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帆足分科員 ただいまのは不燃建築一般の数字であろうと思いますが、私は、駅から非常に離れて、そして僻陬の地にできましても、それも一つの方法ですけれども、通勤に非常な時間がかかりまするし、そしてだれしも通勤の場所から
住宅が一時間以上も離れていることを好みませんので、結局
土地の問題ですから、げたばきアパートを、すなわち東京都内の立地条件の適当なところにどんどんおつくりになる。また
交通を緩和しまするために立体交差を必要とするならば、その立体交差の付近は空閑地をつくる必要がありますから、そういうところはどんどん優先的にげたばきアパートをおつくりになる、こういうふうにして、郊外にただ四階建て五階建ての公団
住宅をおつくりになるのみでなくて、市内に勇敢におつくりになる必要があるのではないか。でありませんと、やはり
交通機関がいよいよ混雑してしまう。海外の例を見ますると、比較的裕福でない若い勤労者は、会社工場に近いところに住んでおりまして、遠く離れたところに住んでいる人は自家用車を持っている、むしろ上層幹部級の人が郊外に住んでいる。日本はその逆になっているように見受けられるのであります。そのような政策を是なりとするならば、げたばきアパートに対して、
政府のほうでもう少し好意のある、助成するような方法をとらねばならぬ。今日の状況におきましては、げたばきアパートに対して賛意を表する人は、かろうじて公庫から長期の
融資を得ることができます。その
融資もわずかな金額でございますけれども、とにもかくにも、不動産銀行、勧業銀行等よりも安い金利で長期の
融資を得ることができますから、たよりにするのでありますけれども、たよりにした結果はどうなるかと申しますと、特に話がまとまるのに非常な骨が折れるのであります。二十軒、三十軒の小売り商が一つにまとまるということはほとんど不可能でありまして、犬が東を向けばしっぽが西を向くという、犬のしっぽのようなのが必ずおりまして、そしてそれがただ純真に、都合が悪いからと言って反対するのでなくて、集団の世論に反対して何がしかの利得を得ようというねじ曲がった精神で、いわゆるごね得をねらう者が多いのであります。したがいまして、私は、全国一様に法的規制を加えることは時期尚早でありましょうけれども、特定の地域を今後とも指定し、また立体交差の必要のあるような場所や立地条件の適切な場所等を指定いたしまして、その住民のうちの八割なり七割なり、相当数が賛成するときには、他の人もそれに同調せねばならぬというような法的規制をもはやつくらなければ、子供たちに私たちはこういう危険な
都市を残さねばならぬ結果になってしまいます。したがいまして、いまとしてはもう外科手術をしなければ、腸捻転になるか腸閉塞になるか、とても内服薬くらいでは済まない東京の状況でございますから、青山等において成功した例を存じておりますけれども、相当広範な場所を指定いたしまして、そういう強制措置が、単に国有道路を広げるというような場合だけでなくて、協同組合をつくりまして、そしてげたばき高層アパートをつくりますときにも、その伝家の宝刀を抜けるような措置を御研究すべきときでないか。これが第一の要望でございます。
第二には、
融資の金額が、はたして今日の物価の騰貴から見て適当であるかどうか、これも御研究を願いたいのでございます。
第三には、昨年申し上げましたけれども、些少の権利金というのが、地主または建築主に対して下付されますけれども、しかし通常商業部門に使います部分は三階建てでありまして、三階建てならば坪十五万円くらいでできますものを、上に九階または十階のマンションをいただきますために、コストが二十万円をこえるのでございます。しかも、公団のほうは、上を、社会政策的見地から、十三万五千円か十三万八千円くらいでつくるのでございますから、下部を担当している商業部門は、十五万円で本来ならばできますところが、二十万円をこえるのでございます。その上、建築の途中でいろいろ付帯的な事項が起こりまして、三百万、五百万はそれにさらに加わるようなことになります。しかし、公社の場合には、公の機関でありますから、物価の騰貴その他の事情がありましても、なかなかそれに応じがたいし、また公社の権威をもって応じない場合もありますし、また将来よい仕事をさせるというようなことをもって、公正円満に処理することも可能でありますけれども、民間におきましては、そういう
融通もきかないのでございます。だとするならば、坪当たり十五万円でできるはずのものが二十万円をこしてしまう。それに対して、坪あたり八万円とか九万円の権利金を下付されましても、その権利金にはそのまま税金がかかるとするならば、一体何が権利金ぞや。したがいまして、名目は権利金でありましても、その実は下部補強分担金にあたるわけでございます。大蔵省の規則を調べてみますると、名目よりもほんとうに何に使ったかということによって、税金の措置はきめるというのが趣旨であるように承っておりますので、その点は、大蔵省並びに自治省と
建設省が御相談くださるならば、そこで良識のある措置もとり得るのではなかろうかと思います。
第四に、最近新聞で拝見いたしましたが、本年度におきますマンション部分につきましては、登記料または固定資産税、または不動産
取得税等に対して、特別措置が行なわれるという記事を承りまして、それがいつから実行されますか、大いに期待する次第でありますけれども、それは単に
住宅部門だけでなくて、やはり商業部門に対しても、
住宅部門よりもう少し重くてもよろしいでありましょうけれども、多少の緩和の措置をとるべきであろうと思うのでございます。と申しますのは、商人の諸君が、二千数年来、木造の建築に安易な生活をしておれば、ずいぶん仕事は楽でございますけれども、不燃化建築に住むことになりますと、すべて諸経費は
増大するのでございます。しかも、大局から見まして、固定資産、不燃化
住宅になってきますれば、それは国の富となり、ほとんど永久的な富として国に残るわけでございますから、当面の三年なり五年なりには
住宅と同様でなくても、
住宅に準ずる多少の優遇措置が研究されてしかるべきではあるまいか。これらの点を切に要望する次第であります。結局、
土地の問題でありますが、げたばきアパートにいたしますれば、
土地はただでございます。空中圏の上に建つのでございますから、
土地問題はないのでございます。何ゆえに、これをもう少し強く断行する決意をなさらないのか。私はあえて自分の母校であるから言うわけではありませんが、東京大学を郊外に移すというようなことよりも、それよりも、都内の適当な場所を、それぞれいまのようなげたばき高層建築につくり直すということが、最も捷径で最も経済的な方法である。付帯の諸設備が整っておるのでございますから、コストといえど、それほどかかりません。現在わずか十三万七、八千円でできるのでございまして、これはまだ今後研究の余地がございまして、まず構造を地震に強く、最も合理的構造にし、材質を選び、そして便利を第三とし、さらに色彩感覚、美観等をそれに加え、そして、それに周辺の空閑地の風景、樹木、草花等を考慮いたしますならば、実にみごとな
住宅街ができまして、東京にふさわしい町につくり変えることは、それほど困難なことではないのでございます。しかも、それらの材料の大部分は国産品をもって行なうこともできますから、常にインフレ、物価の水準、生産力と見合いながら、毎年の
計画をお進めくださるならば、不景気に対する調節の政策となり、一石二鳥、三鳥の効果を発し得るのでございます。郊外に衛星
都市をつくるということも悪いことではないでしょうけれども、なぜ思い切ってこのげたばき高層アパートのほうに
重点をお移しにならないのか、私は自分の経験から考えましても、まことにふかしぎしごくに思っている次第でございます。
時間が限られておりますから、その各項目につきまして、なるべく肯定的な御答弁をいただきまして、さらに研究を必要とする問題につきましては、大蔵省の方にも来ていただいておりますし、大蔵省の方もまた
住宅難で困っていることは同じでありましょうし、御当人が困りていなくても、やがてお子さんが大きくなれば直ちにお困りになることですから、御自身のことをお考えになって、ひとつ前向きの御答弁をお願いしたいと思う次第でございます。