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1966-03-29 第51回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十九日(火曜日)    午前十時五十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 岡  三郎君                 吉田忠三郎君     委 員                 木村 睦男君                 源田  実君                 谷口 慶吉君                 平島 敏夫君                 松平 勇雄君                 相澤 重明君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 浅井  亨君                 岩間 正男君    委員以外の議員        議     員  中村 順造君    国務大臣        運 輸 大 臣  中村 寅太君    政府委員        運輸政務次官   福井  勇君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省航空局長  佐藤 光夫君        運輸省観光局長  増川 遼三君        海上保安庁次長  岡田京四郎君        気象庁長官    柴田 淑次君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員      警察庁保安局外      勤課長        阪田 正仁君      運輸省航空局技      術部長        松本  登君      運輸省航空局技      術部航務課長     浜田 幸晴君      運輸省航空局技      術部管制課長     泉  靖二君      海上保安庁警備      救難部長       猪口 猛夫君      東京航空地方気      象台次長       久米 庸孝君      日本国有鉄道常      務理事        豊原廉次郎君      日本国有鉄道職      員局長        井上 邦之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (観光に関する件)  (航空に関する件)  (日本国有鉄道の運営に関する件) ○踏切道改良促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  前回に引き続き、航空に関する件等について質疑を行ないます。
  3. 木村美智男

    木村美智男君 航空問題に入る前に、海上保安庁来ていますか。——来ていない。来ていなければ、それではあとにしましょうか。それでは最初に、水上旅館火災の問題、これは簡単なものですから先に。航空問題はだいぶありますから。  この間、水上温泉菊富士旅館が焼けて、それで御報告のように、死者三十、負傷二十九名、こういうようなことの事件が起きたわけですが、この中で実は、政府登録旅館とか、国際観光旅館とか、いろいろあるわけですが、行政的にどういうふうにこの政府登録旅館というものが扱われておるのか。政府登録旅館規定というか、概要と、それからそういうものについてどういう扱い方をしておるのかお伺いしたいと思う。
  4. 増川遼三

    政府委員増川遼三君) ホテルあるいは旅館につきましては、厚生省の所管いたしております旅館業法によりまして営業の許可を受け、公衆衛生見地から必要な取り締まり、善良な風俗を害することがないような所要規制をしておるわけでございます。このホテル旅館建物に関しましては、建設省所管建築基準法による許可あるいは確認行為を受けることになっております。また、これが火災予防及び消防関係につきましては、消防法規定によりまして規制を受けておるわけでございます。私のほうの所管いたしております政府登録ホテル及び旅館につきましては、国際観光の振興という見地からいたしまして、ホテル旅館のうち外客宿泊に適しているものといたしまして、洋式のトイレット、あるいは浴室、非常口電気照明とか、避難通路誘導標識その他の所要外客のサービス上の施設基準というものを立てまして、これに合致したものを登録いたしておるわけでございます。この政府登録をいたしましたものに対しましては、税法上の恩典を付与しておるという関係にあるわけでございます。
  5. 木村美智男

    木村美智男君 いま伺いますと、政府登録旅館というのは、建築法から見ても、あるいは消防法からいっても、大体火災等に対しても十分な設備というものがこれはやられておると、そういうことですから、本来ならばあまり火災といったような問題でこういう今回のような不祥事態を起こすというようなことは大体少ないものと、こう考えられておったのですが、新聞報道によりますと、この火災発生時の緊急措置、たとえば消火器についてこの取り扱い従業員にわからぬ。実際にその取り扱いができなかった。あるいは非常とびらにはシリンダー錠がかけられておった。それから、内側からは簡単に開くようになっているにかかわらず、一般のお客さんがそれをどういうふうにしてあげていいのか、何というのですか、注意書きもない。こういったような状況であったために、まあああいう結果になってしまったというふうになされておるのですが、通常この設備は完全であるということから、実際火災が起こった場合にどうしなければならぬかといったような従業員訓練なりあるいは管理者に対する指導といったようなものはふだんどういうふうに行なわれているのかという疑問を持たざるを得ないわけです。ここら辺は一体どういうふうにふだん指導あるいは管理をしておるかということを伺いたい。
  6. 増川遼三

    政府委員増川遼三君) 私のほうが登録をいたします前提といたしまして、消防法に基づく施設等が完備しているかどうか、それから建築基準法に基づく施設が完備しているかどうかということを確認をいたしました上で、その許可あるいは確認行為というものが完全にできているということの上で私のほうで取り扱っておるわけでございますので、全面的に消防当局あるいは建築当局に依存をしておるわけでございますが、なお、こういったわれわれの取り上げております国際観光上の政府登録ホテルあるいは旅館に対しましては、なお一そうこれに念を入れるという意味合いから、消防法あるいは建築基準法の定めておりますものをさらに一つつけ加えた施設基準というものを持っておるわけでございまして、これにつきましては、われわれとしましては常時、日本ホテル協会あるいは国際観光旅館連盟を通じまして行政指導をいたしておるわけでございます。また、これについての監査につきましては、予算及び人手の許す限りにおいて監査も実施してまいったわけでございます。  なお、非常とびらの錠前の点が新聞等にも報道せられておりますけれども、私どものほうの担当専門官事故直後に向こうへ参りまして調べましたところによりますると、火災死傷者の出ました建物の階の非常口のとびらにつきましては、きわめてほんとうに子供でも操作できるような、内側からは簡単にあけられる、たとえあわてたようなときにおきましても、それほど全然あけることができないというようなことのないような仕組みでございました。窒息死をされました方々が非常とびらのところで折り重なっておったという新聞報道でございますけれども、現実にはそのようなことじゃなくて、ほとんどが部屋の中で窒息していたということでございます。なお、これの詳細の確定的なことは、警察当局の事実認定を待ちましてでなければ申し上げかねると思いますが、私のほうの専門官調査いたしましたところでは、非常とびらがあかなかったということで避難ができなかったというようなことはほとんどなかったように見てまいったわけでございます。ただ、こういった火災事故が起こった場合に対する従業員の心がまえ、ふだんの訓練ということにつきましては、確かにおっしゃいますごとく、いささか気を抜いていたような点が見受けられるのでございまして、これにつきましては今後厳重なる指導をいたしてまいりたいと考えております。
  7. 木村美智男

    木村美智男君 いま非常とびらの問題があったのですけれども、警察側からそれは具体的にまだ報告がないというので、その問題で直接やりとりをしようとは思いませんけれども、十分規格に合っているかどうかということを確認をした上で、政府登録旅館ということを認可をし、そうしていまのお話では十分な行政指導をやられている、また監査もしていると、こういうふうに言われているのですが、十分その指導をされ、監査をされておってああいうような事態が起こることは、ちょっとこれは不思議なんでね。十分行政指導が具体的な意味で行なわれていなかった。言いかえれば、その従業員に対して、非常の場合の旅客を避難させる訓練であるとか、あるいは器具取り扱いであるとか、こういう具体的な指導というものがやられておったのかどうかということをお伺いしているわけです。
  8. 増川遼三

    政府委員増川遼三君) その点につきまして、先週でございますか、当該旅館責任者を呼びましていろいろ調査をいたしたのでございますが、昨年の暮れに水上町の役場消防関係人たち指導のもとに消防関係避難訓練あるいは消防用器具使用方法等についての講習その他をやったということでございまして、たまたまあの事故の起こりました際の夜間の警備員当該訓練には参加していたそうでございます。にもかかわらず、消火器自体使用ということがそのときの状況で、どういう手違いか知りませんけれども、うまく使えなかったということは確かに事実として考えられるのでございまして、そういった点が、員数的に訓練がならないように、十分気をつけないといけないと思います。また、一年ごとに消火器の中の薬品——液体を取りかえることになっておりまして、昨年の暮れに訓練をやりましたときにも、古い液体を放出して、新たに効果のある新しい液体を中に入れた、こういうこともやっておりまして、そういう際に模擬火災を起こさせまして、その消火器をもって模擬火災を消すというようなことまでやったそうでございまして、その当時の警備員自体も、その訓練をみずからやったことがあるのだそうでございます。そういうことであるにもかかわらず、実際にこういうことが起こりましたということにつきましては、ホテル旅館管理責任者、あるいは消防法できまっております防火管理者という人たちが、平素からもっと自覚をされまして、諸種の施設使用方法なり、事故の際における消火あるいは避難誘導というものの訓練を、もっと心を入れてやるということが必要ではないかと考えまして、関係業界を通じまして、また地方陸運当局を通じまして、これら政府登録ホテル旅館だけではなしに、登録以外のホテル旅館に対しましても、厳重な通達を発した次第でございます。
  9. 木村美智男

    木村美智男君 あまりつじつまを合わせるようなことばかり答えてもらわぬでもいいのですが、何かいまのお話によりますると、消防法では防火管理者を置くことになっている、これが十分訓練もしなければいかぬとか、指導もしなければいかぬと言っておりますけれども、それじゃあなたにお伺いしますが、菊富士旅館には防火管理者というものはおったのですか、おらなかったのですか。
  10. 増川遼三

    政府委員増川遼三君) 防火管理者指名をされております。
  11. 木村美智男

    木村美智男君 その指名をされている防火管理者というものは、消防法にきめられている一定の資格要件を備えた者であるということを確認をしておりますか。
  12. 増川遼三

    政府委員増川遼三君) この点は消防当局から伺ったのでございますが、完全な資格全部を備えてはいなかったようでございますけれども、そのほかにそれ以上の資格者がなかったので、そのまま届け出を受理してあった、こういうことでございます。
  13. 木村美智男

    木村美智男君 その辺が問題なんです、実はね。この菊富士消防管理者というのは、まあ、あそこの水上温泉の町の消防団に所属をして、多少の消防夫としての経験はあるけれども、実際に防火管理者として必要な資格要件なり、それなりの訓練を経ていないというふうに私聞いているから、その点をお伺いしたのですけれども、どうもいまのお話ですと、やはりそのほうが事実のようですから、そういう場合には率直にやはり、防火管理者についても、きちっと資格要件を持った者でなかったということを明らかにして、そうして全国的に政府登録旅館について今日防火管理者はどうなっているのかということを具体的にこの火事の中から規制をし、あるいはそういうものを置いていないところには置かせるという、これがこの火事から後にとるべき行政指導ということになってくる。そのことを、指導監督立場にあるあなた方があいまいな、防火管理者であったかどうかもわからないのに、何かそのまま、十分ではないようだけれども書類だけは受けつけてあるといったような、そういうことで済ますところに問題があるのですよ。この点は、これはもうあなた方のやはり管理上の責任も、そういう意味であれば問われなければならぬことになってくるから、ここはやはりきちっとしてもらわなければいけない。この点はひとつ、何といいますか、質問じゃなしに、これからの行政指導という中では、そういうことを具体的にやってもらわなければ困るということを明らかにして、この点はこの程度でとどめます。  ただ、新聞等に出た問題は、実は私たちも、その晩警備に当たっておった従業員のどういう状況かということについては、警察側取り調べというか、一方的な報道だけが新聞に実は載っているようなきらいがあるので、そこら辺を少し正確に知りたいと思うのですけれども、どうも聞くところ寝ると——この間赤羽踏切事故がありました。その際も、実は夕方まで国鉄当局に聞いても事故状況は何にもわからぬ。なぜかというと、途中から踏切保安掛警察取り調べのために持っていってしまって、新聞報道されたものは実は警察から出た情報だ、こういうことがあったのですが、どうも今度のこの水上新聞記事も、警察側から出た情報であって、ほんとうにあの出火の際の状況というのがどうであったかということが、当事者であるストーブをひっくり返したといわれる警備員ですね、こういった者のほうからの情報一つも出ていないので、そこら辺をひとつ詳細に知らしてもらいたい。これは聞くところによると、ある程度従業員消防署電話をかけ、警察にも連絡したが、なかなか電話が出なかったというようなこともあって、従業員の寝ておる宿舎のほうへかけていった何だということで時間がおくれて、消防車が着いたのが三十分も過ぎてからだというようなことがあの大火になっていったというふうに言われているものですから、そこら辺のことについて、警察庁のほうからも来ておられると思いますが、その辺も少し具体的に報告をしてほしいし、きょうちょっとそれが材料が不足だというのなら、詳細にひとつあとで資料で出してもらいたいという意味で、その辺、いまの新聞報道の問題と実際に違っておるということが聞かれるものですから、もう少し消防署警察署のほうの関係が、電話で出なかったことによって遅延をしたという問題、これは運輸大臣、非常に大事な問題ですから、この点は踏切問題の例もあるものですから、したがって、こういうことについてひとつ運輸大臣から責任あるお答えをいただきたいと思います。
  14. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 今回の旅館火災によって非常な痛ましい事故が起こりましたが、この原因とかいろいろの問題につきましては、これは警察のほうでいま調査を進めておると思いますが、私は今回の事故を考えますと、これはやはり、いま増川観光局長が言いますように、いろいろな一応の備えつけ施設は備えておったということでございますが、われわれが旅館に泊りましても、その旅館にいろいろの設備があるということをやはりお客に知らせるというようなことがなかなか徹底していない、今回の事故だけじゃなく、われわれが百人も二百人も泊まるような旅館に行ったとき、はたして非常の場合にどこへ逃げればいいかというようなことをお客自体もあまり考えないし、それから旅館もこれを親切に指導するというような、そういう用心が足らないと思うのです。それで、この事故を防ぐのには、いま言いますように、運輸省登録の範囲内の責任がある、消防火災等の起こった際の責任がある、建築法建設省責任であるというようなことで、責任分野がばらばらで一つも何か統一のとれた予防体制というようなものが徹底しておらないような気がいたしますので、この間の閣議でも、建設大臣厚生大臣等と話しまして、横の連絡をとった総合的なひとつ予防体制というものを考えて、そうして一応それぞれの立場から検討しますと、大体整えておるということですが、その整えておる施設というものを生かすというところに配慮も足らぬし、あるいは準備も不足である、こういうことで、近いうちに、最も近い機会に何かそういうひとつ機関をつくって、徹底的に火災等の際の非常な態勢、退避していくような態勢——特にシーズンが近まってきましたので修学旅行等が非常に多くなってきておる、本郷辺のあの雑踏した旅館の中で何万人というような学生が泊っておるときにもしものことがあったらたいへんなことだ、こういうようなことを考えまして、各省連絡をして非常の場合に悲惨なことにならぬようにひとつやろうということでいま進めておるようなわけでございまして、今回の水上温泉の災害をひとつ機会に、運輸省としても先ほど観光局長が言いますようにそれぞれ示達はしておりますけれども、そういうことでは私はやはり間に合わない、手ぬるいと思いまするので、先ほど言いますように、関係省庁との間に一つ機関をつくって、この際思い切ったやはり対策を立てよう、特にたくさんのお客が泊ったときには、一日に一回くらいは退避のためのひとつ何かやるくらいのことはやらせないと、われわれが旅館に泊まって、非常口があっても、どこの中からどう逃げていっていいかというようなことだってあまり宿屋も教えないし、自分も知ろうとしないというようなことがございますので、そういう点はこの機会にやろうということで、いま政府のほうでも真剣に考えておる次第でございます。
  15. 阪田正仁

    説明員阪田正仁君) 警察といたしましては、聞きましたのは出火から約三十分おくれました四時ごろでございます。と申しますのは、本人——当日の警備員であり出火者である松井利次重過失失火、それから重過失到死傷、こういうことで逮捕して取り調べておって送検しておるわけで、ございますが、その結果によりますと、やはり仮眠中にストーブを倒し、そうしてそのあとですぐ消火器を使って消そうとしたところが消えなかったので、電話市役所——市役所にはサイレンがあり、そうしてまた有線放送施設がありますので、それを電話し、さらに警察にも電話したところが、交換がなかなか出なくて、そのためにおくれたのだ、そうして近くにある従業員宿舎に行ってそこで助けを求めた、また向かいの旅館にも出火の由を告げて助けを求めた、そういうことでございまして、そういう結果、私たちのほうには三十分おくれてきた、その後警察活動に入ったわけでございます。
  16. 岡三郎

    岡三郎君 関連。いまの話を聞いて大体わかったのですが、われわれとしては、新聞で、非常口のとびらがあかなかったということで倒れておったということが印象に深いわけですが、それがいま増川観光局長の言によると、違うということでいうと、警備員というのは建物とかその他の責任で、宿泊している人間をほったらかしてほかのことをやっていたというふうに考えないというと、窒息死していたというのはどうもわからないのですがね。つまり、火事が起こってから火事だと言えば眠っている人間も起きるだろうけれども、そういうこともしないで、火が全部回ってから泊まっている人が目がさめてそこで窒息して死んでいたというふうに聞こえるわけですがね。その点が少しもわからないのだがね。観光局長、もうちょっと事故がどうして起こったかということを、あなたのほうでいうと新聞報道がかなり食い違っておるから、あなたのほうで調べた点について、とても常識では考えられないから、もう一ぺんそこのところをお尋ねいたしたい。
  17. 増川遼三

    政府委員増川遼三君) 消防庁のほうで詳細調べていただきましたものを回付していただいておりますので、その点をあわせて申し上げておきたいと思いますが、出火推定日時といたしましては、三月十一日午前三時四十分ごろということでございます。それから消防機関がこれを確知いたしました日時及び確知方法につきましては、昭和四十一年三月十一日の午前三時五十八分ということになっておりまして、町役場加入電話で、受信者もはっきりいたしております。それから通報者は、つり堀山香園の御主人の人が役場のほうへ電話をした。この間が火災発生しましてから約十八分を経過いたしておるということで、ございます。それから消防隊出動指令はその二分後の午前四時零分でございまして、鎮火が同じく六時零分ということに消防庁のほうから御報告をいただいております。  そこで、先ほどの御質問の点でございますが、旅館管理責任者からの具体的な報告によりますと、火が出ましてから旅館主以下従業員のほとんどが、隣接の木造建物むね、これの宿泊者をまず避難させた。コンクリートむねにつきましては木造むねよりもやや安心だ、こういうふうな考えを持って、木造むねのほうのお客をまず避難、誘導させまして、そのあとコンクリートむねのほうへ出かけようとしたところが、すでに火が回っておりまして間に合わなかった、こういうことでございまして、まあ従業員旅館責任者等といたしましては、コンクリート建物木造建物と一緒にありますれば、まずそういう木造建物のほうを先に考えるということにつきましては、まあ一応もっともな感じがするわけでございますけれども、その火元がこの死傷者を出しましたコンクリートむねでございまして、この点については、たとえあわてふためいたとはいいましても、旅館主並び従業員の不手ぎわということは免れないものとわれわれとしては考えておるのでございまして、鎮火したあと警察当局の詳細な御報告をいただきませんと、われわれといたしましては、どこで何名、どういうところで何名というふうには死亡場所についてはっきり申し上げかねるのでございますけれども、先ほども申しましたように、旅館経営責任者報告では、部屋の中で死亡しているのが大部分であるということでございます。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 どうもその旅館経営者報告ということであなたは言っておられるようですがね、私わからないのですよ。まあ四時でかなり熟睡しておるとはいっても、火事が起こったときには火事だというふうなことは言うと思うのですな。それがですよ、寝ているところで死んでいるという話ですからね。よっぽど泥睡かなんかして起きてこれないのだというならばわかるけれども、かなり女の人もおる。で、その専門官が行って、とびらのところで死んでおらぬ。新聞のほうではとびらのところで死んでおったというのですがね。その点について、ふとんのところでなくなっておるのか、どこでなくなっておるのかということが、私は一番けげんなんですがね。これを警察庁のほうではどういうふうに受けていますかね。死者がどういう状態で死んでおったのか、根本的にこの問題があると思うのですがね。この点がどうも解せないのですよ。火が起こってからですよ、どんどんどんどん火が燃えていく、片っ方で木造避難をさしている者、何階か知らないけれども火事だという声が出ていると思うけれども、そういうものが、全然音がそこへ届かないのかどうかですね。一体これはどういうふうになっておるのか。われわれがもしもそういうふうなコンクリート建物に寝たときに、火が全部回ってからびっくりして起きて、そしたらどこかへ逃げますよね。いまの話ではあんた、寝ているところで死んでいるような話なんだからね。そんなばかなことはないと思うのだがな。どうもわからぬ。どうなんです、そこのところ実際調査して。旅館の言っていることだけを信じて帰ってきたのじゃ意味ない。
  19. 増川遼三

    政府委員増川遼三君) 私どものほうの専門官調査したところと、さらに消防庁のほうで調べられました点を合わせて考えますと、非常口のありますそばでは人は死んでおらないようでございました。部屋の中で大部分、それから廊下に出たところで三名というふうに、図解もちょうだいしておるわけでございますが、これらにつきましては私どものほうとして責任を持ってお答えいたしかねますので、関係消防庁及び警察当局のほうへも十分連絡いたしまして、確定的な事実が判明いたしますれば、資料をもちまして御報告いたしたいと思います。
  20. 岡三郎

    岡三郎君 私がその答弁でけげんに思うのは、実態がよくわからぬと言いながら、廊下に三名、あと部屋の中だ、非常口のところでは一人も死んでおらぬ。そこの非常口のところでは死んでおらぬというところをずいぶん強調されるのだがね。新聞に出ていたことを反駁するためにそう強く言われたのかもしらぬけれども、実態としてどういうふうにしてなくなっておられるかということの現実を見ないと、そういうことを十分聞いてもらわぬと、そこを調査してもらわぬというと、次の対策が立たないのじゃないか。つまり、建築法上でいうとこれはだめなんだというのか、十八分の間にそれだけ火がコンクリート建物に速く回ったのか。ある程度経営者コンクリートだからだいじょうぶだと言っていることは、そんなに火が速く回る建物じゃないと思っていたところが、十八分か、その間に全館コンクリート建物が火に包まれてしまったというふうにもとれるわけですよ。そうしなければ窒息死なんということはあり得ないと私は思うのです。どんな人でもやはり苦しくなれば窓をあけますからね、窓を締めっきりというばかなことはないと思うのです。そうするというと、寝たまま、ワァッと言ったまま、そのときには全部煙が入ってきてしまって、それで煙に巻かれてしまって倒れてしまったというふうにしか考えられないわけです。みんな手が自由なんですから、窓くらいあける。そうすると、窓をあけるときには全部もう火がそこにかぶってしまっているというふうにも考えられるのだが、木造のほうを先にするといっても、一体コンクリート建物がどういうふうに火災に対する防備ができているのかということがさっぱりわからぬ。だから、いまの報告を聞いてみるというと、結論は何だかさっぱりわからぬ、こういう結論になると思うのです。これは運輸大臣、ちょっと困ると思うのだな。こんなに多量に死んで、多量に負傷しているのに、あなたまかせで、自分のほうで実際行って調査せぬ。専門官が幾人行ったか知らぬけれども、少なくともかなり日時がここでたっておりますから、詳細にここのところは報告ができるようにあるべきだと思うのです。それをいま言ったような、いいからかげんというと変ですが、適当な答弁では、私は納得できぬのです。そんなばかな答弁はないです。運輸大臣、これは所見を述べてもらいたい。
  21. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、増川観光局長が話したのは、おそらく警察庁から聞いたことだろうと思いますが、やはりそのときの実態というのは、もう運輸省の手で、警察のほうでやはり調べたものだと思いますので、警察のほうの情報観光局のほうですみやかにとるということでなければならぬと思いますが、実態は警察庁のほうでないとよくわからぬのじゃないか、そういうふうに考えますので、運輸省観光局のやはり権限の外で、ございますので、これは警察庁のほうによく聞かないと実際はよくわからぬと思います。その点は、いま言いますように、観光局のほうでもっとよく警察庁のほうと連絡をとって実態を把握して明確に調査するようにしなければならぬと思います。きょうの観光局長の話では、私もやはり皆さんが納得されると思わないので、よく警察庁のほうと連絡をとる、こういうことにしたいと思います。
  22. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  23. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけてください。  本件につきましては、運輸省観光局におきましてできるだけ早く関係方面とも連絡をとっていただいて、事故の実相を明確にした上で御報告を願う、それに対する対策についてまた報告をしていただきたい。で、これにつきまして各位のまた御質疑があればやっていただく、こういうことにいたしたいと思います。
  24. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 警察にちょっと……。この前の報告にあるのは、警備員松井利次三十七才の石油ストーブによる失火(警察調べ)、こういうふうに書いてある。警備員の失火が原因であるということはこれでわかる。そこであとで問題になるのは、警備員がどういう措置をとったか、おそらくただうろうろしてたんじゃないと思う。うろうろしてたんじゃないとすると、電話をかけた——警察電話をかけた、消防電話をかけた。どういう順序でかけたか知りませんが、電話をかけたけれども出なかった。出なかった理由は一体何か。これは、先ほどお話だと、まごまごしているうちにということですが、そのまごまごしてたというのは、何をまごまごしていたのですか。今度は二十分なり三十分なりたって、連絡がついたのはどこで、消防が現地にかけつけたときには何分くらいたっておる。現地にかけつけたけれども、施すすべはなかったということで、新聞記事に書いてありましたけれども、現地についてどうしたか、そのときの状況はどうであったか、これらのことを何も秘密にすることはないと思う。取り調べも済んでいるはずだと思いますから、こういうことを究明をしなければ、事故対策についてもやはり手落ちが出てくると思う。こういう点をどうかすみやかに調査の上、この委員会に資料として提出できるようにしていただきたい。それができるかできないか、これをお伺いしたいと思う。
  25. 阪田正仁

    説明員阪田正仁君) すみやかにこの委員会に報告させていただきます。
  26. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連して。これは別の角度からこの際お伺いするんですけれども、いまの直接原因はいろいろあるだろうと思うが、まあこれは報告があると思うから待っておりますが、この際検討する必要があるんじゃないかと思うことは、いま全国に旅行あっせん業者あるいは旅行会というものが一体どのぐらいあるんですか。それにいわゆる観光客の人口はどれぐらい、これをひとつお聞かせ願いたいが、これが無計画にほうっておいてあるんじゃないか。したがって、交通機関もこれに即応できない、受け入れ態勢も即応できない、そういうにもかかわらずあっせん業者がどんどんおって、そしてこの団体客の誘致をやる、こういう点について、運輸大臣、どうでしょうか、検討する必要があると思うのですが、何かお考えを持っておいでになりますか。
  27. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) いまこの問題につきましては、さっき私が申しましたように、運輸省だけでなくて、やはり警察、厚生、建設等々と話し合いまして、共通の機関をもって事故の対策を立てると同時に、その事故防止の基本は、いま大倉委員が仰せられるように、基本的には計画に無理があるとどうしても事故が起こりやすいので、そういうことをあわせてやはり検討する必要があると思っております。
  28. 大倉精一

    ○大倉精一君 聞いておるのは、事故対策というのは総合機関でやらなければ、これは旅館ばかりじゃないですよ。いま地下街がどんどんできるでしょう。あの地下街に一体火事が起こったらどうなりますか。非常に必配だという点もあるんです。そういう点は別にしまして、あなたの所管である観光行政の中で、あっせん業者、旅行会、そういうものが、いわゆる受け入れ態勢なり、輸送機関なり、そういうものと関係なくお互いに競争をしてどんどんと団体を誘致をする、こういう現状について、観光行政上、何か考え、検討をする必要があるのじゃないか、こういうことを聞いておるのです。
  29. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) これは現状も、大体業者等がそれぞれの機関とか旅館等の受け入れの範囲内でやっておると思いますが、これに、いま大倉委員が言われるように、もう少し計画性を持たせまして、やはり安全性を確保するという意味での一つの計画性を持たせていくことは必要だと思いますので、そういう方向でひとつ検討させていただきたいと思います。
  30. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも質問趣旨と合わないようですがね。安全の受け入れ態勢というよりも、つまりいま、交通機関も、受け入れも、みんな足りないんですね。足りないんだ。ただでさえも輸送機関が逼迫をしている、そこへもってきて観光業者がたくさんおる、あっせん業者がたくさんおる、競争して観光客を誘致をする、あるいは商品の販売の景品にどこどこへ旅行する、こういうことが野方図になっておる。そこに旅館業者も無理をして応急的な建築をやる、受け入れ態勢をつくる、こういうところに私は大きな原因があるんではないか、こう思うのですが、これはこの際、運輸大臣、検討する必要があるんじゃないですか。
  31. 増川遼三

    政府委員増川遼三君) 旅行業者は、大きく分けまして、一般あっせん業者と、それから法人あっせん業者と、二種類ございます。一般あっせん業者と申しますのは、法人の国内旅行はもちろん、海外旅行、国際旅行に関係しました旅行あっせんというものをやるものが一般でございます。これは運輸大臣登録になっておりますが、法人の国内旅行に関しましては、旅行あっ旋業法によりまして、都道府県知事の登録制度になっております。この法人登録業者は、全国に約七千近くございまして、これが非常に不統一に不当競争をやっておるような面もございますので、これに対しまして、全国的な業者の調整団体というものをつくらせるようにいたしまして、実は去年発足いたしました。ことしはっきりした法人になったわけでございますが、この団体規制をいたしまして、この旅行業者の団体と受け入れ側の交通機関あるいは旅館業界、これらの団体との相互の調整ということをはかるように現在やっておるわけで、ございまして、これにつきましては今後一そうに力を入れまして規制を十分にやってまいりたいと考えております。
  32. 江藤智

    委員長江藤智君) いまの旅行あっせんの関係はそのくらいにしてください、関連だから。
  33. 大倉精一

    ○大倉精一君 それで、いまあなた不当競争をやっておる面もあるとおっしゃるが、これが大事なんだ。それをそう、不当競争やっておる面もあるということで放任しておるというところに、今日の大きな集団災害の原因の一端が私はあると思うのですよ。きょうは委員長がああ言いますから、この次の機会に、旅行あっせん業者法人、私企業全部を含めてその実態と、それから修学旅行を含めた団体旅行の人口、それをひとつ出してもらいたい、どのくらいあるか。それと、要は受け入れ態勢との関連性について詳細に報告できるようにひとつしてもらいたい。いまのように、不当競争の部面もあるようです、そうして調整するようにやっておりますと、そういう作文的なことじゃこの問題は解決しません。これは特にそういうふうに要望しておきます。
  34. 木村美智男

    木村美智男君 資料の関係では、先ほど委員長が集約されたようなことでいいのですが、問題は、これはこういうものに対する見方というやつをもう少し根本的に変えてもらいたい。つまり、727で百三十名からの死傷事故が起きたら、日本国じゅうあげて大騒ぎをしておる。しかし、水上の、これは三十名から死に、約二十九名が重軽傷を負っておるということは、人命尊重という意味から言ったら、727の問題とこれはもう全く差異のない重要な問題ですよ。だから、こういうことは、これは起きてしまったのだからもうやむを得ないけれども、二度と起こさないためにどうするかという問題として、これはたいへん重要視しなければならない問題だと、その意味で、今日までとった一かりに調査の権限があろうがなかろうが、これは観光局のとっておる、十八日間も経た今日の時点でこの不十分な、つまり十分な調査資料がここへ提出されないというのは、きわめて遺憾だと思う。こういう点は、これは警察庁のほうの問題も、単なる刑事事件ではなしに、もっと人命尊重の立場から今後の対策をどうするかという意味でぜひこれは御協力をいただきたい、そういうことを特に申し上げておきます。  もう一つは、この菊富士ホテルというホテルが鉄筋コンクリート建てだということから、最近特に観光基本法ができて以来鉄筋コンクリート旅館が非常に多くなった、そういうような意味や、ホテル火事、あるいはもっと身近に言ったら議員会館の問題もそうですよ。かりに議員会館で火災が出たときに、これは階段のところが煙突になったら、われわれ一体五階なり八階の人間はどうやって逃げ出したらいいか、こういう問題も示唆するこれは火事ですから、きわめて重要な問題だと思うので、十分な対策を立てたいということで、きょうは、先ほど委員長集約された、その資料提出を待って再度審議をするということで、この問題質問を打ち切ります。  続いて航空問題に入るわけですが、もういろいろと報告もされ、質問もされておるのですが、したがって航空局から出されたこの資料に基づいて少し明らかにして、この委員会の審議を通して事故の対策をどうするかということについてぼちぼち集約をしてほしいと思うものですから、そういう立場から申し上げるわけです。  第一番に、カナダ航空関係の問題で、事故の概要のまん中よりちょっとうしろのほうの「レーダーによる精密進入が可能な気象状態になったので、」とこうあります。何かこのレーダーということを聞くと、日本では最近もう最近鋭の何か機械でも使って、そうして飛行機を誘導しているようにこうとれるのですが、必ずしもいまの羽田の設備だけを見ても、レーダーのこの進入誘導は決して進歩した方式ではないわけなんです。ここで伺いたいのは、一体当時の羽田飛行場におけるC滑走路の計器着陸装置というものはどういう状態になっておったかということを明らかにしてもらいたい。
  35. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 木村先生御指摘のように、羽田におきましては最も最新鋭のいわゆるILS——計器着陸装置を設備をしておるわけでございますが、当時このILSは、いわゆる二カ月間のチェック期限を過ぎましたために、一応作動はしておりましたけれども、安全対策上、これを使用し得る状態にございませんでしたので、これにかわるいわゆるGCAと申します計器によって着陸誘導していたという事実はございます。
  36. 木村美智男

    木村美智男君 このILSが二カ月に一回検査をするということで、航空局長の答えによると、期限が切れておったのでというが、期限の切れておったのは一月の十八日でしょう。一月の十八日から三月の二日まではこれ使っておったのですね。これはどうですか。その事故が起こったのは三月の四日ですね。その事故の起った二日前まで、三月二日までこれを使っておったはずですよ。
  37. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) ILSにつきましては、先生御承知のように、私は二カ月と申しましたけれども、七十五日の——いわゆる十五日間の許容期限があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、事故当日については、これは十分に地上のチェックその他はいたしまして、作動し得る状態にあり、また事後の調査によりまして、この計器自体に異状はなかったという報告は受けておりますが、いずれにしても所要なチェック期限を過ぎましたために正式に使い得る状態になかった。そこで、航空機に対しましてはGCA誘導するということを通告いたしまして、航空機のほうでGCA誘導によって入っていくという向こうの応答によって、わがほうの管制機関はGCAで誘導をした、こういうことでございます。
  38. 木村美智男

    木村美智男君 だから、その精密な機械であるから、一応そういう検査をして、そして期限が切れたら、やはりすみやかに再検査をし直して、使い得る状態に置くということが大事じゃないかという意味でいまお伺いをしたわけですけれども、これはひとつ今後の指導にあたって、十分そういう措置を具体的に指導をしてもらいたい。そういう指導がやられてないようなときに、間々事故というものは起こるものだということも含めて、これはひとつ今後の指導として十分念頭に置いていただきたい。  それから「捜索救難活動」の中で、航空保安事務所の化学消防車等九台が出動し、消防庁の化学消防車等八六台が来たように、こうなっておるのですが、どうも聞くところによると、この化学消防車九台は、実際には当日六台しか稼働しなかったように聞いておりますが、そこは事実かどうか。それから黒焦げになって実際に避難もできないような状態になったについては、相当時間的におくれた一ここでは時間的な経過が一つも載ってないから、消防庁の化学消防車が八十六台も来て、そうして人間も千六百人も来て、飛行機一生懸命消してどうも消えなかったというので、どうもふしぎに思っておったら、時間的にこれは経過が全然書いてないものだから、間に合わなかったのだろうと思うのですが、一体飛行機が火災を起こしてから保安事務所の消防車が稼働したのは何分ぐらいあとで、消防庁のほうから八十六台も来たのは、一体それはもう死んだか生きたかはっきりしちゃったあとに来たのかどうかというのが、ここら辺のことがはっきりしてないものだから、これは全然この点はわからないわけです。その辺の時間的なことをひとつ明らかにしてもらいたい。
  39. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 先ほど御指摘のILSを常に使えるように良好な状態に保守することにつきましては、まことに重要な御指摘でございますので、今後十分注意をいたしたいと存じます。  それから、羽田における消防設備でございますが、先生御指摘のように、わがほうのいわゆる自家消防といたしまして、羽田におきましてはいわゆるO11型の消防車三台並びに給水車三台、これが消防の主力でございまして、そのほかに救急車、破壊車、指揮車各一台、合計九台という状態でございます。  当時消防の出動状況を調べますと、火災事故の通知がありましたのが八時十五分で、現場に到着いたしましたのが八時二十分、つまり五分の間にこの消防機関は全部現場に到着をして消火に従事をしたという報告を受けております。ただ、部外からの応援の消防その他につきましては、当時の状況等について、先生も御承知のように、相当長距離から混雑をした中を応援に来ていただいたというような関係で、必ずしも時間的にじゅうぶん間に合わなかったというような事情はあるかと思いますが、わがほうのICAOの基準に定められた既定の消防車は、五分以内には現場に到着して消火作業に従事したということでございます。
  40. 木村美智男

    木村美智男君 この場合ですね、救急車は出たのですか、出ないのですか。
  41. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) わがほうの全車両出動したという報告を受けております。
  42. 木村美智男

    木村美智男君 これは、この日は残念ながら、まあ人手不足があったのかどうか、少なくとも救急車が出てなかったと、こういうふうに実は私のほうの調査では報告されておる。したがって、この意味で、やはり救難対策について多少問題があるのじゃないか、こういうふうに考えたもんですから、ぜひひとつこの点は事実を調べてもらって、今後やっぱり救急車というものについての整備をして、こういうことに対処できるように全体のひとつ指導してもらう、こういう意味で、この点は別に、いま局長のほうでは出たと思うということですから、しかし、私は出てないと、こういうふうに聞いておるものですから、事実をひとつ明らかにしてもらって、どちらにしても、救急車の問題は、消防車と同じように、防災対策としてひとつ完備をさせるということを、羽田のみならず、ほかの飛行場についても処置をしてほしい、こういうことで、これはあとからでいいから要望しておきます。  それから「措置」の問題の中で、事故調査担当官を現場に派遣をしているということなんですが、この前からいろいろ言われておるように、必ずしもこの調査担当官というものが専門家を整えていない、あるいは人数においても不備だということで、いろいろ、BOACの場合、あるいはDC8型の場合ですね、外国からも調査団が来ているようですが、これはもう何か、もっと航空局が独自の立場でこの事故調査ということについてしっかりしたスタッフを整える必要があると思う。で、聞くところによるとどうも、事故関係を見て技術的にもわかるほんとうの専門家というのが一そういうことないと思うんですが、ほんとうに一名ぐらいしかいない、あとはいわゆる事務屋的な立場で多少飛行機関係に関連をしている程度だというふうに聞いておるんですが、この点はどうなってますか。もし航空局として予算の関係上どうにもならぬとか、そういうことがあるならば、これはやはり委員会として措置しなきゃならない問題であると思うので、ここは率直にいまの航空局の事故調検部門というものがどういう状態になっているか、これを明らかにしていただきたい。
  43. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 率直に申し上げまして、先生御指摘のように、事故調査機能は必ずしもわれわれも十分でないと考えております。御指摘のように、事故調査の専任の定員は二名でございますが、どうしても、今回のような三つの重大な事件が重なるというようなことは非常に異例なことかもしれませんが、それにいたしましても必ずしも十分ではございませんし、特に、常時必要な資料を整備する、あるいは検討を進めるというような観点から、いろいろ定員その他の問題がございますが、われわれとしても、一日も早く内容を充実するように、関係のところにも十分連絡をとって措置を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  44. 木村美智男

    木村美智男君 これは運輸大臣、どう考えられますか。ああいうふうな事故が三回も引き続いて起こるというような状況のもとで、肝心かなめの航空局の中に実際には事故担当者は二名ぐらいしかいない、こういう状態にしておいて、それであと事故対策というものがこれは立っていかないことはもう目に見えているわけです。だから、今日のところでは結局ボーイングの調査団が来た、BOACの調査団が来た、これに補助的な立場をとりながら、なかなか航空局自体が一つ事故調査について結論を出すような、そういう能力というか、力を持ち得ないというところに、やっぱりこの事故対策について大きな欠陥があると、この点を連輸大臣としては、こういう事故を契機にやはり強化していかなきゃならぬと思うんですけれども、それは大臣としてのひとつこの点について考え方を伺っておきたい。
  45. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 今回の事故が御承知のように三つも大きいのが続いたということにも原因はありますが、いま航空局長が言いますように、事故調査人員が不十分であるということははっきりいたしておりまして、これは至急に増員をいたしまして強化をしたい。ただ、こういう事故が起こりましたときには、航空局員だけの力で調査をするということでなしに、やはり外の学識経験者あるいは技術者等の力もからなきゃなりませんが、しかし、やはり一応航空局内に一定の整備はぜひ必要でございますから、速急に整備をいたしたい、かように考えております。
  46. 木村美智男

    木村美智男君 大体お考えはわかりましたが、早急にというようなことでこの場は了解しておきますけれども、具体的にこれについてやはり強化の措置をすみやかにとってもらいたい、これは要望しておきます。  それから、時間がございませんので、BOACの関係で少し聞きたいんですが、BOACの事故の概要のまん中のほうにある、「富士及びレベルインターセクション経由串本まで有視界による飛行を行なう旨、同空港管制塔に対して要求し、有視界飛行で離陸した。」、こうあるわけですが、この管制という問題で少し航空局長明らかにしてもらいたいのは、この管制塔は要求をされれば自動的に認めなければならぬようになっているのか、それとも、適、不適を判断をして、それはだめだということで制止をすることができるのか、この辺は一体どうなっていますか。
  47. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御承知のように、航空法の定めによりますと、有視界飛行状態で飛行し得る場合と、計器を用いなければならぬ場合と分かれていることは、先生御承知のとおりでございます。したがいまして、有視界飛行状態で飛行し得る状態でない場合には、タワーはそういう飛行を認めないということになっているわけでございます。ただ、あるいは御指摘は、その飛行についてもう少し具体的な指導というような点をあるいは御指摘かと思いますが、これは御承知のように、出発前には必ず気象状態をブリーフィングを受けて、それによって飛行するということに相なっておりますので、現在の制度としては一応そういうことでやっておるわけでございます。
  48. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、管制官も、その日の、羽田周辺はもちろんですが、大体の気象状況というのはつかんでいるわけですね。あるいは、その指導をしているということになれば、大体日本の国土の上ではどこら辺があぶなくて、どこら辺が危険性があるというくらいの知識というものは、管制官としては与えられているのかどうか。
  49. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) これは率直に申しまして、飛行場における場合には、御承知のように、気象関係の計器等、あるいは気象官がおりまして、それが専門的に測定した数値をわれわれのほうももらいまして、ごく機械的に判断ができるという状態にあるわけでございます。ただ、航空路全般についての状況を承知をして、それについてどうこうするというようなことは、事実上非常に困難でございますので、タワーにおけるやり方は先ほど申し上げたとおりでございまするが、航空路における飛行のしかたにつきましては、これはむしろ機長の判断によって、機長の判断を受けて管制官としては管制をしているというのが現状でございます。
  50. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、この間の関係は、まあ管制官あるいは管制塔に必ずしも航空路の問題ですから責任がどうこうということにはならぬと思いますが、あそこの富士の左側というのは非常に悪気流があるということはもう航空界としては常識になっているわけですね。その常識になっておって、これは自衛隊の飛行機が三十七年にあそこでやはり二機墜落していることも御承知だと思う。そういうあぶない地域に対しては、これは当然道路や何かと同じように、立ち入り禁止というものを明確にして、この飛行に携わる人たちにやはりはっきりさせておくということが必要なのじゃないか。その意味で、あそこはやはり危険区域であることに間違いないわけですから、それをやはり周知徹底をさせてあったのかどうか、あるいはそういうことについて現実にはどういう措置をとっているのか、それをひとつ聞かしていただきたい。
  51. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御指摘のように、これは非常に重要な問題でございますが、まず現地におけるそういう気象状態が常にあるものかどうか、常識的に常にあるということであれば、それに対するいわゆるNOTAMを出して注意をするということを当然考えるべきでありますが、気象庁長官が参っておられますが、われわれが聞きましたところでは、常にそういう状態で必ずしもないというようなふうにも私は承っておりますので、しかし他面、こういうようななお重大事故を生じた現在でございますので、この点はわれわれとしても、気象専門家の意見等もよく伺いまして、将来、この具体的な飛行方式その他について、少なくも危険がないようにという観点から考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございますが、さしあたって、現在、これは必ずしも全部、あらゆる日において飛行し得る状態でないということが必ずしも言えないというような気象専門家のお話がございましたので、その点をもう少し、飛行のいわゆる運航の専門家、気象の専門家の間で具体的な話を詰めまして、具体的な措置を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。
  52. 木村美智男

    木村美智男君 だから、いま富士の例をとったのですけれども、やはり日本の国土の上では、たとえば鈴鹿の上がいかぬとか、富士の左側はいかぬとか、そういったほかに、やはり気象状況の中で、特に飛行上、墜落事故を起こしたなんという過去の経緯も十分くみ込んで一つの気象図というようなものを、そういうものがやはり飛行士なり何なりに十分伝えられて、外国の操縦士であっても何でも、そういう措置をひとつ具体的にとってもらいたい。それは要望ですけれども。  それから管制の問題で、最近明らかになった点は、どうも、何というのですか、羽田では、非常に最近の増便から、一日三百五十機から四百機ぐらいが発着をすると、こういう中で、いわゆる空の交通ラッシュという状態になっておる中で、いまだに割り込み着陸、それから追い越しというようなことが自由に認められるような状態になっておるということを聞いているけれども、この点は一体どうなっているのか。これは航空法の中に私欠陥があると思うのですが、かつてのような時期ならばいいですけれども、あの航空法の航空交通管制方式ですか、四百三十一条の五ですか、あれをこの時点になったらば廃止をするか何かの形でやらないと、あの例外規定を生かしておく限りは、たいへんやはり飛行場で問題が起こってくることが予想される。したがって、この問題についてどう考えられるか。これは過当競争がますます激しくなってきておりますし、一時あの事故で下火にはなっていますが、今後、日ソ航空協定等ができれば、これはなお羽田着陸の飛行機数というものはふえてくるわけですから、そういう意味でいまの例外規定がきわめて重要なんで、この点についてひとつ見解を伺いたい。
  53. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御承知のように、航空交通管制をする場合には、十分航空法の規定によりまして、その飛行の順序等も定めておりますし、また、先生御指摘のように、割り込み、追い越し禁止というような規定もうたってあるわけでございますが、御指摘は、現実の飛行状態が必ずしもそうではなくて、非常に飛行場に進入する場合の競争等の問題があるのではないかという御指摘かと思いますが、現実に管制をいたしておる場合には、有視界飛行におきましても、御承知のように、着陸の場合には着陸の順序その他を指示をいたしましてやっておりますので、われわれとしては、現実にそう危険の状態であるというふうに必ずしも考えておらないわけでございます。しかし、御指摘のように、もっと積極的にあらゆる面についての管制を、もう少し、何といいますか、丁寧にしろというような御指摘であるようにうかがわれていますので、そのやり方その他については、なお十分われわれとしても検討してまいりたい。それからなお、管制機関と操縦関係の方々との連絡といいますか、具体的なやり方についてのいろいろな御意見が従来あったわけでございますので、従来ともそういうことをやっておりましたが、いわゆる操縦士と管制官の懇談会というものを最近も実施をいたしまして、その具体的な管制の扱い方なり、操縦側の注文、あるいは管制から操縦側に対する注文というようなことをお互いに出し合って、具体的の航空上の問題を検討するというような措置を講じておる次第で、ございます。
  54. 木村美智男

    木村美智男君 航空局長ね。あなたのいまの答えている中で、現実に追い越しあるいは割り込みというようなことが行なわれておる、しかしそれは実際の問題としてはあまり危険でない、こういうふうに言われたのは、非常にこれ私心配しているのですが、そうなると、航空局長にある程度すわり直して聞かなければならぬようなことになる。じゃ、たとえば管制官というのは、一体どういう勤務状態にあるのが一番正常であり、いいというふうに考えられますか。管制官というものは、四六時中飛行機のほうから電波あるいは連絡を受けて、そして年がら年じゅうしゃべっている状態にあるのが通常と考えられるのですか。そういう意味で、どういう状態であることが一番望ましい管制官の勤務状態だというふうにお考えですか。
  55. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) どうも先生の御質問の趣旨がよくのみ込めないのでございますが、管制官の勤務状態は、非常に現状においてはしょっちゅう神経を張り詰めておるような状態でございますので、その勤務体制を直したりなどいたしておるわけでございますが、これがあるいは先生の御指摘は、そういうようなことではなくて、もう少し計器その他を用いてあまり神経を常時張り詰めていなくてもできるような状態というようなことをお考えであるとすれば、まあわれわれとしてもそういうふうな方向で将来考えることが望ましいのではないか。  それから、割り込み、追い越しが危険でないというように私が申し上げたというような御趣旨であるとすれば、非常にことばが足りないのでございまして、まあそういうようなことがないように実は管制をしておるつもりであるということを申し上げたつもりでございますので、その点をつけ加えさせていただきたいと思います。
  56. 木村美智男

    木村美智男君 いや、そういうかりにいま誤解のないように言い直したことからいったにしても問題だと言っているのですよ、私は。それはいまの羽田の管制官の勤務状態というものは、航空局長は、局長としてある程度把握しているかもしれません。しかし、ほんとうにこの管制官が誤りなく的確に次々と進入してくる飛行機に対して、滑走路にこれをつけ、そして飛行場全体をクリアさして、これを確認したあとで次の進入指示を流すというこの関係をしながら、いろいろ空中をいま飛んでいるものからも連絡が来るわけですから、そうなると、管制官というものは絶えずしゃべってばかりいたのでは、これはもう満足な、適正に、これはもう一回上空を飛ばすと、あるいはそのうちにクリアされるのを待ってろということの判断をしながら、なおかつ飛行機としゃべるわけでしょうが、そういうことになれば、たとえば電話係だって、これは一日八時間勤務だからといって、ぶっ通しで八時間やっておったら、頭がどうかしちまうわけです。だから、手持ち時間をつくって、一時間勤務したらあと三十分と、こういうことになってくるわけです。管制官のほんとうに機能を、あるいは判断を誤りなくさせるという立場からいけば、理想を言えば、ほんとうは一分間のうち二十秒ぐらいはパイロットと話する時間、あとの四十秒は、これは的確に、いま何機入っておって、これをどういう順序で飛行場に進入さしていくかという、いわば判断する余裕を与えなきゃならぬ。これが、ほんとうは三分の一、三分の二という、こういう勤務体制が望ましいんですよ、本来は。これはおそらく局長だって専門家だからわかっておると思うんですけれども、しかし、そういう状態からいったら、いまの羽田を見てごらんなさい。それは三百から三百五十です。このままで、もしあとでさらに増便されるという事態もやってくるというようなことを考えた日には、四百にもなったら、一分ないし二分間に一機ずつ入ってくる勧定になる。そういうときに、管制官が判断をして的確に誤りなく指導をしていくなんということは無理ですよ。神さまでもない限りできません。そういう意味で、いまはなるたけ、追い越しあるいは割り込みというようなことはあっても、危険のないような形で管制官は一生懸念やっていますよと、そこはわかるんです。わかりますが、それは管制官のほうの立場から言えば、ある程度飽和状態にきていますよ。ここのところを早急に対策を立てないと、管制官の措置が理由になって大きな事故を起こすことになりかねないですよということを私は申し上げておるわけです。そこら辺の点が、勤務の問題と、管制機構の充実というか、管制官養成も含めて、少し本格的に航空局として乗り出す必要がありますよということを、今日のこの事故を契機に、こういう時期ですから特に強調をしているわけです。そういう立場で、時間もなくなりましたので、そのことだけ聞いて一応終わります。
  57. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 管制のあり方についてまことに重要な御指摘で、われわれも管制の具体的な問題についていろいろ承知をしておるつもりでございますが、先生の御指摘、まことにごもっともで、特に管制機関、管制官相互の連絡調整というような意味の要員の配置というようなことを、われわれとしては問題として検討しておるわけでございますが、こういうような内容の充実について今後とも大いに努力をしてまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
  58. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  59. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      —————・—————    午後二時十八分開会
  60. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  この際、おはかりいたします。  委員外議員中村順造君から発言を求められております。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 江藤智

    委員長江藤智君) 御異議ないと認め、これより中村君の発言を許します。
  62. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 委員外議員の発言を認めていただきまして、たいへんありがとうございました。きょうは時間が非常に限られた時間だと思いますので、きわめて簡潔に、ひとつ国鉄に二、三質問いたしたいと思います。  まず、二十九日、いわれておるところの統一行動、これとの、国鉄の部内における労働組合のいわゆる実力行使の状態、あるいはそのよって来たる原因など二、三簡潔にひとつ聞かしていただきたいと思います。
  63. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 動力車労働組合が最低賃金の問題で二十九日に行動を起こすという話で、私ども話し合ったわけでございますが、最終的に昨夜中に話がつかなかったために、本朝甲府、上諏訪その他の地区におきまして、列車への相当の影響が出ておるという状態でございます。
  64. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 最賃だけですか。
  65. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 動労が二十九日の統一行動に参加いたしましたたてまえといたしましては、最低賃金制の確立という総評系の各労組の闘争目標と同一でございます。ただ、組合内部の事情もございまして、いろいろ動労自体の諸要求もまだ解決していない面も多少ございまして、問題の実態といたしましては、さような問題の解決について私どもと話し合いをしておるということでございます。ただ表向きは、最低賃金制の確立と、こういうことになっております。
  66. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) この労働組合が要求しておる内容につきましては、またあとで、一つだけ問題点がありますから。職員局長は多少という表現を使いましたけれども、あと質問しますが、きょうは前からお願いしておった問題ですが、私がお尋ねしたいのは、この一般の国鉄の業務を民間に委託をするという問題があるわけですね。これは何か内容的には多少それぞれ、たとえば大分の管理局の管内でそういう問題があるし、また大阪の東港ですか、そこにも何か問題があるというふうなことなんですが、私の聞くところでは、だんだんその範囲が拡大されると、まあそういうことは考えられないけれども、最終的には、ただその国鉄が持っておるレールだけ貸してやる、これは極端な表現ですが、極端に言えばレールだけ貸してやるから営業をやりなさい、ここまで発展をするんじゃないかという、まずおのずからそこに限界はありますがね、そういう方向に向いていっておる、国鉄の方針がですよ。たとえば、従来考えておられない、いわゆる構内における入れかえ作業、あるいは中間駅の業務一切、そこでまあ非常に現場の職員は、そういう面を含めて民間委託、まあ個々にはたくさんありますがね、これはどこらあたりまでそういう範囲を広げていくかという不安があるわけですよね。もちろん国鉄には、合理化の問題その他があって、要員を削減するという基本方針はあるが、それは説明は要りません、わかっておりますから。どこまでが限界になるのか、どこらあたりまでがいわゆる民間委託をする考え方なのか、その点をひとつ。
  67. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) いま先生おっしゃいましたように、委託の限界というものはおのずからあるわけでございますが、国鉄といたしましては、旅客を安全に運ぶという大きな責務があるわけでございますが、ただいまお話のありました大分におきましては、これはたしか機関区の支所ですか、そういうところにおける業務の委託でございますし、また大阪港におきましては、大阪港の臨港線または一部専用線等を含めまして、貨車の入れかえをするということの委託を考えておるわけでございますが、いまおっしゃいましたように、国鉄の業務の合理化というところから、そういう程度の入れかえ業務等につきましては、従来も、実は今度の大阪港が初めてというわけではございませんで、名古屋等におきましても実施をいたしてきたわけです。これらにつきましては、各地方機関におきましてそれぞれ計画をいたし、支社長が適当と認めるものにつきましては実施をさせるという考え方をとっておりますが、何でもかんでも国鉄の業務を民間に委託をいたして、持っているのはレールだけというようなことは決してございませんので、ただいまのところ、非常に閑散な駅の業務と車両の清掃業務を委託するというところから一歩を進めたと申しますか、非常にわりあい末端における貨車の入れかえというものに今回——今回と申しますか、名古屋でもやっておりますが、今回は大阪港におけるそういう計画で実施をしようとしておる次第でございます。
  68. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 支社長云々のお話がありましたが、これは支社長の意見をここで聞くわけにいきませんから、この点は避けてもらいたい。これから先もいろいろ話が出ますが、せっかく常務さんに来てもらったのだから、支社長がどう考えようが、管理局長がどう考えようが、この場所で問題にならぬ。国鉄の考え方を私は聞いておる。従来名古屋、それから今度は大阪港の問題があるが、そういう考え方を延長していけば、吹田の操車場の仕事がなぜできないのか。吹田の操車場の仕事も、これは民間委託してもいいじゃないか。貨車の組成じゃないか。それは貨物でも旅客でも安全に正確に輸送するというのが国鉄の従来の任務だから、貨物だからいいとか旅客だから悪いとかいう分け隔てはない。だから、なるほど初めは軽微なところからやっていかれるだろうが、大体全体として計画があるはずだ。国鉄の業務量のどのくらいの割合を何年、ころまでの計画で民間に委託させるか。無計画で行き当たりばったりじゃないでしょう。あなたのほうにちゃんと、何年ごろまでには国鉄の業務量の何%は民間に委託するという計画があるはずですよ。それはどうなっているのですか。
  69. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ただいま仰せのような、たとえば吹田操車場というお話が出たわけでございますが、吹田操車場とか、いわゆる大ヤード、あるいは中ヤードにいたしましても、これは単に御承知のように貨車の入れかえだけでなく、国鉄全体の本線上の列車運転というものに非常に大きな影響があるもんでございますから、そういうところを民間に委託するという考えはございませんけれども、末端における影響の少ない部分についていま考えておるわけでございます。また、お尋ねの、何年までにどのくらいの業務量を民間に委託するかという計画は、ただいまそういう計画としては持っておりません。ただ、国鉄の経営の合理化というところから、なるべく少ない人員でもって能率のいい仕事をしていくという必要上、いまの港の線というようなものにつきましては今後もある程度やらなければならない、こういうふうに考えておりまするが、全般的に仕事の何%、人数でどのくらいという計画はただいま持っていない次第でございます。
  70. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) なるほど、吹田は大きなヤードだと、こういうお話だけれども、しかしそれじゃ民間委託は本線上ではやらないわけですか。それから、いま計画がない、無計画で民間委託をどんどんやられるようだが、無計画でやられるということはわれわれ納得できないですよ。これは国鉄ほどの企業であれば、大体何年ごろにどういう種別の作業量の何%を民間に委託をするという、その計画が無計画ということは、常識的に考えられないんですがね、どうなんですかその点は。
  71. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 最初の御質問の本線上はというお話でございますが、御承知のように、本線というような定義そのものが技術的にいろいろむずかしい点もございますが、非常に軽微な末端のところに多少のいわゆる技術的な意味における本線が入るということはあり得るかと思いますが、常識的に、東海道線であるとか山陽線であるとかというような意味の線、または支線でありましてもいわゆる本線上の業務を委託するという、全く私鉄でも何でもないものに、相互乗り入れという問題は別でございますが、委託をするという考えはただいまないわけで、また、業務委託を一体どの程度にやっていくかということ、これは運転の関係もございますし、保線もございますし、車両修繕もございますし、そういうものの全体につきまして、ただいま国鉄の中で要員の合理化委員会というものを持っておりますが、そこで将来の計画について検討をいたしておるわけでございます。
  72. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 本線かどうかは、どこが本線とか、私はしろうとではないから、そういうことはやめてください。本線というのは定義があるのだから。  それから、いまそういう計画はないとおっしゃったが、私が聞くところでは、何か民間委託の場合の、国鉄が業務を委託した場合の受け入れる会社というものが、地域によっては、もうすでに設立の段階までいかなくとも着々と準備されておるというのは、それは問題ですね、そういうことは。
  73. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 仰せのようなことは、先ほどお話のありました、現に大阪においてはそういう計画があるわけでございます。
  74. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 地域においてそういう委託業務を受け入れる体制が整いつつあるということは、計画がないということじゃないでしょう。計画があるから、そういうことを察知して、資本金を集め、役員を集めて会社をつくるんでしょう。計画はないわ、受け入れ体制はできているわ、そんなばかな話はないでしょう。そんなことが考えられますか。
  75. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 港における入れかえというものにつきましては、基本的にすでに実施しておりますし、適当な場所があればやるという意味においては計画があるわけでありまして、その計画が現に大阪の港についてはある、こういうことでございます。
  76. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) この問題だけやるわけにはいきませんが、清掃問題から、日豊線の中間駅の業務の問題、あるいは車両修繕の問題、いろいろあるんだが、それを一括して受け入れて——一括か分割かわからないけれども、受け入れる会社が準備されているということを私は聞いているんですが、豊原常務の話では、もう国鉄は全然計画がない、何年間にどれだけの事業量を民間に委託するという計画がないということになれば、そんなものを準備されるわけがない。どこからそんな話が出て準備されるんですか、そんなことはないでしょう。
  77. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 国鉄全体について何年間に何%というような計画はない、こう申し上げておるわけでございまして、個々の問題につきましては計画があるわけでございます。で、それも非常な大きな、たとえば鉄道のいまの車両工場でやっております修繕を委託するかどうか、その他いろいろございますが、そういう基本的な問題につきましては、先ほど申し上げましたように、業務問題として検討をいたしておる、こういう段階でございます。
  78. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 検討中ということで、いまのお話では、しかし着々として民間委託をやる、したがって要員は減らされる、現場の職員の仕事量は多くなる、そういう問題がやはり苦情となって、国鉄の部内で労使の間で紛議をかもすということも厳然としてあるわけです。だから、計画があるならあるで示して、やはり相手側の了解を求めるという態度が必要だと思いますけれども、これは答弁要りません。  それから、もう一つ、乗り入れの問題ですが、国鉄と私鉄相互乗り入れ——相互でない場合もありますが、これがあることは否定することできませんが、私の聞きたいのは、その乗り入れをするときの国鉄と私鉄との契約というものはどういうことになっておるのか。画一的なものがあるかどうか知りませんがね、確かな契約があるはずです。使用料を払うとか、あるいはそれから先乗り入れ側にかりに乗り入れられないような条件が起きたときにどういうような取りきめがあるとか、あるはずですから、その点はどうなんですか。
  79. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 一般的には、車両直通運用基準規程というものがございまして、それに基づきまして、先生いまおっしゃいますように、乗り入れた場合の車両の使用料、また国鉄と社線相互の債権債務の関係というものを規定しておるわけです。
  80. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 総体的なことは、時間がないから言いませんが、一つだけ取り上げてみますが、鹿児島交通の場合、どうなっていますか、どういう契約になっていますか。
  81. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 鹿児島交通の場合には、昭和二十九年の十一月十日に、ただいま申し上げましたような基準に従いまして、契約がなされておるわけでございます。
  82. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) どういう契約ですか。ただいま申し上げたと言われたが、言わないでしょう。
  83. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 契約の条項を全部申し上げると、時間が長くなろうかと存じますが、契約の要旨というものは、たとえば鹿児島交通の場合には、直通列車を一日三往復運転をするということ。その車両はディーゼル動車一両とする。その他、運転時刻は国鉄と相談をしてきめるとか、直通列車に使用する車両はあらかじめ国鉄の承認を得なければならない。社の直通列車が不完全であると認めたときは、直ちにその運転を停止することができるというようなこと。それから修繕の費用はどちらが持つかというようなこと。その他、運転に要する燃料、油脂その他の費用の負担個所であるとか、直通列車は国鉄の承認を受けた所属員が乗務する。その他は、運転乗務員費というようなものの金額負担個所というようなものが定めてあるわけでございます。
  84. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 限定した質問にならざるを得ないんですがね。私鉄ですからスト権を持っていますわね。それから、車両故障ということも当然考えられますね。そういう場合、かりに鹿児島交通の場合、ストをやった、こういうときにはどうなるんですか。国鉄はどういう態度に出るんですか。乗り入れの場合ですよ。あるいは車両故障の場合。
  85. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) その場合には、話し合いによりまして、私鉄のストの場合においても、こちらに乗り入れる部分については運転をするということで実施をしてきておるわけでございます。
  86. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) その話し合いというのは、私鉄の経営者と私鉄の労働組合が話し合うことであって、国鉄がそれを確保するわけにいかないと思うのですが、私鉄の労働組合が国鉄と団体交渉をやるわけにいかないから、私のところはストでございますと言ったら、あなたのほうが私鉄の組合と交渉するわけにいかないから、あくまでも紳士的に、乗り入れをするほうの経営者が不都合かけませんという一札を入れるわけでしょう。完全に確保される見通しはないわけでしょう。
  87. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) それは、先生おっしゃられるとおりです。
  88. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) それから、車両故障が考えられますね、車両は生きものですから。こういう場合の細目の紳士協定といいますか、そういうものは常識的に考えられる。こまかい協定はないわけでしょう、鹿児島交通の場合。
  89. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 鹿児島交通の場合、協定書には、車両故障によってやむなく運行不能となる場合には、列車の運転休止を来たさないよう社において特段の措置を講ずるものとするという条項があります。
  90. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) それじゃ具体的に聞きますが、たまたまこれはストと競合したのですが、まあ事情はおわかりになっておると思うが、私は調べてくださいと言ったところが、とんでもない返事をあなたのほうから持ってきたわけです。ストをやった。しかし、幸いにしてストライキをやったときに、鹿児島交通の場合は、これは労働組合と私鉄の経営者との間の紳士協約があって、ストをやっても乗り入れの直通列車だけは確保するという相互の協定があったから、乗り入れはしたわけでしょう。ところが、それが車両が故障になって、動かなくなった。この場合に、国鉄の車両を使うわけでしょう。これはいまあなたの言われる直通列車の運行不能の場合は動かすという条件が入ってるということですが、車両が故障になったら、その列車を取り消すか、または国鉄の車両でそれをやるか、こういう場合が考えられるわけです。国鉄としても、私鉄としても、経営者の側から考えるならば、これは列車を取り消すわけにいかないと、通勤列車とか、いろんな要素によって。その場合には、やむを得ず国鉄の車両を使わなければならないということが、これは常識的に考えられるわけです。そうすると、私鉄にはスト権があり、なおかつ車両故障ということが考えられるが、そういう場合には、しかも直通列車というわりかた重要な列車だろうと思うが、そういう場合を想定して、一体国鉄の部内における労働組合と国鉄当局との協定というものはあるのですか。
  91. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) そういう場合につきましては、全くそのとき限りの臨時の列車を動かすというかっこうでございますので、特にそのときどきに話し合いをするということなく、国鉄当局において手配をし、列車の運行を確保する、こういうことでございます。
  92. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) そこに問題が出てくるのですよ。いまあなたの説明の、国鉄部内の労働組合とは話し合いすることなく、国鉄において列車を確保するということがあり得るんですか。人間を使わなければいかぬのですよ。たとえば国鉄部内の規定でも、不測の事態に即応する——たとえば臨時列車を運転しなければならぬ事故が想定される。事故というのは、一応想定されるものを考えてやったわけでしょう。そういう場合には、それぞれ協定があるわけでしょう。この場合は、鹿児島交通の場合も当然やはり、いまこれは紳士協定が私鉄の労使の間であったからいいようなものだけれども、なかったら列車を取り消すわけですよ。そういうものが想定される、国鉄も同じように想定される。にかかわらず、もしそういう場合があったら、国鉄の責任において列車を確保する、そういうところに問題が起こるわけじゃないですか、現実の問題として。
  93. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) そういう臨時の場合には、予備員の運用でやっておりまして、予備員の運用につきましては、一々話し合いをしないという慣行があるわけです。ただし、臨時でも相当長期にわたるものにつきましては、話し合いをして列車を運行する、こういうふうにやっております。
  94. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 予備員のあることは私は知っていますよ。予備員というのは、休んだとか、病人が出たとか、列車の増発とかいう場合でしょう。この場合は、鹿児島交通の場合は、本来鹿児島交通がやらなければならぬ仕事なんですよ。それを予備員で充当するというのは——それじゃ予備員を計算をするとき、鹿児島交通がストライキをやった、あるいは鹿児島交通の直通列車が事故をやった、車両が故障になったということを想定して、その中の予備員が何%かふえていますか。
  95. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 直通の乗り入れの場合の列車は、車両並びに乗務員は私鉄に属するものでございますけれども、国鉄の列車として考えておるわけでございまして、国鉄の他の一般の列車と含めまして、それに必要な予備員をはじいているわけでございます。
  96. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) あなたの言われることはめちゃくちゃですよ。私がいままでの経過を話して、あなたのほうで調査して聞かしてくださいと言ったら、ほんとうのことを言わなかったのだね。私鉄が乗り入れて、その列車を国鉄が確保する——確保するのだとか、国鉄の従業員でやるのだとか、予備員を使うのだということでは、何のための乗り入れですか。私鉄が乗り入れをするといえば、あくまでもその責任の所在は私鉄が持つべきですよ。それを私鉄が、かりに車両故障だとかストライキで車両運行ができなくなったときには、国鉄が、あなたの責任でやろうとするところに、労働組合が納得しないという問題が出てくるわけです。そうすると、あなたのほうは、業務命令を聞かなかったら処分するというような、寝ぼけたことを言う話だと思うわけですよ。それはきちんと——私はあまりこの問題だけに時間をかけるわけにいかないけれども、そういう場合があるのですから、私鉄を乗り入れるということなら、鹿児島交通だけでなくてよそにもあるが、どうしても列車を確保しなければならぬというあなたの強い考え方があるなら、あらかじめそういう私鉄の乗り入れについては、車両の確保もしようし、あるいはストなり、そういう事態が起きた場合には、予備員をしてこれに充てるという、事前に予備員の計算をするときに話し合いできめるように、労働組合と話をしてきめるわけでしょう。それをきめておけば問題はない。それを、そういう不測の事態になったときには、あくまでわがほうで何でもできるのだという解釈を下すから、組合としては、本来国鉄のダイヤのある仕事なら、それは予備員でやむを得ない、出ていくでしょう。いうならば、これはもともと私鉄が責任を持って確保しなければならない列車に、われわれがなぜ私鉄のダイヤで仕事をしなければならぬかという現場の職員の疑問が出てくることは当然でしょう、不満が出てくることは。そう考えませんか。
  97. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 私鉄の乗り入れでありましても、国鉄の本線上を走っている、しかも国鉄の時刻表に載っているものにつきましては、その部分に関する限りは国鉄の列車だとわれわれは考えております。したがいまして、その列車の確保ということにつきましては、もし事故がありました場合には、いかなる方法で最も急速にこの列車の運行の確保をはかるかという点で社のほうとも話し合いをするわけでございます。この場合、社線のほうがストをやっておりますので、これは物理的にわがほうで列車を確保せざるを得ない、こういうことになったわけでございます。  なお、お尋ねのそういう場合に予備員を考えてやっているかというお尋ねでございますけれども、乗務員の予備員、こういったものにつきましては、たとえば事前に、社線に事故があった場合にどうのこうのということでなくて、国鉄の長年の経験に基づきまして、大体このくらいの予備員を持っておれば非常災害の場合にも列車の増発ができる、あるいは臨時列車の確保ができる、そういう経験に基づいて予備員をはじいているわけでございます。その中で、一日限りの、本件に該当いたしますような一日限りの臨時列車の確保ということはできるわけでございます。社線の事故が起きた場合にどうのこうのというような、そういう算定でもって予備員をはじいてはおりません。
  98. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 職員局長、まだよくあれを知っていないのですよ。この場合には、ストはやったけれども、鹿児島交通の労使の中でストをやる場合でも乗り入れの列車は確保しようという紳士協定があったから、その点はよかったのです。ぼくが聞いているのは、あなたのいまの答弁だったので、これはたまたま三往復だからいいが、たとえば十往復であろうが、五往復であろうが、国鉄のダイヤに載っている以上、全部国鉄の責任でこれを確保しなければならないということであるけれども、そうするとこれは重大な問題が出てきますよ。
  99. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 先ほど申しましたように、国鉄本線上を走っております以上は、国鉄の列車でありますから、できるだけ確保することは当然だと思います。ただ物理的に、わがほうの列車、たとえば列車乗務員の手配は、これは直ちにできるか、あるいは社のほうの応援をかりなければできないか、それはそのつどそのつどの具体的な相談によってやらなければならないわけでございます。現に、そういう場合は国鉄当局と社との具体的な相談をやっておる。たまたまそういうふうに事故列車も入ってくる、列車が全部事故になったというような事例はいままでにないのでございまして、かりにあったといたしましても、できるだけ確保する。その確保する手段として、どうしたら早く列車の運行が確保できるかということです。社のほうと具体的に相談するということは、これは当然だと思います。
  100. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 長話しはできませんが、結局そうしますと、ダイヤに載っておるということであなたはどうしても確保すると言われるが、重大な事故をやったらどうなりますか、国鉄の線路上で。国鉄のダイヤに載っている、しかも私鉄の乗り入れ列車だとすると、どうなりますか、それは全部国鉄がかぶりますか。
  101. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 先ほどから申し上げておりますように、具体的な問題としてできるだけ確保するということで、物理的にできないものはいたしかたないのでございます。なお申し添えますが、鹿児島交通との協定書、先ほど豊原常務から読みました第二条によりましても、車両故障によりやむなく運行不能の場合のほかは、社において特段の措置を講ずるものとする、こういっております。この意味は、車両故障によって運行不能の場合のほかは、特段の措置を社で講ずる。車両故障によって運行不能になった場合に、社のほうはお手上げだから、国鉄にお願いするというようなことは、はっきり書いておりませんけれども、そういう意味がこの中にも含まれておる、こういうことでございます。
  102. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) それは社のほうができないという実態だったのです。だから国鉄の車両を使った。しかも国鉄の要員を使ったわけです。だからぼくは、そういう場合に、国鉄が確保したのがけしからぬと言っているわけではない。私鉄が乗り入れる場合には、あらかじめそういうことが想定せられなければならない、スト権を持っているんだから。車両故障は生きものだからある。そうすれば、それに車両を使う場合もある。要員を使う場合もある。車両は操作できるからいいが、しかし要員を使う場合には、国鉄の増発列車に乗せるとか、事故の列車に乗せるとかいう要員の使い方とはおもむきが違う。本来ここが問題なんです。乗り入れの列車には、いまの職員局長の話では、国鉄のダイヤに発表して国鉄の線路を走っておるからわがほうの責任だと言うから、問題があると言っている。責任の所在のあり方は、乗り入れた私鉄になければいかぬのです。そうすると、乗り入れた私鉄の側に原則がある。ですけれども、その中にいろいろな不測の事態で乗務員を使うというときには、要員の配置というものは労働組合とやはり、場合によっては私鉄に乗る場合もありますという一つの協定というものが必要じゃないか。それがないからこのような問題が起きてくるということなんです。わからぬぬですか、それは。
  103. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 列車の運行確保という点につきましては、先ほど来申し上げているように、社と相談の上、国鉄の責任においてこれを確保するということになっておりますが、その場合に国鉄に不測の損害を生じたというような場合には、損害負担の問題になるわけです。そういう場合においては、社においてどの程度損失を負担するか、あるいはどの程度国鉄がみるか、これは損害負担の問題でありまして、ただいまの先生のお話は両者を混同されているのじゃないかという気がいたしております。
  104. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 混同しているのはあなた方じゃないか。損害の負担ということばが出たのはいま初めてだ。ぼくは損害の負担とは言っていない。不測の事態が考えられる場合に、列車確保はいいが、その際にあらかじめ国鉄部内の労働組合と話し合ったらどうか。そうすれば、今度のような問題は…、混同しているのはあなたのほうじゃないか。失礼じゃないか。損害負担というのはいま初めてあなたが言っている。待ちなさい。職員局長、おれのどこが混同している。混同していると言うけど、何が混同している。
  105. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) これはことばの使い方がはなはだふなれでありまして、はなはだことばの悪い点はおわびいたします。ただ列車運行確保の問題と損害負担の責任の問題とははっきり区別しなければならないという意味で申し上げたのであります。
  106. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) わからぬ話を長くしてもしようがないが、損害負担とだれが言っておりましたか。あらかじめ労働組合と協議することをやらないで、業務命令で、処分すると言っておどかすから、問題が起こる。事前にちゃんと、そういうことが私鉄の乗り入れの場合には考えられるから、ぼくの言うのは、列車の運行を確保する場合においては、やはり部内の労使の間で、不測の事態を考えて、あらかじめ協定をしておいたらいいじゃないかどいうことをぼくは言っている。建設的な意見なんです。一つも混同していない。損害負担というようなことは言ってない。これは、鹿児島交通の問題を言いましたが、たくさんあるわけです。だから、そのときに問題を起こさぬためには、その必要があるのじゃないかと言っているわけです。その必要があるかどうかということです、結論は。
  107. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 相互乗り入れの場合のあらゆるケースを想定いたしまして組合との間に協定するということは、これはまあできれば望ましいことかもしれませんが、あらゆるケースということは非常にむずかしい問題でありますので、あの鹿児島交通との乗り入れにつきましては、乗り入れ回数も列車の編成もきわめて小規模のものでございますし、今回起こりましたような場合には予備員の運用等で仕事をこなすことができるわけでございますから、従来のような方法でやったことは、私どもとして間違っておったというふうには考えておらないわけであります。
  108. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 間違っているとかどうとかじゃない、ぼくは建設的に言っているわけだ。これはなるほどそういう場合には、列車を確保するということは優先的に考えられるから、あらかじめ、そういう場合が考えられるから、労働組合に協力してくれという協定があっても、一つもさしつかえないのじゃないか。ないから、そこで汽車がおくれたり、あとから処分問題が出たりする。だから、ぼくの言っているのは、あなた方のあげ足をとって責めるという観念でこられたら間違いだけれども、ぼくの言うのは、たくさんある、鹿児島交通だけの問題ではない、よそにもあるから、私鉄が乗り入れの場合には、車両の問題、スト権の問題もあるから、その不測の事態に備えて、その場合には部内の労働組合も協力してくれ——私の理解は、乗り入れる列車については乗り入れる社が責任を持たなければならない、そのことを言っているわけです。どうですか。あなたちょっとお休みになっておったから、……ぼくが言っているのは国鉄の中に私鉄が乗り入れる場合ですよ。それは私鉄だからストライキ権もあるし、車両だから故障もあるわけです。その場合に、そういう不測の事態が考えられる。その場合には、乗り入れた私鉄のほうに責任の主体性を持たせなければいけないのじゃないか、その点を言っている。国鉄はそういう場合に、国鉄の乗り入れの線区においては、いま職員局長は、国鉄のダイヤにあるから、あげて国鉄に責任があると言っているが、そうじゃないのです。
  109. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、国鉄内部の事情、私もよく承知いたしておりませんが、先ほどから中村議員の質問の要旨を考えますと、乗り入れの場合には双方で話し合いをして、そして私鉄にはスト権があるから、あるいは列車の故障等もあるじゃないか、だから、そういうときには国鉄の列車を使うということになった場合に、国鉄の労組の協力を求めるような話し合いをつげておいたほうがいいんじゃないか、こういう御質問のように聞きました。私はやはりそういう話し合いがつけば、そういう話し合いをつけていったほうがすべてスムーズにいく、かように考えます。
  110. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) それじゃ、いま大臣に申し上げておきますが、それがなかったために、いたずらに紛議をかもして、列車が五分か七分かおくれておるわけです。それは国鉄職員の側からいえば、もともと私鉄の仕事ですよ、乗り入れ列車ですから。それに乗っていいのか悪いのか、そこで、おまえのほうは業務命令にそむいたとかなんとかいって、処分するとかいっておどかしているわけです。この間、労働課長に、どういうことになっておるかと聞いたら、国鉄の労働課長は、処分がおそろしいから乗って出たなんてけしからぬ話するので、ぼくはますます頭に来たんだけれども、要するに、そういう不測の事態が予想されるから、いかなる事態にも即応できるような体制を整えるには、いま大臣言われたように、労働組合の了解というものが必要じゃないか、ぼくはそれを言っている。大臣もそういう答弁があって、国鉄がやるやらぬはこれから先の問題だから、いわゆる監督官庁である運輸大臣の意向としては、それを妨げてはいかぬ、むしろ、建設的な一つの措置だからやるべきだとおっしゃるから、これは国鉄よく聞いておいてもらわなくちゃ困る。  それからもう一つ最後に、運転二科という問題がある。これは職員局長一番詳しいが、これは非常に重要な問題だ。私は国鉄の機関車のハンドルを握った経験があるが、列車の安全運転ということについては、これはもちろん人間が運転するのだから、非常に重要なこれは要素を含んでおる。これはどういう考え方からこういうものが出てきたのか、説明をひとつしてもらいたい。
  111. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 国鉄で毎年約一万名近くの人員を全国にわたって採用いたしておりますが、昨今の労働需給の関係から、なかなかいい素質の青年が採りにくくなってきておる情勢はいなめない事実でございます。特に東京、大阪、名古屋、こういう大都市におきましては、なかなか所要の数もそろわない、したがってまた、いい素質の青年を国鉄に採用できない、こういう情勢がますます強くなりつつあるのでございますが、ただ、その中でも、まだ、運転士になりたい、あるいは列車の機関士になりたい、こういう希望を持っておる若い青年はかなりおるのでございます。現在の国鉄の職員採用の方式といたしましては、ただ一般に国鉄職員を採用する、こういうやり方でありますために、どこへやられるかわからぬ、国鉄へ入っても、どこで働かされるかわからない、こういう気持ちから、おれは運転士になりたいのだという気持ちでおる者も、国鉄を避けてほかへ行くというような事実もございます。したがいまして、初めからおまえは運転士になるのだ、機関士になるのだ、こういうことではっきりした目的意識を持ってくるような採用のしかたをやりますと、まだまだ東京、大阪、名古屋におきましてもいい素質の青年が採れる、こういう調査をいたしました結果、見通しを立てましたので、それに基づきまして運転士としての採用をするということを始めたわけでございます。これをまだ全面的にやるというほどにまだ考えをきめたわけではございませんけれども、この結果がよろしければ、将来の採用方式はその方向に進みたい、かように考えております。まず、試みのやり方として本年度からこれを実行する、こういうことにいたしたわけでございます。
  112. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) これは問題はこまかいようでも、将来何年か先の国鉄の運転技術ということに関連をするので、非常に重要なんですよ。最近は大きな運転事故がないからいいようなものだけれども、いままでの本委員会でも何回も、そういう重大事故に直面をした国鉄の実態が論議をされたことがあるが、単なる青年の希望をかなえるとかなんとかいうことじゃなしに、国鉄の運転技術がどうあるべきかということを考えられて、いまたまたまお話の中にあったように、いままでとってきた方針がよくなかった、それは単なる国鉄職員として採用したから、それが本人が機関車の運転士を希望しておっても、必ずしもそうはいえない部署に配置をせざるを得なかった、こういうこともある。しかし、それは最近のことであって、昔はそうではなかった、昔はやはり機関士なら機関士、運転士なら運転士のコースをたどりながらそこに終着したもんですよ。途中で変えたのはあなた方が変えたんです。本人の希望がこうあったのを、よその部署に持っていったのは、あなた方がやったことです。ただし、それはそれにしても、いまその目的でもって入って、そのコースを進んでいる人が何千人かいるわけだね、これは。これはどうなるんです。
  113. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 現在すでに機関助手になっておりまして、将来機関士になるという者が、これはもちろん先生のお話のとおりございます。この機関士への昇進につきましては、従来どおり何ら変わりのないものでありまして、また、今度の運転二科の設置によりまして、従来の機関助手の人事がそれだけ阻害されるとか、おくれるとか、そういうことにはならないのであります。また、この運転二科を終了いたしまして機関士になる年齢を考えてみましても、従来の機関助手が機関士になる年齢、これは早いほうの例でございますけれども、大体二十三歳ぐらいの年齢で早い者がなりますが、まあその早いほうの線に合わせるということは考えておりますが、従来からおる者がこの運転二科の設置によって不当におくらされるという事実はございません。ただ、いま先生のお話の中にありましたのは、あるいは現在高年齢の機関助手として、ことばは悪いかもしれませんが、万年機関助手というようなことでたまりになっているというような者が多少ございます。その者の処置をどうするかという御心配であり、御懸念であろうかと思うのでございますが、これらのグループにつきましては、これは普通の試験をやりましては、機関士になかなか採用できません。年齢もかなりいっておりますので、普通の学科の学校的な試験をやったのでは、若い者と同じような試験を受けさせられましても、なかなかこれは通るものではございません。したがって、これらの高年齢の機関助手につきましては、特別の教育を施しまして、また、試験の程度も変えまして、レベルを下げるという意味ではありませんけれども、試験のやり方を変えまして、こういう高年齢者層の機関助手の機関士への昇進ということにつきましては、今後一そうの特段の意を用いるつもりであります。
  114. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) 時間が長くなりますからやめますが、いま職員局長の話だと、要するに、この問題の出たところは、やはり列車の保安を確保する、国鉄の列車の保安を確保する意味においては、まず人的に内容を充実していくということが目的でしょう。それが目的でしょうから、重ねて私は答弁要りませんが、これはもう何人も否定することはできない。いわゆる整備された車両と、それから訓練された乗務員、これはもう切り離すことのできない問題だから、そこで、その人的な面は十分訓練をされ、それぞれの専門的な知識を持った人を充てることが主だと思います、いまの答弁でばね。そのために、いわゆる高校を出て、さらに国鉄の部内の教育を受けてやると。これは私はひとつふに落ちないのは、もしそれがあなたのいま言われたように、全面的にできないというのですが、もしこれはそういうことをやらなければならぬと、いままでの経過から見て。というなら、全面的に実施されたらいいじゃないか、全面的に実施をして、乗務員というものはかくあるべきだという考え方なら、それで確保するという方法があるでしょう。それからもう一つ、いまのたとえば古参のコースを歩いてきた人の処遇ですね、これも、なるほど採用時においては、やはりそのときの社会情勢から見て、あるいは学力の劣った人もあるかもしれません。これはその人だけではなしに、全体的にですね。もしそういう人があるとするなら、これはやはり特殊な教育をあと追加的な意味から三カ月なり四カ月専門的に施して、そして、それも十分訓練をし、そして内容の充実をし、人的に確保するという方法もあるわけです。そうしますと、何も労働組合と紛議をかもし出す必要ないじゃないか。
  115. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 先ほども申し上げたと思いますが、この制度がもしよければ、こういう制度に将来切りかえていきたいという気持ちは私ども持っております。ただ、今年度何ぶんにも始めたばかりでございまして、われわれといたしましても、全般的に、全的にこれが絶対にいいんだというほどの確信は、これは申しわけないようでございますけれども、率直に申し上げて持っておりません。したがいまして、その成果を見まして、もしよければ、そういう方向に漸次この制度を切りかえていきたい、かように考えておるわけでございます。
  116. 中村順造

    委員以外の議員(中村順造君) それじゃ結論ですが、私は結局、この制度が悪いとは言っていないのですよ。考え方がなるほど、いままでの社会情勢から見て、このままの人的確保では、あるいは不安な点もあると思う。ここまでは私は了解できる。それから、その次にとる手段としてはかくかくの手段があると。これはいいんですよ。それは十分おやりなさい。将来のいわゆる安全運転の見地からやってもいいんだが、それについては、一つは、やはり恒久的な計画を持たなければならぬ。これはただ一時的にもしよかったらということで、もし悪かったらどうなるか、反対にたいへんなことでしょう。だから、慎重の上にも慎重に考えて、これはあなたのほうが確信がない、しかも恒久的な見通しがないということが、私は言いたいところである。ところが、いいとなると、確信を持って全面的にそれに切りかえる。何か途中で特殊な横道から別な教育を受けた人が入って、それが何かエリート意識みたいなものを持って、そうして、そこの中に入るということを職場の職員が歓迎しないわけです。それで、それがよかったら全面的に恒久的な見通しを立てておやりなさい。それから、いまの人は当時の社会的な情勢から十分な教育は受けてないというならば、国鉄に一たん採用した人間だから、しかも、これは将来運転士なり機関士にするという条件で採用しておるのだから、それに見合った教育をして、全部それをやればいいんじゃないか、こういうことを言っておるわけですから、これは最後に、どうでしょうか、常務理事お認めになりますか。
  117. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) おっしゃるとおり、われわれといたしましては、非常に重要な運転に当たる人に優秀な人材を得たいというのが、すべてに優先する目的でございますから、ただいま先生のおっしゃったような方向でやりたいと、かように思っております。     —————————————
  118. 江藤智

    委員長江藤智君) 休憩前に引き続きまして、航空に関する件等について、質疑を行ないます。
  119. 源田実

    ○源田実君 最初に、基本的なことをまずお伺いをして、それから、若干細部の問題に触れたいと思うのでありますが、この航空事故が二、三年前に民間航空において続出した際に、また、今度の場合にもこういうことが起きますと、いつでも施設の問題、要員の問題、そういう要するに拡充することが常に言われております。しかし、これもけっこうでありますが、拡充して飛行場を広くするとか、あるいはGCAのほかに、またILSをつける、あるいはいままでGCAがなかったところにGCA施設設備をやるということだけでは事故は減ってこないと私は思うのです。これは問題は運航率を高めるだけであって、事故の生起する公算は、そういうものをふやせばふやすほどふえてくる。いままで雲高が六百フィート以下の場合にはつけなかった飛行場に、二百フィートでもそういうGCAならGCA、ILSならばILSをつけるわけだ。そうすると、それだけ危険な場面によけい入ってくるわけですから、その運用を誤れば事故がかえってふえるのです。それで、飛行場が広ければ事故は起きないと言いますけれども、狭い飛行場ならば、この地点より先に接地した場合は必ずやり直すのだというようなことがパイロットに徹底しておるならば、事故は起きないはずだ。この前の大分なんかも、飛行場が狭いから事故が起きたということをパイロットも言うし、いろいろ言いますが、そんな狭いところに、しかも、自分の予定の接地点よりもオーバーして着いて、それで飛行場が狭いと言うのは、見当が狂っておると私は思うのです。こういうぐあいに飛行場だとか、設備とか、そういうものに罪を着せておっては、いつまでたっても事故というものはなくならない。それで、事故というものはよく不可抗力ということが言われるのでありますが、事故を分析して、徹底して詰めていったならば、いかなる事故といえども、全部人的ミスに入る。人的、ミスがない事故はいまだかつて地上に起きたことは私はほとんどないと思うのです。隕石が飛行機にぶつかって落ちたということがあったらば、これこそ不可抗力かもしれませんが、そういう例はいまだかつてないのであって、設計の誤りか、整備の誤りか、管制の誤りか、パイロットの誤りか、どこかに人的ミスに帰することができると思うのです。その人的ミスを防ぐことが事故をなくする根本の問題であって、その問題をやるためには、おのおのの職場の人が自分に与えられた仕事を、簡便な、手軽な方法でやらないで、いわゆるショートカットみたいなことを絶対にやらないで、正確に守っていく、回りくどかろうが、何であろうが、確実に守るということが、事故を防ぐ最大の要因であると私は考えておる。したがって、この問題に手を触れない限りは、幾ら飛行場を広くしようが、日本じゅう全部を飛行場にしたって、事故はなくならない。したがって、これに対して運輸省で、この航空事故をなくするために基本的な問題はどういうぐあいにお考えか、これひとつ大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
  120. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私も源田委員の仰せられるように、事故を防ぐのは結局は人の問題にかかってくる。何ぼ飛行場を整備しようとしましても正常な運転に対応するだけの設備以上はなかなかできるものじゃない。それで、いつも掃除その他設備取り扱い方が正常な形で行なわれておるということが一番大切だと、そういうことを考えますので、すべての航空関係のある施設等に携っておる人たちが、油断なく真剣に技術を練摩して、そうして正常なつとめを完全に果たしていけるというような環境をつくることが大切である。そういうことを第一義に考えて、搭乗員養成とか、管制員の養成とか、その他の従業員の養成をつとめていくということとあわせて、やはり設備等も整えていく、働く人たちの過重労働にならないような一つの労働環境等も整備していく、こういうふうな方向をいま考えておる次第でございます。
  121. 源田実

    ○源田実君 これから具体的な問題に、潜在的事故の原因となりそうなものの一部を若干お聞きしたいのですが、一つは、パイロットに対する気象のブリーフィング、これはどういうぐあいにやられておるか、お願いしたいのです。この航空局からいただきましたフライトプランを見ますと、ここには気象のブリーフィングの欄が全然ないのですが、この気象のブリーフィングの欄が、そのフォームが別にあるのかどうか。あればどういう項目について、パイロットにブリーフィングされておるか、それをひとつお聞きしたい。
  122. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) ブリーフィングの問題につきましては、実は先生御指摘のように、クリアランスを与える書類の中には、気象の欄は記入してないようでございます。そういったクリアランスを与える紙につきましては、気象庁としては取り扱っておりませんけれども、その中に気象の欄がないということにつきましては、そのかわりに、空港にございます航空気象台あるいは航空測候所がそれにかわってブリーフィングをするということでございます。そのクリアランスの紙とブリーフィングとは別にやっているような現状でございます。それはICAOの制式できまっておりまして、航空法のほうでもそういうようにやっていいというようにきめられているようでございます。
  123. 源田実

    ○源田実君 別個にいままで米軍とか、あるいは自衛隊でやっているフライトプランにおいては、気象のブリーフィングが精細に行なわれている。それで、きわめて精細なブリーフィングが行なわれている。しかも、それは書類によって出されている。それから、それに気象予報官がサインをして、責任をちゃんととるようになっている。それでもし、向こうのデスティネーションの天候が飛行に耐え得るというような予報を出しておって、実際行ってみて、そこにサンダーストームがあったというような場合に、事故を起こす可能性が多分にあるわけです。そういう場合の予報が誤った場合の責任は、一体だれがとるかということになると、やはり書類によってブリーフィングで、それにサインをして、ちゃんと責任の所在を明らかにするようなブリーフィングの方法が必要だろうと思うのです。これについてはどう考えられますか。
  124. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) サインをするという問題で、責任を明らかにするということでございます。それは確かに先生のおっしゃるように、責任の所在を明らかにする一つの方法であろうと私も考えております。しかし、現在におきましては、そういうふうになってないというような次第でございまして、現在どういうふうになっているか、責任の所在に関係いたしまして、どういうふうになっているかと申しますと、大体ブリーフィング担当者は、たとえば羽田におきましては、予報課長が指名しました、指名した者に限ってブリーフィングをするということになっておりまして、実際は上番中の予報官がその指名を受けまして、その日の何時から何時までの責任者ということになっております。  それからまた、ブリーフィングに用いられる各種の予報は、主任予報官と申しますか、それからシグメット情報がございますね、シグメット情報につきましては、予報課長あるいは警報というものが、つまり、東京航空気象台の台長の点検を経なければ発表することができないようになっていることでございまして、一言で申しますと、東京におきましたら、東京の羽田の航空気象台の台長が最終の一応の責任を負うというような仕組みになっているわけでございます。公にはそういうことになっております。
  125. 源田実

    ○源田実君 ここのところが、私は、いま最終的には気象台長がとるというお話ですが、これはあらゆる事故もしくは気象関係事故のやつを全部とったら、気象台長幾らあっても足りないだろうと思うのです。したがって、やはり一つ一つの予報について、それぞれの書類によった責任者を明確にする、このことが口でお互いにやった場合は、そういうことは言った、聞かなかったというようなことになって、結局、責任の所在がはっきりしないと思う。ところで、テープレコーダーでもとれば別ですが、責任の所在がはっきりしないということは、パイロットはウエザーの状況を詳しく聞かないで出ていく、それから予報官もパイロットに納得させてパイロットを出すということに欠けていくようになると思う。したがって、事故を防ぐ意味において、いま申し上げたような、こういうシステムに変えられたほうが私はいいだろう、これは私の忠告であります。  それから続いて、国内飛行のほうはパイロットのウエザーリポートが行なわれてないし、それから国外に出るやつはウエザーリポートをやっておるという話ですが、これは事実そうですが。
  126. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) そのとおりでございます。
  127. 源田実

    ○源田実君 この間の三月五日ですか、あの場合のウエザーリポートを見てみますと、昭和三十七年の三月十七日のあの自衛隊の四機の戦闘機が、あそこでシビア・タービュランスにぶつかって、二機がとうとう落下傘降下をせざるを得なかったというときの気象報告と非常によく似ている。もちろん、気象配置全体が非常によく似ておるのですが、あの付近を通った民間機もたぶんあるのじゃないかと思うのです。そういう人がもしウエザーリポートをやっておったならば、それが次のパイロットに、羽田なら羽田に到着して、それがパイロットによく行き届いておったならば、あるいはそこを避け得たかとも考えられるのですが、国内のウエザーリポートをやらないというのは、何か特殊な理由があるのですか。
  128. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) こまかいことについて私よくまだ調べておりませんけれども、いま担当者から聞きますと、そういう報告は何もないのだそうでございまして、どういう根拠でそういうことをやっておるかということは、全然そういう根拠はないそうでございます。
  129. 源田実

    ○源田実君 これも自衛隊なり米軍なんかの飛行機がしょっちゅう飛んでおるのですが、それのウエザーリポートはずいぶん出ておるはずです。こいつはもちろん気象台のほうにはいっておると思うのですが、それから、今度実際の民間のエアポートにどんどんそれが渡っておりますか。
  130. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 報告につきましては、自衛隊その他からの報告は、ほとんど全部羽田のわれわれのほうの航空気象台に入ってございますので、われわれの気象台では、それを処理いたしまして、関係方面にできるだけ流しているようでございます。できるだけという表現を用いまして、たいへん恐縮でございますけれども、最大の努力をして流しておるということを御了承願いたいと思います。
  131. 源田実

    ○源田実君 これもやはりそのほかの人がミスをおかした場合に、あるいは、ほかの人があぶない場面に遭遇して、この付近はあぶないぞというようなことがあったときに、それが機を失せず次の人に渡ることが、事故を防止するにはきわめて重要な要素であると思うのですが、したがって、これはどこの飛行機であろうが、パイロットリポートを受け取ったならば、次に飛ぶ飛行機へ必ず機を失せずそれを与えるような手段を講ぜられる必要が私はあると思うのです。それが、あそこの気象予報官のところでストップされて、そこであたためておったのでは、せっかく連絡ができておっても、何にもならないんで、パイロットは知らずに出ていくのですね。こういう点をひとつ、こういう忠告みたいなことばかり多くて恐縮なんですが、御注意願いたいと思うのです。  次に、今度は、気象図をつくる場合ですね。この間の三月五日の気象図は、日本全体の気象図を見ますと、富士山のはなにローカルのローは出ていない。ところが、局地の気象図を別個につくっておる。これは自衛隊から取り寄せて、これは数年前に、私がローカルのやつをつくるように、やらせるようにしたのですが、ローカルのやつを見ると、別個な、全体の気象図には出てないローが富士山のところに出ているのですね。そういうローカルの気象図を、こういうものをいまおつくりになっているかどうか。これをひとつお願いしたいと思います。
  132. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) ローカルの気象図と申しましても、いろんな気象図がございますでしょうけれども、大体必要な、必要と思われるローカルの図はつくっているわけでございます。
  133. 源田実

    ○源田実君 それから、次に、これは航空局でも、気象庁でも、どちらでもいいんですが、このハンドブックを見ますと、ここに羽田のアプローチにおいて、RVRがリポーテッド、ノット・リポーテッド、こう二つあるのですね。そのリポーテッドの意味は何であって、ノット・リポーテッドの意味はどういう意味になるのですか。これは文章のそれのを写したやつですから、それにはもちろんあると思うのですけれども……。これはILSの場合……。
  134. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) ちょっと的はずれの御答弁になるかもしれませんけれども、先生御承知のように、滑走路のわきに透過率計がございます。その透過率計が働いておりまして、かつ、ランウェー33Rがアクチブな場合にのみそういったリポートはするんだそうでございます。それ以外にはノット・リポーテッドというような取りきめになっているそうでございます。
  135. 源田実

    ○源田実君 そうすると、このノット・リポーテッドはおわかりだと思うのです。これは報告しない、されていないことですから。それがRVR、ランウエー・ビジュアル・レンジの略ですが、ランウエーの視認距離なんです。これがノット・リポーテッドの場合に二千四百フィートということが書いてある。ノット・リポーテッドで二千四百フィートー三千六百か……。
  136. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 大体二分の一マイル……。
  137. 源田実

    ○源田実君 二千四百は、リポーテッドが二千四百。その二千四百をきめるのが、結局、地上できめるのか、パイロットがきめるのか、どっちがきめることになっているのですか、最終的に。これ重大な問題だと思うのです。
  138. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 委員長……。
  139. 江藤智

    委員長江藤智君) 柴田君、いまのは君、飛行場の問題だろう、柴田君でいいのかな。気象じゃなくて、飛行場のことなんだぞ。
  140. 源田実

    ○源田実君 それは視認距離だから、気象上にも……。
  141. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 気象のほうにも関係があるものですから……。私のほうと、それは航空局のほうと、両方とも関係があるかもしれませんけれども、私が答えることになると、私もよくわかりませんので、羽田の次長がおりますので、次長でよければ、その点については次長に答えさしていただきたいと思いますが、委員長、いかがでございますか。
  142. 江藤智

    委員長江藤智君) そのほうがいいよ。それはわかる人のほうがいい。
  143. 久米庸孝

    説明員(久米庸孝君) ランウエー・ビジュアル・レンジとして通報されるものは、すべて透過率計ではかった気象台で測定した値であります。ただ同時に、パイロットリポートがタワーに落ちます。そこでRVRを、パイロットが自分で見たRVRを同時に送られます。これの判断はタワーにおいて行なわれております。RVRとして通報されるものは、これは透過率計ではかった純粋な値でございます。
  144. 源田実

    ○源田実君 そうすると、私がいままで聞いたところでは、パイロットがこれをきめる権限を持っておるということをちょいちょい聞いたのです。これはたいへんなことだと私は思ったのですね。各会社あるいは各パイロットがそれによって競争する、見えてなくても見えたと言えばいいのであって、これは非常にあぶないことが起きやすい、こう考えたのですが、そういうことは全然なくて、最終決定は全部タワーというか、タワーじゃない、地上の気象予報官のところできめるのですか、これは間違いないですか。
  145. 久米庸孝

    説明員(久米庸孝君) RVRそのものは気象のほうできめます。
  146. 源田実

    ○源田実君 そうすると、それによって与えられた視認距離がない限りは、もう降りてはいけないことになるわけですね。
  147. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) いまのお話のように、航空法施行規則百八十九条の規定によってこれを出しておりまして、羽田の最低気象条件をきめておるわけでございますが、先生御承知のように、RVRのリポートをされた場合には、二千四百フィートという規定がありますので、これの最低気象条件を割った場合に着陸を許さないということにいたしておるわけでございます。
  148. 源田実

    ○源田実君 同じくやはり東京国際空港のミニマムの場合に、この間聞いて、ちょっと訂正が最近あったらしいのですが、シーリングがゼロの場合でRVR二千四百フィートだったら着陸できるようにいままでなっていたわけですが、今度二百フィートに直ったそうですが、直ったわけですか。
  149. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 先ほど申し上げましたように、規則百八十九条による羽田の最低気象条件におきましては、先生御指摘のように、RVRがリポートされた場合とノット・リポーテッドの場合とあるわけでございますが、リポートされた場合にはシーリングの制限はございません。ノット・リポーテッドの場合には二百フィートという制限があります。これは現在出しておるノータムでございます。
  150. 源田実

    ○源田実君 ここで私はちょっとわからなくなるのです。シーリングがゼロということは、雲が地上まで下がっておるということなんですね、シーリングゼロということは。それで、視程が二千四百ということもほとんど考えられないのだが、雲が地上まで下がっておって、たとえ二千四百水平距離が見えたとしても、上下の判定はつかない。パイロットには地面が見えないのですから、垂直距離はないのです。そうしたら、一体高度の判定はパイロットはどうするのか。それで、もし最後まで、最後のタッチダウンまでGCAなりILSで完全に誘導できるだけの設備が整っておって、それでこれに信頼できるならば、これは視界ゼロ、それからシーリング・ゼロ、どちらでもいいと思う。どっちであってもよろしい。しかしながら、一方でビジビリティーのほうは二千四百フィートにして、そしてシーリングはゼロで着けるということ、これは、パイロットがやっても一つもこれは違反にならないのですね、着ければ着いて……。しかし、こういうことがここに載っておることは、パイロットがやっても差しつかえない。やればこれはもう事故になる可能性は非常に多いと思います。最も運航の安全を期すべき民間航空で、軍航空においてもこれはどこもやっておりません、ほとんど。アメリカでちょっとやって、やったところが、非常に事故が多いからやめてしまって、全部、シーリング・ゼロというものはほとんどやめたのです。シーリング・ゼロをいま各国どうやっておるか、私一々歩いて調べておりませんが、民間航空においてシーリングがゼロの場合に非常な危険をおかしてまでおりる必要があるか。お客さんはそうは望まないのじゃないかと思う。あぶないところをおりるより、新たにほかの代替飛行場に行くというようなことも考えられると思うのですが、これはどういう理由でシーリング・ゼロにしてあるのですか。それからもう一つ、このゼロでおりた例がいままでどれくらいあるか、これをひとつお聞きしたい。
  151. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) ちょっと先ほどの説明を私誤りましたので訂正さしていただきましてもあと専門家から説明を補足申し上げさしていただきます。  シーリング・ゼロと言いましたのは、シーリング・ゼロの場合においておりていいという意味でなくて、RVRを使う場合には、RVRの数値を基礎にしてきめるということで、この場合には必ずしもシーリングがゼロということでなくて、二千四百フィートある場合にはある程度シーリングがあるというようなことを予定しておる、したがって、この数値には関係なくこのノータムを割り出したのだという説明でございまして、ひとつ専門家から補足をさしていただきたいと思います。
  152. 浜田幸晴

    説明員(浜田幸晴君) ただいま局長から申しましたように、RVR二千四百を採用しておりますときに、透過率計によって二千四百フィートの視程があるような状態の場合には、原則として、この二千四百フィートというのは二分の一マイルに対応する数値でございますが、通常二分の一マイルの視程に対応する二百フィートのシーリング、これは二千四百フィートの透過率計によるダウントヒジレンジがある場合には当然あるのだという前提でこの制度がつくられておる、したがいまして、RVRを用います場合にはシーリングの数値にかかわりなくやって支障がないのだというたてまえになっておるわけでございます。
  153. 源田実

    ○源田実君 そうすると、このゼロというのは意味がないので、二百なら二百ということを書くわけにいかないのですか。そのほうが安全じゃないのですか。そういう特殊な場合も私は考えられないこともないのじゃないかと思うのですがね、気象条件によっては。どうしてこれがゼロになっておるか。もしこういう場合はどうなんです。これは地上だから、地上からわずか二寸かあるいは一尺くらいのところで雲が切れて、そこから先はずっと滑走路の端まで見える、こういう気象条件、めったにありませんが、まあ、あった場合に、そういう場合には着けるかどうか。
  154. 浜田幸晴

    説明員(浜田幸晴君) この現在のRVRを使っておりますのは、東京国際空港の滑走路の三三側のみでございます。したがいまして、あの三千メートル以上ある滑走路が、滑走路の視程がすべての部分について同一だという前提ではございませんで、三三側だけについて申しておるのでございまして、したがいまして、透過率計もそれに見合うような位置に配置してあるので、三三側に関する限りほぼバイ、タイ同視程が保たれておるであろう、したがって、二千四百フィートの視程がある場合においては、二千二百フィートのシーリングは確保されておるであろうという前提でございますが、これを両方の滑走路を使うということになりましたり、あるいは、さらに長い滑走路を用いますような場合には、透過率計の配置その他につきまして、さらに検討を要することだろうと私ども考えております。
  155. 源田実

    ○源田実君 これを、くどいようですが、二百フィートなら二百フィートということをはっきりと、雲の一番下は二百フィートはなければいけないのだということをはっきりここに出すわけにいかないのですか。安全の上からいえば、二百フィートというのはわずか六十メーターです、そのくらいの雲の高さがなければ、大体いまのGCAにしろILSにしろ、ちょっとパイロットは自信を持っていけない、相当熟練した。パイロットでも着けることはできないだろうと思う。はっきり押えられたらどうなんです。
  156. 浜田幸晴

    説明員(浜田幸晴君) ただいまの御提案につきましては、このRVRを用いた場合のみならず、ADFアプローチの場合等におきましても、従来のシーリングにかわる概念といたしまして、デシジョンハイトという概念を持ってまいりまして、その際にはRVRの場合でも、先生御指摘のような場合でも、デシジョンハイトが導入されることによって、御要望に沿い得るのではなかろうかと考えております。
  157. 源田実

    ○源田実君 いまのそれがそういうぐあいになっておるとすれば、それを採用されればまあいいかと思います。  次に、もう一つここでちょっとお伺いしたいのは、あの航空路のグリーン3が茅ケ崎から名古屋に向かってまっすぐ通っておりますね。このグリーン3のミニマム・アルチチュードが一万五千フィート、中心線は富士山のちょっと南ですか、その付近を通っておるはずです。富士山の北ではなくて、ちょっと南に入っておる。そういうところを通っておるこのグリーン3そのものは、明らかに富士山を含んでおる。ところが、そこで、一万五千フィートというミニマム・アルチチュードというものは、富士山の高さが一万二千三百何十  フィートですか、くらいあるのです。そうすると、富士山の高さの最小限五〇%は高く飛ばなきゃならない。これはマウンテンウエーブの影響を避けるためにも高く飛ばなきゃいけない。ことに気象条件の悪いとき、あの付近をジェットストリームが通ったり、あの付近にフロントがひっかかっている場合に、どんなことがあっても、富士山より相当高いところを飛ばなければならない。これは他の場所も似たようなところがあるのですが、ことに大事なのは富士山付近。これが一万五千フィートということで押えてあるのですが、これはいろいろほかとの関係もあるかもしれませんが、この一万五千フィートはすみやかに——今度の事故の原因などはまだはっきりしないけれども、要するに、ああいう気流の撹乱による事故という算は非常に多いと思う。そうすると、あれを、一万五千フィートならばパイロットはVFRの場合はもちろん、IFRの場合でも一万五千フィートであそこは通れるわけですね。それで、そうすると、また、ああいうことにひっかかる可能性があると思うんですが、こういうものは、この単にグリーン3だけでなくて、そのほかのところも、必要なこの最低高度というものを、これを再検討される必要があると思うんですよ。この日本のように、ジェットストリームが冬は常に通る。そしてフロントが常に日本の付近にはやってきておる。しかも、そのジェットストリームとフロントの、ちょうどその付近の高さが五百ミリバール、富士山の付近だったら五百ミリバールぐらいのところですね。とょうどジェットストリームのずっと北のほうと、それからフロントとがぶつかる。それにマウンテンウエーブがひっかかってくる。もう三重の気象撹乱要素が重なっておるわけです、あの付近には。したがって、それを排除するためにも、あの付近をもし飛ぶ飛行機は、飛ばせるとすれば、この一万五千フィートという高度は、これは早急に改正しなければならないと思うんですが、そういう点はどうでしょうか。
  158. 泉靖二

    説明員(泉靖二君) ただいまわれわれが使用いたしております航空路のフライトエリアは、最も高い山岳から二千フィートの高さを飛びまして、それを最低安全高度といたしております。いま先生の御指摘であります気象状況、特に冬季の気象状況、あるいは山岳波の影響を考慮しての最低安全高度の問題は、これは従来の最低安全高度の設定と若干違った概念だと思います。その点につきましては、さらに研究さしていただきたいと思います。
  159. 源田実

    ○源田実君 実はね、私は何も学者ぶるわけじゃないんですが、アメリカではもう天気は非常にいいと、非常によくて、気流も非常にいいが、突如として、ものすごい乱気流の中に入って、それで飛行機がこわれるというようなことがあったもので、非常にこれを調べたんです。調べた結果がこの本の中に載っておるんですが、その結論として、可能な限りそういう場所は避けろと、たとえば富士山のようなところは避けて飛べと、それから、もしやむを得ず——これは軍航空のことを主にしておりますから、やむを得ず飛ばざるを得ないことがあるんですね、その場合でも、少なくとも山の一番高いところから、その高さの五〇%余裕を持って飛ばなければいけないということが書いてあるんです。あとから見ていただきたいと思うんですが。そういういろんな資料を集めてつくって——これはずいぶん前につくったんですが、あの二千フィートというのを日本におる米軍も平気で使っておるというのが私には了解できないんですが、少なくともアメリカは、アメリカ人が死ぬ分は——これも困るんですが、まあ向こうがそれを飛ぶとしても、日本側だけは少なくともあすこを五〇%高くすれば、いま一万五千フィートのところをもう五千フィート上げて二万フィートにすれば、ああいう災害を非常に避け得ると思うんです。ところが、二万フィートでもほんとうは必ずしも安全ではないんです。三十七年の航空自衛隊の事故は一万九千フィートでやっております。したがって、二万フィートは必ずしも私は安全じゃないと思うんです。したがいまして、このグリーン3という、公然たる天下の大道、国道何号というような、スピード違反をやらない限りはどんどん通ることができる国道があすこへつくってあるんですね。しかも、それは安全性が確保されておるという前提に立っておるんですが、すでに二件こういう大きな惨害を伴っておる現状において、富士山付近は、ある特殊な気象状態においては、あの付近の飛行はやむを得ないもののほかは全部禁ずると、ある高度、たとえば三万フィート以下の高度は全部禁ずる、あるいはもう一つは、それ以下で飛ぶ場合は、富士山からどれだけの距離を離さなければ、VFRであろうが、何であろうが、あすこを飛んではいけないという指令が、日本においては、これはノータムみたいなものでも出されて、早急に対処しなければ、この間、事故があってすぐに乗ったのですが、乗った飛行機がやっぱりあそこを、低いところを飛ぶのです。あれは国内航空か何かの飛行機ですが、私はそれをコックピットに入って一々文句は言わなかった。私言うわけにいかない、機長が全部責任を持っておるから。しかし、あそこらにマウンテンウエーブがあるということをはたして考えておるであろうかどうだろうかと考えざるを得ないようなことがあるのですね。したがって、これはやはり運輸省から、これは他の機関とも御相談になる必要があると思うのですが、少なくとも、やむを得ないもの、軍航空なんかのような演習か何かでやむを得ないもののほかは、あそこはとにかく当分の間、当分というか、あるいは永久かもしれません、気象条件が日本でそう簡単に来年から変わってくるというわけにいかないのであって、これはあそこを避ける、あそこを避けて飛ぶのに何の苦労もないと私は思う。ちょっと回ればいいのです。南を回るか、北を回るか、それだけのことをやるだけですね。富士山のあのエアーウエーが、富士山のほとんど真上ですね、エアーウエーの中に入っておれば、真上からずっと客に噴火口の穴を見せることが可能なんです。したがって、そういうことはなるたけ避けたらいい。なるたけじゃない、避けたらよろしい、こういうぐあいに思っているのですが、これひとつ関係者、それから大臣と、こういう処置をですね、よく言われるように、これから検討しましてということをよく言われるのですが、航空事故なんかの場合は、とにかく、こういうことをやりさえしなきゃ事故はないのですから。それから、それを再びやる場合には、十分検討した上でいよいよ安全だという確認を得てそれをやる、さしあたり、まずそこをやる、こういう処置が事故防止には必要だと思う。検討した上でその禁止処置をとりますじゃ、その間にまた起きるかもしれない。そこらのお考えをひとつお伺いしたい。
  160. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 源田先生の非常に専門的な御指摘でございまして、ここで直ちにお答えできませんが、いずれにしても、早急に、われわれの専門的な者の間でこの問題を検討いたしまして答えを出すようにいたしたいと思います。午前中に木村先生からも御指摘ございました重要な点であると思いますので、そういうふうにさしていただきたいと思います。
  161. 源田実

    ○源田実君 それはそれで終わりまして、次に、やはりこれも航空局から、羽田のVFRの、これは有視界飛行です、有視界飛行の場周経路の、これは一つ——いろいろあるらしいのですが——型をもらったのですが、この場周経路を見ますと、なるほど、あたりまえどおり、どこでもやるようにできておるのですが、あれほどたくさん飛行機が密集して着くところにですね、何といいますかね、このIP——イニシアルポイントというか、あるいはポイントファンネルという、要するに、飛行機がそこは必ず通過しなきゃならぬ、そこは高度幾らで通過して、そうして、何時にいま通過して、高度幾らでやってということを必ず報告しなければならない点があるわけです。これはほかの、千歳であろうが、それから関東の西のほうにある四つの軍飛行場、これなんかが全部、その飛行場に有視界飛行で入る場合にも、どこを必ず通らなければいけない、いまこの上に来たと言うと、それをタワーが聞いてですね、おまえはそのままアプローチを続けろ、そうして、次にはどこで報告をしろということをまあやるわけです。これは羽田でもやる。しかし、最初のところが、この場周経路に入るその場所がはっきりしてないと、こんな長い場周経路にどこからでも入れるような気がするのです。この場合だったら、ベースレッグのほかは、ダウンウインドレッグにどこでもこれは入れると思うのです。そうすると、管制官のほうでは順序をきめたつもりでも、自動車のようにすぐ割り込みが可能である。だから、一定点をちゃんと、国会の門みたいにあそこを通らなければ中へ入れないのですから、あそこでおまえ何番目、おまえ何番目ということをきめられれば、そこから順序よく、それから追い越しは絶対できない。そうすると、秩序よく着陸できるのです。それがきまっていないと、全日空の飛行機は、事故調査報告を聞いてみないと何やったか知りませんけれども、場周経路の中のどこへでもすぱっと飛び込めるというようなことがあれば、これは単にその飛行機が危険であるのみならず、他の飛行機にも非常な危険を与えるということを私は思わざるを得ないのです。そこで、このIP−イニシアルポイントというものがこの図には書いてないが、実際きまっておるかどうか、それを各パイロットは順守しておるかどうか、これをお伺いしたいと思う。
  162. 泉靖二

    説明員(泉靖二君) お答えいたします。  羽田飛行場の場合、IPに該当するポイントは、江戸川と本牧と多摩川上流でございますが、これがIPに該当いたしまして……
  163. 源田実

    ○源田実君 江戸川とどこですか。
  164. 泉靖二

    説明員(泉靖二君) 江戸川、本牧、読売多摩川、この三つのところであります。
  165. 源田実

    ○源田実君 それで高度幾らですか。
  166. 泉靖二

    説明員(泉靖二君) 高度は指定しておりません。
  167. 源田実

    ○源田実君 どうもこういうことは専門家に非常に言いにくいのですが、やはり高度が指定されないと、非常に高いところにおるものが高度を下げてくれば、下のものと重複する可能性が多分にある。要するに、飛行機の位置というものは地面の、水平面の位置だけじゃきまらないのであって、必ず高度がきまらなければならない。その上で初めて順序というものがきまると思うのです。したがって、事故防止のためには三つきめられておるということはいいことだと思うのです。それから、やはり高度はジェット機とプロペラ飛行機とはあるいは別にしなければならないかもしれません。しかしながら、これをやはりきめられて、そうして、そこで順序の指定をする。何万フィートの高さ、五万フィートを飛んでおっても、この上に来れば、やはりIPに類するものになるのじゃないかと思うのですが、そういうぐあいに改められたらどうかと思うのですが、どうですか。
  168. 泉靖二

    説明員(泉靖二君) この三つのIPの上での高度は、そのつど指定するのでございまして、あらかじめ定められた高度で入るやり方をいたしておりません。この点につきましては、さらに研究さしていただきたいと思います。
  169. 源田実

    ○源田実君 それで、羽田の場周経路、これの制定はどこでやるわけですか。事務所長がやるのですか、あるいは航空局でやられるのですか、どちらでやられるのですか。
  170. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 航空局で指定をいたします、本局で。
  171. 源田実

    ○源田実君 この間の全日空の飛行機が千葉の上から木更津のところを回ってこう入ったというのですが、あれで入っていったら、あそこの場周経路の一体どこで普通の場周経路に入るようになるのか、あるいは、そのままファイナルに入ってくるのか、そこらのところはどうなんですか。
  172. 松本登

    説明員(松本登君) お答えいたします。  あの場合には、千葉上空でIFRをキャンセルいたしまして、ロングベースということで、木更津は通りませんで、そのままロングベースに入るというようなことを考えておったようであります、管制官のほうといたしましては。
  173. 源田実

    ○源田実君 それはちゃんと規定できまっているわけですか、ロングベースにまっすぐすぱっと入っていいんだということは。
  174. 泉靖二

    説明員(泉靖二君) この場合は、江戸川にアプローチしながら、タワーはほかのトラフィックが非常に少なかったものでございますから、江戸川上流に行かすことはないという判断で、ベースラインを長く延長した線に進入するようにしたわけでございます。
  175. 源田実

    ○源田実君 次に、民間のパイロットからの話ですが、たとえば伊丹の飛行場に着く場合、これは必ずしも日本のパイロットだけじゃなく、外国人のパイロットも生駒のポジションリポートをやる場合に、生駒の上に来る前に、奈良の上あたりでオーバー生駒ぴしゃっとやるんですね。そうすると、伊丹のほうは、いまあれは生駒の上におると思う。ところが、実際は奈良の上におるんです。それで着陸順序なんかをきめるものだから、飛行場のそばで非常に近寄ったり混雑するという現実がある。私は自分ではやったことないですが、聞いたところによりますと、そういうポジションリポートをやるものがおる。こういうことがもし事実とすれば、航空管制というものは、これは全然むちゃくちゃになると思うんです。パイロットが早く着こうと思って、それに到達する前に、どこの上にいるということを報告して、タワーのほうは正直にこれを受けるわけですから、そうすると、あと非常に混乱して事故を起こす原因になる、こういうことをやった場合に。これは絶対にとめさせなければならぬですが、やったものをどうやって処理をするか、こういうことについては、これははっきりすれば、懲罰規定あるわけですか。
  176. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 先生御承知のように、航空法では管制指示に違反した場合には罰則の規定がございますが、本件が管制指示に反するかどうかという問題は、現実に問題であろうと思いますので、御指摘のような事例がもし相当あるとすれば、十分調べて、十分の行政指導をする必要があると思っております。
  177. 源田実

    ○源田実君 これは私はもともとパイロットであったし、それからパイロットを長い間自分で使ってきた。しかし、パイロットというのは、自分が他の人々より危険な仕事をやっておるということと、同時に、パイロットというもとが比較的はなやかな仕事であり、航空界においてはパイロットというものは一種の花形であるし主役をつとめるということから、このパイロットの意見というものは一般にきわめて重視すると同時に、パイロットが、何というか、わがままになるということは、これは軍のみならず、民間でもあると思うんです。それで、そういう場合に、このパイロットがわがままになるということ、これを押えることは、やはり航空の管制を円滑にやり、また事故を防ぐということから非常に重要なことである。ところが、多くの場合、その管理責任にある人は、大部分の人は自分じゃ飛べないですね。だものだから、あまり強いことが言えないということもあると思うのです。しかし、この問題は非常に重要な問題であって、パイロットは最も厳密な規律に服して、自分の個人の生活態度を厳正にすると同時に、今度はきめられた規律を完全に守るということをやらなければ、事故も起きるし技量も上がらないし、他にも迷惑をかける。したがって、パイロットに対するしつけ教育といいますか、そういう問題はきわめて重要な問題でありますが、これについて運輸省として、あるいは、その監督官庁として、何か特殊な施策をとっておられますか。
  178. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 前回の航空交通安全対策を御検討願いましたときに、パイロット教育の重要性というような御指摘がございまして、われわれといたしましては、現実に手をつけておりますのは、航空大学校における教科課程の充実というようなことをやっておるわけでございますが、先生の御指摘のような具体的な問題その他につきましても、なお今後そういう教育の機関においても十分取り入れて教育をさせるようにいたしたいというふうに考えておる次第であります。  それから先ほど私ちょっと不正確な御説明を申し上げましたが、航空法の規定によりますと、航空法九十七条の規定による飛行計画を出して、航空交通管制の指示をさせる場合に、源田委員御指摘のようなリポーティングポイントで報告するわけですが、「九十七条四項の規定による聴取若しくは通報をせず、又は虚偽の通報をしたとき。」という場合に、罰則の規定は一応ございます。ただ、現実にこれをどういうふうにして調べ、どういうふうにして指導するかという問題が非常にむずかしい問題であろうかと思いますが、十分その点を研究したいと思います。
  179. 源田実

    ○源田実君 パイロットの、いま局長の申されました航空大学校における教育は、これはある限定された人間をあそこに集めておるのですから、これは比較的容易だろうと思うのです。ところが、やっぱり重要なのは、それから卒業して各会社あたりに就職してからあとのパイロットをどうやって規制するか、問題はそこにあると思うのです。これが現実にお客さんの命を預かっていくわけです。それで、多くの場合、航空関係の、パイロットの事故を起こす率は、一本立ちになって一年から二年ぐらいの間が一番多いのですね、いままでの統計によると。ちょうどてんぐになったときである。そうすると、いま民間の各会社につとめておるパイロットというのは、もちろん私企業のパイロットでも、預かるものは、大事なお客さんの命を、何百名という人の命を預かっておる。したがって、このパイロットに対する規律をあるワクの中にはめるということは、これは自動的にいくか、あるいは他動的にやるか、こういう問題は別にして、最も厳密な規律のもとにこの。パイロットがその仕事に従事しなければならぬ。これは単に監督官庁のみならず、各会社幹部が全部が協力してやらなければならない問題だと思うのですが、やはりこれについては、主導的には運輸省においてイニシアチブをとってやらなければ、会社にまかしておいたんでは私はできないと思う。必要ならば法規を改正して、パイロットに対してはどういうような規制をはめるのだ、私企業のパイロットであっても、実際は非常に重要な国家的な仕事をやっておるのであって、この点については特に御考慮を願いたいと思います。これは答弁要りません。  次に、教育のことをちょっと聞きたいんですが、航空大学校のあそこに学生が入ってくるんですが、その学生のエリミネーションの率は幾らぐらいですか。
  180. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 約十分の一と承知しております。
  181. 源田実

    ○源田実君 十分の一エリミネートされるわけですね。これで私、ちょっとこれは人のことというか、よけいなことかもしれないけれども、私が経験した自衛隊においては、最後の戦闘機に残る者は三〇%なんです。適性検査を終わって操縦を始める、そのときから最後の戦闘機へ残っているのは三〇%、あとの七〇%はほとんど他の飛行機へ回されるか、飛行機から出されるかなんかして、三〇%しか残らない。もう少し歩どまりは上がっておるかもしれない。ところが、百人のうち十人しかエリミネートされないとなると、九十人は残っておるということですが、もちろん、戦闘機みたいなものを操縦するんではないから、その点はいいかもしれないけれども、しかし、預かるものが、自衛隊のパイロットみたいに自分だけ死ねばいいというものじゃない、お客さんというきわめて重要なものを預かるのに、エリミネートの率というものが、はたして十分の一ぐらいのエリミネートで、いい素質の者がいつまでも残っていくのかどうか。自衛隊に来るのは、いま自衛隊は評判が悪いから、いいのは来ないかもしれない、航空大学校に優秀な者がいくかもしれないけれども、しかしながら、同じ日本人ですから、そんなに差はないと思う、適性検査を終わった者は。それが一方は十分の一のエリミネート、一方は七〇%のエリミネート、こういうところが、このお客さんを預かるパイロットとして、はたしていいかどうか。この点はもっと厳重にやると、これはいろいろな、会社なんかでも文句が出るかもしれない。しかしながら、パイロットの養成は別個の方法によってこれを解決するとしても、少なくとも絶対だいじょうぶな、性格的にも技量的にも、いろいろな面から見て欠陥のない者に人の命を預からせる、こういう基本方針を固く守っていかなければならぬ。人情的に、あれはいまエリミネートすると先がどうなるかわからぬ、全く悲観するだろうといって、悲観するやつをそのまま置いておくと、今度は何百人という人間が悲観どころではない、その家族まであわせてすっかり台なしにするというようなことになろうかと思う。したがって、このエリミネーションの率を聞いたのは、そういう意味でありまして、この点ひとつ十分に、温情というものを一切捨てて、パイロットの質を向上させ、いい質の者を維持するということについて御配慮を願いたいと思うんです。  それから次に、同じくこれもちょっと聞いたことですが、事実かどうか知りませんが、航空大学校には、操縦教育の中にスピンの教育がないということを聞いたんですが、ほんとうですか。
  182. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 先ほどの、ちょっと私、もし先生の御質問を取り違えておりますといけませんので、もう一回申し上げたいと思いますが、航空大学校は、大体御承知のように、採用時三十名でございますが、応募者が三百二、三十名で、それをいろいろ一次試験、二次試験いたしまして、今年度等の例を申し上げますと、約四十四、五名を残しまして、その中からなお適性検査をいたしまして、おおむね三十名になるというようなやり方をやっているわけでございます。ただ、採用後にもやはり若干の、不適性といいますか、いろいろな事情でやめる者がありまして、まあ一〇%と申し上げましたけれども、一、二名のときもございますが、大体そのくらいの状態で現在いっているというようなことでございます。  それから大学校の教育課程につきましては、一応これに科目はございますが、先生の御質問の点、ちょっと専門的なことでございますので、確かめましてお答えさしていただきたいと思います。
  183. 源田実

    ○源田実君 十分の一というのは、さっき言った、この適性検査を終わって操縦教育を始めてからの問題と了解して言ったのです。それが、自衛隊のやつはいま少し上がって三五%か四〇%になっているかもしれないけれども、大体一番少ないときには二十何%しか残らない、大体三〇%くらい。したがって、この率というものは、少ないことにおいては変わりないのですよ。それで、私がいまこのスピンの教育というのを、きりもみ教育がないというのは、ちょっと聞いたのですが、これがないとすれば、これは海上自衛隊に委託されたときに、海上自衛隊のほうでスピンの教育をやったとかいうのを聞いたのです。ところが、スピンはきりもみ状態であって、要するに、飛行機の墜落状態なんですね、その墜落状態をいかにして回復するかということは、少なくとも、パイロットになろうとする者は絶対にこれを通らなければならない関門です。この関門をあそこでやらないのは、飛行機がないのか、それに適した飛行機がないのか、あるいは、その他の何かの理由でやられないのか、そこのところに不審があるので私聞いたのです。これはあとからお願いしたいと思います。  それから、次に、航空局のチェックパイロット——検査官ですか、操縦の検査官というか、この現状をひとつお願いします。どういうぐあいになっておるか。
  184. 松本登

    説明員(松本登君) お答えいたします。  試験官は現在八名でございます。そのうち四名が操縦の試験官でございます。それから二名が整備の試験官でございます。あとの二名が運航管理者、それから通信、それと航法の三科目を二人でやっております。合計八名でございます。
  185. 源田実

    ○源田実君 その中でパイロットの件ですが、パイロットの検査官の内容はどうなっていますか、ジェットのチェックパイロットとしての資格を持った者、それからプロペラあるいは双発、そういうような部類に分けて、どういうぐあいになっておるか、ひとつ。
  186. 松本登

    説明員(松本登君) お答えいたします。  ただいま各人の資格につきましては、詳細に持っておりませんですが、DC8の限定を持っている者が一人……。
  187. 源田実

    ○源田実君 その資格はどこで得たのですか、これは、検査官としての資格はどこで……。こういうパイロットの資格はやはり厳密な試験の上で、おまえはそういうチェックパイロットとしての資格があるという試験を受けるはずなんですが、それはどこで受けますか。
  188. 松本登

    説明員(松本登君) 当然航空局の試験官の試験を受けまして取ったものと思います。
  189. 源田実

    ○源田実君 そうすると、航空局の、もともとジェットパイロットならジェットパイロットの試験官が初めからいなければならぬでしょう。その最初の、航空局にいま一人というのですが、一人じゃ、自分で自分を試験するのか、そこのところ、どうなのですか。
  190. 松本登

    説明員(松本登君) 先生御承知のように、ジェットのパイロットの試験を受けますためには、試験官の定員の関係、それと限定を受けます場合の、限定変更を受けます場合の費用の関係等によりまして、なかなか十分のグレードアップができないというような、上級の限定を取ることがむずかしいわけでございます。ただ、資格のない試験官が限定をいたします場合には、これはもちろん試験科目がきまっておりまして、基礎的な技量を十分持っておるわけでございますので、試験官としましては、その資格は持っておりませんけれども、マニュアルその他操作等、それから本人が一般的な技量、パイロットとしての技量、それに近い機種の限定資格を持っているというようなことで試験をやっているというような実情でございます。
  191. 源田実

    ○源田実君 これは大臣にひとつお願いしたいのですが、これは幾らその教科その他にこういうものはこういうぐあいに見ろ、こういうものはこういうぐあいに見ろというように幾らこまかく書いてあっても、それを幾ら見ても、それによって試験はできないですよ。自分でできて、しかも、自分が試験する、学生に類する者より相当上な技量を持っていなければできないです。野球で長島選手みたいなうまいバッターがおりますが、大学教授はあれより、力学的にはどうすればホームランが出る、これは大学の力学の教授のほうがよく知っておると思います。ところが、大学教授に持っていって、それでバットを振らしたって、ホームランも何も、ゴロも打てないだろう、三振ばかりするだろう。これと同じことが飛行機にもあるのです。それ以上のものがここにはあるのです。したがって、いままでは、予算とかいろいろな関係航空局はいろいろ苦労されたことはわかります。わかりますが、これをもしこのままに放置したら、民間のパイロットの試験をやるのは、試験は必ずルーズになる。相当熟練した民間のベテランパイロットといえども、そのパイロットの一生涯の間には波がある、そして、こういう傾向が出てきたらきわめて危険である、近い将来、というようなことが、その試験のときとか、何回か試験をやるうちには出てくる、そういうものを見出すためには、やはり相当しっかりしたチェック。パイロットが必要です。もちろん、現在の公務員の給与体系において、民間のものほどの給与は出せないと思うのですが、これについて何かの手も必要だろうと思うのです、別個に、こういう非常に重要なものですから。それで何かこれについての、あまり予算の要求、強いことはいままでなかったと思うのですが、あれば私なんかうんと支持したのですが、ところが、いままでなかった。したがって、航空局は日本の民間航空の総元締めで、そこで全民間の。パイロットに対して、十分に自信を持ってこの試験ができ、自信を持ってこれを推進することができる人が、航空局に何名か必ず私はいなければ、日本の航空界の。パイロットの試験なんかを円滑にやり、安全を期することもできないだろうと思います。この点について、ひとつ今後特に御協力、御努力を願いたいと思うのです。
  192. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 源田委員の仰せられましたいまの意見と同じようなことを、この間私は事故の直後、パイロットの人たちだけを呼んで、率直な意見を聞きたいと言いましたときに、そういう意見が出ましたので、私は、今回の事故に当面しましていろいろの緊急措置をいたす、これは政府の方針がきまっておりますので、その中で、そういう点もひとつぜひ整備したい、かように考えておる次第でございます。
  193. 源田実

    ○源田実君 次には、救難関係について若干お伺いしたいと思うのですが、全日空の飛行機が事故を起こした場合も、初めはいろんなところ、まあ自衛隊とか、民間とか、そういうところにずっと連絡があってやったのですが、途中から十分に連絡がなかなかとれなかったようなこともあるらしいのです。それで、現場の指揮官というのは、総合して現場の指揮をやるのは、一体あれはだれがやったわけですか。
  194. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) 現場の指揮官は、終始、第三管区海上保安本部長が現場の指揮監督をやっております。
  195. 源田実

    ○源田実君 それは現地におってやったわけですか。
  196. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) 第三管区本部は横浜にございますので、横浜で指揮をとっておりました。
  197. 源田実

    ○源田実君 それで、あそこで飛行機が、最初は何だったか、海上保安庁のヘリコプターとか、ビーチクラフト、高度は千フィート、海上自衛隊のP2V、高度千五百フィートというふうに連絡があったらしいのですが、その後出てきましたフレンドシップあるいは新聞社の飛行機なんか合わせると二十五機とか三十機くらいのものがあそこで飛び回った。これに関しては、あとはどれがどこを飛んでおるかわけがわからぬことになったらしいと、私はそういう話を聞いたのです。また、夜間はその飛行制限なんかがはっきり調整ができていなかったように聞いておるのですが、この点は、捜索のためにたくさん出るのはいいけれども、それがあの狭い海域を入り乱れて二十五機も飛ばれた日には、それこそ危険でしょうがないと思うのですが、これの統制はどう行なわれておりますか。
  198. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) 今度の全日空の捜索につきましては、毎日午後六時以降、明日の捜索計画を現場の指揮官が調整いたしまして、翌日実施することになっておったのでございますが、現在もそうでございますが、その計画によりますると、その出動機数とか、どこのパートがどういう機種をどのくらい出すというようなことは、私のほうでやりますが、その航空機の実際に活動する際におきます航空官制につきましては、それぞれ担当の管制官のところで管制されておると存ずる次第でございます。
  199. 源田実

    ○源田実君 そこのところがきわめて、それぞれ担当のところでやられるというと、それぞれがかってにやるとなれば、これはやはり非常に危険なわけですね。それで、こういう場合に、これは海上保安庁でやるか、あるいは航空局でやるか、海上保安庁でしような、そういう飛行機の高度、それからその捜索海面に進入する経路、それから進入してからの中の高度要領というようなものがきれいに統制されていないと、非常にこれは危険なものだと思うのです。同じ性質の飛行機、たとえば海上保安庁の飛行機ばかりでもあぶない。海上自衛隊なら海上自衛隊の飛行機だけでも二十五機、そんなときにそんなことをやればあぶない。いわんや、民間の新聞社の取材の飛行機とか、そういうものはなかなか統制に服しにくいところがあると思うのです。そういうものが間を取材のために縫って歩いたりした場合には、今度は一機ヘリコプターが不時着して事故になりましたが、これは航空管制の関係じゃなかった。しかしながら、幸いにして空中衝突やっていなかったと思うのです。しかしながら、ああいうことをたび続けてこういうものをやれば、また、あすこで空中衝突をやる。そうすると、あれほどの事故を起こして、その捜索救難のための飛行機が事故を起こすとなると、これはもうたいへんな失策というか、やっかいなことになると思うのです。したがって、こういうものを、ああいう事故が起きてからおいそれとできるわけがないのであって、平時からどういう場合にはどういうようなことをやる、一応の調整はもうこれは何ですか、協定はできておるらしいのですね、四十年の三月十八日の協定か何かで。しかし、これを今度の教訓にかんがみて、もっと精密に協定される必要が私はあると思うのです。そうしないと、今後そういう事故が起きては困るのですが、起きた場合には、また二重、三重の事故を起こすというような潜在要因があすこに含まれて、私はあのテレビジョンとかなんとかに出てくるあの飛行機のあれを見て、よくこれで衝突しないで済んだもんだと思ったんです。実際にあぶなくて見ておれないです、あれは。これはやはりどちらにしても運輸省なんですが、運輸省で強力な統制をやられる必要があると思います。  それから次に、こういうことをちょっとお伺いしたい。遭難機が民間機の場合、あるいは政府の飛行機ということによって、海上救難の方式が何か変わりますか。
  200. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) 航空機救難につきましては、事故発生の探知の当初におきましては、航空局にあります航空機救難調整連絡本部で調整されまして、それぞれの救難機関がその調整ルートで救助、捜索に当たるわけでございます。で、ただいま先生のお話の、民間機あるいは政府の所有機等によってその捜索、救助活動には差別はないのでありまして、海上におきます捜索、救助につきましては、第一義的に海上保安庁が捜索、救助の面に当たるということでございます。
  201. 源田実

    ○源田実君 遭難した飛行機の、これは民間機である場合に、その会社が小さくて、その救難活動に耐え得るだけの資力がない場合、こういう場合は、これはどういうぐあいになりますか、やはりそういう予算はもちろんこれは計上してないだろうと思うのですが。
  202. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) 海上において遭難いたしました際は、民間機と政府の所有機とを問わず、また、民間機の資力あるいは経済力、そういうようなものには無関係に、私たち、与えられた業務といたしまして全力をあげて捜索、救助に当たる次第でございます。
  203. 源田実

    ○源田実君 今度の場合、ずいぶん民間の船を雇用しておるのですが、これはだれがもっておるのですか、全日空ですか、政府ですか。
  204. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 今回の全日空の救難作業につきましては、いま海上保安庁からお話がございましたが、一部漁船等を全日空が雇用しまして、この捜索活動の用に供しておるのがございます。これは当然全日空が負担をすることになっておるわけでございます。
  205. 源田実

    ○源田実君 この間の救難活動のときに、あすこで海水の混濁を清める清澄剤ですか、これをちょっと使ったのですね。ああいう清澄剤は、あそこはダイバーなんかもたくさんおるのですが、そういうものに対する危険性とか、あるいは、主として人間ですが、そういうものに対して悪い影響を与えるというようなことは全然ないということは、あらかじめ確認されておったのですか、どうですか。
  206. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) お尋ねの薬品の件につきましては、事前にそのメーカーにつきまして、私たちが問いただしました範囲内では、人畜に被害なしということを聞きましたので、とりあえず、現場の不透区域におきまして実験をしてみたらどうかということで実験をしたのでございます。ただし、若干の効果はあるようでございましたが、それを使用する方法等につきまして、相当大じかけなものが必要であるということがわかりましたので、それは単なる試験にとどめまして、実用には供しておりません。
  207. 源田実

    ○源田実君 救難関係はそれだけにしまして、今度は、次に、全般的なことをちょっとお伺いをしたいと思うのですが。  現在の日本のこの狭い領域の中にたくさんの飛行機が飛んでおるのです。それで、これが有視界飛行に転換する権限は、これはパイロットが持っておるのですね。この方式は、いままではもちろんそれで差しつかえなくやってきておる。ところが、私はこういうことを考えたのです。パイロット、操縦の免状を得てすぐの者は、困難なところをなるたけ計器操縦を避けたいという傾向がある、むずかしいですから。ことにタワーとの英語でのやりとりが、日本語じゃもちろんこれはできないです、やっかいで、ことばの構成上。しかしながら、英語でやりとりするのも非常にやっかいです。英語の達者な人は少しはいいでしょう。しかし、操縦にはやっかいです。そうすると、ちっとでもいい状況になれば、自分で計器飛行はやめて有視界飛行に変えるということを早目にやりたがる傾向があるのです。その傾向は、次には、たとえばいま五百フィートですか、チフィートですか、雲を離れなければならぬという規定があっても、実は三百フィートであっても、パイロットがそこでもうこれは有視界飛行で可能だ、自分でかってにきめるのですから、自分じゃ有視界飛行が可能だということを自分で判断をしてきめるのです。三百フィートか五百フィートか雲の距離なんか正確にわかるわけはない。五百フィートできめようとすれば、千フィートか二千フィートできまるのです。雲の距離なんか、ほんとうにわかりません。そうすると、えてして早目にVFRになってそれで早く安心したところへ行きたいというような感情に支配される。それから、非常にうまい者は、よほど厳重に取り締まらない限り、競争意識があれば、ショートカットをしたがる、こういうような弊害を伴うと思うのです。この点においては、御存じのように、英国の東半分あるいは西独、これは有視界飛行であろうが、無視界飛行であろうが、全部これはコントロールされているのです。地上から。だから、雲があろうがなかろうが、ほとんど訓練でも何でも同じようにやっている。日本においては、特殊な軽飛行機、スポーツ用とかヘリコプターとかいうもののほか、主要な飛行機はほとんど全部これをコントロール下に置く、このコントロール下に置くということは、運輸省の管轄下にあるレーダーだけでは無理だと思うのです。これは自衛隊のレーダーと一体になって全飛行機をコントロールのもとに置く。そこで私が申し上げたいことは、この管制の問題については、現在の日本は根本的に考え直す必要がある。いま民間機で自衛隊のあるレーダーを利用して航行するのは非常に少ない。自衛隊のほうは民間のほうをあまり使わないですね。しかしながら、同じ国の中で、こういうものはなるたけ一体化して、最も国の商業航空あるいは防衛航空ということの効率をあげるように再検討して出直すべき時期に到達していると思うのです。そうして、その基本原則としては、全飛行機をコントロール下に置く、そうすれば地上で、これもしかし相当熟練した管制官でなければいけないが、それとまた、機材もそろえなければならないのですが、その完備した機材と熟練した管制官によって全部がきれいに統制されておったら、私は事故の起きる可能性が、少なくとも空中における空中衝突とかなんとか、そういうものが非常に減ってくるし、また、この間のような全日空の飛行機が、機体の故障であろうが何であろうが、もし無視界飛行でずっと来ておったら、どっかでぐあい悪いところがわかったと思います。有視界飛行なるがゆえにわからないところが出てきた。無視界飛行で常にずっとGCAでそういうものでコンタクトしてきておったら、これはわかっただろうと思います。したがっていまのような野放し状態のやつを再検討して、全部をコントロール下になるべくすみやかに置いていただきたい。同じくこの問題も、パイロットの教育にしても、管制官の教育にしても、二本立てでやっているわけです、日本は。私はこんなばからしい話はないと思います。やはり国家として一本の教育機関で、そうして、そこでこれは相当広範な教育ができると思うのです。そうすれば、そこでもっともっとりっぱな教育ができると私は思うのです。私は自衛隊におったからそういうことを言うわけではないのですが、実際、宮崎の航空大学校へ行って見ると、全くお気の毒であって、あすこであれだけの機材であれだけの教官でやるということはたいへんなことだろうと思います。ところが、一方において、自衛隊のほうはもう要員の養成は一応ワクに到達したから、今後は増強する必要はないので、これまでの要員の欠員を補充していけばいいという段階になって、だんだんあの教育機関を縮小しつつある。もう、飛行場を一つか二つ陸上に渡したり、ほかに転換しているのです。そこにはまだ、これははなはだ失礼ですが、宮崎の航空大学校よりも話にならないほどりっぱな機材がそろっている。そういうものを何も自衛隊でやれ、何でやれというのでなくて、国家として統制して一本の教育をやる、そうして十分な練度を持って安心してお客さんを乗せ得るようになってから民間に渡していくというようにすれば、私は少なくともパイロットのミスによる事故というものは相当防げるだろうと思います。それで、国家としても、経済的にものが使えていくと思うのです。いまのような点については、今後われわれも十分検討したいと思うのですが、これは私は担当官庁である運輸省においても、ひとつ十分にこの官庁間のセクショナリズムというものを離れて、これは自衛隊のほうも離れなければいけない、運輸省のほうも離れなければいけない、そして日本の国家ということを考えて進めていただきたいと思うのです。こういうことについて、どういうぐあいにお考えになっているか、ひとつそのお考えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  208. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 航空問題は非常に重大な課題でございますし、ただいま源田委員が仰せられました等々、いろいろの問題をかかえておると思いますが、いま私のほうでも、乗員の養成施設というものは、運輸省の監督ではなかなかむずかしい、やはり自衛隊と関連を持ってやっていかなければならないということはしょっちゅう考えておるところでありますが、こういう点につきましては、衆知を集めるといいますか、いわゆる一つの計画を立てる上にも、それぞれの専門的な人の意見を聞き、機構としては、ただいま源田委員が言われるように、自衛隊等と密接な、一体的になって、すべての問題をやはり処理していきたい。いろいろの設備等も、民間の設備より自衛隊の設備のほうがいいということも聞いておりますし、この間、衆議院の委員会でもそういう意見が出ましたが、きょうの源田委員等の御意向を十分取り入れまして、今後はそういう方向で早急にひとつ、ものごとを運んでいくようにしたいと考えております。
  209. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 源田先生お話しの、いわゆるポジィティブコントロールというのは、われわれも方向として、そういうことを当然考えていかなければいかぬと考えております。ただ、地域を、特に急ぐものでございますから、たとえば東京周辺の非常に混雑しているところを先にやる、あるいは管制施設の近代化、要員の増強というものがこれに伴いませんと、また業務が円滑にいかない関係がありますので、そういうものをあわせて、そういう方向でわれわれとしても努力をしてまいりたいと思います。  それから教育の面では、先生御指摘のように、航空大学だけでなくて、現在も防衛庁委託養成等もいたしておりますが、これらのやり方その他について、なおよく関係の官庁と連絡をとって、それを推進してまいりたいと思います。  それから、先ほど質問の、航空大学校でスピンの教育をしているかという御質問がございましたが、先生御承知のように、昭和三十七年までは実はパイパーでございましたので、機材の関係でできませんでしたが、三十八年度からT34と同型のメンターを入れておりまして、最初の一年間、いわゆる単発の教育において、全員に数回このスピンの教育をしておるということでございます。  それでよろしゅうございますか。
  210. 源田実

    ○源田実君 三十八年からですか。
  211. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) さようでございます。
  212. 木村美智男

    木村美智男君 いま源田委員からだいぶ専門的な立場からいろいろ話がされたんですが、むずかしい用語の問題は別として、とにかく、ここで航空——これは運輸大臣にも申し上げておきたいのですが、もう何回か質問という形を通して、今日の日本の航空問題について、この事故を契機に数多くの意見が出されておるわけですね、これを質問、答弁という形で聞きっぱなし、答えっぱなしでこのまま済ましていくということでは意味がないんで、多少の時間はかかってもいいんですが、これはひとつ航空管制の問題は一体どうする、飛行場の施設関係はどうするというふうに、項目的に分けて、そして今日まで出たやつを集約をして、ひとつそいつを、では具体的にどういうふうに実施に移し、二度とこういう事故を起こさぬような対策としてやっていくかという、ひとつ青写真みたいなものをここにつくり上げて、そうして、それを積極的に、航空局あるいは運輸省だけじゃなかなか進められない問題だと思いますから、その点については、運輸委員会が予算の確保その他について全力をあげてその目的を達成させる、こういうことにしていかないと意味がない。そういう意味でひとつ、若干の余裕があっていいですから、これはそういうものをつくってもらうということを要望しておきます。  それから、これは委員会として了承されたとは言えませんが、源田委員の専門的な意見を私も貴重な意見として拝聴してまいりました。管制問題から、パイロットの養成から、なるほど、その施設も現在の状況の中では、自衛隊と一緒にやったらいいだろうという意見は、これは一つの意見だと思いますが、私はにわかにこれは賛成できません。世界を見ましても、これはまるっきり目的が違うんだから、大体ぼくも軍隊のパイロットではあったけれども、これは民間じゃ役に立たないですよ、ぼくなんかの場合には。そういうことをやはりいろいろの点から考えてみますと、その点もこれはひとつ十分に慎重にやらなければならないし、私もそれなりに意見もあるので、ただそういうことを委員会が要望したようなことで検討に入るというようなことじゃいけませんから、これはひとつ意見を申し上げておく。この点は、やはりそれだけの、むしろ、片方ではもう縮小というか、あるいは欠員補充の段階にあるというならば、むしろ、その予算を民間航空に回して、航空大学を充実すべきだという、まあ意見を私は持つのでありましてね、そういうような点から言っても、この問題はきわめて大事な問題ですから、この点はひとつ十分に慎重に扱ってほしいということを申し上げて終わりたいと存じます。
  213. 岡三郎

    岡三郎君 ちょっと一つだけ。しろうとが一つだけ、何でもないことですがね、富士山でもそうだがね、右手に何が見えますとか、左手に何が見えますとかいうふうにサービスしますね、機内で。そうするというと、片側の人がみんな全部こっちへ寄っちゃうわけだな。特に富士山の場合なんかひどいですよ。そうするというと、まあ、たとえば百人以上乗っていると、平均の体重はどのくらいか、いろいろですけれども、六千キロぐらいというけれども、その千五百貫ぐらいが片方に寄った場合にね、一体、これは飛行機の大きさによるだろうけれども、かなりかしがるような感じがする場合がある。ああいう点でね、ちょっとその瞬間にあぶないなって気がするのですけれどもね。しかし、見にゃ損だからね、みんなそっちへ寄っちゃう。ああいう点で、いわゆる平均というか、そういうような飛行の安全からかんがみて、ああいうことについては、全然そういうことは心配ないのか。たとえば超満員で全部片側に寄っちゃって、そうして行った場合の、そういうところにまた危険な気流がね、ジェット気流だかなんだか知らぬけれでも、そういうものが傾いたところへ吹き込んで、機体の平衡化ができないような形になる心配がないのかどうかね、これは前からたいへん気になっていたから、ちょっとここで聞きたいと思う。それだけです。
  214. 松本登

    説明員(松本登君) 御答弁いたします。  やはりそのときの機体の重心の状況等によりまして、全然危険がないということはないと思います。したがいまして、やはりそういう場合には、乗っておりますスチュワーデスなりが当然注意すべきものと考えております。
  215. 岡三郎

    岡三郎君 いやいや、見ろというからみんな寄っちゃう。スチュワーデスが注意するのじゃなくて、いまここに何が見えますと言ったときに、そっちへみんな寄るように、いまのところはやってるのがかなり見受けられるのですが。
  216. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 岡先生の非常に実際的な御注意でございますので、これをどういうふうにしたらよろしいのでございますか、ひとつ専門家にその危険のないようにさせる方法ですね、早急に研究をさせたいと思いますが、いま私どもの技術部長から申し上げましたように、絶対にそういうことは危険はないということはないということでございまして、これはやはりそういう防止方法を考えないといかぬと思いますが、早急に具体的にどういうふうにしたらいいか、また、どういう問題があるか、研究をするようにいたしたいと思います。
  217. 岡三郎

    岡三郎君 結局、大体往復するときは、こっちに乗って見られた人は、今度次のときには交代をして行けば、これはよく見えるわけですね。で、実際乗って、たまに乗っていく場合、みんなが見ているときには見たいものなんです、子供と同じように。だから、見ちゃいけないと言っても、よく晴れたときには見たい。私は、この間BOACのおっこったとき、私もたまたまそうだったから、笑い話になるかしらぬが、全部そっちへ寄っちゃって——そんなときに非常な突風とかなんかあるときに、それは行ってみなければわからぬが、これはしろうとだから、どういうことでおっこったか、分解したかということはわからないけれども、少なくとも、あれだけの大きなものだけれども、十五貫で百二十五人といえば、千七、八百貫になるわけです。少なくとも六千五百キロ以上が、ある平面の中で片一方に寄るということになると、あるいはまた、気流が激しいとか、あるいは、その他のときには、気候現象といいますか、激しいときにはかなり落ちるでしょう。落ちるようなときに、片一方に寄っているのはあぶないですけれども、そういう点で心配したのだけれども、ひとつ研究してもらいたいと思います。
  218. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  219. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  220. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) まず、木村委員の最後の質問に答えます。  今回の航空事故に対しまして、いろいろ委員会等で貴重な意見を十分拝聴いたしましたし、政府といたしましても、応急処置を即時にとるということについては、人員を補充するという、これも閣議で決定いたしておりますが、航空局でいま着着と準備を整えておるわけでございます。なお、予算等の面に関しましては、委員会等の御協力を実は仰ぎたいと、かように考えておる次第でございます。
  221. 岩間正男

    ○岩間正男君 羽田空港の問題でお聞きしたいのです。その中で、やはり一つの大きな要因になっているのは、現在ベトナム戦争が行なわれておりますし、そういう中で、米軍の軍用機の発着の問題が一つの見のがすことのできない問題になっている。こういう観点から、時間もあまりございませんから、簡単に質問しますから、御答弁願いたいと思います。  三百五十機から四百機は発着しておりますね。そうすると、そのうち国際機は何機になりますか。
  222. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 三十九年の東京空港における着陸機数を例にとって申し上げますと、国際線が七千三百六十三機、これはもちろん民間機でございます。国内線が三万三千八百十三機、こういうような割合でございます。年間の着陸機数でございます。
  223. 岩間正男

    ○岩間正男君 羽田では、あそこで航空管制をやっているわけですね。そうすると、あの羽田で国際線を全部、つまり、羽田に着かないものもあそこで取り扱っているわけですか。発着数はあそこで押えることになるのですか。
  224. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) ただいま申し上げましたのは、羽田空港に着陸した機数でございます。したがいまして、東京周辺の他の空港を利用したものは、この数に含まれておりません。
  225. 岩間正男

    ○岩間正男君 その数はわかりませんか。
  226. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) その数はわかりません。私のほうでは扱っておりませんので、わかりません。
  227. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、羽田に発着している飛行機、これは年間七千三百何ぼ、月間六百機ぐらいですか、月間でいくと六百ぐらいですね。
  228. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) ちょっと数字をあるいは違えたかもしれません。三十九年度の国際線の民間機でございますか、先生のおっしゃいましたのは。年間で八千四百八十機、これは暦年でございます。
  229. 岩間正男

    ○岩間正男君 最近、これはベトナム戦争なんかの関係があって、ことに北爆開始以来、米軍の輸送機が急激にふえているのじゃないかと思うのですが、この発着数は羽田は幾らくらいですか。
  230. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 三十九年米軍関係の機数は、合計六百十五機でございます。
  231. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、大体一日二機ぐらいの割合で米軍関係の飛行機が発着しているということになるわけですね。その中で、どういう会社の飛行機が多いですか。これは米軍のそのものの飛行機じゃないわけでしょう。チャーター機ですか、どういう形になっておりますか。
  232. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 非常に数字的な御説明になりますが、六百十五機のうちで、チャーター機が五百八十三機でございます。
  233. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのチャーター機の航空会社はどういう会社がありますか。
  234. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) これはいわゆる米国のライナー及びトランパーといいますか、不定期業者、たとえばノースウエスト、パンアメリカン、そのほかフライングタイガー、エアアメリカン、こういうようなところでございます。
  235. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはどういう輸送内容か、あなたのほうはおわかりなんですか、どんなものを輸送しているか。
  236. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) われわれのほうでは、発着機数等は承知しておりますが、輸送内容については承知をいたしておりません。
  237. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは私たちの耳に入っているのですが、ノースウエスト航空会社、フライングタイガー会社の航空機が非常に多く米軍にチャーターされている。そうして、それを利用してサイゴンに兵員を輸送し、物資を輸送し、手紙を輸送している。現に羽田空港のロビーあたりで最近武装兵をちょいちょい見かける、こういう実態があるのですが、その点いかがですか。
  238. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 先ほど申し上げましたように、このチャーター機は、主として技術着陸の目的をもって羽田に入ってくるわけでありまして、われわれはその輸送内容等については承知をする立場にないわけでございます。
  239. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはいまのチャーター機五百八十三機、一カ月大体ノースウエスト、フライングタイガー年均三十機から四十機、二社で八十機近くの飛行機で輸送して、その人員はどれくらい乗れるか、たいてい機種はどんなものを使っておりますか。
  240. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) ちょっと手元に資料がございませんので、機種についての御説明はしかねますが……。
  241. 岩間正男

    ○岩間正男君 これも私たち情報ですが、ボーイング707の改良型で、そして席の数は百六十五、そうすると、結局、こういうことになりますと、八十機近くのチャーター機が往復しているというと、月間に一万三千人以上の軍人が輸送されているということになるのですが、こういうことは一切運輸省は御存じないわけですか。
  242. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 輸送内容については、われわれのほうは承知いたしておりません。
  243. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  244. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  245. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、どうですか、非常に最近輸送量が多くなっているわけですね。それに対して人員はどうなんです、このためにふやしているということはあるんですか。
  246. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 羽田の取り扱い、御承知いただきますように、全体で二%に満たない数字でございますので、これのための特に定員云々ということはわれわれは考えておらない。ただ、今朝来いろいろ御審議がありましたように、全体の業務状態その他からいって、いろいろ人員の配置その他で考えていかなければならぬ点がある、こういうことは事実でございます。
  247. 岩間正男

    ○岩間正男君 二%だからと言っていますけれども、これは米軍優先でしょう。積みおろしでも何でも、給油でも、それから給水ですか、これは全部優先にやられているでしょう。二%の輸送量の増強というのはたいへんでしょうが。羽田の一体あすこで働いている職員というのはどのくらいあるんです、全部で。
  248. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) このMATSチャーターは、御承知のように、給油あるいは天候関係の技術着陸というようなもので、ここでその他の取り扱い業務をやるという状態には、岩間先生御承知のように、ないわけでございます。なお、正確な数字は手元にございませんが、羽田航空保安事務所の人員は約三百五十名でございます。
  249. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは全部の定員、この前もらったんですよ、全部のあすこで働いている人の。その中で二%の仕事量がふえたら、これは非科学的ですよね、そして、しかも軍事優先ということで非常にやはり労働強化が起こっているという点で、やはり検討する必要があるというふうに私は考えるのですがね。この点が一つです。  それに、これらのチャーター機は、先ほど申しましたように、たいていサイゴンに送られる。経由はカリフォルニアのトラベス飛行場とシャトル経由で東京に来ているらしい。羽田で平均一時間ぐらい滞在するわけですか。そうして給油などが行なわれ、さらに、沖縄の嘉手納飛行場を通ってサイゴンに行くか、フィリピンのクラーク飛行場を通ってサイゴンに行くということで、米軍の輸送にこれは使われておるわけですね。それから、この中で問題なのは、これにスチュワーデスが乗り込んでおるというのです。これはどうなんです。これは航空局のほうでつかんでいられるのですか。
  250. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 先ほど来申し上げておりますように、羽田に着く場合には技術着陸でございまして、これは主として使いますのは提供施設使用関係いたしますので、わがほうとしては、たいへん申しわけございませんが、この具体的な運用状況その他は直接承知し得る状態にないわけでございます。しかし、先生の御質問でございますので、羽田の状況等をなお聞いてみたいと思いますが、われわれはいままでは、そういうスチュワーデスが乗っておるというような具体的な輸送状態については承知いたしておりません。
  251. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのスチュワーデスは、これは東京からスチュワーデスの姿で行ったのでは目立つので、平素の服装で普通の乗客同様に定期便で沖縄かマニラに運ばれる。そして、ここで初めてスチュワーデスの服装になる。帰りはチャーター機で帰っている。月に三、四回往復しておる。このスチュワーデスの話も聞いたのですが、解放民族戦線の攻撃をおそれて、空港での離着陸は急降下、急上昇で非常に危険きわまりない、こういう中でこれは労働を強化されているわけなんですが、これについては、運輸省は全然タッチしないのですか。知らないのですか。どこでこれはチャーターしておるのか。この契約はどうなっておるか。これは国内法との関係はどうなっておるか。
  252. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) これは具体的な雇用関係は承知しませんが、このチャーター機は、御承知のように、米軍が軍の使用に供するためにこれを契約をもって借り入れ、その管理下に置いておる。したがって、わが国の出入りは、いわゆる地位協定の規定によって出入りをするということに相なっておるわけでございます。
  253. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これはなんですか、米軍の、つまり、ノースウエスト会社その他が直用しておるわけですか。直用ですか、地位協定による何条に該当するのですか。
  254. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) そのチャーター機の使用しておる人間の米軍との関係は、わがほうは直接関係ございませんので承知しておりませんが、チャーター機の性格は合衆国のために、合衆国の管理下に置かれておる航空機であるというふうにわれわれは承知しておるわけでございます。
  255. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはやはり重要な問題ですね。これはどういうことになるのか。安保との関係、これは運輸省としてもやっぱり知らない、存ぜぬだけでは済まない問題だと思うのですね。これはおそらく直用なんでしょう。労務基本契約という日米合意書の中のこれはワクなのかどうなのか、そうでないのか、こういう点は、これはこの次までに調べてほしいと思うのです。まあ非常な危険にさらされている。なぜかというと、アメリカのスチュワーデスは現地には行かない。乗ってますけれども、マニラと沖縄で帰っちゃって、日本のスチュワーデスだけを乗せているという、こういうやり方というものは、日本人として黙っていられないです、これは。そして最近になって、非常に危険だということになって、実際事故があった場合、一万ドルの補償金ということになったそうでありますけれども、こんなことでごまかされる問題じゃないんです。私はこの点で、これはぜひ調査をしていただきたい。運輸大臣、いかがですか。
  256. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 先ほど申し上げましたように、この入ります関係が地位協定の規定でございまして、羽田に入りますのは、地位協定第五条第一項の適用を受けるわけでございまするが、いずれにいたしましても、その関係は、われわれとしては、この地位協定の規定によって技術的な着陸をすることを認めるというようなことでございますので、調査をすることは非常に困難かと思いますが、できるだけ、われわれが通常の状態で調査し得る範囲で調べるということをやってみたいと思います。
  257. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは外務大臣にも詳しく聞こうと思っておるんですが、これはLSTの乗り組み員と同じような身分になっちゃうんですね。直用でもって向こうに雇われた、こういうことになっているが、それなら、日本人としてのそういう当然受けるべき権利が守られているかというと、そういうことになっていない。こういう点ですから、一つのこれは盲点なんですよ。安保条約の中にあるところの日本人の権利に対する盲点になるわけですからね。で、私はここで次にお聞きしますが、こんなに日本人や一般乗客の安全を犠牲にしてまで米軍の輸送に協力せねばならないその法的根拠、これは運輸省としてはっきりしておかなくちゃならない問題だと思いますが、これはどういうことでしょう。これは米軍の発着機が将来どんどんふえるかもしれない。そうすると、羽田はそのためにますます狭隘になってくる、労働も非常に強化されてくる、そういうことが事故一つの大きな原因になってくるんじゃないか。そういうことになりますよ。しかも、軍事優先ですから、どんどんこれは向こうから要求されればそれに応じなきゃならないということでまかり通ってしまうでしょう。そうすれば、とてもこれは、安全を守るといってもこれは一つの大きな障壁になるわけですからね、この点は黙っているわけにはいかない問題だと思うんです。国会の論議の中でもこれは明らかにしなくちゃならない。したがって、これはどういう法的根拠によって——明らかに米軍の軍事輸送をやっている。月間一万三千二百人とわれわれは推定しておりますが、往復ですからこれは二倍というふうに考えられる。これだけの軍人を輸送している。そうすると、これは運輸省として、はっきり法的根拠を明らかにしておくことが必要なんです。
  258. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) わが国の開港を使用する法的根拠は、岩間先生御承知のように、先ほど申し上げました地位協定第五条第一項でございます。ただ、現実にはどうしておるかと申しますと、先生お話しのように、羽田の実際の使用状態その他からいって、できるだけ忙しい時間を避けるというようなことで、なるべく閑散時を選んで給油のために着陸をするというような実際上の調整を羽田ではいたしておるというふうにわれわれは報告を受けております。
  259. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はこの前、航空管制の問題について資料を求め、まだ十分に質問をしておりません。それから自衛隊と運輸省の間の協定ですね、それから覚え書き、それの付属書。中央における第五条の施行に関する施行細目ですか、それが中央協定があるわけです。しかし、地方協定というのもあるんじゃないですか。これも時間の関係から詳細お聞きすることできませんけれども、千歳におけるこのたびの自衛官のあれはどうなんです。千歳において自衛官の練習生が航空管制の実務をやった、そのためにあぶなく——これは日航機がもう少しで事故を起こすところだった。幸いに、機長の非常に俊敏な判断によって、着陸寸前に急上昇をやった、それで免れたということが、二、三日前の新聞報道されておりますが、そうすると、これは地方協定——自衛隊と運輸省の覚え書き、これに基づく地方協定というのがあるんですか、どうなんですか。それで、その地方協定の中で、千歳空港というのは米軍の管制下の中にはっきりあるんですか。その地方協定の中で、米軍にそれをゆだねているという協定をしているんですか。それから、単に千歳だけの問題ですか。それは七カ所ぐらいそういうところがあるというふうにわれわれとしては思うんでありますけれども、あなたたちからまだ出しておりませんね。あれ出してくださいよ。地方協定も出していただきたい。それでもって日本の置かれている空の実態というものを明らかにしなくちゃいけない。全部米軍が優先じゃないですか。そうして、なるほど、運輸省航空権を握っているということになっている。しかし、みんな委譲してしまう。米軍優先でみんな委譲してしまう協定をどんどん結んで、実態的には、狭いところに追い込まれているのが日本のいまの姿じゃないですか。
  260. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御承知のように、航空法百三十七条の二の三項の規定によって、防衛庁長官に業務委託することができるわけでございますが、これの資料は実は準備をしてございますので、なるべくすみやかに提出させていただきたいと思います。
  261. 岩間正男

    ○岩間正男君 地方協定も……。
  262. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 千歳の関係は、実は先生御指摘のように、委任に基づく防衛庁の業務でございますので、私のほうから直接御報告をするのもいかがかと思いますが、一応状況は承知をして、ございますので、必要がありますならばお答えいたします。
  263. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから何カ所ありますか。千歳だけじゃなくて、防衛庁にゆだねているところは。
  264. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 防衛庁の所管しておる飛行場で、管制業務を委任をしておるというのは、いろいろ項目が分かれておりますが、おもなものは千歳、小松、浜松、三保、徳島、鹿屋というような六飛行場でございます。しかし、そのほかにも、それぞれの防衛庁の所管の飛行場で飛行場管制業務等を行なっておるものは別にございますけれども、大体こういうような状況でございます。
  265. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、運輸省が自主的に空を管理しているという実態とは非常に違ってくるという私は感じがするのであります。ここにもやはり、将来大きな禍根を残してはまずいのですから、当委員会でも論議される必要があると思うのです。しかし、きょうは時間がないからこれぐらいにしておいて、次の私は資料要求だけで終わります。  さっきお願いした資料と同時に、MATSフライトのスケジュール、これの六六年一月から三月までのやつ、これを出してください。それからMATSのパッセンジャー・マニフェスト、カーゴ・マニフェスト、これも一月から三月まで、これをちょっとお願いしたいと思います。これで私終わります。いかがでしょうか。
  266. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) これはMATSにつきましては、わがほうが公式に知り得る範囲についての——当然限られておりますので、しかし、提出するかどうかは、関係のところとよく打ち合わせをしてからにさせていただきたいと思います。
  267. 江藤智

    委員長江藤智君) 踏切道改良促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から提案理由の説明を聴取いたします。中村運輸大臣
  268. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ただいま議題となりました踏切道改良促進法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  交通事故の防止及び交通の円滑化をはかるため、政府といたしましては、従来から踏切道の立体交差化あるいは保安設備の整備等、その改良につきまして極力努力をいたしてまいったところであります。  特に、昭和三十六年に制定されました踏切道改良促進法に基づきまして、立体交差化、構造改良あるいは保安設備の整備を行なうべき踏切道を指定いたしまして、鋭意危険な踏切道の一掃及び交通の隘路の打開につとめてまいりました結果、踏切事故は年々減少する等、かなりの成果をあげることができた次第であります。  しかしながら、最近の自動車の増加傾向は著しく、この点を考慮いたしますとき、踏切道の現状はいまだ必ずしも満足すべき状態にあるとは申すことができません。  御承知のとおり、踏切道改良促進法は、改良すべき踏切道を指定することができる期限を昭和四十年度末としておりますが、今後さらに踏切事故の減少をはかるとともに、踏切道における交通の渋滞の解消を促進するためには、同法に基づき行なっております改良促進の措置を継続する必要があると考えます。  このような現状にかんがみまして、政府といたしましては、現在の踏切道改良促進の措置を延長するとともに、その対象を拡大するため、今回の改正案を提案いたした次第であります。  改正の第一点は、踏切道改良促進法により改良すべき踏切道を指定することができる期限をさらに五カ年間延長しようとするものであります。  次に、改正の第二点は、同法の施行されました昭和三十六年十一月以降に新設された踏切道につきましても、同法の規定により改良の指定を行なうことができることとするものであります。  これによりまして今後五カ年間に踏切道の整備は一応完了し、交通事故の防止と交通の円滑化に大いに寄与するものと考えております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  269. 江藤智

    委員長江藤智君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十九分散会      —————・—————