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1966-02-28 第51回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十八日(月曜日)    午前十時十九分開議  出席分科員    主査 井出一太郎君       小川 半次君    丹羽 兵助君       福田  一君    水田三喜男君       八木 徹雄君    小林  進君       多賀谷真稔君    滝井 義高君       野原  覺君    山中 吾郎君    兼務 加藤 清二君 兼務 田口 誠治君    兼務 田原 春次君 兼務 中村 重光君    兼務 村山 喜一君 兼務 竹本 孫一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     齋藤  正君         文部事務官         (大学学術局         長)      杉江  清君         文部事務官         (社会教育局         長)      宮地  茂君         文部事務官         (体育局長)  西田  剛君         文部事務官         (調査局長)  蒲生 芳郎君         文部事務官         (管理局長)  天城  勲君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 村山 松雄君         厚生事務官         (薬務局長)  坂元貞一郎君         厚生事務官         (社会局長)  今村  譲君         消防庁次長   川合  武君  分科員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         外勤課長)   阪田 正仁君         大蔵事務官         (主計官)   小田村四郎君         厚生事務官         (環境衛生局環         境衛生課長)  柳瀬 孝吉君         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    藤繩 正勝君         自治事務官         (財政局財政         課長)    佐々木喜久治君         自治事務官         (財政局指導課         長)      及川 謙三君     ————————————— 二月二十八日  分科員山中吾郎委員辞任につき、その補欠と  して滝井義高君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員賀谷真稔君及び滝井義高委員辞任に  つき、その補欠として田中武夫君及び小林進君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員田中武夫委員辞任につき、その補欠と  して大村邦夫君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員大村邦夫委員辞任につき、その補欠と  して堀昌雄君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員小林進君及び堀昌雄委員辞任につき、  その補欠として山中吾郎君及び多賀谷真稔君が  委員長指名分科員選任された。 二月二十八日  第四分科員加藤清二君、第三分科員田口誠治君、  田原春次君、第二分科員中村重光君、第三分科  員村山喜一君及び第五分科員竹本孫一君が本分  科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算文部省所管  昭和四十一年度特別会計予算文部省所管      ————◇—————
  2. 井出一太郎

    ○井出主査 これより予算委員会第一分科会開会いたします。  本日は、昭和四十一年度一般会計予算及び同特別会計予算中、文部省所管について質疑を行ないます。  文部省所管についての質疑者は多数ございますので、本務員の方は一時間、交代で来られた方及び兼務員の方は三十分ということで、時間厳守に御協力願います。  それでは、順次これを許します。丹羽兵助君。
  3. 丹羽兵助

    丹羽(兵)分科員 質問者都合でたいへん開会がおくれましたし、ただいま主査からも御宣告のございましたように、きょうは文部関係でございまして、質問者が、非常に関心を持っておられるせいか、たくさん予定されております。質問の時間等も制限されておることでありますし、そうした関係で、私は、いま申し上げましたように質問者都合開会がおくれましたので、あとの質問者予定等の狂いのないように、できるだけ与えられた予定のように、時間の食い込んだところは縮めてお尋ねをさせていただきたいと思いますので、役所側におきましてもきわめて簡単にお答えを願いたい、こう思っております。  私は、いま申し上げましたように時間がたいへん食い込んでおりまするから、たくさんお尋ねしたいのでありますけれども、そういうことは許されませんので、一、二点だけお尋ねすれば時間がくると思いますから、そういうようにしたいと思います。  そこで、私は、大臣よりも、管理局長並びに大学局長にお尋ねしたい。  その一つは、国の大学施設整備されまするとき、たとえて極端に申しますると、新しい大学設置等整備のときに、法律では、地方公共団体からその施設協力を得るということは、地方財政圧迫するものであるというたてまえから、文部省だけじゃなくして一般にも適用されておりまするが、禁止されておると私は考えております。それにもかかわりませず、地方公共団体が法を曲げて寄付することはできない、それは地方公共団体財政圧迫することになるからできない、そういう法律がございますからして、直接は地方公共団体が出さずとも、いろいろの回りくどい方法をとって、実際は地方公共団体が出すのだけれども、表面は、何かの団体が形だけ協力する、こういうようなことで、私の知っておりまする範囲にはたくさんの学校等整備されておる。国の財政立場から考えてはやむを得ないことかと思いますし、また、地元としては、整備されたりっぱな学校がほしい、これは当然なことでございまして、決して協力することはいやではないのですけれども法律でそうされておる。しかも、地方財政圧迫してはならない。こういうことをやっておるにかかわらず、地方方々が、地元大学をよくしたい、完全に整備された学校教育を受けたい、また地方の体面上ということで、いま何度も申し上げましたように、何かの機関を設けて、実際は地方公共団体が出すのだけれども、それは法律に違反するからというやり方が、私の知っておる範囲においてはたくさん行なわれておることでございますが、こういうことはとまらないにしても、せっかく政府考えておるのですから、やめるべきであろう、こう私は思うのです。なかなかやまらないことかもしれませんけれども、やめるべきように思うのですが、私がただいま申し上げましたように、大学等整備、特に新しい大学なんかをつくろうとするときに、そういう方法がいまも行なわれておると思いますけれども、好ましいことかどうか、お尋ねするまでのことでもないと思いますし、いただく答弁も私ども想像できるわけでありますけれども、いまでもそれを文部省はやっておられるかどうか、また、そういう行き方を今後も、大臣の御答弁を願わなくても、管理局長として、もう目をつぶって、大学整備のためには国の予算が十分でないからやむを得ないと考えていらっしゃるのかどうか、その点をお尋ねしたいのであります。
  4. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 御指摘の点につきましては、制度の精神を尊重して、できるだけそういう点は慎んで、慎重にまいりたいと思っております。  なお、現状につきましては局長から御答弁をさせることにいたします。
  5. 天城勲

    天城政府委員 現状についてお答えをいたします。  御指摘のように、過去においてままそういうケースがございましたけれども、最近は、その法律趣旨に従いまして、公共団体寄付等を仰がない方針を堅持いたしております。ただ、御存じの、公立学校移管の場合だけは、地方財政再建整備法でございましたか、いまちょっと条文は忘れましたけれども移管に伴う分の整備についてだけは公共団体協力を得ておるものがございますが、その他は一切ございません。なお、高等専門学校設置の場合に、土地の問題について公共団体借用地がまだございますが、これらにつきましては、現在買収ないし国有財産との交換の措置を進めてまいりまして、これも法律趣旨どおり措置いたしたい、こう考えて処理いたしておる過程でございます。
  6. 丹羽兵助

    丹羽(兵)分科員 文部当局のその考え方と申しますか、これにつきましては、大臣からも局長からもお話がございましたので、了解をするものであります。しかし、お話にもございましたように、新しい大学をつくるとき、土地等関係では地方公共団体等協力を求めねばならないことは、これは私もよく理解できますし、また、そういうことを条件にして大学等新しい施設誘致運動が実際に行なわれておる。これはもうそこの為政者一つの政治的な立場、手腕というものを認められるための運動もずいぶんあると思いますが、まあそのこと自体が、いま文部省のお考えのようでありますと、形の上においてはどうあろうとも、当然、実質におきまして地方財政を非常な圧迫をしておることは、いなめない事実でございますので、そうした点を今後も十分いまの御答弁のような姿勢で御指導いただいて、せっかく内閣としてきめられておるところの、地方財政に大きな圧迫にならないように考えていただきたいと思います。わけても、後段御答弁のございましたように、公立から国立移管するということになりますと、さあこれはたいへんな問題なんです。大臣も御承知のことかと存じますし、あるいは、あまりにもこまかいことでございますから、御存じないかもしれませんが、公立から国立移管するときには、いろいろと国は条件をおつけになる。地方公共団体は、学校の運営上持ちこたえられないと同時に、一面また、学校品位を高めるという立場からも、これはもう国のほうに管理を移したい、これはわかります。わかるけれども、そのためには、非常な条件と申しますか、整備要求されるのである。これがまたそこにとりましては大きな財政負担になっておるということなんです。だから、国として、今後その学校文教政策国立移管していかなくちゃならぬというならば、現在の時点とか、ある程度のところにおいて移管を認め、受け継いでから政府学校教育に支障のないように国の財政において管理整備すべきものであって、当分の間は国に金のかからないような施設を十分やれ、その上でないと国に移管することは認めないというような——そうまで言っておらないけれども、その点ははっきりしておる。そういう点から考えますると、一体文部当局が、この種の学校国立に移すことが文部行政上必要であるのでおやりになるのか。そうであろうけれども、しかし、それについては、手のかからないように、金のかからないように十分地方公共団体が苦しい中に整備をしないと受け取らないというようなことは、これはちょっと主客転倒しておるのではないか。逆に申しまするならば、将来国としては国立大学でほしいのだけれども地方公共団体等公立で十分整備したらひとつ引き受けてやろうというような、赤字の手をにじる——いなかのことばではございまするが、そういうやり方に近い。それと同時に、その為政者顔立てをする。地方では、学校品位を高めるという欲望があり、そうした気持ちがある。この弱いところをつかんで、地方公共団体負担を大きくかけなければ、国が国営に移すことを認めないというようなやり方では、先ほどの答弁は、まことに親心があって、いいようでございますけれども、現実とはだいぶん相違があるのでございまして、今後も、こうしたことについて公立から国立に移すときに、あまりにもひどい条件、あまりにもひどい要求等を出して、施設の上において完全なものにしなければ、国で手のかからないような施設を持たねば、必要なものであっても文部省国立大学として移管しないというようなやり方は、私は、文部行政の本義にのっとっていない、こう考えておりまするが、その点重ねて管理局長の御答弁を伺いたいのであります。
  7. 天城勲

    天城政府委員 お答えいたします。  公立大学国立移管考え方でございますけれども移管を受ける大学の面から見まして、総合大学として、あるいは受け入れた学部を含めての大学の全体的な運営にプラスになる、学問の上からも教育の上からもプラスになるという考え方の上で公立大学移管という問題を考えておるわけでございます。もちろん、実質的には、当該地方公共団体大学運営上財政上の問題等、相手方にはいろいろの事情がございますが、受ける大学から見ては、そういう考え方国立移管の問題を処置しておるわけであります。なお、移管にあたりまして、当該公共団体整備をしていただくことをお願いするわけでございますが、これも、完全な姿にした上でなければ受け取らないという考え方ではございませんで、現在進行しております二、三の例に即しましても、移管後における整備をたくさんまだ残すわけでございまして、一応、全体の国立大学としての水準から考えて、ある程度の条件だけは満たしていただきたいというお願いをしているわけでございまして、一〇〇%でき上がったものでなければ受け取らないということではないわけでございます。
  8. 丹羽兵助

    丹羽(兵)分科員 決して尊敬する文部大臣を前に置いて私は論議するものではございませんが、ただいま局長お話を聞いておりますれば、これはもっともなお考えであり御意見と思うのであります。しかし、そのもっともと思うのは、一般関係のない者がそう考えるだけのことかと思うのでありまして、実際上からいうとそうでもない。なるほど、受けていただくというのですか、管理していただく側からいえば、十分なものでない、もっともっと今後必要なものがあるけれども、一応最小限度のものであって、十分なものを要求しておるものではない、こうおっしゃいますが、それは大学当局並びに文部当局からお考えくださるとそうかと思うし、また、今後移管した大学には相当なお金がかかる、そういう事実からいっても、そのお答えは当然だと、納得はするものであります。しかし、その裏を返して考えますると、片一方のほうは受け取ってほしいし、そうしてその学校当局からいっても、せっかく国の管理になってもすぐには手当てはしていただけないから、この程度のものはひとつ学校側も将来のためにこの機会にやっておきたい、片一方は、いろいろの立場から考えて一日も早く受け取ってほしい、管理を国のほうにお引き受け願いたい、こういう気持ちがございまするからして、文部省のほうでは、十分ではない、そういう気持ちは決して持っていないとおっしゃいますけれども、いま申し上げたように、お引き受け願うようにお願いする側と申しまするか、地方公共団体側からいえば、また考えますと、なかなかそれが大きな負担になっているということは、これはいなめない事実だと思うのです。でなかったら、あくまでそれを主張せられますならば、いままでここ数年間において国立移管されたもの、あるいはまた、現在移管されようとして整備を進められておるところがどれくらい負担になっているか、そしてその金の出し方は、一つの第三者的な機関を設けてやっておられまするが、それをぐるっと回りますと、それは全部が全部とは申しませんけれども、大きな地方財政負担になっているということを明らかにしていい資料を持っているはずであります。だからそれを申し上げている。でありまするので、私も人間ですから、冒頭口に出したことを責任を持ちまして、論議をなそうとは考えていないし、ましてや、御心配いただいておる管理局長さんに対して異論を申し上げるまでもないのですが、国はそうお考えくださいましても、やはり早く移管してほしいという立場のものから申しますると、赤子が手をにじられたように、ずいぶん無理な要求、ずいぶん苦しいところの要求文部省学校——いまは地方公共団体学校でありますけれども移管すれば国立になる、だから、国立になったときのことを考え学校当局までがぐるになって、非常に無理な要請を、現在管理されておる側に迫っておるという事実があるのですから、そういう点をひとつよく局長さんも御配慮願って、今後の移管等については、できるだけ、いまおっしゃったような、事実無理な、事実大きな負担になるような要求がなされるものではないかということを御心配願いたいということを、私は要請として申し上げるのでありまするが、重ねての御答弁をお願いいたします。
  9. 天城勲

    天城政府委員 御指摘の点、地方団体負担という観点から見た場合にいろいろ問題があるということも、私たち十分理解できるわけでございます。やみくもに何でも身支度を整えてこなければ受け取らないという態度はとっておらないつもりでございまして、現に移管過程にある大学につきましても、地方公共団体負担の点につきまして地方財政観点からなおいろいろ御希望が出ているところにつきましては、話を継続しているようなケースもございまして、私たち、一方的に一定の金額や条件を押しつけようとは思っておりません。いま丹羽先生おっしゃったような事情は十分考えておりまして、今後もその御趣旨を十分生かしながら移管の問題に当たっていきたいと考えております。
  10. 丹羽兵助

    丹羽(兵)分科員 ただいまお尋ね申し上げた点については、大臣はじめ局長から、公共団体立場等考えていただいた、まことに誠意あるお答えをいただきまして、また、指導的な考え方針をお聞かせいただきまして、満足するものであります。せっかく国家のために自分たち難儀をし今日まで管理をしてきた学校が、時代の要請によって国立に移したい、また移すことが、また受け取ることが、国としても教育上非常に効果のあがることであるということでおやりくださるのでございまするから、どうかそうした精神がどこにも生きるように、いま御答弁くださったような方針、方向、指導によって、今後、より以上感謝と、また大きな期待、希望の上にそれぞれの学校が国に移されていきまするよう、そうした気持ちで移されるものは移されるように——私は、広いものを全部拾ってくれというのじゃなくて、移されようとしておるものは、そういう気持ちで移されていくような処置をとっていただくことを強くお願い申し上げておくと同時に、御答弁に対してきわめて敬意を表する次第であります。  次に、もう一つ二つ簡単にお尋ねしたいのですが、これは具体的なことでございまして同僚委員方々にはお耳ざわりのことでもあろうし、御迷惑なことでございまするから、特に地方的な問題でありまするので、きわめて要点だけを私はお尋ね申し上げたい。  先にお尋ねしたことと関連もいたしておりまするが、ずっと昔の話でございますけれども学制改革が行なわれた。そのときに、各県にございまするところの学芸大学を、一県一校の方針、これはもうはっきりした方針のようでございますが、たくさんある青年師範学校とか、あるいは女子師範学校、大きな県によりましては二つ、三つの師範学校を持っているが、それが学芸大学ということになって一県一校の方針がとられた。私は愛知県が選挙区でございまするが、愛知県には、古い名古屋の第一師範学校岡崎の第二師範学校、そしてまた、青年師範学校とか、あるいは女子師範学校というものがあった。これを統合してどこかに一つ大学にしたい、国の方針であるからというので、その当時、ずいぶん昔のことでございますけれども名古屋の第一師範学校主体とした——主体ではありませんけれども、そこを本拠にした、愛知県の中心名古屋だから、名古屋愛知学芸大学を置くべきではないか、学校を志願する人あるいは教員の需給の度合いから考えても当然ではないか。また、岡崎岡崎のほうで、名古屋にはたくさんの学校があるからして、せめて文化施設として岡崎愛知学芸大学をつくってほしい、そしてそこに統合したいというので、ずいぶんいやな争いが起きた。それが卒業生グループとした競争になった。一つは、愛知第一師範学校中心としたグループ、これにそれぞれの地方公共団体なるものが加わり、それにまたいろいろの関係が加わる。また、岡崎側にしてみれば、岡崎卒業生中心とした団体、これにまた岡崎中心とした地方教育団体、そこに行政機関的なものが集まって、猛烈な誘致運動をやったのでございます。ところが、国は将来をお考えくださいまして、そういう運動には目も耳もかさず、国としてどこに置くべきだということを御判断いただいて、岡崎愛知学芸大学を置かれた。私どもにしてみれば、全然、入学希望者の少ない、需要の度合いの少ない岡崎学芸大学を置かれるなんということは夢にも思っていなかったのですけれども、将来を考え文部省のとられた措置については決して異論をはさむものではなかった。やむを得ないと考えておりました。そこで、愛知学芸大学が一県一校ということで岡崎に置かれ、そこに大学本部及び分校を置き、名古屋のほうには、実情、なしにするわけにはいきませんから、名古屋には分校というものをつくった。それで、せっかくの一県一校の精神がここでくずれてしまったのです。本部というものは岡崎にあって、そこに分校がある。名古屋には、本部はないけれども分校というものがあって、大きな力を持っておる。形だけは一県一校でございますけれども、今日においてすら、愛知学芸大学は、からだ一つであるかもしれませんが、頭は二つに、もっと逆に言うなら、頭は一つかもしれませんが、からだは完全に二つに分かれておる。これはほんとうの国の方針学芸大学に関する限り、一県一校であるという精神は貫かれていない。まことに遺憾なことであります。それがずいぶん長い間今日まで続けられてきた。いま名古屋岡崎については、こういうことは子孫のためにも教育上のためにも好ましいことではない、何とかこれらの解決ができぬものかと私どもは願っておるのでありまするが、そういうような事態ができたということは、私が冒頭申し上げたようなところから出てきておるのです。それは、愛知学芸大学はいろいろな問題があって、まず本部だけは岡崎に置きましょう、実質名古屋のほうにも置こうし、岡崎のほうにも置こう、さあそれであなた方は設備をしっかりおやりになれば、今後どこに大学が集結されるものであるかわからない、暫定的な措置であるから、しっかりと施設整備しなさいと、当時の政務次官等がこういうことを地元に来てあおり立てられた。だから、名古屋におきましても岡崎におきましても、将来は必ず名古屋に来るものであり、また岡崎側にしてみれば、永久に岡崎に一本化されるものである、こういうようなことで、苦しい中を相競って、名古屋には、ほんとうに国がおつくりいただいたよりもりっぱなりっぱな施設を持つ大学分校をこしらえてしまった。岡崎側にもそれと同じようにつくった。もう何ともならぬようになってしまった。この間うちそういうような指導をなさったところに、私は、当時の文部省のその場限りの、おじょうずな指導方針があったと思うのです。一体この当時文部省は金を出しておいでになりますか。私は、あなた方が出したとおっしゃるなら、ここでどんな反論でもする。今日愛知学芸大学名古屋分校施設後援会長は、いまお尋ね申し上げておりまする丹羽兵助でございます。私なんでございます。数十億という大きな財産のものを国にそのために施設整備して移管したじゃありませんか。御承知のように、以前には大岩市長がこの会長をやっておられた。国では、金を出すことは、いま言った財政負担になるから、県庁も市役所も出せないという法律をお出しになった。大きな借金をかかえて私どもは非常に難儀をして、今日なおその借金をかかえて私どもは苦しんでおる。しかし、それはわずか一部のことでございまするけれども、私ども借金をかかえて非常に苦しんでおる事態が、今日付属の運動場になり、施設が置かれておる。国のものではない。こういうように、とにかく、整備をすればおまえのほうにやるのだ、整備のできたところが将来勝つであろうというように、責任のない指導をして大きなものを整備さして、今日けんかをやらしておる。これを文部省がながめておるということは、私は道義上許すべからざることだと思います。だから、ここで、一県一校ではありながらも、そういう精神をくずすことはできないにしても、何かの形で、ここまで難儀をしてきたものを、この大きな施設整備さした立場からも考えて、これは何とか解決をしていただかないと、ほんとうに、これは政治問題であるどころか、地方問題になる。卒業生の争い、学閥争いもあるかもしれませんが、いまでは学閥争いどころではなくして、われわれ愛知県から出ておりまする衆参両院の国会議員間の大きな争いになっておる。そうして、これまた愛知県の中の一つの行政的な地域的な大きな争いになっておる。一日も早くこの問題は解決していただくことが、私は、文部行政の責任ある文部省のとられるべき態度だ、こう考えておるのであります。時間がございませんから、あまり私の考えを述べさしていただくことはできませんが、とにかく、大臣、これは困り果てておるのです。知事の選挙になっても、代議士の選挙になっても、あるいは小さな市長選挙になりましても、何もかもこの学芸大学の問題で二つになっている。そのもとは文部省——私は与党ですから、あまりはっきりよう一言いませんけれども、その当時も与党の内閣なんですからね、全くこれは与党の責任なんですよ。やりなさい、やりなさい、やったほうが勝ちですよと言って、銭も出さずにやらしてしまって、今日二つにすると、ああだこうだと言っておられる。まことに私は残念だと思う。  そこで、ちょっと前置きが長くなりましたけれども大学局長にお尋ねしたいのは、私のいま申しあげたような——文部省だけじゃなくして、私どもにも責任がある。みんなに責任はあるけれども、現在の姿をこのままにしておくことは、いわゆる大事な教員養成機関としてまことに遺憾なことであるからして、これを何とかひとつわれわれの手によってでも解決しようというので、大学の先生が立ち上がられた。これは知ってみえると思います。立ち上がって、もう私ども以上に、政治家以上に、その立場にあられる先生方々、教授陣はこの問題を真剣にお考えくださいまして、これはひとつわれわれで解決しよう、こんなことをいつまでもやっておったらたいへんだということでとられた考え方というのは、愛知学芸大学を、もう一切名古屋だとか岡崎だというような立場を捨てて、ほんとうにすっきりした統合をしよう、岡崎でも困る、名古屋でも困るならば、第三の適地にしっかりした大学をつくって、国の方針どおり、胴体二つのものじゃなくして、完全な、頭も一つからだ一つという学芸大学をつくろう、そして、より以上内容の充実した大学にしていこうという考えを天下に声明せられたように私ども承知しております。私どもも、それは非常にけっこうなことだ、いつまでも先棒をかついでけんかしているなんというばかなことはない、国の将来、教育におけることだから当然だと考えまして、大学の先生の意見にわれわれはほぼ賛意を表しておるものでございまするが、また文部省も、これはきわめてけっこうな措置である、一日も早くこれを実現して、長年のこの不愉快な——不愉快どころか、罪悪にひとしいところのこの争いを解決しようと誠意を示しておられると聞いておりまするが、一体ほんとうにこの苦しみを国民のために解決し、県民のために解決し、しかも次代をになう青年と申しますか、いわゆる総理のことばをかりて言うならば、二十一世紀をになって立つところの、二十一世紀の働く人々の教育のために、この問題を、いま大学の先生方が考えていらっしゃるような方針文部省としても解決しようとする熱意、努力、誠意と申しますか、お考えをお持ちかどうかということを明らかにしていただきたいのであります。
  11. 杉江清

    ○杉江政府委員 愛知学芸大学の問題について非常に御心配いただいておりますことをほんとうにありがたく思います。教員養成学部の整備充実は、私は、日本の教育の上においてきわめて重要なことであると思いますが、愛知学芸大学二つ分校に分かれて陰に陽にいろいろな争いを続けて、その整備充実が立ちおくれておりますことを私も非常に残念に思います。しかし、お話のように、愛知学芸大学としましては、この問題を何とか解決したいということで、ことにこの一年来非常な努力をされました。大学といたしましては、両方の分校の教官方の話し合いの結果、これはこのままではいけない、やはり一つ大学という実をあらわすためには、第三の土地に集結するという基本方針に沿って努力しなければならぬということで、いままで相争っておりました両分校の教官が心を一にされて方針を決定されたということについては、私は非常に敬意を表しておるのであります。私は、解決の方向としてはこれ以外にないのではないか、こう考えております。そういう方向で今後十分努力すべきだと思います。ただ、これが実現につきましては、先ほどお話のありましたように、いろいろ従来の経緯がある。単に、第三の土地に統合することがいいという、そのことだけですぐにこれを実施するということにはちゅうちょされるものがあるわけであります。と申しますのは、従来の経緯に即しまして、やはり関係方面の御了解、御納得を得て進みたい。関係市町村または関係同窓会の方々等についても、基本的にはこれがいいんだというような御了解、御納得を得てやはり進まなければならぬし、また、そうしなければ私はできないと思います。それで、いま大学当局はその基本線に沿って努力されておりますし、私どももそういう点について十分努力いたしたいと考えておる次第であります。
  12. 丹羽兵助

    丹羽(兵)分科員 お聞きくださる同僚の議員先生方々には、きわめて地方的なことで、先ほどお断わりをしたように、お聞き苦しいことだと思います。私は承知しております。しかし、政治の世界に政党がありまするように、あるいは一つの政党の中にも派閥があって、どの世界にも派閥というものやグループはあります。医者の世界にもずいぶんきびしい対立がございまするが、私は、教育の世界においてこんなにきびしい派閥争いがあるなんということは想像だにしなかった。もちろん、昔、東京高等師範学校と広島高等師範学校との大きな対立があったことを知らぬわけではございませんが、全く、中に入ってみますると、これくらいきびしい対立があって、一体ほんとうに子供のためにいい先生ができるのか、こういうことを心配するのです。少なくとも国の機関であるところの国立大学、しかも教員養成機関としての学芸大学学校内部にかようなる争いがあって、これが解決されないなんというようなこと、その解決をせずして、紛争により以上に火をたきつけたような、油を注いだようなことをして二つ施設をつくらしていくところに、指導的な過誤があるのではないか。これをこのまま放置しておくことは、これは政治の世界の政党争いとかあるいは派閥の争いごときものではない、罪悪に近いことであって、これは一日も早く日本の教育界のためになくしていかなくちゃならない。これがどこの県にもあることならば私は軽く見るかもしれませんが、残念ながら、これほどまでの争いと、これほどまでの対立相克を見ておるのは、私はひとり愛知県だけでなかろうかと思うのです。それも何度も言いまするように、もとは文部省が火をつけたことは事実なんです。そうしてほっておく。私はほんとにほかの先生方には申しわけございませんが、派閥から私は全然のがれておる。全然派閥には関係していない。これはもう大学局長管理局長も十分認めておって、私の意見は、我田引水かもしれませんが、最も公平な意見をいままで吐いてきた。一番大きな財産、一番大きな施設を提供したその者が文部省の意思どおりに動いてきた過去から考えて、私は耳をかしていただきたいと思うのですよ。  そういう意味から、時間もありませんが、もう少しお尋ねしたいと思いまするが、いま、これはいけないから、大学の先生方も御心配願ってそういう方向に進められておることは、文部省としてもたいへん敬意を表することだ——敬意といいますか、賛成しておることだ、これはもう認めていただきました。では、ただ大学にまかしておくよりは、文部省が、国の教育方針からいき、こういうみにくい争いを、子供の前に、あるいは広く国民の前に見せずとも、早く解決するように、責任者である大学局長は、積極的に進み出され、心配をせられた大学教授のこの方針が実現できるように、国としても積極的に働きかけるべきだ。大学の自治だ自治だで、どこの争いも逃げるようにして——それは私立の大学なら、いろいろ親切にやってやっても、文句を言うやつは、干渉だなんということを言うから、これはどうかと思うのです。これはまたいろいろ大臣のお考えも先日来お聞かせ願って、それでけっこうだと思いますが、何といったって国立大学でしょう。しかも大学の先生は方針をもう満場一致でおきめになったでしょう。文部省方針をきめて、これに従えというのじゃない。現地の先生方が、これではいけない——その表現のしかたが私はへたなんですけれども、これは深刻なものですよ。これくらい深刻な問題はないと思う。だから、これを見るに見かねて大学の先生がその方針を打ち出しなさった。それを文部省はいいとおっしゃっていらっしゃる。それならば、こちらからきめて押しつけるのじゃない、向こうから上がってきたのですから、これを受け取って、あなたは積極的に進めていかれる誠意があっていいと私は思う。当然だと思いますが、おやりくださるかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  13. 杉江清

    ○杉江政府委員 私としましては、大学方針に沿ってその実現をはかるために最善の努力をしたいと考えております。ただ、それを実現いたします場合には、先ほども申し上げましたようなことがありますので、やはり十分な御納得をいただくように、その点についてまず最善の努力をしなければならないと思います。大学方針ははっきりいたしましたけれども、しかしなお、御存じだと思いますけれども、いろんな意見もあり、いろんな動きも現に残っております。私は、いまの際に努力をすべきことは、まずそういう方々の御了解を得るように、大学はじめ、関係の心ある方々の御努力をお願いいたしたい、また、そのために私どももできることはいたしたいと考えております。それから、それと関連するのでありますけれども、第三の適地集結ということは、今度は事務的には、その適当な土地が得られるかどうか、どの程度の費用でその土地が得られるか、その財源はどうするか、両方の分校施設あとをどうするかというような、非常に具体的に解決しなければならぬいろんな問題が残っているわけであります。それらの解決を具体的にはかっていきながら、その第三の適地集結の実現に努力したいと思いますが、いまの際は、いまのような具体的問題を含めながら地固めをする段階だと考えておりますが、その地固めの努力は、関係方面と御一緒になって十分な努力をいたしたいと考えております。
  14. 丹羽兵助

    丹羽(兵)分科員 大学のきめたこと、それについては文部省も文句はない、文句はないどころか、心から望むところだ、それの実現を期しておる、こういうように御答弁を解釈しても、あまり違いはないと思います。自分かってにきめては悪いかと思いますけれども、そう思います。私も、たてまえから申しますと、数十億どころじゃない大きなあの施設をつくって提供した責任者なんですから、そうした立場からいうならば、当然、名古屋にしっかりした分校をしてほしい、岡崎にもしっかりしたものをやってほしいと言っておくことが一番無難だと思う。また、そういうつもりで実は血のにじむような努力をしてまいりましたが、しかし、現実をながめてみると、このまま放置しておくことはいけない。昔はそういうつもりで私どもは血の汗を流してやってきたのだけれども、いま大局からながめて、現実のみにくい姿を見て、大学の先生方のお考え、進め方、これに従うべきであると私は判断をして質問を申し上げておるわけなんですよ。だから、文部省がこれを進めていただくについて大いに賛成せざるを得ないというのですか、賛成することが、少なくとも国政に議論を述べさせていただく立場にある者のとるべき態度であると、私は神かけて信じておるのであります。  そういうことから申しますると、ここでもう一点だけお尋ねしておきたい。明らかに——あまり責任上の明らかではなくて、お互いに心配していただく立場からお考えを聞かしていただきたいと思いますのは、何度も言うように、文部省は、それでよろしい、大学は、それでなくちゃならぬということでおきめになった。それを進めていこうという今日のお立場、それについてはいろいろ具体的な問題があり、これの具体的なものを一々片づけていかなくちゃならない、整理していかなくちゃならない、交渉を続けていかなくちゃならない、これはわかります。それは知事をお使いになるのか、あるいはどういう方法で第三の適地をお選びになるのか、これまたいろいろとお考え方もありましょうが、そういうようにほんとうにやろうとしておられるならば、いまのような御答弁であるならば、もう少し文部省が積極的に進められるように、具体的に問題を解決していくように、けんかはそっちでやれ、それでよろしいといって見ておらずに、ほんとうにこの問題を国家のために片づけていこう、こういうようにお思いになるならば、もっと積極的にいまのような問題を解決するように文部省は努力をなさるべきであると私は思うのですが、やっておられることが一向きいておりませんですね。いま大臣の前でその御答弁を杉江局長さんからおっしゃっていただくならば、きょうからでもおそくない、もっと積極的にこれを実現するように具体的に進めていただく努力が願いたいと思いますが、やっていただけるかどうか。私は、こんな問題は、ただ愛知学芸大学の問題ではないと思うのですよ。何もかもぐあいよくいっておるところの日本の政治の上に、これだけがみにくい姿をもやもやとして残しておるじゃないか。これはあの大きな施設を提供した私自身がそれほど考えておるのですから、もう少し責任者として、いまおっしゃったようなことならば、一日も早く進めていくべきだと思うのです。この点についてあなたの熱意のほどというのですか、お考え大臣の前で聞かしていただきたい。ひとつ大臣に聞きたいのですけれども、よくおわかりにならぬかもしれませんから、局長から大臣の前で一ぺん話していただきたいと思います。
  15. 杉江清

    ○杉江政府委員 この問題に対する丹羽先生の御熱意について、私は心から賛成し、敬意を表したいと思います。私もこの問題の解決には特別の関心と熱意を持っておるつもりであります。従来もそういう考えで対処してきたつもりでありまして、最近におきましてもそういう気持ちは依然として変わらないものを持っているつもりでございます。ただ、文部省として具体的にどういう手を打っていくかということについては、なかなかむずかしい問題を含んでいるから、その辺の判断に慎重を期し、現在の段階においては、いますぐに私どもが前面に乗り出してやるべきかどうかについて、ややなお調整を要するものがあるという考え方で、この一、二カ月の間、私はあまり積極的に動いておりません。しかし、いろいろ関係方面との御連絡、大学のほうとのお話し合い等の努力は依然として継続いたしております。そういうふうなことを通じて、先ほど申し上げましたように、各方面の御了解を深め、御協力していただけるような体制を醸成しながら、必要に応じて文部省が前面に出てこの問題の解決を積極的に推進する、こういう態度がこの際としては賢明な措置ではなかろうかと私は考えております。しかし、この問題について、先ほどちょっとお話しのような、まあ適当に現地でやらしておけという傍観者的な態度はとるべきでないことはもちろんでございます。そういう意味におきまして、私はいまも十分な関心と熱意を持ってやっているつもりでございますが、今後ともそのような態度で、しかもこの問題の解決を早急にはかるための最善の努力をいたしたいと考えております。
  16. 丹羽兵助

    丹羽(兵)分科員 私は、いただきました時間もあと七分しかございませんから、七分で切り上げたいと思います。  杉江さんの話を聞いておると、全くもっともなように聞かれるのですけれども、あの渦中にあってこれだけ深刻な問題を身近に考えておる者としては、実にもの足らぬ感じがするのですよ。これだけ犠牲になって、これだけまる裸になって、大学考え文部省考え、これに私自身が飛び込んで、ほんとうに政治的に生命を失うかもしれませんけれども、国家のためにひとつ推し進めていこう、いままでの主張を全部撤回して、ほんとうに日本の教育のために学芸大学というものの筋を通していこうと考えておりまする者にとっては、情けない御答弁なんです。あなたが自分の大学局長という立場をあまり考えているからそうなんです。ほんとうにあなた自身が大学局長として日本の学校教育の筋を通していこうと思うなら、もっと勇気があるべきだと思うのです。第三の適地はどこがいいかおきめになる、それはもちろん文部省がきめるべきでないでしょう。やはり知事の意見も聞いたり、学校当局の意見も聞いたり、それぞれ御意見をお聞きになることは当然だと思う。そして大学自身が早くそれをやるような雰囲気をつくることも必要でしょうし、あるいは、新しく学校をつくるについては相当な財源というものも必要ですから、その財源をどこに求めるか。私に言わせれば、ちょっとそれを申し上げることをはばかりますけれども、とにかく新しいところに新しい大学をつくろうとする、しかもそれが最も将来のためになるとしても、金なしではやれないのだから、財源の問題も必要でしょう。そういう点等を考えて、あなたが具体的にこれをやろうとするなら、大学局長の首をかけてでも、あるいは文部大臣の地位をかけてでも、日本の教育のためにならやるべきだという信念を——私言ったじゃないですか。私があれだけの大きな財産をするっと国のほうに何らの条件なくして差し上げたでしょう。そのとき私は、自分自身の代議士としての地位、選挙というものを考えずに、あれだけ迫害があったのにかかわらず私は出した。どうかあの施設をゆがんだことには使ってほしくない、日本の教育のためにほんとうにあの施設を使ってほしいという一念で、あれだけ反対があったにかかわらず私は国へ出したでしょう。あなたはよく知っているはずだ。前の局長当時ですけれども、よく記録は見ておっていただけるはずです。だから私はこれを、聞き芳しいことではありますけれども、自分自身の立場というものを申し上げつつ要請をしておるのですから、もっとこれを積極的にやってほしい。そのことがいいと思われるなら、もっと積極的にやるべきだ。いかぬと思われるなら、依然として丹羽さん昔の考えに返ってください、名古屋にまた分校、後期というものをつくりましょう、岡崎にも後期というものをそのまま残して、両方しっかりけんかをやりなさい、あの施設を利用してうんと派閥争いをやりなさい、それが日本のためになるからと、あなたおっしゃるべきでしょう。それがならぬとおっしゃるなら、いいか、げんにこれらの点をはっきりやるという態度をきめていただかなくちゃならぬ。そこまであなた考えていらっしゃるなら、私はここでお聞きしたい。それだけ誠意があって進めていらっしゃるならば、それを実現させるための調査費が今年度どこに上がっておりますか。見てない。それを質問すれば、必要ならば文部省予算の中で、大臣のお許しを得て調査費のほうに回す、一千万円や五百万円の金は使う権限が大臣にあるから、そちらの金を回すとあなたはおっしゃるに違いない。そんなことは見え透いたことです。しかし、それだけの誠意があるならば、それだけやらなくちゃならぬという考えならば、調査費くらい堂々とことしの予算要求してやって初めて、なるほど文部省愛知県民の苦しみをともに苦しんでおってくれるのだということが私は理解できる。調査費の関係は、お答え願わぬでも、当然そういう答弁が出ると思いますけれども、そうでしょう。そういう点を進めていく、調査をする、具体的に話し合っていかなくちゃならぬというなら、なぜ調査費をしっかりお組みにならないのか。金は大臣の権限でお出しいただけるでしょうけれども、金が使えるとか使えぬという問題ではなくして、ここらの問題が解決する一つの前提として、誠意をこうやって示した、こういう努力を払っておるという気持ち——私は、少なくともここまできておるものなら、第三の適地調査費というものを予算にのせて、県民、知事に働きやすいようにしてやってほしかったから、これをついでに申し上げたわけです。その点、ひとつあなたの考えを明らかにしておいていただきたい。  もう一つは、もう二分しかありませんが、こういうことなんです。こういう問題が起きたということは、とりもなおさず、国の施設でありながら、国が金を出し渋って、うまいことをいって——また管理局長に風当たりがいくかもしれないけれども、そういう金を出し渋って、おまえのほうへは旧の施設を差し上げますから、それを何とか県のほうでもらって、どこかいいところにそれに足してりっぱなものをつくってください、そうすればあなたのほうに大学の後期なんかもいくでしょうなんといって、そういう金を出すことが惜しいから、地方にうまいことをいってやらしたということが、今日大きな争いになっておるのです。そうして、いま大学局長さんも、やはりそれを処分するについてもいろいろ問題があるとおっしゃったが、そのとおりなんです。だから、冒頭に私が申し上げたように、これからの国立学校を、あとに尾を引くように、あとに夢のような楽しみ、こういうものを持たして協力をさせて、何ともならぬというようなことにしないように、できるだけ今後は国の施設については文部省も苦しい中ながらも筋を通したやり方をやってほしい、こういう問題が、とりもなおさず、そこから出てきたのです。と同時に、大きな学閥の問題ですから、私は、心やすい杉江さんに、最初はあなたとほんとうに頭のなぐり合いまでやるくらいの意見の相違でございましたけれども、しかし、国のためには私自身が一切を犠牲にしてでも文部当局並びに大学当局考え協力しなくちゃならぬということでやってきている。それでありますから、文部省も責任を持って、いかぬとおっしゃるなら、置くとおっしゃればいい。とてもやれませんから、置く、そのかわりに名古屋に後期をりっぱにつくって、あなた方の苦労に報いるようにりっぱな国立大学として、二つともやむを得ませんから、置きます。大学を置くにしても、いまの分校をしっかり整備し充実をはかっていきます。こうおっしゃっていただけば、何も一時間大切な時間を同僚のお許しを得てお尋ねしないでも済むことなんです。それが日本のためにならぬとあなた方は考えていらっしゃる、大学もそれを考えていらっしゃる、だから私も、やむを得ずというよりか、やむを得ずという考え方を捨てて、ほんとうに心から協力を申し上げようとしておる。それがごそごそやって調査費も立てずにやっておるということは不可解だ。この点で調査を進めていくとか、こういうことによって具体的な問題を進めていくという明らかな態度をお示し願うことを要請して、私はこれで質問を終わらせていただきます。
  17. 杉江清

    ○杉江政府委員 御激励を心から私うれしく思います。御趣旨に沿って今後十分な努力をいたすつもりです。ただ、いまの調査費等の問題、これは、先生もいまおっしゃったように、実際やろうとすれば、いまの予算範囲内でできることでございますから、必要に応じてそういうこともやっていきたいと思います。ただ、私の熱意について御疑問があるようでございますが、私の事務的な立場から多少歯切れの悪い点もお感じになられたことと思いますけれども、私は熱意においては先生と相劣らないつもりでございます。そのくらいの熱意を持ってこの問題の解決に今後も十分の努力をいたしたいと考えております。
  18. 丹羽兵助

    丹羽(兵)分科員 だいぶんいいところまでのお答えをいただきましたけれども、これではほんとうにもう奥歯にもののはさまったような歯切れの悪いことで、私はそれでよろしいと下がるわけにいかぬ。しかし、残念ながら与党ですからここで質問は終わらせていただきますけれども、最後に、大臣どうでしょう、私が申し上げたことは間違っておるかどうか、ほんとう大臣の御指導を常に受けておる私として、教育に対する考え方、また、次代をになうところの子供を教育していく先生を養成する機関に対する私の考え方というものは一体違っておるかどうか、私はほんとうに誠意を持って訴えておるつもりなんですよ。それで、いま局長がいろいろと調査費の問題等についても大臣の前で言ったので、間違いないと思うのですが、これを進めていくためには相当の金が要ると思います。そういう点は大臣のいまの御答弁範囲内でしていただけることはやっていただけると思いますが、一体、私の考え、私のいまのお尋ねした点、自分自身の考えを述べつつお尋ねした点、もしも不都合だとお思いになった点があったら私自身も反省したいと思いまするので、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思っております。
  19. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 世の中には理想と現実と一致しない場合が間々ございますが、この問題も重要なその一つであると思います。私も就任以来頭を悩ましておったところでございますが、丹羽さんのように、いわば一方の応援団の旗頭であった方が第三地統合ということに踏み切っていただいたことは、非常な問題解決の前進であると思います。したがいまして、私どもとしましては、この第三地統合に学校側もまたいろいろ関係方々も意向が固まってきておる現状にかんがみまして、全力を尽くしてその実現に万全を期したいと思います。ただ、第三地とはどこにするかということになりますと、これも学校の教授関係あるいは両分校関係者、どちらもここでならば非常にけっこうだという納得のいく場所をまず選定することが先決問題でございますから、そういうような御意見なり考え方を一致させつつ、ひとつ全力を尽くして、ようやく理想の方向に路み切られて向かってきたわけですから、努力をしてまいりたいと思います。
  20. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、滝井義高君。
  21. 滝井義高

    滝井分科員 いま丹羽さんが愛知県の学芸大学の苦悩を述べましたが、私は福岡県ですが、福岡県はその苦悩を乗り越えたのですが、そのあとにまたたいへんな悩みが出てきているわけです。その悩みについてきょうお尋ねするわけですが、きょうは予算委員会分科会ですから、一般質問や総括質問と違って、文部当局も具体的にひとつお答えをいただきたいと思います。  まず、そもそもの苦悩の一般論をお尋ねするわけですが、大臣御存じのとおり、最近における日本の人口構造というのは、いわゆるピラミッド型から、だんだん、つぼ型というか、とくり型になってきたわけです。老人人口が多くなって、生産年齢人口が比較的多くなって、十五歳以下の若年人口というのが減りつつあるわけです。すなわち、昭和二十二年、二十三年、二十四年のベビー・ブームというのは、小学校、中学校をもうほとんど通り抜けてしまうという状態になってきたわけです。そういう形になってまいりますと、必然的に学校における学級編制あるいは教職員の定数というものに非常に大きな変動を及ぼしてきつつあるわけです。大体、日本全体を見た場合に、こういうベビー・ブームが過ぎたあとの小学校、中学校の学級編制なりあるいは教師の定数の実態というものは、四十一年において文部当局としてはどういうように配置するつもりなのか、まずその基本方針をお述べいただきたいと思います。
  22. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 お答え申し上げます。  いま御指摘のありましたように、四十一年度は前年度に比べまして約五十七万人の児童生徒の減少が見込まれますが、この機会を利用いたしまして改正標準法の計画どおり学級編制の改善をいたしまして、四十八人の学級規模から四十一年度は四十七人に改正をいたします。それから、なお、教職員の定数の充足について、経過的に最終年度の四十三年までに厚みを増してまいります。それから、特殊学級の増設あるいは充て指導主事の増加、あるいは僻地におきます単級四・五学年複式学級の人員、あるいは養護教員、事務職員の増加をはかってまいりたいと思います。それらの結果、全国で見ますと、自然減の要素と、それからこれらの改善のための要素とを比べまして、義務教育国庫負担金の中で措置されております教員の定数が全国で二十人の減となっております。しかし、そのほかに養護学校の教職員の関係がございまして、これは養護学校を四十一年度に新設いたします十六校分並びに従来設置をしておりましたものの増加等を比べまして五百五人の増がございます。したがいまして、教職員は養護学校を含めまして考えますと四百八十五人の増というかっこうになりまして、これらは児童生徒の減少の機会を利用いたしまして教職員の充実をはかっていくという措置でございます。
  23. 滝井義高

    滝井分科員 御存じのとおり、昨年十月に全国的な人口の調査が行なわれたわけです。三十五年当時の国勢調査に比べて四十年十月の国勢調査の特徴は、日本の農村地帯においては急激に人口の減少が始まって、太平洋ベルト地帯に急激な人口の増加があるわけです。特に、太平洋ベルト地帯の中においても、東京から神戸のこの地帯に集中的に人口の増があるわけです。したがって、この地帯の学級編制なり教師の標準定数は、他の農村地帯に比べて必然的に増加傾向にあるわけです。ところが、一方農村地帯その他においては急激な減少があるわけです。したがって、いまの文部省の御指摘のような、全国一律に四十八人の学級編制定数基準を四十七人にしゃくし定木にやっていける情勢にあるのかどうか。たとえば、太平洋ベルト地帯の中の東京から神戸の間の地帯においては、むしろやはりすし詰め学級をやらなければならぬし、そんなに一挙に教室もふやすわけにはいかぬ、こういう事態が起こってくるのではないかと思うのですが、文部省としては全国どこもしゃくし定木に四十七人の学級編制でいくことになるのかどうか。
  24. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 義務教育国庫負担法の積算におきましては、全国最高四十七人で学級編制ができるように予算としては措置をしたわけでございます。なお、教室につきましては、これは別に公立文教の関係で、従来生徒一人当たりで計算されておりましたのが、学級の数に合うように補助金等を組んでおるわけでございます。
  25. 滝井義高

    滝井分科員 最高が四十七人ということになると、一体最低はどの程度までお認めになるのですか。
  26. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 これは、学級それぞれの実情に応じて、少ないところは少ないように配置されるわけです。ただ、例外といたしまして、総数が四十九人というような場合には、これを機械的に割ることは非常に効率が悪うございますから、五十人に同一学年がなりますと、これは二十五、二十五という学級ができるわけでございます。
  27. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、普通の常識で言えば、最高は四十九人で、五十人の場合は二十五、二十五、最低限は二十五くらいでよろしい、こういう考え方に立っていいですね。
  28. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 最低は僻地等になりますともっと低いところが出るわけでございますが、それはその実態を見ながら給与等は支払われるわけでございます。
  29. 滝井義高

    滝井分科員 僻地等は一応例外として、普通のところは二十五を最低と、こう理解をして質問を進めます。  そうすると、今度の先生の定数の配分で、特殊学級、充て指導主事、僻地のこの三つに対する配分はどういう数を配分することになりますか。
  30. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 特殊学級は従来の増加のほかに一千学級増加を予定しておりますが、これに要する教職員が千三百二十六人でございます。それから、充て指導主事の増が二百人でございます。充て指導主事は、本年まで大体二千人弱の充て指導主事を配当しておりますが、それは引き続き配当したほかに二百人の増を見込んでおります。それから、僻地の単級四・五学年複式学級の教員の増が二百人弱でございます。これは、三百七十七の単級四・五学年学級の先生方を最低二人にするという措置を新たにとりますために、三百七十七の半数の増をいたしました。それから、そのほかに、実は北海道、それから岩手、青森、それから若干徳島という道府県につきましては、実は四十三年までの経過措置におきまして、四十一年度と四十二年度にやや不合理があらわれました。と申しますのは、僻地学校に対します教員充足を三十八年度の改正で一挙にいたしましたために、最終に達する前に四十一年、四十二年で一回、定数上引っ込むという傾向があらわれましたので、その点についてはなだらかに措置ができますように増をいたしたのであります。養護教員の増は六百三十五人でありますし、事務職員の増は七百九人でございます。
  31. 滝井義高

    滝井分科員 これで大体概要がわかりましたので、少し具体的に入ることになるわけですが、御存じのとおり、いま御説明をいただいた特別の措置があるわけです。日本全体が農村地帯を中心に特に人口の減少がはなはだしいわけですが、私がきょう問題にいたしたいのは産炭地についてでございます。農村地帯における、特に福岡県の農村地帯と福岡県における産炭地の人口の減少の状態とを二つ比較してみました。一番わかりやすいところで、たとえば私の近くに純粋の農村地帯で築上郡というのがあります。ここの昭和三十五年十月の国勢調査は四万五千三百十九です。これが四十年十月になると四万二千百四十、三十五年十月から四十年十月のこの五年の間に約三千の人口減少です。その郡の中心に豊前市という市があるわけです。ここは三十五年十月が三万四千八百十八人、ところが四十年十月は三万二千六百五十九人、約二千人の人口減です。ところが、これを今度産炭地にとってみますと、その二千というのが市部で二万になるわけです。郡で三万になるわけです。一けた違うわけです。同じ福岡県の中で炭鉱のない純粋の農村地帯をとると、五年間に二千から三千の人口が減るわけです。ところが、炭鉱のあった地帯の郡部は三万、市部は二万、一けた違って減っていくわけです。したがって、そういう地区においては急激に子供が減ってくるわけです。したがって、その結果どういうことが出てくるか。二つ現象が出てくる。一つは教室がうんと余ってくる。一つは先生がうんと余ってくる。二つの現象が起きている。この二つの現象を一体どう解決するかということが、ようやく学芸大学を統合して、そして教育体制が確立した福岡県のいわば悩みになってきた。愛知より一歩進んだ状態が出てきた。愛知は今度、いまから学芸大学を統合して、愛知は東海地区でどんどん人口がふえておるところですから、むしろこれから教室をつくる悩みと教師を確保する悩みが出てきておる。それとうらはらの関係が出てきておる。ですから、愛知、福岡と相次いで質問することは、日本の教育の両極端の縮図をやることで、ちょうどいいと思って、その次に偶然神様がしてくれたと思うのですよ。そこで、石炭への葬送曲が終わると、石油への序曲が始まる。愛知はいまから序曲ですよ。われわれはいま葬送曲が終わった。終わったあとでこれからどうするかということになるわけです。  そこで、お尋ねをいたしたいのは、いま初等中等教育局長から答えていただいたように、最高四十七から最低二十五まで弾力があるとお話があったわけです。この弾力でやっていただくと非常にいいことになるわけです。  先日河野委員の予算委員会一般質問における大臣の御答弁というのはどういう答弁があったかというと、産炭地の補導教員の増加の問題についての質疑に対して、大臣のほうから、これは非常に重大な問題だ、町村財政が疲弊をしておるので、産炭地の教員の定数については目下検討中だ、しかし、私としては、生徒指導の専門の教師を置くよりも、むしろその教師に学級を担任をさして、そうして生徒の補導も同時にやるほうがいいだろうという御意見があったわけです。これは私もそれと同じ考え方を実は持っておるわけですが、ここで、私、産炭地の五つの特徴を知っておいていただいて、いまのような、大臣がこの前答弁をされた結論を具体的に実施していただきたいと思うのです。  そのまず第一の特徴は、生活保護家庭、それから共かせぎの家庭、それから、父親とか母親、どっちかがいないという欠損家庭、こういう生活保護家庭、共かせぎ家庭、欠損家庭が多くなったということが第一の特徴です。それから、第二の特徴は、要保護、それから準要保護家庭が固定化し、長期化してきたということ、これが第二です。それから、第三の特徴は、生活扶助を受けなければならない理由というものを調べてみますと、小学校で六三%、中学校で五四%は炭鉱の閉山によって受けなければならぬ。普通のところは、生活保護を受けなければならぬ理由というのは病気がおもです。ところが、産炭地における第三の特徴として、扶助を受けなければならぬ理由というのは閉山です。それから、第四番目は、中学三年生の進路の状況です。進路状況を調べてみますと、非産炭地においては県内就職が非常に多いのです。中学三年の卒業生で就職を調べてみますと、県内就職です。ところが、産炭地の中学三年生の進路は県外がほとんどです。県外が非常に多いのです。このことはただ教育の問題だけではないのです。これは深刻な社会問題を含んでいるわけです。はるかかなたにまで子供を出すことよりも、県内に職があったら県内にやりたいというのがみんなの願いです。ところが、それがみんな県外に就職をしなければ職場がないというわけであります。純粋な農村地帯におけると同じ形が顕著にあらわれてきておる。それから、第五番目は、産炭地の子供たちの多くが学業不振です。学業不振と同時に、これは重い軽いの差はありますけれども、非行的な行為が非常に多いのです。こういう二重障害を持っているわけです。こういう五つの特徴を持っておるのです。  そこで、こういう五つの特徴というものは一体何を意味するかというと、由来、われわれが子供を育てていく場合には、まず第一に家庭教育があります。それから、学校教育がありますし、その地域のコミュニティーの社会教育がございます。ところが、いまや、この学校教育というのが、産炭地においては家庭教育とコミュニティーの社会教育とを背負っているわけです。学校教育がもはやその三つのものを同時にやらなければならぬという、こういう状態が起こってきているということです。そこで、こういう状態になりますと、これは教育の場におけ荷重というのが非常にかかってきて、いまのしゃくし定木の教師の配置ではどうにもならないという実態が起こってきているわけです。そこで、こういう実態でございますので、大臣の構想として出された、直接教師が生徒を指導する配置のしかたのほうがいいのだということでございますが、これは当然ある程度政令を変えなければならぬと思うのですが、その場合に、大臣としては一体どういう方向でこの二重苦、三重苦の悩みを持っている産炭地教育を解決していくための配置をする方針なのか。少し具体的な構想を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  32. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 御指摘のとおり、人口減、それから生徒減の一番はなはだしいのは産炭地であろうと思います。そこで、実は、そういうふうに生徒数がはなはだしく減る地区も各地に出ておりますので、これらをどうするのかということで今日まで検討を続けてきているわけでございますが、私どもとしましていま得ております結論は、いままでは生徒減に対してその保障率が九七・五%でありましたが、今度はこれをパーセントを少し引き上げまして、九八・五%までは保障するような政令改正をいたしたい。そういたしますと、生徒減の一番はなはだしい産炭地等にも、その恩恵といいますか、影響は自然一番大きいわけですから、さようにいたしまして、いろいろ御指摘になっておりますような事情の解決につとめていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。  こまかい点は初中局長からお答えをさせることにいたします。
  33. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、四十三年までの経過措置といたしまして、教職員の定数の最低保障ということを考えなければなりません。したがいまして、特にことしは、四十一年度は、急減の要素は中学校に及ぶわけでございますので、これが四十年度では減のうち九七五%を中学校について保障しておったものを、九八・五%にいたしたい。これは一応の政令の改正を行なうように予算上は計上してございます。  ただいま御指摘がございましたこの状況を福岡県について見ますれば、この産炭地関係の府県で、最低保障ないしは急減緩和の効果を一番受けますのは福岡県でございまして、その最低保障がそのように九八・五%ということに相なりますると、小学校で四十七人、それから中学校で四百九十六人、これが通常の標準の措置よりは緩和されてまいるわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、同じ産炭府県でありましても、北海道のような府県はこういうことには相なりませんで、むしろ通常の府県より四十三年に至る経過というものが非常に不利でございましたので、これは、僻地をたくさんかかえているとか、あるいは産炭の問題もございましょう。いろいろな要素で、県内においてそういうところに手当てをする定数としては十分であるということでございましたので、二百八十名ぐらいの措置をいたしてございます。これはすべて四十三年に至りますときまでの経過措置でございまして、標準法は何々のためということはございませんで、形としては全国一律のルールでございますが、現実にそれによって各府県の教職員の定数が救済をされたりあるいは措置されて、その結果それぞれの府県内でその定員をもって重点的に各種の問題のあるところに適当な措置をされるということを期待しておるわけでございます。
  34. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、いまの福岡県の最低保障というのは、まあ急減緩和の措置というのは九七五から九八・五になる、小学校四十七人、中学校九十六人、合計百四十三人というのは、四十一年から四十三年までにやるのですか、それとも四十一年に一挙に百四十三人やるということになるのですか。
  35. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 ただいま申し上げました急減緩和の政令によって措置される四十一年度と四十二年度の間におけるその急減緩和の措置によって計算される数が、小学校が四十七人、中学校が四百九十六人、合わせて五百四十三人と相なるということを申し上げました。なお、福岡県につきましては、別に三十八年度の法改正の時点におきまして通常の府県より相当過員がございましたが、これもまた一挙にやりますことは影響がございますので、五年間にわたって経過措置を講じておりますので、そこのいわば過員救済の措置というものも若干ございます。
  36. 滝井義高

    滝井分科員 ちょっとわからないのですが、いま御説明で、九八・五にすると小学校四十七人、中学校四百九十六人、福岡県には通常の措置より緩和できるという御説明があったのですが……。
  37. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 一%の増加によってということではございません。これは、九八・五に小中学校とも本年度なりますから、その結果でございます。でございますから、もし一%を中学校分について厳密に考えれば、その分は九十一二人ということぐらいの数字になろうかと思います。
  38. 滝井義高

    滝井分科員 実は、御存じのとおり、福岡県は学芸大学を統合して一本になりましたけれども、県内においてこの学芸大学卒業生を雇用する場所がないのですね。いま百何人かは、今年卒業する者は県外に全部就職です。県内にないわけです。これはもう隠すことも何もないのですが、今年大体福岡県において児童数が三万五千人減るわけです。学級にすると五号三十一学級。五百四十八人の先生の過員ができるわけです。したがって、学芸大学を五百か少しぐらい卒業したって、全部雇用する場所がないわけです。まあこうなると学芸大学無用論になっちゃうわけです。ところが、そうはいかないのですね。したがって、こういう実態で、率直に言って、学校の先生というのはその地域に土地と家を持っておりますよ。そうしますと、この先生をどこか遠方に転勤をせよといっても、御存じのとおり昔から師範学校に行く人というのはその地域の素封家の子弟が行っているわけです。やはり村の相当有力者の子弟だというような形になってきて、さあその産炭地が疲弊をしたから、君愛知県に転勤せよなんと言ったって、家と土地とを売って行くなんといったって、さびれた産炭地で大きな家と土地を買ってくれる人なんかいないですよ。どうしてもそれをお守しなければならぬという問題が起こって、急激な転勤その他はできないという問題がある。こういう社会問題があるわけです。だから、教育というのは、教えることとともに育てることもあるわけで、教師が残酷な目にあって、今度はよそに行って教育をするなんといったって、それは心境としてなかなかいい教育ができなくなるという問題がある。といって、一方産炭地にはいま言ったような五つの特徴を持っているということになりますと、何か合理的な方法はないかというので、専門家にいろいろ調査検討してもらってみた。そうしますと、こういうことが出てきたのです。さいぜん御説明申しますように、生活保護なり準要生活保護家庭というものが固定化し長期化してきたのです。したがって、学校教育に家庭教育、社会教育がかかってくるというので、その学校で生活保護なり準要生活保護を受けている子供が、その学校の全児童生徒数のうち幾らおるか。三分の一以上おるところ、それから百五十人以上おるところという二つのものさしを当ててやってみますと、そういう学校が相当あるわけですね。とにかく、そういうたとえば三割六分以上生活保護なり準要生活保護児がおるグループをAグループとし、二割以上おるグループをBグループとし、それ以下をCグループ、こういうように分けてやってみますと、大体小学校大臣が言ったような補導専門教員がやはり五十二名はどうしても必要だ、中学校で六十七名、百二十名程度置いていただくと緩和してくる状態が出てくるわけです。いわゆる家庭教育なり地域の社会教育をもになっていける体制が学校に出てくる。その場合には一学級の平均児童数というものはAの三割以上生活保護なり準要生活保護児のおるところの学級は三十五、それからBの二割以上生活保護なり準要生活保護児のおる学級の編成は四十、それ以下のところ、二割以下のところは四十五、さいぜんの二十五よりずっと上に学級編成をしていきますと、これは教師の意見も聞いてみたが、それはできるというわけです。こういう程度のものならばこれはやってもらう必要があるのではないか、こういうことなんです。そうしますと、あまりしゃくし定木に教育というものをやってはいかぬ。私、きょうたまたま、いま福岡から出てきたのですが、来るときに一九六六年の教育という朝日新聞のシリーズみたいなのが載っているのをちょっと読んでおりました。そうしましたら、教師というのは、きちょうめんで、きちっとした洋服を着て、非常にしつけの激しい先生が教育をやっておった。ところが、どうもその教師に必ずしも子供がなつかずに、中学校において非行の少年が出てきた。ところが、たまたまその教師が酒を飲んで、そして千鳥足で帰りながら立ち小便をした。ところが、その立ち小便をしておる姿を非行の少年の一人が見つけた。ところが、その少年は、今度は学校に行ってあのきちょうめんなまじめなやかましい先生も、あれはうちのおやじと同じだ、酒を飲めばやはり立ち小便をするぞ、こういうことになって、その教師の立ち小便をしたというその行動が、非行少年に、あれはわれわれと同じ種類の人間である、先生というのは雲の上の人間じゃないぞ、立ち小便をしておったぞというので、こういうことが非行少年を非常に感動させて、直ったというのです。こんなのはたいしたことはない。たいしたことはないけれども、こういうところがやはり私は大事なところだと思うんですよ。それが、産炭地ではそういうことができないんですよ。そういうかゆいところに手の届くような形が、家庭も社会地域も荒廃してしまっておるからできない。だから、こういう点で、学級数をしゃくし定木に言わずに、いま言ったように、三十五人から四十五人程度に弾力的にやっていただくと、そういう形が出ますよ。これは私はやっていただきたい。教師というのは教えるだけではだめです。育てるところがなければだめなんです。それがいま欠けているのです。教えることはできるが育てるところがない。こういう教育の育のところが欠けている。だから、したがって、大臣ひとつどうですか。その大臣の理想どおりに、幾分基準法とか定数法とかというようなところに抵触するところがあるかもしれないけれども教育というのはしゃくし定木にいかない。それぞれ個別的な指導、いわゆるよく大臣諸公の言われるケース・バイ・ケースが必要だと思うのです。だから、こういう全国的な人口急減にプラス産炭地の閉山という悲惨な状態が加わって、早くも、よく言われるように、炭鉱がスクラップになるばかりでなくて、人間も虚脱になってスクラップになりつつあるわけですから、人間のスクラップを、これから日本の若年人口が減るときにあたって、やはり私はこれはてこ入れをする必要があると思うのです。そういう意味で、いまのような、これから四十三年まででなくて、やはり産炭地にはプラスアルファがついておる上にさらにプラスアルファ・ダッシュをつけるぐらいの政治が必要だと思うのです。それを一体やってくれるかどうか。非常につつましやかな要求です。百二十名ふやしてもらったらいいんだ、こういうことなんです。
  39. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 先ほど齋藤局長からお答えを申し上げましたように、従来からもこうした激変の地域につきましては緩和措置を若干講じてまいったわけでございますが、今後も、できるだけ実情も検討いたしまして、いま御指摘のような点につきましては研究を続けてまいりたい、かように存じております。
  40. 滝井義高

    滝井分科員 ぜひこれは、何なら資料も差し上げます。われわれは各町村別に全部調べております。長欠児童から生活保護の実態、全部調べてみた結論が、やはり三十五から四十五ぐらいの弾力的な、その地域の実態に応じた学級編成をやってもらったらいい、そうすれば百二十名新しく配置をしてもらえば産炭地の教育というものは前進するという結論に到達したのです。ぜひひとつ、いまのような弾力的な形で御検討願って、日本の資本主義の基礎を築いた産炭地を何とかひとつ立ち直らしてもらいたいと思うのです。いままで産炭地は、学問をしなくても裸一貫で何とかやっていけた。というのはフロンティアがあった。ところが、いまは、石炭がなくなるとフロンティアがなくなった。フロンティアがなくなったときには、人間は何をしなければいかぬか。学問をする以外にないですよ。だから、いまや産炭地では学問をやろうという意欲が起こってきている。したがって、もはやフロンティアのなくなった地域で人間が希望を持つためには、やはり教育希望を持たせる以外にない。いままでは学問がなくても仕事をすれば何とかやっていけた。そのフロンティアがなくなったのです。産炭地におけるニューフロンティアは、これはケネディじゃないけれども教育です。いま産炭地の疲弊した中から教育をやろうという熱意が起こっているのだから、これをぜひひとつふるい立たしていただきたいと思うのです。  それから、最後に、もう二点あるのですが、学校の事務職員です。生徒の半数以上が生活保護者だなんということになりますと、教師では生活保護の事務が手が届かぬのですよ。扶助費が来ます。それをおやじにやると、これはしょうちゅうに化けてしまうのです。だから、どうしても学校の先生が、滝井義高なら滝井義高という扶助児の貯金通帳を持っておって、扶助費が払い込まれるとそれを貯金通帳に入れる、そして子供の必要とする運動帽から、ズックから、鉛筆、手帳に至るまで全部買ってやる、買ってやったら、それを今度は貯金通帳から出して、これを福祉事務所に領収証をきちっと出さなければいかぬ、親の判ももらわなければならぬ、こういうことをやるわけです。それをいま全部教師がやっている。ところが、たくさん生活保護児ができると、それができなくなるのです。そこで、事務職員を一体どの程度必要とするかということをやってみましたら、大体小学校で二十二人よけいにもらったらいい、こういう結論になった。そうすると、小学校、中学校で、教師の百二十人と事務職員二十二名ですから、百四十二人配置されたらいい。いま新しく事務職員を七百九人ふやす、こういうことです。それならば、この疲弊して人間がスクラップ化しようとしておる産炭地に二十人くらいのやりくりは全国の中からできやしないかという感じがするのですが、これはどうですか。
  41. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 現在の標準法によりまして、中学校につきましては三百人に一人、それから小学校につきまして四百人に一人、それぞれの事務職員の充足の目標を掲げて、いま経過的にその道を歩んでおるわけでございまして、四十一年度と四十二年度の関係が、全国数字で申しますとそういう数字であったわけでございます。いま教職員につきましても事務職員につきましても四十三年を目標にして一定のルールに従って措置しているわけでございまして、現在の段階で直ちに特定の事由によって配分をするというわけにはまいりませんで、それは府県の定数の中で、それぞれの問題を県内はかかえておるわけでございますから、あるものは産炭地の問題、あるものは同和の問題、あるいはその他の事由におけるいろいろな事務の繁雑あるいは非行の問題等をかかえておるわけでございますので、現在のところは県内における総定数の範囲内でそれぞれ重点的に措置をしていただきたいと思いますが、いまのお話につきまして、将来の問題としては私どもも検討してまいりたいと存じます。
  42. 滝井義高

    滝井分科員 福祉事務所がやらなければならない仕事を学校がやっておるわけです。社会局長もいらっしゃっておると思いますが、福祉事務所がそのこまかいところまでできないのですね。私は、初め、生活保護の事務というのは非常に複雑でややこしいから、福祉事務所の職員を、月の初めと月の終わりか何か、事務の必要なときに学校に臨時に出張さして、そしてやるような方法をとるべきだという主張をしたのですが、やはり教育の場に他の省の者が来てやるということは、教育の場を混乱させるおそれがあるわけです。そこで、これについてもいろいろ県当局なりあるいは学校の先生方と討議をしてみました。そうすると、やはりこれは事務職員を置いてもらったほうがスムーズにいくという意見なんです。それも、いまのような補導教員を配置してもらいますと、ある程度先生がやってしまいます。ところが、学校の半数以上が生活保護児なり要生活保護児になりますと、これはどうしてもやはり何人か置かなければならぬというところが出てくるのです。そのぎりぎりのところが二十名なんですね。小学校だけで二十名。こういう点は、いまの齋藤さんのような答えでなくて、もう少し前進のある検討をぜひひとつしてもらいたいと思うのです。その点について社会局長の御見解をひとつ承っておきます。  これで終わりますが、もう一つの問題は、福岡県だけで三万五千人の児童が減少をして、学級で五百三十一学級減ることになる。そうすると一体どういうことが出てくるかというと、ベビーブームによって、小学校、中学校に上がった子供たちの教室をわれわれはいわゆる急増対策としてつくったわけです。急増対策でつくるときには、全部これは起債によってつくったわけです。ところが、この起債は利子をつけて返さなければならぬ。そこで、五百三十一学級も学級が減ると、教室がそれだけ余ることになる。そこで、がらんどうの教室がたくさん学校に出てきたわけです。教室は使わない。起債は返さなければならぬ。そこで、いま産炭地では、この借りた起債を返さなければならぬ、財政は苦しくなっておるのだが、一体これを何とかしてもらえぬかという問題が起こってきたわけです。一説には、これを国に買い上げてもらったらどうだという意見も出てきておるわけです。この対策を一体文部省考えたことがあるのかどうか。それから、自治省は一体この対策をどうするつもりなのか。いま私がお願いをしたような、生活保護児が三割五、六分以上のものを一学級三十五人にし、二割以下を一学級三十五人あるいは四十五人にしたにしても、なおこれは相当余ることになるわけです。そうすると、余った教室をそのままにしておいて使わないと、あき家がすぐに悪くなるように、これはもう老朽化してすぐにだめになってしまうわけですね。この対策というものを一体文部省なり自治省というものはどう考えておるのかということです。  先にひとつ今村さんのほうから答えてください。
  43. 今村譲

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。  いま先生がおっしゃいましたように、できるならば福祉事務所のほうの人をふやしてというふうなこともいろいろ検討いたしましたが、問題が二つございまして、一つは、いま先生がおっしゃいましたように、生活保護法の三十二条によりまして、崩壊家庭といいますか、そういうむずかしい家庭については学校のほうに委託するんだという方式をとっておりますが、そこに人を派遣するという系統の問題が一つ。それから、もう一つは、根本問題でありますが、いまおっしゃいますように、産炭地の転換によりまして、生活保護の福祉事務所の現状といいますのが、たとえば、三十年度福岡全体で保護費が十九億ぐらいというのが、現在はもう百十四億、したがって、非常に大きく金額がふえております。件数は必ずしもこのとおりではありませんけれども。福祉事務所には県市を合わせまして全部で千五百人くらいおりますけれども、これの大増員をしなければ、とても適正な、かゆいところに手が届いたとは申しませんが、それだけのことができないというので、いま県や市に一生懸命になって福祉事務所の増員をお願いしておる、こういうふうな現状でございますので、その二つの点から考えまして、やはり学校のそういう事務職員なりいろいろな関係の方でありましょうが、何とかお考え願えないかということで文部省と話はいたしておりますけれども、いろいろな法律的な制約とかということで、まだ進展しておらないというふうな状況でございます。その辺の事情をひとつお含み願いたいと思います。
  44. 及川謙三

    ○及川説明員 財政局長から御答弁申し上ぐべきところと思いますが、第三分科会に出席しておりますので、私、指導課長でございますが、お許しをいただきまして御答弁申し上げます。  御指摘の産炭地市町村における財政問題の中で、特にいま御指摘になった問題が大きいものの一つでございます。これに対しましては、従来特別交付税等の配分につきまして個々の市町村の財政事情等との関連であとう限り考えてまいりましたが、今後におきましても、御指摘の事態が各市町村に多く出てまいるかと思います。これらについては、第一義的には、むずかしいことかと思いますが、他の公用施設あるいは公共用施設等に善用してもらうべく努力をしていただく。また、将来にわたって長期にどうしても不用になる、あるいは他に転用が不可能な施設等につきましては、やはり個々の団体財政の実態との関連ではございますけれども、やはりその償還の財源等については十分な配慮をしなければならない。具体的には現在検討を終えておりませんが、地方交付税の配分あるいは地方債の借りかえなどの方法があろうかと思いますが、せっかく検討を進めまして善処してまいりたいと考えております。
  45. 天城勲

    天城政府委員 学校施設の問題につきましては、物理的なものでございますので非常に処置がむずかしいわけでございますが、補助金で建設されました建物につきましては、本来学校教育の目的のために支出したわけでございますけれども、その目的が遂げられない場合には他の施設で適切なものにこれを転用することを認めておる例もございます。したがいまして、こういう地域におきまして、社会教育関係施設とか、あるいは御指摘の青少年の補導に関する施設等に転用するのに適当なものがございますれば、これは承認してやっていける道がございますので、そういう関係で、施設の積極的な活用については、補助金による学校施設であるということでかたくなに考えないで、弾力的に考えていきたい。  それから、起債の問題につきましては直接私ども承知いたしておりませんが、地方団体財政力全体の問題で、これはいま自治省からお答えがありましたような形で、自治省と十分連絡をとりながらこの問題は考えていきたいと思っております。
  46. 滝井義高

    滝井分科員 これで終わりますが、さいぜんの事務職員の問題は、大臣お聞きのように、生活保護費が十九億程度が現在百十四億円、そして福祉事務所に千五百人の人を配置しておるけれどもなかなかうまくいかぬ。実は、医療扶助の医療券を出すのでさえも、一時は各病院等の看護婦が行って加勢をして出しておった。全国では千人について十七人が生活保護者なんです。ところが、これがはなはだしい町になると百人とか百二十人、福岡県全体でも四十六、七人、普通のところの三倍以上の生活保護者がおる。医療扶助が殺到するわけです。そうすると、福祉事務所では保護費の支給と医療券の支給で手一ぱいで、それもできずに各病院から看護婦が出て一時加勢をしておった。だから、今度学校の子供の教育扶助まではなかなかいかないわけです。だから、教師がかわりにやる、こういう形になっておるわけです。そこで、この実態についてはもう少し社会局長のほうから大臣に御説明いただいて——やはりある程度教師にやっていただくことで私はいいと思うのです。いままでの結論では。しかし、それでできない場面が出てくるわけです。その場面についてはやはり最小限の事務職員というものを配置するように厚生省からもひとつ要請をし、協力をして文部省にそれだけの措置をするように、ぜひひとつ要望しておきたいと思うのです。  それから、いまの学校の余った校舎については公共やら公用に使ったらいいと言うけれども学校の校舎を他のものに活用するなんということは、社会人が来ていろいろ学校の中でやるというととは教育上問題が出てくるわけですね。これはなかなか転用困難なんです。したがって、この問題についても、きょう急に言って答えが急に出るものでもないと思いますので、自治省の言われたように地方交付税なり地方債の借りかえその他で財源負担を一方ではできるだけ軽くする、一方では、その教室が余っておるのですから、この余った教室を活用して、さいぜん申しますように、積極的に一学級を三十五とか四十とかぐらいにして、やはりかゆいところに手の描くような教育体制ができて学業不振をカバーしていただく、非行をなくす、こういう形をやはり弾力的にやっていただきたいと思うのです。  最後に大臣の御答弁をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 確かに、教室の余ってきたところは、いかに公共的な用途でも他の用途には使用はいかがなものかと思います。したがって、できるだけ学校の特別教室等に利用し、さらにあれば、図画とかその他生徒の作品の展示室等をつくって、そういうものに利用するとか、せいぜい使えば夜間村の集会室にどれかを充てるというようなことではないかと思います。しかし、財政的な問題はやはり自治省の御心配をいただかなければならない点でございますから、十分自治省と今後連絡をとってまいりたいと思います。  それから、事務職員の問題につきましては、先ほどのような標準法があり、あるいは最低保障率等もございまして、他のどこか一カ所を特に優遇すればほかが割りを食うことになりますから、これらとの関連において、今後ひとつ研究をさしていただきたいと思います。
  48. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、村山喜一君。
  49. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私は二点につきまして、文部大臣並びに厚生省の考え方をお尋ねしてまいりたいと思います。  第一点は、現在の高等学校の生徒の献血制度の問題についてでございます。成人式に参りますと、日赤のほうから出てまいりまして、成人の記念ということで、成人式を迎えた青年男女から、献血運動を推進しておる姿をよく拝見をするのでございます。これなどは、私はきわめて有意義なものであると考えるのでございますが、いまここで問題として取り上げてまいりたい点は、今日、いわゆる青少年赤十字運動というものが展開をされておるのでございます。この中において、高等学校の生徒から献血をいたしまして、それがマスコミの波に乗りまして、きわめて美談として報道されている姿をこのごろよく見るのでございます。最近、献血のパーセンテージが、日赤におきましては二年間に三%から三〇%に拡大をされた。十倍に成績が伸びた。その背景には、高等学校の生徒から採血をしているものが大きなウエートを占めているというのが報道をされているのでございます。そういうような立場から、この問題を考えてまいる場合において問題になりますのは、大臣も御承知のように、児童福祉法並びに少年法、あるいは民法のそれぞれの規定等によりましても明らかなように、いわゆる十八歳未満というのは、未成年者として処理をされているわけでございます。この未成年者に対しまして、採血が、いわゆるJRCの組織を通じて学校においてなされている、こういう実情があるわけでございます。  ところが、厚生省の採血及び供血あっせん業取締法によりますと、この施行規則八条等で規定をされておりますように、満十六歳以上であるならば差しつかえないということになっているのでございます。ところが、この満十六歳からの採血を片一方においては認めておきながら、片一方においては、児童福祉法、少年法等において、未成年者である青少年を保護するという立場が、日本の法制になっているのでございます。そういうようなことから考えてまいりますと、諸外国の先進国におきましては十八歳以上ということに採血の基準はなっているようでありますから、日本だけがなぜ十六歳以上であるならば差しつかえないという立場をとってきたのか、このところに私は問題があろうと思うのであります。これらの医学的な見地からの見解は、厚生省から答えていただきたいと思いますが、私は、文部大臣に答えていただきたいのは、教育的なあり方の問題の上から、この問題についての御回答を願っておきたいのでございます。  と申し上げますのは、これは京都の例でございますが、有名な京都のA高校において、採血を一人の女生徒で、高校生になりましてからもう七回もやっているのがおるのでございます。そうして、それが献血カードに記入をされるというようなことから、これが学校で問題になりました。問題になりましたのを調べてみますと、保健指導主事といいますか、担当である養護の先生が、一人で処理しておる実態がわかったのであります。学校長をはじめ学校の職員はこれに関与していなかった。そして、七回もそういうような献血をやった生徒がおるそこの学校は、三回以上の該当者を調べてみたら十九名以上おった、こういう実情が出ているのでございます。私は、最近の売血制度の矛盾のはけ口が、高校生の献血に求められているという動きがあることを非常に懸念をしているのでございますが、一体それらの高等学校等におきまして、どういうような健康管理というものが行なわれているのであろうか。この問題は、文部省設置法等によりまして、それぞれ体育局で所管をするようになっていると思うのでありますが、学校保健法をひもといてみましても、あるいは施行令なりあるいは施行規則を見てみましても、そういうようなのは何ら予想をしておりませんので、何ら健康管理についての問題点は指摘していないわけでございます。したがいまして、これは明らかに学校教育の盲点になっていると思うのでございます。しかも、一体今日の採血基準というものが、一〇〇%の安全率を見込んだ科学的な基準によっているのかどうかということについても疑問がございます。これは、厚生省のほうからお答えをいただきたいと思うのでございますが、最近の青少年の体位の内容を調べてまいりますると、無自覚的な潜在性疾患というものが非常に多いという事、実がございます。これらのものは、やはり精密検査をしなければ、現在の基準ではパスしてしまうのであります。そういう立場からまいりますならば、そういうような学校で献血の行なわれる場合には、専門職であります学校医の事前の診断というものが必要であろうかと思うのであります。しかも、それは全身検査にわたるような具体的な内容のものでなければならないし、血液を一回二百ccとりましたあとにおいては、それによって成長がそこで一時的にストップせられるわけでありますから、そういうようなものに対する健康管理上の事後的な教育措置というものも必要になろうかと思うのであります。しかしながら、そういうようなものが現在のあなた方の指導体系の中には、何らないというふうに私は思うのでありますが、もしそのような指導方針というものがおありであるとすれば、教育的な体系の位置づけの中において、高校の献血の問題についてどういうような指導をしておられるのか、ということを承りたいのであります。  それと同時に、大臣からお答えをいただきたいのは、日本だけが十六歳以上からは是とし、諸外国の先進国においては十八歳以上でなければならないというのに、現行のような制度について、これはあなた方が子供の身心を守り、子供の教育という立場の上からお考えになって、再検討をせられてしかるべきであると私は思うのでありますが、この点につきましては、文部大臣のほうからお答えを願っておきたいのであります。  それと同時に、厚生省においても二回ほど専門的な会合も開かれたやに聞くのでありますが、世界的な水準から見まして、日本の青少年の体位の水準が、世界のどの先進国よりもすぐれているとは私は思えないのであります。むしろ、今日の青少年は体力の練成が不十分であります。しかも、高等学校の場合にも、大学に受験をするために猛烈な競争をやっている。そういうような点から考えてまいりまするならば、前の時代における青少年よりも、むしろ体力というものは低水準に落ちているのではないかと思うのであります。そういうような立場から、この点については私は改正をする存在であると思うのでありますが、それらの点についても、厚生省の立場からもお答えを願っておきたいのであります。
  50. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 いまの制度では、お話しのとおり、十六歳以上ならばいいということになっておりますが、十六歳近所というのは、非常に肉体的にも成長期にあるわけでございます。したがって、いまの制度でも十分に健康診断をした上でということになっておりますが、文部省としては、そういうような年齢期にありますので、制度がそうなっておりますからいけないとは言えませんが、できるだけ健康診断を十分にやることと、保護者の同意を得てやるようにという指導をいたしまして、昨年の関係課長会議をいたしましたときにも、全国にその旨を実は指導しておるような次第でございます。  十六歳を十八歳に、諸外国並みにすべきではないか。この点は確かに研究を要する問題で、私どもも、非常に重要な問題でございますから、今後検討をいたしたい、かように思っております。
  51. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 高校生の献血ということについての御質問でございますが、御指摘のございましたように、現在の私どもの制度では、十六歳以上で献血をすることが許されているわけでございます。この点につきまして、なぜそういうような制度になっているかということでございますが、従来、わが国の供血制度というものは、学生が大体中心運動を進めてきたという事実があるわけでございます。したがいまして、私どものほうで法律をつくる際、そういう学生中心の供血運動というものの実績を、十分慎重にいろいろな角度から検討いたしまして、先ほど御指摘もございましたように各方面の専門家、特に医学の専門家を集めまして、この問題についていろいろ検討をしていただいたわけでございます。その結果、ただいまも文部大臣から御答弁ございましたように、十六歳以上という年齢層は肉体的にも相当な成長の状態にあるということもわかりましたし、それからまた片一方学問的にも、体重と血液量との関係からいいまして、一回の採血量を、現行の二百ccというようなものに十分注目をいたしまして、その点を確実に実施できるように指導していくならば医学上問題はない、こういうような学問の結論でございます。そういうような事情がございまして、現在の制度が、高校生以上に献血ができるような仕組みになっているわけでございます。  それから、仰せのとおり諸外国におきましても、十八歳以上というものが最低の年齢になっているところが多いわけでございますが、これにつきましては、諸外国のほうでは、一回の採血量が、先生御存じだと思いますけれども、四百から四百五十、多いところは五百ccをとっているところがあるわけでございます。大部分の先進国においては、四百から四百五十ccのところが一回の採血量になっておりますが、わが国の場合は、御存じのように二百ccというその半分以下の採血量になっておりますので、そういうような関係もございまして、外国の十八歳とわが国の十六歳との差があるわけでございます。  それから、もう一点申し上げておきたいと思いますのは、先ほど学生を中心としてこの供血の運動を進めてまいったということを申し上げたわけでございますが、一昨年、献血の全国的な推進ということを目ざした閣議決定をやりまして今日に至っているわけでございますけれども、閣議決定以前は、学生の献血というのが非常に全体の中で大きな比重を占めていたわけでございますが、最近になりますと、高校生、大学生を含めての学生の献血量というのが、大体全体の三割から三割四分くらいございます。大体三〇%から三五%くらいが、現在私どものほうで集まっている献血量の中の学生の献血による分でございます。そのうち高校生の分は、全体から申しますと、学生のうちの大体三割から四割くらいを占めている。残りは大学生で、大学生が六割から七割でございまして、そういうような全国的な事情になっているわけでございます。したがいまして、私どもは、御指摘のように、高校生の十六歳以上のところから採血といいますか、献血をしてもらうことについては、いろいろ御指摘のような御意見があることも十分承知しております。したがいまして、各都道府県のほうに置かれております献血の企画の推進母体としまして、推進協議会というものを各都道府県に一カ所ずつ設けるようになっておりますが、この推進協議会あたりで、従来は学生中心主義で献血を進めてきたのを、事柄の性質上、やはり一般社会人を中心として献血運動を推進していくように、目下指導をしているわけでございます。先ほども申しましたように、そういうような実績が逐次あらわれてきております。したがいまして、私どもは、今後とも学生よりもむしろ一般社会人、工場とか事業場あるいは一般の町内会、部落会というような、そういう職域、地域団体をこの献血の推進母体として組織をつくってもらうように目下指導中でございますので、今後は学生、特に高校生を中心としたような献血運動というものは、できるだけ転換をさせて、一般社会人のほうに重点を置いていくように指導してまいりたい、かように思っておるところでございます。
  52. 村山喜一

    村山(喜)分科員 医学的な立場からは無害であるというお話が、厚生省のその会議においては述べられたというのでありますが、私のところに集まっている資料では、そういうのは無害であるとはいえない、成長期の過程の中において、特に十六歳程度の中学を卒業して高校一年生、そういう伸び盛りの子供から二百ccもとるということは、これはきわめて重大な問題であると指摘をした医者の記事などもここにあるわけでございます。そういうような点から考えてまいりますと、中村文部大臣のほうからもお話があったように、これについては再検討をする必要があると私は思うのです。そうしなければ、いわゆるまだ一人前でない、未成年者である青少年に、人類愛とかヒューマニズムとかいうような立場からのみ、ある種の強制的な力というものが働いて、そしてそれによってあなた方が売血制度の矛盾のはけ口を、こういうような方向で解消しようというように受け取られないとは限らないと思うのであります。したがいまして、諸外国においては十八歳以上になったら、これは他の日本の法制下においても、同じように未成年者として保護されていないわけでありますから、そういう立場から、私は厚生省自体においても、この点については文部省と十分協議をして、再検討をせられるべきであると思うのですが、その点について再度坂元局長の御見解を承っておきたいのであります。
  53. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 ただいま申し上げましたように、高校生からの献血については、現在までの私どもの研究の結果では、医学上無害であるという一応の結論が出ているわけでございますが。ただいま強い御指摘もございましたし、私どもとしましても、この問題については、もう少し全国的に高校生の献血というものの実態をよく調査いたしまして、その上で関係の学者等でもう一回よく研究、検討を重ね、そして文部省ともよく御相談を申し上げまして、前向きの態度でこの問題については処理をしてまいりたい、かように思っております。
  54. 村山喜一

    村山(喜)分科員 いま、前向きの姿勢で対処していくということでございますから、その方向で検討を願いたいのでございますが、私は、ここに二月二日の新聞に、世論投稿をしました二局校生の十六歳の子供の記事が出ておりますので、その中身から、次の点について一体どういうふうにやっているのかということをお尋ねしたいのであります。  それは、この十六歳の女の子が献血をした。ところが、そのあとで記念品をもらった。その記念品の中身は、市内の某デパートの商品券で七百円券が入っておった。私は売血をしたのではないかと自分で悩んでいるという記事でございます。それで、この金は一体だれが払うのだろうか、輸血を受けた人が払うとするならばたいへんなことだ、という記事ですが、こういうふうにして献血で集めました血液を、あなた方がこれを必要な人に分譲する場合には、千六百円で分譲をしておられるようであります。そういうような立場から考えてまいりますると、一体この純真な高校生の気持ちというものを、あなた方がもしそのような商品券でも贈っておられるとするならば、これはあなた方が贈るわけじゃなくて日赤が贈っているのだろうと思いますが、そういうような姿であるならば、これはきわめて重大な問題であると私は思うのであります。そういうような点につきましても、十分今後検討をしてもらわなければ、朝鮮動乱が始まったときにいわゆる売血制度が始まった、ベトナム戦争が始まったときにこの献血運動が推進されているというような、そういう印象を国民大衆に与えることは、きわめてまずいと私は思うのであります。売血によるいわゆる血液の輸出は禁止されたようでございますが、国内的には、交通事故等によりますそういうような需要はきわめて膨大な姿で残っているわけであります。その中において、きれいな血を国民大衆のために使うんだということであなた方が献血運動を推進されているわけでありますが、それらの推進の方法については、いまの高等学校の生徒の問題もしかりでありまするし、そのほかにもいろいろ今後問題として——なおこういうふうにしてとうとい意思で集められたものが、日赤の汚職事件として発展をしたような過去の忌まわしい事件等もあるのでございますから、そういうような点は十分に考えて、国民のための献血制度というものが、十分な国民の理解を得て行なわれるように、万全の措置をとっていただきたいという要望を、関係者の方に申し上げておきたいと思います。  それから私は、もう時間がほとんどございませんが、あと一点だけ……。  実は三級地以上の僻地校に、このたびパンとミルクの無償給食が実現することになりました。この点につきましては、まことに同慶の至りであります。ところが、これにつきましての輸送費が、五十二銭ということで単価計算がされているのであります。ところが、三級地以上の僻地の学校は、実際計算をやってみますと、五十二銭ではとてもやることはできません。したがいまして、百九十三日間ということで予算は計上されておりますが、父兄負担をかけるわけにはいかぬという制度の立場からも、これについては都道府県なり市町村で持ってもらうか、あるいはいろいろな有効な措置をとるとかいうような代替措置考えておられるようでありますが、どうしてもそれがつかない場合には、給食の日数を減らさなければならないであろう、こういうふうに承るのであります。これは、僻地の実態から考えてまいりますると、まことに画竜点睛を欠く措置になるかと思いますので、この点については何らかの措置を、そう私は膨大な経費を要するとは思いませんので、何らか予備費あたりからでも、せっかく始めた措置について最善の措置が行なわれるように、大臣が再度お話を総理にしていただいて、処置していただきたいと思うのでありますが、この点についての大臣の御見解を承りたいと思います。  それともう一つは、私も僻地の学校に行ってみましたが、離島の場合に船着き場も十分でない、そうして運搬をするのにも、港から山を越えて持っていかなければならないので、人力にたよらなければならないわけです。そういうようなところで行なわれる給食の実態は、いわゆる、しけのときには魚が一匹もとれません。だから、海がないでいるときに、魚がとれたようなときにそれを貯蔵する施設があればいいんですが、農協にも漁協にも施設がありません。そうなりますと、どこでその子供たちの栄養源を確保するかといえば、学校に大型の冷凍施設というものを設けない限り、それらの児童、生徒に対する完全な給食ということはできないということを、現に私もこの目で見てまいりました。まあ一冷凍庫五十万円程度あればできると思うのでありますが、そこまで行き届いた措置をしなければ、そういうような僻地のかわいそうな子供たちの生活の実態を反映した行政というものはできないと思うのです。その点については、これは所管の局長にもお尋ねをいたしましたが、とてもわれわれの段階でできることではなくて、文部大臣のほうでひとつやってもらわなければならない大きな問題だということであります。これは、やはり財源措置を伴う問題でございますから、そういうような答弁をされることもよくわかりますが、私は、せっかくここまで三級地以上のそういう僻地の児童、生徒に対する給食無償を拡大されたその立場からするならば、次にはそういうような冷凍施設までつくり上げていくような方向でなければ、学校教育の推進というものはできないんじゃないかと思いますので、それに対する大臣の決意を承りたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  55. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 前のほうからお答えいたしますが、実は僻地給食につきましては、原則としてはパン、ミルクということになっておりますが、パンも、これは場所によっては町から運ぶということは不可能でございますから、乾パンあるいは乾めん、ところによってはそれにかえて米食、こういうようなことで、またミルクにいたしましても、生ミルクだけが地形の関係で運搬できませんので、そういう場合には、脱脂粉乳あるいはインスタントミルク、こういうような方法でやっていきたい。とにかく三級地以上については、全面的にそういう方法で給食をやっていきたいというわけでございまして、実はその輸送費につきまして、事務的にいろいろな計算をさせたわけでございますが、同じ三級地以上でも、輸送関係ではいろいろな差がありますので、大体の水準をきめて、その範囲内でその県内で操作をさせるようにしていったならば、何とかできるんじゃないかというつもりで積算をいたしておるわけでございます。しかし、今度初めての試みでございますから、これらの実績等を見て、そのために給食日数を減らすとか、あるいは地元負担をさせるというわけにはまいりませんので、あくまで三級地以上についてパン、ミルクを基準にした無償給食をしようというこの方針を貫くことには、われわれつとめてまいりたいと思っております。  それから貯蔵関係でございますが、これは昨年の特別対策をやりましたときから、貯蔵というものは不便な僻地においては特に必要でございますので、冷蔵庫あるいは冷蔵庫だけでなしに、貯蔵庫というものが、野菜その他の貯蔵をする関係上必要でございますから、そういう冷蔵庫、貯蔵庫につきましては、いままでは補助対象でございませんでした一が補助をする、しかも、それは市町村の財政指数に応じて高率補助をするというたてまえをとっておりますので、今後それを十分に普及徹底をしていきたいと思うのです。ただ、問題は、たとえ高率補助で最高の補助をしましても八割までですから、あとの二割だけはどうしても地元町村が負担しなければならない。これは実に私どもとしては、そういう僻地の町村というのは財政が貧困でございますから、できることならば十割補助にいたしたいのでありますが、諸般の補助が、激甚災害の場合を除いては、十割補助という制度がありませんので、どうしてもそこまではこぎつけない。結局、最高高率補助をして八割までということにいまなっておるわけでございまして、この点一部地元負担しなければできないというところに難点があると思うのです。しかし、これらにつきましては、地元町村ができなければ府県の財政で、府県全体としてもそうたいした金額にならないでしょうから、考えていただくとか、今後その実施を推進していく面においては、いろいろくふうをしていきたいと思っております。
  56. 村山喜一

    村山(喜)分科員 もうこれで終わりますが、ただいま、新しく学校給食を僻地において始めるところにおいては、そういう冷凍施設についても考えられる向きがありますけれども、しかし、現に実施しているところについてそういうようなものを設置してもらいたいと言っても、いや、それは補助対象にならないということでけられているわけです。だから、私はそういうような実態から見まして、今日まで一生懸命やってきた、しかもそれの緊急性という問題から考えた場合には、きわめて必要度の高い地域がございます。こういうようなところについては、ぜひこれはうしろ向き政策じゃございませんから、前向きの形でございますので、善処方を要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  57. 井出一太郎

    ○井出主査 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。   午後零時五十三分休憩      ————◇—————   午後一時四十二分開議
  58. 井出一太郎

    ○井出主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  文部省所管について質疑を続行いたします。小川半次君。
  59. 小川半次

    ○小川(半)分科員 私は、最近しばしば新聞記事となって世間の注目を浴びております。京都の双ケ岡の問題についてお尋ねしたいと思います。  この問題については、昨年のちょうどいまごろ、同じく予算委員会分科会で、当時の愛知文部大臣にお尋ねして政府の態度をただしておいたのでございまするが、実は、昨年のいまごろは、この双ケ岡が売買される以前であったので、警告の意味も含んで私が質問をしておいたのでございます。ところが、本日は、すでにこの双ケ岡が売買されまして、今後ますますむずかしくなってくるというように情勢を判断いたしましてお尋ねする次第でございます。  御承知のように、双ケ岡は徒然草で有名な兼好法師がこの地の風光を好みまして、ここに庵を設けて住んでいるときに、いま申し上げた徒然草を書いたという伝説があるのでございます。以来、この双ケ岡は、あるいは歌に読まれ、文章につづられまして、わが国の文化のために何かと資するところがあったわけでございます。昭和十六年に史跡名勝天然記念物保存法で名勝指定となっております。また、京都市におきましても、双ケ岡を風致地区として指定しておるのでございます。この双ケ岡は、真言宗御室派に属するところの仁和が財政的困難におちいって、今回手放したような状態でございます。  そこで、いま申し上げたように、すでに史跡名勝天然記念物保存法、その他あるいは史跡名勝地として指定されておるこの双ケ岡が、新しく買い受けたその人の手によって、あるいは現状変更が行なわれるのではないかという、懸念があり、また、事実心配があるわけでございます。昨年のこの分科会におきましても、愛知文部大臣は、双ケ岡の現状変更は絶対認めないという態度を明らかにされたのでございますが、しかし、過去のいろいろなこうした実例を見ますると、中には、いろいろ手の込んだ工作をいたしまして、いつの間にか現状変更をされておるというような、また、されたというような実例もあるわけでございまして、こういう点をたいへん私は懸念するのでございまするが、文部大臣といたしまして、この双ケ岡について、現状変更を認めないという強い態度かどうか、まずこれを伺っておきたいと思います。
  60. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 仁和寺は非常に由緒あるところでありますし、名勝として指定をいたしておりますので、私どもとしましては、この双ケ岡が他に分譲されるようなことのないように期待をいたしておりました。できれば府、市等で買い上げをし、あるいは国もこれに対して助成を行ないまして、そういう公共の所有にしておいて風致の保存をいたしたいというつもりでおりましたが、所有権の移動について、これを規制する制度もございません結果、御指摘のような結果になりまして、私どもも前途を心配しておるのでありますが、文部省としましてはあくまでも現状変更は認めない、そうして現状を保存して、由緒ある史跡として、名勝として確保していきたい、かようにかたく考えております。
  61. 小川半次

    ○小川(半)分科員 文部大臣の強い態度を伺って一応安心するのでございますが、御承知のように、双ケ岡は文化財保護法による名勝と、それから市の都市計画に基づく風致地区規制と、二重に指定を受けているわけであります。このため、現状変更は、国と京都市の双方に申請しなければならぬのでありまして、そこで、私は政府の確固たる態度を伺っておく次第でございます。  そこで、新しく買い受けた人は一この現状変更とは、所有者が指定区域の土地、樹木、景観の変更、建物の新増築、修理、除去、移転など一切の行為を行なってはならぬということが現状変更の趣旨のようでありますが、この条文によりますれば、いま申し上げたように、双ケ岡の現状変更ができないことになっておるわけでございます。そこで、できないにもかかわらず、新しい所有者がどうしてこれを手に入れなければならなかったかということでございます。そこで、手に入れた人としては、やはりこれによって何かの計画があったと思うのです。  実はこの機会に、双ケ岡の今日までの売買の問題が出てからの経過を大体申し上げますが、三十九年九月十日真言宗御室派宗議会で双ケ岡の売却を決議、売り先は、静岡県富士川町の元代議士佐藤虎次郎氏。同年九月十一日、佐藤氏が双ケ岡を買収したら、ここに観光ホテルを建てると表明したためが然問題化し、京都府文化財保護課が売却中止を申し入れ、反対の世論が高まってきた。同年十月十四日、仁和寺は、宗教法人法により双ケ岡の売却を公示した。四十年二月十日、真言宗御室派定期宗議会で、双ケ岡売却方針を再確認した。こういうことがありまして、そこで、ちょうど二月の十日のこの再確認をした数日後に、私はここで、これはたいへんなことになる、文部省としてはどういう態度であるかということを、愛知文部大臣に伺ったのでございます。そのときに、いま申し上げたように、愛知文部大臣は、双ケ岡は歴史的、文化的に名勝の地として保存しなければならない土地であり、幸い京都市においても風致地区として指定しているから、双ケ岡がだれの所有になっても現状変更はしない、このように明らかにされたのでございます。そこで、私はこのことを、佐藤元代議士とも旧知の間柄でありますので、私は好意的に静岡のほうまで出向いてまいりまして、政府のほうでもこういう態度であるし、私も、文化財を保護するために、あなたがこれを買収するということには絶対反対だということを申し入れておいたのでございますが、このことによって佐藤氏がちゅうちょしたものか、ついに買収をあきらめたようでございます。  そこで、私はこの問題はおさまった、こう見ておったのでございます。ところが、いま申し上げたように、今度新しい買収者が出たわけでございます。それは、神戸に住む文なにがしという朝鮮の人ともう一人、二名の方の名儀になっておるようでございますが、私はこの人たちは、これは新聞記事のことでございまするから、真偽のほどは知りませんけれども自分たちはビジネスの意味で買った、ここで一もうけするつもりで買ったものである、このように言っておるのでございます。  近年、あるいは風致地区とかこれに類するような保護地区に、いろいろ俗悪な建築物ができたり、風紀を害するようないろいろな施設ができたりして、国民からひんしゅくをかっておるようなときに、しかも、先ほど来申し上げるところの、この室町時代からの由緒ある名勝の地を利用して、ここで一もうけをするつもりだった、このように申しておられるのでありまして、私は、この人たちが文化財保護法には強い罰則があるということを、あるいは知らなかったのではないか、このように思うのでございまするが、この際政府のほうから、文化財を保護するためにはこういう罰則があるということを、明らかにしていただきたいのでございます。
  62. 村山松雄

    村山政府委員 文化財保護法で、史跡名勝天然記念物関係現状変更にかかる罰則といたしましては、これを無断でやった場合には、百七条の二という条文がございまして、第三者がやった場合には、五年以下の懲役または三万円以下の罰金、それから所有者がやった場合にも罰則がかぶりまして、所有者の場合には、二年以下の懲役または一万円以下の罰金という罰則が科せられることになっております。
  63. 小川半次

    ○小川(半)分科員 おそらく新しく買い受けた人は、自分の所有物を自分がどうしようとかってではないか、あるいはそんな考えを持っておられるかもしれません。世間一部の人の中にも、個人の所有物を個人がどうしようと自由の権利ではないか、憲法に保障されているところではないかというような、憲法全体の解釈をせずして、ごく一部の憲法の条文のみを見て、このように解釈する人も間々あるわけでございます。しかし、公益のための制限規定というものが憲法にあるということを、理解していない国民もかなり多いのではないかと思うのでございますが、今回のこの双ケ岡の問題は、公益のための制限規定の範疇に間違いなく入るものと思うのですが、この点政府の見解をお示し願いたいのでございます。
  64. 村山松雄

    村山政府委員 文化財保護委員会といたしましては、文化財保護法の規定に明文があるわけでございますので、この罰則は、憲法の、所有権を公益のために制限し得るという規定の範疇の中で制定されたものと考えておりますし、また、実例といたしまして、昭和三十七年に一件ございます。これは、所有者でございませんで、第三者ではありますが、罰則が適用されております。  事件を簡単に申し上げますと、三十七年の一月に鹿児島の城山という史跡と名勝の二重指定区域がございます。この城山に対しまして、城山観光という会社が無断で現状変更をいたしました。内容は、樹木を伐採する、それから土塁を破壊するというような行為があったわけでありますが、これが五月に起訴されまして、十一月に、鹿児島の地裁の判決によりまして、会社に対しまして罰金三万円、それから仕事を担当したその会社の社員に対しまして、懲役八カ月、執行猶予三年という判決がございまして、裁判所の面におきましても、憲法違反ではないということが確認されているものと考えております。
  65. 小川半次

    ○小川(半)分科員 政府が、現状変更を絶対に認めないということ、それからこういう制限規定を設けていることが、はっきり憲法違反でもないということが明らかになり、また、それでもなおかつ違反して現状を変更した場合には、三年以下の懲役という罰則規定もあるということが明らかになりました。そこで、一応私は安心はいたすのでございますが、しかし、今度新しく買収した人たちと提携して、ここに大学を設置するといううわさがあるのでございます。すでに申請したとも一部の新聞は報じておりますが、この大学設置認可申請の書類が文部省にきているかどうか、このことをまず伺っておきたいと思います。
  66. 杉江清

    ○杉江政府委員 大学設置認可申請書は、まだ受け取っておりません。
  67. 小川半次

    ○小川(半)分科員 そこで、おそらく双ケ岡の問題は、対社会的にも反対の世論が相当強くなってきておるので、ここに学校を建てるということになれば、学校は社会公益のためにも役立つものであるし、学校を建てるということについては、世間の風当たりはあまり悪くはなかろうというような——決して私は脱法的に考えたものとも思わないけれども、いままでここにホテルを建てるとか、あるいは文何がしはビジネスの意味で買ったのだ、ここで一もうけをするつもりで手に入れたのだと、こういうことを聞いておるわれわれといたしまして、今度学校を建てるということについても、はたして学校設置ということが真実かどうか疑いを持つとともに、もう一つは、よし学校であっても、先ほど来聞き及びましたように、現状変更ということはあらゆる建造物を建てることを認めないということでありまするから、学校建築の場合も、私はこの現状変更の趣旨に従えば認めることができないものである、このように思うのでございまするが、いかがですか。
  68. 杉江清

    ○杉江政府委員 現状変更ができないとなれば、おそらく大学設置は不可能だ、かように考えております。
  69. 小川半次

    ○小川(半)分科員 しかし世間では、よく学校教育の問題は優先するとか、いろいろその方面に有利な意見などを出して、ぜひ許可をしてくれというような申請などが出てくるのではないかと思うのですが、そういう場合にも、いま大学学術局長の御意見を聞きましたが、大臣としてはいかがですか。
  70. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 現状変更はあくまで認めないで、この名勝を史跡として保存してまいりたいという考えでございますので、したがって、今度は別の角度で、いま御指摘のように大学の設置申請が出ましても、施設の建築が許可になる見込みのないところならば、当然大学設置審議会としても否決をし、また文部省当局としても、大学の設置を認めるわけにはいかない、こういう結論に明瞭になってまいると思います。
  71. 小川半次

    ○小川(半)分科員 今度の双ケ岡の場合は、幸いにして地元の京都府の教育委員会においても、また担当の文化財保護課においても、現状変更は認めない、こういう強い態度であります。京都府はこういう態度であり、政府のほうもこういう態度であるから、これは現状変更を認めないことは間違いないと、われわれはこのように見るものでありますが、しかし、いままでの例を見ますると、よく府県のほうと政府のほうと意見の食い違いのあった場合もございます。県のほうが、ぜひ許可が望ましいというような副申をつけて政府に出されると、政府としては、県のそういう態度を無視するわけにもいかないので、しぶしぶながら、文化財の保護という面から見れば芳しくないが、地元がそうであればという意図から許可されたような例もあったようでございます。しかし、今度の場合は間違いないとは思いますが、先ほど来申し上げるように、買収をされた方は必死になって、どういう手を打って、あるいは府のほうの考え方をひるがえされないとも限らないのでございます。万々そういうことはないと思いますが、京都府のほうから、いろいろな事情でどうも現状変更を認めなければならぬような状態になってきた、この点ひとつ御配慮願うというような趣旨を、もし政府のほうに申し出てきた場合、政府はどういう態度をおとりになりますか。こういうことはないと私は確信しているのでございますが、念のために私は聞いておく次第でございます。
  72. 村山松雄

    村山政府委員 文化財保護法によりますと、現状変更は一切不許可ではないわけでございます。許可、不許可の基準は、一口で申しますと、保存に悪影響のある現状変更は許可しない、保存に悪影響がなければ、事情によって許可することもあり得る、こういうことになります。問題の双ヶ岡は、平地に突き出た三つの岡になっておりまして、岡のすそ野まで人家がほとんど立て込んでおります。したがって、現状に多少とも手をつければ、その保存に悪影響がないということはいえないと言ってよろしかろうと思います。そうなりますと、苦千でも手をつければ保存に悪影響があるので、文化財保護法のたてまえからは許可できない、こういうぐあいに考えますし、また、そのように運用してまいりたいと思います。
  73. 小川半次

    ○小川(半)分科員 いま申し上げた大学設置の件でございますが、私はなぜただいまのようなことをお尋ねしたかと申しますると、先ほど来政府の態度は明らかになりましたけれども地元において、学校設置であればいいじゃないか、こういうふうな声なども起こってきて、そういうことに府が動かされて、とにかく大学設置のことであるから、社会公益のために必要と思うので、現状変更を認めてほしいという態度に出ないとも限らないと思いましたから、以上のようなことを尋ねたのでございますが、よしそういう学校設置の申請が出ても、私は現実にその場所を知っておりまするが、とても大学などを設置できるような面積ではないのです。山と山の間にあるわずかな面積であって、そういうところに、大学はおろか、とにかく小学校も中学校も建つことのできないようなところであります。ですから、私はよけいにそういうところに学校を設置するというのはおかしいではないかという一まつの疑いを持つというのも、先ほどこういう点から申し上げたのでございます。  そこで、念のために伺っておきたいのですが、大学設置法にもとづきますれば、大体どれほどの面積が必要であるのか、その点を伺っておきたいと思います。
  74. 天城勲

    天城政府委員 大学設置の場合の条件にいろいろございますが、まず敷地それから校舎が最低限の要件になります。私も、この件に関しまして学校設置認可の申請がきているわけじゃございませんので、どの規模の学校をおつくりになるのか全然わからないのでございますが、一応新聞紙上で工学部をつくるという話をちょっと見たことがございます。工学部と仮定いたしますと、一番入学定員の少ない場合五十人でございます。そうすると四学年で二百人、こういう工学部はほとんどございませんが、これといたしまして、校地は九千六百坪必要でございます。百人の場合には一万二千坪、二百人になりますと二万四千坪の土地が必要でございます。
  75. 小川半次

    ○小川(半)分科員 いずれにいたしましても、学校建設といえども現状変更を認めないという、この政府の態度を聞きましたから、私は一応安心いたしました。  以上、私は申し上げたのでありますが、これはただ単に今回の双ケ岡の問題だけではなく、今後わが国の至るところにこれと同様の問題が起こり得ると思うのです。残念ながら、近年の国民の一部の中の考え方には、何でも経済力で解決できる、そして非常に精神面がおろそかになっている傾向があるようでございます。いかに古い文化とはいえ、現在の社会においてたいした役に立たぬじゃないかというように軽く見て、そして経済力でもって目的を達しようというような、こういうことが至るところにあるのでございます。特に文化財保護法の場合は、これは非常にきびしい罰則がありまするけれども、風致地区の場合は、違反建築を行なっても、わずか数千円の罰金で事が済むという、そういういわば法律的に盲点がある関係上、強引に鉄筋、鉄骨等の建築物を建てて、そしてあと罰金さえ支払えばよいというようなことがよくあるのでございます。私は、こうした双ケ岡の問題、その他全国にこれに類似する文化財はたくさんあるわけでございまするが、その山とか丘とか、その樹木、そういう姿は、もちろん経済的には大きな働きはしておらないかもわからないけれども、これが日本民族の心のかてとして、そして自分たちの祖先が歩み来った何かそこになつかしさを感ずるというような、あるいは民族が生き抜いてきたところのその誇りの一つがこの中にも含まれておるというような、そういう精神的な面が、こうした文化財その他によって民族的な一つの魂といいまするか、一つ精神的なかてとして文化財というものは一そう私は保護していかなければならぬと思うのです。ですから、いま申したように、今度の双ケ岡の問題を機会に、将来あくまでも文化財というものを強く守り抜く、一切の現状変更というものは認めない、こういう強い方針でいってほしいものであると私は希望するものでございまするが、この点、最後に大臣から態度をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  76. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 文化財の保護ということは非常に重要でございます。したがって、いろいろな場合に文化財保護委員会が最終的な態度をきめますが、ややもすれば非常に頭がかた過ぎるというような世論もありますが、しかし、文化財は一度失えばもう回復のつかないものであります。また、いま御指摘のありました双ケ岡のような名勝は、三つの丘からできておるところで、これをかりにブルドーザーで地ならしをしてしまったら、もういかなる時代が来ようとも回復はできません。こういう史跡、名勝の保存ということは、われわれとしては、全力を尽くしてわが国文化あるいは歴史の保存のためにつとめていくべきものだと考えますので、文化財保護につきましては最善を尽くし、今後とも、場合によっては、ずいぶん理解がないといわれる面もあるかもしれませんが、努力をしてまいりたいと思っております。
  77. 井出一太郎

    ○井出主査 次に田原春次君。
  78. 田原春次

    田原分科員 私は、第一は、文字の簡素化、第二は、国際語の中等教育における採用の問題、第三は、同和対策審議会の結論と教育対策、それを簡単に質問いたしたいと思います。  御承知のように、日本の文字は中国からの借りものでありますために、一つの文字で六十四通りも読みかえがあるというので、その一通り覚えるのにたいへんな苦労をします。そこで先人は、かな文字及びひらがなというものを発明しております。これはいずれも漢字からの簡略されたものであります。一宇一音でございます。私は、文部省が近年日用漢字の簡素化に努力されておることは非常に敬意を表しておるのでありまするが、もうちょっと進めて、日用のたとえば官報、あるいはその他日常日に触れる看板だとか、そういったものをかたかなもしくはひらがなの左横書きに統一される国民運動をされてはどうか。もちろんこの運動に対して反対のあることも知っております。それはまた漢字の持てるよさを強調するのでございまして、この点はよくわかりますが、たとえば四書五経であるとか、漱石全集であるとかいうものは、そのまま残して、それを禁止しようというのではないのでありまして、日常の目に触れるものをもっと簡素化していったらどうかということですが、こういうことに対する、今後の文字問題に対する御方針を聞いておきたいと思うのです。どなたでもよろしゅうございます。
  79. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 国語の問題につきましては、先生御承知のとおり、戦前からすでに漢字の問題、漢字が非常に多過ぎるではないかというふうな問題がございまして、特に戦後御承知のように当用漢字という制度が設けられて、現在千八百八十字の当用漢字があるわけでございます。これを内閣告示で示しまして、現在公用文、それから、新聞報道関係ないしは社会一般には、この当用漢字によるような措置をいたしてございます。なお、 いまおっしゃいました、さらにかな文字をうんと使うとかいうふうな問題につきましては、これはいま御指摘がございましたように両論ございまして、文部省に国語審議会というものが設けられておりまして、学者あるいは学識経験者五十人の委員をもちまして、なお検討中でございます。
  80. 田原春次

    田原分科員 文部省の国語審議会の最近の傾向は、少し動揺してきているんじゃないかと、文字に関する興味を持っておる者の間で見られておるのです。たとえば当用漢字をもう少しふやすとか、あるいは一字一音とやるべきところを数音にするという動きがあると思うのですが、こういうことに対するお考えはどうでしょう。
  81. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 現在まで国語審議会は七期の審議会を経ております。一期二年でございまして、今度改選になりますと、第八期の審議会を開くわけでございますが、第七期におきましても、いまの漢字問題を取り上げましても、さらに当用漢字を多くすべきだという意見もございますし、減すべきだという意見もございます。また現在では、当用漢字がはたして当用漢字として必要な文字であろうかどうかというような、出し入れの問題もございます。これが結局結論を得ないままに第七期は終わりまして、引き続き、こうした漢字問題も含めて国語問題をさらに慎重に検討してほしいという第七期の結論で終わっております。
  82. 田原春次

    田原分科員 文字の輸出先であります中国は、御承知のように何万とあります文字を非常に大幅に簡素化しまして、ちょっと見たんじゃわからぬくらいに簡素化しておりますが、いずれも簡素化した理由はみなあるようです。しかるに、輸入された日本のほうが、依然として幾通りもの読みかえを持っておって踏み切れぬというのはおかしいと思うのですね。何も中国のまねせいというわけじゃありませんけれども、時代即応の簡素化をやるべきだと思う。御承知のように、生まれるという字も、生娘とか、生意気とか、生方だとか、先生とか、一生とか、六十余種類読みかえがあるというわけですね。私は、しばしば南北米を旅行いたしまして、各地の二世から聞くのですが、先生、どうしてこの字をそんなに読みかえますかといわれるのです。黙って覚えておけとしか言えないのですね。理由がわかっておらないのです。これから先、日本人のむずかしい日本語をなるべく簡素化して、海外で生まれた二世、三世にも覚えさせなければいけません。ところが、海外の二世の教育は外務省がやっていますというような、まるでよそごとのような感じを見受けるのでありますが、それではいかぬと思うのです。外務省が外務行政上やることはいいとしても、文字政策あるいはことばの政策等に対して、文部省の意向を伝えてそれを実行させる必要があるんじゃないかと思うのですね。その意味において、私は官報だけでもさしあたりかたかな、ひらがなを併用してやってみてはどうか。そのくらいの力を持ってもらうために——確かに問題は起こりますが、やさしい文字で一字一音でいけるということになれば、それは国内はもとよりでありますし、海外での日本語修得者も非常な便利を感じるのです。封建時代に、武家国家時代につくりました日本文化を、むずかしい文字で伝えなければならぬことはないと思うのです。文字は意思の表現の方法なんですから、この方法は簡素化しておいて、思想そのものは深遠な思想を伝えることは当然と思います。したがって、いまの御答弁を一歩進めて、たとえば国語審議会等に、かな文字、ひらがなの採用というような積極的な話題を出して、ひとつ論争さしてみたらどうかと思うのですが、これは文部大臣はどうお考えでしょう。
  83. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 私も、在野当時から国語問題というのは関心を持っておった問題の一つでありますが、就任以来国語問題はこれも頭を悩ましておる問題の一つであります。文字の簡素化ということ自体は、私ども賛成でございますが、ただそれは抽象的でございまして、具体的にどうあるべきかということになりますと、かなり世間にも議論があるようであり、また国語審議会も五十人もの委員がおりますが、かなり極端から極端までありまして、なかなか思想統一困難のようでございます。いま田原さん御指摘のような御意見も、国語審議会の中にもあり、しばしば議論はされておるようでありますけれども、非常にむずかしい問題で、やはり国語の改善ということは一朝一夕にはいかないので、長い歴史を通して順次進めていく以外には道がないのではないか。ほんとうに思い切ったことをやるとするならば、世界じゅうに一番通用しておる文字をとればいいのかもしれませんが、そうもまいりませんし、国語審議会は、いままで第七次が終わりましたが、第八次、第九次と今後とも引続き続けまして、十分に検討をしていただくことが必要であろう、かように考えております。
  84. 田原春次

    田原分科員 在野時代に国語問題に興味のあった人が、文部大臣になってこれをおろそかにするようだと困ると思うのです。あなたは在職あと何年おるかわかりませんが、内閣の改造でかわるかもしれませんし、この際、思い切った方針を出して、それは国論がわくと思うのです。賛成、反対が起こるでしょう。それだけ国語に対する興味がわくわけですから、それはいいと思うのです。したがって、五十人でやっております国語審議会なるものがまとまらなければ、やはりまとまる方角に前向きに持っていく必要があるのではないかと思う。したがって、場合によったら臨時委員とか、来賓——来賓というとことばはおかしいのですが、特別発言者みたいな者を加えて、各界の者を加えて、ずっと前向きでやっていただきたい。やはり長い目で見ますと、簡素化へ持っていくべきものだと思うので、その点を希望しておきます。  第二点は、国際語の問題でありますが、先ほど大臣の御答弁の中にも、ローマ字を予定しておるのではないかというような御答弁もありましたが、私たちも一挙にローマ字にいくことは時期早尚だと思っているのです。これは中間語としての国際語がいまあるのですから、エスペラントというのが。すでに日本国内では明らかに五十万くらい会員がおるのです。お医者さんや科学者に多いのです。それで、たとえば英語をやります。ところが英語でも、御承知のように明確に分類ができないところがあるのです。じゃ次にドイツ語をやります。ドイツ語では、冠詞や不定冠詞等の正確なところがありますが、ポピュラリティの点において劣っている。したがって、高等学校から大学にかけてイギリス、アメリカの英語、それからドイツのドイツ語、フランスのフランス語等を追っかけ回して勉強して、アブハチとらずにどれもこれも一応しかわからないということになりがちなのです。これに反して人造語でありますが、ザメンホフ博士のエスペラントを中学校くらいで必修をさせて、海外から日本に来る者も、エスペラントを知っておれば日本の旅行は楽であるというようにしてもらいたい。それから出版物も、海外各国もエスペラントならわかります。御承知と思いますが、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語のわかる者はエスペラントはわかるのです。ですから、日本がこれを採用しているということになれば、そういう出版物を読んで日本の文化を早く知る方法があると思います。そういう意味におきまして、いま中学から英語をやっていることに対して私どもは不満足なんです。私もアメリカの大学を出たので、英語は多少知っているわけでありますが、最近のテレビやラジオの英語の乱用のしかたを見ると、はたして独立国であるかどうか、悲しくなるような状態が多いですね。だから、そういう外国で自然に発生したその国のことばをこちらで勉強するということは、高校と専門教育の場合に限ることにして、一般国民は、国際的に科学的に分類評価もあるエスペラントがありますから、これを採用されて、中等学校でエスペラントをやって、それから高等学校へ進んでから各国のことばをやっても決しておそくないと思いますが、エスペラントに対する造詣がありやなしや存じませんが、先ほどの御答弁の中に、もっと簡素化ということで何かローマ字のような気がしたのですが、国際語としてのエスペラントを中等教育に採用されてはどうかということに対するお考えを聞かしていただきたいと思います。
  85. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 現在の中学校教育過程におきましては、外国語は選択科目として課せられております。実態としては英語が大部分でございまして、フランス語、ドイツ語等は小部分でございます。この外国語と申しますのは、外国におきましてそれを母国語としておることばでございまして、いま御指摘のような歴史はありましても、共通語として企てた人為的な言語というものは、この外国語の中に現在入っておらないのでございます。教育課程におきましては、外国のことばとともに、それぞれの外国の歴史あるいは風俗の理解に資するという目的で選択、ある段階では必修に課せられるわけでございまして、現在のところ、人為語でございますエスペラント語を教育課程の中で正規に取り入れるという考え方はございません。これはエスペランティストの方々が、ただいま御指摘のように世界的な共通語という観点運動されておりまして、日本にも相当の会員がいらっしゃるし、また昨年は世界的な集まりもあっのでございますが、これはやはり民間の運動として発足され、また、いろいろの段階における学生が興味を持ちます場合はクラブ活動等として扱われる問題でございまして、教育課程の正規の中に入れるのは問題があろうか、かように存じます。
  86. 田原春次

    田原分科員 いや、私が心配するのは、いまのような英語の使い過ぎでいきますと、そうでなくても、政治、外交上も支配されておるし、文化的にも、日本の文化が埋没してアメリカ文化一辺倒になってくるのではないかと心配するのです。各国で発生した各国語というものを外国語で習うのは、研究用語にしておいてもらいたい。高等学校から大学においては、それは必要だと思います。それも英語だけでなく、やはりロシア語あるいはドイツ語あるいはイタリア語、スエーデン語等を並列してやれるような時期が望ましいと思うのです。そういう促進方を願うとともに、中等学校だけは国際的人造語でやるくらいの自尊心を持ってもらいたいと思うのです。いまのあなたの御答弁から見ると、ただ傍観している。国語政策でも、外国語政策でもないと思うのです。そういう状態になっていますと。そうじゃなくて、たとえば外国語審議会といいますか、あるいは国語審議会の中の外国語部会と申しますか、エスペラント採用可否はいかんということを投げつけて討論をし、世論の動向を見てきめたらいいと思うのです。いまここで答弁で勝ったり負けたりしようとは思いませんけれども、いまのような御答弁ですと、ごく事務的で、おざなりで、まことに冷淡だと思います。大臣の御答弁をいただきたいのであります。国際語としてのエスペラントを高く評価して、これを中等学校程度では必修にさしたってたいしてむずかしいことばではないのですからできますがね。そういう方針で進んでもらいたいと思いますが、そういう気持ちがありますか。
  87. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 現在の段階では、今後の一つの研究課題にしていただきたいと思っております。
  88. 田原春次

    田原分科員 次に、第三の問題は、同和対策審議会の報告と教育、同時に文部省方針についてお尋ねしたいと思います。  まず、最初に大臣にお尋ねいたしますが、部落問題をどういうふうにあなたはお考えになっているか、お答え願いたいのであります。
  89. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 この問題は、実際明治以来今日まで、近代国家として成長をしてまいりましてかなりの年月を経ておりますから、いまのような問題が残っておること自体が私は不合理だと思っております。しかし、現実には同和対策を活発に進めなければならない現状にありますから、何とかこの同和対策というものを活発に推進をし、住宅その他の社会環境においても、また教育の上においても、完全に懸案なり、問題が解決されるようにつとめるのが妥当であると考えております。  私も、かつて党におりまして政務調査会を担当いたしておりました当時、この問題は、ずいぶんと検討いたしまして、ちょうど私が政調会長をしておりましたときに、御承知のように党内にも同和対策の特別委員会をつくり、関心の深い、実情も知り、理解もある秋田君に特別委員長に御就任願いまして、極力こうした同和対策の推進につとめてまいっておる次第で、私どもとしましても、行政の面でできるだけ手を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  90. 田原春次

    田原分科員 部落の発生は、学者の説を見ますと、簡単にいえば、封建時代における軍事上の落後者、それが社会上の落後者となって一般と離隔し、続いて経済上の落後者となって今日に至っておると見ているようであります。とりあえず封建時代における悪習をのける、つまり民主主義の徹底を期するというのが政府方針だろうと思います。しかるに文部省予算を見てみましても、これは初等中等教育局と社会教育局じゃないかと思うのですが、まことに数字はわれわれの期待とはるかに離れた数字でございますが、まあ一応種をまいた程度だと思うのです。これは実際に地方をお調べになればわかりますが、教育の問題だとか、職業の問題だとかの根本は教育から来るわけです。教育上の差別、不便をなくして平等に扱うようにすることによって、やはり自然職業上の差別もなくなるし、また結婚上の差別もなくなってくると思うのです。したがいまして、文部省はもう少し力を入れて、進んでその中核となって、厚生省、建設省あるいは中小企業庁等と連絡して対策を講ずる。それから二世、三世、子供たちのためには教育を基本的に、子供のときに誤った考えのないように積極的にしむけるようにしてもらいたいと思うのです。そういう意味におきまして、現在やっておる施設、それから来年度やろうとする施設等について、調査局なり、社会教育局ですか、あるいは初等中等教育局からもっとこまかくお答えを願いたい。
  91. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 同和教育に関するうち、学校教育に関しましては、審議会の答申に基づきまして、四十一年度は特に教育水準の維持、向上ということで、高等学校に進学すべき者に対しまして新たに都道府県ないし指定都市において育英資金の給付をいたします場合に、その半額を補助をするという予算を計上いたしました。また、同和地区におきます生徒指導を強化いたしますために、本年度の充て指導主事の増加の分から同和地区に対して実情に応じて措置をするということをいたしております。
  92. 田原春次

    田原分科員 要するに一億に近くなっております日本民族が、同一民族でないことは学者みな言うのです。人種あるいは民族的にも、たとえばモンゴロイド、あるいはポリネシア、ミクロネシア、あるいは原住しておるアイヌ、あるいは熊襲等の混合民族なんですから、したがって、どの民族、どの外来民族が優秀であるということにならぬのです。一心一体となってよい日本をつくらにゃいかぬと思います。この点については自民党の中には同和会のごときものがあり、社会党の中には部落解放特別委員会のごときものがありまして、それぞれの研究角度は多少違っておりますが、目標は、日本人の中における差別をなくしていこう、生まれた以上は、力限り根限りこの世の中に役に立つ人間になれるようにしてやろう、ハンデキャップのないようにしてやろうということでありますから、その点をよく御理解願いまして、今度の予算を見ましても億に足らない数字なんですね。何千万円という数字なんです。それでは全国六千部落あって三百万あるといわれるものに対する一人当たりの教育費はわずかなものになるのですね。どうか機会あるごとにこれを増額し、それから徹底するように、ほかの省とも横断的によく打ち合わせをして具体化していくように希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  93. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 関連して。文部大臣に念のためにお聞きしておきたいのですが、先ほど小川分科員が文化財保護で文部大臣にお聞きになったのですが、現在の組織上からいえば、文化財保護に対する文部大臣の責任が非常に不明なわけなんです。国会で、あの京都の地域の保存についてここで文部大臣お答えになったが、その責任はほんとうに持っているかどうか、疑問なわけです。その点については、そこに事務局長がおりますけれども、責任者は委員長である。委員長政府委員でない。これはいつも私、問題にするのですけれども、きょうの質疑応答の中にも国家行政組織法上からいうと非常に矛盾があるわけなんです。何か検討しなければならぬじゃないかと思うのですが、文化財保護委員会の委員長国務大臣をもって充てるとかして、文部大臣兼務するというならば、これで一応成り立つし、それからああいう利害打算で土地を買収して利潤追求の事業にしようというようなことは、京都、奈良その他にずいぶんあると思うのです。そうすると、相当権力——いい意味の権威のある者が文化財保護の責任者に立つという制度をとっておかないとできないのじゃないか。それを、先ほど小川分科員文部大臣の話をしている中に非常に矛盾を感じたので、その点御検討なさってはいかがかと思いますが、いかがですか。
  94. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 確かに文化財保護に関する行政及び判断は文化財保護委員会がやっておるわけで、私のほうは関係機関として、その委員長以下委員の任命権と若干の行政指導の権能を持っておるというわけでございまして、私どもだけで全責任を負える筋合いではございません。しかし、従来の状況から見まして、文化財保護委員会は、かなり厳格に権威者が集まって諸般の問題を慎重に検討して取り扱っておりますから、いまの文化財保護委員会の制度から見れば、文化財の保護について十分信頼することができると私は思っております。ただ、予算措置等を伴う諸問題につきましては、これはどうしても本省側が予算要求その他予算の消化等につきましても力添えをしなければならないわけで、どちらかというと、いままでは、文化財保護について予算措置のほうの本省側が受け持つべき措置が、どうも努力をしてもなかなか財政当局協力が十分に得られないで手薄であった、こういうような感じを持っております。今後とも、われわれこの財政措置等につきましては十分に努力をし、信頼できる文化財保護委員会の文化財保護に関する施策が十分に行ない得るようにわれわれも努力をしてまいりたい、かように考えております。
  95. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 いまお聞きしたのは、委員長はもう国務大臣をもって充てるというような方向で制度を検討されてはどうかと申し上げたのですが、ただし、事務当局では、文化財保護法は議員立法であるから、どうも政府のほうで手入れをすると、国会のほうからあるいは何だかんだ言われるから、議員立法で改正してもらえないかということをよく言うわけです。議員立法ですから、それならそれで議員立法で挙党体制で出してもいいと思うのです。そういう変なところで義理立てをする必要はないと思いますから、やはり検討さるべき一つの問題じゃないか。国会でやはり委員が質問をして、責任のある答弁文部大臣に聞いておるのですから、どうにもならぬと思うのです。それをひとつ御検討願いたいと思います。
  96. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、田口誠治君。
  97. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間の制限があるようですから、質問のほうはへたで長引きますが、答弁のほうはじょうずにお願いします。  そこで、最初にお聞きいたしたいと思いますことは、御承知のとおり先般の早稲田大学の問題以来、私学の問題についていろいろと各方面今後のあり方等についてそれぞれの意見が出されておるわけです。したがって、私も今後の私学の取り扱いについてお聞きをし、要望しておきたい点がありますので、まず最初にそれを伺いたいと思います。  きょう現在のところでは、私立の学校に対しましての文部省管理、監督、指導というようなものはどの程度なされておるか、まずこれを伺いたいと思います。
  98. 天城勲

    天城政府委員 私学に対する文部大臣関係でございますけれども、現在、まず学校教育法によりまして、大学文部大臣の所管、それから高等学校以下は都道府県知事の所管ということになっております。それを私立学校法によりましてかなり具体的に規定しておりますが、基本は、この所轄庁である文部大臣並びに都道府県知事の権限が私立学校法の第五条に規定されておりまして、一言で申しますと、設置、廃止、大学で申しますと、学部の設置、廃止あるいは大学院、短期大学の学科等に限定されております。そして、その他一般的な行政監督権というのはございませんで、あとは報告書の提出を求める権限、それから法律上助成することができるという規定がございまして、あとは私学法の基本的精神であります。自主性を尊重し、公共性を高めるという、この基本原則に基づきまして私学行政をいたしておるわけであります。
  99. 田口誠治

    田口(誠)分科員 現在のところでは、それぞれ法律、省令に基づいて指導されておるわけですが、そこで行政指導の上に立つ現行法規からいって、どこが最も必要であるか、隘路があるかというこの点を、いままでの法規の上からの指導、監督した経過から、ひとつお考えをお示しをいただきたい。したがって、このことは先般の早稲田の問題等も私ども頭の中には考えての質問でございますから、それを頭の中に含んでいただいて、いままでの指導行政上の監督という面についてはどこが一番隘路があるのか、そしてまた、必要と考えられることはどういうことであるか、この点をひとつ大臣からお示しをいただきたいと思います。
  100. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 先ほど管理局上長から申し上げましたように、大学の設置あるいは学部、学科の設置あるいは廃止、こういうことについて許可権能を文部大臣が持っておるわけでありますが、さてそれが大学の設置が許可され、あるいは学部、学科の設置、大学院の設置等が許可されますと、それから先の運営につきましては、全く大学の自治にまかされておるというのが今日までの経過でございます。したがいまして、助言はできるようになっておりますが、大学自治の本能を生かすために、あまり差し出がましい助言もいたしかねるというのが現状でございます。私どもとしましては、できるだけ大学の自治が、管理体制も充実して、そして円滑に行なわれることを期待しておるような次第でございます。
  101. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私のお聞きしておるのは、先ほど管理局長のほうから御答弁のありましたように、現在の法規の上からは、このような行政指導、監督をいたしておるということをお話しになったわけなんです。しかし、これは現在の法規の上に立っての行政指導であり監督であるわけであるから、今日までの経過、そして今日起こっておるこの問題等考えたときに、将来こうせねばならぬということを何か文部省のほうでも考えつかれたと思うのですが、その点をお聞きしておるのです。
  102. 天城勲

    天城政府委員 お答えいたします。先ほども申し上げましたように、私学の公共性と自主性という観点で現在の法体制はできておりますし、基本的にはわれわれもこの考えでおるわけでございますが、ただいままでいろいろな私学の問題が出ております中で、基本的な問題は、結論は、教育の質を維持してこれを高めていくということにすべてあるわけでございます。特に大学につきまして、大学の自治という基本原則を伴いつつ学問水準の向上を考えていくのが一番基本点でございますので、その観点から見てまいりますと、私学の経費の上からも、また教育水準の上からも、なお十分でないという点がいろいろございますので、これらの点をどうしたらいいかということにつきましては、いろいろな意見がございますけれども文部省といたしましては、現在ちょうど臨時の調査会を設けて、御諮問申し上げて検討の過程でございますので、まだ結論的なことは申しかねるわけでございますが、問題はそういう観点からいろいろな議論がこの調査会で現在討議されている状況でございます。
  103. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私学は経営ではない、したがって公共性と自主性を十分に重んじられ、発揮させることを指導しておる、こういう答弁であるわけなんです。ところが現在の実態を見ると、万全ではないわけなんです。だから、万全でない点については、調査会等において十分に審議をしてもらい、その答申を見て、文部省文部省としての意見もはさんで、何か今後のあり方について行政指導を行なっていきたいというのがただいままでの答弁であったわけなんです。  そこで、大学、高校は義務教育ではございませんけれども、新制中学までの義務教育も含めて私学というものはあるわけなんです。したがって、これには補助も出しておるわけなんです。そうなりますと、自主性自主性といっても、全く手放しの自主性では私はいけないと思いますし、そうして私立の学校が御案内のとおりの寄付金を集めたり、あるいは試験の料金にしても、入学するときの料金にしても、あの程度のものをどうしても取らなければならないものかどうかということは、国民がやはり疑惑を持っておるところなんです。したがって一面には、営業ではないか、こういう感覚を国民が持っておるわけなんです。営業ではない、公共性を持った重要な教育の一環を私学にやらしておる、それに国が補助を出しておるということになりますと、自主性は自主性としてあってもよろしいけれども、内容的にもう少し文部省のほうでタッチする必要があるのではないか。議論によっては、経理の公開をすべきであるという議論さえあるわけでございますので、したがって、そういうことから考えますと、ただ単なる調査会の答申を見て今後の行政指導を行なうということだけでなしに、文部省文部省としての、いままでの経験からいってこうせなければならぬという点がおそらくおありだろうと思うので、その点をお伺いをいたしたいと思うのです。
  104. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 いまの早稲田大学の問題を契機として、非常に世間の関心も高まっておるわけでございますが、問題点は、大きく分けますと二つあるのじゃないか。一つは制度上の問題で、いまの学校法人というのが幼稚園から大学、しかもマンモスの大きな大学まで同じ制度で運営されておるわけです。中等教育程度の中学校、高等学校の経営、あるいは大学でもまだ規模の小さい単科大学とか、規模の小さい大学範囲では、いまのところそう大きな問題は起こっていない。ところが、それが非常に規模が大きくなった大学については、なかなか管理運営の面でも私は困難があると思うのです。こういう制度上の問題も一つあるかと思うのですが、もっと深刻な問題は、今日大学の経済問題であると思います。早稲田大学にいたしましても、創立者である大隈侯がやられたころには、やはり大隈侯の信頼と社会的な地位とで、相当に一般の寄付金とか財源等も調達をして、学生に負担させる以外に、かなりの建設資金等をまかなってきたと私は思うのですが、こういう創立者がなくなってから後というものは、だれがそれではそういう仕事をするかということになりますと、なかなかそれが困難である。したがって自然に、施設を充実する、あるいは教授の待遇を改善する、これらの諸経費というものが学生の納付金にたよってくるというところに問題があるのではないかと思うのです。したがって、こういうような大学財政難というものをいかに解決をするか、こういうことになりますと、いろいろ問題点があるわけで、国が援助するのもいいですけれども、もちろん税金の金でまかなうなり援助をするということになれば、何がしかの報告を求めるなり、あるいはいまのような大学の自治というものを尊重しかねる面も出てくれば、これは本来の大学のあり方とも矛盾をするというようなことで問題点がありましょうし、これを具体化していこうというのにはいろいろたくさんの論点があるわけでありますから、私どもとしましては、昨年設置されました私学振興方策調査会に相当有力なメンバーを網羅しておりますので、ひとつこの方々に十分に御研究を願って、そして適切な成案を得たい、かように存じておる次第でございます。思いつかれることは数々ございますが、目下調査会で御検討願っておる最中でございますので、この調査会の結論を待ってわれわれとしては最終の仕上げをしてまいりたい、かように目下考えておるわけでございます。
  105. 田口誠治

    田口(誠)分科員 特に大学のほうでは、経営難ということから授業料の引き上げ等が計画されたり、また具体的に出されたりしておるわけなんですが、そこで端的にお聞きをいたしたいと思いますることは、高校、中学の場合の私学です。これは外面から見ては、そんなに経営、運営ができないというように見えないわけなんです。ところが一方では、これでは困るからもう少し国の助成をふやしてもらいたいという強い要望がきておるわけです。その辺のところを文部省のほうではどういうように分析をされておるかということをお聞きをしたいのです。  ほかの事業と違いまして、この学校教育の事業は、たとえば——これは全くたとえばの話で架空的なものになるかもわかりませんが、山師のような人があって、山をかけて、ここに金を借りて私立の高等学校をつくる。しかし、どれだけ生徒の募集ができるかできないかは未知数であるし、経営が思うようにいくかいかないかということも未知数であるけれども、一年やれば、二年目にやれないといって学校だけはほうるわけにいかぬわけなんです。これをほうった場合には、そこの市町村なり国なりが受け継いで、そして子供の教育に支障のないようにしていかなくてはならぬ。こういう内容を含んでおりますので、この私学というものの一番の出発点というものが、いろいろな形で出てきておると思うのです。したがって、経営ではないと言われますけれども、実際にはかなり拡大強化がされておっても、それでもなお国の助成を多く取りたいという考え方から、私どもの手元までそういう運動には来ておいでになるわけなんです。したがって、私どもはそれに積極的に賛成をして、そして満足のいくような政治をしこうとするには、しろうとの私どもとしては、その辺のところをどういうように分析しておられるかということをお聞きしないと、やはり積極的な動きができないわけなんです。いずれにいたしましても学校教育の問題ですから、きわめて重要ですから、軽率な考え方や感情でこういうものを取り扱ってはならないと思いますので、そういう点からなお御答弁を求めるわけでございますが、いま私の申し上げた点についてひとつ御回答いただきたいと思います。
  106. 天城勲

    天城政府委員 お答えいたします。ただいまの御質問大学と違って高等学校以下の問題は少し違うのではないかという御前提での御質問かと承りますが、しさいに見てまいりますと、高等学校の私学のあり方と大学と違うところは確かにございます。一般に私学の経営が経済的に困難だといわれておりますけれども一般的に高等学校の問題につきましては、御存じのいわゆる戦後のベビーブームの波を受けまして、数年前高校生の急増問題という時期が一つございまして、私立の高等学校をかなり新設しましたり、また拡充をいたしたわけでございます。一方、その波がちょうどただいまピークでございますが、もう場所によりますと、そのピークが過ぎてきておる状況でございまして、この増員に伴うところの拡充問題と、現在の生徒の増の山が終わってむしろ減少しつつあるという過程が、経営上大学と違った特殊な事情にあるようにも考えられます。したがいまして、高等学校の場合には、むしろ生徒の急減という事態に対しての問題の意識がかなり強いのではないか、かように考えておるわけでございます。その他本質的に大学教育の持っております学問の研究というような要素から見ると、いろいろな点が違いますけれども、非常に大ざっぱに申し上げますと、現在の時点でそういう相違が見受けられるわけでございます。
  107. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間もございませんので、あまり突っ込んでお聞きできませんが、私どもしろうとから考えますれば、今日まで私学を行政指導してこられた過程において、ここをこう改正しなければいかぬ、ここをもう少し行政指導としての発言を強くしなければいかぬというところがあるだろうと思ってお聞きしたのです。それがあまり明確に答弁にないので、何か答弁するのにむずかしい点があるのか、それとも調査会のほうでせっかく検討中であるので、あまり文部省の意見をいま出すことはよくないから言われぬのか知りませんけれども、すべてものを運営したり、事業を経営したりする場合には、長い歴史を見ますと、必ず隘路というものがあるわけです。したがって、この私学振興の問題については私は大ありだと思うのです。それをお聞きしたいと思ったけれども、私の聞こうとすることを聞くことができなかったので、またいつかの機会にお聞きをいたしたいと思いますが、そういう点は文部省としてもすっきりとこういう場で明確にしてもらって、そして国民が疑惑を持って見ておるような点について明らかにしていく必要があるのではないか、こう考えております。事、教育の問題だから、特にそういう感を深くいたします。  そこで、教育の機会均等の関係でございますが、その点からいきましても、私立学校というのはやはり都市に集中して地方にはあまりない。均衡がとれていないということなんです。したがって、どんないなかのほうからも、東京とか、名古屋とか、京都、大阪とかいうようなところへ、子供を下宿させて勉強させなければならないというのがいまの実態であって、私は、この地域的のバランスを文部省としてはお考えになる必要があるのではないか、こう考えております。したがってそれには、私学の関係もそうですか、現在各県にある国立大学に、まだない学部を新設するというようなことも一つ方法であろうと思いますが、いずれにいたしましても、教育の機会均等というような点から考えてみますると、あまりにもアンバランスになっておりまするので、この点をどういうようにお考えですか、ひとつ御回答を願いたいと思います。
  108. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 私の考え方としましても、せっかく各県に国立大学ができてまいりました。しかるところ、地方にあります国立大学は受験者、入学者等も志望が少なくて、大都市の学校学校へと集中してくる悪い傾向がありますから、これらを是正する意味からいいましても、教育の機会均等からいいましても、また、国立大学としての権威を高める上からも、できるだけ各県にございます地方国立大学を充実いたしまして、そしてわざわざ都市のスモッグのところに勉学に来なくとも、自分の手近な、しかも住みなれた土地の近くの大学で自分の勉強のできるような体制を築くことが非常に喫緊の要務であるというように考えておりますので、特別会計の財政の許す限りにおいてそういう方向で今後とも努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  109. 田口誠治

    田口(誠)分科員 早稲田大学のあの実態から授業料の引き上げ等は相当伝染をしていくと思うのですが、いま文部省のほうでお考えになっており、またキャッチされておる分はどの程度であるか、ひとつお聞かせいただけませんですか。
  110. 杉江清

    ○杉江政府委員 いま最も深刻な紛争となっておりますのは、横浜国立大学の紛争でございます。そのほかに、激しい紛争を現にしておるというところはいまのところございませんが、しかし、学生寮あるいは学生会館等の問題をめぐって、いろいろ学校当局と学生との間に折衝も行なわれ、なかなかうまくおさまっていないところがところどころございます。以上でございます。
  111. 田口誠治

    田口(誠)分科員 授業料の引き上げの伝染は……。
  112. 杉江清

    ○杉江政府委員 授業料につきましては、私はまだ紛争になっているところは承知しておりません。
  113. 田口誠治

    田口(誠)分科員 早稲田のように紛争しておらなくとも、授業料の引き上げを予定されておるところは、どことどこがあるか。早稲田の引き上げに続いてこれが伝染して、各大学とも授業料の引き上げということになりはしないか、こういう質問なんです。
  114. 杉江清

    ○杉江政府委員 この点については私はつまびらかに承知しておりませんが、管理局のほうであるいは知っておられるかと思いますが、私は承知いたしておりません。
  115. 田口誠治

    田口(誠)分科員 わかる方が見えるまで時間がもったいないから次をやっておりますが、その間に連絡をとっておいてくださいね。  そこで大臣国立大学教授の待遇改善の関係ですが、給与の場合は、教職員の給与改定にのっとってやられるわけですけれども、いずれにしても学者ですから、研究費というものが非常に必要なんです。この研究費が足りないために非常に貧乏をして研究をされ、そして子供の教育に精力を注いでおられるわけなんですが、この研究費というのはもう少し大幅に引き上げる余地はないのかどうか、また、それほどの必要を感じられぬのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  116. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 引き上げの必要は実はわれわれも痛感しておるところでございます。年々研究費の積算単価というものも増額しつつありますけれども、思うようなところにいっていないというのが現状でございます。今年も教授単位の研究費の積算及び学生の数に応じた積算、こういうことの増額を行なっておりますが、今後ともわれわれとしては努力をしていくべき問題点の一つでございます。
  117. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その点努力をしていただきたいと思います。それから答弁の残っておるのを……。
  118. 天城勲

    天城政府委員 現在授業料を引き上げている大学の数でございますが、これは集計中で、まだ全部報告がございませんので、いま何%くらいか確実に申しかねます。  なお、それと関連いたしまして、授業料引き上げに伴いまして、学校でいわゆる紛争を起こしておりますのは、私現在聞いておりますのは、東京では東京理科大学一つございます。
  119. 田口誠治

    田口(誠)分科員 この点についてはまだ突っ込んでお聞きしたいけれども、もう一つ、どうしても聞いておかなくてはなりませんので、もう時間がきましたので一問だけで終りたいと思います。  義務教育教科書の無償配付というのは、今年で終了するはずになっておる。ところが、今年は無償ということにならなかった。それのみならず、教科書の値上げを行なうということなんですが、この辺のところは、どうも問題が教育の問題だけあって、父兄を納得させるのがなかなかむずかしい点だろうと思うのです。どうしてお約束どおりに今年で無償配付を完了することができなかったかということと、そうしてできなければ教科書くらいは値上げをせずに据え置く必要があろうと思うけれども、それに追いかけて教科書の引き上げを行なうということはやはり納得のいかぬところであるから、この点を明確にしていただかぬと、父兄はどうもこれは割り切れぬわけです。ひとつ大臣から答弁いただきたいと思います。
  120. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 教科書の無償給与は、年次計画で大体方向を立てまして、本来ならば本年で義務教育は完了する方向であったわけでありますが、昨年、四十年度予算編成の際に、小学校六年と中学一年の無償を進めるべきところを、御承知のように経済成長が頭打ちをしまして、非常に不況になり、財政不如意の状態になりまして、昨年は切りのいいところでということで、小学校六年だけに終わったわけです。そこで中学一年から三年までが残ってしまったわけで、私どもとしては、本年ももちろん国の財政は困難でございますが、できれば一年から三年まで無償を完了したいというつもりで予算要求をしておったわけでございますが、財政事情、諸般の事情で、中学一年の無償を計上するだけにとどまったような次第で、この点はまことに遺憾でございますが、来年度は残りの部分について実行するようにつとめてまいりたい、かように思っておる次第でございます。  もう一点、教科書の価格の引き上げでございますが、これは実は四年ほど教科書の単価は据え置きになってきておりまして、各教科書会社も毎年の物価の上がり、あるいは人件費の上昇、こういうことでとても据え置きではやっていけませんということが前からの問題でございます。すでに四年も積滞をしてまいりましたので、御承知のとおり審議会にその格間をして検討を願っておりました。審議会の答申としては、物価及び人件費の給与引き上げ等から見て、綿密な積算の結果、十一・何%の引き上げが妥当であるという答申をいただいたわけでございます。答申どおりにすれば、教科書発行会社は都合がよかったかもしれませんが、できるだけ圧縮をする必要が、現在の世相にかんがみてございますし、いま御指摘のように教科書が小学校は全部無償でありますが、中学校の分についてはまだ残りがあるわけでございますから、これらの自己負担についての関係もありますので、極力圧縮をいたしました結果、一〇%の引き上げ、こういうことになりました次第で、実はこれも本来がまんをしてもらいたいところでありますが、四年間しんぼうさせてきた関係もありまして、教科書の内容低下を見ることは、これまた教育上好ましくありませんので、さような結果一〇%の引き上げを認めざるを得ないことに相なったような次第でございますので、お含みをいただきたいと思う次第でございます。
  121. 田口誠治

    田口(誠)分科員 年次計画を実施できなかったのは国の財政上の問題ということですが、昨年よりはぐっと財政規模も大きくなっておる。いままで年次計画が立てられており、また自民党政府としても事あるごとにこの年次計画の演説をぶって歩いておるわけなんです。それで父兄はそれを信じておるわけなんです。したがって、去年よりどうしても税収入も少なくて、予算を縮小しなければならぬというときなら、これがひっかかってくることも考えられるけれども予算は膨張したわ、ただ無償配付の約束だけはこれはやらなかったわ、その逆に教科書を引き上げた、これはなかなか父兄の納得のいくところではないわけです。ですから、どうしてもその一〇%というものは引き上げなければならないものかどうかは知りませんけれども、無償配付のできなかった学級だけはこれは思いとどまってもらうことが、国民の一番期待するところであり、また国民と約束したところでもあるから、この程度のことはやっていただかなければならぬ。ほかの省がいろいろ約束を違えたのと、文部省が約束をやらなんだというのと、これは国民、父兄の受け取る受け取り方が違うのです。文部省というところは正直で、そうして子供を教育するところだから、うそを言ったりわけのわからぬようなことを方々で吹聴して歩くということは考えておらぬのだし、省でも一番人格者の省だというように考えておるわけです。この人格者の省が約束どおりの、また年次計画どおりの無償配付をやらないで、その逆に教科書の引き上げをするということは、これはぼくらも納得できませんし、そして父兄も納得のできないところでございます。  最後に、私のお聞きした二年と三年だけくらいは、ことし、これからでも引き上げをストップすることができるかできぬかということと、それからもう一回来年は無償配付はちゃんとやるかやらないかということを大臣のほうからひとつ約束を願いたいと思います。それで質問を終わりたいと思います。
  122. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 すでに一〇%の引き上げを公表しておりますので、全部の教科書会社はその予定で進行しておりますから、これをストップさせることは不可能で、いかんともいたし方ないと思います。教科書を中学三年までぜひ無償配付に、いまのような関連もございますので、したいということは、私ども田口さんと同じような理屈を述べて極力努力をいたしましたが——確かに財政規模は非常に拡大をされたのでありますけれども政府としては、ことに財政当局としては、財政規模は拡大するけれども、目標はひとつ景気を挽回してこの不況を打開したい、ついては公共事業に重点を置いて拡大をして、公共投資をするというようなことで、教科書の無償につきましては一年前進ということでがまんせざるを得ないことに相なりましたので、この点は私どもまことに遺憾に思っておりますが、明年度はぜひ御指摘のとおり完成をいたしたいと思っております。
  123. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは質問を終わりますが、いまの約束は完全に約束どおり実行してもらいたい。
  124. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、中村重光君。
  125. 中村重光

    中村(重)分科員 時間がないので端的にお尋ねします。  離島、僻地の教育振興に関してですが、離島、僻地の教職員に対しては特別昇給制度が昨年から実施されておる。県の条例できめるという関係等がありまして、一律にはいかないと思うのですけれども、大体においてその状況はどうなっておるのか、まずその点を伺います。
  126. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 僻地の教職員の労苦に報いますために、昨四十年度におきましても、行政指導といたしましては、特別昇給を実施するように指導いたしました。昭和四十一年度におきましては、明らかに特昇分については財源措置をするから確実にやれということを、先般担当の課長会議を開きまして指導いたしましたので、円滑に実施されるものと思っております。
  127. 中村重光

    中村(重)分科員 財源措置をするから確実にやれと指導した、それはいつごろですか。
  128. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 政府予算が確定しました直後に、教職員に関するいろいろな定数あるいは給与上の諸問題を知らせるために集めましたので、一月にそのことを実施いたしました。
  129. 中村重光

    中村(重)分科員 具体的には離島に三年間勤務した、その場合に一号俸増給する、そういうことなんですね。
  130. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 僻地の教職員に、いまおっしゃったように、三年の場合に一度特別昇給をするような財源措置をしてあるから、そういうふうに各県の教育委員会においても実施してもらいたいという指導をしたわけでございます。
  131. 中村重光

    中村(重)分科員 そうすると、文部省指導しておるような方針で実施していない、そういう府県がある場合はどのように措置いたしますか。
  132. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 理論的に申せば、特別昇給は任命権者たる教育委員会の仕事でございますから、これを直接文部省がどうこうすることではございませんけれども文部省が財源措置をした、それに基づいて僻地教育振興のためにやるほうが望ましいと申したことでございますから、任命権者たる教育委員会はその方向で努力するものと、かように考えます。
  133. 中村重光

    中村(重)分科員 それは任命権者である教育委員会がやることだ、形はそういうことになっている。ところが、これは義務教育ということになってまいりますと、当然義務教育費国庫負担法によって半額は国が負担をする。その半額を地方交付税でめんどうを見ているわけですから、当然そのとおりに教育委員会もこれを実施していくのでなければならぬと私は思うのです。そのとおりに行なっていないということになってまいりますと、これは僻地教育振興という趣旨に反することになって、教育上きわめてゆゆしき問題になってくると思うのですよ。これは都道府県の教育委員会がやることなんだというようなことでなくて、当然文部省指導したとおりに実施されておるかどうかということを調査をして、それがそのとおり行なわれていないということになると、それを是正させるという態度でなければならぬと思うのです。ですから、そうした考え方をもっていままでも取り組んでこられたのか、また、今後もそういう態度でお取り組みになるのか、その点はっきりしておいてもらったほうがよろしい。
  134. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 新年度になりますれば、教育委員長教育長が集まる機会もございまするし、私どもも僻地教育振興のための全般の施策についてその際注意をするはずでございますから、ただいまの御指摘の特別昇給の取り扱いについてもよく指導をしたいと思います。
  135. 中村重光

    中村(重)分科員 私は、抽象論をやっておってもしょうがないですから、具体的な問題として文部省考えを聞かしていただきますが、長崎県では御承知のとおり離島が非常に多いわけですね。四五%は離島です。そこで文部省としても関心を持っていらっしゃると思う。たしか昨年の暮れの県議会でやったのだろうと私は思うのですが、一級から五級までとなっているんですね。そして五級ですか、それは三年間勤務をいたしまして一号俸上げる。そうすると、四級地になってくると、今度は四年間、三級地になってくると五年間、こういったように、たしか三年が最高で六年ぐらいしなければ一号俸上がらない、そういう扱いをやっているように聞いておるのでありますが、文部省は調査しておられますか。
  136. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 私、いま長崎県のこの具体の状況を承知しておりませんが、あとでよく調べてみたいと思います。
  137. 中村重光

    中村(重)分科員 よく調べると言うけれども、私もここでお尋ねをしておるのですから、根拠のないことを言うわけにはまいりません。調査をして言っているわけです。そういうことはどうなんですか是正させなければならぬと思っているのか。
  138. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 僻地の教員を対象といたしまして、特別昇給に必要な財源措置を組んであり、また、そのように実施するように指導をしておりますので、県といたしましては、その方針に沿って措置されるように私どもは期待しております。
  139. 中村重光

    中村(重)分科員 どうもいまのお答えが私には納得できない、理解できないのです。文部省指導がいまお答えのとおりに行なわれていないのじゃないですか。これは任命権者である教育委員会がやることだ、財政措置はしてあるのだけれども、その府県の事情もいろいろあるのだろうからというので、何か都道府県でやるということにまかしておるといったようなことじゃありませんか。
  140. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 先ほどお答えいたしましたように、府県内の教職員人事、給与その他勤務条件の取り扱いは都道府県の仕事でございますし、任命権者たる教育委員会の仕事でございますから、その判断なり措置を強制する方法は、違法でない限りできません。でございますから、これは単に特別昇給の問題だけでなく、すべて行政の指導の限界を出ることはできません。しかしながら、先ほどお答えいたしましたように、私どもといたしましては、担当者に対しても、また教育長等に対しても、僻地教育観点から特別昇給が円滑に実施されるように指導してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  141. 中村重光

    中村(重)分科員 違法でない限り取り締まりができないのだ、それは任命権者のやることだから、こういうことなんですが、義務教育なんですよ。だから離島、僻地の教育振興という立場から、その離島、僻地における教職員の、何といいますか、離島ということになってくると非常に物価も高い、文化性も非常に低い、いろいろ離島のそういう特殊性ということを勘案して、特別昇給制度というものを文部省もお考えになった、そうして一つの基準といいますか、三年間勤務したならば一号俸上げてやろうと考えて、財源措置というものも十分するから、これを実施するようにやれというようなことを通達としてお出しになるということなんでしょう。ですから、任命権者がやることだけれども、違法でないならば、国としてこれを取り締まるというすべはないのだというようなことではなくて、そのとおりに実行されていないということであるならば、それはやはり積極的にこれを是正させるという取り組みでなければならない、こう言っているのです。離島であっても、一級地から五級地までの級地を定めているようだ。そこでもう最高が三年間勤務して一号俸上げる、まあ六年間勤務しなければ一号俸上げないというようなことを現実にやっている。だから、そういうことは是正してもらわなければならぬ、こう言っているのです。そこで、文部省が三年間勤務した教職員に対して一号俸上げるということになってくると、その算定がどういう形でなされているのか、そこが問題なんですね。三年間離島に教職員がどの程度いるのか。そこで三年間勤務すると一号俸上げるということになってくると、一年間に三分の一この財源措置をすることになるのだから一それを私が言ったようなことて、三年間というようなことで一号俸上げるというのは、離島でもほんの限られた教職員についてだけしか三年間で一号俸上げていないということになる。平均すると、おそらく四年半かそこら勤務しないと一号俸上げないということだろうと思う。だとすると、文部省は三年間勤務したならば一号俸上げるということで予算措置をしているから、その残った金はどう扱っているのか。いま法的に違法でないというようなことであったりいたしまして、国がそれだけの予算をつけたその金を、文部省指導に従って離島、僻地の教育振興のために有効に役立たせていないということになると、これは問題だと思う。だから、その点はどうお考えになるのか。
  142. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 義務教育国庫負担金の給与費は、これは限度政令の範囲内でありましても、府県が支出したものの実績を見るというたてまえでございますから、毎年度負担金は足らなくて補正するのが大部分でございますから、これは一般問題として昇給分に見積った分が余ることもありますし、足らないこともある、退職金も同様でございます。負担金の性格はそうでございますから、これは昇給を具体的に実施いたします府県において実施した場合において、その半額を国が持つ、こういう制度になっているわけであります。したがいまして、予算が余ったからどうという問題ではないと思います。
  143. 中村重光

    中村(重)分科員 これはいまあなたが言われるようなことだと——何も都道府県知事にしても、教育委員会にしても、自分の県の教職員を冷遇するなんという考え方は私はあろうとは思わないですよ。いいですか。半分は義務教育費国庫負担法によって支出する、残り半分は交付税でめんどう見るのだ、財源措置は十分つけるのだ、こういうならば、それじゃ三年間勤務したならば一号俸上げるという形になる。それを級地の関係で三年間一号俸じゃなくて四年間一号俸ということがあるとするならば、それだけ余裕が出てくるのだから、その金は、三年間勤務しなくたって二年間勤務した者に対してでもめんどうを見るというふうに有効に使っていくのでなければならぬと思う、実施したのに対してめんどうを見るというならば。あなたはそうお答えになるのだけれども、実際は相当きびしくしているのじゃありませんか。文部省が見てくれないから、私がただいま申し上げましたような扱いになっているのじゃありませんか。
  144. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 特別昇給と申しますのは、一般的にいえば、勤務成績良好なものについて任命権者が、教職員についていえばその勤務の実態に応じて措置することでございますけれども、特に指導として昨年来出しているのは、僻地教育の振興のために、また僻地で勤務しておられる先生方が御苦労してりっぱにやっておられるだろうということで、三年に一回昇給できる。すなわち三分の一ずつ昇給財源を見るようにするし、負担金でも見るようにするし、また自治省とも連絡してそういうことにするから、それを実施したほうがよかろうということを指導しているわけでございます。でございますから、その他の昇給にいたしましても、特別昇給にいたしましても、県が権限として適法に実施いたしましたものは、負担金として給与費の精算の場合にはね返ってくるわけでございます。
  145. 中村重光

    中村(重)分科員 特別昇給というものは、勤務成績が優良な者に対して特別に昇給してやるというのがたてまえなのだ。しかし離島、僻地に働いている教職員というのはまじめにやっておるだろうから、それに準じてめんどうを見てやろうじゃないか、こういうことだ。ところが、その前段の基本的な考え方、勤務成績が良好な者である、そういう場合が一緒になっているので、いわゆる三年間勤務して一号俸上げるというのを、離島、僻地の教職員だけじゃなくて、もっと広い範囲でこれを見るということになってくると、離島、僻地に勤務する教職員に対して、いまあなたが言われたように、三年間に一号俸特別昇給してやろうというのにどうしても食い込んでいくことになる。そうなってくると、あなたは三年間に一号俸とおっしゃるのだけれども、実際は財源がそれだけないものだから三年間に一号俸上げるわけにいかないということになって、平均して四年に一号俸であるとか、五年に一号俸上げるという形になっていかざるを得ないのじゃありませんか。そこらあたりが問題じゃありませんか、どうです。
  146. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 僻地の教員につきましては、特に文部省としてはその人数を対象として三年に一回特別昇給がし得るという財源を組むから、そういうように実施してくれということを言っておるわけでございます。前段の一般の教員の昇給状況、それから特別昇給、そういうような問題は特に指導をいたしておりませんし、県が実施いたしますれば、それは限度政令の定員の範囲内においては当然その給与の上がり分を見るわけでございまして、そしてそのような経費が足らないためにいろいろ実施できないというようなことはございません。あくまでこれは一般問題とすれば特別昇給一般の問題でございますけれども、特に僻地教育の振興のためにそういうふうにやったらよかろうということを行政指導をしておるわけでございます。
  147. 中村重光

    中村(重)分科員 それでは私が指摘いたしましたようなことがあれば、これを是正させるようになさいますね。
  148. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 いまのお話は長崎県の問題でございましたが、よく事情を聴取いたしまして、われわれが行政指導をしておる趣旨に沿って実施できますように、担当者に指導をいたしたいと思います。
  149. 中村重光

    中村(重)分科員 行政指導というのは、先ほど何回もお答えがありましたように、三年間勤務したら一号俸増給する、十分ひとつ予算はつけてやるから、だからそうしなさいといって行政指導しているというのだから、その行政指導のとおりにやらせる。やっていなければそうするように行政指導をする、こういうことだというように了解してよろしゅうございますね。
  150. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 よく実情を聞いてきまして、僻地教育振興のためにこの特別昇給の財源を盛った趣旨が通るように指導してまいりたいと思います。
  151. 中村重光

    中村(重)分科員 むずかしくお答えにならなくたって、単刀直入にお尋ねしているのだから、単刀直入にお答えなさいよ。大体あなたは、離島というものがどんなに条件が悪いかということを御存じないのじゃありませんか。私は特に長崎県のことだけを申し上げようということでいろいろとお尋ねしておるのじゃありませんけれども、何といっても長崎県は四五%が離島なんだから、離島のことを論ずるということになってくると長崎は代表的なところだ。しかも、その離島の実情たるや、何といったらいいのか、まだまことに深刻なものがあります。かりに長崎県の対馬を考えてみると、上から下へ行くのに縦貫道路がない。長崎県の南松浦郡に行くと、名前は五島という。これは五島どころじゃなくて、五十島ぐらい、島ばかりある。それを船で行かなければ行けない、連絡もつかない、そういう状況の中にある。非常に深刻なんですよ。ところが、どうも最近の文部省方針というのか、考え方を聞きますと、離島にも相当大型の定期船が運航しておる、あるいは一日二回行っているようなところは、これは僻地性がなくなったのだから、そういうところは再検討して、いままでよりも条件は悪くしていくといったような考え方があるという話を聞いたのですが、そんなばかなことはないだろうと私は思っています。そこで、どうなのです。私が申し上げたように、一級から五級までありますが、私は離島はそういう理屈と違って、一級から五級までというように区別することは適当じゃないと思う。長崎から対馬に行きますには、長崎の町を通り、佐賀県を通るのです。それから今度福岡県に行くのです。そうして福岡県から長崎県のいわゆる壱岐、対馬という離島に行かなければならないのです。天候が非常に悪いからして欠航することが非常に多い。そうすると福岡に何泊もしなければならぬといったような、そういう状態です。ようやく今度は離島へ、対馬で言いますと厳原に着いたところが、今度上のほうまで行くためには、またそこで船が運航しないということになってまいりますと、あらしのために欠航するということになってくると、また厳原に泊まらなければならないというようなことで、きわめて深刻な状態。ようやく島に行ってもまだ縦断道路というものもないということで、きわめて不自由、不便な状態にあるのです。そこで、どうなんでしょう、大臣、そういった離島はもっと離島全体を一つの一級地にして、一級地から五級地といったような形に級をつけないことにすることが私は適切であろうと思うのですが、そこまであなたはひとつ踏み切って実施なさるお考え方はありませんか。
  152. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 離島の級地につきましては、いま私も即座にお答えを申し上げかねるのでございますが、先ほど来熱心に御指摘のございました特別昇給の問題につきましては、私どもとしましては、離島及び僻地に勤務する教職員の立場事情等を考えまして、そして特別昇給をぜひ実施してまいりたいというつもりで、文部省としては予算措置を講じております次第で、これは先ほどお話がありましたように、文部省精神が貫けないようなことであっては困るので、十分ひとつ強力に行政指導をしてまいりたいと思います。反面、文部省が国庫負担をしまする半額の県費負担の分につきましては、もちろんこれは交付税の積算をいたしますのに、その県の財政需要額の中に積算せられておるはずでございますから、そういう積算があり、また文部省からは半額の特別昇給の人件費補助があるということになれば、これは県としては当然国のあたたかい気持ちといいますか、そういう配慮に対して、これを受け入れて実行すべき責任があると思いますから、十分ひとつ、この点は強力に行政指導をいたしまして、御趣意の貫けるようにやってまいりたいと思っております。
  153. 中村重光

    中村(重)分科員 きわめて的確な御答弁です。そういった積極的な前向きな態度で取り組んでもらいたいと思う。離島なるがゆえに、先ほどから触れましたような非常に深刻な状態にある。所得水準なんかも本土の三分の一程度です。それだけに離島に対しては特別の措置考えられなければならない。危険校舎の問題しかりです。さらにまた給食の問題もそうなんです。おそらくこれはあなたのほうでも御調査なさっただろうと思うのですが、問題の完全給食なんというようなものも、離島の成績はきわめて低いですよ。だから格段の配慮がなさるべきだ、こう私は思います。  もう時間がまいりましたが、住宅の問題に対しましてはどうなんですか。住宅も、なるほど都道府県、市町村が教職員の住宅に対しては特別の配慮をするようになっておるようですけれども、ただいま私が申し上げましたように、離島の町村というのは非常に財政力が弱いのです。それで地元負担分というものがなかなか捻出できない。そういうことから住宅の整備ができない。だから非常に不自由な生活を要求されておるわけですが、そういった点については今後どういう態度で対処なさいますか。
  154. 天城勲

    天城政府委員 お答え申し上げます。僻地教育振興の一環としての僻地教育宿舎の建設でございますが、四十一年度九百戸分を見込んでおります。前年度に比較しまして、前年度八百戸でございますから、一二・五%増、単価は四万七千三百円、一戸当たり大体十二坪の規模の宿舎を建てる予定予算を計上いたしております。
  155. 中村重光

    中村(重)分科員 いまお答えになったようなことで、離島に対しても、教職員の住宅建設について予算措置をしておられるということは承知をいたしております。ですけれども、いわゆる離島の町村の財政力は非常に弱いから、したがって、それを消化することができないという現状であるから、特別に高率補助を適用するといったような特段の配慮がなさるべきだ、こう私は申し上げておるわけです。いまの離島振興法も、これは文教関係それから厚生関係というものが入っていない、これは適当ではないというので、寄り寄りこれが改正をして、そしてこれを柱に加えるというようなことで自民党との間に私ども話し合いを進めておりますから、ぜひそれを実現したいと思いますけれども、それはそれとして、文部省も自治省なりあるいは大蔵省との折衝をやって、こうした深刻な状態に十分対処できるように配慮してもらいたい、こういうことを申し上げておるわけです。  それから僻地教育振興法の級地のとり方ですが 長崎県の例をついでに申し上げますが、長崎県の五級地といいますか、それから茨城県の三級地が大体同じなんです。この級地のとり方が長崎県の場合は非常にきびし過ぎる。これは条例できめるのだから、文部省としてはどうすることもできないのだ、こう言われるかもしれないけれども、せっかく行政指導されるならば、そして離島教育の重要性ということをお考えになるならば、そこらあたりも十分配慮して、そこで級地の是正ということに積極的に取り組んでいただかなければならぬと私は思う。この点についてもひとつ大臣考え方をお聞かせ願いたい。
  156. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 級地のとり方は、確かに山岳部、離島等、むずかしい点があると思います。いままでは一つの標準があってやっておるわけでございますが、今後なお検討をして、是正すべき点は是正につとめてまいりたいと思います。  こまかい点は、担当の局長からお答えをいたさせます。
  157. 中村重光

    中村(重)分科員 時間がございませんから、残念ですが、次に進みます。  原爆後障害医療研究施設、これは昭和三十七年から一年一部門ずつ設置されている。全く原爆という特殊な障害、これは毎年一部門ずつじゃなくて、広島にばさりとおやりになったように、長崎の場合も、あと一つ残っているのですが、来年四十二年度に、残っているところの発生予防というものを認めて終わりだ、ところがこれで終わりましても、大体総額二億七千八百六十一万九千円という予定になっている。今度は施設をつくるということになってくると、またもたもたするだろうと私は思うのですよ。これではならぬから、もう四十二年度なら四十二年度にこの施設を全部完了する、こういうかまえでやってもらわなければならぬと私は思う。もう時間がございませんから、この原爆の実態について触れることを省略をいたしますが、この点に対して、これは専門的なことですから、事務当局から……。
  158. 杉江清

    ○杉江政府委員 長崎大学の原爆後障害医療研究施設は、三十七年度に発足したものであります。毎年研究部門を増設いたしまして、現在四部門で組織しておりますが、四十一年度において一部門を増設しております。今後ともなお大学の御要望に即してこれが整備をはかっていくつもりでございます。研究施設一般の充実については努力はいたしておりますが、いろいろ予算等の問題もあり、漸次充実していくという方針でいたしておりますが、今後ともひとつ十分これを整備するように努力いたしたいと考えております。
  159. 中村重光

    中村(重)分科員 お答えのとおりになっているのです。それがいけないと私は言っているので、六部門ですか、これはこれだけつきましても、建物がない、施設がないから、どこかの研究室のすみのほうに研究のための机を一つ据えておるといったような貧弱なことなんですから、それではいけないのだ、だから設備もすみやかに完了する、こういうかまえでやってもらいたいということを言っておるわけです。  時間がございませんから、この点はあとで大臣に一緒にお答えを願うといたしまして、そこで原爆で被爆して即死した長崎医大の学生の問題です。これは十分研究をしていただくようにということで、前もって通告いたしておきましたから研究していらっしゃると思います。四百六十七名——爆心地から六百メートル離れたところにこの長崎医大はあったわけです。そこで教授、看護婦等合わせまして八百名ぐらいが従事をいたしておりました。学生も、これは命令によって救護作業に当たっておった。日ごろ、またそういう訓練を受けておった。こういった学生は一般戦死者と同等に扱われ、そしてまた、総動員法によるところの動員学徒と内容的には少しも変わらない。にもかかわらず、今日までこれが放置されておったということは、私はこれは問題だ。だから、文部省のほうでも積極的にその調査をし、証明するところは証明をし、また、厚生省援護局あるいは大蔵省関係方面と折衝しまして、動員学徒と同様な扱いをするということでなければならぬと私は思う。この点に対してどのようにお考えになるか、お聞かせ願いたい。
  160. 杉江清

    ○杉江政府委員 御承知のように、動員学徒については法律によって救済の措置が講ぜられておるわけですけれども、問題の学徒につきましては、長崎大学の訓練として行なわれておった者が被爆したのでありますから、この法律の対象にはなり得ない。また、なり得ないものとして措置されたのであります。たてまえからいいますと、これらの学徒を動員学徒と同様に取り扱うことはなかなかむずかしいと考えます。というのは、類似の場合も他にあるわけでありまして、いろいろな場合を考えまして、どこかで一つの線を引かなければならぬとすれば、やはり学徒動員を受けたかどうかという点で一つの線を引かざるを得ない。そういうふうなことで取り扱ってまいりましたので、現在のところやむを得ないのではないか、かように考えています。
  161. 中村重光

    中村(重)分科員 現在のところやむを得ない、どこかで線を引くんだというように、何とかしてやろうというようなことじゃなくて、うしろ向きでものごとを考えると、いまあなたがお答えになったようなことになるのです。だから、総動員法によるところの動員でなかったかもしれない。ところが、私はきょうここに証明書を持ってきていないのだけれども、当時の永野知事もその状況について説明をし、証明をしている。また、当時の学長は死んでおります。その後古屋野という学長がおられて、その学長もこれを証明している。それから長崎県知事、長崎市長、関係者は当時の事情を十分説明をし、これは動員学徒と変わるところはない、だから、現在の状態のままこれを放置することは適当でないから、何とかひとつ法律の運用によってこれを救済する措置を講じてもらいたい、こういうことで文部省——直接文部省には要請という形で出ておるかどうか知りませんが、ともかく援護局、厚生省、そういう関係方面にはこれは出ておるわけなんです。だから、総動員法にはよっていないのだからどうにもしょうがないのだという形では、これは花も実もない。そういうことであってはならないのであって、現に六百数十名の学生が当時の状況下の中において訓練をしいられ、また援護作業、救護作業に従事しておった。当日も空襲警報下において、事実上、これは総動員法における動員ではないだろうけれども、動員をさせられて従事しておったのだから、そういった現実を十分とらえて適切な措置を講ずることが私は適当であると思う。だからして、いままでいろいろと研究したけれども、やはりどうも他のこともあってということですが、他はどういう例をおとりになるのか知りませんけれども、原爆という国際的に許されない、こういう凶悪なる兵器をもって殺戮された、そうした被爆者に対し、特に動員された学生に対しては特別配慮をするというところに政治というものがあると私は考えています。だから事務当局としては、そういったようなお答えも出てまいりましょうが、大臣は、この点に対してどうお考えになるか、ひとつ明確にお答えを願いたい。
  162. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 実際御指摘のとおり、訓練のかっこうではあったにしても、実態は非常にお気の毒な次第で、いままで研究したところでは、先ほど杉江局長お答え申し上げたようなことになっておるようでありますが、なおひとつ援護局その他関係方面と協議いたしまして、何とか拡大解釈なり準用なりの道が開けるかどうか、ひとつ研究をいたしたいと思っております。
  163. 中村重光

    中村(重)分科員 では、これでやめます。
  164. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、加藤清二君。
  165. 加藤清二

    加藤(清)分科員 この際、お許しを得まして本年度予算教育関係する二、三点を御質問申し上げたいと存じます。  先ほど来聞いておりますると、きわめて熱心な御討議が行なわれていてけっこうでございますが、まだ次に質問者が大ぜい見えるそうです。そこで急げ急げという切なる声でございますから、主査協力してなるべく簡潔に理屈抜きに要点だけを承りまするから、御答弁側におかれましてもその主査の急げ急げという声に協力してもらいまするよう、まず大臣から皆さんによく号令をかけておいてもらいたい。  最初に、教科書問題についてお尋ねいたします。  先ほど田口君の質問に対する大臣の御答弁を承っておりましたが、あれでは何のことやらさっぱりわかりません。理解に苦しみます。満足できません。それは私一人ではございません。子を持つ母親は、あの答弁では満足できない。したがって、この点につきまして、私は、大臣の具体的な措置を承りたいと存じます。すなわち、本会議場で、大蔵大臣は、事教科書に関しては今度は強化拡充した、こう述べておる。ところが、予定からいきますると、これは強化拡充ではございません。明らかにこれは後退なんです。一体大臣はそんな食言をしてもいいのかと私は思わざるを得ない。なお各議員の方々は、どなたも口をそろえて、事教科書についてはこれこれの期間にきちっとこうしますと、あなたのほうから出ておりまするこの計画、これをいままで誇大に宣伝しておられた。父兄はこれを拍手をもって迎えた。当然行なわれなければならぬことなんです。ことしこれで完了しなければならぬはずなんです。完了しておって予定どおりなんです。完了もせずに拡大した、削っておいて拡大したなんていう言いようは受け取れません。一体文部大臣は、これについてどうお考えになっておるか。第一番に承りたいことは、ことし文部省は一体大蔵省に対して、主計局長に対してどのような予算要求をしたのか、同時に、その積算の基礎を承りたい。
  166. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 本年の予算要求としましては、中学一年から三年までぜひ無償給付を完了したいということで、一年から三年までの予算要求を続けておったわけであります。ところが、昨年のときに、小学六年と中学一年をやるべきところが、情勢の変化で小学六年でとまってしまっておりましたので、普通からまいりますと、二年、二年と進行するべきことであったわけですが、したがって、今年は残りが二年だけであるべきはずのところが三年残ってしまったわけで、そこで、予算要求としてはそういう要求をして努力を続けてまいりましたが、諸般の情勢で、中学一年の無償実施ということにとどまらざるを得ないことになった次第で、この点は私どももまことに遺憾に存じておる次第でございます。したがいまして、明年は、先ほども申し上げましたように、引き続き努力を続けまして、完了に向かって努力をしてまいりたいと思っております。
  167. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大臣は、まことに遺憾であるというお答えなんです。それは、今度の結果が決して満足なものでない、大蔵大臣の言うように拡大されていないという具体的事実を正直にお述べになったことと存じます。  そこで、私がお尋ねいたしましたのは、一体文部省はどのように要求されたか、積算の数はどうであったか、この二点をもう一度。この答えがございません。
  168. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 昭和四十一年度の予算として要求いたしましたものは、合計百三十二億でございます。内容は、中三まで、それから値上げ分につきましては、審議会の答申にありました一一・八%の値上げ分を含んで百三十二億円ということでございます。
  169. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そのせっかくの要求は、いかなる根拠に基づいてやられたのですか。積算の要求の金額はわかりましたが、それはいかなる根拠に基づいて要求を提出されたのですか。
  170. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 積算の基礎は、中学校三年まで四十二年度で実施いたし長いうことと、それから一一・八%の値上げを実施したい、そういう内容でございます。
  171. 加藤清二

    加藤(清)分科員 数字的基礎はそうですか、その根拠となる政治的基礎は一体何でございましたか。
  172. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 当初予定いたしました四十二年度までに義務教育の各学年の教科書を実施いたしたい、そのためには四十一年度でそれだけの予算要求したい、こういうことであります。
  173. 加藤清二

    加藤(清)分科員 その積算の数字的基礎は、あなたのおっしゃったとおりでございまするが、そのまた根拠となる政治的基礎は、教科書無償法、施行令、それからそこから発生したところの審議会の答申、これに基づかれたはずでございまするが、それはいかがでございますか。
  174. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 教科書無償に関する法律につきましては、御承知のように、経過的には政令の定めによって進行することになっております。そこで、私どもといたしましては、予算要求いたしましたときは、四十二年度には義務教育の課程を全部実施して、そして所要の政令の改正ができるということを期待したのであります。
  175. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは大臣にお尋ねいたします。  あなたの手元の局、部、課長の積算されたのは、法的にいっても、政令からいっても、省令からいっても、ないしはいわゆるこの臨時義務教育教科用図書無償制度調査会の答申からいっても、正しい要求でございます。その要求が、何がゆえに大蔵省の折衝の段階において削られなければならなかったのか、一体だれがそんなことを言い出したのか、そこをはっきりしてもらいたい。
  176. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 確かに、調査会の答申は、先ほど齋藤局長からお答えを申し上げたように、昭和四十二年で無償の給付を完了する方向でございますので、われわれとしてはそれを堅持して、ぜひ実現をいたしたい、かような熱意を傾けて努力をしたわけでございますが、結果的には、遺憾ながら今年は中学一年の無償計上に終わった、これが現実の姿でございます。
  177. 加藤清二

    加藤(清)分科員 その姿は承知だからかような質問をしておるわけなんです。だから、質問に答えてくださいと言うたのは——こういうことで時間を食っちゃうのです。だれがどの段階で削ったのか、また、あなたは、いつ、どういう場合に、どんな理由で、削られてもやむを得ぬと引き下がってこられたのか、そのことを聞いておる。
  178. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 事務折衝の段階では、大蔵省は、今年は公共投資等に重点を置いて進めなければならないので、教科書の無償配付は一年ストップといいますか、中学一年も困る、要するに、われわれの一年から三年までの予算要求に対して、事務折衝段階ではゼロ回答であったわけであります。これがずっと続きまして、最後に大臣折衝まで残された問題でございますが、いろいろな事情で三年がどうしても無理ならば二年まででも完了したいという努力も傾けたのでございますが、意見の一致を見るに至りませんで、予算には期限なしにがんばり合うわけにもまいりませんものですから、余儀なく中学一年というところで妥結をせざるを得ない、こういうのが最終に残された折衝段階の結果でございまして、この点については、私どもも、力の足らざるところ、並びに結果的に非常に遺憾の念を持っておる次第でございますが、事情さような次第でこの結末を見たようなわけであります。
  179. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうすると、こういうことですか。最後に大臣折衝の段階において決定した、あなたは官僚の諸君の積算を割って、あるいは答申を割って承知をしてきた、こういうことでございますね。あなたのほうの計画はここにちゃんとある。——ちゃんとこっちを向いてもらわなければだめですよ。あなたに聞いておるのだから。こういう計画を削られて、それを承服してきた、こういうことでございますね。これはあなたの段階ですか、事務折衝の段階ですか、もう一度お尋ねします。
  180. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 審議会の答申は、数年間にこれを実行するようにということであり、また、政府としては——当時の政府の担当者は、数年間というのは、先ほども申し上げたような年次計画で進めたい、こういう希望でスタートしたのが教科書の無償配付であります。ところが、先ほど来話が出ておることで、繰り返す必要はありませんが、昨年小学六年と中学一年の無償措置を講ずべきところが、諸般の事情で六年にとどまりましたようなわけで、残された荷物が非常に重くなったわけであります。いま申し上げたように、事務折衝段階ではゼロ回答で、三年までどころではない、一年も無理だと、こういうことでありまして、最後の大臣折衝に残されたわけです。しかし、大臣折衝をしましたころには、まだ給食の問題その他懸案が幾つか残っておりまして、私としましては、一つだけでがんばって他を犠牲にするわけにもまいりませんし、また、無期限にこれは交渉を続けるわけにもまいりませんし、さようなことで、昨年一年で余儀なくとどまった経過等にかんがみて、今年も、中学一年だけでも前進ができればまあいたし方がないと、こういう結論を得て、中学一年ということになったわけであります。
  181. 加藤清二

    加藤(清)分科員 主査、私は最初に要望したのです。質問にずばり答えてもらいたいと言ってね。余分なことを聞いているのじゃない。余分なことを言い出して演説をやり出したら、何時間でも時間を食っちゃう。だから、ずばりずばりと一問一答で早く進めようという主査の命令なんですから、それに沿ったら、そんな余分は答弁なんか必要ないのです。事務折衝の段階ではゼロ回答であった、にもかかわらず、大臣折衝によって一年だけはふやすことができた、ただし、当初予定——その予定は決して個人的予定ではない、法律に基づいた調査会も加わったところの予定、これは二年間削られざるを得なかった、こういうことですね。そのあなたが無理にのまされた、二年間削られた、そのおかげで、学校の児童生徒はことしまでにもらえる、ことしの予算でもう完了するというのが、二年お預けを食ったわけなんです。それは自民党の皆さんのみならず、われわれも当初この計画、この無償法をつくったときのあの約束からいったら、約束違反です。あれを国民に宣伝した、国民は拍手をもってこれを受けた、それの約束違反になりますね。そこで理由を聞きたいのだ。なぜ削られなければならなかったか、だれが、何の理由で削ったか。
  182. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 これは経済、財政その他の諸情勢の変化に基づくものであると思います。
  183. 加藤清二

    加藤(清)分科員 冗談言っちゃいけませんよ。いかなる情勢の変化があったのですか。そんな答弁では引き下がりませんよ。情勢の変化、冗談言っちゃいけません。ここは予算を審議しているのです。予算審議です。別な場合の討論会と違うのです。予算上何で削られなければならないか。情勢の変化では承知ができません。
  184. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 情勢の変化は、私が一々説明申し上げるまでもなく、非常に国の財政収入、税収入も激減しておることは御承知のとおりでございます。そこで、大蔵省には大蔵省の言い分もございますが、予算折衝のときのやりとりの言い分をここで御披露することは、私は差し控えたいと思います。大蔵省はとにかく今年は足踏みをしたいということであったわけで、足踏みはできないから、一年の前進を試みた、こういうことでございます。
  185. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それは理由にならない。全然理由にならない。こうなればやむを得ませんから、大蔵大臣ないしは主計局長を呼ぶか、ないしは、この問題を次に行なわれまする一般質問、最後の総括質問、そこへ持ち出さなければならないのですが、そういう煩瑣な手続をせずに、はっきりとここで答えられませんか。これは公約違反にもなる。したがって、原因が那辺にあるかということを聞かざるを得ないのです。だれがそんなことを言い出したのか、こういうことだけは言えますね。削ろうとしたのは文部省側ではない、これだけは言えるのですね。これはどうです。
  186. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 そのとおりです。
  187. 加藤清二

    加藤(清)分科員 文部省側ではない。しからば、これは大蔵省側なのか、それとも総理の指示があったのか、これはいかがです。
  188. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 格別総理の指示を受けたわけではありません。
  189. 加藤清二

    加藤(清)分科員 一にかかって大蔵大臣のところにある。それは大蔵大臣でございましたか、主計局長でございましたか。
  190. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 それはいずれとも申しかねます。折衝の際には、大蔵大臣、主計局長、みな居並んでおったわけですから。主として個々の項目についての、あるいは財源等についてのことばは、主計局長が数は多く口をきいておると思いますが、一緒におりましたから、どちらかということは申しかねます。
  191. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、削ろうとした側は、大蔵大臣も主計局長も一視同仁であった、一体であった、いずれとも甲乙はつけがたい、一体になって文部省案を反対したんだ、こう受け取ってよろしゅうございますか。
  192. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 事務折衝段階でゼロ回答ですから、これは大蔵省事務当局がゼロ回答を続けておったものと思います。
  193. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうなりますと、大蔵省の事務担当主計官ないしは主計局長、それから大蔵大臣は、両党が一致してきめたこと、そして立法化したこと、政令化したこと、省令化したこと、審議会を設けて答申を出させたこと、それを一挙に踏み破った。もちろん去年もそうです。あなただけのことを言っているのじゃない。去年から始まったのです。その主たる理由は、いままであなたはおっしゃらないのですが、先ほど田口君にふと漏らされた理由ですと、財政上の情勢、諸般の情勢によって、まことに遺憾でございますがこうなりましたとお答えになった。そこで、財政上の理由はここではもう論議する必要はありません。財源を三千億減税する余裕がある、七千三百億の公債がある。もっと言えば、担保も何にもないような、倒産直前の山一に対して、二百八十四億という金を貸す余裕がある。しかも、これは日銀法二十四条をわざとかご抜けにして、つまり、大企業に対しては法律を曲げてまでも持っていく余裕がある。ところが、もの言わぬ子供の教科書に対しては、法律にきめられておってもこれを削るというのが大蔵省の考え方でございますか。それをあなたは承服してみえたのでしょう。あなたと言いません。大蔵省の意見はそれでございますか。
  194. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 加藤さんからは、法律を踏みにじってもという強いおことばでありましたが、これはだれにしても先のことは寸分たがわずに予想はできませんから、したがって、審議会の答申も、数年のうちに教科書の無償を実行する、法律にも、いつまでにやるということは明記してございません。毎年予算措置を講じ、方針をきめて、きまったことを政令で公布することになっておりますので、したがって、昨年は小学校六年までを実施することになり、六年をやるという政令を公布し、今年は中学一年までやる予算措置ができましたから、中学一年の実施の政令を公布するわけで、ただ、ああいう無償措置法律をつくりました当時、時の政局担当者としては、考え方としてはこういう方針でまいりますということは確かに言われておるわけですから、これはわれわれはできるだけ尊重いたしたいと思っておるわけであります。しかし、尊重はいたしますが、審議会の答申にしても、法律にしても、期限を明記しなかったということは、先々のことは、いついつやると言っても、いろいろな情勢の変化がありますから、これはいたしかねる場合も起こるだろうという想定のもとに、おそらく、審議会も期限をつけない答申をし、法律にも期限なり年次なりは明記してない、こういうのが私は真相だと思います。したがいまして、われわれとしましては、努力はいたしますが、いろいろな事情でそれが達成できない場合は、これもある程度のところでがまんしなければならない場合もあり得るわけで、さような次第でありますから、この点は御理解を願いたいと思う次第であります。
  195. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなたの意見が、大蔵当局をカバーするためにだんだんと変わってきた。あなたが大蔵省をカバーしようという気持ちはわかります。同じ与党ですからね。しかし、もしいまおっしゃった意見があなたの本心だとするならば、今度は文部省の積算をした事務担当官と大臣とが意見違いであったということになる。もしも最初からあなたは——財政上やむを得ぬということぐらいは、あなたほどのベテランであれば、よくおわかりのはずなんです。大蔵省がどのようなことを言うて弱いところを削ろうとしておるかぐらいも、またよく承知のはずなんだ。そのお方が、いまおっしゃったような意見だったら、初め持つていくときから、取ってくる勇気はなかったということです。かつての一番有名な文部大臣森有禮さんは、名前はユウレイであったけれども、必ず取ってみえた。わかってもわからなくても、当局のつくったものは正しいとして、わが田に水を引いてくることに努力された。だからこそ、文部行政には非常にしろうとであったけれども、いまに歴史に残る方になられたわけなんです。あなたみたいに、さっきは、取ってくるつもりであったと言い、今度、それじゃその元凶はけしからぬと言いだしたら、いや実は財政上とか、いやいやそうたいしたことはない、こういう答弁では、話にならぬ。どうです。  それじゃもう一度お尋ねします。あなたとしては、文部当局が積み上げてきたその予算、それは正しいと認識なさったのですか、これはけしからぬとお思いになったのですか。もう一ぺん逆戻りだ。あなたの答弁が逆説になるから……。
  196. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 文部省立場としては、予算要求したことは妥当であると思っております。また、それをわれわれは達成したい希望を持っておったわけであります。
  197. 加藤清二

    加藤(清)分科員 当然です。あなたの任務、それでこそ、文部官僚はあなたの言うことに従うようになるわけです。当然そうあってしかるべきなんだ。ところが、遺憾ながら削られた。したがって、この問題はもはや文部省を責める問題ではなくなってきた。その責任の所在は一にかかって大蔵省にあるということなんだ。したがって、ここから先は責めません。  そこであなたにお尋ねします。事志と違ってこのような状況になった場合について、担当の官僚の諸公と御相談になりましたか、なりませんか。
  198. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 相談をしたかということは、どういう意味か、よく……。
  199. 加藤清二

    加藤(清)分科員 つまり、この始末をどうしようかという問題ですね。削られてきちゃったんだ。これはもう野党はおろか、父兄からも文句が来るであろう。父兄は、ことしからいただけると思っているのだから。それについて御相談になったかならぬかというのです。
  200. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 御相談というよりは、予算折衝、最終折衝をしまして、戻れば直ちに役所の関係事務当局を集めて折衝の結果は報告をし、これでどういうふうに今後行政を進めるかということになるわけで、そのとおりであります。
  201. 加藤清二

    加藤(清)分科員 御存じのとおり、いわゆる先進諸国というのは、私が申し上げるまでもなく、ほとんどが無償なんです。あるいは無償貸与なんです。しかもなお、これもまた私が申し上げるまでもなく、憲法には、義務教育の無償のみならず、法の平等がうたわれておる。すなわち、二十六条と、いわゆる十四条でございます。十四条では法の平等がうたわれておる。ところが、このことが行なわれることによって、国家の恩恵を受ける児童と受けられない児童が発生してくるわけです。したがって、こここに法の不平等が実在するわけなんです。このことは文部当局としては一日も早く解消するという方向に努力することが当然であると思いますが、この点いかがですか。
  202. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 生活保護家庭あるいは準保護家庭につきましては、御承知のとおり、教科書は無償で交付しております。来年になりましても二年、三年が無償にならないのは、これは平等でありまして、無償の恩典に浴する人と浴さない人はないはずです。そして生活の困難な者に対しては、これは別途無償の措置が講じられておるわけであります。
  203. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私の言おうとすることは、これが昭和三十七年に立法化され、八年から実施という運びになった、それから今日に至るまで、無償でいただける児童生徒と、無償でもらえない児童生徒が、同じ学校の中に存在するわけなんです。そうでしょう。さすれば、これは国の恩恵が平等でないということなんです。これは憲法十四条あるいは教育基本法等々からいいましても、決して喜ぶべき現象ではない。私は、きょう、憲法違反とか、それだからけしからぬということを言おうとしているんじゃない。ただ文部当局としては、そういう不平等が実在するということについては、なるべく早く解消しようと努力することがあなたのほうの任務ではございませんかと言うておるのです。
  204. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 努力することが任務であると心得ております。
  205. 加藤清二

    加藤(清)分科員 わかりました。それでけっこうです。  しからば、これは一日も早く解消すべく具体的なスケジュールを組むべきです。そこで、これの不平等を早く平等化するためにとるべき手段、方法というものが必然的に生まれてくるはずです。どのような措置をとられますか。先ほどは、せめて値上がり分だけ削ってやったらどうだ、無償でない児童生徒の値上がり分だけ負担してやったらどうだ、これもその一つでしょう。金額にしてもわずか四十億です。片や、一企業に対して二百八十四億です。こちらは大ぜいの児童に対して四十億です。それが出ないという法はない。保留分がある。ついでのことに、公債の発行の残余裕がまだある。しかもことしの予算は、ことしの児童に与えられるのじゃない。ことしの教科書に与えられるのじゃない。来年の教科書なんだ。そうでしょう。ですから、いまからでもおそくない。あなたがほんとうに、法のもと全国の児童を平等にしてやろう、同時に父兄の期待にこたえよう、同時に、多くの議員諸公——これは与党野党ともにそうですか、父兄に訴えた、歓迎を受けた、その歓迎にこたえるためにも、これは保留分がないという予算の組み方だったらいざ知らず、わずか四十億なんです。せめて一年なりとも追っかけるべきです。去年、一年削られたから、ことし、二年削られたってやむを得ないということなら、何ら前進も進歩もない。いかがでございますか。
  206. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 いろいろ、たとえば山一証券に二百何十億出しているじゃないかという例があります。しかし、われわれの立場からいえばいろいろな言い方もできると思いますが、それぞれにやはり山一は山一で、おそらく、これがぶっ倒れたら、非常に莫大な人数の投資家なり何なりで社会不安を起こすということもあったでしょう。いろいろな事情で、やはり費目費目でそれぞれの必要性があるわけで、たとえ四十億が一億でも、是が非でもそれだけを考えておる立場からいえば必要でも、そうはいかない場合もある。ですから、今日の場合はすでにこういうことで最終的に詰めを行なってきまった段階でございますから、私ども変更の意図はございません。
  207. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうすると、平等に近づけてやろう、早く父兄の期待にこたえようということは取り消されますか。
  208. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 今後の問題であります。
  209. 加藤清二

    加藤(清)分科員 今後の問題というのは、今後においてそれを実現する、こういうことですか。
  210. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 先ほど来加藤さんが平等の問題を取り上げておられましたが、そういうふうな角度からいえば、最初スタートしたときから義務教育の生徒全員に対して無償をやったわけじゃないので、やはり年次的に一歩ずつ進んできたわけですから、そうすれば、学年が違えば不平等はあったわけです。同じ学年で不平等があっては絶対ならないと私は思いますが、したがって、今日残された中学の問題については、今後の課題として私どもは努力を続けてまいりたいと思います。
  211. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私はここであなたと発足時代の討論をしようとは思いません。あのときにすでにこの論があったのです。けれども、やむを得ないから、三十七年に一年だけ、あと二年区切りで四年で完成、やむを得ないからこれだけを実行に移しましょう、こういうことだったのです。あなたとそんなことで討論をしようとは思っていない。しかし、予定どおりやってもなお法の不平等がある。それにあなたは追い討ちをかけることになるわけだ。片や、どろぼうに追い銭しておいて、片や、児童に与えるものについては逆にその不平等にまた不平等を長引かせることになる。だから言うておる。初めから存在したではないか、そんなことはあたりまえな話なんだ。経済上いろいろな関係でやむなくそれをのんだのです。のませた上にまたのませる、こういうことなんです。だから聞いておる。四十億くらいの金ならあるはずなんだ。ないはずはない。
  212. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 中学全部について無償の実施が本年の予算措置でできなかったことは、私どもも御同様に遺憾に思っておりますが、結果的には御承知のとおりの現状でございますので、今後の課題としてわれわれは最善を尽くしてまいりたいと思っております。
  213. 加藤清二

    加藤(清)分科員 最善はわかりましたが、具体的に、しからば補正予算のおりにこれを提出するとか、あるいは、補正ではできませんから、別途、たとえば利子補給などというようなことまで追加して行なわれる財政事情でございまするから、せめて値上がりの差額分くらいは何とかしてやるとか、あるいは無償でない部門にそれだけの利子補給をしてやるとか、いろいろ手はあるはずなんです。教科書会社に利子補給をしてやれば、あるいは差額を与えれば、これは値上がりせぬでも済むはずなんです。こういう政策はあなたたちの好きなアメリカのケネディさんもとられて、いわゆる繊維業界のいんしんを来たした原因になっておる。こういう策は先進国はみんなとっているのです。万やむを得ざる場合のその差額は政府がめんどうを見る、そのかわりこの政策だけは聞いてくれ、こういう施策はどこの国でも先進国だったら行なわれているのです。それをおやりになる気はあるかないか。同時に、法律の完全実施ですね。無償交付の実施はしからばいつの日から期待したらいいか、こういうことなんです。
  214. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 現在では、欲をいえばいろいろありますが、これ以上いかんともいたしかねる現状だと思います。将来に向かってわれわれとしては最善を尽くしたいと思います。
  215. 加藤清二

    加藤(清)分科員 最善ではわからぬ。そういうことを言うから時間がかかるというのです。どうなさる御予定ですかと聞いている。
  216. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 来年度はぜひひとつ残された部分について解決を遂げたいと思っております。
  217. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大蔵省の主計官出てきてもらいたい。ほんとうは、時間が許せば、この際あなたに削った理由をここで質問したい。しかし、もう大体削った犯人はだれであるかということがはっきりしたのですから、予算の終わります一般質問、総括質問においてはっきりと責任者にお尋ねいたしますが、いま文部大臣はここで、来年はと言われた。鬼が笑うかもしれません。しかし、来年これを出されたら、今度は大蔵省は来年も削るのか、非を反省して来年はつけようとなさるのか、主計官としてそこらあたりのあなたの覚悟のほどを聞きたい。それによっては、追って一般ないしは総括の質問において質問いたします。
  218. 小田村四郎

    ○小田村説明員 来年度の予算をどういうふうな方針で編成いたすかということはまだ確定いたしておりません。したがいまして、どういうつけ方をするかということは、文部省の概算要求が出されてから検討される問題でございます。ただいまの段階におきまして、どういう方針で進むかということは申し上げるわけにまいりません。
  219. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これは責任者でない人に聞いたって始まらぬから、そこでほんとうは、しからば大蔵大臣に御出席願いたい、こう言って、ここで寝ころぶはずなんです。けれども主査が急げ急げとおっしゃるから、協力いたしまして、一般ないしは総括質問において、両大臣を並列し、総理の本問題に対する見解を承るということにいたしたいと思いますので、主査報告の中にこれをはっきりと記録していただきたい、かように思います。主査答弁を求めます。
  220. 井出一太郎

    ○井出主査 さような線において主査報告をつくります。
  221. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これは決して無理な話でもないのです。それをすることが、先進文化国家としてのスタイルを整えることになる。決して恥なことでもない。それをもしあなたがやられたとしたら、これはもう全国の父兄は一斉にあなたに感謝するでしょう。あなたが全国参議に出られたら、もう選挙運動をやらなくたって当選ということにもおそらくなるでしょう。この問題だけは、ほんとうに児童を愛するというたてまえから、選挙とかどうとかいうあまた諸般のことはすべて忘れても、もの言わぬ児童、声なき声、これを聞いてやるのがほんとうの政治家だといわれておるのですから、あなたもほんとうの政治家になってもらいたい。そのためにわが党は決して協力を惜しむものではございません。ぜひはっきりといまのここのお約束を実現させるよう御努力を願いたい、かように思うわけでございます。  いまのような問題教育不在の問題が、項目にあげてみると、教科書以外にまだまだ幾つかございます。しかし、私はこの際次の問題に触れてみたいと存じます。  教科課程の改定が行なわれると聞いておりまするが、その完成はいつごろでございましょうか。
  222. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 義務教育の諸学校教育課程につきましては、昨年の六月改善方を諮問いたしまして、おおむね二年の予定で審議を進めてもらっております。
  223. 加藤清二

    加藤(清)分科員 完成はいつですか。
  224. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 昨年の六月でございますから、審議期間をおおむね二年という予定をして諮問しております。
  225. 加藤清二

    加藤(清)分科員 わかった話を聞きますが、その教科課程は何年に完成いたしますか。
  226. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 昨年の六月でございますから、四十二年の六月くらいには答申をいただきまして、それから文部省として検討を始め、なるべくすみやかに改善の実をあげたい、かように考えております。
  227. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大臣にお尋ねいたしますが、大臣はことしの正月に児童の書きぞめ展に出られたようでございます。陣頭指揮で揮毫していらっしゃるところを私テレビで見まして、ああ頼もしいなと、こうしみじみ思ったのです。そこで、実はその教科課程の改定に関係したことでございまするが、さきの国会においていろいろな陳情、請願がございました。その中に、百二十七名の方が賛成されて、つまり、これは申請というか、お願いにいった先の議員さんが一人残らず賛成なさったわけなんですが、そしてこの請願が通過したという件がございます。同時に、芸術議員連盟の関係方々も何回かこの問題について会合をやっておられます。文部省のほうからもときおり出てこられます。それで幾分耳には入っていることと思いますが、書道教育について一体どのようにお考えになっておられるか。去年、その前の国会と引き続いて行なわれましたところのこの陳情、請願について、大臣はどうお考えでございましょうか。
  228. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 実は書道の問題も、教育課程審議会で、今後どうあるべきか、あわせて御研究をいただいておる次第で、その審議会の結論を承りたいと思っている次第であります。
  229. 加藤清二

    加藤(清)分科員 この請願、この議員さんたちの賛成、これを承るだけでなくして、具現するという気持ちがありますか、ありませんかということを聞きたい。
  230. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 教育課程の中に織り込むことは、あなたのおっしゃることばからいえば、具現することを私は望んでおりますが、審議会の答申、御意見等も十分に聞いた上で結論を得るようにいたしたいと思っております。
  231. 井出一太郎

    ○井出主査 加藤君、そろそろ時間が迫っております。
  232. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そこで、文部省のどなたでもよろしゅうございますが、この問題について今日的な意見、どのようにお考えであるか、それを承りたい。
  233. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 ただいま大臣お答えいたしましたように、各教科の構成あるいはその他の領域との権衡、これは、現在の段階では、教育課程審議会の審議によって、その後文部省としては意見を確定すべきものでございますので、改定に関する意見は、現在私どもとしては立てておりません。
  234. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、今日は自由選択になっていますね。その自由選択の選択率は一体どのくらいでございますか。
  235. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 自由選択という意味が、これが誤解を生むのでございますが、小学校においては、書写の中に、毛筆による書写は、「必要に応じて第四学年以上の適宜の学年で、毛筆による書写を課することができる。ただし、その指導に充てる時間は年間三十五時間をこえてはならない。」としておりまして、大体小学校で九〇%程度毛筆を実施しておるというふうに私ども承知しております。
  236. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そのとおりでございます。なかなかよく研究していらっしゃって、そのとおりでございます。  さて、それで足りないので、父兄の方々は塾へ通わせておられます。その塾が一体全国で幾つくらいあって、塾へ通っている児童生徒の数がどのくらいあると踏んでみえますか。これは社会教育局長が答えていただいたほうがいいかもしれませんが……。
  237. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 そこまでの調査は私どもで実施いたしておりませんけれども、かなり広範に書道の塾に通っておる子弟がおることの傾向は存じております。
  238. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これは全部を調べたわけじゃございませんが、私どもの手元で調べました結果によりますると、一年生、二年生ないところですね、ここが圧倒的に多くて、学校によって違いまするけれども、平均三〇%以上の児童が通っている。もちろん、それは音楽、ピアノの塾へ行くとか、あるいは絵の塾へ行くとかいうのと比較しましても、書道のほうが圧倒的に多いというトータルが出ているわけです。しかし、それについてここでしゃべっておると時間がかかりますから何ですが、要は、それほど静かなるブームがわいているということでございます。これが父兄の希望であるということでございます。  さて、こういう問題について外国では一体どうながめているか、日本の書道並びに書道教育をどう考えているか、こういうことですが、これは文部省としては一体どのようにキャッチしておられますか。
  239. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 どうもこれは私のお答えする範囲外と思いますけれども、私が社会教育局を担当しておりました例から見まして、いろいろな文化交流等の場合に、日本の各種の専門家が出て展示をなさったというようなこともございます。
  240. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大臣、世界の美術家を集めての展覧会が各地で行なわれております。現在外国において日本の書道展がとぎれたというためしがないのです。それほどブームがわいているのです。同時にいわゆるマチスとかピカソとかいう世界的に有名な方々が一緒に出品するところの展覧会、そこへ参加するという場合に、向こうの要請は、ぜひ日本の書道を入れてくれ、たった六品しか出品できないブラッセルの展覧会においては、三品までは書道にしてくれ、こういう要請がございます。ブラジルのビエンナーレ展においてもそうでございます。アメリカ、フランス、イタリアにおいて行なわれます展覧会においてもそういう傾向が濃厚でございます。いよいよ三月からアメリカのニューヨーク展が開かれます。これは国会議員の構成しております芸術議員連盟の国際見本市でございます。その国際見本市は芸術の見本市でございます。その中へもアメリカ側の希望としてぜひ書道をこれこれ入れてくれ、こういう空気でございます。これについて一体大臣としてはどのような態度で臨もうとしていらっしゃるのか。何がゆえのそういうブームでございましょうか。どんなふうに把握してみえるか。これは政治的責任の問題ではございません。現状把握の問題でございます。
  241. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 非常に加藤さんのいろいろ博識なところを伺いまして、敬意を表しますが、書道は確かに書くということだけでなしに、作法の上からも非常に重要だと思います。そういう点から私どもも関心の深い点でございまして、われわれも十分に勉強してまいりたいと思います。
  242. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私はここで書の価値論を論じ合おうなどとは思いません。ただ、このように世界的なブームがわいているということは、これは日本ブームの一つの流れのみならず、事書道に関して世界の方々が見直してきた。しかも、その展覧会において行なわれる——まあ失礼な言い分ですけれども、貨幣的価値観ですね、それが、それこそ日本人でも思いもよらないほどの高い値段になっている。しかも、その芸術性がやがて相手方の芸術に寄与、貢献しているということは、たとえば雪舟の絵が昔逆に向こうの油絵に影響を及ぼしたと同じように、日本の書道から世界の芸術家が学ぼうとしている意欲というものは非常に旺盛でございます。したがって、私は、世界の人がこんなに注目してきた、それには、芸術性のみならず、そこに何らかの東洋的な精神的存在を世界の方々が求めようとしている証拠であると思うのです。これを小学校の一年生から取り入れるということは、もはや今日の父兄たち希望、世論からいっても、現実行なわれておりまする採択の状況、九〇%以上とおっしゃった、したがって、もうこれは自然の勢いではないかと思うのです。  そこで、もう一つお尋ねいたしますが、文部省としては、共産党がきらいだ、思想運動がきらいだ、こうおっしゃられます。ついでのことに日教組までが大きらいだ。余分なところまで飛び出していく。ところが、あなたにお尋ねいたしますが、その学校の先生たちの中に、書道を教えている先生がみえます。その中に、あなたのきらいなそういう主義主張、そういうふうに染まった人が一人でもございますか、ございませんか、ちょっと承りたい。
  243. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 よく存じませんが、とにかく書道を勉強する人は、作法なりあるいは姿勢が正しくなければ書はうまくできないと思いますので、今後なおひとつあなた方の教えを受けながら勉強いたしたいと思います。
  244. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私どもの調査では、あなたたちの大きらいだとおっしゃる思想的傾向、思想的偏向は、書道教育に携わっていらっしゃる方々には一人もない。同時に、いま国会の中で、衆議院議長山口さんが音頭とりで、われわれ同好の士を集めて一緒に勉強しようではないか、こういうこ・とになっておる。また、書の芸術をつかさどっていらっしゃる方々、その方々に、あなたのきらいな思想的偏向の方々も一人もいらっしゃらない。NHKまでが近ごろは実際にテレビにとって書道教育を盛んにやっている。こういう空気なんです。したがって、これは当然時期が来たではないか。終戦直後のイミテーション的な教科課程、それといえども、とるべきものはとらなければならぬと思う。長所はとればいいと思う。しかし、そのときに忘れ去られていたものにして、ほんとうの東洋の芸術、日本の精神、これを子々孫々に受け伝えるに必要なよすがであるとするならば、これはとってもって決して悪いことではないと思いますが、大臣いかがでございますか。
  245. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 まことにけっこうな考え方で、私どもも心では共鳴いたしておるわけでございますが、教育課程につきましては、先ほど申し上げましたように目下審議会で熱心に検討中でございますから、いま私ども予断をいたしかねる状態でございますが、極力審議会の答申をまって検討してまいりたいと思います。
  246. 加藤清二

    加藤(清)分科員 本件につきましては、いずれ文教委員会において適時適切な質問が行なわれると思いますが、本日は、本件については大臣はまあまあ賛成である、こういうことで次へ進みたいと思います。  次に、教育不在と申しましょうか、さきの憲法の平等性に欠ける教育が行なわれておるというところの二点だけをあげてみたいと存じます。すなわち、軍事基地、飛行場周辺の児童の教育、これが非常に騒音のために阻害されております。これを救わんがために、毎年その地区の市長、市会議員、県会議員、県知事、こういう方々が、くしの歯を引くように次から次へと陳情に来られます。きわめて国の政治としては申しわけないことなんです。そこで、ことしの予算は一体どうなっておりましょうか。これは文部省予算ではございません、防衛庁予算でございますけれども
  247. 財満功

    財満政府委員 お答えします。  本年度の予算は五十五億でございます。
  248. 加藤清二

    加藤(清)分科員 いま十九基地あるはずでございますね。基地は幾つになっておりますか。
  249. 財満功

    財満政府委員 大体ただいま実行いたしておりますのは、十九基地ないし二十基地でございます。
  250. 加藤清二

    加藤(清)分科員 まだ騒音に悩んでいる学校が幾つあると把握しておられますか。——じゃ、こっちでやりましょう。あなたはそこで調べておいてください。——それでは。急ぎますから、本件は概略にしておきましょう。要は、政府予算のつけ方が非常に少ない。ちょうど教科書予算と同じようにだんだん先へ延ばされて、いる、こういう問題でございます。これも、急げという話でございますから、次の機会に譲りますが、こういう不平等な状況、しかも、この子供たちはこの時期に教えられることができない音のために妨げられると、これは取り返しがつかないんですね。この子供がやがて試験を受けるとき、入社試験、入学試験、このときにそれじゃ別なプラスアルファを考えてもらえるかというと、そうじゃないでしょう。ですから、非常に気の毒な状況でございますが、これについて文部省としてはどういう態度で臨まれますか。
  251. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 基地周辺の騒音に悩まされております学校の二重窓、その他校舎の鉄筋化等につきましては、極力推進をしてまいりたいと思います。なお、防衛庁とも連携をいたしまして、すみやかに児童・生徒の勉強上の妨げのないようにやってまいりたいと思います。
  252. 加藤清二

    加藤(清)分科員 五十億や六十億で足りるものじゃございません。ここらあたりからいろいろな思想が生まれてくるのです。いわゆる軍事基地反対、飛行場反対、それから一歩進んだ思想が必然的にわいてくるということを認識しなければならぬ。それで、防衛庁と文部省とがよく打ち合わせをされて、これも教科書と同じように一日も早くこれが解消できるよう予算措置をとってもらいたい。  第二点、日本人でありながら、日本の子供でありながら、日本人としての教育を受けていない、こういう子供がたくさんおります。すなわち、海外に大使館、公使館がございます。ここにはさしみざらがあったり日本のコックはおります。しかし、日本の教員と黒板と、無償でもらえるはずの教科書もございません。これが、やがて海外に出張を命ぜられるとき、喜んで行けない、拒否する原因になってきております。これは公館だけではございません。商業や技術の目的で同じように親が行っている。これまた同断でございます。この児童数から私はいろいろ詰めていきたいのでございますけれども、急げ急げという話でございますので、これについても一体どのような所見を持っていらっしゃるか。  と同時に、この公館の目的として、これは外務省の問題ですけれども、海外に日本の産業あるいは日本の美術を宣伝するところの任務を持っていらっしゃるわけでございます。行ってみて驚くことは、ここに日本の美術がずっと並んでおります。どこへ行っても書画骨とうがたくさんございます。ところが、外地におきましては書画骨とうじゃございません。画、骨とうでございます。なぜか。書がないからです。書のあるところは一体どこかといえば、民間人のうちです。たとえば、移住していったアメリカの農夫のうち。文部省は一体これをどう考えていらっしゃるのかと聞きたいのです。  何よりもかによりも、外地にいる子供だからといったって五人や十人じゃないのです。三人、五人の児童・生徒のところでも、単級という学校が内地ではあるわけなんです。外地へ行ったがゆえに日本の教育が受けられないということは、これは教育不在もはなはだしいと言わなければなりません。これについて文部大臣の御所見を承りたい。
  253. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 確かに御指摘の点は大事な点で、外務省としても苦労しておられるようでありますが、文部省としてもできるだけ外務省のお世話で、いわゆる日本人学校というような教育機関をつくられる場合には、今後教師の資格のある者を派遣するなり、外地在住の子弟の日本人教育が施し得るように協力をしてまいりたいと思っております。
  254. 加藤清二

    加藤(清)分科員 画、骨とうはいかがですか。書画骨とうでないその点は……。書が文部省から買い上げられていないという証拠です。
  255. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 その点は、国内でも書の展覧会等がありますが、絵とか骨とう、彫刻は買い上げられておるが、書は買い上げられていない。この点は問題がありまして、私どもも、今後どうすべきか、実は考えておる次第で、また、訴えられてもおります。今後ひとつ善処をいたしたいと思います。
  256. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、小林進君。
  257. 小林進

    小林分科員 私は、文部行政について大体八点の質問を準備いたしてまいりました。要領よく質問いたしたいと思いますので、大臣並びに関係局長のほうも要領よく御答弁をいただきたいと思うのでございまして、答弁が納得のいかないときには、私どもは深夜に及ぶこともあることを、ひとつ御推定をいただきたいと思うのでございます。  まず第一番には、今年の一月二十八日であります。約二週間にわたって行なわれましたジュネーブにおけるILO、ユネスコの共同主催に基づく専門家会議において、教師の地位に関する勧告が行なわれたはずでございます。この最終案は四十一年の九月パリで開かれる外交官会議で正式に審議採決される予定になっておるのでございますが、これに関連をいたしまして文部大臣に二点についてお伺いをいたしたい。  第一点は、この教師の地位に関する勧告の原案は四十年の四月にILO、ユネスコ加盟各国に送付せられ、意見を徴せられたことに対しまして、文部省、日本政府は七項目にわたって修正削除を求める意見書を提出せられたはずであります。その内容を、時間もあることでありますから、文書で早急に御提出をいただきたい。これが第一点であります。  第二点は、その文部省の七項目にわたる修正削除の意見書がほとんど採用にならなかったと私は理解いたしておりますけれども、それも含めて、百六十二条にわたる内容が百四十三条に簡約をされて、そして最終の勧告草案ができ上がったのでございますが、その草案に対して今後文部省はいかなる態度で臨まれるのか、これに対する今後の文部省の態度、方針について承りたいと思うのであります。
  258. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 先般ジュネーブで会議がありまして、その結果は報告を承っておりますが、非常に内容が膨大なものでありますし、関係が微妙な点もございますので、目下あの草案につきまして、われわれのところでは事務当局に命じまして詳細検討中でございます。したがいまして、まだこれに対する私の立場から明確にお答えしかねる現状でございますので、いずれ検討をまちまして結論を得たい、かように存じております。
  259. 小林進

    小林分科員 なるほど、百四十三条にわたる膨大なものでございますから、それを大臣が詳細に了承せられるということは困難であるかもしれませんが、大体日本政府が修正削除を要求いたしました点は二つなんです。一点は教職員組合の性格に関する問題、それから第二番目は団体交渉権に関する問題、この二つを重点にして反対の意見を申し述べられたようでございますが、第一点の教職員の組織の定義については、これは日本政府の要望はいれられなかった。大体労働組合と職能団体との区別をしてくれるようにという要望はいれられないで、この二つの性格を合わせたものとして、やはり労働組合であるという本然の形で、まあわれわれに言わせれば却下をせられた。第二点の教員の組織の任務の問題についても、団体交渉ということばを非常にきらわれて、何とかこれを削除するように努力をせられたようでありますけれども、この勧告の中には、なるほど団体ということばは取られたけれども、交渉ということば——教職員組合は賃金やあるいは労働条件について交渉はできる、交渉するのが教職員組合の本然の目的であるということが、これは明らかに勧告の中に書いてある。私をして言わしむるならば、むしろ、団体交渉などということばが、団体が削られたということは、この交渉権を大幅に認めた、個人交渉、団体交渉、あるいは単独の組合の交渉から連合体の交渉、いわゆる昨年度から問題になりました俗に言う中央交渉、その中央交渉も、私はこの勧告の中に全面的に認めてあるものと解釈をしているわけであります。この私の解釈が間違っておるかどうか、文部大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。
  260. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 中央交渉ということにつきましては、かねがね私どもも言っておりますように、日本の制度では、義務教育学校の教職員は、あるいは高等学校もそうですか、地方公務員でありまして、この雇用者は地方の都道府県教育委員会であります。したがって、文部省は直接の雇用関係は何にもございません。また、ILO五十四号報告ですかでは、教育政策に関することは交渉の対象にはなるべき筋合いでないということがILOから打ち出されておりますので、これらの点を総合して考えますると、たとえば日教組という連合体の団体がありますが、こういう教職員の団体文部省とは、交渉ということは筋合いから言ってあり得ないのでありまして、ただ、お互いに教育の向上を希望する立場におりますから、適当な話し合いをすることはしかるべきであるかもしれませんが、交渉ということはあり得ないという見解をとっておる次第でございます。この点は、日教組の首脳部とわれわれとの会談の上におきましても重女意見の交換をいたしまして、したがって、そういう意味から、交渉という用語は今後使うまい、会談をする場合には話し合いという用語でいこうということに思想統一も行なわれております次第で、私どもとしては、さような考え方を今日も持っておるわけでございます。
  261. 小林進

    小林分科員 私は、この問題は、大臣の前で言っても何でありますけれども、昨年度のILO特別委員会の常任理事をいたしまして、大橋委員長、その前の彼の労働大臣、あるいは石田博英その他歴代の労働大臣を通じて、口がすっぱくなるほど論議いたしましたから、またあなたからここであらためて同じことをお聞きしようという考えはないのであります。それから、いまおっしゃるようなILO五十四号の勧告も、あるいはドライヤー委員会の勧告も、私はみな知っておりますよ。しかし、あなたが言われるほど、そんなに明確なものじゃありません。私どものほうは、むしろすべての面において中央交渉は行なうべきであるというふうに解釈しておるのです。あなた方の解釈とは反対だ。反対でありますけれども、いまさら、日教組の諸君が交渉ということばを使わないで話し合いをしていこう——それはあなた方に対する妥協だ。頑迷固陋な文部官僚に対して、賢明な日教組の諸君がいわゆる妥協してみせたにすぎないのでありまして、それが直ちにあなた方の主張に組合が屈服したなどという説明をされることを、私どもは了承はできません。ただ、私が言っているのは、そういうことから一歩前進して、いまILOとユネスコの場において、労働組合の性格というものは、一項、二項、三項、四項、五項目をあげ、その五項目の中に、賃金、労働条件などに関する交渉をするというのがいわゆる教員組織の任務である、こういうことが明らかにされているのでありますから、この教員の組織の任務の中にあるこの労働条件などに関する交渉ということばの中にも、いわゆるあなたのおっしゃる連合体の交渉も含まれておるのではないか、そう解釈するのがすなおではないかと私は言ったのでありますが、あなたはまだそういうふうなことに考えておらないようでありますが、この問題をここで追及しておると次の場所に行けませんから、私はここでこの問題は打ち切りたいと思うのでありますけれども、この九月パリで行なわれる外相会議で、また日本の政府が同じようなことを出して、文部省が同じようなことを出して、恥の上塗りをされるようなことのないようにしていただきたいということなんです。この問題は、いまからずっと九月まで継続していく問題でございましょう。あなたは日本教職員組合との間の話し合いの中でこの問題を取り上げられませんか。当然取り上げられるでしょう。取り上げられるときに、まだ交渉権があるのないのと言っていて、これがこのまままたパリの外相会議に持ち込まれて、また国際の舞台でそのつまらない論争をして恥の上塗りをやるようなことをおやりなさるな、あなたたちがせっかく出したその七項目の修正案も拒否せられて、こういう最終の勧告案というものができ上がったんだから、すなおな気持ちでこれをひとつおのみになったらいかがですかということを申し上げているのでありますから、いかがです。大臣、私の言う真情がわかりますか。おわかりになったら、どうですか、すなおにひとつわれわれの言うことを御了解なすったらいかがですか。
  262. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 先般の会議での結果である勧告草案に対しましては、現在われわれ検討中でございますから、それに対する意見は、いまのところ申し上げかねる次第でございます。ただ、先ほど御指摘のありました交渉の問題は、私どもいま勧告草案をそのまま受け入れるといたしましても、それに表現されているのは雇用者との交渉ということであるといまのところは理解しておるのでありますが、今後この勧告草案に対しましては十分に研究を続けてまいりたいと思っております。
  263. 小林進

    小林分科員 まあ不満足でありまするが、これはまた場所を改めて見参申し上げることにいたしまして、第二点といたしまして、私は時間もありませんので限度政令については触れることを避けまするけれども、現実の問題といたしまして、一体県費に基づくワク外の教職員が全国的に何人くらいいるか。今度また市までまいりますると、市の費用に基づくワク外の教職員というものがいる。義務教育国庫負担法などという法律があるにもかかわらず、現実には、国費の一銭ももらわない、県費負担のワク外の教職員がいたり、また市費負担のワク外の事務員がいたり、職員がいたりするということは、私はたいへんな問題だと思っておるのでありまするが、そういうワク外の教職員が四十一年度の国家予算においてもどれだけ予定せられるか、もしそれがおわかりにならぬのならば、四十年度、現在一体どれだけの人数がいるか、お聞かせを願いたいと思います。
  264. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 義務教育国庫負担金で負担いたしますものは限度政令の範囲内でございますから、それ以外の教職員につきまして定数上県の単独で負担するという形のものはあるわけでございますが、いま手許に資料がございません。  それから、第二点の、市町村が設置者として持つ職員は当然あるわけでございまして、教員以外の事務職員につきましても、いわゆる吏員に相当する以外の者、あるいは用務員、それから警備員等がございまして、その他の職員の数字は、四十年の五月一日の指定統計によりますと、小学校が三万一千六百三十七人、中学校が一万四千八百二十七人、小中合わせまして四万六千四百六十四人、これは義務教育国庫負担法あるいはその前提となります市町村立学校職員給与負担法におきまして、都道府県の負担とされない職員であります。
  265. 小林進

    小林分科員 これはたいへんな数字ですが、国が定めた四十一年度の事務職員の配置の基準は、一体どんなになっていますか。
  266. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 事務職員につきましては、標準法によりまして、小学校児童数四百人に対して一人、それから中学校生徒数三百人に対して一人というのが到達の目標でございます。
  267. 小林進

    小林分科員 いまもお話しのとおり、いま地方財政が赤字のためにどんどん押されて、どうにもやっていけないという状態の中で、今度はまた政府は減税などというものをおやりになって、中央の所得税を減税せられれば、それに準じて地方税も減る。その上に七千三百億円も公債を発行して、この公債でもってどんどん事業をやって、それをみなひもつきにして、地方でそれを受けてやれということになれば、地方は、公債発行に基づく事業で負担はふえていく、地方税は減ってくる、まことに苦しい火の車のような状態を再現する中に、今度は教育費です。教育費でまた、県費のワク外、あるいは市費のワク外、こういうことでどんどん教職員や事務職員や養護職員等を採用していったら、一体地方財政は成り立ちますか。現在でも、地方財政の総予算の中に占める教育費というものは三〇%から四〇%でございましょう。そういうような大きな負担の中に、まだこういうことをやられる。これで一体教育は保たれるのですか、文部大臣。こういう県費のワク外の教職員、市費に基づくワク外の事務員等を、これは限度政令に基づくならばこれを早く改正する、早く国庫負担のワクの中に入れるという道はございませんか、文部大臣。これをひとつ解決するという情熱はありませんか。いかがですか。
  268. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 初めに私お答えいたしますが、先ほど申しましたように、市町村立学校は設置者負担の原則がありまして、先ほど申しましたように、教員とそれから事務職員の一定限度のものを都道府県で負担をするという制度があり、そうしてそれは一定の妥当な規模の定数については義務教育国庫負担法によりまして国が二分の一負担をするということになっておりまするので、現在の制度は、用務員あるいは警備員、その他学校給食に従事する者等、その他の補佐員等は、これはたてまえとして設置者たる市町村の負担となっていることでございまするので、この点は、ワク外負担と申しまするよりは、制度として当然市町村として持つべき職員であると思います。
  269. 小林進

    小林分科員 大臣答弁を求めているのですよ。大臣、どうもあなたたちは、教職員らをいじめるときだとか、教育のワクをはめて統制をするときだとか、そういうときにはものすごく干渉をし、そうして教育の右翼化、統制化、反動化をはかっておきながら、そういう大事な経費負担問題や設備負担の問題になると、やれ管理者じゃないの、責任者じゃないの、雇用者じゃないの、そういうことでのがれて、みな町村にそのしわ寄せをしてしまう。そういうような考え方は、私はほんとうによろしくないと思う。どうですか、文部大臣。そんなことで一体日本の教育は完全にいきますか。義務教育はうまくいきますか。あなたたちのその考えでいけば、やはり、貧弱町村は貧弱町村ほどそういう負担がないから、だんだん格差のある教育をしていかなければならないという勘定になるじゃありませんか。いまの局長答弁に基づけば、貧乏な市町村や山間の僻地は、いわゆる事務職員も持てない、養護職員も持てないから、おまえたちはやっぱり貧乏なままにハエのごとくに死んでいけ、こういう勘定にならざるを得ない。それでよろしいですか、大臣。あなたもそれでよろしいとお考えになっているのかどうか、お聞かせ願いたい。
  270. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 国庫負担をいたしまする場合には、一つの基準をつくって、その基準に基づいて国庫負担をするのが、すべての場合行なっておりまする行き方でございまして、したがって、府県あるいは市によって事情が違うためにその標準以上に施設あるいは人員を要する、こういうような場合には、やはりその府県なりあるいは市の負担でまかなっていただく以外には方法はないわけであります。したがって、一定の標準というものがございますので、その標準に従って国の負担を遂行するわけで、その中で僻地のように特に恵まれない市町村等につきましては、これは給食にせよあるいはその他の設備にせよ、特別のはからいをする必要が考えられますので、この点につきましてはまだ十分とはまいりませんが鋭意努力をして進めておる次第であり、また、給食の人員等にいたしましても、用務員等の人員にいたしましても、僻地の学校で生徒数の少ないところは一人配給の限度まで達しないという場合もあります。これらにつきましては、自治省の交付税を算定する場合にこういうことも配慮に入れていただきまして、財政支出に応じた配分計画を立ててもらっておるような次第でございます。
  271. 小林進

    小林分科員 大臣、その交付税にひもがついておりますか。ひもはついておりませんか。ついてなければ何にもならない。私は、さしあたってあなたに質問するために、私の所属している新潟県を調べてみた。四十一年度の国家予算の中に、いわゆる県費のワク外の教職員が二百四名だ。こんなのはだれがもうけるわけじゃないのですよ。しかし、教育を愛するがゆえに全県下の教員が血を吐く思いで交渉し交渉し、ようやく二百四人を認めてもらった。小学校百十人、中学校が九十四人です。そのうちの四十校がようやく、小中合わせて四十校だけ養護教員が配置せられるようになった。これほど苦心をして、一体あなたのおっしゃる僻地の教育がどうなったかというと、ようやく四部の複式学級が全廃になったという程度です。まだ複式の三学級がみんな存在しているという。こういう気の毒な状態だ。いま一体新潟県にどれだけの複式学級があるのか。こういう二百四名をワク外に増ワクをしてもらって、なおかつ小学校で四百六十一ある。中学校で二十八級ある。このように県費のワク外の増員をつけてもらって、今度はそれを下へ流した場合にどうなるか。私は、今度は私の住んでおる長岡市でこれを調べてみた。市で調べてみたら、その県がきめた事務職員の配置基準でもっていきますというと、今度は事務員の場合でありますけれども、市全体の一七・五%程度がようやく事務員が配置になっておるという程度だ。あとは全部事務員がいない。これは気の毒な話じゃありませんか。養護教員の配置に至っては、これはやはり全市の中で二〇%にも至らない。学校で言ってわずか十八校がようやく養護教員の配置がなされた。養護教員というのは子供の健康を管理するのでございましょう。そうじゃございませんか。子供の健康を管理するということになれば、むしろ、山の中の無医村とかあるいは無医地区とかというようなところで、子供がけがをしても医者にも通えない、医者のところへ行くためには、まあ何十キロとは言いませんけれども、十数キロの道も通っていかなければ傷の手当て一つできないような、そういう地区にこそ私は養護教員が必要じゃないかと思っておる。ところが、反対でしょう。現実にあなた方のおやりになっている教育行政は反対じゃありませんか。そういう医者もいない、手当てもできない、自分の健康の保障もされていないようなところにあなた方はその基準を設けたりあるいは限度制限を設けたりワクをつけたりして、そういう子供たちがけがをしたり命の危機にさらされたときにも何ら手当てができないままに放任をされている。一体文明国の教育のあり方がこれでいいのですか、大臣。時間もありませんから申しますけれども、この実情をあなたはこれでよろしいとおっしゃるならそれでよろしい。イエスかノーか、よろしいかよろしくないか、明確にお答えいただきたいと思います。
  272. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 決して現状で満足しているわけではございません。したがいまして、昭和四十一年度におきましても、単式、複式の学級をできるだけ解消していくために、あるいは養護教諭を増配するために、そういう措置も進めておるわけでございますが、なかなか長年積み重ねた欠陥でございますから一ぺんには解決できませんが、逐次これは是正をして、山間僻地といえども平等の教育が行なわれるように推進をしてまいる所存でございます。
  273. 小林進

    小林分科員 もしほんとうにあなたが熱情を持っておやりになるとするならば、むしろ、私が申し上げましたように、そういうふうな僻村や無医地区、けがをしてもすぐ医者の治療を受け得ないような、そういうところにこそ優先的に養護教員等を配置すべきではないか。特に、養護教員は、私が申し上げるまでもなく、あるいは看護婦の資格がなければならぬとか、あるいは保健婦の資格がなければならぬということになれば、そういう貧弱町村こそなおさらその費用の負担にも耐えかねて置くことができないのでありますから、むしろこちらを先に行なうべきじゃないかとさえ私は思う。同時に、いま一つは、あなたがほんとう教育に熱情を持っておられるならば、そういう養護教員や事務職員、または一般の複式教育あるいは単式教育をなくするための教員の定数を増加する等の問題は、やはり長期の展望に立って三年なり五年の計画性というものがなければならぬ。そういう計画を文部省ではお立てになっているのかどうか、お聞かせを願いたいと思う。
  274. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 養護教員並びに事務職員につきましては、四十三年を目標に計画的に進めておるわけでございまして、四十一年度の養護教員の全国の増は六百六十九名でございます。養護教員のほうは特に養成との関係がありまして一絶対数はそれほど多くはございません。これは養成の関係もございます。現行法は千人に一人ということになっておりますが、これが具体的に県内の配置の方針につきましては、なお実情をよく聞きまして、しかるべく指導すべきことがあれば指導してまいりたい、かように存じます。
  275. 小林進

    小林分科員 時間もありませんからかけ足で申し上げますけれども、こういう方面にひとつ血のあるあたたかい施策を講じていただきたい。  なお、あなたは先ほど、僻地の教育については今年度は特に情熱を傾けたいとおっしゃった。その一例として、これは総理大臣等があるいは特に発言とか勧奨をせられたということで、三級地以上の地区には何かミルクとパンの無料給食を行なうというようなことをおきめになったようでございますが、その文部省の発表によると、三億一千万円の予算を計上せられて、一千八百の学校において約十四万人の児童にミルクとパンの無料給食を行なうと言われたんだが、それについて私ども方方からの情報をとりますと、この給食を受けるに該当する地区ではむしろ非常に困惑をしておる。なぜかならば、これに加えておかずも給食をして完全給食をやりたい、こういうことで部落では決議をしてみた。ところが、そのおかずを給食するためにはやはり金が必要だ。そこで、村や町の当局に維持費の請求をしてみるというと、これはみんなへんぴな地区でありますから、費用がない、こういうことで、そのおかずの給食のために非常に困っておる。これに対して中村文部大臣いわく、まあおかずは部落で出せばいいじゃないか。あなたはあっさりこういうことを言われておる。ところが、おかずを出すとしたところで、やはり調理人が必要である。その調理人を雇うとしても、一日最低四百円としたところで、一年間二百日と計算しても八万円。PTAの全部の後援会費を含めても年間の費用五万か六万円、それくらいの後援会費しか計上できないような、そういう貧弱町村において、四百円の調理人を雇って、そしてそのほかにおかず代も父兄が負担をして、一体完全給食ができるものかできないものか。ミルク、パンをお出しになって、そこまで情けある措置をおやりになならば、いま一歩進んで調理人を雇うくらいの人件費も出してやって、そして恵まれない僻地の子供の健康管理や体育増進のためにつとめられるのがほんとうのあり方じゃないか、こう考えるのでありますが、いかがでございますか。
  276. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 御承知のとおり、いままでは僻地といえども無償給付の道が全然なかったので、今度、いま御指摘のような考え方からすれば不十分ではございますが、せめて高度僻地に対してはパン、ミルクだけでも無償で給付して、子供さんが二時なり三時なり、授業があって学校におるわけですから、それまでの時間つなぎとしてでも、パン、ミルクの無償給与をしたいということで前進をしたわけでございまして、さらにさらに考えればまだまだございますが、一応そういうことにいたしまして、なお、私どもとしましては、給食は本来父兄の本人負担ということになっておりますが、パン、ミルクだけでも無償で給付すれば、僻地のようなところでも、町村によってはおかずまで算段のできるところが、次第に刺激をして起こってくるのじゃないか。さような場合にはこれは父兄の負担でございますが、僻地等で父兄の収入の少ない、そして保護家庭あるいは準要保護世帯になっておるものに対しましては、これは本来そうした給食をする場合には国と地方で本人には無償で給食ができるような制度になっておりますから、困る方にはそうしてあげられますし、困らない方には、おかず代を負担していただけば、パンとミルクだけは国の力で無償で給与しよう、こういうような考え方になったわけで、一応、私どもとしましては、無からある程度前進をしたということはひとつ歓迎をしていただいて、さらに、児童の栄養というものは大事でございますから、給食の推進に向かって漸次進んでいくようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  277. 小林進

    小林分科員 あなたから言わせれば、無から有を生じたのでありますから一歩前進であると言われるでしょうけれども、私どもから言おしむれば、いままで僻地の教育というものは、反対側から見ると、貧弱町村は貧弱町村ほどPTAの負担が多い。その他あらゆるものの負担が多い。だから、わが国の義務教育は、むしろ計数の上から言えば僻村僻地の一番収入の少ないものほど苦しい思いをして義務教育の無償であるべき費用を多く負担している。その負担の中に、あなたたちがパン、ミルクを支給してくれるがために新たなる負担がまたふえてくるじゃないか。私はそれを言っておる。なぜそこまであたたかい気持ちが思い至らないか。その気持ちがあらわれていないからこそ僻地の人たちはとまどっている。なるほどパンとミルクはありがたいけれども、そのためにまた、しがないさいふの中から自己負担をしなければ、費用を余分に持たなければならぬという苦しみを与えている。なぜそこまで思いをいたしてくれなかったか、私はこう申し上げているのでございまして、あなたのように、やったからいいだろう、やったからいいだろうという一方的なものの考え方は、それは官僚のものの考え方、役人のものの考え方で、あなたのように、すいも甘いもかみわけた人情大臣といわれる人の答弁としては少しもの足りない。どうも中村先生、いまひとつ考えて、立場をかえて、物をやった人たち立場でなくて、それをもらう人の立場で、いま少しあたたかい気持ちで、親切なら親切の半ば殺しでなく徹底的に親切にするという文部行政に徹してもらいたいと思う。私はあなたの答弁は気に入らない。しかし、時間がありませんから次にまいります。  私は、次に、学校の用務員に対する文部省考え方をお聞きをしておきたいのであります。これは現実にあった問題ですから、具体的な例をあげて私は質問いたします。それは、新潟県の吉川町というところでございますが、そこの職員組合が、学校の用務員に労働基準法違反の疑いがあるとして、これを高田の労働基準監督署に提訴をしておるのであります。これは私の選挙区でもございませんので詳しくは調べてまいりませんでしたから、あるいは若干事実と相違しているかもしれませんが、基準監督署にこれを提訴した。その結果はどういうことになったかといいますと、労働基準監督署のほうで抜き打ち的に四つの小中学校を調査をせられた。その結果として、やはり法定の一日八時間をこえる時間外労働をさせていた、週一日の休日も与えていない、超過勤務について法定の割り増し金も支払っておらない、こういうことで、四つの学校の校長にこれを是正するように勧告書を送られた、こういうことになっておるのでありますが、こういう事実が一体あるのかどうか、労働基準局長にもお伺いをいたしたいと思うのであります。
  278. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 いまお述べになりました事件については、承知しておりませんので、私のほうで調べてみたいと存じます。
  279. 藤繩正勝

    藤繩説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生のお述べになりました事件そのものにつきましては、私どもまだ報告を受けておりませんが、類似の事件につきまして、大阪その他におきましてやはり学校用務員の問題がございまして、大阪では現実に監督も行ない送検も行なったという事例もございます。
  280. 小林進

    小林分科員 こういうような事実は、私は特異の例じゃないと思っています。これはいまだ全国的に存在している問題だと思う。私どもの子供時代は、用務員さんは小使さんといって、使丁室なんかに寝泊まりされて、そして、家賃は要らないから、朝は早く起きて、まず校の内外の掃除から、子供が登校する前に火までおこして、それから朝から晩まで働いて、その間には先生のお茶くみまでやる、あるいはまれには先生のたばこ買いにも走っていく、あらゆる協力をしながら、夜はまた宿直の先生に協力をして火の用心をやったり学校の見回りをしているというのが、これが昔から続いている用務員さんの姿であったけれども、これは、新しい国家ができ上がって、新憲法が生まれて、労働基準法というものができ上がって、人間の労働時間が八時間ということになるならば、このままの姿に見過ごしておくなどということは、私は人道上の問題じゃないかと思う。労働基準局では、何ですか送検をしたこともあるというふうなお話でございましたが、文部省としてはこういう問題について一体どういう処置をおとりになったのか、いままでずっと放任をされておったのかどうか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
  281. 齋藤正

    ○齋藤政府委員 教職員以外の用務員等その他の職員につきましても、もとより法令に定められた勤務時間を守り、また、それが越える場合には超過勤務を払うべきものと存じます。文部省といたしましては、これは教職員その他の職員を含みまして、学校の警備その他につきましていろいろ問題がございますので、四十一年度におきましては、これらの問題についての全国的な調査をし、実態を明らかにし、是正すべきものは是正するように措置をしたい、こういうふうに考えております。
  282. 小林進

    小林分科員 どうも、この問題の処置が、ようやく四十一年に至って事実の調査をされるなんということは、あまり出にもおそ過ぎる。おそ過ぎるのでありまするが、やらないよりはいいから、その問題もあまりこれ以上追及しないことにいたしまするけれども教育の座において、教育を扱うその場においてこういう封建的な気の毒な姿をそのままいままで放置せられるなんということは、これは実に嘆かわしいことだ。教育は機会均等だ。ならば、教育だけじゃない。そこに働いている者にもやはり人間として平等の待遇を与えなければならないと私は思っている。その一番大事な場にこんな気の毒な人をそのまま放置しておくなんということは、実に私はけしからぬと思う。  そこで、私が言いたいことは、これは用人さんの問題の場合であるけれども、一体先生の場合はどうなる。先生の宿直の場合はどうなる。朝の八時半に出勤をして、そして一日与えられた授業をやって、この授業が済んだらその日継続をして宿直だ。宿直をやった先生は次の日公休で休ませるのかというと、まずまず休ましている学校はない。次の日はまた朝から出てその日の学科をちゃんと勤務をする。通計いたしますと三十二時間、宿直をした学校の先生は勤務をするという勘定になるのでありまするが、この問題について、大臣、これを放任しておかれたのだ、いままでは。どこかそれでも手を打たれましたか。これはいろいろ調べてみましたけれども、公務員には労働基準法は適用にならないそうであります。適用にならないのを幸いにしてこういう無理な勤務をあなた方押しつけられているのかどうか。この問題についてもお答えをいただきたいと思うのであります。
  283. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 教職員の学校の宿日直につきましては、かねがね国会でも議論がありまして、国会の中にもこの問題を検討する小委員会までできまして、御研究をいただいておる次第でございますので、われわれとしましても、宿日直にかわるべき警備員の制度はどうあるべきか、いままで実は確かに懸案でございましたが、未解決のまま今日に至りました。そこで、本年度はこの実態調査の調査費も計上いたしまして、実情を十分に調査し、そして財政当局その他とも十分に今後の対策を相談してまいりたいというふうな段階でございます。十分われわれも実態調査を見た上で検討いたしたいと思います。
  284. 小林進

    小林分科員 この警備員の問題も、もはや私は調査の段階ではないと思っておる。早急に手を打っていただかなければならないと思っておるのでありまするが、大臣の御答弁ではどうも結論は出ておりませんので、ひとつ最善の努力をされて、早急に処置をして、こういう気の毒な用務員の前近代的な待遇、教職員の三十二時間にも及ぶような過重の労働の解消等の問題は何をおいてもやってもらわなければいけない。これなんかも、一体労働省なんかは何をしておるのか、私は憤慨にたえぬのでありますから、労働省も側面から文部省のこのやり方をつっついて、こういうような過重の労働のないように大いにひとつ監督権を発揮していただかなければならぬと思います。  次に、あまりかたい話ばかりではだめでありますから、やわらかい話をひとついたしましょう。新潟の総合大学の総合問題について文部大臣の所見を承りたいと思うのであります。
  285. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 新潟大学としましては、各地に分散しておることは好ましくないということで、大学側としてはぜひ統合したいという統合方針をきめましたが、しかし、大学の教授会としてはそれで済むかもしれませんが、われわれ行政当局としましては、いままで高田、長岡等にありまする学校をどう統合するかということにつきましては、そう簡単には踏み切れないわけで、できるだけ関係方面の理解の上に立って円滑な処置を講じたいと思いまして、目下検討を続けておる最中で、できるだけ各関係の地域の方々、ことに県当局等の意見も聞きながら、なるほど理想としては統合することはけっこうなことでありますが、その理想はどうして達成できるか、それらにつきましては十分慎重に進めてまいりたい、かように考えております。
  286. 小林進

    小林分科員 慎重に事を進めていきたいという。しかも、大臣の円滑に事をきめていきたいというお考えは、それは私はわかりまするけれども大学の統合等というものも、やはり一定の機関を設けて最後は決断的に事を処していかなければ、これはいつまでたったってまとまる問題ではございません。一体、大臣は、この円滑に事をきめていくという大体の見通しをどこら辺に置いておられるか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
  287. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 大体大きな府県には過去において師範学校が複数にありました。その結果の状況としては、当時も学閥の争いやら学閥の問題がありまして、今日では大学一つになりましたが、なお分校等の関係が残っておるわけであります。そこで、教員養成だけは、できることならば統合して、一カ所で、そして学閥等の流れの解消する道を講ずることが考え方としては妥当であると私は思います。しかし、いままで学校のあったところから統合されてなくなるとするならば、なくなるあとにはどういう他の処置を考えるべきかというようなこともあわせて研究をしながら進めていきたい。一方、長岡には工学部がございますが、これは歴史のあることでもございますし、場合によっては長岡に工学部は置いて、そしてこれで充実しても、教員養成とはまた少し意味合いが違いますから、これも一つ考え方であると思いますが、いずれにしましても、われわれだけでものをきめて運ふということもしかるべきことではないので、十分大学当局の意見も聞き、また地元の意見等も聞きながら、できるだけ理想に向かって進めていきたい、こういうふうに思っております。
  288. 小林進

    小林分科員 私は、大臣が学閥の弊をもろに言われたが、この点は全く同感であります。一つの県に二つ師範学校があって、そのための学閥の弊害というものは、全く大臣のおっしゃるとおりです。やはり教育は百年の大計、千年の大計でありますから、そういう弊害は断固除去してもらわなければならぬと思うのでありまして、大臣がそれをなくすることを重点に置いて、しかし、なくなったあとに何か別個の補助的なものも設けたいというそのお気持ち、私は、置いていいか悪いかは別といたしまして、学閥問題の弊害を除去するという精神だけは、あくまでも生かしておいていただきたいと思うのでございまして、同感であります。  なお、長岡に伝統の工学部があるのでありますから、それを充実するかどうかということも、意見を参酌していきたいということでございます。それも私は非常にけっこうだと思いますが、何も一から十まで大臣と意見が一致する必要もないが、要は、やはり大臣、ひとつ断を持って一定の期間内に事をきめていただかなければ、あなたは非常に慎重な方でありますけれども、慎重にして事を何もやらないでは話になりません。そして、大学当局というか大学教授諸君の結論はもう出ているのであります。しかし、地元の意見というものがどの程度まで統一するものか、私はどこまでいったところで平行線ではないかと思う。そこはある程度の指導性を発揮いたしまして、これを説得するなりあるいは事情をのみ込ませるなりいたしまして、早く学生諸君その他県会、教育に興味のある者の、動揺する気持ちを安定させていただかなければならぬと思います。どれくらいの間にこれをきめられるのか。また、この大学の統合問題について、今年度一体幾らの予算をおつけになったのですか。私の聞くところによれば、十億くらいの予算予定されておりましたけれども地元の意見が一致しないために、一億くらいの予算を申しわけ的につけた程度に終わっているのではないかという話も聞いておりますが、どの期日を目途にこれを決定せられるのかということを、いま一度明確にお聞かせを願いたいと思います。
  289. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 実は、私ども希望することは、少なくとも新潟県の超党派的な国会議員の方々の意見が、満場一致とはいかなくとも、八、九分どおり一致した方向がきまるのを期待しておるわけで、いまここでいついつまでに期限という——英断をもって臨めという御激励はありがたいのでありますが、そういうような見通しもつけながら、できるだけ早期に理想の達成をはかりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  290. 小林進

    小林分科員 それではもう一回大臣に申し上げますが、超党派的に国会議員等の意見がまとまれば、ひとつ早急にやりたいとおっしゃっておられる。その意見としては、いまも大臣のおっしゃるように、まず学閥の弊を流すような教育関係機関一つに統合したい、工学部は伝統のある長岡に置いてこれを充実したいというその御意見に、大臣、将来とも変更やあるいは動揺するようなことはありませんかどうか。大臣ほんとうにその線に進みたいというならば、われわれもまた大臣のその信念に向かって御協力申し上げて事をまとめるように努力を尽くしたいと思いますけれども大臣いかがでございましょうか。
  291. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 私に関する限りは、いまの考え方が自分でも正しいと思っておりますから、動揺はいたさないつもりでございます。どうかひとつ御協力をお願いいたします。
  292. 小林進

    小林分科員 それでは、主査協力する意味におきまして、次にいま一、二問で終わりたいと思うのでございますが、義務教育の正常化の問題、これはしばしば文教委員会で論じられておることでございますから、私はもう執拗に申し上げることはやめます。ただ、私の調査によりますと、これだけ文教委員会で論じられておるにもかかわらず、三十九年度PTA全国協議会の手で調査をせられたその調査資料、この調査は、全国の小中学校四〇%をくまなく調べた調査の結果だそうでございますが、それによると、三十九年度においてなお一世帯小学校が三千六百円の負担であり、中学校が三千円、こういうような義務教育のPTAの負担費を全国平均でも出されておる。その中には、本来PTAの仕事として、会議や調査や事務費、教職員のせんべつなどに支出される分というものは、小学校で一二%、中学校で一四%で、九〇%に近い分は全部PTAとは関係のない学校教育のために支出せられている。こういうのでありまして、その支出の内容は、図書、教材、事務用品の購入費、運動会、学芸会の費用、教師の出張、修学旅行の引率費、教師の参考書費、教師用指導書の購入、それから第二番目には、学校の改築、あるいは新築、あるいは修繕費、こういうふうに使われておる。第三番目は、給食用の施設、それから給食調理員の手当、こういうふうに分類をせられておるのでありますが、その第二番目の学校の新築、改築、修繕費というものは、地財法によって父兄の寄付というものが禁ぜられているにもかかわらず、依然としてこれが行われておるというこの事実であります。一体この事実はどういうふうになっておるのか、これは自治省の財政局長にその内容をつまびらかにお聞かせ願いたいと思います。
  293. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 税外負担の問題につきまして、完全な悉皆調査ではございませんが、教育費中に建設関係について税外負担があります金額は、一応三十九年度の推定でございますと、義務教育関係で、町村において約十六億程度あるものと考えております。
  294. 小林進

    小林分科員 三十九年度において驚くなかれ十六億円という金が、地財法という法律に違反をして支出せられておる。文部大臣はこれを黙って見ておいでになりましたか、これに対する御所見を承りたい。教育の座である文部省が、そういう国家の法律を足元において犯しておることを黙って見ておられるなどということは、天下の一大事ではないかと思うのであります。いかがでございましょう。むしろ奨励をしていたのではありませんか。大臣、奨励されていられるからこそ、こういうものがあとを断たないで年々ふえておるのではないですか。
  295. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 地方負担をできるだけ解消してまいりますために、文部省としては学校建設費その他体育館にいたしましても、建設単価の是正につとめてまいりまして、最近では、鉄筋コンクリートにつきましては、大体実績の予算が計上できるようになりました。木造につきましては、まだ若干前年度実績に比較して差がございますが、逐年努力をいたしまして、地方負担を解消してきておる次第でございます。  ただ、そこで問題は、基準に該当する施設をつくるのに対する国の補助の制度がございますが、市町村としてはおそらくそれ以上の、基準以上のものをつくろうとすれば、設置者である市町村の財政負担すべきが当然でありますが、父兄等にたよる面もある結果、こういうことになってきておると思うのであります。私どもとしましては、考え方として、市町村がそういう父兄の寄付や何かにたよらないように、少々施設は十分ということでなくても、間に合いさえすればがまんをして、父兄の寄付などにたよらぬようにするように指導をいたしておるわけでございますが、文部省立場としては、極力指導いたしましても指導範囲を出ないのでありまして、設置者である市町村が欲を考えて、基準以上のものをつくろうということになりますと、そういう弊害が起こってまいりますから、そういう弊害を除去し、できるだけ教材費も国の経費をふやしていく。今年度も教材費の計上額をふやしまして、教材について父兄から寄付をもらわなければ学校教育ができないようなことでは困りますので、できるだけ教材費をふやすとか、あるいは単価の是正をするとか、こういうようなことに実は努力をしておる次第でございますが、なお一そう関係市町村、府県を通しまして、市町村がそういう父兄の寄付にたよることのないような雰囲気をつくっていくように、指導、助言をしてまいりたいと思っております。
  296. 小林進

    小林分科員 自治省の財政局といたしましては、この問題に対してどういう処置をとられたかお聞かせを願いたいと思います。
  297. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 自治省といたしましては、本来地方公共団体負担すべき経費につきまして、税外負担がありますことにつきましては、まことに遺憾に存じておるわけでございますが、何ぶんにも市町村の財政力に関することでございますので地方財政計画の策定にあたりましては、数年来税外負担の解消という趣旨で、約三百億程度の税外負担解消に要すべき経費の見積もりを行なっておる次第でございます。最近の傾向は、次第にこうした税外負担の額が減少しつつあることは事実のようでございます。
  298. 小林進

    小林分科員 わが日本は、教育の就学率においては世界一であって、九九・九%までいっておる。けれども、その内容に至っては、残念ながら非常に貧弱であります。いま私が若干申し上げましたことでも明らかなごとく、非常に貧弱である。きょうは時間がありませんからここではやめますけれども、特に、特殊教育に至っては全くこれは問題にならぬ。そういう点を鋭意やっていただかなければならぬと私は思うのでありますが、教育費の生徒一人に対する比率のごときは、アメリカの五分の一、西ドイツの二分の一です。物もない、金もない、この貧乏なわが日本で何を誇りとするかといえば、教育以外にないじゃありませんか。優秀な人材を教育をもって徹底して、そしてそれをあまねく世界に出して、わが民族の誇りを保っていく、これがあなた、教育行政の根幹でなければならぬと私は思う。その意味においては、文部大臣いま少し勇敢にこういう問題をやっていただかなければならぬと思うのでありまして、ひとつ勇気をもってやってください。勇気をもって堂々とやってもらわなければならぬ。  ところが、そういう教育の根幹にさかのぼって、わが日本がただ一つ世界に誇り得る、その教育の重大なる指導管理と責任を負うべき文部省の今日のあり方は一体どうです。大臣はこれでいいとお思いになっておいでになりますか。私をして言わしむるならば、各行政官庁の中で一番悪いのは文部省だ。文部省の官僚が一番悪いと私は自分で考えている。いんぎんにして無礼、小じゅうといじめのようなことばっかりしている。ほんとう教育に熱情をもって、一人一人の教職員に血の通うような、魂と魂とが触れ合って日本の教育を育成強化していこうなんという、そういう情熱が残念ながら一つも私には感じられない。私は、しかし中村文部大臣を非常に尊敬いたしております。せめてあなたが、文部大臣に就任せられたのだから、そういうくさり切ったような文部省を、改革をするような情熱を持ってもらわなければいけないと私は思っておる。率直に申し上げまするけれども、わが日本の教育の民主化、いわゆる学生、生徒の人格を養成して、洋々たるわが日本の将来百年の大計をになうためには、いまの文部省は、私はむしろ害あって益なしというふうに考えておる。どうです。文部省というものを廃止せられたらどうですか。文部省廃止論がちまたの専門的教育者の中に相当叫ばれているようでありますけれども——大臣、これは私冗談を言っておるのじゃない。私もあらゆる角度から考えて、むしろ今日わが日本には文部省という役所は要らないのではないかと思うが、この廃止論に対する文部大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
  299. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 日本では、まだ府県の経済状態等非常に不均衡でございます。これが均衡のとれた地の利を得ておる状況があれば、本来アメリカの州や、ことに西ドイツのように、国柄の大きさからいえば、そうアメリカのように格段の違いがあるわけじゃありませんが、それでも西ドイツのごときは教育は州にまかしておる。まかせて、また平等にちゃんと教育が整うような国柄でありますから、非常にけっこうなんでありますが、日本の現状としては、やはり都道府県に相当の格差がありまして、これを地方にゆだねて、文部省は廃止して、教育は府県まかせということでいいかというと、それはかえって非常に不均衡ができていかがなものか。むしろ、やはりそういうような不均衡のある日本の国柄、地勢の上では、文部省というものがもっと強力にこの教育の問題に携わってバックをしていくことが、余儀ない事情にあると思うのであります。御指摘のとおり、日本の教育は、形の上ではなるほど世界最高水準に達したといわれておりますが、ようやく戦後のあの混乱期から脱して、形だけは世界最高水準だと言えるだけに背伸びをしてきたわけでありますが、ようやく背伸びをして形だけできたわけでありますから、今後この内容を——いまいろいろと御指摘のありましたように、問題点がまだたくさん残っておりますから、これらの解決に全力を尽くしていくべき時期であると思います。これについてどうかひとつ文部省というものを、別段悪人がおるわけじゃありませんので、善良なる政府の官吏がやっておるわけでありますから、できるだけ教育というような問題は、これをよくしていくことについてすべてを乗り越えて、まあ俗にいうことばで言えば、ひとつ超党派で御支持をいただいて、そうして御注意をいただく点は御注意をいただき、あと押しをしていただく点はあと押しをしていただいて、とにかく日本のような資源の乏しい国では、人材というものが最大の資源でありますから、教育の向上、充実に向かってわれわれも努力をいたしますが、ひとつ御支援をいただきたいと思います。
  300. 小林進

    小林分科員 私は、文部大臣教育の問題を超党派的にひとつ協力をし、あと押しをしてほしいという、そのことばに賛成です。われわれも微力ながら超党派的に、教育の完全のために御援助申し上げようと思っておるにもかかわらず、どうも最近の文部省の動きは、そういう超党派的なわれわれの誠意を受け入れるような形ができていないじゃありませんか。私は具体的な例を申し上げますが、まず文部大臣にお伺いする。あなたはそれほど超党派的に文部行政に対し協力を得たいならば、与党であろうと野党であろうと、国会議員である限りは国民の代表として出ていることに変わりはない。その国会議員の言うことを、あなたは超党派的に、平等にこれを受け入れるというふうな態度をお持ちになっておりますか、いままでもお持ちになってきましたかどうか、お伺いをいたしたいのであります。
  301. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 すべて私はいろいろな御意見は十分に玩味をいたしまして、いいことは取り入れて、しかしながら問題は、いろいろ財政都合や、ものには順序、調和がございますから、一ぺんには解決できませんが、教育の改善に向かいまして最善を尽くしてまいるつもりでございます。
  302. 小林進

    小林分科員 私は、具体的な問題についてあなたに陳情に行きました。それは私個人の問題ではない。いわゆる私立大学の増設の問題について、私はあなたのところへ、あるいは意見を申し、あるいは要求を持っていった。ところが同じ問題について、名前を具体的に言ってもいいけれども、まあAとしましょうか。また、同じ問題をBが持っていった。その三人の国会議員があなたのところに問題を持っていったにかかわらず、あなたはその三人に対して平等な回答をお与えになりましたか。私立学校の増設の問題について、三人の議員が一つの問題をあなたのところに持って行った。平等にお扱いになりましたか。
  303. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 私は、つとめて平等、公平にやっておるつもりでございます。
  304. 小林進

    小林分科員 それでは、私はあなたに某大学の増設の問題をお願いいたしました。そうしたらあなたは秘書官を通じて、私は御親切だと思っておりますが、その問題をわざわざ私の郷里まで秘書官をして電話をしてくださいました。御記憶にありませんか。ところがその回答と、同じく与党の議員に対する回答と、それからあなたと同じ閣僚の席にいる方にも、この問題は重大な問題でありますから、私は、文部大臣にお願いしている、ほかの局長にもお願いしているけれども、あなたもひとつ一緒になってお願いしてもらいたいと、その大臣にもお願いをしてもらいましたが、回答はみんな違うじゃございませんか。ほかのほうには、それに対する最終的な回答を言っておるけれども、私のところには回答がないじゃありませんか。
  305. 杉江清

    ○杉江政府委員 私から経緯を申し上げたいと思います。具体的な点はおっしゃいませんので、私の推測が誤っていたら御訂正いただきたいと思います。  ある都内の大学の定員増の問題に対する措置のことのお話だと私は理解いたします。これにつきましては、私のほうの基準からいたしまして相当の隔たりがありますので、私どもとしては、その定員増をオーソライズするということはできないと当初判定いたしました。そういう判定をいたしました当初におきましては、いずれの方面に対してもその旨を申し上げております。ただ、その後大学当局から、その辺の文部省の意向は一応わかった、しかし、いろいろ今後の対策として支障のないように努力する、こういうお話がありまして、担当課において折衝を続けてまいったのであります。その結果、教養部の教育の実施について将来にわたる構想を明らかにしてこられました。その構想を見まして、そういうことであるならば、この際最大限大学の御意向に沿うて措置することが適当であると、こういうふうな判断をいたしまして、最終的に、ついまだ幾らもたっておりませんけれども、その大学のお申し出を受理したのであります。以上でございます。
  306. 小林進

    小林分科員 大臣は、最終的な決定をされたかどうか知りませんけれども、某代議士に向かって、あなたの特に要望がありましたから、あなたの顔を立てて、この問題をひとつ特に了承いたしましたというお話をされたと聞いています。あなたは一体政党の大樹なんですか。あなたは国民全般の奉仕者じゃなくて、そういう政党の大臣であるならば、あなたの政党に属するパーティーのその人のために特別な顔を立てて、ほかの者が来たらだめなんだけれども、おまえの顔を特に立ててやるという御意見もいいだろうけれども、全般の奉仕者であるというならば私は了承できない。けれども、それは大臣も政治家ですから、時には相手を喜ばせるような政治的な発言をされることもあるだろう。私はほかの大臣ならば決して善意にはとりませんけれども、あなたの人格を常日ごろ尊敬しておりましたがゆえに、中村大臣が言うのならば、それはそういう不公平なことをされたのではないだろう、こういうふうに私は了承いたしておりまするけれども、将来もあることですから、大臣、ひとつこういうことは慎重にかまえていただきたい。いやしくも天下の行政が、その人、その人によって右にもなり左にもなったらたいへんな問題であります。  そこでこの問題は、私は将来ともこれは重大な問題でありますから、いまも大学学術局長が答えたとおり、あなた方の回答が一定の期間のうちにみな変わっておることは事実なんでありますから、私に与えた回答と、その人に与えた回答と、いま一人に与えた回答は、ひとつ文書であとから御提出を願いたいと思います。私はこの文書を基準にいたしまして、日本の行政のあり方を広く大衆に訴えて、大衆の批判をひとつ聞きたいと思っております。文書で回答いただきたいと思います。これは主査に私は特に頼んでおきます。  それから、時間が終わりだと言いますから、私は最後の一点を申し上げますけれども、これは私は文部省大学学術局長にお尋ねしたい。  一月のたしか十二日だと私は自分で記憶いたしております。文部省にお伺いいたしました。個人の問題じゃありません。大臣の言われる超党派的な大学の問題、教育の問題であるがゆえに、私は忙しいときにお伺いしたけれども、部屋の中へあまりのこのこ行っちゃ悪いと思ったから、私は大臣の秘書官室へ行った。秘書官室へ行きまして、そうして大学学術局長に私は会いたいからと言った。そうしたら秘書官は大学学術局長の部屋に電話をしてくれた。そうしたら、いま陳情団はたった一組しかいない、ちょうどあいております。局長も在室ですから、どうぞ直ちにおいでください、こういうことだったから、私は行った。部屋の中へ入ってみたら、なるほど陳情団はすみっこのほうに一組おりましたが、局長はいなかった。部屋の中はふとんの敷きっぱなしだった。いすだかテーブルだか知らぬが並べておいて、その上にふとんを並べて、そして、ふとんが敷きっぱなしであった。そのうちに局長が帰ってこられた。あなたのことを言っているのだから、よく知っておるだろう。私は、出口のところにいすにかけておりましたから、やあ、どうもおはようございます。予算の折衝でお疲れでございましょう、こういうお話で私は参りましたと言ったが、あなたは目の前にいすがあるけれども、いすにすわらなかったじゃないか。私はすわってお話をした。あんた立っていたじゃないか。立ちっぱなしじゃないか。あなたは立ちっぱなしで人の話を聞いておる。なんぼ私が熱意を込めて話をしても、あなたはすわろうとしないじゃないか。見るにみかねて私も、この年になるけれども、立ちっぱなしで人の話を聞いてもらったなんということは初めてだ、いすにおすわりになったらどうですか。あなたは人を見おろしておる。あんまり大きくないから、そんなに高いところから見おろしたわけじゃないけれども、人を見おろしておる。それだから、いすにかけられたらどうなんですかと言ったら、あなたはいやいやながら迷惑そうな顔をしてかけた。そこで、私はまたあらためて繰り返して、この新潟大学の統合の問題と、それから私立大学の統合の問題、増設の問題をお願いをした。あなたは何と言ったか。新潟大学の問題なんか相談するような問題じゃない、高度の政治問題だ、そんな話は聞いているひまはないというような迷惑そうな顔をしたじゃないですか。記憶にあるでしょう。なような顔をしたじゃないか。あなたは一体、大学の設置の問題、増設の問題を、われわれが文部大臣をおいてお願いに行って、その経過や今後の推移を聞くにはどこへ行ったらいいか、大学学術局長以外にない。大臣、あなたたち局長はいつもこういうように、来客者を、いすにもすわらぬで天下りにして待遇するような、そういう文部行政のあり方をあなたは指導していられるのですか。しておられるでしょう。そんなことがなければ、すなおにあんな形ができるわけじゃないと思う。どうなんですか大臣、ひとつ私はあなたにお聞きしたい。
  307. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 いまのお話を承りますと、まことに失礼な段恐縮に存じます。たぶん予算編成で、みな部屋の中にベッドを持ち込むかいすの上にふとんを敷いて徹夜でやっておった最中で、そういう時期でありましたので、そういう失礼が起こったことと思います。今後さようなことのないように十分に注意をいたしたいと思います。  それから、先ほどの大学の問題、私もだんだんと思い出したわけでありますが、あのころはちょうど私、議員の方々から受けた陳情は逐一大学学術局に伝達をしておったわけでありますが、大学学術局としてはいろいろ検討をしたけれども、どうも基準上非常に無理ですから、残念ながら御期待に沿いかねるという返事が私のほうにございまして、考えてみますると手回しがよ過ぎて、三人の、要請を受けた方々には、その旨を伝達したわけでございます。その後大学当局が種々陳弁これつとめ、この欠陥に対してはこういう補正をいたしますということになってきて、最終的には承認をしてよかろうという結論になったというのがごく最近でございます。私は、先ほどお話があったようなことを言った記憶はございませんが、まあ人はいろいろ外に向かって言う場合には用語もあると思いますので、私どもが不公平な扱いをしたのではないことを、ひとつこの際御理解を願っておきたいと思います。
  308. 小林進

    小林分科員 私がその局長の部屋にいて、私が出たあとに自民党の代議士が行かれた。実にりっぱな応待だった。下げなくてもいい頭まで下げて懇切丁寧にやっていられた。だから私はお尋ねするのだ。同じ国会議員でも、野党の議員には立ってそういう応待だ。迷惑そうな顔で応待するようにやることが文部省の習性なのかどうか、それとも野党の代議士でも、小林進のごときチンピラの代議士ならば、立ってそういう応待をするように、あなた方は一体習性的に持っていられるのかどうか。いいですか、万人すべてにそういう態度を続けられているなら、私は何をか言わんやであります。なぜ一体それだけの差別をしなければいけないか。教育は超党派的にやってもらいたいというあなた方のおことばならば、何で国会議員が同じ話を持っていくのに、あるいはそのときの話は別な話であったかもしれませんけれども、そういう不遜な態度をして区別をつけなければならぬのかどうか、私はそれをお伺いしたい。予算の編成で忙しいならば、だれが行ったって忙しいはずじゃないか。同じ国会議員が行ったにもかかわらず、その人によって立ちっぱなし、あなたは失敬じゃないか。私は真剣になって話をしているんだから、せめてすわって話を聞いてくださいよと言ったら、いやいやながらすわるのと、懇切丁寧に向かい合って話をするのと、どうしてこんな区別をつけなければならぬのか。大臣、私はあなたが返答をせられたその問題に対しては、あなたの人格を信じているがゆえに、私はあえて言いませんけれども局長のその態度に対しては、私は了承することができない。どういうのですか、大臣
  309. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 今後失礼のないように、十分に注意、監督をいたします。
  310. 小林進

    小林分科員 了承をするわけにはまいりません。まいりませんが、時間もありませんから、きょうは言いっぱなし、聞きっぱなしということにいたします。しかし、この問題は了承はできませんから、大臣が客観的に見て何らかの了承するような形をおとりくださらぬ限りは、私はあくまでもこの問題は追及をいたします。  以上申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。
  311. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、竹本孫一君。
  312. 竹本孫一

    竹本分科員 私は文部大臣に、学生のみならず一般のスポーツの振興についてどういうお考えを持っておられるか、また、どの程度の予算措置をとられておるか、ごく大きなラインだけでけっこうでありますが、お伺いいたしたいと思います。
  313. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 青少年の健全育成の上から、スポーツの重要性は私も十分に認識しておるつもりでございますが、どうもまだまだいろいろな急ぎの問題が多いために、スポーツ関係予算措置も不十分であるとは思っております。こまかい点につきましては、体育局長からお答えをさせることにいたします。
  314. 西田剛

    ○西田政府委員 お答えいたします。  体育関係予算は、主として体育施設整備中心といたしまして、その他青少年関係の体育団体の助成を含めまして、全体といたしまして十六億、昨年度の十三億に比較いたしまして、二億八千万円ばかりの増加になっております。
  315. 竹本孫一

    竹本分科員 スポーツの中で、きょうは特にボクシングの問題について私は若干伺いたいと思うのであります。特に、プロフェッショナルなボクシングにおきましては、税の収入あるいは外貨の獲得といったような面も含めまして、非常に最近各方面から奨励をされておるというような形だと思いますが、その関係で、世界のタイトルマッチ等も数多く日本で開催されるようになりました。これは一応喜ぶべきことだと思います。  そこで、お伺いをいたしたい点のまず第一は、このボクシングの場合には、スポーツの特殊性と申しますか、非常にほかのスポーツと違いまして、相手方にダメージを与えなければだめだということになっておりますし、それが脳神経にまで影響をするというようなことになっておりますので、私は、特に人命尊重というような立場から、その安全防護、人命尊重の立場から、このボクシングを、特にプロフェッショナルなものを、野放しにしておくということはどんなものかと思いますが、この点についてのひとつお考えを承りたいと思います。
  316. 西田剛

    ○西田政府委員 お答えいたします。  文部省のほうでは、学校及び国民一般の体育、スポーツ関係の振興につとめておりますが、これはスポーツ振興法に基づくものでございまして、アマチュアスポーツの振興に限るというふうになっております関係から、一般のプロスポーツにつきましては、文部省の所管から一応はずれておるような状況でございます。  なお、アマチュアスポーツにつきましては、御案内のように年々盛んになりまして、最近では、高等学校においてもクラブ活動として相当活発に行なわれておるような事情でございますが、ただいまお話もございましたように、危険を伴う点もございますので、かような点に注意をいたしまして、特に指導者の点に留意をいたしますとともに、また、試合のしかたにいたしましても、ヘッドギアをつけるとか、あるいは歯あるいは各部に対してプロテクターをつけるとか、試合時間を制限する、回数を制限するというようなことで、特に危険のないような指導をいたしておるような事情でございます。
  317. 竹本孫一

    竹本分科員 特に文部省関係の深い学生、高校生等の場合についてまずお伺いをいたしたいと思いますが、米国あたりでは、ある州のごときは高校生のボクシングは禁止しておるというようなふうに承っておりますが、日本ではどういう立場であるか。まず最初に、日本ではアマ、プロいずれにも高校生等の学生が非常に多いというふうに聞いておりますけれども、その実態をどの程度に把握しておられるか、承りたいと思います。
  318. 西田剛

    ○西田政府委員 お答えいたします。  学生の場合には、プロのほうには入っておらないというふうに承知をいたしております。
  319. 竹本孫一

    竹本分科員 私どもはいまの局長の御答弁と違いまして、現実に学生のほうでアマにもプロにも入っておる、しかも、それがだんだんふえておるというふうに聞いておりますけれども、ただいまの御答弁ですと、そういうことは全然ない、ことにプロの場合はない、かようなお話でございますか、そうですか。
  320. 西田剛

    ○西田政府委員 お答えいたします。  アマとプロとの差別は、競技種目によりまして非常にやかましいものもございます。ただいま問題になっておりますこのボクシングの場合には、ジムに通って練習した場合、これはアマチュア規定に違反してプロに入ってしまうかどうか、こういう点はあろうかと思います。したがいまして、高校生で、あるジムで練習しておるというような点から見ますれば、あるいは高校生も入り得るというふうに考えられますが、高校生自体が試合に出て、それによって報酬を得るというような意味でのプロはいないと承知をいたしておるわけであります。
  321. 竹本孫一

    竹本分科員 定義がなかなかむずかしいようでございますし、特に、この実態についてはまだ十分把握されていないようでございますので、時間もありませんから、私もこの上の論議はいたしませんが、ぜひひとつ実態を調査していただきたいと思います。  次に、文部大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、実態調査の結果、現実に学生でそれに入っておる者がおるといったような場合が私はあると思うのですけれども、そうした場合について、高校生の場合なんかは、それを文部省指導し奨励するのか、あるいは指導し奨励もしないで監督、指導するのか、あるいは全然禁止するということにするつもりなのか、全然そういうことはまだ考えていないのか、その辺について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  322. 西田剛

    ○西田政府委員 これを禁止すべきかどうかというような問題もございますが、高等学校におきましては、現実には約二百校足らずの学校におきまして、クラブ活動として千七百人くらいの子供がボクシングをやっております。その場合に、事故の危険が伴いますから、先ほど申し上げましたように、特に注意をいたしまして、クラブ活動としてこれをやらせておるような事情でございます。そして目下のところ、ボクシング関係で特に事故があったとかいうような事例は、特段のことは聞いておりません。ほかのスポーツとの比較において、特に事故が多いというようなことは承知しておらないような状況でございます。
  323. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 特に高校生の段階におきまして、報酬を得て、いわゆるプロの選手になるようなことは好ましくないことでございまして、私どもはあくまで体育のために、アマチュアスポーツとして行なうべきものであるというように考えますので、もしそういうような弊害が見受けられましたら、私どももよく実情を調査いたしまして、善処をいたしたいと思います。
  324. 竹本孫一

    竹本分科員 これに関連して、次に、簡単にもう一つお伺いいたしたいのは、いまボクシングの場合には、民間に団体ができておりまして、これが指導しておるというのか、統括をしておるのか、そういうことになっております。したがいまして、その団体の基礎を確実なものにして、先ほど申しました人命尊重といったような立場からも、あるいは健全なスポーツを育成するといった立場からも、そういう団体の役割りというものは非常に大きくなると思うのです。それに対しまして、どこがどういう指導をするのかということで、政府考えは一体統一されておるかどうか。たいへんむずかしい問題でございますが、しかし大事な問題でございますので、ボクシング、特にプロボクシングの場合には、どこが責任を持って指導し、監督をするのか。それから同時に、いまの御答弁では、学生はアマチュアの場合だけだ、あるいはクラブ活動の程度だということでございますが、これはまた私もあらためて十分に調査した上で論議を尽くしたいと思いますけれども、しかし、常識的に学生が参加しておるというような場合もあり得ると私は思うのでございますが、的確な数字は私も持っておりません。いまお話しのように、千数百名やっている中に、あるいは本物に入っておる者があるのではないかと思うだけでありまして、きょうはそれ以上のことは論議しませんけれども、先ほども申しました、そういう団体指導強化していく中心のものにしたいということの立場から、まず最初に、そうしたプロフェッショナルなボクシングといったようなものについては、どこが責任を持つべきであるということになっておるのか、現実の行政のあり方をひとつ伺いたいと思います。
  325. 西田剛

    ○西田政府委員 お答えいたします。  アマチュアボクシングにつきましては、当然私のほうで所管をいたしまして、アマチュアボクシング連盟というものがございまして、これが規制をいたしております。ただ、プロのほうは非常に複雑でございまして、ジムの経営者とボクサーとの間の契約、こういうふうな仕事につきましては、主として労働省のほうで所管をいたしております。また風紀関係等につきましては警察のほうになりますし、見せものでございますので、さような点で興行場法というような適用も受けますので、さような面は厚生省のほうの法規の規制を受けるということになっておりますので、事柄によりましてそれぞれの省で対策を講ずるということになろうかと思います。したがいまして、ただいま先生からお話のありましたプロ関係団体をまとめるというようなことについて、どこが扱うのかということは、ただいまのところ、率直に申し上げましてはっきりいたしておらないと思いますが、アマチュアスポーツとの関連もございますので、私どものほうもお手伝いをして、主として労働省のほうの関係かと思いますが、たとえばコミッショナー制の制度化というような問題について、検討するようなことをお手伝いできる余地があればいたしたい。ただ、私ども気持ちといたしますれば、これは営利を目的としました、いわば企業でございますし、非常にばらばらにもなっておりまして、これらの調整という問題は非常にむずかしい問題で、ある意味では役所が手出しをしたり指導するというようなことが、はたして適当かどうかというような面もあろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、むしろ興行界において自主的にそれらの点を検討され、確立されていくことが望ましいのじゃないか、率直にかように感じておる次第でございます。
  326. 竹本孫一

    竹本分科員 簡単に要点だけ伺いますが、いま政府の主務官庁の問題ははっきりしないという御答弁でございました。また、場合によっては政府は介入しないほうがよりベターではないかというようなお考えでございますけれども、しかし、先ほども申しました人命尊重という問題が一つあります。それからそのほかにいろいろ聞いてみますと、私も専門家ではありませんけれども、ボクサーというのは、スポーツの特殊性からマネージャーというのがいるんです。このマネージャーというのが、いわゆるマネージャーとしてマネージャー料をとっておるだけでなくて、同時に興行師、プロモーターという立場も持っておる。そして、いわゆるファイトマネーといいますか、一定の出演料というものをとっておるわけです。そこで、ボクサー自体の立場というものを考えてみると、まことに気の毒な立場に立っておる。いわゆる二重に搾取をされておるというような実態になっておるようであります。そこで、そういうものをそのまま捨てておいていいかどうかということが一つと、それからもう一つは、マネージャーとボクサーとはいろいろ契約関係があって、三年間の契約でやるのだそうでございますが、契約関係が一応終わりましても、なかなか自由に動ける立場に立っていないということで、身分的にも、奴隷とまでは申しませんけれども、そうした非常に、単なる契約関係以上の身分的な制約というものがある。そういう意味で、人命尊重の面から見ても、あるいはすべての者が近代的な社会において近代的な生活ができる、できなければならないという文化国家のわれわれの立場から申しまして、あまりにも暗い面が多過ぎるではないか、もう少しマネージャーとボクサーとの間、あるいはボクサー自身のあり方について、近代的な光がさし込んでいかなければうそじゃないか、こういうことを考えると、これは単なる私的な団体にまかしておくとか、あるいは国家は介入しないほうがベターであるという立場で見ておるということではならないと思うのですが、大臣いかがでございますか、そういう点について感想をひとつ伺いたいと思います。
  327. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 いまお話しのように、非常な過度の搾取があるようなことがあっては、これは不都合だと思います。この点は、主として労働省の所管すべきことであるように思われますが、私どももそういうことを伺いました以上は、ひとつ関係の省ともよく相談をして、何かうまいくふうがあるかどうか研究をしてみたいと思います。
  328. 竹本孫一

    竹本分科員 せっかくおいでいただいているようでございますから、厚生省はこういう問題について、特にプロボクシングについてどういうようなお立場に立っておるか、お考えを伺いたいと思います。
  329. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 厚生省の関係といたしましては、興行場法という法律に基づきまして、興行場の施設、設備についての規制を行なっておりますが、これは映画、演劇あるいはスポーツも入りますが、そういうものを見せたり、あるいは音楽を聞かせたりする施設につきまして、その衛生措置を守らせるという点で、通風とか、換気とか、清潔に保つとか、そういう施設自体に入る観客の環境を守るというふうなことについての規制を行なっておりますが、ボクサー自身の問題についての規制とかいろいろ指導とか、そういうことはやっておりません。
  330. 竹本孫一

    竹本分科員 ただいまお聞きのように、厚生省は施設の環境衛生、施設についての立場から監督をし指導されておる。ボクサー自身のそういう問題、人命尊重の立場の基本的な問題あるいは契約関係における身分的な隷属関係の問題、二重搾取の問題というものには、全然タッチされておりません。  警察庁もお見えのようでございますから、警察庁が今日こうしたものにいかなる関連を持っておられるか、ひとつ伺いたいと思います。
  331. 阪田正仁

    ○阪田説明員 警察庁といたしましては、暴力その他特別のことがある場合を除きまして、街頭における雑踏の警戒というようなことを、他の興行等と同じようにやっております。
  332. 竹本孫一

    竹本分科員 警察庁も、警察庁の当然な立場として、暴力その他についての警戒をしているということでございまして、やはり私がいま一番大切な問題として取り上げておる問題については、直接取り組んでおりません。  もう一つ、消防庁もお見えいただいておりますから、消防庁のお立場をひとつ御説明いただきたいと思います。
  333. 川合武

    ○川合政府委員 施設及び収容人員の問題、ことにその人命の危険の問題等考えまして、消防用設備あるいは火の使用の制限、あるいは客席定員数の問題等を、法律並びに都市によりましては条例で規制をいたしておる次第でございます。
  334. 竹本孫一

    竹本分科員 そういたしますと、いま労働省はお見えになっていないようでございますが、当然労働省の立場は労働搾取に関する立場からの指導であり、監督であろうと思います。労働省の問題は、先ほど申しました身分的な関係についてはやや大きな関係がありますけれども、プロボクシングのあり方自体については、どこの省も直接の関係を持っておりません。しかも、御承知のように、プロボクシングは最近非常に流行いたしておりまして、タイトルマッチはたいへんな人気であります。それを喜ぶべきか、悲しむべきか、いろいろ立場はあろうかと思いますが、現実にそういうものが大きく行なわれておるのでございますから、しかも、そこで人命尊重の上から、あるいは人間関係の近代化の上から重大な問題がありとすれば、特に文部省としてはいろいろな関係が深い立場において、これはやはり重大な問題であろうと思います。先ほど来アマとプロとの限界の問題も出ておりますが、そういう点を考えますと、やはり私はこれは一応——たとえば相撲等につきましてもそうでしょうし、プロ野球等についても、文部省がどういう立場をとっておられるか、私つまびらかにいたしませんけれども、そうした関連から考えてみますと、やはり主務官庁的なものは、一応文部省あたりがイニシアチブをとられなければならないだろう。そして、結論から申し上げますけれども関係各省庁に協議を願って、その上で、これからのプロボクシングは一体どうするかということについて、ひとつイニシアチブをとって討議を進めていただきたい、またそうする必要があるではないかと思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  335. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 相撲等につきましても、相撲協会を通して、世論の盛り上がり等も手伝って相当の近代化ができたようです。確かに伺いますと、ボクシングにつきましても近代化の足りないといいますか、不足しておる面があるようにも考えられますので、これらは文部省がイニシアをとるのがいいのか、またそれができるかどうかもわかりませんが、せっかくの御指摘であり、また考えてみれば非常に大事な点でございますから、ひとつ体育局長に命じまして、体育局中心に研究し、またほかの省とも連絡をさせまして検討いたしたいと思います。
  336. 竹本孫一

    竹本分科員 大臣のおっしゃるとおりぜひひとつこの問題を取り上げていただきたいと思います。  なお、ついででございますから申し上げますが、アメリカ等におきましても、これはアメリカの問題でございますが、去年のジャパンタイムズの八月十八日号で見ますと、これは「フェデラル・コントロール・オーバー・プロフェッショナル・ボクシング」ということで、プロフェッショナル・ボクシングのあり方については、やはり責任ある体制をつくらなければならぬというので、驚くべきことには三百四十六対四の多数で下院が法案を通しております。ただし、これはその後のことがよくわかりません。最近様子を聞いてみると、上院では上院で、別個の法案を審議しているという話も聞いておりますが、アメリカあたりではそういうふうに——アメリカと日本とは事情がだいぶ違いますけれども、しかし、少なくとも問題の重要性にかんがみて、一個独立の法律をつくるというところまで問題が前進をしている。日本では、聞いてみると、主務官庁もどこかわからない。実は私、先ほど来質問をするについて、まあ主たるところは文部省のようでございますけれども、あるいは端的な主務官庁がどこかにあるのではないかと思って聞いてみましたし、調べてみましても、わかりません。ただいま厚生省や警察庁、消防庁等の話を聞いてみましても、それぞれの立場からまわりのほうをいろいろと指導監督しておられるが、一番大事なボクサー自体について、あるいはコミッショナーの制度について、直接な端的な取り組み方はいたされていないのであります。ぜひひとつこの問題について端的な取り組み方をしていただいて、私は、特にいまの学生の問題につきましても、今日ただいまそれを禁止したほうがいいとか、奨励したほうがいいとかいうことを言おうとは思わないのです。実態がどうなっておるか、また、文部省としてはどういうようにお考えになっておられるのかということを伺いたいということを中心にお尋ねをいたしたわけでありますが、アメリカあたりのあり方では、宗教団体の一部には、もうこんなものは全面的に禁止してしまえというような考え方もあるようです。日本にもあるかもしれませんが、そういう意味で、どういう立場をとるか、禁止するなら禁止することも一つ方法でしょうけれども、しかし、現実にこれだけ流行いたしておりますものを一ぺんに禁止するということもなかなかむずかしい。しかも重大な人命尊重の問題にも関連をいたしますので、あり方からいえば、やはり主務官庁をはっきりきめ、そして統制機関と申しますか、民間統制団体をちゃんと法的な基礎のあるりっぱなものにして、指導育成に当られ、監督に当たられる。こういうあり方が望ましいのではないかと思いますが、この点につきまして大臣のお考えをもう一度お伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  337. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 実態は、プロのほうになりますと、民間企業でありますから、これをどうさばいて、いま御指摘のような欠点を是正し、あるいは組織の近代化をはかるか、非常にむずかしい問題だと思います。この機会に、私どもとしましてもひとつよく研究をさしていただきたい、こう思います。
  338. 竹本孫一

    竹本分科員 終わります。
  339. 井出一太郎

    ○井出主査 本日はこの程度とし、明三月一日も午前十時より開会し、引き続き文部省所管について質疑を行なうこととし、これにて散会いたします。    午後七時十五分散会