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1966-02-25 第51回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十五日(金曜日)    午前十時五十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 岡  三郎君                 吉田忠三郎君     委 員                 木村 睦男君                 谷口 慶吉君                 天坊 裕彦君                 中津井 真君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 吉武 恵市君                 相澤 重明君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 浅井  亨君                 中村 正雄君                 岩間 正男君    衆議院議員        発 議 者    久保 三郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        運 輸 大 臣  中村 寅太君        建 設 大 臣  瀬戸山三男君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        大蔵省主計局長  谷村  裕君        大蔵省主計局次        長        武藤謙二郎君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省鉄道監督        局長       堀  武夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  原山 亮三君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君        日本国有鉄道常        務理事      豊原廉次郎君        日本国有鉄道常        務理事      今村 義夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道整備緊急措置法案衆議院送付、  予備審査) ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  日本国有鉄道整備緊急措置法案議題といたします。  提出者から提案理由説明を聴取いたします。衆議院議員久保三郎君。
  3. 久保三郎

    衆議院議員久保三郎君) ただいま議題となりました日本国有鉄道整備緊急措置法案について、提案理由並びにその内容について御説明申し上げます。   〔委員長退席理事金丸冨夫着席〕  日本国有鉄道が、御案内のとおり、今年度より長期七カ年計画、これを樹立して、今日その仕事をやっておるわけでありますが、国鉄は、三十二年、三十六年、二回にわたってそれぞれ五カ年計画を策定し、その改良に尽力してまいったのでありますが、いずれも中途でその計画が挫折いたしております。この挫折した原因については、御承知のように、言うならば、一つにはその五カ年計画そのもの政府においてオーソライズされていなかったということであります。もう一つ原因は、そういうことでございますので、その裏づけとなるべき予算措置、いわゆる資金計画についても、毎年、年度年度予算措置、そういうもので、そのときの事情によって計画とは関係なく左右されてまいりました。そういう二つの大きな理由のもとに、三十二年から始まった第一次五カ年計画、三十六年から始まった第二次五カ年計画は、言うならば計画中途で修正を余儀なくされた。かてて加えて、この二回にわたる五カ年計画も、主たる財源はやはり運賃値上げということで、運賃値上げに大半の期待を持たせたわけであります。ところが、運賃値上げには限度がございますし、工事内容についても、それぞれ計画当初はそれでいいにしても、二、三年を経過いたしますれば、当然のごとく、賃金あるいは諸物価、こういうものの値上がりのために、実は計画計画どおり実行できなかった。さらにもう一つは、日本経済復興のテンポが速かったために、このそれぞれの五カ年計画も実は実情に合わないほど小さい計画になったわけであります。それでありますから、当然長期計画として今年度よりすべり出した七カ年計画は、これら第一次、第二次五カ年計画反省検討の上に立ってやらなければなかなか所期目的は達成できないだろうと思うのであります。  そういうことで、私どもといたしましては、ただいま議題となりました日本国有鉄道整備緊急措置法案なるものを提出したわけでありまして、一つには、いま申し上げたような政府責任においてこの長期計画をオーソライズする。もっとことばをかえて言うならば、道路港湾空港、こういうものに準じて計画をオーソライズしていこう。さらにもう一つは、資金についても、先ほど指摘したとおりでありますので、少なくともこの長期計画工事費の約三分の一程度政府出資に待とう。そうして、かたがた運賃値上げを押えて、現在の物価高騰の情勢に拍車をかけるようなことはこの際慎んでいこうというような意味で立てたわけであります。  そこで、この案に対して、ともすれば、国家資金国有鉄道に出すことは、これは利用者負担原則からはずれるものであるというようなことを、政府側等においても強く申し述べる方面がありますが、当委員会においてもたびたびの御論議があったとおり、いわゆる国鉄の経営を圧迫している一つの大きな問題は、何といっても公共負担の問題でありましょう。公共負担について、それをどうするかということには、学者間においても両論ございまして、これをしさいにぴたりと、こうである、こうすべきであるという結論はいまだつけておられないと思うのでありますが、少なくともいままでの国鉄のあり方を見るならば、これからは別として、少なくともこれまでの実態から見まして、やはり公共負担について、ここで論争があったような点を再び考えねばならぬと私は思うのであります。特に公共負担は年間、現在で八百億以上、近く一千億以上にもなろう、こういうことなんでありまして、本会議でも申し述べたとおり、たとえば、文教政策上当然でありますが、学生生徒の足代、運賃を安くして勉学に便宜を供与することは、国家政策として当然だと思うのであります。あるいは農林水産物資に特別な運賃割引をしていくこと自体も、この農民やあるいは漁民の実態からいって、国家政策として当然かかる運賃割引が必要であるし、あるいは米の、農林水産物資流通機構の改善とともに、やはり低運賃によって価格高騰を押えるということは、国民生活安定上必要なことであります。卑近な例としましては、また産業政策として、石炭の価格を押えていくという場合、ある程度この運賃についても配慮することが当然であります。しかし、これは言うまでもなく、国家政策として当然のごとく必要なんでありまして、決して国有鉄道責任国有鉄道の機能をもってこの政策を行なうべき筋合いのものではございません。しかも、国鉄独立採算制というワク内で今日運営をすることになっておりますから、こういう政策国有鉄道にいまのありさまで強要することは、少しく的がはずれているのではなかろうか。と申し上げますのは、御論議があったように、そういうことを押しつけるのは、政府政策を特定のいわゆる鉄道利用者にその負担を押しつけるというようなことは、決して政治でも何でもないとわれわれは考えるのであります。そういう意味から言っても、一つには、公共負担に大体見合う程度の、一千億程度の金は、これを現在の、たとえば通勤輸送、あるいは踏切道改良、あるいは保安対策、こういうものに出すことは当然ではなかろうか、こういうふうに考えているわけであります。そういう意味で、われわれの大体の整備事業の規模といたしましては、第一次五カ年計画、第二次五カ年計画ともに一兆六千五百億、十カ年で三兆三千億というようなことで、政府出資はその三分の一、こういうふうにすることが妥当ではないか、かように考えているわけであります。  法案内容でありますが、御承知のように、いままで申し述べた線に従って、一つには幹線輸送力増強通勤輸送緩和等に必要な線路増設車両整備輸送近代化及び今日国鉄に強く要求されております安全輸送のための保安施設整備、こういうものを鉄道施設整備事業といたしまして、いままで国鉄が第一次五カ年計画以来とってきましたところの輸送力増強保安対策計画、こういうものを踏襲、発展させようとするものであります。  第二は、これらの整備事業は、昭和四十一年度を初年度として、先ほど申し上げたように、十カ年間に所期目的を達成しようとするものでありまして、これを二期に分け、国鉄昭和四十一年度を初年度とする第一期五カ年計画、さらには四十六年度を初年度とする第二期五カ年計画、それぞれについて計画を立てまして、これを運輸大臣に申請し、運輸大臣はこの計画について閣議の決定を求めるようにしよう。そうしまするというと、先ほど申し上げたように、この整備事業政府によって承認され、政府計画完遂責任を持つ体制とすることになるわけであります。  第三は、整備事業についての財源措置についてでありますが、先ほど来申し上げたように、所要経費の三分の一を政府出資にしようということであります。   〔理事金丸冨夫退席委員長着席〕  さらに、内容としましては以上申し上げたとおりでありますが、先般も申し上げたとおり、本計画を実施する場合には二つの点にまず留意をしてもらわねばなりません。これも、もしわれわれの提案どおりいかぬ場合、現在のような形で政府並びに国鉄がやっておる国鉄長期七カ年計画、こういうものも二兆九千七百二十億で実はやるということであります。すでにすべり出しておりますが、やはりこれから申し上げる二点について十分に注意というか施策がなければ、いずれにしてもこれは完全でなかろう、かように考えておるわけでありますが、少なくとも私どもの策定した計画を実施する場合には、次の二点についてぜひ御留意をいただきたい、こういうことであります。  その一つは、本法案による国鉄整備目的は、国鉄をして国民経済上その使命を忠実に実行させるためのものでありますから、前に申したとおり、採算利潤のより得られるための投資に偏した方針は、これは強く反省しなければなりません。利潤を生まない保安対策拡充あるいは通勤輸送緩和等はこの計画では最も優先して実施すべき事業でありまして、そのためにこそ三分の一の経費政府出資にするということでございます。  二つ目には、この国鉄投資不足の回復と経済成長についてであります。高度成長政策は幾つかの矛盾問題点を露呈してまいりましたが、その中でも社会資本公共投資の立ちおくれからくるアンバランスが実ははなはだしくなっておるわけであります。これは一般的な国民大衆からのこれもそうでありますが、特に資本の側からも社会資本拡充が要求されております。こういうような状態になったことに対する反省検討が、これは経済全体に対して必要でありますが、私ども提案しておる計画を実行する場合にも当然必要なことでありまして、いままでそういうことを反省もなくやる場合には、本計画民間企業の無政府的な設備投資のしりぬぐい、そういうあとを追いかけていくというような立場から実施されるというならば、この計画によるところの投資にいたしましても、さらに新しい矛盾が生み出される、そうしてとどまるところを知らなくなるだろう、こういうふうに思います。そういうことではとうてい国民的要求は満たされないことになりますので、この無政府的な設備投資をコントロールする、そういう中で本計画が実施される必要があるわけであります。また、交通全体の問題でありますが、国鉄を含むところの総合的交通体系の確立が数年来強く各方面から要望されておるにもかかわらず、政府自体においてはいまだ、具体的な交通体系総合政策というか、そういうものが立っておらないままに、国鉄国鉄改良計画私鉄私鉄改良計画高速道路高速道路拡充空港を中心にした航空事業航空事業海運海運というようなことで、実はばらばらなセクションの中での矛盾の解決に狂奔している姿でありまして、これは決してわれわれのとらざるところでありますので、ぜひ本計画を実施する場合においては総合的な交通体系が確立されるよう、そうしてそのおのおのの分野とそういうものの方向がきちっときまって、その上に立って本計画が実施される必要があると思うわけであります。  私ども考えている二、三をつけ加えて以上申し上げて、提案理由、御説明にかえる次第であります。     —————————————
  4. 江藤智

    委員長江藤智君) 本案につきましては、本日はこの程度といたします。
  5. 江藤智

    委員長江藤智君) 次に、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑を行ないます。順次御質疑のおありの方は御発言願います。
  6. 前田佳都男

    前田佳都男君 最初に、運輸大臣にちょっとお伺いしたいのですが、この運賃改正法案ができるまでには、政府も相当慎重に検討をされたと思うのであります。ことにこの国鉄基本問題懇談会という懇談会がつくられまして、この懇談会には各界のベテランが網羅されている非常にりっぱなメンバーであると思うのであります。この国鉄基本問題懇談会は、三十九年の五月の七日から二十一回にわたり会議を開き、そうして十一月にその意見書答申された。長期計画あるいは基本計画等につきまして基本問題について答申をされているこの意見書をずっと読みましても、この意見書は今度の法案にまあ一〇〇%反映されているとも思えないのでありますが相当私は尊重はされたと思うのであります。その点について、意見書とこの法案関係について運輸大臣の感触と申しましょうかそれをまず最初にお伺いをいたしたいと思うのでございます。
  7. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄基本問題懇談会意見は、政府といたしましても十分尊重して、できるだけこの線に沿っているものでございます。ただこれは一〇〇%その意見書のすべてを盛り込めなかったというきらいは。必ずしもないとは言えないのでございまして、たとえて申しますと、資金構成等におきましては、財政投融資をできるだけ政府はやるという点、これは昨年に比べましては、ことしは相当その意向を盛り込んでふやしているわけでございます。  あるいはそのほか政府出資という点にも懇談会では触れておるのでございますが、これは懇談会等意見にもありますように、国鉄期待しているような政府出資というものがすぐ実施できないような事情もあるが、これは将来の問題として検討を要するというような点等につきましては、今回は政府のほうでも国家財政事情等から考えまして完全に沿い得なかったと、これは正直に申し上げますが、しかし将来はこれはやはり将来の問題として公共負担等との関連もございますので、将来の問題として検討してまいりたいと、かように考えているところでございます。  それから懇談会意見等にもありますように、運賃収入によっていわゆる自己資本の強化をはか 改定是正案になったわけでございますが、この是正案内容に至りましても、基本問題懇談会意見等も十分尊重いたしまして、国民大衆生活に大きな影響のあるようなものにつきましては、できるだけ配慮いたしまして、あるいは通勤通学等人たち生活実態ともにらみ合わせて、これにも、負担増になるべくならないようにというようないろいろの配慮をいたしまして、今回の計画となっておるものでございまして、政府といたしましては基本問題懇談会答申による御意見は、まあ一〇〇%とは言えませんけれども、十分尊重してできておると考えております。
  8. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいま大臣から、今度の法案答申意見書関係につきまして率直な御意見を拝聴したのでありますが、ことに、ただいまもお触れになりましたけれども、この答申のうちで資金調達の面、このうちで政府出資あるいはこれにかわるべき負担金という点については、確かに大臣の御答弁のような点があると思うのであります。この問題はあとで触れることにいたしますが、運賃改定については、相当尊重はされた、ただ、財政投融資増加という点についても、おそらく相当尊重されておると思うのでありますが、どういうふうに尊重されておるか、具体的にその数字といいましょうか、それをひとつお聞かせをいただきたい。事務当局からでけっこうであります。
  9. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 財投の額は、昨年、四十年度の当初予算は、たしか千六百億でございました。ことしは千八百五十億と、こういう線にふやしておるわけであります。
  10. 前田佳都男

    前田佳都男君 この国鉄財政投融資に対する額は、日本の国全体の財政投融資の約何%に当たっておりますか。
  11. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員から答えさせます。
  12. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 財政投融資総額は約二兆でございますので、千八百五十億でございますから一割少し欠けるかと思います。
  13. 前田佳都男

    前田佳都男君 これは、財政投融資だけじゃないのですが、大体国鉄に対する投資というものが、港湾投資であるとかあるいは道路投資に比較してどうも少ない、増加比率が非常に少ない。もちろん道路は過去において悪かったという面もあるのですが、その点について御意見どうですか。
  14. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 前田委員の御意見もありますが、政府といたしましては、国鉄に対して、国鉄事業全体を十分に前進させていきますために、国鉄自体にいろいろ財投をふやしたというようなものもございますが、これは必ずしも私らの期待に沿い得なかったものでございますけれども、これもまあ私の微力と考えますので、お許し願いたいと思いますが、しかし、そのほか国鉄関連のある鉄道建設公団事業分量は、御承知のように五百億をもってこれに充てるというような形で、あらゆる面でできるだけ国鉄事業がスムーズに運営され、第三次長期計画が完全に実施されていきますように、政府といたしましてもできるだけの配慮をいたしたつもりでございます。
  15. 前田佳都男

    前田佳都男君 財政投融資についても相当考慮されたということはわかるのですが、ところが、この財政投融資は年々歳々と申しましょうか、そのときの財政事情金融事情によりまして、必ずしもこれは当てにならぬ、ことしはどうも原資は少のうございますというわけでぶった切られるおそれがあり、減されるおそれもあるわけであります。その結果、財政投融資の圧縮のその影響というものを大体利用債縁故債にしわ寄せされるおそれがある。今度の第三次長期計画のうちで、外部資金、その外部資金のうちで利用債縁故債というものが、どの程度比率をお考えになっておりますか、考えておりませんか、その点をちょっとひとつ。
  16. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄当局からひとつお答えさせます。
  17. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 資金計画具体的内容でございますので、私から御答弁いたします。  ただいま前田先生の御質問にございましたとおり、やはり財投不足分と申しますか、足りない分を、今までは利用債並びに縁故債にたよっておりましたが、昭和四十年度から、御承知のとおり、あらためて予算に計上していただきまして、特別債というものもふやしたのであります。ただいまの御質問は、主として利用債の御質問かと存じますが、一応利用債は御承知のとおり工事受益者と申しますか、地方公共団体あるいは地方公共団体等が入っております地方団体に引き受けていただいておるわけでございます。いままで昭和二十九年度からこれは発行いたしております。年によって非常に違っておりますが、ことしの予算は、利用債縁故債を合わせまして二百八十億を計上いたしております。縁故債は主として国鉄共済組合が引き受けておりまするので、これは百億ぐらいが限度でございます。利用債は四十一年度が百八十億、四十年度は百五十億でございます。したがいまして、大体資金計画から申しますと、百五十億前後のものを利用債にお願いしたいとは思っておりますけれども、これはいま申しましたとおり工事内容関連もございますし、また最近の地方公共団体のいろいろ財政事情等もございまして、多少引き受け方がにぶりつつあるようにも私恩っておりますので、これは毎年毎年の自治省等の御意見も伺いまして、いままでのように非常に急速にふやすということはむずかしくなってきたんじゃないか。現在時点の、四十年度末の利用債発行総額が八百十一億でございます。縁故債が四百七十七億でございますが、八百十一億が今後どのくらいまでふやせますか。私どもといたしましては、百五十億ぐらいのものは毎年ぜひ計上いたしたいというふうに思っておりますので、全体の資金ワクから申しますれば、たとえば四十一年度で申しますと、四千四百億のうちの百八十億でございますから約五%弱、約四%くらいというふうに思っております。しかし、だんだん利用債のウェートは減ってこざるを得ないのじゃないかというふうにも思っております。
  18. 前田佳都男

    前田佳都男君 財政投融資がとにかく不足するというか、足らないということは、結局利用債にしわ寄せされるのだ。大蔵大臣はきょうはおりませんけれども大蔵省考え方でも、財政投融資不足は大体お前たち利用者でまかないなさいと、そういうアイデア、どうもそういう考え方が安易に行なわれておると私は思うのです。便益を受ける地域複線にしてもらう地域あるいは公共団体、そこのところの利用者が引き受けるということは当然であるというふうなアイデア、そういう考え方は私は間違っておると思うのです。その考え方はいけないと思う。現在の利用債というものが地方財政、ことに今度は地方債をよけい発行して実に苦しいのです。これを圧迫しておると私は思うのですが、これは大蔵大臣にその答弁を求めたいのですが、この点について、国鉄利用債というものがどんどんと安易に考えられて——安易とは国鉄はそう思っていないでしょう。だけれども、その便益を受ける以上は当然利用債は持ってもらいたいというふうな考え方が、相当地方財政というものを圧迫しているように思う。この点について、国鉄当局はどういうふうにお考えになっておるか。
  19. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いままで利用債でやってまいりました工事は、非常に種類が多いのでございますが、一番金額的に大きいのはやはり電化でございます。それから電化の次が車両——ちょっといま金額ははっきりここへ持っておりませんが、電化車両それから駅舎等でございます。こういったもののほかに、一時は複線化というものも持ってもらったわけでございますが、これらの内容の中で純粋にその地方受益になるものと、それからその地方だけでなしに、さらに奥地なり先のほうの受益になるものといろいろ種類がございます。いままでは全般的に電化にいたしましても複線化にいたしましても、非常に地方で持っていただいたのでございますが、だんだん地方財政の問題もありましてむずかしくなると同時に、やはりなるべくその地方地方受益に直接関係のあるものにしてくれ、という地方からの御要望も非常に強いわけでございまして、私ども実際利用債を発行いたします際に地方と御折衝申し上げましても、数年前のように簡単にお引き受けくださるという例がだんだん少なくなってまいりまして、実際には発行が多少むずかしくなっているのは事実でございます。昨年からいろいろこれらの点も考えまして、たとえば幹線についての電化あるいは複線化等につきましては、利用債でなくて利子の高い特別債の、これは七分三厘でございまして、これならば大体応募者利回りが七分四厘六毛になりますので、これはいまの金融情勢からいけば引き受けられるということで、むしろすぐ右から左へ証券会社等に処分しておられるようでございますが、こういった幹線の電化複線化等につきまして、いわゆる直接にその地元だけが受益しないという工事は、こちらに振りかえているということも実はいたしております。それからもう一つ利用債自身は御承知のとおり六分七厘の低利、応募者利回り六分七厘八毛で、公債等から見れば必ずしも有利でないというふうなことと、それからもう一つは、これは縁故募集でございますので、日銀の担保適格債になっておりませんので、結局、地方銀行に焦げついてしまうということもございまして、いろいろ地方銀行のほうからも、ぜひ日銀の担保適格債にしてくれというふうなお話もございます。これは一方、財政金融のほうからは、非公募債だから担保適格債にすることはできないというお話もございまして、だんだん将来の問題といたしましては、発行内容がその土地の直接の受益に限るような問題に限定されてこざるを得ないというふうに思っております。しかし、たとえば車両などになりますと、準急をふやすとかいうことになって、直接その土地に繁栄をもたらすということもありますので、現在各地で利用債を持ってやろうというお話はまだ相当実はございますし、すでに町村議会の議決等を経ていろいろ協力を惜しまないということを言ってくださるところもございますが、将来的に見ますと、非常に六分七厘の利子ではむずかしくなっていくというふうに考えております。
  20. 江藤智

    委員長江藤智君) 前田君、関連が実は二つ出ているのですが、いいですか。
  21. 前田佳都男

    前田佳都男君 もうちょっと。  副総裁の御答弁はよくわかりましたが、利用地域としてはとにかく駅舎をつくってほしい、複線にしてほしいという要望が非常に熾烈なんですね。ところがその熾烈な要望に対して、ただし条件があるのだ、利用債をどの程度引き受けるのだ、しかもその額が地方財政というものをあまり考慮しないで相当ばく大な額が言われる。とにかく利用者としては何とか複線にしてもらいたい、駅舎をつくってもらいたい、熱意があるものですから、何としてでも無理をしなければならぬ、非常に苦しいのだ、これはどうしようかというので、非常に四苦八苦しているのが現状なんです。いまの副総裁のお話しのように、利用債を引き受けていく対象についてのお話がありましたが、多一少その点は整理して考えてもいいというお考えのようでしたが、大体利用債というものは、工事費の何パーセントくらいというものを利用債で持ってもらうかというふうなことを、およそのめどというものがあるのでしょうか、どうでしょうか。それとも相手は貧乏県であろうが富裕県であろうが、そういうところは一律にとにかく利用債を持ってもらわなければ、ちょっと施設の拡充ということはできにくいのでございますと——金持ちの県は非常に楽なんですけれども、その点をどういうふうにお考えになっておるか、ちょっとひとつ。
  22. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 全体として資金需要の中で、どの程度利用債にお願いすべきかということは、なかなか理論上は出てこないことだと思いますが、私どものほうといたしますと、総体の二兆九千七百二十億の中には、たとえば駅舎の改良などは、ほとんど入っていないわけでございます。ところが、町としては付近を合併した、あるいは非常に駅舎が汚いというようなことで、ぜひ駅舎を直したいというお話等もございます。こういったものはわりあいにスムーズにいくわけでございます。また、駅前広場を舗装するとかいう問題なども、わりあい簡単でございますが、ただやはり筋から申しますと、輸送力増強電化この一二つがやはり一番大きな問題になっております。あとは実績からいいましても、金額的に見ましても、それほど大きな問題ではございません。全体の半分以上が電化複線化ということになっておりますが、将来これらにつきましては利用債と、それから何と申しますか、さっき申し上げた特別債そういうふうに振り分けていくという問題になった場合、ただ私どものほうからいたしますと、利子負担がだいぶ違ってまいりますので、地元のほうに工事内容によりまして、また地元の府県の財力等の問題もございます。ことに最近非常に問題になっておりますのは、各都市の高架化の問題でございます。初めはたとえば静岡、京都とか札幌とか大都市ばかりでございましたが、最近はほとんど人口十万前後の地方の中小都市に、非常に高架化のお話がございます。これらは全くと申しますか、いまの国鉄の二兆九千億の予算の中ではまかない切れない。しかし地方からいえば、たとえば高架にすれば消防自動車が少なくて済むというような問題もいろいろあるようでございます。そういったときには、このくらいおれのほうで出してやるけれどもどうだという話もございます。いままであまりございませんでした市内の鉄道の高架化という問題が、これから相当大きく出てくる問題だと思います。しかしいままでの実績からしますと、やはり複線化電化というものが主でございます。具体的な例を申し上げますならば、必ずしも適切ではないと存じますが、たとえば現在問題になっております広島県の呉線あるいは兵庫県の赤穂線というところにつきましては、具体的に全額利用債を持ってやるからぜひ電化しろ、こういうふうなお話などもございまして、いま先生のお話のように、地域地域によりまして、非常に県あるいは市町村の財政状態もあるかと存じますが、一律になかなか申し上げにくい点があるわけでございます。ただ将来の問題としましては、あまりこの利用債に大きなウエートをかけることは、非常にむずかしくなってくるというふうに考えております。
  23. 前田佳都男

    前田佳都男君 いまの副総裁のお話はよくわかりましたが、とにかく利用債を全額負担してやる  からおれのほうを先にやってくれ、お前のほうは利用債負担しないからあとにやる、というようにあまりけじめをつけないようにお願いしたい。貧乏県はあととか——必要性のあるところもあるわけですから、金を出したところは先にやってやろうというふうな考え方で、あまり現場を熱心にドライブされないようにひとつお願いをしたい。  それからこの利用債関連しまして自治省と国鉄の間で、鉄道利用債についての何か申し合わせみたいなものがあるということが、各都道府県に流れておるのですが、この申し合わせばとにかく鉄道利用債というものが地方財政を圧迫しないように、というふうな申し合せだと思うのであります。このうちで、この申し合せは四十年の六月三十日に自治省の財政局長国鉄局長との間で調印されておりますが、この申し合わせに、国鉄昭和四十一年度以降この債券の発行を予定していないということを書いてある。これと現在のお考えとの関連というものは、それはどういうものであるかということをお聞きしたい。
  24. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいまの御質問の第一の点でございますが、利用債を持ってもらったほうから優先的にやるというような点につきましては、私どもといたしましてはそういう考え方でなしに、ただ駅舎の改築というようなものにつきましては、これはやむを得ないと思うのでございます。主として一番問題の電化とか複線化につきましては、すでに御説明いたしました設備投資計画の中に大体の骨子をきめておりますので、この骨子によりまして実施していくという一つの順位がございますので、すでにほとんど主要線区は全部着手いたしましたので、あとはほんのローカル線区につきましては利用債を持ったところをやるということになりますが、そうでないところにつきましては、あくまでも設備投資計画の全般の規模の進め方の一環としてやってまいりたい、こういうふうに思っておりますので、その点は重ね重ね注意してまいりたいと思います。  それから第二番目の問題でございますが、ただいまお示しの昨年の六月の自治省との約束は、実は昨年度予算のときに御説明いたしましたが、昨年四十年度の資金不足をカバーいたしますために、初めてさっき申しました特別債券というものを発行することになった。その特別債券を発行いたします際に、そのうち昨年は補正予算を入れまして千二百億でありますが、その特別債券が大体三つでございまして、そのうちの一つがさつき申しました都道府県にお願いするという分でございます。いまこれは大体二百億でございますが、これはさっき申しました七分三厘の利子のほう、これを出します際に、自治省が非常に心配されまして、大蔵省が中に入りまして、それじゃことしはこういう資金不足をこういう特別債券で補なうのはやむを得ない、ことしは引き受けよう。しかし地方財政関係からいって、明年度以降はお断わりするということで、そういうことになったのであります。ことしの予算で計上しております約六百億近いものは、都道府県にはなるべくお願いしないという方針でまいりたいと思いますが、もう少し大蔵省と具体的に年度に入りましてから発行状況、あるいは国債の消化状況等もございますので、それらと見合った上で処理してまいりたい。したがいまして、いま先生のお読み上げになりました両局長の申し合わせば、いわゆる利用債についての申し合わせじゃなくて、地方公共団体負担特別債についての申し合わせであります。
  25. 前田佳都男

    前田佳都男君 わかりました。ところが、この申し合わせの中に、「今後利用債についても工事内容によって発行条件を改訂するよう努める」とありますが、この発行条件の改訂というのは、どういうことですか。
  26. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) この発行条件と申しますのは、工事内容一つ、それから主として利率の問題並びに日銀の担保適格債の問題であります。実は昨年、日銀の担保適格債に利用債はともかく特別債はしてほしい、せめて特別債だけでも日銀の担保適格債にしてほしいということを、大蔵省、日銀にお願いいたしましたが、どうしてもいかぬというので、衆議院の大蔵委員会に日銀と私のほうが両方呼ばれまして、衆議院の大蔵委員会では、縁故債や非公募債を日銀の担保適格債にするのは必ずしも好ましくないという結論が、実は衆議院の大蔵委員会で出てしまったような形であります。私どものほうとしてはいまの利子の問題——六分七厘をどこまで上げられるか、これは将来の国債消化問題とからんで、大蔵省ともう少し協議しなければならないと思います。いまの日銀の問題のほうは、大蔵省よりもむしろ日銀自体の問題でございます。非公募債を日銀担保適格債にしないという原則はなかなか破れないし、また国会等においての金融関係の御意見では、やはりその線は非常に固く維持しておられるというふうに伺っております。その点はなかなかむずかしいと思います。利率のほうは、もう少し何とか六分七厘ではお気の毒だと思いますので、私のほうの利子負担考えつつ、将来の問題として大蔵省と一いろいろ相談してまいりたいと思っております。
  27. 前田佳都男

    前田佳都男君 とにかくいずれにいたしましても、発行条件を改訂してよくしてもらうにしましても、利用債というものは相当地方財政を圧迫することになるのだという点を御認識願って今後発行され、地方にそういうものを割り当てられる場合には、十分自治省とよく相談されて、この覚え書きの趣旨というものをそのまま捨てるというと、ことばが悪いかもしれませんが、十分尊重して今後もやっていただきたい、かように要望いたします。  なお、鉄道基本問題懇談会答申のうちに「運賃制度と公共負担の是正」という項目があるわけ、です。これは旅客から貨物に至るまで不合理な運賃制度、公共負担というものを是正していこう、それが今度の法案となってあらわれたと思うのでありますが、そういう不合理なものを全部切っちまって合理的なものにいたしましたと、合理的なものでも、現在公共負担というものは相当あるわけです。その合理的な公共負担というものは、金額にして幾らあるか。昭和四十一年度の予算で幾ら、合理的な公共負担というものは、金額的にあるのかということをひとつ教えてください。
  28. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) お答えいたします。公共負担の金額でございますが、昭和三十二年の前は一別にいたしまして、昭和三十二年から三十九年までで約五千二百億、四十年においてはこれが九百一億になっておる、そういう状態でございます。
  29. 前田佳都男

    前田佳都男君 四十年度は九百億。四十一年度、今度の運賃改定後、この法案成立後において、いわゆる公共負担というのが残っておるでしょう。それは幾らになるのですか。
  30. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 四十一年度予算、現在提案いたしております予算どおりの収入があるといたしまして、約八百五十億でございます。
  31. 前田佳都男

    前田佳都男君 わかりました。いずれにいたしましても、不合理な公共負担というものをぶった切る、そして合理的なものにする、そのくらいいろいろ考えましても、きのうもいろいろ問答がございましたけれども国鉄というものは、とにかく公共の割引もせにゃいかぬ、もうからぬ線も引っぱらなければいかぬ、不採算線も引っぱらなければいかぬ。とにかく公共負担という十字架を負った私は企業だと思うんです。この十字架に見合う何ものがなければ、ほんとうに公共性とか企業性とか、ていさいのいいことを言ったって、うまくいきっこない。何とかしてこの公共性と企業性というのを調和せなければならぬと思う。それで、ことしは財政の事情等からいろいろむずかしい制約もあったんだろうと思うのでありますが、骨頭にも運輸大臣に御質問いたしましたように、政府出資あるいは負担金というような問題について、きのうもいろいろ話がございましたけれども、そういうふうな面について答申もあったわけでありまして、これを今後どういうふうにこれに取り組んでいくかという点の決意というか、熱意というものを、運輸大臣にお伺いしたい。と同時に、単に政府出資負担金の問題ばかりではなくて、税制の面においても、はたして一般の企業と同じように税というものを国鉄がやはり負担していいものかどうか。租税負担公平の原則というものもございましょう。しかしながら、公共負担という十字架を負った仕事である。その意味において、税制の面においてもはたして均一で、同じようで、パーであっていいものであるかどうか。そういうふうな点、ひとつ運輸大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  32. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) この公共負担の問題は、非常にむずかしい問題でございますが、どこまでが公共負担であるかという、国鉄が当然背負うべき限界というようなものは、むずかしさがあると思いますが、基本問題懇談会意見書の中にもありますように、いろいろ是正の方向に進めていくようにということでございますが、国鉄は、御承知のように、原則として独立採算制のたてまえをとっておるわけでございますので、そのたてまえのワクの中で、やはり公共負担というものを吸収していくという方向で進めていく。その一つのあらわれが、今回の運賃是正ということになっておるということも言えると思うのでございます。さらにいろいろ国鉄があらゆる努力をいたしまして、そうしてやれるだけの全努力をやって、さらにどうにもならないというような事情が起こった場合には、その時点で考えなければならないことだとは考えますが、いまの時点では、私が申し上げましたように、国鉄の企業努力、独立採算制のたてまえ等によって吸収するように努力を続けてまいりたいと思う。  その他の税制等の面におきましては、たとえて申しますと通行税がありますが、これはひとつ私は将来なくす方向で努力をしてまいりたい。それから地方自治体等に固定資産税の対象として納付金制度を持っておりますが、これも国鉄の背負うております一つの公共的な使命、あるいはその中には経営の非常にむずかしくなっていく実情、輸送需要が急激に伸びている。これは何といたしましても、私はここ当分は国鉄輸送力と、それから国民の国鉄期待する輸送需要というものとの間には、やはり非常に大きな力が加わってくると思いますので、そういう点等考え合わせまして、地方公共団体に納めております納付金というようなものは、これをなくす方向で、今後努力をしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  33. 相澤重明

    ○相澤重明君 ちょっと関連して。いま運輸大臣から重大な発言をしたから−…・。いま運輸大臣は、前田君の質問に対して、あなたは、現在の国鉄は企業努力をすれば公共負担ができるという解釈をとっている。しかしどうにもならなくなったときには考えます、こう言った。これはきわめて重大な発言だ。どうにもならなくなったときはどうする、いま一回……。いまのあなたのそれは速記録に残っているのですから、その発言をされたことはきわめて重大ですから、どうにもならないときはどうするのですか。いま一度答えてください。
  34. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、あらゆる努力をいたしまして、国鉄の経営がどうにもならなくなった場合には、たとえて申しますと、いま申しますような減税の面で国鉄負担を軽くしていくとか、あるいは利子負担等の、そういうひとつの方向で検討を進めていく、そういう形で、いわゆる運賃是正によってのみ公共負担というものを消化していくという方法からさらに一歩進めて、何か私は、その時の政府の力というものを、国鉄経営の方面に加えてまいるような方向で検討してまいりたい、かように申しておるのであります。
  35. 前田佳都男

    前田佳都男君 大臣のいまの御答弁もわかりましたけれども、とにかく基本問題懇談会答申というものは、日本国有鉄道のほんとうの行くべき道というか、今後の指針といいましょうか、それについて非常に余すところなく、ほんとうによく書いてあると思う。その意味におきまして、いろいろ現在の財政金融事情とか、国のいろいろな条件もあるだろうと思いますが、今後においても、この法案はこの法案で、現在の時点においてはいいと思います。が、今後において、あらゆる面において国鉄の本質というか、公共負担というものを、そういう十字架を背負った企業であるという点に十分なお考えをいただいて、十分その基本問題懇談会意見書というものを尊重して、今後十分ひとつ御検討いただきたいということを、特に私はお願いをする次第です。
  36. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄基本問題の意見書というものを、これは十分尊重いたします。その線に沿って国鉄の経営を健全化し、国民の期待する輸送機関としての体制を整えてまいるように努力を続けてまいりたいと思います。
  37. 前田佳都男

    前田佳都男君 もう二つほどあります。あと簡単な問題ですが、現在の国鉄運賃は、ほかの国の鉄道運賃に比較しても安い。また、ほかの物価の騰貴に比較いたしましても、国鉄運賃の上がりぐあいが低いのだというふうな御説明も聞いたと思うのでありますが、今度の運賃改正によりまして、現在鉄道によって輸送されているところの旅客であるとか、あるいは貨物がほかの運送機関、ことに自動車運送にどういうふうに転化されていくか。外国では鉄道斜陽論というものまで出ておる。そういうような点についてどういうお見通しであるかどうかということを国鉄にひとつお伺いをしたい。
  38. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 運賃輸送需要の関係でございますが、これにつきましては、非常に昔からいろいろ議論がございます。たとえば一番いい例は、航空機と鉄道とのスピードと運賃との限界がどこかということなどにつきましては、いろいろ学者の論文もあるようでございまして、たとえば、所要時間が一割以内ならば、運賃を倍以上払っても速いほうに乗るんだというふうな議論もあるようでございます。私どもといたしましても、今度運賃を上げることによってやはり収入がふえる。収入をふやすためには、どうしても輸送需要がふえなければいけないということは当然でございます。そうなりますと、旅客運賃と貨物運賃では多少ニュアンスが違っているんじゃないかというふうに考えます。まず旅客運賃のほうでございますが、運賃がこの程度上がりますことによって、近距離輸送につきましてはある程度バスに転化する。現在のバス運賃ならばバスへ転化するところもございます。しかし、大体バス運賃の現在の平均が三円五十銭ぐらいでございますが、まあ大体それととんとんということになりますと、あとは始発が早いとか終発がおそいとか、あるいは回数がどうだというような具体的な輸送サービスの問題とからんでまいると思いますが、多少ごく概括的に申し上げますれば、近距離輸送は逐次バスへ移っていく。国鉄に残る近距離輸送は主として通勤輸送が残ってくる。そうすると中長距離輸送が大体国鉄輸送分野になってくるのじゃないかまあこれはいろいろな角度から検討いたしまして、過去の一人キロ、旅客人当たりの輸送キロの実績等を見ますと足がどんどん延びてきております。ということは、やはり近距離が減っているということにもなりますが、そういった意味で、やはり将来といたしましては、いわゆる陸上交通機関の中で国鉄の占める輸送分野というものは、やはり五十キロ以上の中長距離客ということに次第に変わっていくんじゃないかというふうに思っております。しかし、これは意識的にそうするということではなしに、そのバスの輸送サービスがどうしても非常に便利だ、非常に何というか、頻度が多い、高いとか、こういった意味から主として輸送サービスの面からの問題になっていくと思います。これは非常にいい例が、たとえば広島と呉の間の輸送状況を見てみますと、私どものほうの現在がまだディーゼルカーでやっているせいもございますし、単線のせいもございますが、バスが約二百台ぐらい走っている。そういたしますと、運賃の問題よりも便利さの問題、ことに市の中心から中心ヘバスなら行ける。しかし、鉄道だと駅から駅へまでしか行けないから、したがって、駅の両端でまたバスに乗らなければいけない。こういったほかの交通機関を相互的に利用する問題等もございますので、近距離につきましては、やはり結果的にはバスのシェアがふえてくるのじゃないかというふうに考えております。  それから乗用車のほうになりますと、これは非常にもう見当がむずかしゅうございますが、たとえば、現在でもスキー場、スケート場には相当乗用車あるいはバスが行っておりますし、現在、たとえば上信越の地域につきましては、やはり国鉄ですと立っていかなければいけない、座席があるかないかわからぬというふうなことから、バスに転化するということも相当ございます。これは将来輸送サービスをよくすることによって、相当中長距離のお客さんの確保はできるんじゃないかと思っております。  それから貨物のほうでございますが、これは距離の問題とそれから鉄道運賃制度の問題と二つ、等級制度の問題と両方の面があると思います。距離につきましては、御承知のとおり、今回は貨物の遠距離逓減制度はいじっておりません。やはり遠距離につきましては、相当いままでのようなきつい遠距離逓減制をとっております。その際に、私ども運賃制は、昨日も申し上げましたが、吾のいわゆる従価等級制度と申しまして、同じ一トン運ぶ場合でも、米を一トン運ぶ場合と酒を一トン運ぶ場合とは、酒の運賃は米の運賃の倍でございます。したがいまして、酒のようなものは鉄道じゃ損だというので、原価主義をとるトラックに転化していくのは当然でございます。現に灘の酒などは、昔はほとんど鉄道輸送しておったものが、現在では一割近くの酒しか灘の酒は鉄道には乗っておりません。そういったことで、将来いわゆる現在の貨物制度を今度は多少修正いたしますが、この程度の修正では、やはり高等級鉄道貨物は必ずしも鉄道にこない。いわゆる大産業の高級製品というものは、鉄道から逃げていってしまう。そうして農林水産物資、あるいは原材料といったものが鉄道に残っていくという、これはひとつの鉄道としての宿命的なところもあると思いますが、そういった等級上の問題と、距離につきましても、これはトラックとの輸送距離の限界は何キロかということは、大体見当はついております。百キロないし百五十キロぐらいになりますと、鉄道輸送単位のほうが大きくて安い。それに最近の自動車関係の、やはりいろいろの経費増加等もございまして、大体百キロから百五十キロぐらいになりますと、鉄道運賃のほうが安いということが出ております。そういう距離の面から申しますと、短距離はもちろん鉄道に適してないということになりますが、やはり中距離のもの、それから並びに長距離であって船舶輸送に適さないものがございます。ということは、最近の取引単位が非常に小さくなってきておる。中小企業が非常に多いせいでございますが、たとえば北海道の木材などは、一番実は私どもから見れば船舶に適した荷物だというふうに思っておりますが、運賃自体が私どものほうが安いという問題と、もう一つは取引の単位が小さい。昔のように非常に大きな単位で取引がされなくて、大体貨車一重ぐらいの取引単位がちょうどいいんだというふうな、荷主側のいまの日本経済の中における取引単位の問題からいきまして、船にまとまるまで待っていられない。なるべく早く金にしたいというふうなことから、貨車利用が相変わらず北海道の木材などについて残っておるわけでございます。こういう特殊なものを除きまして、やはり遠距離の大量物資というものは船舶にいくという大体の趨券はあると思いますが、しかしいま申しましたように特殊なものといたしましては、見方としてやはり鉄道に残る。現在私どものほうの貨物輸送の足が約二百七十キロでございます。これは戦前が百七十キロでございます。現在の平均貨物の輸送キロが二百七十キロ、相当長くなりました、ということは、さっき申しました近距離貨物が減ったということと、やはり遠距離貨物が戦時中船から鉄道にあがったままになっておる。この二つのために足が戦前より実に百キロ多くなっておるということから、実は貨物の経営のバランスがうまくいってないことも一つ原因でございますが、そういった方向で、大体この数年間は三百キロ以内でもってとどまっておりますので、今回の運賃改定をいたしましても、その分につきましては、それほど大きな変化はないんじゃないかと考えております。
  39. 前田佳都男

    前田佳都男君 それからもう一つ、第三次長期計画の大きな目標の一つであります通勤輸送の改善、またはこれについて国鉄のほうでいろいろな計画があるようで、その計画案を拝見したんですが、今後いろいろ住宅の団地であるとか、あるいは工場であるとか、あるいはニュータウンであるとか、まあいろいろ、いろんな情勢が変わっていくわけですね。こういう場合に、大体住宅団地なんかつくる場合、国鉄というもの、まあ特に考慮に入れずにどんどんと建設省がやっていっているのかどうか。あるいはガスや水道などにも同じような問題があると思うが、いかに通勤輸送の改替、改憲と張り切りましても、建設省がかってに住宅団地をつくって、ニュータウンつくるというのじゃ意味がない。まず第一に国鉄当局によく相談をしてこういう計画は進めるべきだと思う。そういう点について現在どうなっておりますか。
  40. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これはごもっともの質問だと思うんです。要するに現在では団地をつくる、それによって大部分というものは、これは通勤客なんです。したがってこれは国鉄を利用する乗客なんですが、何らわれわれに対して前もって相談をするということはないわけです。要するに、いまはかってに子供をたくさんつくっておいて、これを何とかしろと、こういったような、それが現在の状況なんです。これはひとつわれわれとしては、ぜひ国鉄に相談して、これは政府がやはり大体の傾向をつくって、やはり足というものと団地というものと考えてやってくれるということをやってもらわないとどうにもならない。たとえば東海道のごときは非常に大きな団地、あれは一体どうするのかということは、もう国鉄では非常に大きな悩みです。これは団地ができて、それで通勤客ができれば、国鉄はこれは何とかして消化しなければならない、こういうふうなので、そこに非常に大きな悩みがあるんだということは、ひとつ御承知願いたいので、これは政府のほうでもひとつ何とか考えてもらわなければ非常に困るというふうに考えておる次第であります。
  41. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの通勤輸送と住宅政策との関係につきまして、いま総裁からも御答弁ございましたけれども運輸大臣どうでしょう、閣議等においてこういう点を問題にしていただいたらどうでしょう。
  42. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員から答えさせます。
  43. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) ただいまの点でございますが、これは今度住宅の五カ年計画法律案が出る予定になっております。その過程におきまして、建設省にも強く申し入れまして、法律案の中には盛り込まないけれども、覚え書きを運輸省と建設省と交換をいたしまして、一定戸数以上の団地を形成する場合には、運輸当局と協議をするというような計画にもなっております。
  44. 前田佳都男

    前田佳都男君 そういう覚え書きもけっこうでありますが、これは覚え書きどころの騒ぎじゃなくて、ほんとうに国鉄というものを無視して住宅政策もへったくれもないと、その点を大臣ぜひ閣議におかれましても強く発言をしていただきたいということをお願いします。
  45. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 今日までやはり私は、建設省におきましても団地をつくるとき等に際しましては、現在の輸送状況等を十分にこれは勘案しているとは思います。しかし、いま前田委員が仰せられますように、その点もやっぱり非常に不十分な点等もありますので、今後は建設省のほうにも、また政府全体といたしましても、運輸事情交通事情等を十分連絡をしながら、住宅あるいは団地等の形成に当たるように、できるだけ連絡をとって、その方向で施策を進めていくように努力したいと考えます。
  46. 前田佳都男

    前田佳都男君 通勤輸送関連してもう一つだけ。国鉄の現在の通勤輸送の改善計画というものが、計画書を拝見しますと、大体京阪神であるとか京浜地方、これに重点を置いておるように思う。それでけっこうだと思うんですが、しかし同じような状況は、地方産業都市にもあるわけなんです。その点についてはどういうふうなんですか、あれは計画書には別に載っておりませんが。
  47. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 通勤輸送の中で、私どもこの計画で特に通勤輸送という名目で取り上げましたのはこれは東京、大阪だけでございますが、その他のいまおっしゃった地方の中心都市にも、やはり同じ通勤問題がたくさんございます。たとえば仙台とかあるいは北九州とか、あるいは名古屋とかいろいろございますが、これらにつきましては、これは幹線輸送という中に含めておりまして、幹線輸送は、たとえば仙台付近なら仙台付近を複線化されれば相当まだ線路にゆとりができる。あるいは北九州が複々線化されればゆとりができるということになりますので、東京、大阪だ  けは特にクローズアップする意味通勤輸送ということばを使いますが、その他の地域につきましても、主としてこれは地方の幹線の輸送力増強ということをいたしますので、複線化なり電化ができれば、それに伴って必然的にその地方都市を中心としたローカル輸送、それで通勤輸送をやっていく、こういう考え方でやっておるわけであります。
  48. 前田佳都男

    前田佳都男君 わかりました。どうぞ関連質問やってください。
  49. 木村睦男

    木村睦男君 私は前田委員質問関連いたしまして、二、三お尋ねいたしたいと思います。  先ほど来お話がありましたように、国鉄基本問題懇談会におきまして、第三次輸送力増強答申があり、それを受けまして、国鉄といたしましては、資金の裏づけその他輸送力増強計画を立てられたわけでございますが、政府財政投融資あるいは出資の問題にいたしましても、やや前進はしておりますけれども、この答申の趣旨に沿うだけの十分な手当てはまだできていない。そういう状況のもとにおいて、必要な資金あるいは将来の輸送力増強のために、今回の運賃改定ということに踏み切られたわけでございますが、この答申を受けて、第三次の輸送力増強を十分に実現していこうという前提のもとでは、いろいろな資金事情も考慮に入れつつ国鉄としてはこの運賃値上げの案その他をおきめになつたわけでございましょうが、それ一がさらに運輸審議会において検討され、そうして運輸大臣答申を受け、そうして運輸省からこれが法案となって出たわけでございますが、現在審議されておりますこの運賃値上げの案というものと、当初に国鉄が十分この第三次輸送力増強をやろうという意気込みのもとに考えられた運賃改定の案というものに、かなりの開きがあるのじゃないかというふうに考えられるわけでございます。そこへ持ってきて今回の運賃の実施につきまして、最初は一月から実施したいというお考えのようでありましたが、次々と延び、二月十五日がさらに過ぎて、いまでは二月一ぱいにできるかどうかというせとぎわになっている状況で、一日一日とおくれている。これが一日予想される四億内外の欠損という形で今日続いているわけでございますが、この四十年度における運賃実施の時期のズレというものが、単に四十年度における国鉄工事その他の計画に狂いがくるというだけでなしに、さらにこれが尾を引いて、四十一年度に予定している工事、たとえば通勤輸送、山陽の新幹線、裏日本、北海道、九州等の主要幹線の複線化、こういった問題にも影響してくるのではないかと思うのでありますが、このような状況のもとにおきまして、はたして国鉄が当初期待しまた計画されているだけの輸送力増強というか、第三次輸送力増強というものが初年度において十分にできるかどうか、運賃原案と提出されている法案による運賃収入との差を、どうやって輸送力増強方面にこの穴埋めを考えておられるか、何か御計画なり御感想があれば聞かしていただきたいと思います。
  50. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいまの御質問二つに分けてお答え申し上げますが、まず全体の計画に対する一つ影響でございます。私どもは実は御承知のとおり、当初三〇%の値上げを要望いたしましたが、全体で二五%ということでおきめくださったわけです。これによります収入減が七年間で約二千七百億。この二千七百億をやむを得ず外部資金でまかないますので、その利子が約千百億ふえることになります。したがって、利子が千百億ふえますので、差し引き自己資金が三千八百億だけ減ることになります。これにつきまして、結局利子並びに借り入れ金の返還額にはね返ってくることになりますが、全体として約三兆という外部資金の調達が可能であるとすれば、今後はこの利子分の千百億を、企業努力による増収等によって大体カバーできるというふうに、長期的に見れば考えているわけでございます。  また今年度の問題でございますが、これは昨日岡先生の御質問にお答えいたしました中にも一ちょっと触れたのでございますが、ことしのいわゆる工事規模は、当初予算が三千億でございました。それに昨年暮れ成立いたしました機の2号で、景気対策等を含めまして二百二十億の増をいただきました。三千二百二十億がことしの工事内容でございます。それに対する資金手当てといたしまして、二月十五日までの分につきましては、機の2号でもって、二百二十六億の特別債の発行をお認め願いましたので、二月十五日までの資金手当ては一応できておる形になっております。しかしながら、昨日の御質問にもございましたとおり、二月十五日以降、本法案が成立するまでの間のブランクにつきましては、非常に私どもといたしましても、その欠陥の穴埋めに苦心をしておるわけでございます。これは昨日詳しく申し上げたので申し上げませんが、何とか昨日のようないろいろな方法によりまして、収入の欠陥の補てんをいたしまして、少なくとも全体の三千二百二十億という工事量を減少しないようにということを前提といたしまして、収入欠陥の補てんにつとめたいと、こう考えております。
  51. 木村睦男

    木村睦男君 もう一点、時間がないようですからお伺いしたいと思いますが、今回の運賃の改正で、単に賃率の改正というのみならず、旅客運賃におきましても、貨物運賃におきましても、質的な是正といいますか、改正といいますか、そういうことが試みられておるわけでございます。たとえば、貨物の運賃についていいますというと、現在十二級の等級に分かれておったものを、将来これは廃止していこうということで、四等級に縮小するとか、あるいは運賃計算の従量制度を改定するとか、いろいろ制度的な改善が見られるわけでございますが、これは運賃理論といたしましても、こういった質的な、制度的な改善を加えながら、運賃改正の時期に、より一そう合理的な運賃に持っていくということは、非常に必要なことでございます。そこでお伺いいたしたいことは、今回提案されておりますこの運賃の制度、あるいは質的な改善というものが、いま国鉄考えておられるいろいろの制度、あるいは質的な改善の中のものを全部今回の改正の中に取り入れて、もう不合理なものはあまり残っていないというふうに、大幅に取り入れられておられますか。あるいはまだ改正すべき点がたくさん残っておるという状況でありますか、その点をお聞きかせいただきたいと思います。と同時に、もう一点お伺いしたいことは、こうして運賃改定が行なわれますというと、先ほども質問がありましたように、陸上の交通のみならず、航空等との競争する輸送機関の間にいろいろ旅客、貨物の流れの変動が出てくるのは当然のことでございますが、ここに非常に陸上交通の調整の問題も起きてくるわけでございます。これは運輸大臣に御答弁願いたいと思うのでございますが、いま言われておりますところの交通調整、なかなか言うべくしてむずかしい問題でございますが、この陸上あるいは航空を含めての交通調整を、最も的確にやる、また、最も合理的にやる一番いい材料は、何といいましても運賃でございます。この運賃改定の時期をつかまえまして、そうしてこの影響を受けて、また、交通輸送分野においていろいろ変化が起こるわけでございますが、この際、この交通調整ということに運輸大臣として、あるいは運輸省として、新しく手をつけて、各輸送分野における合理的な輸送力の配分、輸送量の配分ができるような交通調整に手をおつけになるお考えがありますかどうか。並びに運輸省に以上二点の問題についてお尋ねいたします。
  52. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それでは、私のほうに御質問になった分だけお答えいたします。  運賃制度の改正につきましては、実は数年前からいろいろ委員会もつくりまして検討しておったわけでございますが、いわゆる十九世紀的な運賃制度から、少なくとも二十世紀のものにしたいというのが、われわれの考え方でございます。しかし、かといって一躍これを急遽直すことは非常に影響が大きいので、今度は、ごくそのうちの一部分だけを漸進的にやったと、こういうふうに思っておりますが、今後徐々に、交通機関の発達とともに、私のほうの旅客運賃制度、貨物運賃制度も、やはり制度的にも見直していく時期が数回にわたってくるというふうに実は考えております。
  53. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 現在交通機関が非常にあらゆる機関が発達してまいりまして、その間の調整を必要とするような状態が生まれておるということも事実でございます。木村委員の御指摘のとおりでございますが、できるだけ公正な競争を企業自体にはやらせながら、しかも、国民の必要とする交通需要を満たすような、できるだけしかも低廉な国鉄輸送というものができるような方向を基本といたしまして、運賃の問題とか、あるいは路線の問題とか、事業分野等、すべての問題に配慮をしながら、総合的なひとつ交通行政の方向で検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  54. 江藤智

    委員長江藤智君) 午後一時まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩    午後一時三十九分開会
  55. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。木村美智男君。
  56. 木村美智男

    木村美智男君 大蔵大臣、きのう大臣にいろいろだしたんですけれども、どうも一晩いろいろ考えてみたわけですが、なかなか大臣の言われていることを考えてみたが納得できない。大臣もまあきのうあれだけ言ってみたけれども、やっぱり何かやらなきゃならぬじゃないかというような心境の変化を来たしているように推察をする。というのは、これは私はいいかげんなことを言っておるんじゃなくて、実は午前中の審議でも、与党側の委員からやはり公共負担の問題についてわれわれがきのう言ったと全く同じようなことが実は述べられている。このことは運輸委員会に関する限りまあこれは多少ニュアンスや表現の違いはあったにしても、今日国鉄が背負っている公共負担を何とかしなければならぬじゃないかということについては、実は偶然かどうか知りませんけれども、与野党一致した考え方にあります。これはこのことから特に大臣にまた来ていただいたんですけれども、要するに大臣のきのうのお話を伺っていると、何かこの公共企業体というそういう経営形態それ自体が、いわゆる国の政策としてやるべきものを肩がわりして自前で背負い込むことが当然なんだ、こういうふうに実は聞こえるわけです。そういうことであるとすると、それならば公共性というこの意味は一体どういうことなのかということがどうしてもわからない。で、私は国鉄の公共性というようなものは、これは一つには何と言ってみても、国民経済の活動というものに、この輸送機関というものそれ自体がこれをないがしろにして経済活動が成り立たないという意味で、一つはこれはいわゆる公共性というものを持っていると思う。もう一つは、やっぱり社会的な要求、社会政策的な要求といいますか、まあ社会保障の段階まではいかないけれども、本来国として一たとえば今日の公共負担と言われるようなものがなかったと仮定して大臣ひとつお考えになっていただきたい。たとえば文教政策として学割りをやっておる、この学割りがなかったということになるとすれば、これはやっぱり文部省としては大問題であります。そうなると何かの形で子弟というものは、これは親のすねをかじっているのだから生計は一人じゃできないんだから、だからあたりまえの運賃を取ったのじゃ、これはほんとうに子弟をして安んじて勉強させることはできない。だからこれは一般より低くしようじゃないかという文教政策の立場からこれをやってるんでしょう。だから私は公共負担と言われておるいまのものは、本来国がやるべきものを、実は国鉄にこれは変に上か下かということを別にしてまあ頼んでいるわけです、早い話が。それでそういう結果がいろいろの面から今日経営に重大な圧迫になってきているという事実は、これは率直に認めざるを得ない。  もしそれが圧迫になっていないというなら、運賃値上げは必要がない。圧迫になっている。そうだとすればこれを一挙に解決はできない、あるいはきのうから言っているようなたとえば一〇〇%われわれの言うとおりにやることはできないにしても、こんなものを考えておりませんという、そういうことだけではちょっとこれは世の中はおさまらぬと思うのです。筋が通らぬと思う。そこでこの点を私なりに言えば、政府は大体この公共負担に関する限りは、国鉄のふんどしで相撲をとって、洗たく代は国民に払わせている。これは端的に言ってそういうことを私は意味していると思う。そうして出てきた赤字は、運賃値上げによってまかなうのだ。こういう関係になっているから、その公共負担という問題について、あなたがきのうは相当こういう何かこれは大臣なりのものの言い方だから、そう強いものだとは思っていないけれども、ここのところをもう少しあなたはほんとうに将来の国鉄という問題を考えて、要するに私の言っているのは、将来の国鉄の問題というのは、将来の国民経済の問題、国民負担の問題なり生活の問題としてながめて言っているわけですから、これは冒頭にも申し上げましたように、非常にこれはこだわりますよ、この問題は。これは運賃値上げの今回の中心的な問題だから、どうしても私、大蔵大臣にその辺もやっぱりもう一回ただしたい。
  57. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は国鉄の財政処理について国の会計が援助してはならないというようなことを申し上げておるわけじゃないのです。つまり国鉄が財政的に窮迫したという際に、それを埋めていく方法は二つしかどうも考えられない。一つは、これを税の形、つまり一般会計からの補給という方法で解決するか、あるいは利用者負担ということで解決するか、この二つであります。私はでありますから第一の国の財政で解決するということを、理論的に否定しておるわけじゃないのです。ただ、そのいずれをとるかということは、そのときそのときの時点における国鉄運賃がどういう地位におるか、また国の財政状況はどうだ、こういうようないろいろなことを総合して判断しなければならぬ問題である、こういうふうに考えるわけであります。そういう総合判断をいたした場合、今日は利用者に御負担を願うということに結論が到達したわけなんであります。決して国の財政が理論的にこれに補給を行なってはならない、こんなことを申しているわけじゃないのであります。
  58. 木村美智男

    木村美智男君 いま大臣が言われたように、私もこれは国が援助をしないのはけしからぬというようなことは言っていない。それは現に一つの貸与といったような方式というもので、これは援助だから。しかし、これなんかは大臣考えようですけれども、実は利息のかかった金です。そうでしょう、ですからその利息がだんだんだんだんとでっかくなって、そのまた逆に経営を圧迫する姿にしている。本来ならばこれはどうも私がかりに経営の立場に立つとすれば、あまりほんとうはありがたい話じゃない。しかし金の持って行き場所がないから、利息のついた金だって借りてやらなければならぬというそれは一つ国鉄の公共的な性格がそうさせたわけです。そうだとすれば、私はやはりそこで国が財政的な援助を否定をしないということであり、国有鉄道という——これは国民全体は公共企業体だとか独算制ということはあまりわかっていないわけですが、国有鉄道というから国がうしろだてになって、ある程度スポンサーになってやっていると見ている。ところが実際は、あなたは理論的には否定しないが、現実にそれじゃどれだけの援助をしているかということになりますと、ほとんどこれはもう援助らしい援助はしているというふうには、とうてい考えられない。この間からいろいろ言っているように、いまの国鉄資本全体の中で、一兆一千億円からある中でわずかに——この間は八十九億と多少政府をかばって私は申し上げたのです、本会議です。しかし、ほんとうに出しているのは四十億です。二十五年に四十億出した、そういうことだったら、パーセンテージからいったらほんのわずかです。こんなものは金を出したということにはならない。もっともっといま負わせている公共負担ということから考えれば、あるいはそういう公共負担的な、公共的な意味合いを持ったよそに出しておる金のことを考えてみれば、これは少し国鉄に対する措置というものは、これはちょっとあなたのおっしゃっていることだけでなかなか了解ができない。だからほかに何か、ここにがんとして大蔵大臣政府出資の問題について、いまの段階ではと言うけれども、相当こだわっていると、こう見なきゃならぬ。こだわっているとするなら、じゃ一体これは別な面から今度の運賃値上げというものはやっているんじゃないかという理屈を言いたくなる。そういうことになりませんか。
  59. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 格別下心があって運賃値上げと言っているわけではないのであります。国家財政の現状等から考えまして総合的に検討した結果、今回は利用者負担の方法をとるがよろしい、こういう結論に達したのであります。
  60. 前田佳都男

    前田佳都男君 関連大臣、けさの委員会で私史は質問したのですが、国鉄というものは本来公共負担という十字架を背負った企業である。本来公共負担というのはどうしても国鉄事業にくっついているのだ。そういう十字架を背負った企業であるということを一応考える上において、国鉄のあり方について、とにかく基本問題懇談会というのが設置されて二十一回会議を開きまして、そして三十九年の十一月に答申をなさった。国鉄長期計画あるいは基本問題について答申なさった。その答申にいろいろございまして、資金調達の面という項目があるわけです。その資金欄達の面に、まず運賃改定あるいは財政投融資増加政府出資あるいはかわるべき負担金、そういうような答申があったわけです。それで、今度の運賃改正法案は、一〇〇%この答申尊重というか、全面的に必ずしも取り入れていない。これはいろいろ諸種の財政的な事情がございましてできなかったであろうと思う。運賃改定に重点を置く、それから財政投融資のほうも、たいへん大蔵大臣の御理解によって相当実績をあげておるということを、けさの委員会でも聞いたわけです。ただ、問題は、公共負担という十字架を背負う企業であるという意味において、もう少し何らか政府出資、これにかわるべき負担金というようなものをぜひやってもらいたいという希望を基本問題懇談会基本問題懇談会には、財政関係の人もああいうのには出るわけです。その懇談会の一応そういう答申があった。今後の国鉄一つのやはり行くべく道というかあり方について、何らかやはり示唆しているのじゃないか、これを皆非常にこの委員会でも問題にしておるわけです。ただしかし、いかにりっぱな答申であっても、あるいは一般の財政事情経済事情金融事情等によりまして、すぐにこれはできないものがある、その点はすぐにどうしよう、こうしようという問題じゃないとは思います。しかも、財政投融資等についても非常に深い御理解をいただいたという点から見ましても、この政府出資あるいはこれにかわるべき負担金という点についても、今後前向きといいますか、積極的に十分御理解をいただきたいと思うのですがその点どうでございましょうか、ということです。
  61. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国が国鉄の財政に介入する方法は、いろいろあるわけですが、私はそれらを引っくるめまして国が国鉄財政を援助する、これを否定しているわけじゃないのです。ただ、そのときどきの時点においてどういう方法がいいか、こういうことなんでありまして、もとより気持ちにおきましては、ちっとも私は皆さんと変わるところはないと思いますが、今日この時点の問題とすると、まことに御期待に沿えないような御答弁をせざるを得ないような状態であります。
  62. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいま大蔵大臣のお気持ちはわれわれと同じである、しかし現在今日の時点ではどうもやむを得ない、今後においても機会があればというふうな趣旨だと私は思うのですが、それでよくわかりました。
  63. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  64. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  65. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大蔵大臣質問するつもりでおったんですが、ちょっととぎれてしまいましたから、大蔵大臣質問をする前提となる問題について若干もう一度聞いてみたいと思うんです。公共負担の問題なんですけれども公共負担については懇談会でも相当にいろいろなことを述べております。われわれこの基本問題懇談会内容について吟味をしてみた場合、これはもともと性格がどちらかというと、政府与党に都合よくこしらえるようにメンバーは構成してあると思う。座長は東京大学の名誉教授で副座長が輸出入銀行の総裁だけれどもあと並んでいるのは各省の事務次官をずっと並べてあるわけだ。そのほかには社長クラス、銀行の頭取、こういうふうにいわば使用者側代表をずらっと並べているわけです。利用者側の代表、大衆代表とみなされるような人は、この懇談会の中に入っておりません。だからこのメンバーからしてみると、かなり政府に都合よくできているというふうに私は思う。思うんですけれども、その懇談会の中ですらも公共負担については相当の指摘をしているわけです。これはこのことを取り上げてみますと、この公共負担の問題はかなり掘り下げて検討を要すると思うんです、国鉄の今後あるいは日本交通政策の今後ということを考えてみた場合。そこで、公共負担について再度わかりやすく御説明をいただきたいんですけれども、貨物運賃の暫定割引それからこの中で書いてあります車扱い賃率地帯の問題特別等級、これらの問題について一体これはどの程度負担になっておるのか、つまり輸送原価に比較をしてこの原案でいくとどれくらいの国鉄負担をしなければならないようになっているのかという割合、それを御説明をいただきたい。  それから石炭の問題でありますが、昨日もちょっとお聞きいたしましたけれども、石炭の運賃の問題それから延納の問題、これは一体これからどういうふうにするつもりなのか、いままでの話をちょっと聞きましたけれども、ちょっとふに落ちない点があるわけです。この石炭の問題をどうするか、それから特別扱いの新聞、雑誌の問題があります。これも相当の公共負担の中では大きな割合を占めているように思われるんでありますけれども、これが改正によって一体どのくらいになったか。先ほど大蔵大臣利用者負担ということを強調しておったわけですが、じゃ、この利用者負担という原則に合うところまで今度の値上げによってそれが改められるようになっているのか、なっていないのか。なっていないとすれば、どの程度負担をこの新聞雑誌等の賃率において行なっているのか。わからなければ大ざっぱでもいいんですが、わかったならばなるべく具体的に数字とそれからパーセンテージをあげてお示しをいただきたいと思います。
  66. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) まずお尋ねの第一の貨物運賃でございますが、その中のここに響いてございます貨物運賃の暫定割引につきましては、昨日申し上げましたとおり年間約二十億でございます。これはいろいろのいきさつがございまして、私どもといたしましてはここに書いておりますとおり、何とか漸滅の方向にいきたかったのではございますが、やはりぜひこのまま据え置けという強い御要望もございまして、一応このまま据え置くことにいたしておりますので、来年度は多少輸送量がふえるとしますれば、輸送量のふえた分と運賃値上がりの分だけで約二十五億になるというふうに計算いたします。  それから特別等級でございますが、現在約百億程度負担になっております。これは今回運賃等級制度を多少原価主義に近づけるということをいたしますために特別等級を若干いじりますので、これは約半減、百九億のものが約半減する見込みでございます。これは輸送量の増も入れまして大体半減するつもりでございます。それからその他の全般的な等級制度につきましては午前中もお答え申し上げましたが、一挙にいわゆる単一賃率に持っていくことは、これは非常に急激な変化になりますので、これはいまの四等級を残すという暫定的なやり方にいたしたいというふうに思っております。また重量段階賃率の採用にいたしましても、今後貨車の大きさ等を十分検等いたしまして、これからはいままでの貨車の大きさによる運賃でなくて、実際に荷物を積んだ積載量の大小に応じて違いのあるいわゆる重量段階賃率に持っていきたいというふうに思っております。今度は多少そういう方向に近づけましたが、まだ完全にはここまでいっておりません。  それから石炭の問題でございますが、これも金額は昨日申し上げましたとおり、約いままでの滞納分が二十二億、それから今後もし一年間今度の値上がり分をお支払いいただけないとすれば、これが約三十億というふうに考えております。合計いたしますと来年の一年間たちますと石炭関係の未収金が約五十億に達するわけでございます。これらにつきましては、昨日大臣もおっしゃいましたように、私どもといたしましては、はっきり弁済方法をきめてほしいということを強くお願いいたしております。現在前の二十億につきましては、大手につきましては、大手十数社の連帯保証をとっております。それから中小につきましては、合理化事業団のやはり保証をとって、これは合理化事業団の法律を直していただきまして、合理化事業団の正式な保証をとっております。したがいまして弁済期限が参りまして、弁済できない場合につきまして、私ども大手につきまして債権を執行いたしたい、すぐ強制執行できますので、連帯保証として債務を払っていただくというつもりでおりますし、中小につきましては、石炭合理化事業団からお支払い願う、こういうつもりでおるわけでございます。しかしながら、これらはやはり今後のむしろこれからきまるであろう、これからの一年間の運賃負担をするかしないかの問題が大きい問題でございますので、石炭合理化審議会におきましては、なるべく私どもといたしましては、今度の三十億の問題と一緒に解決してほしい。逆に申しますれば、一年間払わないということにもしなさるならば、その弁済方法を前の二十億も含めてはっきりきめた上で、いろいろ御相談願いたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。財源の確保だけは形式的にはできておりますが、まだ具体的な手続その他がきまっておらないわけでございます。  それから新聞、雑誌につきましては、昨日もちょっと申し上げましたように、現在約九十億の負担をいたしております。この負担はいわゆる一般小荷物運賃との差額でございますので、距離その他の関係で多少の出入りはございますが、これを今回新聞協会並びに雑誌協会といろいろお話しいたしまして、特に新聞は値段も上がったことでございますし、雑誌の中でも一番分量の多いのは週刊誌でございます。週刊誌もいつの間にか五十円に上がっております。そういうようなことで新聞、雑誌についてはぜひ相当の大きな負担をしてほしいということで、結論的に申しますと、八十九億の負担を四十八億に減らしたい、こういう話で大体両協会と話が妥結した形になっております。したがいまして、現在四十八億だけ負担いたすということは、約六割引きくらいになる、普通小荷物運賃に対して約六割引き強になるという計算になると思います。以上でございます。
  67. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この貨物の暫定割引等について強い要望があるというふうにいまお答えがありましたが、いままで指摘をいたしました数々の割引ですね。それによって国鉄自体がかなりしょい込みになっているわけですね。強い要望があったというのはそれは一体どういう方面から要望があったのか、それもどういう問題についてどういう方面から要望があってこういうふうになったのだということを、ひとつ説明していただきたいと思います。そうすればその要望のあったほうの関係大臣にも、われわれとしてはまた質問しなければならぬとこういうことになってくると思います。
  68. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 貨物の暫定割引につきましては、実は昨日もちょっと申し上げましたが、非常にいままで、昭和三十二年ごろからほとんど毎年、国会の主として農林水産委員会の議決がございまして、そうしてこの議決の内容は多少、正確ではございませんが、国鉄がめんどう見ろという議決もございますれば、政府がめんどう見ろという議決もございますれば、あるいは政府並びに国鉄だという書き方、表現が一様ではございません、あるいは国鉄が見ろということが書いてあるところもございます。政府がというところもございます。両方書いてあるところもございます。いままで必ずしも一定いたしておりませんが、正な御要望といたしましては、いままでの国会の林水産委員会、これは衆参両院でございますがの決議、これはほとんど毎年出されております。これが一番正式なものでございます。そのほか、たとえば北海道からは北海道の商工会議所連合会とかあるいは九州のそういった半公共的な機関の責任者の方々から陳情の形で強い御要望が出て、そのほか関係業界からは出ております。これは私的な陳情となりますので省略いたしますが、そのほかそういった公的な機関からの陳情を受けております。
  69. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まあ建設大臣が見えましたが、建設大臣にお聞きする前に、いままでの暫定割引、あるいは新聞雑誌や石炭や農水関係の要望やら、これらの中でもって示された国鉄がしょわなければならない金額というものは、これはいわゆる公共負担というふうに認めていいわけなのですね。つまり利用者負担ということになれば、当然それぞれの該当のところでもってしょわなければならぬから、農産物だとか何だとかそういうようなのは一般の生活影響が大きい。石炭にしても影響が大きい。だからこれは特に割引をするのだが、いわばこれは公共負担だ、こういうふうに認められるべきものばかり、こういうわけですね。
  70. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点につきまして、実は三十六年でございましたか、やはり国会で問題になりまして、通産省、農林省でもってある意味運賃補給金的なものを考えるべきではないかという御議論が出たことがございます。事務当局で一ぺんそういう検討もいたしましたような経過もございますので、一応主としてこの暫定割引については、政策的な純粋な農林政策あるいは通産政策的な割引であるというふうに申し上げていいと思います。
  71. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 瀬谷委員の質問関連いたしまして簡単に伺っておきます。多少公共負担の計数的なことですから、担当の常務の方でけっこうですから、伺っておきます。いろいろいままでの質疑の中でも問題になりましたものが公共負担でございます。そこで三十九年度の国鉄公共負担をいたしました実績というものがどのくらいかというと、ざっといまここで調べてみました。この計数に間違いがあるかどうか尋ねるわけですから、簡単に答えてけっこうです。で、一つ通勤関係が三百八十四億、通学が二百三十二億、学割が二十八億、いま瀬谷委員から指摘されました特別扱いの新聞、雑誌これが八十九億、かなり膨大な負担になっていることが、私の調べでは出ているわけでございますが、この関係。それからその他が六億、それともう一つには毎年のことでございますけれども、災害時における国鉄側がやはり公共負担をしいられていると思いますが、この関係についてはちょっと私の手元には資料がございませんので、その関係は何億程度負担をしているか、これをひとつお答え願いたいと思います。これ合わせますとざっと七百三十九億、それと次に政策等級百九億、暫定割引二十億、主として農林水産の関係政策、いわゆる割引にかかわるものだと私は理解しているが、これが百二十九、合計三十九年度で八百六十八億になります。この金額に間違いがあるかどうかということが一つと、四十年度、つまり今年度についてはこれがどのようにふえているのか、この関係をちょっとお示しを  いただきたいと思うのです。   それからもう一つ、これはあとあと私は大蔵大臣質問をしようと存じているわけでございます  けれども、その前提で、どうもわれわれはあまり数字に経験がありませんから、ここで確かめておるわけでございますが、国鉄が納付をしている税負担関係が、私の調べたので見ますと、固定資産税の関係が五億七千万、それから不動産の取得税が二千万、都市計画税が四千九百万、それから自動車税が一億、それから市町村納付金が九十三億八千七百万、通行税が二十七億、合計ラウンドナンバーを入れますと百三億八千四百万、こうい  うことに手元の資料ではなっていますが、この金  額に間違いあるかどうか。それからもう一つは、国鉄が公共企業体になりかわったときに、戦時中からの引き継がれた債務額がございます。主として債務は国債です。この関係が五百三十五億、こう私はいまちょっと調べたわけですが、これについても間違いがあるかどうか、あわせてお答えを願っておきたいというふうに思います。
  72. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 最初の御質問公共負担の額について申し上げますと、三十九年度の実績は、ただいま先生がおっしゃったとおりでございます。なお、災害復旧に関しまする割引、あるいは無賃輸送の実額は、ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、これは額にすればおそらく百万台の額であって、そうたいした額にはなっていないと思います。これはまあその年々における災害の発生状況等にもよりますので、一がいには申し上げかねます。それから四十一年度どうなるかというお話でございますが、われわれの計算では、輸送増を、輸送増といいますか、四十一年度に見込みまする輸送計画に基づいて算定いたしました結果は、通勤が、それから今回の運賃の是正なりあるいは制度の改正によるいろんな要素を全部織りまぜて計算いたしました結果は、……
  73. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ちょっと豊原さん、それはいま四十一年度の傾向言っているのですが、私の聞いたのは四十年度はどういう傾向になるのですか。つまり今年度です。
  74. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 四十年度はまだ実績が出ておりませんので……。
  75. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、関連でいま計数合わせているわけですから、四十一年度の傾向については、資料の中に若干ありますから、これはあえて伺いませんが、四十年度の関係については、かなりこの運賃改定に伴って四十一年度の公共負担のつまり動向を見積もっているわけですから、おそらくやそういうものはあると思うのです。ですから、いま直ちにということでございませんけれども、本委員会中にお示しをいただきたいと思います。
  76. 江藤智

    委員長江藤智君) いいですね。
  77. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 税の関係は。
  78. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 税金の関係は、先ほど先生もおっしゃいましたとおりでございまして、固定資産税の五億七千万、先ほどちょっとお読み違いかと思いますが、不動産取得税は二百万円でございます。それからもう一つお示しでございましたけれども、二十四年度に国鉄がただいまのような公共企業体に切りかわりましたときの長期負債の額は五百三十五億、先生のおっしゃったとおりでございます。
  79. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 運賃改定、つまり法律案がかりに通ったという場合に、改定されたあとあとの税の関係がどうなるかということは、ひとつおわかりになっているわけでしょう。この関係ちょっと聞かせてください。
  80. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 通行税の関係は現在一等に一割ずつの運賃料金に通行税が課されておりまして、この額が三十九年度は約二十七億でございます。
  81. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 四十一年度の場合どうなりますか。
  82. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 四十一年度は、先ほどの先生の御指摘になりました固定資産税以下の税金は四十年度に比べまして、二十三億ばかりふえ一まして百二十四億、通行税を除きまして百二十四億ということになるわけでございます。
  83. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 建設大臣にお伺いいたします。建設大臣運賃とうと関係がないと思っておられるかもわかりませんけれども運輸委員会に建設大臣がお見えになったことは、あまり例がないと思うのです。そこで例がないことだと思いますけれども、今回の運賃の値上げのよって来たる大きなもとは、大都市付近の通勤輸送の改善と主要幹線輸送力増強を行なうための資金調達の手段として運賃改定を行なうのだ、こういうことになっているのです。大都市付近の通勤輸送の改善ということは、大都市付近の人口がふえて通勤者がふえる。したがって、国鉄輸送力が間に合わなくなった、追いつかなくなったということになるわけでありますから、そのもとをなすのは、人口が、住宅が大都市付近に集中してしまったということにあるわけです。だから運賃改定原因一つは、住宅政策といったようなところにもあるということになってくるのですが、今日まで建設省として住宅対策を立てる場合に、交通問題とはたして連携をとってやってこられたかどうか。どんどん家が建ってしまう、鉄道のほうはそのでき上がった団地なり住宅とはあまり関係なしにやっているので、勢いそこのところで通勤輸送が非常に混雑するということになってしまったわけです。そういう建設省自体計画がどういう程度に運輸関係と連携をとってきたのか、その点をまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  84. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私どもが住宅、特に大団地を建てます場合に、一番悩みの種と申しますか、考えなければならないのは、通勤輸送道路あるいは鉄道軌道、通勤関係の問題があります。この問題がなければ、どこでも家が建つということに極端に言ってなるわけでありますが、その点が一番住宅地を選定いたします場合の悩みの種、問題点であります。そこで、いまこれはいろいろ団地はありますけれども、小団地は別といたしまして、大きなところになりますと、鉄道あるいは民間の電車等の軌道、こういうものが主になるわけでありますが、従来とももちろん輸送関係が一番問題点でありますから、私どものほうとしては、国鉄あるいは民間の輸送機関を持っておる方々とよく事前にお話をするということでやってきておる。たとえば、先年つくりました大団地をつくります場合の新住宅市街地開発法などの法律にも、そのことが規定されておりまして、計画する場合に、事前にその計画について運輸大臣意見を聞くという規定を設けてあるような事情であります。公団等が大団地をいたします場合には、あるいは地方公共団体がやる場合もございますけれども、そういう手続をとっております。のみならず、国鉄関係としては、やはり連絡調整をはかるということで今日までやってきておるわけであります。ただ、なかなか、私は国鉄民間企業のことはよく承知いたしておりませんけれども、このほうは、団地を造成をして家を建てるように、急速に新たに間に合わない場合がこれはもう当然あるわけであります。実際上の問題としては、なかなか通勤輸送等が混乱をしておる、こういう実情がありますので、私どもは、今後の住宅団地というものはだんだん大規模にしなければ住宅に間に合わない、こういう次第でありますから、今後一そう、そういう点を新たに交通機関をつくってもらわなければならぬところもあるわけでありますので、協議を密にしていきたい、かように考えておるわけであります。
  85. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 建設大臣は、日本国有鉄道基本問題懇談会意見書というのはこれはごらんになっておられますか。
  86. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私自身は見ておりません。
  87. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この意見書は、各省の次官が入っておるわけですね。建設事務次官山内一郎、こういうふうに書いてあるわけですね。これを見ますと。いま参議院議員になっておられますけれども、運輸事務次官岡本悟、これらの方々は懇談会意見書について責任があるわけなんです、当然。そうすると、建設事務次官も入っておられますから、やはりここに書いてあることについては、建設関係についてはちゃんと連絡をとっておいてもらわなければまずいんじゃないかという気がいたします。最後のところに、「団地の造成と鉄道輸送」というのを書いてある。「最近大規模な団地の造成あるいはニュウ・タウンの開発等が各地域において行なわれているが、通勤輸送に不測の混乱を招くことのないよう、その計画にあたっては十分鉄道輸送との関連を考慮する必要がある。」、こういうふうにあります。大臣お読みになっていないということをお聞きしましたから、私がここを読み上げたわけです。昨日国鉄総裁のほうの話によると、どうも団地の造成のほうは、こっちのほうには相談なしにどんどんどんどんやられてしまう、だもんだから、通勤輸送のほうは思いがけないところで非常に混雑をするようになるんだ、こういう意味説明があったのであります。たしかそういうふうに私は記憶しているのです。そうしますと、建設省のほうでも、建設省自体考えるべき団地の造成とか、あるいは住宅対策の面で、どうしてもこれは鉄道輸送関係を持たなければならないと思うのです。どうもこういうふうに書いてあるところを見ると、あるいは、きのうの総裁の発言等を聞いてみますと、いままで輸送の分野と住宅の分野とがばらばらであったというようにしか聞きとれません。本来なら、これは総理にもこういう点をお伺いしたがったわけなんであります。そういうばらばらの状態が、やはり今日の通勤輸送の混乱を招く一因にもなってきたというふうにも思うんですよ。そうなればですね、だからこそ、運賃改定だと言っているんですから、運賃の値上げの責任の一半は建設省のほうにもあると、こういうことになるわけですね。にもかかわらず、基本問題懇談会のこの運賃改定をすすめているこの内容を、建設大臣が御存じなかったということでは、これはよくないというふうに私は思うんですよ。だからこれはもう一度——もう一度じゃなくて、読んでないのだから、目を通してもらうということをまず希望したい。  それから今度は、住宅を建てる場合に、どこにどういうふうに建つかということは、いままで無計画だったわけでしょう。建設省としては、ともかく何万戸できればいい、こういうことでもってやってきたんじゃないかというふうに思われる。どこにどれだけつくって、そうしてその通勤人口がどれくらいになる、だからここのところには鉄道を引いてもらいたいとか、ここのところは単線じゃ間に合わないから複線にしてもらいたいとか、そういうような話は当然鉄道との間にしなければならない性格のものじゃないかと思う。団地をつくる場合だって、そうじゃないかと私は思う。団地ができちまってから、どんどんどんどんバスをかってに走らせる、こういうようなことでは、これはまあ計画的な住宅対策、あるいは都市対策ということにはならないと思うんです。そこで、こういうふうになってしまったのですからね、いまのこの過密都市対策というものを一体どうなさるつもりか。特に「大都市周辺の」というふうにここにはいわれておりますけれども、どこで通勤問題が深刻な問題になっているかというようなことも、これは御存じでなければならぬと思うのでありますが、過密都市対策と並行して、それらの輸送対策について、大臣は、いままでどのように措置をしてこられたか、どのように関係機関と相談をしてこられたか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  88. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) おことばを返すわけじゃありませんが、まあこの文章読んだことはありませんけれども、読むまでもなく、それはそういうことをしなければならぬことは当然のことであります。  先ほど申し上げたように、一番の悩みは、交通問題が住宅対策の悩みでありまして、それを考えなければ、それこそどこでもやれるというかっこうになりますけれども、そうはいかない。もちろん私どもやっていることが万全だとは考えておりませんけれども、住宅団地を建てますときには、ここは何戸、人口幾らと想定して、三五尺三万人の人口あるいは五万人の人口、今後十万、二十万ということを想定しなければいけないと思いますが、ほとんどこれは通勤者あるいは通学者でありますから、それをどうするかということが一番の難問でありまして、したがって、無計画にといわれることは、ちょっと私は聞きとれない、十全であったとは申し上げませんけれども。したがって、先ほど申し上げたように、国鉄総裁は、世帯が大きいから、もちろんそういうことは一々御存じないかもしれませんが、連絡調整をすると、また現にしている。ただ問題は、さっき申し上げました家はまず早く建ちますけれども、なかなか鉄道を新たに引くとかということは、それにマッチしないということで、悩みがあるということは事実でございます。
  89. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでまあ悩んでばかりいたんじゃこれはしようがないので、それで何とかしなければならない段階にきているわけなんですよ。住宅ができて、鉄道の場合は、東北線のある駅でいいますと、ここ十年の間に、通勤通学者、要するに、乗降人員が十倍ぐらいふえたところがあるわけです。十倍にふえたというのは、漫然とふえたわけじゃない。その近辺に家が建つから、家が建てば学校へ通う者も、東京へ通う者もみんな乗るから、それでふえたわけでしょう。家が建つ場合に、どういうふうにして建ったか、計画的に、ここにこれだけの家が建つということがわかっておれば、鉄道だって当然それ相応の輸送力増強という方策を講じなければならぬわけですよ。それが鉄道のほうでは、あれよあれよといっている間に、通勤人口がふえてしまって、それを追っかけるために、やれ八両編成を十両編成だとか、ホームの改築だとかいうことを追っかけてやっているわけです。まあおことばを返すようだと言われたけれども計画を立ててないことはないと言われたけれども、実績は計画的じゃないんだ、いままでの計画は。計画的だったらこんなふうになっちゃいない。  そこで、今後の問題として考えなければならないことは、どんどん家ができる、鉄道が込む、通勤輸送が逼迫をする、そこで今度は、輸送力増強しなければならないというので、複線をしよう、新線を建設しようという場合に、もうそのことになると地価がうんと上がってしまって、鉄道のほうの新線建設の費用がまたべらぼうに上がってしまう、こういうことになるわけです。新線建設の費用が上がるから、それがまた運賃のほうにはね返ってくる、国鉄財政のほうにはね返ってくるということになってくるわけですね。そういう点をお考えになったならば、やはりそれらの地価を上がらないように——鉄道建設をしようと思ったころには、新線をつくらなければならないころには、坪当たり何十万になってしまう、こういうようなことにならないようにしなければ私はならぬじゃないか、それはむしろ運輸省の仕事じゃなくて建設省の仕事じゃないかと、こういう気がするのでありますが、それらの点についても、運輸省と建設省との間に連携を持ってやっていく必要があるような気がするのであります。はたして、いままでそれが行なわれておったのかどうか。今後この鉄道の新線建設にからむ地価対策といったようなことを一体どのように解決をされるのか、お聞きをしたいと思うんです。
  90. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) こういう問題は議論じゃなくて、瀬谷さんのお話も、どうしたら一体うまくいくかというふうに私も御意見を聞き、われわれも検討しなければならないと思っております。従来連絡しておりますけれども、私は、鉄道のことはずぶのしろうとでわかりませんが、なかなか新しい軌道を引く、新しい鉄道もするということは、そう簡単なことじゃないと思います。従来いろいろお話し合いを申し上げておるのは、少なくとも私どもは、まあ東京なら東京を中心として、これは近いほうがけっこうでありますけれども、なかなかそうはいかない。少なくとも、通勤距離は別として、時間を一時間ないし一時間半ぐらいなところでやらなければいかない。そういう意味で、既存の鉄道、軌道あるいは道路、そういうものとにらみ合わして住宅計画、団地計画を立てて御相談しておるというのが現状であります。今後はそればかりでは間に合わないだろう。そのために新たに複線化する、それを待ってからでは家は間に合わない、こういうちぐはぐがあることは事実であります。したがって、おっしゃるように、家が建ったから多くなったんじゃないかと言われれば、全くそのとおりでありますが、今後は既存の鉄道あるいは軌道、その周囲にばかり集中するということはなかなか困難であります。したがって、やや遠距離に大団地を構成する場合がある。そういうことが今後の大きな課題であろう。したがって、そういうときには三万、五万では意味をなしませんから、少なくとも十万、二十万、新たに軌道をつくる、このぐらいの計画を進めなければならない。その際に私ども考えますのは、これがなかなか実際問題としてうまくいくかどうか、いま瀬谷さんがおっしゃったとおり、あらかじめ、団地をつくる場合に、軌道を引くという話がありますれば、軌道敷地まで予定して、私は、ちゃんと地価を押えていくという対策まで講じておくほうがより理想的である、こう思っておるわけでありますが、なかなかそう理想的にいくかどうかというと、実際問題としてはそう簡単に私も考えておりません。しかし、率直に言って、この間中央公論にも角本君が研究して論文を出された、私も話し合いしておりますが、ああいう理想的なことができれば一番よろしい、こう考えておりますが、今後はやはりそういう問題をお互いによく検討して、計画的に進めることがきわめて重要だと、かように考えておるわけであります。
  91. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 中央公論にも「通勤革命」といったような論文が出ておりました。しかし、国鉄の場合は、大都市付近の通勤輸送の対策というものは、もう現実の問題となって、将来の問題じゃなっくて現実の問題として解決しなければならなくなって、運賃改定もするし新線建設もするという段階になってきておる。私がさっきちょっと質問いたしましたけれども、抽象的な話は抜きにいたしまして、大都市とはいいますけれども、たとえば東京をどうするか、大阪をどうするか、名古屋周辺をどうするか、人口はこれ以上ふえるのかふえないのか、もしふえるのならばどのくらいふえると、それが通勤輸送にどういう影響を及ぼすか、そういうふうなことがわかっていなければ、これからの仕事はできないと思う。また、地価対策等についても、これはちゃんと立てないと、住宅のほうでも公共施設のほうでもむだな金がかかるだけじゃなくて、鉄道の建設のほうでもむだな金がかかるし、道路の建設のほうでもむだな金がかかる。そういう意味から、まず具体的に言うと、たとえば東京をどうするか、東京の過密都市対策というものは一体どうするのか、それからこれに関連をして、地価対策というものはどういうふうにするか、こういう当面のことは一これは将来の問題じゃなくて当面の直面しておる問題でありますから、建設大臣はやはりその構想を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  92. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) まあ抽象的という御批判があるかもしれませんけれども、ある程度抽象的にならざるを得ないところもございます。東京の人口は、私どもは、率直に言って、実はできるだけ押えたいと思っておりますけれども、御承知のとおり、これは押えたってなかなか押え切れないのが現状でございます。まだ東京あるいは首都圏地域における人口の増は今後相当に——これは専門家がいろいろ検討されておりますけれども、相当にふえることを想定していろいろな計画を立てております。それは首都圏全域を想定して立てておる。いままでは、御承知のとおり、三十キロ圏を中心にいろいろ考えておりましたけれども、こういうことはもう全然問題にならない。東京を中心にして五十キロ圏にどういう計画を持って、あるいは周辺までどういう住宅地あるいは新しい市街地をつくるか、こういうことを全部専門家等に検討してもらってやっておるわけであります。ただ問題は、これから——抽象的だと言われるかもしれませんけれども、こういう問題を東京あるいは大阪の内部だけで、あるいは近畿圏、首都圏の内部だけで解決することは私は不可能だと、率直に申し上げます。ただ当面の問題を解決しなければならないから、私どもは現在やっておるのであります。長期的な構想としては、これは私ども、今度国会におはかりしょうという−ちょうど明治初年から明治時代に七千キロの国鉄をつくられたそうでありますが、それくらいの計画まで新しい大道路網の計画をして、そうして日本全体の構造を変えなければ、この問題の根本的な解決にはならない。いま御承知のとおり新産都市であるとか、あるいは工業開発地域とかいろいろやっておりますが、そういうばらばらな政策では、この重要な根本問題の解決にはならない。これは非常に抽象的だと言われれば抽象的でありますが、それはそれとして、やはり現在当面の問題として解決するためには、先ほど申し上げたような措置をしていきたい、かようなことでございます。
  93. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いま新市街地開発法のお話も出ました。それから河野建設大臣が生きておったころですね、新首都圏の構想というものも発表したことがあるのです。二、三年前に、首都を別のところに持っていくといったような構想も発表されたことがあります。まあ研究はずいぶんされておるわけでなんですよ、いろいろな研究を。しかし、もはや研究をしている段階ではないという気がするのですね、今日のように問題が深刻になってきた場合には。そこで、あまり具体的なことは、それはわからぬというふうに言われればそれはしかたがないかもしれませんけれども、現に過密都市が極限まで来てしまって、公害の問題から交通の問題から、すべての問題がいまや遷延を許されない時期に来ているわけなんでありますから、交通対策の一つとして運賃問題が出てきたわけなんでありますけれども、やはり日本の都市計画といいますか、産業構造といいますか、そういうものがある程度はっきりしないと、それに伴うところの交通政策も今度は立たないと思うんです。いままでは、交通政策というのがあとから追っかけていってるわけですよ、すべて。あとからあとから輸送需要のふえたところを追っかけていって、しかも追いつかないというのが現状なんです。だから、むしろ私は、その都市計画そのものが先行をして、いまこれだけの人口がある、産業がこうなっておると、しかし住宅は不足していることは間違いないんだから、その不足している住宅は、計画的にどこにどういうふうに建てて、それから産業はどういうふうな構造になって、——首都圏とか近畿圏とか言いますけれども、これらの法律というものは何か空文のようになっております。そこで、その空文ではなくて、実際の青写真というものを明らかにして、そしてそれに合わせて交通対  策、新線建設なら新線建設を考えるということをやらないと、これはどうにもならぬじゃないか。この運賃の問題だって、私は、第三次長期計画と言っておりますけれども、何年かたてばまたまた同じようなことを繰り返すんじゃないかということを心配するんですよ。きのうも話しましたけれども、この前の五カ年計画のときには、五年たったらこうなります、通勤も楽になります、どこへもすわって楽に旅行ができますと、こういううたい文句でこの前も運賃値上げをやったんです。そしたらいまは、まあ私から説明するまでもなく、そんな状態じゃないわけですね。いま提案をされておる運賃の値上げの内容も、この計画がうまくいけばこうなります。通勤も通学も旅行も楽になりますと、こう言っているんです。だけれども、そのためには、日本の産業なりあるいは日本の人口の分布なり、都市計画なりというものがこうなるというものが明らかにならないと、私は信用できないような気がするんです。だから、それらの点について、この構想というものがはっきりしておりましたならば、やはりこの際説明をしてもらったほうがいいんじゃないか。また、国鉄当局あるいは運輸大臣からお答えをいただいてもけっこうでありますが、運輸省のほうとしても、それらの計画がはっきりしておれば、この際、この委員会でもって明らかにしてもらいたいという気がするのであります。
  94. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 考え方としては、いま瀬谷さんのおっしゃるとおりだと思っております。そこで私は、抽象的に言うなとおっしゃるから、抽象的に言いますということをお断わりして申し上げておるわけでありますが、ややお答えにならぬかもしれませんけれども、私は、いまの日本の現状というのは、率直に申し上げてできそこないになっておるという感じを持っておるのです。そのできそこないの現状を私どもはいま処理をしておる。だから、このできそこないの状態で、あとを追っかけていくというお話でありましたが、全くこれはあとを追っかけておるのでありまして、こういう政策で夜を日に継いでも根本的な解決にはならないであろうと、私はもうそういう確信をしております。といいますのは、国鉄のことは私知りませんけれども道路網の状態を見ましても、実はこれは率直に申し上げて、徳川時代にできた道路をわれわれいま守り本尊にして生きておる。その当時の人口は三千万といわれております。いま一億。三倍以上の人口がやはりその徳川時代の道路網の周辺でうようよしているという現状であります。したがって、これは動脈硬化になり、あるいは過密都市で動脈瘤ができたり、地方が疲弊していわゆる半身不随になる、これが根本の問題であると私は考えております。したがって、これは相当長期考え方長期計画が必要でありますが、その問題を解決するという計画と、それだけの考え方で根本的な政治を進めないとこの問題は解決しない、私はそういう立場で建設行政の基本対策をしておるというのが現状であります。しかし、これは少なくとも三十年かかる。三十年の将来を私ども考えておりますが、しかし、そういうことを言いましても、当面現実にどうしても家は必要だと、産業経済の急激な変化によって御承知のとおりでありますが、それに対する住宅を建てなきゃならない、通勤輸送の機関が間に合っておらない、そこで今日のギャップ、混乱があるんだと。しかし、それもできるだけ−それを放任するわけにまいりませんから、その当面の課題の解決にも力を入れる、これが私は現状であろうと思います。そういう各般の想定をして私どもは住宅政策交通政策も現在やっておるというのが、私どものいま今日ただいまであるということを御理解願いたい。
  95. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょうど建設大臣がいるから一、二、聞きますが、万般の根源は私はやはり土地政策そのものがないことだと思う。先般宅地造成公団をつくる、これは当面の政府の方針として、日の目を見なかったけれども、少なくとも今までのあらゆる面が、いま大臣が言っているように、そのつど政策で、当面の問題に追いまくられているうちに大臣がやめてしまう。新しい大臣が来るというと、いろんな構想を言うけれども、それが緒につくかっかぬかのうちに交代。まあ巷間いわれているように、また間もなく五、六月ごろ内閣改造、こういうことで、ほんとうにこれから軌道に何とか乗るのじゃないかという段階になるとやめてしまう。しかし、少なくとも政党政治ですから、その中に一貫したものがなければならぬけれども、しかし、それがなかなか継続的に踏襲されないうらみがあると思う。私は、そういう点で総理大臣にも聞きたいのですがね。少なくとも立法府にある——話の筋はちょっと違いますが、衆参両院を通じてこれは国会議員たる者は、議院内閣制というのはだめなのじゃないか、いまの段階では。少なくとも議員は国民の負託にこたえて立法に専念して、行政という面については、総理はこれは選ばれて出なければいかぬけれども、それはそれとして、それぞれの専門家、専門屋に徹底して、とにかく総理の掌握のもとに継続的に計画を煮詰めて、それを粘り強く実行していく、議席にある者は衆参両院を通じてその施策というものを追求をする、そういうような方向でないというと、何か知らぬが、二足のわらじをはいて、あるときには立法府にあり、あるときには行政府にある、一体何をしているのかということになって、それもそのつど交代してしまう。いままでで一番うんと、所得倍増以上に大臣がつくられたわけですね。だから、それでこれは失礼なことばではなくて率直に言って、いまの政治の基本的なあり方というものをやらぬというと、どうしてもそのつどに終わるということになると思う。これはもう、一面は選挙が非常に熾烈であるし、まごまごしているというと、どうしても当選できにくくなる。足をかっぱらわれるという傾向もあるということになるというと、やはり政治そのものが、政治資金と直結しないというとから回りするような印象をもって、やはりすべての国の施策というものが政治資金というものに結びついて、そうして運転されるという傾向が私は強いと思う。  そういう中から土地政策一つ見ても、宅地造成公団というものをつくってやられる、われわれ大いに期待していたのです。というのは、庶民の住宅の土地がある程度低廉に確保されれば、これはおのずから物価全般に私は影響すると思っている。いまは日常的に働いても土地というものは手が届かないところにある。しかし、何とかこれを確保しなければならぬために、いろいろと、働いている人のみならず国民一般はそれをやっているわけなのです。そういう点で、いま瀬戸山さんが言われたように、基本的な構想に立って、抜本的な方向を歩まにやならぬといっても、その態勢が日本の国というものはないと思う、これは与党、野党ということは抜きにして。そういう点で抜本的に政治のあり方というものにかんがみないと、私はやはりここでやっていることはこま切れに終わってしまうという気がするのです。  私はそういう点で、建設大臣にここで無理なことを言っても、なかなかその客観情勢はできぬ。それは建設大臣やってやれば、失礼だけれども、どこに道路を通してやる、そうすれば金も集まるし、票も出てくるだろう。今度はどこどこへやれ、あれはおれのところの子分、仲間だからあそこに頼まれるというと、ちょっとそっちへ敷きにくいけれども、まあ目をつぶってこの際やれと、自分が言うのはおかしいから次官を呼んで、おまえちょっとあそこのところしてこいということで、政治そのものが本人の意思ではない、相対的ないろんな連関の中でひん曲がっていってしまって、その間に半年や一年たってしまうというと弁士交代と、こういうことになっておるんではないか。それを官僚群がいろいろとささえておるけれども、官僚群自体も、五十そこそこの年になるというと、局長とかなんとかいってそろそろ政治に出るか、あるいは今度は実業界に出るか、腰がむずむずしている。国民の方向に政治を向けていくというより、自分の目を向けていくということよりも、必然的に、だれだって聖人君子じゃないから、やっぱり家族も持っていれば郷党の負託にこたえて、自分もいっぱし何とかなろう、これはあたりまえのことだと思う。しかし、そういう面からいうと、これとやっぱり政治との癒着というか、もたれ合いというものができて、結局官僚群自体も、国政の中においてその道にほんとうにつくすという、これは本人が幾ら思っても、それはできないことになってくると私は思う。つまり五十くらいで局長になって、五十二、三歳になるというとどっかの外局に出るなり、民間におりる、  こういうことでは私はやっぱりいかぬから、公務員になって官僚の道を遂行するというならば、私は、やっぱり六十なら六十まで——いま若いんだから、六十なら六十までやって、そして退職金も、それから年金もきちっとつけて、よその民間に出なくてもいい、それから外局に出なくてもいい、とにかくその道を通じていけば、何とかめしは食わしてやるという、この基本動態の中において政治の焦点というものが動いていかないというと、私はから回りするんじゃないかという気が強くするのです。したがって、われわれ政治の立場にある者は、やっぱり立法に専念し、その道にある者はその道に専念する、そうして右顧左べんすることなく、権力に追随しなくても、その道をほんとうに貫いていけば、六十年の定年なら六十年の定年にする。五十五なんてむちゃですね、いまの時代で。子供が二十か二十一、大学へ行くか行かない間に退職なんて、そんなべらぼうな社会機構の中においてまじめにやろうとしても、やっぱり何とかある程度は位が進むというと外へ行って大会社に行く。通産関係は民間の会社、大蔵省関係は金融機関のほうへ行く。建設省の役人は建  設、土建関係の方向へ行く。あるいは政治へ行く。こういう形になっていると思う。これはいけないといっても、そういう社会機構の中にみんな泳がされていると私は思う。そういう点で、根本的に、瀬戸山さんのような大先輩にこういうことを言ってあれですけれども、ぜひとも私は、やはりお互い議員という立場において国政を論ずる場合に、交通政策はどうあるべきか、住宅政策はどうあるべきかというときに、やっぱりそれぞれの分野において衆知を傾けて、これが継続的に粘り強くいけるような仕組みを政治家がつくらにゃいかぬ、政治家が。そのためには、私は、政治家というものが立法というものに立って、それを法律的に施行していく権力もあるし、責任も私はあると思うのです。そういう点で基本政策をやる場合、自分が在任中、この一年なら一年に、こう考えたが、これがこういかない、この根本原因というものをやっぱり探求して、そうしてこれを次の大臣に移していく、そうしてでき得るならば、議院内閣制ということよりも、もう一ぺん、これについては論議があるけれども、ほかの方向に考えてみるなら考えてみる一これは国の政治の根本に触れるから、これは私の個人的な意見ですから、党との関係はございません。しかし、少なくとも現状における行政府と立法府という問題の関係の中から、いま質問答弁を聞いていると、宅地政策ひとつ、土地政策ひとつも確立していない。私はどうしてこれが確立されないのかということを見たときに、やっぱりいまの政治機構と結び付いている。あらゆる銀行、あらゆる大工場、事業場がみんな不動産業を兼業していますよ、全部。不動産業をやっていないものはほとんどないですよ。紙の会社から、パルプ、それから紡績会社から、銀行から、生命保険から、何から何まで、あらゆるものが全部土地を食いものにしていままで太ってきたというても私過言でないと思う。こういうふうなものを背景にして、土地価格の安定などといったって、私は笑わせられると思う。どうしてもやはり建設省が宅地造成公団なら公団をつくって、これは万能じゃないけれども、抜本的に政府資金と、国有地なり公有地なりを総合的ににらんでやるということになれば、土地価格というものは落ちてくるのがあたりまえだと思う。運賃値上げは百五十倍だ、百八十倍だ、物価に比べて安いといっていながら、国の政治責任において、一千倍以上の物価がこっちにある、こういう総合的な中において国民は生活しているんですから、部分をとらえて、国鉄運賃は安いんだから上げるのはあたりまえだというが、高いものをおろしてくれない。私は、ここでこまかいことはふれないけれども、ぜひともひとつ、できることとして、あなたの在任中に、土地対策、これだけならこれだけをやってもらうことになれば、国鉄は敷地を買うのにずいぶん助かるわけです。そういう点で、これから国鉄が新しい政策のもとにいろいろなことをやっていく場合に、都市における過密化の解消、あるいは通勤通学対策といっても、複々線化するにはべらぼうな金がかかるわけです。いまの中央線一つをとってみても、普通では考えられないような技術を駆使してやっていることは御存じだと思う。あなたも杉並に住んでいるからよくわかると思う、自動車ではよくわからぬかもしれぬが。そういう点で一番根本に来るのが、私は、やはり土地の買収。労働組合や何かがストライキをやるというと、公共のためとかなんとかいって、そういうような事業になるというと、公共というものはどっかにいっちゃって、やたらだくだく金があれば出してやってきている。そういうことで私はここに来ていると思う。ある面においては公共性を主張する自民党が、ある面においては全然、ほとんど無尽につかみ金でぶったたいてやっていかなければならぬ、こういうようなことでは、幾ら国鉄に金があっても、輸送力増強に間に合いかねると私は思う。  こういう点を考えたら、あなたのところで土地対策を立てて、どんなことがあってもこれをやるということになれば、おのずから国民の信頼というものがわき、運賃値上げについても、そこまでやるならば、とにかく国鉄もよくやっている、建設大臣は土地対策よくやっている、むだがたいしてないということになれば、国民も黙って運賃上げてよろしいというにきまっている。いまはそうじゃないと思う。そういう点で大臣のひとつ土地に対する決意を伺いたいと思うのです、通り一ぺんのことじゃなくて。
  96. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) しばらく建設大臣ということを離れて、個人的見解として、せっかくですから申し上げておきます。議院内閣制度はいいか悪いかということについて、私は、私個人としては、議院内閣制度は日本には不適当だと思っております。これはしかし憲法に規定されておりますからやっておりますけれども日本の実情、日本のようなところでは、私は、せっかくでありますから、やはり議員が大臣等にはなれない制度をつくっておいたほうがよかったと思っております。ここに大きな欠陥がある。これはまた議院内閣制度もいいところがあるんでしょうが、これが運営よろしきを得れば。私はいま建設大臣になったからということでなしに、やはり行政当局というのは、相当長期にわたって真剣に取り組み、それを国会が批判するという、あるいは鞭撻するという制度でなければ、いまのようなことでは、率直に言って、本格的な政治はなかなか簡単に行なわれない。これは私建設大臣ということを離れて、個人的な見解として常日ごろ持っておりますので、これはまあ国家の大問題でありますから、国民的に検討すべき問題であろうと思っております。  これから建設大臣として申し上げますが、地価の問題あるいは土地政策は、私は残念ながら、過去を批判するのでなくて——少なくとも遠い戦前のことなどを申し上げません。最近の経済の問題あるいは景気の問題、日本産業の実態がこういうふうになったのは、土地対策、地価対策に大きな欠陥があったからなったという、これは大きな重大な原因であろうと思っております。少なくとも十年前に、昭和三十五年ごろにこの根本問題に触れて、これに解決と申しますか、方策を立てておれば、今日の産業、経済のこういうざまはできておらなかった。多くはここに根本原因がある。今日、よけいなことであるかもしれませんけれども、私がもうやはり何もかにも反省をし、洗いざらいにお互いに知恵を出し合って国をよくしなければならぬという根本思想を持っておりますから、野党であるとか何党であるとかいうことはあまり頭にないほうでありますが、十年前にこれをやるべきだった。土地の利用の問題、土地政策、いわゆる地価問題、これが今日の急激な産業、経済発展けっこうでありますけれども、先ほどお話しのように、まるでつかみどりのように土地に、この動かない土地にばく大な投資をして、そして稼働設備が六〇%やあるいは五〇%の稼働率でやっておる、ここに大きなコスト高になってきて、今日の産業、経済が打撃を受ける——これだけじゃないでしょうけれども、ここに大きな根本原因がある。私は真剣にそれを実は考えておる。住宅対策ばかりじゃございません。そういう意味で、まあ常日ごろ考えておりましたから、たまたま建設大臣になって、所管大臣ということで、これに取り組んでおるわけであります。私はこれからもう、声がよく出ませんから詳しく申し上げられませんけれども、まあ普通でいいますと思い切った措置をとるために、いま法律その他の制度を近く国会におはかりいたしますが、これで根本解決になるとはうぬぼれておりません。そしてこの柱を立ててもらって、そしてそれに不足があれば順次補って、この土地の問題、地価の問題にやはりメスを入れてもらいたい、メスを入れるべきである、かような考え方です。  それからもう一つ国鉄のほうはよく知りませ  んけれども国鉄ばかりじゃありません。こういうような大規模な公営企業をいたします場合に、やはりせっかくその一つの手段としてありますいわゆる土地収用法、これはもう明治以来あるわけであります。これを活用しておらないというところに行政当局の大きな欠陥がある。これはこういうものを伝家の宝刀だなどという考え方に根本的に違いがある。土地収用法は、社会、公共のために、いわゆる民族のために使う法律であります。これが正しいからこれによって最後の処理をしなさいというのが、この土地収用法の根本の問題であります。それを伝家の宝刀であるとかいうことで、何かこれを使うと悪いもののように習慣づけてきたところに、土地問題の解決がなかなか困難になってきた。ですから私は、今後はこの土地収用法をぜひ御協力を願って整備さしていただきたいと思いますが、これも法律をつくってそれをただ寝かしておくとかいうことでは何の意味もない。これをぜひ国鉄さんなどは強力に使ってもらって、大体土地で財産をもうける、財産をつくるなどというのは根本的な誤りである、率直に申し上げれば。土地というものは、その上に立って、生産力によってもうけるならもうけてもらうのであって、土地そのものでもうけるというその思想を根本的にたたき直すということが、わが国における産業、経済、文化あるいは諸般の根本問題であるということを考えておりますということを申し上げておきます。
  97. 相澤重明

    ○相澤重明君 せっかくの建設大臣が御出席の時間ですから、瀬谷委員の質問関連をして私も二、三聞いておきたいと思うのですがね。建設大臣がこの鉄道等との協力関係について閣議の中でも、あるいは事務次官以下の協力関係についてもあると思うのです。ところが、まあ現実に今度の運賃値上げ提案されている中で、いろいろ出てくる要素の中に、この住宅問題というものが実は密接不可分のものだ。したがって、この輸送力増強という名によるこの公共投資というものは、実にばく大なものになってくるというところに、実はこの質問の趣旨があると思うのですよ。私は、この建設省の仕事の中にはいろいろな問題がありますから、まあその中での一つの住宅問題をとらえて、全部がこれでいいとか悪いとかという評価をすることはできないと思うのです。それは私はそう考えていません。けれども、やはり何といっても国民から見れば、衣食住ということは大事なことでありますから、その住の問題と、今度は仕事をする場合、子供の場合には教育の場所、こういうものと交通問題というものは切り離すことはできないわけです。で、交通問題とすれば、いわゆる道路と、いわゆる鉄道、軌道等の問題が、これはどうしても切り離すことはできないということになると、私は、社会政策の面からいけば、鉄道は、このいま俗に言う日本国有鉄道の問題については、国鉄予算で全部まかなえばいいということではないと思うのです。ですから、一つのニュータウンをつくる、あるいは工場誘致の団地をつくると、こういうような場合は、この各省が、いわゆる内閣がそういう方針をきめて、それでおのおの分担すべきものは分担をするというのが、本来のたてまえじゃないか。そのために国民はみな平均をした税金を納めておるわけだ。ところが、その使い方いかんによると、納めた税金というものがきわめて不公平に使われている、こういうことになる結果だと思うのです。ですから、私はまあ率直に申し上げて、いままでの団地造成についても、ずいぶん御苦心をされたと思うのですけれども、われわれこの運輸の立場におる者から見ると、どうも建設省の住宅政策というものは、十分そういう交通事情をお考えになっていないと、こういうことがあると。ということは、一つは、私の最も身近かな問題話しますが、神奈川県の藤沢に辻堂というところがある。この国有地の払い下げをして住宅公団が住宅をつくろう、地元の者は、いやどんどん都市が過密化してくるから、せめて緑地を置きたい、公園をつくりたい、こういう希望を出した。その競争になった。大蔵省に対して、住宅公団は住宅をつくらせろ、地元では公園をつくらしてくれ、あるいは中には、大企業が金を出し合って、そうして遊ぶ場所をつくろう、こういうような計画もあった。幸いに、最終的には公園ということに、ずいぶん二転、三転の変遷はあったけれども、いまはそういう方向にいって一いますから私は喜んでおりますけれども、このときに、地元の神奈川県知事なりあるいは藤沢の市長は、日本住宅公団に、住宅をあの場所にそれ以上つくられることは困る。しかし、その住宅公団はなぜ申請をするかといえば、最も通勤距離の近いところ、立地条件のよいところ、こういうようなところを選んでそこに求めた、まあこういうことがいえるわけです。しかし、それはそのおのおのの個々の立場からいけば、たいへん気がよいところについておると思う。しかし、全体から見れば、そういう点では私は必ずしもよくはなかった。で、こういう点が、これは一つの例です。  そこで、そういうような場合に、いまの、たとえば湘南電車なり横須賀線で、そこに住宅ができた場合、通勤輸送がどうなるか、こういうことを考えると、いまの三〇〇%が三五〇にも四〇〇にもなってしまって、これではとてもいまの国鉄輸送状況では追いつかない。その上に地方自治体はたくさんの施設をしなければならぬから、自治体が非常に財政的に圧迫をされるという問題が、これは私は単に国鉄一つのそういう輸送力という問題は、建設省の住宅政策ばかりでなくて、自治省の地方財政にも関係してくる。こういうことを私は見のがしてはいけないと思うのですよ。したがって、そういう基本的な立場に立って住宅をつくって、その輸送力国鉄に主としてまかなってもらうということになれば、自治省なり建設省が、この自治体と国鉄に対しての財政的な考慮をしなければ、私はあなたのいまのお話の結果にはならぬ、こう思うのです。そういう意味で、閣議の中で御検討をされる場合に、住宅政策についても、ぜひ交通機関と、また地方自治体の財政事情というものを考えて、私は進めてもらいたいとこう思うのです。やっていると思うのですが、そういう基本的なことが、もしいままでもそうだし、これからもやるというお返事があるなら、お返事を先にいただきたい、いかがですか。
  98. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 国鉄、あるいはその他の民間もあると思いますが、そこまで資金を出すということは、率直に申し上げて、これは実際上不可能であります。ただ、おっしゃるように、まあ辻堂、西のほう、私どもはせっかく国鉄さんのほうでいろいろ輸送力の、新幹線あるいはたくさんの列車が走っておりますから、それを利用さしてもらうという意味で、辻堂、藤沢あるいは茅ケ崎あたりが通勤の限界だということで、その付近まで手を伸ばしておるわけであります。だからといって、これだけ人をふやすのだから、国鉄のほうに金を出しますよというあれは持つとよろしいのでありますが、それはいろんな行政機構その他の関係で、これはちょっと不可能であります。ただ、おっしゃるように、従来地方公共団体との間には欠陥があったこと、率直に認めます。相当の団地をつくりますと、学校あるいは保育所とか、街路、下水が要る。いろいろ現在の機構で市町村——町村は割合ありませんが、いわゆる県とか市などでやらなければならない仕事がたくさんある。こういう問題まであまり手が届かなかったのが実情であります。それは、まず家を建てるということに集中したことから来ているわけでありますが、したがって、地方でなかなか困難をされておる、こういう実情はよくわかります。従来は、ある程度学校の施設に対して、金融公庫等から金を出して、あらかじめ金を出すということをしておりましたが、四十一年度の予算からは、そういう学校あるいは保育所あるいは幼稚園、下水道という、そういうものまで公団で施設をする、あとから金が出ますから、国は年賦でそれを償還してもらう、こういう制度を新たに立てまして、予算もつけておるのが実情であります。そういう点は全く従来率直に手抜かりであった。従来は家を建てることに急なあまりに、そういう点が手抜かりであったことは事実でございます。こういうことは今後もっと進めていかなければならない、かように考えております。
  99. 相澤重明

    ○相澤重明君 これで関連、終わりなんですが、そこで、いまの建設大臣のいい答弁があったので喜ぶわけですが、そこで、この問題は国鉄公共負担、それであなたがいままで自治省と地方自治体に対しての、建設省なりあるいは運輸省、なりと、こういう相関的な関係から考えて、建設大臣、りっぱな答弁があって、私もそういうふうにしてほしいと思います。それはたいへんいいけれども、それじゃ、建設省からそれだけ住宅を建てれば交通問題にも影響があると、こういうことはおかりになるわけですね。しかし、建設省の予算国鉄に幾らというわけにはいかない。そこで私は、内閣がいわゆるそういうようなことをきめていくわけですから、したがって、この国鉄にしわ寄せをされる公共負担は、これは内閣としてきめて、私は国鉄にめんどう見てやらなきゃいかぬ。このことを私はあなたに答弁を求めたいと思う。だから、建設省の予算でやらなくとも、国全体として、その国全体のそういう政策に基づいて国鉄にしわ寄せをするのだから、国鉄のその財政規模の中ではやはりしわ寄せがそこにいくのだから、これに公共負担として国がめんどうを見べきである、こういうお考えが出ることはあなたも当然だと思うのですが、いかがですか。
  100. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そういう考え方があることを私もよく承知いたしております。ただ国鉄の財政経理については、いろいろ議論がされておりまして、一挙にそれができるかどうかということを私がここで答えるというわけにはまいりません。大いにひとつ皆さんの御意見も、私も知恵がつきますから、これは内閣全体、政府のあり方の問題でありますので、しかも、公共企業体としての公共性のある国鉄、あるいは独立採算制ということでいろいろ議論がされておりますから、ここで私が簡単にお答えはできない実情であります。
  101. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと時間があまりないのですがね。先ほど、できそこないだ、いまの政策についてこういう発言があったので、率直でまことにいいと思っているわけです。それで、このできそこないを直す、ことにいまの通勤と住宅問題、これと関連して基本的にあなたの理想像でいいのですけれども、そういうものをどう考えておりますか。どういうふうにしたらこれは解決できるか、根本的に解決するもう全然方法なし、メイファーズで、そう見ているのかどうか、その点伺います。
  102. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 政治でありますから、日本の国内でやることは、これはあくまでもメイファーズでは済まないと思います。困難があっても、時間をかけてもやはり衆知を集めて解決をしていくべき問題だと思っております。おまえはどう考えているのだと、先ほど岡さんの場合でありましたか、瀬谷さんの場合でありましたか、大まかなお答えをしたのでありますが、私は、こういう問題は当面の問題と恒久的な問題があると思います。私は、いまや当面の問題は、なるほどこれは捨ておくわけにいきませんけれども、恒久的なものを考え、これも推進すべき段階に来ておる。従来は、率直に言って、当面の、これはまあ敗戦後のいろいろの諸般の事情があったから一応やむを得ないといえばやむを得ないところがあるわけでありますけれども、この段階では、当面の課題だけに追われておったのではますます深みに入っていくであろう。深みに入っていくということは処置なしということになるおそれがある。これでは私は申しわけないと思っております。したがって、先ほど申し上げましたように、国全体をもう一ぺんどうするか、洗い直してみて長期構想を立てて、時間はかかっても、それを進めながら、当面の問題もそれをしていく、こういうことでなければならないという基本的な考えを持っておるわけでございます。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっとお伺いしますが、東京都内に遊閑地と思われる土地が一体どれくらいあると、これはあなた把握されているのか。やはり一番大きな問題は、これはなにでしょう、通勤のものすごいこういう混雑が起こっているというのは、これは生活をする場所と生産の場所、これが違っている。ですから、結局遠距離の、二時間ぐらいのところが、今日ではまあ相当な人数がこういうところから通勤している。平均一時間、一時間半などというのはざら。この問題をやはり総合的に解決するという考え方がなければ、これは解決しないのじゃないか。ただ抽象的なことは伺いました。しかし、具体的にこういう問題突っ込んで考えたことがございますか。たとえば東京都の遊閑地がどれくらいほどあって、そういう問題をいまのように遠距離通勤でなくて、もっとこれはこういう問題について総合的な大きな施策を、むろんいまの政権でできるとはわれわれは考えていないけれども、しかし、一応そういう施策を持たなければならぬわけです。あなたのほうの解決は、それよりほかないと思っているが、その点どう考えておりますか。この点いかがですか。
  104. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 都内に遊閑地が幾らあるか、私は承知いたしておりません。ただ、私は、東京は人が集まり過ぎたと思う、いまの日本の現状では集まらざるを得ないが。こういう事情が、一千万以上もある大都会になってしまっていると思うのです。したがって御承知のように、従来から東京の工場あるいは学校の一千平方メートル以上のものはつくらせない——これは大阪付近もそうでありますけれども、そういうことも講じておりますし、今度から、これは押し出すといえば押し出すということになるかもしれませんけれども、東京都内のこの過密の中の工場等をできるだけ外に疎開してもらって、そうしてそのあと地をいわゆる都有なり公有にしてこれを買い上げる、こういう制度もつくろう。とにかくこの中をもう少し人口を減らす方法を考えなければならない、あるいはそこを立体的に使う方法を進めなければならない、こういうことをこの中ではやっておるということであります。
  105. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 建設大臣が個人として言われたことは、非常にいいことを言っているのです。だけれどもね、いいことを言ってみても、これを政策の上に反映してもらわなきゃ何にもならぬ。私はやはり政策の上に反映をしてもらいたいということをまず要望したいと思います。  それから、時間がないようでありますから、こまかいこともあわせてちょっとお聞きしますが、土地収用法のことをいま言われましたね。土地収用法の適用というものがなかなか少ないということ。そこで、建設大臣のいるところで国鉄にもひとつお聞きしますけれども、新線建設——東海道新幹線をはじめ新線建設その他でもって土地収用法はどの程度適用しておるのかということ。それからキロ当たりの建設費の推移というものがわかったら、あわせてお聞きしたい。  それから道路と線路の問題でありますけれども、いま東名高速道路というのを建設しておりますね。東海道新幹線ができました、あれはいつだったですか。私が建設委員のときに経験したのでありますけれども、東名自動車道路を建設している最中に、東海道新幹線が先にできた。聞いてみますと、東海道新幹線がキロ当たり幾ら幾らででき上ったので、東名道路価格の場合もそれが一つの相場になってしまって、線路の東海道新幹線の場合と同じ高さまで上げざるを得ない。つまり価格はそういうふうに上がってしまうということを聞いたのでありますが、そこで、道路と線路をつくる場合に、建設省は、今度は鉄道建設公団がやられることになったと思いますけれども、汽車のほうの場合と道路の場合と、てんでんばらばらに土地買収をやって、それで価格をつり上げていくといったようなことは非常にむだだと思う。同じような時期に東海道線と新幹線と並行して東名道路をつくるという場合には、これは両方でもって協議をして、むだのないように、土地の買収などをやってしまう、できれば場所によっては並行するわけにいかないけれども、一緒に買収してしまって、そこに道路と線路を建設するといったようなことができると私は一番いいんじゃないかと思う。国がやることであるから、その程度のことは私はできると思う。だから、今後は道路と線路を建設するというような場合には、両方でもってせり合いをするというようなことがないためにも、これは双方でもって協議をして連繋をとってやっていくということが必要だと思うのです。むだをはぶくためにも。土地収用法についてお聞きいたしますけれども国鉄のほうにもお聞きいたしましたが、今度土地収用法の改正を考えておられる。これは実績があがらなかったから、あがるように土地収用法を改正しよう、簡素化しようというところにねらいがあるわけですが、土地収用法を改正しなければならない過去における欠陥は那辺にあったか。その適用が行なわれなかったという理由の多くは何であるか。それをどういうふうに今度は改めようとしておられるのか。以上の点を最後にお聞きしたいと思います。
  106. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほど、たとえば新幹線の用地あるいは東名高速自動車道の用地は、並行線のところがありますから、こういうものはできるだけ協議をして——買われるほうは同じ土地でありますが、買うほうは別々であります。したがって、これを調整をとっていったらどうか、これは私は大いに賛成であります。ただ事業をや  ります時点が違うと、実際問題としてなかなかそう一緒にいかないということがあると思います。特に私は国鉄のことは知らなくて申し上げるのでありますが、新幹線はオリンピックに間に合わせようという、総裁のお話を聞いておってもそういうことでありますが、非常に急がれて、どうしても早く買わなければならないという、いろいろな事情もあったと思います。そういう意味でやや高く買われた、どの程度買われたか知りませんけれども、あるいはそういうことがなきにしもあらずと思いますが、したがって、その付近の公共用地の取得に影響したということもあると思います。しかし、望ましいことは、先ほど瀬谷さんから言われたようなことが私は望ましいと思う。これは確かにさようであろうと思います。たとえば、御承知のように、道路などをつくるときに、国が直轄でやる、あるいはその付近に地下道等で都道府県が同じ工事をやる、こういうような場合には、できるだけそういう価格の連絡をして、ちぐはぐのないようにやる、こういうことは、現在でもさようにいたしているわけでございます。収用法の問題ですが、簡単に申し上げますが、今度改めようというのは、基本的には、公共事業等ができることによって、そこが非常に便利になる、したがって、そこの土地の価値が上がるというか、値段が上がる。そういうのを今度防ごうというのが一番の大きなねらいであります。従来御承知のように、ここに鉄道をつくる、あるいは道路をつくる、こういうことを予定してその計画を立て、そうしてそこにかりに土地収用法をかけますと、二、三年あるいは四年もかかる、それくらいの時日がかかる、その上、そこは道路ができた状態において値段をつける、こういう場合は、そこにたまたま土地があったというだけのことで、その所有者だけが国民の負担において利益を得るということで、こういうことは許すべきでないと私は思う。こういう立場で収用法を改正しようというのが一番のねらいであります。土地収用法の手続が人権との関係——いわゆる個人の権利との関係があってなかなか複雑になっております。それでできるだけ個人の人権を害さぬ程度に簡素化しよう、こういうねらいであります。もう少し言いか、えますと、今度は、ここにこういう鉄道を敷く、ここにこういう道路をつくるという計画を決定するときの値段で、そのときの時価で補償いたします。これが一番の大きなねらいであって、さっき申し上げましたように、せっかくそういう制度をつくっても、これを活用してもらわなければ何にもならない、こういうことを私は申し上げているわけでございます。
  107. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいま藤山経済企画庁長目が御出席になりました。御質疑のある方はどうぞ御発言を願います。
  108. 木村美智男

    木村美智男君 藤山経済企画庁長官に運賃値上げの問題と関連をしてお伺いをしたいわけであります。と申しますのは、直接的には、これはあるいはある意味では、運賃物価の一種のような今日の状態にある。昔は少くとも米がわれわれの生活の基準になっておった。しかし、だんだん米一升幾らという生活の中心が、最近ではむしろ物価という観点からすると汽車賃とか鉄道賃とかいう、こういうところに国民のものの考え方というものもだいぶ移ってきておる。こういう点からいうと、実は物価の問題というのは、単に運賃と何の関係があるかという気持ちもあるかもしれませんが、決してそうではないことは、長官も御承知のとおり、昔は経済安定本部と、こう言いましたね。それは最近になって経済企画庁と名前を改めたわけです。経済企画庁にはなっても依然としてやはり経済の安定というような意味合いが強く、今日の企画庁の仕事の中に任務として持っておるのじゃないか、こういうふうに思うのです。  そこで具体的にお伺いするわけですが、今度の運賃値上げによって、私の知る範囲では、私鉄がこの間運賃の値上げをやったということで、あれはまちまちですけれども、大体平均をすると、全体的の値上げ率というのは二〇%前後というところのようでございます。これによって、一日この利用するお客さんの払う金額というのは大体八千万くらい、したがって、年間約三百億と推定をされる、こう言われている。今度の国鉄運賃の値上げの場合には、すでに言い古されているように、一日四億と言われておりますが、まあ四億二、三千万だろうと思う。これはやっぱり年間を通して千六百五、六十億。そうしますと、これを合計をしますと、やはり二千億前後の金額になる。このことは言いかえれば、新しく今度の運賃値上げという段階を境にして国民のふところからそれだけこれを吸い上げていくわけですね。これは一体企画庁として、どういうふうにまずその生活の面に影響を持ってくるかということですね。この間、いろいろと数字を言われましたが、その答えられたことが、これはあと質問関連をするのでもう一回お伺いするわけですが、この結果、それが物価というものには一体どういう影響を持つのか、あるいはあまり影響を持たないのか。それとも、私らの考え方は、多分にインフレ的な方向にいまの物価の趨勢からいうと拍車をかけていくという役割りを持っているように思うんです。この点をまず最初にお伺いをしてみたいと思うんです。
  109. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国鉄あるいは私鉄を加えまして、運賃の値上げというのは消費者生活影響があるということ、これはもう否定し得ないと思います。私どもの申し上げております数字は、全都市のCPIに対する影響というものが、国鉄の族客の場合に〇・三ということを申し上げておる。これはCPIに及ぼす影響でございますから、したがって、平均的な数字になってくる。ですから、実際に各家計の状況から見れば、都市における勤労階級なり、あるいは交通機関を特に利用する人、それに対しては必ずしも〇・三という感じではない、もっと大きな感じであり、事実上支出が要る。ただ全国平均で都市で申しますと、〇・三ということを申し上げておるわけです。そういうことでございまして、貨物のほうの影響というものは、これはなかなか算出しにくいものでございまして、貨物の運賃の値上がりが、それぞれの物資についてどういうふうにはね返ってくるかという問題は、数多い貨物でございますし、そして一々それの計算ということはほとんど不可能に近いんです。で、一応そういうものを計算するための連関表的なものを考えてやってみまして、総理府の家計調査報告というようなものに、五万以上の都市の平均世帯の家計に及ぼす影響というものを試算いたしますと、〇・五というような数字が数字的には出てくるわけです。しかし、これも先ほど申しましたように、これとて、やはり平均数字でございますから、それぞれの世帯構成なり、その世帯の位置によりまして、影響が大きい。したがって概括的に申せば、主要都市における都市民の負担は相当大きいし、影響は大きいし、また、特にその中でも、あるいは勤労階級というものが、たとえば通勤運賃というものを会社が持つとかなんとかいうことを別にいたしますれば、相当大きいということは、私は言えると思います。
  110. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、いまCPIの結果〇・三という影響が出てくるというお話があったわけですけれども、問題は、長官がどういうふうにこういう点を受けとめられているかという点なんでよ。たとえば日常の生活必需品の物価なんかの場合であれば、この物価の値上がりというやつは、かりに大根が一本四十円なら四十円としますね、その場合に、たとえば所得の多いものは百円の大根を買って、貧乏人は二十円なり、三十円の大根を買うという形で生活というものが仕組まれていれば、これはあまり生活問題に、問題は比較的少ないと私は思うんです。ところが、そうでない運賃の場合はどうかといえば、これはやはり物価とその意味では同じだ。これは長官もある程度御理解いただけるんじゃないか。そうなると、今度の運賃改定によって、やはりしわの寄ってくるところはどこかということになれば、これは申し上げるまでもなく、やはり概して低額所得のほうにそのしわが寄ってくるということは明瞭だと思う。で、何か一般的なものの例としては、今度は七千三百億からの赤字公債を発行するんで、大体三千億からの減税をやろう、減税でカバーできるんであるというようなことも言われておる。しかし、実際にこの低額所得層といわれるようなところをよく調べてみると、これは大体私どもが見る限り、いわば税金すら満足に納められない階層の人たちなんです。そうすると、減税なんというものじゃとうていこの値上がり部分というか、生活がそれだけ圧迫される部分をカバーするものは、これは減税というようなものじゃ救われない、こういうことになるわけですが、もろに運賃値上がりなり、物価が上がったものをそのままかぶってくる、こういうことになるわけです。ここら辺のことについて考えれば、少なくともこの物価の値上がりによって、そういう国民生活の状態が出てくるということは、経済企画庁長官としては、必ずしも望ましいことではないと考えているんじゃないですか。そうだとすれば、望ましくないとするものを一体、長官いつも言われるのですが、大体五・五%程度に押えるというその物価の中に、おそらくさっき言った〇・三なり〇・五というものを含まれた中で言われているんだろうと思うのですけれども、この五・五という問題、これが根本的に実は私は問題だと思う。で、本会議で私そのことを質問したら、あなたは、物価問題懇談会は決して値上げを相談している懇談会ではないと、こう言ったけれども物価対策とか、物価をどうするとかというための機関というものが、何ぼ物価を上げるかという相談を現にしているじゃないですか。だから私は、物価値上げ懇談会だと、聞こえは多少悪かったかもしらぬけれども、そう申し上げた。しかし実際はそうでしょう。そういう意味で、いま言ったようなことで、何か特にこの国鉄運賃の値上げ問題にからんで、経済企画庁として、そういった低額所得層のこれによってくるしわ寄せというものをカバーするというようなことについて、具体的に検討され、あるいはそういう対策をとられているのか、これをお聞きしたい。
  111. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) いまお話がございました所得階層にどういうふうな影響を及ぼすかということでございます。一般物価についても言えることですが、特に運賃の問題につきまして申しましても、その例外に漏れないのでございまして、総理府統計の五分位の家計調査に当てはめてみますと、やはり一番影響の多いのは二分位から三、四、こういうところが一番多い。いわゆる中堅所得層と申しますか、実際に生活内容から申しましても、勤労者、あるいは消費内容も相当向上していくという階層のところが一番影響が大きいわけで、大きな所得を持っている五番目というふうな人は影響が少ない。それから一分位の方は、実はこれは消費内容ももっと向上させ、改善しなくちゃならぬところが基礎だと思いますが、比較的——少ないと申し上げませんけれども、いまの五分位の計算から見れば、二、三、四が一番影響が大きい、こういうところでございます。そこで、われわれとしても物価全体を五・五%に少なくも押えていかなければならぬ、それに対する施策をやってまいらなければならぬことはもう当然のことでございまして、政府としてとるべき緊急的な措置、たとえば牛肉その他、生鮮食料品の関係について、緊急輸入をする必要があるものについては緊急輸入をする、あるいは今後の場合には、そういう輸入の際に関税の問題等にもいろいろ考えを及ぼしてまいらなければならぬ、あるいは便乗値上げ等の場合にそれを押えていくというような緊急な措置も講じていかなければならぬ、あるいは公正取引法の問題についても考えていかなければならぬと思います。ただ、今日の物価というものが構造上からきている点が非常に多いものですから、やはりそういう緊急措置をとると同時に、構造上のいわゆるゆがみ、ひずみというものを是正していく方向を進めてまいらなければならぬということがわれわれの考えでございます。  そこで、木村さんにははなはだ失礼でございましたけれども、この間本会議でああいう答弁をいたしたのですが、木村さん、ちょっと政府物価関係閣僚懇談会と企画庁にある物価問題懇談会と混同していられるのじゃないかと思うので、政府物価関係閣僚懇談会のほうは、上げざるを得ないときに上げたこともございますので、そういうことも言われるかもしれませんが、企画庁にございます物価問題懇談会というのは、いまのような基本的な問題に取り組んで各界の方にあれをしていただいて、値上げというよりも、むしろどうしたら将来安定さしていけるかということを論じ合っていって、相当いま突っ込んで分科会等もつくってやりつつありますので、この点はひとつそういうふうに御了解いただきませんと、せっかく委員にお願いしておるような方に御迷惑をかけるといけませんので、そういうことを申し上げたわけでございます。  そういうことで、私どもも当面の政府自身がやっていきますものと同時に、構造上その他からきております問題について、基本的な問題の考え方、あるいはそれに対する将来の措置というものをあわせて考えながら物価対策をやっていこうと、こういう考え方で、そうして少なくとも来年度五・五%ぐらいなところにおさめてまいりませんければ、政府物価対策をやっているということには私はならぬと思うのです。相変わらず七%上がったのだ、八%上がったのだということでは、まことに申しわけないし、無為無策のことだと思います。むろん、この問題は非常にむずかしい問題でございますから、最善の努力をいたしましても、私の考えている努力目標にいかぬかもしれませんが、しかし、少なくも目標はそこに置いて政府がやるべき努力はやってまいらなければいかぬ、そういう意味からいいまして、今日物価問題が非常に大きいものですから、過去にもそうであったと思いますが、過去以上にそれぞれ担当の各省の大臣方が熱心にこうした問題に取り組むような姿勢になっていただいておりますので、われわれは、それと協力しながらひとつ物価問題の解決に努力をしていきたい、こういうように考えております。
  112. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、あまり抽象論でやると物価対策委員会みたいになっちまうのです。で、ここはやはり運賃問題との関係物価の問題ですから、多少具体的にお聞きするのですけれども、この間佐藤総理が、五十一国会の冒頭の方針の中でも言いましたし、それからまた、その後何回か政府関係から言明をされているのですが、要するに、今回の運賃値上げの問題と関連をして便乗値上げは、総理の表現を借りれば、きわめてきつい。絶対許さない、こういうことを言われたのですね。しかし、これは企画庁長官、たとえば毎朝、例の買い出しに行きまして、築地なら築地に参りますね。あるいはほかのアメ屋横町でもいいですよ。しかし、そういうようなところに通っていっている人たちは、物を仕入れてくると、必ずここにまあいわゆる足代が上がったのでということで、多少なりとも物価にかけてくるという、こういう一面というのは必ずこれはあるわけなんです。で、まあそこら辺の問題を一々取り上げたら切りありませんから、一つの例を申し上げたのですが、この便乗値上げを許さないという問題は、言うはやすくして実はたいへん大きな問題だと私思っているのです。で、この間公取が例の小麦粉の問題ではこれはまあうまいこと網にかけた。しかし、この網にかからぬのがたくさんあるわけですよ。これは一体便乗値上げの問題で実はたいへん国民生活には関係を持つものですから、この便乗値上げを許さぬというやつを、ことばだけじゃなしに、ほんとうに生活を安定させるために具体的にどういう対策をいまとられているのか。あるいはそういうことはまだないとするならば、どういうことでやろうといまやられておるか、その点についてひとつ聞かしていただきたい。
  113. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この便乗値上げの問題については、十分われわれ配慮してまいらなければなりませんが、国鉄値上げのときにも、いまお話しのいわゆるかつぎ尾さんというようなものをさしてお話があったのじゃないかと思いますけれども、これが東京都民の生活からすれば、相当大ぜい千葉県なり茨城県なりから来て、そうしてまあこの間どこかであんまりかつぎ屋さんの荷物が多いので、汽車が動かなくなったというような笑い話もあるくらいでございまして、これは相当やはり新鮮な野菜を都民に供給しているという一つの役目をになっていると思います。今度の国鉄の処置につきましても、いわゆる定期というものを廃止されたけれども、一般的値上がり率は別として、通勤のバスと同じような取り扱いをそういう方にはしてあげるというようなことの配慮も、国鉄としてはされるような形になったように私ども承わるのですが、こういう機会に、運賃そのものの値上げ率をできるだけ引き下げていくと同時に、そういうこまかい配慮もできるだけお願いしておるわけです。いまお話しのように、他の便乗値上げ等につきましては相当これは考えてまいらなければならない。したがって、代表的なものをまず処置することが必要だと思うのでありまして、たとえば、先般の小麦粉のような問題の場合におきましても、これがやはりめん類の販売店の値上げをある程度阻止したというような形もございますし、それですから、やはり一々のこまかいものを全部押えていくということはなかなか困難でございますし、適時適切に、そういうわけにもまいりませんが、代表的なようなものについてやりますことは、つまりいわゆる便乗値上げの逆の波及効果というものが期待できるわけでございまして、われわれとしても、そういうような便乗値上げが起こるような気配がありましたときに、その代表的なようなものを押えることによって、関連的なもの、あるいは直接には関連はいたしませんでも、そういう問題について業者がそれぞれ留意するようになる結果はねらわなければならない。ですから、一々こまかいものまで全部押えるということはなかなかむずかしい問題でございます。政府も必ずしも法制上そうした権限を持っておりませんから、お話のように非常にむずかしいところがございます。しかし、これは公取等の活動と相まって、われわれといたしましても、今後の運営の上において十分な配慮をいたして、そうして機を失せずにそういう問題が起こりそうな場合には考えてまいりたい、また処置をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  114. 木村美智男

    木村美智男君 いま一つの例を出したことについては、長官、国鉄のほうとお打ち合わせが済んでおるかどうかは別にして、それは一つの手段としてそういうことをとってきているということは秘めますが、大臣もおっしゃるように、これは広範にわたって、しかも相当こまかい対策をとらない限りなかなか、それは総理大臣が幾ら便乗値上げは許さぬと口では言っても、これは言っただけに私は終わると思う。そういう意味では、これはやらぬよりやってもらったほうがいいのですが、そういう意味で先ほど具体的に、たとえば通勤パスと同じようなものを何かのかっこうでして、そして運賃値上げを口実につり上げることを押える、これは一つの対策ですが、そういうのはこれからどんどん進めてもらいたいと思うのですよ。いま大臣のお話の中に出てきました公取の問題、実は私、公取の性格あるいは権限、そういうものを必ずしもつかんでいない点であるいは適当でないことを言うかもしれませんが、物価対策の関係からいって、一体公取というものはほんとうに今日その機能なり役割りを果たしているのかどうか、それは経済企画庁とどういう関係にあるのかという問題を簡単でいいですから……。
  115. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公取自身は独立の行政委員会でございまして、したがって、われわれが関与しもしくは干渉するわけにはまいりません。がしかし、物価の安定を期するという意味においては、お互いに意思の疎通をはかっていくということは、これは当然機能、権限等をこえて、政府全体の政策あるいは公取自身も公取自身の機能のうちに、必ずしも物価政策というものはあるわけではございませんけれども、公取の機能が物価に及ぼす影響が大きいものですから、そういう連絡協調はできるだけいたしてまいりたい。また、公取自身におかれましても、今日の現状から見て人手が相当公取は不足でございます。そこで、本年も私どもも公取の人数をふやしてくれというようなことにつきましては、予算折衝の際に、側面から大蔵大臣等にもやはり要望したわけでございますが、そういうようなことで、公取の活動が適正にかつ迅速に行なわれますように期待をいたしておるわけでございます。
  116. 木村美智男

    木村美智男君 公取の性格なり、物価対策上の企画庁との関係といいますか、これはよくわかりました。  そこで問題は、最近これまた国鉄運賃と結果において関連をするからお伺いするんですけれども、いま物価をつり上げるという中で、特に便乗値上げなんかのそういう要素というものをつくり上げているものに、いろいろのカルテル結成ということが、季節ばやりのように、とにかくあらゆる業界で問題が出てきております。で、このカルテルの問題は、実際に公取の何というんですか、ある程度力の及ばない、こういう状態が出てきておるということを、長官御存じですか。
  117. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公取がやっておりますカルテルの中に不況カルテルというのがございます。これは私は緊急避難的なもので、もしカルテル行為が行なわれなければ産業秩序を乱してしまって、あとに及ぼす影響が非常に多大だという場合に、非常に厳重な審査と制限の上に立って、短期間につくられるもので期限を切ったものについては、その期限内にできるだけやるその期限も非常に短い期限で公取は認可をしておられるようでございますから、そういう点については、私はやむを得ないところではないだろうかと思っております。ただ、価格を形成する上におきまして、協同組合法その他合理化組合というような形において、相当に価格を協定しております幾多の中小零細企業の組合がございます。これは、それが十年も続いておるという問題がありますから、そこに問題点があるのでありまして、合理化カルテルを組合に許すならば、もう少し通産行政等においてはその組合に資金を供給し、あるいは指導をして、技術援助もして二、三年のうちにそういうカルテル行為をやめてもらわなければならぬのじゃないか。それが今日いま十年も続いておるという場合がございますので、私どもは、そういう点について通産大臣にひとつこの際そういう方面に力を入れてやっていただきたい、こういうことを申しておるわけであります。そこで問題は、そういう点につきまして、いわゆる中小企業なり、あるいは零細企業いじめになってはいけないところがございます。したがって、政府の行政と相まってそれらのものをできるだけ早い機会に、そういう点から抜け出していけるようにして、そうして公正な自由な競争の立場に立たせるということが、すべての政府の行政の責任ではないかと考えます。そういう面に力を注いでいただいて、そういようなものにおける価格支持の状態が一日も早く解決されるということを期待しておるわけでございます。
  118. 木村美智男

    木村美智男君 ところが、企画庁長官が言われるように、必ずしもいま言われているようなカルテルの問題について現実には行政指導ということがなされていないんじゃないか。むしろ逆に通産省のほうはある程度何といいますか、産業行政としては業者に甘いという批判が相当起こっております。通産省は通産省なりの言い分もあるだろうと思う。あるだろうとは思いますけれども、しかし、できるだけ業界にまあ協調さして、なるたけ仲よくこの不況を切り抜けていく、あるいはお互いにけんかをやめさせると、そういう立場からこれは通産省は指導している。経済企画庁のほうは、どっちかといえば、いま言った物価対策というような立場から考えれば、そういうことばかりも言っておられない。むしろ通産省のようなあまり企業を保護したり、そういうことを重点に考えていけば、これはまあ消費者の利益というものが逆に阻害をされるんだ、こういうようなことがいわれて、どうも行政官庁相互間で意見が食い違っておるようだ、これが今日いわゆるカルテルの結成というものを何というんですか、これによって物価をつり上げていっているという現状を押え切れない、あるいは有効なそれを押える機構として役割りを果たしてないと、こういうことが特に専門家の間でいわれているわけです。この点はひとつどういうふうに見ておられるのか。また、企画庁長官はこれに対して何か手を打っているのか、あるいは通産大臣と十分話し合いをしてある程度の調整の方向を見出しているのか、ここら辺について……。
  119. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話のように、過去においてはいろいろな事情、零細企業その他を救済していくという立場からいろいろの事情もございますので、そういう面に対する指導行政が十分あるべきだったのがなかったという点もこれはございます。しかし、現在の段階におきまして、通産大臣と私——と申しますよりは、全閣僚が物価問題の重要性ということをいま十分に考えておりますので、この点について物価を低く安定させていくという方向については、閣僚の間で意思の不統一はこれはございません。むろんそれぞれの立場もございますから、それぞれの関係において善処されることになってまいるのでございますが、基本的にそういうもので意思の疎隔をしているということは少しもございません。
  120. 木村美智男

    木村美智男君 先ほど内閣の中にある物価安定のための経済閣僚懇談会ですか、ここで昨年の一月だったと思うんですが、これは政府の出した資料を読ましていただいたんですが、物価安定のための総合対策というのが出ているわけです。まあ私たちがこれを読んでみると、実はたいへんいいことが書いてあるんです。こんなにいいことが書いてあって、具体的になぜこの物価の上げ足がとまらぬのか、こういうものがずっと政府の方針としてきめられて、そうして実際に政府の施策の中に入っているとすれば、これは何らかのきき目というものが現実にあらわれてくるはずだ、それがちっともないじゃないかという意味で、実は本会議で、政府はなるほど言うことはいいことを言っているけれども、総理の言う、たとえば有言実行というようなことからいけば、上はいいが下のほうはまださっぱりじゃないか、こういう意味で実は本会議でこの閣議了解の問題をお伺いしたかったわけです。そこで、この点がたとえば国鉄運賃値上げ等に関連をして、この閣議了解の中で取り上げてある数項目の中で、特に何というか、物価安定の方向に重要な役判りを果たし、あるいは先ほど言ったような値上げ分をカバーできるというところまではいかぬでも、そういった方向での役割りを果たすことで具体的に今日施策の中に乗り出しているものがあるかどうか、これを少し聞かしてもらいたい。
  121. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御指摘のように、また御参考にお配りしたように、政府物価安定対策の経緯の中には、非常にたびたび閣議決定その他をいたしております。そうしてその内容から見ますと、ほとんど物価問題に対する大方の考察というようなものが折り込まれているのでございまして、これから離れてそう特段の対策というものがあるべきものでもございません。むしろ情勢の若干の変化もございますから、緊急措置等につきまして若干のつけ加えるものがあろうかと思いますけれども、そらございません。これがありながらなお、なぜ物価が安定をしていかないのだという御議論に対しては、われわれもまことに申しわけないと申し上げるよりほか方法がないのでございますが、これらの推進のためにわれわれとしては、物価問題がこうした重要になってまいりました以上、全力をあげて問題の解決に取り組んでまいりたい。過去においても決してないがしろにしたわけではないのでありますけれども、しかし、やはり物価上昇が、御承知のとおり四・八%ぐらいな見通しを立ててやっているというようなときと、今日のように、もう七・七%もいきはしないかという情勢になりますと、問題の扱いに対する気魄が違ってくることになると思います。したがって、それらの問題につきまして、われわれとしては全力をあげて今日この問題の解決に当たっていきたい、こういう考えで、内閣におきましても統一されたそういう気持ちの上に立って仕事を始めているわけでございます。したがって、今後は相当な成果を期待し得るのではないかというふうに私としては考えております。
  122. 木村美智男

    木村美智男君 今後は相当な成果を期待できるんじゃないかという長官のお答えなんですが、しかし、これはもう現実に運賃値上げの問題は、いつかは別にして、今後はといったような、実はそうのんびりしたことじゃないんですね。ですからそういう意味で言えば、私はやはりなるほど長官が言うように、この閣議了解の総合対策というのは、一応この考えられる現状の中ではこういうことだろうと思うんです。しかし、この中で特に遺憾と思うことは、六項目に公共料金に対する措置というのがあるわけです。これは何といっても国民一般の公共料金に対するものの見方というものは、公共料金というものは、これはある程度政府のやり方あるいは政府の意思いかんによっては、これは押えることのできるもの、こういうやはり考え方を国民一般は持っているわけです。ところが、この総合対策の中で、この物価対策として致命的な欠陥は、六項の公共料金に対する措置という点であります。なぜかというと、この「公共料金等政府が規制する料金または価格については、その値上げを抑制するものとする。」という、ここまでの前半は非常にいいのですけれども、そのあとが悪い、これは合理的な、能率的な運営によってなお収支が悪化した場合には、これはまあある程度経済関係閣僚懇談会でもって相談をすれば、公共料金はいつでもいじってもいいと、こういうことになってくる、こういういわば物価安定の方向とは逆に、これでは前のほうの文句はつけたりで、後のほうの文句が本物になるということになるから、物価問題について、閣議了解の中で、私は致命的なものだとこう申し上げたのです。そこで、先ほどはいろいろ大蔵大臣、あるいはきのうは総理ともやり合ったわけですけれども、問題は、こういう公共料金に対する措置というものはこうするのだという事務的なことを一応並べ立ててみても、国が本腰入れて、そうするためには財政的にはどういうことをするのだということの裏づけがこの後になかったならば、これは単に絵にかいたもちになってしまう。そういう意味で、長官これは六項目については私どもも非常に不満であり、同時に長官の見解からすれば、たとえば国鉄のような企業の場合には、社会政策的な立場、あるいは文教政策的な立場、あるいは産業を振興するという立場から、先ほどの数字でも、本年度約九百億近い、国が当然やらなければならない性格のものを国鉄にしょわせているわけです。だから、この問題がきわめて長期的に見た場合に国鉄の経営を圧迫をして、いるこういうことになっているから、この委員会の中でも、実際にはこれを何とかせにゃなるまいということで、実は満場一致そういう考え方でここでは一致している。そういうことからいけば、特に今後の物価対策の問題ですけれども、単に項目的に並べるということだけじゃなしに、思い切ってここに財政的な裏づけ、あるいはこれを推進する機構というものをきちっとつくってもらって、そうして実際の対策として出してもらわなければ、文字の羅列だけでは、これはどうあってもほんとうの意味での物価安定のための対策にはならない。こういうことになるので、そういう意味で長官、ひとっこれは方針になるかもしれぬけれども、いま私が申し上げたようなことについてどうお考えになるか。
  123. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公共料金、特に国鉄の問題につきましては、たび重なる懇談会で、いまお話にございましたように、できるだけ値上げをさせない、やむを得ない場合に限ってさせるのだ、こういうことであったわけで、そこで四十年におきましては、国鉄運賃値上げを一年ストップした、こういうことになっておるわけであります。そこで問題は、この国鉄の公共性というものをどういうふうに考えるかという問題がございます。国鉄の経理がどういうことにあるかということを考えないで、ただストップをしておいてもこれは国鉄の迷惑になるだけでありまして、私はやはりストップをするような時期には、そういう問題もあわせ考えなければならぬと思いますが、そういう点で一年ストップした結果として、国鉄の経理の面で、むしろ一年前よりも非常に大きな影響があったということはこれは言えると思います。国鉄の公共性というものをもう一ぺん見直していくということについては、私はやはり一ぺんこの際検討をしてみる必要があると思います。ただ、それをどういうふうに検討し、どういうことで考えていくかということに対しては、まだ私としてはっきりした考えを申し上げる段階にはなっておりません。むろん国鉄ができましたときに、公共企業体としてすでに公共性を持っている、その職責をしょっているんだということは、一応われわれも考えていたのです。したがって、国鉄の運営の上において、公共性を持った部門において、国鉄ができるだけ負担をしていかなければならぬのだということも、これは設立当初のあれからいって当然の原則として考えていかなければなりませんけれども、その負担国鉄の上に非常に大きな影響をした場合に、どうこれを扱っていくかというような問題については、事実問題としてわれわれは再検討をしていく必要があると考えております。しかし、それじゃどういうふうな面でそういうことを考えていくか、またどういうふうな処置をしていくかということになれば、十分な検討をした上でなければ、軽々にそういう問題についてわれわれが意見を述べるべきではないと思います。そこで私といたしましても、国鉄が今回値上げをいたしまして、おそらく数年の間はこうした問題について再び値上げという状況にはならぬと思いますが、少なくもそういう期間に、こうした問題について各界各層の御意見も承りながら、また政府部内の考えもきめながら、国鉄の公共性というもの、そしてそれに伴う負担というものをどういうふうに考えていくか、全然現状でいいのか、あるいは現状を改善していくべきかという問題については、私も再検討すべき値打ちがあると、こう現在では考えております。
  124. 木村美智男

    木村美智男君 長官とせっかくの機会ですから、これはやはりぜひ閣内における−長官は非常にいま検討してみなければならぬ、ぜひ検討してみなければならぬという、そういう気持ちを持たれる大臣が一人でも多くなることは、私は将来の国鉄なり国民のためにいいことだと思うのです。これは物価のことを中心にいろいろ言うという筋からは多少はずれるかもしれませんが、いまの問題もう少し突っ込んで意見を伺ってみたいと思うのです。というのは、長官も国鉄の公共性という問題について、公共性というのは、まさかこの学割りや、あるいは生活必需物資や、その他とにかく政府がいろいろ国としてやるべき政策国鉄に押しつけるのに都合のいいために公共性ということを言っているのではないと思うのですけれども、ここのところは、少し公共性の問題をぜひ長官に意見を伺いたいと思うのです。私は国鉄の公共性というものは、そういう一面というよりも、むしろもっと広い範囲で国民生活、あるいは国民経済影響力を持つから、逆に言えば、ストップしたときには、ある程度これは国民生活は破綻に瀕するという状態になるから、そういう意味で公共性というものを持っておる。だから、できるだけ  そういう国民経済影響するものや、人を運ぶこ  とについて、安全で正確で迅速にやらなければならぬこと自体が公共性なんです。こういう理解を  私は持っておるわけです。したがって、そういう点からいって、独占的なというか、非常な広範な地域にわたっておる関係で、そういう意味合いから、やはりある程度国の政策に協力をする立場というものも出てくる。協力ということは、一面においては、長官も御承知のように独立採算制という問題、自前でやれという一つワクがある。そうすれば、このいわば公共性という問題と独立採算制という問題は、これはどうあっても最後には矛盾をする、どっかでこの調和をはからなければならぬ、こういうことなんです。ところが、この調和をはかるのはどこではかるかといったら、いわゆる公共的性格を持つがゆえに、しかも、なかなか運営上うまくいかぬから独立採算制をやれといってそういう性格づけをしている。そしてまた、そういうことになるような公共負担をやらせておる。国がある程度めんどうを見るというそういう形になって、初めて公共性と独立採算制の調和というものがはかれるものだ、こういうふうに思っているわけです。そこで長官、せっかくだから、これははずれているかもしらぬけれども、ぜひひとつお考えを聞かしていただきたい。
  125. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 運輸事業が、前段でお話のありましたように公共的性格を持っていると、これはもう当然なことでございます。したがって、その意味における公共性というものは当然国鉄経営の基本的問題でなければならぬと思います。そこで、国鉄は御承知のとおり独立採算制、企業的独立採算制という立場に立っております。ただ、企業的独立採算制の企業体が一体公共的な負担をどの程度にし得るのかし得ないのか。経営上し得る限りにおいてはしていただくことが私は適当と思いますけれども、経理上必ずしも十分でないというような場合にそれをどうするかというような問題については、やはり公共性と企業性の調整の問題がございますけれども、それは非常にむずかしい問題でございます。そのときの財政事情等にもよるものでございますから、原則的に、必ずしも十分やっていく、割り切っていくというわけには私はいかぬ点があろうと思います。しかし、やはり国鉄が、企業体としての独立採算制が非常に害される、そしてその結果がかえって公共的な場面における仕事がしにくいというような面もないわけではございません。これらの面に対しては、したがってすぐに財政的な処置をするんだということが、必ずしもそれだけの問題じゃなくて、あるいは低利な融資が行なわれるということも、国鉄自体でも採算に乗る線もあるわけなんです。ですから、乗る線もございますし、かりに、たとえば東京周辺のようなところで、一、二年は採算に乗らぬかもしれぬけれども四、五年先には採算に乗る線もございます。しかし同時に、場合によれば、国土の総合開発計画その他でもって永久に採算に乗らぬような線もあり得るかと思うんです。そういうような問題についてやはり十分な慎重な検討をして、そしてどうすべきかというような問題は考えてまいらなければならぬのでございまして、一がいに、国鉄の経理が困るからすぐ財政補給をしろというのであっては私はならぬのじゃないか。財政補給ということも国民の税金でございますから、そういう点についてはやはり同じような慎重な扱いをしていく。同時に、国鉄が企業体である以上はやはり受益者負担というものも全然無視するわけには私はいかぬと思うんです。地域的な混雑を緩和するというような問題・について、その地域住民が若干の負担をすることは私は当然じゃないかと思います。ですから、そういう面から言いまして、軽々には判断しにくいところでございますから、十分な検討をしなければ、いま直ちに財政補給をすべきだというような  ことの結論を私は申し上げるわけではございません。しかし、国鉄の持っておりますいろいろなそういう公共性の上に立って、そして独立採算制としての範囲についても考えながら、将来の問題としてどうするかということも考えておきませんと、同じような問題が繰り返して起こってくるんじゃないかということを心配いたしますから、やはりある時期にこういう検討をしておくことが必要であって、そうしてそれはちょうど今回のような場合に、値上げをいたしたのでございますから、次の値上げ期に、再び同じような問題が起こるか起こらないかはわかりませんけれども、やはりそういう面もあわせ考えておくことが政府としても必要じゃないかというふうに考えております。
  126. 木村美智男

    木村美智男君 いまの問題は本論じゃなくて、これ以上やり合おうとは思いませんが、長官との関係では。しかし長官がなかなかどうしても赤字の線路というようなものは、これは何とかしなければならぬじゃないかというような気持ちを表明されておるということは、これはしかし将来検討するという問題じゃなしに、いわば総理も言いましたが、これは古くて新しい問題で、もうほんとうに実は限界に近いところまできている問題だと思う。しかも、この時点である程度療治をしなければ、傷はまさに大きくなっていく問題で、この波及するところは、単に国鉄の経営がどうなるかということだけじゃなしに、やはり国民経済全体に問題になる点であるから、これはぜひ、ある時期にという長官の気持を、もう少し、もはや検討すべき段階にきていると、こういうふうな気持ちにひとつ置きかえてもらうように要望をして、一応この問題は終わりにします。  そこで、長官の本職のほうへ戻るわけなんですが、たとえば今回の運賃値上げというものも、最小限度のものとしてあなたはお認めになったと、しかし、この間も、これは運輸大臣の問題とも関連をするのですが、運輸大臣が衆議院の同じこの運輸委員会の中で、おそらく物価なりあるいは賃金なりというものが異常な状態にならぬ限りは、まずこの計画期間五カ年くらいのうちに再値上げはやらなくて済むだろう、こういうふうに言ったのですが、これは別に特別なもの言いをしなければならぬことじゃなくて、しごくあたりまえの話なんです。ところが、これは運輸大臣にどうし一ても伺わなければならぬ点があるのですが、問題は、長官は、いままで政府が事あるごとに、なるほど消費者物価は上がったけれども、卸売り物価は上がっていないじゃないかということが一枚看板でよくいわれます。しかし長官、最近の卸売り物価という問題は、一つのこれはやはり経済の基調というものがある程度変わってきているという具体的数字が出ているのじゃないか。このことの関係が、私は近い将来再値上げの問題等についても、国民をだますような結果になるような、何年先の話をあんまりこれは言わぬほうがいい。もしそういうことであるならば、この卸売り物価というものを、今日の趨勢というものをどう把握をして、そういう関係から、大体今後公共料金は数年上げない、こういうふうに言われたのだと思いますが、したがって物価の中で、特にいままであまり議論をされていない卸売り物価の動向について、ひとつ企画庁長官の把握している見方を聞かしていただきたい。
  127. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 大体卸売り物価は数年横ばいの状況できております。しかし最近、いま御指摘のように若干強含みになってまいりました。たとえば一月の卸売り物価を見ておりますと、十二月の卸売り物価に対して一・二%の上昇をしている。ただ内容から申しますと、最近国際事情のために銅が一時上がってまいりました。したがって、この一・二%のうちの大きな部分がそういう種類の値上がりに影響されているということは、これは申せると思いますから、まだ著しく高騰してきたとも申しかねますけれども、しかし、弱含みの状態でないことは再実でございます。そこで、卸売り物価がなぜ数年安定して横ばいの状況であったかと申しますと、やはり私は企業の合理化なり、生産の拡大なりが行なわれてきておりまして、需要に対応するような生産活動一があったからである。で、現状においては不況でございますから、何と申しますか、卸売り物価とあらわしておる品物に対する需要が少ない。コストから言えば、平均価格を割っているというようなことで不況カルテルをやらければならぬ。こういうようなことになっておりますけれども、もし景気がある程度活発になってまいりますと、御承知のように現在設備投資の非常に過大であった関係上、稼働力が非常にでき上がっている設備に対して低目でございます。ですから、もし景気が回復して、新たに設備投資がこれにそう大きく追加されない限りは、稼働力が上昇することになろうと思います。したがって、稼働力が上昇してまいりますと、たとえば六〇%の稼働力の工場が七〇%、七五%になってくれば、生産コストはそれだけ下がってまいることは当然なことでございまして、したがって、この景気の刺激のいかんによって、また経済活動のいかんによって過剰設備が稼働を見るということになれば、卸売り物価に対して悪い影響は起こってこないのじゃないかというふうに私には考えられるわけでございます。それですから、卸売り物価の安定ということは消費者物価にも影響いたしますが、いわゆる国際価格と対応して輸出貿易にも影響してくる問題ですから、これは数年安定しておりましたときには、わりあい問題になりませんでしたけれども、今後卸売り物価の動向というものは、われわれとしても消費者物価考える上から言いましても、大きな国際貿易の立場から考えても、やはり非常に注目してまいらなければならぬ点でございます。そういう意味において、景気刺激によって新しい需要ができ、稼働力がふえていくということによって、卸売り物価が上がっていくという状況は必ずしも想定されないように思います。  なお、国鉄運賃等の値上げによって、どの程度卸売り物価影響してくるかということでございますが、私は先般、木材を原料とする製紙工業の方々等が、運賃値上げのときに私どものところにおいでになりまして、そのときに申し上げたことは、国鉄運賃の値上げによってこうむる影響は、もしあなた方が借り入れておられる銀行金利の引き下げに努力をされるならば、国鉄運賃の値上がり程度のものは吸収できるじゃありませんかということを申し上げたことがあるわけであります。これはむろん、今後の金利の情勢にもよりますし、また、企業経営の方々がそういう意識をもって努力をされるということ、自己資本に対する充実の考え方を持っていかれるということによっては、私はたとえば国鉄運賃がある程度上がった場合でも、企業の内容において吸収し得る状態があり得ると思っておりまして、そのままそれが大きな物価問題にはね上がってこないような処置を経営者の方にも考えていただけると思います。ただ問題は、公共的な投資を相当いたしますが、その投資が、住宅でありますとか、道路でありますとか、非常に出てまいりますし、それが木材需要等に影響してまいりますれば、木材の価格というものに影響してくることは、これは当然ある程度出てくるのじゃないか。しかし、これについては、やはり国内林業の林産物の使用というばかりでなくて、ソ連材とか、あるいは南方材とか、外材の輸入によってこれを調節する方法があり、同時に、国内森林資源というものの長期にわたる保持育成というものと相待って、そういう方法もとり得るのじゃないかと思うのです。ですから、卸売り物価の問題は、これは非常に重大な問題でございますが、同時にそういうようなことを考えながら、政府考えて処置してまいりませんければなりませんし、同時に、経営者の方々におかれても、いろいろな波及的影響をできる限りにおいて吸収する方法が絶無とは私はいえないと思いますから、国鉄経営に対して今日のような場合に御協力を願いたいということを実は申し上げたのでございますが、そういうようなことで卸売り物価の問題は、今後非常に重要な問題にはなります。またわれわれも、それに対して消費者物価が重大であると同時に、いままでは横ばいだったから、卸売り物価はもうたいした問題じゃないのだろうということじゃなしに、関心を持って注目してまいらなければならぬことであることは、これは当然でございます。
  128. 木村美智男

    木村美智男君 いま、長官の言われておる中に、たとえば経営者がこの間あなたのところへ来られて話をした際に、運賃の値上げ分ぐらいは金利の引き下げで吸収されるのじゃないか、こういうふうにあなたは言われたと言うけれども、これはしかし、実際長官は正直だからね、本心を言われたのだと思うが、これは片手落ちじゃないか。というのは、最近の労使関係という問題は、実はこの運賃値上げ等ももちろん含めて、物価問題を中心にしていわば対立が激しくなってきているんですよ。大衆を見なさい。それは去年から兄たら非常に性格が変わってきています。去年までは開放経済下においてとか、あるいは生産性の向上だとか何とかかんとかいろいろ言っていますけれども、ことしは生産性が上がろうが上がるまいが、物が上がったから労働者は賃上げを要求せにゃならぬ、こういうのが労働組合の言い分です。ところが、経営者はどうかというと……。
  129. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私はそれを申し上げたのじゃない、金利の問題です、労賃の問題じゃない。
  130. 木村美智男

    木村美智男君 だから、金利の問題を私は言っている。そこでだ、経営者のほうはどうかといったら、これは、おれたちには物価の値上がり責任のはないんだ、だからいまの不況を企業として乗り切るためには、どうしても賃上げというものはこれは防がなけりゃならぬ、企業を防衛せんけりゃならぬ、こういう形で実は労使関係というものは一段と物価問題を中心として険悪になってきているんですよ。これは長官私が言わぬでもおわかりでしょう。こういう状態のときに、あなたは一つの話をされたかもしらぬが、やはり経営者側がある程度運賃が値上がりになるのは困るからというような話をされたならば、それはやはり金利引き下げという話を、それによってカバーできるじゃないかという話を長官はしたと言うのでしょうが、このことは、 二面では経営者の関係物価値上がりによって運賃値上げをしても、十分これをカバーできる手段があるということを示しているのですよ。ところが、片方はそれをカバーする方法が、いままでいろいろ聞いてみたけれども、なかなか政府はそういうことをお考えになっておられない。だからこれは、もろに運賃値上げ影響というものは、いわば多くの国民大衆のほうに、特に零細な所得の人たちにきびしく降りかかってきているのではないかという話をいままでしてきたわけだ。そういう意味からいえば、今日の労使関係の対立なり激化というものは、別な表現をつかえば、それは物価関係を預かっておる経済企画庁の長官のあなたが一番責任を持たなくちゃならぬ。そういう意味でいうならば、そういうことで物価を扱っておられたんじゃ困る。ちょっといまの問題につきまして答えてもらいたい。
  131. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 何かいま木村委員はちょっと誤解があるのじゃないかと思うのですが、いま事業会社の金利質損というのは非常に大きいのでありまして、相当な有力な会社であれば、金利の支払いというのは相当大きなものでございます。これが一睡下がりまして、も相当な金利負担が軽減される。これは資本構成が違っておりますから、そういうことを実は申して経営者にも反省をうながしたわけです。ですから、私は賃金を引き上げないでいけば経営者はいいんだというようなことを申し上げたわけじゃないのです。ですから、その点は御理解をいただかなければならぬと思うのでありまして、何か誤解があったんじゃないかと思います。
  132. 大倉精一

    ○大倉精一君 長官、せっかくの機会ですから、時間もないようですから、基本的な問題について若干お伺いしたいと思います。公共料金と、特に国鉄運賃物価との関係、あなたの基本的なひとつ御認識を承っておきたいと思う。
  133. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国鉄運賃値上げによりまして乗客のこうむります影響が、先ほど申し上げましたように、CPIでは〇・三ということになっております。これはCPIは全国的一律の統計でございますから、しかし、先ほども申しましたように、都市における住民、そうしてことにその生活の状況によっては、影響がこれよりはずっと大きくなるということを申し上げた、そのとおりに考えております。
  134. 大倉精一

    ○大倉精一君 〇・三と言われますけれども、あなたはかっては池田さんのときには、経済という問題は何%が何だかんだといって数字をひねくるものじゃないということをおっしゃったことを私記憶しております。これはCPIO・三というのが正しいかどうか知りませんよ。知りませんけれども、少なくとも公共料金と物価に関する自民党政府考え方はだんだん変化して一貫性がないですね。たとえば一昨年公共料金一年間ストップした。これは自由経済下において非常手段ですよ、権力をもって物価というものを操作するのですから。非常手段をおやりになったときの理由ですね、これはどういう理由でそういう英断をおやりになったのですか、あの当時の政府は。
  135. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は当時政府におりませんでしたから、正確な理由はわかりませんでしたけれども、おそらく物価情勢その他を考えて、そうして同時に国鉄がもう少し合理化等をして、そうしてカバーし得る範囲内に努力をしてもらいたい、そういうふうなことだから一年間ストップする、こういうことであったとわれわれは承知いたしております。
  136. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは若干当時の速記録を拾ってみますが、宮澤さんはこう言っておりました。この当時もう物価問題懇談会があったのですね、いまのようにあったわけです。その物価問題懇談会答申をしまして、そうして政府はいわゆる政府の規制し得るところの料金について、ともかくこの際一年間据え置きを決断すべきである、こういう答申をしたのです。これに対して閣内なり自民党で相当論議をされた結果、この答申を断固として実施をしようと、こういうことをおきめになった。このおきめになった理由は、何%というのじゃなくて、いわゆる政府がいわば率先をして規制し得るところの額を動かすということは、一般に消費者物価が上がっても差しつかえないのだと、これを許容するようなムードをかもし出す、こういうことになるので、そういう意味でこのムードを今度は逆にそういうことがあってはならないのだ、政府は万難を排してそれを食いとめるという逆なムードを醸成するためにこういうことをやるのだと、こういう宮澤長官の発言がありました。その後において高橋経済企画庁長官にしてもこういう発言がある。普通の経済原則から申しますというと、その企業体の内容を経営が成り立つ程度にその料金をときどき改定することは必要なことだと存じます。これをあえて一年間ストップをいたしました趣旨は、物価に対するところの政府の断固たる考え方をひとつ国民の皆さまに御了解を願って、そうしていままで毎年六%以上も上昇した消費者物価の上昇のあり方を、安定的な方向にこの際切りかえていきたい、こういう発言をしております。しかも高橋さんはこの前の発言で、毎年六%以上の上昇を異常な物価の上昇という表現をしておられる。長官は本年度の物価は七・五%というふうにおっしゃっておりましたですね、それで私は聞きたいのは、一体一年間ストップをした当時の物価の状態と今日の物価の状態は、こういうものを上げても差しつかえないような物価の状態になっているのかどうか、なっておらぬと思うのですね。そうすれば、そこに政府の一貫した公共料金と物価に対する政策というものはないわけじゃないですか。ここに国民の不安あるいは不信があるわけですが、これに対して藤山長官どういうぐあいにお考えになるか、お聞かせ願いたい。
  137. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私はおそらく前にあげられた理由物価対策だと思います。私どもも今回物価対策に非常に重点を置いてものを考えております。しかし、この物価対策というのは、私は単純なる需給関係とかそういうものから起こっているのでなくて、やはり構造上のことから起こってくることが非常に多い。たとえば中小企業問題にしても、これは先ほどの管理価格的な問題についても、中小企業の合理化がおくれていた、あるいは生産性の向上がおくれていたところにあるので、その面を直さなければ、ただ単に管理価格で押えてみても永久にこれは解決しない、解決しないものをはらんでいけば、さらにそのうみはひどくなる、こういうことだと思います。国鉄の場合におきましても、私は国鉄の経営の合理化等については極力やっていただいて、そうして経営の内部において必要な合理化をやっていただいて、そうしてできるだけ値上げ要因を吸収していただくのが一番好ましい姿と思います。そういう意味において私は石田国鉄総裁はよくやっていただいておると思います。そうしてかなり石田さんの性格からいっても奔放にその問題に当たっておられる。ですからその点について疑いはない。そうしますと、今度は一番問題になりますのは、やはり今日社会資本が足りなくて、そうして社会施設が足りなくて、そうして物価問題がそういう面からの流通過程のゆがみから出ているところが多いのでございますから、これを根本的に直してまいりませんければ、とうてい将来物価長期にわたって安定させるということはできないと私は考えます。そこでやはり国鉄の新線建設にいたしましても、あるいは過密ダイヤの解消にいたしましても、そういうものに手をつけていただきませんほんとうのつまり物価問題の基礎というものは固まってこないというところに私の考え方があるわけであります。その意味から言えば、過去の物価問題を扱っていらっしゃる方と私の考え方が若干違っているかもしれませんけれども、私はそういう立場に立ってやりますことが適当だと、こう思っていま仕事をいたしております。
  138. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで長官、構造的な問題ということはいま始まったことじゃないですよ。一年間ストップしたときも構造上の問題であったわけですね。にもかかわらず一年間ストップをしたわけです。われわれが国鉄運賃値上げに反対しているのは、いろいろな理由一つに、物価の問題に大きな理由があるのですよ。通常の物価の状態ならば、経済状態であれば、これほど私は問題になることはないのですよ、国鉄運賃というものが、あるいはその他の公共料金というものが。したがって公共料金一年間ストップをする、あるいは政府の権力によって操作をするということは、もうすでにこれは政策運賃なり政策料金になっているのですよ。その対策を政府が講すればいいのです。その対策を講じないからやっかいなことになるのです。一年間のストップをしておいて、一体どんな対策を講じましたか。あるいはあとは精神訓話だけですか。それでは経済は生きものですからやっていけません。これは〇・三で影響ないのだ、そんなことないですよ。物価というものは高橋さんやあるいは宮澤さんが言ったように、心理状態というものが非常に大きく影響するのです。たとえば正田美智子さんの結婚がきまったら日清製粉の株がぽかっと上がったじゃないですか。この心理状態、ムードというものが物価には非常に大きな影響をする。これは物価担当大臣である藤山さん御存じないはずないですよ。しかも今度のきめ方が私はどうも気に食わぬ。新聞で見れば、ほんとうかどうかわかりませんけれども、十一月十七日でしたか、このときにあなたは初めて米価審議会へ御出席なさって二時間余り演説なさった。そのときの演説の内容は、本年度は七・五%来年度は五・五%、その次は三%、こういうことを言っています。そのときには本年度は国鉄運賃の値上げはしないとそういう含みがあった、そういうことでした。それから数時間もたたぬうちに、正規の機関ルートじゃない自由民主党の何役会議か知らぬでもって、二五%、二月十五日にきまった。そのときに、しかも公述人を呼んで運輸審議会は公聴会を開いておるまっ最中、物価の担当大臣であり、なおまた自民党の実力者であるあなたが、米価審議会でおっしゃった数時間後に、これが正規のルートの機関以外できめられたんでありまするから、私はあなたのそういう物価考え方政府自民党の考え方とはだいぶズレがあるんじゃないかと考えるわけです。ですから、私は公共料金、特に国鉄の問題をみるときに、〇・何%だ何だかんだじゃなくて、現在の異常なる物価という認識のもとにこれを判断しなくちゃいけないと思うのですよ。ですから、私は国鉄ばかりじゃなくて、あらゆる公共料金、いわゆる政府が操作し得る物価ですね、この運賃物価ですよ。これはやはり政府の現在の政策料金、政策運賃政策価格をしてそれに対応するような政策をとられる、これが物価に対する非常手段である、こう考えます。特に政府の中には不況対策と物価対策とは二律背反、相入れないものという考え方があると思うのです、大蔵大臣あたりは。しかし、あなたはそうじゃない。どこかで演説なさったときには、いまのような物価の状態ではたいへんなことになるのだ、であるから物価の問題も並行してやるようにしたということをどこかでおっしゃったのを記憶しております。でありますから、私は物価の対策なりそれから不況対策というものとは、政府の姿勢、やり方においては矛盾しないと思うのであります。この点どうでしょう。私は国鉄問題というのは、その点では非常に重大な問題だと把握しているのですがね。
  139. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 一応御指摘がございましたから申し上げておきたいと思いますけれども国鉄運賃関係については、何も十一月十七日でなしに、前から石田総裁からも国鉄経理内容等で総裁のお考えをたびたび伺っております。米価審議会におきまして、私は国鉄運賃は値上げしないのだというようなことを申したわけはございませんし、そういう点は誤解であろうかと思います一そこで、予算編成期にあたりまして、たとえば米価でありますとか、国鉄運賃でありますとか、郵便料金でありますとかいう種類のものは、もし何らかの形をとりますならば、そのときに予算措置をするなり、あるいは国会等の御審議のための法律案なり何なりを出さなければこれはできないわけでございます。そこですべてのものは大体十一月から十二月にこれらの問題の検討が一緒になってきた、こういうことでございます。そこで私といたしましても、物価問題を恒久的に考えていく立場におきまして、物価値上げを押えていくということには十分に当時から関心を持って、公共料金の問題についても従来考えてまいったわけでございます。しかし先ほど申し上げましたように、やはり構造上の問題がほんとうに解決しない限りは、一時しのぎの手当てをしてもこれはだめなんでございますから、したがって、あえて非難を受けましても、できるだけ低率に押えてこれを上げる、そのかわり国鉄当局にはできるだけ合理化もしていただき、過密ダイヤルの解消もしていただき、都市交通利用者の便もはかっていただくというような方向に努力を集中していただきたい。そうして将来のやはり物価安定への基盤をつくっていただきたいという趣旨を申し上げもし、われわれもその方針のもとに進んできたわけでございます。したがって、緊急対策的なものとして国鉄を扱いますのには、あまりに私は国鉄そのものについて問題があると思います。したがって国鉄の場合には、そういう緊急対策的な問題としてでなしに扱っていくべきが、長期にわたって物価対策の上で大きな貢献をしてもらえるんじゃないか、という立場に立ってものを判断し考えてまいったわけでございます。
  140. 大倉精一

    ○大倉精一君 最後に、これは要望になるかもしれませんけれども、私はいまの異常な物価のもとにおいては、政府が操作し得る運賃、料金価格については特段の配慮と御苦心をしてもらわなければならぬと思うんです。したがって、いまのお話の中で公共料金というものはできるだけ低く押える、こういうお話があった。できるだけ低く押えるためにはどうしたらいいか。そこで例を国鉄の問題にとってみまするというと、きのうから問題になっておるのは公共負担である。独立採算公共負担、これが問題になっておる。そこで、当然政府負担しなければならぬことを利用者負担、切符を買っておる人が負担しておる。これが、たとえばあとでごらんになるといいと思うんですけれども、三十八年五月十日に国鉄諮問委員会が指摘しておりますけれども昭和四十五年までの借金累積は二兆何千億になるというが、政府負担すべきものを負担しておれば一兆何千億で済むはずだといっておる。こういう努力をしなければ最小限度に押えることはできないじゃありませんか。私は長官に、ここは運輸委員会ですから、運輸の問題に関して要望申し上げますけれども国鉄を半殺し、なま殺しのようなことにしておいて、そうして運賃の問題があるたびにこういうことを繰り返すということはたいへんなことですよ、これは。しかも、まあ中身は省略しますけれども、この答申の中にも、国鉄をこんな状態にほおっておいたということは政府、国会の責任だと書いてある。国会の責任なんてたいへん迷惑する。社会党はこんなことは言っていないから、自民党さんの責任ですね。ですから私はそういう点からいって、長官、これは何とあなたがおっしゃったって、だれが何と言ったって、物価値上げに非常なる影響がありまするから、物価担当大臣として、政府国鉄に対してやるべきことについては特にひとつ経済関係閣僚としてこの際御尽力を願いたいと思う。私は国鉄の問題はずるずるこのままじゃいかぬと思う。ある時期には決着をつけなければならぬと思う。その決着をつける時期がきているんじゃないか。ですからこの点、特に長官めったにここへおいでになりませんから、私は発言を許していただきましたけれども、有力閣僚として特にこの問題を重視してもらいたい。特にこの物価の問題と運賃の問題、これをひとつ要望したいと思います。所見をひとつ……。
  141. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 運賃の問題を通じて、国鉄の公共性と企業性というような問題について、やはりわれわれも十分関与してまいらなければならぬことは先ほど申し上げたとおりでございます。したがって、われわれも今後問題を考えてまいりたい。ただ利用者負担を全然やめてしまうというようなことは、これは国鉄の性格からいって私はとるべきじゃないと思います。しかし、政府がそういう中において、何らかのやっぱり国鉄の公共性というものをどの程度に認めていくかどうかというような問題については、いろいろ問題点がございます。ですから私も検討はしてみなければならぬとは思っております。その結論がどう出ますかは別として、現在においてそれを検討しなければならぬという考え方ではそう変わらないと思う。先ほど申したとおり変わっておりません。
  142. 岡三郎

    ○岡三郎君 せっかく科学技術庁長官が来ているので、委員長のほうに協力して二、三質問したいと思うのです。かなり前ですが、東大の東畑さん、兄弟がいるのですが、農林の大先輩ですが、この人が昨年農村に行ったときに、農民が豚を飼えと言われて塚を飼えば損をする。鶏を飼えば損をする。乳牛を飼えば損をする。作物をつくれば豊作貧乏。一体どうしたら金もうけできるのかと、こう聞かれたときに、東畑さんは、私は専門家じゃないけれども、大体政府の言っていることの反対のことをやったらまあもうかるのではないか。こういった話しを聞いたのです。これはまことにわれわれも同感の意を残念ながら表したわけであります。あまりにも政治家が無責任ということばに尽きますが、見通しが全然ない。それで、かなり頭脳のいい、機構の大きいところでつくったものが次々に狂っていく。国鉄も今度は狂わぬと言っているようですが、第一次、第二次は総合的に検討したけれども狂ってしまった。これはしようがないのだと、こう言っていますがね。今度は第三次は念入りにやったから狂わぬと思う、こう言っておりますが、これはこれからどう狂うか狂わぬかはあと数年すればわかるので、そのときに総裁いるかどうかはわからぬけれども、いずれにしても、これは結果が出てくるわけです。それで、所得倍増のときもそうですけれども、私は確かに悪いことばかりではないと思うのです。しかし、根本的に経済をある程度混乱におとしいれたということも間違いないと思うのです。かなりその影響が深刻になってきているわけです。この責任を一体だれがとるのか。責任の所在を明確にしない政治というものはあり得ないと思うのです。政治とはそも何だ。やはり担当者が責任をもって遂行する。その責任を負い切れないときにはやめる。ただやめるのではなくして、どうしてこういうふうになったのかということをあとに継いで、やはり責任を、出処進退を明らかにしておかなければならないと思うのです。  それで、私が聞きたいことは、いま物価が、特にまあ冬場だから、生鮮食料品を中心として上がっているが、これに対していろいろと冷凍対策とか、いろいろなことを考えてやっておりますが、これも何かこう後手々々で、実際にはがゆいというのが国民の声だと思うのです。それで、私はやはり企画庁長官は、やはりテレビならテレビを通して、いろいろなむずかしい政治のときに写されて言うのではなくして、あなたが長官として、やはり物価がこうなると、これは間違ったら私はやめますと、しかし、このためには国民にも協力してもらわなければならない。具体的にいま豚肉が高い、牛肉が高いといったらば、牛肉を輸入することも必要だ。しかしこれは限度がある。したがって国民に対して、食肉業者におこられても、牛肉はやめて今は鯨肉とか、あるいはマトンを食うなら食えというぐらいのことを言ってもらえば、その面における協力というものを国民に頼む。われわれもまたこれに即応してやがては牛肉をもっと安くする方法を講ずる。農林省と連絡して必ずやります。その必ずやりますということがないから、裏々と経済がくぐっていくという現象があると思う。これは昭和二十五年ごろのイギリスの経済不況の中において、イギリスの大蔵大臣は定期的にテレビ、ラジオを通して、いまイギリス丸というものは一体どういうところを航行しているか、その船長である総理大臣大蔵大臣はいまここに目標を置いていま運航しているのだ。だから国民もひとつ御協力願う。これがいけなかったらば、われわれの施策の失敗を十分に究明して、方向を変えていかなければならないことになると思う。こういうふうにはっきりと責任を置いてやっているのです。だから私は物価を論ずるときに、やはりそのときに高くても、それを食わなければ死ぬんじゃないのだから、ほかに方法があるのだから、それはどうしてもおれが好きだというのは幾ら高く買ってもそれはとめようもないけれども、しかし庶民大衆に対して、少なくともそういうものに対して、今度はそれを受けてこれをどういうふうに調理したらばいいかというところの具体的な食生活についても、経済企画庁を通して、こういう献立でこういう料理法をとったならば、これはカロリーもあるし嗜好にも合うというふうに、もうちょっと文明の利器を利用して具体的に大衆に対して物価対策を呼びかけ、国民に協力を願うということの真摯な姿勢というものを具体的にとれませんかね。何だかんだ数字の論争はいいとしても、口々に生活しているわけですから、見通しをして、無のいまの状況はどうなっておるのだということになると、魚というものはいまのところサバがだいぶとれてきたから、やがてはそういうふうなことからまた安くなるから、いまあわ食って食うことはない、魚屋におこられても国民に呼びかける。そういうことになれば、裏々というふうなやり方はしないし、やはり国民全体をそういう方向づけに、商売もやっていかなければならず、何かモデル店をつくってそこで定価を表示して、何だかまだるっこいですがね、そういうことを藤山さんできませんかね、もうちょっと責任を持って。あなた、うまいものばかり食っているからわからぬだろうが。
  143. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 非常に私どもの態度に対して私は適切な御意見をいただいたと思います。政治をやります者として、その場その場のていさいをつくっておったのではならぬのでありまして、正直にその姿を国民に訴えて、がまんをしていただくものはがまんをしていただく、そうして協力していただくものは協力をしていただく、こういう態度をわれわれ政治家としてとらなきゃならぬことは当然でございまして、そういう点について、御意見のようなことについてはわれわれも反省をしてまいらなければならぬと思います。ですから、私も消費者団体の方にお目にかかったり、あるいはテレビ等にこの一月も冷凍魚の問題で出ましたけれども、そういう問題について、冷凍魚をもう少し食べていただきたい、このほうが栄養価が今日の冷凍設備では必ずしも落ちていない、また鮮度等についても影響がないのだからというようなことを、水産業者の方とともに申し上げたこともあるわけです。やはりわれわれは正直にいろいろ申し上げて、そうして国民の御協力をいただかなければ、物価問題のような広範な問題につきましては政府だけがてんてこ舞いをしてもいかぬと思う。ですから企画庁にあります国民生活局におきましても、消費者団体の方々に連絡をとりますし、また消費者団体等の方々にアンケートその他の調査もしていただきまして、実際の声を聞きながら、またわれわれの考えも申し上げて、そうしてそれを浸透させていただくような方法をとっております。しかし、おしかりをいただきましたように、われわれの態度がまだなまぬるいということでありますれば、そういうひとつ御助言に応じてわれわれもっとはっきり消費者の方々にも実情を申し上げまして、協力をお願いする、それこそ大事なことだと私は思います。私も大事なことだと考えておりますけれども、おしかりのありますようにまだ十分でない点がありますれば、今後とも反省しながら、消費者ともどもにこの苦しい中を抜け切って、そうして生活がほんとうに安定する暁を早く実現していきたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  144. 岡三郎

    ○岡三郎君 私はいまの内閣の中でいろいろと施策をやられることについても認めるのですよ。藤 山長官がおせじでなく一生懸命やられていることも認めます。ただ国民に協力を求めるということについて、一歩踏み込み方が足りない。もっというと、たよりない。藤山さんはなかなかいいけれども、力がないのじゃないか、藤山さんだけではないです。総理大臣もそうなんです。新聞を見ると、言っていることはいつでもうそばかり言って、そのうちそのうちに変わってくる。これは自民党さんだけではない、社会党も適当なことを言うと新聞も書いておりますから、政治家というのは、ろくでもないことばかり言っていると思うので、これはとんでもない間違いだということを具体的に立証していかなければいかぬと思います。その意味で、私は具体的に言ったのですが、卑近のようで、非常に具体的な問題について、これをだれかが解説するとか、だれか下のほうの役人がよく知っていることを。そういうことをやるのでは国民はついていかないと思うのですよ。それを一つの物語りとして受け取る。ただ藤山さんがサバの話をし、豚肉の話をし、牛の話をする、それが具体的に裏付けになって、いまこういうふうな物価の情勢になっているけれども、この次にこれが値上がりするような形がきているけれども、いま押えている。ひとつ国民の皆様にこの点については協力を願う、やはり政府もPRして、小麦粉のことについては新聞に出たりしているけれども、これについてはこういうふうにやったのだ。いま適当にやっておいてあと上げるのだろうと国民は思っておりますよ、暫定的な措置で。その点について見通しと具体性を持って、国民に対して協力を呼びかければ、私は必ず実効がある。土地の対策の問題にしても、きょう建設大臣にも言ったのですが、具体的に何んでもかんでもやれといったってできませんから、ほんとうに具体的な問題について、政府はこうやるから協力を願う、ただ国会だけで御答弁をいただくのじゃなくて、やはりその姿勢を国民のほうに向けて、じかに呼びかけるということも私は必要だと思う。それをぜひやってもらいたいのだ、具体的に。そういうことによって国民を協力させて、物価問題を全体として国会だけではなくて、全体の論議の中でこれを何とか少しずつ是正をしていく。そうしないと春闘もとまらぬし、これはほかの問題は何しても、悪の根源になって、物価上昇が続いていく、こういうことになっている、具体的にやってもらいたいのです。いまのやっていることについて十分とか不十分とかではなくて、もっと具体的にひとつ施策の方向をお示し願いたし、そういうふうにやってもらいたい、これは切に私の願いなんです。
  145. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) その点は仰せのとおりでして、国民の皆さん方の協力がなければ、物価問題というのはなかなかできないと思います。たとえば国民の方々が、高いものを、高ければ品質がいいんだという観念では。やはり物価の面では安くとも品質がいいものがある。あるいは自分のこの程度の用途に対してはこの程度価格のものでいいんだ。岸てこでメーカーからすれば、高いものは外国品と比べていいんだというような観念で、包装や何かを非常によくして、内容は必ずしもよくなくても。そういうものについてはやはり消費者の御協力のもとに、そういう商品に対する判断をしていただかないと、なかなかやはり全体としては力がないものになると思います。したがって、消費者の御協力を願う上において、ざっくばらんに現状を申し上げて、たとえば運賃ならこういう関係にあるから値上げをせざるを得ないのだ。したがって、ぜひとも苦しいけれども、御協力を願いたい、こういう言い方をすることは、私は非常に必要だと思います。したがって、国鉄運賃をはじめ他の物価の問題についても、同じような態度で私はいるつもりでおりますけれども、まだ十分な点がないし、いま御指摘のような点は、われわれももっと力強くやっていかなければならぬというお話を承りながら、そう思うわけでして、そういう点については、今後十分御指摘のような点について心を入れて努力してまいるつもりでございます。
  146. 岡三郎

    ○岡三郎君 私はもう具体的に言うて、ひとつ毎週藤山さんがテレビに出て、具体的な問題で失敗したら失敗したというところで責任をとるということで、国民に呼びかけることを期待するのです、具体的に、抽象的じゃなくて。踏み込んで国民に協力を求めていないですよ。いまは。これは与野党の論争点になって、新聞は物価戦争と書いておりますが、具体的に政府が呼びかけてない。呼びかければお互いに責任がそこに生まれてくるから、これはもう全体としてやはりそれに対して、物価に対してどう手を打つかということが真剣に出てくる。いまはずるずる流されておるから、一週間に一ぺんくらいテレビに出てやる元気がありますか。国民に呼びかけてやってもらいたい。運賃だけ呼びかけてもこれはだめですよ。総一体的に物価対策本部としてこれはいますぐ具体的にやらなければならぬ、その具体的なものを私は期待してきょうはやめます。これはぜひ断行してもらいたい。
  147. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) テレビ等を利用して国民に訴えることについては、ひとつ今後計画をきめていきたいと思います。
  148. 岡三郎

    ○岡三郎君 積極的にやってもらいたい。
  149. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は運輸大臣国鉄総裁に基本的な質問をしたいのでありますが、経済企画庁長官が見えておりますから、時間の許す範囲内で二、三の質問をしたいと思います。第一に、私先ほどから一時間余りのこの質疑等を聞いておったのであります。そういう中で、どうもやはり私の希望から言えば、国民の立場で今度の運賃値上げは一体どういうふうに響くのか、これはどういうふうに大衆が受けとめようとしているのか、こういう点について話してもらいたいと実は感じたわけです。ところが、あなたの先ほどの問題は運賃値上げをしても、この前業者たちと会ったそのとき、金利値下げでこれを何とか吸収できる、心配ない、金利値下げでこれはやるのだ、こう私は話を聞いて実はがっかりしたわけです。やはり経済企画庁長官の立場からいっても、やはり国民大衆が問題です。九五%の国民大衆がこの問題をどう受けとめているかというそこに立ってこれはやらなければ、これは政治ということにならぬと思う。やはりそれはあなたの立場からは、財界のそういう人たち、あるいは業者、それが非常に大切かもしれません。しかし、少なくともいま一国の政治を預かっておるという立場、しかも経済企画庁長官なんですから、その点から私はこれは考えていただきたい。実は三十七年、つまり四年前の予算委員会で私はあなたに質問したことがある。やはり経済企画庁長官のとき、物価があのあたりからどんどん上がって困った。それで物価対策十三項目というものを発表したはずです。私はあなたに一つの狂歌をあげて質問した経験がある。労働者の一人で、競艇の従業員で働いておる人が非常に苦しい、その苦しさを機関紙にこういうような狂歌で発表した。「子供らの泣きつるかたを眺むれば、菓子パン値上げの札ぞ下がれる」、とてもこれは切実な、何とも言えない気持をあらわしたのだが、あなたどう思いますか、私歌がわかりませんのでどう思いますかわかりません。そんなことでは私は話にならないと思う。さっきからのお話を聞いていて、私はこの点でやはり根本的に変わっていないなという気持を深くしたわけであります。こういう点を前提にして、しかもこの十三項目というものが出されたのだが、あれは何の役にも立たなかった。あの中でやったことが一つある。それは何かというと、賃金ストップだけです。賃金政策だけはやった。しかし全体は物価値上げ政策、抑制政策じゃなくて物価値上げ政策だったということは、その後の経過を見てもはっきりしていると思う。きのうも木村さんから話がありました。あれはほんとうに物価値上げ対策、私から言えば、政府にあるのは、物価対策とは物価値上げ対策と見つけたり、こういうふうに言ったほうが最も正しい表現じゃないかとさえ思っておる。そういう立場から、たとえば五・五%の問題をまず伺いたいと思います。五・五%でおさめるというのだが、これはどうなんですか。大体政府の見込み、希望的観測なんですか。それとも何か根拠のある積算をやって、その基礎の上に立ってこういうようなものが一応ちゃんと経済企画庁の企画として明確にされているのかどうか、この点は非常に重要です。国民は聞きたいと思っている。そこでその点からまずお伺いしたいと思うのですが、いかがですか。
  150. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 五・五%は、例のげたの部分については基礎がございます。あと一%の問題については、これは努力目標でありまして、一々の物資の値上げ値下げその他を押えての問題ではございません。われわれはそういうところに持っていかなければならないという決意のもとに、そこに到達するように持っていく努力をしていくということでございます。
  151. 岩間正男

    ○岩間正男君 むなしき希望観測ということに終わるのじゃないですか。昨年は四・五%、それがあなたたちの発表でも七・五%、大体二倍いっている。大体この方式でいくと、私は、一割をこえるというようなかっこうになる、そういう見通しは十分ある。しかも、昨年は一応池田内閣時代に抑制しているでしょう。今度は抑制じゃない。今度はどんどん上げているのです。私はお聞きしますけれども、少なくとも、次のような問題については答えてもらわなければならない。公共料金の問題ですが、まず、米価でどのくらい今度値上がり分を見ているのですか。それからその次には、国鉄運賃の値上がりに、どのくらい一体増収を見込んでいるのですか。私鉄によってどのくらいの値上がりを見ているのです。それから郵便料金を上げることになっているでしょう。それから健康保険、国民健康保険、こういうものがいま軒並みに一公共料金の値上げとして、これは政府政策の面一においてもたくらまれているはずでしょう。そうしますというと、こういうもので幾ら上げるのかという、これは目安は一応しなければならないはずですが、この数字を出してもらいたい。
  152. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 数字にわたりますので申し上げます。米価の関係で、CPIの影響でございますが、これが〇・七%、消費者の負担する金額は六百四十億ということであります。国鉄では、先ほど来お話が出ておりますが、CPI〇・三%、金額で千六百三十億、私鉄関係では、CPIO・〇七、金額が約三百億、郵便の関係が、CPIO・〇六、現在の案で計算いたしたのでございますが、金額で四十一年度で二百九十億。健康保険の関係はまだはっきりとした計算が済んでおりませんが、概算について厚生省から聞いておりますのが四百五十億、国民健康保険の関係は、これも見込みでございますが、百億強でございます。国民年金の関係は、いつからということによって違ってくるのでございますが、三カ月分計算すれば四十三億、一年分になればその四倍ということになります。  以上で大体締めくくりまして三千四百億、あるいは国民健康保険を足せば三千五百億見当でございます。
  153. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはずいぶん過小な見込みじゃないかというふうに思います。たとえば国鉄ですが、これは毎年千六百五十億と言いますけれども、いままでの計画があるのですね、第一次、第二次なんか、そういうのもちゃんと見込まなくちゃいけない。千六百五十億になりますか、この場合一二%と言いますが、たしか一七%実質収入があったということをわれわれは記憶している。それから三十六年の一二%のときには、たしか一五%以上の実収があったと見ている。もっとこれは数字が多いかもしれません。これはここに副総裁がおられるから正確に出していただきたい。そういうふうに見ますと、これだけでも二千億。まあ三千五百億というような見方ですが、これは国民総所得ですね、公共料金分だけで、総所得に対してどういうことになりますか、どんな見当で見ていますか、パーセンテージは。
  154. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 手元の数字を見れば、こまかいことを申し上げられますが、私の記憶では、国民総生産で申し上げますと、四十一年度の見通しでは、三十兆八千五百億円でございます。そのうちでの三千五百億ということになります。
  155. 岩間正男

    ○岩間正男君 五・五%という想定は、そうするとなんですね、公共料金、それから民間の値上がり、それからそのはね返り、便乗値上がり、もうムードとしてすでにどんどん上がってくるのだから、こういう一つの何というか、連鎖反応というものをほんとうに見ていくと、これはたいへんなことになると思う。そういう点で、 これは五・五%の基礎については、いずれ資料でこれはいただきたいと思うのですが、こういう中で、どうも私たちしろうとですから、私は経済にしろうとですから、数字には弱いわけです。弱いのだけれども、これは〇・三%というような、運賃値上げでのはね返りだと言ってみても、国民は納得するだろうか。これはCPIだと、こういうもので生計費へのはね返りということでやっているわけですが、実際どうですか。総所得との対比でかりに見て、それで見ますというと、これはまあ〇・三%ではおさまっていないわけですね。しかも、それが、先ほど言いましたこれは総平均じゃないのですから、そういう点から見るというと、この数字そのものもまことに、私たちはどう考えたってこれは納得がいかない。数字の問題は、先ほど大倉委員からこれはもう質問がありましたので、もうこだわりません。しかし、少なくとも、この〇・三%などということ、それから、国鉄のこういうものをいただいたわけなんだが、こういうものを盛んにいろいろこうやって言われますけれども、いかにも、うき身をやつしているという感じです。いたいけなほど、うき身をやつしている。物価へのはね返り、それから生活費へのはね返りということなんですけれども、こういう点、これだけじゃこれはまずいじゃないか。  それから、実際はこういう物価値上がりの一番焦点になっているのは、いま国鉄運賃です。米価は元旦に上げることに日本政府はきめてしまったらしいんだけれども、昨年もことしも上げた。これは大衆的にはかなわないですよ、元日から上がるんですからね。まあ佐藤内閣はその道を選んだわけだ。そこへ持ってきて今度は国鉄だ。これは四月一日くらいから上がるのかと思っていたら、いつの間にか二月十五日、それがうまくいかなくて三月の一日、その三月一日も、これは見込みがどういうことかわからない、こういうかっこうになっておるわけだ。こういう点で、実際この問題、もう少し大衆の立場で私はやはりはっきりつかんでもらいたいと思う。非常に不安だ。物価安定どころか、物価値上がりの一切の先端を切っておる。最も集約的に来ておるのがこれじゃないか、こういうふうに思うわけだ。この点、これは長官どう考えておるか。
  156. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価の中心になるのは、昔ならば米というものが物価の中心だったと思います。米の騰落によって物価がすべて左右された。今日では必ずしも米の騰落ばかりが中心になるとは考えられないということ、それじゃ、ほかのものは何か。物価値上がりの中心になるものがあるかというと、これもいまのところございません。御指摘のような点は、ある程度そういう意味においては、相当他のものに影響することが大きいものであるとは思います。したがって、先ほど来申し上げておりますように、CPIに対する〇・三ということだけで私どもは必ずしも考えているわけではないんでして、個々の世帯に対する影響、階層別にしても、あるいは職業別にしても、それらの問題についての影響は〇・三をこえれば非常に重く感ぜられる。そのかわり、〇・三よりももっと軽く感じられるようなこともあろうかと思います。それぞれございますが、しかし、平均した数字的な答えを出しますれば、そういうようなになってくるわけでございます。したがって、国鉄運賃の問題というものは、決して物価問題において重要でないとはわれわれも考えでおりません。したがって、この問題を重要な問題とするだけに、恒久的に国鉄運賃というものはどらあるべきか、また、国鉄自身の機能が物価問題に影響してくる面が多分にあるだけに、国鉄の充実ということ、そうして、その機能の発揮ということが同時に考えられるわけです。ですから、現段階においては、私は、国鉄自身の合理化と同時に、機能を十分発揮するためには、五カ年計画等をすみやかにやっていただくことが、国鉄としても必要でございましょうし、それが経済界全般、物価問題にもよき影響を与えることと思います。したがって、そういう問題を考えてみますると、短期的には若干、先ほどお話しのように、率直に申せば、短期的には影響がありますけれども長期的には物価問題の安定に資するのでございまして、その点は国民の御理解を得たいと私たちは思っておる次第でございます。
  157. 岩間正男

    ○岩間正男君 五・五%が希望的な努力目標だということがはっきりしたと思うのですが、こういう中で、しかも、国鉄運賃の値上げが物価値上がりに影響する問題は非常に深刻です。非常に大きなウエートを持っていると思うのですね。そこで、長官がいつでも繰り返される−私は何回も聞いています。なかなかこの物価の対策というのは構造上の問題、それで一ぺんではこれはいかないんだと、だから時間をかけなきゃならぬというので、実際はそれは一つの遁辞になっていなきゃいいわけですけれども、何回も聞いています。これはほんとうにあなた、いつでも同じようなことをこれはもう繰り返しておられますが、そこで私は、今度の国鉄運賃の値上げで国鉄の構造上の欠陥、こういうものは完全に取り除かれると考えて、この運賃値上げを推進されたんですか、これはどうなんです。
  158. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今度の運賃改正だけで完全に取り除かれるとか、それでもうあとは何も心配はないのだというふうには考えておりません。むしろ、国鉄の充実というものは長期にわたってずっと考えていかなければならぬ問題でございます。
  159. 岩間正男

    ○岩間正男君 少なくとも、その問題を解決する相当重要な手がかりになるというので、今度の運賃値上げをされたわけですか。
  160. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) やはり国鉄が現状において五年計画その他を実施していくということは、これは非常に私は役立つと思います。したがって、そういう手がかりと申しますか、出発点というようなことになっていくと、こう考えております。
  161. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすれば、少なくとも、過去十年ぐらいに国鉄運賃値上げを二回やっているわけです。三十二年、三十六年と二回やっているわけですから、そうすると、そういうことによって、いま、この国鉄のそういう一つの機構上の矛盾というか、苦しみというようなものが解消する方向にいっているんですか、どう考えていますか。
  162. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国鉄改良計画その−他は、私は漸進的にいっていると思います。ただ、日本経済は非常な急速な成長をいたしたわけでございまして、たとえば所得倍増計画をやりましたときの国民総生産は十三兆六千億、そうして今日では、名目三十兆に及ぶ国民総生産になっています。それだけ経済が拡大しているのに対して、私は社会資本が全般がおくれていると思います、道路にいたしましても、港湾にいたしましても。その意味において、国鉄が従来やはり改良計画、新線計画等、所要の措置をとりながらも、それだけ膨張したものに対しては、道路もそれについていけなかった。同じよように、国鉄においてもついていけなかったというところが、幾ら改良をやってもついていけなかったということはございます。したがって、経済の非常な膨張のために、社会資本とのアンバランスができたというこの現実は、やはり認めざるを得ません。したがって、今後、やはり経済がここまで拡大してまいりますと、やはりある程度安定成長の路線に乗せて、七、八%の成長で全体をやりながら、その間に社人会資本の充実ということをやって、そして三十兆の国民総生産があるにふさわしいような輸送関係のものが整備してまいったということによって、初めて国鉄が今日の経済に対応するような状態に改善し得るのだ、こういうふうに考えております。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 国鉄内容については、きょうの時間でやりませんけれども、これはいまのようなお話では、経営の面から見てこれは矛盾の拡大じゃないですか。私は三十二年の値上がりのときに、この討論に参加したものです。そういうときに、これは結局、大衆の負担でこの資本をつくる、そうして、そういう形で国家のこれに対する財政支出、あるいは投資が非常に少ない、しかも、戦前から、ことに戦争中の臨軍費という膨大なものをしょっておる、また、占領時代は米軍に対する輸送がほとんど矛盾状態で行なわれた、国家負担で行なわれた、そういうような点と、それから国鉄の経営内容における独占資本の持っているウエート、それから石炭一つを見ましても、経営のずさんなこと、それから、ほんとうに大資本国鉄を食いものにしている、そういう状態をわれわれはあげて当時討論したわけです。それで結局、こういうやり方で根本的に問題が解決されない、そうしてしかも、非常にこれは輸送力が貧困になってきた、そういうような問題と、それから保安の問題、通勤輸送の緩和の問題、いつでも出てきているわけでありますけれども、そういうものを解消するために、大衆の運賃値上げというものを大宗としてこの問題を解決する限りは、絶対に解決できない、結局は、借財を一方で負うことになる、そして利子負担を負う、結局は、タコがタコの足を全うようなかっこうで、結局、経営の面からの破綻が出てくるのではないかということを指摘した。それから二年ほどたって、非常に不景気になりましてダウンをやる、それから五カ年計画が四カ年計画になった、そして三十六年再値上げをやったわけでしょう。再値上げの大宗が東海道新線というかっこうになって、そして、大衆に対して約束をしたところの通勤の混雑緩和などというものは、これは実際五五%しか達成されていません。保安の問題も依然として起こって、三河島のような、鶴見のような事故が続発している、こういうようなこと。それから労働者のもう合理化、それから労働強化、こういうような犠牲が非常にいまだにますます拡大されて続いている、こういうかっこうで、少しもこれは問題の解消がないのではないですか。今度の計画でも、これはあと六年後にどうなるかといえば、三兆の借財を負わなければならぬ、そうすれば、その利払いだけでも、もうたいへんな事態が発生してくる。そういうことで、結局、この問題を根本的に解決していくという点では、昨日来、とにかく各党派から徹底的に論議されて、しかも、これは与党の自民党の代表委員さえ、先ほどそういうような提案をしたのです言ういう体制の中で、この矛盾した問題をこういうかっこうで機構的に、根本的に健全経営の方向に移すというふうに考えることはできないのです。いままでの過去の実績を検討したのですか。少なくとも経済企画庁は、科学的にこれにメスを入れて、そして問題の正体を、病根をはっきりつかんで、これを再び繰り返さないという、そういうはっきりした方針を科学的に立てて、そして、この国鉄運賃の問題に対処すべきであった。ところが、何一つやってないじゃないですか。実際、この二兆九千七百二十億にわたるところの七カ年計画財源というのはどんなんです。一兆四千億近くというのは、これは国民の収入から取るんでしょう。運賃増収から取る。一兆二千億と言っているが、一兆四千億、もっとこえるかもしれない、実績は。そういうかっこうになって、半分は大衆のそういう犠牲によってやっていくというかっこう……
  164. 江藤智

    委員長江藤智君) 簡単に願います。
  165. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間どおりやります。  そういう点については一体どういうはっきりした見通しを立てるのか。この点では、やはりこれは一つのうたい文句になってしまうんじゃないか。第一次計画、第二次計画と同じような道をまたさらに拡大してどんどん進んでいくというふうにしか考えられないんですがね。その点について、これは長官として、少なくとも科学的にメスを入れて検討するということをしなければ、私は、単なる運賃値上げが大衆負担というようなかっこうでこの問題は解決つかぬと思うんです。どういうふうに考えますか。
  166. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国鉄が現在の状況を改善していくということについては、これは国鉄当局あるいは運輸当局等も加えて熱心に今日検討をしておられるのでありまして、私どもも、その計画について必ずしも異存があるわけではございません。そういう問題について十分やっていただきたいと思います。そして、それが着々進行しているということも、これは事実でございまして、非常に早急に考えればまだ十分じゃないということも言えないこともありませんけれども、着々その方向に向かって進められていることは当然でございます。  それから、こういう際に、何か政府のほうで金を出したらどうだということですが、これはやはり政府が金を出すと言っても、国民の税金から出すということであります。やはりこれはそう簡単に、国鉄が困るから政府が金を出してやろうというのでは、やはり国民の税金を使うことですから、慎重に考えなければならぬことだと思います。また同時に、利用者の方々についても、地域的な利用問題もございますから、やはり分担をしていくという原則については、これはやっぱり分担をしていただかなければならぬ。ただ根本的な問題は、先ほど申し上げたように、いろいろわれわれとしても検討すべきものがあるのじゃないか、また検討すべきであるというふうに考えております。
  167. 岩間正男

    ○岩間正男君 長官ね、長官は一時間前に来られたから、ここで行なわれた論議がどういうものかということを御存じないから無理もないと思う、いまのような御答弁も。しかし、これでは全然だめなんだ。いまのような御答弁では、全然これは受けつけられないというふうに思うのです。そうして政府が金を出すことについては、これはそれだけにします、時間がありますから。  それで第三にお伺いしたいのですが、この私鉄運賃の値上げの問題、これは非常に関連があるのですよ。いままでの例をあげるというと、国鉄運賃が上がったというので、これとのバランスで私鉄も上げてきたというのが、いままでのやり方でしょう。ところが、物価対策に非常に熱心に取り組んでいるという政府が、私鉄運賃をああいうかっこうで、国会の空白の間にばっと上げてしまった。これはどうも納得のいかないことなんですね。逆に今度は国鉄運賃の値上げというものを既成事実化する一つのステップとして、私鉄運賃を先に上げたのじゃないか、こう言われてもやむを得ないのじゃないですか。この点ですね。  それから私は、私鉄運賃を値上げする、これはいつでもやはり当委員会論議になっておった問題ですけれども鉄道の経営だけを見るわけですね。しかし、鉄道は御承知のように、これは実際は私鉄資本の食いものになっているのじゃないですか。たとえば土地の売買の兼業もやっている。それからデパートも営業している。それから中には野球の球団まで最近持っているわけです。そういうような営業のいわゆる兼業の問題というやつは全く抜かして、そうして土地を売ることによって鉄道にいろいろ便宜——鉄道を利用しますね。しかし、それはほんとうに原価計算ができているのかどうかという点で、非常にやはり疑問が持たれている。したがって、営業内容はこういうものを明確に運輸省の監督局としては調べなくちゃならぬ。私は七、八年前の運輸委員会に、私鉄運賃の値上げに先立って、そのような兼業まで含めたそういう営業内容について、一体監督局ははっきり把握しているのか、その上に立って明確にその問題に対処しているのかというので質問したことがありますけれども、今度の場合はそのようなことがされておるのですか。されておるとすれば、これは資料があるだろうと思いますので一これは非常にやはり重要な問題ですから、当然私は兼業まで含めたところの私鉄資本の経営内容を明らかにすべきだ。こういうことなしに、あのようなやみ取引で、いつの間にか国鉄運賃の値上げを合法化するようなやり方をやっちゃいかぬ。しかも、物価対策に取っ組んでいる政府がああいうことを許容するということは絶対許すことのできない問題だと思うのです。この点について、どういうふうにお考えか。
  168. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 岩間委員の質問ですが、私鉄関係の兼業部門と私鉄企業部門の経理は、明確に別にしております。混同するようなことはいたしておりません。十分調査もしますし、検査もした上ですから、その点は御信頼願いたいと思います。
  169. 浅井亨

    ○浅井亨君 時間もだんだんと進みまして、いろいろずれてしまいましたが、まことに申しわけないと思いますけれども、ちょうど企画庁長官がおいでになりますので、一、二御質問を申し上げたいと思います。  それは本会でも申し上げたのでございますけれども、藤山長官がいわゆる国鉄運賃値上げ、こういうだけで〇・三二%の値上がりがすると、それだけの物価指数に影響があると、こういうふうなお話でございました。この点がどうも納得できないのです。これは藤山長官が、四月に実行すれば三二%だけれども、二五%にするならば二月十五日でもいいじゃないかと、こういうようなお話があったと思うのです。この点と関連しまして、どうしてもわからないのです、頭が悪いから。これがやはり納得できませんと、私も了承したと言えない。だから、これを納得するまで、先ほど一生懸命聞いておったのですが、もう一ぺんお願いしておきたい。
  170. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 四月一日にするから三二%でいいと申したわけじゃございません。しかし、料金のほうを、料率のほうをできるだせ三二%から二五%に持っていくというようなことは初めから考えております。ですから、四月一日にする条件で三二%がいいとかいう意味で申したわけじゃございません。その点は御了解願いたいと思います。  それからCPIに対して〇・三ということは、これは事務的に御説明を申し上げるほうが適当かと思いますけれども、従来持っております指数関係から換算しまして、こういうようなウェートのかけ方から言って、こういうことが出てくる。ただ、この指数というものが、三十五年を基準にいたしておりまして、毎五年に変わりますから、ことしは、たとえば今後見通しをつけるにしても、四十年度の指数を基準にして問題を考えてまいりたいと思います。三十五年につくりました消費者物価に対する各物資の影響というものの指数から見ますと、こういうような影響が出てくる、こういうことを、理論的に計算を一応いたしておるわけでございます。こまかい点は局長のほうから申し上げます。
  171. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) ただいまの〇・三というお話ですが、旅客運賃が三一・二%でございます。その値上がりをもとにしまして、生計費のほうでは、三十五年の生計費で運賃関係のウエートは九八、一万分の九十八でございます。これは総理府の統計局で出しておる数字です。ちなみに申しますと、東京はその九八では高うございます。そういうようなことなんですが、全国平均で通常お話ししますので、九八を用いまして約〇・三、こう申し上げておるわけです。
  172. 浅井亨

    ○浅井亨君 どうも頭が悪いんですかね。この国鉄運賃の値上げというものはすべての物価影響するということは、これははっきりしていると思うのです。何にしても、国鉄という、国という名前がついておりますから、そのことばから言っても、国鉄でございます。また、その運賃が上がるということはすべての物価に響いてくることは、これは間違いないことでございます。そこで藤山長官が、いわゆる二五%にするなら、これは二月十五日でもいいじゃないかというような御答弁があったように思うんです。ほんとうは四月だ四月だと主張されていた。だけれども、二五%平均ならば二月十五日でもいいじゃないか、こういうように納得されたように私は考えておるわけです。その点がやはり長官は、いわゆる物価に及ぼす影響というものはすごい影響があるんだということを認識されていてのお考えじゃないか。ところが、平生おっしゃっていることを聞きますと、そんなに物価影響はないんだ、ないんだと、どなたがおっしゃっても、答弁はそうなっておる。そこが私に納得いかないんです。
  173. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私が四月一日と申しましたのは、実は、たとえば米価の値上げ、あるいは郵便料金の値上げ等とにらみ合わせまして、四月一日ぐらいが一番適当じゃないだろうかと、そういう一連の関係からして申したわけです。同時に、料率の問題はできるだけ低いほうがいい。しかし、当時、国鉄あるいは党におかれましても、できるだけ検討した結果として、このくらいはどうしても上げてもらいたいんだ、こういうお話があったわけでございます。それをそのまま——私どもも何よりももう少し何とか下げていただきたいということを申し、それがやはり物価に非常に大きな影響を及ぼしますから、企画庁として、そういうことを国鉄にも申し上げたわけでございます。そこで、四月にするか一月にするかというような問題が一方でありますと同時に、料率もどこまで上げ、利益率もどこまで上げていくかという問題がございました。で、利益率が三二%から二五%に下げられまして、したがって、このほうが実は大きいんです。いまお話しのように、このほうが物価の上には大きいんで、四月一日と二月十五日との差はそれだけの差でございますけれども、五%なり六%低目にきめられるということは年間を通じてのものになりますから、したがって、それだけの御努力をいただく。そうして、できるだけ早い機会に実施したいが、それでは、一月説もあるけれども、一月一日は米と一緒だから困るが、しかし、二月十五日ならいいと、こういうことであったのです。
  174. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  175. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  176. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまちょうど運輸大臣もおられるので、お聞きしたいこともたくさん次から次へと、これに関連してあるのですけれども、時間もたちましたし、委員長もそういうふうにおっしゃっておりますから、また明日にでも続いていろいろと質問さしていただきたいと思います。ありがとうございました。
  177. 江藤智

    委員長江藤智君) 本日はこれにて散会いたします。  次回は、公報等をもってお知らせいたします。    午後六時五分散会