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1966-02-26 第51回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十六日(土曜日)    午前十時十三分開議  出席分科員    主査 大橋 武夫君       奥野 誠亮君    川崎 秀二君       纐纈 彌三君    渡海元三郎君       中井徳次郎君    二宮 武夫君       西宮  弘君    八木  昇君       安井 吉典君    山下 榮二君    兼務 赤澤 正道君 兼務 谷口善太郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 永山 忠則君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         厚 生 技 官         (医務局長)  若松 栄一君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (大臣官房会計         課長)     芦田 一良君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (選挙局長)  長野 士郎君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         自治事務官         (税務局長)  細郷 道一君         消防庁長官   松村 清之君  分科員外出席者         警  視  長         (警察庁交通局         交通企画課長) 片岡  誠君         大蔵事務官         (主計官)   佐藤 吉男君     ————————————— 二月二十六日  分科員倉成正君、竹内黎一君、小松幹君及び今  澄勇委員辞任につき、その補欠として纐纈彌  三君、奥野誠亮君、二宮武夫君及び山下榮二君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員奥野誠亮君及び二宮武夫委員辞任につ  き、その補欠として渡海元三郎君及び西宮弘君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員西宮弘委員辞任につき、その補欠とし  て安井吉典君が委員長指名分科員に選任さ  れた。 同日  分科員安井吉典委員辞任につき、その補欠と  して中井徳次郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員纐纈彌三君、渡海元三郎君、中井徳次郎  君及び山下榮二委員辞任につき、その補欠と  して倉成正君、竹内黎一君、小松幹君及び今澄  勇君が委員長指名分科員に選任された。 同日  第二分科員赤澤正道君及び谷口善太郎君が本分  科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算自治省所管  昭和四十一年度特別会計予算自治省所管      ————◇—————
  2. 大橋武夫

    大橋主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和四十一年度一般会計予算及び昭和四十一年度特別会計予算中、自治省所管を議題といたします。  この際、分科員各位に申し上げます。  自治省所管については質疑通告が多数にのぼっておりますので、質疑時間は本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員になられた方方は三十分程度にとどめることになっておりますので、何とぞ御協力をお願いいたします。  なお、政府当局に申し上げますが 質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく、簡潔に行なわれまするようお願いいたします。  これより順次質疑を許します。奥野誠亮君。
  3. 奥野誠亮

    奥野分科員 今日地方財政は異常な難局に直面していると考えているものであります。税収入伸び悩んでいる反面に、個人生活の水準も上がってまいりましただけに、生活環境を整えるなどの仕事が非常に大きく加わってまいっているわけでございます。府県や市町村自治団体でございますだけに、運営も、得られる税収入を基本として運営されるように持っていかなければならない。それだけに地方税制の立て方につきましては、政府当局特段配慮を求めていきたいものだと考えるわけであります。市町村税制の場合には、応能課税をたてまえとする住民税応益課税をたてまえとする固定資産税中心をなしていると考えています。固定資産税市町村当該団体発展を考えまして、道路とか下水とかその他の事業を積極的に行なっていく、そのことが地価に反映してまいるわけでございまして、地価が上がってくればそれに応じて税収入がふえてくる。これを財源としてまた新しい発展への施策を試みていくというような仕組みがこれに求められていると思っているのでございます。同時に、また土地などに応分負担を求めていく。自然またその負担ができるように、土地などが社会的にも効率的に利用されていくというような機能も期待されていると考えるわけでございます。現行法ははたしてそのような機能を果たしているのかどうか、こういうようなことを中心土地負担の現状をただし、政府考え方を聞いておきたいと思うものでございます。時間も十分でございませんので、簡明にお答えをいただくようにお願いをいたしておきたいと思います。  第一にお尋ねいたしたい問題は、今回政府は三千六百億円の減税をしようとするときでございますだけに、土地負担について不均衡是正とはいえ、四十一年度で百二億円の増額措置をとる必要はないのじゃないかという意見もあるようでございますけれども、反面、不均衡是正ということになりますと、負担のふえるところもあるわけでございます。不均衡是正が受け入れられやすい好機なのだ、減税するときなんだからよい機会なんだという考え方もあるようでございます。そうであるとしますと、土地負担増加部分減税によってどう吸収されていくか、これが明らかにならなければならないと考えるわけでございます。そういう意味で、まず政府が提案しようとしている土地に対する地方税負担についての改正案の大要をお伺いしたい。同時に、その改正案家賃へのはね返りなど、国民生活にどの程度影響を四十一年度において持つのか、反面所得税住民税減税額が一世帯当たりでどの程度金額にのぼるものか、これを承知いたしたいと思います。
  4. 永山忠則

    永山国務大臣 今回の固定資産税関係は、激変緩和処置をとりまして、税の均衡をはかるのが第一の目的でございます。さらに農地につきましては、やはり当分据え置き処置をとることにいたしておるのでございます。また、昭和四十二年度は評価改定の時期に当たっておりますが、一般的な評価がえは行なわず、三十九年度の評価を据え置く考え方でいたしておるのでございます。  なお、きわめて微温的な長期にわたっての不均衡是正調整でございますので、これが家賃にはね返り、また生活影響するようなことはほとんどないものであると考えておる次第でございます。  なお詳細につきましては局長より答弁をいたさせたいと思います。
  5. 細郷道一

    細郷政府委員 今回の負担調整案によります影響でございますが、農地は据え置いておりますので、主として都市の面に影響があらわれるわけでございますが、全都市におきます平均土地、建物を持っております納税者にどれくらいの負担の増があるかということを、全国的に標準的に見てまいりますと年三百五十八円、月にいたしまして三十円という程度のものでございます。それに都市計画税が加わりましても月四十三円といったような数字が出るわけでございます。なお土地家屋を持っておる人と持っていない人との関係もございまして、その点は家賃等への影響としてあらわれるかと考えますが、その場合におきましても消費者家計調査におきます家賃にそのままいまの調査額が乗るといたしましても、家計調査全体に及ぼします影響は〇・〇九%程度、こういうふうに見込まれるわけでございます。なお標準世帯におきます所得税住民税等減税は、全体減税額とただいま申し上げました固定資産税の額とを調整いたしてみますと、差し引き一万四千百七十三円の減税、こういうことにあらわれるわけでございます。
  6. 奥野誠亮

    奥野分科員 ただいま伺うところでは所得税住民税減税額月額にしますと千二百円何がし、半面土地負担増加家賃に全部はね返っても月額三十円から四十三円程度、こう伺ったわけでございます。特に農地負担は当分据え置くということでございますので、主として宅地負担に限定をしてお伺いを進めたいと思います。  お尋ねしたい要点は、税金全体の中に占める土地負担というものがどう変わってきているのかということでございます。土地だけの租税負担額と、それから国税、地方税を合わせた総租税負担額、これが国民所得に対してどの程度割合を占めているか、これを戦前と今日とどう変わってきているかということをお教えいただきたいと思います。
  7. 細郷道一

    細郷政府委員 戦前昭和十三年をとってみますと、当時の国民所得は約二百億でございます。その際の租税負担率は一三%余りということになっております。現在は、御承知のように四十年におきまして国民所得は二十二兆でございますので、それに対します租税負担率は二一・二%ということでございまして、租税負担率自体戦前よりも戦後全体としては上がってまいっておるのであります。そのうちで土地に対します税負担がどれくらいあるかといいますと、戦前で申しますと地租として一億五千万円、したがいまして国民所得に対しますその割合は、〇・七七%というような数字でございましたが、現在は昭和四十年で見ますと、固定資産税のうち土地に対しますものは六百二億円、その国民所得に対します比率は〇・二七%ということでございまして、租税負担率自体戦前に比べてかなり上がっておりますが、逆に土地に対する負担率は非常に低下をしておる、こういう姿になっております。
  8. 奥野誠亮

    奥野分科員 お伺いしたところによりますと、国民税負担は一三%から二二%近く、荒っぽく言いますと二倍近くになってきておる、それに対して土地負担のほうは〇・七七%から〇・二七%ということになりますと、半分以下になってきている、こういうように伺ったわけでございます。  その次に、固定資産税課税客体土地家屋償却資産相互の間において負担均衡がどうなっているのかということを承知いたしたいわけでございます。そういう意味において土地家屋償却資産それぞれについて総評価額がどうなっているか、その構成百分比がどうなっているか、半面、それぞれの固定資産税負担額がどうなっているか、構成百分比承知したいわけでございます。金額よりも百分比だけでお教えいただきたいと思います。同時にまた価格に対するそれぞれの負担率は、家屋償却資産は原則として一・四%の負担だろうと思うのであります。土地のうち宅地はどの程度負担割合になっているかということを承知いたしたいわけでございます。
  9. 細郷道一

    細郷政府委員 土地家屋償却資産の総評価額に占めます割合を申し上げますと、金額は全体で三十四兆でございますが、そのうち土地が十七兆五千億ということでございまして、その割合は五一・八%、約五二%でございます。なお家屋は二五%、償却資産が二三%、こういうのが価格に占めます割合でございます。それに対しまして現実税負担はどうなっておりますかと申しますうその割合は、土地が二四・一%、家屋が四二・四%、償却資産が三三・五%、こういうことになっております。  なお、お尋ねの宅地税負担割合と申しますのは、固定資産税は御承知のように標準税率は一・四%でございますが、現在の宅地に対します税負担は、その価格に対しまして〇・二%という程度にとどまっております。
  10. 奥野誠亮

    奥野分科員 家屋償却資産に対する税負担が一・四%であって、宅地に対する租税負担が〇・二%であるということは、非常な不均衡だと考えられるわけでございます。火災にも焼けないし損耗もしない、家屋償却資産とは違った性格を持っている土地、これは最も安定した資産だと思うのであります。特に宅地を所有するということは庶民の容易になし得ることではないと考えるわけでございます。そのような資産がかえって軽課されている。特に自由民主党としては国民政党として、単に資産家の味方だというような誤解を受けないような配慮を十分に加えていかなければならない、かように考えるものでございますだけに、これにつきましては特段配慮が払われなければならないと考えるものでございます。むしろある程度宅地については負担を求める、半面固定資産税全体の税率を引き下げていくというような努力がなされていかなければならない、かように考えるものでございます。  その次に、私は宅地相互間で負担均衡がどうなっているかということをただしておきたいと考えるものでございます。三十九年一月一日現在で評価が行なわれた。それによって大体従来の評価の七倍前後になっている、こう聞いているわけでございます。しかしそれはあくまでも平均なんであって、宅地によっては二、三倍しか上がっていないところもあれば、二十倍にも三十倍にも上がっているところもあるだろうと考えるわけでございます。そうなってくると、宅地相互間でも大きな不均衡が生じているのではないか。たしか現在は過去の税負担の二割増しで押えてしまっているわけでございますから、一律二割増しで押えている結果、評価は二十倍にも三十倍にもなっているにもかかわらず、税負担相互間の姿はくぎづけにしているのじゃないか、非常な不均衡ができてきているように思うのでありますが、その模様を伺っておきたいと思います。
  11. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど土地の新評価額総体が十七兆五千億と申し上げましたが、そのうち宅地の占めております分が十四兆三千億ございます。それに対しまして旧評価額は二兆三千億、こういういわば六分の一という姿であったわけであります。全体としてそういった六分の一であるわけでありますが、特に今回倍率の高く上がっております部分、たとえば十倍以上といったようなところを見てまいりますと、その地積におきましては面積は全体の七%を占めている、旧評価額でも八%を占めておる。ほぼ地積評価の配分とが同じであったわけでありますが、今回新評価をいたしますと、その部分につきましては、全体の一六%を占めるようになってきておる。こういったように、土地相互間におきまして、新評価による評価上の均衡がはかられたわけであります。しかるに、現在は、旧評価の二割増しということでございますので、その間に負担の不均衡があらわれておるわけであります。  これを具体的に事例で申し上げてみますと、これは都内のある住宅地帯のことでございますが、新評価をいたしましたら、一方は坪二万八千七百円になり、一方は三万六百円になる、ほぼ同じような評価になった土地でございますが、それが一方は旧評価では千七百八十円であった、そして一方は四千七百円であった、こういうような実態でございます。したがいまして、この実態のもとにおきましての現在の課税はどうかといいますと、従来の価格をもとに二割増しをいたしておりますので、千七百八十円から二万八千七百円へと十六倍上がったところに対する坪当て税額は、現在三十円。ところが、四千七百円から三万六百円に六倍上がった土地に対しましては、坪当て七十九円というような税額が、現在負担されているわけでございまして、この点が上昇割合と現在の税負担の間で、具体的に不均衡が出ておるようなかっこうになっておるわけであります。
  12. 奥野誠亮

    奥野分科員 そうなってきますと、三十九年度の地方税改正の一律に二割増しに押えたという内容が、今日では配慮が不十分であったということになるのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。おそらくそういう意味で、地方においても多くの問題を起こしていると考えるわけでございまして、配慮が不十分であるならば、かりにその内容が将来に続くものでありましても、すみやかに法律改正を行なわなければならないのじゃないか、かような気持ちを非常に強く抱くものでございます。  その次にお伺いしたいことは、最近地価の高騰は鈍化している、こういわれております。三十九年一月一日現在の評価の基準となった宅地時価と比べまして、現在の宅地時価はどう変化しているのか、これをお教えいただきたいと思います。
  13. 細郷道一

    細郷政府委員 市街地価格指数を見てまいりますと、三十九年当初に比して、現在は平均で約二割五分上昇をいたしております。これはもとより平均でございますので、場所によりましては、はるかにこれよりも上回っているところもあると思います。
  14. 奥野誠亮

    奥野分科員 二割五分地価上昇しているということは、相当大きな変化だと考えるわけでございます。しかし、先ほどお話を伺いますと、三年ごと評価する時期が、来年の一月一日現在でめぐってくる。これをどうするか。もしストップするなら、この国会法律改正をしておかなければならないわけでございます。そのような内容が今度の改正案に盛られていると伺っています。いずれにいたしましても、現在すでに評価額と著しく課税が離れています以上は、早く近づけなければ、幾ら評価がえをしても意味がございませんので、政府考え方は妥当だと思いますけれども、宅地税負担がますます不均衡を拡大してきているという現実はすなおに見詰めて、それに対する適正な措置をすみやかにとらなければならないということを、私は強調しておきたいと思うのでございます。  その次に、昨年来、内閣の税制調査会で、土地に対する税負担を四十一年度も据え置いておるけれども、これはやはり改正を加えるべきではないかというような内容調査が進行するにつれまして、私たちは、経済団体連合会等から、土地税負担は四十一年度も据え置いてくれという陳情をしばしば受けました。反対に、また、市町村当局、特に大都市側からは、すみやかに土地負担の不均衡是正を推進してほしい、四十一年度にそれを実現してほしい、応分増収も確保したいという熱心な陳情も受けました。私は、何年間も土地にかかる負担を据え置いておくということについては、疑問を感じております。反面、また、地価が高騰したからといって、一挙に土地に対する税負担をふやすことについても、疑問を感じております。むしろ、毎年度国民所得伸びていく程度割合で、土地についても負担増加を求めていくという行き方があるじゃなかろうか、かような考え方を持っておるものでございます。いずれにしましても、市町村が特にこのような土地負担のあり方についての改正を早急に望んでまいりましたのは、街路事業を進めるについても、用地買収時価で行なわざるを得ません。土地補償時価で行なってまいります。反面、事業に必要な財源となる土地に対する税負担は、本来の制度のたてまえの十分の一以下になっているのじゃないかと思うのであります。と申し上げますのは、私は、三十九年一月一日現在の評価も、売買時価と比べますと、五割か六割程度だろうと思います。そうなってきますと、六倍になった、七倍になったというけれども、売買時価は十倍以上にもなっているのだと考えるのであります。これを見てまいりますと、街路事業などを進めるにあたって、支払う場合の基礎収入基礎との間には、十倍以上の開きがあるじゃないか、いたずらに補償費支出ばかりが増加して、街路事業費の中に占める用地費割合はぐんぐん上がってきているじゃないかと思うのであります。これがどういう姿になっているかということをお教えいただきたいと思います。
  15. 細郷道一

    細郷政府委員 街路事業費伸びは、最近で見てまいりますと、この五年間で、大体四倍ぐらいに大都市において伸びております。そのうちで、用地費は六倍余り伸びておるのでございます。したがいまして、事業費伸びる割りに対しまして用地費伸びが大きいために、それだけ事業が圧迫をされておるという姿になっておるのでございまして、これを事業費中に占めます用地費割合で見てまいりますと、昭和三十五年度では、大都市平均を見てまいりますと、街路事業費のうちに占めております用地費割合は四八%、約半分であった。それが、現在は七四%、約四分の三にのぼっておる、こういうように、用地費のウエートが非常に高まってまいりまして、そのために、事業費自体伸びが思わしくなくなってきておるという実態にあるわけでございます。なお、これを具体的に、いろいろ実例もございますが、見てまいりますと、たとえば東京におきましても、杉並の例でございますが、土地買収は坪十二万八千円でやったというところがございますが、そこの現在の固定資産税課税標準——二割で押えておりますので、固定資産税課税標準は幾らかと申しますと、二千八百六十四円、これの一・四%が税負担になっておる、こういったような事例も幾つもあるのでございまして、土地買収費固定資産税負担との間のアンバランス、これはかなり顕著なものがあるわけでございます。しかも、この土地買収に要します経費と税負担との差額の部分は、結局だれか地域内の他の住民負担をしておる。あるいは住民税といったような形で負担をしておるのでございまして、今回住民税所得税といったようなものを減税する機会に、負担公平化をはかって、土地所有者に対します課税を漸次均衡化、合理化されたものにしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  16. 奥野誠亮

    奥野分科員 私は、支払いの基礎収入基礎に十倍の開きがあるじゃないかということを申し上げたわけでございますが、いま御説明を伺ってまいりますと、私の申し上げておるのは平均数字でございまして、土地相互間にはもっと大きな隔たりがあるということを、再び私が教えられた気がするのであります。用地補償、支払う場合には十二万何千円坪単価で支払っている。税金を求める場合には、二千何百円で税金を求めている。五十倍の開きがあるじゃありませんか。こんな土地負担くぎづけにしておいてそれでいいんだろうか、私はこういう大きな義憤を感ずるものでございます。それでは、一体この政府が行なおうとしております土地負担改正に伴う百二億円の増収が、大都市町村にどう帰属していくのだろうかということをお教えいただきたいと思います。
  17. 細郷道一

    細郷政府委員 百二億のうち、大都市に入る見込みのものが四十八億、都市に入る見込みのものが四十四億、町村部分は九億余りでございます。
  18. 奥野誠亮

    奥野分科員 いま伺いますと、もっぱら大都市ないし都市に帰属するようでございます。ということは、やはり都市開発事業が積極的に行なわれていく。社会資本の不足などもいわれるに伴って、公共事業が戦後大きく伸びてまいったと思います。それらの事業の効果というものが地価に反映してきたという状況が非常に大きいんじゃないだろうか、かように考えるわけでございます。同時にまた、改正案によって、都市開発の必要に応ずる財源が必要なところに与えられていくという結果になるんじゃなかろうか、かように考えるわけでございまして、むしろ政府案が妥当な考え方に基づくものだ、こう言いたいのであります。  いろいろ質疑をいたしまして明らかになってまいったわけでございますが、一部に、今回の政府土地負担についての改正案について、公約違反だというような議論があるように伺っております。いま伺ったところによりますと、三千六百億円という大幅な減税を行なうとき、不均衡是正でも負担のふえる部分があるけれども、それが吸収されやすいんだから、時宜を得ているんだ。大幅減税という問題が起こってきている。さらに地価上昇してきているという現実の事実が生まれてきている。三十九年度の改正当時において内容の不十分な点があった。これは国会としても当然ほうっておけない性格のものだと思うのであります。いろんな新しい事情が次々に生まれてきているようでございます。しかもまた、三年ごと評価が来年一月一日現在にめぐってくる。ほうっておきますと、その作業を市町村としては始めざるを得ないわけであります。これは一応やめよう、こういう案を持っておるようであり、しかも、農地負担は四十二年度からは、時価に基づく負担現行法を置いておきますと、上昇してくるわけでありますが、これは当分現状のままに据え置いておこうという考え方がとられている。あるいはまた激変緩和という意味で、負担のふえる部分を押えていくけれども、いまのような過去の金額について一率二割増しというような押え方をしないで、地価上昇割合に応じた押え方をしていこう。そうして税負担公平化を満足させようというような考え方も盛られているようでございます。これは全く新しい提案を政府がしょうとしているんじゃないか。全く新しい提案をしようとしているにかかわらず、その一部をとらえて公約違反などということは、世の中の前進をはばもうとする考え方じゃないかと私は言わざるを得ないのであります。特に税金は、重きを憂えず、ひとしからざるを憂えるとまでいわれておるのであります。重い税金であっても、みんなが平等にその重い税金を背負っていかざるを得ないならがまんをしよう、こういう考え方を強く主張されておるものでございます。私は、税制改正にあたっては、何をおいても負担均衡化措置ということを積極的に進めていかなければならない、あるゆる機会を求めて負担均衡化の前進をはかることの努力を政府に求めたいと考えるものでございます。  政府は、法律案について提案権を持っておるはずであります。反面、国会は審議権を持っております。修正権も持っております。政府の提案されたものにつきまして、国会は十分に審議をしていく。場合によっては修正権を行使することもあるわけでございましょう。それについては国会において十分な審議時間が得られるように、政府の責任においてすみやかに法律案が国会に提案いたされなければならないと考えるものでございます。私はこのことを強く希望いたしまして質問を終わらしていただきますが、大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  19. 永山忠則

    永山国務大臣 御説のように経済事情が激変をいたしまして、政府のほうにおきましても、大幅な減税と、国債を発行いたしまして、地域間の格差を是正し、国民所得均衡化をはかり、国民経済の安定成長を目ざしたる一大変革の政策をとっております。地方の事情もまた所得水準の不均衡がはなはだしいものがございますので、ここに地方開発、特に土地の再開発等非常に急を要する状態になりましたのでございます。なおこの場合、土地家屋を持っておるお方は大幅な減税を受けるような事態にもなっておりますような点等を勘案をいたしまして、固定資産税の不均衡を、激変緩和を大幅に取り入れて、これの是正をいたしつつ、しかも農地に対してはそれを除外し、さらに四十二年度の再評価を避けて、現在評価したままを中心課税をする方針をとりまして、固定資産税調整をやりますことは、昨年末税制調査会の答申も行なわれたことでございますし、地方自治団体からも強い要望等もございますので、ぜひ本国会にこの固定資産税調整の案を提案をいたしたいと考えておりますので、その際は、国会で十分審議をしていただきますことを深く期待をいたしておる次第でございます。
  20. 大橋武夫

  21. 赤澤正道

    赤澤分科員 一昨年でしたか、固定資産評価がえをして、三年間その徴税について暫定措置をしたものを、二年たって新法を出すのはけしからぬというので、いま国会予算委員会がもめて、審議がなかなかはかどらぬ状態になっている。私も委員として質疑を聞いておりますと、それは質問なさる方も地方行政のベテランでもあるし、また政府も専門的な御答弁に相なっておるけれども、こういう法律はすべて解釈もなかなかむずかしくて一般庶民には読みがたい。新聞記事を見ましても、なかなか難解な個所があって、とにかく税金が上がるそうだという印象ばかり強く——上がるには違いないけれども、大きな誤解があるのではないか、いたずらに恐怖心を招いておるのではないかと思いますので、私がいま言いますことについてきわめて簡単に、熊さん八つぁんでもわかるように御回答も願いたいと思う。  俗に、今度の増税はピース一個だ、たったピース一個の値段にすぎぬじゃないかということを自治省側で言っておられるように聞き及ぶのですが、標準世帯で言えば、まあ平たく言えば、長年月給を取って、相当な額にのぼった人が公庫の金を借りて土地建物を小さいささやかなものを建てるとか、あるいは退職金で土地を求めて家を建てて老後を養うとか、こういった人たちは五十坪の土地に、建物をその半分の二十五坪くらいのものを建てるのじゃないか。これは必ずしも標準世帯といえるかいえぬかわからないけれども、こういう人たちの立場は、ここで固定資産税評価がえによってばく大なものがかかるということになると、非常に恐怖心にかられると思うのです。これは自治省ではどういう計算になっておりますか。標準世帯の場合を例にとって、ほんとうにピース一個だけ増税になるのか、そこらのところを明快に税務局長からお答えを願いたい。
  22. 細郷道一

    細郷政府委員 全都市の標準的な土地家屋を持っております方は、土地で五十五坪、家屋で二十三坪というのが平均的な姿になっております。それにおきます現在の税負担は、四十年度におきましては、五千八百五十四円、それに対しまして、平均的な今回の負担調整率を乗じてまいりますと、来年は、六千二百十二円、つまり三百五十八円年額としてふえるわけでございます。それが月にいたしますと、約三十円、これに都市計画税を加えましても四十三円ということでございまして、月四十円くらいということから、私どもはまあピース一個ぐらいのものでなかろうか、こういうふうに従来から俗論として申し上げておるわけでございます。
  23. 赤澤正道

    赤澤分科員 私は税金は安ければ安いほどいいにはきまっておるけれども、しかし、今度の固定資産税の増税については、都市の開発のためにいろいろな重要な使命があって、それで全国の市町村長は一日も早くこの新法が施行されるということを渇望しておるわけでございます。事実標準世帯で、いま税務局長が言われるような数字都市計画税も加えて四十二、三円のことなら、そうびっくりぎょうてんするほどの増税とは考えぬ。ことにかりに一この法律が通らなかった場合には、この法律では三年目ごと固定資産税評価がえをするわけですから、明年はまた評価がえの時期になっておるはずでございますが、私から考えますと、かえってこの法律をつぶしてしまったら、むしろ納税者に非常に不安を与えるのではないかというふうな気がしますが、それは税務局長の見解はどうですか。
  24. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年は、御承知の、ように評価がえの年でございます。評価がえ自体にも相当の準備を要するわけでございますので、今回私どもの考えております案では、四十二年の評価がえはこれを一応見送って、三十九年の評価に据え置きたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、市町村の税務当局者は、この法案の行くえによってその課税事務に、場合によりますと、非常な混乱が生ずるといったようなことから、非常に注目しておるというのが現状であろうと思います。
  25. 赤澤正道

    赤澤分科員 こういう土地の暴騰しておる時代ですから、四十二年に新評価をしないで据え置くということは、そういう財産を持っておる者にとっては非常にいまの時代としては有利なことであると考える。また、これは一例ですけれども、土地は最近七倍から五十倍にも上がっておる土地があるといわれるんだが、かりにどのくらいに例をとりますか、単価が七万円くらいの土地を持っておる一千万円くらいの宅地所有者ですね。これは現実面、計算上どういう増税になります。
  26. 細郷道一

    細郷政府委員 たとえば都市におきまして、従来十万円と評価されておる、それが平均の倍率でまいりますと、七倍の七十万円に上がるわけでございます。その場合に、現在のこの暫定措置でございますと、七十万円に対する税負担をすぐに求めることなく、それを二割増しに押えておるわけでございます。したがいまして、七十万円に対してまともに税負担を求めれば九千八百円、こういうことになりますのを、現在は千六百八十円というものにこれを押えておるわけでございます。この二割増に押えておりますものが、来年、四十一年度まで暫定措置として現行法ではきめられておるわけでございます。もし現行法をこのままにいたしますと、四十一年度までは千六百八十円であるけれども、四十二年度にはいきなり九千八百円になる。現行法のたてまえは現在そういうふうに規定されておるわけでございます。
  27. 赤澤正道

    赤澤分科員 その程度資産家になるとちょっとこたえますね。しかし社会党の言っておられるのは、そういう方面の保護ばかり盛んに言っておられるのではないのでして、やはりその日の生活にも困っておる低賃金で働いておる諸君の住居に関することでございますから、その点にいろいろな質問の主力を向けておられると思う。それで標準世帯土地家屋持ちのことを申しましたが、多くはやはりアパート住まいであり、また借家住まいである人が多いと思うのです。固定資産税の増税がたとえピース一個であっても、それを理由に家賃の賃上げに踏み切ってくるというふうな心配が私はなきにしもあらず、ピース一個だってなかなかそれを消してしまうほど家主というものも人がよくはありませんからね。これについては自治省はどういう大体の御判断をお持ちでございますか。
  28. 細郷道一

    細郷政府委員 現在、総理府の家計調査によって見ますと、平均の月の家賃は約三千五百円になっておるわけでございます。それに対して今回の措置で三十円ということになりますと、その三十円がかりにそのまま乗ったといたしましても、家計全体に占めますウエートといたしましては〇・〇九%、非常に微細なものであろうと思うのでございます。なお御承知のように、家賃自体に占めております現実固定資産税の額というものは非常にわずかでございまして、家賃自体はむしろこの固定資産税以外の、住宅の需給といったような諸要素による価格が、その構成の大部分を占めておるというのが現実の姿であろうと考えております。
  29. 赤澤正道

    赤澤分科員 そういうふうに聞きますと、大体納税者の人たちも理解がいくと思うのですよ。冒頭に申しましたように、説明もなかなかむずかしいので、のみ込みにくい面もあるが、しかし、新法というものも、何も納税者を困らすために出すわけじゃありませんので、そのことが大きく市町村の財政に好影響を及ぼし、かつ建設に役立つとすれば、進んで納税する気持ちにみななるんじゃないかと思うのです。そういう点をもっと明快にわかりやすく御答弁をくださるようにお願いいたしまして、私の関連は終わります。
  30. 大橋武夫

  31. 二宮武夫

    二宮分科員 私は時間を守りまして、簡単に御質問申し上げますが、いままでの質疑を聞いておりまして感じますことは、私は、法律を通すときにはきゅうきゅうとしていかなる附帯条件をつけ、あるいは附則にも挿入をし、どうかこうかそれを乗り切れれば、あとはのど元過ぎれば熱さを忘れるというようなことで、直ちにその約束をほごにする、こういう大臣並びに政府委員というのは優秀な者ではないと考えておる。したがって、いまのいきさつについては、評価がえの際に非常に紛糾をいたしまして、その評価がえの期限を一カ月も延期をするという事態になって、その場合に二割という限度をつけてそれを附則に入れたんです。そういういきさつは税務局長は、当時いなかったかわかりませんけれども、財政局長そのほか政府委員の方々は十分御承知のはずです。大臣は、それは派閥の関係でいろいろ出てくるかもしれぬけれども、大臣に補佐をして、そういう政府の一つの責任のある立場というものを明確に守っていく、こういう態度を保っていかないと、これは国会軽視のかっこうになってきて、その場が過ぎれば何でもできるのだ、こういう政府に対する信頼度を失うということに、私はなろうかと思うのです。したがって、いま質疑の中に出てまいりましたような問題は、当時いろいろ論議をされた、その上に立ってなお附則をつけたといういきさつは、十分ひとつ大臣も勉強してもらって、そういう問題については、どうせ後刻安井委員から質疑がございますから、もう少し明快にひとつその辺を、社会党の主張というもの、当時のいきさつ等を勘案をしながら御答弁いただきたいというように、私はその問題だけは一応要望を申し上げておきたいと思います。  それから時間がございませんから、私はごく断片的に御質疑を申し上げます。  地方財政の赤字の状態、今後の見通し、それに従って定年制をしくのではないかという危惧の念、いろいろの問題がございますけれども、これは先輩の各氏に譲りまして、私は行政局長にお尋ねをいたします。  これは地方議会の議員が、その議会で議決をした予算内容について、請負工事をいたすという場合に、これに対してこれを規制をするところの法律をつい最近挿入したことを私は記憶をしております。これは地方自治法の九十二条の二項の中に、従来議員というものは地方の首長と同じように、いろいろな請負をやってはならない、あるいは常時物を購入する、そういうことの仕事を、その委員会、議会に対してやってはならない、こういう禁止規定を設けたわけです。そしてもしこれに違反をした場合の罰則規定というのはどうなるかというと、議会の三分の二の議決をもってその人を辞職をさせるという罰則もこれに付加して挿入したのです。ところが、私、聞いておるところによりますと、ある県の地方議会におきましては、議員が議員の肩書きというものを利用する、あるいはそのうしろには暴力団の組織があるかもしれないと疑われておる、そういう者が非常に強く入ってまいりまして、請負業を恐喝的に自分が請負っていく、そういうことのために非常に問題化されまして、その議員は辞職をするというような事件が、地方には点々として起こっておる。地方議会では、土木だとか建設だとか電気だとかいうような、こういういろいろな工事を伴うような委員会には、もし入れなければ自民党を脱党しても入るというような議員さえもいるくらいに魅力があるらしいのですが、行政局長に対する質問は、実はその罰則を適用した例があるかどうか、それを具体的にひとつお答えを願いたい。
  32. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 罰則とおっしゃいましたのは、百二十七条の地方公共団体の議会が出席議員の三分の二以上の多数によって決定をする、これをおさしかと思いますが、これによりまして失職を決定されました例は、私具体的にどこどこでいつあったかということは手元に資料を持っておりませんけれども、事例はあったことと存じます。
  33. 二宮武夫

    二宮分科員 あったという確かな報告を受けておりますか、あいまいなことではなくて。これは議員の身分に関する問題であるから、相当に地方では反響があると思う。そうして相当粛正しなければならぬ問題もあろうと思うのです。したがって中央で監督官庁的な立場に立っておる自治省に、そういう問題が、一体どこでどういうものが具体的にあったかということがわからないはずはないと思うのです。
  34. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 報告があったかどうかにつきましては、私調査をいたしまして、後刻資料として提出いたしたいと存じます。  ただ、あったことと存じておりますと申しましたのは、この九十二条の二の規定の適用につきまして、私就任いたしましてからも二、三回、地方から照会があったことがございますし、それからその前におきましても、判例におきましてもこういうケースも出ておりましたので、こういうケースがあったものというふうに承知をいたしてお答えを申し上げたわけでございます。
  35. 二宮武夫

    二宮分科員 自発的に辞任せざるを得ないという状態になってやめたものはあるかもしれないけれども、私の調査した範囲においては、この法の適用によってやめた、こういうものは聞いておらないのです。ということは、この九十二条の解釈は非常に微妙でございまして、責任社員、清算人、代表取締役、そのほか重要なポスト並びにこれに準ずべき者という解釈があるわけなんですね。そこで、地方では、たとえば土建会社の社長をしておりましても、その社長が一応やめまして、そうしてどこかに隠れる。隠れみのを着て、だれかに実際の名前を譲っておいて、実はこれに準ずべき実力のある者として銀行のお金の出し入れそのほかは印鑑を持って全部自分がやっておる。こういうようなかっこうで、名前は変わっていても実質はあの人の会社であるということが暗黙のうちにわかるような姿にしておいて、請負業を有利に導いていく、こういうかっこうをとっておるのです。しかも建設省にただすと、これがその事業の二分の一以上をこえる、そういうような大幅なものでない限りはかまわないというような行政指導をしたことはない、言いかえると、立法の趣旨からいったら、少しもやってはならぬという趣旨であるという説明をしておる。ですから、これはもう少し厳粛にいうならば、これは議員の失格条項の中に入るのであって、それを三分の二の議決ということになると、なかなかそうはいかない。ここに地方議会の政治の姿勢というものが非常におかしくなってくる。これは同時に、国会においてもやはりそういう傾向があるのではないか。だから、簡単に、もし職業の規制をやらないというならばやらない。全然野放し。やるならばはっきりやるようにして、全くしり抜けの法律にならないような規制をやるべきだと思うのです。その点についてひとつ行政局長の見解をただしておきたい。
  36. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 この規定につきましては、御指摘のように「準ずべき者」ということの解釈につきまして従来からいろいろ問題がございました。「準ずべき者」ということにつきましては、ここにあげてありますような取締役、監査役等と同程度の執行力と責任とを当該法人に対して持っておる者という解釈をいたしておりますが、はたして実際にそのようなものに該当するかどうかということにつきまして、従来とも解釈、運用をめぐりまして問題があったのでございます。ただ、私どもといたしますと、形式的には全く法律上当該法人と関係は持っていない、ただ、実際の影響力を及ぼしているというような場合につきましては、これはなかなか判断がしにくいわけでございますし、本法の規定の適用上もそこまで拡張することはいかがであろうかというふうに考えておったわけでございます。そういたしますと、形式的に、法律的には全く無関係だけれども、実際は相当な影響力を及ぼしているというような、いわば脱法的なものが押えられないのじゃないかというような御指摘でございますが、その点は私もそういう場合があるであろうというふうに存じます。ただ、規定の上からいたしますと、どうもそこまではなかなか押えにくいというふうに存じておるわけでございます。それではこれを野放しにしたらどうか、こういう御説でございますが、地方公共団体の場合におきましては、先生も御承知のように戦前から請負禁止の規定がございまして、これはおそらく狭い地域社会におきまして請負者の持つ意味が、ほかの場合と違いまして相当重視しなければならぬという事情があったから、かような規定が置かれたものと存じておるわけでございます。全然野放しにしたらどうかというようなことも一つのお考えかと存じますが、私どもといたしますと、現在の地方公共団体の運営の実情からいたしますと、やはりこの規定は存続しておくべきものと、かように存じておる次第でございます。
  37. 二宮武夫

    二宮分科員 私の主張しておるのは、野放しにしろという意味じゃないのですよ。事業家をとるか、政治をとるか、それはいずれかに明確に分けて——二枚鑑札でいろいろやることに地方の汚職がからむ。あるいは地方の公務員は弱い、それから国家公務員の出先の人々でもこの中に巻き込まれる、そういうおそれがあるから、その辺、規制をやるならば明確に規制をしてもらいたいということを要望しておきます。時間がございませんから、次に移ります。  消防庁の関係をちょっとお尋ねいたしますが、どうも消防庁の予算を見ますと、ことし一四%の増になっております。例年消防庁の予算というのは弱いのですが、私どもが消防に期待をするところは非常に今後とも大きい問題がございます。特に火災によるところの死傷者が年間四百名というような、非常に多い数に達しておる。あるいは、これは交通関係、警察のほうにも一緒にお尋ねいたしますが、交通関係にいたしましてもまことに多い事故者を出しておる。こういう事故者の出ておる状況というものにかんがみますと、特に負傷者あるいは物質的な損害、あるいは、日本の統計によりますというと、山林火災に対しては全くもうこれはお手あげの状況である。それから科学消防については、これは新潟地震ですでに試験済みのように、昭和石油のあのタンクに対してはなかなか消火ができなかった、こういう状況でありまして、山火事についても非常にびっくりすることは、三十九年度と四十年度の統計しかございませんけれども、三十九年度と比較いたしまして四十年度はその面積が二千四百ヘクタールと、三十九年度の大体三倍に広がっておるという実情にあるわけであります。これらに対して、ヘリコプターあるいは飛行機で化学的な消火剤をまいて消火するのだということを実態の白書の中に書いているようでございますけれども、わずかに一四%増程度のもので、はたしてそのような大きな仕事ができるのかどうか。市町村の消防は弱体でございまして、市町村の消防費の実体を見てみますと、これはまことに貧弱でございます。それでは県から市町村に消防に関する交付金その他を出しておるかというと、これまた微々たるもので、〇・〇〇四五%というようなまことに情ない決算です。これは前の決算ですからその後はふえておるかもしれません。市町村においても、これは三十八年度の決算でございまして、それしか出ておりませんが、その決算を見ましてもわずかに三・八%、それくらいしか出しておらない。機械を購入するということになりますと、国が三分の一、県が三分の一、あとの三分の一が地元である。地方財政法では、市町村が持つべき負担はいかなる形であっても住民負担さしてはならない、その直接間接を問わずいけないのだと、こうきめておりますけれども、その三分の一というものは当然寄付ということになる。こういう状態で、もし科学消防をいま少し進め、あるいは消防大学や、そのほかの機械化、科学化、近代化というものを進めるためには、もう少し別に財源を求める必要があるのではないかと私は思うのです。何か特別の財源を付与するという方法を考える必要があるのではないかと思う。フランスの消防の実態を見ましたけれども、これは保険会社その他が大きく補助いたしまして、非常に研究を進めております。ニューヨークの消防も見ましたけれども、これはデパートなんか大建築の中における消防については非常に熱心に研究を進めており、その地位は非常に確立しておるという状況を私は見てまいりました。そういう点から考えますと、消防の責任、防災、救急、その他について、予算の面あるいは実動の面において、いま少しがんばってもらわなければならぬのじゃないかと私は思う。  それから、交付税の中に消防費に必要な経費が単価として積算されておりますけれども、これが地方によってはその積算の単価まで使わないで、もちろんこれはひもつきでございませんけれども、五百円やったものを大体二百円程度しか消防に使わぬで他に回していく。そしてあとは他に寄付を求めるという二重負担の形をとっているような状況でございます。したがって、私は消防庁長官に、このような状況で消防庁長官は県あるいは市町村の消防に対して今後責任を持てるのかどうか。その点をまず第一番目の質問としてお尋ねしておきます。
  38. 松村清之

    ○松村政府委員 ただいま御指摘のございましたように、わが国の消防力はきわめて貧弱であり、ほかの行政分野に比べて相当おくれておるように考えております。したがいまして、市町村の消防力の充実強化をいたしまして、今日の時勢に即応いたしますために、私どももあらゆる計画を立て、その促進をはかってまいっておるのでございますが、まず一般の消防施設につきましては、昭和三十六年に消防力の基準というものを消防審議会の議を経て立てまして、これに基づいて各市町村の最底限度のあるべき消防の姿をつくりまして、それについて十カ年計画でその計画を達成するように国からも最近は七億、来年度は七億五千万円の補助金を支出して促進しておるのでございます。また科学消防につきましては、新潟地震による石油火災等にかんがみまして、今年度から初めて科学消防のための補助金を確保いたしまして、これも五年ぐらいの計画で大体の施設をつくろうということで、いま一年目を終わっておるのでございます。  そのほか損害保険会社のお話が出ましたが、わが国でも損保は十七億五千万円の起債の資金を提供しておりますし、また年間一億をこえる現物の消防ポンプ車等の寄贈もいたしておるのでございます。  なお、救急業務につきましてもお話がございましたが、これも一昨年の法律の改正で、政令で指定いたします市町村には救急業務を明確に義務づけまして、これにつきましては地方財政措置を講じて、現在は十万以上の都市でございますけれども、今後はせめて市と名のつくところにはそういうものを整備してまいりたい、そういうようにも考えております。  山林火災も、御指摘のように、現在非常にウィークポイントになっております。御承知のように、山林火災は偶発的に起こりますので年によって違いますけれども、これが起こりましたときは、たいてい地方でございますので、消防団が人力でこれが消火に当たっておるという状態であります。  ヘリコプターを使うという問題もございますが、これもやっと来年度東京消防庁にヘリコプターが確保できるという態勢になったばかりでございまして、これらの点を考えましても、相当なすべきことが残されておると考えるのでございます。  なお、基準財政需要額のお話が出ましたが、これは御指摘のように、従来はせっかくの国のほうで基準財政需要額を確保いたしましても、それまで出さない市町村が相当あったのでございます。しかし、市町村によってはそれ以上出したところもございますが、私が最近三十九年度の状況の資料をとってみますると、基準財政需要額は五百二十七億円でございますが、これについて決算が五百九十一億と出ておるのでございます。もちろんこの決算の中には、特定財源の補助金起債が含まれておりますが、こういうものがざっと三十億程度ございますので、それを差し引きましても基準財政需要額を上回った支出を、全国的にはわずかでございますけれども、やっておるように最近の統計ではうかがえるのでございます。  以上のようなことが消防の現況でございますけれども、私どもとしては決してこれで十分どころか、相当おくれておるように思います。御指摘のように学校の整備も現在行ないましたし、研究施設も行ないましたが、なお市町村の消防力の強化のためには今後ともあらゆる機会をつかまえて、特に財政的な援助の措置をはかる必要を痛感しておるような次第でございます。
  39. 二宮武夫

    二宮分科員 時間がありませんから、いま一点だけお尋ねをいたします。  せっかく交通局の方がお見えでございますが、私は感想だけを申し上げておきますと、いろいろ調査してみてまことに貨物自動車の災害が多いという実態ですね。しかもその原因を調べますと、まことに過重な労働をやっておる。これはやはり社会機構の大きな反映でございますから、いろいろな指導をやりましてもむずかしい問題であろうとは考えます。しかし、少なくとも人命を尊重する、人間尊重の佐藤内閣の中において、このような交通事故あるいは火災によるところの——この前川崎で起こった十二名の一酸化炭素中毒の死亡、そのほか非常に問題があるわけでございまして、特に統計的に見ると十二月、一月、二月というところに非常に大きい過失が出ております。普通の災害と比較をいたしまして、三十五、六年ごろに比較をして、ほかのを一〇〇として比較したときに、交通災害だけは五九〇幾らという大きさにのぼっておる。あらゆる総合的な施策をやらなければならぬ問題であろうと思います。  そこで最後に厚生省から来ていただいておりますので一つだけお尋ねします。これらの問題に対する消防庁の救急車あるいは救急対策としての救急病院の運営について、数やあるいは種類や、そのほかは調査してわかったので、時間がございませんから省略をいたしますけれども、二千数百のものが指定をされておるが、問題はこの運営に対する行政指導でございます。これは高速道路の近くであるとか、交通の関係等で位置を決定しておるために、やむを得ず公営あるいは民間の開業医その他を指定しておるようでございますが、ただ救急のものとしては応急の措置をしておいて、それから後全治させるためには専門医にこれを転送していって、そこで最終的にやるべきが私は至当ではないかと考える。ところが救急病院に指定されたことをいいことにして、自分のうちのベッドを埋めることにまず、専念をするというような傾向で、やがて二カ月たった後には骨折が完全によくならずに、ついに他の病院に、専門医にかわって再度切開するというような、こういう事態も私ども実例として相当知っておる。あるいは診断書の病名が当初の場合と変わってきておる。そういうことで保険の問題等にも影響して非常に不利を来たしておるというような問題があるわけなんで、医務局長おいでですか——救急病院に対する厚生省の指導について、従来の反省の上に立っての指導ですね、これをひとつここで明快に御答弁をいただいて、時間がございませんから、私は、なお問題は割愛をいたしまして、以上で質問を終わります。
  40. 若松栄一

    ○若松政府委員 交通外傷あるいは作業現場における外傷等の救急医療につきましては日本の現存の医療自体がかなりおくれておるということは認めざるを得ないと思います。諸外国におきましては、学問それ自体がかなり昔から進歩しておりましたけれども、日本におきましては、こういう外傷が近年におきまして非常に急激に増加をいたしたために、医療面もこれに追いつかないという面がございまして、そういうために全体の医療機関、特にそういう救急傷害に対する外科的な能力というようなものについても若干劣っておることはいなめない事実であろうと思います。と同時にもう一つ、医療機関それ自体の運営につきましても、たとえば手術その他の問題につきましては、通常の医療費の範囲内でまかなえるのでございますが、そのあとのいわゆるリハビリテーションというような問題につきましては、医療報酬の面でも若干なお不備がございます。そのために的確なメディカル・リハビリテーションを加えるといたしましても、施設がなかなかそれにペイできないという面がございまして、そういうために一般的にそういう施設の整備がおくれております。したがってたとえば公的な性格を持ちます労災病院でありますとか、厚生年金病院でありますとかあるいは社会福祉施設的な身体障害者の厚生施設であるとかいうようなところでは、採算をある程度度外視して整備がかなり行なわれております。そういう意味で、医学自体の面と施設整備の面と、医療費その他の面と、それからそれらを行ないます技術者自体がまだ不足でございます。ようやくいわゆる理学療法士という正規の教育を受けた者が本年初めて学校を卒業するというような状況でございますので、それらの点も十分勘案いたしまして総合的にこの施策を推進してまいりたいと存じております。
  41. 二宮武夫

    二宮分科員 終わります。
  42. 大橋武夫

  43. 西宮弘

    西宮分科員 二、三の問題をお尋ねいたしますが、最初に財政局長にお尋ねをいたします。  いわば地方交付税の配分の基準という問題でありますが、これは普通交付税あるいは特別交付税を合わせましてどういう基準によって配分するのかということをお尋ねをしたいわけです。ただし、あまりこまかいことはおっしゃっていただかなくてもけっこうなのでありますが、私の聞きたいと思う要点は、その交付税の配分にあたっては自由裁量の余地はどの程度にあるのか、あるいは自由裁量というよりももう少し俗な言い方をすれば、もっと恣意的な要素あるいは気分的なと言うことはどうかと思いますが、そういうものを加える余地が相当あるのか、あるいはそれともその逆に、ほとんど全く機械的に計算する、こういうことになるのか、その点をお尋ねしたいと思います。   〔主査退席、八木(昇)主査代理着席〕
  44. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 御承知のように、交付税には普通交付税と特別交付税、二種類があるわけでございます。普通交付税は交付税総額の九四%、特別交付税は六%、これは先生御承知のとおりでございます。普通交付税は、これも御承知のとおり法律並びに命令によりまして計算方法が確定をいたしておりまして、ここには、お尋ねのような配慮を加える余地は全然ございません。特別交付税につきましては、これも御承知のとおり、普通交付税算定以後に起こりました事由、それから普通交付税の中に機械的過ぎて把握し得ない需要の存在あるいは収入の不足あるいは収入の過大といったようなものを調整、補正をする意味で設けられたものでございます。これも詳細に計算方法は省令できまっておりまして、お尋ねのような配慮を加える余地はほとんどございません。ただ、普通交付税と違いますのは、普通交付税は全く機械的に載せて計算をするわけでございますが、特別交付税の場合はややその算定方法が荒いという違いであります。若干、ほんのわずかでございますけれども、地方から上がってまいりました特殊事情というものを採択するかしないかという問題に、一種の法規裁量でございますけれども、裁量の余地が全然ないことはない。しかし、これはパーセンテージにいたしますればほんの五%以下程度のものでございまして、大体は荒い基準でもって計算をする、こういう仕組みになって運用されております。
  45. 西宮弘

    西宮分科員 もう一ぺんお尋ねをいたしますが、普通交付税については全く機械的な計算だけである、それから特別交付税については若干の裁量の余地があるけれども、それはいわゆる法規裁量である、こういうことですね。したがって、それ以外の要素で簡単にその額を左右するというようなことはあり得ない、こういうことになるわけですか。
  46. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 おことばのとおりでございます。
  47. 西宮弘

    西宮分科員 ついでにもう一つお尋ねをいたしますが、これは自治省の財政局長の所管ではありませんけれども、地方財政に大きく影響する問題でありますから、財政局長がごらんになってどういうふうに見ているか、お答えいただけばけっこうなんでありますが、それは各省がそれぞれの事業に付帯をして補助金を交付するわけです。こういう補助金の交付のしかたなどはどういう考えで交付をされるか。つまりこれまた相当程度これは恣意的な要素と申しますか、そういう面が加味されておるというふうにお考えでありましょうか。あるいはそれとも事業計画なりそういうものを詳細に検討して、その事業計画なりあるいは地元の熱意なりその他等々いろいろな要素があると思いますけれども、それらの要素を十分吟味した上で交付されるものであるということになりましょうか。
  48. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 私も所管外でありますので詳しいことは存じておりませんが、私も地方におりまして補助金を受けたことがございます。自分が補助金を受けました体験から申しますならば、昔に比べまして最近ではそれぞれ補助要綱といったようなものを各省の政策目的に応じてつくっておりまして、その補助要綱にのっとって補助金を配分する、こういうしかたをとっておるところが多くなってきております。したがって、いっときに比べますれば御心配のような向きは非常に減っておるかと思います。ただ問題は、私どもが補助金行政というものを考えまして常に感じますことは、補助金の配分そのものよりか補助条件というところに補助金行政のもう一つの問題があるのではないだろうか。このところを秩序立てることが補助金行政というものを、自治に不当な侵害を加えずに、しかもその補助金本来の目的を達成するゆえんではなかろうか。ところが、実際問題といたしましては、これがなかなかむずかしいのであります。そこに補助金行政をめぐるいろいろな問題が発生するのだろう、かように考えております。
  49. 西宮弘

    西宮分科員 そういたしますと、いわゆる各省が取り扱っている補助についてもそれぞれ補助要綱というものを作成してそれにのっとってやっておる、そういうのが原則で、したがって、それ以外の任意な要素がむやみに混入することはあり得ない、いまの答弁をこう理解していいと思うのでありますが、そこでいま端的にお尋ねをいたしますが、補助金を受ける側の責任者の、政党の所属のいかんによって金額が左右されるというようなことがありましょうか。
  50. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 一般の補助金につきましては、さような配慮は、私どもはそういう体験を持ったことはございませんので、お答えをするのはやや僭越だと思いますけれども、そういうことのないように関係の各省とも心がけているのではないかというふうに思います。
  51. 西宮弘

    西宮分科員 少なくともそういう政党のいかんによって金額が左右されるというようなことはないであろう、こういう御答弁でありますが、以上財政局長答弁されたことに対して自治大臣はどういうふうにお考えでありますか。
  52. 永山忠則

    永山国務大臣 局長答弁いたしましたように考えております。
  53. 西宮弘

    西宮分科員 局長答弁を全面的に肯定をされたのでありまして、私も全くそのとおりだと考えるわけです。  ところが、先般一月の二十八日でありますが、私のほうで地元の市長選挙が行なわれたわけでありますが、その市長選挙の始まります直前に、正しく言うと昨年の十一月二十八日でありますが、その際、自民党の大会がございまして、そこで自民党の候補に予定されておる方がこういうあいさつをいたしておるわけです。中央に直結した市政によって地方交付税の大幅な確保をする、それによって市の財政を改善する、具体的に申しますと、高い市民税を軽減するその他等々いろいろ申しておるわけでありますが、いわゆる中央に直結した市政によって地方交付税の大幅な確保をする、こういうことをそこでお話ししておるわけであります。いわゆる中央に直結した姿勢と申しますのは、現在が自民党の政府でありまするから、自民党に直結した市民、そうすることによって地方交付税の大幅な獲得ができる、こういうことを言っておりますが、大臣、こういうことはあり得ることですか。
  54. 永山忠則

    永山国務大臣 その内容は私はよく存じないのでございますが、交付税全般の姿から見て、やはり貧弱な府県町村に傾斜配分をするような努力をして、行政水準の均衡化をはかるということは皆さん方の御希望等をできるだけ入れてやるべきだ、こう考えておりまして、全般的な問題は、そういうことは大いに皆さん方の御議論も参考にしてやりたい、こう考えております。その他の関係の問題については私よく存じておりません。
  55. 西宮弘

    西宮分科員 貧弱団体に傾斜配分をするとか、これは当然のことだと思うのです。しかも、それはそれぞれ根拠があるわけでありますから、これはあくまでも当然だと思いますが、私のお尋ねをしたのは、その首長の所属する政党によって交付税の配分等が左右される、そういうことがありますかということですから、簡単にお答え願います。
  56. 永山忠則

    永山国務大臣 これは局長答弁いたしましたような、首長の所属政党によって受ける配分の不公平を来たすようなことのないようにすべきであると考えております。
  57. 西宮弘

    西宮分科員 ところが、この際は自治大臣ではありませんけれども、この話をされたときには中央政府からは福田国務大臣あるいは濱田法務委員長等が出席をしているわけです。しかし、候補に予定されておる人のいまのような演説に対して何らの訂正が行なわれておらない。もし永山大臣がその場所に列席をしておったといたしますると、それは間違いであるというふうに御訂正になったりではないかと思うのですが、いかがですか。つまり、永山大臣のただいまの説明とこの人の言っていることは全く違うわけでありますが、その席上には福田国務大臣なりあるいは濱田法務委員長なり、そういう中央の代表の方が列席をしておるのですが、この説の誤りであることについて何らの指摘が行なわれておらないということなんでありますが、その点いかがですか。
  58. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 お話のようなことは私もよく耳にするのであります。しかし、交付税というものは先ほど来私が御質問に応じてお答え申し上げましたように、さような配慮を入れる余地がないのであります。したがって、要するに地方の事情をわかってもらうといいますか、事情を疎明しやすいというような意味のことをそういう表現であらわしておられるのかもしれませんけれども、交付税の算定問題だけについて申し上げますならば、さようなことは実際問題として不可能なことでございます。
  59. 西宮弘

    西宮分科員 もちろんふだん親しい仲だと事情を説明するのには簡単に説明ができるとか、そういう便宜はありましょう。しかし、私がお尋ねしているのは、いわゆる所属する政党によって補助金の金額あるいはまた特に交付税などが、その金額が左右されることがあるか、こういうお尋ねをしたわけでありますから、それについてはただいま財政局長もそういうことはおよそあり得ない、こういうことを明確に言われたので、もう一ぺん永山大臣からその点だけ御答弁をいただいて、この問題はこれで終わりにしたいと思いますから……。
  60. 永山忠則

    永山国務大臣 財政局長が申しましたように、そういうことはあり得ないのでございます。
  61. 西宮弘

    西宮分科員 それではこの点についての指摘は終わりますが、ただ残念ながら、いま申し上げたように、せっかくそういう中央要路の方がその席に列席しておられるにもかかわらず、そういう間違いをだれも訂正されないものですから、それ以後、これは十一月の二十八日でありますが、一月の二十八日に投票が行なわれまする間、もっぱらそのことだけで論議が展開をされておった、論議といいますか、宣伝が展開されておったということは、私は非常に遺憾なことだと思う。仙台の市民税は日本一高い。これは全くでたらめなのでありますが、そういう日本一伺い、それはいままでの市長の所属する政党が自民党ではないからだ、こういうことで、自民党の市長が出ればそういう問題が一掃される。したがって、日本一高い税金も軽減できる、こういうことでもっぱら議論が展開した、あるいは議論というか宣伝が終始行なわれたということは、私は非常に残念なことだと思うのです。今後そういうことのないように十分御注意いただきたいと思います。  第二の問題は、行政局長あるいは選挙局長にお尋ねをしたいと思うのでありますが、現在仙台を中心にいたしまして宮城県では八つの市町村の合併の推進をしておるさなかであります。そのさなかにありまして、ちょうど選挙を間近に控えました一月二十五日でありますが、その際仙台を除きました七つの市町村長たちが、市町村長それぞれ固有名詞を連ねましてこういう声明を発表いたしたわけであります。  「声明 我々は新産都市建設の実現を期し、関係市町村の早期合併促進のためにも、この際仙台市長には、それがし候補を推せんする。」このそれがしと申しますのは、いわゆる自民党の候補でございます。それで七人の市町村長が、何々市長それがし、何々町長それがし、何々村長それがし、こういうことで固有名詞をあげてこういう声明を出したわけであります。行政局長等がごらんになりまして、こういうことはそもそも適当であろうかということを伺いたいと思うのでありますが、私の考えをもってすれば、町村の合併は言うまでもなく町村の議会の議決を経て行なわれるものでありまして、町村長だけの考えで合併が行なわれるわけではもちろんありません。そういう際に、要するにこれは自民党の候補が当選をすれば合併はする、そうでなければ合併をしないということを内容としておる声明でありますが、こういうものが行なわれることは適当かどうかということをまずお尋ねしたいと思います。
  62. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私、事実は承知をいたしておりませんけれども、合併をするかどうかということは当該市町村にとりましては、これは重大な問題でございまするので、選挙の際その合併について賛成、反対ということがその主張として争われるということは、これはあり得ると思うのでございまするし、またそのこと自体は私は何ら差しつかえないことかと存じます。  お尋ねの点は、当該市町村以外の市町村長がただいま御指摘のような声明を出してやることが適当かどうか、こういうお尋ねでございますが、御指摘のとおりに合併は市長の意見だけによってきまるわけではございませんで、議会の議決が要ることは言うまでもございませんし、さらに申しますならば、関係住民全体の意思によってきまっていくというべきものであることは仰せのとおりと存じます。そのことにつきまして関係市町村長が最も関心を持っている立場にある人でございますので、それについての見解を選挙の際に意思表示をするということも差しつかえないことかと思うのでございますが、具体的にはそうした事実も存じませんので、選挙のやり方の上から見まして、このことが適当かどうかということにつきましては、私は判断をいたしかねる次第でございます。
  63. 西宮弘

    西宮分科員 お話しのように、たとえば、合併がいいか悪いかというようなことが選挙の論争点になる、これは当然あり得ることで、一向差しつかえないと思う。そうではなしに、問題は、それがしが当選をすれば合併はする、その反対の人が当選をすれば合併はしない、裏表はそういうことになっているわけですね。そういう意思決定をする、そういう表明をするということが適当かどうか……。
  64. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私は、関係市町村長が、自分たちとしてはそういう判断をしているということを表明すること自体は一向差しつかえないことではないか、かように思います。
  65. 西宮弘

    西宮分科員 少なくとも現在の進行中の合併——これはいまこれから始まるのではないのです。もうすでに長い間の経過をもって今日に至っておるわけです。そういう際に、その問題を材料にして特定の候補を推薦をする、あるいは反対をする、そういうことが合併を推進するという点から考えても、それがどういう結果になるかということは当然予想できるわけですね。つまり彼らが支持している候補が当選をすれば、このとおりなんだから大いに促進をするということになろうし、あるいはその反対の人が当選すれば、それゆえに合併はストップするということになると思う。そういうことが当然予想されるにもかかわらず、だれが当選するかわからぬという時期においてこういうことをするということは一向差しつかえないということが言い切れますか。
  66. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 合併は、関係市町村住民の多数の意思によってきめるべきものでございまするので、むろんその衝に当たる市町村長が、これについてどういう見解を持っておるかということを表明することは、これまた自由であると思いますが、先生の御心配な点は、まだ合併の進行の段階におきまして、直接、選挙と関係のない市町村住民まで選挙に巻き込んで、合併の円満な進行についていろいろよけいな波紋を巻き起こすというようなやり方はどうかというような点についての御心配ではなかろうかというふうにも推察申し上げるわけでありますが、合併を円満に進めるという見地からいたしまするならば、あるいはそこの状況のもとにおいて、そういう配慮が必要だというような場合もあり得るかとも思いますが、具体の状況につきましては私も詳しく存じませんので、はっきり結論的な判断——適当かどうかというお尋ねの判断はいたしかねるわけでございますが、そのようなことも、あるいはそういう配慮も必要かということもあり得ようかとは思います。
  67. 西宮弘

    西宮分科員 同じ問題で選挙局長にも所見をお尋ねしたいと思うのでありますが、選挙にこういう問題を、いわばその地位を利用して合併促進という点で利益誘導をする、そういうやり方が選挙の方法としてとられるということは適当であるかどうか、あるいはさらに私は、違法のおそれもあると思うのでありますが、まずそういうことが選挙戦として適当かどうかということをお尋ねしたいと思います。
  68. 長野士郎

    ○長野政府委員 町村合併等につきまして合併に賛成である反対であるということは、これは当該地域においては非常に大きな問題であろうと思いますので、そういう問題に賛成なり反対を関係者において表明すること自体は、合併に賛成の場合もありますし、合併に反対の場合もある、それをそれぞれの立場でそういう機会に表明するということ自体は、どうもそれが適当かどうかということをこえまして、それがその地域の重大問題であれば、当然そういう選挙の際に、市長なり議会なりの更新されるような際に、それが関係者において表明されるということは避けられないことではないかと思うのであります。そしてそういう特別職なり指導的な地位にある人々がそういう政治上の見解を選挙の際に述べたということが選挙運動というものにつながるという場合が非常に多いわけであります。いまお話しのような例は、それが選挙運動につながっておるというふうにも伺えるわけであります。そこで選挙運動に該当する場合に、それが一体どうなのかということになるわけでございますが、お話しの地位利用というような問題とも関連することがあるのじゃないかということでございます。その地位利用というものの範囲につきましてはいろいろな意見がございますが、従来から公職にある者についても、国または地方団体の公務員はその地位を利用してはいかぬということになっておることは御承知のとおりであります。そこで、その地位利用というものは、しかしながら、そういいながら、知事なり市町村長なりあるいは国会議員なり、いろいろな方がいろいろな選挙の際に応援をされるわけでございます。したがいまして、そういう意味のものが全部地位利用だということを考えておるわけじゃないのでございまして、やはり職務上の観念があって、そして職務上の指揮監督とかあるいは補助金とか許認可とか行政上の利益とか利権とかいろいろなものにつながるようなかっこうでの職務上の直接関連のある地位利用というものを地位利用として法律は考えておるように思うわけでございます。したがいまして、一般論として、そういう地域におけるたいへんな政治問題でありますところの町村合併自体についての賛成とか反対とかいう問題、これはもうだれしも選挙の際にその態度を表明しなければじっとしておれないといいますか、公的な立場にある人として責任を免れないというような問題で、それを表明いたしますこと、そしてそれが同時に選挙運動につながりますこと、これは直ちに地位利用とは言いにくいのではないだろうかというふうに思っておるわけであります。
  69. 西宮弘

    西宮分科員 先ほどの行政局長答弁も大体似たような言い方をされたわけですが、選挙局長も——たとえば、合併がいい悪いというようなことを選挙の際の論点にするということはこれはきわめて当然だと思うのです。たとえば、この人は合併賛成論者、この人は反対論者、したがって、われわれは合併促進のためには合併賛成論者を支持する、こういうことはこれは当然だと思うのですね。しかしこっちの人も、この人も今日まで合併に非常な熱意を持って努力してきた人です。にもかかわらず、選挙においてこっちが当選すれば合併は促進する、こっちが当選すれば合併はやらせないあるいはやらない、そういうことを言うことが適当であるかという問題です。
  70. 長野士郎

    ○長野政府委員 たいへんむずかしい話です。いま伺いまして、両方とも合併は賛成だ、みんな賛成だという場合に、あの人が出ればその合併の方式には賛成だ、同じ賛成でも他の人のほうの合併だと反対というのではないでしょうけれども、合併そのものに異論はないとしても、その方式はうまくないだろう、おそらくそういうニュアンスといいますか、ニュアンスどころではない、現場におきまして非常なそれが反対と賛成に分かれるぐらいの態度の表明と申しますかそういうことであったというふうに伺われるわけでございます。しかしいずれにしましても、そういう問題についてこれが選挙と結びつきますと、具体の候補者についてその問題がどういうふうに反応されるかということで、その表明の度合いが非常にはっきりと出てきたのであろうと思います。したがって、それは明らかにそこまでいけば選挙運動といいますか、単に意見の表明というようなものを越えまして選挙運動になります。選挙運動と申しますのは、御承知のように選挙に際しまして特定の人の当選を得よう、あるいは特定の人を落選さして、そしてそのかわりに他の人の当選を得さしめようという、こういう意図が入っておれば選挙運動だということになりますから、おそらくいまのような場合は選挙運動ということになっておるだろうと思う。しかし、そういう特別の職にある人が意見を表明することになったといたしましても、それ自体は選挙法の禁止するところではない。したがって問題は、それがおっしゃいますような地位利用という範囲にぴしゃりはまるのかはまらないのかということだろうと思う。態度のよしあしという点については、それはいろいろな見方もある。原子力潜水艦寄港反対というので反対をするというのはいいか悪いかという点も、ある面ではおかしな点もある場合にはある。したがって、それについてはいろいろな評価があると思いますけれども、そういう意味でそれが選挙運動になりますが、いま伺ったところでは、おそらくそれが直ちに地位利用ということにいえるのかどうか、それはもう少し具体的に検討をしなければわからないと思いますが、私がいま伺いましたところでは、われわれのいいます地位利用というものは、普通の公職にある方がみんな選挙の応援に行きましたり、いろいろそういう問題に態度を表明されたり、そして候補者の推薦をされたり運動をされたりするわけです。したがって、公的地位利用といいますのは、職務上の直接の関連のあるもので、その人の意思によってある程度利益をはかるということをいっておるわけですから、それには直接はどうもはまらぬのじゃないか。当否の問題とか、それを現地においてその状況がよかった、悪かった、それはいろいろあると思いますが、地位利用直接には当てはまらないと思います。   〔八木(昇)主査代理退席、主査着席〕
  71. 西宮弘

    西宮分科員 局長、いろいろ想像を加えて答弁をされると非常に混乱するのでありますが、たとえば、候補者によって同じ合併でもニュアンスの違いがある、そういうことから起こってきたのだろうというふうな想像を加えられるとはなはだ困るのですが、ここではさっき読み上げたとおりで、そういうたとえば同じ合併促進でも、人によってそれはニュアンスの違いはありましょう。たとえば、吸収合併を主張する人もあれば対等合併を主張する人もある。そういう問題で意見が分かれて、したがって、われわれはこっちを支持すると、こういうことであるならば、それはそのとおりだと思う。しかし、いまはそういう問題は何一つ問題点にはなっていないわけです。また現実にもそういう問題がないわけです。つまり、合併のやり方なり方法なり、そういう問題について両候補者の間で違いがあるというような点は全然ない。絶対にみじんもないわけです。あくまでもそれを前提にして考えていただきたいのだが、そういう際に、つまり一方が当選すれば合併を促進する、その反対が当選すれば合併はしないという結果になると思うのだが、そういうやり方をいわゆる選挙運動に手段として取り入れる、こういうことの当否の問題です。
  72. 長野士郎

    ○長野政府委員 合併の方法はいずれも同じである。合併の考え方も同じであるという場合に、甲の候補者ならばいい、乙の候補者ならいかぬといいますか、そういう態度の表明のしかたがいいか悪いか、こうなりますと、いい場合もありましょうし、悪い場合もありましょうし、好ききらいということもあると思います。お互いの主義主張が平素の行動において町村合併そのものでは一致したとしましても、ほかのいろいろな施策やいろいろなものでは考え方に違いがある。そこで、たまたま一致しておるこの町村合併というのも総合的にいろいろな問題が出てまいりますから、事後の処理、事前の処理、合併の協議、合併の内容、これはいろいろこれから詰めていく問題であります。そうなりますと、おそらく市町村の行政、財政、いろいろな面にわたりましていままでのやり方、条例、規則の規定のしかた、職員の配置の問題、財産の引き継ぎの問題、いろいろなことで行政全体についての話し合いというものはおそらくまだそういうことがいまからどんどん行なわれるだろう。したがって、そういうことになりますと、これはあまり推測を加えては申しわけないのでありますけれども、やはり町村合併というのはそういう意味で同じことをやるにしても、人によって親しい者もあると同じように、合併の方式にしても同じだといいながらそれぞれのニュアンスの違いがある。ないとおっしゃればないかもしれませんけれども、そう受け取ったかどうかそれはわかりませんが、そこでAという人がいい、Bという人が好ましくないなら好ましくないといったことがいいか悪いか、それはそれぞれの人の考え方で、私どもがにわかにそれがいいか悪いとか、おまえいいとか悪いとか言えとおっしゃいましても、それはどうもはなはだ酷なような気がいたします。それはそのときそのときの状況で、そういう態度の表明をすべきでないとは必ずしも言えない、これは聞いてみなければわからぬわけですが、私どもが心配いたしますのは、それがかりに地位利用とかなんとかいうものになってくるということであれば、これは考えなければいけないと思いますが、いま仰せになりましたような考え方でありますと、必ずしも地位利用というところまではいかぬのじゃないかというふうに思うわけでございます。いい悪いの問題はひとつごかんべん願いたいと思います。
  73. 西宮弘

    西宮分科員 そのいわゆるいいか悪いかという評価の問題は、答弁を求めるのは酷だというならばその点私も保留したいと思いますが、しかし私は、もちろんそれぞれの甲乙両人についていろいろな行政上の考え方も違いましょうし、その点の相違はもちろんあると思う。したがって、そういう点についていずれが適当であるかということは当然だけれども、それは将来合併が行なわれた後に住民の意思によって決定さるべきものなんで、その際に最も適当な人が首長に選ばれるということはこれは当然なことだと思う。したがって、それはあくまでもそれにまかすべき問題であって、いまは合併の進行過程にあるわけです。その際にこういう問題をからませてこれを選挙の戦術として——これは局長も言ったように明らかに選挙運動ですよ。だから、選挙にからませてこういう問題を論議をするということは、私はきわめて不適当だと思うんですね。残念ながら時間がありませんので、これ以上この問題を論議するわけにいかないのですが、実は私は非常に残念に思いますことは、これが行なわれたときには、永山自治大臣も来ておられて、町村長を集めてのいわゆる町村財政危機突破大会という名の選挙運動が行なわれた。その大会の席上で、これは町村長が集まったわけだが、そこで特定の候補者の推薦を決定し、さらに引き続いてこれが行なわれておるわけです。私はそういうやり方で、あえて永山大臣がこれを全部指導したとは申しませんけれども、大臣が来られたその機会にこういうことが次々に行なわれたということは、少なくとも選挙の公正を害するのではないか、選挙の条文の中にも二百二十五条ですか、選挙の自由を妨害する罪というのがありますけれども、それも直ちにこれに該当するかどうかにはかなり判断の問題がありましょうけれども、しかし、私はこの二百二十五条の選挙の自由を妨害する、いわゆる「特殊の利害関係を利用して」云々というのにさえも該当するんじゃないかということさえも懸念するわけです。そこで私はこれは行政局長にお尋ねをしたいと思うが、あるいは大臣でもけっこうですが、少なくともこういう問題のために今日いろいろと無用な混乱を起こしているわけです、選挙が終わった後にも。だから、これではせっかく従来円満に進行してきた合併に思わない水をさした結果になっておるわけです。こういう点をぜひとも早く解決をしなければならぬと思うのでありますが、そういう点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  74. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先ほどからのお話を伺っておりますと、関係市町村の間で円満に話し合いが進みつつある進行の過程におきまして、たまたま選挙がございまして、その選挙にからませて合併問題がいろいろ利用されたきらいがある。そのことが合併全体の円満な進行に悪い結果をもたらすのじゃないかという点の御心配のように私伺っておるわけでございまして、私ども現地の状況はよく承知はいたしておりませんけれども、関係市町村のみんなが望んでおる合併でございますならば、その合併が円満に進行いたしますように、今後の問題といたしまして私ども御協力できる点がございますれば、またいろいろ状況を承ってまいりたい、かように存じております。
  75. 西宮弘

    西宮分科員 時間がありませんので、問題を指摘するにとどめざるを得ないのでありますが、これは公安委員会の委員長としての永山大臣の意見を伺って終わりにいたしたいのであります。  それは、今度の選挙にあたりまして実に数々の違反文書の配布というようなことが非常に執拗に行なわれたわけであります。たとえば、候補者をきわめてえげつないしかたで誹謗して、いろいろなビラその他がばらまかれておる。あるいは各有権者にはがきで、候補者の個人攻撃でありますが、読むにたえないようなでたらめな、しかも醜悪なもので宣伝をしておる。これが各有権者に送られているわけです。あるいはある地区の同盟会会長の名において、会員各位というあて名でありますが、今回はそれがし候補を推薦するという決定をいたしましたから皆さんよろしく、こういうことで、これは新聞に折り込んだ広告であります。あるいは相手の候補の名前をごくわかりやすくひらがなで書いて、こういう名刺を各家庭のポストに押し込んでいく。あるいはまた、これは警察でも途中で撤回を命じましたけれども、こういうようなビラを全市に張りまして、選挙戦の妨害をする。その他等々、実に今度の選挙におきましては、そういう点でよくもこれほど考えたと思われるほど、そういう違反文書の配布というようなことが非常に行なわれておるわけでありますが、それについて、今日何らの取り締まり等が行なわれておらないのでありますが、そういうことについて大臣はどうお考えですか。あるいは、たとえば法務大臣が来られて、政連車の中から特定の候補の推薦演説をする。日にちは一月の二十三日でありますが、仙台駅前で、一番雑踏するところで、政連車の上から特定の候補の名をあげて応援演説をする。これがアルバイトの学生がやったというならいたし方がないと思うのだけれども、法務大臣がそういうことをする。こういう選挙が行なわれるのでは、選挙民の良識というか、あるいは国民の正義感というものは全く麻痺してしまうのではないかということを非常に痛切に思う。政府は盛んに順法精神を説かれますけれども、事、選挙に関する限り、全くの無法状態、無政府状態といってよろしいと思う。こういうことが公然と許されておるということに私は非常な義憤を感ずる。これは義憤というか、国民全体が正義心を麻痺させてしまうのではないかということを非常におそれるのでありますが、最後にこれに対する大臣の所見を伺って終わりにいたします。
  76. 永山忠則

    永山国務大臣 選挙の取り締まりはきわめて厳正公平にやらねばならぬということを示達しておりますが、今後につきましても、一そうそれらの点において趣旨が徹底するように努力をいたしたいと考えております。
  77. 大橋武夫

  78. 安井吉典

    安井分科員 この間の予算委員会における固定資産税の問題に関する私の発言は、現在、党と党の話し合いのほうにまかされておりますので、きょう私、特にその問題に触れるつもりはなかったのでありますが、先ほどひょっと入りましたら、奥野委員や赤澤委員からこの問題についての質問が行なわれておりまして、奥野さんは前の自治事務次官だし、赤澤さんは前の自治大臣であって、寄ってたかって、だいぶ私に圧力をおかけのようでありますので、初めの考え方を改めまして、この際、固定資産税の問題に関して若干のお尋ねをいたしたいと思います。  先ほどのいろいろな論議の中で、一々私なりの反論があるわけでありますが、それは、全体の質問の中でそういうふうな考え方をあらわしてまいりたいと思います。  まず初めに、税務局長にお尋ねしたいのですが、五十五坪の土地で四十年度の税が五千八百五十四円、四十一年度は、月にしてピース一つくらいの値上がりでしかないというような先ほどの御説明でありましたが、いまの政府案で計算いたしますと、その後の四十二年、四十三年、四十四年、四十五年と、新評価に至るまでの形はどうなるか、それをずっと一年ごとにおっしゃっていただきたいと思います。
  79. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほどの例で申しますと、明年は、都市計画税も含めて四十三円、固定資産税だけで三十円、こういうことであります。
  80. 安井吉典

    安井分科員 年額で言ってくれませんか。
  81. 細郷道一

    細郷政府委員 年額で、固定資産税は四十一年度には三百五十八円の増でございます。四十二年度は対前年で六円の増、四十三年は五百十六円、四十四年が六百十九円、四十五年が三百十九円、それぞれ対前年でございます。
  82. 安井吉典

    安井分科員 対前年度の差額ですか。
  83. 細郷道一

    細郷政府委員 前年度に対する増差額であります。
  84. 安井吉典

    安井分科員 各年度の税額を言ってくれませんか。
  85. 細郷道一

    細郷政府委員 四十年度は五千八百五十四円、四十一年度は六千二百十二円、四十二年度は六千二百十八円、四十三年度は六千七百三十四円、四十四年度は七千三百五十三円、四十五年度は七千六百七十二円、こういうことでございます。
  86. 安井吉典

    安井分科員 この計算は一割増しですか。
  87. 細郷道一

    細郷政府委員 平均の二割増しでございます。
  88. 安井吉典

    安井分科員 前年度の二割増しじゃないのですか。前年度の額の二割増しの計算じゃないのですか。
  89. 細郷道一

    細郷政府委員 そのとおりでございます。
  90. 安井吉典

    安井分科員 その点、私の計算とだいぶ違うのですがね。前年度の税額に一・二ずつ掛けていくわけでしょう。
  91. 細郷道一

  92. 安井吉典

    安井分科員 いまのは家屋ですか。宅地について私お尋ねしているのですが……。
  93. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど来のお話で、国民生活影響するということでございますので、平均的な土地平均的な家屋に対する税負担というものを見ていく必要があると思います。特に家屋土地負担のアンバランスの問題もあるわけでございます。それで、土地家屋を含めまして四十年度に五千八百五十四円でございますが、それが四十一年度になりますと三百五十八円、月三十円の増、四十二年度は、基準年度で家屋につきましては償却がございますので、その分が減価されますので年額六円の増、こういうふうになります。
  94. 安井吉典

    安井分科員 私がいま伺っているのは、宅地がどういうかっこうになるかということでお聞きしているわけですよ。総合的な課税だということは、それはわかりますよ。今度は宅地だけじゃないですか、変わってきたのは。それについての姿をずっとおっしゃっていただきたい、これを言っているわけです。聞いたことにお答え願いたいのです。
  95. 細郷道一

    細郷政府委員 土地につきまして申し上げますと、いまの設例ですと、四十年度は千七百九十一円、四十一年度は二千百四十九円、それから四十二年度は二千五百七十九円、四十三年度は三千九十五円、四十四年度は三千七百十四円、四十五年度は四千四百五十七円……。
  96. 安井吉典

    安井分科員 これは評価は幾らですか。評価による計算によりますと……。
  97. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げましたのは、実際に使われます負担調整税額についてでございまして、これの基礎になっております負担額自体は、その土地の所在する価値によっていろいろ違うわけでございます。それは一応平均的なものとしてあらわしたものでございます。
  98. 安井吉典

    安井分科員 私は、そういうことを伺っているのじゃないのですがね。これは、ここでいま数字を言ったって、私は、いまそろばんがありませんから、あとではっきり伺いますが、一つの特定の土地の問題を私は伺っているわけですよ。特定の土地を考えなければ——これは、あなたは全国平均かなんかでおっしゃっているのでしょう。特定の土地数字で言わなければ、これは話が通じないのですよ。ことさらに負担の上がり方が少ないということをおっしゃりたいために、家屋との合算で表現をされたり、特に家屋については減価償却があるものですから、それは安くなりますよ。そういうようなものを入れて、ことさらに差が小さくなるような表現をなさる、こういうようなことで表現をごまかそうとする自治省の意図がどうも私はあるような気がするわけですね。だから、きちっとした、現在評価額が幾ら幾らの土地がどうなるかという、その具体的な試算をやはりお示し願いたい。これは、私は私なりにやったのはありますけれども、ここでやっておりますと、きょうは三十分しかないそうですから、時間がなくなりますからやめますが、特定の土地数字、これは複利計算でどんどん上がるわけです。前年度より前年度よりと、どんどん上がっていくのですから、最初はピース一個かもしれませんけれども、八年度九年度目になったら膨大な差額が出ていくわけです。私のほうは私のほうで試算がありますが、この問題は、ことさらに質問の焦点をぼかして、差があまりないのだというふうなおっしゃり方をなさろうとしているし、しかも、これは数字の問題ですから、これはあとではっきりさせたいと思います。  それからいま、こうやっていると課税事務の混乱があるとおっしゃいましたが、それはどういう意味ですか。
  99. 細郷道一

    細郷政府委員 現在、市町村におきましては、四十一年度の課税の準備をいたしておるわけでございますので、この法案の成り行きに対しては非常な関心を持っております。それぞれの準備を進める段階によりまして、この法案が非常におくれてまいりますると事務に影響を生ずる、こういう意味で申し上げたわけでございます。  なお、先ほどの数字の点は、いずれまた詳細な数字の御検討をいただかなければならないと思いますが、一応私どもが申し上げました数字は、これは固定資産宅地につきまして、都市全体の平均の坪数、専用住宅の坪数の平均が五十五坪でございます。この点は、宅地統計その他から見ましても、大体その前後におさまっております。  なお、その上に乗っております住宅につきましても、私どもの持っております平均が二十三坪、そうして住宅統計調査等でも、やはりその前後の数字になっておりますので、私どもは、その平均的な姿につきましての資料として、平均的な評価額を使ったものでございます。したがいまして、平均的に見てまいりますと、宅地につきましては、現在は坪二千円程度評価になっておりますが、新評価でまいりますれば一万二千円くらいの評価になるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして申し上げたのでございます。
  100. 安井吉典

    安井分科員 その数字の上がり方については、私どもなりの試算があるわけですけれども、これは時間をとりますので、あとにいたします。  いまの課税事務の混乱の問題ですが、これはいつでもそうじゃないですか。地方税法は、私の記憶では、三月三十一日以前に通ったことはないですよ。いつものことですよ。これはどうなんですか。
  101. 細郷道一

    細郷政府委員 最近は、大体年度末に成立をいたしております。
  102. 安井吉典

    安井分科員 それなら、何も課税事務の混乱なんておっしゃる必要はないわけですね。現行法がきちっとあるわけだ。賦課期日は、現行法では、その年度の属する年の一月一日だと三百五十九条に書いてある。賦課期日はすでに過ぎておりますから、市町村現行法できちっとやれるわけです。附則の三十九項から四十四項まででしたか、あれにははっきり三年間据え置きなんですから、それで計算されれば何も心配することはないわけですね。
  103. 細郷道一

    細郷政府委員 現行法をもとに事務を進めるのが本来のたてまえでございますが、政府改正案を意図しておりますれば、やはり市町村当局といたしましては、能率的な行政の事務の進め方をしたいというようなことから、そういった問題が起こると思います。
  104. 安井吉典

    安井分科員 課税事務の混乱という言い方をなさると、あなたのほうで、何か今度の国会でこういう法律が通る、その法律の内容はこうだから、こういうことでやりなさいという指示をなすっているのではないですか。
  105. 細郷道一

    細郷政府委員 指示はいたしておりませんけれども、政府が長いこといろいろな場面で検討をしてまいりまして——いまつくられております政府の原案でございますが、その内容を、実際の課税団体であります市町村当局が十分研究しておることは事実でございます。
  106. 安井吉典

    安井分科員 いまのような指導の方針なら、政府の閣議でもきまらないし、国会に提出もされない法案——国会の中では野党の意見も入るはずですよ。政府が準備された法案について、国会の中で論議しちゃいけないのですか。野党が修正しちゃいかぬのですか。国会の修正権は認めないのですか。だから、そういうかまえで問題を処理するということに、基本的な国会軽視というか、与党のほうの部会の審議が終わったから、もうそのとおり地方はやりなさい、そういうような指導をなすっているというそのお気持ち自体に、私は大きな問題があると思う。減税ならまだいいですよ。減税なら、私どもも税金が安くなるのですから、そう文句は言いません。税金が高くなるという問題について、そういうような態度で処理なさるというところに、私は基本的な誤りがあると思う。大臣どうですか。
  107. 細郷道一

    細郷政府委員 私から先にお答えをさせていただきたいと思います。  現在の国の会計年度あるいは地方の会計年度、それから、地方税法の国会審議と地方におきます条例の審議、こういったような現在の仕組みでございますと、大なり小なりそういった問題は毎年起こるわけでございます。政府の案ができましたとき、もとより私どもは、これを国会で御審議をいただき、従来におきましても、それが審議の過程において一部修正を受けたような例が現実にあるわけでございます。そのこと自体、私どもはどうこう申すわけではございませんけれども、地方団体といたしましては、団体によりましては、その状況の判断によりまして、政府のつくった原案をもとに来年のいろいろな計画を考えていく、来年度の財政計画を考えていくというようなことも、これは自治体として当然許されてしかるべきものだと私どもは思っておるのであります。私どもは、そういう意味で、これでやりなさいというような指導はいたしておりませんけれども、こういう内容のものであるということは、聞かれるままに説明いたしておるわけであります。
  108. 安井吉典

    安井分科員 大臣、どうなんです。
  109. 永山忠則

    永山国務大臣 院議は尊重をいたす考えでございます。
  110. 安井吉典

    安井分科員 そういうふうなお答えで問題を処理されようとするには、これは少し現段階では、私は大き過ぎる問題ではないかと思うのですよ。税金を上げるというふうな仕組みで、もうそのとおり作業を現実にさせているというふうな、そういうことばが、課税事務の混乱がいま起きているという、いまの税務局長の表現の中に私はあるような気がするわけです。課税事務の混乱があるというふうなことを税務局長の口からお聞きするということは、何かあなたのほうで、すでに野党の意見も何もなしに国会は通るものだということておやりになっているのじゃないか、私は、そういうふうな印象を受けるわけでありますが、これは大事な問題ですから、あとでまた、さらにお尋ねをすることにして、この問題には触れないことにいたします。  負担均衡の問題について、先ほど奥野委員等からお話があったわけでありますが、政府も、やはりあくまでも税負担均衡というものについての積極的な御意向を固定資産税全体についてお持ちなんですか、どうですか。
  111. 細郷道一

    細郷政府委員 固定資産税負担の問題につきましては、先ほど来、午前中にもいろいろ質疑があったわけであります。現状は、いかにも、あまりに不均衡に過ぎるという点で、私どもとしては、これを均衡化してまいりたい、こう考えるわけでございます。それは単に固定資産税の中だけの問題にとどまらず、やはり税負担相互の間での問題としてもこれを考えていかなければならないと思うのでございます。これは安井先生十分御存じのことで、たいへん恐縮でございますが、市町村財源として、税として、やはり一つは住民税があり、一つは固定資産税がある。この二つの税が市町村をささえておるわけでございますが、一方の住民税は、所得に比例して課税をする。いわば市町村内の住民に所得に比例して分担をしてもらう。一方の固定資産税は、財産の多寡によってこれを分担してもらう。こういう状況でございますが、その際に、現実には、御承知のように住民税が非常に重い。学校を卒業してすぐからかかってしまう。こういう状態を、私どもは、やはり何らかの措置によって軽減をしていかなければならぬだろうというので、今回、住民税減税ということに、五年ぶりにいわば踏み切ったわけでございますが、反面、住民の中には、固定資産を持っている人もあるわけであります。これは全住民ではございません。半数が自分の土地であり、自分の家であるというのが全国的な状況でございますが、そういうような固定資産を持つ人に対する負担が、あまりにも現状においては不均衡になっておる。特に土地について不均衡になっている。こういう際でございますので、一方では、所得によって負担されています税金を軽減すると同時に、財産持ちに対する税金負担調整することによって均衡化を前進してまいりたい、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  112. 安井吉典

    安井分科員 非常に御熱意を持っておりますことはよくわかりますけれども、それなら、固定資産税の中にある非課税規定や課税標準の特例の規定が、大企業に対してはたくさんあるわけでしょう。私の試算でも、おそらく三百億か四百億円ぐらいになるのではないかと思います。それぐらいあるはずですよ。均衡をはかりたいというのなら、それをおやめになればいい。固定資産税の減免で、あれは都市計画税まで入れて百億ぐらいの見込みをされているわけですが、大企業の減税負担能力の十分あるもののいまの減免措置をおやめになるだけで、十分金が出てきます。おつりがきますよ、二年分ぐらい。ほんとうに負担均衡ということに御熱意をお持ちなら、私は、それをおやりになるべきだと思うのですよ。それを何もやらないで、ただ、全体的ないまの土地評価がアンバランスだからという、それだけに問題をしわ寄せしようというその態度に、私は問題があると思う。  それから、もう一つ負担均衡の問題で私が申し上げたいのは、同じ土地の所有形態でも、住宅のためにその宅地を持っている場合と、そこで工場を経営している場合と、同じ宅地といわれても、態様が違うのではないかと思います。いまの宅地の計算基礎は、売買実例価額方式です。その土地が売られたときは幾らかということで計算がされるわけです。ですから、そこで宅地を持っている人も、その辺に何か住宅街がたくさんできて、土地が値上がりするかもしれない。しかし、その人がそこで五十坪なか何なりの住居をかまえている限り、土地の値段が幾ら上がったって、それはその人には何もプラスにならないわけです。その人がどこかに移って、その土地を売れば、売買するときに初めてその人の所得になるわけですよ。それまでは、幾ら値段が上がったって、いまの自治省のような考え方では、土地が上がったというのは、税金だけが上がることであって、その人には何もプラスにならない。しかし、そこに工場があって、その工場でいろいろ生産が行なわれるとすれば、土地は資本の三要素の一つだと昔からいわれているのだ、固定資本だというふうにいわれているのだとすれば、それは収益が上がるのですから、その土地というものがなければ、一切の収益がないわけです。つまり、そこで収益が生ずるような資産と、それから一般の庶民的な生活の根拠になる宅地とは、私は、本質的な違いがあると思うわけです。そういうものを一緒にしている。あるいはまた、土地を投機的に持っている人もありますね。土地の値上がりを待っているという人たちもある。それは土地の値上がりによって収益を得ようとするわけですよ。そういうような場面もあります。それからまた、非常に大邸宅を持っている人がある。庭も広い、家も大きい。そういうような人については、若干余裕があるかもしれないけれども、一般庶民は、さっき税務局長がおっしゃったように、平均二十三坪の建物を五十五坪の土地の上に建てている。こういう一般庶民の人たちに、土地そのものの値上がりをそのままかけてくるということ自体に、私は大きな問題があると思います。だから、負担の不均衡といいますけれども、不均衡にも、その階層性というか、その土地の持ち方によって、きめのこまかな配慮というものがなければ、私は、それを一律に上げてしまうということにおいては問題が多いと思うわけです。だから、いまの税法の基本的な問題点は、負担能力の大きな人にもっと税金を納めてもらおうと思って、負担均衡と称して税率を上げてしまえば、一般庶民層が一緒にそれにつれて上がってしまうわけです。それからまた、庶民階層のやつを据え置こうとすれば、これの据え置きによっての利益は、大きな土地所有者のほうによけいいくかもしれない。こういうような基本的な問題点が私はあると思うわけです。だから、ほんとうに負担均衡ということをお考えなら、いまの土地課税の基本的な問題点をもっと掘り下げなければいかぬと思うのです。そういうようなものについての配慮が全くなしに、かつまた、税制調査会の答申には、税率の問題についてはなお検討が必要である、こう書いてあります。つまり、政府自体で、税率をどうするかということの自信もない。固定資産税の本質がどうあるべきかというほんとうの意味の、本来の意味の——表面的な負担均衡論をさっきからおっしゃっているけれども、そうじゃなしに、中身に入った均衡論というものについての考え方を、何も私はお持ちになっていないのではないかと思う。そういう段階で一律的な引き上げという形にやられるところに、私は問題があると思うのです。少し問題が多過ぎたかもしれませんが、ひとつお答え願いたいと思います。
  113. 細郷道一

    細郷政府委員 多少前後するかもしれませんが、私どもは、固定資産税はやはり財産課税である、こう考えております。特に土地につきましては、土地の価値の大小によって、そこに担税力を見出していくのだ。そのことは、反面、土地につきましては、それぞれその立地に応じてこれを利用する必要がある、合理的に利用されていかなければならない。したがって、銀座のまん中で畑をするというようなことは、現行の所有権法上はできますけれども、そういうふうなことは、社会の実態としては漸次排除していく傾向になければいけない、そういう考えが基本にあるわけでございます。したがいまして、同じ庶民の住宅にいたしましても、たとえば、遠くから通って来る人は、それはなるほど土地は安い。しかし、都会のまん中に住んでいれば土地は高い。それはその人の生活自体から見れば、遠くから来れば、それだけ通勤費も余分にかかっているというようなこともあるわけでございますので、私は、土地の価値が上がったら、全部それをその人から税額として負担をしてもらうということがいけないというのは、やはり行き過ぎではなかろうか、こう考えるのであります。したがいまして、そういう観点に立って今回の負担調整案を考えておるのでございますが、その負担調整のしかた自体は、もうすでに御承知のように、激変についての緩和措置を十分に考慮いたしておるのでございまして、先ほど来出ておりますように、ピース一個というような俗語でたいへん恐縮でございますけれども、月ピース一個の負担なんだ。それは平均的な姿でございますから、非常に土地を広く持っておったり、非常にいいところに土地を持っておる人は、ピースよりももっといいたばこになるかもしれませんが、それよりもさらに平均以下のものにつきましては、もっと低い負担になる。しかも、今回の減税措置所得税住民税減税措置は、昨日の本会議でも議論になったそうでございますが、所得税住民税は、標準世帯について見ますと、月に千二百円、先ほども申しましたように年に一万四千四百円という減税でございます。月千二百円、ピースにいたしますれば三十個の減税、こういうことになるわけでございますので、一日に一個だけをひとつがまんしていただきたい、こういうような考え方もできるのではなかろうか、これはたいへんかってなこと申し上げるわけでございますが、そういうふうに思うわけでございます。  なお、空閑地税その他いろいろのお話がございました。私どもも、土地政策といたしましては固定資産税だけで税制は足れりとは一向考えておりません。もとより、空閑地税でありますとか、あるいは譲渡所得税でありますとか、そういうようなことにつきましても、もっともっと研究を進めていくべきであろう、かように考えておりますが、この固定資産税自体は、その一番の基盤になっている土地課税であるというふうに私どもは思っておるわけであります。  なお、税率の点について、税調でまだ結論が出ていないじゃないかという御指摘がございました。そのとおりでございます。ただ、負担調整とからめて税率問題を議論するということにつきましては、税調で十分審議の結果、これは適当でない、税率については、土地だけの税率でない、家屋税率もあれば、償却資産税率もある、したがって、この税率の問題は、もっと広い角度でこれを見るべきである、すなわち、具体的に申しますれば、現行の税体系の中で、固定資産税の占める位置をどういうふうに税体系として考えていくかといったような、やはり将来の基本的な問題があるのじゃないか、また、企業にいたしましても、現在、企業は、所得の課税と外形課税、いわゆる固定資産税のような外形課税と両方の面で課税を受けておりますが、大体御承知のように十対一でございます。企業というものが所得に対して課税されておる部分が十とすれば、外形によって課税されておるものは一である、十対一の割合なんだ、その割合自体が、最近のようないろいろな社会情勢の変化、公害問題であるとか、いろいろな企業としての社会的な義務が発生しておる際に、そういう割合をもっと考えていく必要があるのではないか、そういったような、いろいろ税率につきましては、もう少しほかの面からも総合的に検討すべきであるというので、税制調査会は、負担調整にからめての税率問題はこの際見送るが、引き続いて、そういう角度から検討してまいりたい、こういうようなことになっておるのでございます。  それから、固定資産税で、現在、特別措置的なことをしておるという御指摘がございました。大規模な電気ガス事業といったようなものについて、新設後、経過的に五年なり十年なりの特別措置をいたしておりますが、これにつきましては、御承知のように、それらの企業が公共料金の統制を受ける企業であるというような観点で、料金の政策とのからみ合いで、こういう措置をきめておるのでございます。そういう政策的な配慮によるものでございます。  なお、土地相互間におきます負担の不均衡といいますのは、その大規模な償却資産におきまする負担の不均衡以上にすごいものが現状ではあるというふうな判断をいたしておるわけでございます。
  114. 安井吉典

    安井分科員 いまの御答弁は、私の申し上げた問題点をだいぶはずしてお答えになっておるような気がするわけです。税率の問題にしても、固定資産税税率が、どうしても一本でなくてはならないわけでもないと私は思うのですよ。昔は、家屋に対する税率も、それから地租についても、宅地租と農地租と違ったはずですよ。だから、そういうふうな調整の方法というものはあるわけですよ。そういう点は、もう少し勉強の余地が私はあるのではないかと思います。私は、一般の庶民的な負担の問題を問題にしながら、同時に、大きな土地持ちにしても、一ぺんに五倍も六倍も上がるのではないにしても、それが毎年エレベートしていく、こういうような形では、負担調整も、いまのような調整税率の姿では問題があると私は思うのです。私の知っている東京都内の人で、四千五百円くらいの旧評価土地を五十坪持っておる人があります。この人は、現在、旧評価では三千百五十円の税金を払っています。この人の現在据え置き期間中の税金は三千七百八十円、これが毎年三割ずつ——新評価は十倍になっておるわけですから、三割ずつ上がっていくわけで、四十一年度は、前年度の千百三十四円増しの四千九百十四円、四十二年度は千四百七十四円ふえて六千三百八十八円、四十三年度は千九百十六円ふえて八千三百四円、昭和四十四年度になりましたら二千四百九十二円ふえて一万七百九十六円、四十五年度になったら、前年度よりも三千二百三十二円ふえて一万四千二十八円、四十六年度になると四千二百八円ふえて一万八千二百三十六円、昭和四十七年度には、前年度よりも五千四百七十一円ふえて、負担は二万三千七百七円、昭和四十八年度には、前年度よりも七千百十二円ふえまして三万八百十九円、昭和四十九年度から新評価額が三万一千五百円になります。この人は、九年間で新評価に到達するが、現在三千七百八十円の税金が、九年後には三万一千五百円になる。宅地だけですよ。家屋のことは計算に入れておりません。だから、現在、旧評価が四千五百円くらいの人が東京にはざらにあるのですよ。こういうような人があって、三千七百八十円で済んだ税金が、これは毎年幾らかずつ上がるんだといったって、九年後には三万円をこえる税金になるんだということになれば、いまのような税務局長のいいかげんな御答弁では、そういう国民は満足をしてくれないのではないか。  それから、時間がないようですからはしょりますが、そういうふうな住宅の所有者に対する基礎控除的な考え方、つまり、庶民的な生活の根拠に対するものには税金がかからない、こういうような仕組みができれば、私は、税金を全体的に上げるという問題について、だいぶ様子が変わってくると思います。どうですか。
  115. 細郷道一

    細郷政府委員 基礎控除制度を住宅について設けたらどうか、こういう御意見と思いますが、先ほど申し上げましたように、一つには、やはり固定資産税というものをどう考えるかということがあると思います。申し上げましたように、財産課税を考え、その財産の価値の大小によってその市町村応分負担をするんだ、こういう考えでまいりますと、やはり基礎控除制度というものは、なじみがたいのではないかと思います。と申しますことは、たとえば十万円の基礎控除を設ける。そうしました場合、十一万円のものは、その一万円分だけ負担をする。百万円のものは九十万円分を負担する。基礎控除といいますと、千万円持っている人にもやはり基礎控除が働く。生活費をまかなうべき所得課税のようなものでございましたならば、やはり基礎控除というような概念も必要かと思いますが、現状におきましては、土地を持っておりますものは、所得の段階におきましては、やはり平均よりもいい階級の人が持っておるわけでございますので、そういった意味におきまして、この現在の固定資産税にはなかなかなじみがたいのではないだろうか、こういうふうに考えるのでございます。もとより、それは本質的な問題でございますが、課税の具体的な技術上の問題からいたしましても、基礎控除を一体坪数できめるのか、金額できめるのか。坪数できめますれば、銀座のまん中のように狭い坪数のところは、基礎控除によって、大きな力がありながら、負担をしなくなる、いなかのほうは、かえって負担をするといったような問題も起こりますし、金額でいけば反対の現象が起こるといったような、課税上のくふうを要する問題も多いと考えるのでございます。
  116. 安井吉典

    安井分科員 基礎控除の問題についてのいまの反論のうち、一千万も資産を持っている人に基礎控除をやるのは、金持ちにまで利益を与えることになるというふうな言い方をなさったわけだが、一千万円もある人に基礎控除の法律をきめるといったって、基礎控除を何百万もきめるわけじゃないでしょう。ほんのわずかの庶民的な基礎控除をしてみたって、一千万円の人はあってもなくてもいいくらいですよ。そういうふうな響きしか持たないと思うのですよ。人間生きとし生けるもの、住宅がなかったら、もうどうしようもない、雲の上にいるわけにいかないのですから。だから、そういうふうな形の足切りというものは、私は、これは意味があるものではないかと思います。そういうふうな中から、全体的な評価がえの問題も考え直しができるのではないか。どうしてもその基礎控除の問題に疑問があるなら、累進税率制で、資産を持っている人からよけいの税率をとっていく、そういうことによって、ごく資産の少ない人は、これはもう税率はごく安くなって、たとえ評価が上がったって、税金はもうごくわずかな、いまよりもずっと減った姿でいいのではないか、こういう考え方も検討すべきではないかと思うのですが、どうですか。
  117. 細郷道一

    細郷政府委員 超過累進課税というところになりますと、大きな財産を持っておる人は、それだけにその収益力を働かせなければいけないという問題が起こると思います。先ほど申し上げましたように、固定資産税というものは財産課税で、財産の価値の大小によって担税力を満たす、そのかわり税率は、所得税などと違って非常に低い税率を使っているというのが、固定資産税のたてまえでございますが、もし、超過累進課税ということになりますと、十万円の土地の人の利用形態はこの程度でいいけれども、百万円の人は超過累進がかかるので、もっとよけいな利用形態をしなければならないといった問題が起こってまいるわけでございまして、そういった意味合いにおきまして、なかなかむずかしい、現行の固定資産税考え方にはなじみにくいのではなかろうか、こういうふうに考えます。
  118. 安井吉典

    安井分科員 もうこれでやめますが、今日、旧評価に比べて非常に負担が不均衡になっているというふうなことで、今度の評価がえをなすったというふうなことを一番大事な問題として自治省は主張されておるわけです。先ほどの自民党の委員の人も、そういう主張をされておるわけです。そういうことなら、大企業に対する課税特例の問題はどうなるのか、それについて自治省ははっきりしたお答えをお出しにならなければならないし、さらにまた、単なる機械的な、表面的な均衡論では、私は、今度の引き上げという問題は処理できないと思います。そういうふうな庶民的な土地所有、そういうふうな形態に対する緩和策、そういうようなものを準備されなくては、機械的な、一律に上げるということの均衡論は成り立たないと思います。それは単なる売買価格だけで一律なものにしてしまうという平等論であって、そういうようなものは、私は根本的に間違いだと思います。特に今度の問題については、政治道義ということからも私どもは持ち出しているわけでありますが、大臣、最後にひとつ伺いたいと思います。事情が変わったということと、それから、三年間をきっちり法律できめて国会ではっきり約束をし、国会国民に約束をした。それを破るというそのことと、今日、事情変更だとか均衡論だとかおっしゃっておるわけですが、それはどちらが重いとお考えですか。
  119. 永山忠則

    永山国務大臣 やはり経済事情の急変化、それに対処する政府大幅減税あるいは公債発行、さらに、地方におきましては地域格差の是正、所得水準の均衡というような面から、社会開発、特に土地再開発が急を要する状況で、時代の大変革に即応をいたした諸政策を必要とする情勢になってきていると考えるのでございます。
  120. 安井吉典

    安井分科員 大臣の認識というものは、この間の段階から前進していないように思うのですね。私は、そういうふうな態度では、今度の予算委員会における一番大事な問題として今日政治問題化している問題の解決はできないと思います。すみやかに問題を解決する方向に御検討をお願い申し上げまして、終わります。
  121. 大橋武夫

  122. 中井徳次郎

    ○中井分科員 与えられました時間が半時間だそうでございますので、簡単にお尋ねをいたしますが、質問はおもに地方債のことであります。自治省関係の御質問を申し上げるのは久しぶりであります。私もごく最近の情勢にややうといかもしれませんが、その辺はお許しをいただきたいと思います。  地方債には、一般会計に伴いまする地方債、それから公営企業その他のもの、あるいはまたその中でも、バランスを考えねばならぬものと、それを第一義的に考えなくてもいいようなもの、いろいろあると思いますが、ちょっと最初にお尋ねをいたしますが、現在のところで地方債の総計はどれくらいになっておりますか。
  123. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 現在高に関しますお尋ねかと思いますが、昭和四十年度末で大体二兆八千億くらいになろうかと推算されます。そのうちで、一般会計に属しまする地方債が一兆三千億前後、公営企業会計に属しますものが一兆五千二百億前後というように推計されます。これは四十年度の地方債の事務が目下進行中でございますので、四十年度につきましては推定を加えております。
  124. 中井徳次郎

    ○中井分科員 ことしの地方財政計画によりますると、一般会計の総計はどれくらいでございますか。
  125. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 一般会計の歳出総額は四兆一千三百四十八億円でございます。
  126. 中井徳次郎

    ○中井分科員 そういたしますると、四兆一千三百億の中で、地方債の総計は一兆三百億tいうことになりますると、政府は、ことしになりましてから初めて赤字国債を発行いたし、そうしてまた来年からは七千数百億の国債を発行される。それまではきわめて健全であった、健全であったと言っておりまするが、二、三年たちますると、国の財政の公債の比率と、それから地方財政の公債の比率と、これだけ地方債を出すな出すなといって、過去二十年あなた方がしぼってきながら、もうほとんど一緒になりますね。四兆一千億の中の地方債の起債額は一兆三千億、ことしは政府の予算は四兆三千億で、七千億出し、三年たつと一ぺんにもう二兆くらいになりますよ。来年は、社会党の計算では、おそらく七千億なんかではとどまるものじゃない、もっともっと出さにゃならぬ、こうなる。そういたしますると、いまの地方財政は、政府の判断からすれば、まことに健全である、そう申してよろしいですか、どうです。これは一般論ですよ。大臣、いかがです。
  127. 永山忠則

    永山国務大臣 地方財政は非常に財源の不足を告げておるような状態でございますから、より以上健全であることを期待をいたしておるのでございます。
  128. 中井徳次郎

    ○中井分科員 ちょっと御答弁がおかしかったのですけれども、どうも時間がありませんから、私は、健全であるからもっともっと地方債を出してもいいというのが当然の答弁でなければならぬと思うのだが、もうそれはよろしゅうございます。  地方債をつのりまする手続が一体どういうふうな形になるか、ちょっとそれを伺いたい。
  129. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 現在の地方債の手続といたしましては、大部分政府資金でございまするので、政府資金につきましては、許可がありますれば、すぐ借り入れに入るわけでございますけれども、通常の場合は、大体資金の配分——と申しましても、許可見込み額ということばを使っておりまするが、この許可見込み額というものが大体わかりますれば、すぐ一時融資の形でもって、俗にいう起債の前借りと称するものでありますが、借りまして、年度末にこれを長期債に切りかえる、こういう手続なり、それから公募の部分につきましては、市場公募部分につきましては、それぞれシンジケートに引き受けさす、こういう手続をとります。それから会社その他の縁故募集をいたしますものにつきましては、それぞれ縁故先でありまする会社や銀行等との間に話し合いをつけて借り入れる、大体証書借り入れの場合が多うございますが、そういう手続をとります。
  130. 中井徳次郎

    ○中井分科員 公募及び縁故募集のときにも、やはり自治省の許可が必要なんですか。
  131. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 現在におきましては、許可が必要でございます。
  132. 中井徳次郎

    ○中井分科員 私がお尋ねするのは、あなた方が具体的にやっているそんなことじゃなくて、もっと基本的な問題です。地方自治法の二百三十条には、「普通地方公共団体は、別に法律で定める場合において、予算の定めるところにより、地方債を起すことができる。」こうある。これはもう地方自治の根本だと私は思う。しかるに、あなた方はいまから二十年ほど前、二百五十条で「普通地方公共団体は、地方債を起し並びに起債の方法、利率及び償還の方法を変更しようとするときは、当分の間、政令の定めるところにより、自治大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない。」というのを設けて、中央はこれを牽制した。大臣、これはどうですか。こういうふうに地方自治が三割自治だといわれておることに、いろんな原因はありましょう。それは地方税をきめるときには、国民一般の負担関係のあるものですから、これは憲法において国会できめるということになっておる。また、道路建設の場合の負担金、国道建設の場合の負担金のときにどうするというのも、国の予算に関係があるから、これは国がきめる。われわれが審議をして下へ流していく。しかし、この地方債にまで当分の間は許可を要する、なぜそんな必要があるのか。これはもう二十年来の問題ですが、時間かないから、すぐもうほんとうの質問を結論的に私したのですが、どうです。これは大臣から聞きたい。
  133. 永山忠則

    永山国務大臣 地方自治体の各財政の面から見ますと、やはり安定した一般財源を確立することか望ましいのでありますが、いまなおその固定したる一般財源が非常に不足いたしておりますので、地方債の依存度もしたがって相当ございますから、これに対しては地方財政の健全運営の立場において、やはり国と地方が一体の立場でよく連絡をとってやることが、現段階においてはなお必要だと考えております。
  134. 中井徳次郎

    ○中井分科員 いまの大臣の御答弁によると、各自治体の財政の健全化を見守るためによく連絡をとってやらにゃならぬと、こういうことですか、とうですか。
  135. 永山忠則

    永山国務大臣 国と地方が一体の観念において、その地方自治体の健全なる運営がいくように、なお政府は指導をいたす必要があると考えておるのであります。
  136. 中井徳次郎

    ○中井分科員 指導をするために、あるいは育成をするために、なぜ許可までしなければならぬのですか。指導、育成、あなたのおっしゃることなら、報告を受けて——起債は、自由自治の本旨に基づいて、そうして報告を受けて、それによって、Aという県はことしは起債があまり多過ぎると思えば、翌年勧告を出すとか、あるいは途中においてこれについて注意を促すとか実際いたしましても、大蔵省預金部その他と折衝の場があるのですから、判をもらわなければそれができない、判をもらわなければ公募もできない、判をもらわなければ縁故募集もできないというふうなことだから、あなたのところの御出身の広島あたりの小さい市町村長が東京へ出てきて、一千万円の募集に判を押してくれ、ああしてくれこうしてくれと言う。私は陳情政治を否定するものではありません。こういうことでやってくれ、何やってくれ、けっこうです。しかし、その手当てまでことごとく出てこなくちゃならぬというふうなことは、全くの時代おくれで、これはもう「当分の間」というのは、そういうものを考えてやっておるのじゃない。これは戦後の非常な困難な国家財政の再建に際して、しばらくの間は起債といえども全国的視野でこれをながめていかないことにはいけないというので、これは許可制度にした。これはもう地方自治の精神に違反です。だから、これは「当分の間」と、こうなっておる。二百五十条をもう一ぺん読んでみましょうか。「普通地方公共団体は、地方債を起し並びに起債の方法、利率及び償還の方法を変更しようとするときは、当分の間、政令の定めるところにより、自治大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない。」この時期は、実は私は済んでおるという判断をしておる。もう済んでおる。特にことし自民党が、われわれの反対にもかかわらず大きな方向転換をされて、それでいけるんだ、国はもう国債を発行してもいいんだというふうになって、非常な開放経済、ことしは二千五、六百億赤字です。来年からは赤字じゃありません、建設公債です、こう言っているんですが、そういう時期、なぜ地方債をまだ「当分の間」という条文を取らないんですか。もう取っていただいていい時期じゃないか。機は熟しておる。そのことのために一国の事務の能率が幾らよくなるかしらぬし、一番喜ぶのは、永山さんも前にやっていらしてよくおわかりだと思うが、全国の市町村長及び各議会の議員諸公だと思うのです。こんな非能率なことはありません。どうですか。私は、これについて大臣の率直な見解を承りたい。
  137. 永山忠則

    永山国務大臣 現段階におきましては、やはり政府債等の絶対量が少ないのでございまして、地方が要望するだけ全部をまかないきれない。また、景気の安定成長の面から見ましても、政府の全体財政計画等もございますので、現段階においては、やはり資金の配分に対しまして、許可をせなければ公平なる配分が行なわれないというように考えるのでございます。
  138. 中井徳次郎

    ○中井分科員 どうもあなたのおっしゃることは一方的でよくわかりませんが、私は、何も許可制度を廃止しても自治省が世話をしてはいかぬなんというようなことを言っておるのじゃありません。大いに世話も願わねばならぬと思いますが、しかし、それが判を押さなければ地方債にならぬというのは、これはどういうことです。地方団体の赤字というのはどういうことです。
  139. 永山忠則

    永山国務大臣 地方団体の赤字は、歳入歳出の関係、これがアンバランスになる関係で起こるのであります。
  140. 中井徳次郎

    ○中井分科員 自治団体地方団体の赤字は二つあるのです。何も仕事をしないでも経常支出がふくれて、そうして赤字になる。これは実質上の赤字でしょう。しかしながら、こういう事態がある。たとえばAならAという県で五十億の国道工事が始まる。そういたしまして、四分の一地元負担というので、十二億五千万円はその県が負担をしよう、平衡交付税やら税財源やらいろいろなものを、また起債も認めてくれます。くれましても、結局十億くらいしか認めてくれないので、あとの二億五千万円というものは何とかしてけつをふかねばいかぬというので、起債には計上します。たとえば県の予算に五億円という起債を計上するが、政府は三億五千万円しか判を押さぬから、一億五千万円一時借り入れ金か何かでやって、それが赤字になる。これは赤字ですか、どうです。
  141. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 これはやはり法律上、現在の取扱いでは赤字ということになるわけであります。
  142. 中井徳次郎

    ○中井分科員 したがって、いま全国の赤字府県なというのは、赤字じゃないのです。それはただ政府が判を押さぬだけなんです。経済効果、経済的にいうと同じなんです。道府県知事が二十億の起債の予算を組んだら、十五億しか認めてくれなんだ、あとの五億はほっておいたら仕事ができぬから、神戸銀行から一時借り入れ金でやる、だから五億円の赤字。それはそれでは全く月給に出しているのか、人件費に出しているのか、飲み食いで使ってしまったのか、そうじゃない。ちゃんと橋になっているのだ。政府がことし建設公債だというのは、みんなそれでしょう。それをあなた方が全国集計して、地方自治体はことしは三百億の赤字だという。一体それはどういうことですか。赤字になった本人にしてみれば、自治大臣が赤字にしおった、判を押さぬので。そういうことをいつまでもやっておっていいのか。そこで、下の職員の皆さんが、その五億円の赤字を四億にしよう、三億にしようといって、東京に出張所を置いていろいろ情報を交換して、大騒ぎをしてむだ金を使っておる。私は、この起債の問題を「当分の間」というけれども、これがある限りは、陳情政治というものはやまないと思う。不必要な陳情政治です。しかも赤字だという。地方の自治体はこれでもってもう建設意欲がなくなる。特に貧乏県、鳥取県だとか、島根県だとか、九州の南のほうはそうです。仕事はしてほしいが、それの地元負担ができない。長期的観点をもってすれば、これを十年、二十年で償還をすればいい、この道こそいいというのだけれども、地元負担ができない、返上する。返上すると、建設省のほうからしかられる。そこで、もうこの次からは運動をやめておこう、返上したようなところは来年つけぬなんと言われたら困るから、こういうことになりまして、これは非常におかしな財政上の矛盾があると私は思う。こういう矛盾こそ、永山さん、あなたほんとうにそういうところから御苦労なすった方なんですから、これを解いてもらいたい。この二百五十条は早く撤廃をしてもらいたい。そう言うと、大蔵省が、資金操作がうまくいかないとか、ワクが少ないとか、必ずそういうことを言いますよ。しかし、そんなことは総体的に考えますと、たいした問題ではありません。もう少し地方自治体を信用してもらいたい。たくさんの地方自治体があります。それは中には一つ、二つ、これを撤廃しますと、一、二年の間行き過ぎるところもできてくるかもしれないと私は思います。しかし、それは純理論からいえば、それこそ住民が監視をしておるのですから、まずそれがチェックをする。次にそういう行き過ぎた自治体には、私は金融機関なんかすぐそっぽを向くと思います。東京まで来て自治省の廊下をうろうろして、そして一々判をもらって、それから仕事をやる、これが地方の事務を停滞していることはなはだしい。戦後二十年たった今日ですからね。もういまが私は絶好のチャンスだと思う。これをのがしますとしばらくまたできなくなるから、あえて私はこの質問をしておるのです。いかがですか、大臣。
  143. 永山忠則

    永山国務大臣 地方財政の健全化につきましては、今後さらに努力いたしたいと考えております。
  144. 中井徳次郎

    ○中井分科員 わかっておりますが、いまの二百五十条を改正するようにあなたは研究をなさる意思があるかどうか、その点。
  145. 永山忠則

    永山国務大臣 やはり自主財源の確立等と相まって、総合的に検討をいたすべきものであると考えております。
  146. 中井徳次郎

    ○中井分科員 それではもう一つ念を押しますが、「当分の間」というのは、一体どういう意味でありましょう。
  147. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 「当分の間」というのは、読んで字のごとく当分の間ということなんでございます。したがって、その幅につきましては、必ずしも一定した解釈はございません。しかし、るるお話がございましたようて、もう戦後相当たったのだからいいのじゃないか、こういうお話でございます。この規定は、資金の配分を公平に行き渡らすためにということであったのであります。したがって、一般財源を増強をしてまいりまして、それによって仕事ができるということでございますれば、お話のような方向に向いていくのでございます。しかしながら、残念ながら今日では中央の財源が十分でございませんで、地方債というような形でもって必要な仕事をやっていく財源を補てんしていかなければならぬというような事情でございます。かたがた、地方の資金量というものも十分ではございません。結局は、お話のようなことにいたしますれば、財政力のない団体は借りられないというような事態が起こるのであります。そういうことでございますので、今日なおこの規定は存在しておるのでございます。ただ、運用におきましては、お話のように、なるべくはやっかいな手続を省くようにということで、大体事業を大分けいたしまして、それをワクで地方に配る、そして許可手続なるものは法律上はございますから一応いたしますけれども、これはきわめて形式的なものになっておるという方向で始末をしていっておるわけでございます。ただ、おっしゃるように、縁故債等の問題になってまいりますれば、その辺のところの取り扱いは、現行制度がいいかといいますと、私どもも問題があると考えております。なお十分よく検討してまいりたい、かように考えます。
  148. 中井徳次郎

    ○中井分科員 いまのような答弁では、全く法のほんとうの精神をわかっておらぬし、あなた方がゆがめて解釈をしておる。このごろはもうせいぜい手続簡略のようにやるという。そんならなお二百五十条をやめたらいいです。しかも、大臣は地方財政が不健全だと言うが、冒頭私は聞いたじゃありませんか。地方財政の起債はあまりふえるといかぬ、いかぬということは、ここ十数年叫ばれておりながら、ことしあたりは地方財政の総計は四兆一千三百億、これは決算になると四兆五千億になるのですよ、決算のほうが多いのですから。その中でわずか一兆三千億だ。二十年で一兆三千億ですよ。だから一年五百億か六百億ですよ。そういう健全なことをこれまでやってきたのだ。そしてまだ許可だ、認可だといって、これでは国鉄が込むはずです。こういうものをいいかげんに改めないといけない。昔の地方官はこんなに東京へしげしげと来なかったはずです。いわんや、完全自治体になったのですから、なお来なくてもいいはずです。どうしてこういうことになるか。この最大の原因はこの二百五十条、私はこの点を強く指摘をして、大臣も十分検討してみるといまおっしゃったですから、ほんとうにこれはまじめに取り上げていただきたい。そして私は、ワクをはめるな、せめてワクをあとにしろと、こういうわけです。報告をとればいいのですから。政府とすれば、こういうものをチェックする方法はあとに幾らでもありますから、事前に許可をとるなどということは、ほんとうのことをいうと憲法違反です。そんなものは「当分の間」ということでのがれておりますけれども、ぜひ思い切って、これは自民党といえどもやってもらわなければどうもならぬ。  以上のことを申し上げまして、きょうはどうしても時間がありませんので、この続きは地方行政委員会に出まして、私は資料は何ぼでもありますから——地方自治体の赤字なんというのはちっとも赤字じゃないんです。判を押すか押さぬかということだけで違うというような、ばかげた、こういう財政機構というものをぶちこわしていかなければいかぬし、自治省だけならいいですよ。みんなすぐに帰りに大蔵省に寄っておる。そういうつまらぬこと、国家的に見た場合に実につまらぬことです。それは一部の人には重要かもしれませんけれども、市長や知事に聞いてごらんなさい。いい年をして、中井さん、私どもは大蔵省の係官に頼まんならぬのじゃ言うて泣いていますよ。それはあなたも御経験があると思うのですよ。ガンは三百五十条です。あと税金のことやら補助金の率、そんなものは、全国的なことですから、一年一回大いに議論をしてやられたらよろしい。このことを申し上げて、私の質問を終わります。
  149. 大橋武夫

  150. 山下榮二

    山下分科員 時間が相当制限されておるようでございますから、私は、一事にしぼって実は質問を申し上げてみたいと思うのであります。  一つは、選挙法に関係する問題であります。もう一つは、地方公営企業に関する問題であります。この二つのことについてお尋ねをいたしたいと思うのです。  まず最初大臣に伺いたいと思うのは、選挙法の改正の問題であります。最近行なわれている衆議院あるいは参議院の選挙等を考えてみますると、高級公務員の立候補が非常に目立っておるのであります。目立っておるのみならず、これの選挙違反事件は他の候補者と比較にならないほど多いのであります。そのよってきたるところの原因を大臣は一体どこにあるとお考えになっておるか、大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。
  151. 永山忠則

    永山国務大臣 ちょっとお問い合わせの趣旨が十分頭に入らなかったのでございますが、もし間違っておりましたら、あとからまた御質疑をいただくことにいたしまして、私の聞きましたのは、公務員の地位利用、特に高級公務員の地位利用が非常に多いが、この原因はどうかというように聞き及んだのでございますが、そういうような状態にならないことを深く期待をし、今後も努力をいたしたいと考えております。
  152. 山下榮二

    山下分科員 もちろん、大臣の言われるように、かかることがあってはならぬことは当然のことであります。たとえば、建設省関係の高級公務員にいたしましても、あるいは専売公社あるいは厚生省関係等々を拾い上げてまいりますると、相当たくさんの数にのぼっておることは御承知であろうと思うのであります。かような観点からいたしますると、これは在職中に、地方自治体あるいは地方にそれぞれいろいろな便宜をはかり、いろいろな関係等がからんで選挙違反事件と相結びついてまいる、こういう例が少なくないのであります。したがいまして、大臣は、高級公務員の立候補を制限するという制度、法律上の改正のお考えはないであろうか。これは、ただ単に小手先のことだけで問題を解決しようといたしましても、なかなか解決する問題ではないと思うのであります。たとえば、高級公務員の退職後二カ年間は立候補することはできないとか、何らかの規制を設けて、これらの浄化の道に当たることが適当ではないかと思うのですが、大臣はいかようにお考えですか。
  153. 永山忠則

    永山国務大臣 本件につきましては、選挙制度審議会におきましては、さらにひとつ十分検討していただきますようにお願いをいたしておりますので、その答申をまちまして、また、議会側とよく相談して進めたいと考えております。
  154. 山下榮二

    山下分科員 そうおっしゃるであろうと私は想像いたしておったのであります。選挙制度審議会のほうでも議論になっておることはもちろんであります。しかるに、高級公務員の立候補制限等については、もう長年の問題であります。政府みずからがこの問題に真剣に取り組まなければならぬ問題であると私は思うのであります。  もう一つ申し上げて、伺ってみたいと思うのは、地方の首長であります。知事、市長、こういう方々が三期も四期も連続して知事、市長をおやりになることが政治上プラスになるとお考えになっておりますか、弊害があるとお考えになっておりますか、大臣の所見を伺いたいと思います。
  155. 永山忠則

    永山国務大臣 この問題は、選挙民の意思によって決定さるべきものであると考えております。
  156. 山下榮二

    山下分科員 投票でありますから、選挙民の意思で決定することは当然であります。しかし、その長期にわたる知事、市長というものが、行政の運営上弊害があるとお考えになるか、弊害がないとお考えになるかという点であります。
  157. 永山忠則

    永山国務大臣 選挙民の良識にまってすべてが解決される問題だと考えております。
  158. 山下榮二

    山下分科員 どうも私の質問がおわかりにならぬと思いますが、選挙民の良識というのは、選挙民が投票することでありまして、私は、知事、市長自身のことを聞いておるのであります。その行政の責任者たる人が長きにわたって知事、市長をやると、弊害があるのかないのか、これは一体どう御判断になりますか、こう伺っておるのであります。
  159. 永山忠則

    永山国務大臣 それらは、すべて地方選挙民が自主的に判断をしてきめることではないか、こう考えておるわけであります。
  160. 山下榮二

    山下分科員 首長を決定するのは、あなたのおっしゃるとおりであります。それでは、私は具体的に伺いたいと思うのでありますが、今度新潟県の知事がおやめにならなければならぬという事情は、一体どういうところにあるのか、これはよく御承知であろうと思うのであります。その他、地方市町村では、それぞれその市町村長が長きにわたって行政を担当しておる関係からいろいろな弊害が出てきておることも、自治省としては御承知であろうと思うのであります。こういう観点からいたしまして、あるいは、アメリカ等においては、大統領の三期立候補禁止の規定等があるのではないかと思うのであります。議員ならばいざ知らず、行政の責任者、行政の長というものの責任はきわめて重いのであります。また、その仕事が住民に及ぼす影響はきわめて重大であります。こういう観点から考えて、一体大臣はいかようにお考えになっておりますかということを伺いたい。
  161. 永山忠則

    永山国務大臣 長期にわたって国民の信頼を欠く政治をいたします際には、国民みずからがこれを排除するという結果になると考えております。
  162. 山下榮二

    山下分科員 押し問答みたいな調子で、もう一つ要領を得ませんから、いずれこれは公職選挙法改正特別委員会その他でお伺いをすることにいたしたいと存じます。  時間もたいしてないようでありますから、私は次の公営企業の問題に移りたいと思うのですが、ただ、最後に、いま選挙制度審議会で選挙区制の問題について審議が重ねられておることは御無知のとおりであります。二、三日前の審議会の委員会におきましてもとかくの議論が出てまいったのでありますが、どうも、もう一つ政府の腹がぐらついてきたのではないかという意見も出てまいりました。総理の考え方が変わってきたんじゃないかという意見も出てまいりました。しかるに、前前回、自治大臣が委員会に見えて、総理とも相談をしてまいりまして、答申は尊重して、これをぜひ実現したいと存じます、こういうごあいさつを伺ったのですが、これは、政府はどこまでも小選挙区制というものをこの際行ないたいというお考えを貫いておられるのであるかどうか、あるいは、野党各派が全面的にこれに反対をしているから、これはやはり調和のとれた制度を推進していかなければならぬから、必ずしも一方的に自民党だけで押し切っていくという強い考え方はない、こういうふうにお考えになっておるのであるか、その辺のところを伺いたいと思うのであります。
  163. 永山忠則

    永山国務大臣 答申を尊重いたしまして、議会側の意見を十分取り入れて進みたいと考えておる次第でございます。
  164. 山下榮二

    山下分科員 もちろんそうお答えにならなければならぬはずだと思うのです。ところが、議会のほうでは、内閣も与党も多少ぐらついてきたというところに非常な不安感を持っておることは、御承知のとおりであろうと思うのであります。したがいまして、今後の審議会の進め方というものに一つの暗い影を投げかけている、私はこう想像いたすのであります。かように考えますると、私は、いま大臣が答申を尊重いたします、こうおっしゃいましたが、答申は尊重されなければならぬことは当然のことだと思うのでございます。しかるに、審議会自身が、自信と確信を持って答申し得る決意が少し欠除してまいったんじゃないか、こういうことを、いま審議会に出ておって私は感じ得られるのであります。それはどこに罪があるのかと申しますると、政府あるいは与党にその罪がある、私はこう考えておるのであります。また一面、この考え方は、政治というものは、やはり妥協であり、一方的に与党だけで先走りをすることはできない、与野党の考え方、与野党と話し合いをしてものごとをまとめていきたい、この考え方の上に立っていかれるならば、私は、政治の正しいあり方の道を進もうとお考えになっておるんだ、こう判断をするのですが、一体、その辺のことはどうお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  165. 永山忠則

    永山国務大臣 審議会の委員の方は日本的権威の皆さんでございますので、その答申を尊重をいたして政府はやる考えでございます。これが実現にあたりましては、十分議会側の各派の意見等を取り入れまして、そして、よく相談の上で実現を期したいというように考えておる次第でございます。
  166. 山下榮二

    山下分科員 それじゃ、選挙法の問題はそれぐらいにしまして、まだ他に機会もございますから、いずれまた質問を申し上げたり、御意見を申し上げたりする機会を得たい、こう考えております。  次にお伺いいたしたいと思うことは、地方公営企業の問題であります。地方公営企業に対しましては、地方公営企業の改善に関する諮問委員会である地方公営企業制度調査会というものができまして、いろいろ諮問をされて、その答申が出ておることは大臣御承知だと思うのであります。これに基づいて私は二、三お伺いをいたしたいと存じます。  まず第一に伺いたいと思うのは、昨年の十月、地方公営企業の改善に関し地方公営企業制度調査会が答申いたしましたが、政府は、地方公営企業について、その本来の使命である基本的な性格をどうお考えになっておりますか、私は大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。
  167. 永山忠則

    永山国務大臣 答申の線を尊重いたしまして、公益性と受益者負担による独立採算性との総合調和をとって進んでいくようにいたしたいと考えております。
  168. 山下榮二

    山下分科員 公営企業というものは、御承知ごとく、公益性、公共性というものがやはり一番重要でなければならぬと私は考えておるのであります。したがいまして、政府もさようにお考えになっていることは、これは論をまたないのであります。したがって、最近の地方公営企業の経営は極度に悪化してまいっておりますが、その経営の基本として、いま大臣のおっしゃった独立採算性に徹するか、それとも公益性、公共性というものにその中心を置くかということが、私は公営企業というもののきわめて重要なポイントではないかと思っておるのであります。したがいまして、公益性を重視されるのであるならば、政府は積極的にもっと公営企業というものに対して指導と援助の方策を立てられなければならぬと考えておるのであります。もし、私が申し上げるように、公益性、公共性が公営企業のいわゆる重点である、かようにお考えになるのであるならば、その指導とその援助というものを、どういう方法で、いかなる考え方で行なおうと考えていらっしゃるか、その辺を伺いたいと思うのであります。
  169. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 多少こまかい問題も入ってまいりますので、私からお答え申し上げます。  公益性に重点を置く、あるいは経済性に重点を置くという問題は、これは幾ら議論をいたしましても議論が尽きない問題であろうと思うのでございまして、この答申におきましても、公共性と経済性との調和をどうするか、こういう考え方に立って答申が行なわれております。企業によりましては、公共性が全然ない企業はございませんけれども、要するに、経済性というものを中心に考えていいものもございましょうし、それから公共性というものにある程度ウエートを置いて考えなければならぬものもあるわけでございます。地方公営企業法におきましては、公共性というものにある程度のウエートを置いたものをとらまえまして、これを公営企業として、これに地方公営企業法という特殊の法制を適用する、こういうたてまえをとっていくべきものだろうというように思うのでございます。この答申にございますように、その両方の調和というものは、公営企業といいましても、一般会計にまかすべきものもあれば、一般会計でない、全く受益者の負担において支弁すべきものもある。したがって、まずどの経費というものは一般会計、つまり、税金負担すべきものという経費をはっきりしろ、残されたものは公営企業会計において、すべてこれ受益者負担の原則に帰れ、こう書いてあるわけでございます。一例をあげますれば、たとえば、地下鉄というものを問題にいたしますれば、地下鉄というものの考え方について、すべてのものを受益者負担によって律するということは、今日の都市交通という観点からいいか悪いか。そこで、この答申では、地下鉄の地下道をつくる部分については、やはりこれは地下の道という考え方をとれ、こういう考え方を述べております。また、水道というようなことになってまいりますれば、これは大体受益者負担の原則に徹底をすべきものじゃなかろうか、こういうような考え方であります。したがって、私どもといたしましては、従来はその辺が不明確でございましたので、この答申を受けまして、一般会計との負担を明確にいたしまして、一般会計で持つべきものとされたものにつきましては、財政計画上も必要な措置を講じ、必要な財源措置をするというたてまえを明確にする、そのかわり公営企業会計の負担すべきものとされたものにつきましては、独立採算に徹底する、こういう考え方をとってまいりたい、かように考えております。
  170. 山下榮二

    山下分科員 そうすると、公営企業に二つのいわゆるものの考え方がある、こういうことになると考えていいわけですか。  そこで、時間がありませんから、私は質問をしたいことだけを申し上げて、あとでまとめて答弁を願いたいと思うのであります。  政府並びに自治省のほうでは、全国各地の地方公営企業の経営の実態、経理の実態を、全部いかように把握されているかという問題を一つ聞きたい。  その次には、黒字を出している、好成績をあげている例があれば、それを示してもらいたい。その黒字となっている経営上の理由、原因というものは、どういうわけで経営が黒字になっているか、こういうことを全国的に把握されておるでありましょうから、おわかりであろうと思うのであります。それをお知らせを願いたい、こういうのが一つ。  さらに次には、赤字を出している企業について、年度ごとの赤字の額を知りたい。公営企業の種類別、たとえば、水道、市バス、市電、都電などについて見ると、どの種の公営企業に赤字が多いのか、また、その赤子の原因は一体どこに起因するのか、これを、もちろん自治省のほうではおわかりになっているでございましょうから、お知らせが願いたい、こう考えておるのであります。さらに経営の悪化に対して、政府は、どこまで、どんな対策を講じようとしておられるか、今後この対策をどう講じられるつもりであるか、それを伺いたい。  もう一つは、地方公営企業制度調査会の答申によりますると、独立採算制の強化、徹底がうたわれてはおるのでありますが、独立採算制ということは、これは値上げを助長する結果になるのではないかということをおそれるのであります。ここで私は、企画庁の方もおいでになっているから、企画庁のほうにも伺いたいと思うのですが、この答申案どおりに独立採算制ということでいこうとすると、値上げということを助長する結果におちいってまいるのじゃないかということを非常におそれるのであります。  最後に、一番聞きたいと思うことは、地方公営企業の経営の合理化あるいは能率の増進のため、政府はどう指導されるつもりでおられるか、それも伺いたい。合理化、能率化向上のため、地方議会の監督もさることながら、私は、地方住民あるいは受益者等を中心といたしまして、公営企業能率検査委員会のような監査機関を設けて、料金の改定の際とか、あるいはいろいろな住民の意見をこの公営企業の経営に反映せしめる方策をとる、こういうようなことを考えることもきわめて必要なことではないか、こういうことを考えておるのであります。  二時という時間でありますから、私はえらく羅列的に読み上げまして恐縮でございますけれども、こういう点について、ひとつ当局のお考えを伺いたい、こう思っておるのであります。
  171. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 たくさん質問がございまして、多少お答えが前後するかもいたしませんが、簡単にお答えを申し上げます。  公営企業の赤字の実態でございますが、ここ四、五年の間に非常に悪くなってきておりまして、昭和三十五年ごろには六十一億円ぐらいの累積赤字でございましたが、それが三十九年度決算では六百五十八億円、約六百六十億円になっております。何が一番ひどいかといいますと、交通事業が一番ひどうございます。交通事業につきましては、たとえば、バス事業で言いますと、三十八事業が赤字で、十事業が黒字であります。それから路面電車につきましては、黒字事業は一事業で、あとは全部赤字であります。地下鉄はこれまた全部大体赤字、しかし、この中でも黒字経営の事業もあるわけでございまして、先ほど黒字事業はどうなっているかというお話でございましたけれども、御承知の札幌市の経営いたします交通事業は、軒並み赤字の中で唯一の黒字であります。これはどういうことに原因があるかといいますと、職員構成が非常に若い、したがって、交通事業につきましては、労務管理が非常に重要でありまして、ほとんどが人件費でありますけれども、この人件費率が非常に低いわけでございます。それから、交通機関といたしましては、あの都市ではまだ東京のように混雑をいたしておりません。路面電車としても運行価値が十分ある、こういった問題が常に好条件として働いておるというように思われます。  水道等につきましては、水道事業も、最近は悪くなっておりまして、昭和三十九年度決算では、累積赤字額は百三十七億円でありますけれども、その大部分は東京の水道であります。四十年度に入りましてから、料金の手直し等をやりまして、大体水道料金の赤字というものは、東京都等、大きな都市などを除きますれば、収支は若干よくなっておりはせぬかというように考えるのであります。要するに、これらの赤字というものは、いろいろ考えてまいりますと、その企業それぞれの置かれた状況によって違うのでございますけれども、ごく大ざっぱに申し上げますと、最近、やはり原価が上がってきておる。水道で言いますならば、動力でございますとか、あるいは人件費、こういった問題が上がってきておるにかかわりませず、料金のほうにつきましては非常に上げにくい事情がある。この中には公共料金ストップ令というものも一つかみ合うわけでございますけれども、それやこれやの事情で、費用と収入というもののバランスがくずれてきているというところにあるわけでございます。また、企業内部において経営の合理化をやっておる団体もあるわけでございますけれども、団体によりましては、その経営の合理化というものが不徹底であるということにも基因するわけでございます。これにはやはり法制上の問題もからむわけでございます。私どもといたしましては、そういうような問題は、事こまかに公営企業制度調査会の答申の中に書かれておりますので、したがって、その趣旨を尊重いたしまして、地方公営企業法の改正を考えておるわけでございます。大かたの企図といたしましては、将来赤字が出ないような措置をいろいろ考えるとともに、すでに生じました赤字については、債券措置を講じまして、短期の赤字を長期の安定債務に振りかえる、それについて利子補給を行なう、こういうことで計画的に消してまいりたい、こういうやり方であります。  それから、料金でございますけれども、料金につきましては、東京都の水道料金の一例を見てもおわかりかと思いますけれども、私どもは、料金というものはそう簡単に地方で上げ下げできるものではない、なかなか抵抗がありまして、特に住民に近づけば近づくほどこういうものはむずかしい問題だと考えます。むしろ、住民から遠い中央でぱっとやるほうがはるかにやりやすいのでありまして、住民に近づいている市町村にいけばいくほど、料金というものはそう簡単に上げられるものではないのであります。事実、あれほど経営が苦しくなっても、料金というものは、水道料金等をつかまえましても、なかなか思うように上げられないというのが実情であります。しかしながら、何も好きこのんで料金を上げるのではございませんで、私どもといたしましては、経営の合理化を徹底をして、極力その内部で利益その他を生み出していく、そしてそれを料金にはね返すことは絶対避けねばならない、こういうことは言っております。しかし、適正原価を償うに足らないということになってまいりますれば、最小限度の料金の改定もやむを得ない、こういう態度をとっておるわけでございます。  それから、経営委員会の問題でございますけれども、そういう意見はございました。調査会にもございましたし、また私どもの内部にもないことはございませんけれども、やはり経営の基本的な問題は、住民の代表でありますところの議会で議論をすべきものであります。個々のものに議会があまりタッチをいたしますると、かえって経営の合理化を害するというようなこともあるかもしれませんけれども、やはり、基本の問題というものは、住民の代表であるところの議会でなすべきであって、それにかてて加えて経営委員会というものが加わったらいかがなものであろうかというように考えている次第でございます。
  172. 山下榮二

    山下分科員 いまおっしゃるとおりであると思うのですが、地方議会だけでは、御承知ごとく、なかなか料金問題等の解決は困難な場合が多いのであります。また、地方議会といえども、あるいは公聴会を開き住民の意見を聞いて、いろいろ善処する場合もあろうと思います。しかし、私は、こういう公益企業、公共事業、こういう特殊なものに対しましては、議会というもののほかに、いま申し上げたような受益者代表あるいは第三者、学識経験者等の人たちによってものを相談をされていかれる、こういうこともきわめて合理的な考え方ではないか、こう考えておるのであります。これもあわせて今後自治省のほうでもとくと御研究を願いたいという要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  173. 大橋武夫

  174. 渡海元三郎

    ○渡海分科員 本日、はからずも、いま問題になっております固定資産税の問題で、与党の立場から奥野議員より、また野党の立場から安井議員より、それぞれうんちくを傾けられ、傾聴に値する議論が戦わされました。私は、これを聞いておりまして、いよいよこの内容は重大である、したがって慎重審議すべきものである、そのためには一日も早く本来の委員会において政府の提案を待って審議せなければならない問題であるという感を深くいたしたのであります。ところが、残念ながら目下この問題は提案の前にとまっておるというのが実情であります。三年間に法律の期限がなっておるのを、その期限内になすこの変更は非常に重大なる問題であります。重大問題であるがゆえに、政府も慎重に——昭和三十九年度、一年前の税制調査会におきましてもすでにこの問題に対する見解が答申として出ておる。しかも、四十年度の答申においても税制調査会からも出ておる。こういった慎重な過程を踏まれまして、三年という期限を期限内の二年にしぼってこれを変更される。そうして提案しようというために、このような慎重な態度がとられたのじゃないかと思う。私は、法律できめられたことを法律で変更するという立場からいえば、政府の提案権、私たちの審議権、それぞれ両立するものでございまして、公約違反でもない、一日も早くこれは軌道に乗せて当該委員会において慎重審議さるべき問題である、この感を本日の議論を通じていよいよ深くしたような次第でございます。この意味からも一日も早く本法案が提案されますよう強く要望いたしまして、私は、時間の関係もございますので、本日はこの問題には触れず、ただこの要望だけをいたしておきたいと思います。  ただ、一点私はお聞きしておきたいと思うのでありますが、昨年新産並びに工特地区に対しまして、これらの整備事業に対する財政上のかさ上げをする法案が成立いたしました。四十年度一年間この法律が施行されてまいったのでございますが、四十年度において、この法律に基づいて数字的にもいかなる措置がなされましたか。また、この実績に基づきまして、あるいは府県に対しての起債の配分、またこれに対する利子補給、町村に対しては補助のかさ上げ、こういった措置がなされたと思いますが、それぞれの実績、並びに四十一年度この実績に基づいていかに取り組んでおられますか、これに対する予算措置等を御説明賜わりたいと存じます。
  175. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 四十年度の府県に対しまする特別調整の起債は、現在最終段階で調整をいたしておりますけれども、大体新産分が四十二億円、工特分が十五億円、五十七億円程度になる見込みであります。四十一年度におきましても、一応は去年と同じ計画上は四十億を予定いたしておりますけれども、事業内容によりましてはこれは動いてまいります。大体事業の行き方がおそらくは本年度よりか多くなるだろうというように予定をしておるわけでありますけれども、こうなりますと、この金額はやはりもっとふえるだろうというように考えております。したがって、四十年度の起債に対しまする利子補給は約一千万円程度でございます。予算上は、昭和四十一年度の予算におきましては二億四千七百万円の利子補給額を計上いたしておりまして、四十年度発行分と四十一年度発行分とをあわせて計上いたしております。  それからまた、市町村に対する負担割合のかさ上げ額でありますが、これも最終段階の計算をいたさせておりますけれども、大体十三億ぐらいと推定されます。つまり四十一年度において精算交付される分であります。これは当初私どもはもっとある程度予定しておったのでございますけれども、新産、工特地区の事業がいろんな都合でおくれておりまして、昭和四十年度におきましては思ったほど公共投資の集中がなかった。したがって、補助のかさ上げ部分につきましても、金額的には当初の予定よりか下回っているような次第でございます。したがいまして、私どもは、経済企画庁当局ともお話をいたしまして、せっかくの法の趣旨でございますので、なるべくはその地区への公共投資。集中ということを、四十一年度におきましては大いにその方向で努力してまいらなければならぬ、こういうことで働きかけておるような次第でございます。
  176. 渡海元三郎

    ○渡海分科員 事業の集中が思ったよりもなかったということを言われましたが、集中しておる事業でも、その中から抜かれておるために、補助の対象になる金額が上がってこないということもまた考えられるのじゃないかと思います。あの法律が通りましたときにつけられました附帯決議の中にも、港湾その他の公共事業等で、市町村負担金になっている分がこれだけ入っていない、当然この中へ入れてやるべきじゃないかということの附帯決議がついておりますが、これらに対しまして、いかなるこの附帯決議に対する方途が考えられましたか、ひとつこの機会に承りたい。
  177. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 お話しのように、府県事業に対しまする負担金につきましては、あの法律では補助金のかさ上げの対象にはなっておりません。これは国庫補助事業に対しまする地方負担分ということでございまするので、考え方といたしましては、やはり府県営事業でございますれば、府県営事業負担分というのは府県が負担すべきものだ、それを市町村にさらに負担せしめるということは、負担区分からいいましても必ずしも適当ではなかろう。私どもは、したがいまして、昭和四十一年度からは、むしろそういった事業につきましては府県が全部負担する形にしたらいいじゃないか、そうすれば地方全体としては助かるのではなかろうか、こういう考え方で、府県と市町村との財源ごと負担を移しまして、そして、府県は起債でございますけれども、これに利子補給を受けて、その元利償還金は基準財政需要額の中へ織り込んでいく。これはもちろん包括的な織り込み方でございますけれども、そういう形でこの問題を解決したい、かように考えておるわけでございまして、国会に提出いたしておりまする交付税関係改正法案の中にその改正規定を入れておるような次第でございます。
  178. 渡海元三郎

    ○渡海分科員 港湾につきましては、措置されましたので安心いたしました。その他の事業につきましても、できるだけこの集中の中に入れられますように今後ともに努力を重ねていただきたいと思います。  なお、公共事業に対する需要よりも、むしろ起債対象にならない、公共事業にもならない、しかしながら将来の都市計画から考えましたら、いま大都市が悩んでおります過密都市ということがもう目に見えておる、このためには、起債対象にならないが、先行取得として土地を取っておかなければならぬ。これに対する財源措置が全然ない。いま一番困っておるのはこういったことじゃないかと思うのでございます。今回とられました固定資産税ごときも、こういった意味から、三年の期限があるのに、やむにやまれず二年にしなければならぬという事情は、また一つの問題じゃないかと思います。これを解決する一つの方策としまして、これまた、先般の法案通過の際にも起債のワクを広げろというふうな附帯決議がついておったと思いますが、これに対する措置はいかになされましたか、承りたい。
  179. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 私どもも、お話しの点につきましては全く同感でございまして、今回の予算の折衝の際におきましても、公営企業金融公庫の資金を拡大して、道路等公共用地の先行取得についても資金手当てをしたい、かように考えておったわけでございますけれども、いろいろな事情がございまして、今回は、残念でございますけれども実現までに至らなかったのでございます。しかし、また一方、過密都市問題につきましては、都市開発基金というような制度が新たに設けられたわけでございますけれども、それとの関連を十分に考えながら、実行上はワク外資金でもってそういう先行取得の必要需要を満たしていくという措置をとることにいたしまして、実際の需要に沿っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  180. 渡海元三郎

    ○渡海分科員 このたび政府が出しておられまする予算の中で、これと同じような意味で、これはおそらく大都市に対してとられた措置だと思いますが、建設省から特別会計として都市開発基金というものが出され、十五億の措置がされておりますが、ただいま言われました先行投資に対するワク外債の措置と、この都市開発基金と申しますか、それとの取り扱い等の関連につきましていかような状態になりますか、御答弁を賜わりたいと思います。
  181. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 十五億円の都市開発基金は、首都圏、近畿圏の工場制限区域内の工場あと地等の買い上げ、人口急増都市の主要公共施設で、都市計画として決定された区域の中の土地の買い上げ、こういうものに充てるということになっておるわけでございます。しかし、これだけでは、新産、工特地区の開発というものを考えてまいりますと、決して十分とは言えないのであります。しかし、これはこれでまた必要度があるのでありましょうし、しかし、それでまた満たされない部分もあるわけでございますから、そういうようなたくさんの資金の使途があっても少しもおかしくない。四十一年度におきましては、とりあえずこれに限らず、これとの関連をつけつつ一般的に広く、こういう先行取得というものを、縁故資金を中心にして実行していきたいというように考えておるわけでございますけれども、なおもう少し視野を広めて、将来は、やはりこういう先行取得についての資金手当ての制度というものを、都市開発基金との関連をつけながら別途に考えていく必要があるだろうというように考えておる次第でございます。
  182. 渡海元三郎

    ○渡海分科員 都市開発基金は、主として近畿圏あるいは首都圏に対する措置として先行取得の場合を考えておる、こういうようなお話でございましたが、私は、都市開発基金だけでは、近畿圏、首都圏の問題は解決しないのじゃないかと思う。事情は異なりますが、首都圏並びに近畿圏につきましても、整備事業につきましては、あるいは都市計画事業、あるいは公共事業に対しましては、新産並びに工特地域に対しまして昨年とられましたような措置が、当然行なわれなければならないのが今日の状態でないかと思う。この点、政府のほうにおきましても、今回の国会におきまして法を改正されて、それらに対する措置も出されるという予定であると聞いておりますが、いまどの程度に進んでおりますか、具体的内容についてお聞かせ願いたいと思います。
  183. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 お話しのように、予算の折衝の過程におきましてこの問題が論議をされました。そして、財政援助措置を含む立法措置を今国会において行なうというように、関係省庁の間ではなっておるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、大体考え方といたしまして、首都圏、近畿圏の都市開発地域と工特地域というものの相似性を考えまして、大体は、新産、工特地域の財政援助法というものをこれに準用するという原則に立って一案を考えておるわけでございます。けれども、これは関係省庁のほうで異論もございますので、目下関係省庁と、私どものそういう試案を中心にして結論を見出すべく折衝中でございます。
  184. 渡海元三郎

    ○渡海分科員 ただいままだ関係省庁と打ち合わせ中ということでございましたが、最も強い関係省庁は大蔵省と思いますが、大蔵省の本問題に対する考え方につきまして、ひとつ御説明を賜わりたいと思います。
  185. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま財政局長から御答弁がありましたように、首都圏、近畿圏の財政援助措置について自治省から試案を示されまして、首都圏、近畿圏の意見も聞きながら目下検討中でございます。ただいま問題になっておりますのは、首都圏、近畿圏というものと、それから新産、工特地域というものとの類似性と、違った点、どういう特色があって、それにどういう重点を置くべきか、特に近郊整備地域というような首都圏、近畿圏にのみあって新産地域にないようなものについて、どういうふうに扱ったらいいのかというような点について目下鋭意検討中でございまして、至急詰める予定になっております。
  186. 渡海元三郎

    ○渡海分科員 これまた一日も早き提案を要望いたしましてこの質問を終わりたいと思いますが、最後に、ただ一つお聞きいたしたいのは、本年度の国の予算は非常に大型予算、公債政策を導入された画期的な予算であります。公共事業を起こしまして景気を刺激するという方針をとられておりますが、この一翼をになうのは地方自治体ではなかろうかと思うのです。したがって、地方財政計画の中にはこれに相当する公共事業の増大というものが入らなければならないと思いますが、これが数字の上にどのような形であらわれておりますか、御説明賜わりたいと思います。
  187. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 財政計画の中では、投資的経費は一兆五千七百二十八億円でありまして、前年に比べまして二十五億八千七百万円の増加、一九・七%の増でございます。このうち最も著しいのは、公共事業の中の災害復旧事業で、三三・六%の増でございます。この財政計画を受けまして、これを交付税なり地方債でもって措置をしていくわけでございますけれども、ことしのこの財源手当ての増加部分というものが、ほとんど地方債の増加でもってまかなわれるということになるわけでございますので、従来の交付税計算に相当大きな変容が出てまいります。したがいまして、なるべくその変容によって受けますところの地方財政への変動を避けますために、主として府県の公共事業費につきまして、単位費用と地方債との入れかえを行なっております。若干、非常に異例の措置でございますので、昭和四十一年度限りの特例措置といたしまして、特別の単位費用を組み直して措置をする、こういう考えでございます。また、実際にその措置をいたしましたあとにおきましても、現実の府県財政に困難が起こりますと非常に困るものでございますので、これを避けますために、従来と違いまして、公共事業の配分、それから交付税の計算、起債の配分等につきましては、もっと慎重に地方財政実態を見詰めながら措置してまいりたい、こういうつもりでおる次第でございます。
  188. 渡海元三郎

    ○渡海分科員 ぼう大になりました地方公共事業に、交付税の単位費用を落として、これをもっぱらその財源として起債に充てるということでございまして、この財政の是否論は、いずれ地方行政委員会において詳しく聞かしていただきたいと思いますので、本日はこれを避けたいと思いますが、ただ一点、公共事業をやるといたしましても先立つものは金でございまして、地方の財政にそれだけのゆとりがなかったなればできない。したがって、起債はやるのでございますが、これを上半期に集中するということも言っておられますが、このための資金繰りというものを相当考えられぬことには——この間も知事会議をやられたのはそのためじゃないかと思いますが、これはいかなる措置をとられたかお聞かせを願いまして、本日の質問を終わりたいと思います。
  189. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 お話しのように、景気を浮揚いたしますために、公共投資を上期に集中いたさなければなりません。したがいまして、先般、知事会議が開かれまして、その席で総理並びに関係の大臣からそれぞれ要請がございました。それと同時に、事務的には大蔵大臣が本部長になっておられます推進本部を中央につくりまして、自治省の中におきましても自治大臣が長になられまして、関係地方団体と学識経験者を集めました推進本部をつくっております。そこで早く補助負担金の個所づけをやる。それをやりますと同時に、地方債のワクを早く配る。それから交付税は、もちろん四月に概算交付されるわけでございますけれども、資金繰り等につきましても、大蔵省その他の政府資金当局に援助を依頼する。一方、それだけでは足りぬ場合もございますので、それぞれの府県では、民間業者、民間の金融関係者を含めましてそれぞれ懇談会をつくっていただいておる。そして資金的な援助を与える。そして早く補助指令を流し、早くその分に着手する、こういう体制をとったのでございます。問題は、これからどのような形でこれが進められていくかということでございますので、ただ現在は体制をとったのでございまして、作業が、予定に応じて予定どおりに進むか進まぬか、これからでありまして、それぞれ関係方面と密接な連絡をとりながら事務を進めてまいりたい。そうして当初意図いたしましたとおりの成果をあげたい、こういうことで事務的には努力してまいりたい、かように考えておりますが、すべては今後の問題でございます。
  190. 渡海元三郎

    ○渡海分科員 ただいまのような体制のもとに早く個所づけをやる、それについての補助決定あるいは起債決定をやる。しかし、いまの公共事業の裏づけであるところの財源というものは起債になり、しかもその起債は特別債であって、それは縁故債ということになりましたら、この資金の縁故の起債におけるところの各地方の努力というものが相当必要になってくるのじゃなかろうかと思います。そういった機関のつくられた中におきまして、国の公債の発行等ともあわせまして、こういった地方の努力が円滑に実行に移せますよう、そういう機関においてこの点につきましても特に御配慮賜わりますよう要望いたしまして、私の本日の質問を終わりたいと思います。
  191. 赤澤正道

    赤澤分科員 関連。一日に固定資産税の扱いについて三党の書記長、幹事長会談をやって、何か妥協案を出すのかどういうことになるのか知りませんけれども、いまは当予算委員会の問題ではなくなっておる。そこで、ずっとこの予算委員会が始まって以来の質疑の経過を見ますと、言うまでもなく、野党の攻勢で政府がずっと押えられている感じがする。発言の機会が十分に与えられておらない。そこで、私も増税などということについてその援護射撃みたいな質疑を好んでやるわけではないけれども、しかし、今日の地方財政の実情というものを考えますと、決してこれは等閑に付されぬ問題である。そこで私は、財政局長税務局長と、最後に大臣に一言ずつ答えていただきたい問題がある。今日、地方財政がここまで窮迫しておるのですよ。その財源措置について、この固定資産税の改定を、新しい法律を出しますについても、その予算獲得の上で、大蔵省といろいろな折衝の過程で生まれた自治省の一つの謀略だという、こういう風説も流れている。私はそういうことはないと信じますが、そういうことが廊下では言われておるわけなんです。やはりこの固定資産税を改定して、そうしてこの程度の増税が将来に向かって絶対に必要なんだ、特に地方団体、市町村等が長期計画を立てます上において絶対に必要なんだという衷情を、ひとつ全国の市町村長にかわって財政局長から述べていただきたい。それが反映しますよ、一日の会議に。
  192. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 予算折衝の過程におきまして、積算的にと申しますと語弊がありますが、一つの手段としてこの問題を扱っていくというようなことは全然ございません。私どもが今日の地方財政を見てまいりますと、一番困っておるのは都市の財政である。最近におきます決算の傾向を見てまいりますと、赤字というものは都市において著しい。しかも、それは古い都市において著しい。その最も極端な例は東京と大阪の例でありまして、東京と大阪とを合わせまして、赤字額は百五十億であります。それは全地方団体の赤字の半分であります。したがって、都市財源をどのようにして強化していくかということがやはり一番大事な問題であるわけでございますが、財政的にいいますならば、都市財源中心住民税固定資産税であります。この住民税固定資産税財源の弾力性を置くことになって、今日の地方財政の仕組みができておる。にもかかわらず、住民税につきましては弾力性がありますけれども、固定資産税につきましては弾力性が押えられてきたわけであります。したがいまして、都市財政という立場から言いますならば、一日も早くこの失われた弾力性というものが回復することを念願するのは、これは地方税財政を担当する者としては当然の念願でございます。それを税制調査会でもお取り上げになって、ああいう答申が出る運びになったのだろうと私どもは推定しておるわけでございます。
  193. 赤澤正道

    赤澤分科員 大蔵省の主計官、あなたは地方行政担当ですか。
  194. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 そうです。
  195. 赤澤正道

    赤澤分科員 この問題がうまくいかなくて歳入欠陥が出たときに、それを補てんすることについてお考えがありますか。
  196. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 私どものほうはそういうことは一切考えておりませんで、この法律案がそのまま御審議をいただいて通るものと思っております。
  197. 赤澤正道

    赤澤分科員 大蔵省はそう言われるだろうと思っておりました。だから自治省としては、これを非常に熱心にやっておるという立場もよくわかるわけなんです。この固定資産税が財産課税か収益課税かということについての議論はたびたび聞きます。私は当然財産課税であると考えておる。これは私の私見ではあります、他の考えの方もあるかもしれませんけれども、大都会に宅地など、金額にして何千万円、何億円と持っておる人たちが、そこへあぐらをかいていればどんどん地価が上がって、にんまり笑っているなんという姿はよくないですよ。ですから、こういう方々は、固定資産税が上がったって、一部を売って払っていったって、なおなお手持ちの財産の評価というものはどんどんふえていくわけなんです。こんなことは私は問題じゃないと思うのです。ただ、私が最初、前の関連のときに述べましたとおり、実際小さい宅地、それからまたその上に自分の住居を持っておる人たち、しかも収入がきわめて少ない人たちが困りはしないかということを、われわれもだが、特に野党の諸君も御心配になっているということは、これは当然のことだと思う。だから、そのことを私は税務局長に先ほど聞いたわけです。ただ、私が聞き漏らしましたあとに安井君が御質問になったようだが、こういう税制の改正をやります場合には、やはり相当大幅に減税が行なわれておるときに調整をしないとなかなかうまくいかない。だから、今回は時期であったのではないかと思うのです。特に三年の暫定措置があったものを二年目で切って新法を出したからといって、社会情勢の変化があり、またそれを見込んで、学識経験者で編成しておる税制調査会のほうで結論を出した、それによってこの法律をつくったということは、私は決して間違いであると思わぬ。しかし、これを一年延期しろとかなんとかいうことがそこらでいろいろ議論をされておる、これは、私は非常な間違いだと思うわけなんですよ。私も、この委員会でいろいろ議論の的になっておる今回の減税措置について、卑近な例で話したほうが一番よくわかると思うが、諸君が月給を幾ら取っておられるか知らぬけれども、月に四万円くらい取っておる人は、役人にしてみれば課長補佐クラスかその下ぐらいですか、所得税のほうでは、課税の最低限五十四万円であったものが今度六十二万円に引き上げになる。ですから、四万円の給料を取っておる人は、今度は所得税はかからぬわけです。住民税のほうはどうなりますか。まあ時間がありませんから、私の判断では、いままで最低限が三万四千円であったものが四万二千円、そうすると、四万円の給料を取っている者は、ボーナスをもらうから十二カ月を十五カ月に計算して、四万円は六十万円になるわけだ。六十万円の月給取りというのは、今度は所得税はかからぬ。今度、細郷君のほうの住民税はかかってくるわけですね。これは、四万円を十五カ月と計算して幾らかかるのですか。
  198. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと六十万円のを持っておりませんが、五十万円の人で見てみますと、市町村民税と県民税を合わせまして、現在は四千五百円負担をいたしておりますが、今回の住民税の予定しております減税措置によりますと、改正後で二千四百円、約二千円の減税になります。  なお、総理府の家計調査等によります場合の標準的と申しますか、平均的な給与者は、来年度見込みで八十八万円ぐらいになるわけでございまして、この辺がちょうど、役所で申しますれば課長補佐の中堅どころというような計算でございますが、その場合におきましては、住民税で来年は二千八百円ほど減税になる。所得税を合わせますれば一万四千四百円ほどの減税になる、こういうことでございます。
  199. 赤澤正道

    赤澤分科員 ここにいらっしゃる方は、国会議員は別として、みな、いまの私が申した勘定というものはそれぞれ胸算用していらっしゃると思うが、私はこのクラスには相当の減税幅だと思う。それに対して、さっき言いました標準世帯で計算した固定資産税の増税額というものは、さっきピース一個という妙なたとえも聞きましたけれども、私はもうわずかなものだと思う。それだけを負担することによってどういうことが起こるかというと、道路の舗装もできれば、じんかい処理だとか、し尿処理だとか、終末処理もだんだんりっぱなものが整っていくし、街路樹も整うし、環境というものが非常にりっぱになっていく。その町自体の生活が非常にしやすくなってくると私は考えるわけなんです。そのための固定資産税の増額でしょう。ですから、私は、これに対して自治省全体が自信を持ってやっていただきたい。私の聞き間違いだったかもわかりませんけれども、先般予算委員会の席で、大臣は、どうも中途で、二年でこういう法律を出すということは遺憾であったというようなことを言われた。私の聞き間違いかもわかりませんけれども、何かそういうふうに聞こえたような気もするのですが、私はそういうことは決してないと思う。言うまでもなく、税金というものは年々下げていかなければならぬ。何税であれ、減税すべきものでもあるし、国会の議論というものは、政府のそういう増税案に対して徹底的にチェックし、なお減税していくための機関であると考えておるのです。しかしながら、一方、また地方行政費というものもかさむということも事実でもある。ですから、やはり日本と申しますか、お互いの生活環境をよくするためには、何ほどかのしんぼうをするということは、これは住民として当然のことだと思う。この一日にどういう話し合いがあって、その結果の妥協案が出て、これが妥協されぬ限りは本委員会は軌道に乗らぬわけですから、私どもの手を放れてしまった形でもあるし、非常に心配をしておるわけなんですよ。ですから、こういう際に政府のほうでは十分誠意を披瀝して、そうして皆さんの共感を呼んでいただくようにお願いをする次第でございます。  私の質問はこれで終わります。
  200. 大橋武夫

  201. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 選挙制度の問題について質問します。この問題は、主権者である国民の意思をいかにして正しく国政に反映させるかという重大問題だから、ひとつ大臣のお答えを願いたいと思います。  自治大臣は、この間、十五日の選挙制度審議会の総会に出て、選挙区制の問題について答申が出たら絶対に実現するというごあいさつをなさったようですが、どういう答申が出る見通しですか。
  202. 永山忠則

    永山国務大臣 答申の見通しはまだわからぬわけでございます。
  203. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 その御答弁、ちょっとおかしいですな。去年の八月に、もうすでに審議会は、選挙区制の問題については小選挙区制を原則とするということに意見が一致したということをいっております。ただ、小選挙区制にすると死票が非常にたくさん出るから、これについてどうするかという点でいろいろの案が出ている。代表制の問題なんかも出ている。これをひとつ第四次でまとめてもらいたいというのが、この報告書の大体趣旨だと思うのです。だから、審議会は小選挙区制論者で固まっている。これをまた第四次に、あなた方はそのまま任命したのでしょう。だから、どんな答申が出るかわかり切っている。若干の比例代表制なんかを加味するかどうかという意見があるようだが、答申は、基本は小選挙区制にきまっておる。それをあなた方もよく知っておるから、その論者だけを送り込んだのでしょう。だから、あなたはこの間行って、答申が出たら絶対にこれを実現するという異例なあいさつをしている。もうはっきりここで、こういう答申が出るのだということをおっしゃい。言えぬですか。
  204. 永山忠則

    永山国務大臣 諮問は区制を含めた選挙制度でございまして、それがどういうように答申をされますかということについては、こちらのほうで指導的立場をとっておるものではございません。なお、委員会の人はいろいろ議論をされておりまして、小選挙区制の人ばかりではございません。中選挙区制で連記制を強く主張される人もございますし、あるいは比例代表制を主張しておる人もある、単純選挙制を主張する人もある、小選挙区と併用主義を唱える方もございまして、非常な論議を尽くされておるような次第でございます。
  205. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 そのことは私も知っていますよ、ここに書いてありますからね。だけれども、小選挙区制を基礎にするというのは意見一致したという。なるほど、現行中選挙区制でどうする、こうするという人が幾人かおるようです。だけれども、三十人の委員のうち、二十五、六人まで小選挙区制を基礎にするということを言っている。あなたは、いろいろ御審議中でいい案が出るというふうに思っているかもしれぬ。そう言いますけれども、そういう論者ばかりを集めたじゃないですか。第四次にも送り込んだでしょう。わかり切っていますよ。しかし、いいですよ、それは聞いたってあなたは言わぬだろうと思う。  だから、この問題はあとにまた立ち返ることにして次に入りますが、この審議会は、私は非常に重大なことを論議していると思う。まあ選挙法によりますか、あるいは政党法なんというものをつくるか知りませんが、とにかく政党の資格の問題だとかあるいはその構成、その運営などについて立ち入った論議をしている。これは審議会の越権でしょう。任務以外でしょう。この点はどうです。
  206. 永山忠則

    永山国務大臣 審議会の論議の中心になっておりますのは、政党本位の選挙制度に移行をいたすということが強く論議をされております。したがいまして、その角度においていろんな論議を尽くされておると思っておるのでございます。
  207. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 政党本位の選挙制度にするということと、政党の構成やその内容や運営について論ずることと、違うじゃないですか。政党本位の選挙制度にするということについて、政党の独自性に立ち入るようなことを論議する権限をいつ与えましたか。
  208. 永山忠則

    永山国務大臣 選挙制度の根本問題について論議をする過程において、政党の問題について論議が尽くされつつあるものであると考えるのであります。
  209. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 制度の論議の過程でその政党の問題を論議している、こうおっしゃるわけですな。それは論議されてもいいですよ。だけれども、それは選挙をいかにうまくやるか、選挙制度をどうりっぱにするかという問題であって、その範囲内であって、政党の本質だの、その資格だの、構成だの、運営だのというようなことを論ずることと違うじゃないですか。そんなことをいつ許しましたか。その点については、この設置法ができますときに、あの当時の自治大臣である安井さんはそう言っているでしょう。それからまた、設置法に四つの点が書いてあります。政党の問題も書いてあるのだけれども、これは安井さんのことばによるとこうだ。選挙制度及びその関連ある事項として調査審議する、政党の運営とか内容に立ち入って論議する権限を持っていません。しかも、ここに一つの資料がございます。これは、去年の十二月十六日に出した審議会の第二委員会の、政党本位の選挙制度に移行するための改正試案という試案なんです。だから、これはさまったことじゃないと思う、試案なんだから。しかし、こういうものを出して論じておる中にはどんなことが論ぜられているか。これは一々読みますとあれだから、一応私のところで原稿を書いてきておりますが、これによりますと、今度の制度改正の中で、審議会は政党を規制するという立場に立って計画しているわけですな。つまり、これによりますとこういうことになる。新しく結成しようとする政党はもちろん、既成政党でも、一定数の所属議員を持たず、一定数の得票をあげ得なかった政党は、すべて党員数とその地方組織の数、役員と役員以下の選挙方法、党規約、綱領の作成要件、この四条件によって審査されて、その審査に合格したものだけが政党として認められる、そういうことになる。一体だれがこれを審査するのか、だれが合否をきめるのか、これは自治大臣、あなたです。そういうことになっておる。しかも、あなたが公認した政党とそうでない政党との間には、選挙運動でたいへんな差別がある。公営の機関を使えぬとか労務者を雇えぬとか、何かいろいろな差別をする。そんな大それたことを、大臣、あなたは実際こういう答申があったらやるつもりですか。本来、どんな政党をつくり、どんな政治活動をやるかということは、これは国民の自由です。国民の自主的な運動です。これを保障するのが民主主義の原則じゃないですか。だから、わが国の憲法でも、そういう点で結社の自由だの思想の自由だの、こういう点の規定があります。だけれども、これを規制するというような、そういうものは全然ないのです。やってないのです。やらぬことになっている。これが憲法の原則です。それをこの諸君は、事もあろうにこれを規制する、これは憲法違反じゃないですか。もしこんなことだけで選挙をやったらどうなります。戦前の大政翼賛会と同じことになります。あなたの認可を受けたものだけがやれる、そんなばかなことがありますか。こんなことを論議している審議会は、直ちに解散させるべきだと私は思うが、どうです。こういう論議をやっているのは憲法違反だと思うが、どうです。
  210. 永山忠則

    永山国務大臣 答申は、政党の代表も入っておられますので、きわめて妥当公正な答申が出ることを深く期待いたしておるものでございます。
  211. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 大臣、そういう返事をしたらだめですよ。私は、こういうことをやっている、こういう考えを持って運営しているが、これは憲法違反じゃないか、こう言っている。どうですか。
  212. 永山忠則

    永山国務大臣 どういう論議が一々やられておりますかということについては存じておりませんけれども、きわめて識見と良識の高い委員でございますので、きわめて適正なる答申をしていただくことを信じております。
  213. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 大臣、それじゃだめですよ。  それでは、どんな論議をやっておるかわからぬとおっしゃるから、抽象的じゃなく、具体的に言います。ここに、二十一日の日経に出た審議会のある委員の論文があります。この人が個人でどんな意見を書こうと、私どもは問題にしません。どんな意見でもけっこうです。だけれども、この人は、はっきり選挙制度審議会の委員の肩書きで書いている。つまり、こういう意見を持って審議会の中で活動しているということを前提にして書いている。「日本の現状は何を必要としているかといえば、第一には腐敗選挙の粛正、第二は健全な政権予備政党の成長促進であり、次は責任ある安定政権と、政権の平穏な民主的交代である。民意の公正な反映が選挙の基本条件であることはもちろんだが、五%や一〇%の国民のために、右にあげた目前の急務がいちじるしく害されるようなことは慎むべきである。もちろん、法律や制度だけでこんな大問題が片づくものではないが、今日の世党や選挙の実情は、多少の無理をおかしても、ショック療法さえ必要としている時期だ」、こう言っている。これは何ですか。ここで言っていることは、政権の交代できる第二党の大きな政党をつくるとか、あるいは腐敗選挙をなくするとか、そういうことのために五%や一〇%の国民の意思はどうなってもいい、こういうことを言っている、憲法にそういうことが書いてありますか。憲法では、国会は全国民を代表する議員によって構成されると書いてある。五%だろうと一〇%だろうと、これは主権者の意思でありますから、絶対にこれを尊重しなければならぬというのが民主主義の原則じゃないですか。どんな政党ができ、どんな政権がつくられようが——安定政権かどうかもかりませんが、それは国民の意思によってきまることである。国民の意思を尊重することが憲法の一番の原則じゃないか。ところが、結果から生まれることを、何か目的を先につくっておいて、国民の原則的な権利をなくする、これは憲法違反じゃないですか。事実で聞きます。こういう意見は憲法違反じゃないですか。政府の意見がないというなら、ここでそうでないとはっきり言ってください。
  214. 永山忠則

    永山国務大臣 いろいろ論議を尽くされて答申が出ましたならば、また国会においてもあらゆる角度で論議をしていただくわけでございますので、皆さん方の御意思は、それによって十分国政に反映するものであると考えております。
  215. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 どうも大臣、そういう古い返事はよくないのです。私の聞いておるのは、はっきりしておるでしょう。そうじゃないのです。ショック療法さえやると言う。政党の諸君はみんなおこるだろうと私は思う。いい政党をつくるためだとか、絶対多数の政権をつくるためだとか、あるいはいつでも政権は交代できるような健全な野党をつくるとか、そういうことのために、選挙民の投票する権利、参政権、これが五%や一〇%どうなってもいいと言っておる。これは憲法違反の考えではないかと言っておる。そうでないというなら、そうお答えなさいと言っておる。だから、いい答申が出たら大いに尊重いたしましてとか、そんなことは要らぬのです。はっきり言ってください。
  216. 永山忠則

    永山国務大臣 いろいろな議論が論議されるであろうと私は考えております。
  217. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 のれんに腕押しするようで、しょうがないのですが、そうじゃないのです。いろいろな議論が出ることは、私どももいいと思っておる。この人は違うんだ。選挙制度をどうするかということについては責任を持った委員でしょう。この委員が、こういう考えを持って入っておる。この考えが憲法違反になるかならぬかい政府はどう考えておるかと聞いておる。具体的ですよ。何もぼうっとしたことを質問しておるのじゃない。はっきりしておる。五%、一〇%、つまり日本の国民でいったら五百万や一千万はどうでもいいということです。選挙民の選挙の結果どういう政党が生まれるか、どういう政権が出てくるかは、これは選挙民の意思によってきまるのですから、その選挙民の意思を尊重するのが憲法の原則なんです。ところが、逆にこういう政党をつくりたい、こういう状況をつくりたいから、国民の権利を無視してもよろしいと言っておる。そういうショック療法が必要だと言っておる。これは憲法違反じゃないかということを聞いておる。こういう考えは憲法違反になるかならぬかを聞いておる。
  218. 永山忠則

    永山国務大臣 審議会の答申は憲法違反にならないように、国民の意思を反映する適正なる答申が出るものと深く期待をいたしております。
  219. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 はっきりしておっても答えられぬでしょう。事実、政府自体がそういう目的を持っておるのでしょう。日本憲法に厳とした規定があっても、自民党という一つの政党の党利党略から、野望から、国民の根本的な権利がじゅうりんされてもかまわぬから小選挙区制をやろうというので、ずっとやってきたのでしょう。いまあなたの答弁を聞いても答えられぬはずだ。ここは国権の最高機関の国会だ。こういうことが憲法違反でございませんと言ったら自民党はえらいことになりますから、それは答えられぬでしょう。そうだと思うんだ。しかし、事実は、皆さんはこういう見地に立ってやっておる。こういう見解を持った連中を送り込んで審議会をつくってやらしておる。つまり、言いかえれば、自民党はこういう不逞な連中の集まった審議会をつくっておる。その陰に隠れて選挙制度の改悪をやろうとしておるというふうにわれわれは考えざるを得ない、こう言うのは、ちょっと言い過ぎですか。  これも私、書いてきました。すでに田中幹事長はこう言っておる。これは日韓国会の直後に、新潟の記者会見で言っておる。小選挙区制に踏み切るとはっきり言っておりますよ。日韓のやり方でこれをやり遂げる、こう言っておる。日韓のやり方というのは、六つの条約案と幾つかの国内法案  を四十五秒できめたあのやり方、これでやると言っておる。それから三木通産大臣も藤山企画庁長官も——これはみんな政府の閣僚です。それから岸元首相、これも公然と小選挙区制をやる、こう言っておる。それから自民党それ自体に至っては露骨だ。ことし二月に入って、党近代化議員連盟の総会で、全員一致で小選挙区制推進を決議した。さらに、党選挙制度調査会では、小選挙区制は、答申が出たら次の選挙前に成立させる、これをきめている。ことに重要なことは、去る十一日の、これは自民党の選挙制度改正推進懇話会ですか、この懇話会の世話人会でこういうことをきめている。これは田中幹事長の了解のもとに、近く全国を五つのブロックに分けて、このブロックごとに自民党の議員を集めて、小選挙区制を具体的に推進する、そうきめていますな。政府・自民党は、非常に明らかな意図を持っていると私どもは思う。学者を集めて、審議会という名前のものをつくりたが、あたかも公平な第三者機関のような、そういうふうに世間に言いふらして、実際は自民党の御用学者を多数送り込んで、小選挙区制論者がさっき申し上げましたとおり——うそだと言うんだったらあげてごらんなさい。私は名前でも言います。三十人中何人おるか、二十幾人おるじゃないですか。これを送り込んで、そうしてこの機関のうしろに隠れて、ここで小選挙区制の実現という、自民党・政府の野望を達成しようとする。これはあなた、おそろしい政治的陰謀じゃないですか。そうならそうと、はっきりあなた方はおっしゃったらいいでしょう、わしら小選挙区制をやりたいんだ。小選挙区制の答申が出てくるときまっているようなことをやっておいて、まだいまだにわからぬと言っている。陰謀ですよ。もしこれが陰謀でないとあなた方は言いたいなら、大臣、私はここで政府のとるべき道は一つだと思う。どんな答申が出ても政府は小選挙区制をやらない、こう声明なさい。それならわかる。どうですか、ここで声明できますか。
  220. 永山忠則

    永山国務大臣 答申を尊重いたして、議会の皆さまとよく相談をしてこれが実現をいたしたい、こう考えております。また、委員の皆さんはきわめて識見の高い方でございますから、国民の総意を反映する適切なる答申をしていただくことを深く期待いたしておるものでございます。
  221. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 語るに落ちたとはまさにこのことですな。識見のまことに高通な人たちを送っている。みんな小選挙区制の人たちです。こんなことを言う人間を送っているのです。だから、それが出てきたら大いにやりますというのですから、これはわかっておる。大臣、小選挙区制に対して私どもはもちろん反対していますが、たとえば朝日新聞のこの間の論説でもこのことに触れています。この制度を実行しますと、日本の現状で一体どうなるか。おそろしい多数の——おそらく私どもの計算によりますと、三分の二近いものが死票になるでしょう。私の選挙区は五人ですが、これが一つあらわれましても、出るのは自民党、社会党、民社党、公明党、共産党、無所属、六人出るのです。そのうち一人だけ当選するのです。みんな勢力が互角です。二十万票だったら、これを割ってごらんなさい。十万投票があっても、二万入ったら当選する。あとの八万は死票になるのです。そういう制度なんです。一方にこれをやったら——だれもみんなそう言っている、自民党は多数出る。得票率以上に出るようになっている。そうして、朝日がここに正確に指摘しているとおり、野党や小会派は激減するか、あるいは国会から姿を消すと言っている。そういうのが小選挙区制です。若干の比例代表制を加えましても——いま幾つか、八つか九つかありますが、案が出ている。あんなインチキ幾らやりましても、根本的に人民の参政権に対する重大な侵害という問題は救済されません。これはあなたもよく御承知だと思います。それを自民党は強引にやろうとしている。私どもは、その点について非常な憤慨をしておるのです。しかも、ここにいま申しましたような暴力、陰謀、そういうようなものをたくらん  で、第三者機関のようなものをつくってそれでや  ろうとするということにつきましては、絶対に私どもは許すことはできないと思う。自民党は、なるほど、との十年に、次第に国民の支持を失ってきております。これは統計に出ておるとおり。去年の参議院選挙の東京なんかでは、みじめにみんな落選した。そういうふうになっているので、自民党はあわてていると思いますけれども、こういうことになるのはあたりまえだと思う。人民を苦しめてきて、悪政の限りを尽くしておるから、こうなるのはあたりまえです。最近でも、たとえばベトナムにおけるアメリカの侵略戦争への協力、この協力のしかたも念が入っている。最近では、国連の松井大使のあのざまをごらんなさい。世界の笑いものになっている。あれでもなおアメリカにくっついてやろうとしている。核のかさの下に日本が包まれてもかまわぬというので、安保体制を強化するということを今度の国会政府は明らかにしている。重税、高物価、低賃金、合理化、あらゆることで日本の大資本に奉仕するようなことをやってきている。人民がおこるのはあたりまえです。自民党が票が減っていくのはあたりまえです。この退勢を挽回するために、あなた方は陰謀をやっている。ここに一つの大きな問題があります。  しかし、私どもは、もっと大事なことをここで言わなければならない。また、国民はみんな知っている。自民党は、単にいまの退勢を挽回するということだけじゃない。ほんとうのねらいは、アメリカと日本の反動の要求に従って、アメリカに従属しながら日本の軍国主義を復活、一そう発展させる。海外侵略をやる。政治のファッショ的な反動化をやる。結局憲法改悪をねらっている。そのために、自民党の一党独裁をあなた方は夢みているんだ。これは国民みな知っていますよ。しかし、繰り返して言いますが、人民は、政府・自民党のこういうやり方に対しては絶対に許さぬでしょう。あくまでも大野望を遂げるというためにいまのようなやり方を進めていかれるならば、これは皆さんが全人民と対決し、全人民を敵に回して戦うことになりますが、こういうことについて、あなた方は考えたことがありますか。朝日にも書いておる。もし小選挙区制をやったら、議会の外で政治を解決するという政治傾向になっていくことを、政府は責任をとらなければならぬだろう、——読んでごらんなさい。全人民を敵にして戦う確信があなた方にありますか。覚悟がありますか。私はこの点をここに聞いておきたい。
  222. 永山忠則

    永山国務大臣 政府は、まだ選挙法の改正をどういうようにやるかをきめていないのでございます。適正なる答申を待って、国民の信頼にこたえる政治をいたしたいと考えております。
  223. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 結論に入りますが、私どもは、この政府・自民党、またそのうしろにおる、いわばアメリカや日本の反動どもの計画しておるこの小選挙区制の陰謀に対しましては、すべてをあげて戦う決意をしているわけです。すでに御承知のとおり、社会党、共産党、公明党三党は、この小選挙区制を粉砕するために共闘体制が進んできていることも御存じでしょう。労働者階級、非常に広範な労働者階級、総評をはじめすべての人民を結集して、この春闘の中で政府と徹底的に戦う体制を進めました。おそらく全国民は、政府はいずれ答申が出たら、あなた方の正体を暴露するんですから、それを受けて、徹底的にこれを粉砕するために立ち上がると思うのであります。そういうことを私どもは確信を持っておる。  最後に、私どもは、選挙制度に対する共産党の主張を申し上げて、自治大臣、あなたにも検討してもらいたい。私どもはこう考えている。やはり基本的には全国一選挙区制、比例代表制を実現すべきだ、これが共産党の基本的な考え方。当面は現行選挙区制のままに、人口の若干の移動がありますから、有権者数に比例した議員定数をきめる。さらに、沖繩県民に直ちに選挙権を与える。満十八歳以上の男女に選挙権を与える。政党法の制定に絶対反対する。ああいうことを許しちゃならない。これは憲法違反だ。これに反対すると同時に、選挙運動に対して現行の政党の活動に規制がなされておりますが、これを撤廃しろ。自由に活動ができるようにすべきだ。買収選挙は絶滅すべきだ。自民党のように、買収して出てきた党員を、党籍をはがすことによって籍をごまかして、これを処分できないような、そういう政党に対しては徹底的に粛正すべきだというのが、われわれの見解です。私どもの見解こそ、ほんとうに日本の憲法に沿うた、民主的な原則に沿うたそういう主張だと思いますので、これは全国民にまじめにこの際検討を加えてもらって、自民党及び政府の陰謀と徹底的に戦うために立ち上がることをここに訴えたいと思う。あなた方も考えてもらいたい。自民党の中だって、あなた方の計画している、つまり最も自民党の極反動の計画している小選挙区制に反対している人が、この委員会にもその顔が見える。そこをよく考えて、全国民を敵にするようなことについては慎重に考えられんことを私どもは切望します。  以上です。ありがとうございました。
  224. 大橋武夫

    大橋主査 本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十八日午前十時より開会し、自治省所管に対する質疑を続行することとし、これにて散会いたします。    午後三時十二分散会