庁として調査をして、そうして出してもらいたい。  それからさらに、最近運転手の中で鞭打病──むち打ち病という病気がはやっているのです。これはどこから出てきているかというと、うしろから追突された際に背骨がどうかしちゃって、それが原因でいろいろノイローゼぎみの症状から入って、そうしてどうも食欲減退から気力がうせてくるといったようなことで、廃人ではないけれども、とにかく用をなさぬといったような新しい職業病的なものが急激に今日ふえつつある。したがって、これに対する対策ですね、このことも、どういう関係でこういう病気が発生しているか、今日の現況。それから、あわせて、厚生省等にもこれはある程度の連携をとってもらって、職業病としての指定をしていく必要があると思うのですが、そこら辺の検討もひとつしてもらいたい。  それからもう一つは、車体構造の問題、バンパーですか、あれがいわゆる緩衝の役目をなしていない。なぜかというと、バネがさっぱりさいていないで、最近は車のスタイルばかり気にしているから、ごとんといけばそのまま、あれが固定化されているので、その振動がそのまま直接いくというので、これはほんとうに運輸省側のあれは、新しい新車を製造していく場合の一つの強力な指導方針を立てていかない限り、これは直せないですね。その車体の構造問題の中では、ひとつ緩衝どめになるバンパーの構造ですね、これを多少ていさいは悪いことになっても、もっと人命尊重、事故防止という観点から検討をしなければならない問題だと思うので、この点も最近の事情を十分調べて、それでひとつ資料に出してもらって、その出してもらった中で、私のほうとしてはこれはまあ質問もし、さらに補っていきたいと思う。  それで、大事なことをひとつ政行措置として強く要請をしておくのは、ここへ来て大体この席では、一応通達を出して指導をしておりますと、こう言っておるけれども、一片の文書で流した程度では実際はだめなんで、いままでやられたかどうかわかりませんが、ひとつそれぞれのところに、乗用車協会というか、東京なら東京乗用車経営協議会ですか、こういったようなものがあるはずなんですから、それをその経営者側の組織を使って、運輸省がイニシアをとって、そうして、いま申し上げたようなことについて方針が出て、ある程度委員会でも御相談をされて、必要のあるものはしていただいて、その結果出た結論については、いま言ったようなことで経営者側を集めて、やっぱりこれをちゃんと徹底をはかるというような措置を講じてもらわないと、単なる文書で流した、通牒で流したような程度ではなかなかこの問題は解決しないと思う。その対策の面は、ひとつこれは要望しておきます。  あと具体的なことは、岩間委員も資料を要求しておりますから、要求された資料が出た上でいろいろと質問もしたいし、対策についても述べたいと思っている、そういうことです。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 木村委員から、いろいろなさっきの要望書に基づく重要な点が指摘されたと思うのです。私も、その点で当然明らかにしなくちゃならぬと思うのですが、問題は、いまの今度の出された要望書に対する当然の回答として、この回答を資料として早い機会にひとつ出してもらう。それから問題は、もう一つ、先ほどの統一要求の項目の中に、いまから九年前の小委員会の勧告について出されたそういう問題が、十六ものこういう勧告がどういうふうに具体的に実施されたかという点、これは大筋できるでしょう。私は、さっきのあの答弁というのは非常におかしいと思うんですよ。行政指導をやっていればあんな答弁はできないはずです。行政指導をやっていないということを裏書きするようなあれは答弁です。実際はもつと実態を把握するという努力をして、そうしてその上に立ってこれは政策を前進させるということをやっていけば、いまのような答弁はできないのです。だから、そういう点ではおかしいので、この点については、やはり二つの問題ですね、いまの要望書に対する回答を資料として出す、もう一つは、九年前の、ここに大倉さんも見えますけれども、われわれが努力をして出したあのときのわれわれの勧告について、具体的にどういうふうに実施されたか、とにかくされないならされないでいい。ここまでいった、この点はここまで努力をしてこうなった、最近は少し逆転をしたとか、そういうところを具体的に出してもらいたい、この点はっきりしてください。
  130. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 御趣旨に従いまして資料はできるだけ努力したいと思います。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはいつごろ出してもらえますか。これはいま春闘を戦われて、実際は春闘の要求になっているわけだから、そういうものは春闘が終わってからというかっこうではまずいですよ。
  132. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) いまの申し入れ書に対する回答もございますし、それからもう一つは、相当項目が多数ございますし、なるべく努力いたしましてすみやかに提出いたしたいと思います。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、その中でさっきも木村委員が触れられたんですが、この固定給の問題ですけれども、これもどうなんです、五六%ということになっていますけれども、あのときの勧告では、七〇%はこれは固定給、できれば八〇%、そして能率給を減らして、歩合給のようなものは減らして、そうして固定給に持っていくべきだ、その基本的賃金制度をはっきり確立すべきだ、しかも早急に確立すべきだ、これが神風のあの事故をなくす一番大きな問題だという点が強調されたはずですね。この点については、具体的に五六%というふうになっていますけれども、これは地域差もあるだろうし、それから経営の規模によっても差別が出てくるだろうし、しかし、全体としてどういうふうな指導をされているのか、この辺についての指導が非常に業者まかせになって放任されているのではないかと思うんですが、この点どうですか。
  134. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 当時と、ちょっと絶対金額で今日では差があるかと思いますが、当時といたしましては、一万円から一万五千円まで固定給にしたいというようなことで一応の目標にいたしております。ところが、給与の具体的なことになりますというと、これは労使関係で決定することでございますから、役所の行政指導につきましてはおのずから限度はありますけれども、固定給の面をなるべく率を高くするということで逐次指導をしてまいっておりますので、最近におきましては、五〇%を三年ほど前にこしていまして、ややいまでは、その後のペースは鈍っておりますけれども、当時の三十二年ごろに比べましたら、相当の前進であるかと思います。具体的に幾らということは、三十二年のときもちょっと数字が違うと思いますが、もう一度合計の金額比較しまして、推移その他につきましては、資料のときにつくりまして御説明いたしたいと思います。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 五〇%というものは、ちょっとどういうことですか、個人の俸給の中の五〇%が五六%まで固定化されているという意味なのか、全体の営業の実態の中の五〇%が固定給のほうに向いているということなのか、どうもわからないのだが、そこのところはどういうことですか。
  136. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 具体的に申しますと、ハイ・タクの運転手の給与は、基準賃金と基準外賃金がございます。最も固定的なものは基準賃金でございまして、それには基本給とその他があります。それから基準外賃金の中では、超過勤務手当と歩合給がございます。この歩合給が最もいままで言われておりましたところのものでございまして、私が先ほど申し上げましたのは基本賃金、すわなち基本給プラスその他のものを申し上げたわけでございまして、純粋の歩合給と超過勤務手当を合計いたしました基準外賃金というグループと基準賃金のグループとの率を見れば、基準賃金が五六%で、したがいまして、基準外賃金が四四%であるという内容でございます。
  137. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  138. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記つけて。
  139. 岡三郎

    ○岡三郎君 たまたま自動車局長がいるから、私は、自動車局長に聞きたいんだけれども、これやっぱり大臣に関係してくるんだが、臨時行政調査会の答申に基づいて、タクシーの免廃論というやつがずいぶん出ておりましたね。この点について、最近聞くところによるというと、今後のそういうふうな許認可の問題についての行政上の問題が、いろいろと労働者にも経営者にもいろんな影を投げかけているということを最近知ったわけですよ。一体これがどの程度までどういうようになっているのか、これは春闘の問題に直接関連はないとしても、これは労働者の今後の行き方、あるいは経営者の今後のあり方、こういう問題について──これは先般の清瀬の白バスの問題との関連で考えさせられた問題なんですが、一体これは現状においてどういうふうに運輸省として考えておられるのか、これは大問題だからひとつ御見解を承りたい。何か情報を流しているのかどうかな。
  140. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 私のほうとしましては、具体的にそういった話を聞かされているというようなことはありません。ただ、いろいろと運賃問題にからんで、そういった声はちらちら出てはおりますけれども、事務的にどうということは全然ありませんし、われわれとしても考えておりません。
  141. 岡三郎

    ○岡三郎君 運輸大臣に聞きますがね、この点は神奈川全体のハイヤー、タクシー関係のほうに、表の情報という形ではなくて、極秘情報という形でそういう話が出ているのを私は見たわけですよ。で、タクシー関係労働者ですか。たまたま乗って話をするというと、そういう話がちらほらするということで、何か差し迫ったような問題というふうにとられている面もあるわけですね。こういうふうなことを言って、春闘対策にしているのかなということも実は考えてみたんですがね、たまたまそういうふうに、もしも免廃ということになってくるというと、自由にやれるということになれば、これは相当の大きな問題になってくるだろうと、そういうことを臨時行政調査会のほうで──行政管理庁かな、そういうふうな意見を述べておるということも前に聞いておったわけですがね、これはどうなっているのかということについては非常に関心が強いわけですよ。で、これはやっぱり運輸省当局、大臣のほうでどうなっているのかな、これやっぱり聞いてみないというといかぬと思って問題提起したわけです。実際に出てなければいいけれども、実際話として、プリントになって、そういうあれが出ていると、こういうことなんですがね。
  142. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 一昨年に臨時行政調査会が行政機構の問題で答申されました中では、タクシーその他の行政の簡素化という見地から問題に触れておりますけれども、その中で、タクシー等については、そういった意見もあるだろうということが付属書のほうで書かれたことはありますけれども、それ以後、現段階において、行管とこの問題で特にわれわれとしては話し合いも持ちませんし、別に何も聞いておりません。われわれとしては、この当時から免許制度は必要である、ただその運用において改善の余地はある、そういう態度をとっているわけであります。
  143. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、大臣、そういう話が閣議なんかの席上で出たことがあるのかどうかですね。いま自動車局長のほうは、行政管理庁からそういう話がないと、まあ一昨年のことからいままでないということになれば、ないのだろうと思うのだがね。そうするというと、そういうふうな話はどこから出ているのかね。いま、自動車局長の言うことをこれは信ずるのが当然だと思うのですがね。そういうふうな話を運輸大臣として、最近聞かれたことがあるでしょうか。
  144. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) その免廃というようなことが話に出たことはありません。ただ、タクシー運賃の問題がこの間出ましたときに、個人の意見として、個人タクシーをもっと許していいのじゃないかとか、あるいは、トラックが持っていって帰り荷を積む、こういうようなことをいまの規定ではできぬようになっているから、そういうのが少し窮屈過ぎやしないかと、こういう意見は出ましたけれども、これはいわゆる個人の意見が出ただけで、それ以外はタクシーとか、あるいはその他のものの免廃というような意見が出たことはございません。
  145. 岡三郎

    ○岡三郎君 これでやめますが、その点で、よくわかりましたが、その話もたぶんタクシー料金の値上げの問題に関連してのそういう情報として流れているのだというふうにわれわれもいま判断します。そういう点で一、二の人が閣議でそういうことを述べられたという程度であって、具体的に運輸省自体として、この問題について検討しようとか、あるいは今後行政指導の面において、そういうものをちらつかせながら値上げを押えていく一つの方便に使うのか、そういう点がわからぬわけですよ。だから、いま私が聞きたいのは、運輸省としてはそういう動きもなし、行管等からもそういう話もなし、そういうのがたまたま席上において一、二個人的な話として出ただけで、閣議の正式な発言ではないのだ、こういうことになっていいのですか。
  146. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 閣議ではございません、経済問題の関係閣僚会議の際に、そういういま私が言うたような意見が出た。まあ個人タクシーの問題は、いまかなりたくさんの申請が出ているから、それはひとつ検討はしましよう、そうして必要があるということになれば認可を、許可を急ごう、こういうことは申しましたけれども、その他の免廃とか、いろいろそういううわさというものは、全然ことばにも出たことはございません。
  147. 岡三郎

    ○岡三郎君 よくわかりました。
  148. 岩間正男

    ○岩間正男君 大臣にお伺いしますがね、給与形態のことですね。これは非常にやはり事故の問題とも関係がある。それから労働者の労働条件と深い関係があるわけですがね。こういう点からいって当然固定給を大幅にふやし、できればもう固定給だけの一本に持っていくというか、そういう給与体系をとるべきだということが、数年前から論議されているわけです。ところが、実態はそうなっていないのです。いますでに説明で聞かれたように、その後努力をしたけれども五六%で、四四%が基準外賃金だ。その中の給与の名目というのはいろいろな名前があるでしょう、当時もうこの種類が何でも十余りあるわけですからね。会社によってもこれは違うところはあるけれども、まあ歩合給から無事故手当、それからその他たくさんそういう名前のものがあるわけですね。ところが、こういうものは解消されていないのが現状じゃないですか。そうしてほんとうに能率給に、ノルマに追いやられていく。結局その結果は、走行距離でも非常に制限を突破する。あるいは時間が守られていない。こういうかっこうでタクシー労働者のからだをむしばんで、それでもって生活をささえているというのが現状じゃないですか。ここのところは同町に安全の問題と深い関係があるわけです。私は今日春闘の問題でまっこうから一番最初に固定給の問題を掲げているタクシー労働者の気持ちというのはよくわかる。こういう点については、これは運輸大臣としてはどういうふうに考えておられるのですか。ここに対する行政的な指導がないのです。全然ない。そして、ほんとうにこの問題は等閑に付されている。こういう形では、私は労働者の保護はむろんのこと、国民を交通事故から守るという、そういう政策も実行できない。ここのところは非常に、一番深い原因になっているというふうに痛感しているわけですが、大臣のこれに対する見解を明らかにしてもらいたい。これは春闘と深い関係があります。これが春闘の非常に大きな要求になっておりますから。
  149. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 私も基本給が多くなっていくということは、これは必要でございます。できればいま岩間委員が言われますように、全額基本給であるということは、これは理想であると思います。ただ、事業実態ともやはりこれは関係があるというふうに思いますし、労使の間できめていく問題でございますので、これに対する行政指導というものは先ほどから説明しておりますように、いままでもできるだけのことはやってきておると思います。やはり企業の実態等の関係があって、なかなか指導の方向に思うように前進していかないということが現状じゃないかと思います。しかし、方向としては、やはり基本給をできるだけふやす、そしてそれが交通安全につながるということもわかっておりますので、そういう方向で今後もできるだけ力強く指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  150. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  151. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけてください。
  152. 大倉精一

    ○大倉精一君 冒頭に、時間がありませんから、私もハンドル労働者の問題についてやりたいと思うけれども、きょうはやめますが、ただ、昭和三十二年にタクシー運転手の給与は固定給を主体とする給与体系に変えるという決議がある。これに対して政府答弁をしている。これに対してどういう措置をしたか、どういう措置をしているか、これからどういう措置をしようとしているか、これは日をあらためて聞きます。それからきょうは、先ほど国鉄答弁を聞いておって非常に私はふしぎに思ったのです。大臣に聞きたいと思うが、労働大臣おいでにならぬから、大臣ひとつ政府を代表して答弁してもらいたいと思うが、国鉄職員給与をきめる基準は一体何に置いているのですか。春闘相場春闘相場というけれども、どこに一体春闘相場があるか、どういう基準で一体国鉄給与というのはきめるのか、その考え方をひとつ聞かしてもらいたい。何を基準にするか。
  153. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 給与の基準は、日本国有鉄道法の二十八条に、「職員給与は、その職務の内容と責任に応ずるものでなければならない。」という条文がございます。この条文の精神にのっとってきまるわけですけれども公務員給与とか、あるいは民間給与とか、そういうものとのつり合いとか、そういうものを十分勘案してきまるものと考えております。
  154. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうなると、一体自分で自主的に考えるほかないでしょう。公務員給与に右へならえ、公務員のほうは公務員のほうでこっちへ右へならえで、だれが一体きめるのか、一体私は給与というのはそういう法律ではなくて、職員の生活と勤労意欲というものを勘案しなければならぬと思うのです。そういうものは全然考慮の中に入らぬのですか、いかがですか。
  155. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) もちろんこの条文にも書いてありますとおりに、生計費というものが一つの大きな考慮さるべき要素であることは当然だと思います。
  156. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは大臣あるいは鉄監局長にお伺いしますが、いま大きな都市における標準家族、夫婦子三人の最低生活費は幾ら要りますか。それを知らずにおいてはきまらぬじゃないですか。何を言っていますか。この給与の問題がこんな大きな問題になっているときに、一体五人家族幾ら生計費が要るだろうということぐらい、そんなことも知らずに何を基準にきめるのですか。大臣どうでしょうか。あなたは御存じありませんか。大蔵省がちゃんと出している。私が教えます。これは大蔵省が調べました生計費は、四十年度大体五十三万五千六百九十六円ですから、一カ月に直して四万四千六百何がし、四十一年度が五十八万幾らですか、一カ月に直して四万八千三百何円、これが大蔵省の出した最低生活費です。ところが、さっき瀬谷君がやった数字を見ますと、二十一年勤続して手取り三万六千円になりませんというのじゃないですか。最低生活ができないのはどうしますか。あなたは春闘相場といいますけれども、相場というのは、おおむね生活ができる給与をもらっておって、その上に一体幾らにするかということになれば相場がある。食えぬ給与をもらっておって相場なんてありますか。大臣どうですか。大蔵省、あなたの政府が出している最低生活費、これで二十一年勤続して最低生活できるような給料ももらっておらぬというのはどうなんですか。どこに責任があるのですか。民間企業なら、もうかるとかもうからぬとかありますよ。しかし、国が責任を持っているのですから、ひとつ大臣の所感を聞かしてもらいたい。
  157. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) まあ生活の水準等もこれはいろいろあると思いますが、国鉄給与は、公務員給与とかあるいは民間企業の給与その他やはりそういうものを一つの参考としながら、国鉄給与の中で逐次引き上げていく方向できめられることになっている、かように考えております。
  158. 大倉精一

    ○大倉精一君 そんなばかなことはないですよ。先ほど国鉄答弁によると、どうやら生活しているからという答弁があったのです。生活をしているからというのは、最低賃金さえもらっていないから、かあちゃんも働く、自分も休暇あけや休日のときに働く、こうやってやっと食っている。だから国鉄というものは職員に、かあちゃんも働け、お前ももっと働け、そうして生活せい、こういう待遇をして、それでいいのですか。それで公務員に右へならえ、何だかんだ、鉄鋼の相場だとか、そんなことが言えるのですか。これはどうでしょうね。国鉄を監督する立場から大臣も鉄監局長答弁できぬから、これはほんとうは総裁にやってもらいたいのだ。
  159. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 先ほども御質問に対してお答えしたところでありますけれども、私ども国鉄職員給与が現在のままでいいのだと、現在の水準に甘んじろというような意味のことは実は申していないのであります。ただ四十七万幾らという数の人間でございますから、個々の家旅なり人間をとらえますと、いろいろな生活条件が違います。家旅の多いのもあれば少ないのもあります。したがいまして、個々の一人一人をとらえますと、先生のおっしゃるとおり、いま申し上げた最低生活を下がるものがあるかもしれませんが、私どもといたしましては、やはり全体の給与水準として考えていかざるを得ないのであります。そういたしますと、現在四万五百二十五円というのが全体の水準でございますが、これは決して高いとは私申しませんが、申しませんけれども、いまの国鉄財政状態と言いますか、そういうものから見て、あるいは公務員の水準を考え、あるいはまた民間にいろいろ水準の高いところもあれば、低いところもございますが、それらと比べ合わせて、決してまあ最低のものではない。こういうふうに考えておるわけでございます。
  160. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは、あなた方おそらく十万円か、よけいもらっておいでになるかもしらぬが、生活に困らぬ。もし、あなた方が最低生活できぬような賃金をもらっておったらば、ストライキやるでしょう。そうでないから実感がないのだ、実感が。だからどうやらやっておるのだ。鉄鋼が出たとか、私鉄がどうやらこうやら、公務員がどうやらこうやら、そんなこと関係ないと思うのですよ。ですから大臣、時間もないですから、政府を代表してひとつ答弁してもらいたい。所得税の免税点は幾らですか。所得税の免税点。
  161. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 正確な数字をいま記憶しておりませんので、あとでよく調査いたしましてお答えいたしたいと思います。
  162. 大倉精一

    ○大倉精一君 私のほうから、調査したから申し上げますが、平年度が六十三万一千六百三十四円ですね。今年度は六十一万三千四百二十一円。そうしますと、免税点までもらっておらぬですね、免税点まで。きょうの給料袋によると、これは抽象論じゃありませんね。二十年も二十一年も、二十五年も勤めて免税点までもらっておらぬ。つまり国税が納められぬというようなことですが、これは大臣の責任ではどう考えます。これは政府は、これだけなければ生活ができぬから、これだけまでは税金まけてやるぞと言ったのでしょう。生活できぬ賃金をやっておいて、ストライキやっちゃいかぬ、これより以上出せぬ。だれも好んでストライキやりたくないのだ。鉄監局長や大臣は何もあしたの飯に困らぬからストライキやらぬのだけれども、真剣になるとストライキやりたくなりますよ。どうでしょう。政府は六十一万何千円なければ生活できぬのだと、税金まけてやるのだと、こう言っている。その政府が監督する国鉄が最低生活はできぬ、だいぶ差がありますね。できないような賃金やっておいて、それでストライキやるとけしからぬと、こういうことで済むのですか。どうでしょう。政府の責任どうですか。
  163. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 政府は国民全体の所得を引き上げることにあらゆる施策をやっておりますので、ねらいはできるだけ国民全体の所得を高いところに持っていくということでやっておるわけでございます。個々につきましては、現在の段階では、まあいろいろ不十分な点があることは認めておりますが、そういう点隘路を一つ一つ解決して、できれば国民全体がその水準以上になるようにつとめていくというような姿勢でございます。
  164. 大倉精一

    ○大倉精一君 それじゃ何か国鉄の総裁が、ストライキやったら処罰するぞと、こう言っているらしいのですが、しかし、この最低生活はこれだけ要るから税金をとりませんと言っておる、政府が。それだけ出していないという責任は一体だれが処罰するのですか。政府はだれが処罰するのです。食えぬから何とかしてくれ、どうしても言うこと聞かぬから、しかたがないから汽車とめるのだと、こう言っておる。それじゃ最低生活の給与まで出していない国鉄総裁、だれが処罰するか。どうですか、政府はどうする。
  165. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 答えになるかどうかわかりませんが、国鉄の総裁としても、国鉄職員にできるだけの賃金を高くしていくということに最善の努力をしておるものであると考えます。ただいろいろの実情等によって皆さん方が全部満足するだけの給与を与えられておらぬことは私も率直に認めますが、国鉄総裁の職責としては、その職責に全力をあげておるものと考えております。
  166. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは総裁もいないし、総理大臣もいないから困るのだが、こういうような事態になって、さっきの答弁に困るだろうと思うのだが、そういう中でゼロ回答すると、ゼロ回答──有価額回答か、新しいことばをきょうおぼえたわけだけれども、有額回答か、そういう新しいことばをおぼえたけれども、その中で、ゼロ回答するという国鉄幹部は処罰ものですよ。食うに困るから、集まって汽車をとめる、これを処罰するぞ、処罰するぞという総裁は一体だれが処罰する。これはもう少し政府のほうで腹をすえてしっかりしてもらわぬと、これは筋道通りませんよ。どうでしょう。これは国鉄も貧乏だから、そうたくさん出せまいが、せめて政府の言っているこれだけなければ食えぬというぎりぎり一ぱいの金は出すことを政府で考えてやらなきゃいかぬのじゃないですか。どうでしょう。大臣、あなた方が出しているのだ、数字政府が。
  167. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 政府もできるだけ国民の所得は高いところに引き上げるように努力をすべきであると考えております。
  168. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは、てんで国会における答弁になっておらぬですよ。最低生活が幾らだ、これもわからぬ、所得税の免税点は幾らだ、これもわからぬ。それで春闘相場だ、鉄鋼はどうだ、電車がどうだ、そんなことで賃金問題論議するのはおかしいですよ、これは。だから午前中の答弁聞いておっても、とんちんかんだ。春闘相場って一体どこにある、新聞に書いてあるだけですよ、これは。そんなものにひっかかってあなたたちまで春闘相場春闘相場と言っておったらば、えらいことになってしまう。相場というのはまず第一番は最低生活費ですよ。その最低生活費を頭に入れずにおいて、そうして春闘相場だ、鉄鋼がどうだ、そんなばかなことでもってとても労働者承知しませんよ。あなた方もおそらくいま瀬谷君が言った三万円か三万五千円だけしかもらっていなかったらストライキやるでしょう、ストライキを。これはひとつストライキを目の前に控えて、運輸大臣こんなことでストライキやらせたら政府の責任ですよ、どうですか。国民に対する迷惑の責任は政府が負わなきゃならぬ。国鉄労働者は負うべきじゃないですよ。
  169. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 国鉄その他私鉄等もでございますが、国鉄はもちろんストライキの権利はないということに法律で規定されております。民間企業におきましても、ストライキというようなものはっとめて起こらないようにあらゆる努力をしていくべきであると、かように考えております。
  170. 大倉精一

    ○大倉精一君 ストライキの権利はないかもしれんが、憲法できめておる生活を保障してもらう権利がありますよ。その国民の権利をあなたのほうは剥奪するというと過ぎるかもしれませんが、その権利義務を果さぬ場合は一体国民はどうすればいい、だまって知らぬ顔をしてやむを得ぬと、武士は食わねど高ようじということでは食えますか、それは無理でしょう。ですからこれはストライキをやったら処罰するぞという前に、重要な国鉄をあずかっておる人の国民に対する責任というものを、そうしてこの汽車を動かしておる従業員に対する責任というものを政府というものはもっとしっかり認識する必要があると思いますが、どうもその点がさっぱり御認識足らずで、国会答弁を適当にやっておけばいいと思っておられると、これはたいへんなことになる、まあこれ以上言ってもしかたがないかもしれないが、ゼロ回答をやって、ストライキをやるならやれ、やれば処罰するぞという態度だけは改めて、二十六日ですか、それまでに政府としても貧乏なら貧乏なりに回答を出して、そうして国鉄職員と十分にその相談をして、ひざ詰めでやって解決させるという積極的な動きをしてもらわなければ、ゼロ回答をやってストライキをやったら処罰するぞ、そんなことではこの事態はおさまりませんよ、どうでしょう大臣。このストライキをとめるという積極的な措置を講ずる、しかも、ストライキをやったら処罰するぞというべらぼうなことで油を注ぐよりも、もっともっとちゃんと具体的な解決策を講ずるように監督の立場として、大臣としてやらなければいかぬと思うんですが、大臣いかがですか。
  171. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 私は先ほどもお答えいたしましたように、政府といたしましても、やはり有額回答をして、そうして誠意をもってストライキという重大事態にならないように対処していくべきものである、こういう見解によって努力をいたしておる次第でございます。
  172. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで大臣、これは先ほど聞くというと、ベース・アップの予算が計上されていないという話ですが、予算を別としまして、政府としてはやっぱり金銭的にめんどうをみていくということも必要じゃないかと思いますが、企業努力もさることながら、有額回答というのは十円だって有額ですし、一円だって有額です。ですから、そうではなく、最低生活費というものをちゃんと頭に入れて、所得税の免税点というものをちゃんと頭に入れて、国鉄従業員諸君の生活実態というものを頭に入れて、そうして最小限度でいいですから、とにかく二十六日のストライキをやめるように具体的な案をもって解決してもらいたいと思いますが、ひとつ決意をお伺いしたいと思います。
  173. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) できるだけの努力をいたしたいと思います。
  174. 岩間正男

    ○岩間正男君 いろいろ私の質問が系統的にできなかったから、もう私もあまりこれで時間を費やそうとは思わないんですけれども、いまの国鉄労働者の問題、けさほど来から論議されて、そうして実際この委員会のこの空気を聞いたら  国民が知らないからこれでまだ政府は済んでいるのだが、国民が知ったらどこに理があって、どこに非があるかということはこれは明白だと思う。そういうような形でこの委員会が進められているわけだが、ほんとうを言えば、この委員会でむしろ決議をして、そうしてこのような問題ではっきり国鉄当局政府に私は善処させるようなそういう努力が必要だと思うわけであります。  この問題とも関連して、同じく交運共闘の一環として戦われる全自交の諸君の問題もこれに劣らない痛切な問題なんです。私は全国的ないろいろな例を報告を受けて、統計を集めておられると思うんですけれども、東京の場合でいいですから、近県でもいいけれども、大体タクシー労働者がどれくらい働いて、一カ月の労働時間はどうなんであるか、いろいろ形態は変わっていると思いますが、十三日、十四日あるいは十五日、いろいろあると思います。それから二人で一車、あるいは二車を三人でやっている、あるいは一車一人、いろいろな形態があるわけですね。したがって走行距離はどうなっているのか。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕  それから実際としてノルマがあると思うんです。三百六十五キロをこえてならぬという当委員会でも九年前に出した結論があるんですが、これがはたして守られているのかどうか。最高制限のこれが逆に実際にはノルマになって、これをこえて超過時間を働いている労働者が非常に多いと思う。それからこういう問題も、午前二時ごろ──深夜の営業は禁止されている。したがって、あなたたちどういうような統計を、報告を求めておられるかわからぬけれども、業者が報告しているのは二時までの報告ですよ。ところが実際はそういうものをどんどんこえてやっているだろうと思うんですね。そういう実態がどの程度つかまれているのか、とにかく資料をもらわなければわからないんですけれども、そういう中での賃金形態、そうしてしかも歩合給、能率給、こういうかっこうで固定給がまた逆戻りになっている。したがって神風タクシー時代に大きな問題になったこういう条件にすっかり現在戻っておるのが現状ではないかと思うんですね。私はそういう点から資料を先ほどから要求したんですけれども、いまの私の要求したそういう労働時間の問題、走行距離の問題、それとこれに関連してくる給与体系の問題、こういうものを資料として出してもらいたい。きょうはいろいろ質問がありまして、その中で中断されたようなことも起こりましたから、系統的にはできなかったけれども、私はこれはまたほかの同僚委員も非常に関心を持っておられると思うから、資料を出してもらって、当委員会としてはぜひこの問題をやはり再検討する、そういう時期に到達している、こう思うんです。春闘の一つの課題として提案されました問題ですから、同時に国鉄の諸君の問題とも関連して、ぜひこの問題を明らかにしてもらいたい。この点について、いまの資料に対する態度をはっきり表明しておいてほしいと思います
  175. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) できるだけ早く、内容につきましてもできるだけ取れるだけのものを整理したいと思います。
  176. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  177. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 速記をつけて。
  178. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 時間がありませんから、簡単に前の委員会から引き続いて航空局長に伺っておきます。  前の委員会といってもはっきりしませんでしょうから、日にちを申し上げますが、三月三十一日の当委員会で、あまり時間がありませんでしたが、約四十分間ぐらい運輸大臣に対して当面の航空再編成について若干質問をしておるわけです。その主たるものは、航空審議会の答申に従って実は伺っておいたわけですが、はっきり私はそのときにこういうことを申し上げているわけです。それに対して大臣も答えていますけれども、いろいろいままで欠陥が幾つか出てきている、政策的にも矛盾が出てきた、こういうことは歴代保守党内閣のつまり経済政策の欠陥からそういうひずみなり矛盾が出たということははっきりしているんです。前総理大臣の池田さんもたびたび国会ではそういう意味のことを答えられていたわけで、私はそういう点については今回は一応触れない。しかし、具体的に今度の三大事故といわれる航空事故を契機として、航空審議会が答申をした中身をやはりかなり私ども検討してみる必要があるんじゃないかという立場から申し上げて、ここに答申を持ってきていますが、この中心は何としても当面問題になっている国内航空の再建をどうするかというようなことが中心ではないかという意味で、私は具体的に言っているんです。その具体的なのはどういうことを言っているかというと、航空審議会の経過も国内航空救済を主としています関係から、長期的な航究事業のビジョンに欠けていた点も指摘せざるを得ません。私は当面不幸な事故再発の可能性をあらゆる角度から封ずるためには、これらの批判は一応さておいて、政府国会を問わず、いまこそ関係者が国内航空再建に真剣に取り組まなければならないときと出与えます。こういうことを具体的に三十一日の日は言っているわけです。その後二、三日の新聞等を見てまいりますれば、運輸省航空局が中心になって、この再編成の問題をいろいろ努力しておられるようなことが見受けられました。その点につきましては当然のことではあるけれども、私どももその努力は認めてしかるべきだと、こう思っています。したがって、前にも申し上げておりますように、ただ単に批判するにしても、建設的なものは出てこないし、当時大臣も前向きに考える、こう言っていますけれども、前向きにも私はならないと思うから、きょうは運輸省航空局を鞭撻する意味からも具体的に私の考え方をひとつ申し上げてみたいと思う。それは何が中心になっているかというと、先ほど申し上げたように、航空審議会の答申が中心になっている。その上に立って、どう当面施策をしたらよいかということはそれぞれの考えがあろと思うけれども、多少私の私見を申し述べてみたい、こう考えている。  航空審議会の答申の案は、現実の処理問題として、ここの中に多少抽象的ではあるけれども出ています。その面を見ますれば、日本航空と国内航空の提携のさらに一そうの緊密化、相互協力をはかり、当面航空政策のひずみと無策から生まれた、つまりこのそれぞれの経営の悪化、とりわけ問題になっている国内航空の経営の悪化をどうするか、どうせなければならないかということは、ここに抽象的ではあるけれども、うたわれているんです。ですから、これを私は今日的な段階ではここに力点を置いて、政府並びに日航が日本の航空事業の第二期の時代にとられた、つまり今日の全日空にやはりかなりてこ入れをした、具体的には政府がかなり行政指導をしたり、内面指導をしたりして、ときの日本航空を通じて最大限の協力をした、こういう例があるんです。したがって、いま申し上げたような、きょうだだいまの時点では、あのときのように、政府及び日航は最大限の協力と支援を国内航空の再建のためにしなければならないのではないかというふうに私は考える。考えるということは、まじめにこの十二月二十七日の諮問第十一号として航空審議会が出したことを私は具体化することが必要じゃないか、こう考えているのが一つ。  それから時間がありませんから、ずっと羅列していきますけれども、この三大事故が契機になって、非常に航空事業の安全の問題が世間の問題となりました。これは路面交通あるいは国鉄、私鉄を問わず鉄道、あるいは海運等々にも安全の問題があるけれども航空の問題については、やはり何と申しましても三大事故が大きな私は契機になっていると思う。しかも、これほど私は国民の中に不信感を徹底的に植えつけたものはないんじゃないかというふうに思う。世論もまたそうなっているわけなんです。これをどう挽回するかということがたいへんな問題だと思うんです。それだけに運輸省航空局も日夜頭を痛めているのじゃないか、こう推測いたしますけれども、この安全の問題の対策というのはいろいろあります。設備を拡充するとか、あるいはこの基盤を強化をしてやるとか、いろいろあるけれども、冒頭申し上げましたように、この審議会の答申をまじめに考えてみれば、いまの段階ではやはりこの日本の航空事業を営んでいる各社の基盤強化をして、その上に立った安全対策というものを具体的に考えてまいらなければならぬ段階にきているんじゃないか、こう思うんです。ですから、思い切ってこの際政府は、大局的な立場からこの基盤強化をするためには、需要と供給のバランスをとる、こういう意味も含めて幹線運航の三社の協調による運賃のプール制の実施以外にないんじゃないか、こういうのは私の意見ですよ。こう思っているので、いま申し上げたように、大局的な立場から政府は運賃プール制というものを断行する考えは持っているのか、いないのか、このことをひとつ伺っておきたいというふうに思うんです。  それから第三は、毎度この委員会で問題になるのは、国内の航空事業、この国内の航空事業の需要と供給のバランス、ローカル線の問題等々がありますけれども、これらはかりに航空局長航空事業について練達である、あるいは運輸大臣がそうであった等々のことで、会社がそういう運営をするようなことになったとしても、現状の経済の動向等を考えて、そんなに一挙に病人に即効薬を与えるようにきき目のあるものはないんじゃないか、こう思うんです。ですから、やはり何としても幹線の今日のやはり需要と供給のバランスというものをきちんと把握をして、その上に立って基盤強化というものを考えてまいらなければならぬんじゃないか。政府並びに航空局もそのように考えているのだと思うが、第一にやはり着手しなければならぬのは、先般来問題になっている過当競争等との問題もこの際含めて考えていけば、まず幹線の機数、それから便数の調整をこの段階で思い切ってやらなければならないのではないか、こう思うのです。政府の四十一年度の、政府というのは航空局が代表しているわけですけれども、この機数が二十機になっている。幹線二十機、内訳は日航が十、全日空が七、国内航空が三、このように明らかにされていますけれども、これは今日の決して私は政府の不況宣伝に対してそれほどその宣伝に私は幻惑されてはいないのだけれども、いずれにいたしましても日本の景気が悪いと言われている、この最中にこのように二十機の機数で、それぞれ各社の幹線を輸送する日航、全日空、国内と案分していますけれども、これは明らかに私は今日的段階では設備過剰ではないか、こう考えます。ただ単に自分の感覚で設備過剰ではないか、こう言っているのではなくて、これは航空局長も御存じのように、ここに一つの資料ですけれども局長、あなたのところの調査では、十五機で大体今日の需要に対しては妥当である、こういうものがただいま幸か不幸かたまたまこの二十機の中で、日航は御承知のように今年に事故を起こしまして一機破損していますね。それから問題の先般全日空は羽田沖で墜落をして一機失なっておりますから、十八機なのです、現在幹線運航をしているのは。内訳は日航が九、全日空が六、国内が三、こういう実情になっていると思うのです。しかも、いま申し上げましたように需要予測というものはあくまでも予測ですから、これが必ずしもそうだというふうには言えませんけれども航空局の測定では十五あればいい、こう言っているわけですから、不幸にして今日二機が事故で失なわれていますけれども、それにしても三機上回ることになるから、この面だけで見ても、すなおに見ても設備過剰ではないか、こうまあ言って過言ではないと、私は確信を持っているわけです。したがって、かりにそういう事情を十分認識した上でこれからの日本の航空事業を前向きに発展させていくこと等々を考えて、まるまるこの十八機を今度は認めてやっていくにしても、やはりこの航空会社の幹線輸送の三社の協調が非常に私は大事だと思うのです。前の委員会でも私はこういうことを言うたことがあるのですが、そうした協調のもとで効率的な運営をしなければ、結果的に毎度申し上げているような過当競争というものが避けられないような気がするのだけれども、こういう考え方は一体航空局はどう考えているのか、こう思うのです。  それから、もう一つは便数の調整であるけれども、審議会の答申では、つまり国内航空の今日の悪化した経営状態というものの基盤を強化するためにはどうするのかということについて、何回も言うようだけれども、抽象的に出ているのですね。だから、これを具体的に今度はいま申し上げましたように十八機で三社が協調する形でやらせ  るとしても、私は日航はこの答申にもありますように国際線に力点を置けというようなことが書かれているわけですから、そういった立場に立つならば、日航が八機、全日空が従前の六機、国内航空四機、こういう機数をきちんと運輸省がきめてやって調整していくようにしたらいいのではないか、こういう考え方を持っているのです。  それからもう一つは四十二年以降です。これは来年度のことになりますけれども、そういう話をしたら鬼が笑うということわざもあるけれども、そこらあたりまでずっと先を考えて、聞くところによれば、航空整備五ヵ年計画とかというものもいま航空局では立案中だと聞いていますので、なおさら私は申し上げるのだけれども、四十二年度以降の問題については、たとえば需要の伸び等々を的確に把握をして、おそらくは、ゆるいカーブであるが、下降カーブをとっていないですから、幸い日本の場合国際線はもとより国内線においても。ですから伸び率というものはあるわけでしょうけれども、それを的確に把握をして、飛行機の機材等々の購入計画についても今度のこの答申にあるように、そういうものについては日本航空が国際線本位に漸次移行していく、こういうことであらねばならぬのではないか、そうあるべきものではないのか、こういうふうに感ずるのですよ、この答申を読んでみて。したがって、国内の輸送の問題については、いま当面問題になっている後発企業で、しかも不採算路線を多く持っている国内航空については、どうそれらの問題を割り当てをして、便数あるいは飛行機の数、機数ですね、そういうものをやっていくのかというやはり具体的な中身のあるものに運輸省航空局としてもしてまいらなければならぬのではないか、こういうことを私は考えている。いま大体航空局では飛行機の数は先ほど言ったように二機幸い──幸いというか、不幸にして減ったものですから、減った中でおそらくや九、六、三、そのままになっているのじゃないかと思うのですが、こういうことについて航空局長のひとつ考え方を聞かせていただきたい。それとあわせて再編成を石坂何とかいう人が盛んに努力しているようだが、その経過もこの機会に、われわれもこの委員会ではたびたび指摘するのだけれども、そういう経過についてはだれの責任か、つんぼさじきだ。たいていはいままでは時の官房長というのが逐一われわれのほうに来て、経過はこうなっている、この問題についてはこう処理しているということを聞かせるのだけれども、今度の官房長というのはえらい人だものだから、さっぱりわれわれは聞かされていない。だからこの席上で聞かせてもらいたい。これは皮肉で言っているのではない。本来官房長の仕事というものはそういうものだと思っているけれども、どうも今度の官房長というのはえらいものだから、われわれチンピラのところには来ない。これは皮肉ではない。ひとつこの機会に聞かせてもらいたい。  それからもう一つ、毎回問題になるけれども、ローカル線の対策をどうするか。これは事故があったからといってこの問題が取り上げられているわけではない。ずっと前からこういう問題が取り上げられて、不採算の路線の問題についてどうするのか、こう言っているのですね。だからあの三宅島の問題だとか、あるいは松本飛行場の問題だとか、私の住まいしている北海道だって、紋別飛行場も今度空港が整備されて、間もなく飛行機は飛ばさなければならない。飛ばせば赤字になりますから、だれもそこへ行って飛ぶなんていうものはないので、こういう問題に対して、私は前にたとえば離島振興法のような法律をつくって、国がやはり国策としてやらなきやならん問題であるとすれば、補助航路のようなかっこうで、補助金をひとつやるような制度をこの際つくってみたらどうかと、こういうことを言ってあるんだけれども、それもどうなっているのか、ナシのつぶてで、われわれのところにちっともはね返ってきていない。これについてもひとつお聞かせいただきたい。時間がありませんが、私は資料を持っていますよ。ここに運輸省全体の補助政策に伴う補助金、あるいは交付金の一覧表というものを持っていますけれどもね。これはもう日本航空にほんのわずか、ちょっぴりしているだけで何にもないんです。いまの運輸省の制度の中ではないんです。やるとすれば、新たな制度をつくらなきやならんわけで、時間は多少かかろうとも、私は一回じゃないんだから、何回となくこういうことを指摘するわけです。ですからそろそろやや具体的に検討されているんじゃないかというように思うので、ひとつその点を聞かしていただきたい、こう思うのです。  それから国際線の強化拡充の問題も、今度の事故を契機にいろいろこの委員会では各それぞれの委員から指摘され、強調されてきました。特に日本の国際線については、これはまあ戦争ということもあったし、戦争に負けたということで、アメリカに長い間占領されていた関係もあろうと思うけれども、世界的に見てたいへん立ちおくれているんです、日本の場合ですね、おくれています。ですから日本航空に対して、英国のように、あるいは西ドイツのように、フランスのように、イタリアのように、やはり私は一挙に、私どもの持っていますものは、国営でやるべきだというものを持っていますよ。ですから私は本会議で佐藤総理大臣にそう言ってみても、すべての政治の態勢、政治の姿勢、かまえというものはそういうものになっていないから、過渡的過程として公社あるいは公団等々でやっていくという道もあるわけだから、どうだと聞いたら、それは新しい建設的な意見だから検討してみますという答弁になっています。これは本会議の答弁で、官報の号外を見ればわかりますがね。ですからこういう関係で、やはりこの日本航空に対してもっともっと国策会社であるというならば、名実ともに、先ほど言った例で申し上げたような諸外国の例にならって、積極的に私は政府が援助するような施策が必要ではないか、特に最近各国の近距離の国際線の問題が非常に問題になってきた、これは前の航空局長、それから佐藤局長も苦労されていますけれども、これは航空協定等等の問題、非常に苦労されるわけでございますけれども、いまの段階で近距離の国際線の強化拡充というものをやらなければ、これはもう日本の諸外国における航空市場というものは全く私は失われていくような心配さえ持っているんですよ。ですからそういう面も含めて、いまのところ日航よりないわけですから、不幸にして国策会社というのは。だから政府は画期的な近距離国際線についても新しい計画をもって具体的に国際競争力を強めていくことが国策ではないのか、こういう意見を持っておるので、航空局の意見を聞かしてもらいたい。この五つです。
  179. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 吉田委員のお示しになりました五つの項目につきまして順次お答えし上げたいと思います。  まず第一番目の、日本国内航空の再建築の問題でございますが、先生の御指摘がございましたように、昨昭和四十年十二月二十七日に航空審議会から答申がございましたので、われわれとしては、  この答申の線を尊重してこれを逐次実施に移す考えでございます。その中に御指摘になりました国内航空に直接関係する面といたしまして、国内幹線について適正な経営基盤を有する二つの企業が公正な協調と競争のもとに運営することが適当であるというようなことで、具体的には日本国内航空は早急に経営を合理化するとともに、日本航空はすみやかに国内航空への支援措置を強化しろと  いう趣旨の答申をいただいておるわけでございますので、われわれとしては、この線に沿いましてて、いわゆる国内航空事業会社の経営基盤の強化ということに努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  それから第二番目の、航空の安全対策いかんという点でございますが、先生御指摘のように、これは今回の事故にかんがみまして、各般にわたって措置をするべき問題であろうかと思いますが、その中でやはり御指摘のように、まず経営基盤を強化するということを考えなければならぬわけでございます。それの具体的な方法として、先生は運賃のプールというような御指摘もございましたが、これらの点につきましては、考えられるいろいろ措置を総合的に検討いたしましてそれぞれ実施に移す、その中にはあるいは運賃プールというようなものも考えられましょうし、またその他の方法もあるわけでございますので、そういうようなものを総合的に実施に移すように現在運輸省事務当局としても案を練り、また関係の企業にもお話をし、あるいは財界の方々にごあっせんを願うというような措置をとっておるわけでございます。  三番目に、具体的に機数、便数の調整を大いに行なうべきであるという御指摘でございますが、これにつきましては、実は本年の二月十一日に、大臣が関係事業者にお集まりを願いまして、事故に対する特別の対策のほかに、過当競争の防止という項目といたしまして、現在の需給の状態からいたしまして、先生がお触れになりました四十二年度における、実は機数をまずきめる必要が将来計画であるわけでございますが、これにつきましては新規の発注は認めない。つまり従来計画されたもの以外に、四十二年度以降新しく機材を整備することにつきまして四十二年度における新規発注を認めないという方針を打ち立てたわけでございます。したがいまして、四十一年度におきましては、先ほど先生がこれも具体的にお触れになられましたように、各社別に合計いたしまして十八機という幹線の配当機材になるわけでございますが、これをさらに具体的な便数におきましては、十分に関係企業において自主的に調整をとってくれることを大臣から関係事業者にお願いをし、現に四月からは東京-大阪便等におきましては減便を見ていることも先生御承知のとおりでございます。なお同時に、この場合に関係企業間で連絡協調委員会を常設いたしまして、事業運営の連絡と協調を常時行なうことという具体的の勧奨を大臣から申し上げておる次第でございます。それから四十二年度につきましては、具体的に申し上げましたが、その後の需給の策定その他につきましても、十分関係事業者の意見も徴し、これを適正なものにしてまいりたいと考えておる次第でございます。  第四番目に、ローカル線の対策でございますが、ローカル線につきましても、先ほど触れられました答申の中にうたい上げておるわけでございますが、特にその中で公益上必要であるにもかかわらず著しく採算の悪いローカル路線については、政府または地方公共団体において補助を行なうように検討すべきであるという御答申をいただいておりますので、われわれとしてはこの線に沿いまして、現在鋭意具体的に検討作業を進めておる次第でございます。海運におきます離島航路の補助というようなものが一つの型としてございますので、こういうようなものを参酌しながらなお検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。  第五番目に、国際線の強化拡充策でございます。本会議におきまして総理もお答え申し上げておるわけでございますが、特に激じんな国際競争場裏にあるわが国の国際線を担当しております日本航空に対しましては、国際線本位にやらせるための諸条件の成熟をさせる考え方のもとに、政府は徹底した財政援助を行なうべきであるというようなやはり答申をいただいておりますので、これの具体化内容といたしましては、従来行なわれております日本航空に対する出資のほかに、場合によっては新線開設に伴う赤字の補助というようなものを見て具体的に考えていくということが閣議で決定を見ておる次第でございますが、これらの具体化についてさらに予算内容の充実というようなことをはかってまいりたい。特に御指摘のありました東南アジア等わが国の周辺にあります国との間の新規路線の開設あるいは運航回数の増加というようなことにつきましても、今後努力をしてまいる所存でございます。以上でございます。
  180. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 局長からかなり具体的な考え方、それから再編成を含めて航空審議会の答申の内容についてとられてきた作業の過程状況等をいま答弁されまして、私は答弁としてはもうそれで十分だと思うのです。ただ遺憾な点は、こういう経過というものが委員会でわれわれが聞かなければ、何ら報告もなければ、そういう点の経過の作業の進む状態を知り得ることはできない。こういう点は従前にないことなんですよ。これは局長、あなたに言うてもこれはあなたの責任でないというかもわからぬが、本来これはあるべき姿というものは、大臣補佐の官房長がこういうことをやっておった。冒頭に言ったように深草官房長になってから全然ない。これは改めてもらわなければならぬ。少なくともそういういま答えられたような経過をわれわれ聞いておれば、わざわざこの忙しい中をあなた方においで願って聞く必要はないわけですよ、そうでしょう。そういうむだなことは時間の浪費だ。やはりあなた方の行政の仕事については、わからなければ聞かなければならぬわけですから、そのためにここにおいで願わなければならない、ある程度あなたに来てもらって。そういうことのむだをさくためにも、私はいま大臣いませんから、あとあと大臣にはこういう席上で注意をしておきます。注意はしておきますけれども、積極的にそういう経過というものに対しては、この問題についてはこういう状態である、この問題はこう処理しました、この問題はこうあるべきだと考えているというようなものが、少なくともこの委員会の人々、あるいは委員長あるいは理事の人々には、そういうものがあってしかるべきものだと思う。この点を申し上げておきたいと思います。これはあなたの答える範疇じゃありませんから答弁は必要ありません。  それからもう一つは、これも大臣に申し上げねばならぬことですけれども、当面航空局長に申し上げますが、どうもここまで発展してきた航空の問題は、いまの航空局の機構、制度、人員等々では、かなりやっぱり無理があるのではないかというふうに私は思うのですよ。ただ単に問題が起きたら、ここへおいで願って意見を述べたり、議論するだけでは意味がないので、私はこれは予算がきまったあとでどうにもならぬと言えば、それまでですけれども、やはり昭和四十一年において間もなくことしの八月ころになると、各省庁の予算をきめなければならぬことになってくるのですよ。ですからそういうこと等も考えてみますれば、航空局の機構を私は拡大をする必要があるのではないか、制度を改める必要があるのではないか、それからそれに伴って航空局の人員を拡充する必要があるのではないか、こういう気持ちを常に持っているわけですよ。したがって、今度日本の国内では国民をあげて注目しているような問題が起きて、これほど飛行機の問題、航空の問題が政府並びに国会の場で議論されたためしは私はないような気がするので、航空局としてもそういうものを考えているのではないかというふうに思うが、もしありましたら、答えられる範疇でそのアウトライン程度を聞かしていただければいいと思うのですが、どうですか。
  181. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) まことに重要な御指摘でございまして、ごらんいただきますように、航空局の職員一同今回の事故等にかんがみまして、最大の努力をいたしまして、事故善後策、あるいは航空関係の施設の整備に取り組んでおるわけでございますが、何といたしましても先生御指摘のように、必ずしも十分な要員の配置、あるいは予算状況でございませんので、これらの点につきましては、省内でもいろいろわれわれとしてもお願いをし、あるいは運輸省として関係の官庁に折衝をしていただきまして、現行法令の中で、たとえば具体的に実行上航空局の人員を整備する、あるいは予算上のできるだけの措置をするというようなことを実はお願いをしているところでございます。われわれとしては、そういうようなものの整備を待たずに必要な施設の計画その他は進めておるわけでございますが、こういうものをできるだけ実行によって充実していただきまして、その完ぺきを期するようにいたしたいということを希望しておる次第でございます。
  182. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時十八分散会