○島田(豊)
政府委員 官房長に対する御
質問でございますけれ
ども、私が防衛局でそういう問題を担当いたすものでございますので、私からお答え申し上げます。
御
質問は、わが国の防衛力の
現状はどうであるかということでございます。ことに戦前の陸海軍の戦力というものとの比較においてどういうことになっておるか、陸海空どうであるかという御
質問でございます。これは
先ほど長官からもお話がありましたように、防衛力というものも相対的な問題でございますので、要するに相手の攻撃の威力、その脅威、あるいは現実における直接侵略の様相というものがどういうふうになってくるか、またその規模はどうであるかということによりまして、それに対してわが国が陸海空の防衛力を駆使いたしましていかに侵略を防衛できるかということになるわけでございまして、非常にむずかしいわけでございます。ことに旧軍の兵力との比較という問題、これも御承知のとおりに今日の、たとえば陸上自衛隊の一個師団と旧軍の一個師団の装備力あるいは戦力というものを比較します場合に、何を基準にして比較することができるか。これはなかなかむずかしい問題でございます。例を師団の比較ということにとりました場合に、たとえば輸送の面に
おきましては、昔は主として輸送は人が徒歩で歩いたり、あるいは馬で運んだり、車もございましたけれ
ども、これはごくわずかな数でございましたし、それに対して今日は師団の機動力、輸送力というものが非常に大きいのでございます。また火力に
おきましても、一分ごとに発射いたしますところのたまの火力というものを比較しました場合に、これもなかなか大砲から小銃に至りますそういう火力の量を比較するということが容易でございませんけれ
ども、
一般的には旧師団の数倍の火力を今日の師団は持っておるのじゃないかということがいわれておるわけでございます。また、それ以外に、たとえば情報通信能力というものは、これはとても比較にならないほど今日の師団の力というものが大きいわけでございまして、そういう
意味で旧師団と今日の陸上自衛隊の師団というものの戦力の比較ということになりますと、これはある人は数倍という人もありますし、ある人は十倍という人もありますし、いろいろ基準の取り方によって違いますけれ
ども、相当な威力を持っておる。今日の各自衛隊の相対的なそういう自衛力につきましては、陸上自衛隊は基幹部隊といたしまして十三個師団を展開いたしておるわけでございまして、もし敵国が直接わが国に侵略をしてくるということを考えました場合には、やはり
先ほどの敵国の兵力の規模、様相等によりまして一がいには申し上げられませんけれ
ども、これに対しましてある
程度の対処する力は持っておるというふうに考えられます。ただ、具体的なそういう様相によりまして違いますので、その辺は明確には答えられませんけれ
ども、ある
程度の兵力、戦力は持っておるというふうに考えます。
海上自衛隊につきましても、これもただいまの様相のように変わってまいります。一応わが国の周辺に対する防衛能力、また大規模な船団攻撃がありました場合に、それに対する防衛能力はどうであるかということにつきましても、これも一応現在の在来兵器によりますところの、局地戦以下の様相というものに対処するための整備をやっているわけでございます。まだ、これが必ずしも十分であるということは言えませんけれ
ども、一応の防衛力というものは持っておる。
航空自衛隊につきましては、F104を中心としますところの有人機、さらにまたミサイル部隊等によりまして、一応わが国の全般防空というものに対処するということでまいっておりますが、これも
先ほど申しましたように、一に相手の侵略の様相なり規模というものによる相対的な
関係でございますので、それが現実にどうなるか、あるいはどれだけの力を発揮できるかということは必ずしもここで明確な形において申し上げるというわけにはまいりません。非常にばく然たることでございますけれ
ども、とにかく在来型の兵器によりますところの局地戦以下の侵略に対処する能力というものを持つために防衛力の整備をやっております。今後もさらにそれの
内容の充実をはかっていくということでいきたい、かように考えておるわけでございます。