運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-03-02 第51回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二日(水曜日)    午前十時十五分開議  出席分科員    主査 植木庚子郎君       今松 治郎君    坂村 吉正君       田中 龍夫君    橋本龍太郎君       赤路 友藏君    大村 邦夫君       加藤 清二君    角屋堅次郎君       川俣 清音君    小平  忠君    兼務 田口 誠治君 兼務 堀  昌雄君    兼務 受田 新吉君 兼務 玉置 一徳君    兼務 林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 坂田 英一君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (統計局長)  野田  章君         総理府技官         (近畿圏整備本         部次長)    上田  稔君         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局長) 鮎川 幸雄君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小熊  清君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房長)   澄田  智君         総理府事務官         (経済企画庁長         官房会計課         長)      平山 正隆君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    宮沢 鉄蔵君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  向坂 正男君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)    大河原太一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         食糧庁長官   武田 誠三君         水産庁次長   石田  朗君         海上保安庁次長 岡田京四郎君         気象庁長官   柴田 淑次君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         大蔵事務官         (主計官)   荒巻与四郎君         大蔵事務官         (国際金融局外         資課長)    大蔵 公雄君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      福森 友久君         通商産業事務官         (通商局次長) 今村  曻君         日本電信電話公         社総裁     米沢  滋君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         日本電信電話公         社計画局長   宮崎 政義君         日本電信電話公         社経理局長   中山 公平君     ――――――――――――― 三月二日  分科員加藤清二委員辞任につき、その補欠と  して赤路友藏君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員赤路友藏委員辞任につき、その補欠と  して大村邦夫君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員大村邦夫委員辞任につき、その補欠と  して加藤清二君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第三分科員田口誠治君、第一分科員堀昌雄君、  第三分科員受田新吉君、第五分科員玉置一徳  君及び第二分科員林百郎君が本分科兼務となっ  た。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算経済企画庁農林  省及び通商産業省所管  昭和四十一年度特別会計予算中農林省及び通商  産業省所管      ――――◇―――――
  2. 植木庚子郎

    ○植木主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十一年度一般会計予算中、経済企画庁所管を議題といたします。  この際、本日質疑予定委員各位に申し上げます。  本日質疑予定委員数は相当多数にのぼりますので、議事進行の円滑をはかるため、各委員の持ち時間は、本務員の方は一時間、兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめられたいと存じます。この点、つとめて御協力相なるようお願いいたします。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋分科員 きょうは藤山経済企画庁長官に、主として国土総合開発の観点から、地域開発の進められてまいりました経過と、これから具体的にはどういうふうにするかという点に大体力点を置きながら、御質問を申し上げたいと思います。  その前に、長官にお伺いいたしたいのでありますが、昨日、藤山さんも、また福田さんも、閣議後の新聞記者会見で、今後の景気見通しについて触れられておるのであります。同時に、きょうの各紙は一斉に経済企画庁経済月例報告あるいは日銀経済見通しというふうなものをあわせ大きく報道いたしております。  これらを通じてちょっと感じますことは、今度の国会で、予算の総括あるいは一般質問を通じて、今日の経済不況をいかに打開をしていくか、景気回復見通しはどうであろうかというふうな点が、あるいは重大な物価問題等々と関連をしながら、きめこまかく議論がなされてまいりました。その過程においては、藤山経済企画庁長官も、今日の経済不況というのは、従来の景気循環論的なそういう性格のものばかりとは言えないのであって、もっと基本的に構造的なものを含んでおる、これは物価問題も関連しますけれども。したがって、景気の将来の見通しということになると、構造政策的なものを前向きに進めなければ、なかなか本格的な景気立ち直りという形にはいかないのじゃないかということが言われておりまして、しかもまた、長官自身は、かつてのなくなられた池田さんの経済高度成長政策に対して、豊富な、従来からの経済人立場というふうな経験も生かされて、これに対しての行き過ぎということがあっては将来に問題を残すのじゃないかということを当時から率直に言ってこられたのでありますが、今日の経済不況といい、物価筒といい、ある意味においてはやはり投資主導型の高度成長政策行き過ぎというものが今日の問題の根底に大きく横たわっておる。だからこそ、政府としてもこれから高度成長から安定成長へということに真剣に取っ組まなければならぬということを考えられてきておるのだと思います。  そういう過程の中で、きのう、従来から相当慎重にかまえておられた経済企画庁なりあるいは日銀等が、景気のこれからの見通しについて何か明るい日ざしがさしてきたような分析をされておるわけでございます。その考え方についてまず長官からお伺いしたい、こう思います。
  4. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知のとおり、最近のマクロ的な数字をずっと見てまいりますと、確かにもう底固めができたということは言えると思います。それは機械受注数字を見ましても、あるいはその他の数字を見ましても、そういうふうに考えられます。したがいまして、私どもは一応底固めから景気回復の曙光が見えてきた、こういうことが総体的には言えると思います。ただ、ミクロ的に見てまいりますと、個々仕事について、特に中小企業方面仕事までそれがまだ波及してないというような状態がございます。ですから、全部の各産業なりあるいは全部の階層における仕事が、全部もうすでに立ち直ってしまったというところまではまだいっておりません。しかし、だんだんいま申し上げましたようなことで浸透してまいりますれば、これが本格的に景気立ち直りができたということが申し上げ得られるのではないか。お説のように、私ども今回の不況については、物価問題をはじめ、いろいろなゆがみ、ひずみがあることからきていることを申し上げている。わが国産業におきましても、中小企業と大企業との間に格差ができておるということは、申すまでもなく、そのとおりだと思います。したがって、中小企業対策ということが非常に大事だ。ただ、中小企業自身が立ち直って合理化をやる、あるいは近代化をやるというようなことに考えを及ぼしていきます場合に、景気底辺にあっては、これはなかなかできない。底辺にあってしいてやろうとすれば、それはつぶしてしまうというようなことで合理化をやるというようなことになりましょうと思います。したがって、ある程度景気が上昇してきて、そして中小企業の方々も、過去の経験考え、あるいはこれからの将来の発展のためにやはり生産性の向上、合理化をやったほうがいいという考えになり、そこに政府施策がぶつかっていかないと、そういう意味での格差是正というものはなかなかむずかしいと思います。したがって、景気が回復する過程においてそういうことをやっていかなければならない。ですから、これから政府が、そういうことについて、景気が立ち直ってき、大体中小企業にも浸透してくるというところを見ながら、中小企業対策を並行してやっていく、こういうことが一番適当なことだと私は思います。ですから、そういう方向で景気が立ち直ってくることが望ましい、まず第一としてこれが望ましいことは申すまでもないことであります。  そういう意味で、若干マクロ的に見れば、指標的数字が明るくなった。そしてそれは次第に中小企業にも現状のままで浸透していくということになってまいろう、こう考えております。
  5. 角屋堅次郎

    角屋分科員 鉱工業生産伸びだとか、あるいは機械受注状況であるとか、あるいは製品在庫率状態であるとか、貿易関係であるとか、いろいろな点から見て、景気の底入れから若干明るいきざしが出たという分析をされたかと思いますけれども、しかし貿易なら貿易という問題一つを見ても、これは世界的な貿易伸び、そして日本不況の脱出の一つの方途として出血輸出を伴ってでもという、そういう形の外国へのシェアの拡大で貿易を伸ばしていった。したがって、鉄鋼その他を内容的に見ても、長期安定の立場から見るといろいろ問題を持っておる。これは通産省あたり貿易アンケート調査の結果によっても、もうかった、あるいはとんとんである、あるいはもうからないというふうな比率というのは、むしろ悪い条件アンケート調査の結果がやはり出てきておる。現実に最近の貿易収支については、いま言ったような状況等も含めて黒字基調であるけれども貿易外収支赤字基調である。あるいはまた、資本収支においてもそうであるというふうなことが、同様に今後数年は続くのではないかという感じがするだけに、貿易収支黒字というものが一体そう楽観できるのかどうかというふうないろいろな問題を考えてくると、きのうあたり月例報告は、従来の数カ月の経過を見て言ったということであろうけれども、何かいろいろな内面的なそういう基本的条件というものをずっと見てみると、やはり景気見通しについては、そう甘い観測はなかなか下せないのではないかというふうに、率直にいって思うわけであります。  しかも、知事会機関誌を見ましたところが、長官桑原愛知県知事と対談をやっております。相当ずっと出ております。私、きのう全部読んでみたのですが、そうしましたら、そのうちで長官が、福田さんも考えられておられることですけれども、一・四半期に国の金をできるだけおろす、従来のパーセンテージから見ても、一・四半期、二・四半期というのは必ずしも多くない。せいぜい三〇%を少しこえる程度である。それを半分以上、できれば六割くらいまで契約する、そういう考え方が出ておるわけですが、藤山さんは景気立ち直りの勝負は一・四半期であるということばが出ておるわけです。あれやこれやを意識的に計数的に若干の条件のいいのが出てきたので、政策的意図も含めて、景気は底から明るい日ざしへと、日銀も歩調を合わせた、そういう感じが率直に言ってしなくもないわけですけれども長官の真意はどの辺にあるわけですか。
  6. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話のように、いま世界経済の中で日本経済考えてみますと、来年度は貿易の世界的な伸び例年と比べて若干低目ではないか、そういうことでございますから、したがって、そういうものも影響してくる。ですから貿易関係無条件で楽観するわけにいかぬと思います。ことに低開発国方面経済情勢が非常に悪くなってきている。それを基礎にしていろいろ政変等も各地に続発しておる。そういうような政治情勢経済情勢を見ますと、売ろうと思っても、ドルがなくて、なかなか売れないというような問題も出てまいります。ですから国際貿易というものを楽観していくわけにはいかない。よほど用心してやってまいらなければならぬと私は思います。  それから貿易自体が、いまのように国としての貿易収支黒字であっても、個々企業者内容黒字であるのか、とんとんであるのか、赤字輸出であるのかということは大きな問題であって、ただ貿易収支のしりだけを見て喜んでおっては、国内経済の上に対する影響というものはあまりつかめない。ですから貿易が引き続き好調であると同時に、輸出していく人たちも、やはり少なくも赤字輸出はしない。とんとん以上の、願わくは黒字輸出とんとんであれば別に損はしていませんからまだよろしゅうございますけれども、そういう状態にならなければ本格的な貿易立国ということは言えないと私は思います。ですから、そういう面については、今後よほど考えていかなければならぬのですから、来年度にあたりまして、そう無条件に私ども楽観するわけには――現在の国際的な政治外交情勢から見て、貿易無条件に楽観するわけにはいかないのでございます。しかし、その中にあって、日本貿易をどうして伸ばしていくか、あるいは貿易個々の業者が赤字輸出でないようにしていくということが焦点になってくるだろうと思います。ですから、そういう意味では非常に今後の施策の上で大切になってまいらなければならぬ。  そこで、景気が若干よくなってくるということは、結局生産数量が上がってくるわけであります。いわゆる生産性が、新しい方式を用いなくても、現状のままでも、不況下におけるよりは生産性が上がったと、一応数量がふえてくれば言えないことはないわけであります。そういうことによってコストがダウンされるということも考えられるわけですから、そういう面において、やはりある程度国内景気が上がるということは、コストの上にも、輸出貿易の上にも、悪いことではございません。ただ、しかし、これが非常に過熱してまいりますと、私は現状維持は危険だというので、景気はなだらかに上昇させる、景気が回復していくとしても、過去の非常に高度成長のような、一八%も一九%も成長がいきなりことしの秋からでも起こってくるというような趨勢になりますことは、やはりこれは政府として財政の運用なりあるいは経済政策指導なりでとめて、できるだけ七、八%くらいなところに落ちついていくようにしなければならぬ。それは野放しにしておいたら、ただ、もういいんだ、景気がよくなってきたからそれでいいんだというふうには、私はこまかく考えていけば、あってはならぬのではないかと思います。そういう意味において、景気も並行して先ほど申したように上げてまいりませんければなりませんが、これがやっぱり御承知のとおり四十一年度の成長率というのは二・六%前後しかない。それが三月、四月まで続いて、そうしてそれからぼつぼつ財政支出例年のとおり第一、第二・四半期で二八%くらいの財政支出しかないということでございますと、私はやはりまた政府があれだけの大型予算を組んで公共事業に投資しても、自分たち影響が回ってこないじゃないかというような心理的な影響が非常に大きいと考えます。また心理的ばかりでなく、現実受注がふえません中小企業のところまでも浸透しなければならぬ。それですからやはりこの財政をできるだけ早く活用していくということが必要で、九月までに大体六〇%の契約ベース、あるいは支払いベースとして四五%あるいは四〇%前後まで持っていくということで推進しておるわけであります。  その大きな部分が地方公共事業になりますから、中央だけでやってもいかぬので、中央地方を通じてそれが出てこなければならぬ。地方財政の今日のような現状から言えば、中央が非常に張り切っても、地方がそれを受けなければならぬ。そうすると、地方財政現状から言えば、やはり政府が起債を許すとか、あるいは交付税交付金を早くやるとか、あるいはその県における土木公共事業がどの程度の規模で各県に割り当てられるとかいう、中央方針を示さなければ、地方行政当局としても、あるいは地方県議会等においても、予算案もつくれない、そういうことがおくれてくることですから、これは中央地方一体になってそれをやっていかなければならない。そういうことであれば、私は今回相当な大型予算であり、しかも社会資本に対して相当な力を入れておりますから、景気が出ないわけはないと思います。  ですから、そういうことによって上半期やってまいりまして、少なくも上半期が二・六%で引き継いでいくというのでなくて、引き継いだ瞬間から、あるいはこの三月期だけを考えれば一年間の二・六%よりはもう少し高い成長率で推移していく、そうして九月に向かっていかないと、上半期は二・六だ、それで七・五なり八くらいな下半期成長率を年間を通じてつくろうと言えば、下半期は一五%とかなんとか、そういうものを上げなければ、これは非常に混乱を起こすゆえんだと思いますので、われわれとしても、そこに集中して力を注いでいく、こういうことに考えておるわけでございます。
  7. 角屋堅次郎

    角屋分科員 三十九年来の不況景気浮揚対策として、去年の予算が通ったとたんに公共事業のほうが一割リザーブ、今度は一年後の今日においては前半期に五割も六割も支出する、考えてみると去年のあれはいわゆる不況というものの内容の判断において、例年のとおり、従来の経験どおり景気の波動が、神武景気あり、岩戸景気あり、その間にまた景気過熱あり不況ありという、そういう甘い観測があったのか、そういうことによって去年は、いまから見るとあの公共事業の一割リザーブというのは、あれはむしろ不況を長引かしたという結果に終わったと見ていいのかどうか。そうしてことしの場合は、同じ不況でもまるきり違った、むしろ従来以上の積極的なあれで前半期、国の財政を出していく。いわば従来の投資主導型から財政主導型の経済政策というふうに性格的にも少し変わった点がありますけれども、去年とことし、やり方において、同じ政府で違ったのは、いまから見ればどういうふうに考えられるか。  それともう一つは、藤山さんはよく比喩として七・五・三ということを言われるのですが、いろいろ経済全体、国際貿易関係は、過般三木さんとの間である程度議論をいたしましたので、きょうは避けますけれども財政主導型、しかも公債まで発行してやるやり方の中で、物価の面においては七・五・三で下げていく。そのかぎはどこにあるか。しかも物価を七・五・三で下げていくといろ場合に、物価上昇一つの要因になる構造上の問題、その構造上の問題の中で、中小企業農林漁業等所得構造是正というものが、ここ一、二年の間に目ざましく変わるという展望のない中で、しかも七・五・三で下げ得るという最大のかぎは、いわゆる物価の総合的な安定を、全体として内閣としてかぎを握っておられる経済企画庁としてはそれをどこに求めるわけですか。
  8. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本経済景気、不景気というものを調節したのは、従来は金融一本できたわけですね。そこで昨年も、一昨年の秋からもうそろそろあれですから金利をゆるめました。金利をゆるめたことによって景気が回復すると思ったのです。ところが、景気が回復しないので税金収入は十分ではない。そこで、景気はそういう金利操作で回復できるのだけれども税金収入が悪いから政府支出をやめて財政を合わせようというところに一割削減があったと思います。しかし今度は、景気を動かすために、金融ばかりでなしに、財政の力を用いるということで、もう財政問題としては非常に大きな転換だと思います。そして金融財政とを両々並行しながら、今後は経済施策をやっていく、こういう立場になりました。ですから、そういう意味では、従来の方針が変わったという大きな変化はこれは明らかにございます。私はまたそう変化してしかるべきだと思っております。  それから第二の七・五・三の問題は、これは物価問題について私は正直に申していまきめ手がないと思います。ある方は賃金ストップをしろ、こう言う。私は賃金ストップ説をとりません。それからある方は物価を統制しろ、こう言う方もありますが、私はやはり現状では物価凍結というのはよくないと思います。賃金ストップなり物価凍結そのものが、どれだけ物価問題に影響するかといいことは、まだわからないところでありまして、それだけで効果があるかどうかわかりませんが、しかし、そういう議論もある。私どもとすれば、やはり今度の物価問題の本質としてゆがみ、ひずみを直していく、物価問題を政府がほんとうに長期にかまえて取り組まなければならぬ、こう私は考えております。むろん物価の中に全然構造上からきたものでない問題もございます。たとえば豚肉の場合とかそういう問題がございますから、そういうものは緊急輸入をして、需給関係のものは対策ができるものはやっていかなければならぬということでございますが、主としてはやはり構造上の問題でいく、そうしてじみちにそれぞれの構造をできるだけ直していく。いまお話しのように、そういう趣旨はわかるけれども、それでは農業構造改革といってもなかなかたいへんじゃないか、非常に長期にかかるし、すぐいかぬだろう、むろん農業構造改革みたいなものについてはすぐいかぬところもございます。しかし、たとえば野菜の安定的な価格をつくって、生産をできるだけ平均化していくというような方法をとっていくことによって、騰落を避けていくという方法も緊急的には考えられる、政府もそれはやっております。その他の問題については、流通過程の中の問題なんかはそう時間をかけないでもやれる。また便乗的な値上げはできるだけ押えていくということでやっていくことは必要でございますが、その間に構造上の問題を直して、少なくとも三%台ぐらいに持っていかなければ物価政策をやっているとわれわれ言えないのでして、そういう意味において、各省の御協力を得ながらそういう問題の改善に当たっていくという考え方でございます。
  9. 角屋堅次郎

    角屋分科員 きょうは地域開発問題に焦点を合わせてやるつもりでございますので、話を次に移します。  御承知のように国土総合開発法というのが昭和二十五年に制定をされまして、それから今日まで十五年以上経過をしております。その過程で、十二年ぐらいたったところでやっと経済企画庁は慎重な検討の上に立って、全国総合開発計画というのを昭和三十七年の十月五日に閣議決定をされ、そして拠点開発方式というふうな形で全国総合開発を推進すべきだという構想を明らかにされたわけでありますが、そういう全国総合開発計画を立てられる過程の中で、たとえば首都圏整備法の関係であるとか、あるいは東北開発促進の関係であるとか、あるいは北陸、中国、四国、九州、さらに近畿圏の整備の問題であるとか、いわば一つのまとまった経済圏的なところでの開発促進をやろうという、そういうものが並行して今日出てまいったわけでございます。経済企画庁として戦後の日本総合開発あるいは地域開発というものを顧みて、ある人は三つの段階の過程を経てきたというふうにも言っておるわけでありますが、総合計画局長なりあるいは実施過程における総合開発局長から、今日までの国土総合開発あるいは地域開発というふうなものを顧みて、今後の展望というものを含めてお考えをまずお伺いしたい。
  10. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 角屋先生の言われるように、戦後総合開発考え方は、国土総合開発法ができたときがその第一歩であった。そのときは、御存じのように、戦後の非常に物資の不足の時代でございましたから、主として食糧増産とかあるいは水資源の開発といったような一つの資源開発を背景にして、全国総合開発計画その他府県計画、地方計画を立てて、開発を総合的にやっていくようにということででき上がりましたのが国土総合開発法でございます。その国土総合開発法ができまして、そういう考え方に基づいて、主として河川の流域を中心とした特定地域開発ということで、全国で言いますと約二十二地域でございますが、地域の指定が行なわれ、その開発がかなり活発に行なわれたわけでございます。その傾向を見ますと、資源開発というよりもさらに一歩進んで、中央地方といいますか、大都市とその周辺と、あるいは地方との格差の動きが、経済の発展するにつれましてだんだん開きが出てきた。その格差の原因というのは、分析しますと、一つは一次産業と二次産業、三次産業との開きであり、あるいは大企業と小企業との開きが地域的にいわゆる地域格差という形であらわれているというのが現状でございます。そういうような意味から、地域の開発も、主として産業の高度化、つまりある意味では工業化をはかることによって地方の所得をふやしていく、そういうことによって中央地方とのバランスを保っていこうというふうな動きが出まして、各地方ごとにブロックの開発促進法が主として議員の方々の提案で成立しまして、東北開発促進法あるいは九州開発促進法、それぞれブロックごとに促進法ができ、それに基づいて開発促進計画がつくられて、地方の開発がはかられていたわけでございます。ただ、その間全国的な計画が、先ほど先生のおっしゃられましたとおり、法律ができまして以来なかなか設定されませんで、所得倍増計画を契機にいたしまして、中央地方のより均衡した発展をはかるためには、全国的な計画を立てる必要があるということが強く言われました。そういった要請に応じましてでき上がりましたのが、三十七年十月の全国総合開発計画でございます。全国総合開発計画では、拠点開発の思想をとって、後進地の開発については、拠点的に、主として工業あるいは都市といったものを中心にした地域をまず育成して、それの影響によって地方全体を開発していく、そういう考え方をとったわけでございます。その一つの具体的なあらわれが新産都市の指定であり、その育成でございます。あるいはまた、工業整備特別地域もその一環であるというふうに考えられるわけでございます。現在そういったような状態で、主として地方の工業の開発を中心に動いてきておりますが、さらに最近におきましては、単に工業開発という問題じゃなくて、むしろ社会開発的な見地から地方の開発を取り上げて考えるべきであるという声が非常に高まってきております。また、新産都市はじめ最近の計画には、主としてそういった住民の福祉の向上というようなものを十分に織り込んだような計画になってきておりまして、つまり資源開発から工業開発、工業開発から社会開発を含めた開発というふうな問題になってきておる。  また最近は、特に人口の都市に対する集中が非常に激しく行なわれてきております。これは世界的な傾向でございますが、特に高度成長下においては非常に激しくそういう傾向がある。最近の昭和四十年の人口統計から見ても、そういった傾向が非常に明らかでございます。そういった都市化の問題ということに関連して、都市の対策をどうするかというふうな問題が一つ出てきた。こういった全体の流れでございます。
  11. 角屋堅次郎

    角屋分科員 総合計画局長、けっこうです。  いまお話しのように、全国総合開発計画というのは昭和三十七年にできたわけですが、その前から、特定地域総合開発計画であるとか、あるいは地方総合開発計画であるとか、都道府県総合開発計画であるとか、これはいずれも縦の関係ですが、進行してきたわけです。しかし、一方では首都圏あるいは東北、北陸、近畿、中国、四国、九州、そういうブロック的な開発促進の問題がずうっと――首都圏が一番早いわけで、昭和三十三年の七月四日に整備計画が承認をされるというところで一番すべり出しが早いわけですが、その後大体三十七、八年、九年にかけてあとの問題が進行してまいりました。そこで、それぞれの地域は、東京を中心にしたところ、あるいは名古屋を中心にしたところ、大阪を中心にしたところというのは、他の北海道、東北とかあるいは中国、四国、九州と性格的に違っておると思います。いわば四大工業地帯の総合開発というものと、それよりも工業的には相当おくれをとっておる地域の総合開発とやはり性格的に非常に違うと思います。  簡単に首都圏の問題で少しくお伺いしたいのでありますが、首都圏が一番早くすべり出したわけでありますけれども、今日までの経過を見ておりますと、マンモス大都市を控えておることであるし、経済というものは人為をもってはなかなか御しがたい点が当然あるし、それを無理をするとかえって経済の発展を阻害するという面もある。だから、社会的、経済的、いろいろな要因というものを理論的にも十分見きわめて、そして将来の人口増加、あるいは経済の発展に即応して、どう誘導していくかということが苦心の要するところだと思うのでありますが、問題の一番多い首都圏の場合は、首都圏整備計画に基づいての実際の実施というのはなかなか思うようにいっていないのではないか。たとえばグリーンベルト地帯というのを指定している。この指定にも反対運動が起こったりして、なかなか問題がある。すぐ指定したけれども、解除その他で、首都圏整備委員会よりいただいた資料一覧表をずっと見てみましてもなかなか思うようにいかない、そういう苦心はあるのだろうと思います。それと、首都圏の場合は、臨時行政調査会でも、機構問題についてもっと強力にやる必要があるのではないかという問題等も出ておるわけであります。簡単に、首都圏の整備計画実施後の経過と問題点というものを率直にひとつお伺いしたいと思います。
  12. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 ただいま首都圏整備計画の実施状況と問題点はどうだというお話でございますので、その点についてお答えいたしたいと思います。  その前に、首都圏はどういう権能に基づいてやっておるか、また、その基礎条件がどうなっておるかということを簡単に申し上げたいと思います。  首都圏は、首都の整備に関する総合的な計画をつくって、その実施を推進するということになっておりまして、この権能に基づきまして首都圏区域一部七県を首都圏の区域とされた。その地域につきまして、既成市街地、それから近郊地帯、それから市街地開発区域、こういうふうな三つの区域に分けまして首都圏整備計画を策定いたしておるわけであります。  その整備計画に基づいて従来やっておることを簡単に申しますと、既成市街地につきましては、人口増加等の原因になります工場、学校等の制限をやっておるということでございます。また、既成市街地における街路とか生活環境施設等の整備計画をする。また、先ほどお話がございました近郊地帯の問題でございますが、近郊地帯につきましては、首都の周辺において緑地等を整備いたしまして、一定の間隔を置いて大都市の整備の一環とするとともに、生活環境の向上をはかる、こういうようなことで近郊地帯ということを指定いたしてきておるわけであります。  なお、そのほかに、首都に集まる人口をそのまま既成市街地に収容いたしますと、それは既成市街地がますます膨張し、過密の弊害をもたらしますので、一定の人口を周辺の地域に分散し、また集中抑制をはかる、こういうような見地から市街地開発区域という制度を設けまして、主として工場団地等を造成いたしまして、工業都市の整備をはかってきておるということでございますが、現在この工業都市につきましては、十八地区の地域を指定しまして、整備をはかっておるわけでございます。  なお、このほかに、首都圏の全域につきまして主要な幹線道路網の整備計画等を設けてその整備をはかっておりまして、それぞれの地域について整備計画をつくって推進してまいっておるわけでございます。しかし、先ほどお話のございましたように、最近におきます人口、産業の集中の力が非常に強いわけでございまして、計画が十分に至っていないという点があるわけでございます。  そこで、まず問題点と申しますか、その問題の状況を申しますと、第一は人口、産業が予定いたしましたよりも非常に多く集まったということであります。と申しますのは、現在の基本計画による人口の目標は、昭和五十年に首都圏に約二千八百八十万人程度が集中するであろうというふうに考えておったわけでありますが、すでに昭和四十年に二千七百万人に達したわけでありまして、そういう集中傾向を見ますと、今後、この昭和五十年に立てました人口目標というものは数年にしてこれが目標に近づく、こういうことになっておるわけでございます。非常にその集中の力が強いということが第一の問題であります。  それから、次に、先ほどのお話にもございました近郊地帯の問題でございますが、近郊地帯は先ほど申しましたように、首都の周辺に相当な規模のグリーンベルトを設けるという考えでやってきたわけでございますが、やはり人口、産業の非常な集中の力によって、なかなかそのとおりに守りがたいという状況になってきておるわけでございます。この間、この地域を穴あけと申しまして、若干当初計画を変えまして、市街地の整備等をやってきておるわけでございますが、なかなかそれでは十分にこの地域の整備もできかねるということで、先般首都圏整備法の一部が改正されまして、近郊地帯という制度を廃止しました。首都の既成市街地の周辺地域、大体五十キロ圏域でありますが、五十キロ圏域を近郊整備地帯ということにいたしまして、そこにその地域を指定いたしまして、この地域を既成市街地と一体として整備し、あわせて緑地を確保するというような方向でいま考えておるわけでございます。  なお、そのほか、交通問題、住宅、宅地の問題、いろいろと問題等が出てまいっておるわけでございまして、ただいま首都圏整備委員会といたしましては、こういう基本となっております基本計画というものにいろいろ問題がございますので、人口の目標をどうすべきかという点、あるいはこの首都圏整備の対象になる事業をどういうふうに考えるべきであるかという点、その他首都圏整備の基本となる人口、産業の適正配置の問題等につきましていま検討を始めておるわけでございます。基本計画の改定を進めておるという状況でございます。
  13. 角屋堅次郎

    角屋分科員 時間の関係もありますので、詳細に触れるわけにいきませんが、長官にお伺いをいたしたいと思いますけれども、昨年の十月一日の国勢調査の結果の発表によりますと、わが国の人口はおおむね九千八百二十八万人、世界第七位、五年前に比して五・二%の増、四百八十六万人の純増があるわけですが、その人口増加がどういう地域に分布されておるか、長官も御承知のように、関東の埼玉、千葉、東京、神奈川、こういう臨海地帯に、ここで三百十六万人ふえておる。それから東海の岐阜、静岡、愛知、三重、こういうところで八十四万人ふえておる。近畿臨海、大阪、兵庫、和歌山で百五十八万人ふえておる。これらを見ますと、わが国の純増の四百八十六万人をはるかにこえる五百五十八万人の増加を示しておる。したがって、いまお尋ねをいたしました首都圏、それから数年前にすべり出しました近畿圏、さらにその中間に位置する、これからお考えおき賜わりたい中部圏、こういうものの総合開発というものをどういうふうにやるかということが、これはやはりわが国経済の全体的な発展について死命を制するほどの重要な問題である。単に過密都市対策であるとか、あるいは都市化傾向をするとかという問題ばかりでなしに、経済の問題というのは必ずしも人為的にいかぬ点もある。いかに社会的、経済的、学究的な立場から総合判断をして、そしてまた国際動向の中で日本経済のそれぞれの地点における位置づけをどうするか、また地域格差等の政策的意図も含めてどういうふうに誘導していくかという重大問題ですけれども、その前にやはり東京を中心にし、名古屋を中心にし、大阪を中心にした、この三大地帯というもののこれからの総合開発をどうするかということは、日本経済の死命を制するほどの重大問題だと思う。現実に昨年の国勢調査で人口のふえた県が二十一県、人口が減少した県が二十五府県というふうになっておりますが、この二十一県の人口のふえたうちの十七県がいま言った地帯にあるということは御承知のとおりだと思うのです。  そこで、首都圏がすでにすべり出し、いわゆる近畿圏が数年前にすべり出すと、その中間に位置をしておるいわば中部経済圏というもの、これを一体どういうふうに国土総合開発の中で経済的に位置づけ、そしてまた今度発展をさしていくか。御承知の中部圏として第一線の諸君が考えておるところは、北陸三県、それから東海の静岡、長野、岐阜、愛知、三重というふうなところから、さらに近畿圏に現実に入っておる滋賀等を含むところの九県を中心に考えておるわけです。これは昭和四十五年に一応予想してみますというと、全国対比で人口においては一七・九%を占めるだろう、生産所得においては二四・一%を占めるだろう、その場合に全国的な対比で一次産業の地位としては一九・四%、二次産業では二八・一%、三次産業では二二・一%と、いずれにいたしましても、中部圏の九県の持つ日本経済に占める位置というのはきわめて大きいと思う。それと同時に、それならば北陸三県とかあるいは近畿圏に入っておる県というのを別にして考えたらどうだというわけになかなかいかないと思うのです。特に太平洋ベルト地帯、あるいは日本海岸におけるところの開発というものを結びつけてやはり考えなきゃならない。同時に、言うまでもなく、アジアに位置しておる日本経済的地位から見れば、お隣の中国との問題、あるいに朝鮮との問題、あるいは対ソ連との問題、もうすぐ接しておる地域の、たとえば中国、ソ連の人口は世界人口の半数近く占める。いまのところはいろいろな制約がありますけれども、今後の長期展望の中で考えてまいりますと、そういうところの貿易は当然これから立てる十カ年計画の中で重要な要素になる。としますれば、太平洋は太平洋、日本海は日本海というわけにいかない。特に日本の本土のちょうど中枢部を占める中部圏の場合には、そういうやはり対アジア的な貿易的な面、あるいはまた、中部圏の占める経済的な地位というものから見ると、現地側の要請しているような形における総合開発というものが適切である、こういうふうに思いますし、また、現に佐藤総理も、去年の六月十四日に、石田さん、福田さん等を従えまして、名古屋に入りました際に、名古屋の観光ホテルで記者会見をして、中部圏の開発整備法の問題については、政府として賛成であるし、積極的に協力したい、こういうことを言っておるわけでありまして、現実に今度の新年度予算では三千万円の調査費をつけたわけでありますけれども、これは経済企画庁が当然すべり出すまでは中心になってやっていかれるわけですが、中部圏のいま言った経済的地位、あるいは社会的地位、そしてこれからの総合開発の中における位置づけというものから見て、太平洋、日本海を含む、いま言った首都圏の総合開発というものは非常に重要である、こう思うわけであります。これらの問題について、現地側では今度の通常国会の中で法案を整備をし、そしてすべり出しをしていきたいという積極的な意欲を持っておるわけでありますけれども長官としても、経済人でありますから、当然こういう問題については、基本的に賛成であり、また前向きにこの問題についてはすみやかに対処すべきであるというお考えであろうと思いますが^まずその点からお伺いしたい。
  14. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいまお話しの中部圏の問題は、私はこれから非常に大事だと思います。御承知のように、首都圏あるいは近畿圏というものは、何かといえば非常に過密してしまった都市の、ある意味から言えば対策が始まっている、名古屋を中心とした地域というのはまだ過密にはなっていない。そこでこの問題をこれからりっぱにやっていきますことは、一つ地域開発の、あるいは過密都市対策のテストケースになるのではないか、こう思うのです。そこで、そういうような横想をやってまいりますと、いまお話にもありましたように、日本経済基盤が交通その他科学技術の進歩でもって非常に大きな変化をこれからしてくるものだという考えを前提に立てなければならぬのではないかと私は思っております。  そこで、中部圏の範囲をどうするかというようなことは、他の近畿圏その他等ありますから、それは地元の方々がいろいろお話しの上で調整をしていただく問題で、政府が無理にやらせるわけではございませんけれども、しかし、これから考えられる経済の運営に従って両圏内にまたがるか、あるいは他のほうに所属するかということは、おのずからそれらの情勢から判断すべきだと思います。ただ、日本経済で、私は中部圏が一つのテストケースとして、将来東京や大阪みたいに過密都市にならないように、そして圏内全体のいわゆる新産業都市をやりましたように、名古屋が中心になって、一つの拠点地区となって、圏内全体をまとめていく、こういう考え方には私は賛成でございます。そしていま御指摘のありましたように、太平洋岸とその他の海洋、日本海沿岸とはおのずから貿易その他の上で機能が違いまして、私はこれはやはり大陸貿易というものは将来日本で伸ばさなければならぬし、伸びていくもの、こう思っております。そうすると、やはり日本海沿岸が大陸貿易の拠点地となる。そこで中部圏、いまの名古屋を中心にした生産物が北陸の港を通って、そうして大陸に向かうというようなことは、非常に自然的な条件だと思うわけであります。  それから、現在までの産業構造の上から考えてみましても、名古屋は御承知のとおり繊維産業が多い。北陸もまた繊維産業が多い。したがって、この計画の立て方によっては、それぞれ過去のそういう特徴を持っていますけれども、それが将来調整される機能があれば、必ずしも日本海沿岸に大企業――大企業というか、原料産業を興さなくとも、そういうような過去に持っております機能を生かして、そうして繊維産業の大部分が日本海沿岸にいき、重工業的なものが東海沿岸にいく、そうしてその間に道路等が自由につき、あるいはこのごろはトンネルを掘ることは何でもございませから、道路ばかりでなく、鉄道輸送その他もやるということになれば、私は一体として非常におもしろい圏――いわゆる府県の県でなくて、大きな圏ができると思います。そうして、これはいま申し上げたような意味において、従来の過密都市対策という意味から出発するのでなくて、新しい経済構想の上に立って、一つのテストケースとしてやれるのじゃないかという考え方を実は私は持っておりますので、その具体的な実施方法については、どの県とどの県を入れるとか、あるいはどういうふうにやるかということは、それぞれ地域の方々に御相談願い、政府も今後研究していきますけれども、非常におもしろいあれじゃないか、こう私自身は考えております。
  15. 角屋堅次郎

    角屋分科員 時間の関係もありますので、首都圏の問題に深く触れることはできませんでしたけれども、建設大臣官房広報室編で、「建設行政当面の諸問題を語る」というので、いろいろ学識経験者といいますか、建設省に関係のあるメンバーの中心になられる方々で、新首都圏建設の構想の問題から、宅地から、いろいろな問題を論じておられる。その中で、首都圏の問題については、大臣御承知のように、首都圏における政治機能というふうなものを移転をさせる必要があるという有力な議論もありまして、たとえば富士山ろくへ行くとか、あるいは浜名湖あたりへ持っていったらどうか、あるいは岐阜県あたりでは誘致運動を起こしている。まあ私のほうの三重県でも、それはそういうことになってくればどうぞということになるかもしれませんが、それは別として、やはりおのずから政治の中心というものは、そう極端なところへ持っていくわけにいかぬけれども、首都圏あるいは中部圏あるいは近畿圏というものを総合した形の中で、政治経済、文化、学術というものの総合的な、やはり今後十年、二十年を展望したそういうものの配置をどうするかということは、これは私は非常に重大な問題だと思う。そういう意味でも、現に首都圏があり、現に近畿圏があり、まあいま言ったところでは、北陸の整備の問題もありますけれども、中部圏がちょうど空白になっておる。経済的に非常に重要な位置を占めておるところが空白になっておる。経済企画庁としても、自治省としても、おそらく幾つかの地域のブロック的な開発整備という形でいくのがはたしていいのか、あるいはもっと、地域総合開発幕末法的なものをつくって、そしてそういう形の中でやっていくのがいいのかという将来の問題を私は十分検討していただいていいと思うのです。現にすべり出して、そうしてまあ大体三十八年、九年から四十五年という閣議承認の形でそれぞれのところがやっておる。そういう形の中で重要なかなめになるところが空白状態であるということは、これはやはり考えられない。したがって、いま言った首都圏のいま持ちこたえできない諸問題、あるいは近畿圏でもやはりもっと広域的に考えなければならぬ諸問題というものを展望してみると、この際すみやかに中部圏の関係法規をすべり出して、総合的にやはりやっていくということが、いま落ち込みの状態からさらに前向きにいこうとする日本経済全体の中でも重要である、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。
  16. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 いまお話しのように、この首都圏の官庁を移すというようなこと、これは考えられることなんです。しかし、このこと自体がもうなかなかむずかしい問題でして、そう簡単にいかぬと思います。しかし大きな将来の夢みたいなことを私など考えてみますと、やはりいまの府県制というのが私はもういまの経済状態からいえば小さ過ぎる。やはりある一つの中部圏とかそういう意味の構想でそういうものをやっていく、そうして将来の対策としては、その中心に持っていって、その地方の首都をつくるというぐらいな構想を立てていってしかるべきじゃないだろうかというような考え方を持つわけでございます。これは府県の統合といっても、地域住民の方のいろいろな過去の長い習慣もありまして、なかなかむずかしいですけれども、しかし大きな展望からいえば、いまのように交通機関も発達し、スピード時代になっておりますし、そういうようなことで基本的に考えてみる。ですから、たとえば中部圏の構想を私などが、おまえ白紙のままで絵をかいてみろといえば、いろいろな構想が出てくるわけでございます。そういう意味からいえば、その圏内における政治の中心というものは必ずしも片寄らなくても、まん中に持っていってもいいのじゃないかというようなことも考えられる。そういうようなことも今後の国土総合開発の上で――それは実現は非常に困難ですけれども、少なくともあるビジョンと申しますか、夢と申しますか、そういうものは持って、やはり国土総合開発なりあるいは各圏の整備なりという問題を考えていって、みんながそういうことを考えていただけば、おのずから世論にもなってくるのじゃないか、こういうように考えておるのでございます。
  17. 角屋堅次郎

    角屋分科員 私は、総合開発を地域的に進める場合においても、経済圏というものが一定の広がりを持っておるということは、これはやはり否定することはできない。しかしそのことと地方自治、地域住民の福祉問題ということとは別個の問題としての重要さを持っておる。きょうは時間の関係上そういう問題まで深く入りませんけれども、ややもすれば従来の新産都市の問題にしろ、工特の問題にしろ、あるいはまたいま言った東北からずっといろいろやっておるそういうところの整備促進計画の問題にしても、工業第一主義に、やはり為政者としては、あるいは第一線の行政担当の最高責任者としては目を奪われやすい。そこにやはり一つの大きな問題があったと思う。したがって、これは工業にしろ、第一次産業、第二次産業、第三次産業を含めての総合的な立場でやはり考えていく必要があるし、また広域経済圏としての広がりという問題と地方自治という問題は別個のそれぞれ重要さを持った独自の問題として考えていかないと、やはり誤りを犯すのじゃないかと思う。これは長官も御存じのように、諸外国を見てみても、ヨーロッパの非常に民主主義の進んだ国においては、地方分権の力というものは非常に強いですね。私はあれは民主政治の基盤として見のがし得ない一つの問題だと思うのです。だから経済界の諸君はもうすぐ広域経済即府県合併という機械的な考え方に立ちやすいのですけれども、私はやはり地方自治は地方自治としての別の重要な側面というものを考えていかなければならぬ。また地域の開発の場合でも、いままでの開発の反省という意味に立って、地域住民の福祉ということを大きな土台にして、私は中部経済圏の問題を論じておりますけれども、これは経済界の一部の諸君が考えておるような期待で私は論じておるのじゃなしに、やはり広域経済圏の広がりというものをわれわれは国際的にもまた国内の経済問題としても認めていかなければならぬ。そういう上に立って考えるけれども、同時にいま言った二つの問題について、つまり地方自治の問題、住民福祉問題というのは大きな柱として考えていくことは当然必要である、こういうふうに考えておるわけです。  ここで建設省に簡単にお伺いしたいと思うのですが、中部経済圏の今後の問題としては、例の敦賀から伊勢湾に抜けていく中部運河問題というのを現在調査していただいておるわけですけれども、これはどういう状況になっておりますか。
  18. 志村清一

    ○志村政府委員 中部横断運河につきましては、昭和三十八年度から調査をいたしております。昨年一千万円ないし二千万円の調査費を計上いたしまして、本年度までに五千万円のお金を使っております。何せたいへん大きな問題でございますので、四十一年度も予算案といたしまして約八百六十万円ほど計上さしていただきまして、最後の締めができればいたしたい、こう考えております。大きな事業でございますので、いろいろ問題点がございますので、具体的にこうなっておるというふうなところまで結論が出ておりません。
  19. 角屋堅次郎

    角屋分科員 きょうの新聞を見ますと、東京都総合開発審議会というのが、「東京の経済再開発の目標と基本計画」というのを二十八日に総会できめて、東京都の東会長に近く答申をする。これをずっと見てみますと、東京都としてはそうであろうけれども、基本計画の前提として、今後十年ないし二十年間に首都の政治行政機能を分離移転するなど考慮しない。これは東京都の気持ちはそうであろうと思うのですが、私はそういう固定した考え方ではいかないであろう。私はここで、ここ数年の間にそういうことをどうせいという強い気持ちはございません。しかし経済企画庁という総合官庁の大元締めとしては、先ほど来申しております首都圏、中部圏、それから近畿圏というところを見渡した中での、いわゆる政治、行政あるいは文化、学術、いろいろな問題の適正配置のビジョンというものを、やはり積極的な意図で持つ必要があるのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  20. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 地域開発では、御指摘のように、地方の方々が何でもかんでも工業都市にしようというふうなことでやってこられるのだけれども、必ずしも工業に適してないところに無理に工業を誘致しようということは、私は困難だと思う。ですから、そういう意味において文化都市というようなことを考えていいんじゃないか。私はかつて金沢の商工会議所の会議で申し上げたことがあるのですが、金沢をひとつ文化都市にしたらどうか、そこに政府も博物館もつくり、美術館もつくる。あそこにはあらゆる日本の古典的な技術が残っております。染色、陶器、ウルシ、それから金箔というような特殊のもの、そういうものがすべて残っておりまして、これをひとつ盛んにするし、そういうような無形文化財みたいな方をあそこに集めてやったらどうか。そうして学術文化都市ということにすれば、これはまた非常な大きな貢献があるんじゃないかと考えたことがあって、申したこともあるんですが、そういうことになってくると、そこが自然学術都市になったり、あるいは将来県内の政治の中心になっていくというふうな形にもなっていくので、そういう構想はやはり地域開発の中で加味していかなければならないと思います。
  21. 角屋堅次郎

    角屋分科員 最後に一点。先ほど来申しておりますように、国土総合開発全国計画。そしていろいろな事情、必要性もあってすべり出しておる各地域ごとの整備なり促進なりの、そういう計画。それから新産都市あるいは工特の問題。そういうようないろいろな問題があるわけですけれども、ここで先ほど来のお尋ねや要望の中で申し上げましたように、中部圏の立法的措置、そしてすみやかな総合的な整備計画の樹立ということは喫緊の問題であるというふうに私は見ておるわけです。そういう点で、そういう計画、プランがすべり出すまでは一番大元締めになる経済企画庁としては、これは与党の関係県の諸君も、お互いにこの点については意思を統一して賛成し合って、速急に政府提案として中部圏整備の立法措置をひとつ提案してもらいたい。先ほど来申しておりますように、そういう点の中では、過去の総合開発の反省に基づいて、やはり経済の発展と住民福祉という問題を二本の大きな柱にし、また私ども考えからいけば、中央集権的な性格というものをなるべく避けて、やはり地方住民の意思を十分生かした形、地方自治の精神を生かした形での、これからの総合開発という立場に立っての立法措置というものを、できれば今次国会においても積極的に経済企画庁が中心になって政府で出してもらいたい。こういうふうに思っておるわけですが、これに対する長官の熱意のほどを伺いたいと思います。
  22. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は御趣旨は非常に賛成ですけれども、この問題は政府提案より議員提案のほうが、つまり地域住民の方々の意思があるし、また中部圏とたとえば近畿圏の調整というようなもので、何か政府が権力関係で上から押しつけたという形はとるべきでない。したがって御趣旨には賛成でございますけれども、問題はやはり議員提案等で、これはもう与野党一致した御意見なんですから、十分議員の中で――しかし与野党一致した意見ではあるけれども、与野党の中で近畿圏の方と中部圏の方とで若干お話し合いも必要だと思うのです。ですから、そういう意味でやはり地域住民を代表される議員の方々が熱心にこういうものをお話し合いになりながら出されることが一番適当であって、政府提出というよりもいいんじゃないかというのが私の考え方でございます。しかし政府提案についてもなお考慮していくことは、いまのお話にもございますから、そう考えますけれども、私としてはそういうようなことを考えております。
  23. 角屋堅次郎

    角屋分科員 方法論としては二つあるわけですから、いま長官が強く力点を置かれた議員提案方式というのも一つの道だと思う。ただ、いままでずいぶんぼくらも与野党協力し合って議員提案をしてきたのですけれども、産後の肥立ちが悪いことが多いですね。これは政府関係官庁が、大体なわ張り争いしがちなんだけれども、議員提案で出たものほど責任のなすり合いをしたりして、産後の肥立ちの悪いのが多いです。こういう重要な問題については、提案方式としては二つあることは否定しませんし、われわれ相談し合ってやるということも一つ考え方だと思う。しかし過去の長い経験から見て産後の肥立ちの悪いのでは困る。やはり政権を担当しておられるわけですから、政府みずから重要性を認められれば、やはりそういう中心になられる経済企画庁が積極的にこれに取り組むという熱意が必要である。ただその過程で問題になるというのは、きょうは自治省においでを願ってお答えいただきませんでしたが、いわゆる北陸の関係で重なってくる、あるいは近畿の関係で重なってくる、こういう問題で、自治省は自治省なりの意見を言うて、なかなか当初の段階ではまとまりにくいというふうな点等も出てくると思います。私は経済の問題は、ようかんを切ったような調子にいかぬと思うのです。重なっていいんじゃないかというふうに思うのです。たとえばわれわれの三重県の場合で言えば、中部経済圏のほうに非常にウエートを持ったところの関係が三分の一近くあるだろうし、近畿圏のほうにウエートを持ったところが三分の一近くあるだろう。両方に共通するというものが三分の一近くあるだろう、こういうふうな感じが率直にするわけです。私は行政区画と違って、広域経済圏というものを考える場合に、ある程度の重なりというものが必要だと思う。何か行政的な立場だけからやるということは誤りである。むしろそれは総合開発だからして、総理大臣が全体を直轄するのだから、調整もできますし、またこの場合は力点をどこに置くかということもできるわけですから、そういうことにはこだわる必要はないというのであって、そういう点で議員提案の方式もありますけれども、産後の肥立ちの悪い経験が多いだけに、議員提案では、ややもすれば各省がなわ張り争いでなしに、責任の転嫁をしやすいだけに、こういう重要な問題については、やはり基本的には政府提案という形で積極的に考えてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  24. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私はいま申し上げたように、議員提案のほうがいいと考えておりましたのですが、お説のような産後の肥立ちが悪いというようないろいろなあれもございますので、そういうような点を考慮しながら検討してみます。
  25. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて角屋堅次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、堀昌雄君。
  26. 堀昌雄

    ○堀分科員 本日は、現在の経済状態から推測をして、将来の問題についての日本経済の姿を少し議論させていただき、同時に、先般から問題になっております電信電話公社の電話料金の値上げの問題と中期経済計画との関連ということについて、最後に消費者物価の問題についてお伺いしたい、こう思っております。  最初に、私、この前の予算委員会で御質問をいたしましたときに、大体今後の経済見通しとしては七%前後の経済成長というものを当分期待をしたい、こういうふうな御答弁があったと思うのですが、現在の時点での来年度見通しは大体七・五%の伸びという、これまではそういうのが入っていなかったのですが、今度は皆さんのほうのお出しになった経済見通し経済運営の基本的態度というところに「程度」ということばが初めて入ってきたのですね。これまで「程度」などという字は入ってなかったのですが、両方とも「程度」という字が入ってきた。それはそれでいいのですが、藤山さんは、これから――電電公社は四十七年までたいへん長期見通しを立てておりますけれども、四十七年までは見通せないにしても、藤山長官は、あと大体実質的にはどの程度伸び考えておられるかをお伺いしておきたい。
  27. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は、当面はゆがみ、ひずみが非常に多いものですから、このままで非常に高い成長をしますことはむしろ適当でない、したがって、ここ二、三年は七、八%程度成長でいくように政府がやはり指導もし、誘導もし、あるいは政府施策の上でもそういう調節をしていかなければならぬ、こう考えております。ただ、しかし、ゆがみ、ひずみがあまりなくなってくれば、これはある程度高い成長でも差しつかえないので、よく藤山は低成長論者だといわれますが、私はゆがみ、ひずみがなければ、日本経済の新鮮さからいって、まだ高度の成長をしても差しつかえない、そうかといって、ことしは一八%も一五%もした、来年はそれが一〇%になるということではいかぬと思います。これは各方面が均一に上がっていって、そうあまり波がないことが望ましい。したがって、七、八%程度で将来均衡のある発展を遂げていくならば、一一、二%くらいまでは実質なっても、それは差しつかえない、こう考えております。
  28. 堀昌雄

    ○堀分科員 実は経済というのは、希望としてはいまお話しのように七%ないし八%でずっといけば理想的なのですが、過去の日本経済はやはり循環がございますから、こういうことには絶対にならないわけですね。必ずこうなるわけです。そうして、特にその国の状態に見合いますけれども、現在アメリカが御承知のように非常に過熱をしてまいりましたのは、やはりアメリカにとってはあの成長率というのはやや高きに過ぎ方のではなかろうか、そのことは労働力の需給関係を通じてだんだんはっきり出てきたわけです。日本の場合も、あと二、三年はまだ労働力は供給力が十分にありますけれども、それを過ぎますと、労働力というのは急激に減ってまいりますから、その減ってきた時点で、実質で七%も八%もやっていくということにもしなりましたら、私はそれだけでも過熱要因に十分なるのではないかと思う。だから、長期的な見通し議論するのはたいへん問題がありますけれども、まだ先へ行くと少し成長率が下がってこないと、藤山さんのおっしゃるような安定成長というのはかえってむずかしくなるのではないか。ここのところは労働力の供給がまだありますから、私はもうしばらくはある程度成長もそういう面からの問題がないと思うのですけれども、ある限界にくれば、これは必ず――いま西欧で起きております。イギリスにしても、西独、アメリカ、いずれも現在の状況というのは、労働力の関係が非常に大きな問題になってきているわけです。その点を見ると、私は中期経済計画八・一%というので今日計算をしてみますと、三十八年-三十九年が一一・一で、三十九年-四十年が二・七であります。四十年-四十一年はよくわかりませんが、これがもしかりに七・五とうまくいったとしますと、これは大体倍率で見て八・一%で伸ばしたとすれば一・二六三になりますし、七・五で伸ばしたとすれば一・二二七の倍率になりますから、非常に似たところへ実はきていますが、中身は八・一%ではなかったわけです。一一・一になって、二・七になって、七・五になった。こういう、中期経済計画が出てわずか三年後の今日でも、結果としてはたまたまやり直しをするところにきています。だから、私はそういう意味長期見通し考える場合には、四十七年などというのは相当長期になりますので、この点は、全体の条件から見るともう少し低くなっていいのではないか、こう思います。これは非常に長期のことを議論するのはどうかと思いますけれども見通しという意味での長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  29. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本経済は、新鮮さということばで申したのですが、先にまいりますとある程度経済規模になってくる。そうすると、その伸び率はそう大きくはならない。西欧型になってくる。たとえばイタリアとか、ドイツとか、日本とかということを考えてみれば、戦後荒廃した中でスタートしたわけですから、非常に伸び率が高い。既存のものを持っているアメリカあたりは非常に低いということも、そういうことから立証されると思います。ですから、ドイツあたり伸び率がだんだん減っている。しかし、将来の展望とすれば、伸び率が低いということは必ずしも経済の拡大する速度がおそいわけでなくて、十三兆六千億が三十兆にも五十兆にもなってくれば、その三%とか四%というのは相当大きな伸びでございますから、当然そうなるのではないか。私は、大局から見れば、そう考えております。
  30. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで、電電公社の方にお伺いします。この間は、私もちょっと準備不十分でこまかく詰めてなかったのですが、皆さんのほうのこの計画では、四十七年度のGNPは幾らに想定されたのか。きょうは私のほうもぴっちり計算してきましたから……。
  31. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 お答えいたします。電電公社の四十七年度までの電信電話調査会に出しました試案における長期見通しについて御説明申し上げますが、当時中期経済計画が出ておりましたので、この計数を使わしていただきますと、四十三年までは経済成長率は八・一%、その後政府見通しがないわけですが、日本経済長期展望というのが出ておりまして、大体二%ダウンだろうということで六%ということにしております。したがって、GNPの値は三十五年価格で四十七年度三十六兆八千七百億なにがしになるのです。大体こんな形になっておると思います。
  32. 堀昌雄

    ○堀分科員 そうすると、二パーセントダウンということは、そこから先は六・一%と見てあるということですね。
  33. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 六%と見ております。
  34. 堀昌雄

    ○堀分科員 中期経済計画が、四十三年度に二十九兆二千九十何億というのが実質での計画の最終時点でありますけれども、この問題はあと二年間あるわけですけれども、どうも私は七・五%の成長というのが、ことしもしほんとうに起きますと、非常に問題が起きてくるんじゃないかという気持ちがしているわけです。皆さんのほうの七・五%を達成するための民間の設備投資は、依然として四兆五千五百億円と横ばいにはなっておりますけれども、依然として高い水準になっておるわけでございます。在庫投資その他を含めて資金面から見て、はたして現在二兆六千億くらいになりますか。今度の国債、政保債、地方債、縁故債、全部、及びそういう政保債に見合うところのこれまでの慣例どおりの事業債というものを見ますと、どうも私は資金的な総合収支バランス、これが七・五%になるようだと、ちょっと無理がいくのではないか。そうすると、結局どこで削られるのか、これはまた大蔵委員会で私は大蔵大臣と議論していきたいと思うのですが、いま幸いにして一月は三・八%近く国民生産伸びました。これがこんなかっこうで伸びたらたいへんなことでありまして、すぐあれになると思います。そんなことには私はならないと思いますけれども、二月はまた横ばいになっているんじゃないかと思います。ですから、そういうことで考えてみますと、実はいまたまたま四十一年度で見ますと、中期経済計画で二十四兆九千五百六十八億と、こうなりまして、皆さんのほうの四十一年度見通しを実質に置きかえると二十四兆二千五百四十億円――計画局長、おられますね。私の計算が間違っているかもしれないから、あなたのほうの四十一年度の三十兆八千五百億程度、これを三十五年度価格にすると二十四兆二千五百億くらいになると思うのですが、その点間違いないですか。
  35. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 ちょっと調べてみます。
  36. 堀昌雄

    ○堀分科員 そうしますと、さっきお話ししたように、上がり下がりはありましたが、平均値は非常に似ているんで、差が少ないのですが、ここから先の二年間でも私は少し差が出てくるし、それからいまお話しのずっと六%で伸ばしたというのも、初めのほうは六%で大体いいんじゃないかと思うのですが、平均値として見れば。これは先へいって四十七年度あたりにいきますと、約四十兆近くになるのですね。ですから、そういうところへくると、いま企画庁長官がおっしゃったように、なかなかそれだけの成長を維持していくということは、内部的に私はますますこれをこう起こすもとになるのではないか、こう思いますので、私はどうもGNPの計算から見る四十七年度のこれは、あまり先のことを議論するのはまずいと思うのですが、公社はたまたまそういう非常に先のことまで計算をして出しているものですから、ちょっとそれにこだわってしまうのですが、これは少し高いのではないか、これが第一点。  それからもう一つ、この前、長官がこれが出されましたときに、ちょっと新聞で承知をしているだけですからわかりませんけれども、四十年九月の三日の閣議でお話をなすったあとで、答申は電話設備と住宅建設とのつり合いを考えていない、電話を住宅建設に先行してふやしてもしかたがないから、もっと住宅建設の長期計画とのかね合いを考えに入れる必要がある、こうおっしゃっているわけです。私もその点は全く同感なんですけれども、私は、これらを見まして、どうもやや過大に過ぎる感じがいたします。電電公社が出した資料ですね、いま電電公社も再検討することになっているそうですから、これだけにこだわるつもりはありません。そこで一つのものの考え方として、この経済見通しというものは、御承知のようになかなかうまく合わないわけですね。というのは、見通しというのは、さっきお話にもありましたように、また申し上げたように、八・一だとか、七・五でずっとやるのですけれども、どうしても日本経済は循環がありますからね。この平均値になるわけですから、だから、そのガイドポストとしては理解できても、むずかしい。そのむずかしいものを一つにして四十七年まで見通しを立てて計算をして、それからずっとこう聞きますと、三十九年と四十七年だけをこう固定をして、これとこれとの関係で、中へはめ込んだ関係でプログラムがつくられて、そのプログラムに基づいてこれだけ値上げをしないとここで幾らの赤字が出る、こういう計算方法というのは、特に現在消費者物価の上昇が問題になっておる時期に、物価問題というのは、これは政府もそうでございましょうが、私どもも重大に考えておることでありますから、やや私はそういう立論のしかたは問題があるような感じがいたしますけれども、企画庁長官としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  37. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 堀さんのお話のように、長期見通しというのは非常にむずかしい問題でして、私どもも中期経済計画を一応やめまして、新しい何らかのガイドポストをつくる。しかし、これは計画をつくる上においてよほど慎重にやっていかなければならぬ。同時に、いままでの統計等についても、新しい観点に立って検討してやっていかなければ実際的なものが出てこないのじゃないか。今度は新推計でやることになっております。そこで、いまお話しのように、どのくらいな見通しを今度は企画庁でやる場合にやるかというと、私はやはりせいぜい五年くらいな動向を見る。それからまた、それをして政策を立てるにしても、五年くらいでなければ今日のような状況では無理じゃないか。そうかといって、三年ということはあまりにも短過ぎるような感じもいたしますから、何かそういうものをつくるとすれば、三年の見通しといえばもう来年のことはわかるじゃないかというくらいですから、まずつくる以上は五年くらいではないか、こう考えております。そこで、本年から五年やれば、四十六年でございますか、そういうことになるわけで、したがって七年までの展望をするということはなかなかむずかしいことだと思います。そうしてそれらはつくってみないと、いま申し上げた点から見て、電電公社のおつくりになっているような電話需給がどうなるかというようなことは、なかなかいますぐに判断はいたしにくいところもございます。
  38. 堀昌雄

    ○堀分科員 判断がしにくいということは、それが正しいとも言えないし、正しくないとも言えない。だから、そのことは非常に不確定な要素だ。その不確定な要素をもとにして料金を上げるということは、私はちょっと問題があると思う。よろしゅうございますか、第一点にその問題がある。  それから第二点は、実はこの電電公社の資料を拝見しておりますと、何か即時通話になることに、この答申その他で見ておりますと、非常にウエートがかかっております。そうして現在即時通話になっていない市町村が幾らですか、ずいぶんたくさんあるというふうな表現になっております。ところがその片面で見ますと、これは公社の総裁にお伺いをしたいのですけれども、すでに三十九年で市外電話即時化率というのが八三%というようになっているのですが、ことし四十年の終わりというのは、もっとふえたと思うのですがね。これは三十九年の終わりですから、四十年の終わりごろになると、即時化率はどのくらいになったでしょう。
  39. 米沢滋

    ○米沢説明員 いまの即時化率の問題と、それから即時化の個所との問題があるわけです。それで市町村をあげた場合には、即時化になっている個所の問題になりまして、それから即時化の率のほうは、たとえば東京、大阪みたいなところは回線が非常に多いものですから、全体のパーセンテージが上がってくる、こういうことになりまして、その数字の違いが出てくるだろうと思います。そこで、最初指摘されましたのは、即時化になっている市町村、そういう個所の問題でございまして、いまの数字の問題は計画局長から申し上げます。
  40. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 即時化率は、四十年度は大体八六・五%くらいになります。これはいま総裁が御説明申し上げましたように、回線の束で見ているだけでありますから、待時であるのと即時であることとの比率でございます。ただし、サービスということから考えますと、その地区が即時にほかの地域と通話ができるかということ、こういう問題が非常に大事だろうと思います。そういう意味で、市町村の即時化率を局数即時化率ということばで申しますと、四十年度は大体三四%になる予定でございます。
  41. 堀昌雄

    ○堀分科員 その三四%というのは、これは市町村という形で見るのは私はちょっとおかしいと思いますのは、電話のない市町村では問題ですが、ある市町村の電話数とこっちの電話数との何か係数になっているのでしょう、三四%というのは。
  42. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 お答えいたします。いま申しました市町村の数はとってないのです。全国で六千という大きな電話取扱局があるわけです。その局数の中で考えておるわけでございます。
  43. 堀昌雄

    ○堀分科員 私は、この値上げのいろいろな問題の中で、ちょっと拝見していて、現在の「不足資金のうち、少なくとも建設投資のためのものについては、今後架設する加入者に負担させて、要増収率の低下をはかることも考えられる。しかしながら、前述のごとく建設投資額の約三分の二程度が現在加入者のサービス維持改善のために投資される」、こういうふうに書いてありますね。そうすると、この三分の二という、サービス改善というのは、即時通話を広げるということと同意的と理解していいですか。
  44. 宮崎政義

    ○宮崎説明員 御説明申し上げます。いまの三分の二程度というものの考え方でございますが、御案内のとおり、電話局を、現在手動局でありますものを――磁石式の局でありますと、いなかによくありますが、こういったものは技術的限度として七百くらいしか加入者を入れることができません。それ以上になりますと、みんな自動化していかなければなりません。それで、加入者がどんどんふえていきますと、当然自動化していくわけです。そうしますと、現在手動で入っている既加入者、既存の入っておられる加入者も、自動サービスの恩恵にあずかるわけです。それからいま先生がおっしゃいましたように、待時通話であったものが自動即時化していくために、回線の非常な投資が要る、こういうぐあいに考えます。それを改良と言っておきますが、そのほかに経済伸びてきますと、必要な回線の数をふやさなければならない、こういうような維持の分があるわけですが、こういうものをひっくるめまして、結局四〇%が直接現在利用されている方々にかかっている。残りは六〇%なわけですが、この中をもう一ぺん吟味してみますと、実は新規投資がそれに入るわけですが、そういう新規投資の方が加入者として入りますと、既存の加入者とのコネクションが要るわけです。つながらなければならない。そこでスイッチとか中継線とか、新たな方が入ってくるために当然ふやしていかなければならぬ設備があるわけです。これについて既存の方と新規の方との割合を考えますと、残りの六〇%の中の二五%というものは、やはり新しく入ってきた加入者の方々のために、既存の人とつなぐための必要な経費だ、こういうことを考えますと、これは電話のやはり特徴でありまして、水道とか電力のように、そこから分離していくというだけではなくて、根っこから改造していかなければならぬということで、六五%ぐらいのものが大体既存の関係でこの恩恵にあずかるのだ、こういうことを申し上げているわけであります。
  45. 植木庚子郎

    ○植木主査 堀分科員の先ほどの御質問に対して、向坂総合計画局長から答弁いたしたいとの申し出があります。向坂局長。
  46. 向坂正男

    ○向坂政府委員 先ほどの四十一年度経済見通しにおける名目三十兆八千五百億円を三十五年度価格に直しますと、二十四兆二千六百二十八億円で、先ほどの堀委員の計算と大差がございません。
  47. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで、私はこの問題は二つに分かれていると思うのです。なるほど今度はそういう改善が――広げることと改善がくっついちゃってますから問題があると思うのですけれども、私、電電公社の予算等を見ておりまして、先のことは別として、藤山長官も前におっしゃっているのは、四十二年度からの問題は、またその時点での経済のあり方によって考えるべきではないか、こういうお話もあるわけでして、そういうこと等も勘案してみると、私はいまの物価状況から見まして、非常に改善がされることも望ましいし、積滞ができるだけ早くなくなることも望ましいわけですけれども、しかし、まあ物価問題から見ますと、ことしこれほど公共料金を上げて、――ことしは上がらないと思いますが、来年また上がるんだ――来年の赤字が九十億ですか、幾らか一応計算上は出ておるようですが、その中身の問題は、建設のスピードに関係があるわけでして、この建設のスピードが少しコントロールされれば、いま少し値上げをしないでもいける条件が生まれてくると思う。少し勘定を調べてみたのですけれども、これまでの四百億、二百億の利益が一ぺんに九十億くらいの赤字になったわけですけれども、それは現実にはそういう投資との関係で問題が出てきている、こう思う。私は、電電公社がいつまでも値上げをしてはならぬとは言いませんけれども、当面のこの物価上昇の際には、そういう建設計画との見合いで考えるならば、国鉄のように命にかかわる問題だというのはこれは大問題かと思いますけれども、少しスローダウンしてでも、私は電話料金については値上げをしないということが、当面非常に重要な問題ではないのか。ことしはこれだけやりました。どなたかおっしゃったのは、来年から公共料金を上げないんだというような答弁があったように、ちょっと聞いたのですか、新聞で見たのかよくわかりませんが、ですからことしこれだけやれば、もう一、二年は公共料金の値上げはストップをするということが、私は適当ではないのかと思う。三十八年、三十九年、四十年の消費者物価の上昇を見ておりますと、三十九年が一番低くて、三十八年、四十年が高くなってますね。三十九年が低いというのは、私は、その前の公共料金ストップがずっと影響して、もたれ込んでおる要素が非常に多いんではないかという分析をしておるのですが、そういう意味合いで、電電公社の経営ももちろんありますけれども、当面は国の施策としては四十一年度も物価を上げないという形で計画を組むということが、私は現在の政府として当然とられるべき方向ではないか、こういうふうに思います。企画庁の立場として、物価の面からひとつお答えをいただきたい。
  48. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 物価騰貴を私どもも平均において五・五%あるいはそれ以下に下げていきたいということを考えておりますので、その見地から申しますと、本年は経理内容からいっても電信電話公社は上げない。まあ他にも若干そういうものもございますが、そこで一応お示しをいただいた経理内容から言えば、来年は赤字が出てくるという状況がある。そこで、そういうものを来年の物価対策の上でどう考えていくかということは、もう少し物価の情勢の見通しがついた上で私ども考えていきたい。まあわれわれの庶幾しておりますように、安定の方河に進んでいくなら、それは小刻みに分けて上げていくことも方法論だと思うのです。しかし必ずしも、私ども考えているようにいかなければ、何らかの形でもって計画を繰り延べるなり、あるいは若干の補給をするなりということによって押えなければならぬ事態も起こりかねない。物価だけの見地から申せば、来年のところはまだ何もきめておりませんから、そういう物価情勢によって考えていきたい、そう思います。
  49. 堀昌雄

    ○堀分科員 政府は五・五%と何回もおっしゃっていますが、私これはたいへんむずかしいと思うのです。私が藤山さんであったとしてもたいへんだと思うのですから、おそらく幾ら低くてもことしは七%以下にはならないと思います。これはまた来年の予算委員会でやってみれば、どうせわかることです。  そこで企画庁長官、ことし七%以上もし上がったとしますと、これはその次にできるだけ政府は自分の影響力のあるところは押えるべきだと思うのです。もう二年続いて七%も八%も上がるなんというのは私はナンセンスだと思うのです。政策不在だと思うのです。ですから、政府としてはできないことはしょうがないですから、できることはやっていただく。電電公社というのは、政府はともかく、もう一年は上げないということをきめて――あるいはこれは九十億くらいの公募債を出せば何でもないことです。長期的には別にしても、短期的には処置ができることですから、私はひとつ藤山さんに、本年度の消費者物価が七%をこえた場合には、絶対に四十一年度には上げないということ、これは政府の当然のことだと思うのですが、そういう答弁がいただけないものでしょうか。
  50. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 まことにむずかしい御質問でございますが、ただ堀さんと一致するところは、七%以上が二年も連続していくということは、物価政策の上からいって異常な事態だと思います。そしてこれが続きますと、単純に消費者物価の問題でなくて、大きなインフレへいく、国際貿易の上にも影響してまいりますし、たいへんな事態じゃないか、そういうふうに考えますから、私どもは七%引き続いていくというようなことであってはたいへんだと思います。したがって、そういうときにはあらゆる政府の強力な手を使っても押え込んでいかなければならぬ、こういうふうに考えます。
  51. 堀昌雄

    ○堀分科員 私の期待する答弁をしていただきましたが、当然のことだと思うのです。  そこで電電公社の総裁にお願いをしておきたいことは、そういう御計画を皆さんのほうで検討しておると思うのです。そこで、私は、この計画については値上げをする場合の計画ばかり組まないで、当面値上げをしないとしたら、どの時点かで、その次にはしかしこうしなければならぬという問題はあると思いますよ。私はこれから何年もずっと値上げをしないでいけるというふうには見ておりません。どこかで値上げをしなければならぬ時期が来ると思うのです。しかし、その問題についてもう一つ申し上げておきたいのは、この前、私、公社の総裁に、電話はだれのためにあるかと聞いたら国民のためという、私と同じ考えを表明した。ところが現実には、現在のところ事務用と住宅用の比率は、四十年度の実収見込みは七四対二六ということで、今日の電話の利用というのはまことに企業のほうに片寄っているわけです。しかしこれは企業に片寄っておるからいけないというのではなくて、このことはいいのですが、今後値上げをする場合には、この前申し上げたように、企業の側というのは、これはそれを使うことによって収益をあげるということですから、収益とのつながりがあるわけです。住宅用というのはわれわれの生活上の便益ですから、それを使うことによってわれわれの収益とか所得に関係があるのではなくて、国民生活そのものに関係がある。そうしますと、私はこれを同じような率ですぐものを考えるということは、値上げの場合――これはずっと先になりますよ、来年はそのことで終わるのですが、将来的にものを考え考え方としては、この前もちょっと課税の問題を言いましたけれども企業なら電話料は損金ですよ。しかし家庭のわれわれは高い所得税を払った金で電話料を払うのですから、てんで出てくる元が迷う。こう考えてみますと、私は、住宅用というのは使用回数も少ないから、公社としてのそろばんだけから見ると、どっちかというとペイしないお客さんで、しかし企業のほうはペイするお客さんということになるのでしょうが、しかし前段の国民のために電話があるということになれば、私は、その問題を離れて、やはり国民の生活上の便益というものを考える必要がある。こうなりますと、その間の値上げの問題については、おのずからいろいろな格差があっていいのじゃないかと思う。だから、そのことは、たとえばもしかりに上げるとしても、企業のほうだけはとりあえず七円が十円になっても、一般の家庭用は七円で一応据え置くということになれば、これは消費者物価に対する影響力は非常に違ってくるわけです。その点について、ひとつ来年は私は上げてもらいたくない。しかし将来的にはどこかで上げるときのものの考え方は、皆さんで御検討されるときに重要な問題だと思うので、それでちょっと公社の総裁の考え方をお聞きしたい。
  52. 米沢滋

    ○米沢説明員 ただいま住宅電話と事務用の電話、企業の電話という点で御意見がございましたが、電電公社といたしまして、昨年の九月二日に学識経験者に約一年半ぐらいお願いいたしました調査会の答申をいただきまして、それを尊重して現在検討しておるところでございます。  それで、先ほど最初にお触れになりました長期計画につきましては、今後の経済見通し等もございますので、最初調査会から出ましたのは七カ年計画ということになっておりますが、その後四十一年度は値上げしないということにいたしまして、現在百二十三万の架設の予算案が出ておりますので、結局六年ということになるわけでございますが、その場合の経済見通し等につきましては、郵政省なりあるいは経済企画庁大蔵省等のいろいろ御意見を伺いながら、公社案を検討してつくりたいと思っております。  それからいま住宅電話につきましては、われわれも電話の実際の架設が三十六万円かかる。電話自体は五千円でございますが、あと地下にもぐっているケーブルとか機械というものを含め、三十六万円のうち、いわゆるオペレーションコストといいますか、運営費がゼロと仮定いたしまして、いわゆる減価償却が大体十六年でございます。それからあと利子、これを七%としておりますけれども、これを半分に仮定いたしまして三・五%として、月やはり二千六百円ぐらいのいわゆる資本コストがかかる。そうすると、いま住宅用の電話がどのくらい収入があるかといいますと、大体月二千円から千五百円ぐらいでございます。公社全体の収入は、いまならしまして企業あるいは住宅全部を合わせますと月五千円でございますから、大体五千円で一応営業は成り立つ。そういった場合に住宅電話を今後企業電話との関係でどうするかということは、われわれといたしまして慎重に検討していきたいと思います。まだいまのところどうするかということはちょっとここで申し上げられません。十分検討いたします。
  53. 堀昌雄

    ○堀分科員 ですから、私も計算が立たないことはまず問題だと思いますが、いまたしか一本の架線で両方で使える共同電話というものがございますね。ともかくそういうふうにして合理化をしていったものについては、やはりメリットがあるということにすれば、住宅用というのはそう頻度は高くないわけですから、相互に盗聴されたりしては困りますけれども、それはいまはできないようになっておりますから、そういう合理化を含めて、ひとつ、私は、もし上げるとしても消費者物価にはね返らないような配慮は、次の問題として考えていただいていいのじゃないか、こう私は思うのです。企画庁長官、私のこの考え方について企画庁としてのお考え方をひとつお聞かせいただきたい。
  54. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 消費者物価が、われわれが望むように安定するかしないかは別として、二%台とか三%近くまで下がってきますれば、個人の使用する電話の物価影響する影響力というのは、非常に少ないと思います。ですから、その場合にしいて個人を分けてやるのがいいかどうかということは、僻地あるいは普及していないところに普及させますと相当経費もかかりますので、それだけの経費をかけてやるならば、ある程度消費者物価影響しない範囲内でいけるなら、そう詳しく分けるということも、分け方によっては非常に困難がありまして、ごく零細企業あたりになりますと、どこが家庭電話として使うのか、商売電話として使うのかというのがわかりませんし、なかなかむずかしいところがあるのじゃないかと私は思います。しかし非常に消費者物価影響するようなことをしておって、その際にもなお電電公社として値上げをしなきゃならぬというような場合には、そういう配慮をしていただくのが適当じゃないか、こういうことでありまして、その事態に応じてわれわれも考えていきたいと思います。
  55. 堀昌雄

    ○堀分科員 私は、消費者物価が二、三%になれば、これはウエートが小さいからいいと思いますけれども、なかなかそんな事態にならないうちに値上げが行なわれるのじゃないかと思うものですから、念のためにちょっと伺ったわけです。それでは公社はけっこうです。  そこで、総理府統計局のほうに伺いますが、実はこの間もちょっと分科会で電話料金の消費者物価のウエートを議論をしたのですけれども、実は電話料というのは、ウエートが一万の中で東京都が四十八で全都市が二十九です。そこで私、これは一体どういうものがスタンダードになっておるのかと思って、このウエートをつくった四千ぐらいのサンプルの中で電話の加入者が幾らあるのですかと調べさせましたら、わかりません、そういうとり方はしておりません、そういうことです。そうでしょうか、ちょっと正式に確認をしておきたいと思います。
  56. 野田章

    ○野田政府委員 ウエートを計算します場合に、家計調査の収入支出の項目別に金額を分けていきますので、全体の金額が出る、したがって何軒というふうな点は明確に出てこないわけであります。
  57. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこでもう一つ伺っておきますが、これは三十五年のときの資料ですけれども、基準時の価格として住居の中の間代、民営としまして一カ月一畳当たり七百七十一円八十三銭となっているのです。私はずっとこう前から調べておりますけれども、三十三年に東京都内は、これは基準時は全国になるのかどうかよくわかりませんが、東京では少なくとも民営アパートというのは一畳千円としておりました。この基準時価格というのはどういうかっこうで出てくるのでしょうか。
  58. 野田章

    ○野田政府委員 三十五年の一年間の家賃を払った実際の金額を平均するわけです。したがって、古い家に住んでいる人の家賃、新しくできた高いほうの家賃、いろいろのもの全部を平均しますとそうなるということでございます。
  59. 堀昌雄

    ○堀分科員 そうすると全国ですね。
  60. 野田章

    ○野田政府委員 はい。
  61. 堀昌雄

    ○堀分科員 今度、四十年、当然ウエートも改定されていい時期に来ておりますから、改定なさることだと思いますが、議論がありますのは、消費者物価も非常に重要ですから、一つの指標になりますけれども、物の値段を上げるときに、たとえばいまの電話料金を上げるときに、電話のない人の問題と電話を持っておる者との関係というのは非常に影響は違うわけですね。電話のない人というのは、公衆電話でかける程度の電話料の負担ですけれども、電話を持っておる者は、要するに基本料その他を負担しております。そうなってきますと、これはやはり電話を持っておる者の家庭としては、電話料金の値上げは幾ら影響するかということを見ませんと、単に資料の中のように消費者物価の中では〇・二九%程度だから、上げたって問題じゃないのだというような理解の仕方が物価問題として理解されておるとすれば、これは問題があると思うのです。そこで今度四十年のをやっていただくときには、ひとつ要望しておきたいのは、たとえばいまのお話のように三十五年がすでに家賃としては民営、公営、それから間代として民営、こういうふうに項目を分けて基準時価格を出していただいておりますが、これを出す前提として、その標準にしたときのその世帯の中身の分析を少しわれわれのところへ出してもらいたいと思います。要するに民営住宅に幾ら入っている、それから民営のアパートに幾ら入っている、それから公営住宅には、いまこの四千のうちの幾らが入っている、電話の加入者は幾らです、こういう要するに少し食料費のようなものでないのを、特に公共料金に関係するような部分については、たとえば通勤は、バスならバスを使う人と国鉄を使う人とあると、それをごちゃまぜにして国鉄運賃の値上がりがそういう交通費にどうはね返るかというようなことはちょっとわかりませんので、少しそういう基礎資料のところをきちんと四十年度にとっていただくときに、その四千世帯のうちの中身の分析をしたものをひとつあわせて出していただきたいと思います。今度は四十年度に改定するときには、この四十年度に改定したこのウエートというのは、こういう世帯の四千の中から出てまいりましたと、こうしてもらえれば、これから物価の問題を議論するときに非常に緻密な議論ができる。それがないために消費者物価の問題というのは非常にラフなことに大体なっております。私この間予算委員会で申し上げましたふろ代の問題でも、あれは要するに家庭にふろがある人にとっては無縁のものです。しかし、ふろに行っている人にとっては非常に大きなウエートがかかっておって、それの最近の値上がりというものは実に大きい。ところがそれが全部自分の家にふろのある人までも水増しされたかっこうで、消費者物価の中ではこの影響はこれくらいだという議論になるから、やはりふろ代が上がるときには、ふろに行っている人の中でものを見ないで、ふろに行っていない人を水増しされた中で議論されるとナンセンスになるから、要するにこういう問題では、公共料金の関係なんかも、ふろ代というのは、自家にふろのある者がこれだけ、自家にふろのない者がこれだけ、そのウエートがこうなっております、こういうかっこうの基礎資料を改定の際には準備していただきたい。これは企画庁長官経済の問題を考えるときには当然だと思いますので、ひとつそういう反映をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  62. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 統計をやはりもっと整備していかなければいかぬと思いますので、総理府の統計局にもひとつ御尽力を願いたいと思っております。ただ、いまのCPI、これもなくてはならぬので、こういうものもあってしかるべきだと思います。しかしいままでのお話しのように、全国的なものと六大都市みたいなものとは生活内容が違っておりますので、受ける感じはだいぶ違ってまいります。ですから都市と農村というようなものについても、こまかくいえば、いまお話のような点をこまかくやっていかなければならぬのですが、おそらくいまの総理府の統計局の能力では、それだけのものを十分区別して出していくことはすぐには困難かと思います。ただ今回新推計を用いてやりますときに、やはりこれも新推計をこうやってつくったのだ、ウエートはこういうふうにかけてつくったのだということを御説明申し上げませんと、統計局としては公正な立場でやっておりますけれども、何か政府物価を安く見せるために新推計をいじったのではないかというような誤解も起こります。堀さんのような方は誤解されないかと思いますが、一般の方は誤解を起こします。ですから新推計をつくりますときには、どういう形で新推計にしたか、そのウエートのとり方も、生活内容がこう変わってきている、したがってウエートもこのものは高く上げなければならぬ、このものは低くしたのだという説明を十分しませんと、何か政府がすべて安く、よく見せるために統計数字をいじり直したのだという感じを持たれては、統計に対する信用が落ちますから、そういう点についてはできるだけ配慮して申し上げたいと思います。ただ非常にこまかくだけは、なかなか現状では無理だと思います。
  63. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまちょっと誤解があるといけませんから……。私の申し上げておるのは、要するにウエートをとったときのスタンダードの中身がわかるようにしていただけば、あとそれで物価をどうこうしようというのじゃないのです。ただあとで議論をするときに、これはこういうことで、このウエートはこうですよということがあれば、そうでなしに変えたらどうなるかというのがあとで議論ができますが、いまのように電話料金のウエートが東京都で四八とかなっていましても、一体それは電話のある世帯とない世帯と、どうなっているのかわからないでは、あとで緻密な議論ができませんから、そういう意味で、スタンダードとしてウエートにとったときの世帯はどういうことになっておったか、それをあとで私どもが要求すれば、特にそういう公共料金的な性格を持つものに関しての問題ですね、それだけの問題については、少なくともあと五年間、いろいろ問題が起こる際に議論にたえられるような基礎だけをひとつつくっておいていただきたい、こういうことでありますから、その点を強く要望いたしまして私の質問を終わります。
  64. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて堀昌雄君の質疑は終了いたしました。  次に、玉置一徳君。
  65. 玉置一徳

    玉置分科員 私はただいま提案になっております東北開発株式会社の問題と関連いたしまして、北海道開発庁に、北海道地下資源開発株式会社に関連いたしまして、行管のほうから、現在、公団、公社、特殊会社等が約百六あると思っておりますが、百六ある公団、公社はまだ減りそうもない、今後ますますふえていく、増加一方でありますが、これの役員というものは一体何人ほどあって、どれほどの給与その他の経費が行っておるのか、その人々の退職のときの退職手当はどのくらいで、年々通算すれば平均どのくらいになるか、そして行管としては公団、公社等の削減についてどういうお考えを持っておるのかを最後に聞きたい、こう思うのです。  そこでまず最初に東北開発株式会社でございますが、こまかい予算から入りたいのですが、時間の関係もございますので、問題点をずばりやっていきたい、かように思います。東北開発株式会社の設立の趣旨は何であったか、当局から一応お伺いしてから質問に入りたいと思います。
  66. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 東北開発会社は昭和三十二年に設立されたものでございますが、東北地方にいろいろの産業の殖産を行なうということを目的にいたしております。
  67. 玉置一徳

    玉置分科員 もともと昭和十一年の東北興業株式会社の発足にさかのぼりまして、それを昭和三十二年八月に東北開発という名称に改めたわけであります。当時非常に疲弊をいたしておりました東北地方の開発のためにこういったものをおつくりになったと思いますが、私は、現時点でこれは一体どのくらいの寄与率を持っておるのか、東北地方の鉱工業のうちの、生産額でもけっこうですし、あるいは従業員数でもけっこうですから、一体何%ぐらいのウエートを持っておるか、概数でけっこうですからお答えいただきたいと思います。
  68. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 開発会社の産出高というものは、直営事業としては大体四十数億でございます。それから職員は約千人でございますから、東北全体の面からいうと、非常に微々たるものであるというふうに現段階では言わざるを得ない。子会社が十二、三ございまして、それらの生産高も大体三、四十億に満たないものだろうと思いますので、大体その程度の規模を持ったものでございます。
  69. 玉置一徳

    玉置分科員 会社の概要を見ますと、直営工場ではセメント工場、カーバイド工場、その他数個のものでありますし、これの従業員の総数が六百九十二名、それに対して職員の数が二百九十四名、しかも東京その他の駐在が百六十名。対比率が非常に職員が多く、しかもそれは東京駐在が多いこの種の会社の数字が出ておるわけであります。こういう経営のやり方をやっておりまして、普通の民間企業のような能率が上がり得るかどうかということも、私はこの際一考を要するのじゃないかと思いますし、同じく昭和三十二年四月二十七日、北海道開発公庫法の一部が改正されまして、北海道東北開発公庫という名前になっております。業務分析を見ましても、土地開発から石炭、鉱工業、あるいは土地の造成とか、ほとんど同じようなことをおやりなさっておいでになりますのですが、東北開発株式会社が直営でおやりなさっている工場を民間企業に渡しても、そう差しつかえないような事業しかいまあり得ない。ましていわんや、融資の工場を見ますと、二十七名の従業員とか三十三名の従業員とか――一つだけが二百名ぐらいになっておりますが、あとはあるいは中小零細企業じゃないかと思われるものに半額前後の投資をされておいでになるように思います。こういうものが総裁と名のつくようなものをこしらえている。昭和三十五年ぐらいからの産業高度成長の今日、東北にも人手がぼつぼつ足らなくなるほど部分的には鉱工業が進歩してきております。この際同じようなこの種の事業で、これだけ大きな間接費を投じながらやっておる価値があるのかどうかということを考えなければならないと思うのです。そういう点で私は、当時、昭和十一年この前身を興されましたときの意味というものは非常に有意義だったと思います。現在の従業員数から考え、あるいは産出額、これも日立やいろいろなものに比べてみれば、わずかに四十数億円でしかあり得ないようなものをみんなで寄ってたかって守りしなければならないかどうか。思い切って民間企業にまかす、北海道東北開発公庫という投資会社が横っちょにあるのでありますから、そういった特殊法人でないと、政府の出資金でないとなし得ないような産業の開発、鉱工業の開発、もしくは先行投資で長く持ってあげなければやり得ないような土地の開発、造成というようなものに限らなければ、設立の趣旨がいまやだんだんとぼけてきたのじゃないかという感じがするのでありますが、長官の御意見を承りたいと思います。
  70. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 設立当初の事情から申しますと、東北の事情もだいぶん変わってきておりまして、新産業都市もできましたし、産業誘致運動というものも相当活発だ、むろん他地域から見ますと、東北はまだ貧弱な状態でございますけれども、過去の東北の実情から見ますと著しく改善されてきておるわけであります。民間企業も相当に行くと思います。私自身の経験を申してはなはだあれですけれども、私が八戸に工場を持ってまいりましたときには、全く何もないところに持っていきました。今日八戸は有力な工業都市になりつつある。それがみな中央からの資本投下によってやっておるわけです。ということを考えてみますと、東北開発株式会社というものは今後のあり方についてやはり再検討すべきだ。したがって、ただいまこういうような負債を持っている状況でございますから、これを一日も早く整理をいたした上で、新しく東北開発株式会社というものはどういうふうに運営していくかということを考えてまいらなければならぬ。たとえばいまお話しのように、一つの案としては有料観光道路というようなものをやるとか、-東北開発株式会社を存置していくとすれば、そういうような仕事をやっていくとか、土地造成とか、そういうことは一つの大きな仕事だと思いますが、民間産業と競合するようなものを、しいてここでやっても無理じゃないかと私は思います。ですからこの問題は、存置するか存置しないか、また存置するならどうするかということは今後の問題として考えていかなければならぬ。ただ御承知のとおり、こういう開発会社がございますと、地域住民の方はそれがなくなったり方針が変わると非常にさびしい感じを起こされることでございまして、したがって、そういう地域住民の方々の気持ちもわれわれ考えていかなければなりませんので、将来の問題としてやはりこのあり方がどうあるかということは再検討して、整理が進行し、あるところまでいけば再検討して新出発すべきが適当だ、私個人としてはそう考えております。
  71. 玉置一徳

    玉置分科員 私もお話のとおり、この種のものをなくしてくれという意味じゃないのです。しかしこのような仕事やり方では、大体いまでは少しぴんぼけになっているのじゃないかという感じがいたしますので、長官のお話のとおり、北海道地域を開発する基礎、基盤をつくるというようなところに重点を置くべきじゃないだろうか。御承知のとおり、いまお話もありましたが、高速道路を十七カ年に、日本の青森から鹿児島まで縦貫さすという計画もございますけれども、向こうのほうのような経済的にペイしないところはどうしてもおくれると思います。それをほぼ同時にやりたいということになれば、こういうものがそれのまた基盤になってあげられるようなやり方一つ方法じゃないか、こう思いますので、当時設立された東北開発株式会社というものの現時点におけるあり方というものは、どういうあり方をすることが向こうの地域の開発に最もふさわしいかというような点をもう一度御勘案をいただきまして、御善処いただくように、ひとつこれは十分御注文をしておきたい、こう思うのです。  あわせまして、北海道地下資源開発株式会社でございますが、これも一番初めにございますのは、「本会社は、北海道地下資源開発株式会社法により設立し、」とあって、北海道地下資源を探鉱するわけであります。第二条に、目的として、「本会社は、北海道において次の事業を営むことを目的とする。」「一、探鉱(石油の探鉱を除く。)二、委託に基く探鉱(石油の探鉱を除く。)三、前二号に附帯する事業」こうなっておりましたが、思うような御注文もなし、事業もできませんので、赤字をずっと出してきたわけでありますので、これではいかぬというので、昭和三十七年に法律を改正して、目的の第二項に、「本会社は、前項の事業の円滑な遂行に支障のない範囲内において、主務官庁の認可を受けて、その保有する探鉱用機械を用いて行なう事業を営むことができる。」わけのわからぬような文章でありますが、要するにこれは北海道以外のところにおきましても、主務官庁の認可を受ければ委託調査をしてよろしい。もう一つどうだといったら、地質調査をいたしますということが加わっておるわけです。当時私は、これは定款違反であり、しかも法律の目的と全然違うじゃないか。会社をこしらえた、こしらえた会社が赤字だからやむを得ずその会社を生かす意味で目的と違うことまで事業を広げていかなければいかぬが、民間の企業を非常に圧迫するのだから、国がよけいなことをしてやるほどの仕事じゃないのだからということを主張したのでありますが、現に営業案内を見ますと、「ふえる宝、広まる探鉱」と書きまして、北海道よりも日本全国のほうが黒線が多くなっております。こういうのはそもそもこの第二項に書いたのは、遠慮し、遠慮しやってくれ、こういうことでありまして、これがまるきり本職のような考え方になられたんでは大間違いなんです。御承知と思いますが、北海道開発株式会社の収支、計画の実績を見ますと、昭和三十三年から三十七年までは計画に対して実績が非常に少なうございまして、半分以下でございましたが、この法律の改正によりまして、ようやく三十八年からは今日まで計画よりも実績が上回ってきておる。この実績は、地質調査のほうが一体幾らあって、それから北海道以外のところ、いわゆる三十七年に法律を改正したことによる北海道以外のものは事業量の幾らぐらいで、それからそのうち地質調査は一体幾らぐらいであるか御説明をいただきたいと思います。
  72. 小熊清

    ○小熊政府委員 お尋ねの地下資源開発株式会社の事業量のうち道内の分とそれから道外の分がどのくらいになっておるかということでございますが、ボーリングのメートル数を申し上げますと、三十九年度は全体で四万四百メートル掘さくいたしました中で、道内の分は一万三千八百メートルとなっております。残りの二万六千六百メートルが道外ということになります。三十八年度は、全体で四万四百メートル、そのうち道内は一万三千メートルで、残りの二万七千四百メートルが道外ということになります。同じように三十七年度は、全体が二万七千三百メートル、道内は一万一千四百メートル、最近三カ年はさような実績になっております。
  73. 玉置一徳

    玉置分科員 もう一つ聞いておきたいのですが、自主探鉱は総延長のうち幾らぐらいでありますか、このごろのものでけっこうです。
  74. 小熊清

    ○小熊政府委員 自主探鉱の実績は、最近では三十九年度にボーリングを打ちましたのは二百二十メートルを知床地区に打っております。そのほか幾つかの地区で地表調査を実施しております。四十年度の現在の計画でございますが、知床についての調査を進めると同時に、その他の地区の地表調査を進めたい。四十年度はまだ年度途中でございますので、実績はまだ出ておりません。
  75. 玉置一徳

    玉置分科員 自主探鉱以外は全部委託の仕事ですか。
  76. 小熊清

    ○小熊政府委員 先生御案内のとおり、この会社の仕事は、自主探鉱とそれから委託に基づく探鉱と大体二つでございまして、おっしゃられた自主探鉱が北海道の地下資源の開発ということからすれば、一番大事な仕事でございます。ただ先ほど来お話しのとおり赤字を解消するということが先決でございますので、全体の事業量をふやして赤字の解消につとめるという点から自主探鉱のほうが非常におくれておりまして、それは今後――幸いにして三十九年度にはわずかではございますが黒字の計上を見ましたので、今後は余力をこの自主探鉱のほうに振り向けていきたい、かような指導をいたしたいと考えております。  それから、いま自主探鉱と申し上げましたが、これは自主探鉱の中で自分が鉱区を持ってやるものと、それから共同鉱業権者となってやるものと二つございまして、ただいま申し上げましたのは自分の鉱区だけの分でございました。失礼いたしましたが、その共同鉱業権に基づいてやる分がなおございまして、それは稲倉石、これは積丹半島のほうでございませんが、稲倉石というところで三十九年度は二百メートルばかりのボーリングをやっております。それから四十年度も同じく稲倉石で百メートルくらい現在やっております。  以上でございます。
  77. 玉置一徳

    玉置分科員 この北海道地下資源開発株式会社というのは、北海道の地下資源を開発するために特殊法人としてこしらえたものであって、石油を除くすべての探鉱をやっていこう、ことにこれは自主探鉱をやるところに一番大きなウエートをかけなければならぬ国策会社であったのでありますが、いまのお話のとおり自主探鉱が微々たるものでありますので、委託に基づくものがおもになる。それでもまだ計画のとおり実績が及びませんものですから、赤字の累増によってこの赤字を補うために普通の探鉱じゃなしに地質調査までもしてよろしいということにし、地質調査は、つまり土木請負のための橋梁や港湾をやるときの地質調査であります。そこで、北海道以外のところへ出ていってもよろしいという法改正をしたのでありますが、この法改正はほんとうに目的を全然逸脱するものでありますので、やるのにはあまり大っぴらにやったらいかぬということをあのときに附帯決議をつけておいたはずなんです。民間産業の、企業の重圧にならぬことをということで、きびしい附帯決議をつけておいたにかかわらず、やはりいまお話しのように昭和三十七年ごろから事業の成績が非常に上がっておりますけれども、上がったやつは、北海道は一万三千にとどまって、全体で四万四千のうち、北海道の一万三千を引きましたものは残り全部は外でやっておるためなんです。三十九年度は四万四百メートルのうち一万三千八百メートルが北海道で、自主探鉱に至ってはわずかに二百二十メートル、共有の一緒にやるやつをまぜましても五百メートル以内だというようなことで、全く会社の初め設立した目的とすっかり違ったものになってしまっている。必要に基づいて会社を設立する、その会社がうまくいかぬ、いかぬために、何とかして人件費をまかなわなければいかぬから違う仕事をだんだんひっつけて、いまできてしもうておるものは初めに志した会社とは全く違うんだということになっておるのが北海道地下資源開発株式会社の実態じゃないか、私はこう思うのです。これは昭和三十九年九月の行政管理庁のほうからの臨時行政調査会の答申にもあるわけであります。「当該会社は北海道における探鉱、委託に基づく探鉱を本来の事業としたが」、これは法第八条第一項の仕事であります。「設立当時から石炭、金属業界が極度の不況となり、事業量の実績が計画を大きく下まわり赤字が増大した。このため昭和三十七年五月法律改正し、北海道における事業の円滑な遂行に支障のない範囲で、北海道以外において委託に基づく探鉱、地質調査等を営めるようにした。」、これは法第八条第二項です。こういうことで、逐年利益幅が増大いたしまして、今日少々であるけれども黒字を計上することになった。しかしながら、現在受託探鉱が全部で、自主探鉱は全く行なわれていないにひとしい、「当該会社の特殊会社としての目的を逸脱する」ことになっている。「従来受託探鉱がすべてで、自主探鉱が行なわれていなかったことは、それ自身特殊会社としての性格を稀薄ならしめていたものといわねばならない。」と書いてあります。したがって、「当該会社の北海道における自主探鉱の可能性およびその必要性をあらためて検討のうえ、その方策を決定すべきものと考える。」というように、臨時行政調査会で昭和三十九年九月にこれは出されておるわけであります。もうこのとおりでございます。私たちは北海道の地下資源の開発のために、幾ら赤字が出てもいいではないか、それだけ必要ならば。特殊法人というものはそういうものなんです。民間の会社ではやり得ないものをやっていただくように、その土地の開発のためにできたのが特殊法人であるということを昭和三十七年にもはっきり申し上げておったわけです。だから少々の赤字だからといっても、仕事をして毎年十億円ずつ赤字が出ればそれだけのものを見てもらうのが、国がほとんど出資いたしております特殊法人の性格じゃないか、こういうように申し上げてきたのですが、この臨時行政調査会の答申に対してどういうように考えておいでになるか、お答えいただきたいと思います。
  78. 小熊清

    ○小熊政府委員 臨時行政調査会の答申に対しまして、これは通産省のほうも監督官庁として共管でございますので、通産省のほうといろいろ検討いたしたわけでございますが、勧告の主要な点は、ただいま先生がおっしゃいましたように、とにかく赤字を解消することが先決問題だということが一つと、もう一つは、自主探鉱がほとんど行なわれていない、これは会社の性格からしておかしいではないか、したがって、これを結論としては民間の株式会社に改組をして、そして事業量をもっと活発にして赤字を解消すべきである、その赤字が解消された暁に、またこれを政府の特殊法人とするかどうかという点は、もう一ぺん再検討をしたほうがよろしい、かような趣旨の勧告であったと思っております。  それに対しまして、赤字の問題でございますが、これは先ほどちょっと申し上げましたように、とにかく赤字を解消するということが臨調の答申の中でもまず先決問題であるというふうになっておりますし、監督官庁としても会社を極力指導いたしまして、経営の合理化と申しますか、経費の節減、それからあわせて事業量をふやすというような面で、三十三年から毎年赤字であったわけでありますが、ようやっと三十九年度にきわめてわずかではありますが、黒字になったわけでございます。したがいまして、一応今後は赤字にはならない、むしろなるべく健全な経営を行なって、従来の累積の赤字を消していくという方向に持っていきたい。したがって、赤字を解消するために民間会社に改組するという点は、いましばらく現在の姿でやらしていただきたいというふうに考えておるわけであります。  それからもう一方の、自主探鉱はほとんど行なわれていない、これが会社の本来の性格からしておかしいと言われましたが、これはまことにそのとおりでございまして、私どもも会社に対して、いろいろ業務計画の認可その他の機会をとらえましては、自主探鉱ないしは共同探鉱というものについてもっと力を入れるようにというふうに申しておるわけでございます。何ぶんにも三十八年度までは赤字の問題、これにいま忙殺されているといったような状態で、むしろ現在会社が保有している鉱区もなかなか十分には手が回っていなかったきらいもあったようでございます。したがいまして、今後はむしろ自主探鉱ないしは共同探鉱という点に相当力を振り向けていくということで、いましばらく現状のまま特殊法人として活動させたい。おっしゃるように、事業量を拡大いたしました結果、民間の業者を圧迫することのないようにという附帯決議が法律改正のときに付せられたわけでございますが、その点についても十分配慮いたしておりまして、たとえば道外の事業計画の認可をする場合には、そのような趣旨の付帯条件をつけるとか、あるいは全国試すい業協会とは常時話し合いをさせて民間との協調を行なわせるというようなことをやっておりますし、また会社自体も、道外で事業を行ないます場合には、原則としては民間の業者が参加するような一般の競争入札には遠慮する、かようなことになっております。したがいまして、民業を圧迫するというようなことは、現在それほどのことはないんじゃなかろうかと考えております。以上のようなことで、もう少し現状のままむしろ会社の経営の健全化、合理化という点について指導させていただきたい、かように考えております。
  79. 玉置一徳

    玉置分科員 これは藤山長官のほうの仕事じゃないのですが、大体こんなようなぐあいになっておるわけです。赤字を直すのが先決問題だなんということを、臨時行政調査会が言うようなものではないと私は思うのです。会社設立の目的は全く失われてしまって、四万メートルのうちで二百二十メートルしか自主探鉱がないというような、その会社の赤字を消すために会社を続けているというのが現状である。それでは北海道のほんとうの炭鉱開発のために何にもならないということを非常におそれるわけです。  そこで行政管理庁のほうにお伺いしたいと思うのですが、一体こういう目的をほとんどなくしてしまったような会社が、特殊法人として残っておることは望ましいのかどうか。臨時行政調査会の答申を、こういう百六もある公団、公社、公庫あるいは特殊法人、それに対してあなたのほうはどういうような措置をしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  80. 井原敏之

    ○井原政府委員 行政管理庁といたしましては、新たに付置されました行政監理委員会が、非常に強い機関であります臨調の勧告の趣旨を全面的に尊重して、その具体化を推進するということをきめております。いま御指摘の公団、公社の改善の問題につきましても、その一環でございまして、臨調が具体的に指摘いたしました百幾つかの中で十八余りのものの具体的な提案をしてきているわけであります。その趣旨を十分尊重しまして、行政監理委員会が中心になりましてその具体化を推進しております。ただ、ちょっと関連いたしますけれども、申し上げたいことは、この臨調の意見の意のあるところを具体的に推進するというのが監理委員会の意見でございます。行管もその意見を尊重して措置を進める。現在進めておりますが、ただ問題は、一ぺんできましたものをなくするということは、いろいろな情勢でなかなか困難であります。そういうこともありまして、実はお尋ねと多少それるのでありますけれども昭和四十一年度の特殊法人の新設につきましては、非常にきびしい態度で臨んだわけでございます。したがって、要求として二十一要求が出たわけでありますが、臨調からの指摘の趣旨が時間をかけて検討に検討を重ねてもまだはっきりしない段階で、またどやどやと新設されるということでは、いかにも世論のこの種のものに対する乱設の批評に対してこたえ得ないという考え方もありまして、政府としましては特殊法人の新設に非常にきびしい態度をとったわけでございます。したがって、二十一の要求で、設備のできておりました二つほどのものについて例外的に認めまして、あとは実は全部認めなかったような経過があるわけであります。行政機構に準ずる、大きな意味での行政機構の一環という考え方をもちまして、簡素化という面、合理化という面には、鋭意今後検討を進めてまいる考え方でございます。
  81. 玉置一徳

    玉置分科員 そんな総理大臣みたいな答弁をしてもらったってあかぬですが、ほんとにまじめにやれば、こういうことが行政の綱紀弛緩だと思うのです。綱紀粛正というものは、何も取ったり贈ったりという贈収賄があったから綱紀弛緩だというのではない。日本の行政が、ほとんど行政の目的を失いつつあるようなものをそのまま漫然とあなたのほうから――藤山さんのほうの立場から、一ぺんできたものはなかなか、とおっしゃるのはよくわかるけれども、あなたのほうがそんなことを言うておったら、これはふえるばっかりじゃないですか。もっと断固たる態度でもって総理大臣に言うて、総理大臣から閣議で決定してこうしようというぐらいの腹がないと、さっきおっしゃったように、それは何とか押えているだろうけれども、ことしも少しはできる、来年も少しできるということになってくると思うのです。一体どのぐらい役員がおられて、どのぐらいの給与を取っておいでになるかわかりますか。
  82. 井原敏之

    ○井原政府委員 現在ここに持参をいたしておりません。これは百余りありますので、役員は理事、監事合わせまして数百に及ぶと思いますけれども、具体的な数字は持っていません。
  83. 玉置一徳

    玉置分科員 これはきょうでなくてけっこうですから、私は代議士の続く限りこの問題をひとつ徹底的にやっていきたい、こう思うので、きょうが初めてなので、その資料をひとつお出しいただきたい。  退職手当も、ことし法務省のほうで最高裁の判検事の方々の退職手当を、よその公団、公社と均衡のとれるようにという形でおやりなすったわけです。また、農協の中央会なんかのああいう団体も、それにまねたものになってまいりまして、その他の方々との均衡が非常にとりにくい問題になってまいりました。ことに、役所をやめておいきになる方々にしてみれば、退職手当は一ぺんは済んでおるわけです。そういう問題も出てくるわけです。私はそれを多いからどうというのではありません。こういった、目的をほぼ終わったとか、あるいはいま思い切った方式の切りかえ、事業内容の切りかえをやらなければせっかくできました初めの趣旨を逸脱するというようなところは、先ほど藤山長官のおっしゃったような東北地方の基盤整備のための道路網の思い切った開発というようなところにこの着想を変えていけば、終戦後、北海道東北開発公庫とか住宅公団、何々等いろんな公庫、金庫その他ができたわけですが、そういう部面でもってやり得る仕事はそういう部面にまかせていっていいんじゃないだろうか。そして東北なり北海道のほんとうのその地域のための開発はまだまだおくれておるでしょう。だから、そこの地域の開発のためにその機構をもってやる、そういう法改正だったら、われわれ双手をあげて賛成をいたします。資金も思い切って増資してもらったらいいんです。そういうことにわれわれはけちけち言うんじゃありません。藤山長官は直接の関係はざいませんが、東北開発についてもそういうことでありますし、いま質疑を続けておりましたように、北海道開発も似たようなことであります。行政管理庁の長官ではございませんけれども経済企画庁長官というものも若干そういうものに対する一つの見解を持っていただいていいのじゃないか。  最後にひとつ、今後のこういう公団、公社、公庫は、戦後の必要に基づいてできたものもたくさんあります。その間、一般業務として、金庫、公庫ができておりますので、そういうものへ移したほうが、仕事としてはあるいは能率のあがるものもあると思うのです。そして、この北海道とか東北の地域的な開発のために生まれたものは、いまではもう少し業務内容を一新したほうがその設立の趣旨に合うのじゃないかということも考えられますが、長官はどういうようにお考えになりますか、ひとつ見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
  84. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 行政機構の改革というのは、これは当然私やらなければならぬことだと思いますし、また行政部内におきまして行政の実態がだんだん変わっておりますから、それらの点についての調整もしていかなければならぬ。またこうした外郭団体につきましては、設立当初の目的を達したものあるいは設立当初の目的を十分達しなかったもの等については、それぞれ検討して、目的が達成できるように、またその必要がなければ新しい方針に切りかえるなりあるいは廃止するなり、適当な処置をとるのが必要なことだと思います。ただ、いま北海道の問題がどうかということは、私もまだ知識がございませんから何とも申し上げられないのですけれども、総括的に申せばそういうことだと思います。
  85. 玉置一徳

    玉置分科員 行管のほうで先ほどお願いしました資料をあとでお教えいただくということで、質問を終わりたいと思います。
  86. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて玉置一徳君の質疑は終了いたしました。  次に、林百郎君。
  87. 林百郎

    ○林分科員 私は、藤山経済企画庁長官物価の問題について質問します。  わが国の物価は、御承知のとおり、いまや主たる資本主義国の中ではきわ立って最高の騰貴率を示しております。   〔主査退席、坂村主査代理着席〕 政府の統計によりましても、最近は実質収入物価高のために減少するに至ったという数字が出ております。国民にとっては耐えがたいところへ来ております。この物価問題は、自民党の歴代内閣、また佐藤内閣のいろいろの政策に基因しておることは言うまでもありません。私は時間の関係上、その原因の中で最も重大な一つである外資の導入と物価高との関係、特にアメリカの外資の導入と物価高の関係について質問したいと思います。  この質問をするにあたって、最も典型的な例を私のほうからあげてみますと、大臣も御承知だと思いますが、東京都の水道事業に対する世銀の五千万ドルの借款がありました。世銀は、言うまでもなくこれはアメリカが支配しておるのでありますが、この世銀が、最初東知事に対して水道料金を六四%値上げしろと言ってきました。それをいろいろの事情で、東京都としては五五%にとどめるということになりましたところが、それはけしからぬと、もうこの五五%は一%も下げてはいかぬ、こういう通告がまいりました。しかもそれを十二月二十日までに料金を値上げしなければ借款はできない、こういうように強硬に通告が来たわけであります。ところが、東京都議会では五五%案が否決されまして、三五・四%案が可決されました。そうすると、世銀のほうから翌日直ちに一方的に、それなら借款はもう打ち切りだ、こういう通告が来たわけであります。これは大臣も御承知だと思うのです。この経緯を見ますと、これはすでに商業ベースをこえて、重大な内政にまで立ち入ってきていると私たちははっきり言えると思うのです。これは「開発銀行十年史」というのがありますけれども、これを見ても、その問題が開発銀行側でも論じられているところでありますが、そういう問題なんですね。  そこでお聞きしたいのでありますが、このような重大な借款が、昭和四十年度には、外資法に基づく形態別認可の実績はどのようであったのか。それから四十一暦年度は一体どういう計画を持っておるのか。世銀、ワシントン輸出入銀行の借款、国債、政府債あるいは民間の外貨債等の民間投資についてもけっこうですが、使途を含めて、質問の最初の素材としてこれを説明してもらいたい。
  88. 大蔵公雄

    大蔵説明員 大蔵省外資課長でございます。  ただいま御質問のございました四十年度における総括的な実績、数字と融資先を申し上げますと、まず世銀借款に関しましては、四十年度におきましては、道路公団に対しまして七千五百万ドル、阪神高速道路公団に関しまして二千五百万ドル、合計一億ドルを世銀から借り入れております。四十一年度の見通しに関しましては、ただいまお話がございました東京都の水道借款の話がこわれましたので、それにかわるプロジェクトを含めまして、プロジェクトはまだ確定いたしておりませんけれども、合計一億ドルの借款を世銀から受け入れる予定になっております。
  89. 林百郎

    ○林分科員 導入先については確定しておらないということですか。
  90. 大蔵公雄

    大蔵説明員 はあ。
  91. 林百郎

    ○林分科員 それから国債あるいは政府保証債あるいは民間外債で、四十年度の実績と四十一年度の計画がわかっていたら説明してください。
  92. 大蔵公雄

    大蔵説明員 国債に関しましては、四十年度におきましては、政府保証債といたしまして第四次の電電公社債が二千二百五十万ドル、東京都債が二千万ドル、開発銀行債が二千万ドル、合計六千二百五十万ドルがアメリカにおいて発行されたわけでございます。それから民間債に関しましては、四十年度におきましては、米国の資金事情その他もございまして、一件も発行されておりません。四十一年度につきましては、御承知のとおりに、米国から一億ドルの利子平衡税の免税ワクが与えられているわけでございますが、本年のところ一億ドルという免税ワクはございますけれども、現在の米国の資金事情から申しまして、どのくらい日本が米国において外債を発行し得るか、いまのところ見込みを立てることはかなり困難な状態にあると思います。
  93. 林百郎

    ○林分科員 長官にお聞きしますが、いまのは質問の素材ですが、御承知のとおり、日本電源開発会社が世銀から借款をするときには、条件がついているわけです。これはいろいろな条件がございますけれども、最も物価影響するのは、資本比率の規制があるわけです。それに関連して、合理的な報酬をもたらすに足る電気料をすみやかに定めてこれを維持すること、これは実質的には電気料の値上げの条件になるわけです。それから電力会社の場合も、従属会社を含めて、これは財務比率の制限がありまして、自己資本の二倍をこえる債務を負ってはならない、こういう条件がついているわけです。このように主として負債比率制限、これは重大な影響を及ぼします。それから流動比率規制、それから銀行の融資確約条件等が付せられております。しかし、こういう条件は、これは実質的には電気料の値上げとなってあらわれてきております。しかも政府はこれを保証しているわけです。これは全く電気料というような国民生活に重大な影響を及ぼすものに対するアメリカ側の重大な干渉、介入とまで言って差しつかえない条件がついているわけです。したがって、こういう条件がついておる世銀借款を導入する限り、他の同系列事業の値下げまでがストップされている。たとえば中国電力のごときは、料金の値下げをしてもいい、首脳部がそう言っているのに、世銀融資を受けている他の電力一会社への波及をおそれて、政府自身がこれをとめている。これは新聞ではっきり出ているわけです。このように国民生活に重大な影響を及ぼす重要産業に、たとえば世銀というような外資を入れ、しかも政府がそれを保証して、そしてその中には財務比率の規制を受けるというようなことになりますと、日本政府もこれを保証しているのでありますから、たとえば電力事業等を見ましても、電気料の値下げなんということは、ここ当分考えられないんじゃないですか。できますか。これは長官にお聞きしたいのですが……。
  94. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 会社もしくは事業主体が金を借りますときは、相当厳格な条件を付するのは一般的な通例でございまして、これは単に世銀だけではない。しかし、世銀というものの成り立ちのあれから見ましても、日本にだけこういうあれを持ってくる、こういうことではございません。したがって、そのこと自体が私は不適当だとは必ずしも思っておりません。同時に、そのこと自体が電気料の値上げとかそういう問題に直接影響してくるとは思いません。むろん財務関係が充実していかなければ、それは貸したほうの人から見れば、こういう改善をしろ、あるいはこういうふうな経理の整理をしろ、あるいはこういうような利益のあるようにやっていけ、これは当然なことだと思います。しかし、それじゃ将来その内容がよくなって、たとえばそのものの値を下げるのはけしからぬということは、その借金に対してちゃんと確実になっていけば、それは改善されていくことは当然でございまして、最初貸しますときには非常にやかましい条件をつけますけれども、その後の状況によってそれが改善されていくということは当然なことでございまして、それが何か日本のすべての物値を下げるのを押えているというふうにはとれないと思います。たとえば東京都の水道料金にいたしましても、これは日本の銀行が貸したり何かする場合でも、やはりいまのような財務状況では困るから、値上げをしてくれということは起こり得ると思います。ですから、世銀であり、アメリカが主導権を持っているところだからそういうことがあるのであって、ほかにはないというようなことは、これは考えられないことだと思います。
  95. 林百郎

    ○林分科員 大臣、そういうのんきなことを言っていますけれども、これは商業ベースの問題でないのですよ。特別のあれです。この「開発銀行十年史」にだってあるように、政府の中で憲法で許す範囲の最大の保証までよこせと言っているじゃないですか。この関係は、普通の金貸しの関係じゃないですよ。それほど非常に重要な問題でしょう。たとえば、それじゃ中国電力が値下げをしてもいいと言うのに、何で通産省はとめたのですか。それは東電や関西電力や中部電力が世銀の借款をしている。そこで負債比率制限がある、流動比率制限があるのだから、そこでもし中国電力が電力料金を下げてそれが波及するようになれば、この世銀との条件は守られないのだ。だから、下げては困ると言って政府がとめているじゃないですか。東京都の水道料金の問題については、これは公共企業体としてわがほうはまた別の考えがあります。政府が一般財政から援助すべきものですから、これははずしますが、あなたの言うように、内容が充実すれば当然下げるのは考えられます。どこの金貸しだってそれはあたりまえだ。そんなのんきなことで世銀の問題を考えておっていいのですか。大臣、私はもう少し真剣に考えてもらわなければならない。それなら電力料金はいつになれば下げられますか。あなたは経済企画庁長官だから、ここで言ってください。いつになれば日本の電力事業の内容が改善されて、いつになれば下げるのですか。
  96. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 中国電力の問題は、まだ中国電力から、私の聞いておるところでは、通産省に出ておりません。もしそういうものが出れば、われわれとしても当然下げることに協力していくわけでございまして、そういう話はありますけれども現実には問題になっておりません。  企業のあり方として、むろん政府が保証しなければならぬということは当然です。しかし、政府が保証するということは、要するに返済能力を確実にするということ、ですから、返済能力というものが確実になってくれば、その中において経営のいろいろな点について自主的にやるのは一向に差しつかえない、世銀であろうと何であろうと。ただしかし、利益があがっても経理内容が十分でない間は、これらの条件を守っていかなければならぬことは当然でありましょう。また貸した場合に、経理内容が悪くて、そうしてもう少し上げなければ返済能力がだめだという場合には、貸すほうからすれば、返済能力をあれするためにはもう少し上げなければならぬ。しかし、それではといって、返済が十分に行なわれていき、需要量も最初の計画よりもどんどんふえていくということになって、会社の経理内容がよければ、そして返済能力が十分にやっていけるというなら、それをしいていまのままの形にしておけということは、これはあり得るわけではないと私どもは思っております。しかし、少なくとも最初に貸すときに、こういう条件でやってもらわなければ困る。そしてそれがそれよりも悪くなれば、むろん文句を言うだろうと思います。よくなってもなお、それでは東京電力はもうけておいでなさい。自分が元金をとり、あるいは利息を返してもらう以外に、東京電力にもっともうけさせておけというような指示は、世銀としてはするわけはないのです。そういう状況でございますから、電力料金を下げるということが、会社の経理内容でもって十分下げ得る状態ならば、世銀だって反対はしないと思います。
  97. 林百郎

    ○林分科員 長官、そんな一般論を聞いておるわけじゃないのですよ。それでは世銀に借款して電気料が下がったことがあったでしょうか。一貫して上がっておるじゃないですか。だから、あなたは世銀の条件をどう守るか――それは電力事業の健全化を考えるのはあたりまえだ。あなたはそのことばかり考えておって、そのために国民のほうは電気料がどんどん上がっていって、下げ得る電力会社があるのに、それも下げられないでいる。そしていまや国民はだんだん実質収入が下降をたどっておる。実質収入がもう昨年よりは下回っておるというような状態になっているときに、この世銀の条件を守るために、国民の生活がどんなに犠牲になってもいいのかということを聞いているのですよ。だってあなた、世銀の借款を入れるときには、日本政府の中ですから、そういう重大な条件をつけるのなら、むしろ断わって、日本の国内財政で見るべきじゃないかという意見があるじゃないですか。これをこのままに許しておいたら、いつまでたっても電気事業は電気料が下がらない、そんなあなたのような考えを持っていたら。それでは、あなたが物価の値上がりをどの程度に押えたいとか、将来この程度に押えたいとか言っても、無責任な数字になるじゃないですか。共産党は、こういうひもつきの外資の導入については絶対に反対しておるわけです。  そこで次に質問を移しますけれども政府が保証するような、そういう世銀だとかそういうものですから、こういう過酷な条件がついてくるわけです。それが政府が介入しないで、直接投資をもっとしろという要求が強くきていることは、これはあなたも御承知のとおりですね。昨年の日米合同委員会でもそのことが強く追及され、それから二月二十三日から三日間パリで開かれたOECDの貿易外取引委員会でも、この点が強く追及されているのですね。そして政府が介入しても、いろいろの規制を受けてきて、そういう保証が要求される。それがもし民間の企業に直接投資という形で、しかも世銀と同じような条件がつけられてきたら、たいへんなことになるじゃないでしょうか。ところが、そのことを非常に強くアメリカ側は要求しておる。そこで政府としては、こういう日米合同委員会だとか、あるいはOECDの貿易外取引委員会の追及に対して、外資法や外為法もあるけれども、こういうものと関連して一体どう処置していくつもりか。それからOECDに対して、この外資導入規制の自由化の強い要求に対して、政府はどういうように対処していくつもりですか。
  98. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私どもは、日本産業が非常に健全な形に立ち直っていけば、外資が自由に導入されても別に差しつかえないと思いますけれども現状のような形においては、必ずしも資本の自由化ということが無制限に行なわれることに対しては政府としても留意せざるを得ないので、現状におきましても、外資の認許可につきましては、相当な慎重な審査をされまして、それぞれ外資の導入について規制と申しますか、指導をいたしておるわけです。それだからこそ、外国から、OECDその他からも、もっと自由にしたらいいじゃないかという勧告がくるわけであります。日本政府として決してこれをなおざりにいたしておるわけではございません。
  99. 林百郎

    ○林分科員 ところが、政府は日米通商航海条約の中で、アメリカに対しては内国民の待遇と同じことをするのだと約束しているじゃないですか。一方ではそういう約束をしておいて、林さんの言われるように外資法がおれのほうにあるんだと言ったって、筋が通らぬじゃないか、ところが、いまあなたがそういっても、やがては自由化の波に押されるのは当然じゃないですか。あなたがそういうように言うなら、日米通商航海条約の中で、内国民待遇をアメリカにはするというような取りきめはどうしてなさったのでしょうか。
  100. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 むろんアメリカ側におきましても、それですからこそ日本に対してもっと認許可を自由にしたらいいじゃないか、おかしいじゃないかということを言うわけです。それくらい日本政府としても、それに対していまやっておるわけです。ですから、現状においてあなたがおっしゃっているように、無制限に入れているわけじゃございません。十分にやっているからこそ、アメリカのほうからそういう議論が出るのです。もし無制限にやっていたら、アメリカからそういう議論は出ないのです。それは無制限にやっておるわけではございません。しかし、将来日本産業がほんとうにがっちりした基盤の上に立てば――それは今日の日本経済で外国資本が自由に入ってやったら、それに寡占体制をとって牛耳られるとか、あるいはそのために日本産業界が危殆に瀕するおそれがある。そういうようなことが起こらないようになってくれば、それは私は原則として自由にやってもさしつかえない、こう考えておるのでございます。
  101. 林百郎

    ○林分科員 あなたの、日本経済が堅実になったならば、外資の問題についても自主性が出てくるのだ、そんな夢みたような話を聞いたってしかたがない。私は現実の話を聞いているのですよ。しかも外資法のチェックだって、それはほんのわずかなささえにすぎない。大局的には、自由化によって政府としては日米経済協力をする基本的な方針を打ち出しているわけです。その中でわずかにそういう抑制の制度を残しているという程度じゃないですか。  そこでは私は次の問題を聞きます。先ほどあなたが言われた、公共企業に対する外資導入の問題についてお聞きしたいのですけれども、ひとつ大臣に考えてもらいたいのです。国鉄だとか電信電話等の事業が、どういう経過で公共企業体になったか。そうして独立採算という制度をとることになったか。これは御承知のとおり、アメリカが日本を占領していた当時、その一環として、これを政府事業から切り離して、そうして改組して、アメリカや日本の大きな資本が投資をして、その中から利潤をあげることができる、そういう都合のいい組織に切りかえたことは、これは御承知ですね。そのときのたとえば電信電話事業の調査報告などは、日本の国の政党はどういう政党があるか、共産党は国会で何名の議員を占めているかというところまで調査して、それからやっているのですよ。この調査に至っては、全然商業ベースの段階じゃないのですよ。そういう重大な政治情勢までも含めて考えているわけですね。しかも安保反対の闘争の盛り上がりがどうなっているかというようなことまで研究しているわけです。あなたの言うように、そんな簡単なコマーシャルベースでものを考えているわけじゃないのです。ここへこういう公共企業体を独立採算制のたてまえに切りかえて、そしてそこへ外資を導入するために料金が上がっている。外資を導入して料金が下がった公共企業体なんというものは見たことがない。あったらひとつ長官、例示してもらいたいと思いますが、こういうように公共企業体を政府事業から切り離して、そうして独立採算制という制度にして、そこで資本が利潤をあげるような体制にして、そこへ外資を導入する。その外資については、あなたの言うようにいろいろな条件がついてくる、こういう体制をこのままにしておいて、公共料金を将来下げる見通しがありますか。具体的に言ってください。将来こうなったら下がるでしょうというようなことでなく、ここ二、三年の間に公共料金を、どれとどれは必ず下げますという見通しはありますか。
  102. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 外国に借款をする場合に、日本が東南アジアにする場合でも、政情が不安かどうかということは、これは検討するのが当然なことだと思います。したがって、当時占領時代でございましたから、日本の内情についてはそれほど詳しかったから、そういうふうなことについても調査が行き届いておったかどうかということは、これはあり得ましょう。しかし、外国に対して、われわれが東南アジアに借款を供与するにしても、贈与というか何というか形は別といたしまして、借款を供与する以上は、やはりその国の政情が安泰であるかどうかというくらいなことを考えないで、ただ経済ベースだけでやるということは、おそらくどの企業家もやらないだろうと思います。そういう立場に立って、アメリカとしてもむろんそういうことはやっただろう。それで国鉄が占領下にいわゆる公社になったということについては、単純に外資を導入するためのものだという理由だけではなかった。私は当時の事情を詳しく知っておりませんけれども、そのためばかりだったとは思いません。やはり独立採算、その他政府がああいう企業、現業を持っている仕事を、はたして直接やるのがいいのかどうかというような基本的な問題も、私はあったと思います。そういう意味から言いまして、国鉄が今日できた。国鉄の経営上、おそらくアメリカの借款が入ったから国鉄は値下げをしないのだということでありますけれども、私はやはり当時の事情から申せば、日本金利よりも非常に安い金利を使って国鉄の運営に資してきたということ自体は、決して国鉄の経理を悪化させたとは思いません。ですから、国鉄の今日の値上げの原因というものが、外資が入って、その外資のささえがあるから、そのために国鉄の運賃を上げなければならぬということ以上に、いろいろな問題が国鉄自体の中にあると私は思います。急激に日本経済が膨張していった、その中における輸送力の増強というような問題がたくさんあるわけでありまして、現在のいわゆる過密ダイヤの解消にしても、通勤ラッシュの問題にしても、日本経済が非常に発展したという、その中にあってそれぞれの改善をしなければならぬということであって、何もそういう関係一つもなくて、世銀から借款をした、あるいは外国から借款をしたということだけのために、国鉄の運賃を上げなければならぬということであったとは私は思いません。
  103. 林百郎

    ○林分科員 あなたのおっしゃるような要因があるとすれば、むしろ政府事業のほうがいいじゃないですか。政府事業で一般財政から見てやったらいいでしょう。そのほうが公共性を貫くことになるじゃないですか。なぜ政府事業から切り離して、独立採算制にして、外資を入れて、そして資本比率だとか、資本の流動化の規制を受けるようになるのですか。そこから利潤をあげる、もうけの対象に切りかえてきたわけですよ。だからこそ、もうけるか損するかということが中心であって、人民の生活にどのように公共性を貫くかということは薄くなっているじゃないですか。だから、占領当時の日本の国鉄だって、あの考えに対しては抵抗したわけでしょう。あなたは、聞いていると、何かアメリカの立場になり切っちゃって、どこの大臣だかわけのわからないようなことをおっしゃっている。あなた自身じゃそう思わないかもしれませんが、聞いているほうから見ますと……。たとえば国鉄の運賃の問題を一つ見ましても、これは大臣御承知だと思いますけれども、今度の国鉄の運賃は、昭和三十二年から三十九年の八年間に、七百億円の赤字を出している貨物部門の値上げ率は、むしろ低く押えているわけです。これは大臣、方々の委員会で御承知だと思いますけれども、同じ期間に一兆二千億の黒字を出している旅客部門は、逆にその三倍の率の値上げをしているのです。公共性を貫くというなら、こんなことはあまりにひどいじゃないですか。黒字を出している旅客部門をさらに三倍も上げて、赤字を出している貨物部門は上げ率をうんと低くくするということは、おかしいじゃないですか。そこは、どうやったら利潤を早くあげることができるかということが中心で国鉄運賃が考えられているからじゃないですか。しかも旅客部門の値上げ率は平均三一%というけれども、それは表面の数字であって、実際は、これは御承知のとおり、最低運賃は二倍になっておる。通勤定期の割引率は下げられておる。実際の大衆の負担から言うと、五割という負担増になっておるわけです。これは全く公共性が無視されているわけです。そうしておいて、国鉄では一九六五年から七〇年の第三次長期計画のうちの五カ年間に、世銀の借り入れ金をはじめとして鉄道債やいろいろな利子として五千三百億円ものばく大な金利の支払いの計画を立てておるわけです。あなたは世銀の金が入るから運賃が上がるという因果関係に必ずしもならないと言いますけれども、世銀の融資があるたびに事実上がっておるのです。御承知のとおり、第二次国鉄計画の場合、これは東海道新幹線の建設があったけれども、このときに八千万ドル世銀から借款しました。このときも運賃は上がっておる。今度の第三次計画も、主として山陽新幹線ですよ。これは過密ダイヤの解消というのじゃないのです。重点はやはり山陽新幹線の建設ですよ。これは私のほうに資料がありますけれども、第三次国鉄設備計画の比率は、四二%が幹線輸送に投資されます。そして通勤のほうは一七・五%ですよ。実際は山陽新幹線に投資するわけです。なぜここへ投資するのか。これは明らかにそこがもうかるからです。そしてまた、大きな資本が輸送を合理化するためには、そのほうが利益があがる、どうやって国鉄から利益をあげるかということが中心であるから、これは山陽新幹線の新設が重点なんです。しかもこのことを福田大蔵大臣は、昨年の九月二十七日ワシントンで開かれたIMF・世界銀行の総会に出席して、ウッズ総裁とも会って、この計画を持っていって示して、こうやりますからどうぞ世銀の五千万ドルの借款を頼む、こういう話をしているわけでしょう。どうですか、これをお認めになりませんか。
  104. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 国鉄が持っております性格というのは、あれを移しましたときに、国営そのものでは、過去のイギリスその他の例を見ましても、能率があがらぬ。そして国鉄というのは、利用者のためを考えれば、やはり企業努力が入ってくるような組織にすることが適当である。したがって、国鉄が持っている性格は、独立採算制という企業努力による成果と、それからほとんど全国的に独占的な権益を持っておりますから、そういう意味での公共性ということとあわせて国鉄公社ができたのだと思います。したがって、国鉄ができるだけ企業努力をするということ自体は、決して悪いことではない。そして同時に公共性をあわせ持っているということで、国鉄自身創立以来今日までも、学童割引や通勤割引などを鉄道事業として大幅にやっておるわけです。生鮮魚介類、農林物資等の輸送についても、運賃の適当な調節をやっておるということで公共性を維持していると思います。  ただ、今日のような現状になってまいりますと、そういう問題についてもう少しどういうふうに考えたらいいかという問題はございます。しかし、一応国鉄としては、今日のような経済が発展してまいりましたときに、それに対応するような輸送力と設備とを持ってまいりませんければ、通勤のあのような混雑も緩和していかなければならない、そういう必要から運賃値上げも考えなければならぬ、たまたまそれは外資を入れます時期等について、いまお話しのような若干対応する時期があったかもしれませんけれども、そのこと自体が、アメリカの外資を入れるために特別の値上げをするのだというところには、私ども結びついていかないと思います。
  105. 林百郎

    ○林分科員 いろいろ問題がありますが、時間の関係でやれませんけれども、国鉄の設備投資計画を見ますと、一兆二千五百億が幹線輸送に投資されるのです。そうして通勤輸送は、その半分にも足りない五千百九十億ですよ。だから、国鉄の第三次設備投資計画の中心は幹線輸送ですよ。ここらをはっきり頭に入れておいてもらわぬと困るのです。  それから、あなたの言われる生鮮魚介類の輸送費も、これは上がると国民生活に影響するからと言いますけれども機械だとか電機製品部門だとか、そういうものの輸送費の上げ率のほうがずっと低いじゃないですか、同じ貨物部門の値上げを見ましても、生鮮魚介類、国民の生活に影響を及ぼすような部門の上げ率はむしろ高いですよ。どこまでも国鉄というものを一つの利潤を目ざす企業として見て、そこから利潤を生み出させる。いろいろな資材を売り込む資本家に利潤を生み出させる。さらに、その国鉄を利用する独占資本の利益も同時に考えている。そういう費用を生み出すために、一番早く費用を徴収できる一般大衆の運賃を上げる、こういう安易な方法をとっているじゃないですか。しかもそれは世銀という大きなてこが入ってきている。ここをもう少し長官考えてもらわなければ、あなたは経済企画庁長官といったって、国民生活をどう改善していくか、物価高をどう押えるか、公共料金をどう下げるかなんということが、あなたの答弁の中からちっとも出てこないじゃないですか。  もう一つついでに聞いておきますけれども、今度電報電話料が上がりますけれども、第五回電電債が一千五百万ドル、アメリカの外債によってまかなおうとしていることを御承知でしょうか。これはどういう条件で、これについてどういう見通しをお持ちですか。
  106. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は、都市の過密ダイヤばかりではなくて、幹線輸送の充実ということは、非常に必要だと思います。現在東海道における貨客の輸送というものは、おそらくもう飽和状態に達しまして、これ以上回数をふやしたり輸送を能率化するわけにはまいりません。ですから、幹線をつくって、しかもそれを広軌でやる。そしてその結果としては、東海道線のあいたところに急行貨物をつくるというようなことが行なわれてくるわけであります。したがって、これが今後関西から九州に延びていくということは、いまの日本経済活動の大きさからいって、貨客の輸送を敏速にやろうとすれば、これに相当なウエートを置いていかなければならぬことは当然のことでございまして、それなくして物価問題を私は片づけるわけにいかないと思います。  ですから、そういう意味において私は、決して幹線輸送をないがしろにしているわけではなく、幹線輸送に重点を置いていただくということは、非常に必要なことだと考えております。そういう意味からいって私は国鉄がそういう面について最大の努力をする、その場合にある程度、アメリカばかりでなく、外債を募集するというようなことを考えた場合に、それは日本金利が高い場合には長期にわたる公共的な仕事に、できるだけコストダウンするために、低利の資金を借りるということは、これは国鉄経営者として当然のことであって、それをやることが経営主体の人の考え方からいって特に間違っているとは思いません。  ただいまの電電の問題については、条件等その他、私も詳しく存じておりませんから、適当な方からお答え願うことといたします。
  107. 米沢滋

    ○米沢説明員 ただいま御質問がございましたが、電電公社といたしまして過去十三年間値上げはいたしておりません。  それからまた、四十一年度におきましても、いま予算を出して百二十三万の架設をお願いしておりますが、四十一年度は値上げをいたしません。  外債発行の問題につきましては経理局長からお答えいたさせます。
  108. 中山公平

    ○中山説明員 アメリカ時間の二月十七日にアメリカの証券取引委員会に登録の届け出をいたしております。それは発行額は千五百万ドル、表面利率は六・五%、期間は十五年ということで登録の届け出をいたしておりますが、登録の届け出には二十日間程度の審査がなされまして、それで有効となるのが通例でございますが、それまでの間――表面利率六・五%に対して発行価格が幾らになるかということで応募者利回りがきまってまいるわけでありますが、それについては白紙ということになっておりまして、いまファイルをいたしましたあと、種々の資料が投資家の方にアンダーライターの手を通じまして配布をされておりますが、あまり日もたっておりませんので投資家の反応も集めておらないということで、条件折衝もまだ始まっておらない、こういう段階でございます。発行条件につきましては、今後の問題というお答えを現段階としてはいたさなければならないと思います。
  109. 林百郎

    ○林分科員 もう二問だけ。長官、あなた私が最初聞いたときには、過密ダイヤを解消するのだ、そういうことも必要だと言われましたけれども、そのうちに山陽新幹線も必要だと言いますけれども、国民は平均五割もの運賃を上げられているわけでしょう。過密ダイヤをどういうように解消するかということは、重大な問題でしょう。あなたは御承知かどうか知りませんけれども、百人の定員の電車の中に五百人も詰めているというのですよ。そういう中で国鉄の第三次計画の投資の四割が山陽新幹線で、一割七分しか過密ダイヤの解消に使われないというときに、国民がその負担を承知できますか、しかも、国鉄で金利の低い金を外国から借りてきてもあたりまえじゃないかと言う。あなたの頭の中には、国鉄というものは一つ企業としか入っておらないと思う。公共的な性格をどのように持って、それを貫くことが政府として最も重要だということが全然出てないじゃないですか。だから共産党は、公共企業体についてはそういう独立採算制という制度をやめて、国の一般財政から、会計からこれを支出して、必要な工事費や事務費はこれから出すべきもので、どこまでも大衆に負担を転嫁すべきでない、これは公共性があるのですからね。こういうことを主張しているわけです。ところがあなたは、もうけるためには山陽新幹線もあたりまえだ、金利の低い金を借りてくるのもあたりまえだ、その条件がどういう条件かも御承知なくそういうことをおっしゃるのは、それはあなたは間違っているのじゃないですか。もう一度その点をお聞きしたいのです。過密ダイヤをどのように解消されるのですか。私の持っている数字では、絶対に解消されませんよ、山陽新幹線はできるかもしれませんけれどもね。
  110. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 いまの国鉄の計画で過密ダイヤを解消するということについては、国鉄としても相当な用意と計画を持って進んでおられると思います。ただ過密ダイヤの問題というのは、国鉄自身だけが、設備であとから追っかけていくというような形でなく、今日のような東京の過密化した都市をどうするかという問題もあわせて考えてまいらなければ、あるいは住宅の所在地の問題とかいろいろな問題があって、国鉄だけに過密ダイヤを解消しろといっても、それは無理だろうかと思います。しかし、大きな面で言えばそういうことが言えますけれども、少なくとも現在の国鉄総裁はじめ国鉄の幹部の方々は、現在よりもずっと改善された方向に今度の計画で持っていかれる準備をしておられる。またそういうことができ上がれば、ただ、そのときになってやはり東京ばかりが経済活動が非常に盛んになり、あるいは政治活動が東京ばかりが中心になり、そして人口の増加が非常にふえてくるとなれば、いま持っていらっしゃる国鉄の計画が必ずしも十分にそのときに対応しないかもしれないと思います。しかし、現在の状況そのままの状態における国鉄としての過密ダイヤの解消の計画は、私は十分に国鉄当局が持っておられる、またそうやって、その土に立って資金計画をやられたものだと私は信じております。
  111. 林百郎

    ○林分科員 あなたの信ずることを聞いているわけじゃなくて、国務大臣として、ことに経済企画庁長官として、国民生活に最も切実な物価の問題を担当する大臣として、大衆にこれだけの負担をかけるけれども、過密ダイヤは国鉄の第三次計画の中でこうなりますということをあなたから聞かなければ、国鉄の首脳部がたぶんこう考えていることを私は信じますなんて言ったって、大臣としてのあなたの責任を果したことにならぬじゃないですか、私はそう思いますね。時間の関係でこの問題をあなたといつまでも言っているわけにはいきませんが、しかし、このアメリカの資本の問題も、あなたは金利が安いとかなんとか言ってますけれども、御承知のとおり、昭和三十九年六月末現在の総額は一兆二千四百七十億円という膨大な数字になっておるわけです。これに対して三十八年度までの元本償還や果実の支払いは、実に四千八百億円という膨大な金になっているわけですね。昭和三十八年度だけでも、一千二百億近くの外貨をアメリカに送り出しているわけです。これが重要な国鉄だとか、石油だとか、鉄鋼だとか、機械部門だとか、食糧部門だとか、ことに日本の国民生活に重大な影響を及ぼす大企業にみんな入ってきているわけですけれども、これが世銀の借款条件と同じような財務比率の規制だとか、それから流動化資本規制だとか、みんな持っている。これでみんな押えられますから、日本企業家の思うように値段一つきめることができないような状態なんですよ。だから、物価の問題が、企業はもちろん、日本政府でさえきめることのできないような、がんじがらめの形になっておるのじゃないか。この膨大なアメリカへの外貨送金が、これが物価にはね返って織り込まれるわけです。一方その企業の労働者にはものすごい労働強化がくるわけなんですから、こういう状態をそのまま放置しておいて物価の問題を云々できないじゃないか、このことを私はあなたに聞いているわけなんです。  最後に、時間の関係で、私は同じ性質の問題で、農産物の輸入の問題についてあなたにお聞きしたいわけです。佐藤総理は二月二十七日の予算委員会で、二重価格制をいつまでも続けていくことは望ましくない、こういう答弁をしているわけです。これは食管制度を漸次やめてスライド制に移行したい、こういう意向を示したものと解釈していいのでしょうか。
  112. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 総理が二重価格制をいつまでも維持していきたくないということは、スライド制にする意味か、将来食管の問題は再検討する、してみたいという意味か、その点は私にもよくわかりません。
  113. 林百郎

    ○林分科員 単刀直入に聞いていきますけれども、御承知のとおり昨年の日米合同委員会では、一九六〇年代の末までに現在の七億ドルの農産物の輸入を十億ドルまでに拡大することを期待する強い要求がアメリカ側からあるわけです。いまもって残されておる農産物輸入の中の非自由化部門を早急に自由化せい、こういう要求が強いわけです。これに対して政府としてはどう処置していきますか。われわれとしては、食管制度はあくまで維持して、日本の農民には生産費の所得補償をする価格を確立してやる。消費者には家庭生活の影響のないような消費者価格を保証してやる。二重価格制をどうしても堅持していかなければ、御承知のとおり農民はもう毎年毎年七十万人も離農して兼業化が進んでいく。一方、消費者の家庭のほうは、政府の食管制度といっても、実は最近は毎年、毎年消費者価格を上げて、実質的にはスライド制と変わりないために、食費の負担が大きくなってきておる。こういう状態の中で、アメリカ側はさらに自由化をやれ、何しておるんだ、こういうことを言っておるわけです。こういうアメリカ側の要求に対して、政府はどういう処置をしていくつもりですか。
  114. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 農産品の自由化問題については、日本ばかりでなく、どこの国でも一〇〇%それを排除してやるという国はございません。日本としても、現在おそらく九四%前後の自由化率だと思いますが、残っているものの大半は農業品だと思います。したがって、農業の保護という立場に立てば、自由化ということがいまの日本農業立場でもって無制限にすべてのものをやるというわけにいかぬことは、これはどなたでも御承知だと思います。
  115. 林百郎

    ○林分科員 じゃ、まとめて聞いておきますが、外資の導入に関しては、外資法や外為法は維持していく。そして十八項目のチェック条項、これはいまのところはあなたとしては維持していく。外資導入に関してのチェック条項、外資法も外為法もそのまま存続していく。それから食管制度はそのまま維持して、農産物の中における非自由化品目、非自由化の関税やいろいろな項目はこのままにしておく、こう聞いていいですか。はっきり言ってください。
  116. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 外資法やその他の問題は、これはやはり通産大臣の所管であり、大蔵大臣の所管でありまして、私ども日本経済の推移に応じて通産大臣が責任をもってやられる、あるいは大蔵大臣が責任をもってやられる。その場合に、われわれとしてその時期におきまする情勢を判断しながら考えていく。むろん、たとえば自由化の問題にいたしましても、たとえば通産行政なりあるいは経済外交をやっていく立場からいっての意見と農林大臣の意見と違う場合もございましょう。ですから、そういう場合はそれを調節していく。
  117. 林百郎

    ○林分科員 国務大臣としての意見を聞いておる。
  118. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は、現状のような通産省のやり方で適当だと思っております
  119. 林百郎

    ○林分科員 農産物については。
  120. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 農産物についても、いま政府が直ちにすべてのものを自由化しようという考え方にはなっておりません。ですから、私どももそういう点については同じ考えで、別の意見を持っておるわけではございません。
  121. 坂村吉正

    ○坂村主査代理 林君に申し上げますが、予定の時間の倍になりますので、ひとつ御協力を願います。
  122. 林百郎

    ○林分科員 それぞれ担当大臣がありますけれども、あなたの考えとして、外資導入について、外資法、外為法をすぐ一本化するとか、手直しをするという考えはなくて、いまのとおりでいいと思う、それから農産物の輸入についても、現状のチェック条項はそのままにしておいていいと思う、あなたの考え方ではこう解釈していいですね。  もう一つ政府の統計からいっても、米価の生産財費が約七%くらい上がっておる。これは農林省の統計からも出ておる。指数化方式でやってまいりますと、生産者米価はことしもどうしても上げざるを得ないと思う。指数化方式をとって生産者米価を上げるかどうかということが一つ生産者米価が上がっても、ことしは絶対に消費者米価に転嫁しない、そういうことをあなたはここで断言できますか。
  123. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 生産者米価の問題は、これは農林大臣ともわれわれよく相談をいたさなければ、将来どういう形式にこれを持っていくか、あるいは現状でいいのかというようなことについて、農業の実態等に即してわれわれ考えていくべきだと考えております。今日のような状況下におきまして、農民の要求も入れながら、食管の運営をしていく場合に、本年において上げるか上げないかということは、まだ本年の状況もはっきりしておりませんし、どの程度どうするかということもきまっていないどきに、上げるとも上げないとも私から申し上げるわけにはまいりません。
  124. 林百郎

    ○林分科員 じゃ、結論を申し上げます。これは国際的な関係もありますので、あなたが先ほど言われました外資の問題、外資法と外為法の問題と、余剰農産物のチェックの問題について、あなたとしてはそう思うというのは、これは佐藤内閣の国務大臣の一員としてそうおっしゃっておる、こう受け取っていいですかどうかということをお答え願います。  以上のように、私は外資導入と自由化の関係について質問したわけですけれども、今日の物価の値上がりの問題は、日本経済がアメリカに従属して強く支配されておる、これが非常に大きな要因だと思う。何といっても、どうしてもこれを断ち切らなければ、日本政府が自主的に物価の問題を決定する資格がいまないんじゃないか、こう思うわけです。同時に、自民党・政府が、アメリカと日本の大きな資本に奉仕するという考え方、あなたの答弁の中にもありますように、たとえば公共企業体に対する考え方なんかも、どうやって利潤を出すかということが中心であって、公共企業として、国民生活の観点からどうするかということがないわけなんです。そういうことはやめなければならない。私たちはそう主張するわけです。ほんとうに人民生活の擁護の立場に立って、日本経済を自主的に、平和的に発展させる。自主性を持って、そういう立場に立たない限り、物価の安定も、日本経済の真の発展もあり得ない、こう私は確信するのです。これは私の主張ですから、これを主張して質問を終わります。先ほど、最初にあなたに念を押したことについてお聞きして私の質問はこれで終わります。
  125. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 外資法と外為法と一本にするか、しないか、あるいは現状のままにおいて置くかということでございますが、私はむろん将来――長き将来にわたって、日本経済が堅実に発展すれば、必ずしもそういう制約が必要があろうとは思いませんけれども現状においてはそうした意味において日本産業を保護していくということが私は適当だと思います。ただ、法律をどういうふうにやるかというような問題については、これは技術的な問題もございますから、いまいかがするかということをはっきり申し上げられないことは当然だと思います。それでいま農産物の自由化にいたしましても、各国がそれぞれ欠格条項として、自由化の中で農産物をかなりチェックいたしておるのでございますから、むろん外国からすればいろいろな議論もございましょうけれども、しかし、日本としても、自主的な立場に立って、日本の農民保護の見地から、常にそういう問題を考えていかなければならぬ。しかし、日本農業の中ですでに競争力のあるものがあれば、それは自由化をしても差しつかえないと思います。要は、日本農業がどの程度に体質改善をし、将来の問題として外国製品と競争できるかというような問題にかかってくると思うのであります。(林分科員「いまのところは現状維持していくということですね。」と呼ぶ)そうです。それから外国資本が入りますことは、私はお説と違うのでございまして、これは平行線になるかと思います。
  126. 坂村吉正

    ○坂村主査代理 これにて林百郎君の質疑は終了いたしました。  午後は三時より再開し、農林省所管に対する質疑を行なうこととし、暫時休憩いたします。    午後二時一分休憩      ――――◇―――――    午後三時一分開議
  127. 坂村吉正

    ○坂村主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十一年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。赤路友藏君。
  128. 赤路友藏

    赤路分科員 私はただ一点、海難対策について関係各省の方々にお聞きをしてみたいと思います。  少し前に、陸上における産業災害それから海難等による死亡者数の推移を調べてみたのですが、三十六年から四十年までの五カ年間の統計を見てみますと、炭鉱関係での事故による死亡者数は、五カ年間を総計いたしますと二千九百九十七名、それから金属鉱のほうは五カ年で四百五名、石灰石、これはセメントの原料山だと思いますが、これが五カ年で百八十五名、こう見てまいりますと、炭鉱における災害といいますか、事故死亡者は非常に大きいということがわかるわけなんです。ところが同時に、同じ年次の五カ年間の海難による死亡者数、これは五カ年間で三千四百九十五名になっておるわけです。よく騒がれますところの炭鉱の死亡者よりも海難死亡者のほうが四百九十八名、ざっと五百名五年間に多いという数字が、これは官庁の統計に出てきておる。おかで災害があって死亡した場合は、非常に重大な事件のように取り上げられて対策が講じられるが、海難死亡は、何か従来の海というものに対する観念でしょうか、当然起こるべくして起こった、そういうような感覚ですべてが処理されておるんじゃないか、こういうふうに私は思われてならぬ。この際、おいで願っておりますところの水産庁、海上保安庁、気象庁、この各官庁の海難防止あるいは救助あるいはその後の救済、こうしたものに対する対策をお示し願いたい。これは基本的に、大まかでけっこうです。同時に、本年度の予算をどう裏づけておるか、これをお聞かせ願いたいと思うのです。
  129. 石田朗

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  いま赤路先生よりお話のございましたように、海難の問題、これは人命の保護という点からいたしまして、また産業的に見ましても、きわめて重要なものでございますことはお示しのとおりであると存じます。従来とも政府といたしまして、決してこの問題を軽視しておったわけではございません。従来とも海難防止につきましては極力努力をいたしてまいったわけでございますが、なお昨年のマリアナ海難等の大海難もございますし、海難がなお相当に発生いたしておるという点はまことに残念なことと存じておるわけでございます。  これに対しましては従来から、基本的な問題といたしましては漁船の安全性の強化、あるいは漁船の船員の訓練なり無線施設の設置なり、さらに災害が起こりましたときにおける漁船保険というような点につきまして力を注いでまいっておったわけでございます。さらに今後の問題といたしましては、マリアナ災害以後各省が十分連絡をとりまして、この災害の救助等に十分力を注いでまいるということにいたしております。  水産庁といたしましては、たとえば漁船保険中央会に対しまして漁船再保険特別会計の剰余金のうち十二億円を交付いたしまして、これを事故防止等に活用するということにいたしております。この一部をもちまして、救難の作業の助成あるいは救難信号の受信装置の設置というようなことを取り進めてまいりたいと考えております。さらに一そう基本的には、漁船の安全性を高めますための研究、これを新たに拡充いたしまして、これについてさらに基本的な対策を講ずる基礎を確立してまいりたい。なお救命施設に対する融資等についても、今後十分に配慮をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  さらに御質問に応じ、詳細に補足いたすこともあるいは必要かと存じますが、大まかに申しましてそのような考え方で取り進めていきたいと思います。
  130. 岡田京四郎

    ○岡田(京)政府委員 私、海上保安庁次長の岡田でございます。海上保安庁といたしましても、海難の防止並びに万一不幸にして海難が起こりました場合の救助につきましては、常々格段の配慮をいたしておるわけでございます。ことに漁船の海難は、全船舶の海難の四割強を占めておるような状況でございます。海上保安庁といたしましては、特に漁船についてだけということでなしに、海難対策全般ということでただいまから御説明申し上げたいと思います。  昭和四十一年度の予算で海上保安庁の関係で講じておりますことについて申し上げますと、まず第一に巡視船艇の代替建造でございます。先ほど水産庁の次長からもお話がありましたように、私たちもマリアナ海難、昨年のあの悲惨な事件にかんがみまして、特に従来の施策のほかに遠距離救難体制というものを打ち出すようにいたしております。その遠距離救難体制といたしまして、巡視船艇につきましては、二千トン型の巡視船艇を新たに建造することにいたしております。またそのほか、これは大体従来の施策程度のものではございますが、三百五十トン型の船一隻、百三十トン型二隻、それから二十三メートル型の巡視艇二隻、十五メートル型の巡視艇六隻、これを新たにつくることにいたしております。また九百トン型の巡視船につきましては四十年度からの継続で、四十一年度でもってそれを完成するということもあわせて行なうことといたしておるわけでございます。  次に航空機の関係でございますが、遠距離救難体制ということで、従来当庁が持っておりましたビーチクラフトあるいはヘリコプターというふうなものだけでは遠距離救難には適しませんので、今度新たに、遠距離に行けますところのYS-11型を一機購入いたすことといたしました。これは先ほどの二千トン型の巡視船とともに、いずれも四十一年度と四十二年度の二カ年でもって建造を終わることにいたしておりますけれども、今度四十一年度からこれを新たに行なうことといたしたわけでございます。その他航空関係につきましては、千歳あるいは羽田、鳥羽にも航空基地を整備するための所要の予算措置を講じているわけでございます。  次に通信施設関係では、超短波通信体制の整備ということで、陸上の三カ所につきましてその整備を行なうことといたしました。また救難用の自動方位測定局、これを整備することといたしております。また航行の安全という見地から、灯台その他の航路標識の整備につきまして、従前以上の措置を講ずることといたしておるわけでございます。
  131. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 気象庁のほうからお答えいたします。  海難防止に対しまして、気象庁といたしましては、海上気象資料の収集を充実強化するという方向がまず第一でございます。そのために、あとまた詳細に御説明申し上げると思いますけれども、いろいろな計画を持っております。その次には今度は商船、漁船に対して気象情報を迅速に伝達通報するという業務を充実するということが、その次の問題でございます。それから最後にもう一つは、台風にしろ不連続線にしろ、そういうものの動きと申しますか、その性質などを十分究明しまして、台風予報あるいは日常の天気予報にも関係いたしますが、気象予報の精度を向上するという研究的色彩を持った業務でありますけれでも、その三点について気象庁としては尽力しておる次第でございます。
  132. 赤路友藏

    赤路分科員 ちょっと皆さんに参考までに申し上げたい。たぶん皆さん御承知になっておると思いますが、この「昭和四十一年度予算の説明」主計局が出しておりますが、この説明の中に石炭対策費というのがあるのです。私がなぜ先ほど陸上の死亡者と海上の死亡者を御説明申し上げたかというと、そういうところをひとつお考え願いたいんですが、この石炭対策費が、四十一年度は二百四十億三千六百五十万五千円、まあ二百四十億、その内訳をいろいろ見てみたわけなんですが、私はいまのエネルギー対策として、特に問題の斜陽産業、また働いておる労務者の立場からこれは当然な予算措置だと思います。当然な予算措置だと思いますが、私はやはり世の中で一番大事なのは何かといえば、企業も大事でしょう、しかし何といっても人命が一番とうといと思うのですよ。そういう面で私はいささか大蔵省のほうでは、あるいはまた皆さんのほうでは、海難による人命損傷といいますか、これをあまりにも軽視し過ぎている、こういうふうに感じるわけです。この石炭関係の中にはこういうのがありますよ。これは一例です。一例として私は言うわけですが、石炭鉱害賠償義務者が無資力の場合、被害者に対して交付金を出す、石炭の企業者が賠償できないで無資力な場合は政府は交付金を出しているんですよ。これは予算の中に出ている。それから石炭企業者の四十一年度の利子補給は五十億です。この予算書による海難対策を見てごらんなさい。遠洋海難対策費、運輸省所管五億九千六百二十三万九千円、てんで問題にならぬほどけたが違うわけです。私は何も石炭対策をとやかく言うのじゃない。あまりにもこの海難というものを軽視し過ぎる、甘く見過ぎるというのです。だから、先ほど水産庁次長が御説明になりましたが、あなたのところの予算を見てごらんなさい。一般会計予算水産庁関係の項目を調べてみても、海難対策というようなものがありますか。ありませんよ。款項目の中に出ていない。私はけさ調べてみたのです。それから、先ほどあなたのおっしゃった十二億です。いまそこで農林水産委員会で審議をしてきたばかりです。私は聞いておった。三十二億、保険会計のほうへ繰り入れる利益金、黒字があがった。二十億は準備しておかなければいけない。十二億を中央会に交付する。ところが十二億を交付しても、その中に海難の事業云々ということをあなたはおっしゃった。確かにそのことは書いてあるんだ。書いてあります。間違いありません。この交付金の使用、その中に海難防止事業と書いてある。十二億という交付金を出して、この元金に対して手をつけないというのです。かりに金利六分五厘としたら七千八百万円、これを交付金の使途というところにずらっと並べてあるのに、全部おろしたらどういうことになります。この海難防止の中には救難作業、救済事業なんというものもあるのですよ。なまやさしい金でできますか。今度のマリアナ群島のあれを考えてごらんなさい。ちょっとやそっとの金でいくものではない。ただつばをつけただけなんだ。それでもって海難対策をやっておるなんて、言うことがずうずうしいですよ。  それから私は気象庁に一応お尋ねしてみたい。マリアナ群島のあの事件のあったときに、新聞はこういうことを書いていますよ。「台風二十九号は米軍機の観測によって気象庁が出した当初の予想進路を進み、」云々と、こう書いてある。これはどういうことなんですか。あの海域は、マリアナ群島は全部アメリカの領土といいますか、アメリカが施政権を持っているというのか、あまり詳しいことはわからぬが、とにかくアメリカの承認なくしてはあの島々へはもちろん上がれますまい。しかし、かりにも、最も重要な日本漁業の漁場が南方にありますね、そういうところの気象をアメリカに依存しているというようなことは私はないと思うのです。気象庁で定点観測をやるなり何かやっておられるのじゃないかと思うのですが、この点は一体どうなんですか。
  133. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 南洋群島の観測地点でございますが、先生も御承知のとおりに、前は日本領でございましたけれども、いまのところはアメリカ領になっております。したがいまして、気象庁の出先の気象観測所というものは、現在のところあの群島の中にはございません。したがいまして、アメリカのほうであの群島に観測所がございまして、その観測所でアメリカの観測者によって観測されました観測資料を、気象通信網によりまして東京のほうへもらっております。
  134. 赤路友藏

    赤路分科員 地理的な条件といいますか、そうしたことでアメリカに依存せざるを得ない、こういうことは私も考えぬでもない。しかし今度聞いてみますと、これは新聞情報ですけれども、第一次の予算要求のときに、南方での気象観測船の建造ということを要求したのじゃないですか。それはどうなりましたか。
  135. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 おっしゃるように、初めの第一次の予算では気象庁の観測船を要求いたしましたが、その後の話し合いによりまして、海上保安庁で先ほどお話しになりました二千トン型の巡視船と一緒にその観測をするということになったのでございまして、そういうことでございますから、この二千トン型の巡視船というのは、海上保安業務と気象業務の両者に役立たせるというような目的をもって査定を受けた経緯にかんがみまして、海上保安庁は気象庁の意向を十分に尊重していただきまして、台風観測業務をあわせて行なっていただくというようになっている現状でございます。
  136. 赤路友藏

    赤路分科員 この気象観測船をつくるのに何ぼ要りますか。二千トンですか、いま出ているのでなくて、あなたのほうで当初要求したのは一体何ぼ要求したのですか。
  137. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 大体七億くらいです。
  138. 赤路友藏

    赤路分科員 いまの海難の(2)のところ「海難発生の際敏速な救助を行なうとともに、台風等に関する正確な気象資料を選集するため、気象観測機器を装備した大型巡視船」、こうなっておる。だから、これと両用になったのですね。あなたもあまり人命をとうとばぬほうだな。きょう大蔵省の主計官に来ていただいたのはこういうことなんです。私は答弁を求めるつもりで来てもらったのじゃない。こういうことを聞いてもらいたい。  これは海上保安庁からもらったのだが、二千トンの船は、名目は遠距離救難巡視用だ。それに気象観測のものを装備する、こういうことなんですね。どっちが本体かわからぬ。両用であることは間違いがない。私ここで申し上げたいことは、南方のあの場合も、私は気象庁の予報というものが全然間違っておったとも、ミスであったとも思いません。あの部面における特に台風の進路は非常に急激な変わり方をしておる。マリアナ群島のあれをよく調べてみますと、確かに気象庁の通報を受けて、そして予報された台風進路から逃げ出そうとして台風進路へ突っ込んでおるんです。百キロ離れておる。あの当時の船の配置状況、船のここまで入った角度、全部調べてみると、これは必ずしもそうでないとおっしゃるかもしれないが、少なくとも予報を受けた進路から退避しようとしてむしろ台風のほうに行っておるわけだ。これは何も意識的にやったわけでも何でもない。ただ、非常に急速な――聞くところによりますと、あの部面では昼間七、八メートルしか風が吹いてないのに、夜間になると百メートルも吹くようなべらぼうなところがあるらしい。だから、非常に急変しておるということはわかるわけだ。それならそれで、そうした急変するような事態にあれば、それに対する対策というものが十分検討されなければならぬし、立てられなければならぬと思う。たとえば平常において定点観測をずっとやっておるがどうか、北洋もそうなんですね。きのうから日ソ漁業交渉が始まっておるわけだが、帰ってまいりますと、おそらく五月から行くでしょう。北洋は非常に気象が激変する。毎年事故を起こしておる。こういう場合、聞いてみますと、定点観測はすでに北洋のほうではやらぬそうですね。定点観測というものは単に海洋気象だけのためだとは私は解釈しない。これが中央気象台に報じられて、陸上におけるいろいろな気象関係観測については非常に大きな貢献をしておると私は思うのですよ。現在、日本の災害による農作物だとかその他の被害というものは大きいのですよ。これの一つの基礎になるのですよ。現実予算面から見てみまして、こうしたことが非常に軽視されておる。これはまことに遺憾でありますが、私はそう言わざるを得ないのですよ。そういう意味で、ぜひひとつ本格的なお取り組みを願いたい。二、三日前でしたか、もう一週間になりますか、伊豆でやった。これは船が古いとかあるいは漁業者のがめつい操業といいますか、そういった面もありましょう。ありましょうが、私は、そうした面がなおあったとしても、あらゆる官庁がもう少しこういう面について真剣になって取っ組んでいただきたいと思う、石炭対策ほど真剣になって取組めとは言いませんけれども。あなた、要求したのは七億なんです。その金を出してもらえぬようでどうする。質問の終わる時間が来たからやりませんが、あらためてどこかの委員会へあなたに来ていただいてやらしていただきます。これで終わります。答弁は求めません。
  139. 坂村吉正

    ○坂村主査代理 これにて赤路友藏君の質疑は終了いたしました。次に、田口誠治君。
  140. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は、小さな問題で質問いたしたいと思います。  農業共済組合の関係で、まず最初に職員の待遇改善を、全体的な観点からまず報告を願って、それから私のほうも順次質問していきたいと思います。
  141. 森本修

    ○森本政府委員 農業共済団体の職員の待遇の問題でございますが、共済組合の職員の待遇を改善する、士気を高揚するということは共済事業の運営上きわめて重要である、またそういった方面からの要請もきわめて強いことは御案内のとおりであります。そういう観点から、毎年予算上の措置といたしましても、職員の給与のベース、これを国家公務員のベースのアップ、それに準じまして増額をいたしてきております。最近の状況を申しますと、この三年ばかりは平均いたしまして一〇%以上給与の改定といいますか、増額をいたしております。さらに期末、勤勉手当等につきましても漸次月数をふやしてきておりまして、四十一年度の予算におきましても、〇・三カ月増額をして三・九カ月分にいたしております。それから新しく四十一年度から通勤手当を新設することになっておりまして、大体それらを通じまして四十年度予算と比較いたしますと、共済団体の事務費の国の負担額約六億程度増額して、共済団体の職員の給与の改善に努力しておるところでございます。
  142. 田口誠治

    田口(誠)分科員 国家公務員の給与改定は、現在の制度では人事院の勧告に基づいて、人事院の勧告を最大限に尊重してという形で決定されておるわけです。したがって地方公務員の場合には、それに準じておる。共済組合の職員の場合には地方公務員に完全に準じなければならなかったのですが、最近は大体それに準ずる方向になってきておりますけれども、まだまだ全国的には完全なものではないわけです。したがって、共済組合の職員も、公務員の給与を絶対下回らないという考え方で、それぞれ交付金等の措置を行なってまいらなければならないと思います。  そこでお聞きをいたしたいと思いますが、ただいまの御答弁でいきますと、国家公務員に準じてやるということになっておれば、したがって給与の面も大体国家公務員と同じようなベースになっておるというように考えられるのですけれども、実際に現在の平均ベースの実態を見ますと、大きな開きがあるわけです。あなたのほうで集計しておられる数字はどの程度の平均ベースになっておるのかお示しをいただきたいし、同時に国家公務員の場合をお知りになっておるかどうか。この点も伺っておきたい。
  143. 森本修

    ○森本政府委員 現在四十一年度予算で計上しております末端の共済組合の職員の給与ベースは、月額にいたしまして二万八百三十四円ということになっております。なお共済組合の連合会の職員でございますが、これは同じく月額で二万三千百二十四円ということになっております。  国家公務員の給与とどういう関係になっておるかというお尋ねでございますが、国家公務員に準ずるという場合におきまして、どういう国家公務員の号俸といいますか、に合わすかということが一つ問題になるわけです。われわれといたしましては、予算折衝の際等を通じまして、国家公務員と連合会なり組合の職員とのベースを考えまして、毎回ざっくばらんに、給与のべースを改定をするといいますか、なお増額をするようにという予算要求をいたしておるのが実際の経緯でありますが、先ほども申し上げましたように、例年給与ベースの増額もいたしておるというような関係もございまして、欲を言いますと――というとおかしいのですが、なお努力目標としては、若干高いところにはございますけれども現状のところはいま申し上げましたような給与ベースということでございます。
  144. 田口誠治

    田口(誠)分科員 最初の御答弁からいきますと、国家公務員の給与改定に準じて行なっておる、最近は一〇%のベースアップになっておるというお話であるから、そうなりますと、国家公務員と若干の開きがあっても、やや同じ金額が給与として支払われておるということになるのですけれども、私の調べた点では、ただいま報告のありましたように、連合会で二万三千百二十四円というような低い賃金であり、それから共済組合のほうでは、いまも御答弁がありました二万八百三十四円という、こういう低賃金で結局働いてもらっておるような次第です。したがって、そうなると国家公務員の場合とは一万余円開きがあるということなんです。一カ月の収入が一万円以上の開きがあるということになります。しかも私のほうの調べでいきますと、平均年齢というものが三六・七、三六歳か三十七歳。三十六歳か三十七歳の、家族を持っておるおやじさんが、結局二万八百三十四円とか二万三千百二十四円、こういう給与しか支給を受けておらない、こういうことになるわけなんですが、いままでの答弁内容で、数字的に相違はございませんですか。
  145. 森本修

    ○森本政府委員 第一回に御説明申し上げましたのと第二回目に申し上げましたのとの関連でございますが、最初に申し上げましたのは、年々の給与ベースの増額のテンポといいますか、増加率といいますか、そういう関係のことを申し上げたわけであります。第二回目に単価を申し上げましたのは、四十一年度予算に織り込んでおります給与ベース、絶対額といいますか、ある時点の絶対額、こういう関係数字を申し上げたわけであります。その数字関係におきましては間違いはない、こう思っておるわけでございます。
  146. 田口誠治

    田口(誠)分科員 平均年齢というのは、私が申し上げた三十六歳、三十七歳というところですか。これは間違いはないですか。
  147. 森本修

    ○森本政府委員 大体そのようになっておると思います。
  148. 田口誠治

    田口(誠)分科員 国家公務員の給与の平均ベースは御存じですね。正確に、いまお示しのあった金額と幾ら開きがあるか。
  149. 森本修

    ○森本政府委員 国家公務員のベースのほうは、私、いまちょっと手元にございませんので……。
  150. 田口誠治

    田口(誠)分科員 完全な、正確でない数字なら、私は給与の問題を取り扱っておりますから知っておりますけれども、いずれにいたしましても、一カ月に一万二、三千円という差があるわけです。したがって、どう考えてみても、今日の物価上昇のこの時期に、平均年齢三十六歳、三十七歳の働き盛りの人が、わずか二万八百三十四円とか二万三千百二十四円とかというような金額では、あまりにも低過ぎるのではないか、こう思って質問をしておるわけです。どうですか。低過ぎるとお思いにならないですか。
  151. 森本修

    ○森本政府委員 先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、給与の水準としましては、われわれとしてもこれで十分だというふうに思っておりませんで、なお待遇改善の必要性があるというふうに考えておるわけでございます。ただ一般の財政事情等々もございますので、今後予算折衝その他を通じまして、ひとつできるだけ給与改善には努力していきたい、こういうふうに思っております。
  152. 田口誠治

    田口(誠)分科員 大臣、これどうですか。いまお聞きになったように、共済組合の職員は二万八百三十四円、それから連合会の職員で二万三千百二十四円、しかもこの人たちは年齢が三十六歳、三十七歳になっておるわけであります。だから一軒かまえて妻子を養っていくというには、この金額ではなかなか生活ができないということなんです。そういうことになりますれば、これから最大の努力をするという説明でありまするが、もちろん努力はしていただくであろうと思いまするけれども、国家公務員、地方公務員との開きがこれだけあるものを、これからどのような年次的な計画をもって、どう変えていかれようとするのか、その計画をひとつお示しをいただきたいのです。そうでなかったら、これは共済組合の職員としてのほんとうにまじめな作業が続けられないのではないか、こう思うわけなんです。よくあまり好ましくないことをいろいろと聞くわけでございまするが、私はその話を聞くたびに、こんなに給料が安い場合には、その他から収入を得るような方途を考えるのはいいことじゃございませんけれども、食えぬ場合には、食うためには手段を選ばずで、いろいろなことを考えるが、何とかしてこれらの人々の生活も、最低限度の生活ができるような給与を払ってやらなければならないのではないか、こう考えておるわけなんですが、大臣のお考えはどうしようとするのか、これを承りたいのです。
  153. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 田口委員のいまの指摘された点でございますが、確かに公務員と比較してあまり十分ではない。したがいまして、先ほど経済局長からお話し申し上げましたとおり、でき得る限りこの国庫補助の増額等をほとんど毎年のようにいたしまして、その線に到達するように、毎年努力いたしておるわけでございます。非常によく働いていただいておるのでございまして、したがって、この共済事業もたいへん最近よく進めていただいておることを感激いたしておるものであります。いま申しましたように、毎年それに近づくべく最善の努力を払いたいこう考えております。
  154. 田口誠治

    田口(誠)分科員 単なる国会での質問と答弁だけでなしに、よくこの実態を知っていただいて、それではこの格差を何年かかって解消するのか、それともほかの方法考えるのか、これは何か考えてもらわなければならないということで私は質問をいたしておるのです。それは毎年ベースアップの面ではそれぞれ予算獲得をしてお骨折りをいただいておるし、どれだけかは上がっておりまするけれども、だんだんと格差が多くなるばかりで、縮まっておらないわけなんです。だから私は、これを何年かかってどう縮めていくかということになれば、たとえて言うなれば、去年六・四%の国家公務員の賃金上昇だったけれども、共済組合の職員のほうは一〇%上昇していった。これを計算していけば何年先にはどうなるということの一つの算術はできるわけですし、まあそういうことは別にして、いずれにしても、これだけ大きい格差を持っており、しかも年齢が二十四歳や二十五歳ならまだまだしんぼうはできまするけれども、りっぱに妻を持ち、子供の二人くらいは持ち、そして年寄りもかかえておる三十六歳、七歳の人が、多い人でわずか二万三千百二十四円というようなことでは、とてもこれはまともな生活ができるものではないわけなんです。こういう水準で生活がそれぞれ地域でできるという大臣のお考え方なら、私はこれから地域開発の全般の問題についてもいろいろと御質問を申し上げて、この問題と結びつけをしていきたいと思うのですが、もう少し具体的に、ただ努力する、最大の努力をするということだけでなしに、こういう格差のあることは事実であるから、これはいけない、いけないからこれを今後どうして解消していくのか、そうして、いまの力をもっては解消することができぬのならできぬ、その点ははっきりしてもらわなくてはならないと思う。
  155. 森本修

    ○森本政府委員 国家公務員と共済団体の職員の給与ベース格差、これは先ほど申し上げましたように、最近の上昇率から見ますと、格差が縮小の傾向にあるということでございます。将来どういう具体的な計画で縮小していくかということでございますが、何といいますか、財政問題ともからむわけでございまして、具体的にいま計数をもって計画的なことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、できるだけそういう方向に向かってさらに努力を続けていきたいというふうに思っております。
  156. 田口誠治

    田口(誠)分科員 全国の共済組合なり連合会につとめておる職員は、これは管理者を含めて強い要望があるわけなんです。だから今日この安い賃金をどう今後ベースアップしていくか。国家公務員、地方公務員に準じてベースアップしていくということですから、それではどういう年次計画でこの問題を解決していくかということについては、きょうお持ち合わせの資料がないようでございますので、ないものを申し上げておってもやむを得ませんので、これはここ一日、二日を急ぐものではございませんが、近いうちにあなたのほうのそうした一つのプランを私の事務所のほうへ資料としてひとつお届けを願いたいと思います。そうして、なおそういう線に沿って今後職員の待遇改善に努力をしていただきたいと思いますが、その点はよろしゅうございますか。
  157. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 各方面ともいろいろ御相談をしなければならぬ問題ですから、プランとしてお示しすることはいま直ちにはできませんけれども、いま申しましたように、でき得る限りそれに近づける、また現に近づきつつありますので、その方向に努力を払っていこう、こういう覚悟でございます。また一つは、共済組合並びにその連合会の予算関係もありますことでありますし、国の助成というだけでもいきませんので、それらの関係もまた個々の農民の共済金額にも関係することでございます。それらの関係を全部ここで計画を立ててまいらなければならぬわけでございます。もちろん最近共済関係についてはいろいろの問題がございましたけれども、いろいろ改正を加えられまして、新体制のもとにおいてせっかく成績があがりつつあるときでございます。したがいまして、これらについて非常に努力をしておる職員の面については、私どもは誠意を持ってこれらの問題を解決していきたいという点については、これはひとつお認めを願いたい、こう思います。
  158. 田口誠治

    田口(誠)分科員 まじめな坂田農林大臣が、誠意を持って善処するということでございますので、このことは単なる私に対する答弁だけではなしに、全国の共済組合につとめておる職員もそのとおりに受け取りまするので、ひとつ完全にただいまのお約束を果たしていただくように強く要望申し上げまして、これだけで私の質問は打ち切ります。
  159. 坂村吉正

    ○坂村主査代理 これにて田口誠治君の質疑は終了いたしました。  次に、大村邦夫君。
  160. 大村邦夫

    大村分科員 私は鳥獣害の防除対策について、関係の向きに御質問なり御意見を申し上げたいのです。  私が政府の資料等でいろいろ調べてみますと、農作物の病虫害がきわめて多い。その額は年々三千億円にも達する、こういうように聞いておるわけです。稲作の病虫害で三百億円、あるいはその貯穀虫害で三百億円、さらに白アリ三百億円、マツクイムシ二百億円というふうに拾ってみますと、なるほどそれくらいの額になります。しかもその他年々のロスといいますか、たとえば三百億円にのぼる農薬、あるいは百五十万台に近い防除器具の維持償却費、またこれに当たる延べ一千万人もの作業者の労賃、こういうものを積算すると、病虫害による被害というものは全く驚くものがあります。  これだけでも農家にとってはたいへんなことですが、この部門には、大臣も御承知のように、この被害による以外に有害鳥獣による大きな被害がございます。これも政府の統計を見てみますと、少し古いのですが、スズメによる稲の早期栽培及び晩期栽培の被害は、栽培体系がだんだん複雑化してまいりましてから、増加の傾向にある。全国の推定被害は、東京都の十日分の食糧に匹敵する二万四千トンに達する、こういうことが政府統計の中にうかがわれるわけです。これだけならまだしも、そのほか野ネズミとか、ウサギとか、イノシシとか、そういうものの被害も相当あるのでございまして、林野庁の推定によりますと、有害鳥獣による森林だけの被害でも年間三十億円あるといわれます。これに農作物の被害を加えると、相当多額になると思うのでありますが、一体農林省は有害獣による農作物の被害をどの程度把握しておられるか、森林関係以外についてお尋ねをしたいのです。   〔坂村主査代理退席、主査着席〕
  161. 福森友久

    ○福森説明員 森林関係についてのみの被害については、ウサギ、イノシシ等ございますが、農作物等の有害の鳥獣の被害についての資料は正確なものは把握されておらない次第でございます。
  162. 大村邦夫

    大村分科員 それでは以下説明をいたしますが、森林関係には保全的な法律があって、保護を受けている。農林関係については、農作物については政策不在なんですか。それとも取り組む意思がないのかどうなのか、大臣に答弁を願います。
  163. 福森友久

    ○福森説明員 鳥獣のみによる被害については正確な資料はございませんので、したがいまして、被害額等については十分把握しておらない現状でございます。
  164. 大村邦夫

    大村分科員 私は事前に有害鳥獣の関係、特にイノシシを対象にしていろいろ国の対策につき御質問するということを申し上げておりますが、ないそでは振れませんが、しかし私は非常にこれは問題があると思うのです。なぜか。それは御承知のように、農作物関係についてはイノシシ等を中心にして被害が非常に多いですね。大臣も御承知のように、農作物をつくると、それが天候つまり雨や風や雪、そういう気象に左右をされる。それに関連して病害虫にやられ、そうして粒々辛苦やっとその農作物が実りかけたころに害獣にやられる。イノシシあたりは、私は農村の出身ですが、一晩に一頭で一反、二反の農作物、米あるいは野菜、イモ、こういうものを荒らすのは簡単なことなんです。そういうものについて、農民に増産の意欲を持たせなければならない、自給体制云々といわれておりますが、必ずしもそうではない。外米をかなり入れなければならない。なるほど安い米を入れればそれで済むようなものですが、しかしそれだけでは国家的な立場から許されない。じゃ、なぜ農民が意欲を持って増産にはげむような体制が確立されないのか。そのためにはこういうものについても、大臣、真剣に取り組んでやらなければならないと思うのです。たとえば非常に盆栽の愛好家がおって、一生懸命で盆栽を育てた、それがだれかのいたずらによって、悪意によって引っこ抜かれた、そういうときの心境といまのお百姓さんがせっかく育てた農作物をやられる心境とはまた違いがあると思います。片方は愛玩といいますか、趣味でしょう。片方は生活権の問題です。そういうものについて被害がわかりませんというのは――なるほど、それはイノシシ、野ウサギ、野ネズミ、シカとクマと、そういうものを総合したものはわかりますが、イノシシだけを再区分せいといえばわかりません、こういうことかもしれませんが、しからば鳥をのけて害獣の年間被害総額は幾らくらいと推定をするか、これについてお尋ねをいたします。
  165. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 ただいまの大村さんの御質問、ごもっともだと思います。実は、スズメの被害なんというのは最近は比較的問題になることはない。しかし事実は非常に多い。以前はもうたいへんな被害だった。それからしてイノシシに至りましても、私もサツマイモの増産をやったことがありますが、イノシシの被害が出たら、その地帯はもうさっぱり徹底的にやられたということもございます。野ウサギの問題もさようでございまして、いま大村分科員の御指摘の点は確かにそのとおりだと思います。ところが農作物に対する被害全体の調査がいまのところないことは、まことに遺憾であります。しかし部分的にはそういう被害が出ましたときに、いろいろと陳情もあり、また県との連絡もありまして、それらに対する災害の防除の問題なりあるいは駆除の点なり、それらについてはよく連絡をとって、連絡のとれない場合もあるでしょうけれども、連絡のとれるところに対してはそれぞれの手当を加えておりまするわけでございます。
  166. 大村邦夫

    大村分科員 まあこれは把握するにはいろいろ予算を伴うし、対大蔵省との折衝とか、大臣の気持ちだけではいかない面があることは承知しております。しかしそれにしても、いま言うようにどれくらいの被害があるかと言えば、部分的にはわかるが、あとは推定もできない、ちょうど中小企業の倒産云々といわれるが、一千万円の統計はあるが百万円以下は国にはない、これで一体倒産対策がどうかというのと同じことだと思うのです。非常に私はこの点遺憾です。だがいろいろ文献等を、統計等を調べてみますと、農林省の神戸の防疫所ですかの班長さんか係長さんかの談話が、いまから三、四年前の新聞に出ております。それによりますと、イノシシでございますが、昭和三十六年三月末推定生息数六万六千、そうしてさらに七カ月置いた十月末の全国生息数は十万四百六十頭。つまり四月から十月までの七カ月間に三万四千頭もイノシシがふえておると私は思うということが言われておるわけです。そういうふうにイノシシはだんだんふえる。だから被害額も相当なものにのぼるということは予測できると思います。それは七億か十億か、この人によりますと、若干森林を含んでありますが、三十六年度でございますが、イノシシだけで七億三千九百万円くらいあるだろうということを言っている。さらに見てみますと、イノシシ一頭でどれくらいの被害になるかというと、約一万円くらいの被害になる。そしてこの生息数と、それからこれは推計ですが、捕獲された頭数、そこから今度さらに繁殖率等を検討してみると、イノシシはだんだんふえておる。こういうことを実は言っています。このことは、山口県でも、私の地元でも言えることでありまして、ここに地元紙の切り抜きを持ってまいりましたが、最近ではイノシシの食糧がないということで、だんだん山から人家のほうにおりてきます。どうして山間地帯の農家におりるかといいますと、実は周南工業地域、徳山、出光興産の石油コンビナートがあります。これに隣接をして南陽町というのがあります。これはほとんど工場地帯です。ここまでイノシシがあばれ出るわけであります。問題になったのです。大騒ぎをしてやっと捕えたことがあります。そういう状態。あるいはこれは徳山のちょっと奥になりますが、もうやり切れないので四国からイノシシ狩りの名人を五名雇って、それに依頼をしてイノシシの捕獲をやった。その戦果は大体二カ月間で九十五頭。わなであります。そういうもので捕獲をせざるを得ない。それはなぜかといえば、国なり県なりがそれほど積極的にめんどうを見てくれないから、自己防衛であります。そういう形になっておるのですから、国としてももっと私は積極的にやってほしいと思います。釈迦に説法かもしれませんが、森林関係には、大臣御承知のように森林病害虫等防除法というのがございます。これはどこまでも森林樹木を守り、あるいはそれを管理し、所有しておる人の生活権を守るという立場から、こういう法律が制定をされております。そうして、その法の内容を見てみますと、病虫害の駆除命令あるいはこれに従わなかったときの罰則、立ち入り検査、それから損失補償、さらには国庫補助、こういうものが規定をされております。つまり国の森林行政に対する積極さがうかがわれるわけであります。ところが、今度農林関係を見てみますと、遺憾ながらこれが見当たらない。しいて言えば、「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」というのがあります。これはどこまでもこの法律の名が示しますように、どういう鳥はとって悪い、それ以外はとっていいということになるのでしょうが、あるいはまた狩猟上の制約ですか、たとえば、「爆発物、劇薬、毒薬、据銃又ハ危険ナル罠若ハ陥穿ヲ使用シテ鳥獣ヲ捕獲スルコトヲ得ス」とあって、そういうことが規定されておるわけであります。  そこで、これだけはとってはならないということは、逆にこれはとってもよろしいということでしょう。そのとってもよろしいというものについては、これはいわゆる害鳥獣でありましょうが、ほうっておくと、森林だけでなしに農作物等を荒らすということから、若干これに予算が計上されております。おりますが、県等について一体どういうようにやっておるかといえば、法律の実施にあたって、県は毎年鳥獣保護事業計画というものを立てて、その中に有害鳥獣の駆除に関する事項を設けることになっておると思うが、しかし私の調べた範囲内では、これが十分行なわれていないと思うのです。行なわれているならば、ひとつ御説明を願いたい。つまり、私の言わんとするのは、樹木と農作物との比重は一体どっちが重いのか。大臣、樹木のほうはいま言うような保全法律があります。農作物については、狩猟上からあるいは鳥獣の保護から設定をされているその法律だけである。そうなりますと、私ども一体樹木が大事なのか、農作物が大事なんですか、こういうことがただしたくなるわけなんです。えらい理屈を言うようですが、大臣のお考えをひとつお尋ねをしたいわけです。森林には保全法律がある。片方にはない。投げやりだ。
  167. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 樹木も農作物も別に軽重はない、いずれも大切だと思うのでありますが、ただ、現在有害鳥獣の駆除の問題については、山のほうがふえん的であるということから、林野庁において便宜これを取り扱っておる経過をたどってきておるものであると私は思います。あるいは違うかもしれませんが、大体そういうふうに自分は思っております。したがって、どっちが重いとか軽いとかということはございません。したがいまして、イノシシの害なんというものは、私も、直接ではありませんが、ずいぶん陳情を受けたり、事実イモがイノシシによって非常に大きく被害を受けたということ、それらの陳情なりあるいは申請なりがありまして、県のほうからもあったことはございます。そういうときには、県と一緒になって、これらに対する捕獲するためのさく設置の補助を出したり、そういうこと等をやってないったのでございまするが、御指摘のどちらが重要かという問題は、これはいずれも重要でありまするが、ただそういうことでふえん的にある林野、したがって林野というところで便宜それらの問題を扱っておるといういきさつ、そういう従来の経過から来ておることであろう、こういうふうに思います。
  168. 大村邦夫

    大村分科員 どちらが大事かといえば、どちらも大事だと御答弁になるのは、それはごもっともだと思いますが、実際に国の施策としてやられておることを、裏を返して言えば、そういうことを聞きたくなるのです。林野庁が農作物関係について、全然農作物を荒してもいい、木材だけ守ればいい、そういう立場でないことはわかるが、国の予算の裏づけなりあるいは法律の対象等を見ますと、イノシシとか野ウサギというものは、森林の保全法の中には実は全然ないのであります。予算面からいろいろ私は指摘を申し上げますが、防除対策費を、四十年度について見ますと、国営防除費が千四百七十四万五千円、それから損失補助金が三千四百五万七千円、さらに県が三分の一、国が三分の二負担をする補助事業費が二億五千九十二万八千円あります。総計二億九千九百七十三万円ということになります。それから四十一年度分を見ますと、国営防除費が二千百十七万四千円、それから損失補助金が二千七百五万八千円、そのほかに補助事業費が二億九千三百六十二万六千円、合計三億四千百八十五万八千円、これらのほとんどは実は森林の保全対策費でありまして、イノシシとかなんとかいうものはほとんど入っていない。どの程度入っておるのか調べてみますと、この中で四十年度は二百九十一万円、四十一年度は二百九十二万二千円、それは主としてイノシシの捕獲さく、それから野ウサギ、こういうものについての対策費であります。ですからほとんどは森林のマツクイムシとかいろいろ樹木に害を及ぼす害虫の駆除に充てられて、イノシシというようなものについての予算というものはほとんど見当たらない。しかも四十年度と四十一年度ですね、有害病虫害の対策費は一二%ぐらい増になっている。ところが、イノシシのほうは横ばいでございます。四十年度は二百九十一万、四十一年度は二百九十二万円、これは全然変わっていない。ということは、ただいま林野庁で云々と大臣は言われましたが、やはり農村関係については、農作物については冷淡である、不在である、こういうことが指摘をされるのですが、一体、なぜ森林の病害虫については一二%も増にし、イノシシ対策等、有害獣についての対策費については横ばいにしたのか、この点をひとつお尋ねしたいのです。
  169. 福森友久

    ○福森説明員 最近の森林の病害虫につきましては非常に激増いたしておりますので、この点につきましては、今年度、予算も増額いたしまして、これに対処いたした次第でございますが、有害獣駆除費につきましては、最近の傾向といたしましては、そう増減がないもの、このように考えておる次第でございます。
  170. 大村邦夫

    大村分科員 あなたはないものとおっしゃいますが、被害額はどのくらいかと聞いたら、それはわかりませんとおっしゃるでしょう。それはわかるはずがない。ずいぶんあるのですよ。それは山口県から兵庫、京都、それから静岡、三重県もそうだそうですが、ずいぶんあるのです。繁殖をしますね。先ほど言いましたように、四、五年前の統計ですが、七カ月間で五割も繁殖をする。山口呉でも千二、三百頭毎年捕獲をされておりますが、推計される生息数から見ると、補獲数はかなり少ないのです。繁殖率はいいのですから、ふえざるを得ないのです。ふえるということは、が多くなるということなのです。こういう点については、予算折衝で大蔵省が削ったというなら、大蔵省はけしからぬといえるけれども、肝心かなめの家元がそういうような認識では、これは私は問題があると思う。この点どうでしょうか。
  171. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いわゆるイノシシの害とかいろいろ問題がありますときには、これは大体全部に普及しないものですから、その地帯は非常に大きな被害を受ける。したがって、その土地からの申請があったり、それから申し出があって、ほんとうにひどいときには、予備費でこれを処理してまいります。たとえば今度の場合でも、野ネズミの被害が非常に多くて、予備費で相当支出しておることもあります。そういうわけで、これらは前もって準備しておっても、そのとおりイノシシが出ぬ場合もありますから、結局その必要があったときには予備費支出でやります。そういうことがあったなら、ひとつ御遠慮なく出していただきたいと思います。
  172. 大村邦夫

    大村分科員 イノシシは生息地が特定だとおっしゃいますが、大体全国的なのです。もう北海道とか東北の一部を除いては、大体は同じような傾向です。しかもこれは一夜で二十里くらい走るのですよ。御存じですか。そんなけだものなのです。ここにおったかと思えば、またあちらで、何やらじゃないが、そういう調子なのです。これは大臣、認識が少し違います。  それから四十年度については、この種のものに二百九十一万円予算を計上、これは補獲さく等の補助金ですが、この程度では、私の認識しておることから言えば、各県から申請が殺到して、補助金のワクの数倍にのぼっておる。これは昭和三十七年の日経からのあれですが、今日でもイノシシはだんだんふえておりますから、私は相当な申し込みがあると思いますが、いつでも御遠慮なしにおっしゃってくださいという態勢なのですか。昭和四十年度の補助金をめぐってどれくらいの申請が出て、そのうちでどれくらい補助したか、これをお尋ねしたい。そこからいけば私は解明できると思うのです。
  173. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 私がいま申しましたことは、イノシシについて申したというよりも、災害の問題のときには、多くはそのつどその災害に対して対策を立ててまいりますので、もちろん農林省も、国全体としても、予備費は持っておりますけれども、それらの使途については、その被害とか、あるいはこのときにはどういうことが一番きき目があるかとか、そういう点について関係庁の間で十分打ち合わせをして、そしてその災害等を克服するために必要な場合においてそれぞれの手段を講ずる、こういうことでございまするので、そういうときにそれらの問題をさらに考えていけるであろう、こういうふうに私は申し上げたわけでございます。
  174. 大村邦夫

    大村分科員 大臣の決意のほどがわかりましたが、御善処をお願いしたいと思います。  森林関係で言えばマツクイムシですが、これは重点県を設定して、四十年度は六県、四十一年度は八県を全額国庫負担でやる、こういう内容になっております。イノシシ等も全国的に繁殖をしておるのですから、そう重点県の設定というのはむずかしいでしょうが、その中でもおのずから多いところと少ないところ、高低はあるでしょう。そこで、一県から他県にとまたにかけてイノシシが一夜で走るほどの馬力はありませんでしょうから、大体同じ県を行ったり来たりうろうろするのでしょうから、重点県を設定して、ことしはどことどこの県を重点的にやる、ただし他県は知らないぞという意味じゃありませんが、そういうふうにして重点施策を講ずるというのも一方法だと思います。この点は大臣ひとつ御検討をいただきたい。  それから猟友会との関係がございます。これは参考までに申しおきますが、もともと狩猟というのは趣味と実益を兼ねて行なわれるものだと思います。だからイノシシがたくさん来た、これはたいへんだ、ひとつ積極的に協力しようというので、自分の職業、生活を投げて、いつもイノシシを追い回すというわけには狩猟会の人はいかないでしょう。協力はしてくれます。しかし、これは巻き狩りをやりましても、大山鳴動してネズミ一匹と申しますが、なかなかとれないのです。このことも地方紙の中でいろいろ出ておりますが、過日も私のところで十八人のハンターが協力をしてやりましたら、とれたのは一匹、おまけに大事な愛犬がイノシシにかみつかれて、何とか補償してくれぬかという問題が起きたようです。地方によりますと、それでもかなり協力をしてくれますが、地方によってはあまり協力をしない。そこでしょうがないから、先ほど言いましたように、四国のほうから名人を連れてきて、わなをかけてやる。ところが、狩猟法によって危険なわなは禁じられております。危険とは何ぞや、人体なりその他に傷害を及ぼし云々ということだろうと思いますが、わなというのは多かれ少なかれ危険なものであるわけです。その危険なるわな云々というところをたてにとって、狩猟会の諸君は犬がひっかかるからわなをかけられては困る、人体にも危険を及ぼすという。人体に危険を及ぼすかどうかは別にして、犬がかかることはあるでしょう。おまけに、わなをかけますと、先ほど例をあげました四国のイノシシとりの名人ですが、二カ月間で九十五頭の戦果があがった。イノシシ九十五頭、このほか野ウサギ四十匹、タヌキ十匹、キツネ四匹、テン三頭の付録もかせいだと書いてある。そうしますと狩猟会の諸君はいい顔をしませんよ。野ウサギなんてかっこうの対象になるでしょう。そういうものをわなでついでにやられたら、これは趣味と実益も生かされませんよ。そこであぶない、あぶないということで反対するわけです。それじゃ狩猟会に頼んでやってくれるかといったら、そう期待もできない。一方、国の保護政策もあまり十分でない。そこでだんだんふえる。こういう関係があるということをひとつ念頭に入れて、より積極的にやってもらいたい。  それからもう一つ。私の地元というよりお隣の県の宮島ですね。シカの放し飼いをやっている。これは神のお使いとか神の権化とかいうのですが、戦後一時は減少をいたしましたが、今日ではかなり繁殖をいたしました。同じ地帯に開拓団が入っている。これはおそらく農林省の御推奨だろうと思う。ここに防護さくを設けている。ところが、シカは人間以上に大事にされ、遠慮はない。神のお使いというので、どんどんさくを越えて農作物を食い荒らす。杉の苗木を荒らす。そこでお百姓さんはたまりかねてついに銃殺した。それからまた、物語みたいになって恐縮ですが、あまり憎いのでシカの皮を、坊主憎けりゃけさまで憎いで、なめし皮にした。そして肉は食べた。さあそこで神社側はかんかんにおこって告発をする。おそらく手続はとられておると思います。こうなると、これはまた問題なんですね。一体、人が大事なのか、けだものが大事なのか、そういう問題を惹起しておる。シカはシカで観光用とか、あるいは神のお使いで大事にすることもいいでしょう。しかし私は、人間のほうがより大事だと思います。そういう点について、ちょっと大上段に振りかざして恐縮ですが、人間尊重がないじゃないか。私の同僚の議員の森君のお話によりますと、奈良でも春日神社のシカがやはり農作物を荒らす。ところが、神社側のほうでは、なかなか御理解があると見えて、そういうときには農民と話し合ってその損害を補償してやる、こういうことになっておるようです。しかし補償をすればそれでいいじゃないかだけでも済まない問題があると思います。農作物つまり国民の食糧なんですから。いまの不況の中でどんどん景気のてこ入れをやって、大企業に資金をつぎ込んでカンフル注射をやって、それから企業を振興して末端の消費需要の喚起をやるという、これも確かに大事ですが、せっかくできたものをイノシシやその他にどんどんやり、これを野放しにするより、金をかけてもプラス・マイナスしてプラスになったほうが、私は気がきいていると思う。そういう立場からもぜひお考えを願いたい。人間なのか、けだものなのか、どっちが大事か。私えらくいきまいて言いますが、農民の苦労を思えば、まだ言い足りないのですよ。もっともっと真剣に考えてもらいたい。都会にいてでき上がるものを食べれば、なかなかこれは観念的には私の言うことはわかっても、ほんとうに体験的というか、実感的にそれが受け取られない。農林大臣はおわかりだと思いますが、大蔵官僚あたりはわからぬでしょう。もう少し考えてもらいたいと思います。  いろいろまだ言い尽くせないところがありますが、時間の関係でやめますが、大臣、くれぐれもお願いします。有害鳥獣なかんずく害獣の捕獲について真剣に取り組んでいただきたい。森林行政の立場でなしに、農政行政の立場から特にこれを重点的に進めてもらいたい。それによってずいぶん農民は増産意欲を燃やすでありましょう。私の地元ではだんだん離農がふえました。特に山間部に行くと、そこの四、五軒ある家がごっそり離農するのです。聞いてみますと、一軒が離農すると田畑が荒らされる、そうするとイノシシはそこに食糧がないから次に移る、またそこがたまりかねて移る、そうするとまたイノシシは次の田んぼ、結局はその付近、これが五、六軒ですが、集団で離農をしていく。祖先伝来の畑ですから、そう簡単には手放したくはないでしょう。農業が採算に合わないといいながらも、一生懸命がんばっておる諸君が、そういうことから離農していく。これはやっぱり問題でしょう。日本全国で毎年一千町歩からの田畑が荒れているようでありますが、その中にもいまのような害獣による被害を受けて、いたし方なしに村を離れていく連中があるということを、ぜひ頭に入れて、その施策に積極的に取り組んでもらうようにお願いしまして、私はこれで終わります。
  175. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて大村邦夫君の質疑は終了いたしました。  次に、玉置一徳君。
  176. 玉置一徳

    玉置分科員 私は、年末の日韓国会におきまして、韓国ノリの輸入につきまして質疑をいたそうといたしておったのでありますが、御承知のとおり荒れてまいりまして、私の質疑はできませんでしたので、時間もございませんから内容をはしょりまして、今日の問題としてひとつ取り上げて質問をいたしてみたい、こう思います。  御承知のとおり、韓国との国交正常化によりまして、韓国経済の立て直しにわが国が協力することにつきましては、どうしても貿易の片貿易是正せなければならない。しかるに、急速に間に合うものといたしましては、一次産品以外に輸入するものは見当たりません。したがって、それのまた一番大宗といたしましては韓国ノリ並びに魚介類の輸入を韓国としては強く要望しておるわけであります。私は、日韓国会に入る前に、民主社会党を代表いたしまして視察団として現地の状況を視察に参りました。韓国の政治経済、各界の方々と懇談をしてまいりましたときにも、非常に強く胸を打たれましたのは、日韓問題とは韓国ノリの輸入と見つけたりというぐらいに、各地どこへ参りましても、あらゆる階層の方々から、このことは強く要請せられました。この問題は、なお流通経路をもう少し明朗にしてくれという問題を含んでおったのであります。こういうような意味で、ひとつ大臣並びに当局の方々と御相談申し上げたいのは、ただいま申しましたように、日韓の国交正常化というものは、結局は韓国の一次産品をなるべく出す、買い付けの要請に沿うことによりまして、一日もすみやかに日韓の貿易の均衡をとり、韓国の経済の立て直しに資するということだと思うのですが、また、片やわが国は、わが国の国内産品の振興のために多額の輸入がそれの圧力にならぬようにという要請がございます。こういう二つの相反した要請の中で、韓国の要望になるべくこたえてあげるというようにせなければならぬわけですが、先般、新聞を見ておりますと、大臣は日韓貿易会談で、この三月ごろには向こうの一次産品買い付けの大体の数量を出すやに承っております。四億枚ないし四億五千万枚の買い付けの要請を向こうはしておるやに承るわけでありますが、私の聞くところによると、ことしの国内産のノリの作況は非常に悪いように聞いております。ことしの作況で、大体どのくらいにできる見通しをお持ちになっておるか。したがって、これは会談の要望の技術的な面があると思いますので、ここで完全には言い尽くし得ないと思いますけれども、それから見れば、大体どのくらいの程度は買い付けられるのじゃないだろうかというようなお見通しをお漏らしいただきたいと思います。
  177. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 この前、昨年の暮れでございましたか、日韓条約全体の批准書交換の際に参りましたときに、車農務長官とお会いいたしまして、いろいろこの点について、ノリだけではございません、漁業、農林業全般にわたってお話し合いをいたしました。日本としては、一次産品の問題もあるが、なお全体の技術指導という問題については、でき得る限り御援助しようというような問題、それから経済の交流等についても、いまお話しのノリの問題は、やはり相当向こうとしても重視しておりますこともよくわかってはおりましたが、さらにその韓国としての重要さもわかったわけでございます。しかし、これは国内の生産量その他との問題等もありますので、当時幾らということを、数量をきめるわけにもいきませんし、いずれ日本国内のノリの生産も三月過ぎ、まあ三月末か四月ごろに大体いろいろなこともわかろうからして、そのときいろいろ貿易会議等も、また話し合いをいたしまして、数量その他についても御相談をしよう、こういうことで別れておるわけでございます。  昨年の春の会談のときに、これは私ではございませんが、ちょうど会談のときの話によりますと、大体二億ないし五億の範囲内において日本は輸入する。ただしその際においては、日本国内の漁業者の、零細な沿岸漁業のまた唯一のノリでありますから、それらの日本の沿岸漁業者に著しい悪影響を与えるということでは困るから、国内のそういう沿岸漁業者に対して大きな悪影響を及ぼさないような体制を整えた上にさようなことに進めようという話し合いであったのでございます。昨年はそういう点から、この国内の体制等も非常に理想的のところまでいきませんけれども、一応の体制を整えまして、そして二億五千万枚ということで昨年きまったことは、これは玉置委員もよく御存じであると思います。そういうことで進んでおったわけでございますが、その後輸入関係につきまして、価格等について打ち合わせが十分うまくいかぬので、かなり長らくかかりましたけれども、去年の十二月十五日に価格も内定というか、決定というか、話し合いがきまりまして、二億五千万枚の輸入をいたすことにいたしたのである、こういうことでございます。  しからば四十一年度の場合はどうかという問題でございますが、これはいずれまたそういう会合のときに両方でよく話し合いをしてきめたい、こういう考えでございます。
  178. 玉置一徳

    玉置分科員 大臣の非常に長い答弁、私の質問しておるところじゃないところまでずっと長く言われましたので、質問時間がなくなりまして、私が一番答えてほしいところが聞けなくなってくるわけです。ですから、質問時間が若干延びることをあらかじめお許し願っておきまして、簡潔にお答えを願いたいと思うのです。  水産庁次長にお答えを願いたいのですが、ことしのノリの作況はどのくらいであって、そういう点から考えたらどのくらいを相当と思われるか。
  179. 石田朗

    ○石田政府委員 ただいま玉置先生から御質問がございましたが、ノリの生産につきましては、大体二月末がまいりませんと実態がはっきりいたしてまいりません。私ども現在各地の資料を取り寄せまして、どの程度生産になるか、これを検討いたしておるところでございまして、私どもまだ本年の生産量が幾らであるかを申し上げるだけの材料を持ち合わしておらないわけでございます。ただ先生から当初お話がございましたように、本年の作は一般的によくない、去年は四十三億枚の生産がございました。これを相当下回るのではないかということがいわれていることは事実でございます。計数的にこれを幾らと申し上げる段階にはまだ達しておらないわけでございます。  ちなみに申し上げますと、韓国側におきましても、やはりノリは不作であるやに聞き及んでおります。韓国側からも、まだ幾ら買ってくれとの公式の申し出は私ども受けておらないという実態でございます。
  180. 玉置一徳

    玉置分科員 いま何枚とれるということをきちんと当てろという質問じゃない。ことしは大体不作でありますとか、去年よりは相当下回ると思います、したがって去年の二億五千万枚の買い付けよりは若干上回るのが常識でありますとか、何か言わねと――一枚ずつ勘定して持ってきてくれと言うているのじゃないのだから、まことに不親切な答弁だと思うのです。  そこで水産庁次長にもう一度お伺いしましよう。  昭和三十六年度の五月、衆議院農林水産委員会は、「最近の国内産のりの生産状況及び今後の沿岸漁業振興対策事業のうちに占めるのり養殖業の重要性にかんがみ、政府は、流通の改善等によってのりの消費を拡大する措置を講ずることとし、其の効果のあがる迄の間は、韓国産のりの取扱については年間一億枚を限度とするよう措置すること。」こういうように決議をされておるわけであります。なお昭和二十九年の五月の参議院の農水の決議でございますが、これまた韓国ノリの輸入は国内ノリ生産業者に少なからぬ経済的打撃を与え、ノリ業者は生産意欲を失いつつあるから、政府は将来輸入を禁止すべきである、こう書いております。そこで私が質問申し上げたいのは、昭和二十九年に十六億枚くらいの国内ノリの生産量でございましたのが、だんだんと技術の進歩改良によりまして、三十九年には実に四十三億枚になっている。十六億枚のところに一億枚というので大騒ぎをしておることも若干私は大げさではないかと思う。一割未満、五分程度であります。ましていわんや四十数億枚になっている今日、一億枚で大打撃を受けるというような言い方は、若干オーバーじゃないか。しかも御承知のとおり、われわれ若いころは、ノリ巻きなんというのは家で通常やっておったのが、このごろはノリなんというものはなかなかわれわれの一般家庭には入りにくい貴重品になりつつあるわけであります。そういうような意味では、国内産のノリ生産者を保護すると同時に、消費者のことも考えなければいかぬ。これが一般の農林行政だと思うのです。そういう見地からすれば、四十数億枚になったときに、私は一割くらいの生産量というものは、流通過程のくふうによっては、さして生産者の大打撃というようなことはあり得ないと思うのですが、水産庁次長、率直にお答えをいただきたいと思います。
  181. 石田朗

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話のございましたように、ノリの生産は最近急激に伸びてまいりました。現在、三十九年におきましてはいまの四十三億枚に達しております。したがって、前に輸入の問題が、一億枚に輸入限度を押えられました時代、二十九年当時におきまする輸入ものの比率に比べて、現在におきましては、輸入ものの国産に対する比率は非常に減っておるではないかとおっしゃる点、そのとおりであると思います。ただ、このように急激なる増産が行なわれましたために、これがほんとうに消費され、消化されるというためには、実は関係者の非常な努力によりまして、ようやくこれだけのノリが消費され、価値が実現されるという結果を来たしておるわけでございます。したがいまして、一面におきましては、国内ものと輸入ものの比率という点を勘案いたし、一面におきましては全体の需要拡大の伸び、それに対する生産及び需給のバランスというものを考え、かつまた、ただいまお示しがございましたように、生産者の立場考え、かつ消費者の立場をも十分考えまして、現在割り当て制度をもってこのノリの輸入をやっております。この輸入割り当て制度を十分活用いたしまして、適正なる量を適正なる時期に輸入する、こういうことで進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  182. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで、日韓国交正常化をたてにとるわけではございませんけれども、一たん国交を結びました日韓の関係におきましては、せめてノリの生産ででも向こうの要請につとめて沿うてあげなければ、私は、もうあとのことは何にも信用できぬじゃないかということになるにきまっておると思うのです。こういうような意味におきまして、国内生産者に御迷惑をかけないような範囲内においてつとめて先方の要請にこたえることは、当面わが国の至上命令だと私は思います。  このような意味におきましては、私は、そのきめられた至上命令の中で私たちが韓国の皆さんの要請にこたえるのには、結局流通機構の改善ということが一番問題じゃないかと思うのです。数量の問題もさることながら、一番問題は流通の問題だ。そこで先般の予算委員会におきまして社会党の横路先生が御質疑をされましたように、昭和二十九年の実績によりまして輸入商社六十七社を一丸として一つの輸入組合をつくっております。それがそのまま毎年チャンピオンをこしらえて、ことしは伊藤忠だったと思いますが、安宅でしたか、六十七社はそれによって一定のマージンをとっておる。一億数千万円にそれはのぼっておる。しかも、それからこちらへきた韓国のノリの問屋組合が数段にわたってございまして、これまたほとんどそういう実績主義によった流通の経過をとっておりますので、実際に消費者に渡るのには実に数段階を要しておるような始末であります。これがいずれも実績主義という名において全く固定化しておるところに、私は一つの利権化をしておると思う。しかも、それはすでに業態をやめた問屋さんまで割り当てを受けたことになっている事実、私はいまでも名前を三つくらい言うことができます。そういうような意味で、この流通経路をすみやかに改革せなければいかぬというので、三木国務大臣は横路先生の質問に対しまして、「このノリの問題は、いまの方式が私もいいとは思っていないのです。何か昔の実績を固定してやっておるわけですから、いろいろな点でこれは改革を要するべき点が非常に多い。また韓国の零細業者というものにも、日韓の国交が回復して、やはりそれも考えなければならぬ。日本の場合だって、これがノリ業者に影響を与えてもいけないし、いろいろな点でこれは農林大臣とも相談をして、ノリの流通機構というものには改革を加えたいという考えでございます。」と、こういうように答弁をされております。それから今日まで約まる二月間、通産省と農林省はどういう相談をされて、どういうようにこれを改革しようと検討を進めておいでになり、どういう決意にいま達しつつあるか、率直に両当事者からお答えをいただきたいと思います。
  183. 石田朗

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話がございましたが、現在のノリの流通機構、これは、こういうような品質及び規格も多く、非常に特殊な商品でございまして、いろいろな歴史的な経過をたどりまして現在の流通機構が形成されております。これにつきましては、従来の諸条件からいたしますと、それなりに存在の理由を持っておったかというふうに思いますけれども、なお現在の非常に生産量もふえ、いろいろな条件も変わってまいりました時代におきまして、さらにこれを合理化するという点につきまして検討を加える必要があるという先生の御指摘の点は、まことに私どもも十分検討を加えなければいけないというふうに考えております。ただ、これにつきましては、他の諸商品の流通問題と同じように、ここに関連いたしますいろいろな条件がございますので、それをどのような段階をとって、どのように取り進めてまいるかという点にはいろいろの問題点があろうかと考えております。私ども、通産省のほうとも連絡をとりまして、現在検討を進めております。ただ、現在までのところ、これがただいまの結論でございますというふうに申し上げられる段階まで到達しておりません。そのような段階に到達いたしましたならば、私どもといたしましてそれを御報告できるかと思います一ただいままで遺憾ながらそういう段階に到達しておりませんので、その点を申し上げましてお答えにいたす次第であります。
  184. 今村昴

    ○今村説明員 ただいま水産庁のほうから御答弁がありましたとおり、ノリの、特に通産省の関係は輸入方式の問題でございますが、それは国内の流通関係とも非常に密接にからみ合っております。たいへん特殊な経過をたどって現在まで参っておりますので、従来のように、ノリの輸入が毎年一億枚程度ということにくぎづけになっておりました時代ならばいざ知らず、今後相当漸増していくということでございますれば、やはりそれ相当の流通機構なり輸入方式なりの合理化ということを考える必要があると思いまして、先般来水産庁とも相談をしておりますが、まだ結論というようなものを申し上げる段階には至っておりません。
  185. 玉置一徳

    玉置分科員 お役所は、そういうように思います、ぼつぼつ考えますなんということをいつもおっしゃいますが、これは国民全部が高いノリを食うのですから、そんなのんきなことを言っていられない。じゃ、いつごろに大体そういう見通しをつけるのですか。
  186. 石田朗

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。この問題は、ただいまも通産省のほうからお話を申し上げました。一つは輸入機構に関連し、それから国内流通機構をそれと同時に手をつけるかどうかという問題がございます。したがいまして、それらは段階に応じ、一つの段階をたどりつつ進めてまいらなければならぬというふうに考えております。いままでの流通機構ないし輸入機構について問題があるということは、いろいろ各方面から御指摘のあったことは事実でございまして、われわれといたしましては、できるならば輸入の問題につきましては、来年度の輸入ものについて一つの結論を得たいというふうに考えております。これは、先ほど申し上げました非常にむずかしい問題を含んでおりまして、それは、その段階になりませんとはっきりしたお答えはいたしかねるかと思います。できるならば、新年ものについて新しい機構をとり得るならば最もよろしいのではないかというふうに考えて取り進めておるわけです。
  187. 玉置一徳

    玉置分科員 スルメ、ブリ、スケソウタラの子、こういう一般的な魚介類の輸入も、これから非常に買い付けの増大を要請されることは想像にかたくないわけでありますが、これも全く同じことがいえるのじゃないか。私の言おうと思うところは、いままでのノリの輸入の形態は、第一次の輸入業者の協会はもとよりのこと、それから農林省のほうの責任になっておりますずっと下への協同組合、十数年間よく役人というものは黙って見ておったなということを国会で痛烈に指摘をされておって、だれが見てももっとも、雑誌その他にもそういうことをいわれておるし、ここがまたいろいろな意味のけむたいもとをつくっておるんだということも想像にかたくないわけであります。こう指摘されて、いいところが一つもないような機構をだんだんと考えてやらなければならないようになったと思いますというようなことでは、私は国会軽視と言わざるを得ない。次の臨時国会でも出てまいります。あるいは通常国会までにこういう問題をようきれいにしておらぬようなことでは、国民に対して申しわけないのじゃないかというように考えます。  もう一つ言うておきましょう。海苔振興会は、ノリの輸入の二・五%ないし三・五%、最近は四、五千万円に上る金額の寄付を受けておる。そしてノリの増殖振興のための研究をすることになっておったのにかかわらず、半分以上建物に消費されてしまった。それは必ず農林大臣ですか、に許可申請して、毎年予算計画を立てるわけでありますが、きょうまでそれを見のがしてきた責任者は一体だれなんだ、どうせ消費者の上にかかってくるやつを、ノリ増殖振興という名において、これは参議院の水産委員会の申し入れにもよったとはいうものの、やってみたところが家を建てた。東京のまん中にビルを建てて、ノリ増殖振興にどこに寄与するところがあるかということをきょうまでやってきたわけです、時間がありませんから追及もいたしませんけれども、こういうものはすみやかにやめてしまったほうがいいのじゃないかと思うのですが、水産庁次長、どうお思いになりますか。
  188. 石田朗

    ○石田政府委員 ただいまもお話がございましたように、ノリの輸入に関連いたしまして、その中の差益の一部を海苔振興会に積み立てまして、これを生産技術指導等々に使ってまいるということでやってまいりました。それで、従来の体制といたしましては、それなりの役割りを果たしてきたというふうに私ども考えております。ただ、ただいま申し上げましたような全体の輸入の体制、あるいは流通の体制というものを総合的に検討いたさなければならぬという段階におきましては、そのやり方自体も、その一環として十分検討いたしたい、改善すべき点は改善していくということをいたしてまいらなければならぬというふうに考えております。
  189. 玉置一徳

    玉置分科員 私は、ここまで国会の問題になった以上、来年も漫然とこういうことをやっておったのでは、決算委員会で相当思い切った問題になると思うのです。だから、悪いということがわかった場合に、ひとつ率直に改めるということを御要望申し上げておきたいと思うのです。要するに先ほど申しました、国内産のノリその他の生産者の方々につとめて迷惑をかけないようにしながら、韓国の要請に沿うためには、私は、ノリのいままでの流通経路の間違いは、内地産をほとんどいらわない人々が、ただ問屋であるという実績に基づいて、きょうまで十数年間、全く権利化してしまったようなものをやらせておったところに問題があるのではないかと思う。先方に参りまして、いろいろ水産界の代表者の方々と会ってまいりましたところが、ともかくたくさん買っていただきたいということと、値段は幾らになってもいいからガラス張りでやってもらいたいということを非常にやかましく言っております。端的にいいますと、向こうの漁連の会長は、全漁連に、時期と値段のことは言いません、全部おまかせしますから、ここだけに売ったんだから利益半々というので精算払いをしていただいたらけっこうですということを率直に申しておられました。そういうようなやり方にしなければ、いつまでたっても抜本的な解決がつき得ないと思います。そこで初めて内地の生産のものの出し方と、その価格を押えないようにして、全商品を一緒に売りさばいていくということが可能になるのではないか、こう思うのですが、大臣、どう思われますか。
  190. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 玉置委員の御指摘の点については十分検討して、先ほど申したように、新しい輸入のときに、でき得る限りそれに間に合うような機構にでき得るように検討を加える、なお通産省その他関係省ともよく打ち合わせていきたい、かように存じております。
  191. 玉置一徳

    玉置分科員 時間がございませんので、ゆっくり御質問申し上げる間がございませんから、一言最後に締めくくりをしておきたいと思いますのは、私が先ほど来申し上げましたような要請にこたえるためには、内地の生産者団体を中核といたしました一次産品の輸入公団のようなものをつくることが、この際ここ当分の一番はっきりした方法じゃないだろうか。来年もまた輸入商社のこういう姿を続けておったのでは、国会で問題になると私は思いますし、荷受け協同組合の一連の流通経路もまた不明朗にすぎない。しかも、これは中間マージンを多くするだけだ。しかも内地産品との競合もどこでどうなっておるのかわからない。四十三億枚の生産のときに、一億枚輸入することが内地産品を抑圧するんだ、するんだということを言うておいでになる方々は、そういうものがどさっと入りましたからといって、値段をたたくときの口実に使っておるのではないか。私のほうでお茶なんかの生産のときもそういうことがある。ことしは静岡でたくさんお茶がとれましたからといって値を値切る口実に使っておるのであって、量としては、四十三億のうちの一億や二億、それはどえらいことになりますという数字じゃないと思う。そういう意味では、私は生産者団体を中核とする一次産品の輸入公団をつくることが、しかも将来は、アジアの各地の後進諸国との日本貿易という点を考えましても、政策的な問題としてもそういうことが考えられるわけでありますが、とりあえず当面、韓国のノリの輸入のためにそういう施策が望ましい、こう思うのですが、大臣の御所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  192. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 よく検討いたします。
  193. 玉置一徳

    玉置分科員 水産庁次長はどうお思いになりますか。
  194. 石田朗

    ○石田政府委員 先ほど申しましたように、私どもも輸入体制及び流通体制の合理化について種々検討をいたしております。先生から御示唆がございました御意見等々につきましても、それは検討の際、十分一つの御意見として参酌させていただきたいというふうに思っております。
  195. 玉置一徳

    玉置分科員 通産省はどうお思いですか。
  196. 今村昴

    ○今村説明員 ただいまの農林省の御答弁と同じでございます。
  197. 玉置一徳

    玉置分科員 もう一回言ってください。サービスがない。
  198. 今村昴

    ○今村説明員 同じでございますが、今後国内流通あるいは輸入方式の検討の際に、ただいまの御意見も十分に参考にいたしながら検討していきたい思います。
  199. 玉置一徳

    玉置分科員 済みませんが、ちょっと答弁があんまり不親切だったからもう一回聞きますが、あなたのほうでは、南方からの一次産品の輸入について、一次産品貿易輸入公団を今度の国会に提案したいような気持ちがあったのだ。しかしながら、諸般の事情でそれは一年見送られたというように私は承っておりますが、そういう事実はあったのかどうか。
  200. 今村昴

    ○今村説明員 昨年来通産省で検討しておりましたのは、輸出入が非常にバランスを失っております、特に発展途上の国々に対する経済協力を兼ねた輸出の増進、こういう意味合いでいわゆる通常ならば採算上なかなか輸入しがたいような割高の一次産品、そういうものも何らかの方法で輸入の条件を改善いたしまして、もう少し輸入を増加できないか、こういうことを検討いたしておりまして、これの一つの手段として一次産品の輸入促進事業団というようなものを考えておったことは事実でございます。いろいろ問題がございますが、ことしの初めの予算の際に、その問題は一応ことしは見送るということにいたしましたわけでございます。
  201. 玉置一徳

    玉置分科員 公団の性格はただいまのお話のとおりの貿易の促進であって、しかも値段の合わぬやつを、それをしも貿易の片貿易を直すためにしようと思っているくらいだから、韓国の場合においてもものすごい片貿易であり、これはそのままの値段で買ってくれというやつだから、なおさらもう少し迫力のある答弁で、ぜひともやりたいと思っております、農林省にもさきがけて、とこう言わぬと、農林省と同じでありますと言って、ほんとうに聞いておってくれたのか、聞いておってくれなかったのかわからないような答弁ではなはだ残念に思います。ひとつぜひとも農林省を督励して、あなたのほうからもこの問題の解決に邁進をしていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
  202. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて玉置一徳君の質疑は終了いたしました。  次に、受田新吉君。
  203. 受田新吉

    ○受田分科員 それでは息もつがせず質問を続けます。  あまりこまかい問題をお尋ねすることを遠慮して、質問のポイントを畜産対策に限定してお尋ねします。  最近、北海道のある農家の経営調査報告書を拝見しますと、総収入が二百三十三万七千余円、費用二百十八万二千円で、純収益十五万五千円だといわれております。このうちで一日の労賃を五百円と計算して、水稲部門は四十四万円の売り上げで二十四万円の純益であったのに対して、酪農部門は百八十三万円の売り上げで五万七千余円の赤字であったという報告がされております。これは一つの例でございますが、これを町の勤労者と比べてみます、二倍半多い労働日数で、公務員の平均ベースの三分の一弱の日当、賃金になったと報告がされておる。このことを見ましても、日本の酪農経営というものの非採算性を十分知ることができると判断をします。政府が発表した四十年度農業の年次報告書の中にもこのことを裏づけするような実態が報告されておるわけです。そこで、畜産物の生産費調査を見ますと、比較的有利な食牛の飼育にいたしましても、一頭当たりの純益は五百二十七円、家族労働報酬が九千八百七十円にすぎないということになっている。子牛の生産になると、純益どころか家族労働報酬も計算上赤字になるというような始末なんです。このことが肉牛、豚、また鶏も入るのですが、こういうものの飼育頭数の伸びをどんどん低下させているということであって、飼養農家がどんどん減っておるというこの事実を大臣御存じか。前置きを一応言うたわけですが、こう低下されていく酪農農家の意欲をささえるために、政府が酪農の価格対策にどういう方策を持っておられるかということ、これをちょっと最初にお聞きしたいのであります。  それからもう一つは、全般的に零細な飼育農家がだんだん減って、大規模な飼育農家が急増しつつあるというこの現象、これに対して、その飼育規模を拡大するための畜舎を近代化するとか、家畜資質をよくするとか、飼育管理技術を向上させるとか、いろいろな対策があると思うのですが、簡単でけっこうですから、まず、ずばっと、その重点施策を教えていただきたい。
  204. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 最後の御質問の部分で具体的にお尋ねのありました牛乳の価格対策でございますが、御承知のとおり、四十八国会におきまして加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の成立を見ましたので、加工原料乳という総体のうちで、価格関係の不利な部分について、そういう主要加工原料乳地域の生乳の生産費を基準とする保証額を農民に保証する。それで乳製品の実勢価格を基準する基準取引価格をいわゆる不足払いとして交付するということを四十一年度から実施をいたしたい。なお、それに伴う乳製品の価格支持のための畜産振興事業団による乳製品の売買操作ということもあわせ行なうということでございます。  それから経営規模の拡大につきましては、金融対策として農業近代化資金の貸し付け、運用に関しましては、規模の拡大に資するよう運用することはもとよりのこと、農林漁業金融公庫における畜産近代化資金制度というもので、多頭飼育に関する施設及び家畜のセット融資というものを考えておるわけであります。なお、特殊地帯であります北海道につきましては、寒冷地における営農改善のための金融制度もあわせ実施をされておる実情でございます。その他技術対策その他について多頭飼育のための条件の整備につとめてまいる所存でございます。
  205. 受田新吉

    ○受田委員 一応今度の四月から実施される暫定措置法について承ったわけで、事実問題としていまその算定方法をお示しになったのでございますが、保証価格は現時点で幾らくらいに算定しておられるのですか。
  206. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 先ほど申し上げましたように、保証価格の算定は、主要加工原料乳地帯における当該年度の推定生産費を基準として定めたいということで、四十年度の生産費の調査結果がようやく出そろいつつある段階でございますので、この段階では明瞭にいたしかねますが、三月の二十日過ぎには畜産物価格審議会を開きまして、審議会の諮問を経た上で最終的に決定いたしたい。ただ御参考までに申し上げますれば、四十年の価格審議会に提出をいたしました参考資料としての主要加工原料乳地帯の四十年度推定生産費は、一・八七五キログラム当たり六十五円七十九銭という数字が出ておりまして、おそらくその後の物価、労資のアップ等を考えますれば、それより若干上回った数字が出るのではなかろうか、こういうふうに予想しております。
  207. 受田新吉

    ○受田分科員 飲用乳向けと加工原料乳の価格差というものがどういうかっこうになっておりますか。
  208. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 御承知のように、わが国の生乳の取引は、飲用乳、加工乳というふうな用途別取引がされませんで、いわゆる混合乳価格取引がされておるのでございます。この点は、日本の生乳取引は後進的なタイプに属するわけでございますが、いま御質問の飲用乳、加工乳の格価差は、そういう意味で厳密には申し上げられないのでございますが、九州の一部では先行的に用途別取引をいたしておる例がございます。その例によりますと、飲用乳の原料に回します生乳価格は、一・八七五キログラム当たり八十円ないし八十二円程度、それに対しまして、加工原料乳の同じ単位の価格は五十七円ないし五十九円という水準に相なっております。
  209. 受田新吉

    ○受田分科員 いまお示しになった措置法のねらいは、いま市販されている市乳化ということを促進するというかっこうになるのかどうか。
  210. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 ただいま申し上げた点からも御推測いただけるかと思いますが、加工原料乳地帯の生産費を保証するという水準の加工原料乳価格をとりましても、なお飲用乳の交易条件のほうが有利であるわけでございます。また、その価格水準で飲用乳の消費は着々伸びておるわけでございますので、私どもは、将来の日本の牛乳の消費のタイプとしては、飲用乳の比率をさらに高める方向で施策を進めてまいりたいというふうに思います。
  211. 受田新吉

    ○受田分科員 それはそれとして、牛肉が非常に不足しているという現状、そして肉牛がこれまた同時に減っておるという、この実情と需要との関係をちょっと説明をしていただきたい。
  212. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 牛肉の需給事情が最近非常に窮屈になっておりまして、牛肉の価格が高騰をいたしておりますことはお話のとおりであります。なぜそういうことになったかといいますと、国民所得の増大に伴いまして、食生活の内容が非常に変わってきた。そこで、動物性たん白の摂取量が非常に多くなった。なかんずく乳と肉との需要の増進が多いわけでございます。十年前に比べますと、食肉全体について見ますれば、昭和三十年ころに約二十六万トン程度の食肉の消費量でございましたものが、三十九年には八十二万トンというふうに急激な増大をしておる。特に三十八、三十九、四十年の伸びが大きいわけでございます。そういう伸びに対しまして、国内の肉生産としては豚肉及び鶏肉の生産が増大をしていまの食肉需要をささえてきたのでございますが、食生活といいますか、所得の増大が続きますと、高級肉であります牛肉の需要がどうしてもふえる傾向にあるのでございまして、昭和三十五年当時十四万トン程度の牛肉の需要が、三十九年には二十二万トンというふうに急増をいたしてまいり、一方肉牛の生産については、これも簡単に申し上げますと、従来役肉牛として飼育されておりました日本の牛の使用形態が、動力耕うん機、トラクターの普及によって不要になったので、生産構造が急激に変わっておる。そういうことから、子牛に対する需要が出ないので、子牛の生産が減退をした。一方牛肉の需要が強いものですから、役肉牛として保有しておりました肉資源を食いつぶしてつじつまを合わせてまいったというのが、今日の状態をつくった筋道といいますか、事情でございます。
  213. 受田新吉

    ○受田分科員 そこに一つの問題があるわけです。たん白食料をどんどん摂取するような食生活の改善がされてきた。したがって、お説のように三十年には二十六万トンであったものが三十九年には八十二万トンにふえておる。ところが、一方それをまかなうほうの生産はどうかというと、あなたのほうのお役所で調べた数字でも、三十九年二月一日現在の飼育頭数は二百二十万頭であったものが、一年たった四十年二月においては百八十九万頭というように三十万頭も減っておる。著しい減少ですよ。そして、その牛を飼う農家の数も、百六十七万戸から百四十四万戸になって、二十三万戸も減っておる。その減少は一年間です。長い年数じゃない。最近の統計で一年間にこれだけの減少を来たすのは、構造上の問題だけじゃないのです。十分考えなければならぬのは、いま御指摘をされた子牛を飼う生産費が七万三千もかかっておるのに、販売価格は三万五千、副産物の収入を加えても四万五千円程度にしかすぎないということになると、差し引き三万円の赤字となる。この子牛を飼う採算の上の問題が一つあるのです。これを忘れて構造上の問題だけで議論されておっては、これはたいへんなことで、一方で食生活の改善に伴う著しい牛肉の需要量、一方にこれに対する飼育が一年間に二割近くまで減少するような畜産政策を立てておって、これで農林大臣としての職責が果たせますかどうか。これに対する対策はどういうものをお持ちになるか、基本的な国策を脳裏にひらめかしておられる大臣から御答弁願いたい。
  214. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 肉牛の問題については、頭数も非常に減るし、牛肉の需要がふえてくるということについては、いま受田委員の指摘されたとおり、私も非常に憂慮しておるわけであります。したがいまして、今年から特に肉牛の増殖という問題を政策の上に、今度は大々的とはいきませんが、相当強くこれを打ち出してまいりましたのが一つ。それからもう一つは、これは急激にふやすことはどうしてもできませんから、そこで一面増殖の問題に力を入れる。と同時に、一面はこれはやはり当面牛肉の輸入をいたそう。そして急激なその消費から来るところの頭数減を防ぐところの一つの手段として、この際は当面の間、いわゆる増殖の効果をあらわすまでに至る当面の間、輸入をやろう、こういうことをいたしておるわけでありますが、その輸入も、不統制な輸入でありましては将来に非常な災いを残すということにも相なりますので、今度は、畜産振興事業団をして統一して一括輸入のできるように法律の改正をしようということでございます。それが提出されましたときには、でき得る限り、ひとつ早く御審議を願うことを特にお願いを申し上げる次第であります。
  215. 受田新吉

    ○受田分科員 いま基本的な国策をお示しくださったわけでございますが、ここで大臣、欠けている問題があるのです。それは、この食生活の中で、たん白源として牛肉の占める部位は一番大きい。そういう非常に高度の部位を占めている。食生活改善に伴って生産を増強する。その手段として、畜安法によって豚肉の価格安定政策ですか、基準価格が一応立ててあるのです。ところが牛肉の安定価格がないじゃないですか。それがひとつ。  それから、輸入に当面を依存しようということでございますが、日本の酪農家というものは、自力で幾らでも酪農経営をやろうとする。政策のよさによっては、幾らでもこの需要頭数を増大できるわけなんですから、酪農家が採算を見合いながら、労働賃金なども、一般の会社、工場等に働く労働賃金に近づくような努力を十分計算に入れながら、酪農奨励という基本的な政策をお進めにならなければいかぬ問題がある。まあしばらく、さしあたり数が足りないのですから、輸入することはもう当然必要だ。魚か牛肉かでやっていくための牛肉をまかなうのに、いま輸入と言われたのですが、輸入にたよるということはやむを得ないと思いますが、これはしかし暫定当面措置法です。これを忘れちゃだめです。それと、いまの畜産振興事業団に一元的にやろうという計画を承った。私は、これはぜひそれを実行に移していただきたいと思っておったわけですが、それで一元輸入するということでございますか、そのことをひとり……。
  216. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 牛肉の輸入は、従来も、大体三十九年度までは五、六千トン程度、四十年度は約一万トンのものは民間輸入で入れてまいったわけでございます。この程度の輸入が、国内の需給事情あるいは畜産経営等へ影響を及ぼしたとは思いませんので、従前の実績程度の民間輸入は、これはやはり民間としてのよさがございますので、継続をいたします。別に国内の需給及び価格安定のための操作に必要な牛肉だけは、一括畜産振興事業団で輸入牛肉を取り扱わせたいという考え方でございます。
  217. 受田新吉

    ○受田分科員 いわゆる畜産振興事業団で一括輸入――これは一括輸入、一元輸入、どちらに解釈していいのですか。一元輸入ということじゃなくて、一括輸入ということですか。
  218. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 大臣がおっしゃられました一括というのは、調整上必要な数量は事業団が一括輸入する。しかし、別に従来のルートと申しますか、従来の民間輸入の程度のことは民間の活動にゆだねる。そういう意味で、目下のところでは一元輸入は考えておりません。
  219. 受田新吉

    ○受田分科員 別のほうにも輸入ルートが残っているわけです。これは、やはり畜産振興事業団というものが大役を果たそうとすれば、この事業団に一元輸入をさせる方法が一番賢明ではないかと私は思うのですが、あなたはどうお考えでしょうか。別のほうからこういう幾つもの道筋があることによって、牛肉の輸入に不統制な現象が起こってくるということになる。暫定措置としても、こういうところは事業団に一括させて、政府指導をやろう……。
  220. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いま、弊害のない限り事業団をして一括輸入させる、こういうことで進みたいと思っております。
  221. 受田新吉

    ○受田分科員 それから、いま申し上げた牛肉のほうに基準価格を設定する考えはどうですか。豚肉にやっているようなものを牛肉にもやる……。
  222. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 制度としましては、牛肉についての基準価格を定めるということは可能なわけでございます。ただ、従来の牛肉の価格現象をごらんいただきますと、豚肉の場合のようないわゆるサイクルを描いてはおらないのでございまして、牛肉それ自身は、比較的安定的、かつ、微騰の一定の方向で進んでまいっておるのでございます。そういう状態のもとで下ささえ価格を設ける必要があるかどうかということになりますと、私どもは、現段階でも、牛肉について下ささえ価格制度を設ける必要はないという考え方を持っております。  なお牛肉については、受田先生も御承知と存じますが、非常な品質差が幅広くあるわけでございます。安いものは現在でもキロ三百円程度から、さらに高いものは千円をこえるというようなものがございまして、行政対象として規格に基づいた価格の設定というものは、技術的にきわめて困難であるという事情等もございまして、現段階において牛肉について基準価格を定めるという考えはございません。
  223. 受田新吉

    ○受田分科員 その困難な事情は、私は一応了解をしておるのでございますが、しかし、指定食肉に対して、豚肉を一応指定しておる。そうすれば、やはり牛肉に対してもそういう方向で努力する目標を持って――そういういろいろな指摘されたような困難な事情があるということで、いままでそれを野放図にしておくことによって価格安定にひびがきたりするわけなんです。そこにまた酪農者自身にも、生産費に影響するような数字が出てきたわけです。大臣、よいかげんなところで、いまの困難な事情、特殊の事情を克服して、価格安定政策に貢献する指定食肉の中には牛肉も入れるという政策を適当な時期におとりになるというお考えはないかどうか。
  224. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 牛肉については、豚肉と同じようなことに進めていきたいとは思っております。それは、受田委員と同感でありますが、これはまたいろいろ、先ほども畜産局長からお答え申し上げましたとおり、むずかしい点もありますので、急いで検討しております。
  225. 受田新吉

    ○受田分科員 この酪農上の一つの大きな問題は、やはり飼料の問題があるのです。これについては、小麦粉の値上げの問題は政府が一応抑止政策をおとりになったようでございますが、ふすまのほうは今後どうなるのでございますか。
  226. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 飼料は、現在国際的に見まして上昇の傾向をたどっておるのでございます。これは、当然需給の関係から生ずる傾向でございます。ふすまにつきましては、御承知のように、政府が飼料需給安定法に基づきまして、輸入ふすまの調整並びに増産ふすまの生産及び調整ということを行なっておりまして、従前から、他の飼料に比べますと、価格は比較的安定的でございます。この需給安定法の制度が生まれる前のふすまの価格の変動に比べますれば、明らかに今昔の感があるのでございます。今後も、ふすまについては、著しい価格の高騰ということは、これは政府の操作の結果として回避でき得るものというふうに考えております。
  227. 受田新吉

    ○受田分科員 小麦粉価格の抑止政策に伴う余波がふすまの値上げに及んでくれたんでは、これは酪農家としてはまことに泣きつらにハチのようなことになるのでありますが、おとといでしたか、二十八日、需給計画を農林省は発表されておる。それを見ると、大体いまのこの段階では買い受け、売り渡しのバランスが一応とれてるように見えるのです。需給計画を発表されたばかりのときでありますから、これを一応信用さしてもらうといたしても、今後の問題として、この飼料問題のポイントであるふすま値上げ抑止策というものを終始考慮に入れられながら畜産奨励に配慮願いたい、よろしいですね。  もう一つ、今度は畜産のガンの問題です。現在の家畜の伝染病の問題です。いま鶏に例をとりまして、鶏の法定伝染病ニューカッスルというものは、やっかいな病気ですね。それから豚に例をとると豚コレラ、この予防対策についてちょっと政府の所信を伺いたいのです。鶏のニューカッスルの伸びといったら、この病気の被害は、去年の二月の有名な神奈川県下の八千四百六十二羽。それから東京、福岡、大分、愛知、静岡、いま資料を見ただけでも、七万七千羽という大発生を見ておるわけです。こういう家畜、家禽の伝染病予防対策というものにもっと政府は熱心に取っ組まぬと、せっかく家畜、家禽を飼育して食糧増産に協力しようという人たちに、たいへんな苦痛を与えるわけです。豚コレラにしても同様のこと。豚コレラの被害は、ちょっと最近減少の傾向があるようでございますけれども、この予防対策というものには、一体どういうふうな御用意がされておるのか、基本的な政策をお答え願いたいと思います。
  228. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 ニューカッスル病、それから豚のコレラ、いずれも家畜伝染病予防法に基づきます法定伝染病の指定をされておるわけでございます。ニューカッスル病につきましては、これはワクチンの注射によって予防をすることがほぼ完全に行なわれるわけでございます。私どもも、まず発生を避けるという意味で、ニューカッスル病に対するワクチンの自主的な予防注射ということを奨励指導してまいったのでございますが、御承知のとおり、日本では、ニューカッスル病が戦後発生した年が五カ年しかないというようなことで、これについての防疫の知識が最近まであまりなかったというような事情がありまして、何らかの事情で発生が始まりますと、爆発的な発生をする。それは養鶏の大羽数飼育という飼育形態の変化も原因かと思いますが、そういう事情になっておるわけでございます。そこで、発生をいたしました場合には、発生地域の周辺に対して法律に基づく強制予防注射を実施して蔓延を防止する。さらに患畜、病気になりました鶏につきましては、病気の蔓延を押えるために、家畜伝染病予防法に基づく殺処分を命ずる。また、汚染された畜産物または器具等の移動を禁止するという方法をとってまいっているのでございます。  なお、ワクチンにつきましても、昨年の夏ごろまで異常発生に備えまして、業界に、約百五十万羽程度の予防ワクチンの備蓄を指導してまいったのでございますが、御指摘のような非常に大規模の発生がございましたために、現在の状態では、ワクチンが一時的に需給上窮屈になっている事情であるということであります。
  229. 受田新吉

    ○受田分科員 予防対策にワクチンの窮屈さなども派生しているようでございますが、家畜奨励をされる場合に、そういう予防対策が十全の策を講ぜられるかっこうになっていないと、これはとめてもとめても一方でそういう小さなせきから漏れてくるわけなんですから、これはワクチンの普及対策を含めて、急速に家畜伝染病を予防しなければならぬ。これは発生してしまったらしようがないのですから、予防医学と治療医学との差がどんなに大きいものであるかは、御存じのとおり、家畜にもやはり同様なことが言えると思うのです。家畜伝染病予防施策について、いま申し上げたような欠陥を農林省はすなおに認められているような状態を、一刻も早く解消するような施策をとってもらいたい。大臣、見通しが立ちますか。
  230. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 受田委員の御指摘のとおり、非常に重要な問題であります。ただし、これはあまり自慢ではないけれども、各国の実情から見た場合に、そう悪いという立場でもないということであります。さればといって油断をしちゃならぬので、一番大切な問題でございますから、極力この問題は推し進めてまいりたいと存じます。
  231. 受田新吉

    ○受田分科員 この伝染病対策としての善後措置を講ずる場合の低利融通資金の運用助成をするとか、そういう対策も一方では考えておられると思うのでありますが、また予防接種をやる場合に、それに国庫補助を大幅に持ち出して対策を立てる、こういうようないろいろな手があるが、そういうほうはどういうかっこうでやっておりますか。
  232. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 ワクチン等の予防接種をいたします場合に、自主的に予防のための措置をいたしますことは、これは畜産経営の当然行なうべき一つの技術であるというふうに思いますので、これに国庫補助を出すということは困難であると思いますが、先ほど申し上げましたように、防疫のための強制接種をいたします分については、国が二分の一を補助し、都道府県が二分の一を補助するということで、経営者の負担は、注射に関する限りは無料ということにいたしておるのでございます。ただ私ども、この段階になりますと、ワクチンの問題は価格の問題よりもむしろ需給の問題に問題があるというふうに考えますので、一定の病気に対する予防薬については、政策的に備蓄をするということを考えてまいりたい。したがって、必要なときに、異常発生に対して対処できるという態勢をとることを検討してまいりたいと思っております。
  233. 受田新吉

    ○受田分科員 大臣、一般の農家には、すでに農業共済制度というものが生まれております。酪農家畜についての共済保険という制度がまだできていない。これは、家畜が大幅な被害を受けるような段階になったときに、この共済保険制度というものを当然酪農家畜に創設をするという御用意が私は要ると思うのですが、いかがでしょう。
  234. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私から御説明を申し上げまして、大臣から、基本的な問題がございますれば、お答えをしていただきたいと思います。  家畜の共済保険制度につきましては、現行法では乳牛及び肉牛、それから綿羊、山羊が保険の対象に相なっておりまして、御指摘のように、鶏及び豚については共済の対象になっていないのでございます。いま共済の対象になっておりません小家畜についての共済保険というものが成立するかどうかは、保険設計上きわめてむずかしい問題が多いことは御理解をいただけると思うのでございますが、そういうことから、将来この共済が成立する関係を持っておるかどうかということで、四十一年度の予算で、農林各局の所管でございますが、養豚並びに養鶏の共済の可能性についての調査を進めるという関係予算措置をいたしておるところでございます。
  235. 受田新吉

    ○受田分科員 調査費が計上されておる、こういうことですね。一歩前進するかっこうになっている。それは、相手が小さな品物だからということよりも、大規模な対象と考えるほうがいいと思うのです。形は小さくても、このかっこうの小さいほうは数は多いのですから、被害を受けたら一ぺんにいくんですから、鶏などは明らかに保険制度の必要を感ずる。  そこで、川俣さんも来られたようですから、私、最終の質問をさしていただきますが、先般来御検討を願っている豚コレラの被害者、具体的ななまなましい問題が起こっておるわけです。これはもう全国的にある程度名を知られた事件になっておるわけでございますが、山口県岩国に原田倉吉という、養豚の地域においては相当著名の養豚熱情家があった。いま元気です。この人が「昭和三五年四月二五日宮崎県都城市公設家畜市場において、宮崎県南部養豚組合から仔豚九八頭を買受け、即日山口県柳井市伊陸所在の原告組合養豚場へ貨車移送をし、同月二八日前記養豚場へ導入した。所が導入直後豚の様子に異常が認められたので獣医師境寛の診断を受けたところ豚コレラの疑があったので直ちに山口県保健所に連絡し、更に中国市場家畜衛生試験所に病性鑑定を依頼したところ、同年五月一八日豚コレラであるとの診断が確定した。しかして同日までに豚コレラにより前記貨車移送の途中死亡した一頭を含めて計二五頭の四月二八日導入豚が死亡したほか、原告組合所有の豚二六七頭が罹病したので右診断確定後原告は直ちに山口県知事の指示を受け家畜伝染病予防法の定めるところにより同年六月八日までに他の罹病豚二六七頭を強制屠殺し、畜舎の消毒その他必要な措置をとることを余儀なくされる等後記のような多額の損害を被った。」こういう事件がある。これは、すでに農林省においても御検討を願った。その後裁判事件になっておるわけで、七百万円の損害賠償請求権が提示をされておる。もちろん家畜伝染病予防法第五十八条の手当金の中にある患畜の中で、豚は評価額の三分の一という手当が出ているような法律の適用をやったとおっしゃるけれども、本人はその結果ついに養豚業をやめて、現に廃品回収の仕事をしておるわけです。こういう非常に悲壮な立場で犠牲を受けた人がおる。この熱心な酪農家で、国策に従ってしっかりがんばろうという熱情を持った人に、一ぺんに意欲を失わせた。しかもばく大な損害を与えてあとを顧みないようなかっこうになっておる。しかも裁判の途中で、昭和三十七年ころに裁判所から、この事件を審査の途中で、これは当時の豚コレラの疑いがある、予防注射をして、まだ潜伏期間を経ておらぬ豚を移出さした宮崎県にも責任があるというので、このあたりで和解をしてはどうかと和解の提案をされて、請求額の三分の二をもって和解に応ぜよとやった。ところが、宮崎県は行政庁でありますから、これに応じない。事実問題としてこの事件は、条例のなかった宮崎県があわててこの事件のあとで条例をつくったというような事態を見ると、潜伏期間中に向こうから持ち出して、豚コレラの疑いを十分に晴らすことなくして山口県に持ってきたから、すぐ自分の養豚場に入れてみたら、もう間もなくみなばたばたと倒れていく、ほかの健全な豚二百六十七頭も一緒に倒れていく、あとの畜舎の清掃から何からたいへんな苦痛をなめてほうり出されたというかっこうになっておるわけです。これは農林省が国策として酪農振興などと仰せられても、このまじめな養豚家がここまでたたきのめされて、しかも政府がのほほんと見ているというようなこともおかしいし、また宮崎県がこれを拒否する、せっかく裁判所が和解の提案をしておりながら、それに応じないというようなことは、家畜伝染病予防法を引き受けている農林省、酪農振興の国策をもって高らかに国民に訴えている農林省としても、大きな責任があると思うのでございます。これはすでに全国的に著名な事件になっておると私は思いまするし、これを契機にして豚コレラ対策が各県で相次いで講ぜられたというこの事実をもってしても、この事件はひとつ真剣に農林省としては取り組んでいただきたいのです。これに対する農林省の対策の経緯を御報告を願いたい。  私はこの問題で私の質問を終わります。御答弁があったら、そのあとからさらにもう一、二、お尋ねをいたしたいと思います。
  236. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 昭和三十五年にお話のようなケースが発生いたしましたことは、農林省でも承知いたしております。裁判に係属をいたしております関係上、是非の黒白は裁判の結果を待つほかはなかろうという考え方でございますが、お話のように、途中の段階におきまして裁判所の和解の勧告がございました際に、当時の畜産局の担当課長が示談和解のための仲介あっせんを申し出たことがあるのでございますが、これが拒否をされまして、結局裁判として最終的な判決を待つということに相なったと承知をいたしております。その後――実は私は受田先生からのお話がありまして初めて知ったわけでございますが、現段階におきまして、被害者において再び畜産の事業を開始するというようなことでございますれば、末端の具体的な事例について農林省が直接どうこうと言うわけにもまいりませんが、山口県当局なり、そういうところで、再建の方途について案がございますれば、農林省としてできる限り協力をするようにいたしたい。  なお、この問題の発生が必ずしも契機ということではございませんが、予防注射をすれば豚の移動は認められるということに家畜伝染病予防法の施行規則で相なっておりますが、行政指導として、注射後一週間の余裕をおいて出荷をするようにという行政指導を今日続けておりまして、次第に、そういうことによる成果は出ておるかと思います。  ただ、何分にも豚コレラというものもかなり病源が広く散布されておるというふうに見受けられる現状におきまして、完全に豚コレラを防遏するということは、現在の段階ではなかなか困難な事情にある。それは必ずしもわが国だけの事情ではございませんが、根絶はむずかしいのでございますが、従来の経験等を生かしまして、防遏につとめておるのでございます。  なお、その後実質的には豚コレラは全頭予防の義務を負う形になるわけでございますので、農林省の家畜衛生試験場において開発をいたしました生ワクチンによる簡易かつ廉価な予防方法というものが完成に近づきまして、現在野外注射、野外実験等をいたしておる段階でございます。この具体的な案件に関します処理につきましては、なお山口県当局とも連絡をいたしまして、私どものできる限りの援助の手は差し伸べていきたいと思います。
  237. 受田新吉

    ○受田分科員 私は、この事件を軽々しく扱うべきではないと思うのです。現実に原田倉吉氏という人物は、このために、あれだけ猛烈な養豚意欲を持って日本一の養豚組合をつくるという張り切ったこの人が、今日もうさじを投げて市井の一人として塗炭の苦しみをなめておる。裁判がいま継続中だと仰せられましたけれども、個人が原告となって相手の行政庁を訴えておるような場合に、このささやかな一市井人は資力の上で参りますよ。完全に本人は裁判費用の点においては参ってしまった。裁判所がせっかく和解の提案をしていただいたことにさえも、行政庁が十分の親切を尽くさずしてこれを拒否しておるようなかっこうで、この篤農家である酪農家をどういう形で救うことができるでしょうか。私はこの人と最近ちょいちょい会ってみて、国の政治の悪さ、法律にしてもたった三分の一。消毒費から何から計算すると七百万円からの損害を受けている。本人はうそを言うような人間でありませんから、だれもが正直な数字だと見ております。本人は人をペテンにかけるような男ではない。豪快な男だけれども、うそを言うような人間でありません。この人がいま裁判が続けられなくなって、さじを投げているのです。それでも裁判を係属しているのですが、その実情を見たときに、気の毒な、国策に協力しようという熱心な酪農家を、ひとつこのあたりで国が何かの形で助けてやってはどうか。政治の悪さ、行政事務のつたなさで犠牲を受けたのであって、本人には罪がないのです。上がってきたときにはもう豚コレラになっていた。途中の輸送が悪ければ運輸省が責任を負うべきではないか。そういうことで、買い受けた本人は何ら罪のない、不幸な一市井人です。いま局長が、再建をされるならば、いかなる方法をもってしても手伝いたいと仰せられましたが、しかし、ここまで行き詰まって、資金源に困難を来たし、事業面に意欲を失っているこの人が、再び養豚業を始めるということは、これは私はちょっといまは考えられないと思っているのです。こういうときに、わずか三分の一の手当て額を出して処理するような形でなくして、家畜伝染病予防法で、いわば農林省が患畜を殺せということで命令を出したと同じような結果ですから、これは最終的には農林省の責任ということになると思うのです。宮崎県に対しても責任を負う行政指導をされたといま言われましたが、現実にかかる不幸な事態が起き、そのために予防接種をして一週間後でなければ輸送してはならぬという形をいまおとりになっていただいたということになれば、これが非常に大きな教訓になったということはわかると思うのです。食肉生活を高めて食生活の改善をはかり、国民生活の実体を高める意味においても、このりっぱな養豚国策協力者を何らかの形で――裁判がここまできているこの問題を、何かの形で救うてあげていただきたいと思うのですが、大臣、その救済施策について御検討いただけますかどうか、それをお答えいただければ私は質問をやめます。  それから局長さん、いまの経緯報告を農林省はどういうふうにごらんになっておられるか。いまの御説明以外の途中の経過報告を、文書でもいいからあとで私のところにちょうだいできたらたいへん幸甚です。
  238. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 受田委員のお話でございますが、これは私も受田さんから畜産局長にお話しになったのをまた聞きいたしまして、きょうまた直接あなたからお聞きしたようなわけであります。このまことに畜産に熱心な人が非常な被害を受けられたということについては、私もまことに御同情にたえないわけであります。受田委員も御同情になっておられるのでありますが、先ほど畜産局長が答えましたとおり、この事業をもって立ち上がられるような場合にはそれでまた何とか方法を講ずるという努力も払い得るのですが、御同情はうんといたしますけれども、しからばどういう方法でという問題になりますと、実はいますぐとっさにここで御答弁申し上げることはできませんのでございます。  なお、患畜を殺す場合の国の助成は三分の一になっておりまして、各国の実例も大体これは三分の一ということになっておるのじゃないかと思いますが、これらについてもなおよく検討させるようにいたしたいと思います。
  239. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて受田新吉君の質疑は終了いたしました。  次に、川俣清音君。
  240. 川俣清音

    ○川俣分科員 質問する前にあらかじめ主査にお断わりいたしておきたいのですが、時間をできるだけ詰めて質問をしたいわけでございます。それは明日からの予算委員会の審議の打ち合わせをいたしておる途中で参りましたので、時間を長く質問することができないということが一つ。また、この委員会の運営からいっても、早く終わりたいという主査の補佐役からの御依頼でありますので、早く終わりたいと思いますが、しかし、あまり残るとまた明日の一般質問に譲らなけれならないということもどうかということになりますので、しかしできるだけ時間を詰めるお約束はいたします。  そこで、お尋ねをいたしたいのですが、第一は、四十一年三月三十一日現在の食管会計に保存しておる在庫高は幾らになっておるかということをお尋ねしたいのです。これは資料で出していただいてけっこうです。いま答弁なさらなくてもけっこうです。並びにこの評価ですが、従来の方式で評価をするのか、あるいはこの評価につきましては、御存じのとおり評価の方式がいろいろございます。どの方式を一体とるのを妥当としてことし評価されたかということを加えて文書で報告していただければけっこうです。ここで時間をかけないために。  次に、具体的にお尋ねをしていきますが、その前に、昨年の買い入れ実況を見ますると、毎年買い入れよりも売り払いが不足で、在庫残高が大きいのでありますが、昨年は七百万トンの買い入れをいたしまして、七百七万トン売り払ったということになっておる。そのように、かなり買い入れ数量が不足をしてきておる傾向が出てくる。内地米ばかりでなくして、内地麦も同様に、見込まれた買い入れ数量よりも実際買った数量のほうが不足でございますことは明らかです。私、いま数字をあげませんが、こういう情勢の中で、ことしの国内産米をどのような価格で買うのか、あるいは幾ら買うのかということも、これは予算書に出ておりますからあえてお尋ねする必要もないのですけれども、はたしてそれでことしは買い得るであろうかどうか、買い得ないのではないか、おそろしく抵抗が出てくるのじゃないか。なぜならば、私のほうで意見を申し上げますよりも、聞くのがほんとうです。物価高だ、物価が高いということは、生産費及び所得補償方式によって計算する場合は、物価高が米価に影響することは御承知のとおり、影響させるということが生産費及び所得補償方式であることもそのとおり。したがって、去年と同じ買い入れ米価だということは、自信のない米価でないか。一体、政府が、四十一年の見通しとして、物価が上がる、労賃が上がるということ、何%上がるか、いまここで議論はいたしませんが、七・八%上がるだろう、あるいは六%程度上がるだろう、こう発表いたしておりますのに、食糧庁はこの発表をお認めにならないのかどうか、この点だけひとつお答えを願わなければならない。
  241. 武田誠三

    武田(誠)政府委員 先生も詳しく御承知でいらっしゃいますように、生産者米価につきましては、生産費及び所得補償の考え方に基づいて毎年きめておるわけでございます。これにつきまして、その時点におきます各種のパリティ指数、また労賃に関します上昇関係、あるいはまた昨年の米の生産費、こういったものが要素になるわけでございます。したがいまして、これらのものを組み合わせました結果が、現実にどのような数字になってまいるかということにつきましては、現在の時点では推測することができませんので、これは毎年の例でございますが、前年産米の買い入れ価格をそのまま翌年度の予算編成におきましては政府の一応の買い入れ見込み価格ということで計上をいたしておるわけでございます。
  242. 川俣清音

    ○川俣分科員 そこに問題があると思う。食管会計の不完全性がそこにあると思うのです。予想さるべき事態を一応予想して買い入れ価格をきめてないというところに、予算米価をきめないというところに問題があるのではないかと思う。なぜかというと、これは私が説明するまでもない。予算米価でありまするから予定米価でもある。予定米価でありまするならば、赤字が出ることもある。食管に赤字が出ることが当然予想されておるということであります。予算上の買い入れ価格よりも上回ることが明らかでありながら、上回らないという計算で予算を組むならば、当然欠陥が出てくること、これはあたりまえの話です。高く買うことが予想されていながら安く買うということは、去年と同じで買うのだというならば、食管に赤字が出ることは当然なんです。当然のものを一般会計からの受け入れとして、または赤字が出ないような措置は何もない。従来どおりの組み方をしておる。赤字が出ることは当然です。その埋め合わせを一般会計でしなければならぬことは当然です。その埋め合わせが何になっておるかというと、予定さるべき、ほんとうに実際に買わなければならない米価ではなくて、腹づもりの米価、しかもわざわざ安く見積もった米価で買うとなれば赤字は必然出る。これは予算の組み方としては妥当じゃない。予想さるべきものを予想しないということは、予算編成上欠陥がある、こうお思いになりませんか。
  243. 武田誠三

    武田(誠)政府委員 この問題につきましては、先生のような御主張もあり得るかと思うのでございますが、生産者米価が幾らになるかということは、現時点におきまして現実に予想しがたいものでございます。かつまた、食管特別会計におきましては、買いの関係の価格、また売りの関係の価格、またそれらに関連をいたします数量の変動といったような幾多の変動要因があるわけでございます。したがいまして、現実生産者価格その他のものがはっきりいたしました時点におきまして、食管会計に赤字を生じました場合に、その時点において補正予算なり何なりの形で繰り入れをしていくということでも、これはまた食管会計の運営としては成立し得るものではないかというように考えております。
  244. 川俣清音

    ○川俣分科員 これが民間でありますれば、ことしの景気の動向、あるいは物価の動向というものを考えながら生産をしなければ、その会社は破綻に帰する。これは常識です。見通しを誤った会社が倒産をするのは、これは世の常なんです。食管は、何年も長くから食管会計をやりながら、依然として同じことをやっている。これが民間であればとうに倒産しているはずですよ。日の丸であるために助かっているだけの話ですよ。こんなだらしのない予算がありますか。予想されるのです。政府全体が、物価がこの程度上がる。それ以上高くなった場合には、これは食糧庁の責任ではない。政府見通しが誤った場合は、これは食糧庁の責任でない。政府みずからが物価高を、あるいは労賃高を一定の推定をしておる。それに反した予算を組んでおいて、私の責任ではございませんと食糧庁は言えますか。政府みずからが物価の動向というものをきめておるのです、経済白書を出して、こういうふうになりますと、このとおりなかなかいかぬでしょう、いかぬことは、これはやむを得ないにしても、そういうふうに出しておるなら、それなりの予算を編成しなければならない。それなりの予算を組んでいないのは、この国家予算の中で食糧庁だけです。ほかの予算を見てごらんなさい。どんな予算の中でも、同じ農林省の林野の予算を見てごらんなさい、木材はこのくらい高騰するだろうという予算を組んでおる。すべて国家予算の中には、ことしの見込みにおいて――見込み違いになるかならぬかは別にして、あまり見込みを上げるわけにはいかないでしょう、あるいはあまり下げるわけにもいかぬでしょう、一定のかたい見通しのもとに予算編成が行なわれておるというところに予算の権威がある。初めから見通しもつかないで、でたらめな予算というのは予算審議に値しない。そんな不確定な要素というものは予算審議に値しない、私はそう思うのです。食糧庁長官、そうお思いになりませんか。そんな不安定な予算は審議に値しない。幾らになるかわからないという予算を審議してくれなんということは審議の対象にならない。少しきついけれども、これに対する御答弁を願いたい。
  245. 武田誠三

    武田(誠)政府委員 食管特別会計というものが、一般の民間会社の経理と同じような形で成り立ち得ないということは、先生はもうこの点については、食管会計のベテランでございますので、十分おわかりでいらっしゃると思うのであります。  いまの米価の問題でございますが、生産者米価につきましては、生産費及び所得補償方式考え方、それからまた消費者米価につきましては食管法の定めるところに従いましてこれを決定していくという方式に相なっております。したがいまして、これらの問題につきましては、いまの段階におきましてそれぞれが幾らになるかということについては、いずれも未必のことでございます。予想を立てますにつきましても、ほかのマル公等のない一般自由物資とは非常に違った姿であると思っております。したがいまして、これらにつきましては、その時点においてそれぞれ決定をしていくということ以外に方法がいまの段階としてはないわけでございます。そのような意味合いで、従来とも食管会計の米の買い入れ、売り渡しに関しましては、前年産米の価格というものを基礎にして編成をいたしておるわけでございまして、そのことをもって直ちに予算の審議に値しないということには必ずしもならないのであろうというふうに思います。
  246. 川俣清音

    ○川俣分科員 少しきつく言い過ぎたのですけれども、しかし、予算審議に値しないという極言をしたのは、毎年赤字が出る、赤字が出る原因はどこから出てくるか、経費増によっても出るかもしれませんけれども、見積もりの欠陥から出てくる赤字というものは明らかにある。この責任はだれが負うのか。事業経費の増による赤字と見積もりの誤りからくる赤字というものとがある。見積もりの誤りからくる赤字の責任は当局が負わなければならないというのは、これは原則であろうと思う。そうじゃない、いろいろな予想せざる経費の増によってできた赤字は、これは必ずしも当局の責任とはいえない。世の経済の事情の変遷に伴う赤字というものでありますならば、これは必ずしも責任を負わなければならないということにはならないと思う。初めから欠陥の出てくることを承知して出てくる赤字というものについては、これは責任があるのじゃないか。初めから赤字が出ることを予想されるような赤字、それを解決しない予算というものは無責任な予算だ。これは長官、大臣は帰しましたけれども、大臣でもこれは答弁は無理なので、長官も答弁は無理なのだと私は十分承知して聞いているのですが、ひとつ答弁を願いたい。
  247. 武田誠三

    武田(誠)政府委員 先生のほうから助け舟を出していただいて、すでに先生のお話しのようなことしか私も申し上げられないわけでございます。
  248. 川俣清音

    ○川俣分科員 生産者米価の決定にあたって、従来二つの方式をとってきた。一つ生産費及び所得補償方式、これに条件のついたバルクライン方式、あるいは麦と同じようなパリティ方式。パリティ方式が一番計算もしやすいし、わかりやすいというところから、食糧庁もかつてはパリティ方式をとった。パリティ方式をとると、大体予想される――これは米ばかりじゃない、麦では大体予想されて、あなたのほうでだいぶ悩んでおられたと思う。パリティ方式をとれば明確になってくる。これでもまだ去年の方式で買い入れ価格をきめていくというようなことをやっておられますが、パリティ方式をとるならこれは想定されるものなのです。米はまだそうなっていないだけに、赤字がどのくらい出るかという金額は不明でありましょう、当然でありますけれども、しかし、赤字が出るということだけは明らかです。こういう買い入れ価格でやるならば、物価の変動を無視した価格できめているのだから、物価の変動があれば当然赤字が出るということは、だれでも計算できるじゃないですか。食糧庁の能力をもってして、計算ができないわけはない。私のしろうと相場だって計算ができますよ。これはことしもやはり千二、三百億出るでしょう。あるいはそれ以上出るかもしれない。麦を入れないで、内地米だけです。なぜかというと、ことしの収穫は予想されませんけれども、最近の食糧事情からいって、主食の状態からいって、もっと買わなければならない、数量をまとめなければならないということが起こってくるのじゃないか。数量をまとめるとすれば、まとめるだけの力を持たなければならぬじゃないか。手ぶらで米を集める、集荷するということは困難だ。そうすると、結局は引きずられて――あなたのほうからいえば引きずられる、農民のほうからいえば当然な米価ということになるかもしれぬけれども、要求が起こってくる。これに対応されなければ買い入れが困難だという事態が起こる。これは御承知のとおり、社会党ばかりじゃない、自民党さんもなかなか米価決定については圧力をかける。そうすると、この予算米価で買い入れられないということはあまりにも明らかじゃないですか。毎年繰り返されておることです。初めからなるべく赤字の出ないような予算を組むことができないか、できるのですよ。五%なり六%なり、政府の見込みの物価の動向あるいはパリティの動向から見て、この程度は上がるであろう、これ以上はこれからの情勢によって変化するであろうということは言えますよ。全く世の中の情勢からかけ離れて米価をただ予算書に載せるということは、これは全く能のない話。食糧庁、一体何年やっておられるか。この見通しもつかない食糧庁なんて、いままでの経験はゼロじゃないですか。非常に有能な人がこれだけおって、ある程度見通しをつけられないなんというのは何をやってきたかという非難が当然加わると私は思うのです。それだけに食糧庁を愛するがゆえに、少しくらいは見通しをつけられて見通しが誤ったというならば、それは見通しの誤りでなくて、世の中の経済事情の変遷による誤りである、こうならなければならない。なぜそこまで勇気が出せないのか、全く惰性でやっておる。去年はこうであった。毎年おてんとう様が同じように、しあわせにして天候に恵まれて、生産費も比較的安くつくというようなことが一体あるかと思うのですが、農林省がしゃちほこ立ちしたって天候を支配するだけの力はない。平清盛の力をもってしても、西の山へ没した太陽は引きずり上げられなかったと同じように、ことしもいい天候でありたいと願う。私どもも願いますけれども、食糧庁のいうとおり天候は動いてくれないであろう。ここに責任問題が出てくるんじゃないか。こうした責任問題が前にぶら下がっているのに、なぜ一体従来どおりやらなければならなかったかという根拠はないじゃないですか。従来どおりやる、これは一番安易な方法です。安易なことで責任をのがれることはできない。苦難の中でもこれは解決しなければならない、私はそう思う。どうですか。一番楽な方法ならできますよ。私ももっと楽な方法は幾らでもあると思いますけれども、それでは無責任だ、批判が出てくる。幸いに有能な食糧庁長官だから、御回答願いたい。
  249. 武田誠三

    武田(誠)政府委員 お話しのようにパリティだけで計算をするということであれば、ある程度の推測はつき得るものと思います。ただ生産費等の結果が非常に大きく影響いたしますので、いまの段階では先ほど申し上げましたように、本年の生産者米価を幾らというふうに想定することがいいかということは非常にむずかしい問題であると思います。それから同時に食管会計自身の赤字の問題という点から申しますと、食管会計自身としては繰り入れ額が大きいほうが、金利負担の点から申しましても、あるいは今後の米価あるいは麦価というものがどういうふうにきまるかという場合の、その後の繰り入れというものが少なくなるというような点から申しましても、その限りにおいてはけっこうなことであるというふうに思うのでございますが、他面、売り渡し価格等におきましても、消費者米価、あるいは麦の売り渡し価格を今度どういうふうにするかということにつきましては、いま何らきまっておるわけではございませんけれども、これもその時点になりませんと、実際のデータはないわけでございます。きまると申しますか。予測を立てるということが非常にむずかしい状況でございます。食管会計それ自身の問題と、さらに全体としての財政事情その他の点での国全体としては問題であるわけでございます。したがいまして、そういう意味合いで現実に米価がきまり、売り渡し価格もどうするかということがきまりました時点におきまして予算の補足をお願いをしておるということが従来のあれでございますし、いまの米価のきめ方等からまいりますと、そのような方式によらざるを得ないのではないか。お話しのように、安易なやり方であるというふうに一言できめつけられますと、まさにそのようであるかもしれませんけれども、これらの予測価格というものをいまの段階で予算に織り込みますことは、非常な問題があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  250. 川俣清音

    ○川俣分科員 これは論争になると思いますからできるだけ避けたいのですけれども、パリティ計算で予想できないことはない。かつてパリティ計算で算出されたこともある。実際の買い入れ米価は、いろいろな諸情勢を勘案して、生産費所得補償方式によって買うけれども、算定はパリティ計算で算定しておいて、生産費所得補償方式で修正をするというやり方一つあるはずであります。なぜその方式をとれないのであるか。私が質問して、私が答弁することになるのだけれども、そういう方式があるはすなんだ。いろいろな方式を勘案して、今後も、従来どおりだからということでなくて、ここから脱却するという努力を払うことが、長年経験ある食糧庁の使命じゃないかということを私は言いたいのです。パリティ方式で計算してごらんなさい。麦を同じような方式で計算しますと、どのくらい上がるのですか、生産費は幾ら足りなくなるのですか、従来の米価よりも幾ら上げなければならぬか出てくるじゃないですか。それほど明らかなものをあえてふさいでおいて、赤字が出たからといってあわてるのは、全くこれは無能にひとしいと言いたいのであります。また消費者米価についてもそうであります。消費者米価はこうありたいのだという意思が出てきて審議を受けるほうが、私は食糧庁としては、――食糧庁というよりも、そうあるべきではないかと思います。そのときになってやるよりも、こうありたいということを予算に組むことができるはずだと思う。それは、初めから国会でこの論議をされるとたいへんだというおそれも当然ありますよ。これはたいへんなことになりますけれども、ほんとうであれば、予算からいけばそうするのがほんとうだと思う。そういうことでいかしてもらうということが私はほんとうだと思うのです。後になってからでは、米価が高くなったから高く買わなければならないことはわかっていながら、高く買わないで、あとで、これでは安くて困るなんて、なぜ予想する事態を解決しておかないか、どうも役人の悪いのはなるべく問題を解決しないであと回しにしておいて、だれかに譲ってなんて、長官はそんなことは考えないだろうけれども、なるべくあとに譲ってという、こういうやり方が私は無責任だと言うのであります。これ以上言うと長官もお困りでしょうが、あらためて検討するという考え方があっていいのです。使う使わないは別にして、もう一ぺん検討してみるお気持ちはありませんか。それで次の時代に引き継いでいくということが正しいのではないかと思う。次の長官のほうがもっとしろうとかもしれない。そうすると間違ったという、十分でない、それは去年どおりだ、優秀な長官が先にきめたのだからこうやればいいだろうということになる。後輩を指導するのに、足らない食管を譲ってはならない。この辺のところであなたはこうあるべきであろうと予想を立てて、あとを継ぐものはかくあるべし、こう示すことが必要なんではないかと思います。私ならばそうしようと思います。残念なことには食糧庁長官ではないものですから……。
  251. 武田誠三

    武田(誠)政府委員 川俣先生からおほめをいただきまして恐縮でございますが、食管特別会計のあり方につきましては、これは先生も御承知のように、昔から各方面からいろいろな御批判をいただいております。かつてのどんぶり勘定から、現在の勘定別の会計にいたしましたにつきましても、先生からもいろいろなお話もございました。私もその当時小倉長官のもとで総務部長をやっておりましたので、経緯は十分承知しておるつもりでございます。したがいまして、食管会計それ自身を今後さらに健全化すと申しますか、より食管特別会計としてのあり方について、悪いところを直していくということは必要なことであると思っております。何でも考えるとおりに直ちに事が運ぶというふうには思っておりませんけれども、いろいろな面につきまして、それぞれ各方面の御意見なり、あるいはまたわれわれ自身で検討をいたしまして、必要だという点につきましては、これは財政当局とも十分連絡をとりながら改善をしていきたいというふうに思っております。  いまの価格の問題等につきましては、価格のきめ方なり、あるいは現在の食管制度というものを、今後どういうふうに持っていくかというようなことともいろいろ相互に関連をする問題であろうというふうに思っております。いろいろな意味におきまして、現在の食糧管理制度、あるいはそれに関連をいたします食管特別会計の制度につきましては、検討をいたしてまいりたいというように考えております。
  252. 川俣清音

    ○川俣分科員 これ一問で終わります。  私どもがパリティ方式で計算すると、石当たり二万円近くなるのじゃないかと試算されます、麦と同じような計算をするならば。パリティ方式を使いましても大体それに近い、同じじゃないが、近い数字が出るのじゃないか。従来のパリティと、生産費及び所得補償方式との関連から見てまいりますと、大体パリティ方式とそう格段の違いがあるようなものは出てこない。出てきましても、パリティに近づけるという操作が行なわれまして、パリティ指数による計算に近づけるということが行なわれ、パリティ指数による計算とほとんど、ひとしくはないがやや近い数字が出ることは多年の経験で明らかです。そういたしますと、ことしの買い入れ米価は諸情勢を反映いたしまして、石当たり二万円になる。二万円ということになると、食管会計というものは相当苦しくなるということが予想される。だから、いまにして解決しなければならぬ問題が目の前にあるのじゃないですか。これを解決つけないで延ばしておくことは許されないのではないか。いま私は、あなたからことしの買い入れ米価はどのくらい上げるのだなんて、そんなことを聞いているのじゃないのですよ。大体の趨勢というものをつかんでいなければならぬじゃないか。それは食管が窮屈になっていく、それが予定されているのだから、それに対する対応策というものが当然なければならぬじゃないか。このくらい食管に対して親切に質問しているじゃないですか。こんな親切な質問はないですよ。それを従来どおりの答弁をなさって、過ぎ去っても、この場は間に合いましょうけれども、もうすぐ二カ月後には、あるいは三カ月後には、この答弁が役に立たないことになるのです。いまから検討しておかれたらどうですか。この点を申し上げて私の質問を終わります。答弁に苦しむことを十分承知しておるけれども、やはり覚悟をきめておいていただかないと、私自身も無責任だと思うのですね。鞭撻ともつかない、あるいは非難ともつかない質問をしたわけですけれども、それだけに食管というものはむずかしいということを十分承知しております。その上での質問ですけれども、一応御答弁を願っておきたい。
  253. 武田誠三

    武田(誠)政府委員 お話しのように、食管会計の運営等につきましては、生産者米価の問題等と関連いたしまして、非常なむずかしさに本年もまた逢着するであろうというように思っております。精神的に覚悟だけきめておってもだめかもしれませんけれども、今後の問題につきましては、その時点において、誠意をもって当たりたいというように考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  254. 川俣清音

    ○川俣分科員 了承したのではありませんが、これで終わっておきます。
  255. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて川俣清音君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、経済企画庁所管、農林省所管、及び通商産業省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     ―――――――――――――
  256. 植木庚子郎

    ○植木主査 この際おはかりいたします。  昭和四十一年度一般会計予算中、経済企画庁所管、農林省所管、及び通商産業省所管、並びに昭和四十一年度特別会計予算中、農林省所管、及び通商産業省所管に対する本分科会の討論採決は、先例により予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 植木庚子郎

    ○植木主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  分科員各位の御協力によりまして、円満裏に本分科会の議事を終了することができましたことをここに深く感謝いたします。  これにて第四分科会を散会いたします。    午後六時四十六分散会