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八木(一)
分科員 こまかいことはまた社会
労働委員会で申し上げますけれども、いまおっしゃったことについて、ちょっと私、善意は認めますけれども、反論をしておきたいと思います。
というのは、減るのは少し減った、減る率は減った、だけれども減っていることは確かだ。減っているというのは、失対事業からほかに出ていく人もある、なくなった人もある、新しい者をあまりとらないから減っているわけです。ところが
雇用情勢は、前より、失対二法のときより悪くなった。特に中高年齢層の場合には悪くなった。全般的に青少年の
若年労働者が足りないという状況がありますけれども、これはここ数年間の問題で、景気が悪くなって不況になって、最近は零細企業がつぶれるという点でいよいよ失業者がよけいになり、中高年齢層はよけいにまためんどうになってくる。そういう状態で、前の
制度であれば失対事業で働いてもらえる人が、今度の
制度でそういうふうにきびしくなっているから働いてもらえない状態になっているということのために、減ってきている。そうなれば、この失対事業があったら働かせてもらいたいのにと思う人が、それだけ失対事業に働かせてもらえないという状況がある。それを失業者全体のために、また非常にその部類に該当する人が多い部落の人たちのためにぜひ考えていただいて、減り方が少なかったからいいということじゃなしに、これはいまの時点としてふやさなければならぬ問題です。将来の時点で安定
雇用が完全にできてこれが減るのはかまいません。ところが、それができない間にそれが減るということは、これは間違いだと思う。
それから
賃金の問題にしても、賃率を去年に比べて御努力になった事情はわかる。しかし、大体基盤の
賃金が少ないのですから、上げる率が、ほかの一般の情勢がちょっと下がっているところを、ことしだけそれをオーバーしたということはあっても、それまでの上がり方が足りないし、その前の、率をかける場合の
賃金が安いということなのですよ。失対事業の場合と生活保護の場合と比べますと、一人の失業者だと、
生活保護費のほうが安い。ところが二、三人の
家族をかかえていたら、失対事業で働くより生活保護のほうが多くなるということになる数字も、場所によっては出てくるわけです。それではぐあいが悪い。非常な病人とか、老人とか、あるいはまた子供とか孫とかをかかえて働いている人の
賃金が、働かないで生活保護を受けているよりも少ないような
勘定も出てくるところもあるということだったら、これは話にならない。ですから、前の少ない賃率という問題ではなしに、いまの生活自体がどうであるか、人間として健康で文化的な、最低でもけっこうですが、健康で文化的な最低の生活をするのにどれだけ要るかという問題を勘案して
賃金をきめていただかないと、賃率や何かということよりも、それのほうが大事じゃないか。そういう観点からいえば、今度の賃上げのほうも、これは非常に乏しくて実態に合わないということになろうと思います。
それから安定
雇用の問題でございます。これは安定
雇用についたほうがいいのです。だから、安定
雇用というのを、さっき言ったようなほんとうの安定
雇用ではなしに、無理やりに強制されて悪いところにつけるような安定
雇用であってはならないということであります。それからもう一つは、失対事業につけてからでも世話をして上げればいいわけです。失対事業よりも条件のいいところがあれば、それはどんどん行くと思うのです。そういう就職の紹介をしておられるのに失対事業に入りたいという人が多いのは、それより条件の悪いところに世話をしておられることが多いということになる。ですから、安定
雇用はほんとうは目的でございますけれども、その安定
雇用の中身がまやかしもののことが多い。それを待っている間の生活の根源が立たないということがございます。そういうことで、実際にそういうことが多いために、失業多発地帯において直通して紹介するという条件になっている。そういうことができるという条件になっている。ですから、それと同様、いや同様より以上の失業状態にあるこの部落地帯に対しては、失業多発地帯のように直通にしていただきたい。これは前向きに御検討になっていただきたい。安定
雇用の
精神はけっこうでございますが、その前に、そんな手続をとらなくても失対事業に一生懸命に働いて、それで食っていてもらって、その間にいいところがあれば紹介をしても差しつかえないわけです。ところが、いま紹介してくれるけれども、何か言えば紋切り型で、前のことをやってからでなければとかいうことを言う。そうなると、強制事業のほうにかり立てよう、失対事業をつぶそうという方向に行政上は
措置されるが、そうではなくて、失対でどんどん働かしておいて、それで安定
雇用に紹介したら、前にそういう階段をきちっと分けなければならぬことは一つもない。そういうようなことに疑いを持ったようなことがなければけっこうです。しかし、あれば変えていただかなければならぬ。その変えていただく方法は、失対事業を希望する人にはすぐ働かせる中で安定
雇用がどんどん進んで、失対事業がなくなるというならちっともかまいません。これができてこないので、
小平労働大臣にも、ぜひそれを考えて、申し上げたようなことを進めていただきたいと思うのです。
時間もかなり進みまして、各
分科員の方も、政府
委員の方も、報道陣の方もお疲れだろうと思いますから、もうちょっとにいたしたいと思います。そのこまかいことは社会
労働委員会で詰めますが、ぜひ多発地帯の問題なり失業の認定の問題でこまかいことをこの次に御質問したときに、よく御決定をいただいたという御答弁をぜひそれまでに準備をしておいていただきたいと思います。
それから、一般的な問題として部落問題の
解決、一般の
労働問題の
解決の中の一番大事な問題として最低
賃金法の問題がある。臨時工、社外工あるいはまたいまの問題として離れた一般的に日雇い形態の
労働条件などという問題をなくしていかなければこれはいけないと思うわけです。それは直接関係があるかどうかわかりませんが、また
基準の問題で、これは農林漁業を
基準法から適用を除外されておるというような問題が、一般の
労働問題としても、この問題の関連としても、やはり問題に考えていかなければならないことではないかというふうに思う。その前の問題で最低
賃金法については、これは全国一律の最低
賃金、それで少なくともこれは一万八千円とか、そういうようなものにしていかなければ、低
賃金労働者はどうしてもそれより低くなります。部落からやっと就職できた人も、はるかに少ない
賃金でやっていかなければならない。これでは、ほんとうに
労働者として立ち入って社会に貢献して自分の生活をやるという条件にならないと思うのです。最低
賃金法の問題を、これも大きな問題ですから、社会
労働委員会等において衆参で論議をされると思いますが、いままでの政府の態度に固着をされないで、とにかくりっぱな最低
賃金法をつくるということで御努力を願わなければならない。それから臨時工と社外工、特に社外工の問題などは、これは実にけしからぬ問題で、これは
労働省のほうでこういう同じ仕事をして片方が
賃金がうんと安い、
労働条件がうんと少ないという問題を、企業形態が間接だからということでそうなっておりますが、それをさせない。同じ
労働については同じ
賃金であって、同じもの、その中には技能の差はありますけれども、ベースとして同じ
賃金であって同じ
労働条件でなければならない。そういう社外工というような、請負をさしてこうやるようなことをさしてはいけない。
労働行政と通産行政と両方関係があると思いますが、そういうことを急速に強力な方向で、社外工というような状態がなくなるようにやっていただかなければならないと思います。そういう点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。