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1966-03-01 第51回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月一日(火曜日)    午前十時十五分開議  出席分科員    主査 植木庚子郎君       今松 治郎君    久野 忠治君       坂村 吉正君    田中 龍夫君       橋本龍太郎君    加藤 清二君       角屋堅次郎君    川俣 清音君    兼務 大原  亨君 兼務 栗原 俊夫君    兼務 東海林 稔君 兼務 華山 親義君    兼務 森  義視君 兼務 湯山  勇君  出席国務大臣         農 林 大 臣 坂田 英一君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁水         資源局長)   鈴木 喜治君         農林政務次官  後藤 義隆君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)    大河原太一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         農林事務官         (蚕糸局長)  丸山 文雄君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君         農林事務官         (農林水産技術         会議事務局長) 久宗  高君         食糧庁長官   武田 誠三君         林野庁長官   田中 重五君         水産庁長官   丹羽雅次郎君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         印 刷 局 長 遠藤  胖君         通商産業事務官         (通商局次長) 今村  曻君         通商産業事務官         (通商局輸入業         務課長)    高谷 武夫君         建設事務官         (河川局次長) 青木 義雄君     ――――――――――――― 三月一日  第五分科員大原亨君、栗原俊夫君、東海林稔  君、第二分科員華山親義君、第五分科員森義視  君及び湯山勇君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算農林省所管  昭和四十一年度特別会計予算農林省所管      ――――◇―――――
  2. 植木庚子郎

    ○植木主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十一年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。  この際、本日質疑予定委員の各位に申し上げます。  本日の質疑予定委員の方々は多数ありますので、議事進行の円滑をはかるため、質疑の持ち時間は本務員は一時間、兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめられたいと存じます。この点つとめて御協力相なるよう願います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。加藤清二君。
  3. 加藤清二

    加藤(清)分科員 お許しを得まして、最初農業関係のうちの農地問題、二番目に農林金融についてお尋ねしたいと存じます。  最初農業用干拓地、これは一体だれに使わせなさるおつもりでございますか。
  4. 大和田啓気

    大和田政府委員 農業用として干拓いたすわけでございますから、当然農民に払い下げて農業用目的に使わせるわけでございます。ただ、場合によりまして、干拓を始めましてから相当な時間がたって、農業用利用が全く困難なような条件になりかねない場合がございますので、その場合は、はなはだ遺憾でございますけれども、他用途に転換をするということも間々あるわけでございます。ただ、農業用干拓でございますから、原則としては農業に使うことは間違いありません。
  5. 加藤清二

    加藤(清)分科員 八郎潟はどうなりましたか。
  6. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎潟事業は、昭和三十二年に着工いたしまして以来、最近干陸が終わりまして、現在地区内工事にかかっておる状態でございます。したがいまして、八郎潟干拓中央干拓地が約一万六千町歩の大面積でございまして、堤防でございますとか、水路その他の耕作に使えない土地を除きますと、一万三千町歩水田ができるわけでございますが、そこに昨年八郎潟関係事業団の設立をいたしましたこともあり、最初入植者亘月程度募集をいたしまして、ことしの秋から来年の秋まで一年間訓練所訓練をいたしまして、そのあと、私の見込みでは、若干の無償使用の期間を与えてから入植をさせる、そういう考えでございます。
  7. 加藤清二

    加藤(清)分科員 最初にお願いしておきますが、主査の指示に従いまして、短い時間内に早く切り上げたい、こういう希望で、つまり主査の命令に御協力する態度質問したいと思いまするので、したがって答弁者のほうも、その該博な知識をここで披瀝するということでなくして、特にまた大臣はハッスルすると雄弁をおやりになりますから。そこで、ずばっ、ずばっと質問答えていただくように、ひとつ推進方をお願いいたします。  そこで、八郎潟ほど大きくはございませんが、農林省主催のもとに行なわれた亀崎農業用干拓は、何にお使いになっておりますか。
  8. 大和田啓気

    大和田政府委員 ただいま私具体的な事実を存じませんので、調査いたしましてから申し上げます。
  9. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それではあとで調べて答えてください。  海岸埋め立てられます。ノリ業者がその生産手段を失います。その際の漁業権入り会い権、これなどはどのような措置をとっておられますか。
  10. 大和田啓気

    大和田政府委員 干拓地に直接関連いたします水面についての漁業権等については、漁業補償によって漁業権解消をいたしております。  それから、干拓地出先等について、干拓影響によってもし被害があるといたしますれば、漁業補償という形で、実態を調査の上、被害補償を若干いたしております。
  11. 加藤清二

    加藤(清)分科員 漁業権入り会い権補償は、その漁民が、生産手段なり、あるいは土地なりを喪失する場合は、国家補償する、こういうことですね。国家補償するのですか。それとも地方自治団体補償するのですか。よく調べて答えてください。
  12. 大和田啓気

    大和田政府委員 干拓をいたします場合に、干拓水面にある漁業権につきましては、国が漁業補償をいたしまして、漁業権解消をいたすわけであります。  いまお尋ねの問題で、あるいは国が干拓をする水面ではなくて、周囲の水面干拓工事によって影響を受けるという場合の御質問であろうかと思いますけれども、そういう場合は漁業権解消をすることをしないで、干拓の結果そう何年も漁業関係被害があるというわけではございませんでしょうから、どろ水が出て、その間漁業に悪い影響があるということでございましょうから、漁業補償損害補償をする程度で、漁業権解消ということには普通はいたしてはおりません。
  13. 加藤清二

    加藤(清)分科員 では、もっと具体的に伺いましょう。  海岸工場が誘致されますね。たとえば千葉の周辺、それから知多半島の周辺、それから湖水の周辺埋め立てをされる。そうして工場誘致がなされている。これもともに漁業権の侵害になります。こういう際はどういう基本的な態度をとってみえますかということをお尋ねしているのです。だから、そのものずばりと答えてくださればいいのです。
  14. 大和田啓気

    大和田政府委員 いまのお話のように、海岸あるいは湖岸等工場が進出いたしました場合に、その工場の汚水その他による被害が出ました場合に、これは国の干拓ということとは関係がございませんので、それは農林省として相談に乗って善処をするということもありましょうけれども、国がその損害補償するというふうには私ども考えておりません。
  15. 加藤清二

    加藤(清)分科員 どこがするのですか。
  16. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは公害一般の理論に従って、原因者にその責めが明らかであれば、工場自体責めを負うべき筋合いであろうと思います。
  17. 加藤清二

    加藤(清)分科員 しかし、農林省としては、その喪失した結果、農民漁民をほうっておくわけにはいかないから、別途生産手段の増設に努力していらっしゃるはずですね。たとえば、いままでノリのとれなかった地区防波さくをつくってノリのとれるようにする。その場所を地先権の者にのみ与えずに、別な地区権利を侵害された者に与える、こういうことをやっておられますね。やっておられませんか。
  18. 大和田啓気

    大和田政府委員 いまのノリ漁業権その他の問題は、水産庁関係で、農地局には直接そういうことをやる権限もございません。仕事もやっておりません。
  19. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私は、きょうは農林省を相手に承っておるわけですので、大臣に承りたい。
  20. 坂田英一

    坂田国務大臣 後刻水産庁を呼んでさっそく……。
  21. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それじゃ、これもあと回しにしましょう。こうなってくると、総合的に系統的に質問ができなくなっちゃうですね。スポットスポットで。  それじゃ次へ進めましょう。国家目的によって農地転用され、池が転用される、この場合の補償はどうなっておりますか。
  22. 大和田啓気

    大和田政府委員 池が国家目的転用される場合は、池の所有関係あるいは水利関係がどうなっているかということによって、取り扱いが違うと思います。ため池一般建設省所管公共財産でございますから、たとえば土地改良事業等ため池を含めて開田等仕事をいたします場合には、私ども二つ方法をとっているわけでございます。一つは、公用を廃止して民間にといいますか、農家に払い下げて、普通の私有地として土地改良事業を行なう。それからもう一つは、公共用財産のままで土地改良地区編入をいたしまして、そこが開田をされましても、他のところへ水路ため池等ができます場合は、それを国有地交換をするという形で処理をいたしおるわけでございます。
  23. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もう一度そこのところをお尋ねしますよ。国家目的により農地転用されたり、池、沼、ため池等転用された場合、あなたは二つ方法をお答えいただきましたですね。二つ方法、第一が農家に払い下げる、第二は、その区画整理組合なり何なりに包含させ、あとでどうなるとおっしゃいましたか。
  24. 大和田啓気

    大和田政府委員 私がお答えいたしましたのは、農業上の土地改良の問題です。それで、その池を含めて土地改良いたします場合の処理としては、一つは払い下げる、それからもう一つは、国有地のまま土地改良区の地区編入をいたしまして……(加藤(清)分科員組合にだね」と呼ぶ)土地改良区に地域として編入をいたしまして、そうして、土地改良の結果、水路ため池等ができるわけでございますから、それを国有地編入をいたしまして、いわば交換をするわけでございます。したがいまして、いままで池でありましたものが農地として換地される。いままでは普通の土地でありましたものが、ため池水路等になりましたものが、それが国有地交換をされるという、そういう状態でございます。
  25. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうすると、もう一度念を押しますよ。あとでずっと関連が出てきますからね。土地改良区の中に含まれるので、農地転用ないしは池の転用が行なわれた場合には、一は農家に払い下げる、二は換地用土地改良区の中へ編入しておく、目的換地用である。わかりました。  それじゃ、次に進みます。大臣、よく聞いてくださいよ。その池や沼の所有権がどこに帰属するかということによりましてたいへんな紛争が全国に起きているわけでございます。これが農業用に使われている場合にはもとより問題は少のうございます。ただ、入り会い権その他で争いが起きるだけでございます。ところが、この利用法変化をいたします。たとえば住宅転用される、あるいは国道転用される。そうなってまいりますると、ここに地価が上がるという地価変動を来たすわけでございます。したがって、その結果は所有権帰属が移転するわけでございます。こうなりますると、さあたいへんなのです。争いが起きて、いま裁判事件になっておるものだけでも、もう数限りなくある。そうして、なおこれが長年にわたって行なわれている。大正初年から五十年も続いたという争いがあるわけなのです。いわゆる小繋事件入り会い権問題、利用法が変わるとこういうことになってくるわけだ。そこで、その紛争を集約してみますると、今日ではまず政争の種となっている。字と字との、あるいは村と県との政争の種となって問題を起こし、町長が腹切りをしたところがある。都市投資家が利殖の目的をもってここへ投入して、そうして土地の百姓をいじめて、何のことはない、どろぼうみたいなかっこうで召し上げていってしまう事件がある。それから土地のブローカーと政治家とが結託して、ただ私腹を肥やすということにのみこれが利用されるという事件がある。まったくこれは悲しむべき現象なのです。なぜそういうことが起きるかといえば、第一番に農林省、第二番建設省、第三番大蔵省、ここの意見が統一されていないということなのです。また法的根拠がきわめて薄弱であるということなのです。そこで先般私は予算分科大蔵部会でこの問題を尋ねましたところ、大蔵省も寂として声なし、答弁ができないのです。こんなことでよろしいでしょうか。だんだん全貌を明らかにしていきます。地図も持ってきております。具体的に聞きます。  そこで、農林大臣、こういう場合に、あなたは農民を守る立場にある方なのです。どうやって農民を守ろうとなさっていらっしゃいますか。法的の立場から、あるいは政治的な立場から、あるいは利益擁護立場から、はっきりと確信のほどを述べていただきたい。
  26. 坂田英一

    坂田国務大臣 具体的にいろいろ御質問があろうと思うのでありますが、具体的の問題についてそれぞれ検討を加えなければならない。もちろん、このために農民が非常な不利を来たすようなことのないように十分考えていきたいと思うのでありますが、事案そのものは非常に複雑で、法律的にも複雑であると思います。したがいまして、それぞれの事案についてよく検討いたさなければならぬかと思います。
  27. 加藤清二

    加藤(清)分科員 基本的に言えば、これはもとより国家のものなのです。それをいっとき名義変更で、所有権が何がし、何がしに移ったものもあるでしょう。しかし、いずれにしても私は、これはその地域社会の発展、そこに住む住民権利保護考えることが必要である。地域社会が発展して利用法が変わった場合には、とにかくまず第一番に住民権利保護ということが何よりも大切だと思う。同時に、これが利用変化が行なわれる場合には、欲を言うなれば、後代の子供の教育的環境までも考え合わせてこの利用考えていくべきである、こういう基本的な考え方を私は持っておるものでございます。わが党としては、すでにこういう問題については寄り寄り検討を進めてはおりまするが、いま申し上げたような基本線は変わりないところでございます。大臣としてはどう思っていらっしゃるか。
  28. 坂田英一

    坂田国務大臣 土地改良等によっていろいろ事業が行なわれる場合において、たとえば用水の問題ならば、それは農民利用に十分それが間に合うようにすべてを中心的に考えていくべきものであろう、これは言うまでもないのでありますが、いま申しましたように、用途が変わったときにどうするかという問題であろう、そういうときにいわゆる利益の分配問題に相なるわけでございます。その点についてはやはり事案によってよく検討を加えなければならぬのではないか、こう存じまするが……。
  29. 加藤清二

    加藤(清)分科員 だから、基本線は何ですかと聞いておる。それを変化した場合に、事案によってケースバイケースにはきまっておる。基本線は何ですか。
  30. 坂田英一

    坂田国務大臣 そういうわけでありますから、もちろん基本線としては、私の立場からいきますと、でき得る限り住民利益、いわゆる公益の点を中心にして考えていきたい、こういうことを念願いたしております。
  31. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そのとおりでございます。すでにこのことは民法できちっと定められておる。所有権だけでなしに、入り会い権のごときまでが、民法二百六十三条、民法二百九十四条、これによって各地の習慣をも尊重する、しかもなお、それが善良な風俗習慣で公衆に迷惑を及ぼさぬという場合は、これはあくまでその入り会い権までが法的効果を有する、つまりその土地住民を守るために法が発動する、こういうことに相なっておるわけなのです。読んでいただけばよくわかる。そこで農林省としては、ケースバイケースで、どのような問題が起きても、常に農民を守る。善良な風俗習慣を尊重するということが、やがて住民権利を守るということになると思いまするが、これはどうお考えでございますか。
  32. 坂田英一

    坂田国務大臣 大原則は先ほど申したとおりでございますが、その目的を達成する、あるいはその決裁をする際においての法律問題がやはり伴いますから、その問題は私も検討を加えないと一々申し上げることのできぬ場合があると思います。
  33. 加藤清二

    加藤(清)分科員 具体的に言いましょう。これは大蔵省から何か農林省お話がございましたか。つい最近にありましたか。ありませんか。
  34. 大和田啓気

    大和田政府委員 ございません。
  35. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大蔵省側では、直ちに建設農林と話し合って、今国会の終わりまでにある程度答弁をいたしますということになっている。もしその答弁が行なわれず、三者が三様の意見を述べていらっしゃる場合は、次に行なわれる一般及び総括質問において私はこれをたださなければならぬ。なぜかならば、三者三様であれば、総理の見解をたださなければならないからです。実はそういうことになっているのです、別な分科会で。それで聞いている。よろしゅうございますか。この答えができなかったら、予算が延びるか延びないかというところに問題がいくのですよ。そう約束しているのですから、だから聞いている。  さて、それでは具体的に聞いてまいりまするが、国有地と称する池がございます。この所有権帰属農林省としてはどうお考えでございますか。
  36. 大和田啓気

    大和田政府委員 国有地と称する池の性格を申し上げますと、行政財産でございまして、それは建設省一般的には所管をしておると私は考えております。
  37. 加藤清二

    加藤(清)分科員 冗談言っちゃいけませんよ。建設省所管しておるのですか。しからばお尋ねしましょう。建設省国有地と称する池の台帳がありますか。あったら見せてもらいます。ほんとうにありますか。いいかげんなことを言ってもらっちゃ困りますよ。具体的に名前を出してあげますから、わからぬならわからぬ、話し合いができていないなら、できていないと答えてもらったらいいのです。そんな逃げ口上を言うておったらだめですよ。
  38. 大和田啓気

    大和田政府委員 兵庫あるいは愛知等々に相当小さな面積の池がたくさんございます。その性格は、法律的に申し上げますれば行政財産でございます。それで建設省でも、おそらく国有財産台帳は、この点に関しましてはつくってないと思います。しかし都道府県知事なり、あるいは建設省なりが、行政財産として所管をしているわけでございます。
  39. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それじゃお尋ねしましょう。台帳はどこにありますか。どこに登記されておるのです。
  40. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは台帳はおそらくないと思います。ちょうど畦畔等について、青地として問題がありますように、台帳に記載のない国有地というふうに考えております。
  41. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなた御存じのとおり、去年畦畔青地が問題になりましたですね。その所有権帰属が問題になりました。川の堤防所有権帰属が問題になっております。それよりも何よりも、もっと大きいものがこの池、沼なんです。何が大きいか。面積がはるかに大きい。これは私は去年から申し上げておる。しかもなお予算委員会において、これは重要な案件であるからというので、去年の視察にぜひこれをやろう――主張しているのは建設省じゃないのですよ。大蔵省がわが管轄だと言うておる。そこで財務局、国税局等々をずっと調べて回りました。赤澤正道君、野田卯一君も、その方面のベテランと一緒にずっと回ったんです。あなたは兵庫県と愛知県なんて言っているけれども、そんな狭い範囲の問題じゃないのですよ。しかも、問題になっているのは都市周辺なんです。大都市周辺で、大都市がどんどん拡張する。国道ができる、住宅ができる、建設省住宅公団が広域にわたって一括買う、その中に池が含まれてくる、こういう問題なんです。ですから問題の起こっているのは、大都市周辺がより多うございまするが、実際これが存在することは、水田のあるところ必ずあるのです。では、あなたにお尋ねします。さきの問題を答えてください。
  42. 大和田啓気

    大和田政府委員 さきの問題といいますと……。
  43. 加藤清二

    加藤(清)分科員 建設省ですかと言っているのです。
  44. 大和田啓気

    大和田政府委員 それは建設大臣あるいは都道府県知事所管する行政財産でございます。  ただ、先生も言われておりますように、私ども農業立場から申し上げますと、あるいは土地改良事業立場から申し上げますと、たとえば兵庫県でありましても、東条川その他国営のかん排事業を相当やっております。そういう地帯にいま先生の触れられたような池があることは事実でございます。それから木曽川周辺で相当そういう池がありますことは事実でございますが、その両地帯いずれも先ほど私が申し上げましたような形で、岐阜あるいは愛知の内水面埋め立て事業でありますれば、埋め立てをして、そうして別の水路等々を国に割りつけて、農家としてはいままで一反歩のものが一反二歩なり三歩なりという形でなわ延びという形で処理をいたしておりますので、住宅地域の問題としてその問題があるだけで、農業上の問題としては処理されておるわけであります。
  45. 加藤清二

    加藤(清)分科員 局長の該博な知識を披瀝してもらおうとは思っていない。私は本件の解決のめどをつかみたいために質問しておる。したがって、質問答えてもらわなければいかぬ。いま建設省ないしは地方自治団体がこれを管理しておる、所管しておる、こうおっしゃったから、それならどこに台帳がありますかと聞いておる。
  46. 大和田啓気

    大和田政府委員 それは青地である畦畔と同じように台帳はございません。
  47. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ないですね。それで農林省としては、農民を守る立場から、この所有権帰属は那辺にあることが妥当であると考えていらっしゃいますか、農林大臣
  48. 坂田英一

    坂田国務大臣 もちろん、これは農民が使っておるものでありますから、非常にその所有の問題としては重要なのであります。それをどこに帰属させるかという問題を、いまここでこうだということを指摘するほどのことは私はいま直ちにはできません。
  49. 加藤清二

    加藤(清)分科員 答えができない。できないということは、決定されていないからできないと言うのか、わからぬからできないと言うのか、農民は裸にしてもいいという考えからできないと言うのか、いずれでございますか。
  50. 坂田英一

    坂田国務大臣 それは決定もして、もちろんこれから検討すべき問題であろうとは思いまするけれども、そう簡単なことにはいきません。
  51. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうです。簡単にいかぬ。簡単にいかぬから聞いているのです。  そこで、もう少し全貌を明らかにするために先に論を進めます。あなたは建設省ないしは地方自治団体が管理しておるとおっしゃられまするが、実際これを仕分けしてみますると、池の所有権は、国有地と称するものと、県有地と称するものと、村有地と称するもの、字有地と称するもの、それに加えて個人名義と書き改められているものとの区別がございます。私はそのうちの国有地と称するものを聞いておるのです。初めから国有地国有地と言っている。国有地と主張なさるんなら、その証拠物件法的根拠を聞きたい、こういうことなんです。大蔵省においては国有地であるとおっしゃられますが、法的根拠はないのです。私の質問によって法的根拠は喪失したのです。そこで三省と相談せんければならぬ、こういうことになったわけです。ただし、農林省立場からいって、農民を守る立場からfI建設省所管でございますなんて責任のがれのためにそんなばかなことを言うたら、農民に対してあなたそれで事が済むと思いますか。冗談じゃないですよ。  じゃ具体的に申し上げましょう。これは太政官布告のときに、いま申し上げたような仕分けが行なわれた。そこで欲の深いのは個人名義にしたのです。一番欲の深い連中、庄屋さんなんかがこれは全部私有にしたのです。ところが、池というものはだれがどうしようと持っていかれるものじゃない。その周辺の者がこれを使い、この恩恵を受けるわけなんです。したがって、自分名義にしてたくさんな税金を取られちゃかなわぬ。それよりは入り会い権も運上権も水面権も水利権もみんな仲よく使おうじゃないかというので、これをわざと国有ということにいたしましょうといって、記録も何にもないのです。これは語り継ぎ、言い継がれておるだけのことなんです。農民は正直で、住居の移動が少ないから、語り継ぎ、言い継ぎされてきただけの話なんです。したがって、登記はどこにもないのです。しかし、これが利用法が変わり、利用する人間が変わってくると、問題が出てくるということを言っている。それは大都市周辺くまなくどこにもある。あなたは間違った認識から始めちゃいけませんよ。木曽川周辺にある、冗談言っちゃいけません。そんなことを農林省の人が言っておるようでは困まりますよ。なぜならば、池というものは景色のためにあったわけじゃない、水田をつくるための用水池なんです。大河川の周辺にそんな池が余分に要りますか。丘陵地帯、山の地帯水田をつくるときにこれが必要なんです。だから水田をつくるために山をつぶしてみんな池をつくったものです。水田のかんがい用なんですよ。  さて、そのかんがい用の池が、まず論を進めるためにどのくらいあると把握をしてみえますか。あなたの言い分だと、兵庫県と愛知県にある、こう言う。全国でどの程度農業用かんがいの池があるか。国有地であるという以上は把握しているでしょう。
  52. 大和田啓気

    大和田政府委員 四国とか、あるいは山陰とか、ため池はその数十万をこえるといわれておりますけれども、全国にわたっての詳細な数字は把握いたしておりません。
  53. 加藤清二

    加藤(清)分科員 把握してないのです。おれのもんだと言う大蔵省の財務局も把握していないのです。建設省もまた把握していないのです。ただ、目の前にある住宅公団の池はこれはおれのもんだ、おれのもんだと末輩の役人どもが主張するだけだ。できないのです。しかし、農林省の方々は試算することは可能なんです。なぜかならば、水田に必要な水だから、それもそんなあなたの言うような大河川の周辺じゃないですよ。大河川の恩恵の及ばない丘陵山岳地帯水田があり、その水田面積の一割から五%に及ぶものが池の面積であるということは、徳川時代の記録にも残っておるわけです。それが藩の財政を助けるもとになっているからです。徳川親藩の紀州、尾張侯、これなんかは河川の改修やら池の増設やらをたくさんやったもんです。大体水田面積の一割から五%に及ぶものがありまするから、畦畔などのたぐいではございません。村でいきますると、ため池の必要な地区は一字で平均大体二十町歩から三十町歩あるのです。その証拠を持ってきましたからあめ地図を見てください。あなたの言う木曽川周辺にはないのですよ。あの下のほう、つまりあそこで言うと知多半島です。私は山陰地区も全部回りました。山陰地区の地図も全部ここに持っております。やっぱり同じような平均です。なぜかならば、水田をつくるために必要な水の量は大体一致しているからなんです。よろしゅうございますか局長、認識を、最初の存在を間違えて把握してかかったら論が変わってきますから、私のいま言うたことについて違いがあるなら反駁してください。
  54. 大和田啓気

    大和田政府委員 いや、別に間違いであるという意味ではございません。木曽川周辺にあって、それを内水面事業でやっておりますと私が申し上げました趣旨も、事実かんがい用のため池というよりも、むしろ遊水池のようなもので、事実それをつぶして農地で現在やっております。
  55. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それはため池じゃなくて、たまり(溜)、まり(球)です。それではあなたがそれを主張しなさるから、たまり(溜)とかまり(球)も加えて話をしましょう。その点はあなたのおっしゃるように確かです。ただし、それを池と称したりため池とは称しないのです。慣習を重んじていけと民法にちゃんと出ているんですよ。その線に沿っていきますよ。  さて、一割ないし五%あると、面積の推定はどの程度ですか。これこそ農林省仕事ですよ。
  56. 大和田啓気

    大和田政府委員 全国のため池の数字で、私ども土地改良等の調査で把握しておりますものの大体を申し上げますと、ため池の数はおよそ二十八万、それで受益面積五町以上のものが四万九千、それから受益面積五町未満の小さなものが約二十三万でございます。
  57. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうです。そうやって具体的に話してもらわぬといけない。この問題は、某経済学のプロフェッサーにわが党はもう二年がかりで話をしております。これは博士号のアイデアには持ってこいで、何人か経済学博士ができると言っておるのです。それは余談である。しかし、水田の一割から五%に至るところのそのたくさんな面積紛争の種になってはならない。農民がそのおかげで、法を知らないがために非常に不利な仕打ちを受けるということは、政治家としては黙って見ておれぬということなんです。この点もう一度念を押します。農林大臣、どうです。面積が大きいんですよ。紛争も数が多い。
  58. 坂田英一

    坂田国務大臣 この点については、住民の従来からの保護という意味からこれを考えていかなきゃならぬということは、先ほどお答えしたとおりでありますが、私は先ほど申したように、この法律的ないろいろの問題については、むずかしいことがありまするので、いまここで申し上げることはできないということを言いましたが、方針はそのとおりです。
  59. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは目下のところ、いままで気がつかなかった。農林省としてはそういう問題についてはあまり関知していなかった。面積の把握はできておったけれども、関知していなかったが、今後どうしようというお考えをお持ちでございますか。
  60. 坂田英一

    坂田国務大臣 お答えいたします。農業上の問題としてはケースバイケースで、農業者の農業用の水の使用権という問題を中心にして、それが侵害されることのないように、その立場保護するという立場で、ケースバイケースで解決はしておるのでございまするが、いま申されたように、全般的な問題としてこれらをどういうふうなことによって統一して解決するかという問題になると、いま申しましたように、ここですぐ御返事はできない、こういう意味でございます。
  61. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そのケースバイケースで裁判ざたになっている問題がたくさんあるのです。首を振っておられるから具体的にあとで出します。ところが、この裁判が結着しないのです。先ほども、私は大正初年から五十年間も続いている小繋事件入り会い権争いだけを申し上げましたが、これはようやく先般片がついた。しかし、今度また争いが発生しそうになっている。なぜそうなるかというと、国の基本の法律が確立していないということと、大蔵省農林省建設省とがともになわ張りを主張するだけは一致しているけれども、ものの考え方というものが全部まちまちになっているということなんです。法律が第一確立していない。だから裁判が五十年でも六十年でも続くのです。この問題が都市周辺、池の転用のあるところ、必ず起きておる。だから基本線を確立してもらいたい。大蔵省のほうは、じゃ農林省建設省とよく相談をして確立する、こう言っておられる。その際に、あなたのほうは農民を守るためにどうなさろうとしていらっしゃるかということをはっきりと、私はここで確認しておきたい。その際に、それは建設省所管でございましてわがほうではございません、なんて言われると、私は次に質問しなければならぬ、具体的に出して。
  62. 坂田英一

    坂田国務大臣 同じことを申し上げるようでございまするが、農民農業用水の問題については、その線に沿ってその使用に支障のないように、その立場保護していくことを中心にして考えていきます。ただ、用途が変わった場合の問題として、その間においてはケースバイケースででき得る限りその解決をやっていく。ただ、全般問題については、やはり三省で十分検討を加えていきたい、こう思っております。
  63. 加藤清二

    加藤(清)分科員 三省が十分検討してこれを解決する、これは大蔵大臣も同じ御答弁でございました。三省が十分検討して善処する。ところが、その際に農林大臣としては、あくまで農民の味方としての態度をとられるのか。いまのように、そっちは建設省のことでござんすから、そっちの問題でござんすとおっしゃられるのか。その腹を聞くために具体的に実例を出しましょう。ケースバイケースとおっしゃった。数はもう幾らでもあります。それで地図を持ってきたのです。  名古屋の周辺に東山ゴルフ場というのがございます。これはもとより土地住民所有権に帰する土地でございました。これを緑地として県が取り上げました。緑地は一般に使用禁止の土地であります。農林省御存じのとおりだ。農林省関係だ。これは建設省とも関係がありますけれども、いつの間にやらこれがゴルフ場に変わりました。その地域内に牧野池という大きな池がございまして、面積一つで二十町歩余もございます。ゴルフのクラブをかついだゴルファーがこれをながめて、もっとよい利用法ということで利用法考えまして、ボートを浮かべ、魚を飼って運上を取った。よろしゅうございますか。ところが、いつの間にやらこれを関西の某財閥が取得したということになりました。なぜそんなことがわかったかといったら、さて今度は農民の問題、用水池周辺利用が変わりました。そこへはもうたきぎを取りに行くわけにはいかぬ。入り会い権は黙って召し上げられました。それならまだほかに山があるからよろしゅうございます。しかし水利権は一体どうしてくれるかという問題になる。池の水を流して田のほうに持っていかなければならない。その際に、池の水位が下がる。下がるとボート遊びするには非常に不便になってくる。下のほうに水がたまるようになるから、それはそうでしょう。そこで、争いが起きた。ところが、争ってみてはじめてわかったことは、その所有権までが、大阪の某財閥に移っておるということなんです。とんでもない話だ、話にならぬということになった。そこで県会議員が何名も入り、市会議員も何名も入って和解工作をしたところ、買った側はあくまで所有権を主張する、使用権を主張する。さりとて農民は水がほしい。先祖伝来の入り会い権、田後権、水面権を主張する。これに消防団が加わって、これは火事のときの用水になっておるのだ。それから池からあがる運上、水揚げによって消防の経理が行なわれておるわけです。そこで、この争い所有権のみならず、入り会い権から水面権から田後権から水利権から非常な争いが起きた。ついに裁判ざたになったが、裁判所は基本的な法律がないから二年たっても三年たっても解決をようしない。ついにこれは某新聞社に払い下げられた。そうしてその新聞社の社長が今度は私のところに持ってきた。なぜといったら、あの当時のことは、昔からの地主のむすこのあなたが一番よく知っている。へたな議員に頼んだってあかん。だからひとつ解決してくれ、こういうことなんです。いま私の手元にある。もちろん新聞社の社長から、これをどうしようかということをまかされておる、私は相談を受けておる、こういう事件がある。その際に、ケースバイケースだ、さあどうです大臣農民権利をどう守りますか。もとよりこれは農民所有権ですよ。これをあえて国有地であるとかなんとか言えますか。  もう一つ申し上げましょうか。区画整理事業建設省の許可で行なわれました。その地域内に国有地と称する池がございました。しかし区画整理協会並びに区画整理組合は、建設省並びに協会の指導のもとこの池を埋めてしまいました。しばらくたちますと財務局からやってきて、ここに国有地があったはずだ。それを変形させるとは何事ぞと言うて争いになりました。その結果、ここに建つはずの住宅はいまだに建たないで、砂漠地帯のようなかっこうになっておる。いま国道建設が盛んに行なわれておる。東名国道、名神国道、やがては名阪国道、これがぶち抜いていくところに池がある。ところが、この痛手をこうむった土地農民は、もはや協力せぬと言う。そんな所を建設省や、あるいは道路公団に売って、あとでまたお役所から文句をつけられたらたいへんなことになる、これはよう売りません。そのおかげで東名国道はいまストップになっておる所がある。かくのごとく国家基本線を確立していない結果は、やがて国家が行なおうとしている事業に支障を来たしているというのが本件なんです。住宅を推進、推進と言いながら、そのネックになることを国家みずからがつくっておる。そのときに農民権利は何の補償もなく喪失していくのです。海岸補償は行なわれる、ノリ補償は行なわれる、河川の補償は行なわれる、しかし住宅なり、工場誘致なり、内陸用工場用地転用に使われると、何の補償も行なわれず、その費用までが土地住民の負担ということになって行なわれておる。ケースバイケースで申し上げましょう。幾らでもありますから、まだ足らなかったらどしどし出しますから。
  64. 大和田啓気

    大和田政府委員 私、いまの東山ゴルフ場の具体的なケースはよく存じませんから、調査をして申し上げますけれども、どうも先生お話を伺っていて、私のやっておりますことと関連して、問題が三点あるわけでございます。  一つは、先生が言われているような池が、土地改良事業の中で行なわれる場合が一つございます。それは、これこそ払い下げなり、あるいはかえ地の処分で事実土地改良事業が進んでおりますし、それほどわずらわしい問題はないというふうに私は思っております。それから、その池が住宅地の中に取り込まれる場合でございます。この場合も池を埋める場合と、埋めないで農業用水として使う場合とございます。農業用水として使います場合でも、埋めます場合でも、区画整理事業につきましては十万坪以上に大きなものにつきましては、建設大臣農林大臣と協議をいたすことになっております。
  65. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そんなことを聞いているわけじゃない。
  66. 大和田啓気

    大和田政府委員 ちょっとおそれいりますが、お聞き取り願います。それを小さいものについては、知事のところで、区画整理事業の認可をいたします場合も、県の農地関係の部局と、区画整理関係の部局と、よく連絡をいたしております。そうして用水として使用をする場合に、どういう条件で使用させるか、あるいは埋め立てる場合に、水利補償をどうするかということについては、私ども、ずいぶん神経質になって相談をいたしまして、そのために、場合によりましては区画整理事業の向きからは、農林省考え方が慎重に過ぎて、時間をかけ過ぎて困るという御非難があるわけでございます。具体的な場合としては、私どもずいぶん国なり、あるいは県なりの立場で、水利関係についてはよく調整をいたしておるつもりでございます。なお、それでも具体的なケースとしてまずい事件がありますれば、私のほうは具体的な問題として取り上げて、なお協議を進めたいというふうに考えます。
  67. 加藤清二

    加藤(清)分科員 審議に時間がかかるという非難があったり、質問答弁がすれ違いであるという新聞社の批評があったり、私はまことに遺憾だと思う。どうしてそうなるかといえば、質問答えていないからなのです。自分の該博な知識をおっしゃることはいい。しかし、本件からのがれるために別な答弁をなさる、これは考え直してもらわなければいかぬ。ケースバイケースで臨むと大臣がおっしゃったから、私は、しからばかかるケースがあるが、一体あなたはこの場合農民をどう守りますかとお尋ねしておる。大臣、どのケースでもいいですよ。私いま三つ申し上げましたよ。その三つは、ともに農民は何等の補償も受けていないということを言うた。なおかつその事業が促進されない。国家事業が促進されないと言っておる。
  68. 坂田英一

    坂田国務大臣 いまの加藤委員のお気持ちも私にはよくわかります。そういうことについて、先ほども申し上げておるとおりに、現に農業用に使われておる土地においては、これは問題がない。変わったときの問題はどうするか、こういどきについては、いままではケースバイケースでこれを解決している。そのときには非常に困難であることはお説のとおりでございます。そこで、それに対して何らかの根本法の基礎ができないか、こういう御質問でありまするので、それはなかなかむずかしい問題でありまするので、関係省でよく検討を加えよう、こういうお答えをしておるわけであります。それに対して、その根本を考える際に農林大臣としてはどういう気持ちで臨まれるか、こういう御質問であると思うのです。私はもちろん住民のためという問題を中心にして考えていきたいと思いまするけれども、いま言ったように、いろいろの用途の変更には、それだけのまた社会上のいわゆる変更という問題も、それに対する価値判断もあるということでありまするから、もちろん私は農民立場から考えていきたいと思いまするのでありまするが、最後のいろいろの問題を検討しなければならないというのはそういう点でございまするので、よく検討を加えてまいりたい、こういうことをいまお返事申し上げたわけでございます。
  69. 加藤清二

    加藤(清)分科員 三省がよく検討し、協議し、これを善処する。しかも、大蔵省側は、これを本予算が上がるまでにある程度のめどをつけると答弁をしてもらわなければ、総括質問で私がこれを三者並びに総理に聞きますよと言ってある。そこで、農林大臣としてはその際に、基本線としては農民利益擁護立場に立つ。最初局長の御答弁によると、いままでの例は、いわゆる土地改良区ごときに包含された場合には農家に払い下げる、ないしはこれを国有地としてその中に包含しておくが、これはかえ地用にする、こうおっしゃいましたですね。そう理解してよろしゅうございますか、大臣。当然のことなんです、これは。
  70. 坂田英一

    坂田国務大臣 農業用については、それでけっこうだと思います。
  71. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もう時間ですから結論的にお尋ねいたしましょう。この所有権大蔵省がわが物であると主張をいたしましたが、その法的根拠と物的証拠がございません。なぜかならば台帳がないからです。同時に、建設省の許可になりましたときのあの区画整理組合、ここに国有地の池があったはずだがどうしたとおこられた。そこで私は言うた。それじゃったら、そのおっしゃる人になわ張りをしてもらいなさい、面積がどれだけあって、位置はどこであったか、なわ張りしてもらいなさい、自分に所有権があるならば、ちゃんと何があったかくらいは御存じのはずだというのです。同時に、この夏、予算委員が方々を回りましたときに、私は財務局長や国税局長に聞いて歩いた。国有地であるというならば、一体この池が、沼が破壊されたときの修理費はだれが持ったんだ。徳川時代でさえもこれはお殿様が持っていたのです。それ以後というものはだれが持ったか。太政官布告以後は、みんな費用は地主持ち、役務だけは小作持ちということでこの池を管理してきたのです。大蔵省、お尋ねをする。予算がびた一文でも組んであるのか、国有地である以上は、これは管理しなければならぬだろう。管理しておるというなら、予算がどれだけ組んであるかと言うたら、びた一文ない。いまだかつてこれの修理費を出したためしがない。そうなってまいりますと、これは民法からいけば当然もう時効にかかっておる。どこにその主張をする根拠がある。法的根拠を示しなさいと言うたところが、できない。そこで農林省としては、当然これが農民のものとして扱われることが妥当であると私は思う。  最後に、まだ材料が幾つかありますが、時間が来たようでありますので、もうこれでやめますが、大臣、あくまで農民の味方として、農民利益擁護のために、何の補償も、何の修理費も、何の管理費もいただかずに、長年守り続けてきたこの農民の池、農民の愛着と農民の汗とあぶらがしみ込んでいる池なんです。それを利用が変わったから、用途が変わったからというので、とたんに権利を主張されて、どこの馬の骨かわからない連中に持っていかれる。農民の気持ちになってもらいたい。全国津々浦々にある問題です。面積畦畔よりも、青地よりも、河川の堤防よりもはるかに大きい問題である。事、重大でございます。この解決がうまくいくかいかないかによって、本省が計画している道路、住宅、それが難渋するということになっている。だから、この点農林省としてどうお考えでございますか。もう一度、念のため覚悟のほどを承りたい。
  72. 坂田英一

    坂田国務大臣 加藤委員のお気持ちもよくわかります。私もその気持ちは共通であるように思います。ただ、したがって先ほど申し上げたとおりでございまするが、溜池も所有利用関係は、これは違うと思いまするけれども、そういう気持ちを中心にして、なおよく検討を加えたい、かように存じます。
  73. 加藤清二

    加藤(清)分科員 じゃ、これで終わります。
  74. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて加藤清二君の質疑は終了いたしました。  次は、東海林稔君。
  75. 東海林稔

    東海林分科員 私は、河川管理と農業用水に関する事項について、主として農林省、それから建設省並びに経済企画庁にお伺いしたいと思うわけです。  まず第一に、農林省にお伺いしますが、最近上流にダムを構築した、あるいは下流における砂や砂利の過度の採取等によりまして河床が低下したために、農業用水の取水が従前の施設では不可能になった、あるいは困難になったというような事例を私どもの身近で見聞するわけでありますが、全国的にそういうことにつきまして、農林省は実態をどのように把握されておりますか、まず伺いたいと思います。
  76. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども現在国営なり、あるいは県営なりで、延べ百三十万町歩ほどの土地改良事業かん排事業をやっておりますけれども、その後続々新規の希望がございまして、その大部分はかんがい排水事業で、河床低下によって取水ができなくなる、あるいは場合によりまして河床が高くなって排水が不良になるというようなことで、広く申し上げますればいろいろな原因によって河床は低下したりまた高くなったりいたすわけでございますけれども、相当広範囲にこの問題はあるだろうというふうに思っております。
  77. 東海林稔

    東海林分科員 私は実は、この問題につきましては前にも一度取り上げて質問したことがあるわけですが、そこでお伺いしたいことは、河川管理が適正を欠いたために、非常に河床に重大な変化が来たために、農民のための農業用水の取水が困難になって、やりかえるというような場合に、その改修費の負担につきまして、一般の場合と同じような考え方では問題じゃないか、河川管理の責任に帰すべきような事由によってその経費が必要になったような場合は、やはり河川管理の責任を負う者においてその費用を持つべきではないかという考え方が、私は当然だと思うわけでありますが、そういう点につきまして農林大臣はどのようなお考えを持っておられますか、お伺いしたいと思います。
  78. 大和田啓気

    大和田政府委員 大臣にかわってお答えさせていただきます。河川の流れを建設省が河川工事で変える、あるいはショートカットをつくるということで、明瞭に建設省の河川工事によって取水ができなくなるというような事例が間々あるわけでございますけれども、そういう場合は河川工事の一部として事実上の土地改良事業をやっておるわけでございます。ただ、一般的には、河川の工事あるいは砂利を取ったためにということがいわれましても、その原因によってしかとそうなったという因果関係が、なかなかつかまえにくい場合が実は多いわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、その原因が明確に追及できる場合は、その原因者事業をやってもらうという立場に立ちながら、原因が明確でないようなものは一体どうするかという問題でございます。最近も京都府の木津川でそういった問題がございまして、具体的に申し上げれば、木津川で土地改良の全体実施設計をやる段階でございますので、計画を立てる過程で建設省とよくその責任関係、あるいは費用の分担関係を協議してまいる。またこれは県営の事業でございますけれども、いま申し上げましたような取水障害を起こしました場合のかん排事業には、県営事業と違って、さらに五%補助率をその分について高く見ます用水障害関係事業を三十九年から始めまして、この一、二年毎年二件くらいずつ採択をいたして試験的にやっておるわけでございます。
  79. 東海林稔

    東海林分科員 確かにいま御答弁のように、ダムの影響とか、砂利採取の影響というようなものは、河川を計画的に変更するというような場合と違いまして、徐々に出てくるものですから、なかなかその因果関係を的確に把握するということは困難だろうと思うのです。しかし、農民のほうから見ますと、これはもう長く地元で見ておりますと、そういうような原因によるんだということはもうはだでわかるわけなんですね。そういう場合に非常に問題があるわけなんです。三十九年度から一部試験的であるけれどもそういう対策を講ずることになったということを聞いて、私が前に質問したときにはそういう考え農林省に全然なかったものでありますから、それに比べれば前進だと思うのでありますが、少なくとも農林省立場としてはそういう考え方を、先ほど加藤委員からいろいろお話がありましたような、農民立場に立って、そういう問題を積極的に取り上げるという態度が私は必要だと思うわけです。  それに関連して、ひとつ建設省にお伺いしますが、砂利や砂の採取を許可する場合に、河川に重大な支障のないような考慮のもとに許可されるのは当然であろうと思うのですが、その許可の基準といいますか、その点をまずお伺いしたいと思うのであります。
  80. 青木義雄

    ○青木説明員 河川の砂利採取の許可につきましては、砂利採取によります障害の発生を未然に防止し、また計画的な砂利採取を行なわせるために、河川ごとに砂利採取基本計画を策定いたしまして、これに基づいて適正な砂利採取の許可を行なわせる基本的な考え方に立っております。もちろん、河川の砂利採取によりまして、堤防、護岸等の河川管理施設が障害を起こす、あるいは乱掘、盗掘とかいったものの取り締まりに対しましては、私どもの管理事務所の管理体制を整備いたしまして、厳にそういうことのないよう取り締まりを強化いたしますとともに、現在、採取業者自体の自粛を期待いたしますために、地方ブロックごとに砂利対策協議会というものを設けさせまして、業者の自粛を促す、あるいは共同化を推進するといったような諸施策を合わせまして、乱掘、盗掘のないように、そしてまた河川の荒されることのないように、ついては河床の低下も来たさないように、そういう方途を講じてまいるというふうに考えております。
  81. 東海林稔

    東海林分科員 河川法の改正によって、一級河川は建設大臣が直接管理するということになったわけですが、一級河川につきましての砂利採取等につきましては、やはり建設省の出先が直接責任を持ってやるというふうになるのですか、知事に委任するというふうになっているのですか。
  82. 青木義雄

    ○青木説明員 一級河川につきましては、管理区間が直轄管理区間と、それから大臣が直接管理する必要のない区間に分けまして――それを指定区間と申しておりますが、両方を分けまして、直轄管理区間では建設省の出先、それから指定区間につきましては知事の許可というたてまえにしておりますが、もちろん両方とも密接な関連のあるものもございます。そういうところにつきましては、協議等によりまして十分連絡をとりながらいたしておる状況でございます。
  83. 東海林稔

    東海林分科員 この許可の基準、いろいろと抽象的な御説明があったのですが、何か数字的に基準的なものが出てないわけでございますか。
  84. 青木義雄

    ○青木説明員 先ほど申し上げましたように、個々の川につきまして多少事情も違うわけでございます。したがいまして、利根川に入る何という河川についてはどれくらいというように、場所についても若干違う場合がございます。したがいまして、全国的に幾ら幾らの数字というわけにまいりませんので、個々の河川につきまして、具体的に砂利採取基本計画というものをつくりまして、それによりまして数字を確定しまして、それによって許可をさしていくという方針をとっております。
  85. 東海林稔

    東海林分科員 しかし、実際問題としては、先般埼玉県あたりでもだいぶ問題になっておりましたように、堤防の根元がくずれるとかいうような問題、いま私が問題にしております用水の問題とか、そういう障害が具体的に出ておるわけです。したがって、そういうことのないように基準というようなものを厳格にきめていただきまして、同時にそれの監督、励行というものを一段とやってもらわないと、非常に問題になるのではないか。一方において建築ブームでありますから、そういう懸念がますます従来にも増して出てくると思いますので、一そうの励行をお願いしたいと思うわけです。  そこで、今度はひとつ具体的な問題でお伺いしたいと思いますが、今度の農林省予算の中で、大規模の土地改良の調査地区として、渡良瀬川沿岸の土地改良が採択されておるわけですが、地元の新聞等の報ずるところによりますと、やはり従来の取水口では、河床の移動でもって非常に取水が困難になったので、これを合口にして取水を豊かにする、同時に区画整理する、こういうように報ぜられておるわけです。渡良瀬川沿岸土地改良事業の主たる内容を、一応簡単に農地局長から御説明いただきたいと思います。
  86. 大和田啓気

    大和田政府委員 渡良瀬川沿岸の土地改良は、四十一年度に直轄調査の地区として採択になりました。この地区は渡良瀬川の下流沿岸に開かれる大体九千町歩くらいの面積で、現在渡良瀬川の水を水源にいたしまして、八つの用水でかんがいをして、取水をいたしておるところでございます。ところが最近いろいろな事情で河床が低下をいたしまして、取水が困難でございますので、頭首工あるいは用水路をつけまして、この辺の九千町歩に及ぶ地帯の、用水の抜本的な解決をいたしたいということで、調査の地区として採択いたしておるわけであります。
  87. 東海林稔

    東海林分科員 いまお聞きのとおり、大体において河床の低下というので取水が困難になっておるようですが、渡良瀬川の河床低下の原因を、建設当局としてはどのようなところに理由があるというふうにお考えになっておりますか。ひとつお伺いします。
  88. 青木義雄

    ○青木説明員 実は、渡良瀬川の状況についてはつまびらかにしておりませんので、あとでまた調査して御答弁申し上げたいと思いますけれども、考えられますのは、ただいまお話がございましたように、治山事業等の推進によりまして、砂の流下ということで相当詰まっておるように聞いております。相当変動がひどい河川のようでございます。したがいまして、この理由につきましては、各観点から調査をしてみなければならぬというふうに考えております。
  89. 東海林稔

    東海林分科員 建設当局では、いま即座にはっきりした御答弁ができないようなお話ですけれども、農地局長お話では、やはり河床低下というようなことなんですが、そういたしますと、先ほど五%の負担を国でよけい持つという事例がすでに二件ばかりあるというのですが、渡良瀬川の沿岸土地改良の場合には、その点についてのお考えはどういうことになっておりますか、農地局長
  90. 大和田啓気

    大和田政府委員 まだ調査の段階でございまして、調査を二、三年やりましてから全体設計をして、そこでこまかな設計をいたすわけでございますから、まだどの程度考えるかということは検討はいたしておりません。これからでございます。
  91. 東海林稔

    東海林分科員 これは農林大臣にお伺いしておきますが、調査してみなければはっきりしたことがわからないというようなことでございますけれども、私どもが地元民から聞いておるところは、渡良瀬川は、かつて河床がむしろ上がって排水に困ったというようなところが、最近はやはり非常に下がってきておる。これは確かに一面、上流地帯の治山工事が進んだというような点もあるのだろうと思いますけれども、やはり地元として考えておるのは、相当砂利や砂を取っておるというようなことが考えられるわけです。そういう点、いま調査の結果が明らかになった場合は、ぜひ――先ほど申したように、私は、五%というような問題はまた議論の余地があると思いますけれども、そういう理由が相当な部面を占めておるということが明らかになった場合は、当然やはり地元の農民負担を軽減して、国が持つということを考えていただかなければならない。特にこのことを大臣にお願いしたいわけでありますが、そこらの大臣のお考えをお聞きしておきたい。
  92. 坂田英一

    坂田国務大臣 その原因が調査の結果はっきりいたしまするときは、農民負担軽減のためにでき得るだけのことをやりたい、こう考えております。
  93. 東海林稔

    東海林分科員 それから、渡良瀬川の問題でございますが、今度は経済企画庁にお伺いします。水質基準の決定が、私の承知しておる範囲では、まだきまっていないようであります。実はだいぶ前にこの問題を質問したら、おそくとも一昨年秋ぐらいまでにきめるというのがそのときの答弁であったわけなんですが、現在までにまだ決定されておらないというのは、それはどういうことになっておるのか、その点を簡潔に説明していただきたいと思います。
  94. 鈴木喜治

    ○鈴木(喜)政府委員 御指摘のとおりでございます。私の前の局長の当時だと思いますが、三十九年にやはり東海林先生からの御質問で、なるべく早急に水質基準をつくりたい、そういうお話であったわけでございますが、水質審議会の中に、御承知だと思いますが、渡良瀬川関係の部会をつくっておりまして、その当時、三十九年の暮れまでに四回ほど審議を重ねたわけでございますが、御承知のように、渡良瀬川の汚濁問題といいますのは、足尾銅山からの排出水による農業被害ということになっておりますが、現に稼働しております施設以外の旧堆積場からの排出による影響も相当あるのじゃないか、そういう関係で、除害対策についてもいろいろ複雑な関係もございます。また、御承知のような銅とか亜鉛とか重金属の微量の分析を行なうわけでございまして、それらの排出水と河川の水質との関係が非常に複雑で、汚濁機構と申しますか、それの調査なり解明なりに相当問題がある、こういうことで、特別部会だけでは不十分だということになりまして、これの中に調査と対策の小委員会を設けまして、この調査小委員会におきましてもう少し調査を続行して資料を整備してもらいたい部分がある。また、地元の農民の方々からは、雨が降ったときの濁りが相当問題じゃないか、こういうような点もございましたので、四十年の三月から九月にかけまして、渇水時、平水時、あるいは大雨のときの調査をやりまして、それの分析は、もう平水時のほうは大体出ておりますが、降雨時の分析がいまのところ三月一ぱいということを目標にやっておりますが、ややずれましても四月中には出るのじゃないか、それをまって調査対策の小委員会が引き続き審議するということになっております。いままでのところ八回ほど小委員会を開催しております。
  95. 東海林稔

    東海林分科員 私もあの近くにおるわけですが、特に洪水時における濁水が有毒分をよけい含んでおるし、さらに物理的な障害を来たす大きな理由のように私は思いますので、特にその点を重視して検討を進めていただいておるということについては、当然のように私も思うわけですが、大体いつころまでに結論が出るようないまのところの見通しでございますか。
  96. 鈴木喜治

    ○鈴木(喜)政府委員 ただいま申しましたように、これは財団法人資源化学研究所というところにお願いしておるわけでございますが、それの分析がおそくも四月には出るんじゃないか。それを受けまして、調査並びに対策小委員会が積極的な活動をやるということになりますので、どういうことになりますか、御承知のような七十数年にわたる問題でございますし、先ほども申しましたような微少の銅とか亜鉛の問題がございますので、ちょっとした条件の変化がそういう分析の誤差の範囲内に入ってしまうというような問題もございますので、相当慎重な検討が要ると思います。  したがいまして、いま、いつごろになったら基準ができる段階になるかというお話でございますが、われわれとしては、もちろん年内にはつくりたいというような感じでやっております。
  97. 東海林稔

    東海林分科員 それで、今度は農地局にお伺いしますが、新たな渡良瀬川沿岸土地改良事業の調査をするわけでありますけれども、一応の考え方としては、この鉱毒除去の点は計画の中にどういうふうに織り込むように考えておられるのか、その点をお伺いしたい。
  98. 大和田啓気

    大和田政府委員 足尾の鉱毒の問題は、なかなかむずかしい問題でございます。それで、渡良瀬川の土地改良事業の新規の調査をいたしますことも、かたがたで鉱毒の問題があって、毒水ならば、その水を引くことを国営として計画するのはおかしいではないかという意見が、実は内部にもあったわけであります。ただ、地元の要望としては、毒水に対する評価もいろいろあるといいます以外に、毒水の問題は毒水の問題として、とにかく用水不足であることは間違いないので、そのために稲作生産力が相当阻害されていることも事実だから、できるだけ早く国営で土地改良をやってくれという要望も強かったわけでございます。したがいまして、私どもで土地改良の調査をやります際に、毒水の対策ということを調査計画の中に取り入れるという可否についても、地元ではいろいろなお考えがあるだろうと思います。そこで、調査項目の中に毒水の対策を取り入れることは、むしろある意味で農民の負担で毒水の問題を処理するということになってはおかしいではないかという意見があることも私は承知いたしております。したがって、どういう形でこの調査をやるか。四十一年度から始めることでございますから、調査の中に対策を入れるか入れないか、あるいは、入れるとすればどういう立場でやるかというようなことも今後慎重に検討いたしたい、そういうふうに考えています。
  99. 東海林稔

    東海林分科員 従来渡良瀬川の水を取る場合には、なるべく洪水時の表面水はあまり取らないで、そうして伏流水でありますとか、あるいは一度沈でん池を設けてやったこともありますけれども、ともかくあすこはきわめて微妙な問題があって、沈でん池じゃあまり効果がないという考え方もございます。そこで、一応いまの話でいきますと、やはり表面水を取るという考え方が中心でございますか、それとも、調査の結果ということになるのですか、それはどうなんですか。
  100. 大和田啓気

    大和田政府委員 内部的にはいろいろ検討いたしております。しかし、企画庁のほうの調査も近くまとまるようでございますので、それを見ながら最終的な案を練りたいというふうに考えております。
  101. 東海林稔

    東海林分科員 農林省のいまの調査の考え方はそうなんですが、私は、やはりこれは水質基準とも――いま局長が言われたように、水質汚濁を防止するということを何か土地改良事業によってうやむやにするというような考え方は、これはけしからんと思いますけれども、しかし実際に計画する場合は、それと切り離してはやはり困難じゃないか。そこをあわせてこれはやらなければならぬじゃないかという感じがするわけなんですが、そこらは特に関係省で十分連絡をとった上で、今度また相当な大金をかけてやるのですから、いままでと同じような結果を繰り返すことのないように、これはぜひ善処をしていただきたいという強い要望を持っておるわけです。  そこでもう一つお伺いいたしますが、建設省のほうでさらに上流で神戸ダムをいま着手しようとしておるわけです。その際にはこの神戸ダムのいわゆる鉱害除去の点について、何らか考え方があるのかないのか。私どもが聞いておる範囲では、それは非常に困難だというふうに聞いておりますけれども、ちょっとそこらの点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  102. 青木義雄

    ○青木説明員 建設省所管の神戸ダムの設置に伴いまして、水質がどういうふうになるかということにつきましては、建設省といたしましても重大な関心を持っておりまして、三十九年度からは実は群馬大学に委託して調査を進めておるところでございます。まだこの調査につきましては結論を得るに至っておりませんけれども、ダム設置によります影響を具体的につかみまして、貯水池の中の有害な沈でん物をできるだけ下流に放流しないように、取水口の構造、あるいはダム操作の方法等につきまして、具体的に検討いたしまして、企画庁、農林省等とも十分協議をいたしまして、ダム設置のために下流の被害が増大することのないようにいたしたいというふうに考えております。
  103. 東海林稔

    東海林分科員 最後に、大臣に要望しておくのですが、先ほど農地局長答弁の中に一部ありましたように、あの地帯では要するに用水の問題をともかく水不足で困るから何とか早急に解決したいという熱心な農民と、もう一つ、鉱毒対策ということを重点的に長い間その問題に取り組んでおる農民と、両方あるわけです。したがって、土地改良事業についての賛否の態度も――私もこの間正月の休みにあの地帯を歩きまして、何人かの農村の有力者に意見を聞いたのですが、まちまちなんですよ。したがってそういう点、土地改良の調査につきましても、むしろそんなものをやらせないなんということを言っている人間もおるわけなんですから、十分そういうような点の遺漏のないように、先ほど関係建設省や企画庁との御連絡を私もお願いしたのですけれども、地元農民とのそういう誤解による紛争など起きないように、これは十分ひとつ留意をしてこの問題を進めていただきたい。このことを強くお願いしたいと思うわけですが、大臣、特にそういう点お願いします。
  104. 坂田英一

    坂田国務大臣 いま、東海林分科員から申し出されたとおりでございまして、ほんとうに用水量の確保もまた大きな問題であり、鉱毒問題がまたこれ重要な問題でありますので、農業用水確保の点から、量も質もという、これらのことをともに安定した水を得られるということに今後検討を加えていきたい、こういうことをしていきたいと思います。
  105. 東海林稔

    東海林分科員 それでは以上で終わります。ありがとうございました。
  106. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて東海林稔君の質疑は終了いたしました。  次に、森義視君。
  107. 森義視

    ○森(義)分科員 私は外材問題について、農林省並びに通産省にお伺いしたいと思うのですが、外材問題については、すでに同僚議員からかなりたくさんの質問が出されておりますので、重複しないように、時間がありませんので、要点だけについて質問したいと思います。  まず第一に、外材の輸入について政府は何らかの規制措置を考えておられるかどうか。基本的には、一次産品の輸入については、わが党はワンクッション置くべきであるという考え方に立っております。しかし当面少なくとも国内産材と競合の高い、たとえば米ツガ等の輸入について、何らかの規制措置を考えておられるかどうか。この点まずお尋ねいたします。
  108. 田中重五

    田中(重)政府委員 外材の輸入につきまして、直ちに規制措置を考えておりませんけれども、業界の自主的な規制を進めていくように行政指導をいたしたい、こう考えております。
  109. 森義視

    ○森(義)分科員 白書では、競合の程度のいかんによっては外材輸入の適正化を考慮せざるを得ないと考えている、こういうふうに書いてあるわけですが、競合の程度いかんによっては、どの程度競合してくればそういう外材に対するところの規制の考慮をしなくちゃならないか、こういう点についてどういうふうに理解しておられるのですか。
  110. 田中重五

    田中(重)政府委員 外材と申しましても、南洋材、米材、ソ連材、いろいろあるわけであります。その中で国内産材と特に競合すると考えられるのは、米材のうちの米ツガで、米ツガの輸入につきましては、特にかねてからその自主的な規制をはかるようにその協会等を通じて適正な措置を行なっております。
  111. 森義視

    ○森(義)分科員 いまおっしゃるように米ツガが一番国内材と競合の度が高い。しかもその競合の度合いの高い米ツガの輸入が最近一番輸入増になっているわけです。そうですね、数字から見て。これは今日白書の中にも書いてありますように、今日外材の輸入が国内需要量の大体二八%に達している。御承知のように関東大震災の直後いわゆる復興特需によって外材の輸入が激増してきた、そうして外材が当時国内需要量八千万石に対して三割入ってきたということだけで大問題になって、昭和三年に外材に対する関税措置がとられたわけなんです。今日の時点ですでに当時の需要量の三倍に伸びておる。それに対して約三割近い外材が入ってきておる。しかもそれが特に米ツガ、日本の杉小丸太と大きく競合する材がどんどんとふえてきている。こういう時点において、何らのそれに対する対策を講じようとしない、いわゆる業者の自主規制にまかせておる、こういうことでいいのかどうか。
  112. 田中重五

    田中(重)政府委員 いま申し上げましたように、米ツガが、特に杉と競合関係にあるという点は認めざるを得ないことでございますが、しかし、ただいまの輸入の状況は、やはり日本の木材需要の国産材の供給に対する補完的な入り方であるというふうに考えているのが一点。それから杉等の小丸太あるいは製材につきましても、昨秋よりある程度の反騰を示しているということもございます。それからさらに先生御承知のとおり国際貿易の事情がございますし、なお当面業界の自主規制を指導してまいりたい、こう考えます。
  113. 森義視

    ○森(義)分科員 米材と競合する杉小丸太が、ある程度の反騰を示しておると言うけれども、これはベトナム特需による一時的な現象であって、長期的な見通しからいうならばかなり危険性があると思うわけです。現に外材特に米ツガの輸入の拡大が日本の木材と競合する分野の中では、たいへん先行きに対して不安を感じておるわけですね。米材の輸入に対する先行きの不安というものは、単にそういう価格の面だけでなくて、造林とか、あるいは育林とか、そういう日本の生産基盤の充実の点においてもみな影響を及ぼしているわけです。だから林業の将来の動向を考えるときに、現時点におけるそういういわゆる貿易政策だけから見るのじゃなくて、林業資源の保護育成という観点からも、当然林野庁としては、この外材の輸入の問題に対する規制を考えていかなくちゃならないわけです。そういう点について、将来の日本の林業の生産基盤という観点に重大な影響を及ぼしておる。いわば林業家の将来の先行き不安に対するそういう心理的影響がもたらしておる悪影響、こういうものを解消することを考えなければいかぬ。そういう両面から外材の輸入に対する規制を考えていかなくてはならないと考えますが、その点どうですか。
  114. 田中重五

    田中(重)政府委員 その点はごもっともと考える面も多々ございます。現在の林業の状況から申しますと、ただいまも申しましたように、補完的に外材を輸入しておるというふうに受け取っているわけでございますが、なお当面さらに木材需要の増大が見込まれますので、外材の輸入はやむを得ないかと存じます。  なお、産地の事情を見てみますと、産地の原木価格が、若干奥地に入っていくのに伴いまして価格の上昇を見ております。また産地における資源の状態から勘案いたしましても、きわめて大量かつ低廉に将来とも輸入されるというふうにはただいまのところ考えられない面があると同時に、一方国内の生産の状況から見ますと、自給率が十分に伸びないというのは、やはりわが国の林力の事情によるものでもございますので、これで外材が入らないというふうに考えた場合には、相当な過伐をおかさなければならないという事情にもございます。しかしながら、いま先生お話しになりました林業政策の面からも、十分この問題は考えなければならないと思いますので、外材の輸入規制については十分に検討いたしたい、こう考えております。
  115. 森義視

    ○森(義)分科員 長官の答弁のように、現在の日本の国内の供給力からいって、ある程度の外材輸入は、私もやむを得ないと思います。ところが外材の中で、特に米ツガの中で製品で入ってくるものがある。これは御承知のように三割入ってくるわけです。カナダは製品でないと売らないということで、カナダの製材工場保護するために、そういう形で規制をしておる。向こうさんはそういうふうに自分の産業を保護するために規制しているわけなのです。米ツガ全体の規制ができなくても、少なくとも製品に対する規制というものができないものだろうか。そうでないと、これは製材で入ってくる三割の輸入というのが、日本の製材工場に大きな影響を与えておるわけです。長官御承知のように、製材工場の倒産というのは、三十八年からずんずん拡大してきております。三十八年は、日本全産業の中での倒産が、製材関係は四・七%、それから三十九年は六・八%、四十年には七・五%、こういうふうに製材関係の全産業の倒産の中に占める度合いがどんどん高まってきておるわけです。これはちょうど米材の製品で入ってくる面がふえていくのと比例しているわけです。したがって、私は今日関連産業である製材業の倒産というものは、外材の輸入が大きく影響している。こういう観点からも、特殊なそういうものについての規制を考えなければ、ただ単に供給力が不足しているから、その分について補完的に入れているのだ、こういうことだけでは、日本の林業をささえておる林業関連産業も保護できなくなってくる。こういう点について、特に製品として入ってくる外材に対してどう考えておられるか。
  116. 田中重五

    田中(重)政府委員 製品として入ってくる外材につきましては、素材を入れてそれを製材している製材業者との競合関係があるということはもちろんでございます。そこで、この製品につきましては、現在一〇%の関税をかけることによって、その調整をはかっておる次第でございますけれども、将来製品の形できわめて大量のものが輸入されるというような情勢がございましたならば、その点についてはよく考えなければならぬと思っております。現在のところは、その製品の輸入によりまして、国内の生産材に非常な影響があるというところまではいっていないようにも考えておりますが、その点は十分に検討いたしたいと思っておるのでございます。  それから、外材製材工場の倒産のお話がございましたが、この外材製材工場の倒産は、経営の面のもろもろの不合理性といいますか、そういう点にむしろ倒産の主たる原因があるようでございまして、合理的な経営をさらに進めていくことによってこの問題は防げるのではないか、こういうふうにも考えております。
  117. 森義視

    ○森(義)分科員 外材の製品に対しては、いまおっしゃるように、税金が一〇%かかっておりますが、製品というのは、いわゆるプレスしたやつだけが製品ということでかかっているわけです。だから角材は製品じゃないということで、いまの税金がかかっていないわけです。だから外材工場では、最終段階のプレスさえはずしたら、それはもう原木丸太と同じように、無税で入れることができるわけです。だから、ただ単にプレスがかかっていないだけだということで、丸太でなくて用材で入ってくる。こういうことが大きな影響力を与えていると思うわけです。  そこで、いま中小企業の倒産の原因は外材の輸入による倒産というよりも、むしろもろもろの原因がある、こういうふうに言っておられるわけですが、これは通産省に聞いたほうが倒産の原因、理由が明らかになると思うのですが、中小企業庁関係が来てないから長官に聞きますが、広島地域におけるここ一、二年の製材工場の倒産原因は何ですか。
  118. 田中重五

    田中(重)政府委員 広島の外材製材工場の相次ぐ倒産は、輸入商社が輸入をする場合に、おおむねこの輸入した先の工場をきめて輸入している場合が多いわけでございます。それから製材工場のほうは、またその工場の運営面からいきまして、需要の有無をもちろん念頭に置きますけれども、まず工場を操業するということがさしあたりの要件であるということで、とにかく工場をできるだけ回す、そこで売れ先の当てのない製材をどんどんやる、結局、資金の回収その他に非常なそごを来たしてまいる、そういうことで不渡りを出すとかいうようなごとに相なっているというふうに見ております。
  119. 森義視

    ○森(義)分科員 長官もおっしゃるように、外材の無計画な商社からの輸入が、ああいう形で販路の計画のない製材になって、広島地域で倒産しているわけです。外材の問題は、そういう形で非常に大きな倒産の原因になっておると私は思うわけです。  そこで、通産省に伺いますが、実は外材の輸入の問題でいま林野庁に質問をしているわけですか、御承知のように外材専用船が八十隻あるわけですね。そこで一隻について大体四万石積めるというのです。これは年間経済ベースで稼動しますと八往復やるわけです。そうしますと必然的に商社が企図しておる外材の輸入を経済ベースで考えると、日本の港に入ってくる量は大体わかるわけですね。ずいぶん多量が入ってくるわけです。そういう問題について、大商社を相手にして商売しておる日本の零細製材企業は、当然その大商社の言いなりになっていく。そうすると、外材という問題は、業者が今日ある程度の輸入規制をしておるけれども、それは押されてしまって無制限に入ってくる公算が多分にあると思われるわけです。そういう点について通産省としては、外材輸入が日本の特に製材関係工場に及ぼす影響、あるいは日本の林業全体に及ぼす影響等から、何らかの配慮を考えておられるのかどうか、この点についてお伺いしたい。
  120. 高谷武夫

    ○高谷説明員 お答えいたします。現在木材の輸入につきましては、AA制になっておりますことは御承知のとおりだと思います。われわれ通産省といたしましては、年間の輸入見込み量が国内の有効需要の観点から大体これくらいじゃないかという目安を持って考えておりますし、過去の輸入実績、四十年度暦年でとってみましても四億五千万ドル程度の輸入でございますし、来年度は大体五億五千万ぐらいの有効需要があるのじゃないかという点で、一応動向はチェックして輸入をやっておるわけであります。政府といたしましては、AA制で入ってくるというシステムになっておるということであります。
  121. 森義視

    ○森(義)分科員 通産省で有効需要の観点から考えて外材の輸入の量というものをある程度規制しておるとおっしゃるのですか。
  122. 高谷武夫

    ○高谷説明員 いや、規制しておるわけではありません。大体これくらいの需要はあるのではないかという目安はいろいろ考えておるということであります。
  123. 森義視

    ○森(義)分科員 今日、外材の国内輸入に対して規制的な力があるとするならば、それはもう買い受け側の業界が規制している程度であって、何ら政府の行政指導の面においてもそういう面は一つも行なわれてないわけです。今日まだ日本の製材業界が、外材輸入の有効需要の面から、ある程度の――価格の動揺を防くために、自主規制をしています。ところが、これはやはり大資本の商社に押されてしまう危険性があるわけです。そのときになりますと、その歯どめがきかなくなる。そうしますと、無制限に入ってくることになる。だから、いまの時点で、まず業界がある程度商社を相手にして自主規制をやっておる段階で、政府の力でその規制をバックアップするような規制を考える必要がある時期にきておるのじゃないか、こういうように考えるわけです。その点は、長官、どうですか。
  124. 田中重五

    田中(重)政府委員 そういう段階であるかどうか、それぞれの見解によるわけでございますが、いまの段階では外材の輸入の伸びも、先生御承知のとおり、急激に外材が入った時期、昭和三十六年ころに比べますと、だんだんと伸びは、伸びてはいるけれども、非常に低くなってきております。つまり伸び率が弱くなっている。四十一年度の見通しにおきましても、四十年度の輸入の大体四%増程度であろうというふうに見ているわけでございます。そこで、なお当面は、ただいまも申し上げましたように南洋材、米材、ソ連材、それぞれに業界の自主的な協会がございますので、そういうものを対象にいたしまして、年度の木材の需要と供給の見通し、その他産業の伸びの見通し等を示しまして、輸入につきまして自主的な規制を行ないながら円滑な輸入が行なわれるように指導をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  125. 森義視

    ○森(義)分科員 先ほど長官は、競合の激しい特殊なものについては今後検討してみる、こういう答弁がございましたので、おそらく私が意図しておるところの、特に国内材との競合の激しい問題については検討していただけると思いますけれども、いまの時点て考えなければ――やはり日本の外材受け入れ態勢は、もうこの段階で全部整備ができているわけですね。外材輸入の港といい、あるいは外材をひいている工場が日本の全製材工場の中で三五%を占めている。そういう基盤ができている。それをさらに拡大し、安定した段階で規制しようとしたって、これはなかなか困難な問題なんです。だからいまの時点で検討する必要があると思うわけですね。  外材の問題について、さらにもう一点お伺いしたいわけでありますが、長官も先ほど答弁の中で若干触れられましたけれども、いわゆるケネディラウンドだとか後進国援助だとか、こういったような国際経済の動向から見て、日本の今後の外材輸入についての先行きですね、これを米材、ソ連材、南洋材に分けて、どういうようにお考えになっておるか、御答弁願いたい。
  126. 田中重五

    田中(重)政府委員 外材輸入の先行きの見通しにつきましては、やはりその基本となりますものは、国産材の自給度の程度に対応する問題であろうと思います。それから、さらに外材産地の生産の事情もこれに影響するかと思います。そこで、この問題を国産材の自給の推移から判断をいたしますと、大体昭和五十年ごろまでは、なおこの外材輸入の率は上昇してまいらざるを得ないというふうに考える次第でございます。それから先になりますと、現在の造林の推進によって成林していくところの国内の生産力が漸次増強をされていくことになりますので、以後は国内自給度がだんだん上昇をいたしまして、それと対応しながら外材のいわゆるシェアは漸次低下していくというふうに考えておる次第でございます。  なお、いま先生から南洋材、米材、ソ連材別にというふうにお話がございましたけれども、その内訳として申し上げるのは、これは見通しでもございますからそれは控えまして、外材全体について申し上げますと、そういうふうに見ているわけでございます。なお、その一応の自給率、それから外材の入る率、これにつきましては、この月じゅうには、林業基本法の第十条による林産物の長期見通しにおいて明らかにできるかと考えております。
  127. 森義視

    ○森(義)分科員 長官の答弁と私の質問とちょっとかみ合ってないところがあるのです。たとえば米材で考える場合に、アメリカでは一応中小製材工場が日本への無制限な輸出に対して、部分的だが反対運動が起きておる。しかしケネディラウンドの精神から考えますと、製品が無税で入ってくる、そういうことを強く要請される業界もあると思うのです。そうなりますと、外材の中で製品だけに関税をかけておるけれども、それははずせという要請が強く出てくる。そうなってまいりますと、先ほど言っている状態よりさらに日本の国内の製材業者を大きく圧迫する結果が出てくるのではないか、こういうふうに私は考えるわけなんです。南洋材についても、いろいろと現地の事情があると思うのですが、そういう問題で、先行きに対して、われわれが外材に安易な依存をしておる段階で、たいへんなことになるのじゃないか、こういう気がするわけなんであります。したがって、いまの時点で、外材がまだそう問題化されておらない、いわゆる生産輸出国の現地の状況において、そう問題化されていない時点で、われわれが外材対策というものを根本的に考える必要があるのじゃないか。そういう観点からぜひ林野庁としては、外材の問題は、当面のいわゆる需要に満たない供給の不足分を補完的にカバーするのだ、そういう考え方ではなくて、もっと経済の将来の動向のほうに照らし合わせて考える必要が現時点ではあるのではないかと思う。そこで、外材の問題について長官は先ほどから、何回も補完的な形で、国内材の需要の拡大に対して国内材の供給が間に合わない、その不足分の補完的な形で輸入しているんだ、当分はそういう形が続くだろう、昭和五十年段階まで外材の輸入が必要になって、そこから国内材生産の拡大と外材輸入とで需給率を高めていくんだ、こういう答弁をしておられるわけなんですが、外材が補完的な役割りを果たしておる、そういう補完的な役割りで外材を入れているんだ、こういうはっきりしたものを持っておられるならば、当然国内の需給計画というものは、その裏づけがなくちゃならない。そこで国内の需給計画について、三月に成案を得て林政審議会へかけて公表する、こういうふうに言っておられるわけですが、かりに国内の需給計画が、長官のほうで策定をされましても、それは当然、民有林の協力というものがその中に入っておると思うのです。国有林のほうは中央、地区森林計画をつくって、それに施業案をあてはめさせて、それを出していくことができるわけです。ところが民有林の場合、民間林業者をいまの時点で規制し得るだけの何か力を持っておられるかどうか、この点についてどういうふうにお考えなのか。まず自給計画の見通しを発表していただいて、それに対して需給計画に民有林をどう協力させるかという点について何らかの具体的な案を持っておられるかお尋ねしたい。
  128. 田中重五

    田中(重)政府委員 いまのお話はしごくごもっともと存じますが、国有林は別といたしまして、民有林の生産につきましては、これはやはりあくまでも見通しでございます。見通しでありますから、必ず生産されるという保証はない。それで、そういう面を改善していくためには、やはり民有林の経営者にそれぞれ個別の経営計画を立てることを勧奨をいたしまして、林業の経営者がそれぞれ計画的に植伐を進めていくようにもっていく必要があろうかと思います。林業構造改善等も、このような林業経営の計画生産の一環たり得るものとして推進をしておるわけでございます。いずれにいたしましても、国内産の過半を占めるところの民有林の生産については、個々の林業経営者に計画生産、これを強力に進めていく指導が必要であると思うのであります。
  129. 森義視

    ○森(義)分科員 民有林の個々の経営者に個別の森林経営計画を作成することについて、勧奨する、指導していく、こういうふうにおっしゃっているわけなんですが、実際問題として何らのえさを与えずに、民有林の個別の、いわゆる森林経営計画というものをつくれ、その作業に従って、実施せいと言ったところで、そんなものは私は聞かないと思うのです。現に国の計画ですら、林道問題についても実際に森林計画で示された案があるが、実行されていないわけです。国の計画ですら、自分らがつくった計画すら実行し得ない段階で、民有林の問題についてそれを実行さすというようなことは、おそらく私は願望であって、効果がないと思う。  そこで、時間がありませんので一つ提案申し上げたいわけなんですけれども、少なくとも需給計画を策定して、それに見合うだけのちゃんとした民有林の供給力を確保しようとするならば、何らかの民有林に対して規制し得るところの、あるいは協力し得るところの、そういう体制をつくるための特別な措置を考えなければならぬと思う。たとえば税制の問題だとか、あるいは造林の補助の問題、あるいは林業労働者の社会福祉の問題、そういう問題等について、林野庁がいわゆる国の施策の面で、その個別の森林経営計画を策定することにおいて完全実施を促す。そういう林業者に対する特別措置を考えなければ、えさを出さなければ、絶対についてこないと思う。そういう点について何らか具体的に考えておられることがあるならばお聞かせ願いたい。特に造林問題について長官は、いわゆる公共的な立場考えるのではなくて、企業的な見地で考えるんだ、こういうように従来の森林法と違った考えを持っておられるようですが、そういうことになれば、ますます民有林の国の計画に対する協力度合いが薄れてくる。そういう点についてどう考えられますか。
  130. 田中重五

    田中(重)政府委員 この点は確かにお説ごもっともと存じます。それで個別の経営計画を立てまして、そして熱意のある林業経営者がその経営に精進するためには、勧奨だけでは進まないのでございまして、これに特に税制上の優遇措置、金融上の優遇措置、それから個別経営計画を立て、それに基づいて実行していくという者に対しては、特に優先的にその恩恵を与えることによって指導する必要がある、こういう考え方に立ちまして、個別経営計画の指導とそれの実行についての諸問題を検討をしておるわけでございます。
  131. 森義視

    ○森(義)分科員 最後に一点だけお聞きしますが、造林の融資について、従来の考え方をさらに補強していく考え方なのか、補助率を上げ、あるいは助成を拡大していく、こういう考え方なのか。あるいは林業基本法にいうところの企業ベースでものを考えて、民有林の自力造林については逐次補助などを減らしていくという考え方ですか。どちらですか。
  132. 田中重五

    田中(重)政府委員 造林につきましては、基本的な考え方といたしましては、林業基本法の趣旨に基づいて進めていく必要がある、こう考えておりますけれども、現在の林業経営者といいますか、林家の九割までが五町歩未満の零細所有者であるというようなこと、それからさらにその造林を進めておる大部分のものが一町歩に満たない造林を――拡大造林にしろ、再造林にしろ、進めておるというような面に着目いたしますと、大体そういう造林者は、地上の産物をかりに売り払いましても、再生産に投資していくという能力が十分でない。家計に回る面が相当多い。それからまた担保能力も必ずしも十分でない。そういうことからいいまして、現在の造林補助金制度はこれはやはり強く進めていく必要があろうかと思います。現在の予算のたてまえといたしましては、拡大造林はこれは補助で進めていく。再造林については、特に零細なものについて補助というような形になっておりますけれども、しかし、いま申し上げましたような趣旨から、やはり造林者の実態を考えて、補助による助成、これをさらに強めていく必要がある、こういうふうに考えております。  それから一方大造林者については、これはやはりできる限り融資造林のほうに持ってまいる、そのためには造林の、林業の採算性からいいましても、できるだけ長期低利の融資制度、これを拡大をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  133. 森義視

    ○森(義)分科員 確かに大林業家と零細企業者と区分して考えておられるのですが、需給計画の面から考えて、やはり民有林の需給計画に適合さすのは大林業家でしょう。それはいまおっしゃるように、零細規模の林業家は需給計画の中に乗ってこないと私は思うのです。そういう点については、大林業家だけは従来のように融資制度だけで考えていくということじゃなくして、あるいは税制、それから融資、それから労務者の確保の問題社会福祉の問題、そういう問題を総合的に考えていただきたいと思うのです。  時間がありませんから、需給計画が出された段階でさらにこの問題については質問をすることにして、質問を終わります。
  134. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて森義視君の質疑は終了いたしました。  次に、栗原俊夫君。
  135. 栗原俊夫

    栗原分科員 時間の制限もありますので、私は、恒例によりまして、コンニャクに関する問題と養蚕に関する問題にしぼってお尋ねをしたいと思います。  最初に、コンニャクについてお尋ねしますが、非常に事務的なことでございますから、できるだけ局長さんにお伺いして、締めくくりを政務次官にお答え願う、こういうことにいたします。  昨年のコンニャクの作柄といいますか収穫の概算というものは、すでに集計されておると思いますが、荒粉換算でどのくらいになっておりますか。
  136. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 お答えいたします。昭和四十年産のコンニャクの生産でございますが、その作付面積、収穫面積等についてはすでに発表されております。それについて御説明申し上げますと、これは統計調査部で調査した数字でございますが、全国で一万五千三百ヘクタールになっております。そのうちで主要な十三県についての収穫面積が、昨日発表になったわけでありますが、この主要な十三県が全栽培面積の大体八二%を占めておりまして、その収穫面積は前年の七%増の六千二百九十ヘクタール、収穫量は前年の三%増の八万八千トンになっておるわけでございます。しかし、全国の資料はまだ出ておりませんけれども、全国の収穫量はおおむね前年並み、若干ふえるのではないかと考えられるわけでございます。ただ、昨年は御存じのとおり、生産県におきまして、台風でございますとか、低温でございますとか、異常気象がございまして、その影響を受けたことによりまして、精粉にいたします場合の歩どまりがどのくらいになるかということは、まだはっきりわかっていないわけでございます。したがいまして、その精粉歩どまりは、いまの予想では若干落ちるのではないかと考えておる次第でございます。
  137. 栗原俊夫

    栗原分科員 私、群馬県の出身で、いうなら主産地の中の首位格にあるところなんですが、どうも昨年は作柄が台風の影響を受けて芳しくなかった、こういっておるのです。御承知のとおり、これはできたものが全部切り玉になるわけじゃなくて、三年がかりで切り玉というものができてくるわけなんですが、四十年度の切り玉になるものの収穫と、それから前々から入ってきておったもの、いろいろうるさい問題があって、処理してきておるわけなんですが、どう処理したか。現時点で在庫がどのくらいあるか。これと昨年の収穫と合わせて供給量になるわけですが、それと、今年の消費展望とをあわせて需給関係、こんな問題について少しく説明していただきたい。
  138. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 昨年と一昨年輸入いたしました外産コンニャクでございますが、その在庫が現在九十五トン在庫してございます。あとの在庫につきましては、生産者団体、あるいは流通関係のそれぞれの団体につきまして、関係の団体が目下調査しておりまして、まだそこのところ、どのくらいのものが現在の手持ちになっておるかということについては不明でございます。
  139. 栗原俊夫

    栗原分科員 いまのお答えの中で、九十五トン主、占ったのは、これは精粉にして九十五トンという意味ですか、荒粉九十五トンを精粉にしてやるという意味なんですか、どちらなんです。
  140. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 精粉でございます。
  141. 栗原俊夫

    栗原分科員 そこでお聞きしますが、こうしたコンニャク関係の生産農家世帯、その家族構成の総数、こういうようなものは、お調べがあるでしょうか。
  142. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 これは主産地におけるコンニャク栽培町村の栽培規模は、戸数におきましては、主産地におきまして大体十万二千戸でございます。全国では十六万戸ということになっております。その規模でございますが、面積で大体、三十九年の調査でございまして、一万四千三百ヘクタールでございます。十六万戸でございますので、大体八畝ぐらいの程度ではないかと思います。
  143. 栗原俊夫

    栗原分科員 全国で十六万戸、作付面積一万四千ヘクタール、農民の中で取り上げてみれば必ずしも大きいものではない、こういうことではありますが、他の特用作物、たとえばハッカであるとかそうしたていのものと比べると、コンニャク栽培農家というものの位置づけというものは、どんなぐあいになりますか。
  144. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 全生産量の中におけるコンニャクの農家の位置づけということは、いまここでちょっと資料を持ち合わせておりませんが、どう申しますか、一日当たりの家族労働報酬とかそういう面から見ますれば、相当高いところに位置しておるわけでございます。
  145. 栗原俊夫

    栗原分科員 私が聞きたいのは、そういうコンニャクをつくることによって、単位当たりの収入がどうなるかということじゃなくて、コンニャク生産農民のグループとして、ハッカ栽培をしておるグループ、こういうものと、いわゆる世帯数、戸数、こういうものがどういう関係にあるか。端的に聞けば、ハッカ生産農民というものがどのくらい戸数があるか、こういうことを聞きたいのです。
  146. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 ハッカの生産の農家数は、ここで資料を持ち合わせておりませんけれども、おそらくコンニャクのほうが生産農家の戸数は多いものというふうに考えております。
  147. 栗原俊夫

    栗原分科員 そこで私が言いたいのは、決してハッカのほうが戸数が少ないからとか多いとかいうことじゃなくして、実は年次報告を見ると、報告の中にも、今年やろうとする特用作物の中で、コンニャクはどうもコンニャクらしくて一字も触れていないのです。全く平穏の状態ならばそれもやむを得ないと思うのすが、実を言えば、農林省の園芸局とすれば、昨年あたりのもめ方というものは、おそらくコンニャクについては園芸局始まって以来のもめ方だったと思うのです。手も足も出ないというところまでもめたと思うのですよ。そういう立場に立ってながめますと、やはりコンニャクに対していまちょっと力を入れてやってもらいたい。そのことはおそらく単位当たりの収入から見れば、かなりいい収入にはなっておると思うのです。しかし、それが一たび外産の輸入という問題があらわれてくると、台風の前にさらされた小舟のような形になるわけなんです。  そこで、ことし年度の初めにあたってお聞きしたいことは、ひとつ腰を入れてコンニャクの対策も扱ってもらいたいということと、今年の需給関係で輸入問題が日程にのぼるような状態にあるのかどうか。またなかなかむずかしい問題ではあろうと思いますけれども、昨年の作柄、それから前々の手残り、精粉にして九十五トン、おそらくこれは四〇%足らずの歩どまり率だったから、荒粉にすればおそらく三百トンから四百トン近いものだと思うのですけれども、こういうものを手持ちにして今年の需給関係を展望したときに、今年輸入というものが必要になってくるかどうか、こういう点をひとつ答えていただきたい。
  148. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、いまのところ、在庫量については調査中でございまして、また四十年産のコンニャクの歩どまりにしても、これはまだ資料を検討しなければならないところもございます。現在のコンニャクの精粉の価格でございますけれども、六万三千円くらいになっております。相当考慮すべき時期にあることは御承知のとおりでございます。そこらあたりを見まして、今後の価格の推移なり在庫の調査というようなものができました上で、一方、需要量等も勘案いたしまして、輸入をいたすかいたさないか、そういう点について検討をいたしたいということでございます。
  149. 栗原俊夫

    栗原分科員 外産の問題は肥培管理をしておるんではない、日本で買うということを見越すか、あるいは、日本からの発注を受けて、優性のものを採取するんだ、こう聞かされておるのですが、その時期は三、四月までがぎりぎりだということも聞いておるわけです。そういう時期が近づくと、やはり外産を入れることによってばく大の利益を得るチャンスを握れる立場の人ができてくるわけです。だから問題が起こるわけなんです。したがって、外産輸入というムードを盛り上げるというか、相場でつっていく。現在輸入の問題が起こってくるのは、需給関係が逼迫して値が上がる、値が上がるから入れなければならぬ。こういう結論のために、まず入れる前提として値を上げる、これだから入れなければならぬという値をつくる、ところが、その値は一般には関係がない。入れようとするためにいわゆる政策相場というものができる危険性が多分にある。値が高くなったけれども、自主取引がない。値は高い。それじゃそれで買ってくれるかといって現物を持っていっても受け取ってはくれない、おれは買わないという値が現出する、そういう危険性が多分にあるわけです。こういう点については十分に警戒をしてもらいたいということを前々から言っておるのですが、コンニャクをかりに輸入するというような場合には、今日の状態では、日本こんにゃく協会のほうでいろいろ検討した結果、入れなければならないという答えができて、輸入をまず発意して農林省に持ち込み、農林省がこれを受けて、妥当なものと思えば通産省と話し合って輸入を許可するかどうか、こういうことになろうかと思うのですが、その辺の手続はどうなんですか。
  150. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 コンニャクにつきましては、生産者とコンニャクの製造業界、それから流通担当の業界の二団体、その四者がこんにゃく協会をつくっておるわけでありまして、その中におきまして、いろいろその問題につきましては意見がまとまるものと思います。私どもといたしましては、そちらのほうの意見も聞きまして、通産省とも相談しまして態度をきめたいというふうに考えておるわけでございます。
  151. 栗原俊夫

    栗原分科員 方法としてはそれでけっこうだと思うのですが、そこで、前回問題が起こったのはしからば輸入は必要なんだが、だれに輸入させるかという問題で第一回にやったときには、実需者であるこんにゃく協会に入れさせた。ところが、二回目には、いや貿易のほうが扱うのだから、おれたちが主体なんだという主張が起こって、いろいろゆさぶった結果、実需者と扱い商社の割り当てがフィフティ・フィフティという議論の中から七割・三割ということにきまったように聞いておるのですけれども、しかしそのことは、商社が輸入すると一切のものが商社それ自体のものになるから、なかなかもってコンニャクの需給関係のほうでうまく調和ができないというところから問題が起こってきておるということなんです。こういう過去の経緯にかんがみて、もしかりに今年、あるいは今年といわず将来においても、こういう形態で輸入がありとすれば、やはり輸入関係は、現時点ではあらゆるコンニャクに関連した実需者団体である日本こんにゃく協会が中心になっておるのだから、輸入権というものはやはりこんにやく協会に与えて、そして適正なマージンで扱い商社に入れてもらう、こういう第一回の方式がよかったのではないかと思うのですが、この辺についての所見はいかがでございましょう。
  152. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 栗原委員お話しのように、輸入業者とこんにゃく協会の間にトラブルのあったことは事実でありますが、これは昨年円満に両者の間で話し合いがついたわけであります。今後の輸入方針につきましては、まだ輸入するかどうかということもきめておりませんので、その方式についてはきめていないわけでございますが、通産省ともよく相談いたしまして、その間に混乱の生じないようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  153. 栗原俊夫

    栗原分科員 通産省から通商局次長が見えておるそうですが、いま言ったとおり、通産省のほうは商社をかかえておるわけですから、かかえておる商社から、おれたちの生活権を守ってくれということで強引に突き上げられるとたいへんだと思うのですが、扱うコンニャクそのものの出発点がそうしたものとはちょっと趣を異にしておるという立場を理解されれば、やはりこんにゃく協会を中心に入れる、こういうことで御協力が願えるのではないかと思うわけです。私は本来的には、生産者団体に輸入権を与えて輸入しなければならないような事態は生産高が足りないからだ、単価は高いけれども、実入りは少なくなる、だから輸入による格差というものは生産農民に収入の減った分を補うために使わせるべきだ、こういう主張なんですが、たまたまコンニャク関係四者が一緒になってこんにゃく協会をつくっておるのだから、こんにゃく協会を主体に考えてこんにゃく協会に輸入差益を与えるべきだ、こう考えておる。だから商社は、本来的にはそこまでギャンブルをやらなくても、適当な扱い手数料を取れば商社としても生きていく道があるわけだから、混乱を起こしてまでも商社割り当てということをするのでなくて、やはりこんにゃく協会に輸入権を与え、そして商社は、関係のあったところに適当に分配して、商社に働いてもらう、こういう方式でいいのではないかと思うのですが、通産省の立場でそういう方向が貫き得る状態にありますか、いかがですか。
  154. 今村昴

    ○今村説明員 外産コンニャクの輸入につきましては、従来からその数量とか時期あるいは割り当ての方法につきまして、農林省とも十分協議いたしまして、慎重にやってまいったわけであります。形式的には輸入割り当てをいたしますのは通産省でございます。四十一年度の輸入につきましては、先ほど園芸局長から答えがあったとおり、まだ需給関係その他の点がはっきりいたしませんので、何ら具体案を持っておりません。私のほうから農林省に協議をしたり、あるいは農林省から私のほうに協議を受けたり、そういうことはまだ全然やっておらないような段階でございますので、ただいまの輸入割り当ての方法につきましても、まだ何も具体的に持っておりませんので、御了承を願いたいと思います。
  155. 栗原俊夫

    栗原分科員 それは仮説を前提としての答弁はなかなかたいへんなことはよくわかりますけれども、昨年、一昨年の輸入した品物の処理について、これは農林省はむろんのこと、通産省でも往生したものと思うのですよ。したがって、なぜ起こったかということは、やはり需給関係を本格的にやっておる日本こんにゃく協会の外ワクに衛星が具体的に生まれたというところから起こったわけなんですから、輸入という業務は通産省で割り当てることはわかっておりますけれども、やはりコンニャク行政の主体は、コンニャクの需給を中心としてというところで推し進めるということになれば、姿勢としてはやはりそこを中心に割り当てて、しかも扱うほうは公平に、厳正に扱い業者にやってもらう、こういう形でいいと思うのです。そういう姿勢というか、方向は具体的にどうするんだということになると問題ですが、概略の方向としてそういう方向でいけそうかどうか。   〔主査退席、角屋主査代理着席〕 さもないと、今年また具体的に入るということになると、また商社割り当てということでこれは紛糾するにきまっております。紛糾させ得る材料があるんですから、内地の品物と外地の品物とこんなにも違うのです。これは本来おれのものだ、おれが輸入したものだから思いさまあばれまくるとなると、現にあばれられる条件を持った品物なんですから、そこまで配慮してやらぬと、コンニャク業界というものは大混乱を起こす原因がそこに生まれるわけです。したがって、商社割り当てということじゃなくて、実需割り当てということで、扱いのほうは、商社はマージンで、生きてもらうという厳とした線でいってもらいたい。こういうことを特に要望するのです。その要望に対する答えでけっこうでございます。ひとつお答えを願います。
  156. 今村昴

    ○今村説明員 ただいま御指摘のように、三十九年度の外産コンニャクの輸入につきまして、たいへん紛争が起こりまして、これは私ども非常に遺憾なことだというふうに感じております。四十一年度の輸入は、まだ輸入をするかしないかもわからない段階でございますが、もしかりに輸入をいたします場合、これはいわゆる物価対策の一環として輸入をいたすわけでございますから、その趣旨に最も合うような方法考えなくちゃいかぬと思います。したがいまして、従来のいきさつはいろいろございますけれども、今回ももし輸入をすると仮定をいたしました場合は、輸入の方法等につきましては、従来の方法にとらわれないで、農林省とも十分御相談をして対処したいと考えております。
  157. 栗原俊夫

    栗原分科員 コンニャクについて、最後に一言なんですが、農民は非常に外産のコンニャクの輸入については心配をしておるわけなんです。現地ではこういうことを言っております。外産コンニャクを輸入することは困るのだけれども、もしできれば外産の種玉を入れてもらう方法はあるまいか。ということは、外地から種玉を持ってくると非常に太る率が高い、こういうことを言われているわけです。群馬県の金島には、農林省の直轄のあなたの部下であるはずのこんにゃく研究試験所もあるわけなんですが、そういう方向で考えて外国の種玉――これは永久にではなくて、土地が新しくなるから何年かだというようなことをいわれておりますけれども、外産の種玉を持ってきて、土地を新しくしてやると、五、六倍にしか太らないものが、十倍にも太る、こういうような肥沃効率というか、そういうものが非常によくなるのだと素朴な農民考え、また、ことによるとこっそり持ってきてやった実験の姿もあるかもしれませんが、こういうことについて考えてもらえる道があるかどうか。
  158. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 外産の種玉の問題につきましては、私まだお聞きしたことがないわけでございまして、そういういう点でどういう問題か、あるいはそれが増収になるのかという点についても、一向不案内でございまして、今後調査してそれについての結論を出したいというふうに考えております。
  159. 栗原俊夫

    栗原分科員 コンニャク問題の締めくくりで、ぜひ政務次官にお答え願いたいのですが、いまやりとりした質疑応答の中で、コンニャク問題はいつも言うておるのですが、コンニャクが高くなると、物価問題にはなるけれども、コンニャクが高過ぎるから生活ができぬという品物ではないのです。ところが、安過ぎてどうにもならぬということになると農民に、コンニャクが安くてやり切れなかったらほかのことをやれと言っても、やらない地域がコンニャクをつくっておるということで、コンニャク対策の根源はやはり生産農民対策である、下値対策だ、こういうことになっておるのですが、こういう点の考え方に、ついての当局の考え方を、最後の締めくくりとしてひとつお願いいたしたいと思います。
  160. 後藤義隆

    ○後藤(義)政府委員 コンニャクの生産につきましては、農業構造改善事業の基幹作物として取り上げて、ことに山村のほうには絶対心要な作物だというふうに考えておりますから、取り上げていきたい、こういうふうに思っておりますのと、それから、いまの外産の輸入の件でございますが、これは慎重にひとつ検討いたしまして、ただ輸入業者だけが利益を得てつり上げるような結果になってはいけないと思いますから、もし輸入する必要が起こりましたならば、通産省ともよく相談いたしますが、絶対に生産者の利益が不当に害されないように十分注意してやっていきたい、こういうふうに考えております。
  161. 栗原俊夫

    栗原分科員 たいへんありがたい発言で感謝を申し上げます。ぜひひとつ生産農民が生きていけるような方法をとっていただきたいと思います。  時間もたいへん切迫して、実際はなくなっているのかもしれませんが、養蚕問題について二、三点だけお尋ねしてみたいと思います。  昨年の暮れの国会で、蚕糸事業団法が成立しました。その後この法律に基づく諸般の作業等はどんなぐあいになっておりますか、御説明を願いたい。
  162. 丸山文雄

    ○丸山政府委員 御存じのとおり、つくる場合には設立委員会をまずつくることになっておりますが、先月の十日に第一回の設立委員会を行ないまして、そこで今後の日程をきめていただきましたところ、設立完了三月三十一日、そういう目標で目下作業を進めております。
  163. 栗原俊夫

    栗原分科員 こうした中間安定帯をつくろうという蚕糸事業団法ができ上がったあとの、実際の蚕糸業界の浜糸相場を中心にする動きというものは、べらぼうな高値を呼んで、しかもいつもはこれが投機者流の跳梁によって清算市場だけがはね上がる、こういう姿が出がちなんですが、今回の高値は存外清算市場だけが先走るのではなくて、実物もこれについて高値を呼んでおる。このことは高値によって現物が動いておるということをやはり実証しておるのだと思います。こういう中で輸出は減退するばかりでなくて、中共糸をはじめとした海外糸が逆に日本に流入してくる、こういうような事態になっておるわけなんです。しかし、私たちは、蚕糸業というものは、日本の輸出産業の一端をになうものである、そうした産業でなくてはならない、こういう気持ちで蚕糸業をながめ、またもり立てようとしておるわけなのですが、こういう姿の中で、はたして蚕糸事業団というものはどういう活躍ができるであろうか。また輸出とこの高値の関係は、どういうあり方なのだろうかということについて、ひとつ蚕糸業を担当する局長としての御所見を承りたい。
  164. 丸山文雄

    ○丸山政府委員 国内における高値と輸出の問題は、これは全く逆にいっている。これは御存じのとおりであろうかと思います。大体、銘柄と申しますか、特殊なものにつきましては、ある程度国内糸価にかかわらず、現在でも輸出が行なわれておりますけれども、一般的に申しますと、やはり国内相場が高ければ、なかなか海外には出ないという現状でございます。  それからもう一つの、そういう状況で事業団が活躍する余地があるかどうかということになりますと、かりに現在のような状況がずっと続くといたしますと、たとえば供給の増加がないというような状況が続きまして、需要そのものがまたこういう堅調をたどっていきますと、おそらくこの事業団の構想である物を買って物を売ることによって、糸価を平均化させるという機能は今後は動かないのじゃないか。これは理屈の上からそういうことになろうかと思います。
  165. 栗原俊夫

    栗原分科員 私も農民やあるいは製糸家の立場に立って、売れれば高いほうがいいとは思うのです。しかし、いま一段次元の高いところから見れば、あまり高過ぎることは、将来の反動というものをおそれる。こういうことで、適正な価格を守るために繭糸価格安定法があり、さらには蚕糸事業団法というものができたと思うのです。  そこで、これは私不勉強で覚えておらぬのですが、繭糸価格安定法には、定めた最低価格以下で売買したときの罰則はあるけれども、定めた上値をこえた売買についての罰則はない、こんなぐあいに記憶しておるのですが、これは法ではどうなっておりましたかね。
  166. 丸山文雄

    ○丸山政府委員 最低価格をこえたときにどうとか、あるいは最高価格をこえたときにどうとかいうことではございませんで、いわゆる最高価格をこえたときは、禁止価格、昔のことばで言いますと、公定価格といいますか、そういうことはきめられるようにはなっておるわけです。
  167. 栗原俊夫

    栗原分科員 これは蚕糸業法によると、検定取引でなければならぬことになっているので、検定を逃げて売買するのを振り買い、振り売りだというようなことで、繭の出来秋には、各府県で蚕業取締所員を総動員し、ときには警察官まで動員して取り締まるのです。ところが、一方、こういう価格問題になると全くの野放しだ。最低のときでもそうだし、上値のときでもそうだ。国がばく大な金を投入して、安定させようと一生懸命になっておるのを、横目でながめながらぬけぬけと最高価格を上に突き抜ける、あるいは最低価格を下回る。こういうことでは法の権威がないばかりでなしに、経済の秩序も保てない。こういう意味で、大前提としては適正価格の設定ということがまず第一であるけれども、適正価格がほんとうに適正に設定された以上は、この適正価格を厳として守る取り締まり方式もあわせて行なわれなければならぬではないか、このように考えるのです。これは政治問題にもなりますので、ひとつ次官からお答え願いたいと思うのです。
  168. 後藤義隆

    ○後藤(義)政府委員 ただいまお尋ねがございましたが、蚕糸業を輸出産業として育成するためには、どうしても根本的には価格の安定ということが絶対必要だと思っております。そのためには生産性を向上させるということについても非常にくふうが必要だと思っておりますが、ただいまお尋ねのございましたように、安定価格をきめたならば、絶対的にそれを守らなければいけないというお説でございますが、そのとおりでありまして、もし価格を決定する場合も、もちろんそれはすべての周囲の状況によって、そうして生産性その他のものについていろいろ検討してきめる必要はありますが、一たんそれを適正にきめた以上は、ぜひそれによっていくようにやってもらわなければいけないし、また農林省としても、そういうぐあいに指導してまいりたいと思っております。
  169. 栗原俊夫

    栗原分科員 そのことに関して前々から清算市場について口の悪いことを言っておるわけです。とかく清算市場が先走って、下値も上値も割る。したがって、ほんとうに価格安定をしようとするならば、清算市場はやめるべきだ、こういうことを強く主張するわけです。実物取引所だけ残して、いわゆる投機を加味するような清算市場はやめるべきだ。なぜならば、非常に値幅がなければ成り立たない清算市場、一方では安定しなければ輸出がいかないというまるで反対の方向なんですからね。したがって、取引所を守るか、蚕糸業を守るかということになれば、当然蚕糸業を守る、そのためには価格安定が必要なのだ、価格安定でやっていけない清算市場は、むろんそれは簡単にはやりきれないだろうけれども、保証やいろいろな問題等もあるだろうけれども、至れり尽くせりの手を用いながら、やはり蚕糸業が安定を必要とするならば、その方向でやるべきだ、こういう主張をしておるわけですが、いきなりそこへ行けないならば、まず基本的には繭糸価格安定審議会であやまちのない適正価格をきめると同時に、このきまった適正価格は清算市場でも絶対に守らせる。清算市場に対しては第一次、第二次、第三次にわたっていろいろと規制措置が講じられておると聞いておるけれども、それだけではだめだ。したがって、最高価格をこえた売買については、売った者も買った者も売買を停止させるくらいの規制をしてしかるべきだ。いきなり罰則を設定することが、経済上の問題で制度上至難であるならば、取引を停止するくらいの経済強制は行なえるはずだし、また、やってしかるべきだと思うのですが、これに対して次官と局長とあわせてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  170. 丸山文雄

    ○丸山政府委員 取引所、清算市場の問題については、しょっちゅういろいろ御質問も受け、また問題になっておるわけでございます。御存じのとおり、これは生糸取引のみならず、いわゆる商品取引所の現在の制度と申しますか、この関係法律のたてまえは、取引所自体に対して非常に自由取引的な色彩の濃い制度になっておるわけです。そして極端な場合における活動停止あるいは閉鎖という問題になりますと、条件も非常に窮屈でございまして、たとえば公共の秩序を乱すとか――公共の秩序を乱すという意味は、おそらくそういう市場で売買した大衆が非常に損をしたとか、証券取引所等にもあるようでございますけれども、そういう厳重な条件がございまして、これはなかなか簡単に発動できるというものではないような現状になっておるわけでございます。そうかといいましても、もちろんこれを野方図にしておくことは問題がございます。そういう意味で、お話のようにいろいろな規制措置をもってこれに対抗しているわけでございますが、規制措置そのものも、これは何も役所がきめるのではございませんで、あくまでもたてまえ上、取引所の理事会で最終決定するということになっておりまして、内容的には話し合いでございます。そういうことをいろいろ考えますけれども、要するに生糸取引所につきましては、いま御指摘のとおり、輸出問題とからみました場合に、あるいは国内の高価格だけ考えました場合にも、ことばはよくありませんけれども、取引所がいい気になって上げたり下げたりしておりますと、輸出のみならず国内市場も破壊するおそれがございます。そういう見地から、しばしばわれわれとしましても、具体的に取引所の運営そのものについての考え方を、始終口をすっぱくして言っておるわけでございます。そういうことで、全体としては漸次そういった思想もわかってきました。したがいまして、いまのお話のとおり、現在の高価格も、三十八年度当時ありましたように、大きな仕手が入って撹乱するというようなことはとにかくない段階まで関係者がいろいろ考えておるということでございます。  なお、閉鎖の問題は別にいたしましても、規制そのものにつきまして今後どういう方法が一番いいか。われわれは、御存じのとおり、上がれば委託保証金を上げるというような、昔からやっております、一つ覚えといいますか、そういう形でやっておるわけでございますが、なおほかの方法もあろうかと思いますので、今後適当な機構をもって十分検討を進めていきたい、こう思っておるわけです。
  171. 後藤義隆

    ○後藤(義)政府委員 清算市場が最高価格をこえまして高値をあおるようなことは好ましくないわけでありますから、そういうようなことについて十分に指導していきたいと思いますし、また抑制することについて適当な方法検討してみたいと思っておりますから、善処いたします。
  172. 栗原俊夫

    栗原分科員 もう時間も過ぎてきましたので、最後にしてまいりたいと思いますが、次官はきわめて慎重に、好ましくない、こういう表現を使ったが、私は絶対によろしくないと思うのですよ。好ましくないじゃない、よろしくないのです。高値がきまっておる。しかもその高値を政府が金まで出して守っていくというものを、ぬけぬけと破られて、好ましくないくらいじゃとても承知ができぬのです。これはけしからぬのです。したがって、その時点においてもしそれを破ることが好ましくない程度ならば、そこに最高価格をきめたことがどこかに誤りがあるのだ、こういうことになって、その時点でやはり最高価格を変え得る場面も制度上はあっていいと思うのですよ。それとも、きめた最高価格なり最低価格が適正であるという自信があるならば、その上下は一切許さないという強い姿勢で臨んでいいと思うのですよ。やはりそういう姿勢でやっていくべきであるので、できれば至急検討なさって、そして政府提案として、そういう制度の立法が必要ならば立法化に移る。もしどうも政府のほうで、われわれのほうはとてもやり切れぬと言うならば、われわれが研究して、まず野党提案として――野党提案が出てきたら、しかたがない政府提案、こうなるのが普通なんです。とにかく、ひとつこの問題に対する政務次官の御所見を最後に承っておきます。
  173. 後藤義隆

    ○後藤(義)政府委員 現在の制度といたしまして、最高価格をこえて取引をされた場合にどうするかというふうなことにつきましては、またどんな方法でやるかということについて十分検討いたしますから、御承知おき願いたいと思います。
  174. 栗原俊夫

    栗原分科員 以上で終わります。
  175. 角屋堅次郎

    ○角屋主査代理 以上で栗原俊夫君の質疑は終了いたしました。  午後は本会議がございますので、本会議の状況を見て再開し、農林省所管についての質疑を続行することといたします。  暫時休憩いたします。    午後一時十五分休憩      ――――◇―――――    午後四時十三分開議
  176. 植木庚子郎

    ○植木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十一年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所管についての質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。華山親義君。
  177. 華山親義

    華山分科員 私は二年前に赤城農林大臣にお尋ねしたことと同じようなことをお尋ねをいたしたいと思っております。と申しますことは、その際に私は、日本の米の需給は確実なものかということをお尋ねをいたしました。その際大臣は、心配はないというふうな趣旨をおっしゃった。ところが、現実におきまして、昭和三十六年の十四万二千トン、三十七年の十七万五千トン、三十八年の十八万七千トン、三十九年におきまして四十一万二千トン、四十年度産米、これは九十二万トンのように思いますが、こういうふうに加速度的に日本の輸入米は多くなっております。私の申したことは間違いではなかった。それで、農産物につきましては、一たびある傾向が起きますと、その方向に向かってずんずん進んでいく傾向がある。ことに産米につきましては――一昨日ですか発表になりましたように、昨年の実質賃金は下がっております。エンゲル係数は初めて上がりました。もう十四、五年以来初めてのことでございます。このような賃金労働者の家計への圧迫というものは、米の需要を増すにきまっている。そういうふうな状態大臣お話を聞いておりますと、わずかに五%の輸入で九五%は自給しているというふうに、きわめて楽観的なことをおっしゃる。決してそういう楽観的なものじゃないか。私が二年前に申し上げましたとおり、いまにして米に対す生産増強ということを考ないと、日本は米につきましてもいろいろな問題が起きるのじゃないか。日本の民族といたしまして、日本人といたしまして、米に対する執着というものがきわめて強いのでございまして、米の自給低下というものは生活に不安をもたらす。こういう意味からも、米の需給関係というものは非常に考えなければいけない問題だ、こういうふうに考える次第でございます。それにつきまして、昨年は、私の申し上げることに間違いがありましたらば御訂正を願いたいのでございますが、予算では三十三万トンの輸入計画でありましたが、九十二万トン、こういうことに相なった。ことしはやはり九十万トンの数字ということになって、これが九十万トンで済めばいいのでございますけれども、あるいは昨年のようなことを考えますと、百二、三十万トンにならないとも限らない。そういうふうなことで、いまことしのことを私は問題にするわけではございませんけれども、米の生産ということで、五%が輸入される程度のものだなどという楽観的なことは言っておられないのじゃないか、こういうふうに思いますが、この点につきまして、きわめて簡単でよろしゅうございますが、総括的に大臣の所見をお聞きいたしたい。
  178. 坂田英一

    坂田国務大臣 華山委員と私も同じ考えを持っております。九六%と申しましたのは、現在の日本の生産量が大体そういう九六%の自給をいたしておるという事実を申したのでありまして、しかしそれを数量にしますとばく大な数量です。したがって、やはり米の生産ということについては、でき得る限りの努力を払いたい、こういうことでございまして、華山委員と同じ考えでございます。
  179. 華山親義

    華山分科員 そこで伺いますが、私は長い間米のことにつきまして、県庁等におきましても見てまいりましたが、農林省は米そのものにつきまして軽視した時代があるのじゃないか。しかもこれが一たんそういうふうな方向をたどりますと、農産物はその方向にどっと向かいます。かつて、御承知のとおり米が余る、そういうときに、食管会計はいかにあるべきかということで、食糧庁長官の経験を持つ人や、あるいは松村先生等をお集めになっていろいろ論議をされた。その際に、二、三年の米の生産状況でもって将来を卜することはできない、米の生産につきまして食管会計をどういうふうにするということはできないというふうな結論であったと思うのでございますけれども、かつてそういう時代を農林省は経てきたのではないか。長い間農政には関心を持っておられるので、大臣の御所見を伺いたい。
  180. 坂田英一

    坂田国務大臣 農林省としてそういう主張を持ったことはないのであります。ただ部分的には生産指数の問題とか、あるいは需要の面とかという点から見て、十年後には数字的には若干余りはせぬかという数字の出たことがございます。それは農林省でなしに、いろいろな関係の人々が寄って計数を加えたことがございます。しかし、そのときの結論も、数字はこういう数字が一応出ておるけれども、しかし、天候の異変ということもあり、いろいろな事情があるのであるから、そういうことで自給ができるのだという結論は出さなかったわけであります。
  181. 華山親義

    華山分科員 私のお聞きしていることと多少合わないようでございますけれども、私は実務をやっております際に、開拓につきまして、その開拓計画の中に、開拓に入る農家に自分で食う米のたんぼだけでも持たせてもらいたいということに対して、農林省は拒否していた。一切田の耕地をつくることはいけない、こういうふうな方向で、むしろ米の生産を増強することをとめていた、そういうふうな気風が五、六年前まで、あるいは三、四年前まではあったのじゃないかということをお聞きしているのです。ありませんか。
  182. 坂田英一

    坂田国務大臣 それは非常に生産性の低いものについては、それを考えたらいいというようなことがあったように私も聞いておりますけれども、飯米等をつくるということをさせないといったことは聞いておりません。
  183. 華山親義

    華山分科員 私はその際に、日本の今後の米の問題につきましては心配すべき状態が来るのじゃないかと思ったのでございます。それでそういうことをお聞きいたしておる。私は、同じ質問を赤城農林大臣にいたしました。赤城農林大臣は、確かに華山さんの言うようなことが農林省の中にありました。主要生産物の生産を軽視する傾向が、華山さんの言うように確かにありましたが、私はそうは思っておりませんと答えられた。私、お見かけしたところ、農林大臣はたいへん正直なようでいらっしゃいますが、赤城さんはそうおっしゃったのですよ。しかし、そんなことを聞いたってしょうがないから私やめますけれども、私はそういうことが農林省の中にあったと思う。現に私は、非常に不愉快でございますけれども、農林省の中には、一つのことばで言えば、国民経済主義派、農本主義派、別なことばで言えば構造改革派、増産派、この二つのものがあって、そして国民経済派なるものが農本派を圧倒した時代がある。いまや農本派が次第に勢いを盛り返しつつある、こういうことをみんなが言っているのです。そういうふうに農政が五年や十年の間にぐらぐら、ぐらつく。しかし、一たんスタートを切ったところの農産物というものは、そんなに来年から直るものじゃない。私は確固たる、米の生産なら米の生産をどうしても増すんだ、こういうふうな方向でいってもらいたいと思う。その場、その場、その年、その年の情勢一四、五年の情勢を見て、あっちにぐらつき、こっちにぐらつくような農政はやめてもらいたいと私は思う。いかがでございますか。
  184. 坂田英一

    坂田国務大臣 華山委員と同感でございます。
  185. 華山親義

    華山分科員 同感はけっこうなんですが、そこで伺いますが、昨年の米の輸入の状況を考えてみますと、日本は準内地米――専門家は円粒米とか言われるようでありますが、円粒米を輸入する。その円粒米の輸入先は一体どこなのかと申しますと、四十年は台湾二十八万四千トン、韓国一万四千トン、スペイン三万三千トン、加州玄米十二万四千トン、それからアメリカの南部精米九万八千トン、それから中国が玄米で五万五千トン、十一万三千トン、こういうことになっておりますね。間違っていたらお直しを願いたい。それが七十二万一千トン。全部の輸入量が九十二万トンでございますから、大部分のものが円粒米でございます。  これらの国で将来当てになるのは一体どこなのか。台湾はアジアの情勢がどうなりますかわかりませんけれども、あるいは確実かもしれません。韓国はいまでも少ないのでございますけれども、これは当てにならない。スペインしかり。アメリカの加州玄米は当てになるかもしれませんが、中国は去年これだけのものが入ったのでございますけれども、これは日本の現在中国貿易に背を向けている状態では当てにならない。米は天候に左右されます。日本の米だってあるいはどうなるかわからない。外国だってどうなるかわからない。日本の米というものは、準内地米というものは、きわめて不安定な状態にあるのではないか。五%あるいは四%だからだいじょうぶだなどと言わないで、極力米の生産ということを進めなくてはいけないのじゃないか。  そこで伺いますが、日本の準内地米の需給というものは、外国をも当てにいたしまして、もう万代動かないところにあるのか、常に動揺する不安な状態にあるのか、ひとつ食糧庁長官の御所見を承りたい。
  186. 武田誠三

    ○武田(誠)政府委員 現在の準内地米の輸入につきましては、先ほど先生からのお話のような諸国から現在輸入をいたしております。この中で、生産関係から申しまして、現在必ずしも安定的ではないというふうに思っておりますのは韓国でございます。それから中国からの米につきましては、生産的には安定をしつつある。ただこれの買い付け等の問題につきましては、今後いろいろ問題があるかもしれないというように考えております。それからアメリカの米並びに台湾の米につきましては、これは安定的に推移いたしておると思います。特にアメリカにおきましては、最近米の作付につきまして、これを緩和するような動きも示しておりますので、これらの生産につきましては、今後安定的であろうと思います。そのほか、いわゆる日本米タイプの円粒種の生産地域といたしましては、エジプト、イタリアあるいはスペイン等の諸国がございます。これらの国の輸出余力につきましては、もっぱらヨーロッパ向けのものが多い状況でございます。現在私どもが買い付けをいたしておりますのは、安定的にはスペインから三万トンずつ過去において買い付けをしておる。そのほか南半球地域で、ブラジルでございますとか、あるいはアルゼンチン、オーストラリア、これらの国で日本米タイプのものの作付が始まっております。
  187. 華山親義

    華山分科員 いまおっしゃったヤポニカタイプのものでございますけれども、こういうふうなものにつきまして、一体世界で貿易市場に輸出として出せる円粒米は幾らぐらいに推定されますか。
  188. 武田誠三

    ○武田(誠)政府委員 私どもが現在推定をいたしております数量といたしましては、大体中庸的に見まして百五十万トン前後であろうというふうに考えております。
  189. 華山親義

    華山分科員 百五十万トンの世界市場に出る米を――私は今年あたりは日本は百万トンになるのじゃないだろうかと思う。百五十万トンの貿易市場にある米を日本が百万トン取っていくということになったならば、これは貿易市場からいっても米の値段を上げるにきまっているじゃないか、そういうふうに考えまするし、私はいろんな点から考えまして、私が二年前に言ったとおり、日本の米の増産をすることに現在全力をあげる時期じゃないのか、そうしませんと米というものは非常に世情の不安を招きますから、気をつけていただきたいと思うのでございますが、それについて伺いますけれども、私はこれも口癖のように言って申しわけありませんが、一体どういう点で日本の米ができないのか、停とんしているのかということを申し上げた。その際に私は兼業農家の米のつくり方、これに対する親切な指導あるいは施策がないからじゃないかということを申し上げたのでありますけれども、今度の農業白書にはちゃんと私の言ったとおりにそう書いてあるのです。たとえば、おつくりになった農業白書を見ましても、兼業農家水田面積は、三十五年には一三%、それが四十年には二一%に増している。それから生産額が三十五年に二八%、これは第二種兼業農家でございますが、三十八年では生産額が三二%に増している。しかもこの兼業農家の生産性は一二、三%に落ちているということをいっている。私がその二年前質問した際には、こういうことにお答えになる資料さえなかった。あるいは用意してこられなかったのかもしらぬけれども、そういう状態でした。今度初めて、こういうことで兼業農家の生産性が落ちているために日本の米の生産がとどまっているのじゃないか、こういうふうにいわれているのでございますが、そういう記述だけではしかたがない。そういうふうな不安な日本の米の状態から見まして、この兼業農家の米の生産をもっと出すというふうな方向につきまして、何かお考えがございますでしょうか。
  190. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 ただいま日本の米の生産についてお尋ねがございましたが、最近の米の反収が停滞ぎみであります理由は、いろいろ考えられるわけでございます。一つには御承知のように昨今の異常な気象ということが大きな原因の一つにあげられております。第二にはただいま先生も御指摘になりましたように、最近兼業農家がふえまして、省力技術、省力というよりはやや省略的な技術、たとえば肥料の分施をいたすべきものについて分施を行なわないとか、そういう事実が指摘されております。もう一つは、やはり基本法創設以来、当初私どもが予想いたしましたような技術が、必ずしも十分に開発されなかった。特に問題は、田植えの段階の機械、それから刈り取り、乾燥の段階の機械、あるいは直まき栽培をいたします場合の技術改良など、そういう技術改良がおくれておる部面もあるかと思います。  そこで、第一の気象条件につきましては、前もって政策的に手を打つこともできませんので、昨年のようにいろいろな技術面の指導をいたしまして、その技術の現在の範囲においてこれを未然に防いでいかなければなりません。特に兼業農家の生産性の問題につきましては、御指摘の点もございますので、昨年度からたとえば高度集団栽培事業というふうなものを実施いたしまして、一定の営農集団に機械を持たせる、たとえば作付の品種を統一いたしまするとか、あるいは農薬をまきまする時期を統一いたしまするとか、そういう技術面を通しまして、高水準の技術で兼業農家全体をカバーできるような方向をとってまいっておるわけであります。明年度もそういう考え方で特に兼業農家等の土地につきましては、なるべく共同作業と申しますか、協業組織と申しますか、そういう営農集団の育成を通じて、高度の技術で反収も上がるような方向に今後とも努力をしてまいりたいということで、具体的にも予算を計上いたしておるわけでございます。
  191. 華山親義

    華山分科員 このことにつきまして、いわゆる兼業農家、これは第二種兼業農家に当たるかどうかわかりませんけれども、出かせぎの問題でございます。これは必ず出ることでございます。それが営農に及ぼすことにつきましてどういうことがあるか、収穫が終わるやいなや、あとのことはもう全部家にまかして東京等に出てくる、これが実態でございます。したがって冬の間の堆肥、そういうふうなことはすっぽらかしておく。それで日本の田は長年の間の投資がございますから何とか持ってはおりますけれども、これが長く続いたら、私は減収は加速度的に増してくるのじゃないか、こういうふうな気持ちがあります。また皆さん方の重要な出先でございますところの農業改良普及員の言うことばには、とにかく冬の間そういう人を集めて来年の営農方式を話す、そういうふうなことは何もできない。残っておるのは奥さんと子供ばかり。そういうことじゃちっとも指導ができないという。それからもう一つは、いまそのよしあしは別といたしまして、いろいろな農地の構造改善的なことをやっていらっしゃいますが、それについて冬の間に相談ができない。それですから、知らないで奥さんが判をついたとか、そんなことでごたごたするばかりなんですね。  それでも、かせぎに出てきているのは、出かせぎの部分を除けば専業米作家なのですが、それがそういうふうな計画さえもできないというのが現状です。これは私は憂うべきことだと思うのです。しかし現在の状態におきまして、今日あの連中はどうして出てくるのかと申しますれば、主として買った機械の償却をするために出てくる、これが現実でございます。二町歩あるいは一町五反歩の中堅農家が出てくる。なぜ出てくるのか、借金を払うために出てくるというのが現在の実態なんでございます。そういうふうなことで、兼業農家を私はなくさなければいけないと思いますけれども、現実の問題としてはむずかしい、こういう問題があります。  もう一つ、兼業農家の問題は三チャン農業です。三チャン農業の兼業農家というものをどうするのか。その際に私申し上げたのでございますけれども、とにかく三チャン農業の、おばあさんや奥さんが二キロも三キロもあっちに飛んだりこっちに歩いたりするような、そういうむだな労力はなくさせなさい、交換分合を思い切ってやりなさい、しかもその耕地というものはできるだけ広くしなさい、耕作の一区画を広げなさい、そして機械を入れなさい、機械については、これは農家に買わせちゃいけません。とにかくある何らかの方法で機械の負担をかけないことをやりなさい。そしてこの機械でもって荒い仕事をするのはその部落の青年にやってもらったらどうか。そうすれば青年は部落に対する責任を持ってやるのじゃないか、喜びを持ってやるのじゃないか。多少のお礼はしたらいいだろう。それで農繁期というものは御承知のとおり二十日でございます。二十日の間は、他の職場には休暇等の方法もありますから、まとめて休暇をとるような方法で、その力をかりておやりなさい。そういうふうなことを私は申し上げた。日本の飯米というものは将来決して安全なものではない、そういうふうなお考えだったならば、こういうふうなやり方を農林大臣、根本的に考えていただきたい。いま農政局長のおっしゃったようなことでは私は解決しないと思うのです。どうでしょうか、大臣
  192. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 ただいま華山先生からいろいろなことをおっしゃったわけでございますが、第一には土地の生産性の問題ということをおっしゃいまして、特に機械が入った段階では、それの償却に追われておるというお話、機械を入れまして、労働生産性が高まるだけで所得が増加をしないといたしますれば、おっしゃったようなことが起こるわけであります。やはり土地の生産性を高めて反収を上げることが同時に伴わなければならないという点は、御指摘のとおりだと思います。それで四十一年度の予算では土壌の改善と水の管理という面を通しての土地生産性の上昇ということが技術的にも可能でございますので、そういうことについての予算の計上をいたしまして、土地生産性を上げていくということについても目を向けることにいたしたわけでございます。  それから機械を個人で買わずに共同でやるということについては、先ほどもちょっと触れましたように、共同化とか営農集団とか、そういうものを通して共同作業を進めていきたいというふうにいま考えておりますが、個人で持ってはいけないとこう制度的にはなかなか禁止はできません。農地法の違法行為になりません範囲におきまして、農協なり、そういう営農集団なりを通しての請負と申しますか、共同作業、そういう形での機械処理あるいは共同作業というものは、今後も積極的に進めてまいりたいと思います。
  193. 華山親義

    華山分科員 大臣、いろいろお話がありましたけれども、日本の米というものは心配だと私は思うのです。ほんとうに思い切って、とにかく兼業農家を中心とするところの米の増産、そういうことに全力をあげていただきたいと私は思います。どうでございますか。
  194. 坂田英一

    坂田国務大臣 華山分科員は非常に御熱心なんで、私も非常に共鳴いたしております。日本の国は米作に非常に適した気候でありますから、この気候、風土に適したものが日本人の主食としてあてがわれておるということは非常な幸福である、こう思っております。したがって、うかうかと簡単にものを考えていきますことは非常に間違いが起こる、私はこういうことさえ考えておるのでありまして、この気候風土に最も適した米が日本人の主食であるということ、このことが日本の発展の上において非常な貢献があったということを思っておりますだけに、私は華山さんと同感だと申しましたのはそういうところから来ておるのでありまして、私も米の増産という問題については真剣に取り組むつもりでございます。
  195. 華山親義

    華山分科員 時間がまいりましたけれども、五分はかり――私、皮肉なことを言っては悪いのですけれども、農林省のお仕事が、農林大臣がきちっとしておらないとお役人の仕事になりまして、しょっちゅう変わるのじゃないかという気がするのです。農業というものは、ことしは鉄とか綿糸とか、私はそういうものではないと思うのです。その意味で、確固たる不動の姿勢をとっていただきたい。思いつきが多過ぎるのです。たとえば今度の牛肉の不足にいたしましても、日本の牛肉というものは、一応これを耕牛として使ってそのあとで肥育して殺す、これがいままでのやり方でしょう。それによって経済性が保てた、それを機械にかえたら、そういうふうな牛を飼う経済の基本がくずれるのですから、当然その際に考えなければいかぬ。そして牛肉が足りなくなるといまになってこういうことをやり始める。そのことは外国でもあるのです。たとえばソ連等におきましても、スターリンは、牛なんかで、土地を耕すのはいけないのであって、大規模に機械農業でやれ、こういうことを言った。そして牛はコルホーズに入れてコルホーズでこれを食糧としてやるのだ、こういうことを言ったわけです。その際に、農民はコルホーズに入れることをきらって、全身あぶらだらけにして、牛をみんな食ってしまったのですよ。それが現在ソ連でも牛肉が足りないという原因だ、私はそういうふうな話を聞いておるのです。うそかほんとうか私はわかりませんけれども、うそだったならば、それは一つのたとえ話かもしれませんが、そういうふうに、一たん農業というものが曲がったら、そっちのほうに曲がってしまってできないのです。正しい方向に向かうのにはやはり二年、三年かかってしまう。一時のいろいろな現象に惑わされることなく、確固たる方向で農政を進めていただきたい、こういうことを申し上げまして、私の質問を終わります。大臣答弁があれば……。
  196. 坂田英一

    坂田国務大臣 私も、農林省自身も確固たる信念でもって進んでおる、こう思います。それから私どもが外部へ出た場合におきましても常にその主張を通しておりますので、先ほども申したように数字的にはそういう数字が出たこともありますけれども、結論は増産を進めていくということで通してまいったことは、農林省のほうもそういうことで進んでおるはずでございますから、そういうふうにあまり違わないのでございまして、ときどき各方面から坂田農政は何だと言われるけれども、私はそういう農政は持たないということを申しておりますことも、農業政策というものはそう簡単に右顧左べんすべきものではない、こういうふうなことについては華山さんと全く同感でございますので、簡単でございますが、そういう御答弁で御了承願いたいと思います。
  197. 華山親義

    華山分科員 一分だけ――とにかく大臣は一年ごとにかわるのですから、あまり当てになりません。ひとつ官僚の方々にお願いいたしますが、もういろいろなことに惑わされないで、ばりばりいま言ったような方向に向かってくださいよ。そうしないと、日本農業があっちへ行ったりこっちへ行ったりしておったのでは、おかしなことになるのではないか、こういうことを申し上げまして、私の質問を終わります。
  198. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて華山親義君の質疑は終了いたしました。  次に、湯山勇君。
  199. 湯山勇

    湯山分科員 私は、高度成長政策に続いて、今度は公債政策、そういうことから日銀券がずいぶん増発されております。ところが、日銀券の原料になる、山村住民の問題だといっていいくらいの重要な換金作物のミツマタの需給が変わってきたということから、これに対する政府の態度が変わったのじゃないかということを耕作者――これは四国、中国六県にわたっておりますが、その諸君が非常に心配をいたしておりますので、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず資料として印刷局長にお尋ねいたします。一つは「局納みつまた」の紙幣原料としての消費量は最近どういう傾向にありますか。
  200. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 ミツマタを紙幣の原料として購入いたしております数量は、四十年度は、目下のところ二十万七千四百貫、それから三十九年度は二十二万六千七百七十六貫、三十八年度は十四万六千貫、かように相なっております。
  201. 湯山勇

    湯山分科員 日銀券への混入状況、これはいま百円紙幣にはどれだけ、五百円でどれだけ、パーセントですね、千円で何パーセント、一万円で何パーセント、現状だけ先に言ってください。
  202. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 一万円券につきましては三〇%、五千円券につきましては同様に三〇%、それから千円券につきましては一〇%、以下五百円と百円につきましては、この一両年ミツマタを混入いたしておりません。
  203. 湯山勇

    湯山分科員 いまの点について、一万円札への混入ぐあい、これの変化を、最近のものでけっこうですから。
  204. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 一万円券につきましては、かなり以前には全量ミツマタを使用していた時代もあるのでございますが、三十二年以後につきまして概略申し上げますと、三十二年ごろには七五%混入をいたしております。それからその後三十四年にだんだん供給量が減りました結果、やむを得ず七〇%に減らし、さらに三十八年度におきまして五〇%――先ほど申し上げましたように、三十八年度の生産量は激減をし、かつまた購入量もそれに伴いまして買えなかったという事情で、やむを得ず三十九年度から一万円券につきましては三〇%にいたしておる状況でございます。
  205. 湯山勇

    湯山分科員 いま一万円券は単価幾らですか。
  206. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 十二円九十銭になります。
  207. 湯山勇

    湯山分科員 現在、一万円札の単価が十二円九十銭。その以前、変動のあったもう一つ前、どれくらいの単価の変動状況か、ちょっとお示し願いたいと思います。
  208. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 ただいま手元に単価の推移の明確なものを持ち合わせておりませんが、それほど大きな変化はございませんが、年々若干ずつ各券種にわたりまして、特に高額券につきましては若干ずつ引き下げておる状況でございます。日銀への納入価格を下げてきておる現状でございます。
  209. 湯山勇

    湯山分科員 ちょっと重要なのですが、三十八年はいかがでしたか、わかりませんか。
  210. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 三十八年度の資料はちょっと持ち合わせませんが、三十九年度につきましては十三円二十銭ほどでございます。
  211. 湯山勇

    湯山分科員 三十八年は、大体でけっこうです。
  212. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 私の記憶が間違っておるかもしれませんが、十四円じゃなかったかと思います。
  213. 湯山勇

    湯山分科員 そこで、いまの御答弁から、ミツマタの混入量を減らすことによって、日銀券の単価は安くなっておる。つまり日銀のほうはもうかっておるといいますか、利益を受けておる。ところが、その反面に、現在のように混入状況を低下させる、買い上げ量も減らしていく。そこで需給関係がこれによって変動を来たして、実際に生産農民のほうは非常に心配をしている。こういう政治姿勢というものは、大臣はミツマタのことをよく御存じですから申し上げたいのですけれども、そういう政治の姿勢というものは、一体いいものか悪いものか、大臣の御判断をちょっと伺いたいと思います。
  214. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 ただいま大臣へのお尋ねでございますが、ミツマタの使用割合が減ることによって日銀券の価格が下がったというふうに仰せになったわけでございますが、この点は実際の日銀券の納入価格をきめます際のコスト計算で申しますと、その引き下げの大部分は、新たに新鋭の機械を購入いたしますとか、あるいは、その比率が漸次作業能率の向上によりまして下がるという点に主たる原因があるのが実情でございまして、必ずしも、ミツマタの混入割合を下げたから価格が下がったというふうには、経費上はなっておりません。
  215. 湯山勇

    湯山分科員 いま値下がりした分が全部そうだとは申しません。そうは言っていないのです。傾向として申し上げているだけですから……。そこで、一体混入率はだれがきめるのですか。
  216. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 これは、権限的に申しますと、もちろん印刷局長がきめるわけでございますが、それ以前に、製品の規格といったような関係で、ミツマタの割合を何割というところまでは大体の打ち合わせくらいのもので、発注の規格にはなっておりませんけれども、大体そういうものを前提にいたしまして、強度でございますとか、その他のものを中心に日銀から発注があるわけであります。それによりまして、大体そういうものに見合うものを、この程度の原材料を使ってつくる、こういうことを印刷局長としてきめておるわけであります。
  217. 湯山勇

    湯山分科員 印刷局長の権限で混入率は変更できる、こういうことですね。
  218. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 一応そういうことでございますけれども、ただいま申し上げましたように、大体の色調でございますとか、強度でございますとか、あるいはそのほかの一種のできばえと申しますか、そういうような点につきましての発注者としての御注文が当然あるわけでございますので、無制限にかってにできるというものでもないのでございます。
  219. 湯山勇

    湯山分科員 わけがわからぬのですが、たとえばいまのように、七〇を五〇にする、あるいは五〇を七〇にする、三〇を五〇にする、それは局長の権限でできる、こうなんですか。それはできないのか。いろいろ条件がなければできないということですから、その責任は局長にある、こういうことですか。
  220. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 責任は私にあります。
  221. 湯山勇

    湯山分科員 そこで、将来の購入見通し、それから、将来の混入率について局長はどうお考えでしょうか。
  222. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 将来の見通しと申します点は、特に近年非常に総生産量が漸減をしておるというような事情、あるいはまた、この七、八年ほどの数字を拾ってみますと、年々総生産量並びに私どもが買い得ます量というものがかなりあばれておりますので、なかなか将来にわたっての予測というものは立てにくいのでございますが、しかし現在のところ、この一両年はかなり安定をいたしているので、私どもといたしましては、現状程度のものは、なるべく安定して買ってまいりたい。また、混入割合につきましても、安定した歩合というものが維持されることが好ましいのでございまするけれども、この辺も、生産量あるいは購入可能量といったようなもののかみ合わせで、はなはだしく製品のでき上がりが変わらないような限度において、適当に調整もしなければならない、かように考えております。
  223. 湯山勇

    湯山分科員 現在原料のストックが相当あるということが圧迫要素になっておるようですが、いまの御答弁のような状態だと、ストックができないはずですけれども、これはどういうわけでしょう。
  224. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 これは現在実際問題として相当なストックもあるわけでございますけれども、これが発生いたしました主たる原因は、三十八年度が非常に災害年でございまして、その前年に三十四万貫購入いたしておりましたものが、十四万貫しか買えなかったというような事情で、その翌年の混入割合を、先ほど申しましたようにかなり大幅に減らしたわけでございます。減らしました結果と申しますか、減らしたのでございまするけれども、三十九年度ではかなり豊作と申しますか、かなり買えたわけでございます。このときに、前年の不足分というものもございましたので、二十二万貫ほど買ったのでございます。当時の購入予測といたしましては、十六万貫とか、あるいはよくいっても十八万貫というようなことを三十九年度については考えていたのでございますが、幸いにかなり供給余力があるということで、二十二万六千貫ほど買ったのでございます。引き続きまして、四十年度におきましても、本年度でございますが、二十万貫以上購入いたしておりますために、その辺のやや偶然的な経緯もございまして、在庫がだぶついておる、こういうような状況でございます。
  225. 湯山勇

    湯山分科員 印刷局長は、あるいはもっと言えば政府は、いまストックがあるというような状態であれば、混入率をふやして、そうしてミツマタの消費をはかっていく、そしてその購入量をどんどんふやしていく、そういう責任があると思いますが、これだけ印刷局と直結して一生懸命に局のミツマタをつくっておる農民が、たまたま昭和三十八年にひどい雪害で切ることができなかった。三十八年は確かにもうやむを得ず納入状況は悪かったのですけれども、翌年回復した。そうすると、三十八年産のものを入れる紙幣は混入率を落としても、今度生産がもとに戻れば、混入率をまたもとの五〇に戻して、そうして納入するものの消化をはかっていく、これがあなた方の責任ではないかと思いますが、どうですか。
  226. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 その辺に相なりますると、公式にはかなり責任があるというふうにお答えをいたしまするのが本筋であろうと思うのでございますが、実際には日々生産業務と運営いたしておりますと、何と申しましても同じような品物、かりに例を申しますれば、同じような一万円券というものが流通することによりまして、偽造防止にも役立ちまするし、通貨の信用保持にも役立つわけでございまするので、よけいできるようになったからたくさん買う、たくさん買った結果、また七〇%も八〇%も一万円券に入れる、つまり、毎年毎年ミツマタの混入量によりまして紙幣そのもののでき上がりの感触というものがかなり変わる性質を持っておりますので、もう手放しで、年々混入割合を変動させることがいいことかどうかと申しますと、若干疑問を感ずるのでございます。ただ、今日までのところ、過去に湯山先生が御案内のようないろいろな事情がございまして、三十一年以来、当時の買い付け量でございました三十九万貫弱といったようなもの、それを標準にいたしまして、大体その三十一年以降十年間ぐらいはその程度の購入量は維持していくことにしたいということを、生産者側にもお約束をいたしたような経緯もございまするので、二十万貫前後を安定的な供給がある限り、これをしいて在庫があるから減らそうというようなことは、なかなか申しにくい立場である、かように了解いたしております。
  227. 湯山勇

    湯山分科員 局長の御答弁は、白紙の状態で、ただ単に、印刷局長という立場でおっしゃるのならそれはそうかもしれません。しかし局長といえども、閣議決定には従わなければならない。当然ですね。そこで、あなたがもしお持ちでしたら、三十二年三月の旧閣議決定の臨時通貨法の一部改正に関連する「みつまた対策要綱」と、それから三十六年の五月制定された新しいほうの対策要綱、それの、新しいほうの三、古いほうの四、同じ文章ですから一ぺんお読みをいただきたいと思います。
  228. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 三十六年五月二十三日一部改正になりました三十二年の閣議決定の三項でございます。「千円札の使用年数の短縮、五百円札の増加、みつまた混入量の増加等により将来可及的に使用量の増加をはかること。」かようになっております。
  229. 湯山勇

    湯山分科員 あなたの言われたのと違いますね。これはいま生きているのですか、死んでいるのですか。
  230. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 生きております。
  231. 湯山勇

    湯山分科員 それじゃ、あなたの言っておるのと違いますね。
  232. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 生きておるのでございますけれども、現実の総生産量も、この三十二年三月にできました当時は七十五万貫以上の生産量がございましたし、現在は四十九万というようなことでございます。実際問題としてなかなかそうよけいは買えないわけでございます。
  233. 湯山勇

    湯山分科員 私の申し上げておるのは、混入率をふやせば――ふやす条件はあるわけですね。ストックが二十万貫以上もあるということで、しかもこれには、そこにあるように、千円札なんというものは使用年数を短くせい。それできょうは日銀に来ていただきたかったのですが、連絡が悪くて見えませんでした。しかし、「混入量の増加等により将来可及的に」とちゃんと書いてある。局長が閣議決定を左右する権限はありませんね。だから、あなたがいま個人的に先ほど申したようにどうお考えになるか別です。しかし、おっしゃったように、これが生きている、可及的に混入量をふやせ、ふやすというのが閣議決定なんです、いまも生きているのですから、さっきのような御答弁は、これは第三者の答弁、政府の印刷局長としてはそういう答弁はできないはずです。生産もそれだけあるし、売り渡しの量もそれだけあるのなら、その範囲で――どんなにしたって一〇〇%以上はできません。しかし、できるだけ、いま三〇なら五〇にする、これはやらなければならないのでしょう、これをすなおにお読みになれば。どうですか。
  234. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 湯山先生は実態をよく御承知のものでございますから、この閣議決定の文言の趣旨と多少違うような、私どもの印刷局で紙幣を製造しております場合の全体の運営と申しますか、そういう中での実感をちょっと申し上げ過ぎたのでございますが、御趣旨のとおり、供給があればなるべくたくさん使っていくようにという趣旨を体して結果的にはやっております。
  235. 湯山勇

    湯山分科員 やっているということになっていないですよ。なぜかといいますと、三十八年に落とした、これは了解します。そのとおりです。これは雪で切れなかったのですから、あとでその一年分が重なってくる。これは常識でわかることです。そうすれば、三十八年に混入量をそういう特殊事情で落とした、それをそのまま惰性で今日までやってきておるのは怠慢です。この趣旨を体していない。  そこで、今後それじゃこの閣議決定の趣旨に従って混入率をおふやしになりますか。ならないと言ったら重大問題ですから、これはこの閣議決定をした責任者においでを願って、どうなのか聞かなければなりません。局長がもしこの決定どおり尊重してやりますと言えば、それで済むわけです。どうなんでしょうか。
  236. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 供給量の増加に見合いまして漸次増加をさしていくことは必要である、かように考えております。
  237. 湯山勇

    湯山分科員 ちょっと念を押し過ぎますけれども、ふやしていくというのでしょうか。必要なんだけれどもできないということもありますよ。あなたの権限でできるということをさっき念を入れてお聞きしたのはこういうことなんです。そこで、あなたの権限でできることですから、著しく紙質が変わらないというような制限もあると思いますけれども、とにかく混入量をふやすということをお約束できますか。
  238. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 さような方向で考えていく必要があろう、かように思います。
  239. 湯山勇

    湯山分科員 それではぜひひとつ閣議決定の趣旨に従ってやっていただきたいと思います。  そこで今度は、それを受けて生産する農林省の方へお尋ねしたいのです。この閣議決定の新旧両方ともに、ミツマタ生産者に対する将来対策を農林省においてすみやかに樹立する、これは農林省もよく御存じのとおりです。現在どういう対策をお立てになっておられますか。
  240. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 お答えいたします。  ミツマタの生産でございますが、山村における主要な収入源でございまして、そういう意味でこりミツマタの生産の振興をはからなければならないのでございます。三十五年以降若干予算等もついてきたのでありますが、反当収量も低く、したがってまた、労力不足等もございまして、逐次作付面積が減ってまいりました。まことに残念なことでございます。どこに原因があるかと申しますと、一つは栽培が粗放なのではないかということと、それからまた、先生御存じのとおり、労力が非常に要ります。ことに剥皮をいたします場合に労力が要るわけでありまして、そういう点を改善しなければならぬであろうかと思います。ミツマタの剥皮の機械につきましては、まだ完全なものができていないのでありまして、まだ高知県等で試作をやっておる段階でございます。したがいまして、そういう剥皮についての試作について、高知県といろいろお話をしまして、それについて研究いたしたいということで準備を進めておるようなわけであります。  また、いまの密植栽培につきましては、これは従来の粗放な畦畔利用したというような栽培形態よりも、むしろ陸畑を利用してミツマタを密植栽培するということも考えられるわけであります。そういうことによりまして反当収量をあげていくということが、山村の農家の経済のためにも農業経営のためにも必要なのじゃないかというように考えておるわけであります。また密植栽培につきましては、そういう意味で、県によりましては苗木の購入に対しまして農業改良資金の特認事業として融資されておるような事情もございます。そういうようなことで、やはりわれわれといたしましては、その生産性を上げていくということで努力いたしたいというふうに考えておるわけでございますが、金額的にはなかなか、予算措置は講じておらないわけでございますけれども、そういう方向で進んでおるわけでございます。
  241. 湯山勇

    湯山分科員 将来、農林省としては、ミツマタの増産をはかっていこうという御方針なのか。生産性向上だけでは増産になるのか減産になるのかちょっとわかりません。能率の悪いところを切り捨てれば生産性は上がるわけですから、六倍体をおつくりになる、あるいは密植栽培を奨励されるというのは、生産性の問題は別としてこれを奨励していかれるのか。そうではなくて、適当なところで打ち切ろうというお考えなのか、その基本方針はどんなものでしょうか。
  242. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 ミツマタの生産は、これは山地におきます重要な生産物であります。先ほども申し上げましたように、その反当収量が非常に少ないというようなことから、また労力が非常に不足するということから、どうしてもそういう意味で減産しておるわけでございまして、ミツマタ適地につきましては、これを振興いたしていきたいと考えておるわけでございまして、そういうように山村におけるミツマタの生産の重要性があるわけでございますから、幸い山村振興法もできたことでございますので、そういうことで山村の農業の特別開発事業等によりまして、その生産性の近代化をはかるということによりまして、それの所得を増していくということを検討しなければならぬと考えておるわけでございます。そういうことで、特別開発事業としてこれを取り上げることは、担当の農政局にもお願いをしているような次第でございます。地域農業の振興対策の一環としまして、生産改善をはかっていくということが必要であろうと考えておる次第でございます。
  243. 湯山勇

    湯山分科員 よくわかりました。そこで農林省のほうは振興対策をはかって、できるだけ生産を増強していこう、印刷局のほうはなるべく買わないということじゃ話がわからないので、それだとこれはたいへんな問題だと思ったんですが、印刷局長も閣議決定の対策要綱に従って買い上げ数量を増加させる、混入率もふやすということですから、安心をいたしました。もしそうでなければ、私は桑や麦で前にやられておったように、作付け転換金でも出さなければおさまらない問題だと思う。ただ、一印刷局長が今度は買い上げ量を減らすぞとか、あるいは需給事情がどうだからどうというふうな軽々しい問題じゃない、こう思っておったんです。大臣も御同感だと思いますが、どうですか。
  244. 坂田英一

    坂田国務大臣 いま園芸局長からお答え申しましたとおり、山村振興事業で特別開発事業がこれから具体的に進むときでございますので、そういう方向に向かって進みたい。なお、私はもとからミツマタについて興味を持っておったことがありますので、贋造を防ぐという点においても非常に大きなものでもあり、またこれは紙幣以外に非常にりっぱな芸術品ができるわけですけれども、その方向に向かって――これは数量的にはなかなか直ちにうまく消化できませんから、どうしても印刷局のほうにでき得る限り多量に混入してもらうということと並行して進まなければならぬことは御同感でございます。
  245. 湯山勇

    湯山分科員 そこで、いまの状態は、これは誤解かもしれませんけれども、三十八年の雪害に便乗して、混入率を落として、それによって、幾らにもせよ、日銀券一万円のコストが下がった。しかも、その反面では、ストックがたくさんできて、印刷局のほうは需給事情上はあまり必要でない、こういうことになると、山村農民にとっては重大な問題だと思います。そこで、印刷局のほうは、雪が降っていまの売り渡しが少ない年は減らさなければならないというんじゃなくて、ある程度ストックを持たなければならないと思うのです。そういう倉庫もちゃんと完備する。一年分なり二年分なりはもうびくびくしないというストックをちゃんとお持ちになる。そしてコンスタントにやらないと、いまコンスタントに混入すると言われたけれども、そういう体制ができてなかったことが今日を招いたもとなんです。これはひとつ局長も十分――あなたはその当時の責任者じゃありませんけれども、印刷局長、前車のわだちにかんがみて、ぜひそういう体制をおとり願う。そうして混入率をふやして、買い上げ量をふやしていただく。それからいまお話がありましたが、こういう問題は、ただ対策要綱一本でやるのではなくて、幸い山村振興法の第三条の三号に、特産物の生産の育成をはかるということがありまして、その内容は、ミツマタとかコンニャクとか、山村の特産物については、それぞれ振興要綱をつくるというのがこの法律の趣旨でございました。いまのような機会に、ひとつ早急に農林省も積極的に乗り出していただくし、大蔵省ももちろんですし、特に印刷局はその主管官庁ですから、大いに協力を願って、そして山村の振興、山村農民の所得、生活の維持のためにぜひ早急にミツマタの対策要綱をおつくりいただきたいと思います。これは農政局長いかがでしょうか。
  246. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 だいぶ前のことでございますが、愛媛から高知に抜けるところを歩きまして、おっしゃるように、ミツマタやコーゾしか栽培していないところを見てまいりましたので、それを頭に置いて考えますと、索道を用意してやりますとか、あるいは乾燥なり皮をはぎますための機械、こういうような施設をやりまして、生産性を高めていくことは必要であろうと思います。山村振興計画の中で、地元の計画を受けまして、いまおっしゃるような方向でできるだけ努力をいたしてまいりたいと思います。
  247. 湯山勇

    湯山分科員 最後に御要望申し上げたいと思います。と申しますのは、先ほどの「みつまた対策要綱」というものは、実は当初旧要綱は十年という期限を切ってつくられたものです。これは百円銀貨をつくるときに十年という期限を切ってつくった。ところが、たまたま法律によらない協議機関があっちゃいけないというので、三十五年に廃止になって、そのかわりに新しい対策要綱ができました。その新しい対策要綱には期限が切ってありません。したがって、いつまででも続くものですけれども、しかし、いまの局長のように、多少誤解を招くような読み方をしている人もないでもありません。しかし、いまよくおわかりになりましたから安心をしましたが、そこで、そういうこととのからみ合いもありますから、特にこれにはすでに対策要綱ができているわけですから、それをひとつ考慮に入れておつくりになるならば、すぐできるもんだと思います。そういうものがなくて、ただ皮はぎ機械をどうするとかいうようなことだけだと、施策全体が散漫になるし、買うほうと売るほうの意思の疏通も欠くというおそれもありますから、ひとつお進めいただいて、そういう問題が起こらないように、早急に、せめてこの夏ぐらいまでにぜひそのミツマタについては山村振興法に基づく対策要綱をおつくりいただきたいと思いますが、大臣の御答弁をいただきたい。
  248. 坂田英一

    坂田国務大臣 たいへん私も同感でございますので、ぜひそういうことを検討させたいと思います。
  249. 湯山勇

    湯山分科員 どうもありがとうございました。これで終わります。
  250. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて湯山勇君の質疑は終了いたしました。  次に、大原亨君。
  251. 大原亨

    大原分科員 私は漁業、特にカズノコの問題と、それから時間がありましたら農薬の公害問題、この二つについて質問をいたします。  最初に、農林大臣、あなたはカズノコを食べられるかどうか知らぬが、昔はカズノコが肥料の中にまざっておったわけです。ニシンの肥料の中にですね。いまは食料品店に行ってもなくて、宝石商の窓に行かぬとない、こういうふうに言われているわけですが、あなたはよくそれを知っておられますか。
  252. 坂田英一

    坂田国務大臣 存じております。
  253. 大原亨

    大原分科員 それでは、戦前の生産高とそれから戦後の日本国内におけるニシンの卵、カズノコの生産高について、ひとつ特徴的な数字があればお答えを願いたい。
  254. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 カズノコは御承知のとおりニシンからとれるわけでございますが、戦前ニシンが非常にとれました関係で、昭和の初めにおきましては、四千トンないし五千トン程度の干しカズノコができております。戦後になりまして、御承知のとおりニシンが非常にとれなくなりまして、現在のところでは、三十五年ごろから申し上げますと、カズノコの国内生産量は四百五十トンないし少ないときで三百二十三トン、三十九年が五百八十七トン、こういう状況でございます。   〔主査退席、坂村主査代理着席〕
  255. 大原亨

    大原分科員 戦後、最近は三百トン、四百トン、五百トンくらいですね。それは干しカズノコなんですか。
  256. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 戦後のものは主として塩カズノコでございます。
  257. 大原亨

    大原分科員 それはなまですか。
  258. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 なまと申しますか、塩につけたものでございます。
  259. 大原亨

    大原分科員 どのくらいのものですか、比率は、干したカズノコと塩カズノコ、なまのカズノコですね。なまを干しましたら、目方が大体どのくらいですか。
  260. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 大体三分の一――干したものを塩にしますと三倍になる、こういう関係にあるわけでございます。
  261. 大原亨

    大原分科員 そういたしますと、昭和の初めごろには四千トンないし五千トンぐらいなのが、大体最近は干しカズノコに換算をすると百トンから二百トン、こういうふうなことになりますね。これは非常に少ないですね。少ない理由はいろいろあると思うのですが、簡単にひとつお答え願いたい。
  262. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 ニシンの漁獲量でございますが、昭和の二年ごろでございますと、六十万トンとれております。だんだん減りまして、昭和の十五年ごろで十八万五千トン、二十年ごろ三十万トンという時期もございますが、三十年ごろから激減いたしまして、北海道でとれますニシン、つまりそのうちの半分程度は卵を抱いておる可能性のあるものは、いま二万トンから一万五千トン程度に減っております。  なお、ニシンの日本国の手による漁獲量は四万トンないし六万トンでございますが、これは母船式でベベーリソグ海で早い時期にとれます。これは抱卵ニシンでございますので、カズノコ関係で申し上げますれば、一万トン前後だ、かように考えております。
  263. 大原亨

    大原分科員 戦前の当時の値段といまの値段は何倍くらいになっておりますか。これはなかなかむずかしいけれども、ちょっと大体概算でわからないですか。大体でいいです。昔はただ、肥料に入れたくらいのただみたいなのが、いまのように高いというわけです。そういうことだと思うのです。  それから、ついでですが、最近の輸入量ですね、これは戦前はおそらくあまり輸入していなかったと思うのです。輸入していたかもしれません。最近の輸入量とそれから輸入国の傾向がわかりますか。
  264. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 最近の輸入量について申し上げます。輸入実績といたしましては、三十八年二十二トン、三十九年に十五トン、四十年に七十トンでございます。それから輸入国でございますが、主としてといいますか、量が少ないから主としてということほどでもないのでございますが、ノルウェー、カナダ、米国、これはアラスカでございますが、それがおもなものでございます。四十年に至りましてソ連から四十九トンばかり初めて入ったわけであります。
  265. 大原亨

    大原分科員 それで、これは一般の、私はどういう関係かその点は深く知らないのですが、一般の人はもう少し何とかカズノカがそれほどまでの宝石のような貴重品でなしに、大衆品として口に入らぬものかということで希望しておる人が多いわけです。これは正月になってから、すぐ手を打つわけにいかないのですが、現に産卵期は四月、五月、六月ごろからですから、場所によって違うでしょうが、抱卵ニシンですから、いまからやってちょうどいいわけでしょう。私は先般ナホトカからハバロフスクに行きましたときに、去年とそれからおととし、ちょっと通過いたしましたときに、関係者と議論をしたことがあります。お答えによりますと、昭和四十年に四十九トン、ソビエトから入った。これが一番飛び抜けて多いようです。とにかく七十トンに対して四十九トン入っているというふうな比率ですね。これはアラスカとかあるいはソビエトの北のほうのニシンの漁場との関係で、沿岸貿易その他を考慮しながらこれを拡大をするということは、農林省の、漁民立場に立つと若干問題があるかもしれない。生産は少なくて、値段がべらぼうに高ければ、それに関係している皆さんはもうかるということになるかもしれません。しかし、これは他の国の人々はあまり食べないものであります。そういたしますと、日本人の嗜好品でもあるし、大衆食品でもあるし、欲しいと思う人はたくさんいたわけですから、これはその間の生産者との関係を調整しながらも、やはり農林省はこの問題については発言権を持っているわけですから、もう少し何とかくふうして、たくさん入れることはできないか。二回目にナホトカからハバロフスクに行きましたときに、私どもは議論しましたときに、どういうことを言うかというと、ソビエトの連中は、ロシア人は食べない。したがってカズノコをつくっても、日本が買ってくれるという保証があればこれはつくる。そうすれば他の日本からの品物を、漁網とか漁業の道具とか、あるいは船とか、あるいは家具とか、あるいは漁業用の衣類とかというふうなものについて、沿岸貿易の原則に従ってこれをやるということができる。特にあの沿岸の大きな、アムールの川その他は、前例も多いことであるから、そういうところでも多くとれることであるからと、そういう議論です。日本が買ってくれる保証がない、こういうことです。  時間がないからはしょって言うわけですが、日本においては生産者を保護するという立場農林省にあるかもしれないが、しかしながら、国民の一般の消費者の立場に立つと、物価の問題とはしいて言わないけれども、大衆嗜好品についてもう少し、ただとはいかぬでも、比較的安い値段で欲しい、こういう希望があるのではないか、その間の調整を合理的にやることが国民の利益、国の全体の利益、貿易とも考えて、少量であっても国の利益に合致するのではないか。いまハバロフスクかどこかで沿岸貿易の見本市をやっておるそうですが、国の利益に合致するのではないか、こういうふうに問題点をあげますと、思うわけです。これにつきまして、実情と、そういう障害になっている理由と思われる点につきまして、お答えをいただきたいと思う。
  266. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 先ほども申しましたとおり、北海道で沿岸漁民が一万ないし二万のものをとっておる、それでカズノコを生産いたしておる。それから、ソ連からカズノコといいますか、ニシンといいますか、入れるということにつきまして、沿岸漁業との調整で非常に苦慮いたしておる。そこで、五年ほど前でございますが、それならば北海道の漁業者団体がソ連から洋上でニシンを買いまして、なまニシンを北海道へ運びまして、ニシン場地帯にこれを委託いたしまして、カズノコとミガキニシンに分けてやるという形で、沿岸漁業とソ連輸入との調整をはかる。その量が、当初は数百トンでございましたが、逐次伸びてまいりまして、一昨年は三千トンだったと思います。昨年は四千トンに相なる。これはそれぞれニシンの量でございます。その見返り等として、沿岸貿易の関係で、青森県のリンゴを一部引き当てるというようなことが現在まで行なわれておるわけでございます。これは一つ方法だと思うわけでございますが、現在もそういう方法をやっておるわけです。問題は、その量をさらに大きく拡大するかどうか。さらに、日本海に面します各県で、そういうことをやりたいという御意見がございました。北海道の沿岸との間の調整がなかなかむずかしい、こういう形で現在あるわけでございますが、考え方といたしましては、いま申しましたとおり、漁民団体が入れて、それでカズノコをとって、できるだけ国内に供給する。そこに利差がございますれば、北海道の責任において、ニシン場対策、沿岸対策に使う、こういう形で今日まで推移いたしておるわけでございます。  さらに、今後これをいかにするかということは、非常に大きな課題でございます。いま、貿易全般の問題との関係で、本日も委員会を開いているわけでございますが、その面を通じまして、さらに今後のあり方は検討したい、こういう段階でございます。
  267. 大原亨

    大原分科員 二つの筋があるというふうに思われるわけです。つまり、北海道の漁民が、卵を持っているニシンを漁場で売買をするというかっこうで輸入するのでしょう。それから、抱卵ニシンから、カズノコをどういうふうにするか知りませんが、大体をつくって、日本に持って返って日本で精製する。こういう通常の貿易のルートに乗せるのがあるでしょう。その二つ考えられるわけでしょうが、特に後者の問題については、手続上はどういうふうになっておるのですか。農林省と通産省の関係はどうなっているのですか。
  268. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 いま、西日本におきますアジ、サバ、北海道におきますスケソウダラ及びニシン等は、輸入承認物資として、できるだけ輸入をしないというたてまえを本来とっております。にもかかわらず、ニシンを北海道で輸入をいたしております手続は、先ほど申したとおり、北海道の漁業団体が申請した場合に限って許可する。その形は、カズノコをとるという事情もございまして、洋上で買うというのがたてまえでございます。いま先生がおっしゃいましたのは、ウラジオストックなり何なりでソ連がとって、場合によっては塩づけをしたニシンか、あるいはソ連の手によってカズノコにしたカズノコを輸入するか、別の輸入方式がないかという点だろうと存じます。後者については現在までのところ認めておりません。  なお、時間の関係もございますから簡単に申し上げますが、ノルウェー、フィンランドその他からカズノコを輸入することは、そういう摩擦は比較的少ないのでございますが、カズノコをつくる技術が発達いたしておりませんので、開いてはおるのですけれども、あまり入っておらない、そういうのが実態です。ソ連の場合も、カズノコを直接つくるということは、ソ連の技術なり現況からはなかなか無理で、ソ連に運びましたニシンを買って日本に持ってきてカズノコをとるかとらぬか、そういう問題として別にあり得るわけでございますが、一番新しいニシンを洋上で買って、北海道へ運んでカズノコをとる、この方式だけでございまして、その場合にのみ現在外貨輸入承認をいたしておるわけでございます。
  269. 大原亨

    大原分科員 外貨の割り当てをしておるわけですか。
  270. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 北海道の道漁連が扱うものについてのみ外貨の割り当てをして、他は割り当てをいたしておりません。カズノコは別でございまして、全国的に一定量をグローバルで外貨割り当てをいたしております。ニシンの輸入はいま申しました漁業団体だけでございます。
  271. 大原亨

    大原分科員 ノルウェーやその他の、ソビエト以外の国のカズノコは、どういうふうにしているのですか。
  272. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 先ほど申しましたノルウェーその他の国は、カズノコとして輸入交渉いたしております。カズノコ等を輸入するものに対して外貨を割り当てる。もう一つの問題は、ニシンを輸入する、そうして輸入したニシンからカズノコをとるという問題です。前者のカズノコはグローバル、どこからでもいいから、何トンまではやりたい者は輸入を認める。ただし、通産行政でございますが、どの商社に割り当てするかという問題はございます。グローバルに、どこからでもいい、ただしそれはカズノコでございます。ニシンではございません。
  273. 大原亨

    大原分科員 それで大体わかったわけです。つまり、抱卵ニシンを漁業団体の間でこっちへ引き受ける場合と、それから、カズノコとして一般の通産省のルートの中で商品として買い入れる、こういう二つの場合があるわけですね。そうでしょう。後者の場合はカズノコとしてあるわけですね。だからそれは、たとえばソビエトなんかは、シベリアなんかでは捨てているのだそうですね、あのニシンを。あまり貴重品ではない。だから、労賃をかけて精製をして日本に輸出ができるということになれば、日本から買いたいものはある。こういうことですから、これは農林省と直接の関係がないかとも思うのですけれども、私はそういう点では、このカズノコに関する面では、漁民だけの立場考えないで、国民の大多数の立場考えて、前者の抱卵ニシンの取引を含めて――北海道の漁民のところに来れば、それだけの仕事がふえるわけですから、内職か何かでやっている。家内工業か小さな工場でやっているのでしょう、それがふえるわけです。この間、吹原産業のときに、どこか百貨店から、何十万円というカズノコをそれぞれの権威筋へ出したような話がありましたね。これは大衆には関係がないのだけれども、吹原産業で北海道から入れて、百貨店からそれぞれの有力者に送ったという、十万単位の話もありました。まあそのことはいいけれども、それほどまで貴重品として扱うということにおいて特権を発揮してもらったのでは困る。その点私は、農林省の場合も、消費者の立場考えながら、二つのルートがあるわけですから、抱卵ニシンとして漁業団体が輸入に関係する場合と、カズノコを商品としてやる場合とあるわけですから、そのことについては、私はやはり後者においても考えてもらう、あるいは前者の場合においては製造のしかたについて、ある程度指導なり、そういう技術的な研究をしていけば、これは沿岸貿易の一つの足がかりになってくるのじゃないか、日本の国の利益にもなるのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。その点で、水産庁はもう少し積極的に発言をして、この輸入問題についてひとつ政策を立ててもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  274. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 お説のとおりでございますが、ソ連からなまで入りますニシンも、結局はカズノコとミガキニシンと分かれて流通いたします。北海道の漁民が取りますなまニシンも、カズノコとミガキニシンに分かれて入ってまいります。そこで、ニシンの輸入そのものについては、量の問題として沿岸漁業との調整の問題で非常に苦慮をいたしております。私どもも消費者の立場を全然無視してはならない、そういう立場で、その規模をどうするかということについては、常々道庁ともいろいろ話し合いをいたしております。  それから全然別の問題としてカズノコの問題であります。カズノコはグローバル、世界的にどこからでも入れろということで開いております。現在のところは開いておりますが、先ほど申した事情から入ってまいりません。ソ連からでもカズノコとしては過去においては入ってまいっておりません。昨年初めて、先ほど申したような形で入ってまいりました。したがいましてカズノコとしての輸入については、ある程度積極的な姿勢をとっておるわけであります。なまニシンの輸入の問題、これにつきましては相当道庁その他関係の方々と、納得と理解の上に進めたい、かような考え方で、いまいろいろお話し合いをしておる段階でございます。
  275. 大原亨

    大原分科員 いままでの国民のしきたりや生活慣習からいいましても、いまみたいにカズノコがあんなにべらぼうに高いということは、ぼくは国民の立場に立っておかしいと思うのですよ。もう少し量をふやしておいて、もうける量もふやしてもらいたい。値段を安くしておいて、薄利多売でやってもらいたい。何も特権的に一部の漁業団体が独占するのはおかしいじゃないか、こういう議論があると思うのですよ。漁民立場に立って考えたところで、その議論は国民的に成り立つのですよ。私はそういう点は従来のしきたりでいままでどおりのことを続けるよりも、もう少し積極的に、その点においても抱卵ニシンを日本に買い入れて、ミガキニシンとカズノコに分けて、日本で仕分けをして、漁業団体と若干の加工業者がやって、両方が利益を取ればいいわけです。国民も安いやつを買えればいいわけですから、もう少し成り行きばかりにまかせずに、そういうことについてはやはり指導性というか、そういう方針をはっきりすることが、やはり農村やその他の人々を含めてニシンになじみの深い人は相当おるわけですから、私はそれが政策じゃないかと思うのです。この点はひとつ農林大臣、わかったでしょう。だいぶわかったところで、大臣答弁
  276. 坂田英一

    坂田国務大臣 いまの大原委員の御質問でございますが、よくわかりました。また一面、ニシンの問題だけは相当これは地域的に問題があります。事実あるのです。そういう問題でもございまするので、これらの問題はやはりよく検討いたさせます。
  277. 大原亨

    大原分科員 それはこれだけ議論しておいて、今度は来年くらいから少しカズノコが安くなった、こういうふうにやって、たくさんやって、しかももうけるやつはもうけていいのだから、そして少し安くみんなに供給できるようにしたならば、今度は冬から来年の正月にかけてたくさんニシンが入るんだ、これだけだって私は一つの政治だろうと思うのです。十分積極的に指導性を持って説得をして、そして目先だけのことを、自分だけのことをやっている業者、あるいは漁民の中の一部だけのものが、そういう――しかもそれを買い上げて売買する伊藤忠とかいうものが、みんな漁民から取っておいて、それをばっと五倍も十倍も高く売ってもうけるというのではなしに、結局は、それは大きな物産とか商社がもうけているのですけれども、ぼろもうけしているのですけれども、少ないから値段が貴金属みたいになっている。ダイヤだといわれる。それを合理的にやることは、漁民立場に立っても国民の立場に立ってもいいことじゃないか、正しいことじゃないか。その点はもう少し積極的に、一部のボスだけじゃなしに、やはり大衆的な基盤でこの問題を解決してもらいたい。大臣、もう少し積極的な答弁を願いたい。
  278. 坂田英一

    坂田国務大臣 いまの大原委員の御指摘の点も考えながら検討いたさせます。
  279. 坂村吉正

    ○坂村主査代理 以上で大原亨君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二日午前十時より開会し、経済企画庁所管及び農林省所管についての質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会