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1966-03-02 第51回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二日(水曜日)    午後七時十六分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 岡  三郎君                 吉田忠三郎君     委 員                 木村 睦男君                 谷口 慶吉君                 天坊 裕彦君                 中津井 真君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 松平 勇雄君                 吉武 恵市君                 相澤 重明君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 浅井  亨君                 中村 正雄君                 岩間 正男君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        運 輸 大 臣  中村 寅太君    政府委員        大蔵省主計局次        長        武藤謙二郎君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        運輸政務次官   福井  勇君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省鉄道監督        局長       堀  武夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  原山 亮三君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を開催いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 大倉精一

    大倉精一君 国鉄の副総裁にお伺いいたしますけれども、きょうは時間がないようですから、端的にお伺いいたしますが、今度の計画のどこの資料を見てみても、非常に不思議なことは要員のことが書いてないのですね。資料には何にもないのですよ。ですから、ただ不増の方針を続けろといろ基本問題懇談会意見書がある。したがって、こういう膨大な資料をもらったが、いろいろ見ましても、人員に関する限りは全然ない。そこで、二兆九千億という非常に膨大な設備投資、あるいは輸送力増強を見越しての国鉄運営といいますか、あるいは国鉄経営というものが、はたして人員を増さないという方針でやっていけるのかどらか、私は非常に疑問に思っている。現に、地方を回ってみまするというと、たとえば普通の列車に乗ってみても、あるいは駅へ参りましても、どこでも人員不足で困っておるのです。こういう ことが将来非常に禍根になるのじゃないかということを考えるのですけれども、その要員の問題がどういう計画になっておるのですか。
  4. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 今度の長期計画を遂行する場合には、もちろん資金の獲得は重大でございますが、先生のおっしゃるとおり、人間をどういうふうにして使っていくかということが一番大きな問題の一つでございます。それにつきましては、私どもといたしましては、昨日も御答弁申し上げましたとおり、一応たてまえとしては、基本問題懇談会意見書にございます人をふやすなというこの考え方といたしましては、要員不増の基本方針を堅持することが望ましいと、こういうふうに言われておりまするが、考え方としてはできるだけあらゆる努力を払って要員不増の基本方針ではまいろうと思っております。しかしながら、いま先生お話しのとおり、現実の問題といたしまして、非常に現場によりましては人がなくて困っているというようなところのあることも事実でございます。したがいまして、私どもといたしましては、単に抽象的に人をふやさないということを旗じるしに掲げることよりも、その場その場で具体的問題として処理してまいりたいというふうに思っているわけでございまして、四十年度から始めました今度の計画につきまして、四十年度におきましては八千四百四十人、それから今年度におきましても七千四百四十人、合計二年間で一万五千八百八十名の予算定員の増を、相当大蔵省のいろいろ御議論もございましたが、一応二年間で一万五千八百人というものを増員いたしまして、もちろんこの中にはいわゆる臨時職員職員化という問題も入っておりますが、それを除きましても、工事関係人間あるいは業務増人間等も相当見込んだわけでございます。今後毎年これだけのものがふやせるかどうか、これは相当疑問でございますが、やはり必要に即しましてやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  5. 大倉精一

    大倉精一君 一万何千名もふえたと言いますけれども、私は、国鉄の現在の状態並びに輸送力増強趨勢傾向からいって、決してこれは多いものではないし、もっともっとふやさなければいかぬと思うのですね。特に政府のほらから、企業努力をせい、企業努力をせいと、こう言われる。企業努力とは一体何だといえば、いわゆる経費を浮かすことなんですよ。経費を浮かすということになれば、国鉄人件費というものが大体六〇%ないし六五%、これに目をつける以外にないと思うのですね。ですから、国鉄の人に聞いてみるというと、年末繁忙手当あるいは年末手当運賃がきまらなければ払えないというようなことらしいです。さらにまた、地方の駅長さんのところに参りまするというと、どうもうちは給料が少ないので、希望がないので、いい人が集まってきません、あるいはやめていきますと、こういう話も聞きます。でありますから、私の言いたいことは、いわゆる物やあるいは設備ですね、これに対して金かけて近代的なりっぱなものをつくる、これはけっこうなんですけれども、結局は人間ですよね、質のいい人、これが必要に応ずる要員、これをあわせて確保しなければ、私はいくらいい設備をつくってもこれはむだだと思う。特に保安対策等につきましても、やはり人間は大事だと思う。この資料を見てもどこにもない。ですから、不増計画なら不増計画でもって、何年度は何人になるんだ、何年度は要員は何人になるんだと、こういうこと、あるいはまた機械化、技術の進歩等によってこれこれは節約できて、これだけでいけるのだ、こういうことがなければならぬのですがね。どこかそういうのがありますか。
  6. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その要員問題につきましては、いろいろ毎年毎年の単年度予算との問題も非常に多うございます。実際には、全体としてのスケールといたしましては、全体で四万五、六千の人間が要るという一応の試算をいたしております。これを年度別にどうやってふやしていくか、また年度別にどうやっていまのお話のように合理化近代化等による人間と置きかえるかという具体的な問題につきましては、その年その年の問題といたしまして、私のほうにやはりそういった委員会をつくりまして、具体的問題として、その年にできます近代化問題の裏づけとして、ことしはこれだけの人間が浮いてくる、これをこちらに回す、それから逆にことしはこれだけ純粋にふやし、これはこういう方面に使うということを、具体的な毎年毎年の問題として考えてまいりたいと思っております。現に、過去二カ年間はその方針でやってまいったのでございます。今後ともそういう方針でまいりまして、全体といたしましては約四万五、六千の要員増になるという考え方でございます。
  7. 大倉精一

    大倉精一君 まあ四万五、六千ということですけれども、本来ならばやっぱりそういうものも年次計画の中にきちんと入れておくのが至当ではなかろうかと思う。特に私は、この数字はどこから出たのですかね、これは――資金計画ですね。これを見てみますというと、支出のほうで経営費ですね、これが四十年から四十六年まで各年度書いてありますけれども、特に私は疑問に思うことは四十三年ごろからずっとふえまして七百億、あるいは七百九十億というぐあいにふえておりますけれども、この中で一体人件費の占める割合はどのくらいあるのですか。大体六〇%ぐらいと見ていいんですか。
  8. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) この経営費が全体で、いまごらんのとおり四兆九千八十九億、この中で、基礎的な人件費と、それからその他今後のベースアップあるいはそれに伴う付帯給与増加、あるいは職員年令構成によります退職金増加等を全部考えまして、平均いたしまして約六二%、正確に申しますと六一・六%程度考え方であります。ただし、御承知のとおり、人件費の単価は毎年公共企業体等労働委員会できまるのが慣例になっておりまして、私ども一つの過去の趨勢に基づく、推定に基づいた計算でございます。その点は、毎年のいわゆる仲裁によってきめられますので、正確なことはもうわからないわけでございますが、一つの過去の経過、傾向からいたしまして、大体七年間で平均いたしまして六二%、正確に申しまして六一・六%というところで見ておるわけです。
  9. 大倉精一

    大倉精一君 この前の資料がありませんからわかりませんけれども、この前の計画の中で、人件費推定金額とそれから実績と、大体合っておりましたか、違っておりましたか。
  10. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 実は、先生記憶と存じますが、第一次のときは非常に大きなそごを来たしました。これは実は定期昇給しか見ていなかったわけです。あのときの長期計画は、あのとき初めてつくったものですから、人件費の見方はいろいろ議論がございまして、きまったもの以外は見ないということで、実は定期昇給だけを見ておりましたために、その後の三十三年、三十四年の仲裁裁定のときには非常に大幅に狂ってまいったわけでございます。それを第二次のときには反省いたしまして、相当程度ベースアップを実は見ておったわけでございます。ところが、御承知のとおり、三十九年度にいわゆる公共企業体の中の格差是正というものが起こりまして、御記憶だと思いますが、そのために非常に大幅な三十九年度の人件費増加がございましたので、その分の食い違いが出てまいりました。これだけは実は予想していなかった数字でございましたが、三十九年度に実現いたしまして、その限度において狂ってはきておりますが、それ以前にはあまり大きな狂いはございません。
  11. 大倉精一

    大倉精一君 今度の運輸収入というものも、おそらく中期経済計画からこういう算定をされたと思う。しかし、中期経済計画というのは御破算になってしまっている、そういう状況ですね。また、人件費においても、中期経済計画からこういう想定をされたと思うのです。でありますから、私はこの面からこの計画はくずれてきはしないかと思う。特にこれは、この経費の中で六一%を占めるのですが、これは自分の金でまかなっていけますか、この時点で。
  12. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 第一日の御質問の、瀬谷先生の御質問にお答えいたしましたが、非常に端的に数字を申し上げますと、もちろんこれは金にいろいろな糸目がついておりませんので、一つ計算でございます。今回の運賃値上げで、七年間で約一兆二千億の増収になるわけでございます。そのうちの三分の二の約八千五百億が減価償却に見合う設備費でございます。それから三分の一の約三千五百億が人件費に見合う――人件費の中のべースアップの一部に当たる金額金額的にはこういう計算になっておりますが、もちろんその増収分がそのまま人件費に回るという意味ではございません。計算上は一兆二千億のうちの三分の二が減価償却、三分の一が人件費、こういうことになります。
  13. 大倉精一

    大倉精一君 こまかいことはやめますけれども、この資金計画は、政府のほうと協議をして、政府のほうもこの資金計画を了解しているのですか。
  14. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) この資金計画は、全体といたしまして、二兆九千億の工事費の投入のしかたの問題、それに対して約一兆円の借入金の返還があるということは、これは御了承を得ているわけでございますが、毎年毎年の輸送費算定の問題、あるいは経費の問題につきましては、たとえ政府であっても、たとえば人件費一つ取りましても、正確な見通しは非常に困難だ。したがいまして、この単年度ごと収入経費の見積もりにつきまして、これは国鉄責任でやっていく。しかしながら、七カ年の総体の経費として、自己資金が約八千五百億出る、借入金が全体で三兆何がしである、こういうホール・プランについては政府の御了承を得ておる、こういうふうに了解しております。
  15. 大倉精一

    大倉精一君 大蔵大臣にお伺いしますが、いまも副総裁にお尋ねし、答弁を得たのですけれども、この資金計画運輸収入というものについては、中期経済計画に従ってこれを策定したんですね。それから、この経費につきましても、六一%が、大体これが人件費だというけれども、これを除いて計算した、あるいはその次の欄の外部資金という点についても、これまた現在のような状態では大体一〇%程度くらいを出しておったというのですけれども、この計画中期経済計画に従ってやっていると思うんですが、しろうとなりに見て、はたしてこれだけの金額政府が出すかどうかということですね。さらにまた、この二兆九千億という七カ年計画については、政府のほうでもこの計画並びに数字については承認をしておるのですから、責任を持ってもらわなければいかぬと思います。この中期経済計画御破算になったけれども、こういうものを再検討しなければならぬ状態があるのではないかと思うんですが、大蔵大臣、そういう心配はございませんか。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまお話しのように、中期経済計画が、その後の経済事情変化によりまして、財政政策の変更もありますので、再検討いたす、こういうことになっておるのですが、いずれにいたしましても、国鉄陸上輸送のほんとうのこれは中心をなすものである、できる限りの努力をして国鉄需要を充足しなければならぬ、こういうふうに私としては考えておる次第でございます。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 中期経済計画は、その後の経済状態等変化によって再検討を加えなければならぬというんでしょう。そうすれば、こういう膨大な資金計画なり事業計画というものに再検討を加えなければならぬのじゃないですか。こういう二兆九千億というようなべらぼうなお金の出入りを、これを再検討せずに、いわゆる経済事情変化する前の状態でもって依然としてこれをやらしていくということは、これは政府としてそういうことでいいんですかね。私はきのうも総理にその点を尋ねたんですけれども国鉄が何ヵ年計画というのが途中で挫折をするというゆえんの一つの要因は、やはり政府の出した統計なり見通しなり、そういうものを基礎として、こういう計画をつくっていくんでしょう。ですから、この計画をつくったが、政府見通しが誤っておったということになれば、これは計画挫折責任の一半を政府に持ってもらわなければならないということを総理に申し上げたんですがね。ただいま聞いておると、あなたのほうの計画は再検討する段階に来ておるんだ、この表の資金計画は再検討する以前のものをそのまま使っておる、それを政府は黙って見ていこう、こういうことでいいんですか。これは失敗しますよ、あなた。いかがでしょうか。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その問題は、国鉄の問題に限らず、あらゆる問題にそういう問題がある。つまり、中期経済計画がここブランクになっておるような形になるわけで、そのブランクを一日も早く埋めなければならぬというので、新たに経済審議会長期計画の諮問をお願いするということになるんですが、そういう状態下におきまして、いままでの計画と変わるといっても、そうえらい変わりはないんじゃないか、そういうふうに思いますので、いままでの計画に乗って当面はやっていくほかはない、そういうふうに考えておる次第でございます。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 総裁にお伺いいたしますけれども、いまお聞きのように、この資金計画出し入れというものは中期経済計画に従ってこれはつくられておる。そうすると、政府のほうは、この中期経済計画というものは、いまの間尺には合わないようになったから、いまの寸法に合わぬようになったから、これを再検討する、修正する、手直しするというわけですね。そうすると、二兆九千何百億という膨大な出し入れ計画もこれに合わせて再検討しなければならぬと思うのですけれども、これはきわめて初歩的な考えですけれども、どうでしょうね。政府経済見通しが変わってきたんだが、その前のものでこれをやっていくんだ、それで足らぬようになったら何とかしてください、これではぐあいが悪いんじゃないですかね。
  20. 石田禮助

    説明員石田禮助君) この七カ年計画につきましては、この計画というものは内閣がこれを認める、同時にこの財政的の裏づけについては政府がこれを見ると、こういう保証がありますので、われわれは政府保証というものに対しては絶対の信を置いて本計画を立てた次第であります。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 それはふしぎだと思うんですね、私は。それは、いま言ったように、政府がこれを引き受けて保証をつけたのだから、まあまあ中期経済計画は手直しされるけれども、これはこんな承認されたままやっていても、足らぬようになったら承認した政府がやってくれる――これは政府毛責任がありますよ、ありますけれども、やはり大福帳を預かっている以上は、経済動向に見合うところの新しい角度からこれを再検討していかなければならぬ。それがないから、まあまあこういうものをつくってちょっと出しておけば通っていくわい、まあ今度七カ年が四カ年くらいでだめになったら、もう一ぺんあらためて七カ年計画をつくろうかと、こうなる。これは出発の当初に非常に、何といいますか、あぶなっかしいもので出発をしていると思うんですね。たとえば、いまこの外部資金を見ましても、四十四年度は五千一百六十九億、四十五年五千九百十五億、四十六年六千二百四十三億、この中で財投部分はどのくらいあるのですか。相当な部分でしょう、財投部分は。だから、具体的なものはこの時期になって大蔵大臣出す自信がありますか。あると言えばそれまでですよ。あると言えばそれまでのものですけれども、こういうものを見ても、私は再検討する必要があるのじゃないか。これでいけば、私は途中でもう一ぺんやり直さなければならぬと思うのですが、やり直す必要がないという自信おありでしょうか。総裁どうですか。
  22. 石田禮助

    説明員石田禮助君) 私は、この所得倍増計画によって民間の企業というものは非常に伸びてきた。それに比べて、この公共投資というものが非常に少ない。現在の段階においては、そのひずみを直すということが、これは政府の大きな仕事である。したがって、そのうちで大きなものは道路である。そうしてこの日本経済流通機構中心をなす国鉄というものに対しては、政府はほかのものは差しおいても必ず国鉄に対してはこれだけのことはしてくれると、こういうことを私は信じております。これは日本経済の発展の上から見ても、ぜひともやらなければならぬことなんです。やらなかったら、日本経済というものは発展しないのだ。ぜひともこれは政府としてはやってくれるということについて、もう十分の信用を持っている次第であります。
  23. 大倉精一

    大倉精一君 まあ総裁、少し健康が悪いようですから、運輸大臣にひとつお伺いしますが、いまお聞きのとおりに、国鉄当局は、必ず政府めんどうを見てやってくれるのだ、こう確信しておる、こういうことなんですね。しかも、この計画というものは、全部これは、中期経済計画政府がおつくりになったものでもって、それを基礎にしてつくっておる。そうすれば、これはやはり政府責任を持ってもらわなければならぬし、いまの総裁もそれを期待しておられると思うのです。で、私が言っているのは、私はどうもあぶないと思うのですが、数字をこまかくせんさくすることはやめて、大臣はどうですか、この資金計画でもってこの七カ年計画というのが計画どおり実施ができて、そしてPRのようなかっこうになるという確信を持っておられるかどうか。その確信を持つには政府はどうしたらいいか、こういうことだと思うのですが、それをひとつお聞かせ願いたい。
  24. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、第三次長期計画は、やはり中期経済計画の中で見ております輸送需要というものには、大体大きな変化はない。そこで第三次長期計画というものがどうしてもやはり実施されていかなければならない。この資金をどうするかという質問だと思いますが、それは政府が第三次長期計画実施にあたっては、資金的な責任を負うという閣議で了解も取りつけておりますし、またこれはいま国鉄総裁も言われますように、日本交通事情が要求する絶対のものでございますので、政府責任を持ってやっていくものと考えております。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 やっていくものと思うじゃなくて、政府はやらなければならないと思うのですけれども大蔵大臣いかがでしょう。これは端的に言ってどうしても資金不足になり、あとが続かぬようになったら、政府がやはりめんどうを見る、めんどうを見ると言うと語弊がありますけれども、その点は政府責任を持つ、こうおっしゃられぬとつじつまが合わぬと思うのです、要は金ですからね。ですから、それをまた政府のほうで企業努力をせい、企業努力をせいと言ったって、それには限度がありますね。そうすればさっき言った六一%を占める人件費、ここに見当をつけて、こっちへ持っていく以外にしかたがないと思うのです。そうすれば勤労意欲がなくなり、事故が起こるようになる。ですから大蔵大臣、どうでしょうね、今度の国会の論議のように企業努力をせい、あれ売ってこい、これ売ってこい、ここから持ってこい、こんなばかなことは言わぬでしょうね、今度は。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 企業努力も最大限しなければならないとは思います。思いますが、おのずからそれには限度がありますから、その限度ということも十分考えて処置しなければならないことだと思います。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 どうも日本政治家はうまいことを、わけのわかったようなことをわからぬくせに言うのが得意なんだな。はっきりずばりと言わぬと、だんだん運賃問題も大詰めにきておりますから、この機会に逃げを打つんじゃなくて、やはりもうこうなったらこうなるんだ、こういう計算がなければならぬ、どうしても第三次計画というものは完遂しなければならぬ、政府責任において完遂しなければならぬのだ、しかしながら、国鉄にはやはり運賃値上げ限度がある、もう七カ年計画中にはやれぬですね。そうしますと、やっぱり金の面でもって政府責任を持って七カ年計画というものは遂行させるんだと、さいふを握っているあなたが言わなければ、ほかの人が幾ら言ってもだめです、いかがですか。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そこの点なんです。私はいま大倉さんが企業努力企業努力と言うなと言うから、それは私は限度があるというふうに申し上げましたが、国鉄輸送力は、これはもう国の経済運営の上に非常に大事なものであると心得ております。ですから、陸上輸送の根幹としての国鉄がその十分の使命を果たし得るように、資金対策についても政府はもう万全の対策をとるべきである、またとるということははっきり申し上げます。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 非常に時間がないようですから、私は必ずしも満足しませんし、非常な不安を持っておるということを申し上げておきます。でありますから、この計画について、この時点において今度の国会のようなことは政府にないだろうなということを、私は念を押したいんだけれども、これ以上言いません。やめますが、しかし非常に不安を持っておるということだけを申し上げておきます。次の質問もありますから、特にこの点は大蔵大臣として責任を持ってやってもらいたいと思います。
  30. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まだ総理大臣来ておりませんけれども、私は総理大臣さらには関係の大臣国鉄総裁中心質問いたしたいと思います。この委員会は開会されましてからかなりの日数経過をしておりますことと、この間各委員がかなり突っ込んだ質問をいたしております。特に公共負担の関係あるいはきのう大蔵大臣が、従前のつまり機3号補正に関連をいたすこの法案の成立に伴う穴埋めについても、それぞれの答弁がございまして、まだ完ぺきな答弁じゃありませんので、追って岡理事から総理大臣にこの点が質問されることになると思いますので、私はそういう点は触れません。いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、かなりの審議を私は尽くしてきたと思いますから、要点をしぼってこれから質問をいたしたいと考えます。  質問の要点は、第一には、交通基本問題調査会の答申と、それから日本国有鉄道基本問題懇談会意見書を、どう政府並びに大蔵大臣、あるいはこれを踏まえて実行いたすところの国鉄が受けとめたかということに中心点を置きたいと思います。もうちょっとつけ加えますと、政府責任である計画と投資との関係、それから諸外国との交通政策との比較、それから社会党が、御案内のように、本国会に整備緊急措置法案を提案をいたしております。この法案との関係を最初にお尋ねしたいと思いますけれども、とにもかくにも、ただいま国民がこの運賃値上げの法案を注視をしていると思います。こういう立場から最初に、総理大臣がまいりまする前に、運輸大臣あるいは国鉄総裁、こまかな点は副総裁でもけっこうですから答弁をしていただきたい、こう思います。  御承知のように、最近消費者の米価と並びまして、公共料金問題が世の中の焦点になっております。こうしたさなかに国鉄運賃値上げ案というものがこの国会で、政府自民党の強行によって実施されようといたしております。私は、この案をすなおにながめてみますと、その結果収入の三割を端的にいって増収をいたすということが、その目的になっているように考えられるわけであります。旅客運賃ではこれまた他の委員も発言されましたけれども、三・二%、貨物運賃では一二・三%という大幅な値上げを断行しようとしているわけであります。しかも、通勤定期に至りましては、その割引率を従前の平均七五・六%から六五・八%に引き下げる方針が貫かれています。私はこの案を一口で申し上げてみますれば、明らかに貨物よりも旅客に、卸売り物価よりも消費者物価、大企業よりも小企業、金持ちよりも低所得層による多くの負担を要求している値上げだと言わなければならない案だと私は思っているわけであります。過去におきましても、幾たびか国鉄運賃というものが値上げをされてまいりましたけれども、過去の公共料金の値上げの中で、これほどに大衆収奪の性格を露骨に示した例は、私は他にないと考えているわけです。もちろん、私も過密ダイヤ解消、通勤通学輸送を主たる目的として第三次長期計画というものがなされておりますけれども、その中で山陽新幹線の建設を除く部門の増強、安全合理化投資の必要性は認めたとしても、国鉄監査委員が指摘するまでもなく、今日の国鉄の病根は、ただ単なる輸送力の逼迫というより、国鉄の基本使命である安全性にかかわる段階にまできているからであると私は考えます。したがって、計画実施するためには、七カ年で二兆九千億円という膨大な資金が必要とされる、こう資料には出ております。その資金国鉄自己資金や、財政投融資のみではまかない得ない、私はこう思うので、この場合、一体この二兆九千億円というものの資金をどうこれから具体的にされるか。冒頭申し上げたように、政府がその投資の計画をお持ちになっておられるかどうかということを、本来でございますれば、総理大臣に私は伺いたいところでございますけれども、この際、大蔵大臣が出席いたしておりますので、大蔵大臣にその投資の計画を私は具体的に御説明願いたい、こう思うことが一つであります。  さらに、私はこうした仕事を、政府の抜本的な施策を、いま申し上げたような条件としてかりに国民が認めた場合といえども国鉄側として、国民の足をあずかる責任者として、今度の値上げについては、それぞれの手続を踏み、最大の努力を尽くしたということは言えないのではないか、私はこう思うので、国鉄側としては、先ほど来申し上げたような、過去の公共料金で値上げしたことのないようなことをどのようにやったかということを、この際明らかにしていただきたいと思います。  それから借金を中心設備投資が資本コストをふくらませる結果になるくらいは、私はいかに無能な経営者でも知っていると思うのです。その結果が、経営が苦しくなったからといって、独占価格としての運賃引き上げにすべてを依存するというこの態度は、私はあまりにも安易過ぎるのではないか、こういう態度ではないか、こう感ずるわけであります。この点についても私は国鉄側の見解を求めたいと考えます。  それから、特に問題にしなければならないのは、国鉄の当局の説明であります。その説明が、運賃値上げに伴う影響を過小に見積もっているのではないか、こういう気がするんです。きのうの朝日新聞にも出ておりますけれども、このことのみではございませんけれども、今日の政府の物価抑止政策が成功していない限りにおきましては、国民生活の水準がたいへん低下をしたということが出ているのであります。これと同じように、今度のこの運賃値上げによって家計の支出に占める国鉄運賃の割合は、定期代を含めて月三百五十九円、つまり〇・七五%にすぎないと分析をいたしています。また、定期代の八五%は使用者が負担するのであるからたいしたことがないと、国鉄側は説明をしております。だがしかし、これによる消費者物価へのはね返り、この資料では〇・四%と推定されておりますけれども、これだけを見ても私は決して少なくない数字ではないか、こう思います。それから定期代の使用者負担制も、その大半が一部自己負担となっている点を考慮に入れるならば、通勤定期の九三%値上げの影響は、私は無視できないものだと思うんです。こういう理論は私は、わずかのことばで申し上げておりまするけれども、成り立つと思う。こういう点を国鉄経営者は一体どう考えているのか。それから、それ以上に、公共料金の基幹をなしているものは、何といたしましても私は国鉄運賃だと思うのです。ですから、こうした一般物価の値上がりムードの中で、国鉄運賃を大幅に引き上げるということは、直接間接的に他の物価に波及をし、その結果、値上げを押し上げていくというようになると思う。先般も同僚の木村委員が指摘したように、便乗値上げというものも伴ってくる。この波及効果というものを織り込むならば、私が申し上げるまでもなく、一般家庭への深刻な赤信号になるのではないか、こう思うがゆえに、こういう点についてもそれぞれ御答弁を願いたい。特にこの関係につきましては、運輸大臣に答弁していただきたいということを申し添えておきたいと思うのであります。  それから他方、貨物運賃の値上げを小幅に押えたのは、戦前比較の値上げ率の面で、旅客運賃との均衡をはかったためだと説明しています。これまた、私はまことに根拠の乏しい政府側の主張であると思います。なぜかならばというと、第一に、戦前の国鉄運賃体系が、貨物優先主義をとっていた事実を、全くこの案は無視をしているのであります。この関係は一体どう国民の前に皆さんが説明しようとしているかということを一つ伺いたい。  第二は、これ以上貨物運賃を上げては、他の輸送機関、たとえばトラック輸送などに荷物を取られる、こういう懸念があるからということを言うておる一部の方々もおります。私はこの点についてはないとは言えないと思います。ですけれども、そうした競合関係を改めようとしなかった今日の国鉄の不手際と経営のあり方についても、この際この問題を提起された今日でありますから、国会で追及されなければならないものだと思うのです。でありまするから、今日までの一体国鉄経営者が、そうした競合関係があるとするならば、その改善を具体的にはかろうとしたのか、これまたお答えを願いたいと思うのであります。私も公共企業体としての性格上、国鉄当局が公共性と経済性、つまり採算性という二つの要求を両立をさせるために、確かに今日苦しみ悩んでおられまする実情は、私は十分理解できるとしても、しかし脱出口を最も抵抗の弱い部面、つまり一般大衆の負担に求め、しわ寄せさせようとした政府の政策は、私は断じて許すことはできないと思うのであります。この点ただいま総理大臣がお見えになりましたから、総理大臣からこのお答えを求めたいと考えます。(「聞いてないよ」と呼ぶ者あり)聞いていないとすれば、もう一回申し上げましょう。今日国鉄公共企業体としてその性格上、公共性と経済性、つまり採算性という二つの要求をされている。それを両立をさせるために、総裁以下の経営者幹部というものがたいへん苦しんでいる、悩んでいるわけであります。私はこういう実情は十分承知をしたとしても、その脱出口を最も低所得の階層の一般大衆に負担させようとした今度の運賃値上げ案というこの政府のやり方、政府の政策は、国民全体が許すことのできない政策だと考えるので、この点は総理大臣としてどうお考えになっているかということを、いまお尋ねをしたわけであります。  それからもう一つは、三十九年度に三百億台の赤字を出しながら、そうして今日一千億をこえる減価償却費、総収の約一五%になっております。これを織り込んでいる事実も含めまして、何が一体適正利潤なのか、あるいは何を最優先投資に振り向けるべきか等々、国鉄経営の基本問題をも含めて、もう一回この際洗い直すときが来ているのではないかと思うのであります。この点につきましては、きのうの本委員会におきましても同僚の大倉委員から質問され、総理大臣は私の記憶している点ではこのことに触れまして、一つには国鉄の予算制度、二番目として政府からの出資や利子補給の実施、三つ目には国会との関係について根本的に検討するというような意味のお答えがあったように私は記憶をしておりますけれども、これを一体具体的に、しからば国会との関係をどうするのか、あるいは予算制度をどうするのか、あるいは政府の出資、あるいは利子補給の関係についても具体的にどの面をどういうような形でやるのかということを、この際私はやはり明らかにしていただきたいと思うのであります。  いずれにいたしましても、これに対する結論は、何と申し上げましても佐藤自民党政府のその政治的性格に負うところのものでございまして、私は本国会で国民にその問題点の所在を解明してやらなければならないのではないか、こう考えますので、この点も含めて明快な私は答弁を求めたいと考えるのでございます。これが第二の質問であります。
  31. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) お答えをいたしますが、第一の問題は鉄道の公共性、その意味におきましていろいろの義務が負わされておる。公共の利便を提供するように、ずいぶん国家的要請に沿って経営しているのですが、そういう意味の要請を受けている。ところが、独立採算という企業経営の原則を守っていくと、そこで無理がきてたとえば国民の、生活に困まっておるような諸君に対しても運賃値上げというか、苛酷な態度で臨まざるを得なくなるじゃないか、こういうお尋ねのようでございました。見るところはそのとおりでございます。しかし皆さんのいろいろの御協力、御尽力によりまして、いわゆる社会保障制度というものは片一方で進められております。生活に窮迫しておる者に対する生活の困窮の度合いによりまして、生活扶助の方法もあるわけでございます。これはただ食べるだけではございません。やっぱり生活を維持していく上の各種の支出に対する補助が国としてなされるのであります。私は国鉄自身がそういうところまで負担をして特殊な方に対する割引あるいは免除することは、実はこの席でも問題になっておりますように、いままでのいきさつ上から、いままでの経緯からそういう負担をすることはやむを得ないといたしましても、新しく国鉄の負担を増高さすことについては、私は反対であります。そういうものは、むしろ社会保障制度として国自身がめんどうを見るべきだ、かように私は思います。  第二の問題といたしまして、今後の国鉄のあり方というものについて、昨日もお答えをいたしたのでありますが、大倉君のお尋ねに対しましてお答えをいたしましたように、「この経営基礎からまた今後のあり方について基本的にやっぱり検討してみることが必要だ。このことは、たいへん借金もふえておる、その利子補給の問題も、あるいは国自身が出資する等の特別な補助等につきましても、当然、懇談会からの答申も出ておるが、さらに検討すべきであろう」、こういうお答えをいたしました。こういう点について、政府はもちろん国鉄と一体となって十分検討してみたいと思います。その中にたとえばいまの運賃を値上げせざるを得ない、そういうような状況になったときに、国鉄自身で運賃を上げることができない、一々国会でいろいろの御審査を仰がなければならないかどうか、こういうような点もやはり一応指摘されておる、かように私は思いますが、いずれにいたしましても国会との関係は、ただいま吉田君も御指摘になりますように、それらの点をも含めて全般的にいかにあるべきか、こういうものを検討すべきだと、私はかように考えます。私はただいまこの席におきまして、国会がこういうことにタッチすることは行き過ぎだ、かように私は申すわけではございません。そういうような説もあるのだから十分検討すべきではないか、こういうことを申し上げるのでございます。そういう点は、いずれ衆参両院の良識ある結論を出していただけるようになるのではないか、かように思います。
  32. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 総理の答弁もございましたが、将来の問題については、懇談会の答申もございますことだから検討しなければならない、こういうことです。ですから、このことにつきましては、あとあともう一回私は総理大臣に伺いますけれども、たとえばきのう大倉委員に対する答えの中で、きょう重ねてまあ答えられて、きのうから見ますとさらに具体性のある答えになったわけですが、国会との関係でございますが、つまりこの国鉄予算等につきましては、すべて国会の審議にゆだねなければならない。ですからどうもその話を聞いていると、やっかいだから他の私鉄の運賃のような方向にしたらいいのじゃないかというこれはとられ方もあるわけで、私としては国鉄運賃のみならず、国民生活に非常に大きな影響を持つような公共料金、たとえば私鉄の運賃にしてもそうです。あるいは米価にしてもそのことが言える等々の、この値上げをするような料金を設定するようなものはすべて、私は国民を代表している国会の議を経なければならない、審議を経なければならないというような方向で一般的に検討するということであれば、私は私なりに考えられるわけですけれども、この点がもう少し具体性がなかった。この点はどうお考えですか。
  33. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 私はただいまの点について私がとやかく言うことはいかがかと思って差し控えたのでございます。いずれは衆参両院におきまして十分検討されるだろう、かように申したわけでございます。
  34. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 次に、それでは私は総理大臣もあまり長くおれないというようなお話を委員長がされておりますから、限られた時間ですから、大臣がいらっしゃる間に伺っておきたいと思うのでありますが、交通政策の基本の姿勢についてであります。  ただいまも総理大臣は触れられました。それから過般の、衆参を問わず予算委員会あるいは大蔵委員会におきまして、それぞれ答弁をしているわけでございます。そこで私はいままでの答弁を伺ってみてもどうも具体性がない、非常に抽象的な答弁であったと私は理解する。そこであらためてお伺いするわけでございますけれども総理大臣は昭和三十九年に交通基本問題調査会が答申をした内容を完全に実施をしていきたいと、実はそれぞれ答弁してきました。これは速記録を見ればわかります。そこでそう総理大臣がそのつど答弁をしたり、あるいは紙聞紙上に談話を発表したことを、私は記憶しております。したがって、そう言ってきた中ですから、政府としてはいまの総理大臣のようなこれから十分検討するとか、極力検討するというようなことでは済まされないような気がするのです。ですから、政府としてこれを踏まえた交通政策というものを一体どう――これは国鉄だけではなくて、地下鉄の関係もうたっています。路面交通の面もうたっております。あるいは空、海上輸送のことについてもうたわれております。ですから、それを総理大臣としてどうこの答申というものを受けとめているのかということを、この際ひとつ伺っておきたいと思うわけです。  それからただいま議題になっています国鉄運賃値上げの問題に関連して、国が国がということは、総理大臣として、今度の最も資金を多く必要といたします長期計画というものに対して、いかなる総理大臣として権威を考えているのか、この点を簡単でけっこうですけれども、この際、聞かせていただきたい、こう思います。言いかえますならば、調査会の答申で指摘しているように、政府責任ある行動について具体的に列挙しています。これはここで読み上げますと、非常に時間がかかりまして、長くなりますけれども、ひとつ簡単に洗ってみますれば、かなりの内容のものが、政府に対して要請されています。たとえば過密ダイヤ、あるいは通勤輸送の改善あるいは保安対策の早急の実施の問題等々含めて、政府はこの計画の初期から可能な限り多額の資金を確保する必要がある、こういうことが、きちんとこの答申には出ているわけです。それから、もう一つは、再三、国会で問題になります政府の出資につきましても、「日本国有鉄道法第5条第2項によれば、政府は必要があると認めるときは、国鉄に追加して出資することができると定められている。」かくかくしかじかになっておりまして、「今後の問題として出資またはこれに代る負担金等について検討することが必要である。」とこう書かれております。こういう点を一体どう、この運賃値上げ法案を提案するにあたって、政府検討されて、どう踏まえたか、こういうことが明らかにならなければ、国民は納得をしないと思うのです。現に今度の政府原案を見てまいりましても、国鉄の財政投融資は、大蔵大臣もおりますけれども、去年度から見ますると、五%削減をされておる。そうしますと、この答申書と非常に食い違いが出てくる。一つの例をとってみてもこういう問題が出てくる。これを一体どうお考えになっておるかということを、私は質問をしているわけです。お答えを願いたいと思います。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 交通基本問題調査会の答申が昭和三十九年三月二十七日に一つ出ておる。また国有鉄道基本問題懇談会意見書は三十九年十一月二十七日に出ている。この二つが今後の国鉄のあり方あるいは交通問題の処理の基本的な方向を示しておるものだと思います。ただいま吉田君が御指摘になりますように、この非常な投資を必要とするこの交通投資の増強についての具体的な問題がございます。この点では、もちろん国鉄自身も、これらの獲得について独自の立場からその確保をはかってまいりますが、政府自身もそれは国鉄のよき協力者でなければならない。アドバイザーであると同時に、よき協力者である、こういう立場で大蔵大臣が十分相談をすることでなければならないと思います。御承知のように、それぞれの計画、最近は長期計画をそれぞれ立てております。道路の建設計画あるいは河川改修の計画その他のものがいずれも長期計画でありますが、国鉄におきましてもこれはもう当然長期計画を立てなければならない。それがただ年次的に見まして、計画どおり遂行されるかどうか、これも十分督励もし、検討も続けていかなきゃならない、かように私思いますが、ただいまのお話もそういう点だろうと思います。  それで、第二の問題として、合理的な交通市場の確立、これは申すまでもなく、それぞれの機関が持つ機能それ相応の整備計画を立てていくわけであります。また、いま問題になっております大都市交通なり、過密ダイヤ等の問題につきましても、それぞれ適切なる意見を述べられておりますので、私は、これが一応ただいまの本来のあるべき姿、その方向を示しておるものだ。また、さような意味で、国鉄も答申を受けて、そして真剣に整備している。今回の運賃値上げもこれの一環だと申せば、あるいは言い過ぎかもわかりませんが、とにかくいずれにいたしましても、ただいまのような長期計画、その一部を実施するための所要の資金獲得の方法としてお願いをしておると私思います。こういう長期計画は、鉄道自身あるいは地下鉄自身が持っておる路線、新線整備計画というものはございますが、政府自身がそれを承認しておるところまではいかない。しかし、国鉄の整備計画自身については、これは政府自身も一体となってこれを取り上げておる、かように私は理解しておりますが、お尋ねになりましたことは、そういう点でしょうか。
  36. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、まだ私ははっきりしませんがですよ。たとえばたびたび問題になります公共負担の関係ですね、これはいままでの委員会でやってきましたから、あえてダブって私は申し上げませんが、この答申が指摘するものは、公共政策に基づく貨物の運賃の暫定割引というものがございますね。今度の場合の引き上げ率をきめる場合に、かなりのそれぞれの団体の動きがあったことは、新聞紙上でわれわれも承知している。総理大臣承知していると思う。その結果、当初、十八、九ないし二十ぐらいの品目が、政策割引として六十九品目ぐらいになっている。ざっとこう時間ありませんから全部読み上げるわけにいきませんが、おもなるものを拾ってみますと、生石灰であるとか、硫安、石灰石あるいは銑鉄あるいは農産物等々六十九品目ですから、かなりの幅に広まってきている。こうなりますと答申の求めているものとは、逆な状態がいま私は現実に出てきていると思うのですよ。そこで、こうした事柄は明らかに政府の産業振興、産業の育成のための私は政策割引と思うのですね。国鉄企業のための政策じゃない。政府の政策なんですね。だとすれば、こういう点について、政策上やむを得ずこの六十九品目をきめたとするならば、その点については当然政府がそれに見合うものを国鉄に何らかの形で還元をしなければ、冒頭に申し上げたように、いわゆるこの採算性を強くしいられている国鉄は、たいへんなことになると思うのであります。こういう関係はどうお考えになりますか。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) その点はいままでもお答えをいたしたのでございます。これが一つのいわゆる公共性というか、鉄道の公共性、こういう意味で適正なる貨物運賃をきめていくということでなければならない。同じように、百トン送れば全部運賃が同じだ、こういうわけのものでなしに、これはやっぱり差等を設けることが鉄道として当然あるべき姿じゃないか、こういうことがしばしば言われておると思います。私もさようにいままで説明をしてまいりました。ことに、ただいまも貨物運賃の割引等についてお話がございましたが、これは国会におきましても、各種の委員会等におきまして、当然特殊な運賃割引をすべきと、こういうふうな決議をされておるところもあるように私見受けるわけです。これはたとえば石炭においても、あるいは特別な木材あるいは肥料等につきまして、特別運賃を考える。これは必ずしも外郭団体あるいはその陳情に屈したというものではございません。これはおそらく吉田君も長い経験でいらっしゃるから、いままでにない今回の運賃改正では、そういうものが整備されておると必ずお考えであろうと思います。私は過去におきまして、鉄道の運賃の改正等をしばしばやりましたが、そういう際は非常に広範にわたっての特殊運賃、特別運賃を定めたものであります。今回などはそういうものがよほど整備された、かように思っておりますので、鉄道の負担は今回は、よほど過去になめたようなにがい経験はないのじゃないか、かように思います。私はしばしば申すのでありますが、かような事柄がいいとか、悪いとか、これを一がいにはなかなか言いかねる。理論的に言えば、これは確かに国鉄は困るだろう。しかし国鉄ができまして今日まで経営してずっとやってきておる間に、やっぱりそういう点をも含めての貨物の取り扱いをしてきた、旅客の取り扱いをしてきた、こういうことでございますから、今日になりまして、これこれの事情があるから全部それをやりかえて、理論的に直せと、こうおっしゃいましても、それは言い過ぎだ、かように私は考えるのであります。むしろ今回は私が経験した過去の場合よりも、運賃の特殊割引、これは非常に減っておる、かように私は思っております。
  38. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連。いまの公共負担のことについて総理の説明があったわけですが、昨日国会で連合審査会があったわけです。これは大蔵大臣も聞いておられると思ったのですが、農林、水産、商工、こういうところからくる国鉄に対する注文は、総理がいま言っておるように圧力とか何とかでないというけれども、それぞれの委員会を持っておるところの委員の圧力というものが、これはたいへんなものです。われわれもびっくりしたわけですが、少なくとも国鉄がいま危胎に瀕しておる。そういう中において財政建て直しをして運賃の値上げをする、いろいろな形にして財政計画を第三次計画をやっていくという中において、農林政策として農林物資の割引をもっと強化する、産業政策として一次産品の運賃割引をもっとやれ、それから文教政策としての学割についても、これはもっと慎重に考えて安くしたほうがいいとか、いろいろな意見があるわけですが、先ほど総理が言ったように、低所得者層対策としては、あるいは社会保障でやらなければいかぬ、こう言っておられる。私はここに一つのごまかしがあるのじゃないか、御都合主義があるのじゃないか。というのは、低所得者層に対して社会保障でやると言って、低所得者層に対する社会保障というものはそこまで見ておるのか、見ていないのか、きょうは時間がありませんから……私は見ていないと思う。こういう点と、それからいま言ったような、国鉄に対する公共の名によるしわ寄せによって、国鉄というものがみすみす立て直しがおくれている。私は、そういう点で、もしも低所得者に対する対策というものが社会保障というならば、通産政策としての第一次工業製品というものは、通産省のそういう対策としてやられるべきじゃないか、それから農林水産の物資については、農林省自体がやはりそういう対策費としてこれを組んでやるべきである、それから学生の学割、通学対策についても、これは当然やはり文部省というものがそれに対して文教政策として立てるべきであるというのが、私は、総理のさっきの低所得者に対しては社会保障でやれという趣旨と一貫しているのではないか。そうでないと、特定の物資はこれは社会保障でやるのだ、ほかのほうを国鉄にしわ寄せするがというようなことでいろんな理屈を言っていると、結局とどのつまり全部国鉄にしわ寄せする結果になってしまうというのが、私は現状だと思うのであります。そういう点について、私は、石田総裁が一言あればここで言うところだが、時間がないので、この点について、とにかく独立採算の中で全部を消化していけ、確かに国鉄は公共性がありますよ、公共性が十分ある。しかし、現状においてこれを全部しわ寄せしていけば、これは資金計画、財政計画が行き詰まってしまうのじゃないか、借金が膨大に雪だるま式にふえてしまう、こういうところで、ひとつもう少し首尾一貫して、圧力団体には弱いそういう政治の形の中で独算政策を押しつけるのじゃなくして、もう少しそういうものについて政府が整理するように、国鉄の公共負担というものは一体何なんだというところについて、それのみに中心を置いてやはり重点を置いて、玉石混淆した形でなくて一貫した一つ方針というものを国として立てるべきだ、そのつどつどの御都合主義ではいけないのではないかというふうに考えるわけです。この点ひとつ御答弁願いたいと思います。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) たいへん国鉄経営について御理解のあるおことばでございまして、おそらく石田総裁は感謝しておることだと思います。私は、それについて先ほど来申しておるのですが、国鉄のこの運賃割引その他は、きょうに始まったことではない、長い経験からずっと出てきているのである。そういうことは、それは困るという話もありますが、同時に、その改正というものが、その理論で割り切るわけにいかぬということを先ほど来申し上げておる。ただいま国会の外郭団体――圧力団体は別といたしまして、国会のわれわれの同僚が、あるいは農林委員会あるいは商工委員会、あるいは文教委員会等から、これこれの運賃はこれこれに割引すべきものだ、優遇すべきものだ、こういうことを申して、その財源をどこからとってくるかということはちっとも指図しておらない。私は、こういうことは一体どうだろうか、かように私考えますよ。おそらくこれを一般の会計から特別にその割引の財源を出せといえば大蔵省は納得しないだろうと思う。しかし、これを国鉄と交渉するならば、国鉄はしばしば聞いてくれているから……。もしそういうような安易なことから、各委員会が特別に優遇しろと、こういうような措置をなさろうとしたら、これは国鉄自身が非常に迷惑である。ただいま言われるとおりです。そういうものは、この委員会において特別に、これは貨物運賃で、自分たちが見てなるほど農林物資はもう少し安くしよう、あるいは商工関係の物資は、こういうような生石灰だとか、あるいは石炭だとかいうものは特別の運賃にしようとか、こういうことをおきめになるならたいへんけっこうですが、しかし、そういうものが他の委員会で決定されてそのとおり押しつけられる、こういうことだと、岡さんがせっかくその国鉄経営について同情を示されましても、われわれの同僚はそのとおり扱ってくれていない。その点をどういうふうにお考えになるか。私はこれはたいへんな問題だと、かように思うのであります。
  40. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連だから、私は時間がないから深追いはできませんけれども、いまの総理の答弁は、一つのやはり詭弁だと思うのですよ。何も割引の費用を乗っけろと言っているのではない。農業政策として、農業生産品なり、農業に関するところの補助対策をやっているじゃないですか。つまり農業というものが企業として立っていくように、生産物が立っていくようにすれば、農民はそれに伴って割引を無理に無理じいをするということはないと思うのです。鉱工業生産でもそうですよ。鉱工業の生産にしてもやはりなかなか苦しいということで、その中に自由化の問題もあります。自由化の問題があるにいたしましても、総体的にいまは運賃のほうに全部しわ寄せしていく。今度は見てごらんなさい、政府がきめたのですよ。これは各省でなく、政府運賃の今度の値上げについて、旅客のほうは三一にして、貨物のほうを低めたではないですか。これは政府の偉大なる圧力と思うのですよ。いや、そうではないと言うたって、それはやはりそういうように言い聞かして、国鉄をへこましてしまったということに私はなると思うのですよ。国鉄はだから、私がきのう言うたように、政府は歩積み、両建ての、大蔵大臣は親方だと言ったのです。今度の運賃値上げについても、二月十五日から期日がずれてきた。穴埋めしなければならない。機の4号を出すべきであるというのに、補正を出すべきであるというのに、それはできぬと言って、何とかせい、石田総裁、そう言われれば、昔のことばではないけれども、代官さんから言われたようなもので、重箱のすみをほじっても何とかこれはいたしますというようなことを言ったけれども、とにかくいまの銀行ですね、銀行とそれから金を借りている人間と同じで、めんどうを見てもらっているから、肝心のところにくるというと、なかなか石田総裁のような豪気な方でも、それが言えないというところにあると思う。だから政府は歩積み、両建ての親方だと思う。弱いところにしわ寄せしてしまって、てんとしてうそぶいているという感じになっていると思う。だから私は、そういう点について言っているわけです。だから私は、そういう点でいまの点どうですか。要するに、割引するからその金を農林省なりそっちのほうが出すのじゃなくて、それは別途に考えて、それはそれとして生産水準が上がるように、やっぱり農林政策なり通産政策としてやっていくべきものであって、その中から国鉄が余裕があったらば、公共負担をしないとは言っていないのだから、苦しくてもこの程度はしなさい、しかし、いまの国鉄の財政事情からいうては、すべてがこれは運賃値上げにかかってくるじゃないか。だからそこのところをきちっと区分けをつけて農林対策、文教対策なり通産対策としてやれるものはやって、そして国鉄が余力ができたときにある程度また持ちなさいなら持ちなさいと言われることならば、われわれも納得するし、国民も納得すると思う。ただ、そういう農林物資は国民生活に影響があるからといって、私はそれなりに対策をしてやるべきだと言っても、それは総理は違うと言っている。それはごまかしじゃないかと思うのです。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) これは、お答えいたしますが、ただいま私は、他の委員会等においてそういうような決議をすることが、これは私は非常に困ったことだと思うのです。これは申すまでもない。先ほど社会保障の問題は、生活扶助の問題は他でやっぱり考える。ちょうどそれと同じように、農林関係の農業の育成強化のための補助は十分他の面で見てあるわけです。
  42. 岡三郎

    ○岡三郎君 うそだよ。それは見てないからだめだよ。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) それは見てないじゃない、現に隣にいるからね。
  44. 岡三郎

    ○岡三郎君 いや、それは歩積み、両建ての親玉だからだめだ。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) もう一つは、通産物質等について、これはなるほどいろいろな問題がありますけれども、これはいわゆる負担力の問題、この貨物ならば、これだけの負担力があるという、そういう賃率の計算をしておりますから、鉄道自身がもうすでに区分けをして十分その貨物のあり方については見ておるわけなんです。それをさらに商工委員会でもう一度やってくれ、こう言って頼むこと自身、私は、そういうことはむしろこの委員会で整理さるべきものだ、かように私は思う。皆さん方は、国鉄経営ばかりでなしに、やっぱり運賃が適正なりやいなや、これは十分御検討願う。それが、それぞれの物質について、農林物資について、これは無理だとか、あるいは通産物資でも、こういうものはこうあってほしいとか、こういうものはやはりきめられるべきだ、かように私は思う。ただいままで国鉄自身これを、何といいますか、決議の内容を全部私は採用しているとは思わないですよ。だから、他の委員会の決議そのものもそのとおりやられているとは必ずしも思わない。しかしながら、一部で御指摘になりますように、どうも国鉄はそこへまで注文つけられる、これは私はたいへん困っていることだろうと思います。その点についての岡君のたいへんのぼくは理解だと思って非常にお礼を申しております。ところが、そうじゃなくて、そういうふうに私は思っておるが、事実石田総裁にしても、磯崎君にしても、そういう点については、これはもっと簡単というか、なるべく鉄道の意向どおりにきめてほしい、こういうものはあるだろうと思います。もうすでに鉄道自身が、運賃決定する場合に基礎的にそれを考えておる。しかし、私が先ほど申しましたように、今回の運賃改正は、過去のものよりか、そういうような曲がったような扱い方はしておらない、よほどそれが減っておる、そういう点ではよほど是正されておる、かように私は考えておる。私が鉄道にいた時分の運賃改正は、こんなに経営者の意向は通らなかった、かように私は思っております。
  46. 岡三郎

    ○岡三郎君 いまの総理の答弁で私は納得できないのです。それは戦前の公共負担と戦後の公共負担は、戦後の公共負担のほうがふえておる、全体からいうと。いま総理の言っておることと違うのです。いまの貧乏世帯にしてもなお戦前よりもふえておる。戦前は政府のほうに金を納めておるわけだ。今は納めているどころでなくて借金だらけだ、それが戦前よりも公共負担の重荷をもっと重くしょっておるということがきのう答弁されておるわけです。だから私はそういう点で、いまの総理の言っておることについては首肯しかねるけれども、いま吉田君が質問されるので、この程度でとどめますが、これは政府自体がこういうふうにやれといって、国会から政府に対して言っておるわけですよ。それを政府が受けてそういうことをやっているわけなんだ。その点は間違わぬでもらいたい。これは御答弁要りませんよ、吉田君に移しますがね。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 私の答弁が岡君の期待したものとちょうどこう食い違ったようです。私は、いままでのあり方だけから申しまして、今回はややよくなったと、こういうことを申したのですが、岡君の御指摘のような点もあるのでありますから、今後十分そういう点については、お互いに気をつけてまいりたいと、かように思います。これは委員会の決議にしても、よほど注意して今後は決議したいものだと、かように思いますから、なお注意することにいたします。
  48. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 時間がありませんから、もう一回、この答申の内容について伺います。  一つは、国鉄の営業活動の自主性を拡大しなさいと書いてあるのですが、いままでは、総理大臣承知のように、公共企業体になってある程度の自主性があるようだけれども、すべて政府のほうが、一切がっさいその自主性を押えているというような印象を受けるからこういう答申が出たと思うのです。ですから、今後一体、国鉄経営上の自主性というのは、どういう角度で拡大をしていくのか、この点。  それから、ずっと聞いていきますが、大蔵大臣、五番目に、市町村の納付金の減免をはかりなさい、こう書いているのです。しかも、年々歳々、経営上の大きな負担になっている、こう書かれてある。先般この委員会で具体的に国鉄側に質問をしたのですけれども、市町村の納付金が九十三億八千万、それから通行税が二十七億、それからこれまた、たいへんふしぎなことなんですが、特別扱いの新聞雑誌の割引――この間は少ないと言っていますけれども、調べてみましたら八十九億ある。新聞などは、もうすでに値上げをしているわけですから、こういう関係についても、答申は、明らかに、考えなさいと書いているのです。大蔵大臣、しかもですよ、ガソリン税のような税は、道路であるとか、あるいは農道に還元されてきて、その整備に使われる。国鉄のこの通行税を二十七億、少ないかもしらぬけれども、これなどはもう大蔵省政府が取りっぱなしです。徴収しっぱなし。こういう、他の税の関係からみて、筋道の通らないようなやり方が行なわれているわけですけれども、この点ひとつ、大蔵大臣の見解を私は求めたいと思うのです。  それから総理大臣に、いる間にひとつ伺うのですが、この交通問題の答申書の別冊資料として、これも御承知のように、アメリカのケネディ当時の大統領が、運輸教書というものを出した。具体的には、公共運輸法という法律を出したわけです。一体、政府が再三交通問題の調査会であるとか、日本国有鉄道基本問題懇談会なんかの意見書を、まじめに政府がこれを踏まえて施策に実行する、こういう立場に立つと、このケネディ教書なるものがかなり意義を持つものだと思うのです。総理大臣、いいですか、これから検討するとかなんとかいうようなことは、先ほどもお答えになりましたけれども、その検討ということと、今後こうした諸外国、特にアメリカ、これは資本主義の国です。その国でさえ、こういう法律を制定して、それぞれ公共投資をしたり、政府が金を見ている。今度の場合も、具体的に五億ドルというものをアメリカ政府が、連邦政府が金を出す、こういうことになっているのだけれども、これを今後の、たとえば運輸交通政策に総理大臣がとる意思があるのかないのか。このことをひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  49. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) いま、ケネディ教書、これはよく鉄道当局においても検討しているようでありますが、これはもう私が申し上げるまでもなく、アメリカの鉄道と日本の鉄道、これはどういうように違うか、これからお考えになると、アメリカが特別なケネディ教書、運輸教書を出してそうしてこれの補助をしていることはよくおわかりだと思う。最近、アメリカから来た人に、必ず私は、新幹線に乗ったかと聞くのですが、乗ったと言う。どう思うかと言うと、アメリカで全然夢にも考えられないようなことを日本でやっている。ほんとうにこれは感心しておる。だからアメリカの例は、アメリカの鉄道はかつては日本の鉄道の先生でありましたが、いまや、われわれが学ぶべきものはございません。だから、これはいまの状態では当たらないものだと思います。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 市町村納付金等につきまして、交通問題調査会で答申があることは承知しております。運輸当局から自治省に対しまして折衝が行なわれたのでありまするが、これは話がなかなかまとまらない。ついに今四十一年度予算では具体化されるに至らなかったわけであります。なお、運輸当局と自治省の間で交渉が行なわれることを期待いたしております。
  51. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大蔵大臣、今回はいろいろ折衝したけれども、そういう実現に至らなかった、こういうことですが、それでは将来、たとえば四十二年度以降、いま四十一年度の予算を審議しておるのですから、四十二年以降はどうなるのですか、一体。期待だけではだめです。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはなかなかむずかしい問題であります。というのは、これは地方自治団体が国有の財源を持ちたい、こういう非常な強い要請があるわけです。そういうことで地方団体の自主財源をこれを減額するということは、なかなか折衝がむずかしい問題でありまして、ここで私が、引き受けましたと言うわけにはいかない。私は、運輸大臣おられますが、自治省との間で極力折衝されるように御期待をするのみで、ここで遺憾ながら確答するわけにはまいりません。
  53. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大蔵大臣のその関係は、私は保留します。
  54. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連。関連の名によって質問をちょっといたしますが、昨日、連合審査会において、大蔵大臣から二月十五日以降の国鉄運賃値上げができなかった、この補てんをどうするかということについて回答があった、答弁があったわけです。しかし、その中において、昭和四十一年度予算の中における不用施設の売却を四十年度の穴埋めに使うということで、これは予算の修正になるということから、補正するかどうかということでもめたわけですが、結果として、次のような答弁が大蔵大臣からあったわけです。「さきに申し上げました不用施設の売却の点は取り消します。政府といたしましては、運賃法遅延に伴う収入不足対策については、短期借入金で処理するかまたは予算補正を行なうか、至急検討いたします。」こういう再答弁があったわけですがね。こういう点について、大蔵大臣総理大臣の間で検討されたかどうか、この点をお尋ねいたします。
  55. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) これはたいへんな問題でありますし、まあ過去のような取り消しをいたしましてもこれは申しわけございませんので、慎重に検討いたしました結果、この不足、これは生ずる事態でございますが、その金額全体が一体幾らになるかまだきめかねるところでございますが、この不足に対しましては、短期借り入れ金で処理することといたしたい、かように考えております。
  56. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は、その短期借り入れ金というその借り入れ金の限度額について聞いたりなんかする時間がありませんから言いませんが、問題は、やはりこういう性質はそういうびほう策ではなくて、本格的に政府がやはり補正を組んで処理すべきが財政法上当然だと思うのです。ただ国鉄が弱いから、大蔵大臣が強いから、総理大臣が強いから、重箱のすみをほじくってでもやります、というそういう涙ぐましい答弁になってしまったと思うのですが、いずれにいたしましても、不用施設売却はいかぬということになったわけです。  そうするというと、二月十五日以降――十五日から今日までの計算をしますと、大体まあ大まかに言って、一日四億四千万円、こういわれておるわけですがね。この計算、サバがあるかどうか――これは大蔵省のほうとしても計算すると思いますがね。いずれにいたしましても、六十億をはるかにこえるわけです。そうするというと、いま言った七億幾らの不用施設売却、それからその三月一日以降の運賃法遅延に伴うところの収入不足、こういうものを、必ず政府責任において、国鉄にしわ寄せするのではなくてやっていかなければ、これは私はならぬと思うのですよ、本来は。ですから、そういう点で、収入不足になった点について、短期借入金でやれというのは、これは大蔵大臣の答弁としてはおかしいのですね。これは国鉄のほうにいわせると、短期借入金だけれども、われわれのほうとしては、この点については国が見るべきだという考え方なんですよ、何らかの方法で。そうしないというと、これは国鉄の労働者にしわ寄せしてくる、全部が。そういう点で、特に期末手当等の問題があって非常に苦しい国鉄のやりくりの中において、五十億出たからまた何とかなるだろう――植木等流じゃ私は因ると思う。その点について、いま総理大臣が言ったように、短期借入金というのは、昨日言った七・一億の分だと思うのです。ですから、あとの十億をこえる、十何億という金ですか、二十億近い金は、これは別途考慮してもらわなければいかぬと思うのですが、この点どうです。
  57. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) これはとにかく早く通していただくことが何よりも第一のお願いでございます。  そこで、ただいまのようなその不足を生じないようにする。しかし、皆さん方のせっかくの御審議をいただきましても、ただいま二月十五日がもうすでに経過しておる。これはいかんともすることはできない。そこで、一体それをどうするかという問題でございます。ただいま言われますように、補正予算を提出すべし、これも一つのりっぱな筋のある御意見だと思います。しかし、政府はただいまそういう措置もとりかねる。ただいまこれ順調に進んで、もう近く、おそらく近いうちに成立するものだ、皆さんの御協力を得ることができる、かように私は確信、期待もいたしておりますのですよ。なおかつ、まだどういう結果になるかわかりません。そこで最終的には、十分その年度末において、どういう結果を生じたか、これを精査する必要があると、かように私思います。そのときに十分どういうような結果になるかということを、政府対策を立てるべきだ、かように思いますが、ただいまぜひこの際に、どういうように措置するのか、それをひとつ話をしろ、こう言われますと、ただいま申し上げるように、借り入れ金ということを申し上げる以外に実は方法がないのであります。もちろんただいまの、政府自身が十分その責任を持ってあと始末をするようにしろ、こういう御注意は、これは私も聞いておるし、大蔵大臣も聞いておりますから、大蔵省を督励いたしまして、できるだけの措置をする、(岡三郎君「誠意を持ってしなければだめだ」と述ぶ)かように誠意を持って措置をするつもりでおります。
  58. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと委員長からおはかりいたします。  総理とのお約束の時間もありますし、御都合がありますので、質疑は簡単にお願いいたします。
  59. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 総理大臣、私がなぜその答申に基づくケネディ教書というものを強く指摘するかというと、あなたのこれからこの答申そのものを、ただことばじゃなくて、尊重するということばじゃなくて、どう具体的に政策なり施策に具現するかということを重視するからなんです。ただ単に、アメリカ人が来て、日本の新幹線に乗った、すばらしい、夢のようだと言っているなどということをあなたから聞こうと思っているのではないのです。いまのあなた方がやっている政策が、政府として何ら資金的に計画的にめんどうを見ないで、投げやりをしているところから、国鉄が今日生んだ運賃値上げという問題にまで発展してきた。ここをわれわれは重視をするから、この教書というものを私は読み上げているのですよ。アメリカでさえ五億ドルを、法律をつくって、このように一つの運輸交通政策の一環として政策を持っている。これを交通基本問題調査会が答申にあたって十分に取り入れているんです、この答申の中に。そして将来の日本の交通のあるべき形を示している。それをもって日本政府の交通政策にしなさいと、こう書いているから、私は、あなたはこの教書そのものをどう理解して、どう踏まえて、この答申をこれからどう尊重するのかということを聞いているわけです。
  60. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) このケネディ運輸教書のうちで、特にひかれるものは、都市交通について新線を建設する、そうしてこれがために政府も特別な助成をすると、こういうような書き方だと思います。必ずしも都市交通に限らない、かように思いますが、五億ドルも助成するということだと思います。そこで、私が先ほどお答えいたしましたように、アメリカの鉄道は実はもうすでに時代離れ、時代おくれをしておる。したがって、みずからの力でこの新しいものを建設していくだけの力がない。しかし、都市交通におきましては、この路面交通、道路交通のほうがむしろ混雑を来たしておる。やっぱりニューヨークのマンハッタンを中心とする郊外電車、これの利用は非常に激しいのであります。それを一本だけでは足らないから、これが十分もうかるならば新しいものを建設するだけの力がありますけれども、これがアメリカにはないだろう、こういうところでいまのような助成をしておるわけであります。  私は、この日本の鉄道の現況は、先ほど申したように、この超特急ができてそれがただいま脚光を浴びておる。したがって、まだ日本の鉄道自身はいわゆる時代おくれ、時代離れがしたものだ、かような状態ではない。そこにみずからの力による十分の力を持っております。こういうことが実は言いたかったのであります。だから、中途はんぱなお話をいたしまして、私がその技術だけを誇っておるようにおとりになりましたことは、はなはだ残念であります。私は、鉄道自身はただいま申し上げるような力がある、かように考えております。しかし、最近の四兆円にものぼる借り入れ金をする、こういうような事慮になってきて、この調達にも困るだろう、さらにその利子の負担等を考えると、国鉄のあり方については格別に考慮せざるを得ないのだ。だから、これも、調査会が答申しておるように、基本的な考え方について考究すべきものだ、かように申しているのでありまして、ただいまの指摘されておる点は十分理解しておるつもりであります。また、そういう意味で今後とも十分検討を願いたいものだと、かように思っておる次第であります。
  61. 江藤智

    委員長江藤智君) 総理、御退席願います。
  62. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まだまだ委員長、ぼくはあるんですよ。冗談じゃないですよ。(「まだ続けているじゃないか」「何っているのだ」と呼ぶ者あり)
  63. 江藤智

    委員長江藤智君) 吉田君、他の大臣に対して御質疑がありましたら、御質疑を続行お願いいたします。
  64. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 質問ありますよ。ありますが、総理大臣に聞かなければならぬ基本的な問題がたくさんある。それが帰っちゃったでしょう。そこでぼくは委員長に要望しますよ。これから私が質問することについては、決して私は、他の大臣は目方が軽いなどとは思っていませんけれども、佐藤内閣の閣僚の一人ですから、責任ある答弁をしてもらいたい。そういうことを確認して私は質問します。
  65. 江藤智

    委員長江藤智君) 承知いたしました。  それでは委員長から申し上げますが、ただいま委員長に要望されたと思いますが、各閣僚の方はそのおつもりで御答弁をお願いいたします。
  66. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 では、運輸大臣に伺います。今度の国会は経済国会だといわれております。政府が非常にあらゆる政策を宣伝をしたり、それから外交問題などについては、かなりマスコミ等についてもはなやかに取り上げられますけれども、私は今度の国会をながめて、この特に経済国会だといわれるゆえんのものは何かというふうに考えてみますと、その結果、私は何としても一般国民生活に多大な影響を与える国鉄運賃値上げの問題がやはり焦点だと思うのです。そう考えてみるときに、この運賃値上げの問題をここで、この国会の場で明らかにすること、それからもう一つは、わが社会党は、今日疲弊した日本の運輸交通政策のかくあるべきだという緊急整備法を提案をしているわけです。ですから、この二つをこの運輸委員会の俎上にのっけて、あなた方の自由民主党のいまやらんとすることと、わが党が考えているこの考え方というものを論争して、国民の前に私は浮き彫りにする一つの舞台だと思っているのです。したがって、運輸大臣としては、一体いまここまで追い込まれてきた国鉄経営の実態と、それから運賃値上げをしなければならなかったあなた方の実態というものをよく反省をしてみて、ながめてみて、そうして、わが党が提案をしています、いわゆる緊急整備法というものをどう考えているのか、この点をひとつお聞かせを願いたいと思う。
  67. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、吉田委員が仰せられまする、今国会の中では、この国鉄運賃値上げ問題が非常に大きな焦点になっておるということは、私は、この運賃値上げが国民の生活に影響を与えるということも一つあると思いますが、もう一つは、いま日本の国民生活の中で国民が要求しておる、いわゆる交通需要、人の動き、それから貨物物資の動き等に必要な輸送施設との間に大きなズレがある、このことが、今日国民生活に非常に大きな課題になっているということも、私は今回の国会で、国鉄運賃値上げの問題が焦点になっておる一つの理由だ、今回のこの国会で皆さんの御審議をお願いいたしております第三次長期計画、これによって、今日当面しております国民の交通地獄というものが緩和されていくという、一つの私は国民の期待というものがこの国会にかかっている、かように考えるのでございます。そういう意味で、今回の第三次長期計画に関連いたしまして、運賃値上げの問題を御審議願っておるのでございますが、この運賃値上げというのは、これは吉田委員も再々おっしゃいますように、これをやらずに他の方法で長期計画実施できれば、それは私はやはりそういうことをやることがいいと思いますけれども、今日の輸送需要と、先ほど言います今日の国鉄が持っておりますいわゆる輸送責任の上に立つ現在の施設との大きな差、これを埋めていくためには、長期の大きな資金が要る。二兆九千億からの大きい資金が要る。その資金によってこの計画を進めていこうとする際に、まことにやむを得ない処置であると思いますけれども、利用者の方々にその資金の一部を負担していただく以外にない、こういう結論になって、皆さま方に御審議を願っておるわけでございます。
  68. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣ね、審議願っておることはわかっていますが、わが党が具体的に法案を提案しているわけでしょう。その法案は、衆議院議員の久部三郎議員がこの委員会に来て提案したわけですから、あなたはそこへ来ておったでしょう。その来ておったということをいまあなた返事しているわけですから、来ておったとすれば、わが党の提案は、要約すれば、政府のいまあなたが答えられたような大幅な値上げ、しかも、それが大資本に奉仕をして、大衆を収奪するような運賃値上げについては、これはまかりならぬと、こういっているのです。いいですか。国民もまたこの世論として、明らかに納得のできない国鉄運賃の値上げだ、こう言っているのです。だからこそ、わが党が緊急の整備法を提案をしたのです。そのゆえんがここにあるのです。しかも、いまあなたは、吉田委員は、運賃値上げをしないで国鉄の第三次長期計画がスムーズにいくならば、こういう言い方をしておりますが、具体的にわが党の提案に出ているじゃないですか。政府が七カ年計画の中で、三分の一は国が出資をしなさい、三分の一は長期の低利資金でまかないなさい、三分の一は国鉄自己資金でやりなさい、こういうことを具体的に列挙した法案が出ているわけですから、この法案をあなたはどう考えるかということを聞いているわけですから、いいですか、その答えがないじゃないですか。答弁をはぐらかしちゃいけませんよ。
  69. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、社会党提案の、この間久保君が読み上げられました案に、賛成の点もありますが、また賛成できない点もあるのでございます。私は、社会党の案よりも、今回の政府が出しております第三次長期計画のほうがいいという結論を持っておるものでございます。社会党から出ておる法案の取り扱いは、これは委員会の問題でございまして、私の申し上げる範囲じゃないと、かように考えております。(「理由がはっきりしないじゃないか」「理由をはっきりさせよ」と呼ぶ者あり)
  70. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 運輸大臣、あなた何を言っているんですか、黙って聞いていると。そうしますと、運輸大臣、あなたはあなたなりに担当大臣としてある程度の私は努力をしたんだと思うが、あなたの話を黙って聞いておると、借金と運賃の大衆負担で建設をした東海道の新幹線であるとか、あるいはそこから生じてきた幾つかの政治駅というものがありますよ。たとえば、なくなられましたけれども大野伴睦さんのやった羽島駅もそうでしょう。そのような駅とか、あるいは赤字の路線などというのがたくさんあるわけでしょう。これが今日の政府のつまり運輸交通政策だというふうにあなた弁解しておるようにぼくは聞こえるのですがね。あなたあなたのいままでの言い方ではどうなんですか、これは。一体、もうちょっと私はまじめに、総理大臣にも申し上げたように、答申が二つも出ているわけですからね。具体的に指摘をしておる。一面においては、アメリカでさえ鉄道に資金公共投資をするという法律をわざわざつくっているんですよ。公共運輸法案という法案で可決しておる。しかも、これを十分検討されて、それぞれの委員会が答申をしておる。だから私は、社会党としても、これらをまじめに検討してみると、今日の段階では、わが党が提案しておる鉄道緊急整備法というものをこの際制定することが最も国民大衆に奉仕する道だ、こう考えて提案しておる。わかりますか、大臣。だとすれば、一体あなたのその答弁で私は納得できますか。まじめに、担当大臣であるならばあるほど、前向きの、そうして諸外国にこういうものがあるのですから、日本がここまで追い詰められた中でも、こういう具体的な政策をとります、ということを示すためにも、まじめに私は答弁をいただきたい。
  71. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、先ほども言いましたように、社会党の案にはやはりうなずける点もありますが、御承知のように、社会党の案は、第一期の五カ年間、第二期五ヵ年間として三兆三千億の投資計画になっております。その中の三分の一を国が交付するということになっておりますので、年間一千億円を交付するということになっておりますが、現在の国家財政の事情からそれは許されないということでございます。そこで私らは、いま皆さま方のお手元に差し上げて提案いたしまして御審議願っておる第三次長期計画が、最も現在の時点においては適当な案である、かように考えて御審議をお願いしておる次第でございます。
  72. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 委員長、関連。運輸大臣の答弁の中で、社会党提案に対しては、うなずける点もあるけれども、賛成できない点もあるということだけなんです。それなら、うなずける点はどういう点がうなずける点なのか、それからうなずけない点はどういう点がいかなる理由でうなずけないのか、その点を明らかにしてもらいたいと思うのです。抽象的に、うなずける点もあるし、うなずけない点もあると、われわれのほうはそれを聞いたのじゃさっぱりうなずけない。そこでせっかく提案をしたのですから、われわれもそれを十分に参考にしたいと思うのですよ。参考にしたいと思うのですから、いかなる観点から、いかなる理由から、こういう点はできないならできないで、資金面だけの話なのかどうか、それから国有鉄道の経営形態の問題に触れることがあるのかどうか、そういう点を逐一触れて、大臣、最初にうなずける点もあると言ったのですから、こういう点は非常にいいのだという点があったならば、社会党案も取り入れてもらわなきゃいかぬと思うのですよ、政府に。そうでしょう。うなずいただけで取り入れなかったら何にもならない。取り入れてもらうということ。それからうなずけない点は、こういう点ができないとか、こういう点はぐあいが悪いとか、そういう点をせっかくだいぶ前に提案しているのですからね。その点は具体的にひとつお示しをいただきたい、このようにお願いいたします。
  73. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、社会党の提案は、御承知のように、十カ年計画で三兆三千億という投資計画になっております。その点については、私はやはり一つの案であるとうなずくのであります。しかしながら、その中に含んでおります国家財政の交付によれという、その点が現在の国家財政の実情から見ましてできないことであると、かような考え方で社会党の案よりも私のほうで、政府で出しております今回の案がいいという結論を下しておる次第でございます。
  74. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、社会党の案よりは、いま提案している――いいですか、国民大多数に膨大な負担としわ寄せをさせるような運賃法の値上げ案のほうがよいとあんた言っておるわけでしょう。国民に聞いてごらんなさいよ、あなた方はたいへん工作をしたり、いわゆるマスコミ――どこのマスコミ――だってこれに賛成しているところがありますか、この案に。これはあなた方だけの一人よがりというものです。もしあなたがそういうことを言うならば、公共企業体に独立採算とか、あるいは経営の自立を求めるということであるならば、当然政府というものが、政策と投資によって企業体の公共性を十分に保障する条件を整えてから、いまあんたが言ったようなことは言えるんです。その条件が整っていないじゃないですか。いないから、最も弱い層の大衆に対して二重の税をかけるがごとき大幅な運賃の値上げという強行手段に出てきたんじゃないですか、これはどうなんです。
  75. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は先ほど社会党の提案をもうなづける点があると申し上げましたのは、このとおりにできるとすれば、これは一つのやはり案である、私はかように考えるのでありますが、先ほど言いまするように、やはり今回の社会党提案の中に含まれております財政措置の中で、三分の一を国が交付するということがある、そのことができないから、私はその社会党の案ではどうにもならないということを先ほど申し上げておるのであります。  それから、いま吉田委員が仰せられました、国鉄に対する政府の、まあやみ取引をやっておるのじゃないかというようなお話でございますが、国鉄はいつも議論になりますように、公共性をその使命としておる、公共の福祉に貢献することが国鉄の使命でございますから、その使命を達成するために、公共企業体としての形態でこれをやっている、そのたてまえは独立採算制をもって経営をしていくのだ、こういう一つの過程がございますが、そのワクの中で公共性を貫いていくために、国鉄がやはりいろいろ苦心をしているところがあると思うのであります。政府といたしましても、その点の調和をはかるためには、あらゆる苦心、努力をいたしまして、財政投融資の面で積極的に協力するとか、あるいは当然国鉄がやるべき新線の建設については、鉄道建設公団を設置して、そしてそれによって新線の建設をやって、でき上がった路線を国鉄に貸与していく、こういう形でできるだけの援護措置をやってまいる、そういう点から考えまして、今日の財政事情等を勘案いたしますときに、私は政府側が提案いたしております第三次長期計画、これによってやれば、一応国民の要求しております交通需要に対して、先ほども国鉄総裁が言われますように、今日の過密化されておる状態をほんとうに解消してしまうというところまではいきませんけれども、緩和のところまではいくと、こういうことでやっておるのでございます。そういうことでございますから、ひとつ皆さん方におかれましても、今度政府が出しております法案を一口も早く審議して通していただきますようにお願いを申しておる次第でございます。
  76. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 全然それは大臣、答弁になっていませんよ。あなたは調和というようなことばをいま使いましたけれどもね、どういうことなんですか。この答申では、たとえば市町村の納付税についても軽減してやりなさいと、それから経営活動については、自主性の拡大をやりなさいと、資金面については、政府の支出をふやしてやりなさいと言っているのだ。そういうものについては全然できませんと、そうして一面今度は企業努力であるとか、あるいは独算制であるとか、あるいは経済性等々ということを言っているんですが、一体大臣この計画遂行の暁には国鉄が何兆円の赤字になると思うのですが、借金になると思うのですか。三兆円とか四兆円と言われているわけでしょう。そういう今日、何か一兆円程度の借金だそうですけれども、それがあなた、この計画が遂行される段階になりますと、三倍ないし四倍になるわけでしょう。それで一体公共企業体としての調和というのがどこにあるのかお示し願いたい。どこに調和が残るのか、調和ということばが残るのか、教えてくださいよ。一つ例をあげてみますか、大臣たとえばですね、地下鉄を建設する場合、どういうふうなことになっているでしょうか。これは地下鉄にいろいろありますが、大阪とか名古屋とか、最近また札幌でもやるようなことをいわれておりますけれども、東京の場合を例にとっても、基礎工事だけで四十億ぐらいかかるのですよ。一キロ穴掘りするだけで四十億から五十億と言われているわけでしょう。こういう膨大な建設資金というものを一企業が、一体その負担に耐えるかどうかということは、これはもう大臣言うまでもなく承知だと思うのですね。だからこそいろいろ問題が起きてくるのです。そこでこれはいろんな状態があるわけでございますけれども、一般の道路のようにたとえば穴掘りならば穴掘りというものを考えられない、今日のこの道路の地下にあるようなところのものは。そうすると、これは公共事業のたてまえから公共負担というようなことが生まれてくるわけですね。そういうことが考えられないか。それから鉄道の場合でもそうですよ。鉄道の場合でも、鉄道がやりたくなくても国の政策上やらなければならないものがございますね。私は賛成していませんよ、先ほども言ったように。しかし、この計画では、この山陽新幹線とかいうものを計画されておりますね。これなどだって、現状の国鉄の財政、経営、国民の負担力から考えてみれば、一体最優先に投資すべきものであるかどうかということを考えてみた場合に、必ずしも私は政策的にこれが最優先するものだというふうには感じられない。なぜかならば、東京のこの通勤の混雑あるいは通学の混雑、こういう問題が解消されていない。国鉄本来のこの過密ダイヤの問題の解消もされていない。ですから、最優先の投資をするというならば、こういう問題の解決に投資をすべきものなんだね。ところがあなた方は、この山陽本線についても投資をするようになっているのです。国鉄だって、これは好んでやっているのじゃないと思うのだ。だとすれば、国の政策でやるわけでしょう。そういう場合の、先般の委員会でも岡委員が指摘をしたように、その用地の買収などというものは当然国が責任を負わなければならないということになるのじゃないですか。私どもは反対していますけれども。この参議院の常任委員会の調査室で出した「立法と調査」というこの資料を見ても、今年の場合は明らかに総額で七千三百億円のいわゆる建設国債を発行するわけですね。これは歳入予算の一六・九%となっておる。こういう膨大な建設債券を発行する段階でありまするから、いま申し上げたようなことはやるならいつでもやれるはずなんです。しかし、この資料を見てごらんなさい、運輸交通機関は全部除外されているじゃありませんか。こういうところに私は政府の怠慢、政府のやり方の何といいますか、大衆収奪をしていくというねらいがひそんでいるというふうに言わざるを得ない。ただ単に、最も弱い国民大衆のみに膨大な三二%も一挙に値上げをするような運賃のこの法案になっているところに私どもは問題があると言っている。しかも貨物よりも完全に旅客に重点を置いている、この性格は先ほど申し上げたように。こういうやり方は国民は納得しませんよ。納得しないから最近の世論は反対をしている。やり方は幾らでもありますよ。今年度の予算の中だってやれる、やる気になれば。あなた方はやる気がない。何でもかんでも国民から吸い上げればいいというようなやり方をやって、その中で大企業あるいは大資本に奉仕する、そういう政治姿勢が今日こういう現象になってきていると私は思うのですよ。どうです、大臣
  77. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私も利用者負担による財政処置はなるべくできればしないほうがいい。その原則には賛成でございます。しかしながら今回の長期計画が含んでおります一つの大きな国民の交通需要に対処していく計画全体から見ましたときに、先ほど吉田委員の言われますように、非常に大きな資金を要する。これを借金だけでやっていくということになりますと、国鉄経営自体が健全性が保てない。そこで、やむを得ない気持ちで利用者に一部負担していただこうと、こういうことでございます。そこで、私はやはり国民の皆さん方も、現時点においてはそれは利用者負担がかさむので、それは喜んでいらっしゃるとは思いませんけれども、七カ年たちましてこの計画が完全に実施されました暁には、やはり政府はよくやってくれたと喜んでいただけると、かように実は考えておる次第でございます。
  78. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと関連。大蔵大臣にちょっとお尋ねいたしますがね。国鉄が、鉄道建設公団にいたしましても、国鉄の複々線化とか、いろいろな問題でいま一番国鉄が金を食っている問題は土地だと思うのです。ところが、鉄道を一本敷くというと、その周辺の地価が上がりますね。これは鉄道を敷いたために上がるわけです。それからあるところに駅をつくる、これは新幹線の新横浜駅で、三和銀行から借りて、みるみるうちに年間に何倍かになって、アメリカへ逃げていったという話もあります。いずれにしても、そういうふうに国鉄のために利益を受けている、これは逆に言うと、国鉄を利用している利用者負担というのと同じで受益者負担というのがあるでしょう。それによって利益を受けている人、いいですか、これは不労所得なんですからね。こういう面を補促して、やはり国鉄なら国鉄に対するその新線建設なりあるいはその改良事業なり、そういう面について積極的に財政を救うと、こういう考え方はどうですかね。とにかく国鉄に全部しわ寄せしている。そうして国鉄自体は改良事業なりいろいろな事業にずいぶん金を使っているその根本は土地にあるわけですね、大きく言って。国鉄を通した場合に、あるいはそういった改良事業によって駅ができたり、いろいろな形になった場合に、そういうものについての利益を受ける者に対して何らかの措置をとらなければ、たまたま偶然あるところに駅ができたためにもうかるという、こういう賭博的な、いまの財政的なやり方では私はだめだと思うのですが、これはどう考えますか。もうちょっと根本的に聞きたいと思う。
  79. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまの岡さんのお話、まことにごもっともでございます。私もそう思います。そういうことで、この国会でおっしゃるとおりのことを御審議をお願いしたいと思います。つまり内容はこういうことなんです。土地の収用をする、そうするといままでの例で言いますれば、これはごたごたと交渉が続きまして、最終的にきまるときの価格をもって収用する、そういうことになるのです。それではごね得を許すという、放置するということになる。そこでその収用する価格を、国鉄計画を発表したり路線を発表したりするそのときの時点の価格で収用する。そうしますと、その収用を受けた人は損をするわけです。いままでならば高く売れたのが安くなる。そこでその人に対する課税を軽減しよう。また、収用は受けないけれども、停車場ができたその近傍の土地は値上がりをする。そういう土地を売ったものにつきましては、今度は相当重い課税をする、こういう方向で、ただいまお話のような措置を内容とする土地収用法の改正、また租税特別措置法の改正、こういうことを御審議をお願いするつもりでございます。
  80. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連して。冒頭ちょっとお願いしておきますけれども、いままでの審議で非常に重要な問題を重点的にやってまいりましたが、われわれは、先ほどちょっと申し上げたけれども運賃を上げないで済むような社会党の代案を提案したわけです。しかし、いよいよどうもわれわれの案が通らないで、上げられるということになりますと、上げられるほうの利用者のことを少しは考えた対策をここで明らかにしてもらいたいという気がするわけです。そこで旅客サービスの向上という問題と、それから通勤対策という問題、これはまだ突っ込んだ話をしていないわけです。そこでそういう問題について私と相澤委員と木村委員とは質問がまだあるわけです。この質問をぜひやりたいと、こう思っているわけです。こういう一番大事な問題をやらせないでちょん切るようなことがあったならば、それは自民党の皆さん方の責任だと私は思うわけです。よもやそういうことはないと思いますけれども、そういうことについてひとつ質問いたしますから、その点をお含み置きをいただきたい、こう思います。  それから一番最初に大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、今度の運賃の値上げが、こういうわけで上げざるを得ないのだという説明はわかりました。その説明はわかりましたけれども、その運賃の値上げの理由の中に、たとえば通勤費の問題、これは利用者が負担するという点が非常に多くなったということが言われていることは御承知だろうと思うのです。そういうことでありますので、運賃がもし上がると仮定するならば、その運賃の上がり方に比例して、この通勤費のほうもめんどうをみてやらなければならないという問題も出てくると思う。いま公務員に対しては通勤費というものがささやかながら出ている、そういうものも今回の大幅値上げに引き合うように値上げをやらなければならない、こういうことが当然出てくると思うのであります。その程度の親切心がなければならないと思うが、はたして通勤費の値上げ、これは公務員だけではなくて、一般の通勤者に対して利用者負担という原則を徹底させる、こういうようなことが一つ、これは行政指導でそれを徹底させるということと、それから通勤費をそれ相応にめんどうを見る、どの程度めんどうを見るというこまかなことを検討されておったならば言ってもらいたいと思いますけれども検討されておらなかったならば、そういう意思があるのかないのかということもまず大蔵大臣にお伺いしたいと思うんです。
  81. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どうも通勤費のことまで私検討しておらなかったのでありますが、ただいまお話もありましたので、人事院ともよく相談をいたします。一般の企業につきましては、これは政府としては何の権限も影響力も持ちませんから……。
  82. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それは一般の公務員以外については権限を持たないということはわかっておる。わかっておるのだけれども、大部分は利用者負担になっておるのじゃないか。だから上げたって大して困らないというのが今回の値上げの理由の一つになっておるわけです。そうであるならば、利用者負担になっていないものはどうするかという問題がある。それは利用者負担になっていない場合は、やはりそういう点も利用者負担にするようにこれは指導しなければならないということになると思うのでありますが、そういったような指導を、これは労働大臣もほんとうは出ていただきたかったのでありますけれども、そういう指導をなさる気持があるのかどうかということをお聞きしたわけであります。  それから通勤対策として、これはこれだけの値上げをして、そうして値上げをしたあとでそれ相応の恩恵があればいいんです。いままでなかったわけです。そこで今度は総裁にもお伺いしたいのですけれども、先ほどの委員会でも質問がありましたけれども、いまひどいところは定員の三倍も乗っけておる。イワシのかん詰めのような状態になっておるということがあったわけです。そういう最も極端な個所、例をあげれば、先般の委員会でも出ましたけれども、秋葉原と東京の間ということを言われました。そういう区間のような極端なところに対して応急の措置が行なわれるかどうかという問題なんです。たとえばそれは線路がないわけじゃないんで、そこが一番極端ならば、上野と東京の間にエレベーターみたいに行ったり来たりするような電車を運転して多少でも緩和するというような、こういうような計画を実行なさる気持ちがあるのかどうか。それは一つには国鉄経営方針と関連をしてくるわけなんです。こういう通勤対策というものが、たとえば定員の三倍乗っておろうと四倍乗っておろうと、その区間を緩和することによって特別な利益があがらないわけなんです。特別な利益はあがらないけれども、その輸送力をふやすことによって、要員不補充の基本原則を貫けと言っておりますけれども要員も要り、車両も要るということになりますと、そういうようなことを運賃値上げの罪滅ぼしにはたしてやる気があるのかどうか。これは具体的な問題ですから、いままでそういう実績がなかったわけですから、そういう用意があるのかないのか。あるかないかということの御答弁は、実際にすぐにわかることなんですからね。これは責任をもってお答えをいただきたいと思います。
  83. 石田禮助

    説明員石田禮助君) この通勤地獄の一部の改善の問題ですが、一番いい方法は線路と輸送力をふやせばいいんですが、なかなかたとえば秋葉原と東京の間なんというのは線路ができぬ。で結局八両編成を十両編成にするというような、できる区間によって緩和をする、こういうようなことを考えております。
  84. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 じゃ、もう一問お伺いしたいんでありますが、先ほど運輸大臣が年末の帰省者に対して割引措置を講じたいと言っておりますね、だからそういうことは現実の問題としてできるのかどうかという技術的な問題があると思います。だからそれを実際におやりになるのかどうか。それからもし増収ということをお考えになるならば、利用者の便宜をはかって増収ということをお考えになるならば、たとえば通勤パス等によっていま急行には乗れないことになっているけれども、短距離の区間だったら、今度は百円の急行券で乗れるというふうな制度の改正が行なわれる、そうすると通勤パスで百円急行券を払いさえすれば急行にも乗れるという程度のことをやれば、近郊の人たちに対する一種のサービスになるというふうに思うわけです。その程度のことは私は特に金がかからないでやろうと思えばできることなんだから、その程度のことははたしておやりになる気があるのかどうか。これはこまかな問題でありますけれども、これはもしやるということになれば、相当な影響がありますから、その点を運輸大臣並びに国鉄総裁にお答えいただきたいと思います。
  85. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 瀬谷委員の質問の中の第一点の勤労青少年の帰省の際における割引、これは一般通学の学生も割引いたしておりますし、勤労青少年の実態等も考えますときに、これはやはり割引をしたほうがいいという考え方に私は立っております。ただ、その方向で検討するようにいたしておりますが、範囲をどういう形に使うかということがいろいろ技術的なむずかしさがありますので、目下実施するというたてまえに立って検討中でございます。  後段のことは少しこれは専門的、具体的になりますから、国鉄のほうからひとつ答えさせていただきます。
  86. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもいままで総理大臣あるいはこの運輸大臣の説明を聞きましたけれども政府自民党には総合的な運輸交通政策がないということが明らかになりました。したがって、私はそういう中における今度の運賃法の一部改正案というものは断じて認められない。  その理由を申し上げますれば、第一に、政府は今度の国鉄の第三次長期計画に対して権威を持っていないということです。それから第二には、政府は公共的部分責任ある態度も示さないままに、ただ運賃値上げによって六年先までの建設資金を生み出そうとしているからであります。これなどはまさに私は政治的な罪悪と言わなければならないと考えます。さらに、これを関連をして財政法の第三条の特例に関する法律、なぜ一体国鉄運賃が一国会の議決を経なければならないかということについては、十分大臣は知っていると思うのです。それなのに国鉄運賃だけを値上げをして、他の運賃等についてはその値上げを認めないという論拠は一体どこにあるかということなんです。私は政府みずからがこうしたことをやるということは、鉄道運賃を低位に置いて、そうしてその努力を政策に表現して、初めて全部の物価の私はコントロールをするものではないか、こう思うのです。そうした中から交通運輸の公共性というものが維持されるのではないか、こう思うことが第二の理由です。  それから第三の理由は、この運賃法の値上げの計算基礎に私は非常にごまかしがある、疑問がある、こう言わざるを得ないのです。先般あなた方が説明した資料を見ますると、この計算基礎になっているのは昭和十一年を基準年次にしているわけです。一体昭和十一年という年はどんな年次であったかということですね。その当時の価格上昇率で示して、実は一切がっさい基礎資料にしている。言うまでもなく、昭和十一年という年は戦時経済体制のさなかであった。特に運賃というものが国家政策によってきめられていたわけです。これを今日の段階で基準年次に置くということはまことに私はごまかしである、非科学的である、こう言わなければならないと思う。特に貨物運賃については、当時十数年の間に八回にわたって運賃を引き下げるという政策的な政府のやり方をやっておったのです。それは一体何であったか、日本の当時の産業というものを保護するために、もう一面においては軍事体制をつくり上げていくというようなときの異常な運賃の制定のしかたをしておったんです。そういうときのつまり年次を基準として一切の今度の運賃値上げ算定基礎にしているということは、私は根本的な誤りがある、国民をごまかしているということになりませんか。その点を明らかにしていただきたいと思います。
  87. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 委員長質疑打ち切りの動議を提出いたします。   〔「賛成、賛成」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然〕
  88. 江藤智

    委員長江藤智君) ……ただいまの動議は可決されました。……(「基本的な質問がたくさん残っているよ」「委員長、何もやっていないじゃないか」「休憩とは何事だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)    午後九時四十八分委員長退席