○源田実君 救難
関係はそれだけにしまして、今度は、次に、全般的なことをちょっとお伺いをしたいと思うのですが。
現在の日本のこの狭い領域の中にたくさんの飛行機が飛んでおるのです。それで、これが有視界飛行に転換する権限は、これはパイロットが持っておるのですね。この方式は、いままではもちろんそれで差しつかえなくやってきておる。ところが、私はこういうことを考えたのです。パイロット、操縦の免状を得てすぐの者は、困難なところをなるたけ計器操縦を避けたいという傾向がある、むずかしいですから。ことにタワーとの英語でのやりとりが、日本語じゃもちろんこれはできないです、やっかいで、ことばの構成上。しかしながら、英語でやりとりするのも非常にやっかいです。英語の達者な人は少しはいいでしょう。しかし、操縦にはやっかいです。そうすると、ちっとでもいい
状況になれば、自分で計器飛行はやめて有視界飛行に変えるということを早目にやりたがる傾向があるのです。その傾向は、次には、たとえばいま五百フィートですか、チフィートですか、雲を離れなければならぬという
規定があっても、実は三百フィートであっても、パイロットがそこでもうこれは有視界飛行で可能だ、自分でかってにきめるのですから、自分じゃ有視界飛行が可能だということを自分で判断をしてきめるのです。三百フィートか五百フィートか雲の距離なんか正確にわかるわけはない。五百フィートできめようとすれば、千フィートか二千フィートできまるのです。雲の距離なんか、
ほんとうにわかりません。そうすると、えてして早目にVFRになってそれで早く安心したところへ行きたいというような感情に支配される。それから、非常にうまい者は、よほど厳重に取り締まらない限り、競争意識があれば、ショートカットをしたがる、こういうような弊害を伴うと思うのです。この点においては、御存じのように、英国の東半分あるいは西独、これは有視界飛行であろうが、無視界飛行であろうが、全部これはコントロールされているのです。地上から。だから、雲があろうがなかろうが、ほとんど
訓練でも何でも同じようにやっている。日本においては、特殊な軽飛行機、スポーツ用とかヘリコプターとかいうもののほか、主要な飛行機はほとんど全部これをコントロール下に置く、このコントロール下に置くということは、
運輸省の管轄下にあるレーダーだけでは無理だと思うのです。これは自衛隊のレーダーと一体になって全飛行機をコントロールのもとに置く。そこで私が申し上げたいことは、この管制の問題については、現在の日本は根本的に考え直す必要がある。いま民間機で自衛隊のあるレーダーを利用して航行するのは非常に少ない。自衛隊のほうは民間のほうをあまり使わないですね。しかしながら、同じ国の中で、こういうものはなるたけ一体化して、最も国の商業
航空あるいは防衛
航空ということの効率をあげるように再検討して出直すべき時期に到達していると思うのです。そうして、その基本原則としては、全飛行機をコントロール下に置く、そうすれば地上で、これもしかし相当熟練した管制官でなければいけないが、それとまた、機材もそろえなければならないのですが、その完備した機材と熟練した管制官によって全部がきれいに統制されておったら、私は
事故の起きる可能性が、少なくとも空中における空中衝突とかなんとか、そういうものが非常に減ってくるし、また、この間のような全日空の飛行機が、機体の故障であろうが何であろうが、もし無視界飛行でずっと来ておったら、どっかでぐあい悪いところがわかったと思います。有視界飛行なるがゆえにわからないところが出てきた。無視界飛行で常にずっとGCAでそういうものでコンタクトしてきておったら、これはわかっただろうと思います。したがっていまのような野放し状態のやつを再検討して、全部をコントロール下になるべくすみやかに置いていただきたい。同じくこの問題も、パイロットの教育にしても、管制官の教育にしても、二本立てでやっているわけです、日本は。私はこんなばからしい話はないと思います。やはり国家として一本の教育
機関で、そうして、そこでこれは相当広範な教育ができると思うのです。そうすれば、そこでもっともっとりっぱな教育ができると私は思うのです。私は自衛隊におったからそういうことを言うわけではないのですが、実際、宮崎の
航空大学校へ行って見ると、全くお気の毒であって、あすこであれだけの機材であれだけの教官でやるということはたいへんなことだろうと思います。ところが、一方において、自衛隊のほうはもう要員の養成は一応ワクに到達したから、今後は増強する必要はないので、これまでの要員の欠員を補充していけばいいという段階になって、だんだんあの教育
機関を縮小しつつある。もう、飛行場を
一つか二つ陸上に渡したり、ほかに転換しているのです。そこにはまだ、これははなはだ失礼ですが、宮崎の
航空大学校よりも話にならないほどりっぱな機材がそろっている。そういうものを何も自衛隊でやれ、何でやれというのでなくて、国家として統制して一本の教育をやる、そうして十分な練度を持って安心して
お客さんを乗せ得るようになってから民間に渡していくというようにすれば、私は少なくともパイロットのミスによる
事故というものは相当防げるだろうと思います。それで、国家としても、経済的にものが使えていくと思うのです。いまのような点については、今後われわれも十分検討したいと思うのですが、これは私は担当官庁である
運輸省においても、ひとつ十分にこの官庁間のセクショナリズムというものを離れて、これは自衛隊のほうも離れなければいけない、
運輸省のほうも離れなければいけない、そして日本の国家ということを考えて進めていただきたいと思うのです。こういうことについて、どういうぐあいにお考えになっているか、ひとつそのお考えを伺って、私の
質問を終わりたいと思います。