運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-03-24 第51回国会 参議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十四日(木曜日)    午後二時五十分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 岡  三郎君                 吉田忠三郎君     委 員                 源田  実君                 谷口 慶吉君                 中津井 真君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 相澤 重明君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 浅井  亨君                 岩間 正男君    国務大臣        運 輸 大 臣  中村 寅太君    政府委員        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省航空局長  佐藤 光夫君        運輸省観光局長  増川 遼三君        海上保安庁次長  岡田京四郎君        気象庁長官    柴田 淑次君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        防衛庁教育局教        育課長      来栖大児郎君        防衛施設庁総務        部施設調査官   久保田栄一君        海上保安庁警備        救難部長     猪口 猛夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (海上保安に関する件)  (航空に関する件)     ―――――――――――――
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  前回の報告に対する質疑を行ないます。
  3. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 先般の報告事項に対する質疑を行ないたいと思いますが、問題によっては運輸大臣並びに運輸省当局答弁だけではわからない点もあるかもしれませんが、わからない点については保留をすることにいたしまして、とりあえず海上保安庁巡視船関係をした第五三海洋丸拿捕事件について質問したいと思います。昨日並びに一昨日あたりの予算委員会ですでに質疑が行なわれておりましたが、三月十四日に日本漁船拿捕をされて、乗り組み員が連行され、早期釈放ということを要求をしながら、ちょうどきょうで十日たっているわけです。十日たってもまだ釈放されないということになると、早期釈放ではなくなってしまっているわけです。外交ルートによって交渉が行なわれているということでありますけれども、運輸省としては、外交交渉に完全に一任をしただけで、それ以外の打つ手はもはやないのかどうか、何らかの折衝面があるのかどうか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  4. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 第五三海洋丸拿捕された事件につきましては、われわれとしましても非常な関心を持ちまして、外務省のほらと打ち合わせして、外務省にその早期釈放についてお願いをしているのであります。現在はすでに正式な外交ルートに乗っているわけでございますので、本件に関する限りはやはり外務省に御一任している状況でございます。
  5. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この事件に関する限りは、場所といい、やり方といい、明らかに不当であるということは明言できるわけですか。
  6. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 海上保安庁のほうで調べております限り、操業しておりました位置も、共同規制水域内である。また臨検を受けました位置は、もちろんこれは共同規制水域内でございます。そういうことでございますので、この拿捕は不当なものであるというふうに考えております。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国際上もこれは許しがたいと、このように断言してもはばからないわけでありますか。
  8. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) そういうふうに考えております。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それでは、巡視船共同規制水域内であることを確認をした際に、相手韓国側警備艇の乗り組み員にもその点は確認をさせることができたのかどうか、その辺はどうでしょう。
  10. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 現場に、当日の午後三時になりまして、当庁の巡視船の「せんだい」が到着いたしまして、韓国警備艇第一〇六号艇に対して現場位置を示して、ここが共同規制水域内であるということをはっきりと示した。したがってこの拿捕が不当であるということ伝えました。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そのことは韓国側警備艇の乗り組み員も同意はしたのですか。それとも一方的に日本側の言い分を聞いただけで、それに対して同意をしたとかあるいは抗弁したとかいうようなことはないのですか。
  12. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) まず、臨検を受けました漁船第五三海洋丸が、レーダーによって、韓国警備艇艇員に対して、いまの位置がここであるということを示しておりますが、それに対しては一応そのことが了解されたというふうに漁船のほうは承知していたわけであります。また、あとに当庁の巡視船の乗り組み員が三人韓国警備艇に乗り組みましていろいろ説明しておりますが、そのときでは当庁の巡視船としては韓国側も現在調べております位置についてはそれが共同規制水域内であるということを了解したように理解しておるというふうに聞いております。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 その辺もどうもはっきりしないのですが、了解したように理解をしておるというのは、こちら側の巡視船の乗り組み員がそのような感じを持ったということであって、向こう側がはっきりと了解をしたかどらかということを証明をするに足るものは別にないわけなんですか、その点はどうなっておりますか。
  14. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 現場では拿捕地点そのものがどこかということについての了解はついているわけでございますが、その位置が、韓国側はそれが専管水域の中であるというふうな主張をしたということがございます。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 海の上のことですから、ここが共同規制水域かあるいは専管水域かというような論争を海の上でやっておると、これこそほんとうの水かけ論になるおそれがあるわけなんですけれども、しかし、韓国側警備艇のほうはそのような計器を搭載していなかった、日本側では必要なレーダー等計器を搭載しておったという事実ははっきりしているわけですか。
  16. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) そのとおりでございます。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、韓国側のほうはかってに専管水域であるというふうな主張を確たるよりどころなしに唱えておったと、こういうことになるわけでありますね。
  18. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 現場におきましては、韓国警備艇はたびたびその主張を変えている点がございます。言い方をいろいろ変えておりまして、専管水域範囲がどこかというふうなことについても、当初は、具体的に申しますと、馬羅島と晩歳島という島がございますが、その二つを結ぶ線の外側十五海里までは韓国漁業に関する水域であるというふうなことを言い出し、それからそれを途中で次々と変えるというふうなことがございました。そういうふうな、その位置についてじゃなくて、専管水域範囲について多少認識が足りなかったという点がございます。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 かりに専管水域であったとしても、旗国主義のたてまえからすれば、今回の韓国のとったような措置はこれは明らかに不当であるということは、日韓条約関係からいってもこれは断言できるということになるわけですね。
  20. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) かりに操業しておりました場所専管水域の中であるといたしましても、共同規制水域内におきましてはそれぞれの旗国管轄に属するということでございますので、共同規制水域内において行なわれましたこの事件は不当なものであるというふうにわれわれ考えております。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 かりに共同規制水域専管水域かということは、水の上に線を引っぱってあるわけじゃないから、船の上じゃなかなかわかりにくいという点もあると思うのですが、かりにその場所専管水域であったとしても、今回の韓国警備艇のとったような態度は間違いであったということにならないのかどうかということです。
  22. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) その位置が――これは仮定の問題でございますが、その位置専管水域の中でございましたら、その場合には韓国排他的管轄権を認めているわけでございますので、韓国のほうの管轄になる、こういうことになります。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それじゃ、臨検をしてこれを連行するということは、これは日本巡視船としてはいかんともなしがたい、傍観をする以外に方法はないということになっておるわけですか。
  24. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) いまの、かりに韓国専管水域の中でという前提のもとにおきましては、今度の条約に従いまして韓国側に排他的な管轄権があるわけでございますから、臨検も、それからそれがもし違法であると認めて拿捕するということであれば、法律的にはそれに対して何ら当方から申すことはないわけであります。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 その法律というのは、魚族資源保護法という韓国側法律ですか。
  26. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 日韓漁業協定に基づくものであります。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 領海外であったことはまず間違いない、それから専管水域共同規制水域かという場合に、その点は韓国側日本巡視船の見解が違っておった――違っておったというよりも、むしろ韓国側が率直に言って自信を持ってなかった、必ずしも。そのようにいままでの報告によれば見受けられるわけですね。その点はどういうふうに海上保安庁としてはいままでの報告を取りまとめておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  28. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 先ほど申し上げましたように、韓国側臨検をいたしました位置につきましては争っていないのでございますが、その位置韓国側専管水域内であるというふうな言い方をしていたというようなことでございます。一方当庁の巡視船のほうでは、持っておりますレーダーロラン等計器によりまして、その位置については確固たる自信を持っておるわけでございます。
  29. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 確固たる自信を持っておっても、現実には臨検をされて、拿捕され、連行されたわけですね。こういうことは当然予想されるわけですよ、海の上では。だから、そういう場合に、これは韓国警備艇というものがいかなる権限をもって、かってな解釈を下して、臨検を行ない、拿捕し、連行をするということができるのか、まことにわれわれには不可解に思うわけです。一体韓国警備艇というものはどういう資格を持っておるのか。これは韓国の海軍に属するのか、あるいは日本で言えば海上保安庁のような役所に該当するのか、その警備艇の公の地位あるいはその権限といいますか、資格といいますか、それはどういうふうになっておるのか。
  30. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 韓国治安部に属するものでございまして、大体日本海上保安庁巡視船の属するのと似ておるものでございます。
  31. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この報告によると、小銃二発、拳銃一発を発射して、銃の台じりで乗り組み員を欧打したというふうに書いてあります。そうすると、武装しておるということになるわけですね、向こうは、明らかに。武装をしておって、それから威嚇射撃を行なう、あるいは銃でもって乗り組み員を欧打をして連れていくと、こういうことが平時において――交戦中の国なら別ですよ、平時において一体許されることなのかどうか、その水域がもし向こうの言うように専管水域であればそのような行為も認められるようになっておるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  32. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 小銃なり拳銃でございますので、まあいわゆる警察当局が持つ武器の中に許容されておるものじゃないかというふうに思っております。ただ、実際にそれをやたらに行使していいかどうかということになりますと、当然そういう武器の行使というものは非常に厳正に取り扱わるべきものでございます。今度の事件においてここまでやる必要はなかったのじゃないかというふうに私たちは考えるわけでございます。
  33. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 日本巡視船の「せんだい」、「くさかき」という船は武装しておるのかどうか。それからどのくらいのトン数の船で、乗り組み員が何人くらいおって、その主たる任務は――どこに属して何を主たる任務としておるのか、その点御説明いただきたいと思うのです。
  34. 猪口猛夫

    説明員猪口猛夫君) 「くさかき」は四百五十トン型の巡視船でございます。「せんだい」は三百五十トン型の巡視船でございまして、いずれも三十数名の乗り組み員を持っております。任務は、いわゆる海上保安庁法にきめられております警備救難業務と申しますか、海上におきます財産保護人命救助等任務としておるわけでございます。今回の問題の起きました海域に出動しておりますのも、漁船操業秩序維持等のために特別哨戒をしておったわけでございます。
  35. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 武装の点は、三インチ砲を搭載しているんですか。何と言われたんですか、よくわからなかった。
  36. 猪口猛夫

    説明員猪口猛夫君) 四百五十トン型につきましては、三インチ砲一門と、それから二十ミリ機銃一門を持っております。それから三百五十トン型につきましては、二十ミリ機銃一門を持っております。そのほか、海上保安官として海上警察権を行使するために必要な、海上保安官携帯用武器として拳銃を持っているわけでございます。
  37. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 小銃は持っていないのですか。
  38. 猪口猛夫

    説明員猪口猛夫君) 主として機雷処分のための目的として、自動小銃を一機ないし二機各船持っております。
  39. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 小出しにあなた答弁するけれども、初めから……。  じゃあ、「くさかき」には三インチ砲を一門持っている、二十ミリ砲を持っている。それから自動小銃は、機雷小銃であろうと何であろうと、持っているかいないかということを私は聞いたのだから、持っているのか持っていないのか。それから実砲も持っているのかどらか、砲の場合実弾も持っているのか、それもお聞きしたいわけです。ただその大砲だけ積んでおってたまを持っていないと言うのか、あるいはそういう武装はちゃんとやっておるのかどうか、その点どうですか。
  40. 猪口猛夫

    説明員猪口猛夫君) これは、先般衆議院の予算委員会で、石橋先生からの御質問で、私のほうの長官が答えましたように、いずれも主として訓練用目的とする実砲をそれぞれの武器に応じたものを備えております。そして、これを使用するに必要な武器使用措置が厳重にきめられて、現在いつでも必要な海洋警察権を行使するために最小限必要な手段を講じられる体制に整えられておりまするが、これを行使するには 先ほど次長からもお話しいたしましたが、非常に厳重な規則ができておりまして、正当防衛あるいは緊急避難以外は、しかもそれも最高指揮官指示がない限りは使えないようになっておる次第でございます。
  41. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 要するに、訓練用だろうと何であろうと、武装日本巡視船武装をしている、たまも持っていると、こういうふうになるわけですね。それで、その目的というのは、海上における警備とかあるいは日本財産保護であるとかということになるわけですね。そうなりますと、日本漁船がその韓国警備艇だろうと何であろうと不法に公の海の上で臨検をされたり、拿捕をされたり、連行されたりするというようなことは、海上保安庁の責任において、これは警備をし、阻止をしなければならない、こういう法律上の定めにはなっているということになるわけですか。
  42. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 今回の場合、韓国警備艇の側からすれば、自分専管水域内に日本漁船が入った疑いが濃厚であるということで臨検し、さらに拿捕をするということになったわけでございます。したがいまして、当庁の巡視船としては、たとえば例が極端な場合でございますが、海賊船海賊行為をやるというふうな場合に、それを防衛するために武器使用するというふうなものとはおよそ性格が違うわけでございます。当庁の巡視船はもちろん保護につとめますが、今回のケースにおいて実際にとりましたその保護措置は、韓国警備艇に対しまして、この位置共同規制水域内であり、したがって韓国警備艇拿捕をしようとすることは不当であるという旨を再三にわたって申し入れいたしております。また、最後に拿捕して連行するという時期になりましても、それを追尾いたしまして、途中でずっとやめるようにということを申し入れ続けてきたわけでございます。
  43. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 しかし、今回の韓国やり方というのは、まさに海賊行為だという感じがするわけですよ。いままでの説明でも、共同規制水域で明らかに不法、不当な処置をしているわけですから、この種の韓国側海賊行為に類することはいままで漁業協定ができる前からしばしばあったわけですが、日韓条約が成立をした、漁業協定ができたと言ったって、実質的にはこれではちっとも変わりがないということになる。何のためにこういう日韓の間に条約ができたか、協定ができたか、今日までの経緯を見ると、まるっきり無意味である、こういう感じがするわけです。それで、海上保安庁巡視船としては、武装はしておるけれども、相手韓国であれば絶対に武装は持っておるものは使わない、積んでおるというだけであって、呼びかけ以外には全然方法はないということになるのか、あるいは巡視船船長権限――船長といいますか艦長といいますかよくわかりませんが、権限というものがどの程度まであるのか、こういう場合にはもういかんとも処置なしなのか、その点はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
  44. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 先ほど申し上げましたように、韓国警備艇は、自分のほうが正当な措置であるという考えのもとに臨検をし、また連行をしたのではないかと思います。いやしくも一国の公船でございますので、われわれはそれに対して、あくまでもそれは不当であるということで、その不当性を執拗に相手方に訴え、また釈放を求めたわけでございますが、それ以上の行為に出るということは、国際間の問題でございますので、やはり国際間のこれは一つ紛争になるということで、その紛争の処理ということは、外交ルートに待たざるを得ない。しかし、現場相手方を納得させて円満に解決することについては、極力つとめたわけであります。また、船長権限につきましては、そういう場合のあらかじめの指導方針に基づいておりますので、船長の判断でいろいろな措置をとることになっております。時間的に余裕のある場合には、第七管区保安本部のほうに指示を仰ぐようにして、一応権限的なものは与えられております。また、武器使用についてという点かとも思いますが、この点につきましても、船長に一応権限としてはまかされております。実際に非常に急迫している事態にあって、正当防衛として武器使用する以外に方法がないというふうな事態に万一あったといたしました場合には、武器使用することもやむを得ないということになるわけでございます。そういう権限というものは与えられているわけでございます。
  45. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 武器使用するのもまたやむを得ないというのは、仮定の場合の論議でありますし、やたらと武器使用するような事態になると、たいへんこれはやっかいなことになるとは思いますが、しかし、向こう武器使用しておるわけです。その船は拿捕され、連行されたのですから、こちら側の意思いかんにかかわらず、大きな紛争であることに変わりはないじゃないかという気がするわけですね。非常にこれは日本に対する侮辱だと思うのですよ、私はこういうことは。それで、これは運輸大臣としても、即時釈放厳重抗議をするというのがたてまえじゃないかと思うのです。ところが、今日まで十日になるのにらちがあかないというのは、はなはだ私は遺憾なことだと思うのです。まず、取り扱ったのが運輸省海上保安庁巡視船であるということからすると、外交ルートによる釈放交渉に先行して、運輸省としてもこれは措置をするということを即時行なうべきではなかったのかという気がするのでありまするが、その点は運輸大臣としてはどのようにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  46. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、今回韓国警備艇がとりました処置は、これは瀬谷委員が仰せのように、適正を欠いた処置であると、かように考えておりまして、不法拿捕するというようなことは、向こう処置が誤っておると解せざるを得ないと思います。しかしながら、先ほど次長も言っておりましたように、向こうが強引に今回のような態度拿捕してまいりまする際には、海上保安庁としては、やはり武器をとってこれに対抗するか、あるいは、今回とりましたように、一応これはその際の資料等を正確につかみまして、そうして外交ルートに渡しておだやかな方法交渉するという、二つしかないと思います。前段のいわゆる力をもってこたえるというようなことは、日本海上保安庁としては私は許されておらぬというふうに考えております。やはり外交ルートを通じて厳重に引き渡しを要求するという処置が正しいと考えます。運輸省としましては、外務大臣を通じ、外務省を通じて、外交ルートによって向こうの適正を欠いておる点を厳重に指摘しまして、すみやかに船と船員を返すようにという処置をとってもらっておる段階でございますので、運輸省といたしましては、海上保安庁としては、もう今回の処置は、あれ以上の処置はできないということであると考えております。
  47. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 しかし、何回も言うようですが、もう十日たっておるわけなんです。十日たっていまだにらちがあかないというのは、どう考えても遺憾なことだと思うのです。この周一体何をやっておるのかという疑問をわれわれは持たざるを得ないのです。考えようによっては、何かやくざが言いがかりをつけるような、日本漁船をさらっていって、それで、たとえば経済協力の問題であるとか、あるいは請求権関係であるとか、そんなことでもって日本側に対して難題を吹っかけてくるといったようなことをたくらんでおるのじゃないかと、こういうふうに疑われるわけなんでありますけれども、今日まで十日間もむざむざと時間を浪費しているというその辺の事情は明らかにできないのかどうか、これを大臣にお伺いしたいと思うのです。
  48. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 交渉としては、できるだけ早く返すようにという厳重な抗議をいたしておるようでございまするが、やはり向こうが船と人間を抑留いたしまして、そして日本交渉に応じておるとは思いますけれども、今日まで船と人間を返すということにならないことは、まことに遺憾でございますし、われわれとしてもきわめて適切でない処置であると強く考えますけれども、やはりこの段階では外交ルートを通じて一刻も早く返させるということ以外に私は処置がない、運輸省としては処置がないと、かように考えております。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 関連で一つだけ聞いておきたい。いまの運輸大臣答弁を聞いておると、海上保安庁としてはあの時点ではあれ以上のことは無理である、こういう御答弁である。日本漁船並びに漁船員については、現実拿捕され、連行されて、いま抑留されておる。新聞等で聞いておると、起訴されるかもしれぬと、こういうことも言われておりました。外交交渉に移して、運輸省としてはもう打つ手はない、こういうことになってくると思うのです。運輸大臣関係でなくて、外務大臣関係にいまや移りつつある。それで、外務大臣が強力に交渉を行なっておる。そこで、一つ問題に私は考えられるのは、韓国国内法を適用をして日本漁船員を起訴する、そして実刑を科すということになると、すぐには帰ってこられない。これは、私が参議院の決算委員会で山口県等を、地方の決算調査に行った際に、何回もいま言われたようなことが行なわれておるということを、私は山口県庁の報告を聞いておるわけです。こういうことから考えてみると、瀬谷委員の言われるように、条約協定ができる前もできた後の今日もあまりその事態については変わっていない。そこで、一体この漁船の返還がどうなるのか、漁船員の帰国がどうなるのか、こういうことはきわめて地元民としては大事なことであります。家族としてはたいへんなことだと私は思うのです。その間の補償というものは一体だれがするのか、これはひとつたいへんな大事なことであるので私は聞いておきたいと思うのですけれども、もし海上保安庁を監督しておる運輸大臣が、もう共同規制水域の中におけるこれらの治安についていま言ったようなことであれば、私はもう日韓条約なんていうものはへにもならぬ、役に立たぬ、こう言われてもしかたがないじゃないか、政府の言われておったこととはまるきり違うじゃないか、こう思うので、ひとつその点は、はっきりした日本政府の態度というものを、あなたは海上保安庁を実際に掌握しておる担当大臣として、しかも日本の国策を推進する国務大臣という重要な席にあるわけなんですから、はっきり言明してもらいたいと思うのです。そうしなければ、漁業問題に携わっておるその地域の人たち、家族の人たちは心配で、実際に公海における操業はできないと思うのです。私が少なくとも、今日までのいろいろな情報なり、あなた方が国会で報告をしたことを聞いておると、いわゆる韓国がいう専管水域そのものというものは、全くでたらめを押しつけておる、こういうふうにしか思えないわけです、これは。そういう意味からいっても、やはりこの際は態度を明らかにする必要があるので、いまの瀬谷委員の質問に関連して私の申し上げたことに対してひとつお答えをいただきたいと思う。
  50. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、今回の紛争の原因は、わがほうの海上保安庁は、こっちの漁船共同規制水域内において、専管水域に入っておらぬというたてまえをとっておりますし、その資料等も十分整えて、そして韓国のほうに外務省を通じて交渉いたしておるわけであります。おそらく向こうとしては、日本漁船向こう専管水域に入っておって操業しておったんだというたてまえをとっておるのだろうと、かように私推察するのでありますけれども、そこに紛争の原因があると、かように考えますので、わがほうとしては、共同規制水域の中で操業をしておったと、専管水域に入っておったものでないということをやはり資料を正確に提出して、そうしてそれによって向こうの反省を求め、即刻返してもらうように交渉するという態度でいま外務省が臨んでおるわけでございます。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 その補償はどうするのだというのだよ。大臣答弁にないじゃないか、漁船員なり家族に対する補償をどうするのだ。
  52. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) その問題は、いま向こうの船がこっちに一刻も早く返ってくることを外務省を通じてやっておるわけでございます。で、どうといいましても、その間の漁船に対する補償等は今後検討していきたいと思いますが、いまどうするということは、いま申し上げる段階でないと思っております。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 関連質問だから、私はだから一点だけにしぼって、特にいまの点をしぼって聞いているのだよ。もしそんなことをしておったら、その地域の者やその家族の者は生活問題であって、これはたいへんじゃないか。しかも、それが明らかにわがほうが不当であれば、これはもうある程度まあ無理をしたのだということになるけれども、政府自身が言っているのが、これは共同規制水域である、わがほうの主張は正しいのだと、こう言っておるのだから、そうなれば、その家族の人たちが心配のないようにしてやらなければいかぬじゃないですか。生活保障を、そういう道はあるのかないのかと聞いている。そのくらいのことが答弁できなければ困るじゃないか。
  54. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、向こうが不当な処置日本漁船拿捕して船員を抑留しておるということが明確になれば、そこに補償の問題等は韓国政府との間に交渉を進めていくべきである、かように考えております。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 どうもはっきりしない、すまぬけれども。私の言っているのは、少くとも国のことでしょう、これは。個人の問題じゃないのですよ。だから、日本国と韓国というこの間の国のことなんだよ。あなたも言っているじゃないか、紛争だと、こう言っている。そうするならば、何も海上保安庁を掌握をしておる運輸大臣としては、閣議の中でこれだけの問題について、それは農林大臣であろうと、外務大臣であろうと、佐藤内閣としてこれは処置しなければならぬ問題じゃないか。それを運輸大臣としてなぜどういうふうにやらなければいけないということが提案できないか。また、そういう閣議としてはどうなったかということぐらいは報告をしなければ困るじゃないか。それがなければ、日本海上保安庁が実際に警備救難の作業として出ておっても何も役に立たぬ、こんなものは。こういうことになって、漁民としては不安でたまらぬと、私はそうなってくると思う。だから、その点は、内閣としてその道を、一体生活保障の道等をどうするのか。いわゆるその外交交渉によって返還を求める、早く返させるということは、もちろんそれはあたりまえの話です。けれども、その間においてだって、いま瀬谷委員の言うように、十日もたっておらないで、ぶざまな話です。これから幾日――あす解決するとも言い切れないでしょう。その間の一体その人たちの身分保障は一体どうするのか、家族の生活保障はどうするのかということぐらいは、内閣でもって討議ができなくちゃしょうがない、そのことを聞いているのだよ。ぼくは最初から関連質問だから、その一点だけだから。それも、かつてないことはない、山口県をはじめとして多くのそういう問題がずっと続いた、それを知っているから私は聞いている。
  56. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府といたしましては、一日も早く返してもらうということは外務省を通じて折衝をしておる、これが一段階でございます。この結果によって、いわゆる第二段階として、やはり韓国は不当な処置をしておったということが明確になれば、韓国に対して私は日本政府から補償等の問題を提起すべきものである。さしあたりの問題は、これは漁業の問題でございますから、農林省とかあるいは大蔵省で、家族とか遺族が困っているという場合には考えるべきであると思っております。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 閣議じゃなかったのかと聞いておるんだよ。そんなことはちっとも話に出ないのかな、お粗末だな。いや関連質問だから……。話にならぬ。
  58. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 船長連行されて、専管水域内で操業したということを船長が言明したということをソウルからの報道は伝えておるということでありますけれども、船長が連れて行かれる前に、日本の保安庁の巡視船が第五三海洋丸のところへ行って場所を現認をしているということであれば、そのあとでもって船長がかりに、実は専管水域でやっておりましたと言っても、これはおどかされるかあるいは強制されるかして、事実と違ったことを言わされたというふうにしか考えられないわけですね。その点は、そのような解釈はできないのですか。
  59. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) これは外務省のほうからお聞きしたことでございますが、釜山におります副領事が船長に会っておりますが、立ち会いの韓国の係官がいたこともあって、この点についてはっきりした、そういうことを認めたかどうかということについてもはっきりしたことは現在のところわかっておりません。
  60. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 韓国側の報道で船長がかりに何と言ったと伝えられたとしても、日本海上保安庁計器を持った巡視船が現地へ行って、ここは共同規制水域であることを確認している以上は、船長がもしかりにあとで専管水域の中で操業したということを言ったとしても、それは強制をされたものか、脅迫をされたものか、どちらかの理由でもって心ならずも言わされたというふうに解釈をするのが私は正しいと思うわけでありますが、そのようにわれわれも解釈してよろしいかどうかということです。
  61. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 船長共同規制水域内にいたという自信を持っていたはずでございますので、私たちもそれが専管水域内にいたということを認めることはまずないのじゃないかというふうに確信いたします。
  62. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 韓国側の言うように、かりに専管水域内におったとしても、その周辺に日本巡視船がおったということも事実なんだから、そうすれば臨検をし、拿捕し、連行をする、こういうようなことをやるということは、少なくとも友好国の態度ではないですね、これは。条約を結んだのは、日韓が相互対等の立場でもって友好関係を深めると、こういううたい文句があるわけですよ。友好国の態度としては、これはあるべからざることじゃないかというふうに私は思うのですがね。その点は、運輸大臣どういうふうに御解釈になりますか。
  63. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、今回の紛争の原因は、向こうはやはり、専管水域の中で作業したという、これは事実が、誤解かわかりませんけれども、そういう根拠に立っておるのであります。こっちは、専管水域じゃない、共同規制水域でやったんだということを、海上保安庁としては自信を持って向こうに、現地においてもかなり折衝をしておるようであります。それを聞かずに向こう拿捕していったということは、そういうところに紛争の原因があるのじゃないか、かように考えておりますので、友好国か友好国でないというように考える前に、そういうことで今回の紛争が起こった。それで、日本のほうが持っております正確な資料で懇切に説明をすれば、私は、韓国了解をして早く返してもえらるものだ、さように信じますので、いま外務省では強くその処置を、早く返すように交渉を進めておるわけでございます。
  64. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いや、いままでの予算委員会等における論議というものをわれわれ知らぬわけじゃないのです。まことに外務大臣の言っておられることも、何か煮え切らないようなことばかりなんですよ。要するに、この日本の外交というのは、野党だけじゃなくて、与党の中においてすら、腰抜け外交であると、こういう非難が高まっておるということが新聞にも出ておるし、おそらく自民党の皆さんだって、口に出して言うか言わぬか別として、困ったものだと思っている人が相当いるんじゃないかと思うのです。そういう腰抜け外交であるならば、なおさら担当の運輸大臣のほうでき然とした態度を打ち出して要求をしていくのが私は妥当じゃないかという気がするわけです。今回の問題は、場所といい、やり方といい、明らかに韓国側措置がこれはもう間違っておるのだということは、もうはっきりしておるのだから、そうなると、十日間も連れっぱなしにして、これだけでも損害賠償を請求をするというくらいのことは私はやっていいんじゃないか。それから、はっきりとした条約協定に対する侵犯ですよ、こういうことは。向こう側条約協定というものを友好的な態度をもって尊重をいたしていないという何よりも具体的なあらわれになるというふうにわれわれは解釈せざるを得ない。もっと極言をすれば、日韓条約というようなものは、だから言わないこっちゃない、こういういいかげんなものじゃないかということをわれわれのほうでは指摘したいのですよ。だから、先ほどの相澤さんの質問に戻りますけれども、むしろ主管の大臣として、今回の問題については、損害の賠償を請求する、それから経済協力といったようなことについても、この問題について韓国側の不当な措置というものを撤回をし、謝罪をしない限りは、わがほらとしては応じない、そのくらいのき然とした態度をとってしかるべきではないかというふうに考えるのですが、その点はどうでしょうか。
  65. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、運輸省といたしましては、紛争の起こりました当時、海上保安庁が巡視艇をもってそのときの実情等を明確に示すことが、日本漁船のとった態度が正しい行動であったのだ、間違いないのだということを示すことが、これはき然とした態度である。その態度によって、外務省を通じて韓国の反省を求めるという行き方が、外交交渉としての姿としては私は正しい行き方であると思っております。そういうことで、今回の事件のすべての責任は、韓国側にあるのだという態度外務省交渉を続けておるようでございますので、一日も早く向こうが船と人とを返してくれることを期待しておるわけでございます。
  66. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 日本の外交の姿勢というものがどうも弱いんじゃないかというふうな懸念を持たれるわけです。持たれているわけですよ、現実に。だから、その意味からすると、問題に直接タッチをしたのが海上保安庁巡視船である。その所管の大臣としては、外交的な事例というのはこういう場合必要ないのだから、損害を補償しなければならぬじゃないか。それから即時釈放をすべきだ、無条件即時釈放する、厳重抗議をする、こういうき然とした態度を矢つぎばやに私は打ち出すべきじゃないかと思う。そうでないと、あちらに足元を見られてしまって、いつまでもずるずる引き延ばされるということになるんじゃないかと思う。その姿勢について私は質問をしたわけなんです。  それから、海上保安庁の乗り組み員の問題ですけれども、こういう無法なことをやる韓国警備艇と終始相接している、こういうことは相当考えなければならぬことじゃないかと思う。まごまごすると発砲されるということもあるかもしれない、相当乱暴なまねをやられるかもしれないということなんでありますから、乗り組み員についても保護措置をとる必要が出てくるんじゃないか、こういう気がするのですよ。だから、海上保安庁巡視船並びに巡視船乗り組み員の防護体制、保護策といいますか、そういう体制の万全を期するためにどういうふうな方法を講じていられるのか、その点についてもお伺いしたいと思う。
  67. 岡田京四郎

    政府委員岡田京四郎君) 韓国海上警備隊のほうでも、武器使用などについては厳に戒めるという点について非常に強い方針を出しております。したがいまして、今回のような事件はほとんど予想されない、たまたま起こったことでないかというふうに考えております。しかしながら、現実にこういう遺憾なこともございます。そういう点にかんがみまして振り返ってみますと、まだ現在韓国警備艇日本側巡視船との間に通信に関する取りきめが、ほぼその合意に達しておりますが、まだ正式な協定に達していない、発効まで至っていないというふうなことがございます。そういったものが早く正式な取りきめに達することになりますと、よほど両者の間の意思の疎通がはかられるわけでございまして、そういうことから誤解などに基づくようなことはなくなってくるということになると思います。こういったふうなことについての問題、あるいは海難救助協定等も現在準備の段階にございますが、こういったものを進めることによりまして、全般的に両国の巡視船間の友好関係が一そう増進されることになる、こういうことから現地における必要以上のトラブルというものはなしに済むのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  68. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 きょうは質問者が私のほかにもたくさんおりますから、これで私は一応打ち切っておきますけれども、どうも今回の事件に対する政府の態度というものはなまぬるいような感じがしてしょうがないわけですよ。特に外交ルートによる釈放交渉といっても、十日たっているわけです。日本漁船不法臨検され拿捕され連行されたということはもうまぎれもない事実なんですから、このまぎれもない事実ということを考えてみた場合には、これは韓国側条約協定というものをまるっきり無視している。日本に対する友好国の観念というものがさらさらない。かれらが誤解をしている――いまこの段階ではゴカイもロッカイもないと思うんですよ。意識的に日本を無視、敵視をして、まるでやくざが言いがかりをつけるようなやり方を相変わらずとっているということになる。だから、むしろ主管大臣としては、技術的な問題ではなくて、根本的な相互信頼の問題であるというふうな観点に立って、き然とした態度をとって、その報復措置をも含めて韓国側に接触をする、こういう態度をとる必要があるんじゃないかという気がするわけでありますが、再度運輸大臣の見解をお伺いをして一応私の質問を終わりたいと思います。
  69. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 漁船拿捕の問題は、これは農林省の関係でございまして、運輸省といたしましては海上保安庁を通してこの漁船の安全操業を保護するという一つ警備の役割りでございます。その警備の役割りを果たしている途中においてこういう事件が起こりましたので、私のほうとしてはやはりそのときの正しい姿を資料として明確につかんで、これを紛争解決の用に供するという役割りが、私はいま海上保安庁に与えられておる仕事であると、かように考えておりますので、先ほどから申し上げますように、今回の日本漁船に対する韓国警備艇のとった態度は不正である、正しくないということを明確に資料をもって韓国政府の反省を促すという措置をとっていくことが、私は運輸省としては仕事であると、かように考えております。
  70. 前田佳都男

    前田佳都男君 きょうは大体、航空の再編成問題と、それから日ソ航空協定の問題につきましてごく簡単にお伺いしたいと思います。大体政策的な問題が多うございますので、なるべく大臣に御答弁を願いたい場合が多いと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず最初に、全日空の事故、BOACの事故、カナディアン・パシフィックの事故、その事故の結果相当乗客が減少しておると思うのですが、その減少状況は一体どういうふうになっておりましょうか。これはもう事務的にひとつ。
  71. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御指摘のように、国内幹線におきましては、一月、二月におきましては、たとえば札幌線に例をとって申し上げますと、一月は前年比較二六%増、二月は一七%増というような状態でございましたけれども、その後全日空機の事故等がございましたために、三月に至りましては連日昨年比を割るような状況でございます。東京――大阪線につきましても、最近におきましては前年に比較して三〇%台というような数字の状態もございます。
  72. 前田佳都男

    前田佳都男君 そういう事故がなくても、大体飛行機の会社というものは、相当経営が苦しい会社もあるわけです。そして、こういう事故が起きますと、その影響を受けまして、その経営がますます苦しいのではないかと思いますが、その経営を挽回するために相当各社が競争したり無理をする。そういうことが、まあ経営の苦しさということが、無理して経営するということになりまして、安全性に影響する。そしてまた安全性が阻害されて、また経営に影響する。非常な悪循環というものを持っている。その結果、どうしてもやはり航空企業といたしまして、再編成といいますか、何とかして合理的に安全性を達成し得るように経営の基盤というものを強化していかなければいかぬ、そういう問題がある。これにつきましては、よく新聞に、航空企業の再編成であるとか、そういうことがちらほら出ておるわけでありますが、この点について、航空事業の再編成についてお考えになっておるかどうかということを承りたいこと。それから、続けて申し上げます。この航空企業のあり方につきまして、去年の十二月だと思うのでありますが、「わが国定期航空事業のあり方について」という、こういう答申が、航空審議会といいますか、ここから出ておるわけです。この答申は現在でもまだ生きておるのかどうか、まあ生きておるというとおかしいのでありますが、大いにこれはこの方針に従ってやるのかどうか。この答申については、私も特に勉強したわけじゃありませんが、かすかなながらいろいろ聞いておるところによると、まあ慎重審議というけれども、いろいろ議論があったということを聞いておる。相当その文章を見ましても、どうでも読める点が多い。いろいろ疑問点といいましょうか、不明な点といいましょうか、そういう点が私は多いと思うのですが、それはあとでじくじくと承りたいと思うのでありますが、ことにこの「航空事業のあり方について」という十二月の答申が生きておるとすれば、これだけの大事故が三つもそろえておった、それ以後の事態において、いわゆる安全性という点から考えまして、もう一ぺんこの航空事業のあり方というものを再検討する必要があるのではないか、その点も伺いたい。すなわち、この答申が生きておるかどうか、それからまた、安全性からこれを再検討、再び新しいめがねでこれを見直してみよう、そういうお考えがないかどうか、そういう点について最初にお伺いをしたい。
  73. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 航空企業の問題でございますが、これはやはり航空企業は、一番まず安全で迅速で正確であるということが、これは航空企業の――どの企業でも同じでありますが、特に航空企業としては大切な要素であると思うのでありますが、今回の事故は引き続いて起こりましたが、これは私は日本航空施設がそのまま直接の原因であるというふうなことは考えておらないのでございます。しかしながら、今回の事故にかんがみまして、航空の安全性を確保するために、できるだけの飛行場設備とか、あるいは管制設備、あるいは飛行上重要な要素である気象情報の正確な確保とか、いろいろそういうものを整備して、そうして航空の安全をはかっていくという体制を強化することによらなければ、先ほど前田委員の心配しておられますように、国民が航空機による一つの非常な不安というものを持っておる、それが勢い営業の面にあらわれてきて、乗客減少ということになっておると考えますので、運輸省といたしましても、いま申し上げました航空企業の健全な安全性を確保するために、あらゆる施設を早急にやるという、非常にことばは適当でございませんが、非情態勢のような決心で急いでおるのでございます。  それと、第二番目に御質問がありました航空審議会の答申が生きておるのかということでありますが、これは昨年の十二月に答申を受けたのでございます。私はその答申の趣旨を尊重して、大体航空企業のあり方に再考慮を要する時期であると考えておったのでありますが、特に今回の航空機の事故等によって、これはやはり急がなければならぬ。必ずしも競争がすぐ事故につながっておるとは考えませんけれども、やはり過当競争が事故につながるのではないかという一つの批判等もかなり出てまいっておりますので、そういう国民の心配から出てきた批判に対しましても、政府はこれにこたえていかなければならぬ、そういうことを考えまして、航空企業の再編成もこれは早急に、急いで結論を出していきたい。その方向は、やはり第一は、国内企業の健全な経営を確保していくというたてまえに立つことが勢いやはり安全運行にもつながっていく線でもございますので、そういうことを考えまして、航空企業のあり方等につきましても、内外を通じてひとつ再考慮する時期で、その考慮の中の大きな柱として、昨年末答申されました案を尊重しながら、実情に即して、ひとつ再編成といいますか、集約化するといいますか、そういうことを措置してまいりたい、かように考えていま努力しておる次第でございます。
  74. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの大臣のおことばで、とにかく昨年十二月の航空審議会の「定期航空事業のあり方について」という答申を尊重して処理していきたいという御答弁でございまするが、まあ率直に言って、私はこの答申を読んで感ずるのですが、これはこういう事故が起きる前であればよろしかったのですが、ところが、この答申は安全性というものも考えておる。しかし、安全性以上に、事業経営が成り立つようにというか、採算がとれるようにというか――事業経営が成り立つようにということは安全性につながることでありますけれども、しかし、イデオロギー的というか、その考え方のポイントの立つ点に企業性という点が非常に強く出ておるような気がする。特に、弱小会社というか、ちっぽけな会社を救うてやろうということはいいことなんだけれども、救おうということにあまり力が入り過ぎて、かえって現在安全なところまでもその影響をこうむるおそれがあるのじゃないか。あぶないところはあぶないところで別にこれを救済する方法をとらないで、とにかく健全なものとあぶないものと合わして、そうしてちょっとうまくやっていくというような、まあ悪いことばで言えば、他の会社のふんどしで相撲をとろうというような、まあそういうふうな、企業性と安全性の二つは関連性を持っておりますけれども、安全性ということよりも企業性ということにどうも重点が置かれておるような私には気がするわけなんです。それはその人によっていろいろ見方が違うと思いますが、やはり企業性というところに重点を置く、特に弱い会社は、非常に貧弱な会社は助けてやらなければいかぬという考え方が非常に先行して、それでこういう案も出そう、ああいう案も出そうというふうになっておるような――私は助けるのは助けなければならぬ、それはある以上は助けるということは、これはもう監督官庁として当然であると思いますが、どうもその結果かえって小さい虫を生かそうとして大きな虫を殺すというような、何か大目的がかえって失われるような感じが現在でもし続ける。現在でも、何とか案、何とか案とか、いろいろ出ておりますけれども、それでもどうもそう思うんですが、それについてさらに続けてお尋ねしていきたいと思うんですが、大体最初のお伺いしたいポイントは、その点の企業性というか、会社が成り立つように――安全性ということは最近大きくクローズアップされましたけれども、あの答申は非常に企業性を、財界等からそういう非常に要請があったと思いますが、その点はあまり露骨な質問かもしれませんが、どうでございましょう。
  75. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、日本航空企業の現在の実態は、やはり弱い会社等が、小さい路線しか持たない会社が幾つもありますので、やはりこれはある程度集約化する必要がある。それから、国内幹線等につきましても、やはり安全な運航のできる一つの限界というものがあると思いますので、これもやはり集約化していくというようなことが必要ではないか、答申にもそういうことが盛り込まれておるようでありますが、そういうことをやっていきます第一段階として、いわゆる弱い会社の建て直しをやらせる、そういうことがやはり重点になっておりますので、それが非常に強く世間に印象を与え過ぎておると私は考えております。端的に申しますと、私はやはり、日本航空と全日空が大きな資力を占めておりますので、これをやはり中心にどう集約化していくかということが今回の航空企業の再編成の一つのポイントである。そういう場合に、いまある国内航空とかあるいは東亜航空とか長崎航空とかという会社をどういう形でこれを持っていくかというようなことが勢い課題になってくる。いま国内航空の体質を強化するというようなことも非常に必要な差し迫った問題でありますけれども、そういうことがやはり日本航空との間に第一段の話し合いとして進められておる。それが非常に表面に出てしまって、いま前田委員が仰せられるような一つの感覚を一般に与えておると思いますが、何もそれが中心でございませんで、やはり全日空、日本航空というような大きな柱を中心にものは考えていかなければならないと思います。ただ、手始めとしてやはりそういう段階を踏まなければなりませんので、そういう段階を踏んでおるという実態でございます。
  76. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの大臣の御答弁、とにかく航空事業というものは集約化していこうという、そういう根本的なお考えのもとにいろいろ究極的なものをやっていらっしゃるのだというふうに私は承ったのでありますが、とにかく、これは言わぬでもわかったことでありますが、航空事業は本質的に非常に金がかかるということが特質だと思うんですね。727だけで、あるいはDC8だけで二十億から三十億金がかかる。それからコンソリデーテッドになると百億近くの金がかかる。とにかく聞いただけでもびっくりするような、非常な金がかかる。したがって、まだそのほかに乗員養成にも、私は聞いて驚いたのですが、大体ジェットのパイロットを養成するのに三千万円の金がかかる、あるいはそれ以上の金がかかる。こういうふうな点について、もちろん国もある程度は補助しているようであります。しかし、小さい会社ではやれっこない。そんなところの飛行機に乗ったらあぶなくてしょうがない、いつ何時落ちるかもしれない。そういう点を考えると、航空事業というものは本質的に本来の性質として集約性を持っていると思うんです。一般のバスや、タクシーや、そういうように、ちょっとあの会社は調子いい、サービスがいい、飛行機の中でごちそう食わせるから乗ってみたい、ちょっと十分ぐらい早く着くから乗ってみたいというような、そういう競争の利益というものはきわめて少ないと思う。これは申すまでもないことでありますが、それでとにかく、機内サービスがいいとか、時間がちょっと早くつくということは、ちょっとしたサービスでありますけれども、とにかく安全ということが何よりも私はサービスだと思うのです。その点、集約化に関連して、そういう観点からいきますと、会社というものはだんだん集約化する過程にあると私は思うのです。その申請があったからどんなところでも――それはちょっと言い過ぎかもしれませんが、みな許可を与えたというところにも大きな責任があると思いますが、やはり集約化していくというのが航空事業の本来の姿である、特に安全性の点から。その点は、大臣、私の意見と同感でございましょうね。
  77. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 安全性を確保していくということと、集約化して営業の健全性を保持していくというお考えには、全く同感でございます。
  78. 前田佳都男

    前田佳都男君 次に、まず国際線の問題から入っていきたいと思うのですが、国際線の問題でありますが、これは外貨の獲得とか、フライ・ジャパンとか、みなアメリカでもフライ・アメリカンというように、アメリカ人はアメリカの飛行機に乗れというような政策をとっておる。日本は、日本航空というか、日本の飛行機に乗れという政策を強く打ち出す必要がある。相当保護を要する問題である。ことにSST――超音速機の使用ということが近い将来にあるということになると、非常にばく大な金がかかる。とにかく日本航空、民間の資本も相当入っているのでありますが、これに対して相当政府が出資をふやすか、出資をふやして配当を無配にするとか、後配株にするとか、あるいは補助金を出すとか、あるいは補助航路というか、郵便の昔ありましたけれども、補助航路のようなもの、そういうようなものをたしか予算にも要求しておったようでありまするが、大体いつも削られるようでありまして、こういう点について相当はっきりした、大臣も相当熱意を予算要求のときにお持ちだったように思いますが、これについて運輸大臣としてどういうふうにお考えでございましょうか。まず国際線から。
  79. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国際線の問題でございますが、御承知のように、日航がソ連との間の協定によって飛行機を飛ばすようになりますし、あるいはアメリカのニューヨーク経由世界一周路線を実施するのも今年中にあるという報告でございます。これをやるようになれば、相当、少なくとも三、四年間は赤字を覚悟しなければならぬ。そういうことで、実はことしの予算の最初の閣議で、将来日航が国際線によって得る赤字については政府が責任を持って援助をするという閣議の了解を得ておるわけでございまして、その線に沿って日航は世界の航空場裏に乗り出していって、ことしやりますソ連のモスコーに行く線と、アメリカのニューヨーク、世界一周線をやるという準備を進めておるのでございます。政府としては、そういうことで、できるだけ援助をするという方針を確立しておるわけでございます。
  80. 前田佳都男

    前田佳都男君 運輸大臣の相当な熱意を拝聴したのですが、どうも大蔵省が――大蔵大臣来てもらわなければいかぬような問題だと思いますが、大蔵省がややもすると、こういうものの株を持つとか補助金を出すということについてはわりあい消極的なんですね。何かむだなものにお金を出すという考え方があるように思うのですが、どうぞ閣議の席上、日ソ航空協定も成立しますれば、強くやっていただきたい。われわれも大いにこの問題は強く要求しますけれども、しかし現実の問題として、率直に言って、私も大蔵省にちょっとおったこともありますけれども、なかなか補助金というのはそうちょっとやそっとで出すものじゃない。そこで、暫定的な方法として、結局はまあ考えるのは国内線でちょっともうけると、それをちょっと国外線に回す。国内線、国際線と一体的に考えて補助金でもたっぷりもらえれば、これはオーケーである。しかし、なかなか補助金出ないから、国内線もやって、両方の経営、パイロットの養成も両方やったほうが便利がいい、資材も両方やったほうが便利がいい、そういうことも私は考えられると思う。そういう点で、国内、国際というふうなものは、これはやっぱり日本みたいにちっぽけなところでは、私は分離しないで――補助金というものはそうなかなか簡単にくれると私はいまのところあまり期待できないと思うのです。大いにやらなくちゃいけませんけれども、その場合、結局答申では、国内と国際分離というのは、非常に簡単な一つ考え方だと思うのです。書いてありますけれども、その点どうなんでしょう。
  81. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、やはりいま前田委員のおっしゃいましたように、現在の日航を国内線と国際線とにそう簡単に分離できるとは考えておりません。答申の線も、すぐ分離というふうなことは答えておらぬと思う。将来そういう方向でということでございましょう。これはなかなかそう、国際線と国内線を分離すると言いましても、これは実行しようとすると簡単なものじゃございませんし、私もそうすぐ性質上考えられるとは思っておりません。将来の方向としては、やはり検討を要する課題ではあると思う。ただ、私は感触といたしましては、国内でもうけた金で国際競争に乗り出していくというふうな、そういうけちな考え方で、はたして国際競争に耐え得るかどうか。やはり、国内の航空からはもしもうけがあれば、これは国民にサービスするという方法でいって、国際線に対しては国が積極的に援助するという方向でいきたいと、かように考えておる次第でございます。
  82. 前田佳都男

    前田佳都男君 大臣の熱意がよくわかりました。  次に、それじゃ時間の関係上できるだけ急ぎまして、国内線の問題。国内線いろいろ問題があって、いろいろくふうをされておるということは、私は新聞紙上で拝見している。問題いろいろ細工はしましても、簡単に申しますと、ローカル線は赤字である、幹線は黒字というか、何とかやっていける、それが簡単な姿だと思う。このローカル線の赤字を、結局補助金というものを出さないで、そうして何とか幹線とチャンポンで経営は、お茶をにごすというわけではないのですが、やっていくか、やっていこうというがために、日本の国内航空をやっておる日航と全日空と国内航空と、そのほかにもありますけれども、幹線のシェアをできるだけ自分のところへ有利にとろうとして、いろいろ争奪戦というか、やっておるように私は思うのです。それで非常に問題があると思う。えさは、とにかく幹線というえさだ。このえさをとりたいという三つの会社、そこに問題がある。これをどういう姿で解決しようとするかという問題、それについて、新聞によりますと、あるいはプール制であるとか、あるいはどこやらの会社へ委託するとか、そういうことを書いてあるのですが、それはぜひひとつその考え方を承りたいと思うのですが、その前に、こういういろんなシェアの獲得競争というものがある場合に、私はこれも、赤字路線は赤字路線として廃止するのかしないのか。せっかく空港というものをどんどんつくっていって、飛行機がある以上、私は廃止してもらっては困る。やはり航空というものは必要性があるものだ。だから、もうこれはお客さんがないし、廃止しようという線があるのかどうかということを承りたい。もし廃止しないということになれば、とにかくこの赤字路線の経営というものを幹線のもうけで、プール制か何制か知りませんけれども、それをまかなってやろうという考え方――国鉄の経営あたりとちょっと違う。私は特に、会社は三つに分かれておりまする関係上、その点はもうすっきりと補助金とかを出してやる。補助金出す名目がなければ――あるいは郵便を搭載するならば搭載するという名目とか、貨物を搭載するとかいう名目で、搭載命令のようなものを出して、補助金を、ローカル線を助けるならば助けるという線を打ち出してやれば、あとはすっきりする。ローカル線という病人を何とか健康な人間でかばっていってやろうとするところに非常に御苦心があると思うのですが、まずローカル線は廃止するような線があるのかどうか。それからまた、しないとすれば、補助金というものをおやりになるお考えがあるかどうかという点について、これは運輸省として大蔵省にも交渉しなきゃいけませんけれども、一応運輸省としてのお考えを承りたい。
  83. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、ローカル線の赤字の問題でございますが、これはやはり地方等の非常な熱意があって飛行場ができ、路線ができております。地方の開発の意味からいいましても、きわめてやはり必要な施設であるということにおいては、これは私は否定し得ないと思います。ただお客さんが少ないというようなのは、これは非常な地域的な関係からやむを得ない点もあると思います。これはどうするかということが一つのまた大きな日本国内の航空再編成の課題である。やはり幹線は、先ほどの前田委員が仰せられるように、もうかる線でございますから、健全な経営をやれば、私は幹線というものとローカル線をこれは全体で考えますと、採算が必ずしも合わないものではないのじゃないか、かような見解を持っております。その幹線とローカル線とをどう企業の集約化をやって結ぶかということが今後の課題になっていくと思います。しかし、幹線で、いわゆる黒字の出るそういう線には、やはりローカル線の赤字の線もある程度おんぶしていくといういき方で、全体的に見て経営が成り立つというような考え方でいくといたしましても、やはり将来相当期間これは赤字が当然続くのだ。しかし、地域的に考えて、地域開発の線から考えても、これはやはり廃止し得ない線であるというのが多少あると思います。そういうものについては、私はやはり何らかの国の援助の道を考えていくということが必要じゃないか。そうすると、大体私は、国内の幹線、ローカル線の経営というものは、これはやっていけるというような見通しを実は持っておるわけであります。  ただいま廃止していい路線があるかという御質問でございますが、いまの状態では私は廃止していい路線はない。しかし、赤字の路線はかなりある。しかし、この赤字路線というものは、いま言いますように、一つ考え方によって、そういう考え方の上に航空事業のあり方をつないで集約化する、再編成をやっていけばやはりいけるのじゃないか、こういう見通しを持っておるわけでございます。
  84. 前田佳都男

    前田佳都男君 とにかく大臣のそのお話を聞いておりましても、どうしても廃止できぬところは、そういうところをいろいろ考えてやってもいい。いろいろお話を承っておると、やはり航空企業というものは、大体世界各国の歴史を見ても、われわれ貧弱な勉強で見ても、とにかくイタリアにしても、ドイツにしても、すべての航空企業というものが、初めはいろいろもうかるであろうと思ってやっておったやつが、集約化したと、大体会社の数がみんな減っていっている。この過程、それまでの間に、運賃。フール制とかいろいろのことを考える。新聞でも言っておるようですけれども、これはおそらくその道への一つのステップであろう、私はそういうふうに解釈をしているのですがね。  それから、話は飛びますが、今度、いま一番問題になっておるのが、私は会社の名前を言うのはどうかと思いますが、日本国内航空だろうと思う。日本国内航空は、一番あとで発足した、非常に経営基盤が弱い。ところが、その日本国内航空というものの経営救済というものも急務だと思う。思うけれども、日本国内航空というものを救済するために、これにばかり実は熱をあげておるようなちょっと印象も受ける。実はそれで、現在の全日空とか、あるいは日航とか、一応全日空は事故がありましたけれども、一応ぴんぴんしておるのですわ。その会社にちょっとおんぶしてもらって何か助けていってもらおう。ところが、日本国内航空の借財たるや、私ちょっと数字を忘れましたが、相当な額の負債を持っておる。この負債を持ったまま、とにかく会社が健全な会社と何とかかんとか言って一緒になってやっていこうということは、結局健全であるべきところまでみんなからだが弱ってくる、そういうふうなことになるおそれがあるのじゃないか。それで、さればといって私薄情なことを言うのではないが、日本国内航空も会社としてある以上、とにかく集約の過程において、現在はその過程にあるわけですから、その過程にあるけれども、その病人が弱ったままこれを一緒にするということは、だれでもみんないやがる。それで、借財がある、負債があるなら、その負債のたな上げをするとか、金利をどうするとか、これは新聞に書いてございますけれども、これは大臣、率直に言って、財界のだれやらがどんな努力をしたとか何とかということは新聞にちょこちょこ出ておりましたが、財界の人はだれか知りませんけれども、とにかく日本国内航空というものをもっとぴしっと正すべきものは正して、それから再編成――合併という姿に持っていってもらって、すっきりした集約化ということをやってもらう。どうも一方はひょろついてきているので何とかしなくちゃいかぬということ、それとこの再編成は実は関連はしておりますけれども、どうも急いで結論を出さなくちゃいけない――急いで結論を出さなくちゃいけませんけれども、その点をひとつ、日本国内航空は国内航空として救済策を考えたらいいと思う。それを考えてあげて、借金のたな上げをする。それだけの借金を背負った会社と、ぴんぴんしているものと一緒になったら、これはとにかく一緒になったものも弱ってしまう。そういうようなことがあると思いますので、その点について、えらい単刀直入のおかしな質問かと思いますけれども、ひとつ。
  85. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、航空企業の再編成といいますか、集約化ということは、これはやはり企業みずからが自主的に考えていただくことが一番いいじゃないか。政府があまりこれに、民間企業の中にくちばしを入れるとかあるいは世話のやき過ぎをやるということはなるべく避けたほうがいいではないか。現在の日本航空企業のあり方あるいは航空事業の実態等は、企業に携わっておる人たち自体が一番よく知っておりますので、現在日本の国内にあるおもな企業が五つありますので、その責任者にこの間お集まりを願いまして、企業みずから自主的にひとつ検討していただいて、日本航空企業のあり方の結論をひとつ出していただきたい、そういうことで大体いま向こうにお願いしておるわけでございます。そういう過程でございますが、この段階で企業者がそれぞれ最善の方向で作業あるいは話し合いを進めておる実情でございまして、そういうことで、できるだけ早い機会にやはりきちっとした安全運航につながる、しかも経営が健全であるという線につながった再編成といいますか、集約化が実現することを期待しております。あまりこれに政府が指図とか出しゃばって世話をするのは避けたほうがいいではないか、かように考えて、いま企業みずからの自主的体制づくりに努力をしていただておるような事情でございます。
  86. 前田佳都男

    前田佳都男君 再編成問題は、もう一つで私終わりたいと思いますが、あと吉田先生がやられるので、そのあとちょっと私やります。  とにかく航空審議会というものを私はもっと深く勉強してみたいと思うんですが、航空審議会の答申というものが去年の十二月に出た。この答申を私は三べんも四へんも読んでみて、どうでも解決できるような――何か、率直に言って、はっきりわからない点もだいぶあるんですが、この航空審議会の答申が相当急いで行なわれたということも聞いており、それでしかも、その答申の場合における討論の姿というものも、大体非常にすれすれで、十四対十三とかいうことで、何か一票ぐらいの差で、意見が、非常に激論があったということを私は聞いている。とにかく日本航空国策というか、日本航空事業の将来のあるべきビジョンというものは、これは運輸省として、また航空審議会においても、十分時間をかけて、あるべき姿というものを私はもっと慎重に――もちろん慎重におやりになったと思うんですが、もう一ぺんも二へんも私やってもらって、ことに大事故が発生した新しい事態に対処して、さらにもっと、十三対十四というようなものではなくて、もっと権威者を網羅して、そうしてあるべき姿というものを私はもっと慎重に審議されて、日本航空の国策というものをもう一ぺん審議会にかけて、ひとつ答申を得、さらに運輸省としてその国策を樹立してもらいたいと思うんですが、その点はいかがでございましょうか。
  87. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、昨年の十二月に出されました航空審議会の答申に対しては、いろいろやはり意見のある方もあると存じておりますが、しかしながら、政府といたしましては、一応審議会の答申を得ましたので、これを尊重していきますと同時に、その他の意見をもできるだけ幅広く聞きまして、そういうことを尊重しながら、最善の一つの方向に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。いますぐ審議会を再編成して、答申をもう一ぺんやり直すというようなことは、いまの段階では考えておりません。
  88. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいま大臣は、もう一ぺんその答申をやり直すということはお考えにならぬ、それはそうだと思います。思いまするが、とにかくこういう事故があったあとで、航空界の再編成を急いで、あわててこの二月中にやらなければいかぬ、三月中にやらなければいかぬと、あわて込んで拙速にならないように、もちろんこれは十分慎重に、航空事業のあり方というものについて、ときどきこの委員会に御報告をしていただいて、慎重におやりいただきたいということを強く要望しておきます。
  89. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 航空の再編成の問題がいま前田委員からいろいろ質問されました。私も関連で若干伺ってみたいと思います。  一つは、三月の五日の日経新聞に出ているものです。いろいろ大臣は、去年の十二月の答申に対して、ただいまも繰り返して、尊重してまいりたい、こういうような答弁をされております。私は、ことばだけで尊重してまいりますと言っても、問題にならないと思うんです。なぜかというと、航空業界のほうは、いまも前田委員が指摘したように、簡単に再編成というものはできません、しかも急いで強行すべきものではないと言っておりますね。それよりも当面は不振の打開が先決である、だから再編成というものは、その促進はそのあとだ、こう言っているんです。具体的にこの新聞の内容を見ますると、「松尾日航社長が国内幹線三社による共同運航方式の採用を全日空に要請することになったのは」、一つは、「航空審議会の案通り、業界がただちに再編成するのは国内航空の赤字問題などからむずかしい」、こういうことを申し入れているんです。それから二番目に、「不況に加え、全日空機墜落事故により、航空旅客が減少、当面幹線が赤字状態となっている」、三、「共同運航を実現すれば、業界の過当競争がなくなり、運航コストが下がる」、四、「過当競争防止により、安全運航が確保される」、こういう内容を申し入れて、これに対して全日空の岡崎社長は、共同運航には全面的には反対しないけれども、国内航空主張する無制限の共同運航方式には反対である、こういう意見をここで申し述べているわけであります。この申し入れをした松尾社長は、この案でまいりますれば、「共同運航に伴い、部品などの共同購入や施設の共同使用による経費削減を全日空に申し入れる」、このことについては、今度は岡崎全日空社長も賛成の意向を明らかにして、問題のいま指摘された国内航空の管野社長は、「これが実現すると「当社の経営再建につながるほか、業界全体のプラスとなる」」、こう言っています。ですから、どうもこの新聞の内容をすなおに見ても、運輸省がいま進めようとしている再編成というものとは方向がちょっと違っているのじゃないか、こういう気がするので、これに対する考え方をひとつ聞かしていただきたいと思うのです。私もしろうとでありますけれども、いままでいろいろ当委員会で、事故のあるたびに、あるいは機会あるたびごとにこの問題を取り上げてきた一人でありますから、そういう立場で考えてみると、そう簡単に私は再編成というものはできるものではないと思うのであります。それはなぜかというと、各企業の経営状態がそれぞれ違っておるということです。しかも経営の内容は、御承知のように、国策会社である日航、そしてまた全日空は、最近でございますけれども、若干経営基盤というものは確立をされつつある、こういう状態ですから、この二つの会社を除いた他の航空企業を営んでおる会社というものはまことに経営状態が国内航空をはじめとしてよくないということは十分知っておられると思うのであります。したがって、職員の待遇といいますか、労働の条件、あるいはその他の施設の状態、あるいはまたそれぞれの株主の関係等々の構成もすべて違っています。これはたびたび申し上げますけれども、国内航空の場合は地方自治団体がかなり出資しています。そういうように内容が違っている。ですから、これを運輸大臣が申されたように再編成を急ぐということになりますればどういう結果になるかというと、もとより株主に多大に犠牲を負わす、こういう結果にもなる。しかも、いまのような状態でこのことをさらに強行するとすれば、それぞれの企業に所属しておる職員の動揺等々、これが関連をいたして安全問題まで悪影響を及ぼしていく、こういうことになるのじゃないかと私は思うのです。したがって、なぜこういう問題が今日起きてきているか、ここに運輸大臣並びに運輸省の局長以下幹部の諸君が目を向けなければならぬのじゃないか、こう私は思うのであります。で、事故があるたびにいろいろ再編成、集約化等々というものがそれぞれ論ぜられますけれども、しからば一体それが具体的に政治の場なりあるいは行政の場で施策として実行されてきたかというと、私は、全くないとは言えないけれども、皆無に近い、こう言わざるを得ない。ですから、私から言わしめれば、完全に、いま前田委員も指摘したように、政府自体に航空政策がない、こういうところに結論づけられるんじゃないか。ですから、あらゆる角度から今日日本航空政策というものは不在である、こう言われているゆえんもここにあるんじゃないかと思う。私どももいままでいろいろこの問題を取り扱ってきてみて、政府並びに運輸省航空局がやっています実態というものは明らかに場当たり的である、計画性がちっともない、こう私は言わざるを得ない。ですから、迷惑をこうむるものは航空業界の人々だけなんです。端的にある新聞にも出ているけれども、政府に政策なんというものは全然ありませんと、飛行機のつくり方一つ見たってわかるじゃないか、こういうことを言っておる。ために、飛行場のたとえば建設についても、政治家につつかれて、おととい報告されたように、いまだに飛行場ができたけれども定期運航もできないような松本飛行場等々がこれはいい例だと思います。先般本委員会が指摘した三宅島の飛行場においてしかり――等々がここに書かれて私はいるんだと思うけれども、こういう点が私は問題じゃないか、こう一つ思います。  それから、たいへん航空審議会の答申を尊重する、こう大臣は何か宝を求めたようなものの言い方をしておりますけれども、一点航空審議会というものの権威はどこらあたりに位置づけられているのか、非常に私は疑問だ。前田委員も指摘したように、この内容を見ますると、答申をしたものは、将来の日本航空事業のあり方というばく然とした答申のしかたをしたんです。ですから、出てくる答えは、わずか一カ月足らずで審議したわけですから、満足な答えはもとより、ばく然とした答申をしているわけですから、どうせばく然としたものしか出てこない。どんなにまじめにこれを読んでみても、つかみようのない答申なんです。あえてこの中でつかみ得るものは、将来国内運航は一社にして、国際線を一社にする、当面とにかく関係各社間において、飛行機の機数、あるいは便数の調整、運賃のプール制等々を実施したらいいんじゃないか、こういうものが貫かれているように思うんですね。私はこれは何か、伝家の宝刀のように、たいへん尊重していきますなどと言っても、どこを尊重してどういうことをやるのかつかみ得ない。具体的にどういう面で尊重をするということは大臣答弁しておりませんから、私つかめません。そこで私は、これらの問題は、たいへんやり方としては幼稚なやり方ではないか、こう思うんですね。今日、日本航空事業そのものは一体将来に向けてどうあらねばならないかという基本の問題は、何としても航空事業の将来がどうなるのかという基本問題をやはり論じなければ、これを抜きにしては私は政策というものは出てこないと思う。  具体的に申し上げますけれども、たとえば、今日パイロット養成についてどうこう言われておりますけれども、先般の委員会で申し上げたけれども、一体こんなに少ない教官、人の関係です。あるいはこんなに少ない機材でいいのかという問題が一つある。これはイギリスの国立の航空大学の例を引っぱってみますと、機材については、二十六機も持っている。オランダの場合は三十機も持っている。わが国の大学で持っている機材というのは、わずか単発が七機、双発が四機、こういう状態なんですね。こういう問題を一体どうするのかということが一つあります。  それからその次に、いまも前田委員から指摘されたように、今日のローカル飛行場というのはきわめてお粗末なものだ、滑走路も短い、こういう問題はたびたび指摘をされているところなんだ。これを一体具体的にどうするかというものがない。  それからもう一つは、気象庁長官がおりますけれども、非常に航空気象情報がおくれている、ややもするとおくれがちである、こういう問題もありますね。こういう問題を一体どうするのかということも論じてみる必要がある。  それからさらに、管制官の人手の問題、それから人間としての能力の問題、それから待遇あるいは労働条件等々の問題、これをカバーするために一体どう機械化していくかという問題だってあると思う。  さらに、再三指摘されているように、安全性と関連させて過当競争の問題がある。こういう問題だって一体どうするのかということが、この答申の中に、機数、便数の調整をやりなさいと、運賃のプール制の実施をやったらいいじゃないかということを言われている程度で、具体的に一体運輸省航空局がこの過当競争についてどういう施策でこの業界の指導監督に当たろうとしているかということが出ていない。こういう問題、やはりこれは掘り下げてみる必要がある。  それからもう一つはパイロット、航空事故が起きるたびにほとんどそれぞれの統計を見てもパイロットのミスによるものが多い、こう言われたり、書かれたりしているので、そのパイロットは、これはだれでもパイロットをやるというわけにまいりませんから、それぞれの資格要件を整えて、国家試験を受けてパイロットになるのだと思うが、そのパイロットを試験する試験官の問題だって私はあると思うのです。現在航空局にいらっしゃる試験官の方々が、こんなに大型化してまいったりあるいはジェット機になったりしているわけですけれども、実際問題としてその資格要件を持っていない人が検定官になっている、試験官になっている。だから、それは技術的にはそういうものが必要なくて、法規、慣例その他を熟知しておれば試験官として用が足りるということであれば別でありますが、まずこういう問題がある。  それからもう一つは、運輸省自体に、運輸大臣も先般答えられたけれども、予算が全く不足している、人手がない、こういう問題がありますね。たとえば、一つ試験官の問題で指摘しておきたいと思いますが、ジェット機の資格要件をとるための試験というものは、アメリカまで行かなければならないわけでしょう。今日サンフランシスコでやっていますね。そうしますと、その間の旅費というのは二十二万円幾らより予算がない、私の調べたところでは。一体航空局の試験官がアメリカへ往復するのに二十二万円で行ってくることができますか、運輸大臣、できないでしょう。何をやっておるかというと、完全に試験を受けなければならないいわゆる学生の側のほうからお金をちょうだいをして、援助していただいて、試験官が年に二十数回アメリカに渡って試験をしている、こういう実態でしょう。この中に一体何か情実がないか、これはやはり懸念される問題じゃないですか。向こうへ行ってホテルの宿泊代からあるいは往復の航空運賃がみんな会社持ちだ、日本航空あるいは全日空の会社が出す、こういうばかげた予算体系にしているところに、運輸大臣、根本的な問題があると思うのです。こういう問題を抜きにして、一体この集約、統合であるとか、再編成を論じてみても、これは明らかに、日航社長が言っているように、再編成促進なんというものは経営改善の次の問題だ、こう言われる結果になるのではないかと思うのですよ。  それから、おとといのこの委員会でも、事故発生後に運輸大臣はかなりのきつい警告も出した、そしてまた関係者と集まって安全の誓いをした、こら答弁されました。たいへんけっこうなことだと思うけれども、こういう問題を解決しないで、ことばだけで事故が起きるたびに安全の誓いをしたからといって、一体安全というものが確立されるかどうか、こんなものはどっかの宗教のお題目と同じようなものではないかと思うのです。大臣、一体こういう基本の問題、運輸大臣は今度のつまり航空再編成の問題とからめてどう具体的に対処していかれるのかということをやはりこの際明らかにしていただかないと、たいへんわれわれとしても、いままでいろいろな問題を取り上げてきたけれども、実のらないような気がする。ぜひ責任ある明快な答弁を求めておきたいと思う。
  90. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私、吉田委員からるる申された、指摘を受けました点については、大体私も正直に申し上げましておよそうなずけるのでございます。ただ、最初、航空企業の集約化といいますか、再編成の問題等について、日航社長と全日空の社長の見解を新聞でお読み上げになりましたが、私は、やはりいまそれぞれに、日航は日航、全日空は全日空、その他の企業は企業で、集約化といいますか、再編成の問題については、それぞれ意見は持っておると思います。その意見はそれぞれ持ちながら、大体の方向としては、運輸省が要請しました集約化の線に沿ってひとつ再編成をやろうという熱意は皆さん持っておられるということを信じておるわけでございますが、この問題は、さっきも前田委員の質問にお答えしましたように、私は原則としてはやはり企業みずからの自主的な体制づくりというものが必要であるという考え方を持っておりますのでございますが、運輸省といたしましは、先ほど言います答申の内容というものが、いろいろ吉田委員は御意見をつけて申されましたが、大体答申の内容というものの方向は確保し得るのではないか。まあ国内、国際線を一社、将来の方向としては国際線一社、国内線は二社ということでやっていくというような基本的な態度が答申の中にも盛り込まれておるようでございますが、私は、この答申をやはり尊重しながら、企業のみずからの力で集約化、合理化等の体制をつくり、安全経営の成り立つような方向を打ち出してもらいたいということを要請しておるわけでございます。これはこれとして、一応そういう方向で進めてまいる所存でございます。  第二に御指摘になりましたいわゆる安全運航に対するいろいろの諸問題点でございますが、これは私も率直に申し上げますが、やはり日本航空需要が近年非常に高速度で増大してきたと、それに対する一つのかまえとしての施設あるいはいろいろの諸準備が並行しておらぬということは、これは私はそのまま認めるのでございます。そこで、それに対する政府の方針というものも、今日まで、微々としてではありますが、やってきたのでありますが、しかし、今回の事故に当面しまして、これは国民も、あるいは政府もでございますが、非常に大きなやはりこれはショックを受けたことは事実でございます。先ほど言いますように、航空事業は、営業が非常に不振になるようなお客さんの減り方というものに当面いたしておりますので、こういう点を考えますときに、企業は企業としてのやはり覚悟も要ると思いますが、政府としては、私は、いま吉田委員が指摘されたように、現在の航空事業の基本的な問題にメスを入れる必要があるということを非常に強く感じておるのであります。先ほど指摘なさった、いわゆる搭乗員の養成というようなものを考えてみましても、全く吉田委員の指摘そのままで、現在の航空事業のあり方に並行した搭乗員の養成施設がないということは、これはまことにさびしいことでございます。私は、搭乗員の養成施設についても、国がもっと積極的な方策を考えなければならぬ。今回きわめて小さいことでございますけれども、宮崎県にあります航空大学、これにYS11を二機設備するようにいたしましたのも、実は搭乗員の養成を強化していきたいという一つの歩み出しでございます。これは吉田委員も御理解していただけると思いますが、搭乗員の養成施設というものは、先ほどのおことばの中にありましたように、非常に大きな金を要しますので、一年や二年で完全な養成施設というものはできない。そこで、十年計画ぐらいで搭乗員の養成に対するかまえをつくり上げる必要がある、こういう考え方に立って航空局の中でいま検討を続けておるわけでございます。  それから施設でございますが、やはり航空安全を考えますときに、完全な飛行場を持っておるということが一つの要素であります。その飛行場に付帯していわゆる航空管制施設を完備する、あるいは航空に必要な気象情報を完全につかんで、気象の異変によって事故等を起こすことのないようないわゆる気象施設を完備するというふうなこともきわめてこれは必要なことでございますが、現在日本の飛行場全体を見ましても、吉田委員も御承知のように、世界的水準にどうにか達するというのは羽田だけであります。大阪その他ローカル線に至りましては、きわめて小規模な施設であって、完全なものにするためには、相当に思い切った設備を整えなければならぬという実情にあることは、仰せのとおりでございまして、私は、今回の事故を契機として、政府といたしましても、大阪、それからその他のローカル線の飛行場に至りますまで、いわゆる管制施設というものをできるだけ整える、それから気象施設もできるだけこれを完備いたしまして、気象から起きる被害、災害等のないように整えていきたい、そのためには政府といたしましても、できるだけ費用をかけるという決意をいたしておるのでございます。  それからもう一つ大事な点は、先ほど吉田委員の指摘の中にもありました、いわゆる要員の確保でございます。これは正直に申し上げまして、やはり空港設備に付随する航空管制官、あるいは誘導施設等その他のいわゆる要員が、一般の公務員と同じような観点で、予算要求なんかのときに査定されておったということは、これはやっぱり反省をしなければならぬ。そこで、先ほど申しますように、応急処置として整備するために、要するに、人員につきましては、現在運輸省の中に持っております凍結された定員がおおよそ百二、三十名あるのでございますが、それを運輸省だけはずしてもらいまして、そうしてさしあたりの要員の確保をはかる。  それからさらにもう一つ考えなければならぬのは、要員に対する処遇であります。先ほど吉田委員もきわめて強いことばで指摘をなされましたが、要員に対する処遇が不十分であるという点に、その特殊技能というものの立場から考えましても、私は、その点にはもう少し配慮しなければならぬ、かように考えておりますので、そういう点で処遇の点も考える。  さらに、管制官というようなものは、同じ仕事を七年も八年もして一向出世していく道がない、これはことばが適当ではありませんが、やはり人間の前途には希望というものがなければならぬ、そういうことも考えて、何らかのひとつそういう人間としての希望に対してこたえる道はないだろうかというようなことで、今日検討を始めておるようなわけでございます。  そういうことで、労働過重等をつとめて防ぐとともに、そういう形で整備をして、そうして飛行場の体制を整える、こういうことを急がなければならぬというようなことで今日努力を続けておるわけでございます。そういうことをやりながら、根本的には、先ほど吉田委員が指摘をなされましたように、日本航空全体の一つの計画、十年間ぐらいを見通しましての青写真というものをつくって、その青写真に沿って航空行政が運営されていくようにつとめてまいりたい、そういうことで今日努力を続けておる次第でございます。
  91. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連ですから、簡単にもう一問だけで終わりたいと思います。  大臣から、根本の問題にメスを入れる時期が来ている、したがって、その問題については、十年間ぐらいの計画性を持ったものとして検討してみたい、こういうことですから、私はまことにけっこうなことだと思うのです。そこで、この機会にひとつ私が大臣に強く申し上げておきたいことは、与党の、つまり、自民党の交通部会の田邉さんが、先般新聞記者と会見をいたしまして、イギリスであるとか、あるいはイタリアであるとか、西ドイツと比較して、日本の国の交通政策というものはおくれている、そのおくれている最たる原因は何かというと、投資の関係である、政府は金を出していない、こういうことを申されていたのを私は新聞で見たのです。いまの大臣答弁の十年計画なるものをちょっと私は頭に置いてみたのですが、「航空情報」に西ドイツの例が出ておるのです。西ドイツの例は、置かれている国の条件といいますか、実態といいますか、やや日本と似ているのですね、同じく敗戦国であるということですね。で、先ほども前田委員が指摘したように、世界各国ともに、航空事業というものは戦後雨後のタケノコのように無定見に認可をした。日本の場合も全く無定見に認可をした。ですから、今日の過当競争あるいは業界の混乱というものは、その人々の責任が全くなしとは私はしないけれども、大かたの責任はやはり認可をした政府、運輸省にあると思っているのです。そのあと始末はやはりから手ではできない。だから、基本の問題にメスを入れて、大臣が答えられたように、十年間ぐらいの計画性を持ってやっていきたい、こう言っておられるのだと思うのですけれども、ドイツにおいても、やはり同じ現象が起きたのですね、この「航空情報」を見ますと。ドイツではどういうことをやったかというと、たいてい民間航空の再建がきまってからじっくりと二年間準備に日子を費やしたわけです。その結果、ルフトハンザ会社の資本金というものの九五%までを政府、つまり、ドイツの国が資金として持っている。そのほかに、地方自治団体がその残余を持つ。あるいは運転資金等については、国のさらにその後の融資あるいは債務保証等々も大幅に行なった。そして国際線の開拓のようなものについては、前田委員も指摘したように、経営補助金を与える政策をとってきたのですね。そして十カ年計画を立ててこの再建策を施したわけですが、さて運航開始という段階で、すでに九十人以上のパイロットを国で訓練養成をしておった。しかも、営業面についても、この十カ年間というものは企業性のみ追求するのではなくして、安全性に第一を置いて、赤字経営をつまり計画的に計画されてやった。事実十カ年間は赤字であった、十一年目からようやく黒字になった、こういうことが書かれているわけです。同じ条件のドイツが、このような強力な国の政策を立ててやって、民間航空の再建をはかった。わが国はいまちょうど、幸か不幸か、再編成であるとかなんとか――いわゆる再編成といってみたって、再建策をいまいろいろ検討されているのだと思うのですよ。そういう時期に来ているのですが、大臣、どうなんでしょう。これは私は、人の悪い新聞記者であるとかあるいは評論家が、日本航空問題に手を染めても、政治家はさっぱり金にもならぬし票にもならぬというような、うがったことばも聞くわけですけれども、そういううがったことばは別な問題としても、やはり現状をながめてみる場合、事故のときにこそこういう問題が政治の場で議論されてみたり、あるいは行政の場で議論されているということぐらいがぼくは落ちじゃないかと思うのです。ですから私は、ドイツの例あるいはイタリアの例もあることでございますので、せっかく先ほどもお答えがあったわけです、ですから十分に答えられたもの、それから各委員からそれぞれ出された意見、過去の委員会の経緯等々を踏まえて、今度の再編成というものは将来百年の大計に誤りないような方向で、具体的に私は実行していただきたい、こう思うわけで、このことを一点申し上げて、私は、関連質問でありますから、質問を終わりたいと思います。
  92. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私も、吉田委員が言われたように航空の政策というものは、やはりもっと本格的なものでなければならない。たとえて申しますと、国鉄の第三次長期計画の内容を見ましても、二兆九千億のやはり投資をやる、都市近郊の通勤通学対策の費用だけをとっても五、六千億の金を投じようとしておるのを見ましても、日本の将来はやはり航空というものに大きな経済の発展の柱もかかってくる。私は、国際線でも国内線でも、やはり一般貨物というものは、やがて十年もたてば航空による輸送というものが実現してくる、そういうことを考えますと、いまのようにただその場その場の消極的な方策では、私はこの時の動きにはついていけない。やはり十年ぐらいを計画して大きな投資をして体制をつくり上げていく、その体制の上に企業が乗って初めて航空事業というものの国際競争力も確保されるし、あるいは国内の航空企業の健全な経営も成り立っていく、かように考えますので、さっきも言いましたような十年ぐらいの青写真には、これに並行した投資の計画もこれについていく、こういう形で、これはただ運輸省だけの一つの案ということにせずに、私は、これは国をあげてこういう方策を確立する時期である、かように考えておりまして、運輸省としても、航空局の整備強化をはかっていくと同時に、この一つの大きな長期計画というものを確立して、それを実現するように全力をあげてまいりたいと思っておりますので、委員会等でもひとつその方向でぜひとも御協力をお願いいたしたいと考える次第でございます。
  93. 前田佳都男

    前田佳都男君 あと二、三質問がありますから、時間の関係上、できるだけスピードを出してやりたいと思います。御答弁も簡単でけっこうでございます。  この企業の集約化に関連をいたしましてお伺いいたいのですが、ちょっとこれは質問漏れだったんですが、大体日本の国の国内の航空というものは、およそ飛行機が飛び立ってから一時間か二時間で目的地に着くような距離にあるわけですね。大体夜中に出発して夜行便で朝目的地に着くというふうな、たとえばアメリカのサンフランシスコを立ってニューヨークにあくる日の朝着くというような、そういう地域に日本の地理条件がないわけです。したがって、日本航空というものは、大体飛行機の利用時間といいますか、ユーティリティーの時間というものは非常に少ないように思う。大体一つの飛行機で一日三時間か四時間ぐらいじゃないか。これは私知りませんけれども、飛行機の利用効率というものが非常に少ないんじゃないか。その意味において、あるいはソビエトであるとか、中共であるとか、インドであるとか、アメリカであるとか、そういう大きな国は、いわゆる国内航空というものは非常に発達する可能性がある。ところが日本のような小さいところでは、飛行機の利用時間というものが非常に少ない。いわゆるユーティリティーの時間というものが少ない。したがって、どうしてもいろいろな経費が、時間で計算していきますると高くつく、償却だって非常に高くかかる、そういうことになるのではないか。そういう点から考えても、競争ということはもう極力これは避けて、できるだけ一本化していく、飛行機を効率的に使うためにもとにかく一本化していく、そういうことが私は基本的考えとしていいんじゃないかと思う。また、一本化することによって、これはやってみなくてはわかりませんけれども、搭乗運賃というものは相当軽減される、安くなると、そういうことも聞いているんですが、その点について、あるいは大臣でなくて航空局長でもけっこうでありますが、ひとつ聞かせていただきたい。
  94. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 前田先生御指摘のように、数社に分かれておりますものが一社になった場合、効率があがるということはお示しのとおりであろうかと思います。ただ現実には、この企業体がいろいろありますのを、そういう企業体をあるいは別にしておりましても、そういうような効果を生ずるような方策を考えるというようなことはあるかと思いますが、方向といたしましては、できるだけ集約をして経営効率をあげるという方向を、大臣からも申し上げておるように考えるべきだろうと思います。
  95. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの航空局長の御答弁にもありましたように、とにかく運賃も安くなる。したがって企業体は、いろいろそれは営利でやらなくてはいかぬけれども、とにかくそういう点から考えても、私は、航空事業というものは元来一本であるべきだ、しかも、非常にばく大な金がかかっておる、政府の出資、補助、そういうものが必要であるという点だけを強く申し上げて、この再編成の問題の質問を終わりたいと思います。  次に、日ソ航空協定の問題です。これはいまモスクワで何か交渉をやっておるように聞いておりますが、あるいは発表しにくい点があればその点は省略していただいてけっこうでありますが、大体日ソ航空協定の基本的考え方というものは、相互乗り入れでいくのですか、一方的な乗り入れでくるのですか、これはどういうことなんです、あるいはチャーターがどうとかいろいろ言っておりますけれども。
  96. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 日ソ協定の基本的な考え方は、相互に首都間を乗り入れをする、その乗り入れをする路線をまず協定をするということでございます。御承知のように、現在国会で御審議いただいております日ソ航空協定条約本文によりますと、日ソ双方、それぞれ東京-モスクワ間をつなぎ、さらにそれ以遠の地点をつなぐということに、双方合意しているわけでございます。ただ御承知のように、現在ソビエト連邦におきましては、シベリア上空を通過する国際路線の施設がございませんために、暫定的にソ連の航空機をチャーターして、それを日ソ双方で共同運航をするということを、なお暫定的に協定をしたわけでございます。  ソビエトに参りまして行なわれている交渉は、その具体的の実施の細目について交渉を進められている、こういう状況でございます。
  97. 前田佳都男

    前田佳都男君 それで、そのソビエトの飛行機ならばシベリア上空は飛べるような施設があるの、日本の飛行機ならば飛ぶことができないの、まあそういうことですか。
  98. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) さようでございます。
  99. 前田佳都男

    前田佳都男君 それは何か機械に相違があるのですか。同じことじゃないですか、飛べないのなら、どちらの飛機行だって同じじゃないですか。
  100. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) これはわれわれとしても、協定交渉のときに、暫定運航をする問題について、ソ連側と相当、長く技術的な問題その他を折衝したわけでございますが、結論といたしまして、現在ソ連におきましては、シベリア上空を経由する国際路線がない、国際路線が設定されておらない、その中には施設の関係もございますし、あるいは施設以外に、ソ連の国内のいわゆる国内事情、他の行政機関、その他の関係があるという説明をいたしてございますが、それとの関係で、いま直ちにこれを始めることはできない。しかし、共同運航を始めたならば、逐次そういう情勢になるという説明でございまして、したがいまして、そういう情勢になるまでの間は、やむを得ずソ連機をチャーターをして、共同運航をする、こういうことにいたした次第でございます。
  101. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは日本が、日本航空がソビエトまで行きます。行きますけれども、これはソビエトの飛行機をチャーターして行きまして、それで相互乗り入れだと、こういうことですね。
  102. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) おおむね二年間は、そういう暫定的な運航をするということに相なっております。
  103. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでわかりましたけれども、これはいいとして、大体、実施はいつごろになる見通しですか。
  104. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) この実施は、ただいまソ連に参っております日航の細目実施交渉の結果いかんにもかかわるわけでございますが、従来ソ連側と打ち合わせましてめどを置きましたのは、本年六月開始という一応のめどにいたしております。あるいは若干、ただいま交渉の状況等を承りますと、おくれるのではないかと考えられますが、一応六月をめどにしております。
  105. 前田佳都男

    前田佳都男君 次にIATAというのがありますね。ソ連は、このIATAというのに入っているのですか、入ってないのですか。
  106. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 加入しておりません。
  107. 前田佳都男

    前田佳都男君 いないのですか。それでは伺いますが、このソビエト経由の、あるいはモスクワ行き、あるいはモスクワ経由をしてヨーロッパに行くこの間の運賃というものは、IATAに拘束を受けずにうんと低廉にすることができるわけですね。
  108. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 運賃のきめ方は、いわゆる国際協定に準じてきめるという基本的な約束がなされております。すなわち、先生御指摘のIATAの運賃方式に準じて運賃をきめるという基本的な取りきめがなされております。
  109. 前田佳都男

    前田佳都男君 それではもう一つ、ごくプリミチブな質問ですが、大体、ロンドンへ行くと仮定して、このシベリア経由でこの路線を使った場合に、あるいは北極回りあるいは南回りと、どれだけ時間が違いますか。
  110. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 距離にいたしまして、  モスクワ経由の場合に、東京-ロンドン間が一万四百五十キロメートル、コペンハーゲンを回りました場合が一万三千三百四十三キロメートルでございます。同じ型のDC8で計算いたしました場合に、所要時間が、モスクワ経由の場合が十二時間三十分、コペンハーゲン経由の場合が十八時間四十五分という計算に相なります。
  111. 前田佳都男

    前田佳都男君 わかりました。  最後に、これはおそらくどうなのか、ないのだろうと思いますが、日本と中国の間に航空協定とか航空交渉というようなそういうような気配は従来でもあったのですか、これはどうですか。
  112. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 中国本土との航空交渉をしたことはございません。
  113. 前田佳都男

    前田佳都男君 わかりました。以上です。
  114. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ちょっと一言関連。いま共同運航の答弁があったのに、共同運航という、たとえば日本航空がモスクワまで行く場合には、それじゃ日本航空が行くという形に共同運航するのですか。私は、向こうの会社とこちらの一会社が共同して経営をしていくというように理解をしておるのですが、たとえば何月何日東京発の飛行機の分は日本航空だ、それから今度は、その次の便はソ連だというようなぐあいに協定するのですか。ちょっとそれだけお聞きしたい。
  115. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 共同運航は、あくまでも両者の共同で運営をいたすわけであります。したがいまして、機材には日ソ双方のマークをつけたものをもって運航する、こういう約束をいたしております。
  116. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 マークはそれには両方つけるわけですか。日本航空だけをつけたのと、それからソ連のと別々に交代になるとかいうことじゃないのですか。共同運航ということになればそうでしょう。それならば日本航空の分の飛行機が向こうに行くことはないのか。そこはちょっと誤解しますから、はっきりひとつ説明をしておいていただかぬと間違うと思う。
  117. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御説明が足りませんでした。たいへん恐縮でございますが、暫定的の二カ年間は、ソ連機をチャーターいたすわけでございます。チャーターした場合に、それにはマークは日ソ双方のマークをつけて、それによって運航をする、こういうことでございます。したがって、日航機が直接その期間においては向こうに行くということはないということでございます。
  118. 浅井亨

    ○浅井亨君 昨今飛行機が次から次へと墜落いたしまして、いろいろな観点から物議をかもしております。その原因はいま調査中であって、まだほんとうのことはわからないと思います。しかし、三百二十名という人命をなくしたというので、そういう観点からいろいろ論議されておりますが、私は人命尊重という点から考えますと、飛行機に乗っておられる方は、それを中心にしてお考えになることは、これはもちろんでありますけれども、それと同時に、地上におけるところの、いつ危害を加えられるかもしれないというようなこの問題になりますと、やはり飛行機そのものの事故、それから地上におけるものの人心の不安感というものと、これをどちらを重きを置いて航空ということについてお考えになっておるでしょうか。それをまずお聞きしたいと思います。
  119. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) それはどちらを重きを置くということはございませんが、空を飛んでおる飛行機が事故がなければ、地上の被害はございませんので、まず飛行機そのものに事故のないようにという配慮で計画を進めておるわけでございます。
  120. 浅井亨

    ○浅井亨君 それはそのとおりでありますけれども、落ちなければそれでしまいだと、こういえばそれまでですけれども、地上におる人の不安感というものは、これはぬぐい去ることができないと思うのです。だから飛行機そのものに対しての、いわゆるパイロットの養成とか、また計器飛行とか、また有視界飛行とか、こういうようないろいろな問題がありますけれども、地上におけるものはいつ危害を加えられるかもわからない、こういうことになりますと、いわゆる航空というものの規定は、一応いわゆる地上における方々に対しても、このような制度をつくっているというようなものがなければ、ほんとうにどちらもというわけじゃないと、こういうように私は考えるわけです。だから飛行機そのものの問題と地上における問題とは、これは片方が落ちれば、片方がこうだというのじゃなくして、両方とも考え合わせたいわゆる航空路の設定とか、こういうふうに運航しているとかいうことを、やはり一応法律にうたってなければ安心というものは絶対にできないように思うのです。こういう点はどういうふうに考えますか。
  121. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) いま浅井委員の仰せられました点でございますが、これは飛行場にもよりますが、たとえていいますと、羽田のような海に近い飛行場の場合は、おりるときと、上がっていくとき、なるべく早く海のほうに出るように、そういう指導をもっていくというような形でいろいろ配慮をいたしておりますが、基本は、やはり航空機の離着陸の際に安全を確保するということ以外に、その周辺の人たちに対して直接事故の飛行機というものがないようにするということは、きわめてむずかしい事情でございますので、やはり滑走路をつくります場合に、なるべく人家のない方向で離着陸できるようにくふうするとか、そういう意味の地上に対する配慮はいたして指導いたしておりますし、設備も整えております。浅井委員の質問の焦点には、なかなかその点は触れにくいのでございますけれども、そういう点の配慮をいたしておる次第でございます。
  122. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 浅井先生御承知のように、航空法の八十一条には、最低安全高度という規定がございます。原則といたしまして、不時の事故その他を考えて、安全に飛べるような高度につきまして、詳細な規定があるわけでございます。十分地上の状態その他を考えて飛ぶ。飛行場の施設につきましても、いま大臣が申しましたような配慮をするということでございますが、何といたしましても、大臣が冒頭に申し上げましたように、航空機自体が十分安全であるようにするということが第一ではないかと考えます。
  123. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまの航空局長の御答弁ですと、高度によってその災害が防がれるというように考えられるのですが、高度というのは別であって、いわゆる低いからどう、高いからどうというわけじゃないと思うのです。それは必ずしもその地上におる人の不安感を除くということにならないと思うのです。高きはいわゆる何百メートルだ、何千メートルだからこうだということは、これは地上の人を守ったことにはならぬと、こういうふうに考えるのですが、この点はいかがですか。
  124. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 最低安全高度に関する規定は、「有視界飛行方式により飛行する航空機にあっては、飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度及び次の高度のうちいずれか高いもの」ということで、「人又は家屋の密集している地域の上空にあっては、当該航空機を中心として水平距離六百メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から三百メートル」というような規定でございまして、これは動力装置がとまった場合で、機体自体が十分滑空できるというようなことを考えての規定でございますが、一応そういうような規定がございます。つまり精神といたしましては、先ほど申し上げましたように、そういうことで、万一動力がとまっても、そういう直接被害を与ないような一応の配慮は規定上あるということを申し上げたわけでございます。
  125. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまの説明で、いわゆるある一定の高さにおれば、人家のあるところを避けてほかへ行けるということなんですね。しかしBOAC、これは空中分解したかなにかしりませんが、そういうふうにバーンと落ちてくるわけですが、そうすると、いま人家の密集地帯にもしかりに落ちたとするというような、よけいな考えかもしれませんけれども、やはり日本の国のような過密人口のところでは、人家が密集しておるところが非常に多いわけです。こういうところでもしああいう事故が起きたとしたらば、その下におる人はたいへんだと私は思うのです。こういう点を考え合わせますと、高度の問題を考えることもさることながら、やはり航路というものは、ある一定のものをきめておいてもいいのではないかと、こういうふうに私は思うのですが、現在は日本の上空はほとんど野放しのような、手放しのようなかっこうで、ほとんどがそのようなかっこうになっておるんじゃないかと、このように私は思うのです。こうなりますと、この密集地帯といいますか、東海道沿線、ずっとこれはたいへん密集しておりますので、こういう点はどのように考えていられるでしょうか。今後のいわゆる航路の設定ということは、特に私は大事じゃないかと思うのです。この点はどういうふうになっておりますか。
  126. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 航空法の規定による主要な航空路は、浅井先生御承知のように、大都市をできるだけはずして設定をしておるという状況は御承知のとおりでございます。ただ、羽田等のやはり都市付近に離着陸をするというような場合もございますので、その場合には、先般来御承知のように、実際の飛行のしかたの型を一応きめまして、いままで申し上げましたように、できるだけ海上に向かって発着するというような型をつくらせたというのが現状でございます。
  127. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうすると、タナダの飛行機が落ちたときは、これは有視界飛行に切りかえて、計器飛行をやめたと、こういうようなことですが、そうすると、あの空港を中心にした航空圏ですね、その中においては絶対に計器飛行でなくちゃだめだと、こういうような規定でもあるんですか。それがないというと、有視界飛行でかってにやったんではどこに行くかわかりませんから、それだから川崎の議会でも、あるいは川崎の上空は通ってはならぬと、こういうようなことを議決したんじゃないかと思うのですが、そうしますと、これはたいへんだと思うのです。
  128. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 先生御指摘のは、カナダ太平洋がこれは計器飛行でGCAの誘導によって入ってきたわけですね。あるいはBOAC機のことを先生おっしゃっておるのかと思いますが……。
  129. 浅井亨

    ○浅井亨君 ああ、間違いか。
  130. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 有視界飛行方針をとる場合にも、できるだけその飛行場の発着の場合には、先ほども申し上げましたような飛び方の型を守らせることが一つ。それからできるだけ航空路を飛行させて、そういうような危険な地帯に入らないように将来配慮すべきじゃないか、というような点をわれわれとしては検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  131. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうすると、BOACですね、これは何ですか、前にも一ぺん飛んだことがある。パイロットだというようなことをちょっと聞いたんですが、こういうのは自由に、観光とは言いながら飛べるんですか。そういうことがあったんでは、やはりこれは次から次へとそういう事故が起こる。もしあれが、富士の上だからいいようなものですが、これがあべこべにやはり。パイロットのミスというものもありますし、精神状態もありますし、いろいろなことがありますので、そういうところから地上における人が災害を受けるというようなことになるとたいへんだと思うのです。おまけに、大都市になりますと、あのコンビナートとかなんとかたくさんありますが、ああいうところにもし落ちたとしたらどうだ、こういうふうにわれわれは考えるんですが、こういう点からしても、いわゆる地上の人の安全性を考え航空のあり方というものを、やはりよくよく考えていかなければ、今後大きな問題が起きたときたいへんだと、こういうふうに私は考えるのです。
  132. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 先生御指摘のように、同じ機長が一カ月前に飛んだ事実があるということで実は調査をいたしましたら、二月の五日にやはりBOAC機が飛んでおりますけれども、これは同名の異人、やはりドブソンという名前ですが、同名の異人でございますので、次に日本にこの機長が飛来してきた場合に、十分われわれとしてはその間の事情を聴取をしたいと実は考えておる次第でございます。将来とも、今回のBOAC機の事故原因を十分に探求いたしますとともに、この飛行経路その他についても、先ほど申し上げましたように、われわれとしても検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  133. 浅井亨

    ○浅井亨君 それでは次いで、ちょっと問題が変わるかもしれませんけれども、先年、町田で米軍機が落ちたことがありましたが、あのあと始末はどういうふうになっていますか、ひとつ概略を……。
  134. 久保田栄一

    説明員久保田栄一君) 昭和三十九年四月五日の町田で発生いたしました米軍の航空事故につきましては、御承知のとおり、死亡者四名、重傷者九名、軽傷者二十名の人身被害のほかに、家屋の全壊四むね、七世帯、家屋の半壊五むねで五世帯、その他動産等の被害がございました。これらに対しましては、遺族賠償及び葬祭料、けがをした人たちに対しては、療養賠償、休業賠償、慰謝料、財産賠償等、合計約五千二百万円すでに昨年の八月ころまでに支払いを完了いたしております。なお、重傷の方で現在もなお療養継続しておられる方、二名ございます。この方につきましては、月平均約二十万円の療養費をお支払いいたしております。
  135. 浅井亨

    ○浅井亨君 そこで、民間機同士の衝突というようなこともあり得るかもしれませんが、とにかく軍用機または自衛隊機が四方八方に飛び散っている姿ですが、これがもし民間機と衝突するというようなことがありました場合、この調査団は、どう編成して調査せられるのですか。
  136. 来栖大児郎

    説明員(来栖大児郎君) 陸上、海上航空各自衛隊におきましては、防衛庁長官の承認を得まして、航空事故調査委員会というものを設置しております。自衛隊の航空機に事故がありました場合には、この委員会において調査の任に当たります。もし民間機との間に事故が起きました場合には、自衛隊の航空機に関します事故調査については、自衛隊の機関が当たり、民間の原因調査につきましては、運輸省航空局が当たることになっております。
  137. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) いまお答えのとおりでございますが、実は残念な事故でございますが、三十五年三月に、名古屋空港で自衛隊機と全日空機が衝突した事故がございましたが、この際には、それぞれ調査権限を持っているわけでございますが、お互いに相手方の状態を知る必要がございますので、相互に緊密に共同して、円滑に調査を実施したという前例がございます。こういうことはもう将来ないことを望むわけでございますが、かりに御質問のような事態があった場合にも、調査につきましては、十分関係機関の共同の上で調査をするように運びたいとわれわれは考えておる次第でございます。
  138. 浅井亨

    ○浅井亨君 わかりました。727が落ちまして、そのあとの遺体があってこないという方々がまだあると思うのですが、いま残っておりますのは何体ございますか。
  139. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) きょうの午前中の時点で四名残っております。
  140. 浅井亨

    ○浅井亨君 四名に対する補償はどのようにおやりになっているのでしょうか。
  141. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 会社では、とりあえず葬祭料といたしまして四十万円各遺族にお払いする手配をしたという報告を受けておりますが、その後につきましては、まだ具体的な話し合いはしておらないようでございます。
  142. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうすると、その遺体が揚がるまでは補償はしないということですか。
  143. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) これは会社と御遺族との間のお話でございますので、会社としては、御遺族の事情その他を考え、十分御相談に応ずる用意があるということを申しております。
  144. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  145. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記を起こしてください。  本日はこれにて散会いたします。   午後五時三十八分散会      ―――――・―――――