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岩間正男君 私は
日本共産党を代表して、ただいま
議題となっている
国鉄運賃値上げ法案に絶対に
反対するものであります。
反対理由の第一は、本
法案が
佐藤内閣の
物価抑制どころか、
物価値上げ政策の重要な一環として諸
物価の
値上がりにますます
拍車をかけ、勤労人民の収奪を一そう強めるものだからであります。
政府はすでに元日恒例の消費者米価をはじめ、私鉄
運賃、郵便料金など、
公共料金を軒並みにつり上げ、または、つり上げようとしています。特に
国鉄運賃は、米価とともに、これら
公共料金の大宗であり、その他の
公共料金をはじめ、諸
物価に連鎖反応を引き起こし、その
影響するところは、はかり知れないものがあります。
政府は、
国鉄運賃値上げの
物価、家計に及ぼす
影響をわずか〇・三%だと言っておりますが、大衆の実態を無視するも、はなはだしいものがあり、これこそ、
政府の
物価値上げ政策に
反対して盛り上がっている人民の運動をそらし、押えつけようとする魂胆にほかなりません。
このような人民の
反対を完全に無視して、
旅客三一%、貨物二二%、平均二五%という未曽有の高率
値上げを強行する佐藤
自民党内閣こそ、
物価安定どころか、
物価値上げの張本人であり、人民収奪の元締めであると断ぜざるを得ないのであります。
第二の
反対の
理由は、こうした大衆収奪によってかせいだ膨大な
資金をもととして、米日独占本位の
輸送力を
増強し、あわせて景気を刺激し、目下不況に悩む独占資本擁護の
政策を強行しようとすることであります。
国鉄の第三次
輸送力増強計画の規模は、七カ年で総額二兆九千七百二十億であり、その
資金の大半は
運賃値上げでまかなおうとするものであります。
国鉄は、第三次
計画の目標として、通勤地獄の緩和、保安の確保、幹線
輸送力の
増強の三つをあげ、目下大わらわに宣伝しておりますが、
さきの二つは、全くのうたい文句、さしみのつまであり、その真のねらいは、第三の幹線
輸送力増強にあることは、きわめて明らかであります。
まず、これを
資金の面から見れば、
通勤輸送の緩和は全体の一七%であり、保安の確保は七%にすぎません。これに反して、幹線
輸送力増強は全体の四一・二%、一兆二千五百億にのぼっているのであります。これではだれのため、何のための
輸送力増強であるか。言うまでもなく、独占奉仕の
輸送計画であることを雄弁に物語っています。しかも、これはあくまで用地取得、
物価、さらに
資金計画等に非常に不確定要素の多い
机上プランであり、過去の実績はいつもこれに伴わないのであります。混雑緩和を例にとれば、その
実施状況は、第一次
計画では当初
計画の六〇%、第二次
計画では五五%にすぎません。ところが、新東海道幹線だけは、当初予算を大幅に増額して、一〇〇%を遂行しているのであります。
一方、
運賃収入の面からこれを見れば、このたびの
値上げで、その増収分は六カ年で一兆四千億が見込まれています。しかし、これまでの実績は、いつも当初
計画をはるかに上回っていることを考えに入れねばなりません。このような膨大な大衆収奪
資金で、申しわけ的に混雑緩和や保安確保をうたい、これをえさにして得た
資金の大半を米日独占資本の
利益に奉仕する、かかる羊頭狗肉の収奪
政策を絶対にわれわれは容認することはできません。また、かかる収奪
政策は、
旅客輸送には高く、鉄鋼、石炭、セメントなど、独占本位の貨物運送には安いというやり方にも、はっきりあらわれています。元来、
国鉄は、その発足以来いつも財閥の
利益に奉仕させられ、財閥は
国鉄を食いものとして太ってきました。独占からは原料や資材を高く買い上げ、また、多くの
金利を支払い、しかも、その
運賃はといえば、安く買いたたかれてきました。このくされ縁を断ち切らない限り、
国鉄の健全
経営、
国鉄の民主化などはとうていあり得ないのであります。
ことにも、ここで特に指摘せねばならぬことは、暴気刺激の問題であります。いま高度経済成長
政策の失敗により、経済界は深刻な不況に見舞われています。こうしたや
さきに、三兆円になんなんとするこのたびの
国鉄第三次
計画は、独占資本本位の不況
対策として大きな役割りをになっているのであります。昨年八月二日発行の「
国鉄通信」によれば、いまかりに
国鉄が一千億の投資をするとすれば、その行く先はどのようになるかを次のように述べています。すなわち、
輸送機器四百億、建材百八十一億、一般機械百二十四億、電気製品百十一億、セメント五十四億、木製品二十一億、鉄鋼十八億であります。
以上でも明らかなように、
国鉄の新
計画によって太るのは大
企業であり、
反対に人民は窮乏にさらされるのであります。
反対理由の第三は、この
計画の中で、人員の
増加は全く見込まれておらず、
国鉄労働者に対する徹底的な合理化と、労働強化による犠牲の上に、この
計画が行なわれようとしていることであります。
国鉄職員の定員は、この十年間ほとんど
増加していないにもかかわらず、一人当たりの業務量は一五〇%にふえています。いままた第三次
計画によってますます業務量がふやされることは明らかであります。現に
国鉄当局は、昨年十二月、
国鉄労働組合が
提出した定員
増加の要求を拒否し、あくまで合理化によってこれを切り抜けようとしています。軽々しく
企業努力などと言っていますが、それは職場の労働者の過酷な
負担をしいる以外の何ものでもないのであります。こうして第三次
計画は、
国鉄労働者の犠牲の上に成り立っています。過酷な労働をしいれば、不満や要求がつのる。それをしも押し切って労働強化をしいるためには、上からの権力的圧制が加えられる。現在ファッショ的な労務管理と労働戦線の分裂攻勢が露骨に展開されており、職場の民主主義は破壊されています。ある駅長は、「命令されればやるという
国鉄職員の本能をよく見込んで当局は無理を押しつけている」と、私にそのふんまんをぶちまけました。また、
国鉄労働者の賃金は、労働生産性の伸びに比べてきわめて低くて、七〇%の労働者が内職によって生計をささえている実情であります。このような労働強化と低賃金
政策の中では、当局がどれほど声を大にして
保安対策、サービスの向上を叫んでも、その結果は、事故の続発となって、被害が大衆に及ぶことは避けられないのであります。
以上述べた
理由によって、われわれは絶対これらの
法案に
反対するとともに、わが党の次のような
政策を掲げて、徹底的にこれを粉砕するために戦います。
わが党の
政策は次のようなものです。
第一は、
運賃値上げをやめ、米日独占資本の収奪に
反対します。
第二は、
公共の安全保持のため、また、混雑緩和を中心とした
輸送力の
増強をはかること。
第三には、このため必要な経費は、国の
財政から出すこと。
第四には、
借り入れ金、債券の償還を引き延ばし、利子率を引き下げること。
第五は、独占価格の引き下げ、
工事契約、資材購入を公正な入札で行なうこと。
第六は、
独立採算に
反対し、必要な経費を国の一般会計から
出資すること。
第七は、世銀借款をやめること、米軍と自衛隊の軍事
輸送を停止すること。
第八は、独占収奪のための合理化
反対、労働者をふやし、賃金を保障すること、労働条件の根本的
改善をはかり、労働者のストライキ権を復活すること。
第九は、
国鉄運営の徹底的な民主化であります。
以上の九つの
政策を掲げて、われわれは本案にあくまでも
反対するものであります。