○
吉田忠三郎君 まだ
総理大臣来ておりませんけれ
ども、私は
総理大臣さらには関係の
大臣、
国鉄の
総裁を
中心に
質問いたしたいと思います。この
委員会は開会されましてからかなりの日数経過をしておりますことと、この間各委員がかなり突っ込んだ
質問をいたしております。特に公共負担の関係あるいはきのう
大蔵大臣が、従前のつまり機3号補正に関連をいたすこの法案の成立に伴う穴埋めについても、それぞれの答弁がございまして、まだ完ぺきな答弁じゃありませんので、追って岡理事から
総理大臣にこの点が
質問されることになると思いますので、私はそういう点は触れません。いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、かなりの審議を私は尽くしてきたと思いますから、要点をしぼってこれから
質問をいたしたいと考えます。
質問の要点は、第一には、交通基本問題調査会の答申と、それから
日本国有鉄道基本問題懇談会の
意見書を、どう
政府並びに
大蔵大臣、あるいはこれを踏まえて実行いたすところの
国鉄が受けとめたかということに
中心点を置きたいと思います。もうちょっとつけ加えますと、
政府の
責任である
計画と投資との関係、それから諸外国との交通政策との比較、それから社会党が、御案内のように、本国会に整備緊急措置法案を提案をいたしております。この法案との関係を最初にお尋ねしたいと思いますけれ
ども、とにもかくにも、ただいま国民がこの
運賃値上げの法案を注視をしていると思います。こういう立場から最初に、
総理大臣がまいりまする前に、
運輸大臣あるいは
国鉄の
総裁、こまかな点は副
総裁でもけっこうですから答弁をしていただきたい、こう思います。
御
承知のように、最近消費者の米価と並びまして、公共料金問題が世の中の焦点になっております。こうしたさなかに
国鉄の
運賃値上げ案というものがこの国会で、
政府自民党の強行によって
実施されようといたしております。私は、この案をすなおにながめてみますと、その結果
収入の三割を端的にいって
増収をいたすということが、その目的になっているように考えられるわけであります。旅客
運賃ではこれまた他の委員も発言されましたけれ
ども、三・二%、貨物
運賃では一二・三%という大幅な値上げを断行しようとしているわけであります。しかも、通勤定期に至りましては、その割引率を従前の平均七五・六%から六五・八%に引き下げる
方針が貫かれています。私はこの案を一口で申し上げてみますれば、明らかに貨物よりも旅客に、卸売り物価よりも消費者物価、大
企業よりも小
企業、金持ちよりも低所得層による多くの負担を要求している値上げだと言わなければならない案だと私は思っているわけであります。過去におきましても、幾たびか
国鉄の
運賃というものが値上げをされてまいりましたけれ
ども、過去の公共料金の値上げの中で、これほどに大衆収奪の性格を露骨に示した例は、私は他にないと考えているわけです。もちろん、私も過密ダイヤ解消、通勤通学輸送を主たる目的として第三次
長期計画というものがなされておりますけれ
ども、その中で山陽新幹線の建設を除く部門の
増強、安全
合理化投資の必要性は認めたとしても、
国鉄監査委員が指摘するまでもなく、今日の
国鉄の病根は、ただ単なる
輸送力の逼迫というより、
国鉄の基本使命である安全性にかかわる
段階にまできているからであると私は考えます。したがって、
計画を
実施するためには、七カ年で二兆九千億円という膨大な
資金が必要とされる、こう
資料には出ております。その
資金を
国鉄の
自己資金や、財政投融資のみではまかない得ない、私はこう思うので、この場合、一体この二兆九千億円というものの
資金をどうこれから具体的にされるか。冒頭申し上げたように、
政府がその投資の
計画をお持ちになっておられるかどうかということを、本来でございますれば、
総理大臣に私は伺いたいところでございますけれ
ども、この際、
大蔵大臣が出席いたしておりますので、
大蔵大臣にその投資の
計画を私は具体的に御説明願いたい、こう思うことが
一つであります。
さらに、私はこうした仕事を、
政府の抜本的な施策を、いま申し上げたような条件としてかりに国民が認めた場合といえ
ども、
国鉄側として、国民の足をあずかる
責任者として、今度の値上げについては、それぞれの手続を踏み、最大の
努力を尽くしたということは言えないのではないか、私はこう思うので、
国鉄側としては、先ほど来申し上げたような、過去の公共料金で値上げしたことのないようなことをどのようにやったかということを、この際明らかにしていただきたいと思います。
それから借金を
中心の
設備投資が資本コストをふくらませる結果になるくらいは、私はいかに無能な
経営者でも知っていると思うのです。その結果が、
経営が苦しくなったからといって、独占価格としての
運賃引き上げにすべてを依存するというこの態度は、私はあまりにも安易過ぎるのではないか、こういう態度ではないか、こう感ずるわけであります。この点についても私は
国鉄側の見解を求めたいと考えます。
それから、特に問題にしなければならないのは、
国鉄の当局の説明であります。その説明が、
運賃値上げに伴う影響を過小に見積もっているのではないか、こういう気がするんです。きのうの朝日新聞にも出ておりますけれ
ども、このことのみではございませんけれ
ども、今日の
政府の物価抑止政策が成功していない限りにおきましては、国民生活の水準がたいへん低下をしたということが出ているのであります。これと同じように、今度のこの
運賃値上げによって家計の支出に占める
国鉄の
運賃の割合は、定期代を含めて月三百五十九円、つまり〇・七五%にすぎないと分析をいたしています。また、定期代の八五%は使用者が負担するのであるからたいしたことがないと、
国鉄側は説明をしております。だがしかし、これによる消費者物価へのはね返り、この
資料では〇・四%と
推定されておりますけれ
ども、これだけを見ても私は決して少なくない
数字ではないか、こう思います。それから定期代の使用者負担制も、その大半が一部自己負担となっている点を考慮に入れるならば、通勤定期の九三%値上げの影響は、私は無視できないものだと思うんです。こういう理論は私は、わずかのことばで申し上げておりまするけれ
ども、成り立つと思う。こういう点を
国鉄の
経営者は一体どう考えているのか。それから、それ以上に、公共料金の基幹をなしているものは、何といたしましても私は
国鉄の
運賃だと思うのです。ですから、こうした一般物価の値上がりムードの中で、
国鉄運賃を大幅に引き上げるということは、直接間接的に他の物価に波及をし、その結果、値上げを押し上げていくというようになると思う。先般も同僚の
木村委員が指摘したように、便乗値上げというものも伴ってくる。この波及効果というものを織り込むならば、私が申し上げるまでもなく、一般家庭への深刻な赤信号になるのではないか、こう思うがゆえに、こういう点についてもそれぞれ御答弁を願いたい。特にこの関係につきましては、
運輸大臣に答弁していただきたいということを申し添えておきたいと思うのであります。
それから他方、貨物
運賃の値上げを小幅に押えたのは、戦前比較の値上げ率の面で、旅客
運賃との均衡をはかったためだと説明しています。これまた、私はまことに根拠の乏しい
政府側の主張であると思います。なぜかならばというと、第一に、戦前の
国鉄運賃体系が、貨物優先主義をとっていた事実を、全くこの案は無視をしているのであります。この関係は一体どう国民の前に皆さんが説明しようとしているかということを
一つ伺いたい。
第二は、これ以上貨物
運賃を上げては、他の輸送機関、たとえばトラック輸送などに荷物を取られる、こういう懸念があるからということを言うておる一部の方々もおります。私はこの点についてはないとは言えないと思います。ですけれ
ども、そうした競合関係を改めようとしなかった今日の
国鉄の不手際と
経営のあり方についても、この際この問題を提起された今日でありますから、国会で追及されなければならないものだと思うのです。でありまするから、今日までの一体
国鉄の
経営者が、そうした競合関係があるとするならば、その改善を具体的にはかろうとしたのか、これまたお答えを願いたいと思うのであります。私も
公共企業体としての性格上、
国鉄当局が公共性と
経済性、つまり採算性という二つの要求を両立をさせるために、確かに今日苦しみ悩んでおられまする実情は、私は十分理解できるとしても、しかし脱出口を最も抵抗の弱い部面、つまり一般大衆の負担に求め、しわ寄せさせようとした
政府の政策は、私は断じて許すことはできないと思うのであります。この点ただいま
総理大臣がお見えになりましたから、
総理大臣からこのお答えを求めたいと考えます。(「聞いてないよ」と呼ぶ者あり)聞いていないとすれば、もう一回申し上げましょう。今日
国鉄は
公共企業体としてその性格上、公共性と
経済性、つまり採算性という二つの要求をされている。それを両立をさせるために、
総裁以下の
経営者幹部というものがたいへん苦しんでいる、悩んでいるわけであります。私はこういう実情は十分
承知をしたとしても、その脱出口を最も低所得の階層の一般大衆に負担させようとした今度の
運賃値上げ案というこの
政府のやり方、
政府の政策は、国民全体が許すことのできない政策だと考えるので、この点は
総理大臣としてどうお考えになっているかということを、いまお尋ねをしたわけであります。
それからもう
一つは、三十九年度に三百億台の赤字を出しながら、そうして今日一千億をこえる
減価償却費、総収の約一五%になっております。これを織り込んでいる事実も含めまして、何が一体適正利潤なのか、あるいは何を最優先投資に振り向けるべきか等々、
国鉄経営の基本問題をも含めて、もう一回この際洗い直すときが来ているのではないかと思うのであります。この点につきましては、きのうの本
委員会におきましても同僚の
大倉委員から
質問され、
総理大臣は私の
記憶している点ではこのことに触れまして、
一つには
国鉄の予算制度、二番目として
政府からの出資や利子補給の
実施、三つ目には国会との関係について根本的に
検討するというような意味のお答えがあったように私は
記憶をしておりますけれ
ども、これを一体具体的に、しからば国会との関係をどうするのか、あるいは予算制度をどうするのか、あるいは
政府の出資、あるいは利子補給の関係についても具体的にどの面をどういうような形でやるのかということを、この際私はやはり明らかにしていただきたいと思うのであります。
いずれにいたしましても、これに対する結論は、何と申し上げましても佐藤自民党
政府のその政治的性格に負うところのものでございまして、私は本国会で国民にその問題点の所在を解明してやらなければならないのではないか、こう考えますので、この点も含めて明快な私は答弁を求めたいと考えるのでございます。これが第二の
質問であります。