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1966-02-26 第51回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十六日(土曜日)    午前十一時二十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 岡  三郎君                 吉田忠三郎君     委 員                 木村 睦男君                 谷口 慶吉君                 天坊 裕彦君                 中津井 真君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 松平 勇雄君                 吉武 恵市君                 相澤 重明君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 浅井  亨君                 中村 正雄君                 岩間 正男君    国務大臣        運 輸 大 臣  中村 寅太君    政府委員        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省鉄道監督        局長       堀  武夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  原山 亮三君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  蜂須賀国雄君        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君        日本国有鉄道常        務理事      川上 寿一君        日本国有鉄道常        務理事      豊原廉次郎君        日本国有鉄道常        務理事      仁杉  厳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 浅井亨

    浅井亨君 きのう、藤山企画庁長官に対しまして、国鉄運賃値上げによっていろいろな物価に対する影響はいかなる影響を及ぼしていくかについては、衆議院の本会議においても、また個人的な発言におきましていろいろと拝聴しておりましたが、どうも納得いかないので、きのう質問してまいりました。しかし、やはり私はこの国鉄というものの運賃はすべての物価に対する影響の甚大なことはこれは申すに及ばないことと思いますし、その点に対しまして私はまず運輸大臣にお聞きしたいと存じますが、この点はどのようにほんとうに真剣に民衆のためを思ってお考えになっているのかどうか、この点をひとつもう一ぺん明らかにお示し願いたいと思います。
  4. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、国鉄運賃値上げは、値上げそのものはこれはできるだけ避けて、別な方法でくめんがつけば、それが好ましいと思っておるのでございますけれども、御承知のように、日本の今日の輸送需要の急激な上昇をいたしております実態等国鉄が責任を持っております輸送分野に対する設備等輸送力等を勘案いたしますときに、どうしても積極的な施策の前進をはからなければ今日の輸送逼迫情勢に対応する国鉄の使命は果たし得ない、こういう見解に立ちまして、御承知のように第三次長期計画というものが策定されたのであります。その中で、いわゆる資金構成の面で財投あるいはその他いろいろくめんいたしました結果、利用者方々に一部負担していただくという以外に方法がないという結論に達しまして、御承知のように、今回の運賃是正になったので、ございますが、私はこれは諸物価影響は全然ないとは考えないのであります。やはりこれは、浅井委員のおっしゃったように、ある程度の私は影響はあると思いますけれども、しかし長い目で見ますと、物価上昇等のやはり要因としては、輸送逼迫というようなことが連鎖反応的に物価上昇を来たしていくというような経過もございますので、輸送円滑化をはかることによって物資の流通が円滑になっていく、そういうことで物価の安定あるいは物価の抑制ということにも働いていくと、かように考えるのでございます。いま言いますような今日の輸送逼迫しておる緊急の情勢に対応する第三次計画の中ではやむを得ない一つ利用者負担であると、かように考えて御審議をお願いいたしておる次第で、ございます。
  5. 浅井亨

    浅井亨君 いまお聞きいたしておりますと、全然影響はない、こうは思っておりませんと、こういう御答弁でございますが、全然ないというほうを中心にしたことのように思うのです。影響がある、このようにお考えになっておるのか、それが主体ですか、それとも全然ないというのが主体ですか、全然ないとは言わない、こういうのですか、そのどちらでしょうか。
  6. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は全然ないと言うているのじゃございません。消費者物価等に対しましても、きのうも藤山長官も言っておられましたように、やはり〇・三%程度影響はある、かように私も考えております。
  7. 浅井亨

    浅井亨君 今日までの御答弁を聞いておりますと、いわゆる日本国民心情に及ぼすところの問題は偉大なものであると思います。何にしても国鉄といいますと、朝から晩まで現代の生活は足を運ばなければ自分の生活は成り立ちません。ために、足の問題にこういうような重圧がかかってまいりますと、どうしてもこれはすべてのものに響いてくることは間違いないと思います。そういう点から考えまして、非常に心情打撃を受けておりまして、こんな高い料金ではたいへんだという、そういう気持ちが全国民主体になっているのではないかと、このように私は考えます。私自身もそのとおりでございます。ほんとうに毎日の生活に苦しんでおる方々は、このような運賃の急上昇というものはほんとうに耐えられないほどの打撃を受けております。そういう問題からいたしまして、いまおっしゃるような、全然影響はないとは言わないと、こうおっしゃっておりますけれども、精神的打撃といいますか、これはすごいものと私は思っております。こういう点は、運輸大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  8. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、先ほども申しましたように、運賃値上げというようなものはなるべくしない方向で解決する道があれば、それよりいいことはないと思います。今日の大都市中  心の逼迫しておる通勤通学等状態、あるいは幹  線等における輸送逼迫しておる実情を見ます  と、一番輸送の根幹でなければならぬ安全輸送という線が心配せられるくらいなところまで私は逼迫しておると思うのでございます。この実情を見ますときに、第三次長期計画によって今日の輸送需要がある程度緩和されるというたてまえに立って考えますときに、私は国民皆さん方も、今日の都市中心におけるあのきびしい輸送事情に毎日接しておるような人たちは、理解していただけるというようなふうに信じておるものでございます。
  9. 浅井亨

    浅井亨君 それは私なんかもいまおっしゃるとおり理解しないわけではないのでありますけれども、だけれども、日本国民のうちでほんとう生活の豊かな人はまずないと言っていいくらいと思います。そういう人方精神的打撃というものは偉大なるものである。そうであるにもかかわらず、物価と値段ばかりにとらわれていくのは、私は筋道ではない。というのは、ちょっと時期的におくれたとも考える見方もあります。しかし、まだ時期を見る必要があるというような気持ちもするわけです。こういう点に対してはどのようにお考えになっておりますか。
  10. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、今日大都市中心通勤通学のあの実情を見、主要幹線等のきわめて逼迫しておる輸送体制等を見ますときに、一刻も早く万全の処置をせなければならない状態にある、かように考えております。
  11. 浅井亨

    浅井亨君 そこで、国鉄のほうで料金を上げた。そうすると、先ほどお話がありましたが、連鎖的反応によりましてすべての物価に響いてくるおそれもある。その便乗ということに対しては、絶対に許さない、こういうふうにおっしゃっておるのですが、便乗的というのを、どういう点から便乗であるかないかということを判定され、それを認可されるのであろうか、こういうように心配するわけでございます。その便乗的というものに対する考え方基準というものは、いかなるものをもって基準とせられておりますか、これについて御答弁願いたいと思います。
  12. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) まず第一点は、私はこの企業経理実情でございます。経営がある程度やっていけるような実情でありながら、この際値上げをしようというようなのは、これは便乗である。あるいは、その企業のになっております輸送需要実態と、それから輸送施設輸送能力実態が大体調整がとれておるというような場所で、しかも経営が、先ほど言いますように、ある程度採算が見合っていっておるというようなところは、これは運賃値上げ等は絶対に許可しない、認可しないという、そういう焦点を便乗要素というようなふうに考えております。
  13. 浅井亨

    浅井亨君 それじゃひとつお聞きしたいのですか、私鉄はもうすでに値上げをいたしております。そこで、私鉄自身付帯事業としていろいろな事業をやっております。その二つの関係性においての経理状態でしょうか、それとも乗客そのものに対するものをお考えになっているのでしょうか、その点いかがです。
  14. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 大体付帯事業私鉄企業経理は、完全に別にいたしまして審査もし、検討もしておるのでございます。実情は、むしろその点の混同を絶対にやらぬということが一点でございます。そういうことで、たとえばバスならハスだけの経理実態鉄道であれば鉄道だけの経理実態基本として大体審査をいたしております。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 関連。ただいまの運輸大臣答弁ですけれども、それなら資料を、やはり昨日も私は要求したんですけれども、出してもらいたい。入手十四社の最近の経理状況、これを、詳細なもりは要求しても無理だろうと思うんだけれども、人筋はつかまえていなくちゃならないはずです。今度の私鉄のうち、認可をする前にはっきりそういうような検討が、これは監督局のほうでなされて、最後的な決定をされたと思うんですね。そうすれば、必ずデータがあるはずですから、そのデータについて、われわれは国鉄運賃値上げとの関連で明確にする必要がある。国策全般の課題として必要なんです。ぜひこれは出してもらいたい。いかがですか。
  16. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) できるだけ早く、資料は完全にありますので、出せるようにいたします。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 審議に間に合うように出してもらえましょうね。
  18. 浅井亨

    浅井亨君 次いで総裁にお聞き申し上げますが、今度の値上げについては、われわれは了承していかなければならないような状態にあるように考えております。もう一応、それをこうだということを総裁のほうから内容をお話し願いたいと思います。
  19. 石田禮助

    説明員石田禮助君) どうしてわれわれが今度の運賃値上げをせにゃならぬかということにつきましては、御承知のとおり、国鉄がいま直面しておる問題は、大きな問題は三つある。第一は、通勤地獄の問題、それから過密ダイヤの問題、これを緩和せにゃいけない。それからして過密ダイヤに処しての輸送安全の処置の問題、この三つあるわけです。当然この三つの中でもって、通勤の問題なんというのは、これは主として東京、大阪の問題であります。これの建設というものには非常に金がかかる。ところが、その収入というものは、御承知のとおり、とても投資に引き合った収入というのはできぬものです。要するに、一日四時間働けばいいので、あとは二十時間というのは遊んでいるんだ、しかも乗客による収入というものは非常に少ないということで、とてもこれは引き合わない。また、輸送安全に関する費用にいたしましても、これは引き合ったものじゃない。そういうものを、ぜひこのことに金を持っていくためには、国鉄借金重圧に追われなければならないのでにっちもさっちもいかなくなっちゃう。すでに国鉄は四十年の末においては一兆一千億の借金を負っている。だからして、この通勤の問題と過密ダイヤに関する輸送安全に関する処置その他は、これはどうしても自己資金をもってやらにゃならぬ。自己資金をどうして得るかということになると、そこで運賃値上げ浅井さんも御承知のとおり、国鉄旅客運賃というものはだな、物価が三百五十倍も四百倍にもなっている、電電公社なんというのはすでに昭和二十九年において昭和十一年に比べて二百三十三倍にもなっているのにだ、国鉄は、昭和三十二年、三十六年の二回に運賃値上げをやったにかかわらず、旅客運賃なんというものはわずかに百六十一倍です。どこに一体その原因があるかということは、これはあなた方のほうがよく御存じだから私はここで申しませんが、いずれにしても、要するに国有鉄道ということで押え押えられたということじゃないですかね、これ。これは安いにこしたことはありませんけれども、しかし程度の問題で、やはりここにわれわれは自己資金を求めるということにならざるを得ないということが今度の運賃値上げ原因になった次第でありまして、もしもこれをやらなかった日には、昭和四十六年には借金が四兆をこす、これをやることによって借金が三兆円で済む、どうにか国鉄独立採算というのが維持できる、こういうことで
  20. 浅井亨

    浅井亨君 いま総裁お話を聞きますと納得するのでございますが、一つ押え押えられたと、こういうおことばがありますが、どういう面から押えられたのでしょうか、それとも押えられねばならなかった理由がどこにあっただろうか、こういうように私は思うわけでございますが、運輸大臣はどのようにお考えになりますか。
  21. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 今日の日本経済成長等から、片や日本輸送需要というものは非常に膨大な上昇率を呈しましたのに、日本輸送施設、しかも国鉄が背負っております輸送能力というものがこれに並行して前進しなかったというところにあると思いますが、一つは、やはり国鉄自体の今日までの実態が、戦時中からずっと今日までの日本の歩いてまいりました過程において十分の施設能力を強化できなかったいろいろの国の事情があったというようなことで、終戦後の経済動き国鉄の持っておる能力との間に差が起こった、こういうことにあると私は考えております。
  22. 浅井亨

    浅井亨君 それでは、政府ではそのように、国鉄にしては無理だと、こうお考えになっていたらば、国のほうでなぜ出資をしてあげたり、またそれに対して万全の施策をやらなかったか。国鉄はやはり日本民衆の足であります。されば、国家としてこれを見守っていくというのがたてまえじゃないかと思います。そういうことであってはならぬと思うのですが、それを見ながら、知りながら、なぜそれをおやりにならなかったのでしょう。
  23. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国としてはできるだけのことをその時点時点においてやってきておると思いますが、先ほど申しますように、日本経済成長というものが非常な急激な上昇をいたしましたその関連等において人の動きあるいは貨物の動きが非常に増大した、そういう一つのアンバランスが私は今日の輸送逼迫要素を生み出しておる原因だと思うのであります。そういうことでございますので、この段階に至っては、やはり第三次長期計画によって、最小の一つ緩和策を完全に、いつも石田総裁が言われますように、過密状態を解決する、解消するというところまでいかぬ。今度の第三次長期計画でも、まあ緩和程度であるということでありますが、これはやはり国家財政、あるいは国鉄能力企業能力等から勘案いたしまして、この第三次計画が現在では一番いい手である、これによって人の輸送力がある程度緩和されるということになるという計画のもとに実施しようとするところでございます。
  24. 浅井亨

    浅井亨君 経済高度成長のためにと、こういうお話でございます。いわゆる高度成長ということは国策じゃなかったんですか。国策の上に立って、いわゆる経済高度成長をはかられた。一方においてはそれをはかられながら、それに対応するところの国鉄に対して何の補助もしてないということは、私はどうも納得がいかないのであります。それを結局国鉄にしわ寄せをしているのではないかと、こういうふうに私は考えるわけであります。いま総裁の話を聞きましても、やはり公共性公共性、こういうことで非常に苦しめられておるという姿も聞いております。そうであるならば、そういうような経済高度成長のために、国鉄ほんとうに困っておるのだと、それをいま過密ダイヤになった、通勤ラッシュ幹線の補強、安全施策、こういうような、いろいろとおっしゃっていますけれども、それは政府自身がいままで緩慢として傍観していたからでなかろうかと、こういうふうに私は考えるわけであります。こういう点はどういうことですか。
  25. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、やはり国鉄といたしましても、第一次計画あるいは第二次計画等を実施してまいりました経過を見ても、そのときそのときに対応してできるだけの措置はとってきたものであると、かように了解いたしております。
  26. 浅井亨

    浅井亨君 それでは、そうであるならば、先ほど経済高度成長の陰でこのように並行して完全にそれを施行することができなかったということは、これは大臣としては言わなくてもいい問題じゃないかと思うんです。高度成長のそのために国鉄のほうがおくれておる、過密ダイヤになった、このようになったと、このようにおっしゃっておられたと私聞いたもので、その点で、それは言わなくてもいいと思うんです。私はそう考えるのですが、もう一ぺん。
  27. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員からお答えいたします。
  28. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 高度成長をするという計画ということがわかっておるではないかということでございますが、国民所得倍増計画伸び以上に実績が伸びているという点で、まあ大臣がおっしゃったことになったと……。
  29. 浅井亨

    浅井亨君 予想以上に伸びた。じゃあ国鉄に対しても、予想以上の方法をお立てになっていくのがあたりまえだと思うんです。もう戦後二十年もたっております。そういうことについて、これはこうなったと、経済のほうが予想より以上になったと、そういうところから国鉄に対してどのような施策を立てていかれたのでしょうか。
  30. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) そのために、国鉄では第一次五カ年計画、第二次五カ年計画というふうに計画を立ててきたわけでございますが、それがこの高度成長についていけなかったという理由は、いま申し上げましたように、予想以上に経済伸びたということが一つと、資金量が十分でなかったという点であります。これは国鉄としても非常な努力をし、政府としてもできるだけその経済伸びについていくという努力をいたしたのでありますけれども、いま言ったような事情でついていけなかった、こういう実情でございます。
  31. 浅井亨

    浅井亨君 総裁にちょっとお聞きしたいのですが、国鉄企業公共とを根本にしてやらなければならない、そういう二本立ての上からお考えになっておると、これは当然でありますが、公共、これを重んずるがゆえに、いま現在としては、国鉄公共のためにどのようなロスがあり、どのように経済的にお困りになっているか、それをひとつ詳しく御説明願いたいと思います。
  32. 石田禮助

    説明員石田禮助君) 御承知のとおり、国鉄公共企業体であります。その結果としてあらわれておるのは、国鉄がいま経営しておる二万六百キロのうちでもって、一割八分というものがもうかる線であり、八割二分というものがこれは赤字線である。普通の民間の企業体でいえばもうからぬところへは線は敷かぬが、国鉄公共体であるがゆえに、もうからない線であっても、これは独立採算性を維持し得る範囲において赤字線でもやらなければならぬ、こういうこと。それから、そのほかには、つまり公共負担というやつがありますが、例の通勤通学の問題。これなんかは全く、通学なんかは文教政策です。通勤なんかは、通産政策です。これも国鉄がやっております。それから農産物に対する特別の運賃、こういうものも、これは国鉄としてはとても引き合った話ではないが、公共性を発揮してこういうものを負担しておる。ただ問題は、そこに限度がある。つまり、独立採算性というワクに縛られておるがゆえに、ある限度をこす場合においては公共性を発揮するわけにはいかぬ、こういう次第であります。
  33. 浅井亨

    浅井亨君 いま総裁お話を聞いておりますと、国鉄経営に支障のない限りにおいて、その範囲内において公共性のことをやりたい、こういうようにおっしゃっております。国鉄基本問題懇談会では、もうすでに三千億の資本を出してやるべきだと、このようにおっしゃっております。ところが、政府当局においては、現時点においてはこれは困難だ、すなわちいまの国家財政からこれはできないんだ、当面の問題当面の問題と、こういうふうにおっしゃっているのですが、当面というのは、どういう目安の上、どういう見通しの上で当面とおっしゃっているのか、そのことばの意義といいますか、考え方といいますか、それをひとつ運輸大臣にお願いしたいと思います。
  34. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄基本問題懇談会意見の中にも、浅井委員が言われますように、国鉄に対して政府が大きな出資をするということは好ましいという意見もあったのだと思いますが、意見書結論といたしましては、国鉄が期待するような出資を、すぐ政府がこれを出すということもむずかしいであろうというような配慮も含まれておりまして、将来の問題として考えるようにという意見でございますので、現在の時点に立って政府が、国鉄全体の運営の実態、それから国家財政等の諸般の情勢等をにらみ合わせましたときに、いま国鉄出資をするということをやらないということに結論がついておるのでございます。
  35. 浅井亨

    浅井亨君 この間ちょっと記録を読んだのでございますが、総裁は、この第一次、第二次計画におきまして、第一次の場合はこれは修理にすぎなかったのだ、こういうふうにおっしゃっているところを拝見いたしました。また、政府のほうでは、造船のほうですが、このほうには利子補給しているじゃないか。であるならば、国鉄も同様にそのような方法をもって援助していくのがほんとうじゃないか。こういうことですが、それに対します大臣答弁は、いわゆるあれは、戦時中に船のほうは壊滅したのだ、だから特例としてやっているのである、こういうふうにおっしゃっているのです。壊滅と言うのも、総裁がいわゆる修理と言うのも、結局は国鉄が全部ほとんど使えないような状態になっていたのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。総裁修理だということばをお使いになっておりますけれども、私は壊滅と言うのがほんとうじゃなかったか。こういうふうに考えると、両方とも同じようにいくべきが為政者の姿じゃないか、こういうふうに私は考えるわけなんです。その点は大臣はいかようにお考えになっているのでしょうか。
  36. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄海運との違いは、海運のほうは、御承知のように、戦争の被害というものが非常に大きく影響しまして、日本海運はほとんど壊滅的な打撃を受けたというのが状態だと思いますが、これを立て直しまして国鉄競争の舞台に乗せますためにはどうしてもある程度の援助の必要がある。運賃等を上げることによってはなかなかそれはやりにくい面があるのでございます。国際的な運賃の水準というものがございますので、そういういろいろむずかしい事情海運のほうには要素が多いために、政府といたしましても、国の貿易の振興をはかり、あるいは貿易外収入をふやすというようなことを考えますときに、海運に援助の措置を必要とするという見解に立っていたしたのでございます。国鉄のほうは、やはり現在の輸送逼迫情勢から考えまして、これはあらゆる面で政府としてはできるだけの措置はとっておるというところでございます。たとえて申しますと、財政投融資も、昨年よりも少しふえたのでございますが、百五十億ふやしておる。あるいは、最近における御承知のように当然国鉄自身がやらなければならない新線の建設というような面は、鉄道建設公団というものをつくって、それに今年度は五百億の計画で新線を建設させて、そうしてそのでき上がった新線を国鉄に貸していく、こういうあらゆる措置をとって、やはり国鉄にも援助の手は政府としては差し伸べておる実情でございます。
  37. 浅井亨

    浅井亨君 いまお聞きいたしますと、船のほうは戦争で壊滅した、国鉄は戦争には関係なくして現状維持であった、こうは私は考えられませんが、国鉄を酷使したということは事実でありまして、やはり戦争のために国鉄はほとんど壊滅した、私はこういうふうに思うわけです。国鉄総裁は御遠慮されて、修理ということばを出しておられますけれども、私は壊滅にひとしいものである、こういうふうに考える。そういう点から、国鉄総裁はどのようにお考えになっておりますか、これをひとつ説明していただきたい。
  38. 石田禮助

    説明員石田禮助君) これは私は、運輸大臣の代理をつとめるわけではありませんが、だいぶこの間に違いがあるんですね。たとえば船なんというものは、徴発される、沈む、それに対して国はこれを補償するということで補償公債を出した。出したんだが、イギリス、ロシアというものが日本海運の発達というものをいやがったために、日本政府に命令さしてあの補償公債というものに対して一〇〇%の税金をかけた。これは全くの壊滅ですよ。国鉄のほうは、これはあなたが御同情くださるように非常な損害を受けましたが、それでもとにかくまあ三十二年まではどうにかこうにかやってきた、これは壊滅じゃないですね。だいぶその間に私は差があるんだと、こういうことを考えております。ただ問題は、あなたに申し上げるが、どうして国鉄は今日まで遅々として輸送力の増強ができなかったかということにつきまして、これはついでながら、よけいなことかもしれないが申し上げますが、第一進駐軍が頭から、いわば鉄道なんというものは斜陽産業である、アメリカ式の頭ですよ。一向かわいがってくれぬ。日本全体の空気からいっても、これからは自動車の時代である、鉄道の時代というものは過去に属する、こういうようなことで、進駐軍の方針と日本全体の空気というものが寄って結んで、国鉄というものに対するかわいがり方がはなはだ貧弱であったというところに、国鉄輸送力の回復というものが非常におくれたのだ。たとえば、昭和十一年に比べまして旅客なんというものは五倍六分、それから貨物なんというものは三倍六分にふえておるにかかわらず、国鉄の路線の延長というものはたった一・五だ、こういう状態なんです。これはやはり進駐軍と日本国民全体の私は責任じゃないか、こういうことに考えております。
  39. 浅井亨

    浅井亨君 あれは戦時中受けた被害であって、それをどのように考えていくかということになりますと、個人的な感覚差があると思います。これは何ぼ申し上げても切りがないことでございますから申し上げないんですが、きょうは総理大臣がおいでになっておりませんので、ここでわが党から、先日の本会議の質問におきまして、ほんとうにりっぱな施策を立てていく、すなわち交通政策でございますが、これを立てていくならば、いわゆる陸海空三位一体の姿で進めていかなければ、いま日本の国土に、いわゆる人口が東海道線沿線に七〇%も密集しておるということで、都市の分散、人口の分散、そういうことをかてて加えていきますと、これはたいへんな事業だと思いますけれども、国家百年の大計とは昔からのことばでありますが、それに対しまして総理はいかような考えをしておるかということを私はどこまでも追及いたしたいと思っておりますが、残念ながらまだおいでになりませんので、これは次の機会に私は責問したいと思います。で、続いて申し上げたいのは、いわゆる今度の運賃改正を見てまいりますと、いわゆる貨物は非常に安くなっておる。人間は高い。生きものと死にもの、その二つを考え合わせたときに、なぜわれわれ生きている同士が生きている者同士を苦しりなければならないか、こういうふうに私は考えるわけです。そういう点は、どのように算定されて、どのような基本の上に立たれて、われわれお互いが苦しまなければならないか、このような点はどのようにお考えになっておるか、総裁大臣、両方とも御返答願いたいと思います。
  40. 石田禮助

    説明員石田禮助君) お答えいたします。  今度の運賃値上げにおきまして、旅客に大きく貨物に少ないのはどういうわけだと、こういうことでありますが、昭和十一年に比べまして、旅客のほうは百六十一倍、貨物のほうはすでに二百十七倍になっております。まず第一のポイントは私はここにあると思う。  第二の問題は、国鉄が、公共性の立場からいたしまして、生活物資であるとかいうものに対しては、これはやはりできるだけ運賃を安くしなければならぬ、こういうようなこと。それからさらに、貨物については競争が非常に大きい、トラックとの競争が。これをこれ以上に上げるというと、賃率は上げたが運賃の増収にはならぬ、減収になる。これはやはり目的というものは増収にある以上は、トラックと競争し得る範囲における値上げでなければいかぬ。まあ大体私は詳しいことは——これはまたもしもそれ以上に私に聞かれるとちょっとわからぬのですがね、私の知っておる範囲においては、まず第一にはそれが根本方針である、こういうことに考えております。
  41. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄総裁と同じように考えております。
  42. 浅井亨

    浅井亨君 えらい簡単に……。だけれども、それはいま同じだと、こう言いますけれども、もののしゃべり方といいますか、その感じといいますか、そこから起こるところのものは、これはまた尊重しなければならないと思います。やはり同じだと言わないで、いろいろそのしゃべり方を変えて——その中からやはり感じ取るものがあると思うのです。私はそれは非常に自分自身でも感じております、情にもろい男でございますから。どうがもう一ぺん、大臣も同じでけっこうでございますから、ひとつ話をしていただきたい。
  43. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、現在の国鉄運賃値上げ原因——根拠といいますか、根拠を考えますときに、御承知のように、都市近郊における過密の最高度の限界に達しておる輸送需要、人の輸送需要等を考えますときに、あるいは幹線における人の輸送需要考えますときに、ほんとうに危険をおかして乗っておる、その上乗れない人まであるというようなあの実情考えますときに、これはどうしてもやはり一刻も早く国民が安心して交通機関に乗れるところまでは持っていかなければならない、こういうことを人の輸送の面では考えておるのであります。貨物の輸送の面では、今日の経済情勢は、皆さんからいつも心配していただきますように、物価がやはり高くなる要素を持っておると、これを押え物価の安定をはかるというようなことが、今日の国民生活を保護していく政治の大きな要素である、こういうことを考えますときに、国鉄運賃の是正の方向はできるだけこれを低く押えていきたい、これが最初私の基本的な念願でございました。この念願によって、このたてまえで国鉄にいろいろ計画を立ててもらったのでございます。私は、国鉄当局も、いろいろ計画を立てる前提には、あらゆる点を配慮なさって検討した結果、人の問題はこれだけの率、貨物の問題はこれだけの率に落ちついたものである、そういうふうに考えまして、浅井委員が仰せられるように、人間に冷たく当たって、貨物にあたたかく当たったものとは、私は考えないのでございます。
  44. 浅井亨

    浅井亨君 いまの御答弁ですと、人間は冷たく貨物にはあたたかくということは考えておらないと言いますが、大臣通勤ラッシュのところで、一ぺん自分でお乗りになって体験されたことがありますか。
  45. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、昭和二十二年ごろは、品川から国会に通っておったのでございます。あのころは、やはりいまの新宿あたりの激しさと同じように、私が国会から帰るときに、品川でおりられないで、二つも三つも先の駅まで乗せられたようなこともあります。最近も、新宿とか池袋等のあの実情、それから大阪における実情等を見ますと——私は日曜は役所の車は使いません、電車を利用しておりますから、月曜から土曜の間とは多少違いますけれども、常時乗っておりますし、地下鉄等も特に利用をして、日曜のぐあいをときどき見ておるのでございます。
  46. 浅井亨

    浅井亨君 現在お乗りになっているのですね。じゃ、お聞きいたしますけれども、大阪でラッシュのときにいつも通っている御主人がいる。その方が常にボタンが取られたりいろいろな目にあっては帰る。子供さんがそれを見て、うちのおとうちゃんはかわいそうだと、年がら年じゅうボタン取られている。こういうのを私身近に毎日聞いているわけなんです。それほどたいへんなラッシュで困っているわけなんですね。だから私は、人間に冷たいというのは子供の心までも動かしていくような姿であると、このように私は感じるわけなんです。そういう点から見ましても、失礼でございけれども、大臣はお乗りになったことがあるんでしょうかと、こうお尋ねしたわけですが、おたくのお子さんや奥さんはそういうことは一ぺんもおっしゃったことはないでしょうか。
  47. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、いま浅井委員が仰せられるように、きわめていまの通勤通学等輸送事情は重大であると考えまして、一日も早くこれを緩和して、国民皆さん方に安心して電車、汽車に乗っていただくようにという考え方の上に立って、今回の第三次計画案を出しておるわけでございます。
  48. 浅井亨

    浅井亨君 そのとおり、第三次計画はこの通勤ラッシュ解決策の一つだと、これは私もけっこうだと思っておりますが、現在はどのようなパーセントになっておりますか、それを伺いたい。
  49. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄当局から詳細に申し上げます。
  50. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 朝の通勤電車の問題でございますが、これは線区によってだいぶ違っております。いま一番込んでおりますのは、京浜東北あるいは総武線というところが一番実は込んでおります。定員の約三倍弱——二倍七、八分というのが、これは線区によって少しずつラッシュの時間が違いますが、大体朝八時から九時までの一時間の込みぐあい、大体二倍半から三倍弱というところでございます。
  51. 浅井亨

    浅井亨君 私の聞いておりますのは、いま大体二六〇%だと、こういうふうに聞いているわけですが、今度の第三次長期計画の、通勤ラッシュ緩和に対してどのようなところまでこのパーセントが下がっていくかという、その目安といいますか、目標は、どうお考えになっておりますか。
  52. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私どもといたしましては、最高二〇〇%から二五〇%までというふうに考えております。ただ、ラッシュというのは非常にむずかしい問題でございまして、ある一定時間内にある一定の数を運ぶということになりますと、幾ら輸送力がふえてもその時間帯は込む、こういう性格を持っているのでございます。すなわち、ある時間帯に非常に便利になればなるほど、その便利な時間帯にお客さんが込む、こういうことになりますので、やはり一番ピークの東京駅に八時半に着くというような電車につきましては、これはどうしてもその時間帯は込むということになると  思いますが、そのラッシュの幅を広げるということによりまして、多少の時差通勤をして——いまほどでない多少の時差通勤をしていただければ、ずっと楽な電車に乗れる、こういうような形にラッシュを変えていきたいと思います。
  53. 浅井亨

    浅井亨君 山手のほうはどれくらいのパーセントでございますか。
  54. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 山手線は現在は二七〇%——二倍七分ぐらいでございます。これは大体二倍以内におさまると、一九〇%——一倍九分くらいと思っております。と申しますことは、これは主として地下鉄の都心乗り入れというものが実現いたしますので、国鉄自体の力とともに、地下鉄と、たとえば小田急が入る、あるいは京王が入る、あるいは東武が入る、東急が入るということによりまして、いままで山手線の外側でとどまっておった電車が都心に直通するということで、山手線の輸送緩和がはかれる、こういうふうに考えております。
  55. 浅井亨

    浅井亨君 私の聞いておりますのは、山手のほうは三四%ぐらいじゃないかと聞いているのですが、私のは、これは間違っておりますかね。
  56. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) そういうところはございません。
  57. 浅井亨

    浅井亨君 ないですか。
  58. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) はい、ございません。
  59. 浅井亨

    浅井亨君 それでお聞きをいたしますが、まず二四〇−五〇%というのを目標にしておられるということですが、二四〇−五〇%ですと、とにかく倍とまだ四割ですか、それだけ多いのですが、そうして乗っておりますと、ちょうど外から見ていると、動物園でサルが待っているようなかっこうに見えるのです。そういう程度でしょうか。
  60. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は私も中央線で、ほとんど電車で通っておりますが、二〇〇%と申しますと大体それほどではございません。しかし、二五〇%をこしますと、大体私どもは判別する際に、つり皮とつり皮の間に何人入っているか、あるいは電車のドアにぴたっとくっついているくっつきぐあいに非常にそのゆとりがあるかないかというようなことで大体判断ができますが、二五〇%をこしますと、もうからだとからだが非常に触れまするし、夏なんかはあまり気分がよくないということになりますが、二〇〇%から二三〇%ではそれほどではございません。この間、実はいろいろ新聞社等の協力を得まして、そういった実験もしてみました。大体二五〇%こしますと、たとえば雨の日などは窓があけにくいので息苦しくなるというふうなことがございますが、二〇〇%から二二〇−三〇%でしたら、いわゆる死ぬ思いというふうなことはない。しかし、楽に両手で新聞を広げて読めるというふうなことではございません。
  61. 浅井亨

    浅井亨君 上野駅のほうの混雑はどんなぐあいでしょう。
  62. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現在上野口で一番込みますのは常磐線でございます。常磐線は、御承知の三河島事故等もございましたが、非常に千葉県、茨城県のほうの団地の造成が急激だったために、私のほうの輸送力が間に合わず、相当混雑をきわめております。これはやはり二八〇−九〇%と、時間帯によりましてはときどき苦しくなるというふうな通勤ラッシュが出ております。それから京浜東北線では、上野よりも、主として秋葉原の問題が非常に問題でございます。この上野駅並びに秋葉原駅につきましては、相当ばく大な金をかけまして、根本的な改良には至りませんが、相当大きな手直しをいたします。しかし、何と申しましても、たとえ駅の設備をよくいたしましても、結局スムーズにお客が流れなければどうにもならない。根本的には、輸送力を増強する。たとえば常磐線につきましては、綾瀬という墨田川の近所から地下鉄に入れまして、そして地下でもって東京へ持ってくる、こういう根本的な方法を講ずるために、現在すでに工事を始めているわけでございます。こういう、線路を分けて、そして電車をふやすという以外に方法ございませんし、また総武線につきましても、船橋でもって地下に入る、あるいは両国から地下に入るということでもって、線路をふやすということでもってやる以外には根本的な解決の方法はないというぐあいに考えております。
  63. 浅井亨

    浅井亨君 いま上野のほうもずいぶん込むそうでございますが、やはり国鉄はどこまでも、乗客に対するサービスという面も、万全とまではいかなくても、それに近い努力をしておられると思います。それはよく存じておりますが、少なくとも日本の北から南に至る線ですが、これが常に上野の駅で乗りかえ、また東京で乗りかえと、そういうことで乗りかえ乗りかえによって乗客自身も非常に不便を感じますし、方向さえわからぬ人もあります。そういう点と混雑とかみ合わせまして、上野と東京駅の間を一本で通れるような線を拡張するお意思があるかないか、御答弁を願いたいと思います。
  64. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の問題は、実は国鉄にとりまして多年の一つの懸案の、重大問題の一つでございまして、それとからみまして、たとえば上信越線を池袋に入れるとか入れないとか、こういう問題等も実は関連いたします。ただ、東京と神田の間は、御承知のとおり非常に都心部でございまして、しかも両側にはっきりした道路がございまして、これをつぶすことは非常に現在困難でございます。しかし、私どもといたしましては、将来やはり、東京駅あるいは上野駅が終点にならないで、まあ列車は別でございますが、電車につきましてはなるべく、北から南へ流す、南から北へ流すというふうなことを頭に置きながら改良工事をやっていきたいと思っておりますが、ただ、東京−神田間は現在、東京駅へ来ました電車を置くところ、あるいは上野駅へ来た電車を置くところというふうに、留置に使っておりますので、なかなか簡単にあそこが南北スルーで動かせるというふうなことにはならないと思っておりますが、私どもの懸案の問題の一つでございます。
  65. 浅井亨

    浅井亨君 次いで、東海道新幹線が開業されまして、輸送の面ではずいぶん旧東海道線にも影響があったと思います。その面と、この旧東海道線のいわゆる通勤列車ですが、これに対してどのようなゆとりができ、どのようにいまおやりになっているかということを御説明願いたいのでございます。
  66. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 新幹線開通後における東海迫の現在線に対する影響についての御質問と存じますが、新幹線の開業前は非常に現在線は込んでおりました。大体平均乗車効率九四%という非常に高い効率を示しておりましたが、新幹線開業後二十数本の列車を消しまして、そして現在線は主として通勤列車と貨物列車に充当するということにいたしました。そのために、現在は、開業後は八六、七%に乗車効率が落ちております。新幹線の利用が相当ふえた、こういうことだと思います。通勤につきましては、二十数本の急行列車をやめましたので、そのダイヤのすき間ができました。湘南方面、ことに平塚、辻堂、藤沢、あの辺の通勤輸送緩和するために、朝二時間という時間は一切急直行列車は入れない、朝のラッシュ時間帯は全部通勤列車だ、こういう思い切ったダイヤを組みまして、そして大体五分間隔に湘南電車並びに横須賀線電車が東京駅へ入っております。七時半から九時半まででございます。したがって、大阪方面から来られるお客さんは、非常に朝のいい時間に着けなくなった、こういう不便がございますが、これはやはり通勤客のために忍んでいただくということで、朝の東京駅は七時半から九時半までという間は一切優等列車は入れない、全部通勤列車に充てるということにいたしまして、それでもやっと湘南地帯の通勤客の増加に対処できているという程度でもって、これからあとまたふえますれば、結局東海道線を、主として通勤、貨物の専用の線路をもう一本つくらなければならないということで、今度の第三次計画にも入れておりますし、現在線路の選定をやっている最中でございます。
  67. 浅井亨

    浅井亨君 東海道線にはそのように新幹線へ移ったためにずいぶんすき間が出たと思いますが、大阪から東京に参りますいわゆる普通列車でございますが、これは入りますか、入らないか、その余地があるかないか。いま運賃はかくのごとくに上がってまいりますと、ほんとうの貧乏な方々はやはり、新幹線の利用どころか、普通急行も使えないわけでございます。さすれば、東海道線に普通列車が現在何本走っておりますか。また、そういうことに対して心厚いいわゆる計画をお立てになるつもりがあるかないか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  68. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現在普通列車の本数は、いますぐ調べてお答え申し上げますが、私どもの考え方といたしましては、東京−大阪間の直通客、これの中には、新幹線に乗れる方もあれば、あるいは現在線の急行でなければ困る方もあれば、あるいはいま先生がおっしゃったように急行料金も払えない方があることは、事実でございます。これらにつきましては、いろいろ考えました結果、  夜行の普通列車を動かすというふうな考え方、あるいは夜行の寝台列車を動かす、あるいは夜行の寝台でない電車の急行を動かす、こういう考え方によりまして、どうせそういった方々は昼間十時間も八時間もつぶして旅行できる方ではありませんので、夜出て朝着くという夜行の時間帯を利用できるような列車を実は今度も切らないで残しておりますし、今後とも、貨物列車とのかね合いもございますが、そういう方向で進んでまいりたい。昼間はなるべく通勤列車を優先に入れたい、こういう考え方でございます。
  69. 浅井亨

    浅井亨君 次にお聞きしたいのは、国鉄の財政を苦しめているものに、先ほどお話がありましたが、やはり低開発地域といいますか、そういうものからいろいろな線路があると思います。現在、日本の国には二百三十七線と私は聞いておりますが、その中で黒字がやっと三十一線ということでございます。これは私の知っている限りでございますから、間違いがあるかもしれません。そこで、その赤字線に対する対策というものはどのようにお考えになっておるのでしょうか。
  70. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 赤字線につきましては、先ほど総裁からも申し上げましたとおり、全体のうちのわずか十五線だけが黒字で、あとが全部赤字線でございますので、国鉄経営上の非常に大きな問題でございます。かと申しまして、実は、御承知のとおり、一時、新しくできましたローカル線につきまして、特別な運賃、をつくることも国会で御承認を得て、実際二、三年やったこともございますが、やはりこれは非常に地域格差上まずいということでやめまして、特に赤字線なるがゆえに運賃を高くするというようなことはもうできないと、あくまで運賃の画一原則によって、東京でたとえもうかっても、いなかで損すれば、これは、いなかの人も東京の人も同じ運賃だ、こういう運賃画一の原則は、これは堅持いたしております。したがいまして、全体として旅客貨物の少ない線でございますので、思い切った経営の合理化はなかなかできない。かと申しまして、実は、汽車を動かさなければそれは一番赤字が少ないわけですが、そうはまいりませんので、その点は、場合によってはバスと共同輸送をいたしますとか、あるいは、場合によってはバスに置きかえるとかいうこともいたしておりますが、やはり根本的には、できるだけ人件費を減らし、少ない人数で最小限のサービスだけは確保したい、こういう方針でやっておるわけでございます。
  71. 浅井亨

    浅井亨君 いまお話がありましたとおり、じゃ、この赤字線の中で、ここ五年なら五年の間にバスに切りかえたというところは何個所あるでしょうか。
  72. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 御承知かと存じますが、奈良県の五條というところから城戸というところまで、これは鉄道でやる予定でありましたが、非常に鉄道でやりますと赤字が多いということで、三年ほど前から国鉄バスでかわりにやっております。それから九州の鹿児島県の枕崎線というところでは、鉄道は残っておりますが、鉄道とバスと同じ運賃にいたしまして、幸い、道路が鉄道に近いものでございますので、バスに乗っても鉄道に乗っても同じだということで、両方のダイヤを調整いたしまして、やはり国鉄バスと鉄道との相互輸送をやっておるというようなやり方もございます。古くは御承知のとおり、白棚線と申しまして、福島県で線路を完全にはがしまして、はがしたあとで専用道路をつくって自動車でやっております。こういったところのほかに、たとえば北陸方面で、北陸トンネルをつくりまして、そして杉津線というのが利用が減りましたので、それもはがしましてバスにかえる。あるいは滋賀県で、柳ケ瀬線と申しまして、これも鉄道をやめてバスにかえる。しかし、極力回数をふやすことによりまして地元民に御迷惑をかけない、こういう方向で、現在わずかではございますが、自動車と鉄道との相互輸送なり、あるいは置きかえ輸送を現在やっておる次第でございます。
  73. 浅井亨

    浅井亨君 そこで、いま現在それだけのバスの切りかえをやっておりますが、電化のほうはどういうことになっておりますか。やはり電化ということは非常に経済的だと、こういうわけですが、バスに切りかえた面はわかりましたが、電化に切りかえるというのは…。
  74. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 電化につきましては、今度の計画の中の相当大きな一つの柱として取り上げているわけでございます。大体今度の計画ができました暁には、全国の電化率が、約三四%ぐらいの線が電化されるというふうに考えております。ほとんど日本の全地方の幹線が大体電化されるというふうに考えております。すでに、実は、昨年ほとんど北海道から九州に至るまで、主要幹線の電化には着工いたしたわけでございます。四十六年度の時点におきましては、大体日本の地方の主要幹線は、ごく一部を除きましては電化されると、こういうふうに考えているわけでございます。
  75. 浅井亨

    浅井亨君 岩目線というのですが、これはどういうふうになっておりますか。資料はいただいておりますが、これはだんだんと営業係数が悪くなっています。この建設はどうも、私らは常識では考えられないような線のように思うのですが、これはどのようないきさつでこれをおつくりになったか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  76. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 岩日線は、鉄道敷設法の別表に入っております岩国−日原間の鉄道でございまして、山口県の東部と島根県とを結ぶ線でございます。これが部分的に開業いたしましたのは昭和三十五年でございます。現在、河山鉱山の少し奥の錦町というところまで竣工いたしております。これは全体的に申しますと、下から五、六番目の線で、これより実はもっと営業係数の悪い線がございます。これが六六〇ぐらい、すなわち、百円の収入に対しまして六百六十円の経費がかかっている、こういう線でございます。これは最近営業係数が悪くなりました原因はいろいろございますが、一番大きな原因は、旅客輸送がほとんどバスにいってしまった。非常に道路がいいところでございまして、旅客輸送がほとんど通勤列車以外はバスにいってしまったということが一つ。それから貨物につきましては、これは河山鉱山という硫化鉱の鉱山がございます。これができましたいきさつでは、通産省からもぜひその硫化鉱の開発のために強い要望がございまして、いわゆる通産省要望線という形でこれがつくられたわけでございます。しかしながら、最近のいろいろの状況からいたしまして、多少輸送トン数が減っております。三十六、七年ごろは、貨物で一日七百トンぐらい送っておりましたが、現在は、ことに三十九年度は四百トン前後に落ちてしまった、これが大きな原因でございまして、硫化鉱の国際的な需要なり、国内的な需要なりの問題と関連して、営業係数が最近非常に悪くなった線でございます。かと申しまして、これを列車をやめるわけにはいきませんし、現在、最小限度の貨物列車と旅客列車を運行している、こういうわけでございます。
  77. 浅井亨

    浅井亨君 いま私どもも資料をいただきまして、大体見当ついているのですが、このように悪くなってまいりますと、先ほどお話のように、バスに切りかえるというような気持ちはないのですか。
  78. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) この線は、いま申し上げたように、旅客輸送よりも、貨物輸送のほうが主たる目的の鉄道でございますので、四、五百トンのものをちょっとバスなりトラックに切りかえることは非常に困難であるというように考えております。
  79. 浅井亨

    浅井亨君 ちょっとさっきのに戻った感覚になるかもしれませんけれども、第二次の五カ年計画は非常に輸送力増強のためにやるつもりだったけれども、イタチごっこのかっこうで、いわゆる経済高度成長、そういうようなことであったかしれませんし、また、戦争後の回復期にありますので、これはなかなかたいへんであったと思います。そういう点からいたしまして、この増強というのはなかなかそう簡単にできなかったと、こういうわけでございますが、その中の一つ理由として、新幹線の工事、これが非常に予定以上に費用がかかったためにおくれたと申されております。そういうところを考えてまいるんでございますが、その当時、いわゆる新幹線の思わざる費用のために、東海道線なり、また主幹線の改良工事が手薄になっていったというようなことを、ひとつ御説明願いたいと思います。
  80. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 第二次五カ年計画は、御承知のとおり、昭和三十六年度から始まり、一昨日瀬谷先生からも御質問があった点でございますが、三十六年度から始まりまして、間もなく実は三河島の事故が起きまして、私どもといたしましては、根本的にもう少しこの長期計画についての考え方を変えなくちゃいかぬということで、保安対策費を相当急激に実はふやした。と同時に、新幹線におきましても、当初計画に対しまして、第一次的には約九百億、第二次的に約千億というふうに予算がふえてまいりました。したがいまして、新幹線につきましては、どうしても一昨年までにはつくり上げなければいけないというようなこともございまして、主として地方の幹線輸送等に回るべき借金を新幹線のほうに重点的に回したということになっておるわけでございます。で、一方、四カ年間、まあこれは三十六年度から四カ年間でございまして、この四カ年間の自己資金につきましても、人件費の増加等の思わない大きな経費のために、多少自己資金も減ってきているというようなこともございまして、結局、借金を優先的に新幹線に入れて、これをとにかくつくり上げてしまった。と申しますことは、これが稼働しないということは非常に大きな財産のロスでございます。三千億なり二千億かけて全然それが収益を生まないということは非常にむだだということもございまして、とにかく、新幹線をつくり上げて、そして現在の東海道線を一刻も早く過密ダイヤから救済したいというのが目的でございましたので、多少そのために東北なり北陸のほうの複線化、電化等がおくれたと、こういうふうに考えております。
  81. 浅井亨

    浅井亨君 そのように、まあいろいろと努力をせられていると思いますが、ここですぐ思い出すのは、私の故郷のほうでございますが、あの近江鉄道の問題でございます。過去何回か委員会において議論もされてまいりましたし、この補償の問題でございますが、二億五千万円と聞いております。その中へいろいろのものが含まれていると思いますが、いやなことばがその中に入りまして、いわゆる景色料と、こういうようなことばまで入っているということは、まことに国民に対しても申しわけないと思います。そういう点から考え合わせまして、現在この近江鉄道に払いました補償金の行くえといいますか、その処置といいますか、現在はどのようになっているのか、それとも、どのような考えを持って対処しておられるのか、これをひとつお話し願いたいと思います。私ども、くにへ参りますと、もう滋賀県へ行きますと、私いまほとんど滋賀県へ行っておりますが、もうこればかり聞かれまして、力のある者は何でもできるんだ、そういうようなことがありながら、こんなに運賃が高くなるのはやり切れたものじゃない、こういうふうに言われるわけであります。で、こういう方に対して答弁のしょうがない。そんなばかげた金を使うということは、これは全くもってずさんな話だ、あれは一応もっとはっきりと今度は聞いてまいりますからと、こう言ってこの間も帰ってきたわけですが、ここらあたりで、ひとつ現在はどうなっておりますか、また、どのように処置をせられるのですか。それをひとつ明示願いたいと思います。
  82. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 近江鉄道の問題は、昭和三十八年でございますか、総裁と私とが就任いたしました直後の問題でございまして、いま手元にこまかい資料を持っておりませんが、あの当時、衆参両院の運輸委員会、決算委員会等でしばしば御説明申し上げました。いわゆる金の出した方法として不正あるいは不法はなかった。しかしながら、必ずしも妥当でなかったというような結論になったわけでございます。実は御承知のとおり、滋賀県下を新幹線が通る際に、一体どのルートを通るかということが、非常に議論がございまして、なるべく湖のはたを通れという議論、あるいは、なるべくいまの名神高速道路に近い山のほうを通れという議論、いろいろあったわけでございます。しかしながら、どう考えてみましても、私どもといたしましては、現在の近江鉄道に並行するのが一番よいという、こういう結論に立ったわけでございます。ところが、近江鉄道といたしましては、ぜひ近江鉄道と並ぶ区間については、全面的に高架にしてくれ、全面高架でなければ困る。これはあの近所は、先生御承知のとおり、非常に人家の多いところでございまして、非常に踏切が多い。片一方は遮蔽されてしまって、一方、近江鉄道は踏切があったんでは、踏切事故一つ考えてみても、非常に困るということで、全面的に併設区間を高架にしてくれ、あるいは、いまの踏切の防護施設あるいは減益補償として四億くらいの金をくれなければ困る。後にその要求が、いろいろ具体的な設計等を向こうでやった結果、七億七千万という実は膨大な要求をしてまいったわけでございます。これに対しまして国鉄といたしましては、種々検討いたしました結果、結局、工事を円滑に進めるために、どうしても協議でもって妥結するよりほか方法がないということで、全体で約二億五千万円の補償金でもって解決したわけでございます。実は七億七千万あるいは四億何千万ということにつきましては、一応、もしそういった向こうの工事をやれば、この七億なり四億自体の金としては根拠のない金じゃないわけでございます。たとえば全面高架にする、あるいは踏切に全部防護設備をつけるということになれば、この金自体の金額の積算には別におかしなことはないけれども、はたしてこれをやるべきかやるべきでないかということについては、これはもっと別の立場から、とてもできないということになりまして、それではということで、主として踏切の損失補償、これは現実にほとんど踏切には、ごらんになったと思いますが、防護設備をつけたようでございます。そういった踏切の防護設備と、そ  れから会社の所有地を買収する買収費並びに旅客収入の減、これらを理由といたしまして二億五千万円を支出したわけでございます。
  83. 浅井亨

    浅井亨君 いまお話しのとおり、買収費が一億五千万、それから旅客の収入減等による損失補償費が一億円、合計二億五千万円支払っている、こういうふうになっております。で、こう見てみますと、個々の施設費ですか、買収費が一億五千万円ですか、あとはこれは旅客収入減というのですが、その後、旅客の収入は減になっておるのでしょうか。
  84. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いまちょっと近江鉄道自体の旅客収入の数字を手元に持っておりませんが、これは一つ限度補償と申しますか、一定額以上は補償しないという意味の、逆の限度補償から算出した金額だというふうに私ども引き継いでおります。その意味で、厳格に旅客収入一億減るということでなしに、これ以上のものは補償しませんという限度補償のやり方としてやったというふうに引き継ぎを受けておるわけでございます。
  85. 浅井亨

    浅井亨君 それで、この中に施設費は含まれているのでしょうか、どうでしょうか。
  86. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これは御承知のとおり、前の一億五千万円のほうが施設費でございます。あとの一億のほうは見切り補償といいますか、その補償金でございます。
  87. 浅井亨

    浅井亨君 一億五千万円の中に施設費が入っているのですね。
  88. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) さようでございます。
  89. 浅井亨

    浅井亨君 その金が入ってから今日まで、新幹線はじゃんじゃん走っているわけですが、それを見積もった施設費がその中に入っているといたしますと、その施設は着工してもう完成していなければならないと思うのですが、この進捗状況はどのようになっておりますか。
  90. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 前の一億五千万円は御承知かと存じますが、会社の線路と並行いたしましたために、会社の土地を相当帯状に買っております。その用地費等の区別をはっきり覚えておりませんが、帯状に何キロかにわたって会社の土地を細長く買ったわけでございます。この用地の正式な買収費と、それから主として踏切あるいは排水等の工事を内容とした工事と、この二つの名目で一億五千万円が出ておるわけでございます。この踏切設備なり排水その他につきましては、これは会社におきまして、積算どおり実施したと、こういうふうに聞いております。
  91. 浅井亨

    浅井亨君 実施したと言っておりますが、それはことば先のことでありまして、被害を受けるのは現住民でございます。それに対する視察はおやりになったのですか、どうですか。やったか、やらないかを確認されたかどうか。
  92. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私のほうでは、正式な監督権はございませんが、やはりその後のいろいろな折衝で、私のほうといたしましては、会社としてこれだけのことはやったというふうに聞いておるわけでございます。
  93. 浅井亨

    浅井亨君 監督権がございませんなら、どこに監督権があるのか、ある人からちょっと。
  94. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員から……。
  95. 蜂須賀国雄

    説明員蜂須賀国雄君) 大体、踏切保安施設はやっております。
  96. 浅井亨

    浅井亨君 もう一回ちょっと。やっておりますじゃなくて、確認しましたかと聞いております。
  97. 蜂須賀国雄

    説明員蜂須賀国雄君) 確認いたしました。
  98. 浅井亨

    浅井亨君 いたしました——間違いありませんね。  では次の問題に移ります。確認されたのですから、次の問題に移りますが、こういうふうにいろいろな問題が取りざたされておりますが、それで、今度の運賃改正ということにつきまして、やはり貧しい人々は、また、直接それに対する被害を受けている方は、ほんとうに心の寒い思いをしておるわけでございます。そこで、当局におきましては、企業努力はやっておられると思いますが、それについてひとつお聞きしたい問題がありますが、たくさんあるのですけれども、一つだけお聞きしたいと思います。それは、株式会社国際観光会館でございますが、これが東京駅の八重洲口構内用地にあります。これは現在はどのようになっておるのですか。御説明を願いたいと思います。
  99. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 東京駅の八重洲口にございます株式会社国際観光会館についてでございますが、一応、過般新聞にも出ましたので、私から現時点における実情を明白に申し上げておきたいと思います。  この株式会社国際観光会館は、昭和三十年の四月から東京駅の八重洲口のいわゆる鉄道の構内でもって、私たちといたしましては、構内営業と申しまして、ホテル業あるいは飲食店業、あるいは各都道府県の物産陳列、こういったことを主にした営業をやっておったわけでございます。私どもの構内営業規則は、大体三年に一ぺんずつ契約を更改いたしますので、三十五年の四月に更新されましたものが、三十八年三月まで有効になっておったわけでございますが、三十六年の四月に、約三割以上の値上げをいたしまして、当時までの半期の構内営業料金が約一千百五十万円、それを一千五百万円に値上げをいたしたわけでございます。その値上げに対しまして、国際観光会館側は非常にこれを不満といたしまして、前の構内営業料の一千百万円を法務局に供託いたしまして、その後、両当事者で訴訟になったわけでございます。訴訟になりましたのが昭和三十六年の十月でございます。三十六年の十月から約四年間訴訟がかかりまして、昨年の九月二十六日に、国鉄側の主張が全面的に認められたわけでございます。いわゆる国鉄の勝利となったわけでございます。私どもは、すぐそれによりまして、支払いを請求をいたしましたが、相手方はこれを不服といたしまして、十月に東京高等裁判所に控訴いたしまして、現在、東京高等裁判所に係属中でございます。  次に、いま申しましたのは、昭和三十六年度の上期分の問題でございます。その後、三十六年度下期分並びに契約のございます三十七年度の上期、下期分の三期分につきましては、私どもは昨年九月に勝訴いたしましたので、この勝訴を基礎といたしまして、すぐ支払いの請求訴訟を東京地方裁判所に提起いたしました。これが昨年の十一月二十六日でございます。その後、三十七年度の上下期までの分はそれで済みますが、一応三十八年度からあとにつきましては、相手方が、いわゆる構内営業規則による承認に対して承知をいたさないわけでございまして、現在、あの土地は無契約状態になっているのでございます。いわば不法占拠と申しますか、そういう形に極端にいえばなっているわけでございます。したがって、現時点における問題といたしましては、まず第一に、昭和三十六年、係争が起こりました昭和三十六年度上期の分につきましては、当時の私どもの請求の千五百万円、それから今日までの延滞利息日歩三銭、これを合計いたしまして二千百六十七万円につきましては、国際観光会館が東京法務局に供託いたしました金の中から、すでに過般強制執行いたしまして、東京法務局から私のほうで二千百万円につきましては現金を受領いたしております。その後、控訴審は現在係属中でございますので、まだ、口頭弁論が二回開かれただけでございますが、その後の、昭和三十六年度の下期と三十七年度の上下期につきましては、全体で四千四百九十四万円の請求をいたしております。この四千四百万円と、さらに、これに対する日歩三銭の延滞利息を請求いたしておりまして、これは口頭弁論が一回開かれまして、現在係属中の段階で、来月早々第二回がある、こういうふうな裁判所の予定になっております。私どもといたしましては、すでに三十六年度の上期分におきまして、私どもの主張が全面的に認められましたので、この点につきましても、必ず勝訴するものという確信を持っているわけでございます。  次に、昭和三十八年四月一日以降の問題につきましては、これはいわゆる無契約状態になっておりますので、これにつきましては、損害金と申しますか、ということになるわけでございまして、構内営業料金ではなくて、損害金の支払い請求ということで、去る一月三十一日に合計九千六百万円の支払い請求、損害金の請求訴訟をいたしました。これは延滞料金ではございませんので、年五−分の遅延損害金の利子を、法定利息をつけまして、これだけを請求しておりますが、これはまだ裁判が開始になっておらないわけでございます。したがいまして、現時点におきましては、三十六一年度の下期以降今日までの全体の約一億三千万一円、それに年五分の法定利息または延滞料金を合算いたしました約二億円前後のものが、現在私どものほうが正式に法廷において請求訴訟している最中でございます。しかし、私どものほうといたしましては、このまま置いておくわけにはまいりませんので、実は現在たくさんたな子が入っておりますが、そのたな子の現実を確認いたしました上で、明け渡しの請求をいたしたいというふうに思っております。一応明け渡しの請求をいたしまして、それに応じなければ、やはり裁判上明け渡しの請求をいたしたい、こういう考え方で事務的には進めておるわけでございます。
  100. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 本件につきましては、日本国有鉄道法四十五条によりまして、重要な財産の貸し付けでありますので、運輸大臣が許可をしてやることになっております。本件に関する運輸大臣の貸し付けの許可は、昭和三十二年七月四日に第一回が行なわれております。これは三十二年四月一日から三十五年三月三十一日までの間の許可でありまして、その後、三十五年七月二十六日にその後の許可が行なわれておりますが……
  101. 浅井亨

    浅井亨君 ちょっと、それはいつまでですか。
  102. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) いま申し上げましたのは、三十二年四月一日から三十五年三月三十一日までの貸し付けの許可は、三十二年七月四日に行なわれております。それから、その後の期間につきましては、三十五年七月二十六日、運輸大臣の許可がおりておりますが、これは三十五年四月一日から三十八年三月三十一日までの貸し付けに対する許可になっております。その後、その紛争が起こっているわけでありますが、その後の分につきましては、まだ貸し付け許可の申請書は提出されておらないわけです、国鉄から。これはただいまのような係争の事情がございますので、したがいまして、いま、この日本国有鉄道法四十五条の関係から申しますと、許可期間が切れておる、こういう状態になっておりますが、事情がこのような事情でありますので、訴訟の決着を待っているという状態でございます。
  103. 岡三郎

    ○岡三郎君 議事進行。ちょうど時間も一時を過ぎておりますので、委員長理事の打合会で、おおむね大体一時を限度にして午前中はやる。やはり時間の総体的なものは同じですから、ここで休憩してもらって、引き続いて浅井先生あるようですから、午後続けてやっていただくということにして、一応休憩にしてもらいたいと思う。これはしようがない、いま急に打ち切る形になりますが。
  104. 江藤智

    委員長江藤智君) 御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 江藤智

    委員長江藤智君) それでは、午後二時まで休憩いたします。    午後一時五分休憩    午後二時四十四分開会
  106. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑をいたします。
  107. 浅井亨

    浅井亨君 先ほどは副総裁から御答弁がありましたが、三割値上げをしまして一千四百九十四万一千九百二十四円ですね、それを取り立てたところが、それを支払わなかった、そこで裁判になったわけですが、そこで、この承認せられた期限ですが、この期限のことも先ほどお聞きしましてはっきりしましたが、当初それをお貸しになるときの契約というのですか、これは営業許可ですね、承認ですね、して、そのあとでビルを建てたのだと思うのですが、ビルといいますとやっぱり鉄筋ですから、永久的なものと見なければならぬと思うのです。そのときにどのように承認せられたのでしょうか。そのことだけひとつお聞きしたいと思います。
  108. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は、先ほど申し上げた中に、簡単に申し上げました、この訴訟の一つの争点は、私どもといたしましては、これは構内営業として承認したのだ、こういうふうに主張したわけです。ところが、相手方は、これは借地したのだということで、借地権ということが法律上の一つの争点になって問題になったわけです。私どもは、あくまでも借地だといたしますれば、永久構造物は絶対に承認いたしませんが、構内営業だといたしますれば、いろいろな制約ができるようになっておりますので、構内営業ならば、たとえば民衆駅でもごらんのとおり、永久構造物を承認することがございますが、ところが、相手方は、構内営業で承認を受けたのに、これは法律上は借地なんだ、だから、借地として国鉄は永久構造物を認めたと、こういう立論をしておるわけでございます。その点については、私どもの主張がいれられたわけでございます。構内営業ならば、借地人としてでなしに、いろいろな角度から国鉄の構内営業規則に縛られますので、そのルールさえ守ってもらえば、一般旅客大衆の便宜になるということで、永久構造物でも差しつかえないと、こういうふうに考えます。
  109. 浅井亨

    浅井亨君 まだたくさんございますが、結局は、残っておるのは総理に対する問題だけでございますので、総理がおいでになったときにまた質問を続けることにいたします。
  110. 江藤智

    委員長江藤智君) 承知いたしました。
  111. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連して。先ほど浅井さんが質問された中で、三四〇%くらいの乗車効率があるというお話であったのでございますが、副総裁の御答弁では、そういう線区はないというお答えがあったのですが、おそらく、浅井さんの質問をされておる意味は、線区別に——山手線とか中央線とか、線区別のことではなしに、部分的に非常に混雑しておる区間があるということを指摘されたのではないかと私は聞いておったのですが、たとえば東京−上野間、こういう非常に込んでいるところがある、そういうある特定の区間ではその程度のパーセンテージになっているところがあるんじゃないかという気が私もするのですが、その点はどうですか。
  112. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほど私がお答えいたしましたのは、ある線区のある区間をとったわけでございますが、いま先生のおっしゃったとおり、私どもが毎日調べたわけではございませんが、調べまして最高だったのは、京浜東北線の秋葉原−神田間の二九二%というのが最高でございました。これは駅の職員なり、あるいは管理局の職員が実際に勘定したわけではなくて、大体目でもって見るわけでございますので、正確なパーセンテージは申し上げられませんが、大体三〇〇%というのが最高だというふうな計算であって、ただ、夏と冬とでは多少違っておるけれども……。
  113. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それはいつのですか。
  114. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これは三十九年の秋でございます。これは一時間を見た際の平均でございますので、電車によっては、非常におくれ、めちゃくちゃに詰めたという場合には、先生先ほどおっしゃった三〇〇%をこすことも、ときによっては絶対ないということは申し上げられません。大体、平均いたしますと、一時間平均二九二%の秋葉原−神田間というのが、実は最高の数字になっております。正確に申しますことは——大体目で見ておりますので、必ずしもその端数まで正確とは申し上げられない、三〇〇%程度以内というのが限度だと思います。
  115. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  116. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  117. 中村正雄

    中村正雄君 一昨日から各委員の質問に対しまして、総理大臣なり大蔵大臣あるいは藤山長官答弁を聞いておりますと、国鉄の財政の基礎というのは、受益者負担を原則とすべきであるということを主張されておるように聞いております。もちろん、運賃論の立場や企業性を追求するという立場から見れば、これは当然だと思いますが、他方また、総理大臣は、国鉄はそれ自体の性格からして、公共負担は当然であるとも答弁されておるわけであります。この受益者負担と公共負担という考え方、これは場合によっては相反する場合が出てくるわけでありますが、これは国鉄の性格からまいります当然の帰結であって、問題は、現在の国鉄の財政内容において、公共負担が調和を保っておるかどうか、あるいは限界を越えておるのかどうかという問題だと私は思うわけであります。いままでの質問の、各委員の大半の人は、政府はあまりにも国鉄のめんどうを見ておらないのじゃないか、国鉄のめんどうを少なくとも見方が不十分である、現在のような国鉄の財政の危機というのは政府の責任ではないかというような立場から質問されておるように聞いております。ところが、これに対しまする総理大臣考え方、あるいは大蔵大臣もしかりでありますが、いろいろと答弁はされておりますけれども、私たちが聞いておって、どうも要領を得ておらないように思います。特に、今後、国鉄の財政のあり方、国鉄の運営のあり方をどうするかという根本的な問題については、非常にあいまいであります。もっと端的に言うならば、全然方針がないのじゃないかと言っても過言ではないように思うわけであります。この点については、私としても非常に不満があるわけでありますが、しかし、国鉄運営の直接の責任者は、政府でもなければ運輸大臣でもなくして、私は総裁以下の役員であると思うわけであります。したがって、私は、立場を変えて、国鉄として今後の財政のあり方についてはどういうふうに考えておるか。また、今回この財政危機を乗り切るために、運賃値上げ以外の方法はなかったかどうか。新しく樹立されました七カ年計画は、企画されておりますとおりに実施できるかどうかという立場から、主として私は基本的な問題について国鉄総裁にお聞きしたい、これに関連いたしまして、運輸大臣にお聞きしたいと思っておるわけでありますが、総裁がきょう出ておられませんので、またあらためて総裁には聞くといたしまして、総裁のかわりに副総裁から、わかっている点を御答弁願いたいと思いますが、国鉄の役員の方にお聞きします前に、一つだけ基本的な問題について運輸大臣にお尋ねしたいと思います。  これは運輸大臣ということではなくして、佐藤内閣としてどういう方針かという点だけ、イエスかノーか、端的に御答弁願いたいと思うわけであります。と申しますのは、一昨日からの総理大臣、大蔵大臣あるいは企画庁長官の答弁を要約しますると、国鉄の財政の危機を打開するためには、運賃によるか、税によるか、この二つしか道がないことは当然であります。政府としては、財政全般を見て、今回は利用者負担の原則によって運賃値上げ方法をとった、しかし、政府の援助、言いかえれば、税による援助を否定するものではないというふうに答弁されておると私は聞いておりますので、この立場を是認した上で私は質問するわけでありますが、国鉄資料として提出されておりまする新七カ年計画の一資金収支計画表を見てまいりますと、来年度から六カ年間の資金計画を見ますると、私の見ている感じでは、一文の政府援助も計上されておりません。運輸大臣はこの点に対して一体どうお考えになっておるか。具体的に質問しますと、今後六カ年間は政府の援助は必要なしという見通しの上に立って計画を立てられたのかどうかという点が一点。あるいは総理大臣は、運輸収入だけではなく、これは原則であって、国も国鉄財政のめんどうを見るたてまえだと言っておりますけれども、これは口先だけであって、借金する場合のめんどうは見る、しかし、一般会計よりのめんどうは見ないというのが政府の本心かどうか、この点について端的に御答弁を願いたいと思います。と申しますのは、私は、国鉄の役員の方も、政府が何とかめんどうを見てくれるということで、今後国鉄の財政の建て直し、運営をやっていくのと、借金のめんどうは見てくれるけれども、税金でのめんどうは見ないんだと、運輸収入だけが国鉄の基礎だとあれば、国鉄運営の方法も変わってくると思います。困ったらめんどうを見るという美辞麗句を言っておるのでは、国鉄の運営自体に根本的な間違いを生ずると思いますので、どちらの主張が正しいかどうかは、これは各人各様の見方があると思いますが、政府としてはどちらなんだという点だけ、はっきり御答弁を願いたいと思います。
  118. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、今回の第三次長期計画資金構成は、御承知のように、財政投融資と政府出資、それから運賃による収入と、この三本があると思います。現在の段階では、国家財政事情等の関係から、今回は出資の面ではめんどうを見なかった、財政投融資等においては、できるだけこれをめんどうを見ていく、それから運賃是正というのは、先ほどからも何回も申しますように、現在のあらゆる輸送需要あるいは輸送能力国鉄の現状等から勘案いたしまして、今回の運賃値上げはやむを得ないものである、こういう形で御審議をお願いいたしておるわけでございます。基本的には運賃で、いわゆる利用者負担で資金をつくるということと、それから借金によってやるということと、政府出資ということでございますが、今回は、国の財政事情等のたてまえから、出資のほうでめんどうを見なかったということでございます。
  119. 中村正雄

    中村正雄君 いや、私のお聞きしておるのは、そういう抽象論ではなくして、四十年から四十六年まで新しい七年計画を出しておりますが、四十六年までは、借金のめんどうは見るけれども、政府としては一般会計からの援助はしないという見通しの上に立ってこの計画を立てられたかどうかという点をお聞きしておるわけです。
  120. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国といたしましては、今回の第三次長期計画の七カ年間の資金計画によって、これが順調にいくということになれば、財政事情等の変化によって、めんどうを見れるような情勢になれば、これは見ないということじゃございませんが、現在の段階では、いま言いますように、政府出資によって国鉄を援助するという、その面のめんどうは見ないということになっておるのでございます。
  121. 中村正雄

    中村正雄君 私は政府出資だけを言っているわけじゃないんですが、まあ一般会計からの、いわゆる税によるめんどうを見るかどうかということをお聞きしたんですが、いま大臣の御答弁を聞いておりましても、当面はと言っておられますが、少なくとも、この七ヵ年計画は完全に実施できるもんだという自信のもとにつくられたもんでなければならないと思いますし、それで国民にも公表し、国会にも提案されているわけですから、したがって、具体的にお聞きしたいのは、四十六年までは一般会計からはめんどうを見ない、少なくとも今後六カ年間はめんどうは見ないと解釈していいわけですか。
  122. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄基本問題懇談会等の意見の中にもありますように、政府もできるだけめんどうを見る、そういう意向も意見の中にございますので、国家財政等が許すようになれば私は見ていくということもあり得ることだ、かように考えます。
  123. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、この七カ年計画政府の方針がまたいまのように検討されて−すると変更になるということを前提に考えたらいいわけですか。
  124. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、原則としてはこの七カ年計画というもので進んでいって、もしも経済事情等の変化によってどうしても改めなければならぬような事情が起こりましたときには、そういう時点でいろいろの観点からやはり改定は必要になるだろうと思います。現在の時点におきましては、この一つ基本方針によってやっていきたいということでございます。
  125. 中村正雄

    中村正雄君 同じことを繰り返しているようですが、現在の段階といいますか、七カ年計画を立てた段階における見通しその他では、この資金計画どおりにやるのであって、国としてはめんどうを見ないという方針で七カ年計画を立てたと、こういうふうに解釈していいわけですか。
  126. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) この収支計画——先生がそこにお持ちになっておられる収支計画というのは、これは政府としてきめたという収支計画ではないのです。これは国鉄として一応七カ年間の見積もりといいますか、そういうものを立てたということでございまして、政府として閣議了承をいたしておりますのは、この二兆九千七百二十億という投資計画を何とかして援助する、そういうことをきめているわけであります。したがって、この収支計画によりますと、外部資金と運賃是正による増収というものだけでやることに一応積んでありますけれども、先ほどおっしゃいましたように、きのうから大蔵大臣も言っておられるように、一般会計から全然めんどうを見ないということではない。ということは、将来財政事情が許せば利子補給その他ということも絶対にないわけではないという意思表示だと思います。この年度別にこういうふうに政府としてきめたということではない。したがって、将来この外部資金の一部が、あるいは財政事情が許せばそういうこともあり得る。それから利子補給というようなこともあり得る。きのう、おとといの大蔵大臣なんかの、一般会計からは援助するということを否定するのではないということを言われておりますので、そういうふうに理解をしていいんではないかと、かように存じます。
  127. 中村正雄

    中村正雄君 この収支計画は、国鉄自体がお考えになったものということはわかりますが、しかし、今回の運賃値上げなりあるいは七カ年計画自体は、政府自身がやはり関係しているわけなんですから、この内容の個々の問題について、形式論から言えばおっしゃるとおりかもわかりませんが、そのことでなくして、私は、基本の問題で非常に今日まで国鉄の問題がこういう混乱してまいっていることの原因は、いま大臣なり局長が答弁なさったように、政府はめんどうを見ないわけじゃない、原則はこうだけれども、それは例外的には見るんだという甘いことば国鉄の財政を非常に困難にしているんじゃないかと、困ったら何とかしてもらえるじゃないかという気持ちが、経営者自体の腹の中にあり、そうして突き詰まってみると、めんどうを見てもらえなかったということでまた問題がはね返ってくる。この政府のやはりやりもしないのに甘い考え方ことばが私は国鉄経営自体に、基本的な問題として、精神面でぼくは経営者に響いておるのではないかと感ずるわけでありますので、この点は各人各様の見方があると思いますので、これ以上は追及いたしません。そういうことを前提にしてひとつ国鉄にお尋ねしたいわけなんですが、一昨日からいろいろ国鉄公共負担ということが問題になっておりますが、しかし、現在ありまする公共負担と称せられる各種の割引、これは戦前にもあったと思います。戦前と現在と比べて、種類においてはぼくは大差ないと思うのですが、それで先般磯崎副総裁が四十一年度の公共負担は約八百四十億程度だろう、こういうふうに答弁されたのを聞いておりますが、そうしますと、大体運賃収入のこれは一割前後が公共負担になっていると思うのです。したがって、四十二年度以下——これはわかりませんが、大体一割前後と見れば、戦前の公共負担の額は運賃収入に対してどの程度のパーセンテージであったか、お聞きしたいと思います。
  128. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 中村先生からの先ほどの総括的な御質問につきましては、いずれ総裁から御答弁申し上げますが、ただ、いま運輸省からおっしゃったことに一言付言して申し上げますと、実は内閣の基本問題懇談会におきましても、一昨日来の当委員会における御議論が一番やはり焦点になったわけでございまして、その結末がこの七ページにございますとおり、「政府出資」として、「日本国有鉄道法第5条第2項によれば、政府は必要があると認めるときは、国鉄に追加して出資することができると定められている。当面国鉄の希望するような出資は困難であるとしても、今後の問題として出資またはこれに代る負担金等について検討することが必要である。」、この数行を書くために実は三回ぐらい委員会が開かれまして、と申しますことは、大蔵事務次官がやはりこの委員の一人でございますので、大蔵省としては将来にわたってこういう約束をすることは非常に困るということで、非常にいろいろ議論がございましたが、結局こういう表現になったわけでございます。私どもといたしましては、この表現ができました過程その他を考えましても、さしあたり四十一年度の問題とはならないにいたしましても、そう遠くない将来に何かの形で国鉄に対する出資、あるいは利子補給その他の措置が必ず講ぜられるものであろうという期待は、非常に強く持っております。これは三十六年に運賃改定をお願いしたときのわれわれの期待よりはずっと深く強くなっているということを申し上げていいと思うのでございます。と申しますことは、国鉄法の第五条にはっきり、いずれ国鉄の資本が増加されなければならないであろうということを前提として、逆に申しますれば、政府以外は国鉄出資できないのだ、こういうことが非常にはっきりきまっております。したがって、国鉄が今回二兆九千億の投資をいたします。ちょうどまあ評価はいろいろ違いますが、価格から申しますれば、現有資産とほぼ同じくらいの投資をこれから七年間にするということになりますれば、普通の企業体でありますれば、当然これはもう増資をする以外に方法はないのでございます。借金自己資金だけではまかなえないので、ある程度の増資は、これは当然の企業経営上の常識だと思うわけでございます。それを裏づけして国鉄法の第五条におきまして、いずれ資本金の増加ということもあり得るのだということを前提にして、すでに昭和二十四年に立案されておるわけでございます。したがいまして、その法律とこの基本問題懇談会結論政府出資という項ができましたときのいきさつを考えまして、私どもといたしましては、必ず政府において財政状態その他が許すならば、そういった面のめんどうを見ていただくことがあり得るということは期待しております。しかしながら、いま先生の御指摘の七カ年計画のこの資金計画でございますが、これはおっしゃったとおり、所要資金は全部運賃と外部資金、この外部資金には一応七分程度の利子がつくものとして計算してございます。そういたしませんと、いわゆる、いみじくも先生おっしゃいましたとおり、いつかは補給してくれるかもしれないという調子で資金計画を立てましたのでは、将来非常に大きなそごを来たすということで、これはこの資金計画は何と申しますか、最悪——最悪ということばは非常に表現上適当でございませんが、国鉄経営上一番シビアーな、非常に利子負担も大きいし、またはたして四十六年度に六千億の外部資金が調達できるかどうかという、国全体の財政問題もあると思います。そういったことを一応念頭におきながらも、国鉄財政上一番きつい財政計画をつくっておくことが、将来多少なりとも計画に弾力性を与えることになるのじゃないかというふうな意味におきまして、この計画は、ただいまおっしゃったとおり、外部資金を全部利子のつく金で計上してございます。したがいまして、もしこの計画期間中に、政府がたとえば利子補給してくださる、あるいは利子の要らない出資をしてくださるということになりますれば、それだけ経営が楽になる。と申しますことは、たとえば四十六年度の自己資金がわずか九百七十八億でございます。これが千億になるあるいは千五百億になるという意味で、自己資金でもってやる工事がもっと積極的にやれるようになるという形になると思いますので、私どもといたしましては、七カ年計画でお示しいたしましたこの資金計画がまあ最低のものであるという見方、これを基礎として企業努力をしていきたいという見方でもってこれをつくったわけでございまして、したがいまして、これより資金計画的、財政的に苦しくなることはないという最低の線だという気持ちでもってつくったわけでございます。  それから、二番目の御質問の戦争前の公共負担というものは一体どうだったかという御質問でございますが、これは戦前にも確かにございました。いま御指摘のとおり、項目から申しましても、たとえばわれわれ学生時代、通学定期はずいぶん安い通学定期を使っておりましたし、貨物の特別等級等もございましたし、新聞雑誌の割引もございました。大体昭和十年から十一年ころ当時一の運輸収入が年間約五億前後ありました。年間約一五億前後のときに大体四千万円ぐらいのそういった公共負担があったというふうな計算になっております。おもなものはやはり通勤定期、そのころは通勤定期という名前がございませんでしたけれども、工員定期、通学定期という名前になっておりましたが、こういった定期並びに新聞雑誌の割引あるいは貨物におきましては、ほとんど特別等級だけでございます。こういったものを合わせまして大体四千万円前後のもの、したがって総収入に対して約七%から八%の公共負担を負っていたということが推定されるわけでございます。一方来年度の、もしいま御審議願っております運賃改正の制度改正がお認め願えますとしますと、公共負担の割合が大体一〇・四%ぐらいになるというふうに考えております。ただそのころといまと違いますのは、一昨日来の御質問にお答えいたしましたとおり、やはり運賃のレベル自体が非常にその当時高かった。それからもう一つは、何と申しましても国会全体の中における陸上交通の中で国鉄がほとんど独占的であったというこの二つが、根本的に客観情勢の違う点だと思います。これらを一応無視いたしまして数字だけを比較いたしますと、戦前が七%から八%、現在、いままでが大体一五%、これを今度一〇%から一一%程度に下げさしていただきたい、こういう計算になっております。
  129. 中村正雄

    中村正雄君 貨物の面は別にして、私鉄でも貨物を扱っているところはあまり変わらないと思いますが、旅客を扱っているいわゆる一般の私鉄も、国鉄と似たり寄ったりのいわゆる公共負担をしておるわけです。これは監督局長にお尋ねしたいのですが、私鉄旅客運賃の旅客収入の占める中で、いわゆる国鉄のいう公共負担と称せられる率が、これはこまかいことはわからぬと思いますが、大体国鉄と似たり寄ったりと考えていいですか、相当違いますか、どうですか。
  130. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 公共負担という場合にどの範囲までを公共負担というか、これは非常にいろいろ問題があると思います。運賃法には、旅客定期の場合五割以上と書いてあります、五割以上割引せいと。で、国鉄の計算はその五割以上の部分を計算されているのであります。私鉄につきましても、大体割引率は会社によっていろいろまちまちでございますけれども、今度国鉄は少し割引率を落としますので、大体まあ私鉄と似たり寄ったりというような割引率になると思います。金額につきましては、このような金額の算定はまだいたしておりません。
  131. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと副総裁にお尋ねしたいのですが、純然たる民間会社であります私鉄も、国鉄と大体似たり寄ったりの公共負担をしておる。そうすると国鉄も同じようにしておるとすれば、国鉄だけが公共負担の問題を大きく取り上げて、それによって云々するのはちょっと筋が通らないと思うのですが、それについて国鉄はどうお考えになりますか。
  132. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は私鉄の連中と会いましたときによく話が出るのでございます。確かに運賃だけの面から見ますと、お説のとおり、多少の割引率が違ったりあるいは平均輸送距離が違ったりという問題がございますが、貨物を除きまして旅客運賃だけを見ますれば、制度としてはそれほど大きな私鉄国鉄の変わりはないわけでございます。私どもといたしましては、その問題とさらにいわゆる採算線と申しますか、いわゆる俗に赤字線黒字線の問題と両方が問題になるんじゃないかと思うわけでございます。  それから先ほど浅井先生の御質問にお答えいたしましたが、いわゆる赤字線というものの赤字の総体が五百億なり六百億なりと申しておりますが、もちろんその中で黒字線の培養的な使命を持っておる赤字線もたくさんございます。しかし、それを抜きにいたしましても、全体から見ますと四分の一弱がペイ路線であり、四分の三がペイしない路線であるということなどは、運賃問題を抜きにいたしまして、国鉄全体としての公共性が非常に強い。もちろん事業税等の問題は一応抜きにいたしますが、それらを抜きにいたしました上で運賃だけの問題でなしに、国全体の中の経営状態−のいいところと悪いところのバランスから申しましても、どちらかの角度からこの問題を取り上げていただきたいという意味で、実は公共負担ということを申し上げたのでございます。
  133. 中村正雄

    中村正雄君 いまお話のありましたように、私鉄はもうかる路線しか敷設しないわけですし、国有鉄道の場合は、国からの要請で不採算路線を敷設しなければいけないわけですから、そういう意味でいわゆる国の政策によって国鉄自体が犠牲をこうむっているという意味の私は公共負担ということはわかるわけですけれども、いままでのいろいろな答弁聞いておると、運賃の面において運輸収入の中において公共負担が非常に多過ぎるという話は、これは私鉄にも同じように言えるんじゃないか、国鉄だけの独占的な言いわけじゃないというふうに感ずるわけです。それと同時にこれは根本の問題ですが、副総裁にお尋ねしたいわけですが、そうであれば、いま言った不採算路線あるいは運賃の面の公共負担、これも含めて大体国鉄が負担すべきものは、運賃収入の中においてどの程度の比率が調和を保てるものだと国鉄はお考えになっておりますか。
  134. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いまの御質問は、非常にむずかしい御質問で、それが将来政府出資なりあるいは利子補給の問題と当然からんでくると思います。その点につきましては、大蔵省の連中とも始終論議をしておるわけでございます。過般大蔵大臣がおっしゃったように、われわれの言うこと以外に、たとえば東海道線については独占権を与えているじゃないか、新幹線をもしほかの民間にやらしたら、国鉄はひとたまりもなかったじゃないか、こういう議論がある面で出てくるのもわからないわけじゃないのでございます。したがって、そういう点から見ましても、非常に端的にいまの御質問に数字で何%とお答えするのは、非常にむずかしいのでございまして、いますぐ申し上げるわけにいきませんが、ただ、戦前のさっきも申しました運賃ベースが高かった、しかもほとんど独占事業であったこのときの公共負担の割合が、もちろんこのときは赤字線もわりに少なかったわけでございます。大体七%前後ということの実績だけでもって、お答えにかえたいと思っておるわけでございます。
  135. 中村正雄

    中村正雄君 この問題はおそらく副総裁だけで答弁できないと思いますが、ただ今後政府国鉄に対してめんどう見るとか見ないとかいうことの基本は、私は公共負担の限界がどこかというのが中心であると思うんです。したがって、これは政府考え方、言いかえれば大蔵省の考え国鉄考えとは、これはもらうものと出すほうですから、差はあると思いますけれども、この問題が私ははっきりと解決しなければ、めんどう見るとか見ないという議論は成り立たないと思うんです。おそらく国鉄は御研究のことだと思いますので、もしできれば大体こういう考え方をしておるんだということを、ひとつ近い将来に国会で一ぺん御答弁願いたいということでこの点は保留しておきたいと思います。  次の問題は、私は主として七カ年計画中心基本の問題で質問したいと思うわけなんですが、これは何ですか、日本国有鉄道基本問題懇談会意見書、これを中心に、またこれにはかってつくられたわけなんですが、出されておりますものを見ますと、意見書、いろいろ短い文章でありますけれども非常によくまとまっていると、まあ半くろうと的なぼくらは感ずるわけなんですが、ただ、まとまってはおりますけれども、ところがいま運賃値上げ法案を出しますと同時に、出されておりまするこの七カ年計画のうちで、いわゆる長期輸送計画、第三次のこれは一応全面的に入っておりますけれども、その裏づけになりますいわゆる意見書の五以下の問題は、採用されている分もありますけれども、完全なものじゃないですね。そうしますると、この七カ年計画自体の裏づけになるものが完全に盛り込まれておらないとならば、この計画自体の財政面から非常に狂いが出てくるんじゃないかという私は心配するわけなんです。それで数字についてこれは常識的にすぐ感ずることでありますが、たとえば四十年度のこれは予算の補正で幾ぶん変わってはおりますけれども、損益勘定の残額ですね。黒字か赤字かは別にして、残額が四百七十二億、ちょうどその借り入れ金返済がそれに見合うような数字になっておりますね。これをずっと追ってまいりますると、結局損益勘定の残は、もう四十二年がピークになるわけなんです。以下はずっと減っております。これは黒字ということばで常識的に言えば、黒字はだんだん減って、四十六年度最終年度では九百七十八億、一千億を割っているわけです、損益勘定の残が。ところが借り入れ金の返済でこれを見てまいりますと、結局損益勘定の残と借り入れ金の返済と合うのは大体四十四年ですね。四十四年まではいわゆる運輸収入の黒字で借金を返すことだけはできると、ところが四十五年以降は借金を返すために借金をしなければならない、こういう数字になっているわけです。これは資産状態、その他についてはいろいろ見方があると思いますけれども、企業として見た場合、こういう危険な私は計画はないと思うのです。で、総裁にぼくはお尋ねをしたいのは、四十年度末の国鉄の財政状態と、この計画が完成されまする四十六年度末の国鉄の財政状態と比較してどういうふうにお考えになるか、御答弁を願いたいと思います。
  136. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの資金計画の四十六年度までの見通しでございますが、これを卒然としてごらんくださいますと、四十年度に比べて四十六年度がよくなっているということはないと思います。たとえば利払いも全体の収入のうちの約二割が利払いになっておる。元本の償還を入れまするならば、収入に対して約四割が利払い並びに元本の償還になる。これは企業経理として決して健全とは言えない。逆に今度はこれに対する何かゆとりがあるかということになれば、それはしいて申しますれば、あとは企業努力によって運輸収入がどこまでふやせるかという問題だと思います。これはこれだけの二兆九千億の金を投じましてあれだけ輸送力を増強し、また新しい設備を高くすれば、これは輸送力はふえると、また輸送量も必ずふえてくるという見通しでございます。この点は多少かた目に見ておることは事実でございます。この点はあまり甘く見ますと、またそごをきたしますので、この伸び率、輸送伸び率その他はごらんのとおり、わりあいにかたい見方をいたしております。年率から申しますと、五%以内の非常にきつい見方をいたしておりますので、これに一つの弾力性がございますが、逆にそれ以外には弾力性はないわけでございます。  一方、この十二番目にございますいわゆる損益勘定の残、これは当然この中には減価償却費を含めなければいけない。減価償却費につきましては、三十九年度急にふえたといっていろいろおしかりを受けましたけれども、あの減価償却費はまだ足りない、耐用年数その他から申しましても、非常に短か過ぎるという御意見もございます。ことしの約千億近い減価償却費が、はたして適正であるかどうかという問題も残りますが、大体ここで損益勘定から受け入れております金が四十一年、二、三年、四年までは大体減価償却はできますけれども、四十五年度になりますと、減価償却が足が出るという形になってまいるわけでございます。したがって、御指摘のように四十五、六年度はそれは明らかに償却不足という形になってくると思います。したがいまして、この次元で先ほど申しました、私どもといたしましては、政府からの何らかの御措置がなければ経営上も、この表をごらんになった場合四十五年度、四十六年度とよくなっていかないということは、ごらんのとおりでございます。したがいまして、今後どれだけ国鉄に対する輸送要請がふえてくるか、輸送伸びるかという一つのプラスの面と、あと償却費をこれをどう計上していくかという問題、この二つの問題とからみまして、今後の、十二番目にございます受け入れ金の額が当然問題になってまいります。それから一方、借り入れ金の返還金でございますが、この表の中にはもちろん借りかえの分もございますが、しかし、昨日も御質問のございました利用債のようなものは、借りかえのきかないものもございますが、どうしてもこれは返さなければならないものでございます。借りかえがきくにいたしましても、その分はやはり内部資金として借りなければいけないわけでございます。そういった問題もございますので、やはりネットにたとえば四十六年をごらんくださいますと、六千億借りても二千億返してしまう。結局四千億しか使えない、こういう形になるわけでございまして、こういう借金のしかたが、はたして企業経営上いいのかどうかということは、相当問題になると思います。やはり根本は三兆という現在の保有資産に見合うと申しますか、それほどの大きな投資を借金でほとんどやるということ自体に、企業経営として非常に無理があるということは率直に申し上げられると思います。
  137. 中村正雄

    中村正雄君 政府自体がこの収支計画表をおつくりになったわけじゃないわけですから、政府が責任を持つとか持たないとかいう形式論は別にして、国鉄自体政府からの要請のあった三次長期計画を推進するにつきましては、こういう方法しかないということは、政府もこれは知っているはずです。知らなければ許可なさらないだろうと思います。そうなってくれば、これは専門家が見なくても、四十六年度の国鉄の財政の悪化は、これはもう危殆に瀕するほど私は悪くなってくると思う。しかも、四十七年以降はどうなるかわかりませんけれども、この趨勢でいけば、年々悪くなることはあっても、私はよくはならないと思います。もう一つ、いま副総裁言われましたけれども、確かに運輸収入の中では対前年比四%あるいは五%の間しか見ておりません。これは国民経済情勢の変化によって、一割も上がる年もあるかもわかりませんが、ただ、いままでの経験からして、やはり一般の民間の交通機関は、国鉄以上のサービスの競争をいたします。また体質の改善をやりまして、それと国鉄が対応できるかといえば、これはできるとは、私はいままでの経験から断言できないと思います。したがって、予想外の増収になるということは、これは期待はされているかもわかりませんが、現実には期待をしたと思います。もう一つ支出のほうを見てまいりますと、これは収入面は、これは未知数でありますが、おそらく支出のほうはこの計画どおりやっていくとすれば、工事予算その他はこれより多くなることはあっても少なくなることは、過去の経過から見てないと思います。また、この経営費、第六以下に載っております経営費も、この四十一年度を基準にして、一〇〇といたしますと、四十六年度の経営費は一四〇になっております。そうすると、対前年度七%の増加を見込んでおりますが、人件費、物件費を含んでおそらくこれは不足すると思います、いままでの経験から見て。そうなりますと、この計画自体は甘い面とからい面はありますけれども、おそらく二、三年を出でずして修正しなければできないんじゃないか。修正する場合は、国鉄財政にプラスになるような事態における修正でなくして、これ以上耐えられないというところで、悪くなった場合に修正する段階になると思うんです。思い起こしますのは、昭和三十六年の三月のこの国会で運賃値上げ法案がかかったときに、当時の総裁は、第一次計画の失敗を反省して第二次計画を組んでおりますと、冗談まじりなことばで、通勤電車はどうにか新聞の読める程度のものにはいたしたいと思いますと、これが第二次計画中心ですと、こうおっしゃっておられました。ところが現在において、さっき副総裁答弁のように、三十六年の国鉄通勤電車の込みぐあいも、三十年の込みぐあいも、現在もあまり変わっておりません。しかも、第二次計画は、四年間でやり直さなければいかぬ。これはいろいろ新幹線の経費の増加とか、人件費の増加とかあったと思いますけれども、五ヵ年間の計画が、しかも、当時の総裁は自信を持って第一次計画の反省のもとに出発してやりますと言われたことが四年間で失敗し、現在も実現しておらないと、こうなってくれば、私は収支面だけ見ても、この三次計画というものが並みたいていのものじゃないし、もっと憎まれ口をいえば、国会では何とか運賃値上げ案を通してもらうために、きれいごとを並べているだけで、通ったらまたその場当たりでやるのだという印象を受けるのです。そういう面で、私は七カ年計画の実施までは財政の面も、工事の面も、相当私は本腰を入れてやってもらわなければいけない。これは注文でありますので、御記憶願いたいと思うのであります。  次の点は、これは副総裁にお尋ねしたいわけですが、国鉄が赤字とか黒字とか言いますが、一体国鉄の原価計算、全体の計算からいって、いまの運賃は、一体原価を償う運賃はどこが償う時点になっているのですか。
  138. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 原価を償う時点と申しますと、時間……。
  139. 中村正雄

    中村正雄君 運賃単位です。
  140. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私どもといたしましては、いわゆる原価が何か、それから、その原価を、個別原価か総括原価かということは、実は数年来学者のいろいろ御意見も聞きまして考えておりましたが、実際はこういうふうに旅客輸送と貨物輸送がアンバランスになってくる。しかも、国鉄だけでなしに、国鉄以外の陸上交通機関あるいは海と空の交通機関が発達してまいりますと、いわゆる旅客、貨物というものをばらばらに原価を見るということは無理がある。国鉄輸送全体としての原価を見る以外の方法がないのじゃないかというのが一点、もう一つは、個別原価にした際の問題が二つありまして、一つは線区別原価であります。これは昨日もお話がございました山手線はもうかっているじゃないかということと同時に、北海道の山の中をどうするのだという問題があります。線区別原価と申しますか、この問題と、それから輸送を種別別の原価、すなわち貨物輸送と旅客輸送の原価あるいは、旅客輸送の中でも定期と定期以外の原価、貨物の中でも車扱いと小口扱いの輸送種別、こういう原価が問題になりますし、線区別原価が問題になります、この二つの原価が問題になります。さらにもう一点は、一体原価とは何かということで、これもずいぶんいろいろ議論がございまして、昨年一年かかりまして、国鉄の財政関係の基本問題をいろいろ議論していただきましたそのときにも、原価論でずいぶん三カ月ほど終始したわけでございますが、もちろん経常的な経営費と、それから利子と減価償却費、これは間違いない。しかし、そのほかにさらに一体退職引き当て金を入れるべきかどうか、あるいは公共企業体として当然採算を度外視してもやらなければならない工事に対する原資というものを入れるべきかどうか、こういった原価構成につきましても、これはずいぶんいろいろ議論があります。しかしながら、今回の運賃におきましては、まず線区別の原価は考えない、これはとても実際問題として計算上非常にむずかしいことになりますし、また、東京の運賃と北海道の運賃は違うということはできませんので、線区別の原価は考えない、客貨別原価もなるべく一本にしてもらいたい、原価の単位を大きくしたい。そういたしませんと、輸送需要が違ってくる。ことに客貨の原価問題は、他の交通機関との関係非常に深いわけでありまして、他の交通機関に侵される度合いが大きければ大きいほど原価が高くなってくる。これは当然でございますが、そういった問題も考えまして、なるべく原価単位を大きくして、いわゆる総括原価的な考え方でいきたい、線区別原価は考えないということを前提といたしまして、最小限減価償却をカバーし、あとは、たとえば保安対策、通勤の一部、全く利子を払った金ではやることのできない性格のものを、どの程度原価に入れられるかという問題になると思います。  今回の工事の内容をごく概略申し上げますと、総体の二兆九千億のうちの、いわゆる当然理論上自己資金でやるべき工事、減価償却費の対象になるもの、あるいは保安費、こういったものが約一兆一千億、そうでなしに、一番いい例が、電化とか車両をふやす、利子のつく金で十分やれる仕事が約一兆八千億、本来ならば一兆一千億のものは、一応原価に組み込みまして、運賃ベースとして計算いたしたかったのでございますが、そういたしますと、非常に運賃が上がり過ぎるということで、今回は一兆一千億の中の約八千億だけを国鉄でまかなうということにしたわけでございます。その意味から申しますと、大体減価償却費、現在の制度のもとでの減価償却費と大体見合う程度ということになりまして、プラスアルファの保安費等をこの運賃から捻出するだけの原価構成になってないというふうに申し上げられると思います。
  141. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、運賃の原価の計算はいろいろ複雑で、やり方によって変わると思いますけれども、国鉄自体考え方とすれば、いま提案されております値上げの率は、大体原価とんとんの運賃だというふうにお考えになっているわけですか。
  142. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は、実は単年度で見ますと、いろいろ問題がございますので、これを一応七年間の長期的な目から見まして、原価の一番大きいものは、何と申しましても経費でございます。経費の中の人件費でございます。この人件費を一体どこまでカバーできるかということが、一番問題でございますが、一応定期昇給、ある程度ベースアップを前提といたしまして経費を組む、物件費は、一昨日瀬谷先生の御質問でお答え申し上げましたが、労賃以外は上昇を見ない、卸物価は横ばいだということを前提といたしまして、あとは利子その他は自動的な計算で出てまいります。そのほかは、さっき申しました減価償却をどういう制度で見るかということであります。昨年減価償却制度を改めまして、多少償却の基礎を固めたのでございますが、そのほか問題としては、いま耐用年数が短過ぎるという問題がございます。これを入れますと、減価償却費だけで非常に一兆二千億くらいになります。とてもカバーできないということになりまして、減価償却制度は一応いまのままというふうに考えております。そうすると、今回の七年間全体の値上げが約一兆二千億でございます。そのうち、大ざっぱに申しまして、八千五百億が大体取りかえ償却費見合いの取りかえ工事費として、自己資金に繰り入れられる、残りの三千五百億が主として人件費のアップの対象になる、こういうふうな計算をいたしております。
  143. 中村正雄

    中村正雄君 大体七カ年間の長い目で見ますと、収支とんとんと、新しい事業をするには借り入れ金その他以外の方法かないということですね。  次にお尋ねしたいのは、第二次の長期計画をやられたときの反省の点からですが、この七年計画を見てみますと、毎年相当工事関係の経費を組んでいるわけですね。多い四十五年でいくと、五千億になっているのですが、国鉄としてやらなければならない設備拡大なわけですが、それに使う、投資する金は、借り入れ金なり利用者の負担によります運賃収入なわけで、この支出については、相当国鉄も厳格な目をもって使ってもらわなければならないと思うのですが、第二次計画という、特に東海道新幹線のときは急いでおやりになったということもあるけれども、もろもろの問題を起こしまして、相当反省されて、今後はそういう盲点のないようなことでおやりになると思いますが、それに関連いたしまして、前の経験からお尋ねしたいわけですが、工事の請負制度なんです。これについて私、不合理な点があると思うのでお尋ねしたいと思うんですが、たとえば新しく線区を増設するという場合、いろいろな仕事があるわけなんですが、まあ元請といいますか、これこれの区間はどこの業者が請け負う、それについてそれぞれ国鉄のほうで単価を見積もって計算されるわけなんですが、実際仕事をやっておりますのは、いわゆる元請業者が責任は持ちますけれども、二次、三次、四次、五次と、下請下請とやっているわけですね。したがって、最初一括して請け負う場合の単価の半分とか三分の一以下の価格で下請けしてやっている例をちょいちょい見受けるわけなんです。そういうことが新幹線のああいう問題にもなってくると思うんですが、したがって、この請負制度について、たとえば下請の場合は国鉄がそれぞれ単価を指示しているわけですから、だからそれに近い線でやるように、資金を有効的に使うような請負制度を考えられないか。これは国鉄だけでなくて一般の業界の問題ですから、国鉄だけで変えることはできないかと思いますけれども、たとえば、請け負った、元請けした業者も、こういう仕事はできないということがわかっておって全部を一括引き受ける、そして独立した仕事であるのも下請に出しているわけですね。そういうものは直接国鉄が発注するというような請負制度の内容の変更についてお考えないんだろうか。私は、もしそうすれば、これは常識ですけれども、工事予算の一割や一割五分は節約できるんじゃないか。いわゆる看板料と称してピンはねされている分ですね。こういう点について、今後どうお考えになっておるか、お聞きしたいと思う。
  144. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問はたいへん、第二次五カ年計画をやりました際の私どもの落ち度につきまして御指摘いただいたわけでございますが、その点確かにこれだけ工事費がふえますと、いろいろの面でむだ使いをする、あるいは間違いを起こすというようなことがあっては、もうまことに申しわけない、何とかそういったことのないように、工事関係の人員も幸い大蔵省で増員も認めてくれましたし、現在鋭意陣容の整備をやっておるわけでございます。それから、その中で特に土木関係の工事だと思いますが、いわゆる元請と下請の関係、これはまあいまおっしゃったように、鉄道だけでなしに日本全体の土木工事についてよくあることのようでございますが、これらにつきましても、今後、実際いま御指摘のような下請の下請というふうな仕事のやり方によって工事費も高くなるし、責任の度合いも何となく薄くなってくるということではいけないと思います。この点につきましては十分今後とも、何か制度をつくって、下請にすべきもの、あるいは絶対下請にしていけないもの、あるいは、当然単独のものならもう直接単独契約するといったような方法をとることと、現在の公開入札制度との関連の問題でございます。これが御承知のとおり、とにかく指名競争契約ということになっておりますので、一定の資格があって指名に入ればだれでもできるというたてまえになっているわけで、このたてまえと、いまの下請をやらすたてまえとどういうふうな関係で組み合わせていくかということは、今後の問題としていろいろ具体的に考えていきたいと思います。ちょうど土木関係の責任者が来ておりますので、具体的にもう少し補足して答弁いたさせます。
  145. 仁杉巌

    説明員(仁杉巌君) ただいま工事の施行のやり方につきまして御指摘がございました。土木工事、建築工事、その他電気等もございますが、下請という問題は、われわれとしても非常に悩みの多い問題でございますが、先年名古屋におきまして、補強工事におきまして下請の問題によりましてたいへん皆さまに、国民方々に御迷惑をおかけいたしまして、深く反省している次第でございます。それで、前から注意はしておったのでございますが、これを契機にいたしまして、現場によく注意をいたしまして——まあ下請という事柄につきましては、一括下請ということは建設業法上禁止をされているわけでございますが、下請ということは、現在の請負制度ではある程度、まあこれは国鉄ばかりじゃございませんが、部分的な下請ということは行なわれていることでございます。これが一括下請になる、あるいは二重、三重になるというようなことは、まことにわれわれの積算過程から申しましても許すべきことでないというので、現場によく注意をいたしまして、そういう事態の起こらないように特に昨年来注意をきしているというような状況でございます。  なお、この制度をどうするかという問題につきましては、建設省が主管して御指導されておりますが、私どもも建設省と連絡をいたしまして、そのつど建設業審議会等の御意見を拝聴いたしまして、逐次考えていくというような態度で臨んでおります。
  146. 中村正雄

    中村正雄君 制度自体は、国鉄だけの問題じゃありませんので、早急にはできないと思いますが、私は包括的な請負制度というところに問題があるのだろうと思うのです。たとえば私が知っている具体的な例を一つだけあげますと、たとえば新幹線の敷設のときに、いわゆる基礎工事がありますね。それはどの大手業者でも、基礎工事は別に専門的な問題ですから、基礎工事の会社にやらしているわけなんですね。これなんか、大手の請負った業者は、自分のところの組織じゃやっておらないわけなんです。これも包括的にやりますから、一本の柱が十万円なら十万円ということで、国鉄は単価を出しておって、元請が請負ったら、実際基礎工事をやる人は五万か六万でやっているわけです。こういうようなはっきりと独立してやれるようなものは独立してやっぱり発注すると、一つの例なんですけれどもね。そういうことは、国鉄のような大きな土木工事をやる場合はできるのじゃないか。これは具体的なたった一つの例ですけれども、そういう面でも相当経費の節約はできるし、相当問題はぼくはなくできるのじゃないかと思いますので、この問題はここで議論しても始まらんわけなんですけれども、やはりこれだけの七カ年にわたっての大きな工事計画があるわけですから、やらすには制度的に監督も必要ですけれども、監督をしなくてもできるような制度のほうがもっと大切と思いますので、これはもっとお考え願いたい。これは注文です。
  147. 岩間正男

    岩間正男君 関連。この点で、工事量を、これがいままで直営ですね。これが最近外注の方向をとっていると思うのです。ここ十年間くらいの間に、どういうふうに工事量が直営と外注の割合が変化したか。それから工事局の問題が今度起こると思う、工事局はむしろ縮小している。外注の方針に転向しているわけでしょう。これは第一次あたりからそういう計画が出ていると思うのですが、最近の傾向はどうなっているのですか。何か具体的に数字があったらこの際聞かしていただきたい。
  148. 仁杉巌

    説明員(仁杉巌君) ただいま先生の外注の問題でございますが、国鉄は古くから、工事そのものは大体外注の方向をとっております。したがいまして、最近工事量がふえたから、直営あるいは直轄というものをやめたというようなことはございません。  ただ工事局で、昔は直接に測量、計算、設計というようなものを全部いたしておりましたが、現在工事量の急激な膨張に技術者が伴わないという問題がございますので、いわゆるコンサルタントというものを使いまして、測量、設計あるいは用地の登記等の業務を外注化しておるというのが実情でございます。工事そのものは、昔からもう大部分九九%ぐらい外注化しておるわけでございます。
  149. 岩間正男

    岩間正男君 結局問題は、工事局が工事の主体になってその計画を握っているかどうかというところにあると思うのですがね。これはやっぱり変わったのじゃないですか。その点方針としては、どういうふうな方法になったか、そこのところが重要なんだから。
  150. 仁杉巌

    説明員(仁杉巌君) ただいまの工事の主体は工事局がいたしておりますが、いま申し上げましたように測量、設計、計算等につきましては、部分的に外注に出しております。こういう実情でございます。
  151. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると国鉄が長年に鍛えてきたそういう技術というものが、ほんとうに発揮されないという事態が起こっているのですが、第一次のときにやはり私はこの点問題にして論議したのですけれども、そういう点どうですか。工事局の関係者の意見なんか聞けば、そういう技術というものは尊重されない。そうして、ほんとうに専門的な技術があるわけでしょう。それが単に外注にいったために無責任になってくる。先ほど中村一君が指摘したように、今度の新幹線の事故の中には、やはりそういう問題が横たわっているのじゃないか。その点をはっきりえぐり出しておくことが必要だと思うのですが、こういう点についていままで討議をし、方針を明確にしておりますか、どうですか。
  152. 仁杉巌

    説明員(仁杉巌君) 先ほど申しましたように、工事局等で測量、設計、計算等を外注して、その結果——昔は若い技術者を採用いたしましても、わりあいに余力をもって測量等上の者が指導して自分がやるというような点がございまして、技術者もかたい方向でかたく養成されてきたということでございますが、その点が現在外注が比較的多くなっておりますので、養成の面でも、多少いままでよりは薄くなっておるということは事実でございます。しかし、現在第一線におります者は、相当古い者でございますので、よく現場の者を指導いたしまして、技術の落ちないようにという努力を続けておるわけでございます。なお、全般的な技術といたしましては、われわれはじめ上の者が十分見まして、大綱計画におきましては、技術を下げるというようなことのないように十分注意をいたしておるというのが現状でございます。
  153. 中村正雄

    中村正雄君 時間もありませんので、最後に運輸大臣にお尋ねしたいと思います。基本問題懇談会意見書の七のところの四項に、「営業活動における自主性の拡大」という意見がございます。私たちも常々これは考えておるわけなんですが、この項目についての具体的な実現について、運輸大臣なり政府はどういうふうにお考えになっておるか、この点の御意見を聞きたいと思います。
  154. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員からお答えいたします。
  155. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 国鉄は営業上にいろいろな制約が加えられておりますが、将来営業法の改正等に関連して、自主性の拡大を進めるように措置をしていきたい、かように思っております。
  156. 中村正雄

    中村正雄君 いや、私のお聞きしているのは、文章の反復を求めているわけじゃないのであって、意見書一つの項目としてこういうことを出しているわけなんで、これは事務当局で立案してどうこうするというような事務的な問題じゃないと思うのです。これは政治的な問題です。したがって、この意見書は、おそらく運輸大臣が一番最初に目を通されているだろうと思いますし、内閣の議題にもなっていると思うわけなんです。したがって、内閣として政治的に、この項目の具体的な実現についてどうお考えになっているか、運輸大臣にぼくは答弁を求めているわけなんです。−おそらく運輸大臣は御検討になっていないと思うので無理であろうと思いますので、この質問は保留しておきまして、総理大臣でも御出席のときに答弁願うことにして、きょうは総裁も見えておりませんから、私の質問は一応この辺で打ち切っておきます。
  157. 江藤智

    委員長江藤智君) 承知いたしました。
  158. 相澤重明

    ○相澤重明君 きょうは国鉄運賃の問題で、普通ならば土曜日半日で終わりなんでありますが、それを返上して審議をしているのでありますが、運輸大臣は、内閣の一員として、閣僚の一員として、総理大臣はどこに行っておるか知っておりますか。
  159. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) まだいまどこにおるかは、私承知しておりません。
  160. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、きょうの夕刊に出ているように、総理大臣が週末静養に出かけておるということは——まあ総理大臣は国務多忙でまことに御苦労だからそれはわかるが、少なくとも国会で、国会の一院においてこれだけ熱心に審議をしておるときに、その所管の運輸大臣にも十分連絡をしないで行くなんということはやはりよくない。こういうことはきつく私は反省を求めておきたいと思うのです。また運輸大臣も、自分たちも一生懸命にやるのだから、ひとつわからぬときには総裁に出てもらわなければならぬ総理に出てもらわなければならぬというぐらいの熱意を持たなければいけないと思う、運輸大臣は全部わかっていないのだからね。そういう面で、私は冒頭にこれを委員長に申し上げたい。新聞に出なければ私もあまり気にならないが、この運輸委員会を開いているのに、総理大臣が週末静養に出たなんということはよろしくない。国民的に見て、印象が議会軽視ということになるおそれが多分にある。このことをなくするように今後気をつけていただきたい。  次に、運輸大臣、これはやはり政治的な問題ですから、私はまずあなたに聞いておきたいのですが、あなたが国鉄運賃の改定をしなければならないと考えたのはいつですか。
  161. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 運輸大臣になってから後でございます。
  162. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあそつのない答弁のようだけれども、それでは具体的に作業をさせたのはいつですか。
  163. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私が就任いたしました六月ごろ、もう作業がずっと進行中でございました。
  164. 相澤重明

    ○相澤重明君 私のこれから言うのは大事なことなんだから、あなたに聞いているのですよ、いいですか。国鉄は今回の運賃の改定については私は従来になくよく勉強したと思う。よくPRもしたと思う。私はそう思っているのですよ。私は、三十二年の運賃改定のときも、三十六年のときも当委員会でそういう点は何回も指摘をしたところなんです。ところが、国鉄運賃改定をするにも、「親方日の丸だ」というようなことで権力なり政治力によって運賃改定をしてはいけない。だからこういうところが不十分である、こういうところが足りないのだ、こうしなければいけないのだということが、十分国民に理解をされなければ、値上げの幅の大きい小さいは別にして、これは国鉄当局としては万全ではない、私は従来こういう主張をしたと思う。今回の昨年以来のことを見ると、そういう根回しというか、PRというか、私は比較的よくできたと思う。私は思うのです。ところで、その値上げの問題については別ですよ。別ですが、とにかくそういうPRについては、たいへんよくやった、こうほめておく。ところが、運輸大臣が、国鉄がそういう運賃改定のもろもろの準備をし、手続をした中で、私鉄運賃値上げが、どちらが先に出たのか、どちらがまた先にきめられたのか。こういうことは、この二日間も、私鉄運賃を早くきめたではないかと、こういうことを各委員から指摘をされたんだが、運輸大臣は、この国鉄のいわゆる運賃改定問題に対して、私鉄のとった態度というものに対して、あなたはどう考えておりますか。私鉄はいつ運賃改定の手続をとりましたか。
  165. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私鉄のほうは四十年の一月に申請をしております。
  166. 相澤重明

    ○相澤重明君 あなたが就任をしたときには、国鉄はすでに手続をとっておった、そういうことをやっておった、私鉄は四十年の一月と、こういうのですか。どっちが先なんです。
  167. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 私鉄が正式に申請をしたのは四十年一月でございます。それから国鉄が正式に申請したのは四十年の十一月で、ございます。しかし、国鉄運賃是正の問題は、三十九年の春ごろからずっと秋ごろにかけまして基本問題懇談会で非常に議論をされておった。したがって、実質的には三十九年から始まって進行している、こういうふうに考えておるわけです。
  168. 相澤重明

    ○相澤重明君 いま君の言うのでは、基本問題懇談会や閣僚の中でもそういう意見が出ておったということになれば、国鉄のほうが先ということになる。そこで私は、政治力の問題をこれから聞こうとしているんだよ、運輸省の。運輸省というものは実際力がない、こういうことを私は思っているんだ。そこで聞こう、ただそうというのは、国鉄が従来それだけの年月をかけて根回しをして、どうしなければいけないかということがようやく今日国会の議論になっておる。しかし、私鉄はそれよりもあとから議論をして手続をとって、しかも、きめたのはことしの一月ではないんですか。運輸大臣は、私鉄運賃の改定にあたって、あなたが認可をした、判をついたわけですね、その判をついたのはいつですか。
  169. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 一月の十一日でございます。
  170. 相澤重明

    ○相澤重明君 その一月十一日にあなたが判をつくまでに、経済企画庁とあなたはどういう関係にあったんです。経済企画庁とあなたの運輸省とはどういうふうにこの国鉄の問題と私鉄の問題の取り扱い方を進めてきたんですか。
  171. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私鉄の問題は、私のほうの事務当局と経済企画庁の事務当局との間に緊密な連繋をとりまして、運賃値上げの率とか、会社の経営実情経理状態、その他万般の審査検討をいたさせてまいりました。
  172. 相澤重明

    ○相澤重明君 じゃ、国鉄はそういう万般の準備をしなかったと、こういうことの反論になりますか、反語になりますか。私鉄は事務的によくやった、経済企画庁と運輸者の事務当局もまことによくやったと、しかし、国鉄はやってなかったと、こういう反語になりますね。それはそうですか。
  173. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私鉄はどうしたかというお尋ねでございますから、私鉄はこうやったと申したわけで、国鉄関連で申し上げたわけじゃございません。国鉄も、いま申し上げますように、国鉄運賃の今回の是正というものが適当であるかどうかということを、国鉄全般の経営から、国の経済情勢と、すべての点に経済企画庁との間に緊密な連繋をとりまして検討審議をしたのでございます。
  174. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣答弁を聞いておると、みんなよくやったと、よくやったけれども、国鉄はあとになって、私鉄はあとから出したけれども先になったと、こういうお答えですよ。それでは国鉄が、いわゆる今日まで国会の議論がおくれてきた、こういうことはどういう理由ですか。あなたは所管大臣として、国鉄の問題がこれだけおそくなったというのは、どういう理由なんですか。
  175. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、国鉄は一月一日から値上げを実施したいという意向でいろいろ努力をしたのでございますが、諸般の情勢等の関係で今日までこういうことになっておるのでございます。
  176. 相澤重明

    ○相澤重明君 その諸般の情勢を聞いておるのだよ。
  177. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府のほうでいろいろ国鉄運賃値上げが、国民生活に関係すること等も考えまして、二月十五日を目途としてやろうということに話がついたのでございます。
  178. 相澤重明

    ○相澤重明君 そんなことかな。私はそんなことじゃないと思うのだ。日韓国会というものがあったのだよ。日韓国会がなかったら、国鉄のこの問題はもっと早く国会にかかったでしょう。あなた、日韓問題が国会にかかっているときに国鉄の問題なんか出したら吹っ飛んじゃいますよ。私は、その政治判断が、内閣でもって重要な要素があったと思うのだよ。日韓国会というものを議論をしないで——日韓国会という政治判断をしないで、それで今日まで、一月一日にやろうと思ったのが諸般の情勢で二月十五日になりました、というようなふやけた答弁をするような運輸大臣だから、ろくなことはできない。私はむしろそう言いたいのだよ。私は、あなたがほんとうにこう日韓国会がなかったならば——あっても今日までなったのか、なかったらもっと早くできたという判断ができなかったら、政治情勢の判断なんてないじゃないですか。それどうなんですか、いま一ぺん答弁願います。
  179. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 日韓国会その他等も、いま申しました諸般の情勢の中にあらゆる条件が入っていると思うのであります。
  180. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういうふうにすなおに答えればいい。  そこで、その次に聞きたいのは、私鉄運賃はすなおにきまった、ほぼ要請どおりいった、こういうことは運輸省は、国鉄の申請に基づくものから比較をしてみて、私鉄のほうがまことにもっともである、国鉄の申請をした資料に基づくよりは、私鉄の申請をした資料に基づいたほうが、これはそのまま認めてよろしい、こういう判断に立った、だから私鉄はそのまま出されたとおり認めた、こういう判断かな。
  181. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私鉄の場合も出したとおり認めてはおりませんが、私鉄も御承知のように、今日の経理内容等にも非常に苦しさもあるようでございますし、さらに、私鉄には第二次輸送増強施設といたしまして、二千二百億余りの設備投資を計画しておるような諸事情を勘案いたしまして、運賃の是正もやむを得ないものという見解のもとに認可をいたしたものでございます。
  182. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、まあ率直に言って、経済企画庁の中には運輸省の出身者よりは大蔵省の出身者のほうが多い、こう見ておるのだよ。もっと君より政治的な判断をしておるのだよ、実は。そこで、いま言ったようないわゆる物価問題と運賃問題というものを比較をしないで、どうしてこの問題が、考え方がまとまるか。私は、きょうは藤山経済企画庁長官が出ておらないが、きのう同僚議員が言っておるときに言ってやろうと思ったのだけれども、藤山経済企画庁長官は、むしろ私鉄運賃もあまり値上げをしたくなかった、本来は値上げしたくなかったのだ。ところが、経済企画庁の中における大蔵省の出身の者が、これはいま運輸大臣、あなたの答弁のような形で、これは私鉄はやむを得ないのだ、これは私鉄はやっていかなければしょうがないのだ、先に事務当局がもうすでにその案ができちゃった。大臣が判を押す前にすでに案ができておる、こう私は判断をしておる、私の判断は。国鉄というような全国民的な、しかも日韓国会を控えた中で、これだけの政治情勢の中で、この国鉄運賃というものを出されたら佐藤内閣はたいへんだ、あなたのもろもろの情勢、条件というけれども、一番大きい問題は日韓国会問題ですよ、政治判断は。ところが、私鉄の問題はそうじゃないわけです。運輸大臣が判をつけばいいのだ、国会の承認は必要ないのだ、こういう判断が、私は、いわゆる経済企画庁の中におるほとんどの、経済企画庁の事務当局の連中がそういう支配的な要素じゃなかったのじゃないですか。それが私鉄運賃をすんなりときめさしていったと思うのですよ。その私鉄運賃をきめるときに、なぜあなたはもっと抵抗しなかったのか。物価問題と運賃の問題と、これが無関係であるなんということはないでしょう。しかし、少なくとも今日まで国鉄運賃の問題と私鉄運賃の問題と地方公営企業等の料金等の問題は、いまだかつて、いままで一度も、あなたが先に、歴代の運輸大臣が先に判をついたことはない。そういう政治判断から、これは私の身がってかもしれぬが、私の判断をすれば、これは運輸大臣がやっぱり日韓国会という政治情勢、最高の政治情勢のもとに、佐藤内閣全体が、いま国鉄の問題出されちゃ困る、こう言って足踏みしたのが最大の要素である、こう思うのです。これは私の考え方。ところで、私の言いたいのはそれからなんだ。物価問題といわゆる運賃料金の問題を内閣が考える場合に、私鉄運賃を先に認可したということは既成の事実じゃないですか。私鉄運賃はこれはすんなり上がっちゃったのだ。国鉄のいま状況を見れば、国鉄はこれじゃかわいそうだ、これじゃだれがやってもやっていけないだろう、あたりまえだ、こういう既定の事実というレールを敷いたんじゃないですか。私鉄運賃値上げをして、そのレールの上に乗っかって国鉄運賃値上げをする、こういうふうにあなたは考えたんじゃないですか。どうです、それは。
  183. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私はそういうふうに考えたのじゃありません。  それから経済企画庁が運賃値上げを急いだというような御意見のようでございますが、それも当たっておらないのであります。私は運輸大臣といたしまして、現在の国民の要求しております輸送需要実態と、それから輸送機関の持っております能力との調和を考えてまいりますときに、きわめて重大な時期に当面しておるという見解に立ちまして、国鉄値上げもやむを得ない、私鉄値上げもやむを得ない、こういう見解に立ったのでございます。そして私は、一月一白に国鉄運賃値上げをひとつ実施してもらいたい。その次に私鉄値上げを実施していきたい。その間に、国鉄私鉄を一緒に、同じ日に上げますと、これは非常に大きな国民にショックを与えますので、その間時間をできるだけおきたい、こういう考え方のもとに運輸大臣として事務的に処理をしてまいったのでございまして、私の一つ運輸大臣としての考え方によってこういう運びがなされたものと私は信じております。
  184. 相澤重明

    ○相澤重明君 それはもちろん運輸大臣として、当事者なんだから、信じてもらわなければ困るわけです。当事者が信じないでもって判を押すなんていうのは迷惑する。それはそのとおりで、自信を持つのはいいと思う。ところで私は、私鉄運賃がそういうふうにきまったということは、少なくとも私鉄のうちの大手ですね、これは。中小じゃないでしょう。大手がきまったわけです。したがって、この大手がきまるということは、国鉄運賃と無関係とは言えない。私はそう見ているんですよ。だから普通の常識でいけば、あるいはいままでの政治慣行からいけば、国鉄を上げてしばらくおいて私鉄を上げて、しばらくおいて地方のものを上げると、みんな上げていっちゃう。これがいままでの政府のやり方ですよ。ところが今回は、先ほど申し上げた政治情勢の判断から、この私鉄というものの出したものについて、しかも、大蔵省出身の経済企画庁の事務当局が全面的に賛成していると、そういうところは私は実は非常な問題点だと思う。あなたが努力されたことは私も認めます。運賃値上げに一生懸命になったことは認めますよ。しかしその陰に、運輸大臣のそういう努力もさることながら、私がつらつら思うに、これは衆議院の關谷君等をはじめとして、自民党の交通部会に所属する人たち——ここにおる参議院の江藤委員長、盗塁王といわれておる——一年生だけれども一生懸命運輸省出身だということでやってくれたといわれる岡本悟君、あるいは木村睦男君、これは実によくやったと思う。功労二者だ。それはまあそう人は言っておるが、私はまあいま話した。それほどしかしみんながよくやったということについては、私は認める。認めるが、そのいわゆる国鉄運賃の問題と、そういう政治情勢の判断というもの、それから国鉄運賃物価という関係を、私は、無視したことはできなかったろうと、こう思うんだが、残念ながら経済企画庁とあなたのほうに少しズレがあった、こう私は思うんですよ。その点が、実はあなたは、一月一日からやりたかったという当初の案が、二月十五日になり、まごまごすると、社会党の反対にあえば四月一日になるかもしれぬ。しかし、四月一日というのはまあ昔から満足な話はないということで、こういうことで安心してきたんだろうと思うんだけれども、そういう、運輸大臣の自分の力よりは、いわゆるそういう情勢であなたのほうはきたと思う。そこで私は、あなたに、そういう情勢の中でうまく泳いできたかもしれぬけれども、あなたは、運輸審議会と運輸大臣との関係、それから与党自民党との関係、こういうものについていま反省していますか、何か考えることがありますか。それともいや全くわが党はよろしいと、運輸審議会なんかどうだっていいと、こういう考えがありますか。いま一回答弁してください。
  185. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 相澤委員の御質問のことばの中には出ませんでしたが、おそらく中に含まれておるのではないかと思いますのは、今回の運賃値上げの率をきめますときの時期と、運輸審議会が審議中であった、答申前であったというような、関連の問題じゃないかと思いますが、あれは私は、当初運賃値上げの日にちをきめてもらうために集まってもらいまして、たまたまそこで党の人の中から運賃の率等について意見が出ましたので、私は、運賃の率はこの際はやめてもらいたい、これはいま運輸審議会で審議中であるし、公聴会の最中にこれをきめるというようなことは穏当でない、適当でないからということで、私はその際そういう発言をいたしまして、それならそれでいいということで、私はその日は、値上げの率については明瞭な処置はとらせなかったのです。誤解のないようにひとつ御了解願いたいと思います。しかし、それはいろいろ皆さん方が不審の念を抱くような点もあったと思います。今後はそういうことのないように、十分気をつけて処置してまいりたいと思っております。
  186. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣が率直に反省をされたことは、やはりたいへんいいことと思うのです。これは私はいいことはいいとほめていいと思う、悪いことは悪いのだから。したがって、この運輸審・議会というもの、少なくともあなたの諮問機関にあなたが諮問をされて、諮問機関で討議している最中に、やはり政治的な圧力によってものがきまった、それが与党であろうと野党であろうと、それではやはり審議会という機能というものは私は役をしないと思う。そういう意味で、運輸大臣がこのせっかくの審議中に、党の三人か五人か知らぬが、そういう人たち意見が出たけれども、やめてもらいたいということを言われたことはたいへんいい。やはりあなたが大臣としての立場で、そういうものを的確に判断をされてお答えになることがいいと思うのです。私、その点はおそかったといえども、あなたのそれだけの勇気をほめておきます。そこで、今後はそういうことのないようにということでありますが、私は、この審議会の委員の諸君が、これは満場一致ですか。——いや、そういう話が、そういう自民党のいわゆる話が審議会のほうにいったわけですよ、これはね。で、あなたがそういう話をやめてもらいたいという話をしたわけです。そういうことは敏感に実は審議会の委員の中に入っていったわけですね。そういうときに審議会の人たちに対するあなたの考え方はどうだったのですか、あなたは。
  187. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、党の中でだれががたがた言うたかというようなことは、審議会の人たちにはそれほど影響しておらぬ。審議会は独自の立場から非常に慎重に審議をしたと、むしろ、そのためにかえって審議が慎重になったと、こういうような気持ちをあの当時抱いたようなわけでございまして、何の影響もなかったと思います。ただ議論として、審議会の中ではいろいろ運賃率の問題については議論はあっただろうと想像しますけれども、結論といたしまして、答申は満場一致の形で私のところに答申をされたと、こういうことでございます。
  188. 相澤重明

    ○相澤重明君 運審が二日間にわたる審議の中で、一時は返納論まで私はおそらく腹に持ったと思うのです。自民党がこれだけの圧力でもってくるなら、何か審議会を開いてもしようがないという、こういうことまでぴりぴりと電気が伝わったと思うけれども、あなたが幸いにブレーキをかけて事故をなくしたということについては、私はやはりよかったと思う。やはり審議会の権能、その性格というものを尊重していくことが私は大事だと思うのです。やはり審議会の性格については尊重をする、こういう方針には変わりはないわけですね。
  189. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は審議会の答申は十分尊重していくという決意を持っております。
  190. 相澤重明

    ○相澤重明君 ところで先ほども、二日前からきょうにかけて三日目でありますが、各委員からいろいろと質疑がかわされておるわけですが、運輸大臣が現在の国鉄のこの料金改定にあたっていまの輸送力関係、あるいはこれからの改善すべき事項、こういうものについての資金というものを、一部自己資金に求める、この提案なんですね。全部でなく一部を求める。これはその比率はどうだったのですか。自己資金と、それからその他の何とか何とかというのはあるのでしょうから、いま少し明確にその比率を言ってください。
  191. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄当局から詳細に説明をしてもらいます。
  192. 相澤重明

    ○相澤重明君 国鉄当局じゃない。ぼくの聞いているのは、この次の質問があなたにあるから、そのくらいのことはあなたに答えてもらいたかった。何のために政府委員がそばについているのだ。
  193. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 二〇%だけ自己資金をもって充てるということでございます。
  194. 相澤重明

    ○相澤重明君 それで三十二年と三十六年の運賃改定が行なわれた。つまり第一次五カ年計画、第二次五カ年計画——もちろん修正しましたが。そこで、いままでの計画は何%できたのですか。そういうことによって、いままで運輸省が国鉄にやらせようとしておったその計画の何十%達成できたのですか。
  195. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 第三次の………
  196. 相澤重明

    ○相澤重明君 第一次、第二次だよ。何を言っているか。
  197. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 第一次五カ年計画は、四年間で六八%達成をいたしまして、ここで改定をされております。  それから第二次五カ年計画は、達成率が、東海道新幹線を除きますと、約六〇%——五九・八%でもって、これも四年間で改定をされています。
  198. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの国鉄の営業をしておるところで、営業路線でかえなければあぶない、線路をかえなければいけない、鉄橋をかえなければいけない、あるいは駅舎をかえなければいけない、こういうようなものは現在どのくらいあるのですか。これから七カ年計画をやって、これからの新しい需要も含んで七カ年計画というのはできているのですね。だから過去に改定をして、いまあなたが答弁されたことからいって、現在どのくらいが現在でもかえなければいけないというものがあるのですか。それを先に言ってください。
  199. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 第一次五カ年計画は、老朽資産の取りかえということに一番最大の目的を置いてやられたということでございますので、そうして、その第一次五カ年計画中には、その老朽資産の取りかえばおおむね目標が達成されたということになっております。その後老朽資産——どんどん老朽していくわけでありますから、そういうものは若干出ておることとは思いますけれども、いまそれを、資産の額は幾らあるかということにつきましては、私のほうで数字的に把握いたしておりませんので、国鉄のほうから御説明をいただきたいと思います。
  200. 相澤重明

    ○相澤重明君 国鉄からはそういう説明は運輸省にはなかったわけだな。しかたがないから国鉄に説明をさせると………。わかっているのか。
  201. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 結局、資産の取りかえにつきましては、減価償却の耐用年数によって決定される問題でございまして、七カ年間におきまして国鉄において減価償却によって取りかえを要する資産というものは約一兆円でございます。
  202. 相澤重明

    ○相澤重明君 七カ年間でかえるというのは、七カ年計画の資金の中ではそれしかできないと、こういうことだろう。私の聞いているのはそうじゃないのだよ。いままで第一次、第二次五カ年計画をやって進んできたが、今日の時点において、これはかえなければいけないと、国鉄が本来かえなければいけないと、こう思うものはどのくらい残っておるか。そのうちのこれからやろうとするのは、いままで残っているやっと新しい需要というものを合わせて、当面七カ年計画を立てたのじゃないか。一兆円でもっていままでの危険なものは全部直るのか。
  203. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 資産は、それぞれ資産別によって耐用年数というものはきまっておりますから、その耐用年数が来た資産につきまして、それを取りかえるに要する額というものが、減価償却費によってあがってまいります。したがいまして、七カ年間にそれぞれものによってその資産の耐用命数が尽きるものが償却費という額としてあがってくるわけでございます。七カ年総計いたしますと、取りかえを要する資産の額というものが約一兆円になるということでございます。
  204. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは今度磯崎副総裁に聞いておきたいのだが、いまの運輸省の答弁によると、一兆円の取りかえ等の費用で危険はなくなる。そうすると、このがけのいままでセメントがひびが入ったり、鉄橋がとにかく幾らか片方下がったりというような、国鉄にとって安全性を阻害するような要素というものは、すべてこの七カ年計画の中でなくなる、あるいは快適ないわゆる国鉄輸送というものができるのだ、こういうふうにあなたは自信を持って一兆円でいいということですか。
  205. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの運輸省の御答弁を補足いたしますと、御承知のとおり、第一次五カ年計画では、ほとんど全精力を老朽資産の取りかえに充てまして、その後特別償却等も認めていただきましたので、現時点におきましては、ちょうど三十一、二年騒がれましたような、どこの橋がこわれるとか、トンネルがくずれるとかいう事態は一切ありません。しかしながら、毎年毎年、やはり明治何年、大正何年につくったものが年をとってまいります。したがいまして、毎年、ことしの予算で申しますと、千百億だけは、いわゆる老朽資産の取りかえとして計上してあるわけでございます。それが七カ年間で積もり積もりまして、いま運輸省で言われましたように、約一兆というところが、七カ年間の老朽資産の取りかえ、こういうふうにお考え願っていいと思います。ただ、ここにございますのは、突発的な災害等のため、たとえば非常に河川が増水した、そのためにある鉄橋が、耐用年数はまだあるのだけれども、急遽取りかえなくちゃならぬ、こういうような問題が当然出てまいりますし、たとえば山の地すべり等があって、急にトンネルがこわれたというふうな問題もございます。こういった応急的な取りかえを要する問題がございまして、これは主として暫定的に予備費でもって充当する、こういうやり方になっております。したがいまして、一時、非常に問題になりましたような、いわゆる設備上の危険と申しますか、構造物の危険というものは、いまは毎年約千億の取りかえ費でもって大体やっていける、こういうふうに御了承願ってけっこうだと思います。
  206. 相澤重明

    ○相澤重明君 副総裁は、国鉄というものは路盤をつくって、その上に線路を敷いて汽車を走らせていく、電車を走らせていく、だから、それはあぶなくないといえばそれまでだと思うのだよ。私は、百年になろうとする国鉄が、昔から別に線路を新たにつくったというものはそうたくさんないわけですね。やはり、ずっと前から線路を敷いたものを、そのまま、取りかえはしたかもしらぬけれども、全く、近代的設備でこれでいいんだということに私はなっていないと思うのですよ。私はなっていないと思う。本来、金さえありさえすれば、ほんとうは近代化したいというのが、ほんとう国鉄マンでなくちゃいかぬというのです。そういう意味からいけば、私は、一兆円という修繕費を含んだ取りかえ費というようなものは、これはいまの資金量からいけば、やむを得ない最低限度のものではないか、こういう理解を実はしているわけだ、そうじゃないですか。いま一回答えてください。
  207. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの一兆円の中には、先生のおっしゃった修繕費を除いてございます。修繕費は経費のほうで落としますので、いま防災工事あるいは線路改良工事、先生のおっしゃった一部分の路盤改良、こういったことを含めまして、一兆円というふうに考えているわけでございます。修繕費は、一応このほかに全体の経費が四兆九千億でございますから、このうち約半分が物件費になりますから、修繕費は相当この中にあるわけでございます。
  208. 相澤重明

    ○相澤重明君 この修繕費と、それから災害復旧の場合のあなたが予備費で使うと言っておりますが、それはどのくらい見積もっておりますか。
  209. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 災害復旧につきましては、予備費でございますが、いままで六十五億計上していただきました。毎年の、平年度の実績が大体二十億くらいでございますが、しかし、たとえば新潟の震災等がございますと、やはり百億ぐらい急激にふえます。大体、ことしから毎年百億の予備費を計上することをお認め願ったわけでございます。七年間で、いまの情勢で予備費を計上いたしますと、最低七百億は予備費として計上できるというふうに考えております。
  210. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから国鉄の近代化ということについては、新幹線を頂点としておるわけですね。したがって、幹線はまだしも、支線についてはかなりおくれているところが多いわけですよ。私は、昨年現地調査に行った結果を、出雲の橋の落ちたことを指摘したことがあったけれども、まだまだ国鉄国鉄と言えない。とにかく昨年のあの台風のときに橋が落ちて、それが三カ月も四カ月も橋が復旧をしない。川に鉄橋が落ちたまま通ることができない。しかも、出雲のほうの人たちは、出雲の阿国じゃないけれども、国鉄が一番の輸送の動脈である。道もたいしたことはない、こういうところへ私どもは行ってみるというと、鳥取や関係の県の人たちはずいぶん若労しておる。しかし、それは金がない。発注してもすぐものができない、こういうところに、国鉄の技術陣を誇っても、なかなか地方のそういう人たちによい結果をもたらしたりすることはできなかった。これは私はすぐ県庁から国鉄本社へ電話をして、こんなに地方の者をいじめちゃかわいそうだ、すぐ復旧の手続をとれ、そのくらいしなくて運賃値上げなど議論できるものじゃない、こう言って私はおこったこともあるけれども、それほどおくれておるのですね、地方については。そこで、幹線輸送もさることながら、そういう支線ですね、この鳥取の支線、そういうものについては、今度はどの程度に複線化とか電化というものが全体の中で、支線の中で行なわれるのですか、七カ年計画の中で。
  211. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昨日、一昨日来申し上げましたように、今度の計画の中の第二の主眠点といたしまして、いわゆる地方幹線の増強がございます。地方幹線と申しましても、実際にはなかなかいま先生のおっしゃったように、たとえば山陰線までには実は手が届かないのでありまして、地方幹線で残りますのは、山陰線と四国という程度になるわけでございます。あとの地方幹線は、ほとんど全部複線電化される。たとえば東北も北陸も、全部複線電化される予定でございます。で、複線電化の進捗率は、現在わずか全体の一六%でございます。これが大体倍の三一%になる見込みであります。このほかに、いま先生のおっしゃった、いわゆる地方の幹線の次の線でございます。これにはなかなか手が届きませんので、たとえばこの辺で申しますると、神奈川県でも横浜線とか、あるいは東北で申しますれば、通勤輸送の多い仙石線とか、そういった地方の通勤輸送主体といたしましたローカルの幹線に次ぐ線なんでございます。そういったところにつきましては、全体で二百キロくらいの複線化ができる、こういうふうに考えております。
  212. 相澤重明

    ○相澤重明君 二百キロだな。  それからもう一つの、支線についての努力目標がわかりましたが、いま一つは、大都市の非常に国鉄がいままでたいへんな貢献をしてきたにもかかわらず、近代都市化のために実は鉄道線路がじゃまになる、こういう意見がだいぶん都市ではある。そういうものに対して、地下鉄にするなり高架にするなり、そういうような計画というものはあるのですか、ないのですか。あるとすればどの程度あるのですか。
  213. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実はいま先生の御指摘になりました点が、いま一番私どもが頭をかかえておるのでございます。この計画をつくりましたのは、実は御承知のとおり一昨年でございます。そのころはまだそういった地方都市の高架化の問題は起きていなかったのでございます。そのころありました問題といたしましては、静岡、京都、札幌等の問題でございました。その後、実は去年からことしにかけまして急激に中小都市の高架化問題が出てまいりました。これを全部合算いたしますと、やはり三千億くらいになってしまい、非常に私どもといたしましては、踏切がなくなるという利点は、ございますが、とてもそれだけの金を国鉄自己資金で負担することはできない——計画外になりますので、できないということで、今後地方の大都市あるいは地方の中小都市の高架化問題をどう進めていくか、このいま御審議願っております長期計画の中では、いわゆる踏切対策としてしか実は考えなかったのでございます。踏切対策といたしましては、全体で六百億ぐらいの計上をいたしております。その六百億の中で二百億ぐらいをいわゆる立体交差ということで踏切対策ができるつもりで計上しておりましたが、いまの地方から出てまいります話は全くスケールの違った大きな話であって、もう四けたの話になってしまって、実はこの二兆九千億にはそれがほとんど入っていない。そういうことで、実は今後地方都市の高架化問題につきましては、やはりこれはほんとうに国の事業として、道路と同じような意味を持っているというふうに思いますので、別な角度から考えていただきませんと、とても運賃なり借金なりでは、なかなかやっていけない問題になっている。全体といたしまして、約二千億から三千億、大きなところでは札幌、京都、静岡、浜松という大都市のほかに、いま申しましたとおり、十万程度のたとえば四国の坂出とか、あるいは佐賀あたり、そういった地方都市がもうほとんど軒を並べて話が出てまいりました。非常に実はその問題、今後どういうふうにいたしますか、いずれ落ちつきまして、運輸省御当局とも御相談いたしまして、建設省のお力を借りまして、根本的な問題として別に当委員会その他で御審議いただくようにいたさなければ、とても現在の国鉄の資金計画の中にはまらない問題だというふうに考えております。
  214. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣もときどき答弁させないと居眠りするので困るから……。運輸大臣、いまの国鉄総裁が言うように、都市の立体化、地下鉄化、こういうことは近代都市になればなるほど、私は必要だと思うのですよ。ところが、残念ながら、地方住民のそういう要望が強いけれども、いまの国鉄財政、またさらに、いま七カ年計画の新しいこの財政計画でもそれはできない、こういう答弁なんですね、いまの副総裁答弁は。運輸大臣は踏切の立体化あるいは交通緩和、こういうようなこの法律を、この国会に、建設省なり運輸省が一緒になって、あるいは自治省が一緒になって提案をする考えがあるのですか、ないのですか。
  215. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 踏切道改良促進法は時限立法でございますので、期限を延ばす法律を出すことになっております。
  216. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 現在、踏切道改良促進法という法律がございます。この法律によって立体交差等の改良事業を、踏切によってこれを指定をいたしまして、そして促進をする法律が現在あるわけであります。この法律は時限法でございまして、本年度一ぱいで切れるわけであります。したがって、さらにまた引き続きやる必要がございますので、今国会に、その期限を延ばすという改正の趣旨の法律改正案を、踏切道改良促進法の改正案を今国会にすでに提出されております。
  217. 相澤重明

    ○相澤重明君 それで運輸大臣、そこでいまの内閣として、つまり内閣のこの所管の関係者として、運輸大臣、建設大臣、自治大臣、こういうことに関係者はなるわけですね。ところが、いまの国鉄に聞いてみると、国鉄としては、実際には二百億そこらしか立体交差の費用はない。そうすると、あなたたちは踏切の立体化をしなければいけないといったって、指定をしても予算がなければできない、こういうことになるが、これからは指定はあまりしないつもりですか。法律は延ばすけれども、指定をすれば金がかかる、金がかかるのだけれども二百億ぐらいしかない。これは副総裁も一緒に答弁してもらいたいのだが、二百億というのは七カ年の中の一年で使うつもりなのか、これはいま一度答弁願っておこう。
  218. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 金がない場合は指定しないのかというようなお話でございますが、そういうようなことじゃございませんで、一定の交通量以上に達すればこれを指定していく、そういう考えでおります。
  219. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私、ただいま申し上げました二百億は、全体の計画の中で二百億でございます。
  220. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連して。これも印象的な質問になりますが、三河島とか鶴見の事故があったときには、保安対策というか、危険防止という意味でかなり政府自体もこれに対処するという意味で増額しますが、また事故がなくなるというと、独立採算というワクの中に置いて公共性という問題と企業性という問題で、踏切を改善しても直接収入に響かぬという意味が多分にあると思うのですが、どうしてもそのほうに手が回りかねる。しかし、依然として踏切事故があるわけです。そこで私は、いま六百億見込んで二百億高架にするというお話がありましたが、年間を通じて、過去の実態に徴してどのくらい踏切事故で国鉄は損をしているのですか、年間。これはむずかしいでしょうけれども、出るでしょう、踏切があるために事故を起こす事例がずいぶん多いのです。それで国鉄の損害、これは有形、無形的にいうと、人命損傷など非常にたいへんですが、国鉄のほうとしてどのくらい損害を受けているか。
  221. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) この算定はたいへんむずかしいのでありますが、一応私のほうで直接損害だけを出した数字がございますが、これは大体年間で四億七千万——これは三十九年度の実績でございますが、四億七千万でございます。
  222. 岡三郎

    ○岡三郎君 その内訳はどういうふうにお金を出しているのか、それをちょっと言ってください。
  223. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 大きく分けまして、部内の損害と部外の損害と分けまして、部内の損害と申しますのは、たとえば車が使えなくなった、あるいは信号機がこわれたとかの復旧費、こういったものが部内の損害でございます。部外の損害は、主として自動車の損傷費です。ほとんど最近の踏切事故は、自動車の損傷がつきまといますので、大体部外の損害は、自動車の保険費等は別に除きまして、自動車の直接損害並びに付近の民家などをこわすことがございます。そういった損害、あるいはバスなどの場合には、バス会社が支払うある程度の保険金といったようなものを含めまして、部内、部外の率が大体半々という計算をしております。これはただ私どもだけの計算でございますので、はたして部外の損害がこれでいいかどうかは多少疑問がございますが、一応目安といたしましては、年間一番多かったのは三十八年度で、ちょうど五億くらいございました。これは少し最近おかげさまで踏切事故も減ってきたわけであります。三十九年度四億七千万、少しずつ減っている傾向にはございますが、やはり四億と五億の間くらいじゃないかと、両者合わせましてそういうように考えております。
  224. 岡三郎

    ○岡三郎君 踏切事故によって生じた人命の損傷ですね、これはどの程度になっておりますか。
  225. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 三十九年度の実績で申しますと、国鉄での事故は一万八千七百十件ございまして、この事故によっての死傷者二千八十六名、そのうち死亡者が七百九名。これが国鉄の分でございます。
  226. 岡三郎

    ○岡三郎君 それはいつの年のことですか。
  227. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 三十九年です。  それから私鉄をついでに申し上げますと、一万九千二百九十一件の事故がありまして、死傷者の数四千三百七人、そのうち死亡者千二百三十八人、したがって、死者だけの数を通算しますと千九百四十七人、死傷者の数、全部でトータルしますと六千三百九十三人、こういうことになっております。
  228. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連ですからこれでやめておきますが、いま磯崎副総裁が言ったことで、四億七千万というとずいぶん少ないのだが、ずいぶんこれは損害を内輪に見積もっておる気もするのですが、しかし、企業性と公共性、特に人命の尊重という面から見て、とかくなおざりになりがちというか、そう思ってはおらぬ気持ちはわかりますが、実際に経費が詰まって、借金が多いので、できるだけ運賃収入の上がるほうにはかなり投資をするけれども、こういう面についてはおくれているということで、これは国鉄のみ、あるいは私鉄のみを責められないかもわからぬ。  そこで、ここは運輸大臣に聞きたいのですが、いま言ったように事故があると、大きな事故のときは、これに対する費用をある程度緊急に支出するわけです。鶴見事故のときにもそうでしたがね。ところが、たいした大きな事故でない無数の事故、無数というと大げさですけれども、いま言われたように何千件とある。それによって年間において何千人けがをし、二千人近くが死んでいるということを、これは毎年繰り返していると思う。私は、これで運輸省のほうの踏切事故——ほかの事故は別ですよ。踏切事故だけに限定して資料をちょっとお願いしたいのです。これに伴って年度別にどの程度踏切に対する対策費というものが充実されてきたかということをわれわれ聞きたいのです。  この資料をお願いするとともに、運輸大臣に、国鉄に対してこういう面に対する経費は、いま言ったように高架の問題一つとっても、金が出し切れないという。ところが交通戦争の時代ですから、立体にしなければこれはうまくはけないということは、私が言わなくてもわかっております。そうすると、どうしても無理が起こる。踏切の警手がとめたって、おろした網というか、あの棒をぐぐってまでも、とにかく出かけていくということです。特にこういった最近の交通混雑が一そう拍車をかけておると思う。そこで私はこういう点で、国鉄が金がないのでやり切れない。あるいは私鉄が利潤追求という面から見ても、わかってはいるけれども、やり切れない。こういう点でいろいろと運輸省もかなり補助を出してやってくれておることも知っておりますが、やはりこういう面については、もっと積極的に、やはり運輸省の予算を確保するなら確保して、国鉄なり、私鉄のめんどうを見て、人命尊重の面から見て、年間何千人も肢体不自由の方々が出る。それを今度は、国がその肢体不自由の方々に対するいろいろな対策をやるにしても、悪循環だと思うのです。しかも、全日空の事故では百三十何名で驚いているけれども、この見えざる事故をしたものは、保険金もろくろくとれない、たいしてもらえない。そういう人が二千人近くあるということは、これは困るのです。こういう点については、やはりこの問題との関連国鉄に積極的に、やはりもうからぬ面についても、大きなこれは公共性だと思うのですがね。こういう点でやってもらいたいと思うのですが、この点をひとつ運輸大臣のほうに努力を頼みたいと思う。つまりそういう面についての金を国鉄のほうなり、私鉄のほうにくれて、私鉄は別として、国鉄のほうに出して、積極的にそういうふうな面における損害の防止と人命尊重と危険の防止というものをやってもらいたい。これはいますぐというわけにはいかないけれども、そういう点に非常に留意してもらいたいと思う。
  229. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) いま岡議員から御指摘のありました、都市その他全般の国鉄私鉄との間の交差点の問題は非常にこれは重大な問題で、ございまして、文化的な国としては、立体交差にすべきが原則であると思いますが、財源措置等の関係もございますので、道路との関係が密接でございますので、建設省それから自治省ともよく相談をしまして、立体的な交差に進めていく方向を検討すると同時に、私は被災者の、被害者の補償措置等もあわせてやはり考える必要がありはせんか、かように考えておりますので、そういうものまで含めまして、将来検討してまいりたいと思います。
  230. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 先ほど申し上げました事故の数は、運転事故全体の数でございまして、踏切事故だけをとりますと、もう一度申し上げますが、国鉄の踏切事故は二千四百八十二件ございまして、死傷者の数は千六百七十四名、そのうち死んだ人は六百八十二名、それから私鉄について申しますと、二千百六十一件踏切事故がございまして、死傷者の数が千四百十九名、死亡者の数は六百二十五名となっております。  訂正いたします。
  231. 岡三郎

    ○岡三郎君 磯崎副総裁から。
  232. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 今度の長期計画における保安対策費の問題で全般としてお答え申し上げますが、いま先生がおっしゃったとおり、いままでのやり方だと、とかく苦しくなると直接もうからない仕事をやめてしまえというようなムードがなかったわけでもございませんが、実は大体第二次五カ年計画で、直接保安対策に使った金が、四年間で約四百六十億でございます。今度の計画では、全体で直接保安対策費として二千四十四億円組んでございます。実は総裁も私も、事故には全くこりごりして、ほんとうに骨身にしみております。直接被害者をお見舞いし、また、まだ片づいていない被害者の方などにお目にかかりまして、全く骨身にしみておりますので、いかなることがあっても、私は保安対策費を削らないという強い信念を持ってやっております。おかげさまで昨年、一昨年は、踏切につきましては、複線区間については、絶対に無防備踏切をやらない。南武線で事故を起こしまして、非常にあと始末で考えまして、あまり総花式ではいかぬと考えまして、複線区間におきましては、全部必ず警報機をつけるということをいたしまして、昨年の秋にはこれが完成いたしまして、いま全国の複線区間では、無人踏切は必ず警報機をつけておるという段階まで一応進めました。それから列車自動停止装置も、今年秋までに全部予定どおり完了いたします。  今後は、先生おっしゃるとおりの踏切の立体交差の問題、それから全般的な保安対策の強化という問題に最重点を置いて、これはいかなることがあっても、どんなに収入が減っても保安対策については絶対に削らないというかたい信念を持っておりますので、どうか御了承願います。
  233. 木村美智男

    木村美智男君 副総裁、せっかく踏切問題が出たから、踏切問題について、必ずしも副総裁からでなくてもけっこうですけれども、四つ五つお聞きしておきたいと思う。  それは、いまの予算問題わかりました、保安対策の。その中で最近やはり三次計画の中で、手で動かしているやつを連動に切りかえていくというこの関係が、踏切の問題では重点になっていますね。これは全国的にどの辺を重点的にやられるのか。概況でいいですから、それをまず聞きたいわけです。
  234. 川上寿一

    説明員(川上寿一君) ただいまの御質問は、一種踏切の手動のものを自動に切りかえていくというお話だと思いますが、そのほかに三種と申しまして、チャンチャンだけついているのがございますが、むしろこれに門扉をつけまして、一種自動化するということに重点を置いております。それで従来これを年間約百カ所ぐらいずつふやしておりましたのですが、今年度から三百カ所にふやしております。大体そのぺ−スで三種踏切の重要なものから一種自動にしてまいります。それから一種の手動——人がついているやつでございますが、これは比較的短距離に手動のところがたくさんございますところは、これを連動にいたしまして、人を減らす場合もございますが、それ以外はそのまま人間をつけたままにしておきますので、この数はいま申しました数よりもよほど少なくなりまして、年間四、五十カ所ぐらいであろうと思います。
  235. 木村美智男

    木村美智男君 さっき言ったように、地域的に見まして、あるいは線区的に見て、たとえば新幹線みたいなのはゼロなんだから、そうすると大体どういうところが重点になるかということを聞いているわけです。
  236. 川上寿一

    説明員(川上寿一君) 第一は、複線の非常に列車回数の多いところ、それからその次はやはり複線、単線を含めまして、自動車の通過台数の多いところからということになります。
  237. 木村美智男

    木村美智男君 いま言ったようなことをやる場合に、これを転換をしていくと、大体人員としてはどのくらい浮かすつもりなんですか。
  238. 川上寿一

    説明員(川上寿一君) この第三次の長期計画で、重要なところは大体完成するつもりでございます。
  239. 木村美智男

    木村美智男君 重要なところをやられることはいまわかったんです。それでその結果どのぐらいの人員がこれによって機械にかわられるかと言うのです。
  240. 川上寿一

    説明員(川上寿一君) 現在踏切警手の数が約七千でございます。そのうちでいまの踏切を機械的にいたしますのと、それから立体交差にいたしますのと両方を含めまして、約半分の人間が減るというつもりでございます。
  241. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、大体七千ちょっと下がっていると思うのですけれども、まあ大体七千と考えて、これはもう三千五百という数字は相当膨大な数字になりますね。そこで実は従来こういう踏切保安掛といったようなものは、国鉄の中でも非常に労働条件でもあるいは賃金の面でも、比較的ざっくばらんな話、恵まれない状況にあった人たちなんです。そういう意味で今度これを当然配置転換をされると思うのですけれども、その配置転換について大体どういうことを重点にお考えになっておられるか、まずそれをお聞かせいただいて、私の聞きたいことが答えられなければ、二、三私のほうからも項目的に伺いたいと思うのですが、とりあえずこれは三千五百という人の異動ですから、それぞれ立地条件の異なったむずかしい問題なんです。特にその点をお伺いします。
  242. 川上寿一

    説明員(川上寿一君) 御指摘のとおり従来の踏切警手の年齢別の構成を申し上げますと、大体において高年齢層の者、これは主として線路工手あるいは駅手でそのまま年をとりまして、踏切警手のような固定した職業のほうが適していると思われる者と、それからもう一つは比較的新しく採用いたしまして、適性によりまして踏切警手にしておる者と、大体二つの層に分かれるわけでございます。高年齢層の踏切警手につきましては、順次定年退職に近い者から整理をしていく場合がございます。それから若い者の場合には、いろいろ国鉄の中で設備、車両がふえまして、業務量がふえる個所がございますので、そういう方面に転換教育の上で配転をしていきたい、こういうふうに思います。
  243. 木村美智男

    木村美智男君 いま言われたように、確かに高年齢の人もいるわけですね。したがって、それはわかるのですが、そういう場合には転換教育がむずかしいという意味でわかるけれども、ただ、ちょっとそういう場合整理をすると、こういう表現を使われると、あなた、すぐ首切るようなふうにこれは考えるからね。それはそうじゃなしに、普通一般でそのまま国鉄には置いていくが、無理な配転はせずに、できるだけその職に何というか、その本人に適応したような形で置いておくという意味でしょう、整理をされたのじゃかなわない。
  244. 川上寿一

    説明員(川上寿一君) 先生の御指摘のとおりでございまして、私のことばが足りなかったことはおわびをいたします。それから踏切警手と申し上げましたが、ただいまは踏切保安掛という名前になっております。
  245. 木村美智男

    木村美智男君 質問のときに踏切保安掛と言ったじゃありませんか。ただいまの配転の問題ですね。配転の問題やるときに、転換教育ということについてはこれは十分ひとつやっていただいて、転換をしたために、長い間やっていた仕事が変わったので事故が起こるということを心配するかり、転換教育については、これは十分にやってもらいたい。ただし、必ずしも転換教育というものを全部やって、それから行くというものだけにはならない場合もあるわけです。転換教育を必要としなくともすぐ配置転換をやれる職種もあるわけですね。その場合の問題ですが、これはまあいろいろあるけれども、本来今度の問題は事故をなくすという立場から行なう配置転換なんだから、私はある意味で言えば国鉄企業そのものの必要性によってやるということ以外に、もっと大きな事故をなくすという意味合いを含めての転換だから、私はこれについては本人の意思というものを十分に尊重をしてもらって、何んでもかんでも、小人が性に合わないというやつもあるのだから、少なくとも第三者が見て適当だというようなことで、頭からお前ここへ行け、お前ここへ行けということじゃなしに、本人の希望という問題と、多少選ぶゆとりくらいは持たしてやってほしい、この点はどうですか。
  246. 川上寿一

    説明員(川上寿一君) 配置転換の問題につきましては、先生からいま御指摘をいただきましたような方針で従来もやっておりますが、さらに御指摘のような方向で進みたいと思います。
  247. 木村美智男

    木村美智男君 もう一つありますが、最近、これは御承知のように地方でもいろいろとやっておるように、住宅事情というものが非常にむずかしい条件の中ですから、こういったような問題についてはやはり宿舎を相当準備をするとか、通勤の関係を考慮するとか、こういう関係についてはどういうふうに考えておられますか。
  248. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 配置転換一般につきまして、いま先生御指摘のように、本人の適性の問題もございますし、本人の生活上に大きな変化を与えないためにもいろいろな配慮は必要でございますが、私どもといたしましては、そういう国鉄の仕事のやり方の変化に伴う職員の配置転換につきましては、組合とよく協議をいたしまして、基本的にはいろいろな協議が成立しておりますが、それに従いましてスムーズに仕事を運んでいきたい。  また宿舎につきましては、そういうものについては特に考慮をいたしたい、こういうふうに思います。
  249. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、豊原常務からいま大体方針的なことを伺ったので、詳しいことは組合との間に十分話をしていいのでありますけれども、ただそのときに、私は先ほど冒頭に申し上げたように、どうかすると国鉄の中でも、まあ踏切番と——さっき川上常務は踏切警手と言ったけれども、もっとひどいことばがあるのです。いまは踏切保安掛だけれども、踏切警手というか、その前は一般的に踏切番ということで世の中に——心ずしも国鉄内部だってそういう認識がないとは限らなかったのであります。その意味では非常に恵まれない条件のもとに置かれたのでありますから、したがって今度の配転というようなものを契機として、そういう対象者に本人の意思いかんにかかわらずやるのですから、配転の場合の住宅問題やその他はもちろん何ですけれども、賃金なりそういう問題でひとつできるだけのこれは何というのですか、十分ひとつ労使間で相談してもらいたいと思いますけれども、やって、喜んでひとつ配転に応じられるように、スムーズにそういう作業が進められるように、そういうひとつ立場でやってもらうということについて、原則的にどうだろうか、この点だけひとつ最後に伺っておきたい。
  250. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 過去におきまして、踏切保安掛に対する認識がいろいろあったことは先生の御指摘のとおりでありますが、現在ではそういうことは毛頭ないと思っているわけでございます。なお、そういう人たちの配転につきましては、いまおっしゃるとおりで、組合とよく話をいたしまして、踏切保安掛が特に非常な不利な配転になるようなことにならないように努力をいたしたいと考えております。
  251. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 来年度の予算については、先ほど岡さんの質問で大体わかりました。そこで、ただいまの木村委員の質問に関連をいたしまして二、三伺っておきたいと思いますが、四十年度の全国的な計画があったはずなんです。その計画から見ますれば、大体私の記憶では三百カ所くらいだったと思いますけれども、今日までにどの程度その計画が具体的に実施されたかということをひとつお示しをいただきたい。たとえて申しますれば、北海道の場合は、単線区間におきまして九カ所、複線区間においては七カ所、合計十六カ所でございますけれども、私の調べているところでは、実際に十二月までに実施されたのは単線区間で一カ所よりない。結果的には両方合わせて計画に対して進捗率というものはわずかに一一%、単線、複線合わせまして六%の進捗状態よりない、こういうものが出てくるわけです。ですから、全国的に一体これがどの程度計画に対して実施されているのか、今年度といっても余すところわずか二カ月もございませんね。ですから、その間に四十年度の三百カ所という計画が完全に一〇〇%実施されるかどうかということがまず一つです。関連ですから、時間がありませんからそれが一つ。  それから岡委員からの立体交差を含めて、これからの進め方であります。これについて、私はやはり立体化については、いろいろなそれぞれの地域の要望等もあろうけれども、法律的に規定された踏切であるとか、あるいは今日交通渋滞を起こしておりますまことに危険である、こういうようなところに、これはもとよりお考えになっておられるところだと思いますけれども、重点を置いて立体交差などというものは実施しなければならぬのではないか。えてして、こういうこまかな問題ですけれども、ややともすると新線建設と同じように、いろいろな地域の動きの中から政治的に配慮されて、最も危険であったりあるいはいま申し上げたような重点なところが逆にあと回しにされている。こういう事例も全国的にありますから、こういう点はもとより申し上げるまでもないことですから、そういう点については断固としてそういう政治性というものを排除して、いま申し上げた基本的な考え方に立脚をして私は立体交差をしてゆくべきものではないか、こう思うのです。それから単線区間の無防備の踏切がございます。こういうものに対してもやはり対策が必要だろう。具体的に申し上げますれば、整理統合による廃止または自動車の通行禁止をしていく、こういうこと等も実施をしなければたいへんだと思うのです、無防備の踏切の問題についてはですね、ですからこういう関係。それから、なおかつそれでもどうしても残るという踏切については、警報機等々のものを施設をしていく、こういう考え方に私は立たなければならぬじゃないか、こう思いますので、この関係。  それから岡先生も申されましたけれども、遮断機の設置でございますが、これは国鉄側は専門家ですから十分もうお考えおきになっていると思いますけれども、複線区間を主として法律で指定をして、該当踏切及び危険個所の三種踏切については、私は断じて遮断機を設置していく、こういうことにならなければならぬじゃないか、こう思うのです。それから一種の踏切についても、依然として明治何年かからやっているようなやり方をやっています。これは手動でありますから、ですからこういうものについても国鉄はいろいろな意味で近代化合理化ということを盛んにやりますけれども、人を減らすほうの合理化はやるけれども、こうした国鉄の近代化合理化、正しい意味の合理化ということを非常にやりたがらない、ですから対策は非常におくれてくるわけです。こういう関係で、私はぜひともこの遮断機をつけた場合におきましても、この遮断機というものが自動的に昇降できるように改良したい。あるいは駅構内にある、駅の近所に接近しておりますものについては、これは非常に交通量が多くなってきますから、半自動的にやるとか何とかというくふうがやはり将来国鉄にもあってしかるべきじゃないか、こう思うのです。まあ大きな東京駅のような構内であるとか、あるいは品川、あるいはそれぞれの地方におきましても、その中心的な都市になってまいりますると、かなりの踏切になりますから、私は近代的に、そこのみでやるのではなくして、集中的な監視制度というものを置いて、最近流行の電動式であるとか、あるいに拡声機を使って、つまり私のことばで申し上げますれば、集中的な監視所のようなものを設けてやるということも考えてまいらなければ私はたいへんだと思うのです、だんだん交通量が多くなってくるわけですから。反面、今度は列車のほうはスピード化されてくるわけですから、そういう点も考慮していいんではないかと、こう思うのです。  それからもう一つは、築堤の付近であるとか、あるいは橋梁に接近して踏切がございますね、全国的に。こういうものについては私はもう優先的にこの方法を改良したり、あるいは見通しをくふうをしたり、こういうことを含めて対策を立てないと、結果的には毎度毎度やっぱり事故だ、さあ事故が来てから保安対策だということで、ここで指摘されることになるわけです。こういう関係は一体どう担当の常務理事さんがお考えになっているか、ひとつここで教えていただきたいと思います。
  252. 川上寿一

    説明員(川上寿一君) 先生が最初に御指摘になりました三百カ所は立体交差の意味であろうと思いますが、立体交差につきましては、建設省あるいは地方自治団体との協定によりまして、いろいろ協議がおくれておりまして、実施が必ずしも毎年一〇〇%にいっておりませんが、今年度は三百カ所のうちで約百六十五カ所が竣工の予定でございます。その前の年までは大体百カ所程度あるいは八十数カ所ということもございましたけれども、今年度はだいぶ進んでまいりました。  それから遮断機をつける問題でございますが、これは複線の個所の三種踏切につきましては、あと二年ぐらい、つまり七カ年計画の前半で全部つけてしまう予定で進めております。  それから集中監視という問題を御指摘いただいたんでございますが、これはいま踏切警報機の保守をする問題で、集中的に故障になっておるかどうかということを監視をする装置は設けてありますが、集中的に交通全体の監視をいたしまして警報を発するというようなことはいままで考えておりませんでした。警察庁その他とそういう問題についていま話を進め始めたところでございますので、今後の問題として研究してまいりたいと思います。  それから築堤あるいは橋梁の地区の踏切につきましては、これは複線区間につきましては、先ほど申し上げましたように、全部ほぼ完了いたしましたが、単線につきましては、そういうところから重点に四十年度から始めておりますので、これも今年度と来年度でそういった危険な踏切につきましては、すべて処置を終わる予定でございます。  それから立体交差のプライオリティーの問題でございますが、これは運輸省からの法指定の問題もございますし、これを中心に進めておるのでございますが、先ほどから申し上げておりますように、こういうふうに集中しておりました場合には、全体として立体交差にしてしまったほうが国鉄としても非常に便利でございますが、何分にも相当の建設費がかかりますので、そういう点につきましては、先ほど総裁から申し上げましたように、十分の検討をして、できるだけ早くそういう線で進めるようにいたしたいと思います。
  253. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 常務ちょっと。こう言っているのですよ。私の言っていることはそんなことを聞いているのじゃないので、一種の手動踏切の電動化を進めているわけです。その関係で四十年度の計画に対するただいままでの実績はどうなっているのか、こういうことなんですよ、この関係。
  254. 川上寿一

    説明員(川上寿一君) これはいまここに数字を持っておりませんので、はっきりお答え申し上げかねますが、踏切の整備につきましては、いまの一種の手動の電動化をすべて毎月全国のものをトレースしておりまして、この二月の初めの委員会の記憶によりますと、全体で七〇数パーセント進んでおりますので、大体年度いっぱいにはできるという報告を受けておりますが、間もなく来月の上旬にもう一回チェックする機会がございますので、その機会にもう一回チェックをいたしたいと思います。
  255. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 十分チェックをやってもらいたいと思います。で資料は必要ありません、私の手元にありますから。簡単に申し上げますと、計画に、対する残数が北海道が十五、東北十四、八、関東がずばぬけて多くて百、中部が三十四、関西が五十九、四国が三、中国が四、西部が三十二、合計二百六十九残数が残っております、十二月末現在では。ですからかなりのものです。いずれいま答えられたように三月末でチェックするということですから、チェックして、少なくも計画を満足に達成するようにやらないと、こういう国会では保安対策が十分だ、国鉄は安全につとめていますと言ったって、国民は信用しない、こういうことになりますから、ただいま答弁されたような完全なこの点実施をしてもらいたい。  それから先ほどの橋梁あるいは築堤——主として橋梁の前後にあるのですね。もとより橋梁があるから築堤もあるわけですけれども、そういうものははなはだ見通しの悪い所がありますね。そういう所は明らかにどんなしろうとが考えてみたって、今日のような自動車の交通量も含めてたいへん交通が多くなってまいりますれば、重大な事故を誘発する要因がそこに存在をしておるわけですよ。こういうものについては、私は来年度の計画はもとよりあるわけですけれども、特にそういうものについては四十年度中に重点的に踏切の問題だけは解消していかないと、結果的には、ずいぶん世論では運賃値上げについては反対したけれども、国鉄はそういう問題を改善する、こう言って運賃値上げ強行をやったじゃないか、やったが、結果的にはちっともやっていないじゃないか、こういう批判のそしりを免れないと思うのですよ。ですからこういう点は答弁は要りませんから、重点的にやっていただき、その他の問題につきましては、木村委員が質問いたしましたから、私は終わりたいと思います。
  256. 大倉精一

    ○大倉精一君 せっかくの機会ですから、簡単に一言保安について質問します。  いままでの国鉄の金の使い方を見ておりますると、目に見えぬところには金をつぎ込まぬという傾向があるような気がするのです。ところが、この目に見えぬところで働いておる人、こういう人によって国鉄というものは運行されるのです。どんなに機械化されても、やっぱり人間がやるわけですね。特に人間のほうは歩いて自分で乗っていきますけれども、荷物のほうは乗せてもらわぬと、自分では乗れないのです。さらにまた国鉄の工場の中に行きまするというと、非常に危険な状態国鉄の工場があります。たとえば大井の工場は、何かいま改良されているようですけれども、そのほかにもそういう工場もあるのですね。こういうところにも、国鉄としては今度は目を向けて金を使ってもらいたい。さらにまたホームにおきましても、非常に暗いところで作業をしておる。たとえば大阪なんかにまいりますというと、絵符も読めないですね。絵符も読めないですけれども経費の節約でもって電気はつけてくれない。業者がつけようと思うと、国鉄の施設の中にかってにそういうものをつけてもらっちゃ困るというのですね。こういうことは一例ですけれども、そういう例がやっぱりたくさんあると思うのですね。ですから、たとえば秋葉原にまいりますと、やっぱり明治何年かの駅で、馬車の通りのようなあれになっておる。こういう点についても今度の計画の中に入れていただいて、そうしてそういう人の保安ということも考慮に入れてもらわなければならぬと思うのです。そういう計画があるかないか。あるいは全国でホームなりあるいは工場なり、修理改良しなければならぬ個所が何カ所あるか。国鉄のそういう費用はどのくらい計上しておるか。これはわかっておったら知らしてもらいたいが、でなければ方針だけ聞かしていただきたい。こういうものはあらためて資料として出していただきたい。
  257. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いま御指摘の問題は、私のほうでも今度の計画を始めますのに非常に問題とした点でございます。いままで確かにそういうところに対する心配りが低かったと思います。それで部内に委員会をつくりまして、いわゆる作業環境、それから職場環境、こういう環境整備がやはり事故の防止の根本であると、おそまきながら気がつきまして、ことし、とりあえず三十億だけ職場環境整備費ということで使ってみよということで、現地にいまおっしゃったような、こまかいことであまり気がつかない問題にいろいろ使わしているわけでございます。なお、事柄を大きく分けまして、いまの作業環境、先生のおっしゃった照明の問題とか、工場の作業環境、それから職場環境、もう少し小さくは、雨にぬれるとか、ぬれたものがかわかないとか、こういう職場環境、それから大きくは寮とか宿舎とか、こういう生活環境の問題、この三つを問題として実は四十年度から取り上げまして、職場環境改善委員会というものをつくりまして、私が委員長になって、やっと四十年度から発足することができまして、できれば今後毎年三十億ないし五十億の金を使ってやってみたい、このように思っております。ことしは初めてでございますので、どういうところに使ったか、まだはっきり実績で出ておりませんが、いま先生のおっしゃったような方針で、ことしからやっとおそまきながら手をつけたということであります。
  258. 岡三郎

    ○岡三郎君 委員長、議事進行について。  いままだ相澤委員の質疑が続行されておる途中ですが、三日間連続委員会をやっておられるし、特にきょうは土曜日でもありますので、質疑は一応きょうはこの程度でとどめていただいて、二十八日の公聴会終了後、質疑を続行していただきたいというふうに思います。
  259. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまの……。
  260. 相澤重明

    ○相澤重明君 委員長、それはいいけれども、私の要求があるから、まだ終わるわけにはいかぬ。
  261. 江藤智

    委員長江藤智君) 相澤君。
  262. 相澤重明

    ○相澤重明君 先ほどの踏切道の問題については、わかった。わかったが、運輸大臣はこの法律を出して、そうして国鉄の安全性というものを掲げて、人命尊重を遂行するということになったのだが、これは国鉄のためにやるのですか、それとも公共のためにやるのですか。これはひとつあなたに御答弁いただきたい。
  263. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国民の安全のためと国鉄経営のためにやります。
  264. 相澤重明

    ○相澤重明君 いわゆるこれは単に国鉄だけの問題ではない。そして、それなるがゆえに建設省も自治省も地方自治体も関係をするということですな。当然これは国鉄だけの費用ではなくて、そういう関係者の費用が全部入るのだということなんですね、いままでもこれからもそうだと。それは私はこの運賃値上げをして、そういう人命尊重、国鉄輸送安全ということを考え公共投資をするということになれば、このことは明らかにいわゆる公共投資によって国鉄が負担をする、そのことが全体の中から考えてみて、先ほどの副総裁の言うのは六百億のうちの特にいまは二百億、こういう話だったけれども、私はこのことはやはり政府が持つべきではないか。天坊さんも地方行政の委員長もやったし、吉武さんも大臣をやったけれども、地方自治体は道路を一つつくるについても、国からの金が行ったところで、これはもうたいへんなんですよ。地方自治体の予算というものは圧迫される。こういうことから考えてくると、私は自治体に押しつけるとか、国鉄が持つとか、省の予算とかいうことじゃなくて、これは国全体として持ってやっていいんじゃないか。特に国鉄運賃値上げによってこの点も持たなきゃならぬということは、私は公共負担の名にふさわしくない、こういう意味で、運輸大臣は建設大臣や自治大臣と相談をして、この公共負担のあり方を私は考える余地があるのかないのか、あなたはそういうことを考える気があるのかないのか、ひとつ御答弁を願いたい。
  265. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) いま相澤委員の御意見等も含めまして、今後十分各関係省と協議をいたしまして、善処してまいりたいと思っております。
  266. 相澤重明

    ○相澤重明君 ただ善処するだけではちょっとこれは私は一。いまこの委員会は運賃をきめるのですね。そのきめた運賃がどういうふうに使われるかということが問題なわけですよ。私は、公共負担というものがいわゆる大衆から取り上げた運賃によってまかなわれていく、こういう点については、公共負担という問題は徹底的に議論しなければいかぬ。私はいままでの、きのうおとといの二日間の議論を見ても、きょうの議論でも、まだ政府考えというものは公共負担というものについては徹底していない。何でもお座なりでもって、まあまあ、三方円満にというのがいままでのあり方だ。これでは公共という名に私はふさわしくない。この意味で国鉄等の踏切の立体化あるいは高架の問題、これについては、関係の自治大臣と建設大臣を私は呼んでもらいたい。まずこれを委員長に希望しておきます。  それからその次に、もう岡理事から言われておりますから、私もあと一日質問をもらうことにして、きょうは終わりたいと思うのだが、そこであなたにきょうの問題について一つ聞いておきたい。それは日本万国博覧会がいよいよ開催をされる。この日本万国博覧会の準備について、内閣として、一体運輸省なり国鉄というものはどういう立場で参加をするのですか、これを一つ聞きたい。
  267. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) ただいまの万国博覧会の準備でございますが、運輸省が担当します部面は輸送の問題、あるいは宿泊の問題、こういったもろもろの問題がございますので、正式の準備の委員会の、名称は忘れましたけれども、運輸省も構成員になっております。
  268. 相澤重明

    ○相澤重明君 国鉄はどうなんだ、国鉄は。運輸省だけか。
  269. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) 国鉄は、運輸省が代表をして入っております。
  270. 相澤重明

    ○相澤重明君 この輸送等について、当然この七カ年計画の中にこれは入るわけですね。大阪博覧会は七カ年計画の先に行くわけじゃないですね。そうすると、そのもろもろの予算というものは当然国鉄が負担をしなきゃなりませんね。それはどのくらい計上しておるんですか。
  271. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) 金額については詳細に承知しておりませんが、いまの七カ年計画に盛られております大阪付近の輸送並びに地下鉄の建設、そういったもので若干工事の期間を繰り上げてもらうという問題はあろうかと思いますが、いまの地下鉄計画並びに国鉄計画で十分だと考えます。
  272. 相澤重明

    ○相澤重明君 十分だ。−何が十分だ。大阪博覧会をやるために急がせられるのでしょう。国鉄  本来の七カ年計画でいけばもっと重要な問題もあるでしょう、さっきからいろんなことを言われているように。だとするならば、私はこの大阪博覧会をやるにしても、これは国としてそういう博覧会をやるのなら、博覧会の費用はそのほうから捻出してもらうというのが一この国民運賃のその中からまた万国博覧会を開くのにそのほうへも金をつぎ込む、早めていく、ときには借金をしたその利子まで負担をしなければならぬ、こういうことになると思うので、これは運輸大臣ひとつ検討してもらいたい。  それからいまひとつあなたに聞いておきたいのは、けさのテレビで、この万国博覧会を開催をするについてPRをしなければならぬ、宣伝をしなければならぬ。そこで専売公社は民間の会社からお金を出してもらって、たばこのケースは工場の名入りのケースをつくる。郵政省は記念郵便切手を発行をする。国鉄については掲示板を利用させてもらう。こういうテレビがあった。私は全部を聞いておらぬけれども、運輸省が関係をしているというのなら、運輸省はこの問題について国鉄のこの掲示板を使うことについて了承したのかどうか。したとするならば幾らの金額なのか、そのことを一つ聞きたい。
  273. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) けさのテレビは聞いておりませんが、ただいまのお話私が承知いたしておりますのは、それぞれ金が要りますので、金の捻出方法といたしまして、その広告から入ります収入の一部をその準備委員会のほうに寄付をする、そういったことで広告というチャンネルが使われるというふうに理解しております。
  274. 相澤重明

    ○相澤重明君 私はきのうもおとといも、石田総裁が六十億くらいは日の丸の国鉄じゃ大したことない、こう言ったことと率直につながっていると思うのですよ。合理化をするとか、できるだけ節約しますとか、そう言っている口の舌の根のかわかないうちに、すでにそういう広告料は協力をして出しますとは何事だ。国鉄当局に聞くが、国鉄は年間広告収入は幾らなんですか。
  275. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 年間の広告収入は二十五億でございます。
  276. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は運賃値上げ幅がいわゆる二一五%が高い安いという議論よりも、一銭でもむだ金は使いたくないというのがやはり国会の審議の対象ですよ。そういうことを国鉄にやってもらいたいというのが国民の願いですよ。それを国民の代表として国会議員は審議をしているわけだ。だからこれは与党は与党の立場、野党は野党の立場はそれぞれあっても、やっぱり理屈が通らなければこの支出という問題については、あとで問題を残すわけだ。だから私はこのいまの広告料、まあ二十五億年間の収入というのはこれはいい、それはそれでいい。しかし、雑収入といえどもふやすことを努力するのは、私は国鉄経営の任に当たっておる首脳部の皆さんの立場だと思う。五十億六十億というものは、あんなものは大世帯だから簡単につまみ食いできるのだという考え方は絶対に許すことはできない。そういう意味からいって、私は協力することはけっこうだが、協力のしかたが、国鉄が何でもただでサービスしなければいかぬ、国鉄があげた金をただそれを出さなければいかぬということが私は協力ではないと思う。国鉄の今日の財政窮乏から考えれば、運賃値上げしなければいけないところまで追い詰められておるところからいえば、私は一銭でもそういうむだ金を使ってはいけない、こういうことに思うので、これは運輸大臣に、私はこれはよくわからんから、まだ万国博覧会の石坂会長がどういう準備をして、国鉄に幾らの負担金をかけるか、どういうことをやらせるということも聞いてないし、あなたからも聞いてないからわからんが、たとえばけさのテレビのような話が出て、これだけの運賃問題で議論をして、公共負担というものは、当然私は国民のこの利用者に肩がわりすべきではないというわれわれの立場の主張であるにもかかわらず、そういう問題が簡単にそういう関係者から出されるということは、これは許すことはできない。こういう意味で、あなたによく調べてもらって、しかも、あなたが参加をされているという先ほどの官房長の答弁なんだから、運輸大臣が、運輸省が代表して入っているのなら、国鉄の立場として、それだけやらしてはいけない、こうしなければいけないということを言って、その結果を報告してもらいたい。あさっての委員会に報告してもらいたい。徹底的に追及しますよ、もしそうならば。郵政省だって郵便切手を売ったって別に寄付するわけじゃない、全部を。ましてや専売公社はたばこをつくり、そのたばこのケースは民間の名入りだ、これはただというのではないんですよ。その金はやはり民間の会社から取るんですよ。そういうことから考えていけば、何も国鉄が幾ら駅の中に掲示板があろうと、電車の中につり革があろうと、それをただということは私は許すわけにいかぬ。こういうふうに思うので、とにかく運輸大臣が参加をしていないというなら別の問題だったが、運輸省が参加をしているということになると、私はその責任を究明をしたくなる。しかし、私はまだわからんから、私の言うことが、これはそうじゃなかったということになれば幸いなんだよ。これは運輸大臣にとくと調べてもらって、次回に報告をしてもらう、こういうことで、きょうのところはあとの質問は保留をしておきます。
  277. 江藤智

    委員長江藤智君) 先ほどの岡委員の御提案に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 江藤智

    委員長江藤智君) 御異議ないと認めます。次回は二月二十八日午前十時より運輸委員会公聴会を開会し、公聴会散会後運輸委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十八分散会