○
加藤(清)
分科員 三省が十分
検討してこれを解決する、これは大蔵
大臣も同じ御
答弁でございました。三省が十分
検討して善処する。ところが、その際に
農林大臣としては、あくまで
農民の味方としての
態度をとられるのか。いまのように、そっちは
建設省のことでござんすから、そっちの問題でござんすとおっしゃられるのか。その腹を聞くために具体的に実例を出しましょう。
ケース・
バイ・
ケースとおっしゃった。数はもう幾らでもあります。それで地図を持ってきたのです。
名古屋の
周辺に東山ゴルフ場というのがございます。これはもとより
土地の
住民の
所有権に帰する
土地でございました。これを緑地として県が取り上げました。緑地は
一般に使用禁止の
土地であります。
農林省御存じのとおりだ。
農林省関係だ。これは
建設省とも
関係がありますけれども、いつの間にやらこれがゴルフ場に変わりました。その
地域内に牧野池という大きな池がございまして、
面積一つで二十
町歩余もございます。ゴルフのクラブをかついだゴルファーがこれをながめて、もっとよい
利用法ということで
利用法を
考えまして、ボートを浮かべ、魚を飼って運上を取った。よろしゅうございますか。ところが、いつの間にやらこれを関西の某財閥が取得したということになりました。なぜそんなことがわかったかといったら、さて今度は
農民の問題、用水池
周辺は
利用が変わりました。そこへはもうたきぎを取りに行くわけにはいかぬ。
入り会い権は黙って召し上げられました。それならまだほかに山があるからよろしゅうございます。しかし水利権は一体どうしてくれるかという問題になる。池の水を流して田のほうに持っていかなければならない。その際に、池の水位が下がる。下がるとボート遊びするには非常に不便になってくる。下のほうに水がたまるようになるから、それはそうでしょう。そこで、
争いが起きた。ところが、争ってみてはじめてわかったことは、その
所有権までが、大阪の某財閥に移っておるということなんです。とんでもない話だ、話にならぬということになった。そこで県
会議員が何名も入り、市
会議員も何名も入って和解工作をしたところ、買った側はあくまで
所有権を主張する、使用権を主張する。さりとて
農民は水がほしい。先祖伝来の
入り会い権、田後権、
水面権を主張する。これに消防団が加わって、これは火事のときの用水になっておるのだ。それから池からあがる運上、水揚げによって消防の経理が行なわれておるわけです。そこで、この
争いが
所有権のみならず、
入り会い権から
水面権から田後権から水利権から非常な
争いが起きた。ついに裁判ざたになったが、裁判所は基本的な法律がないから二年たっても三年たっても解決をようしない。ついにこれは某新聞社に払い下げられた。そうしてその新聞社の社長が今度は私のところに持ってきた。なぜといったら、あの当時のことは、昔からの地主のむすこのあなたが一番よく知っている。へたな議員に頼んだってあかん。だからひとつ解決してくれ、こういうことなんです。いま私の手元にある。もちろん新聞社の社長から、これをどうしようかということをまかされておる、私は相談を受けておる、こういう
事件がある。その際に、
ケース・
バイ・
ケースだ、さあどうです
大臣。
農民の
権利をどう守りますか。もとよりこれは
農民の
所有権ですよ。これをあえて
国有地であるとかなんとか言えますか。
もう
一つ申し上げましょうか。区画整理
事業が
建設省の許可で行なわれました。その
地域内に
国有地と称する池がございました。しかし区画整理協会並びに
区画整理組合は、
建設省並びに協会の指導のもとこの池を埋めてしまいました。しばらくたちますと財務局からやってきて、ここに
国有地があったはずだ。それを変形させるとは何事ぞと言うて
争いになりました。その結果、ここに建つはずの
住宅はいまだに建たないで、砂漠
地帯のようなかっこうになっておる。いま
国道建設が盛んに行なわれておる。東名
国道、名神
国道、やがては名阪
国道、これがぶち抜いていくところに池がある。ところが、この痛手をこうむった
土地の
農民は、もはや協力せぬと言う。そんな所を
建設省や、あるいは道路公団に売って、
あとでまたお役所から文句をつけられたらたいへんなことになる、これはよう売りません。そのおかげで東名
国道はいまストップになっておる所がある。かくのごとく
国家が
基本線を確立していない結果は、やがて
国家が行なおうとしている
事業に支障を来たしているというのが本件なんです。
住宅を推進、推進と言いながら、そのネックになることを
国家みずからがつくっておる。そのときに
農民の
権利は何の
補償もなく喪失していくのです。
海岸の
補償は行なわれる、
ノリの
補償は行なわれる、河川の
補償は行なわれる、しかし
住宅なり、
工場誘致なり、内陸用
工場用地
転用に使われると、何の
補償も行なわれず、その費用までが
土地の
住民の負担ということになって行なわれておる。
ケース・
バイ・
ケースで申し上げましょう。幾らでもありますから、まだ足らなかったらどしどし出しますから。