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松浦(定)
分科員 これは人命に関する問題でありますから、平素私が主張いたしております気持ちとは少し変わるかと思いますから、その点はお許しを願いたいと思います。
いま
長官の
お話を聞いておりますと、そのことについては、副
長官も
現地に派遣してある
程度の見舞いその他で処置をした。しかし、連合国の占領下における当時と違って、その
法律についての効果といいますか、それを適用するような
方法もない、こういうようにおっしゃいますけれ
ども、そういう事件が起こらないとはっきりした場合においては、それは連合国がどうあろうともこうあろうとも、そういう
法律があるなしにかかわらず、現実の問題として起こる問題については、これはもう
政府の責任だということは、実はこれはおいでになったときでも
お話をされておるわけであります。私は、
法律がなければ、たとえば人命の問題についてもどうもしようがないといって
政府が逃げなければならないようなことでは、どうかと思うわけであります。最近問題になっておりまする全日空の問題については、なるほど東京のすぐ周辺であるだけに、
日本国内ばかりではなく、世界的に実は有名になったと思うのです。
政府としても、いま
お話になったような
内容とは別に、やはりおやりになっておると思うのです。それを国民はひとつもふしぎには思っていないのです。当然だと思っているのです。責任を問えば全日空にあるとしても、
政府がとっておる処置は、まだもの足りないという
意味がずいぶんあるわけです。ところが、いまのような
お話になりますと、一応あれは二十万出したからそれでいいのだとか、あるいはまた
法律がないからしかたがないのだということで、一片のここでの
答弁で終わるということにはならないと私は思うのです。少なくも佐藤
内閣は人間尊重ということを言う。これをどういうところに適用して、はたして国民がそれを納得するかということについては、それは、一人の事故たりとも軽々しくしないというところにあると私は思うのです。それが、いま四名即死をして十二名重傷、二十名軽傷、そうして、いろいろ
あとから申し上げますけれ
ども、どうにもならない状態になっておるということが現実にありながら、死傷者に対して二十万だけ。これは、占領軍の
法律が適用された場合に、一日二百円で千日間に対する処置であって最高のものだ、こういうような
お話をされますと、知らぬ人はしかたがないと思います。しかし、その親なりきょうだいなりというものは、そうはいかないと思うのです。私は率直に申し上げますけれ
ども、たとえば
総理大臣にしましても、閣僚の皆さんにしましても、自分の子供に小学校五年生、六年生の子供が、あるいはある人もあるしない人もあると思うが、おそらくお孫さんが、そういう該当のある人は多数あると私は思うのです。自分の子供や孫がそういうふうになったら、
法律のあるなしにかかわらず、私は問題になると思うのです。ところが、北海道の釧路で起こったことだから、わりあいこれが等閑視される、あるいは東京湾のまん中で起きたからそれは重要視される、私は、これは政治ではないと思うのです。たとえば、北海道のあの台風の洞爺丸でなくなったときには、一千数百名なくなったのです。その処置と今度の百三十三名の処置とは、国民の受ける感じは非常に違うと思うのです。私は、その当時のことを足らないと申し上げるのではないのです。今日の百三十三名に対する処置が行き過ぎておるとは言っていないのです。最近、御
承知のように漁船においていろいろ転覆事故がありまして、きのうの新聞にも出ておりましたが、もう海のまん中ではどうにもならぬというので、わずか一日くらいで打ち切ってしまった、そして六十何名が行くえ不明になったという記事が出ております。ところが全日空の場合、東京湾の中では、おそらく一日や二日で打ち切ったということにはならないでしょう。現実の問題として、残された遺体の一人でも揚げるように努力しなければならぬ。それでもって国民はだれも行き過ぎだと言わないのですよ。
法律があってもなくても——
法律はないけれ
どもおやりになっているでしょう。責任が何も
政府にないこの問題についてさえおやりになっておる。いま私が言っておるのは、これは責任が
政府にあることは明らかなんです。こういう点についてのお感じは、いまのような御
答弁でこれから私の質問に対してお答えになるつもりかどうか。それならば、これから長い貴重な時間をやらなくても——これは当然いま問題になっております。これはやはり
法律がなければ
法律をつくる。前例がないからということを私はよく聞きますけれ
ども、前例があって
法律をつくるのでは、すでに一歩おくれているわけです。
法律というものは、その該当者があるなしにかかわらず、国家として必要な場合においてはやはりつくっておかなければならぬ。
日本のように、
法律ばかりつくっておる国は、おそらく世界にあまりないと私は思うのです。だとしたら、
法律ができないからできないということでなしに、やはりあるかもしれない、ないのを願うけれ
ども、あった場合には、いま
お話しのように、
法律がないからといって逃げるような、そういう
政府ではないという
立場に立って、立法をやはりやっていただきたいと思うのです。そういう点のお
考えをまずお聞きしておきたいと思います。